(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】界面活性剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
C12P 7/04 20060101AFI20230718BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230718BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230718BHJP
C09K 23/56 20220101ALI20230718BHJP
C12N 9/10 20060101ALN20230718BHJP
【FI】
C12P7/04
A61Q19/00
A61K8/73
C09K23/56
C12N9/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577326
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2021066631
(87)【国際公開番号】W WO2021255248
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516091466
【氏名又は名称】エンサ バイオテック アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】ENZA BIOTECH AB
【住所又は居所原語表記】Box 124,S-221 00 Lund,SWEDEN
(71)【出願人】
【識別番号】506352278
【氏名又は名称】クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ウルベンルンド
(72)【発明者】
【氏名】マリア アンデション
(72)【発明者】
【氏名】マリア ビロリア コルス
(72)【発明者】
【氏名】ニコリナ バルチャン
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ウェルズ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーアン サンダル
(72)【発明者】
【氏名】マグダレナ アクセンストランド
【テーマコード(参考)】
4B064
4C083
4D077
【Fターム(参考)】
4B064AC01
4B064CA21
4B064CC15
4B064CD06
4B064CD09
4B064CD19
4B064CE03
4B064CE08
4B064CE10
4B064DA19
4C083AD211
4C083AD212
4C083BB01
4C083BB04
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC31
4C083CC41
4D077AA04
4D077AA09
4D077AB10
4D077AB11
4D077AB12
4D077AC02
4D077AC03
4D077CA16
4D077DC22Y
4D077DC22Z
(57)【要約】
酵素を使用して、C4~C24アルキルグリコシドを単糖残基を含むグリコシル供与体と反応させることによるC4~C24アルキルポリグリコシドの製造方法であり、ここでC4~C24アルキルポリグリコシドはモル平均重合度(平均DP)1.5単位を超えるグリコシド鎖を有する。C4~C24アルキルポリグリコシドは、パーソナルケア製剤において特に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C4~C24アルキルグリコシドと、単糖残基を含むグリコシル供与体とを、酵素と反応させることによる、C4~C24アルキルポリグリコシドの製造方法であって、ここで、(a)反応混合物は、(i)40.0:1.0未満のモル比の、グリコシル供与体中の単糖残基とアルキルグリコシド、及び任意選択的に(ii)1.0重量%以上のアルキルグリコシドとを含み;(b)グリコシル供与体中の3.0重量%以上の単糖残基はアルキルグリコシドに転移され(グリコシド単位変換);及び(c)反応生成物は、任意選択的に(i)0.10モル分率を超えるアルキルモノグリコシド(DP1)、及び/又は(ii)1.5単位以上のモル平均重合度(平均DP)のグリコシド鎖を含むアルキルポリグリコシドを含む、方法。
【請求項2】
酵素と、
(i)単糖残基を含むグリコシル供与体と
(ii)式R
m-G
nのアルキルグリコシド(ここで
Rは、m個の炭素原子を含むアルキル基であり、
mは、4~24であり、
Gは、少なくとも1つの単糖残基であり、及び
nは、単糖残基の数である)とを、
反応混合物中で反応させて、
(iii)式R
p-G
qのアルキルポリグリコシド(ここで、
Rは、p個の炭素原子を含むアルキル基であり、pは4~24であり、
Gは、少なくとも1つの単糖残基であり、
qは、単糖残基の数であり、qの平均値(平均DP)は1.5以上であり、
q=(n+s)であり、ここで、nは(ii)で定義され、sは酵素反応中に発生する単糖残基の数の増加であり、
sの平均値は0.5以上である)を含む反応生成物を形成し、そして
(iv)酵素反応中に、グリコシル供与体中の3.0重量%以上の単糖残基がアルキルグリコシドに転移される(グリコシド単位変換)、方法。
【請求項3】
前記グリコシル供与体中の単糖残基とアルキルグリコシドとのモル比が20.0:1.0未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記グリコシル供与体中の単糖残基とアルキルグリコシドとのモル比が6.0:1.0未満である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記グリコシド単位変換が15.0重量%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記グリコシド単位変換が35.0重量%以上である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アルキルポリグリコシドの平均DPが1.8単位以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記アルキルポリグリコシドの平均DPが2.1単位以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記反応生成物が15.0重量%未満のシクロデキストリンを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記反応生成物が5.0重量%未満のシクロデキストリンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記グリコシル供与体がシクロデキストリン、任意選択的にβ-シクロデキストリンである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記反応混合物が8.0重量%以上のアルキルグリコシドを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記反応混合物が10.0重量%以上のグリコシル供与体を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
以下の少なくとも1つを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法:
(i)前記グリコシル供与体中の単糖残基とアルキルグリコシドとのモル比が0.8~2.5:1.0である、及び/又は、
(ii)前記グリコシド単位変換が50.0重量%以上である、及び/又は、
(iii)前記アルキルポリグリコシドの平均DPが1.9~2.3単位である、及び/又は、
(iv)前記反応生成物が4.0重量%未満のシクロデキストリンを含む。
【請求項15】
(i)~(iv)の少なくとも2つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(i)~(iv)の少なくとも3つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
(i)~(iv)のすべてを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
アルキルモノグリコシド(DP1)の量が0.10モル分率より多く、かつグリコシド鎖のモル平均重合度(平均DP)が1.8単位以上である、C4~C24アルキルポリグリコシドを含む組成物。
【請求項19】
前記平均DPが2.1単位以上である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
DP1の量が0.30~0.68モル分率である、請求項18及び19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
アルキルジグリコシド(DP2)の量が0.10~0.45モル分率である、請求項18~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
アルキルモノグリコシド(DP1)の量が0.10モル分率より多く、かつグリコシド鎖のモル平均重合度(平均DP)が1.5単位以上である、酵素的に生成されたC4~C24アルキルポリグリコシド。
【請求項23】
アルキルモノグリコシド(DP1)の量が0.10モル分率より多く、かつグリコシド鎖のモル平均重合度(平均DP)が1.8単位以上である、酵素反応によって得られるC4~C24アルキルポリグリコシド。
【請求項24】
有効成分を可溶化するための、グリコシド鎖のモル平均重合度(平均DP)が1.8単位以上であり、及び任意選択的にアルキルモノグリコシド(DP1)の量が0.10モル分率より多い、C4~C24アルキルポリグリコシド組成物の使用。
【請求項25】
パーソナルケア又はヘルスケア製剤中のポリソルベート及び/又はアルキルグリコシドを部分的又は完全に置き換るための、グリコシド鎖のモル平均重合度(平均DP)が1.8単位以上であり、及び任意選択的にアルキルモノグリコシド(DP1)の量が0.10モル分率より多い、C4~C24アルキルポリグリコシド組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、酵素反応によるアルキルポリグリコシドの製造方法、アルキルポリグリコシド組成物自体、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
