(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】アカラブルチニブマレイン酸塩剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4985 20060101AFI20230718BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230718BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230718BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230718BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230718BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230718BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230718BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61K9/20
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/14
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577284
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2021066629
(87)【国際公開番号】W WO2021255246
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521085205
【氏名又は名称】アセルタ・ファーマ・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ACERTA PHARMA B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ベセル,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ブリス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コスグローブ,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マン,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ペパン,グザヴィエ ジャック アンリ
(72)【発明者】
【氏名】ロビンズ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン,デイビッド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC27
4C076DD47
4C076DD67
4C076EE31
4C076EE32
4C076FF04
4C076FF06
4C076FF33
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086NA02
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、一般に、(a)アカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形;(b)B細胞悪性腫瘍及び/又は他の病態を治療するために、そのような薬学的剤形を使用する方法;(c)そのような薬学的剤形と、任意選択により別の治療剤を含む第2の薬学的剤形とを含むキット;(d)そのような薬学的剤形を調製するための方法;並びに(e)そのような方法によって調製される薬学的剤形に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトに経口投与するための、約75mg~約125mg(遊離塩基当量)のアカラブルチニブマレイン酸塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む固形薬学的剤形であって、前記剤形が、
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、0.1Nの塩酸溶出媒体、及び50RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%の前記アカラブルチニブマレイン酸塩が約30分以内に溶出する条件;並びに
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%の前記アカラブルチニブマレイン酸塩が約60分以内に溶出する条件を満たす、固形薬学的剤形。
【請求項2】
前記剤形が、
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、0.1Nの塩酸溶出媒体、及び50RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約80%の前記アカラブルチニブマレイン酸塩が約15分以内に溶出する条件;並びに
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約80%の前記アカラブルチニブマレイン酸塩が約20分以内に溶出する条件を満たす、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
前記アカラブルチニブマレイン酸塩が、結晶性アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の形態Aである、請求項1又は2に記載の剤形。
【請求項4】
前記少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、少なくとも1種の希釈剤、少なくとも1種の崩壊剤、及び少なくとも1種の潤滑剤から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項5】
前記剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、前記5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体中の前記アカラブルチニブマレイン酸塩の溶出速度が、その初期の溶出速度から20%超減少しない、請求項1~4のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項6】
前記剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、前記剤形に存在する前記アカラブルチニブマレイン酸塩の約5%(w/w)以下が劣化する、請求項1~5のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項7】
前記剤形が、胃酸還元剤を投与されていない空腹時のヒト対象に経口投与される場合に、100mgのCalquence(登録商標)カプセル剤と生物学的に同等であり、ここで、前記100mgのCalquence(登録商標)カプセル剤に対して前記剤形の相対平均C
max、AUC
(0-t)、及びAUC
(0-∞)の信頼区間が80%~125%の範囲内である場合に、生物学的に同等である、請求項1~6のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項8】
前記アカラブルチニブマレイン酸塩が、約100mg(遊離塩基当量)の量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項9】
前記少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、少なくとも1種の希釈剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項10】
前記少なくとも1種の希釈剤が、アカラブルチニブの一級アミン部分の安定性に影響を与えない、請求項9に記載の剤形。
【請求項11】
前記少なくとも1種の希釈剤が、塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含む、請求項9又は10に記載の剤形。
【請求項12】
アカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)と前記少なくとも1種の希釈剤の重量比が、約1:3~約2:1である、請求項9~11のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項13】
前記少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、少なくとも1種の崩壊剤を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項14】
前記少なくとも1種の崩壊剤が、イオン性崩壊剤を含まない、請求項13に記載の剤形。
【請求項15】
アカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)と前記少なくとも1種の崩壊剤の重量比が、約2:1~約15:1である、請求項13又は14に記載の剤形。
【請求項16】
前記剤形が、
前記剤形の約15重量%~約55重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;
前記剤形の約10重量%~約70重量%の量の少なくとも1種の希釈剤;
前記剤形の約0.5重量%~約15重量%の量の少なくとも1種の崩壊剤;及び
前記剤形の約0.25重量%~約4重量%の量の少なくとも1種の潤滑剤を含み、
個々の量の合計が、前記剤形の総重量の100%と等しい、請求項4に記載の剤形。
【請求項17】
前記剤形が、
前記剤形の約30重量%~約35重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;及び
前記剤形の約30重量%~約35重量%の量のマンニトール;
前記剤形の約25重量%~約30重量%の量の微結晶セルロース;
前記剤形の約3重量%~約7重量%の量のヒドロキシプロピルセルロース;及び
前記剤形の約1重量%~約4重量%の量のフマル酸ステアリルナトリウムを含み、
個々の量の合計が、前記剤形の総重量の100%と等しい、請求項4に記載の剤形。
【請求項18】
前記アカラブルチニブマレイン酸塩が、約20ミクロン~約500ミクロンのD
(v,0.9)値を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項19】
前記剤形が錠剤である、請求項1~18のいずれか一項に記載の剤形。
【請求項20】
前記錠剤が、約1.5MPa~約5.0MPaの引張強さを有する、請求項19に記載の錠剤。
【請求項21】
前記錠剤の引張強さが、前記錠剤をブリスターパック内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の引張強さから10%超減少しない、請求項20に記載の錠剤。
【請求項22】
BTK媒介性の病態に罹患しているか又はそれに感受性のある対象の前記病態を治療する方法であって、前記対象に、請求項1~21のいずれか一項に記載の固形薬学的剤形を1日1回又は1日2回投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、(a)アカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形;(b)B細胞悪性腫瘍及び/又は他の病態を治療するために、そのような薬学的剤形を使用する方法;(c)そのような薬学的剤形と、任意選択により別の治療剤を含む第2の薬学的剤形とを含むキット;(d)そのような薬学的剤形を調製するための方法;並びに(e)そのような方法によって調製される薬学的剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
アカラブルチニブは、選択的な共有結合型のブルトン型チロシンキナーゼ(「BTK」)阻害剤である。アカラブルチニブは、慢性リンパ性白血病、小リンパ性白血病、及びマントル細胞リンパ腫を治療するために数カ国(米国、カナダ、及びオーストラリアを含む)で承認されている製剤である、CALQUENCE(登録商標)中の活性な薬学的成分である。CALQUENCE(登録商標)は、100mgの結晶性アカラブルチニブ遊離塩基(特に、形態Aの無水物)を含有するカプセル剤形として販売されている。特許文献1には、形態Aの無水物、さらなる結晶性アカラブルチニブ遊離塩基形態、及び結晶性アカラブルチニブ塩形態(例えばアカラブルチニブのクエン酸塩、フマル酸塩、ゲンチジン酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、及びL-酒石酸塩を含む)が報告されている。CALQUENCE(登録商標)の処方情報では、アカラブルチニブの血漿濃度を低下させる可能性があるため、胃酸還元剤と同時投与することを避けることが推奨されている。従って、アカラブルチニブ剤形と同時投与した場合に、胃酸還元剤がアカラブルチニブの血漿濃度に及ぼす潜在的影響を低減させるアカラブルチニブの薬学的剤形が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/002095号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本開示は、ヒトに経口投与するための、約75mg~約125mg(遊離塩基当量)のアカラブルチニブマレイン酸塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含有する固形薬学的剤形であって、剤形が、
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、0.1Nの塩酸溶出媒体、及び50RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約30分以内に溶出する条件;並びに
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約60分以内に溶出する条件を満たす固形薬学的剤形に関する。さらなる態様では、固形薬学的剤形は、約75mg~約100mg(遊離塩基当量)のアカラブルチニブマレイン酸塩を含む。またさらなる態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、結晶性アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の形態Aなどのアカラブルチニブマレイン酸塩一水和物として存在する。
【0005】
別の態様では、本開示は、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体中のアカラブルチニブマレイン酸塩の溶出速度が、その初期の溶出速度から20%超減少しない、上記に記載される固形薬学的剤形に関する。
【0006】
別の態様では、本開示は、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、剤形に存在するアカラブルチニブマレイン酸塩の約5%(w/w)以下が劣化する、上記に記載される固形薬学的剤形の1種以上に関する。
【0007】
別の態様では、本開示は、剤形が、胃酸還元剤を投与されていない空腹時のヒト対象に経口投与する場合に、100mgのCalquence(登録商標)カプセル剤と生物学的に同等であり、ここで、100mgのCalquence(登録商標)カプセル剤に対する剤形の相対平均Cmax、AUC(0-t)、及びAUC(0-∞)の信頼区間が80%~125%の範囲内である場合に、生物学的に同等である、上記に記載される固形薬学的剤形の1種以上に関する。
【0008】
別の態様では、本開示は、剤形が、空腹時のヒト対象の集団に1日2回投与される場合に、
ヒト対象の集団の平均Cmax値が、約400ng/mL~約900ng/mLであり;
ヒト対象の集団の平均AUC(0-24)値が、約350ng・hr/mL~約1900ng・hr/mLであり;及び/又は
ヒト対象の集団の平均AUC(0-∞)値が、約350ng・hr/mL~約1900ng・hr/mLであるアカラブルチニブの薬物動態条件の1つ以上を満たす、上記に記載される固形薬学的剤形の1種以上に関する。
【0009】
別の態様では、本開示は、剤形が、ヒト対象に1日2回投与される場合に、末梢血単核球中に少なくとも約90%の中央値の定常状態のブルトン型チロシンキナーゼ占有率を提供する、上記に記載される固形薬学的剤形の1種以上に関する。
【0010】
別の態様では、本開示は、剤形が、
剤形の約15重量%~約55重量%の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;
剤形の約10重量%~約70重量%の量の少なくとも1種の希釈剤;
剤形の約0.5重量%~約15重量%の量の少なくとも1種の崩壊剤;及び
剤形の約0.25重量%~約4重量%の量の少なくとも1種の潤滑剤を含み、
個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、上記に記載される固形薬学的剤形の1種以上に関する。
【0011】
別の態様では、本開示は、剤形が、
剤形の約30重量%~約35重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩一水和物;
剤形の約30重量%~約35重量%の量のマンニトール;
剤形の約25重量%~約30重量%の量の微結晶セルロース;
剤形の約3重量%~約7重量%の量のヒドロキシプロピルセルロース;及び
剤形の約1重量%~約4重量%の量のフマル酸ステアリルナトリウムを含み、
個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、上記に記載される固形薬学的剤形の1種以上に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】結晶性アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の形態Aの代表的なXRPDディフラクトグラムである。
【
図2】疑似胃酸/FaSSIF-V2媒体中のアカラブルチニブのリン酸塩、シュウ酸塩、及びマレイン酸塩の溶出プロファイルを示す。
【
図3】脱イオン水/FaSSIF-V2媒体中のアカラブルチニブのリン酸塩、シュウ酸塩、及びマレイン酸塩の溶出プロファイルを示す。
【
図4】アカラブルチニブリン酸塩の動的水蒸気吸着プロットである。
【
図5】アカラブルチニブリン酸塩の熱重量分析プロットである。
【
図6】アカラブルチニブリン酸塩のXRPDディフラクトグラムである。
【
図7】アカラブルチニブシュウ酸塩の熱重量分析プロットである。
【
図8】アカラブルチニブシュウ酸塩の動的水蒸気吸着プロットである。
【
図9A】アカラブルチニブマレイン酸塩の熱重量分析プロットである。
【
図9B】代替的な一連の条件下で実施したアカラブルチニブマレイン酸塩の熱重量分析プロットである。
【
図10A】アカラブルチニブマレイン酸塩の第1の試料の動的水蒸気吸着プロットである。
【
図10B】アカラブルチニブマレイン酸塩の第2のより高品質の試料の動的水蒸気吸着プロットである。
【
図11】疑似胃酸/FaSSIF-V2媒体中の微粉化したアカラブルチニブマレイン酸塩と未粉砕のアカラブルチニブマレイン酸塩の溶出プロファイルを示す。
【
図12】脱イオン水/FaSSIF-V2媒体中の微紛化したアカラブルチニブマレイン酸塩と未粉砕のアカラブルチニブマレイン酸塩の溶出プロファイルを示す。
【
図13】様々な緩衝溶液中のアカラブルチニブマレイン酸塩及びアカラブルチニブ遊離塩基の溶解度に対する最終pH値を示す。
【
図14】アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T16、T17、及びT18、並びにアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤C1のシンク条件下の低pH試験から得られた溶出プロファイルを示す。
【
図15】アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T16、T17、及びT18のシンク条件下の中性pHでの低イオン強度試験から得られた溶出プロファイルを示す。
【
図16】アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T13及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤C2の中性pHでの高イオン強度試験から得られた溶出プロファイルを示す。
【
図17】アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T1及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤C1の緩衝能のない中性媒体(すなわち、プロトンポンプ阻害剤で治療した胃に類似した条件)から得られた溶出プロファイルを示す。
【
図18】アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T13及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤C1の緩衝能のない中性媒体から得られた溶出プロファイルを示す。
【
図19】アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T19のpHシフト条件下の溶出プロファイルを示す。
【
図20】アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T19及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤C3のpHシフト条件下の溶出プロファイルを示す。
【
図21】酸性の胃コンパートメントに関連する胃条件下、且つまたプロトンポンプ阻害剤又は酸還元剤を併用した投与に関連する胃条件下のTIM-1システムで評価した場合の、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T19及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセルC2の時間(分)に対するアカラブルチニブの有効累積率(%)のプロットである。
【
図22】アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T10(D
(v,0.9)≒150μm)、T11(D
(v,0.9)≒16μm)、T13(D
(v,0.9)≒500μm)、及びT15(D
(v,0.9)≒70μm)の粒径分布を示す。
【
図23】アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T10、T11、T13、及びT15(26重量%の薬物負荷)の5mMのリン酸ナトリウム緩衝液媒体中の溶出プロファイルを示す。
【
図24】アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T9、T2、及びT14(43重量%の薬物負荷)の5mMのリン酸ナトリウム緩衝液媒体中の溶出プロファイルを示す。
【
図25】オメプラゾールと同時投与した場合のアカラブルチニブ遊離塩基及びアカラブルチニブマレイン酸塩のAUC
(0-24)値を測定する、イヌモデルにおけるインビボ試験の結果の報告。
【
図26】崩壊剤及びアカラブルチニブマレイン酸塩(1:5の比率)のいくつかの二成分混合物の脱イオン水媒体中の溶出プロファイルを示す。
【
