(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】ジアミド、官能化ポリマーおよびワックスに基づくレオロジー添加剤
(51)【国際特許分類】
C08L 101/02 20060101AFI20230718BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20230718BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230718BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20230718BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20230718BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230718BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20230718BHJP
C08K 5/20 20060101ALI20230718BHJP
C08L 91/06 20060101ALI20230718BHJP
C08L 23/30 20060101ALI20230718BHJP
C09D 11/30 20140101ALI20230718BHJP
【FI】
C08L101/02
C09D201/00
C09D7/63
C09J201/00
C09J11/08
C09J11/06
C09D7/65
C08K5/20
C08L91/06
C08L23/30
C09D11/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577596
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2021066401
(87)【国際公開番号】W WO2021255164
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コールスニク, ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェティエール, フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ルロワ, ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ルピネ, ローラン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J038
4J039
4J040
【Fターム(参考)】
4J002AA061
4J002AE032
4J002AE052
4J002BB081
4J002BB091
4J002BB251
4J002BN061
4J002EP026
4J002FD027
4J002GH00
4J002GJ00
4J038BA212
4J038DF012
4J038JA38
4J038JB04
4J038NA01
4J039AE07
4J039BC19
4J040EE012
4J040HB25
(57)【要約】
本発明は、ジアミド、官能化ポリマーおよびワックスに基づく添加剤、ならびにバインダー組成物、特にコーティング組成物、接着剤、のりまたはマスチック組成物、成形組成物、複合材料組成物、化学シーリング組成物、防漏剤組成物、光造形または物体の3D印刷のための光架橋性組成物におけるレオロジー剤、特にチキソトロピー剤としてのその使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-少なくとも1種のジアミドである30%~90%の成分A)と、
-少なくとも1種の官能化ポリマーである5%~40%の成分B)と、
-少なくとも1種のワックスである5%~60%の成分C)と、
を含み、%値が、添加剤の重量に対する重量%値である、添加剤。
【請求項2】
成分A)が、少なくとも1種のジアミンと少なくとも1種のカルボン酸との反応によって得られるジアミドを含み、
ジアミンが、C
2~C
24脂肪族ジアミン、C
6~C
18脂環式ジアミン、C
6~C
24芳香族ジアミンおよびそれらの混合物から選択され、
カルボン酸が、飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖、非置換またはヒドロキシル化のC
2~C
36カルボン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の添加剤。
【請求項3】
成分A)が、C
2~C
24脂肪族ジアミン、特に直鎖C
2~C
18脂肪族ジアミン、より具体的には直鎖C
2~C
12脂肪族ジアミンから選択される少なくとも1種のジアミンで得られるジアミドを含むことを特徴とする、請求項2に記載の添加剤。
【請求項4】
成分A)が、C
2~C
22カルボン酸、特にヒドロキシル化C
2~C
22カルボン酸および任意で非置換C
2~C
22カルボン酸、より具体的にはヒドロキシル化C
12~C
20カルボン酸および任意で非置換C
2~C
14カルボン酸から選択される少なくとも1種のカルボン酸で得られるジアミドを含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の添加剤。
【請求項5】
成分A)が、1,2-エチレンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミンまたは1,6-ヘキサメチレンジアミンと12-ヒドロキシステアリン酸および任意でデカン酸との反応によって得られたジアミドを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項6】
添加剤の重量に対して、35重量%~90重量%、特に40重量%~90重量%、より具体的には40重量%~85重量%の成分A)を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項7】
成分B)が、極性基、特にカルボン酸、無水物、エーテル、アルデヒド、アルコール、アミンおよびそれらの混合物から選択される極性基、より具体的には少なくともカルボン酸基によって官能化されたポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項8】
成分B)が、3~50、または5~40、または8~35、または10~25mg KOH/gの酸価を有する官能化ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項9】
