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特表2023-531404折り畳み可能なプロベラブレードを有する推進ユニットおよび、ブレードの折畳方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】折り畳み可能なプロベラブレードを有する推進ユニットおよび、ブレードの折畳方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 11/28 20060101AFI20230714BHJP
   B64C 27/30 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
B64C11/28
B64C27/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576833
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 FR2021051058
(87)【国際公開番号】W WO2021255374
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】2006281
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】べス,ジャン-ルイ・ロベール・ギュイ
(72)【発明者】
【氏名】セルギンヌ,キャメル
(57)【要約】
本発明は、プロペラ(26)を有する推進ユニット(22)であって、ナセル(24)と、ハブ(28)によってナセル(24)内に回転可能に取り付けられたプロペラ(26)であって、プロペラ(26)は、ハブ(28)に対してピッチ軸線(Y)を中心にして枢動可能なブレードカフ(38)内に取り付けられたブレード(32)を備え、各ブレード(32)は、折畳軸線(Z)を中心にしてカフ(38)に対して枢動可能である、プロペラ(26)と、ブレード(32)を折り畳むためのアクチュエータ(52)を備える折畳装置(50)と、を備え、推進ユニットは、折畳装置(50)はブレードカフ(38)に回転可能に取り付けられ、アクチュエータ(52)によって駆動される制御部材(56)と、一方では関連するブレード(32)の根元部(34)に、他方では可動制御部材(56)に枢動可能に取り付けられた接続ロッド(58)とを備えることを特徴とする、推進ユニット(22)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(20)用のプロペラ(26)を有する推進ユニット(22)であって、
航空機(20)の構造要素に取り付けられるように意図されたナセル(24)と、
ハブ(28)によって長手方向回転軸線(X)を中心にしてナセル(24)内に回転可能に取り付けられたプロペラ(26)であって、プロペラ(26)はブレード(32)を備え、ブレード(32)の各々は、関連するブレードカフ(38)に枢動可能に固定されて取り付けられ、該ブレードカフは、ハブ(28)に対して半径方向ピッチ軸線(Y)を中心にして枢動可能に取り付けられており、各ブレード(32)は、半径方向ピッチ軸線(Y)に直交する折畳軸線(Z)を中心にしてブレードカフ(38)に対して枢動可能に取り付けられている、プロペラ(26)と、
ブレード(32)が回転軸線(X)に対して半径方向に延在する展開位置と、ブレード(32)がナセル(24)に対してほぼ長手方向に延在する折畳位置との間で、そのブレードカフ(38)に対する各ブレード(32)の枢動を制御する折畳アクチュエータ(52)を備える折畳装置(50)であって、
折畳装置(50)は、各ブレード(32)に関連する変速機(54)を備え、各変速機(54)は、
ブレードカフ(38)に回転可能に固定されて取り付けられ、折畳アクチュエータ(52)によって動かされる可動制御部材(56)と、
関連するブレード(32)の根元部(34)に折畳軸線(Z)に対して偏心して枢動可能に取り付けられた第1の端部と、可動制御部材(56)に枢動可能に取り付けられた第2の端部とを備えるリンク(58)と、
を具備する、折畳装置(50)と、
を備え、
可動制御部材(56)は、折畳軸線(Z)に平行な制御軸線(Z1)を中心にしてブレードカフ(38)内に枢動可能に取り付けられたクランクによって形成され、可動制御部材(56)の枢動は、クランクの歯付セクタ(71)と、長手方向に摺動するように取り付けられ、折畳アクチュエータ(52)によって駆動されるラック(68)との間の噛み合いによって作動されることを特徴とする、
推進ユニット(22)。
【請求項2】
変速機(54)の各々のラック(68)のすべては、ブレード(32)の展開位置に対応する第1の位置とブレード(32)の折畳位置に対応する第2の位置との間で回転軸線(X)に沿って摺動可能な折畳アクチュエータ(52)の共通のロッド(64)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の推進ユニット(22)。
【請求項3】
推進ユニット(22)は、アクチュエータロッド(64)の第1の位置および第2の位置における位置を検出するための装置(72A、72B)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の推進ユニット(22)。
【請求項4】
ブレード(32)の展開位置および折畳位置に対応する、その位置のそれぞれにおいて可動部材(56)を機械的にロックするための装置を備えることを特徴とする、請求項2または3に記載の推進ユニット(22)。
【請求項5】
ナセル(24)は、航空機(20)の構造要素に固定して取り付けられていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の推進ユニット(22)。
【請求項6】
ナセル(24)は、航空機(20)の構造要素に枢動可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の推進ユニット(22)。
【請求項7】
請求項3または請求項3と組み合わせて解釈される請求項4~6のいずれか一項に記載の推進ユニット(22)のプロペラ(26)のブレード(32)を折り畳むための方法(22)であって、ブレード(32)が折畳装置(50)によって折り畳まれる折畳ステップ(E1-11)と、次いで、ブレード(32)が実際に検出装置(72A、72B)によって折り畳まれたことが確認される折畳確認ステップ(E1-12)と、を含むことを特徴とする、方法(22)。
【請求項8】
折畳確認ステップ(E1-12)において、ブレード(32)が折畳位置にあると検出された場合、機械的ロック装置(75)は、ブレード(32)を折畳位置にロックするように制御されることを特徴とする、請求項4と組み合わせて解釈される請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用のプロペラを有する推進ユニットであって、
航空機の構造要素に取り付けられるように意図されたナセルと、
ハブによって長手方向の回転軸線を中心にしてナセル内に回転可能に取り付けられたプロペラであって、プロペラは、複数のブレードであって、それぞれがハブに対して半径方向のピッチ軸線を中心にして枢動可能に取り付けられた関連するブレードカフに枢動可能に固定されて取り付けられた複数のブレードを備え、各ブレードは、半径方向のピッチ軸線に直交する折畳軸線を中心にしてブレードカフに対して枢動可能に取り付けられている、プロペラと、
