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特表2023-531549第1の物体および第2の物体のアセンブリの製造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】第1の物体および第2の物体のアセンブリの製造
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20230714BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20230714BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230714BHJP
   B29C 69/00 20060101ALI20230714BHJP
   B29C 64/10 20170101ALI20230714BHJP
【FI】
B29C65/08
B29C45/00
B33Y10/00
B29C69/00
B29C64/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580900
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2021068053
(87)【国際公開番号】W WO2022003051
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】00826/20
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501485227
【氏名又は名称】ウッドウェルディング・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レーマン,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー,ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】フォルシュフブド,アンナ
【テーマコード(参考)】
4F206
4F211
4F213
【Fターム(参考)】
4F206AA49
4F206AB25D
4F206AC01
4F206AC04
4F206AE10
4F206AH34
4F206AR13
4F206JA07
4F206JL02
4F206JW41
4F211AA01
4F211AA02
4F211AA13
4F211AA45
4F211AD03
4F211AD04
4F211AD05
4F211AD06
4F211AD16
4F211AH51
4F211AR07
4F211AR20
4F211TA01
4F211TC08
4F211TD20
4F211TN21
4F211TN22
4F211TN24
4F213AG21
4F213AG28
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL55
4F213WW02
(57)【要約】
第1の物体および第2の物体のアセンブリを製造するために、まず、流動性化合物を第1の物体形状にし、次いで流動性化合物の化学組成の変化をもたらす硬化プロセスにそれを供することによって第1の物体を製造し、それによって第1の物体またはその一部を作製する。次いで、第1の物体を第2の物体に対して位置決めし、エネルギーの入力により、変性化合物の硬化物品の流動部分を流動性にする。流動部分と第2の物体の構造との相互浸透ゾーンが作製され、流動部分は再固化することができ、それによって、再固化した流動部分と第2の物体の構造との間の相互浸透ゾーンは、第1の物体と第2の物体とを互いに固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の物体および第2の物体のアセンブリを製造する方法であって、
・流動性化合物を提供するステップ、
・前記流動性化合物の化学組成の変化をもたらす硬化プロセスに前記流動性化合物を供し、それにより、変性化合物が作製されるステップ、
・前記変性化合物を熱成形プロセスに供して、前記第1の物体の少なくとも一部を構成する前記変性化合物の硬化物品を作製するステップ、
・前記第2の物体を提供するステップ、
・前記第2の物体に対して前記第1の物体を位置決めするステップであって、前記第2の物体も任意選択的に前記流動性化合物から形成される、ステップ
・エネルギーの入力によって、前記変性化合物の流動部分を流動性にし、前記第2の物体の前記流動部分および構造の相互浸透ゾーンを生成するステップ、および
・前記流動部分を再固化させることにより、前記再固化した流動部分と前記第2の物体の前記構造との間の前記相互浸透ゾーンが、前記第1の物体および前記第2の物体を互いに固定するステップ、を含む、方法。
【請求項2】
前記熱成形プロセスの前に、前記変性化合物が粒状物または粉末として提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱成形プロセスは熱機械プロセスである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱成形プロセスは、射出成形または積層造形プロセスである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1の物体および第2の物体のアセンブリを製造する方法であって、
・流動性化合物を提供するステップ、
・前記流動性化合物を第1の物体形状にするステップ、
・前記流動性化合物が前記第1の物体形状にある間、前記流動性化合物の化学組成の変化をもたらす硬化プロセスに前記流動性化合物を供し、それにより、前記第1の物体形状を有する変性化合物の硬化物品が作製されるステップであって、この物品は、前記第1の物体の少なくとも一部を構成する、ステップ、
・前記第2の物体を提供するステップであって、前記第2の物体は、好ましくは前記流動性化合物から形成される、ステップ
・前記第2の物体に対して前記第1の物体を位置決めするステップ、
・エネルギーの入力によって、前記変性化合物の前記硬化物品の流動部分を流動性にし、前記第2の物体の前記流動部分および構造の相互浸透ゾーンを生成するステップ、および
・前記流動部分を再固化させることにより、前記再固化した流動部分と前記第2の物体の前記構造との間の前記相互浸透ゾーンが、前記第1の物体および前記第2の物体を互いに固定するステップ、を含む、方法。
【請求項6】
前記流動性化合物を前記第1の物体形状にする前記ステップは、前記流動性化合物を金型内の空洞に充填するステップを含み、前記空洞は少なくとも部分的に前記第1の物体形状を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記流動性化合物を前記第1の物体形状にする前記ステップは、鋳造、または成形、3D印刷を含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記エネルギーの入力によって前記流動部分を流動性にする前記ステップにおいて、前記変性化合物の一部は固体のままである、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
固体のままの前記部分は前記変性化合物の50%超を構成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エネルギーの入力によって前記流動部分を流動性にする前記ステップにおいて、局所的な材料の流れのみが引き起こされ、好ましくは前記第1の物体は本質的にその形状を維持する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記エネルギーは機械的振動エネルギーである、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記エネルギーは電磁エネルギーである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記エネルギーの入力によって前記流動部分を流動性にする前記ステップにおいて、前記エネルギーの少なくとも一部は、前記流動部分が流動性になるまで前記第1の物体に衝突し、前記流動部分は、前記第2の物体の構造に浸透させられる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の物体の前記構造は、前記第2の物体の細孔を含み、前記細孔は、既存の細孔または例えば前記流動部分への圧力または前記流動部分を前記第2の物体の前記構造に浸透させるステップ中の熱によって生成される細孔である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