アルキルグリコシド、特にアルキルポリグリコシド、及び特にアルキルポリグルコシド、非イオン性界面活性剤は、化粧品、家庭、ヘルスケア、及び産業用途の範囲で広く使用されれている。既存の市販されているアルキルポリグルコシドは、化学的経路によって生成される。酵素反応を利用してアルキルポリグリコシドを製造する方法は文献に開示されているが、現在、アルキルポリグルコシドなどのアルキルポリグリコシドの酵素合成に適した商業的に実行可能な方法は存在しない。酵素反応はまた、直鎖オリゴ糖やシクロデキストリンなどの残留糖を含む反応混合物(その一部は元の出発物質である可能性がある)をもたらし、これはアルキルポリグリコシドから分離することが困難な場合がある。酵素反応の効率及び/又は収量を改善し、酵素反応生成混合物中の糖、特にシクロデキストリンの量を減らす必要がある。
【0003】
市販のアルキルポリグリコシドは、一般に「ポリ」と呼ばれているにもかかわらず、ポリグリコシド鎖の平均長が短い分子の混合物であり、アルキル鎖あたり約1~1.5グリコシド単位、好ましくはグルコース単位で変化する。これは界面活性剤の有用性を制限し、より長いグリコシド/グルコシド鎖を有するアルキルポリグリコシド、特にアルキルポリグルコシドが必要とされている。アルキルポリグリコシドの界面活性特性を改変/改善するために、混合物中のグリコシド鎖の分布を変えることも必要である。これらの特性のいくつかは、化学合成法を使用して達成することが困難である。
【0004】
発明の要約
我々は驚くべきことに、前述の問題の少なくとも1つを克服又は顕著に低減する、酵素反応によりアルキルポリグリコシドを製造する方法、アルキルポリグリコシド組成物自体、及びそれらの使用を発見した。
【0005】
従って本発明は、C4~C24アルキルグリコシドと、単糖残基を含むグリコシル供与体とを、酵素と反応させることによる、C4~C24アルキルポリグリコシドの製造方法を提供し、ここで、(a)反応混合物は、(i)40.0:1.0未満のモル比の、グリコシル供与体中の単糖残基とアルキルグリコシド、及び任意選択的に(ii)1.0重量%以上のアルキルグリコシドとを含み;(b)グリコシル供与体中の3.0重量%以上の単糖残基はアルキルグリコシドに転移され(グリコシド単位変換);及び(c)反応生成物は、任意選択的に(i)0.10モル分率を超えるアルキルモノグリコシド(DP1)、及び/又は(ii)モル平均重合度(平均DP)が1.5単位以上のグリコシド鎖、を含むアルキルポリグリコシドを含む。
【0006】
本発明はさらに、酵素と、
(i)単糖残基を含むグリコシル供与体と
(ii)式Rm-Gnのアルキルグリコシド(ここで
Rは、m個の炭素原子を含むアルキル基であり、
mは、4~24であり、
Gは、少なくとも1つの単糖残基であり、及び
nは、単糖残基の数である)とを、
反応混合物中で反応させて、
(iii)式Rp-Gqのアルキルポリグリコシド(ここで、
Rは、p個の炭素原子を含むアルキル基であり、pは4~24であり、
Gは、少なくとも1つの単糖残基であり、
qは、単糖残基の数であり、qの平均値は1.5以上であり、
q=(n+s)であり、ここで、nは(ii)で定義され、sは酵素反応中に発生する単糖残基の数の増加であり、
sの平均値は0.5以上である)を含む反応生成物を形成し、そして
(iv)酵素反応中に、グリコシル供与体中の3.0重量%以上の単糖残基がアルキルグリコシドに転移される(グリコシド単位変換)、方法を提供する。
【0007】
本発明はまた、C4~C24アルキルポリグリコシドを含む組成物を提供し、ここで、アルキルモノグリコシド(DP1)の量は0.10モル分率より多く、かつグリコシド鎖のモル平均重合度(平均DP)は1.8単位以上である。
【0008】
本発明はまたさらに、酵素的に得られるC4~C24アルキルポリグリコシドを提供し、ここで、アルキルモノグリコシド(DP1)の量は0.10モル分率より多く、かつグリコシド鎖のモル平均重合度(平均DP)は1.5単位以上である。
【0009】
本発明はまたさらに、酵素反応によって得られるC4~C24アルキルポリグリコシドを提供し、ここで、アルキルモノグリコシド(DP1)の量は0.10モル分率より多く、かつグリコシド鎖のモル平均重合度(平均DP)は1.8単位以上である。
【0010】
本発明はまたさらに、有効成分を可溶化するための、C4~C24アルキルポリグリコシド組成物の使用を提供し、ここで、グリコシド鎖のモル平均重合度(平均DP)は1.8単位以上であり、及び任意選択的にアルキルモノグリコシド(DP1)の量は0.10モル分率を多い。
【0011】
本発明はまたさらに、パーソナルケア又はヘルスケア製剤中のポリソルベート及び/又はアルキルグリコシドを部分的又は完全に置き換えるための、C4~C24アルキルポリグリコシド組成物の使用を提供し、ここで、グリコシド鎖のモル平均重合度(平均DP)は1.8単位以上であり、任意選択的にアルキルモノグリコシド(DP1)の量は0.10モル分率より多い。
【0012】
本発明の方法で使用するためのアルキルグリコシド出発物質は、アルキルモノグリコシド、アルキルジグリコシド、アルキルオリゴグリコシド、及び/又はアルキルポリグリコシドであり得る。アルキルグリコシドのグリコシド成分は、適切には単糖残基、例えばグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、アラビノース、及びこれらの混合物であり、及び/又は、例えば二糖、オリゴ糖、及び/又は多糖鎖を形成するために、グリコシド結合によって結合されたこれらの単糖残基の1つ又はそれ以上である。単糖残基は、適切にはグルコース残基を含むか、から本質的になるか、又はからなる。従って、好ましい出発物質は、アルキルモノグルコシド、アルキルジグルコシド、アルキルオリゴグルコシド、アルキルポリグルコシド、及びこれらの混合物から、より好ましくは、アルキルモノグルコシド、アルキルジグルコシド、アルキルオリゴグルコシド、及びこれらの混合物から、特にアルキルモノグルコシド及びアルキルジグルコシド、例えばアルキルマルトシド、及びこれらの混合物、からなる群から選択されるアルキルグルコシドである。
【0013】
1つの実施態様において、アルキルグリコシド出発物質は、例えば異なるアルキル及び/又はグリコシド鎖を含む、化合物の混合物を含む組成物である。市販のアルキルグリコシド、好ましくはアルキルグルコシドを出発物質として使用することができる。アルキルグリコシドのいくつかの市販の混合物は、グリコシド/グルコシド鎖の平均長又はモル平均重合度(平均DP)が一般に1.5単位未満であっても、一般にアルキルポリグリコシド又はアルキルポリグルコシドと呼ばれる。
【0014】
誤解を避けるために、本明細書における「アルキルグリコシド」及び「アルキルグルコシド」という用語の使用は、文脈から明らかでない限り、一般に酵素反応の出発物質を指すものとする。酵素反応から得られる生成物、すなわち組成物又は混合物は、本明細書では「アルキルポリグリコシド」及び/又は「アルキルポリグルコシド」と呼ぶものとする。
【0015】
アルキルグリコシド、好ましくはアルキルグルコシドのアルキル鎖は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖を含むか、から本質的になるか、又はからなる。アルキル鎖中の炭素原子の長さ又は数は、適切にはC4~C24、好ましくはC8~C20、より好ましくはC10~C18、特にC10~C16、及び特にC12及びC14の範囲を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0016】
1つの実施態様において、アルキルグリコシドは、単独でα-アノマー又はβ-アノマー形態であってもよいが、両方のアノマーを含んでもよく、適切にはα:βアノマー比率が、0.01~100:1.0、好ましくは0.05~20.0:1.0、より好ましくは0.1~10.0:1.0、特に0.3~3.5:1.0、及び特に0.5~2.0:1.0の範囲である。
【0017】
1つの実施態様において、アルキルグリコシド基、好ましくはアルキルグルコシド基のアルキル鎖のモル平均長又は平均炭素原子数は、4.0~24.0、好ましくは6.0~20.0、より好ましくは8.0~17.0、特に10.0~16.0、及び特に12.0~14.0の範囲である。
【0018】
1つの実施態様において、アルキルグリコシド、好ましくはアルキルグルコシドのアルキル鎖は、C12及びC14アルキル基の混合物を含むか、から本質的になるか、又はからなり、適切にはC12:C14アルキル基のモル比は、0.5~15:1.0、好ましくは1.5~8:1.0、より好ましくは2.0~4.0:1.0、特に2.6~3.4:1.0、及び特に2.9~3.1:1.0の範囲である。
【0019】
1つの実施態様において、アルキルグリコシド、好ましくはアルキルグルコシドのアルキル鎖は、C8及びC10アルキル基の混合物を含むか、から本質的になるか、又はからなり、適切にはC8:C10アルキル基のモル比は、0.1~10.0:1.0、好ましくは0.3~3.5:1.0、より好ましくは0.5~2.0:1.0、及び特に0.8~1.3:1.0の範囲である。
【0020】
1つの実施態様において、アルキルグリコシド、好ましくはアルキルグルコシドのアルキル鎖は、C8、C10、C12、及びC14アルキル基の混合物を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0021】
1つの実施態様において、アルキルグリコシド、好ましくはアルキルグルコシドのアルキル鎖は、C8、C10、C12、C14、及びC16アルキル基の混合物を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0022】
1つの実施態様において、アルキルグリコシド、好ましくはアルキルグルコシドのアルキル鎖は、C12、C14、及びC16アルキル基の混合物を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0023】
1つの実施態様において、アルキルグリコシド、好ましくはアルキルグルコシドのアルキル鎖は、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド、カプリリル/カプリルグルコシド、ココグルコシド、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0024】
1つの実施態様において、アルキルグリコシドは、アルキルモノグリコシド及び/又はアルキルジグリコシド、好ましくはアルキルモノグルコシド及び/又はアルキルジグルコシド、特にC12及び/又はC14アルキルグルコシド、及び特にC12及びC14アルキルグルコシド含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0025】
