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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】自動マルチステップ反応デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20230714BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20230714BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20230714BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20230714BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
G01N35/02 A
G01N35/08 A
G01N37/00 101
G01N33/543 521
G01N33/53 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579688
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 US2021038930
(87)【国際公開番号】W WO2021263003
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】63/043,232
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/046,424
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/082,776
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/083,640
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャウス トーマス イー
(72)【発明者】
【氏名】ゴパルクリシュナン ニヒル
(72)【発明者】
【氏名】イン ペン
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC08
2G058CC09
2G058DA07
(57)【要約】
アッセイを実行するためのデバイスは、チューブ110と、キャップ120と、インサート130と、反応容器140とを備える。チューブ110は、中に配設されたラテラルフローストリップ102を含む。キャップ120は、チューブ110に結合され、少なくとも一部で自身を通過するように定められた中空の内部112を含む。インサート130は、キャップ120の中空の内部112内に少なくとも部分的に受容されるように構成される。反応容器140は、中に1つ以上の流体を格納するように構成された空洞143を含み、反応容器140に対するキャップ120の回転により、(i)1つ以上の流体の混合が生じ、(ii)混合された流体の少なくとも一部分が反応容器140からインサート130を介してラテラルフローストリップ102に送達されるように、キャップ120に回転可能に結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチステップアッセイを実行するためのデバイスであって、
中に配設されたラテラルフローストリップを含むチューブと、
前記チューブに結合されるとともに、少なくとも一部で自身を通過するように定められた中空の内部を含む、キャップと、
前記キャップの前記中空の内部内に少なくとも部分的に受容されるように構成されたインサートと、
中に1つ以上の流体を格納するように構成された空洞を含む反応容器であって、前記反応容器に対する前記キャップの回転により、(i)前記1つ以上の流体の混合が生じ、(ii)前記混合された流体の少なくとも一部分が前記反応容器から前記インサートを介して前記ラテラルフローストリップに送達されるように、前記キャップに回転可能に結合される、反応容器と
を備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、前記キャップは、ねじ接続により前記反応容器に結合されることを特徴とするデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスであって、前記チューブおよび前記キャップは一体またはモノリシックであることを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスであって、前記反応容器は複数のウェルを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項4に記載のデバイスであって、前記反応容器の前記複数のウェルは、中に第1の試薬を格納するように構成された第1のウェルと、中に第2の試薬を格納するように構成された第2のウェルと、中に緩衝液を格納するように構成された第3のウェルとを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のデバイスであって、前記第1の試薬はリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)試薬であり、前記第2の試薬はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)試薬であり、前記緩衝液はエキソヌクレアーゼ反応緩衝液であることを特徴とするデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスであって、前記反応容器はOリングを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項8】
請求項5に記載のデバイスであって、前記反応容器は、前記第3のウェルの第1の端部を覆う封止部と、前記第3のウェルの第2の端部を覆う取り外し可能なキャップとを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項9】
請求項8に記載のデバイスであって、前記インサートは、本体と、前記本体から延びる変位バンプと、前記本体から延びるブラシと、前記本体を通って画定されるアパーチャとを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項10】
請求項9に記載のデバイスであって、前記インサートの前記ブラシは、前記反応容器が前記キャップに対し第1の位置に向かって回転され、前記インサートの対応する回転が生じるのに応じて、前記第1のウェルに格納された前記第1の試薬と、前記第2のウェルに格納された前記第2の試薬との混合を支援することを特徴とするデバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のデバイスであって、前記変位バンプは、前記反応容器が前記キャップに対し前記第1の位置から第2の位置に向かって回転されるのに応じて、前記第3のウェルの前記封止部を破壊して、前記緩衝液と前記混合された第1の試薬および第2の試薬とを混合するように構成されることを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスであって、前記インサートの前記本体の前記アパーチャは、前記反応容器が前記キャップに対し前記第2の位置から第3の位置に向けて回転されるのに応じて、前記混合された第1の試薬、第2の試薬および緩衝液を、反応チャンバから前記ラテラルフローストリップに送達するように構成されることを特徴とするデバイス。
【請求項13】
請求項1に記載のデバイスであって、前記キャップは、前記インサートが前記キャップに対し回転方向にロックされるように、前記インサートに係合するように構成された複数のスロットを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項14】
請求項1に記載のデバイスであって、前記チューブは、ねじ接続により前記キャップに結合されることを特徴とするデバイス。
【請求項15】
請求項1に記載のデバイスであって、前記反応容器は、ねじ接続により前記キャップに結合されることを特徴とするデバイス。
【請求項16】
請求項1に記載のデバイスであって、前記反応容器は、中に第1の試薬を格納するように構成され、前記インサートは、中に緩衝液を格納するように構成されたブリスタパックを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項17】
請求項16に記載のデバイスであって、前記第1の試薬はリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)試薬であり、前記緩衝液はエキソヌクレアーゼ反応緩衝液であることを特徴とするデバイス。
【請求項18】
請求項16に記載のデバイスであって、前記反応容器は、前記インサートの前記ブリスタパックに係合し、前記反応容器が前記キャップに対し第1の位置に向けて回転されるのに応じて、前記第1の試薬および前記緩衝液の混合を生じさせるように構成された突起を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項19】
請求項18に記載のデバイスであって、前記ブリスタパックおよび前記突起は通常、円錐形であることを特徴とするデバイス。
【請求項20】
請求項19に記載のデバイスであって、前記突起は、前記突起の表面から延びる1つ以上の羽根を含み、前記1つ以上の羽根は、前記第1の位置に向かう前記キャップの回転に応じて、前記第1の試薬および前記緩衝液の混合を生じさせるのを支援するように構成されることを特徴とするデバイス。
【請求項21】
請求項20に記載のデバイスであって、前記1つ以上の羽根は、螺旋パターン、半螺旋パターン、垂直パターン、水平パターン、対角パターン、またはそれらの任意の組合せで配置されることを特徴とするデバイス。
【請求項22】
マルチステップアッセイを実行するためのデバイスであって、
少なくとも一部で自身を通過するように定められた中空の内部を含むキャップと、
ラテラルフローストリップと、
前記キャップの前記中空の内部内に受容されるように構成されたプランジャアセンブリと、
複数のアパーチャ、スロットおよび封止部を含む試薬インサートであって、前記スロットは、前記ラテラルフローストリップの一部分を中に受けるように構成され、前記封止部は、前記複数のアパーチャが第1の流体および第2の流体、または双方を中に格納することができるように位置決めされる、試薬インサートと、
第3の流体を格納するための内部空洞を含む反応容器であって、前記内部空洞は、中に前記試薬インサートの一部分を受けるように構成され、前記反応容器は、(i)前記反応容器に対する第1の位置に向かう前記キャップの回転により、前記プランジャアセンブリが前記第1の流体および前記第3の流体を混合し、(ii)前記反応容器に対する前記第1の位置から第2の位置へ向かう前記キャップの回転により、前記プランジャアセンブリが前記第1の流体、前記第2の流体および前記第3の流体を混合し、(iii)前記反応容器に対する前記第2の位置から第3の位置に向かう前記キャップの回転により、前記ラテラルフローストリップの少なくとも一部分が前記混合された第1の流体、第2の流体および第3の流体内に配設されるように前記キャップに結合される、反応容器と
を備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項23】
請求項22に記載のデバイスであって、前記キャップは、ねじ接続により前記反応容器に結合されることを特徴とするデバイス。
【請求項24】
請求項22に記載のデバイスであって、前記プランジャアセンブリは、第1の長さおよび第1の先端を有するプライマリプランジャと、第2の長さおよび第2の先端を有するセカンダリプランジャとを含み、前記第1の長さは前記第2の長さよりも大きいことを特徴とするデバイス。
【請求項25】
請求項24に記載のデバイスであって、前記プライマリプランジャは、前記プライマリプランジャの少なくとも一部分を、前記第2の位置に向かう前記キャップの回転に応じて座屈させるように構成された1つ以上のノッチを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項26】
請求項24に記載のデバイスであって、前記試薬インサートの前記複数のアパーチャは、プライマリアパーチャおよびセカンダリアパーチャを含み、前記プライマリアパーチャは、前記プライマリプランジャの一部分を受け、中に前記第1の流体を格納するように構成され、前記セカンダリアパーチャは、中に前記セカンダリプランジャの一部分を受け、中に前記第2の流体を格納するように構成されることを特徴とするデバイス。
【請求項27】
請求項25に記載のデバイスであって、前記プライマリアパーチャは第1のアパーチャ直径を有し、前記セカンダリアパーチャは、前記第1のアパーチャ直径よりも大きな第2のアパーチャ直径を有することを特徴とするデバイス。
【請求項28】
請求項27に記載のデバイスであって、前記プライマリプランジャは第1のプランジャ直径を有し、前記セカンダリプランジャは、前記第1のプランジャ直径よりも大きな第2のプランジャ直径を有することを特徴とするデバイス。
【請求項29】
請求項28に記載のデバイスであって、前記セカンダリプランジャの前記第2のプランジャ直径は前記プライマリプランジャの前記第1のプランジャ直径および前記プライマリアパーチャの前記第1のアパーチャ直径よりも大きいことを特徴とするデバイス。
【請求項30】
請求項26に記載のデバイスであって、(i)前記反応容器に対する前記第1の位置に向かう前記キャップの回転によって、前記プライマリプランジャの前記第1の先端が前記封止部を穿孔し、前記第1の流体および前記第3の流体を混合させ、(ii)前記反応容器に対する前記第1の位置から前記第2の位置に向かう前記キャップの回転によって、前記セカンダリプランジャの前記第2の先端が前記封止部を穿孔し、前記第1の流体、前記第2の流体および前記第3の流体を混合させることを特徴とするデバイス。
【請求項31】
請求項22に記載のデバイスであって、前記キャップは透明であることを特徴とするデバイス。
【請求項32】
請求項22に記載のデバイスであって、前記第1の流体は第1の試薬であり、前記第2の流体は緩衝液であり、前記第3の流体は第2の試薬であることを特徴とするデバイス。
【請求項33】
1つ以上の試料に対する1つ以上の検査を実行するためのデバイスであって、
ハンドルおよび前記ハンドルから延びる複数の採取スワブを含む採取アセンブリと、
複数の反応チャンバを含む反応容器であって、前記複数の反応チャンバの各々は、前記複数の採取スワブのうちの対応する1つに関連付けられる、反応容器と
を備え、
前記デバイスの構成が組み立てられていない構成から組み立てられた構成に動くのに応じて、前記採取アセンブリは前記反応容器に結合され、前記複数の反応チャンバの各々が少なくとも部分的に前記複数の採取スワブのうちの対応するものを中に収容することを特徴とする、デバイス。
【請求項34】
請求項33に記載のデバイスであって、前記複数の採取スワブは線形に配置され、前記複数の反応チャンバは線形に配置されることを特徴とするデバイス。
