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特表2023-531461対象が疾患若しくは状態を有するか否か又は疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】対象が疾患若しくは状態を有するか否か又は疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20230714BHJP
   G01N 33/92 20060101ALI20230714BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/92 C
G01N33/92 A
G01N33/50 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022578710
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 FI2021050467
(87)【国際公開番号】W WO2021255346
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】20205648
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522490985
【氏名又は名称】ナイチンゲール ヘルス オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ウルツ ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ソイニネン パシ
(72)【発明者】
【氏名】カンガス アンッティ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ナイボ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ユルクネン ヘリ
(72)【発明者】
【氏名】チチョンスカ アンナ
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045DA02
2G045DA03
2G045DA04
2G045DA31
2G045DA35
2G045DA36
2G045DA38
2G045DA66
2G045DA69
2G045DA70
2G045FA36
2G045JA02
(57)【要約】
対象が疾患若しくは状態を有するか否か又は疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法が開示される。対象が感染性疾患又はその合併症を発症するリスクがあるか否かを判定する方法も開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象が疾患若しくは状態を有するか否か又は疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法であって、
前記対象から得られた生物学的試料において、前記生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定する工程と、
前記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含み、
前記対照試料又は前記対照値と比較した場合の前記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、前記対象が前記疾患若しくは状態を有するか又は前記疾患又は状態を発症するリスクが高いことを示す方法。
【請求項2】
前記生物学的試料が、乾燥血液試料、血液から得ることができる乾燥試料、又は乾燥血液試料から得ることができるものである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生物学的試料中の前記アルブミンの定量値に対する前記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値が、前記生物学的試料中の前記少なくとも1つのバイオマーカーの初期定量値と前記アルブミンの定量値との比を計算することによって決定される請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記乾燥血液試料が乾燥血液スポットである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記乾燥血液試料又は前記血液から得ることができる乾燥試料が、前記対象の指先から、前記対象の上腕からの毛細管血液のサンプリングから、及び/又は前記対象の静脈穿刺によって得ることができる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記生物学的試料が、前記乾燥血液試料から、又は前記血液から得ることができる乾燥試料から前記血液の少なくとも一部又はその1種以上の成分を溶媒中に抽出することによって、前記乾燥血液試料から、又は前記血液から得ることができる乾燥試料から得ることができる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記生物学的試料において、複数のバイオマーカー、例えば2つ、3つ、4つ、5つ又はこれより多いバイオマーカーの定量値を決定することを含む請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象から得られた生物学的試料において、前記生物学的試料中の前記アルブミンの定量値に対する以下の
・糖タンパク質アセチル、
・オメガ-6脂肪酸、
・一価不飽和脂肪酸、
・飽和脂肪酸、
・オメガ-3脂肪酸、
・アポリポタンパク質A1(ApoA1)、
・ドコサヘキサエン酸(DHA)、
・ロイシン、
・酢酸、
・アラニン、
・アポリポタンパク質B(ApoB)、
・グルタミン、
・イソロイシン、
・リノール酸、
・フェニルアラニン、
・チロシン、
・脂肪酸の不飽和度、
・バリン、
・ヒスチジン、
・HDL中のコレステロール(HDL-C)、
・グルコース、
・アセト酢酸、
・3-ヒドロキシ酪酸、
・LDL中のコレステロール(LDL-C)、
・乳酸、
・LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)、
・ピルビン酸、又は
・VLDL中のコレステロール(VLDL-C)
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定することを含む請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのバイオマーカーが、糖タンパク質アセチルを含むか、又は糖タンパク質アセチルである請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象から得られた前記生物学的試料において、前記生物学的試料中の前記アルブミンの定量値に対する以下の
・オメガ-6脂肪酸、
・一価不飽和脂肪酸、
・飽和脂肪酸、若しくは
・オメガ-3脂肪酸
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値、及び/又は
前記生物学的試料中の前記アルブミンの定量値に対する以下の
・アポリポタンパク質A1(ApoA1)、
・ドコサヘキサエン酸(DHA)、
・ロイシン、
・酢酸、
・アラニン、
・アポリポタンパク質B(ApoB)、
・グルタミン、
・イソロイシン、
・リノール酸、
・フェニルアラニン、
・チロシン、
・脂肪酸の不飽和度、
・バリン、
・ヒスチジン
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値、及び/又は
前記生物学的試料中の前記アルブミンの定量値に対する以下の
・HDL中のコレステロール(HDL-C)、
・グルコース、
・アセト酢酸、
・3-ヒドロキシ酪酸、
・LDL中のコレステロール(LDL-C)、
・乳酸、
・LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)、
・ピルビン酸、若しくは
・VLDL中のコレステロール(VLDL-C)
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値
を決定することを含む請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記疾患が、感染性疾患又はその合併症、例えば敗血症、肺炎、任意選択で重症肺炎、若しくは他の下部呼吸器感染症、又は糖尿病である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値及び/又は前記アルブミンの定量値が、核磁気分光法を用いて測定される請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記乾燥血液試料が、乾燥全血試料、乾燥血漿試料、乾燥血清試料、又はそれらに由来する乾燥試料である請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記アルブミンの定量値に対する前記少なくとも1つのバイオマーカー又は前記複数の前記バイオマーカーの定量値に基づいて計算されたリスクスコア、ハザード比、及び/又は予測される絶対リスクを使用して、前記対象が前記疾患若しくは状態を有するか否か又は前記疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを判定することをさらに含む請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
対象が感染性疾患又はその合併症を発症するリスクがあるか否かを判定する方法であって、
前記対象から得られた生物学的試料において、以下の
・糖タンパク質アセチル、
・アルブミン、
・オメガ-6脂肪酸、
・一価不飽和脂肪酸、
・飽和脂肪酸、
・オメガ-3脂肪酸、
・アポリポタンパク質A1(ApoA1)、
・ドコサヘキサエン酸(DHA)、
・ロイシン、
・酢酸、
・アラニン、
・アポリポタンパク質B(ApoB)、
・グルタミン、
・イソロイシン、
・リノール酸、
・フェニルアラニン、
・チロシン、
・脂肪酸の不飽和度、
・バリン、
・ヒスチジン、
・HDL中のコレステロール(HDL-C)、
・グルコース、
・アセト酢酸、
・3-ヒドロキシ酪酸、
・LDL中のコレステロール(LDL-C)、
・乳酸、
・LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)、
・ピルビン酸、又は
・VLDL中のコレステロール(VLDL-C)
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定する工程と、
前記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含み、
前記対照試料又は前記対照値と比較した場合の前記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、前記対象が前記感染性疾患又はその合併症を発症するリスクが高いことを示す方法。
【請求項16】
前記対象から得られた生物学的試料において、
糖タンパク質アセチルの定量値、及び/又は
以下の
・オメガ-6脂肪酸、
・一価不飽和脂肪酸、
・飽和脂肪酸、若しくは
・オメガ-3脂肪酸
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値、及び/又は
以下の
・アポリポタンパク質A1(ApoA1)、
・ドコサヘキサエン酸(DHA)、
・ロイシン、
・酢酸、
・アラニン、
・アポリポタンパク質B(ApoB)、
・グルタミン、
・イソロイシン、
・リノール酸、
・フェニルアラニン、
・チロシン、
・脂肪酸の不飽和度、
・バリン、
・ヒスチジン
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値、及び/又は
以下の
・HDL中のコレステロール(HDL-C)、
・グルコース、
・アセト酢酸、
・3-ヒドロキシ酪酸、
・LDL中のコレステロール(LDL-C)、
・乳酸、
・LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)、
・ピルビン酸、若しくは
・VLDL中のコレステロール(VLDL-C)
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値
