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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】ハブレスシーブ
(51)【国際特許分類】
   F16G 11/00 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
F16G11/00 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579665
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 US2021039114
(87)【国際公開番号】W WO2021263118
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】63/043,881
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522313802
【氏名又は名称】シャーマン+ライリー,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SHERMAN+REILLY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】ホリス,ハービー カーター
(72)【発明者】
【氏名】モートン,ジョン ジェレマイア
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,ダグラス ブルース
(72)【発明者】
【氏名】トラン,トニ コリーヌ
(57)【要約】
ロープ、ワイヤ、およびその他の吊り下げられた荷重を支持するためのハブレスシーブシステムが記載される。本システムは、軸受内輪と軸受外輪を含み得る。軸受内輪は取付ブラケットを介して、1つまたは複数の支持アームに取り付けることができる。支持アームは、支持体(例えば、電柱、建物、またはその他の構造物)に着脱可能に連結され、本システムおよび吊り下げられた荷重を支持することができる。外輪は、当該外輪が内輪を中心に自由に回転できるように、軸受面上で、内輪に、回転可能に連結させることができる。外輪は、設置時にワイヤやロープを支持するサイズと形状を有するシーブ溝を含むことができる。本システムは、設置または「張設」時に電力線や通信線を張設し一時的に支持するのに用いることができ、恒久的な支持体を設置する際には、取り外すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブレスシーブシステムであって、
取付ブラケットと、
前記取付ブラケットに着脱可能に連結され、前記システムを支持体に取り付けるよう構成された支持アームと、
ラインを支持するよう構成されたライン支持ホイールであって、
外輪であって、当該外輪の外周面に沿って溝を有する外輪と、
ハブレス内輪であって、当該ハブレス内輪の上部において前記取付ブラケットに着脱可能に連結されたハブレス内輪と、
前記内輪と前記外輪との間に配置され、前記外輪が前記内輪を中心に自由に回転できるようにする軸受面と、
を含むライン支持ホイールと、を備える、
ハブレスシーブシステム。
【請求項2】
前記ハブレスシーブシステムの重心は、前記ライン支持ホイールの中心よりも前記ライン支持ホイールの外周に近い、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項3】
前記取付ブラケットは、前記ハブレス内輪に通しボルトで留められている、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項4】
前記取付ブラケットは、前記ハブレス内輪にリベットで留められている、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項5】
前記取付ブラケットと前記支持アームは、単一の連続した材料からなる、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項6】
前記取付ブラケットは、内側取付ブラケットと外側取付ブラケットとを含む、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項7】
前記内側取付ブラケットと前記支持アームは、単一の連続した材料からなる、
請求項6に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項8】
前記支持アームは、第1の支持アームおよび第2の支持アームを含む、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項9】
前記第1の支持アームと前記第2の支持アームとは、前記ライン支持ホイールの中心線に対して対称である、
請求項8に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項10】
前記支持アームは、前記ライン支持ホイールにかかる荷重が前記支持アームの取り付け位置よりも下方に中心を持つように、弓状を有する、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項11】
前記支持アームは、1つまたは複数のアクセサリボスをさらに含む、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項12】
前記1つまたは複数のアクセサリボスは、当該1つまたは複数のアクセサリボスに取り付けられたライトを受け止め支持するよう構成されている、
請求項11に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数のアクセサリボスは、当該1つまたは複数のアクセサリボスに取り付けられた取っ手を受け止め支持するよう構成されている、
請求項11に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項14】
前記支持アームは、当該支持アームに回転可能に連結され、開位置と閉位置との間で回転するよう構成されたサイドフレームをさらに含み、
前記開位置では、前記サイドフレームは前記ライン支持ホイール上に前記ラインを配置できるよう構成され、
前記閉位置では、前記サイドフレームは前記ラインが前記ライン支持ホイールから落ちるのを防ぐよう構成される、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項15】
前記サイドフレームは、当該サイドフレームを前記開位置から前記閉位置へと移動させる、ばね式となっている、