【請求項35】
請求項34に記載のデバイスであって、前記複数の採取スワブは、少なくとも、第1の採取スワブ、第2の採取スワブおよび第3の採取スワブを含み、前記第3の採取スワブは、線形軸に沿って前記第1の採取スワブと前記第2の採取スワブとの間に位置決めされることを特徴とするデバイス。
【請求項36】
請求項34に記載のデバイスであって、前記複数の反応チャンバは、少なくとも、第1の反応チャンバ、第2の反応チャンバおよび第3の反応チャンバを含み、前記第3の反応チャンバは、線形軸に沿って前記第1の反応チャンバと前記第2の反応チャンバとの間に位置決めされることを特徴とするデバイス。
【請求項37】
請求項33に記載のデバイスであって、前記複数の採取スワブは円形に配置され、前記複数の反応チャンバは円形に配置されることを特徴とするデバイス。
【請求項38】
請求項37に記載のデバイスであって、前記反応容器は円形の断面を有し、前記複数の反応チャンバの各々は、前記反応容器チャンバの外周の約100°~約120°の前記反応容器の部分を占有することを特徴とするデバイス。
【請求項39】
請求項33に記載のデバイスであって、前記複数の採取スワブの各々は、中に画定された1つ以上のアパーチャを含むことを特徴とするデバイス。
【請求項40】
請求項33に記載のデバイスであって、前記複数の採取スワブの各々は、検査される試料を含むように構成され、前記複数の反応チャンバの各々は、検査を実行するための少なくとも1つの物質を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項41】
請求項40に記載のデバイスであって、複数の混合機構を更に含み、各混合機構は、前記複数の反応チャンバのうちの対応するものにおける前記少なくとも1つの物質と、前記複数の反応チャンバのうちの前記対応するものに関連付けられた前記対応する採取スワブによって含まれる前記試料とを混合するのを支援するように構成されることを特徴とするデバイス。
【請求項42】
マルチステップアッセイを実行するための方法であって、
1つ以上の試薬および緩衝液を反応容器内に堆積させることと、
反応チャンバをキャップおよびインサートに結合することと、
前記キャップを第1の位置に向けて動かし、前記1つ以上の試薬、前記緩衝液または双方の混合を生じさせることと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、前記キャップを前記第1の位置に向けて動かすことは、前記反応容器に対し前記キャップを回転させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項42に記載の方法であって、前記1つ以上の試薬は第1の試薬および第2の試薬を含み、前記1つ以上の試薬を反応容器内に堆積させることは、前記第1の試薬を前記反応容器の第1のウェル内に、前記第2の試薬を前記反応容器の第2のウェル内に、および前記緩衝液を前記反応容器の空洞内に堆積させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、前記第1の試薬はリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RCA)試薬であり、前記第2の試薬はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)試薬であることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項44に記載の方法であって、前記キャップを前記第1の位置に向けて動かすことにより、前記第1の試薬および前記第2の試薬の混合が生じることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法であって、第1の所定の温度において第1の所定の時間にわたって前記混合された第1の試薬および第2の試薬をインキュベートすることを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項47に記載の方法であって、前記第1の所定の時間は約5分であることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項47に記載の方法であって、前記第1の所定の温度は約42℃であることを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項47に記載の方法であって、前記キャップを前記第1の位置から第2の位置に向けて動かし、前記第1の試薬、前記第2の試薬および前記緩衝液の混合を生じさせること
を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法であって、前記キャップを前記第2の位置に向けて動かすことは、前記反応容器に対し前記キャップを回転させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
請求項50に記載の方法であって、第2の所定の温度において第2の所定の時間にわたって前記混合された第1の試薬、第2の試薬および緩衝液をインキュベートすることを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、前記第2の所定の時間は約1分であることを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項52に記載の方法であって、前記第2の所定の温度は約20℃~約22℃であることを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項52に記載の方法であって、前記キャップを前記第2の位置から第3の位置に向けて動かし、前記混合された第1の試薬、第2の試薬および緩衝液を前記反応容器から検査ストリップに向けて移送させることを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法であって、前記キャップを前記第3の位置に向けて動かすことは、前記反応容器に対し前記キャップを回転させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項57】
請求項55に記載の方法であって、前記混合された第1の試薬、第2の試薬および緩衝液が、第3の所定の温度において第3の所定の時間にわたってラテラルフローストリップに向けて移送された後、前記混合された第1の試薬、第2の試薬および緩衝液をインキュベートすることを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項58】
請求項57に記載の方法であって、前記第3の所定の時間は約1分であることを特徴とする方法。
【請求項59】
請求項57に記載の方法であって、前記第3の所定の温度は約20℃~約22℃であることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項42に記載の方法であって、前記検査ストリップはラテラルフローデバイスであることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項42に記載の方法であって、前記反応容器内で前記1つ以上の試薬を前記堆積させることは、前記反応容器内に第1の試薬を堆積させることと、前記インサート内に前記緩衝液を堆積させることとを含むことを特徴とする方法。
【請求項62】
請求項61に記載の方法であって、前記キャップを前記第1の位置に向けて動かすことは、前記反応容器に対し前記キャップを回転させ、前記第1の試薬および前記緩衝液を混合させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項42に記載の方法であって、前記キャップは、プライマリプランジャおよびセカンダリプランジャを含むプランジャアセンブリに結合されることを特徴とする方法。
【請求項64】
請求項63に記載の方法であって、前記1つ以上の試薬は第1の試薬を含み、前記インサートは、封止部と、第2の試薬を格納するためのプライマリアパーチャと、緩衝液を格納するためのセカンダリアパーチャとを含むことを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項64に記載の方法であって、前記キャップを前記第1の位置に向けて動かすことは、前記プランジャアセンブリの前記プライマリプランジャに前記インサートの前記封止部の第1の部分を破壊させ、前記第2の試薬を前記反応容器に送達させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、前記第1の試薬および前記第2の試薬を前記反応容器内で混合することを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項67】
請求項66に記載の方法であって、前記第1の試薬および前記第2の試薬を前記反応容器内で前記混合することに続いて、前記第1の試薬および前記第2の試薬をインキュベートすることを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項65に記載の方法であって、前記キャップを前記第1の位置から第2の位置に向けて動かし、前記プランジャアセンブリの前記セカンダリプランジャに前記インサートの前記封止部の第2の部分を破壊させ、前記緩衝液を前記反応容器に送達させることを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項69】
請求項68に記載の方法であって、前記第1の試薬、前記第2の試薬および前記緩衝液を前記反応容器内で混合することを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項69に記載の方法であって、前記混合された第1の試薬、第2の試薬および緩衝液をインキュベートすることを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項70に記載の方法であって、前記検査ストリップの少なくとも一部分を前記混合された第1の試薬、第2の試薬および緩衝液内に配設させることを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項71に記載の方法であって、前記キャップを前記第2の位置から第3の位置に向けて動かし、前記検査ストリップを前記反応容器内の前記混合された第1の試薬、第2の試薬および緩衝液内に少なくとも部分的に配設させることを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項73】
請求項42に記載の方法であって、前記キャップを前記第1の位置に向けて動かすことは、ユーザデバイスを介して前記反応容器に対し前記キャップを回転させるようにユーザに促すことを含むことを特徴とする方法。
【請求項74】
請求項42に記載の方法であって、前記キャップ、前記インサートおよび前記反応チャンバは、検査容器のレセプタクル内に少なくとも部分的に配設されることを特徴とする方法。
【請求項75】
請求項74に記載の方法であって、前記キャップを前記第1の位置に向けて動かすことは、前記検査容器の1つ以上のモータに、前記反応容器に対し前記キャップを回転させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項76】
請求項74に記載の方法であって、前記検査容器は、前記反応チャンバを所定の温度まで加熱するための1つ以上の加熱要素および制御システムを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府支援
本発明は、米国国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)によって授与された助成金番号1DP1GM133052-01、5DP1GM133052-02および1R21CA235421-01の下で米国政府の支援を受けてなされたものである。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本明細書に記載の技術は、ねじ回転機構または他の機構を用いてユーザが手動の段階的プロセスにおいて反応を容易かつ高い信頼性で進めることを可能にする、閉じた容器、例えばチューブ内の生化学反応を可能にする機構のセットに関する。
【背景技術】
【0003】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月25日に出願された米国仮特許出願第63/083,640号、2020年9月24日に出願された米国仮特許出願第63/082,776号、2020年6月30日に出願された米国仮特許出願第63/046,424号、2020年6月24日に出願された米国仮特許出願第63/043,232号の利益および優先権を主張し、その各々を、その全体において、本願に引用して援用する。
【0004】
いくつかの反応、例えば、DNAが増幅される(例えば、指数関数的にコピーされる)反応において、反応産物を密封されたままにしておくことが有用である。核酸増幅検査(NAAT)を用いたSARS-CoV-2および他の感染症の診断においてますます一般的になっているような、特定の核酸標的に対して高感度に増幅させる場合、解放される任意の増幅産物は、テンプレート(標的)自体に類似し、このため、未来の検査を汚染させ、偽陽性をもたらす可能性がある。他の用途では、最終混合物は、毒性であるかまたは周囲の化学物質もしくは環境に敏感である場合がある。更に、現代の用法では、生化学反応において50μl、10μlまたはそれ以下を含む非常に小さな量を用いることが一般的であり、ここで、表面張力、粘度および疎水性力/親水性力は、重みおよび慣性等の質量効果と比較して高い。更に、粘性力に対する慣性力の比は、通常低く、混合プロセスが層状となり、多くの場合に不完全となる。このため、当該技術分野において、検査誤差を引き起こし得る動作因子を制御しながら信頼性のある反応をもたらすデバイス、反応槽および/または容器が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/121322号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの実施態様によれば、マルチステップアッセイを実行するためのデバイスは、チューブと、キャップと、インサートと、反応容器とを備える。チューブは、中に配設されたラテラルフローストリップを含む。キャップは、チューブに結合され、自身を通過するように定められた中空の内部を含む。インサートは、キャップの中空の内部内に部分的に受容されるように構成される。反応容器は、中に1つ以上の流体を格納するように構成された空洞を含む。反応容器は、反応容器に対するキャップの回転により、(i)1つ以上の流体が混合され、(ii)混合された流体の少なくとも一部分が反応容器からインサートを介してラテラルフローストリップに送達されるようにキャップに回転可能に結合される。
【0007】