を決定することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記感染性疾患又はその合併症が、敗血症、肺炎、任意選択で重症肺炎、又は他の下部呼吸器感染症である請求項15又は請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのバイオマーカー又は前記複数の前記バイオマーカーの定量値に基づいて計算されたリスクスコア、ハザード比、及び/又は予測される絶対リスクを使用して、前記対象が前記感染性疾患又はその合併症を発症するリスクがあるか否かを判定することをさらに含む請求項15から請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、対象が疾患若しくは状態を有するか否か又は疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々のバイオマーカーが、対象が特定の疾患若しくは状態を有するか否か又はその疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを予測するために有用である可能性がある。このようなバイオマーカーは、様々な生物学的試料から、例えば、血液試料又は他の生体液から測定されてもよい。しかしながら、バイオマーカーの定量的測定値を得るべき場合、ある種の試料タイプは他のものよりも複雑である場合がある。また、例えば、入院又は死亡さえ引き起こす重篤な疾患、例えば重篤な感染性疾患及びそれらの合併症、例えば敗血症、肺炎及び他の下部呼吸器感染症を予測するバイオマーカーが必要とされてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
対象が疾患若しくは状態を有するか否か又は疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法が開示される。この方法は、
上記対象から得られた生物学的試料において、その生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定する工程と、
上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含んでもよく、
上記対照試料又は上記対照値と比較した場合の上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、上記対象が上記疾患若しくは状態を有するか又は上記疾患又は状態を発症するリスクが高いことを示す。
【0004】
対象が感染性疾患又はその合併症を発症するリスクがあるか否かを判定する方法も開示される。この方法は、
上記対象から得られた生物学的試料において、以下の
・糖タンパク質アセチル、
・アルブミン、
・オメガ-6脂肪酸、
・一価不飽和脂肪酸、
・飽和脂肪酸、
・オメガ-3脂肪酸、
・アポリポタンパク質A1(ApoA1)、
・ドコサヘキサエン酸(DHA)、
・ロイシン、
・酢酸、
・アラニン、
・アポリポタンパク質B(ApoB)、
・グルタミン、
・イソロイシン、
・リノール酸、
・フェニルアラニン、
・チロシン、
・脂肪酸の不飽和度、
・バリン、
・ヒスチジン、
・HDL中のコレステロール(HDL-C)、
・グルコース、
・アセト酢酸、
・3-ヒドロキシ酪酸、
・LDL中のコレステロール(LDL-C)、
・乳酸、
・LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)、
・ピルビン酸、又は
・VLDL中のコレステロール(VLDL-C)
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定する工程と、
上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含んでもよく、
上記対照試料又は上記対照値と比較した場合の上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、上記対象が上記感染性疾患又はその合併症を発症するリスクが高いことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、種々の実施形態を例証する。
【0006】
図1a図1aは、バイオマーカーが絶対濃度で分析された場合、及びアルブミンの濃度に対してスケーリングされた場合の、ベースラインバイオマーカーレベルと2型糖尿病の将来の発症との関係を示す。
図1b図1bは、バイオマーカーが絶対濃度で分析された場合、及びアルブミンの濃度に対してスケーリングされた場合の、ベースラインバイオマーカーレベルと重症肺炎の将来の発症との関係を示す。
図2a図2aは、バイオマーカー濃度が絶対濃度で分析された場合の、ベースラインバイオマーカーレベルと肺炎(重症又は非重症)の将来の発症との関係を示す。
図2b図2bは、バイオマーカー濃度が絶対濃度で分析された場合の、ベースラインバイオマーカーレベルと他の下部呼吸器疾患(急性気管支炎、急性細気管支炎、及び不特定の急性下部呼吸器感染症)の将来の発症との関係を示す。
図2c図2cは、バイオマーカー濃度が絶対濃度で分析された場合の、ベースラインバイオマーカーレベルと敗血症の将来の発症との関係を示す。
図3a図3aは、研究集団全体及び以下の個体のサブグループについての、3つの複数バイオマーカースコアについてのベースラインバイオマーカーレベルと重症肺炎の将来的な発症との関係を示す。異なる年齢群(研究集団の年齢三分位数に分けられた)の、及び男女別の、ベースライン時に慢性の呼吸器疾患又は心血管代謝疾患を有さない研究参加者。3つの異なる複数バイオマーカースコアについてのベースラインバイオマーカーレベルと、血液試料が採取されてから2年以内に生じる重症肺炎との関係も示される。
図3b図3bは、3つの複数バイオマーカースコアのパーセンタイルによる将来の重症肺炎のリスク勾配(図の上半分)、及び3つの複数バイオマーカースコアの様々な分位点において、血液試料を採取した後の重症肺炎についての累積リスク(図の下半分)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1つの態様では、対象が疾患若しくは状態を有するか否か又は疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法が開示される。
【0008】
この方法は、
上記対象から得られた生物学的試料において、その生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定する工程と、
上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含んでもよく、
上記対照試料又は上記対照値と比較した場合の上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、上記対象が上記疾患若しくは状態を有するか又は上記疾患又は状態を発症するリスクが高いことを示す。
【0009】
第2の態様では、対象が感染性疾患又はその合併症を発症するリスクがあるか否かを判定する方法が開示される。この方法は、
上記対象から得られた生物学的試料において、以下の
・糖タンパク質アセチル、
・アルブミン、
・オメガ-6脂肪酸、
・一価不飽和脂肪酸、
・飽和脂肪酸、
・オメガ-3脂肪酸、
・アポリポタンパク質A1(ApoA1)、
・ドコサヘキサエン酸(DHA)、
・ロイシン、
・酢酸、
・アラニン、
・アポリポタンパク質B(ApoB)、
・グルタミン、
・イソロイシン、
・リノール酸、
・フェニルアラニン、
・チロシン、
・脂肪酸の不飽和度、
・バリン、
・ヒスチジン、
・HDL中のコレステロール(HDL-C)、
・グルコース、
・アセト酢酸、
・3-ヒドロキシ酪酸、
・LDL中のコレステロール(LDL-C)、
・乳酸、
・LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)、
・ピルビン酸、又は
・VLDL中のコレステロール(VLDL-C)
のうちの少なくとも1つのバイオマーカー(又は複数のバイオマーカー、例えば、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも6つ、又は少なくとも7つ、又は少なくとも8つ、又は少なくとも9つ、又は少なくとも10、又はすべて)の定量値を決定する工程と、
上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含んでもよく、
上記対照試料又は上記対照値と比較した場合の上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、上記対象が上記感染性疾患又はその合併症を発症するリスクが高いことを示す。
【0010】
以下で説明される任意の実施形態は、上記の態様のいずれか一方(又は両方)に関するものとして理解されてもよい。
【0011】
上記生物学的試料は、乾燥血液試料、血液から得ることができる乾燥試料、又は乾燥血液試料から得ることができる生物学的試料であってもよい。しかしながら、本明細書の文脈では、生物学的試料は、以下により詳細に記載されるように、必ずしも乾燥血液試料である必要はなく、又は乾燥血液試料から得ることができるものである必要もない。
【0012】
上記乾燥血液試料は、乾燥全血試料であってもよい。しかしながら、この用語は、少なくともいくつかの実施形態では、血清及び/又は血漿(必ずしも全血ではない)を含有する乾燥試料も包含すると理解されてもよい。用語「乾燥血液試料」又は「血液から得ることができる乾燥試料」は、いくつかの実施形態では、分離された血液から得ることができる乾燥試料を指してもよい。
【0013】
上記乾燥血液試料又は血液から得ることができる乾燥試料は、対象の指先から、対象の上腕からの毛細血管血液のサンプリングから、及び/又は対象の静脈穿刺によって得ることができてもよい。しかしながら、それらは、血液を得る追加の又は代替の位置及び/若しくは方法であってもよい。
【0014】
当該方法は、上記生物学的試料において、複数のバイオマーカーの定量値を決定することを含んでもよい。従って、本明細書における「少なくとも1つのバイオマーカー」へのいかなる言及も、複数のバイオマーカーを指すものとして理解されてもよい。例えば、複数のバイオマーカーは、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上の(すなわち、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は少なくとも10の)バイオマーカーを含んでもよい。従って、用語「複数のバイオマーカー」は、本明細書内では、(1を超える)任意の数のバイオマーカーを指すものとして理解されてもよい。従って、用語「複数のバイオマーカー」は、(1を超える)任意の数の本明細書に記載されるバイオマーカー及び/又は本明細書に記載されるバイオマーカーの組み合わせ若しくはサブセットを指すものとして理解されてもよい。複数のバイオマーカーを決定することにより、対象が疾患若しくは状態を有するか否か又は疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かの予測の精度を高められる場合がある。概して、バイオマーカーの数が多いほど、当該方法はより正確又は予測的になりうる。この複数のバイオマーカーは、同じ生物学的試料から又は別々の生物学的試料から、同じ分析方法又は異なる分析方法を使用して測定されてもよい。一実施形態では、複数のバイオマーカーは、複数のバイオマーカーのパネルであってもよい。
【0015】
少なくとも一実施形態では、本明細書の文脈では、語句「バイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する」は、当業者なら理解するように、例えば、単一の(個々の)バイオマーカーの定量値が決定されるか、又は複数のバイオマーカーの定量値が決定されるかに応じて、バイオマーカー(複数可)の定量値(複数可)を、個々に、又は複数のバイオマーカーとして(例えば、リスクスコアが複数のバイオマーカーの定量値から計算される場合)、対照試料又は対照値(複数可)と比較することに言及するものとして理解されてもよい。
【0016】
一実施形態では、当該方法は、
対象から得られた生物学的試料において、その生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する以下の
・糖タンパク質アセチル、
・オメガ-6脂肪酸、
・一価不飽和脂肪酸、
・飽和脂肪酸、
・オメガ-3脂肪酸、
・アポリポタンパク質A1(ApoA1)、
・ドコサヘキサエン酸(DHA)、
・ロイシン、
・酢酸、
・アラニン、
・アポリポタンパク質B(ApoB)、
・グルタミン、
・イソロイシン、
・リノール酸、
・フェニルアラニン、
・チロシン、
・脂肪酸の不飽和度、
・バリン、
・ヒスチジン、
・HDL中のコレステロール(HDL-C)、
・グルコース、
・アセト酢酸、
・3-ヒドロキシ酪酸、
・LDL中のコレステロール(LDL-C)、
・乳酸、
・LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)、
