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▶ ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・ゴルウェイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】留置カテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
A61M1/00 160
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574191
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2021064428
(87)【国際公開番号】W WO2021244985
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】20177632.5
(32)【優先日】2020-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506333923
【氏名又は名称】ナショナル・ユニバーシティ・オブ・アイルランド・ゴルウェイ
【氏名又は名称原語表記】National University of Ireland Galway
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・モドリー
(72)【発明者】
【氏名】ティム・ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル・ティアニー
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA18
4C077AA20
4C077CC05
4C077DD11
4C077DD24
4C077EE04
4C077JJ05
4C077KK25
(57)【要約】
留置胸膜カテーテルシステムは、被験者の胸腔に備わるように構成された有窓の遠位端(7A)と、カテーテル管の近位端(7B)に流体結合された接続ハブ(10)とを備える留置カテーテルデバイス(2)と、接続ハブ(10)を被験者の皮膚に固定するために皮膚固定部材(3)と、接続ハブ(10)に取り外し可能に装着するように構成された任意選択の脱着可能な移動式吸引モジュール(4)とを備える。吸引モジュール(4)は、接続ハブ(10)を通じてカテーテル管(7)に流体結合するように構成された流体入口(19)と、脱着可能な移動式吸引モジュールを通じて胸膜液を排水するために胸膜液排水システムに取り外し可能に流体結合するように構成された流体出口(20)とを備える。脱着可能な移動式吸引モジュールは、胸膜液排水システムの吸引モジュールからの切り離し時に、カテーテル管内に負圧を作用させるように構成される。本発明のシステムを使用する胸水の治療が記載される。腹腔から流体を排水するために留置胸膜カテーテルシステム及び腹水を治療する方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側膜及び内臓膜によって形成された被験者の体腔から流体を排水するための留置カテーテルシステムであって、
前記被験者の前記体腔に存在するように構成された有窓の遠位端(7A)を具備するカテーテル管(7)と、前記カテーテル管の近位端(7B)に配置されると共に、前記カテーテル管を流体排水システムと流体結合するように構成された接続ハブ(10)とを備えている留置カテーテルデバイス(2)と、
前記カテーテル管を受容するための貫通内腔(14)と、前記被験者の皮膚に固定するように構成された固定要素(13)と、及び皮膚固定部材(3)を前記接続ハブ(10)に結合するように構成された結合要素とを有している皮膚固定部材(3)と、
を備える、留置カテーテルシステム。
【請求項2】
前記留置カテーテルシステムが、前記接続ハブ(10)に取り外し可能に装着するように構成されている外側ハウジング(11)を含んでおり、
前記外側ハウジング(11)が、前記接続ハブの近位端(10A)を露出するように前記接続ハブ(10)を受容するための貫通内腔(15)と、前記皮膚固定部材(3)の周りで前記被験者の前記皮膚に当接するように構成されたベース要素(21)であって、外側ハウジングを前記被験者の前記皮膚に装着するための接着部材を具備する前記ベース要素(21)とを有しており、接続ハブを包囲するハウジングである、請求項1に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項3】
前記カテーテル管の有窓の前記遠位端(7A)は、前記被験者の胸腔又は腹腔に存在するように構成される、請求項1又は2に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項4】
前記留置カテーテルシステムが、前記接続ハブ(10)に取り外し可能に装着されるように構成される脱着可能な移動式吸引モジュール(4)を備えており、
前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)が、
前記接続ハブ(10)を通じて前記カテーテル管(7)に流体結合するように構成された流体入口(19)と、
前記脱着可能な移動式吸引モジュールを通じて胸膜液を排水するために、流体排水システム(5)に取り外し可能に流体結合するように構成された流体出口(20)と、
作動時に前記流体出口を閉止するように構成された作動可能な閉止部材(25)と、
を備えており、
前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)が、前記閉止部材の作動時に前記カテーテル管内に負圧を作用させるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項5】
作動可能な前記閉止部材(25)は、前記流体排水システムを前記脱着可能な移動式吸引モジュールから取り外すことによって閉止するように構成され、前記流体排水システムを前記脱着可能な移動式吸引モジュールに装着する際に開放するように構成される、請求項4に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項6】
前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)は、負圧チャンバ(24)を備え、
前記流体入口(19)は、前記負圧チャンバを介して前記流体出口(20)に流体結合される、請求項4又は5に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項7】
前記負圧チャンバは、少なくとも10ccの容積を有する、請求項6に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項8】
前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)は、前記流体排水システム(5)を前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)から取り外す際に、限界負圧を前記カテーテル管(7)に作用させるように構成された抽気弁(22)を備える、請求項4~7のいずれか一項に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項9】
前記抽気弁(22)は、前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)において20mmHg~300mmHgの限界負圧を維持するように構成される、請求項8に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項10】
前記接続ハブ(10)は、前記接続ハブを脱着可能な移動式吸引モジュール(4)に装着する際に開放されるように構成されると共に、前記接続ハブを前記脱着可能な移動式吸引モジュールから取り外す際に閉止されるように構成される弁を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項11】
前記留置カテーテルシステムは、前記接続ハブ(10)に脱着可能に装着されるように構成された外側ハウジング(11)を備えており、
前記外側ハウジング(11)が、前記接続ハブの近位端(10A)を露出させるように前記接続ハブを受容するための貫通内腔(15)と、前記皮膚固定部材(3)の周りで前記被験者の前記皮膚に当接するように構成されたベース要素(21)とを備えており、前記接続ハブを包囲するハウジングである、請求項1~10のいずれか一項に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項12】
