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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】睡眠管理を含むシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230714BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20230714BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/16 130
A61B5/00 G
A61B5/00 102A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567884
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 US2021039631
(87)【国際公開番号】W WO2022006119
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】63/045,304
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】501228071
【氏名又は名称】エスアールアイ インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】デ ザンボッティ, マッシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー, フィオナ
(72)【発明者】
【氏名】プラウティ, デビン
(72)【発明者】
【氏名】コルレイン, イアン
(72)【発明者】
【氏名】ラママーシー, バスカー
(72)【発明者】
【氏名】マクラフリン, グレン ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C038PP05
4C038SS08
4C038VA15
4C117XB18
4C117XC15
4C117XE13
4C117XE19
4C117XE20
4C117XE23
4C117XE24
4C117XE29
4C117XE56
4C117XE60
4C117XE62
4C117XG05
4C117XG20
4C117XH02
4C117XH16
4C117XJ13
4C117XJ42
4C117XJ52
4C117XL01
4C117XP12
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】実施形態の例は、処理回路、及びユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する際の異なるパターン及び確率を示す予測データモデルを保存するメモリ回路を備えるシステムを対象とする。処理回路は、ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータを用いて、予測データモデルの異なるパターンのうち、ある日時にユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を示すパターンを検出する。さらに、処理回路は、検出されたパターンに基づいて、ある日時においてユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を増加させると予測される介入行動を選択し、当該介入行動を示すメッセージをユーザへと通信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する際の異なるパターン及び確率を示す予測データモデルを保存するメモリ回路と、
処理回路であって、
前記ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータを用いて、前記予測データモデルの異なるパターンのうち、ある日時に前記ユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を示すパターンを検出し、
検出された前記パターンに基づいて、ある日時において前記ユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を増加させると予測される介入行動を選択し、
前記介入行動を示すメッセージをユーザへと通信する、処理回路と、
を備えるシステム。
【請求項2】
処理回路は、データにおいて、複数の特徴セットの中から1つの特徴セットを識別し、前記特徴セットを用いて前記予測データモデルのサブモデルと選択することにより、前記パターンを検出し、
前記予測データモデルは、異なる介入行動に応じて前記ユーザが睡眠状態へと移行する確率を示す複数のサブモデルを含み、
前記複数のサブモデルは、複数の特徴セットの特定の特徴セットに関連する、
請求項1のシステム。
【請求項3】
前記複数のサブモデルは、異なる時間枠に関連し、
前記特徴セットの各特徴は、前記ユーザが睡眠状態へと移行する確率に関連した重みを有する、
請求項2のシステム。
【請求項4】
前記処理回路は、前記介入行動に応じて前記ユーザが睡眠状態へと移行するかを示すフィードバックデータに基づいて、前記予測データモデルを修正する、請求項1のシステム。
【請求項5】
前記処理回路は、
前記フィードバックデータをリアルタイムで受信し、
前記フィードバックデータ及び修正された前記予測データモデルに応答して、修正された前記介入行動を示す別のメッセージを通信する、
請求項4のシステム。
【請求項6】
前記処理回路は、
フィードバックデータを受信し、
受信した前記フィードバックデータに応答して、
前記フィードバックデータの特徴を識別し、
識別された前記特徴に基づいて確率を上げるために前記予測データモデルにより予想される前記介入行動に対してユーザが反応を示すかを識別し、
予想外の反応に応答して、検出された前記パターンに関連するユーザ用の前記予測データモデルを修正する、
請求項4のシステム。
【請求項7】
前記介入行動は、複数の介入行動を含む睡眠介入戦略の一部であり、
前記複数の介入行動は、行動介入行動、認知介入行動、神経調節行動、環境の変更、感覚行動、及びその組み合わせから選択される、
請求項1のシステム。
【請求項8】
前記処理回路は、前記睡眠介入戦略を示し、前記複数の介入行動の順序を含むメッセージを通信する、請求項7のシステム。
【請求項9】
前記処理回路は、前記複数の介入行動を示すメッセージを含む複数のメッセージを通信し、
複数のメッセージのそれぞれは、各前記介入行動を取るように前記ユーザに指示する前記ユーザに対するメッセージ、及び前記睡眠介入戦略に応じて特定の時間に各前記介入行動を自動的に起こすための別の装置に対するメッセージからなる群から選択される、
請求項7のシステム。
【請求項10】
前記ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータを受信する入力回路をさらに備え、
前記入力回路は、前記ユーザの生理学的信号を感知するウェアラブル生理学的センサ、及び大気測定を感知する別のセンサを備える、
請求項1のシステム。
【請求項11】
前記ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータを受信する入力回路をさらに備え、
受信された前記データは、スケジュール又はカレンダーデータ、ストレスレベル、大まかな気分、食事データ、健康情報、運動データ、睡眠データ、及びその組み合わせから成る群から選択される、
請求項1のシステム。
【請求項12】
実行された際に、処理回路に、
ユーザの現在の心理生理学的を示すデータの複数の特徴セットのうちの特徴セットを識別させ、
識別された前記特徴セットに基づいて、ある日時に前記ユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を示す予測データモデルに関連するパターンを検出させ、
検出された前記パターン及び前記予測データモデルに基づいて、ある日時において前記ユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を増加させると予測される介入行動を示すメッセージを前記ユーザへと通信させ、
前記介入行動に応じて前記ユーザが睡眠状態へと移行するかを示すフィードバックデータに基づいて、前記予測データモデルを修正させる、
ように実行可能な命令を備える、
非一時的な記録媒体。
【請求項13】
前記命令は、
識別された前記特徴セットを使用して関連する前記予測データモデルのサブモデルを選択するように実行可能な命令を含むパターンを検出し、
前記フィードバックデータ及び修正された前記予測データモデルに応答して、修正された前記介入行動を示す別のメッセージを通信する、
ように実行可能な命令を備える、
請求項12の非一時的な記録媒体。
【請求項14】
前記予測データモデルを修正する命令は、前記ユーザ用に識別された前記特徴セットに応答して、前記介入行動に関連した重みを修正するように実行可能な命令を備える、請求項12の非一時的な記録媒体。
【請求項15】
前記予測データモデルを修正する命令は、前記フィードバックデータ、並びに異なる睡眠介入戦略及び各複数の特徴セットを示す追加で受信された前記フィードバックデータに基づいて、前記ユーザ用の前記予測データモデルを経時的に修正するように実行可能な命令を備える、請求項12の非一時的な記録媒体。
【請求項16】
前記介入行動は、複数の介入行動を含む睡眠介入戦略の一部であり、
前記命令は、
前記睡眠介入戦略を示し、複数の介入行動の順序を含むメッセージの通信し、
前記複数の介入行動の順序及び前記複数の介入行動の1つ以上を修正することを含む前記予測データモデルを修正する、
ように実行可能な命令を備える、
請求項12の非一時的な記録媒体。
【請求項17】
ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータを受信する入力回路と、
前記ユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する際の異なるパターン及び確率を示す予測データモデルを保存するメモリ回路と、
データを用いて、前記予測データモデルの異なるパターンのうち、ある日時に前記ユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を示すパターンを検出し、検出された前記パターンに基づいて、ある日時において前記ユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を増加させると予測される少なくとも1つの介入行動を含む睡眠介入戦略を識別し、少なくとも1つの前記介入行動を示すメッセージを前記ユーザへと通信する処理回路と、
を備えるシステム。
【請求項18】
前記メモリ回路は、実行された際に、一般的な集団の傾向及び公共利用が可能な上方に基づいて前記予測データモデルを生成させ、特徴セットそれぞれについての異なる前記睡眠介入戦略の成功を示すフィードバックデータを用いて、経時的にユーザ用の前記予測データモデルを修正させる命令を含む、請求項17のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの介入行動を示す少なくとも1つのメッセージは、少なくとも1つの前記介入行動の順序及びタイミングの表示をさらに含む、請求項17のシステム。
【請求項20】
前記処理回路は、前記睡眠介入戦略に応じて特定の時間に少なくとも1つの前記介入行動を自動的に起こすための少なくとも1つのメッセージを別の装置に通信する、請求項17のシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
睡眠は、個人の健康及び幸福のために必要なものである。現代社会では、睡眠不足が蔓延している。米国では人口の約3分の1が睡眠に問題を抱えており、その比率は増加している。睡眠不足に関連する要因として、心理的ストレスが認識されている。さらに、現代社会に生きる人は、ストレス、心配事、及び悩み事が多く、これが睡眠前の心理生理的活性化(過覚醒)に繋がり、寝つきが悪くなり、安眠が得られない。
【背景技術】
【0002】
本開示は、ユーザの睡眠管理に関する上記及び他の課題を解決することを対象とする。
【0003】
本開示の様々な実施形態は、睡眠及び移行時間に影響を与える要因を監視及び/又は操作し、入眠を改善する(例えば、覚醒から睡眠への移行におけるよりスムーズな生理学的変化)、睡眠プロセスを改善する(例えば、覚醒閾値を下げる、睡眠効率を高める、夜間の心血管的機能を高める)、及び/又はしばしば「覚醒から睡眠への移行時間」と呼称される移行時間を短縮する(例えば、より速い知覚及び/又は生理学的入眠潜時)。いくつかの実施形態において、そのシステム、装置、及び/又は方法は、追加的又は代替的に、誇張された心理生理学的活性化の急性状態の管理及び/又は急性心理生理学的状態の操作に使用されてよい。
【0004】
具体的な実施形態は、処理回路及びメモリ回路を備えるシステムを対象とする。メモリ回路は、ユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する際の異なるパターン及び確率を示す予測データモデルを保存する。処理回路は、ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータを用いて、予測データモデルの異なるパターンのうち、ある日時にユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を示すパターンを検出する。さらに、処理回路は、検出されたパターンに基づいて、ある日時においてユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を増加させると予測される介入行動を選択し、当該介入行動を示すメッセージをユーザへと通信する。ある日時においてユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率の増加は、任意に、介入行動が取られなかった場合と比較して、ユーザの睡眠状態への移行時間を減少させる確率の増加を含む。
【0005】
いくつかの実施形態において、処理回路は、データにおいて、複数の特徴セットの中から1つの特徴セットを識別し、当該特徴セットを用いて予測データモデルのサブモデルと選択することにより、パターンを検出する。予測データモデルは、異なる介入行動に応じてユーザが睡眠状態へと移行する確率を示す複数のサブモデルを含み、複数のサブモデルは、複数の特徴セットの特定の特徴セットに関連する。特定の特徴セットの各特徴及び/又は複数の特徴セットのそれぞれは、ユーザが睡眠状態へと移行する確率に関連した重みを有してよい。いくつかの実施形態において、複数のサブモデルは、異なる時間枠に関連する。
【0006】
いくつかの実施形態において、処理回路は、介入行動に応じてユーザが睡眠状態へと移行するかを示すフィードバックデータに基づいて、予測データモデルを修正する。
【0007】
