(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】鼻組織の形状を変更するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/24 20060101AFI20230718BHJP
A61F 2/18 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
A61B17/24
A61F2/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575770
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 US2021036881
(87)【国際公開番号】W WO2021252806
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(71)【出願人】
【識別番号】522476783
【氏名又は名称】ザ ユー.エス.ガヴァメント デパートメント オブ ヴェテランズ アフェアーズ
【氏名又は名称原語表記】THE U.S.GOVERNMENT DEPARTMENT OF VETERANS AFFAIRS
(71)【出願人】
【識別番号】522476794
【氏名又は名称】ザ マヨ ファウンデーション フォー メディカル エデュケーション アンド リサーチ
【氏名又は名称原語表記】THE MAYO FOUNDATION FOR MEDICAL EDUCATION AND RESEARCH
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】キンツェン,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】マッカチョン,ブラドン
(72)【発明者】
【氏名】ナヤック,ジャヤカル
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA29
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC08
4C097DD01
4C097EE08
4C097FF01
4C160MM06
(57)【要約】
対象者の標的組織構造、例えば、鼻中隔または他の鼻組織の形状を変更するためのシステムおよび方法が提供される。それは、構造に隣接する組織に整形要素の第1の端部を固定すること、組織を操作して構造の形状を変更すること、並びに、整形要素に力を加えて構造の変更した形状を維持することを含む。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の組織構造を整形するためのシステムであって、
近位端と、対象者の体内に導入するようにサイズ設定された遠位端と、前記近位端と前記遠位端のポートとの間に延びるルーメンとを含む細長い部材と、
前記ルーメンを通して導入するようにサイズ設定された第1の端部であって、前記ポートから展開されることにより、前記組織構造に隣接する組織に係合する第1の端部と、前記第1の端部の反対側の第2の端部と、前記組織構造の形状を変更するために、係合した組織にかかる力を維持する1または複数の要素とを含む整形要素と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記整形要素の第1の端部が、固定要素を含み、この固定要素が、組織を通って導かれ、かつ前記第1の端部が鼻組織を通って戻るのを防ぐように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記固定要素が、T字ファスナ、X字ファスナ、拡張可能なアンカー、ボタン、形状保持構造、バーブ、および複数のバーブのうちの1または複数を含むことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記固定要素が、前記整形要素に沿って前記第1の端部に対して調節可能であることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、
前記整形要素が、前記第1の端部に隣接する互いに離間した複数の突起を含み、前記固定要素が、前記第1の端部に対する前記固定要素の位置を調節するために前記突起と解放可能に係合するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記1または複数の要素が、前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記整形要素上の1または複数の移動防止要素を含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、
前記1または複数の移動防止要素が、前記第1の端部から離間した前記整形要素の領域上の複数のラチェット要素を含むことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項6に記載のシステムにおいて、
前記1または複数の移動防止要素が、組織を通って第1の方向に導かれ、かつ前記1または複数の移動防止要素が組織を通って第2の方向に戻るのを防止するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記1または複数の要素が、前記第2の端部上の固定要素を含み、この固定要素が、組織を通って導かれ、かつ前記第2の端部が鼻組織を通って戻るのを防止するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記1または複数の移動防止要素が、前記第1の端部から離間した前記整形要素の領域に沿って調節することができる調節可能な固定要素を含むことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記整形要素が、前記領域に沿って互いに離間して配置された複数の突起を含み、前記調節可能な固定要素が、前記領域に沿って前記固定要素の位置を調節するために前記突起と解放可能に係合するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、
組織との非外傷性の接触を提供するために、前記第1の端部から離間した前記整形要素上に力分散領域をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムにおいて、
前記力分散領域が、前記力分散領域に隣接する整形要素よりも大きい幅および/または表面積を有することを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、
組織を通して前記整形要素を導くための針を前記整形要素の第2の端部にさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記ポートが、前記遠位端の側壁に位置し、当該システムが、前記ルーメン内に導入するサイズに設定されたガイド要素をさらに備え、前記ガイド要素が、前記ガイド要素の先端を側壁ポートから組織内に導くために前記細長い部材に対して移動可能であり、前記ガイド要素が、ガイドインターフェースを含み、前記整形要素の第1の端部が、前記先端から展開可能であるように前記ガイドインターフェースと係合することを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記ガイド要素が、組織を貫通するように構成された鋭利な遠位先端で終端となる針を含むことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムにおいて、
前記ガイド要素が、ルーメンを有する中空針を含むことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記先端が前記細長い部材の遠位端に位置する近位位置と、前記先端が前記側壁ポートから延出する遠位位置とから前記ガイド要素を選択的に導くためのアクチュエータを前記細長い部材の近位端にさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムにおいて、
前記ガイド要素の先端が、前記細長い部材の遠位端に対して横方向に先端を向けるように湾曲した形状にバイアスされていることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記細長い部材の遠位端に設けられた撮像要素をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記細長い部材の近位端にあるハンドルと、前記整形要素を展開するための1または複数のアクチュエータとをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記整形要素によって維持される力が、張力であることを特徴とするシステム。
【請求項23】
対象者の鼻組織の形状を変更する方法であって、
送達デバイスの遠位端を対象者の鼻気道内に挿入するステップと、
前記遠位端から鼻気道内に整形要素の第1の端部を展開するステップと、
前記整形要素の第1の端部を、鼻気道に隣接する組織に固定するステップと、
前記整形要素を操作して組織の形状を変更するステップと、
前記整形要素が組織の変更された形状を少なくとも一時的に維持するように前記送達デバイスを取り外すステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、
前記整形要素を操作することが、前記整形要素の第2の端部を操作して組織に力を加えることを含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、
力を加えた後に、前記整形要素の第2の端部を鼻気道に隣接する組織に固定するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、
前記第2の端部を固定することが、前記第1の端部から離間した位置で組織を通して前記第2の端部を導くことを含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法において、
前記第1の端部が、湾曲した鼻中隔の片側の組織に固定され、前記第2の端部が、湾曲した鼻中隔の反対側の組織に固定され、力が、湾曲した鼻中隔の形状を変更するために加えられることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項24に記載の方法において、
前記第1の端部が、湾曲した鼻中隔よりも遠位側の組織に固定され、前記第2の端部が、湾曲した鼻中隔よりも近位側の組織に固定され、力が、湾曲した鼻中隔の形状を変更するために加えられることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法において、
前記整形要素によって加えられる力が、張力であることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項23に記載の方法において、
整形要素を操作することが、
前記整形要素の中間領域を、前記第1の端部が固定される第1の位置から離間した第2の位置で、組織と係合させること、並びに、
前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記整形要素に力を加えて前記第1の位置と前記第2の位置との間で組織の形状を変えることを含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、
前記整形要素を操作することが、前記中間領域の1または複数の要素を、前記第2の位置で組織と係合させて、張力を維持することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、
前記中間領域を係合させることが、
前記第2の位置で組織を通して前記整形要素の第2の端部を導くこと、並びに、
前記中間領域が前記第2の位置で組織と係合するまで前記第2の端部を引っ張ることを含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、
前記中間領域が、互いに離間した複数の移動防止要素を備え、前記移動要素の少なくとも1つが前記第2の位置で組織を通過するまで前記第2の端部を引っ張り、それによって前記中間領域が前記第2の位置で組織を通過して戻るのを防止することを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項30に記載の方法において、
前記整形要素を操作することが、前記第2の位置における組織に対する前記中間領域上の固定要素の位置を調整して、張力を維持することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項30に記載の方法において、
前記整形要素の第2の端部を前記中間領域から分離するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、
前記第2の端部を分離することが、前記中間領域に隣接する前記整形要素をカットして、前記整形要素から余分な材料を除去することを含むことを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項34に記載の方法において、
前記整形要素に加えられる力が、張力であることを特徴とする方法。
【請求項38】
対象者の鼻組織の形状を変更する方法であって、
整形要素の第1の端部を対象者の鼻気道内に展開するステップと、
前記整形要素の第1の端部を、鼻気道に隣接する第1の位置で組織に固定するステップと、
前記整形要素を操作して組織の形状を変更するステップと、
前記整形要素を第2の位置で組織に固定して、組織の変更した形状を維持するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法において、
