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  • 特表-圧縮製品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】圧縮製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/34 20060101AFI20230714BHJP
   A23G 3/02 20060101ALI20230714BHJP
   A61K 9/24 20060101ALI20230714BHJP
   A61J 3/10 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A23G3/34 101
A23G3/02
A61K9/24
A61J3/10 A
A61J3/10 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022572425
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2022-11-24
(86)【国際出願番号】 IB2021054502
(87)【国際公開番号】W WO2021240348
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】102020000012685
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502174704
【氏名又は名称】ペルフェッティ ヴァン メッレ ソシエタ ペル アチオニ
【氏名又は名称原語表記】PERFETTI VAN MELLE S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】マランゴズ、 グエヴェン
(72)【発明者】
【氏名】リザノ イグレシアン、 ジョアクイン アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ボッティニ、 アレサンドロ
【テーマコード(参考)】
4B014
4C047
4C076
【Fターム(参考)】
4B014GB08
4B014GB09
4B014GE02
4B014GG07
4B014GK05
4B014GL04
4B014GL10
4B014GQ07
4B014GQ08
4B014GU04
4C047LL08
4C076AA36
4C076AA37
4C076AA40
4C076BB01
4C076FF68
4C076GG14
(57)【要約】
一回の圧縮操作で形成される多層タブレットからなる圧縮製品の製造方法が開示されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層タブレットを調製するための方法であって、以下の工程:
a)打錠機の圧縮チャンバー内をスライドするパンチ(モールド)の上面に、第1の粒状材料を充填する工程;
b)材料の層が圧縮チャンバーの上端に搬送されるまで、モールドを上昇させる工程;
c)適切な装置を用いて、余分な粒状材料を除去する工程;
d)モールドを圧縮チャンバー内で下降させ、第2の粒状材料を充填する工程;
e)任意で、工程b)、c)およびd)を、完成したタブレットの所望の層の数に対応する回数だけ繰り返す工程;
f)形成されたタブレットを圧縮して排出する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記モールドが、同じ表面積を有しない層を有するタブレットを形成するように設計された凹部を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの層の重量比が完成品の重量の25%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
他と同じ表面積を有しない層が、タブレットの重量の2%未満の重量パーセントを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法により得られる製品であって、層が同じ表面積を持たず、異なる活性成分を有することを特徴とする製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ表面積又は異なる表面積を有する多数の層を含む、一回の圧縮操作によって多層タブレットを製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許第4,139,589号明細書は、多層タブレットの製造方法を開示しており、それは、各単一層を構成する材料/成分で、それぞれ別々の圧縮段階を繰り返すことによって多数の個別層を形成し、その後、前の圧縮で適用した力よりも大きな力を適用して行う最終圧縮によって、種々の層の持続的凝集とタブレット表面の望ましい硬度及び滑らかさを生成することを含んでいる。
前記方法は、様々な層が同じ表面積を有することを必要とする。
【0003】
図1に示した製品のように、異なる表面積又は異なる形状を有する層を特徴とするタブレットを製造するために、上記の技術を使用することはできなかった。実際、圧縮される個々の層が同じ表面積を持たないと、次のような好ましくない結果になる。
a) 様々な層の成分が混ざり合い、製品の外観と製剤の両方に悪影響を及ぼすこと。例えば、様々な層が互いに接触又は混合してはならない異なる有効成分を含む場合。
b) パンチの破損
【0004】