請求項14に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項16】
前記サイドフレームは、当該サイドフレームを前記閉位置に固定するよう構成されたラッチ機構をさらに含む、
請求項14に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項17】
前記サイドフレームは前記支持アームに取り外し可能に取り付けられている、
請求項14に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項18】
前記ラッチ機構は1つまたは複数の磁石を含む、
請求項16に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項19】
前記ラッチ機構はラッチを含む、
請求項16に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項20】
前記取付ブラケットに取り付けられたラインガイドであって、ラインを前記ライン支持ホイールに向かって案内するよう構成されたラインガイドをさらに含む、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項21】
前記ラインガイドは、前記取付ブラケットから外側に延伸する突出部を含む、
請求項17に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項22】
前記ラインガイドは、前記取付ブラケットに取り外し可能に取り付けられている、
請求項18に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項23】
前記ハブレス内輪は、第1の内輪と第2の内輪とを含む、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項24】
前記第1の内輪と前記第2の内輪とは、取り外し可能に互いに連結されている、
請求項23に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項25】
前記第1の内輪と前記第2の内輪は、前記外輪が前記第1の内輪と前記第2の内輪の周りを自由に回転できる一方、前記第1の内輪からも前記第2の内輪からも滑り落ちないように、前記外輪を前記第1の内輪と前記第2の内輪との間に少なくとも部分的に固定するよう構成されている、
請求項24に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項26】
前記ハブレス内輪は、取っ手を備える、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項27】
前記ハブレス内輪は、ライトを備える、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項28】
前記ハブレス内輪は、気象センサを備える、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項29】
前記ハブレス内輪は、電力計を備える、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項30】
前記外輪と前記ハブレス内輪との間で1つまたは複数の軸受を位置合わせするよう構成された固定具をさらに備える、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項31】
前記固定具は、前記外輪と前記ハブレス内輪との間で前記1つまたは複数の軸受を円周方向に位置合わせするよう構成されている、
請求項30に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項32】
前記軸受面は、前記内輪と前記外輪との間に配置された複数の軸受を含む、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項33】
前記複数の軸受は、複数のころ軸受を含む、
請求項32に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項34】
前記複数の軸受は、複数の玉軸受を含む、
請求項32に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項35】
前記溝は、前記外輪上に配置されたラインを受け止め支持するよう構成されている、
請求項1に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項36】
前記溝は半円形の断面形状を含む、
請求項35に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項37】
前記溝はV字形の断面形状を含む、
請求項35に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項38】
前記溝は長方形の断面形状を含む、
請求項35に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項39】
前記溝は被覆材を含む、
請求項35に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項40】
前記被覆剤は、前記システムを前記ラインから電気的に絶縁するよう構成された誘電体材料を含む、
請求項39に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項41】
前記被覆材は、前記外輪と前記ラインとの間の界面における摩擦を低減させるよう構成されている、
請求項39に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項42】
前記被覆材は、前記外輪と前記ラインとの間の界面における摩擦を増加させるよう構成されている、
請求項39に記載のハブレスシーブシステム。
【請求項43】
ハブレスシーブであって、
取付ブラケットと、
前記取付ブラケットに着脱可能に連結され、前記ハブレスシーブを支持体に取り付けるよう構成された支持アームであって、当該支持アームに回転可能に連結され開位置と閉位置との間で回転するよう構成されたサイドフレームを含む、支持アームと、
ラインを支持するよう構成されたライン支持ホイールであって、
外輪であって、当該外輪の外周面に沿って、前記ラインを受け止めるよう構成された溝を有する外輪と、
ハブレス内輪であって、前記ライン支持ホイールの重心が当該ライン支持ホイールの中心よりも当該ライン支持ホイールの外周に近くなるように当該ハブレス内輪の上部で前記取付ブラケットに着脱可能に連結された、ハブレス内輪と、