成分B)が、官能化ポリオレフィン、特に酸化ポリオレフィン、より具体的には酸化ポリエチレンを含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項10】
添加剤の重量に対して、5重量%~35重量%、特に10重量%~35重量%、より具体的には10重量%~30重量%の成分B)を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項11】
成分C)が、70℃超、特に70℃~120℃の軟化点を示すワックスを含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項12】
成分C)が、鉱物ワックス、天然ワックス、合成ワックスおよびそれらの混合物から選択されるワックス、特に、パラフィンワックス、微結晶ワックス、セレシン、モンタンワックス、セリド、脂肪酸で完全にまたは部分的にエステル化されたジオールまたはトリオール、植物性ワックスまたは動物性ワックス、フィッシャー-トロプシュワックス、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンワックス、ポリ(エチレンオキシド)および/またはポリ(プロピレンオキシド)ワックスならびにそれらの混合物、より具体的には、水添ヒマシ油を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項13】
成分C)が、ヒドロキシル化ワックス、好ましくは水添ヒマシ油を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項14】
添加剤の重量に対して、5重量%~55重量%、特に10重量%~55重量%、より具体的には10重量%~50重量%の成分C)を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項15】
成分A)対成分B)の重量比が、0.8~10、特に1~9、より具体的には1.5~8.5の範囲であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項16】
固体形態、特に固体粒子の形態、より具体的には50μm未満または25μm未満の体積平均サイズを有する固体粒子の形態であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の添加剤と可塑剤とを含む事前活性化添加剤組成物。
【請求項18】
バインダーと、請求項1から16のいずれか一項に記載の添加剤または請求項17に記載の事前活性化添加剤組成物とを含むバインダー組成物。
【請求項19】
コーティング組成物、特にワニス、レンダリング、表面ゲル、塗料またはインク組成物、接着剤、のりまたはマスチック組成物、成形組成物、複合材料組成物、化学シーリング組成物、防漏剤組成物、物体のステレオリソグラフィまたは3D印刷のための、特にインクジェット印刷による光架橋性組成物であることを特徴とする、請求項18に記載のバインダー組成物。
【請求項20】
レオロジー剤としての、特にチキソトロピー剤としての、請求項1から16のいずれか一項に記載の添加剤の使用または請求項17に記載の事前活性化添加剤組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミド、官能化ポリマーおよびワックスに基づく添加剤、ならびにバインダー組成物、特にコーティング組成物、接着剤、のりまたはマスチック組成物、成形組成物、複合材料組成物、化学シーリング組成物、防漏剤組成物、光造形または物体の3D印刷のための光架橋性組成物におけるレオロジー剤、特にチキソトロピー剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロキシル化脂肪酸および/または非ヒドロキシル化脂肪酸に基づくジアミドは、有機ゲル化剤として、すなわち、比較的低い重量濃度(1重量%未満)であっても、あらゆる種類の有機溶媒をゲル化することができる有機小分子として、またはレオロジー添加剤として、すなわち、適用配合物のレオロジーを改変することを可能にする添加剤として既に知られている。それらは、例えばチキソトロピーまたは擬塑性効果を得ることを可能にする。
【0003】
チキソトロピー剤の他の例は、ワックス、油および官能化ポリマーである。
【0004】
いくつかの異なるチキソトロピー剤を添加剤内で組み合わせると、レオロジー特性の改善を得ることができる。しかしながら、これは、異なるチキソトロピー剤間の混和性の問題を引き起こし、および/または最終配合物の審美的特性および機械的特性を損なう可能性がある。したがって、それらが導入されるバインダー組成物の特性を損なうことなく、使用が容易であり、改善された性能品質を有する安定な添加剤を得るために、いくつかのチキソトロピー剤を一緒に組み合わせることが望ましい。
【0005】
国際公開第2018/146114号には、ジアミドおよびカルボキシル化ポリオレフィンに基づく添加剤、ならびに液体系のためのレオロジー添加剤および垂れ防止剤としてのその使用も記載されている。使用されるジアミドの含有量は、ジアミドおよびポリオレフィンの総重量に対して、20重量%~40重量%である。この文献には、ジアミドの含有量が40重量%を超える添加剤を組成物に導入すると、得られるコーティングの特定の特性が低下し、特に接着性が低下し、ならびに黄変および摺動抵抗が増加することも記載されている。さらに、本出願人の会社では、カルボキシル化ポリオレフィンに対するジアミドの割合がより高い添加剤は、ジアミドとポリオレフィンとの混和性の問題のために不均一な外観を示すが、不十分なレオロジー特性も示すことが見つかった。
【0006】
発明の記載
ジアミドは、比較的低い温度、すなわち40℃~80℃未満で課される活性化条件でチキソトロピー効果に関して利点を提供するため、多量のジアミドを含有し得る新規な添加剤が必要とされている。得られる添加剤は、安定であり、使用が容易であり、導入されるバインダー組成物の特性を損なうことなく改善された性能品質を有するべきである。
【0007】
多くの調査研究の後、本出願人の会社では、ジアミドおよび官能化ポリマーに基づく添加剤へのワックスの導入は、この必要性を満たすことを可能にすることが見出された。
【発明の概要】
【0008】
第1の本発明の対象は、
-少なくとも1種のジアミドである30%~90%の成分A)と、
-少なくとも1種の官能化ポリマーである5%~40%の成分B)と、
-少なくとも1種のワックスである5%~60%の成分C)と、
を含む添加剤であり、%値は、添加剤の重量に対する重量%値である。
【0009】
第2の本発明の対象は、本発明による添加剤と可塑剤とを含む事前活性化添加剤組成物である。
【0010】
第3の本発明の対象は、バインダーと本発明による添加剤または本発明による事前活性化添加剤組成物とを含むバインダー組成物である。
【0011】
