(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】対象における顎先後退を分類及び/又は処置するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/728 20060101AFI20230714BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230714BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20230714BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20230714BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230714BHJP
A61L 27/20 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A61K31/728
A61P17/00
A61K31/167
A61P25/02
A61P29/00
A61L27/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578659
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 US2021037966
(87)【国際公開番号】W WO2021257924
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018268
【氏名又は名称】アラーガン、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ク ジァジー
(72)【発明者】
【氏名】ジア イー
(72)【発明者】
【氏名】リー ドン
【テーマコード(参考)】
4C081
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C081AB37
4C081CC05
4C081CD081
4C081CE02
4C081DA12
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA25
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA89
4C206AA01
4C206GA19
4C206GA31
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA86
4C206NA08
4C206ZA21
(57)【要約】
本開示は、東アジア人対象などの対象において顎先後退を処置又は分類するための方法及び組成物を提供する。本開示はまた、東アジア人対象などの対象における顎先後退の程度を決定するために有用な顎先後退スケールを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象において顎先後退を処置する方法であって、
定義された顎先中点、オトガイ上線、及び口角垂直線を有する前記対象の顔面画像を生成するステップ;
前記オトガイ上線及び前記口角垂直線に対して前記定義された顎先中点の位置を決定するステップ;並びに
前記定義された顎先中点が、(i)前記オトガイ上線に、(ii)前記オトガイ上線と前記口角垂直線との間に、又は(iii)前記口角垂直線に若しくは前記口角垂直線の後側にある場合、前記対象の顎先後退を処置するステップ、を含む、
方法。
【請求項2】
前記対象が、非白人である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象が、東アジア人である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記定義された顎先中点が前記口角垂直線に又は前記口角垂直線の後側にある場合、顎先後退を処置する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
顎先後退を処置するステップが、架橋剤で架橋されたヒアルロン酸(HA)成分を含む軟組織フィラー組成物を前記対象に投与するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記架橋剤が、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(又は1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン、又は1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物の前記HAの濃度が20mg/mlを超える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
架橋に使用される前記HAが、高分子量HA及び低分子量HAを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
架橋に使用される前記HAが、前記組成物を含む前記HAの総質量に基づいて、少なくとも50質量%の低分子量HAを含む混合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記HAが、約4%~約10%の間の架橋度を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記HAが、約4%の架橋度を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記HAが、約6%の架橋度を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記HAが、約6.5%の架橋度を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記HAが、約8%の架橋度を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記HAが、約10%の架橋度を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記軟組織フィラー組成物が、前記フィラー組成物の約10体積%を超える非架橋HA成分を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記軟組織フィラー組成物が、前記架橋HA成分と合わさったリドカインをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項18】
前記リドカインが、約0.05%w/w~約1%w/wの濃度で存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記軟組織フィラー組成物が、前記対象の前記顔面の少なくとも1つの処置領域に、皮下及び/又は骨膜上投与され、前記処置領域は、ポゴニオン、オトガイ、左前顎溝、右前顎溝、及び唇下(オトガイ)のしわからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項20】
顎先後退の程度に基づいて対象を分類する方法であって、
定義された顎先中点と、下唇点線、オトガイ上線、及び口角垂直線のうちの2種以上を有する前記対象の顔面画像を生成するステップ;
前記下唇点線、前記オトガイ上線、及び/又は口角垂直線に対して前記定義された顎先中点の位置を決定するステップ;並びに
前記下唇点線、前記オトガイ上線、及び/又は口角垂直線に対して前記定義された顎先中点の位置に基づいて、前記対象における顎先後退の程度を分類するステップを含む、方法。
【請求項21】
前記定義された顎先中点が前記下唇点線に又は前記下唇点線の前側にある場合、前記対象が、顎先後退を有さないと分類される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記定義された顎先中点が前記下唇点線と前記オトガイ上線との間にある場合、前記対象が、最小の顎先後退を有すると分類される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記定義された顎先中点が前記オトガイ上線にある場合、前記対象が、中程度の顎先後退を有すると分類される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記定義された顎先中点が前記オトガイ上線と前記口角垂直線との間にある場合、前記対象が、中程度から重度の顎先後退を有すると分類される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記定義された顎先中点が前記口角垂直線にあるか、又は前記口角垂直線の後側にある場合、前記対象が、重度の顎先後退を有すると分類される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
顎先後退の複数のグレードを表す複数の顔面画像を含む顎先後退スケールであって、各画像が、定義された顎先中点と、下唇点線、オトガイ上線、及び口角垂直線のうちの少なくとも1種を示す顔面輪郭像を含み、顎先後退の前記グレードのうちの少なくとも1つは、前記顎先中点と、前記下唇点線、前記オトガイ上線、又は前記口角垂直線の相対位置に基づいている、顎先後退スケール。
【請求項27】
写真数値化スケールである、請求項26に記載の顎先後退スケール。
【請求項28】
前記写真数値化スケールが、スコア0~4を含み、
スコア0は、前記下唇点線に又は前記下唇点線の前側に定義された顎先中点を伴う対象において顎先後退が存在しないことを意味し;
スコア1は、前記下唇点線と前記オトガイ上線との間に定義された顎先中点を伴う対象における顎先後退が最小であることを意味し;
スコア2は、前記オトガイ上線に定義された顎先中点を伴う対象における顎先後退が中程度であることを意味し;
スコア3は、前記オトガイ上線と前記口角垂直線との間に定義された顎先中点を伴う対象における顎先後退が中程度から重度であることを意味し;
スコア4は、前記口角垂直線に又は前記口角垂直線の後側に定義された顎先中点を伴う対象における顎先後退が重度であることを意味する、請求項27に記載の顎先後退スケール。
【請求項29】
それを必要とする対象において顎先後退を処置する方法であって、
定義された顎先中点と、オトガイ上線及び口角垂直線のうちの1つ又は複数を有する対象の顔面画像を生成するステップ;及び
前記対象における顎先後退の程度を分類するステップであって、
前記定義された顎先中点が前記オトガイ上線にある場合、中程度の顎先後退が存在し、
前記定義された顎先中点が、前記オトガイ前記上線と前記口角垂直線との間にある場合、中程度から重度の顎先後退が存在し、
