(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】平板ラウドスピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 7/06 20060101AFI20230718BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H04R7/06
H04R1/02 101Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577325
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 IB2020057718
(87)【国際公開番号】W WO2021255510
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522058475
【氏名又は名称】ソティス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘルガー,ダニーロ
【テーマコード(参考)】
5D016
5D017
【Fターム(参考)】
5D016AA01
5D016DA00
5D016EA03
5D016EC10
5D016EC22
5D016FA00
5D017AD40
(57)【要約】
支持フレームの形にある筐体と、支持フレームに取り付けられる放音矩形膜と、放音矩形膜の反対側に位置する動電型加振機とを備える平板ラウドスピーカが提供される。さらに、加振機の一端には、放音矩形膜の平面に沿って走り、放音矩形膜のいずれかの頂点から出現し、かつ放音矩形膜の反対面の上部から2/3の距離で水平に位置する放音矩形膜の水平方向面の反対側頂点上にある点で終端となる専用線内で、放音矩形膜が取り付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フレームとして作製される筐体と、該支持フレームに取り付けられる放音矩形膜と、該放音矩形膜の反対側に位置する少なくとも1つの動電型加振機とを備える平板ラウドスピーカであって、
少なくとも1つの加振機の一端には、前記放音矩形膜の平面に沿って走り、前記放音矩形膜のいずれかの頂点から出現し、かつ前記放音矩形膜の反対面の上部から2/3の距離で水平に位置する前記放音矩形膜の水平面の反対側頂点上にある点で終端となる専用線内で、前記放音矩形膜が取り付けられ、前記放音矩形膜は、ハニカムフィラー、ハニカム構造の両面に接着される表面層として作製され、ポリウレタンプライマーとワニスを基材とする安定化含浸液が前記表面層を覆っていることを特徴とする、平板ラウドスピーカ。
【請求項2】
ポリウレタンプライマーとワニスを基材とする安定化含浸液の層に、アクリルポリマー層がさらに塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の平板ラウドスピーカ。
【請求項3】
前記ハニカムフィラーが、紙、アラミド繊維、アルミニウム、またはその他低比重の金属で構成される材料から作製される、請求項1に記載の平板ラウドスピーカ。
【請求項4】
前記放音矩形膜の周囲に突縁部があることを特徴とする、請求項1に記載の平板ラウドスピーカ。
【請求項5】
膜の剛性が様々な方向で均一であり、該膜の長辺と短辺との比が9/5であることを特徴とする、請求項1に記載の平板ラウドスピーカ。
【請求項6】
膜の剛性が様々な方向で不均一であり、該膜の長辺と短辺との比が9・k/5であり、この場合にkは、長手方向での前記膜の剛性と短手方向での前記膜の剛性との比であることを特徴とする、請求項1に記載の平板ラウドスピーカ。
【請求項7】
前記放音矩形膜が、該放音矩形膜の周囲に配されるフォームテープにより前記支持フレームに取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の平板ラウドスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