・ピルビン酸、又は
・VLDL中のコレステロール(VLDL-C)
のうちの少なくとも1つのバイオマーカー(又は複数のバイオマーカー、例えば、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも6つ、又は少なくとも7つ、又は少なくとも8つ、又は少なくとも9つ、又は少なくとも10、又はすべて)の定量値を決定する工程を含む。
【0017】
一実施形態では、当該方法は、糖タンパク質アセチルの定量値を決定することを含む。
【0018】
一実施形態では、当該方法は、アルブミンの定量値を決定することを含む。
【0019】
一実施形態では、当該方法は、オメガ-6脂肪酸の定量値を決定することを含む。
【0020】
一実施形態では、当該方法は、一価不飽和脂肪酸の定量値を決定することを含む。
【0021】
一実施形態では、当該方法は、飽和脂肪酸の定量値を決定することを含む。
【0022】
一実施形態では、当該方法は、オメガ-3脂肪酸の定量値を決定することを含む。
【0023】
一実施形態では、当該方法は、アポリポタンパク質A1(ApoA1)の定量値を決定することを含む。
【0024】
一実施形態では、当該方法は、ドコサヘキサエン酸(DHA)の定量値を決定することを含む。
【0025】
一実施形態では、当該方法は、ロイシンの定量値を決定することを含む。
【0026】
一実施形態では、当該方法は、酢酸の定量値を決定することを含む。
【0027】
一実施形態では、当該方法は、アラニンの定量値を決定することを含む。
【0028】
一実施形態では、当該方法は、アポリポタンパク質B(ApoB)の定量値を決定することを含む。
【0029】
一実施形態では、当該方法は、グルタミンの定量値を決定することを含む。
【0030】
一実施形態では、当該方法は、イソロイシンの定量値を決定することを含む。
【0031】
一実施形態では、当該方法は、リノール酸の定量値を決定することを含む。
【0032】
一実施形態では、当該方法は、フェニルアラニンの定量値を決定することを含む。
【0033】
一実施形態では、当該方法は、チロシンの定量値を決定することを含む。
【0034】
一実施形態では、当該方法は、脂肪酸の不飽和度の定量値を決定することを含む。
【0035】
一実施形態では、当該方法は、バリンの定量値を決定することを含む。
【0036】
一実施形態では、当該方法は、ヒスチジンの定量値を決定することを含む。
【0037】
一実施形態では、当該方法は、HDL中のコレステロール(HDL-C)の定量値を決定することを含む。
【0038】
一実施形態では、当該方法は、グルコースの定量値を決定することを含む。
【0039】
一実施形態では、当該方法は、アセト酢酸の定量値を決定することを含む。
【0040】
一実施形態では、当該方法は、3-ヒドロキシ酪酸の定量値を決定することを含む。
【0041】
一実施形態では、当該方法は、LDL中のコレステロール(LDL-C)の定量値を決定することを含む。
【0042】
一実施形態では、当該方法は、乳酸の定量値を決定することを含む。
【0043】
一実施形態では、当該方法は、LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)の定量値を決定することを含む。
【0044】
一実施形態では、当該方法は、ピルビン酸の定量値を決定することを含む。
【0045】
一実施形態では、当該方法は、VLDL中のコレステロール(VLDL-C)の定量値を決定することを含む。
【0046】
一実施形態では、当該方法は、
対象から得られた生物学的試料において、その生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する以下の
・オメガ-6脂肪酸、
・一価不飽和脂肪酸、
・飽和脂肪酸、又は
・オメガ-3脂肪酸
のうちの少なくとも1つのバイオマーカー(又は複数のバイオマーカー、例えば、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、すなわちすべて)の定量値を決定することを含む。
【0047】
一実施形態では、当該方法は、
対象から得られた生物学的試料において、その生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する以下の
・アポリポタンパク質A1(ApoA1)、
・ドコサヘキサエン酸(DHA)、
・ロイシン、
・酢酸、
・アラニン、
・アポリポタンパク質B(ApoB)、
・グルタミン、
・イソロイシン、
・リノール酸、
・フェニルアラニン、
・チロシン、
・脂肪酸の不飽和度、
・バリン、又は
・ヒスチジン
のうちの少なくとも1つのバイオマーカー(又は複数のバイオマーカー、例えば、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも6つ、又は少なくとも7つ、又は少なくとも8つ、又は少なくとも9つ、又は少なくとも10、又は少なくとも11、又は少なくとも12、又は少なくとも13、又は少なくとも14、すなわちすべて)の定量値を決定することを含む。
【0048】
一実施形態では、当該方法は、
対象から得られた生物学的試料において、その生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する以下の
・HDL中のコレステロール(HDL-C)、
・グルコース、
・アセト酢酸、
・3-ヒドロキシ酪酸、
・LDL中のコレステロール(LDL-C)、
・乳酸、
・LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)、
・ピルビン酸、又は
・VLDL中のコレステロール(VLDL-C)
のうちの少なくとも1つのバイオマーカー(又は複数のバイオマーカー、例えば、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも6つ、又は少なくとも7つ、又は少なくとも8つ、又は少なくとも9つ、すなわちすべて)の定量値を決定することを含む。
【0049】
特に第2の態様の一実施形態では、当該方法は、
対象から得られた生物学的試料において、糖タンパク質アセチルの定量値を決定すること、及び/又は
対象から得られた生物学的試料において、以下の
・オメガ-6脂肪酸、
・一価不飽和脂肪酸、
・飽和脂肪酸、若しくは
・オメガ-3脂肪酸
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定すること、及び/又は
対象から得られた生物学的試料において、以下の
・アポリポタンパク質A1(ApoA1)、
・ドコサヘキサエン酸(DHA)、
・ロイシン、
・酢酸、
・アラニン、
・アポリポタンパク質B(ApoB)、
・グルタミン、
・イソロイシン、
・リノール酸、
・フェニルアラニン、
・チロシン、
・脂肪酸の不飽和度、
・バリン、若しくは
・ヒスチジン
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定すること、及び/又は
対象から得られた生物学的試料において、以下の
・HDL中のコレステロール(HDL-C)、
・グルコース、
・アセト酢酸、
・3-ヒドロキシ酪酸、
・LDL中のコレステロール(LDL-C)、
・乳酸、
・LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)、
・ピルビン酸、若しくは
・VLDL中のコレステロール(VLDL-C)
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定することを含む。
【0050】
上記対象はヒトであってもよい。対象は、追加的又は代替的に、動物、例えば哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウサギ、ブタ及び/若しくはげっ歯類、例えばマウス若しくはラット、又は任意の他の種であってもよい。
【0051】
本明細書の文脈では、用語「バイオマーカー」は、疾患若しくは状態又はその疾患若しくは状態を有するか若しくは発症するリスクと関連して見出されてもよいバイオマーカー、例えば、化学マーカー又は分子マーカーを指してもよい。それは、臨床の現場において具体的な有効性を有するものとして統計的に充分に検証されるバイオマーカーを必ずしも指さない。バイオマーカーは、代謝産物、化合物、脂質、タンパク質、部分、官能基、組成物、2つ以上の代謝産物及び/若しくは化合物の組み合わせ、それらの(測定可能な又は測定された)量、それらから誘導される比率若しくは他の値、又は原則として、疾患若しくは状態若しくはそれを有する若しくは発症するリスクと関連して見出されてもよい化学的及び/若しくは生物学的成分を反映する任意の測定値であってもよい。バイオマーカー及びその任意の組み合わせは、任意選択でさらなる尺度と組み合わせて、特定の疾患若しくは状態、例えば、感染性疾患若しくはその合併症、敗血症、肺炎、他の下部呼吸器感染症、若しくは糖尿病、又はそれを発症するリスクに特異的な及び/若しくはそれを示す生物学的プロセスを示唆又は測定するために使用されてもよい。2つのバイオマーカーの、又は少なくとも1つのバイオマーカーのアルブミンに対する任意の「比」は、それらのバイオマーカーの定量値の比、若しくはバイオマーカーの定量値とアルブミンの定量値との比、バイオマーカーの定量値と別の尺度(例えば、代謝産物若しくは化合物の定量値、若しくは同じクラスの代謝産物若しくは化合物の総定量値)との比、又はその任意の組み合わせを指してもよい。
【0052】
少なくとも1つのバイオマーカーの定量値が、生物学的試料中のアルブミンの定量値に対して決定される場合、その少なくとも1つのバイオマーカーの比較的正確な定量値を得ることが可能であってもよい。言い換えれば、少なくとも1つのバイオマーカーの(初期)定量値(又は複数のバイオマーカーの(初期)定量値)は、アルブミンの定量値に対して正規化されてもよく、又はアルブミンの定量値に対してスケーリングされてもよい。これは、希釈効果がある可能性がある場合、例えば、後ほど希釈された後に少なくとも1つのバイオマーカーの定量値が決定される乾燥血液試料を使用する場合、及び/又は試料の供給源が希釈効果を引き起こしうるように乾燥血液試料若しくは他の生物学的試料を得ることができる場合、例えば、対象の指先から得ることができる血液試料を使用する場合にも可能であってもよい。指先試料は、指先から採取された血液に加えて、組織液等の追加の流体を含んでもよいが、その相対的な体積を制御することは困難である場合がある。
【0053】
それゆえ、乾燥血液試料等の乾燥試料から少なくとも1つのバイオマーカーを正確に測定することが可能であってもよい。そのような尺度の比は、静脈血から得られる値とよく対応していると考えられてもよい。
【0054】
しかしながら、いくつかの実施形態、特に第2の態様に係る特定の実施形態では、生物学的試料中のスケーリングバイオマーカー(アルブミン以外)の定量値に対する少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定することが可能であってもよい。代替的に又は追加的に、特定の他のマーカーも、上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を正規化又はスケーリングするのに有用であってもよい。
【0055】
生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する少なくとも1つのバイオマーカーの定量値は、例えば、生物学的試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの初期定量値とアルブミンの定量値との比を計算することによって決定されてもよい。例えば結果の、例えば対象への提示のために、追加の数学的変換を使用することも可能であってもよい。
【0056】
当該方法は、アルブミンの定量値に対する少なくとも1つのバイオマーカー若しくは複数のバイオマーカーの定量値に基づいて計算されたリスクスコア、ハザード比、及び/又は予測される絶対リスクを使用して、対象が疾患若しくは状態を有するか否か又は疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを判定することをさらに含んでもよい。
【0057】
このリスクスコア及び/又はハザード比及び/又は予測される絶対リスクは、本明細書に記載されるバイオマーカーの任意の複数のもの、組み合わせ又はサブセットに基づいて計算されてもよい。
【0058】
