(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】ガラスリボンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 17/06 20060101AFI20230714BHJP
C03C 19/00 20060101ALI20230714BHJP
C03C 23/00 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
C03B17/06
C03C19/00 Z
C03C23/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578660
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2021037531
(87)【国際公開番号】W WO2021257642
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】アマドン ジェフリー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ジュアノ ジャン-マルク マルタン ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】リー シンファ
(72)【発明者】
【氏名】レディング ブルース ウォーレン
(72)【発明者】
【氏名】ウェドン ウィリアム アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】チャン ルイ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ペン
【テーマコード(参考)】
4G059
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AB13
4G059AC03
(57)【要約】
ガラスリボンを製造する方法は、ガラス形成リボンを移動経路に沿って流すステップを含むことができる。ガラス形成リボンは、第1の主面と、第1の主面の反対側の第2の主面とを含むことができる。厚さは、第1の主面と第2の主面との間に定めることができる。本方法は、ガラス形成リボンが移動経路に沿って移動している間に、移動経路の目標位置でガラス形成リボンの第1の主面を加熱するステップを含むことができる。加熱するステップは、目標位置におけるガラス形成リボンの温度を、第1の主面から約250マイクロメートル以下の加熱深度まで上昇させることができる。本方法は、ガラス形成リボンをガラスリボン内に冷却するステップを含むことができる。加熱するステップの前に、目標位置におけるガラス形成リボンは、約1000パスカル秒~約10
11パスカル秒の範囲の平均粘度を含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスリボンを製造する方法であって、
ガラス形成リボンを移動経路に沿って流すステップであって、上記ガラス形成リボンは、第1の主面と、前記第1の主面の反対側の第2の主面と、前記第1の主面と前記第2の主面との間に定められる厚さと、前記移動経路にわたって延びる幅と、を備える、ステップと、
前記ガラス形成リボンが前記移動経路に沿って移動している間に、前記移動経路の目標位置で前記ガラス形成リボンの第1の主面を加熱するステップであって、前記加熱により前記目標位置で前記ガラス形成リボンの温度を前記第1の主面から約250マイクロメートル以下の加熱深度まで上昇させる、ステップと、
前記ガラス形成リボンを冷却してガラスリボンにするステップと、
を含み、前記加熱するステップの前に、前記目標位置の前記ガラス形成リボンが、約1,000パスカル秒~約10
11パスカル秒の範囲の平均粘度を有する、方法。
【請求項2】
前記ガラス形成リボンの実質的に全幅にわたって、前記ガラス形成リボンの前記第1の主面を前記目標位置の上流の前記移動経路上の位置でローラに接触させるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガラス成形材料を形成デバイスのオリフィスを通して流すことによって前記ガラス成形リボンを形成するステップを更に含む、請求項1~2の何れか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記目標位置での前記平均粘度が、約1,000パスカル秒~約10
6.6パスカル秒の範囲にある、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記目標位置での前記平均粘度が、約10,000パスカル秒~約20,000パスカル秒の範囲である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記目標位置での前記平均粘度が、約10
6.6パスカル秒~約10
11パスカル秒の範囲にある、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱するステップの前に、前記目標位置における前記ガラス形成リボンの平均温度が、約500℃~約1300℃の範囲にある、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記目標位置における前記ガラス形成リボンの平均温度が、約750℃~約1250℃の範囲にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記目標位置での前記ガラス形成リボンの平均温度が、約900℃~約1100℃の範囲にある、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記目標位置での前記ガラス形成リボンの平均温度が、約500℃~約750℃の範囲にある、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ガラスリボンの後続の処理の前の前記ガラスリボンの第1の主面の表面粗さRaが、約5ナノメートル以下である、請求項1~10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ガラスリボンの第1の主面の表面粗さRaが、約0.1ナノメートル~約2ナノメートルの範囲にある、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ガラスリボンの後続の処理の前の前記ガラスリボンの第1の主面の表面粗さRaが、第2のガラスリボンの後続の処理の前の前記第2のガラスリボンの表面粗さRaの約5%以下であり、前記第2のガラスリボンが、前記加熱ステップ以外は前記ガラスリボンと同一に製造される、請求項11~12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ガラスリボンの第1の主面の表面粗さRaが、前記第2のガラスリボンの表面粗さRaの約0.01%~約1%の範囲にある、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記目標位置での前記第1の主面を加熱するステップが、1平方センチメートル当たり約0.1キロワット~1平方センチメートル当たり約100キロワットの割合でエネルギーを前記ガラス形成リボンに伝達する、請求項1~14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記目標位置での前記第1の主面を加熱するステップが、1平方センチメートル当たり約1キロワット~1平方センチメートル当たり約20キロワットの割合でエネルギーを前記ガラス形成リボンに伝達する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記目標位置で前記ガラス形成リボンに伝達された前記エネルギーの実質的に全てが、前記目標位置での前記第1の主面から約10マイクロメートル以下の範囲内で吸収される、請求項15~16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記加熱深度が、約10マイクロメートル以下である、請求項1~17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の主面を加熱している間の前記目標位置における前記ガラス形成リボンのガラス形成材料の吸収深度が、約50マイクロメートル以下である、請求項1~18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記吸収深度が、約10マイクロメートル以下である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ガラス形成リボンが前記移動経路に沿って移動している間に、前記移動経路の第2の目標位置で前記ガラス形成リボンの第2の主面を加熱するステップを更に含み、前記加熱するステップは、前記第2の目標位置での前記ガラス形成リボンの温度を前記第2の主面から約250マイクロメートル以下の加熱深度まで上昇させる、請求項1~20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の主面を加熱するステップが、前記第2の目標位置における前記ガラス形成リボンの温度を、前記第2の主面から約10マイクロメートル以下の加熱深度まで上昇させる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ガラスリボンの後続の処理の前の前記ガラスリボンの第2の主面の表面粗さRaが、約5ナノメートル以下である、請求項21~22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の主面の表面粗さRaが、約0.1ナノメートル~約2ナノメートルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ガラスリボンの後続の処理の前の前記ガラスリボンの前記第2の主面の表面粗さRaが、前記第2のガラスリボンの後続の処理の前の前記第2のガラスリボンの表面粗さRaの約5%以下であり、前記第2のガラスリボンが、前記加熱ステップ以外は前記ガラスリボンと同一に製造される、請求項23~24の何れか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記ガラスリボンの前記第2の主面の表面粗さRaが、前記第2のガラスリボンの表面粗さRaの約0.01%~約1%の範囲である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の目標位置における前記ガラス形成リボンの第2の主面を加熱するステップは、1平方センチメートル当たり約0.1キロワット~1平方センチメートル当たり約100キロワットの割合で前記第2の主面にエネルギーを伝達する、請求項21~26の何れか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の目標位置における前記第2の主面を加熱するステップは、1平方センチメートル当たり約1キロワット~1平方センチメートル当たり約20キロワットの割合で前記第2の主面にエネルギーを伝達する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記加熱するステップが、前記目標位置における前記ガラス形成リボンの第前記1の主面にレーザビームを衝突させるステップを含む、請求項1~28の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記レーザビームが、約1.5マイクロメートル~約20マイクロメートルの範囲の波長を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記レーザビームの波長が、約5マイクロメートル~約15マイクロメートルの範囲にある、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記レーザビームの波長が、約9マイクロメートル~約12マイクロメートルの範囲にある、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記移動経路に直交する方向における前記レーザビームの幅が、前記目標位置における前記ガラス形成リボンの幅の約50%以上である、請求項29~32の何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記レーザビームの幅が、前記目標位置における前記ガラス形成リボンの幅の約80%~約100%の範囲にある、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記目標位置における前記ガラス形成リボンの幅の一部にわたって前記レーザビームを走査するステップを更に含む、請求項29~34の何れか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記部分は、前記目標位置における前記ガラス形成リボンの幅の約80%~100%の範囲にある、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記衝突させるステップが、複数のレーザビームで前記目標位置における前記第1の主面を衝突させるステップを含む、請求項29~36の何れか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記目標位置で前記ガラス形成リボンに衝突する前記複数のレーザビームは、前記ガラス形成リボンの幅の方向に沿って一列に配置される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記レーザビームは、実質的に一定のフルエンスを含む実質的に連続的なレーザビームである、請求項29~38の何れか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記加熱するステップが、
バーナーで火炎を放射するステップと、
前記目標位置で前記ガラス形成リボンを前記火炎で加熱するステップと、
を含む、請求項1~28の何れか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記バーナーが、複数の火炎を放射する複数のバーナーを含み、前記複数の火炎は、前記目標位置で前記ガラス形成リボンを加熱する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記複数の火炎は、前記ガラス形成リボンの幅方向に沿って一列に配置される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記バーナーが、実質的に一定のパワーの火炎を放射する、請求項40~42の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記ガラスリボンを複数のガラスシートに分割するステップを更に含む、請求項1~43の何れか1項に記載の方法。
【請求項45】
電子製品を製造する方法であって、
電気部品を少なくとも部分的にハウジング内に配置するステップであって、前記ハウジングが前面、背面、及び側面を含み、前記電気部品は、コントローラ、メモリ、及びディスプレイを備え、前記ディスプレイは、前記ハウジングの前面に又は隣接して配置される、ステップと、
前記ディスプレイの上にカバー基板を配置するステップと、
を含み、
前記ハウジングの一部又は前記カバー基板の少なくとも一方が、請求項1~43の何れか1項に記載の方法により製造された前記ガラスリボンの一部を含む、方法。
【請求項46】
電子製品であって、
前面、背面、及び側面を含むハウジングと、
少なくとも部分的に前記ハウジング内にある電気部品であって、前記電気部品がコントローラ、メモリ、及びディスプレイを備え、前記ディスプレイが前記ハウジングの前面又はこれに隣接している、電気部品と、
前記ディスプレイの上に配置されたカバー基板と、
を備え、
前記ハウジングの一部又は前記カバー基板の少なくとも一方が、請求項1~43の何れか1項に記載の前記ガラスリボンの一部を含む、電子製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2020年6月19日に出願された米国仮出願連続番号63/041,339の米国特許法第119条に基づく優先権を主張し、その内容は引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、ガラスリボンを製造する方法に関し、より詳細には、ガラスリボンの表面を加熱することを含む、ガラスリボン製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスシートは、光起電力用途又はディスプレイ用途、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動ディスプレイ(EPD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、及びプラズマディスプレイパネル(PDP)に使用することができる。ガラスシートは、一般に、ガラス形成材料を形成デバイスに流すことによって製造され、これによりガラスウェブが、例えば、スロットドロー、フロート、ダウンドロー、フュージョンダウンドロー、ローリング、チューブドロー、又はアップドローなどの様々なウェブ成形プロセスによって形成することができる。ガラスウェブは、周期的に個々のガラスシートに分離することができる。様々な用途において、ガラスシートの表面粗さを制御することが望ましい。
