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特表2023-531386ゲノム内の構造再編成を検出するための方法及び組成物
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  • 特表-ゲノム内の構造再編成を検出するための方法及び組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】ゲノム内の構造再編成を検出するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/686 20180101AFI20230714BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20230714BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20230714BHJP
   C12Q 1/6883 20180101ALI20230714BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6883 Z
C12N15/09 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575225
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 EP2021064652
(87)【国際公開番号】W WO2021249825
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】63/036,064
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【弁理士】
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】ラブジョイ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ロイザー,メリッサ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ01
4B063QR08
4B063QR32
4B063QS25
4B063QX02
(57)【要約】
ロックド核酸プライマーを使用して未知の融合パートナーが関与する遺伝子融合を検出するための組成物、キット、及び方法が開示される。いくつかの実施形態では、組成物は、直接的又は5’-5’結合を介して間接的に連結された少なくとも2つのヌクレオチド配列を含む化合物を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、スペーサー部分及び/又は切断部分をさらに含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸試料中の遺伝子融合を検出する方法であって、
(a)前記核酸試料を、(i)ポリメラーゼ活性及び鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼ並びに(ii)式(I):
[Olig1]-([R-[R-[L-[Z]-[L-[W]-[Olig2] (I)
(式中、
oは、0又は1であり;
pは、0又は1であり;
qは、0又は1であり;
tは、0、1又は2であり;
uは、0、1又は2であり;
vは、0又は1であり;
は、約1~約24ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり;
は、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており;
及びLは、独立して、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでおり、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり;
Zは、トリアゾール、ジヒドロピリダジン、ホスフェート結合、アミド結合、チオエーテル結合、イソオキサゾリン、ヒドロゾン、オキシムエーテル、及びクロロ-s-トリアジン結合から選択される部分であり;
Wは、1~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基であり、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含んでおり;
Olig1は、約1~約30ヌクレオチドを含み、既知の融合パートナーにハイブリダイズすることができるアンカー配列を含んでいるオリゴヌクレオチドであり、Olig1は、伸長不可能な3’末端を有しており;
Olig2は、約1~約30ヌクレオチドを含み、伸長可能な3’末端を含んでいるオリゴヌクレオチドである)
を有する化合物と接触させること;並びに、
(b)前記核酸ポリメラーゼでOlig2の前記3’末端を伸長させることであって、ここで、伸長産物が、未知の融合パートナーの一部のコピーと、前記既知の融合パートナーの一部と、融合切断点とを含み、それにより、前記遺伝子融合の第1の鎖コピーを形成するものである、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記遺伝子融合の二本鎖コピーのライブラリーを形成することをさらに含み、前記ライブラリーを形成することが、アダプターを遺伝子融合のコピーに付着させることを含み、アダプターが、バーコード及びプライマー結合部位を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)前記遺伝子融合の前記コピーを含む前記試料を複数の反応体積に分割することであって、ここで、各反応体積が、前記コピー鎖及び前記コピー鎖の相補体にハイブリダイズすることができるフォワード増幅プライマー及びリバース増幅プライマーと、第1の検出可能に標識されたプローブとを含むものである;
(b)増幅反応を行うことであって、ここで、前記反応が、前記プローブを用いる検出の工程を含むものである;
(c)前記プローブが検出された反応体積の数を決定することであって、それにより、前記遺伝子融合が検出される;
を含む方法によって、前記遺伝子融合の前記コピーを増幅することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(I)
[Olig1]-([R-[R-[L-[Z]-[L-[W]-[Olig2] (I)
(式中、
oが、0又は1であり;
pが、0又は1であり;
qが、0又は1であり;
tが、0、1又は2であり;
uが、0、1又は2であり;
vが、0又は1であり;
が、約1~約24ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり;
が、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており;
及びLが、独立して、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでおり、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり;
Zが、トリアゾール、ジヒドロピリダジン、ホスフェート結合、アミド結合、チオエーテル結合、イソオキサゾリン、ヒドロゾン、オキシムエーテル、及びクロロ-s-トリアジン結合から選択される部分であり;
Wが、1~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基であり、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含んでおり;
Olig1が、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり、Olig1が、伸長不可能な3’末端を有しており;
Olig2が、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり、Olig2が、伸長可能な3’末端を有している)
を有する、化合物。
【請求項5】
が、2~約32個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、式(IVA):
【化1】
(式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数であり;Qは、結合、O、S、N(R)(R)又は第四級アミン(NH(R)(R))であり;R及びRは、独立して、H、C-Cアルキル基、F、Cl又はN(Rc)(R)であり;R及びRは、独立してCH又はHである)
の構造を有する部分を含む、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
が、式(IVB):
【化2】
(式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数であり;Qは、結合、O、S又はN(R)(R)であり;R及びRは、独立してCH又はHである)
の構造を有する部分を含む、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
又はLの少なくとも1つが、1~約4個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
o+p=1であり、qが1である、請求項4に記載の化合物。
【請求項10】
oが0であり、p及びqが両方とも1であり、Rが少なくとも1つのPEG基を含み、Lが少なくとも1つのカルボニル部分を含む、請求項4に記載の化合物。
【請求項11】
Olig2がバーコードを含む、請求項4に記載の化合物。
【請求項12】
Olig2がユニバーサルプライマー結合部位を含む、請求項4に記載の化合物。
【請求項13】
vが0であり、Olig2が、少なくとも1つのウラシル含有ヌクレオチドを含む切断部位を含む、請求項4に記載の化合物。
【請求項14】
Olig2がランダムヌクレオチド配列を含む、請求項4に記載の化合物。
【請求項15】
既知の融合パートナーと未知の融合パートナーとの間の遺伝子融合を検出するためのキットであって、請求項30~63のいずれか一項に記載の化合物とポリメラーゼとを含むキット。
【請求項16】
キットであって:
(a)式(II):
[Olig1]-([R-[R-[L-[X] (II)
(式中、
oが、0又は1であり;
pが、0又は1であり;
qが、1又は2であり;
tが、0、1又は2であり;
が、1~約24ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり;
が、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており;
が、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり、
Xが、ジベンゾシクロオクチン、トランス-シクロオクテン、アルキン、アルケン、アジド、テトラジン、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド、チオール、1,3-ニトロン、アルデヒド、ケトン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノ基、又はホスホラミダイトであり;
Olig1が、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドである)
を有する第1の化合物;
(b)式(III):
[Y]-[L-[W]-[Olig2] (III)
(式中、
uが、0、1又は2であり;
vが、0又は1であり;
Yが、ジベンゾシクロオクチン、トランス-シクロオクテン、アルキン、アルケン、アジド、テトラジン、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド、チオール、1,3-ニトロン、アルデヒド、ケトン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノ基、又はホスホラミダイトであり;
が、1~16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでおり、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり;
Wが、1~12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基であり、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含んでおり;
Olig2が、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドである)
を有する第2の化合物
を含む、キット。
【請求項17】
核酸分子のシーケンシングにおける、請求項4~14のいずれか一項に記載の化合物又は請求項15~15に記載のキットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、ゲノミクスの分野に関する。より具体的には、本開示は、ゲノム再編成を検出する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
開示の背景
遺伝子融合は、癌における一般的な発生である。いくつかの遺伝子融合は、標的療法が開発されている癌ドライバー突然変異である。遺伝子融合を検出する能力は、癌の発見及び診断、腫瘍の大きさの経時的追跡、並びに癌患者の最良の個別化処置を特定するのに有用であり得る。ゲノム再編成を検出する伝統的な方法は、ハプロタイプ融合PCR及びライゲーションハプロタイピングなどの面倒な多段階手順を伴う。Turnerら,(2008)Long range,high throughput haplotype determination via haplotype fusion PCR and ligation haplotyping,Nucl.Acids Res.36:e82を参照されたい。より最近の次世代シーケンシングベースの技術は、様々な遺伝子融合を同定することができる。しかしながら、これは、十分な数の融合配列を捕捉し検証するために大量のシーケンシングを必要とする。このアプローチのコスト及び複雑さは、臨床使用に適さないものにする。
【0003】
いくつかの遺伝子では、遺伝子融合の検出は、複数の融合パートナーの存在によってさらに複雑になる。例えば、神経栄養性トロポミオシン受容体キナーゼ遺伝子(NTRK 1、2及び3)は、任意の数のN末端(5’-)パートナーと融合し得る。Solomon et al.(2019)Identifying patients with NTRK fusion cancer,Ann.Oncol.Nov;30 Suppl 8:viii16-viii22を参照のこと。活性化NTRKに対する有効な治療法が存在するので、NTRK遺伝子融合を有する適格患者を同定するための費用効果の高い臨床試験が重要である。同様に、線維芽細胞増殖因子受容体遺伝子(FGFR2及び3)は、任意の数のC末端(3’-)パートナーと融合して、構成的に活性な受容体キナーゼタンパク質をもたらし得る。Facchinetti et al.(2020)Facts and New Hopes on Selective FGFR Inhibitors in Solid Tumors,Clin.Cancer Res.2020 Feb 15;26(4):764-774を参照のこと。複数のFGFRキナーゼ阻害剤が開発されており、様々な腫瘍型のFGFR遺伝子融合を有する適格患者を同定するための実用的な臨床試験が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
開示の概要
上記に基づいて、潜在的に救命可能な治療への患者のアクセスを増加させるために、より低いコストでより少ないシーケンシングで遺伝子融合を同定する必要がある。
【0005】
本開示は、核酸試料中の1つ又は複数の遺伝子融合を検出するための組成物、キット、及び方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、1つ又は複数の化合物を提供し、それぞれが式(I)を有しており:
[Olig1]-([R-[R-[L-[Z]-[L-[W]-[Olig2](I)、
【0006】
式中、
【0007】
oは、0又は1であり;
【0008】
pは、0又は1であり;
【0009】
qは、0又は1であり;
【0010】
tは、0、1又は2であり;
【0011】
uは、0、1又は2であり;
【0012】
vは、0又は1であり;
【0013】
は、約1~約24ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり;
【0014】
は、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており;
【0015】
及びLは、独立して、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでおり、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり;
【0016】
Zは、トリアゾール、ジヒドロピリダジン、ホスフェート結合、アミド結合、チオエーテル結合、イソオキサゾリン、ヒドロゾン、オキシムエーテル、及びクロロ-s-トリアジン結合から選択される部分であり;
【0017】
Wは、1~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基であり、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含んでおり;
【0018】
Olig1は、約1~約30ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであり;
【0019】
Olig2は、約1~約30ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドである。
【0020】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、遺伝子融合の検出を容易にするために使用され得る。その点に関して、本開示はまた、式(I)の化合物の1つ又は複数を使用して遺伝子融合を検出する方法に関する。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、試料(例えば、組織学的試料、細胞学的試料など)中の1つ又は複数の遺伝子融合の検出、増幅、及び/又はシーケンシングに1つの融合パートナーが利用される遺伝子融合の捕捉を促進する。本開示のこれら及び他の態様は、本明細書でさらに説明される。
【0021】
本開示の第1の態様は、核酸試料中の遺伝子融合を検出する方法であって、(a)試料を、ポリメラーゼ(例えば、ポリメラーゼ活性及び鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼ)及び式(I):
[Olig1]-([R-[R-[L-[Z]-[L-[W]-[Olig2](I)、
【0022】
式中、
【0023】
oは、0又は1であり;
【0024】
pは、0又は1であり;
【0025】
qは、0又は1であり;
【0026】
tは、0、1又は2であり;
【0027】
uは、0、1又は2であり;
【0028】
vは、0又は1であり;
【0029】
は、約1~約24ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり;
【0030】
は、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており;
【0031】
及びLは、独立して、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでおり、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり;
【0032】
Zは、トリアゾール、ジヒドロピリダジン、ホスフェート結合、アミド結合、チオエーテル結合、イソオキサゾリン、ヒドロゾン、オキシムエーテル、及びクロロ-s-トリアジン結合から選択される部分であり;
【0033】
Wは、1~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基であり、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含んでおり;
【0034】
Olig1は、約1~約30ヌクレオチドを含み、既知の融合パートナーにハイブリダイズすることができるアンカー配列を含んでいるオリゴヌクレオチドであり、Olig1は、伸長不可能な3’末端を有しており;
【0035】
Olig2は、約1~約30ヌクレオチドを含み、伸長可能な3’末端を含んでいるオリゴヌクレオチドである、
を有する化合物と接触させること;及び
【0036】
(b)ポリメラーゼで式(I)を有する化合物のOlig2の3’末端を伸長させることであって、それにより伸長産物を生成する、Olig2の3’末端を伸長させること、を含む、方法である。いくつかの実施形態では、伸長産物は、未知の融合パートナーの一部のコピーと、既知の融合パートナーの一部と、融合切断点とを含み、それにより、遺伝子融合の第1の鎖コピーを形成する。
【0037】
いくつかの実施形態では、Olig2は、ランダム配列を含む。いくつかの実施形態では、ランダム配列は、2~20ヌクレオチドを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、o+p=1であり、qは1である。いくつかの実施形態では、Rは、式(IVB)の構造を有する部分を含み、
【化1】
【0039】
式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数であり;Qは、結合、O、S又はN(R)(R)であり;R及びRは、独立してCH又はHである。いくつかの実施形態では、Rは、式(IVC)の構造を有する部分を含み、
【化2】
【0040】
式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、d及びeは1~16の範囲である。いくつかの実施形態では、d及びeは2~8の範囲である。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の鎖コピーをコピーすることによって遺伝子融合の第2の鎖コピーを形成し、それによって遺伝子融合の二本鎖コピーを形成することをさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、Rは、約2~約9ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Rは、4~8ヌクレオチドを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、vは1である。いくつかの実施形態では、本方法は、連結プライマーの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を切断することをさらに含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、vは0であり、Olig2は、ウラシル含有ヌクレオチドを含む切断部位を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、L又はLの少なくとも1つは、1~約4個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。いくつかの実施形態では、脂肪族基は、直鎖である。いくつかの実施形態では、脂肪族基は、直鎖及び非置換である。いくつかの実施形態では、脂肪族基は、直鎖及び非置換であり、1つのカルボニル基を含む。いくつかの実施形態では、脂肪族基は、直鎖及び置換である。
