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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】紫外線放射シールド層
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20230714BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20230714BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20230714BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/28 301R
H01L21/285 Z
C23C14/06 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578809
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 US2021040305
(87)【国際公開番号】W WO2022010785
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/049,290
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ロンドン,マイケル,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキー,シャノン,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】リグオリ,マイケル,ヴイ.
【テーマコード(参考)】
4K029
4M104
【Fターム(参考)】
4K029AA06
4K029AA08
4K029AA24
4K029BA16
4K029BA46
4K029BB02
4K029BC07
4M104BB17
4M104DD33
(57)【要約】
デバイスウエハとハンドルウエハとの間に介在した接合層を含むウエハを製造する方法が提供される。当該方法は、第1堆積プロセスを実行して、ハンドルウエハの裏面上に紫外線(UV)シールド層を堆積させることを含む。第2堆積プロセスを実行して、UVシールド層の露出面上に応力補償層を堆積させる。UVシールド層は、第2堆積プロセスを実行している間に生成されるUVエネルギーが接合層に到達するのを阻止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを製造する方法であって、当該方法は、
デバイスウエハとハンドルウエハとの間に介在した接合層を含むウエハスタック上で第1堆積プロセスを実行することと、
前記第1堆積プロセスに従って前記ハンドルウエハの裏面上に紫外線(UV)シールド層を堆積させることと、
前記ウエハスタック上で第2堆積プロセスを実行して、前記UVシールド層の露出面上に応力補償層を堆積させることと、
を有し、
前記UVシールド層は、前記第2堆積プロセスを実行している間に生成されるUVエネルギーが前記接合層に到達するのを阻止する、
方法。
【請求項2】
前記UVシールド層は前記ハンドルウエハの前記裏面を完全に覆う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記応力補償層は前記UVシールド層の前記露出面を完全に覆う、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2堆積プロセスは各々、物理気相成長(PVD)プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記UVシールド層はタンタル(Ta)を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記UVシールド層は0.1μm以上の厚さを持つ、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記応力補償層は二酸化シリコン(SiO)を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記接合層は、有機材料を有する接着剤を含み、該接着剤は約250℃から約300℃の範囲の温度で接着を維持するように構成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記UVシールド層は、前記応力補償層を堆積させている間に前記接合層が硬化するのを防止する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ウエハを製造する方法であって、