提唱する技術的解決策は、広スペクトルの平板ラウドスピーカとしても機能することができる音響波発生器である。提唱したように設計かつ製造される平板ラウドスピーカは、音響システムの性能に品質上の利点をもたらすことを意図している。このフラットラウドスピーカは、音楽とボイスレコードを高品質で再生するのに使用できる共振励起膜を具備する平板音響システムである。コーン型スピーカ、ドーム型スピーカ、および平板型スピーカを含む多くの音響デバイスが従来より存在する。このようなデバイスには、いくつかの根本的な欠点がある。最も肝心な欠点の1つが、かかる音響デバイスの動作に必要な空気質量の体積である。さらにこの欠点は、周波数に直接依存する、位相ずれや不整合などの大きな欠点をもたらす。
【背景技術】
【0002】
スピーカはダイポール送信機であるため、スピーカの正面の正相と、スピーカの後ろにある逆相とを一致させる必要がある。
【0003】
このことから、スピーカの背面からの位相を逆転させて、その位相を正面コンポーネントに加えるよう正確に設計される空気充填型筐体が使用される。その結果、本発明者らは、音響範囲の特定周波数内で効率的に動作するように同調される音響システムを得た。同調周波数から偏移が生じる場合、位相変調が生じ、音声記録再生に対する寄生高調波、位相特性の歪みに加え、音声信号の振幅周波数応答に変化を生じさせる変調が発生してしまう。
【0004】
このような欠点がない音響デバイスを作り出すための試みがいくつかなされている。中でも、平板型スピーカは、共振する放音膜の動作原理に基づき、専用部を保持する。このような音響デバイスはいかなる筐体も必要とせず、双極性音響信号生成モード、すなわち、根本的に膜から両方向で同位相にあることを特徴とする。経験的に、この種の音響デバイスの有用な品質に直接影響を及ぼす設計パラメータがいくつか確立されている。かかるパラメータは、ロシア連邦特許および国際特許に示されている。中でも重要なのは、膜の幅と高さとの比率、音響加振機の取付け点、膜の取付け方法、使用するアクチュエータの種類、フレームまたは筐体の設計、音響システムの振幅周波数応答を整合させるのに可能な方法といった設計特徴である。
【0005】
推奨される技法と方法は、様々な特許で大きく異なる。これらを実用化しようとする際、本発明者らは、必要な音質を確保するのに多くの困難に直面する。上述の設計特徴はすべて互いに密接に関連するという事実は、説明せず省略する。一方のパラメータを他方のパラメータに影響することなく変更し、その後で他方のパラメータに影響を及ぼすことなどは、不可能である。一般に、多くの特許に記載される設計特徴は、実際に適用可能であるというよりは潜在的に可能である可能性が高く、すなわち、結局のところは色々な組合せを試し、色々な割合を使用する可能性にかかっているが、その中でどれが有用な音響効果をもたらすかは、合理的実用性により完全に決定されるため、誰にも分からない。
【0006】
ラウドスピーカには様々な放音膜設計が使用されることが知られている。例えば、特許文献1には、タブレットコンピュータ用ケースのプラスチック要素を放音膜として使用することが提唱されている。
【0007】
特許文献2には、膜の特性のほか、その特性に影響を及ぼすパラメータが記載されており(例えば、このようなパネル、強化繊維またはスペーサ、および特定の複合多層要素のコアに適用されるシェルまたはシートを覆う交絡体からなるハニカム構造は、各面に異なる配向にあるか相対的に傾いた粒子を含み、すなわち各面にいくつかの層をなす形態にある)、空間内で屈曲したハニカム構造の膜の使用が想定されている。
【0008】
特許文献3の特許には、膜体としてのガラス、木材、またはプラスチックの使用が提案されている。さらに特許文献4には、膜としての粒状ポリスチレンの成形が提唱されている。これら材料のパラメータはすべて、膜の物理的特性に強く影響する可能性がある。
【0009】
しかし、ラウドスピーカ自体の幾何学的パラメータを考慮せずに、上述の材料から膜を製造するだけでは、ラウドスピーカシステムの音声再生の品質は改善されない。
【0010】