【0045】
いくつかの実施形態では、本方法は、遺伝子融合のコピーをシーケンシングすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、遺伝子融合の二本鎖コピーのライブラリーを形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、ライブラリーを形成することは、遺伝子融合のコピーにアダプターを付着させることを含み、アダプターは、バーコード及びプライマー結合部位を含んでいる。いくつかの実施形態では、本方法は、形成されたライブラリーの少なくとも一部をユニバーサル増幅によって増幅することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、形成されたライブラリーの少なくとも一部をシーケンシングすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、バーコードは、固有の分子バーコード(UID)を含み、シーケンシングすることはは、UIDによってライブラリー核酸の配列をファミリーにグループ化することと、各ファミリーについてコンセンサス・リードを決定することと、コンセンサス・リードを参照ゲノムにアラインメントし、それによって遺伝子融合の配列を決定することと含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、上記方法は、コピー鎖を、以下を含む方法によって増幅することをさらに含む:(a)コピー鎖を含む試料を複数の反応体積に分割することであって、各反応体積が、コピー鎖及びコピー鎖の相補体にハイブリダイズすることができるフォワード増幅プライマー及びリバース増幅プライマーと、第1の検出可能に標識されたプローブとを含む、試料を複数の反応体積に分割すること;(b)増幅反応を行うことであって、反応が、プローブを用いる検出の工程を含む、増幅反応を行うこと;(c)プローブが検出された反応体積の数を決定することであって、それにより、遺伝子融合を検出する、反応体積の数を決定すること。いくつかの実施形態では、反応体積は液滴である。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、フルオロフォアとクエンチャとの組み合わせを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、試料を式(I)を有する化合物の2つ以上と接触させることによって、試料中に複数の融合が検出される。いくつかの実施形態では、式(I)の2つ以上の化合物の各々のOlig1は、ALK、PPARG、BRAF、EGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、MET、NRG1、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1、AXL、PDGFRA、PDGFB、ABL1、ABL2、AKT1、AKT2、AKT3、ARHGAP26、BRD3、BRD4、CRLF2、CSF1R、EPOR、ERBB2、ERBB4、ERG、ESR1、ESRRA、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、FGR、IL2RB、INSR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、MAML2、MAST1、MAST2、MSMB、MUSK、MYB、MYC、NOTCH1、NOTCH2、NUMBL、NUT、PDGFRB、PIK3CA、PKN1、PRKCA、PRKCB、PTK2B、RAF1、RARA、RELA、RSPO2、RSPO3、SYK、TERT、TFE3、TFEB、THADA、TMPRSS2、TSLP、TY、BCL2、BCL6、BCR、CAMTA1、CBFB、CCNB3、CCND1、CIC、CRFL2、DUSP22、EPC1、FOXO1、FUS、GLI1、GLIS2、HMGA2、JAZF1、KMT2A、MALT1、MEAF6、MECOM、MKL1、MKL2、MTB、NCOA2、NUP214、NUP98、PAX5、PDGFB、PICALM、PLAG1、RBM15、RUNX1、RUNX1T1、SS18、STAT6、TAF15、TAL1、TCF12、TCF3、TFG、TYK2、USP6、YWHAE、AR、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、ERB84、FLT3、KRAS、MDM4、MYBL1、NF1、NOTCH4、NUTM1、PRKACA、PRKACB、PTEN、RAD51B、及びRB1から選択される遺伝子にハイブリダイズすることができる。
【0048】
本開示の第2の態様は、式(I)を有する化合物であって、
[Olig1]-([R-[R-[L-[Z]-[L-[W]-[Olig2] (I)
【0049】
式中、
【0050】
oは、0又は1であり;
【0051】
pは、0又は1であり;
【0052】
qは、0又は1であり;
【0053】
tは、0、1又は2であり;
【0054】
uは、0、1又は2であり;
【0055】
vは、0又は1であり;
【0056】
は、約1~約24ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり;
【0057】
は、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており;
【0058】
及びLは、独立して、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでおり、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり;
【0059】
Zは、トリアゾール、ジヒドロピリダジン、ホスフェート結合、アミド結合、チオエーテル結合、イソオキサゾリン、ヒドロゾン、オキシムエーテル、及びクロロ-s-トリアジン結合から選択される部分であり;
【0060】
Wは、1~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基であり、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含んでおり;
【0061】
Olig1は、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり、Olig1は、伸長不可能な3’末端を有しており;
【0062】
Olig2は、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり、Olig2は、伸長可能な3’末端を有している。
【0063】
いくつかの実施形態では、Rは、2~約32個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。いくつかの実施形態では、Rは、式(IVA)の構造を有する部分を含み、
【化3】
【0064】
式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数であり;Qは、結合、O、S、N(R)(R)又は第四級アミン(NH(R)(R))であり;R及びRは、独立して、H、C-Cアルキル基、F、Cl又はN(R)(R)であり;R及びRは、独立してCH又はHである。いくつかの実施形態では、dは、2又は3であり;eは、1~12の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、Rは、式(IVB)の構造を有する部分を含み、
【化4】
【0065】
式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数であり;Qは、結合、O、S又はN(R)(R)であり;R及びRは、独立してCH又はHである。いくつかの実施形態では、dは、2又は3であり;eは、1~12の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、dは、2又は3であり;eは、1~8の範囲の整数である。
【0066】
いくつかの実施形態では、L又はLの少なくとも1つは、1~約4個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。
【0067】
いくつかの実施形態では、o+p=1であり、qは1である。いくつかの実施形態では、Rは約1~約16ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Rは約2~約9ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Rは、式(IVC)の構造を有する部分を含み、
【化5】
【0068】
式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、dは2又は3であり;eは1~12の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、dは2又は3であり;eは1~8の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、dは2であり;eは1~12の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、dは2であり;eは1~8の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、dは2であり;eは2~6の範囲の整数である。
【0069】
いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも1個のPEG基を含み、Lは少なくとも1つのカルボニル部分を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも2個のPEG基を含み、Lは少なくとも1つのカルボニル部分を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも3個のPEG基を含み、Lは少なくとも1つのカルボニル部分を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも4個のPEG基を含み、Lは少なくとも1つのカルボニル部分を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも6個のPEG基を含み、Lは少なくとも1つのカルボニル部分を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも8個のPEG基を含み、Lは少なくとも1つのカルボニル部分を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも12個のPEG基を含み、Lは少なくとも1つのカルボニル部分を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、Olig2は、バーコードを含む。いくつかの実施形態では、バーコードは、固有の分子バーコード(UID)、試料バーコード、及び識別タグのうちの1つ又は複数である。いくつかの実施形態では、Olig2は、ユニバーサルプライマー結合部位を含む。いくつかの実施形態では、vは0であり、Olig2は、ウラシル含有ヌクレオチドを含む切断部位を含む。いくつかの実施形態では、Olig2は、ランダムヌクレオチド配列を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、Olig1の少なくとも一部分は、ALK、PPARG、BRAF、EGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、MET、NRG1、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1、AXL、PDGFRA、PDGFB、ABL1、ABL2、AKT1、AKT2、AKT3、ARHGAP26、BRD3、BRD4、CRLF2、CSF1R、EPOR、ERBB2、ERBB4、ERG、ESR1、ESRRA、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、FGR、IL2RB、INSR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、MAML2、MAST1、MAST2、MSMB、MUSK、MYB、MYC、NOTCH1、NOTCH2、NUMBL、NUT、PDGFRB、PIK3CA、PKN1、PRKCA、PRKCB、PTK2B、RAF1、RARA、RELA、RSPO2、RSPO3、SYK、TERT、TFE3、TFEB、THADA、TMPRSS2、TSLP、TY、BCL2、BCL6、BCR、CAMTA1、CBFB、CCNB3、CCND1、CIC、CRFL2、DUSP22、EPC1、FOXO1、FUS、GLI1、GLIS2、HMGA2、JAZF1、KMT2A、MALT1、MEAF6、MECOM、MKL1、MKL2、MTB、NCOA2、NUP214、NUP98、PAX5、PDGFB、PICALM、PLAG1、RBM15、RUNX1、RUNX1T1、SS18、STAT6、TAF15、TAL1、TCF12、TCF3、TFG、TYK2、USP6、YWHAE、AR、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、ERB84、FLT3、KRAS、MDM4、MYBL1、NF1、NOTCH4、NUTM1、PRKACA、PRKACB、PTEN、RAD51B、及びRB1からなる群から選択される遺伝子にハイブリダイズすることのできるヌクレオチド配列を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、Olig1は、伸長可能ではない。いくつかの実施形態では、Olig2は、伸長可能である。いくつかの実施形態では、Olig1は、1~約10個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Olig2は、1~約10個のヌクレオチドを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、基-([R-[R-のサイズは、約15オングストローム~約400オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、基-([R-[R-のサイズは、約15オングストローム~約200オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、基-([R-[R-のサイズは、約15オングストローム~約100オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、基-([R-[R-のサイズは、約15オングストローム~約50オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、基-([R-[R-のサイズは、約20オングストローム~約45オングストロームの範囲である。いくつかの実施形態では、基-([R-[R-のサイズは、約20オングストローム~約40オングストロームの範囲である。
【0074】
本開示の第3の態様では、遺伝子融合を検出するための、例えば、既知の融合パートナーと未知の融合パートナーとの間の遺伝子融合を検出するためのキットであって、本キットは、(a)DNAポリメラーゼ;及び(b)式(I)を有する化合物を含み、
[Olig1]-([R-[R-[L-[Z]-[L-[W]-[Olig2] (I)
【0075】
式中、
【0076】
oは、0又は1であり;
【0077】
pは、0又は1であり;
【0078】
qは、0又は1であり;
【0079】
tは、0、1又は2であり;
【0080】
uは、0、1又は2であり;
【0081】
vは、0又は1であり;
【0082】
は、約1~約24ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり;
【0083】
は、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており;
【0084】
及びLは、独立して、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでおり、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり;
【0085】
Zは、トリアゾール、ジヒドロピリダジン、ホスフェート結合、アミド結合、チオエーテル結合、イソオキサゾリン、ヒドロゾン、オキシムエーテル、及びクロロ-s-トリアジン結合から選択される部分であり;
【0086】
Wは、1~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基であり、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含んでおり;
【0087】
Olig1は、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり、Olig1は、伸長不可能な3’末端を有しており;
【0088】
Olig2は、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり、Olig2は、伸長可能な3’末端を有している。
【0089】
いくつかの実施形態では、キットは、フォワード増幅プライマー及びリバース増幅プライマーをさらに含む。いくつかの実施形態では、Olig2は、少なくとも1つのウラシル含有ヌクレオチドを含み、キットは、ウラシル-N-DNAグリコシラーゼ(UNG)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DNAポリメラーゼは逆転写酵素であり、キットは熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼをさらに含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、Olig1の少なくとも一部分は、ALK、PPARG、BRAF、EGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、MET、NRG1、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1、AXL、PDGFRA、PDGFB、ABL1、ABL2、AKT1、AKT2、AKT3、ARHGAP26、BRD3、BRD4、CRLF2、CSF1R、EPOR、ERBB2、ERBB4、ERG、ESR1、ESRRA、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、FGR、IL2RB、INSR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、MAML2、MAST1、MAST2、MSMB、MUSK、MYB、MYC、NOTCH1、NOTCH2、NUMBL、NUT、PDGFRB、PIK3CA、PKN1、PRKCA、PRKCB、PTK2B、RAF1、RARA、RELA、RSPO2、RSPO3、SYK、TERT、TFE3、TFEB、THADA、TMPRSS2、TSLP、TY、BCL2、BCL6、BCR、CAMTA1、CBFB、CCNB3、CCND1、CIC、CRFL2、DUSP22、EPC1、FOXO1、FUS、GLI1、GLIS2、HMGA2、JAZF1、KMT2A、MALT1、MEAF6、MECOM、MKL1、MKL2、MTB、NCOA2、NUP214、NUP98、PAX5、PDGFB、PICALM、PLAG1、RBM15、RUNX1、RUNX1T1、SS18、STAT6、TAF15、TAL1、TCF12、TCF3、TFG、TYK2、USP6、YWHAE、AR、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、ERB84、FLT3、KRAS、MDM4、MYBL1、NF1、NOTCH4、NUTM1、PRKACA、PRKACB、PTEN、RAD51B、及びRB1からなる群から選択される遺伝子にハイブリダイズすることのできるヌクレオチド配列を含む。
【0091】
本開示の第4の態様は、式(I)を有する化合物を含む反応容器であり、
[Olig1]-([R-[R-[L-[Z]-[L-[W]-[Olig2] (I)
【0092】
式中、
【0093】
oは、0又は1であり;
【0094】
pは、0又は1であり;
【0095】
qは、0又は1であり;
【0096】
tは、0、1又は2であり;
【0097】
uは、0、1又は2であり;
【0098】
vは、0又は1であり;
【0099】
は、約1~約24ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり;
【0100】
は、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており;
【0101】
及びLは、独立して、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでおり、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり;
【0102】
Zは、トリアゾール、ジヒドロピリダジン、ホスフェート結合、アミド結合、チオエーテル結合、イソオキサゾリン、ヒドロゾン、オキシムエーテル、及びクロロ-s-トリアジン結合から選択される部分であり;
【0103】
Wは、1~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基であり、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含んでおり;
【0104】
Olig1は、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり、Olig1は、伸長不可能な3’末端を有しており;
【0105】
Olig2は、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり、Olig2は、伸長可能な3’末端を有している。
【0106】
いくつかの実施形態では、反応容器は、少なくとも1つのポリメラーゼを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのポリメラーゼはDNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、反応容器は、少なくとも1つの緩衝液をさらに含む。いくつかの実施形態では、反応容器は、少なくとも1つの補助因子をさらに含む。いくつかの実施形態では、反応容器は、dNTPをさらに含む。
【0107】
本開示の第5の態様では、(a)式(II)を有する化合物:
[Olig1]-([R-[R-[L-[X] (II)
【0108】
式中、
【0109】
oは、0又は1であり;
【0110】
pは、0又は1であり;
【0111】
qは、1又は2であり;
【0112】
tは、0、1又は2であり;
【0113】
は、1~約24ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり;
【0114】