前記外側ハウジング(11)の前記ベース要素(21)は、前記外側ハウジングを前記被験者の前記皮膚に装着するための接着剤を備える、請求項11に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項13】
前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)は、窪んだベース(18)を有しており、
前記外側ハウジング(11)は、前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)の前記窪んだベースに入れ子になるように寸法決めされた上部面を有している、請求項11又は12に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項14】
前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)の流体入口(19)は、前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)の前記窪んだベース(18)から突出している、請求項13に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項15】
前記留置カテーテルシステムが、様々な構成で組み立てられるように構成されており、
前記構成には、
前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)が前記接続ハブ(10)に流体接続されていない、休止構成と、
前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)が、前記接続ハブ(10)に流体接続され、前記流体排水システム(5)が、加圧下で前記留置カテーテルデバイス(2)及び前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)を通じて流体を排水可能にする、排水構成と、
前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)が前記接続ハブ(10)に流体結合されるが、前記流体排水システム(5)には流体結合されず、負圧がかけられている負圧療法構成と、
が含まれる、請求項4~14のいずれか一項に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項16】
前記留置カテーテルシステムが、前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)の流体出口(20)に流体結合されるように構成された流体排水システム(5)を含んでおり、
前記流体排水システムは、流体収集容器(6)とポンプ又は負圧排水機構とを備える、請求項4~15のいずれか一項に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項17】
前記流体排水システムは、前記脱着可能な移動式吸引モジュールの前記流体出口へと突出するように、且つ、作動可能な閉止部材を開放するように構成された突出導管を具備するコネクタを備えている、請求項16に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項18】
作動可能な閉止部材はダックビル弁を備える、請求項4~17のいずれか一項に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項19】
前記接続ハブ(10)及び/又は外側ハウジング(11)は、前記カテーテル管に、及び/又は切開部若しくは抗菌コーティングにおける前記被験者の皮膚に光を誘導するように構成されたUV光を備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の留置カテーテルシステム。
【請求項20】
留置胸膜カテーテルシステムであって、
被験者の胸腔又は腹腔に存在するように構成された有窓の遠位端を具備するカテーテル管と、前記カテーテル管の近位端に流体結合された接続ハブと、を備える留置カテーテルデバイスと、
前記接続ハブを前記被験者の皮膚に固定するための皮膚固定部材と、
前記接続ハブに取り外し可能に装着するように構成される脱着可能な移動式吸引モジュールと、
を備えている前記留置胸膜カテーテルシステムにおいて、
前記脱着可能な移動式吸引モジュールが、
前記接続ハブを通じて前記カテーテル管に流体結合されるように構成された流体入口と、
脱着可能な移動式吸引モジュールを通じて胸膜液を排水するために、胸膜液排水システムに取り外し可能に流体結合されるように構成された流体出口と、
作動時に前記流体出口を閉止するように構成された作動可能な閉止部材と、
を備えており、
前記脱着可能な移動式吸引モジュールは、前記閉止部材の作動時に前記カテーテル管内に負圧を作用させるように構成される、留置胸膜カテーテルシステム。
【請求項21】
前記脱着可能な移動式吸引モジュールは、負圧チャンバを備えており、
前記流体入口は、前記負圧チャンバを介して前記流体出口に流体結合される、請求項20に記載の留置胸膜カテーテルシステム。
【請求項22】
前記作動可能な閉止部材(25)は、前記胸膜液排水システムを前記脱着可能な移動式吸引モジュールから取り外すことによって閉止するように構成され、前記胸膜液排水システムを前記脱着可能な移動式吸引モジュールに装着する際に開放するように構成される、請求項20又は21に記載の留置胸膜カテーテルシステム。
【請求項23】
前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)は、負圧チャンバ(24)を備えており、
前記流体入口(19)は、前記負圧チャンバを介して前記流体出口(20)に流体結合される、請求項21又は22に記載の留置胸膜カテーテルシステム。
【請求項24】
前記負圧チャンバは、少なくとも10ccの容積を有する、請求項23に記載の留置胸膜カテーテルシステム。
【請求項25】
前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)は、前記胸膜液排水システム(5)を前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)から取り外す際に前記カテーテル管(7)に限界負圧を作用させるように構成された抽気弁(22)を備える、請求項20~24のいずれか一項に記載の留置胸膜カテーテルシステム。
【請求項26】
前記抽気弁(22)は、前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)において20mmHg~300mmHgの限界負圧を維持するように構成される、請求項25に記載の留置胸膜カテーテルシステム。
【請求項27】
前記接続ハブ(10)は、前記接続ハブを前記脱着可能な移動式吸引モジュール(4)に装着する際に開放するように構成されると共に、前記接続ハブを前記脱着可能な移動式吸引モジュールから取り外す際に閉止するように構成される弁を備える、請求項20~26のいずれか一項に記載の留置胸膜カテーテルシステム。
【請求項28】
前記皮膚固定部材(3)は、前記接続ハブ(10)とは別体であり、前記接続ハブ(10)と結合するように構成される、請求項20~27のいずれか一項に記載の留置胸膜カテーテルシステム。
【請求項29】
前記皮膚固定部材(3)は、有窓の前記カテーテル管を受容するための貫通内腔(14)を備える、請求項20~28のいずれか一項に記載の留置胸膜カテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留置カテーテルシステムに関する。本発明はまた、留置胸膜カテーテルシステムを利用する、被験者における胸水を治療する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
胸水は、胸腔内の過剰な流体の蓄積によって特徴付けられる症状であり、胸腔は、肺を取り囲み、呼吸を円滑に促進するように機能する側膜及び内臓膜によって形成される。通常胸腔は少量の流体を中に含んでいる。過剰な流体は、胸の痛み、咳、呼吸困難及び起座呼吸を引き起こす場合がある。症状は、多くの要因によって生じる可能性があり、心不全、肺動脈塞栓症、肝硬変及び心臓切開手術が含まれる。他の原因には、肺炎、癌、腎臓病及び炎症状態が含まれる。
【0003】
