(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】磁気流量計の流管アセンブリのライナ
(51)【国際特許分類】
G01F 1/58 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
G01F1/58 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578665
(86)(22)【出願日】2021-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2021022580
(87)【国際公開番号】W WO2021257139
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケレトゲン、ポール マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ユンク、ブライアン スコット
(72)【発明者】
【氏名】ミコリチェク、マイケル ジェフリー
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035BA03
2F035BB02
(57)【要約】
磁気流量計(102)の流管アセンブリ(120)のための流管ライナ(160)は、円筒壁(166)を含む。円筒壁(166)は、電気絶縁性の内側層(170)と金属の外側層(172)とを含む。外側層(172)は、内側層(170)の外面(174)に結合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性流量計の流管アセンブリのための流管ライナであって、
電気絶縁性の内側層と、前記内側層の外面に結合された金属の外側層と、を含む円筒壁を備える、流管ライナ。
【請求項2】
前記内側層がポリマーを含み、前記外側層が金属又は金属酸化物を含む、請求項1に記載の流管ライナ。
【請求項3】
前記ポリマーが、フルオロポリマー、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、ポリエーテルイミド(PEI)、アクリル、ナイロン、架橋ポリエチレン(PEX)、及びポリオキシメチレン(POM)からなる群から選択される、請求項2に記載の流管ライナ。
【請求項4】
前記内側層が、高結晶性フルオロポリマーを含まない、請求項3に記載の流管ライナ。
【請求項5】
前記金属が、アルミニウム、ステンレス鋼、金、銅、チタン、クロム、タンタル、バナジウム、ニッケル、及び金属酸化物からなる群から選択される、請求項2に記載の流管ライナ。
【請求項6】
第1の電極用の開口部が、前記内側層及び前記外側層を貫通して延在し、
第2の電極用の開口部が、前記円筒壁の前記第1の電極用の開口部とは反対側で前記内側層及び前記外側層を貫通して延在する、
請求項2に記載の流管ライナ。
【請求項7】
流体フローの流量を測定する磁気流量計に使用される流管アセンブリであって、
配管部と、
コイル電流を受け取り、前記配管部を横切って前記配管部の内部を流れる流体フローに起電力(EMF)を誘起する磁場を発生させるように構成されたコイルと、
前記配管部の内部に収容される円筒壁を含む流管ライナであって、前記円筒壁が、電気絶縁性の内側層と前記内側層の外面に結合された金属の外側層とを含む、流管ライナと、
を備える流管アセンブリ。
【請求項8】
前記内側層がポリマーを含み、前記外側層が金属を含む、請求項7に記載の流管アセンブリ。
【請求項9】
前記ポリマーが、フルオロポリマー、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、ポリエーテルイミド(PEI)、アクリル、ナイロン、架橋ポリエチレン(PEX)、及びポリオキシメチレン(POM)からなる群から選択される、請求項8に記載の流管アセンブリ。
【請求項10】
前記内側層が、高結晶性フルオロポリマーを含まない、請求項9に記載の流管アセンブリ。
【請求項11】
前記金属が、アルミニウム、ステンレス鋼、金、銅、チタン、クロム、タンタル、バナジウム、ニッケル、及び金属酸化物からなる群から選択される、請求項8に記載の流管アセンブリ。
【請求項12】
前記外側層の外面が、前記配管部の内壁に結合されている、請求項8に記載の流管アセンブリ。
【請求項13】
前記配管部は、中心軸を含み、
前記円筒壁は、前記中心軸と実質的に同心であり、前記配管部の外側に配置され、前記中心軸から離れるように延在する対向するフレア状の端部を含む、
請求項8に記載の流管アセンブリ。
【請求項14】
第1の電極用の開口部が、前記内側層及び前記外側層を貫通して延在し、かつ、第2の電極用の開口部が、前記円筒壁の前記第1の電極用の開口部とは反対側で前記内側層及び前記外側層を貫通して延在し、