【0004】
ガラスシートを形成した後に、ガラスシートを加工することが知られている。例えば、化学エッチング、機械的研削、及び/又は機械的研磨は、ガラスシートの表面粗さを低減することができる。しかしながら、このような成形後の加工は、ガラスリボンの表面特性を変化させる可能性がある。従って、成形後の処理を行うことなく、低い表面粗さを有するガラスリボンを製造するガラスリボン製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
以下では、詳細な説明に記載された幾つかの実施形態の基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された要約を示している。
【0006】
本開示の実施形態は、高品質のガラスリボン及び/又はガラスシートを提供することができる。ガラス形成リボンの一部を第1の主面から小さい(例えば、250マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下)深さまで加熱することにより、表面粗さが小さい(例えば、約5ナノメートル以下)ガラスリボン及び/又はガラスシートを製造することができる。更に、ガラス形成リボンの加熱は、加熱を伴わない第2のガラスリボンの形成と比較して、ガラスリボンの表面粗さを大幅に低減することができる(例えば、約5%以下又は第2のガラスリボンの表面粗さの約0.01~約1%までの範囲)。加熱により、ガラスリボン及び/又はガラスシートの後続の処理(例えば、化学エッチング、機械研削、機械研磨)なしで、上記の低い表面粗さを提供することができる。ガラス形成リボンを加熱することにより、例えばローラ及び/又は形成デバイスによってもたらされる表面粗さを低減及び/又は除去することができる。表面粗さを低減することにより、結果として得られるガラスリボン及び/又はガラスシートは、表面粗さに関するより厳しい設計仕様を満たすことができる一方、不適合なガラスリボン及び/又はガラスシートによる廃棄物を低減することができる。
【0007】
本開示の実施形態は、ガラスリボンを製造する際の処理効率を向上させることができる。ガラス形成リボンが粘性状態(例えば、約1000パスカル秒~約1011パスカル秒)であるときにガラス形成リボンを加熱することは、ガラス形成材料からガラスリボンを製造する他の態様、例えば、形成デバイスとガラスリボンを複数のガラスシートに分割する間にインラインで実施することが可能である。加熱をインラインで行うことにより、ガラスリボン及び/又はガラスシートの後続の処理の需要を低減及び/又は排除することができるので、ガラスリボンを製造するための時間及び/又は空間要件を低減することができる。更に、ガラスリボン及び/又はガラスシートの後続の処理に関連する人件費及び/又は設備費を削減及び/又は省略することができる。
【0008】
本開示の実施形態は、ガラス形成リボンが高温(例えば、約500℃~約1300℃)であるときに、ガラス形成リボンを加熱するステップを含むことができる。ガラス形成リボンが高温であるときにガラス形成リボンを加熱するステップにより、例えば、ガラス形成リボンが加熱中に粘性領域にあるため、加熱による残留応力が低い又はないガラスリボン及び/又はガラスシートを生成することができる。更に、ガラス形成リボンが高温であるときにガラス形成リボンを加熱するステップにより、表面粗さを低減するのに十分な温度及び/又は粘度を得るために、第1の主面から小さい(例えば、250マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下)深度内のガラス形成リボンの一部を加熱するのに必要なエネルギーを低減することができる。
【0009】
本開示の実施形態は、ガラス形成リボンの加熱を、第1の主面から小さい(例えば、250マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下)深さにまで局所化することができる。加熱を局所化することにより、部分の粘度を低下させることができ(例えば、約100パスカル秒~約1000パスカル秒)、これにより、例えば、ガラス形成リボンを含むガラス形成材料の表面張力を介して第1の主面の平滑化を促進することができる。更に、加熱を局所化することで、その位置のガラス形成リボンの厚みの残りの部分を大きく加熱することなく、第1主面の表面粗さを低下させることができ、ガラス形成リボンの厚みの変化や形状の変形を防止することができる。また、加熱を局所化することで、第1主面の表面粗さを小さくするために必要なエネルギーを低減することができる。必要なエネルギーの更なる低減及び/又はリボンの変形の防止は、小さな吸収深度(例えば、約10マイクロメートル以下)を含む加熱を選択すること及び/又はガラス形成リボンを小さな加熱深度(例えば、250マイクロメートル以下、約50マイクロメートル以下)に加熱するための加熱の滞在時間を選択することによって可能にすることができる。
【0010】
幾つかの実施形態では、ガラスリボンの製造方法は、ガラス形成リボンを移動経路に沿って流すステップを含むことができる。ガラス形成リボンは、第1の主面と、第1の主面の反対側の第2の主面とを含むことができる。ガラス形成リボンの厚さは、第1の主面と第2の主面との間で定めることができる。幅は、移動経路にわたって延びることができる。本方法は、ガラス形成リボンが移動経路に沿って移動している間に、移動経路の目標位置でガラス形成リボンの第1の主面を加熱するステップを含むことができる。加熱は、目標位置におけるガラス形成リボンの温度を第1の主面から約250マイクロメートル以下の加熱深度まで上昇させることができる。本方法は、ガラス形成リボンを冷却してガラスリボンにするステップを含むことができる。加熱ステップの前に、目標位置におけるガラス形成リボンは、約1,000パスカル秒~約1011パスカル秒の範囲の平均粘度を含むことができる。
【0011】
更なる実施形態において、本方法は、ガラス形成リボンの実質的に全幅にわたってガラス形成リボンの第1の主面を目標位置の上流の移動経路上の位置でローラに接触させるステップを更に含むことができる。
【0012】
更なる実施形態において、本方法は、ガラス形成材料を形成デバイスのオリフィスを通して流すことにより、ガラス形成リボンを形成するステップを更に含むことができる。
【0013】
更なる実施形態において、目標位置での平均粘度は、約1,000パスカル秒~約106.6パスカル秒の範囲とすることができる。
【0014】
更なる実施形態において、目標位置での平均粘度は、約10,000パスカル秒~約20,000パスカル秒の範囲とすることができる。
【0015】
更なる実施形態において、目標位置での平均粘度は、約106.6パスカル秒~約1011パスカル秒の範囲とすることができる。
【0016】
更なる実施形態において、加熱するステップの前に、目標位置におけるガラス形成リボンの平均温度は、約500℃~約1300℃の範囲とすることができる。
【0017】
更なる実施形態において、目標位置におけるガラス形成リボンの平均温度は、約750℃~約1250℃の範囲とすることができる。
【0018】
更に別の実施形態において、目標位置におけるガラス形成リボンの平均温度は、約900℃~約1100℃の範囲とすることができる。
【0019】
更に別の実施形態において、目標位置におけるガラス形成リボンの平均温度は、約500℃~約750℃の範囲とすることができる。
【0020】
更なる実施形態において、ガラスリボンの後続の処理の前のガラスリボンの第1の主面の表面粗さは、約5ナノメートル(nm)以下とすることができる。
【0021】
更なる実施形態では、ガラスリボンの第1の主面の表面粗さRaは、約0.1ナノメートル~約2ナノメートルの範囲とすることができる。
【0022】
更なる実施形態では、ガラスリボンの後続の処理の前のガラスリボンの第1の主面の表面粗さRaは、第2のガラスリボンの後続の処理の前の表面粗さRaの約5%以下とすることができる。第2のガラスリボンは、加熱ステップ以外は、ガラスリボンと同一に製造することができる。
【0023】
更に別の実施形態において、ガラスリボンの第1の主面の表面粗さRaは、第2のガラスリボンの表面粗さRaの約0.01%~約1%の範囲とすることができる。
【0024】
更なる実施形態では、目標位置での第1の主面の加熱は、1平方センチメートル当たり約0.1キロワット~1平方センチメートル当たり約100キロワットの割合でエネルギーをガラス形成リボンに伝達することができる。
【0025】
更に別の実施形態では、目標位置で第1の主面を加熱するステップは、1平方センチメートル当たり約1キロワット~1平方センチメートル当たり約20キロワットの割合で、エネルギーをガラス形成リボンに伝達することができる。
【0026】
更に別の実施形態では、目標位置でガラス形成リボンに伝達されるエネルギーの実質的に全ては、目標位置で第1の主面から約10マイクロメートル以下の範囲内で吸収することができる。
【0027】
更なる実施形態において、加熱深度は、約10マイクロメートル以下とすることができる。
【0028】
更なる実施形態において、目標位置におけるガラス形成リボンのガラス形成材料の吸収深度は、約50マイクロメートル以下とすることができる。
【0029】
更なる実施形態において、吸収深度は、約10マイクロメートル以下とすることができる。
【0030】
更なる実施形態では、本方法は、ガラス形成リボンが移動経路に沿って移動している間に、移動経路の第2の目標位置でガラス形成リボンの第2の主面を加熱するステップを更に含むことができる。加熱するステップは、第2の目標位置におけるガラス形成リボンの温度を第2の主面から約250マイクロメートル以下の加熱深度まで上昇させることができる。
【0031】
更なる実施形態において、第2の主面を加熱するステップは、第2の目標位置におけるガラス形成リボンの温度を第2の主面から約10マイクロメートル以下の加熱深度まで上昇させることができる。
【0032】
更に別の実施形態では、ガラスリボンの後続の処理の前のガラスリボンの第2の主面の表面粗さRaは、約5ナノメートル以下とすることができる。
【0033】
更に別の実施形態では、ガラスリボンの第2の主面の表面粗さRaは、約0.1ナノメートル~約2ナノメートルの範囲とすることができる。
【0034】
更に別の実施形態では、ガラスリボンの後続の処理の前のガラスリボンの第2の主面の表面粗さRaは、第2のガラスリボンの後続の処理の前の第2のガラスリボンの表面粗さRaの約5%以下とすることができる。第2のガラスリボンは、加熱するステップ以外は、ガラスリボンと同一に製造することができる。
【0035】
更に別の実施形態では、ガラスリボンの第2の主面の表面粗さRaは、第2のガラスリボンの表面粗さRaの約0.01%~約1%の範囲にすることができる。
【0036】
更に別の実施形態において、第2の目標位置におけるガラス形成リボンの第2の主面を加熱するステップは、1平方センチメートル当たり約0.1キロワット~1平方センチメートル当たり約100キロワットの割合で第2の主面にエネルギーを伝達することが可能である。
【0037】
更に別の実施形態では、第2の目標位置で第2の主面を加熱するステップは、1平方センチメートル当たり約1キロワット~1平方センチメートル当たり約20キロワットの割合で第2の主面にエネルギーを伝達する。
【0038】
更なる実施形態において、加熱するステップは、目標位置におけるガラス形成リボンの第1の主面にレーザビームを衝突させるステップを含むことができる。
【0039】
更なる実施形態において、レーザビームは、約1.5マイクロメートル~約20マイクロメートルの範囲の波長を含むことができる。
【0040】
更に別の実施形態において、レーザビームの波長は、約5マイクロメートル~約15マイクロメートルまでの範囲にあることができる。
【0041】
更なる実施形態において、レーザビームの波長は、約9マイクロメートル~約12マイクロメートルの範囲とすることができる。
【0042】
更に別の実施形態において、移動経路に直交する方向におけるレーザビームの幅は、目標位置におけるガラス形成リボンの幅の約50%以上とすることができる。
【0043】
更に別の実施形態において、レーザビームの幅は、目標位置におけるガラス形成リボンの幅の約80%~約100%の範囲とすることができる。
【0044】
更に別の実施形態において、本方法は、目標位置におけるガラス形成リボンの幅の一部にわたってレーザビームを走査するステップを更に含むことができる。
【0045】
更に別の実施形態において、本方法は、目標位置においてガラス形成リボンの幅の一部を横切ってレーザビームを走査するステップを更に含むことができる。
【0046】
更に別の実施形態において、上記部分は、目標位置におけるガラス形成リボンの幅の約80%~100%の範囲とすることができる。
【0047】
更に別の実施形態では、衝突させるステップは、複数のレーザビームで目標位置における第1の主面を衝突させるステップを含むことができる。
【0048】
更に別の実施形態において、ターゲット位置でガラス形成リボンに衝突する複数のレーザビームは、ガラス形成リボンの幅の方向に沿って一列に配置することができる。
【0049】
更なる実施形態において、レーザビームは、実質的に一定のフルエンスを含む実質的に連続的なレーザビームとすることができる。
【0050】
更なる実施形態において、加熱するステップは、バーナーで火炎を放射するステップと、火炎で目標位置のガラス形成リボンを加熱するステップと、を含むことができる。
【0051】
更なる実施形態において、バーナーは、複数の火炎を発する複数のバーナーを含むことができる。複数の火炎は、目標位置でガラス形成リボンを加熱することができる。
【0052】
更に別の実施形態において、複数の火炎は、ガラス形成リボンの幅の方向に沿って一列に配置することができる。
【0053】
更に別の実施形態において、バーナーは、実質的に一定のパワーの火炎を放出することができる。
【0054】
更なる実施形態において、本方法は、ガラスリボンを複数のガラスシートに分割するステップを更に含むことができる。
【0055】
幾つかの実施形態では、電子製品を製造する方法は、電気部品を少なくとも部分的にハウジング内に配置するステップを含むことができ、ハウジングは、前面、背面、及び側面を含み、電気部品は、コントローラ、メモリ、及びディスプレイを備え、ディスプレイは、ハウジングの前面又はそれに隣接して配置されている。本方法は、ディスプレイの上にカバー基板を配置するステップを更に含むことができる。ハウジングの一部又はカバー基板の少なくとも一方は、上記実施形態の何れか1つに記載の方法によって製造されたガラスリボンの一部を含む。
【0056】
幾つかの実施形態では、電子製品は、前面、背面、及び側面を含むハウジングを備えることができる。電子製品は、ハウジング内に少なくとも部分的に電気部品を含むことができる。電気部品は、コントローラ、メモリ、及びディスプレイを含むことができる。ディスプレイは、ハウジングの前面又はそれに隣接していることができる。電子製品は、ディスプレイの上に配置されたカバー基板を含むことができる。ハウジングの一部又はカバー基板の少なくとも一方は、上記実施形態の何れかのガラスリボンの一部を含むことができる。
【0057】
本明細書に開示された実施形態の追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部は、その説明から当業者には明らかであるか、又は以下の詳細な説明、請求項、及び添付図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって認識されるであろう。前述の概要と以下の詳細な説明の両方は、本明細書にて開示された実施形態の性質及び特徴を理解するための要約又は枠組みを提供することを意図した実施形態を示すものであることを理解されたい。添付図面は、理解をより深くするために含まれており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を含む図面は、本開示の様々な実施形態を例示し、本明細書と共にその原理及び動作を説明する。
【0058】
これら及び他の特徴、態様並びに利点は、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むと、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本開示の幾つかの実施形態によるガラス製造装置の例示的な実施形態を概略的に示す図である。
【
図2】本開示の幾つかの実施形態によるガラス製造の概略図である。
