(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】非線形周波数変換に基づいた一体型のオプティクスを備えたモノリシック光源
(51)【国際特許分類】
H01S 5/026 20060101AFI20230718BHJP
H01S 5/14 20060101ALI20230718BHJP
H01S 5/183 20060101ALI20230718BHJP
H01S 5/20 20060101ALI20230718BHJP
H01S 5/42 20060101ALI20230718BHJP
H01S 5/34 20060101ALI20230718BHJP
H01S 5/065 20060101ALI20230718BHJP
G02F 1/37 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H01S5/026 650
H01S5/14
H01S5/183
H01S5/20
H01S5/42
H01S5/34
H01S5/065
G02F1/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549146
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(85)【翻訳文提出日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 US2021032654
(87)【国際公開番号】W WO2021262342
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ティヤギ, アヌラグ
(72)【発明者】
【氏名】シェラー, マイク アンドレ
【テーマコード(参考)】
2K102
5F173
【Fターム(参考)】
2K102AA08
2K102AA33
2K102BA18
2K102BB02
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2K102DD06
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2K102EB06
2K102EB10
2K102EB20
2K102EB29
5F173AB33
5F173AB43
5F173AB50
5F173AC03
5F173AC13
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5F173AG03
5F173AH02
5F173AH06
5F173AP35
5F173AP67
(57)【要約】
半導体光源は、共振キャビティにおいて放射された長波長(たとえば、赤外)光を非線形結晶へと集光する平面光学部品を含み、非線形結晶が次いで、長波長光を、周波数倍化によってより短い波長を有する光(たとえば、可視光)へと変換する。非線形結晶上の波長選択的反射層は、長波長光を反射して共振キャビティへと返して外部キャビティを形成し、より短い波長を有する光を外部キャビティ外へと透過させる。共振キャビティは、長波長光を高効率で放射する活性領域を含む。平面光学部品は、半導体層内に形成されたマイクロレンズ、または非線形結晶内に形成された屈折率分布型レンズを含む。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体光源であって、
第1のミラーおよび第2のミラーを含み、前記第1のミラーおよび前記第2のミラーがそれぞれ半導体層のそれぞれのセットを含む、共振キャビティと、
前記共振キャビティ内にあり、赤外光を放射するように構成された半導体発光領域と、
複数の半導体層を含み、前記半導体発光領域から放射された前記赤外光を集光するように構成された平面レンズと、
前記平面レンズによって集光された前記赤外光を、第2高調波発生を通して可視光へと変換するように構成された非線形結晶と、
前記非線形結晶上にある選択的反射層であって、
前記赤外光を反射して前記共振キャビティへと返して外部キャビティを形成し、
前記可視光を前記半導体光源外へと透過させるように構成された、選択的反射層とを備える、半導体光源。
【請求項2】
前記平面レンズが前記共振キャビティ内にあるか、または
前記平面レンズが、前記共振キャビティと前記非線形結晶との間にあるか、もしくは前記非線形結晶内にある、請求項1に記載の半導体光源。
【請求項3】
前記複数の半導体層の各半導体層が、第1の横方向領域および第2の横方向領域を含み、前記第1の横方向領域および前記第2の横方向領域が、異なるそれぞれの屈折率を特徴とし、
前記複数の半導体層の各半導体層における前記第1の横方向領域が、異なる横方向寸法を特徴とし、任意選択で、
前記複数の半導体層の各半導体層における前記第1の横方向領域が、異なるそれぞれの組成を有する第1の半導体材料を含む、請求項1に記載の半導体光源。
【請求項4】
前記複数の半導体層の各半導体層における前記異なるそれぞれの組成を有する前記第1の半導体材料が、異なるそれぞれの横方向酸化速度または横方向エッチング速度を特徴とする、請求項3に記載の半導体光源。
【請求項5】
前記複数の半導体層の各半導体層における前記第1の横方向領域が、
Al
xGa
1-xAsを含み、0.7よりも大きい異なるそれぞれのx値を特徴とするか、または、
(Al
xGa
1-x)
0.5In
0.5Pを含み、異なるそれぞれのx値を特徴とする、請求項3に記載の半導体光源。
【請求項6】
前記第2の横方向領域が、酸化物領域、エアギャップ、または充填材料を含み、
前記第1の横方向領域が非酸化半導体領域を含む、請求項3に記載の半導体光源。
【請求項7】
前記複数の半導体層が隣接するエピタキシャル層内にある、請求項3に記載の半導体光源。
【請求項8】
前記複数の半導体層が複数の中間層でインターリーブされ、前記複数の中間層が第2の半導体材料を含み、任意選択で、
前記複数の半導体層および前記複数の中間層が反射防止構造を形成する、請求項3に記載の半導体光源。
【請求項9】
前記第1のミラーが、第1の反射率を特徴とする第1の分置されたBragg反射器を含み、
前記第2のミラーが、前記第1の反射率よりも低い第2の反射率を特徴とする第2の分置されたBragg反射器を含む、請求項1に記載の半導体光源。
【請求項10】
前記非線形結晶が、LiNbO
3、KNbO
3、KTP、BBO、KDP、LBO、KTO、またはBTOを含む、請求項1に記載の半導体光源。
【請求項11】
前記共振キャビティおよび前記共振キャビティ内の前記半導体発光領域が、モード同期レーザーを形成する、請求項1に記載の半導体光源。
【請求項12】
前記半導体発光領域が、
第1のクラッド層と、
第2のクラッド層と、
前記第1のクラッド層と前記第2のクラッド層との間の発光層とを備え、任意選択で、
前記発光層が、量子ドット構造、量子井戸構造、または多重量子井戸構造を含む、請求項1に記載の半導体光源。
【請求項13】
前記選択的反射層上のマイクロレンズをさらに備える、請求項1に記載の半導体光源。
【請求項14】
半導体光源のアレイを含む可視光源であって、前記半導体光源のアレイにおける各半導体光源が、
第1のミラーを形成する第1のセットの半導体層と、
前記第1のミラーとともに共振キャビティを形成する第2のミラーを形成する、第2のセットの半導体層と、
前記第1のセットの半導体層と前記第2のセットの半導体層との間に位置付けられ、第1の波長の光を放射するように構成された発光領域と、
複数の半導体層を含み、前記発光領域によって放射された前記第1の波長の前記光を集光するように構成された平面レンズと、
前記平面レンズによって集光された前記第1の波長の前記光を、前記第1の波長の半分である第2の波長の光へと変換するように構成された非線形結晶と、
前記非線形結晶上にある選択的反射層であって、
前記第1の波長の前記光を反射して前記共振キャビティへと返して外部キャビティを形成し、
前記第2の波長の前記光を前記半導体光源外へと透過させるように構成された、選択的反射層とを備える、可視光源。
【請求項15】
方法であって、
半導体層のスタックを基板上に堆積させることを含み、前記半導体層のスタックが、
第1のミラーを形成する第1のセットの半導体層と、
前記第1のミラーとともに共振キャビティを形成する第2のミラーを形成する、第2のセットの半導体層と、
前記第1のセットの半導体層と前記第2のセットの半導体層との間にあり、赤外光を放射するように構成された発光領域と、
第3のセットの半導体層であって、各半導体層が、異なるそれぞれの組成を有する第1の半導体材料を含み、異なるそれぞれの横方向酸化またはエッチングの速度を特徴とする、第3のセットの半導体層とを含み、前記方法はさらに、
前記半導体層のスタックを垂直にエッチングして、前記第3のセットの半導体層の側壁を露出させることと、
前記側壁から横方向に、所定の期間にわたって前記第3のセットの半導体層を酸化またはエッチングすることと、
非線形第2高調波発生結晶を前記半導体層のスタックに結合することと、
波長選択的反射層を前記非線形第2高調波発生結晶上にコーティングすることであって、前記波長選択的反射層が、
前記赤外光を反射して前記共振キャビティへと返して外部キャビティを形成し、
可視光を前記外部キャビティ外へと透過させるように構成された、波長選択的反射層をコーティングすることとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発光ダイオード(LED)、マイクロLED、共振キャビティLED(RCLED)、垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)、および垂直外部キャビティ面発光レーザー(VECSEL)などの半導体発光デバイスは、電気エネルギーを光エネルギーへと変換し、サイズの低減、耐久性の改善、および効率の増加など、他の光源を上回る多くの利益を提供する。半導体発光デバイスは、テレビ、コンピュータモニタ、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、プロジェクションシステム、ウェアラブル電子機器など、多くのディスプレイシステムにおける光源として使用することが可能である。たとえば、異なる色(たとえば、赤、緑、および青)の光を放射するマイクロLEDまたはVCSELを使用して、ニアアイディスプレイシステムなど、ディスプレイシステムのサブピクセルを形成することが可能である。赤外光を放射するマイクロLEDは、アイトラッキングのために目を照明するのに使用することが可能である。マイクロLED、VCSEL、および他の半導体発光デバイスはまた、奥行き感知のためのシステム、三次元感知、オブジェクトトラッキング(たとえば、手トラッキングまたは顔トラッキング)等などのさまざまなセンサシステムに配備することができる。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、全体として、半導体発光デバイスに関する。より具体的には、非限定的に、本開示は、より長い波長(たとえば、近赤外または赤外帯域)の光を高効率で放射する活性領域と、より長い波長の光をより短い波長を有する光(たとえば、可視光)へと変換することが可能な、より長い波長の光を第2高調波発生(SHG)結晶へと集光する平面光学部品とを含む、半導体発光デバイスに関する。平面光学部品は、たとえば、半導体層に形成されたマイクロレンズ、またはSHG結晶内に形成された屈折率分布型(GRIN)レンズとを含むことが可能である。平面光学部品は、エピタキシャル成長および横方向酸化またはウェットエッチングなど、半導体処理技法を使用して製造することができる。デバイス、システム、方法、材料、プロセス等を含むさまざまな発明の実施形態が、本明細書に記載される。
【0003】
本発明の一態様においては、第1のミラーおよび第2のミラーを含み、第1のミラーおよび第2のミラーがそれぞれ半導体層のそれぞれのセットを含む、共振キャビティと、共振キャビティ内にあり、赤外光を放射するように構成された半導体発光領域と、複数の半導体層を含み、半導体発光領域から放射された赤外光を集光するように構成された平面レンズと、平面レンズによって集光された赤外光を、第2高調波発生を通して可視光へと変換するように構成された非線形結晶と、非線形結晶上にあり、赤外光を反射して共振キャビティへと返して外部キャビティを形成し、可視光を半導体光源外へと透過させるように構成された選択的反射層とを備える、半導体光源が提供される。
【0004】
半導体光源のいくつかの実施形態においては、平面レンズは共振キャビティ内にあることが可能である。いくつかの実施形態においては、平面レンズは、共振キャビティと非線形結晶との間にあることが可能であり、または非線形結晶内にある。いくつかの実施形態においては、共振キャビティおよび共振キャビティ内の半導体発光領域は、光の短パルスを放射することができるモード同期レーザーを形成することが可能である。
【0005】
いくつかの実施形態においては、複数の半導体層の各半導体層は、第1の横方向領域および第2の横方向領域を含むことが可能であり、第1の横方向領域および第2の横方向領域は、異なるそれぞれの屈折率を特徴とすることが可能であり、複数の半導体層の各半導体層における第1の横方向領域は、異なる横方向寸法を特徴とすることが可能である。いくつかの実施形態においては、第2の横方向領域は、酸化物領域、エアギャップ、または充填材料を含むことが可能であるが、第1の横方向領域は、非酸化半導体領域を含むことが可能である。
【0006】
いくつかの実施形態においては、複数の半導体層の各半導体層における第1の横方向領域は、異なるそれぞれの組成を有する第1の半導体材料を含むことが可能である。複数の半導体層の各半導体層における異なるそれぞれの組成を有する第1の半導体材料は、異なるそれぞれの横方向酸化速度または横方向エッチング速度を特徴とすることが可能である。いくつかの実施形態においては、複数の半導体層の各半導体層における第1の横方向領域は、AlxGa1-xAsを含むことが可能であり、0.7超過である異なるそれぞれのx値を特徴とすることが可能である。いくつかの実施形態においては、複数の半導体層の各半導体層における第1の横方向領域は、(AlxGa1-x)0.5In0.5Pを含むことが可能であり、異なるそれぞれのx値を特徴とすることが可能である。
【0007】
いくつかの実施形態においては、複数の半導体層は隣接するエピタキシャル層内にあることが可能である。いくつかの実施形態においては、複数の半導体層は、第2の半導体材料を含む複数の中間層がインターリーブされることが可能である。いくつかの実施形態においては、複数の半導体層および複数の中間層は、反射防止構造を形成することが可能である。
【0008】
いくつかの実施形態においては、第1のミラーは、第1の反射率を特徴とする第1の分置されたBragg反射器を含むことが可能であり、第2のミラーは、第1の反射率よりも低い第2の反射率を特徴とする第2の分置されたBragg反射器を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、非線形結晶は、LiNbO3、KNbO3、KTP、BBO、KDP、LBO、KTO、またはBTOを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、半導体光源は、選択的反射層上のマイクロレンズを含むことが可能である。
【0009】
いくつかの実施形態においては、半導体発光領域は、第1のクラッド層と、第2のクラッド層と、第1のクラッド層と第2のクラッド層との間の発光層とを含むことが可能である。発光層は、量子ドット構造、量子井戸構造、または多重量子井戸構造を含むことが可能である。
【0010】
本発明の一態様においては、半導体光源のアレイを含み、半導体光源のアレイにおける各半導体光源が、第1のミラーを形成する第1のセットの半導体層と、第1のミラーとともに共振キャビティを形成する第2のミラーを形成する、第2のセットの半導体層と、第1のセットの半導体層と第2のセットの半導体層との間に位置付けられ、第1の波長の光を放射するように構成された発光領域と、複数の半導体層を含み、発光領域によって放射された第1の波長の光を集光するように構成された平面レンズと、第1の波長であって平面レンズによって集光された光を、第1の波長の半分である第2の波長の光へと変換するように構成された非線形結晶と、非線形結晶上にあり、第1の波長の光を反射して共振キャビティへと返して外部キャビティを形成し、第2の波長の光を半導体光源外へと透過させるように構成された選択的反射層とを備える、可視光源が提供される。
【0011】
本発明の一態様においては、半導体層のスタックを基板上に堆積させることであって、半導体層のスタックが、第1のミラーを形成する第1のセットの半導体層と、第1のミラーとともに共振キャビティを形成する第2のミラーを形成する、第2のセットの半導体層と、第1のセットの半導体層と第2のセットの半導体層との間にあり、赤外光を放射するように構成された発光領域と、第3のセットの半導体層であって、各半導体層が、異なるそれぞれの組成を有する第1の半導体材料を含み、異なるそれぞれの横方向酸化またはエッチング速度を特徴とする、第3のセットの半導体層とを含む、半導体層のスタックを基板上に堆積させることと、半導体層のスタックを垂直にエッチングして、第3のセットの半導体層の側壁を露出させることと、側壁から横方向に、所定の期間にわたって第3のセットの半導体層を横方向に酸化またはエッチングすることと、非線形第2高調波発生結晶を半導体層のスタックに結合することと、赤外光を反射して共振キャビティへと返して外部キャビティを形成し、可視光を外部キャビティ外へと透過させるように構成された波長選択的反射層を、非線形第2高調波発生結晶上にコーティングすることとを含む、方法が提供される。
【0012】
この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要または必須の特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定するために切り離して使用されることを意図するものでもない。主題は、本開示の明細書全体のうちの適切な部分、いずれかのまたはすべての図面、およびそれぞれの特許請求の範囲を参照することによって理解されるべきである。上述のことは、他の特徴および例とともに、以下の明細書、特許請求の範囲、および添付の図面において、さらに詳細に後述される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
下記の図を参照して、例示的な実施形態について詳細に後述する。
【
図1】特定の実施形態による、ニアアイディスプレイを含む人工現実システム環境の一例を示す簡略化したブロック図である。
【
図2】本明細書において開示する例のうちいくつかを実施するための、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスの形態のニアアイディスプレイの一例を示す斜視図である。
【
図3】本明細書において開示する例のうちいくつかを実施するための、メガネの形態のニアアイディスプレイの一例を示す斜視図である。
【
図4】特定の実施形態による、導波管ディスプレイを含む光学シースルー拡張現実システムの一例を示す図である。
【
図5A】特定の実施形態による、導波管ディスプレイを含むニアアイディスプレイデバイスの一例を示す図である。
【
図5B】特定の実施形態による、導波管ディスプレイを含むニアアイディスプレイデバイスの一例を示す図である。
【
図6】特定の実施形態による、拡張現実システムにおける画像ソースアセンブリの一例を示す図である。
【
図7A】特定の実施形態による、垂直メサ構造を有する発光ダイオード(LED)の一例を示す図である。
【
図7B】特定の実施形態による、放物線メサ構造を有するLEDの一例を示す断面図である。
【
図9】垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)の一例を示す図である。
【
図10A】平行レーザーキャビティの一例を示す図である。
【
図10B】湾曲ミラーおよび平面ミラーによって形成された半球状レーザーキャビティの一例を示す図である。
【
図10C】2つの平面ミラーおよびレンズによって形成された半球状キャビティの一例を示す図である。
【
図11】特定の実施形態による、レンズおよび第2高調波発生結晶を含む光源の一例を示す図である。
【
図12】特定の実施形態による、平面レンズおよび非線形結晶を含む光源の一例を示す図である。
【
図13A】特定の実施形態による、複数の半導体層内に形成された平面レンズの一例を示す図である。
【
図13B】特定の実施形態による、複数の半導体層内に形成された平面レンズの一例を示す図である。
【
図14】特定の実施形態による、平面レンズおよび非線形結晶を含む光源の一例を示す図である。
【
図15】特定の実施形態による、平面レンズおよび分置されたBragg反射器(DBR)によって形成されたキャビティを含む光源の一部分の一例を示す図である。
【
図16】特定の実施形態による、平面レンズおよび非線形結晶を含む光源の一例を示す図である。
【
図17】特定の実施形態による、平面レンズ、非線形結晶、および外部レンズを含む光源の一例を示す図である。
【
図18】特定の実施形態による、平面レンズおよび非線形結晶を含む光源の一例を示す図である。
【
図19】特定の実施形態による、可視光エミッタアレイを製作するプロセスの一例を示すフローチャートである。
【
図20】特定の実施形態による、光源のアレイの一例を示す図である。
【
図21】特定の実施形態による、光源のアレイの一例を示す図である。
【
図22A】特定の実施形態による、半導体光源のアレイのためのダイ対ウェハ接合の方法の一例を示す図である。
【
図22B】特定の実施形態による、半導体光源のアレイのためのウェハ対ウェハ接合の方法の一例を示す図である。
【
図23A】特定の実施形態による、半導体光源のアレイのためのハイブリッド接合の方法の一例を示す図である。
【
図23B】特定の実施形態による、半導体光源のアレイのためのハイブリッド接合の方法の一例を示す図である。
【
図23C】特定の実施形態による、半導体光源のアレイのためのハイブリッド接合の方法の一例を示す図である。
【
図23D】特定の実施形態による、半導体光源のアレイのためのハイブリッド接合の方法の一例を示す図である。
【
図24】特定の実施形態による、二次光学部品が上に製作されている半導体光源のアレイの一例を示す図である。
【
図25】特定の実施形態による、ニアアイディスプレイの一例の電子システムを示す簡略化されたブロック図である。
【0014】
図面は、例示のみを目的として本開示の実施形態を示している。当業者であれば、本開示の原理またはうたわれている利益から逸脱することなく、例示されている構造および方法の代替実施形態が採用されることが可能であることを、以下の記載から容易に認識するであろう。
【0015】
添付の図面においては、同様の構成要素および/または特徴が同じ参照ラベルを有する場合がある。さらに、ダッシュと同様の構成要素同士を区別する第2のラベルとを、参照ラベルの後に付けることによって、同じタイプのさまざまな構成要素が区別される場合がある。本明細書において第1の参照ラベルのみが使用されている場合、記載は、第2の参照ラベルとは関わりなく、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素のうちいずれの構成要素にも適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、全体として、半導体レーザー、共振キャビティ発光ダイオード(RCLED)、垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)、および垂直外部キャビティ面発光レーザー(VECSEL)など、半導体発光デバイスに関する。特定の実施形態によれば、半導体発光デバイスは、より長い波長の(たとえば、近赤外もしくは赤外帯域の)光を放射する活性領域と、より長い波長の光を第2高調波発生(SHG)結晶へと集光し、次いでより長い波長の光をより短い波長を有する光(たとえば、可視光)へと変換することが可能である、平面光学部品とを含むことが可能である。平面光学部品は、たとえば、半導体層に形成されたマイクロレンズ、またはSHG結晶内に形成された屈折率分布型(GRIN)レンズとを含むことが可能である。デバイス、システム、方法、材料、プロセス等を含むさまざまな発明の実施形態が、本明細書に記載されている。
【0017】
半導体発光デバイスは、ディスプレイシステムおよびセンサシステムなど、多くの光学システムで使用することが可能である。たとえば、発光デバイスは、奥行き感知、三次元感知、オブジェクトトラッキング(たとえば、手トラッキングもしくは顔トラッキング)等のためのシステムなど、発光デバイスによって放射された光ビームをスキャンするか、または別の方法で所望の方向もしくは領域に方向付けることが可能である、さまざまなセンサシステムで使用することが可能である。いくつかのディスプレイシステムにおいては、可視光源(たとえば、ダイオードレーザーアレイまたはマイクロ発光ダイオード(マイクロLED)アレイ)から放射された可視表示光を、画像を閲覧者の目に送達するためのディスプレイ(たとえば、導波管ディスプレイ)へと結合することが可能である。ディスプレイシステムの全体効率ηtotは、ηtot=ηEQE×ηin×ηoutによって決定することが可能であり、式中、ηEQEは、各光源(たとえば、レーザーもしくはマイクロLED)の外部量子効率(EQE)であり、キャリア(たとえば、電子)注入効率、内部量子効率、および光抽出効率(LEE)の積に比例することが可能であり、ηinは、光源から導波管への可視表示光の取込み(in-coupling)効率であり、ηoutは、導波管から閲覧者の目に向かう可視表示光の取出し(out-coupling)効率である。たとえば、光学システム(たとえば、ディスプレイシステム)の輝度、解像度、および効率を改善するため、小さいサイズ、高い輝度、高効率、および低電力消費量を有する可視光源が望ましい場合がある。しかしながら、かかる可視光源を作るのは困難である。
【0018】