前記定義された顎先中点が、前記口角垂直線に又は前記口角垂直線の後側にある場合、重度の顎先後退が存在し、
中程度の、中程度から重度の、又は重度の顎先後退を有すると分類される場合、前記対象に処置を施すステップを含む、方法。
【請求項30】
前記処置が、架橋剤で架橋されたヒアルロン酸(HA)成分を含む軟組織フィラー組成物を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記架橋剤が、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(又は1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン、又は1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサンである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記軟組織フィラー組成物が、前記フィラー組成物の約10体積%を超える非架橋HA成分を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記軟組織フィラー組成物が、架橋HA成分と合わさったリドカインをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記リドカインが、約0.05%w/w~約1%w/wの濃度で存在する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
それを必要とする対象において顎先後退を処置する方法であって、
定義された顎先中点、オトガイ上線及び口角垂直線のうちの1つ又は複数を含む対象の顔面画像を生成するステップ;並びに
前記定義された顎先中点が、前記オトガイ上線に、前記オトガイ上線と前記口角垂直線との間に、又は前記口角垂直線に若しくは前記口角垂直線の後側にある場合、前記対象の顎先後退を処置するステップ、を含み、
前記対象を処置するステップは、前記患者の前記顔面の少なくとも1つの処置領域に、約6.5%の架橋度を有するBDDE架橋ヒアルロン酸(HA)を含み、20mg/mlを超えるHA濃度を有する有効量の組成物を、骨膜上(supraperiostally)投与するステップを含み、架橋に使用される前記HAは、前記HAの総質量に基づいて、少なくとも50質量%の低分子量HAを含有する混合物であり、前記処置領域は、ポゴニオン、オトガイ、左前顎溝、右前顎溝、及び唇下のしわからなる群から選択される、方法。
【請求項36】
対象における顎先後退の程度の変化を判定する方法であって、
定義された顎先中点と、下唇点線、オトガイ上線、及び口角垂直線のうちの少なくとも1つを有する対象の顔面の第1の画像を生成するステップ;
前記最初の画像から、前記下唇点線、前記オトガイ上線、及び/又は前記口角垂直線に対して前記定義された顎先中点の最初の位置を決定するステップ;
前記下唇点線、前記オトガイ上線、及び/又は口角垂直線に対して前記定義された顎先中点の前記第1の位置に基づいて、前記対象における顎先後退の第1の程度を割り当てるステップ;
前記対象者の前記顔面の第2の画像を生成するステップ;
前記第2の画像から、前記下唇点線、前記オトガイ上線、及び/又は前記口角垂直線に対して前記定義された顎先中点の第2の位置を決定するステップ;並びに
前記下唇点線、前記オトガイ上線及び前記口角垂直線に対して前記定義された顎先中点の前記後続の位置に基づいて、前記対象における顎先後退の第2の程度を割り当てるステップ;を含む、方法。
【請求項37】
第2の画像を生成する前記ステップの前に、前記対象の前記顔面上の処置領域に処置を施すステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記処置が、軟組織フィラー組成物を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
顎先後退の前記第2の程度が、顎先後退の前記第1の程度よりも小さい、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記第2の画像が、前記第1の画像から約1カ月後~約24カ月後の間に生成される、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
1つ又は複数のプロセッサと;
前記1つ又は複数のプロセッサで実行するための1つ又は複数のプログラムを格納するメモリとを含む、電子コンピュータシステムであって、
前記1つ又は複数のプログラムは、
定義された顎先中点と、下唇点線、オトガイ上線、及び口角垂直線のうちの1つ又は複数を有する対象の顔面の入力画像を取得するための;
パターン認識プロセスを使用して、前記入力画像の1つ又は複数の様相を、定義された顎先中点、下唇点線、オトガイ上線、及び口角垂直線をそれぞれ有する顔面の複数の参照画像の対応する様相と比較するための;
前記比較の結果に基づいて、前記対象における顎先後退の程度を分類するための;並びに
前記対象の前記分類に基づいて処置計画を推奨するための、命令を含み、
前記参照画像はそれぞれ、スコアリングされた顎先後退の程度を有する、電子コンピュータシステム。
【請求項42】
前記処置計画が、前記患者の前記顔面の少なくとも1つの処置領域に、BDDE架橋ヒアルロン酸(HA)を含む有効量の組成物を、骨膜上(supraperiostally)投与するステップを含み、前記処置は、ポゴニオン、オトガイ、左前顎溝、右前顎溝、及び唇下のしわのうちの1つ又は複数である、請求項41に記載の電子コンピュータシステム。
【請求項43】
前記入力画像の前記1つ又は複数の様相が、前記入力画像において検出可能な前記顔面の身体的特徴に対応する、請求項41に記載の電子コンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば対象における顎先後退の程度を分類することによる、それを必要とする対象における顎先後退を分類及び/又は処置するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
形の良い顎先は、審美的に美しい顔面に不可欠な土台を提供する。顎先及びオトガイ下領域の輪郭を強調することを目的とした、顎先増大(chin augmentation)手技が普及しているようである。(Bertossi D, Galzignato PF, Albanese M, Botti C, Botti G, Nocini PF, “Chin microgenia: a clinical comparative study,” Aesthetic Plast Surg. 2015;39(5):651-658.)実際、米国美容形成外科学会(the American Society for Aesthetic Plastic Surgery)は、2017年から2018年にかけてこれらの手技が20% 増加したと報告している。(The American Society for Aesthetic Plastic Surgery’s Cosmetic Surgery National Data Bank: Statistics 2018. Aesthet Surg J. 2019;39(Suppl 4):1-27.)さらに、顎先増大は男性と女性の両方で両方でトップ20の審美的手技の中の1つであり、若い成人の間で最も一般的に行われていた。
顎先の後退は、成熟、外傷、又は顔面老化の間の顔面の下部3分の1の成長における変化の結果である可能性があり、それらのうちの顔面老化は、成熟及び外傷によって引き起こされる変形又は非対称性を悪化させる場合がある。下顎骨の形状は、口、顎先、及び首に影響を与える。個体が老化するにつれて、骨格によるこの領域の支持が低下することによって軟組織の委縮が目立つようになり、顎が誇張され、顎先の突出が減少し、顎の輪郭が弱く見えるようになる。顎先の変形は顔の最も一般的な骨異常の1つであり、その中で最も一般的なものは後退し骨ばった顎先を伴う正常な垂直高さの存在を特徴とする水平小下顎症である。
【0003】
顎先増大は、外科的技術、例として、顎先インプラントの挿入又はオトガイ骨の骨切除術のオトガイ形成術、又はますます普及している注射用軟組織フィラー処置などの侵襲の少ない手技を使用して行うことができる。個体は主に、感情的及び社会的相互作用並びに外見に基づいて他者が自分をどのように認識するかについての懸念を改善するために、美容的顎先増大手術を受けることを選択する。(例えば、Furnham A, Levitas J, “Factors that motivate people to undergo cosmetic surgery,” Can J Plast Surg. 2012;20(4):e47-50; Moosavizadeh SM, Niazi F, Kalantar-Hormozi A, “Evaluation of female patients motivating factors for aesthetic surgery,” World J Plast Surg. 2012;1(2):76-82; Nellis JC, Ishii M, Papel ID, et al., “Association of face-lift surgery with social perception, age, attractiveness, health, and success,” JAMA Facial Plast Surg. 2017;19(4):311-317を参照のこと。)
【0004】
多くの国/地域では、顎先と唇との間の位置が合っていない(顎先後退など)場合、魅力的ではないと考えられている。(例えば、Naini FB, Donaldson AN, McDonald F, Cobourne MT. Assessing the influence of chin prominence on perceived attractiveness in the orthognathic patient, clinician and layperson. Int J Oral Maxillofac Surg. 2012;41(7):839-846を参照のこと。)欧米の男性及び女性の顎先隆起を評価するために多くの場合使用される写真数値化スケール(photonumeric scale)では、顔面下部の人体計測ランドマークを使用して、後退の程度の客観的推定値が導出される。(Sykes JM, Carruthers A, Hardas B, et al., “Development and validation of a photonumeric scale for assessment of chin retrusion,” Dermatol Surg. 2016;42(suppl 1):S211-S218.)