前記第2の位置で前記整形要素を固定することが、前記第2の位置で前記整形要素の第2の端部を固定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項38に記載の方法において、
前記第2の位置で前記整形要素を固定することが、前記第2の位置で前記整形要素上の1または複数の移動防止要素を固定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、
前記1または複数の移動防止要素が前記第2の位置で固定されたときに、前記整形要素の余分な材料を除去するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項38に記載の方法において、
前記第2の位置が、前記第1の位置よりも鼻孔に近い位置にあることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項38に記載の方法において、
前記整形要素が張力を加えることを特徴とする方法。
【請求項44】
対象者の標的組織構造の形状を変更する方法であって、
構造に隣接する組織に整形要素の第1の端部を固定するステップと、
組織を操作して構造の形状を変更するステップと、
前記整形要素に力を加えて、構造の変更された形状を維持するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法において、
前記第1の端部が、構造に隣接する第1の位置に固定され、本方法が、前記整形要素を前記第2の位置で組織に固定して、組織の変更された形状を維持するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法において、
前記第2の位置で前記整形要素を固定することが、前記第2の位置で前記整形要素の第2の端部を固定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項44に記載の方法において、
前記第2の位置で前記整形要素を固定することが、前記第2の位置で前記整形要素上の1または複数の移動防止要素を固定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項47に記載の方法において、
前記1または複数の移動防止要素が前記第2の位置で固定されるときに、前記整形要素の余分な材料を除去するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項44に記載の方法において、
前記構造が、対象者の鼻中隔を含むことを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項44に記載の方法において、
前記構造が、対象者の耳を含むことを特徴とする方法。
【請求項51】
請求項44に記載の方法において、
前記整形要素に加えられる力が、張力であることを特徴とする方法。
【請求項52】
対象者の鼻組織の形状を変更する方法であって、
対象者の鼻気道内にアンカーを導入するステップと、
前記アンカーを第1の位置で対象者の鼻中隔に固定するステップと、
対象者の鼻気道内に整形要素の第1の端部を導入するステップと、
前記整形要素の第1の端部を前記アンカーに固定するステップと、
前記整形要素を操作して組織の形状を変えるステップと、
前記第2の位置で前記整形要素を組織に対して固定して組織の変わった形状を維持するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法において、
前記アンカーが、対象者の第1の鼻気道内に導入され、前記アンカーを鼻中隔を通して対象者の第2の鼻気道内に部分的に導くことによって固定され、前記整形要素の第1の端部が、第2の鼻気道内に導入され、第2の鼻気道内に延びるアンカーの部分に固定されることを特徴とする方法。
【請求項54】
請求項52に記載の方法において、
前記整形要素の第1の端部が、前記第1の端部を前記アンカーに固定する前に、鼻気道内に粘膜下で導入されることを特徴とする方法。
【請求項55】
対象者の組織構造を整形するためのシステムであって、
近位端と、対象者の体内に導入するようにサイズ設定された遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延びるルーメンと、前記遠位端にある第1のポートと、前記第1のポートよりも近位側に位置する第2のポートとを含む細長い部材と、
組織構造に隣接する第1の位置で組織と係合するために前記第1のポートから展開可能な第1の端部と、組織構造に隣接する第2の位置で組織と係合するために前記第2のポートから展開可能な第2の端部と、組織構造の形状を変更するために、係合した組織にかかる張力を維持する1または複数の要素とを含む整形要素と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項56】
対象者の組織構造を整形するためのシステムであって、
近位端と、対象者の体内に導入するようにサイズ設定された遠位端と、前記近位端と前記遠位端のポートとの間に延びるルーメンとを含む細長い部材と、
前記細長い部材に取り外し可能に連結された針と、
組織構造に隣接する第1の位置で組織に係合するために前記ポートから展開可能な第1の端部と、組織構造に隣接する第2の位置で組織に第2の端部を固定するために、前記針によって保持される第2の端部と、組織構造の形状を変更するために、係合した組織にかかる張力を維持する1または複数の要素とを含む整形要素と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項57】
対象者の鼻組織の形状を変更するための方法であって、
送達デバイスの遠位端を対象者の鼻気道内に挿入するステップと、
整形要素の第1の端部を前記遠位端から鼻気道内に展開するステップと、
前記整形要素の第1の端部を、鼻気道に隣接する第1の位置で組織に固定するステップと、
前記整形要素が鼻気道から延びるように前記送達デバイスを取り外すステップと、
前記整形要素の第2の端部に結合された針を鼻気道内に挿入するステップと、
前記整形要素を操作して組織の形状を変更するステップと、
鼻気道に隣接する第2の位置で前記第2の端部を固定して、組織の変更された形状を少なくとも一時的に維持するステップとを備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、概して耳鼻咽喉(ENT)手術の分野に関連するシステムおよび方法、より具体的には、鼻組織の形状を変更するための新規で有用なシステムおよび方法が記載されている。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月10日に出願された米国仮出願第63/037,532号、2020年8月20日に出願された米国仮出願第63/068,308号、並びに、2020年11月6日に出願された米国出願第63/110,898号の優先権を主張するものであり、それらの開示は引用により全体として本明細書に援用されるものとする。
【背景技術】
【0003】
鼻中隔偏位は、患者の最大75%に発生するが、症状を呈する者は遥かに少ない。症状がある場合、湾曲した鼻中隔は鼻気道閉塞を引き起こして、患者の呼吸能力を損なう可能性がある。症状が重篤な場合は、鼻中隔形成術や鼻中隔造鼻術が必要になることもある。米国では、毎年約30万~60万人の患者がこの手術を必要としている。多くのENT手術が低侵襲のアプローチによる診療所ベースの環境に移行しているが、中隔手術は基本的に遅れており、患者および医師により低侵襲のアプローチが求められている。
【0004】
中隔手術は些細なものではない。患者にとっては、手術室への移動と全身麻酔が必要である。特に鼻中隔形成術の場合、回復も重要である。外科医にとって、手術室(OR)ベースの手術は、リスクとコストの増加をもたらす可能性があり、同時にケアの提供が非効率になる可能性もある。このため、外科医と患者はともに、より低いリソース環境で実行することができるより侵襲性の低い手術に関心を持ち得る。
【0005】
今日の臨床診療では、低侵襲の中隔矯正システムは存在しない。このため、鼻中隔軟骨を再形成するための新規かつ有用なシステムおよび方法が必要とされている。本明細書に記載のシステムおよび方法は、そのようなアプローチを提供する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書には、耳、鼻および喉(ENT)手術の分野におけるシステムおよび方法、より詳細には、様々な組織構造の形状を変更するためのシステムおよび方法が記載されている。例えば、システムおよび方法は、鼻組織の形を整えるために使用され得る。張力付与要素(整形要素)を含むデバイスは、組織に張力を加えるか、または係合した組織にかかる力を維持し、それによって組織の形状を変更するために採用され得る。
【0007】
対象者の組織構造を整形するためのシステムは、近位端、対象者の体内に導入するようにサイズ設定された遠位端、および近位端と遠位端のポートとの間に延びるルーメンを含む細長い部材と、整形要素とを含むことができる。整形要素は、ルーメンを通して導入するようにサイズ設定された第1の端部であって、ポートから展開されることにより、組織構造に隣接する組織に係合する第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、組織構造の形状を変更するために、係合した組織にかかる力を維持する1または複数の要素とを含むことができる。
【0008】
いくつかの実施態様では、対象者の組織構造を整形するためのシステムが、近位端、対象者の体内に導入するようにサイズ設定された遠位端、近位端と遠位端のポートとの間に延びるルーメンを含む細長い部材と、細長い部材に取り外し可能に連結された針とを含むことができる。さらに、このシステムは、組織構造に隣接する第1の位置で組織に係合するためにポートから展開可能な第1の端部と、組織構造に隣接する第2の位置で組織に第2の端部を固定するために針によって保持される第2の端部と、組織構造の形状を変更するために、係合した組織にかかる張力を維持する1または複数の要素とを有する整形要素を含むことができる。
【0009】
対象者の組織構造を整形するためのシステムの他の実施形態は、近位端、対象者の体内に導入するのに適したサイズの遠位端、および近位端と遠位端のポートとの間に延びるルーメンを含む細長い部材と、細長い部材に取り外し可能に結合された針と、整形要素とを含むことができる。整形要素は、組織構造に隣接する第1の位置で組織に係合するためにポートから展開可能な第1の端部と、組織構造に隣接する第2の位置で組織に第2の端部を固定するために針によって保持される第2の端部と、組織構造の形状を変更するために、係合した組織にかかる張力を維持する1または複数の要素とを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、対象者の組織構造を整形するためのシステムは、近位端、対象者の体内に導入するのに適したサイズの遠位端、近位端と遠位端との間に延びるルーメン、遠位端にある第1のポート、第1のポートよりも近位側に位置する第2のポートを有する細長い部材と、整形要素とを含むことができる。整形要素は、組織構造に隣接する第1の位置で組織と係合するために第1のポートから展開可能な第1の端部と、組織構造に隣接する第2の位置で組織と係合するために第2のポートから展開可能な第2の端部と、組織構造の形状を変更するために、係合した組織にかかる張力を維持する1または複数の要素とを含むことができる。
【0011】
また、対象者の組織構造の形状を変更するための方法も本明細書に記載されている。例示的な実施形態によれば、本方法は、近位端、対象者の体内に導入するようにサイズ設定された遠位端、および近位端と遠位端のポートとの間に延びるルーメンを含む細長い部材と、整形要素とを含むデバイスを用いることができる。整形要素は、ルーメンを通して導入するようにサイズ設定された第1の端部であって、ポートから展開されることにより、組織構造に隣接する組織に係合する第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、組織構造の形状を変更するために、係合した組織に作用する力を維持する1または複数の要素とを含むことができる。
【0012】
また、対象者の鼻組織の形状を変更する方法も提供されており、本方法が、送達デバイスの遠位端を対象者の鼻気道内に挿入するステップと、遠位端から鼻気道内に整形要素の第1の端部を展開するステップと、整形要素の第1の端部を、鼻気道に隣接する組織に固定するステップと、整形要素を操作して組織の形状を変更するステップと、整形要素が組織の変更された形状を少なくとも一時的に維持するように送達デバイスを取り外すステップとを含む。
【0013】
さらに、対象者の鼻組織の形状を変更するための方法が提供され、この方法が、整形要素の第1の端部を対象者の鼻気道内に展開するステップと、整形要素の第1の端部を、鼻気道に隣接する第1の位置で組織に固定するステップと、整形要素を操作して組織の形状を変更するステップと、整形要素を第2の位置で組織に固定して、組織の変更した形状を維持するステップとを含む。
【0014】
さらに、本明細書には、対象者の標的組織構造の形状を変更する方法が記載され、この方法が、構造に隣接する組織に整形要素の第1の端部を固定するステップと、組織を操作して構造の形状を変更するステップと、整形要素に力を加えて、構造の変更された形状を維持するステップとを含む。
【0015】
他の実施形態によれば、対象者の鼻組織の形状を変更する方法が記載され、この方法が、対象者の鼻気道にアンカーを導入するステップと、対象者の鼻中隔に第1の位置でアンカーを固定するステップと、対象者の鼻気道に整形要素の第1の端部を導入するステップと、整形要素の第1の端部をアンカーに固定するステップと、整形要素を操作して組織の形状を変えるステップと、第2の位置で整形要素を組織に対して固定して組織の変わった形状を維持するステップとを含む。
【0016】
