IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エシコン・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-531609凹状コアプロファイルを備えた棘付き単繊維挿入物を有する編組棘付き縫合糸
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】凹状コアプロファイルを備えた棘付き単繊維挿入物を有する編組棘付き縫合糸
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
A61B17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577308
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2021055170
(87)【国際公開番号】W WO2021255603
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/039,656
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/336,692
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ダレッサンドロ・ビクトリア
(72)【発明者】
【氏名】パーキンス・ジェイソン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】スコニャ・ロバート
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB30
4C160MM32
(57)【要約】
編組棘付き縫合糸は、厚さを有する細長いコア、及び細長いコアの両側から外向きに突出する複数の棘を含む棘付き単繊維挿入物を備える。この編組棘付き縫合糸は、編組棘付き縫合糸の複合コアを形成するための、細長いコアを取り囲む編組シースを含む。複合コアは、厚さを有し、細長いコアは、複合コアの中心に位置する。細長いコア厚さは、約6~8ミルであり、複合コア厚さは、約13~18ミルである。複合コア厚さに対する細長いコア厚さの比は、約0.16~0.91である。細長いコアは、凹状のプロファイルを形成する移行帯を有する。この編組棘付き縫合糸は、編組シース及び棘付き単繊維挿入物の両方について単一の破断点を有する。棘付き単繊維挿入物は、PDS単繊維コアを有し、編組シースは、VICRYL多繊維糸編組シースである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
編組棘付き縫合糸であって、
細長いコア厚さを有する細長いコア、及び前記細長いコアの両側から外向きに突出する複数の棘を含む棘付き単繊維挿入物と、
複合コア厚さを有する前記編組棘付き縫合糸の複合コアを形成するための、前記細長いコアを取り囲む編組シースであって、前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの比が、約0.16~0.91である、編組シースと、を備える、編組棘付き縫合糸。
【請求項2】
前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの前記比が、約0.24~0.73である、請求項1に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項3】
前記編組シースが、前記細長いコアを包み、前記細長いコアが、前記複合コアの中心に位置している、請求項1に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項4】
前記複数の棘が、第1の平面内で前記細長いコアから外向きに突出しており、前記細長いコアの前記厚さ及び前記複合コアの前記厚さが、前記第1の平面に対して垂直である第2の平面内にある軸に沿って測定される、請求項1に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項5】
前記棘付き単繊維挿入物が、
前記細長いコアから外向きに突出する第1の棘であって、前記第1の棘が、前記細長いコアの前記厚さよりも大きい第1の厚さを有する内側端部、及び前記第1の棘の前記内側端部における前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する外側端部を含む、第1の棘と、
前記第1の棘の前記内側端部を前記細長いコアに接続するための、前記細長いコアと前記第1の棘の前記内側端部との間に延在する移行帯と、を備える、請求項4に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項6】
前記移行帯が、前記細長いコアの近くでより薄く、前記第1の棘の前記内側端部の近くでより厚く、前記移行帯が、前記細長いコアから前記第1の棘の前記内側端部まで広くなる、請求項5に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項7】
前記編組シースが、前記細長いコア、及び前記棘付き単繊維挿入物の前記移行帯の周りに巻かれている繊維を含む、請求項6に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項8】
前記棘が、前記編組シースの外周部を越えて外向きに突出する、請求項7に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項9】
前記棘付き単繊維挿入物が、PDS単繊維コアを含む、請求項1に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項10】
前記編組シースが、VICRYL多繊維糸編組シースを含む、請求項1に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項11】
前記編組棘付き縫合糸が、前記編組シース及び前記棘付き単繊維挿入物の両方について単一の破断点を有する、請求項1に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項12】
前記細長いコアが、凸状に湾曲した上面、及び凸状に湾曲した底面を有しており、前記細長いコアの前記厚さが、前記細長いコアの前記凸状に湾曲した上面から前記凸状に湾曲した底面まで延在する、請求項1に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項13】
前記細長いコアが、実質的に平坦な上面、及び実質的に平坦な底面を有しており、前記細長いコアの直径が、前記細長いコアの前記実質的に平坦な上面から前記実質的に平坦な底面まで延在する、請求項1に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項14】
前記複数の棘が、棘先端間距離(BTTD)を画定する棘の対を画定しており、前記複合コアが、複合コア直径(CCD)を有し、前記複合コア直径(CCD)に対する前記棘先端間距離(BTTD)の比が、約1.92~4.5である、請求項1に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項15】
前記複合コア直径(CCD)に対する前記棘先端間距離(BTTD)の前記比が、約2.5~3.8である、請求項14に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項16】
編組棘付き縫合糸であって、
細長いコア厚さを有する細長いコア、及び前記細長いコアの両外側部から外向きに突出する複数の棘を含む棘付き単繊維挿入物であって、前記複数の棘が、第1の平面内にあり、前記細長いコアの前記細長いコア厚さが、前記第1の平面に対して垂直である第2の平面内にある軸に沿って測定される、棘付き単繊維挿入物と、
前記編組棘付き縫合糸の複合コアを形成するための、前記細長いコアを取り囲む編組シースであって、前記細長いコアが前記複合コアの中心に位置し、かつ前記編組シースが前記細長いコアを包む、編組シースと、を備え、前記複合コアが、前記第1の平面に対して垂直である前記第2の平面内にある前記軸に沿って測定される複合コア厚さを有しており、前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの比が、約0.16~0.91である、編組棘付き縫合糸。
【請求項17】
前記細長いコア厚さが、約0.15~0.2mm(約6~8ミル)であり、前記複合コア厚さが、約0.33~0.46mm(約13~18ミル)である、請求項16に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項18】
前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの前記比が、約0.24~0.73である、請求項16に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項19】
前記棘が、前記細長いコア厚さよりも大きいそれぞれの厚さを有する内側端部を有する、請求項16に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項20】
前記細長いコアの第1の外側部と、第1の棘の内側端部との間に位置する第1の移行帯であって、前記第1の移行帯が、前記細長いコアの前記第1の外側部から前記第1の棘の前記内側端部まで広くなる、第1の移行帯と、
前記細長いコアの第2の外側部と、第2の棘の内側端部との間に位置する第2の移行帯であって、前記第2の移行帯が、前記細長いコアの前記第2の外側部から前記第2の棘の前記内側端部まで広くなる、第2の移行帯と、を更に備える、請求項19に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項21】
前記細長いコア、並びに前記第1の移行帯及び前記第2の移行帯が、前記編組棘付き縫合糸の上部側に第1の凹状プロファイルを画定し、前記編組棘付き縫合糸の底部側に第2の凹状プロファイルを画定する、請求項20に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項22】
前記編組棘付き縫合糸が、前記編組シース及び前記棘付き単繊維挿入物の両方について単一の破断点を有する、請求項16に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項23】
前記棘付き単繊維挿入物が、PDS単繊維コアを含み、前記編組シースが、VICRYL多繊維糸編組シースを含む、請求項16に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項24】
細長いコアに結合されたエンドエフェクタを更に備え、前記細長いコアが、前記エンドエフェクタを通って延在し、
前記エンドエフェクタが、前記細長いコアの第1の外側部から横方向に延在する第1の翼、及び前記細長いコアの第2の外側部から横方向に延在する第2の翼を含み、前記第1の翼及び前記第2の翼が、前記細長いコアよりも厚い、請求項16に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項25】
編組棘付き縫合糸であって、
細長いコア厚さを有する細長いコア、及び前記細長いコアの両側から外向きに突出する複数の棘を含む棘付き単繊維挿入物であって、前記棘が、前記細長いコアの前記細長いコア厚さよりも厚い内側端部を有し、
前記棘付き単繊維挿入物が、凹状のプロファイルを形成するための、前記細長いコアと、前記棘の前記内側端部との間に位置した少なくとも1つの移行帯を含む、棘付き単繊維挿入物と、
前記編組棘付き縫合糸の複合コアを形成するための、前記細長いコアを取り囲む編組シースであって、前記細長いコアが前記複合コアの中心に位置し、かつ前記編組シースが前記細長いコアを取り囲む、編組シースと、を備え、前記複合コアが、前記細長いコア厚さよりも大きい厚さを有し、前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの比が、約0.16~0.91である、編組棘付き縫合糸。
【請求項26】
前記複数の棘が、第1の平面内にあり、前記細長いコア厚さ及び前記複合コア厚さが、前記複数の棘の前記第1の平面に対して垂直である第2の平面内にある軸に沿って測定される、請求項25に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項27】
前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの前記比が、約0.24~0.73である、請求項25に記載の編組棘付き縫合糸。
【請求項28】
前記編組棘付き縫合糸が、前記編組シース及び前記棘付き単繊維挿入物の両方について単一の破断点を有する、請求項25に記載の編組棘付き縫合糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2020年6月16日に出願された米国仮出願第63/039,656号の利益を主張するものであり、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。本特許出願は、本願と同日に出願され、本発明の譲渡人に譲渡された米国特許出願第_______________号(代理人整理番号ETH6071USNP1)に関連するものであり、その内容は、2020年6月16日に出願された米国仮出願第63/039,649号の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本特許出願は、概して、医療デバイスに関し、より詳細には、創傷を閉じるために使用される手術用縫合糸に関する。
【背景技術】
【0003】
手術用縫合糸は、創傷及び外科的切開を閉じるため及び損傷した筋肉、血管、及び組織を修復するために用いられる。典型的には、手術用縫合糸の一端に針を取り付け、組織に針を通して引き、組織をともに保持する1つ又は2つ以上のループを形成する。従来の縫合糸の場合、その縫合糸は、その後、1つ又は2つ以上の結び目で縛られて、その組織は、ともに引っ張られたまま維持される。
【0004】