【0005】
当技術分野で認められた方法は、欧米の患者にとっては有効かつ信頼できるものであるが、特に顔面下部における頭蓋顔面の形態特性の相違、例えば下顎平面角度の著しい相違により、及び異なる審美的目標、例えば理想的下顎-唇比の相違により、非白人対象での使用では相違がある。したがって、治療的介入に修正可能であり得る非白人患者集団における重度又は極度の顎先後退の存在を客観的に評価するための検証済みのスケールは存在していない。審美的改善を求めて男性及び女性を処置する皮膚科医及び形成外科医は、均一に適用することができる検証済みのスケールがあれば十分に役割を果たすことができるであろう。
したがって、対象における重度又は極度の顎先後退を識別、分類、及び処置するための方法及び組成物が強く必要とされている。さらに、対象における重度又は極度の顎先後退を識別、分類、及び処置するのに有用な検証済みのスケールが強く必要とされている。さらに、対象の顎先後退の重症度又は極度の変化の程度を評価する方法が強く必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、それを必要とする対象(例えば、非白人又はアジア人対象)において顎先後退を処置するための方法及び組成物を提供する。これらの方法は、定義された顎先中点、オトガイ上線、及び口角垂直線を有する対象の顔面画像を生成するステップ;オトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の位置を決定するステップ;並びに定義された顎先中点が、オトガイ上線に、オトガイ上線と口角垂直線との間に、又は口角垂直線に若しくは口角垂直線の後側にある場合、対象の顎先後退を処置するステップ、を含み得る。ある特定の実施形態では、定義された顎先中点が口角垂直線に又は口角垂直線の後側にある場合、顎先後退を処置する。定義された顎先中点の位置は、医師又は開業医によって決定され得る。
【0007】
前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、対象は非白人である。ある特定の実施形態では、対象は東アジア人対象である。
前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、架橋剤で架橋されたヒアルロン酸(HA)成分を含む軟組織フィラー組成物を対象に投与することを含む。ある特定の実施形態では、組成物は、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(又は1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン、又は1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサン、から選択される架橋剤を使用して架橋されたHA成分を含むことができる。
前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、約20mg/mlを超える量のHAを含む。
【0008】
前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、高分子量HA及び低分子量HAを含む。ある特定の実施形態では、組成物のHAは、組成物を構成するHAの総質量に基づいて、少なくとも約50質量%の低分子量HAを含有する混合物である。
前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、架橋剤で架橋HAを含み、HAは、約4%~約10%の間の架橋度を有する。特定の実施形態では、HAは、約4%、約5%、約6%、約6.5%、約7%、約8%、約9%、又は約10%の架橋度を有する。
前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、架橋HA成分と合わさったリドカインを含む。さらなる実施形態では、リドカインは、組成物中に約0.05%w/w~約1%w/wの濃度で存在する。
前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、組成物は、対象の顔面の少なくとも1つの処置領域に皮下及び/又は骨膜上投与され、処置領域は、ポゴニオン、メントン、左前顎溝、右前顎溝、及び唇下(オトガイ)のしわからなる群から選択される。
【0009】
本開示はまた、顎先後退の程度に基づいて対象を分類するための方法を提供する。そのような方法は、定義された顎先中点と、下唇点線、オトガイ上線、及び口角垂直線のうちの1つ又は複数を有する対象の顔面画像を生成するステップ;オトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の位置を決定するステップ;並びに下唇点線、オトガイ上線、又は口角垂直線に対して定義された顎先中点の位置に基づいて、対象における顎先後退の程度を分類するステップを含み得る。
前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、対象の定義された顎先中点が対象の下唇点線に又はその前側にある場合、対象は、顎先後退を有さないと分類される。ある特定の実施形態では、定義された顎先中点が下唇点線とオトガイ上線との間にある場合、対象は、最小の顎先後退を有すると分類される。さらなる実施形態では、定義された顎先中点がオトガイ上線にある場合、対象は、中程度の顎先後退を有すると分類される。
前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、定義された顎先中点がオトガイ上線と口角垂直線との間にある場合、対象は、中程度から重度の顎先後退を有すると分類される。いくつかの実施形態では、定義された顎先中点が口角垂直線にあるか、又はその後側にある場合、対象は、重度の顎先後退を有すると分類される。
【0010】
本開示は、顎先後退スケールもまた提供する。いくつかの実施形態では、顎先後退スケールは、顎先後退の複数のグレードを表す複数の顔面画像を含むことができ、各画像は、少なくとも1つの定義された顎先中点と、オトガイ上線、下唇点線、及び口角垂直線のうちの1つ又は複数を示す顔面輪郭像を含む。さらなる実施形態では、本開示は、顎先後退の写真数値化スケールを提供する。なおさらなる実施形態では、写真数値化スケールは、0~4のスコア(例えば、0、1、2、3、及び4)を含むことができ、スコア0は、下唇点線に又はその前側に定義された顎先中点を示す対象には顎先後退が存在しないことを意味し;スコア1は、下唇点線とオトガイ上線との間に定義された顎先中点を示す対象は、顎先後退が最小であることを意味し;スコア2は、オトガイ上線に定義された顎先中点を示す対象は、顎先後退が中程度であることを意味し;スコア3は、オトガイ上線と口角垂直線との間に定義された顎先中点を示す対象は、顎先後退が中程度から重度であることを意味し;スコア4は、口角垂直線に又は口角垂直線の後側に定義された顎先中点を示す対象は、顎先後退が重度であることを意味する。
【0011】
本開示はまた、それを必要とする対象において顎先後退を処置する方法であって、定義された顎先中点と、オトガイ上線及び口角垂直線のうちの1つ又は複数を有する対象の顔面画像を生成するステップ;及び対象における顎先後退の程度を分類するステップであって、定義された顎先中点がオトガイ上線にある場合、中程度の顎先後退が存在し、定義された顎先中点が、オトガイ上線と口角垂直線との間にある場合、中程度から重度の顎先後退が存在し、定義された顎先中点が、口角垂直線に又は口角垂直線の後側にある場合、重度の顎先後退が存在する、ステップ;並びに対象が中程度、中程度から重度、又は重度の顎先後退を有する場合、顎先後退を処置するステップ、を含む、方法を提供する。
本開示はまた、対象における顎先後退の程度の変化を判定するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、対象の顔面に皮膚フィラーを投与した後、対象における顎先後退の程度の変化を判定するステップを含む。さらなる実施形態では、方法は、対象の老化に伴う対象における顎先後退の程度の変化を判定するステップを含む。
【0012】
本開示はまた、対象における顎先後退の程度の変化を判定するための方法であって、定義された顎先中点と、下唇点線、オトガイ上線、及び口角垂直線のうちの2つ以上を有する対象の顔面の第1の画像を生成するステップ;第1の画像から、下唇点線、オトガイ上線、及び/又は口角垂直線に対して定義された顎先中点の第1の位置を決定するステップ;並びに下唇点線、オトガイ上線、及び/又は口角垂直線に対して定義された顎先中点の第1の位置に基づいて、対象の顎先後退の第1の程度を割り当てるステップ;対象者の第2の顔面画像を生成するステップ;第2の画像から、下唇点線、オトガイ上線、及び/又は口角垂直線に対して定義された顎先中点の第2の位置を決定するステップ;並びに下唇点線、オトガイ上線、及び/又は口角垂直線に対して定義された顎先中点の第2の位置に基づいて、対象の顎先後退の第2の程度を割り当てること;を含む、方法を提供する。
前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、第2の画像を生成するステップの前に、対象の顔面上の処置領域に処置を施すステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、処置は、軟組織フィラーを投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、顎先後退の第2の程度は、顎先後退の第1の程度よりも小さい。さらなる実施形態では、第2の画像は、第1の画像から約1カ月後~約24カ月後の間に生成される。さらなる実施形態では、第2の画像は、第1の画像から約36、48、60、72、84、96カ月、又はそれ以上後に生成される。
【0013】
本開示はまた、美容的手技を求めている患者を処置する医療提供者が使用するためのコンピューティングプラットフォームを提供する。いくつかの実施形態では、プラットフォームは、定義された顎先中点、下唇点線、オトガイ上線、及び口角垂直線を有する複数の顔面画像、又は顔面画像に関連する情報(顎先後退の程度の分類を伴う画像を含む)を保存及び分析し、機械学習及びパターン認識を使用して、対象における顎先後退の程度を分類し、任意に処置の推奨を行うことで、(i)開業医の誤りを減らし、(ii)患者のためにより良好な結果を達成する。