本明細書に記載の対象者の鼻組織の形状を変更する方法は、送達デバイスの遠位端を対象者の鼻気道内に挿入するステップと、整形要素の第1の端部を遠位端から鼻気道内に展開するステップと、整形要素の第1の端部を、鼻気道に隣接する第1の位置で組織に固定するステップと、整形要素が鼻気道から延びるように送達デバイスを取り外すステップと、整形要素の第2の端部に結合された針を鼻気道内に挿入するステップと、整形要素を操作して組織の形状を変更するステップと、鼻気道に隣接する第2の位置で第2の端部を固定して、組織の変更された形状を少なくとも一時的に維持するステップとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下の図面を参照して、本開示の例示的な態様を詳細に説明する。図面に示す例示的なデバイスは、必ずしも縮尺通りに描かれいるわけではなく、代わりに、例示的な実施形態の様々な特徴を説明することに重点が置かれていることを理解されたい。
【0018】
【
図1】
図1は、鼻組織の形状を変更する際に使用するための例示的な張力付与要素を示している。
【
図2】
図2は、鼻中隔軟骨を整形するための例示的な方法を示している。
【
図3】
図3は、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨または小鼻翼軟骨、翼状線維脂肪組織、鼻骨および鼻甲介を整形するための例示的な方法を示している。
【
図4】
図4は、一端に固定要素を有し、他端に針を有する縫合糸を含む別の例示的な張力付与要素を示している。
【
図5】
図5は、標的鼻組織の複数の領域に作用するように構成された張力付与要素を使用して鼻組織を整形するための例示的な方法を示している。
【
図6】
図6は、複数の移動防止要素および力分散領域を含む別の例示的な張力付与要素を示している。
【
図7】
図7は、複数の移動防止要素およびメッシュ状の力分散領域を含むさらに例示的な張力付与要素を示している。
【
図8】
図8は、組織に張力を加えるために調節可能な方法で相互作用する複数の構成要素を含むさらに別の例示的な張力付与要素を示している。
【
図9】
図9は、調節可能な固定要素を含む別の態様に係る例示的な張力付与要素を示している。
【
図10】
図10は、張力付与要素の長さ方向に沿って配置されたリブまたはフィンと調節可能な固定要素が相互作用する、さらに別の例示的な張力付与要素を示している。
【
図11】
図11は、複数の張力付与要素が取り外し可能な要素で一緒に保持される、別の態様に係るシステムを示している。
【
図12】
図12は、張力付与要素を送達するための例示的なデバイスを示している。
図12において、送達デバイスは、張力付与要素を収容するための先端を含む。
【
図13】
図13は、張力付与要素を送達するための例示的なデバイスを示している。
図13に示す送達デバイスは、ピストルグリップを含む。
【
図14】
図14は、デバイスの本体への取り付け、または本体からの取り外しのための送達デバイスシャフトの取付部位を含む、別の実施形態に係る例示的な送達デバイスを示している。
【
図15】
図15は、鈍い先端と、細長いシャフトに対して張力付与要素を横方向または直交方向に展開するための送達デバイスシャフト側面の開口部とを含む例示的な送達デバイスを示している。
【
図16】
図16は、デバイスの先端に視覚化要素を含む別の例示的な送達デバイスを示している。
【
図17】
図17は、組織内への張力付与要素の展開を補助する配置機構を含む、さらに別の例示的な送達デバイスを示している。
【
図18】
図18は、張力付与要素の遠位端に第1の固定要素を配置し、張力付与要素の近位端に第2の固定要素または移動防止要素を配置する、更なる例示的な送達デバイスを示している。
【
図19】
図19は、張力付与要素を組織内に展開するための格納可能な機構を含む例示的な送達デバイスを示している。
【
図20】
図20は、再装填要素を有する配置機構を含む他の例示的な送達デバイスを示している。
【
図21】
図21は、再装填要素を有する配置機構を含む他の例示的な送達デバイスを示している。
【
図22】
図22は、複数の配置機構を含むさらに別の例示的な送達デバイスを示している。
【
図23】
図23は、視覚化要素および張力付与要素の展開を容易にするアクチュエータアームを含む更なる例示的な送達デバイスを示している。
【
図24】
図24は、張力付与要素で形状を固定する前に組織を所望の変更した形状に操作するための機械的要素と、張力付与要素をその初期展開位置から最終位置までピンと張るための張り機構とを含む別の実施形態に係る例示的な送達デバイスを示している。
【
図25】
図25は、鼻中隔の形状を変える張力付与要素を送達するための例示的なデバイスを示している。
【
図26】
図26は、鼻中隔の形状を変える張力付与要素を送達するための例示的なデバイスを示している。
【
図27】
図27は、張力付与要素を組織に固定するための構成要素を含む例示的な張力付与要素を示している。
図27では、張力付与要素が、固定要素と相互作用する拡大した遠位端を含む。
【
図28】
図28は、張力付与要素を組織に固定するための構成要素を含む例示的な張力付与要素を示している。
図28では、固定要素が、組織に引っ掛かるように設計された組織相互作用特徴部を含む。
【
図29】
図29は、拡張可能な組織変位特徴部を含む例示的な送達デバイスを示している。
【
図30】
図30は、組織切断特徴部を含む別の例示的な送達デバイスを示している。
【
図31】
図31は、組織縮小特徴部を含むさらに別の例示的な送達デバイスを示している。
【
図32】
図32は、第1の方向に動かされると組織に係合しないが、第2の方向に動かされると組織に係合する組織切断器具を含むさらに例示的な送達デバイスを示している。
【
図33】
図33は、第1の方向に動かされると組織に係合しないが、第2の方向に動かされると組織に係合する組織切断器具を含むさらに例示的な送達デバイスを示している。
【
図34】
図34は、第1および第2の位置を有するヘッド特徴部を含む例示的な付属の組織切断器具を示しており、これは、第1の位置にあるときに組織に穴を空けることを可能にするが、第2の位置にあるときに組織を通って引き戻すことを防止する。
【
図35】
図35は、組織を削り取る又は研磨するように設計された例示的な付属の組織縮小器具を示している。
【
図36】
図36は、例示的な付属の組織変位器具を示している。
【
図37】
図37は、第1の位置から第2の位置に変化するときに組織を変位させる、別の実施形態に係る付属の組織変位器具を示している。
【
図38】
図38は、第1の位置から第2の位置に変化するときに組織を変位させる、別の実施形態に係る付属の組織変位器具を示している。
【
図39】
図39は、膨張可能な要素および拡張作動要素を含む別の例示的な組織変位器具を示している。
【
図40】
図40は、組織に力を加えて、組織を変化した形状に保持するための例示的な組織保持要素を示している。
【
図41】
図41は、組織分離要素を含むさらに別の例示的な送達デバイスを示している。
【
図42】
図42は、送達デバイスに対する定位置に組織保持要素を保持するためのアライメント特徴部を含む、更なる例示的な送達デバイスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書には、様々な身体組織の形状を変更するためのシステムおよび方法が開示されている。例えば、システムおよび方法は、鼻中隔軟骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨または小鼻翼軟骨、翼状線維脂肪組織、鼻骨および鼻甲介などの鼻組織の形を整えるために使用することができる。システムは、概して、組織に張力を加えるか、または係合した組織に作用する力を維持し、それによって組織の形状を変更するように構成された張力付与要素(整形要素)を備えるデバイスを含む。さらに、本システムは、組織を整形するために組織を切断または研磨するのを補助する付属のデバイス、または張力付与要素によって固定するために組織を定位置に変位または移動させるのを補助する付属のデバイスを含むことができる。本明細書には、1または複数の張力付与要素を送達するためのデバイスも記載されている。
【0020】
システム
システムは、概して、組織の形状を変更するために組織に対して力を加えて維持するように構成された1または複数の張力付与要素または整形要素を含む。力は、引張力とすることができる。張力付与要素は、近位端および遠位端、弛緩状態および緊張状態を有する細長い本体を含むことができる。遠位端では、固定要素が、張力付与要素に結合されるか、または張力付与要素上に配置されて、張力付与要素を組織に固定または繋ぎとめることができる。1または複数の移動防止要素は、展開後に張力付与要素を緊張状態で保持するために、張力付与要素の近位端に設けることができる。また、組織を通して張力付与要素を導くかまたは配置を容易にするために、近位端に針を設けることもできる。
【0021】
いくつかの実施形態では、対象者の組織構造を整形するためのシステムは、近位端、対象者の体内に導入するようにサイズ設定された遠位端、および近位端と遠位端のポートとの間に延びるルーメンを含む細長い部材(例えば、送達デバイスの細長い部材)と、整形要素とを含むことができる。整形要素は、ルーメンを通して導入するようにサイズ設定された第1の端部であって、ポートから展開されることにより、組織構造に隣接する組織に係合する第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、組織構造の形状を変更するために、係合した組織に作用する力を維持する1または複数の要素とを含むことができる。
【0022】
張力付与部材は、様々な材料から作ることができる。例示的な材料としては、LPLA(ポリ(L-ラクチド))、DLPLA(ポリ(DL-ラクチド))、LDLPLA(ポリ(DL-ラクチド-co-L-ラクチド))、LPLA-HA(ヒドロキシラパタイトを有するポリ(L-ラクチド))、PGA(ポリ(グリコリド))、PGA-TMC(ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)またはポリグリコネート)、PDO(ポリ(ジオキサノン))、LPLG(ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド))、DLPLG(ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)、これらの何れかまたは他の適切なポリマーのコポリマー、または他の任意の適切な材料が含まれるが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、張力付与部材がPDO(ポリ(ジオキサノン))から作られる。
【0023】
張力付与部材の長さは、約3.0cm~約30cmの範囲とすることができ、その範囲内のすべての値および部分的な範囲を含むことができる。例えば、張力付与部材の長さは、約3.0cm、約4.0cm、約5.0cm、約6.0cm、約8.0cm、約9.0cm、約10cm、約11cm、約12cm、約13cm、約14cm、約15cm、約16cm、約17cm、約18cm、約19cm、約20cm、約21cm、約22cm、約23cm、約24cmまたは約25cmとすることができる。一実施形態では、張力付与部材の長さが約15cmである。
【0024】
整形要素は、整形要素を組織、例えば鼻組織に固定または繋ぎとめる固定要素を含むことができる。固定要素は、整形要素の第1の端部が組織を通して導かれるが、鼻組織を通って戻るのが防止されるように構成されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、固定要素が、T字ファスナ、X字ファスナ、拡張可能なアンカー、ボタン、形状保持構造、バーブ、および複数のバーブのうちの1または複数を含む。一実施形態では、固定要素が複数のバーブを含む。他の実施形態では、固定要素が、第1の端部に対して整形要素に沿って調節可能またはスライド可能であってもよい。いくつかの実施形態では、整形要素が、第1の端部に隣接して互いに間隔をあけて配置された複数の突起を含むことができる。整形要素に結合された固定要素は、第1の端部に対する固定要素の位置を調整するために、突起と解放可能に係合するように構成されるものであってもよい。
【0025】
1または複数の移動防止要素は、整形要素の第1の端部(遠位端)と第2の端部(近位端)との間に設けられて、展開後に整形要素を緊張状態に保持することができる。一実施形態では、複数の移動防止要素を、第1の端部(遠位端)よりも第2の端部(近位端)に近い位置に配置することができる。1または複数の移動防止要素は、第1の端部から離間した整形要素の領域上の複数のラチェット要素を含むことができる。移動防止要素として、複数のバーブを使用することもできる。いくつかの実施形態では、移動防止要素は、整形要素に沿って配置された複数のフック、矢、球状要素または他の形状要素であってもよい。代替的には、1または複数の移動防止要素は、整形要素が組織を通って第1の方向に導かれることを可能にするが、組織を通って戻る第2の方向への通過を防止するように構成されるものであってもよい。
【0026】
システムは、整形要素と組織の非外傷性の接触を提供するために、第1の端部から離間した整形要素上に力分散領域をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、力分散領域は、力分散領域に隣接する整形要素よりも大きい幅および/または表面積を有することができる。力分散領域の幅は、約0.25mm~約2.5mmの範囲とすることができ、その範囲内のすべての値および部分的な範囲を含むことができる。例えば、力分散領域の幅は、約0.25mm、約0.50mm、約0.75mm、約1.0mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2.0mm、約2.25mmまたは約2.50mmとすることができる。いくつかの実施形態では、力分散領域の幅が、約0.50mm~約1.0mmの範囲であってよい。組織の標的領域への整形要素の送達は、縫合技術を使用して、または細長い部材、例えば送達デバイスの細長い部材を介して達成することができる。細長い部材は、標的組織領域にアクセスし、そこに整形要素を配置するのに適した任意の長さを有することができる。いくつかの実施形態では、細長い部材の長さは、約3.0cm~約10cmの範囲とすることができ、その範囲内のすべての値および部分的な範囲を含むことができる。例えば、細長い部材の長さは、約3.0cm、約3.5cm、約4.0cm、約4.5cm、約5.0cm、約5.5cm、約6.0cm、約6.5cm、約7.0cm、約7.5cm、約8.0cm、約8.5cm、約9.0cm、約9.5cmまたは約10cmとすることができる。