デバイスウエハとハンドルウエハとの間に介在した接合層を含むウエハスタック上で第1堆積プロセスを実行することと、
前記第1堆積プロセスに従って前記ハンドルウエハの裏面上に紫外線(UV)シールド層を堆積させることと、
前記ウエハスタック上で第2堆積プロセスを実行して、前記UVシールド層の露出面上に応力補償層を堆積させることと、
前記応力補償層を堆積させている間に、前記UVシールド層を用いて、生成されるUVエネルギーが前記接合層に到達するのを阻止することと、
前記応力補償層を堆積させることに応じて前記ウエハスタックを曲げほぐすことと、
を有する方法。
【請求項11】
前記ウエハスタックを曲げほぐすことは、湾曲したプロファイルから実質的に真っすぐなプロファイルへと前記ウエハスタックを曲げほぐすことを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
UVエネルギーを阻止することは、前記ウエハスタックを曲げほぐすことと同時に行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記応力補償層は、前記ウエハスタックを前記実質的に真っすぐなプロファイルへと変形させるように、前記ウエハスタックに応力を印加する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記UVシールド層は前記ハンドルウエハの前記裏面を完全に覆う、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記応力補償層は前記UVシールド層の前記露出面を完全に覆う、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第1及び第2堆積プロセスは各々、物理気相成長(PVD)プロセスを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記UVシールド層はタンタル(Ta)を有し、前記応力補償層は二酸化シリコン(SiO)を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記接合層は、有機材料を有する接着剤を含み、前記UVシールド層は、前記応力補償層を堆積させている間に前記接着剤が硬化するのを防止する、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
デバイスウエハとハンドルウエハとの間に介在した接合層を含むウエハスタックと、
前記ハンドルウエハの裏面上に紫外線(UV)シールド層と、
前記UVシールド層の露出面上の応力補償層と、
を有し、
前記UVシールド層は、UVエネルギーが前記接合層に到達するのを阻止するように構成されている、
半導体デバイス。
【請求項20】
前記UVシールド層はタンタル(Ta)を有し、前記応力補償層は二酸化シリコン(SiO)を有する、請求項19に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2020年7月8日に出願された米国出願番号63/049,290号に対する優先権を主張するものであり、その内容をその全体にてここに援用する。
【0002】
本開示は、概して半導体デバイス及び集積回路(IC)に関し、より具体的には半導体デバイス及びICの製造に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイス及び/又はICの製造プロセス中に一般的に一時的なハンドルウエハが使用される。一時的なハンドルウエハは典型的に、様々な製造プロセスを実行している間のターゲットデバイスの構造的耐久性を高めるためにデバイスウエハに接合される。一時的なハンドルウエハは典型的に、シリコンウエハ又は溶融シリカウエハとして形成され、それがデバイスウエハの裏面に接合される。接合されると、様々なプロセス及びツールを使用してターゲットデバイスが製造される。そして、一時的なハンドルは典型的に、製造プロセスの完了後に除去される。
【0004】
一時的なハンドルウエハをデバイスウエハに接合することは典型的に、ハンドルウエハ上に接着剤をディスペンスすること、ハンドルウエハ上の接着剤にデバイスウエハを機械的に接合すること、及び接着剤を加熱して接着を固めることを含め、様々なプロセスを伴う。しかしながら、接着剤を加熱することは、接合されたウエハが形を崩して変形すること、例えば、湾曲する、すなわち、凹/凸プロファイルを形成することを引き起こし得る。ハンドルウエハを接合した後に必要な製造プロセスは典型的に、実質的に湾曲のない形状にウエハを形成し戻す必要がある。
【0005】
