(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】髄内脛骨位置合わせシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
A61B17/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578782
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2021066300
(87)【国際公開番号】W WO2021255122
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクシス バウオックス
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ジルアール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL12
4C160LL29
(57)【要約】
本発明は位置合わせロッド(3)、脛骨切除ガイド(4)および脛骨位置合わせジグ(5)を有する髄内脛骨位置合わせシステム(1)に関し、脛骨位置合わせジグ(5)はスライドレール(6)と、スライドレール(6)をスライド可能に受け入れ、位置合わせロッド(3)に取り付けられるケーシング(8)と、および位置合わせロッド(3)によって回転可能に保持され、回転が旋回運動に変換されるように、リンク要素(22)によってケーシング(8)に機能的に接続されるユーザ調節要素(9)と、を有し、ユーザ調節要素(9)および位置合わせロッド(3)はユーザ調節要素(9)の複数の回転位置において互いに組み合うように適合され、複数の回転位置は、位置合わせロッド(3)の旋回運動に従って位置合わせロッド(3)の異なる向きに対応する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位脛骨切除切断器具を位置合わせするための髄内脛骨位置合わせシステムであって、
前記位置合わせシステムを脛骨に個別に調節するための位置合わせロッドと、
前記切断器具を案内し、前記位置合わせロッドの近位端部分に接続される脛骨切除ガイドと、
前記脛骨に対して前記脛骨切除ガイドを配向するとともに、前記脛骨切除ガイドの近位にて前記位置合わせロッドに接続される脛骨位置合わせジグ、とを有する前記髄内脛骨位置合わせシステムであって、
前記脛骨位置合わせジグはその近位端部分において前記脛骨の頭部に接続されるように適合されているスライドレールと、スライド軸に沿って前記スライドレールをスライド可能に受容するケーシングとを有しており、
前記位置合わせロッドおよび前記スライドレールは互いに旋回可能に維持されるように前記ケーシングは旋回軸を介して前記位置合わせロッドに取り付けられ、
前記脛骨位置合わせジグはさらにユーザ調節要素を備え、前記ユーザ調節要素は、前記ユーザ調節要素の前記位置合わせロッドに対する回転が前記位置合わせロッドの前記スライドレールに対する旋回運動に変換されるように、回転軸周りに回転可能に前記位置合わせロッドに保持されるとともに、リンク要素によって前記ケーシングに機能的に接続されており、前記ユーザ調節要素及び前記位置合わせロッドは前記ユーザ調節要素の複数の回転位置で互いに組み合うように適合され、前記複数の回転位置は前記位置合わせロッドの旋回運動に従って前記位置合わせロッドのそれぞれ異なる向きに対応することを特徴とする、髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項2】
前記位置合わせロッドと前記ユーザ調節要素との間の回転動作をロックおよびロック解除するように適合されたロック機構によって特徴付けられ、前記ロック機構は前記ユーザ調節要素に固定された解放要素、好ましくはスナップ嵌めフックと、前記位置合わせロッドに固定された係合要素、好ましくはスナップ嵌めスロットとを備え、前記解放要素はロック位置において前記係合要素と係合する、請求項1に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項3】
前記ロック機構は各々がロック位置を形成する複数の係合要素を備え、前記複数の係合要素は好ましくは前記位置合わせロッドの周方向において互いに離間されており、好ましくは、前記複数の係合要素が2つの隣接する前記ロック位置が前記位置合わせロッドと前記スライドレールとの間に、途切れず段階式の、より好ましくは1°刻みのステップで旋回運動を生成するように、互いに離間される、請求項2に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項4】
前記解放要素は前記ユーザ調節要素の周縁上にボタンを備え、前記ボタンは前記ロック機構をロック解除するために、好ましくは前記ロック位置のうちの1つにおける係合をロック解除するために、ユーザによって手動で押されるように、および、前記ユーザ調節要素が前記位置合わせロッドの周方向において時計回りまたは反時計回りに回されることを可能にするように適合されている、請求項2に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項5】