図27】潤滑剤及びアカラブルチニブマレイン酸塩(1:15)のいくつかの二成分混合物の脱イオン水媒体中の溶出プロファイルを示す。
【
図28】錠剤コアT2及びT3の脱イオン水媒体中の溶出プロファイルを示す。
【
図29】錠剤コアT6及びT8の脱イオン水媒体中の溶出プロファイルを示す。
【
図30】錠剤コアT4及びT5の脱イオン水媒体中の溶出プロファイルを示す。
【
図31】実施例4のアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T21を調製するためのプロセスの図式的概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
I.定義
別段に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同様の意味を有する。
【0014】
範囲は、例えば量を記載するために使用される場合、範囲の全ての組み合わせ及び副次的組み合わせ、並びに特定の実施形態が含まれることが意図される。
【0015】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0016】
数字又は数値範囲に言及する場合の「約」という用語の使用は、言及される数字又は数値範囲が、実験的変動の範囲内(又は統計的実験誤差の範囲内)の近似値であり、従ってその数字又は数値範囲が変動し得ることを意味する。変動は、典型的には記載された数又は数値範囲の0%~15%、好ましくは0%~10%、より好ましくは0%~5%である。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数を含み得る。
【0017】
「アカラブルチニブ」という用語は、化合物4-{8-アミノ-3-[(2S)-1-(ブト-2-イノイル)ピロリジン-2-イル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル}-N-(ピリジン-2-イル)ベンズアミドの国際一般名称(INN)を指し、下記に示される化学構造を有する。
【化1】
国際公開第2013/010868号パンフレットには、アカラブルチニブ(実施例6)が開示され、アカラブルチニブの合成が記載されている。国際公開第2020/043787号パンフレットには、アカラブルチニブの合成がさらに記載されている。国際公開第2013/010868号パンフレット及び国際公開第2020/043787号パンフレットは、それぞれが参照によりその全体が組み込まれる。
【0018】
「アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物」という用語は、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の結晶形態Aを含む結晶性アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物を指す。国際公開第2017/002095号パンフレットの実施例6.2には、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の結晶形態Aの調製が記載されている。国際公開第2017/002095号パンフレットは、参照によりその全体が組み込まれる。アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の形態Aは、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物形態1という代替の命名法を指す場合もある。特に明記しない限り、アカラブルチニブ、アカラブルチニブマレイン酸塩、又はアカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の量に対する本開示におけるあらゆる言及は、アカラブルチニブ遊離塩基当量に基づく。例えば、100mgは、100mgのアカラブルチニブ遊離塩基、又はアカラブルチニブマレイン酸塩若しくはアカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の同等量を指す。
【0019】
「ACP-5862」という用語は、化合物4-[8-アミノ-3-[4-(ブト-2-イノイルアミノ)ブタノイル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル]-N-ピリジン-2-イルベンズアミドを指し、下記に示される化学構造を有する。
【化2】
ACP-5862は、アカラブルチニブの活性代謝物である。
【0020】
「AUC(0-24)」という用語は、線形台形法によって計算されるような、時間0(投与時間)から投与して24時間後の血漿濃度-時間曲線の下の面積を指す。
【0021】
「AUC(0-∞)」という用語は、線形台形法によって計算されるような、時間0(投与時間)から無限時間(∞)の血漿濃度-時間曲線の下の面積を指す。
【0022】
「BID」という用語は、1日2回(bis in die)、1日2回(twice a day)、又は1日2回(twice daily)を意味する。
【0023】
「Cmax」という用語は、採取期間全体にわたる最高血漿中濃度を指す。
【0024】
「同時投与」、「と併用した」、及び「併用」という用語は、2種以上の治療剤を投与することを指すことができる。一態様では、「併用」は、同時投与(例えば、別個の剤形ではあるが、実質的に同時に両剤を投与すること)を指すことができる。本発明のさらなる態様では、「併用」は、連続投与(例えば、第1の薬剤を投与した後に遅延があり、続いて第2の薬剤又はさらなる薬剤を投与する場合)を指すことができる。投与が連続的である場合、後者の成分を投与する際の遅延は、併用の利点を失わないように、長すぎても短すぎてもならない。
【0025】
文脈上別段の要求がない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」という用語は、それらが排他的に解釈されるのではなく、包括的に解釈され、且つ出願人が下記の請求項を含む本特許を解釈する際に、それらの単語の各々がそのように解釈されることを意図していることを明確に理解した上で使用される。
【0026】
「結晶性」という用語は、アカラブルチニブ、アカラブルチニブマレイン酸塩、又はアカラブルチニブマレイン酸塩一水和物に適用する場合、分子が(i)識別可能な単位胞を含み、(ii)X線照射を施したときに回折ピークが得られる、識別可能な結晶格子を形成するように配列された固形状態の形態を指す。
【0027】
「結晶純度」という用語は、X線粉末回折分析法で測定されるような特定の結晶形態に対する、アカラブルチニブ、アカラブルチニブマレイン酸塩、又はアカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の結晶純度を意味する。
【0028】
本出願全体を通して使用される「結晶化」という用語は、アカラブルチニブ、アカラブルチニブマレイン酸塩、又はアカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の調製に関する適用可能な状況に応じた結晶化及び/又は再結晶化を指すことができる。
【0029】
本出願全体を通して使用される「D(0.1)」及び「D(v,0.1)」という用語は、試料中の材料の全体積の10%が、レーザー回折で測定された特定の値を下回る粒径を有することを意味する。
【0030】
本出願全体を通して使用される「D(0.5)」及び「D(v,0.5)」という用語は、試料中の材料の全体積の50%が、レーザー回折で測定された特定の値を下回る粒径を有することを意味する。
【0031】
本出願全体を通して使用される「D(0.9)」及び「D(v,0.9)」という用語は、試料中の材料の全体積の90%が、レーザー回折で測定された特定の値を下回る粒径を有することを意味する。
【0032】
「薬学的に許容される」という用語(「薬学的に許容される希釈剤」又は「薬学的に許容される崩壊剤」の記載のような)は、対象に投与するのに適合する材料、例えば、望ましくない生物学的効果を引き起こさない材料を指す。薬学的に許容される賦形剤の例は、“Handbook of Pharmaceutical Excipients,” Rowe et al.,Ed.(Pharmaceutical Press,7th Ed.,2012)に記載されている。
【0033】
「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」には、あらゆる全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、並びに不活性成分が含まれることが意図される。任意の従来の薬学的に許容される担体又は薬学的に許容される賦形剤は、アカラブルチニブ、アカラブルチニブマレイン酸塩、又はアカラブルチニブマレイン酸塩一水和物と適合しない場合を除いて、本発明の治療用組成物に使用することが企図される。
【0034】
「Q」という用語は、特定の時間で溶出し、試料中に存在する活性物質の総量の割合として表される、試料中の活性物質の量(Q)を意味する。
【0035】
「QD」という用語は、1日1回(quaque die)、1日1回(once a day)、又は1日1回(once daily)を意味する。
【0036】
「Tmax」という用語は、最高血漿中濃度(Cmax)の時間を指す。
【0037】
「治療」、「治療すること」、及び「治療」という用語は、病態の重症度を寛解、抑制、根絶、減少させ、病態の発生頻度を低減し、病態のリスクを低下させ、又は病態の発症を遅らせることを指す。
【0038】
下記の表1に列記される略語は、本表に示された意味を有する。
【0039】
【0040】
II.固形剤形
本開示は、部分的に、アカラブルチニブマレイン酸塩、特に結晶性アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物を含む固形薬学的剤形に関する。生物薬剤学分類システム(「BCS」)によれば、アカラブルチニブはBCSクラスIIの原薬であり、このことは、胃腸管において良好な透過性を示すが低い溶解性を示すことを意味している。Pepin,X.J.H.,et al.,”Bridging in vitro dissolution and in vivo exposure for acalabrutinib.Part II.A mechanistic PBPK model for IR formulation comparison,proton pump inhibitor drug interactions,and administration with acidic juices,” European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 142;435-448(2019)を参照されたい。アカラブルチニブを含むBCSクラスIIの原薬のバイオアベイラビリティは、一般に、それらの溶出速度及び/又は溶媒和によって制限される。加えて、アカラブルチニブ遊離塩基はpHに依存した溶解度を示し、pHが最大の塩基性pKa(すなわち、アカラブルチニブの大部分が非イオン化するおよそpH6)まで上昇する場合に、溶解度が低下する。CALQUENCE(登録商標)を服用している対象(例えば、プロトンポンプ阻害剤又は他の胃酸還元剤も服用している対象)の胃のpHが増加すると、胃のアカラブルチニブの溶解度が低下する可能性があり、場合によってはバイオアベイラビリティが低下するか、及び/又はアカラブルチニブの患者内及び患者間の薬物動態の変動が大きくなる結果となり得る。本開示は、下記で説明するようなアカラブルチニブマレイン酸塩を含有する固形薬学的剤形が、容認できる物理的及び薬理的性質(例えば、溶出、安定性、製造可能性、薬物動態など)を有し、現在市販されているCALQUENCE(登録商標)カプセル剤形と通常の酸性の胃条件で実質的に生物学的に同等でありながら、より広い範囲の胃のpH条件にわたってアカラブルチニブの薬物動態にそれほど変動をもたらさないという予想外の知見に関する。これらの固形剤形は、慢性リンパ性白血病、小リンパ性白血病、及びマントル細胞リンパ腫などのB細胞悪性腫瘍を含む病態を治療するためのさらなる治療的選択を提供するものである。
【0041】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒトに経口投与するための、約75mg~約125mg(遊離塩基当量)のアカラブルチニブマレイン酸塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む固形薬学的剤形であって、剤形が、
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、0.1Nの塩酸溶出媒体、及び50RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約30分以内に溶出する条件;並びに
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約60分以内に溶出する条件を満たす固形薬学的剤形に部分的に関する。
0.1Nの塩酸溶出媒体は、空腹時の胃を表すものと考えられる一方で、5mMのリン酸塩pH6.8溶出は、胃酸還元剤で処置された最悪の事態の胃を表すものと考えられる。一態様では、剤形は、
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、0.1Nの塩酸溶出媒体、及び50RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約20分以内に溶出する条件;並びに
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%のアカラブルチニブマレイン酸塩を、約45分以内に溶出する条件を満たす。
別の態様では、剤形は、
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、0.1Nの塩酸溶出媒体、及び50RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約80%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約20分以内に溶出する条件;並びに
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約80%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約30分以内に溶出する条件を満たす。
別の態様では、剤形は、
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、0.1Nの塩酸溶出媒体、及び50RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約80%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約15分以内に溶出する条件;並びに
USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約80%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約20分以内に溶出する条件を満たす。
【0042】
いくつかの実施形態では、本開示の固形薬学的剤形は、約75mg~約125mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。一態様では、剤形は、約75mg~約100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。別の態様では、剤形は、約75mg~約80mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。別の態様では、剤形は、約80mg~約85mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。別の態様では、剤形は、約85mg~約90mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。別の態様では、剤形は、約90mg~約95mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。別の態様では、剤形は、約95mg~約100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。別の態様では、剤形は、約75mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。別の態様では、剤形は、約80mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。別の態様では、剤形は、約85mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。別の態様では、剤形は、約90mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。別の態様では、剤形は、約95mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。別の態様では、剤形は、約100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物である。一態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物は、結晶性アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物である。別の態様では、結晶性アカラブルチニブマレイン酸塩は、ピーク位置が°2θ±0.2°2θで測定された、5.3、9.8、10.6、11.6、13.5、13.8、13.9、14.3、15.3、15.6、15.8、15.9、16.6、17.4、17.5、18.7、19.3、19.6、19.8、20.0、20.9、21.3、22.1、22.3、22.7、23.2、23.4、23.7、23.9、24.5、24.8、25.2、25.6、26.1、26.4、26.7、26.9、27.1、27.6、28.8、29.5、30.0、30.3、30.9、31.5、31.9、32.5、34.0、及び35.1からなる群から選択される少なくとも5つのピークを有するX線粉末回折パターンからなる群から選択される1つ以上のピークから構成されるX線粉末回折パターンを有する結晶性アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の形態Aである。別の態様では、結晶性アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の形態Aは、5.3、9.8、10.6、11.6、及び19.3°2θ±0.2°2θのピークから構成されるX線粉末回折パターンを有する。別の態様では、X線粉末回折パターンは、
図1のX線粉末回折パターンと実質的に一致する。別の態様では、前述の実施形態のいずれかのX線粉末回折パターンは、透過モードで測定される。別の態様では、前述の実施形態のいずれかのX線粉末回折パターンは、反射モードで測定される。別の態様では、前述の実施形態のいずれかの結晶性アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物は、一水和物とほぼ同等のアカラブルチニブに関する化学量論を有する。国際公開第2017/002095号パンフレットには、適用可能なX線粉末回折の測定条件が記載されている。
【0044】
いくつかの実施形態では、剤形は、剤形に存在するアカラブルチニブの少なくとも約80重量%の結晶純度を有するアカラブルチニブマレイン酸塩を含む。一態様では、結晶純度は、少なくとも約85重量%である。別の態様では、結晶純度は、少なくとも約90重量%である。別の態様では、結晶純度は、少なくとも約95重量%である。別の態様では、結晶純度は、少なくとも約98重量%である。別の態様では、結晶純度は、少なくとも約99重量%である。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物である。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の形態Aである。
【0045】
いくつかの実施形態では、剤形は、剤形に存在するアカラブルチニブの少なくとも約95重量%の結晶純度を有するアカラブルチニブマレイン酸塩を含む。一態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物である。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の形態Aである。別の態様では、結晶純度は、少なくとも約96重量%である。別の態様では、結晶純度は、少なくとも約97重量%である。別の態様では、結晶純度は、少なくとも約98重量%である。別の態様では、結晶純度は、少なくとも約99重量%である。さらなる態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、剤形に存在するアカラブルチニブの少なくとも約95重量%の結晶純度を有し、2重量%未満の不純物、(2Z)-4-[(2S)-2-{8-アミノ-1-[4-(2-ピリジニルカルバモイル)フェニル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル}-1-ピロリジニル]-4-オキソ-2-ブテン酸を含み、下記に示される化学構造を有する:
【化3】
別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、約1.5重量%未満の不純物を含む。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、約1重量%未満の不純物を含む。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、約0.5重量%未満の不純物を含む。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、不純物を実質的に含まない。
【0046】
遊離型の化合物ではなく化合物の塩を選択することは、必ずしも胃腸管中の化合物の溶解度及び取り込みを所望する程度まで向上させるものではない。さらに、化合物の塩は、塩が薬学的剤形に使用するのに好適であるかどうかに影響を及ぼす物理的特性及び他の特性が著しく異なる場合がある。例えば、胃の酸性環境及び腸のpH6~pH7.5の環境で塩が比較的不溶性の遊離型に迅速に転換することにより、遊離型のある部分に沈殿が生じる可能性がある。そのように遊離型が沈殿することにより、胃腸管に取り込まれるのに利用可能な投与される用量の量が少なくなり、化合物の全体的なバイオアベイラビリティが低下することとなる。表面特性(例えば、湿潤性に影響する)及び粒径(例えば、溶出速度に影響する)は、剤形に選択される塩の性能に影響を与える可能性のある因子の中の1つでもある。
【0047】
例えば、アカラブルチニブのクエン酸塩、フマル酸塩、ゲンチジン酸塩、ナパジシル酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、及びL-酒石酸塩の全てが、本開示の固形薬学的剤形に使用するのに好適でないことが確定した。クエン酸塩、フマル酸塩、ゲンチジン酸塩、及びL-酒石酸塩は、それらのpKa値及び/又は複雑な固体挙動のエビデンスに基づいて、考慮から除外した。例えば、ナパジシル酸塩は、結晶性に問題があった。硝酸塩は、スケールで製造するのに好適でない可能性があり、医薬品に使用するには一般的に好ましいものではない。シュウ酸塩、リン酸塩、及び硫酸塩は、複雑な水和挙動を示し、商業的な製造に好適でないと見なした。
【0048】