前記ハブレス内輪と前記外輪との間に配置され、前記外輪が前記内輪を中心に自由に回転できるようにする複数の軸受と、
前記外輪と前記ハブレス内輪との間で前記複数の軸受を位置合わせするよう構成された固定具と、
を含むライン支持ホイールと、を備える、
ハブレスシーブ。
【請求項44】
前記取付ブラケットと前記支持アームは、単一の連続した材料からなる、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項45】
前記取付ブラケットは、内側取付ブラケットと外側取付ブラケットとを含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項46】
前記内側取付ブラケットと前記支持アームは、単一の連続した材料からなる、
請求項45に記載のハブレスシーブ。
【請求項47】
前記支持アームは、第1の支持アームおよび第2の支持アームを含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項48】
前記第1の支持アームと前記第2の支持アームとは、前記ライン支持ホイールの中心線に対して対称である、
請求項47に記載のハブレスシーブ。
【請求項49】
前記支持アームは、前記ライン支持ホイールにかかる荷重が前記支持アームの取り付け位置よりも下方に中心を持つように、弓状を有する、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項50】
前記支持アームは、1つまたは複数のアクセサリボスをさらに含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項51】
前記開位置では、前記サイドフレームは前記ライン支持ホイール上に前記ラインを配置できるよう構成され、
前記閉位置では、前記サイドフレームは前記ラインが前記ライン支持ホイールから落ちるのを防ぐよう構成される、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項52】
前記サイドフレームは、当該サイドフレームを前記開位置から前記閉位置へと移動させる、ばね式となっている、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項53】
前記サイドフレームは、当該サイドフレームを前記閉位置に固定するよう構成されたラッチ機構をさらに含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項54】
前記ラッチ機構は1つまたは複数の磁石を含む、
請求項53に記載のハブレスシーブ。
【請求項55】
前記取付ブラケットに取り付けられたラインガイドであって、ラインを前記ライン支持ホイールに向かって案内するよう構成されたラインガイドをさらに含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項56】
前記ラインガイドは、前記取付ブラケットから外側に延伸する突出部を含む、
請求項55に記載のハブレスシーブ。
【請求項57】
前記ハブレス内輪は、第1の内輪と第2の内輪とを含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項58】
前記第1の内輪と前記第2の内輪とは、取り外し可能に互いに連結されている、
請求項57に記載のハブレスシーブ。
【請求項59】
前記第1の内輪と前記第2の内輪は、前記外輪が前記第1の内輪と前記第2の内輪の周りを自由に回転できる一方、前記第1の内輪からも前記第2の内輪からも滑り落ちないように、前記外輪を前記第1の内輪と前記第2の内輪との間に少なくとも部分的に固定するよう構成されている、
請求項58に記載のハブレスシーブ。
【請求項60】
前記複数の軸受は、複数のころ軸受を含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項61】
前記複数の軸受は、複数の玉軸受を含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項62】
前記溝は半円形の断面形状を含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項63】
前記溝はV字形の断面形状を含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項64】
前記溝は長方形の断面形状を含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項65】
前記溝は被覆材を含む、
請求項43に記載のハブレスシーブ。
【請求項66】
前記被覆剤は、前記ハブレスシーブを前記ラインから電気的に絶縁するよう構成された誘電体材料を含む、
請求項65に記載のハブレスシーブ。
【請求項67】
前記被覆材は、前記外輪と前記ラインとの間の界面における摩擦を低減させるよう構成されている、
請求項65に記載のハブレスシーブ。
【請求項68】
前記被覆材は、前記外輪と前記ラインとの間の界面における摩擦を増加させるよう構成されている、
請求項65に記載のハブレスシーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年6月25日付けの米国仮特許出願第63/043,881号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張し、その全体が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する陳述)
該当なし
【0003】
(共同研究契約の当事者の氏名)
該当なし
【0004】
(配列表)
該当なし
【0005】
(発明者または共同発明者による先行開示に関する陳述)
該当なし
【0006】
(開示の背景)
(1.発明の属する技術分野)
本開示の技術は、一般に、被覆シーブに関するものであり、より具体的には、積層造形プロセスを用いて製造された被覆シーブに関するものである。
【背景技術】
【0007】
(2.関連技術の説明)
シーブは、設置(電柱に新しい電力線を設置する場合など)の最中において、ワイヤ、ロープ、およびその他の材料(まとめて「ライン」と呼ぶ)を支持し、電柱、建物、およびその他の構造物からラインを吊り下げるのに用いられる。シーブは、一般的に、圧力点を作らずに特定のラインに適合するサイズと形状を有するシーブ溝を備えたホイールを含む。また、シーブは、一般的に、回転して、状況の変化などによってラインが引っ張られたり伸縮したりしても摩擦が発生するのを防ぐように設計されている。
【0008】