特定の実施形態によれば、可視半導体光源は、近赤外(NIR)または赤外(IR)帯域の光を高効率で放射することが可能である、活性半導体領域を含むことが可能である。可視半導体光源はまた、非線形結晶の非線形光電効果によって引き起こされる周波数倍化によって、IR光を可視光へと変換することが可能である、非線形結晶を含むことが可能である。非線形結晶は、たとえば、LiNbO3、KTP、BBO、LBO、KTO、BTO等を含むことが可能である。SHGまたは周波数倍化の非線形効果を達成するため、非線形結晶におけるライトフィールドは高強度を有することが必要な場合があり、これは、たとえば、活性半導体領域から非線形結晶へと放射されるIR光を集光すること、短レーザーパルス(たとえば、モード同期もしくは位相同期レーザーパルス)を使用すること、および/または非線形結晶をレーザーキャビティ内に配置することによって達成することが可能である。
【0019】
特定の実施形態においては、活性半導体領域において生成されたIR光を、レーザーキャビティ内、レーザーキャビティと非線形結晶との間、または非線形結晶内に形成された平面光学部品(たとえば、平面レンズ)を使用して集光することが可能である。平面レンズはまた、レーザーキャビティ内の安定化要素として機能することが可能である。集光されたIR光は、小さい断面積を、またしたがって非線形結晶の小さい範囲において高い光強度を有して、非線形結晶における周波数倍化によって高出力の可視光を生成することが可能である。いくつかの実施形態においては、平面光学部品は、複数のエピタキシャル成長させた半導体層内に形成することが可能である。複数の半導体層は、異なる組成を有することが可能であり、したがって、異なる速度で横方向に酸化またはエッチングして、異なる屈折率を有する領域を半導体層内に形成し、それによってレンズの所望の光路長(OPL)または光学的厚さプロファイルを形成することができる。たとえば、酸化領域は、非酸化半導体領域よりも低い屈折率を有することが可能である。異なる半導体層の異なる酸化速度は、半導体層の異なる範囲を特定の酸化期間後に酸化させ、それによって正レンズのOPLプロファイルを有する平面デバイスを形成することが可能である。各半導体層の厚さおよび組成は、フォトリソグラフィ、横方向酸化、および/またはウェットエッチングなどの半導体処理技法を使用して、平面光学部品をより精密により高い信頼性で製作するため、エピタキシャル成長プロセスにおいて精密に制御することができる。
【0020】
一実施形態においては、レーザーキャビティは、2つの並列の反射器(たとえば、分置されたBragg反射器(DBR))と、2つの反射器間の半導体発光領域とを含むことが可能である。半導体発光領域は、IR光を放射することができる発光ダイオードを形成することが可能な、キャリア注入層と発光層(たとえば、量子井戸(QW)または量子ドット)とを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、平面光学部品は、半導体発光領域と反射器との間、または半導体発光領域内(たとえば、発光層内もしくは量子井戸バリア層内)など、レーザーキャビティ内の任意の場所に形成することが可能である。いくつかの実施形態においては、平面光学部品は、レーザーキャビティの反射器と非線形結晶との間など、レーザーキャビティの外部に形成することが可能である。いくつかの実施形態においては、平面光学部品は、非線形結晶内に形成された屈折率分布型(GRIN)レンズを含むことが可能である。非線形結晶は、2つの反射器のうち1つに取り付けることが可能である。波長選択的反射層を非線形結晶上にコーティングして、IR光を反射してレーザーキャビティへと返し、周波数倍化によって非線形結晶内に生成された可視光を可視半導体光源外へと透過させることが可能である。したがって、波長選択的反射層は、レーザーキャビティの2つの並列の反射器のうち1つの反射器を有する、外部キャビティを形成することが可能である。
【0021】
特定の実施形態によれば、平面光学部品は、エピタキシャル成長および横方向酸化(またはウェットエッチング)技法など、半導体デバイスを製作するための技法に匹敵する、精密で信頼性が高く、コスト効率が良いウェハレベルの処理技法を使用して製造することが可能である。一例では、複数の半導体層は、半導体発光領域の層およびDBR層のエピタキシャル成長と同様の手法で、エピタキシャル成長させることが可能である。複数の半導体層の組成は、複数の半導体層にわたって変化することが可能であるので、複数の半導体層は、異なる横方向酸化速度または横方向エッチング速度を有することが可能である。いくつかの実施形態においては、トレンチを、所望のパターンに従って複数の半導体層の特定の領域に形成することが可能であり、次いで半導体層を、トレンチの露出した側壁を通して横方向に酸化またはウェットエッチングすることが可能である。酸化(またはエッチング)速度は、層組成の選択によって制御することができる。酸化(またはエッチング)領域のサイズは、酸化(またはエッチング)速度、および側壁における酸化剤(またはエッチング剤)に対する複数の半導体層の暴露時間によって制御することができる。異なる層における酸化された(またはエッチングされた)領域の異なるサイズは、非酸化半導体材料と比較した酸化物の異なる(たとえば、低い)屈折率により、複数の半導体層において特定の焦点距離を有するレンズのOPLプロファイルをもたらすことが可能である。異なる組成を有する複数の半導体層はまた、異なる屈折率を有することが可能であり、したがって屈折率分布型光学デバイスを形成することが可能である。
【0022】
本明細書に記載する発光デバイスは、人工現実システムなどのさまざまな技術と併せて使用することが可能である。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)またはヘッドアップディスプレイ(HUD)システムなどの人工現実システムは、一般に、仮想環境内のオブジェクトを描写する人工画像を提示するように構成されたディスプレイを含む。ディスプレイは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、または複合現実(MR)用途の場合のように、仮想オブジェクトを提示すること、または現実のオブジェクトの画像を仮想オブジェクトと組み合わせることが可能である。たとえば、ARシステムの場合、ユーザは、たとえば、透明なディスプレイガラスもしくはレンズを通して見ること(光学シースルーと呼ばれる場合が多い)、またはカメラによって取り込まれた周囲環境の表示画像を閲覧すること(ビデオシースルーと呼ばれる場合が多い)によって、仮想オブジェクトの表示画像(たとえば、コンピュータ生成画像(CGI))と、周囲環境との両方を閲覧することが可能である。いくつかのARシステムにおいては、LEDベースのディスプレイサブシステムを使用して、人工画像がユーザに提示されることが可能である。
【0023】
本明細書で使用するとき、「発光ダイオード(LED)」という用語は、少なくともn型半導体層、p型半導体層、およびn型半導体層とp型半導体層との間の発光領域(すなわち、活性領域)を含む、光源を指す。発光領域は、量子井戸などの1つまたは複数のヘテロ構造を形成する1つまたは複数の半導体層を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、発光領域は、複数の(たとえば、約2~6の)量子井戸をそれぞれ含む、1つまたは複数の多重量子井戸(MQW)を形成する、複数の半導体層を含むことが可能である。
【0024】
本明細書で使用するとき、「マイクロLED」または「μLED」という用語は、チップの直線寸法が、100μm未満、50μm未満、20μm未満、10μm未満、またはそれ未満など、約200μm未満であるチップを有するLEDを指す。たとえば、マイクロLEDの直線寸法は、6μm、5μm、4μm、2μm、またはそれ未満程度の小ささである場合がある。いくつかのマイクロLEDは、少数キャリアの拡散長に匹敵する直線寸法(たとえば、長さまたは直径)を有する場合がある。しかしながら、本明細書の開示はマイクロLEDには限定されず、ミニLEDおよび大型LEDに適用される場合もある。
【0025】
本明細書で使用するとき、「接合」という用語は、接着接合、金属対金属接合、金属酸化物接合、ウェハ対ウェハ接合、ダイ対ウェハ接合、ハイブリッド接合、はんだ付け、アンダーバンプメタライゼーション等など、2つ以上のデバイスおよび/またはウェハを物理的および/または電気的に接続するためのさまざまな方法を指すことが可能である。たとえば、接着接合は、硬化型接着剤(たとえば、エポキシ)を使用して、接着を通じて2つ以上のデバイスおよび/またはウェハを物理的に接合することが可能である。金属対金属接合は、たとえば、はんだ付け界面(たとえば、パッドもしくはボール)、導電性接着剤、または金属間の溶接継手を使用する、ワイヤ接合またはフリップチップ接合を含むことが可能である。金属酸化物接合は、各表面上に金属および酸化物のパターンを形成し、酸化物セクションをともに接合し、次いで金属セクションをともに接合して、導電性経路を作成することが可能である。ウェハ対ウェハ接合は、いかなる中間層も伴わずに2つのウェハ(たとえば、シリコンウェハまたは他の半導体ウェハ)を接合することが可能であり、2つのウェハの表面間の化学接合に基づく。ウェハ対ウェハ接合は、ウェハ洗浄および他の前処理、室温での位置合わせおよび前接合、ならびに約250℃以上などの高温でのアニーリングを含むことが可能である。ダイ対ウェハ接合は、1つのウェハ上のバンプを使用して、事前に形成されたチップの特徴をウェハのドライバと位置合わせすることが可能である。ハイブリッド接合は、たとえば、ウェハ洗浄、あるウェハの接点と別のウェハの接点との高精度の位置合わせ、室温でのウェハ内の誘電材料の誘電接合、および、たとえば250~300℃以上での、アニーリングによる接点の金属接合を含むことが可能である。本明細書で使用するとき、「バンプ」という用語は一般に、接合中に使用または形成される金属相互接続部を指すことが可能である。
【0026】
以下の記載においては、説明の目的で、本開示の例の徹底的な理解を提供するために具体的な詳細が説明される。しかしながら、これらの具体的な詳細を伴わずにさまざまな例が実施されるのが可能であることが明白となるであろう。たとえば、それらの例が不必要な詳細で不明瞭にならないようにするために、デバイス、システム、構造、アセンブリ、方法、および他の構成要素が、ブロック図形式の構成要素として示される場合がある。他の場合においては、それらの例が不明瞭になることを回避するために、よく知られているデバイス、プロセス、システム、構造、および技法は、必要な詳細を伴わずに示される場合がある。図および記載は限定的であることを意図しない。本開示において採用されている用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、かかる用語および表現の使用において、図示され記載される特徴またはそれらの部分のいかなる均等物も除外する意図はない。「例」という語は、本明細書においては、「例、実例、または例示としての役割を果たすこと」を意味するのに使用される。本明細書において「例」として記載されるいずれの実施形態または設計も、必ずしも他の実施形態または設計よりも好ましいもしくは有利であると解釈されるべきではない。
【0027】
図1は、特定の実施形態による、ニアアイディスプレイ120を含む人工現実システム環境100の一例の簡略化したブロック図である。
図1に示されている人工現実システム環境100は、ニアアイディスプレイ120と、任意選択の外部撮像デバイス150と、任意選択の入力/出力インターフェース140とを含むことが可能であり、それらはそれぞれ、任意選択のコンソール110に結合されることが可能である。
図1は、1つのニアアイディスプレイ120と、1つの外部撮像デバイス150と、1つの入力/出力インターフェース140とを含む人工現実システム環境100の例を示しているが、任意の数のこれらのコンポーネントが人工現実システム環境100に含まれることが可能であり、またはこれらのコンポーネントのうちのいずれかが省略されることが可能である。たとえば、コンソール110と通信状態にある1つまたは複数の外部撮像デバイス150によってモニタされる、複数のニアアイディスプレイ120があることが可能である。いくつかの構成においては、人工現実システム環境100は、外部撮像デバイス150と、任意選択の入力/出力インターフェース140と、任意選択のコンソール110とを含まないことが可能である。代替構成においては、異なるコンポーネントまたは追加のコンポーネントが人工現実システム環境100に含まれることが可能である。
【0028】
ニアアイディスプレイ120は、コンテンツをユーザに提示するヘッドマウントディスプレイであることが可能である。ニアアイディスプレイ120によって提示されるコンテンツの例は、画像、ビデオ、オーディオ、またはそれらの任意の組合せのうち1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ120、コンソール110、または両方からオーディオ情報を受信し、そのオーディオ情報に基づいてオーディオデータを提示する、外部デバイス(たとえば、スピーカーおよび/またはヘッドフォン)を介してオーディオが提示されることが可能である。ニアアイディスプレイ120は、1つまたは複数の剛体を含むことが可能であり、剛体は、互いに堅固にまたは非堅固に結合されることが可能である。剛体間における堅固な結合は、結合された剛体を単一の剛体エンティティとして作用させることが可能である。剛体間における非堅固な結合は、剛体が互いに対して移動することを可能にすることができる。さまざまな実施形態においては、ニアアイディスプレイ120は、メガネを含む任意の好適なフォームファクタで実装されることが可能である。ニアアイディスプレイ120のいくつかの実施形態が、
図2および
図3に関して以下にさらに記載される。加えて、さまざまな実施形態においては、本明細書に記載する機能性は、ニアアイディスプレイ120外部の環境の画像と、人工現実コンテンツ(たとえば、コンピュータ生成画像)とを組み合わせるヘッドセットにおいて使用されることが可能である。したがって、ニアアイディスプレイ120は、生成されたコンテンツ(たとえば、画像、ビデオ、サウンドなど)を用いて、ニアアイディスプレイ120外部の物理的な現実世界環境の画像を拡張して、拡張現実をユーザに提示することが可能である。
【0029】
さまざまな実施形態においては、ニアアイディスプレイ120は、ディスプレイエレクトロニクス122、ディスプレイオプティクス124、およびアイトラッキングユニット130のうち1つまたは複数を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ120は、1つまたは複数のロケータ126と、1つまたは複数の位置センサ128と、慣性測定ユニット(IMU)132とを含むことも可能である。ニアアイディスプレイ120は、さまざまな実施形態においては、アイトラッキングユニット130、ロケータ126、位置センサ128、およびIMU132のうちいずれかを省略すること、または追加の要素を含むことが可能である。加えて、いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ120は、
図1に関連して記載するさまざまな要素の機能を組み合わせた要素を含むことが可能である。
【0030】
ディスプレイエレクトロニクス122は、たとえば、コンソール110から受信されたデータに従って、ユーザに画像を表示すること、またはそれらの画像の表示を容易にすることが可能である。さまざまな実施形態においては、ディスプレイエレクトロニクス122は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、無機発光ダイオード(ILED)ディスプレイ、マイクロ発光ダイオード(μLED)ディスプレイ、能動マトリックスOLEDディスプレイ(AMOLED)、透明OLEDディスプレイ(TOLED)、または他の何らかのディスプレイなど、1つもしくは複数のディスプレイパネルを含むことが可能である。たとえば、ニアアイディスプレイ120の一実施態様においては、ディスプレイエレクトロニクス122は、フロントTOLEDパネル、リアディスプレイパネル、およびフロントディスプレイパネルとリアディスプレイパネルとの間の光学部品(たとえば、減衰器、ポラライザ、または回折フィルムもしくはスペクトルフィルム)を含むことが可能である。ディスプレイエレクトロニクス122は、赤、緑、青、白、または黄色などの主色の光を放射する、ピクセルを含むことが可能である。いくつかの実施態様においては、ディスプレイエレクトロニクス122は、画像の奥行きの主観的な知覚を作り出すため、2次元パネルによって生成された立体感を通して3次元(3D)画像を表示することが可能である。たとえば、ディスプレイエレクトロニクス122は、ユーザの左目および右目の前にそれぞれ位置付けられた左ディスプレイおよび右ディスプレイを含むことが可能である。左ディスプレイおよび右ディスプレイは、立体感(すなわち、画像を閲覧しているユーザによる画像の奥行きの知覚)を作り出すため、互いに対して水平にシフトされた画像のコピーを提示することが可能である。
【0031】
特定の実施形態においては、ディスプレイオプティクス124は、画像コンテンツを光学的に(たとえば、光導波管およびカプラを使用して)表示するか、またはディスプレイエレクトロニクス122から受信した画像光を拡大し、その画像光と関連付けられた光学エラーを補正し、補正された画像光をニアアイディスプレイ120のユーザに提示することが可能である。さまざまな実施形態においては、ディスプレイオプティクス124は、たとえば、基板、光導波管、アパーチャ、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、フィルタ、入力/出力カプラ、またはディスプレイエレクトロニクス122から放射される画像光に影響を与えることが可能である他の任意の好適な光学素子など、1つまたは複数の光学素子を含むことが可能である。ディスプレイオプティクス124は、異なる光学素子の組合せ、ならびにその組合せにおける光学素子の相対的な間隔および向きを維持する機械的結合を含むことが可能である。ディスプレイオプティクス124内の1つまたは複数の光学素子は、反射防止コーティング、反射コーティング、フィルタリングコーティング、または異なる光学コーティングの組合せなどの光学コーティングを有することが可能である。
【0032】
ディスプレイオプティクス124による画像光の拡大により、ディスプレイエレクトロニクス122が、より大型のディスプレイよりも物理的に小さいこと、軽量であること、および消費電力が少ないことを可能にすることができる。加えて、拡大は、表示されるコンテンツの視野を増大することが可能である。ディスプレイオプティクス124による画像光の拡大の量は、ディスプレイオプティクス124の光学素子を調節すること、追加すること、または除去することによって変更することが可能である。いくつかの実施形態においては、ディスプレイオプティクス124は、ユーザの目からニアアイディスプレイ120よりもさらに遠く離れていることが可能である1つまたは複数の画像面に、表示画像を投影することが可能である。
【0033】
ディスプレイオプティクス124は、2次元光学エラー、3次元光学エラー、またはそれらの任意の組合せなど、1つもしくは複数のタイプの光学エラーを補正するように設計することも可能である。2次元エラーは、2次元で発生する光学収差を含む場合がある。2次元エラーの例示的なタイプは、たる形歪み、糸巻型歪み、縦色収差、および横色収差を含む場合がある。3次元エラーは、3次元で発生する光学エラーを含む場合がある。3次元エラーの例示的なタイプは、球面収差、コマ収差、像面湾曲、および非点収差を含む場合がある。
【0034】
ロケータ126は、互いに対して、およびニアアイディスプレイ120上の基準点に対して、ニアアイディスプレイ120上の特定の位置に配置されたオブジェクトであることが可能である。いくつかの実施態様においては、コンソール110は、外部撮像デバイス150によって取り込まれた画像内のロケータ126を識別して、人工現実ヘッドセットの位置、向き、または両方を決定することが可能である。ロケータ126は、LED、コーナーキューブリフレクタ、反射マーカ、ニアアイディスプレイ120が動作する環境と対照をなすタイプの光源、またはそれらの任意の組合せであることが可能である。ロケータ126がアクティブコンポーネント(たとえば、LEDもしくは他のタイプの発光デバイス)である実施形態においては、ロケータ126は、可視帯域(たとえば、約380nmから750nm)、赤外線(IR)帯域(たとえば、約750nmから1mm)、紫外線帯域(たとえば、約10nmから約380nm)、電磁スペクトルの別の部分、または電磁スペクトルの部分の任意の組合せの光を放射することが可能である。
【0035】
外部撮像デバイス150は、1つもしくは複数のカメラ、1つもしくは複数のビデオカメラ、ロケータ126のうち1つもしくは複数を含む画像を取り込むことが可能な他の任意のデバイス、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。加えて、外部撮像デバイス150は、(たとえば、信号対雑音比を増加させる)1つまたは複数のフィルタを含むことが可能である。外部撮像デバイス150は、外部撮像デバイス150の視野内において、ロケータ126から放射または反射された光を検出するように構成することが可能である。ロケータ126が受動要素(たとえば、再帰反射器)を含む実施形態においては、外部撮像デバイス150は、外部撮像デバイス150内の光源に光を再帰反射することが可能である、ロケータ126のうちいくつかまたはすべてを照明する光源を含むことが可能である。低速校正データを、外部撮像デバイス150からコンソール110に通信することが可能であり、外部撮像デバイス150は、1つまたは複数の校正パラメータをコンソール110から受信して、1つまたは複数の撮像パラメータ(たとえば、焦点距離、ピント、フレームレート、センサ温度、シャッタースピード、アパーチャなど)を調節することが可能である。
【0036】
位置センサ128は、ニアアイディスプレイ120の動きに応答して、1つまたは複数の測定信号を生成することが可能である。位置センサ128の例は、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、他の動き検出もしくはエラー補正センサ、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施形態においては、位置センサ128は、並進運動(たとえば、前方/後方、上/下、または左/右)を測定する複数の加速度計と、回転運動(たとえば、ピッチ、ヨー、またはロール)を測定する複数のジャイロスコープとを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、さまざまな位置センサは、互いに直交して向き付けることが可能である。
【0037】
IMU132は、位置センサ128のうち1つまたは複数から受信された測定信号に基づいて高速校正データを生成する電子デバイスであることが可能である。位置センサ128は、IMU132の外部、IMU132の内部、またはそれらの任意の組合せに配置することが可能である。1つまたは複数の位置センサ128からの1つまたは複数の測定信号に基づいて、IMU132は、ニアアイディスプレイ120の初期位置に対するニアアイディスプレイ120の推定位置を示す高速校正データを生成することが可能である。たとえば、IMU132は、経時的に加速度計から受信された測定信号を統合して速度ベクトルを推定し、その速度ベクトルを経時的に統合して、ニアアイディスプレイ120上の基準点の推定位置を決定することが可能である。あるいは、IMU132は、サンプリングされた測定信号をコンソール110に提供することが可能であり、それによって高速校正データを決定することが可能である。基準点は、一般に、空間における点として定義することが可能であるが、さまざまな実施形態においては、基準点は、ニアアイディスプレイ120内の点(たとえば、IMU132の中心)として定義することも可能である。
【0038】
アイトラッキングユニット130は、1つまたは複数のアイトラッキングシステムを含むことが可能である。アイトラッキングは、ニアアイディスプレイ120に対する、目の向きおよび場所を含む目の位置を決定することを指すことが可能である。アイトラッキングシステムは、1つまたは複数の目を撮像する撮像システムを含むことが可能であり、また任意選択で発光体を含むことが可能であり、その発光体は、目に向けられる光を生成することが可能であり、それにより、目によって反射された光を撮像システムによって取り込むことが可能である。たとえば、アイトラッキングユニット130は、可視スペクトルもしくは赤外スペクトルの光を放射する非コヒーレントまたはコヒーレント光源(たとえば、レーザーダイオード)と、ユーザの目によって反射された光を取り込むカメラとを含むことが可能である。別の例として、アイトラッキングユニット130は、小型レーダユニットによって放射された反射電波を取り込むことが可能である。アイトラッキングユニット130は、目を傷つけることのない、または身体的不快感を引き起こすことのない周波数および強度で光を放射する、低出力発光体を使用することが可能である。アイトラッキングユニット130は、アイトラッキングユニット130によって消費される電力全体を低減しながら(たとえば、アイトラッキングユニット130に含まれる発光体および撮像システムによって消費される電力を低減しながら)、アイトラッキングユニット130によって取り込まれた目の画像におけるコントラストを高めるようにアレンジすることが可能である。たとえば、いくつかの実施態様においては、アイトラッキングユニット130は、100ミリワット未満の電力を消費することが可能である。
【0039】