胸水のための一般的な治療は、胸腔穿刺(注射器を使用する流体の除去)、胸腔チューブ挿入(何日間かの間、生体内原位置に留まる胸腔チューブを使用する流体の除去)、胸水ドレイン(長期間の留置カテーテルを使用する流体の除去)及び胸膜癒着処置が含まれる。後者は、化学的又は機械的のいずれかの胸膜の刺激を伴い、結果としての胸水の再発の阻止において70%~90%の成功率を有する。治療は、極度に侵襲性であり、長期にわたる入院を必要とし、身動きがとれない状態の肺によって患者が禁忌を示す。
【0004】
留置胸膜カテーテル(IPC)の挿入は、胸水を処理するための胸膜癒着処置と比較してより低い侵襲性の歩行可能な代替形態を提供する。しかしながら、IPCの挿入は、侵襲性のトンネル形成処置を必要とし、これは皮膚の下にカテーテルを固定するために2つの切開部の形成を伴う。さらに、現行のIPCは、胸膜液を排水するためにしか設計されておらず、流体が再び蓄積するのを阻止するための専用の機構は含んでいない。結果として、IPCで治療される多くの人は、それらを最大1年間有効である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記で言及した問題の少なくとも1つを克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
出願人は、胸膜液の排水を実行することができ、かつ排水ステップの後、胸腔への負圧療法の延長された適用によって胸膜癒着術を促進することもできる留置胸膜カテーテルシステムを提供することによって、従来技術の問題に対処する。留置カテーテルを使用する胸腔への負圧の適用は、側膜及び内臓膜を一緒に引っ張って胸膜癒着術を促進するように機能する。カテーテルシステムは、近位端に接続ハブを有して胸腔内に配置するように構成された開窓カテーテル管と、3つの構成の間で調節可能であり、接続ハブに装着するように構成された脱着可能な吸引モジュールとを備える。第1の構成(排水)では、吸引モジュールは、接続ハブと加圧された排水システムとの間の流体接続を実現し、胸膜液は吸引モジュールを通じて加圧下で排水される。第2の構成(負圧療法)では、排水システムは、吸引モジュールから切り離されるが、吸引モジュールは、負圧がかけられたままであり、カテーテル管内に負圧を作用させ、胸腔に負圧療法を適用する。第3の構成(休止)は、吸引モジュールの接続ハブからの切り離しを含み、カテーテル管内の負圧を維持する。別の態様では、本発明は、側膜及び内臓膜(例えば胸腔又は腹腔)によって形成された、被験者における体腔から流体を排水するためのカテーテルシステムを提供する。
【0007】
第1の態様では、本発明は、留置胸膜カテーテルシステムを提供し、システムは、被験者の胸腔内に備わるように構成された有窓の遠位端を備えるカテーテル管、及びカテーテル管の近位端に流体結合された接続ハブとを備える留置カテーテルデバイスと、接続ハブを被験者の皮膚に固定するための皮膚固定部材と、接続ハブに取り外し可能に装着するように構成され、接続ハブを通じてカテーテル管に流体結合するように構成された流体入口、脱着可能な移動式吸引モジュールを通じて胸膜液を排水するために胸膜液排水システムに取り外し可能に流体結合するように構成された流体出口、及び作動時に流体出口を閉止するように構成された典型的な作動可能な閉止部材を備える脱着可能な移動式吸引モジュールであって、閉止部材の作動時にカテーテル管内に負圧を作用させるように概ね構成される脱着可能な移動式吸引モジュールとを備える。
【0008】
よって、本発明のシステムは、第1の構成において胸腔からの液体の排水を可能にするように構成され(例えば閉止部材が開放した状態で、歩行可能吸引モジュールを介してカテーテルに装着された排水システム)、第2の構成において吸引モジュールによって、事前定義された負圧療法を胸腔に適用する(例えば、排水システムは吸引モジュールから切り離され、吸引モジュール内の閉止部材は閉止されて吸引モジュールを加圧し、カテーテルを通じて胸腔に負圧を加える)ように構成される。第3の休止構成は、歩行可能吸引モジュールの接続ハブからの切り離しを伴う。
【0009】
任意の実施形態では、脱着可能な移動式吸引モジュールは、負圧チャンバを備え、流体入口は、負圧チャンバによって流体出口に流体結合される。典型的には、負圧チャンバは、少なくとも10cc、15cc、20cc、25cc又は30ccの容積を有する。これは、胸腔の負圧療法を可能にするために吸引モジュール及びカテーテル管を負圧するための簡素で効果的な配置を提供する。
【0010】
任意の実施形態では、作動可能な閉止部材は、胸膜液排水システムの脱着可能な移動式吸引モジュールからの切り離しによって閉止し、胸膜液排水システム及び脱着可能な移動式吸引モジュールの装着時に開放するように構成される。排水システムは、歩行可能吸引モジュールの流体出口へと突出し、閉止部材を開放するように構成された突出導管を備えたコネクタを含んでよい。閉止部材は、例えば、ダックビル弁又は任意の他のタイプの弁であってよく、三方弁又は板弁など、あるいは三方弁又は板弁の組み合わせなどであってもよい。
【0011】
任意の実施形態では、脱着可能な移動式吸引モジュールは、典型的には、胸膜液排水システムの脱着可能な移動式吸引モジュールからの切り離し時に、カテーテル管内で限界負圧を維持するように構成された抽気弁を備える。抽気弁は、吸引モジュール内の圧力が限界負圧を超えたときに開放し、それが閉止するとすぐに、限界負圧に達するまで吸引モジュール内に空気が入ることを許可するように構成されてよい。
【0012】
任意の実施形態では、抽気弁は、20mmHg~300mmHg、20mmHg~200mmHg又は20mmHg~140mmHgのカテーテル管内の限界負圧を維持するように構成される。
【0013】
任意の実施形態では、システムは、システム内、例えば歩行可能吸引モジュール内又はカテーテル管内の圧力をモニタし、モニタされた圧力に応答して流体排水システムによって及ぼされる負圧を修正するように構成される。一般に歩行可能吸引モジュール又はカテーテル管は、圧力センサを備える。一般にシステムは、圧力センサ及び流体排水システムに動作可能に結合された(例えば流体排水システムのポンプに結合された)プロセッサを備える。一般にプロセッサは、圧力センサによって感知された圧力を基準圧力と比較し、比較に基づいて流体排水システムによって及ぼされる負圧を修正するように流体排水システムを作動させるように構成される。一実施形態では、システムは、システム内の(例えば歩行可能吸引モジュール内又はカテーテル管内の)負圧が、-140mmHgを下回り(すなわち-141mmHg、-142mmHgなど)降下するのを阻止するように構成される。一実施形態では、システムは、歩行可能吸引モジュール内又はカテーテル管内の負圧を-20mmHg~300mmHg、-20mmHg~200mmHg又は-20mmHg~140mmHgの圧力に維持するように構成される。
【0014】
接続ハブは一般に、カテーテル管の近位端に設けられ、歩行可能吸引モジュールとカテーテル管の接続のためにハブを提供する。任意の実施形態では、接続ハブは、脱着可能な吸引モジュールと接続ハブの装着時に開放し、接続ハブと脱着可能な吸引モジュールの切り離し時に閉止するように構成された1つ又は複数の閉止部材を備える。
【0015】
任意の実施形態では、接続ハブは、少なくとも2つの離間した閉止部材を備え、そのうちの一方はダックビル弁であってよい。
【0016】
任意の実施形態では、吸引モジュールの流体入口は、吸引モジュールの表面から突出しており、接続ハブの中に突出して、1つの又は複数の閉止部材を開放するように構成される。
【0017】
任意の実施形態では、皮膚固定部材は、接続ハブとは別体であり、接続ハブとの結合のために構成される。これは皮膚固定部材が、接続ハブへの装着より前に皮膚に装着されることを可能にする。結合は、スナップ嵌合結合、摩擦嵌合結合、ネジ結合、又は任意の他のタイプの結合であってよい。
【0018】
別の実施形態では、皮膚固定部材は、接続ハブと一体式に形成されてもよく、任意選択で接続ハブに対して回転するように構成されてもよい。
【0019】
任意の実施形態では、皮膚固定部材は、開窓カテーテル管を受容するための貫通内腔を備える。
【0020】
任意の実施形態では、システムは、接続ハブへの装着(典型的には脱着可能な装着)のために構成され、接続ハブの近位端を露出するために接続ハブを受容するための貫通内腔と、接続ハブの周りで被験者の皮膚に当接し、好ましくは装着するように構成されたベースとを備えており、接続ハブを包囲するハウジングである外側ハウジングを備える。これは、接続ハブの周りにシールを提供し、接続ハブ、固定部材及び切開部が、システムの使用中に流体又は埃と接触しないように保護する。
【0021】
任意の実施形態では、カバーのベースは、接続ハブの周りで被験者の皮膚にカバーのベースを装着するための接着要素を備える。カバーは、剥離式の裏当てを含んでよい。
【0022】