しかしながら、既存のシーブの問題は、ラインがシーブを通して引っ張られるとき、それらがシーブと完全に揃った状態で引っ張られないことである。そのため、例えばバケットトラックに乗った作業者によってラインが引っ張られると、シーブが多少回転する傾向がある。さらに、シーブは、一般に、ホイールの中心軸の周りに支持されているため、シーブの重心(ほぼ車軸の位置)とラインからの荷重の中心(ホイールの上部)とは、かなり離れている。言い換えれば、ほとんどのシーブは中心の車軸を有しているか、あるいは内輪の周囲に支持されているため、システムの重心(CG)は一般にホイールの中心軸に非常に近い。これは、シーブが設置中にぐらついたりねじれたりすると、ラインが車軸(またはその付近)とホイールの上部との間の距離に等しい半径の弧を描いて移動することを意味する。その結果、大きなシーブの場合、ラインが直径2フィート近い円弧を描いて移動する可能性がある。
【0009】
そのため、ラインの制御が難しくなり、周囲の構造物の損傷や作業員の怪我、さらにはラインの破損を引き起こす可能性がある。また、従来の構成では、荷重(ホイールの上部に位置するライン)とシステムのCGとの間の距離が軸付近で長くなる。2フィートのホイールを有するシーブの場合、これにより応力中心距離がほぼ1フィートとなり、潜在的には数千ポンドを支持していることになる。このトルクは、ホイールを曲げたり、取付ブラケットを曲げたり壊したり、ラインを損傷するなどの原因となる。
【発明の概要】
【0010】
本開示の例には、ライン支持ホイール、取付ブラケット、および1つまたは複数の取り付けアームを備えるシステムが含まれる。ライン支持ホイールは、溝を含む外輪と、ハブレス内輪と、内輪と外輪との間に配置された軸受面とを含み得る。軸受面は、外輪が内輪を中心に所定の摩擦で自由に回転できるようにすることができる。取付ブラケットは、内輪の上部に着脱可能に連結することができる。支持アームは、ライン支持ホイールの片側または両側に配置することができ、システムを構造物に着脱可能に連結することができる。
【0011】
本開示の技術は、取付ブラケットと、取付ブラケットに着脱可能に連結され、システムを支持体に取り付けるよう構成された支持アームと、ラインを支持するよう構成されたライン支持ホイールとを有するハブレスシーブシステムを含み得る。ライン支持ホイールは、外輪の外周面に沿って溝を有する外輪と、ハブレス内輪と、内輪と外輪との間に配置され外輪が内輪を中心に自由に回転できるようにする軸受面とを含み得る。ハブレス内輪は、当該ハブレス内輪の上部において取付ブラケットに着脱可能に連結することができる。
【0012】
ハブレスシーブシステムの重心は、ライン支持ホイールの中心よりもライン支持ホイールの外周に近い位置とすることができる。取付ブラケットは、通しボルトやリベットなどでハブレス内輪に取り付けることができる。取付ブラケットと支持アームは、単一の連続した材料とすることができる。
【0013】
取付ブラケットは、内側取付ブラケットと外側取付ブラケットとを含み得る。内側取付ブラケットと支持アームは、単一の連続した材料とすることができる。
【0014】
支持アームは、第1の支持アームおよび第2の支持アームとすることができる。第1の支持アームと第2の支持アームとは、ライン支持ホイールの中心線に対して対称とすることができる。
【0015】
支持アームは、ライン支持ホイールにかかる荷重が支持アームの取り付け位置よりも下方に中心を持ち得るように弓形にすることができる。支持アームは、1つまたは複数のアクセサリボスを含み得る。当該1つまたは複数のアクセサリボスは、当該1つまたは複数のアクセサリボスに取り付けられたライトを受け止め支持するよう構成することができる。当該1つまたは複数のアクセサリボスは、当該1つまたは複数のアクセサリボスに取り付けられた取っ手を受け止め支持するよう構成することができる。
【0016】
支持アームは、当該支持アームに回転可能に連結されたサイドフレームを含み得る。サイドフレームは、開位置と閉位置との間で回転するよう構成することができる。開位置では、サイドフレームはライン支持ホイール上にラインを配置できるよう構成することができる。閉位置では、サイドフレームはラインがライン支持ホイールから落ちるのを防ぐよう構成することができる。サイドフレームは、当該サイドフレームを開位置から閉位置へと移動させる、ばね式とすることができる。サイドフレームは、当該サイドフレームを閉位置に固定するよう構成されたラッチ機構をさらに含み得る。サイドフレームは支持アームに取り外し可能に取り付けることができる。ラッチ機構は、1つまたは複数の磁石、ラッチ、またはその他のラッチ機構を含む。
【0017】
システムは、取付ブラケットに取り付けられたラインガイドをさらに含み得る。ラインガイドは、ラインをライン支持ホイールに向けて案内するよう構成することができる。ラインガイドは、取付ブラケットから外側に延伸する突出部を含み得る。ラインガイドは、取付ブラケットに取り外し可能に取り付けることができる。
【0018】
ハブレス内輪は、第1の内輪と第2の内輪とすることができる。第1の内輪と第2の内輪とは、取り外し可能に互いに連結させることができる。第1の内輪と第2の内輪は、外輪が第1の内輪と第2の内輪の周りを自由に回転できる一方、第1の内輪からも第2の内輪からも滑り落ちないように、外輪を第1の内輪と第2の内輪との間に少なくとも部分的に固定するよう構成することができる。
【0019】
ハブレス内輪は、取っ手、ライト、気象センサ、電力計、またはその他のアクセサリを含み得る。
【0020】
システムは、外輪とハブレス内輪との間で1つまたは複数の軸受を位置合わせするよう構成された固定具をさらに含み得る。固定具は、外輪とハブレス内輪との間で1つまたは複数の軸受を円周方向に位置合わせするよう構成することができる。
【0021】
軸受面は、内輪と外輪との間に配置された複数の軸受を含み得る。当該複数の軸受は、複数のころ軸受、玉軸受、または他の適切な軸受を含み得る。
【0022】
溝は、外輪上に配置されたラインを受け止め支持するよう構成することができる。溝は、半円形の断面形状、V字形の断面形状、長方形の断面形状、またはその他の適切な断面形状を含み得る。溝は、被覆材を含み得る。被覆材は、システムをラインから電気的に絶縁するよう構成された誘電体材料を含み得る。被覆材は、外輪とラインとの間の界面における摩擦を低減させるよう構成することができる。被覆材は、外輪とラインとの間の界面における摩擦を増加させるよう構成することができる。
【0023】
