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特表2023-531396アンモニア生成を低減するための動物飼料組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】アンモニア生成を低減するための動物飼料組成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/168 20160101AFI20230714BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20230714BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20230714BHJP
【FI】
A23K20/168
A23K10/30
A23K20/163
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576129
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 US2021038278
(87)【国際公開番号】W WO2021258059
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/041,224
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310007106
【氏名又は名称】キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャノン、トーマス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ、ニン
【テーマコード(参考)】
2B150
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AB10
2B150AE13
2B150DD44
2B150DD57
2B150DF01
(57)【要約】
ヘスペラロエ属の非木本植物から抽出されたサポニンを含む動物飼料組成物が開示される。一般的に水溶性画分を構成するサポニン含有抽出物は、アンモニアの生成を減少させるための基礎動物飼料への添加剤として有用である。特定の実施形態では、本発明のサポニン含有組成物は、タンパク質分解性微生物を阻害し、アンモニアを減少させ、動物福祉および動物性能を改善し得る。他の実施形態では、本発明のサポニン含有組成物の非ヒト動物への投与は、ウレアーゼ抑制を介したガス状アンモニアの放出を阻害する。本発明の組成物は、非ヒト動物、特に家禽に投与されて、アンモニアの放出を低減し得る。特定の実施形態では、動物飼料組成物は、基礎動物飼料およびヘスペラロエ属の非木本植物由来の抽出物を含み、抽出物は、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-デヒドロユッカロイシドC、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC、フルクレアスタチン、ユッカロイシド、またはそれらの混合物を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス放出を低減するための動物飼料組成物であって、前記飼料が、
a.基礎動物飼料、および
b.ヘスペラロエ属の非木本植物由来の抽出物であって、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC、フルクレアスタチン、ユッカロイシド、またはそれらの混合物を含む抽出物、を含む、動物飼料組成物。
【請求項2】
100kgの基礎動物飼料当たり約1~約100gの総サポニンを含む、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項3】
抽出物固体が、サッカライド、タンパク質、脂質、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項4】
前記抽出物が、サッカライド、タンパク質、および脂質を実質的に含まない、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項5】
前記抽出物が、少なくとも約90%未満の水溶性固体を含む、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項6】
前記粗抽出物が、約2%未満の不水溶性固体を含む、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項7】
前記抽出物が、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシド、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシド、フルクレアスタチン、およびユッカロイシドを含む、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項8】
前記非木本植物が、ヘスペラロエ・フニフェラ、ヘスペラロエ・ノクターナ、ヘスペラロエ・パルビフロラおよびヘスペラロエ・チアンギイから選択される、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項9】
基礎動物飼料1キログラム当たり約100~約1,000gの水溶性固体を含む、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項10】
前記抽出物が、約5~約25重量%のサポニンを含む、請求項1に記載の動物飼料組成物。
【請求項11】
前記サポニンが、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシド、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシド、フルクレアスタチン、およびユッカロイシドCの混合物を含む、請求項10に記載の動物飼料組成物。
【請求項12】
非ヒト動物由来のガス放出を低減する方法であって、基礎動物飼料およびヘスペラロエ属の非木本植物由来の抽出物を含む飼料組成物を投与することを含み、前記抽出物が少なくとも一つのサポニンを含む、方法。
【請求項13】