1つの実施態様において、アルキルグリコシド、好ましくはアルキルグルコシド出発物質は、好ましくは(i)80重量%以上、より好ましくは85~99重量%、特に90~97重量%、及び特に94重量%~96重量%の範囲のアルキルモノグリコシド、及び/又は(ii)20重量%以下、より好ましくは1~15重量%、特に3~10重量%、及び特に4~6重量%の範囲のアルキルジグリコシドを含み、どちらもアルキルグリコシドの総重量に基づいている。
【0026】
1つの実施態様において、アルキルグリコシド、好ましくはアルキルグルコシドは、グリコシド鎖の平均DPが、アルキル鎖当たり、適切には1.0~1.7、好ましくは1.0~1.5、より好ましくは1.0~1.3、特に1.0~1.15、及び特に1.0~1.1のグリコシド単位、好ましくはグルコース単位の範囲である化合物の混合物を含む。
【0027】
アルキルグリコシド出発物質は、式Rm-Gnによって表すことができ、ここで、Rは、m個の炭素原子を含むアルキル基であり、両方とも本明細書で定義され、Gは、本明細書で定義される少なくとも1つの単糖残基であり、nは単糖残基の数であり、及びnの平均値(平均DP)は本明細書で定義される。
【0028】
グリコシル供与体出発物質は、適切には環状、直鎖、又は分枝オリゴ糖若しくは多糖、又はこれらの混合物である。グリコシル供与体は、環状炭水化物、すなわち、単糖残基の鎖が閉ループを形成する炭水化物(例えば、α-、β-、γ-シクロデキストリン、又はより大きな環状アルファ-グルカン)、直鎖オリゴ糖、例えばマルトデキストリン、及び多糖類、例えばデンプンなどを形成する炭水化物を含み得る。
【0029】
1つの好ましい実施態様において、グリコシル供与体は、マルトデキストリン、シクロデキストリン、デンプン、及びこれらの混合物;好ましくは、マルトデキストリン、シクロデキストリン、及びこれらの混合物;より好ましくは、マルトデキストリン又はシクロデキストリン;特にシクロデキストリン、からなる群から選択される。
【0030】
1つの実施態様において、グリコシル供与体は、α-、β-、及び/又はγ-シクロデキストリン、好ましくはα-及び/又はβ-シクロデキストリン、より好ましくはβ-シクロデキストリンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0031】
1つの実施態様において、グリコシル供与体は、デンプン、特にワキシーデンプンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。でんぷんは、任意の植物源、例えコーン(corn)、小麦、とうもろこし(maize)、大麦、じゃがいも、タピオカ、米、サゴ、モロコシ粒由来のものであってよい。粗製デンプン材料、例えば粉砕穀物、浸軟塊茎、又はそれらから部分的に精製されたデンプンを使用することができる。本明細書で使用される「デンプン」という用語は、非加工デンプン、並びに酸、アルカリ、酵素、熱などによる処理による加工されたデンプンも包含する。可溶性又は部分的に可溶性の加工デンプン、デキストリン、アルファ化生成物、及び異なるタイプのデンプン誘導体も、グリコシル供与体として使用することができる。 ワキシー(すなわち、アミロペクチンが多い)デンプンが好ましく、例えば、ジャガイモアミロペクチン、トウモロコシアミロペクチン、ワキシートウモロコシデンプン、ワキシー大麦デンプン、ワキシージャガイモデンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが好ましい。
【0032】
1つの実施態様において、グリコシル供与体は、マルトデキストリンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。マルトデキストリンは、ジャガイモ、トウモロコシ、及び小麦などの任意の野菜源に由来し得る。ジャガイモのマルトデキストリンは、1つの好ましい形態である。
【0033】
1つの実施態様において、マルトデキストリンのデキストロース当量(DE)値は、適切には0.1~20、好ましくは0.5~10、より好ましくは0.8~5、特に0.9~2、及び特に1~1.5単位の範囲である。
【0034】
本発明の方法で使用される酵素は、一度に少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの単糖残基を、グリコシル供与体からアルキルグリコシドに転移させることができる。酵素は、好ましくはグリコシド(又はグリコシル)ヒドロラーゼ及び/又はグリコシドトランスフェラーゼである。
【0035】
1つの実施態様において、酵素はグリコシドヒドロラーゼ又はグリコシルトランスフェラーゼ、好ましくは、特にグリコシドヒドロラーゼファミリー13又は57に属するグリコシドヒドロラーゼである。1つの好ましいグリコシドヒドロラーゼファミリー13酵素は、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼであり、これはまた、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ又はシクロデキストリングルカニルトランスフェラーゼ又はシクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ(すべてCGTaseと略される)としても知られている。1つの好ましいCGTase酵素は、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(EC番号2.4.1.19)((1-4)-アルファ-D-グルカン:(1-4)-アルファ-D-グルカン4-アルファ-D[(1-4)-アルファ-D-グルカノ]-トランスフェラーゼ)である。適切な酵素には、バチルス・マセランスCGTase(Amano Enzyme Europe, U.K.)及びサーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)種CGTase(Novozymes AJS, Denmark)が含まれる。
【0036】
ファミリー13及びファミリー57に分類される他の適切なグリコシドヒドロラーゼには、4-アルファ-グルカノトランスセラーゼ、EC番号2.4.1.25;系統名:(l-4)-アルファ-D-グルカン:(l-4)-アルファ-D-グルカン4-アルファ-D-グリコシルトランスフェラーゼ(GTase)が含まれる。
【0037】
さらに、他のファミリーに属するグリコシルヒドロラーゼ又はグリコシルトランスフェラーゼは、本発明の方法で使用することができるが、但し、これらは、本明細書に記載されているように、一度に少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの単糖残基を、グリコシル供与体からアルキルグリコシドに転移させることができる。
【0038】
1つの実施態様において、グリコシル供与体に存在する単糖残基は、本発明の方法の反応混合物中のアルキルグリコシドと比較して、モル過剰である。好適には、グリコシル供与体、好ましくはマルトデキストリンに存在する単糖残基と反応混合物中のアルキルグリコシドとのモル比は、(i)2.0:1.0より大きく、好ましくは4.0:1.0以上、より好ましくは6.0:1.0以上、特に8.0:1.0以上、及び特に10.0:1.0以上であり、及び/又は(ii)40.0:1.0未満、好ましくは35.0:1.0以下、より好ましくは30.0:1.0以下、特に25.0:1.0以下、及び特に20.0:1.0以下である。
【0039】
1つの実施態様において、グリコシル供与体、好ましくはマルトデキストリンに存在する単糖残基と反応混合物中のアルキルグリコシドとのモル比は、適切には11.0~19.0:1.0、好ましくは12.0~18.0:1.0、より好ましくは13.0~17.0:1.0、特に13.5~16.0:1.0、及び特に14.0~15.0:1.0の範囲である。
【0040】
1つの実施態様において、グリコシル供与体、好ましくはシクロデキストリンに存在する単糖残基と反応混合物中のアルキルグリコシドとのモル比は、(i)適切には0.8:1.0以上、好ましくは1.5:1.0以上、より好ましくは2.0:1.0以上、特に2.5:1.0以上、及び特に3.0:1.0以上であり、及び/又は(ii)適切には20.0:1.0未満、好ましくは15.0:1.0以下、より好ましくは10.0:1.0以下、特に8.0:1.0以下、及び特に6.0:1.0以下である。
【0041】
1つの実施態様において、グリコシル供与体、好ましくはシクロデキストリンに存在する単糖残基と反応混合物中のアルキルグリコシドとのモル比は、適切には3.1~5.7:1.0、好ましくは3.3~5.0:1、より好ましくは3.5~4.6:1.0、特に3.7~4.3:1.0、及び特に3.9~4.1:1.0の範囲である。
【0042】
1つの実施態様において、グリコシル供与体、好ましくはβ-シクロデキストリンに存在する単糖残基と反応混合物中のアルキルグリコシドとのモル比は、適切には0.8~2.5:1.0、好ましくは1.2~2.2:1、より好ましくは1.4~1.9:1.0、特に1.5~1.7:1.0、及び特に1.55~1.65:1.0の範囲である。
【0043】
1つの実施態様において、グリコシル供与体、好ましくはマルトデキストリンと、すなわち本発明の方法で使用される反応混合物中のアルキルグリコシドとの重量比は、適切には2.0~15.0:1.0、好ましくは4.0~10.0:1.0、より好ましくは5.0~8.0:1.0、特に5.5~7.0:1.0、及び特に6.0~6.4:1.0の範囲である。
【0044】
1つの実施態様において、グリコシル供与体、好ましくはシクロデキストリンと、すなわち本発明の方法で使用される反応混合物中のアルキルグリコシドとの重量比は、適切には0.8~3.0:1.0、好ましくは1.2~2.5:1.0、より好ましくは1.5~2.0:1.0、特に1.6~1.9:1.0、及び特に1.7~1.8:1.0の範囲である。
【0045】
1つの実施態様において、グリコシル供与体、好ましくはβ-シクロデキストリンと、すなわち本発明の方法で使用される反応混合物中のアルキルグリコシドとの重量比は、適切には0.2~1.5:1.0、好ましくは0.4~1.0:1.0、より好ましくは0.55~0.85:1.0、特に0.6~0.8:1.0、及び特に0.65~0.75:1.0の範囲である
【0046】
1つの実施態様において、反応混合物中のアルキルグリコシドの濃度は、いずれも混合物の総重量に基づいて、(i)適切には1.0重量%以上、好ましくは3.0重量%以上、より好ましくは5.0重量%以上、特に7.0重量%以上、及び特に8.0重量%以上であり、及び/又は(ii)適切には30.0重量%以下、好ましくは20.0重量%以下、より好ましくは15.0重量%以下、特に13.0重量%以下、及び特に12.0重量%以下である。
【0047】