実施態様のいくつかの態様において、反応容器は、第1の試薬を格納する第1のウェルと、第2の試薬を格納する第2のウェルと、緩衝液を格納する第3のウェルと、第3のウェルの開口部を覆う封止部とを含む。実施態様のいくつかの態様において、インサートは、本体と、本体から延びる変位バンプと、本体から延びるブラシと、本体を通って画定される開口部とを含む。反応容器がキャップに対し第1の位置まで回転するのに応じて、ブラシは、第1のウェル内に格納された第1の試薬および第2のウェル内に格納された第2の試薬の混合を支援する。反応容器がキャップに対し第1の位置から第2の位置まで回転するのに応じて、変位バンプは、第3のウェルの封止部を破壊し、緩衝液を、混合された第1の試薬および第2の試薬と混合するように構成される。反応容器がキャップに対し第2の位置から第3の位置まで回転されるのに応じて、本体のアパーチャは、反応チャンバからラテラルフローストリップに、混合された第1の試薬、第2の試薬および緩衝液を送達するように構成される。
【0008】
実施態様のいくつかの態様において、反応容器は、第1の試薬を格納するように構成され、インサートは、緩衝液を格納するように構成されたブリスタパックを含む。反応容器は、ブリスタパックに係合し、反応容器がキャップに対し第1の位置に向けて回転されるのに応じて、第1の試薬および緩衝液の混合を生じさせるように構成された突起を含む。
【0009】
本開示の別の実施態様によれば、マルチステップアッセイを実行するためのデバイスは、キャップと、ラテラルフローストリップと、プランジャアセンブリと、試薬インサートと、反応容器とを備える。キャップは、自身を通過するように定められた中空の内部を含む。プランジャアセンブリは、プライマリプランジャおよびセカンダリプランジャを含み、キャップの中空の内部内に受容されるように構成される。試薬インサートは、プライマリアパーチャと、セカンダリアパーチャと、スロットと、封止部とを含む。プライマリアパーチャは、第1の試薬を格納するように構成される。セカンダリアパーチャは、第2の試薬を格納するように構成される。スロットは、中にラテラルフローストリップの一部分を受けるように構成される。封止部は、プライマリアパーチャおよびセカンダリアパーチャの双方の端部を覆うように位置決めされる。反応容器は、緩衝液を格納し、中に試薬インサートの一部分を受けるように構成された内部空洞を含む。キャップに対する第1の位置への反応容器の回転に応じて、プライマリプランジャは封止部を穿孔し、第1の試薬および緩衝液を混合する。キャップに対する第1の位置から第2の位置への反応容器の回転に応じて、セカンダリプランジャは封止部を穿孔し、第2の試薬を、混合された第1の試薬および緩衝液と混合する。キャップに対する第2の位置から第3の位置への反応容器の回転に応じて、混合された第1の試薬、第2の試薬および緩衝液が反応容器から試薬インサートを通じてラテラルフローストリップに移送される。
【0010】
本開示の更なる実施態様によれば、1つ以上の試料に対し1つ以上の検査を実行するためのデバイスが、採取アセンブリおよび反応容器を備える。採取アセンブリは、ハンドルおよびハンドルから延びる複数の採取スワブを含む。反応容器は複数の反応チャンバを含む。複数の反応チャンバの各々は、複数の採取スワブの対応するものに関連付けられる。デバイスの構成が組み立てられていない構成から組み立てられた構成に動くのに応じて、採取アセンブリは反応容器に結合され、複数の反応チャンバの各々が少なくとも部分的に複数の採取スワブのうちの対応するものを中に収容する。
【0011】
本開示の更なる態様は、図面を参照して行われる様々な実施態様の詳細な説明を鑑みた当業者に明らかとなる。図面の簡単な説明が以下で提供される。
【0012】
本開示の特徴および利点は、添付の図面と合わせて行われる例示的な実施態様の以下の詳細な説明からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本開示のいくつかの実施態様による、アッセイを実行するための第1のデバイスを示す図である。
図1B】本開示の実施態様による、使用のために組み立てられたときの図1Aのデバイスを示す図である。
図2A】本開示のいくつかの実施態様による、図1Aのデバイスを用いたアッセイの第1のステップを示す図である。
図2B】本開示のいくつかの実施態様による、図1Aのデバイスを用いたアッセイの第2のステップを示す図である。
図2C】本開示のいくつかの実施態様による、図1Aのデバイスを用いたアッセイの第3のステップを示す図である。
図2D】本開示のいくつかの実施態様による、図1Aのデバイスを用いたアッセイの第4のステップを示す図である。
図2E】本開示のいくつかの実施態様による、図1Aのデバイスを用いたアッセイの第5のステップを示す図である。
図3A】本開示のいくつかの実施態様による、全ての構成要素が共に結合されたときの図1Aのデバイスの断面側面図である。
図3B】本開示のいくつかの実施態様による、全ての構成要素が共に結合されたときの図1Aのデバイスの断面斜視図である。
図3C】本開示のいくつかの実施態様による、全ての構成要素が共に結合されたときの図1Aのデバイスの展開斜視図である。
図3D】本開示のいくつかの実施態様による、全ての構成要素が共に結合されたときの図1Aのデバイスの斜視図である。
図4A】本開示のいくつかの実施態様による、アッセイを実行するための第2のデバイスを示す図である。
図4B】本開示の実施態様による、使用のために組み立てられたときの図4Aのデバイスを示す図である。
図5A】本開示のいくつかの実施態様による、図4Aのデバイスを用いたアッセイの第1のステップを示す図である。
図5B】本開示のいくつかの実施態様による、図4Aのデバイスを用いたアッセイの第2のステップを示す図である。
図5C】本開示のいくつかの実施態様による、図4Aのデバイスを用いたアッセイの第3のステップを示す図である。
図5D】本開示のいくつかの実施態様による、図4Aのデバイスを用いたアッセイの第4のステップを示す図である。
図6A】本開示のいくつかの実施態様による、アッセイを実行するための第3のデバイスを示す図である。
図6B】本開示のいくつかの実施態様による、図6Aのデバイスの試薬インサートの上面図である。
図6C】本開示の実施態様による、使用のために組み立てられたときの図6Aのデバイスを示す図である。
図7A】本開示のいくつかの実施態様による、図6Aのデバイスを用いたアッセイの第1のステップを示す図である。
図7B】本開示のいくつかの実施態様による、図6Aのデバイスを用いたアッセイの第2のステップを示す図である。
図7C】本開示のいくつかの実施態様による、図6Aのデバイスを用いたアッセイの第3のステップを示す図である。
図7D】本開示のいくつかの実施態様による、図6Aのデバイスを用いたアッセイの第4のステップを示す図である。
図7E】本開示のいくつかの実施態様による、図6Aのデバイスを用いたアッセイの第5のステップを示す図である。
図8A】本開示のいくつかの実施態様による、組み立てられていない構成におけるアッセイを実行するための第4のデバイスの部分断面斜視図である。
図8B】本開示のいくつかの実施態様による、組み立てられた構成における図8Aのデバイスの部分断面斜視図である。
図9A】本開示のいくつかの実施態様による、組み立てられていない構成におけるアッセイを実行するための第5のデバイスの上面斜視図である。
図9B】本開示のいくつかの実施態様による、組み立てられた構成における図9Aのデバイスの断面斜視図である。
図9C】本開示のいくつかの実施態様による、組み立てられた構成における図9Aのデバイスの断面上面図である。
図10A】本開示のいくつかの実施態様による、アッセイ中の温度を制御するための第1の加熱ブロックを示す図である。
図10B】本開示のいくつかの実施態様による、アッセイ中の温度を制御するための第2の加熱ブロックを示す図である。
図10C】本開示のいくつかの実施態様による、アッセイ中の温度を制御するための第3の加熱ブロックを示す図である。
図11A】本開示のいくつかの実施態様による、アッセイ中の時間を追跡するための第1のタイミング機構を示す図である。
図11B】本開示のいくつかの実施態様による、アッセイ中の時間を追跡するための第2のタイミング機構を示す図である。
図12A】本開示のいくつかの実施態様による、アッセイ中に反応容器を前進させるための第1の機構を示す図である。
図12B】本開示のいくつかの実施態様による、アッセイ中に反応容器を前進させるための第2の機構を示す図である。
図12C】本開示のいくつかの実施態様による、アッセイ中に反応容器を前進させるための第3の機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、様々な変形および代替の形態を受け入れる余地があるが、特定の実施態様は、図面に例として示されており、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、本発明は開示される特定の形態に限定されることを意図したものではないことが理解されるべきである。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内にある全ての変形、等価物および代替を包含するべきである。
【0015】
本発明は、多くの異なる形態の実施形態を受け入れる余地があるが、本発明の好適な態様が、図面に示されており、また、本明細書で詳細に説明されており、本開示は、本発明の原理の例証としてみなされるべきであり、本発明の広い態様を、示される態様に限定することを意図していないという理解を伴う。本詳細な説明の目的のために、単数形は複数形を含み、また、その逆も同様である(具体的に否定されていなければ)。「および(and)」および「または(or)」という語句は、論理積および論理和の両方であるべきである。「全て(all)」という語句は、「任意のおよび全ての(any and all)」を意味している。「任意の(any)」という語句は、「任意のおよび全ての(any and all)」を意味している。「含む(including)」という語句は、「含むがそれに限定されない(including without limitation)」を意味している。
【0016】
いくつかのマルチステップ反応において、臨床現場即時検査を行う医療従事者から、自宅で検査する消費者にわたる、訓練を受けていないかまたは僅かにしか受けていない(非熟練者または非専門家)ユーザによってステップワイズ反応が容易に制御されることが望ましく、このため簡単で制御が容易であるべきである。いくつかの実施態様では、反応量は予め測量することができ、ユーザ側での厳密な動作が必要ない。これは、誤差が頻繁に生じる、ユーザが校正した機器を用いた少量のピペット操作と対照をなす。望ましい製品は、ユーザによる簡単で粗い処置のみを用いて、厳密な動作を内部に含むことができる。少量の試薬の移動を含む反応が、厳密な量の移動、タイミングおよび混合を提供する機構によって駆動されることが望ましい。
【0017】
本明細書に提供されるのは、閉じた反応容器内で信頼性のある、一貫したマルチステップ反応を可能にし、単純な回転機構を用いて10~200μlの量を移動および混合させる機構およびデバイスである。本明細書に記載の様々な態様の実施態様は、アンプリコンでの汚染の問題および使用の容易さが重大である、標的を検出するための増幅反応の実行等の診断目的で用いることができる。実行することができる増幅反応は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、cDNA末端の迅速増幅(RACE)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、マルチプレックスRT-PCR、イムノPCR、SSIPA、リアルタイムRT-qPCRおよびナノ流体デジタルPCR等のPCRの変形、ループ介在等温増幅(LAMP)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、等温増幅、ヘリカーゼ依存等温性DNA増幅(HDA)、ローリングサークル増幅(RCA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、ストランド置換増幅(SDA)、ニッキング酵素増幅反応(NEAR)、ポリメラーゼ連鎖反応(PSR)等を含むことができる。1つの例において、デバイスを用いて、診断、例えばSARS-CoV-2の診断のために、標的核酸を検出することができる。いくつかの実施態様では、一連の反応を進めるために回転またはねじ機構が予期される。いくつかの実施態様は、使用時点における第3の試薬の準備および追加を可能にし、ブラシ状の機構を用いてより小さな量を混ぜ合わせ、それらの混合を確実にする。いくつかの実施態様では、効果的な混合を確実にするために小さな量およびビーズを加えるための容積式機構が用いられる。いくつかの実施態様では、封止部(Oリング等)を用いて漏れを防ぐことができる。いくつかの実施態様では、いくつかの試薬を工場においてパッケージ化し、例えば、活性化中に穿孔することができる箔封止部の下の「ブリスタパック」区画内に維持することができる。いくつかの実施態様では、構成要素は、ポリエチレンまたは他のプラスチックにおいて射出成形されるように設計することができる。いくつかの実施態様は、ラテラルフローストリップ等の検査ストリップを利用する。これらの実施態様において、ラテラルフローストリップを収容する構成要素は、少なくとも部分的に透明であり、それによってラテラルフローストリップを視覚的に調べることができる。いくつかの実施態様では、例示的なデバイスの全体サイズは、高さ約20cmである。
【0018】
図1Aおよび図1Bは、マルチステップアッセイを実行するための例示的なデバイス100の構成要素を示す。デバイス100は、チューブ110と、キャップ120と、インサート130と、反応容器140とを含む。ラテラルフローストリップ102(例えば、検査ストリップ)は、チューブ110の中空の内部112内に位置決めされる。ラテラルフローストリップ102は、ラテラルフロー免疫測定法のために用いられる任意のタイプのラテラルフローストリップとすることができる。いくつかの実施態様では、チューブ110、キャップ120、インサート130、および反応容器140は、ポリエチレンまたは他のプラスチックに射出成形される。示される実施態様において、チューブ110、キャップ120、インサート130、および反応容器140は円形の断面を有することができる。
【0019】
示される実施態様において、チューブ110およびキャップ120は一体またはモノリシックである。この実施態様において、チューブ110およびキャップ120は単片として(例えば射出成形により)形成される。他の実施態様において、チューブ110およびキャップ120は、別個に形成され、次に互いに結合することができる。キャップ120は、中空の内部124を画定する円筒形の壁122から形成される。中空の内部124は、通常、キャップ120の両端121A、121Bにおいて開放しており、中空の内部124がキャップ120全体を通って画定されるようになっている。キャップ120の一方の端部121Aはスロット126Aおよび126Bを含むのに対し、キャップ120の他方の端部121Bは雌ねじ128を含む。本明細書においてより詳細に説明されるように、スロット126Aおよび126Bは、インサート130に係合するように構成され、それによって、インサート130はキャップ120に回転方向にロックされ、キャップ120に対し回転することができない。