本発明に最も近い対応物は、Henry Azimによる2001年12月18日付けの特許文献5に記載されるデバイスである。この特許文献には、平膜を具備し、少なくとも1つの音響振動駆動部を伴い、平膜に取り付けられた専用部とは反対側の空間に設置され、曲げ共振モードの原理で動作する音響デバイスが記載されている。加えて、パネル領域内での音響加振機の取付けに好ましい割合も提示されている。いくつかの値が考慮される。例えば、3\7、4\9、5\13のように、各角から24個の可能な組合せが考慮される。すなわち、加振機を取り付ける複数の位置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第95/31805号
【特許文献2】ロシア連邦特許第2,692,096号明細書
【特許文献3】ロシア連邦特許第2,427,100号明細書
【特許文献4】米国特許第3,779,336号明細書
【特許文献5】米国特許第6,332,029号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、このような割合を使用しても、音響システムの音声再生品質を最大限確保することはできないことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
技術的成果は、音響システムの音声再生品質の改善である。
【0014】
この技術的成果は、支持フレームの形にある筐体と、支持フレームに取り付けられる放音矩形膜と、放音矩形膜の反対側に位置する少なくとも1つの動電型加振機とを備える平板ラウドスピーカによって達成される。
【0015】
さらに、少なくとも1つの加振機の一端には、放音矩形膜の平面に沿って走り、放音矩形膜のいずれかの頂点から出現し、かつ放音矩形膜の反対面の上部から2/3の距離で水平に位置する放音矩形膜の水平面の反対側頂点上にある点で終端となる専用線内で、放音矩形膜が取り付けられ、放音矩形膜は、ハニカムフィラー、ハニカム構造の両面に接着される表面層として作製され、ポリウレタンプライマーとワニスを基材とする安定化含浸液が表面層を覆っている。
【0016】
ポリウレタンプライマーとワニスを基材とする安定化含浸液の層には、さらにアクリルポリマー層を被覆することもできる。ハニカムフィラーは、紙、アラミド繊維、アルミニウム、またはその他低比重の金属で構成される材料から作製される。
【0017】
さらに、放音矩形膜は、好ましくはその周囲に突縁部があることを特徴とする必要がある。
【0018】
膜の剛性が様々な方向で均一な場合、膜の長辺と短辺との比は9/5である。
膜の剛性が様々な方向で不均一であり、膜の長辺と短辺との比が9・k/5である場合、kは、長手方向での膜の剛性と短手方向での膜の剛性との比である。また、放音矩形膜は、放音矩形膜の周囲に配されるフォームテープにより支持フレームに取り付ける必要がある。
本発明を図で例示する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】提唱された平板ラウドスピーカの概要を実証する図である。
【
図2】提唱された平板ラウドスピーカの主要素を実証する図である。
【
図3】提唱された平板ラウドスピーカの主要素を実証する図である。
【
図4】放音膜の平面内での専用(赤色)線の位置を実証する図であり、少なくとも1つまたは複数の音響加振機を配することが推奨される。
【符号の説明】
【0020】
1.放音膜
2.プラスチック材料製のパネル端部の縁部
3.膜を筐体に固着するフォームテープ
4.フレーム
5.固定ストラップ
6,6.1~6.5.動電型音響加振機
7.増幅器接続端子
8.ハニカムフィラー
9.被覆紙
10.ポリウレタンプライマーとワニスを基材とする含浸液
11.アクリルポリマー
【発明を実施するための形態】
【0021】
多数の実践的研究の結果、本発明者らは、優れた消費者特性を有する音響システムの作製に対して好影響を直接及ぼす技術的解決策をいくつか提唱する。この技術的解決策は特定の物理デバイスで実施され、優れた音響効果を提供することを目的とする技術的解決策を適用するための方法である。
【0022】
本デバイスは、支持フレーム4(
図2を参照)であって、振動エネルギーを効果的に吸収可能な非弾性プラスチック材料から作製されるとともに、加振機からパネルの縁部に到達した波を曲げるための支点として機能するのに十分な大きさとする必要がある支持フレーム4と、音響振動を発生させてそれを空気に伝達させることを意図とした膜1とで構成される。かかる膜の表面上では、異なる再生可能周波数範囲に関連付けられた帯域が変調されるが、これらの帯域自体は、膜の全領域にわたって分散される。少なくとも1つまたは複数の動電型加振機6が膜の反対側に位置しており、その一端には、膜の平面に沿って走る専用線(