別の本発明の対象は、本発明による添加剤または本発明による事前活性化添加剤組成物のレオロジー剤としての使用、特にチキソトロピー剤としての使用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本特許出願において、「含む(comprises a)」および「含む(comprises an)」という用語は、「1つ以上を含む(comprises one or more)」を意味する。
【0013】
他に明記しない限り、化合物または組成物の重量パーセントは、化合物または組成物の重量に関して表される。
【0014】
成分A)
本発明による添加剤は、成分A)を含む。
【0015】
成分A)は、ジアミドまたはジアミドの混合物である。
【0016】
本発明の意味の範囲内で、ジアミドは、2つのアミド(-NH-C(=O)-)官能基を有する化合物である。
【0017】
ジアミドは、少なくとも1種のジアミンと少なくとも1種のカルボン酸との反応によって得られる。非対称ジアミドは、ジアミンと異なるカルボン酸との反応によって得ることができる。異なるジアミンおよび/または異なるカルボン酸を使用すると、ジアミドの混合物を得ることができる。
【0018】
特定の実施形態によれば、成分A)は、C2~C24脂肪族ジアミン、C6~C18脂環式ジアミン、C6~C24芳香族ジアミンおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1種のジアミンで得られるジアミドを含む。ジアミドは、該ジアミンの混合物を用いて得ることができる。
【0019】
本発明の意味の範囲内で、ジアミンは、2つの一級アミン(-NH2)官能基を有する化合物である。
【0020】
本発明の意味の範囲内で、脂肪族ジアミンは非環式ジアミンである。C2~C24脂肪族ジアミンは、2~24個の炭素原子を含む脂肪族ジアミンである。脂肪族ジアミンは、直鎖または分枝鎖、好ましくは直鎖であり得る。適切な直鎖脂肪族ジアミンの例は、1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-テトラメチレンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,8-オクタメチレンジアミン、1,12-ドデカメチレンジアミンおよびそれらの混合物であり、好ましくは、1,2-エチレンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミンおよび1,6-ヘキサメチレンジアミンである。適切な分岐脂肪族ジアミンの例は、1,2-プロピレンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミンおよびそれらの混合物である。
【0021】
本発明の意味の範囲内で、脂環式ジアミンは、環、特に6個の炭素原子を有する環を含む非芳香族ジアミンである。C6~C18脂環式ジアミンは、6~18個の炭素原子を含む脂環式ジアミンである。適切な脂環式ジアミンの例は、1,2-、1,3-または1,4-ジアミノシクロヘキサン、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、イソホロンジアミン、1,2-、1,3-または1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノデカヒドロナフタレン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)ノルボルナンおよびそれらの混合物であり、好ましくは、1,3-または1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,2-、1,3-または1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミンおよび4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンである。
【0022】
本発明の意味の範囲内で、芳香族ジアミンは、芳香族環を含むジアミンである。C6~C24芳香族ジアミンは、6~24個の炭素原子を含む芳香族ジアミンである。適切な芳香族ジアミンの例は、メタ-およびパラ-フェニレンジアミン、メタ-およびパラ-キシリレンジアミン、メタ-およびパラ-トルイレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタンおよびそれらの混合物であり、好ましくは、メタ-およびパラ-キシリレンジアミンである。
【0023】
好ましくは、成分A)は、C2~C24脂肪族ジアミン、特に直鎖C2~C18脂肪族ジアミン、より具体的には直鎖C2~C12脂肪族ジアミン、さらに具体的には1,2-エチレンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミンまたは1,6-ヘキサメチレンジアミンから選択される少なくとも1種のジアミンで得られるジアミドを含む。
【0024】
特定の実施形態によれば、成分A)は、少なくとも1種のC2~C36カルボン酸で得られるジアミドを含む。ジアミドは、C2~C36カルボン酸の混合物を用いて得ることができる。
【0025】
本発明の意味の範囲内で、C2~C36カルボン酸は、カルボン酸(-COOH)官能基および2~36個の炭素原子を有する化合物である。カルボン酸は、直鎖状または分枝状、好ましくは直鎖状であり得る。カルボン酸は、飽和または不飽和、好ましくは飽和であり得る。カルボン酸は、非置換であるか、またはヒドロキシル化され得る。ヒドロキシル化カルボン酸は、1つまたは2つのヒドロキシル基、好ましくは1つのヒドロキシル基によって置換されたカルボン酸である。
【0026】
特定の実施形態によれば、カルボン酸は、任意で非置換カルボン酸との混合物としてのヒドロキシル化カルボン酸であり得る。
【0027】
ヒドロキシル化カルボン酸の適切な例は、12-ヒドロキシステアリン酸(12-HSA)、9-ヒドロキシステアリン酸(9-HSA)、10-ヒドロキシステアリン酸(10-HSA)、14-ヒドロキシエイコサン酸(14-HEA)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、ヒドロキシ酢酸(またはグリコール酸)、2-ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)、2-ヒドロキシ-3-(3-ピリジル)プロピオン酸、3-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシ酪酸、2-メチル-2-ヒドロキシ酪酸、2-エチル-2-ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシノナン酸、ヒドロキシデカン酸およびそれらの混合物であり、好ましくは、12-ヒドロキシステアリン酸、または12-ヒドロキシステアリン酸と他の上記ヒドロキシル化酸との二成分または三成分混合物である。