実際に、試験された最初のアカラブルチニブマレイン酸塩試料は、胃のpHが上昇した患者では、アカラブルチニブ遊離塩基の限界を克服するのに必要とされる溶解度及び溶出速度を達成しそうにないと思われた。さらに、結晶性アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の形態Aは、周囲条件下で熱力学的に安定しているものの、製剤の商業的供給の製造に課題があると当初考えられていた固形特性も示している。
【0049】
いくつかの実施形態では、本開示は、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いたインビトロ溶出試験のアカラブルチニブマレイン酸塩の溶出速度が、その初期の溶出速度から20%超減少しない固形薬学的剤形に関する。一態様では、溶出速度は、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の溶出速度から10%超減少しない。一態様では、溶出速度は、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の溶出速度から15%超減少しない。別の態様では、溶出速度は、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の溶出速度から5%超減少しない。別の態様では、溶出速度は、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の溶出速度から3%超減少しない。別の態様では、溶出速度は、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の溶出速度から2%超減少しない。別の態様では、溶出速度は、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の溶出速度から1%超減少しない。一態様では、パッケージは、アルミニウムブリスターなどのブリスターパッケージである。別の態様では、パッケージは、乾燥剤入りの密閉したHDPEボトルである。
【0050】
いくつかの実施形態では、本開示は、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、剤形に存在するアカラブルチニブマレイン酸塩の約5%(w/w)以下が劣化する固形薬学的剤形に関する。一態様では、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、剤形に存在するアカラブルチニブマレイン酸塩の約3%(w/w)以下が劣化する。別の態様では、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、剤形に存在するアカラブルチニブマレイン酸塩の約2%(w/w)以下が劣化する。別の態様では、剤形をブリスターパック内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、剤形に存在するアカラブルチニブマレイン酸塩の約1%(w/w)以下が劣化する。別の態様では、剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、剤形に存在するアカラブルチニブマレイン酸塩の約0.5%(w/w)以下が劣化する。一態様では、パッケージは、アルミニウムブリスターなどのブリスターパッケージである。別の態様では、パッケージは、乾燥剤入りの密閉したHDPEボトルである。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩の分解は、高速液体クロマトグラフィーを使用して分析する。
【0051】
いくつかの実施形態では、本開示は、胃酸還元剤を投与されていない空腹時のヒト対象に経口投与する場合に、剤形が100mgのCalquence(登録商標)カプセル剤(実施例4の表6内の標準カプセル剤C4の含量に対応する組成物)と実質的に生物学的に同等である固形薬学的剤形に関する。一態様では、剤形が、胃酸還元剤を投与されていない空腹時のヒト対象に経口投与する場合に、血漿アカラブルチニブの100mgのCalquence(登録商標)カプセル剤に対して、80%~125%の範囲内の剤形の相対平均Cmax、AUC(0-t)、及びAUC(0-∞)の信頼区間を有する。別の態様では、剤形が、胃酸還元剤を投与されていない空腹時のヒト対象に経口投与する場合に、血漿アカラブルチニブの100mgのCalquence(登録商標)カプセル剤、及びその活性代謝物であるACP-5862(すなわち、4-[8-アミノ-3-[4-(ブト-2-イノイルアミノ)ブタノイル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル]-N-ピリジン-2-イルベンズアミド)に対して、80%~125%の範囲内の剤形の相対平均Cmax、AUC(0-t)、及びAUC(0-∞)の信頼区間を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、本開示は、剤形が、空腹時のヒト対象の集団に1日2回投与される場合に、
ヒト対象の集団の平均Cmax値が、約400ng/mL~約900ng/mLであり;
ヒト対象の集団の平均AUC(0-24)値が、約350ng・hr/mL~約1900ng・hr/mLであり;及び/又は
ヒト対象の集団の平均AUC(0-∞)値が、約350ng・hr/mL~約1900ng・hr/mLであるアカラブルチニブの薬物動態条件の1つ以上を満たす、固形薬学的剤形に関する。
一態様では、剤形は、ヒト対象の集団に胃酸還元剤と同時投与される。
【0053】
いくつかの実施形態では、本開示は、剤形が、ヒト対象に1日2回(BID)投与される場合に、末梢血単核球中に少なくとも約90%の中央値の定常状態のブルトン型チロシンキナーゼ占有率を提供する固形薬学的剤形に関する。一態様では、剤形が、ヒト対象に1日2回投与される場合に、末梢血単核球中に少なくとも約95%の中央値の定常状態のブルトン型チロシンキナーゼ占有率を提供する。別の態様では、剤形は、ヒト対象の集団に胃酸還元剤と同時投与される。
【0054】
いくつかの実施形態では、本開示は、アカラブルチニブマレイン酸塩が剤形の約15重量%~約55重量%(遊離塩基当量)の量で存在する固形薬学的剤形に関する。一態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、剤形の約25重量%~約50重量%の量で存在する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、剤形の約25重量%~約45重量%の量で存在する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物は、剤形の約25重量%~約40重量%の量で存在する。
【0055】
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、少なくとも1種の希釈剤、少なくとも1種の崩壊剤、及び少なくとも1種の潤滑剤から選択される固形薬学的剤形に関する。一態様では、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤は、少なくとも1種の希釈剤を含む。別の態様では、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤は、少なくとも1種の崩壊剤を含む。別の態様では、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤は、少なくとも1種の希釈剤と、少なくとも1種の崩壊剤とを含む。別の態様では、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤は、少なくとも1種の希釈剤と、少なくとも1種の崩壊剤と、少なくとも1種の潤滑剤とを含む。剤形中の賦形剤の相互作用は、場合によっては本開示の剤形中の賦形剤の組み合わせの適合性に影響する可能性がある。従って、選択される賦形剤の組み合わせは、薬理学的用途の剤形の適合性に実質的に影響を与えないことが好ましい。
【0056】
いくつかの実施形態では、本開示は、用量が少なくとも1種の希釈剤を含み、少なくとも1種の希釈剤が剤形の約10重量%~約70重量%の量で存在する固形薬学的剤形に関する。一態様では、少なくとも1種の希釈剤は、剤形の約20重量%~約70重量%の量で存在する。別の態様では、少なくとも1種の希釈剤は、剤形の約30重量%~約70重量%の量で存在する。別の態様では、少なくとも1種の希釈剤は、剤形の約40重量%~約70重量%の量で存在する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩と少なくとも1種の希釈剤の重量比は、約1:3~約2:1である。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物と少なくとも1種の希釈剤の重量比は、約1:1~約1:2である。
【0057】
存在する場合、選択される希釈剤は、アカラブルチニブの一級アミン部分の安定性に影響を与えないことが好ましい。一態様では、希釈剤は、メイラード反応において一級アミン部分と反応しにくいものである。例えば、希釈剤は、ラクトースなどの還元糖ではない。加えて、希釈剤は、金属塩などのマレイン酸捕捉剤を含まないことが好ましい。一態様では、希釈剤は、無水リン酸水素カルシウムを含まない。許容可能な希釈剤としては、例えば、糖アルコール(マンニトール、ソルビトール、マルチトール、及びキシリトールなど)、加水分解デンプン、部分アルファー化デンプン及びセルロース(微結晶セルロース及びケイ化微結晶セルロースなど)、並びにこれらの組み合わせ(マンニトールとデンプンとを含む組み合わせなど)が挙げられる。
【0058】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含む。微結晶セルロースなどの塑性希釈剤は、圧縮中に降伏点を超えた後に不可逆的な変形を受けて粒子に粘性流を起こし、圧縮力を除いた後も変形したままの状態にするものである。マンニトールなどの脆性希釈剤は、圧縮中に断片化を起こし、粒子が結合するために新しい表面を生じさせるものである。一態様では、剤形は、剤形の約10重量%~約70重要%の総量で塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、塑性希釈剤が、剤形の約0重量%~約70重量%の量で存在し、脆性希釈剤が、剤形の約0重量%~約50重量%の量で存在する。剤形が錠剤である場合、選択される塑性希釈剤と脆性希釈剤の比率が、錠剤の引張強さに影響する可能性がある。過剰な塑性希釈剤は、錠剤の引張強さを弱める可能性がある。一態様では、剤形中の塑性希釈剤と脆性希釈剤のw/w比は、約0:100~約60:40である。別の態様では、剤形中の塑性希釈剤と脆性希釈剤のw/w比は、約0:100~約60:40であり、剤形は、少なくとも2.0MPaの引張強さを有する錠剤である。
【0059】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、マンニトールを含む。一態様では、マンニトールは、剤形の約10重量%~約70重量%の量で存在する。
【0060】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、微結晶セルロースを含む。一態様では、微結晶セルロースは、剤形の約5重量%~約50重量%の量で存在する。
【0061】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、マンニトール及び微結晶セルロースを含む。一態様では、マンニトールは、剤形の約0重量%~約70重量%の量で存在し、微結晶セルロースは、剤形の約0重量%~約50重量%の量で存在し、マンニトール及び微結晶セルロースの総量は、剤形の約10重量%~約70重量%である。別の態様では、マンニトールと微結晶セルロースのw/w比は、約0:100~約60:40である。別の態様では、剤形中のマンニトールと微結晶セルロースのw/w比は、約0:100~約60:40であり、剤形は、少なくとも2.0MPaの引張強さを有する錠剤である。
【0062】
いくつかの実施形態では、本開示は、用量が少なくとも1種の崩壊剤を含み、少なくとも1種の崩壊剤が錠剤の約0.5重量%~約15重量%の量で存在する固形薬学的剤形に関する。一態様では、少なくとも1種の崩壊剤は、錠剤の約1重量%~約10重量%の量で存在する。別の態様では、少なくとも1種の崩壊剤は、錠剤の約2重量%~約8重量%の量で存在する。別の態様では、少なくとも1種の崩壊剤は、錠剤の約3重量%~約7重量%の量で存在する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)と少なくとも1種の崩壊剤の重量比は、約2:1~約15:1である。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩と少なくとも1種の崩壊剤の重量比は、約4:1~約10:1である。
【0063】
存在する場合、選択される崩壊剤は、イオン性崩壊剤を含まないことが好ましい。一態様では、少なくとも1種の崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム及び/又はクロスカルメロースナトリウムを含まない。一態様では、少なくとも1種の崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムを含まない。別の態様では、少なくとも1種の崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムを含まない。許容可能な崩壊剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、微結晶セルロース、クロスポビドン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、少なくとも1種の崩壊剤は、ヒドロキシプロピルセルロースを含む。別の態様では、少なくとも1種の崩壊剤は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、本開示は、用量が少なくとも1種の潤滑剤を含み、少なくとも1種の潤滑剤が剤形の約0.25重量%~約4重量%の量で存在する固形薬学的剤形に関する。一態様では、少なくとも1種の潤滑剤は、剤形の約1重量%~約4重量%の量で存在する。別の態様では、少なくとも1種の潤滑剤は、剤形の約1.5重量%~約3.5重量%の量で存在する。別の態様では、少なくとも1種の潤滑剤は、剤形の約2重量%~約3重量%の量で存在する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)と少なくとも1種の潤滑剤の重量比は、約20:1~約12:1である。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩と少なくとも1種の潤滑剤の重量比は、約18:1~約14:1である。
【0065】
許容可能な潤滑剤としては、例えば、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、糖エステル(モノステアリン酸ソルビタン及びモノパルミチン酸スクロースなど)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。別の態様では、少なくとも1種の潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウムを含む。ステアリン酸マグネシウムは、一般に、潤滑剤として選択することを避けるべきである。
【0066】
いくつかの実施形態では、本開示は、剤形が、
剤形の約15重量%~約55重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;
剤形の約10重量%~約70重量%の量の少なくとも1種の希釈剤;
剤形の約0.5重量%~約15重量%の量の少なくとも1種の崩壊剤;及び
剤形の約0.25重量%~約4重量%の量の少なくとも1種の潤滑剤を含み、
個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、固形薬学的剤形に関する。
一態様では、剤形は、上記に記載される成分から本質的になる。さらなる態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物として存在する。
【0067】
いくつかの実施形態では、本開示は、剤形が、
剤形の約20重量%~約50重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩一水和物;
剤形の約20重量%~約70重量%の量の少なくとも1種の希釈剤;
剤形の約1重量%~約10重量%の量の少なくとも1種の崩壊剤;及び
剤形の約1重量%~約4重量%の量の少なくとも1種の潤滑剤を含み、
個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、固形薬学的剤形に関する。
一態様では、剤形は、上記に記載される成分から本質的になる。さらなる態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物として存在する。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示は、剤形が、
剤形の約25重量%~約50重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;
剤形の約30重量%~約70重量%の量の少なくとも1種の希釈剤;
剤形の約2重量%~約8重量%の量の少なくとも1種の崩壊剤;及び
剤形の約1.5重量%~約3.5重量%の量の少なくとも1種の潤滑剤を含み、
個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、固形薬学的剤形に関する。
一態様では、剤形は、上記に記載される成分から本質的になる。さらなる態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物として存在する。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示は、剤形が、
剤形の約25重量%~約40重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;
剤形の約40重量%~約70重量%の量の少なくとも1種の希釈剤;
剤形の約3重量%~約7重量%の量の少なくとも1種の崩壊剤;及び
剤形の約2重量%~約3重量%の量の少なくとも1種の潤滑剤を含み、
個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、固形薬学的剤形に関する。
一態様では、剤形は、上記に記載される成分から本質的になる。さらなる態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物として存在する。
【0070】
いくつかの実施形態では、本開示は、剤形が、
剤形の約30重量%~約35重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;及び
剤形の約30重量%~約35重量%の量のマンニトール;
剤形の約25重量%~約30重量%の量の微結晶セルロース;
剤形の約3重量%~約7重量%の量のヒドロキシプロピルセルロース;及び
剤形の約1重量%~約4重量%の量のフマル酸ステアリルナトリウムを含み、
個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、固形薬学的剤形に関する。
一態様では、剤形は、上記に記載される成分から本質的になる。さらなる態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物として存在する。
【0071】
いくつかの実施形態では、本開示は、アカラブルチニブマレイン酸塩が、約500ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する固形薬学的剤形に関する。一態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩は、約450ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩が、約400ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩が、約350ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩が、約300ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩が、約20ミクロン~約500ミクロンのD(v,0.9)値を有する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩が、約50ミクロン~約450ミクロンのD(v,0.9)値を有する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩が、約75ミクロン~約400ミクロンのD(v,0.9)値を有する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩が、約75ミクロン~約350ミクロンのD(v,0.9)値を有する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩が、約100ミクロン~約300ミクロンのD(v,0.9)値を有する。
【0072】
いくつかの実施形態では、本開示は、アカラブルチニブマレイン酸塩が、以下の条件の1つ以上:約20ミクロン未満のD(v,0.1)値、約145ミクロン未満のD(v,0.5)値、及び約330ミクロン未満のD(v,0.9)値を満たす固形薬学的剤形に関する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩が、約145ミクロン未満のD(v,0.5)値、及び330ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩が、約20ミクロン未満のD(v,0.1)値、約145ミクロン未満のD(v,0.5)値、及び約330ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、本開示は、剤形がカプセル剤である固形薬学的剤形に関する。一態様では、カプセル剤は、ローラー圧縮を含むプロセスによって調製される。
【0074】
いくつかの実施形態では、本開示は、剤形が錠剤である固形薬学的剤形に関する。一態様では、剤形は、フィルムコーティング錠剤である。別の態様では、フィルムコートは、安定化フィルムコートである。別の態様では、錠剤は、直接圧縮を含むプロセスによって調製される。別の態様では、錠剤は、ローラー圧縮を含むプロセスによって調製される。別の態様では、錠剤は、湿式造粒法を含むプロセスによって調製される。別の態様では、錠剤は、約1.5MPa~約5.0MPaの引張強さを有する。別の態様では、錠剤は、約2.0MPa~約4.0MPaの引張強さを有する。別の態様では、錠剤の引張強さは、錠剤を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の引張強さから10%超減少しない。別の態様では、錠剤の引張強さは、錠剤を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の引張強さから8%超減少しない。別の態様では、錠剤の引張強さは、錠剤を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の引張強さから5%超減少しない。一態様では、パッケージは、アルミニウムブリスターなどのブリスターパッケージである。別の態様では、パッケージは、乾燥剤入りの密閉したHDPEボトルである。