任意の実施形態では、外側ハウジング及び脱着可能な吸引モジュールは、結合を促進するように寸法決めされてよい。例えば、脱着可能な吸引モジュールは、窪んだベースを有してよく、外側ハウジングは、脱着可能な吸引モジュールの窪んだベース内に入れ子になるように寸法決めされてよい。脱着可能な吸引モジュールの窪んだベースは、凹状になっており、外側ハウジングは凸状になっている場合がある。
【0023】
任意の実施形態では、脱着可能な吸引モジュールの流体入口の一部は突出し、脱着可能な吸引モジュールの窪んだベースの機能を満たす。これは、流体入口が接続ハブの中に突出し、接続ハブを通じてカテーテルとの流体連通を確立することを可能にする。
【0024】
任意の実施形態では、留置胸膜カテーテルシステムは、幾つかの異なる構成に組み立てるように構成され、構成は、脱着可能な吸引モジュールが接続ハブに流体接続されていない休止構成と、脱着可能な吸引モジュールが接続ハブに流体接続され、胸膜液排水システムが、カテーテルデバイス及び脱着可能な移動式吸引モジュールを通じて加圧下で胸膜液の排水を可能にする排水構成と、脱着可能な吸引モジュールが接続ハブに流体結合され、胸膜液排水システムには流体結合されず、負圧がかけられている負圧療法構成とを含んでいる。
【0025】
任意の実施形態では、脱着可能な吸引モジュール及び外側ハウジングは、一緒に結合するように構成される。結合は、スナップ嵌合結合、摩擦嵌合結合、ネジ結合、又は任意の他のタイプの結合であってよい。
【0026】
任意の実施形態では、システムは、脱着可能な吸引モジュールの出口に流体結合するように構成された胸膜液排水システムを備える。胸膜液排水システムは一般に、胸膜液収集容器と、胸腔から収集容器に胸膜液を排水するように構成されたポンプとを備える。幾つかの実施形態における排水システムは、ポンプを持たず、重力を含む他の手段によって胸腔から胸膜液を排水するように構成されてもよい。
【0027】
任意の実施形態では、システムは、針、カニューレ及びピールアウェイカテーテル(peel-away catheter)/拡張器を備える。
【0028】
任意の実施形態では、接続ハブ及び/又はカバーは、カテーテル管及び/又は皮膚の上に光を誘導するように構成されたUV光を備える。典型的には、カバーは、カテーテル管及び/又は皮膚の上に光を誘導するように構成されたUV光を備える。
【0029】
任意の実施形態では、接続ハブ及び/又はカバーは、抗菌コーティングを含む。
【0030】
任意の実施形態では、接続ハブ及び皮膚固定部材は、一緒に結合するように構成される。結合は、スナップ嵌合結合、摩擦嵌合結合、ネジ結合、又は任意の他のタイプの結合であってよい。
【0031】
第2の態様では、本発明は、側膜及び内臓膜(例えば胸腔又は腹腔)によって形成された被験者の体腔から流体を排水するための留置カテーテルシステムを提供し、このシステムは、被験者の体腔内に備わるように構成された有窓の遠位端を備えたカテーテル管、及びカテーテル管の近位端に配置され、流体排水デバイスとカテーテル管を流体結合するように構成された接続ハブを備える留置カテーテルデバイスと、カテーテル管を受容するための貫通内腔、被験者の皮膚に固定するように構成された固定要素、及び皮膚固定部材を接続ハブに結合するように構成された結合要素を有する皮膚固定部材とを備える。
【0032】
任意の実施形態では、システムは、接続ハブに装着する(典型的には脱着可能な装着)ために構成され、接続ハブの近位端を露出するために接続ハブを受容するための貫通内腔と、接続ハブの周りで被験者の皮膚に当接し、任意選択で皮膚に装着するように構成されたベースとを備えており、接続ハブを包囲するハウジングである外側ハウジングを備える。
【0033】
任意の実施形態では、カバーのベースは、接続ハブの周りで被験者の皮膚にカバーを装着するための接着要素を備える。ベースは、接着要素のために裏当て部材を含んでよい。
【0034】
別の態様では、本発明は、留置胸膜カテーテル又は留置腹膜カテーテルと共に使用するのに適した歩行可能吸引モジュールを提供し、モジュールは、留置胸膜カテーテルの接続ハブに取り外し可能に流体結合するように構成された流体入口と、胸膜液排水システムに取り外し可能に流体結合するように構成された流体出口と、作動時に流体出口を閉止するように構成された作動可能な閉止部材とを有するハウジングとを備え、脱着可能な移動式吸引モジュールは、典型的には、閉止部材の作動時にカテーテル管の中に負圧を作用させるように構成される。
【0035】
任意の実施形態では、脱着可能な移動式吸引モジュールは、負圧チャンバを備え、流体入口は、負圧チャンバによって流体出口に流体結合される。典型的には、負圧チャンバは、少なくとも10cc、15cc、20cc、25cc又は30ccの容積を有する。
【0036】
任意の実施形態では、作動可能な閉止部材は、胸膜液排水システムの脱着可能な移動式吸引モジュールからの切り離しによって閉止し、胸膜液排水システムと脱着可能な移動式吸引モジュールの装着時に開放するように構成される。排水システムは、吸引モジュールの流体入口に突出し、閉止部材を開放するように構成された突出導管を備えたコネクタを含んでよい。閉止部材は、例えば、ダックビル弁、又は任意の他のタイプの弁であってよく、三方弁又は板弁など、あるいは三方弁又は板弁の組み合わせなどであってもよい。
【0037】
任意の実施形態では、脱着可能な移動式吸引モジュールは、胸膜液排水システムの脱着可能な移動式吸引モジュールからの切り離しの時にカテーテル管内の限界負圧を維持するように構成された抽気弁を備える。抽気弁は、吸引モジュール内の圧力が限界負圧を超えたときに開放する。
【0038】
任意の実施形態では、抽気弁は、20mmHg~300mmHg、20mmHg~200mmHg又は20mm~140mmのカテーテル管内の限界負圧を維持するように構成される。
【0039】
任意の実施形態では、システムは、システム内の負圧を判定するための圧力センサを備える。センサは、歩行可能吸引モジュール内又はカテーテル管(又は排水システムを歩行可能吸引モジュールと結合する流体導管などのシステムの任意の他の部分)内に配置されてよい。
【0040】
別の態様では、本発明は、被験者における、胸水、典型的には再発性の胸水を治療するのに使用するための、本発明による留置胸膜カテーテルシステムを提供する。
【0041】
別の態様では、本発明は、胸膜癒着術の形成によって、又はその形成を促進することによって、被験者における、胸水、典型的には再発性の胸水を治療するのに使用するための、本発明による留置胸膜カテーテルシステムを提供する。
【0042】
別の態様では、本発明は、有窓の遠位端を備える留置胸膜カテーテルを利用する、被験者における胸水を治療する方法を提供し、この方法は、切開地点で被験者の胸部に切開部を生成するステップと、カテーテル管の有窓の遠位端が胸腔内に配置され、かつカテーテルの近位端が被験者の胸部の表面に配置されるまで、切開部を通じて被験者の胸部に留置胸膜カテーテルを挿入するステップと、胸腔から流体を排水するために、胸膜カテーテルを通じて第1の負圧を胸腔に加えるステップを含む胸膜液排水ステップとを含み、方法は、排水ステップの後、胸膜カテーテルを通じて胸腔に第2の負圧を加えるステップを含む負圧療法を含むことを特徴とする。
【0043】
任意の実施形態では、第2の負圧は、第1の負圧より小さい、又はそれと同じである。任意の実施形態では、カテーテル管に加えられる第2の負圧は、20mmHg~300mmHg、20mmHg~200mmHg又は20mmHg~140mmHgである。
【0044】
任意の実施形態では、方法は、第1の負圧から第2の負圧に移行する間、胸腔内の負圧を維持するステップを含む。
【0045】
任意の実施形態では、方法は、切開部においてカテーテルの近位端を皮膚に固定するステップを含む。
【0046】
任意の実施形態では、方法は、第1の負圧又は第2の負圧のいずれも胸膜カテーテルに加えらない間、休止ステップを含む。
【0047】
任意の実施形態では、方法は、脱着可能な吸引モジュールを留置胸膜カテーテルの近位端に流体結合するステップを含み、脱着可能な吸引モジュールは、胸膜カテーテルに第1の負圧を加えるように構成された胸膜液排水システムに取り外し可能に流体装着するように構成され、排水ステップは、脱着可能な吸引モジュールを胸膜液排水システムに流体装着するステップを含む。
【0048】
任意の実施形態では、脱着可能な吸引モジュールは、それが胸膜液排水システムから流体式に切り離されるとき、胸膜カテーテルに第2の負圧を加えるように構成され、負圧療法ステップは、脱着可能な吸引モジュールから胸膜液排水システムを流体式に切り離すステップを含む。
【0049】
任意の実施形態では、休止ステップは、胸膜カテーテルから脱着可能な吸引モジュールを切り離すステップを含む。
【0050】