【0020】
インサート130は、第1の端部133Aから第2の端部133Bまで本体132全体を通って画定された1つ以上の通路またはアパーチャ134を含む本体132から形成される。インサート130の本体132は、キャップ120の中空の内部124に受容されるように構成される。インサート130は、バンプ136およびブラシ138を更に含む。変位バンプ136およびブラシ138は、各々、本体132の第2の端部133Bから離れるように延びる。変位バンプ136は、通常、本体132の第2の端部133Bの中心から延びる。変位バンプ136は、概ね矩形の形状を有するものとして示される。しかしながら、変位バンプ136は、他の形状を有することもできる。例えば、変位バンプ136は、正方形形状、円筒形形状、円錐形形状、三角形形状、台形形状、錐台形状等を有することができる。
【0021】
図1Aにおいて、ブラシ138は、本体132の第2の端部133Bの一方の側にのみ位置するブラシ毛から形成されるものとして示される。しかしながら、いくつかの実施態様では、ブラシ138は、本体132の第2の端部133Bの円周全体の周りに位置するブラシ毛から形成される。これらの実施態様において、ブラシ138を形成するブラシ毛は、通常、変位バンプ136を取り囲む。
【0022】
反応容器140は、合わせて内部空洞143を画定する壁142Aおよび142Bを含む。示される実施態様において、反応容器140は円形の断面を有する。このため、壁142Aは、中空の円筒形チューブであり得るのに対し、壁142Bは円筒形の基部である。反応容器140の第1の端部141Aにおいて、壁142Aの外周上にOリング145が位置することができる。反応容器140は、反応容器140の第1の端部141Aおよび第2の端部141Bとの間に位置する雄ねじ144を更に備え、それによって、反応容器140はねじ接続によりキャップ120に結合することができる。雄ねじ144は、キャップ120の雌ねじ128と係合し、それによって反応容器140をキャップ120に回転結合するように構成される。雌ねじ128および雄ねじ144は、共に左巻きねじとするか、または共に右巻きねじとすることができる。更に、いくつかの実施態様では、雌ねじ128および雄ねじ144は、共に、ねじ128が雄ねじであり、ねじ144が雌ねじであるように変更されてもよい。
【0023】
反応容器140は、ウェル146Aおよび146Bならびに中心ウェル148を含む複数のウェルも含む。ウェル146A、146Bおよび148は、緩衝液および試薬等の様々な物質を中に格納するように構成される。1つの実施態様において、ウェル146Aはリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)試薬を格納し、ウェル146Bはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)試薬を格納し、中心ウェル148はエキソヌクレアーゼ反応緩衝液を格納する。
【0024】
通常、検査されている試料は、例えばピペットの使用により、アッセイを実行する前に反応容器140内に配置される。いくつかの実施態様では、試料は、ウェル146Aおよび146Bの一方または双方に配置することができる。他の実施態様では、試料の一部分がウェル146Aおよび146Bの上の反応容器140の中空の内部に配設される。示される実施態様において、ウェル146Aおよび146Bは、共に流体結合されていない別個のウェルである。しかしながら、他の実施態様では、反応容器140は、2つの別個のウェル146Aおよび146Bの代わりに単一の環状体ウェルを含んでもよい。
【0025】
いくつかの実施態様では、ウェル146Aおよび146Bは一方の端部において開放しており、他方の端部は、反応容器140の構造から形成される。いくつかの実施態様では、中心ウェル148は、双方の端部において開放している(例えば、中心ウェル148のいずれの端部も反応容器140の構造から形成されない)。これらの実施態様において、反応容器140は、中心ウェル148の一方の端部を覆う封止部149Aと、中心ウェル148の他方の端部を覆う取り外し可能なキャップ149Bとを更に含むことができる。いくつかの実施態様では、封止部149Aは箔封止部である。
【0026】
図1Bは、ユーザによる使用のために組み立てられたデバイス100の実施態様を示す。ラテラルフローストリップ102は、チューブ110内に位置決めされるのに対し、インサート130はキャップ120内に位置決めされる。反応容器140は、インサート130と別個のままである。いくつかの実施態様では、図1Bに示すように組み立てられたとき、物質は、既にウェル146Aおよび146B、ならびに中心ウェル148のうちの任意の1つ以上に格納されている。他の実施態様では、図1Bに示すように組み立てられたとき、反応容器は、中に物質を格納していない。
【0027】
図2A図2Eは、いくつかの実施態様では、デバイス100を用いてマルチステップアッセイ等の検査を実行するためのステップを示す。図2Aにおいて、1つの物質(RPA等)が反応容器140のウェル146A内に配設され、別の物質(SDS等)が反応容器140のウェル146B内に配設される。示される実施態様において、中心ウェル148は、既に物質(エキソヌクレアーゼ反応緩衝液等)を含み、封止部149Aおよび取り外し可能なキャップ149Bによって双方の端部が閉じられている。しかしながら、他の実施態様では、このステップは、中心ウェル148内に物質を堆積させ、次に中心ウェル148を封止することを含んでもよい。検査されている試料はまた、このステップにおいて(例えば、ピペットにより)反応容器140内に配置され、次に、スロット126Aおよび126Bがインサート130に係合し、インサート130がキャップ120に対し回転することを防ぐように、インサート130がキャップ120に挿入される。示すように、変位バンプ136およびブラシ138の少なくとも一部分がキャップ120の中空の内部124から外方に延びる。
【0028】
図2Bにおいて、反応容器140は、初期状態においてキャップ120に結合されている。示される実施態様において、キャップ120の雌ねじ128は、反応容器140の雄ねじ144と係合し、それによって、反応容器140をキャップ120にねじ込むことができる。ここで、反応容器140はキャップ120に部分的にねじ込まれ、それによってアパーチャ134はキャップ120の中空の内部124を反応容器140の内部空洞143に流体接続する。Oリング145は、キャップ120の中空の内部124内に位置決めされる。変位バンプ136およびブラシ138は、ウェル146A、146B、および148の方に延びるが、ウェル146A、146Bに到達しない。反応容器140がキャップ120に取り付けられると、デバイス100をインキュベートすることができる。1つの例において、デバイス100は、約5分間約42℃でインキュベートされる。用いられる物質および所望の検査に依拠して、インキュベーション温度および/または時間はより高くまたはより低くすることができる。
【0029】
図2Cにおいて、デバイス100がインキュベートされると、反応容器140は、図2Cに示すようにキャップ120に対する第1の位置までキャップに対し反応容器140を回転させることによって、キャップ120に更にねじ込まれ得る。雌ねじ128および雄ねじ144の係合に起因して、この第1の位置への回転により、壁142Bがインサートの第2の端部133Bに向かって前進し、このため、反応容器140の内部空洞143の容積を減少させる。そして、ウェル146Aおよび146Bはブラシ138に向かって前進する。反応容器140が回転するにつれ、ブラシ138はウェル146Aおよび146B内の物質に接触し、物質(いくつかの実施態様では試薬を含み得る)と試料とを共に混合するのを支援する。図2Cに示すように、反応容器140がキャップ120に対し第1の位置に回転されると、ブラシ138はウェル146Aおよび146Bと接触するが、変位バンプ136は依然として中心ウェル148から離間されたままである。
【0030】
図2Dにおいて、反応容器140はキャップ120に対する第2の位置までキャップ120に対し回転される。この回転が生じる際、内部空洞143の容積は更に低減され、中心ウェル148は、変位バンプ136に向かって前進する。変位バンプ136が中心ウェル148に達するとき、変位バンプ136は中心ウェル148の封止部149Aを破壊する。次に、中心ウェル148内に格納された物質を、ウェル146Aおよび146Bからの物質ならびに試料が混合されたものと混合することができる。少なくとも部分的にブラシ138の回転に起因して、回転は、中心ウェル148の物質と、ウェル146Aおよび146Bからの物質ならびに内部空洞143内の試料が混合されたものとの混合を支援することができる。ブラシ138を形成するブラシ毛は、通常可撓性であり、それによってブラシ毛は脇に逸れて曲がることができる。この混合後、デバイス100を再びインキュベートすることができる。1つの例において、デバイス100は、室温(例えば、約20℃~約22℃)で約1分間インキュベートされる。用いられる物質および所望の検査に依拠して、インキュベーション温度および/または時間はより高くまたはより低くすることができる。
【0031】
図2Eにおいて、反応容器140は第2の位置からキャップ120に対する第3の位置に向けて回転され続ける。第3の位置に向けた継続した回転により、内部空洞143の容積が低減する。そして、内部空洞143の容積の低減により、物質および試料の混合物がアパーチャ134を通ってインサート130内をチューブ110内のラテラルフローストリップ102の最近傍端まで進む。このため、キャップ120に対する反応容器140の回転は、反応容器140内の物質(例えば、試薬および緩衝液)および試料を共に混合させ、更に、混合された流体の少なくとも一部分を、インサート130を介して反応容器140からラテラルフローストリップ102に送達させる。
【0032】
混合物がラテラルフローストリップ102に達すると、混合物はラテラルフローストリップ102と相互作用し始める(例えば、試薬/緩衝液混合物とラテラルフローストリップ102との間の1つ以上の化学反応が始まる)。相互作用が完了するまで、デバイス100を再びインキュベートすることができ、完了時に、ラテラルフローストリップ102を調べて、検査結果を決定することができる。いくつかの実施態様では、チューブ110は透明であり、それによって、ラテラルフローストリップ102は、チューブ110の中空の内部112に配設されている間、視覚的に調べることができる。検査が完了し、結果が記録されると、デバイス100全体を破棄することができるか、またはデバイス100を滅菌し、再利用のために準備することができる。
【0033】
図3Aは、例示的なデバイス100の側面断面図を示し、図3Bは、例示的なデバイス100の断面斜視図を示す。図3Aおよび図3Bにおいて、インサート130は、キャップ120の中空の内部内に位置決めされ、反応容器140は、キャップ120の雌ねじ128および反応容器140の雄ねじ144の係合によりキャップ120にねじ込まれている。図3Aおよび図3Bにおいて、反応容器140は、ほとんど第1の位置まで回転され、それによって、ブラシ138はほとんどウェル146Aおよび146Bに達している。図3Aに示す実施態様において、インサート130は2つのアパーチャ134Aおよび134Bを含み、これらはそれぞれ、図1Aおよび図1Bのアパーチャ134と同様である。アパーチャ134Aおよび134Bは、インサート130の本体132の端部間に延びる。このため、アパーチャ134Aおよび134Bは、反応容器140の内部空洞143をチューブ110の中空の内部112と流体接続する。
【0034】
図3Cは、ラテラルフローストリップ102、チューブ110、キャップ120、インサート130および反応容器140を示す、デバイス100の展開斜視図を示す。図3Cにおいて、キャップ120は、チューブ110のモノリシック/一体化部分である。インサート130のブラシ138が反応容器140の雄ねじ144と共に見えている。図3Dは、反応容器140がキャップ120に取り付けられ、ラテラルフローストリップ102がチューブ110の内側に位置決めされたときのデバイス100の斜視図を示す。
【0035】
図4Aは、マルチステップアッセイを実行するための例示的なデバイス200を示す。いくつかの態様において、デバイス200は、通常、デバイス100と同様であり、ラテラルフローストリップ202(例えば、検査ストリップ)、キャップ220、インサート230、反応容器240、及び中空の内部212を有するチューブ210を含む。デバイス200において、キャップ220は特に、チューブ210と別個の部品である。チューブ210、キャップ220および反応容器240は全てねじを含み、それによって、チューブ210およびキャップ220をねじ接続により結合することができ、それによって、キャップ220および反応容器240をねじ接続により結合することができる。チューブ210は、キャップ220の第1の端部221Aに位置する雌ねじの第1のセット228Aと係合するように構成された雄ねじ214を含み、それによってキャップ220をチューブ210に回転可能に結合する。キャップ220は、反応容器240の雄ねじ244に係合するように構成され、キャップ220の第2の端部221Bに位置する雌ねじの第2のセット228Bも含み、それによって反応容器240をキャップ220に回転可能に結合する。キャップ220は、インサート230に係合し、インサート230がキャップ220に対し回転することを防ぐように構成されたスロット226Aおよび226Bを含む。通常、互いに係合するデバイス200のねじの任意の対は、共に左巻きとすることができるか、または共に右巻きとすることができる。いくつかの実施態様では、ねじの上側の対(雄ねじ214と雌ねじの第1のセット228Aとによって形成される)は、ねじの下側の対(雌ねじの第2のセット228Bと雄ねじ244とによって形成される)と同じ向きの巻き方向を有する。他の実施態様では、ねじの上側の対は、ねじの下側の対と反対向きの巻き方向を有する。更に、ねじ214、228A、228Bおよび244は、雌ねじまたは雄ねじとして示されているが、ねじの向きは所望に応じて変更することができる。1つの例において、ねじ214は雌ねじとすることができ、ねじ228Aは雄ねじとすることができる。別の例において、ねじ228Bは雄ねじとすることができ、ねじ244は雌ねじとすることができる。
【0036】
図4Aに示す実施態様において、インサート230は、本体232の端部233Bに位置するブリスタパック231を有する本体232から形成される。本体232の端部233Bは、反応容器240に最も近いのに対し、本体232の端部233Aはキャップ220に最も近い。インサート230は、本体232を通って画定された2つのアパーチャ234Aおよび234Bも含む。ブリスタパック231は、物質(エキソヌクレアーゼ反応緩衝液等)を含む。反応容器240は、反応容器240の内部空洞243内に物質(RPA等)を格納することができる。検査されている試料は、例えばピペットを介して、アッセイを実行する前に反応容器240の内部空洞243内に配置することもできる。反応容器240は、インサート230のブリスタパック231に係合し(例えばこれを穿孔し)、物質を解放するように構成された突起247を更に含むことができる。示される実施態様において、ブリスタパック231および突起247は、通常円錐形であるが、他の形状も有することができる。突起247は、突起247の表面から延びる1つ以上の羽根249を含むことができる。羽根249は、突起247がブリスタパック231を穿孔すると、物質の混合を支援する。羽根249は、螺旋パターン、半螺旋パターン、垂直パターン、水平パターン、対角パターン、および他のパターンで配置することができる。羽根249は、更に、これらの異なるパターンの任意の組合せで配置することができる。