リスクスコア及び/又はハザード比及び/又は予測される絶対リスクは、例えば、以下の実施例に示されるように計算されてもよい。例えば、適切な方法を用いて、例えばNMR分光法を用いて測定された複数のバイオマーカーは、回帰アルゴリズム及び多変量解析を用いて、並びに/又は機械学習分析を用いて組み合わされてもよい。回帰分析又は機械学習の前に、バイオマーカー中の任意の欠落値が、データセットに対する各バイオマーカーの平均値で補完されてもよい。疾患又は状態の発症と最も関連があると考えられてもよいいくつかのバイオマーカー、例えば10種が、予測モデルにおいて使用するために選択されてもよい。他のモデリングアプローチを使用して、個々のバイオマーカーのサブセット、すなわち複数のバイオマーカーに基づいて、リスクスコア及び/又はハザード比及び/又は予測される絶対リスクが計算されてもよい。
【0059】
リスクスコア、ハザード比、オッズ比、並びに/若しくは予測される絶対リスク及び/若しくは相対リスクの増加又は減少は、対象が疾患又は状態を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0060】
本明細書の文脈では、用語「糖タンパク質アセチル」、「糖タンパク質アセチル化」、又は「GlycA」は、循環糖化タンパク質の存在量、及び/又は循環糖化タンパク質、すなわちN-アセチル化糖タンパク質の存在量を表す核磁気共鳴分光法(NMR)シグナルを指してもよい。糖タンパク質アセチルは、例えば、α-1-酸糖タンパク質、α-1アンチトリプシン、ハプトグロビン、トランスフェリン、及び/又はα-1アンチキモトリプシンを含む、複数の異なる糖タンパク質からのシグナルを含んでもよい。糖タンパク質アセチル及びそれらを測定する方法は、例えば、Kettunenら、2018、Circ Genom Precis Med. 11:e002234及びSoininenら、2009、Analyst 134、1781-1785に記載されている。
【0061】
本明細書の文脈では、用語「アルブミン」は、血清アルブミン(しばしば血液アルブミンと称される)を指すものとして理解されてもよい。これは、脊椎動物の血液中に見出されるアルブミンである。例えば、ヒトアルブミン(ヒト血清アルブミン)は、ALB遺伝子によってコードされる。血清アルブミンは、哺乳動物において最も豊富な血液タンパク質である。アルブミンは、65,000ダルトンのおよその分子量を持つ球状水溶性非グリコシル化血清タンパク質である。NMRを用いたアルブミンの測定は、例えば、Kettunenら、2012、Nature Genetics 44、269-276;Soininenら、2015、Circulation:Cardiovascular Genetics 8、192-206(DOI:10.1161/CIRCGENETICS.114.000216)及びWuertzら、2017、American Journal of Epidemiology 186(9)、1084-1096(DOI:10.1093/aje/kwx016)による刊行物に記載されている。アルブミンは、種々の他の方法によっても、例えば、臨床設定において測定されてもよい。そのような方法の例としては、例えば、ブロモクレゾールグリーン及びブロモクレゾールパープル等の色素結合方法が挙げられてもよい。
【0062】
本明細書の文脈では、用語「HDL」は、高密度リポタンパク質を指す。
【0063】
本明細書の文脈では、用語「LDL」は、低密度リポタンパク質を指す。
【0064】
本明細書の文脈では、用語「VLDL」は、超低密度リポタンパク質を指す。
【0065】
本明細書の文脈では、用語「オメガ-6脂肪酸」は、全オメガ-6脂肪酸を指してもよい。オメガ-6脂肪酸は多価不飽和脂肪酸である。オメガ-6脂肪酸において、脂肪酸鎖中の最後の二重結合は、メチル末端から数えて6番目の結合である。
【0066】
本明細書の文脈では、用語「一価不飽和脂肪酸」(MUFA)は、全一価不飽和脂肪酸を指してもよい。一価不飽和脂肪酸は、それらの脂肪酸鎖中に1つの二重結合を有する。MUFAは、(主に)オメガ-9脂肪酸及びオメガ-7脂肪酸を含んでもよい。オレイン酸(18:1ω-9)、パルミトレイン酸(16:1ω-7)及びcis-バクセン酸(18:1ω-7)は、ヒト血清中の一般的なMUFAの例である。
【0067】
本明細書の文脈では、用語「飽和脂肪酸」(SFA)は、全飽和脂肪酸を指してもよい。飽和脂肪酸は、その構造中に二重結合を有さない脂肪酸であってもよく、又はそれを含んでもよい。パルミチン酸(16:0)及びステアリン酸(18:0)は、ヒト血清中の豊富なSFAの例である。
【0068】
本明細書の文脈では、用語「オメガ-3脂肪酸」は、全オメガ-3脂肪酸を指してもよい。オメガ-3脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸である。オメガ-3脂肪酸において、脂肪酸鎖中の最後の二重結合は、メチル末端から数えて3番目の結合である。
【0069】
オメガ-3、DHA、LA、MUFA、SFAを含む任意の又はすべての脂肪酸指標について、この脂肪酸指標、例えば全オメガ-6脂肪酸は、血液(又は血清/血漿)遊離脂肪酸、結合脂肪酸及びエステル化脂肪酸を含む。エステル化脂肪酸は、例えば、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、若しくはホスホグリセリドのようにグリセロールに、又はコレステロールエステルのようにコレステロールにエステル化されてもよい。
【0070】
本明細書の文脈では、用語「アポリポタンパク質」は、両親媒性タンパク質であり、リポタンパク質粒子の表面領域における重要な構造成分であるアポリポタンパク質分子を指してもよい。それらは、アポリポタンパク質B(ApoB)及びアポリポタンパク質A1(ApoA1)を含んでもよい。
【0071】
本明細書の文脈では、用語「脂肪酸の不飽和度」は、全脂肪酸中の二重結合の数、例えば全脂肪酸中の二重結合の平均数を指すものとして理解されてもよい。
【0072】
本明細書の文脈では、語句「HDL中のコレステロール」、又はLDL又はVLDL等の任意の他のリポタンパク質クラス中のコレステロールは、上記リポタンパク質クラス又はサブフラクション(細画分)中の総コレステロールを指すものとして理解されてもよい。
【0073】
本明細書の文脈では、用語「定量値」は、バイオマーカーの量及び/又は濃度を特徴付ける任意の定量値を指してもよい。例えば、それは、生物学的試料中のバイオマーカーの量若しくは濃度であってもよく、又は核磁気分光法(NMR)若しくはバイオマーカーを定量的に検出するのに適した他の方法から導出されるシグナルであってもよい。このようなシグナルは、バイオマーカーの量若しくは濃度を示してもよいし、又はそれと相関してもよい。定量値は、NMR測定又は他の測定から導出される1つ以上のシグナルから計算される定量値であってもよい。定量値は、追加的又は代替的に、様々な技術を用いて測定されてもよい。このような方法としては、質量分析(MS)、MSと組み合わせたガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー単独又はMSと組み合わせた高速液体クロマトグラフィー、免疫比濁測定、超遠心分離、イオン移動度、酵素による分析、比色分析又は蛍光分析、免疫ブロット分析、免疫組織化学的方法(例えば、代謝産物の抗体検出に基づくインサイツ(in situ)法)、及びイムノアッセイ(例えば、ELISA)を挙げてもよい。様々な方法の例が以下に示される。対象における定量値(複数可)を決定するために使用される方法は、対照対象(複数可)又は対照試料(複数可)における定量値を決定するために使用される方法と同じでなければならない。
【0074】
本明細書の文脈では、用語「アルブミンの定量値」は、アルブミンの量及び/又は濃度を特徴付ける任意の定量値を指してもよい。例えば、このアルブミンの定量値は、生物学的試料中のアルブミンの量若しくは濃度であってもよく、又は核磁気分光法(NMR)若しくはアルブミンを定量的に検出するのに適した他の方法から導出されるシグナルであってもよい。このようなシグナルは、アルブミンの量又は濃度を示してもよいし、又はそれと相関してもよい。アルブミンの定量値は、NMR測定又は他の測定から導出される1つ以上のシグナルから計算される定量値であってもよい。定量値は、追加的又は代替的に、様々な技術を用いて測定されてもよい。このような方法としては、質量分析(MS)、MSと組み合わせたガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー単独又はMSと組み合わせた高速液体クロマトグラフィー、免疫比濁測定、超遠心分離、イオン移動度、酵素による分析、比色分析又は蛍光分析、免疫ブロット分析、免疫組織化学的方法(例えば、抗体検出に基づくインサイツ法)、及びイムノアッセイ(例えば、ELISA)を挙げてもよい。様々な方法の例が以下に示される。対象における定量値(複数可)を決定するために使用される方法は、対照対象(複数可)又は対照試料(複数可)における定量値を決定するために使用される方法と同じでなければならない。
【0075】
本明細書の文脈では、用語「対照対象」は、疾患若しくは状態に罹患していないことが既知である対象、及び/又は疾患若しくは状態を有する若しくは発症するリスクがないことが既知である対象を指してもよい。対照対象は、マッチした対照対象であってもよい。
【0076】
上記疾患は、感染性疾患又はその合併症であってもよい。
【0077】
一実施形態では、この疾患は、重篤な感染性疾患、重篤な感染又はその(重篤な)合併症である。
【0078】
一実施形態では、この感染性疾患又はその合併症は敗血症である。
【0079】
一実施形態では、上記感染性疾患又はその合併症は肺炎である。
【0080】
一実施形態では、上記感染性疾患又はその合併症は、他の下部呼吸器疾患(すなわち、下気道疾患)である。
【0081】
本明細書の文脈では、用語「肺炎」は、対象の肺の一方又は両方の炎症を指すものとして理解されてもよい。肺炎は、例えば、細菌、真菌及び/又はウイルスの感染によって引き起こされてもよい。この感染は、対象の肺の一方又は両方における空気嚢の炎症を伴ってもよい。肺炎の徴候及び症状は、感染を引き起こす微生物の種類、対象の年齢及び/又は全体的な健康等の因子に応じて、軽度から重度又は生命を脅かす可能性があるものまで様々であってもよい。肺炎は、世界中の感染性疾患による死亡の原因の第1位である。
【0082】
一実施形態では、肺炎は重症肺炎である。重症肺炎は、例えば、入院及び/又は死亡を含むか、又は結果として生じる可能性がある。
【0083】
一実施形態では、当該方法は、糖タンパク質アセチルの定量値を決定することを含む。
【0084】
糖タンパク質アセチルは、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば敗血症、重症肺炎等の肺炎、又は他の下部呼吸器感染症を発症するリスクがあるか否かを判定するために有用であってもよい。
【0085】
一実施形態では、上記疾患又はその合併症は、2型糖尿病等の糖尿病である。
【0086】
当該方法は、上記少なくとも1つのバイオマーカー若しくは複数のバイオマーカーの定量値に基づいて計算されたリスクスコア、ハザード比、及び/又は予測される絶対リスクを使用して、対象が感染性疾患又はその合併症を発症するリスクがあるか否かを判定することをさらに含んでもよい。
【0087】
このリスクスコア、ハザード比、及び/又は予測される絶対リスクは、本明細書に記載されるバイオマーカーの任意の複数のもの、組み合わせ又はサブセットに基づいて計算されてもよい。
【0088】
リスクスコア、ハザード比及び/又は予測される絶対リスクは、例えば、以下の実施例に示されるように計算されてもよい。例えば、適切な方法を用いて、例えばNMR分光法を用いて測定された複数のバイオマーカーは、回帰アルゴリズム及び多変量解析を用いて、並びに/又は機械学習分析を用いて組み合わされてもよい。回帰分析又は機械学習の前に、バイオマーカー中の任意の欠落値が、データセットに対する各バイオマーカーの平均値で補完されてもよい。疾患又は状態の発症と最も関連があると考えられてもよいいくつかのバイオマーカー、例えば10種が、予測モデルにおいて使用するために選択されてもよい。他のモデリングアプローチを使用して、個々のバイオマーカーのサブセット、すなわち複数のバイオマーカーに基づいて、リスクスコア及び/又はハザード比及び/又は予測される絶対リスクが計算されてもよい。
【0089】
一実施形態では、対象が肺炎を有するか否か又は肺炎を発症するリスクがあるか否かを判定する方法は、
上記対象から得られた生物学的試料において、その生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定する工程と、
上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含み、
上記対照試料又は上記対照値と比較した場合の上記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、上記対象が肺炎を有するか又は肺炎を発症するリスクが高いことを示す。
【0090】
