(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】非ヒト動物の治療において有用なヘスペラロエから調製した抽出物を含むサポニン
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7048 20060101AFI20230714BHJP
A61K 36/88 20060101ALI20230714BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230714BHJP
A61K 39/012 20060101ALI20230714BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230714BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A61K31/7048
A61K36/88
A61K39/00 H
A61K39/00 Z
A61K39/012
A61P37/04
A61P33/02 173
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576124
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 US2021038272
(87)【国際公開番号】W WO2021258055
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310007106
【氏名又は名称】キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、ニン
(72)【発明者】
【氏名】シャノン、トーマス ジー.
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C085AA02
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4C088ZC64
(57)【要約】
ヘスペラロエ属の非木本植物に由来する、抽出物、画分、活性化合物及び植物化学物質、又はそれらの混合物から選択される少なくとも一つの成分を含む非ヒト動物を治療する新規の医薬品、動物飼料組成物及び方法が開示される。動物飼料組成物は、基礎動物飼料及びヘスペラロエ属の非木本植物から抽出された水溶性固体を含み、少なくとも一つのサポニンを含む。水溶性固体は、約5~約30重量%のサポニンを含み得る。本発明の組成物は、例えば家禽などの非ヒト動物の治療、より具体的には、コクシジウム症の予防及び治療に使用することができる。一実施形態は、抗原、好ましくはコクシディア、及びヘスペラロエから抽出されたサポニン組成物を含む非ヒト動物において、抗原に対する抗体の産生を誘発するのに有用な免疫学的組成物を提供する。ヘスペラロエバイオマスから抽出されたサポニンは、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC、フルクレアスタチン及びユッカロイシドCを含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ヒト動物における抗原に対する抗体の産生を誘導するために有用な免疫学的組成物であって、
a. 免疫原性有効量の抗原、及び
b. 前記ヘスペラロエ属の非木本植物から抽出された少なくとも一つのサポニンを含む、免疫学的組成物。
【請求項2】
前記組成物が、液体、スラリー、乾燥粉末、乾燥顆粒混合物、ペースト、又は固体である、請求項1に記載の免疫学的組成物。
【請求項3】
前記免疫学的組成物が、約1~約50μgの総サポニンを含む、請求項1に記載の免疫学的組成物。
【請求項4】
前記抗原が、微生物病原体、細菌、ウイルス、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、グリコペプチド、リポペプチド、トキソイド、炭水化物、又は腫瘍特異的抗原である、請求項1に記載の免疫学的組成物。
【請求項5】
前記抗原がコクシディアである、請求項1に記載の免疫学的組成物。
【請求項6】
前記コクシディアが、エイメリア、イソスポラ、トキソプラズマ、ベスノイティア及びネオスポラからなる群から選択される、請求項1に記載の免疫学的組成物。
【請求項7】
前記総サポニンと抗原との重量比が、3.0以下である、請求項1に記載の免疫学的組成物。
【請求項8】
少なくとも一つのサポニンが、カンモゲニン、マノゲニン、ゲントロゲニン、ヘコゲニン、チゴゲニン、サルサポゲニン、クロロゲニン、又はジトゲニン、ならびにグルコース、キシロース、ラムノース、アラビノース、及びガラクトースから選択される少なくとも一つのグリコシド部分を含む、請求項1に記載の免疫学的組成物。
【請求項9】
前記少なくとも一つのサポニンが、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC、ファークレアスタチン、又はユッカロイシドCである、請求項1に記載の免疫学的組成物。
【請求項10】
前記非木本植物が、ヘスペラロエ・フニフェラ、ヘスペラロエ・ノクターナ、ヘスペラロエ・パルビフロラ、ヘスペラロエ・チアンギイ、又はそれらの混合物である、請求項1に記載の免疫学的組成物。
【請求項11】
非ヒト動物における抗原に対する抗体の産生を誘導するために有用な免疫学的組成物であって、
a. 免疫原性有効量の抗原、及び
b. 前記抽出水溶性固体の絶乾重量に基づいて、約10~約25重量%のサポニンを含む、前記ヘスペラロエ属の非木本植物由来の抽出物を含む、免疫学的組成物。
【請求項12】
前記抽出物が、サッカライド、タンパク質、及び脂質をさらに含む、請求項11に記載の免疫学的組成物。
【請求項13】
前記抽出物が、サッカライド、タンパク質、及び脂質を実質的に含まない、請求項11に記載の免疫学的組成物。
【請求項14】
前記抽出物が、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC、ファークレアスタチン及びユッカロイシドCの混合物を含む、請求項11に記載の免疫学的組成物。
【請求項15】
前記抽出物が、前記抽出物の絶乾重量に基づいて、少なくとも約90重量%の水溶性固体を含む、請求項11に記載の免疫学的組成物。
【請求項16】
前記抽出物が、前記抽出物の絶乾重量に基づいて、少なくとも約2重量%の不水溶性固体を含む、請求項11に記載の免疫学的組成物。
【請求項17】
基礎動物飼料、及び前記ヘスペラロエ属の非木本植物から抽出された少なくとも一つのサポニンを含む、抗コクシジウム量の飼料組成物を家禽に投与することを含む、家禽におけるコクシジウム症を治療する方法。
【請求項18】
前記少なくとも一つのサポニンが、水溶性固体の混合物として提供され、前記水溶性固体の質量が、動物飼料1キロ当たり約100~約1,000gの範囲である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記水溶性固体が、約10~約25重量%のサポニンを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記水溶性固体が、サッカライド、タンパク質、及び脂質を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記水溶性固体が、サッカライド、タンパク質、及び脂質を実質的に含まない、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも一つのサポニンが、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC、ファークレアスタチン又はユッカロイシドCである、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記ヘスペラロエから抽出されたサポニンが、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC、ファークレアスタチン及びユッカロイシドCを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