いくつかの実施形態において、処理回路は、フィードバックデータをリアルタイムで受信し、フィードバックデータ及び修正された予測データモデルに応答して、修正された介入行動を示す別のメッセージを通信する。例えば、処理回路は、フィードバックデータを受信し、受信したフィードバックデータに応答して、フィードバックデータの特徴を識別し、識別された特徴に基づいて確率を上げるために予測データモデルにより予想される介入行動に対してユーザが反応を示すかを識別し、予想外の反応に応答して、検出されたパターンに関連するユーザ用の予測データモデルを修正してよい。修正された介入行動は、現在発生している睡眠セッション(例えば、リアルタイム調整)及び/又は将来の睡眠セッションのためであってよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、介入行動は、複数の介入行動を含む睡眠介入戦略の一部である。複数の介入行動は、行動介入行動、認知介入行動、神経調節行動、環境の変更、感覚行動、及びその組み合わせから選択されてよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、処理回路は、睡眠介入戦略を示し、複数の介入行動の順序を含むメッセージを通信する。
【0010】
いくつかの実施形態において、処理回路は、複数の介入行動を示すメッセージを含む複数のメッセージを通信する。複数のメッセージのそれぞれは、各介入行動を取るようにユーザに指示するユーザに対するメッセージ、及び睡眠介入戦略に応じて特定の時間に各介入行動を自動的に起こすための別の装置に対するメッセージからなる群から選択されてよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、システムは、ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータを受信する入力回路をさらに備える。入力回路は、ユーザの生理学的信号を感知するウェアラブル生理学的センサ、及び大気測定を感知する別のセンサを備えてよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、入力回路は、ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータを受信し、受信されたデータは、スケジュール又はカレンダーデータ、ストレスレベル、大まかな気分、食事データ、健康情報、運動データ、睡眠データ、及びその組み合わせから成る群から選択される。
【0013】
様々な実施形態の例は、実行された際に、処理回路に、ユーザの現在の心理生理学的を示すデータの複数の特徴セットのうちの特徴セットを識別させ、識別された特徴セットに基づいて、ある日時にユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を示す予測データモデルに関連するパターンを検出させ、検出されたパターン及び予測データモデルに基づいて、ある日時においてユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を増加させると予測される介入行動を示すメッセージをユーザへと通信させ、介入行動に応じてユーザが睡眠状態へと移行するかを示すフィードバックデータに基づいて、予測データモデルを修正させる命令を備える非一時的な記録媒体を対象とする。
【0014】
いくつかの実施形態において、命令は、識別された特徴セットを使用して関連した予測データモデルのサブモデルを選択するように実行可能な命令を含むパターンを検出する。命令は、さらに、フィードバックデータ及び修正された予測データモデルに応答して、修正された介入行動を示す別のメッセージを通信するように実行されてよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、予測データモデルを修正する命令は、ユーザ用に識別された特徴セットに応答して、介入行動に関連した重みを修正するように実行可能な命令を含む。介入行動についての重みは、介入行動が睡眠の改善及び/又は睡眠状態への移行時間を減少させる確率に関連してよい。例えば、介入行動は、入眠の確率及び/又は睡眠プロセスを改善し得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、予測データモデルを修正する命令は、フィードバックデータ、並びに異なる睡眠介入戦略及び各複数の特徴セットを示す追加で受信されたフィードバックデータに基づいて、ユーザ用の予測データモデルを経時的に修正するように実行可能な命令を含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、介入行動は、複数の介入行動を含む睡眠介入戦略の一部である。例えば、命令は、睡眠介入戦略を示し、複数の介入行動の順序を含むメッセージの通信と、複数の介入行動の順序及び複数の介入行動の1つ以上を修正することを含む予測データモデルの修正とを実行可能であってよい。
【0018】
様々な実施形態は、入力回路と、メモリ回路と、処理回路と、を備えるシステムを対象とする。入力回路は、ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータを受信する。メモリ回路は、ユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する際の異なるパターン及び確率を示す予測データモデルを保存する。処理回路は、データを用いて、予測データモデルの異なるパターンのうち、ある日時にユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を示すパターンを検出し、検出されたパターンに基づいて、ある日時においてユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を増加させると予測される少なくとも1つの介入行動を含む睡眠介入戦略を識別し、少なくとも1つの介入行動を示すメッセージをユーザへと通信する。
【0019】
いくつかの実施形態において、メモリ回路は、実行された際に、一般的な集団の傾向及び公共利用が可能な上方に基づいて予測データモデルを生成させ、特徴セットそれぞれについての異なる睡眠介入戦略の成功を示すフィードバックデータを用いて、経時的にユーザ用の予測データモデルを修正させる命令を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの介入行動を示す少なくとも1つのメッセージは、少なくとも1つの介入行動の順序及びタイミングの表示をさらに含む。例えば、処理回路は、睡眠介入戦略に応じて特定の時間に少なくとも1つ介入行動を自動的に起こすための少なくとも1つのメッセージを別の装置に通信してよい。
【0021】
本開示に係る実施形態は、記載される実施形態の全ての組み合わせを含む。発明のさらなる実施形態及び適用可能な全範囲は、以下に提供される詳細な説明により明らかとなる。しかしながら、本発明の精神及び範囲はこの詳細な説明から当業者にとって明らかであるため、詳細な説明及び特定の実施例は、発明の好ましい実施形態を示しながら、例示のためにのみ与えられることが理解される。本明細書に引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、その内部の引用も含めて、全ての目的のためにその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0022】
様々な実施形態の例は、付される図面に関連して、以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、様々な実施形態に係る、睡眠管理のためのシステムの例を示す。
図2図2は、本開示に係る、実行可能な命令を含む非一時的な記録媒体を備えるコンピュータ装置の例を示す。
図3図3は、様々な実施形態に係る、睡眠管理のためのシステムの別の例を示す。
図4図4は、様々な実施形態に係る、睡眠管理システムの別の例を示す。
図5図5は、様々な実施形態に係る、図4の睡眠管理システムによるデータ処理方法の例を示す。
図6図6は、様々な実施形態に係る、睡眠介入戦略の例を示す。
図7図7は、様々な実施形態に係る、予測データモデルを生成プロセスの例を示す。
図8図8A乃至Cは、様々な実施形態に係る、予測データモデルの異なる例を示す。
図9図9は、様々な実施形態に係る、心拍数(HR)、心拍変動(HRV)に対する介入の効果のサンプル、及びユーザ用の睡眠介入戦略を生成する介入プランナーの使用を示す。
図10図10は、様々な実施形態に係る、介入(この場合、仮想現実バイオフィードバック)の有無による人の入眠時の拍動間間隔時間を示す。
図11図11A及びBは、様々な実施形態に係る、不眠症にかかっている人とかかっていない人の、睡眠前の認知的覚醒の知覚とその後の入眠に費やした生理学的時間との間のグループレベルの関係を示す。
図12図12は、様々な実施形態に係る、生理学的な睡眠前活性化状態(コルチソールレベル)と夜間のポリソムノグラフィによる睡眠効率との関係を示す。
図13図13は、様々な実施形態に係る、睡眠に対する睡眠前効果の図を示す。
図14図14は、様々な実施形態に係る、睡眠前の生理学的自律神経活性化(例えば、HRV)とその後の夜間の睡眠効率との間の関係の論理的プロットを示す。
【0024】
本明細書に説明される様々な実施形態には変更及び代替的な形態があり得るが、その様態は、図面の例として示され、詳細に説明される。しかしながら、その意図は発明を特定の実施形態に限定することではないことが理解される。むしろ、発明は、特許請求の範囲に画定される様態を含む本開示の範囲内の全ての変更例、同等例、及び代替例をカバーする。さらに、本出願を通して用いられる「実施例」の用語は、例示のためだけのものであり、限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の様態は、睡眠状態を経時的に追跡し、どのような生物学的、個人的、又は環境的要因がユーザの覚醒状態から睡眠状態への移行を困難にするかを識別できる睡眠管理システムを含む様々なシステム及び方法に適用できると考えられる。特定の実施形態において、システムは、睡眠状態へと移行する確率を増加させる介入行動をユーザに通信してよく、介入行動の成功又は失敗を示すフィードバックデータに基づいて、経時的に更新される。本開示は、必ずしもこのような適用例に限定されず、本開示の様々な様態は、この文脈を用いる様々な実施例の説明を通して理解される。
【0026】
従って、以下の説明において、様々な特定に詳細は、本明細書に提示される特定に実施例を説明するために記載される。しかしながら、当業者にとって、これらの実施例の1つ以上の他の実施例及び/又は変更例は、以下の詳細な説明が全て無くても実装可能な点が明らかである。他の実施例において、既知の特徴は、本明細書の実施例の説明を不明瞭にしないために、詳細に説明されない。図示を容易にするため、異なる図における同一の要素又は同一の要素の追加例は、同一の参照番号により示される。
【0027】
本開示に係る実施形態は、就寝時又は他の睡眠を試みる時間(例えば、お昼寝)におけるユーザの心理生理学的状態を最適化することによりユーザの睡眠を向上させるためのシステムを含む。そのような実施形態は、ユーザに適応的であり、個人化することできる。実施形態は、ユーザの眠り安らかな夜を妨げる過覚醒(例えば、心理生理学的活性化の変化した状態)を体かさせることを対象とする。システムは、ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータを用いて、ある日時にユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を示すパターンを検出し、検出されたパターンに基づいて、ある日時においてユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を増加させると予測される介入行動を選択する。介入行動は、ユーザの睡眠を増加させる又は改善する睡眠介入戦略を含む又はそれに関連する。睡眠を改善することは、入眠の改善(覚醒状態から睡眠状態への移行におけるよりスムーズな心理生理学的変化)、睡眠プロセスの改善(覚醒閾値の低減、睡眠効率の向上、夜間の心血管機能の強化)、及び/又は覚醒状態から睡眠状態へと移行する時間の短縮(より早い知覚/整理睡眠入眠潜時)を含んでよい。いくつかの実施形態において、睡眠介入戦略は、睡眠前介入戦略である。様々な実施形態において、戦略は、睡眠前に限定されない、覚醒から睡眠への移行の全体にわたっていてよい。システムは、ユーザに直接に、又は介入行動を実行する若しくはユーザと通信する別の装置に、介入行動を示すメッセージをユーザへと通信する。
【0028】
いくつかの実施形態において、予測データモデルは複数の異なるパターンに関連してよい。各パターンは、振幅や強度などの要因の他の特性のうち、ユーザの心理生理学的状態に影響を与え得る異なる要因の特徴セット、要因の発生順序及びタイミングを含む又はそれに関連してよい。いくつかの実施形態において、要因は、本明細書において「移行時間」とも称される、覚醒状態から睡眠状態へと移行する時間に影響を与え得る。パターンは、特定の日時にユーザが睡眠状態へと移行する異なる確率、及び/又は確率及び/又は移行時間を改善可能な異なる介入行動を示す。いくつかの実施形態において、異なるパターンは、異なる特徴セットに関連し、検出されたパターンは、予測データモデルのサブモデルを選択することに用いられる。例えば、予測データモデルにデータを入力し、入力したデータを用いて、パターン(例えば、複数の特徴セットの特徴セット)を識別し、ユーザの睡眠状態へと移行する確率を出力する。いくつかの実施形態において、予測データモデルの出力は、睡眠の確率及び/又は睡眠への移行時間を改善する介入行動を含む。追加的又は代替的に、介入行動は、リラックスを改善させる、真矢は交感神経活性化を低減等、ユーザの急性の心理生理学的状態を操作するために用いられてよい。他の実施形態において、出力は、介入行動を選択するために用いられる。
【0029】
本明細書の「過覚醒」は、異なる生物学的領域(例えば、心拍数の上昇、高コルチゾールレベル、高周波数EEG活動の上昇)、心理的領域(例えば、心配、懸念、反芻)、及び感情領域にわたり反映され、刺激に対する誇張された反応の結果であり得る、心理生理学的活性の異常を含む又は指す(例えば、過覚醒は、ストレス、眠れない恐怖、及び/又は経済的懸念により誘発され得る)。過覚醒は、ユーザがリラックスしていない又は心配している時に覚醒状態から睡眠状態への移行が長くなる又は妨げられるようにユーザを悪化させる状態を説明するために用いられてよい。
【0030】
本明細書の「覚醒状態」は、人の意識が保たれ、周囲の環境を意識している状態を含む又は指す。生物学的には、覚醒状態は、非同期の高速かつ低振幅のEEG活動により特徴付けられてよい。本明細書の「睡眠状態」は、環境的刺激に対する応答性が低下し、周囲を意識していない状態を含む又は指す。生物学的には、睡眠は、皮質同期の漸進的な増加、及び生理学的な非活性化(例えば、代謝の減少)の一般的な状態を伴う。
【0031】
本開示に係る実施形態は、就寝時の過覚醒を引き起こし得る要因等、ユーザが入眠、良い睡眠をとることを妨げ要因を目標とすることを対象とする。過覚醒は、心臓の鼓動、筋肉の緊張、睡眠に関する心配だけでなく、及び精神的過活動、駆け引き思考、痛みに関する不快感及び不安等の睡眠に関連しない他の心配として現れることがある。過覚醒は、人により現れ方が異なり、原因が異なり、上記のように様々な領域が関与している。
【0032】
いくつかの実施形態において、過覚醒の特定の様態を目標とするために、異なる介入行動戦略を用いることができる。多くの場合、異なるユーザは、固有の睡眠及びリラックスの需要を有し、これらの需要並びにストレス及び睡眠に影響を与える要因は、時間がたつにつれ変化する。例えば、ユーザは異なる性格を有し、外部からの刺激に対して異なる反応を示し、異なる社会経済環境に身をおいており、個別化された睡眠促進の方法が必要となり得る。本開示の実施形態は、ユーザがリラックス技術及び睡眠方法に対して異なる好みを有すること、及び同じ方法がユーザにより異なる効力を発揮することを認識するために用いられる予測データモデルを対象とする。