の物体はコネクタまたは強化要素であり、前記方法は、好ましくは、前記コネクタによってさらなる物体を前記第2の物体に接続するステップを含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記エネルギーの少なくとも一部は前記第2の物体に結合され、前記第1の物体の材料は前記第2の物体の予め作製された構造に流入される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の物体はコネクタまたは強化要素であり、前記方法は、好ましくは、前記コネクタによってさらなる物体を前記第1の物体に接続するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の物体は、前記変性化合物とは異なる熱可塑性材料を含み、前記エネルギーの入力によって前記流動部分を流動性にする前記ステップにおいて、前記第1の物体と前記第2の物体との間の界面付近で、前記熱可塑性材料の部分が流動性になり、前記熱可塑性材料と前記流動部分との間に相互浸透ゾーンが生じる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記エネルギーの入力によって前記流動部分を流動性にする前記ステップの間に、前記第1の物体および前記第2の物体が互いに押し付けられる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記流動部分を再固化させる前記ステップの後に、前記第1の物体および前記第2の物体は、前記相互浸透ゾーン内の嵌合式の接続によって互いに固定される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記流動部分を再固化させる前記ステップの後に、前記流動部分は前記相互浸透ゾーン内の前記第2の物体の材料に接着する、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の物体は前記硬化物品からなる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記硬化プロセスは、室温または前記プロセスが行われるときに前記化合物が熱エネルギーの入力なしに達する温度で行われる、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記硬化プロセスは、乾燥、化学反応、パーコレーション、水圧反応、または吸着を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記化学反応は硬化、特に重合である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記流動性化合物は、溶媒、結合剤および充填材料を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記流動性化合物はさらなる添加剤を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記溶媒は、水または水性溶媒である、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記結合剤はタンパク質接着剤である、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記充填材料は天然繊維である、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記天然繊維は、木質繊維、セルロース繊維、トウモロコシの繊維、竹繊維、麻繊維、ヘーゼルナッツシェル製の繊維、および綿からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記添加剤は吸湿剤である、請求項27~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記吸湿剤は、セルロース、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化第二鉄、カルナライト、炭酸カリウム、リン酸カリウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、硝酸アンモニウム、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
コネクタまたは強化要素を製造するために、
・重量あたり10~60%の結合剤
・重量あたり5~50%の充填材料
・重量あたり2~50%の添加剤、および
・重量あたり最大83%の溶媒
を含む、または一緒に混合することによって得られる材料の使用。
【請求項35】
・重量あたり10~60%の結合剤
・重量あたり5~50%の充填材料
・重量あたり2~50%の添加剤、および
・重量あたり最大83%の溶媒
を一緒に混合することによって得られるコネクタまたは強化要素。
【請求項36】
前記コネクタは、請求項35に記載の前記混合物を硬化プロセスに供することから得られる変性化合物である材料の表面部分を備える、請求項35に記載のコネクタまたは強化要素。
【請求項37】
機械的振動エネルギーを受け取るための結合面を備え、前記変性化合物で形成されたエネルギー誘導部をさらに備える、請求項35に記載のコネクタまたは強化要素。
【請求項38】
コアなどの非液化可能部分を備え、前記コアは、好ましくは、天然繊維、木材、生分解性材料、金属、セラミック材料、熱硬化性ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを備える、請求項35~37のいずれかに記載のコネクタまたは強化要素。
【請求項39】
コネクタまたは強化要素を製造するための方法であって、
・重量あたり10~60%の結合剤
・重量あたり5~50%の充填材料
・重量あたり2~50%の添加剤、および
・重量あたり最大83%の溶媒
を一緒に混合するステップを含む、方法。
【請求項40】
硬化プロセスをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記コネクタの材料は少なくとも部分的に液化される、請求項35~38のいずれか1項に記載のコネクタの使用。
【請求項42】
前記液化は、振動エネルギーなどの前記コネクタに伝達される機械的エネルギーによって引き起こされる、請求項41に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、機械工学および機械構造の分野にあり、第1の物体および第2の物体のアセンブリを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第98/42988号パンフレットおよび国際公開第00/79137号パンフレットならびに国際公開第2006/002569号パンフレットまたは国際公開第2015/18130号パンフレットまたは国際公開第2018/172 385号パンフレットから、第1の物体を第2の物体に固定する方法が教示される。第1の物体は、固体状態の熱可塑性材料、すなわち熱可塑性特性を有する材料を含む。固定のために、エネルギー、特に機械的振動エネルギーが衝突しながら、第1の物体は第2の物体と物理的に接触する。エネルギーの影響により、熱可塑性材料の流動部分は、第2の物体の構造に流入し、再固化後に、第1の物体を第2の物体に固定する。流動部分が流入する構造は、主に、第2の物体の性質のために存在する構造であり、第2の物体は、例えば、木材(この場合、構造は、木材材料の凹凸によって形成される)、木質複合材、または細孔もしくは他の凹凸を有する別の人工材料、例えば繊維構造を有する物体などであってもよい。
【0003】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2016/071 335号パンフレットでは、第2の物体を第1の物体に固定する方法が教示されている。この場合、第1の物体は固体状態の熱可塑性材料を含み、第2の物体は結合構造を有する。第2の物体は、第1の物体と接触し、機械的振動エネルギーは、熱可塑性材料の流動部分が液化されて結合構造に流入するまで第2の物体に結合され、再固化後に、再固化した熱可塑性材料が結合構造を貫通することによる嵌合式の接続をもたらす。
【0004】