【0037】
図4Bは、ユーザによる使用のために組み立てられたデバイス200の実施態様を示す。キャップ220は、チューブ210にねじ込まれ、インサート230は、キャップ220の中空の内部212に挿入される。反応容器240は別個のままとすることができる。
【0038】
図5A図5Dは、デバイス200を用いてマルチステップアッセイ等の検査を実行するためのステップを示す。図5Aにおいて、物質(201として示す)を反応容器240内に堆積することができる。物質201は、RPA等の試薬であり得る。通常、検査されている試料も、このステップにおいて、例えばピペットを用いて反応容器240内に配置される。図5Bにおいて、キャップ220は、(雄ねじ214と、雌ねじの第1のセット228Aとを介して)チューブ210にねじ込まれ、反応容器240は、(雌ねじの第2のセット228Bおよび雄ねじ244を介して)キャップ220にねじ込まれている。ここで、反応容器240は、突起247がインサート230のブリスタパック231と係合しないように位置決めされる。図5Bに示すこのステップにおいて、デバイス200を、例えば、約42℃で約5分間インキュベートすることができる。
【0039】
図5Cにおいて、反応容器240はキャップ220に対する第1の位置までキャップ220に対し更に回転される。第1の位置まで回転することにより、突起247がブリスタパック231に向けて前進し、それによって、突起247がブリスタパック231に係合し(例えば、これを穿孔し)、ブリスタパック231内の物質(エキソヌクレアーゼ反応緩衝液等)を反応容器240の内部空洞243内に解放する。
【0040】
図5Dにおいて、反応容器240はキャップ220に対する第2の位置までキャップ220に対し更に回転される。突起247の表面から延びる羽根249は、反応容器240が第2の位置まで回転される際、物質および試料の混合を支援する。また、回転により、反応容器240の内部空洞243の容積が低減するため、回転により物質および試料の混合物が、インサート230の本体232内のアパーチャ234Aおよび234Bを通ってチューブ210の中空の内部212内に送り込まれる。混合物がチューブ210の中空の内部212に送り込まれるとき、混合物はラテラルフローストリップ202に接触し、ラテラルフローストリップ202と相互作用し始める。相互作用が完了すると、ラテラルフローストリップ202を調べて、検査結果を決定することができる。いくつかの実施態様では、チューブ210は透明であり、それによって、ラテラルフローストリップ202は、チューブ210の中空の内部212に配設されている間、視覚的に調べることができる。検査が完了し、結果が記録されると、デバイス200全体を破棄することができるか、またはデバイス200を滅菌し、再利用のために準備することができる。
【0041】
図6Aは、マルチステップアッセイを実行するための例示的なデバイス300を示す。いくつかの態様では、デバイス300はデバイス100およびデバイス200に類似することができる。デバイス300は、キャップ310と、プランジャアセンブリ320と、試薬インサート330と、反応容器340とを含む。キャップ310は、中空の内部312を画定する円筒形の壁311から形成される。キャップ310は雌ねじ314も含む。中空の内部312は、通常、キャップ310の少なくとも1つの端部において開放しており、中空の内部312が少なくとも部分的にキャップ310を通って画定されるようになっている。ラテラルフローストリップ302(例えば、検査ストリップ)の少なくとも一部分は、使用中にキャップ310の中空の内部312内に位置決めすることができる。
【0042】
プランジャアセンブリ320は、基部321に結合されたプライマリプランジャ322Aおよびセカンダリプランジャ322Bを含む。プランジャアセンブリ320は、キャップ310の中空の内部312内に受容されるように構成される。プライマリプランジャ322Aはセカンダリプランジャ322Bよりも長く、プライマリプランジャ322Aの先端324Aがセカンダリプランジャ322Bの先端324Bよりも基部321から遠くに離間されるようになっている。本明細書においてより詳細に論じられるように、プライマリプランジャ322Aは、先端324Aから基部321に向けられた十分な量の力がプランジャに加えられるのに応じて、座屈するかまたは圧縮するように構成される。このため、いくつかの実施態様では、プライマリプランジャ322Aは1つ以上の座屈点を有する。示される実施態様において、座屈点は、プライマリプランジャ322Aから切欠きされたノッチ326として示される。十分な力がプライマリプランジャ322Aに加わると、プライマリプランジャ322Aは、これらのノッチ326において湾曲するかまたは折り曲がることができ、それによってプライマリプランジャ322Aが座屈し、圧縮され得る。
【0043】
示される実施形態は、プライマリプランジャ322Aから切欠きされたノッチ326を示すが、他のタイプの座屈点が用いられてもよい。例えば、プライマリプランジャ322Aの部分における材料は、切欠きされる代わりに、(目打ち線を加えること等によって)より弱くし、プライマリプランジャ322Aをこれらの点において座屈させるように製造することができる。別の例では、プライマリプランジャ322Aの少なくとも一部分がばね状構造を有し、それによって、プライマリプランジャ322Aの先端324Aが内部空洞344の下端(例えば、基部342Bの上端)に達すると、プライマリプランジャ322Aの一部分が圧縮するように構成される。
【0044】
試薬インサート330は、自身を通過するように定められたプライマリアパーチャ332Aおよびセカンダリアパーチャ332Bを含む。プライマリアパーチャ332Aおよびセカンダリアパーチャ332Bは通常、第1の端部331Aから第2の端部331Bまで、試薬インサート330の長さ全体に延びる。
【0045】
図6Bは、試薬インサート330の第1の端部331Aの上面図を示す。示すように、第1の端部331Aは、プライマリアパーチャ332Aおよびセカンダリアパーチャ332Bのための開口部を含む。しかしながら、第1の端部331Aは、第1の端部331Aから第2の端部331Bまで画定されるスロット334の開口部も含む。第2の端部331Bも、プライマリアパーチャ332A、セカンダリアパーチャ332Bおよびスロット334のための3つの開口部を有する。スロット334は、ラテラルフローストリップ302の少なくとも一部分を受けるように構成される。
【0046】
再び図6Aを参照すると、試薬インサート330は、第2の端部331Bに配設された封止部336を更に含む。封止部336(箔封止部であり得る)は、プライマリアパーチャ332Aおよびセカンダリアパーチャ332Bの開口部を覆う。封止部336が第2の端部331Bにおける開口部を覆った状態で、プライマリアパーチャ332Aおよびセカンダリアパーチャ332Bはそれぞれ、物質(試薬、緩衝液等)を保持するように構成される。プライマリアパーチャ332Aは、プライマリプランジャ322Aを受けるように構成されるのに対し、セカンダリアパーチャ332Bは、セカンダリプランジャ322Bを受けるように構成される。示される実施態様において、プライマリプランジャ322Aは第1のプランジャ直径を有し、プライマリアパーチャ332Aは第1のアパーチャ直径を有する。プライマリプランジャ322Aの第1のプランジャ直径は、プライマリアパーチャ332Aの第1のアパーチャ直径以下である。セカンダリプランジャ322Bは第2のプランジャ直径を有し、セカンダリアパーチャ332Bは第2のアパーチャ直径を有する。セカンダリプランジャ322Bの第2のプランジャ直径は、セカンダリアパーチャ332Bの第2のアパーチャ直径以下である。セカンダリプランジャ322Bの第2のプランジャ直径は、プライマリプランジャ322Aの第1のプランジャ直径およびプライマリアパーチャ332Aの第1のアパーチャ直径よりも大きい。このため、セカンダリプランジャ322Bは、使用中にプライマリアパーチャ332A内に不注意に挿入され得ない。
【0047】
反応容器340は、通常、内部空洞344を画定する円筒形の壁342Aおよび基部342Bから形成される。基部342Bの上端(例えば、雄ねじ346に近い方)は、内部空洞344の下端(例えば、雄ねじ346から遠い方)を形成する。内部空洞344は様々な物質を保持するように構成される。1つの例において、内部空洞344は、RPAおよび1つ以上の小さなビーズ345を保持することができ、これらは、デバイス300の使用中にRPAを他の物質と混合するのを支援することができる。検査されている試料は、例えばピペットを介してアッセイを実行する前に反応容器340内に配置することもできる。反応容器340は雄ねじ346も含み、それによって反応容器340はねじ接続によりキャップ310に結合することができる。反応容器340の雄ねじ346は、キャップ310の雌ねじ314と係合し、それによって反応容器340をキャップ310に回転結合するように構成される。いくつかの実施態様では、反応容器340は、反応容器340およびOリングがキャップ310の中空の内部312内に位置決めされているとき、反応容器340の外部とキャップ310の内部との間の封止部を形成するように構成された外部Oリングを含む。雌ねじ314および雄ねじ346は、共に左巻きねじとするか、または共に右巻きねじとすることができる。更に、いくつかの実施態様では、雌ねじ314および雄ねじ346は、共に、ねじ314が雄ねじであり、ねじ346が雌ねじであるように変更されてもよい。
【0048】
図6Cは、ユーザによる使用のために組み立てられたデバイス300の実施態様を示す。示すように、プランジャアセンブリ320は、キャップ310の中空の内部312内に少なくとも部分的に位置決めされる。いくつかの実施態様では、キャップ310およびプランジャアセンブリの基部321は、プランジャアセンブリ320がキャップ310に結合されることを可能にする機能を有することができる。試薬インサート330、反応容器340およびラテラルフローストリップ302は、図6Cに示すように組み立てられたとき、全て別個のままとすることができる。
【0049】
図7A図7Eは、デバイス300を用いてマルチステップアッセイ等の検査を実行するためのステップを示す。図7Aにおいて、物質(RPA等)は、反応容器340の内部空洞344内に堆積され、物質(SDS等)は試薬インサート330のプライマリアパーチャ332A内に堆積され、物質(エキソヌクレアーゼ反応緩衝液等)は、試薬インサート330のセカンダリアパーチャ332B内に堆積されている。通常、検査されている試料も、このステップにおいて、例えばピペットを用いて反応容器340内に配置される。ラテラルフローストリップ302も試薬インサート330のスロットに挿入されている。プランジャアセンブリ320は、キャップ310の中空の内部312内に位置決めされる。図7Bにおいて、反応容器340は、初期状態においてキャップ310にねじ込まれている。プライマリプランジャ322Aはプライマリアパーチャ332Aに挿入されているのに対しセカンダリプランジャ322Bはセカンダリアパーチャ332Bに挿入されている。しかしながら、プライマリプランジャ322Aの先端324Aも、セカンダリプランジャ322Bの先端324Bも、封止部336に達していない。次に、デバイス300を、例えば42℃で約5分間インキュベートすることができる。
【0050】
図7Cにおいて、反応容器340は、反応容器340がキャップ310に対し第1の位置にあるように、キャップ310に対し更に回転されている。第1の位置への回転により、プランジャアセンブリ320および試薬インサート330が互いに向かって動き、それによって、プランジャアセンブリ320が封止部336に近づく。プライマリプランジャ322Aはセカンダリプランジャ322Bよりも長いため、プライマリプランジャ322Aの先端324Aは、セカンダリプランジャ322Bの先端324Bの前に封止部336に達する。先端324Bは、プライマリアパーチャ332Aを覆う封止部336の一部分を穿孔し、これによって、プライマリアパーチャ332A内の物質が反応容器340の内部空洞344内に動く。セカンダリプランジャ322Bの先端324Bが封止部336に達していないため、セカンダリアパーチャ332Bを覆う封止部336の部分は損なわれていないままである。プライマリアパーチャ332A、反応容器340からの物質、および試料は、例えばデバイス300を軽く揺することによって混合することができる。いくつかの実施態様では、プライマリプランジャ322Aの先端324Aが封止部336を越えて進む際、プライマリプランジャ322Aは、2つの物質および試料の混合を支援する。次に、デバイス300を、例えば室温(例えば、約20℃~約22℃)でインキュベートすることができる。
【0051】
図7Dにおいて、反応容器340は、反応容器340がキャップ310に対し第2の位置にあるように、キャップ310に対し更に回転されている。第2の位置への回転により、プランジャアセンブリ320および試薬インサート330が互いに向かって動き、それによって、プライマリおよびセカンダリプランジャ322Aおよび322Bが試薬インサート330に近づく。プライマリプランジャ322Aは、内部空洞344の下端(例えば、基部342Bの上端)に接触するまで前進する。プライマリプランジャ322Aから切欠きされたノッチ326に起因して、プライマリプランジャ322Aが座屈し、このため、セカンダリプランジャ322Bが封止部336に向かって更に前進することを妨げない。セカンダリプランジャ322Bが封止部336に達する際、セカンダリプランジャ322Bの先端324Bは、セカンダリアパーチャ332Bを覆う封止部336の部分を穿孔する。次に、セカンダリアパーチャ332Bに格納された物質は、試薬と、内部空洞344およびプライマリアパーチャ332Aからの物質との既に混合された組合せと共に、反応容器340の内部空洞344内に動くことを可能にされる。試料および全ての物質は、例えばデバイス300を軽く揺することによって更に混合することができる。いくつかの実施態様では、プライマリプランジャ322Aの先端324Aが封止部336を越えて前進したまま留まり、セカンダリプランジャ322Bの先端324Bが封止部336を越えて前進する際、プライマリプランジャ322Aおよびセカンダリプランジャ322Bは、2つの物質の混合を支援する。次に、デバイス300を、例えば室温(例えば、約20℃~約22℃)でインキュベートすることができる。
【0052】