【
図3】本開示の幾つかの実施形態による、
図2の線3-3から見たガラス製造装置の断面図である。
【
図4】本開示の幾つかの実施形態による、
図2の線4-4から見たガラス製造装置の断面図である。
【
図5】本開示の幾つかの実施形態による、
図2~3の線5-5から見たガラス製造装置の断面図である。
【
図6】本開示の幾つかの実施形態による、
図2~3の線5-5から見たガラス製造装置の別の断面図である。
【
図9】幾つかの実施形態による例示的な電子デバイスの概略平面図である。
【
図10】
図9の例示的な電子デバイスの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、例示的な実施形態が示されている添付図面を参照しながら、実施形態についてより完全に説明する。可能な限り、同一又は類似の部品を参照するために、図面全体にわたって同一の参照数字が使用される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0061】
本開示は、製造装置を用いることができるガラスリボンの製造方法に関し、多量のガラス形成材料からガラス又はガラスセラミック物品(例えば、ガラスリボン、ガラス形成材料のリボン)を製造するための方法において利用することができる。例えば、
図1~4は、ガラスリボンに冷却することができるガラス形成材料のリボンを製造する関連において、ダウンドロー装置(例えば、プレスローリング、スロットドロー)を含むガラス製造装置を示している。特に断らない限り、ガラス製造装置の実施形態の特徴の議論は、ガラス又はガラスセラミック物品の製造に使用される他の成形装置の対応する特徴に等しく適用することができる。ガラス形成装置の例としては、スロットドロー装置、フロートバス装置、ダウンドロー装置、アップドロー装置、プレスローリング装置、又は多量のガラス形成材料からガラス物品(例えば、ガラスリボン、ガラス形成材料のリボン)を形成するのに用いることができる他のガラス物品製造装置を挙げることができる。幾つかの実施形態では、これらのプロセスの何れかからのガラス物品は、その後、アプリケーション(例えば、ディスプレイアプリケーション、電子デバイス)への更なる加工に適した複数のガラス物品(例えば、分離したガラスリボン、分離したガラスシート)を提供するために分割することができる。例えば、分離ガラスリボンは、液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動ディスプレイ(EPD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、タッチセンサ、光起電力、家電製品(例えば、コンロ)などを含む広範な用途に使用することができる。このようなディスプレイは、例えば、携帯電話、タブレット、ラップトップ、時計、ウェアラブル及び/又はタッチ可能なモニタ又はディスプレイに組み込むことができる。
【0062】
図1に概略的に示されるように、幾つかの実施形態において、ガラス製造装置100は、多量のガラス形成材料121からガラスリボン103を製造するように設計された形成デバイスを含むガラス形成装置101を備えることができる。本明細書で使用される場合、「ガラスリボン」という用語は、材料がガラス状態(すなわち、そのガラス転移温度を上回る)でないときでも、形成デバイスから引き出された後の材料を指す。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103は、ガラスリボン103の第1の外縁153及び第2の外縁155に沿って形成された対向する縁ビードの間に配置された中央部分152を備えることができる。更に、幾つかの実施形態では、ガラスシート104は、ガラス分離器149(例えば、スクライブ、スコアホイール、ダイヤモンドチップ、レーザ)により分離経路151に沿ってガラスリボン103から分離することができる。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103からガラスシート104を分離する前又は後に、第1の外縁153及び第2の外縁155に沿って形成された縁ビードを除去して、中央部分152をより均一な厚さを有するガラスシート104として提供することができる。
【0063】
幾つかの実施形態では、ガラス製造装置100は、貯蔵ビン109からバッチ材料107を受け取るように方向付けられた溶融容器105を備えることができる。バッチ材料107は、モータ113によって動力を与えられるバッチ送達デバイス111によって導入することができる。幾つかの実施形態では、コントローラ115は、任意選択的に、矢印117で示されるように、モータ113を作動させて、溶融容器105にある量のバッチ材料107を導入するように動作させることができる。溶融容器105は、バッチ材料107を加熱してガラス形成材料121を提供することができる。幾つかの実施形態では、ガラス溶融プローブ119を採用して、スタンドパイプ123内のガラス形成材料121のレベルを測定し、測定された情報を通信ライン125によってコントローラ115に伝達することができる。
【0064】
更に、幾つかの実施形態では、ガラス製造装置100は、溶融容器105から下流に位置し且つ第1の接続導管129を介して溶融容器105に結合されたファイニング容器127を含む第1の調整ステーションを含むことができる。幾つかの実施形態では、ガラス形成材料121は、溶融容器105から第1の接続導管129を介してファイニング容器127に重力供給することができる。例えば、幾つかの実施形態では、重力により、ガラス形成材料121が、溶融容器105から第1の接続導管129の内部経路を通ってファイニング容器127まで駆動することができる。更に、幾つかの実施形態では、様々な技術によって、ファイニング容器127内のガラス形成材料121から気泡を除去することができる。
【0065】
幾つかの実施形態では、ガラス製造装置100は更に、ファイニング容器127の下流に位置することができる混合チャンバ131を含む第2の調整ステーションを含むことができる。混合チャンバ131は、ガラス形成材料121の均質な組成を提供するために採用し、これによって、さもなければファイニング容器127から出るガラス形成材料121内に存在し得る不均質性を低減又は排除することができる。図示されるように、ファイニング容器127は、第2の接続導管135によって混合チャンバ131に結合することができる。幾つかの実施形態では、ガラス形成材料121は、第2の接続導管135を介して、ファイニング容器127から混合チャンバ131に重力供給することができる。例えば、幾つかの実施形態では、重力により、ガラス形成材料121が、第2の接続導管135の内部経路を通ってファイニング容器127から混合チャンバ131まで駆動することができる。
【0066】
更に、幾つかの実施形態では、ガラス製造装置100は、混合チャンバ131の下流に位置することができる送達容器133を含む第3の調整ステーションを備えることができる。幾つかの実施形態では、送達容器133は、入口導管141に供給されるガラス形成材料121を調整することができる。例えば、送達容器133は、ガラス形成材料121の一貫した流れを調整して入口導管141に提供するためのアキュムレータ及び/又は流量コントローラとして機能することができる。図示されるように、混合チャンバ131は、第3の接続導管137によって送達容器133に結合することができる。幾つかの実施形態では、ガラス形成材料121は、混合チャンバ131から第3の接続導管137を介して送達容器133に重力供給することができる。例えば、幾つかの実施形態では、重力により、ガラス形成材料121が第3の接続導管137の内部経路を通って混合チャンバ131から送達容器133まで駆動することができる。更に図示されるように、幾つかの実施形態では、送達パイプ139は、ガラス形成材料121を形成デバイスの入口導管141に送達するように位置決めすることができる。
【0067】
ガラスリボンを融着ドローするためのウェッジを備えた形成デバイス、ガラスリボンをスロットドローするためのスロットを備えた形成デバイス、又は形成デバイスからガラスリボンをプレスロールするためのプレスローラを備えた形成デバイスなど、本開示の特徴に従って、形成デバイスの種々の実施形態を提供可能である。例えば、幾つかの実施形態では、ガラス形成材料121は、入口導管141から形成デバイス140に送達することができる。その後、ガラス形成材料121は、少なくとも部分的に形成デバイス140の構造に基づいてガラスリボン103に形成することができる。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103の幅「W」は、ガラスリボン103の第1の外縁153とガラスリボン103の第2の外縁155との間に延びることができる。幾つかの実施形態では、形成デバイス140は、例えば、ジルコン、ジルコニア、ムライト、アルミナ、又はこれらの組み合わせなどのセラミック耐火材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、形成デバイス140は、金属、例えば、白金、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ルテニウム、又はこれらの組み合わせを含むことができる。更なる実施形態では、形成デバイス140の1又は2以上の表面は、ガラス形成材料121に接触することができる非反応性表面を提供する金属を含むことができる。
【0068】
幾つかの実施形態では、ガラスリボン103の幅「W」は、約20ミリメートル(mm)以上、約50mm以上、約100mm以上、約500mm以上、約1000mm以上、約2000mm以上、約3000mm以上、約4000mm以上とすることができるが、更なる実施形態で他の幅を提供することが可能である。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103の幅「W」は、約20mm~約4000mm、約50mm~約4000mm、約100mm~約4000mm、約500mm~約4000mm、約1000mm~約4000mm、約2000mm~約4000mm、約3000mm~約4,000mm、約20mm~約3,000mm、約50mm~約3,000mm、約100mm~約3,000mm、約500mm~約3,000mm、約1,000mm~約3,000mm、約2,000mm~約3,000mm、約2,000mm~約2,500mm、又はこれらの間の任意の範囲又は部分範囲とすることができる。
【0069】
図2は、形成デバイス140を備えたガラス形成装置101を含むガラス製造装置100の例示的な実施形態の斜視図を概略的に示している。幾つかの実施形態では、図示されるように、入口導管141は、形成デバイス140に多量のガラス形成材料121を提供(例えば、供給)することができる。例えば、幾つかの実施形態では、形成デバイス140は、入口導管141に接続する送達導管206と、送達導管206に接続する出口ポート207とを含むことができる。
【0070】
出口ポートは、ガラス形成材料121を様々な方法で形成ローラ210のペアに送達することができる。例えば、
図2に示すように、幾つかの実施形態では、出口ポート207は、多量のガラス形成材料121を出口ポート207から下向きに流し、形成ローラ210のペアの長さ「L」に沿って延びるガラス形成材料121の細長い流れに広げさせるための任意のオリフィス208(例えば、フレア状オリフィス)を含むことができる。代替的に、図示しないが、幾つかの実施形態では、オリフィスは、ガラス形成材料のストリーム(例えば、円形ストリーム、楕円形ストリーム、長方形ストリームなど)を形成ローラペアに送達することができる。幾つかの実施形態では、ガラス形成材料は、オリフィス208を通って流れるように構成することができる。更なる実施形態では、図示しないが、オリフィスは、ガラス形成材料からリボンを形成することができ(例えば、スロットドロープロセスにおいて)、これは、形成ローラペアを省略することができる。更なる実施形態において、オリフィスは、オリフィスによって形成されるリボンの表面に粗さを導入することができる。例えば、オリフィスは、オリフィスの摩耗の結果としてリボンの表面に粗さを依然として導入しながら、実質的に均一な厚さを有するリボンを提供することができる。
【0071】
図2~3に示すように、形成ローラ210のペアは、回転方向212aによって示されるように第1の軸211aを中心に回転可能な第1の形成ローラ210aと、回転方向212bによって示されるように第2の軸211bを中心に回転可能な第2の形成ローラ210bとを備えることができる。幾つかの実施形態では、
図3に示すように、第1の軸211aは、第2の軸211bに対して平行とすることができ、第1の形成ローラ210aは、第1の形成ローラ210aと第2の形成ローラ210bとの間の最小距離「D」がギャップ「G」を定めるように第2の形成ローラ210bから離間して配置することができる。本明細書で使用されるように、最小距離「D」は、形成ローラ210の長さ「L」に沿った点における最小距離として定義される。
図3に示すように、第1の形成ローラ210aの外周面213aは、第2の形成ローラ210bの外周面213bから間隔を置くことができ、最小距離「D」は、外周面間で、例えば、平行接線301a、301bに沿った接点によって定められる。
【0072】
幾つかの実施形態では、最小距離は、形成ローラ210のペアの長さ「L」に沿って均一であってよい。例えば、各形成ローラ210a、210bの外周面213a、213bは、ギャップ「G」が形成ローラ210のペアの長さ「L」に沿った各点で同じ最小距離「D」を含むように、長さ「L」に沿って均一な外径を含むことができる。このような構成は、形成ローラ210のペアの長さ「L」に沿って初期の実質的に均一な厚さを有する、ギャップ「G」を出るガラス成形材料のリボンを提供することができる。幾つかの実施形態では、
図2及び
図4に示すように、形成ローラ210のペアは、ガラスリボン103を形成するためにその後冷却され得るガラス形成リボンの全幅「W」以上にわたって延びることができる長さ「L」で延びることができる。図示しないが、幾つかの実施形態では、1つのローラのみを設けることができ、ローラは、ガラス形成リボンの全幅又はそれ以上にわたって延びることができる。しかしながら、形成ローラペアは、形成ローラペアによって形成されるリボンの表面に粗さを導入することができる。例えば、形成ローラペアは、ローラの摩耗の結果としてリボンの表面に粗さを導入しながらも、実質的に均一な厚さを有するリボンを提供することができる。
【0073】
更なる実施形態では、最小距離は、形成ローラ210のペアの長さ「L」に沿って変化してもよい。例えば、各形成ローラ210a、210bの外周面213a、213bは、ギャップが形成ローラ210のペアの長さ「L」に沿った点での変化する最小距離「D」を含むように、長さ「L」に沿って変化する外径を含むことができる。幾つかの実施形態では、各形成ローラの外周面は、各形成ローラの反対側の端部に向かって増加する、各形成ローラの中央部における減少した直径を含むことができる。このような実施形態では、形成ローラ210のペアの長さ「L」に沿った中心点での最小距離が形成ローラ210のペアの長さ「L」に沿った端点での最小距離より大きくなるように、各形成ローラの中心部分の直径を各形成ローラの端部分の直径より小さくすることができる。このような構成は、形成ローラ210のペアの長さ「L」に沿った初期厚さを有し、ガラス成形材料のリボンの外縁部分における減少した厚さに向かって先細りになるガラス成形材料のリボンの中央部分における増加した厚さを有する、隙間を出るガラス成形材料のリボンを提供することができる。
【0074】
図示された実施形態では、ガラス形成装置101は、ドロー面302を含む。
図3に示すように、ガラス形成材料のリボンは、形成ローラ210のペアからドロー面302に沿ってドロー方向154に引き出すことができる。ドロー面302は、第1軸211a及び第2軸211bに対して平行とすることができる。幾つかの実施形態では、ドロー面は、形成ローラ210のペアの間の最小距離「D」を二等分することができる。このように、ガラス形成材料のリボンは、ガラス形成材料のリボンの中心の細長い軸を中心にガラス形成材料のリボンを実質的にねじらずに、形成ローラ210のペアからドロー面302に沿って引き込まれることができる。図示されるように、幾つかの実施形態において、ドロー面302は、ドロー方向154に沿って(例えば、構成される、平行である)延在してよい。このように、例示的な実施形態に示すように、ドロー面302は、第1の軸211a及び第2の軸211bに対して平行である一方で、実質的に平坦とすることができる。図示されていないが、ドロー面は、代替的に、第1の軸211a及び第2の軸211bに対して依然として平行である曲線ドロー面を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、ドロー面302は、形成ローラ210のペアのギャップ「G」を出るときに垂直ドロー面として始まり、その後、ガラスリボンが水平方向に沿って引かれるときに水平ドロー面に湾曲してよい。幾つかの実施形態では、
