(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】水分スイング再生を用いたガス分離のためのブレンド収着剤
(51)【国際特許分類】
B01J 20/26 20060101AFI20230718BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20230718BHJP
B01J 20/34 20060101ALI20230718BHJP
B01D 53/047 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
B01J20/26 A
B01J20/28 Z
B01J20/34 E
B01D53/047
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578849
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 IB2021055699
(87)【国際公開番号】W WO2021260647
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518334613
【氏名又は名称】スヴァンテ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】シゼロン,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジンゾーング アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ガーッファリ-ニク,オミド
(72)【発明者】
【氏名】ホヴィントン,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】マッソウミファード,ニマ
(72)【発明者】
【氏名】リザエイ,サブレエ
【テーマコード(参考)】
4D012
4G066
【Fターム(参考)】
4D012BA00
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012BA04
4D012CA01
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4G066AA22C
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4G066BA36
4G066BA38
4G066CA23
4G066CA27
4G066CA28
4G066CA35
4G066CA37
4G066FA37
4G066GA06
4G066GA16
(57)【要約】
収着ガス分離器は、一緒にブレンドされた様々な収着剤を有する接触器を使用することができる。ブレンド収着剤接触器を作製するために使用される様々な収着剤は、それらの様々な物理的および化学的特性について選択することができ、これにより、操作者は調合および構造の構成をカスタマイズして、ブレンド収着剤を用いて収着ガス分離器の最適な性能を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス混合物を分離するためのブレンド収着剤粉末であって、
1つ以上の耐性収着剤材料、および
1つ以上の不耐性収着剤材料を備え、
前記1つ以上の耐性収着剤材料の収着剤重量が、前記ブレンド収着剤粉末の収着剤重量の20%以上である、ブレンド収着剤粉末。
【請求項2】
前記1つ以上の耐性収着剤材料の水収着容量が、水収着が収着分離プロセスの最大容量にある場合の蒸気再生条件における前記ブレンド収着剤粉末の水収着容量の20%以上であり、
前記1つ以上の耐性収着剤材料が、蒸気耐性、酸化耐性、NO
x耐性、および/またはSO
x耐性のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のブレンド収着剤粉末。
【請求項3】
前記収着分離プロセスにおける収着に使用されるプロセス条件下で、標的分子に対して少なくとも1mmol/gの収着容量を有する、請求項2に記載のブレンド収着剤粉末。
【請求項4】
前記1つ以上の耐性収着剤材料が、前記1つ以上の不耐性収着剤材料をカプセル化し、前記1つ以上の耐性収着剤材料が、遠位層を形成し、前記1つ以上の不耐性収着剤材料が、前記ブレンド収着剤粉末の近位層を形成する、請求項1、2または3に記載のブレンド収着剤粉末。
【請求項5】
前記1つ以上の耐性収着剤材料が、水収着熱、水収着容量、標的分子収着熱、標的分子標的収着容量をさらに備え、
前記1つ以上の不耐性収着剤材料が、水収着熱、水収着容量、標的分子収着熱、標的分子標的収着容量をさらに備え、
前記1つ以上の耐性収着剤材料および前記1つ以上の不耐性収着剤材料の前記水収着熱を乗算した前記水収着容量の積和が、前記1つ以上の耐性収着剤材料および前記1つ以上の不耐性収着剤材料の前記標的分子収着熱を乗算した前記標的分子収着容量の積和よりも大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載のブレンド収着剤粉末。
【請求項6】
ブレンド収着剤粉末であって、
蒸気耐性、酸化耐性、NO
x耐性、および/またはSO
x耐性のうちの少なくとも1つであって、水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子収着容量をさらに備える第1の耐性収着剤材料、ならびに