【0014】
上述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、安全かつ正確な処置推奨を提供する方法を、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサで実行するための1つ又は複数のプログラムを格納するメモリとを有するコンピュータシステムにおいて実装する。方法は、定義された顎先中点と、下唇点線、オトガイ上線、及び/又は口角垂直線のうちの2つ以上を有する顔面の入力画像を取得するステップ;パターン認識プロセスを使用して、入力画像の1つ又は複数の様相を、定義された顎先中点、下唇点線、オトガイ上線、及び/又は口角垂直線を有する複数の参照画像の対応する様相と比較するステップ;比較するステップの結果に基づいて、対象における顎先後退の程度の分類を取得するステップ(例えば、顎先後退の程度に本明細書に開示されるスコアを割り当てるステップ);並びに任意選択で、入力画像に基づいて処置計画を推奨するステップであって、参照画像を、それぞれ顎先後退スコア(例えば、本明細書で開示されるスコア0、1、2、3、又は4)に関連付ける、ステップを含む。
前述又は後述の実施形態のそれぞれ又はいずれかのいくつかの実施形態では、コンピュータシステムは、コンピュータシステムに本明細書に記載の方法のいずれかを実行させるための命令を格納するメモリを含む。さらなる実施形態では、コンピュータシステムのメモリに格納された命令は、コンピュータシステムに本明細書に記載の方法のいずれかを実行させるための命令を含む。
【0015】
主題技術の追加の特徴及び利点は、以下の説明に記載され、一部は説明から明らかになるか、又は主題技術の実践によって習得され得る。主題技術の利点は、本明細書の記述及び実施形態、並びに添付の図面において特に指摘された構造によって実現及び達成されるであろう。
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は両方とも、例示的かつ説明的なものであり、主題技術のさらなる説明を提供することを意図していることを理解されたい。
本発明の例示的な実施形態の種々の特徴を、図面を参照して以下に説明する。図示された実施形態は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定することを意図するものではない。図面には以下の図が含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の実施形態を実行するのに有用な顔面のランドマークを示す評価ガイドを示す。
【
図2A-C】、本開示の方法に従って分類される、顎先後退がない(グレード0、
図2A)、最小の顎先後退(グレード1、
図2B)、中程度の顎先後退(グレード2、
図2C)、の各ケース示す輪郭像における代表的な画像を示す。
【
図2D-E】、本開示の方法に従って分類される、中程度から重度の顎先後退(グレード3、
図2D)、及び重度の顎先後退(グレード4、
図2E)、の各ケースを示す輪郭像における代表的な画像を示す。
【
図3】本開示の方法に従って分類された顎先後退の程度を示す代表的な画像を示す。
【
図4】本開示の方法による顎先後退スケールの検証のためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示から当業者には主題技術の種々の構成が容易に明らかになることが理解され、ここでは、主題技術の種々の構成が例示として示され、説明されている。理解されるように、主題技術は、他の及び異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、主題技術の範囲からすべて逸脱することなく、他の種々の点で変更することができる。したがって、要約、図面、及び詳細な説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
以下に示す詳細な説明は、主題技術の種々の構成の説明として意図されており、主題技術が実施され得る唯一の構成を表すことを意図するものではない。添付の図面は本明細書に組み込まれ、詳細な説明の一部を構成する。詳細な説明には、主題の技術を完全に理解してもらう目的のための特定の詳細が含まれている。しかし、当業者には、主題技術が、これらの特定の詳細がなくても実施され得ることが明らかであろう。
【0018】
本開示は、それを必要とする対象(例えば、非白人又は東アジア人対象)において顎先後退を処置するための方法及び組成物を提供する。これらの方法は、定義された顎先中点、オトガイ上線、及び口角垂直線を有する対象の顔面画像を生成するステップ;オトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の位置を決定するステップ;並びに定義された顎先中点が、オトガイ上線に、オトガイ上線と口角垂直線との間に、又は口角垂直線に若しくは口角垂直線の後側にある場合、対象の顎先後退を処置するステップ、を含む。
本明細書で使用される場合、非白人又は非欧米人の対象とは、ヨーロッパ出身ではない人であって、したがって、白人対象における顎先後退を評価する技術的に認められた方法で使用される顔面下部の人体計測的ランドマークを欠いている人を意味する。例えば、白人と非白人の対象は、特に顔面下部における頭蓋顔面の形態特性の相違、例えば下顎平面角度の著しい相違、及び異なる審美的目標、例えば理想的下顎-唇比の相違を呈する。
本明細書で使用される場合、「東アジア人」は、例えば、中国、香港、マカオ、台湾、日本、モンゴル、北朝鮮、又は韓国出身の非白人対象のサブセットを指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「顎先後退」は、顔面の他の特徴に対して十分な顎先突出がないことを特徴とする解剖学的状態を表す。顎先後退は、本明細書に開示される方法によって評価することができる。顎先後退を評価する他の手段は、当技術分野で知られている。例えば、眉間、鼻下、及びポゴニオンによって定義される角度(「G-Sn-Pog」、「POG」、又は「Burstone」角度)を使用して、顎先後退を特徴付けることができる。そのような実施形態では、172.5°以下のPOG角度を有する対象が、本明細書に開示される方法によって処置される。
【0020】
本明細書で使用される場合、
図1に示されるように、「オトガイ上線」100は、最大凹面の点である「オトガイ上顎」101(唇オトガイ溝としても知られる)を、正中線(例えば、体の正中矢状面又は正中面に沿って)において下唇102と軟部組織ポゴニオン106との間に画定する。軟組織ポゴニオン106は、顎先の前面上の最も前方に突出している点である。さらに、本明細書で使用される場合、
図1に示されるように、「下唇点線」104は、唇紅縁114の正中線における最も前方の(前の)突出点を画定する線を意味する。唇紅は唇の赤い部分であり、唇紅縁114は、唇紅を画定する皮膚の縁である。本明細書で使用される場合、
図1に示されるように、「口角垂直線」120は、口角122を二分する冠状面を画定する線、つまり上唇紅と下唇紅の外側面が結合する位置を画定する線を意味する。
本明細書で使用される場合、
図1に示されるように、「定義された顎先中点」130は、顔面が90°側面像で見られる場合、オトガイ上101を二分する横方向又は水平面に延びる第1の線132と、グナチオン108を二分する横方向又は水平面に延びる第2の平行線134から等距離にある、顎先の正中線上の(例えば、顎先の正中矢状面又は正中面に沿った)最も前の点を意味する。
【0021】
対象の顔面の画像を生成するステップは、当技術分野で知られている方法によって達成することができる。そのような方法は、写真画像をキャプチャすることを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、画像はデジタル又は従来の写真撮影によってキャプチャされる。ある特定の実施形態では、対象の顔面の画像をキャプチャすることは、床に平行なフランクフォート水平面で、リラックスした自然な姿勢で、耳珠点を露出させた状態で、自然光の中で左から、約90°のほぼ側面の像から、笑顔を出さない対象の顔面を撮影することを含むことができる。いくつかの実施形態では、対象の顔面の画像をキャプチャすることは、少なくともグナチオン、オトガイ上、オトガイ上線、口角、及び口角垂直線を描写する側面画像をキャプチャすることを含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、他の顔面ランドマークに対して定義された顎先中点の位置を決定するステップをさらに含む。例えば、定義された顎先中点の位置は、オトガイ上線及び口角垂直線に対して決定することができる。
定義された顎先中点の位置を決定するステップは、他の顔面ランドマークを参照することによって、定義された顎先中点の相対位置を決定するステップを含んでもよい。例えば、定義された顎先中点の位置は、オトガイ上線及び/又は口角垂直線などの顔面ランドマークの位置に又はその後側(すなわち、後)にあると決定することができる。代替的に、定義された顎先中点の位置は、顔面ランドマークの前側(すなわち、前)にあると決定することができる。なおさらに、定義された顎先中点の位置は、オトガイ上線と口角垂直線との間など、2つの顔面ランドマークの間であると決定することができる。
さらに、定義された顎先中点の位置を決定するステップは、他の顔のランドマークに対して定義された顎先中点の特定の距離を決定するステップを含んでもよい。例えば、定義された顎先中点の位置は、定義された顎先中点と、オトガイ上線及び/又は口角垂直線などの1つ又は複数の顔面ランドマークとの間の特定の距離を測定することによって決定することができる。
【0023】