上記の実施形態の一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーは、糖タンパク質アセチルを含んでもよいし、又は糖タンパク質アセチルであってもよい。
【0091】
上記態様の一実施形態では、生物学的試料は、乾燥血液試料であってもよく、又は乾燥血液試料から得ることができるものであってもよい。しかしながら、この生物学的試料は、代替的又は追加的に、任意の他の生物学的試料、例えば、本明細書に記載される任意の生物学的試料であってもよい。
【0092】
少なくとも1つのバイオマーカー若しくは複数のバイオマーカーの定量値若しくは初期定量値、及び/又はアルブミンの定量値は、核磁気分光法(NMR)、例えばH-NMRを用いて測定されてもよい。少なくとも1つの追加のバイオマーカー又は複数の追加のバイオマーカーも、NMRを使用して測定されてもよい。NMRは、多数のバイオマーカーを含むバイオマーカーを同時に測定するための特に効率的で迅速な方法を提供してもよく、それらについての定量値を提供することができる。しかもNMRは、典型的には、試料の前処理又は調製をほとんど必要としない。NMRで測定されるバイオマーカーは、Soininenら、2015、Circulation:Cardiovascular Genetics 8、192-206(DOI:10.1161/CIRCGENETICS.114.000216)、Soininenら、2009、Analyst 134、1781-1785、及びWuertzら、2017、American Journal of Epidemiology 186(9)、1084-1096(DOI:10.1093/aje/kwx016)によって以前に公開された血液(血清又は血漿)NMRメタボロミクスについてのアッセイを使用して、大量の試料について効果的に測定することができる。これは、上記の科学論文に詳細に記載されているように、試料あたり228個のバイオマーカーに関するデータを提供する。
【0093】
一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーの(初期)定量値及び/又はアルブミンの定量値は、核磁気分光法を用いて測定される。
【0094】
しかしながら、本明細書に記載される様々なバイオマーカーの定量値は、NMR以外の技術によっても実施されてもよい。例えば、バイオマーカーに応じて、質量分析(MS)、酵素的方法、抗体ベースの検出方法、又は他の生化学的若しくは化学的方法が企図されてもよい。
【0095】
例えば、糖タンパク質アセチルは、(例えば、Ritchieら、2015、Cell Syst. 28;1(4):293-301に記載されているように)α-1-酸糖タンパク質、ハプトグロビン、α-1-アンチトリプシン、及びトランスフェリンの免疫比濁測定によって測定又は近似することができる。
【0096】
例えば、一価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸は、(例えば、Julaら、2005、Arterioscler Thromb Vase Biol 25、1952-1959に記載されているように)ガスクロマトグラフィーを用いて血清総脂肪酸組成によって定量することができる(すなわち、それらの定量値が決定されてもよい)。
【0097】
リポタンパク質画分中のコレステロールは、高速液体クロマトグラフィーを用いて定量することができる。
【0098】
アポリポタンパク質B、アポリポタンパク質A1、及びグルコースは、ROCHE(ロシュ) COBAS 6000等の酵素臨床化学分析器によって定量することができる。
【0099】
本明細書の文脈では、用語「試料」又は「生物学的試料」は、対象又は対象の群若しくは集団から得られる任意の生物学的試料を指してもよい。試料は、新鮮なもの、凍結したもの、又は乾燥したものであってもよい。
【0100】
(特に、生物学的試料が乾燥血液試料ではない実施形態における)生物学的試料は、例えば、血液試料、血漿試料、血清試料、又はそれに由来する試料を含んでもよく、又はそれらであってもよい。この生物学的試料は、例えば、空腹時血液試料、空腹時血漿試料、空腹時血清試料、又はそれから得ることができる画分であってもよい。しかしながら、生物学的試料は、必ずしも空腹時試料である必要はない。血液試料は静脈血試料であってもよい。
【0101】
乾燥血液試料は、乾燥全血試料、乾燥血漿試料、乾燥血清試料、又はそれらに由来する乾燥試料であってもよい。
【0102】
バイオマーカーのいくつかは、血液又は血液から得ることができる画分以外の体液から決定されてもよい。生物学的試料は、追加的又は代替的に、試料又は1つ以上の他の体液若しくは生体液、例えば羊水試料、尿試料、唾液試料、胆汁試料、涙液試料及び/又は脊髄液試料を含んでもよく、又はそれらであってもよい。
【0103】
当該方法は、少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定する前に、対象から生物学的試料を得ることを含んでもよい。対象又は患者の血液試料又は組織試料を採取することは、通常の臨床診療の一部である。集められた血液又は組織試料を調製し、血清又は血漿を当業者に周知の技術を用いて分離することができる。血液試料又は組織試料等の生物学的試料から1つ以上の画分を分離する方法も、当業者に利用可能である。用語「画分」は、本明細書の文脈では、1つ以上の物理的特性、例えば、溶解度、親水性若しくは疎水性、密度、又は分子サイズに従って分離された生物学的試料の一部分又は成分をも指してもよい。
【0104】
乾燥血液試料は、原則として、いずれの乾燥した血液試料であってもよい。
【0105】
乾燥血液試料は、乾燥血液スポットであってもよい。乾燥血液試料は、例えばNMR分析のために、濾紙又は血液を吸収することができる他の基材若しくは媒体上の乾燥血液スポットとして提供されてもよい。他の基材又は媒体の例は、例えば、様々な繊維及び/又は樹脂を含んでもよく、又はそれらであってもよい。上記工程は、試料を提供し、例えば、濾紙等の紙、又は血液を吸収することができる他の基材若しくは媒体上に、静脈穿刺又は指穿刺のいずれかによって得ることができる血液を適用する(載せる、吸収させる)こと、及び血液が適用される紙又は他の基材若しくは媒体上で血液を乾燥させることに関している。乾燥プロセス中、血液は、血液が適用される紙又は他の媒体上で、その成分、例えば、血液細胞及び血漿又は血清に受動的に分離されてもよい。血液又はその成分が乾燥された紙又は他の媒体の断片は、紙又は媒体から打ち抜くか、又は他の方法で切り出されてもよい。代替的に又は追加的に、乾燥血液試料は、HemaSpot HFデバイス又は他の適切なデバイスにおいて乾燥血液試料として提供されてもよい。乾燥血液試料を収集及び/又は保存するための様々な他の手段も企図されてもよい。
【0106】
生物学的試料は、乾燥血液試料からのさらなる試料調製によって得ることが可能であってもよい。
【0107】
生物学的試料は、乾燥血液試料から、又は血液から得ることができる乾燥試料から血液の少なくとも一部又はその1種以上の成分を溶媒中に抽出することによって、乾燥血液試料から、又は血液から得ることができる乾燥試料から得ることができてもよい。その後の試料調製は、例えば、その乾燥血液試料から、例えば、紙若しくは他の媒体の切断片又は穿孔片から血液又はその成分を抽出することを含んでもよい。血液又はその成分は、例えば水性緩衝液又は他の適切な溶媒で抽出されて、こうしてNMR分析又は他の適切な分析方法のための液体試料が提供されてもよい。H NMRのために重水素化溶媒が添加されてもよい。
【0108】
本明細書の文脈では、用語「対照試料」は、対象から得られ、疾患若しくは状態に罹患していないか、又は疾患若しくは状態を有するか若しくは発症するリスクがないことが既知である試料を指してもよい。この対照試料はマッチしたものであってもよい。一実施形態では、対照試料は、健常個体又は健常個体の一般化集団に由来する生物学的試料であってもよい。用語「対照値」は、対照試料から得ることができる値及び/又はそれから導出可能な定量値として理解されてもよい。例えば、上回るか又は下回ると疾患又は状態を発症するリスクが上昇するという閾値を、対照試料及び/又は対照値から計算することが可能であってもよい。言い換えれば、(バイオマーカー、リスクスコア、ハザード比、及び/又は予測される絶対リスクに応じて)上記閾値より高い又は低い値は、対象がその疾患又は状態を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0109】
対照試料又は対照値と比較した場合の上記少なくとも1つのバイオマーカー若しくは複数のバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、対象が疾患又は状態を有するか又は発症するリスクが高いことを示してもよい。対象が疾患又は状態を発症するリスクが高いことを増加が示すか又は減少が示すかは、バイオマーカーに依存してもよい。
【0110】
対照試料又は対照値と比較した場合の少なくとも1つのバイオマーカーの(又は複数のバイオマーカーの個々のバイオマーカーにおける)定量値の1.2倍、1.5倍、若しくは例えば2倍、若しくは3倍の増加又は減少が、対象が疾患又は状態を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0111】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の糖タンパク質アセチルの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0112】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する糖タンパク質アセチルの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0113】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のオメガ-6脂肪酸の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0114】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するオメガ-6脂肪酸の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0115】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の一価不飽和脂肪酸の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0116】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する一価不飽和脂肪酸の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0117】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の飽和脂肪酸の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0118】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する飽和脂肪酸の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0119】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のオメガ-3脂肪酸の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0120】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するオメガ-3脂肪酸の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0121】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のアポリポタンパク質A1(ApoA1)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0122】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するアポリポタンパク質A1(ApoA1)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0123】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のドコサヘキサエン酸(DHA)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0124】