は、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており;
【0115】
は、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり、
【0116】
Xは、ジベンゾシクロオクチン、トランス-シクロオクテン、アルキン、アルケン、アジド、テトラジン、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド、チオール、1,3-ニトロン、アルデヒド、ケトン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノ基、又はホスホラミダイトであり;
【0117】
Olig1は、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドである、化合物;
【0118】
(b)式(III)を有する化合物:
[Y]-[L-[W]-[Olig2](III)、
【0119】
式中、
【0120】
uは、0、1又は2であり;
【0121】
vは、0又は1であり;
【0122】
Yは、ジベンゾシクロオクチン、トランス-シクロオクテン、アルキン、アルケン、アジド、テトラジン、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド、チオール、1,3-ニトロン、アルデヒド、ケトン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノ基、又はホスホラミダイトであり;
【0123】
は、1~16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでおり、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり;
【0124】
Wは、1~12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基であり、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含んでおり;
【0125】
Olig2は、約1~約30ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドである、化合物である。
【0126】
いくつかの実施形態では、Olig1は、伸長不可能な3’末端を含み、Olig 2は伸長可能な3’末端を含む。いくつかの実施形態では、Olig1は、1~約10個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Olig2は、1~約10個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Olig1の少なくとも一部分は、ALK、PPARG、BRAF、EGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、MET、NRG1、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1、AXL、PDGFRA、PDGFB、ABL1、ABL2、AKT1、AKT2、AKT3、ARHGAP26、BRD3、BRD4、CRLF2、CSF1R、EPOR、ERBB2、ERBB4、ERG、ESR1、ESRRA、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、FGR、IL2RB、INSR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、MAML2、MAST1、MAST2、MSMB、MUSK、MYB、MYC、NOTCH1、NOTCH2、NUMBL、NUT、PDGFRB、PIK3CA、PKN1、PRKCA、PRKCB、PTK2B、RAF1、RARA、RELA、RSPO2、RSPO3、SYK、TERT、TFE3、TFEB、THADA、TMPRSS2、TSLP、TY、BCL2、BCL6、BCR、CAMTA1、CBFB、CCNB3、CCND1、CIC、CRFL2、DUSP22、EPC1、FOXO1、FUS、GLI1、GLIS2、HMGA2、JAZF1、KMT2A、MALT1、MEAF6、MECOM、MKL1、MKL2、MTB、NCOA2、NUP214、NUP98、PAX5、PDGFB、PICALM、PLAG1、RBM15、RUNX1、RUNX1T1、SS18、STAT6、TAF15、TAL1、TCF12、TCF3、TFG、TYK2、USP6、YWHAE、AR、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、ERB84、FLT3、KRAS、MDM4、MYBL1、NF1、NOTCH4、NUTM1、PRKACA、PRKACB、PTEN、RAD51B、及びRB1からなる群から選択される遺伝子にハイブリダイズすることができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、X又はYの一方は、アルキン部分を含み;X又はYの他方はアジド部分を含む。いくつかの実施形態では、アルキン部分はDBCOである。いくつかの実施形態では、X又はYの一方は、マレイミド部分を含み;X又はYの他方はチオール部分を含む。いくつかの実施形態では、X又はYの一方は、アルケン部分を含み;X又はYの他方は、テトラジン部分を含む。いくつかの実施形態では、アミノ部分を含み、キットはs-トリクロロトリアジンをさらに含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、Rは、2~約32個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。いくつかの実施形態では、Rは、式(IVA)の構造を有する部分を含み、
【化6】
【0129】
式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数であり;Qは、結合、O、S、N(R)(R)又は第四級アミン(NH(R)(R))であり;R及びRは、独立して、H、C-Cアルキル基、F、Cl又はN(Rc)(R)であり;R及びRRは、独立してCH又はHである。いくつかの実施形態では、dは2であり;eは、1~約12の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、Rは、式(IVB)の構造を有する部分を含み、
【化7】
【0130】
式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数であり;Qは、結合、O、S又はN(R)(R)であり;R及びRは、独立してCH又はHである。いくつかの実施形態では、は2であり;eは1~約12の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、dは2であり;eは1~約6の範囲の整数である。
【0131】
いくつかの実施形態では、o+p=1であり、qは1である。いくつかの実施形態では、Rは約2~約9ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Rは、式(IVC)の構造を有する部分を含み、
【化8】
【0132】
式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、dは2であり;eは1~約12の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、dは2であり;eは1~約6の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Lは少なくとも1つのPEG基を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、Olig2は、バーコードを含む。いくつかの実施形態では、バーコードは、固有の分子バーコード(UID)、試料バーコード、及び識別タグのうちの1つ又は複数である。いくつかの実施形態では、Olig2は、ユニバーサルプライマー結合部位を含む。いくつかの実施形態では、vは0であり、Olig2は、ウラシル含有ヌクレオチドを含む切断部位を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、キットは、ポリメラーゼをさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼはDNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、キットは、少なくとも1つの遺伝子融合を含む核酸試料をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、マスターミックスのアリコートをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0135】
図1】式(I)の化合物をアニーリング及び伸長の工程を示す図である。
図2】遺伝子融合配列を含むコピー鎖を遊離させる鎖置換及び鎖切断の工程を示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0136】
開示の詳細な説明
概要
【0137】
本開示は、1つ又は複数の標的核酸を含む試料中の構造ゲノム再編成の検出を容易にする組成物及びキットに関する。本開示はまた、アンプリコンに基づくアプローチを利用して、構造ゲノム再編成、より具体的には遺伝子融合を検出する方法に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、一方の融合パートナーが未知である遺伝子融合を増幅するために式(I)の1つ又は複数の化合物を利用する。いくつかの実施形態では、式(I)の1つ又は複数の化合物を用いた増幅は、シーケンシング工程の有無にかかわらず、遺伝子融合の検出を容易にする。シーケンシング工程が利用されるそれらの実施形態では、そのようなシーケンシングは最小のシーケンシング深度を必要とする。
【0138】
定義
【0139】
特に定義しない限り、本明細書で使用する技術的及び科学的用語は、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,4th Ed.Cold Spring Harbor Lab Press(2012)を参照のこと。
【0140】
反対に明確に示されない限り、複数の工程又は行為を含む本明細書において特許請求の範囲に記載される任意の方法において、方法の工程又は行為の順序は、必ずしも方法の工程又は行為が記載される順序に限定されないことも理解されたい。
【0141】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。同様に、「又は」という単語は、文脈が別途明確に指示しない限り、「及び」を含むことを意図している。「含む」という用語は、「A又はBを含む」がA、B、又はA及びBを含むことを意味するように、包括的に定義される。
【0142】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「又は」は、上記で定義された「及び/又は」と同じ意味を有することを理解されたい。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であると解釈されるものとし、すなわち、要素の数又はリストの少なくとも1つを含むが、複数、及び任意に、追加のリストに記載されていない項目を含むと解釈される。「のうちの1つのみ」又は「のうちの正確に1つ」、又は特許請求の範囲で使用される場合、「からなる」など、反対に明確に示される用語のみは、数又は要素のリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、ここで使用される「又は」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」又は「のうちの正確に1つ」など、排他性の用語が先行する場合にのみ、排他的な代替案(すなわち、「一方又は他方であるが双方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。「から本質的に構成される」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0143】
本明細書で使用される場合、「備える」、「含む」、「有する」などの用語は、交換可能に使用され、同じ意味を有する。同様に、「備える(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(has)」などは、交換可能に使用され、同じ意味を有する。具体的には、各用語は、「含む、備える(comprising)」という一般的な米国特許法の定義と一致して定義されているため、「少なくとも以下」を意味するオープンな用語として解釈され、また、追加の特徴、制限、態様などを除外しないように解釈される。したがって、例えば、「構成要素a、b、及びcを有するデバイス」は、デバイスが少なくとも構成要素a、b、及びcを含むことを意味する。同様に、「工程a、b、及びcを含む方法」という語句は、方法が少なくとも工程a、b、及びcを含むことを意味する。さらに、工程及びプロセスは、ここにおいて特定の順序で概説され得るが、当業者は、順序付けの工程及びプロセスが変化し得ることを認識するであろう。
【0144】
本明細書の明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」という句は、要素のリストの任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも要素のリスト内に具体的にリスト化されているありとあらゆる要素の少なくとも1つを含まなくてもなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が参照する要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が、具体的に特定されるそれらの要素に関連するかどうかにかかわらず、任意に存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は、同等に、「A又はBの少なくとも1つ」、又は同等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、任意に2つ以上のAを含み、Bが存在しない(及び任意に、B以外の要素を含む)を指すことができ、別の実施形態では、少なくとも1つ、任意に2つ以上のBを含み、Aが存在しない(及び任意に、A以外の要素を含む)を指すことができ、さらに別の実施形態では、少なくとも1つ、任意に2つ以上のAを含み、少なくとも1つ、任意に2つ以上のBを含む(及び任意に、他の要素を含む)を指すことができるなどである。
【0145】
本明細書で使用される場合、「アダプター」という用語は、追加の要素及び特性をその配列にインポートするために別の配列に付加され得るヌクレオチド配列を指す。追加の要素としては、限定されないが、バーコード、プライマー結合部位、捕捉部分、標識、二次構造が挙げられる。
【0146】
本明細書で使用される場合、「脂肪族」という用語は、飽和又はモノ-又はポリ不飽和であり得る、直鎖状又は分岐状の炭化水素鎖を意味する。不飽和脂肪族基は、1つ又は複数の二重結合及び/又は三重結合を含む。炭化水素鎖の分岐は、線状鎖並びに非芳香族環状元素を含み得る。炭化水素鎖は、特に明記しない限り、任意の長さであり、任意の数の分枝を含み得る。主鎖及び分枝の両方は、例えば、B、N、O、P、S、Se又はSiなどのヘテロ原子をさらに含み得る。
【0147】
本明細書で使用する場合、「バーコード」という用語は、検出及び同定することができる核酸配列を指す。バーコードは、一般に、2ヌクレオチド以上かつ約50ヌクレオチドまでの長さであり得る。バーコードは、集団中の他のバーコードとの少なくとも最小数の違いを有するように設計される。バーコードは、試料中の各分子に固有であってもよいし、試料に固有であってもよく、試料中の複数の分子によって共有されてもよい。「多重識別子」、「MID」又は「試料バーコード」という用語は、試料又は試料の供給源を識別するバーコードを指す。したがって、単一の供給源又は試料由来の全て又は実質的に全てのMIDバーコード化ポリヌクレオチドは、同じ配列のMIDを共有するが、異なる供給源又は試料由来の全ての、又は実質的に全ての(例えば、少なくとも90%又は99%)MIDバーコード化ポリヌクレオチドは、異なるMIDバーコード配列を有するであろう。MIDバーコードにコードされた試料情報を維持しながら、異なるMIDを有する異なる供給源からのポリヌクレオチドを混合し、並行してシーケンシングすることができる。「固有の分子識別子」又は「UID」という用語は、それが結合しているポリヌクレオチドを識別するバーコードを指す。典型的には、UIDバーコード化ポリヌクレオチドの混合物中の全て又は実質的に全て(例えば、少なくとも90%又は99%)のUIDバーコードは固有である。バーコードは、ワークフローの一部の「識別タグ」として使用することもできる。例えば、RNAに由来するDNA分子(例えば、cDNA)は、cDNA合成中にcDNAにのみ結合したタグによって、ゲノムDNAに由来する同一の配列のDNA分子と区別され得る。そのようなバーコードは、「RNA識別タグ」又は単に「識別タグ」と呼ばれることがある。
【0148】
本明細書で使用される場合、「ctDNA」という用語は、原発性腫瘍細胞、血液循環系の循環腫瘍細胞及び壊死若しくはアポトーシス腫瘍細胞から末梢血に放出された遊離DNA、又はそれらの任意の組み合わせを指す。
【0149】
本明細書で使用される場合、「DNAポリメラーゼ」という用語は、デオキシリボヌクレオチドからポリヌクレオチドの鋳型指向合成を行う酵素を指す。DNAポリメラーゼには、原核生物Pol I、Pol II、Pol III、Pol IV及びPol V、真核生物DNAポリメラーゼ、古細菌DNAポリメラーゼ、テロメラーゼ及び逆転写酵素が含まれる。「耐熱性ポリメラーゼ」という用語は、酵素が耐熱性であるために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による核酸の指数関数的増幅に有用な酵素を指す。熱安定性酵素は、その後のポリヌクレオチド伸長反応をもたらすのに十分な活性を保持し、二本鎖核酸の変性をもたらすのに必要な時間にわたって高温に供した場合に不可逆的に変性(不活性化)しない。
【0150】
いくつかの実施形態では、種、サーモコッカス(Thermococcus)、パイロコッカス(Pyrococcus)、スルホロブス(Sulfolobus)、メタノコッカス(Methanococcus)からのお熱安定性ポリメラーゼ、及び他の古細菌Bポリメラーゼ。いくつかの場合、核酸(例えば、DNA又はRNA)ポリメラーゼは、改変された天然に存在するA型ポリメラーゼであり得る。本開示のさらなる実施形態は、一般に、例えばプライマー伸長、末端修飾(例えば、末端トランスフェラーゼ、分解又は研磨(polishing))又は増幅反応における修飾A型ポリメラーゼが、Meiothermus属、Thermotoga属又はThermomicrobium属の任意の種から選択され得る方法に関する。本開示の別の実施形態は、一般に、例えばプライマー伸長、末端修飾(例えば、末端トランスフェラーゼ、分解又は研磨)又は増幅反応におけるポリメラーゼが、Thermus aquaticus(Taq)、Thermus thermophilus、Thermus caldophilus、又はThermus filiformisのいずれかから単離され得る方法に関する。本開示のさらなる実施形態は、一般に、例えばプライマー伸長、末端修飾(例えば、末端トランスフェラーゼ、分解又は研磨)又は増幅反応における改変されたA型ポリメラーゼがBacillus stearothermophilus、Sphaerobacter thermophilus、Dictoglomus thermophilum、又はEscherichia coliから単離され得る方法を包含する。別の実施形態では、本開示は、一般に、例えばプライマー伸長、末端修飾(例えば、末端トランスフェラーゼ、分解又は研磨)又は増幅反応における改変されたA型ポリメラーゼが変異Taq-E507Kポリメラーゼであり得る方法に関する。本開示の別の実施形態は、一般に、熱安定性ポリメラーゼを使用して標的核酸の増幅を行い得る方法に関する。
【0151】
本明細書で使用される場合、「濃縮」という用語は、複数の分子中の標的分子の相対量を増加させることを指す。濃縮は、標的分子の相対量を、非標的分子を完全に又はほぼ完全に排除するまで増加させ得る。標的核酸の濃縮の例としては、線形ハイブリダイゼーション捕捉、増幅、指数関数的増幅(PCR)及びプライマー伸長標的濃縮(PETE)が挙げられ、例えば、米国特許出願公開第第14/910,237号、第15/228,806号、第15/648,146号及び国際出願第PCT/EP2018/085727号を参照されたい。
【0152】
本明細書中で使用されるとき、用語「遺伝子融合」とは、ある遺伝子の一部が別の配列と融合される転座を含む、参照ゲノムと比較したときのゲノム配列の変化のことを指す。いくつかの遺伝子融合は、機能的融合mRNAをもたらす。これらの遺伝子融合のサブセットは、機能的融合タンパク質をさらにもたらす。遺伝子融合は、融合タンパク質をコードするmRNAを参照して指定された5’-パートナー及び3’-パートナーを有する。5’融合パートナーはタンパク質のN末端部分をコードし、3’融合パートナーはタンパク質のC末端部分をコードする。
【0153】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という用語は、ホウ素(B)、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)及びケイ素(Si)を含むことを意味する。いくつかの実施形態において、「複素環」は、1つ又は複数のヘテロ原子を含み得る。他の実施形態において、脂肪族基は、1つ又は複数のヘテロ原子を含むか、又は1つ又は複数のヘテロ原子で置換されていてもよい。
【0154】
本明細書で使用される場合、「核酸」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、一本鎖又は二本鎖形態のデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)及びそれらのポリマーを指す。具体的に限定されない限り、この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で代謝される天然ヌクレオチドの既知の類似体を含有する核酸を包含する。特に示されない限り、特定の核酸配列はまた、暗に、それらの保存的に修飾されたバリアント(例えば、縮重コドン置換体)、対立遺伝子、オルソログ、SNP及び、相補的配列、同様に、明示された配列を包含する。
【0155】
ここで使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド又はヌクレオシドモノマー単位のオリゴマーを指し、ここで、オリゴマーは、任意に、非ヌクレオチドモノマー単位、及び/又はオリゴマーの内部及び/又は外部位置に結合した他の化学基を含む。オリゴマーは天然又は合成であり得、天然に存在するオリゴヌクレオチド、又は天然に存在しない(又は修飾された)塩基、糖部分、ホスホジエステル-アナログ結合、及び/又は代替のモノマー単位キラリティー及び異性体構造を有するヌクレオシドを含むオリゴマーを含み得る(例えば、5’-から2’-結合、L-ヌクレオシド、α-アノマーヌクレオシド、β-アノマーヌクレオシド、ロック核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA))。