【0027】
細長い部材は、細長い部材のルーメンから整形要素を展開するための1または複数のポートを含むことができる。一実施形態では、細長い部材が1つのポートを含む。別の実施形態では、細長い部材が2つのポートを含む。1または複数のポートは、遠位端の側壁に配置されてもよく、任意の適切なサイズおよび形状であってもよい。例えば、ポートは、円形、卵形、三角形、矩形、正方形、スリット状などであってもよい。一実施形態では、システムが、ルーメン内への導入に適したサイズのガイド要素をさらに含む。ガイド要素は、ガイド要素の先端をサイドポートから組織内に導くために、細長い部材に対して移動可能であってよい。ガイド要素は、ガイドインターフェースを含むことができ、整形要素の第1の端部がガイドインターフェースと係合して、第1の端部が先端から展開可能となっている。いくつかの実施形態では、ガイド要素が、組織を貫通するように構成された鋭利な遠位先端で終端となる針を含む。他の実施形態では、ガイド要素が、ルーメンを有する中空針を含むことができる。ガイド要素の長さは、約3.0cm~約10cmの範囲とすることができ、その範囲内のすべての値および部分的な範囲を含むことができる。例えば、細長い部材の長さは、約3.0cm、約3.5cm、約4.0cm、約4.5cm、約5.0cm、約5.5cm、約6.0cm、約6.5cm、約7.0cm、約7.5cm、約8.0cm、約8.5cm、約9.0cm、約9.5cmまたは約10cmとすることができる。いくつかの実施形態では、ガイド要素の長さは、約9.0cm~約11cmの範囲とすることができ、その範囲内のすべての値および部分的な範囲を含むことができる。
【0028】
細長い部材は、ガイド要素の先端が細長い部材の遠位端にある近位位置と、ガイド要素の先端がサイドポートから延びる遠位位置とから、ガイド要素を選択的に誘導するためのアクチュエータを、細長い部材の近位端にさらに含むことができる。一実施形態では、ガイド要素の先端が、細長い部材の遠位端に対して横方向に先端を向けるために湾曲した形状にバイアスされたものであってもよい。別の実施形態では、細長い部材が、その遠位端に撮像要素または視覚化要素を含む。例示的な撮像要素および視覚化要素には、光ファイバ視覚化システム、CCD、CMOSまたは他のカメラが含まれるが、これらに限定されるものではない。更なる実施形態では、ハンドルが、細長い部材の近位端に設けられ、整形要素を展開するための1または複数のアクチュエータを含むことができる。
【0029】
別の実施形態では、対象者の組織構造を整形するためのシステムが、近位端、対象者の体内に導入するようにサイズ設定された遠位端、近位端と遠位端のポートとの間に延びるルーメンを備える細長い部材と、細長い部材に取り外し可能に結合された針とを含むことができる。さらに、組織構造に隣接する第1の位置で組織と係合するためにポートから展開可能な第1の端部と、組織構造に隣接する第2の位置で第2の端部を組織に固定するために針によって保持される第2の端部と、組織構造の形状を変えるために、係合した組織にかかる張力を維持する1または複数の要素とを含む整形要素が含まれ得る。
【0030】
対象者の組織構造を整形するためのシステムの他の実施形態は、近位端、対象者の体内への導入に適したサイズの遠位端、および近位端と遠位端のポートとの間に延びるルーメンを含む細長い部材と、この細長い部材に取り外し可能に結合された針と、整形要素とを含むことができる。整形要素は、組織構造に隣接する第1の位置で組織と係合するためにポートから展開可能な第1の端部と、組織構造に隣接する第2の位置で第2の端部を組織に固定するために針によって保持される第2の端部と、組織構造の形状を変えるために、係合した組織に作用する張力を維持する1または複数の要素とを含むことができる。
【0031】
さらに別の実施形態では、システムが、対象者の組織構造を整形するためのものであり、近位端、対象者の体内に導入するようにサイズ設定された遠位端、近位端と遠位端との間に延びるルーメン、遠位端にある第1のポート、第1のポートよりも近位側に位置する第2のポートを含む細長い部材と、整形要素とを含むことができる。整形要素は、組織構造に隣接する第1の位置で組織と係合するために第1のポートから展開可能な第1の端部と、組織構造に隣接する第2の位置で組織と係合するために第2のポートから展開可能な第2の端部と、組織構造の形状を変更するために、係合した組織にかかる張力を維持する1または複数の要素とを備えることができる。
【0032】
鼻組織の整形は、鼻組織への1または複数の流体の送達によってさらに補助することができる。これらの実施形態では、張力付与要素が、鼻組織に流体を適切に送達するための導管、チャネルまたは他の機構などの流体送達機構を有するように構成されるものであってもよい。この流体送達機構は、治療的または生理学的効果を達成するための流体の通過を可能にすることができる。流体は、水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、平衡塩類溶液(BSS)、0.9%生理食塩水、乳酸リンゲル液、リドカインまたはプロカインなどの局所麻酔薬、またはD5W(水中5%デキストロース)とすることができる。また、流体送達機構は、凍結療法を目的として低温ガスまたは液体を送達するために使用されるものであってもよい。例えば、低温ガスまたは液体は、圧縮空気、CO2、N2、N2O、冷却生理食塩水、フッ化炭化水素、または液体クロロジフルオロメタンなどを含むことができる。
【0033】
例示的なシステム
以下に、鼻組織の形状を変更するための張力付与要素を含むシステムが記載されている。張力付与要素(200)は、鼻組織に力、圧力または張力を加えることによって、鼻組織を変化した状態で固定するように機能する。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、可変の物理的特性を有すること、例えば、可撓性または剛性の形状を有すること、非弾性または弾性の材料から形成されること、および/または異なる剛性および/または他の機械的特性の複数のセグメントを含むことができる。張力付与要素の一部またはすべてが剛性である実施形態では、張力付与要素が、任意選択的に、鼻組織内での固定の直前または直後に形状が固定および維持されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、形状は、患者の要望に応じて、または組織の形状における必要な変化を得るために必要に応じて変更可能であってよい。いくつかの実施形態では、張力付与要素の一部またはすべてが形状記憶を有するか、または撓んだときに予め設定された形状に向かって戻る傾向を有するように、張力付与要素を構成することができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素の大部分または全体が可撓性であり、張力付与要素が定位置に固定されたときに鼻組織に張力を加えることができる。いくつかの実施形態では、変更されるべき組織に直接、張力付与要素を適用することができる。いくつかの実施形態では、変更されるべき鼻組織に隣接する組織、深部組織、表層組織または両側組織に張力付与要素を適用することができる。張力付与要素は、任意の適切なサイズ、形状、長さまたは幅を有することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、張力付与要素が、可逆的または取り外し可能に構成される。そのような実施形態では、張力付与要素は、鼻粘膜の上方にアクセス可能な少なくとも部分を有するように構成され得る。アクセス可能な部分は、具体的には、張力付与要素の本体とは反対側で、偏位部分の凹面上の粘膜の上方に存在するように構成された固定部分を張力付与要素の遠位端に備えることができる。代替的には、張力付与要素は、1または複数の別のまたは追加のアクセス可能な部分を含むように構成され得る。アクセス可能な部分は、特に、鼻孔に挿入されるハサミまたはメスなどによって、除去または回収されるように構成され、それによって、張力付与要素の残りの部分を、固定部分なしで鼻組織から引き抜くことができる。代替的には、アクセス可能な部分は、別の適切な回収方法によって除去されるように構成され得る。そのような可逆的または取り外し可能な実施形態では、張力付与要素を鼻組織から容易に回収および除去して、処置を容易に可逆的にすることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、張力付与要素が、鼻中隔偏位を矯正するために使用される。この場合、張力付与要素は、偏位部分の凸状湾曲上の鼻中隔粘膜の下に優先的に送達されるが、鼻中隔粘膜の上に配置されるように構成することも可能である。鼻中隔粘膜の下に送達される場合、送達デバイスを使用して、鼻中隔軟骨に対して張力付与要素の遠位端に位置するTファスナなどの固定要素を固定することができる。送達デバイスは、固定要素を展開するように設計された、例えば、ニチノール、ばね鋼などから形成された貫通特徴部または他の機構を用いて、これを達成することができる。固定要素は、配置されたとき、反対側の鼻中隔粘膜の上または下に存在し得る。例えば、固定要素は、偏位部分の最も遠位の側面に配置されることができる。張力付与要素の近位端は、張力付与要素が鼻中隔を横切って反対側の鼻気道まで通過することを可能にする貫通特徴部を有することができる。代替的には、張力付与要素の近位端は、送達デバイス上の貫通特徴部によって鼻中隔を横切ることができる。遠位固定要素と張力付与要素の近位端との間には、張力付与要素の後方移動を防止するように設計されたバーブなどの1または複数の固定要素を設けることができる。1または複数の近位固定要素は、張力付与要素が鼻中隔偏位を徐々に矯正できるように設計されることができる。例えば、所望の矯正が達成されるまで、張力付与要素の長さ方向に沿ったバーブを、鼻中隔軟骨を通して徐々に引っ張ることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、張力付与要素で鼻中隔偏位を矯正するために使用されるシステムは、鼻中隔軟骨を著しく弱めることなく、その構造的完全性を維持するように設計され得る。
【0037】
図6に示すように、いくつかの実施形態では、張力付与要素が、一端または両端に1または複数の固定部分(210)を含むことができる。任意選択的には、張力付与要素は、追加的または代替的に、1または複数の移動防止要素(220)または1または複数の力分散領域(230)を備えることができる。移動防止要素の各々は、バーブ、ラチェット、突起、または張力付与要素の移動を防止するための他の任意の適切な構成の形状をとることができ、例えば、要素が組織を通って引き戻されることを防止しながら、要素が第1の方向に組織を通って導入されることを可能にする。1または複数の固定部分(210)は、主に、鼻組織を通る張力付与要素の移動に抵抗するように機能し、T字ファスナ、X字ファスナ、拡張可能なアンカー、ボタン、形状保持構造、バーブ、複数のバーブ、または動きに抵抗する他の任意の適切な構造と同様に構成され得る。いくつかの実施形態では、固定部分が張力または位置を調整可能である。いくつかの実施形態では、張力付与要素を固定部分なしで構成することができる。固定部分は、張力付与要素の隣接部分と同じ1または複数の材料で作られるか、または異なる1または複数の材料で構成されるようにしてもよい。任意選択的な移動防止要素(220)は、1または複数のバーブとして構成され、平行または螺旋パターンで、または張力付与要素を固定するのに適した任意の配列で配置されることができる。いくつかの実施形態では、そのようなバーブが、固定または可変のサイズを有することができ、固定または可変の1または複数の材料で構成されることができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、一端にバーブを含むことができ、他の実施形態では、張力付与要素が、複数の領域に沿ったバーブを含むことができ、他の実施形態では、張力付与要素のすべてがバーブを含むか、または含まないようにしてもよい。力分散領域(230)は、主に、表面積を増加させて、鼻組織にわたって圧力を分配するように機能する。力分散領域は、固定長または可変長であり、張力付与要素上の固定位置または可変位置を有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、力分散領域が、張力付与要素に対して定位置に固定されるか、または張力付与要素上、張力付与要素外、張力付与要素に沿って、または張力付与要素の周りでスライドするようにしてもよい。力分散領域は、張力付与要素の隣接部分と同じ1または複数の材料で構成されるようにしても、あるいは異なる1または複数の材料で構成されるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、1つの力分散領域を含む。他の実施形態では、張力付与要素が、力分散領域を含まないか、または複数の力分散領域を含む。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、張力付与要素の1または複数の端部に針を有するものであっても、あるいは針を全く有さないものであってもよい。いくつかの実施形態では、1または複数の針が平坦であっても、湾曲していてもよい。1または複数の針は、張力付与要素が組織に通されるように、任意の適切な材料で作ることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、張力付与要素が中実であってもよい。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、多孔質または非多孔質であってよい。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、組織の再生を促進するように、または血栓形成を防止するように構成されるものであってもよい。張力付与要素は、任意選択的に、生理学的特性を変化させるのに適した機能性薬剤で被覆され、またはそのような薬剤に結合、含浸され、またはそのような薬剤を他の方法で放出するように設計され得る。機能性薬剤は、抗生物質剤、抗炎症剤、成長促進剤、止血剤、血栓防止剤、鎮痛剤、または治療効果を達成するための任意の適切な薬剤、分子または化合物などの治療剤として構成されるようにしてもよい。