免疫原性有効量の抗原及び少なくとも一つのサポニンを含むヘスペラロエ属の非木本植物由来の抽出物を含む、非ヒト動物において抗原に対する抗体の産生を誘導するために有用な免疫学的組成物を家禽に投与することを含む、家禽におけるコクシジウム症を治療する方法であって、前記抽出物中のサポニンの量が、前記水溶性固体の重量で、約10~100%である、方法。
【請求項25】
前記免疫学的組成物が、約1~約50μgの総サポニンを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも一つのサポニンが、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC、ファークレアスタチン又はユッカロイシドCである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記抽出物が、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC、ファークレアスタチン及びユッカロイシドCの混合物を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記抗原がコクシディアである、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記コクシディアが、エイメリア、イソスポラ、トキソプラズマ、ベスノイティア及びネオスポラからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
植物は、多種多様な種別の有機化合物を産生し、その大多数が、それらの成長及び発生に直接関与していないように見える。これらの物質は、従来、二次代謝物又は植物天然産物と呼ばれ、しばしば、植物界内の限定された分類群の間に分布する。二次代謝産物の機能は、大部分が未知であるが、多くの化合物が、花粉媒介者及び種子分散動物のための誘引物質として、ならびに植物種間の競争に影響を与える化合物(アレロケミカル)として、植物に有用な特質、例えば、草食動物に対する保護及び微生物感染に対する保護に関連付けられてきた。植物天然産物における関心は高まっている。なぜなら、これらの産物は、しばしば、製薬業界、化粧品業界、食品業界、洗剤業界など、様々な種類の産業において幅広い用途を有するからである。
【0002】
目的の植物二次代謝物の特定の群は、サポニンである。サポニンは、トリテルペノイド、ステロイド、又はステロイド系グリコアルカロイドのいずれかとして分類されるグリコシル化化合物である。サポニンは、アグリコンに結合される一つ又は二つの糖部分(それぞれモノ及びビスデスモシド)からなる。サポニンは、酸加水分解又は酵素方法により、サポゲニン及び糖部分に加水分解することができる。サポニンは一般的に、600~2,000ダルトン超の範囲の分子量を伴う水溶性高分子量化合物である。
【0003】
それらの疎水性(アグリコン)部分及び親水性(糖)部分の非対称分布は、これらの化合物に両親媒性の特徴を付与し、それらは、主にそれらの界面活性剤様の特性に関与する。表面張力を下げる能力によって、サポニンは、化粧品業界における及び洗剤業界における使用のために潜在的に十分に適する。
【0004】
サポニンはまた、コレステロールを伴う不溶性複合体を形成する能力を有しており、それによって、それらの一部が、コレステロール低下剤として製薬業界における使用のために適切となる。他のサポニンは、ワクチン戦略において有用である免疫刺激複合体の形成に関連付けられる。
【0005】
現在、サポニンの広範な活用に対する主要な制限は、商業的に入手可能なサポニンが比較的高価であるという事実である。この費用は、大部分が、相当量のサポニンを有する、限られた数の植物抽出物に起因する。現在、サポニンを含む、商業的に入手可能な植物抽出物は、サポナリア・オフィシナリス、キラヤの樹皮及び茎、カスタネア・サティバの種子、ならびに様々なユッカ種の抽出物を含む。
【0006】
サポニンを含む植物抽出物は、このように、幅広い異なる業界内で一般の関心となっている。従って、サポニン抽出物の代替的な供給源についての、当技術分野における必要性は増しており、これらの植物供給源は、好ましくは、安価で、得ることが簡単であり、好ましくは、サポニン含量は比較的高いはずである。
【発明の概要】
【0007】
本発明者は、ヘスペラロエ属の非木本植物から抽出された水溶性固体が一つ又は複数のサポニンを含むことを、今発見した。発明者らは、ヘスペラロエ抽出物が非ヒト動物の免疫機能の改善に有用であることをさらに発見した。したがって、一実施形態では、本発明は、非ヒト動物の消費に安全であり、有益な健康効果を有し、動物の成長を強化できる、新規の医薬品、栄養補助食品及び食品成分組成物を提供する。
【0008】
他の実施形態では、本発明は、例えば、ヘスペラロエ・フニフェラ、ヘスペラロエ・ノクターナ、ヘスペラロエ・パルビフロラ、及びヘスペラロエ・チアンギイを含み、任意で、医薬的に及び栄養学的に許容可能な植物化学活性剤、希釈剤、ビヒクル、担体及び活性剤又はそれらの混合物を含む、ヘスペラロエ属の非木本植物に由来する抽出物、画分、活性化合物、及び植物化学物質又はそれらの混合物から選択される少なくとも一つの成分を含む、新規の医薬、栄養補助食品、及び食品成分組成物を提供する。
【0009】
特に好ましい実施形態では、本発明は、ヘスペラロエ属の非木本植物に由来する水溶性固体を含む動物飼料添加剤を提供する。好ましくは、水溶性固体は、少なくとも約5重量%のサポニン、より好ましくは少なくとも約10重量%のサポニン、さらにより好ましくは少なくとも約15重量%のサポニン、例えば約5~約30重量%のサポニン、例えば約15~約25重量%のサポニンを含み、重量パーセントは、水溶性固体の総絶乾重量に基づく。特に好ましい実施形態では、本発明は、動物飼料及びヘスペラロエ属の非木本植物に由来するステロイドサポニン混合物を含む動物飼料組成物を提供する。
【0010】
特定の実施形態では、ステロイドサポニン混合物は、以下のアグリコン又はジニンの少なくとも一つを有し得る:カンモゲニン、マノゲニン、ゲントロゲニン、ヘコゲニン、チゴゲニン、サルサポゲニン、クロロゲニン、及びジトゲニン又はそれらの対応する異性体あるいは以下のグリコシド部分の少なくとも一つを伴う(酸又は塩の形態において)酸化形態又は還元形態:グルコース、キシロース、ラムノース、アラビノース、又はガラクトース。他の実施形態では、ステロイドサポニンは、アガメノシド、アガベシド、アガボシド、マグエイシド、アガバサポニ、カンタラサポニン、シサルサポニン、ガブリトノシド、ドングノシドもしくはアモロニン、又は他のステロイドサポニンを含み得る。特に好ましい実施形態では、ステロイドサポニン混合物は、25(27)-デヒドロフクレアスタチン(
図2A)、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC(
図2B)、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシド(
図2C)、ファークレアスタチン及びユッカロイシドCを含む。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、非ヒト動物、特に鳥類、より具体的には家禽における一つ又は複数の状態の予防、治療、及び制御のために、ヘスペラロエ属の非木本植物由来のサポニン抽出物の使用を提供する。例えば、ヘスペラロエバイオマスに由来するサポニン含有組成物は、非ヒト動物に投与されて、環境のアンモニア及び臭気を低減し、低コレステロール血症効果を提供し、炎症を低減し、抗原虫効果を提供し、寄生線虫を防除し、体重増加を促進し、飼料変換効率を改善し得る。特に好ましい実施形態では、本発明のサポニン組成物は、コクシジウム症の予防及び治療のために、家禽に経口投与されてもよい。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、動物飼料を含む動物飼料組成物、及びヘスペラロエ属の非木本植物から抽出され、少なくとも一つのサポニンを含む水溶性組成物を提供する。特に好ましい実施形態では、サポニンの総量は、飼料の総質量に基づいて、飼料100kg当たり約1.0~約30.0グラムの範囲である。