【0156】
本明細書で使用される場合、「プライマー」という用語は、一本鎖鋳型核酸分子の特定の領域に結合し、ポリメラーゼ媒介酵素反応を介して核酸合成を開始するオリゴヌクレオチドを指す。典型的には、プライマーは約100個未満のヌクレオチドを含み、好ましくは約30個未満のヌクレオチドを含む。標的特異的プライマーは、ハイブリダイゼーション条件下で標的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする。そのようなハイブリダイゼーション条件には、等温増幅緩衝液(20mM Tris-HCl、10mM(NHSO)、50mM KCl、2mM MgSO、0.1% TWEEN(登録商標)20、pH8.8、25 °C)中、約40 °C~約70 °Cの温度でのハイブリダイゼーションが含まれ得るが、これらに限定されない。標的結合領域に加えて、プライマーは、典型的には5’部分にさらなる領域を有し得る。追加の領域は、ユニバーサルプライマー結合部位又はバーコードを含み得る。指数関数的増幅を行うためには、プライマーは内向きでなければならず、すなわち、標的核酸の反対鎖にハイブリダイズし、3’末端が互いに面していなければならない。増幅プライマーのこの配向は、「正しい向き」と呼ばれることがある。さらに、指数関数的増幅を行うために、プライマーは、互いに適切な距離内で標的核酸にハイブリダイズする。標準的なPCR条件下では、2000塩基対を超えて離れた反対鎖にハイブリダイズするプライマーでは、十分な量の産物を得られない。cfDNA試料の場合、典型的な断片サイズは175塩基対離れており、したがって、175塩基対より離れた反対鎖にハイブリダイズするプライマーは、典型的には増幅産物をもたらさない。
【0157】
本明細書で使用される場合、「参照ゲノム」及び「参照ゲノム配列」という用語は、公開され、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)によって定期的に更新され、現在GRCh38を構築しているヒトゲノム配列全体(「ゲノムビルド」)を指す。参照ゲノムは、個々の試料からの配列を比較し、試料中の任意の配列変化を同定することを可能にするために、染色体位置及び配列によって検索可能である。
【0158】
本明細書で使用される場合、「再編成されたゲノム」という用語は、参照ゲノムと比較した場合に1つ以上の再編成を含むゲノムを指す。再編成されたゲノムはまた、再編成に関与しない他の遺伝子座に非再編成配列を含むことが理解される。再編成されたゲノム中ではそのような遺伝子座は、対応する参照ゲノム遺伝子座と同じ配列を有する。「再編成されたゲノム配列」という用語は、再編成されたゲノム内の再編成された配列を指す。
【0159】
本明細書で使用される場合、「読み取り深度」又は「シーケンシング深度」という用語は、シーケンスがシーケンシングされた回数(シーケンシングの深さ)を指す。例として、読み取り深度は、複数のシーケンス実行結果を整列させ、特定のサイズ(例えば、100bp)の重複しないウィンドウで読み取りの開始位置をカウントすることによって決定されることができる。コピー数多型は、当該技術分野において知られている方法を使用して、読み取り深度に基づいて決定されることができる。例えば、Yoon et al.,Genome Research 2009 September;19(9):1586-1592;Xie et al.,BMC Bioinformatics 2009 Mar.6;10:80;又はMedvedev et al.,Nature Methods 2009 November;6(11 Suppl):S13-20に記載されている方法を使用する。
【0160】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、典型的にはDNA又はRNAを含む核酸分子を含む、あらゆる生物学的試料を指す。試料は、組織、細胞又はそれらの抽出物であり得るか、又は核酸分子の精製試料であり得る。「試料」という用語は、標的核酸を含有する、又は含有すると推定される任意の組成物を指す。「試料」という用語の使用は、試料中に存在する核酸分子間の標的配列の存在を必ずしも意味しない。試料は、個体から単離された組織又は体液、例えば皮膚、血漿、血清、髄液、リンパ液、滑液、尿、涙液、血球、器官及び腫瘍の標本、並びにホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPET)及びそこから単離された核酸を含む、個体から採取された細胞から樹立されたインビトロ培養物の試料であり得る。試料には、無細胞DNA(cfDNA)又は循環腫瘍DNA(ctDNA)を含有する無細胞血液画分などの無細胞材料も含まれ得る。試料は、非ヒト対象又は環境から収集することができる。
【0161】
いくつかの実施形態では、「試料」は「代表試料」である。いくつかの実施形態では、代表的な試料は、全体の成分を正確に反映する試料(又は試料のサブセット)であり、したがって、試料は、集団全体の偏りのない表示である。一般に、これは、代表的な試料又はその一部における異なるタイプの細胞及びそれらの相対的な割合又はパーセンテージが、組織標本全体、一般に固形腫瘍又はその一部におけるこれらの細胞タイプの相対的な割合又はパーセンテージを本質的に正確に反映又は模倣することを意味する。サンプリングは、その後の分析のために対象物の一部を確保する動作である。代表的な試料は、研究対象物の合理的に近い知識を得ることができるように生成される。対照的に、従来のランダムサンプリング法は、一般に「代表試料」を生じない。より大きな試料からのより小さな個々のサブ試料の選択は、選択された領域に基づいてバイアスがかかり得るが、大きな試料、例えば腫瘍又はリンパ節全体を均質化すると、空間的に分離された要素が試料全体に均一に分散される。
【0162】
本明細書で使用される場合、「シーケンシング」又は「DNAシーケンシング」という用語は、DNAオリゴヌクレオチド中のヌクレオチド塩基、アデニン、グアニン、シトシン及びチミンの順序を決定するための生化学的方法を指す。シーケンシングは、この用語が本明細書で使用される場合、限定されないが、並列シーケンシング又は当業者に公知の任意の他のシーケンシング法、例えば、鎖終結法、迅速DNAシーケンシング法、ワンダリング-スポット分析、Maxam-Gilbertシーケンシング、色素ターミネーターシーケンシング、又は任意の他の最新の自動DNAシーケンシング装置を使用することを含み得る。
【0163】
本明細書で使用される場合、「標的」又は「標的核酸」という用語は、試料中の目的の核酸を指す。試料は、複数の標的並びに各標的の複数のコピーを含み得る。
【0164】
本明細書で使用される場合、「ユニバーサルプライマー」という用語は、ユニバーサルプライマー結合部位にハイブリダイズすることができるプライマーを指す。ユニバーサルプライマー結合部位は、標的特異的でない様式で標的配列に典型的に付加される天然又は人工の配列であり得る。
【0165】
物質の組成物
【0166】
本開示の一態様では、式(I)の化合物は(本明細書では「連結プライマー」とも呼ばれる):
[Olig1]-([R-[R-[L-[Z]-[L-[W]-[Olig2](I)、
【0167】
式中、
【0168】
oは、0又は1であり;
【0169】
pは、0又は1であり;
【0170】
qは、0又は1であり;
【0171】
tは、0、1又は2であり;
【0172】
uは、0、1又は2であり;
【0173】
vは、0又は1であり;
【0174】
は、約1~約24ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり;
【0175】
は、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており;
【0176】
及びLは、独立して、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでおり、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり;
【0177】
Zは、トリアゾール、ジヒドロピリダジン、ホスフェート結合、アミド結合、チオエーテル結合、イソオキサゾリン、ヒドロゾン、オキシムエーテル、及びクロロ-s-トリアジン結合から選択される部分であり;
【0178】
Wは、1~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基であり、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含んでおり;
【0179】
Olig1は、約1~約30ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであり;
【0180】
Olig2は、約1~約30ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドである。
【0181】
基が置換されている場合に「置換又は非置換」であると記載される場合、置換基は、示された置換基のうちの1つ又は複数から選択され得る。置換基が示されていない場合、示された「置換された」基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、シアネート、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、保護されたC-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、エーテル、アミノ(例えば、一置換アミノ基又は二置換アミノ基)、及びそれらの保護誘導体から個別にかつ独立して選択される1つ又は複数の基で置換され得ることを意味する。上記の基のいずれも、O、N又はSを含む1つ又は複数のヘテロ原子を含んでもよい。例えば、部分がアルキル基で置換されている場合、そのアルキル基は、O、N、又はSから選択されるヘテロ原子を含み得る(例えば-(CH-CH-O-CH2-CH))。
【0182】
いくつかの実施形態では、Olig1は、約1~約24個のヌクレオチドを含む。他の実施形態では、Olig1は、約1~約20個のヌクレオチドを含む。他の実施形態では、Olig1は、約1~約16個のヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、Olig1は、約1~約12個のヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、Olig1は、約2~約16個のヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、Olig1は、約2~約12個のヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、Olig1は、約3~約12個のヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、Olig1は、約4~約12個のヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、Olig1は、約3~約8個のヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、Olig1は、約4~約8個のヌクレオチドを含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、Olig1は、伸長不可能な3’末端を有する。いくつかの実施形態では、3’-末端は、例えば、米国特許第8,163,487号に記載されるように、ジデオキシヌクレオチド、2’-ホスフェートヌクレオチドを含むターミネーター化学構造の存在のために伸長不可能であるか、又は例えば米国出願公開2014/0242579号又はGuo,J.,et al.,Four-color DNA sequencing with 3’-O-modified nucleotide reversible terminators and chemically cleavable fluorescent dideoxynucleotides,P.N.A.S.2008 105(27)9145-9150に記載されるように、任意の他の3’-O-ブロック可逆的ターミネーター及び3’非ブロック可逆的ターミネーターである。
【0184】
いくつかの実施形態では、Olig1は、標的配列にハイブリダイズすることができるアンカー配列を含む。言い換えれば、Olig1の少なくとも一部は、標的核酸配列にハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態では、標的核酸配列は既知の融合パートナーである。融合パートナーの非限定的な例としては、ALK、PPARG、BRAF、EGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、MET、NRG1、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1、AXL、PDGFRA、PDGFB、ABL1、ABL2、AKT1、AKT2、AKT3、ARHGAP26、BRD3、BRD4、CRLF2、CSF1R、EPOR、ERBB2、ERBB4、ERG、ESR1、ESRRA、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、FGR、IL2RB、INSR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、MAML2、MAST1、MAST2、MSMB、MUSK、MYB、MYC、NOTCH1、NOTCH2、NUMBL、NUT、PDGFRB、PIK3CA、PKN1、PRKCA、PRKCB、PTK2B、RAF1、RARA、RELA、RSPO2、RSPO3、SYK、TERT、TFE3、TFEB、THADA、TMPRSS2、TSLP、TY、BCL2、BCL6、BCR、CAMTA1、CBFB、CCNB3、CCND1、CIC、CRFL2、DUSP22、EPC1、FOXO1、FUS、GLI1、GLIS2、HMGA2、JAZF1、KMT2A、MALT1、MEAF6、MECOM、MKL1、MKL2、MTB、NCOA2、NUP214、NUP98、PAX5、PDGFB、PICALM、PLAG1、RBM15、RUNX1、RUNX1T1、SS18、STAT6、TAF15、TAL1、TCF12、TCF3、TFG、TYK2、USP6、YWHAE、AR、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、ERB84、FLT3、KRAS、MDM4、MYBL1、NF1、NOTCH4、NUTM1、PRKACA、PRKACB、PTEN、RAD51B、及びRB1が挙げられる。
【0185】
いくつかの実施形態では、Olig1の少なくとも一部は、標的配列と完全に相補的である。他の実施形態では、Olig1は、標的配列に対して部分的にのみ相補的である。いずれの場合も、Olig1は、例えば20mM Tris-HCl、10mM(NHSO、50mM KCl、2mM MgSO、0.1% TWEEN(登録商標)20、pH8.8、25°C、又は、10mM Tris-HCl、50mM KCl.1.5mM MgCl2、pH8.3、25°Cを含有する緩衝液中で、プライマーアニーリングに適した反応条件下で既知の融合パートナー配列と安定なハイブリッドを形成する。
【0186】
いくつかの実施形態では、Olig2は、約1~約24個のヌクレオチドを含む。他の実施形態では、Olig2は、約1~約16個のヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、Olig1は、約1~約12個のヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、Olig1は、約2~約9個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Olig2は、伸長可能な3’末端を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、Olig2は、ランダム配列(「(N)n」)を含む。いくつかの実施形態では、ランダム配列の長さは、3、4、5、6、7、8若しくは10、又はそれよりも長いヌクレオチドであり得る。ランダム配列の適切な長さを選択するために、当業者は、安定なハイブリッドがアンカー配列のハイブリダイゼーションに使用される条件下で形成することを可能にする融解温度(Tm)を有する配列を求めるであろう。他の実施形態では、Olig2は、単一の反復ヌクレオチド、例えばポリTオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Olig2は、融合切断点を通って伸長され、上流融合パートナーの一部、融合切断点及び下流融合パートナーの一部を含むコピー鎖を形成する。いくつかの実施形態では、コピー鎖は、例えば増幅及び(又は)シーケンシングによるさらなる解析のために使用される。
【0188】
いくつかの実施形態では、Olig2の一部は、標的配列にハイブリダイズすることができない。いくつかの実施形態では、Olig2の5’部分は、ユニバーサルプライマー結合部位、プラットフォーム特異的シーケンシングプライマー結合部位、バーコード(試料バーコード又は分子バーコード)又は使用者によって設計された他のタグ配列などの要素を含み得る。いくつかの実施形態では、タグは、本明細書でさらに説明されるように、RNA出発物質をDNA出発物質から区別する。
【0189】
上記のように、いくつかの実施形態では、Rは、約1~約16ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり得る。他の実施形態では、Rは、約1~約12ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、Rは、約1~約8ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドを含む。他の実施形態では、Rは、約350g/mol~約5200g/molの範囲の分子量を有する。他の実施形態では、Rは、約650g/mol~約300g/molの範囲の分子量を有する。
【0190】
上記のように、いくつかの実施形態では、Rは、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であってもよく、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。他の実施形態では、Rは、2~約32個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。さらに他の実施形態では、Rは、2~約28個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。
【0191】
さらなる実施形態では、Rは、2~約24個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であってもよく、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。なおさらなる実施形態では、Rは、2~約20個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。なおさらなる実施形態では、Rは、2及び1~約6個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。なおさらなる実施形態では、Rは、2~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されている。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のカルボニル基は、ケトン、アミド、又はカルボキシルであり得る。他の実施形態では、Rはカルボニル基を含まない。
【0192】
いくつかの実施形態では、Rは、式(IVA)を有する部分を含み、
【化9】
【0193】
式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数であり;Qは、結合、O、S、N(R)(R)又は第四級アミン(NH(R)(R))であり;R及びRは、独立して、H、C-Cアルキル基、F、Cl又はN(Rc)(R)であり;R及びRは、独立してCH又はHである。
【0194】
いくつかの実施形態では、d及びeは、それぞれ独立して2~18の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、eは1~10の範囲である。他の実施形態では、eは1~8の範囲である。さらに他の実施形態では、eは2~6の範囲である。さらに他の実施形態では、eは2~4の範囲である。いくつかの実施形態では、dは1~8の範囲の整数であり、eは2~16の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2~8の範囲の整数であり、eは2~12の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~12の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~8の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~6の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~4の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、R又はRの少なくとも1つは、-CHである。
【0195】
他の実施形態では、Rは、式(IVB)を有する部分を含み、
【化10】
【0196】
式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数であり;Qは、結合、O、S又はN(R)(R)であり;R及びRは、独立してCH又はHである。
【0197】
いくつかの実施形態では、eは1~10の範囲である。他の実施形態では、eは1~8の範囲である。さらに他の実施形態では、eは2~6の範囲である。さらに他の実施形態では、eは2~4の範囲である。他の実施形態では、QはOである。いくつかの実施形態では、dは1~8の範囲の整数であり、eは2~16の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2~8の範囲の整数であり、eは2~12の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~12の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~8の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~6の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~4の範囲の整数である。
【0198】
さらに他の実施形態では、Rは、式(IVC)を有する部分を含み、
【化11】
【0199】