本開示はまた、対象(例えば、非白人又は東アジア人対象)を顎先後退の程度に基づいて対象を分類するための方法を提供する。そのような方法は、少なくとも1つの定義された顎先中点、下唇点線、オトガイ上線、及び口角垂直線を含む対象の顔面画像を生成するステップ;オトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の位置を決定するステップ;並びにオトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の位置に基づいて、対象の顎先後退の程度を分類するステップを提供する。
対象は、定義された顎先中点が下唇点線に又はその前側(前)にある場合、顎先後退を有さないと分類されてもよく、定義された顎先中点が下唇点線とオトガイ上線との間にある場合、最小の顎先後退を有すると分類されてもよく、定義された顎先中点がオトガイ上線にある場合、中程度の顎先後退を有すると分類されてもよく、定義された顎先中点が、オトガイ上線と口角垂直線との間にある場合、中程度から重度の顎先後退を有すると分類されてもよく、定義された顎先中点が口角垂直線にあるか、又はその後側にある場合、重度の顎先後退を有すると分類されてもよい。
【0024】
本開示はまた、対象における顎先後退の程度を決定するためのスケール、すなわち「顎先後退スケール」を提供する。顎先後退スケールは、対象における顎先後退の異なるカテゴリの代表的な画像及び各カテゴリの説明を含む写真数値化スケールを含み得る。例えば、写真数値化顎先後退スケールは、顎先後退なし、最小の顎先後退、中程度の顎先後退、中程度から重度の顎先後退、及び重度の顎先後退のうちの2種以上に対応する代表的な画像を含み得る。
写真数値化顎先後退スケールは、0~4のスコア(例えば、0、1、2、3、及び4)を含むことができ、スコア0は、下唇点線に又はその前側に定義された顎先中点を伴う対象には顎先後退が存在しないことを意味し;スコア1は、下唇点線とオトガイ上線との間に定義された顎先中点を伴う対象は、顎先後退が最小であることを意味し;スコア2は、オトガイ上線に定義された顎先中点を伴う対象は、顎先後退が中程度であることを意味し;スコア3は、オトガイ上線と口角垂直線との間に定義された顎先中点を伴う対象は、顎先後退が中程度から重度であることを意味し;スコア4は、口角垂直線に又は口角垂直線の後側に定義された顎先中点を伴う対象は、顎先後退が重度であることを意味する。
【0025】
本開示はまた、例えば、それを必要とする対象における顎先の突出を増大させることを含む、それを必要とする対象において顎先後退を処置するための方法及び組成物を提供する。このような方法には、オトガイ骨の骨切除術又は軟組織同種移植片又は異形成移植片の挿入など、さまざまな外科的技術が含まれる場合がある。処置の外科的方法としては、骨性オトガイ形成術及び異形成増大が挙げられる。
追加的又は代替的に、方法は、注射用軟組織フィラー組成物を投与することを含み得る。
例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、カルシウムヒドロキシルアパタイト、及び/又はポリ-L-乳酸を含む組成物を含む、多種多様な注射用軟組織フィラーが当技術分野で知られている。追加の皮膚フィラー組成物は、例えば、ポリメチルメタクリレート微小球、ヒドロゲルポリマー、及び/又はシリコーンを含む。軟部組織フィラーは、顎先後退を伴う対象など、それを必要とする対象における顎先増大又は修正を含む、さまざまな美容的及び治療的適応症に好適である。組成物は、皮下及び/又は骨膜上部腔への注射に使用することができ、好ましくは注射後に成形可能であり、したがって、注射された領域、例えば、顎先及び顎領域にわたって彫刻、輪郭付け、及び成形が可能になる。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、架橋剤で架橋されたヒアルロン酸(HA)成分を含む軟組織フィラー組成物を対象に投与することによって顎先後退を処置することを含む。本明細書で使用される場合、HAは、そのヒアルロン酸塩のいずれかを指すことができ、ヒアルロン酸ナトリウム(NaHA)、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸カルシウム、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。HA及びその薬学的に許容される塩の両方を本開示で使用することができる。
【0027】
軟組織フィラー組成物は、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,4-ビスグリシジルオキシブタン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン及び1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサン、からなる群から選択される架橋剤で架橋されたHAを含み得る。好ましくは、注射用フィラー組成物は、一般にBDDEで架橋されたHAを含む。そのような組成物は、微細ゲージ針を介した注射に好適であり、顔面、例えば顔面下部、例えば顎先若しくは顎、又は顔面中央部、例えば鼻を増大させ、修正し、又は容積若しくはリフトを形成することができる。
【0028】
本開示の軟組織フィラー組成物は、約4%~約12%の間の架橋度を有するHAを含み得る。本明細書で使用される「架橋度」とは、個々のHAポリマー分子若しくはモノマー鎖を、永久構造、又は本明細書で開示される軟組織フィラー組成物に結合する分子間結合を指す。さらに、本開示の目的のための架橋度は、架橋剤とHAベースの組成物の架橋部分中のHAモノマー単位に対するパーセント質量比としてさらに定義される。これは架橋剤のHAモノマーに対する質量比によって測定される。実施形態では、HAは、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%の架橋度を有する。いくつかの実施形態では、HAは、約6.5%の架橋度を有する。他の実施形態では、HAは、約7.5%、又は約8.5%、又は約9.5%、又は約10.5%の架橋度を有する。
さらに、軟組織フィラー組成物は、フィラー組成物の約10体積%を超える非架橋HA成分を含んでもよい。本明細書で使用される「非架橋HA」は、架橋されていない個々のHAポリマー分子を指す。非架橋HAは、一般に水溶性を維持している。非架橋HA画分も任意に組成物に含めてもよく、例えば、潤滑剤として作用させ、顔面組織への注入を容易にすることができる。そのような組成物は、加えられた非架橋HAが約0.1mg/ml~約3mg/mlの間の濃度で存在する非架橋HA画分を含み得る。好ましくは、非架橋HAは、約0.2mg/ml~約1.5mg/mlの間の濃度で存在し得る。
【0029】
さらに、軟組織フィラー組成物は、約1mg/ml~約50mg/mlのHA濃度を含み得る。フィラー組成物は、約20mg/ml以上のHA濃度を含み得る。いくつかの実施形態では、HA濃度は、約21mg/ml、又は約22mg/ml、又は約23mg/ml、又は約24mg/ml、又は約25mg/ml、又は約26mg/ml、又は約27mg/ml、又は約28mg/ml、又は約29mg/ml、又は約30mg/ml以上である。他の実施形態では、組成物は、22.5mg/ml~27.5mg/mlの間、例えば25.0mg/mlのHA濃度を有する。
軟組織フィラー組成物は、低分子量ヒアルロン酸と高分子量ヒアルロン酸との混合物を用いて作製することもできる。本明細書で使用される場合、「分子量」は、ダルトン単位の質量平均分子量(Mw)を意味する。本明細書で使用される場合、高分子量HAは、約2,000,000Daを超える分子量(又は2.2L/gを超える固有粘度)を有し、低分子量HAは、約1,000,000Da未満の分子量(又は1.4L/g未満の固有粘度)を有する。
【0030】
さらに、軟組織フィラー組成物は、架橋剤で架橋される前に、約50%~約100%の低分子量ヒアルロン酸を含む架橋ヒアルロン酸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、架橋ヒアルロン酸は、架橋剤で架橋される前に、約70%~約90%の低分子量ヒアルロン酸から作製される。いくつかの実施形態では、架橋ヒアルロン酸は、架橋剤で架橋される前に、約90%の低分子量ヒアルロン酸から作製される。
さらに、軟組織フィラー組成物は、例えば、架橋HA成分と組み合わせたリドカインなどの麻酔剤を含んでもよい。麻酔薬を用いる実施形態では、1つ又は複数の麻酔薬の濃度は、組成物の注射時に経験する疼痛を緩和するのに有効な量である。少なくとも1種の局所麻酔薬は、アンブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジシクロミン、エクゴニジン、エクゴニン、塩化エチル、エチドカイン、ベータユーカイン、ユープロシン、フェナルコミン、ホルモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシテトラカイン、イソブチルp-アミノベンゾエート、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ネパイン、オクトカイン、オルソカイン、オキセタザイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパンカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、プソイドコカイン、ピロカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ゾラミン、及びそれらの塩の群から選択することができる。
【0031】
ある特定の実施形態では、少なくとも1種の麻酔薬は、リドカインHClの形態などのリドカインである。本開示の軟組織フィラー組成物は、組成物の約0.05質量%~約5質量%の間、例えば、組成物の約0.05質量%~約1.0質量%の間のリドカイン濃度を有し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の約0.3質量%(%w/w)のリドカイン濃度を有する。本明細書に記載の組成物中のリドカインの濃度は、治療上有効であり得、患者に害を与えることなく治療上の利益を提供するのに十分な濃度であることを意味する。