本開示の技術は、取付ブラケットと、取付ブラケットに着脱可能に連結され、ハブレスシーブを支持体に取り付けるよう構成された支持アームとを有するハブレスシーブを含み得る。支持アームは、当該支持アームに回転可能に連結され、開位置と閉位置との間で回転するよう構成されたサイドフレームを含み得る。ハブレスシーブは、ラインを支持するよう構成可能なライン支持ホイールを含み得る。ライン支持ホイールは、外周面に沿って溝を有する外輪を含み得る。溝は、ラインを受け止めるよう構成することができる。ライン支持ホイールはライン支持ホイールの重心がライン支持ホイールの中心よりもライン支持ホイールの外周に近くなるようにハブレス内輪の上部で取付ブラケットに着脱可能に連結されたハブレス内輪も含み得る。ライン支持ホイールは、ハブレス内輪と外輪との間に配置され外輪が内輪を中心に自由に回転できるようにする複数の軸受も含み得る。ライン支持ホイールは、外輪とハブレス内輪との間で複数の軸受を位置合わせするよう構成された固定具も含み得る。
【0024】
取付ブラケットと支持アームは、単一の連続した材料とすることができる。取付ブラケットは、内側取付ブラケットと外側取付ブラケットとを含み得る。内側取付ブラケットと支持アームは、単一の連続した材料とすることができる。支持アームは、第1の支持アームおよび第2の支持アームとすることができる。第1の支持アームと第2の支持アームとは、ライン支持ホイールの中心線に対して対称とすることができる。支持アームは、ライン支持ホイールにかかる荷重が支持アームの取り付け位置よりも下方に中心を持つように弓形にすることができる。支持アームは、1つまたは複数のアクセサリボスをさらに含み得る。
【0025】
開位置では、サイドフレームはライン支持ホイール上にラインを配置できる。閉位置では、サイドフレームはラインがライン支持ホイールから落ちるのを防ぐことができる。サイドフレームは、当該サイドフレームを開位置から閉位置へと移動させる、ばね式とすることができる。サイドフレームは、当該サイドフレームを閉位置に固定するよう構成されたラッチ機構を含み得る。ラッチ機構は、1つまたは複数の磁石を含み得る。
【0026】
ハブレスシーブは、取付ブラケットに取り付けられたラインガイドを含み得る。ラインガイドは、ラインをライン支持ホイールに向けて案内するよう構成することができる。ラインガイドは、取付ブラケットから外側に延伸する突出部とすることができる。
【0027】
ハブレス内輪は、第1の内輪と第2の内輪とすることができる。第1の内輪と第2の内輪とは、取り外し可能に互いに連結させることができる。第1の内輪と第2の内輪は、外輪が第1の内輪と第2の内輪の周りを自由に回転できる一方、第1の内輪からも第2の内輪からも滑り落ちないように、外輪を第1の内輪と第2の内輪との間に少なくとも部分的に固定するよう構成することができる。
【0028】
上記複数の軸受は、複数のころ軸受、玉軸受、または他の適切な軸受とすることができる。
【0029】
溝は、半円形の断面形状、V字形の断面形状、長方形の断面形状、またはその他の、用途に応じた適切な断面形状を含み得る。
【0030】
溝は、被覆材を含み得る。被覆材は、ハブレスシーブをラインから電気的に絶縁するよう構成された誘電体材料とすることができる。被覆材は、外輪とラインとの間の界面における摩擦を低減または増加させるよう構成することができる。
【0031】
本開示の技術のその他の特徴、機能、および応用例については、本明細書でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本開示のいくつかの例による、ハブレスシーブシステムの一例の正面斜視図である。
図2図2は、本開示のいくつかの例による、ハブレスシーブシステムの一例の詳細な正面斜視図である。
図3図3は、本開示のいくつかの例による、図1のハブレスシーブシステムの一例の展開図である。
図4図4は、本開示のいくつかの例による、シーブの中心線(切断面A-A)に沿った図1のハブレスシーブシステムの一例の断面図である。
図5図5は、本開示のいくつかの例による、支持アーム(切断面B-B)に沿った図1のハブレスシーブシステムの一例の断面図である。
図6A図6Aは、本開示のいくつかの例による、ハブレスシーブシステムと組み合わせて使用できる様々なアクセサリを示す図である。
図6B図6Bは、本開示のいくつかの例による、ハブレスシーブシステムと組み合わせて使用できる様々なアクセサリを示す図である。
図6C図6Cは、本開示のいくつかの例による、ハブレスシーブシステムと組み合わせて使用できる様々なアクセサリを示す図である。
図7図7は、本開示のいくつかの例による、電柱上でラインを支持するハブレスシーブシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の例には、ワイヤやロープなど(まとめて「ライン」と呼ぶ)を支えるためのハブレスシーブシステムが含まれ得る。システムは、軸受内輪と軸受外輪を含み得る。内輪と外輪とは、外輪が内輪を中心に自由に回転できるように、玉軸受、ころ軸受、すべり軸受、またはその他の適切な軸受面で、回転可能に連結させることができる。内輪は固定可能で、当該内輪の上部において1つまたは複数の支持アームによって支持することができる。この構成により、荷重経路が短縮され、安定性が増し、設置時におけるラインの動きの大きさが低減する。
【0034】
以下、説明の便宜上、電力線と通信線の張設や支持に関連して説明する。しかし、当業者であれば、本システムがそれに限定されないことを認識するであろう。実際、本システムは、ロープ、支持ケーブル(例えばスキーリフト用)、通信ケーブル、ワイヤ、およびその他の同様の製品を効率的に設置および支持する必要がある様々な業界で使用できる可能性がある。したがって、以下の説明は、例示を目的としており、限定を意図したものではない。
【0035】
上述のように、現在のシーブ設計の問題は、シーブの外輪が、一般に、システム(すなわちシーブとライン)の重心(CG)がホイールの中心線に非常に近くなるように支持されていることである。一方、ラインはホイールの上部で支持されている。その結果、例えばライン設置時にシーブが回転すると、ラインは、CGとホイールの上部の距離によって定まる円弧に沿ってCGを中心に回転し、ねじれる傾向がある。例えば2フィートのシーブの場合、ラインは12インチの半径で動き、ほぼ2フィートの円弧を描く傾向がある。そのため、ラインの制御が難しくなり、シーブや電柱を損傷する可能性があり、また近くにいる作業員にも危険が及ぶ。
【0036】
また、荷重経路(ホイールの上部からホイールの中央部まで)が比較的長いため、システムにねじれやモーメントの力が加わる。これは、とりわけ、ホイール、軸受、支持アーム、取り付け具などの寿命を縮めることになる。改善されたジオメトリを用いてCGと荷重経路の距離を短縮するシーブシステムがあれば便利である。これにより、設置中にラインが移動する円弧が短くなる。また、これにより、設置中にラインによってシーブにかかるねじれ力も低減する。本開示の例の主題は、そのようなハブレスシーブシステムである。