式中、d及びeは、それぞれ独立して1~32の範囲の整数である。いくつかの実施形態では、eは1~10の範囲である。他の実施形態では、eは1~8の範囲である。さらに他の実施形態では、eは2~6の範囲である。さらに他の実施形態では、eは2~4の範囲である。いくつかの実施形態では、dは1~4の範囲であり、eは1~約8の範囲である。いくつかの実施形態では、dは1~8の範囲の整数であり、eは2~約16の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2~8の範囲の整数であり、eは2~約12の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~12の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~8の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~6の範囲の整数である。他の実施形態では、dは2又は3であり、eは2~4の範囲の整数である。
【0200】
いくつかの実施形態では、Rは可溶化基を含む。いくつかの実施形態では、可溶化基は、ポリエチレングリコール(PEG)基又はポリプロピレングリコール基である。さらに他の実施形態では、リンカーは、約2~約8個のPEG基又はポリプロピレングリコール基を含む。さらに他の実施形態では、リンカーは約6個のPEG基又はポリプロピレングリコール基を含む。さらに他の実施形態では、リンカーは約4個のPEG基ポリプロピレングリコール基を含む。さらに他の実施形態では、リンカーは2個のPEG基又はポリプロピレングリコール基を含む。
【0201】
上記のように、いくつかの実施形態では、Lは、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であってもよく、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。他の実施形態では、Lは、1~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。さらに他の実施形態では、Lは、1~約8個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。
【0202】
さらなる実施形態では、Lは、1~約6個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。なおさらなる実施形態では、Lは、1~約4個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。いくつかの実施形態では、基Lは、1つ又は複数の可溶化基、例えばPEG基を含むことができる。いくつかの実施形態では、カルボニル基は、ケトン、アミド及びカルボキシルから選択される。いくつかの実施形態では、基Lはケトンを含む。いくつかの実施形態では、基Lはアミドを含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、基-([R-[R-は、約15オングストローム~約1000オングストロームの範囲の長さを有する。他の実施形態では、基-([R-[R-は、約15オングストローム~約500オングストロームの範囲の長さを有する。さらに他の実施形態では、基-([R-[R-は、約15オングストローム~約400オングストロームの範囲の長さを有する。さらに他の実施形態では、-([R-[R-は、約15オングストローム~約300オングストロームの範囲の長さを有する。さらに他の実施形態では、基-([R-[R-は、約15オングストローム~約250オングストロームの範囲の長さを有する。さらに他の実施形態では、基-([R-[R-は、約15オングストローム~約200オングストロームの範囲の長さを有する。さらに他の実施形態では、基-([R-[R-は、約15オングストローム~約150オングストロームの範囲の長さを有する。さらに他の実施形態では、基-([R-[R-は、約15オングストローム~約100オングストロームの範囲の長さを有する。さらに他の実施形態では、-([R-[R-は、約15オングストローム~約50オングストロームの範囲の長さを有する。さらに他の実施形態では、-([R-[R-は、約20オングストローム~約40オングストロームの範囲の長さを有する。
【0204】
いくつかの実施形態では、o+p=1であり、qは1である。他の実施形態では、oは1であり、pは0であり、qは1である。さらに他の実施形態では、oは0であり、pは1であり、qは1である。さらに他の実施形態では、oは0であり、pは1であり、qは2である。
【0205】
いくつかの実施形態では、oは1であり、pは0であり、qは1であり、Rは約1~約12ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、oは1であり、pは0であり、qは1であり、Rは約1~約8ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、oは1であり、pは0であり、qは1であり、Rは約1~約6ヌクレオチドを含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは可溶化基を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも1個のPEG基を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも4個のPEG基を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも6個のPEG基を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも8個のPEG基を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも10個のPEG基を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも12個のPEG基を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは少なくとも16個のPEG基を含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは、式(IVB)を有する基を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは、式(IVB)を有する基を含み、eは1~16の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、eは1~12の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、eは1~8の範囲である。
【0208】
いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~16の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~12の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~10の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~8の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~6の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~4の範囲である。
【0209】
いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、dは2であり、eは1~12の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、dは2であり、eは1~10の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、dは2であり、eは1~8の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、dは2であり、eは1~6の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVB)を有する基を含み、dは2であり、eは1~4の範囲である。
【0210】
いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは、式(IVC)を有する基を含む。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVC)を有する基を含み、eは1~16の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVC)を有する基を含み、eは1~12の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVC)を有する基を含み、eは1~8の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVC)を有する基を含み、eは1~4の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVC)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~16の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVC)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~12の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVC)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~10の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVC)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~8の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVC)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~6の範囲である。いくつかの実施形態では、oは0であり、p及びqは両方とも1であり、Rは式(IVC)を有する基を含み、dは2又は3であり、eは1~4の範囲である。
【0211】
上記のように、いくつかの実施形態では、Lは、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であってもよく、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。他の実施形態では、Lは、1~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。さらに他の実施形態では、Lは、1~約8個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。
【0212】
さらなる実施形態では、Lは、1~約6個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。なおさらなる実施形態では、Lは、1~約4個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基を含み、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでいる。いくつかの実施形態では、基Lは、1つ又は複数の可溶化基、例えばPEG基を含むことができる。いくつかの実施形態では、カルボニル基は、ケトン、アミド及びカルボキシルから選択される。いくつかの実施形態では、基Lはケトンを含む。いくつかの実施形態では、基Lはアミドを含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(I)の化合物を切断するための切断部位を含む。いくつかの実施形態では、切断部位は、Olig2内に位置する。これらの実施形態では、vは0であり、W基は存在しない。これらの実施形態では、Olig2は、例えば、少なくとも1つのウラシル含有ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、ウラシル含有ヌクレオチドは、U.S.Pat.に記載されているように、任意に、第8,669,061号に記載されているような一級アミンの存在下でウラシル-N-DNAグリコシラーゼ(UNG)を加えることによって切断されることができる。いくつかの実施形態では、切断は、グリコシラーゼとエンドヌクレアーゼとの組み合わせによって、例えば、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)とDNAグリコシラーゼ-リアーゼエンドヌクレアーゼVIIIとの混合物によって行われる。
【0214】
他の実施形態では、切断部位は、基W内のようなOlig2の外部に位置する。いくつかの実施形態では、上述のように、Wは、1~約12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基を含み、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含む。他の実施形態では、Wは、1~約8個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基を含み、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含む。
【0215】
さらに他の実施形態では、Wは、1~約6個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基を含み、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含む。さらなる実施形態では、Wは、1~約4個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基を含み、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、Wは、少なくとも1つの光切断可能な部分を含む。いくつかの実施形態では、光切断可能な部分は、約200nmと約400nm(UV)の間又は約400nmと約800nm(可視)の間の波長を有する電磁放射線源への曝露時に切断され得る。適切な光切断可能な部分の例としては、アリールカルボニルメチル基(例えば、4-アセチル-2-ニトロベンジル、ジメチルフェナシル(DMP));2-(アルコキシメチル)-5-メチル-α-クロロアセトフェノン、2,5-ジメチルベンゾイルオキシラン、ベンゾイン基(例えば、3’,5’-ジメトキシベンゾイン(DMB))、o-ニトロベンジル基(例えば、1-(2-ニトロフェニル)エチル(NPE)、1-(メトキシメチル)-2-ニトロベンゼン、4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル(DMNB)、α-カルボキシニトロベンジル(α-CNB));o-ニトロ-2-フェネチルオキシカルボニル基(例えば、1-(2-ニトロフェニル)エチルオキシカルボニル及び2-ニトロ-2-フェネチル誘導体);o-ニトロアニリド(例えば、アシル化5-ブロモ-7-ニトロインドリン);クマリン-4-イル-メチル基(例えば、7-メトキシクマリン誘導体);9-置換キサンテン及びアリールメチル基(例えば、o-ヒドロキシアリールメチル基)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0217】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの光切断可能な部分は、約700nmと約1000nmの間の波長を有する電磁放射線源に曝露されると切断され得る。適切な近赤外光切断可能な基としては、C4-ジアルキルアミン置換ヘプタメチンシアニンを含むシアニン基が挙げられる。
【0218】
いくつかの実施形態では、Wは、少なくとも1つの化学的に切断可能な部分を含む。いくつかの実施形態において、化学的に切断可能な部分は、還元剤を含む異なる化学反応物質によって、又はpHの誘導された変化(例えば、7未満のpHにおける基の切断)によって化学的に切断され得る基である。化学的に切断可能な部分の非限定的な例としては、ジスルフィド系基;ジアゾベンゼン基(例えば、2-(2-アルコキシ-4-ヒドロキシ-フェニルアゾ);安息香酸骨格;エステル結合系基;及び酸性感受性基(例えば、ジアルコキシジフェニルシラン基又はアシルヒドラゾン基)が挙げられる。求電子的に切断された基(例えば、p-アルコキシベンジルエステル及びp-アルコキシベンジルアミド)は、プロトンによって切断され、酸に感受性の切断を含むと考えられている。
【0219】
いくつかの実施形態では、Wは、少なくとも1つの酵素的に切断可能な部分を含む。いくつかの実施形態では、酵素的に切断可能な部分は、例えば、トリプシン切断可能な基及びV8プロテアーゼ切断可能な基によって切断され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの酵素的に切断可能な部分は、USER酵素、ウラシル-N-グリコシラーゼ、RNase A、β-グルクロニダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、又はTEV-プロテアーゼの1つによって酵素的に切断され得る。
【0220】
本開示の別の態様は、式(II)を有する化合物であって:
[Olig1]-([R1]-[R2]-[L1]-[X] (II)
【0221】
式中、
【0222】
oは、0又は1であり;
【0223】
pは、0又は1であり;
【0224】
qは、1又は2であり;
【0225】
tは、0、1又は2であり;
【0226】
は、約1~約24ヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドであり;
【0227】
は、2~約48個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており;
【0228】
は、1~約16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり、
【0229】
Xは、ジベンゾシクロオクチン、トランス-シクロオクテン、アルキン、アルケン、アジド、テトラジン、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド、チオール、1,3-ニトロン、アルデヒド、ケトン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノ基、又はホスホラミダイトであり;
【0230】
Olig1は、約1~約30ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドである。
【0231】
いくつかの実施形態では、Olig1は、約1~約24個のヌクレオチドを含む。他の実施形態では、Olig1は、約1~約16個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Olig1は、伸長不可能な3’末端を有する。
【0232】
いくつかの実施形態では、Olig1は、既知の融合パートナーにハイブリダイズすることができるアンカー配列を含む。融合パートナーの非限定的な例としては、ALK、PPARG、BRAF、EGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、MET、NRG1、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1、AXL、PDGFRA、PDGFB、ABL1、ABL2、AKT1、AKT2、AKT3、ARHGAP26、BRD3、BRD4、CRLF2、CSF1R、EPOR、ERBB2、ERBB4、ERG、ESR1、ESRRA、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、FGR、IL2RB、INSR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、MAML2、MAST1、MAST2、MSMB、MUSK、MYB、MYC、NOTCH1、NOTCH2、NUMBL、NUT、PDGFRB、PIK3CA、PKN1、PRKCA、PRKCB、PTK2B、RAF1、RARA、RELA、RSPO2、RSPO3、SYK、TERT、TFE3、TFEB、THADA、TMPRSS2、TSLP、TY、BCL2、BCL6、BCR、CAMTA1、CBFB、CCNB3、CCND1、CIC、CRFL2、DUSP22、EPC1、FOXO1、FUS、GLI1、GLIS2、HMGA2、JAZF1、KMT2A、MALT1、MEAF6、MECOM、MKL1、MKL2、MTB、NCOA2、NUP214、NUP98、PAX5、PDGFB、PICALM、PLAG1、RBM15、RUNX1、RUNX1T1、SS18、STAT6、TAF15、TAL1、TCF12、TCF3、TFG、TYK2、USP6、YWHAE、AR、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、ERB84、FLT3、KRAS、MDM4、MYBL1、NF1、NOTCH4、NUTM1、PRKACA、PRKACB、PTEN、RAD51B、及びRB1が挙げられる。
【0233】
本開示の別の態様は、式(II)を有する化合物であって:
[Y]-[L-[W]-[Olig2] (III)
【0234】
式中、
【0235】
uは、0、1又は2であり;
【0236】
vは、0又は1であり;
【0237】
Yは、ジベンゾシクロオクチン、トランス-シクロオクテン、アルキン、アルケン、アジド、テトラジン、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド、チオール、1,3-ニトロン、アルデヒド、ケトン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、アミノ基、又はホスホラミダイトであり;
【0238】
は、1~16個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の直鎖又は環状脂肪族基であり、任意に、O、N又はSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含んでおり、かつ、任意に、1つ又は複数のカルボニル基を含んでおり;
【0239】
Wは、1~12個の炭素原子を有する置換又は非置換の飽和又は不飽和の脂肪族又は芳香族基であり、任意に、O、N、Sから選択される1つ又は複数のヘテロ原子で置換されており、ただし、Wは、少なくとも1つの光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基を含んでおり;
【0240】
Olig2は、約1~約30ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドである。
【0241】
いくつかの実施形態では、Olig2は、約1~約24個のヌクレオチドを含む。他の実施形態では、Olig2は、約1~約16個のヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、Olig2は、約1~約12個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、Olig2は、伸長可能な3’末端を含む。いくつかの実施形態では、Olig2は、ランダム配列を含む。他の実施形態では、Olig2は、単一の反復ヌクレオチド、例えばポリTオリゴヌクレオチドを含む。