ニアアイディスプレイ120は、目の向きを使用して、たとえば、ユーザの瞳孔間距離(IPD)を決定すること、視線方向を決定すること、奥行き手がかりを導入すること(たとえば、ユーザの主視線の外側の画像をぼかすこと)、VR媒体におけるユーザの対話に関するヒューリスティック(たとえば、露出されている刺激に応じた、いずれか特定の被写体、オブジェクト、もしくはフレームに費やされた時間)を収集すること、ユーザの目のうち少なくとも1つの向きに部分的に基づいた他のいくつかの機能、またはそれらの任意の組合せが可能である。向きは、ユーザの両方の目に関して決定することが可能なので、アイトラッキングユニット130は、ユーザがどこを見ているかを決定することが可能であり得る。たとえば、ユーザの視線の方向を決定することは、ユーザの左目および右目の決定された向きに基づいて収束点を決定することを含むことが可能である。収束点は、ユーザの目の2つの中心窩軸が交差する点であることが可能である。ユーザの視線の方向は、収束点と、ユーザの両目の瞳孔間の中点とを通過する線の方向であることが可能である。
【0040】
入力/出力インターフェース140は、ユーザがアクション要求をコンソール110に送信することを可能にするデバイスであることが可能である。アクション要求は、特定のアクションを実施することの要求であることが可能である。たとえば、アクション要求は、アプリケーションを開始もしくは終了すること、またはアプリケーション内で特定のアクションを実施することであることが可能である。入力/出力インターフェース140は、1つまたは複数の入力デバイスを含むことが可能である。例示的な入力デバイスは、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、グローブ、ボタン、タッチスクリーン、または、アクション要求を受信し、受信したアクション要求をコンソール110に通信するための他の任意の好適なデバイスを含むことが可能である。入力/出力インターフェース140によって受信されたアクション要求は、コンソール110に通信されることが可能であり、コンソール110は、要求されたアクションに対応するアクションを実施することが可能である。いくつかの実施形態においては、入力/出力インターフェース140は、コンソール110から受信された命令に従って触覚フィードバックをユーザに提供することが可能である。たとえば、入力/出力インターフェース140は、アクション要求が受信されると、またはコンソール110が要求されたアクションを実施し、命令を入力/出力インターフェース140に通信すると、触覚フィードバックを提供することが可能である。いくつかの実施形態においては、外部撮像デバイス150は、ユーザの動きを決定するため、コントローラ(たとえば、IR光源を含むことが可能である)またはユーザの手の場所もしくは位置を追跡把握することなど、入力/出力インターフェース140を追跡把握するのに使用することが可能である。いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ120は、ユーザの動きを決定するため、コントローラまたはユーザの手の場所もしくは位置を追跡把握することなど、入力/出力インターフェース140を追跡把握する1つまたは複数の撮像デバイスを含むことが可能である。
【0041】
コンソール110は、外部撮像デバイス150、ニアアイディスプレイ120、および入力/出力インターフェース140のうち1つまたは複数から受信された情報に従って、ユーザに提示するためにニアアイディスプレイ120にコンテンツを提供することが可能である。
図1に示されている例においては、コンソール110は、アプリケーションストア112と、ヘッドセットトラッキングモジュール114と、人工現実エンジン116と、アイトラッキングモジュール118とを含むことが可能である。コンソール110のいくつかの実施形態は、
図1に関連して記載するものとは異なるモジュールまたは追加のモジュールを含むことが可能である。さらに後述する機能は、ここに記載するのとは異なる手法でコンソール110のコンポーネントの間で分散させることが可能である。
【0042】
いくつかの実施形態においては、コンソール110は、プロセッサと、プロセッサによって実行可能な命令を格納している非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを含むことが可能である。プロセッサは、命令を並行して実行する複数の処理ユニットを含むことが可能である。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、ハードディスクドライブ、リムーバブルメモリ、またはソリッドステートドライブ(たとえば、フラッシュメモリもしくはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM))など、任意のメモリであることが可能である。さまざまな実施形態においては、
図1に関連して記載するコンソール110のモジュールは、プロセッサによって実行されると、さらに後述する機能をプロセッサに実施させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体内の命令としてエンコードすることが可能である。
【0043】
アプリケーションストア112は、コンソール110によって実行するための1つまたは複数のアプリケーションを格納することが可能である。アプリケーションは、プロセッサによって実行されると、ユーザに提示するためのコンテンツを生成する、命令のグループを含むことが可能である。アプリケーションによって生成されるコンテンツは、ユーザの目の動きを介してユーザから受信した入力、または入力/出力インターフェース140から受信した入力に応答するものであることが可能である。アプリケーションの例は、ゲーミングアプリケーション、会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、または他の好適なアプリケーションを含むことが可能である。
【0044】
ヘッドセットトラッキングモジュール114は、外部撮像デバイス150からの低速校正情報を使用して、ニアアイディスプレイ120の動きを追跡把握することが可能である。たとえば、ヘッドセットトラッキングモジュール114は、低速校正情報およびニアアイディスプレイ120のモデルから、観察されたロケータを使用してニアアイディスプレイ120の基準点の位置を決定することが可能である。ヘッドセットトラッキングモジュール114はまた、高速校正情報からの位置情報を使用して、ニアアイディスプレイ120の基準点の位置を決定することが可能である。加えて、いくつかの実施形態においては、ヘッドセットトラッキングモジュール114は、高速校正情報、低速校正情報、またはそれらの任意の組合せの部分を使用して、ニアアイディスプレイ120の今後の場所を予測することが可能である。ヘッドセットトラッキングモジュール114は、ニアアイディスプレイ120の推定または予測された今後の位置を人工現実エンジン116に提供することが可能である。
【0045】
人工現実エンジン116は、人工現実システム環境100内でアプリケーションを実行し、ニアアイディスプレイ120の位置情報、ニアアイディスプレイ120の加速度情報、ニアアイディスプレイ120の速度情報、ニアアイディスプレイ120の予測される今後の位置、またはそれらの任意の組合せをヘッドセットトラッキングモジュール114から受信することが可能である。人工現実エンジン116はまた、推定された目の位置および向きの情報をアイトラッキングモジュール118から受信することが可能である。受信した情報に基づいて、人工現実エンジン116は、ユーザに提示するためにニアアイディスプレイ120に提供するコンテンツを決定することが可能である。たとえば、受信した情報が、ユーザが左を見ていたことを示している場合、人工現実エンジン116は、仮想環境におけるユーザの目の動きを反映するニアアイディスプレイ120のためのコンテンツを生成することが可能である。加えて、人工現実エンジン116は、入力/出力インターフェース140から受信したアクション要求に応答して、コンソール110上で実行しているアプリケーション内でアクションを実施し、そのアクションが実施されたことを示すフィードバックをユーザに提供することが可能である。フィードバックは、ニアアイディスプレイ120を介した視覚フィードバックもしくは可聴フィードバック、または入力/出力インターフェース140を介した触覚フィードバックであることが可能である。
【0046】
アイトラッキングモジュール118は、アイトラッキングユニット130からアイトラッキングデータを受信し、そのアイトラッキングデータに基づいてユーザの目の位置を決定することが可能である。目の位置は、ニアアイディスプレイ120またはそのいずれかの要素に対する目の向き、場所、または両方を含むことが可能である。目の回転軸は、眼窩内における目の場所に応じて変化するので、眼窩内における目の場所を決定することで、アイトラッキングモジュール118が目の向きをより正確に決定するのを可能にすることができる。
【0047】
図2は、本明細書において開示する例のうちいくつかを実施するための、HMDデバイス200の形態であるニアアイディスプレイの一例の斜視図である。HMDデバイス200は、たとえば、VRシステム、ARシステム、MRシステム、またはそれらの任意の組合せの一部であることが可能である。HMDデバイス200は、本体220およびヘッドストラップ230を含むことが可能である。
図2は、本体220の下側223、前側225、および左側227を斜視図において示している。ヘッドストラップ230は、調整可能または延長可能な長さを有することが可能である。ユーザがHMDデバイス200をユーザの頭上に装着することを可能にするため、HMDデバイス200の本体220とヘッドストラップ230との間には十分なスペースがあることが可能である。さまざまな実施形態においては、HMDデバイス200は、追加の、より少ない、または異なるコンポーネントを含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施形態においては、HMDデバイス200は、ヘッドストラップ230ではなく、たとえば、以下の
図3で示されるようなメガネテンプルおよびテンプルチップを含むことが可能である。
【0048】
HMDデバイス200は、コンピュータによって生成された要素を伴う、物理的な現実世界環境の仮想のおよび/または拡張されたビューを含む媒体をユーザに提示することが可能である。HMDデバイス200によって提示される媒体の例は、画像(たとえば、2次元(2D)もしくは3次元(3D)画像)、ビデオ(たとえば、2Dもしくは3Dビデオ)、オーディオ、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。画像およびビデオは、HMDデバイス200の本体220に収容された1つまたは複数のディスプレイアセンブリ(
図2には図示せず)によって、ユーザのそれぞれの目に対して提示することが可能である。さまざまな実施形態においては、1つまたは複数のディスプレイアセンブリは、単一の電子ディスプレイパネルまたは複数の電子ディスプレイパネル(たとえば、ユーザのそれぞれの目に対して1つのディスプレイパネル)を含むことが可能である。電子ディスプレイパネルの例は、たとえば、LCD、OLEDディスプレイ、ILEDディスプレイ、μLEDディスプレイ、AMOLED、TOLED、他の何らかのディスプレイ、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。HMDデバイス200は、2つのアイボックス領域を含むことが可能である。
【0049】
いくつかの実施態様においては、HMDデバイス200は、奥行きセンサ、モーションセンサ、位置センサ、およびアイトラッキングセンサなど、さまざまなセンサ(図示せず)を含むことが可能である。これらのセンサのうちのいくつかは、感知のため、構造化された光パターンを使用することが可能である。いくつかの実施態様においては、HMDデバイス200は、コンソールと通信するための入力/出力インターフェースを含むことが可能である。いくつかの実施態様においては、HMDデバイス200は、仮想現実エンジン(図示せず)を含むことが可能であり、仮想現実エンジンは、HMDデバイス200内でアプリケーションを実行し、さまざまなセンサから、HMDデバイス200の奥行き情報、位置情報、加速度情報、速度情報、予測される今後の位置、またはそれらの任意の組合せを受信することができる。いくつかの実施態様においては、仮想現実エンジンによって受信された情報は、1つまたは複数のディスプレイアセンブリに対する信号(たとえば、表示命令)を生成するのに使用することが可能である。いくつかの実施態様においては、HMDデバイス200は、互いに対して、および基準点に対して、本体220上の固定位置に配置されたロケータ(図示せず、ロケータ126など)を含むことが可能である。ロケータはそれぞれ、外部撮像デバイスによって検出可能である光を放射することが可能である。
【0050】
図3は、本明細書において開示する例のうちいくつかを実施するための、メガネの形態であるニアアイディスプレイ300の一例の斜視図である。ニアアイディスプレイ300は、
図1のニアアイディスプレイ120の特定の実施態様であることが可能であり、仮想現実ディスプレイ、拡張現実ディスプレイ、および/または複合現実ディスプレイとして動作するように構成することが可能である。ニアアイディスプレイ300は、フレーム305およびディスプレイ310を含むことが可能である。ディスプレイ310は、コンテンツをユーザに提示するように構成されることが可能である。いくつかの実施形態においては、ディスプレイ310は、ディスプレイエレクトロニクスおよび/またはディスプレイオプティクスを含むことが可能である。たとえば、
図1のニアアイディスプレイ120に関して上述したように、ディスプレイ310は、LCDディスプレイパネル、LEDディスプレイパネル、または光学ディスプレイパネル(たとえば、導波管ディスプレイアセンブリ)を含むことが可能である。
【0051】
ニアアイディスプレイ300はさらに、フレーム305上またはフレーム305内に、さまざまなセンサ350a、350b、350c、350d、および350eを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、センサ350a~350eは、1つもしくは複数の奥行きセンサ、モーションセンサ、位置センサ、慣性センサ、または環境光センサを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、センサ350a~350eは、別々の方向における別々の視野を表す画像データを生成するように構成された、1つまたは複数の画像センサを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、センサ350a~350eは、ニアアイディスプレイ300の表示されるコンテンツを制御するかまたはそのコンテンツに影響を与える、ならびに/あるいはニアアイディスプレイ300のユーザにインタラクティブなVR/AR/MR体験を提供する、入力デバイスとして使用することが可能である。いくつかの実施形態においては、センサ350a~350eはまた、立体撮像に使用することも可能である。
【0052】
いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ300はさらに、光を物理的環境へと投射する1つまたは複数の照明器330を含むことが可能である。投射光は、異なる周波数帯域(たとえば、可視光、赤外光、紫外光など)と関連付けることが可能であり、さまざまな目的を果たすことが可能である。たとえば、照明器330は、暗い環境に(または低強度の赤外光、紫外光などを伴う環境に)光を投射して、センサ350a~350eがその暗い環境内の異なるオブジェクトの画像を取り込むのを支援することが可能である。いくつかの実施形態においては、照明器330は、環境内のオブジェクト上に特定の光パターンを投射するのに使用することが可能である。いくつかの実施形態においては、照明器330は、
図1に関連して上述したロケータ126などのロケータとして使用することが可能である。
【0053】
いくつかの実施形態においては、ニアアイディスプレイ300はまた、高解像度カメラ340を含むことが可能である。カメラ340は、視野内の物理的環境の画像を取り込むことが可能である。取り込まれた画像は、たとえば、仮想現実エンジン(たとえば、
図1の人工現実エンジン116)によって処理されて、取り込まれた画像に仮想オブジェクトを付加すること、または取り込まれた画像内の物理的オブジェクトを修正することが可能であり、処理された画像は、ARまたはMR用途向けにディスプレイ310によってユーザに対して表示することが可能である。
【0054】
図4は、特定の実施形態による、導波管ディスプレイを含む光学シースルー拡張現実システム400の一例を示している。拡張現実システム400は、プロジェクタ410およびコンバイナ415を含むことが可能である。プロジェクタ410は、光源または画像ソース412と、プロジェクタオプティクス414とを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、光源または画像ソース412は、1つもしくは複数のマイクロLEDデバイス、またはレーザーアレイ(たとえば、VCSEL)を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、LCDディスプレイパネルまたはLEDディスプレイパネルなど、仮想オブジェクトを表示する複数のピクセルを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、コヒーレントな光または部分的にコヒーレントな光を生成する光源を含むことが可能である。たとえば、画像ソース412は、レーザーダイオード、垂直キャビティ面発光レーザー、LED、および/または上述のマイクロLEDを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、原色(たとえば、赤、緑、または青)に対応する単色画像光をそれぞれ放射する、複数の光源(たとえば、上述のマイクロLEDのアレイ)を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、マイクロLEDの3つの2次元アレイを含むことが可能であり、マイクロLEDの各2次元アレイは、原色(たとえば、赤、緑、または青)の光を放射するように構成されたマイクロLEDを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、空間光変調器などの光学パターン生成器を含むことが可能である。プロジェクタオプティクス414は、画像ソース412からの光を拡大する、コリメートする、スキャンする、またはコンバイナ415へと投射するなど、画像ソース412からの光を調整することができる、1つまたは複数の光学部品を含むことが可能である。1つまたは複数の光学部品は、たとえば、1つもしくは複数のレンズ、液体レンズ、ミラー、アパーチャ、および/または格子を含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施形態においては、画像ソース412は、マイクロLEDの1つまたは複数の1次元アレイまたは細長い2次元アレイを含むことが可能であり、プロジェクタオプティクス414は、マイクロLEDの1次元アレイまたは細長い2次元アレイをスキャンして画像フレームを生成するように構成された、1つまたは複数の1次元スキャナ(たとえば、マイクロミラーもしくはプリズム)を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、プロジェクタオプティクス414は、画像ソース412からの光をスキャンすることを可能にする、複数の電極を備えた液体レンズ(たとえば、液晶レンズ)を含むことが可能である。
【0055】
コンバイナ415は、プロジェクタ410からの光をコンバイナ415の基板420へと結合する入力カプラ430を含むことが可能である。コンバイナ415は、第1の波長範囲の光の少なくとも50%を透過し、第2の波長範囲の光の少なくとも25%を反射することが可能である。たとえば、第1の波長範囲は、約400nmから約650nmまでの可視光であることが可能であり、第2の波長範囲は、たとえば、約800nmから約1000nmまでの赤外線帯域にあることが可能である。入力カプラ430は、体積ホログラフィック格子、回折光学素子(DOE)(たとえば、表面レリーフ格子)、基板420の傾斜面、または屈折カプラ(たとえば、くさびもしくはプリズム)を含むことが可能である。たとえば、入力カプラ430は、反射体積Bragg格子または透過体積Bragg格子を含むことが可能である。入力カプラ430は、可視光の場合、30%超、50%超、75%超、90%超、またはそれ以上の結合効率を有することが可能である。基板420へと結合された光は、たとえば全反射(TIR)によって、基板420内を伝搬することが可能である。基板420は、メガネのレンズの形態であることが可能である。基板420は、平面または曲面を有することが可能であり、ガラス、石英、プラスチック、ポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、水晶、またはセラミックなど、1つもしくは複数のタイプの誘電材料を含むことが可能である。基板の厚さは、たとえば、約1mm未満から約10mm以上の範囲であることが可能である。基板420は、可視光に対して透明であることが可能である。
【0056】
基板420は、複数の出力カプラ440を含むことが可能であり、または複数の出力カプラ440に結合することが可能であり、出力カプラはそれぞれ、基板420によって導かれて基板420内を伝搬する光の少なくとも一部分を基板420から抽出して、抽出された光460をアイボックス495に向けるように構成されており、拡張現実システム400のユーザの目490は、拡張現実システム400が使用中のとき、そのアイボックスに配置することが可能である。複数の出力カプラ440は、アイボックス495のサイズを増大させるように射出瞳を複製することが可能であり、それによって、表示される画像がより大きな範囲で見える。入力カプラ430のように、出力カプラ440は、格子カプラ(たとえば、体積ホログラフィック格子または表面レリーフ格子)、他の回折光学要素、プリズム等を含むことが可能である。たとえば、出力カプラ440は、反射体積Bragg格子または透過体積Bragg格子を含むことが可能である。出力カプラ440は、異なる場所で異なる結合(たとえば、回折)効率を有することが可能である。基板420はまた、コンバイナ415の前方の環境からの光450をほとんどまたはまったく損失なしに通過させることが可能である。出力カプラ440はまた、光450をほとんど損失なしに通過させることが可能である。たとえば、いくつかの実施態様においては、出力カプラ440は、光450に関してかなり低い回折効率を有することが可能であり、それによって光450を、屈折させるか、または別の方法としてほとんど損失なしに出力カプラ440を通過させることが可能であり、したがって抽出された光460よりも高い強度を有することが可能である。いくつかの実施態様においては、出力カプラ440は、光450に関して高い回折効率を有することが可能であり、光450を特定の所望の方向(すなわち、回折角)でほとんど損失なく回折させることが可能である。結果として、ユーザは、コンバイナ415の前方の環境と、プロジェクタ410によって投射された仮想オブジェクトの画像との組み合わされた画像を閲覧することが可能であり得る。
【0057】
図5Aは、特定の実施形態による、導波管ディスプレイ530を含むニアアイディスプレイ(NED)デバイス500の一例を示している。NEDデバイス500は、ニアアイディスプレイ120、拡張現実システム400、または別のタイプのディスプレイデバイスの一例であることが可能である。NEDデバイス500は、光源510と、投射オプティクス520と、導波管ディスプレイ530とを含むことが可能である。光源510は、赤色発光体512のパネル、緑色発光体514のパネル、および青色発光体516のパネルなど、異なる色の発光体の複数のパネルを含むことが可能である。発光体は、たとえば、LED、VCSEL、有機LED(OLED)を含むことが可能である。赤色発光体512はアレイ状に編成されており、緑色発光体514はアレイ状に編成されており、青色発光体516はアレイ状に編成されている。光源510における発光体の寸法およびピッチは小さいことが可能である。たとえば、各発光体は、2μm未満(たとえば、約1.2μm)の直径を有することが可能であり、ピッチは、2μm未満(たとえば、約1.5μm)であることが可能である。そのため、赤色発光体512、緑色発光体514、および青色発光体516それぞれにおける発光体の数は、960×720、1280×720、1440×1080、1920×1080、2160×1080、または2560×1080ピクセルなど、表示画像におけるピクセルの数以上であることができる。したがって、表示画像を光源510によって同時に生成することが可能である。スキャニング要素は、NEDデバイス500において使用されないことが可能である。
【0058】
導波管ディスプレイ530に到達する前に、光源510によって放射された光は、レンズアレイを含むことができる、投射オプティクス520によって調整することが可能である。投射オプティクス520は、光源510によって放射された光を導波管ディスプレイ530へとコリメートまたは集光することが可能であり、導波管ディスプレイ530は、光源510によって放射された光を導波管ディスプレイ530へと結合するためのカプラ532を含むことが可能である。導波管ディスプレイ530へと結合された光は、たとえば、
図4に関連して上述したような全反射を通して、導波管ディスプレイ530内を伝搬することが可能である。カプラ532はまた、導波管ディスプレイ530内を伝搬する光の部分を、導波管ディスプレイ530の外にユーザの目590へ向けて結合することが可能である。
【0059】