【0013】
さらに他の実施形態では、本発明は、ヘスペラロエ属の非木本植物由来のサポニン組成物を経口投与することによって、家禽における感染症を予防することを対象とする。本発明の特定の態様は、本発明のサポニン組成物を家禽の飼料に補充することによって、コクシジウムに対する家禽の免疫反応及び自然抵抗力を増強する方法を対象とする。好ましくは、孵化後、家禽の飼料に、飼料1メートルトン当たり少なくとも約50グラム、より好ましくは少なくとも約100グラム/MT、例えば約50~約1,600グラム/MT、例えば約100~約1,000グラム/MTの水溶性固体で本発明のサポニン組成物を補充する。飼料組成物は、少なくとも約14日など、少なくとも約21日など、少なくとも7日間、家禽に連続的に給餌される。
【0014】
さらに他の実施形態では、本発明は、抗原の免疫原性有効量及びヘスペラロエ属の非木本植物から抽出されたサポニン組成物を含む、非ヒト動物において抗原に対する抗体の産生を誘導するために有用な免疫学的組成物を提供し、ここで、抽出物中のサポニンの量は、抗原に対する非ヒト動物の免疫応答を増強するのに充分な量で存在する。特に好ましい実施形態では、本発明の抽出物を含むサポニンは、免疫応答を増加させ、病変スコアを低下させ、コクシジウム症から生じるオーシスト脱落を低減させるために、それを必要とする家禽にエイメリアワクチンで投与される。
【0015】
さらに他の実施形態では、本発明は、非ヒト動物の抗原に対する免疫応答を増強するのに十分な量での、ヘスペラロエ属の非木本植物由来のバイオマスを抽出することによって調製された抽出物を含むサポニンの非ヒト動物への投与を含む、非ヒト動物における抗原への免疫応答を増強する方法を提供する。
【0016】
他の実施形態では、本発明は、ヘスペラロエ属の非木本植物由来のバイオマスを抽出することによって調製されたサポニン抽出物を提供する。抽出プロセスは、タンデムミル又はねじプレスを使用してバイオマスを粉砕することを含み得る。他の例では、抽出プロセスは、非機械的手段、例えば拡散などを含んでもよい。例えば、特定の例では、本発明は、バイオマスを切断すること、バイオマスを粉砕すること、バイオマスを溶媒で抽出すること、バイオマスをジュースで含浸すること、不水溶性固体をジュースから分離すること、及び随意にジュースを濃縮することによって、ヘスペラロエバイオマスから抽出されたステロイドサポニンの混合物を含む水溶性固体を提供する。
【0017】
さらに他の実施形態では、本発明は、ヘスペラロエ属の非木本植物に由来するバイオマスを、粗製ジュースの形態であるバイオマスからサポニンを除去するために、場合により含浸及び/又は脱ピスを伴う、一連のミル、例えば二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、又は七つのミルなどを通して処理する方法を提供する。粗製ジュースの水溶性画分は、約10~約30重量%のサポニンを含み得る。特定の例では、組成物は濃縮され、不純物を除去して、その主成分としてサポニンの混合物を得るように処理され得る。
【0018】
さらに他の実施形態では、本発明は、ヘスペラロエ属の非木本植物から抽出されたジュースを塩及び溶媒と混合して第一の溶液を形成する工程、第一の溶液のpHを約6.0~約7.0に調整する工程、少なくとも一つのリン酸塩を第一の溶液に加えて、沈殿したイオン-ポリサッカライドを形成する工程、及び濾過などにより沈殿物を除去して、実質的に純粋なサポニン組成物を得る工程を含む、実質的に純粋なサポニン組成物を調製するための方法を提供する。特定の例では、第一の溶液は、イオン-ポリサッカライド複合体の沈殿を促進するために加熱してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、それぞれトリテルペノイドサポニン及びステロイドサポニンを示す。
【
図2A】
図2A~Cは、25(27)-デヒドロフクレアスタチン(
図2A)、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC(
図2B)、及び5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC(
図2C)を含む、本発明に従ってヘスペラロエ属の非木本植物から抽出された様々な新規サポニンを図示する。
【0020】
定義
本明細書中で使用するように、用語「バイオマス」は、一般的に、例えば、ヘスペラロエ・フニフェラ、ヘスペラロエ・ノクターナ、ヘスペラロエ・パルビフロラ、及びヘスペラロエ・チアンギイを含む、ヘスペラロエ属の植物及び植物器官全体(即ち、葉、茎、花、根など)を指す。
【0021】
本明細書で使用するように、用語「バガス」は、一般的に、サイズに切断され、その後、結果として得られる材料が、それが由来するバイオマスよりも少ない液体を有するように高圧に供された、バイオマスを指す。高圧は、圧縮圧力、例えば一つ又は複数の対向逆回転ロール、機械プレス、ねじプレスなどの機械により提供される圧縮圧力を使用することにより、ならびに直接水圧及びバイオマスに圧力を適用して細胞間液及び細胞内液を除去するための他のプロセスにより達成され得る。
【0022】
本明細書中で使用するように、用語「粉砕」は、一般的に、バイオマスからの細胞間液及び細胞内液を押すのに十分な圧力の適用を指す。
【0023】
本明細書中で使用するように、用語「サッカライド」は、その定義が糖化学の当業者に周知である、用語「ポリサッカライド」、「オリゴサッカライド」、及び「糖」と互換的に使用される。サッカライドは、モノ、オリゴ、及び/又はポリサッカライドの形態であり得ることに留意すべきである。好ましくは、サッカライドは水溶性であり、他の化合物、例えばトリテルペノイドに結合してサポニンを形成するグリコシド(アラビノース、グルコース、ガラクトース、キシロース、及びグルクロン酸)などに結合されたセルロース、ヘミセルロースあるいはモノ、オリゴ、及び/又はポリサッカライドを含まない。
【0024】
本明細書中で使用するように、用語「サポニン」は、一般的に、グリカンとして言及される糖成分及びアグリコンとして言及される非糖成分を含むグリコシドを指す。アグリコンの構造に依存して、サポニンは、
図1Aに図示されているトリテルペノイドサポニンとして、又は
図1Bに図示されているステロイドサポニンに分類され得る。サポニンのアグリコン部分は、五環式トリテルペノイド又は四環式トリテルペノイドのいずれかであり得るが、それらの両方が30の炭素原子を含む。ステロイド系又はトリテルペノイドを問わず、サポニンはモノ、ビ、又はトリデスモディックであり得る。モノデスモディックサポニンは、単一のサッカライドを有し、通常はC-3に付着されている。ビデスモディックサポニンは、二つのサッカライドを有し、しばしば、一つがCC-3でエーテル結合を通じて付着され、他は、CC-28でエステル結合を通じて、又はC-20でエーテル結合を通じて(それぞれ五環式及び四環式トリテルペンサポニン)、あるいはC-26でエーテル結合を通じて(フロスタンサポニン)付着されている。特定の例では、ヘスペラロエバイオマスは、バイオマスの絶乾重量に基づいて、少なくとも約5重量%の総サポニン、例えば約5~約15重量%など、例えば約8~約12重量%などを含み得る。総サポニンは、下のテスト方法のセクションにおいて記載されるように決定され得る。
【0025】
本明細書中で使用するように、用語「水溶性固体」は、一般的に、抽出物が遠心分離され、濾過され、全ての水が蒸発された後に残る乾燥物質を指す。本発明のバイオマス抽出物の水溶性固体を測定するための手順が、下のテスト方法のセクションにおいて詳細に記載されている。水溶性固体は、絶乾バイオマスの質量に対するパーセンテージベースで表現され得る。
【0026】