前記サポニンの総量が、動物飼料100kg当たり約1~約100gの範囲である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抽出物が、サッカライド、タンパク質、および脂質をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記抽出物が、サッカライド、タンパク質、および脂質を実質的に含まない、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも一つのサポニンが、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシド、フルクレアスタチン、およびユッカロイシドCから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記抽出物が、25(27)-デヒドロフクレアスタチン、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシド、フルクレアスタチン、およびユッカロイシドCの混合物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記飼料組成物が、基礎動物飼料1キログラム当たり約100~約1,000gの水溶性固体を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記抽出物が、約10~約25重量%のサポニンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記ガス放出が、アンモニアまたは二酸化炭素である、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記非ヒトが、ウシ、家禽、ブタ、ヒツジ、またはウマ種である、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記飼料組成物が経口投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記飼料組成物が、液体、スラリー、乾燥粉末、乾燥顆粒混合物、ペースト、または固体である、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記基礎動物飼料が、コーンミール、コーンコブグリッツ、大豆ミール、アルファルファミール、もみ殻、大豆ミルラン、綿実油ミール、骨ミール、粉砕トウモロコシ、コーンコブミール、粗挽き小麦、石灰石、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム、尿素または蒸留乾燥穀物のうちの一つまたは複数を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
前記基礎動物飼料が水を含み、液体である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
植物は、多種多様な種別の有機化合物を生成し、その大多数が、それらの成長および発生に直接関与していないように見える。これらの物質は、従来、二次代謝物または植物天然産物と呼ばれ、しばしば、植物界内の限定された分類群の間に分布する。二次代謝産物の機能は、大部分が未知であるが、多くの化合物が、花粉媒介者および種子分散動物のための誘引物質として、ならびに植物種間の競争に影響を与える化合物(アレロケミカル)として、植物に有用な特質、例えば、草食動物に対する保護および微生物感染に対する保護に関連付けられてきた。植物天然産物における関心は高まっている。なぜなら、これらの産物は、しばしば、製薬業界、化粧品業界、食品業界、洗剤業界など、様々な種類の産業において幅広い用途を有するからである。
【0002】
目的の植物二次代謝物の特定の群は、サポニンである。サポニンは、トリテルペノイド、ステロイド、またはステロイド系グリコアルカロイドのいずれかとして分類されるグリコシル化化合物である。サポニンは、アグリコンに結合される一つまたは二つの糖部分(それぞれモノおよびビスデスモシド)からなる。サポニンは、酸加水分解または酵素方法により、サポゲニンおよび糖部分に加水分解することができる。サポニンは一般的に、600~2,000ダルトン超の範囲の分子量を伴う水溶性高分子量化合物である。
【0003】
それらの疎水性(アグリコン)部分および親水性(糖)部分の非対称分布は、これらの化合物に両親媒性の特徴を付与し、それらは、主にそれらの界面活性剤様の特性に関与する。表面張力を下げる能力によって、サポニンは、化粧品業界におけるおよび洗剤業界における使用のために潜在的に十分に適する。
【0004】
サポニンはまた、コレステロールを伴う不溶性複合体を形成する能力を有しており、それによって、それらの一部が、コレステロール低下剤として製薬業界における使用のために適切となる。他のサポニンは、ワクチン戦略において有用である免疫刺激複合体の形成に関連付けられる。
【0005】
現在、サポニンの広範な活用に対する主要な制限は、商業的に入手可能なサポニンが比較的高価であるという事実である。この費用は、大部分が、相当量のサポニンを有する、限られた数の植物抽出物に起因する。現在、サポニンを含む、商業的に入手可能な植物抽出物は、サポナリア・オフィシナリス、キラヤの樹皮および茎、カスタネア・サティバの種子、ならびに様々なユッカ種の抽出物を含む。
【0006】
サポニンを含む植物抽出物は、このように、幅広い異なる業界内で一般の関心となっている。従って、サポニン抽出物の代替的な供給源についての、当技術分野における必要性は増しており、これらの植物供給源は、好ましくは、安価で、得ることが簡単であり、好ましくは、サポニン含量は比較的高いはずである。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、ヘスペラロエ属の非木本植物から抽出された水溶性固体が、アンモニアの生成を減少させるための基礎動物飼料への添加剤として有用であり得る一つまたは複数のサポニンを含むことを、今発見した。特定の実施形態では、本発明のサポニン含有組成物は、タンパク質分解性微生物を阻害し、アンモニアを減少させ、動物福祉および動物性能を改善し得る。他の実施形態では、本発明のサポニン含有組成物の非ヒト動物への投与は、尿素の二酸化炭素とアンモニアへの加水分解に触媒作用を及ぼし、ガス状アンモニアの放出をもたらす、ウレアーゼの抑制を介してガス状アンモニアの放出を阻害する。
【0008】
したがって、一実施形態では、本発明は、非ヒト動物の消費に安全であり、アンモニア放出を減少させ、有益な健康効果を有し、それを用いて処置された動物の成長を強化できる、新規の医薬品、栄養補助食品および食品成分組成物を提供する。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、例えば、ヘスペラロエ・フニフェラ、ヘスペラロエ・ノクターナ、ヘスペラロエ・パルビフロラ、およびヘスペラロエ・チアンギイを含むヘスペラロエ属の非木本植物由来の抽出物、画分、活性化合物、植物化学物質、またはその混合物から選択された、少なくとも一つの構成要素を含む新規の医薬品、栄養補助食品および食品成分組成物を提供する。新規の医薬品、栄養補助食品、および食品成分組成物は、任意に、薬学的および栄養学的に許容可能な植物化学活性剤、希釈剤、ビヒクル、担体、および活性剤またはそれらの混合物のうちの一つまたは複数を含有してもよい。
【0010】