縫合糸の改良を目的とした多くの試みがなされてきた。例えば、米国特許第4,546,769号(Planckら)は、非捲縮糸のような環状編組構造で作られたジャケットと、そのジャケットの中に置かれるクリンプ繊維含有コアと、を含む縫合糸を開示している。このジャケットは、コアの周りに非捲縮糸を編組することによって形成され、屈曲及び取り扱いが簡単であり、かつより良好な結び目を作る縫合糸を提供する。
【0005】
縫合糸は創傷を閉じるのに非常に効果的であるが、従来の縫合糸の使用に伴う数多くの課題がある。これらの課題の多くは、縫合糸を定位置に固定するために使用される結び目と直接関係する。結び目が正しく結ばれないと、滑る、結び目がほどける、傷が再び開くといった不具合が生じる場合がある。加えて、縫合糸を固定するために結び目を用いることで、組織を歪めること、血液の流れを制限すること、瘢痕の形成を増すこと、創傷の治りを阻害すること、及び感染に至ることがあり得る。
【0006】
従来の縫合糸に伴う上記の欠点に対応するために、棘付き縫合糸が開発された。従来の縫合糸と異なり、棘付き縫合糸は、縫合糸を用いて創傷を閉じ、組織に近づき、組織を引き締め、結び目を使わずに人工装具を取り付けることを可能にする突出した棘を有する。
【0007】
例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Ethicon、Inc.に譲渡された米国特許第8,216,497号は、棘付き縫合糸を作り出す方法を教示する。図1及び図2を参照すると、一実施形態では、断面プロファイルを有する予め形成されたポリマー材料のリボンを打ち抜いて、棘付き縫合糸50の長さに沿って延在するコア52、及びそのコア52の両外側部から外向きに延在する複数の棘54を有する棘付き縫合糸50を形成する。コア52は、棘付き縫合糸50に強度及び柔軟性を与える。
【0008】
棘付き縫合糸に関連する1つの問題は、棘がコアから剥離又は分離する可能性があり、それがデバイスの故障を引き起こすことである。それに対応して、より耐久性のある棘を有する編組棘付き縫合糸が開発されている。その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Ethicon、Inc.に譲渡されたCollierらによる米国特許第8,663,277号は、編組されていない棘付き縫合糸と比較して、強度を保持するのに96%の改善を提供する編組棘付き縫合糸を教示する。
【0009】
従来、編組棘付き縫合糸は、手動で棘付き挿入物を編組繊維アセンブリに送達することによって作製されてきた。操作者は、編組機を動かして棘なし縫合糸の第1の長さを形成するステップと、編組機をオフするステップと、繊維が編組点で集中する編組機の糸道に棘付き挿入物の端部を位置決めするステップと、その後、編組機を再度オンするステップと、繊維が棘付き挿入物をその編組中に引き寄せることを可能にするステップと、を含む、一連の複雑なステップを忠実に守らなければならない。
【0010】
上述の手動送達方法を使用する場合、通常、編組装置から棘付き縫合糸挿入物の細長いコアに伝わる振動に起因して、棘付き縫合糸挿入物の細長いコアの周りに不均一な編組シースが生じることになる。編組機器によって生成される振動により、棘付き縫合糸挿入物は、編組機糸道の中に引き出されるときに、繊維に巻き付き、ねじれ、巻き込まれ、又は好ましくない回転を蓄積することが生じる場合がある。
【0011】
振動から生じる上記の問題を克服するために、かつ編組棘付き縫合糸の品質を改善するために、編組手順中に棘付き縫合糸挿入物の向きの制御を改善することに向けた努力がなされてきた。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Ethicon、Inc.に譲渡された米国特許第8,210,085号、同第8,733,223号、及び同第9,206,535号は、編組繊維アセンブリ、及び棘付き縫合糸挿入物を方向付けるための通路を画定する棘付き縫合糸挿入物ディスペンサー開口部を有するガイドアセンブリ(例えば、送達カートリッジ)を含む、編組棘付き縫合糸を作製するための自動式システムを教示する。図3を参照すると、当該自動式システムは、ガイドアセンブリのディスペンサー開口部から編組繊維アセンブリの中に、棘62を有する棘付き縫合糸挿入物60を供給し、棘付き縫合糸挿入物の周りに複数の繊維64を編組して、編組棘付き縫合糸66を作製するように適合されている。ディスペンサー開口部の通路により、通路に対する棘付き縫合糸挿入物60の長手方向の動きが可能になり、同時に、通路に対する棘付き縫合糸挿入物のねじれ運動を防止することができる。この通路は、棘付き縫合糸挿入物60の棘62を収容するための、高さよりも大きい幅を有する細長いスリットを含む。
【0012】
従来の編組棘付き縫合糸は、棘付き縫合糸構成要素及び編組シース構成要素の組み合わせを含む。棘付き縫合糸構成要素は、細長いコア、及びその細長いコアから外向きに突出する棘を含む。編組シース構成要素は、棘付き縫合糸の細長いコアの周りに形成され、棘は、組織と係合するために、編組シースを越えて外向きに突出する。細長いコアと、細長いコアの周りに形成された編組シースとの複合コア構造体は、編組棘付き縫合糸の骨を形成する。
【0013】
従来の編組棘付き縫合糸では、細長いコアは、通常、細長いコアから外向きに突出するそれぞれの棘の厚さとおおむね等しいか、又はそれよりも大きい厚さ若しくは直径を有する凸状の断面を有する。繊維が細長いコアを覆って編組されると、細長いコア及び編組シースによって得られる組み合わせは、通常、それぞれの棘の厚さよりも大きい外径を画定し、これにより、編組棘付き縫合糸の骨格部が硬く、かつワイヤ状になり、それによって柔軟性が低下する。
【0014】
現在、編組棘付き縫合糸は、2つの異なる引っ張り強度破断点、すなわち、コアの周りに巻かれている編組構成要素の第1の破断点、及び棘付き縫合糸のコア部分の第2の破断点を有する。編組構成要素又はコア構成要素のうちの一方のみが壊れた場合、デバイスの全体的な引っ張り強度が損なわれたという事実にもかかわらず、編組棘付き縫合糸は、観察者には無傷のままに見える場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記の欠点に鑑みて、柔軟性を維持する改良した編組棘付き縫合糸が依然として必要とされている。
【0016】
また、複合コアのより大きな割合が編組シースで構成される(すなわち、コアに対する編組シースの比が高い)ことを可能にし、縫合糸構造が編組縫合糸の利点(例えば、取り扱い、柔軟性、手術用器械との互換性)を有するのを可能し、それと同時に、硬くならず、柔軟性を維持するために、低減された外側寸法(例えば、低減された幅、低減された高さ、低減された断面積)を有するコアを備えた改良された編組棘付き縫合糸も依然として必要とされている。
【0017】
また、引っ張り強度の主要源、及び縫合糸の取り扱い特性が、コアではなく、編組シース部分によって提供され、それによって、コアは、主に棘のためのアンカーポイントとしての役割を果たすが、編組棘付き縫合糸の実質的な強度を提供しない、改良された編組棘付き縫合糸も必要とされている。
【0018】
更に、デバイスの細長いコア部分及び編組部分の両方について単一の破断点を有する改良された編組棘付き縫合糸が依然として必要とされている。
【0019】
更に、ロボット把持具、限定された触覚フィードバック、及び限定された視覚化が全て、棘付き縫合糸の早期破損に関連する失敗の一因となるロボット手術環境で、創傷を閉鎖するために使用することができる改良された編組棘付き縫合糸が依然として必要とされている。
【0020】
また、低侵襲手術(minimally invasive surgery、MIS)環境に存在する限られた空間で使用するための、良好な柔軟性及び単一の破断点を有する改良された編組棘付き縫合糸に対する必要性も依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、ともに接合される2つの構成要素、すなわち、棘付き単繊維挿入物及び編組シースを含むことが好ましい。一実施形態では、棘付き単繊維挿入物は、細長いコア(例えば、単繊維)、細長いコアから外向きに突出する複数の棘、及び細長いコアの近位端に固定されたエンドエフェクタ(例えば、結び目交換特徴)を含むことができる。このエンドエフェクタは、タブ、停止部、又はループであってもよい。一実施形態では、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本発明の譲渡人に譲渡された米国特許第8,210,085号、同第8,733,223号、及び同第9,206,535号に開示されているように、編組シースは、自動式編組機を使用して、棘付き単繊維挿入物の細長いコアの周りに巻き付けることができる。
【0022】
一実施形態では、棘付き単繊維挿入物の細長いコアは、細長いコアから外向きに突出するそれぞれの棘の厚さと比べて、低減された厚さ、低減された直径、及び/又は低減された外側寸法を有することが好ましい。細長いコアの厚さは、従来の棘付き単繊維挿入物に見出される厚さよりも小さいことが望ましい。細長いコアの比較的小さい厚さは、望ましくは、オーバー編組(over-braided)複合体内で細長いコアの断面寸法を最小限に抑え、オーバー編組複合体は、編組シースによって包まれた後に、編組棘付き縫合糸の引っ張り強度が編組シースによって主に提供される一方で、編組棘付き縫合糸の柔軟性を維持する。
【0023】
一実施形態では、編組シースは、細長いコアを包み、細長いコアの大部分に沿って延在することが好ましい。一実施形態では、細長いコア及び編組シースの組み合わせは、編組棘付き縫合糸の柔軟な複合コアを形成する。編組シースの厚さ、直径、及び/又は外側寸法に対する、細長いコアの厚さ、直径、及び/又は外側寸法の比を制御することによって、好ましくは、普通の厚さを有する細長いコアを有する棘付き縫合糸挿入物を使用したときに得ることができるものよりも大きな引っ張り強度、並びに改善された柔軟性及び取り扱い特性を有する編組棘付き縫合糸の複合コアを提供する。
【0024】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸の骨格部(すなわち、オーバー編組部分)を断面で見た場合、複合コアの厚さ(例えば、直径)に対する細長いコアの厚さ(例えば、直径)の比(すなわち、編組シースに対するコアの比)は、1未満であることが好ましい。したがって、編組棘付き縫合糸の編組シース部分が構成する編組棘付き縫合糸の骨格部の断面積は、細長いコアが構成する断面積よりものより大きいことが好ましく、このことは、編組シースを介して編組棘付き縫合糸の引っ張り強度を強化させ、通常の細長いコアよりも薄いことに起因して柔軟性が向上する。
【0025】
一実施形態では、編組シースが細長いコアを包んで、編組棘付き縫合糸の複合コアを形成するときに、複合コアの総計した厚さ(例えば、総計した直径)に対する細長いコアの厚さ(例えば、直径)の比は、約0.16~0.85であり、より好ましくは、約0.4~0.5である。
【0026】
一実施形態では、細長いコアの厚さが低減されることにより、複合コア(すなわち、編組シースを細長いコアの周りに巻くことによって形成される編組棘付き縫合糸の骨格部)のより大きな割合が編組シース構成要素で構成されることが可能になり、取り扱い、柔軟性、及び手術用器具との互換性などの、従来の編組縫合糸の利点を有する編組棘付き縫合糸構造が可能となる。
【0027】
一実施形態では、棘付き単繊維挿入物の細長いコアは、主に棘のアンカーポイントとしての役割を果たし、棘付き単繊維挿入物は、編組棘付き縫合糸に引っ張り強度を提供する主要構成要素ではない。むしろ、引っ張り強度の主要源、及び編組棘付き縫合糸の取り扱い特質は、細長いコアの周りに巻かれる編組シースによって提供されることが望ましい。
【0028】
一実施形態では、編組シース構成要素は、編組棘付き縫合糸の引っ張り強度全体を向上させることが好ましい。同時に、棘付き単繊維挿入物の細長いコアの厚さの低減は、編組棘付き縫合糸の骨格部(すなわち、スパイン部)に沿った細長いコア及び編組シースの組み合わせの嵩を最小限に抑えることが望ましく、これは、編組シースの柔軟な性質を保持し、編組棘付き縫合糸の全体的な柔軟性を向上させる。したがって、本明細書に開示の編組棘付き縫合糸構造は、外科医によって求められる2つの特徴、つまり、引っ張り強度及び柔軟性の間のバランスを提供する。更に、細長いコアから、そして編組シースを通って外向きに突出する棘の存在により、結び目を結ぶことを必要とせず、かつ外科手術助手が縫合糸線上の張力を維持することを必要せずに、外科医が組織を縫合することが可能になる。
【0029】
一実施形態では、棘付き単繊維挿入物は、好ましくは、5~20ミル、より好ましくは6~8ミルの範囲にわたる厚さ又は直径を有するPDS単繊維コアを含む。
【0030】
一実施形態では、編組シースは、VICRYL多繊維糸を含むことが好ましい。一実施形態では、編組シースが細長いコアの周りに巻かれて編組棘付き縫合糸の複合コアを形成した後、複合コアは、好ましくは、約13~30ミル、より好ましくは、約13~18ミルの範囲にわたる厚さ又は外径を有する。
【0031】
一実施形態では、本特許出願に開示の編組棘付き縫合糸は、向上した引っ張り強度及び取り扱い特性を提供し、それらは、低侵襲手術(MIS)環境などでの厳しく制限された空間内で組織を縫合するのに非常に望ましい。歴史的に、外科医は、異なる利点及び特徴を有する様々な縫合糸製品を無理やり使用するという妥協をしなければならなかった。本明細書に開示の編組棘付き縫合糸は、単一の縫合糸デバイスでの最適化された強度、効率、取り扱い、及び柔軟性の利点を提供する。
【0032】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、細長いコア、及び細長いコアの両側から外向きに突出する複数の棘を含む棘付き単繊維挿入物、並びに細長いコアを取り囲む編組シースを含むことが好ましい。複合材、オーバー編組シースは、厚さ(例えば、直径)を有し、複合コアの厚さ又は直径に対する細長いコアの厚さ又は直径の比は、約0.16~0.91である。
【0033】
一実施形態では、複合コアの厚さ又は直径に対する細長いコアの厚さ又は直径の比は、約0.24~0.73である。
【0034】