【0039】
張力付与要素は、鼻粘膜(110)の下に部分的または全体的に固定されるようにしても、あるいは鼻気道内で露出するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、単一の材料から製造されるものであっても、あるいは複数の材料から構成される複合材料であってもよい。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、モノフィラメントまたは縫合糸状構造を有することができる。他の実施形態では、張力付与要素が、ロッド状構造、編組構造、織物構造、平坦構造、または所望の機械的特性を与えるのに適した他の任意の構造を有することができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素のすべてまたは一部の成分が、分解性、吸収性、再吸収性、生分解性または生体吸収性であってよい。そのような実施形態は、LPLA(ポリ(L-ラクチド))、DLPLA(ポリ(DL-ラクチド))、LDLPLA(ポリ(DL-ラクチド-co-L-ラクチド))、LPLA-HA(ヒドロキシラパタイトを有するポリ(L-ラクチド))、PGA(ポリ(グリコリド))、PGA-TMC(ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)またはポリグリコネート)、PDO(ポリ(ジオキサノン))、LPLG(ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド))、DLPLG(ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)、これらの何れかまたは他の適切なポリマーのコポリマー、または他の任意の適切な材料を含む成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、非生分解性または非生体吸収性であってもよく、または後の時点で取り外し可能であってもよい。他の実施形態では、張力付与要素が永久的なものであってよい。いくつかの実施形態では、張力付与要素の少なくとも一部分が、張力付与要素の一端の余分な部分をトリミングすることなどにより、配置後に修正されるようにしてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、張力付与要素が、特に吸収性ポリマーを使用して粘膜下に展開される場合、標的組織においてリモデリング応答を誘導することができる。鼻軟骨が標的組織であるいくつかの実施形態では、このリモデリング応答は、一部の非吸収性インプラントの移植後に報告されるような圧力壊死から第一に保護し、第二に軟骨細胞の栄養吸収を可能にするように機能する疑似カプセル(pseudocapsule)の形成を含むことができる。擬似カプセルは、組織学的な観点から、張力付与要素の下の軟骨が完全に変化しないままでいることを可能にする。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、新しい軟骨芽細胞の増加または形成、および疑似カプセルまたは張力付与要素の境界における新しい軟骨の付着を誘導することもできる。いくつかの実施形態では、このリモデリングプロセスが5~25週以内に起こるように最適化することができる。いくつかの実施形態では、このプロセスが、軟骨欠損の境界に沿って軟骨芽細胞および新しい軟骨の成長が約5週後に起こり、張力付与要素の吸収が約8~12週後に認められ、約25週以内に完全に吸収されるようにさらに最適化され得る。
【0041】
図7に示すように、いくつかの実施形態では、力分散領域(230)が、送達要素内で圧縮されることができるように、中実、メッシュ状または他の適切な構成を有することができる。例えば、
図7に示すように、力分散領域(230)は、任意選択的に、送達ツールの細長いシャフト(330)内で丸められるように構成され得る。
【0042】
図8に示すように、いくつかの実施形態では、張力付与要素(200)が、相互作用機構(250)を含むことができる少なくとも2の複数の構成要素(202)として構成されるものであってもよい。相互作用機構は、主に、相対的な位置が調整可能な形で複数の構成要素を固定するように機能する。いくつかの実施形態では、相互作用機構が、ジッパー、リンググリップ、シンチ、クラスプ、ウェビングバックルまたは圧力グリップなどの引っ掛かり機構として構成されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、相互作用機構が、ボタン、タングバックルまたはスナップバックルなどのロック機構として構成されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、相互作用機構が、ピン留め機構、接着機構として構成されるか、または複数の構成要素の相対運動に抵抗するための他の任意の適切な構成であってもよい。いくつかの実施形態では、相互作用機構が恒久的に固定されるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、相互作用機構が、経時的にまたは様々な時点で調整可能であってよい。いくつかの実施形態では、複数の構成要素が、1または複数の位置固定要素または運動抵抗要素で、相互作用しない端部に固定される。いくつかの実施形態では、複数の構成要素が、1つの張力付与要素として接続されるが、各構成要素の相対位置が、相互作用機構を介して調整可能および固定可能であってよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、張力付与要素が鼻組織にエネルギーを送達することを可能にする、1または複数の恒久的または一時的な電極、加熱要素または他のエネルギー送達機構などのエネルギー送達要素を、張力付与要素に取り付けることができる。エネルギー送達機構は、熱、電流または任意の適切な形態のエネルギーを加えることによって、鼻組織の再形成またはリモデリングを増強するために使用され得る。いくつかの実施形態では、エネルギーを加えた後にエネルギー送達機構を除去することができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素とともにエネルギー送達機構を移植することができる。いくつかの実施形態では、エネルギー送達機構が生体吸収性または生分解性であってもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー送達機構が張力付与要素に直接取り付けられる。いくつかの実施形態では、エネルギー送達機構が張力付与要素に隣接して配置される。
【0044】
いくつかの実施形態では、張力付与要素が、上述したように、鼻組織に流体を送達するのに適した、導管、チャネルまたは他の機構などの流体送達機構を備えるように構成されるものであってもよい。この流体送達機構は、流体の通過を可能にすることにより、治療的または生理学的効果を達成することができる。例えば、流体送達機構は、凍結療法の目的で、低温ガスまたは液体を送達するために使用することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、張力付与要素が、組織のリモデリングを誘導することができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、組織リモデリングを誘導するのに十分な期間、鼻組織の形状を維持することができる。他の実施形態では、張力付与要素が、組織リモデリングを誘導するのに十分な期間、鼻組織に作用する力を維持することができる。
【0046】
図9に示すように、張力付与要素(200)は、任意選択的に、張力付与要素の張力、圧力または位置を変更することができる調節可能な固定要素(252)を備えることができる。任意選択的には、複数の調節可能な固定要素は、張力付与要素(図示せず)上に、例えば、最初は張力付与要素の各端部に隣接して設けられるものであってもよい。いくつかの実施形態では、調節可能な固定要素が、ボールインコーン・ラチェット機構を使用する。一実施形態では、張力付与要素が、その長さ方向に沿って配置された1または複数の隆起、突起、球または結節(250)を有する。これらの突起は、最初に調節可能な固定要素(252)の拡張端部を通過し、次に調節可能な固定要素の細い端部を通過するように設計されている。突起(250)および調節可能な固定要素(252)の相互作用によって、後退を防止するように、かつ/または張力付与要素の圧力印加を増強するように、張力付与要素を一方向に徐々にピンと張るかまたは短縮することが可能になる。一実施形態では、それら突起が球状である。別の実施形態では、突起(250)が調節可能な固定要素を通って後退するのを可能にするために、調節可能な固定要素(252)が可逆的な構成を有することができる。突起(250)および調節可能な固定要素(252)は、張力付与要素(200)と同じ材料または異なる材料で作ることができる。
【0047】
図10に示すように、いくつかの実施形態では、調節可能な固定要素(258)が、張力付与要素の長さ方向に沿って配置されたリブまたはフィン(256)と相互作用し、調節可能な固定要素(258)を通して一方向に前進させるように設計されている。別の実施形態では、張力付与要素を逆方向に引っ張ることができるように、調節可能な固定要素(258)を変更することができる。リブ(256)および調節可能な固定要素(258)は、張力付与要素(200)と同じ材料または異なる材料で作ることができる。リブは、張力付与要素の長手方向軸に対して、平行、直交または斜めに向けることができる。張力付与要素および調節可能な固定要素は、同じまたは異なるデバイスによって配置され得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、取り外し可能な要素(260)により、複数の張力付与要素を一緒に保持することができる。取り外し可能な要素(260)は、送達デバイスへの装填のために、複数の反復張力付与要素を一緒に保持することを可能にするように設計されている。取り外し可能な要素は、意図した機能性を可能にする、ポリマー、金属、複合材料、合金または任意の適切な材料で作ることができる。別の実施形態では、カートリッジ内に複数の張力付与要素を一緒に保持することができる。別の実施形態では、複数の張力付与要素が送達デバイスの展開機構を介して個別にまたは同時に送達されることを可能にするシートまたは他の任意の構成で、複数の張力付与要素を一緒に保持することができる。
【0049】
図12および
図13を参照すると、本体(310)と、少なくとも1の作動機構(320)と、細長いシャフト(330)と、任意の先端(340)とを含む、鼻組織の形状を変更するための張力付与要素を送達するように構成された送達デバイス(300)の例示的な実施形態が示されている。いくつかの実施形態では、展開デバイス(300)が、細長い形状または「ピストルグリップ」形状(
図13)の本体(320)を有することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1の作動機構(320)が、展開デバイスの前、後、上、下または側面にあってもよい。作動機構は、所望の機能を達成するために、トリガー、ボタン、レバー、アームまたは任意の代替的な適切な構造とすることができる。いくつかの実施形態では、任意の先端(340)が鈍いか、または鋭利であってよい。いくつかの実施形態では、先端(340)が、細長いシャフト(330)に対して平行であるか、またはある角度に向けられている。いくつかの実施形態では、細長いシャフト(330)および/または先端(340)が、鼻組織を通して、鼻組織上に、または鼻組織に隣接して、張力付与要素を送達するために、張力付与要素および配置機構を収容する。
【0050】
図14に示すように、いくつかの実施形態では、細長いシャフト(330)が、デバイス本体(310)に着脱するための取付部位(332)を含むことができる。そのような実施形態では、デバイスが、デバイス本体上の同じ取付部位を使用して様々なアタッチメントを利用するように構成され得る。いくつかの実施形態では、これにより、細長いシャフトを、同じ構成を有する別の同じ細長いシャフトと交換することが可能になる。例えば、細長いシャフトが1つの張力付与要素のみを含む場合、同じ処置を通じて複数の細長いシャフトを使用することが必要である場合がある。様々なアタッチメントを、同じ主要機能および様々なサイズおよび形状を有するように構成することも、または代替機能を有するように構成することも可能である。いくつかの実施形態では、デバイスの本体を、複数の取付部位を有するように構成することも可能である。
【0051】
いくつかの実施形態では、送達デバイスが、組織形状の変化の程度、例えば、鼻中隔偏位の矯正の程度を決定できるように構成され得る。一実施形態では、形状変化の程度が、鼻気道直径の目視検査によって決定される。別の実施形態では、送達デバイスが、力を測定するように構成される。例えば、送達デバイスは、張力付与要素の長さ方向に沿って張力を測定するように構成され得る。