図1及び
図4に示すように、ガラスリボン103の平均幅「W」の方向は、ドロー面302に平行である一方で、ドロー方向154に実質的に垂直とすることができる。更なる実施形態では、ガラスリボン103の平均幅「W」の方向及びドロー方向154は、ドロー面302を定めることができる。
【0075】
本開示を通じて、移動経路311は、ガラス形成材料121が形成デバイスに入ったときから、歪点(すなわち、ガラスリボン103を含むガラス形成材料121の粘度が1013.5パスカル秒を超える温度)まで冷却されるまでのガラス形成材料の辿る経路と定義される。ガラス形成材料121は、分離経路151に到達する前にガラスリボン103としてその歪み点まで冷却してもよいが、更なる実施形態では、ガラス形成材料121がガラスシート104として分離経路151を横断した後にその歪み点まで冷却してもよい。例えば、
図2~
図5に示すように、移動経路311は、ガラス形成材料121がオリフィス208及び/又は形成ローラ210のペアを含む形成デバイス140を流れる際に移動する経路として定義することができる。
図3に示すように、ガラス形成材料121は、移動経路311に沿ってドロー方向154に引き込むことができる。
図3に示すように、移動経路311は、ドロー方向154に延びることができる。幾つかの実施形態では、
図3~4に示すように、ドロー面302は、移動経路311を含むことができる。
【0076】
幾つかの実施形態では、ガラス分離器149(
図1参照)は、次に、分離経路151に沿ってガラスシート104をガラスリボン103から分離することができる。図示されているように、幾つかの実施形態では、分離経路151は、第1の外縁153と第2の外縁155との間でガラスリボン103の幅「W」に沿って延びることができる。幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、ガラスリボン103の幅「W」は、移動経路311を横切って延びることができる。更に、幾つかの実施形態では、分離経路151は、ガラスリボン103のドロー方向154に対して垂直に延びることができる。更に、幾つかの実施形態では、ドロー方向154は、ガラスリボン103が形成デバイスから引き込まれ得る方向を定めることができる。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103は、ドロー方向154に沿って横断するとき、約1ミリメートル毎秒(mm/s)以上、約10mm/s以上、約50mm/s以上、約100mm/s以上、又は約500mm/s以上、例えば、約1mm/s~約500mm/s、約10mm/s~約500mm/s、約50mm/s~約500mm/s、100mm/s~約500mm/s、及びこれらの間の全ての範囲及び部分範囲の速度を含むことができる。
【0077】
図2及び
図4に示すように、幾つかの実施形態では、ガラスリボン103は、ガラスリボン103の第1の主面103a及びガラス形成リボンの第2の主面103bが反対方向を向いた状態で形成デバイスから引き込まれる。ガラス形成リボンが冷却されてガラスリボン103を形成すると、第1の主面103a及び第2の主面103bは、ガラスリボン103の平均厚さ「T」を定めることができる。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103の平均厚さ「T」の方向は、ドロー方向154及び平均幅「W」の両方に対して実質的に垂直とすることができる。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103の平均厚さ「T」の方向は、ドロー面302に実質的に垂直とすることができる。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103の中央部分152の平均厚さ「T」は、約5mm以下、約2mm以下、約1mm以下、約500マイクロメートル(μm)、約300μm以下、約200μm以下、約100μm以下とすることができるが、他の厚さが更なる実施形態で提供することができる。例えば、幾つかの実施形態において、ガラスリボン103の平均厚さ「T」は、約25μm~約5mm、約25μm~約1μm、約50μm~約750μm、約100μm~約700μm、約200μm~約600μm、約300μm~約500μmm、約50μm~約500μm、約50μm~約700μm、約50μm~約600μm、約50μm~約500μm、約50μm~約400μm、約50μm~約300μm、約50μm~約200μm、又は約50μm~約100μmの範囲であり、この間の厚さの全ての範囲及び部分範囲を含むことができる。更に、ガラスリボン103は、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、アルカリ含有ガラス、又は無アルカリガラスを含むがこれらに限定されない様々な組成物を含むことができ、その何れもがリチアを含まないか否かも問わない。
【0078】
本明細書で使用される場合、「ガラス形成」材料は、弾性状態でガラスのリボン(すなわち、ガラスリボン)に冷却することができる材料を指す。幾つかの実施形態では、ガラス形成材料は、粘性状態とすることができる。幾つかの実施形態では、ガラス形成材料は、粘弾性状態にあることができる。理論に束縛されることを望むことなく、粘性状態において、材料の変形は塑性変形をもたらすことができ、材料は変形からの残留応力をほとんど又は全く含まないことができる。理論に束縛されることなく、粘弾性状態において、材料の変形は材料の塑性変形をもたらすことができるが、材料は変形からの残留応力を含むことができる。理論に束縛されることを望むことなく、弾性状態において、材料の変形は、材料の弾性変形をもたらすことができる。幾つかの実施形態において、ガラス形成材料は、リチアを含まないか、又は含まないことができ、シリケート、ホウケイ酸塩、アルミノホウケイ酸塩、又はソーダライムベースの組成物を含むことができる。
【0079】
ガラス形成材料は、冷却してガラスリボンを形成することができる。幾つかの実施形態において、ガラスリボンは、強化又は非強化とすることができ、リチアを含まないか否かを問わず、ソーダライムガラス、アルカリアルミノシリケートガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス及びアルカリアルミノホウケイ酸ガラスを含むことができる。本明細書で使用される場合、「強化された」という用語は、例えば、ガラスリボン又はガラスシートの表面における小さいイオンに対する大きいイオンのイオン交換によって、化学的に強化されたガラスリボン又はガラスシートを指すことができる。しかしながら、更なる実施形態において、ガラスリボン又はガラスシートは、熱焼き戻し、又はガラスリボン又はガラスシートの部分間の熱膨張係数の不一致を利用して表面圧縮応力及び中心張力領域を形成するなどの他の技術によって「強化」することが可能である。上述したように、ガラスリボンは、複数のガラスシートに分割することができる。
【0080】
幾つかの実施形態では、ガラスリボン及び/又は複数のガラスシートは、ガラスベースとすることができる。本明細書で使用する場合、「ガラスベース」は、ガラス及びガラスセラミックの両方を含み、ガラスセラミックは、1又は2以上の結晶相と非晶質で残留するガラス相とを有する。ガラスベースの材料(例えば、ガラスベースのリボン、ガラスベースのシート)は、非晶質材料(例えば、ガラス)及び任意に1又は2以上の結晶性材料(例えば、セラミック)を含むことができる。幾つかの実施形態では、非晶質相を含むガラスリボンは、ガラスセラミック材料に更に加工することができる。1又は2以上の実施形態において、ガラス系材料は、モル%(mol%)単位で、約40mol%~約80%の範囲のSiO2、約10mol%~約30mol%の範囲のAl2O3、0mol%~約10mol%の範囲のB2O3、0mol%~約5mol%の範囲のZrO2、0mol%~約15mol%の範囲のP2O5、0mol%~約2mol%の範囲のTiO2、0mol%~約20mol%の範囲のR2O及び0mol%~約15mol%の範囲のROを含むことができる。本明細書で使用される場合、R2Oは、アルカリ金属酸化物、例えば、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、及びCs2Oを指すことができる。本明細書で使用される場合、ROは、MgO、CaO、SrO、BaO、及びZnOを指すことができる。幾つかの実施形態では、ガラスベースのガラスリボン又はガラスシートは、任意選択的に、Na2SO4、NaCl、NaF、NaBr、K2SO4、KCl、KF、KBr、As2O3、SB2O3、SnO2、Fe2O3、MnO、MnO2、MnO3、Mn3O4、Mn2O7の各々の0mol%~約2mol%の範囲を更に含むことができる。「ガラスセラミック」は、ガラスの制御された結晶化によって製造された材料を含む。幾つかの実施形態では、ガラスセラミックは、約1%~約99%の結晶化度を有する。適切なガラスセラミックの例としては、Li2O-Al2O3-SiO2系(すなわち、LAS-系)ガラスセラミック、MgO-Al2O3-SiO2系(すなわち、MAS系)ガラスセラミック、ZnO×Al2O3×nSiO2(すなわち、ZAS系)ガラスセラミック、及び/又はβ-石英固溶体、β-スポジュメン、コージェライト、ペタライト、及び/又は二ケイ酸リチウムなどの支配的結晶相を含むガラスセラミックが挙げられる。ガラスセラミックリボン又はシートは、本明細書に記載される強化プロセスを用いて強化することができる。1又は2以上の実施形態において、MAS-系ガラスセラミックリボン又はシートは、Li2SO4溶融塩中で強化することができ、これによってMg2+に対する2Li+の交換が起こり得る。
【0081】
ガラス製造装置100は、処理装置170を備える。例えば、
図3及び
図5~
図6に示すように、処理装置170は、第1の加熱装置215aと第2の加熱装置215bとを備えることができ、第1の加熱装置215aと第2の加熱装置215bとの間にドロー面302が配置されている。処理装置170として2つの加熱装置215a、215bが示されているが、更なる実施形態において、単一の加熱装置又は3以上の加熱装置を設けることができる。第1の加熱装置215aの特徴の議論は、特に示されない限り、第2の加熱装置215bにも同様に適用することができる。
【0082】
図3及び
図5~
図6に示すように、少なくとも第1の加熱装置215aを含む処理装置170を備えたガラス形成装置101の実施形態は、少なくとも1つの加熱素子303を更に備えることができる。
図3に概略的に示すように、第1の加熱装置215aの少なくとも1つの加熱素子303は、ドロー方向154に沿ってギャップ「G」及び/又はオリフィス208の下流に位置するガラス形成材料のリボンの第1の主面103aに面することができる。幾つかの実施形態では、ドロー面302は、第1の加熱装置215aの少なくとも1つの加熱素子303と第2の加熱装置215bの少なくとも1つの加熱素子303との間に延びることができる。更なる実施形態では、図示されるように、第1の加熱装置215aの少なくとも1つの加熱素子303と第2の加熱装置215bの少なくとも1つの加熱素子303は、第1の加熱装置215aの少なくとも1つの加熱素子303がガラス形成リボンの第1の主面103aを加熱し、第2の加熱装置215bの少なくとも1つの加熱素子303がガラス形成リボンの第2の主面103bを衝撃するように構成できるように互いに対面して反対方向に面することができる。図示されるように、処理装置170は、第1の主面103a及び第2の主面103bの両方を加熱するように設計され得るが、処理装置170は、更なる実施形態において、一方の主面のみを加熱するように設計することができる。例えば、処理装置170は、第2の加熱装置215bを含まずに第1の主面103aを加熱するように構成された第1の加熱装置215aを備えることができる。幾つかの実施形態では、第1の加熱装置215a及び第2の加熱装置215bの両方を提供することは、両方の主面を処理し、主面の処理時間を短縮するために、第1の主面103a及び第2の主面103bの両方を(例えば、同時に)処理することを助けることができる。
【0083】
第1の加熱装置215aの少なくとも1つの加熱素子303は、ガラス形成リボンの第1の主面103a上の場所315に向かってエネルギー317を放出するように構成することができる。幾つかの実施形態では、第2の加熱装置215bの少なくとも1つの加熱素子303は、ガラス形成リボンの第2の主面103b上の場所319に向かってエネルギー321を放出するように構成することができる。
【0084】
少なくとも1つの加熱素子303は、1又は2以上の加熱素子を含むことができる。幾つかの実施形態では、
図5を参照すると、第1の加熱装置215aの少なくとも1つの加熱素子303は、第1の軸505aに沿って間隔を置いて配置された第1の複数の加熱素子503a及び/又は第2の軸505bに沿って間隔を置いて配置された第2の複数の加熱素子503bを含むことができる。更なる実施形態において、第1の加熱装置215aの第1の複数の加熱素子503a及び/又は第2の加熱装置215bの第2の複数の加熱素子503bは、第1の複数の加熱素子503a及び/又は第2の複数の加熱素子503bが複数の軸に沿って及び/又はパターンで離間されてもよいが、単一の対応する軸505a、505bに沿って互いに離間して配置することができる。更なる実施形態において、第1の複数の加熱素子503aの第1の加熱素子303aと、第1の複数の加熱素子503aの第1の加熱素子303aに隣接する第1の複数の加熱素子503aの第2の加熱素子303bとの間に第1の間隔509aが定義することができる。更なる実施形態において、第1の複数の発熱体503aの隣接する発熱体の他の組の間の間隔は、第1の間隔509aと実質的に等しく(例えば、同一)なり得るが、代替の間隔が提供することができる。更なる実施形態において、図示されるように、第1の加熱装置215aは、ガラス形成リボンの幅「W」の方向201に沿って一列に配置された第1の複数の加熱素子503aを備えることができる。更なる実施形態では、図示のように、第1の加熱装置215aは、第1の主面103aに面する第1の複数の発熱体503aから構成され、第2の加熱装置215bは、第2の主面103bに面する第2の複数の発熱体503bから構成することができる。
【0085】
幾つかの実施形態では、やはり
図5を参照すると、第2の加熱装置215bの第2の複数の加熱素子503bは、第2の軸505bに沿って間隔を空けて配置することができる。更なる実施形態では、第2の複数の加熱素子503bの第1の加熱素子303cと、第2の複数の加熱素子503bの第1の加熱素子303cに隣接する第2の加熱素子303dとの間に、第2の間隔509bが定義することができる。更なる実施形態において、第2の複数の発熱体503bの隣接する発熱体の他の組の間の間隔は、第2の間隔509bと実質的に等しく(例えば、同一)することができるが、代替の間隔が提供されることもできる。
【0086】
図7は、幾つかの実施形態による
図5の拡大図である。幾つかの実施形態では、
図6~
図7に示すように、少なくとも1つの加熱素子303は、レーザ703を含むことができる。更なる実施形態において、レーザ703は、ガスレーザ、化学レーザ、固体レーザ、ラマンレーザ、及び/又は量子カスケードレーザを含むことができる。ガスレーザの例示的な実施形態は、ヘリウムネオン(HeNe)、キセノン、二酸化炭素(CO
2)、一酸化炭素(CO)、及び亜酸化窒素(N
2O)である。化学レーザの例示的な実施形態は、フッ化水素(HF)、フッ化重水素(DF)、化学酸素-ヨウ素、及び全気相ヨウ素を含む。固体レーザの例示的な実施形態は、結晶レーザ、ファイバーレーザ、及びレーザダイオードを含む。結晶系レーザは、ランタノイド、又は遷移金属でドープされたホスト結晶を含む。ホスト結晶の例示的な実施形態には、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)、フッ化イットリウムリチウム(YLF)、イットリウムオトアルミネート(YAL)、イットリウムスカンジウムガリウムガーネット(YSSG)、六フッ化リチウムアルミニウム(LiSAF)、六フッ化カルシウムアルミニウム(LiCAF)、ジンクセレニウム(ZnSe)、ルビー、フォーステライト及びサファイヤが含まれる。ドーパントの例示的な実施形態は、ネオジム(Nd)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ディスプロシウム(Dy)、セリウム(Ce)、ガドリニウム(Gd)、サマリウム(Sm)及びテルビウム(Tb)である。固体結晶の例示的な実施形態には、ルビー、アレキサンドライト、フッ化クロム、フォルステライト、フッ化リチウム(LiF)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、及び塩化ルビジウム(RbCl)などが含まれる。レーザダイオードは、それぞれのp型半導体層、固有半導体層、及びn型半導体層のための3又はそれ以上の材料を有するヘテロ接合又はPINダイオードを含むことができる。レーザダイオードの例示的な実施形態は、AlGaInP、AlGaAs、InGaN、InGaAs、InGaAsP、InGaAsN、InGaAsNSb、GaInP、GaAlAs、GaInAsSb、及び鉛(Pb)塩類を含んでいる。幾つかのレーザダイオードは、そのサイズ、調整可能な出力パワー、及び室温(すなわち、約20℃~約25℃)で動作する能力から、例示的な実施形態を表すことができる。ファイバーレーザは、結晶レーザ又はレーザダイオードについて上に挙げた材料の何れかを有するクラッドを更に含む光ファイバーを含むことができる。