EP 2929870号公報は、チップを含む多層タブレットを開示し、前記タブレットは、前記チップの上下の両方で粒状材料を圧縮することによって得られる。
GB 743222号公報は、製造中にタブレットがモールドから取り外されないコーティングされたタブレット製造のためのタブレット圧縮を開示している。開示された装置では、エンボス部を有する多層タブレットを調製することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,139,589号明細書
【特許文献2】EP 2929870号公報
【特許文献3】GB 743222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の詳細な説明
異なる表面積を有する層によって特徴付けられる多層タブレットの調製方法がここに見出された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
公知の方法とは異なり、一回の最終圧縮を伴う本発明による方法は、以下の工程を含む:
a)打錠機の圧縮チャンバー内をスライドするパンチ(以下、「モールド」とも呼ぶ)の上面に、第1の粒状材料を充填する工程;
b)材料の層が圧縮チャンバーの上端に搬送されるまで、モールドを上昇させる工程;
c)適切な装置を用いて、余分な粒状材料を除去する工程;
d)モールドを圧縮チャンバー内で下降させ、第2の粒状材料を充填する工程;
e)任意で、工程b)、c)およびd)を、完成したタブレットの所望の層の数に対応する回数だけ繰り返す工程;
f)形成されたタブレットを圧縮して排出する工程。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】異なる表面積又は異なる形状を有する層を特徴とするタブレット。
図2図2A及び2Bは、それぞれタブレットの側面図及び正面図を表す。
図3】従来技術に従って操作されたタブレットの正面図を表す。
図4】本発明の工程を説明する図である。
図5】本発明の工程を説明する図である。
図6】本発明の工程を説明する図である。
図7】本発明の工程を説明する図である。
図8】本発明の工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
モールドは、菓子製品、特に多層キャンディーの形成に適した任意の形状を有することができる。本発明の好ましい態様によれば、モールドは、タブレットの層の1つに図形及び/又は装飾を形成するようにエンボス層を作成することを可能にする溝/凹部を有している。前記実施形態の例は、図2A及び図2Bに示されており、それぞれタブレットの側面図及び正面図を表し、参照番号2及び3は、溝/凹部を有する特定のモールドで作られた異なる領域を有する層を表している。
【0010】
先行技術に従って操作する場合、層2及び層3の圧縮を可能にし、モールド及び上パンチが互いに接触してその結果破損するのを防ぐために、溝/凹部は凹部を埋めるのに必要な量より多い材料で満たされなければならないだろう。しかし、前記材料の圧縮後、凹部に保持されない圧縮材料の表面部分が形成され、図3に例示されるように、前記2及び3として示される層の色がすぐ隣の層5に染み出すことになり、見栄えの悪い外観となるであろう。
【0011】
逆に、先行技術に従って操作する際に異なる層の成分が混ざり合うという問題を回避したい場合は、圧縮時にその染み出しを防止するために最小限の材料を使用する必要がある。しかし、上記のように最小限の材料しか使用しないと、モールドや上パンチが破損し、機械が停止してしまう恐れがある。
【0012】
本発明の方法は、モールド充填後に余分な粒状材料を除去することを特徴とし、前記問題を解消する。
余分な粒状材料は、従来技術に従って、タブレット圧縮機に取り付けられ、機械的、空気圧的又は電気機械的手段によって作動する、刃、ヘラ、ブラシ又は同様の装置のような工具を用いて除去することができる。
【0013】
工程a)とd)で使用される粒状材料は、同じ組成であっても、異なる組成であってもよい。最も一般的に使用される材料の例としては、スクロース、ラクトース、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなどのポリオール、イソマルト、デンプン、着色料、及び従来の圧縮賦形剤(固化防止剤、滑沢剤)が挙げられる。
【0014】
次に、図2a及び図2bに図示された層2及び3を形成することになる凹部によって特徴付けられるモールドを示す図4~7を参照して、その工程を詳細に説明する。前記モールド(図4の7)は、圧縮チャンバー(6)内に配置され、所定の所望の高さ(8)に維持される。
【0015】
凹部を埋めるための材料は、予め決められた量だけ圧縮チャンバーに導入される。このことは、導入された材料が凹部の容積とぴったり一致するわけではなく、超過していることを必然的に意味する。
【0016】
その後、モールド(7)はレベル(9)の高さまで上昇する。このとき、スクレーパー要素又は装置(10)が作動し、余分な材料(11)を除去する。
【0017】
その後、モールド(7)はレベル(9)から圧縮チャンバー内の予め決められた高さまで下降する。こうしてできた空間(12)に、次の層を形成するのに必要な材料が充填される。上記の操作を必要な層の数だけ繰り返して、完成品を形成することができる。
【0018】
所望の層数に達したら、上部パンチ(13)を下げる。任意の所望の形状によっても特徴付けることができる前記パンチは、材料を圧縮し、それによって最終製品を形成する。
【0019】