図4を参照)内で膜が取り付けられる。可撓性導線、増幅器接続端子7(
図2を参照)。
【0023】
平板型ラウドスピーカシステムの最終音質を決定する重要な設計パラメータの1つは、放音膜のアスペクト比である。
【0024】
これはすなわち、放音膜の長辺と短辺との比である。かかる膜の好ましいアスペクト比は実験により確立されており、短辺が5部に対して長辺が少なくとも9部である。この割合のパラメータには偏移が生じる可能性がある。膜の剛性が様々な方向で不均一である場合。このような場合、9/5のアスペクト比は、kファクタにより調整しなければならない。kファクタは、長手方向での膜の剛性と短手方向での膜の剛性とのパーセンテージ差を画定する。このため、膜の剛性が短手方向よりも長手方向でkパーセント高い場合、比は9k\5になる。
【0025】
この種のラウドスピーカシステムを設計する際に重要な他のパラメータは、膜領域内の加振機の位置である。例えば、前述の米国特許第6,332,029号明細書には、パネル領域内での音響加振機の好ましい固定比がいくつか記載されている。この文献には、いくつかの値が提示されている。例えば、3\7、4\9、5\13のように、各角から24個の可能な組合せが考慮される。すなわち、加振機を取り付ける複数の位置が提案されている。
【0026】
本発明者らは、このような割合を使用しても、音響システムの音声再生品質を最大限確保することはできないことを見出した。多数の実用的実験の結果、放音膜の平面に沿って走る専用EB線(
図4を参照)が確立され、その線内では、音響加振機、またはそのいくつかは、加振機の回転軸の点が専用線を含むか、または専用線の付近に設置される加振機回路の前方突出部を横断するように設置される必要がある。そのため、点A、B、C、Dで表される角度を有する放音膜では、加振機の取付けの専用「赤色」線は、点Bから点Eへと走る。Eは放音膜のDC辺の点であり、この点により、DC部分はDE\EC=1\2の割合で分割される。EB線内では、1つまたは複数の加振機を設置することができる(
図6を参照)。かかる線内で1つの音響加振機を用いる技術的解決策では、EB\XB=1.62の割合に従ってX点を決定する必要がある。かかる線内で複数の加振機を使用する場合、第1の加振機6.1(
図6を参照)の取付け点を画定する点Xから、いくつかの加振機が、加振機6.2、6.3、6.4の間の距離が可能な限り小さくなるように点Bの方向に固定される。また、高周波数範囲で作動するよう設計される音響加振機を使用することも推奨され、
図6の6.5を参照されたい。かかる加振機は、1つまたは複数の広帯域信号加振機とは別々に固定されるが、専用「赤色」EBライン内では、好ましくは角B付近に固定される。
【0027】
当然ではあるが、赤色EB線は、膜の対称軸のいずれかに沿って対称的に反射させることができるので、その作用はAF線、DH線、およびCG線にまで等しく及ぶ(
図4を参照)。
【0028】
膜領域内に専用線の形で提唱される技術的解決策の利点は、膜領域内で励起源を取り付けることを想定すると、膜領域内で共振変調が最適に分布するのを確実にすることで振幅周波数応答の均一性に対して優れた効果を奏すること、スピーカシステムの動作により生じる歪みの総量に密接に関連する音声の自然度、位相ずれの低減を確保すること、ならびに、このようなシステムの動作に際して最大周波数範囲を確保することである。
【0029】
好ましい音響効果を直接確保する他の重要なパラメータは、膜である。
多数の実践的研究の結果、放音共振型膜の最適な設計解が特定された(
図5を参照)。このような膜は、紙、アラミド繊維、アルミニウム、または別の低比重の金属などの様々な材料からなる、ハニカム構造体であるハニカムフィラー8からなる。この膜は、繰り返し振動による屈曲振動に耐えることのできる接着剤組成物によりハニカム構造の両面に接着された表面層9のシートを伴う。
【0030】
被覆材としては、面積1平方メートル当たり30~125gの密度の紙9を使用することが提唱される。次に、ポリウレタンプライマーとワニスを基材とする安定化含浸液10が、被覆紙9に含浸する。必要に応じて、鉱物や有機物質(石英、クルミ殻、米や籾殻など)のミクロン規模の粉砕物を含むアクリルポリマー11の層が使用される。