別の態様では、本発明は、本発明による留置胸膜カテーテルシステムを利用する、被験者における胸水を治療する方法を提供し、方法は、切開地点で被験者の胸部に切開部を生成するステップと、カテーテル管の有窓の遠位端が胸腔内に配置され、かつ接続ハブが切開地点で胸部の表面に配置されるまで、切開部を通じて被験者の胸部に留置カテーテルデバイスのカテーテル管を挿入するステップと、接続ハブを皮膚固定部材で被験者の皮膚に固定するステップと、接続ハブ及び脱着可能な移動式吸引モジュールを胸膜液排水システムに結合し、胸膜液排水システムを作動することによって、負圧下で胸腔から胸膜液を排水するステップと、胸膜液排水システムを脱着可能な移動式吸引モジュールから分離し、脱着可能な移動式吸引モジュールによって及ぼされる負圧を加えることによって、カテーテル管を通じて胸腔に負圧療法を適用するステップとを含む。
【0051】
任意の実施形態では、方法は、接続ハブを脱着可能な移動式吸引モジュールに結合する前に、外側ハウジングを接続ハブに結合するステップを含む。
【0052】
任意の実施形態では、方法は、カテーテル管内の負圧を維持するために、脱着可能な移動式吸引モジュールを接続ハブから分離するステップを含む休止ステップを含む。
【0053】
任意の実施形態では、方法は、カテーテル管が、胸部内に単一の空洞を通じて挿入されるステップを含む。
【0054】
任意の実施形態では、皮膚固定部材は、接続ハブとは別体であり、接続ハブと結合するように構成され、方法は、切開地点で被験者の皮膚に皮膚固定部材を固定するステップと、カテーテル管を被験者の胸部に挿入するステップと、接続ハブを固定された皮膚固定部材に結合するステップとを含む。
【0055】
任意の実施形態では、皮膚固定部材は、カテーテル管を受容するための中央開口を備え、方法は、皮膚固定部材の中央開口が被験者の胸部にある切開地点の上に重なるように皮膚固定部材を皮膚に固定するステップを含み、これにより、カテーテル管を被験者の胸部に挿入するステップは、皮膚固定部材の中央開口を通じて実行される。
【0056】
任意の実施形態では、排水ステップ、負圧療法ステップ及び休止ステップは、48時間、24時間、18時間又は12時間毎に少なくとも1回実行される。
【0057】
任意の実施形態では、負圧療法ステップは、1時間~24時間、1時間~12時間、1時間~8時間、1時間~5時間、1時間~3時間、1時間~2時間又は0.5時間~1時間継続する。
【0058】
任意の実施形態では、カテーテル管を胸腔に挿入するステップ及び接続ハブを固定するステップは、切開地点で皮膚固定部材を固定するステップと、切開部を通じて、かつ胸の壁を通じて針及び導入器を胸腔に挿入するステップと、針を抜き取り、導入器を所定の場所に残すステップと、導入器を通じてガイドワイヤを胸腔内に進めるステップと、ガイドワイヤ上で導入器を取り外し、ガイドワイヤを所定の場所に残すステップと、ピールアウェイカテーテル/拡張器を胸腔内にガイドワイヤ上で進めるステップと、カテーテル/拡張器の拡張器部分とガイドワイヤを取り外すステップと、接続ハブがピールアウェイカテーテルに当接するまでピールアウェイカテーテルを通じてカテーテル管を進めるステップと、ピールアウェイカテーテルを取り外すステップと、接続ハブを皮膚固定部材に結合するステップとを含む。
【0059】
別の態様では、本発明は、胸膜癒着術を促進するために、一定の期間、留置胸膜カテーテルによって被験者の胸腔に負圧療法を適用するステップを含む、被験者における胸水を治療する方法を提供する。
【0060】
一般に、方法は、負圧療法ステップの前に、一定の期間、胸腔から胸膜液を排水するステップを含む。
【0061】
一実施形態では、負圧療法ステップは、留置胸膜カテーテルを通じて被験者の胸腔に20mmHg~300mmHg、20mmHg~200mmHg又は20mmHg~140mmHgの負圧を加えるステップを含む。
【0062】
一実施形態では、負圧療法ステップは、1時間~24時間、1時間~12時間、1時間~8時間、1時間~5時間、1時間~3時間、1時間~2時間又は0.5時間~1時間継続する。
【0063】
一実施形態では、方法は、複数の負圧治療を含み、任意選択で複数の排水治療を含む。
【0064】
別の態様では、本発明は、本発明のシステムを利用する、側膜及び内臓膜によって形成された被験者の体腔内の流体の蓄積に関連する症状、例えば腹水又は胸水を治療する方法を提供し、この方法は、切開地点で被験者の腹部又は胸部に切開部を生成するステップと、カテーテル管の有窓の遠位端が体腔内に配置され、かつ接続ハブが切開地点で皮膚の表面に配置されるまで、切開部を通じて被験者の腹部又は胸部に留置カテーテルデバイスのカテーテル管を挿入するステップと、皮膚固定部材で被験者の皮膚に接続ハブを固定するステップと、接続ハブを流体排水システムと結合し、流体排水システムを作動することによって、負圧下で体腔から流体を排水するステップとを含む。
【0065】
本発明の他の態様及び好ましい実施形態は、以下に述べられる他の特許請求の範囲において定義され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】留置カテーテルデバイス(カテーテル管及び接続ハブ)、皮膚固定部材、接続ハブのためのカバー、脱着可能な移動式吸引モジュール及び胸膜液排水モジュールを示す、本発明による留置胸膜カテーテルの図である。
図2図1のシステムの一部を形成する皮膚固定部材の斜視図である。
図3】被験者の胸腔内に備わるように構成された有窓の遠位端と、接続ハブとを有するカテーテル管を備える、図1のシステムの一部を形成する留置カテーテルデバイスの平面図である。
図4図1のシステムの一部を形成する接続ハブのための脱着可能な外側ハウジングの斜視図である。
図5図1のシステムの一部を形成する歩行可能吸引モジュールの下からの斜視図である。
図6】歩行可能吸引モジュールに胸膜液排水システムを接続するためのコネクタの図である。
図7】接続ハブ及び外側ハウジングにまさに結合され、流体接続されようとする歩行可能吸引モジュールの図である。
図8図7の歩行可能吸引モジュールの断面図である。
図9図7の接続ハブ、カテーテル、及び外側ハウジングの断面図である。
図10A】胸水を治療するための本発明のシステムの使用を示し、留置胸膜カテーテルデバイスが遠位カテーテル管で胸腔に挿入されており(図示せず)、接続ハブが患者の皮膚に固定され(図示せず)、外側ハウジングが接続ハブに結合され(図示せず)、歩行可能吸引モジュール及び胸膜液排水システムがテーブル上にあり、流体接続されている状態の患者を示す図である。
図10B】胸水を治療するための本発明のシステムの使用を示し、衛生キャップが患者によって外側ハウジングから取り外されるのを示す図である。
図10C】胸水を治療するための本発明のシステムの使用を示し、患者によって吸引モジュールが接続ハブに結合されるのを示す図である。
図10D】胸水を治療するための本発明のシステムの使用を示し、患者が排水ポンプを作動させて、胸膜カテーテル及び歩行可能吸引モジュールを通じて胸腔から流体を排水するのを示す図である。
図10E】胸水を治療するための本発明のシステムの使用を示し、排水ステップが実行される間、患者が座っている位置にいる状態の排水ステップを示す図である。
図10F】胸水を治療するための本発明のシステムの使用を示し、排水ステップを終了し、負圧療法ステップを開始するために、胸膜液排水システムのコネクタを歩行可能吸引モジュールから切り離すのを示す図である。
図10G】胸水を治療するための本発明のシステムの使用を示し、胸膜癒着術を促進するために、歩行可能吸引モジュールが接続ハブに流体接続されたままの状態で胸腔に負圧を作用させる負圧療法ステップを示す図である。このステップの間、患者は、例示のように歩行可能であってよい。
図10H】胸水を治療するための本発明のシステムの使用を示し、負圧療法ステップを終了し、休止ステップを開始するために、患者が歩行可能吸引モジュールを接続ハブから切り離すのを示す図である。切り離すとき、接続ハブにある弁が閉止して留置胸膜カテーテルを流体密閉する。
図10I】胸水を治療するための本発明のシステムの使用を示し、接続ハブ及び外側ハウジングが露出し、衛生キャップがテーブル上にある状態の患者を示す図である。
図10J】胸水を治療するための本発明のシステムの使用を示し、患者が、衛生キャップを接続ハブの外側面及び外側ハウジングにまさに適用しようとしているのを示す図である。
図10K】胸水を治療するための本発明のシステムの使用を示し、衛生キャップが接続ハブの外側面及び外側ハウジングを覆っている休止ステップ中の患者を示す図である。患者は座って示されているが、患者は、このステップの間歩行可能であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、特許出願及び他の参考文献は、あたかも各個々の刊行物、特許又は特許出願が、参照により、及び完全に列挙されるその内容によって組み込まれることが具体的に、かつ個々に指摘されるかのように、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