これらの手法の両方は、物体の一方が物体の他方に対して固定されるという共通点を有する。より具体的には、一方の物体の構造が他方の物体の材料によって相互浸透することによって、一方の物体が他方の物体に固定され、その結果、根元が固定される方法と同様の固定効果が得られる。これは主に嵌合式の接続である。第1の物体の再固化した材料(変性化合物の流動部分)と第2の物体の材料との相互浸透は、機械的接着による固定を引き起こし得る。これは、再固化した材料が第2の物体内の空隙または細孔を充填することを意味する。したがって、第1の物体および第2の物体は、嵌合によって一緒に保持される。それにより、空隙または細孔のサイズは、嵌合現象が異なる長さスケールで生じるように変化し得る。しかしながら、嵌合現象に加えて、例えば熱可塑性溶接によって、物質間結合(化学的接着)が生成されることを排除するものではない。第1の物体および第2の物体の材料は、相互浸透ゾーン内で化合物を形成することができる。共有結合またはイオン結合が形成され得るが、水素結合も起こり得る。
【0005】
この種の結合は、製造が迅速で信頼性の高い結合をもたらすことが証明されている。考えられる欠点は、第1の物体および第2の物体の一方が熱可塑性材料を含む必要があることである。熱可塑性部品は、一般に、射出成形などの高温プロセスで成形される。そのようなプロセスは、エネルギーを消費する傾向があり、充填材料を含む可能な材料の利用可能性をプロセスに耐えることができる材料に制限する。さらなる考えられる欠点は、このようなプロセスによって結合された物体が、異なる材料が明確に分離されるように分解することが容易ではないことである。これは、リサイクルプロセスにとって不利であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の概要
本発明の目的は、第1の物体および第2の物体が互いに結合される、第1の物体および第2の物体のアセンブリを製造する新しい手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、第1の物体および第2の物体のアセンブリを製造する方法が提供され、この方法は、2つの主要な段階を有する。
【0008】
第1の段階では、第1の物体は、例えば特に非熱成形プロセスであり得る成形プロセスで製造される。この段階では、流動性化合物は、第1の物体形状になるように成形(鋳造または押出)される。成形プロセスは、鋳造プロセスであってもよく、例えば金型を用いてもよい。次いで、化合物は、流動性化合物の化学組成の変化をもたらす硬化反応に供され、それによって変性化合物の硬化物品が作製され、この物品は、第1の物体の少なくとも一部を構成し、例えば第1の物体全体を構成する。
【0009】
第1の物体形状は、後続の第2の段階の開始時に第1の物体またはその少なくとも一部が有する形状である。特に、流動性化合物を第1の物体形状にするステップにおいて、例えば使用される金型によって画定されることによって、第2の段階で形成される流動部分の少なくともその表面が画定される。第2の段階において第1の物体が第2の物体に押し付けられる実施形態では、押圧の開始時に第2の物体と接触する第1の物体の表面部分は、第1の物体形状の表面部分に属してもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、成形プロセスは、流動性化合物を加熱するステップ、または流動性になるように化合物を液化するために熱を導入するステップを含まない。成形プロセスは、特に低温転移、すなわち、流動性化合物を積極的に加熱するか、または流動性になるように化合物を高温に加熱する必要なしに起こる転移であり得る。例えば、成形プロセスは、室温または成形プロセスが室温の環境にある非加熱金型内で行われるときに化合物が達する温度で行われてもよい。しかし、成形プロセスがおそらく発熱性または吸熱性であるために、成形プロセス中およびその結果として、化合物の温度が室温よりも高くまたは低くなり得ることは排除されない。
【0011】
変性化合物は、熱プロセスによって、すなわちエネルギーを導入することによって液化可能であるという特性を有する。この特性は、特に、変性化合物を作製する成形プロセスの後に存在するが、成形プロセスの前にさらに存在してもよい。実施形態において、化合物は、好ましくは有害でも毒性でもなく、最も好ましくは水である適切な溶媒によって溶解されてもよい。これは、成形プロセスの前に化合物を流動性に溶解することができることを意味する。もちろん、流動性化合物の流動性を高めるために、成形プロセス中に(追加の)溶媒を使用することもできる。
【0012】
第2の段階では、第1の物体と第2の物体とが互いに結合される。この結合プロセスでは、エネルギーの入力によって変性化合物の流動部分を可逆的に流動性とし、この流動性の状態で変性化合物の流動部分と第2の物体の構造との相互浸透ゾーンを生成する。
【0013】
実施形態の第1の群では、結合プロセス(第2の段階)は、流動部分が流動性になるまでエネルギーの少なくとも一部、例えば振動エネルギーを第1の物体に衝突させることと、流動部分を第2の物体の構造に浸透させることとを含む。この場合、第1の物体は、少なくとも局所的に第2の物体の表面に押し付けられ得る。流動部分が浸透する構造は、第2の物体の実際のまたはその場で作られた細孔を含み得る。本明細書で使用される用語では、「細孔」は、規則的または不規則な配置の材料内の空隙を含むと理解されるべきであり、これには、不規則な配置およびサイズ分布の空隙、ならびに規則的なセルによって形成された空隙が含まれる。実施形態の第1の群では、第1の物体は、例えば、コネクタであってもよい。実施形態の第1の群では、第1の物体の全体サイズ(例えば、全体の体積)は、第2の物体の全体サイズ(例えば、全体の体積)よりも実質的に小さくてもよい。
【0014】
実施形態の第2の群では、第2の物体は、構造、すなわちアンダーカットを有する結合構造を有し、および/または第2の物体は、アンダーカットを有するそのような結合構造を含むように変形することができる。結合プロセスは、エネルギーの少なくとも一部、例えば振動エネルギーが第2の物体に結合されている間に、第2の物体を第1の物体に押し付けることを含む。エネルギーの影響により、第2の物体は、第1の物体と接触している場所で少なくとも局所的に加熱され、第1の物体の材料が第2の物体の構造に流れ込む。実施形態の第2の群では、第2の物体は、例えば、コネクタであってもよい。実施形態の第2の群では、第1の物体の全体サイズ(例えば、全体の体積)は、第2の物体の全体サイズ(例えば、全体の体積)よりも実質的に大きくてもよい。
【0015】
実施形態の第3の群では、第2の物体は、変性化合物とは異なる第2の熱可塑性材料を有し、第2の熱可塑性材料が流動性になる温度は、変性化合物が流動性になる温度と同じであるか、またはこの温度と同様であり、例えば最大で50℃異なる。エネルギーの影響により、変性化合物の流動部分ならびに第2の物体の熱可塑性材料部分が流動性になり、第1の物体および第2の物体の材料部分の不均質な混合物が生じ、この不均質な混合物が相互浸透ゾーンを形成する。これにより、変性化合物と第2の熱可塑性材料とは、相互浸透ゾーンにおいて、嵌合式の接続および/または物質間結合によって互いに結合される。第2の熱可塑性材料は、第1の変性化合物とは異なっていてもよい第2の変性化合物であってもよい。
【0016】
したがって、第1の態様によれば、第1の物体および第2の物体のアセンブリを製造する方法が提供され、本方法は、
・流動性化合物を提供するステップ、
・流動性化合物を第1の物体形状にするステップ、
・流動性化合物が第1の物体形状にある間、流動性化合物の化学組成の変化をもたらす硬化プロセスに流動性化合物を供し、それにより、第1の物体形状を有する変性化合物の硬化物品が作製されるステップであって、この物品は、第1の物体の少なくとも一部を構成する、ステップ、
・第2の物体を提供するステップ、
・第2の物体に対して第1の物体を位置決めするステップ、
・エネルギーの入力によって、変性化合物の硬化物品の流動部分を流動性にし、第2の物体の流動部分および構造の相互浸透ゾーンを生成するステップ、および
・流動部分を再固化させることにより、再固化した流動部分と第2の物体の構造との間の相互浸透ゾーンが、第1の物体および第2の物体を互いに固定するステップ、を含む。
【0017】
より一般的には、第1の態様による上述の方法の最後の2つのステップは、
・エネルギーの入力によって、変性化合物の硬化物品の流動部分を流動性にするステップ、および
・流動部分を再固化させ、それによって流動部分が第1の物体および第2の物体を互いに固定するステップであって、
好ましくは、流動部分を流動性にするステップの間に、流動部分と第2の物体の構造との相互浸透ゾーンが生成され、流動部分が再固化することが可能になる結果として、再固化した流動部分と第2の物体の構造との間の相互浸透ゾーンが、第1の物体および第2の物体を互いに固定する、ステップである。
【0018】
上述のように、第2段階が可能であるために、変性化合物は、熱プロセスによって液化可能であるという特性を有する。この場合、熱プロセスは、一次熱力学的相転移または二次熱力学的相転移であり得る。
【0019】