【0075】
いくつかの実施形態では、錠剤は、コア重量が約600mg未満のコーティングされた又はコーティングされていない錠剤である。別の態様では、剤形は、コア重量が約300mg~約500mgのコーティングされた又はコーティングされていない錠剤である。別の態様では、剤形は、コア重量が約350mg~約450mgのコーティングされた又はコーティングされていない錠剤である。別の態様では、剤形は、コア重量が約400mgのコーティングされた又はコーティングされていない錠剤である。
【0076】
III.治療方法
本開示はまた、対象、特にBTK媒介性の病態に罹患しているか又はそれに感受性のあるヒト対象の病態を治療する方法であって、本開示の実施形態のいずれかに記載されるようなアカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形を対象に1日1回又は1日2回投与することを含む方法に関する。一態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形は、1日1回投与される。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形は、1日2回投与される。
【0077】
一実施形態では、本開示は、対象、特にB細胞血液悪性腫瘍に罹患しているか又はそれに感受性のあるヒト対象の病態を治療する方法であって、本開示の実施形態のいずれかに記載されるようなアカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形を対象に1日1回又は1日2回投与することを含む方法に関する。一態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形は、1日1回投与される。別の態様では、アカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形は、1日2回投与される。
【0078】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ性白血病(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、バーキットリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、及び骨髄線維症からなる群から選択される。
【0079】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、非ホジキンリンパ腫である。一態様では、非ホジキンリンパ腫は、進行性非ホジキンリンパ腫である。別の態様では、非ホジキンリンパ腫は、緩徐進行性非ホジキンリンパ腫である。
【0080】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、ホジキンリンパ腫である。
【0081】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、及び小リンパ性白血病からなる群から選択される。
【0082】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、マントル細胞リンパ腫である。一態様では、マントル細胞リンパ腫は、マントル帯リンパ腫である。一態様では、マントル細胞リンパ腫は、結節性マントル細胞リンパ腫である。別の態様では、マントル細胞リンパ腫は、びまん性マントル細胞リンパ腫である。別の態様では、マントル細胞リンパ腫は、芽球様マントル細胞リンパ腫である。
【0083】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、慢性リンパ性白血病である。
【0084】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、小リンパ性白血病である。
【0085】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。一態様では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、再発性/難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及び形質転換びまん性大細胞型B細胞リンパ腫からなる群から選択される。別の態様では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、初発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。別の態様では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、再発性/難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。別の態様では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、形質転換びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。別の態様では、形質転換びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、リヒター症候群である。
【0086】
いくつかの実施形態では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、胚中心B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫サブタイプ及び活性化B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫サブタイプからなる群から選択される。一態様では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、再発性/難治性胚中心B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。別の態様では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、再発性/難治性活性化B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0087】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、濾胞性リンパ腫である。
【0088】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症である。
【0089】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、B細胞急性リンパ芽球性白血病である。一態様では、B細胞急性リンパ芽球性白血病は、早期プレB細胞急性リンパ芽球性白血病である。別の態様では、B細胞急性リンパ芽球性白血病は、プレB細胞急性リンパ芽球性白血病である。別の態様では、B細胞急性リンパ芽球性白血病は、成熟B細胞急性リンパ芽球性白血病である。
【0090】
いくつかの実施形態では、B細胞血液悪性腫瘍は、バーキットリンパ腫である。一態様では、バーキットリンパ腫は、散発性バーキットリンパ腫である。別の態様では、バーキットリンパ腫は、流行性バーキットリンパ腫である。別の態様では、バーキットリンパ腫は、ヒト免疫不全ウイルス関連バーキットリンパ腫である。
【0091】
対象が罹患している特定のB細胞悪性腫瘍の診断は、認められた臨床診療に従って行うことができる。例えば、リンパ系新生物については世界保健機関(World Health Organization)(WHO)によって制定された2016年の分類ガイドラインを、又は非ホジキンリンパ腫については全米総合癌情報ネットワーク(National Comprehensive Cancer Network)(NCCN)の分類ガイドラインを参照されたい。
【0092】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、B細胞悪性腫瘍に対して少なくとも1種の事前の化学免疫療法を既に受けている。一態様では、事前の化学免疫療法は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロン(CHOP)による治療、又はリツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロン(R-CHOP)による治療を含む。別の態様では、事前の化学免疫療法は、フルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブ(FCR)による治療を含む。別の態様では、事前の化学免疫療法は、リツキシマブ及びベンダムスチン(BR)による治療を含む。別の態様では、事前の化学免疫療法は、クロラムブシル及びオビヌツズマブによる治療を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、ヒト対象は、アカラブルチニブ以外のBTK阻害剤(イブルチニブ又はザヌブルチニブなど)による治療を既に受けている。
【0094】
別の実施形態では、本開示は、B細胞悪性腫瘍を治療するための本開示の実施形態のいずれかに記載されるようなアカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形の使用に関する。
【0095】
別の実施形態では、本開示は、B細胞悪性腫瘍を治療するための医薬の製造における、本開示の実施形態のいずれかに記載されるようなアカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形の使用に関する。
【0096】
いくつかの実施形態では、アカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形は、対象にプロトンポンプ阻害剤、H2受容体アンタゴニスト、又は制酸剤などの胃酸還元剤と同時投与される。一態様では、同時投与は同時に行われる。別の態様では、同時投与は連続的に行われる。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示は、経口投与されたアカラブルチニブの薬物動態を、B細胞血液悪性腫瘍に罹患しているか又はこれに感受性の対象の酸性胃条件のより広い範囲にわたって改善する方法であって、本開示の実施形態のいずれかに記載されるようなアカラブルチニブマレイン酸塩を含有する固形薬学的剤形を対象に1日1回(OD)又は1日2回(BID)投与することを含む方法に関する。一態様では、本方法は、対象内及び/又は対象間でアカラブルチニブのバイオアベイラビリティが変動するのを改善及び/又は低減する。別の態様では、本方法は、対象内及び/又は対象間でアカラブルチニブの薬物動態が変動するのを低減する。別の態様では、本方法は、対象内及び/又は対象間でアカラブルチニブのCmaxが変動するのを改善及び/又は低減する。別の態様では、本方法は、対象内及び/又は対象間でアカラブルチニブのTmaxが変動するのを改善及び/又は低減する。別の実施形態では、対象内及び/又は対象間でアカラブルチニブのAUC(0-∞)が変動するのを改善及び/又は低減する。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示は、SARS-CoV-2に感染したか、及び/又はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)を有するヒト対象を治療する方法であって、本開示の実施形態のいずれかに記載されるようなアカラブルチニブマレイン酸塩を含有する固形薬学的剤形を対象に投与することを含む方法に関する。
【0099】
別の実施形態では、本開示は、SARS-CoV-2に感染したか、及び/又はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)を有するヒト対象の、実施形態のいずれかに記載されるようなアカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形の使用に関する。
【0100】
別の実施形態では、本開示は、SARS-CoV-2に感染したか、及び/又はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)を有するヒト対象を治療するための医薬の製造における、本開示の実施形態のいずれかに記載されるようなアカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形の使用に関する。
【0101】
本開示の方法はまた、1種以上の追加の治療剤と本開示の実施形態のいずれかに記載されるようなアカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形を同時投与することを含む治療が企図される。従って、本開示の剤形は、単独で、又は1種以上の追加の治療剤と併用して投与することができる。1種以上の追加の治療剤と併用して投与する場合、追加の治療剤は、本開示のアカラブルチニブマレイン酸塩剤形と同時に投与してもよく、又は本開示のアカラブルチニブマレイン酸塩剤形と連続的に投与してもよい。一態様では、治療剤は抗CD20抗体である。別の態様では、抗CD20抗体は、リツキシマブ、オクレリズマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、イブリツモマブチウキセタン、トシツモマブ、及びウブリツキシマブからなる群から選択される。別の態様では、抗CD20抗体は、リツキシマブ、オビヌツズマブ、及びオファツムマブからなる群から選択される。別の態様では、抗CD20抗体はリツキシマブである。別の態様では、抗CD20抗体はオビヌツズマブである。別の態様では、抗CD20抗体はオファツムマブである。
【0102】
IV.キット
本開示はさらに、本開示の実施形態のいずれかに記載されるようなアカラブルチニブマレイン酸塩を含む、1種以上の固形薬学的剤形を含むキットに部分的に関する。キットは、任意選択により、1種以上の追加の治療剤及び/又はキットを使用するための指示書を含み得る。好適なパッケージ及び使用するための追加の物品は、当技術分野において公知であり、キットに含まれてよい。キットは、医師、看護師、薬剤師、及び薬局方当局者(formulary officials)などを含む医療提供者に対して提供、販売及び/又は推奨され得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、キットは、アカラブルチニブマレイン酸塩を含む1種以上の固形薬学的剤形を含有する半透性の容器を含む。一態様では、半透性の容器は、ブリスターパッケージである。
【0104】
いくつかの実施形態では、キットは、アカラブルチニブマレイン酸塩を含む1種以上の固形薬学的剤形を含有する、実質的に不透性の容器を含む。一態様では、不透性の容器は、乾燥剤の入ったHDPEボトルである。
【0105】
いくつかの実施形態では、キットは、各パッケージにアカラブルチニブマレイン酸塩を含む1日用量の固形薬学的剤形が含有された、複数の個別のパッケージ(例えば、1種又は2種の固形剤形を含有するパッケージ)を含む。
【0106】
上記に記載されるキットは、本明細書に記載されるB細胞悪性腫瘍の治療に使用することが好ましい。例えば、一態様では、B細胞悪性腫瘍は、非ホジキンリンパ腫である。別の態様では、B細胞悪性腫瘍は、マントル細胞リンパ腫である。別の態様では、B細胞悪性腫瘍は、慢性リンパ性白血病である。別の態様では、B細胞悪性腫瘍は、小リンパ性白血病である。別の態様では、B細胞悪性腫瘍は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
【0107】
別の実施形態では、上記に記載されるキットは、SARS-CoV-2に感染した、及び/又はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)を有するヒト対象の治療に使用される。
【0108】
V.調製方法
本開示はまた、本開示に記載されるアカラブルチニブマレイン酸塩を含む固形薬学的剤形を調製するための方法、例えば、下記の実施例に記載されるこれらの方法に関する。一般に、これらの剤形は、直接混合法、乾式造粒法(ローラー圧縮)、湿式造粒法(高せん断造粒法)、粉砕又は篩い分け、乾燥(湿式造粒法が用いられる場合)、圧縮、及び任意選択によりコーティングなどであるが、これらに限定されない技術を用いて調製することができる。
【0109】
VI.プロダクト・バイ・プロセス
本開示はまた、下記の実施例に記載される方法を含む、本開示に記載される方法のいずれかに従って調製されたアカラブルチニブマレイン酸塩を含む、固形薬学的剤形に関する。
【実施例】
【0110】
VII.実施例
実施例1:アカラブルチニブ塩の評価
1.溶出試験
pHシフト法として知られる2段階のインビトロ溶出方法を用いて、アカラブルチニブのリン酸塩、シュウ酸塩、及びマレイン酸塩を評価した。初期媒体は、脱イオン水、又は塩酸及び塩化ナトリウムを含有し、且つpHを1.8に調整した疑似胃酸のいずれかであった。初期媒体に塩を入れて30分間後、次いで2倍強の濃縮物を加えることによって媒体をFaSSIF-V2媒体に変化させ、最終pHを6.5とした。FaSSIF-V2媒体は、塩化ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、及びレシチンを含むリン酸ナトリウム緩衝液を含有するものであった。最初の30分間は250mLの媒体中、次いでシフト後に500mLの媒体中で37±0.5℃で50RPMにて動作するUSP溶出装置2(パドル)を使用して溶出試験を実施した。溶出媒体からの試料を所定の時点で水相から取り出し、HPLCでアッセイした。
図2及び3は、疑似胃酸/FaSSIF-V2媒体及び脱イオン水/FaSSIF-V2媒体中における3つの塩の溶出プロファイルをそれぞれ示している。3つの塩は、低pHの疑似胃酸媒体中で広範に類似した能力を示したが、マレイン酸塩は、シュウ酸塩及びリン酸塩と比較して中性の水媒体中の溶出が実質的に減少したことを示した。
【0111】
2.物理的特性試験
物理的安定性、結晶性、及び粒子晶癖を含む、アカラブルチニブのリン酸塩、シュウ酸塩、及びマレイン酸塩の物理的特性を調査した。
【0112】
リン酸塩の固体分析では、
図4の動的水蒸気吸着(「DVS」)プロットで明示されるように、固形物が水和形態間で切り替わり、20%RHを上回る相対湿度(「RH」)で、ある結晶形態からより高度な水和物結晶形態に転換するといった、周囲条件付近で複雑な水和挙動が示された。熱重量分析(「TGA」)では、より高度な水和物は、物理的に不安定であり、
図5で明示されているように、40℃の等温状態の蓋のない皿においては10分未満で速やかに脱水することが示された。標準的なTGAでは、リン酸塩のバッチが、含水量の点から、従って物理的形態の点から多くの場合で不均質であったことがさらに示された。X線粉末回折(「XRPD」)により、
図6に示すように両方の結晶形態を同定することができることが明示された。
【0113】
シュウ酸塩もまた、複雑な水和挙動を示すものであった。TGAでは、
図7に明示されるように水和物が非常に不安定なものであったことが示された。水分損失は35℃の等温TGA状態下で半減期が4分であることを示し、全体的な重量損失は3.2%w/wであった。水分損失は、シュウ酸塩の1モル当たり約1モルの水と一致するものであった。DVSでは、
図8に明示されるように、ある結晶形態からより高度な水和結晶形態に周囲湿度で転換することが示された。光学顕微鏡で分析すると、シュウ酸塩に非常に鋭利な針状の晶癖が認められた。
【0114】
マレイン酸塩を一水和物として単離した。50℃の等温TGAでは、
図9Aに示すように一水和物が脱水することを示すものであったが、脱水速度は、それぞれ、より低温の40℃及び35℃でのリン酸塩又はシュウ酸塩の速度よりも遅かった。
図9Bは、代替的な一連の条件下で実施したTGAプロットである。
図10Aのマレイン酸塩のDVSプロットでは、湿度の範囲にわたる%w/wの水分変化が、リン酸塩又はシュウ酸塩で観察されたものよりも低かったことが示された。
図10Bは、マレイン酸塩のより高品質の試料のDVSプロットである。マレイン酸塩の結晶晶癖は、巨大であり、塊状であった。
【0115】
リン酸塩及びシュウ酸塩は、中性の水媒体中でマレイン酸塩よりも実質的に良好に溶出することを示したが、リン酸塩及びシュウ酸塩の物理的特性は、アカラブルチニブ塩を含む薬学的に許容される製剤を開発する上でより大きな課題を提示するものであった。
【0116】
3.微紛化したマレイン酸塩の溶出
リン酸塩及びシュウ酸塩の物理的特性に関連する製剤における課題を考慮して、微粉化した後にマレイン酸塩を前述のpHシフト溶出法で再試験した。微紛化したマレイン酸塩のバッチと、試験した未粉砕のマレイン酸塩のバッチとのD
(v,0.9)の粒径分布の典型的な平均値は、典型的にそれぞれ約18μm及び約446μmであった。上述したような同一の方法の条件を用いて、微紛化したマレイン酸塩の試料を試験すると、未粉砕のマレイン酸塩の試料と比較して、著しく改善した(当業者が予想するよりもさらに大きな程度まで改善した)溶出プロファイルが示された。
図11及び12は、疑似胃酸/FaSSIF-V2媒体及び脱イオン水/FaSSIF-V2媒体中における微紛化したマレイン酸塩及び未粉砕のマレイン酸塩の溶出プロファイルをそれぞれ示している。
【0117】
実施例2:アカラブルチニブマレイン酸塩の溶解度の評価
アカラブルチニブマレイン酸塩の溶解度を非緩衝媒体中で測定すると、pH4で約3mg/mLであることが見出され、pHmaxは4.11と算出された。さらに、pH4よりも高い出発pHであり、且つ最大で約11pHの非緩衝媒体中のアカラブルチニブマレイン酸塩は、その表面pHを3.8~5の範囲の値に緩衝し、pH4~pH11の非緩衝媒体中のアカラブルチニブマレイン酸塩の溶解度は、約3mg/mLで維持されることが測定された。対照的に、非緩衝媒体中のアカラブルチニブ遊離塩基の溶解度は、pHがpH6に近づくにつれて約0.1mg/mL未満に減少した。
【0118】
加えて、アカラブルチニブマレイン酸塩の溶解度を、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤を溶出するのに使用される媒体を代表する緩衝溶液中で測定した。最終pHも同様にアカラブルチニブマレイン酸塩の存在によって影響を受けることが見出され、アカラブルチニブマレイン酸塩は、使用した緩衝液に応じて、同等の最終pHの遊離塩基と比較して過飽和することができたか、又は同等の最終pHの遊離塩基の値と近似した溶解度値を示すことができた。例えば、pH4.5の酢酸緩衝液中のアカラブルチニブマレイン酸塩は、pH4.5の遊離塩基の溶解度よりも格段に高い溶解度で過飽和した。リン酸緩衝液中のリン酸塩濃度及び最終的なpHを調整することによってアカラブルチニブマレイン酸塩の最終pH及び最終溶解度が調節されたが、全ての条件で観察された値は、同等の最終pHのアカラブルチニブ遊離塩基の値に近似していた。
図13は、様々な緩衝溶液中のアカラブルチニブマレイン酸塩及びアカラブルチニブ遊離塩基の溶解度に対する最終pH値を示している。
【0119】
実施例3:アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の物理化学的特性
アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の選択された物理化学的特性を測定し、下記の表2で報告する。
【0120】
【0121】
実施例4:アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤
アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物と様々な賦形剤とを含む錠剤を、直接圧縮又はローラー圧縮のいずれかによって調製し、さらに下記に記載する。直接圧縮錠剤はコーティングせず、ローラー圧縮した錠剤はフィルムコートした。調製した全ての錠剤は、約100mg当量のアカラブルチニブマレイン酸塩一水和物の単位用量を含有するものであった。
【0122】
A.直接圧縮錠剤
表3及び4に記載される組成物の錠剤を、直接圧縮によって調製した。錠剤を圧縮する前に、潤滑剤を除く全ての成分をブレンドし、次いでふるいによって選別し、それから再度ブレンドした。このブレンドに選別した潤滑剤を加え、次いでこれをさらにブレンドすることによって潤滑化した。目的の錠剤の圧縮重量に適した好適な錠剤成形機及び工具を使用して錠剤を圧縮した。錠剤にさらなる潤滑化が必要な場合(すなわち、パンチピッキング又はスティッキングが観察された場合)、錠剤ダイの外側に追加の潤滑剤を適用した。
【0123】
【0124】
【0125】
B.ローラー圧縮錠剤
表5に記載される組成物を有する錠剤を、ローラー圧縮によって調製した。潤滑剤を除く全ての成分をブレンドした。潤滑剤の顆粒内部分を選別し、次いでブレンドに加え、それからこれをさらにブレンドすることによって潤滑化した。潤滑化したブレンドをローラー圧縮してリボンを形成し、続いてこれを粉砕して顆粒にした。潤滑剤の顆粒外部分を選別し、次いで顆粒に加え、それからさらにブレンドすることによって潤滑化した。13×7.5mmの楕円形の錠剤工具を使用して、錠剤コアを目的の400mg及び14kNの圧縮重量及び圧縮力に圧縮した。得られた錠剤コアに、コーティング懸濁剤の3%~4%の重量増加を伴うフィルムコーティングを行った。
【0126】
【0127】
C.ローラー圧縮されたカプセル剤
上記に記載される錠剤に加えて、アカラブルチニブ遊離塩基を含み、表6に記載される組成物を有する標準カプセル剤を調製し、これを以下の実施例のいくつかで使用した。潤滑剤を除く全ての成分をブレンドし、次いでふるいによって選別し、それから再度ブレンドした。このブレンドに選別した潤滑剤を加え、次いでさらにブレンドすることによって潤滑化した。潤滑化したブレンドをローラー圧縮機に供給し、得られたリボンを続いて粉砕し、封入に好適な顆粒を生成した。選別した顆粒外潤滑剤をアカラブルチニブ顆粒とブレンドし、潤滑化したら、カプセル化装置を使用して、240mgの目的の充填重量(すなわち、100mgのアカラブルチニブ遊離塩基)となるように、サイズ1の硬ゼラチンカプセルに充填した。
【0128】
【0129】
D.フィルムコーティング錠剤T21
フィルムコーティング剤形(T21)のさらなる実施例を、下記の表7に記載する。
【0130】
【0131】
実施例5:インビトロ溶出プロファイルの評価
アカラブルチニブマレイン酸塩製剤の低pH条件下及び高pH条件下における溶出プロファイルを評価するために、インビトロ溶出試験を実施した。pH条件は、錠剤を単独で投与する場合(低pH条件)、又はプロトンポンプ阻害剤若しくは還元剤と同時投与する場合(高pH条件)の胃のpH条件を模倣するように選択した。溶出試験の詳細を下記に記載する。
【0132】
1.低pHでの0.1N HCl溶出試験
図14は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T16、T17、及びT18、並びにアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤C1のシンク条件下の低pH試験から得られた溶出プロファイルを示している。37±0.5℃にて50RPMで動作するUSP溶出装置2(パドル)を使用して、0.1Nの塩酸を含有する900mLの溶出媒体で溶出試験を実施した。溶出媒体からの試料を所定の時点で水相から取り出し、HPLC又は紫外/可視分光法のいずれかでアッセイした。結果は、低pH条件下のアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤が、類似した溶出プロファイルを有することを示している。
【0133】
2.中性pHでの低イオン強度の5mMリン酸塩pH6.8溶出試験
図15は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T16、T17、及びT18のシンク条件下の中性pHでの低イオン強度試験から得られた溶出プロファイルを示している。37±0.5℃にて75RPMで動作するUSP溶出装置2(パドル)を使用して、pH6.8に調整した5mMのリン酸ナトリウムを含有する900mLの溶出媒体で溶出試験を実施した。溶出媒体からの試料を所定の時点で水相から取り出し、紫外/可視分光法でアッセイした。結果は、これらのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤が、高pH条件下で試験した場合に、低pH条件下で示された溶出プロファイルを実質的に維持したことを示している。
【0134】
3.中性pHでの高イオン強度の50mMリン酸塩pH6.8溶出試験
図16は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T13及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤C2の中性pHでの高イオン強度試験から得られた溶出プロファイルを示している。37±0.5℃にて75RPMで動作するUSP溶出装置2(パドル)を使用して、pH6.8に調整した50mMのリン酸ナトリウムを含有する900mLの溶出媒体で溶出試験を実施した。溶出媒体からの試料を所定の時点で水相から取り出し、HPLCでアッセイした。結果は、アカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤と比較して、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の高pH条件下の溶出プロファイルが改善したことを示している。
【0135】
4.水溶出試験
図17は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T1及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤C1の緩衝能のない中性媒体(すなわち、プロトンポンプ阻害剤で治療した胃に類似する条件)から得られた溶出プロファイルを示す。50RPM及び37±0.5℃で動作するUSP溶出装置2(パドル)を使用して、脱イオン水を含有する300mLの溶出媒体で溶出試験を実施した。溶出媒体からの試料を所定の時点で水相から取り出し、HPLCでアッセイした。
【0136】
図18は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T13及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤C1の緩衝能のない中性媒体から得られた溶出プロファイルを示している。75RPM及び37±0.5℃で動作するUSP溶出装置2(パドル)を使用して、脱イオン水を含有する900mLの溶出媒体体積で錠剤T13の溶出試験を実施し、300mL及び50RPMで試験を実施した標準カプセル剤C1と比較した。溶出媒体からの試料を所定の時点で水相から取り出し、HPLCでアッセイした。
【0137】
図17及び18に提示される結果は、アカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤と比較して、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の高pH条件下の溶出プロファイルが改善されたことを示している。
【0138】
5.生体関連媒体試験
アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T19の溶出を、酸性の胃コンパートメントに関連する胃条件下、且つまたプロトンポンプ阻害剤又は還元剤を併用した投与に関連する胃条件下で評価した。使用した初期媒体は、塩酸及び塩化ナトリウムを含有し、pHを1.8に調製した疑似胃酸か、又はプロトンポンプ阻害剤で治療した胃を再現するように設計された低緩衝能媒体のいずれかであった(Segregur D.,et al.,”Impact of Acid-Reducing Agents on Gastrointestinal Physiology and Design of Biorelevant Dissolution Tests to Reflect These Changes,” J.Pharm.Sci.,108(11);2461-3477(2019)を参照されたい)。PPI緩衝液は、マレイン酸塩をベースとしたものであり、pH6に調整された塩化ナトリウムを含有するものであった。錠剤T19を初期媒体中に存在させてから30分間後、2倍強の濃縮物を加えることによって媒体をFaSSIF-V2媒体に変換し、最終pHを6.5とした。FaSSIF-V2媒体は、塩化ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、及びレシチンを含むリン酸ナトリウム緩衝液を含有するものであった。最初の30分間は250mL、次いでシフト後に500mL中で、37±0.5℃で75RPMにて動作するUSP溶出装置2(パドル)を使用して溶出試験を実施した。溶出媒体からの試料を所定の時点で水相から取り出し、HPLCでアッセイした。両方の出発媒体でFaSSIF-V2にpHシフトした後、アカラブルチニブ(100mgの遊離塩基の等価用量)は、
図19に明示されるように少なくともさらに90分間沈殿せずに過飽和した。
【0139】
個々の溶出試験において、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T19及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤C3を、疑似胃酸pH1.8を初期媒体として使用して、上記で記載されるように同一のpHシフト条件下で評価した。
図20は、マレイン酸塩錠剤が、空腹時の胃に対応する生体関連条件下で、遊離塩基カプセル剤に相当するインビトロ溶出能力を有することを示す結果を報告するものである。
【0140】
全体的に、インビトロ溶出試験の結果は、低pH条件及び高pH条件下で試験したアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の溶出プロファイルが実質的に同等であることを示しており、さらに、単独で投与した場合、又はプロトンポンプ阻害剤若しくは還元剤と同時投与した場合に、そのような錠剤が生物学的に同等であることを示唆している。
【0141】
実施例6:TIM-1モデルにおける評価
インビトロにおける生成物の能力についての機構的理解を構築し、選択されたインビトロ法の臨床的関連性を立証するためのカスケードの試験に重量なツールである、TNO TIM-1(TIM-1)システムを使用して試験を実施した。TIM-1システムは、これまでに文献に詳細に記載されている。例えば、Barker,R.,et al.,“Application and validation of an advanced gastrointestinal in vitro model for the evaluation of drug product performance in pharmaceutical development,” J.Pharm.Sci.,Volume 103,Issue 11,15,Pages 3704-3712(September 2014)を参照されたい。TIM-1システムは、成人のヒトの上部消化管に見られる条件を模倣するような、インビボに関連する媒体、体積、pH、及び流体力学を利用する、多区画の動的なシステムである。このシステムは、中空繊維の限外濾過による吸収性シンクを模倣するものでもある。体積、媒体組成物、排泄率、温度及びpHは、全て動的にコンピュータ制御され、これによって様々な対象の生理機能、例えば空腹時、食後、又は他の様々なより複雑な疾患状態を明らかにすることができる。
【0142】
より具体的には、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T19及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤C2の相対的な能力を評価するために、本試験をTIM-1システムで実施し、酸性の胃コンパートメントに関連する胃条件下、且つまたプロトンポンプ阻害剤又は還元剤を併用した投与に関連する胃条件下で評価した。選択される条件は、胃のpHが2及び6のヒトを表すものであった。胃排出速度を、pHシフトの観点から製剤にとって最も困難な状況を表す「急速」モードで設定した。このことは、胃コンパートメントのt1/2が、空腹時の成人のインビボ状況では典型的な15分であったことを意味している。TIM-1システムに試験物質を投与し、選択したプロトコールを300分間実行した。次いで、このシステムを自動で実行し、吸収コンパートメントから試料を収集し、60分毎にHPLCでアッセイした。
【0143】
図21は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の能力が、低pH(pH2)条件におけるアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤の能力と同等であったことを示している。また、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の能力は、高pH(pH6)条件による影響を受けず、十二指腸への胃排出によって生じるpHシフトの際に沈殿しなかったことを示している。
【0144】
実施例7:溶出速度に及ぼす粒径及び薬物負荷の影響
アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤のインビトロ溶出に及ぼす原薬の粒径及び原薬負荷の影響を評価するために、試験を実行した。評価する錠剤は、16ミクロン~500ミクロンの範囲のD(v,0.9)粒径(レーザー回折によって測定した)及び26重量%又は43重量%のいずれかの薬剤負荷を有するアカラブルチニブマレイン酸塩(100mgの塩基当量)を含有するものであった。75RPM及び37±0.5℃で動作するUSP2溶出装置(パドル)を使用して、900mLの5mMリン酸ナトリウム緩衝液媒体で溶出試験を実施した。
【0145】
本試験において、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T9、T10、T11、T12、T13、T14、及びT15を評価した。各錠剤の原薬の粒径及び薬物負荷を下記の表8にまとめている。
【0146】
【0147】
図22はさらに、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T10、T11、T13、及びT15の粒径分布を示している。薬物負荷の影響について評価する錠剤は、それぞれ、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T10、T11、T13、及びT15(26重量%の薬物負荷)、並びにアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T9、T2、及びT14(43%重量%の薬物負荷)であった。
図23及び24は、それぞれ、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T10、T11、T13、及びT15(26重量%の薬物負荷)、並びにアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T9、T12、及びT14(43%重量%の薬物負荷)の溶出試験の結果を示している。錠剤の溶出速度は、一般にアカラブルチニブマレイン酸塩の粒径が増大するにつれて低下するが、最も細かいアカラブルチニブ粒径を有する錠剤(T11)には、この観察結果が当てはまらなかった。錠剤T11の結果における差異に関して考えられる1つの説明は、最初の時点で早かった溶出速度が、薬物の湿潤性に欠くために低下したということである。試験条件下で70μm~500μmのD
(v,0.9)の範囲の粒径分布を有するアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤のインビトロ溶出速度は、薬物負荷が26重量%~43重量%に増加した場合に比較的一定となった。
【0148】
実施例8:アカラブルチニブ曝露のGastroPlusモデリング及びシミュレーション
実施例7のアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(すなわち、T10、T11、T13、及びT15)を投与した後のヒト対象のアカラブルチニブ曝露を予測するため、ソフトウェアモデリング及びシミュレーション試験を実施した。実施例7で得られた錠剤溶出速度データを使用して、錠剤毎のバッチ特有の製剤粒径分布(「P-PSD」)をPepin,et al.(Pepin,X.J.H.,et al.,”Bridging in vitro dissolution and in vivo exposure for acalabrutinib.Part I.Mechanistic modelling of drug product dissolution to derive a P-PSD for PBPK model input,” Eur.J.Pharm.Biopharm.,142:421-434(2019))に記載される方法に従って導出し、溶解度を2.144mg/mLと測定した。次いで、この導出したP-PSDを、Pepin et al.(Pepin,X.J.H.,et al.”Bridging in vitro dissolution and in vivo exposure for acalabrutinib.Part II.A mechanistic PBPK model for IR formulation comparison,proton pump inhibitor drug interactions,and administration with acidic juices,” Eur.J.Pharm.and Biopharm.,142:435-448(2019))に記載されるPBPKモデルに入力値として使用し、錠剤の各々でアカラブルチニブに対するヒトの曝露を予測した。
【0149】
シミュレーションでは、100mg遊離塩基当量における酸性胃条件下のT10、T11、T13、及びT15錠剤の全てが、アカラブルチニブ遊離塩基標準カプセル剤C4の平均AUC及びCmax値に相当する平均AUC及びCmax値を有することが予測された。下記の表9は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の計算された平均曝露値、及びこれらの計算値とアカラブルチニブ遊離塩基標準カプセル剤の対応する値の比率についてまとめている。T11錠剤の曝露率は生物学的同等性の下限値に近く、これは、おそらく湿潤性の問題に関連したより低い溶出速度に起因するものであった。
【0150】
【0151】
類似したシミュレーションでは、100mg遊離塩基当量における中性から酸性の胃条件下のT10、T11、T13、及びT15錠剤の全てが、同一のpH範囲にわたるアカラブルチニブ遊離塩基標準カプセル剤C4の平均AUC及びCmax値と比較して、pH範囲にわたって実質的に維持された平均AUC及びCmax値を有することが予測された。このシミュレーションは、アカラブルチニブ曝露に及ぼす還元剤の影響が、酸性から中性のpH範囲にわたって生物学的同等性を維持するアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤によって、アカラブルチニブ遊離塩基標準カプセル剤C4と比較すると実質的に減少する可能性があるという結論を裏付けるものであった。下記の表10は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の計算された平均曝露値、及びこれらの計算値とアカラブルチニブ遊離塩基標準カプセル剤の対応する値の比率についてまとめている。
【0152】
【0153】
実施例9:インビボイヌ試験
アカラブルチニブマレイン酸塩及びオメプラゾールの同時投与を、アカラブルチニブ遊離塩基及びオメプラゾールの同時投与と比較してイヌモデルで評価するために、インビボ試験を実施した。試験中、治療歴のあるビーグル犬に、10mgのオメプラゾールによる前治療を行った場合と行わなかった場合の両方で、100mgのアカラブルチニブ遊離塩基を含有するカプセル剤を投与し、アカラブルチニブのAUC
(0-24)値を測定した。加えて、適切な休薬期間後の同一のイヌに、オメプラゾールによる前治療を行った場合と行わなかった場合の両方で、アカラブルチニブマレイン酸塩(100mg当量)及び200mgの微結晶セルロースの二成分混合物を含有するサイズ13カプセル剤を投与し、アカラブルチニブのAUC
(0-24)値を測定した。試験結果を
図25に示す。オメプラゾールによる前治療を行って投与した場合のアカラブルチニブマレイン酸塩カプセル剤(100mg遊離塩基当量)は、オメプラゾールによる前治療を行わずに投与した場合のアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤に相当する曝露を維持した。
【0154】
実施例10:賦形剤及び賦形剤の組み合わせの評価
アカラブルチニブマレイン酸塩剤形を製剤化する際の特定の賦形剤及び賦形剤の組み合わせの適合性を評価するために、試験を実施した。
【0155】
A.崩壊剤
崩壊剤及びアカラブルチニブマレイン酸塩の二成分混合物(1:5の比率)を調製し、インビトロ溶出試験で評価した。USP2溶出装置(パドル)を37±0.5℃及び75RPMで使用して、二成分ブレンド及びアカラブルチニブマレイン酸塩対照を250mLの脱イオン水に溶出した。120分後の時点でパドル速度を250RPMに増加し、任意の溶解しない材料が残っているかどうかを判断するために、135分後にpHをpH1.8~2に調整して溶解度を上昇させた。試験する二成分混合物は、デンプングリコール酸ナトリウム/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:5の比率)、クロスカルメロースナトリウム/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:5の比率)、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:5の比率)であった。
【0156】
結果を
図26に示す。アカラブルチニブマレイン酸塩対照、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:5の比率)混合物のみが、パドル速度を増加させた後、又は酸を添加した後に顕著に溶出が増加しなかったことを示しており、完全溶出が達成されたことを示唆している。クロスカルメロースナトリウム/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:5の比率)混合物、及びクロスカルメロースナトリウム/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:5の比率)混合物に関しては、酸を調整したときに溶出が顕著に増加したことを示し、完全放出がより高いpHレベルで問題となる可能性があることを示し、場合によってはアカラブルチニブマレイン酸塩から遊離塩基などのより可溶性の低い形態に転換することによって引き起こされる賦形剤/原薬の相互作用が生じていたということを示唆している。
【0157】
B.潤滑剤
崩壊剤及びアカラブルチニブマレイン酸塩の二成分混合物(1:15)を調製し、崩壊剤混合物について上記に記載した同一の条件下のインビトロ溶出試験で評価した。試験した二成分混合物は、ジベヘン酸グリセリル/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:15)、ステアリン酸マグネシウム/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:15)、及びフマル酸ステアリルナトリウム/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:15)であった。