本明細書中で使用するように、用語「不水溶性固体」は、一般的に、下のテスト方法のセクションにおいて記載されるように、水溶性固体を測定する経過中に遠心分離及び濾過により除去される抽出物の画分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、例えば、ヘスペラロエ・フニフェラ、ヘスペラロエ・ノクターナ、ヘスペラロエ・パルビフロラ、及びヘスペラロエ・チアンギイを含み、任意で、医薬的に及び栄養学的に許容可能な植物化学活性剤、希釈剤、ビヒクル、担体及び活性剤又はそれらの混合物を含む、ヘスペラロエ属の非木本植物に由来する抽出物、画分、活性化合物、及び植物化学物質又はそれらの混合物から選択される少なくとも一つの成分を含む、新規の医薬、栄養補助食品、及び食品成分組成物に関する。特に好ましい実施形態では、本発明は、ヘスペラロエ属の非木本植物に由来する水溶性固体を含む動物飼料添加剤を提供する。好ましくは、水溶性固体は、少なくとも約5重量%のサポニン、より好ましくは少なくとも約10重量%のサポニン、さらにより好ましくは少なくとも約15重量%のサポニン、例えば約5~約30重量%のサポニン、例えば約15~約25重量%のサポニンを含む。
【0028】
本発明の組成物は、例えば、ウシ、家禽、ブタ、ヒツジ、及びウマ種を含む非ヒト動物の治療のために特に十分に適切である。例として、本発明の方法及び組成物は、ウシ、ニワトリ、七面鳥、アヒル、ウズラ、ガチョウ、ブタ、及びヒツジの治療のために使用することができる。特に好ましい実施形態では、本発明の方法及び組成物は、家禽の治療のために、より具体的には、コクシジウム症の予防及び治療のために使用することができる。
【0029】
特定の実施形態では、本発明の新規の免疫学的組成物、栄養補助食品、及び食品成分は、サポニン、特にステロイドサポニンの混合物を含む。このように、本発明の組成物は、下のテスト方法のセクションにおいて示す総サポニンアッセイにより測定されるように、組成物の絶乾重量に基づいて、少なくとも5重量%のサポニンを含んでもよい。特定の実施形態では、本発明に従って使用されるサポニン含有組成物は、10重量%のサポニン、より好ましくは少なくとも約10重量%のサポニン、さらにより好ましくは、例えば約15~約25重量%のサポニン、例えば約5~約30重量%など、少なくとも約15重量%のサポニンなどを含む。組成物の効果は、存在するサポニンの総量に関連すると考えられる。このように、当業者は、特定の量のサポニンが望ましい場合、それは、投与される特定の濃度の組成物の体積を変動させること、特定の体積の組成物の濃度を変動させること、又はその両方を通じて達成することができることを理解するであろう。
【0030】
本発明において有用なサポニンはまた、ヘスペラロエ属の非木本植物から抽出されてもよい。ヘスペラロエ由来サポニンは、一般的に、ステロイドサポニンを有する。ヘスペラロエから由来するサポニンは、以下のアグリコン又はゲニンの少なくとも一つを有し得る:カンモゲニン、マノゲニン、ゲントロゲニン、ヘコゲニン、チゴゲニン、サルサポゲニン、クロロゲニン、及びジトゲニン又はそれらの対応する異性体あるいは以下のグリコシド部分の少なくとも一つを伴う(酸又は塩の形態において)酸化形態又は還元形態:グルコース、キシロース、ラムノース、アラビノース、又はガラクトース。他の実施形態では、ステロイドサポニンは、アガメノシド、アガベシド、アガボシド、マグエイシド、アガバサポニ、カンタラサポニン、シサルサポニン、ガブリトノシド、ドングノシドもしくはアモロニン、又は他のステロイドサポニンを含み得る。
【0031】
抽出物は、バイオマス、特に葉、より具体的には植物のクラウン上の葉を抽出することにより、ヘスペラロエ属の非木本植物から回収されてもよく、少なくとも一つの溶媒は、水、メタノール、エタノール、ブタノール、及びイソプロパノールならびにそれらの混合物からなる群から選択される。例えば、一実施形態では、この過程は、バイオマスを、水を含む抽出溶液と接触させ、水溶性画分を不溶性バイオマス画分から分離することを含む。他の実施形態では、抽出物溶液は、水に加えて、界面活性剤、溶媒、場合により、抽出物担持ジュースを含んでもよい。抽出物担持ジュースは、例えば、より早期の抽出工程又はより早期の粉砕工程から得ることができる。
【0032】
ヘスペラロエバイオマスの単純な水抽出は、サッカライド、ポリサッカライド、無機塩、サポニン、及びサポゲンを含む粗水抽出物をもたらし得る。粗抽出物はまた、メタノールを溶媒として使用して、又はメタノールと水の混合物を使用して産生されて、バイオマスを抽出してもよく、これは以前に、脂質及び色素を除去するためにアセトン又はジエチルエーテルで抽出されているであろう。他の例では、バイオマスは、4:1のエタノール-水溶媒で抽出してもよく、その後に非極性溶媒、例えばヘキサンなどでの抽出物の脱脂が続く。特定の例では、脱脂抽出物をさらなる処理に供して、特定の水溶性成分、例えばサポニンなどを単離してもよく、これは、ブタノールと混合してブタノール相を分離することにより脱脂抽出物から精製されて、タンパク質ならびに遊離サッカライド及びポリサッカライドを実質的に含まないサポニンの混合物を得てもよい。
【0033】
熱水抽出物も使用することができる。例えば、一実施形態では、水溶性固体は、熱水エタノール又はイソプロパノール(75~95重量%アルコール)でバイオマスを抽出することにより、ヘスペラロエバイオマス、特に葉から抽出されてもよい。水性アルコール抽出液を次に濾過及び濃縮してもよく、脂溶性物質を、抽出液を非極性溶媒、例えばヘキサンなどと混合することにより除去してもよい。実質的に純粋なサポニン組成物を次に、脱脂抽出物を極性溶媒、例えばブタノールなどでさらに抽出することにより調製してもよい。
【0034】
本発明の組成物を調製する目的のために、単純な水性抽出物が好まれ得るが、他の抽出方法が本発明の範囲内である。特に好ましい実施形態では、ヘスペラロエバイオマスは、等しく切断され、プレスされ、水溶性抽出物、例えば無機塩、サッカライド、ポリサッカライド、有機酸、及びサポニンなどを除去するために、水性溶媒で抽出されてもよい。水溶性抽出物を収集して、当技術分野において周知の技術、例えば、蒸発、噴霧乾燥、ドラム乾燥などにより濃縮してもよい。抽出物は、それが約20~約100重量%の固形分、例えば約20~約95重量%の固形分など、例えば約20~約80重量%の固形分などを有するまで濃縮してもよい。
【0035】
下でより詳細に記載するように、バイオマスを粉砕して、ロール、スクリュー、及び他の形態のプレスを使用してバガス及び水溶性固体を分離してもよい。特定の好ましい実施形態では、バイオマスを、対向逆回転ロールの一つ又は複数のニップの間に通過させて、ジュースの機械的除去を最大化する。バガスを次に、下でより完全に記載するように、その後の粉砕工程においてジュースと接触させることができる。特定の例では、バイオマスを粉砕前に等しく切断して、浄化してもよい。切断及び浄化は、当技術分野で周知の方法を使用して行ってもよい。特に好ましい実施形態では、バイオマスを、水又は他の溶媒を使用することなく、細片、例えば埃などを除去するように浄化する。
【0036】
他の実施形態では、水溶性固体は、拡散によりバイオマスから回収され得る。拡散では、バイオマスを液体と接触させて液体成分を抽出した。通常、バイオマスは、繊維への損傷を最小限にし、過度な量の微粒子の発生を避けるために、最初に切断し、剪断又は粉砕はしないことにより調製される。調製されたバイオマスを次に、通常は溶媒を使用して繰り返し洗浄し、バイオマス中に含まれる液体を抽出する。溶媒は、前述の溶媒のいずれかであることができる。例示的な処理溶媒は、水、特に熱水、例えば約40~約90℃の温度まで加熱された水などである。溶媒を循環させて、再利用することができ、第一の抽出のために使用された溶媒が、その後の調製されたバイオマスを抽出するための溶媒として再利用されるようにする。
【0037】