【0087】
図6~
図7に示すように、レーザ703を有する加熱素子303は、ある波長を有するレーザビーム701を含むエネルギーを放射するように構成することができる。レーザ703は、レーザビーム701の波長が、レーザ703によって生成されるレーザビーム701の自然波長に対して、半分に減少(すなわち、周波数2倍)、3分の2に減少(すなわち、周波数3倍)、4分の3に減少(すなわち、周波数4倍)、又は他の方法で修正されるように動作させることができる。幾つかの実施形態では、レーザビーム701の波長は、約1.5マイクロメートル(μm)以上、約2.5μm以上、約3.5μm以上、約5μm以上、約9μm以上、約9.4μm以上、約20μm以下、約15μm以下、約12μm以下、約11μm以下、又は約10.6nm以下とすることができる。幾つかの実施形態では、レーザビーム701の波長は、約1.5μm~約20μm、約1.5μm~約15μm、約1.5μm~約12μm、約1.5μm~約11μm、約2.5μm~約20μm、約2.5μm~約15μm、約2.5nm~約12μm、約3.6μm~約20μm、約3.6μm~約15μm、約3.6μm~約12μm、約5μm~約20μm、約5μm~約15μm、約5μm~約12μm、約5μm~約11μm、約9μm~約20μm、約9μm~約15μm、約9μm~約12μm、約9μm~約11μm、約9μm~約1.6μm、約9.4μm~約15μm、約9.4μm~約12μm、約9.4μm~約11μm、約9.4μm~約10.6μm、又はこれらの間の任意の範囲又は部分範囲を含む。前述の範囲内の波長を有するレーザビーム701を生成することができるレーザの例示的な実施形態は、炭酸ガス(CO
2)レーザ及び亜酸化窒素(N
2O)レーザを含む。
【0088】
図5に示すように、幾つかの実施形態では、第1の加熱装置215aは、複数のレーザビーム701を放射するように構成された第1の複数の加熱素子503aを備えることができる。幾つかの実施形態では、図示されるように、複数のレーザは、複数のレーザビーム701を放射するように構成することができる。更なる実施形態では、複数のレーザにおけるレーザの数は、複数のレーザビームにおけるレーザビームの数と等しくすることができる。更なる実施形態において、複数のレーザビームにおけるレーザビームの数は、例えば、1又は2以上のビームスプリッタがレーザから2以上のレーザビームを生成するために使用される場合、複数のレーザにおけるレーザの数よりも大きくすることができる。幾つかの実施形態では、1又は2以上のビームスプリッタに光学的に結合された単一のレーザが、第1の加熱装置の複数のレーザを生成するように構成することができる。幾つかの実施形態では、
図5の第1の複数の加熱素子503aに関して上述したように、第1の加熱装置215aは、ガラス形成リボンの幅「W」の方向201に沿って一列に配置された複数のレーザビーム701を放出するように構成することができる。更なる実施形態において、第1の加熱装置215aの複数のレーザは、ガラス形成リボンの幅「W」の方向201に沿って一列に配置することができる。
【0089】
図6に示すように、幾つかの実施形態では、第1の加熱装置215aは、ガラス形成リボンの第1の主面103aの一部にわたってレーザビーム701を走査する(例えば、移動する)ように構成されたレーザ703を備えることができる。更なる実施形態では、図示されるように、第1の加熱装置215aは、レーザビーム701がガラス形成リボンの第1の主面103aの一部にわたって走査するように、レーザ703から放出されたレーザビーム701を反射するように構成することができるミラー601(例えば、ミラー、多角形ミラー)を更に備えることができる。幾つかの実施形態では、図示のように、ミラー601は、レーザ703から放出されたレーザビーム701を反射し、レーザビーム701をガラス形成リボンの第1の主面103aの一部にわたって走査できるように回転可能に構成される。更なる実施形態では、図示のように、ミラー601は、ガルバノメータ603を使用して少なくとも第1の方向605に回転可能とすることができる。例えば、ガルバノメータ603を用いてミラー601を第1の方向605に回転させると、レーザビーム701がガラス形成リボンの第1の主面103aの一部をガラス形成リボンの幅「W」の方向201にわたって走査するようにすることができる。更なる実施形態では、ガルバノメータ603は、第1の方向605と反対の第2の方向に回転するように構成することができる。例えば、ガルバノメータ603と共にミラー601を第1の方向605と反対の第2の方向に回転させると、レーザビーム701がガラス形成リボンの第1の主面103aの一部を、ガラス形成リボンの幅の方向201と反対の方向に走査させることができる。更に別の実施形態では、ガルバノメータ603は、第1の方向605に回転することと、第1の方向605とは反対の第2の方向に回転することとを交互に繰り返すように構成することができる。更なる実施形態において、ミラー601は、ポリゴンミラーを含むことができる。ポリゴンミラーは、複数の反射面を含むことができ、モータ(例えば、ガルバノメータ603)によって第1の方向605に回転することができる。例えば、多角形ミラーをモータで第1の方向605に回転させると、レーザビーム701がガラス形成リボンの第1の主面103aの一部をガラス形成リボンの幅「W」の方向201にわたって走査するようにしてもよい。幾つかの実施形態では、ガラス形成リボンの幅「W」の割合として、レーザビーム701によって走査されるガラス形成リボンの第1の主面103aの部分は、約66%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、100%以下、約98%以下、又は約95%以下とすることができる。更なる実施形態では、ガラス形成リボンの幅「W」の割合として、レーザビーム701によって走査されるガラス形成リボンの第1の主面103aの部分は、約66%~100%の範囲、約80%~100%、約90%~100%でありうる。~約100%、約66%~約98%、約80%~約98%、約90%~約98%、約95%~約98%、約66%~約95%、約80%~約95%、約85%~約95%、約85%~約90%、又はこれらの間の任意の範囲又は部分範囲にあることが可能である。
【0090】
幾つかの実施形態では、
図8に示すように、少なくとも1つの加熱素子303は、バーナー803を含むことができる。バーナーは、火炎801を形成するために点火され得る燃料を放出するように構成することができる。幾つかの実施形態では、燃料は、例えば、メタンなどの気体とすることができる。幾つかの実施形態では、燃料は、固体粒子を含むことができる。幾つかの実施形態では、燃料は、液体を含むことができる。燃料は、1又は2以上の成分を含むことができる。燃料成分の例示的な実施形態は、アルカン、アルケン、アルキン(例えば、アセチレン、プロピレン)、アルコール、ヒドラジン又はヒドラジン誘導体、及び酸化剤を含む。アルカンの例示的な実施形態としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、及びオクタンが挙げられる。アルケンの例示的な実施形態は、エチレン、プロピレン、及びブチレンを含む。アルコールの例示的な実施形態は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、及びオクタノールを含む。酸化剤の例示的な実施形態は、酸素、窒素酸化物(例えば、NO
2、N
2O4)、過酸化物(例えば、H2O
2)、過塩素酸塩(例えば、過塩素酸アンモニア)などを含む。図示しないが、バーナー803は、燃料源、例えば、キャニスター、カートリッジ、及び/又は圧力容器と流体連通することができる。幾つかの実施形態では、バーナーは、多角形(例えば、三角形、四角形、五角形、六角形など)断面、丸みを帯びた(例えば、楕円、円)断面、又は曲線断面を含むノズルを含むことができる。幾つかの実施形態において、火炎801は、スペクトル分布を含む光を放出するように構成することができる。理論に拘束されることを望むことなく、温度を含む火炎のスペクトル分布は、温度を含む黒体のスペクトルスペクトルに実質的に対応することができる。更なる実施形態において、スペクトル分布は、燃料の種類、酸素比、及び/又は火炎温度を調整することによって制御することができる。
【0091】
図5に示すように、幾つかの実施形態では、第1の加熱装置215aは、複数の火炎801を放出するように構成された第1の複数の加熱素子503aを備えることができる。幾つかの実施形態では、図示されるように、複数のバーナーは、複数の火炎801を放出するように構成することができる。幾つかの実施形態では、
図5の第1の複数の加熱素子503aに関して上述したように、第1の加熱装置215aは、ガラス形成リボンの幅「W」の方向201に沿って一列に配置された複数の火炎801を発するように構成することができる。更なる実施形態において、第1の加熱装置215aの複数の火炎は、ガラス形成リボンの幅「W」の方向201に沿って一列に配置することができる。
【0092】
幾つかの実施形態では、
図5~6に示すように、加熱装置(例えば、1又は2以上の加熱素子)は、任意選択的に、通信ラインに沿ってコマンド信号を加熱装置215a、215bに送るように(例えば、「プログラムされて」、「符号化されて」、「設計されて」、及び/又は「される」)構成された制御デバイス507(例えば、プログラム可能論理コントローラ)によって操作することができる。更に別の実施形態では、制御デバイス507は、1又は2以上の加熱素子303から放出される熱エネルギーの強度(例えば、パワー、フルエンス)を制御する信号を送信することができる。更なる実施形態において、1又は2以上の加熱素子は、2以上の加熱素子を含むことができ、第1の加熱素子は、第2の加熱素子から独立して制御デバイス507によって制御することができる。更なる実施形態において、1又は2以上の加熱素子303は、2以上のレーザを含むことができ、制御デバイス507は、1又は2以上のレーザから放出されるレーザビームの波長及び/又は1又は2以上のレーザのデューティサイクル(例えば、パルス幅、パルス間の時間、又は連続波)を制御することが可能である。更なる実施形態において、1又は2以上の加熱素子303は、1又は2以上のバーナーを含むことができ、制御デバイス507は、燃料の質量流量、酸素比、放出されるエネルギーの割合、及び/又は1又は2以上のバーナーから放出される火炎から放出されるスペクトル分布の1つ以上を制御することができる。更なる実施形態では、
図6に示すように、加熱装置215a、215bは、ガルバノメータ603又は他のモータを使用して回転するように構成されたミラー601(例えば、ポリゴンミラー)を備えることができ、制御デバイス507は、ミラー601の位置、ガルバノメータ603の回転速度、及び/又はガルバノメータ603の回転方向の1以上を制御することができる。更に別の実施形態では、制御デバイス507は、ミラー601を実質的に一定の角速度で回転させることができる。
【0093】
ここで、多量のガラス形成材料121からガラスリボン103を製造する方法について説明する。
図2を参照すると、入口導管141は、多量のガラス形成材料121をガラス形成装置101に供給することができる。多量のガラス形成材料121は、送達導管206を通り、出口ポート207を通過することができる。多量のガラス形成材料121は、任意選択的に、形成ローラ210のペアに送達することができる。例えば、
図2に示すように、オリフィス208により、多量のガラス形成材料121が出口ポート207から下向きに流動し、移動経路311にわたって(例えば、形成ローラ210のペアの長さ「L」に沿って)延びるガラス形成材料121の細長いストリームに拡散させるようにする。幾つかの実施形態では、ガラス形成材料は、形成デバイスのオリフィス208を通って流れることができる。更なる実施形態において、オリフィス208は、オリフィス208によって形成されるガラスリボンの表面に粗さを導入することができる。例えば、オリフィスは、オリフィスの摩耗の結果としてガラスリボンの表面に粗さを依然として導入しながら、実質的に均一な厚さを有するガラスリボンを提供することができる。
【0094】
代替的に、
図2に示すように、幾つかの実施形態では、出口ポート207は、ガラス形成材料121のストリーム(例えば、円形ストリーム、楕円形ストリームなど)を形成ローラ210のペアに送達することができる。
図2~4に示すように、形成ローラ210a、210bの外周面213a、213bの間の最小距離「D」より上流側に、ガラス成形材料121のプール209がドロー方向154に対して形成することができる。ガラス形成材料121のプール209は、ガラスリボン103の幅「W」に沿って実質的に均一な厚さのガラスリボン103を生成するために冷却され得るローラ形成ガラス形成リボンを提供するために形成ローラ210のペアの長さ「L」に沿ってガラス形成材料121の十分な供給を助ける材料の集積ゾーンを提供することができる。幾つかの実施形態では、
図4に示すように、第1の形成ローラ210a及び/又は第2の形成ローラ210bは、ガラス成形リボンの対応する主面(例えば、第1の主面103a、第2の主面103b)にガラス成形リボンの幅「W」の実質的に全体にわたって接触することが可能である。図示しないが、幾つかの実施形態では、ローラを1つだけ設けることができ、ローラは、ガラス形成リボンの実質的に全幅にわたってガラス形成リボンの第1の主面に接触することができる。しかしながら、形成ローラ210のペアは、形成ローラ210のペアによって形成されるリボンの表面に粗さを導入することができる。例えば、形成ローラペアは、ローラの摩耗の結果としてリボンの表面に粗さを導入しながらも、実質的に均一な厚さをリボンに提供することができる。
【0095】
本方法は、回転形成ローラ210のペアで、多量のガラス形成材料121からガラス形成リボンをローラ形成するステップを更に含むことができる。例えば、
図3を参照すると、第1形成ローラ210aは、線301aに沿った接点の速度ベクトルがドロー方向154に延びるように、図示の内向き回転方向212aに第1軸211aを中心に回転することが可能である。同様に、第2の形成ローラ210bは、線301bに沿った接点の速度ベクトルもドロー方向154に延びるように、第1の形成ローラ210aの内向き回転方向212aとは反対の図示された内向き回転方向212bに第2の軸211bを中心として回転することができる。図示されるように、幾つかの実施形態において、各形成ローラ210a、210bは、任意選択的に、互いに同一であり、実質的に同一の速度で対応する回転方向212a、212bに沿って回転することができる。内向きの回転方向212a、212bに起因して、多量のガラス形成材料121は、ギャップ「G」を通して押圧されると、ガラス形成材料のリボンへとロール成形される。図示されていないが、幾つかの実施形態では、ギャップ「G」を通過するガラス形成材料のリボンの冷却の初期レベルを提供するために、一方又は両方の形成ローラ210a、210bが内部冷却することができる。更に、矢印313a、313bで示すように、ギャップ「G」を通過する溶融材料のリボンの初期厚さを調整するために、形成ローラ210a、210bの一方又は両方が可動とすることができる。
【0096】
回転形成ローラ210のペアでガラス成形材料121の量からガラス成形リボンをローラ成形した後、ガラス成形リボンがギャップ「G」から引き出される際に、その厚さを減少させることが可能である。例えば、
図2~3を参照すると、形成ローラ210のペアの下方に垂れ下がるガラス成形リボンの質量に重力を作用させてガラス成形リボンを伸ばし、それによってガラス成形リボンを弾性ゾーンで到達した最終厚さ「T」まで薄くすることが可能である。重力に加えて、幾つかの実施形態では、所望の厚さを提供するために、オプションのエッジプルローラによって更なる引っ張りを実現することができる。例えば、図示しないが、ガラス形成リボンの対向するエッジ部分に、それぞれドロー方向に下向きに傾斜している傾斜ローラのペアを設けることができる。幾つかの実施形態では、これらの傾斜エッジローラは、ガラス形成リボンに交差張力を与えると共に、ガラス形成リボンをドロー方向に引っ張るために設けることができる。加えて、又は代替的に、図示しないが、水平エッジローラのペアを設けることができる。水平エッジローラは、ドロー方向と直交する回転軸を有することができる。このような水平エッジローラは、ガラス形成リボンの各エッジ部分に設けられ、同様に、ガラス形成リボンの更なる引っ張りを提供してガラス形成リボンを更に薄くすることができる。傾斜エッジローラ及び/又は水平エッジローラは、設けられている場合、ガラス形成リボンの粘弾性領域又は弾性領域内でガラス形成リボンの対応する部分に接触するように配置することができる。更に、図示しないが、水平エッジローラは、更なる実施形態において、傾斜エッジローラより下流に位置することができるが、傾斜エッジローラは、水平エッジローラより下流に位置することができる。