特に好ましい実施形態では、本発明は、ヘスペラロエ属の非木本植物に由来する水溶性固体を含む動物飼料添加剤を提供する。好ましくは、水溶性固体は、少なくとも約2重量%のサポニン、より好ましくは少なくとも約5重量%のサポニン、さらにより好ましくは少なくとも約10重量%のサポニン、例えば約2~約30重量%のサポニン、例えば約5~約25重量%のサポニンを含み、重量パーセントは、水溶性固体の総絶乾重量に基づく。特に好ましい実施形態では、本発明は、基礎動物飼料およびヘスペラロエ属の非木本植物に由来するサポニン混合物を含む動物飼料組成物を提供する。特定の実施形態では、サポニン混合物は、一つまたは複数の25(27)-デヒドロフクレアスタチン(図2A)、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC(図2B)、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシド(図2C)、フルクレアスタチン、およびユッカロイシドを含む。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、ヘスペラロエ属の非木本植物に由来する、抽出物、画分、活性化合物、および植物化学物質、またはそれらの混合物から選択される少なくとも一つの成分を含む、医薬、栄養補助食品、または食品成分組成物を投与することによって、非ヒト動物、特に鳥類、およびより具体的には家禽の一つまたは複数の状態を治療、制御、または予防する方法を提供する。例えば、ヘスペラロエバイオマスに由来するサポニン含有組成物は、非ヒト動物に投与されて、環境アンモニアおよび臭気を低減し得る。特に好ましい実施形態では、本発明のサポニン組成物は、環境アンモニアおよび臭気を低減するために、家禽に経口的に投与されてもよい。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、基礎動物飼料を含む動物飼料組成物、およびヘスペラロエ属の非木本植物から抽出され、少なくとも一つのサポニンを含む水溶性組成物を提供する。特に好ましい実施形態では、サポニンの総量は、飼料の総質量に基づいて、100kgの飼料当たり約1.0~約30.0グラムの範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A図1Aおよび図1Bは、それぞれトリテルペノイドサポニンおよびステロイド系サポニンを示す。
図1B】同上。
図2A図2A~Cは、25(27)-デヒドロフクレアスタチン(図2A)、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC(図2B)、および5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC(図2C)を含む、本発明によるヘスペラロエ属の非木本植物から抽出された様々な新規サポニンを示す。
図2B】同上。
図2C】同上。
【0014】
定義
本明細書中で使用するように、用語「バイオマス」は、一般的に、例えば、ヘスペラロエ・フニフェラ、ヘスペラロエ・ノクターナ、ヘスペラロエ・パルビフロラ、およびヘスペラロエ・チアンギイを含む、ヘスペラロエ属の植物全体および植物器官(即ち、葉、茎、花、根など)を指す。
【0015】
本明細書で使用するように、用語「バガス」は、一般的に、サイズに切断され、その後、結果として得られる材料が、それが由来するバイオマスよりも少ない液体を有するように高圧に供された、バイオマスを指す。高圧は、圧縮圧力、例えば一つまたは複数の対向逆回転ロール、機械プレス、スクリュープレスなどの機械により提供される圧縮圧力を使用することにより、ならびに直接水圧およびバイオマスに圧力を適用して細胞間液および細胞内液を除去するための他のプロセスにより達成され得る。
【0016】
本明細書中で使用するように、用語「粉砕」は、一般的に、バイオマスからの細胞間液及び細胞内液を押すのに十分な圧力の適用を指す。
【0017】
本明細書中で使用するように、用語「サポニン」は、一般的に、グリカンとして言及される糖成分およびアグリコンとして言及される非糖成分を含むグリコシドを指す。アグリコンの構造に依存して、サポニンは、図1Aに図示されているトリテルペノイドサポニンとして、または図1Bに図示されているステロイド系サポニンに分類され得る。サポニンのアグリコン部分は、五環式トリテルペノイドまたは四環式トリテルペノイドのいずれかであり得るが、それらの両方が30の炭素原子を含む。ステロイド系またはトリテルペノイドを問わず、サポニンはモノ、ビ、またはトリデスモディックであり得る。モノデスモディックサポニンは、単一のサッカライドを有し、通常はC-3に付着されている。ビデスモディックサポニンは、二つのサッカライドを有し、しばしば、一つがCC-3でエーテル結合を通じて付着され、他は、CC-28でエステル結合を通じて、またはC-20でエーテル結合を通じて(それぞれ五環式および四環式トリテルペンサポニン)、あるいはC-26でエーテル結合を通じて(フロスタンサポニン)付着されている。
【0018】
本明細書中で使用するように、用語「水溶性固体」は、一般的に、抽出物が遠心分離され、濾過され、全ての水が蒸発された後に残る乾燥物質を指す。本発明のバイオマス抽出物の水溶性固体を測定するための手順が、下のテスト方法のセクションにおいて詳細に記載されている。水溶性固体は、絶乾バイオマスの質量に対するパーセンテージベースで表現され得る。
【0019】
本明細書中で使用するように、用語「不水溶性固体」は、一般的に、下のテスト方法のセクションにおいて記載されるように、水溶性固体を測定する経過中に遠心分離および濾過により除去される抽出物の画分を指す。
【0020】
本明細書で使用するように、本発明のサポニン含有組成物で処置された非ヒト動物由来の「アンモニア放出の低減」は、未処置の非ヒト動物と比較して、放出されたアンモニアガスを低減することを指す。一部の実施形態では、減少は、未処置の動物と比較して、約10~約30%のアンモニア放出である。一部の実施形態では、排出量が動物生体重に標準化されている場合、減少はアンモニア放出の約15~約25%である。一部の実施形態では、動物由来のアンモニア放出の低減は、例えば、体重の減少、または摂食の質の低下など、動物に著しい悪影響を及ぼさない。
【0021】
本明細書で使用するように、本発明のサポニン含有組成物で処置された非ヒト動物由来の「二酸化炭素放出の低減」は、未処置の非ヒト動物と比較して、放出された二酸化炭素を低減することを指す。一部の実施形態では、二酸化炭素放出が動物生体重に標準化されている場合、未処置動物と比較して、二酸化炭素放出の減少は約5%である。
【0022】