水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子収着容量をさらに備える1つ以上の第2の収着剤材料を備え、
前記第1の耐性収着剤材料および前記第2の収着剤材料が、水収着容量、水収着熱、標的分子収着容量、および標的分子収着熱のうちの少なくとも1つで異なり、
前記1つ以上の第1の耐性収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記水収着熱を乗算した前記水収着容量の積和が、前記第1の耐性収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記標的分子収着熱を乗算した前記標的分子収着容量の積和よりも大きい、ブレンド収着剤粉末。
【請求項7】
前記第2の収着剤材料が、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NO
x不耐性収着剤、および/またはSO
x不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである、請求項6に記載のブレンド収着剤粉末。
【請求項8】
前記第2の収着剤材料が、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NO
x耐性収着剤、SO
x耐性収着剤、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NO
x不耐性収着剤、および/またはSO
x不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである、請求項6に記載のブレンド収着剤粉末。
【請求項9】
ガス混合物を分離するための形成されたブレンド収着剤構造であって
1つ以上の第1の収着剤材料、および
前記1つ以上の第1の収着剤材料と組み合わせてブレンド収着剤を形成するための1つ以上の第2の収着剤材料を備え、
前記1つ以上の第1の収着剤材料の収着剤重量が、前記ブレンド収着剤の収着剤重量の20%以上であり、
前記1つ以上の第1の収着剤材料が、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NO
x耐性収着剤、および/またはSO
x耐性収着剤のうちの少なくとも1つである、形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項10】
前記1つ以上の第1の収着剤材料の水収着容量が、収着分離プロセスにおける前記ブレンド収着剤のその最大容量での水収着容量の20%以上である、請求項9に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項11】
シートもしくは積層体を作製するための収着剤支持体もしくは形成要素、または前記ブレンド収着剤のミリメートルスケール粒子をさらに備える、請求項9または10に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項12】
前記収着剤支持体が、100マイクロメートル~3000マイクロメートルの範囲の厚さを有する、シート、平坦なシート、平面シート、および/または積層体の形態である、請求項11に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項13】
前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の熱容量の合計が、前記形成されたブレンド収着剤の熱容量の75%以上である、請求項9~12のいずれか一項に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項14】
100マイクロメートル~3000マイクロメートルの範囲の厚さを有する、シート、平坦なシート、平面シート、および/または積層体の形態である、請求項9~13のいずれか一項に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項15】
前記形成されたブレンド収着剤構造および/または前記収着剤支持体が、第1の端部および第2の端部をさらに備え、
前記1つ以上の第1の収着剤材料が、前記第1の端部に隣接して均一に分布および/または配置され、前記1つ以上の第2の収着剤材料が、前記第2の端部に隣接して均一に分布および/または配置される、請求項9~14のいずれか一項に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項16】
前記形成されたブレンド収着剤構造および/または前記収着剤支持体が、第1の端部および第2の端部をさらに備え、
前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料が、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体上に不均一に分布および/または配置される、請求項9~14のいずれか一項に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項17】
前記第1の端部が、前記第2の端部と比較して高い濃度の前記1つ以上の第1の収着剤材料を有し、前記第2の端部と比較して低い濃度の前記1つ以上の第2の収着剤材料を有し、