折畳装置であって、ブレードが回転軸線に対して半径方向に延在する展開位置と、ブレードがナセルに対してほぼ長手方向に延在する折畳位置との間で、そのブレードカフに対する各ブレードの枢動を制御する折畳アクチュエータを備える折畳装置と、
を備えた、推進ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなプロペラ推進ユニットは、例えば、「VTOL:vertical take-off and landing」とも呼ばれる垂直離着陸航空機で使用される。もちろん、このような推進ユニットを、「古典的な離陸および着陸」を表す「CTOL:Classic Take Off and Landing」とも呼ばれる固定翼航空機に使用することも可能である。この範囲では、推力中心を分配し、航空機に最良の推進効率を求めるように、航空機に複数のプロペラ推進ユニットを備えることが可能である。
【0003】
これらのプロペラ推進ユニットは、航空機の飛行構成に応じて停止させることができる。プロペラ推進ユニットが停止されると、それらのプロペラは、例えば抗力を生成することによって、または空気流に局所的な外乱を生成することによって、航空機の空力性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
この問題を解決するために、これらの非アクティブなブレードを局所的な流れから除去するために、折り畳み可能なブレードプロペラを備えた推進ユニットがすでに提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既存の折畳装置は、ブレードが所定の折畳ピッチ位置にない間に折り畳みが偶発的にトリガされた場合に、ブレードの折畳軸線に力を及ぼす可能性がある。そのような装置は、例えば、国際公開第2017/162561号に開示されている。
【0006】
米国特許出願公開第2019/016441号明細書は、ブレードに接続された第1のリンクと協働し、第2のリンクによって斜板アクチュエータによって作動されるブレードカフに取り付けられたレバーによって形成された制御部材を備える折畳装置を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、航空機用のプロペラを有する推進ユニットであって、
航空機の構造要素に取り付けられるように意図されたナセルと、
ハブによって長手方向の回転軸線を中心にしてナセル内に回転可能に取り付けられたプロペラであって、プロペラは、それぞれがハブに対して半径方向のピッチ軸線を中心にして枢動可能に取り付けられた関連するブレードカフに枢動可能に固定されて取り付けられた複数のブレードを備え、各ブレードは、半径方向のピッチ軸線に直交する折畳軸線を中心にしてブレードカフに対して枢動可能に取り付けられている、プロペラと、
ブレードが回転軸線に対して半径方向に延在する展開位置と、ブレードがナセルに対してほぼ長手方向に延在する折畳位置との間で、そのブレードカフに対する各ブレードの枢動を制御する折畳アクチュエータを備える折畳装置であって、
折畳装置は、各ブレードに関連付けられた変速機を備え、各変速機は、ブレードカフに回転可能に固定されて取り付けられ、かつ折畳アクチュエータによって動かされる可動制御部材と、関連するブレードの根元部上で折畳軸線に対して偏心して枢動するように取り付けられた第1の端部と、可動制御部材上で枢動するように取り付けられた第2の端部とを備えるリンクと、を具備する折畳装置と、
を備え、
可動制御部材は、折畳軸線に平行な制御軸線の周りでブレードカフ内に枢動可能に取り付けられたクランクによって形成され、可動制御部材の枢動は、クランクの歯付セクタと、長手方向に摺動するように取り付けられ、折畳アクチュエータによって駆動されるラックとの間の噛み合いによって作動されることを特徴とする、
推進ユニットを提案する。
【0008】
このような折畳装置は、ブレードのピッチ角度位置にかかわらず、リンクがブレードに力を加えることなく、その折畳軸線を中心に枢動するようにブレードを誘導することを確実にすることを可能にする。
【0009】
本発明による推進ユニットの別の特徴によれば、各変速機のすべてのラックは、ブレードの展開位置に対応する第1の位置とブレードの折畳位置に対応する第2の位置との間で回転軸線に沿って摺動可能な折畳アクチュエータの共通のロッドに取り付けられる。
【0010】
本発明による推進ユニットの別の特徴によれば、推進ユニットは、第1の位置および第2の位置におけるアクチュエータロッドの位置を検出するための装置を備える。この特徴により、航空機のパイロットおよび/または電子制御ユニットは、プロペラのブレードの位置を知ることができ、適切な場合には、誤動作を検出することができる。
【0011】
本発明による推進ユニットの別の特徴によれば、推進ユニットは、アクチュエータロッドをその第1の位置およびその第2の位置に機械的にロックするための装置を備える。この特徴は、ブレードが展開位置または折畳位置に留まることを確実にし、ブレードの意図しない枢動を防止することを可能にする。
【0012】
本発明はまた、本発明の教示に従って製造された推進ユニットのプロペラのブレードを折り畳むための方法であって、ブレードが折畳装置によって折り畳まれる折畳ステップと、次いで、ブレードが実際に検出装置によって折り畳まれたことが確認される折畳の確認ステップとを備えることを特徴とする方法に関する。
【0013】
本方法の別の特徴によれば、折畳の確認ステップにおいて、ブレードが折畳位置にあると検出された場合、機械的ロック装置は、ブレードを折畳位置にロックするように制御される。
【0014】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになり、その理解のために添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の教示に従って製造されたプロペラを有する複数の推進ユニットを備えた航空機の斜視図である。
図2】プロペラのブレードが、揚力を可能にするピッチ角度位置に展開されている、図1の航空機の揚力推進ユニットを示すプロファイル図である。
図3】プロペラのブレードが折畳ピッチ角度位置で展開されている、図2と同様の図である。
図4】プロペラのブレードが折り畳まれている、図2と同様の図である。
図5】プロペラのブレードが浮揚推力を可能にするピッチ角度位置に展開されるトラクション推進ユニットの回転部分を表す、図10の断面5-5による軸線方向断面図であり、トラクション推進ユニットは、本発明の第1の実施形態に従って製造された折畳装置を備えている。
図6】プロペラのブレードが折畳ピッチ角度位置で展開されるトラクション推進ユニットの回転部分を示す、図12の断面6-6による軸線方向断面図であり、トラクション推進ユニットは、第1の実施形態に従って製造された折畳装置を備えている。
図7】プロペラのブレードが折り畳まれたトラクション推進ユニットの回転部分を示す、図13の断面7-7による軸線方向断面図であり、トラクション推進ユニットは、第1の実施形態に従って製造された折畳装置を備えている。