前記第1の電極用の開口部及び前記配管部を通って延在する第1のトンネル内に配置された第1の電極であって、前記配管部の内部に露出している第1の電極と、
前記第2の電極用の開口部及び前記配管部を通って延在する第2のトンネル内に配置された第2の電極であって、前記配管部の内部に露出している第2の電極と、
を備える、請求項13に記載の流管アセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載の流管アセンブリと、
コイル電流を生成するように構成された電力増幅器と、
第1の電極及び第2の電極によって検知された電圧を受け取り、起電力と流体フローの流量とに比例する前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧差を示すデジタル電圧信号を生成するように構成された信号プロセッサと、
前記デジタル電圧信号を処理し、前記流体フローの前記流量を確立するように構成されたデジタルプロセッサと、
を備える磁気流量計。
【請求項16】
配管部と、コイル電流を受け取り、前記配管部を横切って前記配管部の内部を流れる流体フローに起電力(EMF)を誘起する磁場を発生させるように構成されたコイルと、前記配管部の内部に収容される円筒壁を含む流管ライナであって、前記円筒壁が、電気絶縁性の内側層と前記内側層の外面に結合された金属の外側層とを含む、流管ライナと、を提供することと、
前記配管部内に前記流管ライナを挿入することと、
を含む方法。
【請求項17】
前記内側層は、フルオロポリマー、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、ポリエーテルイミド(PEI)、アクリル、ナイロン、架橋ポリエチレン(PEX)、及びポリオキシメチレン(POM)からなる群から選択されるポリマーを含み、
前記外側層は、アルミニウム、ステンレス鋼、金、銅、チタン、クロム、タンタル、バナジウム、ニッケル、及び金属酸化物からなる群から選択される金属を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記外側層の外面を、前記配管部の内面に結合することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記配管部は、中心軸を含み、
前記流管ライナの前記円筒壁は、前記中心軸と実質的に同心であり、前記配管部の外側に延在する対向する端部を含み、
前記流管ライナの前記対向する端部を、前記中心軸から離れて延在するようにフレア加工することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記流管ライナは、前記内側層及び前記外側層を貫通して延在する第1の電極用の開口部と、前記円筒壁の前記第1の電極用の開口部とは反対側で前記内側層及び前記外側層を貫通して延在する第2の電極用の開口部と、を含み、
第1の電極を、前記第1の電極用の開口部及び前記配管部を通って延在する第1のトンネル内に配置することであって、前記第1の電極を前記配管部の内部に露出させる、第1の電極を配置することと、
第2の電極を、前記第2の電極用の開口部及び前記配管部を通って延在する第2のトンネル内に配置することであって、前記第2の電極を前記配管部の内部に露出させる、第2の電極を配置することと、
を含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、磁気流量計に関し、より具体的には、磁気流量計と共に使用するための流管ライナに関する。
【背景技術】
【0002】
精密かつ正確な流量制御は、例えば、バルク流体ハンドリング、食品や飲料の調合、化学や医薬品、水と空気の分配、炭化水素の抽出と処理、環境制御、及び熱可塑性プラスチック、薄膜、接着剤、樹脂及び他の流体材料を利用する様々な製造技術を含む、広範囲の流体処理用途にとって重要である。それぞれの特定用途において使用される流量測定技術は、関与する流体と、関連するプロセス圧力、温度及び流量とに依存する。
【0003】
例示的な流量測定技術には、機械的回転の関数として流量を測定するタービン装置、ベルヌーイ効果又は流量制限にわたる圧力降下の関数として流量を測定するピトーセンサ及び差圧装置、振動効果の関数として流量を測定する渦流及びコリオリ装置、ならびに熱伝導率の関数として流量を測定する質量流量計が含まれる。磁気流量計は、機械的効果や熱力学的効果よりもむしろ電磁相互作用に依存するファラデーの法則に基づく流れを特徴付けることによって、これらの技術とは区別される。特に、磁気流量計は、プロセス流体の導電率と、流体が磁場の領域を通って流れるときに誘起される起電力(EMF)とに依存する。
【0004】
従来の磁気流量計は、センサ部と、送信部と、流管アセンブリとを含む。測定される流体の流れ(フロー)は、流管アセンブリの配管部を通って移動する。一対の電極は、流れに接触するように配置される。電極は、流体を配管部から電気的に絶縁し、流体が電極と配管部との間に短絡を形成することを防止する、非導電性ポリマーライナを通って延在する。