一実施形態では、棘付き単繊維挿入物は、第1の厚さを有する細長いコア、及び細長いコアから外向きに突出する第1の棘を含み、第1の棘は、細長いコアの第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する内側端部、及び第1の棘の内側端部の第2の厚さよりも小さい第3の厚さを有する外側端部を含むことが好ましい。一実施形態では、棘付き単繊維挿入物は、細長いコアと、第1の棘の内側端部を細長いコアに接続するための第1の棘の内側端部との間に延在する移行帯を含むことが好ましい。
【0035】
一実施形態では、移行帯は、細長いコアの近くでより薄く、第1の棘の内側端部の近くでより厚い。一実施形態では、移行帯は、細長いコアから第1の棘の内側端部まで広くなる。
【0036】
一実施形態では、第1及び第2の移行帯は、棘付き単繊維挿入物の細長いコアの両側に位置することができる。第1及び第2の移行帯、並びに細長いコアの上面は、棘付き単繊維挿入物の上部側に位置する第1の凹状プロファイルを画定することができ、第1及び第2の移行帯、並びに細長いコアの底面は、棘付き単繊維挿入物の底部側に位置する第2の凹状プロファイルを画定することができる。
【0037】
一実施形態では、編組シースは、細長いコア、及び棘付き単繊維挿入物の移行帯の両方の周りに巻かれて、編組棘付き縫合糸の複合コアを形成する繊維を含むことが好ましい。
【0038】
一実施形態では、編組シースが細長いコアの周りに巻かれた後に、棘は、編組シースの外周部を越えて外向きに突出する。
【0039】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、編組シース構成要素及び棘付き単繊維挿入物構成要素の両方について単一の破断点を有することが好ましい。
【0040】
一実施形態では、細長いコアは、凸状に湾曲した上面、及び凸状に湾曲した底面を有する。
【0041】
一実施形態では、細長いコアは、実質的に平坦な上面、及び実質的に平坦な底面を有する。
【0042】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸上の複数の棘は、デバイスの長さに沿って延在する棘の対を含むことが好ましい。一実施形態では、棘の各対は、棘先端間距離(barb tip-to-tip distance、BTTD)を画定することが好ましい。一実施形態では、複合コアは、複合コア直径(composite core diameter、CCD)を有し、複合コア直径(CCD)に対する棘先端間距離(BTTD)の比は、約1.92~4.5である。
【0043】
一実施形態では、複合コア直径(CCD)に対する棘先端間距離(BTTD)の比は、約2.5~3.8である。
【0044】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、厚さ又は直径を有する細長いコア、及び細長いコアの両側から外向きに突出する複数の棘、並びに細長いコアを取り囲む編組シースを含むことが好ましい。細長いコア及び編組シースの組み合わせは、編組棘付き縫合糸の複合コアを形成し、細長いコアは、複合コアの中心に位置し、編組シースは、細長いコアを取り囲むことが好ましい。複合コアの総計した厚さは、細長いコア、及び細長いコアを包む編組シースの組み合わせであり、細長いコアの厚さよりも大きいことが好ましい。一実施形態では、複合コアの厚さ又は直径に対する細長いコアの厚さ又は直径の比は、約0.16~0.91、より好ましくは、約0.40~0.50である。
【0045】
一実施形態では、細長いコアは、凹状プロファイルを有し、細長いコアは、細長いコアの両側から外向きに突出する棘の内側端部よりも薄い。
【0046】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、細長いコアの第1の外側部と、第1の棘の内側端部との間に位置する第1の移行帯を含むことができ、第1の移行帯は、細長いコアの第1の外側部から第1の棘の内側端部まで広くなり、第2の移行帯は、細長いコアの第2の外側部と、第2の棘の内側端部との間に位置し、第2の移行帯は、細長いコアの第2の外側部から第2の棘の内側端部まで広くなる。
【0047】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、細長いコアと結合されたエンドエフェクタを含むことが好ましい。一実施形態では、細長いコアは、エンドエフェクタを通って延在することが望ましい。
【0048】
一実施形態では、エンドエフェクタは、細長いコアの第1の外側部から横方向に延在する第1の翼、及び細長いコアの第2の外側部から横方向に延在する第2の翼を含むことが好ましい。第1及び第2の翼は、細長いコアよりも厚いことが好ましい。
【0049】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、凹状プロファイルを有する細長いコア、及び細長いコアの両側から外向きに突出する複数の棘を含む棘付き単繊維挿入物を含むことが好ましく、それらの棘は、細長いコアよりも厚い内側端部を有する。一実施形態では、棘付き単繊維挿入物は、細長いコアと、棘の少なくともいくつかの内側端部との間に位置する少なくとも1つの移行帯を含むことが好ましい。一実施形態では、編組シースは、細長いコア及び少なくとも1つの移行帯の周りに巻かれて、編組棘付き縫合糸の複合コアを形成し、複合コアの厚さ又は直径に対する細長いコアの厚さ又は直径の比は、約0.16~0.91であり、より好ましくは、約0.24~0.73である。
【0050】
一実施形態では、細長いコア及び棘を含む棘付き単繊維挿入物は、ポリマー材料のリボンなどの棘付き縫合糸ブランクから形成され得る。一実施形態では、棘付き縫合糸ブランクは、細長いコア(例えば、凹状コア、平坦又は丸みを帯びた上面及び底面を有するコア)、並びに細長いコアの両側に位置する第1の側方翼部分及び第2の側方翼部分を有する断面形状を有することが好ましい。一実施形態では、第1の側方翼部分及び第2の側方翼部分は、打ち抜かれ、及び/又は切断されて(例えば、鋳型を使用して)、細長いコアから外向きに突出する棘、及び/又は細長いコアの近位端に固定されるエンドエフェクタを形成することができる。一実施形態では、細長いコアは、棘付き縫合糸ブランク内で打ち抜かれて棘及びエンドエフェクタを形成する第1の側方翼部分及び第2の側方翼部分の厚さよりも小さい厚さを有することが好ましい。
【0051】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、近位端、遠位端、及び非円形断面を有する細長いコアを含むことが好ましい。一実施形態では、細長いコアの非円形断面は、細長いコアの中心に位置する第1の厚さ、第1の外側部厚さを備える第1の外側部、第2の外側部厚さを備える第2の外側部を有することが好ましい。第1の厚さを有する中心部分は、コアの第1の外側部と第2の外側部との間に位置する。一実施形態では、細長いコアの中心は、細長いコアの第1の外側部及び第2の外側部よりも厚い。
【0052】
一実施形態では、細長いコアは、中心領域、並びに中心領域を限定する細長いコアの第1の外側部及び第2の外側部において、一定の厚さを有する平坦な上面及び底面を有する。
【0053】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸を作製するために使用される棘付き単繊維挿入物は、より薄い細長いコアとより厚い棘との間に位置する移行帯を含むことが好ましく、移行帯は、棘内に実質的に延在することなく、全コア幅及び/又は全高さにオーバー編組することを可能にし、それによって、細長いコアを取り囲む編組シースを介して引っ張り強度を高めながら、より柔軟な骨格部(すなわち、細長いコア及び編組シースの複合体)を提供する。一実施形態では、移行帯は、細長いコアの外側部と、棘の内側端部との間で広くなり、かつ/又はより厚くなり、薄い方の細長いコアと、厚い方の棘と間に滑らかな移行表面を提供する。
【0054】
一実施形態では、移行帯は、細長いコアと、細長いコアの周りに巻かれた多繊維編組シースを収容する棘との間に緩衝域を提供し、それによって、多繊維編組シースの繊維は、棘を密閉及び/又は埋設しない。密閉及び/又は埋設は、その機能性を制限することになる。
【0055】
一実施形態では、低減した厚さ、直径、及び/又は断面積を有する細長いコアは、多繊維縫合糸の機械的特性を圧倒的に示す編組棘付き縫合糸を生成するために、編組シースでオーバー編組されることが好ましい。
【0056】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、単繊維コア材料に対する多繊維シース材料の比を制御するように構築される。
【0057】
一実施形態では、編組シースに対する所定の細長いコアの比を有する編組棘付き縫合糸を作製することにより、編組棘付き縫合糸デバイスが、結び目を結ぶことによって編組棘付き縫合糸の強度を低減させることなく、編組シースによって提供される単軸方向の引っ張り強度を最大限に活用することが可能になる。
【0058】
一実施形態では、編組シースに対する適切な細長いコアの比を有する編組棘付き縫合糸を作製することにより、複合編組棘付き縫合糸デバイスが従来の多繊維縫合糸の曲げ剛性をほぼ再現して、空間及び視覚化が制限される低侵襲手術環境(例えば、ロボット手術)において利点を与える取り扱い特性を提供することが可能になる。
【0059】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、第1の引っ張り強度を有する細長いコア、及び第2の引っ張り強度を有する細長いコアを包む編組シース、を有する棘付き単繊維挿入物を含む複合構造体を含むことが好ましい。一実施形態では、組み合わされた引っ張り強度は、細長いコアの第1の引っ張り強度、及び編組シースの第2の引っ張り強度のどちらか以上である。
【0060】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、編組シース構成要素、及び細長いコアを有する棘付き単繊維挿入物構成要素の両方を含むことが好ましく、それによって、2つの構成要素は、それらの構成要素のどちらか単独よりも大きな混合破壊強度値を有し、その場合、複合編組棘付き縫合糸の引っ張り破損点、及び複合構造体内の構成要素のそれぞれの引っ張り破損点は、実質的に同じである。編組シース構成要素、及び棘付き単繊維挿入物構成要素の細長いコアの両方について単一の破断点を有する編組棘付き縫合糸を提供することは、好ましくは、縫合デバイスが引っ張り状態にあるときに、2つの別個の破壊点の感覚を最小限に抑える。
【0061】
多繊維縫合糸は、高強度、良好な損傷耐性、及び望ましい取り扱い特性を提供するが、通常使用されるポリマー材料の性質に起因して、単繊維として処理されること、又は棘付き縫合糸特徴を有することに、元来、適していない。単繊維縫合糸は、棘を伴って作製することができるが、単繊維縫合糸は、手術用器具を用いて適切に取り扱われない場合、損傷を受けやすい。
【0062】
本明細書に開示の編組棘付き縫合糸は、2つの別個の引っ張り破損点の感覚を回避しながら、単繊維縫合糸の強度とバランスがとれた編組多繊維縫合糸の利点(例えば、取り扱い、柔軟性、損傷耐性、手術用器具との互換性)を有する縫合糸構造を提供する。複合編組棘付き縫合糸は、本質的に同時に張力の足りない編組シース及び細長いコアを有することが好ましく、これにより、2つの別個の引っ張り破損の興奮が最小限に抑えられる。
【0063】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸の細長いコア構成要素は、主に、棘のアンカーポイントとして機能する。一実施形態では、編組棘付き縫合糸の編組シース構成要素は、細長いコア構成要素ではなく、編組棘付き縫合糸についての引っ張り強度及び取り扱い特性の主要源として機能する。
【0064】
単繊維縫合糸を多繊維縫合糸と比較すると、多繊維縫合糸は、多繊維縫合糸内に存在する編組構造に起因して、より大きな直線引っ張り強度を有する傾向があり、これにより、デバイスの荷重分散及び単軸方向の伸長が可能になる。しかしながら、臨床分野では、従来の多繊維及び単繊維の縫合糸の引っ張り強度は、結ぶことができる結び目の強度に向かって本質的に減少する。比較すると、棘付き縫合糸は、結び目を結ぶ必要性を排除し、したがって、適切な創傷保持値として、直線引っ張り強度を活かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】細長いコア、及び細長いコアの両外側部から外向きに突出する棘を有する先行技術の棘付き縫合糸挿入物の断面図である。
図2図1に示された先行技術の棘付き縫合糸挿入物の上面図であり、この棘付き縫合糸挿入物は、細長いコア、細長いコアの第1の端部に向かって延在する棘の第1のセット、及び細長いコアの第2の端部に向かって反対方向に延在する棘の第2のセットを有する。
図3】細長いコア及び棘を有する棘付き縫合糸挿入物、並びに棘付き縫合糸の細長いコアを覆って形成されている編組シースを含む先行技術の編組棘付き縫合糸の上部平面図である。
図4A】本特許出願の一実施形態による、棘付き単繊維挿入物を作製するために使用される棘付き縫合糸ブランクの斜視図である。
図4B図4Aに示された棘付き縫合糸ブランクの上面図である。
図4C図4A及び図4Bに示された棘付き縫合糸ブランクの側面図である。
図4D図4A図4Cに示された棘付き縫合糸ブランクの近位端の斜視図である。
図4E図4Bに示された棘付き縫合糸ブランクの断面図である。
図5A】本特許出願の一実施形態による、細長いコア、複数の棘、及びエンドエフェクタを含む、図4A図4Eに示された棘付き縫合糸ブランクから形成されている棘付き単繊維挿入物の斜視図である。
図5B図5Aに示された棘付き単繊維挿入物の上面図である。
図5C図5A及び図5Bに示された棘付き単繊維挿入物の中央部分の拡大図である。
図5C-1】図5Cに示された棘付き単繊維挿入物の中央部分の斜視図である。
図5D図5A及び図5Bに示された棘付き単繊維挿入物の近位端の拡大図である。
図5D-1】図5A図5B、及び図5Dに示された棘付き単繊維挿入物の近位端の斜視図である。
図5E図5Cに示された棘付き単繊維挿入物の断面図である。
図5F図5Dに示された棘付き単繊維挿入物の断面図である。
図6A】本特許出願の一実施形態による、図5A図5Fの棘付き単繊維挿入物、及び棘付き単繊維挿入物の細長いコアの周りに巻かれた編組シースを含む編組棘付き縫合糸の上面図である。
図6B図6Aに示された編組棘付き縫合糸の断面図である。
図7A】本特許出願の一実施形態による、棘付き単繊維挿入物を作製するために使用される棘付き縫合糸ブランクの斜視図である。
図7B図7Aに示された棘付き縫合糸ブランクの上部平面図である。