前記ケーシングは前記スライドレールを前記スライド軸に沿ってスライド可能に受け入れるスライド案内スロットを備え、前記スライド軸は前記スライドレールの長手方向であることを特徴とする、請求項1に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項6】
前記スライドレールは、前記スライド軸に沿って細長い、前記位置合わせロッドが通過する孔を備えることを特徴とする、請求項5に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項7】
前記ケーシングは、前記旋回軸を介して前記位置合わせロッドに旋回可能に前記ケーシングを取り付ける旋回要素を備え、前記旋回軸は前記回転軸に垂直であり、前記スライド軸に垂直であることを特徴とする、請求項1に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項8】
前記ユーザ調節要素は、前記リンク部材を受容する前記ユーザ調節要素の周面に旋回案内溝を備え、前記リンク部材、好ましくは球状ピンは前記ケーシングの内側に固定されて前記旋回案内溝に向かって延在し、前記旋回案内溝は、前記ユーザ調節要素が回される際に前記ユーザ調節要素に対する前記ケーシングの相対運動を引き起こすように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項9】
前記旋回案内溝はその周方向延在部に沿って、好ましくは途切れずに増加または減少する深さを有するか、または前記旋回案内溝が好ましくは一定のピッチを有する螺旋形状を有することを特徴とする、請求項8に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項10】
前記ユーザ調節要素を前記位置合わせロッドに前記回転軸に沿って回転可能に取り付けるための締結要素を備え、前記回転軸は前記位置合わせロッドの長手方向であり、前記ユーザ調節要素は、前記ユーザ調節要素の周面において、前記回転軸に垂直な平面内に延在する溝を備え、前記溝は前記位置合わせロッドに固定されている前記締結要素を受容する、請求項1に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項11】
前記位置合わせロッドは長さ調節可能な伸縮式伸長バーであるか、または前記位置合わせロッドおよび前記ユーザ調節要素がそれぞれ、前記回転軸に沿って延びる貫通孔を形成し、前記貫通孔は髄外チェックロッドを受容するように適合されていることを特徴とする、請求項1に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項12】
前記位置合わせロッドを保持し、前記位置合わせロッドと前記脛骨切除ガイドを備えた前記脛骨位置合わせジグとを連結する脛骨調節ハウジングを特徴とする、請求項1に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【請求項13】
前記脛骨調節ハウジングが、前記回転軸に沿って前記位置合わせロッドにスライド可能に取り付けられることを特徴とする、請求項12に記載の髄内脛骨位置合わせシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節形成術、特に膝関節形成術および全膝関節形成術に関する。より具体的には、本発明は外科医がプロテーゼを脛骨の近位部分上に配置する前に、脛骨の近位部分を効率的かつ正確に切除することを可能にする装置に関する。特に、本発明は、髄内脛骨位置合わせシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
膝関節は、運動中に人の脚が屈曲または関節運動することを可能にする。膝では、下骨(脛骨)が上骨(大腿骨)と合わさっている。膝の近位では、大腿骨は大腿顆として知られる2つの突起を有する。大腿顆は、脛骨の上端で線維軟骨と係合する。膝関節は、靭帯、被膜、筋肉、および腱によってまとめられている。4つの靭帯は膝構造において特に顕著であり、膝の両側にそれぞれ1つずつ靭帯があり、2つの靭帯が中央に位置する。中央にある靭帯のうち、1つの靭帯は前方に向き、1つは後方に向いている。パテラ(patella)または膝蓋骨は、膝関節の前で支持される骨片である。機能的には、膝蓋骨はシールドとして機能する。
【0003】
膝関節は、長期にわたる重度の使用、疾患、または外傷によって、ほぼまたは完全に動作不能にされ得る。最良の治療法は、全置換術(関節形成術)であることが多い。全膝関節形成術の間、膝で接合された大腿骨表面および脛骨表面は、完全に置換される。このプロセスにおける第1のステップは、顆表面およびその下にある部分の除去である。大腿骨の遠位端は、大腿骨人工装具コンポーネントのためのクリアランスを提供するために切除される。同様に、脛骨の近位部分は、脛骨人工装具コンポーネントのための比較的平坦な表面を提供するために切除される。
【0004】