【0158】
結果を
図27に示す。アカラブルチニブマレイン酸塩対照、ジベヘン酸グリセリル/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:15)混合物、及びフマル酸ステアリルナトリウム/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:15)混合物は、パドル速度を増加させた後、又は酸を添加した後に顕著に溶出が増加しなかったことを示しており、完全溶出が達成されたことを示唆している。ステアリン酸マグネシウム/アカラブルチニブマレイン酸塩(1:15)混合物に関しては、パドル速度を増加し、酸を調整したときに溶出が顕著に増加することが観察され、完全放出がより高いpHレベルで問題となる可能性があることを示し、場合によってはアカラブルチニブマレイン酸塩から遊離塩基などのより可溶性の低い形態に転換することによって引き起こされる賦形剤/原薬の相互作用が生じていたということを示唆している。加えて、ステアリン酸マグネシウム及びアカラブルチニブマレイン酸塩の二成分成形体を評価したときに、それらの二成分成形体では、アカラブルチニブマレイン酸塩単独と比較してアカラブルチニブの崩壊の程度が増大したことが示された。
【0159】
C.希釈剤
希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、及びアカラブルチニブマレイン酸塩を含有する直接圧縮錠剤コアを調製し、崩壊剤混合物について上記に記載した同一の条件下のインビトロ溶出試験で評価した。各錠剤コアは、希釈剤として、微結晶セルロース/マンニトール、又は微結晶セルロース/無水リン酸水素カルシウム/マンニトールのいずれかを含んでいた。試験した特定の錠剤コアは、(1)微結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、及びアカラブルチニブマレイン酸塩(T2)、(2)微結晶セルロース、マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、及びアカラブルチニブマレイン酸塩(T3)、(3)微結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、フマル酸ステアリルナトリウム、及びアカラブルチニブマレイン酸塩(T6)、(4)微結晶セルロース、マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、フマル酸ステアリルナトリウム、及びアカラブルチニブマレイン酸塩(T8)、(5)微結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ジベヘン酸グリセリル、及びアカラブルチニブマレイン酸塩(T4)、又は(6)微結晶セルロース、マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ジベヘン酸グリセリル、及びアカラブルチニブマレイン酸塩(T5)を含むものであった。
【0160】
結果を
図28(錠剤コアT2及びT3)、
図29(錠剤コアT6及びT8)、並びに
図30(錠剤コアT4及びT5)に示す。試験した全ての混合物では、無水リン酸水素カルシウムの存在により、酸を調整したときに溶出がより大きく増加する結果となり、このことは、無水リン酸水素カルシウムとアカラブルチニブマレイン酸塩が相互作用することを示唆するものであった。対照的に、無水リン酸水素カルシウムを含まない混合物では、顕著な増加は観察されなかった。加えて、無水リン酸水素カルシウム及びアカラブルチニブマレイン酸塩の二成分成形体を評価したときに、それらの二成分成形体では、アカラブルチニブマレイン酸塩単独と比較してアカラブルチニブの崩壊の程度が増大したことが示された。
【0161】
実施例11:アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の安定性の評価
A.錠剤T19の安定性
屋外保存条件下で、以下の3つのパックで提示された場合のアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(T19)を評価する安定性試験を実施した:
・バルクパック:4層、切り離し式のアルミ箔ラミネートバッグ-185×280mm(1バッグにつき60錠)
・HPDEボトル-1gのシリカゲル乾燥剤キャニスター付きの110mLのインダクションシーリングされたボトル(1ボトルにつき60錠)
・HPDEボトル-2gのシリカゲル乾燥剤キャニスター付きの110mLのインダクションシーリングされたボトル(1ボトルにつき60錠)
安定性試験で調査した保存条件を下記の表11に詳細に記載する。
【0162】
【0163】
26週間の時点で、以下のデータが入手できた:
・説明:試料のいずれかの物理的外観に変化がなかった。
・アッセイ:試験したいずれの試料のアッセイデータに傾向が認められなかった。
・有機不純物:
〇適切なパッケージ(乾燥剤入りのHDPEボトル又はアルミニウム製バルクバック)に保存された試料の場合、不純物のレベルは、認められている不純物では0.7%以下、及び認められない不純物では0.2%以下の規格限界に適合するものであった。
〇40℃/75%RHに曝露して4週間保存すると、0.2%以下の規格限界を超えるレベルの4-{2-[(2S)-1-(2-ブチノイル)-2-ピロリジニル]-5-カルバムイミドイル-1H-イミダゾール-4-イル}-N-(2-ピリジニル)ベンズアミドが生じた。他の全ての不純物は、認められている不純物では0.7%以下、及び認められていない不純物では0.2%以下の規格限界に適合するものであった。
・エナンチオマー純度:全ての試料は、初期の時点と26週目の時点で方法の基準を満たしていた(≧99.6%)。
・溶出(0.1NのHCl):いずれの試料にも傾向が認められなかった。全ての試料は規格(20分でQ=80%)に適合するものであった。
・溶出(pH6.8):いずれの試料にも傾向が認められなかった。全ての試料は20分でQ=80%に適合するものであった。
・含水量:乾燥剤と共に保存された、又はバルクパック内で保存された試料のいずれにも傾向が認められなかった。野外保存試料は全て4週間で含水量が増加し、40℃/75%RHの試料で最も多く増大したことを示した。
・水分活性:結果には傾向が認められなかった。
・微生物学的特性:全ての結果は、規格(Pharm Eur/USP)に適合するものであった。
【0164】
生成されたデータに基づき、適切なバルク保持時間を確保するにはアルミニウム製バルクバックが適切であると見なし、試験するアカラブルチニブマレイン酸塩フィルムコーティング錠剤の適切な貯蔵寿命を確保するには乾燥剤入りのHDPEボトルが適切であると見なした。
【0165】
B.追加の安定性評価
アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T2及びT3の化学安定性を評価するために安定性試験を実施すると、以下の一般的な知見がなされた:
・無水リン酸水素カルシウムの存在が、4-{8-アミノ-3-[(2S)-2-ピロリジニル]-イミダゾ[1,5-a]-ピラジン-1-イル}-N-(2-ピリジニル)-ベンズアミドの形成及びRRT0.05に寄与した。
・ステアリン酸マグネシウムの存在が、4-{2-[(2S)-1-(2-ブチノイル)-2-ピロリジニル]-5-カルバムイミドイル-1H-イミダゾール-4-イル}-N-(2-ピリジニル)-ベンズアミドの形成及びRRT0.82に寄与した。
・微結晶セルロースの存在が、4-{3-[(2S)-1-アセトアセチル-2-ピロリジニル]-8-アミノイミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル}-N-(2-ピリジニル)ベンズアミドの形成、RRT0.82、及びRRT0.05に寄与した。
【0166】
限定されたデータ評価による限定された安定性試験を、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T7及びT15において実施すると、以下の知見がなされた:
・主な分解生成物は、4-{3-[(2S)-1-アセトアセチル-2-ピロリジニル]-8-アミノイミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル}-N-(2-ピリジニル)ベンズアミド、RRT0.82、及び4-{2-[(2S)-1-(2-ブチノイル)-2-ピロリジニル]-5-カルバムイミドイル-1H-イミダゾール-4-イル}-N-(2-ピリジニル)-ベンズアミドであった。
・4-{3-[(2S)-1-アセトアセチル-2-ピロリジニル]-8-アミノイミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル}-N-(2-ピリジニル)ベンズアミドのレベル及びRRT0.82の増加は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T2及びT3で観察されたものよりも大きかった。
・湿度はRRT0.82の形成に大きく貢献すると思われるが、適切なパッケージによって調節することができる可能性が高い。
【0167】
実施例12:アカラブルチニブマレイン酸塩の調製
A.アカラブルチニブ遊離塩基からアカラブルチニブマレイン酸塩への転換
【化4】
テトラヒドロフラン(162L、相対体積9.0)及び水(9L、相対体積0.5)中のアカラブルチニブ(18kg、1.0モル当量)を50℃に加熱して濾過した。テトラヒドロフラン(9L、相対体積0.5)をライン洗浄として使用した。テトラヒドロフラン(68L、相対体積3.75)中のマレイン酸(5kg、1.1モル当量)を50℃で添加した後に、テトラヒドロフラン(5L、相対体積0.25)をライン洗浄した。混合物にアカラブルチニブマレイン酸塩(18mg、相対重量0.001)を播種し、50℃で1時間保持し、次いで1時間かけて20℃まで冷却し、1時間保持した後、湿式ミルで回転させて所望の粒径分布を得た。生成物を次いで濾過してテトラヒドロフラン(36L、相対体積2.0)で洗浄し、次いで40℃の窒素流(>20%の相対湿度)で乾燥させ、アカラブルチニブマレイン酸塩(20.4kg、88%)を一水和物として得た。
【0168】
B.4-{8-アミノ-3-[(2S)-2-ピロリジニル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル}-N-(2-ピリジニル)-ベンズアミドからアカラブルチニブマレイン酸塩への転換
【化5】
アカラブルチニブマレイン酸塩を調製するための代替方法では、アカラブルチニブ遊離塩基の単離を介さずにマレイン酸塩を調製した。テトラヒドロフラン(80mL、相対体積5.3)中の4-{8-アミノ-3-[(2S)-2-ピロリジニル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル}-N-(2-ピリジニル)-ベンズアミド(15.0g、1.0モル当量)及びトリエチルアミン(13.2mL、2.6モル当量)の混合物に、テトラヒドロフラン(15mL、相対体積1.0)中の2-ブチン酸(3.3g、1.1モル当量)を(1時間かけて)添加し、8分後、テトラヒドロフラン(15mL、相対体積1.0)中のプロピルホスホン酸無水物(酢酸エチル中53%w/w)(23.7g、1.1モル当量)を共に(1時間かけて)添加した。反応が完了するまで混合物を撹拌した。混合物を水(30mL、相対体積2.0)でクエンチし、水相を分離して廃棄した。テトラヒドロフラン(7mL、相対体積0.5)でライン洗浄しながら、残存する有機相をフィルターを通して選別した。次いで、混合物を50℃まで加熱し、テトラヒドロフラン(59mL、相対体積3.9)中のマレイン酸(8g、1.9モル当量)で処理した。混合物にアカラブルチニブマレイン酸塩(15mg、相対重量0.001)を播種し、次いで5時間かけて20℃に冷却して濾過し、エタノール(30mL、相対体積2.0)で3回洗浄し、次いでtert-ブチルメチルエーテル(58mL、相対体積3.9)で洗浄し、次いで30分間フィルター上で水分を吸い取らせ、アカラブルチニブマレイン酸塩(16g、74%)を一水和物として得た。
【0169】
上記の方法Bの生成物を分析すると、方法Aの生成物では観察されなかった不純物、(2Z)-4-[(2S)-2-{8-アミノ-1-[4-(2-ピリジニルカルバモイル)フェニル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-3-イル}-1-ピロリジニル]-4-オキソ-2-ブテン酸が存在することが示された。この不純物は、方法Bで調製した原薬で製剤化されたアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の規制上の登録のために不純物の毒性認定が必要となる量で存在した。
【0170】
実施例13:アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の調製
図31は、実施例4のアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤T21を調製するためのプロセスの図式的概略を示している。具体的には、アカラブルチニブマレイン酸塩、マンニトール、微結晶セルロース、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを好適な拡散ミキサーに加え、共に混合する。フマル酸ステアリルナトリウムの顆粒内部分を粉末に加え、混合してからローラー圧縮する。潤滑化したブレンドをローラー圧縮することによって、リボンを生成する。続いて、リボンを好適なミルに通すことによって、リボンを顆粒に粉砕する。この顆粒を、好適な拡散ミキサーを使用してフマル酸ステアリルナトリウムの顆粒外部分と混合する。潤滑化した顆粒を、適切な錠剤成形機を用いて錠剤コアに圧縮する。オレンジ色のフィルムコーティングした懸濁剤を調製し、従来のフィルムコーティングプロセスを用いて錠剤コアに塗布した。
【0171】
実施例14:相対的バイオアベイラビリティ試験
相対的バイオアベイラビリティ、プロトンポンプ阻害剤(ラベプラゾール)の影響、食事の影響、及び粒径の影響を評価するために、健康なヒト対象においてアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の第1相、非盲検、単回投与、連続ランダム化試験を実施した。試験は、2つの試験パートに分かれている。試験パート1は、試験パート2のデザインに通知するためのパイロット試験として、アカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤と対比したアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の相対的バイオアベイラビリティを試験することが意図される。また、試験パート1は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤に曝露したときのプロトンポンプ阻害剤(「PPI」)の影響と食事の影響とを試験することが意図される。パート1の安全性及び薬物動態データを精査した後に、試験は試験パート2に続く。試験パート2は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤に曝露したときの原薬の粒径の変化の影響、及び溶液と対比したアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の相対的バイオアベイラビリティを試験することが意図される。この試験結果は、評価するアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の薬物動態及び薬力学的プロファイルに関する情報を提供するものである。
【0172】
A.試験デザイン
パート1の試験目的
主要目的:
・アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の相対的バイオアベイラビリティを、空腹時のアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤と比較して評価すること。
【0173】
副次的目的:
・アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤のACP-5862の薬物動態プロファイルを、空腹時のアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤と比較して評価すること。
・アカラブルチニブ、及びアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤を投与した後に得られるその代謝物(ACP-5862)の薬物動態プロファイルに及ぼすプロトンポンプ阻害剤、ラベプラゾールの効果を評価すること。
・アカラブルチニブ、及びアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤を投与した後に得られるその代謝物(ACP-5862)の薬物動態に及ぼす食事の影響を評価すること。
・健康な対象における単回用量のアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の安全性及び忍容性を評価すること。
・単離PBMCにおいて、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤に対する薬力学的パラメーターであるBTK受容体の占有率を測定すること。
【0174】
探索的目的:
・ピロリ菌(H pylori)呼気検査のステータス(存在する/しない)によって曝露の差を評価すること。
・スマートピルのpH情報を収集し、この情報を入力値としてPBPKモデルに使用し、個々のインビボ溶出を計算すること。
【0175】
パート2の試験目的
主要目的:
・アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤のバイオアベイラビリティに及ぼす原薬の粒径の影響を評価すること。
【0176】
副次的目的:
・アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤のACP-5862の薬物動態プロファイルに及ぼす原薬の粒径の影響を評価すること。
・健康な対象で、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤とアカラブルチニブ経口溶液の薬物動態を比較すること。
・健康な対象で、単回用量の様々な原薬の粒径分布を有するアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の安全性及び忍容性を評価すること。
・健康な対象で、単回用量のアカラブルチニブ経口溶液の安全性、忍容性、味、及び臭いを評価すること。
【0177】
パート1の試験デザイン:
試験のパート1は、健康な対象(男性又は妊娠の可能性のない女性)における新規のアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の非盲検、3治療期間、4治療、単施設の相対的バイオアベイラビリティ、PPIの影響、及び食事の影響におけるランダム化クロスオーバー試験である。
【0178】
試験パート1は、以下から構成される:
・最長28日のスクリーニング期間、
・対象が投与の前夜(-1日目)夕食前から投与後の少なくとも48時間まで居住し、3日目の朝に退院する3治療期間、及び
・7~10日以内の追跡調査来院。
各アカラブルチニブの投与の間には、7日の最低休薬期間が存在する。各対象は、空腹又は食後条件下で3治療期間に以下の4つの治療のうちの3つを受ける。対象はランダム化され、治療期間1及び2で治療A又はBのいずれかを受け、その後治療期間3で治療C又はDのいずれかを受ける。100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1)は、原薬が218μm以下のD(v,0.9)粒径を有する錠剤T21(実施例4、表7を参照されたい)の組成物を有する。
・治療A:100mgのアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤、空腹時(>10時間)*。
・治療B:100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1)、空腹時(>10時間)*。
・治療C:100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1)、食後*,**。
・治療D:-3日目、-2日目及び-1日目に、100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1)を投与する2時間前にラベプラゾール20mg×1(空腹時)を*、その後ラベプラゾール20mgを(食事と共に)BIDで事前投与する。
*対象毎に、スマートピルを120mLの静水と共に投与した直後、単回経口用量のアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(治療B、C若しくはD)又はアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤(治療A)を120mLの静水と共に投与し、続いて24時間にわたってPKを採取する。
**対象は、スマートピル/100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤を投与する30分前に、高脂肪の(FDAによる)食事の摂取を開始する。対象は、25分間で食事を取ることが求められるが、しかしながら、スマートピル/IMPは、食事を開始して30分後に投与しなければならない。
【0179】
パート2の試験デザイン:
本試験のパート2は、健康な対象(男性又は妊娠の可能性のない女性)における単回用量のアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤のPKに及ぼす粒径の影響を判断する、非盲検、4治療期間、4治療、単施設の相対的バイオアベイラビリティ、ランダム化クロスオーバー試験である。
【0180】
試験パート2は、以下から構成される:
・最長28日のスクリーニング期間、
・対象が投与の前夜(-1日目)夕食前から投与後の少なくとも48時間まで居住し、3日目の朝に退院する4治療期間、及び
・7~10日以内の追跡調査来院。
【0181】
各アカラブルチニブの投与の間には少なくとも3日の最低休薬期間が存在する。
【0182】
各対象は、以下の治療を受ける:
・治療A:100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1)、空腹時
・治療B:100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例2)、空腹時
・治療C:100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例3)、空腹時
・治療D:100mgのアカラブルチニブ溶液、空腹時
【0183】
100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1)は、中間の粒径の原薬を含むが、一方で100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例2)は、より小さな粒径の原薬を含み、100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例3)は、より大きな粒径の原薬を含む。具体的には、100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤は、錠剤T21(実施例4、表7を参照されたい)の組成物を有し、変形例1は、218μm以下のD(v,0.9)粒径を有する原薬を含み、変形例2は、160μm以下のD(v,0.9)粒径を有する原薬を含み、変形例3は、319μm以下のD(v,0.9)粒径を有する原薬を含む。