図7C図7A及び図7Bに示された棘付き縫合糸ブランクの側面図である。
図7D図7A図7Cに示された棘付き縫合糸ブランクの近位端の斜視図である。
図7E図7Bに示された棘付き縫合糸ブランクの断面図である。
図8A】本特許出願の一実施形態による、図7A図7Eに示された棘付き縫合糸ブランクで作製された棘付き単繊維挿入物の斜視図である。
図8B図8Aに示された棘付き単繊維挿入物の上面図である。
図8C図8A及び図8Bに示された棘付き単繊維挿入物の中央部分の拡大図である。
図8C-1】図8Cに示された棘付き単繊維挿入物の中央部分の斜視図である。
図8D図8A及び図8Bに示された棘付き単繊維挿入物の近位端の上面図である。
図8D-1】図8Dに示された棘付き単繊維挿入物の近位端の斜視図である。
図8E図8Cに示された棘付き単繊維挿入物の断面図である。
図8F図8Dに示された棘付き単繊維挿入物の断面図である。
図9】異なる構造を有する編組棘付き縫合糸についての引っ張り強度特性をプロットしたグラフである。
図10】異なる構造を有する編組棘付き縫合糸についての曲げ剛性特性をプロットしたグラフである。
図11】編組棘付き縫合糸及び編組棘なし縫合糸の引っ張り強度を予測するモデル方程式のグラフである。
図12】同様の構造を有する編組棘付き縫合糸と編組棘なし縫合糸との間には、引っ張り強度に差がないことを示す試験結果のグラフである。
図13】本特許出願の一実施形態による、編組棘付き縫合糸の断面図である。
図14A】本特許出願の一実施形態による、編組棘付き縫合糸を作製するために使用される棘付き単繊維挿入物の上面図である。
図14B】本特許出願の一実施形態による、異なる縫合糸サイズを有する棘付き単繊維挿入物を覆って形成された編組シースの複合コア直径の概略図である。
図15A】本特許出願の一実施形態による、編組棘付き縫合糸を作製するために使用される棘付き単繊維挿入物の上面図である。
図15B】本特許出願の一実施形態による、異なる縫合糸サイズを有する棘付き単繊維挿入物を覆って形成された編組シースの複合コア直径の概略図である。
図16A】本特許出願の一実施形態による、編組棘付き縫合糸を作製するために使用される棘付き単繊維挿入物の上面図である。
図16B】本特許出願の一実施形態による、異なる縫合糸サイズを有する棘付き単繊維挿入物を覆って形成された編組シースの複合コア直径の概略図である。
図17】本特許出願の一実施形態による、異なる縫合糸サイズを有する棘付き単繊維挿入物についての、棘先端間距離(BTTD)及び複合コア直径(composite core diameter、CCD)に関連した比を示す図表である。
図18】本特許出願の一実施形態による、編組棘付き縫合糸を作製するための自動式編組システムの使用の概略図である。
図19】本特許出願の一実施形態による、ピックを有する編組シースを有する編組棘付き縫合糸の上面図である。
図20】本特許出願の一実施形態による、編組棘付き縫合糸の編組シース上のピックを数えるためのシステムの斜視図である。
図21】本特許出願の一実施形態による、編組棘付き縫合糸の編組シース上のピックを数えるための方法の第1の段階を示す図である。
図22】本特許出願の一実施形態による、編組棘付き縫合糸の編組シース上のピックを数えるための方法の第2の段階を示す図である。
図23】本特許出願の一実施形態による、編組棘付き縫合糸の編組シース上のピックを数えるための方法の第3の段階を示す図である。
図24】本特許出願の一実施形態による、編組棘付き縫合糸の編組シース上のピックを数えるための方法の第4の段階を示す図である。
図25】本特許出願の一実施形態による、編組棘付き縫合糸の編組シース内のピックの数を制御する、図18の自動式編組システムとともに使用される最適化されたオーバー編組パラメータを示す図表である。
図26】本特許出願の一実施形態による、エンドエフェクタを有する棘付き単繊維挿入物の斜視図である。
図27】本特許出願の一実施形態による、エンドエフェクタを有する棘付き単繊維挿入物の斜視図である。
図28】本特許出願の一実施形態による、エンドエフェクタを有する棘付き単繊維挿入物の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
定義。
棘付き単繊維挿入物。編組棘付き縫合糸の第1の構成要素。棘付き単繊維挿入物は、近位端及び遠位端を有する細長いコアを含む。細長いコアの遠位端はまた、リーダー端とも呼ばれ得、針に取り付けられる細長いコアの端部である。棘付き単繊維挿入物は、細長いコアの両側から外向きに突出して、棘付き単繊維挿入物の棘付き部分を画定する複数の棘を有する。エンドエフェクタは、細長いコアの近位端に固定され、細長いコアのコネクタ部分は、エンドエフェクタと棘付き部分との間に位置する。
複合コア。細長いコアの両外側部から外向きに突出する棘を有する棘付き単繊維挿入物の細長いコア、及び細長いコアを取り囲む編組シースを含む編組棘付き縫合糸の部分。複合コアは、細長いコアと、細長いコアを包む編組シースとの組み合わせである。複合コアの厚さは、細長いコアの厚さよりも大きい。
デニール。デニール(D)とは、繊維の線形質量密度の計量単位であり、繊維の9,000メートル当たりのグラム単位の質量である。デニールの計量単位は、自然基準に基づき、すなわち、絹の単一の撚糸が、約1デニールであり、又は絹の9,000メートル長の撚糸の重量が、約1グラムである。デニール単位は次のように計算される:1デニール=1g/9,000m=0.11mg/m。
横幅。細長いコアの第1の側面から延在する棘の最も近い外部外側縁端部に隣接する、細長いコアの中心軸に対して平行な第1の線と、細長いコアの第2の側面から延在する棘のクローゼット外部外側縁端部に隣接する、細長いコアの中心軸に対して平行な第2の線との間の距離。
リーダー端。棘付き単繊維挿入物の細長いコアの棘なし帯。リーダー端は、棘付き単繊維挿入物の細長いコアの遠位端又は針取り付け端を形成する。繊維は、細長いコアのリーダー端の周りに巻かれて、複合コアの一部分を形成し得る。
細長いコア厚さ。棘付き単繊維挿入物の棘は、細長いコアの両側から外向きに突出する。これら棘は、第1の平面内にある。棘によって画定された第1の平面に対して垂直である第2の平面内にある軸に沿って取られる細長いコアの厚さ測定値。一実施形態では、細長いコア厚さは、棘付き単繊維挿入物のリーダー端で行われる3つの別個の厚さ測定値の平均である。ゲージを使用して、細長いコアの厚さ測定値を記録することができる。細長いコア厚さはまた、細長いコア直径とも称される場合がある。
複合コア直径。複合コア直径は、棘付き単繊維挿入物の細長いコアを包む編組シースの外径の測定値である。複合コア直径は、細長いコアの長手方向軸に対して垂直である平面内で測定される。
複合コア厚さ。棘によって画定された第1の平面に対して垂直である第2の平面内にある軸に沿って取られる複合コアの厚さ測定値。一実施形態では、複合コア厚さは、編組棘付き縫合糸のリーダー端で行われる3つの別個の厚さ測定値の平均である。ゲージを使用して、複合コアの厚さ測定値を記録することができる。複合コア厚さはまた、複合コア直径とも称される場合がある。
厚さ比。編組棘付き縫合糸の厚さ比は、複合コア厚さに対する細長いコア厚さの比である。
【0067】
図4A図4Cを参照すると、一実施形態では、ポリマー材料のリボンなどの棘付き縫合糸ブランク100を使用して、細長いコア、及び細長いコアの両側から横方向に突出する複数の棘を有する棘付き単繊維挿入物を形成することができる。一実施形態では、棘付き縫合糸ブランク100は、近位端102、遠位端104、及び棘付き縫合糸ブランクの長さに沿って、かつその近位端102と遠位端104との間に延在する長手方向軸Aを含むことが好ましい。
【0068】
一実施形態では、棘付き縫合糸ブランク100は、長手方向軸Aに沿って延在する細長いコア106、細長いコア106の第1の外側部に沿って延在する第1の外側部分108、及び細長いコア106の第2の外側部に沿って延在する第2の外側部分110を含むことが好ましい。第1の外側部分108及び第2の外側部分110は、棘及び/又はエンドエフェクタの形成中に打ち抜かれるか、又は切断され得る。
【0069】
図4D及び図4Eを参照すると、一実施形態では、棘付き縫合糸ブランク100は、細長いコア106、及び細長いコア106の両側に位置する第1の外側部分108及び第2の外側部分110を含むことが望ましい、予め形成された断面形状を有することが好ましい。一実施形態では、細長いコア106は、棘付き縫合糸ブランク100の中心に位置し、かつ棘付き縫合糸ブランク100の長手方向軸Aに沿って延在することが好ましい。図4Eを参照すると、一実施形態では、細長いコア106は、棘付き縫合糸ブランク100のそれぞれの第1の外側部分108及び第2の外側部分110の第2の厚さTよりも小さい第1の厚さTを有する。
【0070】
一実施形態では、棘付き縫合糸ブランク100は、細長いコア、細長いコアから外向きに突出する複数の棘、及び細長いコアの近位端に接続されたエンドエフェクタ(例えば、停止部)を含む、棘付き単繊維挿入物を形成するための鋳型又は打ち抜き機の中に配置され得る。一実施形態では、細長いコアは、棘及びエンドエフェクタと一体的に接続される。
【0071】
図5A及び図5Bを参照すると、一実施形態では、棘付き縫合糸ブランク100(図4A図4E)は、打ち抜かれるか、又は切断されて、近位端122及び遠位端124を有する棘付き単繊維挿入物120を形成することが望ましい。一実施形態では、棘付き単繊維挿入物120は、棘付き縫合糸の長さに沿って延在する細長いコア126(例えば、単繊維)を含むことが望ましい。棘付き単繊維挿入物120は、細長いコア126の両側から外向きに延在して、棘付き単繊維挿入物120の棘付き中央部分130を画定する複数の棘128を含むことが望ましい。棘付き単繊維挿入物120は、細長いコア126の近位端に固定され、かつ棘付き単繊維挿入物120の近位端122に位置するエンドエフェクタ132(例えば、停止部)を含むことが望ましい。一実施形態では、棘付き単繊維挿入物120の細長いコア126は、エンドエフェクタ132を細長いコア126の近位端に固定するコネクタ部分134を含むことが望ましい。一実施形態では、細長いコア126及びコネクタ部分134は、互いに一体的に形成される。
【0072】
一実施形態では、棘付き単繊維挿入物120の細長いコア126は、図4Eに示されて上述されている棘付き縫合糸ブランク100の細長いコア106の形状と同様である断面形状を有することが好ましい。一実施形態では、細長いコア126は、細長いコア126の両側から外向きに突出するそれぞれの棘128の厚さ以下である厚さを有することが好ましい。
【0073】
図5C及び図5C-1を参照すると、一実施形態では、棘付き単繊維挿入物120は、細長いコア126の第1の外側部から外向きに突出する第1の棘128A、及び細長いコア126の第2の外側部から外向きに突出する第2の棘128Bを含むことが望ましい。本明細書により詳細に説明されるように、棘付き単繊維挿入物120の細長いコア126の厚さは、細長いコア126の両外側部から外向きに突出するそれぞれの第1の棘128A及び第2の棘128Bの厚さ以下であることが好ましい。それぞれの128A、128Bの棘の厚さ以下である厚さを有する細長いコア126を有する棘付き単繊維挿入物120を提供することにより、好ましくは、細長いコア、及び細長いコアを取り囲む編組シースから成る編組棘付き縫合糸の全体的な寸法が低減され、それによって、編組シースが細長いコア126の周りに形成された後に、編組棘付き縫合糸120の柔軟性を維持する。
【0074】
図5D及び図5D-1を参照すると、一実施形態では、棘付き単繊維挿入物120は、棘付き単繊維挿入物120の近位端122において細長いコア126の近位端に固定されるエンドエフェクタ132(例えば、停止部)を含むことが好ましい。一実施形態では、その開示が本明細書に組み込まれる2020年6月16日に出願された米国仮出願第63/039,649号の利益を主張する、本願と同日に出願され、本発明の譲渡人に譲渡された米国特許出願第_______________号(代理人整理番号ETH6071USNP1)に開示されているように、棘付き単繊維挿入物120は、棘付き単繊維挿入物120の棘付き中央部分130(図5A)がガイドカートリッジの第1の軌道を通過し、エンドエフェクタ132がガイドカートリッジの第2の軌道を通過し、かつコネクタ部分134が、ガイドカートリッジの第1の軌道及び第2の軌道を相互接続するスロットを通過するのを可能にする細長いコア126のコネクタ部分134を含むことが好ましい。
【0075】
一実施形態では、細長いコア126は、棘付き単繊維挿入物120の棘付き部分130を通って、並びに棘付き単繊維挿入物120の近位端122に位置するエンドエフェクタ132を通って、延在することが好ましい。図5D-1に示すように、細長いコア126の厚さTは、エンドエフェクタ132の第1の側部翼136及び第2の側部翼138のそれぞれの厚さTよりも小さい。
【0076】
図5Eを参照すると、一実施形態では、棘付き単繊維挿入物120は、細長いコア126の第1の外側部140から外向きに突出する第1の棘128A、及び細長いコア126の第2の外側部142から外向きに突出する第2の棘128Bを含むことが好ましい。一実施形態では、細長いコア126は、棘付き単繊維挿入物120の中心に位置し、かつ棘付き縫合糸の長手方向軸Aに沿って延在することが好ましい。一実施形態では、細長いコア126は、縫合動作中に棘付き単繊維挿入物に柔軟性を提供する柔軟な骨格部を形成することが好ましい。
【0077】
一実施形態では、第1の棘128Aは、第1の移行帯145Aを介して細長いコア126の第1の外側部140に接続されている内側端部144A、及び第1の棘の自由端を画定する外側端部146Aを有することが好ましい。第1の移行帯145Aは、細長いコア126の第1の外側部140と、第1の棘128Aの内側端部144Aとの間に位置する。一実施形態では、第1の移行帯145Aは、細長いコア126の第1の外側部140と、第1の棘128Aの内側端部144Aとの間で広くなるか、又はより厚くなる。
【0078】
第2の棘128Bは、第2の移行帯145Bを介して細長いコア126の第2の外側部142と接続している内側端部144B、及び第2の棘の自由端を画定する外側端部146Bを有することが好ましい。第2の移行帯145Bは、細長いコア126の第2の外側部142と、第2の棘128Bの内側端部144Bとの間に位置することが好ましい。一実施形態では、第2の移行帯145Bは、細長いコア126の第2の外側部140と、第2の棘128Bの内側端部144Bとの間で広くなるか、又はより厚くなる。