図5Bは、特定の実施形態による、導波管ディスプレイ580を含むニアアイディスプレイ(NED)デバイス550の一例を示している。いくつかの実施形態においては、NEDデバイス550は、スキャニングミラー570を使用して、光源540からの光を、ユーザの目590が配置されることが可能である鏡像力場へ投射することが可能である。NEDデバイス550は、ニアアイディスプレイ120、拡張現実システム400、または別のタイプのディスプレイデバイスの一例であることが可能である。光源540は、赤色発光体542の複数の行、緑色発光体544の複数の行、および青色発光体546の複数の行など、異なる色の発光体の1つもしくは複数の行または1つもしくは複数の列を含むことが可能である。たとえば、赤色発光体542、緑色発光体544、および青色発光体546はそれぞれ、N個の行を含むことが可能であり、各行は、たとえば、2560個の発光体(ピクセル)を含む。赤色発光体542はアレイ状に編成されており、緑色発光体544はアレイ状に編成されており、青色発光体546はアレイ状に編成されている。いくつかの実施形態においては、光源540は、各色に関して単一の列の発光体を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、光源540は、赤色、緑色、および青色それぞれに関して複数の列の発光体を含むことが可能であり、各列は、たとえば、1080個の発光体を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、光源540における発光体の寸法および/またはピッチは、比較的大きい(たとえば、約3~5μmである)ことが可能であり、したがって光源540は、表示画像全体を同時に生成するのに十分な発光体を含まない場合がある。たとえば、単一の色に関する発光体の数は、表示画像におけるピクセルの数(たとえば、2560×1080ピクセル)よりも少ない場合がある。光源540によって放射される光は、光のコリメートされたまたは発散するビームのセットであることが可能である。
【0060】
スキャニングミラー570に到達する前に、光源540によって放射された光は、コリメーティングレンズまたは自由形状光学素子560など、さまざまな光学デバイスによって調整することが可能である。自由形状光学素子560は、たとえば、光源540によって放射された光の伝搬方向を、たとえば約90°以上変更するなど、光源540によって放射された光をスキャニングミラー570へと向けることが可能である、多面プリズムまたは別の光折り畳み要素を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、自由形状光学素子560は、光をスキャンするために回転可能であり得る。スキャニングミラー570および/または自由形状光学素子560は、光源540によって放射された光を反射し、導波管ディスプレイ580へと投射することが可能であり、導波管ディスプレイ580は、光源540によって放射された光を導波管ディスプレイ580へと結合するためのカプラ582を含むことが可能である。導波管ディスプレイ580へと結合された光は、たとえば、
図4に関連して上述したような全反射を通して、導波管ディスプレイ580内を伝搬することが可能である。カプラ582はまた、導波管ディスプレイ580内を伝搬する光の部分を、導波管ディスプレイ580の外にユーザの目590へ向けて結合することが可能である。
【0061】
スキャニングミラー570は、微小電気機械システム(MEMS)ミラーまたは他の任意の好適なミラーを含むことが可能である。スキャニングミラー570は、1次元または2次元でスキャンするために回転することが可能である。スキャニングミラー570が回転するにつれて、光源540によって放出された光を、導波管ディスプレイ580の異なる範囲に向けることが可能であり、それによって、表示画像全体が、導波管ディスプレイ580上へ投射され、各スキャニングサイクルにおいて導波管ディスプレイ580によってユーザの目590に向けられることが可能である。たとえば、光源540が、1つまたは複数の行または列におけるすべてのピクセルに関する発光体を含む実施形態においては、スキャニングミラー570は、画像をスキャンするために列方向または行方向(たとえば、x方向またはy方向)に回転させることが可能である。光源540が、1つまたは複数の行または列におけるすべてではないがいくつかのピクセルに関する発光体を含む実施形態においては、スキャニングミラー570は、行方向および列方向の両方(たとえば、x方向およびy方向の両方)に回転させて、(たとえば、ラスタタイプのスキャニングパターンを使用して)表示画像を投射することが可能である。
【0062】
NEDデバイス550は、事前に定義された表示期間で動作することが可能である。表示期間(たとえば、表示サイクル)は、画像全体がスキャンまたは投射される持続時間を指すことが可能である。たとえば、表示期間は、所望のフレームレートの逆数であることが可能である。スキャニングミラー570を含むNEDデバイス550においては、表示期間はまた、スキャニング期間またはスキャニングサイクルと呼ばれる場合がある。光源540による光生成は、スキャニングミラー570の回転と同期させることが可能である。たとえば、各スキャニングサイクルは、複数のスキャニングステップを含むことが可能であり、この場合、光源540は、それぞれの各スキャニングステップにおいて異なる光パターンを生成することが可能である。
【0063】
各スキャニングサイクルにおいて、スキャニングミラー570が回転するにつれて、表示画像が導波管ディスプレイ580およびユーザの目590上へ投射されることが可能である。表示画像の所与のピクセル場所の実際の色値および光強度(たとえば、輝度)は、スキャニング期間中にピクセル場所を照明する3つの色(たとえば、赤、緑、および青)の光ビームの平均であることが可能である。スキャニング期間が完了した後、スキャニングミラー570は、次の表示画像の最初の数行のための光を投射するため、初期位置へと戻ることが可能であり、または逆の方向もしくはスキャンパターンで回転して、次の表示画像のための光を投射することが可能であり、この場合、駆動信号の新たなセットを光源540に供給することが可能である。各スキャニングサイクルにおいてスキャニングミラー570が回転するので、同じプロセスが繰り返されることが可能である。そのため、別々のスキャニングサイクルにおいて別々の画像がユーザの目590へ投射されることが可能である。
【0064】
図6は、特定の実施形態による、ニアアイディスプレイシステム600における画像ソースアセンブリ610の一例を示している。画像ソースアセンブリ610は、たとえば、ユーザの目へ投射されることになる表示画像を生成することが可能であるディスプレイパネル640と、ディスプレイパネル640によって生成された表示画像を、
図4~
図5Bに関連して上述した導波管ディスプレイへと投射することが可能であるプロジェクタ650とを含むことが可能である。ディスプレイパネル640は、光源642と、光源642のためのドライバ回路644とを含むことが可能である。光源642は、たとえば、光源510または540を含むことが可能である。プロジェクタ650は、たとえば、上述した自由形状光学素子560、スキャニングミラー570、および/または投射オプティクス520を含むことが可能である。ニアアイディスプレイシステム600はまた、光源642およびプロジェクタ650(たとえば、スキャニングミラー570)を同期的に制御するコントローラ620を含むことも可能である。画像ソースアセンブリ610は、画像光を生成し、導波管ディスプレイ530または580などの導波管ディスプレイ(
図6には図示せず)へ出力することが可能である。上述したように、導波管ディスプレイは、1つまたは複数の入力結合要素において画像光を受信し、受信した画像光を1つまたは複数の出力結合要素へ導くことが可能である。入力結合要素および出力結合要素は、たとえば、回折格子、ホログラフィック格子、プリズム、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。入力結合要素は、導波管ディスプレイで全反射が発生するように選ぶことが可能である。出力結合要素は、導波管ディスプレイからの全反射された画像光の部分を結合することが可能である。
【0065】
上述したように、光源642は、アレイまたはマトリックス状に配置された複数の発光体を含むことが可能である。各発光体は、赤色光、青色光、緑色光、赤外光等などの単色光を放射することが可能である。本開示においてはRGB色がしばしば論じられているが、本明細書に記載する実施形態は、原色として赤、緑、および青を使用することに限定されない。他の色がニアアイディスプレイシステム600の原色として使用されることも可能である。いくつかの実施形態においては、一実施形態によるディスプレイパネルは、3つよりも多い原色を使用することが可能である。たとえば、光源642における各ピクセルは、赤色マイクロLED、緑色マイクロLED、および青色マイクロLEDを含む3つのサブピクセルを含むことが可能である。半導体LEDは、一般に、半導体材料の複数の層内に活性発光層を含む。半導体材料の複数の層は、異なる化合物材料、あるいは異なるドーパントおよび/または異なるドーピング密度を有する同じベース材料を含むことが可能である。たとえば、半導体材料の複数の層は、n型材料層と、ヘテロ構造(たとえば、1つまたは複数の量子井戸)を含むことが可能である活性領域と、p型材料層とを含むことが可能である。半導体材料の複数の層は、特定の向きを有している基板の表面上に成長させることが可能である。いくつかの実施形態においては、光抽出効率を高めるため、半導体材料の層のうち少なくともいくつかを含むメサを形成することが可能である。
【0066】
コントローラ620は、光源642および/またはプロジェクタ650の動作など、画像ソースアセンブリ610の画像レンダリング動作を制御することが可能である。たとえば、コントローラ620は、画像ソースアセンブリ610が1つまたは複数の表示画像をレンダリングするための命令を決定することが可能である。命令は、表示命令およびスキャニング命令を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、表示命令は、画像ファイル(たとえば、ビットマップファイル)を含むことが可能である。表示命令は、たとえば、
図1に関連して上述したコンソール110などのコンソールから受信することが可能である。スキャニング命令は、画像光を生成するため、画像ソースアセンブリ610によって使用することが可能である。スキャニング命令は、たとえば、画像光源のタイプ(たとえば、単色もしくは多色)、スキャニングレート、スキャニング装置の向き、1つもしくは複数の照明パラメータ、またはそれらの任意の組合せを指定することが可能である。コントローラ620は、本開示の他の態様を不明瞭にしないためにここには示されないハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの組合せを含むことが可能である。
【0067】
いくつかの実施形態においては、コントローラ620は、ディスプレイデバイスのグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)であることが可能である。他の実施形態においては、コントローラ620は、他の種類のプロセッサであることが可能である。コントローラ620によって実施される動作は、表示のためのコンテンツを取り込み、そのコンテンツを個別のセクションへと分割することを含むことが可能である。コントローラ620は、光源642の個々のソース要素に対応するアドレス、および/または個々のソース要素に適用される電気的バイアスを含むスキャニング命令を、光源642に提供することが可能である。コントローラ620は、最終的にユーザに対して表示される画像におけるピクセルの1つまたは複数の行に対応する発光体を使用して、個別のセクションを順次提示するように光源642に指示することが可能である。コントローラ620はまた、光の異なる調節を実施するようにプロジェクタ650に指示することが可能である。たとえば、コントローラ620は、
図5Bに関連して上述した導波管ディスプレイ(たとえば、導波管ディスプレイ580)の結合要素の異なる範囲へと、個別のセクションをスキャンするようにプロジェクタ650を制御することが可能である。したがって、導波管ディスプレイの射出瞳では、各個別の部分が異なるそれぞれの場所において提示される。各個別のセクションは異なるそれぞれの時点において提示されるが、それら個別のセクションの提示およびスキャニングは、十分に高速で行われ、それによってユーザの目は、異なるセクションを単一の画像または一連の画像へと統合することが可能である。
【0068】
画像プロセッサ630は、汎用プロセッサ、および/または本明細書に記載する機能を実施することに特化している1つもしくは複数の特定用途向け回路であることが可能である。一実施形態においては、汎用プロセッサがメモリに結合されて、本明細書に記載する特定のプロセスをプロセッサに実施させるソフトウェア命令を実施することが可能である。別の実施形態においては、画像プロセッサ630は、特定の機能を実施することに特化している1つまたは複数の回路であることが可能である。
図6における画像プロセッサ630は、コントローラ620およびドライバ回路644とは別個であるスタンドアロンのユニットとして示されているが、画像プロセッサ630は、他の実施形態においては、コントローラ620またはドライバ回路644のサブユニットであることが可能である。言い換えれば、それらの実施形態においては、コントローラ620またはドライバ回路644は、画像プロセッサ630のさまざまな画像処理機能を実施することが可能である。画像プロセッサ630は、画像処理回路と呼ばれる場合もある。
【0069】
図6に示されている例においては、光源642は、コントローラ620または画像プロセッサ630から送信されたデータまたは命令(たとえば、表示およびスキャニング命令)に基づいて、ドライバ回路644によって駆動することが可能である。一実施形態においては、ドライバ回路644は、光源642のさまざまな発光体に接続し、それらの発光体を機械的に保持する、回路パネルを含むことが可能である。光源642は、1つまたは複数の照明パラメータに従って光を放射することが可能であり、それらの照明パラメータは、コントローラ620によって設定され、潜在的に画像プロセッサ630およびドライバ回路644によって調節される。照明パラメータは、光を生成するために光源642によって使用されることが可能である。照明パラメータは、たとえば、ソース波長、パルスレート、パルス振幅、ビームタイプ(連続もしくはパルス)、放射される光に影響を与えることが可能である他のパラメータ、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、光源642によって生成される光源光は、赤色光、緑色光、および青色光の複数のビーム、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。
【0070】
プロジェクタ650は、光源642によって生成された画像光を集光する、組み合わせる、調整する、またはスキャンするなど、光学機能のセットを実施することが可能である。いくつかの実施形態においては、プロジェクタ650は、組合せアセンブリ、光調整アセンブリ、またはスキャニングミラーアセンブリを含むことが可能である。プロジェクタ650は、光源642からの光を光学的に調節して潜在的に向け直す1つまたは複数の光学部品を含むことが可能である。光の調節の一例は、拡大する、コリメートする、1つもしくは複数の光学エラー(たとえば、像面湾曲、色収差など)に関して補正する、光の他の何らかの調節、またはそれらの任意の組合せなど、光を調整することを含むことが可能である。プロジェクタ650の光学部品は、たとえば、レンズ、ミラー、アパーチャ、格子、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能である。
【0071】
プロジェクタ650は、画像光を、その1つもしくは複数の反射部分および/または屈折部分を介して向け直すことが可能であり、それによって画像光は、導波管ディスプレイに向かって特定の向きで投射される。画像光が導波管ディスプレイに向かって向け直される場所は、1つもしくは複数の反射部分および/または屈折部分の特定の向きに依存することが可能である。いくつかの実施形態においては、プロジェクタ650は、少なくとも2次元でスキャンする単一のスキャニングミラーを含む。他の実施形態においては、プロジェクタ650は、互いに直交する方向にそれぞれスキャンする複数のスキャニングミラーを含むことが可能である。プロジェクタ650は、ラスタスキャン(水平にまたは垂直に)、双共鳴スキャン、またはそれらの任意の組合せを実施することが可能である。いくつかの実施形態においては、プロジェクタ650は、特定の振動周波数で水平および/または垂直方向に沿って制御された振動を実施して、2次元に沿ってスキャンし、ユーザの目に提示される媒体の2次元投影画像を生成することが可能である。他の実施形態においては、プロジェクタ650は、1つまたは複数のスキャニングミラーと同様のまたは同じ機能を果たすことが可能である、レンズまたはプリズムを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、画像ソースアセンブリ610は、プロジェクタを含まないことが可能であり、この場合、光源642によって放射された光は、導波管ディスプレイ上に直接入射することが可能である。
【0072】
半導体LEDにおいては、光子は、普通、活性領域(たとえば、1つまたは複数の半導体層)内の電子および正孔の再結合を通して、特定の内部量子効率で生成され、この場合、内部量子効率は、光子を放射する活性領域内の放射電子正孔再結合の割合である。生成される光は、次いで、特定の方向において、または特定の立体角内でLEDから抽出することが可能である。LEDから抽出される放射光子の数と、LEDを通過する電子の数との間の比は、外部量子効率と呼ばれ、外部量子効率は、どれぐらい効率よくLEDが、注入された電子をデバイスから抽出される光子へと変換するかを説明する。
【0073】
外部量子効率は、注入効率、内部量子効率、および抽出効率に比例することが可能である。注入効率は、活性領域へと注入される、デバイスを通過する電子の割合を指す。抽出効率は、デバイスから脱出する、活性領域内で生成される光子の割合である。LED、および特に、物理的な寸法が低減されたマイクロLEDに対して、内部および外部量子効率を改善すること、ならびに/または放射スペクトルを制御することは困難である場合がある。いくつかの実施形態においては、光抽出効率を高めるため、半導体材料の層のうち少なくともいくつかを含むメサが形成されることが可能である。
【0074】
図7Aは、垂直メサ構造を有するLED700の一例を示している。LED700は、光源510、540、または642における発光体であることが可能である。LED700は、半導体材料の複数の層など、無機材料で作られたマイクロLEDであることが可能である。層状半導体発光デバイスは、III-V半導体材料の複数の層を含むことが可能である。III-V半導体材料は、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、またはアンチモン(Sb)など、V族元素と組み合わせて、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、またはインジウム(In)など、1つもしくは複数のIII族元素を含むことが可能である。III-V半導体材料のV族元素が窒素を含む場合、III-V半導体材料は、第III族窒化物材料と呼ばれる。層状半導体発光デバイスは、気相エピタキシ(VPE)、液相エピタキシ(LPE)、分子線エピタキシ(MBE)、または有機金属化学気相成長法(MOCVD)などの技法を使用して、基板上に複数のエピタキシャル層を成長させることによって製造することが可能である。たとえば、半導体材料の層は、GaN、GaAs、もしくはGaP基板など、特定の結晶格子配向(たとえば、極性、非極性、もしくは半極性の配向)を有する基板、または、サファイア、炭化ケイ素、シリコン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、アルミン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ゲルマニウム、窒化アルミニウム、リチウムガレート、部分的に置換されたスピネル、もしくは、ベータLiAlO
2構造を共有する第4正方酸化物を含むがそれらに限定されない基板上に層ごとに成長させることが可能であり、この場合、基板を特定の方向に切断して、特定の面を成長表面として露出させることが可能である。
【0075】
図7Aに示されている例においては、LED700は、基板710を含むことが可能であり、基板710は、たとえば、サファイア基板またはGaN基板を含むことが可能である。半導体層720を基板710上に成長させることが可能である。半導体層720は、GaNなどのIII-V材料を含むことが可能であり、(たとえば、Mg、Ca、Zn、もしくはBeで)pドープすること、または(たとえば、SiもしくはGeで)nドープすることが可能である。1つまたは複数の活性層730を半導体層720上に成長させて、活性領域を形成することが可能である。活性層730は、1つもしくは複数の量子井戸またはMQWなど、1つまたは複数のヘテロ構造を形成することが可能である、1つもしくは複数のInGaN層、1つもしくは複数のAlInGaP層、および/または1つもしくは複数のGaN層など、III-V材料を含むことが可能である。半導体層740を活性層730上に成長させることが可能である。半導体層740は、GaNなどのIII-V材料を含むことが可能であり、(たとえば、Mg、Ca、Zn、もしくはBeで)pドープすること、または(たとえば、SiもしくはGeで)nドープすることが可能である。半導体層720および半導体層740のうち一方はp型層であることが可能であり、他方はn型層であることが可能である。半導体層720および半導体層740は、活性層730を挟んで発光領域を形成する。たとえば、LED700は、マグネシウムでドープされたp型GaNの層と、シリコンまたは酸素でドープされたn型GaNの層との間に位置しているInGaNの層を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、LED700は、亜鉛またはマグネシウムでドープされたp型AlInGaPの層と、セレン、シリコン、またはテルルでドープされたn型AlInGaPの層との間に位置しているAlInGaPの層を含むことが可能である。
【0076】
いくつかの実施形態においては、電子遮断層(EBL)(
図7Aには図示せず)を成長させて、活性層730と、半導体層720または半導体層740のうち少なくとも1つとの間に層を形成することが可能である。EBLは、電子漏れ電流を低減すること、およびLEDの効率を改善することが可能である。いくつかの実施形態においては、P
+またはP
++半導体層など、高濃度にドープされた半導体層750を、半導体層740上に形成することが可能であり、オーミック接触を形成し、デバイスの接触インピーダンスを低減するための接触層としての役割を果たすことが可能である。いくつかの実施形態においては、導電層760を、高濃度にドープされた半導体層750上に形成することが可能である。導電層760は、たとえば、インジウムスズ酸化物(ITO)またはAl/Ni/Au膜を含むことが可能である。一例においては、導電層760は透明ITO層を含むことが可能である。
【0077】
半導体層720(たとえば、n-GaN層)と接触させ、またLED700から活性層730によって放射された光をより効率よく抽出するため、半導体材料層(高濃度にドープされた半導体層750、半導体層740、活性層730、および半導体層720を含む)をエッチングして、半導体層720を露出させ、層720~760を含むメサ構造を形成することが可能である。メサ構造は、キャリアをデバイス内に閉じ込めることが可能である。メサ構造をエッチングすることは、成長面に直交していることが可能であるメサ側壁732の形成につながることが可能である。パッシベーション層770を、メサ構造の側壁732上に形成することが可能である。パッシベーション層770は、SiO2層などの酸化物層を含むことが可能であり、LED700からの放射された光を反射するための反射器としての役割を果たすことが可能である。Al、Au、Ni、Ti、またはそれらの任意の組合せなどの金属層を含むことが可能である接触層780を、半導体層720上に形成することが可能であり、それがLED700の電極としての役割を果たすことが可能である。加えて、Al/Ni/Au金属層などの別の接触層790が、導電層760上に形成されることが可能であり、LED700の別の電極としての役割を果たすことが可能である。
【0078】
電圧信号が接触層780および790に印加された場合、電子および正孔は、活性層730において再結合することが可能であり、この場合、電子および正孔の再結合は、光子放射を引き起こすことが可能である。放射された光子の波長およびエネルギーは、活性層730における価電子帯と伝導帯との間のエネルギーバンドギャップに依存することが可能である。たとえば、InGaN活性層は、緑色または青色の光を放射することが可能であり、AlGaN活性層は、青色から紫外の光を放射することが可能であり、AlInGaP活性層は、赤色、オレンジ、黄色、または緑色の光を放射することが可能である。放射された光子は、パッシベーション層770によって反射することが可能であり、上(たとえば、導電層760および接触層790)または下(たとえば、基板710)からLED700を出ることが可能である。
【0079】
いくつかの実施形態においては、LED700は、放射された光を集光もしくはコリメートするか、または放射された光を導波管へと結合するため、基板710などの発光表面上に、レンズなどの1つまたは複数の他のコンポーネントを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、LEDは、平面、円錐、半放物線、または放物線などの別の形状のメサを含むことが可能であり、メサのベースエリアは、円形、長方形、六角形、または三角形であることが可能である。たとえば、LEDは、湾曲した形状(たとえば、放物面形状)および/または湾曲していない形状(たとえば、円錐形状)のメサを含むことが可能である。メサは切頭状または非切頭状であることが可能である。