図8】トラクション推進ユニットが第2の実施形態に従って製造された折畳装置を備えている、図6と同様の図である。
図9】トラクション推進ユニットが第2の実施形態に従って製造された折畳装置を備えている、図7と同様の図である。
図10図1の航空機のトラクション推進ユニットを示す正面図であり、プロペラのブレードは、持ち上げ推力を可能にするピッチ角度位置に展開され、プロペラは、その回転軸線の周りの任意の角度位置を占める。
図11】折畳ピッチ角度位置に展開されたプロペラのブレードを示す図10と同様の図であり、プロペラはその回転軸線の周りの任意の角度位置を占める。
図12】折畳ピッチ角度位置に展開されたプロペラのブレードを示す図11と同様の図であり、プロペラはその回転軸線の周りにインデックス付角度位置を占める。
図13】ナセル内のハウジングに折り畳まれたプロペラのブレードを示す、図12と同様の図である。
図14】プロペラがステッパモータとは別個の電気モータによって駆動される第1の構成における図1の航空機の推進ユニットの回転部分を概略的に示すプロファイル図である。
図15】推進ユニットが、プロペラがステッパモータとは別の燃焼エンジンによって駆動される第2の構成に作られている、図14と同様の図である。
図16】推進ユニットが、プロペラがステッパモータによって駆動される第3の構成で作られている、図14と同様の図である。
図17】第1の実施形態によるステッパモータを示す、図14の断面17-17による半径方向断面図である。
図18】第2の実施形態におけるステッパモータを示す図17と同様の図である。
図19】第3の実施形態におけるステッパモータを示す図17と同様の図である。
図20図19のステッパモータのロータを示す斜視図である。
図21】第4の実施形態におけるステッパモータを示す斜視図である。
図22】ナセルに対して回転するようにプロペラをロックするための装置を備える図1の推進ユニットのプロペラを概略的に示す斜視図であり、ロック装置は非作動状態にある。
図23】ロック装置が作動状態にある、図22と同様の図である。
図24】ナセルに対するプロペラの回転軸線の周りの角度位置のセンサを示す電気図である。
図25図1の航空機の推進ユニットのブレードを折り畳むための方法における様々なステップを示すブロック図である。
図26図1の航空機の推進ユニットのブレードを展開するための方法における様々なステップを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明では、同一の構造または同様の機能を有する要素を同一の参照符号で参照する。
【0017】
説明の残りの部分では、各推進ユニットに局所的に関連付けられた、図の矢印「L」によって示されるように、長手方向の向きが採用される。長手方向は、前方から後方に向けられ、推進ユニットのプロペラの回転軸線に平行である。
【0018】
長手方向に直角に向けられ、プロペラの回転軸線の近くで内側から外側に向けられる半径方向の向きが使用される。半径方向および長手方向に直交する接線方向も使用される。
【0019】
図1は、本発明の教示に従って製造された複数のプロペラ推進ユニット22を備える航空機20を示す。これは、その頭字語「VTOL」とも呼ばれる垂直離着陸航空機である。この点において、航空機20は、航空機20に揚力の垂直推力を提供するように意図された「リフト」と呼ばれる推進ユニット22を備える。これらのリフト推進ユニット22は、ここでは航空機20の尾翼上ならびに航空機20の胴体上に配置されている。航空機20はまた、航空機20が前方に変位することを可能にするために長手方向の推力を提供するように意図された、トラクションと呼ばれる推進ユニット22を備える。トラクション推進ユニット22は、ここでは航空機20の翼に配置されている。
【0020】
あるいは、本発明は、「古典的な離陸および着陸」の頭字語「CTOL」とも呼ばれる古典的な航空機に適用可能である。次いで、航空機はトラクション推進ユニットのみを備える。
【0021】
推進ユニット22は、同様の設計を有する。したがって、単一の推進ユニット22について以下に説明するが、この説明は他の推進ユニット22にも適用可能である。図2図4に示すように、推進ユニット22は、航空機20の構造要素、例えば翼または胴体に取り付けられるように意図されたナセル24を備える。推進ユニット22は、例えばマスト(図示せず)によって構造要素に取り付けられる。ナセル24は、空力フェアリングを備えている。
【0022】
ナセル24は、構造要素に固定して取り付けられてもよい。構造要素が静止しているとき、推進ユニットは航空機の胴体に対して静止しており、トラクション推進ユニットまたは揚力推進ユニットのいずれかを形成する。構造要素が航空機の胴体に対して枢動可能に取り付けられると、推進ユニットは、構造要素の位置に応じてトラクションまたは浮揚機能を交互に実行する。
【0023】
本発明の別の変形例によれば、ナセルは、構造要素上の横軸線の周りに旋回可能に取り付けられ、推進ユニットは、構造要素上のナセルの角度位置に応じてトラクションまたは揚力機能を交互に果たすことができる。
【0024】
推進ユニット22は、中央ハブ28によって長手方向回転軸線「X」を中心にしてナセル24内に回転可能に取り付けられたプロペラ26をさらに備える。ハブ28の前部は、一般に、特にその抗力を低減することによって推進ユニット22の空気力学的性能を改善するためにノーズ30でキャップされる。
【0025】
プロペラ26はまた、複数のブレード32を備え、ブレード32は、ハブ28に連結される根元部34からブレード先端と呼ばれる自由端36まで主軸線に沿って延在する。各ブレード32は、プロペラ26の回転方向に前縁から後縁まで延びるプロファイルを有する。各プロペラ26は、2枚のブレード32を備える。本発明は、当然ながら、より多数のブレード、例えば3枚k、4枚、またはそれ以上のブレードを備えるプロペラに適用可能である。
【0026】
ブレード32は、プロペラ26が回転軸線「X」の周りで前記所与の角度ピッチの回転不変性を有するように、決定された角度ピッチでハブ28の周りに均等に分配される。
【0027】
各ブレード32は、後述するように、プロペラ26が展開されたときにブレード32の主軸線と略一致する半径方向ピッチ軸線「Y」を中心にしてハブ28に対して旋回可能である。この目的のために、ハブ28は、図5図9に示すように、プロペラ26がブレード32を備えるのと同じ数のブレードカフ38を備える。各ブレードカフ38は、ピッチ軸線「Y」を中心にしてハブ28に枢動可能に取り付けられている。各ブレードカフ38は、例えば転がり軸受によって枢動可能に案内される。各ブレードカフ38は、ブレード32がピッチ軸線「Y」を中心としてブレードカフ38に回転して固定されるように、関連するブレード32の根元部34を受容するスリーブの形態である。
【0028】
したがって、ブレード32は、第1の極限ピッチ角度位置「β1」と第2の極限ピッチ角度位置「β2」との間に及ぶ範囲にわたってピッチ軸線「Y」を中心とするピッチ角度位置「β」で制御可能である。プロペラ26の回転によって生成される推力は、プロペラのピッチ角度位置「β」に従って決定される。前記範囲は、ブレード32がフェザリングされる折畳ピッチ角度位置「β0」を含む。
【0029】
