(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】睡眠障害性呼吸を治療するための舌骨喉吊り下げシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/24 20060101AFI20230714BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20230714BHJP
A61F 5/56 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A61B17/24
A61N1/36
A61F5/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564442
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 US2021028418
(87)【国際公開番号】W WO2021216724
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501271033
【氏名又は名称】バンダービルト・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】VANDERBILT UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】ケント,デイビッド,ティー.
【テーマコード(参考)】
4C053
4C098
4C160
【Fターム(参考)】
4C053FF04
4C053FF07
4C053JJ27
4C098BB15
4C160LL21
4C160LL59
4C160MM03
(57)【要約】
【課題】本発明は、睡眠障害性呼吸(sleep disordered breathing、SDB)を治療するための舌骨喉吊り下げ装置及びシステムを提供する。
【解決手段】装置は、第1締結具を含み、当該第1締結具の寸法及び構造が患者の舌骨又は甲状軟骨にアンカーするように設定され、第2締結具をさらに含み、当該第2締結具の寸法及び構造が患者の胸骨、鎖骨又は肋骨にアンカーするように設定される。静的部材又は弾性部材の一端が第1締結具に接続され、対向端が第2締結具に接続される。弾性部材は、咽頭部及び/又は喉部が動的に上昇して発話及び嚥下を許容するように十分な弾性を有する。静的部材は、適切な咽頭壁張力を維持しつつ、依然として舌骨及び甲状軟骨が十分な動きを有することを許容して発話及び嚥下機能を図るように十分な張力を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の睡眠障害性呼吸(SDB)を改善するための舌骨喉吊り下げシステムであって、
その寸法及び構造が前記患者の甲状軟骨にアンカーするように設定される甲状軟骨締結具と、
その寸法及び構造が前記患者の前記甲状軟骨下の解剖骨性構造にアンカーするように設定される下骨締結具と、
弾性部材又は静的部材と、を含み、
前記弾性部材又は静的部材は、前記甲状軟骨締結具と前記下骨締結具との間に設けられ、前記弾性部材は、咽頭部及び/又は喉部の上昇を許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な弾性を有し、前記静的部材は、咽頭壁の張力を維持しつつ、依然として舌骨及び前記甲状軟骨の動きを許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な張力を有する、ことを特徴とする舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項2】
前記下骨締結具の寸法及び構造は、胸骨、肋骨又は鎖骨にアンカーするように設定される、ことを特徴とする請求項1に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項3】
甲状軟骨牽引装置は、前記甲状軟骨の単独で唯一の下牽引を提供する、ことを特徴とする請求項1に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項4】
神経調整システムをさらに含み、
前記神経調整システムは、
上気道筋肉又は上気道筋肉を支配する神経を含む目標部位に電気信号を伝達することにより、上気道筋肉を活性化するように配置される少なくとも一つの電極と、
前記電極と電気的に連通する電源と、
前記電極と電気的に連通するコントローラであって、前記電気信号を前記目標部位に直接伝達することで、前記上気道筋肉又は前記上気道筋肉を支配する前記神経を刺激することによって、前記上気道筋肉を活性化して睡眠障害性呼吸を改善するようにプログラミングされるコントローラと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項5】