本明細書で使用される「流動部分」という用語は、変性化合物で作られているか、または変性化合物を含む第1の物体の部分を指す。この部分は、エネルギーを衝突させることによって液化することができ、その後冷却すると再固化することができる。言い換えると、流動部分は、エネルギーを用いて短時間流動性である変性化合物の硬化物品の一部である。
【0020】
実施形態のすべての群において、第1の物体に衝突するエネルギーは、機械的振動エネルギーであってもよい。機械的振動エネルギーは、第1の物体と第2の物体との間に摩擦を生成することができ、この摩擦は、第2の物体と接触している第1の物体材料の局所的な加熱を引き起こし、それによって材料が局所的に流動性になる。機械的振動エネルギーは、0とは実質的に異なる虚数部を有するヤングの複素弾性率によって、および/または変性化合物と第1の物体の別の部分との間の内部界面において、第1の物体内、例えば材料内に内部摩擦を生成することも可能である。
【0021】
本発明による方法に適した機械的振動または振動は、2kHz~200kHz(特に10kHz~100kHz、または20kHz~40kHz)の周波数および活性面1平方ミリメートル当たり0.2W~20Wの振動エネルギーを有し得る。振動工具(例えばソノトロード)は、例えば、その接触面が主に工具軸の方向に振動し(縦振動)、1~100μmの間、好ましくは約30~60μmの振幅で振動するように設計される。そのような好ましい振動は、例えば、超音波溶接から知られるような超音波装置によって生成される。
【0022】
機械的振動エネルギーの代替として、またはそれに加えて、他の機械的エネルギー(例えば、回転、連続または振動)、電磁場または放射、従来の抵抗加熱、高温流体(例えば、高温空気)の流れによる加熱などの他のエネルギー源が可能である。
【0023】
実施形態のすべての群において、第2の段階は、エネルギーが衝突する間に第1の物体および第2の物体を互いに押し付けることを含むことができる。例えば、エネルギーが機械的振動エネルギーである場合、機械的振動エネルギーがソノトロードから第1/第2の物体に結合されている間に、ソノトロードを使用して第1の物体を第2の物体に押し付けるか、または第2の物体を第1の物体に押し付けることができる。
【0024】
実施形態のすべての群において、エネルギー、第1の物体、または変性化合物を含むその一部の入力によって流動部分を流動性にするステップは、物品全体が液化される鋳造プロセスとは対照的に、大部分が局所的にのみ流動性にされる。このような局所的液化は、変性化合物の一部のみが液化し、第1の物体がプロセス中にその全体形状を維持することを意味する。特に、エネルギーが機械的振動エネルギーである場合、第1の物体は、振動エネルギーを第1の物体に結合するためにソノトロードが押圧される結合面を有することができ、この結合面の近傍の第1の物体は固体のままであり得、機械的振動は、第1の物体を介して局所的液化が起こる1つまたは複数のスポットに伝達される。この目的のために、変性化合物は、任意選択的に、少なくとも0.5GPaの弾性率を有し得る。
【0025】
流動性化合物から変性化合物への転移を引き起こす硬化プロセスは、溶媒の除去(「乾燥」)、吸着、水圧反応、および化学的架橋を含む群の少なくとも1つの方法を含み得る。硬化プロセスは、必要な入力なしで行われてもよく、または場合によってはエネルギー入力によって、例えばUV照射などの放射線によって、または開始剤分子、触媒もしくは活性化剤の添加によって補助されてもよい。
【0026】
活性化剤は、重合を開始または加速するためにモノマーを攻撃する活性種を生成する不安定な化合物であってもよく、または酵素もしくはタンパク質の活性を増加させる分子であってもよい。
【0027】
第1の段階は、
・異なる成分の組成物であり得る流動性化合物を提供または調製するステップ、
・流動性化合物を鋳造または押出成形するステップ、
・化合物を硬化させて、変性化合物で作られた物品を得るステップ、を含むことができる。
【0028】
本方法の第1段階(すべての調製ステップを含む)またはそれぞれ流動性化合物を提供または調製するステップは、化合物を溶融して流動性にすることを含まないことが好ましい。流動性化合物の調製は、異なる成分を混合すること、または適切な溶媒を使用して1つ以上の成分を溶解することを含み得る。次いで、流動性化合物は、鋳造または押出成形によって成形され、その後硬化される。
【0029】
硬化反応は、乾燥、化学反応(変態)、パーコレーション、加圧などの水圧反応、または吸着からなる群から選択することができる。化学反応は、重合反応であってもよい。これは、沈殿をさらに含み得る。成形プロセスは、化学組成の変化を含み得る。これは、流動性化合物の化学組成が変性化合物の化学組成と異なることを意味する。この変化は、溶媒の損失、反応生成物の形成または結晶化によって引き起こされ得る。硬化反応は可逆的であっても不可逆的であってもよく、好ましくは不可逆的である。硬化反応は、ラジカルまたは酵素(トランスグルタミナーゼ)などの触媒または開始剤分子を使用して開始することができる。流動性化合物は、溶媒、結合剤および充填材料を含む混合物であってもよい。混合物(2つ以上の物質の物理的組み合わせ)は、懸濁液、溶液またはエマルジョンであり得る。懸濁液が好ましい。懸濁液は、溶質粒子が溶解しないが、溶媒のバルク全体に懸濁し、溶媒中で自由に浮遊したままになる不均質な混合物である。固相は、機械的撹拌によって液相(流体)全体に分散される。特定の賦形剤または懸濁化剤の使用が可能である。また、液相は、少なくとも1つの物質(溶質)が溶媒に溶解した溶液であってもよい。流動性化合物またはその混合物は、添加剤をさらに含んでもよい。適切な種類の添加剤は、吸湿性添加剤、軟化剤、安定剤、活性剤、着色剤(顔料)、架橋剤、発泡剤および難燃剤である。すべての添加剤は、好ましくは生物学的に分解可能である。
【0030】
適切な溶媒は、水、溶液(塩を含む)、およびアルコール(好ましくはエタノール)などの有機溶媒である。多くの実施形態において、水が溶媒として好ましい。別の好ましい溶媒は、深共晶溶媒、特に塩化コリンと尿素などの水素結合供与体との5:1~1:3のモル比の混合物である。
【0031】
充填材料は、特定の特性を改善し、製品をより安価にすることができる、流動性化合物に添加される粒子またはその両方の混合物である。適切な充填材料は、天然繊維、カオリン、タルク、麻、亜麻およびカーボンブラックである。多くの実施形態では、天然繊維が好ましい充填剤である。
【0032】
本明細書で使用される「天然繊維」という用語は、植物または動物によって産生される繊維を指す。適切な天然繊維の例は、木質繊維、セルロース繊維、トウモロコシの繊維、竹繊維、麻繊維、亜麻繊維、織物繊維、ヘーゼルナッツシェルまたは綿で作られた繊維である。使用される天然繊維は、化学修飾されていてもよく、例えば、メチル化、スルホン化、またはアセチル化されていてもよい。好ましい繊維は、木質繊維である。材料のリサイクルによって得られる繊維(織物繊維)、または他の物品(ナットシェルなど)の製造中に廃棄物として得られる繊維が好ましい。使用される天然繊維の少なくとも一部は、菌糸体と呼ばれる真菌根構造から構成されてもよい。菌糸体は、菌糸と呼ばれる複数の分岐した糸状フィラメントからなる。
【0033】
繊維の配向は、変性化合物の特性に影響を及ぼし得る。天然繊維が充填剤として使用される場合、流動性化合物はバイオコンポジット材料であり得る。これらの複合体は、適切な溶媒(水)および結合剤のマトリックス中の天然繊維を含むかまたはそれからなる。繊維の長さは、第1の物体の形状に応じて変化し得る。繊維の長さは、0.1から10mmの間であることが好ましく、2mmから8mmの間であることがさらに好ましく、3mmから7mmの間であることがさらに好ましい。
【0034】
本明細書で使用される「結合剤」または「結合剤」という用語は、他の材料を一緒に保持または引き込み、凝集した全体を形成する任意の材料または物質を指す。適切な結合剤は、化学的または物理的プロセスによって硬化し、充填剤、例えば繊維、充填剤粉末およびそれに添加された他の粒子を結合する物質である。適切な結合剤の例は、粘着剤、接着剤および増粘剤である。
【0035】
好ましい結合剤の群は、ビチューメン、動物および植物の粘着剤、およびポリマーからなる。適切な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびワックスなどの天然および合成ゴムである。動物および植物の粘着剤は、硬化によって三次元架橋を構築することができる植物または動物から作製された溶液である。「動物および植物の粘着剤」という用語はまた、動物もしくは植物起源の結合剤または動物もしくは植物起源の結合剤分子を含有する溶液を指す。適切な動物および植物の粘着剤は、グルテン、コラーゲン、ゼラチン、アルギネート、アルブミン、軟骨質、フィブリン、カゼイン、フィブロネクチン、ラミニン、エンタクチン、天然樹脂(シェラックなど)、殻、カタツムリまたはベルベットワーム粘液の粘着性タンパク質などのタンパク質を含み得る。タンパク質接着剤が好ましい結合剤である。タンパク質の変性は避けるべきである。したがって、硬化プロセス中の温度は50℃を超えるべきではない。