【0005】
送信部は、センサ部のコイルを通る電流を駆動して、配管部及び流れを横切る磁場を生成する電流発生器を含む。磁場は、流れの速度に比例する、流れにかかるEMF又は電位差(電圧)を誘起する。磁気流量計は、電極を用いて電圧差を測定し、測定された電圧差に基づいて流れの流量を決定する。
【0006】
時間の経過とともに、流体がライナを透過して、電極と配管部との間に短絡を引き起こす可能性がある。そのような短絡は、磁気流量計を動作不能にする。
【0007】
さらに、配管部及びライナの内部に真空が形成される真空イベントが発生することがある。このような真空イベントは、ライナを配管部の内壁から引き離す原因となり得る。これにより、ライナが永久的に変形し、流体の流れと配管部との間のシールが失われる可能性がある。したがって、このようなイベントは、磁気流量計を動作不能にすることが可能である。
【0008】
プロセス流体に巻き込まれたガスの浸透により、配管部とライナとの間に加圧された空間が発生する可能性がある。減圧イベントの際、この加圧された空間は膨張し、ライナの永久変形を引き起こす。このようなイベントはまた、磁気流量計を動作不能にする。
【発明の概要】
【0009】
本開示の実施形態は、磁気流量計の流管アセンブリ(flow tube assembly)のための流管ライナ(flow tube liner)、流管ライナを含む流管アセンブリ、及び方法を対象とする。流管ライナの一実施形態は、電気絶縁性の内側層と、この内側層の外面に結合された金属の外側層とを有する円筒壁を含む。
【0010】
流管アセンブリの一実施形態は、配管部と、コイルと、流管ライナとを含む。コイルはコイル電流を受け取り、配管部を横切る磁場を生成するように構成され、この磁場は、配管部の内部を流れる流体フローに起電力(EMF)を誘起する。流管ライナは、配管部の内部に収容される円筒壁を含み、円筒壁は、電気絶縁性の内側層と内側層の外面に結合された金属の外側層とを含む。
【0011】
本方法の一実施形態では、配管部、コイル、及び流管ライナが提供され、流管ライナは配管部内に挿入される。コイルは、コイル電流を受け取り、配管部を横切る磁場を生成するように構成され、この磁場は、配管部の内部を流れる流体フローに起電力(EMF)を誘起する。流管ライナは、電気絶縁性の内側層と、この内側層の外面に結合された金属の外側層とを有する円筒壁を含む。
【0012】
この概要は、以下の詳細な説明で説明する概念の一部を簡略化して紹介するために提供されるものである。この発明の概要は、特許請求される主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図するものでもない。特許請求される主題は、背景技術において言及されるいずれかの又はすべての欠点を解決する実装形態には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、工業プロセス測定システムの一例の概略図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による、磁気流量計の一例の概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による、磁気流量計の一例の簡略化された断面図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態による、
図3の流管ライナの線4-4に沿った簡略化された断面図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態による、
図3の流管アセンブリの一部分の簡略化された垂直断面図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態による、方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。同一又は類似の参照符号を使用して識別される要素は、同一又は類似の要素を意味する。しかしながら、本開示の様々な実施形態は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全であり、本開示の範囲を当業者に十分に説明するように提供されるものである。
【0015】
以下の説明では、実施形態の十分な理解を提供するために、具体的な詳細が示される。しかしながら、当業者には、実施形態がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが理解される。例えば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、フレーム、支持体、コネクタ、モータ、プロセッサ、及び他の構成要素は、不必要な詳細で実施形態を不明瞭にすることを避けるために、図示されないか、又はブロック図の形態で示されない場合がある。