【0033】
予測データモデルは、覚醒状態から睡眠状態への移行に着目して、ユーザのリラックス及び睡眠を支援するように適応的であり、個人化することができる。例えば、予測データモデルは、睡眠前の覚醒状態を低減することにより、覚醒状態から睡眠状態への移行時間を短縮するために用いることができる。様々な実施形態は、覚醒から睡眠への移行を可能にする特定の心理生理学的状態に達するためにユーザが用いる時間窓である、入眠プロセスにわたる心理生理学的状態を対象とする。予測データモデルは、就寝時の心理生理学的覚醒の原因となる異なる要因(例えば、心理生理学的ストレス、刺激物又は他の物質の消費、夕方の過度の身体活動、痛み)を識別し、要因がユーザ内及びユーザ間で異なることを認識することにより、ユーザ及び時間経過に適応可能である。予測データモデルは、就寝前の過覚醒を目標とする異なる1つの介入行動又は複数の介入行動(例えば、認知行動介入、リラックス戦略、仮想現実への没入、神経調節、脳波同調)が就寝前の過覚醒を低減する上で異なる効力を有し、効力はユーザ間及び時間によって異なることを認識可能である。例えば、ユーザはリラックスする方法について異なる嗜好を持っており、これらの嗜好は介入行動の有効性に干渉する。さらに、異なる戦略又は組み合わせは異なる瞬間的な効果(例えば、分単位の解像度)を有し、その影響は異なる日、月等にわたり変化し得る。
【0034】
様々な実施形態において、システムは、生理学(例えば、プレチスモグラフィセンサーを介したHR)及び行動(例えば、毎日の身体活動の量)、環境条件(例えば、湿度、温度、光)を示すデータを動的に感知し、1つ以上のアクチュエータを介した複数要素(例えば、認知的及び行動的介入、瞑想、仮想現実への没頭、直流刺激、癒し系の音)の介入(例えば、スピーカー、仮想現実ヘッドセット、薬物パッチ)を提供し、ユーザの睡眠およびリラックスの需要に基づいて、ストレスを緩和し、睡眠を促進、持続させる。システムは、ユーザの心理生理学的状態及び任意の特定の時点における特定の睡眠介入戦略の効果等の複数の特徴を考慮してユーザのための介入をリアルタイムで最適化するために、機械学習(ML)及び/又は人工知能(AI)技術を含んでよい予測データモデルを含む。システム及び予測データモデルは、
1)入眠し、睡眠を維持するための、本明細書においてしばしば「移行時間」と称される、入眠期等の時間枠中の過覚醒等の要因を目標とし、2)AI及び/又はMLを実装して、高度に適応的で個人化された1つ又は複数の要素の介入に到達し、有効性及びユーザに対する関与を長期的に維持する。
【0035】
システム及びシステムを実装する方法は、睡眠前の期間におけるユーザの心理生理学的状態の最適化を可能にするために、タイミング、特異性、適応性、及び個人化を見ることができる。睡眠不足及びストレスに寄与する特徴の多様性及び一定の動的修正、ユーザの好み、並びにユーザに対する異なる治療方法の有効性に起因して、システムは、有効性、一般化可能性、及び持続性について介入行動を調整することができる。さらに、介入行動のタイミング及び特異性を調整することができる。
【0036】
具体的な実施形態は、睡眠を管理及び/又は改善するためのシステムを対象とする。いくつかの実施形態において、システムは、ユーザの覚醒状態から睡眠状態への移行時間を最小化することを補助する個別化された睡眠管理システムである。しかしながら、実施形態はそれほど限定されず、システムは、移行時間の最小化、ユーザの入眠方法の改善、継続手段の改善等、様々な方法で睡眠を改善することが可能である。システムは、ユーザに関するデータを収集し、収集したデータを分析し、そのデータ及び予測データモデルに基づいて、ユーザの覚醒状態から睡眠状態への移行時間を最小化するための介入行動を選択する。システムは、以前の類似の事例においてどの緩和介入戦略が最も上手くいったかについてのデータを含むユーザに関するデータを収集し、戦略プランをユーザに提示できる。いくつかの実施形態において、ユーザは、所定の条件のセットの下でどの介入が機能したかについて、システムにフィードバックを提供できる。睡眠管理システムは、睡眠前のユーザの現在の心理生理学的状態に対する睡眠介入戦略に到達するために、データ入力に基づくだけでなく、以前の介入セッションを引き出して、外部作用介入を提供することが可能である。
【0037】
様々な実施形態は、入力回路(例えば、センサ又は他の種類の回路)と、メモリ回路と、及び処理回路と、を備えるシステムを対象とする。入力回路は、ユーザに関連する現在の物理的測定値を取得し、物理的測定値をそれ自体で又は他のデータと組み合わせて使用し、その日の介入戦略をユーザに提供できる。入力回路により取得される物理的測定値は、1つ以上の生理学的信号、環境情報、その他を含んでよい。いくつかの実施形態において、ウェアラブル装置が睡眠管理システムに関連し、ウェアラブル装置は、1日中ユーザの状態を追跡して、ユーザの覚醒から睡眠への移行時間を最小化するための計画の考案を補助できる。
【0038】
いくつかの実施形態において、処理回路は、個別のユーザについて、覚醒状態と睡眠状態との間の移行時間を最小化するための予測データモデルを生成する。処理回路は、日常タスク、ストレス要因、生理学的測定値、及びユーザの入力に基づいて、提案された睡眠介入戦略を更新及び修正できる。ユーザの入力は、気分、消費されたアイテム、計画された他者との相互作用等を含んでよい。いくつかの場合において、処理回路は、ユーザが眠る準備ができたときのための睡眠介入戦略を構築するための出発点として、ユーザの日常カレンダーと同期してよい。処理回路は、入力データ、検出又は測定されたデータ、及びMLを介して取得されたデータに基づいて、複数の介入アクションを起こすことができる。例えば、睡眠管理システムは、その日のユーザのカレンダーに基づいて、眠ろうとする前の瞑想セッションが有用であり得ることをユーザに伝えてよい。他の例として、睡眠管理システムは、その日のユーザの食事入力に基づいて、睡眠を試みる1時間半前に暖かいお茶を飲むことをユーザに伝えてよい。
【0039】
図を参照すると、図1は、様々な実施形態に係る、睡眠管理のためのシステムの例を示す。システム100は、ユーザ108の覚醒状態から睡眠状態への移行を管理するために使用することができる。例えば、システム100は、入眠プロセス、すなわち、覚醒から睡眠への移行を可能にする及び/又は睡眠を改善するためにユーザ108が特定の心理生理学的状態に到達するために使用する時間窓にわたり、ユーザ108の心理生理学的状態を最適化することができる。
【0040】
システム100は、処理回路102と、メモリ回路104と、を備える。いくつかの実施形態において、処理回路102及びメモリ回路104は、装置105の論理回路となる等、装置105の一部を形成する。他の実施形態において、処理回路102及びメモリ回路104は、ネットワークを介した分散コンピューティング装置等、互いに通信する別個の装置の一部を形成する。メモリ回路104は、予測データモデル106を保存することができる。いくつかの実施形態において、メモリ回路104は、以下に説明される処理を起こすために処理回路102により実行可能な命令をさらに保存する。予測データモデル106は、ユーザ108が覚醒状態から睡眠状態へと移行する異なるパターン及び確率を示してよい。いくつかの実施形態において、予測データモデル106は、本明細書でさらに説明するように、日付及び時刻において移行の確率を増加させる及び/又は移行時間を短縮するための介入行動に関連させることができる。いくつかの実施形態において、異なるパターンは、異なる特徴セットを含む又は異なる特徴セットに関連する。例えば、パターンは、異なる特徴セットに関連するユーザの睡眠パターンを含んでよい。異なるパターンは、

予測データモデル106及び特徴セットに基づくある日時においてユーザ108が覚醒状態から睡眠状態へと移行する異なる確率を示す、並びに/又は移行の確率を増加させる及び/若しくは移行時間を短縮させる確率を増加させることができる異なる介入行動を示してよい。
【0041】
本明細書で使用される特徴は、ユーザ108の心理生理学的状態に影響を与え得る要因、要因の順序及び/又はタイミング、現在の時刻及び/又は日付、並びに要因の他の特性を含む。例えば、そのような要因は、特定のユーザ108及び/又は複数のユーザ(例えば、一般的に、人口統計学などに基づく)の睡眠に影響を与え得る。 本明細書においてさらに説明されるように、いくつかの要因は、ユーザ108の覚醒状態と睡眠状態との間の移行時間に悪影響を与える(例えば、増加させる)等、睡眠に負の影響を与えることがある。いくつかの要因は、移行時間に正の影響を与える(例えば、短縮する)等、睡眠に良い影響を与えることができる。例えば、特徴セットは、ユーザの就寝前後で過覚醒を起こさせる等、人の入眠を妨げる要因に関連してよい。過覚醒は、心臓の鼓動、筋肉の緊張、ストレス、又は心配事だけでなく、精神的過活動、駆け引き思考、痛みに関する不快感、及び不安等の他の症状として現れることがある。過覚醒は、人により現れ方が異なり、原因(例えば、要因)が異なり、様々な領域(例えば、認知、感情、生理)が関与している。
【0042】
いくつかの実施形態において、予測データモデル106は、複数のサブモデルを備えてよい。複数のサブモデルは、複数のパターン(例えば、特徴セット)に関連する。各パターンは、少なくとも1つのサブモデルに関連してよい。いくつかの実施形態において、複数のサブモデルは、各パターンが複数のサブモデルと関連する等、各パターンと関連してよい。一例として、各パターンの複数のサブモデルのそれぞれは、異なる時間枠(例えば、ミリ秒、秒、分、時間、日、週、月)に関連してよく、複数のサブモデルは、同時に実行されてよい。複数のサブモデルは、それぞれ、1日の特定の時間に及び/又は異なる介入行動に応答して異なる移行時間で、ユーザが覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を示してよい。
【0043】
各サブモデルは、複数の特徴セットのうちの特定の特徴セットに関連してよく、特定の特徴セットの各特徴は、重みを有する。重みは、各特徴が、ユーザが睡眠状態に移行する又は移行しないことに対してどの程度予測的であるか、及び/又は移行時間に対する特徴の影響に基づく又はそれらを示す。いくつかの実施形態において、各介入行動は、異なるサブモデル及び関連する特徴セット(例えば、時間枠の睡眠に影響を与える要因)に対して、睡眠状態への移行の確率を異なるように増加させる及び/又は移行時間を異なるように減少させることができる。既に説明したように、予測データモデル106は、介入行動に基づいて睡眠状態への移行を予測し、ユーザ108の睡眠サイクル及び移行時間を経時的に改善するために使用されてよい。
【0044】
処理回路102は、ユーザ108の現在の心理生理学的状態を示すデータを使用して、予測データモデル106の異なるパターンのうち、ある日時においてユーザ108が覚醒状態から睡眠状態へと移行する確率を示すパターンを検出してよい。処理回路102は、データを処理して、受信したデータから特徴セットを識別し、特徴セットを用いて特徴のパターンを検出してよい。
【0045】
予測データモデル106は、AIモデル又は機械学習モデル(MLM)を含んでよい。開発者がAI/MLプロセッサ等のMLMを設計、訓練、検証、及び展開できるようにするオープンソースMLデータセット及びツールを提供する複数のプロバイダから、様々なMLフレームワークが入手可能である。AI/MLプロセッサ(しばしば、ハードウェアアクセラレータ(MLA)、ニューラルプロセッシングユニット(NPU)とも呼ばれる)は、MLの処理を加速させることができる。MLプロセッサは、マルチコア設計が可能な集積回路(ASIC)であり、データフローアーキテクチャ及びメモリ使用を最適化した精密処理を採用し、MLMの処理時に計算を高速化し、計算スループットを向上させることができる。
【0046】
例えば、予測データモデル106は、入力データを受信し、入力データからパターンを識別し、パターンに基づいて、ユーザが睡眠状態へと移行する確率を出力してよい。いくつかの実施形態において、出力は、睡眠状態への移行の確率を増加させ、及び/又は睡眠状態への移行時間を減少させるための介入行動を選択するために使用されてよい。いくつかの実施形態おいて、出力は、介入行動を含む。例えば、出力は、介入ア動作に応答してユーザが睡眠状態に移行する確率を含むことができる。
【0047】
ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータの例は、データのうち、生理的測定値、日課等の一日のパターン、消費データ、環境データ、生殖情報等の要因を含む。例えば、生理的測定値は、HR、HRV、呼吸数、筋緊張、体温、額温、皮膚コンダクタンス等を含むが、これらに限定されない。他のデータの例は、概日リズム、ユーザの生殖段階(例えば、思春期、月経周期期、更年期)、性格特性(例えば、内向的、自己愛的、鬱)、病状、及び人口統計(例えば、年齢、性別、人種、仕事の種類)等を含む。環境データは、環境要因のうち、光強度、騒音、温度、湿度レベル、および花粉レベルを含んでよい。消費データは、食品、液体、カフェイン、及び他の薬物の消費(例えば、ニコチン、処方薬、医療用大麻、非処方薬及び物質)、消費量、及び消費した時刻を含んでよい。運動データは、運動の種類、時間、及び/又は強度を含んでよい。性的活動、リラクゼーション活動(例えば、瞑想、読書)、視聴したテレビ又は他のメディア(例えば、コンピュータで読む、映画を見る)、及びストレスのかかる活動(例えば、就職面接、旅行、交通機関での運転、政治イベント、社会イベント)等の他のユーザの行動又は日常を入力することも可能である。いくつかの実施形態において、リラックスできる活動及びストレスがかかる活動は、ユーザ108によって(例えば、ユーザが手動でラベル付けする)及び/又は予測データモデル106を用いて識別することができる。例えば、データの入力は、識別された介入行動(例えば、ガイド付き瞑想対呼吸認識、ヨガ、精神的対非精神的、及び音楽の種類)等のユーザ嗜好を含んでよい。
【0048】
データは、様々なソースから入力することができる。いくつかの実施形態において、ソースは、センサ回路、サードパーティプラットフォーム、モバイルアプリケーション、及びウェブプラットフォーム等の別の装置を含んでよい。データは、ユーザの集団に一般的なものであっても、ユーザに固有のものであってもよい。例えば、ユーザの集団に一般的なデータは、臨床研究、推薦、及びジャーナルに基づく情報を含んでよい。このようなデータは、予測データモデル106を生成するために及び/又はフィードバックデータとして、使用することができる。例えば、科学的データは、臨床試験を含む科学的研究からもたらされ得る、科学的な情報に基づく特徴及び標的化された介入計画の関連性を含んでよい。データは、自動的に提供される又はユーザ108によって手動で入力される。例えば、カレンダーデータ、地理位置データ、知覚された覚醒度、運動データ、消費データ、感情状態、及びユーザの嗜好は、他のアプリケーション、センサによって取得される、及び/又はユーザ108によりユーザインタフェース(UI)に自己入力される。
【0049】
いくつかの実施形態において、処理回路102は、入力データからの複数の特徴セットから特徴セットを識別し、識別された特徴セットに基づいて予測データモデル106の複数のサブモデルからサブモデルを選択することにより、パターンを検出することができる。上述したように、複数のサブモデルは、異なる介入動作に応答してユーザ108が睡眠状態に移行する確率を示し、複数の特徴セットの特定の特徴セットに関連してよい。いくつかの実施形態において、複数のサブモデルは、各パターンについて、短時間枠、中間時間枠、及び長時間枠を含む異なる時間枠に関連するサブモデルのサブセットを含み、セットの各特徴は、ユーザが睡眠状態に移行する確率に関連する重み及び/又は移行時間への影響を有してよい(例えば、異なる特徴セットと時間枠を関連させる)。