人の体重は、股関節に近接する大腿骨の頭部から足首へ移動する。大腿骨および脛骨人工装具装置が設置されているときには、膝の適切な位置合わせを維持して、体重の適切な移動を継続できるようにしなければならない。プロテーゼが適切に機能するために、これらの切除から生じる大腿骨表面および脛骨表面は、正確に位置合わせされなければならない。また、これらの表面は、計画されたプロテーゼが適切に適合し、機能するように、適切な距離だけ離れていなければならない。
【0005】
外科的切除の前の脛骨切除ガイドの位置合わせは、従来、長い直線状の金属ロッドを使用することによって行われてきた。金属ロッドの一端は、大腿骨頭の中心と位置合わせされる。他方の端部は、足首の中心に位置合わせされる。大腿骨頭の中心はX線から決定されるか、またはより好ましくはないが、上腸骨棘の内側へ3本の指の幅に位置する点を確立することによって決定される。位置合わせされたとき、ロッドは膝コンポーネントの中心を二分するべきであり、脛骨および大腿骨切除平面に対して概して垂直であるべきである。関節炎の膝は、内反または外反変形、および対応する骨欠損または間隙を有し得る。
【0006】
これらの欠損部分が露出している切除面は、置換プロテーゼを支持するのにふさわしくない場合がある。現在、外科医は露出した欠損のある間隙を有する切除された骨の上に人工器官デバイスを設置し、例えば、骨セメントまたはスペーサでコンポーネント下の欠損を充填するか、または、欠損または間隙を除去し、より厚い人工装具コンポーネントを挿入するために、膝からさらに離れて脛骨を切除しなければならない。外科医がさらなる切除を行う場合、切除された部分が正しい形状およびサイズであることを確実にするために、脛骨切除ガイドが必要とされる。
【0007】
例えば、米国特許出願公開第2009/264890(A1)号は、近位脛骨切除切断器具を位置合わせさせるための脛骨位置合わせシステムを開示しており、脛骨位置合わせシステムは位置合わせロッドと、脛骨切除ガイドと、位置合わせロッドに対して、したがって脛骨に対して、脛骨切除ガイドを配向させるための脛骨位置合わせジグとを有し、脛骨位置合わせジグは、その近位端部分において脛骨の頭部に接続されるように適合されたスライドレールと、スライド軸に沿ってスライド可能にスライドレールを受容するケーシングとを有する。
【発明の概要】
【0008】
したがって、設置されたプロテーゼが正しく嵌合および動作するように、外科医が脛骨切除ガイドを迅速かつ効率的に位置合わせすることを可能にする、髄内脛骨位置合わせシステムが必要とされ得る。特に、脛骨切除ガイドの位置および向きをより正確に調節することを可能にする髄内脛骨位置合わせシステムが必要とされ得る。
【0009】
この目的は、請求項1に記載の髄内脛骨位置合わせシステムによって解決される。本発明のさらなる有利な発展は、それぞれの従属請求項の主題に対してなされる。
【0010】
本明細書に記載される髄内脛骨位置合わせシステムは、人工装具デバイスの適切な取り付けまたは埋め込みを可能にするために、平面および/または曲線表面が骨の中または上に作成されなければならない外科的処置である、全膝置換に適用されてもよい。全膝置換では、大腿骨、脛骨、および/または膝蓋骨への人工装具装置または他のデバイスの取り付けを可能にするために、一連の平面および/または曲線表面、または「切除」が作成される。
【0011】
上記の要件を満たすために、請求項1に記載の髄内脛骨位置合わせシステムが提案される。髄内脛骨位置合わせシステムは、脛骨切除切断器具を位置合わせさせるためのものである。
【0012】
本発明による髄内脛骨位置合わせシステムは、位置合わせシステムを脛骨に個別に調節するための位置合わせロッドを有する。髄内脛骨位置合わせシステムはさらに、脛骨に対して正しい位置および傾斜で別個(外から)の(システムに属さない)切断器具を案内するための脛骨切除ガイド(切断ブロックとも呼ばれる)をさらに有し、この切断ガイドは、位置合わせロッドの近位端部分に接続される、または接続可能である。好ましくは、そのような位置合わせロッドは様々に異なる長さの個々の患者の脛骨に対して調節可能である伸縮式伸長バーである。
【0013】
髄内脛骨位置合わせシステムはまた、脛骨に対して脛骨切除ガイドを配向するための脛骨位置合わせジグを有する。脛骨位置合わせジグは、脛骨切除ガイドの近傍で位置合わせロッドに接続される。脛骨位置合わせジグは、その近位端部分で脛骨の頭部に接続されるように適合されたスライドレールを有する。脛骨位置合わせジグは、スライドレールの遠位端部分をスライド可能に受容するケーシングを有する。ケーシングは、位置合わせロッドとスライドレールとが旋回軸を中心として互いに旋回可能に維持されるように(ロッドに垂直に延びる)旋回軸を介して位置合わせロッドに取り付けられる。
【0014】
本発明によれば、脛骨位置合わせジグはさらにユーザ調節要素を備え、例えばバーニア調節要素であり、前記ユーザ調節要素は、ユーザ調節要素の位置合わせロッドに対する回転が位置合わせロッドのスライドレールに対する旋回運動に変換されるように、回転可能に位置合わせロッドに保持されるとともに、好ましくはリンク要素によってケーシングに機能的に接続されている。ユーザ調節要素及び位置合わせロッドはユーザ調節要素の複数の回転位置で互いに組み合うように適合され、複数の回転位置は位置合わせロッドの旋回運動に従って位置合わせロッドの脛骨に対するそれぞれ異なる向きに対応する。