1つの実施態様において、好ましくはマルトデキストリンがグリコシル供与体である場合、反応混合物中のアルキルグリコシドの濃度は、混合物の総重量に基づいて、適切には3.0~7.0重量%、好ましくは3.5~6.5重量%、より好ましくは4.0~6.0重量%、特に4.3~5.7重量%、及び特に4.5~5.5重量%の範囲である。
【0048】
1つの実施態様において、好ましくはシクロデキストリンがグリコシル供与体である場合、反応混合物中のアルキルグリコシドの濃度は、混合物の総重量に基づいて、適切には7.5~12.5重量%、好ましくは8.0~12.0重量%、より好ましくは8.5~11.5重量%、特に9.0~11.0重量%、及び特に9.5~10.5重量%の範囲である。
【0049】
1つの実施態様において、好ましくはβ-シクロデキストリンがグリコシル供与体である場合、反応混合物中のアルキルグリコシドの濃度は、混合物の総重量に基づいて、適切には10.0~30.0重量%、好ましくは15.0~28.0重量%、より好ましくは20.0~26.0重量%、特に21.0~25.0重量%、及び特に22.0~24.0重量%の範囲である。
【0050】
1つの実施態様において、反応混合物中のグリコシル供与体、好ましくはマルトデキストリンの濃度は、混合物の総重量に基づいて、10.0重量%以上、適切には10.0~55.0重量%、好ましくは15.0~45.0重量%、より好ましくは25.0~38.0重量%、特に28.0~34.0重量%、及び特に30.0~32.0重量%の範囲である。
【0051】
1つの実施態様において、反応混合物中のグリコシル供与体、好ましくはシクロデキストリンの濃度は、混合物の総重量に基づいて、5.0重量%以上、適切には5.0~35.0重量%、好ましくは10.0~25.0重量%、より好ましくは15.0~20.0重量%、特に16.0~19.0重量%、及び特に17.0~18.0重量%の範囲である。
【0052】
1つの実施態様において、反応混合物中の水の量は、混合物の総重量に基づいて、適切には20.0~90.0重量%、好ましくは30.0~85.0重量%、より好ましくは40.0~80.0重量%、特に50.0~75.0重量%、及び特に60.0~70.0重量%の範囲である。
【0053】
反応混合物中の酵素の濃度は、混合物の総重量に基づいて、適切には0.001~3.0重量%、好ましくは0.01~1.5重量%、より好ましくは0.1~1.0重量%、特に0.3~0.7重量%、及び特に0.4~0.6重量%の範囲である。
【0054】
1つの実施態様において、反応混合物1kg当たりの酵素活性は、適切には1.0~60、好ましくは5.0~50、より好ましくは10~45、特に13~40、及び特に15~35KNU-CPの範囲である。
【0055】
1つの実施態様において、好ましくはマルトデキストリンがグリコシル供与体である場合、本発明の方法は、適切には40~80℃、好ましくは50~74℃、より好ましくは55~71℃、特に60~69℃、及び特に63~67℃の範囲の温度で実施される。
【0056】
1つの実施態様において、好ましくはシクロデキストリン、特にβ-シクロデキストリンがグリコシル供与体である場合、本発明の方法は、適切には65~85℃、好ましくは70~80℃、好ましくは72~78℃、特に74~76℃、及び特に75℃の範囲の温度で実施される。
【0057】
1つの実施態様において、酵素反応は、好ましくは5.0~9.0、より好ましくは5.5~8.0、特に5.8~7.0、及び特に6.0~6.5の範囲のpHで行われる。
【0058】
酵素反応は、適切には1~72時間、好ましくは3~48時間、より好ましくは5~36時間、特に6~24時間、及び特に10~20時間の範囲の時間にわたって行われる。酵素反応は、適切にはこの時間の後、酵素の不活性化により、例えば熱により、又は酸、塩基もしくは他の薬剤の添加により、又は反応混合物からの酵素の除去により停止される。1つの実施態様において、酵素は、反応混合物を100℃まで、適切には70℃まで、好ましくは80℃まで、より好ましくは85℃まで、特に90℃まで、及び及び特に95℃まで、適切な期間、例えば2時間まで、好ましくは3時間まで加熱することによって不活化される。
【0059】
本発明の方法の1つの利点は、グリコシル供与体に存在する単糖残基のアルキルグリコシド出発物質への、驚くほど高レベルのグリコシド単位、好ましくはグルコース変換又は転移が起こり得ることである。本発明の方法のグリコシド単位変換のレベルは、酵素によって消費又は転移されてアルキルポリグリコシド反応生成物を形成する、グリコシル供与体出発物質中に存在する単糖残基の重量パーセントとして定義される。本発明による酵素反応のグリコシド単位変換のレベルは、本明細書に記載されるように、反応生成物のHPLC分析によって決定することができる。
【0060】
1つの実施態様において、酵素反応中にアルキルグリコシド出発物質に転移されるグリコシド、好ましくはグルコース単位変換のレベル、又はグリコシル供与体、好ましくはマルトデキストリン中に存在する単糖残基の量は、(i)適切には3.0重量%以上、好ましくは7.0重量%以上、より好ましくは9.0重量%以上、特に10.0重量%以上、及び特に11.0重量%以上であり;及び/又は(ii)適切には35.0重量%以下、好ましくは30.0重量%以下、より好ましくは25.0重量%以下、特に20.0重量%以下、及び特に15.0重量%以下であり、どちらもグリコシル供与体出発物質に元々存在する単糖残基の重量に基づく。
【0061】
1つの実施態様において、好ましくはマルトデキストリンをグリコシル供与体として使用する場合、本発明の方法におけるグリコシド、好ましくはグルコース単位変換のレベルは、グリコシル供与体出発物質中に元々存在する単糖残基の重量に基づいて、適切には10.0~15.0重量%、好ましくは10.5~14.0重量%、より好ましくは11.0~13.5重量%、特に11.5~13.0重量%、及び特に12.0~12.5重量%の範囲である。
【0062】
1つの実施態様において、好ましくはシクロデキストリンをグリコシル供与体として使用する場合、本発明の方法におけるグリコシド、好ましくはグルコースの単位変換のレベルは、(i)適切には15.0重量%以上、好ましくは20.0重量%以上、より好ましくは25.0重量%以上、特に30.0重量%以上、及び特に35.0重量%以上であり、及び/又は(ii)適切には75.0重量%以下、好ましくは70.0重量%以下、より好ましくは65.0重量%以下、特に60.0重量%以下、及び特に55.0重量%以下であり、どちらもグリコシル供与体出発物質に元々存在する単糖残基の重量に基づく。
【0063】
1つの実施態様において、特にシクロデキストリンをグリコシル供与体として使用する場合、本発明の方法におけるグリコシド、好ましくはグルコース単位変換のレベルは、グリコシル供与体出発物質中に元々存在する単糖残基の重量に基づいて、適切には36.0~54.0重量%、好ましくは38.0~52.0重量%、より好ましくは40.0~50.0重量%、特に42.0~48.0重量%、及び特に44.0~46.0重量%の範囲である。
【0064】
1つの実施態様において、好ましくはβ-シクロデキストリンをグリコシル供与体として使用する場合、本発明の方法におけるのグリコシド、好ましくはグルコース単位変換のレベルは、15.0重量%以上、適切には25.0重量%以、好ましくは35.0重量%以上、より好ましくは45.0重量%以上、特に50.0重量%以上、及び特に55.0重量%以上である。
【0065】
1つの実施態様において、特にβ-シクロデキストリンをグリコシル供与体として使用する場合、本発明の方法におけるグリコシド、好ましくはグルコース単位変換のレベルは、グリコシル供与体出発物質中に元々存在する単糖残基の重量に基づいて、適切には45.0~75.0重量%、好ましくは50.0~70.0重量%、より好ましくは、55.0~65.0重量%、特に58.0~62.0重量%、及び特に59.0~61.0重量%の範囲である。
【0066】
1つの実施態様において、粗反応生成物混合物中の、すなわち任意の精製又は分離工程前のアルキルポリグリコシドの濃度は、混合物の総重量に基づいて、適切には3.0~40.0重量%、好ましくは5.0~25.0重量%、より好ましくは7.0~21.0重量%、特に8.0~19.0重量%、及び特に8.5~18.0重量%の範囲である。
【0067】
1つの実施態様において、粗反応生成物混合物中のアルキルポリグリコシドの濃度は、混合物の総重量に基づいて、適切には6.0~14.0重量%、好ましくは7.0~12.0重量%、より好ましくは8.0~10.0重量%、特に8.5~9.5重量%、及び特に8.7~9.1重量%の範囲である。
【0068】
1つの実施態様において、粗反応生成物混合物中のアルキルポリグリコシドの濃度は、混合物の総重量に基づいて、適切には12.0~25.0重量%、好ましくは14.0~22.0重量%、より好ましくは16.0~20.0重量%、特に17.0~19.0重量%、特に、17.5~18.5重量%の範囲である。
【0069】
1つの実施態様において、粗反応生成物混合物中のアルキルポリグリコシドの濃度は、混合物の総重量に基づいて、適切には20.0~40.0重量%、好ましくは25.0~38.0重量%、より好ましくは29.0~36.0重量%、特に31.0~35.0重量%、及び特に32.0~34.0重量%の範囲である。
【0070】
1つの実施態様において、本発明による酵素反応におけるアルキルポリグリコシド生成物とアルキルグリコシド出発物質との重量比は、1.1~3.5:1.0、適切には1.2~3.0:1.0、好ましくは1.4~2.5:1.0、より好ましくは1.5~2.2:1.0、特に1.6~2.0:1.0、及び特に1.7~1.9:1.0の範囲である。
【0071】
1つの実施態様において、本発明の方法を使用して得られるアルキルポリグリコシド反応生成物のアルキル鎖成分は、アルキルグリコシド出発物質のアルキル鎖成分を適切に反映するか/と本質的に同じであり、すなわち、アルキルグリコシドのアルキル鎖を定義する、本明細書に含まれるすべての定義及び範囲は、アルキルポリグリコシド反応生成物にも適用される。
【0072】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド生成物のアルキル鎖は、C12及びC14アルキル基の混合物を含むか、から本質的になるか、又はからなり、適切には、ここでC12:C14アルキル基のモル比は、0.5~15:1.0、好ましくは1.5~8:1.0、より好ましくは2.0~4.0:1.0、特に2.6~3.4:1.0、及び特に2.9~3.1:1.0の範囲である。
【0073】