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するドコサヘキサエン酸(DHA)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0125】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のロイシンの定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0126】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するロイシンの定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0127】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の酢酸の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0128】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する酢酸の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0129】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のアラニンの定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0130】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するアラニンの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0131】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のアポリポタンパク質B(ApoB)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0132】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するアポリポタンパク質B(ApoB)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0133】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のグルタミンの定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0134】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するグルタミンの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0135】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のイソロイシンの定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0136】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するイソロイシンの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0137】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のリノール酸(LA)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0138】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するリノール酸の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0139】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のフェニルアラニンの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0140】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するフェニルアラニンの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0141】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のチロシンの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0142】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するチロシンの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0143】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の脂肪酸の不飽和度の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0144】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する脂肪酸の不飽和度の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0145】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のバリンの定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0146】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するバリンの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0147】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のヒスチジンの定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0148】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するヒスチジンの定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0149】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のHDL中のコレステロール(HDL-C)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0150】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するHDL中のコレステロール(HDL-C)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0151】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のグルコースの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0152】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するグルコースの定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0153】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のアセト酢酸の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0154】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するアセト酢酸の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0155】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の3-ヒドロキシ酪酸の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0156】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する3-ヒドロキシ酪酸の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0157】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のLDL中のコレステロール(LDL-C)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0158】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するLDL中のコレステロール(LDL-C)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0159】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の乳酸の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0160】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する乳酸の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0161】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のLDL中のトリグリセリド(LDL-TG)の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0162】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するLDL中のトリグリセリド(LDL-TG)の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0163】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のピルビン酸の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0164】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するピルビン酸の定量値の増加は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0165】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合のVLDL中のコレステロール(VLDL-C)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【0166】
一実施形態では、対照試料又は対照値と比較した場合の生物学的試料中のアルブミンの定量値に対するVLDL中のコレステロール(VLDL-C)の定量値の減少は、対象が感染性疾患又はその合併症、例えば肺炎、他の下部呼吸器感染症、及び/又は敗血症を発症するリスクが高いことを示してもよい。
【実施例
【0167】
これより様々な実施形態を詳細に参照する。それらの実施形態の例は添付の図面に示されている。
【0168】
以下の説明は、当業者が本開示に基づいて実施形態を利用することができる程度に詳細にいくつかの実施形態を開示する。工程又は特徴の多くは本明細書に基づいて当業者に明白となるので、実施形態のすべての工程又は特徴が詳細に論じられるわけではない。
【0169】
実施例1
核磁気共鳴(NMR)によって定量したバイオマーカー指標を、それらが血液サンプリングから何年も後でさえ以下の感染性疾患及びそれらの合併症を予測し得るか否かに関して調べた:肺炎及び重症肺炎、他の下部呼吸器疾患、並びに敗血症。加えて、2型糖尿病とのバイオマーカーの関連を検討して、アルブミンに対して個々のバイオマーカー濃度をスケーリングする効果を調べた。すべての分析は、UK Biobank(UKバイオバンク)に基づいて、NMRからの血液バイオマーカーデータを入手可能である100,000人を超える研究参加者を用いて行った。
【0170】
研究集団