【0015】
言い換えれば、本発明によれば、(伸縮)ロッド/バーを備える髄内位置合わせシステムが提供され、別個の切断器具(鋸)を案内するための切断ブロックが、ロッドの近位端部分に接続される。さらに、傾斜調節装置(位置合わせジグ)が、脛骨に対する切断ブロックの角度/傾斜を調節するためにロッドの近位端(切断ブロックの近位)に設けられる。
【0016】
このために、傾斜調節装置は、その近位端部分が脛骨、特に脛骨の頭部に固定されるように適合されたカンチレバーアーム(スライドレール)を備え、その遠位端部分はその長手方向にスライド可能であるようにケーシング/ブラケット内/またはケーシング/ブラケットにおいて支持される。ケーシング/ブラケットは、ロッドの長手方向軸に対して垂直に配向された旋回軸を介して、ロッドの近位端部分(切断ブロックの近位)に旋回可能に保持される。したがって、ロッドはカンチレバーアームに対して旋回軸の周りを旋回可能であり、それによって、脛骨に対する角度/配向を変化させる。
【0017】
本発明によれば、脛骨に対するロッド(したがって切断ブロック)の傾斜の微調整を提供するように適合されているユーザ調節手段/要素/機構を実装することが意図される。好ましくは、ユーザ調節要素は、ユーザ調節要素を回している間ユーザにグリップを提供するためのノップ形状またはノップ形状部分を有してもよい。換言すれば、この目的のために、位置合わせロッド(好ましくはロッドに平行)に回転可能に支持/保持/取り付けられる、手動で作動可能な回動ノップ/スリーブ/ボルトが設けられる。回動スリーブはその長手方向軸の周りの回動スリーブの回転が旋回軸周りのケーシングの旋回運動に変換されるように、ケーシング(好ましくはケーシング内)と機能的に接続される。
【0018】
好ましくは、ロック機構を設けることができる。ロック機構は、位置合わせロッドとユーザ調節要素との間の回転動作を(微調節方式で)ロックおよびロック解除するように適合されてもよい。ロック機構は、ユーザ調節要素に固定された解放要素、好ましくはスナップ嵌めフックと、位置合わせロッドに固定された係合要素、好ましくはスナップ嵌めスロットを備えてもよい。解放要素は、係合要素とロック位置で係合する。
【0019】
より好ましくは、ロック機構は各々がロック位置を形成する複数の係合要素を備えてもよい。複数の係合要素は、好ましくは位置合わせロッドの周方向において互いに離間されていてもよい。位置合わせロッドの周方向は、ユーザ調節要素の周方向に対応する。より好ましくは、複数の係合要素が2つの隣接するロック位置が位置合わせロッドとスライドレールとの間に、途切れず段階式の、より好ましくは1°刻みのステップで旋回運動を生成するように、互いに離間されてもよい。すなわち、ユーザ調節要素を1つのロック位置から隣接するロック位置に回動させることにより、脛骨に対する脛骨切除ガイドの向きを矢状視で1°変化させることに対応する旋回運動が引き起こされる。すなわち、旋回運動は、切除の後方傾斜に対応する。言い換えると、回動スリーブ/ボルトと、回動スリーブ/ボルトの回動方向に互いに間隔を置いて配置された複数のロック位置に分割されている、またはそれを備えるロッドとの間に、(好ましくは手動で操作可能である)ロック機構が設けられていてもよく、本発明の好ましい実施形態では、2つの隣接するロック位置の間の周方向距離がカンチレバーアームに対するロッドの1°の旋回を生成するように規定される。したがって、旋回運動は、後脛骨勾配をスムーズに調節することができる。より好ましくは、ユーザ調節要素が選択されたロック位置に対応する調節された傾斜を示すスケールを備えてもよい。
【0020】
本発明による特に好ましい実施形態では、解放要素はユーザ調節要素の周縁上にボタンを備えてもよく、ボタンはロック機構をロック解除するために、好ましくはロック位置のうちの1つにおける係合を係合解除するために、ユーザによって手動で押されるように、および、ユーザ調節要素が位置合わせロッドの周方向において時計回りまたは反時計回りに回されることを可能にするように適合されている。すなわち、ロック機構は手動で解放可能に係合される。したがって、意図しない調節を回避することができる。
【0021】
より好ましくは、ロック機構が少なくとも0°~7°の配向の調節能力を提供するように設計されてもよい。好ましい実施形態では、ロック機構がユーザ調節要素の回動の調節能力を制限する制限停止部を備えてもよく、したがって、調節可能な傾斜は所定の範囲内、特に、0°~7°の傾斜に対応する所定の範囲内であってもよい。
【0022】
本発明による好ましい実施形態では、ケーシングがスライド軸に沿ってスライドレールをスライド可能に受容するスライド案内スロットを備えてもよく、スライド軸はスライドレールの長手方向/軸である。例えば、スライド案内スロットは、ケーシングをスライド方向に/スライド軸に沿って貫通する貫通孔であってもよい。これにより、コンパクトな構成とすることができる。例えば、スライド案内スロットは、スライド方向への相対運動を除いて、ケーシングに対するスライドレールの任意の自由度を排除する矩形の断面(スライド軸に垂直な平面内)を有してもよい。言い換えれば、ケーシング、特にスライド案内スロットは、スライドレールのための直線ベアリング/一方向ベアリングを提供する。