したがって、リフト推進ユニット22の場合、折畳ピッチ角度位置「β0」は、図3および図4に示すように、ゼロ支持能力ピッチ角度位置とも呼ばれる、回転軸線「X」に直交する平面内でブレード32が延びる向きに対応する。
【0030】
対照的に、トラクション推進ユニット22の場合、折畳ピッチ角度位置「β0」は、ブレード32が回転軸線「X」に平行な平面内に延びる向きに対応し、ブレード32は、図11図13および図6図9に示すように、「羽毛」形である。
【0031】
さらに、推進ユニット22の各々のプロペラ26は、折畳可能なブレード32を有するという特殊性を有する。特に、これは、例えば航空機20が、その翼が揚力のみを提供するのに十分な速度で飛行しているときに推進ユニット22のブレード32を折り畳むことによって、特定の飛行条件下で航空機20の空力性能を改善することを可能にする。
【0032】
この目的のために、各ブレード32は、図5図9に示すように、前記ブレード32の半径方向ピッチ軸線「Y」に直交して延在する折畳軸線「Z」を中心にして関連するブレードカフ38に対して枢動可能に取り付けられる。これにより、折畳軸線「Z」がブレードカフ38とともにピッチ軸線「Y」周りに回転する。より具体的には、ブレード32は、ブレード32がその折畳ピッチ角度位置「β0」を占めるときに折畳軸線「Z」が回転軸線「X」に直交するように、ブレードカフ38にヒンジ止めされる。
【0033】
したがって、プロペラ26のブレード32は、図2図3図5図6図8、および図10図12に示すように、ブレード32の主軸線が回転軸線「X」に対してほぼ半径方向に延びる展開位置と、図4図7図9、および図13に示すように、ブレード32の主軸線が回転軸線「X」に平行にほぼ長手方向に延びる折畳位置との間で制御可能である。折畳位置では、ブレード32は、ナセル24に対して長手方向に受容される。
【0034】
有利には、ブレード32が折畳位置にあるときに推進ユニット22の抗力を低減するために、ナセル24は、図2図4および図10図13に示すように、プロペラ26のブレード32をその折畳ピッチ角度位置「β0」に収容するようにそれぞれ意図されたハウジング39を備える。したがって、折畳位置にあるブレード32は、ナセル24のフェアリングに一体化される。この目的のために、ナセル24は、プロペラ26がブレード32を備えるのと同じ数のハウジング39を備える。
【0035】
ブレード32のピッチ角度位置「β」を制御するために、推進ユニット22は、各ブレード32のピッチ角度位置「β」を決定するために、ハブ28に対する半径方向ピッチ軸線「Y」を中心としたブレードカフ38の枢動を制御する、図5図9に見られるピッチ装置40を備える。ここで、ピッチ装置40は、プロペラ26のすべてのブレード32を同時に同じピッチ角度位置「β」に制御することを可能にする。
【0036】
ピッチ装置40は、特に、回転軸線「X」と同軸のその主軸線に沿って摺動する制御ロッド44を備えるピッチアクチュエータ42を備える。これは、リニア電気アクチュエータ42である。あるいは、ピッチアクチュエータは、油圧または電気油圧アクチュエータとすることもできる。ラジアルプレート46が、制御ロッド44の自由端に取り付けられている。プロペラ26の各ブレード32は、制御リンク48によってプレート46に接続され、制御リンクは、プレート46とブレード32との間にリンク/クランク接続を形成するように、ピッチ軸線「Y」に対して偏心して、プレート46上に関節式に取り付けられた第1の端部と、ブレードカフ38上に関節式に取り付けられた第2の端部とを有する。したがって、ブレード32のピッチ角度位置「β」は、制御ロッド44の軸線方向位置と共に変化する。
【0037】
ここで、ピッチアクチュエータ42は、プロペラ26に固定して回転可能に取り付けられている。ピッチアクチュエータ42は、例えば、ノーズ30の内側に配置される。
【0038】
本発明に示されていない変形例では、ピッチアクチュエータはナセルに対して静止して取り付けられ、制御プレート46のみがプロペラ26に固定された方法で回転可能に取り付けられる。
【0039】
有利には、推進ユニット22は、ピッチ角度位置「β」を決定するための手段を備える。これは、例えば、ロッド44の長手方向位置を検出可能なピッチセンサ45である。ピッチセンサ45は、例えば誘導センサである。
【0040】
ブレード32をそれらの展開位置とそれらの折畳位置との間で制御するために、推進ユニット22は、図5図9に示すように、その展開位置と折畳位置との間でそのブレードカフ38に対する各ブレード32の枢動を制御するアクチュエータ52を具備する折畳装置50を備える。折畳アクチュエータ52は、ここでは、ブレード32がそれらの展開位置とそれらの折畳位置との間で同時に制御されるように、すべてのブレード32に共通である。折畳アクチュエータ52は、ここでは電気アクチュエータによって形成される。
【0041】
折畳装置50は、折畳アクチュエータ52の動きをブレード32に伝達するように機能する、各ブレード32に関連する変速機54を備える。各変速機54は可動制御部材56を備え、可動制御部材56は、関連するブレードカフ38に回転可能に固定されて取り付けられ、折畳アクチュエータ52によって動かされる。各変速機54は、関連するブレード32の根元部34に折畳軸線「Z」に対して偏心して枢動可能に取り付けられた第1の端部と、可動制御部材56に枢動可能に取り付けられた第2の端部とを具備するリンク58をさらに備える。リンク58は、ブレード根元部34とのリンク/クランク接続を形成し、これにより、制御部材56の動きをブレード32のその折畳軸線「Z」を中心とした枢動運動に変換することができる。この目的のために、リンク58の両端は、折畳軸線に平行な二つの軸線「Z」を中心に枢動できるように取り付けられる。
【0042】
図8および図9に示す折畳装置50の第1の実施形態によれば、各変速機54の制御部材56はスライダによって形成され、スライダは、関連するブレード32の位置の一方に対応する極限内部位置と関連するブレード32の位置の他方に対応する極限外部位置との間で関連するブレードカフ38内でピッチ軸線「Y」に沿って半径方向に摺動するように取り付けられる。
【0043】
図8に示す制御部材56の外部極限位置は、ここでは関連するブレード32の展開位置に対応し、図9に示すその内部極限位置は関連するブレード32の折畳位置に対応する。
【0044】
ここで、可動制御部材56の摺動は、カム従動子62によって可動制御部材56と協働するカム60によって作動される。カム従動子62は、ピッチ軸線「Y」に沿って摺動して制御部材56に固定されて取り付けられている。
【0045】
より具体的には、カム60は、ここでは図8に示すブレード32の展開位置に対応する第1の前方長手方向位置と、ここでは図9に示すブレード32の折畳位置に対応する第2の後方長手方向位置との間で回転軸線「X」に沿って長手方向に摺動するように取り付けられる。この目的のために、カム60は、回転軸線「X」の近傍に半径方向に配置された前端から、回転軸線「X」からより大きい半径方向距離に配置された後端まで延在する傾斜プロファイルを有する。
【0046】
カム60は、折畳アクチュエータ52の摺動ロッド64に摺動可能に固定されて取り付けられている。ブレード32はすべて同じ折畳アクチュエータ52によって同時に制御されるので、各変速機54のすべてのカム60は、ここでは同じ摺動ロッド64に取り付けられている。摺動ロッド64は、回転軸線「X」と同軸である。