【0050】
処理回路102は、検出されたパターンに基づいて、ある日時においてユーザが睡眠状態に移行する確率を増加させる、並びに/又は入眠及び/若しくは睡眠プロセスを改善する等、睡眠を改善するために予測される介入行動を選択してよい。選択は、予測データモデル106の出力を含む、又は予測データモデル106に基づいてよい。介入行動は、介入行動及び/又は複数の介入行動を含む睡眠介入戦略の一部であってよい。介入行動の例は、行動介入行動、認知介入行動、神経調節行動、環境変化、感覚的行動、及びそれらの組合せを含む。介入アクションを、実行するようにユーザ108に受動的に指示してよい、又は実行するように他の装置に能動的に指示してよい(例えば、音楽を流す、照明を下げる、温度を下げる等)。介入行動の例は、本明細書においてさらに説明される。介入行動は、異なる過覚醒状態を目標にするために用いられてよい。
【0051】
処理回路102は、介入行動を示すメッセージをユーザ108へと通信することができる。メッセージは、処理回路102に関連するUI(ユーザインタフェース)等を介してユーザ108へと直接通信されてよい。別の実施形態において、処理回路102は、介入行動を実行するように又はメッセージをユーザ108に通信するように、メッセージを別の装置に通信してよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、処理回路102は、介入行動を含む複数の介入行動に関連するメッセージ又は複数のメッセージを通信してよい。例えば、処理回路102は、睡眠介入戦略を示し、複数の介入行動の順序を含むメッセージを通信してよい。いくつかの実施形態において、処理回路102は、複数の介入行動を示す、メッセージを含む複数のメッセージを通信してよく、複数のメッセージは、それぞれ、各介入行動を取るようにユーザに指示するようにユーザに対して表示されるメッセージ、及び睡眠介入戦略に従って特定の時間に各介入行動を自動的に発生させるための別の装置へのメッセージからなる群から選択される。
【0053】
介入行動及び/又は睡眠介入戦略は、異なるユーザに対して異なっていてよい。例えば、過覚醒の特定の様態を目標とするために、異なる戦略を使用することができる。各ユーザは、異なる睡眠及びリラクゼーション需要、さらに睡眠に影響を与え、特定のユーザにとって時間の経過とともに変化し得る要因を有し得る。また、異なるユーザは、異なる性格を有し、異なる環境にあり、異なる介入行動(例えば、外部刺激)に対して異なる反応をすることがある。例えば、特定のユーザは、リラクゼーション技術及び睡眠方法に対して異なる好みを有するかもしれず、同様の方法は異なる効果を有する。本明細書でさらに説明するように、予測データモデル106は、そのような嗜好を知らされる、及び/又はフィードバックデータを用いて経時的にその嗜好を学習することができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、処理回路102は、予測データモデル106を生成し、予測データモデル106をメモリ回路104に保存する。別の例において、処理回路102は、予測データモデル106を受信し、予測データモデル106をメモリ回路104に保存する。前述したように、予測データモデル106は、データセットからの入力を用いて訓練されるMLMを含んでよい。
【0055】
予測データモデル106の生成は、ユーザ108又は複数のユーザの睡眠状態への移行に影響を与える要因(例えば、特徴セットを形成するために用いられる)を含む入力データを受信することと、入力に関連する既知の出力を受信することと、入力データ内の睡眠状態への移行(又は非移行)を示す異なるパターンを識別することと、パターンに基づいて、追加的に受信した入力データを用いてある日時におけるユーザ108が睡眠状態へと移行する予測的確率を識別することと、を含んでよい。既知の出力は、過去の睡眠移行時間、時間帯、及び他の情報を含んでよい。いくつかの実施形態において、既知の出力は、睡眠状態へ移行する確率を増加させる及び/又は移行時間を減少させるために発生し、未来の介入行動を識別するために使用できる介入行動を含んでよい。いくつかの実施形態でにおいて、介入行動は、覚醒から睡眠への移行においてより滑らかな生理学的変化を提供すること、覚醒閾値を低減すること、睡眠効率を高めること、及び/又は夜間の心血管機能を高めること等により、ユーザの睡眠を別様に又は追加的に改善することができる。処理回路102は、入力及び既知の出力を受信し、それを使用して予測データモデル106を生成する。入力及び既知の出力は、能動的に入力、受動的に入力、又は受信されてよい。入力及び既知の出力は、報告された睡眠サイクル、スケジュール又はカレンダーデータ、ストレスレベル、気分、運動データ、睡眠データ、及び食事データを含むがこれらに限定されない生活データ、及び生理信号又はパラメータ、投薬、診断、及び他の治療を含むがこれらに限定されない健康情報、並びにこれらの様々な組み合わせを含んでよい。
【0056】
予測データモデル106は、時間の経過とともに動的に更新されてよい。例えば、処理回路102は、ユーザ108が介入行動に応答して睡眠状態に移行するかを示すフィードバックデータに基づいて、予測データモデル106を修正してよい。そのようなフィードバックデータは、特定の日時に睡眠状態に移行するか否かの識別、移行時間、及び移行中に発生する特徴(ユーザが移行したときに発生する特徴、及び/又は介入行動など)を含んでよい。他のフィードバックデータは、他のデータのうち、ユーザ108からの物理的測定値を示すセンサデータ、睡眠の質に関するユーザの自己報告等を含んでよい。処理回路102は、フィードバックデータを受信し、受信したフィードバックデータに応答して、フィードバックデータから特徴を識別し、識別した特徴に基づいて確率増加させるように予測データモデル106により予測される介入行動に対してユーザ108が応答を示すかどうかを識別してよい。予期せぬ反応に応答して、処理回路102は、ユーザ108のために、検出されたパターンに関連するように、予測データモデル106を修正してよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、処理回路102は、フィードバックデータをリアルタイムで受信してよい。フィードバックデータ及び修正された予測データモデル106に応答して、処理回路102は、修正された介入行動を示す別のメッセージを通信してよい。このようにして、システム100は、ユーザ108に対する睡眠介入戦略をリアルタイムで適応的に調整することができる。例えば、調整された睡眠介入戦略は、現在発生している睡眠セッション中に適用される(例えば、リアルタイムで調整する)及び/又は未来の睡眠セッションのための調整された介入アクションを含んでよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、フィードバックデータは、ユーザ108により入力され、経時的な睡眠サイクルの変化及び/又は睡眠の質に関するユーザレポートを識別する。更新は、経験された睡眠パターン及び/又は睡眠状態への移行に基づいて異なる特徴の重みを調整することを含んでよい。具体例として、時間の経過とともに、ユーザ108は、異なる特徴により起こされる睡眠状態への移行を困難にする睡眠サイクルの変化を経験し得る。別の例において及び/又は追加で、フィードバックデータは、現在の睡眠状態の特定の情報を示してよい。異なるユーザは、異なる介入行動を用いて、睡眠状態への移行の緩和及び/又は容易性の増加を経験することができると理解される。システム100は、所与の時間において及び/又は異なる特徴セットに応答して、どの介入行動又は一連の介入行動等の睡眠介入戦略が、ユーザ108をリラックスさせ睡眠を改善するのに最も効果的であるかを学習することができる。戦略は、現在の特徴セットに依存するので、システム100は、最も効果的な戦略を日々提供することができる。システム100は、複数のソースからのデータ、個人または集団ベースのレベル、および異なる時間スケールでのデータを使用する。
【0059】
具体例として、システム100は、ユーザ108が翌朝早くに予定された会議(カレンダーによる)を有し、現在の睡眠前覚醒レベルがある閾値を超える(例えば、ベースラインより6bpm高い安静時HR)度に、5分間の呼吸バイオフィードバックの後に10分間の段階的筋弛緩を行うことが最善の睡眠介入戦略であると学習してよい。時間の経過とともに、システム100は、同じ状況下で、ユーザ108がその日の夕方に運動しない場合(ウェアラブル活動追跡装置等のサードパーティプラットフォームからの情報、又は開示されるシステムをウェアラブル装置に組み込んだ又は部分的に統合した他のウェアラブル装置からの情報)、5分間の呼吸バイオフィードバックは必要ではなく、10分間の漸進的筋肉緩和がシステム100の成果で同じレベルの有効性につながることを学習してよい。
【0060】
前述したように、処理回路102は、介入行動を示すデータを通信することができる。例えば、処理回路102は、確率を増加させる及び/又はそうでなければ睡眠状態への移行を引き起こす介入行動を取るようにユーザ108にメッセージを通信してよい。介入行動は、システム100による介入行動に対する過去のユーザの反応、及び/又はフィードバックデータ等の他のユーザの反応に基づいてよい。他の実施形態において及び/又は追加で、介入行動は、センサ回路、温度制御回路(例えば、暖房、換気、及び空調(HVAC)システムに関連する)、及び/又は光制御回路等、他の装置に通信されるコンピュータ可読命令を含む。非限定的な例として、介入行動は、特定の部屋の温度を変更するようにHVACシステムに提供される命令、装置をオフ又は他の行動を実行するようにユーザに通知するためにスマートウォッチを鳴らす等のユーザデバイスへの命令、及び/又は他の特定の行動のうち、取るべき特定の行動をユーザに指示するスマートフォンにより実行されるアプリケーション上の表示であってよい。実施形態は、1つの行動に限定されず、複数の介入行動がシステム100により起こされてよいことが理解される。他の介入行動の例は、睡眠状態への移行の確率を増加させる又はユーザの睡眠を改善することができる、ユーザへの提案又はストレス緩和のための行動を含んでよい。ストレス緩和戦略の例は、認知行動療法、音楽療法(例えば、ユーザに音楽を再生する装置を起動させる、又はユーザにそれを推奨する)、ホルモン療法及び/又はアロマセラピー(例えば、ラベンダー、カモミール、又はバラの香り等の香りを出力する装置を起動する、又はユーザにそれを推奨する)等を含んでよい。提案の例としては、ユーザに運動、サプリメントの摂取、アロマセラピー又はホルモン療法、音楽の再生、カフェイン摂取量の削減、ガムをかむ、及び深呼吸の練習等を推奨することを含んでよい。
【0061】
前述したように、システム100は、入力回路をさらに備えてよい。入力回路は、ユーザの現在の心理生理学的状態を示すデータを受信してよい。データは、スケジュール又はカレンダーデータ、ストレスレベル、一般的な気分、食事データ、健康情報、運動データ、睡眠データ、及びそれらの組合せを含んでよい。いくつかの実施形態において、入力回路は、ユーザ108に関連する物理的測定値を取得するために使用されるセンサ回路をっ備えてよい。いくつかの実施形態において、入力回路は、ユーザ108からの生理学的信号を感知するためのウェアラブル生理学的センサと、大気測定値を感知するためのセンサと、を備える。センサ回路等の入力回路は、物理的測定値を処理回路102へと通信するための通信回路を有する。通信回路は、無線又は有線で通信を行ってよい。
【0062】
物理的測定値は、ユーザ108からの生理的信号又は測定値(例えば、体液)、動き、及び/又はユーザ108の周囲又は近くの環境からの大気測定値であってよい。例えば、入力回路は、ユーザからの生理学的信号を感知するウェアラブル装置等のウェアラブル生理学的センサを備えてよい。入力回路は、代替的に又は追加的に、大気測定値を感知するセンサを備えてよい。生理学的信号の例には、血圧、HR、皮膚コンダクタンス、体温等のパラメータを含む。大気測定値の例は、大気温度、大気圧、湿度等を含む。実施形態は、生理学的信号又は大気測定に限定されず、追加的又は代替的に、(例えば、加速度計からの)運動データ、及び/又は全地球測位データ(GPS)を含んでよい。
【0063】
従って、いくつかの実施形態において、システム100は、UI(例えば、アプリケーション、ウェアラブル装置、ウェブプラットフォーム)、センサ(例えば、GPSセンサ、加速度計、マイク、皮膚コンダクタンス、フォトプレチスモグラフィ、環境光、皮膚及び環境温度センサ、圧力及び化学センサ、マイク)、介入行動(例えば、認知行動介入、瞑想戦略、神経調節、バイオフィードバック、仮想没入、光照射、脳波同調)を提供するためのアクチュエータ(例えば、スピーカー、スクリーン、仮想現実ヘッドセット、神経調節器、薬物パッチ、光)、接続モジュール(例えば、WiFi、Bluetooth)、クラウド計算システム、及びAIベースのデータ処理モジュールを備えてよいが、これらに限定されない。
【0064】
システム100は、根拠となる科学に基づいたML及びAIベースの方法を含む。システム100は、覚醒から睡眠への移行にわたるストレスを緩和し、睡眠を改善するための単一又は多要素の介入行動の効果を増加及び/又は最大化することができる。例えば、システム100は、経時的にかつ個人の需要の変化に応じて、ユーザの需要、ユーザの生理的状態、及び他の要因に基づいて動的に最適化される個人化された介入パッケージを提供することができる。
【0065】
システム100は、任意の時点でどの睡眠介入戦略(1つの介入行動又は介入行動の組み合わせ)がユーザ108をリラックスさせ、睡眠を改善するのに最も効果的であるかを学習することができる。例えば、毎晩の就寝時に、システム100は、最も効果的な戦略をユーザ108に提供することができる。
【0066】
システム100は、ユーザ108の睡眠前の心理生理学を最適化することに直接焦点を当てた睡眠介入戦略の提供に限定されない。システム100は、睡眠衛生規則等の他のユーザの行動及び/又はユーザ108の他の行動を促進するだけでなく、就寝時間外の及び/又は完全な覚醒から睡眠への移行にわたる他の戦略(例えば、身体活動ルーチンの強化、瞑想、人生に対する前向きな態度の促進)を行うことができる。
【0067】
図2は、本開示に係る、実行可能な命令を含む非一時的な記録媒体を備えるコンピュータ装置の例を示す。本明細書の例に係るコンピュータ装置は、図1~2により示される処理回路及びメモリ回路等の論理回路を有するユーザ装置を備える。
【0068】
コンピュータ装置は、処理回路220と、メモリ回路と、を備える。メモリ回路は、一組の実行可能な命令224、226、228、229を保存するコンピュータ記録媒体22を備える。コンピュータ記録媒体222は、例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、エレクトリカリイレーサブルプログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ、及び/又はディスクリートデータレジスタセット等を備えてよい。
【0069】
224において、処理回路220は、データから、複数の特徴セットのうちの特徴セットを識別し、データは、ユーザの現在の心理生理学的状態を示す。処理回路220は、特徴セットを示すデータを受信することができる。
【0070】