様々な型の拡散器が当技術分野において公知であり、本明細書中に記載するバイオマスでの使用のために適合させることができる。適切な拡散器は、リング拡散器、タワー拡散器、又はドラム拡散器を含む。例示的な拡散系は、例えば、米国特許第4,182,632号、第4,751,060号、第5,885,539号、及び第6,193,805号において考察されており、その内容は本開示と一致する様式において本明細書により組み入れられる。多数の他の拡散方法及び拡散方法のためのデバイスが公知であり、本明細書中に記載する方法における使用のために適合させることができる。一つのそのような拡散器は、Crown Iron Works(ミネソタ州ブレイン)から商業的に入手可能な連続ループ、対向流、浅床のCrown Model III Percolation Extractorである。
【0038】
バイオマスは、切断又は非切断で、上で考察したように、任意の適切な抽出方法により抽出されてもよい。特に好ましい実施形態では、抽出のために使用される溶媒は水を含む。当業者は、抽出溶媒とバイオマスの比率が、溶媒、抽出されるバイオマスの量、及び抽出手順に基づいて変動するであろうことを認識するであろう。特定の好ましい実施形態では、抽出溶媒は水であり、抽出溶媒とバイオマスの比率は、抽出溶媒のリットルに対する絶乾バイオマスのキログラムに基づいて、約1:5~約1:100、例えば約1:5~約1:50、より好ましくは約1:5~約1:20などである。
【0039】
抽出溶媒のpHは、約pH5.0~8.0の間、例えば、約pH6.0~約pH8.0の間及び約pH6.5~約pH7.5の間などとすることができる。特定の実施形態では、抽出溶媒は、約pH6.5~約pH7.5の間のpHを有する水である。抽出が粗製ジュースでの含浸を含む実施形態では、含浸液は約4.0~約5.0のpHを有してもよい。
【0040】
抽出は、約25~約90℃の間、例えば、約30~約80℃の間、約35~約75℃の間、約40~約70℃の間、約45~約65℃の間、又は約50~約60℃の間などの温度で行ってもよい。
【0041】
抽出方法がバッチ抽出方法である実施形態では、抽出時間は、約0.25~約24時間、例えば、約0.5~約2時間、約1~約8時間、又は約1~約6時間などの範囲であり得る。
【0042】
抽出方法が連続方法である実施形態では、抽出時間は、約0.25~約5時間、例えば、約0.5~約3時間などの範囲であり得る。
【0043】
抽出後、不水溶性バイオマス材料は、濾過により水溶性固体から分離されて、無機塩、サッカライド、ポリサッカライド、有機酸、及びサポニン(本明細書中では「第一の濾液」として言及される)を含む濾液が提供され得る。分離は、限定しないが、重力濾過、プレート・フレームフィルタープレス、クロスフローフィルター、スクリーンフィルター、Nutscheフィルター、ベルトフィルター、セラミックフィルター、膜フィルター、マイクロフィルター、ナノフィルター、限外フィルター、又は遠心分離を含む任意の適切な手段により達成することができる。場合により、様々な濾過補助剤、例えば珪藻土、ベントナイト、ゼオライトなどもこの方法において使用してもよい。
【0044】
分離後、第一の濾液のpHを調整して、追加の不純物を除去してもよい。一実施形態では、第一の濾液のpHは、ゆっくりした撹拌を伴う、塩基、例えば、酸化カルシウム又は水酸化カルシウム(濾液の体積から約1.0%)などを用いた処理により約8.5~約10.0の間に調整することができる。
【0045】
特に好ましい実施形態では、水溶性固体は、場合により含浸及び/又は脱ピスを伴う、一連のミル、例えばタンデムに配置された二、三、四、五、六、又は七つのミルなどにより、バイオマスから除去される。一般的に、本発明によるバイオマスの処理によって、少なくとも約25%の水溶性固体、より好ましくは少なくとも約50%、さらにより好ましくは少なくとも約75%、例えば約25~約98%など、例えば約50~約90%など、例えば約75~約90%などがバイオマスから除去される。
【0046】
バイオマスから回収された水溶性固体の量は、抽出効率に依存して変動し得るが、しかし、特定の例では、約100~約400グラムの水溶性固体、例えば約120~約350グラム/キログラムなど、例えば約150~約300グラム/キログラムなどが、絶乾バイオマスの1キログラム当たりで抽出されてもよい。抽出された水溶性固体のうち、総サポニンは、水溶性固体の絶乾重量に基づいて、約5~約40重量%、例えば約10~約30重量%などを含み得る。特定の例では、バイオマスから抽出され得る総サポニンの量は、約10~約400グラム/バイオマスの絶乾キログラム、例えば約20~約300グラムなど、例えば約25~約200グラムなど、例えば約10~約100グラムなどの範囲であり得る。特定の例では、抽出過程の間にバイオマスから除去された材料の量(1キログラムの絶乾バイオマス当たりの絶乾グラム)は、下の表1に示す範囲であり得る。
【表1】
【0047】
サポニンに加えて、水溶性固体は、サッカライド、タンパク質、脂質、及び無機塩を含み得る。例えば、特定の例では、水溶性固体は、水溶性固体の絶乾重量に基づいて、少なくとも約1重量%のサッカライド、例えば約1~約15重量%など、例えば約2~約10重量%などを含み得る。サッカライドはモノサッカライド及びオリゴサッカライドを含んでもよい。他の例では、水溶性固体は、水溶性固体の絶乾重量に基づいて、少なくとも約15重量%の無機塩、例えば約15~約30重量%などを含み得る。
【0048】
一般的に、粉砕は、約5~約9、例えば約6~約7~約8などの範囲のpHを有する水性溶媒、例えば水などの添加により行う。水溶性固体は、一般的に、粗抽出物として粉砕過程から回収され、特定の化合物、例えばサッカライド、ポリサッカライド、有機酸、及びサポニンなどを回収するためにさらなる処理に供してもよい。
【0049】
浮遊固体は、本明細書中で不水溶性画分としても言及され、場合により、例えば、清澄、濾過、遠心分離、又はそれらの組み合わせを含む周知の過程により粗抽出物から除去してもよい。抽出物中の不水溶性固体の量(1キログラムの絶乾バイオマス当たりの絶乾グラム)は、約1.0~約30グラムの範囲であってもよく、疎水性物質、例えばワックスなどを含んでもよい。
【0050】
浮遊固体の除去後、清澄化されたジュースを直接的に使用する、濃縮する、又はさらなる処理に供して、一つ又は複数の水溶性固体、例えばサッカライド、ポリサッカライド、有機酸、サポニン、及びサポノニンなどを単離してもよい。他の例では、清澄化されたジュースをさらに精製して、サッカライド、ポリサッカライド、及び有機酸を除去し、サポニンを含む組成物を得てもよい。
【0051】
前述の抽出方法から結果として得られるジュースを、さらなる抽出に供して、粗サポニン抽出物の形態で、又は約30~約90重量%の濃度でサポニンを含むその実質的に精製された形態でサポニンを得ることができる。抽出方法は、ヘスペラロエ属の非木本植物から抽出されたジュースを、水不混和性極性溶媒と混合することを含み得る。適切な水不混和性極性溶媒は、例えば、4~6個の炭素原子を有するアルコール、例えばブチル、アミル、ヘキシル、及びシクロヘキシルアルコールなどを含む。水不混和性極性溶媒を用いたジュースの抽出によって、一般的に、水相中に残る不純物、例えばタンパク質、糖、及び有機酸などが除去されて、サポニンが溶媒相に移される。
【0052】
サポニンを含む溶媒相は、アルコール相からサポニンを分離するためのさらなる処理に供してもよい。これは、様々な方法において、例えば、冷却により、溶媒抽出物を脱水することにより、又はアルコール溶媒と混和性であるが、しかし、サポニンが不溶性である有機溶媒を加えることにより達成することができる。適切な沈殿溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、石油エーテル、アセトン、及びクロロホルムを含む。
【0053】
特に好ましい実施形態では、サポニンは、フラッシュ蒸発によりアルコールから分離される。フラッシュ蒸発は、液体混合物からの揮発性成分の迅速な除去のための分取化学において公知の技術である。揮発性液体は、しばしば、周囲温度を上回るが、しかし、大気圧での溶液の沸点を下回る、溶液の温度の増加を伴う減圧下で、大きな表面積にわたり溶液の薄いフィルムを作ることにより、蒸気相への迅速な変換により溶液から除去される。フィルムの実際の厚さ及びそれが適用される領域は、最適な蒸発及び使いやすさを提供するように選ばれるが、しかし、蒸発は実質的に瞬間的であり得る(それ故に、名称は「フラッシュ」蒸発)。フラッシュ蒸発では、意図される産物を分解し得る、高い温度の長期使用が回避され、アルコール成分のほとんど全てを除去する能力を有する(それによって、次の工程において用いられる噴霧乾燥の好ましい実施のために、残りの溶液が適切となる)。アルコールは、この工程から回収されて、この抽出方法において再利用されてもよい。