アルキルポリグリコシド反応生成物中のグリコシド成分の化学組成は、アルキルグリコシドとグリコシル供与体の両方の化学組成に依存する。1つの実施態様において、アルキルグリコシドとグリコシル供与体のグリコシド成分の化学組成は同じであり、好ましくは両方とも、グルコース残基を含むか、から本質的になるか、又はからなる。従って、アルキルポリグリコシドのグリコシド成分の化学組成は、好ましくは、グルコース残基を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0074】
本明細書に記載のように測定された、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド反応生成物の、グリコシド鎖の平均長さ又はモル平均重合度(平均DP)は、アルキル鎖あたり、(i)適切には1.5以上、より適切には1.8以上、好ましくは2.1以上、より好ましくは2.4以上、特に2.7以上、及び特に2.9以上のグリコシド単位、好ましくはグルコース単位であり;及び/又は(ii)適切には10.0以下、より適切には8.0以下、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下、特に4.0以下、及び特に3.5以下のグリコシド単位、好ましくはグルコース単位である。
【0075】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシドの反応生成物のグリコシド鎖の平均DPは、アルキル鎖当たり、適切には2.0~3.9、好ましくは2.3~3.6、より好ましくは2.6~3.4、特に2.8~3.2、及び特に2.9~3.0グリコシド単位、好ましくはグルコース単位の範囲である。
【0076】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド反応生成物のグリコシド鎖の平均DPは、アルキル鎖当たり、適切には1.6~3.0、好ましくは1.7~2.7、より好ましくは1.8~2.4、特に1.9~2.3、及び特に2.0~2.2グリコシド単位、好ましくはグルコース単位の範囲である。
【0077】
1つの実施態様において、アルキルグリコシドのグリコシド鎖の平均DPは、本発明の方法中に、アルキル鎖当たり、(i)0.3以上、適切には0.5以上、より適切には1.0以上、好ましくは1.4以上、より好ましくは1.6以上、特に1.8以上、及び特に1.9以上のグリコシド単位、好ましくはグルコース単位;及び/又は(ii)8.0以下、適切には7.0以下、より適切には6.0以下、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、特に3.0以下、及び特に2.5以下のグリコシド単位、好ましくはグルコース単位だけ増加して、アルキルポリグリコシド反応生成物を形成する。
【0078】
1つの実施態様において、アルキルグリコシドのグリコシド鎖の平均DPは、アルキル鎖当たり、適切には1.1~2.5、好ましくは1.3~2.2、より好ましくは1.5~2.0、特に1.6~1.9、及び特に1.7~1.8のグリコシド単位、好ましくはグルコース単位の範囲の量だけ増加して、アルキルポリグリコシド反応生成物を形成する。
【0079】
1つの実施態様において、アルキルグリコシドのグリコシド鎖の平均DPは、アルキル鎖当たり、適切には0.3~2.0、好ましくは0.5~1.5、より好ましくは0.7~1.3、特に0.9~1.1、及び特に0.95~1.05個のグリコシド単位、好ましくはグルコース単位の範囲の量だけ増加して、アルキルポリグリコシド反応生成物を形成する。
【0080】
前述の平均DP範囲は、適切には、本明細書で定義されるアルキル鎖を含むアルキルグリコシド出発物質から形成されるアルキルポリグリコシド反応生成物に適用される。
【0081】
アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド反応生成物は、適切には、1(アルキルモノグリコシド(DP1))、2(アルキルジグリコシド(DP2))、3(アルキルトリグリコシド(DP3))、4(アルキルテトラグリコシド(DP4))、5(アルキルペンタグリコシド(DP5))、6(アルキルヘキサグリコシド(DP6))、7(アルキルヘプタグリコシド(DP7)))、8(アルキルオクタグリコシド(DP8))、9(アルキルノナグリコシド(DP9))、10(アルキルデカグリコシド(DP10))、及びこれらの混合物からなる群から選択される、1~10までのグリコシド単位を含む、グリコシド、好ましくはグルコシド鎖の組成物又は混合物を含む。10グリコシド単位を超えるグリコシド鎖を有するアルキルポリグリコシド(例えば、DP11からDP15まで)も混合物中に存在し得るが、これらは一般に少量である。
【0082】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物は、(i)適切には0.70未満、好ましくは0.60未満、より好ましくは0.50未満、特に0.45未満、及び特に0.40未満のモル分率のDP1を含み、及び/又は(ii)適切には0.10を超える、好ましくは0.15を超える、より好ましくは0.20を超える、特に0.25を超える、及び特に0.30を超えるモル分率のDP1を含み、両方とも組成物中のDP1~DP15アルキルポリグリコシドの総量に基づく。
【0083】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物は、組成物中のDP1~DP15アルキルポリグリコシドの総量に基づいて、適切には0.19~0.51、好ましくは0.23~0.47、より好ましくは0.26~0.44、特に0.29~0.41、及び特に0.32~0.38の範囲のモル分率のDP1を含む。
【0084】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物は、組成物中のDP1~DP15アルキルポリグリコシドの総量に基づいて、適切には0.30~0.68、好ましくは0.37~0.64、より好ましくは0.42~0.60、特に0.46~0.56、及び特に0.48~0.54の範囲のモル分率のDP1を含む。
【0085】
1つの実施態様において、本明細書で定義されるアルキルポリグリコシド反応生成物及び組成物のアルキルモノグリコシド(DP1)成分のモル分率は、存在する任意の他の個々のアルキルポリグリコシド成分、例えばD2、D3、D4などからD15までのモル分率よりも大きい。
【0086】
アルキルポリグリコシド反応生成物のDP1成分は、アルキルグリコシド出発物質の少なくとも一部と同じ化学構造を有することができ、すなわち、これは、無関係の出発物質と考えられるが、特定の理論に拘束されることを望むものではないが、これは、アルキルモノグリコシド出発物質の実質的にすべてが、カップリング反応におけるグリコシド残基の付加によって延長され、その後、本発明の方法中の不均一化及び加水分解反応におけるグリコシド残基の除去によって短縮されて、DP1、DP2、DP3、及びより長いグリコシド鎖の他の成分を形成している可能性がある。
【0087】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物は、(i)適切には0.50以下、より適切には0.45以下、好ましくは0.40以下、より好ましくは0.35以下、特に0.30以下、及び特に0.25以下のモル分率のDP2を含み、及び/又は(ii)適切には0.05以上、より適切には0.10以上、好ましくは0.14以上、より好ましくは0.16以上、特に0.18以上、及び特に0.20以上のモル分率のDP2を含み、両方とも組成物中のDP1~DP15アルキルポリグリコシドの総量に基づく。
【0088】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物は、(i)適切には0.40以下、より適切には0.30以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下、特に0.17以下、及び特に0.15以下のモル分率のDP3を含み、及び/又は(ii)適切には0.02以上、より適切には0.05以上、好ましく0.07以上、より好ましくは0.09以上、特に0.11以上、及び特に0.13以上のモル分率のDP3を含み、両方ともDP1~DP15アルキルポリグリコシドの総量に基づく。
【0089】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物は、(i)適切には0.45未満、好ましくは0.40未満、より好ましくは0.35未満、特に0.30未満、及び特に0.26未満のモル分率のDP4~DP10を含み、及び/又は(ii)適切には0.05を超える、好ましくは0.10を超える、より好ましくは0.15を超える、特に0.18を超える、及び特に0.21を超えるモル分率のDP4~DP10を含み、両方とも組成物中のDP1~DP15アルキルポリグリコシドの総量に基づく。
【0090】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物は、(i)適切には0.15未満、好ましくは0.10未満、より好ましくは0.06未満、特に0.03未満、及び特に0.02未満のモル分率のDP11~DP15を含み、及び/又は(ii)適切には0.001を超える、好ましくは0.002を超える、より好ましくは0.005を超える、特に0.01を超える、及び特に0.015を超えるモル分率のDP11~DP15を含み、両方とも組成物中のDP1~DP15アルキルポリグリコシドの総量に基づく。
【0091】
1つの実施態様において、(i)アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物中のDP1対DP2のモル分率の比は、(a)適切には1.1:1.0より大きく、好ましくは1.5:1.0より大きく、より好ましくは1.8:1.0より大きく、特に2.0:1.0より大きく、及び特に2.2:1.0より大きく;及び/又は(b)適切には3.5:1.0未満、好ましくは3.0:1.0未満、より好ましくは2.7:1.0未満、特に2.5:1.0未満、及び特に2.3:1.0未満であり;及び/又は(ii)アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物中のDP2対DP3のモル分率の比は、(a)適切には1.2:1.0より大きく、好ましくは1.3:1.0より大きく、より好ましくは1.6:1.0より大きく、特に1.8:1.0より大きく、及び特に2.0:1.0より大きく;及び/又は(b)適切には3.3:1.0未満、好ましくは2.9:1.0未満、より好ましくは2.6:1.0未満、特に2.4:1.0未満、及び特に2.2:1.0未満であり;及び/又は(iii)アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物中のDP1対DP3のモル分率の比率は、(a)適切には2.0:1.0より大きく、好ましくは3.0:1.0より大きく、より好ましくは4.0:1.0より大きく、特に4.3:1.0より大きく、及び特に4.6:1.0より大きく;及び/又は(b)適切には7.5:1.0未満、好ましくは6.5:1.0未満、より好ましくは5.5:1.0未満、特に5.1:1.0未満、及び特に4.8:1.0未満である。