前記神経は、頚神経ワナであり、前記筋肉は、胸骨甲状筋である、ことを特徴とする請求項4に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項6】
その寸法及び構造が前記患者の舌骨にアンカーするように設定される舌骨締結具と、
弾性部材又は静的部材と、をさらに含み、
前記弾性部材又は静的部材は、前記甲状軟骨締結具と前記舌骨締結具との間に設けられ、前記弾性部材は、咽頭部及び/又は喉部の上昇を許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な弾性を有し、前記静的部材は、咽頭壁の張力を維持しつつ、依然として前記舌骨及び前記甲状軟骨の動きを許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な張力を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項7】
その寸法及び構造が前記患者の舌骨にアンカーするように設定される舌骨締結具と、
弾性部材又は静的部材と、をさらに含み、
前記弾性部材又は静的部材は、前記舌骨締結具と前記下骨締結具との間に設けられ、前記下骨締結具の寸法及び構造は、前記舌骨下の解剖骨性構造にアンカーするように設定され、前記弾性部材は、咽頭部及び/又は喉部の上昇を許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な弾性を有し、前記静的部材は、咽頭壁の張力を維持しつつ、依然として前記舌骨及び前記甲状軟骨の動きを許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な張力を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項8】
前記下骨締結具の寸法及び構造は、前記舌骨下の解剖骨性構造にアンカーするように設定され、前記下骨締結具の寸法及び構造は、胸骨、肋骨又は鎖骨にアンカーするように設定される、ことを特徴とする請求項4に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項9】
前記下骨締結具の寸法及び構造は、前記舌骨下の解剖骨性構造にアンカーするように設定され、前記下骨締結具は、請求項1に記載の下骨締結具と同じであり、その寸法が前記患者の前記甲状軟骨下の解剖骨性構造にアンカーするように設定される、ことを特徴とする請求項4に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項10】
その寸法及び構造が前記患者の下顎骨にアンカーするように設定される下顎骨締結具と、
その寸法及び構造が前記患者の舌骨にアンカーするように設定される舌骨締結具と、
静的部材又は弾性部材と、をさらに含み、
前記静的部材又は弾性部材は、前記下顎骨締結具と前記舌骨締結具との間に設けられ、前記弾性部材は、咽頭部及び/又は喉部の上昇を許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な弾性を有し、前記静的部材は、咽頭壁の張力を維持しつつ、依然として前記舌骨及び前記甲状軟骨の動きを許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な張力を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項11】
その寸法及び構造が患者の下顎骨にアンカーするように設定される下顎骨締結具と、
その寸法及び構造が前記患者の舌体にアンカーするように設定される舌体締結具と、
前記下顎骨締結具と前記舌体締結具との間に設けられる弾性部材と、をさらに含み、
前記弾性部材は、舌体の移動を許容して発話及び嚥下を許容するように十分な弾性を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の舌骨喉吊り下げ装置。
【請求項12】
その寸法及び構造が前記患者の舌骨にアンカーするように設定される舌骨締結具と、
前記舌骨締結具と前記甲状軟骨締結具との間に設けられ、又は前記舌骨締結具と前記下骨締結具との間に設けられる弾性部材又は静的部材と、
その寸法及び構造が前記患者の下顎骨にアンカーするように設定される下顎骨締結具と、
前記下顎骨締結具と前記舌骨締結具との間に設けられる弾性部材又は静的部材と、
その寸法及び構造が前記患者の舌体にアンカーするように設定される舌体締結具と、
前記下顎骨部材と前記舌体部材との間に設けられる弾性部材又は静的部材と、をさらに含み、
全ての前記弾性部材は、咽頭部及び/又は喉部の上昇を許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な弾性を有し、全ての前記静的部材は、咽頭壁の張力を維持しつつ、依然として前記舌骨及び前記甲状軟骨の動きを許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な張力を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の舌骨喉吊り下げ装置。