【0016】
図1は、本開示の実施形態による、例示的な工業プロセス測定システム100の概略図である。システム100は、材料(例えば、プロセス媒体)の処理に使用されて、材料を、価値の低い状態から、より価値の高い有用な製品、例えば、医薬品、化学薬品、紙、食品などに変換することができる。例えば、システム100は、原油をガソリン、燃料油、及びその他の石油化学製品に加工することができる工業プロセスを実行する石油精製所において使用され得る。
【0017】
システム100は、例えば、配管部106を通るようなプロセス流体フロー(process fluid flow)104の流量を検知するように構成された磁気流量計102を含んでいる。磁気流量計102は、センサ部108と、送信機110とを含んでいる。センサ部108は、一般に、流体フロー104の流量を測定又は検知するように構成されている。送信機110は、一般に、センサ部108を制御して流量を測定し、任意選択で、測定された流量を、システム100の制御室114など、流量計102から遠隔に配置されてもよいコンピュータ制御ユニットなどの外部コンピュータ装置112に送信するように構成されている。
【0018】
送信機110は、適切なプロセス制御ループを介して外部コンピュータ装置112と通信することができる。いくつかの実施形態では、プロセス制御ループは、2線式制御ループ116などの物理的通信リンク、又は無線通信リンクを含む。外部コンピュータ装置112と送信機セクションとの間の通信は、従来のアナログ及び/又はデジタル通信プロトコルに従って、制御ループ116を介して実行されてもよい。いくつかの実施形態では、2線式制御ループ116は、4~20ミリアンペアの制御ループを含み、プロセス変数は、2線式制御ループ116を流れるループ電流ILのレベルによって表されてもよい。例示的なデジタル通信プロトコルは、HART(登録商標)通信規格などに従う、2線式制御ループ116のアナログ電流レベルへのデジタル信号の変調を含む。Foundation Fieldbus、Profibus、及びModbus通信プロトコルを含む、他の純粋なデジタル技術も使用され得る。プロセス制御ループの例示的な無線バージョンには、例えば、WirelessHART(登録商標)(IEC 62591)、又はISA 100.11a(IEC 62734)などの無線メッシュネットワークプロトコルや、WiFi、LoRa、Sigfox、BLEなどの別の無線通信プロトコル、或いは、任意の他の適切なプロトコルが含まれる。
【0019】
電力は、AC電源又はDC電源などの任意の適切な電源から磁気流量計102に供給されてもよい。例えば、磁気流量計102は、制御ループ116を流れるループ電流ILによって全体的に電力を供給されてもよい。内部バッテリ又は外部バッテリなど、プロセス磁気流量計102に電力を供給するために、1つ以上の電源が利用されてもよい。また、発電機(例えば、ソーラパネル、風力発電機など)を使用して、磁気流量計102に電力を供給したり、磁気流量計102により使用される電源を充電したりすることも可能である。
【0020】
送信機110は、センサ部108を収容するハウジングなど、センサ部108に直接取り付けられてもよいし、又はセンサ部108から(例えば、10~1000フィート)遠隔に配置されてもよい。送信機110がセンサ部108から遠隔に配置される場合、送信機110とセンサ部108との間の電気的接続は、1つ以上の接続ケーブル、すなわち伝送線118によって提供されてもよく、伝送線118は、ケーブル、ワイヤ、データバス、制御バス、或いは、電気及びデータ通信のための他の適切な接続によって形成されてもよい。
【0021】
図2は、本開示の実施形態による、磁気流量計102の概略図である。センサ部108は、流体フロー104が流れる配管部122を有する流管アセンブリ120を含むことができる。また、流管アセンブリ120は、電極124A及び124Bのような電極124を有するEMFセンサ123を含み、流管アセンブリ120は、コイル126A及び/又は126Bのような、1つ以上のフィールドコイル又はコイルワイヤ126を含む。電極124A及び124B、並びにコイル126A及び126Bはそれぞれ、
図2に示すように、配管部122の互いに対向する側に配置されてもよい。
【0022】