前記第2の端部が、前記第1の端部と比較して低い濃度の前記1つ以上の第1の収着剤材料を有し、前記第1の端部と比較して高い濃度の前記1つ以上の第2の収着剤材料を有する、請求項16に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項18】
前記不均一分布が、前記形成されたブレンド収着剤構造の前記第1の端部と前記形成されたブレンド収着剤構造の前記第2の端部との間の勾配濃度をさらに備える、請求項16または17に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項19】
前記勾配濃度が、前記形成されたブレンド収着剤構造の前記第1の端部と前記形成されたブレンド収着剤構造の前記第2の端部との間で一定である、請求項18に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項20】
前記形成されたブレンド収着剤構造および/または前記収着剤支持体が、前記形成されたブレンド収着剤構造の第1の部分および第2の部分を備え、
前記1つ以上の第1の収着剤材料が、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体上に不均一に分布および/または配置され、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の前記第1の部分に勾配濃度を有し、
前記1つ以上の第2の収着剤材料が、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の前記第2の部分に均一に分布および/または配置される、請求項9~14のいずれか一項に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項21】
前記1つ以上の第2の収着剤材料が、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体に対して、かつそれに接触して第1の層または近位層を形成し、
前記1つ以上の第1の収着剤材料が、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体に対して、かつ前記第1の層または前記近位層に接触して第2の層または遠位層を形成する、請求項9~14のいずれか一項に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項22】
前記1つ以上の第1の収着剤材料が、前記1つ以上の第2の収着剤材料をカプセル化し、
前記1つ以上の第1の収着剤材料が遠位層を形成し、前記1つ以上の第2の収着剤材料が近位層を形成し、
前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料が、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体上に配置される、請求項9~14のいずれか一項に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項23】
前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料が、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の第1の端部と、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の第2の端部との間に均一に分布される、請求項22に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項24】
前記1つ以上の第1の収着剤材料が、水収着熱、水収着容量、標的分子収着熱、標的分子収着容量をさらに備え、
前記1つ以上の第2の収着剤材料が、水収着熱、水収着容量、標的分子収着熱、標的分子収着容量をさらに備え、
前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記水収着熱を乗算した前記水収着容量の積和が、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記標的分子収着熱を乗算した前記標的分子収着容量の積和よりも大きい、請求項9~23のいずれか一項に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項25】
前記1つ以上の第2の収着剤材料が、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NO
x不耐性収着剤、および/またはSO
x不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである、請求項9~24のいずれか一項に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項26】
前記1つ以上の第2の収着剤材料が、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NO
x耐性収着剤、SO
x耐性収着剤、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NO
x不耐性収着剤、および/またはSO