さらに、多層タブレットの製造において、各層と完成品の重量比は25%以上でなければならないことが知られている(インターナショナル・ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンス&リサーチ-9巻-2018年3月1日-多層錠:経口薬物送達のための新規アプローチ-878頁)。
【0020】
各層が同じ面積を持つ多層タブレットを製造する場合、最終製品の総重量に対する単層の重量比が10%を下回らない限り、従来方式による製品が得られることが、多くの技術試験により実証されている。
【0021】
逆に、本発明は、異なる表面積を有する層、場合によっては他の層よりも最小限の面積又ははるかに小さい面積を有する層さえも有する多層タブレットの製造を可能にし、製品の総重量に対する単一層の重量比は2%未満であることさえ可能である。
【0022】
本発明の方法は、異なる形状及び体積を有する層の製造を可能にするので、タブレットの形成において有効成分(着色料、香料、植物抽出物、美白成分、オメガ3脂肪酸、口臭防止剤、ビタミン、ミネラルなど)の使用を可能にすることが特に適しており、それらはまた、最小圧縮可能体積に達することを可能にするという唯一の目的を有する別の材料と混合せずに所定の層の唯一の成分であることが可能である。
【0023】
異なる表面積を有する層を有する多層製品の製造に関連する上記の利点に加えて、本発明は、同じ表面積を有する複数の層を有するタブレットの製造における種々の欠点を、単一の圧縮操作でそれらを製造する可能性を維持することによっても解決することができる。
【0024】
本発明の方法は、もし異なる色であれば、非線形に見え、したがって魅力的でない層の形成における不規則性を防止する。
【0025】
圧縮チャンバーが材料で満たされている場合は、水平で、直線的で、均質な分布が保証されないため、余分な粒状材料が除去されないのであれば、この問題が発生する。すなわち、図8に示すように、層(14)と(15)を形成するように粒状材料を分散させることができる。
【0026】
また、本発明の方法は、前記凹凸の問題を解決しようとして過度に高い圧縮をかけた場合に発生し得る層の剥離の問題を解決するものである。
【実施例
【0027】
本発明は、以下の実施例でより詳細に説明される。
実施例1
製薬会社や食品会社でタブレットを製造する際によく使われるタブレット機には、溝や凹みがあることが特徴のモールドが使われている。このモールドと凹み/溝は、必要であれば小さくてもよいし、特定の形状の層、特に牛の頭部の目と鼻を形成する層を製造するために設計されていてもよい(図2)。
【0028】
モールド(7)はタブレットプレス機の圧縮チャンバー(6)に所望の深さ(8)0mmまで落下し、くぼみに粉末ソルビトール、アスパルテーム、香料、ステアリン酸マグネシウム及び青色着色料の混合物70mgを充填する。この段階では、将来の牛の口と目だけが埋まっている。
【0029】
モールド(7)は0mmレベル(9)に留まり、スクレーパー装置(10)が作動してモールドの平面上部の余分な粉体(11)を除去する。
【0030】
その後、モールドが充填されると、タブレットプレスの圧縮チャンバー(6)に所望の深さ(12)6mmまで下降し、圧縮チャンバーには粉末ソルビトール、アスパルテーム、香料及びステアリン酸マグネシウムの混合物630mgが充填される。
【0031】
上パンチ(13)が圧縮チャンバー(6)内を下降し、15Paの圧力をかけて700mgのタブレットを形成し、牛の目と口が着色され、残りの部分は白色になる。
【0032】
上パンチ(13)が元の位置まで上昇し、モールド(7)が床面(9)まで上昇し、タブレットが排出される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層タブレットを調製するための方法であって、以下の工程:
a)打錠機の圧縮チャンバー内をスライドするモールドの上面に、第1の粒状材料を充填する工程;
b)材料の層が圧縮チャンバーの上端に搬送されるまで、モールドを上昇させる工程;
c)適切な装置を用いて、余分な粒状材料を除去する工程;
d)モールドを圧縮チャンバー内で下降させ、第2の粒状材料を充填する工程;
e)工程b)、c)およびd)を、層を圧縮することなく、完成したタブレットの所望の層の数に対応する回数だけ繰り返す工程;
f)圧縮チャンバーの上部から上パンチを挿入し、多層タブレットを形成するように充填された多層を圧縮する工程;及び
g)形成されたタブレットを排出する工程
を含み、前記モールドは、前記第1の粒状材料を充填して形成される層が前記第2の粒状材料を充填して形成される層と異なる表面積を有するように設計された1つ以上の凹部を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の粒状材料に対する前記c)工程の除去が、前記凹部以外の前記第1の粒状材料を除去することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの層の重量比が完成品の重量の25%未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記モールドの凹部に充填して形成された層が、タブレットの重量の2%未満の重量パーセントを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の粒状材料が前記第2の粒状材料と異なる活性成分を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法
【国際調査報告】