【0184】
予想される試験期間
パート1では、各対象は約7~8週間で試験に関与する。パート2では、各対象は約6~7週間で試験に関与する。
【0185】
標的となる試験集団
試験のパート1では、少なくとも24人の評価可能な対象を確保するために、18~55歳(18歳と55歳を含む)の合計28人の健康な男性及び女性対象が含まれる。試験のパート2では、最後の治療期間の終了時に20人の評価可能な対象を確保するために、18~55歳(18歳と55歳を含む)の合計24人の健康な男性及び女性対象が含まれる。
【0186】
アウトカム評価項目
薬物動態評価項目:
血漿中のアカラブルチニブ及び代謝物(ACP-5862)の濃度を測定するために、連続静脈血試料を入手する。可能であれば、薬物動態パラメーターをアカラブルチニブ及び代謝物ACP-5862について血漿濃度において評価する。
【0187】
パート1及び2:
・一次PKパラメーター:アカラブルチニブのCmax、AUClast、AUCinf
・二次PKパラメーター:ACP-5862のCmax、AUClast、AUCinf;アカラブルチニブ及びACP-5862:AUC0-12、AUClast、AUCinf、%AUCextrap、Cmax、t1/2、tmax、Kel、Frel、CL/F(親のみ)、Vz/F(親のみ)、Cmax、AUClast、AUCinfのACP-5862(代謝物)とアカラブルチニブ(親)の比(M/P)。
・必要に応じて追加のPKパラメーターを測定してもよい。
【0188】
安全性及び忍容性評価項目:
安全性及び忍容性変数としては、以下のものが挙げられる:
・有害事象/重篤な有害事象。
・臨床検査評価(血液学的検査、臨床化学的検査、凝固及び尿検査)。
・身体検査。
・心電図(12誘導ECG):
・生命徴候(収縮期BP及び拡張期BP、脈拍数、呼吸数、体温)。
・味及び臭いの評価(パート2のみ)。
【0189】
探索的評価項目(パート1):
・アカラブルチニブ及びACP-5862:反復測定共分散分析(ANCOVA)を用いて、PKパラメーター(AUClast、AUCinf、及びCmax)を分析し、適切な統計手順を用いて胃のpH及び胃排出速度による曝露の差を評価する。
・胃腸管全体の温度、pH及び圧力プロファイル;アカラブルチニブ生成物を投与した直後(第1の測定可能な時点)の胃のpH(パート1のみ)
・ピロリ菌(H pylori)呼気検査のステータス
【0190】
パート1の統計方法:
アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤の相対的バイオアベイラビリティを、空腹時のアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤と比較して評価するため、アカラブルチニブ及びその代謝物であるACP-5862の一次PKパラメーターを、治療B(アカラブルチニブ)と治療A(アカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤)で比較する。Cmax、AUCinf、及びAUClastの自然対数を反応変数として、順序、期間、治療を固定効果として、順序内にネストされたボランティアを変量効果として用いる分散モデルの線形混合効果分析を使用して分析を実施する。対数スケールから逆変換し、AUCinf、AUClast、及びCmaxの幾何平均をCI(両側95%)と共に推定して提示する。また、幾何平均比をCI(両側90%)と共に推定して提示する。
【0191】
アカラブルチニブ、及びアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤を投与した後に得られるその代謝物(ACP-5862)のPKプロファイルに及ぼすプロトンポンプ阻害剤、ラベプラゾールの効果を評価するために、アカラブルチニブ及びその代謝物、ACP-5862の一次PKパラメーターを、治療D(ラベプラゾール)と治療B(アカラブルチニブ)で同一の分散分析(ANOVA)モデルにより比較する。
【0192】
アカラブルチニブ、及びアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤を投与した後に得られるその代謝物(ACP-5862)のPKに及ぼす食事の効果を評価するために、アカラブルチニブ及びその代謝物、ACP-5862の一次PKパラメーターを、同一のANOVAモデルにより、治療C(食後)と治療B(空腹時)で比較する。
【0193】
パート2の統計方法
アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤のバイオアベイラビリティに及ぼす原薬の粒径の影響を評価するために、アカラブルチニブ及びその代謝物、ACP-5862の一次PKパラメーターを治療B(標的よりも小さい)と治療A(標的)、治療C(標的よりも大きい)と治療A(標的)、及び治療C(標的よりも大きい)と治療B(標的よりも小さい)で比較し、Cmax、AUCinf、及びAUClastの自然対数を反応変数として、順序、期間、治療を固定効果として、順序内にネストされたボランティアを変量効果として用いる分散モデルの線形混合効果分析を使用して分析を実施する。対数スケールから逆変換し、AUCinf、AUClast、及びCmaxの幾何平均をCI(両側95%)と共に推定して提示する。また、CI(両側90%)と共に幾何平均比を推定して提示する。
【0194】
アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤とアカラブルチニブ経口溶液のPKを比較するため、アカラブルチニブ及びその代謝物、ACP-5862の一次PKパラメーターを、同一のANOVAモデルにより、治療D(溶液)と治療A(標的)で比較する。
【0195】
パート1及びパート2の統計方法:
加えて、ANOVAによる同じ比較を用いて、平均tmaxの差異の90%CIを計算し、提示する。比較及び分析毎に平均差異及び90%信頼区間を集計する。
【0196】
結果は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤と共にPPI又は他の還元剤を同時投与しても、アカラブルチニブ及びACP-5862の曝露に影響しないことを立証することが予期される。
【0197】
B.試験結果
薬物動態
パート1の試験結果は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1)とアカラブルチニブカプセル剤とが、類似したバイオアベイラビリティを有することを示すものであった。
・アカラブルチニブ及び代謝物ACP-5862の平均薬物動態曝露(Cmax及びAUC)は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1)及びアカラブルチニブカプセル剤を空腹下で投与した後で類似したものであった。相対的バイオアベイラビリティは、アカラブルチニブのCmax及びAUCでは、それぞれ約91%及び98%であり、ACP-5862のCmax及びAUCでは、それぞれ約100%及び103%~104%であった。
・PPI(ラベプラゾール)とアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1)との同時投与は、アカラブルチニブ及び代謝物ACP-5862の薬物動態曝露に明らかな影響を及ぼさなかった。アカラブルチニブの場合、Cmaxはわずかに低く(幾何平均で約24%の差異)、AUCはわずかに高かった(幾何平均で約14~17%の差異)。ACP-5862のCmaxは約30%低く、PPIの存在下と非存在下とでAUCと同等であった。
・アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1)の場合、食品によってアカラブルチニブ及びACP-5862のCmaxがそれぞれ約54%及び36%減少し、全体的なAUCには影響を及ぼさなかった。
・治療全体にわたってBTK占有率に差異がなかったため、アカラブルチニブ及びACP-5862のCmaxにおける対象間の変動(幾何CV%)は最大で約81%であり、観察されたCmaxにおける差異は、臨床的に意味のある影響である可能性が低い。
【0198】
試験のパート1の血漿薬物動態パラメーターの概要を下記の表12~16に示す。
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
パート2の試験結果は、アカラブルチニブマレイン酸塩の粒径が、評価した粒径の範囲にわたり、アカラブルチニブ及びACP-5862の薬物動態に有意な影響を及ぼさないことを示すものであった。投与後、変形例1、2、及び3の全てで同等の薬物動態曝露が生じた。
・アカラブルチニブ及び代謝物ACP-5862の平均薬物動態曝露(Cmax及びAUC)は、異なる粒径を有するアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1、2、及び3)を経口投与した後で類似したものであった。幾何平均比の90%CIは、ほぼ又は十分に80%~125%のマージンの範囲内であった。
・アカラブルチニブ溶液は、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(変形例1)と対比してより高いCmaxと、同等のAUCとを有していた。相対的バイオアベイラビリティは、アカラブルチニブのCmax及びAUCでは、それぞれ約122%及び102%であり、ACP-5862のCmax及びAUCでは、それぞれ約124%及び106%~107%であった。
【0205】
試験のパート2の血漿薬物動態パラメーターの概要を表17~21に示す。
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
薬力学
試験のパート1において、カプセル剤又は錠剤として投与した場合のアカラブルチニブのBTK受容体の占有率を調査した。結果は、投与後の全ての時点(4、12、及び24時間)にわたり、錠剤及びカプセル剤を投与した後のBTK占有率が類似していることを示すものであった。加えて、錠剤製剤のBTK占有率は、食品又はPPIの投与による影響を受けなかった。
【0212】
探索
胃のpHは、100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩フィルムコーティング錠剤からのアカラブルチニブマレイン酸塩の曝露に影響を与えず、従って、錠剤のインビボ溶出は胃のpHに感受性がなかったことが見出された。
【0213】
安全性
全体として、100mgのアカラブルチニブマレイン酸塩フィルムコーティング錠剤に新規の安全性上の懸念は見られず、この新規製剤は忍容性が良好であった。
【0214】
実施例15:生物学的同等性の評価
健康な対象において非盲検、ランダム化、2期クロスオーバー生物学的同等性試験を実施し、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(試験製剤)及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤(標準製剤)の生物学的同等性を評価した。本試験は、規制上の要件に従ってアカラブルチニブマレイン酸塩錠剤及びアカラブルチニブ遊離塩基カプセル剤が生物学的に同等であることを立証することを意図するものである。
【0215】
試験の表題:
アカラブルチニブ錠剤及びアカラブルチニブカプセル剤の生物学的同等性を評価する、健康な対象における第I相、非盲検、ランダム化、2治療、2期間、クロスオーバー試験。
【0216】
試験の理論的根拠:
アカラブルチニブは、生物薬剤学分類システム(BCS)のクラスII薬物(高透過性、低溶解性)であり、生理学的pHの範囲において2の塩基解離定数を示す。アカラブルチニブの溶解度は、pHが増加するにつれて減少する。pH4未満では、薬物は高溶解性となる。しかしながら、酸還元剤を服用している(すなわち、pH4を上回る)患者では、胃/腸における薬物の溶解度は、薬物を確実に完全に溶解及び吸収するには不十分である。第I相試験(試験ACE-HV-112)からのこれまでの所見では、40mgのオメプラゾール(プロトンポンプ阻害剤(PPI))を1日1回(qd)投与した後にアカラブルチニブカプセル剤100mgを投与した場合、通常の酸性pH条件で薬物を投与した場合と比較してAUCが43%減少し、Cmaxが72%減少することが示された。
【0217】
100mg当量の遊離部分の投与では、アカラブルチニブマレイン酸塩錠剤(AMT))は、アカラブルチニブカプセル剤(すなわち、Calquence)とは対照的に、インビトロでpHに依存した放出を示している。相対的バイオアベイラビリティ試験(実施例14を参照されたい)の結果によって、AMTを投与した後のアカラブルチニブ及びその活性代謝物、ACP-5862の全身曝露は、PPIの存在下又は非存在下で類似しており、100mgのアカラブルチニブカプセル剤によって観察された全身曝露と同等であることが立証された。本生物学的同等性試験は、100mgのAMTが、ヒトにおけるアカラブルチニブの薬物動態(PK)に及ぼすPPIの影響を排除することを確認することを意図するものである。
【0218】
計画された対象の人数
治療期間2の終了時に、少なくとも52名の評価可能な対象(順序あたり26名)を確保するために、約64名の対象(治療順序あたり約32人)をランダム化する。
【0219】
試験目的
主要目的:
空腹時に投与されるAMT及びアカラブルチニブカプセル剤の生物学的同等性を立証すること。
【0220】
副次的目的:
・AMT及びアカラブルチニブカプセル剤を投与した後の、アカラブルチニブの活性代謝物であるACP-5862の薬物動態プロファイルを比較すること。
・単回用量のAMT及びアカラブルチニブカプセル剤の安全性及び忍容性を評価すること。
【0221】
探索的目的:
・アカラブルチニブの薬力学(PD)を測定すること。
【0222】
試験デザイン
本試験は、米国内の約3箇所の試験施設における、健康な対象に経口投与される単回用量のアカラブルチニブによる多施設、第I相、非盲検、ランダム化、2順序、2治療、2期間、クロスオーバー、生物学的同等性試験である。この試験は、空腹時における市販のアカラブルチニブカプセル剤(治療B)と比較したAMT(治療A)の生物学的同等性を立証するためにデザインされている。
【0223】
試験は、以下から構成される:
・来院1:初回投与後の最長28日のスクリーニング期間。
・来院2:2治療期間:
〇初回投与前に適格性を確認するため、治療期間1の-2日目に対象を試験施設に受け入れる。各治療期間の-1日目に、適格基準を確認する。
〇治療期間1及び2の1日目に、ランダムに割り当てられた治療(A又はB)を対象に施した後に、治療期間1及び2の間に少なくとも5日間の休薬期間を設ける。
〇予定した試験評価が完了した後、対象を治療期間2の3日目の朝に試験施設から退院させる。
・来院3:IMPを最後に投与して7~10日目後の追跡調査来院/早期中止の来院。
【0224】
追跡調査来院/早期中止の来院において、必要であれば、遠隔医療診療を現地での来院又はその一部と置き換えてもよい(遠隔医療診療を実施する場合、臨床検査、ECG、及び鼓膜温度は行わない)。遠隔医療診療という用語は、仮想又はビデオ診療を指す。内戦、自然災害、又はCOVID-19パンデミックなどの公衆衛生上の危機の間は、地域/地方のガイドラインで認められる場合、現場での来院を遠隔医療診療に置き換えてもよい。遠隔医療によって対象とコンタクトを取ることで、試験要件に従って収集すべき有害事象(AE)及び併用薬を報告及び文書化することが可能となる。
【0225】
治療順序1(AB)又は治療順序2(BA)のいずれかを受けるように対象をランダム化する。AMTは、原薬が218μm以下のD(v,0.9)粒径を有する錠剤T21(実施例4、表7を参照されたい)の組成物を有する。
・治療A:AMT、100mg、空腹時。
・治療B:アカラブルチニブカプセル剤、100mg、空腹時。
対象に、空腹時の条件下で、2つの場合で固定単回用量のアカラブルチニブを受けさせる。
【0226】
予想される試験期間
各対象は約6週間で試験に関与する。
【0227】
標的となる試験集団
BMIが18.5~30kg/m2(18.5kg/m2と30kg/m2を含む)であり、非喫煙者の18~55歳(18歳と55歳を含む)の健康な成人男性及び女性対象であり、女性は妊娠の可能性がない必要がある。
【0228】
試験製剤と標準製剤
【0229】
【0230】
アウトカム評価項目
安全性及び忍容性評価項目:
・有害事象。
・臨床検査評価(血液学的検査、凝固、臨床化学的検査、及び尿検査)。
・身体検査。
・心電図(ECG)。
・生命徴候(収縮期血圧[BP]、拡張期BP、脈拍、呼吸数、鼓膜、温度)。
【0231】
薬物動態評価項目:
一次PKパラメーター:
・アカラブルチニブ-AUCinf、AUClast、Cmax
【0232】
二次PKパラメーター:
・アカラブルチニブ-tmax、t1/2λz、MRT、λz、CL/F、Vz/F
・ACP-5862-AUCinf、AUClast、Cmax、tmax、t1/2λz、MRT、λz、M:P[AUC]、M:P[Cmax]
【0233】
統計方法
全ての統計解析並びに表、図及びリストの作成は、SAS(登録商標)バージョン9.4又はより最新のバージョンを使用して行う。
【0234】
解析データ対象集団:
安全性解析対象集団には、治療期間1で少なくとも1回の投与を受け、あらゆる投与後の安全性データが利用可能な全ての対象が含まれる。PK解析対象集団は、重大なプロトコール逸脱又はPKデータの解析に影響すると見なされる有害事象のない、少なくとも1つの定量可能な投与後のアカラブルチニブ濃度を有する安全性解析対象集団内の全ての対象からなる。ランダム化した対象集団は、試験にランダム化された全ての対象からなる。
【0235】
安全性及び忍容性データの提示及び解析:
全ての安全性データ(予定された、及び予定外のもの)は、データリストで提示される。記述統計(対象の人数[n]、平均値、標準偏差[SD]、最低値、中央値、最大値)を用いて、連続変数を治療毎に集計する。カテゴリー変数を治療毎に度数分布表(頻度及び割合)に集計する。安全性変数の解析は、安全性解析対象集団を基準とする。
【0236】
最新版の医薬品規制用語集(MedDRA)の語彙を使用して、器官別大分類(SOC)及び優先語によって有害事象を集計する。データの作表及びリスト化は、生命徴候、臨床検査、及びECGに関して提示される。ベースライン評価と比較した、あらゆる新規の又は悪化した臨床的に意義のある異常な医学上の理学的検査所見を有害事象として報告する。臨床検査データは、臨床検査室によって提供された単位、又は国際単位系で報告する。
【0237】
薬物動態データの提示:
PK血液試料の収集時間のリスト、及び導出された採取時間のずれが提供される。各分析物に対し、血漿濃度及びPKパラメーターを治療毎に集計する。診断用のPKパラメーターを集計し、リスト化する。作表は、PK解析対象集団を基準とする。PK解析対象集団から除外された対象のデータはデータリストに含まれるが、記述統計又は推測統計には含まれない。各分析物で、実時間に対する個々の血漿濃度を線形及び片対数スケールにプロットし、全ての治療を同一のプロット及び対象毎の別々のプロットに重畳する。実時間に対する組み合わせた個々の血漿濃度を、各治療及び分析物毎の別々のプロットと共に線形及び片対数スケールにプロットする。名目上の採取時間に対する幾何平均血漿濃度を線形スケール(-/+幾何SD)及び片対数スケール(幾何SDは表示しない)にプロットし、全ての治療を同一の図及び分析物毎の別々の図に重畳する。全てのプロットは、安全性解析対象集団を基準とする対象による個々のプロットを除き、PK解析対象集団を基準とする。
【0238】
薬物動態データの統計解析:
生物学的同等性を、PK解析対象集団を基準として、治療A:AMT(試験)と治療B:アカラブルチニブカプセル剤(標準)との間で評価する。順序、期間、治療を固定効果として、順序内にネストされた対象を変量効果として、アカラブルチニブのCmax、AUClast、及びAUCinfの自然対数を反応変数として用いる分散モデルの線形混合効果分析を使用して分析を実施する。対数スケールから逆変換し、Cmax、AUClast、及びAUCinfの幾何平均を信頼区間(CI)(両側95%)と共に推定して提示する。また、幾何平均比をCI(両側90%)と共に推定して提示する。加えて、inter-%CV及びintra-%CVを、アカラブルチニブ及びACP-5862のCmax、AUCinf、AUClastについてそれぞれ推定して提示する。
【0239】
生物学的同等性基準:
試験及び標準間のCmax及びAUClast又はAUCinfの対数変換した幾何平均比の90%CIが、80.00%及び125.00%の範囲内に完全に含まれている場合、2つの治療が生物学的に同等であることが結論づけられることになる。生物学的同等性を立証するための統計解析を、全ての試験施設にわたるPKデータを組み合わせることによって実施する。
【0240】
薬力学的データの提示及び解析:
探索的PDパラメーター(BTK受容体の占有率)の結果を、薬物動態解析対象集団を基準として、必要に応じてリスト化及び集計する。
【0241】
例数の決定:
アカラブルチニブのCmax及びAUCinfでは80.00%~125.00%の範囲の生物学的同等性、Cmaxでは29.8%、AUCinfでは15.1%の対象内CV(試験ACE-HV-115)、並びに0.95の「試験/標準」平均比率に基づき、90%の検出力を達成するために52名の評価可能な対象が必要となる。
【0242】
全体として、それぞれCmax及びAUCinfの各々に対して生物学的同等性であると結論づけるために、合計64名の対象により少なくとも95%の検出力が得られることとなる。
【0243】
VIII.実施形態
実施形態1:ヒトに経口投与するための、約75mg~約125mg(遊離塩基当量)のアカラブルチニブマレイン酸塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤とを含む固形薬学的剤形であって、剤形が、(i)USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、0.1Nの塩酸溶出媒体、及び50RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約30分以内に溶出する条件;並びに(ii)USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約60分以内に溶出する条件を満たす固形薬学的剤形。
【0244】
実施形態2:剤形が、(i)USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、0.1Nの塩酸溶出媒体、及び50RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約20分以内に溶出する条件;並びに(ii)USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約75%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約45分以内に溶出する条件を満たす、実施形態1に記載の剤形。
【0245】
実施形態3:剤形が、(i)USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、0.1Nの塩酸溶出媒体、及び50RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約80%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約20分以内に溶出する条件;並びに(ii)USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約80%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約30分以内に溶出する条件を満たす、実施形態1に記載の剤形。