【請求項13】
患者の睡眠障害性呼吸(SDB)を改善するための舌骨喉吊り下げシステムであって、舌骨機械末端牽引システムを含み、
前記舌骨機械末端牽引システムは、
その寸法及び構造が前記患者の舌骨にアンカーするように設定される舌骨締結具と、
その寸法及び構造が前記患者の前記甲状軟骨下の解剖骨性構造にアンカーするように設定される下骨締結具と、
弾性部材又は静的部材と、を含み、
前記弾性部材又は静的部材は、前記舌骨締結具と前記下骨構造締結具との間に配置され、前記弾性部材は、咽頭部及び/又は喉部の上昇を許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な弾性を有し、前記静的部材は、咽頭壁の張力を維持しつつ、依然として前記舌骨及び前記甲状軟骨の動きを許容して前記患者の発話及び嚥下を許容するように十分な張力を有し、
前記舌骨牽引システムは、前記舌骨の単独で唯一の下牽引を提供する、ことを特徴とする舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項14】
患者の睡眠障害性呼吸(SDB)を改善するための舌骨喉吊り下げシステムであって、舌骨機械牽引システムと、神経調整システムと、を含み、
前記舌骨機械牽引システムは、
その寸法及び構造が前記患者の舌骨にアンカーするように設定される舌骨締結具と、
その寸法及び構造が前記患者の前記舌骨下の解剖骨性構造にアンカーするように設定される下骨締結具と、
弾性部材又は静的部材と、を含み、
前記弾性部材又は静的部材は、前記舌骨締結具と前記下骨構造締結具との間に配置され、前記弾性部材は、咽頭部及び/又は喉部の動的な上昇を許容して発話及び嚥下を許容するように十分な弾性を有し、前記静的部材は、咽頭壁の張力を適切に維持しつつ、依然として前記舌骨及び前記甲状軟骨が十分な動きを有して発話及び嚥下機能を実現することを許容するように十分な張力を有し、
前記神経調整システムは、
上気道筋肉又は上気道筋肉を支配する神経を含む目標部位に電気信号を伝達することにより、上気道筋肉を活性化するように配置される少なくとも一つの電極と、
前記電極と電気的に連通する電源と、
前記電極と電気的に連通するコントローラであって、前記電気信号を前記目標部位に直接伝達することで、前記上気道筋肉又は前記上気道筋肉を支配する前記神経を刺激することによって、前記上気道筋肉を活性化して睡眠障害性呼吸を改善するようにプログラミングされるコントローラと、を含む、ことを特徴とする舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項15】
前記神経は、舌下神経であり、前記筋肉は、オトガイ舌筋である、ことを特徴とする請求項11に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項16】
前記神経は、舌咽頭神経である、ことを特徴とする請求項11に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【請求項17】
前記神経は、頚神経ワナであり、前記筋肉は、胸骨甲状筋である、ことを特徴とする請求項11に記載の舌骨喉吊り下げシステム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年4月22日に出願された米国仮特許出願63/013,678号の優先権を要求し、その開示内容は、引用の方式により全て本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、舌骨喉(hyolaryngeal)を吊り下げて睡眠障害性呼吸を治療するためのシステム及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
睡眠障害性呼吸(sleep disordered breathing、SDB)は、一晩中に複数回出現する部分呼吸停止又は完全呼吸停止の場合に発生する。閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea、OSA)は、SDBの一種類であり、当該種類のSDBは、呼吸しにくい場合に気流が停止するか又は顕著に減少することに関する。これは、SDBの最も一般的な種類であり、その特徴は、睡眠期間に上気道崩壊が繰り返して発生することで呼吸が繰り返して一時停止し、その後に血中酸素飽和度が低下するか又は神経が覚醒することにある。OSAの病理生理学は、頭蓋面解剖学、気道崩壊性及び上気道拡張筋の神経筋制御などの要因に係り得る。筋電図研究によると、咽頭気道拡張筋(例えばオトガイ舌筋)の緊張及び段階的な活動は、覚醒からノンレム運動までさらにレム運動まで徐々に弱くなる。
【0004】