【0079】
一実施形態では、細長いコア126は、棘付き単繊維挿入物120の上部側に位置する凸状上面148、及び棘付き縫合糸の底部側に位置する凸状底面150を有することが好ましい。一実施形態では、細長いコア126の中央領域152が画定する厚さTは、細長いコア126のそれぞれの第1の外側部140及び第2の外側部142における厚さTよりも大きい。
【0080】
一実施形態では、細長いコアの上面148、並びに第1の移行帯145A及び第2の移行帯145Bは、棘付き単繊維挿入物120の上部側に位置する第1の凹状プロファイルを画定することが好ましく、細長いコア126の底面150、並びに第1の移行帯145A及び第2の移行帯145Bは、棘付き単繊維挿入物の底部側に位置する第2の凹状プロファイルを画定することが好ましい。
【0081】
一実施形態では、第1の棘128Aは、厚さTを画定する内側端部144A、及び厚さTよりも小さい厚さTを画定する外側自由端146Aを有する。その結果、第1の棘128Aの内側端部144Aは、第1の棘128Aの外側端部146Aよりも厚い。一実施形態では、細長いコア126の中央領域152における厚さT、及び細長いコア126のそれぞれの第1の外側部140及び第2の外側部142における厚さTは、第1の棘128Aの内側端部144Aにおける厚さTよりも小さく、かつ第1の棘128Aの外側端部146Aにおける厚さT以下である。第1の移行帯145Aは、細長いコア126の薄い方の第1の外側部140と、第1の棘128Aの内側端部144Aとの間で広くなり、かつ/又はより厚くなる。
【0082】
一実施形態では、第2の棘128Bは、その内側端部144Bでより厚く、かつその外側自由端146Bでより薄いことが好ましい。一実施形態では、第2の棘128Bの内側端部144Bは、厚さTを有し、第2の棘128Bの外側端部146Bは、内側端部144Bの厚さTよりも小さい厚さTを有する。一実施形態では、細長いコア126の中央領域152における厚さT、及び細長いコア126の第1の外側部140及び第2の外側部142における厚さTは、第2の棘128Bの内側端部144Bにおける厚さTよりも小さく、かつ第2の棘128Bの外側端部146Bにおける厚さT以下である。第2の移行帯145Bは、細長いコア126の第2の外側部142と、第2の棘128Bの内側端部144Bとの間で広くなり、かつ/又はより厚くなる。
【0083】
図5Fを参照すると、一実施形態では、棘付き単繊維挿入物120のエンドエフェクタ132は、細長いコア126の第1の外側部140から外向きに延在する第1の側部翼136、及び細長いコア126の第2の外側部142から外向きに延在する第2の側部翼138を含むことが好ましい。エンドエフェクタ132は、細長いコア126の第1の外側部140と、第1の側部翼136の内側端部との間に位置する第1の移行帯145A、及び細長いコア126の第2の外側部142と、第2の側部翼138の内側端部との間に位置する第2の移行帯145Bを含むことが好ましい。細長いコア126の中央領域152の厚さTは、エンドエフェクタ132のそれぞれの第1の側部翼136及び第2の側部翼138の厚さTよりも小さい。一実施形態では、エンドエフェクタ132を通って延在する細長いコア126の厚さT図5Fに示される)は、棘付き単繊維挿入物120の棘付き部分130を通って延在する細長いコア126の厚さT図5D-1に示す)に等しい。
【0084】
図6A及び図6Bを参照すると、一実施形態では、編組棘付き縫合糸160は、棘付き単繊維挿入物120の細長いコア126(図5E)の周りに繊維を巻き付けて、棘付き単繊維挿入物120の細長いコア126を取り囲む編組シース162を形成することによって形成することができる。棘付き単繊維挿入物120及び編組シース150の組み合わせは、編組棘付き縫合糸160の複合コア165を形成することが好ましい。棘付き単繊維挿入物120の第1の棘128A及び第2の棘128Bは、組織に係合するために、編組シース162の外周部を越えて外向きに延在することが好ましい。
【0085】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、先行技術の細長いコアにおいて見られるものよりも、低減した厚さ、直径、及び/又は小さい断面積を有する細長いコアを有する棘付き単繊維挿入物を含むことが望ましく、それによって、細長いコアの周りに巻かれて編組シースを形成する材料の量は、より小さい曲げ剛性を有する(すなわち、より柔軟性のある)編組棘付き縫合糸を提供するにはそれほど嵩高にならない。編組棘付き縫合糸を作製するために使用される材料の特性(例えば、コアのサイズ、オーバー編組の度合い、コア及び編組の材料)は、編組棘付き縫合糸の取り扱い及び強度特性に直接大きな影響を与えることになる。
【0086】
細長いコアの厚さが低減されることにより、複合コア165のより大きな割合(すなわち、編組シース及び細長いコアの組み合わせ)が編組シース162から成ることが可能になり、編組棘付き縫合糸構造が編組縫合糸の利点(例えば、取り扱い、柔軟性、手術用器具との互換性)を有することを可能にする。
【0087】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸160の複合コア165を断面で見ると、編組シース162を含む複合コア165の厚さ又は直径に対する細長いコア126の厚さ又は直径の比(すなわち、編組に対するコアの比)は、1未満である。したがって、編組シース162が構成する複合コア165の面積は、細長いコア126が構成する面積をよりも大きく、このことは、編組シース構成要素を介して編組棘付き縫合糸160の引っ張り強度を向上させ、通常の細長いコア構成要素よりも薄いことに起因して、編組棘付き縫合糸160の全体的な柔軟性を改善する。
【0088】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸160の棘128A、128Bは、第1の平面P1内で延在し、細長いコア126及び複合コア165の厚さ及び/又は直径の測定値は、第1の平面P1に対して垂直である第2の平面P2内にある軸に沿って取得される。
【0089】
一実施形態では、厚さの測定は、1/2インチの直径を有する円形足を含むMitutoyoゲージID-39試験器具を使用して取得することができる。一実施形態では、ゲージは、押さえ足が縫合糸の上に載るまで静かに下降するように構成されている押さえ足を含むことができ、厚さは、載った時点で記録される。次いで、縫合糸は、取り外されて、高さ測定値が記録される。一実施形態では、押さえ足が縫合糸上に下げられた後に、厚さ測定値が記録される前に、約0.5秒の期間が経過しても差し支えない。一実施形態では、厚さ測定は、棘付き単繊維挿入物及び編組棘付き縫合糸のリーダー端で行われる。3つの厚さ測定値は、縫合撚糸の長さに沿った別個の場所で取得されることが好ましい。棘付き編組棘付き縫合糸について、1つの測定値は、縫合糸材料のリーダー端上で取得され、2つの測定値は、棘付き部分上で取得される。
【0090】
一実施形態では、編組シース162が細長いコア126を包んで編組棘付き縫合糸160の複合コア165を形成する場合、複合コア165の総計した厚さTCCに対する細長いコア126の厚さTECの比は、約0.16~0.91であり、より好ましくは、約0.24~0.73である。
【0091】
一実施形態では、棘128A、128Bの厚さと比べて薄い細長いコア126を使用することに起因して、編組棘付き縫合糸160は、多繊維デバイスとほとんど同等の非常に小さい曲げ剛性を提供し、同時に、同様の厚さ又は外径を有する単繊維棘付きデバイスと比較して、等しいか又はより大きな引っ張り強度を与える。更に、小さい方の細長いコア126により、より厚い細長いコアを有する先行技術の棘付き縫合糸挿入物を用いてで可能である場合よりも小さい厚さ又は外側寸法(例えば、外径)を有する複合コア165がもたらされる。
【0092】
図7A図7Cを参照すると、一実施形態では、ポリマー材料のリボンなどの棘付き縫合糸ブランク200を使用して、細長いコア、及び細長いコアの両外側部から外向きに突出する複数の棘を有する棘付き単繊維挿入物を形成する。一実施形態では、棘付き縫合糸ブランク200は、近位端202、遠位端204、及び近位端202と遠位端204との間で、棘付き縫合糸ブランクの長さに沿って延在する長手方向軸Aを含むことが好ましい。一実施形態では、棘付き縫合糸ブランクは、長手方向軸Aに沿って延在する細長いコア206、細長いコア206の第1の外側部に沿って延在する第1の外側部分208、及び細長いコア206の第2の外側部に沿って延在する第2の外側部分210を含むことが好ましい。
【0093】
図7D及び図7Eを参照すると、一実施形態では、棘付き縫合糸ブランク200は、予め形成された断面形状を有し、それは、細長いコア206、及び細長いコア206の両側に位置する第1の外側部分208及び第2の外側部分210を含むことが好ましい。一実施形態では、細長いコア206は、棘付き縫合糸ブランク200の中心に位置し、かつ棘付き縫合糸ブランク200の長手方向軸Aに沿って延在することが好ましい。一実施形態では、細長いコア206の厚さTは、棘付き縫合糸ブランク200のそれぞれの第1の外側部分208及び第2の外側部分210の厚さT10よりも小さい。棘付き縫合糸ブランク200は、細長いコア206の第1の外側部と、第1の外側部分208の内側端部との間に位置する第1の移行帯209、及び細長いコア206の第2の外側部と、第2の外側部分210の内側端部との間に位置する第2の移行帯211を有する。一実施形態では、第1の移行帯209及び第2の移行帯211は、相対的に薄い細長いコア206と、第1の外側部208及び第2の外側部210の相対的に厚い内側端部との間で広くなる。
【0094】
一実施形態では、棘付き縫合糸ブランク200は、細長いコア、細長いコアから外向きに突出する複数の棘、及び細長いコアの端部と接続されたエンドエフェクタを含む、棘付き単繊維挿入物を形成するための鋳型又は打ち抜き機の中に配置され得る。
【0095】
図8A及び図8Bを参照すると、一実施形態では、棘付き縫合糸ブランク200(図7A図7E)は、打ち抜かれ、又は切断されて、近位端222及び遠位端224を有する棘付き単繊維挿入物220を形成することが望ましい。一実施形態では、棘付き単繊維挿入物220は、棘付き縫合糸の長さに沿って延在する細長いコア226を含むことが望ましい。棘付き単繊維挿入物220は、細長いコア226の両側から外向きに延在して、棘付き単繊維挿入物220の棘付き中央部分230を画定する複数の棘228を含むことが望ましい。棘付き単繊維挿入物220は、棘付き単繊維挿入物220の近位端222に位置し、細長いコア226の近位端に固定されているエンドエフェクタ232(例えば、停止部)を含むことが望ましい。
【0096】
一実施形態では、その開示が本明細書に組み込まれる2020年6月16日に出願された米国仮出願第63/039,649号の利益を主張する、本願と同日に出願され、本発明の譲渡人に譲渡された米国特許出願第_______________号(代理人整理番号ETH6071USNP1)に開示されているように、棘付き単繊維挿入物220は、棘付き単繊維挿入物220の棘付き中央部分230(図9A)がガイドカートリッジの第1の軌道を通過し、エンドエフェクタ232がガイドカートリッジの第2の軌道を通過し、コネクタ部分234がガイドカートリッジの第1及び第2の軌道を相互接続するスロットを通過するのを可能にする細長いコア226のコネクタ部分234を含むことが好ましい。
【0097】
一実施形態では、棘付き単繊維挿入物220の細長いコア226は、図7Eに示され、上述された棘付き縫合糸ブランク200の細長いコア206と同様である断面形状を有することが好ましい。細長いコア226は、細長いコア226の両側から外向きに突出するそれぞれの棘228の厚さ、及びエンドエフェクタ232の第1及び第2の翼の厚さ以下である厚さを有する棘付き縫合糸の部分を画定することが好ましい。
【0098】
図8C及び図8C-1を参照すると、一実施形態では、棘付き単繊維挿入物220の棘付き中央部分230は、棘付き単繊維挿入物220の長さに沿って近位端222から遠位端224まで(図8A)延在する細長いコア226を含むことが好ましい。棘付き単繊維挿入物220は、細長いコア226の第1の外側部から外向きに突出する第1の棘228A、及び第1の外側部の反対側にある、細長いコア226の第2の外側部から外向きに突出する第2の棘228Bを含むことが望ましい。本明細書でより詳細に説明されるように、棘付き単繊維挿入物220の細長いコア226の厚さは、細長いコア226の両外側部から外向きに突出するそれぞれの第1の棘228A及び第2の棘228Bの厚さ以下である。本明細書において前述したとおり、低減した厚さを有する細長いコアを有する棘付き単繊維挿入物を提供することにより、編組シースが細長いコア226の周りに形成された後に編組棘付き縫合糸の柔軟性を維持するために、複合コア(すなわち、細長いコア及び編組シースの組み合わせ)の全体的な断面寸法が低減されることが好ましい。
【0099】
図8D及び図8D-1を参照すると、一実施形態では、棘付き単繊維挿入物220は、棘付き単繊維挿入物220の近位端222において細長いコア226の近位端に固定されているエンドエフェクタ232(例えば、停止部)を含むことが好ましい。一実施形態では、その開示が本明細書に組み込まれる2020年6月16日に出願された米国仮出願第63/039,649号の利益を主張する、本願と同日に出願され、本発明の譲渡人に譲渡された米国特許出願第_______________号(代理人整理番号ETH6071USNP1)に開示されているように、棘付き単繊維挿入物220は、棘付き単繊維挿入物220の棘付き中央部分230(図8A)がガイドカートリッジの第1の軌道を通過し、エンドエフェクタ232がガイドカートリッジの第2の軌道を通過し、かつコネクタ部分234が、第1の軌道及び第2の軌道を相互接続するスロットを通過するのを可能にする細長いコア226のコネクタ部分234を含むことが好ましい。
【0100】
一実施形態では、細長いコア226は、棘付き単繊維挿入物220の棘付き部分230を通って、並びに棘付き単繊維挿入物220の近位端222に位置するエンドエフェクタ232を通って、延在することが好ましい。図9D-1に示すように、細長いコア226の厚さTは、エンドエフェクタ232の、それぞれの第1の側部翼236及び第2の側部翼238の厚さT10よりも小さい。