【0028】
非置換カルボン酸の適切な例は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、11-エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびそれらの混合物であり、好ましくはデカン酸である。
【0029】
好ましくは、成分A)は、C2~C22カルボン酸、特にヒドロキシル化C2~C22カルボン酸および任意で非置換C2~C22カルボン酸、より具体的にはヒドロキシル化C12~C20カルボン酸および任意で非置換C2~C14カルボン酸から選択される少なくとも1種のカルボン酸で得られるジアミドを含む。
【0030】
好ましい実施形態によれば、成分A)は、250℃未満、225℃未満、210℃未満または200℃未満の融点を有するジアミドを含む。特に好ましい実施形態によれば、成分A)は、1,2-エチレンジアミン、1,5-ペンタメチレンジアミンまたは1,6-ヘキサメチレンジアミンと12-ヒドロキシステアリン酸および任意のデカン酸との反応によって得られたジアミドを含む。
【0031】
本発明による添加剤は、添加剤の重量に対して30重量%~90重量%の成分A)を含む。添加剤は、添加剤の重量に対して、特に35重量%~90重量%、特に40重量%~90重量%、より具体的には40重量%~85重量%の成分A)を含み得る。
【0032】
特定の実施形態によれば、添加剤は、添加剤の重量に対して、30重量%~60重量%、特に35重量%~55重量%、より具体的には40重量%~50重量%の成分A)を含み得る。
【0033】
別の実施形態によれば、添加剤は、添加剤の重量に対して、70重量%~90重量%、特に75重量%~90重量%、より具体的には80重量%~90重量%の成分A)を含み得る。
【0034】
成分B)
本発明による添加剤は、成分B)を含む。成分B)は、成分A)およびC)とは異なる。
【0035】
成分B)は、官能化ポリマーまたは官能化ポリマーの混合物である。
【0036】
本発明の意味の範囲内で、官能化ポリマーは、官能基を有する骨格を含むポリマーである。官能基は、反応中に他の化合物と反応することができる基、または添加剤におけるポリマーの相溶化を促進することができる基である。ポリマーの骨格は、モノマー、特にエチレン性不飽和モノマーの重合から生じる単位を含む主鎖である。官能化ポリマーは、既存のポリマーの官能化によって、特に酸化反応またはグラフト化反応によって得ることができる。あるいは、官能基を有するモノマーを重合反応中に導入することによって、官能化ポリマーを得ることができる。
【0037】
官能化ポリマーは、特に、600~20000g/mol、特に1000~5000g/molの重量平均分子量を有し得る。
【0038】
官能化ポリマーは、特にワックスであり得る。本発明の意味の範囲内で、ワックスは、20℃で固体の化合物である。ワックスは、分解することなく45℃を超える温度で溶融し始め得る。ワックスは、融点を超えると低い粘度(50mPa.s未満)を示し得る。ワックスは水に不溶性であり得る。ワックスは、特に20℃で可鍛性であり得る。ワックスは、特に70℃超、特に70℃~120℃の軟化点を示し得る。
【0039】
特定の実施形態によれば、成分B)は、極性基、特にカルボン酸、無水物、エーテル、アルデヒド、アルコール、アミンおよびそれらの混合物から選択される極性基によって官能化されたポリマーを含む。より具体的には、官能化ポリマーは、少なくともカルボン酸基を含有する。
【0040】
成分B)は、特に、3~50、または5~40、または8~35、または10~25mgKOH/gの酸価を有する官能化ポリマーを含み得る。
【0041】
官能化ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、(メタ)アクリルポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、スチレン/マレイン酸共重合体およびそれらの混合物から選択することができる。官能化ポリマーは、特に、ポリオール、ポリ(カルボン酸)、ポリエステル、無水物、ポリイソシアネート、ポリアミン、ジエポキシド、エチレン性不飽和モノマーおよびそれらの混合物から選択される1つ以上のモノマーの重合から生じる骨格を含み得る。エチレン性不飽和モノマーは、重合性の炭素-炭素二重結合を有するモノマーである。重合性炭素-炭素二重結合は、一般に、アクリレート(シアノアクリレートを含む)、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、マレエート、フマレート、イタコネート、アリル、プロペニル、ビニルおよび対応する組み合わせから選択される基に含まれる。フェニル環の炭素-炭素二重結合は、重合性炭素-炭素二重結合と見なされない。
【0042】
特定の実施形態によれば、成分B)は、官能化ポリオレフィン、特に酸化ポリオレフィン、より具体的には酸化ポリエチレンを含む。
【0043】
本発明の意味の範囲内で、ポリオレフィンは、オレフィンの重合から生じる単位を含むポリマーである。オレフィンは、アルケン、特に2~8個、特に2~6個、より具体的には2~4個の炭素原子を有するアルケンである。好ましくは、ポリオレフィンを得るために使用されるオレフィンは、α-オレフィン、すなわち末端炭素-炭素二重結合を有するオレフィンである。好適なオレフィンの例は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテンおよびそれらの混合物、好ましくはエチレンおよびプロピレンである。
【0044】
ポリオレフィンは、単一タイプのオレフィンのホモポリマー(例えばエチレンホモポリマー)または少なくとも2つのオレフィンの共重合体(例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテンおよび/またはイソブテンの混合物のポリマー)であり得る。さらに、ポリオレフィンはまた、オレフィン以外のエチレン性不飽和モノマー、より具体的にはカルボン酸基または無水物基を有するエチレン性不飽和モノマーの重合から生じる1つ以上の単位を含み得る。これらのエチレン性不飽和モノマーは、オレフィンと共重合することができ、またはその後、例えばグラフト化によって追加され得る。カルボキシル基または無水物基を有するエチレン性不飽和モノマーを使用する場合、得られるポリオレフィンはカルボン酸基または無水物基によって官能化される。
【0045】