持続的陽圧換気(continuous positive airway pressure、CPAP)療法は、OSAに対する一線療法である。CPAP療法は、定常的な気流を輸送するために設計された機器(典型的には流量発生器、管及びマスクを含む)を利用して、OSA患者の気道を持続的に開放する。しかしながら、CPAP療法の成功は、報告された50%~70%の範囲のコンプライアンスに制限される。気道陽圧に耐えられない閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea、OSA)患者に対して、現在、舌下神経刺激(hypoglossal nerve stimulation、HNS)が有効な治療方法として特定されている。このような療法は、舌筋を突出させて硬化させることにより咽頭気道を拡大する。しかしながら、ごく一部のOSA患者のみが舌下神経刺激療法に適する解剖学的構造を有するため、多くの患者が舌下神経筋組織の刺激を受けても、気道崩壊の苦痛を受け続けることになる。
【0005】
現在、いくつかのシステムは、舌骨を下顎骨の後部に静的にアンカーするために用いられることが許容されるが、これらのシステムは、静的吊り下げを提供し、かつ嚥下問題を引き起こす可能性があり、例えば、これらのシステムは、舌骨及び喉部の残りの部分が上向き及び後向きに上昇することを制限して、気道が食物塊及び液体の影響を受けないように保護するためである。これらのシステムは、舌骨に前方牽引を加えることにより気道を拡大し、舌根の崩壊を減少させ、かつ舌根の水平位で咽頭部軟組織に局所硬化作用を提供し、それにより崩壊をさらに減少させる。これらのシステムは、咽頭のの水平位又は口蓋咽頭の水平位での気道硬化上の効果が良くない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、睡眠障害性呼吸(sleep disordered breathing、SDB)を治療するための舌骨喉吊り下げ装置及びシステムを提供している。一実施例において、第1締結具の寸法及び構造は、患者の舌骨又は甲状軟骨にアンカーするように設定され、第2締結具の寸法及び構造は、患者の胸骨、鎖骨又は肋骨にアンカーするように設定される。静的部材又は弾性部材は、一端が、第1締結具に接続され、対向端が、第2締結具に接続される。弾性部材は、咽頭部及び/又は喉部の動的な上昇を許容するように十分な弾性を有することにより、発話及び嚥下を許容する。静的部材は、適切な咽頭壁張力を維持するように十分な張力を有するとともに、発話及び嚥下機能を実現するように依然として舌骨及び甲状軟骨が十分な動きを有することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施例に係る患者の体内に植え込まれた本発明のシステム概略図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る神経調整システムのブロック図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る神経調整システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で記述された素子に対して使用されるように、特に断りのない限り、用語「一」、「一つ」及び「当該」は、少なくとも一つ又は複数のその組み合わせを含む記述される素子/要素を含む。また、特に断りのない限り、用語「又は」と「及び」は、「及び/又は」及びその組み合わせを指す。理解されるように、一つの素子が「別の素子に位置する」、「別の素子の上方に位置する」、「別の素子に取り付けられる」、「別の素子に接続される」、「別の素子に結合される」、「別の素子に接触する」、「別の素子に連通する」などと呼ばれる場合、それは、直接的に、「別の素子に位置する」、「別の素子の上方に位置する」、「別の素子に取り付けられる」、「別の素子に接続される」、「別の素子に結合される」、「別の素子に接触する」又は「別の素子に連通する」ようにしてもよく、中間素子が存在してもよい。逆に、一つの素子が「他の素子の上方に直接的に位置する」、「他の素子に直接的に位置する」、「他の素子に直接的に取り付けられる」、「他の素子に直接的に接続される」、「他の素子に直接的に結合される」、「他の素子に直接的に接触する」又は「他の素子に直接的に連通する」と呼ばれる場合、中間素子が存在しない。他の要素と「隣接する」ように配置された要素は、隣接する要素と重なる部分や、隣接する要素の下方に位置する部分を有していてもよい。いわゆる「実質的/基本的」とは、素子の形状、構造又は方位は、数学的に精確に記述される形状、構造又は方位を有する必要がないが、当業者によって記述された形状、構造又は方位を有すると識別された一般的又は近似の形状、構造又は方位を有することができることを指す。用語「下」(inferior)及び「上」(superior)は、標準解剖学的姿勢における人間の姿勢を指す。本明細書に開示されたシステム及び装置は、医療目的に用いられるため、その部材は、無菌である。本明細書で使用されるように、「患者」は、例えば、ヒトなどの哺乳動物を含む。