投与の文脈における用語「有効量」は、処置を必要とする非ヒト動物に投与されるサポニンの量を指し、この量は、未処置動物と比較して、当該動物由来のアンモニアまたは二酸化炭素の放出を低減するのに十分である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、例えば、ヘスペラロエ・フニフェラ、ヘスペラロエ・ノクターナ、ヘスペラロエ・パルビフロラ、およびヘスペラロエ・チアンギイを含み、任意で、医薬的におよび栄養学的に許容可能な植物化学活性剤、希釈剤、ビヒクル、担体および活性剤またはそれらの混合物を含む、ヘスペラロエ属の非木本植物に由来する抽出物、画分、活性化合物、および植物化学物質またはそれらの混合物から選択される少なくとも一つの成分を含む、新規の医薬、栄養補助食品、および食品成分組成物に関する。特に好ましい実施形態では、本発明は、ヘスペラロエ属の非木本植物に由来する水溶性固体を含む動物飼料添加剤を提供する。
【0024】
新規のサポニンを含有する医薬、栄養補助食品、および食品成分組成物は、非ヒト動物に投与されて、ガス放出、特にアンモニアおよび二酸化炭素、を低減し得る。本発明の組成物は、例えば、ウシ、家禽、ブタ、ヒツジ、およびウマ種を含む非ヒト動物の治療のために特に十分に適切である。例として、本発明の方法および組成物は、ウシ、ニワトリ、七面鳥、アヒル、ウズラ、ガチョウ、ブタ、およびヒツジの治療のために使用することができる。特に好ましい実施形態では、本発明の方法および組成物は、家禽の治療に使用されてもよく、より具体的には、ガス放出を低減するために家禽に投与されてもよい。
【0025】
特定の実施形態では、医薬、栄養補助食品、および食品成分組成物は、サポニンの混合物を含む。このように、本発明の組成物は、以下のテスト方法のセクションにおいて示す総サポニンアッセイにより測定されるように、組成物の絶乾重量に基づいて、少なくとも2wt%のサポニンを含んでもよい。特定の実施形態では、本発明に従って使用されるサポニン含有組成物は、2wt%のサポニン、より好ましくは少なくとも約5wt%のサポニン、さらにより好ましくは、例えば約2~約30wt%のサポニン、例えば約10~約25wt%など、少なくとも約10wt%のサポニンなどを含む。組成物の効果は、存在するサポニンの総量に関連すると考えられる。このように、当業者は、特定の量のサポニンが望ましい場合、それは、投与される特定の濃度の組成物の体積を変動させること、特定の体積の組成物の濃度を変動させること、またはその両方を通じて達成することができることを理解するであろう。
【0026】
本発明の医薬、栄養補助食品および食品成分組成物を製剤化するのに有用なサポニンは、ヘスペラロエ属の非木本植物から抽出されることが好ましい。ヘスペラロエに由来するサポニンは、以下のアグリコンまたはゲニンの少なくとも一つを有し得る:カンモゲニン、マノゲニン、ゲントロゲニン、ヘコゲニン、チゴゲニン、サルサポゲニン、クロロゲニン、およびギトゲニンまたはそれらの対応する異性体あるいは以下のグリコシド部分の少なくとも一つを伴う(酸または塩の形態において)酸化形態または還元形態:グルコース、キシロース、ラムノース、アラビノース、またはガラクトース。他の実施形態では、ステロイド系サポニンは、アガメノシド、アガベシド、アガボシド、マグエイシド、アガバサポニ、カンタラサポニン、サイザルサポニン、ガブリットノシド、ドンノシドもしくはアモロニン、または他のステロイド系サポニンを含み得る。
【0027】
抽出物は、バイオマス、特に葉、より具体的には植物のクラウン上の葉を、水、メタノール、エタノール、ブタノール、およびイソプロパノールおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも一つの溶媒を用いて、抽出することにより、ヘスペラロエ属の非木本植物から回収されてもよい。例えば、一実施形態では、この方法は、バイオマスを、水を含む抽出溶液と接触させ、水溶性画分を不溶性バイオマス画分から分離することを含む。他の実施形態では、抽出物溶液は、水に加えて、界面活性剤、溶媒、場合により、抽出物担持ジュースを含んでもよい。抽出物担持ジュースは、例えば、より早期の抽出工程またはより早期の粉砕工程から得ることができる。
【0028】
ヘスペラロエバイオマスの単純な水抽出は、サッカライド、ポリサッカライド、無機塩、サポニン、およびサポゲンを含む粗水抽出物をもたらし得る。粗抽出物はまた、メタノールを溶媒として使用して、またはメタノールと水の混合物を使用して生成され、バイオマスを抽出してもよく、これは以前に、脂質および色素を除去するためにアセトンまたはジエチルエーテルで抽出されているであろう。他の例では、バイオマスは、4:1のエタノール-水溶媒で抽出してもよく、その後に非極性溶媒、例えばヘキサンなどでの抽出物の脱脂が続く。特定の例では、脱脂抽出物をさらなる処理に供して、特定の水溶性成分、例えばサポニンなどを単離してもよく、これは、ブタノールと混合してブタノール相を分離することにより脱脂抽出物から精製されて、タンパク質ならびに遊離サッカライドおよびポリサッカライドを実質的に含まないサポニンの混合物を得てもよい。
【0029】
熱水抽出物も使用することができる。例えば、一実施形態では、水溶性固体は、熱水エタノールまたはイソプロパノール(75~95重量%アルコール)でバイオマスを抽出することにより、ヘスペラロエバイオマス、特に葉から抽出されてもよい。水性アルコール抽出液を次に濾過および濃縮してもよく、脂溶性物質を、抽出液を非極性溶媒、例えばヘキサンなどと混合することにより除去してもよい。実質的に純粋なサポニン組成物を次に、脱脂抽出物を極性溶媒、例えばブタノールなどでさらに抽出することにより調製してもよい。
【0030】
本発明の組成物を調製する目的のために、および本方法における使用のために、単純な水性抽出物が好まれ得るが、他の抽出方法が本発明の範囲内である。特に好ましい実施形態では、ヘスペラロエバイオマスは、等しく切断され、プレスされ、水溶性抽出物、例えば無機塩、サッカライド、ポリサッカライド、有機酸、およびサポニンなどを除去するために、水性溶媒で抽出されてもよい。水溶性抽出物を収集して、当技術分野において周知の技術、例えば、蒸発、噴霧乾燥、ドラム乾燥などにより濃縮してもよい。抽出物は、それが約20~約100重量%の固形分、例えば約20~約95重量%の固形分など、例えば約20~約80重量%の固形分などを有するまで濃縮してもよい。
【0031】
特に好ましい実施形態では、水溶性抽出物を、抽出溶液を噴霧装置に供給することにより、噴霧乾燥により濃縮する。適切な噴霧装置は、回転ホイール噴霧器、圧力ノズル噴霧器、および二相流体ノズル噴霧器を含むが、これらに限定しない。回転ホイール噴霧器、圧力ノズル噴霧器、および二相流体ノズル噴霧器は、当業者に公知であり、様々な供給源、例えばGEA Process Engineeringなどから商業的に入手可能なスプレー乾燥機における噴霧器を含む。
【0032】
特定の実施形態では、バイオマスを粉砕して、ロール、スクリュー、および他の形態のプレスを使用してバガスおよび水溶性固体を分離してもよい。特定の好ましい実施形態では、バイオマスを、対向逆回転ロールの一つまたは複数のニップの間に通過させて、ジュースの機械的除去を最大化する。バガスを次に、下でより完全に記載するように、その後の粉砕工程においてジュースと接触させることができる。特定の例では、バイオマスを粉砕前に等しく切断して、浄化してもよい。切断および浄化は、当技術分野で周知の方法を使用して行ってもよい。特に好ましい実施形態では、バイオマスを、水または他の溶媒を使用することなく、細片、例えば埃などを除去するように浄化する。