本発明の意味の範囲内で、酸化ポリオレフィンは、少なくともカルボン酸基を含有するポリオレフィンである。酸化ポリオレフィンは、アルデヒド、ケトン、エーテル、アルコールおよびそれらの混合物から選択される1つ以上の基をさらに含み得る。酸化ポリオレフィンは、特に、以下の方法のうちの1つに従って得ることができる。
1)非極性ポリオレフィン、特に非極性ポリエチレンの酸化、特に溶融状態での酸化による方法、
2)ポリオレフィンプラスチック、特にポリエチレンプラスチックの酸化的分解反応による方法、
3)オレフィン、特にエチレンおよび/またはプロピレンと、カルボン酸基または無水物基、特に(メタ)アクリル酸基を有するエチレン性不飽和モノマーとの重合による方法、
4)非極性ポリオレフィン、特に非極性ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンへのカルボン酸基または無水物基を有するエチレン性不飽和モノマー、特に無水マレイン酸のラジカルグラフト化による方法。
【0046】
一実施形態によれば、酸化ポリオレフィンは、少なくとも1種のオレフィン、特にα-オレフィン、より具体的にはエチレンおよび/またはプロピレンのホモポリマーまたは共重合体である。
【0047】
酸化ポリオレフィンは、特に、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、酸化ポリ(エチレン-コ-プロピレン)、酸化エチレン/α-オレフィン共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体、カルボン酸または無水物基を有するエチレン性不飽和モノマー、例えば(メタ)アクリル酸または無水マレイン酸でグラフト化されたエチレンおよび/またはプロピレンのポリマーから選択することができる。
【0048】
このタイプの製品は、例えば、Honeywellが販売するAC 680、AC 629もしくはAC 673P、Innospec Leunaが販売するViscowax(登録商標)252およびViscowax(登録商標)253、Deurexが販売するDeurex E040、Clariantが販売するLicowax(登録商標)PED 521、Licowax(登録商標)PED 522もしくはLicolub(登録商標)H 12、またはWestlakeが販売するEpolene(登録商標)E 14の参照記号で入手可能である。
【0049】
本発明による添加剤は、添加剤の重量に対して、5重量%~40重量%の成分B)を含む。添加剤は、添加剤の重量に対して、特に5重量%~35重量%、特に10重量%~35重量%、より具体的には10重量%~30重量%の成分B)を含み得る。
【0050】
特定の実施形態によれば、添加剤は、添加剤の重量に対して、15重量%~40重量%、特に20重量%~40重量%、より具体的には25重量%~35重量%の成分B)を含み得る。
【0051】
別の実施形態によれば、添加剤は、添加剤の重量に対して、5重量%~25重量%、特に5重量%~20重量%、より具体的には5重量%~15重量%の成分B)を含み得る。
【0052】
成分C)
本発明による添加剤は、成分C)を含む。成分C)は、成分A)およびB)とは異なる。
【0053】
成分C)は、ワックスまたはワックスの混合物である。
【0054】
成分C)は、有利には、添加剤が微粒子化され得る均一な混合物を形成することができるように、成分A)およびB)を相溶させることを可能にする。
【0055】
成分C)は、70℃超、特に70℃~120℃の軟化点を有するワックスを含み得る。
【0056】
成分C)は、10mgKOH/g未満、特に5mgKOH/g未満、より具体的には3mgKOH/g未満、さらに具体的には2.5mgKOH/g未満の酸価を有するワックスを含み得る。
【0057】
特定の実施形態によれば、成分C)は、鉱物ワックス、天然ワックス、合成ワックスおよびそれらの混合物から選択されるワックスを含む。
【0058】
鉱物ワックスは、粗油状物、石炭または褐炭から得られる。鉱物ワックスは、特に、パラフィンワックス、微結晶ワックス、セレシン、モンタンワックスおよびそれらの混合物から選択することができる。400℃~500℃の粗油状物の蒸留によって得られた留分は、パラフィンワックスおよび微結晶ワックスも含有する。これらは、18~60個の炭素原子を有する飽和炭化水素である。微結晶ワックスは、微結晶構造を付与する長い分岐鎖を有する。それらは、柔らかく、白色であり、半透明ではなく、70℃を超える融点を有する。パラフィンワックスは、マクロ結晶構造を付与するわずかに短い直鎖を有する。それらは、容易に壊れ、50℃~70℃の融点を有する白色、半透明で堅い固体である。セレシンは、オゾケライトの精製によって得られる炭化水素の混合物である。モンタンワックス(モンタン酸とエチレングリコール、ブタン-1、3-ジオールまたはグリセロールから選択されるアルコールとのエステル)は、褐炭(化石植物に富む石炭)の抽出によって得られる。
【0059】
天然ワックスは、特に、セリド、脂肪酸で完全にまたは部分的にエステル化されたジオールまたはトリオール、植物性ワックスまたは動物性ワックス、およびそれらの混合物から選択することができる。セリドは、脂肪酸および脂肪アルコールのエステルである。脂肪酸は、12~36個、好ましくは偶数の炭素原子を有する飽和または不飽和、非置換またはヒドロキシル化直鎖カルボン酸であり得る。脂肪アルコールは、12~36個の炭素原子を有するモノアルコールであり得る。脂肪酸(好ましくはヒドロキシル化脂肪酸)で完全にまたは部分的にエステル化されたジオールおよびトリオールは、特に、エチレングリコール、プロパン-1、2-ジオール、グリセロール、12~36個の炭素原子を有するジオールおよびそれらの混合物から選択することができる。植物性または動物性のワックスは、ワックス、油またはバターの製造中に植物または動物から抽出された化合物の群、およびこれらの化合物から得られる、特に水素化またはメタセシス反応によって変換された変換生成物も含む。したがって、20℃で固体の油およびバター、特に部分的または完全に水素化された植物油は、本発明の意味の範囲内で植物性または動物性ワックスと見なされる。油およびバターは、主として脂肪酸(好ましくはヒドロキシル化脂肪酸)およびグリセロールのジエステルおよびトリエステルを含有する。セリドの例は、パルミチン酸セチル、ラウリン酸ドデシル、ステアリン酸オクタデシル、ミリスチン酸テトラデシル、パルミチン酸ミリシルおよびセロチン酸ミリシルである。植物性ワックスまたは動物性ワックスの例は、蜜蝋、キャンデリラワックス、カルナバワックス、米ぬかワックス、木ろう、ダイズワックス、菜種ワックス、パームワックス、鯨ろう、シアバター、ココアバター、トリステアリン、水添ヒマシ油、水添ヤシ油、水添綿実油、水添ナタネ油、水添ダイズ油、水添パーム油およびそれらの混合物である。
【0060】