【0097】
本方法は、ガラス形成リボンが走行路311に沿ってドロー方向154に移動している間に、処理装置170を用いてガラス形成リボンの第1の主面103aを加熱するステップを含むことができる。
図2~
図6に示すように、処理装置170は、第1の主面103aを加熱するように構成された第1の加熱装置215aを含むことができる。図示されるように、幾つかの実施形態では、処理装置170は、第2の主面103bを加熱するように構成された第2の加熱装置215bを更に備えることができる。
図3及び
図5~
図6に示すように、第1加熱装置215aは、目標場所307及び場所315自体でガラス形成リボンの第1主面103a上の場所315を衝くためにエネルギー317を放出することによって第1主面103aを加熱することができる1又は2以上の加熱素子303を備える。本開示を通じて、目標場所307は、1又は2以上の加熱素子303から放出されたエネルギー317の延長経路325によって衝突された移動経路311上の場所として定義される。本明細書で使用されるように、1又は2以上の加熱素子から放出されたエネルギーの延長経路は、方向が決定された対応する場所において、エネルギーがガラス形成リボンの対応する主面から10ミリメートル(mm)以内にあったときに向かっていた方向を延長した線である。延長された経路がその場所に衝突する場合、ガラス形成の主面上の場所は、エネルギーによって衝突されることが理解される。例えば、
図3を参照すると 3では、第1加熱装置215aの1又は2以上の加熱素子303から放出されたエネルギー317は、延長経路325が場所315に衝突するため、第1主面103a上の場所315及び目標場所307に衝突することができる。ここで、拡張経路325は、第1の主面103aの10mm以内のエネルギー317の位置を含み、エネルギー317が第1の主面103aの10mm以内にあったときに向かっていた方向323にエネルギー317が移動している方向に延びると、第1の主面103a及びターゲットロケーション307上のロケーション315を衝きとめることになる。拡張経路325が、幅「W」の方向201に延びる目標位置307を含む線に衝突すれば、移動経路311上の目標位置307が衝突することが理解されよう。例えば、
図5を参照して、第1の発熱体303aは、延長経路325が、移動経路311の目標位置307を含む線501に衝突し、幅「W」の方向201に延びるため、移動経路311の目標位置307に衝突する第1のエネルギー317aを放射することが可能である。
図5~
図6に示すように、幾つかの実施形態では、ドロー面302は、移動経路311の目標位置307を含む線501を含むことができる。
【0098】
幾つかの実施形態において、エネルギー317、321でガラス形成リボンを加熱する前に、移動経路311の目標位置307におけるガラス形成リボンは、粘性又は粘弾性状態にあることができる。ガラス形成リボンを加熱する前に、ガラス形成リボンは、移動経路の目標位置における平均温度を含むことができる。本明細書で使用されるように、平均温度は、ASTM E1256-17又はASTM E2758-15を用いて、例えば、Optris PI 640赤外線カメラを用いて測定することができる。幾つかの実施形態において、加熱前の目標位置におけるガラス形成リボンの平均温度は、約500℃以上、約600℃以上、約750℃以上、約900℃以上、約1100℃以上、約1300℃以下、約1250℃以下、約1100℃以下、約750℃以下、又は約700℃以下とすることができる。幾つかの実施形態において、加熱前の目標位置におけるガラス形成リボンの平均温度は、約500℃~約1300℃、約600℃~約1300℃、約750℃~約1300℃、約900℃~約1300℃、約1100℃~約1300℃、約750℃~約1250℃、約900℃~約1250℃、約1100℃~約1250℃、約900℃~約1100℃、又はこれらの間の任意の範囲もしくは部分範囲とすることができる。更なる実施形態において、加熱前の目標位置におけるガラス形成リボンの平均温度は、約500℃~約750℃、約500℃~約700℃、約600℃~約750℃、約600℃~約700℃、又はこれらの間の任意の範囲もしくは部分範囲の範囲にあることができる。加熱前にガラス形成リボンを1又は2以上の上記範囲内の平均温度で提供することにより、加熱による残留応力が低いか又は全くないガラスリボン及び/又はガラスシートを製造することができる。
【0099】
ガラス形成リボンを加熱する前に、ガラス形成リボンは、移動経路の目標位置における平均粘度を含むことができる。本明細書で使用されるように、平均粘度は、ガラス形成材料が軟化点以上である場合にはASTM C965-96(2017)を使用して測定することができ、ガラス形成材料が軟化点未満である場合にはASTM C1351M-96(2017)を使用して測定することができる。例えば、粘度は、上述のように、ガラス形成材料のサンプルを目標位置におけるガラス形成材料の平均温度まで加熱したときに、上述のASTM規格のうちの1つを用いて粘度を測定することによって決定することができる。幾つかの実施形態では、加熱前の目標位置におけるガラス形成リボンの平均粘度は、約1,000パスカル秒(Pa-s)以上、約10,000Pa-s以上、約50,000Pa-s以上、約105Pa-s以上、約106.6Pa-s以上、約108Pa-s以上、約1011Pa-s以下、約109Pa-s以下、約106.6Pa-s以下、約105Pa-s以下、約50,000Pa-s以下、約20,000Pa-s以下、又は約15,000Pa-s以下とすることができる。幾つかの実施形態では、加熱前の目標位置におけるガラス形成リボンの平均粘度は、約1000Pa-s~約1011Pa-s、約10,000Pa-s以上~約1011Pa-s、約50,000Pa-s~約1011Pa-s、約105Pa-s~約1011Pa-s、約106.6Pa-s~約1011Pa-s、約108~約1011Pa-s、約106.6Pa-s~約109Pa-s、約108Pa-s~約109Pa-s、又はこれらの間の任意の範囲もしくは部分範囲にあることができる。更なる実施形態では、加熱前の目標位置におけるガラス形成リボンの平均粘度は、約1,000Pa-s~約10,000Pa-s~約106.6Pa-s、約50,000Pa-s~約106.6Pa-s、約105Pa-s~約106.6Pa-s、約1,000Pa-s~約105Pa-s、約10,000Pa-s~約105Pa-s、約50,000~105Pa-s、約1,000Pa-s~約50,000Pa-s、約10,000Pa-s~約50,000、約1,000Pa-s~約20,000Pa-s、約10,000Pa-s~約20,000、約15,000、又はこれらの間の範囲又は部分範囲にあることができる。加熱前のガラス形成リボンを上記範囲の1又は2以上内の平均粘度で提供することにより、加熱による残留応力が低い又は全くないガラスリボン及び/又はガラスシートを製造することができる。
【0100】
幾つかの実施形態では、
図3、5、及び7~8に示すように、第1の加熱装置215aの1又は2以上の加熱素子303と、目標位置307における第1の主面103aとの間の最小距離327は、約10mm以上、約50mm以上、約100mm以上、約5メートル(m)以下、約1m以下、又は約200mm以下とすることができる。幾つかの実施形態では、最小距離327は、約10mm~約5m、約10mm~約1m、約10mm~約200mm、約50mm~約5m、約50mm~約1m、約50mm~約200mm、約100mm~約5m、約100mm~約1m、約100mm~約200mm、又はこれらの間の任意の範囲もしくは部分範囲にあることができる。更なる実施形態では、
図5に示すように、1又は2以上の加熱素子303(例えば、第1の複数の加熱素子503a)の第1の加熱素子303aと、目標位置307における第1の主面103aとの間の最小距離327は、1又は2以上の加熱素子303(例えば、第1の複数の加熱素子503a)の第2の加熱素子303bと目標位置307の第1の主面103aとの間の最小距離に実質的に等しくすることができる。
【0101】
幾つかの実施形態では、目標位置307におけるガラス形成リボンを含むガラス形成材料121は、1又は2以上の加熱素子303から放出されるエネルギー317に対する吸収深度を含むことができる。本開示を通じて、第1の波長におけるガラス形成材料の吸収深度は、第1の波長を含むエネルギーの強度(例えば、パワー、フルエンス)が、第1の波長を含むエネルギーの初期強度の36.8%(すなわち、1/e)に減少する材料の厚さとして定義されている。理論に束縛されることを望むことなく、強度が材料の厚さを吸収深度で割ると指数関数的に減少することを予測するBeer-Lambert則を使用して、吸収深度を推定することが可能である。材料によっては、温度によって吸収深度が変化することがある。従って、ガラス形成材料121が対象位置307のガラス形成リボンの平均温度であるときに吸収深度を測定する。例えば、ガラス形成材料の吸収深度は、約1000℃で測定され得る(例えば、ガラス形成リボンの平均温度が目標位置で約1000℃である場合)。例えば、1又は2以上の加熱素子303は、実質的に第1の波長を含むレーザビーム701を放射するように構成されたレーザ703を含むことができ、レーザビーム701を含むレーザが放射するエネルギー317に対するガラス形成材料の吸収深度は、第1の波長に対するターゲット位置のガラス形成リボンの平均温度におけるガラス形成材料の吸収深度とすることができる。
【0102】
1又は2以上の加熱素子303から放出されたエネルギー317を含む1又は2以上の波長の強度(例えば、パワー、フルエンス)は、例えば、ThorLabsから入手できるOSA207Cスペクトロメータなどのスペクトルアナライザを使用して測定することができる。幾つかの実施形態では、1又は2以上の加熱素子303から放出されるエネルギー317は、例えば、1又は2以上の加熱素子303がレーザ703を含む場合、実質的に1つの波長(例えば、エネルギーの約90%以上が1つの波長を含む)又は完全に1つの波長を含むことができる。幾つかの実施形態では、1又は2以上の加熱素子303から放出されるエネルギー317は、例えば、1又は2以上の加熱素子303がバーナー803を含む場合、有意な強度を有する2以上の波長(例えば、エネルギーの約5%以上を占める2以上の波長)を含むことができる。本明細書で使用される場合、複数の波長を含むエネルギーのガラス形成材料の吸収深度は、各波長における吸収深度を対応する波長を含むエネルギーの強度の百分率で加重平均したものと定義される。例えば、1又は2以上の加熱素子缶303は、第1のスペクトル分布を含む光を放出することができる火炎801を発するように構成されたバーナー803を含むことができる。バーナー803によって放射されたエネルギー317に対するガラス形成材料の吸収深度は、第1のスペクトル分布の各波長における目標位置でのガラス形成材料の吸収深度を、第1のスペクトル分布の対応する波長を含むエネルギーの強度の割合によって加重平均したものとすることができる。理論に拘束されることを望まないが、火炎からガラス形成リボンに伝達される非光エネルギー(例えば、伝導及び/又は対流によって)は、対応する表面から1μm未満内で実質的に吸収することができ、従って、火炎から伝達される全エネルギーの吸収深度に大きな影響を与えない。
【0103】
幾つかの実施形態において、ガラス形成材料121は、約50マイクロメートル(μm)以下、約30μm以下、約20μm以下、約10μm以下、約8μm以下、約5μm以下、約0.1μm以上、約1μm以上、約5μm以上、又は約8μm以上のエネルギー317に対する吸収深度を含むことができる。幾つかの実施形態では、ガラス形成材料121は、エネルギー317に対する吸収深度は、約0.1μm~約50μm、約0.1μm~約30μm、約0.1μm~約20μm、約0.1μm~約10μm、約0.1μm~約8μm、約0.1μm~約5μm、約1μm~約50μm、約1μm~約30μm、約1μm~約10μm、約1μm~約8μm、約1μm~約5μm、約5μm~約50μm、約5μm~約30μm、約5μm~約10μm、約5μm~約8μm、約8μm~約50μm、約8μm~約20μm、約8μm~約10μm、又はこれらの間の任意の範囲又はサブ範囲とすることができる。エネルギーに対するガラス形成材料の吸収深度が小さい(例えば、約50μm以下、約10μm以下)ようにエネルギーを放出するよう構成された1又は2以上の加熱素子を提供することにより、ガラス形成リボンの厚さを実質的に変えることなく、ガラス形成リボンのバルクを変形することなく、及び目標位置におけるガラス形成リボンの残りの部分を実質的に加熱せずに、第1の主面においてガラス形成リボンの表面粗さを低減することを可能にすることができる。
【0104】
幾つかの実施形態において、ガラス形成材料は、熱拡散性を含んでいてもよい。本開示を通じて、ガラス形成材料の熱拡散率は、ASTM E1461-13を使用して測定することができる。材料によっては、熱拡散率が温度によって変化する場合がある。従って、熱拡散率は、ガラス形成材料が目標位置のガラス形成リボンの平均温度にあるときに測定される。例えば、ガラス形成材料の熱拡散率は、約1000℃で測定することができる(例えば、ガラス形成リボンの平均温度が目標位置で約1000℃である場合)。
【0105】
本開示を通じて、ガラス形成リボンの一部に衝突するエネルギー317の幅は、エネルギー317によって衝突されたガラス形成リボンの第1の主面103a上の第1の点と、目標位置307におけるガラス形成リボンの第1の主面103aの位置315におけるエネルギー317の最大強度の約13.5%(すなわち、1/e
2)の強度でエネルギー317によって衝突されたガラス形成リボンの第1の主面103a上の第2の点との間の移動経路311を横切る方向における距離(すなわち、ドロー方向154に垂直でドロー面302に平行な)として定義され、第1の点と第2の点は、移動経路311を横切る方向に可能な限り離間している。幾つかの実施形態では、
図7に示すように、1又は2以上の加熱素子303は、ガラス形成リボンの第1の主面103aに幅705で衝突するレーザビーム701を放射するレーザ703を含むことができる。幾つかの実施形態では、
図8に示すように、1又は2以上の加熱素子303は、火炎801を放射するバーナー803を含むことができる。更なる実施形態では、火炎801は、ガラス形成リボンの第1の主面103aに幅805で衝突するスペクトル分布を含む光を放出することができる。理論に拘束されることを望むことなく、火炎801は光を等方的に放出することができるが、ガラス形成リボンの主面に衝突する光の強度(例えば、パワー、フルエンス)は、延長経路325が表面に衝突する場所(例えば、目標場所)に対応する場所でピークになり得る。例えば、目標位置は、火炎801及び/又はバーナー803に表面上で最も近い点に対応することができ、表面で測定される火炎から放射される光の強度は、目標位置で最大となることができる。理論に束縛されることを望むことなく、放射の点源からのパワー密度は、点源からの距離が距離の逆二乗に比例して増加するにつれて減少することができる。理論に束縛されることを望まないが、火炎の幅は、バーナーと目標位置307との間の最小距離327(
図3、5、7~8参照)の約π以下とすることができる。
【0106】