本開示の軟組織フィラー組成物は、対象の顔面の少なくとも1つの処置領域、例えば、ポゴニオン、メントン、左前顎溝、右前顎溝、及び/又は唇下(オトガイ)のしわに、皮下及び/又は骨膜上投与してもよい。いくつかの実施形態では、方法は、有効量の、例えば、約1.0ml以上、例えば約2.0ml以上、例えば約3.0ml以上、例えば4.0mlの軟組織フィラー組成物を、患者の処置部位に投与するステップを含んでもよい。処置領域は、顎先、例えば患者の後退した顎先であってもよい。処置は、1又は複数回にわたる処置セッションを含む、2つ以上の処置領域に組成物を投与するステップを含み得る。
【0032】
軟組織フィラー組成物を対象に投与するステップは、対象の顎先後退の程度に変化をもたらし得る。したがって、ある特定の実施形態では、例えば重度の顎先後退を有すると分類された対象を、処置領域に軟組織フィラーを投与することによって処置し、それによって対象の顎先後退の程度を変化させる。例えば、処置前に重度の顎先後退を有すると分類された(すなわち、本明細書で開示される顎先後退スケールで4に分類された)対象は、処置後に顎先後退が中程度から重度(3)、中程度(2)、最小(1)、又は顎先後退なし(0)と分類される。代替的に、処置前に中程度から重度の顎先後退を有すると分類された対象は、処置後、顎先後退が中程度、最小、又は顎先後退なしと分類される。別の例では、処置前に中程度の顎先後退を有すると分類された対象は、処置後、顎先後退が最小、又は顎先後退なしと分類される。
【0033】
本開示はまた、対象における顎先後退の程度の変化を判定する方法を提供する。これらの方法は、定義された顎先中点、オトガイ上線、及び口角垂直線を有する対象の顔面の第1の画像を生成するステップ;第1の画像から、オトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の第1の位置を決定するステップ;オトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の第1の位置に基づいて、対象の顎先後退の第1の程度を割り当てるステップ;対象者の第2の顔面画像を生成するステップ;第2の画像から、オトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の第2の位置を決定するステップ;並びにオトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の第2の位置に基づいて、対象の顎先後退の第2の程度を割り当てるステップ;を含んでもよい。
【0034】
対象における顎先後退の程度の変化は、例えば、軟組織フィラー組成物を用いた処置後に判定することができる。いくつかの実施形態は、第2の画像を生成するステップの前に、対象を処置するステップをさらに含んでもよい。その他の実施形態では、変化は、例えば対象が老化するにつれて、経時的に判定される。
本開示はまた、種々の時点で、例えば皮膚フィラーによる処置後の種々の時点で、顎先後退の程度を監視することによって、処置の有効性を決定する方法を提供する。顎先後退の変化は、処置後約1カ月、約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約13カ月、約14カ月、約15カ月、約16カ月、約17カ月、約18カ月、又はそれ以上で判定される場合がある。
また、本明細書では、美容的手技を求めている患者を処置する医療提供者が使用するためのコンピューティングプラットフォームを提供する。プラットフォームは、顔面の複数の画像(例えば、数百若しくは数千の顔面)、又は顔面の画像に関連する情報を保存及び分析することができ、機械学習及びパターン認識を使用して、顎先後退を伴う対象を分類し、任意に処置推奨を行う。
【0035】
1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサで実行するための1つ又は複数のプログラムを格納するメモリとを有するコンピュータシステムも提供される。そのようなシステムは、コンピュータシステムに、本明細書で開示される方法のいずれかの一部を含む本明細書で説明される方法のいずれかを実行させるための命令を格納するメモリを含む。例えば、コンピュータシステムは、パターン認識プロセスを使用して、定義された顎先中点、オトガイ上線、及び口角垂直線を有する顔面の入力画像の1つ又は複数の様相を、顎先後退の関連カテゴリを伴う定義された顎先中点、オトガイ上線、及び口角垂直線を有する複数の参照画像の対応する様相と比較して;比較するステップの結果に基づいて、入力画像の顎先後退の程度の分類を取得し;任意に、顎先後退の分類に基づいて処置計画を推奨してもよい。
【0036】
条項としての対象技術の説明
本開示の態様の種々の例は、便宜上、付番された条項(1、2、3など)として説明される。これらは例として提供されており、対象技術を限定するものではない。
条項1.それを必要とする対象において顎先後退を処置する方法であって、定義された顎先中点、オトガイ上線、及び口角垂直線を有する対象の顔面画像を生成するステップ;オトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の位置を決定するステップ;並びに定義された顎先中点が、(i)オトガイ上線に、(ii)オトガイ上線と口角垂直線との間に、又は(iii)口角垂直線に若しくは口角垂直線の後側にある場合、対象の顎先後退を処置するステップ、を含む、方法。
条項2.対象が非白人である、条項1に記載の方法。
条項3.対象が東アジア人である、条項2に記載の方法。
条項4.定義された顎先中点が口角垂直線に又は口角垂直線の後側にある場合、顎先後退を処置する、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
【0037】
条項5.顎先後退を処置するステップが、架橋剤で架橋されたヒアルロン酸(HA)成分を含む軟組織フィラー組成物を対象に投与するステップを含む、先行する条項のいずれか1項に記載の方法。
条項6.架橋剤が、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(又は1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン、又は1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサンである、条項5に記載の方法。
条項7.組成物のHA濃度が20mg/mlを超える、条項5に記載の方法。
条項8.架橋に使用されるHAが、高分子量HA及び低分子量HAを含む、条項5に記載の方法。
条項9.架橋に使用されるHAが、組成物を含むHAの総質量に基づいて、少なくとも50質量%の低分子量HAを含む混合物である、条項8に記載の方法。
【0038】
条項10.HAが、約4%~約10%の間の架橋度を有する、条項5に記載の方法。
条項11.HAが、約4%の架橋度を有する、条項10に記載の方法。
条項12.HAが、約6%の架橋度を有する、条項10に記載の方法。
条項13.HAが、約6.5%の架橋度を有する、条項10に記載の方法。
条項14.HAが、約8%の架橋度を有する、条項10に記載の方法。
【0039】
条項15.HAが、約10%の架橋度を有する、条項10に記載の方法。
条項16.軟組織フィラー組成物が、フィラー組成物の約10体積%を超える非架橋HA成分を含む、条項5に記載の方法。
条項17.軟組織フィラー組成物が、架橋HA成分と合わさったリドカインをさらに含む、条項5に記載の方法。
条項18.リドカインが、約0.05%w/w~約1%w/wの濃度で存在する、条項17に記載の方法。
条項19.軟組織フィラー組成物が、対象の顔面の少なくとも1つの処置領域に、皮下及び/又は骨膜上投与され、処置領域は、ポゴニオン、オトガイ、左前顎溝、右前顎溝、及び唇下(オトガイ)のしわのうちの1つ又は複数から選択される、条項5に記載の方法。
【0040】
条項20.顎先後退の程度に基づいて対象を分類する方法であって、定義された顎先中点、下唇点線、オトガイ上線、及び口角垂直線を有する対象の顔面画像を生成するステップ;下唇点線、オトガイ上線、及び/又は口角垂直線のうちの1つ又は複数に対して定義された顎先中点の位置を決定するステップ;並びに下唇点線、オトガイ上線、及び/又は口角垂直線に対して定義された顎先中点の位置に基づいて、対象における顎先後退の程度を分類するステップを含む、方法。
条項21.定義された顎先中点が下唇点線に又はその前側にある場合、対象が、顎先後退を有さないと分類される、条項20に記載の方法。
条項22.定義された顎先中点が下唇点線とオトガイ上線との間にある場合、対象が、最小の顎先後退を有すると分類される、条項21に記載の方法。
条項23.定義された顎先中点がオトガイ上線にある場合、対象が、中程度の顎先後退を有すると分類される、条項21~22のいずれか1項に記載の方法。
条項24.定義された顎先中点がオトガイ上線と口角垂直線との間にある場合、対象が、中程度から重度の顎先後退を有すると分類される、条項21~23のいずれか1項に記載の方法。
【0041】
条項25.定義された顎先中点が口角垂直線にあるか、又はその後側にある場合、対象が、重度の顎先後退を有すると分類される、条項21~24のいずれか1項に記載の方法。
条項26.顎先後退の複数のグレードを表す複数の顔面画像を含む顎先後退スケールであって、各画像が、少なくとも定義された顎先中点と、下唇点線、オトガイ上線、及び口角垂直線のうちの1つ又は複数を示す顔面輪郭像を含み、顎先後退のグレードのうちの少なくとも1つは、定義された顎先中点と、下唇点線、オトガイ上線、及び/又は口角垂直線の相対位置に基づいている、顎先後退スケール。
条項27.写真数値化スケールである、条項26に記載の顎先後退スケール。
条項28.写真数値化スケールが、スコア0~4を含み、スコア0は、下唇点線に又はその前側に定義された顎先中点を伴う対象において顎先後退が存在しないことを意味し;スコア1は、下唇点線とオトガイ上線との間に定義された顎先中点を伴う対象における顎先後退が最小であることを意味し;スコア2は、オトガイ上線に定義された顎先中点を伴う対象における顎先後退が中程度であることを意味し;スコア3は、オトガイ上線と口角垂直線との間に定義された顎先中点を伴う対象における顎先後退が中程度から重度であることを意味し;スコア4は、口角垂直線に又は口角垂直線の後側に定義された顎先中点を伴う対象における顎先後退が重度であることを意味する、条項27に記載の顎先後退スケール。