【0052】
図15に示すように、鼻組織の形状を変更するための送達デバイスのいくつかの実施形態は、細長いシャフト(330)の鈍い先端(340)を含むことができる。この実施形態では、細長いシャフトが、任意選択的に、鼻組織の形状を変更するために使用される少なくとも1の張力付与要素(200)を収容することができる。細長いシャフトは、細長いシャフトに対する張力付与要素の横方向または直交方向の展開を可能にする、細長いシャフトの側部にある任意選択的な開口部(350)を有することができる。別の実施形態では、張力付与要素の送達のための開口部(350)が、細長いシャフトの遠位端のその先端(340)に配置され、シャフトに対して張力付与要素を平行または斜めに送達することが可能となっている。いくつかの実施形態では、送達デバイス(300)が、カートリッジ、シート、または複数のブレースの他の任意の適切な構成を介して、複数の張力付与要素を受け入れるように構成され得る。送達デバイスが鼻中隔(100)の形状を変更するために使用される実施形態では、送達デバイスの先端(340)を、鼻中隔粘膜(110)の下に挿入し、所望の位置まで前進させることができる。この場合、先端は、鼻中隔粘膜の下にある先端の位置を追跡するために使用できる視覚化要素を含むことができる。所望の配置部位に到達すると、送達デバイスが作動されて、少なくとも1の張力付与要素の少なくとも1の固定要素を配置することができる。他の態様では、少なくとも1の張力付与要素の少なくとも1の固定要素を配置するように作動させる前に、送達デバイスを鼻中隔粘膜の上に配置することができる。
【0053】
図16に示すように、鼻組織の形状を変更するための送達デバイスのいくつかの実施形態は、任意選択的な先端(340)上に任意選択的な視覚化要素(342)を含むことができる。視覚化要素は、主に、デバイスが鼻粘膜(110)の下にある間に、デバイスの位置決めを補助するように機能する。視覚化要素は、LED、磁気構成要素、電子送信機または受信機として構成することができ、または粘膜の下の位置特定に適した他の任意の材料として構成することができる。いくつかの実施形態では、送達デバイスの先端がフィン(344)を含むことができる。フィンは、主に、デバイスが鼻粘膜(110)の下にある間、デバイスの位置決めを補助するために、その上にある粘膜を変位させるように機能する。フィンは、一時的に展開するかまたは形状を変えて、その上にある粘膜の一時的な変位を可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、送達デバイスの細長いシャフトまたは先端の長さを調節することができる。これは、伸縮機構、スライド機構、または細長いシャフト若しくは先端の長さを変更するための他の任意の適切な機構を介して達成することができる。他の実施形態では、細長いシャフトまたは先端が、調節可能な直径を有することができる。また、細長いシャフトまたは先端は、可鍛性または形状調節可能であってもよい。また、細長いシャフトまたは先端は、その長軸に沿って回転することもできる。また、細長いシャフトまたは先端には、流体の吸引を可能にする吸引要素が取り付けられている。また、細長いシャフトまたは先端は、内視鏡を保持または受け入れるように適合され得る。細長いシャフトまたは先端には、視覚化を向上させるために、ライトを設けることもできる。先端(340)は、鼻気道および/または粘膜下空間における非外傷性の操縦を可能にするために、任意の適切な形状を有することができる。例えば、先端は円筒形または平坦であってもよい。それは、代替的には、シャベルまたはスクープ先端のような非対称の構成を有することができる。いくつかの実施形態では、先端が、刃先を含むように構成され得る。刃先は、格納可能または固定されるように構成することができ、鼻組織への先端の導入、鼻組織の分離、または他の方法でデバイスの位置決めを補助するために使用することができる。
【0054】
図17に示すように、鼻組織の形状を変更するための送達デバイスのいくつかの実施形態は、張力付与要素の配置を可能にする配置機構(360)(送達または展開機構としても知られる)を有する。配置機構は、任意選択的に、細長いシャフト(350)の開口部から延びて、鼻組織を貫通するか、または他の方法で横断するように設計され得る。そのような開口部は、先端の遠位端に、または細長いシャフトの側面に、または張力付与要素の最適な配置を可能にする他の任意の適切な位置に配置され得る。配置機構(360)は、送達デバイス(310)上に配置された作動機構によって作動されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、配置機構が尖っているか、または鋭利であってもよい。いくつかの実施形態では、配置機構が、鼻組織を貫通または横断するという所望の機能に適した円弧または他の適切な形状を有することができる。任意選択的には、配置機構は、組織の貫通を容易にするために、エネルギー送達要素を備えることができる。任意選択的には、配置機構(360)は、張力付与要素(200)を収容する内側カニューレを備えることができる。他の実施形態では、張力付与要素を配置機構の外側部分に他の方法で固定することができる。配置機構(360)は、作動されると、張力付与要素(200)の所望の端部を排出するか、または他の方法で放出することができる。その作動機構を解放する手段によって作動停止されると、配置機構(360)は、開口部(350)を介して引き戻されて、細長いシャフト(330)のハウジング内に入ることができる。
【0055】
図18に示すように、送達デバイスの一実施形態は、張力付与要素(200)の遠位端で鼻中隔粘膜(110)の下に、鼻中隔軟骨(100)を横切って固定要素(210)を配置する第1の配置と、続いて張力付与要素の近位端で固定要素または移動防止要素(220)を配置する第2の配置とを可能にする配置機構(360)を備えるように構成されている。いくつかの実施形態では、配置機構(360)が、現在の張力付与要素の次の所望の態様または次の張力付与要素を取り込むことができるように再装填動作を有する。いくつかの実施形態では、配置機構(360)が、カートリッジ、シート、または複数の張力付与要素の他の適切な構成から供給される追加の張力付与要素を再装填するように設計されている。
【0056】
図19に示すように、鼻組織の形状を変更するための送達デバイスの一実施形態は、張力付与要素の第1の端部を捕捉する配置機構(360)を有する。作動機構(320)は、配置機構(360)を突出させるために使用することができ、それにより配置機構が鼻組織を貫通するか、または他の方法で横切り、その後、張力付与要素の第1の端部を排出するようになっている。作動機構を解放する手段によって作動停止されると、配置機構(360)は、開口部(350)を通って、先端(340)および/または細長いシャフト(330)のハウジング内に後退することができる。いくつかの実施形態では、配置機構が張力付与要素の第2の端部(220)を捕捉するように設計され、それにより、第1の端部とは異なる位置に配置されることとなる。
【0057】
図20に示すように、鼻組織の形状を変更するための送達デバイスの一実施形態は、追加の張力付与要素(200)の追加の端部で配置機構を再装填することができる再装填要素(332)を有する配置機構(360)を備えている。この機能により、ユーザは、追加の張力付与要素をデバイス内に挿入することなく、単一のデバイスで複数の張力付与要素を配置することができる。張力付与要素の第1の端部の排出後、再装填機構(352)は、現在の張力付与要素の第2の端部または次の張力付与要素の第1の端部を配置機構内に装填するように機能する。再装填機構は、意図した目的を可能にする、バネ、プッシュロッドまたは任意の適切な構成を含むことができる。
【0058】
図21に示すように、配置要素(360)の一実施形態は、再装填機構(332)による張力付与要素の次の所望の端部(210または220)の再装填を容易にする受入特徴部(362)を備えることができる。この特徴部は、配置機構(360)上に張力付与要素を一時的に固定するように、張力付与要素の何れかの端部と相互作用するように設計されている。
【0059】
図22に示すように、鼻組織の形状を変更するための送達デバイスのいくつかの実施形態では、デバイスが、複数の配置機構(360)を備えるように構成され得る。そのような実施形態では、配置機構が、1または複数の張力付与要素の複数の固定要素を同時にまたは順番に展開するように構成されるか、または単一の張力付与要素の複数のセクションを同時にまたは順番に展開するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数の配置機構を利用することによって、デバイスが、張力付与要素を最終的な固定位置に適用するように構成され、それにより張力付与要素をその最初の展開後に固定する必要性を減らすことができる。任意選択的な複数の配置機構は、細長いシャフトまたは先端の長さ方向に沿って直列に配置されるか、または細長いシャフトまたは先端に沿った特定の長さで互いに隣接して配置されるようにしてもよい。
【0060】
図23に示すように、鼻組織の形状を変更するための送達デバイスのいくつかの実施形態は、細長いシャフト(330)内に視覚化器具(370)および/またはアクチュエータアーム(380)を含むことができる。視覚化要素は、主に視覚化を補助するように機能し、可撓性または剛性の使い捨てまたは再使用可能な内視鏡、光ファイバ視覚化システム、CCD、CMOSまたは他のカメラ、または他の任意の適切な撮像または視覚化モダリティとして構成することができる。視覚化器具は、有線接続を有するように構成されるか、または無線であってもよい。いくつかの実施形態では、視覚化器具がデバイス内に含まれ、他の実施形態では、デバイスが、使用前に挿入されて使用後に除去され得る標準的な寸法の外部または別個の視覚化器具を収容するように構成されている。任意選択的には、視覚化器具は、鼻組織内を視覚化するように構成された調節可能なレンズ(372)を含むことができる。いくつかの実施形態では、送達デバイスが、細長いシャフト(330)内から延出することができるアクチュエータアーム(380)を含むことができる。アクチュエータアームは、細長いシャフトと平行に延びることができ、配置の自由度をさらに高めることができるようにジョイントまたは軸を有することができる。アクチュエータアームは、張力付与要素(200)の展開を容易にするための開口部(382)を含むことができる。
【0061】
図24に示すように、鼻組織の形状を変更するための送達デバイスのいくつかの実施形態は、張力付与要素(200)を調節するように構成され得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、張力付与要素で形状を固定する前に、鼻組織を所望の変更された形状に機械的に操作するように主に機能する機械的要素(400)を含むことができる。いくつかの実施形態では、機械的要素が、取付部位(410)を介してデバイスの本体(310)に取り付け可能となっている。いくつかの実施形態では、機械的要素が、鼻組織を所望の形状に変更することを容易にするために検知モダリティ(420)を組み込むことができる。例示的な実施形態では、1または複数の検知モダリティが、圧力センサ、加速度計、力計、角度センサ、傾斜センサ、距離センサ、または鼻組織の形状を評価するのに適した他の任意の検知モダリティに限定されるものではないが、これらを含むセンサのなかから選択され得る。いくつかの実施形態では、デバイスが、張り機構(500)を含むことができる。いくつかの実施形態では、張り機構が、取付部位(510)を介して本体(310)に取り付けられる。張り機構は、主に、張力付与要素(200)をその初期展開から最終位置まで固定するように機能する。任意選択的には、張り機構は、制御された方法でピンと張ることができるように、張力付与要素をデバイスに固定するように機能するロック機構(520)を含むことができる。他の実施形態では、張り機構が、適用可能なセンサから取得した測定値に対して、ピンと張る速さ、強さ、速度または他の測定可能な態様を調節するセンサフィードバックシステムを有する。例えば、一実施形態では、張り要素が、このセンサからの出力に基づいて張りを調節する力計または張力計を備えることができる。いくつかの実施形態では、そのようなセンサによってある閾値が検出されると、張り動作を停止することができる。
【0062】
図25に示すように、鼻組織の形状を変更するための送達デバイスのいくつかの実施形態は、鼻中隔を変更するために特に構成され、鼻中隔の両側で、双方に展開されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、デバイスが、複数の細長いシャフト(330)を含むことができる。いくつかの実施形態では、細長いシャフトの相対位置を、1または複数の調節可能な機構(334)を介して調節することができる。調節可能な機構は、鼻中隔軟骨を横切ってブレースを展開するようにデバイスを配置するために、細長いシャフトの位置を操作するように機能することができる。また、調節可能な機構は、ブレースを固定する前に少なくとも一時的に形状を変更するために鼻中隔軟骨または鼻骨に力を加えるようにも機能することができる。デバイスは、展開機構(360)を含むことができる。いくつかの実施形態では、展開機構が、
図26に示すように、細長いシャフトの間で、鼻中隔軟骨を横切ってブレースを通すように構成されている。
【0063】
図27に示すように、張力付与要素のいくつかの実施形態は、張力付与要素の本体(200)に対して拡大した遠位端(240)を有する。遠位端は、円形、球形、半球形、矩形、X字形、螺旋形などを含むが、これらに限定されない任意の形状であってよい。それは、例えば、ボールインジョイント構造として、固定要素(210)と相互作用するように設計され得る。いくつかの実施形態では、固定要素が、張力付与要素に対して任意の平面内で移動する。
図27に示す特定の実施形態では、固定要素が、張力付与要素の長軸に沿ってスライドする矩形構造である。
【0064】