【0092】
1つの実施態様において、(i)アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物中のDP1対DP2のモル分率の比は、適切には1.1~2.5:1.0、好ましくは1.2~2.0:1.0、より好ましくは1.3~1.8:1.0、特に1.4~1.6:1.0、及び特に1.5~1.55:1.0の範囲であり;及び/又は(ii)アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物中のDP2対DP3のモル分率の比は、適切には1.1~2.5:1.0、好ましくは1.2~2.0:1.0、より好ましくは1.3~1.8:1.0、特に1.4~1.6:1.0、及び特に1.5~1.55:1.0の範囲であり;及び/又は(iii)アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド組成物中のDP1対DP3のモル分率の比は、適切には1.5~4.0:1.0、好ましくは1.8~3.5:1.0、より好ましくは2.0~3.0:1.0、特に2.2~2.5:1.0、及び特に2.3~2.4:1.0の範囲である。
【0093】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド反応生成物又は組成物は、フローリー・シュルツ分布の形態である。このような分布が、本明細書に記載の酵素反応から得られることは驚くべきことである。
【0094】
アルキルポリグリコシド反応生成物は、式Rp-Gqで表すことができ、
ここで
Rは、両方とも本明細書で定義されるp個の炭素原子を含むアルキル基であり、
Gは、本明細書で定義される少なくとも1つの単糖残基であり、
qは、単糖残基の数であり、
qは、(n+s)であり、ここでnはアルキルグリコシド出発物質中の単糖残基の数であり、及びsは酵素反応中に生じる単糖残基の数の増加であり、
nの平均値は、本明細書で定義され(出発物質の平均DP)、
qの平均値は、本明細書で定義され(反応生成物の平均DP)、及び
sの平均値は、本明細書で定義される(酵素反応中に生じる平均DPの増加)。
【0095】
1つの実施態様において、粗酵素反応生成物混合物は、グリコシル供与体の分解生成物とみなすことができる直鎖オリゴ糖を含む。直鎖オリゴ糖は、好ましくはグルコース残基を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0096】
1つの実施態様において、本明細書に記載のように測定される直鎖オリゴ糖の平均長又はモル平均重合度(平均DP)は、適切には1.5~6.0、好ましくは2.0~5.0、より好ましくは2.5~4.0、特に2.9~3.6、及び特に3.1~3.4の範囲である。
【0097】
1つの実施態様において、粗反応生成物混合物中の直鎖オリゴ糖の濃度は、混合物の総重量に基づいて、適切には0.01~12.0重量%、好ましくは0.1~10.0重量%、より好ましくは0.2~8.0重量%、特に1.0~6.0重量%、及び特に3.0~5.0重量%の範囲である。
【0098】
重合度(DP)1~8の粗反応生成物混合物中の直鎖オリゴ糖の濃度は、混合物の総重量に基づいて、適切には0.005~8.0重量%、好ましくは0.05~6.0重量%、より好ましくは0.1~4.0重量%、特に0.5~3.0重量%、及び特に1.0~2.5重量%の範囲である。
【0099】
1つの実施態様において、粗酵素反応生成物混合物はシクロデキストリンを含み、適切にはα-、β-、及びγ-シクロデキストリン、並びに好ましくはα-及びβ-シクロデキストリンを含むか、から本質的になるか、又はからなる。シクロデキストリンがグリコシル供与体として使用される場合、シクロデキストリンは未反応のシクロデキストリンでもよく、及び/又はシクロデキストリン以外の本明細書で定義されるグリコシル供与体との酵素反応の副産物として生成されるシクロデキストリンでもよい。
【0100】
1つの実施態様において、シクロデキストリンの粗反応生成物混合物中の濃度は、混合物の総重量に基づいて、15.0重量%未満、適切には10.0重量%未満、より適切には7.0重量%未満、好ましくは5.0重量%未満、より好ましくは4.0重量%未満である。特に3.0重量%未満、及び特に2.0重量%未満である。
【0101】
1つの実施態様において、シクロデキストリンの粗反応生成物混合物中の濃度は、混合物の総重量に基づいて、0.5~25.0重量%、適切には1.0~20.0重量%、好ましくは3.0~15.0重量%、より好ましくは4.0~12.0重量%、特に4.5~11.0重量%、及び特に5.0~10.0重量%の範囲である。
【0102】
1つの実施態様において、粗反応生成物混合物中のα-シクロデキストリン対β-シクロデキストリンの重量比は、0.1~5.0:1.0、適切には0.2~4.0:1.0、好ましくは0.5~2.0:1.0、より好ましくは0.9~1.5:1.0、特に1.0~1.4:1.0、及び特に1.1~1.3:1.0の範囲である。
【0103】
1つの実施態様において、粗反応生成物混合物中のα-シクロデキストリン対β-シクロデキストリンの重量比は、0.1~3.0:1.0、適切には0.15~2.0:1.0、好ましくは0.2~1.0:1.0、より好ましくは0.25~0.7:1.0、特に0.3~0.5:1.0、及び特に0.35~0.40:1.0の範囲である。
【0104】
用途によっては、粗反応生成物混合物を使用することもできるが、一般的には、さらに処理/濃縮/精製が必要になる。反応生成物混合物は、蒸発、濾過、若しくは遠心分離によって脱水されるか、又は噴霧乾燥によって乾燥させることができる。アルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシド反応生成物は、当技術分野で知られているように、クロマトグラフィー、沈殿、吸着、濾過、及び遠心分離を含む種々の方法によって精製することができる。特に、膜濾過又はフラッシュクロマトグラフィーを使用して、精製されたアルキルポリグリコシド組成物を生成することができる。
【0105】
1つの実施態様において、精製されたアルキルポリグリコシド組成物は、(i)適切には6.0~60.0重量%、好ましくは15.0~45.0重量%、より好ましくは21.0~39.0重量%、特に27.0~33.0重量%、及び特に29.0~31.0重量%の範囲の、本明細書で定義されるアルキルポリグリコシドを、及び(ii)適切には40.0~94.0重量%、好ましくは55.0~85.0重量%、より好ましくは61.0~79.0重量%、特に67.0~73.0重量%、及び特に69.0~71.0重量%の範囲の水(両方とも組成物の総重量に基づく)を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0106】
1つの実施態様において、精製されたアルキルポリグリコシド組成物は、(i)好ましくは45.0~55.0重量%、より好ましくは50.0~52.0重量%の範囲の本明細書で定義されるアルキルポリグリコシドを、及び(ii)好ましくは45.0~55.0重量%、より好ましくは48.0~50.0重量%の範囲の水(いずれも組成物の総重量に基づく)を含むか、から本質的になるか、又はからなる。
【0107】
本明細書で定義されるアルキルポリグリコシド、好ましくはアルキルポリグルコシドは、乳化剤、可溶化剤、起泡剤、クレンザー、及び/又は増粘剤として、好ましくはパーソナルケア配合物、例えば水中油型又は油中水型エマルションにおいて使用するのに適している。アルキルポリグリコシドは、発泡剤として特に有効であり、形成される泡の量、安定性、及び/又は品質を改善することができる。アルキルポリグリコシドは、本明細書に記載の任意の形態で、すなわち粗又は精製酵素反応生成物で使用することができる。
【0108】
本明細書で定義される、特に純粋な形態のアルキルポリグリコシドは、パーソナルケア用途における乳化剤としての使用に適している。パーソナルケアエマルション製品は、望ましくはクリーム及びミルクの形態をとることができ、典型的には、エマルションの形成及び安定性を助けるために乳化剤を含む。適切にはパーソナルケアエマルション製品は、エマルションの約1~約20重量%、好ましくは3~6重量%の範囲の量で乳化剤を使用する。アルキルポリグリコシドはまた、エマルション中で他の乳化剤及びエマルション安定剤と組み合わせることもできる。このような乳化剤の例には、非イオン性乳化ワックス、例えば脂肪アルコール及びポリオールエステルが含まれる。
【0109】
アルキルポリグリコシドを含む水中油型又は油中水型エマルションは、種々の他のパーソナルケア成分、例えば、洗浄剤、ヘアコンディショニング剤、スキンコンディショニング剤、ヘアスタイリング剤、フケ防止剤、毛髪成長促進剤、香水、日焼け止め化合物、顔料、保湿剤、皮膜形成剤、保湿剤、アルファヒドロキシ酸、ヘアカラー、メイクアップ剤、洗剤、増粘剤、防腐剤、消臭活性剤、界面活性剤などの1つ又はそれ以上を含み得る。
【0110】
このようなエマルションの油相は、典型的にはパーソナルケア又は化粧品に使用されるタイプの皮膚軟化油であり、周囲温度で液体又は周囲温度で固体である油性物質であり、バルクでは通常ワックス状の固体であるが、但し、これらは、好ましくは100℃まで、より好ましくは80℃までの高温で液体であり、従って、このような固体皮膚軟化剤は、適切には100℃未満、好ましくは70℃未満の融解温度を有し、この温度で組成物に含まれて乳化され得る。
【0111】
油相の濃度は広く変化することができ、油の量は、総エマルションに基づいて、適切には1~90重量%、好ましくは3~60重量%、より好ましくは5~40重量%、特に8~20重量%、及び特に10~15重量%の範囲である。
【0112】
エマルション中に存在する水の量は、総エマルションに基づいて、適切には5重量%より多く、好ましくは30~90重量%、より好ましくは50~90重量%、特に70~85重量%、特に75~80重量%の範囲である。このようなエマルションに使用される乳化剤、好ましくは本明細書で定義されるアルキルポリグリコシドの量は、総エマルションに基づいて、適切には0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~7重量%、特に1.5~6重量%、及び特に2~5.5重量%の範囲である。
【0113】