【0009】
本開示は、下部牽引を提供して気道内の垂直張力を保持して気道の崩壊を防止するためのシステム及び装置を提供する。
図1を参照し、一実施例において、SDBを治療するための舌骨喉吊り下げ装置10は、寸法及び構造が患者の舌骨14にアンカーするように設定された第1締結具12と、寸法及び構造が患者の胸骨、鎖骨又は肋骨18にアンカーするように設定された第2締結具16とを含むことができる。装置10は、さらに静的部材又は弾性部材20を含むことができ、静的部材又は弾性部材20は、一端22が第1締結具12に接続され、対向端24が第2締結具16に接続される。例えば、締結部材は、単一の締結部材又は複数の締結部材であってもよく、それは、単独のマイクロプレート、骨又は軟部組織ネジ、縫合リング、又はそれらの組み合わせを含むことができる。追加的又は代替的に、舌骨喉吊り下げ装置26は、寸法及び構造が患者の甲状軟骨30にアンカーするように設定された第1締結具28と、寸法及び構造が患者の鎖骨、胸骨又は肋骨18にアンカーするように設定された第2締結具32とを含むことができる。装置26は、さらに静的部材又は弾性部材34を含むことができ、静的部材又は弾性部材34は、一端36が第1締結具28に接続され、対向端38が第2締結具32に接続される。追加的又は代替的に、舌骨喉吊り下げ装置40は、寸法及び構造が患者の下顎骨44(例えば下顎骨の後部)にアンカーするように設定された第1締結具42と、寸法及び構造が患者の舌骨14にアンカーするように設定された第2締結具46とを含むことができる。装置40は、さらに静的部材又は弾性部材48を含むことができ、静的部材又は弾性部材48は、一端50が第1締結具42に接続され、対向端52が第2締結具46に接続される。追加的又は代替的に、舌骨喉吊り下げ装置54は、寸法及び構造が患者の下顎骨44にアンカーするように設定された第1締結部材56と、寸法及び構造が患者の舌体60にアンカーするように設定された第2締結部材58とを含むことができる。装置54は、さらに静的部材又は弾性部材62を含むことができ、静的部材又は弾性部材62は、一端64が第1締結具56に接続され、対向端66が第2締結具58に接続される。本開示は、さらに装置10、26、40及び54のうちの一つ又は複数を含むことができるシステムを提供している。
【0010】
いずれの実施例においても、単一の軸を中心として捩れることを回避するために、対応する骨格に取り付けられた第2独立弾性部材を含むことができる。舌骨又は甲状軟骨に取り付けられる場合、弾性部材は、舌骨又は甲状軟骨がそれぞれ下向きに移動することを可能にし、かつ喉部が動的に持ち上げて発話及び嚥下を可能にするように十分な弾性を有することができる。例えば、舌骨及び/又は甲状軟骨を下方に結びつけることにより、当該装置は、喉部と鎖骨との間の気道における垂直張力を維持するか又は改善することができる。弾性部材は、夜間に適度な張力を保持することができ、それは、咽頭部が夜間に過度に依存(compliant)することが防止するために、入れるとき又は入れた後に測定(titratable)することができる。いくつかの実施例において、装置は、上気道張力で代替することではなく、舌骨又は甲状軟骨に直接的に接続されて咽頭部を直接的に張架する。舌体に取り付けられる場合、弾性部材は、舌体の睡眠中の後方変位を最小化することができる。例えば、弾性部材は、バネ又は糸状物であってもよい。
【0011】
いくつかの実施例において、締結具の間に取り付けられた静的部材は、舌骨及び/又は甲状軟骨の動きを下締結具から離れた一定の長さ以上に制限することができる。静的部材は、咽頭部が夜間に過度に依存することを防止するとともに、発話及び嚥下機能を図るために十分な動きを許容するように、入れるとき又は入れた後に測定することができる。
【0012】
陽圧換気装置、口腔矯正器、神経刺激器(例えば舌下神経刺激器)及び/又は筋肉刺激器に加えて、本明細書に使用されるシステム及び装置を用いてSDBを治療することができる。例えば、システムは、さらに神経調整システムを含むことができ、
図2及び
図3に示すように、当該神経調整システムは、上気道筋肉又は上気道筋肉を支配する神経を含む目標部位に電気信号を伝達して、上気道筋肉を活性化するように配置される少なくとも一つの電極と、電極と電気的に連通する電源と、電極と電気的に連通するコントローラとを含み、コントローラは、電気信号を目標部位に直接伝達して、上気道筋肉又は上気道筋肉を支配する神経を刺激することによって、上気道筋肉を活性化してSDBを改善するようにプログラミングされる。
【0013】
本開示の各開示態様及び実施例は、個別に考慮されてもよく、本開示の他の態様、実施例及び変形と組み合わせて考慮されてもよい。特に断りのない限り、本開示の方法のいずれのステップでも如何なる特定の実行順序に限定されない。
【国際調査報告】