湾曲したプロファイルを除去するようにウエハを再整形するために、一時的なハンドルの裏面に酸化シリコン(SiO)の応力補償層を形成することができる。堆積される応力補償層が厚さを増すにつれて、ウエハは非湾曲形状へと曲げ戻り始める。ウエハが実質的に平坦な形状になると、製造プロセスを実行して半導体デバイス又はICを完成させることができる。
【発明の概要】
【0006】
非限定的な一実施形態によれば、デバイスウエハとハンドルウエハとの間に介在した接合層を含むウエハを製造する方法が提供される。当該方法は、第1堆積プロセスを実行して、ハンドルウエハの裏面上に紫外線(UV)シールド層を堆積させることを含む。第2堆積プロセスを実行して、UVシールド層の露出面上に応力補償層を堆積させる。UVシールド層は、第2堆積プロセスを実行している間に生成されるUVエネルギーが接合層に到達するのを阻止する。
【0007】
非限定的な他の一実施形態によれば、ウエハを製造する方法が提供される。当該方法は、デバイスウエハとハンドルウエハとの間に介在した接合層を含むウエハスタック上で第1堆積プロセスを実行することを有する。当該方法は更に、第1堆積プロセスに従ってハンドルウエハの裏面上に紫外線(UV)シールド層を堆積させることを有する。当該方法は更に、ウエハスタック上で第2堆積プロセスを実行して、UVシールド層の露出面上に応力補償層を堆積させることと、応力補償層を堆積させている間に、UVシールド層を用いて、生成されるUVエネルギーが接合層に到達するのを阻止することと、応力補償層を堆積させることに応じてウエハスタックを曲げほぐすことと、を有する。
【0008】
非限定的な更なる他の一実施形態によれば、半導体デバイスは、デバイスウエハとハンドルウエハとの間に介在した接合層を含むウエハスタックを有する。ハンドルウエハの裏面上に紫外線(UV)シールド層があり、該UVシールド層の露出面上に応力補償層がある。UVシールド層は、UVエネルギーが接合層に到達するのを阻止するように構成されている。
【0009】
更なる特徴及び利点が、本開示の技術を通じて実現される。本開示の他の実施形態及び態様が、ここに詳細に記載され、特許請求される技術的概念の一部と見なされる。利点及び特徴とともに本開示をよりよく理解するには、説明及び図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
ここに記載される独占権の詳細は、明細書の結びにある請求項にてとりわけ指摘されて明瞭に主張される。開示の実施形態の上述の及びその他の特徴及び利点が、添付の図面とともに理解される以下の詳細な説明から明らかとなる。
図1】非限定的な一実施形態に従った中間ウエハスタックを示している。
図2】非限定的な一実施形態に従ったUVシールド堆積プロセスの開始後のウエハスタックを示している。
図3】非限定的な一実施形態に従ったUVシールド堆積プロセスに基づくウエハスタック上へのUVシールド層の堆積を示している。
図4】非限定的な一実施形態に従った応力補償堆積プロセスの開始を示している。
図5】非限定的な一実施形態に従ったUVシールド層上への応力補償層の堆積を完了した後のウエハスタックを示している。
図6】非限定的な一実施形態に従ったウエハスタック上に応力補償層を形成する方法を示すフロー図である。
【0011】
ここに示される図は例示的なものである。図又はそこに記載される処理には、開示の精神から逸脱することなく数多くのバリエーションが存在し得る。例えば、アクションを異なる順序で実行したり、アクションを追加、削除、又は変更したりすることができる。また、用語“結合される”又はそのバリエーションは、2つの要素間に連絡経路を持つことを記述するものであり、それらの間に介在要素/接続がない要素間の直接接続を意味するものではない。それらのバリエーションの全てが明細書の一部と見なされる。
【0012】
添付の図及び記述される実施形態の以下の詳細な説明において、図に示される様々な要素は2桁又は3桁の参照符号を備えている。少々の例外を除き、各参照符号の左端の数字は、その要素が最初に示される図に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の様々な実施形態が、関連する図を参照してここに記述される。この開示の範囲から逸脱することなく代わりの実施形態が考案され得る。なお、以下の説明及び図面では、要素間の様々な接続及び位置関係(例えば、上、下、隣接など)が記載される。それらの接続及び/又は位置関係は、別段の断りがない限り、直接的又は間接的であることができ、本開示はこの点に関して限定される意図はない。従って、エンティティの結合は直接的又は間接的な結合のいずれも指すことができ、エンティティ間の位置関係は直接的又は間接的な位置関係であることができる。間接的な位置関係の例として、層“B”の上に層“A”を形成するという本説明における言及は、層“A”及び層“B”の関連する特性及び機能が中間層によって実質的に変化されない限り、層“A”と層“B”との間に1つ以上の中間層(例えば、層“C”)がある状況を含む。