【0080】
図7Bは、放物線メサ構造を有するLED705の一例の断面図である。LED700と同様に、LED705は、III-V半導体材料の複数の層など、半導体材料の複数の層を含むことが可能である。半導体材料層は、GaN基板またはサファイア基板などの基板715上にエピタキシャル成長させることが可能である。たとえば、半導体層725を基板715上に成長させることが可能である。半導体層725は、GaNなどのIII-V材料を含むことが可能であり、(たとえば、Mg、Ca、Zn、もしくはBeで)pドープすること、または(たとえば、SiもしくはGeで)nドープすることが可能である。1つまたは複数の活性層735を半導体層725上に成長させることが可能である。活性層735は、1つもしくは複数の量子井戸など、1つまたは複数のヘテロ構造を形成することが可能である、1つもしくは複数のInGaN層、1つもしくは複数のAlInGaP層、および/または1つもしくは複数のGaN層など、III-V材料を含むことが可能である。半導体層745を活性層735上に成長させることが可能である。半導体層745は、GaNなどのIII-V材料を含むことが可能であり、(たとえば、Mg、Ca、Zn、もしくはBeで)pドープすること、または(たとえば、SiもしくはGeで)nドープすることが可能である。半導体層725および半導体層745のうち一方はp型層であることが可能であり、他方はn型層であることが可能である。
【0081】
半導体層725(たとえば、n型GaN層)と接触させ、またLED705から活性層735によって放射された光をより効率よく抽出するため、半導体層をエッチングして、半導体層725を露出させ、層725~745を含むメサ構造を形成することが可能である。メサ構造は、キャリアをデバイスの注入エリア内に閉じ込めることが可能である。メサ構造をエッチングすることは、層725~745の結晶成長と関連付けられている成長面と非平行であること、またはいくつかのケースにおいては直交していることが可能である、メサ側壁(本明細書においてはファセットとも呼ばれる)の形成につながることが可能である。
【0082】
図7Bに示されているように、LED705は、平らな上部を含むメサ構造を有することが可能である。誘電層775(たとえば、SiO
2またはSiNx)をメサ構造のファセット上に形成することが可能である。いくつかの実施形態においては、誘電層775は、誘電材料の複数の層を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、金属層795を誘電層775上に形成することが可能である。金属層795は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、チタン(Ti)、銅(Cu)、またはそれらの任意の組合せなど、1つもしくは複数の金属または金属合金材料を含むことが可能である。誘電層775および金属層795は、活性層735によって放射された光を基板715に向かって反射させることが可能であるメサ反射器を形成することが可能である。いくつかの実施形態においては、メサ反射器は、放射された光を少なくとも部分的にコリメートすることが可能である放物面反射器としての役割を果たすように放物面形状であることが可能である。
【0083】
電気接点765および電気接点785はそれぞれ、半導体層745および半導体層725上に形成されて、電極としての役割を果たすことが可能である。電気接点765および電気接点785はそれぞれ、Al、Au、Pt、Ag、Ni、Ti、Cu、またはそれらの任意の組合せ(たとえば、Ag/Pt/AuまたはAl/Ni/Au)などの導電性材料を含むことが可能であり、LED705の電極としての役割を果たすことが可能である。
図7Bに示されている例においては、電気接点785はn接点であることが可能であり、電気接点765はp接点であることが可能である。電気接点765および半導体層745(たとえば、p型半導体層)は、活性層735によって放射された光を基板715に向かって後方に反射するための後方反射器を形成することが可能である。いくつかの実施形態においては、電気接点765および金属層795は、同じ材料を含み、同じプロセスを使用して形成することができる。いくつかの実施形態においては、追加の導電層(図示せず)が、電気接点765および785と半導体層との間における中間導電層として含まれることが可能である。
【0084】
電圧信号が電気接点765および785にわたって印加された場合、電子および正孔は、活性層735において再結合することが可能である。電子および正孔の再結合は、光子放射を引き起こし、したがって光を生成することが可能である。放射された光子の波長およびエネルギーは、活性層735における価電子帯と伝導帯との間のエネルギーバンドギャップに依存することが可能である。たとえば、InGaN活性層は、緑色または青色の光を放射することが可能であり、AlInGaP活性層は、赤色、オレンジ、黄色、または緑色の光を放射することが可能である。放射された光子は、多くの異なる方向に伝搬することが可能であり、メサ反射器および/または後方反射器によって反射されることが可能であり、たとえば、
図7Bに示されている下側(たとえば、基板715)からLED705を出ることが可能である。レンズもしくは格子など、1つまたは複数の他の二次光学部品が、基板715などの発光表面上に形成されて、放射された光を集光もしくはコリメートすること、および/または放射された光を導波管へと結合することが可能である。
【0085】
図8は、ディスプレイシステムにおいて使用することが可能である、VCSELなど、レーザーのアレイ800の一例を示している。レーザーのアレイ800は、マウント810(たとえば、プリント回路基板)上に搭載された基板820を含む同じダイ上に製作することが可能である。レーザーのアレイ800は、VCSELの二次元アレイ830を含むことが可能である。レーザーのアレイ800の核心は、たとえば、約10μmから約100μmまでであることが可能である。ダイのサイズは約1mm
2以上であることが可能である。したがって、レーザーのアレイ800は、ダイ上に数千個のレーザーを含むことが可能であり、1ワットよりも大きい出力電力を有することが可能である。
【0086】
VCSEL830は、一般に、レーザー発振器を形成するレーザーキャビティ内の発光活性領域を含むことが可能である。発光活性領域は、適切にバイアスされると光子を放射するQWを含むことが可能である。光子は、DBRミラーなどの一対のミラーによってレーザーキャビティ内に閉じ込めることが可能である。VCSEL830はさまざまな材料に基づくことが可能である。たとえば、約650nmから約1300nmまでの波長を有するVCSELは、インターリーブされたGaAsおよびヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)層によって形成されたDBRを有する、ヒ化ガリウム(GaAs)ウェハに基づくことが可能である。GaAs-AlGaAsのVCSELにおいては、組成の変更によって材料の格子定数は著しく変化せず、したがって、複数の格子整合エピタキシャル層をGaAs基板上に成長させることができる。AlGaAsベースのDBRは、100%に近い反射率を有することができ、それによって光子をレーザーキャビティに効率よく閉じ込めることができる。AlGaAsの屈折率はAl分率の増加につれて変化することができ、それによって、高い反射率を有するDBRを形成するのに使用される層の数が最小限に抑えられる。p型またはn型不純物でドープされたAlGaAsベースのDBRは、電流経路としての役割を果たすこともできる。QWに隣接するAlGaAs層を選択的に酸化することも、光子およびキャリア両方の横方向閉じ込めをもたらすことができる。
【0087】
図9は、VCSEL830などのVCSEL900の一例を示している。VCSEL900は、GaAs基板またはGaN基板などの基板910を含むことが可能である。バルクDBR920は、基板910上に形成する(たとえば、エピタキシャル成長させる)ことが可能である。バルクDBR920は、AlGaAs/GaAsまたはAlAs/GaAs層の複数の対など、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能であり、したがって、異なる材料層間の境界面で光を反射して、高い全体反射率を達成することが可能である。下部DBR930は、バルクDBR920上に形成することが可能であり、またはバルクDBR920の一部であることが可能である。下部DBR930は、同様に、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能である。VCSEL900はまた、クラッド層940と、活性領域950と、クラッド層960とを含むことが可能であり、クラッド層940および960は、pドープまたはnドープすることが可能であり、キャリアを活性領域950に注入することが可能である。活性領域950は、1つもしくは複数の量子井戸または量子ドットと、QWバリア層とを含むことが可能である。キャリアは、活性領域950内で再結合して光子を放射することが可能である。上部DBR970は、クラッド層960上に形成することが可能であり、下部DBR930と同様であることが可能である。上部DBR970および下部DBR930(ならびにバルクDBR920)は、光子を閉じ込めることができる面平行レーザーキャビティを形成することが可能である。上部DBR970、クラッド層960、活性領域950、クラッド層940、および下部DBR930は、垂直にエッチングして、
図8に示されるように、バルクDBR920および基板910上に所望のピッチで所望のサイズの個々のVCSELを形成することが可能である。
【0088】
VCSEL900は、約100μm×100μm未満の寸法を有することが可能である。いくつかの実施形態においては、平行レーザーキャビティは、たとえば、約10μmの長さを有することが可能である。
図9に示されている例においては、下部DBR930およびバルクDBR920は、組合せで100%に近い反射率を有して、全ての入射光子を反射することが可能である。上部DBR970は、100%未満の反射率を有することが可能であり、それによって、放射された光子の一部分を、上部DBR970を通してレーザーキャビティ外に透過させることが可能である。VCSEL900は、たとえば、約1mWから約10mWまでなど、高効率および高出力で赤外光を放射することが可能である。
【0089】
レーザーシステムにおいては、2つの対向するミラーによって形成されたレーザーキャビティは、一般に、レーザーキャビティ内で光を反射して、利得媒質内で特定の共振周波数(または縦モード)に対する定常波を形成するのに使用される。レーザーキャビティ内に閉じ込められた光を、ミラーによって何回も反射することが可能である。特定のフィールドパターンおよび周波数を有する光波は、レーザーキャビティ内の各ラウンドトリップ後の光波の強め合う干渉により、レーザーキャビティによって持続させることが可能であり、他の光波は、弱め合う干渉によって抑制することが可能である。キャビティの長さならびにミラーの形状およびサイズなど、レーザーキャビティの幾何学形状は、所望の周波数のレーザービームがレーザーキャビティ内で安定したままであることが可能であるように選ぶことが可能であり、この場合、レーザーキャビティ内における光ビームのサイズは、連続的に成長するのではなく、ミラーにおける光ビームのサイズがミラーのサイズよりも大きくなる複数の反射後に最終的に失われる。
【0090】
図10Aは、平行レーザーキャビティ1000の一例を示している。平行レーザーキャビティ1000は、VCSELなどの短キャビティレーザーで使用することが可能である。平行レーザーキャビティ1000は、DBRミラーなど、一対の平面ミラー1010および1020によって形成することが可能である。光波は、平行レーザーキャビティ1000内において平面波として伝搬することが可能であり、波面は平面ミラー1010および1020に平行であることが可能である。
【0091】
図10Bは、湾曲ミラー1040および平面ミラー1030によって形成された半球状レーザーキャビティ1002の一例を示している。半球状レーザーキャビティ1002内における光波は、平面ミラー1030においてウエスト(最小ビーム径を有する)を有することが可能であり、光波の波面は平面波であることが可能である。湾曲ミラー1040は、湾曲ミラー1040における光波の波面に一致する凹球面形状を有して、安定キャビティを形成することが可能である。半球状レーザーキャビティ1002は、一般に、約数センチメートルの長さを有する自由空間キャビティであることが可能である。
【0092】
図10Cは、2つの平面ミラー1050および1060ならびにレンズ1070によって形成された半球状レーザーキャビティ1004の一例を示している。半球状レーザーキャビティ1004内における光波は、平面ミラー1050においてウエスト(最小ビーム径を有する)を有することが可能であり、光波の波面は平面波であることが可能である。レンズ1070は、平面ミラー1050からの光ビームをコリメートして、平面ミラー1060に向かって伝搬して安定キャビティを形成する平面波を形成することが可能である。半球状レーザーキャビティ1004は、一般に、約数センチメートル以上の長さを有する自由空間キャビティであることが可能である。
【0093】
GaAs-AlGaAs VCSELなど、赤色または赤外スペクトルの光を放射するVCSELは、高効率および高出力を達成することが可能である。しかしながら、ディスプレイまたは他の用途のために、小さいサイズ(およびしたがって、高解像度)ならびに高効率(およびしたがって、高輝度低電力)を有する可視光半導体レーザー(たとえば、VCSEL)を作ることは困難である。特定の実施形態によれば、半導体光源は、高効率でより長い波長の(たとえば、NIRもしくはIR帯域の)光を放射する活性領域と、SHG結晶と、より長い波長を有する光をSHG結晶へと集光し、それによってより長い波長の光をより短い波長の光(たとえば、可視光)へと変換することが可能な、光学部品(たとえば、マイクロレンズ)とを含むことが可能である。活性領域は、レーザーキャビティ内の利得媒体であることが可能である。
【0094】
図11は、特定の実施形態による、レンズ1175および第2高調波発生結晶1180を含む光源1100の一例を示している。光源1100は、GaAs基板またはGaN基板などの基板1110を含むことが可能である。バルクDBR1120は、基板1110上に形成する(たとえば、エピタキシャル成長させる)ことが可能である。バルクDBR1120は、AlGaAs/GaAsまたはAlAs/GaAs層の複数の対など、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能であり、したがって、異なる材料層間の境界面で光を反射して、高い全体反射率を達成することが可能である。下部DBR1130は、バルクDBR1120上に形成することが可能であり、またはバルクDBR1120の一部であることが可能である。下部DBR1130は、同様に、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能である。光源1100はまた、クラッド層1140と、活性領域1150と、クラッド層1160とを含むことが可能であり、クラッド層1140および1160は、pドープまたはnドープすることが可能であり、キャリアを活性領域1150に注入することが可能である。活性領域1150は、1つもしくは複数の量子井戸または量子ドットと、QWバリア層とを含むことが可能である。キャリアは、活性領域1150内で再結合して赤外光の光子を放射することが可能である。上部DBR1170は、クラッド層1160上に形成することが可能であり、下部DBR1130と同様であることが可能である。上部DBR1170および下部DBR1130(ならびにバルクDBR1120)は、光子を閉じ込めることができる面平行レーザーキャビティを形成することが可能である。下部DBR1130およびバルクDBR1120は、組合せで100%に近い反射率を有して、全ての入射光子を反射することが可能である。上部DBR1170は、100%未満の反射率を有することが可能であり、それによって、放射された光子の一部分を、上部DBR1170を通してレーザーキャビティ外に透過させることが可能である。上部DBR1170、クラッド層1160、活性領域1150、クラッド層1140、および下部DBR1130は、エッチングして、
図8に示されるように、バルクDBR1120および基板1110上に個々のVCSELを形成することが可能である。
【0095】
上部DBR1170を通して透過された光は、レンズ1175によってSHG結晶1180へと集光することが可能であり、同じ周波数を有する2つの光子がSHG結晶1180と相互作用して、当初の光子の2倍のエネルギー(またしたがって、2倍の周波数または半分の波長)を有する新たな光子を生成することが可能である。より短い波長の光(たとえば、可視光)の強度は、より長い波長の光(たとえば、IR光)の強度およびSHG結晶1180の非線形係数(たとえば、χ(2))に応じて決まることが可能である。SHG結晶1180の特定の領域におけるより長い波長の光の強度は、特定の強度を有するより短い波長の光を生成するのに十分に高いことが必要な場合がある。SHG結晶1180は、たとえば、LiNbO3、KNbO3、KTP(KTiOPO4)、BBO(β-BaB2O4)、KDP(KH2PO4)、LBO、KTO、BTO等など、反転対称を有さないさまざまな結晶を含むことが可能である。
【0096】
波長選択的反射層1190は、SHG結晶1180上に形成(たとえば、コーティングまたは堆積)することが可能である。波長選択的反射層1190は、IR光に対する高い反射率と可視光に対する低い反射率を有することが可能であり、それによって、IR光を反射することが可能であり、可視光を波長選択的反射層1190によって透過させることが可能である。たとえば、波長選択的反射層1190は、IR光を反射し、可視光を通過させることができる、光学フィルタを含むことが可能である。したがって、波長選択的反射層1190はまた、可視光に対しては反射防止層であることが可能である。いくつかの実施形態においては、波長選択的反射層1190によって反射されたIR光の少なくとも一部分をリサイクルし、レーザーキャビティに再入力させることが可能である。したがって、波長選択的反射層1190は、上部DBR1170との外部キャビティを形成するのに使用することが可能である。
【0097】
図11に示されている例においては、外部キャビティは、数センチメートル以上の長さを有する自由空間キャビティを含むことが可能である。レンズ1175は、自由空間キャビティ内に個別のレンズを含むことが可能である。したがって、光源1100のサイズは大きい場合があり、光源1100のアレイを製作するのが困難でありコストがかかる場合がある。
【0098】
いくつかの実施形態においては、非線形結晶におけるIR光の高強度は、短レーザーパルス(たとえば、モード同期もしくは位相同期レーザーパルス)を使用して、ならびに/または非線形結晶をレーザーの光学キャビティ内に配置することによって達成することが可能である。たとえば、レーザーキャビティによってサポートされるモードは、固定の位相関係を有するようにすることが可能であり、それにより、互いに周期的に強め合うように干渉して、光の強いバーストまたはパルスを生成することが可能であり、この場合、パルスは、ナノ秒、サブナノ秒、ピコ秒、またはフェムト秒の持続時間を有することが可能である。光パルスの短い持続時間により、光パルスの瞬間電力は非常に高いものであることが可能である。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、平面レンズなどの平面光学部品は、IR光をコンパクトなモノリシック可視光源における非線形結晶内へと集光するのに使用することが可能である。平面光学部品はレーザーキャビティの内部または外部であることが可能である。平面光学部品は、エピタキシャル成長および横方向酸化またはウェットエッチングなど、半導体処理技法を使用して製造することができる。したがって、平面光学部品は、IR光源を製作するのに使用される同じプロセスで、より正確に、信頼性高く、効率的に製造することが可能である。加えて、自由空間キャビティまたは別個のコンポーネントを使用することはできず、したがって、IR光源、集光レンズ、および非線形結晶を結合するのに、追加の位置合わせおよびアセンブリステップが必要である場合がある。
【0100】
図12は、特定の実施形態による、平面レンズ1205および非線形結晶1280を含む光源1200の一例を示している。光源1200は、VCSEL、RCLED、VECSEL等であることが可能である。光源1200は、GaAs基板またはGaN基板などの基板1210を含むことが可能である。バルクDBR1220は、基板1210上に形成する(たとえば、エピタキシャル成長させる)ことが可能である。バルクDBR1220は、AlGaAs/GaAsまたはAlAs/GaAs層の複数の対など、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能であり、したがって、異なる材料層間の境界面で光を反射して、高い全体反射率を達成することが可能である。下部DBR1230は、バルクDBR1220上に形成することが可能であり、またはバルクDBR1220の一部であることが可能である。下部DBR1230は、同様に、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能である。
【0101】
光源1200はまた、クラッド層1240と、活性領域1250と、クラッド層1260とを含むことが可能であり、クラッド層1240および1260は、pドープまたはnドープすることが可能であり、キャリアを活性領域1250に注入することが可能である。活性領域1250は、1つもしくは複数の量子井戸または量子ドットと、QWバリア層とを含むことが可能である。キャリアは、活性領域1250内で再結合して赤外光の光子を放射することが可能である。
【0102】
上部DBR1270は、クラッド層1260上に形成することが可能であり、下部DBR1230と同様であることが可能である。上部DBR1270および下部DBR1230(ならびにバルクDBR1220)は、光子を閉じ込めることができる面平行レーザーキャビティを形成することが可能である。下部DBR1230およびバルクDBR1220は、100%に近い全体反射率を有して、全ての入射光子を反射することが可能である。上部DBR1270は、100%未満の反射率を有することが可能であり、それによって、放射された光子の一部分を、上部DBR1270を通して面平行レーザーキャビティ外に透過させることが可能である。上部DBR1270、クラッド層1260、活性領域1250、クラッド層1240、および下部DBR1230は、垂直エッチングして、バルクDBR1220および基板1210上に個々の光源を形成することが可能である。
【0103】
非線形結晶1280は上部DBR1270に取り付けることが可能である。非線形結晶1280は、LiNbO3、KNbO3、KTP、BBO、KDP、LBO、KTO、BTO等など、反転対称を有さない結晶のプレートを含むことが可能である。IR光を反射し、可視光を透過する波長選択的反射層1290を、非線形結晶1280上に形成する(例えば、コーティングまたは堆積する)ことが可能である。
【0104】
図12に示されている例では、平面レンズ1205は、レーザーキャビティ内における上部DBR1270と下部DBR1230との間のいずれかの場所に形成することが可能である。たとえば、化学組成Al
xGa
1-xAsを有する半導体材料を含む複数の層を、上部DBR1270と下部DBR1230との間にエピタキシャル成長させることが可能であり、xは、各層におけるガリウムに対するアルミニウムのモル分率である。いくつかの実施形態においては、Al
xGa
1-xAsの層は、たとえばGaAsの、複数の層とインターリーブすることが可能である。Al
xGa
1-xAsの層は、たとえば、下部DBR1230とクラッド層1240との間、クラッド層1260と上部DBR1270との間、またはクラッド層1260、活性領域1250、およびクラッド層1240の内部であることが可能である。アルミニウムの異なるモル分率を有するAl
xGa
1-xAsの層は、異なる屈折率を有することが可能である。アルミニウムの異なるモル分率を有するAl
xGa
1-xAsの層はまた、異なる横方向酸化速度を有することが可能である。したがって、垂直エッチングによって形成された個々の光源の側壁から、特定の期間にわたって横方向に酸化する場合、アルミニウムの異なるモル分率を有するAl
xGa
1-xAsの層は、側壁から異なる長さにわたって横方向に酸化することが可能である。酸化領域は、Al
xGa
1-xAs層における非酸化領域よりも低い屈折率を有することが可能である。そのため、光源の異なる水平領域における有効屈折率は異なることが可能であり、それにより、平面レンズなどの平面光学部品を形成する。
【0105】
いくつかの実施形態においては、上部DBR1270は使用されない場合がある。IR光のための共振キャビティは、下部DBR1230および波長選択的反射層1290によって形成することが可能である。したがって、非線形結晶1280は共振キャビティ内にあることが可能であり、平面レンズ1205は、共振キャビティ内で前後に伝搬するIR光を集光またはコリメートすることが可能であり、それにより、IR光のビームウエストが波長選択的反射層1290と非線形結晶1280との間の境界面またはその付近であることが可能であり、可視光は、非線形結晶1280の非線形効果およびビームウエストにおける高いIR光強度によって生成することが可能である。
【0106】