【0033】
他の実施形態では、水溶性固体は、拡散によりバイオマスから回収され得る。拡散では、バイオマスを液体と接触させて液体成分を抽出した。通常、バイオマスは、繊維への損傷を最小限にし、過度な量の微粒子の発生を避けるために、最初に切断し、剪断または粉砕はしないことにより調製される。調製されたバイオマスを次に、通常は溶媒を使用して繰り返し洗浄し、バイオマス中に含まれる液体を抽出する。溶媒は、前述の溶媒のいずれかであることができる。例示的な処理溶媒は、水、特に熱水、例えば約40~約90℃の温度まで加熱された水などである。溶媒を循環させて、再利用することができ、第一の抽出のために使用された溶媒が、その後の調製されたバイオマスを抽出するための溶媒として再利用されるようにする。
【0034】
様々な型の拡散器が当技術分野において公知であり、本明細書中に記載するバイオマスでの使用のために適合させることができる。適切な拡散器は、リング拡散器、タワー拡散器、またはドラム拡散器を含む。例示的な拡散系は、例えば、米国特許第4,182,632号、第4,751,060号、第5,885,539号、および第6,193,805号において考察されており、その内容は本開示と一致する様式において本明細書により組み入れられる。多数の他の拡散方法および拡散方法のためのデバイスが公知であり、本明細書中に記載する方法における使用のために適合させることができる。一つのそのような拡散器は、Crown Iron Works(ミネソタ州ブレイン)から商業的に入手可能な連続ループ、対向流、浅床のCrown Model III Percolation Extractorである。
【0035】
バイオマスは、切断または非切断で、上で考察したように、任意の適切な抽出方法により抽出されてもよい。特に好ましい実施形態では、抽出のために使用される溶媒は水を含む。当業者は、抽出溶媒とバイオマスの比率が、溶媒、抽出されるバイオマスの量、および抽出手順に基づいて変動するであろうことを認識するであろう。特定の好ましい実施形態では、抽出溶媒は水であり、抽出溶媒とバイオマスの比率は、抽出溶媒のリットルに対する絶乾バイオマスのキログラムに基づいて、約1:5~約1:100、例えば約1:5~約1:50、より好ましくは約1:5~約1:20などである。
【0036】
抽出溶媒のpHは、約pH5.0~8.0の間、例えば、約pH6.0~約pH8.0の間および約pH6.5~約pH7.5の間などとすることができる。特定の実施形態では、抽出溶媒は、約pH6.5~約pH7.5の間のpHを有する水である。抽出が粗製ジュースでの含浸を含む実施形態では、含浸液は約4.0~約5.0のpHを有してもよい。
【0037】
抽出は、約25~約90℃の間、例えば、約30~約80℃の間、約35~約75℃の間、約40~約70℃の間、約45~約65℃の間、または約50~約60℃の間などの温度で行ってもよい。
【0038】
抽出方法がバッチ抽出方法である実施形態では、抽出時間は、約0.25~約24時間、例えば、約0.5~約2時間、約1~約8時間、または約1~約6時間などの範囲であり得る。
【0039】
抽出方法が連続方法である実施形態では、抽出時間は、約0.25~約5時間、例えば、約0.5~約3時間などの範囲であり得る。
【0040】
抽出後、不水溶性バイオマス材料は、濾過により水溶性固体から分離されて、無機塩、サッカライド、ポリサッカライド、有機酸、およびサポニン(本明細書中では「第一の濾液」として言及される)を含む濾液が提供され得る。分離は、限定しないが、重力濾過、プレート・フレームフィルタープレス、クロスフローフィルター、スクリーンフィルター、Nutscheフィルター、ベルトフィルター、セラミックフィルター、膜フィルター、マイクロフィルター、ナノフィルター、限外フィルター、または遠心分離を含む任意の適切な手段により達成することができる。場合により、様々な濾過補助剤、例えば珪藻土、ベントナイト、ゼオライトなどもこの方法において使用してもよい。
【0041】
分離後、第一の濾液のpHを調整して、追加の不純物を除去してもよい。一実施形態では、第一の濾液のpHは、ゆっくりした撹拌を伴う、塩基、例えば、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウム(濾液の体積から約1.0%)などを用いる処理により約8.5~約10.0の間に調整することができる。
【0042】
他の例では、第一の濾液を濃縮するか、またはさらなる処理に供して、サポニンの特定の混合物または個々のサポニンを単離してもよい。他の例では、清澄化されたジュースをさらに精製して、サッカライド、ポリサッカライド、および有機酸を除去し、サポニンを含む組成物を得て、実質的にサッカライド、ポリサッカライド、および有機酸を含まなくしてもよい。前述の不純物は、ジュースまたは第一の濾液を、ブチル、アミル、ヘキシル、およびシクロヘキシルアルコールなどの4~6個の炭素原子を有するアルコールなどの水不混和性極性溶媒と混合することによって除去され得る。サポニンを含む溶媒相は、アルコール相からサポニンを分離するためのさらなる処理に供してもよい。これは、様々な方法において、例えば、冷却により、溶媒抽出物を脱水することにより、またはアルコール溶媒と混和性であるが、しかし、サポニンが不溶性である有機溶媒を加えることにより達成することができる。適切な沈殿溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、石油エーテル、アセトン、およびクロロホルムを含む。
【0043】
特に好ましい実施形態では、サポニンは、フラッシュ蒸発によりアルコールから分離される。フラッシュ蒸発は、液体混合物からの揮発性成分の迅速な除去のための分取化学において公知の技術である。揮発性液体は、しばしば、周囲温度を上回るが、しかし、大気圧での溶液の沸点を下回る、溶液の温度の増加を伴う減圧下で、大きな表面積にわたり溶液の薄いフィルムを作ることにより、蒸気相への迅速な変換により溶液から除去される。フィルムの実際の厚さおよびそれが適用される領域は、最適な蒸発および使いやすさを提供するように選ばれるが、しかし、蒸発は実質的に瞬間的であり得る(それ故に、名称は「フラッシュ」蒸発)。フラッシュ蒸発では、意図される産物を分解し得る、高い温度の長期使用が回避され、アルコール成分のほとんど全てを除去する能力を有する(それによって、次の工程において用いられる噴霧乾燥の好ましい実施のために、残りの溶液が適切となる)。アルコールは、この工程から回収されて、この抽出方法において再利用されてもよい。
【0044】