図5の層10と11により、主に放音膜の弾塑性、および振幅周波数応答の最終的な音調バランス、
【0031】
すなわち音声コンテンツ再生の信頼性を担うパラメータが決定される。膜完成品の最終質量を可能な限り減らすことの重要性も、明らかとなった。これはスピーカシステムの感度に直接影響を及ぼし、他の条件がすべて同じであれば、膜の質量が小さくなるほど、パルス信号正面の上昇率が高くなる。
【0032】
完全な放音膜完成品の実際の密度は、1平方メートル当たり350~750gの範囲であり、実用的な値である。膜はさらに、膜の全周に半円スポンジの突縁部を設ける縁処理を含む。
【0033】
突縁部は、比較的高(プラスチック)比重と高値の可塑性を特徴とする材料で作製され、これにより、かかる材料の厚みに対する振動の急速な減衰が図られる。突縁部2(
図2を参照)は、膜の縁の質量を増加し、音響的影響源から膜の縁に向かって同心円状に広がる表面進行波を支持し、この波を反対方向へ効果的に反射させて周波数依存型の振幅バーストの変調帯域の振動モードを確保にするのに役立つ。
【0034】
ハニカム膜の内部構造は、実際の用途では厚さ3~7mmとすることができる。厚さと剛性のパラメータは、膜の実寸に関連付ける必要がある。特定の剛性を持つ膜の実寸は、実験的研究により明らかとなった係数に基づき推奨される。
【0035】
上記の技術的解決策に加えて、膜を音響デバイスのフレームに固着する方法の重要性について言及する必要がある。これはパネル領域内での振幅変調の正確な場所を決定するのに重要なパラメータであり、これにより、平板ラウドスピーカの音響特性が完全に決定される。
【0036】
本発明者らはさらに、膜を支持フレームに取り付ける実用上好ましい方法も特定し、膜の表面上で振動振幅周波数変調が増加する帯域が最も良く分布するのを確実とした。この方法は、フォームテープを全周に沿って膜の片面に固定する半開放型の取付けであり、膜と支持フレームとの間の間隙は10mmであることが最も多い。このフォームテープは、一次表面進行波を変換し、音響励起源から発散させ、かつ二次表面進行波へと処理することで、一次表面進行波からの干渉によりパネル内で振幅が増加する帯域が形成される際に、(膜端部をプラスチック材料で縁取るとともに)必要な支持質量を提供するために膜端部を保持するものであり、音響システム自体の効果的な動作の鍵となる。半開放型の取付けは、膜と支持フレームとの間に、音質に劇的に影響を及ぼす音響隔離をもたらして、音響信号の生成プロセスにおける高調波歪みを低減するという、フォームラバーの他の機能の効果的なパフォーマンスに寄与する。
【0037】
提案された技術的解決策により、労力と材料費を少なくして、1つの膜内で、ラウドスピーカシステムの品質特徴の大幅な改善を達成することが可能となる。同時に、最小数の音響病原の使用によって品質の大幅な向上が可能となり、費用と材料が節約される。
【0038】
本特許に記載の設計方法と技術的解決策を適用することで、広域ラウドスピーカシステムを作り出すことが可能となる。これは実際に、コンパクトな(平板)デバイスにより、人間の耳に聞こえる音声のスペクトル全体を20Hz~20,000Hzの範囲で生成できることを意味する。高調波歪みの程度は最小限にまで減らされる一方で、実際に最上級の音響効果が実現されることを論じることができる。
【0039】
これは主に、振動振幅の周波数依存型バースト帯域が放音膜の領域にわたり正確に分布するプロセスを制御するように設計された、上述の技術的解決策によるものである。バースト帯域の正確な分布は、直線からの偏移が最小の線として周波数応答グラフに反映されており、広範囲における音声発生の「ドップラー効果」の減少など、有用な音響効果を実現する。この有害な現象は、1つのスピーカにより異なる周波数が同時に生成されると、振幅の高い低周波数が振幅の低い高周波数に対する搬送波となるということに起因して、歪みが聴取者に対して生じることを特徴とする。その結果、高周波数成分が聴取者に接近したり聴取者から離れたりして、音声ジッタの形にある歪みとして「トレモロ」効果を生じさせる。
【国際調査報告】