デジタルプロセッサ130は、命令の実行に応答して磁気流量計102の構成要素を制御して、本明細書で説明される1つ以上の機能を実行する1つ以上のプロセッサを表すことができ、命令は、非一時的な特許適格メモリ(non-transitory, patent eligible memory)に記憶されてもよい。いくつかの実施形態では、デジタルプロセッサ130は、磁気流量計102の動作設定値(operating setpoint)に基づいて電流発生器132に制御信号を供給して、例えば、コイル126を介して向きが交替する直流電流パルス(例えば、方形波電流パルス)を含むコイル電流ICを生成する。また、他のタイプの交番コイル電流が使用されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、電流発生器132は、コントローラ140及び電力増幅器142を含む。コントローラ140は、デジタルプロセッサ130からの制御信号に応答して、及び/又はコントローラ140によって表される非一時的な特許適格メモリに格納され得る命令の実行に応答して、電力増幅器142の構成要素を制御して、本明細書で説明される1つ以上の機能を実行する1つ以上のプロセッサを表すことができる。
【0024】
コントローラ140は、電力増幅部142を制御して、磁気流量計102の設定値レベルに基づいてコイル電流ICを生成する。コントローラ140は、電流サンプリング回路143からコイル電流ICの電流レベル測定値をフィードバックとして定期的に受け取り、正確な流量測定に必要な磁気流量計102の設定値レベルに一致させるためにコイル電流ICの調整が必要であるかどうかを判断してもよい。電流サンプリング回路143は、任意の適切な形態をとることができる。例えば、電流サンプリング回路143は、例えば
図2に示す位置でコイル電流ICに関連する電圧を検知し、サンプリングされた電圧をアナログ-デジタル変換器を用いてデジタル信号に変換して、例えば測定された電流レベルとしてコントローラ140に提示するように動作してもよい。コントローラ140は、コイル電流ICの電流レベルを、磁気流量計102の動作設定値によって指示される設定値電流レベルに一致させる試みにおいて、測定された電流レベルに基づいてコイル電流ICを調整してもよい。
【0025】
コイル電流ICは、
図1及び
図2に示す伝送線118などの好適な電気的接続を介して、流管120のフィールドコイル126A及び/又は126Bに供給される。これにより、コイル126A及び/又は126Bは、配管部122を横切り、所望の励起周波数で方向を変える磁場を発生させる。配管部122の内部144を流れるプロセス流体フロー104は、ファラデーの電磁誘導の法則に従って流体内にEMFを誘起する移動導体として機能する。電極124A及び124Bは、導電性プロセス流体への容量性結合又は導電性プロセス流体への直接電気結合を提供する電極部品を含むことができ、流体フロー104に存在する電圧をピックアップする。電極124A及び124Bにおける電圧の差は、流体フロー104の速度に比例する。
【0026】
送信器110の信号プロセッサ128は、電極124A及び124Bに接続されている。流管アセンブリ120は、配管部122、配管部122の上流又は下流のフランジ又は配管部、或いはその他の適切な接地接続に電気的に接地されてもよい。デジタルプロセッサ130は、信号プロセッサ128を制御して、電極124Aと電極124Bとの間の電圧差をサンプリングし、任意の適切な技術を使用して、測定された電圧差をデジタルプロセッサ130に供給する。これは、例えば、アナログ差動電圧信号を、デジタルプロセッサ130に供給されるデジタル値に変換することを伴っていてもよい。デジタルプロセッサ130は、測定された差動電圧のさらなる信号処理を実行して、プロセス流体フロー104の流量の測定値を確立することができる。測定された流量は、通信インタフェース134を使用して、例えば上述した有線又は無線通信プロトコルのうちの1つを介して、コンピュータ装置112に通信されてもよい。
【0027】
図3は、本開示の実施形態による、磁気流量計102の一例の簡略化された断面図である。いくつかの実施形態では、磁気流量計102は送信機ハウジング150を含み、送信機ハウジング150は、信号プロセッサ128、デジタルプロセッサ130、通信インタフェース134、コントローラ140、電力増幅器142、及び/又は他の構成要素を形成する回路を含むことができる。磁場区画(magnetics compartment)152は、流管アセンブリ120の配管部122を取り囲み、1つ以上のフィールドコイル126、電極124、及び/又は他の構成要素を含んでいてもよい。上述したように、フィールドコイル126は、配管部122の外側(例えば、配管部122の上方及び下方)に互いに対向するように配置され得る。
【0028】
本明細書に記載される1つ以上の実施形態に従って形成される流管アセンブリ120の流管ライナ160は、流体フロー104が流れる内部144から配管部122をシールする。電極124は、配管部122から電気的に絶縁されながら、配管部122のトンネル162を通って延在することができる。また、電極は、ライナ160の開口部164を通って内部144内に延在し、流体フロー104と接触してもよい。開口部164は、