【0014】
以下の定義及び略語が、請求項及び明細書の解釈に使用される。ここで使用されるとき、用語“有する”、“有している”、“含む”、“含んでいる”、“持つ”、“持っている”、“含有する”、若しくは“含有している”、又はこれらの任意の他のバリエーションは、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、要素の列挙を有する組成物、混合物、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるわけではなく、明示的には列挙されていない他の要素や、そのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、又は装置に生来的に備わる他の要素を含むことができる。
【0015】
また、用語“例示的な”は、ここでは、“例、場合、又は例示としての役割を果たすこと”を意味するために使用される。“例示的な”としてここに記載される実施形態又は設計は、必ずしも他の実施形態又は設計よりも好適又は有利であると解釈されるべきではない。用語“少なくとも1つの”及び“1つ以上の”は、1以上の任意の整数、すなわち、1、2、3、4などを含むと理解される。用語“複数の”は、2以上の任意の整数、すなわち、2、3、4、5などを含むと理解される。用語“接続”は、間接的な“接続”及び直接的な“接続”を含むことができる。
【0016】
“一実施形態”、“ある実施形態”、“実施形態例”などへの明細書中での言及は、記載される実施形態が特定の機構、構造、又は特性を含むことができることを指し示し、全ての実施形態がその特定の機構、構造、又は特性を含んでもよいし、そうでなくてもよい。さらに、そのような言い回しは必ずしも同一の実施形態に言及しているわけではない。また、特定の機構、構造、又は特性がある実施形態に関連して記述されるとき、明示的に記載されていようとなかろうと、そのような機構、構造、又は特性を他の実施形態に関連して用いることは当業者の知識の範囲内であることを言っておく。
【0017】
以下での説明の目的で、用語“上側”、“下側”、“右側”、“左側”、“垂直”、“水平”、“頂部”、“底部”、及びこれらの派生語は、図面の図の向きに合わせた、記述される構造及び方法に関するものである。用語“の上にある”、“の上”に、“の上の”、“上に位置した”、又は“の上に位置した”は、例えば第1の構造物などの第1の要素が例えば第2の構造物などの第2の要素上に存在することを意味し、第1の要素と第2の要素との間に例えばインタフェース構造などの介在要素が存在することができる。用語“直接接触”は、例えば第1の構造物などの第1の要素と例えば第2の構造物などの第2の要素とが、これら2つの要素の境界に如何なる中間の導電層、絶縁層、又は半導体層もなく接続されることを意味する。なお、例えば“第2の要素に対して選択的な第1の要素”など、用語“に対して選択的”は、第1の要素をエッチングすることができ且つ第2の要素がエッチストップとして機能することができることを意味する。
【0018】
簡潔さのために、半導体デバイス及び集積回路(IC)の製造に関係する従来技術については、ここで詳細に説明することもあれば、説明しないこともある。また、ここに記載される様々なタスク及びプロセス工程は、ここには詳細に記載されない追加の工程又は機能を有した、もっと包括的な手順又はプロセスに組み込まれることができる。特に、半導体デバイス及び半導体ベースのICの製造における様々な工程はよく知られており、それ故に、簡潔にするために、多くの従来工程については、ここでは簡単にしか述べなかったり、周知のプロセス細部を提供せずに完全に省略したりする。
【0019】
しかし、背景として、本開示の1つ以上の実施形態を実施する際に利用され得る半導体デバイス製造プロセスのより一般的な説明をここで提供する。本開示の1つ以上の実施形態を実施する際に使用される具体的な製造処理は個別には知り得るものであるが、記載される組み合わせでの処理及び/又は本開示の結果構造は独特である。従って、半導体デバイス又はICの製造に関連して記述される独特な組み合わせでの処理は、半導体(例えば、シリコン)基板上で実行される多様な個別に知られた物理的プロセス及び化学的プロセスを利用し、それらの一部をすぐ後に続く段落で説明する。
【0020】