x不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである、請求項9~24のいずれか一項に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項27】
ガス混合物を分離するための形成されたブレンド収着剤構造であって、
1つ以上の第1の収着剤材料、
1つ以上の第2の収着剤材料を備え、
前記1つ以上の第1の収着剤材料が、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NO
x耐性収着剤、および/またはSO
x耐性収着剤のうちの少なくとも1つであり、前記1つ以上の第1の収着剤材料が、水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子収着容量をさらに備え、
前記1つ以上の第2の収着剤材料が、水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子収着容量をさらに備え、
前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記水収着熱を乗算した前記水収着容量の積和が、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記標的分子収着熱を乗算した前記標的分子収着容量の積和よりも大きい、形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項28】
前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料を支持するための収着剤支持体をさらに備える、請求項27に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項29】
前記1つ以上の第2の収着剤材料が、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NO
x不耐性収着剤、および/またはSO
x不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである、請求項27または28に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項30】
前記1つ以上の第2の収着剤材料が、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NO
x耐性収着剤、SO
x耐性収着剤、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NO
x不耐性収着剤、および/またはSO
x不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである、請求項27または28に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項31】
ガス混合物を分離するための形成されたブレンド収着剤構造であって、
ブレンド収着剤を形成するための少なくとも第1の耐性収着剤および第2の耐性収着剤を有する複数の耐性収着剤材料を備え、前記第1の耐性収着剤および前記第2の耐性収着剤が、水収着のための異なる収着等温線を有し、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NO
x不耐性収着剤、および/またはSO
x不耐性収着剤のうちの少なくとも1つであり、
前記第1の耐性収着剤材料の収着剤重量が、前記ブレンド収着剤の収着剤重量の20%以上である、形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項32】
前記第1の耐性収着剤材料の水収着容量が、収着分離プロセスの間、水収着容量がその最大容量にある条件での前記ブレンド収着剤の水収着容量の20%以上である、請求項31に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項33】
標的分子の固定量を脱着するために使用される蒸気の量が、同じ動作サイクル下でのブレンドされない任意の収着剤材料に対して少なくとも10%減少する、請求項31または32に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項34】
シートもしくは積層体を作製するための収着剤支持体もしくは形成要素、または前記ブレンド収着剤のミリメートルスケール粒子をさらに備える、請求項31~33のいずれか一項に記載の形成されたブレンド収着剤構造。
【請求項35】
収着剤接触器であって、
複数の、請求項9~34のいずれか一項に記載の前記形成されたブレンド収着剤構造、
複数の流体流路、
前記形成されたブレンド収着剤構造の第1の端部に位置する、前記複数の流体流路に流体接続された第1のポート、および
前記形成されたブレンド収着剤構造の第2の端部に位置する、前記複数の流体流路に流体接続された第2のポートを備え、
前記複数の形成されたブレンド収着剤構造が、前記複数の流体流路を少なくとも部分的に画定する、収着剤接触器。
【請求項36】
前記複数の形成されたブレンド収着剤構造および前記複数の流体流路を収容するための筐体をさらに備え、前記筐体が、前記第1のポートおよび前記流体流路に流体接続された第1の筐体ポートと、前記第2のポートおよび前記流体流路に流体接続された第2の筐体ポートとを有する、請求項35に記載の収着剤接触器。
【請求項37】