図13Aは、特定の実施形態による、複数の半導体層内に形成された平面レンズ1300の一例を示している。平面レンズ1300は、層1310上に複数の半導体層1330と交互に成長させた1つまたは複数の半導体層1320を含むことが可能である。層1310は、たとえば、DBR層(たとえば、下部DBR1230もしくは上部DBR1270内)、クラッド層(たとえば、クラッド層1240もしくは1260)、または活性層(たとえば、活性領域1250内)を含むことが可能である。半導体層1320および半導体層1330は、分子ビームエピタキシ(MBE)、化学気相成長法(CVD)、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、また液相エピタキシ(LPE)などのエピタキシャル成長技法によって形成することが可能である。層1340は、半導体層1320および半導体層1330上に形成することが可能である。層1340は、たとえば、クラッド層(たとえば、クラッド層1240)、DBR層(たとえば、上部DBR1270内)、または非線形結晶(たとえば、非線形結晶1280)を含むことが可能である。
【0107】
いくつかの実施形態においては、半導体層1320および半導体層1330は、IR光に対して透明または少なくとも部分的に透明であることが可能であり、それぞれがそれぞれの屈折率を特徴とすることが可能である。半導体層1320および半導体層1330は、同様の屈折率または異なる屈折率を有することが可能である。いくつかの実施形態においては、半導体層1320および半導体層1330の厚さおよび屈折率は、半導体層1320および半導体層1330がIR光に対する反射防止構造を形成することが可能であるように、選択することが可能である。いくつかの実施形態においては、各半導体層1320の厚さは、1つもしくは複数の半導体層1320にわたって同じまたは異なることが可能である。
【0108】
一例では、各半導体層1320は、化学組成AlxGa1-xAsを有する材料を含むことが可能であり、xは、各半導体層1320におけるガリウムに対するアルミニウムのモル分率である。AlxGa1-xAsは、約1000nmの近赤外光に対して約3の屈折率を有することが可能である。各半導体層1320の組成は異なることが可能であり、たとえば、xは約0.7~約1.0(たとえば、Al0.8Ga0.2As)であり、それにより、各半導体層1320は異なるそれぞれの酸化速度に影響を受けやすい場合がある。各半導体層1320の組成は、エピタキシャル成長プロセスを通して達成することが可能であり、ならびに/または追加のドーピングプロセスによって達成することが可能である。
【0109】
いくつかの実施形態においては、各半導体層1330は、化学組成AlxGa1-xAsを特徴とすることが可能であり、xは約0.0~約0.7(たとえば、GaAsまたはAl0.2Ga0.8As)であり、それにより、半導体層1330は、半導体層1320と比較してはるかに低い酸化速度を有することが可能である。
【0110】
いくつかの実施形態においては、半導体層1320は、特定の酸化時間の間、個々の光源の露出した側壁から半導体層1320の非露出領域に向かって横方向に酸化することが可能であり、それにより、少なくともいくつかの半導体層1320を部分的に酸化して、半導体層1320の非酸化領域1322の屈折率(たとえば、約3)よりも低い屈折率(たとえば、約1.7)を有することが可能である、酸化物領域1324を形成することが可能である。半導体層1320の異なる組成、および組成に応じて変化する(たとえば、AlxGa1-xAsに応じて変化する)ことが可能である酸化速度により、異なる半導体層1320における酸化物領域1324は、異なるサイズまたは面積を有することが可能である。そのため、選択的酸化処理後の酸化物領域1324の体積および横方向寸法は、半導体層1320におけるアルミニウム濃度、選択的酸化処理の持続時間、ならびに温度、酸素圧力等などの選択的酸化処理の他のパラメータに応じて変化することが可能である。
【0111】
制御された酸化期間および有限の酸化速度により、酸化は、半導体層1320における特定の横方向範囲でのみ生じ、結果として半導体層1320の空間的にばらつきがある酸化がもたらされる場合がある。このように、酸化物領域1324は、たとえば、より高いアルミニウム濃度(たとえば、より大きいx値)を有する、半導体層1320に優先的に形成することが可能である。たとえば、
図13Aに示されている例においては、半導体層1320におけるAl
xGa
1-xAsのx値は+z方向に増加することが可能である。したがって、酸化処理後、酸化物領域1324は、+z方向に徐々に増加することが可能である。たとえば、層1310付近の半導体層1320は、酸化処理後、最も低いアルミニウム組成を有し、したがって最も小さい酸化物領域1324を有することが可能であり、層1340付近の半導体層1320は、酸化処理後、より高いアルミニウム濃度を有し、したがってより大きい酸化物領域1324を有することが可能である。酸化物領域1324は、半導体層1320における対応する非酸化領域1322とは異なる(たとえば、より低い)屈折率を有する場合があるので、半導体層1320は、xおよび/またはy方向で空間的にばらつきがある有効屈折率を有して、有効平凸レンズを形成することが可能である。
【0112】
いくつかの実施形態においては、半導体層1320は、たとえば、(AlxGa1-x)0.5In0.5Pを含むことが可能であり、xは、半導体層1320それぞれにおけるガリウムに対するアルミニウムのモル分率である。xの値は、異なる半導体層1320では異なる場合があるので、半導体層1320は、塩酸および/または硫酸などのエッチング剤を含む溶液中で、異なる速度で横方向にエッチングすることが可能である。そのため、特定のエッチング時間後、半導体層1320の異なる横方向領域を除去して、半導体層1320に空隙またはエアギャップを形成することが可能である。したがって、半導体層1320は自由空間におけるレンズとして機能することが可能である。半導体層1320に使用することが可能である他の材料は、たとえば、(AlGaIn)AsP、(AlGaIn)NAs、(AlGaIn)N、AlInGaAsSb等を含む。
【0113】
図13Bは、特定の実施形態による、複数の半導体層1370内に形成された平面レンズ1350の一例を示している。半導体層1370は、下部層1360(層1310と同様であることが可能である)と上部層1380(層1340と同様であることが可能である)との間であることが可能である。半導体層1370は、異なる組成を有する半導体材料の層を含むことが可能であり、したがって、
図13Aに関連して上述したような、異なる横方向酸化またはエッチング速度を有することが可能である。たとえば、半導体層1370は、複数のAl
xGa
1-xAs層または複数の(Al
xGa
1-x)
0.5In
0.5P層を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、複数のAl
xGa
1-xAs層は、複数のGaAs(またはAl
yGa
1-yAs)層とインターリーブすることが可能である。
【0114】
図13Bに示されている例においては、複数のAl
xGa
1-xAs層のためのx値は、z方向に徐々に減少し、次いで徐々に増加することが可能である。そのため、酸化処理後、Al
xGa
1-xAs層の上部および下部層は、非酸化領域よりも低い屈折率を有するより大きい酸化物領域を含むことが可能である。したがって、有効な両凸レンズを複数のAl
xGa
1-xAs層に形成することが可能である。
【0115】
図14は、特定の実施形態による、平面レンズ1475および非線形結晶1490を含む光源1400の一例を示している。光源1400は、光源1200の一例であることが可能であり、VCSEL、RCLED、VECSEL等を含むことが可能である。図示されるように、光源1400は、GaAs基板またはGaN基板などの基板1410を含むことが可能である。バルクDBR1420は、基板1410上に形成する(たとえば、エピタキシャル成長させる)ことが可能である。バルクDBR1420は、AlGaAs/GaAs(またはAlAs/GaAs)層の複数の対など、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能であり、したがって、隣接する材料層間の境界面で光を反射して、高い全体反射率を達成することが可能である。下部DBR1430は、バルクDBR1420上に形成することが可能であり、またはバルクDBR1420の一部であることが可能である。下部DBR1430は、同様に、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能である。光源1400はまた、クラッド層1440と、活性領域1450と、クラッド層1460とを含むことが可能であり、クラッド層1440および1460は、pドープまたはnドープすることが可能であり、キャリアを活性領域1450に注入することが可能である。活性領域1450は、1つもしくは複数の量子井戸または量子ドットと、QWバリア層とを含むことが可能である。キャリアは、活性領域1450内で再結合して赤外光の光子を放射することが可能である。
【0116】
平面レンズ1475を作るための複数の層1470は、
図13Aおよび
図13Bに関連して上述したように、クラッド層1460上に形成することが可能である。上部DBR1480は、層1470上にエピタキシャル成長させることが可能であり、下部DBR1430と同様であることが可能である。上部DBR1480および下部DBR1430(ならびにバルクDBR1420)は、光子を閉じ込めることができるレーザーキャビティを形成することが可能である。下部DBR1430およびバルクDBR1420は、100%に近い全体反射率を有して、全ての入射光子を反射することが可能である。上部DBR1480は、100%未満の反射率を有することが可能であり、それによって、放射されたIR光子の一部分を、上部DBR1480を通してレーザーキャビティ外に透過させることが可能である。上部DBR1480、層1470、クラッド層1460、活性領域1450、クラッド層1440、および下部DBR1430は、垂直エッチングして、バルクDBR1420および基板1410上に個々の光源を形成することが可能である。横方向酸化またはエッチングを実施して、上述したように、平面レンズ1475を形成することが可能である。
【0117】
非線形結晶1490の薄層は上部DBR1480に取り付けることが可能である。非線形結晶1490は、LiNbO3、KNbO3、KTP、BBO、KDP、LBO、KTO、BTO等など、反転対称を有さない結晶を含むことが可能である。IR光を反射し、可視光を透過する選択的反射層1495を、非線形結晶1490上に形成する(例えば、コーティングまたは堆積する)ことが可能である。平面レンズ1475の焦点距離および場所は、平面レンズ1475が、レーザーキャビティ内で共振するIR光を非線形結晶1490へと集光して、上述したような二次高調波発生によって可視光を生成することが可能であるように、構成することが可能である。
【0118】
図15は、特定の実施形態による、平面レンズおよび分置されたBragg反射器(DBR)によって形成された光学キャビティを含む光源1500の一部分の一例を示している。光源1500は、光源1400または本明細書に開示する他の光源の一例であることが可能である。
図15に示されている光源1500の部分は、下部DBR1510と、クラッド層1520と、活性領域1530と、クラッド層1540と、平面光学部品1550と、上部DBR1560とを含むことが可能である。上述したように、下部DBR1510および上部DBR1560は、たとえば、AlGaAs/GaAs層の複数の対またはAlAs/GaAs層の複数の対を含むことが可能である。下部DBR1510は、赤外光に対して約100%などの高い反射率を達成するために、より多くの層を含むことが可能である。クラッド層1520および1540は、たとえば、pまたはnドープされたAlGaAsを含むことが可能である。活性領域1530は、複数の量子井戸層(たとえば、InGaAs層)と複数のQWバリア層(たとえば、GaAs層)とを含むことが可能である。上述したように、平面光学部品1550は、GaAs層のセットとインターリーブすることが可能である、セットのAlAsまたはAlGaAs層のセットなど、複数の半導体層内に形成することが可能である。複数の半導体層は、異なるアルミニウム濃度などの異なる組成を有することが可能である。複数の半導体層は、ある期間にわたって、側壁から酸化することが可能である。異なる組成により、異なる半導体層を異なる速度で酸化することが可能であり、したがって、酸化後、それぞれ異なるサイズの酸化領域を含むことが可能である。
【0119】
図15はまた、上部DBR1560の一部分と平面光学部品1550の一部分とを含む、光源1500の小さい一部分1505を示している。上部DBR1560の一部分は層の複数の対を含むことが可能である。層の各対は、異なる屈折率を有する層1562(たとえば、GaAs)および層1564(たとえば、AlGaAs)を含むことが可能であり、それにより、光を2つの層の間の境界面で反射させることが可能である。層1562および層1564は、特定の厚さを有することが可能なので、反射された光は強め合うように干渉して、全体反射を増加させることが可能である。平面光学部品1550の小さい一部分1505もまた、層の複数の対を含むことが可能である。層の各対は、層1552(たとえば、Al
xGa
1-xAs)と層1554(たとえば、GaAs)とを含むことが可能である。異なる層1552におけるアルミニウムの濃度(たとえば、値x)は異なることが可能である。横方向酸化期間の後、層1552の領域1556を酸化することが可能であり、層1552の中央の領域1558は酸化されない場合がある。層1552における酸化領域1556は、対応する領域1558よりも低い屈折率を有することが可能である。そのため、層1552の屈折率は、屈折率プロファイル1570によって示されるように、x方向に変化することが可能である。
【0120】
図16は、特定の実施形態による、平面レンズ1645および非線形結晶1690を含む光源1600の一例を示している。光源1600は、光源1200の一例であることが可能であり、可視光VCSEL、RCLED、VECSEL等を含むことが可能である。図示されるように、光源1600は、GaAs基板またはGaN基板などの基板1610を含むことが可能である。バルクDBR1620は、基板1610上に形成する(たとえば、エピタキシャル成長させる)ことが可能である。バルクDBR1620は、AlGaAs/GaAsまたはAlAs/GaAs層の複数の対など、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能であり、したがって、隣接する層間の境界面で光を反射して、高い全体反射率を達成することが可能である。下部DBR1630は、バルクDBR1620上に形成することが可能であり、またはバルクDBR1620の一部であることが可能である。下部DBR1630は、同様に、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能である。
【0121】
平面レンズ1645を作成するための複数の半導体層1640は、上述したように、下部DBR1630上にエピタキシャル成長させることが可能である。クラッド層1650、活性領域1660、およびクラッド層1670は、半導体層1640上にエピタキシャル成長させることが可能である。クラッド層1650および1670は、pドープまたはnドープすることが可能であり、キャリアを活性領域1660へと注入することが可能である。活性領域1660は、1つもしくは複数の量子井戸または量子ドットと、QWバリア層とを含むことが可能である。活性領域1660へと注入されたキャリアは、再結合して赤外光の光子を放射することが可能である。
【0122】
上部DBR1680は、クラッド層1670上に形成することが可能であり、下部DBR1630と同様であることが可能である。上部DBR1680および下部DBR1630(ならびにバルクDBR1620)は、光子を閉じ込めることができるレーザーキャビティを形成することが可能である。下部DBR1630およびバルクDBR1620は、100%に近い反射率を有して、全ての入射光子を反射することが可能である。上部DBR1680は、100%未満の反射率を有することが可能であり、それによって、放射された光子の一部分を、上部DBR1680を通してレーザーキャビティ外に透過させることが可能である。上部DBR1680、クラッド層1670、活性領域1660、クラッド層1650、半導体層1640、および下部DBR1630は、垂直エッチングして、バルクDBR1620および基板1610上に個々の可視光源を形成することが可能である。横方向酸化またはエッチングを実施して、上述したように、平面レンズ1645を層1640に形成することが可能である。
【0123】
非線形結晶1690は上部DBR1680に取り付けることが可能である。非線形結晶1690は、LiNbO3、KNbO3、KTP、BBO、KDP、LBO、KTO、BTO等など、反転対称を有さない結晶を含むことが可能である。IR光を反射し、可視光を透過する選択的反射層1695を、非線形結晶1690上に形成する(例えば、コーティングまたは堆積する)ことが可能である。平面レンズ1645の焦点距離および場所は、平面レンズ1645が、レーザーキャビティ内で共振するIR光を非線形結晶1690へと集光して、上述したような二次高調波発生によって可視光を生成することが可能であるように、構成することが可能である。
【0124】
図17は、特定の実施形態による、平面レンズ1745、非線形結晶1790、および外部レンズ1705を含む光源1700の一例を示している。光源1700は、基板1710と、バルクDBR1720と、下部DBR1730と、平面レンズ1745を形成する複数の半導体層1740と、クラッド層1750と、活性領域1760と、クラッド層1770と、上部DBR1780と、非線形結晶1790と、選択的反射層1795とを含むことが可能であり、これらはそれぞれ、基板1610、バルクDBR1620、下部DBR1630、半導体層1640、クラッド層1650、活性領域1660、クラッド層1670、上部DBR1680、非線形結晶1690、および選択的反射層1695に対応することが可能である。加えて、光源1700は、選択的反射層1795上に形成された外部レンズ1705を含むことが可能である。外部レンズ1705は、選択的反射層1795および上部DBR1780によって形成された外部キャビティから、可視光を抽出するのに使用することが可能である。外部レンズ1705はまた、外部キャビティから抽出された可視光をコリメート、集光または発散することが可能である。
【0125】
図18は、特定の実施形態による、平面レンズ1885および非線形結晶1890を含む光源1800の一例を示している。光源1800は、光源1200の一例であることが可能であり、可視光VCSEL、RCLED、VECSEL等を含むことが可能である。図示されるように、光源1800は、GaAs基板またはGaN基板などの基板1810を含むことが可能である。バルクDBR1820は、基板1810上に形成する(たとえば、エピタキシャル成長させる)ことが可能である。バルクDBR1820は、AlGaAs/GaAsまたはAlAs/GaAs層の複数の対など、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能であり、したがって、隣接する層間の境界面で光を反射して、高い全体反射率を達成することが可能である。下部DBR1830は、バルクDBR1820上に形成することが可能であり、またはバルクDBR1820の一部であることが可能である。下部DBR1830は、同様に、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能であり、同様に成長させることが可能である。
【0126】
クラッド層1840、活性領域1850、およびクラッド層1860は、下部DBR1830上にエピタキシャル成長させることが可能である。クラッド層1840および1860は、pドープまたはnドープすることが可能であり、キャリアを活性領域1850へと注入することが可能である。活性領域1850は、1つもしくは複数の量子井戸または量子ドットと、量子井戸バリア層とを含むことが可能である。活性領域1850へと注入されたキャリアは、活性領域1850において再結合して赤外光の光子を放射することが可能である。
【0127】
上部DBR1870は、クラッド層1860上に形成することが可能であり、下部DBR1830と同様であることが可能である。上部DBR1870および下部DBR1830(ならびにバルクDBR1820)は、光子を閉じ込めることができるレーザーキャビティを形成することが可能である。下部DBR1830およびバルクDBR1820は、100%に近い反射率を有して、全ての入射光子を反射することが可能である。上部DBR1870は、100%未満の反射率を有することが可能であり、それによって、放射された光子の一部分を、上部DBR1870を通してレーザーキャビティ外に透過させることが可能である。
【0128】
平面レンズ1885を作成するための複数の層1880は、上述したように、上部DBR1870上に形成することが可能である。層1880、上部DBR1870、クラッド層1860、活性領域1850、クラッド層1840、および下部DBR1830は、垂直エッチングして、バルクDBR1820および基板1810上に個々の光源を形成することが可能である。層1880の横方向酸化またはエッチングを、次いで、層1880の露出した側壁から実施して、上述したように、層1880において平面レンズ1885を形成することが可能である。
【0129】
非線形結晶1890は層1880に取り付けることが可能である。非線形結晶1890は、LiNbO3、KNbO3、KTP、BBO、KDP、LBO、KTO、BTO等など、反転対称を有さない結晶を含むことが可能である。IR光を反射し、可視光を透過する選択的反射層1895を、非線形結晶1890上に形成する(例えば、コーティングまたは堆積する)ことが可能である。平面レンズ1885の焦点距離および場所は、平面レンズ1885が、レーザーキャビティの上部DBR1870から透過されたIR光を非線形結晶1890へと集光することが可能であるように構成することが可能であり、IR光のビームウエストは、非線形結晶1890と選択的反射層1895との間の境界面またはその付近であることが可能である。非線形結晶1890における集光されたIR光は、非線形効果によって生じる二次高調波発生、および上述したような集光されたIR光の高強度によって、可視光へと変換することが可能である。可視光は、選択的反射層1895を通して光源1800の外に透過させることが可能である。
【0130】
いくつかの実施形態においては、上部DBR1870は使用されない場合がある。IR光のための共振キャビティは、下部DBR1830および波長選択的反射層1895によって形成することが可能である。したがって、非線形結晶1890は共振キャビティ内にあることが可能であり、平面レンズ1885は、共振キャビティ内で前後に伝搬するIR光を集光またはコリメートすることが可能であり、それにより、IR光のビームウエストが選択的反射層1895と非線形結晶1890との間の境界面またはその付近であることが可能であり、可視光は、非線形結晶1890の非線形効果およびビームウエストにおける高いIR光強度によって生成することが可能である。
【0131】
いくつかの実施形態においては、平面レンズは、非線形結晶内に形成されたGRINレンズを含むことが可能である。GRINレンズは、横方向に変化する屈折率を有することが可能であり、屈折率は、中心で最も高いことが可能であり、中心からの距離が増加するにつれて徐々に減少して正レンズを形成することが可能である。非線形結晶は、半導体層に取り付けられる前に、たとえば、ドーピング、堆積、またはイオン交換によって、水平方向に変化する屈折率を有するように修正することが可能である。
【0132】
図19は、特定の実施形態による、可視光VCSEL、VECSEL、RCLED等のアレイなど、可視光エミッタアレイを製作するプロセスの一例を示すフローチャート1900である。フローチャート1900に記載される動作は、例示のみを目的とするものであり、限定しようとするものではない。さまざまな実施態様においては、追加の動作を付加する、いくつかの動作を省略する、いくつかの動作を組み合わせる、いくつかの動作を分割する、またはいくつかの動作を並べ替えるように、フローチャート1900に対して修正を行うことが可能である。
【0133】
動作1910は、半導体層のスタックを含む加工されたウェハを製作するため、ウェハレベルで実施することが可能である。動作1910は、半導体層のスタックを基板上に堆積させることを含むことが可能である。半導体層のスタックは、発光キャビティを形成することが可能であり、異なる組成を有し、発光キャビティ内または発光キャビティ上の異なる酸化速度(もしくはエッチング速度)に影響を受けやすい、複数の半導体層を含むことが可能である。たとえば、
図12~
図18に関連して上述したように、半導体層のスタックは、MBE、CVD、MOCVD、LPE、または他の技法を使用して、GaAs基板またはGaN基板などの基板上にエピタキシャル成長させることが可能である。
【0134】
半導体層のスタックは、下部DBRを形成する半導体層のセットと、下部クラッド層と、複数の量子井戸または量子ドットを形成し、IR光を放射する活性半導体層と、上部クラッド層と、上部DBRを形成する半導体層のセットとを含むことが可能である。上部および下部DBRは、AlGaAs/GaAsまたはAlAs/GaAs層の複数の対など、異なる屈折率を有する異なる材料の複数のインターリーブ層を含むことが可能であり、したがって、隣接する層間の境界面で光を反射して、高い全体反射率を達成することが可能である。インターリーブ層の厚さは、反射されたIR光が強め合うように干渉して高い全体反射率を達成することが可能であるように、選択することが可能である。クラッド層は、たとえば、pドープまたはnドープされたAlGaAsを含むことが可能であり、キャリアを活性半導体層へと注入することが可能である。活性半導体層は、量子井戸層(たとえば、InGaAs層)とQWバリア層(たとえば、GaAs層)とを含むことが可能であり、活性半導体層(たとえば、量子井戸層)に注入されたキャリアが再結合し、光子を放射すると、IR光を放射することが可能である。下部DBR、下部クラッド層、活性半導体層、上部クラッド層、および上部DBRは、共振キャビティを形成することが可能であり、今場合、特定のモードの光波のみを持続させることが可能であり、他の光学モードは抑制することが可能である。下部DBRは、より多くの層を含むことが可能であり、100%に近い反射率を達成して全ての入射光子を反射させることが可能である。上部DBRは、より少ない層を含むことが可能であり、100%未満の反射率を有することが可能であり、それによって、活性半導体層内で放射されたIR光子の一部分を、上部DBRを通して共振キャビティ外に透過させることが可能である。