一般に、ICへとパッケージングされることになるマイクロチップを形成するのに使用される様々なプロセスは、つまりは膜堆積、除去/エッチング、半導体ドーピング、及びパターニング/リソグラフィである4つの一般的カテゴリに分類される。堆積は、ウエハ上に材料を成長させたり、コーティングしたり、その他の方法で転写したりする任意のプロセスである。利用可能な技術は、とりわけ、物理気相成長(physical vapor deposition;PVD)、化学気相成長(chemical vapor deposition;CVD)、電気化学析出(electrochemical deposition;ECD)、分子線エピタキシ(molecular beam epitaxy;MBE)、及びより最近では、原子層成長(atomic layer deposition;ALD)を含む。除去/エッチングは、ウエハから材料を除去する任意のプロセスである。例は、エッチングプロセス(ウェット又はドライのいずれか)、化学機械平坦化(chemical-mechanical planarization;CMP)、及びこれらに類するものを含む。半導体ドーピングは、一般的に拡散及び/又はイオン注入によって、例えばトランジスタのソース及びドレインをドーピングすることによる、電気的特性の改変である。
【0021】
前述のドーピングプロセスは、炉アニーリング又はラピッドサーマルアニーリング(rapid thermal annealing;RTA)に続かれる。アニーリングは、注入されたドーパントを活性化するように作用する。トランジスタ及びそのコンポーネントの接続及び絶縁を行うために、導電体(例えば、ポリシリコン、アルミニウム、銅など)及び絶縁体(例えば、様々な形態の二酸化シリコン、窒化シリコンなど)の両方の膜が使用される。半導体基板の様々な領域の選択的なドーピングが、電圧の印加に伴って基板の導電性が変化することを可能にする。それら様々なコンポーネントの構造を作り出すことにより、何百万ものトランジスタを構築し且つ共に配線して、今のマイクロエレクトロニクスデバイスの複雑な回路を形成することができる。半導体リソグラフィは、その後の基板へのパターン転写のために、半導体基板上に3次元レリーフイメージ又はパターンを形成するものである。半導体リソグラフィでは、フォトレジストと呼ばれる感光性ポリマーによってパターンが形成される。トランジスタを構成する複雑な構造、及び回路の何百万ものトランジスタを接続する多数の配線を構築するために、リソグラフィ及びエッチパターン転写工程が何度も繰り返される。ウエハ上にプリントされる各パターンが、先に形成されたパターンにアライメントされ、導電体、絶縁体、及び選択的にドープされた領域が徐々に構築されて、最終的なデバイスを形成する。
【0022】
次に、開示の態様にいっそう具体的に関連する技術の概要に目を向けると、ウエハスタックは、デバイスウエハと一時的なハンドルウエハとの間に配置された接着剤の層を含み得る。このウエハパッケージが、更なる製造処理のために顧客に提供され得る。しかしながら、ウエハパッケージは、例えば僅かに湾曲したプロファイルといった、僅かな変形を伴って顧客に提供されることがあり、該変形は、更なる製造プロセスを続ける前に除去される必要があり得る。
【0023】
変形を除去する1つの戦略は、例えば物理気相成長(PVD)プロセスを用いてハンドルウエハの裏面上に、酸化シリコン(SiO)の応力補償層を付与することである。しかしながら、一時的なハンドルウエハは典型的に、紫外線(UV)放射に対して透明な材料から形成される。結果として、PVDプロセス中に存在するUVエネルギーが接着剤に到達し、それにより、不注意にも接着剤が硬化して固くなることを引き起こす。こうなると、その後にハンドルウエハ及び接着剤を除去するために、例えば研削及び/又は回転力付与(torqueing)などの強力な機械的プロセスが必要となり、それがデバイスウエハにダメージを与えることをもたらし得る。
【0024】
次に、開示の態様の概要に目を向けると、開示の1つ以上の非限定的な実施形態は、先行技術の上述の欠点に、応力補償層を堆積させることに先立ってUVシールド層を設けることによって対処する。UVシールド層は、例えば、UVエネルギーに対して不透明な例えばタンタル(Ta)などの材料を有し、応力圧縮層PVDプロセス中に存在するUVエネルギーから接着層を遮蔽するように構成される。斯くして、応力圧縮層を堆積させる時に接着層の不注意な硬化を防止することができ、デバイスウエハにダメージを生じさせることなくハンドルウエハ及び接着剤を除去することができる。
【0025】
次に図1を参照するに、開示の1つ以上の実施形態に従った、1つ以上のプロセス処理後の中間ウエハスタック100が示されている。本明細書及び請求項において、“中間”ウエハスタックは、最終段階に先立つ製造段階でのウエハスタックとして定義される。中間ウエハスタック100は、水平方向の長さを画成する第1の軸(例えば、X軸)と、第1の軸に対して直交した、水平方向の幅を画成する第2の軸(例えば、Y軸)と、第1及び第2の軸に対して直交した、垂直方向の高さを画成する第3の軸(例えば、Z軸)と、に沿って延びる。