図28に示すように、いくつかの実施形態では、固定要素が、組織に引っかかり、固定要素を回転させ、位置を変え、または形状を変えるように設計された組織相互作用特徴部(250)を有することができる。例えば、
図28には、フィンを含む端部と反対側の固定特徴部の端部で固定特徴部が組織を通過するときに、フィンが組織を通過することはできるが戻ることはできないように、形状が三角形のフィン特徴部が示されている。いくつかの実施形態では、固定要素が、送達デバイスの配置機構と相互作用して、固定要素が送達デバイスの配置機構から受動的または能動的に変位するように設計され得る。
【0065】
図29に示すように、送達デバイスのいくつかの実施形態は、少なくとも一時的に組織を動かすように設計された拡張可能な組織変位特徴部(370)を含むことができる。そのような拡張可能な組織変位特徴部の一例は、鼻組織を所望の形状に少なくとも一時的に破砕または操作するように設計された膨張可能なバルーンであろう。
【0066】
図30に示すように、送達デバイスのいくつかの実施形態は、組織切断特徴部(382)を含むことができる。いくつかの実施形態では、この組織切断特徴部が、展開可能、拡張可能、調節可能、剛性および/または可撓性のハウジング(380)内に収容され、送達デバイスが一方向に動かされたときに切断特徴部が組織と係合しないが、送達デバイスが別の方向に動かされたときに組織と係合するようになっている。
【0067】
図31に示すように、送達デバイスのいくつかの実施形態は、組織縮小特徴部(390)を含む。一実施形態では、組織縮小特徴部は、組織を研磨または削り取るように設計された電動回転バーであってよい。送達デバイスは、バッテリまたはモータ用のハウジングを含むことができ、組織縮小特徴部をオンまたはオフに切り替えるように設計されたボタンまたはスイッチを有することができる。
【0068】
図32および
図33に示すように、システムのいくつかの実施形態は、付属の組織切断器具(400)を含むことができる。いくつかの実施形態では、この組織切断器具が、組織切断特徴部(412)を含み、この組織切断特徴部が、展開可能、拡張可能、調節可能、剛性または可撓性のハウジング(410)内に収容されて、切断器具が一方向に動かされたときに組織と係合しないが、切断器具が別の方向に動かされたときに組織と係合するようになっている。
【0069】
図34に示すように、付属の組織切断器具のいくつかの実施形態は、第1の位置から第2の位置に変化する回転可能または拡張可能なヘッド特徴部(414)を含み、器具がその第1の位置にあるときに組織を穿刺することができるが、その第2の位置にあるときに後退しないようになっている。
【0070】
図35に示すように、システムのいくつかの実施形態は、付属の組織縮小器具(500)を含む。一実施形態では、組織縮小器具が、本体と、細長いシャフト(510)と、組織縮小特徴部(520)とを有する。いくつかの実施形態では、組織縮小特徴部が、手動で動かされたときに組織縮小特徴部が組織を削り取ることを可能にする隆起、リブまたは他の特徴部を含む。他の実施形態では、組織縮小特徴部が、組織を研磨または削り取るように設計された電動回転バーであってよい。組織縮小器具は、バッテリまたはモータ用のハウジングを含むことができ、組織縮小特徴部をオンまたはオフにするように設計されたボタンまたはスイッチを有することができる。
【0071】
図36に示すように、システムのいくつかの実施形態は、付属の組織変位器具(600)を含むことができる。この器具は、細長いシャフトと、移動、回転、拡張または他の方法で作動されたときに、少なくとも一時的に組織を変位させることができるヘッド(610)とを有することができる。一実施形態では、この組織変位器具が細長いシャフトの軸を中心に回転するときに、ヘッドも回転して組織が細長いシャフトから離れる方向に少なくとも一時的に変位するように、組織変位器具が設計され得る。骨性鼻中隔の偏位に起因する鼻中隔偏位の場合、これは、骨性鼻中隔の内側への破砕を伴い、それをより真っ直ぐな構造へと移動させる。鼻中隔偏位の場合、この器具を、鼻中隔粘膜の上または下に配置することができる。
【0072】
図37および
図38に示すように、システムのいくつかの実施形態は、細長いシャフト(800)の一端に拡張可能または展開可能なヘッド(812)を有する組織変位器具を含み、この器具は、細長いシャフトの第2の端部(810)または細長いシャフトの本体(820)に配置されたスイッチ、ノブ、ボタン、膨張ポンプまたは他の適切な機構などの作動機構によって展開されると、第1の位置から第2の位置に変化して、組織が少なくとも一時的に変位するようになっている。
【0073】
図39に示すように、組織変位器具のいくつかの実施形態は、チューブまたは細長いシャフト(710)によって外部拡張作動要素(720)に接続された内部バルーンまたは拡張可能要素(700)を含む。
【0074】
図40に示すように、システムのいくつかの実施形態は、組織を変化した形状に保持するように設計された組織保持要素(1000)を含む。この組織保持要素は、スプリントまたはステントとしても知られている。いくつかの実施形態では、この組織保持要素が、湾曲した鼻中隔軟骨(100)を真っ直ぐにするように設計され得る。この組織保持要素は、粘膜の上または下に配置され得る。それは、偏位部分の凹側または凸側に配置され得る。組織保持要素が力を加えるか又は組織に接続された状態を維持することを可能にする、1または複数の組織係合特徴部(10)を含むことができる。組織保持要素は、吸収性または非吸収性であってもよい。
【0075】
図41に示すように、送達デバイスのいくつかの実施形態は、送達デバイスの遠位端が組織平面内を横断することを可能にする組織分離要素(332)を含む。
【0076】
図42に示すように、送達デバイスのいくつかの実施形態は、送達デバイスに対する定位置に組織保持要素を保持するように送達デバイスの細長いシャフト(330)または本体(310)の何れかに接続するアライメント特徴部(1110)を含む。
【0077】
方法
本明細書には、対象者の組織構造の形状を変更するための方法も記載されている。この方法は、概して、整形要素または張力付与要素を組織内に展開するステップと、整形要素を操作して、鼻組織の形状を変更するような力を組織に加えるステップとを含む。力は、張力であってもよい。様々な身体組織は、張力を使用して整形することができる。例示的な組織は、鼻中隔軟骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨または小鼻翼軟骨、翼状線維脂肪組織、鼻骨および鼻甲介を含むが、これらに限定されるものではない。
【0078】
本明細書に記載の方法は、鼻気道閉塞の治療、湾曲した鼻中隔の治療、鼻中隔の矯正、肥厚、変形または脱臼した鼻中隔の治療、鼻中隔骨折の修復、鼻中隔の形状の変更、鼻中隔棘または鼻骨棘の治療、鼻の内部または外部の形状の変更、鼻中隔以外の鼻軟骨の構造的変形の治療または変更、内鼻弁虚脱の治療、または鼻甲介肥大の治療のために使用することができる。また、本方法は、睡眠時無呼吸症候群、鼻いびきを治療または緩和するために用いることができ、あるいは、鼻組織または組織の任意の組合せの他の適切な変化のために構成されることができる。
【0079】
鼻中隔軟骨の形状を変更して、例えば、湾曲した鼻中隔を矯正する場合、本方法は、鼻中隔に縫合糸、有刺縫合糸または整形要素を通すステップと、鼻中隔が真っ直ぐになるまで縫合糸をピンと張るステップと、余分な縫合糸を切り取るステップとを含むことができる。いくつかの実施形態では、湾曲した鼻中隔の形状を調節する方法が、整形要素を使用して鼻中隔に約4.0ニュートン~約40ニュートンの力を加えることを含むことができ、その力は、上記範囲内のすべての値および部分的な範囲を含むことができる。例えば、約4.0ニュートン、約5ニュートン、約10ニュートン、約15ニュートン、約20ニュートン、約25ニュートン、約30ニュートン、約35ニュートンまたは約40ニュートンの力を鼻中隔に加えることができる。同じ大きさの力を、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨または小鼻翼軟骨、翼状線維脂肪組織、鼻骨および鼻甲介などの他の鼻組織に加えて、それらの形状を変化させることも可能である。他の実施形態では、整形要素を使用して、約12ニュートン~約25ニュートンの力を鼻中隔に加えることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、本方法が、近位端、対象者の体内に導入するようにサイズ設定された遠位端、および近位端と遠位端のポートとの間に延びるルーメンを含む細長い部材と、整形要素とを含むデバイスを用いることができる。整形要素は、ルーメンを通して導入するようにサイズ設定された第1の端部であって、ポートから展開されることにより、組織構造に隣接する組織に係合する第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部と、組織構造の形状を変更するために、係合した組織に作用する力を維持する1または複数の要素とを含むことができる。
【0081】
整形要素を操作することは、組織に力を加えるために整形要素の第2の端部を操作することを含むことができる。いくつかの実施形態では、力を加えた後に、整形要素の第2の端部を鼻気道に隣接する組織に固定することができる。第2の端部を固定することは、第1の端部から離間した位置で組織を介して第2の端部を導くことを含むことができる。一実施形態では、第1の端部を、湾曲した鼻中隔の片側の組織に固定し、第2の端部を、湾曲した鼻中隔の反対側の組織に固定し、湾曲した鼻中隔の形状を変更するために力を加えることができる。別の実施形態では、第1の端部を、湾曲した鼻中隔よりも遠位側の組織に固定し、第2の端部を、湾曲した鼻中隔よりも近位側の組織に固定し、湾曲した鼻中隔の形状を変更するために力を加えることができる。整形要素によって加えられる力は、通常は、張力である。
【0082】
代替的には、整形要素を操作することは、整形要素の中間領域を、第1の端部が固定される第1の位置から離間した第2の位置で組織と係合させること、並びに、第1の位置と第2の位置との間で整形要素に力を加えて第1の位置と第2の位置との間で組織の形状を変化させることを含むことができる。中間領域における1または複数の要素は、張力を維持するために、第2の位置で組織と係合させることができる。さらに、中間領域を係合させることは、整形要素の第2の端部を第2の位置で組織を通して導くこと、並びに、中間領域が第2の位置で組織と係合するまで第2の端部を引っ張ることを含むことができる。中間領域は、互いに間隔を空けて配置された複数の移動防止要素を含むことができる。ここで、第2の端部は、移動要素の少なくとも1つが第2の位置で組織を通過するまで引っ張ることができ、それにより、中間領域が第2の位置で組織を通過して戻るのを防止することができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、整形要素を操作することが、張力を維持するために、第2の位置における組織に対する中間領域上の固定要素の位置を調節することをさらに含むことができる。他の実施形態では、本方法が、例えば、中間領域に隣接する整形要素をカットして整形要素から余分な材料を除去することにより、整形要素の第2の端部を中間領域から分離するステップをさらに含む。
【0084】
別の実施形態では、対象者の鼻組織の形状を変更するための方法が提供され、この方法が、送達デバイスの遠位端を対象者の鼻気道に挿入するステップと、遠位端から鼻気道に整形要素の第1の端部を展開するステップと、整形要素の第1の端部を鼻気道に隣接する組織に固定するステップと、整形要素を操作して組織の形状を変化させるステップと、整形要素が組織の変化した形状を少なくとも一時的に維持するように送達デバイスを取り外すステップとを含む。
【0085】
更なる実施形態では、対象者の鼻組織の形状を変更する方法が、整形要素の第1の端部を対象者の鼻気道に展開するステップと、整形要素の第1の端部を鼻気道に隣接する第1の位置で組織に固定するステップと、整形要素を操作して組織の形状を変更するステップと、整形要素を第2の位置で組織に対して固定して、組織の変更された形状を維持するステップとを含む。第2の位置で整形要素を固定することは、第2の位置で整形要素の第2の端部を固定することを含むことができる。一実施形態では、第2の位置で整形要素を固定することが、第2の位置で整形要素上の1または複数の移動防止要素を固定することを含む。別の実施形態では、本方法は、1または複数の移動防止要素が第2の位置で固定されたときに、整形要素の余分な材料を除去するステップをさらに含む。更なる実施形態では、第2の位置が、第1の位置よりも鼻孔に近い位置であってもよい。
【0086】
対象者の鼻組織の形状を変更するためのいくつかの方法は、アンカーを対象者の鼻気道に導入するステップと、アンカーを対象者の鼻中隔に第1の位置で固定するステップと、整形要素の第1の端部を対象者の鼻気道に導入するステップと、整形要素の第1の端部をアンカーに固定するステップと、整形要素を操作して組織の形状を変えるステップと、第2の位置で整形要素を組織に固定して組織の変わった形状を維持するステップとを含む。アンカーは、対象者の第1の鼻気道に導入され、アンカーを部分的に鼻中隔を通して対象者の第2の鼻気道に導くことによって固定されるようにしてもよく、また、整形要素の第1の端部は、第2の鼻気道に導入され、第2の鼻気道に延びるアンカーの部分に固定されるようにしてもよい。一実施形態では、整形要素の第1の端部は、第1の端部をアンカーに固定する前に、鼻気道の粘膜下に導入される。
【0087】
対象者の鼻組織の形状を変更するための他の方法は、送達デバイスの遠位端を対象者の鼻気道に挿入するステップと、遠位端から鼻気道内に整形要素の第1の端部を展開するステップと、整形要素の第1の端部を鼻気道に隣接する第1の位置で組織に固定するステップと、整形要素が鼻気道から延びるように送達デバイスを取り外すステップとを含むことができる。その後、整形要素の第2の端部に結合された針を鼻気道内に挿入し、整形要素を操作して組織の形状を変更することができる。鼻気道に隣接する第2の位置で第2の端部を固定することにより、組織の変更された形状を一時的に維持することができる。