【0135】
上述したように、半導体層のスタックはまた、横方向に酸化または横方向にエッチングして、レンズなどの平面光学部品を形成することができる、複数の半導体層を含むことが可能である。複数の半導体層は、たとえば、Al
xGa
1-xAs、(Al
xGa
1-x)
0.5In
0.5P、(AlGaIn)AsP、(AlGaIn)NAs、(AlGaIn)N、AlInGaAsSb等を含むことが可能である。複数の半導体層の組成は変化することが可能である。たとえば、複数の半導体層は、異なるアルミニウム濃度を有することが可能であり、したがって異なる横方向酸化速度またはエッチング速度を有することが可能である。複数の半導体層それぞれの組成は、たとえば、エピタキシャル成長において使用される各反応剤、またはドーパントのドーピングレベルによって制御することができる。複数の半導体層は、共振キャビティにおいて上部DBRと下部DBRとの間に成長させることが可能であり、または共振キャビティの外部にあることが可能である。たとえば、
図12および
図14~
図17に示されているように、複数の半導体層はDBRとクラッド層との間にあることが可能である。
図18に示されている例においては、複数の半導体層は、上部DBR上にエピタキシャル成長させることが可能である。
【0136】
動作1920は、半導体層のスタックをエッチングして個々の光源を形成することを含むことが可能である。個々の光源の側壁はエッチングによって露出させることが可能である。したがって、平面光学部品を形成するための複数の半導体層は、側壁において露出させることが可能である。
【0137】
動作1930は、露出した側壁からの、複数の半導体層の横方向酸化またはエッチングを含むことが可能である。横方向酸化またはエッチングは、半導体層の側壁を酸化剤(たとえば、酸素)またはエッチング剤(たとえば、酸)に暴露することによって実施することが可能である。各半導体層の酸化またはエッチングは、露出した側壁で開始し、中央領域に向かって横方向に進行することが可能である。
図13A~
図18を参照して上述したように、半導体層の異なる組成またはドーピングレベルにより、横方向酸化速度または横方向エッチング速度は半導体層の間で変化することが可能である。したがって、酸化またはエッチング期間後、異なる横方向酸化物または空隙領域は、半導体層において形成することが可能であり、それによって、半導体層において空間的にばらつきがある有効光路長をもたらすことが可能である。
【0138】
動作1940は、非線形結晶を半導体層のスタックに結合することを含むことが可能である。たとえば、非線形結晶は、ウェハ、プレート、または薄膜の形態であることが可能であり、個々の光源が中にエッチングされた個々の光源を含む半導体層のスタックの上部に積層、接合、または別の方法で取り付けることが可能である。非線形結晶は、LiNbO3、KNbO3、KTP、BBO、KDP、LBO、KTO、BTO等など、反転対称を有さない結晶を含むことが可能であり、第2高調波発生または周波数倍化に対して高い非線形係数(たとえば、χ(2))を有することが可能である。
【0139】
動作1950は、選択的反射層を非線形結晶上に堆積させることを含むことが可能である。選択的反射層は、IR光に対する高い反射率と可視光に対する低い反射率を有することが可能であり、それによって、IR光を反射することが可能であり、可視光を選択的反射層によって透過させることが可能である。たとえば、選択的反射層は、IR光を反射し、可視光を通過させることができる、光学フィルタを含むことが可能である。したがって、IR光のための外部キャビティは、選択的反射層および上部DBRによって形成することが可能である。選択的反射層はまた、可視光に対して反射防止層を含むことが可能である。
【0140】
動作1960は、マイクロレンズのアレイを選択的反射層上に形成することが可能である。いくつかの実施形態においては、マイクロレンズのアレイは選択的反射層に接合することが可能である。いくつかの実施形態においては、マイクロレンズのアレイは、たとえば、モールディングまたはフォトリソグラフィ(たとえば、グレースケールマスクを使用する)によって形成することが可能である。いくつかの実施形態においては、マイクロレンズのアレイは、透明誘電材料層(たとえば、酸化物層)を選択的反射層上に堆積し、透明誘電材料層をエッチングすることによって形成することが可能である。マイクロレンズは、選択的反射層によって形成された外部キャビティから可視光を抽出するのに使用することが可能である。マイクロレンズはまた、外部キャビティから抽出された可視光をコリメート、集光または発散することが可能である。
【0141】
図20は、特定の実施形態による、光源のアレイ2000の一例を示している。光源のアレイ2000は、
図19に関連して上述した動作1910~1950によって、ダイまたはウェハ上に製作することが可能である。光源のアレイ2000における各光源は、光源1600の一例であることが可能である。光源のアレイ2000は、基板2010(たとえば、GaAsウェハ)と、バルクDBR2020と、複数のIR光レーザーと、複数のIR光レーザー上の非線形結晶2090と、非線形結晶2090上の選択的反射層2095とを含むことが可能である。
図16に関連して上述したように、各IR光レーザーは、下部DBR2030と、平面レンズ2040と、クラッド層2050と、活性領域2060と、クラッド層2070と、上部DBR2080とを含むことが可能である。
図19に関連して上述したように、IR光レーザーは、基板2010上に成長させた半導体層のスタックを垂直にエッチングすることによって形成することが可能である。
【0142】
図21は、特定の実施形態による、光源のアレイ2100の一例を示している。光源のアレイ2100は、
図19に関連して上述した動作1910~1960によって、ダイまたはウェハ上に製作することが可能である。光源のアレイ2100における各光源は、光源1700の一例であることが可能である。光源のアレイ2100は、基板2110(たとえば、GaAsウェハ)と、バルクDBR2120と、複数のIR光レーザーと、複数のIR光レーザー上の非線形結晶2190と、非線形結晶2190上の選択的反射層2195と、選択的反射層2195上のマイクロレンズのアレイ2105とを含むことが可能である。
図16および
図17に関連して上述したように、各IR光レーザーは、下部DBR2130と、平面レンズ2140と、クラッド層2150と、活性領域2160と、クラッド層2170と、上部DBR2180とを含むことが可能である。IR光レーザーは、基板2110上に成長させた半導体層のスタックを垂直にエッチングすることによって形成することが可能である。マイクロレンズのアレイ2105は、複数のIR光レーザーと位置合わせして、非線形結晶2190において生成された可視光を抽出、コリメート、集光、または発散することが可能である。図示されている例においては、各マイクロレンズ2105は1つのIR光レーザーに対応することが可能である。
【0143】
上述されている光源の1次元または2次元アレイは、ウェハ上に製造されて光源(たとえば、光源642)を形成することが可能である。ドライバ回路(たとえば、ドライバ回路644)は、CMOSプロセスを使用して、たとえばシリコンウェハ上に製作することが可能である。ウェハ上の光源およびドライバ回路は、ダイシングされ、次に一緒に接合されることが可能であり、またはウェハレベルで接合され、次にダイシングされることが可能である。接着接合、金属対金属接合、金属酸化物接合、ウェハ対ウェハ接合、ダイ対ウェハ接合、ハイブリッド接合等など、さまざまな接合技法を、光源およびドライバ回路を接合するのに使用することができる。
【0144】
図22Aは、特定の実施形態による、LEDまたはVCSELなど、半導体光源のアレイのためのダイ対ウェハ接合の方法の一例を示す図である。
図22Aに示される例においては、LEDアレイ2201は、キャリア基板2205上の複数のLED2207を含むことが可能である。キャリア基板2205は、GaAs、InP、GaN、AlN、サファイア、SiC、Si等など、さまざまな材料を含むことが可能である。LED2207は、接合を実行する前に、たとえば、さまざまなエピタキシャル層を成長させること、メサ構造を形成すること、および電気接点または電極を形成することによって、製作することが可能である。エピタキシャル層は、GaN、InGaN、(AlGaIn)P、(AlGaIn)AsP、(AlGaIn)AsN、(AlGaIn)Pas、(Eu:InGa)N、(AlGaIn)N等など、さまざまな材料を含むことが可能であり、n型層、p型層、および1つもしくは複数の量子井戸またはMQWなど、1つまたは複数のヘテロ構造を含む活性層を含むことが可能である。電気接点は、金属または合金など、さまざまな導電性材料を含むことが可能である。
【0145】
ウェハ2203は、受動または能動集積回路(たとえば、ドライバ回路2211)が上に製作されている、ベース層2209を含むことが可能である。ベース層2209は、たとえば、シリコンウェハを含むことが可能である。ドライバ回路2211は、LED2207の動作を制御するのに使用することが可能である。たとえば、各LED2207に対するドライバ回路は、2つのトランジスタと1つのコンデンサとを有する2T1Cピクセル構造を含むことが可能である。ウェハ2203はまた、接合層2213を含むことが可能である。接合層2213は、金属、酸化物、誘電体、CuSn、AuTi等などのさまざまな材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、パターニングされた層2215は、接合層2213の表面上に形成されることが可能であり、パターニングされた層2215は、Cu、Ag、Au、Al等など、導電性材料で作られた金属グリッドを含むことが可能である。
【0146】
LEDアレイ2201は、接合層2213またはパターニングされた層2215を介してウェハ2203に接合することが可能である。たとえば、パターニングされた層2215は、LEDアレイ2201のLED2207をウェハ2203上の対応するドライバ回路2211と位置合わせするのに使用することが可能である、CuSn、AuSn、もしくはナノポーラスAuなど、さまざまな材料で作られた金属パッドまたはバンプを含むことが可能である。一例においては、LED2207がドライバ回路2211に対応するそれぞれの金属パッドまたはバンプと接触するまで、LEDアレイ2201をウェハ2203へ近づけることが可能である。LED2207のうちのいくつかまたはすべては、ドライバ回路2211と位置合わせすることが可能であり、次いで金属対金属接合などのさまざまな接合技法によって、パターニングされた層2215を介してウェハ2203に接合することが可能である。LED2207がウェハ2203に接合された後、キャリア基板2205をLED2207から除去することが可能である。
【0147】
図22Bは、特定の実施形態による、LEDまたはVCSELなど、半導体光源のアレイのためのウェハ対ウェハ接合の方法の一例を示す図である。
図22Bに示されているように、第1のウェハ2202は、基板2204と、第1の半導体層2206と、活性層2208と、第2の半導体層2210とを含むことが可能である。基板2204は、GaAs、InP、GaN、AlN、サファイア、SiC、Si等など、さまざまな材料を含むことが可能である。第1の半導体層2206、活性層2208、および第2の半導体層2210は、GaN、InGaN、(AlGaIn)P、(AlGaIn)AsP、(AlGaIn)AsN、(AlGaIn)Pas、(Eu:InGa)N、(AlGaIn)N等など、さまざまな半導体材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、第1の半導体層2206はn型層であることが可能であり、第2の半導体層2210はp型層であることが可能である。たとえば、第1の半導体層2206は、nドープされたGaN層(たとえば、SiまたはGeでドープされる)であることが可能であり、第2の半導体層2210は、pドープされたGaN層(たとえば、Mg、Ca、Zn、またはBeでドープされる)であることが可能である。活性層2208は、たとえば、1つもしくは複数の量子井戸またはMQWなど、1つまたは複数のヘテロ構造を形成することが可能である、1つまたは複数のGaN層、1つまたは複数のInGaN層、1つまたは複数のAlInGaP層等を含むことが可能である。
【0148】
いくつかの実施形態においては、第1のウェハ2202はまた、接合層を含むことが可能である。接合層2212は、金属、酸化物、誘電体、CuSn、AuTi等などのさまざまな材料を含むことが可能である。一例においては、接合層2212はp接点および/またはn接点(図示せず)を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、基板2204と第1の半導体層2206との間におけるバッファ層など、他の層が第1のウェハ2202上に含まれることも可能である。バッファ層は、多結晶GaNまたはAlNなど、さまざまな材料を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、第2の半導体層2210と接合層2212との間に接触層があることが可能である。接触層は、第2の半導体層2210および/または第1の半導体層2206に電気接触を提供するための任意の好適な材料を含むことが可能である。
【0149】
第1のウェハ2202は、接合層2213および/または接合層2212を介して、上述したようなドライバ回路2211および接合層2213を含む、ウェハ2203に接合することが可能である。接合層2212および接合層2213は、同じ材料または異なる材料で作ることが可能である。接合層2213および接合層2212は、実質的に平らであることが可能である。第1のウェハ2202は、金属対金属接合、共晶接合、金属酸化物接合、陽極接合、熱圧縮接合、紫外線(UV)接合、および/または融着接合など、さまざまな方法によってウェハ2203に接合することが可能である。
【0150】
図22Bに示されているように、第1のウェハ2202は、第1のウェハ2202のp側(たとえば、第2の半導体層2210)が下へ(すなわち、ウェハ2203の方へ)向いている状態で、ウェハ2203に接合することが可能である。接合後、基板2204を、第1のウェハ2202から除去することが可能であり、次いで、第1のウェハ2202をn側から処理することが可能である。処理は、たとえば、個々のLEDのための特定のメサ形状の形成、および個々のLEDに対応する光学部品の形成を含むことが可能である。
【0151】
図23A~
図23Dは、特定の実施形態による、LEDおよびVCSELなど、半導体光源のアレイのためのハイブリッド接合の方法の一例を示している。ハイブリッド接合は、普通、ウェハ洗浄および活性化、1つのウェハの接点と別のウェハの接点との高精度位置合わせ、室温でのウェハの表面における誘電材料の誘電接合、および高温でのアニーリングによる接点の金属接合を含むことが可能である。
図23Aは、受動または能動回路2320が上に製造された基板2310を示している。
図8A~
図8Bに関連して上述したように、基板2310は、たとえばシリコンウェハを含むことが可能である。回路2320は、LEDのアレイに対するドライバ回路を含むことが可能である。接合層は、電気相互接続2322を通して回路2320に接続された誘電領域2340および接触パッド2330を含むことが可能である。接触パッド2330は、たとえばCu、Ag、Au、Al、W、Mo、Ni、Ti、Pt、Pd等を含むことが可能である。誘電領域2340における誘電材料は、SiCN、SiO
2、SiN、Al
2O
3、HfO
2、ZrO
2、Ta
2O
5等を含むことが可能である。接合層は、たとえば、化学機械研磨を使用して、平坦化し研磨することが可能であり、平坦化および研磨は、接触パッドにおけるディッシング(ボウル状の外形)をもたらすことが可能である。接合層の表面は、たとえば、イオン(たとえば、プラズマ)または高速原子(たとえば、Ar)ビーム2305によって洗浄し活性化することが可能である。活性化された表面は、原子的に清浄であることが可能であり、たとえば室温で接触させられたときの、ウェハ間の直接接合の形成に対して反応性であることが可能である。
【0152】
図23Bは、たとえば
図7A~
図7Bに関連して上述したように、上に製作されたマイクロLEDのアレイ2370を含むウェハ2350を示している。ウェハ2350は、キャリアウェハであることが可能であり、たとえば、GaAs、InP、GaN、AlN、サファイア、SiC、Si等を含むことが可能である。マイクロLED2370は、ウェハ2350上にエピタキシャル成長されるn型層、活性領域、およびp型層を含むことが可能である。エピタキシャル層は、上述のさまざまなIII-V半導体材料を含むことが可能であり、実質的に垂直な構造、放物線構造、円錐構造等など、メサ構造をエピタキシャル層にエッチングするため、p型層側から処理することが可能である。パッシベーション層および/または反射層は、メサ構造の側壁上に形成することが可能である。p接点2380およびn接点2382は、メサ構造上に堆積された誘電材料層2360に形成することが可能であり、p型層およびn型層それぞれと電気的に接触することが可能である。誘電材料層2360における誘電材料は、たとえば、SiCN、SiO
2、SiN、Al
2O
3、HfO
2、ZrO
2、Ta
2O
5等を含むことが可能である。p接点2380およびn接点2382は、たとえば、Cu、Ag、Au、Al、W、Mo、Ni、Ti、Pt、Pd等を含むことが可能である。p接点2380、n接点2382、および誘電材料層2360の上部表面は接合層を形成することが可能である。接合層は、たとえば、化学機械研磨を使用して、平坦化し研磨することが可能であり、研磨は、p接点2380およびn接点2382におけるディッシングをもたらすことが可能である。接合層は、次いで、たとえば、イオン(たとえば、プラズマ)または高速原子(たとえば、Ar)ビーム2315によって洗浄し活性化することが可能である。活性化された表面は、原子的に清浄であり、またたとえば、室温で接触させられたときのウェハ間の直接接合の形成に対して反応性であることが可能である。
【0153】
図23Cは、接合層において誘電材料を接合するための室温接合プロセスを示している。たとえば、誘電領域2340および接触パッド2330を含む接合層、ならびにp接点2380、n接点2382、および誘電材料層2360を含む接合層が表面活性化された後、ウェハ2350およびマイクロLED2370を上下反転させ、基板2310およびその上に形成された回路と接触させることが可能である。いくつかの実施形態においては、圧縮圧力2325を、接合層が互いに押し付けられるように、基板2310およびウェハ2350に印加することが可能である。表面活性化および接点におけるディッシングにより、誘電領域2340および誘電材料層2360は、表面引力のために直接接触することが可能であり、また表面原子がダングリングボンドを有することがあり、活性化後に不安定なエネルギー状態にあり場合があるため、誘電領域2340および誘電材料層2360の間で反応し化学接合を形成することが可能である。したがって、誘電領域2340および誘電材料層2360における誘電材料は、熱処理もしくは圧力ありで、またはなしで、互いに接合させることが可能である。
【0154】
図23Dは、接合層における誘電材料の接合後、接合層における接点を接合するためのアニーリングプロセスを示している。たとえば、接触パッド2330およびp接点2380またはn接点2382は、たとえば、約200~400℃以上でのアニーリングによって、互いに接合させることが可能である。アニーリングプロセスの間、熱2335は、接触を誘電材料よりも拡大させることが可能であり(異なる熱膨張係数による)、したがって、接触パッド2330およびp接点2380またはn接点2382が接触することが可能であり、また活性化された表面で直接金属接合を形成することが可能であるように、接点間のディッシングギャップを閉じることが可能である。
【0155】
2つの接合されたウェハが異なる熱膨張係数(CTE)を有する材料を含む、いくつかの実施形態においては、室温で接合された誘電材料は、異なる熱膨張によって引き起こされる接触パッドの位置合わせ不良を低減または防止するのに役立つことが可能である。いくつかの実施形態においては、アニーリング中の高温における接触パッドの位置合わせ不良をさらに低減または回避するため、トレンチを、マイクロLEDの間に、マイクロLEDのグループの間に、基板の一部またはすべてを通して等、接合前に形成することが可能である。
【0156】
マイクロLEDがドライバ回路に接合された後、マイクロLEDがその上に製作される基板は、薄くするかまたは除去することが可能であり、さまざまな二次光学部品は、たとえば、マイクロLEDの活性領域から放射された光を抽出し、コリメートし、向け直すように、マイクロLEDの発光表面上に製作することが可能である。一例においては、マイクロレンズはマイクロLED上に形成することが可能であり、各マイクロレンズは、それぞれのマイクロLEDに対応することが可能であり、光抽出効率を改善し、マイクロLEDによって放射される光をコリメートするのに役立つことが可能である。いくつかの実施形態においては、二次光学部品は、マイクロLEDの基板またはn型層内に製作することが可能である。いくつかの実施形態においては、二次光学部品は、マイクロLEDのn型側に堆積された誘電層内に製作することが可能である。二次光学部品の例は、レンズ、格子、反射防止(AR)コーティング、プリズム、フォトニック結晶等を含むことが可能である。
【0157】
図24は、特定の実施形態による、二次光学部品が上に製作されている、LEDおよびVCSELなどの半導体光源のアレイの一例を示している。図示されている例においては、LEDアレイ2400は、たとえば、
図22A~
図23Dに関連して上述した任意の好適な接合技法を使用して、LEDチップまたはウェハを、上に製作された電気回路を含むシリコンウェハと接合することによって作られることが可能である。
図24に示される例においては、LEDアレイ2400は、
図23A~
図23Dに関連して上述したようなウェハ対ウェハハイブリッド接合技法を使用して接合することが可能である。LEDアレイ2400は、たとえばシリコンウェハであることが可能である、基板2410を含むことが可能である。LEDドライバ回路などの集積回路2420は、基板2410上に製作することが可能である。集積回路2420は、相互接続2422および接触パッド2430を通してマイクロLED2470のp接点2474およびn接点2472に接続することが可能であり、接触パッド2430は、p接点2474およびn接点2472と金属接合を形成することが可能である。基板2410上の誘電層2440は、融着接合を通して誘電層2460に接合することが可能である。
【0158】
LEDチップまたはウェハの基板(図示せず)は、薄くすることが可能であり、または除去して、マイクロLED2470のn型層2450を露出させることが可能である。球面マイクロレンズ2482、格子2484、マイクロレンズ2486、反射防止層2488等などのさまざまな二次光学部品は、n型層2450内またはその上に形成することが可能である。たとえば、球面マイクロレンズアレイは、暴露光に対する線形応答を有するグレースケールマスクおよびフォトレジストを使用して、またはパターニングされたフォトレジスト層の熱リフローによって形成されるエッチマスクを使用して、マイクロLED2470の半導体材料にエッチングすることが可能である。二次光学部品はまた、類似のフォトリソグラフィ技法または他の技法を使用して、n型層2450上に堆積された誘電層にエッチングすることが可能である。たとえば、マイクロレンズアレイは、バイナリマスクを使用してパターニングされるポリマー層の熱リフローを通して、ポリマー層に形成することが可能である。ポリマー層におけるマイクロレンズアレイは、二次光学部品として使用することが可能であり、またはマイクロレンズアレイの外形を誘電層または半導体層へと転写するためのエッチマスクとして使用することが可能である。誘電層は、たとえば、SiCN、SiO
2、SiN、Al
2O
3、HfO
2、ZrO
2、Ta
2O
5等を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、マイクロLED2470は、マイクロレンズおよび反射防止コーティング、半導体材料にエッチングされるマイクロレンズおよび誘電材料層にエッチングされるマイクロレンズ、マイクロレンズおよび格子、球面レンズおよび非球面レンズ等など、複数の対応する二次光学部品を有することが可能である。マイクロLED2470上に形成することができる二次光学部品のいくつかの例を示すため、3つの異なる二次光学部品が
図24に示されるが、これは、異なる二次光学部品がすべてのLEDアレイに同時に使用されることを必ずしも示唆するものではない。
【0159】