図7Eにおいて、反応容器340は、反応容器340がキャップ310に対し第3の位置にあるように、キャップ310に対し回転されている。第3の位置まで回転することにより、反応容器340の内部空洞344内の試料および他の物質の混合物がキャップ310内のラテラルフローストリップ302に接触する。混合物は、ラテラルフローストリップ302に接触し、ラテラルフローストリップ302と相互作用し始める。相互作用が完了すると、ラテラルフローストリップ302を検査して、検査の結果を決定することができる。いくつかの実施態様では、キャップ310は透明であり、それによって、ラテラルフローストリップ302は、キャップ310の中空の内部312内に配設されている間、視覚的に調べることができる。検査が完了し、結果が記録されると、デバイス300全体を破棄することができるか、またはデバイス300を滅菌し、再利用のために準備することができる。
【0053】
図8Aおよび図8Bは、試料に対し複数の異なる検査を同時に実行するための例示的なデバイス400を示す。デバイス400は、採取アセンブリ410と、反応容器420とを含む。反応容器420は、図8Aおよび図8Bにおいて断面として示される。採取アセンブリ410は、ハンドル412と、ハンドル412から延びる3つの別個の採取スワブ414A、414Bおよび414Cとを含む。採取スワブ414A~414Cの各々は、示される実施態様において概ね矩形の外形を有するが、他の実施態様では、1つ以上の異なる形状を有する外形を有してもよい。採取スワブ414A~414Cは線形に配置され、採取スワブ414Bが、単一の線形軸に沿って採取スワブ414Aと採取スワブ414Cとの間に位置決めされるようになっている。採取スワブ414A~414Cのそれぞれは、中に画定されたアパーチャ416の2つの平行な列を含む。アパーチャ416は液滴を保持することが可能であり、これによって、採取スワブ414A~414Cが試料源から試料をより容易に採取することが可能になる。このため、採取スワブ414A~414Cは、試料を採取するためのイノキュレーションループとしての役割を果たす。
【0054】
反応容器420は、3つの別個の反応チャンバ422A、422Bおよび422Cを含む。反応チャンバ422A~422Cは、採取スワブ414A~414Cと同様に線形に配置され、反応チャンバ422Bが単一の線形軸に沿って反応チャンバ422Aと反応チャンバ422Cとの間に位置決めされるようになっている。反応チャンバ422Aおよび422Bは、壁424Aによって互いに分離されている。反応チャンバ422Bおよび422Cは、壁424Bによって互いに分離されている。反応容器420は反応チャンバ422A~422Cの内部を示す断面として示されているが、反応チャンバ422A~422Cのそれぞれは、底部および側部において密封され、概ね円筒形の外形を有する。反応チャンバ422A~422Cの反応チャンバのそれぞれは、採取スワブが反応チャンバ422A~422C内に挿入されることを可能にするために、採取スワブ414A~414Cの矩形外形の幅以上の直径を有する。しかしながら、他の実施態様では、反応チャンバ422A~422Cは、1つ以上の異なる形状を有する外形を有してもよい。デバイス400は、プラスチック等の任意の適切な材料から形成することができる。
【0055】
図8Aは、組み立てられていない構成の(例えば、任意の検査の実行前の)デバイス400を示す。示すように、採取スワブのそれぞれを、反応チャンバのそれぞれの上に位置合わせすることができる。採取スワブ414Aは、反応チャンバ422Aの上に位置合わせされる。採取スワブ414Bは、反応チャンバ422Bの上に位置合わせされる。採取スワブ414Cは、反応チャンバ422Cの上に位置合わせされる。図8Bは、デバイス400の構成が、(例えば、検査の実行中または実行後の)組み立てられた構成に動かされたときのデバイス400を示す。採取アセンブリ410は、採取スワブ414A~414Cのそれぞれが反応容器420の反応チャンバ422A~422Cのうちの1つに挿入されるように反応容器420に結合される。採取スワブ414Aは反応チャンバ422A内に配設される。採取スワブ414Bは反応チャンバ422B内に配設される。採取スワブ414Cは反応チャンバ422C内に配設される。ハンドル412は、採取アセンブリ410が反応容器420のキャップとして作用するように反応チャンバ422A~422Cの上側開口部を覆う。デバイス400は3つの採取スワブ414A~414Cおよび3つの反応チャンバ422A~422Cを有して示されているが、デバイス400は、任意の適切な数の採取スワブおよび反応チャンバを含むことができる。示される実施態様において、各反応チャンバ422A~422Cは、採取スワブ414A~414Cの対応するものと関連付けられ、採取アセンブリ410が組み立てられた構成で反応容器に結合されるとき、採取スワブ414A~414Cのうちの対応する1つを受ける。このため、図8Bに示すように、デバイス400が組み立てられた構成に動かされるとき、反応チャンバ422A~422Cのそれぞれが、複数の採取スワブ414A~414Cのうちの対応する1つを内部に少なくとも部分的に収容する。しかしながら、いくつかの実施態様では、少なくとも1つの反応チャンバは、複数の採取スワブを受けるように構成されてもよく、および/または少なくとも1つの採取スワブは、複数の反応チャンバによって受容されるように構成されてもよい。
【0056】
図9A図9Cは、例示的なデバイス500を示す。デバイス400と同様に、デバイス500は、採取アセンブリ510と、反応容器520とを含む。採取アセンブリ510は、ハンドル512と、ハンドル512から延びる3つの別個の採取スワブ514A、514Bおよび514Cとを含む。採取スワブ514A~514Cの各々は、示される実施態様において概ね矩形の外形を有するが、他の実施態様では、1つ以上の異なる形状を有する外形を有することができる。採取スワブ514A~514Cは、円形に配置され、通常、採取スワブ514A~514Cの外側境界によって画定される円形形状の外周の周りに均等に離間される。しかしながら、他の実施態様では、採取スワブ514A~514Cは、この円形形状の外周の周りに異なる形で離間されてもよい。採取スワブ514A~514Cはそれぞれ、デバイス400と同様に、アパーチャ516の2つの平行な列を含む。
【0057】
反応容器520は、円筒形の外形を有し、3つの別個の反応チャンバ522A、522Bおよび522Cを含む。採取スワブ514A~514Cと同様に、反応チャンバ522A~522Cは円形に配置され、通常、反応容器520の円筒形形状の外周の周りに均等に離間される。しかしながら、他の実施態様では、反応チャンバ522A~522Cは、反応容器520の円筒形形状の外周の周りに異なる形で離間されてもよい。反応チャンバ522A~522Cのそれぞれが、丸い角を有する概ね三角形の(またはパイ形状の)外形を有する。反応チャンバ522A~522Cの三角形の(またはパイ形状の)外形の最小寸法は、採取スワブ514A~514Cが反応チャンバ522A~522C内に挿入されることを可能にするために、採取スワブ514A~514Cの矩形外形の幅以上である。しかしながら、他の実施態様では、反応チャンバ522A~522Cは、1つ以上の異なる形状を有する外形を有してもよい。デバイス500は、プラスチック等の任意の適切な材料から形成することができる。
【0058】
反応容器520は、円筒形外壁524と、3つの内壁526A、526Bおよび526Cとによって形成される。反応チャンバ522Aは、外壁525と、内壁526Aと、内壁526Cとによって画定される。反応チャンバ522Bは、外壁525と、内壁526Aと、内壁526Bとによって画定される。反応チャンバ522Cは、外壁525と、内壁526Bと、内壁526Cとによって画定される。内壁526Aは、反応チャンバ522Aと522Bとの間に障壁を形成する。内壁526Bは、反応チャンバ522Bと522Cとの間に障壁を形成する。内壁526Cは、反応チャンバ522Aと522Cとの間に障壁を形成する。デバイス400と同様に、デバイス500は、プラスチック等の任意の適切な材料から形成することができる。
【0059】
図9Aは、組み立てられていない構成の(例えば、任意の検査が実行される前の)デバイス500を示す。示すように、採取スワブのそれぞれを、反応チャンバのそれぞれの上に位置合わせすることができる。採取スワブ514Aは、反応チャンバ522Aの上に位置合わせされる。採取スワブ514Bは、反応チャンバ522Bの上に位置合わせされる。採取スワブ514Cは、反応チャンバ522Cの上に位置合わせされる。図9Bおよび図9Cは、デバイス500の構成が、(例えば、検査の実行中または実行後の)組み立てられた構成に動かされたときのデバイス500を示す。図9Bは、反応容器520の内部を示す切欠き図である。図9Cは、採取スワブ514A~514Cおよび反応チャンバ522A~522Cを示す上面断面図である。組み立てられたとき、採取アセンブリ510は、採取スワブ514A~514Cのそれぞれが反応容器520の反応チャンバ522A~522Cのうちの1つに挿入されるように反応容器520に結合される。
【0060】
特に図9Cにおいて見て取ることができるように、反応容器520は、概ね円形の断面を有し、反応チャンバ522A~522Cのそれぞれが、反応容器520の外周の約120°にわたる反応容器520の部分を占有する。採取スワブ514A~514Cは対応する形式で配置され、それによって、採取スワブ514A~514Cのそれぞれが、反応チャンバ522A~522Cのそれぞれの120°範囲内に配設される。壁526A~526Cの存在に起因して、反応チャンバ522A~522Cの実際の範囲は、通常、壁526A~526Cの厚みに依拠して120°よりも僅かに小さくなる。このため、反応チャンバ522A~522Cのそれぞれは、通常、反応容器520の外周の約100°~約120°にわたる反応容器520の部分を占有することになる。
【0061】
採取スワブ514Aは反応チャンバ522A内に配設される。採取スワブ514Bは反応チャンバ522B内に配設される。採取スワブ514Cは反応チャンバ522C内に配設される。ハンドル512は、採取アセンブリ510が反応容器520のキャップとして作用するように反応チャンバ522A~522Cの上側開口部を覆う。デバイス500は3つの採取スワブ514A~514Cおよび3つの反応チャンバ522A~522Cを有して示されているが、デバイス500は、任意の適切な数の採取スワブおよび反応チャンバを含むことができる。示される実施態様において、各反応チャンバ522A~522Cは、採取スワブ514A~514Cの対応するものと関連付けられ、採取アセンブリ510が組み立てられた構成で反応容器520に結合されるとき、採取スワブ514A~514Cのうちの対応する1つを受ける。このため、図9Bに示すように、デバイス500が組み立てられた構成に動かされるとき、反応チャンバ522A~522Cのそれぞれが、複数の採取スワブ514A~514Cのうちの対応する1つを内部に少なくとも部分的に収容する。しかしながら、いくつかの実施態様では、少なくとも1つの反応チャンバは、組み立てられた構成において、複数の採取スワブを収容するように構成されてもよく、および/または少なくとも1つの採取スワブは、組み立てられた構成において、複数の反応チャンバによって収容されるように構成されてもよい。
【0062】
デバイス400および500を用いて、多岐にわたる異なる試薬に対し多岐にわたる異なる検査を実行することができる。いくつかの実施態様では、採取スワブ414A~414Cおよび514A~514Cは、口腔採取スワブとして用いることができ、人間の口から試料を採取するように構成される。他の実施態様では、採取スワブ414A~414Cおよび514A~514Cは、鼻採取スワブとして用いることができ、人間の鼻腔から試料を採取するように構成される。更なる実施態様では、採取スワブ414A~414Cおよび514A~514Cは、鼻咽頭採取スワブとして用いることができ、ヒトの鼻咽頭から試料を採取するように構成される。更なる実施態様では、採取スワブ414A~414Cおよび514A~514Cは、非ヒト採取スワブとして用いることができ、他のソースからの試料(媒体プレート上で成長するかまたは液体媒体からのバクテリア試料等)を採取するのに用いることができる。
【0063】
反応チャンバ422A~422Cおよび/または522~522Cのそれぞれが、デバイス400またはデバイス500を用いて所望の検査を実行するのに必要とされる場合がある任意の物質(または複数の物質)を含むことができる。いくつかの実施態様では、デバイス400および/またはデバイス500の反応チャンバは、同じプライマーを用いて同じアッセイを実行するように構成される。他の実施態様では、デバイス400および/またはデバイス500の反応チャンバは、異なるプライマーを用いるが同じアッセイを実行するように構成される。更なる実施態様では、デバイス400および/またはデバイス500の反応チャンバは、異なるアッセイを実行するように構成される。更なる実施態様において、デバイス400および/またはデバイス500の反応チャンバは、アッセイの任意の組合せを実行するように構成される。いくつかの実施態様では、反応チャンバ422A~422Cおよび/または522A~522C内の単数または複数の物質は、採取アセンブリ410および/または510が反応容器420および/または520内に挿入されるとき、採取スワブ414A~414Cおよび/または514A~514Cのうちの1つによって穿孔されるように構成されるブリスタパック内に格納される。反応チャンバ422A~422Cおよび/または522A~522C内の単数または複数の物質は、湿っているか、乾燥している(例えば、凍結乾燥されている)か、またはそれらの組合せとすることができる。
【0064】
いくつかの実施態様では、デバイス400および500は、同種反応容積を可能にする混合機構を含むことができる。採取スワブ上の試料が反応チャンバ内の物質と均等に混合されていない場合、最終検査結果は正確でない場合がある。いくつかの実施態様では、混合機構は、ガラスまたは金属から作製される場合がある1つ以上のビーズを含む。ビーズは、反応チャンバ内で予めパッケージ化することができる。ビーズは、デバイス400および500の手動の動き(例えば、ユーザがデバイスを揺らすかまたは回転させる)を伴うかまたは伴うことなく、試料および反応チャンバ内の物質を混合するように構成することができる。他の実施態様では、混合機構は、反応チャンバ内のパドルを含む。これらの他の実施態様のうちのいくつかにおいて、パドルは採取スワブ上にまたは採取スワブによって形成される。パドルは、試料および物質を混合するように自動的に動くように構成することができるか、またはユーザアクションに応じて動くように構成することができる。更なる実施態様では、デバイス400および500は、ユーザアクションにより、デバイス400および500の手動の動きに応じた試料および物質の混合が生じるように構成することができる。例えば、デバイス400および500は、別個の反応チャンバ間に1つ以上の開口部を含み、ユーザによる手動の動きにより、試料および/または物質がチャンバ間を流れるようにすることができる。このため、デバイス400および500は、複数の混合機構を含むことができ、混合機構はそれぞれ、(i)反応チャンバのうちの対応するものにおける任意の物質と、(ii)反応チャンバのうちの対応するものに関連付けられた対応する採取スワブによって含まれる試料とを混合するのを支援するように構成される。
【0065】