【0088】
いくつかの方法では、エネルギー送達要素を装着した整形要素または張力付与要素を使用して、鼻組織の整形を実現することができる。例えば、1または複数の恒久的または一時的な電極、加熱要素、または張力付与要素が鼻組織にエネルギーを送達することを可能にする他のエネルギー送達機構が、整形要素に含まれ得る。エネルギー送達機構を使用して、熱、電流または任意の適切な形態のエネルギーを加えることにより、鼻組織の再形成またはリモデリングを増強することができる。いくつかの実施形態では、エネルギーを加えた後にエネルギー送達機構を除去することができる。いくつかの実施形態では、エネルギー送達機構を、張力付与要素とともに移植することができる。いくつかの実施形態では、エネルギー送達機構が、生体吸収性または生分解性であってもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー送達機構を張力付与要素に直接取り付けることができる。いくつかの実施形態では、エネルギー送達機構が張力付与要素に隣接して配置される。
【0089】
整形要素の配置の前、間または後に、流体送達機構を使用して、流体も送達することができる。流体は、治療的または生理学的効果を与えることができる。例えば、流体は、治療剤、または凍結療法のための低温のガスまたは液体を含むことができる。
【0090】
例示的な方法
図1に示すように、鼻組織(100)の形状を変更するための例示的な方法は、鼻組織に隣接する鼻気道内に少なくとも1の張力付与要素または他の整形要素(200)を展開するステップと、鼻組織が変化した形状を少なくとも一時的に維持するように、張力付与要素(200)を固定するステップとを含む。張力付与要素は、ブレース、縫合糸、移植片、バットレス、インプラントまたは支持要素としても知られている。本方法は、1つの張力付与要素、または平行または非平行に配置された複数の張力付与要素を利用することができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素を固定することによって、鼻組織が変化した形状を少なくとも一時的に維持することができるように構成された力を、鼻組織に加えることができる。いくつかの実施形態では、力が張力であってもよい。いくつかの実施形態では、張力付与要素を固定することが、標的鼻組織または別の鼻組織を通して張力付与要素の一部を固定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素が固定される組織が、軟骨、骨、任意の半剛性組織、またはそれらの任意の組合せである。本方法は、1回の適用で鼻組織の形状を最終状態に調節するように構成されるものであっても、あるいは力または形状の調節を経時的に行うことができる調節可能な張力付与要素を備えるように構成されるものであってもよい。本方法は、鼻組織の形状を連続的に変更するために、様々な時点で展開される張力付与要素を利用するように構成されるものであってもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、本方法は、張力付与デバイスの展開前または展開中に、鼻組織の形状を変更するために外力を加えることを含むことができる。いくつかの実施形態では、鼻鏡、スプレッダ、縫合糸通し、鉗子、または鼻組織を操作するのに適した他のツール若しくはデバイスなどの力付与要素によって、外力を加えることができる。いくつかの実施形態では、経粘膜的または経皮的に力を加えることができる。いくつかの実施形態では、本方法が、張力付与要素の最初の展開後であって、張力付与要素を最終的に固定する前に、鼻組織の形状を変更するために外力を加えることを含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法が、張力付与要素の展開の前または後に、鼻組織の形状を変更するために外力を加えることを含むことができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、本方法は、医療クリニックまたは診療所での使用に適した構成にすることができる。いくつかの実施形態では、本方法は、耳鼻咽喉科のクリニックまたは診療所での使用に適した構成にすることができる。いくつかの実施形態では、本方法は、外科センタまたは環境での使用に適した構成にすることができる。いくつかの実施形態では、本方法は、鎮痛剤の使用を含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、麻酔薬の使用を含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、スプリントとしても知られる支持要素の使用を含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、器具、バルーン、または粘膜隆起の他の方法によって、鼻粘膜を標的組織から離れるように隆起させることを含むように構成され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、スコープまたは他の視覚化手段の使用を含むように構成され得る。本明細書に記載の方法は、鼻気道閉塞の治療、湾曲した鼻中隔の治療、鼻中隔の矯正、肥厚、変形または脱臼した鼻中隔の治療、鼻中隔骨折の修復、鼻中隔の形状の変更、鼻中隔棘または鼻骨棘の治療、鼻の内部または外部の形状の変更、鼻中隔以外の鼻軟骨の構造的変形の治療または変更、内鼻弁虚脱の治療、または鼻甲介肥大の治療のうちの1または複数のために構成および/または適応され得る。また、本方法は、睡眠時無呼吸症候群、鼻のいびきのために構成および/または適応され、または鼻組織または組織の任意の組合せの他の任意の適切な変化のために構成されることができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、鼻組織の形状を変更する方法が、鼻気道に送達デバイスを挿入するステップと、少なくとも1の張力付与要素(200)を展開するステップと、張力付与要素を固定するステップと、鼻組織が変化した形状を少なくとも一時的に維持するようにデバイスを取り外すステップとを含むことができる。例えば、送達デバイスは、鼻気道内に挿入され、鼻粘膜の下に挿入され、または張力付与要素の配置または展開を容易にするのに適した他の任意の構成に配置され得る。いくつかの実施形態では、送達デバイスの一部またはすべてが使い捨てであってもよい。いくつかの実施形態では、送達デバイスの一部またはすべてを再使用可能にすることができ、かつ滅菌に適した構成にすることができる。
【0094】
図2に示すように、鼻組織の形状を変更するための方法は、特に、鼻中隔軟骨(102)の形状を調節するために最適化することができる。この方法は、「C字型」偏位、「S字型」偏位、鼻中隔軟骨の亜脱臼、矢状偏位、冠状偏位、および骨の変形、軟骨の変形、軟骨の骨化、骨または軟骨の脱臼、軟骨または骨の肥厚または肥大、軟骨または骨の棘、骨または軟骨の外傷、または他の任意の形態の鼻中隔偏位またはそれらの組合せによって引き起こされる偏位に限定されるものではないが、これらを含む任意の種類、分類または位置の偏位中隔の形状を調節するように構成され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、前尾側鼻中隔偏位を矯正するために使用される。いくつかの実施形態では、本方法は、後側鼻中隔軟骨の形状を変更するために使用される。いくつかの実施形態では、本方法は、「Lストラット」を含む外鼻変形を矯正するために用いられるが、追加的または代替的には、臨床的、機能的、美容的または他の任意の適切な用途に用いることができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素を軟骨に固定することができ、またはそれを貫通させて固定することができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素を、骨または他の任意の適切な鼻組織に固定することができ、またはそれらを貫通させて固定することができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素を、偏位部分の凸側に配置することができる。いくつかの実施形態では、張力付与要素を、偏位部分の凹側に配置することができる。本方法が鼻中隔軟骨の形状を変更するように構成されるいくつかの実施形態では、本方法は、鼻中隔に縫合糸または棘付縫合糸を通し、鼻中隔が真っ直ぐになるまで縫合糸をピンと張り、余分な縫合糸を切り取る手段によって、湾曲した鼻中隔の矯正として構成され得る。いくつかの実施形態では、湾曲した鼻中隔の形状を調節するように構成された本方法が、4ニュートン~40ニュートンの力を提供するように特に最適化され得る。いくつかの実施形態では、本方法が、12ニュートン~25ニュートンの力を提供するようにさらに最適化され得る。
【0095】
図3に示すように、鼻組織の形状を変更するための方法は、鼻中隔軟骨(102)以外の鼻組織の形状を調節するために特に最適化され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、外側鼻軟骨(104)、大または小鼻翼軟骨(106)、翼状線維脂肪組織(108)、鼻骨(140)、鼻甲介(150)または他の任意の適切な鼻組織の形状を調節するように構成され得る。
【0096】
図4に示すように、いくつかの実施形態では、本方法は、張力付与要素(200)として1または複数の縫合糸を使用するように構成され得る。いくつかの実施形態では、張力付与要素が、任意選択的に、有刺縫合糸または縫合糸として構成され得る。縫合糸は、任意の直径、サイズ、形状、長さまたは幅を有することができる。いくつかの実施形態では、縫合糸を、鼻組織の形状を十分に変化させるパターンで配置することができる。本方法は、任意の数の縫合糸の挿通またはパターンに合わせて構成され得る。縫合糸は、鼻組織を通る縫合糸の移動または変位を防止するように設計された固定要素(210)を含むことができる。この構成は、一連の少なくとも1の垂直または水平なマットレス状の縫合糸を含むことができる。いくつかの実施形態では、縫合糸を、粘膜下、経粘膜または経皮的に配置および固定することができる。いくつかの実施形態では、縫合糸の少なくとも一端に取り付けられた針(240)を介して縫合糸を導入することができる。本方法は、直線、曲線、平坦または他の形状を有する1または複数の針を使用するように構成され得る。本方法は、縫合糸に取り付けまたは取り外し可能な1または複数の針を使用するように構成され得る。本方法は、鼻組織の形状を変更するために縫合糸を配置して張力をかけるための、器具、ツールまたは縫合材料のキットまたはパッケージセットを利用するように構成され得る。
【0097】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、本方法が、複数の領域で鼻組織の形状を変更するように構成され得る。いくつかの実施形態では、本方法が、標的鼻組織の複数の領域に作用するように構成された単一の張力付与要素(200)を利用するように構成され得る。いくつかの実施形態では、本方法が、標的鼻組織の複数の領域に作用するように、複数の張力付与要素を利用するように構成され得る。いくつかの実施形態では、本方法が、複数の鼻組織の形状を変更するように構成され得る。いくつかの実施形態では、本方法が、複数の領域における複数の鼻組織の形状を変更するように構成され得る。
【0098】
本明細書におけるシステム、デバイスおよび方法を、鼻組織の形状を変更する特定の用途で述べてきたが、本明細書に記載のデバイスおよびシステムは、他の自然または外科的に作られた身体の通路に導入されて他の組織構造を変更することができることが理解されよう。さらに、本明細書におけるデバイス、システムおよび方法は、耳などのような対象者の身体への導入を必要としない組織構造の形状を変更するためにも使用され得る。
【0099】
さらに、本明細書の任意の実施形態とともに示される要素または構成要素は、特定の実施形態についての例示的なものであり、本明細書に開示の他の実施形態において、またはそれと組み合わせて使用できることが理解されよう。
【0100】
本明細書に含まれる例および説明は、例示であって限定ではなく、発明主題が実施され得る特定の実施形態を示すものである。他の実施形態が、利用されるとともに、そこから導き出されるものであってもよく、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を加えることも可能である。発明主題のそのような実施形態は、本明細書において、単に便宜上、「発明」という用語によって、個別にまたは集合的に言及されることがあり、また、複数の発明が実際に開示される場合、本願の範囲を任意の単一の発明または発明的概念に自発的に限定することを意図しているわけではない。したがって、特定の実施形態が本明細書に説明および記載されているが、同じ目的を達成するために計算された任意の配置構成を、図示の特定の実施形態に置き換えることが可能である。本開示は、様々な実施形態の任意およびすべての適応または変形を包含することを意図している。上記実施形態の組合せおよび本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態は、上記の説明を検討すれば、当業者には明らかであろう。
【0101】
本発明は、様々な変更および代替的形態を受け入れる余地があるが、その具体例が図面に示され、本明細書に詳細に記載されている。しかしながら、本発明は、開示の特定の形態または方法に限定されるものではなく、それとは反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲内に入るすべての変更、均等物および代替物を包含するものであることを理解されたい。
【国際調査報告】