【0101】
図8Eを参照すると、一実施形態では、棘付き単繊維挿入物220は、細長いコア226の第1の外側部240から外向きに突出する第1の棘228A、及び細長いコア226の第2の外側部242から外向きに突出する第2の棘228Bを含むことが好ましい。一実施形態では、細長いコア226は、棘付き単繊維挿入物220の中心に位置し、棘付き縫合糸の長手方向軸Aに沿って延在することが好ましい。一実施形態では、細長いコア226は、縫合動作中に棘付き単繊維挿入物220に柔軟性を提供する柔軟なスパイン部又は骨格部を形成することが好ましい。
【0102】
一実施形態では、第1の棘228Aは、細長いコア226の第1の外側部240に接続されている内側端部244A、及び第1の棘の自由端を画定する外側端部246Aを有することが好ましい。棘付き単繊維挿入物220は、細長いコア226の第1の外側部240と、第1の棘228Aの内側端部244Aとの間に位置する第1の移行帯245Aを含むことが望ましい。第1の移行帯245Aは、細長いコア226の第1の外側部240と、第1の棘228Aの内側端部244Aとの間で広くなるか、又はより厚くなる。
【0103】
第2の棘228Bは、細長いコア226の第2の外側部242と接続されている内側端部244B、及び第2の棘の自由端を画定する外側端部246Bを有することが好ましい。棘付き単繊維挿入物220は、細長いコア226の第2の外側部242と、第2の棘228Bの内側端部244Bとの間に位置する第2の移行帯245Bを含むことが望ましい。第2の移行帯245Bは、細長いコア226の第2の外側部240と、第2の棘228Bの内側端部244Bとの間で広くなるか、又はより厚くなる。
【0104】
一実施形態では、細長いコア226は、棘付き単繊維挿入物220の上部側に位置する実質的に平坦な上面248、及び棘付き縫合糸の底部側に位置する実質的に平坦な底面250を有することが好ましい。一実施形態では、実質的に平坦な上面248及び底面250は、細長いコア226の厚さT11を画定する。
【0105】
一実施形態では、第1の棘228Aは、その内側端部244Aにおいてはより厚く、かつその外側自由端246Aにおいてはより薄いことが好ましい。一実施形態では、第1の棘228Aの内側端部244Aは、厚さT12を有し、第1の棘228Aの外側端部246Aは、内側端部244Aの厚さT12よりも小さい厚さT13を有する。一実施形態では、細長いコア226の厚さT11は、第1の棘228Aの内側端部244Aにおける厚さT12よりも小さい。一実施形態では、細長いコア226の厚さT11は、第1の棘228Aの外側端部246Aでの厚さT13以下である。
【0106】
一実施形態では、第2の棘228Bは、その内側端部244Bにおいてはより厚く、かつその外側自由端246Bにおいてはより薄いことが好ましい。一実施形態では、第2の棘228Bの内側端部244Bは、厚さT14を有し、第2の棘128Bの外側端部146Bは、内側端部144Bの厚さT14よりも小さい厚さT15を有する。一実施形態では、細長いコア226の厚さT11は、第2の棘228Bの内側端部246Aにおける厚さT14よりも小さい。一実施形態では、細長いコア126の厚さT11は、第2の棘228Bの外側端部246Bの厚さT15以下である。
【0107】
図8Fを参照すると、一実施形態では、棘付き単繊維挿入物220のエンドエフェクタ232は、細長いコア226の第1の外側部240から外向きに延在する第1の側部翼236、及び細長いコア226の第2の外側部242から外向きに延在する第2の側部翼238を含むことが好ましい。エンドエフェクタ232は、細長いコア226の第1の外側部240と、第1の側部翼236の内側端部との間に位置する第1の移行帯245A、及び細長いコア226の第2の外側部242と、第2の側部翼238の内側端部との間に位置する第2の移行帯245Bを含むことが好ましい。細長いコア226の厚さT11は、エンドエフェクタ232のそれぞれの第1の側部翼236及び第2の側部翼238の厚さT10よりも小さい。一実施形態では、エンドエフェクタ232を通って延在する細長いコア226の厚さT11は、棘付き単繊維挿入物220の棘付き部分230を通って延在する細長いコア226の厚さTに等しい(図8D-1)。
【0108】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸は、棘付き単繊維挿入物220の細長いコア226の周りに繊維を巻き付けて、棘付き単繊維挿入物220の細長いコア226を取り囲み、かつ/又は包む編組シースを形成することによって形成され得る。
【0109】
図9を参照すると、編組棘付き縫合糸を構築する場合、編組棘付き縫合糸の引っ張り強度は、編組棘付き縫合糸を作製するために使用される材料のタイプ及び寸法を選択することによって制御され得る。図9のグラフは、編組棘付き縫合糸の引っ張り強度が編組棘付き縫合糸を作製するために使用される材料の組み合わせに依存することを示している。
【0110】
実施例1.一実施形態では、棘付き単繊維挿入物の細長いコアの厚さは、6.39ミルである。繊維が、細長いコアの周りに巻かれて、編組シースを形成する。細長いコア、及び細長いコアを包む編組シースの組み合わせは、23.44ミルの厚さを有する複合コアを形成する。複合コアの厚さに対する細長いコアの厚さの比は、0.27(6.39/23.44=0.27)である。
実施例2.一実施形態では、棘付き単繊維挿入物の細長いコアの厚さは、20.18ミルである。繊維が、細長いコアの周りに巻かれて、編組シースを形成する。細長いコア、及び細長いコアを包む編組シースの組み合わせは、24.47ミルの厚さを有する複合コアを形成する。複合コアの厚さに対する細長いコアの厚さの比は、0.82(20.18/24.47=0.82)である。
実施例3.一実施形態では、棘付き単繊維挿入物の細長いコアの厚さは、6.34ミルである。繊維が、細長いコアの周りに巻かれて、編組シースを形成する。細長いコア、及び細長いコアを包む編組シースの組み合わせは、13.4ミルの厚さを有する複合コアを形成する。複合コアの厚さに対する細長いコアの厚さの比は、0.47(6.34/14.4=0.47)である。
【0111】
図10を参照すると、編組棘付き縫合糸の曲げ剛性は、編組棘付き縫合糸を作製するために使用される材料のタイプ及び寸法を選択することによって制御することができる。図10のグラフは、編組棘付き縫合糸の曲げ剛性が編組棘付き縫合糸を作製するために使用される材料の組み合わせに依存することを示している。
【0112】
図10に示すように、一実施形態では、編組棘付き縫合糸の柔軟性を維持するために、棘付き単繊維挿入物の厚さは、好ましくは、約5~20ミルであり、より好ましくは、約6~8ミルであり、複合コア(すなわち、細長いコア及び編組シースの組み合わせ)の厚さは、好ましくは、約13~30ミルであり、より好ましくは、約13~18ミルである。上に列挙された範囲内(すなわち、6~8ミルの棘付き単繊維挿入物の厚さ、及び13~18ミルの複合コア厚さ)では、編組棘付き縫合糸の曲げ剛性は、多繊維縫合糸デバイスによって達成され得る曲げ剛性に合致することになる。
【0113】
一実施形態では、5~10ミルの細長いコア厚さ、及び11~30ミルの複合コア厚さを有する編組棘付き縫合糸が好ましい。一実施形態では、非常に好ましい編組棘付き縫合糸は、約0.47の細長いコア/複合コア比の場合、6~8ミルの細長いコア厚さ、及び11~25ミルの複合コア厚さを有する。
【0114】
試験モデルを作製し、試験を実行して、編組棘付き縫合糸の破壊機構を評価及び分析した。特に、1)編組棘付き縫合糸の全体的な引っ張り強度に対する、棘付き単繊維挿入物及び編組シースの寄与、及び、2)編組棘付き縫合糸の全体的な引っ張り強度に対する、棘付き単繊維挿入物及び編組シースの棘の機械的な相互作用の影響、を判定するために、試験を実行した。
【0115】
編組棘付き縫合糸の破壊機構の分析を完了するために、データが、2つの別個の段階に集計された。第1の試験段階には、編組縫合糸試料(グループI)の破壊機構の分析が含まれ、各グループIの試料には、棘なし単繊維コア、及び棘なし単繊維コアを覆う編組シースが含まれた。第2の試験段階には、編組棘付き縫合糸試料(グループII)の破壊機構の分析が含まれ、各グループIIの試料には、棘付き単繊維挿入物、及び棘付き単繊維挿入物の細長いコアを覆う編組シースが含まれた。
【0116】
グループIの試料は、5~20ミルの範囲にわたる直径を有する様々なサイズ(例えば、USP5~0、2~0、及び1)を有する棘なし単繊維コア、及び様々な密度(例えば、56又は80デニール糸、一重又は二重、及び16個の支持体)を有する編組シースを使用して作製され、その結果、13~31ミルの範囲にわたる直径を有する最終的な複合コアを得た。グループIの試料が棘を有さないという事実は、棘なし単繊維コア、及びその単繊維コアを包む編組シースの機械的結合を推定する特別な機会を提供した。更に、グループIの試料の構築により、棘なし単繊維コアが編組シースから除去されることが可能になり、これは、編組縫合糸の各構成要素が互いに独立して機械的に試験されることを可能にした。
【0117】
式FCS=F+F(式1)は、機械的破壊試験を完了するために利用され、式中、FCSは、単繊維コア及び編組シースの複合体の組み合わされた引っ張り強度であり、Fは、単繊維コアの引っ張り強度であり、Fは、編組シースの引っ張り強度である。図11は、FCS対F+Fのプロットを示している。プロットされた点の全てが、原点を通過する、勾配が1に等しい直線上にかかるように示されている。
【0118】
棘を有しない編組縫合糸(グループIの試料)対棘を有する編組棘付き縫合糸(グループIIの試料)の破壊機構の評価。グループIの試料対グループIIの試料の破壊機構を評価及び比較するために、グループI及びグループIIの試料は、ほぼ整合する構造を有するように作製された。その後、グループIの試料の引っ張り強度(すなわち、FCS)対グループIIの試料の引っ張り強度(すなわち、Fbb)が、それぞれ、実験的に決定された。図12を参照すると、FCS及びFbbのプロットを構築し、勾配=1を有しかつ原点を通過する基準線が図示してある。
【0119】
図12を参照すると、グループIの試料を試験した後、そのデータのプロットは、式1によって予測された結果が試験された試料の全てについて当てはまることを示しており、グループIの試料の引っ張り強度が、単に、棘なし単繊維コア、及びコアを包む編組シースのそれぞれの引っ張り強度の線形加算であることを立証している。試験結果の分析では、単繊維コアと編組シース構成要素との間に、摩擦力などの他の有意な機械的相互作用は見られなかった。式1が実証されたので、編組棘付き縫合糸の更なる機械的破壊試験が行われた。
【0120】
編組棘なし縫合糸(グループIの試料)対編組棘付き縫合糸(グループIIの試料)の破壊機構を評価するときに、理論上、展開することができる以下の3つの可能性のあるシナリオが存在する:シナリオ#1)データが、基準線の上方に存在する傾向があり、これは、棘及び編組の相互作用が式1によって推測された引っ張り強度に対して、デバイスの引っ張り強度を実際に増加させていることを示していること、シナリオ#2)データが、基準線の上に存在する傾向があり、これは、棘が、式1によって推測された引っ張り強度に対して、引っ張り強度にいかなる影響も与えていないことを示していること、及びシナリオ#3)データが、基準線の下方に存在する傾向があり、これは、棘が、式1によって推測されたように、デバイスの引っ張り強度を低減していることを示していること、である。
【0121】
図12は、試験結果のプロットであり、シナリオ#2に関連付けられている基準線を示している。この試験結果は、棘の存在が、縫合糸の引っ張り強度への有意な影響を与えていないことを示している。したがって、編組棘付き縫合糸の総計した引っ張り強度は、棘付き単繊維挿入物の引っ張り強度と、編組シースの引っ張り強度との加算による組み合わせに等しく、これは、式1と矛盾しない。
【0122】
この試験結果は、以下の結論を支持する。第一に、所定の直径を有する細長いコアを有する棘付き単繊維挿入物について、比較的大きなシースサイズ及び比較的小さい細長いコアサイズ(すなわち、コアに対するシースの比)を提供することは、理想的であり、その理由は、その設計が編組棘付き縫合糸の編組シース部分の固有の強度を活用するためである。
【0123】
第二に、所与の直径について、細長いコアに対する大きな編組シースの比を利用することは、より大きな柔軟性(すなわち、より低い曲げ剛性)を提供することになり、これは、編組棘付き縫合糸の取り扱い特性を改善する。
【0124】
第三に、編組シースは、外科手術従事者に対して露出し、可視であるため、編組シースへのどのような損傷も、検査時に明らかである。したがって、万一細長いコアの破損が生じた場合には、比較的大量の編組が、デバイスの引っ張り強度における最小限の損失をもたらすであろう。損傷機構に対するこの程度の堅牢性は、コアに対するシースの比がより小さい編組縫合糸については、達成することができない。
【0125】
第四に、棘付き単繊維挿入物と編組シース材料との間の物理的な相互作用は、編組棘付き縫合糸の引っ張り強度を変化させない。したがって、棘設計に対するわずかな調整が引っ張り強度に対して有意な影響を及ぼす可能性は低い。
【0126】
縫合糸は、異なるサイズで、すなわち、10-0、9-0、8-0、7-0、6-0、5-0、4-0、3-0、2-0、0、1、2、3、4、及び5で供給され、縫合糸サイズ10~0は、最小であり、縫合糸サイズ5は、最大である。縫合糸サイズ3-0及び2-0は、皮膚閉鎖のために使用される場合が多い。縫合糸サイズ0及び1は、サイズ3-0及び2-0よりも大きく、腹部の手術中、並びに膝及び股関節の手術において、筋膜層を閉鎖するために使用される場合が多い。
【0127】
本明細書に開示の編組棘付き縫合糸は、縫合糸サイズ3-0、2-0、0、及び1を含み得る。複合コア165の外径(図6B)は、縫合糸サイズに応じて変化し得る。概して、より小さい縫合糸サイズ(例えば、サイズ3-0)により、比較的小さい外径を有する複合コアが形成され、より大きな縫合糸サイズ(例えば、サイズ1)により、比較的大きな外径を有する複合コアが形成されることになる。
【0128】