いくつかの実施態様では、反応チャンバは、試料溶解機構としての役割を果たすフィルタ部材および/またはビーズカラムを含む。例えば、実行されることになる検査が核酸増幅反応である場合、試料溶解機構は、核酸増幅反応が開始する前に試料がRNA抽出プロセスを受けることを可能にする。溶解機構を通る試料流は、重力、分子力、採取アセンブリを反応容器に結合することによって発生する空気圧、またはそれらの任意の組合せによって駆動することができる。
【0066】
図10A図10Bおよび図10Cは、本明細書に開示されるデバイス100、200、300、400および500のうちの任意のものの温度制御のための3つの異なる例を示す。1つの例は、図10Aに示す容器600である。容器600は、十分な熱伝導性および熱容量を有する何らかの材料(例えば、アルミニウム)の固体ブロックから形成され、それによって、容器600は、検査の開始時に適切な単一の温度(例えば、42℃または60℃)まで(例えば、水道水の下で)加熱することができ、検査の持続時間にわたってこの開始温度の受容可能な範囲内に温度を維持することができる。代替的に、容器600は、電池式またはコンセント給電式の埋め込まれたペルチェまたは抵抗加熱素子、および所定の温度を維持するフィードバックコントローラを含むことができる。容器600は、デバイスを挿入することができるスロット602を含む。次に、容器600の加熱または冷却を用いて、デバイスの温度を調整することができる。
【0067】
第2の例は、図10Bに示す断熱容器610である。容器610は、真空容器とすることができるか、発泡スチロールから作製することができるか、または断熱特性を可能にする他の構成を有することができる。容器610は、デバイスを挿入することができるスロット612を含む。容器610の内部は中空であり、それによって、容器610は、所望の温度の水を充填することができ、所望の持続時間にわたってその温度を概ね維持して、デバイスの温度を制御することができる。
【0068】
第3の例は、図10Cに示す容器620である。容器620は、デバイス、高温貯蔵器624Aおよび低温貯蔵器624Bを保持するための中心スロット622を含む。高温貯蔵器624Aは、沸騰水(例えば、100℃)を充填することができ、低温貯蔵器624Bは、冷水および氷塊(例えば、0℃)の組合せを充填することができる。1次元熱伝導性関係(Q=-KA dT/dx)ごとに、中心スロット622内のデバイスと、高温貯蔵器624Aと、低温貯蔵器624Bとの間の熱橋(アルミニウム、銅または他の高伝導性材料)の伝導性(K)、断面積(A)および距離(dx)のうちの任意の1つ以上を調整して、特定のデバイス温度をプログラムすることができる。熱伝導性の高い材料を中心スロット622ならびに高温貯蔵器624Aおよび低温貯蔵器624Bの周りに配設するが、他の構成要素から断熱することで、望ましくない熱伝達を防ぐことができる。このため、容器600、610および620のそれぞれが等温加熱ブロックを形成し、用いられているデバイスおよび試料に等温条件を提供する。容器600、610および620のうちの任意のものを容易に所望の温度に維持することができ、この温度は、実行されているアッセイに依拠して、約42℃または約60℃であり得る。他の温度も用いることができる。
【0069】
図11Aおよび図11Bは、タイミング制御のための2つの例を示す。マルチステップアッセイは、通常、ステップが特定の時点に実行されるべき複雑な手順である。このため、いくつかの実施態様では、ユーザは、クロック、ウォッチまたは別個のタイマを用いてマルチステップアッセイ中の時間を追跡することができる。図11Aに示す例において、デバイスは、内蔵タイマおよび/または通知機構(液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン、ライト、発光ダイオード(LED)、スピーカ、ブザー、または他の人間が知覚可能な通知等の英数字表示装置等)を含む容器700(容器600、610および/または620と同じまたは類似とすることができる)に挿入される。通知機構は、所望の温度に達したとき、デバイスが所望の期間インキュベートされたとき、デバイス内の現在の反応状態、デバイス内の所望の反応状態、所与のステップが完了したとき等を示すことができる。容器700は、任意の内蔵タイマおよび/または通知機構を動作させるように構成されたコントローラ(単純なマイクロプロセッサ等)も含むことができる。
【0070】
図11Bに示す別の例において、デバイスは、容器710(容器600、610および/または620と同じまたは類似とすることができる)に挿入される。ユーザデバイス702(携帯電話、スマートウォッチ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ等)を用いて、デバイスにおける反応のタイミングおよび/または温度を監視することができる。ユーザデバイス702を容器710に接続(無線または有線)し、タイミングおよび温度に関する情報を得ることができ、この情報をユーザデバイス702の表示スクリーン704を介してユーザに中継することができる。いくつかの実施態様では、ユーザデバイス702を用いて、ユーザに、(物質の堆積、キャップに対する反応容器の回転等の)検査の様々なステップを実行するように促すことができる。ユーザデバイス702は、所望の温度に達したとき、デバイスが所望の期間インキュベートされたとき、デバイス内の現在の反応状態、デバイス内の所望の反応状態、所与のステップが完了したとき等をユーザに示すことができる。このため、タイミング機構を利用して、アッセイを完了させるのに必要な任意の外部操作ステップによってユーザを誘導することができる。
【0071】
アッセイを実行するために利用される容器(容器600、610、620、700および/または710等)は、容器に結合、および/または容器内に埋め込むことができる読み出しデバイスも含むことができる。読み出しデバイスは、ユーザにアッセイの結果を示すように構成される。いくつかの実施態様では、読み出しデバイスは、光源(LED等)、光フィルタおよび検出器を含む蛍光(またはカラー)読み出しデバイスである。光源は、試料に光を向け、試料によって発せられる、および/または試料から反射した任意の光が、次に、フィルタを通過し、検出器によって検出される。アッセイの結果は、検出された光の特性(色、強度、散乱角等)に基づいて定量化することができる。
【0072】
図12A図12Cは、反応容器840(例えば、反応容器140、240、340、420または520のうちの任意のものとすることができる)をデバイス内のキャップ820(例えば、キャップ120、220もしくは310、または採取アセンブリ410もしくは510のうちの任意のものとすることができる)に向けて前進させるために異なる前進機構を利用する異なるデバイスを示す。図12Aにおいて、デバイス800A(デバイス100、200、300、400または500のうちの任意のものと同じまたは類似とすることができる)は、ユーザが、反応容器840をキャップ820に向けて前進させるために、反応容器840および/またはキャップ820を手動で捻ることを可能にする。このため、図12Aにおける前進機構はユーザによって引き起こされる回転である。図12Bにおいて、デバイス800B(デバイス100、200、300、400または500のうちの任意のものと同じまたは類似とすることができる)は、デバイス800Bを保持する容器内に埋め込むことができるステッパモータ802を含む。ステッパモータ802は、キャップ820に対し反応容器840を自動的に回転させ、反応容器840をキャップ820に向けて前進させることができる。このため、図12Bにおける前進機構はステッパモータ802を含む。
【0073】
図12Cにおいて、デバイス800C(デバイス100、200、300、400または500のうちの任意のものと同じまたは類似とすることができる)を用いることができる。デバイス800Cは、キャップ820および反応容器840におけるねじを含まず、このため、反応容器840は、検査を進めるためにキャップ820に向けて回転可能に動かされない。代わりに、デバイス800Cは、検査を進めるために反応容器840をキャップ820に向けて線形に動かすことができるように構築される。デバイス800Cは、反応容器840が所望の場所に達したときにキャップ820に向かう反応容器840の動きを一時的に停止させることができるか、またはユーザが反応容器840を動かすことを一時的に止めるべきであることをユーザに示すために(例えば反応容器840を動かすユーザに法線力を加えることによって)ユーザに触知性フィードバックを提供することができる機構(内部突起等)を含むことができる。次に、反応容器840をキャップ820に向けて動かし続けるためにこれらの機構を克服することができる。いくつかの実施態様では、ユーザは反応容器840をキャップ820に向けて手動で動かす。これらの実施態様において、反応容器840の下側は、指を置き、反応容器840に圧力を加えるための大きな表面をユーザに提供するための或る種のボタンまたは他の構造を含むことができる。他の実施態様では、デバイス800Cは、ステッパモータ802等のステッパモータを用いて前進させることができる。
【0074】
通常、これらの前進機構のうちの任意のものを、単一の大きな加熱ブロックにおいて多重化することができ、本明細書に記載の時間、温度または反応進行ステップのうちの任意のものがもたらされる。加えて、ブロックは、必要に応じてキャップ820に向けて反応容器840を自動的に押すためのステッパモータ(ステッパモータ802等)または他のモータも含むことができる。
【0075】
通常、図10A図10Cに関して論考した加熱機構、図11Aおよび図11Bに関して論考したタイミング制御機構、ならびに図12A図12Cに関して論考した前進機構の任意の組合せを、記載のデバイス100、200、300、400および/または500のうちの任意のものと共に用いることができる。
【0076】
デバイス100、200、300、400および500のうちの任意のものを用いて、多岐にわたる異なるアッセイまたは検査を実行することができる。いくつかの実施態様では、デバイス100~500を用いて、標的分子を検出するための増幅検査を実行することができる。例えば、デバイス100~500を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査、ループ介在等温増幅(LAMP)検査、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)検査または他の増幅検査を実行することができる。PCR検査は、通常、試料の温度を変更することを伴うのに対し、LAMP検査およびRPA検査は、試料の温度の変更を伴わない等温検査である。これらの例において、増幅反応は試料に対し実行され、それによって、試料内の標的分子が増幅する(例えば、増倍する)。次に標的分子の存在を検出することができる。
【0077】
デバイス100、200および300を用いる実施態様では、ラテラルフローストリップ102、202および302を用いて標的分子の存在を検出する。通常、ラテラルフローストリップ102、202および302は、標的分子の存在を示すように構成されたいくらかの物質を含む。物質は、捕捉試薬(DNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチド等)、ナノ粒子、または他の物質とすることができる。いくつかの実施態様では、ラテラルフローストリップ102、202および302(またはその1つ以上の部分)は、標的分子の存在下で色が変わる物質を含むことができる。この色の変化は、チューブ110、チューブ210またはキャップ310を通じて視認可能とすることができる。デバイス400および500を用いる実施態様において、標的分子の存在の結果として、反応チャンバ内の混合された液体の色の変化(例えば、比色反応)をもたらすことができる。この色変化は、反応容器の壁を通じて見ることができ、壁は、透明または半透明の材料から作製することができる。異なる技法を利用して検査またはアッセイの結果を決定する他のタイプの検査またはアッセイも実行することができる。
【0078】
いくつかの実施態様では、デバイス100~500を多重化のために用いることもできる。多重化は、通常、同時に複数の異なるアッセイまたは検査を実行して、複数の異なる試料における標的分子の存在を検出するか、または単数もしくは複数の試料における複数の異なる標的分子を増幅および検出することを指す。デバイス100~300のうちの任意のものを用いる実施態様では、ラテラルフローストリップ102~302は、異なる捕捉試薬を有する複数の物理的場所を含むことができる。異なる捕捉試薬は、異なる標的分子の存在を検出する。このため、試薬が増幅反応を受け、ラテラルフローストリップに達した後、試料内に存在し、増幅された標的分子に対応するラテラルフローストリップの任意のエリアを検出することができる。いくつかの実施態様では、単一の検査を用いて同じ試料内の複数の異なる標的分子を検出することができる。デバイス100~300内に配設された単数または複数の物質は、試料内の単一の標的分子または試料内の複数の標的分子を増幅するように構成することができる。
【0079】
デバイス400または500を用いるいくつかの実施態様では、複数の異なる反応チャンバを用いて、同じ試料内の複数の異なる標的分子について同時に検査することができる。これらの実施態様では、同じ試料を各反応チャンバ内に配置することができ(例えば、試料を採取することができ、採取された試料の一部分が各反応チャンバ内に配置される)、各反応チャンバは、異なる標的分子を増幅するように構成された物質を有することができる。デバイス400または500を用いる他の実施態様では、複数の異なる反応チャンバを用いて、異なる試料内の同じ標的分子について同時に検査することができる。これらの実施態様では、少なくとも2つの異なる試料が固有の反応チャンバ内に配置されることが可能であり、各反応チャンバは、同じ標的分子を増幅するように構成された物質を有することができる。この物質は、試料を含む反応チャンバごとに同じ物質とすることができるか、または物質が同じ標的分子を増幅するように構成される限り、試料を含む反応チャンバごとに異なる物質とすることができる。デバイス400または500を用いる更なる実施態様では、複数の異なる反応チャンバを用いて、異なる試料内の異なる標的分子について同時に検査することができる。これらの実施態様では、少なくとも2つの反応チャンバが同じ試料(例えば、1つのソースから採取した試料の部分)を含み、第3の反応チャンバは異なる試料を含む。同じ試料を含む2つの反応チャンバは、異なる標的分子を増幅する異なる物質を含むことができるのに対し、第3の反応チャンバは、任意の所望の標的分子を増幅する任意の所望の物質を含むことができる。
【0080】
デバイス100~500を用いて、血液、血清、血漿、尿、精液、粘液、滑液、胆汁、髄液、粘膜分泌液、滲出液、汗、唾液等の複数の異なる試料を検査することができる。試料は、生検試料、腫瘍試料または組織試料とすることもできる。試料は、更に、上述した試料の任意の組合せまたは混合物とすることができる。試料内の標的分子は、標的たんぱく質、標的核酸または他の標的分子とすることができる。標的核酸は、任意の所望の核酸とすることができる。更に、標的核酸は、天然に存在する核酸または合成核酸を含むことができる。天然に存在する核酸は、自然発生源から分離および/または精製された核酸を含む。