【0036】
本明細書で使用される「吸湿性添加剤」という用語は、通常は室温である周囲環境からの吸収または吸着のいずれかを介して水分子を引きつけ保持することができる任意の材料または物質を指す。適切な吸湿性添加剤は、吸湿性ポリマー、例えばセルロースまたは吸湿性塩(塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化第二鉄、カルナライト、炭酸カリウム、リン酸カリウム、カリウムミョウバン、クエン酸第二鉄アンモニウム、硝酸アンモニウム、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを含む)である。硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなどの吸湿性塩が好ましい。これらは、流動性化合物に添加されてもよく、または流動性化合物を粉末として調製する間に添加されてもよい。
【0037】
流動性化合物内で使用するのに適した軟化剤は、グリセリン、尿素、ソルビトール、クエン酸塩、ゼオライトおよびキサンタンである。安定化剤は、劣化を防止するために使用される薬剤である。流動性化合物内で使用するのに適した安定剤は、リグニンスルホネート、亜麻仁油、およびカルシウムに基づく化合物(カルシウム-亜鉛および有機-カルシウム)である。発泡剤を使用して、ガスで満たされた空間(チャンバ、細孔またはピンホール)を導入することができる。これにより、絶縁特性(熱および/または音)を有する変性材料が得られる。
【0038】
変性化合物は、エネルギーの入力によって流動性になり、好ましくは特定の高温で柔軟または成形可能になり、冷却すると(再)固化するはずである。変性化合物の硬化物品は、良好な機械的安定性を有する(寸法的に安定である)ことがさらに望ましい。さらに望ましい特徴は、生分解性、環境適合性、リサイクル可能および持続可能である。「生分解性」は、欧州規格EN13432(2019年末現在)に従って生分解性であることを意味し得る。一実施形態では、変性化合物はプラスチック(合成または半合成有機化合物)を含まない。
【0039】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書に記載の方法によって得られるプロセスまたは生成物に関し、流動性化合物は、
・重量あたり10~60%の結合剤
・重量あたり5~50%の充填材料
・重量あたり2~50%の添加剤、および
・重量あたり最大83%の溶媒を含む、またはこれらを一緒に混合することによって得られる。もちろん、各成分の最大量は、合計で重量あたり100%に達するように選択される。
【0040】
本発明の好ましい実施形態はプロセスに関し、流動性化合物は、
・重量あたり10~60%の結合剤
・重量あたり5~50%の充填材料
・重量あたり2~15%の吸湿剤、
・重量あたり2~40%の別の添加剤、および
・重量あたり最大81%の溶媒を含む、またはこれらを一緒に混合することによって得られる。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態はプロセスに関し、流動性化合物は、
・重量あたり20~40%の結合剤としてのタンパク質
・重量あたり10~25%の充填材料としての木材繊維
・重量あたり5~10%の吸湿剤、および
・重量あたり15~55%の溶媒を含む、またはこれらを一緒に混合することによって得られる。
【0042】
本発明の別の好ましい実施形態はプロセスに関し、流動性化合物は、
・重量あたり10~40%の結合剤としてのタンパク質
・重量あたり5~30%の充填材料としての天然繊維
・重量あたり2~15%の吸湿性塩、
・重量あたり2~10%の他の添加剤、および
・重量あたり5~81%の溶媒を含む、またはこれらを一緒に混合することによって得られる。
【0043】
本発明の別の好ましい実施形態はプロセスに関し、流動性化合物は、
・重量あたり10~40%の結合剤
・重量あたり5~30%の充填材料
・重量あたり2~15%の吸湿性塩、
・重量あたり2~10%の他の添加剤、および
・重量あたり5~81%の溶媒を含む、またはこれらを一緒に混合することによって得られる。
【0044】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれる欧州特許第2 836 558号明細書に記載されている材料は、本明細書に記載されているプロセスに非常によく適していることが分かっている。本発明者らは、流動性化合物のpHを6≦pH≦8.5の範囲に維持することによって有意な改善があることを観察した。観察された改善は、変性化合物の安定性/耐久性の増加である。6≦pH≦8.5のpH範囲での動作はまた、第1の物体と第2の物体との間の接着性を改善することができる。本発明による方法に適したこれらの流動性化合物は、取り扱いが安全であり、製造が容易である。
【0045】
流動性化合物として適した組成物の例は、
・重量あたり10~60%(好ましくは30~50%)の結合剤としてのリグニンまたはリグニン塩、
・重量あたり5~50%(好ましくは20~40%)の充填材料としての天然繊維
・重量あたり2~10%の添加剤、および
・重量あたり最大83%の溶媒である。もちろん、各成分の最大量は、合計で重量あたり100%に達するように選択される。好ましい溶媒は、水または水とエタノールとの混合物である。適切な天然繊維は、麻、亜麻、ケナフ、サイザル麻、ココナツ、ラミー、ミスカンサス、イラクサ、綿、セルロース、ウール、または一般に動物の毛、パーム、アシおよび木質繊維の群から選択することができる。天然繊維は、ショートカットの形態であってもよく、および/または粒子状から粉末状の稠度で混合されてもよく、特に約10μm~10mmの寸法を有する。有用な添加剤は脂肪酸塩であり得る。添加剤はまた、熱可塑性ポリマーであってもよい。この熱可塑性ポリマーは生分解性であり得る。添加剤として使用される熱可塑性ポリマーは、それぞれ>10、>50%(ISO527、50mm/分)の破断伸びを有することが好ましい。適切な熱可塑性ポリマーの例は、ε-カプロラクトンおよびポリヒドロキシバレレートである。変性化合物中の熱可塑性ポリマーの量は、好ましくは重量あたり10~30%である。熱可塑性ポリマーは、「化学組成の変化をもたらす硬化プロセスに流動性化合物を供し、それにより、変性化合物を作製する」ステップまたは「変性化合物を熱成形プロセスに供して、第1の物体の少なくとも一部を構成する変性化合物の硬化物品を作製する」ステップ中に添加することができる。これは、「変性化合物を熱成形プロセスに供して、第1の物体の少なくとも一部を構成する変性化合物の硬化物品を作製する」ステップの後の追加の配合ステップでさらに添加されてもよい。熱可塑性ポリマーの添加はまた、「流動性化合物が第1の物体形状にある間に、流動性化合物の化学組成の変化をもたらす硬化プロセスに流動性化合物を供し、それにより、第1の物体形状を有する変性化合物の硬化物品を作製するステップであって、この物品は第1の物体の少なくとも一部を構成する」ステップ中に行われてもよい。一般に、(追加の)添加剤は、本明細書に記載の方法の第1段階内または第1段階と第2段階との間で流動性化合物または流動性化合物の他の成分と組み合わせることができる。これは、成形プロセス中、成形プロセスと硬化プロセスとの間、または硬化プロセス中に添加されてもよい。
【0046】
「リグニン」という用語は、多くの植物において重要な構造材料を形成し、架橋する前駆体リグノールに由来する高度に不均質なポリマーからなる複雑な有機ポリマーのクラスを指す。リグノールは、フェニルプロパンに由来し、コニフェリルアルコール、シナピルアルコールおよびパラクマリルアルコールである。したがって、本明細書で使用される「リグニン」という用語は、リグノールならびに植物から抽出される天然リグニンで作られた人工的に作られたポリマーを指す。したがって、リグニンは、天然リグニン(主にクラフトであるが、アルカリ系または熱水抽出リグニンまたはオルガノソルブリグニンまたは化学修飾リグニン(例えば、アセチル化、ヒドロキシプロピル化またはパルミチン化)であってもよい。リグニンは、様々なバイオマス、特に製紙業界のパルプから分離することによって得ることができる。適切なリグニン塩は、リグノスルホネートまたはスルホン化リグニンである。適切なリグニンの別の誘導体は、油脂肪酸でエステル化されたリグニンである。