定義及び全体的な優先傾向
本明細書で使用され、そうでないことが特に指摘されない場合、以下の用語は、その用語が当分野で享受し得る任意のより広い(又はより狭い)意味に加えて、以下の意味を有することが意図される。
【0069】
文脈によってそうでないことが特に指摘されなければ、単数の本明細書での使用は、複数も含めるように読むべきであり、逆もまた同様である。存在に関連して使用される用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、その存在のうちの1つ又は複数を指すように読むべきである。したがって用語「1つの(a)」(又は「1つの(an)」)、「1つ又は複数の」及び「少なくとも1つ」は、本明細書では相互に入れ替え可能に使用される。
【0070】
本明細書で使用される際、用語「備える(comprise)」又はその変形形態、「備える(comprises)」又は「備える(comprising)」は、任意の列挙される整数(例えば、機構、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップ又は制限)又は整数のグループ(例えば、機構、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップ又は制限)の包含を指摘するが、任意の他の整数又は整数のグループの除外は指摘しないように読むべきである。よって本明細書で使用される際、用語「備える(comprising)」は、包括的、又はオープンエンドであり、追加の列挙されない整数又は方法/プロセスステップを除外しない。
【0071】
本明細書で使用される際、用語「病気」は、生理学的な機能を損ない、特有の兆候に関連する何らかの異常な状態を定義するのに使用される。この用語は、原因論の性質に(又は当然のことながら、病気についての原因論的根拠が確立されたかどうか)関係なく、何らかの不調、不健康、異常、病変、吐き気、生理学的な機能が損なわれる症状又は症候群を広く包含するのに使用される。したがって、それは、感染、外傷、けが、手術、放射線を使った切除、年齢、中毒又は栄養失調から生じる症状を包含する。
【0072】
本明細書で使用される際、用語、「治療」又は「治療する」は、病気の兆候を治す、改善する、又は軽減する、あるいは、その原因(例えば病理学レベルのリソソーム酵素の蓄積の削減)を取り除く(又はその影響を軽減する)介入(例えば、被験者への薬剤の投与)を指す。この場合、この用語は、用語「療法」と同義で使用される。
【0073】
追加で、用語「治療」又は「治療する」は、病気の発症又は進行を阻止する、又は遅らせる、あるいは治療した個体群におけるその発生頻度を低下させる(又は根絶する)介入(例えば、被験者への薬剤の投与)を指す。この場合、用語治療は、用語「予防」と同義で使用される。この文脈での治療結果は、兆候の根絶又は軽減、痛み又は不快感の軽減、生存期間の延長、改善された可動性及び臨床的改善の他の指標を含む。治療結果は、完全な治癒である必要はない。生物学的/分子マーカー、臨床又は観察に基づく向上において改善が観察される場合もある。好ましい実施形態では、本発明の方法は、人、大型種の動物(馬、ラクダ、イヌ)及び家庭用ペット(ネコ及びイヌ)に適用可能である。
【0074】
上記で定義したような治療及び有効な量の文脈において、用語被検体(これは、文脈が許可する「個人」、「動物」、「患者」又は「哺乳類」を含むように読むべきである)は、任意の被検体を定義し、とりわけ治療が指示される哺乳類の被検体を定義する。哺乳類の被検体は、これに限定されるものではないが、人、家畜、農場の動物、動物園の動物、競技動物、例えばイヌ、ネコ、テンジクネズミ、ウサギ、ネズミ、ハツカネズミ、ウマ、ラクダ、パイソン、ウシ、雌牛などのペット動物、類人猿、猿、オランウータン及びチンパンジーなどの霊長類、イヌ及び狼などのイヌ科、ネコ、ライオン及び虎などのネコ科、ウマ、ロバ、シマウマなどのウマ科、雌牛、ブタ及びヒツジなどの食用動物、シカ及びキリンなどの有蹄類、及びハツカネズミ、ネズミ、ハムスター及びテンジクネズミなどのげっ歯類を含む。好ましい実施形態では、被検体は人である。本明細書で使用される際、用語「ウマ科の動物」は、ウマ科の一群の哺乳類を指し、これは、ウマ、ロバ、アフリカロバ、チベットロバ及びシマウマを含む。
【0075】
「胸水」は、胸腔内に過剰な流体の蓄積によって特徴付けられる症状を指し、胸腔は、肺を取り囲み、呼吸を円滑に促進するように機能する側膜及び内臓膜によって形成される。通常、胸腔は、少量の流体を中に含んでいる。過剰な流体は、胸の痛み、咳、呼吸困難及び起座呼吸を引き起こす場合がある。症状は、多くの要因によって生じる可能性があり、心不全、肺動脈塞栓症、肝硬変及び心臓切開手術が含まれる。他の原因には、肺炎、癌、腎臓病及び炎症状態が含まれる。
【0076】
「留置カテーテルデバイス」は、胸腔又は腹腔などの、体腔内の流体の蓄積によって特徴付けられる症状、例えば胸水又は腹水の治療に適したカテーテルであって、有窓の遠位端を備えたカテーテル管材料の長さと、近位端においてカテーテル管材料に流体接続される接続ハブなどのコネクタとを有するカテーテルを指す。留置カテーテルデバイスの場合、カテーテル管材料は胸壁を通り、胸腔の中で胸腔に沿うように寸法決めされる。カテーテル管内の開窓(開口)は一般に、加圧下で管を通じて胸腔から流体の排水を可能にするように寸法決めされる。
【0077】
「接続ハブ」は、脱着可能な移動式吸引モジュール(又は一部の実施形態では流体排水デバイス)と流体結合し、かつ一般に、それ自体患者の皮膚に装着される別体の固定部材への装着によって(但し一実施形態では、固定部材は、接続ハブの一部を形成する場合もある)カテーテルデバイスを患者の皮膚に固定するように構成されるカテーテルデバイスの近位部分を指す。接続ハブは、歩行可能吸引モジュールが接続ハブから分離されるとき閉止するように構成され、カテーテル管を減圧したままにする1つの閉止部材又は複数の閉止部材(例えば1つ又は複数の弁)を備える。接続ハブは、何らかの方法で、例えばスナップ嵌合、摩擦嵌合、回転ロック係合機構によって吸引モジュール又はカバーと係合するように構成される。一実施形態では、接続ハブは、ベース要素と、貫通内腔とを備える。ベースは、接続ハブを固定部材に結合するのを可能にするための構成を備えてよい。
【0078】
「皮膚固定部材」は、皮膚に固定し、一実施形態では接続ハブと結合するように構成されるデバイスを指す。一実施形態では、それは、ベースと、固定部材の回転によって皮膚の中及び皮膚の下に挿入するための螺旋状の留め具を備える。一般に、ベースは、カテーテル管が中を通って胸腔内に進められる貫通開口を備える。ベースは、接続ハブと結合するための構成を備えてよい。一実施形態では、皮膚固定部材は、上部医療用品装着部分と、固定部材を皮下で被検体に対して安定させるための下部挿入部分とを備え、挿入部分は、実質的に単一の面内に配置された螺旋状の留め具を備える。一実施形態では、螺旋状の留め具は、アルキメデス螺旋状に形成されており、例えば螺旋状の留め具は、単一の面内に配置される。好ましくは、螺旋状の留め具は、医療用品装着部分から横方向に外向きに延在する。一実施形態では、螺旋状の留め具は、少なくとも1つの全旋回を含む。好ましくは、螺旋状の留め具は可撓性である。好ましくは螺旋状の留め具は、被検体に挿入するための自由挿入端部を備える。一実施形態では、医療用留め具デバイスはさらに、医療用品装着部分と螺旋状の留め具との間に皮膚を受容する隙間をさらに備える。好ましくは、隙間は、スロット状の隙間を備える。好適には、隙間は、医療用品装着部分と螺旋状の留め具との間のスペーサアームによって形成される。より好ましくは、スペーサアームは、湾曲した皮膚当接面を形成するように構成される。一実施形態では、湾曲した皮膚当接面は、凹状の皮膚当接面を備える。好ましくは、スペーサアームは、非可撓性スペーサアームを備える。好適には、螺旋状の留め具は、医療用品装着部分端部で医療用品装着部分に装着されて、医療用品装着部分と接触している。一実施形態では、医療用品装着部分は、プラットフォームを備える。好ましくは、プラットフォームは、実質的に円筒形のプラットフォームを備える。より好ましくは、プラットフォームは、内腔を備える。円筒形のプラットフォームは、略円形、楕円形、正方形、矩形又は任意の他の形状である断面を有してもよい。一実施形態では、医療用品装着部分は、切開部の周りで被検体に装着部分を接着するために接着剤を備える。より好ましくは、内腔は、頂部開口部及び底部開口部を備える。有利には、プラットフォームは、医療用品取り付け台を備える。好ましくは、医療用品取り付け台は、頂部開口部に頂部医療用品取り付け台を備える。任意選択で、又は追加で、医療用品取り付け台は、底部開口部に底部医療用品取り付け台を備える。一実施形態において、頂部医療用品取り付け台及び/又は底部医療用品取り付け台は、ネジ山を備えている。例えば凹角のスロット、摩擦嵌合取り付け台、接着取り付け台、及びクリップ又はクランプなど他の形態の取り付け台が利用されてもよい。