幾つかの実施形態では、ガラス形成リボンの幅「W」の百分率としてのエネルギー317(例えば、レーザビーム、火炎から放出される光)の最大幅は、約30%以上、約50%以上、約66%以上、約80%以上、約90%以上、100%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、又は約80%以下とすることができる。幾つかの実施形態では、ガラス形成リボンの幅「W」の百分率にとしてエネルギー317の最大幅(例えば、レーザ、ビーム、火炎から放出される光)は、約30%~100%の範囲、約30%~約98%の範囲、約30%~約95%の範囲、約30%~約90%の範囲、約50%~100%、約50%~約98%、約50%~約95%、約50%~約90%、約66%~約100%、約66%~約98%、約66%~約95%、約66%~約90%、約80%~100%、約80%~約98%、約80%~約95%、約90%~100%、約90%~約98%、約90%~約95%、又はこれらの間の任意の範囲もしくは部分範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、エネルギー317の最大幅は、約100μm以上、約200μm以上、約500μm以上、約1mm以上、約2mm以上、約5mm以上、約10mm以上、約30mm以下、約20mm以下、又は約15mm以下とすることができる。幾つかの実施形態では、エネルギー317の最大幅は、約100μm~約30mm、約100μm~約20mm、約100μm~約15mm、約200μm~約30mm、約200μm~約20mm、約200μm~約15mm、約500μm~約30mm、約500μm~約20mm、約500μm~約15mm、約1mm~約30mm、約1mm~約20mm、約1mm~約15mm、約2mm~約30mm、約2mm~約20mm、約2mm~約15mm、約5mm~約30mm、約5mm~約20mm、約5mm~約15mm、約10mm~約30mm、約10mm~約20mm、又は約15mm~約20mmとすることができる。本開示を通じて、エネルギー317によって衝突されたガラス形成リボンの領域は、エネルギー317の最大強度の約13.5%(すなわち、1/e2)の強度を有するエネルギー317によって衝突されたガラス形成リボンの部分として定義され、この領域は、1以上の加熱素子303(例えば、第1の主面103a)に最も近いガラス形成リボンの表面において測定される。
【0107】
第1加熱装置215aの1又は2以上の加熱素子303は、所定の速度(すなわち、パワー)でエネルギーを放出することができる。本開示を通じて、「パワー」は、サーモパイルを使用して測定された、1又は2以上の加熱素子303から放出される平均パワーである。幾つかの実施形態では、放出されるパワーは、1又は2以上の加熱素子のパラメータを調整することによって制御することができる。例えば、1又は2以上の加熱素子は、レーザを含むことができ、調整可能なパラメータは、電流又は電圧、光ポンピング条件、及び光学系のうちの1又は2以上を含むことができる。幾つかの実施形態では、1又は2以上の加熱素子はバーナーを含むことができ、調整可能なパラメータは、燃料組成、燃料の供給速度、酸素比、及びバーナー構成のうちの1又は2以上を含むことができる。本開示を通じて、フルエンスは、1又は2以上の加熱素子から放出されたエネルギーによって衝突したガラス形成リボンの部分の面積で割った、1又は2以上の加熱素子によって放出されたパワーであり、上記で定義された通り、フルエンスは、1又は2以上の加熱素子から放出されたエネルギーによって衝突したガラス形成リボンの部分の面積で割った、1又は2以上の加熱素子によって放出されたパワーである。幾つかの実施形態では、ガラス形成リボンの領域に伝達される1又は2以上の加熱素子から放出されるエネルギーの割合(すなわち、フルエンス)は、約0.1キロワット/センチメートル2(W/cm2)以上、約1kW/cm2以上、約5kW/cm2以上、約10kW/cm2以上、約20kW/cm2以上、約100kW/cm2以下、約60kW/cm2以下、約40kW/cm2以下、約20kW/cm2以下、又は約10kW/cm2以下とすることができる。幾つかの実施形態では、ガラス形成リボンの領域に伝達される1又は2以上の加熱素子から放出されるエネルギーの割合(すなわち.フルエンス)は、約0.1kW/cm2~約100kW/cm2、約1W/cm2~約100kW/cm2、約5kW/cm2~約100kW/cm2、約10kW/cm2~約100kW/cm2、約20kW/cm2~約100kW/cm2、約0.1kW/cm2~約60kW/cm2、約1kW/cm2~約60kW/cm2、約5kW/cm2~約60kW/cm2、約10kW/cm2~約60kW/cm2、約20kW/cm2~約60kW/cm2、約0.1kW/cm2~約40kW/cm2、約1kW/cm2~約40kW/cm2、約5kW/cm2~約40kW/cm2、約10kW/cm2~約40kW/cm2、約20kW/cm2~約40kW/cm2、約0.1kW/cm2~約20kW/cm2、約1kW/cm2~約20kW/cm2、約5kW/cm2~約20kW/cm2、約10kW/cm2~約20kW/cm2、又はこれらの間の任意の範囲もしくは部分範囲とすることができる。上記の範囲の1つ以上内のフルエンス及び/又は強度を提供することにより、ガラス形成リボンの表面粗さを減少させるのに十分な加熱を提供するアブレーションを防止することができる。幾つかの実施形態では、目標位置でガラス形成リボンに伝達されるエネルギーの実質的に全ては、吸収深度について上述の範囲のうちの1つ又はそれ以上内にあることが可能である。
【0108】
幾つかの実施形態では、
図7に示すように、1又は2以上の加熱素子303は、目標位置307(
図5参照)においてガラス形成リボンの第1の主面103aに衝突するレーザビーム701を放射するレーザ703を含むことができる。レーザは、上述したレーザのうちの任意の1又は2以上を含むことができる。同様に、レーザから放出されるレーザビームの波長は、レーザビームの波長について上述した範囲のうちの1又は2以上内にすることができる。図示されるように、レーザビーム701は、レーザビーム701によって衝突される第1の主面103a上の幅705を含むことができる。レーザビームの幅は、エネルギーの幅について上述した範囲のうちの1又は2以上内にあることができる。幾つかの実施形態では、
図6に示すように、方法は、目標位置307においてガラス形成リボンの幅「W」の一部にわたってレーザビーム701を走査することを含むことができ、走査された部分は、走査された部分について上述した範囲のうちの1つ又はそれ以上内にあることができる。幾つかの実施形態では、
図5に示すように、レーザビーム701を放出することは、目標位置307においてガラス形成リボンの第1の主面103aに衝突する複数のレーザビームを放出することを含むことができる。更なる実施形態において、複数のレーザビーム701を放出する複数のレーザは、ガラス形成リボンの幅「W」の方向201に沿って一列に配置することができる。幾つかの実施形態において、レーザ703は、実質的に一定のフルエンスを含むレーザビーム701を放出することができる。更なる実施形態において、レーザ703は、実質的に一定のフルエンスのレーザビーム701を実質的に連続的に放出することができる。例えば、レーザ703は、連続波(CW)レーザとして動作させることができる。例えば、レーザ703は、パルスの間隔が約1秒以下のパルスレーザとして動作させてもよい。
【0109】
幾つかの実施形態では、
図8に示すように、1又は2以上の加熱素子303は、火炎801を放出するバーナー803を含むことができる。更なる実施形態において、火炎801は、目標位置307(
図5参照)においてガラス形成リボンの第1の主面103aに衝突することができるスペクトル分布を含む光を放出することができる。火炎801は、火炎801によって衝突された第1の主面103a上の幅805を含むことができる。上述したように、幅805は、目標位置307におけるガラス形成リボンの第1の主面103aの位置315に衝突する火炎から放射される光の最大強度の約13.5%(すなわち、1/e
2)の強度(例えば、パワー、フルエンス)を有する領域の第1の主面に沿ってドロー方向に横(例えば、垂直)方向に測定することができる。理論に拘束されることを望むことなく、火炎801は光を等方的に放出することができるが、ガラス形成リボンの主面に衝突する光の強度(例えば、パワー、フルエンス)は、延長経路325が表面に衝突する場所(例えば、ターゲット場所)に対応する場所でピークになることができる。例えば、目標位置は、火炎801及び/又はバーナー803に表面上で最も近い点に対応することができ、表面で測定される火炎から放射される光の強度は、目標位置で最大となることができる。理論に束縛されることを望むことなく、放射の点源からのパワー密度は、点源からの距離が距離の逆二乗に比例して増加するにつれて減少することができる。理論に束縛されることを望まないが、火炎の幅は、バーナーと目標位置307との間の最小距離327(
図3、5、7~8を参照)の約π以下とすることができる。火炎の幅は、エネルギーの幅について上述した範囲のうちの1又は2以上内にあることができる。更なる実施形態において、火炎801は、ガラス形成リボンの第1の主面に触れることなくガラス形成リボンを加熱することができ、これは、例えば、火炎801からの第1の主面上の煤堆積を制限することができる。幾つかの実施形態では、
図5に示すように、火炎801を放出するステップは、目標位置307でガラス形成リボンの第1の主面103aに衝突する複数の火炎を放出するステップを含むことができる。更なる実施形態において、複数の火炎801を放出する複数のバーナーは、ガラス形成リボンの幅「W」の方向201に沿って一列に配置することができる。幾つかの実施形態では、バーナー803は、実質的に一定のパワーの火炎801を放出することができる。
【0110】
本開示を通じて、ガラス形成リボン上の場所における1又は2以上の加熱素子から放出されるエネルギーの滞留時間は、ガラス形成リボン上の場所がエネルギーによって衝突される領域(上に定義)内にある総時間として定義される。
図3を参照すると、ガラス形成リボンの第1の主面103a上の場所315において1又は2以上の加熱素子303から放出されるエネルギー317の滞留時間は、第1の主面103a上の場所315におけるガラス形成材料が1又は2以上の加熱素子303から放出されるエネルギー317によって衝突する第1の主面103a上の領域内に存在する時間である。例えば、静止した(例えば、非走査)レーザビーム701によって衝突された場所315におけるガラス形成材料の滞留時間は、場所315がレーザビーム701によって衝突された領域内にある時間(例えば、ガラス形成材料が領域上から領域内に、次に領域内から領域下にドロー方向154に動くとき)と等しくなり得る。例えば、走査レーザビーム701によって衝突された場所315におけるガラス形成材料の滞留時間は、ガラス形成材料がレーザビーム701によって衝突された領域内にいた時間(例えば、ガラス形成材料がドロー方向154に移動する際にレーザビームのその領域がガラス形成材料にわたって走査した各時間)の合計に等しくすることができる。幾つかの実施形態では、
図3に示すように、ガラス形成リボンがドロー方向154に移動している速度によって滞留時間を制御(例えば、調整、制限)することができる。幾つかの実施形態では、
図6に示すように、滞留時間は、エネルギー317(例えば、レーザビーム701)が第1の主面103aの部分にわたって走査される速度によって制御(例えば、調整、制限)することができる。更なる実施形態では、滞留時間は、エネルギー(例えば、レーザビーム701)の複数のパスを含むことができ、例えば、スキャンレートが十分に高く、及び/又は、ドロー方向154における引き込みレートが十分に低く、エネルギー(例えば、レーザビーム701)の第1のパス及び第2のパスの両方で第1の主面103aに衝突するエネルギーの領域内に場所315が存在できる場合など、エネルギーが第1の主面103aに衝突することができる。幾つかの実施形態では、
図7~8に示すように、エネルギー317(例えば、レーザビーム701、火炎801から放出される光)が第1の主面103aに衝突する面積(例えば、幅705、805及び/又は幅705、805に垂直に測定される高さ)を制御することにより、滞留時間を制御(例えば、調整、制限)することができる。更なる実施形態において、エネルギー317は、レーザビーム701を含むことができ、レーザビーム701の幅705は、例えば、レーザ703と第1の主面103aとの間に光学系を配置及び/又は調整することによって制御することができる。更なる実施形態では、
図8に示すように、エネルギー317は、火炎801から放出される光を含むことができ、火炎801の幅805は、例えば、バーナー803の形状を調整することによって制御することができる。幾つかの実施形態において、滞留時間は、約0.0001秒(s)以上、約0.001秒以上、約0.01秒以上、約1秒以上、約120秒以下、約60秒以下、約10秒以下、約1秒以下、又は約0.1秒以下とすることができる。幾つかの実施形態では、滞留時間は、約0.0001秒~約120秒、約0.0001秒~約60秒、約0.0001秒~約10秒、約0.0001秒~約1秒、約0.0001秒~約0.1秒、約0.001秒~約120秒、約0.001秒~約60秒、約0.001秒~約10秒、約0.001秒~約1秒、約0.001秒~約0.1秒、約0.01秒~約120秒、約0.01秒~約60秒、約0.01秒~約10秒、約0.01秒~約1秒、約0.1秒、又はこれらの間の任意の範囲又は部分範囲とすることができる。
【0111】
幾つかの実施形態では、ガラス形成リボンにエネルギーを衝突させることで、ガラス形成材料を含むガラス形成リボンを加熱深度まで加熱することができる。本開示を通じて、ガラス形成材料を含むガラス形成リボンの表面上の場所における加熱深度は、ガラス形成材料の吸収深度と、ガラス形成材料の熱拡散率とその場所でのエネルギーの滞留時間との積の平方根との合計として定義される。上述したように、複数の波長を含むエネルギーのガラス形成材料の吸収深度は、各波長における吸収深度を、対応する波長を含むエネルギーの強度の割合で加重平均したものとして定義される。理論に拘束されることを望まないが、火炎からガラス形成リボンに伝達される非光エネルギー(例えば、伝導及び/又は対流による)は、対応する表面から1μm未満の範囲で実質的に吸収され得るので、火炎から伝わる全エネルギーの吸収深度に大きな影響を与えない。
【0112】
幾つかの実施形態では、第1の主面103a上の場所315は、約250マイクロメートル(μm)以下、約100μm以下、約50μm以下、約30μm以下、約20μm以下、約10μm以下、約8μm以下、約5μm以下、約0.1μm以上、約1μm以上、約5μm以上、又は約8μm以上の加熱深度に加熱することができる。幾つかの実施形態では、第1の主面103a上の場所315は、約0.1μm~約250μm、約0.1μm~約100μm、0.1μm~約50μm、約0.1μm~約30μm、約0.1μm~約20μm、約0.1μm~約10μm、約0.1μm~約8μm、約1μm~約5μm、約1μm~約250μm、約1μm~約100μm、約1μm~約50μm、約1μm~約30μm、約1μm~約10μm、約1μm~約8μm、約1μm~約5μm、約5μm~約250μm、約5μm~約100μm。約5μm~約50μm、約5μm~約30μm、約5μm~約10μm、約5μm~約8μm、約8μm~約250μm、約8μm~約100μm、約8μm~約50μm、約8μm~約20μm、約8μm~約10μm、又はこれらの間の範囲もしくは部分範囲の加熱深度まで加熱することができる。ガラス形成リボンの加熱深度が小さい(例えば、約250μm以下、約50μm以下、約10μm以下)ように、ガラス形成リボンの表面上の場所を加熱するエネルギーを提供することは、ガラス形成リボンの厚さを実質的に変えることなく、ガラス形成リボンのバルクを変形させず、目標場所307においてガラス形成リボンの残りの部分を実質的に加熱することなく、第1の主面でガラス形成リボンの表面粗さを低減することが可能にすることができる。
【0113】
移動経路311の目標位置307におけるガラス形成リボンの第1の主面103aにエネルギー317を衝突させることは、目標位置307におけるガラス形成リボンの温度を上昇させることによって、ガラス形成リボンの第1の主面103aを加熱することができる。幾つかの実施形態では、1又は2以上の加熱素子303(例えば、レーザ703、バーナー803)から放出されるエネルギー317(例えば、レーザビーム701、火炎801から放出される光)は、エネルギー(例えば、ガラス形成リボンの第1の主面103a)を加熱することができる。レーザビーム701、火炎801から放出された光)がガラス形成材料の一部(例えば、吸収深度内、加熱深度内)によって吸収され、ガラス形成材料の温度を上昇させる。幾つかの実施形態では、
図7~8に示すように、温度は、第1の主面の加熱深度内の場所315で上昇し、溶融プール709、809が場所315で第1の主面103aからプール深さ707、807まで形成するように場所315でのガラス形成材料の粘性を低下させることができる。更なる実施形態において、プール深さ707、807は、吸収深度及び/又は加熱深度について上述した範囲のうちの1又は2以上内にあることができる。更なる実施形態において、溶融プール709、809内のガラス形成材料は、約100Pa-s以上、約200Pa-s以上、約500Pa-s以上、約1,000Pa-s以下、約800Pa-s以下、又は約500Pa-s以下の粘度を含むことができる。更なる実施形態では、溶融プール709、809内のガラス形成材料は、約100Pa-s~約1000Pa-s、約200Pa-s~約1000Pa-s、約500Pa-s~約1000Pa-s、100Pa-s~約800Pa-s、約200Pa-s~約800Pa-s、約500Pa-s~約800Pa-s、約100Pa-s~約500Pa-s、約200Pa-s~約500Pa-s、又はこれらの間の任意の範囲又は部分範囲の粘度を含むことができる。理論に拘束されることを望まないが、約1000Pa-s以下の粘度を含むガラス形成材料は、表面張力によって表面粗さを滑らかにすることができる。