前記1つ以上の第1の収着剤材料が、前記第1のポートに隣接または最接近して、かつ前記収着剤接触器の容量の20%以上の容積内に配置される、請求項35または36に記載の収着剤接触器。
【請求項38】
前記1つ以上の第1の収着剤材料が、水収着熱、水収着容量、標的分子収着熱、標的分子収着容量をさらに備え、
前記1つ以上の第2の収着剤材料が、水収着熱、水収着容量、標的分子収着熱、標的分子収着容量をさらに備え、
前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記水収着熱を乗算した前記水収着容量の積和が、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記標的分子収着熱を乗算した前記標的分子収着容量の積和よりも大きい、請求項35~37のいずれか一項に記載の収着剤接触器。
【請求項39】
前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の熱容量の合計が、前記形成されたブレンド収着剤構造の熱容量の75%以上である、請求項35~38のいずれか一項に記載の収着剤接触器。
【請求項40】
層流条件下での2,000ダルシー~40,000ダルシーの透過率値をさらに備える、請求項35~39のいずれか一項に記載の収着剤接触器。
【請求項41】
前記透過率値が、前記第1のポートと前記第2のポートとの間にある、請求項40に記載の収着剤接触器。
【請求項42】
前記第1のポートおよび前記第2のポートが、前記流体流路の対向する端部および/または前記複数の形成されたブレンド収着剤構造の対向する端部に配置される、請求項35~41のいずれか一項に記載の収着剤接触器。
【請求項43】
並列流路収着剤接触器である、請求項35~42のいずれか一項に記載の収着剤接触器。
【請求項44】
少なくとも第1の分子および第2の分子を含むガス流を分離するための収着ガス分離方法であって、
(a)複数の形成されたブレンド収着剤構造を有する、請求項35~43のいずれか一項に記載の収着剤接触器を提供する工程と、
(b)前記収着剤接触器の前記第1のポートまたは前記第2のポートに前記ガス流を流入させる工程と、
(c)少なくとも1つ以上の第1の収着剤材料または前記1つ以上の耐性収着剤材料、および1つ以上の第2の収着剤材料または前記1つ以上の不耐性収着剤材料を有する、前記形成されたブレンド収着剤構造の上および/または中に前記第1の分子の少なくとも一部を収着する工程と、
(d)前記収着剤接触器の前記第1のポートまたは前記第2のポートから、前記第2の分子が濃縮された第1の生成物流体を回収する工程と、
(e)蒸気流を前記収着剤接触器の前記第1のポートに流入させる工程と、
(f)前記形成されたブレンド収着剤構造、前記1つ以上の第1の収着剤材料、前記1つ以上の耐性収着剤材料、前記1つ以上の第2の収着剤材料、および前記1つ以上の不耐性収着剤材料のうちの少なくとも1つに収着された前記第1の分子の少なくとも一部を脱着する工程と、ならびに
(g)前記収着剤接触器の前記第2のポートから前記第1の分子の少なくとも一部を回収する工程と、
を含む収着ガス分離方法。
【請求項45】
工程(e)において水収着熱および/または凝縮熱を生成する工程と、ならびに工程(f)において前記形成されたブレンド収着剤構造、前記1つ以上の第1の収着剤材料、前記1つ以上の耐性収着剤材料、前記1つ以上の第2の収着剤材料、および前記1つ以上の不耐性収着剤材料の少なくとも1つに収着された前記第1の分子の少なくとも一部を脱着するための脱着熱として、前記水収着熱を使用する工程とをさらに含む、請求項44に記載の収着ガス分離方法。
【請求項46】
工程(f)中の前記収着剤接触器の相対湿度未満の相対湿度を有するガス流を流入させ、前記収着剤接触器から水を回収する工程と、および/または
前記収着剤接触器内に真空を適用し、前記収着剤接触器から水を回収する工程と、
のうち少なくとも1つを工程(g)の後にさらに含む、請求項44または45に記載の収着ガス分離方法。
【請求項47】
前記第1の分子が、二酸化炭素分子、硫黄酸化物分子、または窒素酸化物分子のうちの少なくとも1つである、請求項44、45または46に記載の収着ガス分離方法。
【請求項48】
前記第2の分子が窒素分子または酸素分子である、請求項44、45または46に記載の収着ガス分離方法。
【請求項49】
工程(e)の間、前記蒸気流が100℃~120℃の範囲の温度をさらに含む、請求項44~48のいずれか一項に記載の収着ガス分離方法。
【請求項50】
工程(e)の間、前記1つ以上の耐性収着剤材料を飽和させる量以下で、前記1つ以上の耐性収着剤材料および前記1つ以上の不耐性収着剤材料の一部のみを飽和させる量で、または前記1つ以上の耐性収着剤材料および前記1つ以上の不耐性収着剤材料の両方を飽和させるのに不十分な量で、前記蒸気流を流入させる工程をさらに含む、請求項44~49のいずれか一項に記載の収着ガス分離方法。
【請求項51】
工程(e)の間、前記1つ以上の第2の収着剤材料または前記1つ以上の不耐性収着剤材料と接触する前に、前記蒸気流を前記1つ以上の第1の収着剤材料または前記1つ以上の耐性収着剤材料と接触させる工程をさらに含む、請求項44~50のいずれか一項に記載の収着ガス分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態は、一般に、水分スイング再生を使用するガス分離プロセスに使用される収着剤に関し、より具体的には、ブレンド収着剤調合物およびそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