226において、処理回路220は、識別された特徴セットに基づいて、ある日時においてユーザが覚醒状態から睡眠状態に移行する確率を示す予測データモデルに関連するパターンを検出する。パターンの検出は、データにおいて、複数の特徴セットから特徴セットを識別し、識別された特徴セットを用いて予測データモデルのサブモデルを選択するように実行可能な命令を含んでよい。
【0071】
228において、処理回路220は、検出されたパターン及び予測データモデルに基づいて、ある日時においてユーザが睡眠状態に移行する確率を増加させると予測される介入行動を示すメッセージをユーザに通信する。229において、処理回路220は、介入行動に応答してユーザが睡眠状態に移行したかを示すフィードバックデータ及び/又は移行時間等の睡眠に関する他の情報に基づいて、予測データモデルを修正する。
【0072】
いくつかの実施形態において、命令は、フィードバックデータ及び修正された予測データモデルに応答して、修正された介入行動を示す別のメッセージを通信するようにさらに実行される。例えば、処理回路220は、予測データモデルにおけるユーザに対する識別された特徴セットに応答して、介入行動に提供される重みを修正してよい。いくつかの実施形態において、処理回路220は、フィードバックデータ、及び異なる睡眠介入戦略及び特徴セットを示す追加的に受信したフィードバックデータ(例えば、ユーザに対する異なる特徴セットに応答した戦略の成功又は失敗、及び/又はデータベースから提供される汎用データを示す)に基づいて、ユーザに対して経時的に予測データモデルを修正することができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、介入行動は、複数の介入行動を含む睡眠介入戦略の一部である。いくつかのそのような実施形態において、処理回路220は、睡眠介入戦略及び複数の介入行動の順序を示すメッセージを通信し、複数の介入行動の順序及び/又は複数の介入行動の順序を修正することを含む予測データモデルを修正してよい。
【0074】
図3は、様々な実施形態に係る、睡眠管理のための別のシステムの例を示す。システム310は、処理回路302と、図1に関連して前述した予測データモデル306を含むメモリ回路304とを含み、さらに入力回路312を含む。いくつかの実施形態において、処理回路302及びメモリ回路304は、装置316の一部を形成するが、実施形態はそれ限定されない。様々な実施形態において、本システムは、急性の心理生理学的状態及び睡眠管理のためのものである。
【0075】
入力回路312は、前述したように、ユーザ308の現在の心理生理学的状態を示すデータを受信することができる。入力回路312は、複数の異なる種類の装置を備えてよい。前述したように、入力回路312は、ユーザ308から物理的測定値を取得し、通信回路314を使用して物理的測定値を処理回路302へと通信するセンサ回路を備えてよい。入力回路312は、単一の回路として図示されているが、実施形態はそれに限定されない。例えば、入力回路312は、異なる生理学的信号、大気測定値、運動データ、及び/又はGPS信号等の異なる物理的測定値を取得する複数のセンサを備えてよい。特定の実施形態において、入力回路312は、前述したように、ユーザ308からの生理信号を感知するウェアラブル生理センサと、大気測定値を感知する別のセンサと、を備える。さらに、入力回路312は、センサ回路に限定されず、ユーザ308がデータを入力するためのUI等、他の回路を備えてよい。
【0076】
メモリ回路304は、ユーザ308が覚醒状態から睡眠状態に移行する異なるパターン及び確率を示す予測データモデル306と、いくつかの実施形態において、コンピュータ可読命令とを保存する。コンピュータ可読命令は、処理回路302により実行可能であり、以下のことを実行する。
【0077】
処理回路302は、データを用いて、予測データモデル306の異なるパターンのうち、ある日時にユーザ308が覚醒状態から睡眠状態に移行する確率を示すパターンを検出することができる。前述したように、処理回路302は、受信データから特徴セットを識別し、特徴セットを用いてパターンを検出するためにデータを処理してよい。検出されたパターンに基づいて、処理回路302は、ユーザ308が日時において睡眠状態に移行する確率を増加させるために及び/又はそうでなければ睡眠を改善するために予測される少なくとも1つの介入行動を含む睡眠介入戦略を識別してよい。処理回路302は、さらに、少なくとも1つの介入行動を示す少なくとも1つのメッセージをユーザ308へと通信する。
【0078】
いくつかの実施形態では、処理回路302は、ある日時においてユーザが睡眠状態に移行する確率を示す予測データモデル306を生成する。予測データモデル306は、他のデータのうち、一般的な人口傾向及び公に利用可能な情報に基づいて生成されてよい。いくつかの実施形態において、処理回路302は、各特徴セットに対する異なる睡眠介入戦略の成功及び/又は失敗を示すフィードバックデータを用いて、ユーザ308の予測データモデル306を経時的に修正してよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、介入行動は、複数の行動を含んでよい。例えば、処理回路302は、少なくとも1つの介入行動の順序及びタイミングの指示を含む少なくとも1つの介入行動を示す少なくとも1つのメッセージを通信してよい。いくつかの実施形態において、処理回路302は、睡眠介入戦略に応じて、特定の時間に少なくとも1つの介入行動を自動的に発生させるように少なくとも1つのメッセージを別の装置に通信してよい。
【0080】
図1~3に示される睡眠管理システム100、310は、複数の方法で構成することができる。睡眠管理システム100、310のいくつかの実施形態は、スマートフォン、タブレット、デスクコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、運動トラッカー、又は他の独立した装置上で実行できるコンピュータプログラム又はアプリケーションであるか又はその一部を形成してよい。睡眠管理システムの他の実施形態は、ウェブベースのプログラムであってよい。上記の実施形態のいずれにおいても、プログラムは、図2に示される実行可能な命令を含んでよい。
【0081】
一般に、睡眠管理システムのユーザは、一人のユーザである。睡眠管理システムの他の構成において、複数のユーザが1つのシステムを使用し、各ユーザの睡眠パターンを監視及び保存してよい。
【0082】
本明細書に記載のシステム100、310は、睡眠及び/又はリラクゼーション需要並びにリラクゼーション戦略に対するユーザの嗜好を満たすために、いくつかの1つ又は複数の介入を用いてよい。システム100、310は、複数のデータソースを使用する又は含んでよい。例えば、ソースは、睡眠/ストレス介入の選択及び適用を駆動するために使用される異なる時間枠(例えば、身体活動量又はカフェイン消費量等の睡眠に影響を与えることが知られる日中の行動、現在の心拍測定等のリアルタイム生理学的指標、知覚的覚醒等の朝の自己報告測定)を有するもの(例えば、ユーザの生理学的状態、習慣、行動、環境条件)を含んでよい。さらに、異なる時間スケールで複数の個人化された閉ループを含んでよい。この手法は、過覚醒の異なる領域の組み合わせを目標とすることにより最適化されてよい。
【0083】
介入行動のタイミングは調整することができる。タイミングは、入眠プロセスを対象とし、睡眠に影響を与えることが知られる日中の行動(例えば、身体活動量、カフェイン消費量)が考慮されてよい。
【0084】
システム100、310は、睡眠とリラクゼーションの需要を持つユーザ(例えば、ビジネスパーソン、軍人、不眠症の個人、入院患者)を支援することができる。システム100、310は、夜間の睡眠を助ける、昼間の昼寝を促進する、又は一般的なレベルにおいて、人々がリラックスするのを助けるといった異なる用途をカバーすることができる。ストレスと睡眠を目標にすることは、健康と幸福のための条件である。ユーザからの技術の採用、システムの集団有効性を示す自己報告および生理学的データ、臨床試験の結果、科学的認識、消費者報告、及びこの技術の使用に対する臨床的承認は、介入行為の影響を定量化することを可能にする手段の1つである。
【0085】
図4は、様々な実施形態に係る、別の睡眠管理システムの例を示す。より具体的には、図4は、睡眠サイクルの管理においてユーザを支援する睡眠管理システム440の機能ブロック図である。
【0086】
いくつかの実施形態において、また図4に示されるように、睡眠管理システム440は、データ入出力(I/O)モジュール444、データ処理モジュール445、決定モジュール443、及び介入行動モジュール442を含むユーザモジュール441を備える。実施形態はそれほど限定されず、睡眠管理システム440は、図4に示されるよりも少ないモジュール又は多いモジュールを備えてよい。モジュール442、443、444、445の各々は、1つ又は複数の非一時的なコンピュータ記録媒体に保存され、単一の計算装置又は複数の計算装置にわたる分配等の処理回路により実行することができるコンピュータ実行可能命令を含む。
【0087】
以下にさらに説明するように、ユーザ450の睡眠及びリラクゼーションは、決定モジュール443が、I/Oモジュール444から処理された情報を受信し、科学的データ446(例えば、心理生理学的状態及び睡眠に影響を与える要因に関する科学的証拠)により知らされたことにより、介入行動モジュール442を起動することにより促進されてよい。決定モジュール443は、I/Oモジュール444からフィードバックデータ(例えば、介入後の心理生理学的状態、移行時間、睡眠の質)を受信してよい。
【0088】
いくつかの実施形態において、一人及び複数人のユーザからのデータは、クラウドコンピューティングシステム449に保存されてよく、このシステムは、ユーザモジュール441と相互作用して、システム性能を最適化する(例えば、ユーザの年齢及び性別、地理等の人口統計学によって層別された結果について収集された情報に基づいてシステムの有効性を向上させる)ことが可能である。ユーザモジュール441は、クラウドコンピューティングシステム449内に保存されたデータの最後の更新からのローカルストレージに基づいて設定されたパラメータで、クラウドコンピューティングシステム449内に含まれるデータから独立して実行されてよい。
【0089】
ユーザモジュール441は、入力データと取られるべき介入行動との間の予測データモデルを学習し導出するために、オンライン学習機能が組み込まれてよい。いくつかの実施形態において、ユーザ450の装置にデータが保存されないことがある。いくつかの実施形態において、ユーザ450の装置は、最新のユーザベースの最適化されたパラメータのローカルキャッシュとして機能してよい。いくつかの実施形態において、すべてのデータが、クラウドコンピューティングシステム449にアップロード及び保存されてよい。このデータは、ユーザ450の睡眠に最も効果的な影響を与える入力特徴の最も適切な選択を見つけてバッチ学習機能性を使用して入力データと取られるべき適切な介入行動との間のデータモデルを得るために、及びクラウド導出モデルに従って予測データモデル460を頻繁に更新するために使用することができる。クラウドコンピューティングシステム449は、ユーザ448の集団からのデータを使用して、新しいユーザ用の初期データモデルとして使用する予測データモデルを構築することができる。
【0090】
I/Oモジュール444は、ユーザ450及び/又は入力回路が、睡眠管理システム440に統合された及び/又はその一部を形成する他のモジュールと相互作用することを可能にする。I/Oモジュール444は、ユーザ450及び他の装置からの入力データを取得することができる。データは、他のモジュールにより取得されてよい。いくつかの実施形態において、ユーザ450は、様々な方法で睡眠管理システム440に能動的及び/又は受動的に情報を入力してよい。ユーザ450は、データを手動で入力してよい。ユーザ450は、情報を口頭で睡眠管理システム440に入力してよい。ユーザ450は、健康関連ファイルを睡眠管理システム440にアップロードしてよい。他の実施形態において及び/又は追加で、ユーザ450は、カレンダーデータ、運動又は食物追跡アプリケーション等の他のアプリケーション及び/又は他の外部位置のデータへのアクセスを睡眠管理システム440に付与することができる。
【0091】
I/Oモジュール444を使用して、ユーザ450は、入力ハードウェア(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、マイク等)を介して、人口統計、ボディマス指数(BMI)、民族、年齢、ユーザの生殖段階、投薬、1日の特定の時間帯の気分、不安レベル、活動レベル、アレルギー、摂取した食品の種類等の個人データを入力できるが、データはこれらに限定されない。I/Oモジュール444は、介入行動の成功又は失敗等のフィードバックデータを提供するために使用されてもよい。一般に、I/Oモジュール444は、ユーザ450からデータを取得し、ユーザ450に通信を提供するために使用することができる。システム440は、メッセージを表示し、UIを介して入力される応答を要求することにより、応答を引き出す又はユーザ450に特定の行動を実行するように促すことができる。応答は、いくつかの実施形態において入力されなくてもよい。例えば、システム440は、音声を解釈し、応答を解析するための音声処理モジュールを備えてよい。
【0092】
I/Oモジュール444は、様々なソース463、464、465、453、446から入力を受信してよい。複数のソースUI463、センサ回路464、履歴データ465、科学データ446、他のデータソース453を介してデータが取得されるユーザ450を含んでよい。
【0093】
データ処理モジュール445は、I/Oモジュール444からのデータを処理することができる。データ処理は、ローパスフィルタリング、ノイズ除去、特徴抽出等を含んでよいが、これらに限定されない。抽出された特徴は、データ、及びその特定の時間パターン、変数、及び周波数内容を表す時間的及び/又はスペクトル的特徴である。図4に示されるように、入力データの前処理の後、特徴は、466において、入力カテゴリの各セットから取得され、468において、最終入力特徴セットを形成するために用いられ、469において、さらに次元的に減少されてよい。
【0094】
先行する時間窓におけるセンサ回路464及び他のソースからの生理学的及び環境的生信号は、入力特徴セットを形成してよい。時間及び周波数における信号パターンを表す時間的及び/又はスペクトル的特徴は、また、生の生理学的及び環境的信号から抽出されてよい。時間的特徴は、時間枠における入力データの平均、分散、及び高次統計等の統計的指標を含んでよい。スペクトル特徴は、フーリエ変換を使用して抽出されてよい。いくつかの実施形態において、スペクトル特徴は、スペクトルモーメント、スペクトルパワー分率、スペクトルパワーピーク、及びスペクトルパワー比であってよい。特徴は、ウェーブレット解析等の入力パターンの理解を容易にするように、適切な変換を適用した後に抽出することもできる。特徴は、特定の時間窓においてデータを最もよく表すモデルの要因を含んでよい。
【0095】
測定された生理学的信号により、異なる生理学的に関連する特徴を抽出することができる。特徴の例は、HR、脈拍数、脈拍伝播時間等である。
【0096】
ユーザの行動及び様々なイベントは、UIだけでなく、カレンダーや他のサードパーティプラットフォームからも抽出することができる。イベントは、いくつかのカテゴリにクラスタリング/分類され、入力特徴セットを形成してよい。各イベント及びユーザの行動は0と1で経時的に表され、1がイベントの発生を、0がそれ以外を表す。自然言語処理(NLP)技術を、カレンダーや他のサードパーティプラットフォームからイベントを読み取り、イベントをクラスタリング/分類するために組み込んでよい。