【0023】
好ましくは、スライドレールは、スライド軸に沿って細長い、位置合わせロッドが通過する孔を備えてもよい。細長い穴は、ケーシングに対する位置合わせロッドの最大の旋回運動を可能にするように、および/またはケーシングに取り付けられたままの状態でケーシングに対するスライドレールの最大のスライド運動を可能にするように設計されてもよい。したがって、スライド能力は位置合わせロッドによって妨げられず、旋回能力はスライドレールによって妨げられない。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、ケーシングが旋回軸を介して位置合わせロッドに旋回可能にケーシングを取り付ける旋回要素を備えてもよく、旋回軸は回転軸に垂直であり、スライド軸に垂直である。軸(旋回軸、スライド軸、回転軸)は、互いに垂直であるので、任意の配向に調節することができる。好ましくは、旋回要素がユーザ調節要素(または位置合わせロッド)の円周面に接触していてもよい。このようにして、旋回運動が案内され、制御することができる。好ましくは、旋回要素はケーシングに、特に、ケーシングの内側に固定され、ユーザ調節要素の円周面に向かって延在してもよい。より好ましくは、旋回要素が2つの(第1の)ピンによって形成されてもよく、それぞれのピンの長手方向軸は旋回軸と一致し、ピンはユーザ調節要素の周方向において互いに対向する側に配置される。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、ユーザ調節要素は、リンク部材を受容するユーザ調節要素の周面に旋回案内溝を備えてもよい。リンク部材は、ケーシングの内側に固定され、旋回案内溝に向かって延在してもよい。旋回案内溝は、ユーザ調節要素が回される際にユーザ調節要素に対するケーシングの相対運動を引き起こすように設計されていてもよい。好ましくは、リンク部材の長手方向軸はスライド軸と一致し、すなわち、スライド軸に対して軸方向に平行である。したがって、位置合わせロッドに対するユーザ調節要素の回転と、スライドレールに対する位置合わせロッドの旋回運動との間の変換を達成することができる。これは、ユーザ調節要素を回す/回転させることによって後脛骨傾斜を容易に調節するという利点を有する。
【0026】
言い換えれば、旋回機能は、回動スリーブ/ボルトの円周面に向かって延びるようにケーシングの内側に固定されたリンク部材によって達成することができ、回動スリーブ/ボルトは、回動スリーブ/ボルトはガイドスロットを備え、ガイドスロットは、リンク部材の自由端を受容/スライド可能に保持し、そこでガイドスロットは回動スリーブ/ボルトの周方向に延在し、回動スリーブ/ボルトが(手動で)回転された場合に、リンク部材を引くおよび/または引っぱるように設計され、したがって、ケーシングを回動スリーブ/ロッドに向かって引き寄せる/ケーシングを回動スリーブ/ロッドから引き離すように設計される。
【0027】
好ましい実施形態では、旋回案内溝はその周方向延在部に沿って、好ましくは途切れず増加または減少する深さを有する。旋回案内溝の深さが変化することにより、リンク部材は、位置合わせロッドおよびユーザ調節要素へ引き寄せられる/引かれる、および/または位置合わせロッドおよびユーザ調節要素から離れるように引っ張られ、すなわち、ユーザ調節要素に近づく、またはユーザ調節要素から離れる(したがって、位置合わせロッドが旋回運動を引き起こす)。代替の好ましい実施形態では、旋回案内溝が好ましくは一定のピッチを有する螺旋形状を有してもよい。すなわち、(リンク部材の)球軸とリンク部材を案内する螺旋溝が接続することで、旋回運動を引き起こす。例えば、溝の長さは、円筒形支持体の周方向長さの半分未満に制限することができる。特に、長さは、脛骨切除ガイドに従って調節される角度/傾斜に制限されてもよい。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、ユーザ調節要素を位置合わせロッドに回転可能に取り付けるための締結要素が設けられてもよい。ユーザ調節要素は、ユーザ調節要素の周面において、位置合わせロッドに固定されている締結要素を受容する溝を備えてもよい。溝は、位置合わせロッドとユーザ調節要素とを互いに回転可能に支持する。溝は、回転軸に垂直な平面内に配置されてもよい。例えば、締結要素は1つまたは複数の(第2の)ピンによって形成されてもよく、それぞれのピンの長手方向軸は回転軸に垂直であり、ピンはユーザ調節要素(および位置合わせロッド)の周方向に、より好ましくは等距離で互いに離間される。溝は、周方向に形成される。したがって、位置合わせロッドとユーザ調節要素との間の任意の他の相対運動、例えば、回転軸に沿った並進運動を防止しながら、相対回転能力を提供することができる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、位置合わせロッドが長さ調節可能な伸縮式伸長バーであってもよい。