収着ガス分離プロセスは、蒸留および膜ベースの分離と共に、工業的分離プロセスの最も一般的な形態の1つである。
【0003】
当業者が理解するように、収着分離プロセスのコストは、精製された生成物の一定のスループットをもたらすために必要な収着剤の量によって大きく影響される。この、収着剤の質量当たりのスループットは、収着サイクル容量と収着サイクル時間との単純な積である。熱スイングまたは化学スイングプロセスでは、(接触器の)固体収着剤に収着された分子の脱着は、脱着のためのエネルギーを導入し、そのエネルギーを収着剤に転送する必要条件によって、比較的遅いプロセスであり得る。
【0004】
従来の水分スイング収着ガス分離プロセスは、典型的には2つの基本的な工程、1)収着工程、2)および再生工程を用いることができる。典型的な収着工程の間、供給流、例えば水の分圧または相対湿度が低い多成分流体混合物を、収着剤材料を備える接触器を有する吸着剤分離器に流入させることができる。供給流は接触器を通過することができ、その間、供給流の標的成分は収着剤材料上に収着することができ、それによって標的成分(ここで収着剤材料に収着される)を供給流の残りの成分から分離する。収着工程の一部として、残りの成分は、吸着剤分離器から回収され得る第1の生成物流を形成することができる。続いて、再生工程中に、(供給流に対して)高い相対湿度を有する再生流体流、例えば蒸気を吸着剤分離器に流入させて、接触器の収着剤材料と接触させ、それを直接加熱することができ、収着された標的成分を接触器の収着剤材料からパージするか、そうでなければ脱着させる。再生流または蒸気からの水成分は、相変化を経、収着剤材料に収着し、同時に吸着熱を放出する。放出された吸着熱の一部は、再生工程中に脱着熱、または収着剤から標的成分を脱着させるのに必要なエネルギーの一部として使用することができる。
【0005】
脱着した分子および蒸気は、第2の生成物流として回収することができる。次いで、第2の生成物流中の水分子は、凝縮によって第2の生成物流中の標的成分から分離することができ、したがって標的成分の純度を高めることができる。
【0006】
後続のまたは第2の再生工程または調整工程を用いて、次の収着工程およびサイクルを繰り返す前に、収着剤材料に収着された水を脱着することができる。
【0007】
標的分子の水分スイング誘発脱着は、収着された分子を脱着する急速かつ効率的な手段を提供することができ、高純度の生成物流をもたらす。このプロセスは、PCT国際公開WO 2017/165974 A1号に記載されている。
【0008】
脱着のための水分スイングまたは相対湿度スイングガス分離プロセスのさらなる利点は、以下を含む:収着剤上への水分の吸着または凝縮の熱を使用して熱エネルギーを多孔質収着剤内に比較的均一に分配することによる、収着剤の再生中の収着剤へのエネルギーの急速な導入;環境に無害であれば、所望であれば水を大気に排出することができる;水の水素結合容量により、有意な水収着容量を有する収着剤が相当一般的である。
【0009】
収着分離プロセス中に水および/または蒸気に曝される従来の収着剤材料の欠点として、吸着剤材料に水が強く吸着し、その結果、収着剤材料の乾燥に必要な時間に起因するエネルギー集約的かつ比較的長い脱着プロセスになること、水の存在下で吸着剤材料が分解すること(例えば、ポリマーアミン吸着剤は、移動を可能にする部分的な溶媒和により移動することができ、MOF吸着剤では、その構造は蒸気の存在下で相転移を経て、細孔崩壊および/または選択的吸着容量の喪失につながる)、および/または水安定性属性が、1つ以上の好ましい属性(例えば、標的分子吸着容量および/または反応速度)に逆関係すること、が挙げられる。
【0010】
さらに、従来の吸着ガス分離器およびプロセスは、吸着剤層全体にわたって単一の吸着剤材料からなる吸着剤層または接触器を使用することができ、そこでの再生工程は、入口を介して吸着剤層に蒸気を流入させること、蒸気を吸着剤材料と接触させて吸着剤層を通過させること、標的分子を脱着させること、生成物流を生成することと、および出口を介して吸着剤層から生成物流を回収することを含み得る。この手法の欠点は、吸着剤材料が特定の用途のための所望の基準、例えば、多くの場合1つ以上の好ましい属性、例えば、標的分子の吸着容量および/または反応速度に逆関係する、水安定性に基づいて選択され得ることである。
【0011】
また、収着ガス分離プロセスの通常の動作条件下では、供給流または再生ガス流中の他の成分、例えば酸素、窒素酸化物、および硫黄酸化物もまた、蒸気または水と同様に、繰り返しサイクルにわたって収着剤を分解し、かつ/または収着剤の収着容量を低下させる可能性がある。
【0012】
水安定性のために選択された単一の吸着剤材料を有する接触器の再生はまた、所望よりも過剰量の蒸気を使用する可能性がある。
【0013】
収着剤材料は、典型的には押出物、ペレットまたは構造化収着剤接触器に形成され、それから1つまたは複数の化合物を精製または取り出すための流体の効率的な分配を可能にする。高速サイクル分離の特定の目的の低寄生熱質量構造収着剤接触器は、PCT国際公開第2010/096916 A1号および第2018/085927 A1号に記載されている。
【0014】