このようなエマルションの最終用途製剤には、保湿剤、日焼け止め、日焼け後製品、ボディバター、ジェルクリーム、高香料含有製品、香水クリーム、ベビーケア製品、ヘアコンディショナー、ヘアリラクサー製剤、スキントーニング及びスキンホワイトニング製品、水分を含まない製品、制汗剤及び消臭製品、日焼け製品、クレンザー、2-イン-1発泡エマルジョン、複数のエマルジョン、防腐剤フリー製品、乳化剤フリー製品、マイルド製剤、スクラブ製剤、例えば固体ビーズ、水中シリコーン配合物、顔料含有製品、スプレー可能エマルジョン、カラー化粧品、コンディショナー、シャワー製品、発泡エマルジョン、メイク落とし、アイメイク落とし、及びワイプが含まれる。このような製剤には、グリーン製剤、天然製剤、及び天然認定製剤が含まれる。
【0114】
このようなアルキルポリグリコシド乳化剤のさらなる用途は、一次界面活性剤、例えばベビーケア製剤におけるアルキルエーテル硫酸塩及びアルキル硫酸塩などの刺激を軽減することである。このようなエマルションの最終用途製剤には、中性洗剤及び/又は硫酸塩を含まない洗剤、マイクロエマルション、座瘡クレンザーを含むクレンザー、コンディショナーとベビーシャンプーを有する2-in-1を含むシャンプー、フェイシャルウォッシュとボディウォッシュ、シャワージェルとシャワークリーム、クリームハンドソープを含むハンドソープが含まれる。
【0115】
アルキルポリグリコシドはまた、ヘルスケア用途において水中油型又は油中水型エマルションにおける乳化剤として使用され得る。例としては、液体乳剤の口腔トリートメント、医療用シャンプー、局所用トリートメントクリーム、ローション及び軟膏、ニキビ治療用クリーム、ローション及びトニック、座薬が挙げられる。
【0116】
アルキルポリグリコシドは、洗剤系の増粘剤としても使用できる。用途には、中性洗剤、硫酸塩を含まない洗剤、マイクロエマルジョン、座瘡クレンザーを含むクレンザー、一般的なシャンプー、ベビーシャンプー、2-in-1シャンプーとコンディショナー、フェイシャルウォッシュとボディウォッシュ、シャワークリームとジェル、ハンドソープが含まれる。適切には、アルキルポリグリコシド増粘剤は、洗剤系中に1.0~5.0重量%の範囲で存在する。
【0117】
アルキルポリグリコシドはまた、水に不溶性又は難溶性の広範囲の化合物を可溶化するための効果的な可溶化剤として使用することもできる。このような化合物は、有効成分又は溶質、例えば脂質、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤、香水、精油、着色剤、顔料、タンパク質、ステロイド、及び医薬品有効成分(API)などであり得る。水不溶性物質は、適切には有効な化粧品、パーソナルケア又は医薬品成分である。
【0118】
1つの実施態様において、アルキルポリグリコシドは、パーソナルケア及びヘルスケア分野の可溶化剤として使用することができる。これらの分野で最も一般的に使用される可溶化剤は、一般に少なくとも1つの再生不可能なポリオキシエチレン化誘導体を含む。例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80は、化粧品及び医薬品組成物においてしばしば使用される。ポリエトキシル化可溶化剤(例えば、従来のアルキルグリコシド)の代替物は、一般に同等レベルの有効性を有していない。本明細書で定義されるアルキルポリグリコシドは、可溶化剤として、既存のアルキルグリコシド及びエトキシル化界面活性剤、例えばポリソルベート20及び80などよりも優れた性能を発揮することができる。従って、アルキルポリグリコシドは、化粧品、パーソナルケア及びヘルスケア組成物において、ポリオキシエチレン化誘導体及び従来のアルキルグリコシドの完全又は部分的代替物として、特にポリソルベートの代替物として使用することができる。
【0119】
アルキルポリグリコシドを可溶化剤として使用できる適切なヘルスケア用途には、液体エマルジョン口腔トリートメント、医療用シャンプー、局所トリートメントクリーム、ローション、軟膏及びクレンジングワイプ、抗ニキビトリートメントクリーム、ローション、及びトニックが含まれる。
【0120】
パーソナルケア製剤において、可溶化剤は、香水、精油、親油性活性成分、油性ビタミン、皮膚軟化薬オイルなどの油性成分を組み込む水性ベースのシステムの重要な成分である。これらの油性成分をパーソナルケア配合物に予備可溶化することで、許容できる透明な製品が保証される。可溶化剤の使用から利益を得ることができる典型的な製品には、透明なシャンプー、硫酸塩を含まないシャンプー、透明なコンビネーションシャンプーとコンディショナー、透明なコンディショナー、透明な洗顔剤、透明なシャワージェルとバスフォーム、透明な髪と肌のジェル、水性/アルコール性のヘアスプレー、水性/アルコール性ボディスプレー、アフターシェーブ、コロン、スキンクレンザー及びトナー、メイク落とし、抗菌ワイプ、ローション、軟膏及びジェル、一般的なウェットワイプが含まれる。このような製剤には、グリーン製剤、天然製剤、及び天然認定製剤が含まれる。
【0121】
パーソナルケア組成物はまた、水に可溶な賦形剤、特に非イオン性、陰イオン性、陽イオン性界面活性剤、塩、pH調整剤、水和剤、キレート剤、金属イオン、ポリマー、分散剤、着色剤、防腐剤、及びハイドロトロープなどの他の物質を含む。
【0122】
1つの実施態様において、パーソナルケア組成物は、(i)0.001~10.0重量%、好ましくは0.005~5.0重量%、より好ましくは0.01~3.0重量%、特に0.05~2.0重量%、及び特に0.1~1.0重量%の範囲の少なくとも1つの有効成分、(ii)0.01~75.0重量%、好ましくは0.05~50.0重量%、より好ましくは0.1~30.0重量%、特に0.5~20.0重量%、及び特に0.1~10.0重量%の範囲の本明細書で定義されるアルキルポリグリコシド、及び/又は(iii)15.0~99.99重量%、好ましくは45.0~99.95重量%、より好ましくは67.0~99.89重量%、特に78.0~99.45重量%、及び特に89.0~98.9重量%の範囲の水を含む。
【0123】
本明細書に記載されたすべての特徴は、任意の組み合わせで、上記の態様のいずれかと組み合わせることができる。
【0124】
以下の試験方法が使用された:
1)アルキルポリグリコシドの組成
アルキルポリグリコシドは、C-18カラムを備えたHPLCシステムを使用して分析した。試料を適切な希釈物をシステムに注入し、デュアル移動相を使用してカラムで分離した。移動相には、疎水性成分(例えばアセトニトリル)と親水性成分(例えば0.1%酢酸)が含まれていた。この方法では、移動相の疎水性含有量が低い状態から開始し、分析中に徐々に上昇させた。カラムから溶出する成分を特定及び定量するために、CAD検出器(Charged Aerosol Detector)と質量分析計を使用した。検出器への移動相の一定の組成を得るために、逆勾配を使用して、検出器の直前で分析フローに接続した。この方法により、アルキルポリグリコシドの平均DPを含むDPプロフィールと、酵素反応のグリコシド(又はグルコース)単位変換率を計算することができる。
【0125】
2)直鎖オリゴ糖の組成
直鎖オリゴ糖は、陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)システムでDionex CarboPac PA200カラムと2つのガードカラムを使用して分析した。試料を適切な溶媒で適切な濃度に希釈し、システムに注入し、100mM NaOH中の酢酸ナトリウム濃度が徐々に上昇する移動相を使用して、カラムで分離した。カラムから溶出する成分を特定するために、Dionex ED40電気化学検出器を使用した。定量するために、適切な標準物質を分析し、それぞれの分子種の量を標準曲線から決定した。この方法により、直鎖オリゴ糖の平均DPを含むDPプロフィールを計算することができる。
【0126】
3)シクロデキストリンの組成
シクロデキストリンは、直鎖オリゴ糖分析について上で説明したものと同じ基本的な方法を使用して分析した。
【0127】
4)泡の測定
泡立ちは、KrussのDynamic Foam Analyzerを使用して評価した。1.5重量%のアルキルポリグルコシド溶液50mlをシリンダーに加えた。溶液を3,000rpmで2分間撹拌し、泡の高さを測定した。PEG-80ソルビタンラウレート及びコカミドプロピルベタインを界面活性剤対照として使用した。
【0128】
5)コレステロール溶解度
a)最大溶解度試料調製
アルキルポリグルコシドを蒸留水に溶解して15重量%溶液を調製した。35mgのコレステロールを、あらかじめ秤量したエッペンドルフチューブに加えた。各溶液1mlをピペットでエッペンドルフチューブに移し、ボルテックスミキサーを使用して5秒間攪拌し、ローラー上で60rpmで1時間放置して平衡化した。混合後、各チューブを14,800rpm、20℃で15分間遠心分離した。0.22μmナイロンフィルターを備えた1mlシリンジを使用して、上清をシリンジで取り出し、2つ目のエッペンドフトチューブに移した。次に、上清を14,800rpmで2回目の遠心分離にかけた。得られた上清50μlをHPLCバイアル中のメタノール950μlに加え、HPLCで分析した。PEG-80ソルビタンラウレート、NatraGem(商標)S140(ex Croda)及びデシルグルコシドを界面活性剤対照として使用した。
【0129】
b)標準曲線の作成。
メタノール(10ml)中のコレステロール(10mg)の原液を調製した。ボルテックスミキサーを使用して溶液を10秒間撹拌して、コレステロールを完全に溶解させて、1.00mg/ml濃度のコレステロールを含む溶液を得た。原液を0.050、0.025、0.020、0.010、0.0050、0.0010mg/mlの濃度に希釈して、6つの較正試料を調製した。較正試料の分析で得られたピーク面積を使用して、検量線を決定した。
【0130】
c)HPLC条件。
HPLCカラム:Zorvax Eclipse Plus C18、5μm、5cm、
移動相組成:95/5メタノール/水(アイソクラティック)、
カラム温度:30℃、
流量:1.0ml/分、
注入量:5.0μl、
実行時間:10分、
検出波長:204nm。
【0131】
6)精油の溶解性
蒸留水中のアルキルポリグルコシドの13重量%溶液を調製し、レモン油、ラベンダー油、ティーツリー油、及びパチョリ油と、別々に1:7(w/w)の比率で混合し、次に混合物を攪拌しながら水に滴加して、最終濃度を1重量%の精油と7重量%のアルキルポリグルコシドにした。混合物を磁気棒で1時間攪拌したが、油滴は観察されず、溶液中又は混合物の表面に分散しておらず、すべての場合で精油が完全に可溶化したことが示された。次に混合物を室温で5時間放置し、相分離を観察した。ラウリルグルコシドを、レモン油とラベンダー油の両方で界面活性剤対照として使用した.