【0047】
折畳アクチュエータ52は、ここでは、回転軸線「X」の周りでプロペラ26に回転固定されて取り付けられる。
【0048】
あるいは、折畳アクチュエータは、ナセルに対して静止して取り付けられる。この場合、カムは、回転軸線を中心としたプロペラの角度位置にかかわらずカム従動子と協働することを可能にする円錐台によって形成されてもよく、またはカムは、プロペラの回転に伴って関連するブレードのカム従動子と一致したままであるようにナセルに対して回転軸線を中心として回転可能に取り付けられてもよい。
【0049】
さらに、カム従動子62は、ここでは、回転軸線「X」に直交し、かつピッチ軸線「Y」に直交する軸線を中心に回転するローラによって形成される。これは、例えば、カム60上に平行な2つの転走面を有するディアボロ形状のローラである。有利には、カム従動子62は、カム60によって担持される長手方向レール66によって摺動する際に、カム60に対して横方向に案内される。関連するブレード32のピッチ角度位置「β」にかかわらず、カム従動子62がレール66に係合したままであるために、カム従動子は、可動制御部材56上のピッチ軸線「Y」を中心に回転するように取り付けられる。したがって、カム従動子62は、例えば転がり軸受によって可動制御部材56の内側端部に枢動可能に取り付けられたクレビス70によって支持される。したがって、カム従動子62の回転軸線は、関連するブレード32のピッチ角度位置「β」にかかわらず、回転軸線「X」に直交したままであり、一方、可動制御部材56は、ブレードカフ28と共にピッチ軸線「Y」を中心にしっかりと自由に枢動する。
【0050】
図5図7に示す折畳装置50の第2の実施形態によれば、可動制御部材56はクランクによって形成され、クランクは、関連するブレード32の位置の一方に対応する第1の極限角度位置と関連するブレード32の位置の他方に対応する第2の極限角度位置との間で折畳軸線「Z」に平行な制御軸線「Z1」を中心にしてブレードカフ38内に枢動可能に取り付けられる。リンク58の第2の端部は、その制御軸線「Z1」に対して偏心して制御部材56に枢動可能に取り付けられている。
【0051】
可動制御部材56の枢動は、ここでは、可動制御部材56の歯付セクタ71と噛み合うラック68によって作動される。より具体的には、ラック68は、図5および図6に示すように、ここではブレード32の展開位置に対応する第1の後方長手方向位置と、図7に示すように、ここではブレード32の折畳位置に対応する第2の前方長手方向位置との間で、回転軸線「X」に沿って長手方向に摺動するように取り付けられる。ラック68は、回転軸線「X」と平行に延びている。
【0052】
ラック68は、折畳アクチュエータ52の摺動ロッド64に摺動可能に固定されて取り付けられる。ブレード32はすべて同じ折畳アクチュエータ52によって同時に制御されるので、各変速機54のすべてのラック68は、ここでは同じ摺動ロッド64に取り付けられている。摺動ロッド64は、回転軸線「X」と同軸である。折畳アクチュエータ52は、ここでは、回転軸線「X」の周りでプロペラ26に回転固定されて取り付けられる。
【0053】
折畳装置50の実施形態にかかわらず、プロペラ26のブレード32がそれらの展開位置またはそれらの折畳位置にあるかどうかを確認することができることが有利である。したがって、折畳装置50は、ここではブレード32の位置を検出するための装置を備えている。検出装置は、例えば、第1の展開センサ72Aおよび第2の折畳センサ72Bによって形成される。第1の展開センサ72Aは、折畳アクチュエータ52とブレード32との間の伝達チェーン上に配置された可動要素がブレード32の展開位置に対応する特定の位置を占めることを検出するように配置され、第2の折畳センサ72Bは、折畳アクチュエータ52とブレード32との間の伝達チェーン上に配置された可動要素がブレード32の折畳位置に対応する特定の位置を占めることを検出するように配置される。ここで、センサ72A、72Bはオン/オフ方式で動作し、センサ72A、72Bは、ブレード32が関連する展開位置または折畳位置を占めるときにのみ作動する。これらは、例えば、接触センサ72A、72Bまたは誘導センサ72A、72Bである。
【0054】
折畳装置50の第1の実施形態に対応する図8および図9に示す例では、展開センサ72Aは制御ロッド64の自由端部によって作動され、折畳センサ72Bはカム60の後端部によって作動される。
【0055】
折畳装置50の第2の実施形態に対応する図5図7に示す例では、展開センサ72Aは、ブレード32の展開位置に対応するその角度位置で制御部材56によって作動され、折畳センサ72Bは、制御ロッド64の前端部によって作動される。
【0056】
さらに、その展開位置およびその折畳位置において、ブレード32に機械的ロック装置を設けることができる。ロック装置は、例えば、折畳アクチュエータ52とブレード32との間の伝達チェーン上に配置された可動要素と協働するラッチ75によって形成される。ラッチ75は、ここでは、ブレード32がその展開位置およびその折畳位置にあるときに可動制御部材56の枢動を停止するように配置される。ラッチ75は、ここではラック68の摺動によって作動される。
【0057】
推進ユニット22の別の態様では、図14図16に示すように、回転軸線「X」と同軸にナセル24内に回転可能に取り付けられ、プロペラ26に回転可能に固定されたロータシャフト78を備える。推進ユニット22は、ロータシャフト78によってプロペラ26を回転駆動する推進手段をさらに備える。
【0058】
推進ユニット22は、展開位置にあるブレード32がナセル24のハウジング34と一致する回転軸線「X」を中心とした少なくとも1つのインデックス付角度位置「θi」でプロペラ26を停止させるためのインデックス手段をさらに備える。プロペラ26の回転不変性のために、プロペラは、ブレード32と同数のインデックス付角度位置「θi」を有する可能性が高い。
【0059】
インデックス手段は、電気ステッパモータ82によって形成される。既知の方法において、そのようなステッパモータ82は、ステータ86に回転可能に取り付けられたロータ84を備える。ステータ86がナセル24に対して静止している間、ロータ84はプロペラ26のハブ28に結合される。ロータ84は、ここでは、回転軸線「X」を中心としてロータシャフト78に回転固定されて取り付けられる。
【0060】
そのようなステッパモータ82は、抵抗トルクでその回転に対抗することによってプロペラ26を減速させることができるという利点を有する。さらに、それはまた、プロペラ26にモータトルクを提供することを可能にし、それを非常に正確にそのインデックス付角度位置「θi」のうちの1つにもたらすことを可能にする。最後に、ステッパモータ82のステータ86は、プロペラ26のインデックス付角度位置「θi」の各々と、ステッパモータ82のピッチとを一致させるように配置され、そのインデックス付角度位置「θi」の各々における回転に対してプロペラ26をロックすることを可能にする。
【0061】