図2において開口部164A及び164Bによって示されるように、ライナ160の対向する側面に配置されてもよい。ライナ160は、例えば、参照電極などの追加の電極124を収容するために、必要に応じて追加の開口部164を含むことができる。ライナ160は、開口部164において電極124とのシールを提供し、配管部122への流体の侵入を防止する。
【0029】
流管ライナ160の実施形態は、従来の流管ライナよりも、配管部122へのプロセス流体の侵入に対する改善された保護を提供し、したがって、磁気流量計102を動作不能にする、流体フロー104、配管部122、及び電極124Aや124Bの間の短絡に対する改善された保護を提供する。さらに、流管ライナ160の実施形態は、従来の流管ライナよりも、配管部122の内部144内に真空が形成されることに起因するライナ160の崩壊に対する改善された保護を提供する。
【0030】
図4及び
図5はそれぞれ、本開示の実施形態による、
図3の流管ライナ160の線4-4に沿った断面図、及び
図3のライナ160の一部分の垂直断面図(side cross-sectional view)である。図示された特徴は、縮尺通りには図示されていない。
【0031】
いくつかの実施形態では、流管ライナ160は、多層円筒壁166を含む。円筒壁は、非導電性又は電気絶縁性の内側層170と、金属の外側層172とを含む。電気絶縁性の内側層は、
図4に示すように、配管部の内部144に対応する内部を概ね取り囲み、流体フロー104と係合する。一方、金属の外側層は、内側層170の外面174に結合される。外側層172は内側層170の外面174に直接結合されてもよいし、又は外側層172は1つ以上の中間層(図示せず)を介して内側層170の外面174に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、金属の外側層は導電性である。
【0032】
一実施形態では、内側層170は、ポリマーを含む。ポリマーは、内側層170の実質的な全体(例えば、90体積%又は90重量%より多い)を形成することができる。ポリマーの例としては、フルオロポリマー、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、ポリエーテルイミド(PEI)、アクリル、ナイロン、架橋ポリエチレン(PEX)及びポリオキシメチレン(POM)が挙げられる。一実施形態では、内側層170は、高結晶性フルオロポリマーを含まない。
【0033】
一実施形態では、外側層172は金属を含む。金属は、外側層172の実質的な全体(例えば、90体積%又は90重量%より多い)を形成することができる。金属の例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、金、銅、チタン、クロム、タンタル、バナジウム、ニッケル、金属酸化物等が挙げられる。
【0034】
いくつかの実施形態では、外側層172は、任意の適切な手段によって内側層170上に形成されてもよい。例えば、外側層172は、真空蒸着プロセス、アーク又はフレーム溶射、無電解めっき、電解めっき、又はその他の適切なプロセスによって、内側層170上に形成されてもよい。したがって、内側層と外側層との間の結合は、機械的結合及び/又は化学的結合を含んでいてもよい。
【0035】
外側層172は、内側層170を通過する液体及び蒸気の侵入に対するバリアとして機能する。したがって、液体及び蒸気の侵入を低減するために比較的厚い円筒壁(例えば、最大で厚さ0.5インチ)を使用しなければならない従来の流管ライナとは異なり、流管ライナ160は、比較的薄いポリマー層を使用して、ライナ160を介した液体及び蒸気の侵入を低減又は排除しながら、内側層170と薄い外側層172を形成することができる。例えば、内側層170の厚さ176(
図5)は約0.2インチであってもよく、一方、外側層172の厚さ178は約30Å~500Åであってもよく、結果として、円筒壁166の総厚さは約0.2インチとなる。
【0036】
ライナ160の開口部164の各々は、内側層170及び外側層172を貫通して延在する。電極124の各々は、電極124のハウジングによって、又は開口部164内に収容される電極124を取り囲む絶縁スリーブのいずれかによって、外側層172から絶縁される。
【0037】
追加の実施形態は、
図3に示されるような、本明細書に記載される1つ以上の実施形態に従って形成された流管ライナ160を含む流管アセンブリ120又は磁気流量計102と、方法とを対象とする。
図6は、本開示の実施形態による、方法のフローチャートである。
【0038】
本方法の180において、流管アセンブリ120が提供される。一実施例では、流管アセンブリ120は、配管部122と1つ以上のコイル126とを含み、1つ以上のコイル126は、例えば
図2及び
図3に示すように、コイル電流ICを受け取り、配管部122を横切り、配管部122を流れる流体フロー104にEMFを誘起する磁場を生成するように構成されている。