UK Biobankの設計の詳細は、Sudlowら、2015、PLoS Med. 2015;12(3):e1001779によって報告されている。簡単に述べると、UK Biobankは、英国全体にわたる22ヶ所の評価センターで37~73歳の502,639人の参加者を募集した。すべての参加者は、書面によるインフォームドコンセントを提供し、倫理的承認は、North West Multi-Center Research Ethics Committee(ノースウェストマルチセンター研究倫理委員会)から得られた。血液試料は、2007年から2010年の間にベースラインで採取した。選択基準はサンプリングに適用しなかった。
【0171】
NMRメタボロミクス
UK Biobank集団全体から、118,466人の個体からのベースライン血漿試料のランダムなサブセットを、Nightingale(ナイチンゲール)ハイスループットNMRメタボロミクスプラットフォームを使用して測定した。これは、日常的な脂質、14のサブクラス内の脂質濃度によりプロファイリングされたリポタンパク質サブクラス、脂肪酸組成物、並びにアミノ酸、ケトン体及び糖新生関連代謝産物を含む種々の低分子量代謝産物のモル濃度単位での同時定量を提供する。技術的詳細及び疫学的応用が概説されている(Soininenら、2015、Circ Cardiovasc Genet;2015;8:192-206;Wuertzら、2017、Am J Epidemiol 2017;186:1084-1096)。
【0172】
UK Biobank試料からの定量化メタボロームバイオマーカーデータをキュレートし、2020年5月中旬に承認された。中央値から4四分位範囲外の値を外れ値とみなし、除外した。
【0173】
疾患リスクとのバイオマーカー関係の分析
血液バイオマーカーと疾患リスクとの関連付けを、UK Biobankデータに基づいて実施した。分析は、各個々のバイオマーカーがどのように将来の疾患リスクを予測しうるかを判定するために、血液試料を収集した後の疾患発生に対するバイオマーカー濃度の関係に焦点を当てた。加重された複数のバイオマーカーの形態でのどれほどのマルチバイオマーカースコアの例も、各個々のバイオマーカーよりはるかに強力に、将来の疾患リスクを予測できるか調べた。すべての研究参加者の血液サンプリング後に起こった疾患事象に関する情報は、UK Hospital Episode Statistics(英国病院エピソード統計)データ、死亡登録並びにプライマリケア記録及び自己報告から記録した。すべての分析は、最初の診断の発生に基づいており、従って、血液サンプリング前に所与の疾患の診断が記録された個体は、統計分析から除外した。疾患エンドポイントを定義するために以下の診断を使用した。2型糖尿病の診断については、Raoら、Circ Genom Precis Med. 2018;11(7):e002162に記載されるように、ICD-10 E11及び手術手順を使用した。自己報告糖尿病はエンドポイントに含めなかった。肺炎関連診断は、ICD-10診断J12~J18の何らかの発生に基づいた。敗血症は、プライマリケア、病院登録又は死亡登録に記録された診断を用いて、A40(連鎖球菌性敗血症)又は他の敗血症(A41)のいずれかの診断として定義した。他の下部呼吸器感染症は、それぞれのICD-10診断コードJ20、J21又はJ22を用いて、急性気管支炎、急性細気管支炎又は不特定の急性下部呼吸器感染症と定義した。重症肺炎に関する分析については、プライマリケア設定において、及び自己報告として記録された肺炎と診断された個体を分析から除外した。言い換えれば、重症肺炎は、病院登録又は死亡登録において診断J12~J18を有すると定義した。これらの疾患のバイオマーカーの分析に利用可能な個体は約110,000人であった。登録に基づく追跡調査(フォローアップ)は、UK Biobank評価センター(約872,000人・年)に応じて、2007~2010年から2016~2017年までの血液サンプリングからであった。重症肺炎の分析については、結果が、男性及び女性について、異なる年齢にわたって、並びに血液サンプリング時に慢性疾患状態を有する及び有さない人々について一貫していることを実証するために、さらなる分析を行った。具体的には、慢性の呼吸器疾患及び心血管代謝疾患(心血管疾患、糖尿病、肺癌、慢性閉塞性肺疾患、肝疾患、及び腎不全)を有する個体を分析から除外した場合に、バイオマーカースコア対重症肺炎の分析を繰り返した。バイオマーカースコアの分析を、血液試料を採取してから最初の2年間に病院登録又は死亡登録から記録された肺炎診断として定義する、重症肺炎の短期リスクに対しても行った。
【0174】
バイオマーカー関連性試験のために、年齢、性別、及び評価センターについて調整したコックス(Cox)比例ハザード回帰モデルを使用した。バイオマーカーを、アルブミン濃度に対するスケーリングなし及びありでの関連性の大きさについて検討した。結果を各バイオマーカー指標の標準偏差当たりの大きさでプロットして、関連性の大きさの直接比較を可能にした。3つの特定の複数バイオマーカースコア(複数のバイオマーカーに基づいて計算したスコア)対重症肺炎のリスクの関係を、研究集団の異なるサブセット(血液サンプリング時に慢性の呼吸器疾患又は心血管代謝疾患を有していた個体が含まれるか否か、研究集団の異なる年齢群、男女別、重症肺炎の長期リスクと比較した短期リスク)の分析の形態でさらに詳細に調べた。加えて、同じ3つの複数バイオマーカースコアを勾配パーセンタイルプロットの形態でプロットし、個体をバイオマーカーレベルのパーセンタイルにビニングしたときに追跡調査中に重症肺炎を発症した個体の割合を示した。本発明者らは、追跡調査中の肺炎の累積リスクのカプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)プロットを使用して、複数バイオマーカースコアの五分位数についてこれらの3つの複数バイオマーカースコアも調べ、2つのバイオマーカーの極値についてさらに層別化した。
【0175】
結果の概要
バイオマーカー分析対将来の疾患リスクについての研究集団のベースライン特性を表1に示す。重症肺炎の疾患症例の数を例示する。バイオマーカースコアを計算するために利用可能な完全なデータを有する108,449人の研究参加者のうち、ベースライン血液サンプリング後に病院登録又は死亡登録に記録された肺炎事象は2531件であった(中央値追跡調査時間8.1年)。ここで検討する他の疾患については、血液試料を採取した後に所与の疾患を発症した個体の数を、結果を例示する図に列挙するが、臨床的特徴は表1のデータと同様である。図3a及び図3bに示す複数バイオマーカースコアについては、研究集団の半分のみをプロットにおいて使用した。これは、他の半分は複数バイオマーカースコアにおけるバイオマーカーの組み合わせの重みを導出するために使用したためである。
【0176】
【表1】
【0177】
アルブミン濃度に対して濃度をスケーリングした場合の将来の糖尿病及び肺炎についてのバイオマーカーの関連性
図1aは、2型糖尿病の将来の発症についての29種の血液バイオマーカーのハザード比を示す。この結果は、UK Biobankからの110,000人を超える個体の統計分析に基づき、これらの個体のうち4,000人を超える個体が、8.1年の追跡調査の中央値の間に2型糖尿病を発症した。この結果を、バイオマーカーの絶対濃度について(灰色の丸)と、バイオマーカー濃度を同じ血液試料から測定したアルブミンの濃度に対してスケーリングする場合(黒三角)とで示す。分析は、コックス比例ハザード回帰モデルにおいて年齢、性別、及びUK Biobank評価センターについて調整した。非スケーリングバイオマーカー及びアルブミンスケーリングバイオマーカーの両方についての結果は、所与のバイオマーカー指標の1標準偏差の増加について示される。
【0178】
絶対濃度として分析した場合、及び濃度をアルブミンに対してスケーリングした場合の両方において、29種のバイオマーカーはすべて、2型糖尿病の将来の発症と統計的に有意に関連していた。すべての関連性は、アルブミンに対する濃度のスケーリングの有無にかかわらず、2型糖尿病リスクに関して同じ方向であった。
【0179】
図1bは、重症肺炎の将来の発症についての29種の血液バイオマーカーのハザード比を示す。この結果は、UK Biobankからの100,000人を超える個体の統計分析に基づき、これらの個体のうち2,400人を超える個体が、8.1年の追跡調査の中央値の間に重症肺炎(国内病院病院登録又は死亡記録における診断J12~J18として定義する)を発症した。この結果を、バイオマーカーの絶対濃度について(灰色の丸)と、バイオマーカー濃度を同じ血液試料から測定したアルブミンの濃度に対してスケーリングする場合(黒三角)とで示す。分析は、コックス比例ハザード回帰モデルにおいて年齢、性別、及びUK Biobank評価センターについて調整した。非スケーリングバイオマーカー及びアルブミンスケーリングバイオマーカーの両方についての結果は、所与のバイオマーカー指標の1標準偏差の増加について示される。
【0180】
絶対濃度として分析した場合、又は濃度をアルブミンに対してスケーリングした場合に、29種のバイオマーカーはすべて重症肺炎の将来的な発症と関連していた。絶対濃度として分析した場合、29種のバイオマーカーのうち23種が、重症肺炎の将来の発症と統計的に有意に関連していた。濃度をアルブミンに対してスケーリングしたとき、重症肺炎の将来の発症と統計学的に有意に関連するバイオマーカーも23種存在した。
【0181】
全体として、上記分析は、NMR分光法によって測定した広範囲の血液バイオマーカーが、一般の母集団設定における将来の2型糖尿病及び重症肺炎のリスクを示すということを例証する。濃度がアルブミン濃度に対してスケーリングされる場合、2型糖尿病に対するバイオマーカーの関連性は同様である。重症肺炎に対するバイオマーカーの関連性は、濃度がアルブミンに対してスケーリングされるときにはある程度まで変わるが、多くのバイオマーカーは、アルブミンスケーリング後に重症肺炎のリスクと依然として強く関連するか、又はアルブミンスケーリング後に重症肺炎とさらに強く関連するようになる。
【0182】
図において使用する略語:
VLDL:超低密度リポタンパク質
LDL:低密度リポタンパク質
HDL:高密度リポタンパク質
C:コレステロール
TG:トリグリセリド
LA:リノール酸
DHA:ドコサヘキサエン酸
SFA:飽和脂肪酸
MUFA:一価不飽和脂肪酸
SD:標準偏差
【0183】
実施例2
実施例2の研究集団及び統計学的方法は、実施例1の通りである。
【0184】
感染性疾患及びそれらの合併症についてのバイオマーカーに関する結果の要約
図2aは、バイオマーカーを絶対濃度で分析した場合の、肺炎(重症又は非重症)の将来の発症についての29種の血液バイオマーカーのハザード比を示す。個々のバイオマーカーの加重和を含む「NGH感染バイオマーカースコア」と呼ぶ複数バイオマーカースコアの関連性も示す。この結果は、UK Biobankからの100,000人を超える個体の統計分析に基づき、これらの個体のうち2,650人を超える個体が、8.1年の追跡調査の中央値の間に肺炎(プライマリケア記録における、又は国内病院登録における、又は死亡記録における、又は自己報告における診断J12~J18として定義する)を発症した。黒丸は、関連性についてのP値がP<0.001(多重検定補正に対応する)であったことを表し、白丸は、関連性についてのP値がP>0.001であったことを表す。分析は、コックス比例ハザード回帰モデルにおいて年齢、性別、及びUK Biobank評価センターについて調整した。結果は、所与のバイオマーカー指標の1標準偏差の増加について示される。29種のバイオマーカーのうち22種が、P<0.001に基づいて、肺炎の将来の発症と統計的に有意に関連していた。肺炎の将来の発症のリスクとの最も強い関連性は、「NGH感染バイオマーカースコア」と呼ばれる複数バイオマーカースコアについて観察された。
【0185】
図2bは、バイオマーカー濃度を絶対濃度で分析した場合の、ベースラインバイオマーカーレベルと他の下部呼吸器疾患(急性気管支炎、急性細気管支炎、及び不特定の急性下部呼吸器感染症)の将来の発症との関係を示し、バイオマーカーを絶対濃度で分析した場合の、敗血症の将来の発症についての29種の血液バイオマーカーのハザード比を示す。個々のバイオマーカーの加重和を含む「NGH感染バイオマーカースコア」と呼ばれる複数バイオマーカースコアの関連性も示す。この結果は、UK Biobankからの100,000人を超える個体の統計分析に基づき、これらの個体のうち5,900人を超える個体が8.1年の追跡調査の中央値の間に敗血症(プライマリケア記録における、自己報告による、又は国内病院登録における、又は死亡記録における診断J20(急性気管支炎)又はJ21(急性細気管支炎)又はJ22(他の急性下部呼吸器感染症)として定義する)を発症した。黒丸は関連性についてのP値がP<0.001であったことを表し、白丸は関連性についてのP値がP>0.001であったことを表す。分析は、コックス比例ハザード回帰モデルにおいて年齢、性別、及びUK Biobank評価センターについて調整した。結果は、所与のバイオマーカー指標の1標準偏差の増加について示される。29種のバイオマーカーのうち21種が、P<0.001に基づいて、敗血症の将来の発症と統計的に有意に関連した。敗血症の将来の発症のリスクとの最も強い関連性は、「NGH感染バイオマーカースコア」と呼ばれる複数バイオマーカースコアについて観察された。