アルコール抽出物のサポニン含量は、サポニン組成物に対する有意な変化またはその損失を伴うことなく、限外濾過膜上の通過によりさらに増加させることができる。サポニン含量が85~90%の範囲中にあるこの濃縮サポニン画分は、次に、液体状態でさらに精製する、または乾燥状態まで低減することができる。個々のサポニンは、逆相固相抽出および分取逆相HPLCの組み合わせにより回収され得る。あるいは、サポニンを含むアルコール抽出物は、逆相固相抽出および分取逆相HPLCの組み合わせにより直接的に分画することができる。
【0045】
さらに他の実施形態では、サポニンは、本発明に従って調製されたジュースから精製されてもよく、ジュースを塩および溶媒と混合して第一の溶液を形成する工程を含む。溶媒は、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1-ブタノール、2-ブタノール、2-ブタノン、t-ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジエチレングリコール、ジエチルエーテル、ジグリム、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ヘキサン、メタノール、メチル-t-ブチルエーテル、塩化メチレン、N-メチル-2-ピロリジノン、ペンタン、パークロロエチレン、石油エーテル、1-プロパノール、2-プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、トリエチルアミン、トリフルオロトルエン、水、キシレン、または前述の任意の組み合わせ、から選択される一つまたは複数の溶媒を含み得る。一部の実施形態では、溶媒は水である。塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩、遷移金属塩、アンモニウム塩、または前述の組み合せから選択され得る。特定の好ましい実施形態では、溶液を形成するために植物抽出物に加えられる塩は、アルカリ土類金属塩である。特に好ましい実施形態では、塩は、塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、またはそれらの混合物である。
【0046】
第一の溶液のpHは、一般的に、約6.0~約9.0、例えば約6.0~約8.0など、例えば約6.0~約7.0などのpHに調整される。少なくとも一つのリン酸を次に、第一の溶液に加えて、イオン-ポリサッカライド複合体沈殿物を形成してもよい。有用なリン酸は、例えば、リン酸水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸ナトリウム(NaPO)、またはビスリン酸水素ナトリウム(NaPO)を含む。
【0047】
沈殿したイオン-ポリサッカライド複合体を濾過により除去して、第二の溶液を得てもよく、これを、精製サポニンの抽出物を生成するためにさらに浄化してもよい。場合により、抽出物を、先行技術において公知の任意の濾過技術により濃縮することができる。好ましくは、精製サポニンの抽出物の濃縮を、ナノ濾過、限外濾過、および透析濾過、またはこれらの技術の任意の組み合わせにより行う。一部の実施形態では、サポニン抽出物は、タンパク質を実質的に含まない。一部の実施形態では、サポニン抽出物は、ポリサッカライドを実質的に含まない。一部の実施形態では、サポニン抽出物は、フェノール化合物を実質的に含まない。
【0048】
バイオマスから回収された水溶性固体の量は、抽出効率に依存して変動し得るが、しかし、特定の例では、約100~約400グラムの水溶性固体が、例えば約120~約350グラム/キログラム、例えば約150~約300グラム/キログラムなどの絶乾バイオマスの1キログラム当たりで抽出されてもよい。抽出された水溶性固体のうち、総サポニンは、水溶性固体の絶乾重量に基づいて、少なくとも約5重量%、例えば少なくとも10重量%など、例えば少なくとも20重量%など、例えば約5~約40重量%など、例えば約10~約30重量%などを含み得る。特定の例では、バイオマスから抽出され得る総サポニンの量は、約10~約400グラム/バイオマスの絶乾キログラム、例えば約20~約300グラムなど、例えば約25~約200グラムなど、例えば約10~約100グラムなどの範囲であり得る。特定の例では、抽出過程の間にバイオマスから除去された材料の量(1キログラムの絶乾バイオマス当たりの絶乾グラム)は、下の表1に示す範囲であり得る。
【表1】
【0049】
本発明によるヘスペラロエバイオマスから抽出され得るサポニンの総量は、絶乾バイオマス1キログラム当たり約10~約100グラム、例えば約20~約80グラムなど、例えば約25~約75グラムなど、の範囲であり得る。サポニンは、粗製ジュースの一部として、乾燥水溶性固体組成物の一部として、部分的に精製された組成物として、またはサポニンの混合物を含む実質的に純粋な組成物として提供されてもよい。
【0050】
特定の実施形態では、ヘスペラロエバイオマスから抽出されたサポニンは、25(27)-デヒドロフクレアスタチン(図2A)、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシド(図2B)、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシド(図2C)、フルクレアスタチン、およびユッカロイシドから選択された一つまたは複数のサポニンを含む。
【0051】
本発明において有用な組成物は、ヘスペラロエバイオマス由来の水性抽出物を、グリセロール、プロピレングリコール、例えばポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ならびにポリグリセロールを含む、一つまたは複数のポリヒドロキシアルコールと混合することにより調製され得る。好ましいポリヒドロキシアルコールは、約八個未満の炭素原子を有する。グリセロールおよびプロピレングリコールは、特に好ましいポリヒドロキシアルコールである。
【0052】
組成物はまた、サッカライドを含み得るが、それは、水性抽出物中に存在し得る、または製剤化の間に抽出後に加えられ得る。本発明の組成物において有用なサッカライドは、モノサッカライド、例えばグルコースなど、ジサッカライド、例えばスクロースなど、およびポリサッカライド、例えばデンプンなどを含む。
【0053】
さらに他の実施形態では、本発明の実施形態による組成物は、非ヒト動物の維持および福祉のために利益を有するように、当技術分野において公知の様々な他の添加剤を含むことができる。例として、組成物は、成分、例えばビタミンE、プロピオン酸ビタミンA、パルミチン酸ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、D-活性化動物ステロール(ビタミンD3の供給源)、酵母成分、乾燥卵固体、乾燥カゼイン、および乾燥ホエイなどを含むことができる。
【0054】