したがって、位置合わせロッドは、患者の個々の脛骨の長さに適合させてもよい。さらに、調節の端部から延在する伸縮式位置合わせロッドにより、選択された角度を検証することができる。本発明の代替の好ましい実施形態では、位置合わせロッドおよびユーザ調節要素はそれぞれ、位置合わせロッドの長手方向、すなわち回転方向に沿って延在する貫通孔を形成してもよく、貫通孔は(別個の)髄外チェックロッドを受容するように適合される。したがって、選択された角度は、システムを通過する髄外チェックロッドを用いて検証することができる。したがって、検証は、システムの外側に髄外チェックロッドを備えるシステムよりも正確である。
【0030】
好ましくは脛骨調節ハウジングが提供されてもよく、脛骨調節ハウジングは位置合わせロッドを保持し、位置合わせロッドと、脛骨切除ガイドを備えた脛骨位置合わせジグとを連結する。より好ましくは、脛骨調節ハウジングが回転軸に沿って位置合わせロッドにスライド可能に取り付けられてもよい。その結果、脛骨調節ハウジングは、脛骨切除ガイドが位置合わせロッドの方向に移動することを可能にする。したがって、脛骨切除ガイドの傾斜およびシフト運動は、本明細書に記載されるような髄内脛骨位置合わせシステムによって達成できる。
【0031】
言い換えると、要するに、本発明は全膝関節形成術中に、脛骨切除を行う前に、後方傾斜を0°から7°まで1°の増分で容易に調節することを可能にする、髄内脛骨位置合わせシステムに関する。後方傾斜の調節は、膝関節の屈曲を管理することを可能にする。髄内脛骨位置合わせは通常、後方傾斜の角度を調節およびロックできず、いくつかの固定された角度のみを有するという欠点がある場合がある。髄内システムは脛骨切除のために必要とされる脛骨切断ガイドを位置決めすることを可能にし得、ここで、脛骨髄内システムは参照としてもよい。さらに、システムはボタンをロック解除し、および回すことによって、切断ガイド支持体を配向付けることを可能にしてもよい。この配向は、矢状面(後方傾斜)において1°増分で0°~7°であってもよい。後方傾斜は、2つの最大位置および最小位置である0°と7°との間であってもよい。特に、システムは角度の調節およびロックを可能にしてもよく、これは、あまり空間を占めない。言い換えれば、スライドレールは、髄内軸との接続およびシステムの変位を可能にしてもよい。0°から7°までの傾斜の角度付けは、スライドナットと連動して、軸周りのシステムの回転によって管理される。この回転は、ボタンの操作によって生成されてもよい。実際、ボタンの回転が、球軸と円筒形支持体の螺旋溝との間の接続に応じて、システムの角度付けを生成してもよい。要求される角度は、例えば支持体の8個の特定の溝(0°~7°)に入って当たってもよい解放ボタンのばね部分に従ってロックすることができ、その後、システムの角度は、解放ボタンに対するユーザの操作なしに変更することができない。新しい角度は、解放ボタンを押して、適切な溝になるまでボタンを回すことによってのみ選択できる。言い換えれば、ボタンは上述のように、回転つまみと称してもよい。すべての調節と並行して、および/またはすべての調節の最後に、システムは、位置合わせロッドに通すことを含むことで、外部の髄質チェックで、選択された角度を検証できる可能性を提供する。ロッドがシステムを通過するので、システムは、ロッドが機構の外側にあるシフトを有するシステムよりも正確である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、図面を用いて、好ましい実施形態に基づいて、以下により詳細に説明される。図面は概略的な性質のものであり、本発明の理解を向上させることを意図している。同一の要素は、同一の参照符号で参照される。
【0033】
【
図1】0°および7°の傾斜に配置された髄内脛骨位置合わせシステムの使用中の斜視図を示す。
【
図2】髄内脛骨位置合わせシステムの脛骨位置合わせジグの分解図を示す。
【
図3】ユーザ調節要素および脛骨位置合わせジグのケーシングの斜視図を示す。
【
図4】ユーザ調節要素及びケーシングの縦断面図を示す。
【
図5】部分的に長手方向の断面で示されたユーザ調節要素のロック機構の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1~
図5は、本発明による髄内脛骨位置合わせシステム1(以下、位置合わせシステム1と呼ぶ)の好ましい実施形態を示す。位置合わせシステム1は、(脛骨切除)切断器具を脛骨2に対して位置合わせするためのものである。位置合わせシステム1は脛骨2の切除の所望の後方傾斜を達成するために、脛骨切除切断器具の調節を案内する。
【0035】
位置合わせシステム1は、位置合わせシステム1を脛骨2に個別に調節するための位置合わせロッド/位置合わせパイプ3を有する。位置合わせシステム1は、切断器具を案内するための脛骨切除ガイド4を有する。脛骨切除ガイド4は、位置合わせロッド3の先端部(下端部)に接続されている。位置合わせシステム1は、脛骨切除ガイド4を脛骨2に対して方向付けるための脛骨位置合わせジグ5を有する。脛骨位置合わせジグ5は、位置合わせロッド3を患者の脛骨2に静的に固定する。脛骨位置合わせジグ5は、脛骨切除ガイド4の近位(