図14に示す例では、推進手段は、ステッパモータ82とは別個の電気推進モータ80を備える。この場合、ステッパモータ82は、推進モータ80によって生成されたモータトルクの伝達チェーン上で推進モータ80とプロペラハブ28との間に介在する。ステッパモータ82は、ここでは、推進モータ80のモータシャフトに恒久的に結合されたロータシャフト78上に直接配置される。
【0062】
図15に示す例では、推進モータ80は燃焼機関である。この場合、ステッパモータ82は、推進モータ80によって生成されたモータトルクの伝達チェーン上で推進モータ80とプロペラハブ28との間に介在する。ステッパモータ82は、ここでは、クラッチ83によって推進モータ80のモータシャフトに制御された方法で結合されたロータシャフト78上に直接配置される。
【0063】
図16に示す例では、電気ステッパモータ82が推進手段を形成する。
【0064】
図17に示すインデックス手段の第1の実施形態では、電気ステッパモータ82は、「可変リラクタンスステッパ」または「切換リラクタンスモータ」(SRM:Switched Reluctance Motor)とも呼ばれる可変リラクタンスモータである。このようなステッパモータ82において、ロータ84は、強磁性体材料で作られている。ロータ84は、例えば軟鉄板金の積層によって形成され、またはロータ84は電磁鋼のモノリシック部品で製造される。ロータ84は、偶数の歯88を有する外側歯部を備える。
【0065】
ステータ86は、一般に、強磁性シート金属の積層から製造される。ステータ86は、偶数の歯90を具備する内側歯部を備える。これは、いくつかの電気コイル92を備える。2つの対向する歯90の周りに配置されたコイル92は、直列に給電されて、反対の符号の極がロータ84に向かって半径方向に向けられた2つの電磁石を形成する。
【0066】
ロータ84の歯の数とステータ86のコイルの数とは異なり、ステッパモータ82のピッチの数、すなわち、ロータ86の対向する2つの電気コイル92に電力を供給することによってロータ84を安定して停止させることができる角度位置の数を決定されることができる。
【0067】
対向する対の電気コイル92に順に電力を供給することにより、したがって、前記電気コイル92の整列に最も近いロータ歯88を引き付けることによってロータ84を回転させることが可能である。
【0068】
インデックス手段の第2の実施形態において、電気ステッパモータ82は、「永久磁石ステッパ」とも呼ばれる永久磁石モータである。
【0069】
ステータ86は、ここでは、第1の実施形態で説明した可変リラクタンスステッパモータのものと実質的に同一である。しかしながら、歯の代わりに、ロータ84は、N極「N」およびS極「S」を備える少なくとも1つの永久磁石を備え、その極軸線は半径方向に向けられている。永久磁石の磁極「N」、「S」は、N極「N」とS極「S」とが回転軸線「X」の周りに交互に配置されるように、回転軸線「X」に対して対称に配置される。
【0070】
このようなステッパモータ82は、一般に、可変リラクタンスモータよりも高いトルクを有する。
【0071】
図19および図20に示すインデックス手段の第3の実施形態において、電気ステッパモータ82は、「ハイブリッド同期ステッパ」としても知られるハイブリッドモータである。
【0072】
ステータ86は、ここでは、第1の実施形態で説明した可変リラクタンスステッパモータのものと実質的に同一である。
【0073】
一方、ロータ84は、ここでは、同じ偶数の歯88A、88Bを備えた外側歯部を有する強磁性材料製の2個の歯付ホイール84A、84Bによって形成される。2個の歯付ホイール84A、84Bは、一方の歯付ホイール84AにN極が接触し、他方の歯付ホイール84BにS極が接触した状態で、軸線方向に介在する永久磁石94と同軸に取り付けられる。
【0074】
この構成により、第1の歯付ホイール84Aの歯88AはN極を形成し、第2の歯付ホイール88Bの歯88BはS極を形成する。第1の歯付ホイール84Aの歯88Aは、第2の歯付ホイール84Bの歯88Bから角度的にオフセットされている。したがって、軸線方向視において、N極を形成する歯88Aは、S極を形成する2つの歯88Bの間に角度的に挟まれている。
【0075】
このように形成されたロータ84は、ステータ86内に回転可能に収容される。したがって、ステータ86の複数のコイル92に電力を供給すると、反対の符号のロータ84に最も近い歯88A、88Bを引き付ける。
【0076】
このようなハイブリッドステッパモータ82は、第1の実施形態で説明した可変リラクタンスモータ82のように多数のステップ数を有し、第2の実施形態で説明した永久磁石モータ82のようにモータトルクが高いという利点がある。
【0077】
この第3の実施形態の代わりに、図21に示されるように、これは、ロータ84が、交互の符号の極を有する磁石94をその周囲に備えたディスクによって形成される軸流ステッパモータ82である。ステータ86はまた、強磁性材料のコアの周りに巻回された電気コイル92によって形成された電磁石を備え、ロータ84の回転軸線「X」に平行に向けられた磁場をロータ84の周囲の方向に生成する。
【0078】
実施されるステッパモータ82のタイプにかかわらず、推進ユニット22は、有利には、そのインデックス付角度位置「θi」の各々においてナセル24に対してその回転軸線「X」の周りでプロペラ26を機械的にロックするための装置96を備える。さらに、ロック装置96は、プロペラ26が前記インデックス付角度位置「θi」でのみロックされ得るように設計されている。
【0079】
図22および図23に示すように、ロック装置96は、ここでは、プロペラ26に回転可能に固定されて取り付けられたディスク98を備える。ディスク98は、ここでは回転軸線「X」と同軸に取り付けられている。ディスク98は、環状周縁部100によって半径方向に画定され、2つの円形面101によって軸線方向に画定される。ディスク98は、インデックス付角度位置「θi」のうちの一方に対応する少なくとも1つの戻り止め102を備える。ここで、ディスク98は単一の戻り止め102を備える。
【0080】
あるいは、ディスク98は、各々がインデックス付角度位置「θi」に対応する複数の戻り止め102を備えてもよい。したがって、ディスク98は、インデックス付角度位置「θi」の数に等しい数の戻り止め102を備えることができる。特に、これにより、プロペラを完全に再び回転させる必要なく、インデックス付角度位置「θi」により迅速に到達することが可能になる。
【0081】
戻り止め102は、ロック部材104と協働することができ、ロック部材は、ディスク98が自由に回転する非アクティブ位置と、プロペラ26がそのインデックス付角度位置「θi」のうちの1つを占めるときにロック部材98が戻り止め102に受容されて、プロペラ26を回転軸線「X」の周りでナセル24に対して回転しないように固定することができるアクティブ位置との間で、ナセル24に対して移動可能であるように取り付けられている。ロック部材104は、例えば、電気アクチュエータによって移動される。
【0082】
図22および図23に示す実施形態では、戻り止め102は、ディスク98の周縁部100に生成される。ロック部材104は、ここでは、図22に示すように、それが周縁部100から離間しているその非アクティブ位置と、図23に示すように、それが回転軸線「X」に向かって半径方向に変位して、一致して戻り止め102に入るそのアクティブ位置との間で、ナセル24に対して半径方向に摺動するように取り付けられている。プロペラ26がそのインデックス付角度位置「θi」のうちの1つを占有していないとき、ロック部材104は、ディスク98の周縁部100に当接するため、そのアクティブ位置に制御することができない。