本発明のサポニン含有組成物は、液体形態または乾燥形態であってもよい。一例として、ヘスペラロエ抽出物を含むサポニンを粉末形態に乾燥させてもよい。この形態では、サポニン含有組成物は、ピルもしくはボーラスとして動物に投与されてもよく、または他の成分、例えば給餌食などと混合されてもよい。例えば、サポニン含有組成物の乾燥粉末製剤は、マイクロ成分機械を介して給餌食に加えてもよく、または給餌混合トラックに加えて、徹底的に混合されて、給餌における均等な分布を保証してもよい。ヘスペラロエ抽出物を含むサポニンはまた、担体液体、例えば水などの量を伴う液体形態であってもよい。この形態では、サポニン含有組成物は、液体水薬として動物に投与されてもよい。
【0055】
本発明のサポニン含有組成物は、それを必要とする非ヒト動物に、給餌レジメンの一部として、単回投与として、複数回投与として投与されてもよい。例えば、非ヒト動物は、初期用量を受けて、次に、より少ない量でその後の維持用量を受けてもよい。非ヒト動物は、一日において複数用量のサポニン含有組成物を受けてもよく、または複数日にわたり複数用量を受けてもよい。
【0056】
特定の実施形態では、非ヒト動物、特に鳥類、およびより具体的には家禽は、動物の摂食特性を改善する、および/または未処置対照動物と比較して動物の生産特性を改善するのに有効な量で、サポニン含有組成物で処置することができる。生産特性には、カーカス品質グレード、産出グレード、平均一日当たり増加などが含まれ得る。一実施形態では、家禽への飼料添加物として投与されるとき、100kgの飼料当たりのサポニンの量は、好ましくは、少なくとも約1g/100kg、例えば約1~約50g/100kg、例えば約2~約40g/100kgである。
【0057】
特に好ましい実施形態では、サポニンのそれを必要とする非ヒト動物への投与は、サポニンを動物飼料に含めることによって実施される。基礎動物飼料は、乾燥飼料、または液体飼料であってもよく、本発明の組成物は、液体、スラリー、乾燥粉末、乾燥顆粒混合物、ペースト、ペレット、またはブロックとして製剤化されてもよい。適切な飼料は、サポニンを含有する抽出物を、動物の飼料として一般的に用いられる適切な基礎動物供給物に、例えば混合または噴霧などして、適用することによって調製され得る。本発明に有用な典型的な基礎動物飼料は、コーンミール、コーンコブグリッツ、大豆ミール、アルファルファミール、もみ殻、大豆ミルラン、綿実油ミール、骨ミール、粉砕トウモロコシ、コーンコブミール、粗挽き小麦、石灰石、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム、尿素、蒸留乾燥穀物、ビタミンおよび/またはミネラル混合物、サトウキビ糖、または他の液体担体などのうちの一つまたは複数を含み得る。かかる基礎動物飼料は、サポニンの均一な分布および投与を促進する。
【0058】
さらに他の実施形態では、サポニンを含有するヘスペラロエの抽出物は、ウレアーゼ阻害組成物として製剤化されてもよい。本発明のウレアーゼ阻害組成物は、ウレアーゼ阻害活性を提供するのに十分な量のヘスペラロエ抽出物を含んでもよい。特定の実例では、ウレアーゼを阻害するために投与されるとき、組成物中の総サポニンは、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%、より好ましくは少なくとも約2重量%、およびさらにより好ましくは少なくとも約5重量%である。特定の実施形態では、本発明のウレアーゼ阻害組成物は、ヘスペラロエから抽出された一つまたは複数のサポニンを含み、サポニンは、25(27)-デヒドロフクレアスタチン(図2A)、5(6),25(27)-ジスデヒドロユッカロイシド(図2B)、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシド(図2C)、フルクレアスタチン、およびユッカロイシドを含む。
【0059】
ウレアーゼ阻害組成物は、動物飼料として提供されてもよく、それによって投与が単純化される。組成物は、ヘスペラロエから抽出されたサポニン組成物、および上述のような動物飼料を含んでもよく、様々な方法で製剤化されてもよい。例えば、ウレアーゼ阻害組成物は、液体、スラリー、乾燥粉末、乾燥顆粒混合物、ペースト、ペレット、ブロックなどとして製剤化することができる。組成物は、ピル、ボーラス、または液体ドレンチとして動物に投与されてもよい。特定の例では、ウレアーゼは、動物の割当て飼料と共に、ヘスペラロエに由来する有効量のサポニンを投与することによって、阻害され、およびアンモニア放出が低減され得る。例えば、一部の実施形態では、液体組成物などの、ヘスペラロエに由来するサポニンを含有する組成物は、動物の水と混じり合うことができる。
【0060】
テスト方法
水溶性固体
総バイオマス水溶性固体は、Accelerated Solvent Extraction system(ASE)、例えばDionex(商標)ASE(商標)350(Thermo Fisher Scientific社、マサチューセッツ州ウォルサム)などを使用して決定してもよい。約10グラムの回収されたバイオマスを、オーブン中で、典型的には125℃で4時間、一定重量に乾燥させる。乾燥後、1.5~2.0グラムの絶乾バイオマスを正確に秤量し、重量(W)を0.001グラム単位まで記録した。水を溶媒として使用して、バイオマスを、下の表中に示す条件を使用して抽出する。バイオマス対溶媒の比率は一般的に21:1であり、五回の連続水抽出サイクルが実施される。各々の抽出サイクルの終了時に、液相を収集し、約40℃で真空下で乾燥させ、乾燥材料(W)の重量を0.001g単位まで記録する。水溶性固体の総重量(W)を、各々の抽出サイクル(W)から回収された固体の重量を合計することにより算出する。絶乾バイオマスのパーセンテージとしての総水溶性固体を次に、以下の等式を使用して決定する:水溶性固体(wt%)=W/W*100。
【表2】
【0061】
バイオマス抽出物中の総水溶性固体は、適したアリコート、典型的には約10~50mlを取り出し、清潔な、事前計量された遠心分離管に移すことにより決定され得る。管を0.001グラムに四捨五入して計量し、7000rpmで20分間遠心分離する。抽出物の重量(W)を算出する。上清を次に、清潔な、予め計量されたビーカー(D)に移し、秤量する。サンプルを含むビーカーを次に、一晩乾燥するために熱風オーブン中で、140℃に置く。ビーカーをオーブンから取り出し、乾燥させ、室温まで冷却し、次に0.001グラム(D)単位まで秤量する。可溶性固体の重量パーセンテージを、抽出物の重量に基づいて、以下の式を使用して決定する:
【数1】
=空ビーカー+乾燥可溶性固体の質量、D=空ビーカーの質量、W=当初のバイオマスの絶乾質量。
【0062】
総サポニン
総サポニンを、一般的に、Makkar,Harinder P.S.,Sidhuraju,P.,Becker,Klaus(2007)Plant Secondary Metabolites,chapter 17,pp 93-100において記載されるように測定した。標準的なサポニン溶液を、10mgのジオスゲニン(MilliporeSigma>93%)を秤量し、16mLのメタノール中に溶解し、4mLの蒸留水を加えることにより調製した。溶液を徹底的に混合し、80%メタノール溶媒中の0.5mg/mLのジオスゲニン溶液を得た。標準を使用して、様々な量の標準(0、10、20、40、60、80、および100μL)を13mmガラス試験管中に移すことにより検量線を作成した。80%水性メタノールの溶液を総体積100μLまで加えた。