【0037】
図1および図2に示すように、ハブレスシーブシステム100(「ブロック」100とも呼ぶ)は、内輪105、外輪110、支持アーム115、および取付ブラケット120を含み得る。外輪110は、内輪105上に保持されつつ内輪105を中心に自由に回転できるように、適切な軸受面(図3の要素315を参照して以下で説明する)を用いて内輪105に取り付けることができる。このように、外輪110は、内輪105が静止した状態で回転して、ラインがシステム100を介してシステム100上で引っ張られるようにすることができる。便宜上、内輪105、外輪110、および軸受面は、まとめてライン支持ホイール、または単にシステム100の「ホイール」130と呼ぶことができる。
【0038】
いくつかの例では、外輪110は、摩擦を最小限に抑え、ピンチポイントを作らずに、ラインを支持するようなサイズおよび形状を有する溝125を含むことができる。したがって、より大きな直径のラインの場合、溝125はより大きな直径を有することができ、より小さなラインの場合はその逆である。溝125の形状はまた、ラインの輪郭に基づいて変更することができる。例えば、適切であれば、三角形のラインはV字形の内面を有することができ、丸いラインは略半円形の輪郭を有することができ、リボンケーブルは平坦または長方形の輪郭を有することができる。
【0039】
張設の際に配電ラインを支持するのに用いられる場合など、いくつかの例では、溝125は、被覆材で作られるか、または被覆されていてもよい。被覆材は、例えば、誘電特性を有してもよく、またはラインとホイールとの間の摩擦を低減してもよい。場合によっては、溝125またはその一部は、ラインとホイール130との間のスリップを低減させるために、溝またはその他の牽引強化被覆材を有してもよい。
【0040】
図2に示されるように、取付ブラケット120は、内輪105の上部に着脱可能に連結することができる。いくつかの例では、内輪105は、例えば、内側取付ブラケット120aと外側取付ブラケット120bとの間に位置させることができ、適切な留め具205で機械的に「挟み込」んだり、通しボルトで留めたりできる。いくつかの例では、図に示されるように、取付ブラケット120および内輪105は、相補的な穴を有することができ、ボルト留め、リベット留め、スポット溶接、または他の方法で接続することができる。さらに別の例では、取付ブラケット120と内輪105は一体型であってもよい。すなわち、単体の材料からなってもよい。これは、鋳造、機械加工、積層造形などの手法で実現することができる。
【0041】
内輪105の上部に取付ブラケット120を取り付けることにより、システム100のCGが荷重に向かって上に移動し、設置時のシステムの移動が低減するという利点がある。このCGの変化は、図1において、高さh、すなわち、従来のシーブにおけるCGの位置(点線で示す)とシステム100のCGの位置との差として描かれている。この構成により、荷重経路が短縮される(l+hからlだけに短縮)、設置時のラインの回転やねじれによるラインの移動の大きさが低減する。この構成はまた、CGを中心とした荷重のモーメントアームを低減させ、これにより、ホイール130、取付ブラケット120、および支持アーム(群)115の側面荷重およびねじれの両方を含む、システム100への荷重が低減される。
【0042】
いくつかの例では、システム100は、支持アーム115の反対側に配置された第2の支持アーム(図示せず)を含むことができる。第2の支持アームは、ラインをブロック内に配置できるようにするために、システム100から取り外し可能とすることができる。次いで、第2の支持アームは、適切な留め具、クリップ、またはシステム100を両側から略対称に支持する他の手段を用いて設置することができる。
【0043】
いくつかの例では、支持アーム115は、略弓形または湾曲していて、かつ片側だけであってもよい。弓形の形状は、システム100にかかる下向きの荷重を取り付け点135の下方に集中させることを可能にする。一方、片側だけの支持アーム115は、シーブを分解することなく片側からラインを取り付けることを可能にする。したがって、本構成では、従来のシーブとは異なり、システム100を分解したりラインを切断したりすることなく、既存のラインを途中で支持することができる。仮に、設置中に、例えば、既に複数の支持体に渡って張られているラインの途中に追加の支持体が必要であると判断された場合、追加のシステム100および/または電柱をラインの途中に適宜追加することができる。これは、既存のラインの修理やメンテナンス(例えば、磨耗したり破損したりしたシーブの交換)の際にも便利である。
【0044】
システム100の導電率、材料、公差、およびその他のパラメータは、用途に応じて変更することができる。システム100が、例えば、電力線を張設するのに用いられる場合、構成要素の一部または全部が誘電特性を有して、例えば、電力線を地面から絶縁し、電柱、およびその他の機器が通電するのを防いでもよい。また、システム100の一部または全部を、粉体塗装、塗装(painted)、陽極酸化、亜鉛メッキ、またはその他の方法で処理して、腐食を低減または防止することも可能である。システム100の構成要素の一部または全部を、ラインとホイール130との間の摩擦を低減または増加させる物質で被覆することもできる。
【0045】
例えば、送電線を張設するのにシステム100を用いる場合、まず、複数のブロック100を電柱または塔に設置し、所定の位置に装備することができる。これは、ヘリコプターで(例えば、困難な地形において)、バケットトラックで、あるいは電柱に登って手動で行うことができる。次いで、パイロットライン(またはpライン)をブロック100に供給することができる。これもまた、ヘリコプター、バケットトラックを用いて、または電柱に登って手動で行うことができる。pラインは、より容易に取り扱うことができ、ブロック100を介して供給される、強力でありながら柔軟なライン(例えば、ナイロンまたはケブラー(登録商標)のロープ)であり得る。
【0046】
そして、そのパイロットラインを使って牽引ラインを通過させることができる。牽引ラインは、パイロットラインよりも強く、重く、柔軟性に乏しくてもよいが、ライン(例えば、大きな導体)よりも軽く、より柔軟性があってもよい。牽引ラインは、トラック、トラックのパワーテイクオフ(PTO)ウインチ、または特殊なパイロットライン牽引装置に設置することができる。より小さなラインでは、パイロットラインのステップおよび/または牽引ラインのステップが省略可能な場合もある。
【0047】