【0242】
式(I)、(II)及び(III)の化合物の調製
【0243】
当業者は、式(II)及び式(III)の化合物を互いに反応させて、式(I)を有する化合物を形成し得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、式(I)の基Zは、式(II)及び(III)のそれぞれX基及びY基によって決定される。表は、式(II)及び(III)のX基及びY基並びに形成された式(I)を有する化合物の得られた基Zを示す。
【表A-1】
【表A-2】
【0244】
いくつかの実施形態では、式(II)及び(III)の基Olig1及びOlig2は、当業者に公知の方法に従って調製される。いくつかの実施形態では、基Olig1及びOlig2は、ホスホラミダイト化学を用いる固相合成技術を用いて合成される(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Protocols for Oligonucleotides and Analogs,Agrawal,S.,ed.,Humana Press,Totowa,N.J.,1993を参照のこと)。Olig1、Olig2、並びに/又は式(II)及び(III)の化合物を合成する他の方法は、米国特許第5,955,591号、第6,057,431号、第8,889,843号及び第6,124,445号;並びに米国特許出願公開第2008/0119645号及び第2003/0153743号に記載されており、これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0245】
いくつかの実施形態では、そのようなプロセスにおける第1の工程は、当技術分野で公知の標準的な方法及び手順を使用して、保護された5’-ヒドロキシルを含有する第1のモノマー又はより高次のサブユニットを、通常はリンカーを介して固体支持体に結合させることである。例えば、Oligonucleotides and Analogues A Practical Approach,Ekstein,F.Ed.,IRL Press,N.Y,1991を参照のこと。次いで、支持体結合モノマー又はより高次の第1のシントンを処理して、5’保護基を除去する。いくつかの実施形態では、これは酸による処理によって達成される。いくつかの実施形態では、次いで、固体支持体結合モノマーをホスホラミダイトと反応させてホスファイト結合を形成する。いくつかの実施形態では、ホスファイト含有化合物を酸化して、所望のヌクレオチド間結合を有する化合物を生成する。いくつかの実施形態では、酸化剤の選択は、ホスファイト結合が、例えば、ホスホトリエステル、チオホスホトリエステル又はジチオホスホトリエステル結合に酸化されるかどうかを決定する。
【0246】
いくつかの実施形態では、キャッピング工程が、ホスファイトトリエステル、チオホスファイトトリエステル、又はジチオホスファイトトリエステルの酸化の前又は後に行われる。いくつかの実施形態において、キャッピング工程は、所与のカップリングサイクルで反応しなかったオリゴヌクレオチド鎖への「キャップ」部分の結合を含む。いくつかの実施形態において、キャップ部分は、カップリングサイクルに関与しなかったオリゴヌクレオチドの末端部分と反応性であるが、関与したオリゴヌクレオチドとは反応性ではなく、さらに、それ自体はカップリング試薬と反応性ではない。
【0247】
酸化オリゴマーを酸でさらに処理すると、5’-ヒドロキシル保護基が除去され、したがって固体支持体に結合したオリゴマーがさらなる化合物に変換され、これをその後反応させて次の合成反復を開始することができる。このプロセスは、所望の長さのオリゴマーが生成されるまで繰り返される。
【0248】
いくつかの実施形態では、式(II)及び(III)の化合物を反応させて、式(I)の化合物を形成することができる。これらの実施形態では、式(II)の化合物と式(II)の化合物との間に5’-5’結合が形成され得る。いくつかの実施形態では、式(II)を有する化合物は、例えば、上記の手順を使用して、3’から5’方向に合成される。そのような合成は、3’アミダイトを使用して行うことができる。
【0249】
式(III)の化合物も、3’アミダイトの代わりに5’アミダイトを使用する以外は同様の方法で合成することができる。5’アミダイトの非限定的な例を以下に示す。このようにして、式(III)の化合物を5’から3’方向に合成することができる。いくつかの実施形態では、式(II)及び(III)の化合物は、リン酸架橋を介して連結され得る。
【化12】
【0250】
いくつかの実施形態では、式(II)及び式(III)の化合物を、「クリックケミストリー」を用いて互いに反応させることができる。「クリックケミストリー」は、Sharpless及びMeldalのグループによって独自に定義された化学哲学であり、小さなユニットを結合することによって物質を迅速かつ確実に生成するように調整された化学を説明する。「クリックケミストリー」は、信頼性が高く自律的な有機反応のコレクションに適用されている(Kolb,H.C.Finn,M.G.;Sharpless,K.B.Angew).Chem.Int.Ed.2001,40,2004-2021)。例えば、水中での信頼性の高い分子結合としての銅触媒によるアジド-アルキン[3+2]環化付加の特定(Rostovtsev,V.V.;et al.Angew.Chem.Int.Ed.2002,41,2596-2599)は、生体分子相互作用のいくつかのタイプの調査を補強するために使用されてきた(Wang,Q.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,3192-3193;Speers,A.E.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,4686-4687;Link,A.J.;Tirrell,D.A.J.Am.Chem.Soc.2003,125,11164-11165;Deiters,A.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,11782-11783)。さらに、有機合成(Lee,L.V.;et al.J.Am.Chem.Soc.2003,125,9588-9589)、創薬(Kolb,H.C.;Sharpless,K.B.Drug Disc.Today 2003,8,1128-1137;Lewis,W.G.;et al.Angew.Chem.Int.Ed.2002,41,1053-1057)、及び表面の官能化(Meng,J.-C.;et al.Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,1255-1260;Fazio,F.;et al.J.Am.Chem.Soc.2002,124,14397-14402;Collman,J.P.;et al.Langmuir 2004,ASAP,in press;Lummerstorfer,T.;Hoffmann,H.J.Phys.Chem.B 2004,印刷中)への応用も登場している。
【0251】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物の前駆体は、最初に、「クリックケミストリー」反応に関与することができる反応性官能基の対の第1のメンバーを導入するように修飾される。同様に、いくつかの実施形態では、式(III)の化合物の前駆体は、「クリックケミストリー」反応に関与することができる反応性官能基の対の第2のメンバーを導入するように修飾される。いくつかの実施形態では、「クリックケミストリー」反応に関与することができる反応性官能基の対の第1のメンバー及び第2のメンバーを表1に特定する。いくつかの実施形態では、「クリックケミストリー」反応は、導入された試薬で触媒される。いくつかの実施形態では、導入される試薬はCuである。
【表1】
表1:反応性官能基対の第1のメンバー及び第2のメンバー。
【0252】
単なる例として、式(II)の化合物の前駆体は、第一級ハロゲンを導入するように修飾されてもよい。続いて、式(II)の化合物の前駆体がアジドに変換されるように第一級ハロゲンと反応するアジ化ナトリウムを導入することができる。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物の前駆体を、第一級ハロゲンを含むアミダイトと直接又はリンカーを介して間接的に反応させる。適切なアミダイトの非限定的な例を以下に示す。
【化13】
【0253】
やはり例として、式(III)の化合物の前駆体を(アミダイトなどで)修飾して、式(II)のアジドと反応性の部分、例えばアルキル基を含む部分を導入することができる。適切なアミダイトの非限定的な例を以下に提供する。
【化14】
【化15】
【0254】
別の適切な試薬は、DBCO-PEG-ホスホラミダイト、例えばDBCO-PEG4-ホスホラミダイトである。
【化16】
【0255】
次いで、「クリックケミストリー」反応に関与することができる反応性基のメンバーをそれぞれが有する得られた式(II)及び(III)の化合物を互いに反応させて、5’-5’結合を形成させる。上記の例では、アジド及びアルキンは反応してトリアゾール結合を形成する。
【0256】
いくつかの実施形態では、式(II)及び(III)の化合物はそれぞれ、化合物間のアミド結合の形成を促進する反応性基(それぞれX及びY)を含み得る。これを達成するために、いくつかの実施形態では、式(II)及び(III)のそれぞれの化合物の前駆体を、それぞれ基X及びYを導入する試薬と反応させてもよい。これらの実施形態では、式(II)を有する化合物の前駆体は、5’末端がアミノ部分で修飾されている。例えば、式(II)を有する化合物の前駆体にアミダイトが導入されてもよく、アミダイトは末端アミノ部分を含む。そのようなアミダイト試薬の非限定的な例としては、以下が挙げられる。
【化17】
【0257】
同様に、式(III)を有する化合物の前駆体も、5’末端がカルボキシル基で終端するように修飾されていてもよい。例えば、式(II)を有する化合物の前駆体にアミダイトが導入されてもよく、アミダイトは末端カルボキシル部分を含む。そのようなアミダイト試薬の非限定的な例は以下である。
【化18】
【0258】
いくつかの実施形態では、式(II)及び(III)の化合物はそれぞれ、化合物間のチオエーテル結合の形成を促進する反応性基(それぞれX及びY)を含み得る。これを達成するために、いくつかの実施形態では、式(II)及び(III)のそれぞれの化合物の前駆体を、それぞれ基X及びYを導入する試薬と反応させてもよい。これらの実施形態では、式(II)を有する化合物の前駆体は、5’末端がチオール部分で修飾されている。例えば、式(II)を有する化合物の前駆体にアミダイトが導入されてもよく、アミダイトは末端チオール部分を含む。そのようなアミダイト試薬の非限定的な例としては、以下が挙げられる。
【化19】
【0259】
式(III)を有する化合物は、5’末端がマレイミド基で終端するように修飾されていてもよい。例えば、式(III)を有する化合物の前駆体にアミダイトが導入されてもよく、アミダイトは末端マレイミド部分を含む。そのようなアミダイト試薬の非限定的な例は以下である。
【化20】
【0260】
いくつかの実施形態では、式(II)及び(III)の化合物はそれぞれ、化合物間のトリアジン結合の形成を促進する反応性基(それぞれX及びY)を含み得る。これを達成するために、いくつかの実施形態では、式(II)及び(III)のそれぞれの化合物の前駆体を、それぞれ基X及びYを導入する試薬と反応させてもよい。いくつかの実施形態では、トリアジン結合は、クロロ-s-トリアジン結合である。これらの実施形態では、式(II)を有する化合物の前駆体は、5’末端がアミノ部分で修飾されている。同様に、式(II)を有する化合物の前駆体は、5’末端がアミノ部分で修飾されている。そのような5’アミノ基を導入するための適切なアミダイトの非限定的な例を以下に示す。
【化21】
【0261】
前駆体から式(II)の化合物への修飾及び前駆体から式(III)の化合物への修飾の両方の後、形成された式(II)及び(III)の化合物を、カップリング試薬を用いて反応させる。いくつかの実施形態では、カップリング試薬は、s-トリクロロトリアジンである。この反応を以下に示す:
【化22】
【0262】
いくつかの実施形態では、式(II)又は(III)の化合物の任意の前駆体を反応させて、PEG系リンカー又はスペーサーなどのリンカー又はスペーサーを導入することができる。PEG系リンカー又はスペーサーを導入するのに適した試薬の非限定的な例を以下に示す。
【化23】
【0263】
PEG系リンカー又はスペーサーを式(II)及び/又は(III)の化合物の前駆体に組み込むための他の試薬及び方法は、米国特許出願公開第2006/0063147号に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0264】
いくつかの実施形態では、式(II)又は(III)の化合物の任意の前駆体を反応させて、切断可能な基を含むリンカー又はスペーサーなどのリンカー又はスペーサーを導入することができる。適切な試薬の非限定的な例を以下に示す。
【化24】
【0265】
キット
【0266】
本開示の別の態様は、式(I)の化合物の1つ又は複数を含むキットなどのキットである。いくつかの実施形態では、キットは、式(I)の1つ又は複数の化合物及びポリメラーゼを含む。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼはDNAポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、DNAポリメラーゼは、熱安定性DNA依存性DANポリメラーゼである。キットは、増幅プライマーをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、少なくとも1つのフォワードプライマー及び/又はリバースプライマーをさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、第1のオリゴヌクレオチドのコピーにハイブリダイズすることができるフォワードプライマーと、第2のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができるリバースプライマーとを含む。他の実施形態では、キットは、第1のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができるフォワードプライマーと、第2のオリゴヌクレオチドのコピーにハイブリダイズすることができるリバースプライマーとを含む。
【0267】
他の実施形態では、キットは、式(I)、(II)又は(III)の1つ又は複数の化合物及び1つ又は複数の緩衝液を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、式(I)の1つ又は複数の化合物及びマスターミックスを含む。いくつかの実施形態では、マスターミックスは、酵素、緩衝液、補因子(例えば、MgCl又はMgSO)、水及びdNTPの2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、マスターミックスは、鋳型DNAをさらに含む。
【0268】
他の実施形態では、キットは、式(II)の化合物及び式(III)の化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、式(III)の化合物の第2の反応性基と反応することができる第1の反応性基を含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、第1の反応性基はアルキン部分を含み;第2の反応性基はアジド部分を含む。いくつかの実施形態では、アルキン部分はDBCOである。いくつかの実施形態では、第1の反応性基はマレイミド部分を含み;第2の反応性基はチオール部分を含む。いくつかの実施形態では、第1の反応性基はアルケン部分を含み、第2の反応性基はテトラジン部分を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2の反応性基の両方がアミノ部分であり、キットはs-トリクロロトリアジンをさらに含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、式(I)、(II)及び/又は(III)の化合物のいずれかが、1つ又は複数の追加の成分と共に反応容器に含まれ得る。本明細書で使用される場合、「反応容器」という用語は、一般に、本教示に従って反応が起こり得る任意のコンテナ、チャンバ、デバイス、又はアセンブリを指す。いくつかの実施形態では、反応容器はdPCRチップのウェルを含む。いくつかの実施形態では、dPCRチップは、例えば、ナノスケール又はより小さい反応ウェルでエッチングされたシリコン基板を含み得る。いくつかの実施形態では、dPCRチップは、低い熱質量を有する。例えば、チップは、熱エネルギーを貯蔵しない薄い高導電性材料で構築されてもよい。いくつかの実施形態では、dPCRチップは、約50mm~約150mmの表面積を有する。いくつかの実施形態では、dPCRチップは約100mmの表面積を有する。表面積を制限することにより、溶融分析中のチップの加熱のより大きな均一性、及び溶融硬化分析の実行間変動の低減、溶融曲線生成の誤差の低減、及び分析における溶融曲線の識別の向上を可能にすることができる。他のdPCRチップは、PCT公開番号WO/2016/133783に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0271】
方法
【0272】
本開示の別の態様は、1つの融合パートナーが未知である1つ又は複数の遺伝子融合を検出する方法である。いくつかの実施形態では、本方法は、式(I)の1つ又は複数の化合物を利用する。いくつかの実施形態では、本方法は、核酸を増幅すること、及び/又は増幅された核酸のライブラリーを形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、増幅された核酸のライブラリーをシーケンシングし、それによって試料中の1つ又は複数のゲノム再編成を検出する工程をさらに含む。本方法のこれら及び他の工程は、本明細書に記載されている。
【0273】
遺伝子融合は、癌における一般的な発生である。遺伝子融合の臨床試験は、癌の検出及び診断、経時的な腫瘍負荷の追跡、及び癌患者のための個別化処置プロトコルの開発を可能にする。特に有用なのは、遺伝子融合を検出する血液に基づく方法である。血液に基づく方法は、循環腫瘍核酸(ctDNA及びctRNA)を含む患者の無細胞核酸(cfDNA及びcfRNA)にアクセスする。血液に基づく検査は生検よりも侵襲性が低いが、主要な困難は、正常な非腫瘍由来核酸と混合された非常に少量の腫瘍由来核酸を検出することである。いくつかの市販の試験は、単一ヌクレオチド変異(SNV)、コピー数変異(CNV)及び遺伝子融合(例えば、AVENIO ctDNA Test Kit、Roche Sequencing Solutions。Pleasanton、Cal.)を含むctDNAの突然変異を検出することができる。
【0274】
いくつかの癌関連遺伝子融合では、ctDNA中の融合産物の検出は、複数の融合パートナーの存在によってさらに複雑になる。乱雑な融合を有する腫瘍関連遺伝子には、NTRK 1、2及び3並びにFGFR2及び3などの多くの例が含まれる。
【0275】
試料
【0276】
本開示の方法は、1つ又は複数の標的核酸を含む1つ又は複数の核酸を含有する試料を利用する。いくつかの実施形態では、試料は、対象又は患者に由来する。いくつかの実施形態では、試料は、例えば、生検によって、対象又は患者に由来する固形組織又は固形腫瘍の断片を含み得る。試料は、体液(例えば、尿、痰、血清、血漿又はリンパ、唾液、痰、汗、涙、脳脊髄液、羊水、滑液、心膜液、腹水、胸水、嚢胞液、胆汁、胃液、腸液、又は糞便試料)も含み得る。試料は、正常細胞又は腫瘍細胞が存在し得る全血又は血液画分を含み得る。いくつかの実施形態では、試料、特に液体試料は、無細胞腫瘍DNA又は無細胞胎児DNA若しくは胎児RNAの腫瘍RNAを含む無細胞DNA又はRNAなどの無細胞材料を含み得る。いくつかの実施形態では、試料は、無細胞試料、例えば、無細胞腫瘍DNA若しくは腫瘍RNA又は無細胞胎児DNA若しくは胎児RNAが存在する無細胞血液由来試料である。他の実施形態では、試料は、培養試料、例えば培養物中の細胞に由来する核酸を含有するか又は含有すると疑われる培養物又は培養上清である。
【0277】
いくつかの実施形態では、試料は、代表試料である。いくつかの実施形態では、代表的な試料は、腫瘍試料、リンパ節試料、血液試料、及び/又は均質化された他の組織試料から(単独又は一緒に)調製される。「均質化」は、生物学的試料が、試料の全ての画分の組成が等しくなるような状態にされるプロセス(機械的プロセス及び/又は生化学的プロセスなど)を指す。代表的な試料(本明細書で定義される)は、均質化された試料の一部を除去することによって調製され得る。均質化された試料(「ホモジネート」)は、試料の一部(アリコート)を除去しても残留試料の全体的な構成が実質的に変化せず、除去されたアリコートの成分が残留試料の成分と実質的に同一であるように、十分に混合される。本開示において、「均質化」は、一般に、試料中の細胞の大部分の完全性を保存し、例えば、試料中の細胞の少なくとも50%は、均質化プロセスの結果として破裂又は溶解されない。他の実施形態では、均質化は、試料中の細胞の少なくとも80%の完全性を保存する。他の実施形態では、均質化は、試料中の細胞の少なくとも85%の完全性を保存する。他の実施形態では、均質化は、試料中の細胞の少なくとも90%の完全性を保存する。他の実施形態では、均質化は、試料中の細胞の少なくとも95%の完全性を保存する。他の実施形態では、均質化は、試料中の細胞の少なくとも96%の完全性を保存する。他の実施形態では、均質化は、試料中の細胞の少なくとも97%の完全性を保存する。他の実施形態では、均質化は、試料中の細胞の少なくとも98%の完全性を保存する。他の実施形態では、均質化は、試料中の細胞の少なくとも99%の完全性を保存する。他の実施形態では、均質化は、試料中の細胞の少なくとも99.9%の完全性を保存する。ホモジネートは、個々の細胞(又は細胞のクラスタ)に実質的に解離されてもよく、得られたホモジネート(複数可)は、実質的に均質である(同様の要素からなるか、又は構成されるか、又は全体にわたって均一である)。
【0278】
いくつかの実施形態では、インプット試料は、腫瘍試料、リンパ節試料、血液試料、又はそれらの任意の組み合わせに由来する細胞の代表的な試料を含む。いくつかの実施形態において、インプット試料は、(i)癌と診断される、(ii)癌を有すると疑われる、(iii)癌を発症するリスクがある;(iv)癌の再燃又は再発のリスクがある;及び/又は(v)癌の再発が疑われる、ヒト患者又は哺乳動物対象に由来する。他の実施形態では、インプット試料は、健康なヒト患者又は哺乳動物対象に由来する。代表的な試料を生成し、及び/又は下流処理のために代表的な試料を調製するさらなる方法は、PCT出願番号PCT/US19/62857に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0279】
標的核酸
【0280】