【0246】
実施形態4:剤形が、(i)USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、0.1Nの塩酸溶出媒体、及び50RPMのパドル回転数を用いて実施されたインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約80%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約15分以内に溶出する条件;並びに(ii)USP溶出装置2(Paddle Apparatus)、900mLの溶出体積、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体、及び75RPMのパドル回転数を用いて実施されるインビトロ溶出試験で測定されるように、少なくとも約80%のアカラブルチニブマレイン酸塩が約20分以内に溶出する条件を満たす、実施形態1に記載の剤形。
【0247】
実施形態5:アカラブルチニブマレイン酸塩がアカラブルチニブマレイン酸塩一水和物である、実施形態1~4のいずれかに記載の剤形。
【0248】
実施形態6:アカラブルチニブマレイン酸塩一水和物が結晶形態Aである、実施形態5に記載の剤形。
【0249】
実施形態7:少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、少なくとも1種の希釈剤、少なくとも1種の崩壊剤、及び少なくとも1種の潤滑剤から選択される、実施形態1~6のいずれかの剤形。
【0250】
実施形態8:剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体中のアカラブルチニブマレイン酸塩の溶出速度が、その初期の溶出速度から20%超減少しない、実施形態1~7のいずれかに記載の剤形。
【0251】
実施形態9:剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体中のアカラブルチニブマレイン酸塩の溶出速度が、その初期の溶出速度から10%超減少しない、実施形態1~7のいずれかに記載の剤形。
【0252】
実施形態10:剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体中のアカラブルチニブマレイン酸塩の溶出速度が、その初期の溶出速度から5%超減少しない、実施形態1~7のいずれかに記載の剤形。
【0253】
実施形態11:剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、5mMのリン酸塩pH6.8溶出媒体中のアカラブルチニブマレイン酸塩の溶出速度が、その初期の溶出速度から2%超減少しない、実施形態1~7のいずれかに記載の剤形。
【0254】
実施形態12:剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、剤形に存在するアカラブルチニブマレイン酸塩の約5%(w/w)以下が劣化する、実施形態1~11のいずれかに記載の剤形。
【0255】
実施形態13:剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、剤形に存在するアカラブルチニブマレイン酸塩の約2%(w/w)以下が劣化する、実施形態1~11のいずれかに記載の剤形。
【0256】
実施形態14:剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、剤形に存在するアカラブルチニブマレイン酸塩の約1%(w/w)以下が劣化する、実施形態1~11のいずれかに記載の剤形。
【0257】
実施形態15:剤形を適切なパッケージ内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、剤形に存在するアカラブルチニブマレイン酸塩の約0.5%(w/w)以下が劣化する、実施形態1~11のいずれかに記載の剤形。
【0258】
実施形態16:剤形が、胃酸還元剤を投与されていない空腹時のヒト対象に経口投与される場合に、100mgのCalquence(登録商標)カプセル剤と生物学的に同等であり、ここで、100mgのCalquence(登録商標)カプセル剤に対する剤形の相対平均Cmax、AUC(0-t)、及びAUC(0-∞)の信頼区間が80%~125%の範囲内である場合に、生物学的に同等である、実施形態1~15のいずれかに記載の剤形。
【0259】
実施形態17:剤形が、空腹時のヒト対象の集団に1日2回投与される場合に、(i)ヒト対象の集団の平均Cmax値が、約400ng/mL~約900ng/mLであり;(ii)ヒト対象の集団の平均AUC(0-24)値が、約350ng・hr/mL~約1900ng・hr/mLであり;及び/又は(iii)ヒト対象の集団の平均AUC(0-∞)値が、約350ng・hr/mL~約1900ng・hr/mLであるアカラブルチニブの薬物動態条件の1つ以上を満たす、実施形態1~15のいずれかの剤形。
【0260】
実施形態18:剤形が、ヒト対象の集団に胃酸還元剤と同時投与される、実施形態17に記載の剤形。
【0261】
実施形態19:剤形が、ヒト対象に1日2回投与される場合に、末梢血単核球中に少なくとも約90%の中央値の定常状態のブルトン型チロシンキナーゼ占有率を提供する、実施形態1~18のいずれかに記載の剤形。
【0262】
実施形態20:剤形が、ヒト対象に1日2回投与される場合に、末梢血単核球中に少なくとも約95%の中央値の定常状態のブルトン型チロシンキナーゼ占有率を提供する、実施形態1~18のいずれかに記載の剤形。
【0263】
実施形態21:剤形が、ヒト対象の集団に胃酸還元剤と同時投与される、実施形態19又は20に記載の剤形。
【0264】
実施形態22:アカラブルチニブマレイン酸塩が、剤形の約15重量%~約55重量%(遊離塩基当量)の量で存在する、実施形態1~21のいずれかに記載の剤形。
【0265】
実施形態23:アカラブルチニブマレイン酸塩が、剤形の約20重量%~約50重量%(遊離塩基当量)の量で存在する、実施形態1~21のいずれかに記載の剤形。
【0266】
実施形態24:アカラブルチニブマレイン酸塩が、剤形の約25重量%~約50重量%(遊離塩基当量)の量で存在する、実施形態1~21のいずれかに記載の剤形。
【0267】
実施形態25:アカラブルチニブマレイン酸塩が、剤形の約25重量%~約40重量%(遊離塩基当量)の量で存在する、実施形態1~21のいずれかに記載の剤形。
【0268】
実施形態26:少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、少なくとも1種の希釈剤を含む、実施形態1~25のいずれかに記載の剤形。
【0269】
実施形態27:少なくとも1種の希釈剤が、剤形の約10重量%~約70重量%の量で存在する、実施形態26に記載の剤形。
【0270】
実施形態28:少なくとも1種の希釈剤が、剤形の約20重量%~約70重量%の量で存在する、実施形態26に記載の剤形。
【0271】
実施形態29:少なくとも1種の希釈剤が、剤形の約30重量%~約70重量%の量で存在する、実施形態26に記載の剤形。
【0272】
実施形態30:少なくとも1種の希釈剤が、剤形の約40重量%~約70重量%の量で存在する、実施形態26に記載の剤形。
【0273】
実施形態31:少なくとも1種の希釈剤が、アカラブルチニブの一級アミン部分の安定性に影響を与えない、実施形態26~30のいずれかに記載の剤形。
【0274】
実施形態32:少なくとも1種の希釈剤が、ラクトースを含まない、実施形態26~30のいずれかに記載の剤形。
【0275】
実施形態33:少なくとも1種の希釈剤が、マレイン酸捕捉剤を含まない、実施形態26~32のいずれかに記載の剤形。
【0276】
実施形態34:少なくとも1種の希釈剤が、無水リン酸水素カルシウムを含まない、実施形態26~33のいずれかに記載の剤形。
【0277】
実施形態35:少なくとも1種の希釈剤が、塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含む、実施形態26~34のいずれかに記載の剤形。
【0278】
実施形態36:塑性希釈剤と脆性希釈剤のw/w比が、約0:100~約60:40である、実施形態35に記載の剤形。
【0279】
実施形態37:(i)1つ以上の希釈剤が、剤形の約10重量%~約70重要%の総量で塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、(ii)塑性希釈剤が、剤形の約0重量%~約70重量%の量で存在し、(iii)脆性希釈剤が、剤形の約0重量%~約50重量%の量で存在する、実施形態35又は36に記載の剤形。
【0280】
実施形態38:少なくとも1種の希釈剤が、マンニトールを含む、実施形態26~34のいずれかに記載の剤形。
【0281】
実施形態39:少なくとも1種の希釈剤が、微結晶セルロースを含む、実施形態26~34のいずれかに記載の剤形。
【0282】
実施形態40:少なくとも1種の希釈剤が、マンニトール及び微結晶セルロースを含む、実施形態26~34のいずれかに記載の剤形。
【0283】
実施形態41:マンニトールと微結晶セルロースのw/w比が、約0:100~約60:40である、実施形態40に記載の剤形。
【0284】
実施形態42:マンニトールが、剤形の約10重量%~約70重量%の量で存在する、実施形態38に記載の剤形。
【0285】
実施形態43:微結晶セルロースが、剤形の約5重量%~約50重量%の量で存在する、実施形態39に記載の剤形。
【0286】
実施形態44:(i)マンニトールが、剤形の約0重量%~約70重量%の量で存在し、(ii)微結晶セルロースが、剤形の約0重量%~約50重量%の量で存在し、(iii)マンニトール及び微結晶セルロースの総量が、剤形の約10重量%~約70重量%である、実施形態40に記載の剤形。
【0287】
実施形態45:アカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)と少なくとも1種の希釈剤の重量比が、約1:3~約2:1である、実施形態26~44のいずれかに記載の剤形。
【0288】
実施形態46:アカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)と少なくとも1種の希釈剤の重量比が、約1:1~約1:2である、実施形態26~44のいずれかに記載の剤形。
【0289】
実施形態47:少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、少なくとも1種の崩壊剤を含む、実施形態1~46のいずれかに記載の剤形。
【0290】
実施形態48:少なくとも1種の崩壊剤が、錠剤の約0.5重量%~約15重量%の量で存在する、実施形態47に記載の剤形。
【0291】
実施形態49:少なくとも1種の崩壊剤が、錠剤の約1重量%~約10重量%の量で存在する、実施形態47に記載の剤形。
【0292】
実施形態50:少なくとも1種の崩壊剤が、錠剤の約2重量%~約8重量%の量で存在する、実施形態47に記載の剤形。
【0293】
実施形態51:少なくとも1種の崩壊剤が、錠剤の約3重量%~約7重量%の量で存在する、実施形態47に記載の剤形。
【0294】
実施形態52:少なくとも1種の崩壊剤が、イオン性崩壊剤を含まない、実施形態47~51のいずれかに記載の剤形。
【0295】
実施形態53:少なくとも1種の崩壊剤が、デンプングリコール酸ナトリウムを含まない、実施形態47~51のいずれかに記載の剤形。
【0296】
実施形態54:少なくとも1種の崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムを含まない、実施形態47~53のいずれかに記載の剤形。
【0297】
実施形態56:少なくとも1種の崩壊剤が、非イオン性崩壊剤を含む、実施形態47~54のいずれかに記載の剤形。
【0298】
実施形態57:少なくとも1種の崩壊剤が、ヒドロキシプロピルセルロースを含む、実施形態47~56のいずれかに記載の剤形。
【0299】
実施形態58:少なくとも1種の崩壊剤が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む、実施形態47~56のいずれかに記載の剤形。
【0300】
実施形態59:アカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)と少なくとも1種の崩壊剤の重量比が、約2:1~約15:1である、実施形態47~59のいずれかに記載の剤形。
【0301】
実施形態60:アカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)と少なくとも1種の崩壊剤の重量比が、約4:1~約10:1である、実施形態47~59のいずれかに記載の剤形。
【0302】
実施形態61:少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、少なくとも1種の潤滑剤を含む、実施形態1~60のいずれかに記載の剤形。
【0303】
実施形態62:少なくとも1種の潤滑剤が、剤形の約0.25重量%~約4重量%の量で存在する、実施形態61に記載の剤形。
【0304】
実施形態63:少なくとも1種の潤滑剤が、剤形の約1重量%~約4重量%の量で存在する、実施形態61に記載の剤形。
【0305】
実施形態64:少なくとも1種の潤滑剤が、剤形の約1.5重量%~約3.5重量%の量で存在する、実施形態61のいずれかに記載の剤形。
【0306】
実施形態65:少なくとも1種の潤滑剤が、剤形の約2重量%~約3重量%の量で存在する、実施形態61のいずれかに記載の剤形。
【0307】
実施形態66:少なくとも1種の潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウムを含まない、実施形態61~65のいずれかに記載の剤形。
【0308】
実施形態67:少なくとも1種の潤滑剤が、ジベヘン酸グリセリルを含まない、実施形態51~66のいずれかに記載の剤形。
【0309】
実施形態68:少なくとも1種の潤滑剤が、フマル酸ステアリルナトリウムを含む、実施形態61~67のいずれかに記載の剤形。
【0310】
実施形態69:アカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)と少なくとも1種の潤滑剤の重量比が、約20:1~約12:1である、実施形態61~68のいずれかに記載の剤形。
【0311】
実施形態70:アカラブルチニブマレイン酸塩(遊離塩基当量)と少なくとも1種の潤滑剤の重量比が、約18:1~約14:1である、実施形態61~68のいずれかに記載の剤形。
【0312】
実施形態71:少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤が、少なくとも1種の希釈剤、少なくとも1種の崩壊剤、及び少なくとも1種の潤滑剤を含む、実施形態1~70のいずれかに記載の剤形。
【0313】
実施形態72:剤形が、(i)剤形の約15重量%~約55重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;(ii)剤形の約10重量%~約70重量%の量の少なくとも1種の希釈剤;(iii)剤形の約0.5重量%~約15重量%の量の少なくとも1種の崩壊剤;及び(iv)剤形の約0.25重量%~約4重量%の量の少なくとも1種の潤滑剤を含み、個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、実施形態7の剤形。
【0314】
実施形態73:剤形が、(i)剤形の約20重量%~約50重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;(ii)剤形の約20重量%~約70重量%の量の少なくとも1種の希釈剤;(iii)剤形の約1重量%~約10重量%の量の少なくとも1種の崩壊剤;及び(iv)剤形の約1重量%~約4重量%の量の少なくとも1種の潤滑剤を含み、個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、実施形態7の剤形。
【0315】
実施形態74:剤形が、(i)剤形の約25重量%~約50重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;(ii)剤形の約30重量%~約70重量%の量の少なくとも1種の希釈剤;(iii)剤形の約2重量%~約8重量%の量の少なくとも1種の崩壊剤;及び(iv)剤形の約1.5重量%~約3.5重量%の量の少なくとも1種の潤滑剤を含み、個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、実施形態7の剤形。
【0316】
実施形態75:剤形が、(i)剤形の約25重量%~約40重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;(ii)剤形の約40重量%~約70重量%の量の少なくとも1種の希釈剤;(iii)剤形の約3重量%~約7重量%の量の少なくとも1種の崩壊剤;及び(iv)剤形の約2重量%~約3重量%の量の少なくとも1種の潤滑剤を含み、個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、実施形態7の剤形。
【0317】
実施形態76:剤形が、(i)剤形の約30重量%~約35重量%(遊離塩基当量)の量のアカラブルチニブマレイン酸塩;(ii)剤形の約30重量%~約35重量%の量のマンニトール;(iii)剤形の約25重量%~約30重量%の量の微結晶セルロース;(iv)剤形の約3重量%~約7重量%の量のヒドロキシプロピルセルロース、及び(v)剤形の約1重量%~約4重量%の量のフマル酸ステアリルナトリウムを含み、個々の量の合計が、剤形の総重量の100%と等しい、実施形態7の剤形。
【0318】
実施形態77:アカラブルチニブマレイン酸塩が、約500ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する、実施形態1~76のいずれかに記載の剤形。
【0319】
実施形態78:アカラブルチニブマレイン酸塩が、約450ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する、実施形態1~76のいずれかに記載の剤形。
【0320】
実施形態79:アカラブルチニブマレイン酸塩が、約400ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する、実施形態1~76のいずれかに記載の剤形。
【0321】
実施形態80:アカラブルチニブマレイン酸塩が、約350ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する、実施形態1~76のいずれかに記載の剤形。
【0322】
実施形態81:アカラブルチニブマレイン酸塩が、約300ミクロン未満のD(v,0.9)値を有する、実施形態1~76のいずれかに記載の剤形。
【0323】
実施形態82:アカラブルチニブマレイン酸塩が、約20ミクロン~約500ミクロンのD(v,0.9)値を有する、実施形態1~76のいずれかに記載の剤形。
【0324】
実施形態83:アカラブルチニブマレイン酸塩が、約50ミクロン~約450ミクロンのD(v,0.9)値を有する、実施形態1~76のいずれかに記載の剤形。
【0325】
実施形態84:アカラブルチニブマレイン酸塩が、約75ミクロン~約400ミクロンのD(v,0.9)値を有する、実施形態1~76のいずれかに記載の剤形。
【0326】
実施形態85:アカラブルチニブマレイン酸塩が、約75ミクロン~約350ミクロンのD(v,0.9)値を有する、実施形態1~76のいずれかに記載の剤形。
【0327】
実施形態86:アカラブルチニブマレイン酸塩が、約100ミクロン~約300ミクロンのD(v,0.9)値を有する、実施形態1~76のいずれかに記載の剤形。
【0328】
実施形態87:剤形がカプセル剤である、実施形態1~86のいずれかに記載の剤形。
【0329】
実施形態88:カプセル剤が、ローラー圧縮を含むプロセスによって調製される、実施形態87のカプセル剤。
【0330】
実施形態89:剤形が錠剤である、実施形態1~86のいずれかに記載の剤形。
【0331】
実施形態90:剤形がフィルムコーティング錠剤である、実施形態1~86のいずれかに記載の剤形。
【0332】
実施形態91:錠剤が、直接圧縮を含むプロセスによって調製される、実施形態89又は90に記載の錠剤。
【0333】
実施形態92:錠剤が、ローラー圧縮を含むプロセスによって調製される、実施形態89又は90に記載の錠剤。
【0334】
実施形態93:錠剤が、約1.5MPa~約5.0MPaの引張強さを有する、実施形態89~92のいずれかに記載の錠剤。
【0335】
実施形態94:錠剤が、約2.0MPa~約4.0MPaの引張強さを有する、実施形態89~92のいずれかに記載の錠剤。
【0336】
実施形態95:錠剤の引張強さが、錠剤をブリスターパック内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の引張強さから10%超減少しない、実施形態89~94のいずれかに記載の錠剤。
【0337】
実施形態96:錠剤の引張強さが、錠剤をブリスターパック内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の引張強さから8%超減少しない、実施形態89~94のいずれかに記載の錠剤。
【0338】
実施形態97:錠剤の引張強さが、錠剤をブリスターパック内で40℃且つ75%の相対湿度で6ヶ月間保存した後に、その初期の引張強さから5%超減少しない、実施形態89~94のいずれかに記載の錠剤。
【0339】
実施形態98:BTK媒介性の病態に罹患しているか又はそれに感受性のある対象の病態を治療する方法であって、対象に、実施形態1~97のいずれかに記載の固形薬学的剤形を1日1回又は1日2回投与することを含む方法。
【0340】
ここに記載される明細書は、本発明を開示し、あらゆる当業者が本発明を実行すること(例えば、本開示の塩、物質又は組成物のいずれかを製造及び使用すること、並びに本開示の方法又はプロセスのいずれかを実施すること)ができるように、実施例を用いている。本発明の特許取得の対象となる範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が認識する他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の逐語的な文言と異ならない要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の逐語的な文言と非実質的な相違を有する均等な要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。本明細書では、本発明の好ましい実施形態が示され、説明されているが、そのような実施形態は、例示としてのみ提供されるものであり、本発明の範囲を別途限定することを意図しない。本発明を実施する際に、記載されている本発明の実施形態に対して様々な代替形態を採用してもよい。本節及び開示全体に使用される節の表題は、限定することを意図しない。
【0341】
上記で引用された全ての参考文献(特許及び非特許)は、参照により本特許出願に組み込まれる。これらの参考文献の説明は、それらの著者によりなされた主張を単に要約することを意図するものである。任意の参考文献(又は任意の参考文献の一部)が、関連する先行技術(又はあらゆる先行技術)であることを認めるものではない。本出願人は、引用された参考文献の正確性及び妥当性に意義を唱える権利を有する。
【国際調査報告】