次いで、牽引ラインを導体に取り付け、ブロック100を通して導体を引っ張るのに用いることができる。次いで、導体を「たるませる」、または適切な牽引装置(例えば「張設機」)で張力をかけ、マークを付けることができる。次いで、導体フックをラチェットウインチと共に用いて、たるんだ導体を各ブロック100から持ち上げ、ブロック100を取り外せるようにすることができる。次いで、ブロック100を取り外して、恒久的なハンガー(例えば、絶縁体/ダンパー)と交換することができる。最後に、必要に応じて、導体を恒久的なハンガーに「クリップ留め」して、接続/通電することができる。
【0048】
システム100の公差は、様々な効果を達成するために、変更することができる。内輪105、軸受面、および外輪110の間の公差は、例えば、算出した量の摩擦をシステム100に導入するために、きつくすることができる。これにより、例えば、設置中にラインがほどけるのを防ぐことができ、ラインに適切な張りを与えるのが容易になり得る。システム100がより小さいラインを張設するために用いられる場合、例えば、構成要素105、110、および205の間の公差は、できるだけ摩擦が少なくなるように設定され得る。このように、ラインを設置する際に、ラインが擦れて(rubbing or chafing)損傷することがない。これにより、絶縁被覆、シース、および/またはライン自体を長持ちさせることができる。
【0049】
図3に示すように、ホイール130は、外輪110と、1つまたは複数の内輪(例えば、第1の内輪105aと第2の内輪105b)と、複数の留め具305、310と、複数の軸受315とを含み得る。図に示すように、いくつかの例では、外輪110は単体または一体型とすることができ、一方、内輪105a、105bは、組み立てを容易にするために分割設計とすることができる。もちろん、他の構成を用いることもでき、それらが本明細書で企図されている。
【0050】
内輪105a、105b、外輪110、および軸受315は、外輪110が内輪105a、105bを中心に回転できるように、適切な留め具を用いて組み立てることができる。外輪110は、例えば、ころ軸受315(図示)、玉軸受、またはすべり軸受などの適切な軸受面に乗ることができる。いくつかの例では、ころ軸受315は、適切なケージまたは固定具320を用いて配置することができる。固定具320は、ころ軸受315の間隔を設定することができ、内輪105に連結することができる。いくつかの例では、留め具305、310は、ナット310およびボルト305(図示)を含み、構成要素105、110、315を分解、洗浄、修理可能にすることができる。他の例では、システム100は実質的にメンテナンス不要であり、リベット、溶接、接着剤、または他の適切な手段を用いて組み立てることができる。
【0051】
図4に示すように、外輪110は、ころ軸受315を用いて、内輪105に機械的に連結し、内輪105によって保持および支持することができる。図示のように、ころ軸受315は、内輪105と外輪110との間で円周方向に配置されて、外輪110が内輪105を中心に回転できるようにすることができる。もちろん、ころ軸受315は、代わりに、外輪110が内輪105を中心に自由に回転できるようにするのに適した滑り軸受面またはその他の面であってもよい。構成要素105、110、315の軸受面のタイプおよびこれらの公差を変更して、構成要素105、110、315間の摩擦および遊びを、用途に基づいて調整することができる。よりきつい公差は、例えば、より正確な動きを提供することができ得るが、システム100に摩擦をもたらすこともあり得る。
【0052】
図5は、支持アーム115と取付ブラケット120の面B-Bを通る断面を示す。上述のように、取付ブラケット120は、1つまたは複数の留め具205を介して内輪105に取り外し可能に連結された内側取付ブラケット120aおよび外側取付ブラケット120bを含むことができる。このように、内輪105は、取付ブラケット120を介して支持アーム115によって静止状態に保持される。一方、外輪110は、ころ軸受315によって内輪105を中心に自由に回転できる。
【0053】
図5はまた、外輪110の溝125および導体505の例を示す。図に示されるように、いくつかの例では、溝125のサイズおよび形状は導体505と実質的に同じ断面を有するように決定することができる。溝125はまた、導体505と外輪110との間の摩擦および/または導電率を増加または減少させる材料または被覆材を含むことができる。例えば、電力線の設置に用いられる場合、溝125は、例えば、導体505のシース間の摩擦を低減する被覆材を含むことができ、電気的絶縁を提供することもできる。
【0054】
いくつかの例では、取付ブラケット120および/または支持アームはまた、1つまたは複数のアクセサリボス510を含むことができる。アクセサリボス510により、ライトまたは取っ手などの追加の構成要素をシステム100に取り付けることができる。これは、例えば、夜間にラインを設置する場合や、設置中にシステム100を操作できるようにするのに役立つ。
【0055】
いくつかの例では、システム100は、支持アーム115および/または取付ブラケットに取り付けられた固定具、または「サイドフレーム」、515を含むこともできる。サイドフレーム515は、本質的に、導体505がシステム100からはみ出すのを防止するためのドアとすることができる。いくつかの例では、サイドフレーム515は、導体505がサイドフレーム515を容易に押し開くことができるように、ばね式とすることができる。導体505がシステム100の内部(例えば、溝125の中)に十分に入ると、サイドフレーム515は自動的に閉じることができる。これにより、必要なときに導体505を側面から容易に挿入することができるようになる(すなわち、導体505の端部がシステム100に「ねじ込まれる」のとは対照的である)。これにより、例えば、設置中に追加の支持体を追加できるようになり、恒久的な支持体を設置するときにはシステム100を取り外す手段が提供される。
【0056】
いくつかの例では、サイドフレーム515は、ラッチ機構(図示せず)を有することができる。ラッチ機構は、ロック位置とロック解除位置とを有することができる。ロック解除位置では、サイドフレーム515は、導体505をシステム100に挿入できるように開くことができる。ロック位置では、システム100の内部に導体505をより保持するために、サイドフレーム515が開くのを防止することができる。ラッチ機構は、支持アーム115と係合する実際のフックまたはラッチ、支持アーム115とサイドフレーム515との間に位置する強力な磁石、あるいはサイドフレーム515の旋回軸または車軸516上のロック機構を含むことができる。ラッチ機構は、サイドフレーム515上の任意のバネ荷重の代わりに、またはそれに加えて用いられてもよい。
【0057】