【0054】
アルコール抽出物のサポニン含量は、サポニン組成物に対する有意な変化又はその損失を伴うことなく、限外濾過膜上の通過によりさらに増加させることができる。サポニン含量が85~90%の範囲中にあるこの濃縮サポニン画分は、次に、液体状態でさらに精製する、又は乾燥状態まで低減することができる。個々のサポニンは、逆相固相抽出及び分取逆相HPLCの組み合わせにより回収され得る。あるいは、サポニンを含むアルコール抽出物は、逆相固相抽出及び分取逆相HPLCの組み合わせにより直接的に分画することができる。
【0055】
さらに他の実施形態では、サポニンは、本発明に従って調製されたジュースから精製してもよく、ジュースを塩及び溶媒と混合して第一の溶液を形成する工程を含む。溶媒は、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1-ブタノール、2-ブタノール、2-ブタノン、t-ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジエチレングリコール、ジエチルエーテル、ジグリム、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ヘキサン、メタノール、メチル-t-ブチルエーテル、塩化メチレン、N-メチル-2-ピロリジノン、ペンタン、パークロロエチレン、石油エーテル、1-プロパノール、2-プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、トリエチルアミン、トリフルオロトルエン、水、キシレン、又は前述の任意の組み合わせから選択される一つ又は複数の溶媒を含み得る。一部の実施形態では、溶媒は水である。塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩、遷移金属塩、アンモニウム塩、又は前述の組み合せから選択され得る。特定の好ましい実施形態では、溶液を形成するために植物抽出物に加えられる塩は、アルカリ土類金属塩である。特に好ましい実施形態では、塩は、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)、又はそれらの混合物である。
【0056】
第一の溶液のpHは、一般的に、約6.0~約9.0、例えば約6.0~約8.0など、例えば約6.0~約7.0などのpHに調整される。少なくとも一つのリン酸を次に、第一の溶液に加えて、イオン-ポリサッカライド複合体沈殿物を形成してもよい。有用なリン酸は、例えば、リン酸水素ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸ナトリウム(Na3PO4)、又はビスリン酸水素ナトリウム(Na2H2PO7)を含む。
【0057】
沈殿したイオン-ポリサッカライド複合体を濾過により除去して、第二の溶液を得てもよく、これを、精製サポニンの抽出物を産生するためにさらに浄化してもよい。場合により、抽出物を、先行技術において公知の任意の濾過技術により濃縮することができる。好ましくは、精製サポニンの抽出物の濃縮を、ナノ濾過、限外濾過、及び透析濾過、又はこれらの技術の任意の組み合わせにより行う。一部の実施形態では、サポニン抽出物は、タンパク質を実質的に含まない。一部の実施形態では、サポニン抽出物は、ポリサッカライドを実質的に含まない。一部の実施形態では、サポニン抽出物は、フェノール化合物を実質的に含まない。
【0058】
さらに他の実施形態では、サポニンは、超音波処理を伴い、水中の90%アセトニトリルの溶液を用いて室温で抽出する際にバイオマスを粉砕し、続いて真空下で溶媒を濾過及び除去することによりヘスペラロエバイオマスから抽出してもよい。サポニンを、CHCl3-MeOH-水(4:4:2 v/v)を使用した高速液体クロマトグラフィーによりさらに精製して、MeOHから再結晶され得る様々な画分を得てもよい。
【0059】
本発明によるヘスペラロエバイオマスから抽出され得るサポニンの総量は、絶乾バイオマス1キログラム当たり約10~約100グラム、例えば約20~約80グラムなど、例えば約25~約75グラムなどの範囲であり得る。サポニンは、粗製ジュースの一部として、乾燥水溶性固体組成物の一部として、部分的に精製された組成物として、又はサポニンの混合物を含む実質的に純粋な組成物として提供されてもよい。
【0060】
特定の実施形態では、ヘスペラロエバイオマスから抽出されたサポニンは、25(27)-デヒドロフクレアスタチン(
図2A)、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシド(
図2B)、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシド(
図2C)、ファークレアスタチン、及びユッカロイシドを含む。
【0061】
本発明において有用な組成物は、ヘスペラロエバイオマスからの水性抽出物を、グリセロール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなど、ならびにポリグリセロールを含む、一つ又は複数のポリヒドロキシアルコールと混合することにより調製され得る。好ましいポリヒドロキシアルコールは、約八個未満の炭素原子を有する。グリセロール及びプロピレングリコールは、特に好ましいポリヒドロキシアルコールである。
【0062】
組成物はまた、サッカライドを含み得るが、それは、水性抽出物中に存在し得る、又は製剤化の間に抽出後に加えられ得る。本発明の組成物において有用なサッカライドは、モノサッカライド、例えばグルコースなど、ジサッカライド、例えばスクロースなど、及びポリサッカライド、例えばデンプンなどを含む。
【0063】
さらに他の実施形態では、本発明の実施形態による組成物は、非ヒト動物の維持及び福祉のために利益を有するように、当技術分野において公知の様々な他の添加剤を含むことができる。例として、組成物は、成分、例えばビタミンE、プロピオン酸ビタミンA、パルミチン酸ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、D-活性化動物ステロール(ビタミンD3の供給源)、酵母成分、乾燥卵固体、乾燥カゼイン、及び乾燥ホエイなどを含むことができる。
【0064】
本発明のサポニン含有組成物は、液体形態又は乾燥形態であってもよい。一例として、ヘスペラロエ抽出物を含むサポニンを粉末形態に乾燥させてもよい。この形態では、サポニン含有組成物は、ピルもしくはボーラスとして動物に投与されてもよく、又は他の成分、例えば給餌食などと混合されてもよい。例えば、サポニン含有組成物の乾燥粉末製剤は、マイクロ成分機械を介して給餌食に加えてもよく、又は給餌混合トラックに加えて、徹底的に混合されて、給餌における均等な分布を保証してもよい。サポニン含有抽出物はまた、担体として水と共に液体として製剤化され、液体水薬として動物に投与されてもよい。
【0065】
本発明のサポニン含有組成物は、それを必要とする非ヒト動物に、給餌レジメンの一部として、単回投与として、複数回投与として投与されてもよい。例えば、非ヒト動物は、初期用量を受けて、次に、より少ない量でその後の維持用量を受けてもよい。非ヒト動物は、1日において複数用量のサポニン含有組成物を受けてもよく、又は複数日にわたり複数用量を受けてもよい。
【0066】
特定の実施形態では、非ヒト動物、特に鳥類、及びより具体的には家禽は、動物の摂食特性を改善する、及び/又は未処置対照動物と比較して動物の生産特性を改善するのに有効な量で、サポニン含有組成物で処置することができる。生産特性には、カーカス品質グレード、産出グレード、平均一日当たり増加などが含まれ得る。一実施形態では、家禽への飼料添加物として投与されるとき、飼料100kg当たりのサポニンの量は、好ましくは、少なくとも約1g/100kg、例えば約1~約50g/100kg、例えば約2~約40g/100kgである。