【0097】
各個人特性(この情報だけでなく、QOL、対処戦略、認知及び感情機能に関する情報も、スマートフォンアプリケーションベースのアンケートで収集可能である)及び人口統計情報は、入力機能セットの要素を形成してよい。
【0098】
抽出された特徴は、決定モジュール443に提供される高次元特徴ベクトルを形成してよい。決定処理の複雑さを低減し、学習プロセスを強化するために、469において、特徴入力ベクトルの次元は、部分空間学習及び次元減少関数を用いて減少させることができる。因子分析、主成分分析、特異値分解、及び独立成分分析等の線形分解方法を使用されてよい。入力データは高度な非線形性を示し得るので、カーネルベースの方法等の非線形次元削減方法を使用することもできる。ユーザモジュール441上では、このような統計手法のオンラインバージョンを使用することができ、一方、クラウドコンピューティングシステム上では、バッチバージョンを組み入れることができる。
【0099】
利用可能なデータが増えれば、オートエンコーダーニューラルネットワーク構成等の深層学習技術を使用して特徴の次元を減少させることができる。
【0100】
特徴選択方法に応じて、このステップは、クラウドコンピューティングシステム449上で、又はクラウドコンピューティングシステム449上及びユーザモジュール441上の両方で実行することができる。いくつかの実施形態において、特徴の異なるセットが、予測データモデル460を訓練し、最良の性能を有する特徴セットを選択するために使用される。計算コスト及び時間がかかるため、この手法は、クラウドコンピューティングシステム449により実行されてよい。その後、予測データモデル460は、ユーザソフトウェア/アプリケーション上にダウンロードされ、さらに使用される。ユーザモジュール441上とクラウドコンピューティングシステム449上の両方で実行することができる最も適切な特徴を選択するために、対策を用いることができる。他の実施形態は、非ゼロの回帰係数を有する任意の特徴が選択される最小絶対縮小選択演算子(LASSO)技法の使用を含む。
【0101】
決定モジュール443は、データ処理モジュール445からデータを受信し、入力データのパターンを検出し、検出されたパターンに基づいて介入行動を選択することを含む、様々な種類の分析を実行することが可能であるが、分析はこれらに限定されない。決定モジュール443は、環境状況(例えば、周囲温度、湿度、季節、時間帯、食事構成、カフェイン及び/又はアルコール消費、薬剤の使用)、個人状況(例えば、気分、ストレス、不安、時間帯、運動、月経周期パターン、カレンダーイベント)、GPS及び/又はユーザ入力による位置(例えば、スーパーマーケット、自宅、職場)、並びに生理状態(例えば、皮膚温度、熱感受性、HR、HRB等の心臓自律神経状態、末梢血管収縮/血管拡張等の皮膚血流)である。
【0102】
様々な実施形態において、決定モジュール443は、複数のデータ処理ストリームに関与してよい。第1のデータ処理ストリーム452は、現在の心理生理学的状態及び推奨される介入行動を決定するための入力データの処理に関連してよい。第2のデータ処理ストリーム454は、介入行動の実装(例えば、成功又は失敗)からのフィードバックデータの処理に関連してよい。
【0103】
以下において、第1のデータ処理ストリーム452の例を説明する。いくつかの実施形態において、決定モジュール443への入力は、入力データを最も良く表す特徴の縮小セットである。決定モジュール443の出力は、全ての可能な介入行動に対する重み(又はスコア)である。各重みは、0~1で提供されてよい。これらの重みは、介入計画サブモジュール458で処理され、睡眠介入戦略のための適切な介入行動が選択される。図5に示されるように、睡眠管理システムは、入力データを収集することができる。入力データは、前述したように、様々な異なる種類のデータであってよい。入力されると、入力データと覚醒状態から睡眠状態への移行時間に対する効果との間の関連する特徴及び相関関係が得られ、決定モジュール443は、様々な可能な介入行動及びシーケンスの効率を決定することができる。次に、決定モジュール443は、最適な睡眠介入戦略を選択し、介入計画サブモジュール458を使用して睡眠介入戦略をユーザ450に提示する。睡眠管理システム440は、フィードバックデータ及び/又は新たな入力データを受信すると、一日を通して睡眠介入戦略を更新することができる。
【0104】
決定モジュール443は、フィードバックデータ及び/又は予測データモデル460に対する他の修正を使用して新しい入出力関係が明らかになると、ユーザ固有のデータモデル461及びユーザ固有のデータモデル461を経時的に更新するMLモデル又は関数462を含む予測データモデル460を含んでよい。ユーザ固有のデータモデル461は、UI463、センサ回路464等を含む様々なモダリティを通じて、入力データ及びシステム440の出力測定値に基づいて更新されてよい。I/Oモジュール444からのデータは、介入行動モジュール442によって行われた介入行動を、他の採点範囲のうち0から10までで採点されるように処理されてよい。ユーザ450は、介入行動を0から10まで直接採点することができ、ここで、0は不満を示し、10は満足を示す。取られた介入行動を0から10までで採点するために、異なる情報がセンサ回路464から抽出され、科学的データ446から識別された化学的枠組みに一致して使用されてよい。例えば、センサ回路464から抽出されたHR又は呼吸数の変化を、行動が取られる前後で比較し、科学的枠組みに従って各行動に対して0から10の採点を生成するために使用する。
【0105】
以下は、第2のデータ処理ストリーム454の例を説明する。いくつかの実施形態において、決定モジュール443は、科学的データ446を用いて、フィードバックデータを処理し、関連情報を生成する。例えば、HR及び呼吸数を、行動が取られる前後でセンサ回路464から抽出する。介入行動の採点は、一緒に追加され、MLの目標値として使用される0から1の間でスケーリングされる。
【0106】
予測データモデル460の簡単な例は、回帰モデルである。別の例は、多層パーセプトロン(MLP)等のニューラルネットワークである。このようなモデルは、新しいデータが利用可能になるとオンザフライで(ユーザモジュール441)、データがクラウドコンピューティングシステム449にアップロードされるとオフラインで訓練することができる。例えば、ネットワークをオンザフライで訓練するためにインクリメンタル学習技術を使用することができ、クラウドコンピューティングシステム449上ではバッチ技術を使用することができる。
【0107】
クラウドコンピューティングシステム449は、ユーザモジュール441と同様のモジュールを含んでよく、全てのユーザ448から受信したデータを使用することができ、介入行動モジュール442をトリガせず、新しいユーザに対する初期予測データモデルとして組み込むことができる一般データモデルを構築することができる。そして、予測データモデル460は、ユーザが使い続けることで個別に更新される。また、クラウドコンピューティングシステム449は、ユーザから経時的に受信した全てのデータに基づいて、各ユーザのための個別のデータモデルを構築する。モデルを導出するために、バッチ学習法を使用することができる。
【0108】
入力データの欠損に対処するために、様々なアプローチを用いることができる。例えば、ユーザは、物質摂取、食事、身体運動、又はその他の入力の時間及び量を常に正確に報告しなくてよい。他の例として、ユーザは、生理学的信号を収集するセンサ装置又は複数の装置を常に装着しなくてよい、及び/又は全体的にデータ入力が断片化され、介入行動モジュール442を起動するために決定モジュール443により確実に使用されるために必要な入力のサブセットを含んでよい。いくつかの実施形態において、欠損データは、定数、ランダム値、又は利用可能な入力サンプルの平均値によって置き換えられてよい。補間や、回帰法又は隠れマルコフモデル等の予測モデリング等の他の手法を適用してよい。また、欠損データを含む入力特徴セットを省くことも一つの方法である。さらに、主成分分析等、欠損データ問題を扱うために設計された部分空間MLのいくつかのバリエーションを使用することができる。
【0109】
前述したように、入力は、連続的及び/又は離散的な異なるタイムスケールの情報源(例えば、リアルタイムのユーザの生体信号、性格などの特性情報)を含んでよい。入力の例は、心理生理学的状態(例えば、HR及びHRV、呼吸数、筋緊張、額の温度、体温、皮膚コンダクタンス)、概日リズム、生殖段階(例えば、思春期、月経周期期、閉経)、性格特性(例えば、自己愛性、内向性)、環境(例えば、光強度、騒音、温度)、ユーザ挙動(例えば、カフェイン摂取の時間と量、運動の時間と強度、食物摂取、性的活動、薬物及び物質の使用)、ストレスのかかる出来事(例えば、就職面接、海外旅行、交通機関の運転、政治及び社会の大きな出来事)、人口統計(例えば、年齢、人種、性別)、ユーザの嗜好(例えばガイド付き瞑想対呼吸認識、ヨガ、精神的対非精神的、及び音楽の種類)等である。入力は、センサを使用して測定されてよい、及び/又はサードパーティプラットフォーム、モバイルアプリケーション、及びウェブプラットフォーム等他のソースから取得されてよい。
【0110】
いくつかの実施形態において、データ処理モジュール445は、ユーザからの自己報告、生理学的及び環境信号の形態で、及び/又はサードパーティプラットフォームにより提供されるようなデータとして、処理することができる。決定モジュール443は、データ入力、並びにデータ出力及びクラウドコンピューティングシステム449からの及び科学的枠組みからのフィードバックデータを統合して、介入行動モジュール442を起動することができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、入力は、科学的データ446を含む又は科学的データ446に基づく。科学的データ446は、I/Oモジュール444からの他のデータと共に、決定モジュール443に情報を提供する。例えば、データは、ユーザのストレス及び睡眠に影響を与える要因、並びにストレスを低減し、ユーザの睡眠を改善する介入モジュールの有効性についての科学的出版物からの結果に基づいていてよい。非限定的な覚醒促進要因及び睡眠促進要因の例は、表1において以下に提供される。
【表1】
【0112】
介入行動モジュール442は、決定モジュール443によりトリガされてよい介入行動にセットを含んでよい。決定モジュール443は、介入行動の順序及び期間を制御してよい。介入行動は、単発的に又は同時に実行されてよい。介入行動の例は、行動介入、認知介入、環境変化、神経調節、及び感覚刺激を含む。行動介入の例は、他の介入のうち、呼吸緩和、呼吸意識、漸進的筋弛緩、ボディスキャン、呼吸バイオフィードバック、ガイド付き瞑想、気付きの輪を含む。認知介入の例は、他の介入のうち、ガイド付き認知エクササイズ、歪んだ思考の識別、費用利益分析、及び探偵のように考えることを含む。環境の変化又は介入の例としては、他の介入のうち、環境照明、湿度、及び温度調節を含む。神経調節介入の例は、経皮的迷走神経刺激を含む。感覚介入の例は、オーディオの再生、テレビ又は他の装置の電源オフ等の脳波エンターテイメント、バイノーラルビート、及びバイノーラルオーディオを含む。ユーザは、入眠するための好ましい動作及び/又は組み合わせを選択することができ、動作又は組み合わせの属性(持続時間、順序等)は、決定モジュール443の結果によって決定されてよい。
【0113】
介入行動は、介入行動モジュール442により、様々な配信チャネル及び/又はI/Oモジュール444を使用して提供されてよい。提供チャネルの例は、モバイルアプリケーション456、アクチュエータ451(例えば、音声、映像、感覚刺激)、及びウェブプラットフォーム457を含む。出力は、異なる時間スケールで連続的及び/又は離散的な異なる情報源を含んでよい。異なる種類の出力は、ユーザの心理生理学的状態(例えば、HR、HRV、呼吸数、筋緊張、額の温度)、社会的相互作用(例えば、友人に会う、ソーシャルメディアに費やした時間)、気分(例えば、不安、攻撃、無気力)、及び睡眠(例えば、眠りに落ちた時間、睡眠の質、睡眠時間)等を含んでよい。出力データは、センサ回路464(例えば、生理的変化)、サードパーティプラットフォーム(例えば、体重管理アプリケーションを用いた体重)、モバイルアプリケーション(例えば、睡眠、感情及び認知の自己報告評価、認知テストの結果)、及びウェブプラットフォーム(例えば、自己報告評価、専門家とのインタビュー)等を用いて測定されてよい。
【0114】
決定モジュール443は/Oモジュール444からのフィードバックデータを常に処理してよい。例えば、「ガイド付き瞑想」介入動作がアクティブであり、ユーザの生理的変化(例えば、HRの減少)が検出されない場合、現在の介入行動はユーザ450を生理的にリラックスさせないと判断することができる。決定モジュール443は、異なる介入行動(例えば、呼吸緩和)を実行させることができる。
【0115】
データ出力は、様々な方法で処理することができる。クラウドコンピューティングシステム449は、一人のユーザ及び複数ユーザ448に関するシステム情報を保存してよい。このデータは、個人に応じて睡眠管理システムの有効性を層別化することを可能にする。
【0116】
前述したように、システム440は、ユーザが入力したデータだけでなく、生理学的センサ、環境センサ、同じプラットフォーム上で実行される他のアプリケーションに入力されたデータ等を含む、これらに限定されない他のソースからデータを受信してよい。生理的センサに関して、センサ回路464は、皮膚コンダクタンスセンサ、皮膚温度センサ、血圧センサ、脈拍センサ、フォトプレスモグラフィセンサ、心電図センサ、及び脳波センサを含んでよく、センサはこれらに限定されない。他の生理学的センサは、汗の分析等のための生物学的信号を感知してよい。身体に粘着的に結合されるセンサ、ウェアラブルに収容されるセンサ、衣類に結合される又は取り付けられるセンサ等、様々な物理的形態のセンサを利用することができるが、センサはこれらに限定されない。
【0117】
環境センサに関して、システム440は、システム440と通信可能な外部センサからデータを受信してよい、又はシステム内に既に統合されているセンサからデータを受信してよい。モバイルアプリケーションの形態で存在するシステム440の例において、モバイル装置内に既に存在するセンサを利用して、システムへの入力データを提供することができる。環境データは、一日の時間、ローカル温度、ローカル湿度、光照射などを含んでよい。このデータの一部は、センサが利用されればローカルに測定することができるが、場合によっては、データは、ウェブサイト等の別のアプリケーション又は外部ソースから取得されてよい。この場合、システムは自動的に検索を開始し、ユーザの位置に関するこのようなデータを取得してよい。このようなデータ入力は、システムがモバイルアプリケーションの形態で存在する場合、便利に取得することができる。他のアプリケーションからデータを取得することに関して、このようなデータは、カレンダーアプリケーションからの会議データ、又はこれらのアプリケーションの1つ以上による相互作用により取得できる他の月経管理アプリケーションからのデータ等が含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