【0063】
テストの前に、バイオマス抽出物のサンプルを、水での希釈により、約0.5 wt%の総固形分に調整して、吸光度の結果が、サポニン標準検量線の範囲に沿っていることを確実にした。希釈された抽出物(20μL)のサンプルを、13mmのガラス試験管中にピペットで分注し、体積を80μLのメタノールで100μLまで上げた。各々のサンプルを三通りにテストした。
【0064】
各々のサンプルに、100μLのバニリン試薬(800mgのバニリンを10mLの99.5%エタノール(分析グレード)中で溶解することにより調製)、次に、1.0mLの72%(v/v)硫酸(72mLの硫酸(分析グレード、95%、w/w)を28mLの蒸留水に加えることにより調製された72%(v/v)硫酸)を加えた。溶液をよく混合し、60℃で10分間にわたり加熱した。サンプルを次に氷浴中で冷却し、1mLの溶液をそれぞれのキュベット中に移し、544nmでの吸光度を読み取った。サンプル中のサポニンの総質量を、以下のように、標準吸光度曲線に基づいて算出してもよい。
サポニン(μg)=[勾配]×測定吸光度-[インターセプト]
【実施例
【0065】
本発明の抽出物を、葉を約0.50~約8.0cmの範囲の片に切断し、サトウキビタンデムプレスを使用して切断バイオマスをプレスした、クラウン上の成熟したヘスペラロエ・フニフェラの葉を採取した飼料により調製したが、タンデムプレスの各々のミルは3ローラーを有した。バイオマスは、タンデムミルを三回通過させた。含浸水を、タンデムでの最初の粉砕前に加えた。粗製ジュースを収集し、25mmフィルターを通過させ、フラットパン蒸発器(Leader Evapoator Company、バーモント州スワントン)中で沸騰するまで加熱して、抽出物を29%固体に濃縮した。水溶性固体は、水溶性固体の絶乾重量に基づいて、21重量%の総サポニンを含んだ。濃縮されたジュースを水で希釈して、5重量%の総サポニンを含む組成物を得た。
【0066】
比較のために、ユッカから抽出された5重量%の総サポニンを含有する組成物を調製した。ユッカ由来のサポニンは、FOAMATION(商標)(イリノイ州ウェストチェスター、Ingredion社から入手可能)で市販され、50重量%の総サポニンとして提供された。FOAMATION(商標)を水で希釈して、5重量%のサポニンを含む組成物を得た。
【0067】
ウレアーゼ阻害剤の有効性を試験するために、2.0mLの推定阻害剤および2.0mLのジャックビーンウレアーゼ(10mg/mLに希釈)(Sigma Diagnostics、ミズーリ州セントルイス、Sigma U-4002)をキュベットに添加した。この混合物に、18mLの尿をキュベットに添加し、混合物を2時間インキュベートする。アンモニアの放出は、Gastec社の標準的なアンモニア(NH3)検出器管システム(モデル1M 003MJ1、Gastec Corporation、日本神奈川県により提供)を使用して判定された。本発明の組成物で達成されたアンモニアの減少を、以下の表2に示す。
【表3】
【0068】
実施形態
第一の実施形態:
基礎動物飼料、および少なくとも一つのサポニンを含むヘスペラロエ属の非木本植物の水溶性抽出物を含む動物飼料組成物を提供する。
【0069】
第二の実施形態:
組成物が液体、スラリー、乾燥粉末、乾燥顆粒混合物、ペースト、または固体である、第一の実施形態に記載の動物飼料組成物。
【0070】
第三の実施形態:
基礎動物飼料が、コーンミール、コーンコブグリッツ、大豆ミール、アルファルファミール、もみ殻、大豆ミルラン、綿実油ミール、骨ミール、粉砕トウモロコシ、コーンコブミール、粗挽き小麦、石灰石、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム、尿素または蒸留乾燥穀物のうちの一つまたは複数を含む、第一または第二の実施形態に記載の方法。
【0071】
第四の実施形態:
基礎動物飼料が水を含み、液体である、第一から第三の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
【0072】
第五の実施形態:
サポニンの総量が、100kgの動物飼料当たり約1~約100gの範囲である、第一から第四の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
【0073】
第六の実施形態:
少なくとも一つのサポニンが、カンモゲニン、マノゲニン、ゲントロゲニン、ヘコゲニン、チゴゲニン、サルサポゲニン、クロロゲニン、またはジトゲニン、ならびにグルコース、キシロース、ラムノース、アラビノース、およびガラクトースから選択される少なくとも一つのグリコシド部分を含む、第一から第五の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
【0074】
第七の実施形態:
少なくとも一つのサポニンが、25(27)-デヒドロフクレアスタチン(図2A)、5(6)、25(27)-ジスデヒドロユッカロイシドC(図2B)、5(6)-ジスデヒドロユッカロイシドC(図2C)、フルクレアスタチンまたはユッカロイシドCである、第一から第六の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
【0075】
第八の実施形態:
水溶性固体の質量が、基礎動物飼料1キログラム当たり約100~約1,000gの範囲である、第一から第七の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
【0076】
第九の実施形態:
水溶性固体が、約10~約25重量%のサポニンを含む、第一から第八の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物。
【0077】
第十の実施形態:
環境アンモニアおよび臭気を低減し、コレステロール低下効果を提供し、炎症を低減し、抗原虫効果を提供し、寄生線虫を制御し、体重増加を促進し、または飼料転換効率を改善するために、非ヒト動物に、第一から第九の実施形態のいずれか一つに記載の動物飼料組成物を投与すること。
【0078】
第十一の実施形態:
環境アンモニアおよび臭気を低減するために、家禽に、実施形態一から第九のいずれか一つに記載の動物飼料組成物を経口投与すること。
【0079】
第十二の実施形態:
少なくとも一つのサポニンを含むヘスペラロエ属の非木本植物の抽出物を含むウレアーゼ阻害剤。
【0080】
第十三の実施形態:
少なくとも一つのサポニンを含むヘスペラロエ属の非木本植物の抽出物を含むタンパク質分解性微生物阻害剤。

図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
【国際調査報告】