一実施形態では、編組棘付き縫合糸の棘は、十分な距離だけ複合コアの外径を越えて外向きに突出して、編組棘付き縫合糸を所定の位置に保持するために棘が組織に係合することが可能であることが好ましい。棘の先端が複合コア内に埋め込まれている(かつ複合コアの外側に延在しない)場合、棘は、編組棘付き縫合糸を所定の位置に保持するためには有効でない状態になる。
【0129】
図13を参照すると、一実施形態では、編組棘付き縫合糸360は、細長いコア326、並びに細長いコア326から外向きに突出する第1の棘328A及び第2の棘328Bを含む棘付き単繊維挿入物320(すなわち、棘付き挿入物)を含むことが好ましい。第1の棘328A及び第2の棘328Bは、第1の棘328Aの先端の外側表面から第2の棘328Bの先端の外側表面まで延在する棘先端間距離BTTDを画定する。一実施形態では、編組シース362は、棘付き単繊維挿入物320の細長いコア326を覆って編組される。細長いコア326は、細長いコア直径を画定する断面寸法を有し、これは、ECDと呼ばれる。細長いコア326と編組シース350との組み合わせは、CCDと呼ばれる複合コア直径を有する複合コア365を形成する。棘付き単繊維挿入物320は、組織に係合して編組棘付き縫合糸360を所定の位置に固定するために、複合コア365の外径を越えて外向きに延在する第1の棘328A及び第2の棘328Bを含むことが好ましい。
【0130】
一実施形態では、組織に効果的に係合して編組棘付き縫合糸360を所定の位置に固定するために、棘が複合コアから十分な距離だけ突出することを確実にするために、複合コアの外径(CCD)に対する棘先端間距離(BTTD)についての好ましい比が存在する。概して、BTTD/CCD比が1:1に近い場合、棘328A、328Bは、組織内に適切に固定することができないであろう。比がより大きい場合、例えば、約1.90:1~4.50:1の場合、棘は、複合コアの外径を越えて十分な距離だけ突出し、その結果、棘は、組織内に効果的に固定することができる。
【0131】
図14A及び図14Bを参照すると、一実施形態では、棘付き単繊維挿入物420は、細長いコア426、並びに細長いコア426の両側から外向きに突出する第1の棘428A及び第2の棘428Bの対を含むことが好ましい。第1の棘428A及び第2の棘428Bは、約33ミルの棘先端間距離BTTDを画定する。
【0132】
図14B及び図17を参照すると、一実施形態では、細長いコア426は、縫合糸サイズ3-0である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、11.86ミルの複合コア直径CCDを有する第1の複合コア465Aを画定する。複合コア直径CCD(11.86ミル)に対する棘先端間距離BTTD(33ミル)の比は、約2.78:1である。
【0133】
一実施形態では、細長いコア426は、縫合糸サイズ2-0である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、12.93ミルの複合コア直径CCDを有する第2の複合コア465Bを画定する。複合コア直径CCD(12.93ミル)に対する棘先端間距離BTTD(33ミル)の比は、約2.55:1である。
【0134】
一実施形態では、細長いコア426は、縫合糸サイズ0である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、15.07ミルの複合コア直径CCDを有する第3の複合コア465Cを画定する。複合コア直径CCD(15.07ミル)に対する棘先端間距離BTTD(33ミル)の比は、約2.19:1である。
【0135】
一実施形態では、細長いコア426は、縫合糸サイズ1である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、17.15ミルの複合コア直径CCDを有する第4の複合コア465Dを画定する。複合コア直径CCD(17.15ミル)に対する棘先端間距離BTTD(33ミル)の比は、約1.92:1である。
【0136】
図15A及び図15Bを参照すると、一実施形態では、棘付き単繊維挿入物520は、細長いコア526、並びに細長いコア526の両側から外向きに突出する第1の棘528A及び第2の棘528Bの対を含む。第1の棘528A及び第2の棘528Bは、約45ミルの棘先端間距離BTTDを画定する。
【0137】
図15B及び図17を参照すると、一実施形態では、細長いコア526は、縫合糸サイズ3-0である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、11.86ミルの複合コア直径CCDを有する第1の複合コア565Aを画定する。複合コア直径CCD(11.86ミル)に対する棘先端間距離BTTD(45ミル)の比は、約3.79:1である。
【0138】
一実施形態では、細長いコア526は、縫合糸サイズ2-0である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、12.93ミルの複合コア直径CCDを有する第2の複合コア565Bを画定する。複合コア直径CCD(12.93ミル)に対する棘先端間距離BTTD(45ミル)の比は、約3.48:1である。
【0139】
一実施形態では、細長いコア526は、縫合糸サイズ0である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、15.07ミルの複合コア直径CCDを有する第3の複合コア565Cを画定する。複合コア直径CCD(15.07ミル)に対する棘先端間距離BTTD(45ミル)の比は、約2.99:1である。
【0140】
一実施形態では、細長いコア526は、縫合糸サイズ1である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、17.15ミルの複合コア直径CCDを有する第4の複合コア565Dを画定する。複合コア直径CCD(17.15ミル)に対する棘先端間距離BTTD(45ミル)の比は、約2.62:1である。
【0141】
図16A及び図16Bを参照すると、一実施形態では、棘付き単繊維挿入物620は、細長いコア626、並びに細長いコア626の両側から外向きに突出する第1の棘628A及び第2の棘628Bの対を含む。第1の棘628A及び第2の棘628Bは、約53ミルの棘先端間距離BTTDを画定する。
【0142】
図16B及び図17を参照すると、一実施形態では、細長いコア626は、縫合糸サイズ3-0である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、11.86ミルの複合コア直径CCDを有する第1の複合コア665Aを画定する。複合コア直径CCD(11.86ミル)に対する棘先端間距離BTTD(53ミル)の比は、約4.47:1である。
【0143】
一実施形態では、細長いコア626は、縫合糸サイズ2-0である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、12.93ミルの複合コア直径CCDを有する第2の複合コア665Bを画定する。複合コア直径CCD(12.93ミル)に対する棘先端間距離BTTD(53ミル)の比は、約4.10:1である。
【0144】
一実施形態では、細長いコア626は、縫合糸サイズ0である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、15.07ミルの複合コア直径CCDを有する第3の複合コア665Cを画定する。複合コア直径CCD(15.07ミル)に対する棘先端間距離BTTD(53ミル)の比は、約3.52:1である。
【0145】
一実施形態では、細長いコア626は、縫合糸サイズ1である。一実施形態では、細長いコアの周りに巻き付けられた編組シースは、17.15ミルの複合コア直径CCDを有する第4の複合コア665Dを画定する。複合コア直径CCD(17.15ミル)に対する棘先端間距離BTTD(53ミル)の比は、約3.09:1である。
【0146】
図18を参照すると、一実施形態では、編組棘付き縫合糸を作製するための自動式編組システム700は、棘付き単繊維挿入物704の連続的なロールを保持するスプール702を含むことが好ましい。一実施形態では、その開示が本明細書に組み込まれる2020年6月16日に出願された米国仮出願第63/039,649号の利益を主張する、本願と同日に出願され、本発明の譲渡人に譲渡された米国特許出願第_______________号(代理人整理番号ETH6071USNP1)に開示されているように、棘付き単繊維挿入物704は、細長い本体706を通って(DIR1の方向に)指向される。一実施形態では、細長い本体706は、それぞれの棘付き単繊維挿入物の細長いコアの周りのオーバー編組糸のために、棘付き単繊維挿入物704を編組機糸道708に供給する。自動式編組システム700は、細長い本体706及び編組機糸道708を取り囲む複数の杼支持体710を含むことが好ましい。各杼支持体710は、上部に取り付けられたボビン712を含むことが好ましく、そのボビンは、糸714を保持し、その糸は、棘付き繊維挿入物704の周りに巻き付けられて、棘付き繊維挿入物の長さに沿って延在する編組シースを形成するための編組機糸道708の中に供給されることが望ましい。
【0147】
一実施形態では、自動式編組システム700によって使用されるオーバー編組パラメータは、予め決定され及び/又は修正されて、棘付き単繊維挿入物704を覆って形成される編組シースの品質及び仕様を制御することができる。オーバー編組パラメータは、使用されるボビン712の数、及びそのボビン上に提供される糸714のデニールを含み得る。
【0148】
本明細書で使用される場合、デニール(Denier、D)とは、繊維の線形質量密度の計量単位であり、繊維の9,000メートル当たりのグラム単位の質量である。デニールの計量単位は、自然基準に基づき、すなわち、絹の単一の9,000メートル長の撚糸が、約1グラムの重量を有する、又は約1デニールである。デニール単位は次のようにされる:1デニール=1g/9,000m=0.11mg/mで計算。
【0149】
一実施形態では、自動式編組システム700で使用されるボビン712の数は、予め決定され及び/又は修正されて、棘付き縫合糸挿入物を覆って形成される編組シースの密度を制御することができる。例えば、より多くのボビンを使用することにより、より多くの糸が編組機糸道708の中に指向されることが生じ、これにより、編組シースがより高い繊維密度を有することになり、また、より少ないボビンを使用することにより、より少ない糸が編組機糸道708の中に指向されることが生じ、これにより、編組シースがより低い繊維密度を有することになる。
【0150】
一実施形態では、各ボビン712は、編組機糸道708の中に供給される糸714を含む。糸のデニールは、編組機糸道708の中に指向される繊維の数を制御することができる。一実施形態では、糸714内の各繊維は、約2デニールである。したがって、28本のデニール糸は、14本の繊維を含み、56本のデニール糸は、28本の繊維を含み、80本のデニール糸は、40本の繊維を含む。糸714のデニールは、選択されて、棘付き単繊維挿入物を覆って形成される編組シースの密度を制御することができる。
【0151】
一実施形態では、棘付き単繊維挿入物を覆って形成される編組シースは、編組棘付き縫合糸の長さに沿って計数され得る明確なピックを有する。本明細書で使用される場合、「ピック」という用語は、編組シースの長手方向軸に沿って測定された編組の1回の繰り返しを意味するように定義されている。専門用語「ピック/インチ」(picks per inch、PPI)とは、編組棘付き縫合糸デバイスの1インチにわたる、編組シースの長手方向軸に沿ったピックの数を意味する。
【0152】
図19は、編組軸に沿って延在する編組シース862を有する編組棘付き縫合糸860を示している。単一のピックの開始点及び終了点は、図19に識別されている。棘対の間の距離(distance between barb pair、DBBP)は、約0.075インチであり得る。
【0153】
図20を参照すると、一実施形態では、ピック計数システム855を使用して、編組棘付き縫合糸860(図19)を検査し、編組シース862のインチ当たりのピック(PPI)を決定することができる。一実施形態では、ピック計数システム855は、編組シースを見るための顕微鏡865、顕微鏡865によって捕捉された編組シースの画像を見るためのビデオ表示画面875、ビデオ表示画面875上に示される編組シース上に視覚的十字線を生成するデジタル十字線生成器885、及び編組棘付き縫合糸860(図19)の編組シース862上のインチ当たりのピック(PPI)を計数する際に操作者を支援するように構成されている1つ又は2つ以上のソフトウェアプログラム(すなわち、PPIソフトウェア)を動作させるコンピュータ895を含むことが好ましい。
【0154】
図20及び図21を参照すると、一実施形態では、PPIソフトウェアは、とりわけ、ビデオ表示モニタ875上に距離測定値を表示するために開かれている。編組棘付き縫合糸860は、顕微鏡895の視野内にある顕微鏡プレート上に配置することができる。一実施形態では、編組棘付き縫合糸860は、固定構成要素(例えば、接着テープ、クランプ)によって、静止した状態に保持することができる。一実施形態では、編組棘付き縫合糸860が顕微鏡865下にあり、編組シース862がビデオ表示モニタ875内で可視である状態で、デジタル十字線生成器は、十字線を編組シースの第1のピック開始と整列させることが好ましい。図21において、十字線は、編組シース862の第1のピックの開始を示す位置で交差するY軸及びX軸を含む。この十字線は、ビデオ表示モニタ875上に表示される。
【0155】
図22及び図23を参照すると、一実施形態では、ピック計数システムのコンピュータ895は、1.00インチが編組シース862のX軸に沿って測定されるまで、X軸に沿って位置するピックの数を計数する(図21)。図23では、4つのピックの開始位置及び終了位置が強調表示されている。図23に示された実施形態では、4つのピックは、1.00インチを上回る総計した長さを有する。
【0156】
図24を参照すると、一実施形態では、1インチの距離にわたって計数されるピックの総数が計算されて、ピック/インチ(PPI)の値がコンピュータ895の表示画面上に表示されている。
【0157】
図19を参照すると、一実施形態では、編組棘付き縫合糸860は、編組棘付き縫合糸の長さに沿って互いから離間されている棘828A、828Bの対を有する。編組シース862は、編組棘付き縫合糸860の長さに沿って延在する。棘の対の間の距離はまた、本明細書では、DBBPとも呼ばれ、約0.075インチである。