【0081】
いくつかの実施態様では、標的核酸は、DNA、例えば標的DNAである。例示的な標的DNAは、限定ではないが、ゲノムDNA、ウイルスDNA、cDNA、一本鎖DNA、二本鎖DNA、環状DNA等を含む。いくつかの実施態様では、標的核酸は、RNA、例えば標的RNAである。通常、RNAは、任意の既知のタイプのRNAとすることができる。いくつかの実施態様では、標的RNAは、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、シグナル認識粒子RNA、トランスファーRNA、トランスファー-メッセンジャーRNA、核内低分子RNA、核小体低分子RNA、SmY RNA、小カハール体特異的RNA、ガイドRNA、リボヌクレアーゼP、リボヌクレアーゼMRP、Y RNA、テロメラーゼRNA要素、スプライスリーダーRNA、アンチセンスRNA、天然Cisアンチセンス転写物、CRISPR RNA、長鎖ノンコーディングRNA、MicroRNA、Piwi相互作用RNA、低分子干渉RNA、短ヘアピンRNA、トランス作動性siRNA、リピート関連siRNA、7SK RNA、エンハンサーRNA、寄生体RNA、タイプ、レトロトランスポゾン、ウイルスゲノム、ウィロイド、サテライトRNAまたはボールトRNAである。
【0082】
いくつかの実施態様では、標的RNAはウイルスRNAとすることができる。本明細書において用いられるとき、「RNAウイルス」という用語は、RNAゲノムを含むウイルスを指す。いくつかの実施態様では、RNAウイルスは、二本鎖RNAウイルス、プラス鎖RANウイルス、マイナス鎖RNAウイルスまたは逆転写ウイルス(例えば、レトロウイルス)である。
【0083】
いくつかの実施態様では、RNAウイルスは、第3群(すなわち、二本鎖RNA(dsRNA))ウイルスである。いくつかの実施態様では、第3群RNAウイルスは、アマルガウイルス科、ビルナウイルス科、クリソウイルス科、シストウイルス科、エンドルナウイルス科、ハイポウイルス科、メガビルナウイルス科、パルティティウイルス科、ピコビルナウイルス科、レオウイルス科(例えば、ロタウイルス)、トティウイルス科、クオドリウイルス科からなる群から選択されたウイルス科に属する。いくつかの実施態様では、第3群ウイルスは、ボティビルナウイルス属に属する。いくつかの実施態様では、第3群のRNAウイルスは、ボトリチスポリRNAウイルス1、テンサイヨコバイウイルス1、Colletotrichum camelliae filamentousウイルス1、Cucurbit yellows associatedウイルス、Sclerotinia sclerotiorum debilitation-associatedウイルスおよびSpissistilus festinusウイルス1からなる群から選択された未分類種である。
【0084】
いくつかの実施態様では、RNAウイルスは、第4群(すなわち、プラス鎖一本鎖(ssRNA))ウイルスである。いくつかの実施態様では、第4群RNAウイルスは、ニドウイルス目、ピコルナウイルス目およびティモウイルス目からなる群から選択されたウイルス目に属する。いくつかの実施態様では、第4群RNAウイルスは、アルテリウイルス科、コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス、SARS-CoV)、メゾニウイルス科、ロニウイルス科、ジシストロウイルス科、イフラウイルス科、マルナウイルス科、ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、ライノウイルス(一般的なかぜウイルス)、A型肝炎ウイルス)、セコウイルス科(例えば、コモウイルス亜科)、アルファフレキシウイルス科、ベータフレキシウイルス科、ガンマフレキシウイルス科、ティモウイルス科、アルファテトラウイルス科、Alvernaviridae科、アストロウイルス科、バルナウイルス科、Benyviridae科、ブロモウイルス科、カリシウイルス科(例えば、ノーウォークウイルス)、カルモテトラウイルス科、クロステロウイルス科、フラビウイルス科(例えば、黄熱ウイルス、ウエストナイル熱ウイルス、C型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス、ジカウイルス)、Fusariviridae科、ヘペウイルス科、ハイポウイルス科、レビウイルス科、ルテオウイルス科(例えば、オオムギ黄萎ウイルス)、Polycipiviridae科、ナルナウイルス科、ノダウイルス科、Permutotetraviridae科、ポティウイルス科、Sarthroviridae科、Statovirus科、トガウイルス科(例えば、風疹ウイルス、ロスリバーウイルス、シンドビスウイルス、チクングニア熱ウイルス)、トンブスウイルス科およびビルガウイルス科からなる群から選択されたウイルス科に属する。いくつかの実施態様では、第4群RNAウイルスは、Bacillariornavirus属、Dicipivirus属、Labyrnavirus属、セキウイルス科、Blunervirus属、Cilevirus属、ヒグレウイルス属、イダエオウイルス属、ネゲウイルス属、ウルミアウイルス属、ポレモウイルス属、Sinaivirus属およびソベモウイルス属からなる群から選択されたウイルス属に属する。いくつかの実施態様では、第4群のRNAウイルスは、エンドウヒゲナガアブラムシウイルス、Bastrovirus、ブラックフォードウイルス、Blueberry necrotic ring blotchウイルス、Cadicistrovirus、Chara australisウイルス、Extra smallウイルス、Goji berry chlorosisウイルス、Hepelivirus、Jingmen tickウイルス、Le Blancウイルス、Nedicistrovirus、Nesidiocoris tenuisウイルス1、Niflavirus、黄褐色クレージーアリウイルス1、Orsayウイルス、ホネクイハナムシRNAウイルス1、Picalivirus、ヒマワリべと病ウイルス、Rosellinia necatrix fusarivirus1、Santeuilウイルス、Secalivirus、Solenopsis invictaウイルス3、Wuhan large pig roundwormウイルスからなる群から選択された未分類種である。いくつかの実施態様では、第4群のRNAウイルスは、サルスロウイルス科、Albetovirus属、Aumaivirus属、Papanivirus属、Virtovirus属および慢性ミツバチウイルスからなる群から選択されるサテライトウイルスである。
【0085】
いくつかの実施態様では、RNAウイルスは、第5群(すなわち、マイナス鎖ssRNA)ウイルスである。いくつかの実施態様では、第5群RNAウイルスは、ネガルナウイルス門、ハプロウイルス亜門およびポリプロウイルス亜門からなる群から選択されたウイルス門または亜門に属する。いくつかの実施態様では、第5群RNAウイルスは、Chunqiuviricetes綱、エリオウイルス綱、インストウイルス網、Milneviricetes綱、モンイウイルス綱およびYunchangviricetes綱からなる群から選択されたウイルス網に属する。いくつかの実施態様では、第5群RNAウイルスは、アーティキュラウイルス目、ブニヤウイルス目、Goujianvirales目、Jingchuvirales目、モノネガウイルス目、Muvirales目およびSerpentovirales目からなる群から選択されたウイルス目に属する。いくつかの実施態様では、第5群RNAウイルスは、アムヌーンウイルス科(例えば、Taastrupウイルス)、Arenaviridae科(例えば、ラッサウイルス)、アスピウイルス科、ボルナウイルス科(例えば、ボルナ病ウイルス)、Chuviridae科、Cruliviridae科、Feraviridae科、フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス、マールブルグウイルス)、Fimoviridae科、ハンタウイルス科、Jonviridae科、Mymonaviridae科、ナイロウイルス科、Nyamiviridae科、オルトミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス科(例えば、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルスおよびNDV)、ペリブニャウイルス科、Phasmaviridae科、フェヌイウイルス科、ニューモウイルス科(例えば、RSVおよびメタニューモウイルス)、Qinviridae科、ラブドウイルス科(例えば、狂犬病ウイルス)、Sunviridae科、トスポビリダエ科およびYueviridae科からなる群から選択されたウイルス科に属する。いくつかの実施態様では、第5群RNAウイルスは、Anphevirus属、Arlivirus属、Chengtivirus属、Crustavirus属、Tilapineviridae科、Wastrivirus属およびデルタウイルス属(例えば、D型肝炎ウイルス)からなる群から選択されたウイルス属に属する。
【0086】
いくつかの実施態様では、RNAウイルスは、ウイルスにコード化された逆転写酵素を含む第6群RNAウイルスである。いくつかの実施態様では、第6群ウイルスは、ウイルス目オルテルウイルス目に属する。いくつかの実施態様では、第6群RNAウイルスは、Belpaoviridae科、カリモウイルス科、メタウイルス科、シュードウイルス科、レトロウイルス科(例えば、レトロウイルス、例えばHIV)、オルトレトロウイルス亜科およびスピューマレトロウイルス亜科からなる群から選択されたウイルス科または亜科に属する。いくつかの実施態様では、第6群RNAウイルスは、アルファレトロウイルス属(例えば、トリ白血病ウイルス、ラウス肉腫ウイルス)、ベータレトロウイルス属(例えば、マウス乳がんウイルス)、ボビスプーマウイルス属(例えば、ウシフォーミーウイルス)、デルタレトロウイルス属(例えば、牛白血病ウイルス、ヒトTリンパ好性ウイルス)、イプシロンレトロウイルス属(例えば、ウォールアイ皮膚肉腫ウイルス)、エクイスプーマウイルス属(例えば、ウマフォーミーウイルス)、フェリスプーマウイルス属(例えば、ネコフォーミーウイルス)、ガンマレトロウイルス属(例えば、マウス白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス)、レンチウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス1、サル免疫不全ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス)、プロシミイスプーマウイルス属(例えば、オオカラゴフォーミーウイルス)およびシミイスプーマウイルス属(例えば、ケナガチンパンジーフォーミーウイルス)からなる群から選択されたウイルス属に属する。
【0087】
いくつかの実施態様では、RNAウイルスは、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)から選択される。いくつかの実施態様では、RNAウイルスはインフルエンザウイルスである。いくつかの実施態様では、RNAウイルスはヒト免疫不全ウイルス(HIV)である。いくつかの実施態様では、RNAウイルスは重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)である。
【0088】
いくつかの実施態様では、ウイルスRNAは、DNAゲノムを有するウイルス、すなわち、DNAウイルスによって生成されたRNAである。非限定的な例として、DNAウイルスは、第1群(dsDNA)ウイルス、第2群(ssDNA)ウイルス、または第7群(dsDNA-RT)ウイルスである。
【0089】
いくつかの実施態様では、複数の標的核酸の少なくとも1つのメンバーは一本鎖である。いくつかの実施態様では、複数の標的核酸の少なくとも1つのメンバーは二本鎖である。いくつかの実施態様では、複数の標的核酸の少なくとも1つのメンバーはRNAである。いくつかの実施態様では、複数の標的核酸の少なくとも1つのメンバーはDNAである。いくつかの実施態様では、複数の標的核酸の少なくとも1つのメンバーはウイルス核酸である。いくつかの実施態様では、複数の標的核酸の少なくとも1つのメンバーは第1のウイルス核酸であり、複数の標的核酸の少なくとも1つのメンバーは第2のウイルス核酸である。例えば、第1および第2のウイルス核酸は異なるウイルスからのものである。いくつかの実施態様では、複数の標的核酸の少なくとも1つのメンバーはウイルスRNAである。いくつかの実施態様では、複数の標的核酸の少なくとも1つのメンバーはウイルスDNAである。
【0090】
いくつかの実施態様では、標的核酸は、バクテリアDNA、バクテリアRNA、ウイルスDNA、ウイルスRNA、真菌DNA、真菌RNA、真核生物DNA、真核生物RNA、原核生物DNA、原核生物RNAまたはこれらの任意の組合せを含む。
【0091】
いくつかの実施態様では、アレイにおいて複数のデバイスを同時に用いて複数の異なる試料を検査することができる。デバイスは、例えば、反応(デバイス100~300)を前進させるか、または採取アセンブリを反応チャンバ(デバイス400および500)に結合するように、全て同時に物理的に操作することができるように配置することができる。
【0092】
いくつかの実施態様では、デバイス100~500は単回使用デバイスとすることができる。これらの実施態様では、デバイス100~500は一方向閉鎖機構を含むことができる。一方向閉鎖機構は、試料が採取され、反応チャンバ内に堆積されると、反応チャンバがデバイスの残りの部分(例えば、チューブおよび/またはキャップ、または採取アセンブリ)に結合されることを可能にする。次に、一方向閉鎖機構は、アッセイまたは検査が実行された後にデバイスが分解されることを防ぎ、デバイス内の増幅された標的分子が汚染リスクを及ぼさないようにする。しかしながら、他の実施態様では、デバイス100~500は再利用可能であってもよい。
【0093】
本開示の実施態様の説明は、包括的であることも、本開示を開示された厳密な形態に限定することも意図していない。本開示の特定の実施態様および例は、本明細書において例示の目的で示されているが、当業者であれば認識するように、本開示の範囲内で様々な等価な変形が可能である。例えば、方法ステップまたは機能は所与の順序で提示されているが、代替の実施態様は、異なる順序で機能を実行してもよく、または機能は実質的に同時に実行されてもよい。本明細書に提供される本開示の教示は、適宜他の手順または方法に適用することができる。本明細書に記載の様々な実施態様は、なる実施態様を提供するために組み合わせることができる。本開示の態様は、必要な場合、本開示のまた更なる実施態様を提供するために、上記の参照および用途の構成要素、機能および概念を利用するように変形することができる。詳細な説明に照らしてこれらのおよび他の変更を本開示に対し行うことができる。全てのそのような変形は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
【国際調査報告】