本明細書に開示する実施形態は、人工現実システムのコンポーネントを実現するのに使用することが可能であり、または人工現実システムと併せて実現することが可能である。人工現実は、ユーザに提示する前に何らかの形で調節されている現実の形態であり、たとえば、仮想現実、拡張現実、複合現実、ハイブリッド現実、またはそれらの何らかの組合せおよび/または派生物を含むことが可能である。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、または取り込まれた(たとえば、実世界)コンテンツと組み合わされた生成コンテンツを含むことが可能である。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、触覚フィードバック、またはそれらの何らかの組合せを含むことが可能であり、それらのいずれかを、単一のチャネルまたは複数のチャネル(閲覧者に対する3次元効果を生成するステレオビデオなど)で提示することが可能である。加えて、いくつかの実施形態においては、人工現実はまた、たとえば、人工現実においてコンテンツを作成するのに使用される、および/または別の方法で人工現実において使用される(たとえば、アクティビティを実施する)、アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せと関連付けることが可能である。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたHMD、スタンドアロンHMD、移動デバイスもしくはコンピューティングシステム、または人工現実コンテンツを1人もしくは複数の閲覧者に提供することができる他の任意のハードウェアプラットフォームを含む、さまざまなプラットフォーム上で実現することが可能である。
【0160】
図25は、本明細書において開示されている例のうちいくつかを実施するための、一例のニアアイディスプレイ(たとえば、HMDデバイス)における一例の電子システム2500の簡略化されたブロック図である。電子システム2500は、上述されたHMDデバイスまたは他のニアアイディスプレイの電子システムとして使用されることが可能である。この例においては、電子システム2500は、1つまたは複数のプロセッサ2510と、メモリ2520とを含むことが可能である。プロセッサ2510は、複数のコンポーネントにおいて動作を実施するための命令を実行するように構成することが可能であり、たとえば、ポータブル電子デバイス内に実装するのに適した汎用プロセッサまたはマイクロプロセッサであることが可能である。プロセッサ2510は、電子システム2500内の複数のコンポーネントと通信可能に結合することが可能である。この通信可能な結合を実現するため、プロセッサ2510は、バス2540を通じて他の示されているコンポーネントと通信することが可能である。バス2540は、電子システム2500内でデータを転送するように適合されている任意のサブシステムであることが可能である。バス2540は、データを転送する複数のコンピュータバスおよび追加の回路を含むことが可能である。
【0161】
メモリ2520は、プロセッサ2510に結合することが可能である。いくつかの実施形態においては、メモリ2520は、短期および長期の両方の記憶を提供することが可能であり、いくつかのユニットへと分割することが可能である。メモリ2520は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)および/またはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など、揮発性であること、ならびに/あるいは読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等など、不揮発性であることが可能である。さらに、メモリ2520は、セキュアデジタル(SD)カードなど、取外し可能な記憶デバイスを含むことが可能である。メモリ2520は、電子システム2500に関するコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの記憶を提供することが可能である。いくつかの実施形態においては、メモリ2520は、異なるハードウェアモジュールへと分散させることが可能である。命令のセットおよび/またはコードを、メモリ2520に格納することが可能である。命令は、電子システム2500によって実行可能であることが可能である実行可能コードの形態を取ることが可能であり、ならびに/あるいはソースおよび/またはインストール可能コードの形態を取ることが可能であり、これは、(たとえば、さまざまな一般的に利用可能なコンパイラ、インストレーションプログラム、圧縮/解凍ユーティリティーなどのいずれかを使用した)電子システム2500上でのコンパイルおよび/またはインストール時に、実行可能コードの形態を取ることが可能である。
【0162】
いくつかの実施形態においては、メモリ2520は、複数のアプリケーションモジュール2522~2524を格納することが可能であり、これらは、任意の数のアプリケーションを含むことが可能である。アプリケーションの例は、ゲーミングアプリケーション、会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、または他の好適なアプリケーションを含むことが可能である。アプリケーションは、奥行き感知機能またはアイトラッキング機能を含むことが可能である。アプリケーションモジュール2522~2524は、プロセッサ2510によって実行されることになる特定の命令を含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、アプリケーションモジュール2522~2524のうち特定のアプリケーションまたは部分は、他のハードウェアモジュール2580によって実行可能であり得る。特定の実施形態においては、メモリ2520は、セキュアなメモリを追加で含むことが可能であり、これは、セキュアな情報に対するコピーまたはその他の不正アクセスを防止するための追加のセキュリティ制御を含むことが可能である。
【0163】
いくつかの実施形態においては、メモリ2520は、ロードされているオペレーティングシステム2525を含むことが可能である。オペレーティングシステム2525は、アプリケーションモジュール2522~2524によって提供される命令の実行を開始するように、ならびに/または他のハードウェアモジュール2580と、1つまたは複数のワイヤレストランシーバを含むことが可能であるワイヤレス通信サブシステム2530とのインターフェースとを管理するように動作可能であることが可能である。オペレーティングシステム2525は、スレッド化、リソース管理、データ記憶制御、および他の同様の機能性を含む、電子システム2500のコンポーネントにわたる他の動作を実施するように適合することが可能である。
【0164】
ワイヤレス通信サブシステム2530は、たとえば、赤外線通信デバイス、ワイヤレス通信デバイスおよび/またはチップセット(Bluetooth(登録商標)デバイス、IEEE802.11デバイス、Wi-Fiデバイス、WiMaxデバイス、セルラー通信設備等など)、ならびに/あるいは同様の通信インターフェースを含むことが可能である。電子システム2500は、ワイヤレス通信のための1つもしくは複数のアンテナ2534を、ワイヤレス通信サブシステム2530の一部として、またはシステムのいずれかの部分に結合されている別個のコンポーネントとして含むことが可能である。所望の機能性に応じて、ワイヤレス通信サブシステム2530は、ベーストランシーバステーションならびに他のワイヤレスデバイスおよびアクセスポイントと通信するための別個のトランシーバを含むことが可能であり、その通信は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、もしくはワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)など、異なるデータネットワークおよび/またはネットワークタイプと通信することを含むことが可能である。WWANは、たとえば、WiMax(IEEE802.16)ネットワークであることが可能である。WLANは、たとえば、IEEE802.11xネットワークであることが可能である。WPANは、たとえば、Bluetoothネットワーク、IEEE802.15x、またはいくつかの他のタイプのネットワークであることが可能である。本明細書に記載する技法はまた、WWAN、WLAN、および/またはWPANの任意の組合せに使用することが可能である。ワイヤレス通信サブシステム2530は、ネットワーク、他のコンピュータシステム、および/または本明細書に記載する他の任意のデバイスとの間でデータを交換するのを許可することが可能である。ワイヤレス通信サブシステム2530は、アンテナ2534およびワイヤレスリンク2532を使用して、HMDデバイスの識別子、位置データ、地理的マップ、ヒートマップ、写真、またはビデオなどのデータを送信または受信するための手段を含むことが可能である。ワイヤレス通信サブシステム2530、プロセッサ2510、およびメモリ2520はともに、本明細書に開示されるいくつかの機能を実施するための手段のうち1つまたは複数の少なくとも一部を備えることが可能である。
【0165】
電子システム2500の実施形態はまた、1つまたは複数のセンサ2590を含むことが可能である。センサ2590は、たとえば、画像センサ、加速度計、圧力センサ、温度センサ、近接センサ、磁力計、ジャイロスコープ、慣性センサ(たとえば、加速度計とジャイロスコープとを組み合わせるモジュール)、環境光センサ、あるいは奥行きセンサもしくは位置センサなど、感覚出力を提供するように、および/または感覚入力を受信するように動作可能な他の任意の同様のモジュールを含むことが可能である。たとえば、いくつかの実施態様においては、センサ2590は、1つもしくは複数の慣性測定ユニット(IMU)および/または1つもしくは複数の位置センサを含むことが可能である。IMUは、位置センサのうち1つまたは複数から受信された測定信号に基づいて、HMDデバイスの初期位置に対するHMDデバイスの推定位置を示す校正データを生成することが可能である。位置センサは、HMDデバイスの動きに応答して1つまたは複数の測定信号を生成することが可能である。位置センサの例は、1つもしくは複数の加速度計、1つもしくは複数のジャイロスコープ、1つもしくは複数の磁力計、動きを検出する別の好適なタイプのセンサ、IMUのエラー補正のために使用されるタイプのセンサ、またはそれらの任意の組合せを含むことが可能であるが、それらには限定されない。位置センサは、IMUの外部に、IMUの内部に、またはそれらの任意の組合せで配置されることが可能である。少なくともいくつかのセンサは、感知のため、構造化された光パターンを使用することが可能である。
【0166】
電子システム2500は、ディスプレイモジュール2560を含むことが可能である。ディスプレイモジュール2560は、ニアアイディスプレイであることが可能であり、画像、ビデオ、およびさまざまな命令などの情報を、電子システム2500からユーザにグラフィカルに提示することが可能である。かかる情報は、1つもしくは複数のアプリケーションモジュール2522~2524、仮想現実エンジン2526、1つもしくは複数の他のハードウェアモジュール2580、それらの組合せ、または、(たとえば、オペレーティングシステム2525によって)ユーザのためにグラフィカルコンテンツを解像するための他の任意の好適な手段から導出することが可能である。ディスプレイモジュール2560は、LCD技術、LED技術(たとえば、OLED、ILED、μ-LED、AMOLED、TOLEDなどを含む)、発光ポリマーディスプレイ(LPD)技術、または他の何らかのディスプレイ技術を使用することが可能である。
【0167】
電子システム2500は、ユーザ入力/出力モジュール2570を含むことが可能である。ユーザ入力/出力モジュール2570は、ユーザがアクション要求を電子システム2500へ送信することを可能にすることができる。アクション要求は、特定のアクションを実施する要求であることが可能である。たとえば、アクション要求は、アプリケーションを開始もしくは終了すること、またはアプリケーション内で特定のアクションを実施することであることが可能である。ユーザ入力/出力モジュール2570は、1つまたは複数の入力デバイスを含むことが可能である。例示の入力デバイスは、タッチスクリーン、タッチパッド、マイクロフォン、ボタン、ダイヤル、スイッチ、キーボード、マウス、ゲームコントローラ、またはアクション要求を受信し、受信したアクション要求を電子システム2500へと通信するための他の任意の好適なデバイスを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、ユーザ入力/出力モジュール2570は、電子システム2500から受信した命令に従って触覚フィードバックをユーザに提供することが可能である。たとえば、触覚フィードバックは、アクション要求が受信されたとき、または実施されているときに提供されることが可能である。
【0168】
電子システム2500は、たとえば、ユーザの目の位置を追跡把握するために、ユーザの写真またはビデオを撮影するのに使用することが可能であるカメラ2550を含むことが可能である。カメラ2550はまた、たとえば、VR、AR、またはMR用途のために、環境の写真またはビデオを撮影するのに使用することも可能である。カメラ2550は、たとえば、数百万または数千万ピクセルを有する相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサを含むことが可能である。いくつかの実施態様においては、カメラ2550は、3D画像を取り込むのに使用することが可能である2つ以上のカメラを含むことが可能である。
【0169】
いくつかの実施形態においては、電子システム2500は、複数の他のハードウェアモジュール2580を含むことが可能である。他のハードウェアモジュール2580はそれぞれ、電子システム2500内の物理的なモジュールであることが可能である。他のハードウェアモジュール2580はそれぞれ、構造として恒久的に構成されることが可能であるが、他のハードウェアモジュール2580のうちいくつかは、特定の機能を実施するように一時的に構成されること、または一時的にアクティブ化されることが可能である。他のハードウェアモジュール2580の例は、たとえば、オーディオ出力および/または入力モジュール(たとえば、マイクロフォンもしくはスピーカー)、近距離無線通信(NFC)モジュール、充電式バッテリー、バッテリー管理システム、有線/ワイヤレスバッテリー充電システムなどを含むことが可能である。いくつかの実施形態においては、他のハードウェアモジュール2580の1つまたは複数の機能は、ソフトウェアで実施することが可能である。
【0170】
いくつかの実施形態においては、電子システム2500のメモリ2520は、仮想現実エンジン2526を格納することも可能である。仮想現実エンジン2526は、電子システム2500内のアプリケーションを実行すること、およびHMDデバイスの位置情報、加速度情報、速度情報、予測される今後の位置、またはそれらの任意の組合せをさまざまなセンサから受信することが可能である。いくつかの実施形態においては、仮想現実エンジン2526によって受信された情報は、ディスプレイモジュール2560への信号(たとえば、表示命令)を生成するために使用することが可能である。たとえば、受信した情報が、ユーザが左を見ていたことを示している場合、仮想現実エンジン2526は、仮想環境におけるユーザの動きを反映するHMDデバイスのためのコンテンツを生成することが可能である。加えて、仮想現実エンジン2526は、ユーザ入力/出力モジュール2570から受信したアクション要求に応答して、アプリケーション内でアクションを実行し、フィードバックをユーザに提供することが可能である。提供されるフィードバックは、視覚、可聴、または触覚フィードバックであることが可能である。いくつかの実施態様においては、プロセッサ2510は、仮想現実エンジン2526を実行することが可能である1つまたは複数のGPUを含むことが可能である。
【0171】
さまざまな実施態様においては、上述のハードウェアおよびモジュールは、単一のデバイス上に、または有線もしくはワイヤレス接続を使用して互いに通信することができる複数のデバイスに実装することが可能である。たとえば、いくつかの実施態様においては、GPU、仮想現実エンジン2526、およびアプリケーション(たとえば、トラッキングアプリケーション)など、いくつかのコンポーネントまたはモジュールは、ヘッドマウントディスプレイデバイスとは別個のコンソールに実装することが可能である。いくつかの実施態様においては、1つのコンソールが、複数のHMDに接続されること、または複数のHMDをサポートすることが可能である。
【0172】
代替構成においては、異なるコンポーネントおよび/または追加のコンポーネントが電子システム2500に含まれることが可能である。同様に、コンポーネントのうち1つまたは複数の機能性は、上述した手法とは異なる手法でコンポーネントの間で分散させることが可能である。たとえば、いくつかの実施形態においては、電子システム2500は、ARシステム環境および/またはMR環境など、他のシステム環境を含むように修正することが可能である。
【0173】
上で論じられている方法、システム、およびデバイスは、例である。さまざまな実施形態は、必要に応じて、さまざまな手順またはコンポーネントを省略、置換、または追加することが可能である。たとえば、代替構成においては、記載した方法は、記載したものとは異なる順序で実施することが可能であり、ならびに/あるいはさまざまな段階が追加、省略、および/または組み合わされることが可能である。また、特定の実施形態に関して記載した特徴は、他のさまざまな実施形態において組み合わせることが可能である。実施形態の異なる態様および要素は、同様の手法で組み合わせることが可能である。また、技術は進化しており、したがって、要素のうちの多くは例であり、それらの例は、本開示の範囲をそれらの特定の例に限定するものではない。
【0174】
実施形態の徹底的な理解を提供するため、本明細書においては具体的な詳細が与えられている。しかしながら、実施形態は、これらの具体的な詳細を伴わずに実施されることが可能である。たとえば、よく知られている回路、プロセス、システム、構造、および技法は、実施形態が不明瞭になることを回避するために、不必要な詳細を伴わずに示されている。本明細書は、例示的な実施形態のみを提供しており、本発明の範囲、適用可能性、または構成を限定しようとするものではない。むしろ、実施形態についての前述の記載は、さまざまな実施形態を実施するための有効な記載を当業者に提供するであろう。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置においてさまざまな変更を行うことが可能である。
【0175】
また、いくつかの実施形態は、フロー図またはブロック図として示されるプロセスとして記載した。それぞれ、動作を順次プロセスとして記載している場合があるが、動作のうち多くは、並列にまたは同時に実施することが可能である。加えて、動作の順序は並べ替えることが可能である。プロセスは、図に含まれていない追加のステップを有することが可能である。さらに、方法の実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組合せによって実施することが可能である。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードに実装される場合、関連付けられたタスクを実施するプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などのコンピュータ可読媒体に格納することが可能である。プロセッサは、関連付けられたタスクを実施することが可能である。
【0176】
具体的な要件に従って実質的な変更を行うことが可能であることは、当業者にとって明白となるであろう。たとえば、カスタマイズされたもしくは専用のハードウェアが使用されることも可能であり、および/または特定の要素が、ハードウェア、ソフトウェア(アプレット等などのポータブルソフトウェアを含む)、もしくは両方に実装されることが可能である。さらに、ネットワーク入力/出力デバイスなどの他のコンピューティングデバイスへの接続が採用されることが可能である。
【0177】
添付の図面を参照すると、メモリを含むことができるコンポーネントは、非一時的な機械可読媒体を含むことができる。「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械を特定の様式で動作させるデータを提供することに関与する、任意の記憶媒体を指すことが可能である。上で提供されている実施形態においては、さまざまな機械可読媒体が、実行のために処理ユニットおよび/または他のデバイスに命令/コードを提供することに関与することが可能である。追加として、または代替として、機械可読媒体は、かかる命令/コードを格納および/または搬送するのに使用することが可能である。多くの実施態様においては、コンピュータ可読媒体は、物理的および/または有形の記憶媒体である。かかる媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および送信媒体を含むがそれらに限定されない多くの形態を取ることが可能である。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、たとえば、コンパクトディスク(CD)もしくはデジタル多用途ディスク(DVD)などの磁気および/または光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する他の物理的媒体、RAM、プログラム可能読取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(EPROM)、フラッシュEPROM、他の任意のメモリチップもしくはカートリッジ、以下に記載されるような搬送波、あるいはコンピュータが命令および/もしくはコードを読み出すことができる他の任意の媒体を含む。コンピュータプログラム製品は、プロシージャ、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、アプリケーション(アプリ)、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラスを表すことが可能であるコードおよび/またはマシン実行可能命令、あるいは命令、データ構造、もしくはプログラムステートメントの任意の組合せを含むことが可能である。
【0178】
本明細書に記載するメッセージを通信するのに使用される情報および信号は、さまざまな異なる技術および技法のうちいずれかを使用して表すことが可能であることを、当業者であれば理解するであろう。たとえば、上の記載全体を通して参照される場合があるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは粒子、光場もしくは粒子、またはそれらの任意の組合せによって表すことが可能である。
【0179】
「および」および「または」という用語は、本明細書において使用されるとき、かかる用語が使用される文脈に少なくとも部分的に依存することも予想される、さまざまな意味を含むことが可能である。一般的に、「または」は、A、B、またはCなどのリストを関連付けるのに使用される場合、A、B、およびC(ここでは包括的な意味で使用される)、ならびにA、B、またはC(ここでは排他的な意味で使用される)を意味することが意図される。加えて、「1つまたは複数」という用語は、本明細書において使用されるとき、単数形の任意の機能、構造、もしくは特徴を記載するために使用することが可能であり、または機能、構造、もしくは特徴の何らかの組合せを記載するために使用することが可能である。しかしながら、これは単に説明例であり、特許請求される主題はこの例に限定されるものではないことに留意されたい。さらに、「~の少なくとも1つ」という用語は、A、B、またはCなどのリストを関連付けるのに使用される場合、A、AB、AC、BC、AA、ABC、AAB、AABBCCC等など、A、B、および/またはCの任意の組合せを意味するものと解釈することが可能である。
【0180】
さらに、特定の実施形態について、ハードウェアおよびソフトウェアの特定の組合せを使用して記載してきたが、ハードウェアおよびソフトウェアの他の組合せも可能であるということを認識されたい。特定の実施形態は、ハードウェアのみで、またはソフトウェアのみで、またはそれらの組合せを使用して実施されることが可能である。一例においては、ソフトウェアは、本開示において記載されるステップ、動作、またはプロセスのいずれかもしくはすべてを実施するために、1つもしくは複数のプロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムコードまたは命令を包含するコンピュータプログラム製品を用いて実装することが可能であり、この場合、コンピュータプログラムは、非一時的コンピュータ可読媒体に格納することが可能である。本明細書に記載するさまざまなプロセスは、同じプロセッサまたは任意の組合せの異なるプロセッサに実装することができる。
【0181】
デバイス、システム、コンポーネント、またはモジュールが、特定の動作もしくは機能を実施するように構成されているものとして記載される場合、かかる構成は、たとえば、動作を実施するための電子回路を設計することによって、プログラム可能な電子回路(マイクロプロセッサなど)を、動作を実施するようにプログラムすることによって、たとえば、コンピュータ命令もしくはコード、または非一時的なメモリ媒体に格納されたコードもしくは命令を実施するようにプログラムされたプロセッサもしくはコア、またはそれらの任意の組合せを実施することによって遂行することができる。プロセスは、プロセス間通信のための従来の技法を含むがそれらに限定されないさまざまな技法を使用して通信することができ、プロセスの異なるペアが異なる技法を使用することが可能であり、またはプロセスの同じペアが異なる時点で異なる技法を使用することが可能である。
【0182】
したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味でみなされるべきである。しかしながら、特許請求の範囲に記載されているさらに広い精神および範囲から逸脱することなく、追加、削減、削除、ならびに他の修正および変更を行うことが可能であることが明白となるであろう。したがって、特定の実施形態について記載してきたが、これらは限定的であることを意図するものではない。さまざまな修正および均等物は、以下の特許請求の範囲の範疇内にある。
【国際調査報告】