前述したように、データ処理モジュール445は、データを処理して、分析により適した状態にする。各ソースからのデータは、異なるように処理することができる。例えば、生理学的センサからのデータの処理は、ローパスフィルタリング、平均化、平滑化等を含むが、これらに限定されない。また、情動性分析のためのマイクのデータは、同様に、偽音除去のためにフィルタリングされてよい。さらに、ウェブサイトのデータをそのまま利用することも可能である。また、心電図(ECG)センサや脳波(EEG)センサ等の複雑な波形を生成するセンサは、抽出したパラメータにより描画されてよい。ECGの場合、データモジュール443は、脈拍(PR)間隔、QRS複合体の持続時間、R-R間隔等の多数のパラメータを抽出し、測定したパラメータの日付及び時間と共に、この情報を保存することができる。
【0119】
様々な実施形態において、睡眠管理システム440は、スマートフォン、タブレット、デスクコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、運動トラッカー、又はウェアラブル装置内に含まれ得る若しくはウェアラブル装置とデータ通信している他の独立した装置上で、実行可能なコンピュータプログラム若しくはアプリケーションを含む若しくはその一部を形成してよい。
【0120】
図5は、様々な実施形態に係る、図4の睡眠管理システムによるデータ処理方法の例を示す図である。前述したように、571において、入力データが収集され、572において、データ処理モジュールを使用する等により入力データから特徴が抽出される。抽出された特徴は、573において、予測データモデルを含んでよい決定プロセスモジュールに入力される。574において、予測データモデルは、異なる介入行動の有効性を判断するために使用され、575において、睡眠介入戦略が生成される。576において、介入戦略の介入行動がユーザに提示される。これに応答して、577において、ユーザの生理的反応を示すデータ等のフィードバックデータが収集されてよい。578において、関連する特徴がフィードバックデータから抽出される。579において、生理学的反応が期待されるか否かが判断される。期待される場合、576において、介入計画又は戦略が継続され、577において、生理学的反応データが収集され、578において、特徴が抽出される。生理的反応が期待できない場合、580において、睡眠又はリラクゼーションが達成されたか否かが判断される。達成された場合、581において、介入戦略が終了する。そうでない場合、573において、介入戦略の失敗に関するフィードバックは、予測データモデルを修正するためにデータ処理モジュールに差し戻される。
【0121】
図6は、様々な実施形態に係る、睡眠介入戦略の例を示す図である。以下は、身体が閾値以上に活動している場合の入眠の具体例である。午後9時46分であり、ユーザは眠りたいと思っている。入力データは、以下の:i)リアルタイムの環境騒音は、前の3日間と同様の低レベルの騒音を示す、ii)ユーザは、翌日の午前8時に2時間の会議がある(ユーザの携帯電話のカレンダーから)、iii)ユーザは、身体に不快感があるが、不安は特にないことを自己報告した(ユーザの入力)、iv)ユーザのリアルタイムのHRレベルは、ユーザの睡眠前のベースラインHR(過去3日間の平均)よりも約3拍/分(bpm)高い、v)ユーザは、午前7時から午前8時の間に有酸素運動を行った(ユーザのスマートフォンにリンクされたウェアラブル装置から)を含む。決定プロセスモジュールは、目標の生理学的覚醒(例えば、呼吸緩和)に対する介入行動を実行させることができる。
【0122】
例えば、図6は、いくつかのレベルの情報(データ入力、フィードバックデータ、科学的データ)に基づいて、決定プロセスモジュールによって実行される介入行動の例を示す。介入行動は、直列(シーケンス)及び/又は並列(同時)に実行されてよい。介入行動1、2、4、5、及び6は、異なる時間及び期間において実行されてよい。具体的な例において、介入行動1は呼吸緩和(種類=行動的...、適正1=....、適正2=...等)であり、介入行動2は漸進的筋弛緩(種類=行動的...、適正1=....、適正2=...等)であり、介入行動3はボディスキャン(種類=行動的...、適正1=....、適正2=...等)であり、介入行動4は経皮迷走神経刺激(種類=神経調節...、適正1=....、適正2=...等)であり、介入行動5はリラックスバイノーラルオーディオ(種類=感覚刺激...、適正1=....、適正2=...等)であり、介入行動6は呼吸バイオフィードバック(種類=行動的...、適正1=....、適正2=...等)である。上のグラフ683は、介入行動及び異なる時間を示し、下のグラフ685は、異なる時間における異なるリアルタイム生理学的出力データを示す。異なる介入行動は、その後のユーザのHRの結果的な減少に基づいて選択されてよい。特定の例において、介入行動5は、リラックスしたオーディオ背景に対するユーザの嗜好に基づいて実行されていてよい。介入行動1及び2は成功していないかもしれないが、介入行動6は生理学的活性化を減少させることに成功しているかもしれない。
【0123】
図7は、様々な実施形態に係る、予測モデルを生成するためのプロセスの例を示す。前述したように、図4により例示された決定モジュール443は、入力データに基づいてある日時においてユーザが睡眠状態へと移行する確率を示す予測データモデル792を使用及び/又は生成するように実行されてよい。いくつかの実施形態において、予測データモデル792は、確率を改善する又は確率を引き起こすと予測される介入行動を示すデータを出力する。
【0124】
予測データモデル792は、1)非侵襲性センサ及びシステムにより収集された生理学的信号、2)ユーザのカレンダー、GPS位置等から抽出されたデータを含むユーザルーチン、3)温度、湿度等を含む環境センサ、4)気分、エネルギーレベル又は身体状態、1日の流れにおける食物又は飲料摂取、薬、補助食品等のユーザの自己報告又はシステムに対する入力等の、複数の異なる入力データを取得する。また、予測データモデル792は、追加の入力として機能し得る健康ウェブサイト、オンラインフィード、及び/又は雑誌記事等の文献における科学的発見によって情報を取得してよい。予測データモデル792の出力は、ユーザが睡眠状態へと移行する現在及び/又は未来の確率であり、これは、介入行動に応答するものであってよい。いくつかの実施形態において、確率は、介入行動の発生に基づいている又は増加する。非限定的な例において、介入行動モジュールは、温度を下げるためにスマートHVACシステムに又は音楽を再生するためにスマートフォンに、メッセージを通信するようにプログラムされてよい。
【0125】
入力は、決定プロセスモジュールが、特定のユーザの睡眠状態への移行又は非移行に関する特徴セットのパターンを学習することを可能にする表示を得るために処理され、これは、サブモデル790-1、790-2、790-3、790-4を生成するために異なるMLプロセスの使用を含んでよい。サブモデル790-1、790-2、790-3、790-4のそれぞれは、入力カテゴリ1~4によって表される特徴セットに対する異なる時間枠に関連する、並びに/又は異なる特徴セット及び/若しくは出力睡眠介入戦略に関連してよい。異なるMLプロセスは、データの入力カテゴリに応じて予測データモデル792に組み入れられてよい。MLは、入力と、睡眠移行発生の現在及び/又は未来の確率である出力との間で、サブモデル790-1、790-2、790-3、790-4を構築するために使用されてよい。睡眠発生の実験室的「ゴールドスタンダード」測定(例えば、睡眠ポリグラフ)及び/又は非実験室的に受け入れられた睡眠測定(例えば、アクチグラフに基づいた睡眠/覚醒表示)及び睡眠に関するユーザ自己報告入力に基づいて、予測データモデル792の特徴は、サブモデル790-1、790-2、790-3、790-4のそれぞれのコスト関数を最小化することによって最適化される。コスト関数は、モデル予測確率を、予測確率値に関連する何らかの「コスト」を直感的に表す実数にマッピングする関数である。
【0126】
以下は、入力データの例である。この例は限定的なものではなく、追加の又はより少ないカテゴリを使用してもよい。
【0127】
図7に示されるように、第1の入力データカテゴリの例は、生の生理学的信号又はそれらの抽出された特徴を含んでよい。抽出された特徴は、生理学的信号及びその特定の時間パターン、変動、及び周波数内容を表す時間的及び/又はスペクトル的特徴であってよい。時間的特徴は、時間枠における入力データの平均、分散、及び高次統計等の統計的指標を含んでよい。スペクトル特徴は、フーリエ変換を使用して抽出することができる。スペクトル特徴の例は、スペクトルモーメント、スペクトルパワー分率、スペクトルパワーピーク、及びスペクトルパワーであってよい。また、ウェーブレット変換等の入力パターンの理解を容易にする適切な変換を適用した後に、特徴を抽出してよい。特徴量は、特定の時間窓におけるデータを最もよく表すモデルのパラメータを含んでよい。入力パターンの次元が非常に高いため、主成分分析及び線形成分分析等の統計的手法を使用して特徴をより低次元の部分空間に変換し、入力パターンのより正確で効率的な表現を実現することができる。
【0128】
第2の入力データカテゴリは、24時間等の特定の時間におけるユーザのルーチンに関連する入力を含んでよく、特定の時間に睡眠状態に移行する確率を出力する。
【0129】
この目的のために、重回帰、遺伝的プログラミング、サポートベクトル回帰、ニューラルネットワークの差分構造等のML手法を用いてよい。一例として、この目的のために、m個の出力を有するMLニューラルネットワークを学習させてよい。しかしながら、出力層は、各出力が0と1との間になるように、ロジスティック活性化関数を持つm個のノードで構成され得る。最小化するコスト関数は、平均二乗誤差とすることができ、最適化アルゴリズムは、誤差逆伝播法に設定することができる。
【0130】
カレンダー内の異なるイベントは、NLP技術を使用して抽出することができ、それらの類似性に応じていくつかのグループに分類又はクラスタ化される。一例として、セントロイド分類、ナイーブベイズ等のアルゴリズムを使用して、異なるイベントを事前に定義されたクラスに分類することができる。別の例において、K-Means等の分割アルゴリズム、又は凝集型及び分割型アプローチを含む階層的アルゴリズムを使用して、イベントをクラスタ化することができる。
【0131】
GPSからの入力は、時間―位置入力の同様のマトリックスを形成するために使用することができる。カレンダーイベント及びGPS位置と睡眠遷移の発生との間に関係がある場合、要素が特定の場所及び特定の時間における特定のイベントを表し、図7により示されるような座標によって表すことができる3Dデータチャートを作成することができる。
【0132】
第3の入力カテゴリの例は、温度、湿度等の環境又は大気データを含んでよく、カテゴリ1と同じように扱うことができる。いくつかの実施形態において、MLプロセスは、幾分か未来の時間間隔、例えば30分ごと、の確率を出力する方法で設計されてよい。一例として、ニューラルネットワークを採用してよい。出力層は、それぞれが未来の特定の時間間隔における確率を表す多数の出力で構成されてよい。残りのML、最適化、コスト関数は同じである。
【0133】
第4の入力カテゴリの例は、ユーザの気分を含む。気分は、例えば、0~10の採点により、自己報告の一部として毎朝取得されてよい。出力活性化関数が線形関数であるMLPを、これをモデル化するために使用してよい。
【0134】
予測データモデル792は、観察及び/若しくは収集されたデータに基づいて、並びに/又は睡眠介入戦略に応答して、ある日時に睡眠状態への移行が発生する確率を与える。単純な例は、睡眠移行に関連する訓練サンプルとそうでないものとの間の線形決定境界を定義するロジスティック回帰モデルである。入力と出力との間に、より複雑な又は非線形な関係がある場合、より複雑なモデルを構築することができる。このような場合、MLP等のディープニューラルネットワークを使用してよい。
【0135】
最適なネットワークパラメータ(ニューラルネットワークの場合は重みとバイアス)を計算するために、誤差逆伝播法等の最適化操作を行うことができ、これはバッチ式又はインクリメンタル式で行うことができる。バッチ式では、利用可能な全ての学習データをネットワークに与えて最適なパラメータを計算し、インクリメンタル式では、学習サンプルがネットワークに提示されるたびにパラメータを更新する。
【0136】
モデルパラメータの最適化は、コスト関数を最小化することによって行うことができる。コスト関数の例として、システムが推定確率と「真の」睡眠分布との間で定義するクロスエントロピーの誤差がある。N個の学習サンプルのデータセットが与えられると、クロスエントロピーのコスト関数は次の:
のように定義される。
ここで、学習サンプルのためのtは真の睡眠確率であり、0又は1のどちらかであり、yは予測確率であり、0から1の間の任意の値であってよい。
【0137】
学習時、睡眠の発生に対応する入力は1に近い出力確率となり、睡眠の発生に関連しない入力は0に近い出力確率となるようにモデルパラメータを調整することにより、コスト関数を最小化する。
【0138】
構築されたモデルは、新しい入力が与えられると、睡眠の発生確率を0から1まで変化させて出力する。モデルは、新しいユーザ入力及び/又はフィードバックデータ、並びに睡眠に関するセンサデータに基づいて、経時的に更新される。
【0139】
この目的に使用できる他のMLMは、ナイーブベイズ、確率的決定木、及び確率的サポートベクトルマシン分類器を含んでよい。リカレントニューラルネットワーク、ラジアルベースニューラルネットワーク等の他の構造のニューラルネットワークを組み入れてもよい。
【0140】
図8A乃至8Cは、様々な実施形態に係る、予測データモデルの異なる例を示す。異なる例は、図1により前述されたような予測データモデルの異なる実装を含んでよい。
【0141】
図8A示されるように、センサ(例えば、器具)からの異なる多変量時系列測定は、進行中の現在の睡眠セッションについて、主観的及び/又は客観的であり得る睡眠品質を予測するために使用されてよい。睡眠品質予測データモデル894への入力データ893-1、893-2、893-3、893-4は、現在のユーザセンサデータ893-1、先行ユーザセンサデータ893-2、他のユーザデータ893-3、及びヒューリスティック及びルール893-4を含んでよい。現在のユーザセンサデータ893-1は、進行中である現在の睡眠セッションにおいてユーザから取得されたセンサ測定値を含んでよく、ユーザの心理生理学的状態(例えば、HRV測定値を用いた自律神経機能)及び環境状況(例えば、外気温又は空気温度)を反映させることができる。先行ユーザセンサデータ893-2は、先行する睡眠セッションにおいてユーザから取得されたセンサ測定値、及び/又は先行睡眠セッションからの睡眠の質に関する客観的及び/又はユーザの自己報告を含んでよい。他のユーザデータ893-3は、先行する睡眠セッションからの睡眠の質に関する客観的及び/又はユーザの自己報告とともに、先行する睡眠セッションにおいて複数の他のユーザから取得されたセンサ測定値を含んでよい。ヒューリスティック及びルール893-4は、「もしXならばY」ルールとしてコード化することができる背景情報及び知識を含んでよい。
【0142】
入力データ893-1、893-2、893-3、893-4は、睡眠品質予測データモデル894に提供され、睡眠品質予測データモデル894は、出力895を提供する。出力895は、現在の時点までの現在の睡眠セッションの睡眠品質のユーザ自己報告の予測値、及び/又は現在の時点までの現在の睡眠セッションの予測された客観的睡眠品質値を含んでよい。客観的睡眠品質値は、客観的に導出された値及び/又は重み付けされた組み合わせ等のいくつかの客観的に導出された値から構成されてよい。いくつかの実施形態において、ヒューリスティック及びルール893-4は、出発点を提供することができ、現在の睡眠セッションにおいて可能な限り早く正確かつ安定した予測を得るために、他の入力データ893-1、893-2、893-3を使用して更新される。出力895は、睡眠の質を高めるために睡眠介入戦略を調整するかどうかを決定するために使用されてよい。