【0067】
基礎動物飼料は、乾燥飼料、又は液体飼料であってもよく、本発明の組成物は、液体、スラリー、乾燥粉末、乾燥顆粒混合物、ペースト、ペレット、又はブロックとして製剤化されてもよい。適切な飼料は、サポニンをを含有する抽出物を、動物の飼料として一般的に用いられる適切な基礎動物飼料に、例えば混合又は噴霧などして、適用することによって調製され得る。本発明に有用な典型的な基礎動物飼料は、コーンミール、コーンコブグリット、大豆ミール、アルファルファミール、もみ殻、大豆ミルラン、綿実油ミール、骨ミール、粉砕トウモロコシ、コーンコブミール、粗挽き小麦、石灰石、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム、尿素、蒸留乾燥穀物、ビタミン及び/又はミネラル混合物、サトウキビ糖、又は他の液体担体などのうちの一つ又は複数を含み得る。かかる基礎動物飼料は、サポニンの均一な分布及び投与を促進する。
【0068】
さらに他の実施形態では、本発明の組成物は、免疫賦活、免疫刺激又はアジュバントとして有用であり得る。例えば、特定の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、免疫応答を増加させ、病変スコアを低下させ、コクシジウム症から生じるオーシスト脱落を低減させるために、それを必要とする家禽にエイメリアワクチンで投与される。本発明の免疫原性組成物を、約50μg未満の用量レベル、例えば約40μg未満など、例えば約30μg未満など、例えば約1~約50μgなど、例えば約5~約30μgなどの、免疫応答を増加させるために適切な用量体積で経口又は皮下に送達してもよい。
【0069】
一実施形態では、本発明は、抗原及びヘスペラロエ属の非木本植物から抽出されたサポニンを含むワクチン組成物を提供する。適切な抗原は、微生物病原体、細菌、ウイルス、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ペプチド、グリコペプチド、リポペプチド、トキソイド、糖、及び腫瘍特異的抗原を含む。二つ以上の抗原の混合物を用いてもよい。
【0070】
特に好ましい実施形態では、本発明は、非ヒト動物の免疫反応を強化する方法を提供し、この方法は、それを必要とする非ヒト動物に、ヘスペラロエ属の非木本植物から抽出されたサポニン及び抗原を投与することを含む。特定の好ましい実施形態では、本発明の組成物を、非ヒト動物、特に家禽におけるコクシジウム症の予防のために意図されるワクチンで投与してもよく、コクシディアは、エイメリア、イソスポラ、トキソプラズマ、ベスノイティア、及びネオスポラからなる群から選択されることを特徴とする。このように、本発明は、ワクチン及び他の免疫刺激組成物を作製及び使用して疾患を治療又は予防する際に、例えば非ヒト動物において抗原に対する活性免疫を誘導する際に特に有利であるアジュバントシステムを提供する。
【0071】
本発明の組成物は、広い範囲の投与量及び投与される抗原に対する広い範囲の比率にわたり投与される場合に、アジュバント効果を示す。一実施形態では、総サポニンと抗原との重量比は、3.0以下、好ましくは1.0以下である。
【0072】
サポニンは、粗製形態又は精製形態のアジュバントとして使用されてもよく、抗原に対する免疫応答の増強を達成するために他の非サポニンアジュバントと混合されてもよい。本発明で有用なそのような非サポニンアジュバントは、オイルアジュバント(例えば、Freund完全及び非完全)、リポソーム、ミネラル塩(例えば、AlK(SO4)2、AlNa(SO4)2、AlNH4(SO4)、シリカ、アルム、Al(OH)3、Ca3(PO4)2、カオリン、及び炭素)、ポリヌクレオチド(例えば、ポリIC酸及びポリAU酸)、特定の天然物質(例えば、マイコバクテリウム・ツベルクローシスからのワックスD、ならびにコリネバクテリウム・パルフム、ボルデテラ・パータシス、及びブルーセラ属のメンバーにおいて見出される物質)である。
【0073】
テスト方法
水溶性固体
総バイオマス水溶性固体は、Accelerated Solvent Extraction system(ASE)、例えばDionex(商標)ASE(商標)350(Thermo Fisher Scientific社、マサチューセッツ州ウォルサム)などを使用して決定してもよい。約10グラムの回収されたバイオマスを、オーブン中で、典型的には125℃で4時間、一定重量に乾燥させる。乾燥後、1.5~2.0グラムの絶乾バイオマスを正確に秤量し、重量(W
b)を0.001グラム単位まで記録した。水を溶媒として使用して、バイオマスを、下の表中に示す条件を使用して抽出する。バイオマス対溶媒の比率は一般的に21:1であり、五回の連続水抽出サイクルが実施される。各々の抽出サイクルの終了時に、液相を収集し、約40℃で真空下で乾燥させ、乾燥材料(W
i)の重量を0.001g単位まで記録する。水溶性固体の総重量(W
e)を、各々の抽出サイクル(W
i)から回収された固体の重量を合計することにより算出する。絶乾バイオマスのパーセンテージとしての総水溶性固体を次に、以下の等式を使用して決定する:水溶性固体(重量%)=W
e/W
b*100。
【表2】
【0074】
バイオマス抽出物中の総水溶性固体は、適したアリコート、典型的には約10~50mlを取り出し、清潔な、乾燥した遠心分離管に移すことにより決定され得る。チューブを7000rpmで20分間にわたり遠心分離する。抽出物の重量(W
1)を算出する。上清のアリコートを次に、清潔な、予め秤量されたビーカー(D
0)に移し、秤量する。。ビーカー及びサンプルを次に、0.001g単位まで秤量し、重量(D
2)を記録する。サンプルを含むビーカーを次に、一晩乾燥するために熱風オーブン中で、140℃に置く。ビーカーをオーブンから取り出し、乾燥させ、室温まで冷却し、次に0.001グラム(D
1)単位まで秤量する。可溶性固体の重量パーセンテージを、抽出物の重量に基づいて、以下の式を使用して決定する:
【数1】
D
1=空ビーカー+乾燥可溶性固体の質量、D
0=空ビーカーの質量、D
2=バイオマス抽出物及び空ビーカーの質量。
【0075】
総サポニン
総サポニンを、一般的に、Makkar,Harinder P.S.,Sidhuraju,P.,Becker,Klaus(2007)Plant Secondary Metabolites,chapter 17,pp93-100において記載されるように測定した。標準的なサポニン溶液を、10mgのジオスゲニン(MilliporeSigma>93%)を秤量し、16mLのメタノール中に溶解し、4mLの蒸留水を加えることにより調製した。溶液を徹底的に混合し、80%メタノール溶媒中の0.5mg/mLのジオスゲニン溶液を得た。標準を使用して、様々な量の標準(0、10、20、40、60、80、及び100μL)を13mmガラス試験管中に移すことにより検量線を作成した。80%水性メタノールの溶液を総体積100μLまで加えた。
【0076】
テストの前に、バイオマス抽出物のサンプルを、水での希釈により、約0.5重量%の総固形分に調整して、吸光度の結果が、サポニン標準検量線の範囲に沿っていることを確実にした。希釈された抽出物(20μL)のサンプルを、13mmのガラス試験管中にピペットで分注し、体積を80μLのメタノールで100μLまで上げた。各々のサンプルを三通りにテストした。
【0077】
各々のサンプルに、100μLのバニリン試薬(800mgのバニリンを10mLの99.5%エタノール(分析グレード)中に溶解することにより調製)、次に、1.0mLの72%(v/v)硫酸(72mLの硫酸(分析グレード、95%、w/w)を28mLの蒸留水に加えることにより調製された72%(v/v)硫酸)を加えた。溶液をよく混合し、60℃で10分間にわたり加熱した。サンプルを次に氷浴中で冷却し、1mLの溶液をそれぞれのキュベット中に移し、544nmでの吸光度を読み取った。サンプル中のサポニンの総質量を、以下のように、標準吸光度曲線に基づいて算出してもよい。