図1の上)で位置合わせロッド3に接続される。
【0036】
脛骨位置合わせジグ5は、スライドレール6を有する。スライドレール6は、その近位端部分で脛骨2の頭部に接続されるように適合されている。スライドレール6は、脛骨2、特に脛骨頭に挿入可能か、または脛骨2の内側にある要素に調節可能なスライドレール固定具7に接続される。代替的に、スライドレール固定具7はスタイラス(触針)であり、スライドレール6、ひいては脛骨位置合わせジグ5の正確な位置決めを提供する。
【0037】
脛骨位置合わせジグ5は、ケーシング8を有する。ケーシング8は、スライドレール6(の遠位端部)をスライド軸Sに沿ってスライド可能に受け入れる。スライド軸Sはスライドレール6の長手方向軸と一致する。ケーシング8は位置合わせロッド3とスライドレール6とが互いに旋回可能に保持されるように、旋回軸Pを介して位置合わせロッド3に取り付けられている。旋回軸Pは、スライド軸Sに対して垂直である。
【0038】
脛骨位置合わせジグ5は、ユーザ調節要素9を有する。ユーザ調節要素9は、位置合わせロッド3によって回転軸Rの周りに回転可能に保持される。回転軸Rは位置合わせロッド3の長手方向軸と一致する。回転軸Rは、スライド軸Sに垂直である。回転軸Rが旋回軸Pに垂直である。位置合わせロッド3に対するユーザ調節要素9の回転がスライドレール6に対する位置合わせロッド3の旋回運動に変換されるように、ユーザ調節要素9はケーシング9に機能的に接続される。この動きの変換について、以下に
図2を参照して説明する。
【0039】
ユーザ調節要素9および位置合わせロッド3は、ユーザ調節要素9の複数の回転位置/ロック位置において互いに組み合うように適合されている。複数の回転位置は位置合わせロッド3の旋回運動に従って位置合わせロッド3の異なる複数の配向に対応し、すなわち、位置合わせシステム1によって案内される脛骨2に対する異なる複数の後方切除傾斜に対応する。
図1では、位置合わせシステム1が脛骨2に対して0°の傾斜(左側)および7°の傾斜(右側)が切除によって達成され得るように位置合わせされている。
【0040】
位置合わせシステム1は、脛骨調節ハウジング10を有する。脛骨調節ハウジング10は、位置合わせロッド3の遠位端部に接続されている。脛骨調節ハウジング10は、脛骨位置合わせジグ5の遠位で位置合わせロッド3に接続されている。脛骨調節ハウジング10は、位置合わせロッド3を脛骨切除ガイド4に接続する。脛骨調節ハウジング10は、回転軸Rに沿って/平行にスライド可能な位置合わせロッド3にスライド可能に取り付けられる。
【0041】
図2から
図4は、脛骨調節ジグ5を詳細に示している。ユーザ調節要素9は、(下側/遠位)円筒形支持部11と、(上側/近位)つまみ部12とを備える。つまみ部12は位置合わせシステム1を調節するために、ユーザによって接触/ハンドリングされるように適合されている。円筒形支持部11とつまみ部12とは、円筒形支持部11とつまみ部12とに係合するねじ13によって固定されている。円筒形支持部11とつまみ部12とは、互いに移動不可である。
【0042】
位置合わせシステム1は、位置合わせロッド3とユーザ調節要素9との間の回転動作をロックおよびロック解除するように適合されたロック機構を有する。ロック機構は、解放要素14および係合要素15を備える。解放要素14は、ユーザ調節要素9に固定されている。係合要素12は、位置合わせロッド3に固定されている。解放要素14および係合要素15は、ロック位置で係合している。ロック機構は、各々がロック位置を形成する複数の係合要素15を備える。複数の係合要素15は、2つの隣接するロック位置が位置合わせロッド3とスライドレールとの間で一貫して階段式の、より好ましくは1°ずつステップを刻む旋回動作を生成するように、互いに離間されている。解放要素14は、ユーザ調節要素9の円周上にボタン16を備える。ボタン16はロック機構をロック解除するためにユーザによって手動で押されるように、また、位置合わせロッド3に対して周方向に時計回りまたは反時計回りにユーザ調節要素9を回動させることを可能にするように適合されている。ボタン16を押さないと、ユーザは、ユーザ調節要素9をどの方向にも回すことができない。ロック機構については、
図5を参照して詳細に説明する。
【0043】
ケーシング8は、スライド案内スロット17を備える。スライド案内スロット17は、スライドレール6をスライド軸Sに沿ってスライド可能に受け入れる/支持する。スライド案内スロット17は貫通孔として形成されている。スライド案内スロット17は、スライド軸Sに垂直に見て矩形断面を有する。スライド案内スロット17がスライドレール6を一方向に案内する。
【0044】
スライドレール6は、スライド案内スロット17に収容されている。スライドレール6は、長孔18を備える。孔18はスライド軸Sに沿って細長い。位置合わせロッド3(または位置合わせロッド3に固定された要素)は、スライド軸Sに沿ったスライドレール6の(スライド)位置から独立して、または旋回軸Pを介した位置合わせロッド3の(旋回)位置から独立して、孔18を通過する。