【0026】
中間ウエハスタック100は、デバイスウエハ102、接合(bonding)層104、及び一時的なハンドルウエハ106を含んでいる。開示の1つ以上の実施形態において、中間ウエハスタック100は多層であり、その中に一体化して1つ以上のFEOL層、MOL層、及び/又はBEOL層を含むことができる。デバイスウエハ102は、例えばシリコン(Si)などの半導体材料、例えば二酸化シリコン(SiO)などの誘電体材料、又は半導体材料と誘電体材料の両方の組み合わせを含む様々な材料を有する。1つ以上の非限定的な実施形態において、デバイスウエハは、例えば約400μmから約1000μmの範囲の厚さ又は高さ(例えば、Z軸に沿って延びる)を持つことができる。
【0027】
接合層104は、ハンドルウエハ106をデバイスウエハ102に接着するように構成された一時的な接着剤104を含む。1つ以上の非限定的な実施形態において、接着剤は、例えば約250℃から約300℃の範囲の温度で接着を維持することが可能な有機材料接着剤を含む。接着剤104は、スピンコーティングプロセスを用いてデバイスウエハ102の裏面に塗布されることができ、例えば約90μmから約110μmの範囲の厚さ(例えば、Z軸に沿って延びる)を持つことができる。
【0028】
ハンドルウエハ106は、これに限られないがシリコン(Si)を含むバルク材料を有し、例えば約700μmから約730μmの範囲の厚さ又は垂直高さ(例えば、Z軸に沿って延びる)を持つ。ハンドルウエハ106は、デバイスウエハ102の裏面に対して、これらの間に接着剤104が介在するように配置される。そして、ハンドルウエハ106をデバイスウエハ102に実効的に接着するように、接着剤104が、およそ3分間、約200℃の接着温度に加熱される。接着剤104が加熱されるものの、理解されるべきことには、接着剤104は、この段階ではその定格剥離特性を超えては硬化されず、故に、その後に小さい力の機械的剥離プロセス又は小さい力のレーザ剥離プロセスによって除去されることができる。
【0029】
次に図2を参照するに、ここではUVシールド堆積プロセスとして参照する第1材料堆積プロセスの開始後のウエハスタック100が示されている。1つ以上の非限定的な実施形態において、UVシールド堆積プロセスは物理気相成長(PVD)プロセスを含む。PVDプロセスは、電子の照射又は電子ビームの形態で紫外線(UV)エネルギー105をハンドルウエハ106の裏面に導いて、その上にUV遮蔽材料107を供給する。UV遮蔽材料107は、UVエネルギーに対して不透明であって、最終的にUVエネルギーが接合層104に到達するのを阻止することが可能な様々なタイプの材料を含む。1つ以上の非限定的な実施形態において、UV遮蔽材料107はタンタルを有するが、UVシールド材料はこれに限定されない。例えば、UV遮蔽材料107は、以下に限られないが、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、銅(Cu)、及びチタン(Ti)を含む他のUV遮断材料を有してもよい。
【0030】
図3を参照するに、非限定的な実施形態に従ったUVシールド堆積プロセスに基づくUVシールド層108の堆積後のウエハスタック100が示されている。1つ以上の実施形態において、UVシールド層108はハンドルウエハ106の裏面を完全に覆う。PVDプロセスが適用される時間が増すにつれて、UVシールド層108の厚さも増加する。約0.1μmの厚さで、UVシールド層108は、PVDプロセスによって生成されたUVエネルギーが通り抜けるのを妨げ始め、接合層104に到達するUVエネルギーの量が減少し始める。1つ以上の実施形態において、上述のPVDプロセスは、UVシールド層108が目標厚さ(例えば、Z軸に沿って延びる)に達するまで適用される。1つ以上の実施形態において、目標厚さは、例えば、約1μmから約2μmの範囲である。
【0031】