【実施例】
【0132】
実施例1
DE値が1の31kgのマルトデキストリンを、室温で反応容器中の39kgの水に投入し、マルトデキストリンが溶解するまで反応混合物を攪拌した。次に、マルトデキストリン溶液を取り除いた。ラウリルグルコシドの50重量%水溶液10kgを、自由流動性液体(約50°C)として反応容器内の水20kgに投入し、過度の泡立ちを避けるために攪拌速度を調整した。HCl溶液を反応容器に投入し、pHを6.5に調整した。次に、前もって調製したマルトデキストリン溶液を、攪拌しながら反応容器に投入した。温度を65℃に上げ、過剰な泡立ちを避けるために撹拌速度を調節した。温度が65℃に達したとき、0.5kgのサーモアナエロバクター(Thermoanaerobacter)種のCGTase(EC2.4.1.19)酵素調製物(反応混合物1kgあたり17KNU-CPに相当)を反応容器に添加した。反応混合物を撹拌し、反応を20時間続けた。次に、反応混合物を95℃に加熱し、この温度で2.5時間一定に保って酵素を失活させ、撹拌しながら40~50℃に冷却し、50%水酸化ナトリウム溶液を使用してpHを11.5に調整した。粗反応混合物の試料を採取し、本明細書に記載の試験手順にかけると、以下の特性を示した。
【0133】
a)反応混合物:
i)アルキルポリグルコシド=6.2重量%、
ii)α-シクロデキストリン=2.3重量%、
iii)β-シクロデキストリン=3.4重量%、
iv)直鎖オリゴ糖=4.6重量%、
v)泡の高さ=130mm(PEG-80ソルビタンラウレート=92、コカミドプロピルベタイン=78)。
b)アルキルポリグルコシド:
i)DP1=0.35モル分率、
ii)DP2=0.23モル分率、
iii)DP3=0.15モル分率、
iv)DP4~DP10=0.25モル分率、
v)DP11~DP15=0.02モル分率、
vi)平均DP=2.9グルコース単位、
vii)平均DPの増加=1.8グルコース単位、
viii)グルコース変換=12.5重量%。
c)直鎖オリゴ糖:
i)DP1~DP8=2.6重量%、
ii)DP9以上=2.0重量%、
iii)平均DP=3.0グルコース単位。
【0134】
残りの反応混合物を反応容器中に、撹拌せずに、室温で少なくとも24時間、沈殿が生じるまで放置した。沈殿が完了した後、遠心分離によって固相を溶液から分離することによって沈殿物を回収した。次に、容量654mlのSnap Ultra C18カラム(Biotage)を備えたBiotageからのIsoleraシステムを使用して、液体上清をフラッシュクロマトグラフィーにかけて、直鎖オリゴ糖及びシクロデキストリンを含む残留糖成分を除去した。上清を99.5%エタノールで最終エタノール濃度20重量%に希釈し、次に、20%エタノールで事前に平衡化したカラムにロードした。次に、カラムを平衡化溶液で洗浄して、結合していない糖及びタンパク質をカラムから除去した。次に、移動相を段階的に80%エタノールに変更し、続いて99.5%エタノールの最終工程により、アルキルポリグルコシドを溶出させた。生成物の大部分は80%エタノール工程で回収され、すべてのアルキルポリグルコシド含有画分をプールした。プールされた画分からのエタノールをBuuechi rotavaporで蒸発させて除去し、残りの水を凍結乾燥によって除去して、アルキルポリグルコシド反応生成物の白色の自由流動性粉末を生成し、これを本明細書に記載の試験手順に供すると、以下の特性を示した:
i)DP1=0.35モル分率、
ii)DP2=0.23モル分率、
iii)DP3=0.18モル分率、
iv)DP4~DP10=0.23モル分率、
v)DP11~DP15=0.002モル分率、
vi)平均DP=3.0グルコース単位。
【0135】
実施例2
ラウリルグルコシドの50重量%溶液100グラムとDE値6を有するマルトデキストリン300グラムを、2リットルの反応容器内で上部攪拌をしながら、0.6リットルの水と混合した。HClでpHを7に調整し、次に温度を45℃に上げた。温度が45℃に達したとき、2.0gのバシラス・マセランス(Bacillus macerans)のCGTase(EC2.4.1.19)酵素調製物(反応混合物1kgあたり2400Uに相当)を添加し、反応を一定温度で24時間進行させた。反応混合物を95℃に2時間加熱して酵素を不活性化し、次に周囲温度に冷却した。次に、C18-シリカカラム(400g、Biotage)を使用して、反応混合物をフラッシュクロマトグラフィーにかけて残留糖成分を除去した。全反応混合物を99.5%エタノールで最終濃度20%エタノールに希釈した後、予め20%エタノールで平衡化したカラムにロードした。カラムを16カラム容量の20%エタノールで洗浄して、残留糖を除去した。次に、6カラム容量の40%エタノールを適用して、結合した酵素を溶出した。最後に、アルキルポリグリコシド反応生成物を80%エタノールで溶出し、凍結乾燥によって濃縮して、白色の自由流動性粉末が得られた。得られたアルキルポリグルコシド反応生成物を、本明細書に記載の試験手順にかけると、以下の特性を示した:
i)DP1=0.38モル分率、
ii)DP2=0.25モル分率、
iii)DP3=0.14モル分率、
iv)DP4~DP10=0.23モル分率、
v)平均DP=2.6グルコース単位、
vi)平均DPの増加=1.5グルコース単位、
vii)グルコース変換=10.8重量%、
viii)コレステロール溶解度=17.8mg/ml(PEG-80ソルビタンラウレート=0.7mg/ml、NatraGem(商標)S140=3.5mg/ml、デシルグルコシド=5.2mg/ml)。
【0136】
実施例3
ラウリルグルコシドの50重量%水溶液1.9kgを水1.6kgと、反応容器内で絶えず撹拌しながら50℃で混合した。さらに3.4kgの水を加え、温度を65℃に上げた。α-シクロデキストリン1.9kgを水1.0kgとともに徐々に加え、全成分が溶解するまで反応混合物を30分間攪拌した。HCl溶液を反応容器に投入して、pHを7.0に調整した。次に、0.1kgのサーモアナエロバクター(Thermo anaerobacter)種のCGTase(EC2.4.1.19)酵素調製物(反応混合物1kg当たり34KNU-CPに相当)を反応混合物に添加し、攪拌し、そして反応を5時間続けた。次に、反応混合物を95℃に加熱し、この温度で3時間一定に保って酵素を不活性化し、撹拌しながら40~50℃に冷却し、反応混合物を反応容器から回収した。アルキルポリグルコシド反応生成物を、本明細書に記載の試験手順にかけると、以下の特性を示した:
a)反応混合物:
i)アルキルポリグルコシド=17.8重量%、
ii)α-シクロデキストリン=5.5重量%、
iii)β-シクロデキストリン=4.7重量%、
iv)直鎖オリゴ糖=0.3重量%。
b)アルキルポリグルコシド:
i)DP1=0.38モル分率、
ii)DP2=0.21モル分率、
iii)DP3=0.15モル分率、
iv)DP4~DP10=0.24モル分率、
v)DP11~DP15=0.02モル分率、
vi)平均DP=2.9グルコース単位、
vii)平均DPの増加=1.8グルコース単位、
viii)グルコース変換=45重量%。
【0137】
実施例4
ラウリルグルコシドの50重量%水溶液135.6gを77.1gの水と、400mlの反応容器内で撹拌しながら混合した。この溶液にβ-シクロデキストリン11水和物粉末56gを加え、β-シクロデキストリンが溶解するまで、反応混合物を撹拌した。30.9mlのHCl溶液を反応容器に投入してpHを6.0に調整し、温度を75℃に上げた後、サーモアナエロバクター(Thermo anaerobacter)種のCGTase(EC2.4.1.19)を含む酵素調製物0.45mlを反応容器に加えた。反応混合物を撹拌し、反応を24時間続けた。次に、反応混合物を95℃に加熱し、この温度で2.5時間一定に保って酵素を不活性化し、次に冷却した。粗反応混合物の試料を採取し、本明細書に記載の試験手順にかけると、以下の特性を示した:
a)反応混合物:
i)アルキルポリグルコシド=33重量%、
ii)α-シクロデキストリン=1.0重量%、
iii)β-シクロデキストリン=2.6重量%、
iv)直鎖オリゴ糖=1.0重量%。
b)アルキルポリグルコシド:
i)DP1=0.52モル分率、
ii)DP2=0.23モル分率、
iii)DP3=0.11モル分率、
iv)DP4~DP10=0.13モル分率、
v)DP11~DP15=0.003モル分率、
vi)平均DP=2.1グルコース単位、
vii)平均DPの増加=1.0グルコース単位、
viii)グルコース変換=60重量%、
ix)泡の高さ=108mm(PEG-80ソルビタンラウレート=92、コカミドプロピルベタイン=78)。
c)直鎖オリゴ糖:
i)DP1~DP8=0.9重量%、
ii)DP9以上=1.0重量%、
iii)平均DP=2.6。
【0138】
d)精油の溶解度:
レモン油、ラベンダー油、ティーツリー油、及びパチョリ油(1重量%)と7重量%のアルキルポリグルコシドとの混合物はすべて、5時間後も透明のままであり、相分離はなかった(レモン油とラベンダー油の混合物は白く曇っており、可溶化剤として7重量%ラウリルグルコシドを使用して5時間後に相分離した)。
【0139】
上記の例は、本発明による方法及び組成物の改善された特性を示している。
【国際調査報告】