【0047】
あるいは、リグニンとタンニンの混合物を上記組成物中の結合剤として使用してもよい。組成物中のタンニン含有量は、重量あたり最大15%であり得る。本発明の第2の態様によれば、第1の物体および第2の物体のアセンブリを製造する方法が提供され、この方法は、2つの主要な段階を有する。
【0048】
この場合、第1の段階は2つの副段階を有する。第1の副段階では、最初に流動性化合物が提供される。流動性化合物は、前述の任意の流動性化合物の特性を有し得る。そして、流動性化合物の化学組成の変化をもたらす硬化プロセスに流動性化合物を供し、それにより、第1の態様と同様に、変性化合物が作製される。しかしながら、第1の態様とは対照的に、これは第1の物体の規定された形状(鋳造なし)ではなく任意の形状で行われ、変性した構成要素は、固体であるが輸送および添加が容易な状態、特に粒状物または粉末にされる。
【0049】
次いで、第2の副段階において、変性化合物は、第1の物体またはその一部である硬化物品を作製するために熱成形プロセスに供される。後続の第2のステップについては、第1の態様と同じ考慮事項が適用される。一実施形態では、第1の段階プロセスは、流動性化合物の押出を含む第1の副段階からなることができる。これにより、流動性化合物は、所望の断面のダイを通って押し出される。続いて、押出物を硬化させて変性化合物を得る。変性化合物は、粒状物に切断することができ、これは、次いで第2の副段階では、第1の物体または第1の物体の一部である物品の製造のための基材である。
【0050】
したがって、第2の態様によれば、第1の物体および第2の物体のアセンブリを製造する方法が提供され、本方法は、
・流動性化合物を提供するステップ、
・流動性化合物の化学組成の変化をもたらす硬化プロセスに流動性化合物を供し、それにより、変性化合物が作製されるステップ、
・変性化合物を熱成形プロセスに供して、第1の物体の少なくとも一部を構成する変性化合物の硬化物品を作製するステップ、
・第2の物体を提供するステップ、
・第2の物体に対して第1の物体を位置決めするステップ、
・エネルギーの入力によって、変性化合物の流動部分を流動性にし、第2の物体の流動部分および構造の相互浸透ゾーンを生成するステップ、および
・流動部分を再固化させることにより、再固化した流動部分と第2の物体の構造との間の相互浸透ゾーンが、第1の物体および第2の物体を互いに固定するステップ、を含む。
【0051】
より一般的には、第1の態様による上述の方法の最後の2つのステップは、
・エネルギーの入力によって、変性化合物から作られ、第1の物体の少なくとも一部である硬化物品の流動部分を流動性にするステップ、および
・流動部分を再固化させ、それによって流動部分が第1の物体および第2の物体を互いに固定するステップであって、
好ましくは、流動部分を流動性にするステップにおいて、流動部分と第2の物体の構造との相互浸透ゾーンが生成され、流動部分が再固化することが可能になる結果として、再固化した流動部分と第2の物体の構造との間の相互浸透ゾーンが、第1の物体および第2の物体を互いに固定する、ステップである。
【0052】
その第2の態様による方法は熱成形プロセスを必要とするが、流動性化合物/そこから作製された変性化合物に環境に優しい組成物を使用する可能性を含む、第1の態様のいくつかの利点が依然として存在する。さらに、第2の態様は、大量生産のための確立されたプロセスなどの従来の熱成形プロセスの利点を享受する。
【0053】
熱成形プロセスは、特に、液化変性化合物を用いて行われる射出成形プロセスまたは他の成形プロセスであってもよい。
【0054】
成形プロセスの代替として、熱成形プロセスは、積層造形プロセス、すなわちいわゆる「3D印刷」プロセスであってもよい。
【0055】
第1の態様に言及し、流動性化合物の組成および特性ならびに硬化プロセスに言及する上記の考察は、第2の態様にも同様に適用される。また、第2の態様に関する考慮事項は、第1の態様および第2の態様の両方に適用される。
【0056】
以下は両方の態様に適用される。第1の物体は、例えば第1の物体を構成する物品によって、変性化合物からなることができる。
【0057】
実施形態の第1の群における第2の物体は、変性化合物が流動性になる温度で液化しない材料/材料組成物を含む。それは、少なくとも第2段階の条件下で固体である貫通可能な材料であってもよく、この文脈における「固体」は、この材料が剛性であり、実質的に弾性的に可撓性でなく(エラストマー特性なし)、塑性変形可能でなく、弾性的に圧縮可能でないか、またはほとんど弾性的に圧縮可能でないことを意味し得る。それは、液化した材料が流入し得る、または固定のために押圧され得る(実際のまたは潜在的な)空間をさらに含み得る。加えて、または代替として、貫通可能な材料は、液化熱可塑性材料の静水圧下でそのような空間を展開することができる。この特性(浸透のための潜在的な空間を有する)は、例えば、機械的抵抗に関する不均一性を意味する。この性質を有する材料の例は、細孔から押し出すことができる材料で細孔が充填された多孔質材料、軟質材料と硬質材料との複合体、または成分間の界面接着が浸透する液化材料によって及ぼされる力よりも小さい不均質材料(木材など)である。したがって、一般に、貫通可能な材料は、構造(細孔、空洞などの「空の」空間)または材料組成(変位可能な材料または分離可能な材料)に関して不均一性を含む。第1の物体の液化した材料が流入する第2の物体の構造は、発泡体のセルであってもよい。したがって、本発明の一実施形態では、第2の物体は、発泡体から作られるか、または発泡体を含む。発泡体は、液体または固体の気体のポケットを捕捉することによって形成される材料であると理解される。適切な発泡体の例は、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)、ポリスチレンフォーム、小麦グルテン/TEOSフォームなどのバイオポリマーで作られたフォーム、または金属フォームである。別の実施形態では、第1の物体の液化材料が流入する第2の物体または第2の物体の構造は、プレス紙、積層紙、クラフトボード、コンテナボード、積層ボードおよび段ボールなどの紙または厚紙材料で作られてもよい。したがって、本発明の方法を使用して、紙または厚紙で作られた2つの物体(第2の物体および第3の物体)を接続または手がかりにすることができる。それはまた、ウールまたは亜麻などの絶縁材料(それぞれ第2または第3の物体)を木材または紙もしくは厚紙で作られた材料(それぞれ第2または第3の物体)に固定するために使用されてもよい。したがって、第1の物体は、第2の物体および第3の物体に取り付けられ、それらを接続することができる少なくとも2つの流動部分を有する。
【0058】
より一般的には、実施形態の第1の群について、第2の物体の材料は固体であり、変性化合物が液化状態(すなわち、それぞれの第1の物体材料/第2の物体材料は、繊維状または多孔質であり、貫通可能な表面構造を含むか、または圧力下でそのような貫通に完全に抵抗することができない)にある場合に変性化合物によって貫通可能である。
【0059】
特に、実施形態の第1の群の第2の物体の材料は、周囲温度で固体であるだけでなく、第1の材料が表面構造を貫通するときに適用される条件下で少なくともかなりの程度まで溶融しないようなものである。
【0060】
実施形態の第2の群において、第2の物体は、第1の段階中に存在する条件下で液化可能ではない材料からなる。特に、第2の物体は、変性化合物が流動性になる温度では液化不能である。本明細書において、「非液化性」は、「プロセス中に適用される条件下で液化可能でない」ことを意味する。したがって、本明細書では、一般に、「非液化性」材料は、プロセス中に到達した温度、したがって特に変性化合物の流動部分が液化する温度では液化しない(およびそれより低い温度でも液化しない)材料である。これは、非液化性材料が、プロセス中に到達しない温度、一般に、プロセス中に液化される熱可塑性材料の液化温度よりもはるかに(例えば、少なくとも50°または少なくとも80℃だけ)高い温度で液化することができる可能性を排除するものではない。液化温度は、結晶性ポリマーを含む結晶性材料の融解温度である。非晶質熱可塑性物質の場合、液化温度(「材料が流動性になる温度」とも呼ばれる)は、材料が十分に流動性になるガラス転移温度より高い温度であり、これは「流動温度」と呼ばれることもあり(押出が可能な最低温度として定義されることもある)、例えば、熱可塑性材料または変性化合物の粘度が10Pa*s未満(実施形態において、特に実質的に繊維強化を伴わないポリマーでは、10Pa*s未満)に低下する温度である。
【0061】
本明細書に記載の方法の用途は、家具、すなわちフラットパック家具(すなわち、ユーザによって組み立てられるべき家具)および予め組み立てられた家具の両方の製造を含む。さらなる用途には、建築産業、例えばドア、窓枠などの製造、ならびにキャラバンおよびRVの製造が含まれる。自動車製造産業または他の産業などの他の用途も可能である。