標的核酸は、試料中に存在する可能性がある、関心対象の核酸である。各標的は、その核酸配列によって特徴付けられる。本開示は、1つ以上のRNA又はDNA標的の検出を可能にする。いくつかの実施形態では、DNA標的核酸は、融合事象又は融合切断点が位置する遺伝子間領域に関与する遺伝子又は遺伝子断片(エクソン及びイントロンを含む)である。RNA標的核酸は、融合から生じる遺伝子又はコード配列の転写物又は転写物の一部である。いくつかの実施形態では、標的核酸は、バイオマーカー、すなわち、遺伝子融合などのバリアントが疾患又は症状に関連する遺伝子を含む。例えば、標的核酸は、2015年9月10日に出願された米国特許出願第14/774,518号に記載されている疾患関連マーカーのパネルから選択することができる。そのようなパネルは、AVENIO ctDNA分析キット(Roche Sequencing Solutions,Pleasanton,Cal.)として入手可能である。
【0281】
特に興味深いのは、腫瘍において遺伝子融合を受けることが知られている標的遺伝子である。例えば、ALK、RET、ROS、FGFR2、FGFR3及びNTRK1は、融合を受けて異常に活性なキナーゼ表現型をもたらすことが知られている。癌に関連する融合を受けることが知られているか、又は予想される他の遺伝子としては、ALK、PPARG、BRAF、EGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、MET、NRG1、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1、AXL、PDGFRA、PDGFB、ABL1、ABL2、AKT1、AKT2、AKT3、ARHGAP26、BRD3、BRD4、CRLF2、CSF1R、EPOR、ERBB2、ERBB4、ERG、ESR1、ESRRA、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、FGR、IL2RB、INSR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、MAML2、MAST1、MAST2、MSMB、MUSK、MYB、MYC、NOTCH1、NOTCH2、NUMBL、NUT、PDGFRB、PIK3CA、PKN1、PRKCA、PRKCB、PTK2B、RAF1、RARA、RELA、RSPO2、RSPO3、SYK、TERT、TFE3、TFEB、THADA、TMPRSS2、TSLP、TY、BCL2、BCL6、BCR、CAMTA1、CBFB、CCNB3、CCND1、CIC、CRFL2、DUSP22、EPC1、FOXO1、FUS、GLI1、GLIS2、HMGA2、JAZF1、KMT2A、MALT1、MEAF6、MECOM、MKL1、MKL2、MTB、NCOA2、NUP214、NUP98、PAX5、PDGFB、PICALM、PLAG1、RBM15、RUNX1、RUNX1T1、SS18、STAT6、TAF15、TAL1、TCF12、TCF3、TFG、TYK2、USP6、YWHAE、AR、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、ERB84、FLT3、KRAS、MDM4、MYBL1、NF1、NOTCH4、NUTM1、PRKACA、PRKACB、PTEN、RAD51B、及びRB1が挙げられる。
【0282】
いくつかの実施形態では、標的核酸はRNAである(mRNAを含む)。そのような実施形態では、式(I)の化合物を伸長するDNAポリメラーゼは逆転写酵素である。他の実施形態では、標的核酸は、細胞DNAを含むDNA、又は循環腫瘍DNA(ctDNA)及び無細胞胎児DNAを含む無細胞DNA(cfDNA)である。そのような実施形態では、式(I)の化合物を伸長するDNAポリメラーゼは、任意のDNAポリメラーゼ、例えば任意のBファミリーDNAポリメラーゼである。標的核酸は、短い形態又は長い形態で存在し得る。いくつかの実施形態では、より長い標的核酸は、以下に記載されるような酵素的処理又は物理的処理によって断片化される。いくつかの実施形態では、標的核酸は、天然に断片化されており、例えば、循環無細胞DNA(cfDNA)又は化学的に保存された試料若しくは古い試料に見られるものなどの化学的に分解されたDNAを含む。いくつかの実施形態では、ctDNA又はcfDNAは、代表的な試料に由来する(PCT出願番号PCT/US19/62857を参照のこと。その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0283】
DNA単離
【0284】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、核酸を単離する工程を含む。一般に、DNA、RNA、又はDNAとRNAの混合物を含む単離された核酸を生じる任意の核酸抽出方法が使用され得る。ゲノムDNA若しくは細胞RNA又はDNAとRNAの混合物は、溶液ベース又は固相ベースの核酸抽出技術を使用して、組織、細胞、又は液体生検試料(血液又は血漿試料を含む)から抽出され得る。核酸抽出には、洗浄剤ベースの細胞溶解、核タンパク質の変性、及び任意に、汚染物質の除去が含まれ得る。保存された試料からの核酸の抽出は、脱パラフィン化の工程をさらに含み得る。溶液ベースの核酸抽出方法は、塩析方法又は有機溶媒若しくはカオトロピック法を含み得る。固相核酸抽出方法には、シリカ樹脂法、陰イオン交換法又は磁性ガラス粒子及び常磁性ビーズ(KAPA Pure Beads,Roche Sequencing Solutions,Pleasanton,Cal.)又はAMPureビーズ(Beckman Coulter,Brea,Cal.)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0285】
典型的な抽出方法は、試料中に存在する組織材料及び細胞の溶解を含む。溶解された細胞から放出された核酸は、溶液中又はカラム又は膜中に存在する固体支持体(ビーズ又は粒子)に結合することができ、核酸は、タンパク質、脂質及びその断片を含む汚染物質を試料から除去するために1又は複数の洗浄工程を受けることができる。最後に、結合した核酸を固体支持体、カラム、又は膜から解放し、さらなる処理の準備ができるまで適切なバッファー中に保存することができる。DNA及びRNAの両者を単離しなければならないので、ヌクレアーゼを使用し得ず、精製工程中にヌクレアーゼ活性を阻害するように注意すべきである
【0286】
いくつかの実施形態では、核酸の単離は、2019年10月14日に出願されたPCT/EP2019/077714及び2018年11月13日に出願されたPCT/EP2018/081049に記載されているように、エピタコ電気泳動(epitachophoresis)(ETP)を利用する。ETPは、核酸が先行する電解質と後続の電解質との間で移動及び濃縮する電極の円形配置を有する装置を利用する。円形構成は、装置の中心に収集された非常に小さな体積に核酸を濃縮することを可能にする。ETPの使用は、大量の少量の無細胞核酸を含む血漿試料に特に有利である。
【0287】
いくつかの実施形態において、インプットDNA又はインプットRNAは断片化を必要とする。そのような実施形態では、RNAは、熱及び金属イオン、例えばマグネシウムの組み合わせによって断片化され得る。いくつかの実施形態において、試料をマグネシウムの存在下で1~6分間85℃-94℃に加熱する。(KAPA RNA HyperPrepキット、KAPA Biosystems,Wilmington,Mass).DNAは、市販の機器(Covaris,Woburn.Mass.)又は酵素的手段(KAPA Fragmentaseキット、KAPA Biosystems)を使用して、物理的手段、例えば超音波処理によって断片化することができる。
【0288】
いくつかの実施形態では、DNA修復酵素は、単離された核酸中の損傷塩基を標的とする。いくつかの実施形態では、試料核酸は、保存試料、例えばホルマリン固定パラフィン包埋(FFPET)試料からの部分的に損傷したDNAである。塩基の脱アミノ化及び酸化は、シーケンシングのプロセス中に誤った塩基リードをもたらし得る。いくつかの実施形態では、損傷したDNAは、ウラシルN-DNAグリコシラーゼ(UNG/UDG)及び/又は8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼで処理される。
【0289】
本開示の方法は、複数の異なるタイプの核酸に適用可能である。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、単離されたDNA(すなわち、RNase消化によってRNAから分離されたDNA)を利用する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、単離されたRNA(すなわち、DNase消化によってDNAから分離されたRNA)を利用する。さらに他の実施形態では、本開示の方法は、DNAとRNAとの混合物(すなわち、ヌクレアーゼで処理されていない単離された核酸)を利用する。
【0290】
濃縮
【0291】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、標的濃縮の工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、捕捉プローブ)のプールを利用する。いくつかの実施形態では、濃縮は、減算によるものであり、この場合、捕捉プローブは、リボソームRNA(rRNA)又は豊富に発現される遺伝子(例えば、グロビン)を含む豊富な望ましくない配列にハイブリダイズすることができる。減算の場合、望ましくない配列は、捕捉プローブによって捕捉され、標的核酸の溶液から除去され、廃棄される。除去は、固体支持体上に捕捉され得る結合部分を有する捕捉プローブを利用することによって達成され得る。他の実施形態では、濃縮は保持によるものであり、この場合、捕捉プローブは、1つ又は複数の標的配列、すなわち、融合パートナー遺伝子の既知の配列にハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態では、標的配列は、遺伝子特異的捕捉プローブにハイブリダイズされ、例えば、固体支持体上に捕捉され得る結合部分を有する捕捉プローブを利用して、溶液から除去される。捕捉された標的-プローブハイブリッドは保持されるが、非標的配列を含有する溶液の残りは廃棄される。
【0292】
濃縮のために、捕捉プローブは、溶液中に遊離していてもよく、又は固体支持体に固定されていてもよい。プローブはまた、結合部分(例えば、ビオチン)を含み得、固体支持体(例えば、アビジン又はストレプトアビジン含有支持材料)上に捕捉され得る。
【0293】
試料又は標的濃縮試料を、式(I)の化合物などの連結プライマーと接触させること
【0294】
図1(下)及び図2を参照すると、本開示は、試料を連結プライマー(式(I)のプライマーのいずれかなど)と接触させることによって遺伝子融合を検出する方法を提供する。いくつかの実施形態では、連結プライマーは、第2のオリゴヌクレオチド配列(例えば、式(I)の「Olig2」)に直接的又は結合(例えば、式(I)の基「Z」)を介して間接的にカップリングされた第1のオリゴヌクレオチド配列(例えば、式(I)の「Olig1」)を含む。いくつかの実施形態では、図1に示されるように、連結プライマーは、既知の5’-融合パートナーにハイブリダイズすることができるアンカー配列を含む第1のオリゴヌクレオチド配列(式(I)の左側、「Olig1」)を含む。連結プライマーは、「スペーサー(例えば、式(I)の基「-([R-[R-」)も含む。第2のオリゴヌクレオチド(式(I)の右側「Olig2」)は、ランダム配列(「NNN」)及び伸長可能な3’末端を含む。
【0295】
図1(下)に示すように、試料を、ポリメラーゼ活性及び鎖置換活性を有する核酸ポリメラーゼ「POL」と接触させる。いくつかの実施形態では、試料中の核酸はDNAであり、DNA依存性DNAポリメラーゼ、例えば鎖置換活性を有する任意のBファミリーポリメラーゼが使用される。いくつかの実施形態では、試料中の核酸はRNAであり、逆転写酵素が使用される。
【0296】
いくつかの実施形態では、試料中の核酸は、DNAとRNAの混合物である。そのような試料は、2019年8月19日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる、米国仮出願第62/888963号「Single tube preparation of DNA and RNA for sequencing」に記載の方法を使用して、単一のチューブ内で標的DNA及びRNAに処理することができる。簡潔には、記載される方法は、DNA出発物質が反応性でない条件下でRNA出発物質を同定するタグを有する第1のプライマーを用いてcDNAを形成することを含む。cDNAが形成された後、第1のプライマーを含まない共通の増幅プライマーのセットによって標的cDNAが増幅され、標的DNAと共に検出される。RNAに由来する最終産物は、第1のプライマーによって導入されたRNA特異的タグ(「RNA識別タグ」)の存在によって、DNAに由来する最終産物と区別される。いくつかの実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドの5’部分(例えば、式(I)の「Olig2」)は、RNA識別タグを含む。
【0297】
いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、既知の遺伝子融合パートナーの既知の配列にハイブリダイズした第1のオリゴヌクレオチド(例えば、式(I)の「Olig1」)のアンカー配列を置換しながら、第2のオリゴヌクレオチド(例えば、式(I)の「Olig2」)の3’末端を伸長する。(図1、下)。いくつかの実施形態では、第1のコピー鎖と呼ばれる伸長産物は、3’融合パートナーの一部及び5’融合パートナーの一部のコピーを含み、それによって遺伝子融合の第1の鎖コピーを形成する。
【0298】
いくつかの実施形態では、第1のコピー鎖をコピーして第2のコピーを形成し、それによって遺伝子融合の二本鎖コピーを形成する。いくつかの実施形態では、既知の融合パートナー中の配列に相補的なプライマーを使用して、第2のコピー鎖を形成することができる。いくつかの実施形態では、このプライマーは増幅プライマーでもある。いくつかの実施形態では、このプライマーは、試料バーコード、分子バーコード、ユニバーサルプライマー結合部位、及びシーケンシング・プラットフォーム特異的プライマー結合部位から選択される5’部分に1つ又は複数のさらなる特徴を含む。
【0299】
いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチド(例えば、式(I)の「Olig1」)を第1のコピー鎖から除去することが望ましい。いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチド(例えば、式(I)の「Olig1」及び「Olig2」)の間の基(例えば、式(I)の基「W」)は、切断可能な部分を含む。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、光切断可能な基、酵素的に切断可能な基、化学的に切断可能な基、又はpH感受性の基から選択される。光切断可能な部分を含む実施形態において、光切断可能な部分は、特定の波長(例えば、約400nm~約800nmの範囲の波長を有する放射線)を有する放射線を導入することによって切断され得る。酵素的に切断可能な基を含む実施形態では、酵素的に切断可能な基は、USER酵素、ウラシル-N-グリコシラーゼ、RNase A、β-グルクロニダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、又はTEV-プロテアーゼの1つによって切断され得る。化学的に切断可能な基を含む実施形態では、化学的に切断可能な基は、適切な求電子剤及び/又は求核剤を導入することによって切断され得る。
【0300】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、基「W」を含まず(式中v=0)、切断可能な部分は、「Olig2」内に含まれる。いくつかの実施形態では、「Olig2」は、1つ又は複数のウラシル含有ヌクレオチドで構成される切断部位を含む。いくつかの実施形態では、ウラシル含有ヌクレオチドを含む鎖(例えば、第1のコピー鎖)は、米国特許第8,669,061号に記載されているように、任意に第一級アミンの存在下で、反応混合物をウラシル-N-DNAグリコシラーゼ(UNG)と接触させることによって切断される UNGは、一本鎖又は二本鎖DNAに存在するウラシルを認識し、ウラシル塩基とデオキシリボースとの間のN-グリコシド結合を切断し、脱塩基部位を残す。例えば、米国特許第6,713,294号明細書を参照されたい。その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0301】
いくつかの実施形態では、切断は、グリコシラーゼとエンドヌクレアーゼとの組み合わせによって、例えば、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)とDNAグリコシラーゼ-リアーゼエンドヌクレアーゼVIIIとの混合物によって行われる。切断部位を切断することにより、第1のコピー鎖が第1のオリゴヌクレオチド(例えば、式(I)の「Olig1」)及びリンカー構造から分離される(図2、下)。いくつかの実施形態では、切断は、第2のコピー鎖を形成する前に行われる。
【0302】
いくつかの実施形態では、遺伝子融合の第1のコピー鎖又は二本鎖コピーがシーケンシングされる。いくつかの実施形態では、シーケンシングの前に、遺伝子融合の第1のコピー鎖又は二本鎖コピーをシーケンシングの前に増幅する。本明細書に記載されるように、増幅は、遺伝子特異的プライマー、特異的プライマー又はユニバーサルプライマーを含み得る。ユニバーサルプライマー結合部位は、連結プライマー又は第2のコピー鎖を形成するために使用されるプライマーの第2のオリゴヌクレオチドの5部分(例えば、式(I)の「Olig2」)に導入され得る。
【0303】
いくつかの実施形態では、本方法は多重化されており、すなわち、本方法は、遺伝子融合事象に関与することが知られている複数の遺伝子を標的としている。そのような実施形態では、式(I)の2つ以上の化合物を含む反応混合物が提供され、式(I)の2つ以上の化合物のそれぞれは、遺伝子融合に関与することが知られている特定の遺伝子に特異的なアンカー配列を有する。例えば、同じ反応混合物は、ALK、PPARG、BRAF、EGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、MET、NRG1、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1、AXL、PDGFRA、PDGFB、ABL1、ABL2、AKT1、AKT2、AKT3、ARHGAP26、BRD3、BRD4、CRLF2、CSF1R、EPOR、ERBB2、ERBB4、ERG、ESR1、ESRRA、ETV1、ETV4、ETV5、ETV6、EWSR1、FGR、IL2RB、INSR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、MAML2、MAST1、MAST2、MSMB、MUSK、MYB、MYC、NOTCH1、NOTCH2、NUMBL、NUT、PDGFRB、PIK3CA、PKN1、PRKCA、PRKCB、PTK2B、RAF1、RARA、RELA、RSPO2、RSPO3、SYK、TERT、TFE3、TFEB、THADA、TMPRSS2、TSLP、TY、BCL2、BCL6、BCR、CAMTA1、CBFB、CCNB3、CCND1、CIC、CRFL2、DUSP22、EPC1、FOXO1、FUS、GLI1、GLIS2、HMGA2、JAZF1、KMT2A、MALT1、MEAF6、MECOM、MKL1、MKL2、MTB、NCOA2、NUP214、NUP98、PAX5、PDGFB、PICALM、PLAG1、RBM15、RUNX1、RUNX1T1、SS18、STAT6、TAF15、TAL1、TCF12、TCF3、TFG、TYK2、USP6、YWHAE、AR、BRCA1、BRCA2、CDKN2A、ERB84、FLT3、KRAS、MDM4、MYBL1、NF1、NOTCH4、NUTM1、PRKACA、PRKACB、PTEN、RAD51B、及びRB1の1つ又は複数を標的とするアンカー配列を有する2つ以上の式(I)の化合物を含んでもよい。
【0304】
いくつかの実施形態では、連結プライマーは、短いインプット核酸に適応するように設計されている。例えば、循環腫瘍DNA(ctDNA)を含む無細胞DNAは、平均175 bp長である。そのような実施形態では、連結プライマーの長さは、175塩基を超えてはならない。
【0305】
増幅
【0306】
いくつかの実施形態では、本開示は増幅工程を含む。図2(下)に示すように形成されたコピー鎖は、線形又は指数関数的増幅によってコピー及び増幅することができる。増幅は等温であってもよく、又は熱サイクリングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、増幅は指数関数的であり、PCRを伴う。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子特異的プライマー、例えば既知の融合パートナーにハイブリダイズすることができるプライマーが増幅に使用される。いくつかの実施形態では、連結プライマーの5’部分は、増幅に使用される第2のプライマーに対するプライマー結合部位を含む。他の実施形態では、ユニバーサルプライマー結合部位が増幅される核酸に付加される。いくつかの実施形態では、ユニバーサルプライマー結合部位は、ユニバーサルプライマー結合部位を含むアダプターをライゲーションすることによって付加され得る。他の実施形態では、ユニバーサルプライマー結合部位は、ユニバーサルプライマー結合部位を含む5’-テールを有する遺伝子特異的プライマーを伸長することによって付加される。同じユニバーサルプライマー結合部位を有する全ての核酸は、同じプライマーセットを用いて同じ条件下で簡便に増幅することができる。ユニバーサルプライマーが使用される増幅サイクルの数は少なくてもよいが、後続の工程に必要な生成物の量に応じて、約10、約20、又は約30以上の高いサイクルであってもよい。ユニバーサルプライマーを用いたPCRは配列バイアスが低減されているので、増幅バイアスを回避するために増幅サイクルの数を限定する必要はない。
【0307】
プライマー
【0308】
いくつかの実施形態では、本開示は、フォワードプライマー及びリバースプライマーを利用する増幅工程を含む。フォワードプライマー及びリバースプライマーの一方又は両者は、標的特異的であり得る。標的特異的プライマーは、標的核酸に特異的な(すなわち、少なくとも部分的に相補的で、安定なハイブリッドを形成する)少なくとも3’-部分から構成される。バーコード又はユニバーサルプライマー結合部位などのさらなる配列が存在する場合、それらは通常はプライマーの5’部分に位置する。
【0309】
いくつかの実施形態では、図2(下)に示すように形成されたコピー鎖を増幅するために、融合切断点の上流の既知の遺伝子配列に特異的な第1のプライマーを使用することができる。いくつかの実施形態では、第2のプライマーは、第2の連結オリゴヌクレオチド中に存在するタグ配列又は任意の他の操作された配列に特異的である。
【0310】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の特異的プライマーは、プライマーの5’部分にユニバーサルプライマー結合部位を含む。1回又は複数回の特異的増幅の後、ユニバーサル増幅が行われる。
【0311】
ライブラリー