合成ワックスは、主に炭化水素(アルカンおよびアルケン)および人によって合成されるポリオキシアルキレンである。合成ワックスは、特に、フィッシャー-トロプシュワックス、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンワックス、ポリ(エチレンオキシド)および/またはポリ(プロピレンオキシド)ワックスおよびそれらの混合物であり得る。フィッシャー-トロプシュワックスは主にアルカンを含有し、COとH2の混合物から得られる。このワックスは硬く、天然パラフィンワックスに匹敵するマクロ結晶構造を有する。ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンワックスは、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンのクラッキングによって得ることができる。式H-(CH2-CHR)n-Hのより短い鎖を有するポリマーが得られ、各Rは、独立してHまたはメチルであり、nは50~100に変動する。ポリ(エチレンオキシド)および/またはポリ(プロピレンオキシド)ワックスは、単位H-(O-CHR-CH2)n-OHのポリマーに対応し、各Rは独立してHまたはメチルであり、nは20~100に変動する。
【0061】
好ましい実施形態によれば、成分C)は、ヒドロキシル化ワックス、特に25mg KOH/g超、50mg KOH/g超、75mg KOH/g超、100mg KOH/g超、125mg KOH/g超、150mg KOH/g超または155mg KOH/g超のOH価を有するヒドロキシル化ワックスを含む。
【0062】
特に、成分C)は、脂肪酸、脂肪酸および脂肪アルコールのエステルで完全にまたは部分的にエステル化されたジオールまたはトリオールから選択される天然ワックスを含むことができ、脂肪酸は、12~36個、好ましくは偶数の炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖ヒドロキシル化カルボン酸である。
【0063】
特に好ましい実施形態によれば、成分C)は、水添ヒマシ油を含む。
【0064】
本発明による添加剤は、添加剤の重量に対して、5重量%~60重量%の成分C)を含む。添加剤は、添加剤の重量に対して、特に5重量%~55重量%、特に10重量%~55重量%、より具体的には10重量%~50重量%の成分C)を含み得る。
【0065】
特定の実施形態によれば、添加剤は、添加剤の重量に対して、10重量%~40重量%、特に15重量%~35重量%、より具体的には20重量%~30重量%の成分C)を含み得る。
【0066】
別の実施形態によれば、添加剤は、添加剤の重量に対して、5重量%~25重量%、特に5重量%~20重量%、より具体的には10重量%~20重量%の成分C)を含み得る。
【0067】
添加剤
本発明による添加剤は、
-30%~90%、特に35%~90%、より具体的には40%~90%、より具体的にはさらに40%~85%の成分A)と、
-5%~40%、特に5%~35%、より具体的には10%~35%、より具体的にはさらに10%~30%の成分B)と、
-5%~60%、特に5%~55%、より具体的には10%~55%、より具体的にはさらに10%~50%の成分C)と
を含み、%値は、添加剤の重量に対する重量%値である。
【0068】
特定の実施形態によれば、添加剤は、
-30%~60%、特に35%~55%、より具体的には40%~50%の成分A)と、
-15%~40%、特に20%~40%、より具体的には25%~35%の成分B)と、
-10%~40%、特に15%~35%、より具体的には20%~30%の成分C)と
を含み、%値は、添加剤の重量に対する重量%値である。
【0069】
別の具体的な実施形態によれば、添加剤は、
-70%~90%、特に75%~90%、より具体的には80%~90%の成分A)と、
-5%~25%、特に5%~20%、より具体的には5%~15%の成分B)と、
-5%~25%、特に5%~20%、より具体的には10%~20%の成分C)と
を含み、%値は、添加剤の重量に対する重量%値である。
【0070】
添加剤は、添加剤の重量に対して、0%~10%、特に0%~5%、より具体的には0%~2%の成分D)をさらに含むことができ、成分D)は、成分A)、B)およびC)以外の少なくとも1種の化合物である。
【0071】
成分D)は、特に、成分A)、B)およびC)の調製に関連する副生成物を含み得る。そのような副生成物の例は、触媒、特に無機塩、金属酸化物または半金属酸化物、ジアミン、C2~C36カルボン酸、ジアミンと1当量のC2~C36カルボン酸との反応から生じるモノアミドである。
【0072】
添加剤は、成分A)、B)、C)およびD)から本質的に構成され得るか、またはそれらからなり得る。したがって、成分A)、B)、C)およびD)の総重量は、添加剤の重量の100%に相当し得る。
【0073】
特定の実施形態によれば、成分A)対成分B)の重量比は、0.8~10、特に1~9、より具体的には1.5~8.5の範囲である。
【0074】
本発明による添加剤は、特に固体形態、特に固体粒子の形態、より具体的には50μm未満または25μm未満の体積平均サイズを有する固体粒子の形態であり得る。
【0075】
添加剤は、以下の段階を含む方法に従って得ることができる:
a)均一な混合物を形成するために、高温(140~220℃)で成分A)、B)、C)および任意でD)を混合する段階、
b)固体を得るために、段階a)で得られた混合物を常温(20~25℃)に冷却する段階、
c)50μm未満の体積平均サイズを有する固体粒子を得るために、段階b)で得られた固体を微粒子化する段階。
【0076】
あるいは、本発明による添加剤は、事前活性化ペーストの形態であり得る。したがって、本発明による添加剤は、以下に記載される事前活性化添加剤組成物を形成するために可塑剤と混合することができる。
【0077】
事前活性化添加剤組成物
本発明による事前活性化添加剤組成物は、上記の添加剤および可塑剤を含む。
【0078】
本発明の意味の範囲内で、可塑剤は、添加剤の使用を容易にする化合物である。
【0079】
好ましくは、該可塑剤は、少なくとも1種の極性基、好ましくはエーテル基および/またはエステル基および/またはエポキシ基を含む極性有機可塑剤である。
【0080】
エステル基を有する可塑剤の中でも、少なくとも1種のC6~C10芳香族酸エステル基を含むもの、特にモノアルキルフタレートおよび/またはジアルキルフタレート、さらに好ましくはジアルキルフタレートから選択される可塑剤が挙げられ、該アルキルは同一であっても異なっていてもよく、C7~C18、好ましくはC10~C12アルキルから選択される。アルキルスルホネート、好ましくはアルキルスルホン酸とフェノールとのエステル、およびジベンゾエートも挙げられ得る。
【0081】