他の例では、サイドフレーム515は、導体505をシステム100に設置できるように、取り外し可能とすることができる。いくつかの例では、車軸516は、例えば、サイドフレーム515を取り外すことができるように、取り外し可能(例えば、ヒッチピン)とすることが可能である。他の例では、導体505を挿入するためにサイドフレーム515を取り外し、導体505を保持するために再度、取り付けることができるように、一方または両方の端部に留め具を設けて設置することができる。
【0058】
いくつかの例では、サイドフレーム515は、ラインガイド520を含むこともできる。ラインガイド520は、サイドフレーム515を開く際に導体505を正しい位置に案内するのを助けるために、取付ブラケット120上に配置することができる。ラインガイド520は、導体505を、サイドフレーム515に向かって、最終的にはライン支持ホイール130の溝125に向かって案内するのを助けるために、取付ブラケット120から外側に延伸可能な突出部とすることができる。ラインガイド520は、例えば、1つまたは複数の留め具525によって、取付ブラケット120に取り外し可能に連結することができる。他の例では、ラインガイド520は、クリップ、溶接、リベット、圧入、またはその他の方法で取付ブラケット120に取り付けることができる。サイドフレーム515は、例えば、ヘリコプターを用いてラインを張設する際に特に有用であり得、ヘリコプターが、ラインを上方からガイド520上に降ろし、次いで、導体505が溝125に落ちるまで導体505と共にガイド520を「スライド」させることができる。次いで、サイドフレーム515は、システム100内に導体を保持したまま、パチンと閉じることができる。
【0059】
図6A図6Cに示されるように、内輪レース105、支持アーム115、および取付ブラケット120が、任意の支持体(例えば、電柱や建物)に対して略静止するため、これらの構成要素105、115、120は、様々な有用なアクセサリを取り付けるのに用いることができる。図6Aに示すように、例えば、ライト605、例えば、作業灯、街灯、ストロボライト、または他のタイプのライトを、内輪105に装着することができる。これにより、例えば航空機用に電柱の頂上付近にストロボを設置したり、緊急修理の際に便利な作業灯を設置したりすることができる。
【0060】
図6Bに示すように、これらの構成要素105、115、120は、1つまたは複数の取っ手610を設置するのに用いることもできる。これにより、例えば、システムを設置する際、とりわけ、設置中にラインを操作する際に、便利で安全で快適な持ち手を提供することができる。図に示されるように、取っ手610は、支持アーム115または内輪105に取り付けられるか、またはそれらと一体的に鋳造され得る。もちろん、取っ手610は、同じく静止している内側取付ブラケット120aまたは外側取付ブラケット120bに設置することもできる。
【0061】
図6Cに示すように、これらの構成要素105、115、120は、様々な電子機器615(シンプルな箱として図示されている)を設置するのにも用いることができる。これには、例えば、気象センサ(例えば、風速センサ、湿度センサ、風速計、圧力センサ、温度センサ、雨量計など)、電力計、あるいはその他の電子機器が含まれ得る。いくつかの例では、システム100は、例えば、設置中にラインが誤って活線になったときに作業員に警告するための電力計(例えば、誘導増幅プローブまたはシャント)を含むことができる。システム100は、例えば、インターネットルータ、セルラーマイクロセル、電力会社イントラネット接続、またはケーブルTVルータなど、他の通信電子機器を含むこともできる。
【0062】
図7は、電柱715(例えば、power poleまたはtelephone pole)に設置され、導体505を支持するシステム100を示している。もちろん、システム100は、設置時に通信回線やその他のラインを支持するのに用いることもできる。システム100は、適切なブラケット710を用いて電柱715に貼り付けることができる。ブラケット710は、例えば、電柱715にねじ込むことができ、次いで、システム100は、取っ手610bを用いて所定の位置に持ち上げることができる。次いで、システム100は、適切な留め具(例えば、ボルトまたはリベット)を用いて、取付ブラケット120および支持アーム115からぶら下がるように、ブラケット710に固定することができる。
【0063】
次いで、導体505は、導体505に「適合する」サイズおよび形状を有する、ホイール130の溝125を通して引っ張るか、あるいは当該溝125へと持ち上げることができる。言い換えれば、導体505が丸く、1インチの直径を有する場合、溝125の輪郭は、直径1インチの半円形に任意の所望のクリアランスを加えたものとすることができる。このように、溝125は導体505にぴったりと適合し、十分な支持を提供し、導体505とホイール130との間の相対移動(すなわちそれによる摩擦)を最小にすることができる。
【0064】
導体505が(例えば、バケットトラックまたはヘリコプターによって)システム100内に持ち上げられると、導体505はガイド520上に置かれ、サイドフレーム515に接触して当該サイドフレーム515が開くまで滑り落ち、システム100内に置くことができる。溝125に入ると、導体505は、溝125によって、また、必要に応じてサイドフレーム515によって保持される(例えば、システム100がねじれるような場合)。サイドフレーム515は、導体505を追加的に保持することができるが、システム100を取り外し、恒久的な支持体を設置するために、容易に開くか、または取り外すことができる。
【0065】
以上、いくつかの可能な例を開示したが、本開示の例はそれらに限定されない。例えば、本システムは、電力線または通信線を吊り下げることについて上述したが、本システムは、他の多くの産業、例えば、輸送(例えば、牽引、ケーブルカー、路面電車、列車);クライミング、リギング、および境界用のロープ;ならびに、張設および/または吊り下げが必要な他の実質的にあらゆるラインにも用いることができる。また、さまざまな特徴が開示されているが、他の設計を用いることもできる。ホイール130は、例えば、丸いライン用の溝125を有するように示されているが、吊り下げられるラインによっては、平坦、V字形、または他の適切な形状であってもよい。
【0066】
そのような変更は、本開示の範囲内に含まれるものとする。したがって、本開示の例は、すべての点で例示的であり、限定的ではないと考えられる。本開示の範囲は、上記の説明ではなく、後続の非仮出願で提出された特許請求の範囲によって示され、その等価物の意味および範囲内にあるすべての変更がそこに含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
【国際調査報告】