【0039】
本方法の182において、本明細書に記載される1つ以上の実施形態に従って形成された流管ライナ160が提供される。一実施形態では、流管ライナ160は、電気絶縁性の内側層170と金属の外側層172とを備える円筒壁166を含む。ライナ160は、184において、配管部122の内部144に挿入される。いくつかの実施形態では、流管ライナ160の外径は、配管部122の内径に一致し、それにより、ライナ160は配管部122と締まり嵌めし、一旦挿入されると配管部122内でその位置を概ね維持する。いくつかの実施形態では、流管ライナ160の外面186は、配管部122の内面188に結合される。
【0040】
一実施形態では、外側層172は、
図4及び
図5に示すように、電気絶縁性の内側層170の外面174に結合される。したがって、外側層172の外面は、
図5に示すように、配管部122の内面に結合される。適切な接着剤を使用するなど、任意の適切な技術を使用して、外側層172の外面を配管部122の内面に結合することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、
図3に示すように、配管部122は中心軸190を含み、流管ライナ160は、中心軸190と実質的に同心であるように、配管部122内に挿入される。流管ライナ160は、
図3に仮想線で示すように、ライナ160が最初に配管部122に挿入されたとき(ステップ184)、配管部122の外側に延在する対向する端部(opposing ends)192を含むことができる。次に、
図3及び
図5に示すように、流管ライナ160の端部192は、端部192が中心軸190から離れて延びるように、適切な管フレア加工工具(tube flaring tool)を使用してフレア加工されてもよい。フレア状の端部は、配管部122に取り付けられたフランジ194と、配管部122に隣接する配管部のフランジとの間に挟まれてもよく、流体フロー104は、そこから、
図1に示す配管部106などの配管部122によって受け入れられ、排出されてもよい。
【0042】
流管ライナ160は、開口部164を含むことができ、開口部164は、内側層170及び外側層172を貫通して延在し、上述したようにライナ160の対向する側面に概ね配置される。さらに、配管部122は、開口部164と位置合わせされたトンネル162を含むことができる。この方法は、
図2に示されるように、電極124の各々がトンネル162の1つ及び開口部164の1つを通って、配管部122及び流管ライナ160の内部144に延在するように、電極124を配置することを含んでもよい。これにより、電極124が、電圧測定のために流体フロー104に露出される。
【0043】
動作において、流管ライナ160の外側層172は、流体フロー104から配管部122への液体及び蒸気の侵入に対して、対応する従来のポリマー流管ライナよりも大きな保護を提供するように動作する。その結果、流管ライナ160を含む流管アセンブリ120を利用する磁気流量計102は、液体又は蒸気の侵入によって引き起こされる短絡のために動作不能になる可能性がより低くなる。さらに、流管ライナ160は、従来の流管ライナのように厚いポリマー層ではなく、液体及び蒸気の侵入バリアとして外側層172を使用することにより、従来の流管ライナよりも薄く形成することが可能である。
【0044】
さらに、流管ライナ160を含む流管アセンブリ120を利用する磁気流量計102は、流管ライナ160の真空崩壊により動作不能になる可能性がより低い。これは、従来の流管ライナの単一のポリマー層と比較して、金属の外側層172が流管ライナ160の円筒壁166に与える構造的弾力性が改善されているためである。さらに、外側層172は、配管部122の内面188に結合されてもよく、真空崩壊の可能性をさらに低減することが可能である。
【0045】
さらに、流管ライナ160は、従来の流管ライナと比較して、磁気流量計102の設置中に配管部122に対してずれが生じてもその影響を受けにくい。このような「ずれ」は、電極124が配管部122に接触して電極124を短絡させたり、電極124にリークを導入する原因となり得る。これらの条件のいずれもが、磁気流量計102を動作不能にする。例えば、従来の流管ライナと比較して流管ライナ160のより弾力的な構造は、設置中に配管部122とのより確実な締まり嵌めを可能にし、磁気流量計102の設置中にライナ160がずれる可能性を低減する。追加的又は代替的に、流管ライナ160は、配管部122に結合されてもよく、これにより磁気流量計102の設置中にライナ160がずれる可能性がさらに低減される。
【0046】
好ましい実施形態を参照して本開示の実施形態を説明してきたが、当業者は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に変更がなされ得ることを認識するであろう。
【国際調査報告】