エーテル基を有する可塑剤の中でも、1000~3000の範囲の重量平均分子量Mwを有するプロピレンオキシドのホモポリマーポリエーテル(ポリプロピレングリコール)、より具体的には2000に等しいMwを有するポリプロピレングリコール(PPG)、および/またはモノエステル、好ましくはC2~C4モノエステル、またはC1~C4モノエーテル、例えばモノメトキシ化誘導体またはモノエトキシル化誘導体から選択されるそれらの誘導体を挙げることができる。
【0082】
特定の実施形態によれば、可塑剤は、モノ-および/またはジアルキルフタレートを含む。
【0083】
事前活性化された添加剤組成物は、最終用途配合物中での単純な混合によって、この配合物中でいかなる特定のin situ活性化も必要とせずに(温度、剪断、および観察される持続時間の特定の条件)、最終使用者(マスチック、のり、接着剤、または塗料、例えば塗料、またはワニス、またはゲルコート、またはインク、または成形組成物の配合者)による使用に有利に準備されている。
【0084】
バインダー組成物
本発明による添加剤は、そのレオロジーを改変するために、特にチキソトロピーまたは擬塑性効果を付与するために、バインダー組成物に有利に導入される。
【0085】
本発明によるバインダー組成物は、バインダーおよび上記の添加剤または上記の事前活性化添加剤組成物を含む。
【0086】
特定の実施形態によれば、バインダー組成物は、コーティング組成物、特にワニス、レンダリング、表面ゲル、塗料またはインク組成物、接着剤、のりまたはマスチック組成物、成形組成物、複合材料組成物、化学シーリング組成物、防漏剤組成物、物体のステレオリソグラフィまたは3D印刷のための、特にインクジェット印刷による光架橋性組成物である。
【0087】
バインダー組成物は、特に、該組成物の総重量に対して、0.5重量%~15重量%、特に1重量%~10重量%、より具体的には2重量%~7重量%の添加剤を含み得る。
【0088】
特定の実施形態によれば、本発明によるバインダー組成物は、常温で自己架橋性を含む、熱的に、またはUV(少なくとも1種の光開始剤の存在下で)および/もしくはEB(開始剤なしの電子ビーム)などの放射線下での照射によって架橋性であるか、または非架橋性である。バインダー組成物は、架橋性一成分(単一の反応性成分)または架橋性二成分(使用中に混合することによって一緒に反応する二成分に基づくバインダー)であり得る。
【0089】
バインダーは、少なくとも1種のエポキシ-アミン反応系(架橋性二成分)、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ化樹脂、反応性シリコーン樹脂、ポリエステルもしくはポリアミドもしくはジウレア/ジウレタン変性によってグラフトされたアルキド、または未グラフト化アルキド、ポリウレタンもしくはシリコーン樹脂、架橋性二成分ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリスルフィドポリマー、反応性アクリルポリマー、(メタ)アクリレート多官能性オリゴマーもしくはアクリル化アクリルオリゴマーもしくはアリル多官能性オリゴマー、SBRのエラストマー、ポリクロロプレンもしくはブチルゴム型、またはシラン化プレポリマー、好ましくはシラン化ポリエーテルもしくはシラン化ポリウレタン、または-OHもしくは-CO2H官能基を有するシラン化ポリエーテル-ウレタンから選択することができる。
【0090】
より具体的な事例では、バインダーは、以下の架橋性二成分反応系から選択することができる:少なくとも2つのエポキシ基を含む少なくとも1種のエポキシ樹脂および少なくとも2つのアミン基を含む少なくとも1種のアミノ化合物またはポリアミド化合物を含むエポキシ-アミン系またはエポキシ-ポリアミド系、少なくとも1種のポリイソシアネートおよび少なくとも1種のポリオールを含むポリウレタン系、ポリオール-メラミン系、ならびに少なくとも1種のエポキシまたは少なくとも1種の酸もしくは1つの対応する無水物と反応するポリオールに基づくポリエステル系。
【0091】
他の具体的な事例によれば、バインダーは、エポキシ-カルボン酸もしくは無水物反応系から、またはポリオール-カルボン酸もしくは無水物系から出発する架橋性二成分ポリウレタン系または架橋性二成分ポリエステル系、またはポリオールがヒドロキシル化アクリル樹脂、またはポリエステルもしくはポリエーテルポリオールであるポリオール-メラミン反応系であり得る。
【0092】
本発明によるバインダー組成物は、例えば、充填剤、可塑剤、湿潤剤または顔料などの他の成分も含み得る。
【0093】
代替形態によれば、本発明によるバインダー組成物は、自己架橋性であり、ポリエーテル-シランまたはポリウレタン-シランバインダーに基づくマスチック、のり、接着剤または防漏剤組成物である。
【0094】
より具体的には、本発明によるバインダー組成物は、シリル化(またはシラン化、この用語は本発明ではシリル化と同義であると見なされる)、好ましくはシリル化ポリエーテルまたはシリル化ポリウレタン(シリル化ポリエーテル-ウレタン)、例えばKaneka MS Polymer(商標)およびKaneka Silyl(商標)に基づく一成分マスチック組成物であり得る。
【0095】
他の成分、例えば他の種類のバインダー、着色顔料、様々な可塑剤、沈降または粉砕炭酸カルシウム型の充填剤、グリセリド誘導体、シリカ、例えばヒュームドシリカ、他の添加剤、例えばUVA(UV抗酸化剤)、例えば2、4-ジ(tert-ブチル)-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール(BASFのTinuvin(登録商標)327)、立体障害アミンに基づく光安定剤、例えばHALS(ヒンダードアミン光安定剤)、例えばビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(BASFのTinuvin(登録商標)770)、ワックス、および他の種類の触媒、例えばスズ塩などを、シリル化プレポリマーに基づく一成分マスチック組成物に添加または置換することができる。
【0096】
使用
本発明による添加剤または事前活性化添加剤組成物は、レオロジー剤、特にチキソトロピー剤として使用される。
【0097】
したがって、添加剤または事前活性化添加剤組成物をバインダー組成物に組み込むことにより、そのレオロジーを改変すること、特にチキソトロピー効果を付与することが可能になる。したがって、バインダー組成物は、静止している(機械的応力がない)場合ゲルの形態であり得る。チキソトロピー添加剤を含有しないバインダー組成物と比較した粘度のこの増加は、組成物が基材に塗布された後の組成物の広がりおよびランオフを防止することを可能にするため、有利である。バインダー組成物を剪断に供すると、粘度が低下し、基材への塗布を容易にすることができる。
【0098】
本発明の例示として、以下の実施例は、本発明による添加剤の性能品質を示すが、これらに限定されない。