図4を参照するに、ここでは応力補償堆積プロセスとして参照する第2材料堆積プロセスの開始後のウエハスタック100が示されている。1つ以上の非限定的な実施形態において、応力補償堆積プロセスは物理気相成長(PVD)プロセスを含む。上述のプロセスと同様に、該PVDプロセスは、電子の照射又は電子ビームの形態のUVエネルギー105をUVシールド層108の裏面に導く。UVシールド堆積プロセスとは異なり、応力補償堆積プロセスによって生成されるUVエネルギー105は応力補償材料109を供給する。応力補償層109は、反対方向の応力をウエハスタック100に印加することになる材料を含む。1つ以上の非限定的な実施形態において、応力補償材料109はSiO2を有する。しかしながら、理解されるべきことには、以下に限られないが、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiOxNy)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化タンタル(TaN)、又は上で言及したものの組み合わせを含めた他の酸化物系材料を含む他の応力補償材料が使用されてもよい。応力補償堆積プロセスを実行している間、UVシールド層108が、UVエネルギー105が通り抜けて接合層104に到達することを阻止する又は実質的に阻止する。斯くして、例えば接着剤104である接合層104の不注意な又は早すぎる硬化が防止される。
【0032】
図5を参照するに、非限定的な実施形態に従った応力補償堆積プロセスに基づくUVシールド層108の裏面上への応力補償層110の堆積後のウエハスタック100が示されている。上述のように、PVDプロセスの継続時間が増すにつれて、応力補償層110の厚さは増加する。1つ以上の実施形態において、応力補償層110は、UVシールド層108の露出面を完全に覆うように堆積されることができ、上述のPVDプロセスは、図5に示すように、応力補償層110が目標厚さ(例えば、Z軸に沿って延びる)に達するまで適用されることができる。目標厚さは、例えば、約2μmから約12μmの範囲である。1つ以上の非限定的な実施形態において、目標厚さは、ウエハスタックが実質的に真っすぐなプロファイルへと変形される厚さである。応力補償層110は、ウエハスタックが実質的に真っすぐになるまで、連続的に堆積されてその厚さが増加し得る。
【0033】
なおも図5を参照するに、実質的に真っすぐになって平坦なウエハスタック100が示されている。ウエハスタック100は、応力補償層110を堆積させることに応じて真っすぐになったものである。上述のように、応力補償層109は、反対方向の応力をウエハスタック100に印加する材料を含む。応力補償層109がUVシールド層上に堆積されて厚さを増すにつれて、反対方向の応力がウエハスタック100を変形させて曲げほぐす(flex)ことで、変形又は湾曲プロファイルを除去する。1つ以上の実施形態において、湾曲した変形を除去するようにウエハスタック100を真っすぐなプロファイルへと変形させた後のウエハスタック100の平坦度は、以下に限られないが、外観検査、ドロップゲージ測定、キャパシタンス走査ウエハマッピング、及び直線エッジ標準プロファイルマッチングを含む方法によって特定される。
【0034】
上述のように、応力補償層110を形成する時に、UVシールド層108が、UVエネルギー105が通り抜けて接合層104に到達することを阻止する又は実質的に阻止するので、例えば接着剤104である接合層104はこの段階では硬化されていない。従って、その後にハンドル層106を、デバイスウエハ102にダメージを与えることなく、小さい力の機械的剥離プロセス又は小さい力のレーザ剥離プロセスによって除去することができる。一部の実施形態において、デバイスウエハにダメージを与えることなく更に接合層104を除去するために、例えばウェットエッチャントを用いた洗浄プロセスも適用することができる。
【0035】
次に図6を参照するに、非限定的な一実施形態に従ったウエハスタック上に応力補償層を形成する方法をフロー図で示している。当該方法は処理600で開始し、処理602にて、中間ウエハスタックが顧客によって受け取られて、又は1つ以上の製造ツールに提供されて、1つ以上の後続製造プロセスが開始される。ウエハスタックは、デバイスウエハとハンドルウエハとの間に介在する接合層を含む。処理604にて、第1堆積プロセスが開始される。第1堆積プロセスは、例えば、UVエネルギーとUV遮蔽材料とをウエハスタックに供給するPVDプロセスを含む。UV遮蔽材料は例えばタンタル(Ta)を含む。処理606にて、ハンドルウエハの裏面上にUVシールド層が形成される。UV遮蔽材料がTaを有する場合、UVシールド層として作用するTaの層がハンドルウエハの裏面上に形成される。
【0036】
処理608に移って、第2堆積プロセスが開始される。第2堆積プロセスは、例えば、UVエネルギーと応力補償材料とをUVシールド層に供給するPVDプロセスを含む。応力補償材料は例えば二酸化シリコン(SiO)を含む。処理610にて、第2PVDプロセスを実行している間に、UVシールド層の裏面上又は対向面上に応力補償層が形成される。処理612にて、UVシールド層が、第2PVDプロセス中に生成されるUVエネルギーが接合層に到達するのを阻止する。
【0037】