【0045】
ケーシング8は、旋回要素19を備える。旋回要素19は、旋回軸Pを介して位置合わせロッド3に旋回可能にケーシング8を取り付ける。旋回要素19はユーザ調節要素9(ここでは円筒形支持部11)の円周面に接触する。旋回要素19は、ケーシング8に固定される。旋回要素19は、スライド案内スロット17の近位/上方にある。旋回要素19は、ユーザ調節要素9の円周面に向かって延びるようにケーシング8の内側に固定される。旋回要素19は、位置合わせロッド3の孔20を貫通する。旋回要素19は、2つの(第1の)ピンによって形成される。ピンの長手方向軸はそれぞれ、旋回軸Pと一致する。ピンは、ユーザ調節要素9の周方向において互いに対向する側に配置される。
【0046】
ユーザ調節要素9は、ユーザ調節要素9の円周面に旋回案内溝21を備える。旋回案内溝21は、リンク部材22を収容する。リンク部材22は、ケーシング8と位置合わせロッド3とを機能的に接続する。リンク部材22は、ケーシング8の内側に固定され、旋回案内溝21に向かって延びている。リンク部材22は、スライド案内スロット17の近位/上方にある。旋回案内溝21はユーザ調節要素9が回される際に、ユーザ調節要素9に対するケーシング8の相対移動を引き起こすように設計される。例えば、ケーシング8は、ユーザ調節要素9へ引っ張られる/引き寄せられるか、又は引き離されることができる。リンク部材22は、ネジまたは(球状の)ピンとして形成される。リンク部材22は、位置合わせロッド3の孔23を貫通している。孔23は、回転軸Rに沿って細長く形成されている。旋回案内溝21は螺旋状である。すなわち、旋回案内溝21は周方向に対して傾斜しており、リンク部材22の球軸が旋回案内溝21内で周方向に案内される際に、ユーザ調節要素9に対するケーシング8の相対移動を引き起こす。代替的に、旋回案内溝21はユーザ調節要素9に対するケーシング8の相対移動を引き起こすために、その周方向延在部に沿って(一貫して)増加または減少する深さを有することができる。旋回案内溝21の周方向延在部は、位置合わせロッド3に対するユーザ調節要素5の回転運動のための制限停止部を提供することができる。
【0047】
位置合わせシステム1は、締結要素24を備える。締結要素24は、回転軸Rに沿って位置合わせロッド3にユーザ調節要素9を回転可能に取り付ける。締結要素24が位置合わせロッド3に固定される(締結要素24が位置合わせロッド3の穴25と係合する)。締結要素24は、複数の(第2の)ピン、ここでは3つの第2のピンによって形成される。ピンの長手方向軸は、回転軸Rに対して垂直である。ピンはユーザ調節要素9の周方向において離間している。ピンは、互いに等距離で離間される。ユーザ調節要素9は、ユーザ調節要素9の円周面において、回転軸Rに垂直な平面内に延びる溝26を備える。溝26は周方向に形成されている。溝26は、締結要素26(ピン)を受容する。
【0048】
脛骨位置合わせジグ2は、位置合わせシステム1を貫通する貫通孔27を備える。貫通孔27は回転軸Rと一致/平行に延在する。貫通孔27は、脛骨2に対する位置合わせロッド3の調節された傾斜を検証するために、別個の髄外チェックロッド28(
図1参照)を受容/収容するように適合される。代替的に、位置合わせロッド3は、長さが調節可能な伸縮式伸長バーによって形成することができる。脛骨位置合わせジグ2から近位に延在するバーの部分は、髄外チェックロッドとして使用することができる。
【0049】
図5に、目視機構を詳細に示す。解放要素14は、スナップ嵌めフックに形成される、または有する。係合要素15は、形成される、またはスナップ嵌めスロットを有する。スナップ嵌めスロットは、位置合わせロッド3(または位置合わせロッド3に固定された要素)の内(周方向)側面に形成される。スナップ嵌めフックは位置合わせロッド3の内(周方向)側面に向かって延び、ロックする/ロックされた位置でスナップ嵌めスロット(複数可)(のうちの1つ)と係合する。ボタン16を径方向内側に(例えば、バネの力に逆らって)押すと、フックとスロットとの間のスナップ嵌めが解除され、それにより、ユーザ調節要素9を回すことが可能になる。スナップ嵌めスロットは、位置合わせロッド3の周方向において間隔を置いて配置される。隣接するロック位置間の周方向距離は、位置合わせロッド3とスライドレール6との間、したがって脛骨2との間で旋回運動の規定されたステップを生成する。
【符号の説明】
【0050】
1 髄内脛骨位置合わせシステム
2 脛骨
3 位置合わせロッド
4 脛骨切除ガイド
5 脛骨位置合わせジグ
6 スライドレール
7 スライドレール固定具
8 ケーシング
9 ユーザ調節要素
10 脛骨調節ハウジング
11 円筒部
12 つまみ部
13 ピン
14 開放要素
15 係合要素
16 ボタン
17 スライド案内スロット
18 長孔
19 旋回要素
20 孔
21 旋回案内溝
22 リンク部材
23 長孔
24 締結要素
25 孔
26 溝
27 貫通孔
28 チェックロッド
【国際調査報告】