【実施例】
【0099】
【0100】
測定方法
本特許出願では、以下の測定方法を使用した。
【0101】
重量平均分子量:
重量平均分子量は、OECD(1996),Test No.118:Determination of the Number-Average Molecular Weight and the Molecular Weight Distribution of Polymers using Gel Permeation Chromatography,OECD Guidelines for the Testing of Chemicals,Section 1,Editions OCDE [OECD Publications],Parisに従って測定した。
【0102】
酸価:
酸価は、滴定溶媒として50:50(体積/体積)キシレン/エタノール混合物を使用して、規格DIN EN ISO 2114-2000年11月に従って測定した。試料を250mlの三角フラスコに秤量し、マグネティックスターラーで100mlの高温キシレン/エタノール混合物(約90℃)に溶解した。続いて、試料を滴定計のマグネティックスターラーに置き、電極を完全に浸漬し、混合物を0.1Mエタノール性KOH溶液で滴定した。
【0103】
アミン価:
アミン価は、滴定溶媒として50:50(体積/体積)キシレン/エタノール混合物を使用して、規格DIN 53176-2002年11月に従って決定した。試料を250mlの三角フラスコに秤量し、マグネティックスターラーで100mlの高温キシレン/エタノール混合物(約90℃)に溶解した。続いて、試料を滴定計のマグネティックスターラーに置き、電極を完全に浸漬し、混合物を0.1MイソプロパノールHCl溶液で滴定した。
【0104】
軟化点:
軟化点は、NF ISO 2176-2006年6月の方法に従って測定した。
【0105】
粒子のサイズ:
粒子のサイズは、Mastersizer 3000(Malvern)装置のレーザ粒径分析によって測定した。粉末を空気中に分散させ、レーザセルの前を通過させた。正確な粒径分布を得るために、光強度を測定し、反復して処理した。粒子のサイズを体積で表した。Dv50(D0.5またはx50とも呼ばれる)は、中位径に対応する(粒子の50%が対応する径よりも小さい)。
【0106】
降伏応力:
降伏応力は、Kinexus Pro(Malvern)レオメーターを使用して測定した。これは、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)の交点に位置する応力に対応し、Paで表される。これは、試料の液体挙動がその固体の性質およびその構造の流れを置き換える応力を説明する。貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)の曲線は、以下に説明する方法に従って決定した。
【0107】
貯蔵弾性率(G’):
貯蔵弾性率は、Kinexus Pro(Malvern)制御応力レオメーターを使用して測定した。この弾性率は、固体の性質、したがって材料の構造のレベルを定量化し、Paで表される。これを決定するために、0.1~10000Paの応力掃引を1Hzの周波数で行った。使用したプレート/プレートの幾何学的形状では、ギャップは1mmであった。
【0108】
実施例1:ジアミド(成分A)の調製
温度計、Dean and Stark装置、コンデンサーおよび撹拌機を備えた1リットル丸底フラスコに、77.83gのHMDA(0.67mol、1当量)および422.17gの12-HSA(1.34モル、2当量)を添加した。混合物を不活性雰囲気下で180℃に加熱した。除去された水は、150℃からDean and Stark装置にためられた。反応を酸価およびアミン価によってモニターした。酸価およびアミン価が5未満の場合、反応を停止した。反応混合物を140℃に冷却し、シリコーン型に排出した。常温(20~25℃)に冷却すると、生成物はフレークに変換された。
【0109】
実施例2:本発明による添加剤の調製
温度計、Dean and Stark装置、コンデンサーおよび撹拌機を備えた1 l丸底フラスコ中で、実施例1に従って調製した72gのジアミド、18gのポリエチレンオキシドワックスおよび10gの水添ヒマシ油を、不活性雰囲気下、140℃で30分間混合した。その後、反応混合物をシリコーン型に排出した。常温(20~25℃)に冷却すると、生成物はフレークに変換された。続いて、微細な(50μm未満のDv50)および制御された粒径分布を得るために、添加剤をエアジェットによって微粒子化した。
【0110】
実施例3:本発明による添加剤の調製
温度計、Dean and Stark装置、コンデンサーおよび撹拌機を備えた1 l丸底フラスコ中で、実施例1に従って調製した40gのジアミド、10gのポリエチレンオキシドワックスおよび50gの水添ヒマシ油を、不活性雰囲気下、140℃で30分間混合した。その後、反応混合物をシリコーン型に排出した。常温(20~25℃)に冷却すると、生成物はフレークに変換された。続いて、微細な(50μm未満のDv50)および制御された粒径分布を得るために、添加剤をエアジェットによって微粒子化した。
【0111】
実施例4:比較添加剤の調製
温度計、Dean and Stark装置、コンデンサーおよび撹拌機を備えた1 l丸底フラスコ中で、実施例1に従って調製した80gのジアミドおよび20gのポリエチレンオキシドワックスを、不活性雰囲気下、140℃で30分間混合した。その後、反応混合物をシリコーン型に排出した。常温に冷却すると、生成物はフレークに変換された。続いて、微細な(50μm未満のDv50)および制御された粒径分布を得るために、添加剤をエアジェットによって微粒子化した。
【0112】
実施例5:マスチックにおける添加剤の性能品質の評価
1)マスチックの調製
調製した添加剤をマスチック配合物で評価した。以下の表2に提示される成分を用いてマスチック配合物を調製した(重量%値はマスチック配合物の重量に対して表される):
【0113】
配合物を、高速分散機(HSD)を使用して調製した。樹脂および可塑剤を添加し、第1段階で示される割合で均質化した(表2)。添加剤を秤量し、続いて第2段階中に添加した。かくして、反応混合物を毎分3000回転の撹拌下で30分間50℃にした。この相の終わりに、混合物を排出し、これらの配合物のレオロジー性能品質を評価した。
【0114】
2)マスチックの特性評価
実施例2~4の添加剤を用いて調製したマスチックの降伏応力および貯蔵弾性率(G’)を以下の表3に示す。対照マスチック(添加剤なし)も試験した。
【0115】
本発明によるレオロジー添加剤を含有するマスチックは、水添ヒマシ油を含まないジアミドとポリエチレンオキシドの混合物を含有するマスチックと比較して、優れたレオロジー性能品質を示す。
【国際調査報告】