条項29.それを必要とする対象において顎先後退を処置する方法であって、定義された顎先中点と、オトガイ上線及び口角垂直線のうちの1つ又は複数を有する対象の顔面画像を生成するステップ;及び対象における顎先後退の程度を分類するステップであって、定義された顎先中点がオトガイ上線にある場合、中程度の顎先後退が存在し、定義された顎先中点が、オトガイ上線と口角垂直線との間にある場合、重度の顎先後退が存在し、定義された顎先中点が、口角垂直線に又は口角垂直線の後側にある場合、重度の顎先後退が存在し、中程度の顎先後退、中程度から重度の顎先後退、又は重度の顎先後退を有すると分類される場合、対象に処置を施す、ステップを含む、方法。
【0042】
条項30.処置が、架橋剤で架橋されたヒアルロン酸(HA)成分を含む軟組織フィラー組成物である、条項29に記載の方法。
条項31.架橋剤が、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(又は1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン、又は1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサンである、条項30に記載の方法。
条項32.軟組織フィラー組成物が、フィラー組成物の約10体積%を超える非架橋HA成分を含む、条項30~31のいずれか1項に記載の方法。
条項33.軟組織フィラー組成物が、架橋HA成分と合わさったリドカインをさらに含む、条項30~32のいずれか1項に記載の方法。
条項34.リドカインが、約0.05%w/w~約1%w/wの濃度で存在する、条項33に記載の方法。
【0043】
条項35.それを必要とする対象において顎先後退を処置する方法であって、定義された顎先中点、オトガイ上線、及び口角垂直線を含む対象の顔面画像を生成するステップ;並びに定義された顎先中点がオトガイ上線と口角垂直線との間に、又は口角垂直線に若しくは口角垂直線の後側にある場合、対象の顎先後退を処置するステップ、を含み、対象を処置するステップは、患者の顔面の少なくとも1つの処置領域に、約6.5%の架橋度を有するBDDE架橋ヒアルロン酸(HA)を含み、20mg/mlを超えるHA濃度を有する有効量の組成物を、骨膜上(supraperiostally)投与するステップを含み、架橋に使用されるHAは、HAの総質量に基づいて、少なくとも50質量%の低分子量HAを含有する混合物であり、処置領域は、ポゴニオン、オトガイ、左前顎溝、右前顎溝、及び唇下のしわのうちの1つ又は複数から選択される、方法。
条項36.対象における顎先後退の程度の変化を判定する方法であって、定義された顎先中点、オトガイ上線、及び口角垂直線を有する対象の顔面の第1の画像を生成するステップ;最初の画像から、オトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の最初の位置を決定するステップ;並びにオトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の第1の位置に基づいて、対象の顎先後退の第1の程度を割り当てるステップ;対象者の第2の顔面画像を生成するステップ;第2の画像から、オトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の第2の位置を決定するステップ;並びにオトガイ上線及び口角垂直線に対して定義された顎先中点の後続の位置に基づいて、対象における顎先後退の第2の程度を割り当てるステップ;を含む、方法。
【0044】
条項37.第2の画像を生成するステップの前に、対象の顔面上の処置領域に処置を施すステップをさらに含む、条項36に記載の方法。
条項38.処置が、軟組織フィラー組成物を含む、条項37に記載の方法。
条項39.顎先後退の第2の程度が、顎先後退の第1の程度よりも小さい、条項36~38のいずれか1項に記載の方法。
条項40.第2の画像が、第1の画像から約1カ月後~約24カ月後の間に生成される、条項36~39のいずれか1項に記載の方法。
【0045】
条項41.1つ又は複数のプロセッサと;1つ又は複数のプロセッサで実行するための1つ又は複数のプログラムを格納するメモリとを含む、電子コンピュータシステムであって、1つ又は複数のプログラムは、定義された顎先中点と、下唇点線、オトガイ上線、及び/又は口角垂直線のうちの1つ又は複数を有する対象の顔面の入力画像を取得するための;パターン認識プロセスを使用して、入力画像の1つ又は複数の様相を、定義された顎先中点、及び下唇点線、オトガイ上線、及び/又は口角垂直線のうちの1つ又は複数をそれぞれが有する顔面の複数の参照画像の対応する様相と比較するための;比較の結果に基づいて、対象における顎先後退の程度を分類するための;並びに対象の分類に基づいて処置計画を推奨するための、命令を含み、参照画像はそれぞれ、スコアリングされた顎先後退の程度を有する、電子コンピュータシステム。
条項42.処置計画が、患者の顔面の少なくとも1つの処置領域に、BDDE架橋ヒアルロン酸(HA)を含む有効量の組成物を、骨膜上(supraperiostally)投与するステップを含み、処置領域は、ポゴニオン、オトガイ、左前顎溝、右前顎溝、及び唇下のしわのうちの1つ又は複数から選択される、条項41に記載の電子コンピュータシステム。
条項43.入力画像の1つ又は複数の様相が、入力画像において検出可能な顔面の身体的特徴に対応する、条項41~42のいずれか1項に記載の電子コンピュータシステム。
【実施例】
【0046】
方法
(実施例1)
顎先後退スケールの検証
スケール検証プロセス。本開示による顎先後退スケールは5つのカテゴリを有し、それらのそれぞれが数値スコア及び記述グレードに関連付けられている(表1)。数値スコアは、0~4の範囲であり、0は後退なしを表し、4は重度の後退を表す。顎先後退スケールには、顎先後退の5つの重症度すべてについてモーフィングされた対象の写真が含まれており;ベース画像は、グレード2の後退を有する対象の写真である。加えて、スケールには、男女を含むすべての5つの重症度の実際の実施例の画像が含まれている。スケールの例示的な実施形態を
図1に示す。
【0047】
【0048】
図2は、顎先後退を評価するために使用される顔面下部の解剖学的マーカーの側面像を提示する。この評価ガイドを使用して、顎先後退は、口角点、下唇点、及びオトガイ上と関連する定義された顎先中点の位置によって判断される。
例示的な顎先後退スケールを検証するために、1人の研究代表者及び顔面審美性について経験豊富な9人の独立した評定者からなる、中国を拠点とする10人の医師のチームは、Canfield Scientific, Inc.(Canfield、Fairfield、NJ)によって提供された画像評定及び電子データキャプチャツールを使用して対象画像のプールを評価した。
図3は、本開示の顎先後退スケールの実施形態を検証するプロセスにおける重要なステップを示している。スケールの検証には、2種の有効性スケール、すなわち、選択した画像ペアの臨床的有意差の評定者評価と、本開示の顎先後退スケールを使用した顎先後退の評定者評価を使用した。この研究は、ヘルシンキ宣言(the Declaration of Helsinki)の原則、又は研究が実施された国の法律及び規制のうち、個体により大きな保護を与える方の原則に従って実施された。
【0049】
対象。写真を撮影するために合計300人の対象が登録され、100人の対象の画像が評価に含まれることが計画された。対象は、18歳~50歳の北京出身の漢民族の男女であり、全体的な健康状態が良好で、顎先後退がさまざまな程度である必要があった。すべての対象は、書面によるインフォームドコンセントを提供した。顎先後退スケールの訓練画像に表示された場合、実質的な先天性若しくは外傷性の頭部顔面の変形、瘢痕、又は視覚的評価を妨げる欠陥がある場合、或いは頭部顔面の手術歴がある場合、対象は除外された。
【0050】
対象画像及び検証セッション。2次元画像をキャプチャするための標準化機器(すなわち、Canon PowerShot G16、12.1MPカメラ)を使用して、床に平行なフランクフォート水平面で、リラックスした自然な姿勢で、耳珠点を露出させた状態で、自然光の中で左から、90°の側面像から、笑顔を出さないで、対象を撮影した。
研究担当者は、少なくとも2週間空けて行われた2回の検証セッションで使用される対象画像について、2種の無作為化スキームを開発した。検証セッション1では、臨床的意義の評価のために52組の画像が選択された。研究代表者は、画像ペアを審査して承認した。画像ペアは、顎先後退スケールでの後退スコアの1、2、3、及び4グレードの差を表し、顎先後退スケールグレード間の差のすべてのレベルを表していた。検証セッション1は、1か所にて集団で行い、臨床的意義の評価は、評定者が顎先後退スケールの訓練を受ける前に実施した。研究代表者によって収集された52組の画像のそれぞれについて、評定者は、臨床的有意差があるか、有意差がないかどうか画像を指定するよう求められた。
【0051】
次に、評定者は、本開示の顎先後退スケールを使用して顎先後退を評価する方法についての訓練を受け、グループディスカッション及び合意形成に参加した。次に、評価者は中国人対象の100枚の画像を閲覧し、対象ごとに顎先後退のカテゴリを個別に等級付けした。
検証セッション2は、評定者の各自の場所で個別設定で行われた。各評定者は、安全なWebサイトにログインし、中国人対象の100枚の画像を閲覧し、対象ごとに顎先後退のカテゴリを等級付けした。