【0143】
図8Bに示されるように、異なる睡眠介入戦略を使用して、睡眠前ストレスを低減及び/又は睡眠の質を向上させることができる。介入戦略予測データモデル894への入力データ896-1、896-2、896-3、896-4は、ユーザデータ896-1、ユーザのル制約及び嗜好896-2、他のユーザデータ896-3、並びにヒューリスティック及びルール896-4を含んでよい。ユーザデータ896-1は、先行する睡眠セッションにおいてユーザから取得されたセンサ測定値、先行する睡眠介入戦略、及び/又は先行する睡眠セッションからの睡眠の質に関する客観的及び/又はユーザの自己報告含んでよい。ユーザ制約及に嗜好896-2は、特定のユーザに特有の介入行動に対するユーザ制約及び嗜好を含んでよい。他のユーザデータ896-3は、ユーザに対して使用された客観的な先行する睡眠介入戦略及び/又は先行する睡眠セッションからの睡眠品質のユーザ自己報告とともに、先行する睡眠セッション中に複数の他のユーザから取得されたセンサ測定値を含んでよい。ヒューリスティック及びルール896-4は、睡眠の質を最大化するための介入行動のための背景情報及び規則を含んでよい。
【0144】
入力データ896-1、896-2、896-3、896-4は、介入戦略予測データモデル894に提供され、介入戦略予測データモデル894は、例においては睡眠介入戦略を形成する複数の介入行動898-1、898-2、898-3、898-4を含む出力が提供される。出力は、睡眠介入戦略を形成する、今後の睡眠セッションに適用するための介入行動の推奨コースを含んでよい。介入は、並行して、同時に、及び/又は可変の持続時間で行われてよい。
【0145】
図8Cに示されるように、ユーザは、所定の睡眠介入戦略における特定の介入行動を選択することができ、介入行動が選択された理由についての説明を提供されてよい。入力データ801-1、801-2、801-3は、事前に定義された説明テンプレート801-1、他のデータ801-2、及びユーザクエリ801-3を含んでよい。事前に定義された説明テンプレート801-1は、説明の根拠として用いるのに適した言語及び図表からなるテンプレートを含んでよい。他のデータ801-2は、ユーザのセッションデータ(例えば、センサデータ、戦略、及び自己報告)の記録、他のユーザのセッションデータの記録、並びに介入と自己報告との間の相関を包含するヒューリスト及びルールを含んでよい。ユーザクエリ801-3は、選択された睡眠介入戦略の介入行動のユーザ選択サブセットを含んでよく、これは、過去の又は未来の睡眠セッションと関連してよい。
【0146】
他のデータ801-2及びユーザクエリ801-3の入力データは、介入行動のサブセットを選択するために使用するキーファクターを出力するキー要因予測データモデル803に提供され、テンプレート選択データモデル805に入力される。テンプレート選択データモデル805は、入力されたキー要因と事前に定義された説明テンプレート801-1からのテンプレートとを対にし、分析からの要因をテンプレートに入力し、言語ベースの説明(例えば「同様のユーザに対してYにブーストを与えたのでXを選択」)を809に出力するテンプレート人口データモデル807とテンプレートとの対を出力し、さらに、可視化及び/又はプロットを出力してよい。
【0147】
前述したシステム及びコンピュータ可読命令は、ユーザの睡眠の様々な要因を追跡し、時間の経過とともに動的に更新される予測データモデルを生成することにより、ユーザの睡眠を改善するために使用することができる。動的予測モデルに基づいて、システムは、睡眠移行の発生を予測し、睡眠発明戦略を開発及び実施することにより、確率を増加させるために使用される。
【0148】
本開示に従った実施形態は、1人以上のユーザの睡眠の管理を含むシステム、装置、及び方法を含む。特定の実施形態は、急性の心理生理学的状態操作及び睡眠管理システム、並びにその特定の実装を対象とする。
【0149】
図9は、様々な実施形態に係る、心拍数、経時的なHRV、及び任意の特定のユーザに対する睡眠介入戦略を生成するための介入プランナーの使用に対する介入の効果の例を示す。
【0150】
より具体的には、図9は、仮想現実のリラックステスト中の睡眠障害を持つ49歳の女性のデータを用いて、日中のリラックステスト中の生理的覚醒に対する仮想現実呼吸バイオフィードバックの急性効果を示すものである。女性は、リクライニングの姿勢で座っていた。呼吸バイオフィードバックを開始した後(テスト開始から約200秒後)、被験者は、グラフ897に示すように呼吸数を約0.1Hz(1分間に6回呼吸)減らしてグラフ8975に示される拍動間間隔から分かるようにHRVを改善させ、また、グラフ893に示すように、HRを減少させた。このデータは、行動介入(この場合、仮想現実呼吸バイオフィードバック)が、覚醒中のユーザの生理的状態を急性的(数秒以内)に調節することができることを示す。
【0151】
図10は、様々な実施形態に係る、介入(この場合、仮想現実バイオフィードバック)がある場合とない場合の、眠りに落ちる人の拍動間間隔時間を示す。例えば、図10は、重度の不眠症の53歳の女性からのデータを用いて、覚醒から睡眠への移行にわたり仮想現実呼吸バイオフィードバックを実行中の生理学的不活性化(ここでは、強化された心拍間間隔、例えば心拍の減少によって反映される)を示す。適応した夜間の後、被験者は実験室で2晩過ごし、1晩は睡眠を促進するために仮想現実バイオフィードバックの介入を受けた。対照の夜と比較して、仮想現実呼吸バイオフィードバックを使用することで、睡眠前期の心拍間隔が長くなり(HRの低下)、被験者は、生理的なリラックス状態で睡眠に近づいた。このデータは、覚醒から睡眠への移行全体にわたる行動介入(この場合は仮想現実呼吸バイオフィードバック)を行うことで、リラックス効果を高め、睡眠へと導くことが可能であることを示す。
【0152】
図11A及び11Bは、様々な実施形態に係る、不眠症にかかっている人及びかかっていない人について、知覚された睡眠前の認知覚醒とその後の入眠に費やされた時間との間のグループレベルの関係を示す図である。例えば、図11A及び11Bは、図11Bに示される臨床的不眠症を有する43~57歳の25人の女性、及び図11Aに示される臨床的不眠症を有さない17人の女性からのデータを用いて、睡眠前の自己報告認知覚醒と、個人が眠りに落ちるのに費やす客観的時間とが関連している例を示す。就寝時の認知的覚醒は、ストレス予期手順の後、標準的な質問票を用いて測定した。具体的には、女性たちは、翌日、就職面接を模擬したスピーチを、彼らのパフォーマンスを評価する委員会の前で行わなければならないことを告げられた。ストレスによる認知的覚醒と客観的入眠時間との関係は、不眠症の女性とそうでない女性の両方で(グループレベルで)有意に明らかであった(p<.001)。このデータは、睡眠を改善するために、睡眠前の覚醒レベルの減少を目指した集中的な介入を行うことが重要であること示す。
【0153】
図12は、様々な実施形態に係る、生理学的的な睡眠前活性化状態(コルチゾールレベル)と夜間のポリソムノグラフィ睡眠効率との間の関係を示す。例えば、図12は、臨床的な睡眠障害を持たない45歳から51歳までの18人の健康な女性のデータを用いて、睡眠前の生理学的ストレスレベルとポリソムノグラフィ睡眠質との関係の例を示す。就寝直前に採取した唾液コルチゾールと夜間の睡眠ポリソムノグラフィ睡眠効率との関係を示すグラフであり、就寝時のコルチゾールレベルが高い女性ほど、睡眠効率が低いことがわかる。このデータから、睡眠前のストレスレベルが夜間の睡眠の質に影響することが示唆された。
【0154】
異なる情報源を使用して、ユーザの心理生理学的活性化レベルを決定し、最も重要なことに、この活性化が「適応的正常範囲」とみなされるものをいつ超えるかを決定する。これは、就寝時の個人の覚醒状態の認識が、覚醒状態を最適なレベルまで減少させるための正しい介入及び/又は介入の組み合わせを選択するのに有用であることを考えると、開示されるシステムの一つの態様である。
【0155】
睡眠前活性化の最適レベルは、睡眠前の生理学的活性化レベルと、負であると予想される客観的な夜間の睡眠の質との関係に基づいて決定することができる(睡眠前の生理学的活性化が多いほど、睡眠の質は低くなる)。また、ユーザの活性化に対する認識と同様に、他のいくつかの行動結果も考慮することができる。
【0156】
この例では、客観的な睡眠効率は、ユーザがある睡眠の質を達成するために必要とする睡眠前の最適な生理学的活性化レベルを決定するために使用することができる。これは、個人の睡眠前のHRV状態とその後の睡眠の質との経時的な関係に基づいて決定することができる。
【0157】
図13は、様々な実施形態に係る、睡眠前の状態が睡眠に及ぼす影響示す図である。この場合、ユーザの通常の睡眠前過覚醒状態と低下したより最適な睡眠前覚醒状態とを識別する閾値を決定するために使用できる、睡眠前HRV状態と睡眠の質との関係を表す関数が抽出された。この関数は、個人ベース及び/又は集団ベースの基準で決定することができる。ここでは、単純な仮想的関係を示すが、この関係は経時的に変化し、複数の要因により影響され得る。
【0158】
安静時HRVは、心拍の拍動間変動を処理して取得することができます (低HRVは、自律神経機能が低下していることを示す指標となる)。これは、睡眠前にベッドで横になっているとき等、一定時間(例えば5分間)で計算することができる。
【0159】
睡眠効率は、睡眠時間をベッドで費やした総時間で割り、100を掛けた値とした。表2は、仮想的なユーザの10連泊の例である。
【表2】
【0160】
図14は、様々な実施形態に係る、睡眠前の生理的自律神経活性化(例えば、HRV)と、その後の夜間の睡眠効率との間の関係の理論プロットを示す図である。例えば、図14は、仮想的なユーザからの10回の連続した夜の例を示す。図14に示す例において、ユーザは、HRV<200であると夜の睡眠が悪い(睡眠効率<85%)可能性が最も高いという証拠に基づいて、HRV<200の過覚醒状態であると考えられる。この場合、介入はHRVを200よりも大きい値に引き上げることを目的として行われる。曲線 (睡眠前のHRV及び睡眠効率) は日々更新され、その結果、閾値も変化し得る。
【0161】
また、自己報告ツール(例えばVAS、アンケート等)を利用することも可能である。例えば、ユーザの知覚活性化の適応的な正常範囲に対する固定閾値を計算するために、閾値は、変化した心理生理学的状態に対する個人の知覚に基づいて設定することができる。例えば、個人は、不安のレベルを11~100mmのVAS(「極めて低い」から「極めて高い」の範囲)で評価し、その後、この活性化が「正常と考えるものを超えている」と考えられるかどうかを評価することができる。集団平均化された反応に基づいて、適応的な正常範囲の閾値を決定し、個人の人口統計学に基づいて層別化することができる。
【0162】
様々な実施形態は、2020年6月29日に出願された「AI SLEEPZZZ」と題する基礎となる仮出願(No.63/045304)に従って実施され、それらの一般的及び特定の教示が参照により本明細書に完全に組み込まれることにより、これに対して利益が主張される。例えば、本明細書及び/又は仮出願における実施形態は、様々な程度で(完全を含む)組み合わせることができる。また、基礎となる仮出願に提供された実験的教示および基礎となる参考文献を参照することもできる。仮出願で議論された実施形態は、特に断らない限り、全体的な技術開示又は請求された開示の一部を限定することを、いかなる形でも意図していない。
【0163】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、用語「含む」及び/又は「備える」は、記載された特徴、ステップ、操作、要素、及び/又は部品の存在を規定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、操作、要素、成分、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことがさらに理解される。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」は、関連する記載項目の1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを含み、「/」と略記することができる。
【0164】
様々な例示的な実施形態が前述されたが、特許請求の範囲により説明される本発明の範囲から逸脱することなく、多数の任意の変更の様々な実施形態に行うことができる。例えば、1つの実施形態に関して説明又は例示したが、そのように説明又は例示した特徴及び要素は、他の実施形態に適用することができる。さらなる例として、様々な説明された方法ステップが実行される順序は、代替の実施形態においてしばしば変更することができ、他の代替の実施形態において1つ又は複数の方法ステップを完全に省略することができる。様々な装置及びシステムの実施形態の任意の特徴は、いくつかの実施形態に含まれ、他の実施形態には含まれないことがある。従って、前述の説明は、主に例示的な目的のために提供され、特許請求の範囲に画定される本発明の範囲を制限するように解釈されるべきではない。
【0165】
当業者は、本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される様々な用語は、特に示されない限り、当該技術分野における単純な意味を示すことを認識できる。例として、本明細書は、ブロック、モジュール、装置、システム、ユニット、コントローラ、及び/又は他の回路タイプの描写等の用語として又はそれを用いて例示することができる様々な回路又は回路により、請求された開示を実施するために有用な態様を説明及び/又は図解する。そのような回路又は回路は、他の要素と共に使用されて、特定の実施形態がどのように形成、又は構造、ステップ、機能、操作、活動等で実施され得るかを例証する。例えば、前述した特定の実施形態において、図に示す手法で実施され得る1つ以上のモジュールは、これらの動作/活動を実施するために構成及び配置されたディスクリート論理回路又はプログラマブル論理回路である。特定の実施形態において、このようなプログラマブル回路は、命令のセット(又は複数のセット)として実行されるプログラム(及び/又はプログラマブル回路がどのように実行されるかを定義するための構成データとして使用される)、及び関連ステップ、機能、操作、活動等を実行するためにプログラマブル回路により用いられる本明細書に記載するアルゴリズム又はプロセスを記憶しアクセスするためのメモリ回路を含む1つ以上のコンピュータ回路である。用途に応じて、命令(及び/又は構成データ)は、命令(オブジェクトコード、ファームウェア、又はソフトウェアの形態で特徴付けられるかどうか)をメモリ(回路)に保存し、そこからアクセスできるようにして、論理回路で実装するように構成することが可能である。
【0166】
前述した様々な実施形態は、共に及び/又は他の様式で実施することができる。本開示に描かれた項目の1つ以上は、また、特定の用途に従って有用であるように、別々に又はより統合された様式で実装することができ、又は特定の場合において除去及び/若しくは動作不能としてレンダリングされ得る。本明細書の説明を考慮すると、当業者は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更がなされることを認識できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11A
図11B
図12
図14
【国際調査報告】