【0083】
図示されていない本発明の変形例では、戻り止めは、ディスクの円形面のうちの1つの上の環状トラック上に生成される。この場合、ロック部材は、ナセルに対して長手方向に摺動するように取り付けることができる。
【0084】
例えば接触センサまたは誘導センサなどのロックセンサ105は、ロック部材104がそのアクティブ位置にあるときを検出することを可能にする。
【0085】
有利には、各戻り止め102は、底部106に向かって収束する2つの傾斜部を備えたカムトラック形状を有する。底部106は、ロック部材104が戻り止め102の底部に受容されると、プロペラ26がそのインデックス付角度位置「θi」の正確に一方を占めるように配置される。ロック部材104は、その自由端にローラ108または摺動コーティングを備え、これは戻り止め102の傾斜部に対して回転または摺動することができる。したがって、プロペラ26が、そのインデックス付角度位置「θi」の一方の両側で決定された許容範囲[θi-λ、θi+λ]内に配置された角度位置で停止すると、ローラ108は、ロック部材104がそのアクティブ位置に向かって制御されるときに戻り止め102の傾斜部の一方と接触する。ロック部材104は、ローラ108が戻り止め102の底部106にあるまで、そのアクティブ位置に向かって変位するときに戻り止め102の傾斜部と協働してプロペラ26を回転させて、プロペラ26をそのインデックス付角度位置「θi」に正確に位置決めするのに十分な力を提供する。
【0086】
このような動作を行うために、プロペラ26は、プロペラ26の回転ガイド部材の摩擦による以外のモータや抵抗トルクを受けないことが好ましい。
【0087】
さらに、プロペラ26がその全体的なインデックス付角度位置「θi」を占めること、または少なくともそのインデックス付角度位置「θi」のいずれかの側で決定された許容範囲[θi-λ、θi+λ]内の角度位置を占めることを確実にするために、推進ユニット22は、図14図16に示すように、ナセル24に対するプロペラ26の角度位置用のセンサ110を備える。
【0088】
例えば、誘導センサ110は、接触することなくプロペラの角度位置を測定することを可能にする。したがって、第1のロータ要素111がプロペラ26に回転して固定されて取り付けられ、一方、第2のステータ要素113は、ロータ要素の角度位置が電磁的手段によって検出されることを可能にする。
【0089】
図24に示すように、誘導センサ110は、ここでは「RVDT:Rotary Variable Differential Transformer」または「回転可変差動トランス」としても知られるレゾルバである。既知の非限定的な例として、そのようなセンサ110は、ステータ要素113によって担持される1次コイル112および2つの2次コイル114、116を備える。1次コイル112は、交流電圧「Vr」で電力供給される。2つの2次コイル114、116は、回転軸線「X」を中心に90°ずれている。ロータ要素111は、基準コイル118を備える。基準コイル118および1次コイル112は、回転変圧器120を形成する。2次コイル114、116は、ロータ要素111によって担持された基準コイル118の回転によって励磁される。各2次コイル114、116内の電圧の値は、回転軸線「X」を中心としたロータ要素111の角度位置を一意に決定することを可能にする。
【0090】
あるいは、誘導センサ110は、高い角度精度を達成することを可能にする「インダクトシン」という商品名で知られている製品によって形成される。
【0091】
推進ユニット22のプロペラ26のブレード32を折り畳むための方法を、図25を参照して説明する。そのような方法は、図示されていない電子制御ユニットによって実施される。本方法は、自動的にまたはパイロットからの手動コマンドによってトリガされることができる。方法の開始時に、プロペラ26のブレード32は、図2図3図5図6、および図8に示すように展開される。ブレード32は、図2および図5に示すように、その折畳ピッチ角度位置「β0」とは異なり得るピッチ角度位置「β」を占める。さらに、プロペラ26は、一般に、推進手段によって回転駆動される。
【0092】
最初のステップ「E1-1」では、ブレード32の折畳方法を継続するための認可を得るために、航空機の特定の飛行条件が確認される。
【0093】
例えば、ステップ「E1-1」が浮揚推進ユニット22に適用される場合、航空機20が、浮揚推進ユニット22からの揚力を必要とせずに、その翼が支持能力を提供するのに十分な速度に達したことが確認される。例えば、航空機20の前進速度「V」が、第1の決定された閾値速度「V0」をかなり上回っていることが確認される。この場合、次の推進を停止するステップ「E1-2」がトリガされ、そうでない場合、折畳方法は中断される。
【0094】
別の例によれば、ステップ「E1-1」がトラクション推進ユニット22に適用されると、航空機20に推力を提供するためにすべてのトラクション推進ユニット22を同時に使用する必要がない経済的な巡航飛行に十分な速度に航空機20が達したことが確認される。例えば、航空機20の前進速度「V」が、第2の決定された閾値速度「V1」をかなり上回っていることが確認される。トラクション推進ユニット22のブレード32はまた、もはや必要とされないため、航空機20がホバリング飛行中であるときに折り畳むことができる。次いで、航空機20の前進速度がゼロであることが確認される。これらの条件のうちの1つが確認されると、次のステップ「E1-2」がトリガされ、そうでなければ折畳方法が中断される。
【0095】
推進の停止ステップ「E1-2」において、推進手段によって提供される駆動トルクは、プロペラ26がその慣性のみによって自由に回転するように中断される。
【0096】
プロペラ26が燃焼推進モータ80によって駆動されると、クラッチ83は、推進を停止するステップ「E1-2」の開始時に、またはモータの摩擦がプロペラ26を減速させ始めるように決定された設定期間の後に、係合解除位置に制御される。
【0097】
プロペラ26が電気推進モータ80によって駆動されると、推進モータ80は、そのようなモータの摩擦が一般に低いため、プロペラ26に結合されたままである。
【0098】
推進を停止するステップ「E1-2」の終わりに、ピッチステップ「E1-3」がトリガされる。このピッチステップ「E1-3」では、プロペラ26のブレード32は、それらの折畳ピッチ角度位置「β0」、すなわち、図6図8および図11に示すようにトラクション推進ユニット22のフェザー位置、または図3に示すようにリフト推進ユニット22の支持力ゼロ位置に制御される。
【0099】
ピッチステップ「E1-3」の後には、ピッチセンサ45によってブレード32がそれらの折畳ピッチ角度位置「β0」を占めることが確認されるピッチ角度位置を確認するステップ「E1-4」が続く。いずれかの向きの折畳ピッチ角度位置「β0」から数度のわずかなオフセット「ε」は、通常許容される。このようにして、ブレード32のピッチ角度位置「β」が、「β0-ε」の下限閾値および「β0+ε」の上限によって区切られたピッチ角度位置範囲に含まれることがより正確に確認される。これが該当する場合、そのインデックス付角度位置「θi」のうちの1つでプロペラ26の回転を停止するための方法がトリガされ、そうでない場合、ステップ「E1-3」が繰り返される。