【0158】
図18図25、及び図26を参照すると、一実施形態では、自動式編組システム700によって使用されるオーバー編組パラメータを制御して、編組棘付き縫合糸860の性能を最適化することができる。
【0159】
一実施形態では、棘付き単繊維挿入物がサイズ3-0であり、DBBPが0.075インチである場合、16個の杼支持体710を使用し、それぞれが、28本のデニール糸(すなわち、14本の繊維)を保持する1つのボビン712を固定する編組構成は、55ピック/インチ(PPI)を有する編組シースを生成することになる。このPPI数を使用して、0.0182のインチ/ピック(inch per pick、IPP)の値として計算することができ、これは、PPIの逆数である。DBBP/IPP比は、0.075/0.0182=4.13となる。
【0160】
一実施形態では、棘付き単繊維挿入物がサイズ2-0であり、DBBPが0.075インチである場合、12個の杼支持体710を使用し、それぞれが、56本のデニール糸(すなわち、28本の繊維)を保持する1つのボビン712を固定する編組構成は、50ピック/インチ(PPI)を有する編組シースを生成することになる。このPPI数を使用して、0.0200のインチ/ピック(IPP)の値として計算することができ、これは、PPIの逆数である。DBBP/IPP比は、0.075/0.0200=3.75となる。
【0161】
一実施形態では、棘付き単繊維挿入物がサイズ0であり、DBBPが0.075インチである場合、16個の杼支持体710を使用し、それぞれが、56本のデニール糸(すなわち、28本の繊維)を保持する1つのボビン712を固定する編組構成は、48ピック/インチ(PPI)を有する編組シースを生成することになる。このPPI数を使用して、0.0208のインチ/ピック(IPP)の値として計算することができ、これは、PPIの逆数である。DBBP/IPP比は、0.075/0.0208=3.60となる。
【0162】
一実施形態では、棘付き単繊維挿入物がサイズ1であり、DBBPが0.075インチである場合、16個の杼支持体710を使用し、それぞれが、80本のデニール糸(すなわち、40本の繊維)を保持する1つのボビン712を固定する編組構成は、41ピック/インチ(PPI)を有する編組シースを生成することになる。このPPI数を使用して、0.0244のインチ/ピック(IPP)の値として計算することができ、これは、PPIの逆数である。DBBP/IPP比は、0.075/0.0244=3.08となる。
【0163】
一実施形態では、DBBP/IPP比は、編組棘付き縫合糸の編組シースの糸の下に隠れて棘が埋設されるのを防止するように最適化され得るオーバー編組パラメータである。DBBP/IPP比が低すぎる場合、糸は、きつく編組され過ぎることになり、棘が埋設される可能性がより高くなる。対照的に、DBBP/IPP比が高すぎる場合、糸は、疎にオーバー編組され過ぎることになり、編組棘付き縫合糸は、その存在によって提供される改善された機械的特質からの恩恵を受けないことになる。
【0164】
一実施形態では、好ましいDBBP/IPP比は、約2.75~4.50である。棘付き縫合糸挿入物の縫合糸サイズに応じて、糸のデニール、及び使用されるボビンの数を修正して、DBBP/IPP比が2.75~4.50デニールであることを確実にすることができる。
【0165】
棘付き縫合糸挿入物のエンドエフェクタは、様々な幾何学的形状(例えば、正方形、長方形、円形、楕円形、菱形、半円形等)を有することができる。エンドエフェクタはまた、エンドエフェクタの長さに沿ってエンドエフェクタの横方向幅を変更するために斜面を有することもできる。図27を参照すると、一実施形態では、棘付き縫合糸挿入物1020は、長方形の形状を有するエンドエフェクタ1032を有する。図28を参照すると、一実施形態では、棘付き縫合糸挿入物1120は、湾曲面を画定する近位端1135を備えた長方形の形状を有するエンドエフェクタ1132を有する。図29を参照すると、一実施形態では、棘付き縫合糸挿入物1220は、湾曲面を画定する近位端1235を備えた正方形の形状を有するエンドエフェクタ1232を有する。
【0166】
編組棘付き縫合糸の編組エンドエフェクタは、編組エンドエフェクタに接着又は溶接されている2つの端部取り付け片で積層されるか、又はそれらによってサンドイッチ状に挟まれてもよい。端部取り付け片は、エンドエフェクタと同じ通常の形状(例えば、正方形、長方形、円形、楕円形、菱形、半円形等)のものであり、かつ棘付き縫合糸ブランク100/棘付き単繊維挿入物と同じ材料で作製されることが好ましい。端部取り付け片は、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第10,336,001号及び同第D780,918号に開示されているものと同様の方法で、編組エンドエフェクタに固定することができる。
【0167】
上記の説明は本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の他の及び更なる実施形態を本発明の基本的な範囲から逸脱することなく行うことが可能であり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。例えば、本発明では、本明細書で説明される又は本明細書に参照により組み込まれる任意の実施形態に示される任意の特徴は、本明細書で説明される又は本明細書に参照により組み込まれる任意の実施形態に示される任意の特徴とともに組み込まれ得、かつ本発明の範囲内に依然として含まれることが意図されている。
【0168】
〔実施の態様〕
(1) 編組棘付き縫合糸であって、
細長いコア厚さを有する細長いコア、及び前記細長いコアの両側から外向きに突出する複数の棘を含む棘付き単繊維挿入物と、
複合コア厚さを有する前記編組棘付き縫合糸の複合コアを形成するための、前記細長いコアを取り囲む編組シースであって、前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの比が、約0.16~0.91である、編組シースと、を備える、編組棘付き縫合糸。
(2) 前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの前記比が、約0.24~0.73である、実施態様1に記載の編組棘付き縫合糸。
(3) 前記編組シースが、前記細長いコアを包み、前記細長いコアが、前記複合コアの中心に位置している、実施態様1に記載の編組棘付き縫合糸。
(4) 前記複数の棘が、第1の平面内で前記細長いコアから外向きに突出しており、前記細長いコアの前記厚さ及び前記複合コアの前記厚さが、前記第1の平面に対して垂直である第2の平面内にある軸に沿って測定される、実施態様1に記載の編組棘付き縫合糸。
(5) 前記棘付き単繊維挿入物が、
前記細長いコアから外向きに突出する第1の棘であって、前記第1の棘が、前記細長いコアの前記厚さよりも大きい第1の厚さを有する内側端部、及び前記第1の棘の前記内側端部における前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する外側端部を含む、第1の棘と、
前記第1の棘の前記内側端部を前記細長いコアに接続するための、前記細長いコアと前記第1の棘の前記内側端部との間に延在する移行帯と、を備える、実施態様4に記載の編組棘付き縫合糸。
【0169】
(6) 前記移行帯が、前記細長いコアの近くでより薄く、前記第1の棘の前記内側端部の近くでより厚く、前記移行帯が、前記細長いコアから前記第1の棘の前記内側端部まで広くなる、実施態様5に記載の編組棘付き縫合糸。
(7) 前記編組シースが、前記細長いコア、及び前記棘付き単繊維挿入物の前記移行帯の周りに巻かれている繊維を含む、実施態様6に記載の編組棘付き縫合糸。
(8) 前記棘が、前記編組シースの外周部を越えて外向きに突出する、実施態様7に記載の編組棘付き縫合糸。
(9) 前記棘付き単繊維挿入物が、PDS単繊維コアを含む、実施態様1に記載の編組棘付き縫合糸。
(10) 前記編組シースが、VICRYL多繊維糸編組シースを含む、実施態様1に記載の編組棘付き縫合糸。
【0170】
(11) 前記編組棘付き縫合糸が、前記編組シース及び前記棘付き単繊維挿入物の両方について単一の破断点を有する、実施態様1に記載の編組棘付き縫合糸。
(12) 前記細長いコアが、凸状に湾曲した上面、及び凸状に湾曲した底面を有しており、前記細長いコアの前記厚さが、前記細長いコアの前記凸状に湾曲した上面から前記凸状に湾曲した底面まで延在する、実施態様1に記載の編組棘付き縫合糸。
(13) 前記細長いコアが、実質的に平坦な上面、及び実質的に平坦な底面を有しており、前記細長いコアの直径が、前記細長いコアの前記実質的に平坦な上面から前記実質的に平坦な底面まで延在する、実施態様1に記載の編組棘付き縫合糸。
(14) 前記複数の棘が、棘先端間距離(BTTD)を画定する棘の対を画定しており、前記複合コアが、複合コア直径(CCD)を有し、前記複合コア直径(CCD)に対する前記棘先端間距離(BTTD)の比が、約1.92~4.5である、実施態様1に記載の編組棘付き縫合糸。
(15) 前記複合コア直径(CCD)に対する前記棘先端間距離(BTTD)の前記比が、約2.5~3.8である、実施態様14に記載の編組棘付き縫合糸。
【0171】
(16) 編組棘付き縫合糸であって、
細長いコア厚さを有する細長いコア、及び前記細長いコアの両外側部から外向きに突出する複数の棘を含む棘付き単繊維挿入物であって、前記複数の棘が、第1の平面内にあり、前記細長いコアの前記細長いコア厚さが、前記第1の平面に対して垂直である第2の平面内にある軸に沿って測定される、棘付き単繊維挿入物と、
前記編組棘付き縫合糸の複合コアを形成するための、前記細長いコアを取り囲む編組シースであって、前記細長いコアが前記複合コアの中心に位置し、かつ前記編組シースが前記細長いコアを包む、編組シースと、を備え、前記複合コアが、前記第1の平面に対して垂直である前記第2の平面内にある前記軸に沿って測定される複合コア厚さを有しており、前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの比が、約0.16~0.91である、編組棘付き縫合糸。
(17) 前記細長いコア厚さが、約0.15~0.2mm(約6~8ミル)であり、前記複合コア厚さが、約0.33~0.46mm(約13~18ミル)である、実施態様16に記載の編組棘付き縫合糸。
(18) 前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの前記比が、約0.24~0.73である、実施態様16に記載の編組棘付き縫合糸。
(19) 前記棘が、前記細長いコア厚さよりも大きいそれぞれの厚さを有する内側端部を有する、実施態様16に記載の編組棘付き縫合糸。
(20) 前記細長いコアの第1の外側部と、第1の棘の内側端部との間に位置する第1の移行帯であって、前記第1の移行帯が、前記細長いコアの前記第1の外側部から前記第1の棘の前記内側端部まで広くなる、第1の移行帯と、
前記細長いコアの第2の外側部と、第2の棘の内側端部との間に位置する第2の移行帯であって、前記第2の移行帯が、前記細長いコアの前記第2の外側部から前記第2の棘の前記内側端部まで広くなる、第2の移行帯と、を更に備える、実施態様19に記載の編組棘付き縫合糸。
【0172】
(21) 前記細長いコア、並びに前記第1の移行帯及び前記第2の移行帯が、前記編組棘付き縫合糸の上部側に第1の凹状プロファイルを画定し、前記編組棘付き縫合糸の底部側に第2の凹状プロファイルを画定する、実施態様20に記載の編組棘付き縫合糸。
(22) 前記編組棘付き縫合糸が、前記編組シース及び前記棘付き単繊維挿入物の両方について単一の破断点を有する、実施態様16に記載の編組棘付き縫合糸。
(23) 前記棘付き単繊維挿入物が、PDS単繊維コアを含み、前記編組シースが、VICRYL多繊維糸編組シースを含む、実施態様16に記載の編組棘付き縫合糸。
(24) 細長いコアに結合されたエンドエフェクタを更に備え、前記細長いコアが、前記エンドエフェクタを通って延在し、
前記エンドエフェクタが、前記細長いコアの第1の外側部から横方向に延在する第1の翼、及び前記細長いコアの第2の外側部から横方向に延在する第2の翼を含み、前記第1の翼及び前記第2の翼が、前記細長いコアよりも厚い、実施態様16に記載の編組棘付き縫合糸。
(25) 編組棘付き縫合糸であって、
細長いコア厚さを有する細長いコア、及び前記細長いコアの両側から外向きに突出する複数の棘を含む棘付き単繊維挿入物であって、前記棘が、前記細長いコアの前記細長いコア厚さよりも厚い内側端部を有し、
前記棘付き単繊維挿入物が、凹状のプロファイルを形成するための、前記細長いコアと、前記棘の前記内側端部との間に位置した少なくとも1つの移行帯を含む、棘付き単繊維挿入物と、
前記編組棘付き縫合糸の複合コアを形成するための、前記細長いコアを取り囲む編組シースであって、前記細長いコアが前記複合コアの中心に位置し、かつ前記編組シースが前記細長いコアを取り囲む、編組シースと、を備え、前記複合コアが、前記細長いコア厚さよりも大きい厚さを有し、前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの比が、約0.16~0.91である、編組棘付き縫合糸。
【0173】
(26) 前記複数の棘が、第1の平面内にあり、前記細長いコア厚さ及び前記複合コア厚さが、前記複数の棘の前記第1の平面に対して垂直である第2の平面内にある軸に沿って測定される、実施態様25に記載の編組棘付き縫合糸。
(27) 前記複合コア厚さに対する前記細長いコア厚さの前記比が、約0.24~0.73である、実施態様25に記載の編組棘付き縫合糸。
(28) 前記編組棘付き縫合糸が、前記編組シース及び前記棘付き単繊維挿入物の両方について単一の破断点を有する、実施態様25に記載の編組棘付き縫合糸。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5C-1】
図5D
図5D-1】
図5E
図5F
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8C-1】
図8D
図8D-1】
図8E
図8F
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
【国際調査報告】