処理614にて、UVシールド層上に堆積した応力補償層の現在厚さが目標厚さに達したかについて判定が為される。応力補償層の現在厚さが目標厚さに達していない場合、当該方法は処理610に戻り、第2PVDプロセスが続けられる。従って、応力補償層の厚さを増すように応力補償材料の堆積が続行する。一方、応力補償層の現在厚さが目標厚さに達した場合、処理616にて第2PVDが停止され、当該方法は処理618で終了する。1つ以上の非限定的な実施形態において、処理614で記載の目標厚さは、ウエハスタックが実質的に真っすぐなプロファイルへと変形される厚さである。従って、図示していないが、当該方法はまた、ウエハスタックが実質的に真っすぐになったと判定するまで第2PVDプロセスを継続する処理を含むことができる。ここで説明したように、湾曲した変形を除去するようにウエハスタック100を真っすぐなプロファイルへと変形させた後のウエハスタック100の平坦度は、以下に限られないが、外観検査、ドロップゲージ測定、キャパシタンス走査ウエハマッピング、及び直線エッジ標準プロファイルマッチングを含む方法によって特定される。
【0038】
上述のように、開示の様々な非限定的な実施形態は、応力補償層を堆積させることに先立ってUV遮蔽層を設ける。UVシールド層は、例えば、UVエネルギーに対して不透明な例えばタンタル(Ta)などの材料を有し、応力圧縮層PVDプロセス中に存在するUVエネルギーから接着層を遮蔽するように構成される。斯くして、応力圧縮層を堆積させる時に接着層の不注意な硬化を防止することができ、デバイスウエハにダメージを生じさせることなくハンドルウエハ及び接着剤を除去することができる。
【0039】
以下の請求項中の全てのミーンズ・プラス・ファンクション要素又はステップ・プラス・ファンクション要素の対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的にクレーム記載される他のクレーム要素と組み合わさってその機能を実行する如何なる構造、材料、又は動作をも含むことが意図される。本開示の記述は、例示及び説明の目的で提示されており、網羅的であること又は開示された形態での技術的概念に限定されることは意図されていない。開示の範囲及び精神から逸脱することなく、数多くの変更及び変形が当業者に明らかになる。実施形態は、開示の原理及び実際の適用を最もよく説明するために、及び当業者が、企図される特定の用途に適した様々な変更とともに様々な実施形態に関して開示を理解することを可能にするために、選択されて記述されている。
【0040】
開示の好適実施形態について記述したが、理解されるように、当業者は、現時及び将来の双方において、以下に続く請求項の範囲に入る様々な改善及び改良を為し得る。これらの請求項は、最初に記載された開示に対する適正な保護を維持するように解釈されるべきである。
【0041】
本開示の態様を、ここでは、開示の実施形態に従った方法のフローチャート図及び/又はブロック図、並びに装置(デバイス)プロダクトを参照して説明している。図中のフローチャート及びブロック図は、本開示の様々な実施形態に従ったデバイス及びデバイス製造方法の取り得る実装のアーキテクチャ、機能、及び処理を例示している。一部の代わりの実装では、ブロックに記載の機能群が、図に記載の順序以外で行われ得る。例えば、連続して示した2つのブロックが実際には実質的に同時に実行されることがあり、あるいは、関与する機能に応じて、それらのブロックが逆順で実行されるときがある。これまた留意されたいことには、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図の複数のブロックの組み合わせは、半導体デバイスを製造するために指定された機能若しくは動作又は独特な組み合わせの製造処理を実行する特殊目的のハードウェアベースのシステムによって実装されることができる。
【0042】
本開示は、任意の可能な技術的詳細レベルの集積でのデバイス及び/又はデバイス製造方法とし得る。本開示の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されており、網羅的であったり記載された実施形態に限定されたりすることを意図していない。記載された実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、数多くの変更及び変形が当業者に明らかになる。ここで使用した用語は、実施形態の原理、実用的な用途、又は市場で見られる技術に対する技術的改善を最もよく説明するために、又はここに記述された実施形態を当業者が理解することを可能にするために選んだものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】