【0100】
プロペラ26の回転をそのインデックス付角度位置「θi」のうちの1つで停止するための方法は、回転速度「Nr」を確認するステップ「E1-5」を含み、その間、プロペラ26の回転速度「Nr」は、決定された回転速度「Nre」以下であることが確認される。
【0101】
プロペラ26の回転速度「Nr」が特定の回転速度「Nre」よりも高い場合、制動ステップ「E1-6」がトリガされる。制動ステップ「E1-6」の間、プロペラ26の回転速度「Nr」が所定の回転速度「Nre」以下になるまで、プロペラ26の自由回転に対抗する抵抗トルクを生成するようにステッパモータ82が制御される。プロペラ26の「Nr」の回転速度は、すでによく知られているセンサ(図示せず)によって測定され、これについては後に詳述しない。この制動ステップ「E1-6」の終了時には、回転速度「Nr」を確認するステップ「E1-5」が繰り返される。
【0102】
プロペラ26の回転速度「Nr」が決定された回転速度「Nre」以下である場合、インデックス付角度位置でプロペラを停止するステップ「E1-7」がトリガされる。このステップでは、ステッパモータ82は、ステッパモータ82を使用して、前記インデックス付角度位置「θi」でプロペラ26を停止するように制御される。
【0103】
停止ステップ「E1-7」の後には、ここでは誘導センサ110によってプロペラ26の角度位置「θ」を確認するステップ「E1-8」が続く。プロペラ26の測定された角度位置「θ」が、前記インデックス付角度位置「θi」の両側で決定された許容差間隔[θi-λ、θi+λ]内にある場合、ロックステップ「E1-10」がトリガされ、そうでない場合、調整ステップ「E1-9」がトリガされる。
【0104】
調整ステップ「E1-9」は、ステッパモータ82を制御して、プロペラ26をその回転軸線「X」を中心にしてインデックス付角度位置「θi」のうちの1つに向かって回転駆動する回転トルクを提供することからなる。
【0105】
この調整ステップ「E1-9」の間、プロペラ26は、一方の向きのみで回転駆動される。したがって、プロペラ26がインデックス付角度位置「θi」を通過すると、ステッパモータ82は、プロペラ26をその次のインデックス付角度位置「θi」まで回転駆動する。
【0106】
あるいは、プロペラ26は、プロペラ26が最も近いインデックス付角度位置「θi」に向かって回転するように、ステッパモータ82によって両方の向きで回転駆動されてもよい。
【0107】
この調整ステップ「E1-9」の後、停止ステップ「E1-7」が繰り返される。
【0108】
プロペラ26の角度位置「θ」が、インデックス付角度位置「θi」のいずれかの側で決定された許容差間隔[θi-λ、θi+λ]内に入るまで、調整するステップ「E1-9」、停止するステップ「E1-7」、および確認するステップ「E1-8」が繰り返される。
【0109】
ロックステップ「E1-10」では、プロペラ26は、図23に示すように、機械的ロック装置96によって、インデックス付角度位置「θi」でナセル24に対して回転ロックされる。前述したように、ロック装置96は、そのアクティブ位置に向かって制御されるロック部材104と戻り止め102の傾斜部との間の協働によって、プロペラ26をそのインデックス付角度位置「θi」に正確に入れることを可能にする。
【0110】
ロックステップ「E1-10」の終わりに、ブレード32を折り畳むステップ「E1-11」がトリガされる。このステップでは、ブレード32は、前述のように、また図4図7図9、および図13に示すように、折畳装置50によってそれぞれのハウジング39に折り畳まれる。
【0111】
そして、折り畳みを確認するステップ「E1-12」では、センサ72Bによってブレード32が適正に折り畳まれていることを確認する。ブレード32が折畳位置にある場合、ラッチ75は、最終ロックステップ「E1-13」でブレード32を折畳位置にロックするように制御され、そうでない場合、図25の参照符号「E1-14」に示すように、航空機20のパイロットにインシデントが報告される。
【0112】
ブレードの空力設計は、この故障の場合に考慮されるべき特定の飛行条件の下で、特に折畳位置でブレードを効果的にロックしない場合に、折り畳まれたブレードを意図せずに展開しないという要件を考慮に入れる。
【0113】
ここで、推進ユニット22のブレード32を展開する方法を、図26を参照して説明する。そのような方法は、図示されていない電子制御ユニットによって実施される。本方法は、自動的にまたはパイロットからの手動コマンドによってトリガされることができる。
【0114】
最初のステップ「E2-1」では、ブレード32の展開方法を継続するための認可を得るために満たされなければならない航空機20の特定の飛行条件が確認される。
【0115】
例えば、ステップ「E2-1」が浮揚推進ユニット22に適用されると、航空機20の速度が低下しており、浮揚推進ユニット22からの揚力なしに支持能力力を提供するのにその翼がもはや十分ではない速度に近づいていることが確認される。例えば、航空機20の前進速度「V」が、決定された第3の閾値速度「V2」まで減少することが確認される。この場合、後続の展開ステップ「E2-2」がトリガされ、そうでない場合、展開方法は許可されない。
【0116】
別の例によれば、ステップ「E2-1」がトラクション推進ユニット22に適用されると、航空機20に推力を提供するためにすべてのトラクション推進ユニット22を同時に使用する必要がある十分な経済的巡航速度を航空機20の速度が下回ることが確認される。例えば、航空機20の前進速度「V」が第4の決定された閾値速度「V3」をかなり下回っていることが確認される。トラクション推進ユニット22のブレード32はまた、航空機20がホバリング飛行から離れようとしているときに展開されてもよい。これらの条件のうちの1つが確認されると、次のステップ「E2-2」がトリガされ、そうでなければ、展開方法が中断される。
【0117】
展開ステップ「E2-2」では、ラッチ75を後退させ、折畳アクチュエータ50を動作させてブレード32を展開させる。
【0118】
展開の後続の確認ステップ「E2-3」において、展開センサ72Aは、ブレード32がそれらの展開位置にあることを確認するために使用される。この場合、プロペラ26のロックを解除するステップ「E2-4」がトリガされ、そうでない場合、展開のステップ「E2-2」が繰り返される。
【0119】
ロック解除ステップ「E2-4」では、プロペラ26の機械的ロック装置96のロック部材104は、その非アクティブ位置に制御されて、プロペラ26の回転を解放する。
【0120】
ロック解除を確認するステップ「E2-5」では、プロペラ26がロックセンサ105によって回転ロック解除されていることを確認する。そうである場合、展開方法は完了し、推進ユニット22は使用する準備ができており、そうでない場合、ロック解除ステップ「E2-4」が繰り返される。
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【国際調査報告】