【0114】
幾つかの実施形態において、加熱は、第1の主面103a上の場所315における温度を約50℃以上、100℃以上、約200℃以上、約250℃以上、約500℃以下、約400℃以下、約350℃以下、又は約300℃以下に上昇させることができる。加熱は、第1の主面103a上の位置315の温度を、約50℃~約500℃、約100℃~約500℃、約200℃~約500℃、約250℃~約500℃、約50℃~約400℃、約100℃~約400℃、約200℃~約400℃、約250℃~~約400℃、約50℃~約350℃、約100℃~約350℃、約200℃~約350℃、約250℃~約350℃、約100℃~約300℃、約200℃~約300℃、約250℃~約300℃、又はこれらの間の任意の範囲又は部分範囲で上昇させることができる。
【0115】
幾つかの実施形態では、
図2~
図6に示すように、第2の加熱装置215bは、ガラス形成リボンが移動経路311に沿ってドロー方向154に移動している間に、移動経路311の目標位置307でガラス形成リボンの第2の主面103bを加熱することができる。更なる実施形態では、
図5に示すように、第2の加熱装置215bは、目標位置307においてガラス形成リボンの第2の主面103b上の位置319に衝突するレーザビーム701を含むエネルギー321を放出する1又は2以上のレーザ703を含むことができる1又は2以上の加熱素子303を含むことができる。更なる実施形態において、第2の加熱装置215bは、目標位置307においてガラス形成リボンの第2の主面103b上の場所319に衝突する光を発する火炎801を含むエネルギー321を発する1又は2以上のバーナー803を含むことができる1又は2以上の加熱素子303を含むことができる。幾つかの実施形態では、エネルギー321で場所319でガラス形成リボンの第2の主面103bを衝突させることは、第2の主面103bからの加熱深度が第1の主面103aからの加熱深度に関して上述した範囲のうちの1又は2以上内になり得るようにガラス形成材料を含むガラス形成リボンを加熱することができる。
【0116】
本方法は、加熱装置215a、215bによる加熱の後、ガラス形成リボンをガラスリボン103に冷却するステップを含むことができる。幾つかの実施形態では、
図1に示すように、ガラスリボン103は、複数のガラスシート104に分割することができる。
【0117】
ガラスリボン103の第1の主面103aは、表面粗さ(Ra)を含むことができる。本開示を通じて、本開示で定められる全ての表面粗さの値は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定された10μm×10μmの試験領域の表面に垂直な方向の平均位置からの表面プロファイルの絶対偏差の算術平均を用いて計算される表面粗さ(Ra)である。表面粗さは、ガラスリボンの後続の処理の前に測定することができる。本明細書で使用する場合、「その後の処理」とは、機械的研磨、機械的研磨、化学的エッチング、及び/又は再溶解を意味する。理論に拘束されることを望むことなく、後続処理は、得られるガラスリボンの少なくとも1つの主面の表面粗さを低減させることができる。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103の第1の主面103a及び/又は第2の主面103bの表面粗さ(Ra)は、約5nm以下、約3nm以下、約2nm以下、約1nm以下、約0.9nm以下、0.5nm以下、約0.3nm以下、0.1nm以上、約0.15nm以上、又は約0.2nm以上とすることができる。幾つかの実施形態では、ガラスリボン103の第1の主面103a及び/又は第2の主面103bの表面粗さ(Ra)は、約0.1nm~約5nmの範囲、約0.1nm~約3nm、約0.1nm~約2nm、約0.1nm~約1nm、約0.1nm~約0.9nm、約0.1nm~約0.5nm、約0.1nm~約0.3nm、約0.15nm~約5nm、約0.15nm~約3nm、約0.15nm~約2nm、約0.15nm~約1nm、約0.15nm~約0.9nm、約0.15nm~約0.5nm、約0.15nm~約0.3nm、約0.2nm~約5nm、約0.2nm~約3nm、約3nm~約1nm、約0.2nm~約3nm、約0.2nm~約2nm、約0.2nm~約1nm、約0.2nm~約0.9nm、約0.2nm~約0.5nm、約0.2nm~約0.3nm、又はこれらの間の任意の範囲もしくは部分範囲とすることができる。
【0118】
幾つかの実施形態では、処理装置170(例えば、加熱装置215a、215b、1又は2以上の加熱素子303、レーザ703、バーナー803)による加熱を除いて第1のガラスリボンと同一に製造された第2のガラスリボンの表面粗さ(Ra)の割合としての本開示の実施形態による第1のガラスリボンの表面粗さ(Ra)による加熱は、約0.01%以上、約0.1%以上、約0.2%以上、約0.4%以上、約1%以上、約5%以下、約2.5%以下、約1%以下、又は約0.6%以下とすることができる。幾つかの実施形態では、処理装置170(例えば、加熱装置215a、215b、1又は2以上の加熱素子303、レーザ703、バーナー803)による加熱を除いて第1のガラスリボンと同一に製造された第2のガラスリボンの表面粗さ(Ra)の割合としての本開示の実施形態による第1のガラスリボンの表面粗さ(Ra)による加熱は、約0.01%~約5%、約0.1%~約5%、約0.2%~約5%、約0.4%~約5%、約1%~約5%、約0.01%~約2.5%、約0.1%~約2.5%、約0.2%~約2.5%、約0.4%~約2.5%、約0.6%~約2.5%、約1%~約2.5%、約0.01%~約1%、約0.1%~約1%、約0.2%~約1%、約0.4%~約1%、約0.01%~約0.6%、約0.1%~約0.6%、約0.2%~約0.6%、約0.4%~0.6%、もしくはその範囲の任意の部分範囲とすることができる。
【0119】
電子製品、例えば消費者電子製品は、前面、背面、及び側面を備えるハウジングと、ハウジング内の少なくとも部分的に電気部品であって、電気部品は、コントローラ、メモリ、及びディスプレイを備え、ディスプレイはハウジングの前面又はそれに隣接している、カバー基板と、ディスプレイの上に配置され、ハウジングの一部又はカバー基板の少なくとも一方は、本明細書で記載された折り畳み可能装置を含むことができる。
【0120】
本開示の実施形態は、電子製品を含むことができる。電子製品は、前面、背面、及び側面を含むことができる。電子製品は、ハウジング内の少なくとも部分的に電気部品を更に備えることができる。電気部品は、コントローラ、メモリ、及びディスプレイを含むことができる。ディスプレイは、ハウジングの前面又はそれに隣接することができる。電子製品は、ディスプレイの上に配置されたカバー基板を含むことができる。幾つかの実施形態では、ハウジングの一部又はカバー基板の少なくとも一方は、本開示を通じて議論された折り畳み可能な装置を含む。
【0121】
本明細書に開示される折り畳み式器具は、別の物品、例えば、ディスプレイ(又はディスプレイ物品)を有する物品(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、ナビゲーションシステム、ウェアラブル装置(例えば、時計)等を含む家電製品)、建築物品、輸送物品(例えば、自動車、列車、航空機、海運等)、家電物品、又は何らかの透明性、耐傷性、耐擦過性又はこれらの組み合わせから利益を得ることができる任意の物品に組み込まれてもよい。本明細書に開示される折り畳み可能な装置の何れかを組み込んだ例示的な物品が、
図9及び
図10に示されている。具体的には、
図9及び10は、前面904、背面906、及び側面908を有するハウジング902と、ハウジングの前面において又はハウジングに隣接して少なくともコントローラ、メモリ、及びディスプレイ910を含む少なくとも部分的に内部又は全体にある電気部品(図示せず)と、ディスプレイを覆うようにハウジングの前面において又はその上のカバー基板912とを含む電子デバイス900を示す。幾つかの実施形態では、カバー基板912又はハウジング902の一部の少なくとも1つは、本明細書に開示される折り畳み可能な装置の何れかを含んでもよい。
【0122】
幾つかの実施形態において、電子製品を製造する方法は、電気部品を少なくとも部分的にハウジング内に配置するステップを含むことができ、ハウジングは、前面、背面、及び側面を含み、電気部品は、コントローラ、メモリ、及びディスプレイを含み、ディスプレイは、ハウジングの前面に又は隣接して配置されている。本方法は、ディスプレイの上にカバー基板を配置するステップを更に含むことができる。ハウジングの一部又はカバー基板の少なくとも一方は、本開示の方法の何れかによって製造されたガラスリボンの一部を含む。
【実施例】
【0123】
以下の実施例により、様々な実施形態が更に明らかにされる。実施例A~Dの表面粗さ(Ra)は、表Iに報告される。実施例Aは、本開示の実施形態の処理装置を用いずにプレス圧延によって形成されたガラスリボンを含む。実施例B~Dは、ガラス形成リボンから製造されたガラスシートが目標位置で650℃の平均温度に加熱されたときに、ガラス形成リボンの第1の主面をCO
2レーザで処理した以外は実施例Aと同じ方法で製造されたものである。CO
2は、360Wを発するCWレーザとして動作させ、10mmの幅を含むレーザビームを、パス間20mmで第1の主面を横切って走査させた。実施例Bでは、スキャン速度は2,000mm/sであった。実施例Cでは、スキャンレートは3,000mm/sであった。実施例Dでは、スキャン速度は4,000mm/sであった。
なお、実施例A~Dの何れにおいても、後工程は行わなかった。
表1:実施例A~Dの表面粗さ(Ra)
【0124】
表Iに示すように、熱処理により、実施例B~Dでは、表面粗さ(Ra)が1nm以下となった(実施例Aの2.7%)。更に、実施例B-Cは、何れも表面粗さ(Ra)が0.3nm以下(実施例Aの0.9%)であることがわかる。実施例B-Cと比較して、実施例Dは、より高い表面粗さ(Ra)を有する。表面粗さ(Ra)は、実施例Aよりもまだずっと低いが、実施例Dのスキャンレートを減少させると、表面粗さが減少する。実施例B~Cの表面粗さの類似性から、実施例Cのスキャンレートは、表面粗さの低減と加工効率のバランスが取れていると考えられる。
【0125】
本開示の実施形態は、高品質のガラスリボン及び/又はガラスシートを提供することができる。ガラス形成リボンの一部を第1の主面から小さい(例えば、50マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下)深さまで加熱することにより、表面粗さが小さい(例えば、約5ナノメートル以下)ガラスリボン及び/又はガラスシートを製造することができる。更に、ガラス形成リボンの加熱は、加熱を伴わない第2のガラスリボンの形成と比較して、ガラスリボンの表面粗さを大幅に低減することができる(例えば、約5%以下又は第2のガラスリボンの表面粗さの約0.01~約1%までの範囲)。加熱は、ガラスリボン及び/又はガラスシートの後続の処理(例えば、化学エッチング、機械研削、機械研磨)なしで、上記の低い表面粗さを提供することができる。ガラス形成リボンの加熱を提供することにより、例えば、ローラ及び/又は形成装置によってもたらされる表面粗さを低減及び/又は除去することができる。表面粗さを低減することにより、得られるガラスリボン及び/又はガラスシートは、表面粗さに関するより厳しい設計仕様を満たすことができる一方、不適合なガラスリボン及び/又はガラスシートによる廃棄物を低減することができる。
【0126】
本開示の実施形態は、ガラスリボンを製造する際の処理効率を向上させることができる。ガラス形成リボンが粘性状態(例えば、約1000パスカル秒~約1011パスカル秒)であるときにガラス形成リボンを加熱するステップは、ガラスリボンを製造する他の側面、例えば、形成装置とガラスリボンを複数のガラスシートに分割する間とインラインで実行することが可能である。インライン加熱は、ガラスリボン及び/又はガラスシートの後続の処理の要求を低減及び/又は排除することができるので、ガラスリボンの製造に必要な時間及び/又はスペースを低減することができる。更に、ガラスリボン及び/又はガラスシートの後続の処理に関連する人件費及び/又は設備費を削減及び/又は省略することができる。
【0127】
本開示の実施形態は、ガラス形成リボンが高温(例えば、約500℃~約1300℃)であるときに、ガラス形成リボンを加熱することを含むことができる。ガラス形成リボンが高温にあるときにガラス形成リボンを加熱するステップは、例えば、ガラス形成リボンが加熱中に粘性領域にあり、応力の消散を可能にするので、加熱による残留応力が低いか又はないガラスリボン及び/又はガラスシートを生成することができる。更に、ガラス形成リボンが高温であるときにガラス形成リボンを加熱することにより、表面粗さを低減するのに十分な温度及び/又は粘度を得るために、第1の主面から小さい(例えば、50マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下)深さ内のガラス形成リボンの一部を加熱するのに必要なエネルギーを低減することができる。
【0128】
本開示の実施形態は、ガラス形成リボンの加熱を、第1の主面から小さい(例えば、50マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下)深さに局所化させることができる。加熱を局所化することにより、部分の粘度を低下させることができ(例えば、約100パスカル秒~約1000パスカル秒)、これにより、例えば、ガラス形成リボンを含むガラス形成材料の表面張力を介して第1の主面の平滑化を促進することができる。更に、加熱を局所化することで、その位置のガラス形成リボンの厚みの残りの部分を大きく加熱することなく、第1主面の表面粗さを低下させることができ、ガラス形成リボンの厚みの変化や形状の変形を防止することができる。また、加熱を局所化することで、第1主面の表面粗さを小さくするために必要なエネルギーを低減することができる。必要なエネルギーの更なる低減及び/又はガラス形成リボンの変形の防止は、小さな吸収深度(例えば、約10マイクロメートル以下)を含む加熱を選択すること及び/又はガラス形成リボンを小さな加熱深度(例えば、約50マイクロメートル以下)に加熱するための加熱の滞在時間を選択することによって可能にすることができる。
【0129】
本明細書で使用される場合、用語「the」、「a」、又は「an」は、「少なくとも1つ」を意味し、そうではないことを明記しない限り、「1つだけ」に限定されるべきではない。従って、例えば、「構成要素」への言及は、文脈が明確にそうでないことを示さない限り、2以上のこのような構成要素を有する実施形態を含む。
【0130】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の量及び特性が正確ではなく、また正確である必要もないが、公差、変換係数、丸め、測定誤差等、及び当業者に知られている他の要因を反映して、必要に応じて近似値及び/又はより大きい又はより小さいことができる。用語「約」が数値又は範囲の終点を記述するのに使用される場合、本開示は、言及される特定の数値又は終点を含むと理解されるべきである。本明細書における数値又は範囲の端点が「約」を記載する場合、数値又は範囲の端点は、「約」によって修正されたものと、「約」によって修正されていないものとの2つの実施形態を含むことを意図している。更に、各範囲の終点は、他の終点との関係においても、他の終点から独立しても、有意であることが理解されよう。
【0131】
本明細書で使用される用語「実質的な」、「実質的に」、及びその派生語は、記載された特徴が値又は説明と等しいか又はほぼ等しいことに留意することを意図している。例えば、「実質的に平面的な」表面は、平面的であるか又はほぼ平面的である表面を示すことを意図している。更に、上記で定義されたように、「実質的に類似」は、2つの値が等しいか、又はほぼ等しいことを示すことを意図している。幾つかの実施形態では、「実質的に類似する」は、互いの約10%以内、例えば互いの約5%以内、又は互いの約2%以内の値を示すことができる。
【0132】
本明細書で使用される場合、用語「備える」及び「含む」、並びにこれらの派生語は、特に示されない限り、同義語及びオープンエンドとして解釈されるものとする。移行句「comprising」又は「including」に続く要素のリストは、リストに具体的に記載されたものに加えて、要素も存在し得るような、非排他的なリストである。
【0133】
様々な実施形態がその特定の例示的及び特定の実施形態に関して詳細に説明してきたが、開示された特徴の多数の変更及び組み合わせが以下の請求項の範囲から逸脱することなく可能であるので、本開示はそのように限定されると考えられるべきではない。
【符号の説明】
【0134】
100 ガラス製造装置
101 ガラス形成装置
170 処理装置
215a 第1の加熱装置
215b 第2の加熱装置
303 加熱素子
【国際調査報告】