【0062】
本発明はまた、コネクタまたはコネクタが固定されている物体を製造するための本明細書に記載の材料(流動性化合物)の使用に関し、このコネクタまたは物体は、処理された流動性化合物が変性化合物として働き、エネルギーの入力によって、コネクタが固定されている物体の構造を相互浸透するように、または物体に固定されているコネクタの構造を相互浸透するようにそれぞれ局所的に流動性にされる固定プロセスに適している。
【0063】
本発明はさらに、本明細書に記載の材料(流動性化合物)から製造されたコネクタに関する。コネクタは、例えば、材料の少なくとも1つのエネルギー誘導機構、例えば先端またはリブを備えてもよい。そのようなエネルギー誘導特徴は、前述の方法の第2の段階に対応する固定プロセス中の材料の局所的液化を支援する。第1の物体は、変性化合物材料に加えて、異なる材料、例えば、変性化合物よりも実質的に高い温度(例えば、少なくとも50°高い温度)でしか液化可能または液化可能ではない材料の一部を含んでもよい。そのような追加の部分は、例えば、天然繊維、木材、生分解性材料、金属、セラミック材料、熱硬化性ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含むコアであってもよい。これは、例えば、第1の物体と第2の物体との間の剪断力の吸収に関して、第1の物体をより安定させることができる。
【0064】
本明細書で言及されるコネクタは、1つの物体を別の物体に接続するのに適した任意の装置であってもよい。一実施形態では、第1の物体は、第3の物体を第2の物体に接続するのに適したコネクタである。コネクタは、アンカー、ピン、ダボ、釘またはボルトであってもよい。それは、ねじ山またはリブを有することができる。変性化合物からなり得る第1の物体の流動部分またはコネクタは、第1の物体またはコネクタのシェル表面の一部であり得る。それはさらに、流動部分を取り囲むスリーブ内の孔を通って流れることができるコアであってもよい。コネクタはまた、同じまたは異なる変性化合物で作られた2つの流動部分を含んでもよい。変性化合物が異なる場合、変性化合物は液化温度が異なることが好ましい。2つの流動部分は、コネクタを第2の物体に固定し、その後に第2の物体に接続して本明細書に記載の方法を実行することを可能にする。その後、第3の物体は、コネクタの第2の流動部分を介して第2の物体に接続されてもよい。
【0065】
本明細書で言及される強化要素は、別の物体を強化、増強、または強化するのに適した任意の装置であってもよい。強化要素は、第2の物体の細孔の少なくとも一部を変性化合物の材料で充填し、したがって第2の物体を補強するために使用することができる。それにより、強化は局所的に制限され得る。強化要素は、ピン、ダボ、またはボルトの形状を有することができる。それは、ねじ山またはリブを有することができる。変性化合物からなり得る第1の物体の流動部分または強化要素は、第1の物体または強化要素のシェル表面の一部であり得る。それはさらに、流動部分を取り囲むスリーブ内の孔を通って流れることができるコアであってもよい。その後、第3の物体は、第2の物体の補強エリア内で第2の物体に接続され得る。
【0066】
本発明はまた、コネクタまたは強化要素を製造するための方法であって、
・重量あたり10~60%の結合剤
・重量あたり5~50%の充填材料
・重量あたり2~50%の添加剤、および
・重量あたり最大83%の溶媒
・を一緒に混合するステップを含む。
【0067】
上記でなされ、流動性化合物の組成および特性ならびに混合ステップに言及する考察は、前記方法にも等しく適用される。したがって、方法は硬化プロセスを含み得る。
【0068】
図面の簡単な説明
本発明およびその実施形態は、すべて概略的である添付の図面に関連してさらに詳細に説明される。同じ参照番号は、同じまたは類似の要素を指す。図は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】製造された第1の物体がコネクタである、第1の態様による方法の第1の段階のステップを示す。
図2】製造された第1の物体がコネクタである、第1の態様による方法の第1の段階のステップを示す。
図3】製造された第1の物体がコネクタである、第1の態様による方法の第1の段階のステップを示す。
図4】製造された第1の物体がコネクタである、第1の態様による方法の第1の段階のステップを示す。
図5】実施形態の第1の群、第2の群、および第3の群の例について、それぞれ第2の段階を示す。
図6】実施形態の第1の群、第2の群、および第3の群の例について、それぞれ第2の段階を示す。
図7】実施形態の第1の群、第2の群、および第3の群の例について、それぞれ第2の段階を示す。
図8図7に従って生成された界面の詳細を示す。
図9】第2の態様による方法の第1の段階のステップを示す。
図10】第2の態様による方法の第1の段階のステップを示す。
図11】第2の態様による方法の組み合わされた第1の段階/第2の段階を示す。
図12】第1の物体が強化要素である方法の第2の段階を示す。
図13】第1の物体が2つの流動部分を有するコネクタである方法の第2の段階を示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
好ましい実施形態の説明
図1は、流動性化合物1を構成するステップを示す。液体成分12および場合によっては固体成分11(上記の材料の説明を参照)は、例えば粘度、温度などの所望のパラメータで所望の組成が達成されるまで容器10内で混合されるように示されている。
【0071】
図2では、ある量の流動性化合物1が金型の空洞25に充填される。金型は、2つの金型半体21、22を有するように示されている。
【0072】
図3は、硬化プロセスを非常に概略的に示す。このプロセス中、流動性化合物1は空洞25内に残り、この空洞は、例えば完全に閉じられている(閉鎖部26)。硬化プロセスは、例えば、硬化プロセスが乾燥を含む場合、例えば溶媒を金型内に拡散させることなどを含む場合、材料除去(矢印32)を任意に含んでもよく、その後、例えば多孔質であることによって必要な吸収能力を有する。硬化プロセスは、加えて、または代替として、例えばUV照射(矢印31)の形態などのエネルギー衝突を含むことができる。プロセスが、例えば金型を介して供給される開始剤などによる材料受容を含み得ることは排除されない。
【0073】
硬化プロセスは、第1の物体(または第1の物体となるさらなる成分によって補足された物品)が製造されることをもたらす。図4は、第1の物体41の一例を示す。第1の物体は、コネクタシャフト部分44およびコネクタヘッド部分45を有するコネクタであり、それにより、さらなる物体が第2の物体に固定されている間に、シャフト部分(図4中、下)が第2の物体に固定されてもよい。コネクタが図4に示す形状を有する場合、そのようなさらなる物体は、シャフトが貫通する貫通孔を有するシート状または板状部分を有することができ、それにより、シート状または板状部分は、ねじ頭を有するねじまたは釘頭を有する釘が物品を壁に固定するのと同様に、第2の物体の近位(上側)表面と頭部の遠位(下側)表面との間にクランプされる。
【0074】
内側または外側ねじ山、アンダーカット結合構造などの別の専用の接続構造を有するコネクタを含む、他の形状のコネクタも容易に可能である。
【0075】
図4の第1の物体41は、後続の第2の段階のためのエネルギー誘導構造を有する。エネルギー誘導構造は、遠位先端部42と、シャフト部分44の外面に沿って軸方向に延びるように示されている複数のリブ43とを備える。
【0076】
図2図4では、第1の物体41は、流動性化合物から鋳造され、それからなるように示されている。第1の物体は、流動性化合物の一部を有することに加えて、さらなる成分の一部も有することも可能である。例えば、異なる材料の成分、例えば金属の成分は、鋳造プロセス中に金型空洞内の所定の位置に配置されてもよく、および/または異なる材料の成分は、硬化プロセス後に成形物品に付着されて第1の物体を生成してもよい。
【0077】
図5は、実施形態の第1の群の例の第2の段階を示す。図4に示す種類の第1の物体41は、第2の物体51の一例と共に示されており、この第2の物体は、近位側表面と、止まり穴である開口部52とを有し、開口部は、近位側表面に口を有する。第2の物体は、少なくとも開口部の近傍において、上述の意味で流動部分によって貫通可能な材料である。第1の物体の材料の例は、木材または木質複合材である。
【0078】