サポニン(μg)=[勾配]×測定吸光度-[インターセプト]
【実施例】
【0078】
実施例1
合計で150匹の一日齢のブロイラー雛を、28日間のケージ試験において六つの実験群に無作為に分配した。生コクシディアを、トリに、それらの生後14日目に手作業で導入した。処置コードは、表2中に列挙するように、コクシジウムチャレンジを伴う(対照+)及び伴わない(対照)基礎食を使用した二つの対照コードを含んだ。残りの処置コードは全て、二つの異なる投与量での本発明の組成物で濃縮された基礎食、又は商品名FOAMATION(商標名)(Ingredionから商業的に入手可能、イリノイ州ウェストチェスター)の下で市販されているユッカ抽出物を使用し、コクシジウムでチャレンジした。FOAMATION(商標)は、組成物の50重量%の水溶性固体を含んだが、そのうちサポニンが10重量%を構成した。各々のペンについての鳥の体重増加(BW)及び飼料消費量を毎週測定した。飼料換算率(FCR)は、消費された飼料のキログラムと体重増加のキログラムの間の比率である。より低いFCR値は、より良い飼料を示す。
【表3】
【0079】
本発明の抽出物は、クラウン上の成熟したヘスペラロエ・フニフェラの葉を回収し、葉を約0.50~約8.0cmの範囲の切片に切断し、切断バイオマスを、タンデムプレスを使用してプレスすることにより調製した。バイオマスを三回プレスし、粗製ジュースを収集し、25mmフィルターを通過させ、加熱して抽出物を29%固体に濃縮した。水溶性固体は、水溶性固体の絶乾重量に基づいて、21重量%の総サポニンを含んだ。
【0080】
28日間の治験の終了時に、チャレンジされた対照(対照+)群は、チャレンジを伴わない対照と比較して、飼料消費量が約140g/鳥だけ減少し、体重増加が約160g/鳥だけ低減した。これらの減少は、しかし、下の表3中に図示するように、本発明の組成物を含む飼料を投与されたニワトリでは観察されなかった。
【表4】
【0081】
実施例2
生後一日目のブロイラー雛計512羽を8つの実験群にランダムに分配し、各群8ケージ、ケージ当たり8羽で21日間の試験を実施した。生きたコクシジウムを、生後14日齢で若い鳥に手作業で導入した。鳥の体重増加(WG)、飼料変換率(FCR)、病変スコア、及びオーシスト数を測定した。処置コードは、表4中に列挙するように、コクシジウムチャレンジを伴わない(対照)及びチャレンジを伴う(対照+)基礎食を含んだ。残りの処置コードは、Coban(Elanco Animal Health、インディアナ州グリーンフィールドから商業的に入手可能)、Micro-Aid Green(DPI Global,カリフォルニア州ポータービルから商業的に入手可能)、及び二つの異なる投与量での二つの異なる本発明のサンプルを伴う基礎食を使用したコクシジウムチャレンジドコードであった。基礎飼料は、全米研究評議会の家禽に対する最低要求事項を満たしていた。
【表5】
【0082】
本発明のサンプル1を、クラウン上の成熟したヘスペラロエ・フニフェラの葉を回収し、葉を約0.50~約8.0cmの範囲の断片に切断し、切断バイオマスをタンデムプレスを使用してプレスすることにより調製した。バイオマスを三回プレスし、粗製ジュースを収集し、25mmフィルターを通過させ、加熱して抽出物を29%固体に濃縮した。本発明のサンプル2を、クラウン上の成熟したヘスペラロエ・フニフェラの葉を回収し、葉を約0.50~約8.0cmの範囲の断片に切断し、切断バイオマスをタンデムプレスを使用して一回プレスすることにより調製し、その後、収集されたジュースを加熱し、14%固体を有する抽出物を得た。全ての処理材料を、各々の添加剤を、ミキサー中の指定されたローディングレベルで基礎飼料に混合することにより作製した。
【0083】
本発明の組成物を給餌されたニワトリは、下の表5中に要約するように、体重増加、改善された飼料転換率、減少した病変スコア、及びより低いオーシストを示した。多くの例では、改善は、Coban又はMicro-Aid Greenを給餌されたニワトリで観察された改善と同等、又はより良好であった。サポニンの比較的低用量でさえ、本発明の組成物は効果的である。
【表6】
【0084】
本発明の組成物は、コクシジウム症を低減又は予防する際に特に有用である。病変スコアは、0~4の間のスコア(0は正常な腸の外観を示す一方で、4は重度の損傷した腸を示す)で、ニワトリの腸損傷を通じたコクシジウム症の発生を評価する手段である。本発明の組成物を3週間にわたり給餌されたニワトリは、チャレンジされていない対照と比較して、改善した病変スコア(23~27%)を示した。感染の例を低減し、ニワトリの消化器系を保護することにより、ニワトリはより良く消化し、栄養素を吸収し、より速い速度で成長することができた。
【0085】
実施形態
第一の実施形態:
動物飼料組成物は、基礎動物飼料及び
ヘスペラロエ属の非木本植物から抽出された水溶性固体を含み、少なくとも一つのサポニンを含む。
第二の実施形態:
組成物が液体、スラリー、乾燥粉末、乾燥顆粒混合物、ペースト、又は固体である、第一の実施形態に記載の動物飼料組成物。
第三の実施形態:
動物飼料組成物が、コーンミール、コーンコブグリット、大豆ミール、アルファルファミール、もみ殻、大豆ミルラン、綿実油ミール、骨ミール、粉砕トウモロコシ、コーンコブミール、粗挽き小麦、石灰石、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム、尿素又は蒸留乾燥穀物のうちの一つ又は複数を含む、第一又は第二の実施形態に記載の方法。
第四の実施形態:
基礎動物飼料が水を含み、液体である、第一から第三の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
第五の実施形態:
サポニンの総量が、動物飼料100kg当たり約1~約100gの範囲である、第一から第四の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
第六の実施形態:
少なくとも一つのサポニンが、カンモゲニン、マノゲニン、ゲントロゲニン、ヘコゲニン、チゴゲニン、サルサポゲニン、クロロゲニン、又はジトゲニン、ならびにグルコース、キシロース、ラムノース、アラビノース、及びガラクトースから選択される少なくとも一つのグリコシド部分を含む、第一から第五の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
第七の実施形態:
少なくとも一つのサポニンが、25(27)-デヒドロフクレアスタチン(
図2A)、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC(
図2B)、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC(
図2C)、ファークレアスタチン又はユッカロイシドCである、第一から第六の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
第八の実施形態:
水溶性固体の質量が、基礎動物飼料1キログラム当たり約100~約1,000gの範囲である、第一から第七の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
第九の実施形態:
水溶性固体が、約10~約25重量%のサポニンを含む、第一から第八の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
第十の実施形態:
環境アンモニア及び臭気を低減し、コレステロール低下効果を提供し、炎症を低減し、抗原虫効果を提供し、寄生線虫を制御し、体重増加を促進し、又は飼料転換効率を改善するために、非ヒト動物に、第一から第九の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物を投与すること。
第十一の実施形態:
コクシジウム症の予防及び治療のために、第一から第九の実施形態のいずれか一つの動物飼料組成物を家禽に経口投与すること。
【国際調査報告】