【0312】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の融合特異的核酸が濃縮された核酸のライブラリーである。ライブラリーは、以下に記載されるように、それに結合したアダプター配列に隣接する二本鎖核酸分子を含む。ライブラリー中の核酸は、本明細書中下記で記載されるようなアダプター配列中に存在するバーコード及びユニバーサルプライマー結合部位などのエレメントを含み得る。いくつかの実施形態では、追加の要素は、アダプター中に存在し、アダプターのライゲーションを介してライブラリー核酸に付加される。他の実施形態では、追加の要素の一部又は全部は、増幅プライマー中に存在し、プライマーの伸長によるアダプターのライゲーションの前にライブラリー核酸に添加される。
【0313】
いくつかの実施形態では、ライブラリーは、本明細書に記載の融合検出連結プライマーの使用前に試料中の全ての核酸から形成される。この実施形態では、アダプター分子は、試料中の全ての核酸に付加される。連結プライマーを用いた融合を検出する方法は、ライブラリー分子を出発物質として使用する。いくつかの実施形態では、ユニバーサル増幅(アダプターに位置するプライマー結合部位にハイブリダイズするユニバーサルプライマーを用いる)は、連結プライマーを用いた融合特異的増幅の前に行われる。ユニバーサル増幅は、本明細書に記載されるように実施される連結プライマーを用いた融合特異的増幅のための出発材料の量を増加させる。
【0314】
いくつかの実施形態では、ライブラリー分子は、固有の分子バーコードを含むアダプターを含む。ライブラリーをシーケンシングすることは、バーコード化ライブラリー核酸の配列を決定することと、配列を固有の分子バーコードによってファミリーにグループ化することと、各ファミリーについてコンセンサス・リードを決定し、それによって遺伝子融合を検出することとを含む。
【0315】
アダプター
【0316】
いくつかの実施形態では、本開示は、アダプター核酸を利用する。アダプターは、平滑末端ライゲーション又は粘着性(cohesive)末端ライゲーションによって核酸に付加され得る。いくつかの実施形態では、アダプターは、一本鎖ライゲーション法によって付加され得る。いくつかの実施形態では、アダプターは、プライマーの5’部分にアダプター配列を有するタイリングされたプライマーによる増幅によって付加される。ライゲーション又は増幅によってアダプターを付加するのに有用な方法及び組成物は、例えば、米国特許第9476095号、同第9260753号、同第8822150号、同第8563478号、同第7741463号、同第8182989号及び同第8053192号に記載されており、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0317】
いくつかの実施形態では、アダプター分子は、インビトロ合成人工配列である。他の実施形態では、アダプター分子は、インビトロ合成天然配列である。さらに他の実施形態では、アダプター分子は、分離した天然分子又は分離した非天然分子である。
【0318】
ライゲーションによって付加されたアダプターの場合、アダプターオリゴヌクレオチドは、標的核酸にライゲーションされる末端にオーバーハング又は平滑末端を有することができる。いくつかの実施形態では、アダプターは、標的核酸の平滑末端ライゲーションを適用することができる平滑末端を含む。標的核酸は、平滑末端化され得るか、又は酵素処理によって平滑末端化され得る(例えば、「末端修復」)。他の実施形態では、平滑末端DNAは、単一のAヌクレオチドが一方又は両方の平滑末端の3’末端に付加されるAテーリングを受ける。本明細書中に記載されるアダプターは、核酸とアダプターとの間のライゲーションを容易にするために平滑末端から伸長する単一のTヌクレオチドを有するように作製される。アダプターライゲーションを行うための市販のキットには、AVENIO ctDNA Library Prepキット又はKAPA HyperPrep及びHyperPlusキット(Roche Sequencing Solutions,Pleasanton,Cal.)が含まれる。いくつかの実施形態において、アダプターがライゲーションされたDNAは、過剰なアダプター及びライゲーションしなかったDNAから分離され得る。
【0319】
アダプターは、ユニバーサルプライマー結合部位(シーケンシングプライマー結合部位を含む)、バーコード配列(試料バーコード(SID)又は固有の分子バーコード又は識別子(UID又はUMI)を含む)などの特徴をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、アダプターは上記の特徴の全てを含むが、他の実施形態では、上記の要素のいくつかを含有するテール化プライマーを伸長することによって、アダプターのライゲーション後に特徴のいくつかが追加される。
【0320】
アダプターは、捕捉部分をさらに含み得る。捕捉部分は、別の捕捉分子と特異的に相互作用することができる任意の部分であり得る。捕捉部分-捕捉分子対には、アビジン(ストレプトアビジン)-ビオチン、抗原-抗体、磁性(常磁性)粒子-磁石、又はオリゴヌクレオチド-相補的オリゴヌクレオチドが含まれる。捕捉分子は固体支持体に結合することができ、それにより、捕捉部分が存在する任意の核酸が固体支持体上に捕捉され、試料の残り又は反応混合物から分離される。いくつかの実施形態では、捕捉分子は、二次捕捉分子の捕捉部分を含む。例えば、アダプター中の捕捉部分は、捕捉オリゴヌクレオチドに相補的な核酸配列であり得る。捕捉オリゴヌクレオチドは、アダプター付き核酸-捕捉オリゴヌクレオチドのハイブリッドがストレプトアビジンビーズ上に捕捉され得るようにビオチン化され得る。
【0321】
いくつかの実施形態では、捕捉部分を捕捉し、試料中の非ライゲーション核酸から、アダプターがライゲーションした標的核酸を分離することによって、アダプターがライゲーションした核酸を濃縮する。
【0322】
いくつかの実施形態では、アダプターのステム部分は、捕捉オリゴヌクレオチド、例えば5-メチルシトシン、2,6-ジアミノプリン、5-ヒドロキシブチン-2’-デオキシウリジン、8-アザ-7-デアザグアノシン、リボヌクレオチド、2’O-メチルリボヌクレオチド又はロックされた核酸の融解温度を上昇させる修飾ヌクレオチドを含む。別の態様では、捕捉オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼによる消化、例えばホスホロチオエートヌクレオチドによる消化を阻害するように修飾される。
【0323】
いくつかの実施形態では、アダプター配列は、アダプターのライゲーション又はテール化プライマーによる増幅のいずれかによって、図2(下)に示すように形成されたコピー鎖に付加される。アダプターは、図2に示されるコピー鎖を含む一本鎖又は二本鎖分子のいずれかに付加され得る。
【0324】
バーコード
【0325】
いくつかの実施形態では、本発明はバーコードを利用する。個々の分子の検出は通常、米国特許第7,393,665号、同第8,168,385号、同第8,481,292号、同第8,685,678号、及び同第8,722,368号に説明されているような分子バーコードを必要とする。固有の分子バーコードは、典型的にはインビトロ操作の最も早い工程中に患者の試料中の各分子に付加される短い人工配列である。バーコードは分子とその子孫を標識する。固有の分子バーコード(UID)には複数の用途がある。バーコードは、生検なしで癌を検出及び監視するために、試料中の個々の核酸分子を追跡して、例えば患者の血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA)分子の存在及び量を評価することを可能にする(Newman,A.,et al.,(2014)An ultrasensitive method for quantitating circulating tumor DNA with broad patient coverage,Nature Medicine doi:10.1038/nm.3519)。
【0326】
バーコードは、試料が混合(多重化)される試料の源を同定するために使用される多重試料ID(MID)であってもよい。バーコードはまた、各元の分子及びその子孫を同定するために使用される固有分子ID(UID)としても機能する。バーコードはまた、UIDとMIDとの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、単一のバーコードが、UID及びMIDの両方として使用される。いくつかの実施形態では、各バーコードは、所定の配列を含む。他の実施形態では、バーコードは、ランダム配列を含む。本開示のいくつかの実施形態では、バーコードは、それぞれが異なる対の同一のバーコードを有する96個~384個の異なるアダプターがヒトゲノム試料に付加されるように、約4~20塩基長である。当業者は、バーコードの数が試料の複雑さ(すなわち、固有の標的分子の予想数)に依存し、各実験に適した数のバーコードを作成することができることを認識するであろう。
【0327】
固有の分子バーコードはまた、分子計数及びシーケンシングのエラー訂正に使用することもできる。単一の標的分子の子孫全体が同じバーコードで標識され、バーコード化されたファミリーを形成する。バーコード化されたファミリーの全メンバーに共有されていない配列の変動は、人工物として廃棄され、これは真の突然変異ではない。ファミリー全体が元の試料中の単一分子を表すので、バーコードは位置重複排除及び標的定量にも使用することができる(Newman,A.,et al.,(2016)Integrated digital error suppression for improved detection of circulating tumor DNA,Nature Biotechnology 34:547)。
【0328】
いくつかの実施形態では、複数のアダプター又はバーコード含有プライマー中のUIDの数は、複数の核酸中の核酸の数を超え得る。いくつかの実施形態では、複数の核酸中の核酸の数は、複数のアダプター中のUIDの数を超える。
【0329】
精製
【0330】
いくつかの実施形態では、本開示は中間精製工程を含む。例えば、過剰なプライマー及び過剰なアダプターなどの任意の未使用のオリゴヌクレオチドを、例えば、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィ及びサイズ排除クロマトグラフィから選択されるサイズ選択方法によって除去する。いくつかの実施形態において、サイズ選択は、Beckman Coulter(Brea,Cal.)による固相可逆固定(SPRI)技術を使用して行うことができる。いくつかの実施形態では、捕捉部分を使用して、アダプター連結核酸を捕捉し、非連結核酸又は過剰プライマーから指数関数的増幅の産物から分離する。いくつかの実施形態では、未使用のプライマー又はアダプターを含む過剰なオリゴヌクレオチドは、2020年5月8日に出願された米国出願番号63/021875「Remove of excess oligonucleotides from reaction mixture」に記載されるように、除去すべきオリゴヌクレオチドを囲む閉環構造を形成する特異的捕捉核酸を用いて除去される。
【0331】
シーケンシング
【0332】
いくつかの実施形態では、コピー鎖、遺伝子融合配列の二本鎖コピー及び遺伝子融合配列を含む核酸のライブラリー又はそれらのアンプリコンを核酸シーケンシングに供することができる。シーケンシングは、当業者に公知の任意の方法に従って行うことができる。いくつかの実施形態では、シーケンシング方法は、サンガーシーケンシング及び色素ターミネーターシーケンシング、並びにパイロシーケンシング、ナノポアシーケンシング、マイクロポアベースのシーケンシング、ナノボールシーケンシング、MPSS、SOLiD、Illumina、Ion Torrent、Starlite、SMRT、tSMS、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング、質量分析シーケンシング、ポリメラーゼシーケンシング、RNAポリメラーゼ(RNAP)シーケンシング、顕微鏡ベースのシーケンシング、マイクロ流体サンガーシーケンシング、顕微鏡ベースのシーケンシング、RNAPシーケンシング、トンネリング電流DNAシーケンシング、及びインビトロウイルスシーケンシングなどの次世代シーケンシング技術を含む。それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2014144478号、国際公開第2015058093号、国際公開第2014106076号及び国際公開第2013068528号を参照されたい。
【0333】
いくつかの実施形態では、シーケンシングは、合成技術によるシーケンシングを使用するなど、いくつかの異なる方法によって行うことができる。先行技術による合成によるシーケンシングは、シーケンシング反応中に特定のデオキシヌクレオシド三リン酸が取り込まれたときの副産物の生成を監視する任意のシーケンシング法として定義される(Hyman,1988,Anal.Biochem.174:423-436;Rhonaghi et al.,1998,Science 281:363-365)。合成反応によるシーケンシングの1つの顕著な実施形態は、ピロリン酸シーケンシング法である。この場合、ヌクレオチド取り込み中のピロリン酸の生成は、化学発光シグナルの生成をもたらす酵素カスケードによって監視される。合成による配列の一例である454 Genome Sequencer System(Roche Applied Scienceカタログ番号04 760 085 001)は、ピロリン酸シーケンシング技術に基づいている。454 GS20又は454 FLX装置でシーケンシングする場合、平均ゲノムDNA断片サイズは、製品文献に記載されているように、それぞれ200又は600 bpの範囲内である。
【0334】
いくつかの実施形態では、合成反応によるシーケンシングは、代替的に、ターミネーター色素タイプのシーケンシング反応に基づくことができる。この場合、組み込まれた色素デオキシヌクレオトリホスフェート(ddNTP)ビルディングブロックは、検出可能な標識を含み、これは、好ましくは新生DNA鎖のさらなる伸長を防止する蛍光標識である。次いで、例えば3’-5’エキソヌクレアーゼ又はプルーフリーディング活性を含むDNAポリメラーゼを使用することによって、ddNTPビルディングブロックを鋳型/プライマー伸長ハイブリッドに組み込まれた際に、標識が除去されて検出される。
【0335】
いくつかの実施形態では、シーケンシングは、Illumina,Inc.によって提供されるもの(「Illumina Sequencing Method」)などの次世代シーケンシング法を使用して行われる。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、Illuminaの次世代シーケンシング技術は、クローン増幅及び合成によるシーケンシング(SBS)化学を使用して、迅速で正確なシーケンシングを可能にする。このプロセスは、DNA塩基を核酸鎖に組み込みながら同時に同定する。各塩基は、成長中の鎖に付加されると固有の蛍光シグナルを放出し、これを用いてDNA配列の順序を決定する。
【0336】
いくつかの実施形態では、シーケンシング法は、ナノポアを利用するハイスループットの一分子シーケンシング法である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように形成された核酸及び核酸のライブラリーは、生物学的ナノポアを貫通すること(米国特許第10337060号明細書を参照。その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)又は固体ナノポア(米国特許第10288599号明細書、米国特許第20180038001号明細書、米国特許第10364507号明細書を参照。これらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を含む方法によってシーケンシングされる。他の実施形態では、シーケンシングは、タグをナノポアに通すこと(米国特許第8461854号明細書を参照。その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)又はナノポアを利用する任意の他の現在存在する若しくは将来のDNAシーケンシング技術を含む。
【0337】
他の実施形態では、シーケンシングは、ハイスループットの単一分子シーケンシングの他の適切な技術によって行われる。Illumina HiSeqプラットフォーム(Illumina,サンディエゴ、カリフォルニア州)、Ion Torrentプラットフォーム(Life Technologies,グランドアイランド、ニューヨーク州)、Single Molecule Real-Time(SMRT)技術を利用するPacific BioSciencesプラットフォーム(Pacific Biosciences、メンローパーク、カリフォルニア州)、又は合成によるシーケンシングを伴う又は伴わない任意の他の現在存在する又は将来のDNAシーケンシング技術が挙げられる。
【0338】
シーケンシング工程は、プラットフォーム特異的シーケンシングプライマーを利用することができる。これらのプライマーの結合部位は、増幅工程で使用される増幅プライマーの5’部分に導入され得る。プライマー部位がバーコード化分子のライブラリーに存在しない場合、そのような結合部位を導入する追加の短い増幅工程を実施し得る。
【0339】
いくつかの実施形態では、シーケンシング工程は、配列分析を伴う。いくつかの実施形態において、分析は、配列アラインメントの工程を含む。いくつかの実施形態では、アラインメントを使用して、複数の配列、例えば同じバーコード(UID)を有する複数の配列からコンセンサス配列を決定する。いくつかの実施形態では、バーコード(UID)は、全てが同一のバーコード(UID)を有する複数の配列からコンセンサスを決定するために使用される。他の実施形態では、バーコード(UID)は、を使用して、人工物、すなわち、同一のバーコード(UID)を有する一部の配列に存在するが全ての配列には存在しない変動を除去するために使用される。PCRエラー又はシーケンシングエラーから生じるこのような人工物は、除去され得る。
【0340】
いくつかの実施形態では、試料中の各配列の数は、試料中の各バーコード(UID)を有する配列の相対数を定量化することによって定量化することができる。各UIDは、元の試料中の単一の分子を表し、各配列バリアントに関連する異なるUIDを計数することによって、元の試料中の各配列の画分を決定することができる。当業者は、コンセンサス配列を決定するために必要な配列読み取りの数を決定することができる。いくつかの実施形態では、関連する数は、正確な定量結果のために必要なUID(「配列深度(sequence depth)」)当たりの読出しである。いくつかの実施形態では、所望の深度はUID当たり5~50読み取りである。
【0341】
いくつかの実施形態において、シーケンシング工程は、コンセンサス決定によるエラー訂正の工程をさらに含む。本明細書に開示されるギャップのある環状鋳型の環状鎖の合成によるシーケンシングは、反復又は繰り返しのシーケンシングを可能にする。同じヌクレオチド位置の複数のリードは、各ヌクレオチド又は配列全体又は配列の一部に対するコンセンサスコールの確立を通じてシーケンシングエラーの訂正を可能にする。核酸鎖の最終配列は、各位置でのコンセンサス塩基決定から得られる。いくつかの実施形態において、核酸のコンセンサス配列は、相補鎖の配列を比較することによって、又は相補鎖のコンセンサス配列を比較することによって得られるコンセンサスから得られる。いくつかの実施形態では、本開示は、シーケンシング工程の後に、配列読み取りアラインメントの工程及びコンセンサス配列を生成する工程を含む。いくつかの実施形態では、コンセンサスは、米国特許第8535882号に記載されている単純多数コンセンサスである。他の実施形態では、コンセンサスは、Lee et al.(2002)「Multiple sequence alignment using partial order graphs」、Bioinformatics,18(3):452-464及びParker and Lee(2003)「Pairwise partial order alignment as a supergraph problem-aligning alignments revealed」、J.Bioinformatics Computational Biol.,11:1-18に記載されているPartial Order Alignment(POA)法によって決定される。コンセンサス配列を決定するために使用される反復リードの数に基づいて、配列は、ほとんどエラーがないか、又は実質的にエラーがない可能性がある。
【0342】
シーケンシングなし
【0343】
いくつかの実施形態では、コピー鎖、遺伝子融合配列の二本鎖コピー及び遺伝子融合配列を含む核酸のライブラリー又はそれらのアンプリコンは、シーケンシングなしで検出される。検出は、エンドポイントポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、定量PCR(qPCR)又はデジタル液滴PCR(ddPCR)を含むデジタルPCR(dPCR)を含む増幅によって達成され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子融合の検出は、qPCR及びdPCRによって可能にされる検出のタイプなど、定量的である。他の実施形態では、遺伝子融合の検出は定性的であり、すなわち、読み取りは、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、質量分析、又は特徴的なサイズ若しくは特徴的な分子量の核酸を検出する別の方法による融合特異的増幅産物の有無である。
【0344】
dPCR
【0345】
いくつかの実施形態では、本開示による遺伝子融合特異的増幅は、デジタル液滴PCR(ddPCR)を含むデジタルPCR(dPCR)によって行われる。
【0346】
デジタルPCRは、例えば米国特許第9,347,095号に記載されている核酸の定量的増幅の方法であり、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。このプロセスは、各体積が1コピー以下の標的核酸を含むように試料を反応体積に分割することを含む。いくつかの実施形態では、分割された反応体積は、水性液滴である。
【0347】
いくつかの実施形態でが、分割における標的核酸はコピー鎖である。他の実施形態では、分割内の標的核酸は、遺伝子融合配列の二本鎖コピーである。各分割は、増幅プライマー、すなわち、標的核酸の指数関数的増幅をサポートし得るフォワードプライマー及びリバースプライマーをさらに含む。いくつかの実施形態では、フォワードプライマー及びリバースプライマーは、既知の融合配列及び第2のオリゴヌクレオチドの5’配列にハイブリダイズすることができる(図1)。
【0348】
デジタルPCR反応体積の各々は、フォワードプライマー及びリバースプライマーのアンプリコンにハイブリダイズし得る検出可能に標識されたプローブをさらに含む。いくつかの実施形態において、プローブは、既知の融合配列にハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態では、プローブは、野生型非融合遺伝子配列への結合を回避するように設計される。
【0349】
検出可能に標識されたプローブは、フルオロフォアの組み合わせで標識されていてもよく、指数関数的増幅は、5’-3’-エキソヌクレアーゼ活性を有する核酸ポリメラーゼを用いて行われ得る。
【0350】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、フォワードプライマー及びリバースプライマーを用いて増幅反応を行うことを含み、ここで、反応は、プローブを用いてアンプリコンを検出する工程、及びプローブが検出された反応体積の数を決定し、それによって試料中の遺伝子融合の存在を検出する工程を含む。
図1
図2
【国際調査報告】