【0079】
「外側ハウジング」(又は「胸膜口」)は、接続ハブと結合し、接続ハブの頂部面が外側ハウジングの頂部で露出され、それにより吸引モジュールの流体入口にアクセス可能になるように、接続ハブを受容するための貫通内腔を有するように構成されたハウジングを指す。外側ハウジングは、歩行可能吸引モジュールと合致するように寸法決めされてよい。
【0080】
「脱着可能な移動式吸引モジュール」は、接続ハブ(任意選択で外側ハウジングを介して)に取り外し可能に装着するデバイスを指し、接続ハブと流体接続するための入口と、胸膜液排水システムに接続するための出口と、入口と、モジュールが流体排水システムから分離され弁などの閉止部材で密閉されるとき、モジュール内の負圧を維持するように構成された負圧チャンバを一般に含む出口を流体接続する流体導管とを有する。負圧チャンバは一般に、少なくとも20cc~30ccの容量を有する。モジュールは、それが胸膜液排水システムから分離されるとき、カテーテルデバイス内に負圧を作用させるように構成される。吸引モジュールはまた、それが胸膜液排水システムから分離されるとき、吸引モジュールによって加えられる負圧を制御するための手段を含み、これは一実施形態では、標的(限界)負圧が獲得されるまで吸引モジュール内の負圧を消散させる(例えば限界負圧に達するまで、吸引モジュールに空気が入ることを可能にする)ように構成された抽気弁などの弁である。一実施形態では、手段(例えば抽気弁)は、必要とされる負圧療法に従って標的圧力を変更するように調節可能である。
【0081】
「胸膜液排水システム」は、脱着可能な吸引モジュールに装着するため、及びそれらが接続されたとき、留置カテーテルデバイス及び吸引モジュールを通り加圧下での胸膜液の抜き取りのために構成されたシステムを指す。本発明のシステムは、胸膜液排水システムを含んでよい。システムは一般に、ポンプ又は留置カテーテル管、流体収集容器及び関連する管材料を通って体腔から流体を排水するための他の手段(例えば重力供給排水システム又は負圧システム)を備える。一実施形態では、胸膜液排水システムは、負圧療法に採用される標的負圧(例えば、-90mmHg)より大きい負圧(例えば-120mmHg)で胸膜液排水を実行するように構成される。胸膜液排水システムは、コネクタ要素を介して歩行可能吸引モジュールと流体接続する導管を含む。一実施形態では、コネクタ要素は、歩行可能吸引モジュールの流体出口に突出し、歩行可能吸引モジュールの流体出口との流体接続を確立するように構成された突出する流体導管を備える。一実施形態では、流体出口は、コネクタ要素の突出する流体導管によって開放されるように構成された閉止部材(例えばダックビル弁、三方弁又は板弁又はその組み合わせ)を備える。
【0082】
脱着可能な吸引モジュールに適用されるような「歩行可能」は、患者が歩行可能であることを可能にしつつ、患者がデバイスを身につけることができることを意味しており、換言すると、吸引モジュールは、着用可能であり、使用のために患者が静止している、座っている、又はベッドで寝ていることを要求しない。
【0083】
「標的負圧」は、胸水を患う患者の胸腔内の胸膜癒着術を促進させるのに十分であり、その一方で患者にとって安全で快適である負圧を意味する。標的負圧は、患者の臨床状況、年齢及び健康状態に応じて患者によって異なるが、それは一般に、20mmHg~300mmHg、20mmHg~200mmHg又は20mmHg~140mmHgの範囲内にあることを理解されたい。一実施形態では、カテーテル管内の標的負圧は、20mmHg~40mmHg、20mmHg~60mmHg、20mmHg~80mmHg、20mmHg~100mmHg、20mmHg~140mmHg、20mmHg~200mmHg、20mmHg~300mmHg、40mmHg~60mmHg、40mmHg~80mmHg、40mmHg~100mmHg、60mmHg~80mmHg、60mmHg~100mmHg、60mmHg~120mmHg、80mmHg~100mmHg、80mmHg~120mmHg、80mmHg~140mmHg、100mmHg~120mmHg、100mmHg~140mmHg、120mmHg~140mmHgである。
【0084】
例証
本発明を次に、特有の例を参照して記載する。これらは単なる一例であり、単に説明する目的であり、それらは、特許請求される占有権の範囲に対して、又は記載される発明に対していかなる方法でも制限することは意図されていない。これらの例は、本発明を実施するために現在企図される最適な態様を構成する。
【0085】
システムの構成要素
図1を参照すると、本発明の一実施形態による留置カテーテルシステムが分解組立図で例示されている。システムは、参照番号1で全体が示されており、近位の接続ハブ10を備えた留置カテーテルデバイス2、固定部材3(接続ハブと結合する前に示される)、脱着可能な移動式吸引モジュール4、及び近位接続ハブ10のための外側カバー11(胸膜口)及び胸膜液排水システム5を含む。胸膜液排水システム5は、ポンプ又は負圧システム(図示せず)を備える容器6と、胸膜液の、胸腔からカテーテルデバイス及び吸引モジュールを通り容器6への加圧排水のために、容器6と歩行可能吸引モジュール4との間に流体接続を実現するための流体コネクタ26を備える導管23とを備える。
【0086】
今度は図2図9を参照すると、本発明のシステムのこの実施形態の構成要素がより詳細に記載される。
【0087】
図2を参照すると、固定部材3は、ベース12と、サントプレーンなどの好適なエラストマーから形成され、皮膚内の切開部に挿入し、これにより固定部材の回転が螺旋状部材を皮膚に埋め込むための前縁を備えた螺旋状部材13とを有する螺旋状の留め具である。ベース12は、カテーテルデバイス2を受容するための貫通内腔14と、接続ハブ10と結合するために貫通内腔内に環状肩部28とを備える。
【0088】
図3を参照すると、留置カテーテルデバイス2は、複数の開窓8を備える遠位端7Aと、接続ハブ10内で終端する近位端7Bとを備える、シリコンカテーテル管7を備える。接続ハブ10のベース9は、固定部材3の貫通内腔14との回転ロック結合又はプッシュロック結合のための環状肩部を備える。接続ハブはまた、以下で詳細に記載されるように2つの離間した弁も含む。
【0089】
図4を参照すると、外側ハウジング11は、外側ハウジングと接続ハブの結合時に、接続ハブ10の近位端10Aが外側ハウジングの上部面と概ね同一平面で着座するように接続ハブ10を受容するように寸法決めされた貫通内腔15と、固定部材の周りで皮膚に当接するように構成された環状ベース要素21とを有するドーム型のハウジングを備える。ベース要素21は、固定部材3の周りで被験者の皮膚に対してベース要素を安定させるための接着要素(図示せず)を備える。カバーの目的は、二重であり、接続ハブ及び切開部を保護することと、歩行可能吸引モジュール4と接続ハブ10の合致を促進する上面を提供することである。
【0090】
図5図7及び図8を参照すると、脱着可能な移動式吸引モジュール4は、平坦な頂部17と、接続ハブ10の外側ハウジング11の凸状の頂部と合致するように寸法決めされた凹状の下面18とを有するハウジング16を備える。ハウジング16は、凹状の下面18から突出する突出する流体入口19から、モジュールの周辺部に配置された流体出口20までモジュール内を通る流体チャネルを形成する。流体チャネルは、約30ccの容積を有する負圧チャンバ24を含む。流体出口20は、胸膜液排水システム5の流体コネクタ26が流体出口20から分離されて出口を閉止し、モジュールを流体式に密閉するとき、流体出口20を閉止するように構成されたクリップ25の形態の閉止部材を備える。三方弁又は板弁(あるいは三方弁と板弁の組み合わせ)が閉止部材として利用されてもよい。負圧チャンバ24内の圧力と組み合わせた流体出口20の密閉は、モジュールに負圧がかけられ、カテーテルデバイス2を通じて胸腔に対して負圧を作用させる結果となる。モジュール4はまた、モジュール内の限界負圧を維持するように構成された抽気弁22を含み、この実施形態では、限界負圧は90mmHgの負圧である。加えて、又は代替として、歩行可能吸引モジュール4又はカテーテル管は、圧力センサを含んでよい。圧力センサは、圧力センサによって取得された圧力読み取り値に基づいて、流体排水システムによって及ぼされる負圧を修正するために流体排水システム5に(例えば排水システムのポンプに)動作可能に結合されてよい。センサ及び排水システムは、プロセッサに動作可能に結合されてよく、これによりプロセッサは、圧力センサから圧力読み取り値を受信し、圧力読み取り値を基準圧力と比較し、比較に基づいて流体排水システムによって及ぼされる負圧を修正するように構成される。一実施形態では、システムは、システム内に負圧、とりわけ歩行可能吸引モジュール内の負圧が、-40mmHgを下回り(すなわち-141mmHg、-142mmHgなど)降下するのを阻止するように構成される。一実施形態では、システムは、20mmHg~300mmHg、20mmHg~200mmHg又は20mmHg~140mmHgの圧力で歩行可能吸引モジュール又はカテーテル管内の負圧を維持するように構成される。