【0186】
図2cは、バイオマーカーを絶対濃度で分析した場合の、敗血症の将来の発症についての29種の血液バイオマーカーのハザード比を示す。個々のバイオマーカーの加重和を含む「NGH感染バイオマーカースコア」と呼ばれる複数バイオマーカースコアの関連性も示す。この結果は、UK Biobankからの100,000人を超える個体の統計分析に基づき、これらの個体のうち1,250人を超える個体が、8.1年の追跡調査の中央値の間に敗血症(プライマリケア記録における、自己報告における、又は国内病院登録における、又は死亡記録における診断A40(連鎖球菌性敗血症)又はA41(他の敗血症)として定義する)を発症した。黒丸は、関連性についてのP値がP<0.001であったことを表し、白丸は、関連性についてのP値がP>0.001であったことを表す。分析は、コックス比例ハザード回帰モデルにおいて年齢、性別、及びUK Biobank評価センターについて調整した。結果は、所与のバイオマーカー指標の1標準偏差の増加について示される。29種のバイオマーカーのうち15種が、P<0.001に基づいて、敗血症の将来の発症と統計的に有意に関連していた。敗血症の将来の発症のリスクとの最も強い関連性は、「NGH感染バイオマーカースコア」と呼ばれる複数バイオマーカースコアについて観察された。
【0187】
図3aは、3つの複数バイオマーカースコアについてのベースラインバイオマーカーレベルと重症肺炎の将来の発症との関係を示す。具体的には、複数のバイオマーカーは以下のとおりであった:1)絶対濃度における29種までのバイオマーカーの加重組合せ(NGH感染バイオマーカースコア;バイオマーカースケーリングなし、と表す)、2)アルブミンに対してスケーリングした濃度における29種までのバイオマーカーの加重組合せ(NGH感染バイオマーカースコア;アルブミンスケーリングバイオマーカー、と表す)、及び3)アルブミン濃度にスケーリングした糖タンパク質アセチル(GlycA/Albと表す)。複数バイオマーカースコアにおいて使用したバイオマーカーの加重組合せは、研究集団の50%(導出セット;約53,000個体)に基づいて、統計的回帰分析及び機械学習を使用して導出した。次いで、この3つの複数バイオマーカースコアの予測性能を、研究集団の他の50%(検証セット;53477人の個体)において評価して、結果の過学習(過剰適合)を回避した。3つの複数バイオマーカースコアの関連性は、研究集団の検証部分における、及びベースラインで慢性の呼吸器疾患又は心血管代謝疾患を有さない個体のサブセットにおける、すべての個体について示される。結果は、異なる年齢群(研究参加者が血液試料を与えた時の研究参加者の年齢三分位数で分けた)においても、及び男女別でも示す。3つの異なる複数バイオマーカースコアのベースラインバイオマーカーレベルと、血液試料を採取してから2年以内に生じる重症肺炎との関係も示す。
【0188】
これらの結果は、以下のことを示す。
・上記3つの複数バイオマーカースコアは、いずれの単独のバイオマーカーよりも将来の発症に強く関連している(単独のバイオマーカーに関する結果については図1bを参照)。
・アルブミンに対する糖タンパク質、及びアルブミン濃度に対してスケーリングされたバイオマーカーに基づく複数バイオマーカースコアは、重症肺炎の将来の発症を強く予測する。
・結果は、研究参加者の年齢にかかわらず同様である。
・結果は男性及び女性について同様である。
・結果は、重症肺炎の長期リスク(平均して血液サンプリングの8年後までに生じる疾患)と比較して、重症肺炎の短期リスク(血液サンプリングの最初の2年に生じる疾患)の予測にとってさらに強い。
【0189】
図3bは、3つの複数バイオマーカースコアのパーセンタイルによる将来の重症肺炎のリスク勾配を示す(図の上半分)。各ドットは、約500人の個体に対応する。も示されている。本発明者らは、カプラン・マイヤープロットを使用して、3つの複数バイオマーカースコアの様々な分位数において、血液試料を採取した後の重症肺炎についての累積リスクも計算した(図の下半分)。これらのプロットは、研究集団の検証セット部分、すなわち、複数バイオマーカースコアの導出には含まれなかった50%(n=53477個体)について示されている。
【0190】
これらの結果は、以下のことを示す。
・3つの複数バイオマーカースコアと重症肺炎の将来の発症のリスクとの関係は、複数バイオマーカースコアのレベルが非常に高い個体について特に高くなっており、すなわち非線形効果が見られる。
・複数バイオマーカースコアの非常に高いレベルを有する個体についてのリスクの増加は、血液サンプリングの時から後の最初の数年以内に存在する。
【0191】
当業者には、技術の進歩とともに、基本的なアイデアが様々な方法で実行されてもよいことが明らかである。従って、実施形態は上記の例に限定されない。代わりに、実施形態は請求項の範囲内で様々であってよい。
【0192】
上述の実施形態は、互いに任意の組み合わせで使用されてもよい。実施形態のうちのいくつかは、さらなる実施形態を形成するようにともに組み合わされてもよい。本明細書に開示される方法、物、又は使用は、本明細書の上記の実施形態のうちの少なくとも1つを含んでもよい。上記の利益及び利点は、1つの実施形態に関連してもよいし、又はいくつかの実施形態に関連してもよいことが理解されよう。実施形態は、記載された課題のいずれか若しくはすべてを解決するもの、又は記載された利益及び利点のいずれか若しくはすべてを有するものに限定されない。「1つの(an)」項目への言及は、これらの項目の1つ以上を指すことがさらに理解されるであろう。用語「comprising(含む)」は、本明細書において、1つ以上の追加の特徴又は行為の存在を排除することなく、その語句に続く特徴又は行為を含むことを意味するために使用される。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象が疾患若しくは状態を有するか否か又は疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを判定する方法であって、
前記対象から得られた生物学的試料において、前記生物学的試料中のアルブミンの定量値に対する少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定する工程と、
前記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を対照試料又は対照値と比較する工程と
を含み、
前記対照試料又は前記対照値と比較した場合の前記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値の増加又は減少は、前記対象が前記疾患若しくは状態を有するか又は前記疾患又は状態を発症するリスクが高いことを示し、
前記生物学的試料が、乾燥血液試料、血液から得ることができる乾燥試料、又は乾燥血液試料から得ることができるものであり、
前記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値及び前記アルブミンの定量値は、核磁気分光法を用いて測定され、
前記少なくとも1つのバイオマーカーは、糖タンパク質アセチルを含むか、又は糖タンパク質アセチルである方法。
【請求項2】
前記生物学的試料中の前記アルブミンの定量値に対する前記少なくとも1つのバイオマーカーの定量値が、前記生物学的試料中の前記少なくとも1つのバイオマーカーの初期定量値と前記アルブミンの定量値との比を計算することによって決定される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記乾燥血液試料が乾燥血液スポットである請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記乾燥血液試料又は前記血液から得ることができる乾燥試料が、前記対象の指先から、前記対象の上腕からの毛細管血液のサンプリングから、及び/又は前記対象の静脈穿刺によって得ることができる請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記生物学的試料が、前記乾燥血液試料から、又は前記血液から得ることができる乾燥試料から前記血液の少なくとも一部又はその1種以上の成分を溶媒中に抽出することによって、前記乾燥血液試料から、又は前記血液から得ることができる乾燥試料から得ることができる請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記生物学的試料において、複数のバイオマーカー、例えば2つ、3つ、4つ、5つ又はこれより多いバイオマーカーの定量値を決定することを含む請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象から得られた生物学的試料において、前記生物学的試料中の前記アルブミンの定量値に対する以下の
・糖タンパク質アセチル、
・オメガ-6脂肪酸、
・一価不飽和脂肪酸、
・飽和脂肪酸、
・オメガ-3脂肪酸、
・アポリポタンパク質A1(ApoA1)、
・ドコサヘキサエン酸(DHA)、
・ロイシン、
・酢酸、
・アラニン、
・アポリポタンパク質B(ApoB)、
・グルタミン、
・イソロイシン、
・リノール酸、
・フェニルアラニン、
・チロシン、
・脂肪酸の不飽和度、
・バリン、
・ヒスチジン、
・HDL中のコレステロール(HDL-C)、
・グルコース、
・アセト酢酸、
・3-ヒドロキシ酪酸、
・LDL中のコレステロール(LDL-C)、
・乳酸、
・LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)、
・ピルビン酸、又は
・VLDL中のコレステロール(VLDL-C)
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値を決定することを含む請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象から得られた前記生物学的試料において、前記生物学的試料中の前記アルブミンの定量値に対する以下の
・オメガ-6脂肪酸、
・一価不飽和脂肪酸、
・飽和脂肪酸、若しくは
・オメガ-3脂肪酸
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値、及び/又は
前記生物学的試料中の前記アルブミンの定量値に対する以下の
・アポリポタンパク質A1(ApoA1)、
・ドコサヘキサエン酸(DHA)、
・ロイシン、
・酢酸、
・アラニン、
・アポリポタンパク質B(ApoB)、
・グルタミン、
・イソロイシン、
・リノール酸、
・フェニルアラニン、
・チロシン、
・脂肪酸の不飽和度、
・バリン、
・ヒスチジン
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値、及び/又は
前記生物学的試料中の前記アルブミンの定量値に対する以下の
・HDL中のコレステロール(HDL-C)、
・グルコース、
・アセト酢酸、
・3-ヒドロキシ酪酸、
・LDL中のコレステロール(LDL-C)、
・乳酸、
・LDL中のトリグリセリド(LDL-TG)、
・ピルビン酸、若しくは
・VLDL中のコレステロール(VLDL-C)
のうちの少なくとも1つのバイオマーカーの定量値
を決定することを含む請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記疾患が、感染性疾患又はその合併症、例えば敗血症、肺炎、任意選択で重症肺炎、若しくは他の下部呼吸器感染症、又は糖尿病である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記乾燥血液試料が、乾燥全血試料、乾燥血漿試料、乾燥血清試料、又はそれらに由来する乾燥試料である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記アルブミンの定量値に対する前記少なくとも1つのバイオマーカー又は前記複数の前記バイオマーカーの定量値に基づいて計算されたリスクスコア、ハザード比、及び/又は予測される絶対リスクを使用して、前記対象が前記疾患若しくは状態を有するか否か又は前記疾患若しくは状態を発症するリスクがあるか否かを判定することをさらに含む請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【国際調査報告】