データ分析及び統計。試料サイズは、Bonettらによって記述された方法を使用して計算した(“Sample size requirements for estimating intraclass correlations with desired precision,” Stat Med. 2002;21(9):1331-1335)。すべての統計分析は、SASバージョン9.2以降(Cary、NC、USA)を使用して実行した。少なくとも8人の評定者及び0.60の級内相関係数(ICC)を使用して、合計100人の対象が、評定者内信頼性について少なくとも0.16の幅がある95%CIを提供した。顎先後退スケールの各カテゴリに対して、最小で16枚の対照画像、及び最大で24枚の対象画像を選択した。
【0052】
SASマクロ「INTRACC」を使用して、検証セッション1及び2についてのICC及び95%CIを計算することにより、評定者内信頼性を決定した。(Shrout PE, Fleiss JL, Intraclass correlations: uses in assessing rater reliability,” Psychol Bull. 1979;86(2):420-428.)各評定者について、SAS手順「FREQ」を使用して、Cicchetti-Allison重み(SASデフォルト重み)及び95%CIを用いて重み付けカッパを計算することにより、評定者内信頼性を決定した。(Cicchetti DV, Allison T, “A new procedure for assessing reliability of scoring EEG sleep recordings,” Amer J EEG Tech. 1971;11(3):101-110.)全体平均重み付けカッパは、検証セッション1及び2からの各評定者の全体の重み付けカッパを平均することによって算出した。
【0053】
一致は、Landis及びKochによって定義されたように評価した。(Landis JR, Koch GG, “The measurement of observer agreement for categorical data,” Biometrics. 1977;33(1):159-174.)一致度は、わずか(0.00~0.20)、普通(0.21~0.40)、中程度(0.41~0.60)、相当(0.61~0.80)、ほぼ完全(0.81~1.00)の5段階を特徴とした。
対になった画像の臨床的意義を評価するために、臨床的有意差がある、又は有意差がないと識別された画像ペアのパーセンテージを、顎先後退スコアのすべての絶対差について提示した。
【0054】
結果
対象の人口統計。集団のほぼ3分の2(62%)が女性であった。対象の平均(SD)年齢は、27.2(7.8)歳であった。
スケール検証。本開示の顎先後退スケールは、セッション1及び2でほぼ完全な評定者内一致を示し、ICCはそれぞれ0.89及び0.90であった(表2)。9人の評定者全員の全体的な評定者内一致はほぼ完全であり、重み付けカッパは0.82であった(表2)。顎先後退スケールの一致は、9人の評定者のうち6人についてほぼ完全であり、残りの3人の評定者については十分であった。最高評価をした評定者と最低評価をした評定者の重み付けカッパの差は0.21であった。
【0055】
【表2】
臨床的意義。9人の評定者が52の画像ペアすべてを評価し、合計468の評価が行われた(表3)。合計で、154、210、64、27、及び13の評価が、CACRSカテゴリスコアに差のないペアと、絶対差が0、1、2、3、及び4のペアをそれぞれ表している。さらに、絶対差スコアが1の画像ペアの67%と、絶対差スコアが0の画像ペアの56%は、臨床的有意差があるとの評定を受けた(表3)。画像間の臨床的有意差を特定した評定者のパーセンテージは、ペア間の絶対差とともに増加した(絶対差スコア2の画像ペアでは92.2%、絶対差スコア3又は4のペアでは100%;表3)。これらのデータに基づいて、1段階の差が臨床的に意義があると判定された。
【0056】
【0057】
更なる考慮事項
いくつかの実施形態では、本明細書の条項のいずれも、独立条項のいずれか1項又は従属条項のいずれか1項に依存し得る。一態様では、あらゆる条項(例えば、従属条項又は独立条項)は、あらゆる他の1つ又は複数の条項(例えば、従属条項又は独立条項)と組み合わせることができる。一態様では、クレームは、条項、文、語句、又は段落で列挙された単語(例えば、ステップ、操作、手段、又は構成要素)の一部又はすべてを含むことができる。一態様では、クレームは、1つ又は複数の条項、文、語句、又は段落で引用された単語の一部又はすべてを含むことができる。一態様では、条項、文、語句、又は段落のそれぞれの単語の一部を削除することができる。一態様では、条項、文、語句、又は段落に追加の単語又は要素を追加することができる。一態様では、主題技術は、本明細書に記載の構成要素、要素、機能、又は操作の一部を利用せずに実装することができる。一態様では、主題技術は、追加の構成要素、要素、機能、又は操作を利用して実装することができる。
【0058】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載された種々の構成を実施できるようにするために提供されたものである。主題技術は、種々の図面及び構成を参照して特に説明されてきたが、これらは例示のみを目的としており、主題技術の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことを理解するべきである。
開示されたプロセスにおけるステップの特定の順序又は階層は、例示的なアプローチの実例であることが理解される。設計上の選好に基づいて、プロセスにおけるステップの特定の順序又は階層を再編成できることが理解される。一部のステップは、同時に実行してもよい。添付の方法クレームは、種々のステップの要素をサンプル順序で示しており、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意図するものではない。
【0059】
本明細書で使用される場合、項目のいずれかを分離するための「及び」又は「又は」という用語とともに、一連の項目の前の「のうちの少なくとも1つ」という語句は、リストの各要素(すなわち、各項目)の代わりに全体としてリストを変更する。「少なくとも1つ」という語句は、列挙されている各項目の少なくとも1つを選択することを必要とするものではない。むしろこの語句によって、項目のいずれか1つのうちの少なくとも1つ、及び/又は項目のいずれかの組合せのうちの少なくとも1つ、及び/又は項目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味が可能になる。例として、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」という語句はそれぞれ、Aだけ、Bだけ又はCだけ;A、B及びCのいずれかの組合せ;及び/又はA、B及びCのそれぞれのうちの少なくとも1つを指す。
【0060】
更に、本明細書又は本特許請求の範囲で「含む(include)」、「有する(have)」などの用語が使用される限りにおいて、そのような用語は、「含む(comprise)」が、特許請求の範囲で移行語として使用される場合に解釈されるように、「含む(comprise)」という用語と同様に包括的であることが意図される。
【0061】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当業者に理解されるように、記載された実際の値に対するものであり、関連する状況下での測定の近似、不正確さ、及び制限を許容する。1つ又は複数の態様において、「約」、「実質的に」、及び「ほぼ」という用語は、それらの対応する用語及び/又は項目間の関連性について業界で受け入れられている許容範囲、例として記載されている実際の値の1パーセント未満~10パーセント未満の許容範囲、及びその他の好適な許容範囲などを提供することができる。
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、指定された整数の存在を示すが、指定されていない他の整数の可能性を許容する。この用語は、指定された整数の特定の割合を意味するものではない。「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの「含む(comprising)」という単語の変形形態は、それに対応して同様の意味を有する。
「例示的」という単語は、「例、事例又は例示として機能すること」を意味するために本明細書で使用される。本明細書で「例示的」として説明されるいずれかの実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0062】
単数形の要素への言及は、特に明記されていない限り、「唯一無二」を意味することを意図しているのではなく、「1つ又は複数」を意味することを意図している。男性形の代名詞(例えば、彼の(his))には、女性形及び中性形(例えば、彼女の(her)及びその(its))が含まれ、逆もまた同様である。「いくつかの」という用語は、1つ又は複数を指す。下線及び/又はイタリック体の見出し及び小見出しは、便宜上のみ使用され、主題技術を限定するものではなく、主題技術の説明の解釈に関連して言及されるものではない。当業者に知られている、又は後に知られるようになる、本開示を通じて説明される種々の構成の要素に対するすべての構造的及び機能的等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、主題技術に包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、上記の説明でそのような開示が明示的に記載されているかどうかに関係なく、発明の公開を意図するものではない。
【0063】
詳細な説明には多くの細目が含まれているが、これらは主題技術の範囲を限定するものではなく、単に主題技術のさまざまな例及び態様を例示するものとして解釈されるべきである。主題技術の範囲には、上で詳細に論じられていない他の実施形態が含まれることを理解すべきである。加えて、方法は、開示の範囲内に包含されるために、開示の異なる実施形態によって解決可能な(又は達成可能なすべての利点を有する)すべての問題に対処する必要はない。本明細書における「できる(can)」及びその派生語の使用は、積極的な能力とは対照的に、「おそらく」又は「任意に」という意味で理解されるべきである。
【国際調査報告】