固定のために、第1の物体41は、シャフト部分が開口部52に部分的に挿入された状態で、第2の物体51に対して配置される。次いで、ソノトロード60を使用して、変性化合物の流動部分48が流動性になり、第2の物体の構造に流入して、再固化後に、第1の物体41を第2の物体51に固定するまで、機械的振動エネルギーが第1の物体41の近位側結合面(図の上面)を介して第1の物体41に結合されている間に、第1の物体を第2の物体に押し付ける。
【0079】
第2の段階は、実質的に、国際公開第98/42988号パンフレット(例えば、図1図4を参照して説明したように)または国際公開第00/79137号パンフレット(場合によっては開口部52なしで、例えば、図1を参照して説明したような原理に基づいて)または国際公開第2006/002569号パンフレット(次いで、例えば図1図11を参照して実質的に説明したように、第2の物体に接続される別の物体を介して、エネルギーが第1の物体に間接的に衝突する)または国際公開第2015/18130号パンフレット(次いで、例えば図1図5を参照して説明したように、シャフト部分と前記開口部とが圧入のために互いに適合された状態で)または国際公開第2008/03427号パンフレット(次いで、例えば図4を参照して説明したように、例えば追加のカウンタ要素が使用される)に記載されている通りであり得る。他の可能性としては、例えば国際公開第2009/052644号パンフレットに記載されているように、例えば図1または図3または図5を参照して説明されているように、第1の物体と第2の物体との間の直接的な接触ではなく、これらの物体間の摩擦に起因するが、ソノトロードおよび/またはカウンタ要素と変性化合物との間の接触に起因して、流動部分を流動性にする可能性が挙げられる。さらに別の変形形態が国際公開第2018/172 385号パンフレットに示されており、領域内の第2の物体は、第1の物体によって浸透され、場合によっては圧縮される低密度の材料、例えば繊維材料を有する。上記のこれらの文献はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
図6は、実施形態の第2の群の例を示す。第1の段階で成形され、変性化合物を含む第1の物体141は、その機能によって規定される構造を有する機能部である。第2の物体151は、例えばコネクタであり、変性化合物が流動性になる温度で液化しない材料からなる。
【0081】
第2の物体151は、先の実施形態における第1の物体を構成するコネクタと同様の機能のためのヘッド部分およびシャフト部分154を有するように示されている。さらに、第2の物体は、ここではシャフト部分に沿った凹部を含むように示されている予め作製された構造153を有し、第2の段階中この中に流動部分が流れ込むことができる。
【0082】
次に、ソノトロード60を使用して、第2の物体の一部が第1の物体141の材料に浸透し、これの流動部分を流動性にして予め作製された構造153に流入させるまで、機械的振動エネルギーが第2の物体151に結合されている間、第2の物体151を第1の物体141に押し付ける。第2の物体が第1の物体に対して押し付けられる方向に関して、構造はアンダーカットを形成し、その結果、再固化した変性化合物は、嵌合式の接続によって第1および第2の物体を互いに固定する。
【0083】
第2の群の実施形態では、第2の物体の第2の段階および/または構造もしくは形状は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2016/071335号パンフレットに実質的に記載されている通りであってもよい。
【0084】
図7は、実施形態の第3の群の例を示す。図7において、第1の物体41は、図5の第1の物体と同様であるように示されている。第2の物体241は、その機能によって規定される形状および構造を有する熱可塑性部品である。
【0085】
固定のために、ソノトロード60を使用して、変性化合物の流動部分ならびに第2の物体の熱可塑性材料部分が流動性になり、第1の物体および第2の物体の材料部分の不均質な混合物が生じ、再固化後に、第2の物体への第1の物体の固定が達成されるまで、機械的振動が第1の物体に結合されている間、第1の物体を第2の物体に押し付ける。図8は、対応する界面を非常に概略的に示す。
【0086】
第3の群の実施形態では、第1の物体および第2の物体の役割を交換することができ、すなわち、第2の物体(例えば、従来の熱可塑性材料を有する)をコネクタとして提供し、第1の物体(変性化合物を有する)を機能部品として提供し、振動エネルギーを第1の物体ではなく第2の物体に衝突させることが可能である。
【0087】
図9は、その第2の態様による方法の第1の段階の原理をやはり非常に概略的に示す。流動性化合物1は、図1のように構成され、次いで、変性化合物の粒状物を調製するために使用される。図示された実施形態では、流動性化合物1は押出機310内で搬送され、次いで押出部分301は硬化プロセスに供され、ここでは回転ナイフ311であるように概略的に示されている機械的装置を使用して、押出および硬化された変性化合物の改質物品を寸断して粒状物341を得る。当業者は、第2の副段階に使用される粒状物または粉末を生成する代替設定を容易に考案するであろう。一般的な生分解性ポリマーなどのいくつかの添加剤を、押出機内にある流動性化合物に添加することができる。
【0088】
次に、図10に示す第2の副段階において、第1の物体またはその一部を構成する物品は、熱機械プロセスで製造される。そのような熱機械プロセスは、粒状物または粉末が最初に溶融され、次いで流動性の状態で金型の空洞に導入される射出成形プロセスであり得る。図10は、粒状物341が最初は固体であり、金型半体321、322への熱入力により溶融が起こり、同時に金型を閉じるために押圧力が使用される代替形態を示す。第1の物体を構成する物品は、他の熱可塑性ポリマーまたは他の変性化合物などの他の成分とブレンドすることができる。添加される成分の量は、50%までであり得るが、好ましくは10~30%の範囲である。
【0089】
最後に、図11は、物品が固定ステップ中にその場で成形される、第2の態様の特別な実施形態を示す。第1の物体は、変性化合物が流動性になる温度で液化不可能な材料のシース401を含む。これは、第2の物体51(上述の第1の態様の実施形態の第1の群と同様の構成を有し得る)に対して配置され、次いで粒状物の容器として機能する。容器は近位からアクセス可能であり、ソノトロード60を使用して機械的振動エネルギーを粒状物に結合し、それは同時に容器を少なくとも部分的に満たすように成形され、孔を通して第2の物体(流動部分48)の周囲材料に押し込まれて固定をもたらす。
【0090】
図12は、第1の物体が強化要素である実施形態の第2の段階を示す。12Aは、細孔82および別の物体が固定されるべき孔81を有する第2の物体80の概略図を示す。12Bおよび12Cは、物体80の強化ステップの概要を示す。したがって、変性化合物から作られた強化要素83が孔81に導入される。ソノトロード60は、強化要素の材料を液化するために使用される。この材料は、物体2の細孔に流れ込み、孔の近傍で物体2の強化を引き起こす。その後、第3の物体が孔内の物体2に固定されてもよい。
【0091】
図13は、第1の物体が、2つの流動部分を有し、2つの物体(第2の物体および第3の物体)を接続するのに適した方法で設計されたコネクタの一部である態様を示す。13Aは、細孔および孔81を有する第2の物体80の概略図を示す。!3Bは、変性化合物で作られている第1の部分92を有するコネクタ84を示す。この第1の部分は、ピンの形状を有してもよい。この第1の領域の最外部91は、流動部分となり得る。コネクタは、やはり第1の領域92の材料と同一であってもよい変性化合物で作られた第2の部分90を含む。第2の領域は、ねじ山を有してもよく、および/または第2の流動部分を有してもよい。13Cは、第2の物体80内に固定された後のコネクタ84を示す。流動部分91は液化し、第2の物体80に浸透し、再固化した。したがって、浸透ゾーン92を作製することができる。コネクタ84は、第2の物体80に固定されていない。コネクタの第2の部分90は、第3の物体をコネクタおよび第2の物体に取り付けまたは固定するために使用され得る。
【0092】
本発明はこれらの実施形態に限定されない。他の変形形態は、当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内にあると考えられる。上記の明細書のすべての部分、特に図面に関して記載された個々の特徴は、他の実施形態を形成するために互いに組み合わされてもよく、および/または、特徴が他の特徴に関してまたは他の特徴と組み合わせて記載されていても、特許請求の範囲および明細書の残りの部分に記載されているものに準用されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
【国際調査報告】