【0091】
図6図8を参照すると、胸膜液排水システムの流体コネクタ26は、コネクタ26と歩行可能吸引モジュール4の結合時に、流体出口20に突出し、クリップ25を強制的に開放させて、吸引モジュール4の流体出口を開放し、胸腔からカテーテルデバイス及び吸引モジュール4を通って液体を排出することを可能にする突出導管29を備える。
【0092】
図9は、接続ハブ10、接続ハブに結合された固定部材3、及び接続ハブの近位端10Aが露出した状態で接続ハブに結合された外側ハウジング11を示す。接続ハブ10は、2つの離間した弁、すなわち三方弁30及びダックビル弁31を有する貫通導管を備える。これらの弁は、閉止位置に付勢されて、接続ハブを流体式に密閉し、カテーテル管への流体の通過を阻止し、かつ胸腔から外への望ましくない流体の通過を阻止する。
【0093】
図8及び図9を参照すると、吸引モジュール4が接続ハブ10より上に位置決めされた状態で、結合より前の接続ハブ10及び歩行可能吸引モジュール4が例示される。吸引モジュール4が接続ハブと係合するように移動されるとき、流体入口19が接続ハブ10の露出した近位端10A内に突出し、弁30及び31を押して開放し、歩行可能吸引モジュールと胸腔カテーテルとの間の流体連通を確立する。同様に吸引モジュール4と接続ハブ10が分離されるとき、弁は閉止して、接続ハブを流体式に密閉し、空気及び流体がカテーテル管内に通過するのを阻止する。
【0094】
胸水を治療する方法
本発明のシステムの使用について、図10A図10Kを参照して例示する。
【0095】
図10Aを最初に参照すると、患者は、接続ハブ及びカバーが患者の胸の表面に配置され衛生キャップ32によって覆われた状態で、留置カテーテル及び固定部材の次に続く配置で例示される。この段階で、接続ハブ内の弁30、31は、閉止されている。吸引モジュール4及び排水システム5は、流体接続された構成で患者の背後でテーブル上に示される。排水システムは、導管23内で一列になったポンプ(図示せず)と、制御装置33とを含む。図10Bは、衛生キャップ32が患者によって外側ハウジングから取り外されているのを示す。
【0096】
図10Cは、吸引モジュール4が患者によって接続ハブに結合されているのを示す。このステップは、吸引モジュールの下面の凹状の形状と合致する外側ハウジングの凸状の形状によって促進される。結合は、接続ハブ内の弁30、31を開放し、胸膜カテーテルと吸引モジュール4との間の流体連通を確立する。この段階で、排水システムのポンプは作動されていない。
【0097】
図10Dは、患者が制御装置33を介して排水システムのポンプを作動して、排水ステップを開始し、胸腔から胸膜カテーテル及び吸引モジュール4を通り容器6内への流体の排水を開始するのを示す。
【0098】
図10Eは、排水ステップが実行される間、患者が座っている位置にある排水ステップを例示する。
【0099】
図10Fに例示されるように、排水ステップが完了するとき、患者は、排水ステップを終了させ、負圧療法ステップを開始するために、胸膜液排水システムのコネクタ26を歩行可能吸引モジュール4から切り離す。コネクタ26の吸引モジュール4の出口からの切り離し時、吸引モジュールの流体出口にある弁は、吸引モジュール内の負圧チャンバにより吸引モジュール内の負圧を維持しつつ閉止する。負圧は、圧力が低すぎる場合に、負圧療法ステップの期間の間、負圧を限界負圧に維持するために空気が吸引モジュールに入ることを可能にすることによって負圧を消散させるように設計される、吸引モジュール内の抽気弁によって制御される。
【0100】
図10Gは、胸膜癒着術を促進するために、歩行可能吸引モジュールが接続ハブに流体接続したままの状態で胸腔に負圧を作用させる負圧療法ステップを例示する。このステップの間、患者は、例示されるように歩行可能であってよい。
【0101】
図10Hは、負圧療法ステップを終了し、休止ステップを開始するために、患者が歩行可能吸引モジュール4を接続ハブ10から切り離すのを例示する。切り離し時に、接続ハブ内の弁は閉止して、留置胸膜カテーテルを流体式に密閉する。
【0102】
図10Iは、接続ハブ10及び外側ハウジング11が露出し、衛生キャップ32がテーブル上にある状態の患者を示し、図10Jは、患者が衛生キャップを接続ハブの外面及び外側ハウジングに適用しようとするのを示し、図10Kは、衛生キャップ32が接続ハブの外面及び外側ハウジングを覆っている状態の休止ステップ中の患者を示す。患者は座って示されているが、患者は、このステップの間歩行可能であってもよい。
【0103】
留置胸水カテーテルの配置
本発明のシステムの配置及び組み立てが次により詳細に記載される。最初の切開部が被験者の胸部に、一般には胸部の側部に形成され、螺旋状の留め具の前縁が切開部に挿入され、その場所で、それは留め具を皮膚の下に埋め込むために回転される。
【0104】
導入器及び針/注射器がその後螺旋状の留め具にある開口を通じて、かつ肋間筋を通じて胸腔内に挿入される。超音波などの撮像を使用して、カテーテルを胸腔内に安全に進めるのをガイドしてもよい。針/注射器は、導入器を生体内原位置に残した状態で取り外される。ガイドワイヤがその後、導入器を通じて胸腔内に進められ、針/注射器はその後取り外される。
【0105】
ピールアウェイカテーテル/拡張器がその後、ガイドワイヤ上で胸腔内に進められる。拡張器及びガイドワイヤの取り外し後、胸膜液の排出を阻止するために外科医の親指がピールアウェイカテーテルの端部で出口の上に置かれる。
【0106】
カテーテルデバイスの遠位端はその後、接続ハブがピールアウェイカテーテルに当接するまでピールアウェイカテーテルを通じて進められ、そこで、ピールアウェイカテーテルが取り外され、接続ハブが螺旋状の留め具に結合される。
【0107】
貫通内腔を備えた外側ハウジング(胸膜口)はその後、接続ハブの近位端が内腔を通じて露出され、外側ハウジングのベースが、固定部材の周りで被験者の皮膚に対して安定された状態で、接続ハブの上に位置決めされる。
【0108】
概略
上記に記載した実施形態は、接続ハブを取り巻き、切開箇所を覆う外側ハウジング11を利用し、これはまた、吸引モジュール4と合致するように構成されたカバーで接続ハブを覆う。カバーは、一部の実施形態では必要とされないこと、また接続ハブは、切開箇所を覆い、かつ吸引モジュールとの合致を促進する表面を提供するように寸法決めされてよいことを理解されたい。同様に、上記に記載した実施形態では、固定部材3及び接続ハブ10は、ひとたび固定部材が患者の皮膚に固定されると、一緒に結合するように構成された別体の要素である。特定の実施形態では、固定部材は接続ハブの一部を形成してもよく、接続ハブに対して固定式に回転するように構成されてもよいことを理解されたい。
【0109】
等価物
上述の記載は本発明の目下のところ好ましい実施形態を詳細に記載する。これらの記載を理解すると、その実施において多くの修正形態及び変形形態を当業者が思いつくことが予測される。そのような修正形態及び変形形態は、本明細書に添付される特許請求の範囲内に包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0110】
1 カテーテルシステム
2 カテーテルデバイス
3 皮膚固定部材
4 吸引モジュール
5 排水システム
6 収集容器
7 カテーテル管
7A カテーテル管の遠位端
7B カテーテル管の近位端
8 開窓
9 ベース
10 接続ハブ
10A 接続ハブの近位端
11 外側ハウジング
12 ベース
13 螺旋状の留め具
14 内腔
15 貫通内腔
16 ハウジング
17 頂部
18 凹状の下面
19 流体入口
20 流体出口
21 ベース要素
22 抽気弁
23 導管
24 負圧チャンバ
25 閉止部材
26 流体コネクタ
29 突出導管
30 弁
31 弁
32 衛生キャップ
33 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図10I
図10J
図10K
【国際調査報告】