収着剤に対する水の影響を軽減するために、従来の吸着性ガス分離器およびプロセスはまた、直列に流体接続された第1段階および第2段階を有し、第2段階の収着剤が第1段階の収着剤によって供給流中の水から保護される、多段階の収着剤層または接触器を使用することができる。多段階収着剤層では、第1段階の収着剤は、典型的には供給流から、標的成分ではなく、水のみを収着および分離するために使用される。第1段階は、水を吸着して分離するように調合された吸着剤を含み、供給流から水を取り出すために第2段階の上流に流体接続することができる。次いで、乾燥供給流を第1段階から回収し、第2段階に供給することができる。次いで、第2段階の収着剤を使用して、所望の標的成分を供給流から分離する。さらに、第2段階での収着剤の再生は、蒸気を使用しない再生方法を使用することができ、したがって収着剤の蒸気への曝露を排除する。
【0015】
多段階収着剤層を使用することの欠点として、1つの収着剤のみが標的成分を収着および分離するために使用され、その結果、収着剤および資本コストおよび分離器体積が増加すること、2つの異なる収着剤の再生が複雑性、プロセスサイクル時間、再生用のエネルギーを増加させ得ること、およびプロセスのコスト、およびプロセス効率の低下、が挙げられる。
【0016】
他の従来の収着ガス分離器、例えば充填層収着分離器は、2つ以上の収着剤を使用することができる。しかしながら、2つ以上の収着剤のうちの1つのみが、供給流から所望の標的成分を収着および分離するために使用され得る。この手法の欠点として、収着剤および資本コストの増加;複雑性、プロセスサイクル時間、再生用のエネルギー、およびプロセスのコストを増加させ得る、2つ以上の異なる収着剤の再生;収着剤効率の低下、が挙げられる。
【発明の概要】
【0017】
収着ガス分離器は、上に複数の収着剤を有する接触器を使用または利用することができる。しかしながら、今日知られている収着ガス分離器とは異なり、本発明の実施形態は、ブレンドされた種々の収着剤を有する接触器を使用することができ、ブレンド収着剤は、粉末形態および/または種々の構造の構成において種々の調合物を有する。
【0018】
広範な態様では、ガス混合物を分離するためのブレンド収着剤粉末は、1つ以上の耐性収着剤材料および1つ以上の不耐性収着剤材料を備え、前記1つ以上の耐性収着剤材料の収着剤重量は、前記ブレンド収着剤粉末の収着剤重量の20%以上である。
【0019】
他の広範な態様では、ブレンド収着剤粉末は、第1の耐性収着剤材料であって、蒸気耐性、酸化耐性、NOx耐性、および/またはSOx耐性のうちの少なくとも1つであり、水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子収着容量をさらに備える第1の耐性収着剤材料と、水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子吸着容量をさらに備える1つ以上の第2の収着剤材料とを備える。実施形態では、前記第1の耐性収着剤材料と前記第2の収着剤材料とは、水収着容量、水収着熱、標的分子収着容量、および標的分子収着熱のうちの少なくとも1つで異なり、前記1つ以上の第1の耐性収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記水収着熱を乗算した前記水収着容量の積和は、前記第1の耐性収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記標的分子収着熱を乗算した前記標的分子収着容量の積和よりも大きい。
【0020】
さらに、他の広範な態様では、ガス混合物を分離するための形成されたブレンド収着剤構造は、1つ以上の第1の収着剤材料と、前記1つ以上の第1の収着剤材料と組み合わせてブレンド収着剤を形成するための1つ以上の第2の収着剤材料とを備える。実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料の収着剤重量は、前記ブレンド収着剤の収着剤重量の20%以上であり、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、および/またはSOx耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0021】
さらに、他の広範な態様では、ガス混合物を分離するための形成されたブレンド収着剤構造は、1つ以上の第1の収着剤材料と、1つ以上の第2の収着剤材料とを備える。実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、および/またはSOx耐性収着剤のうちの少なくとも1つであり、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子収着容量をさらに備え、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子収着容量をさらに備え、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記水収着熱を乗算した前記水収着容量の積和は、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記標的分子収着熱を乗算した前記標的分子収着容量の積和よりも大きい。
【0022】
さらにまた、他の広範な態様では、ガス混合物を分離するための形成されたブレンド収着剤構造は、ブレンド収着剤を形成するための少なくとも第1の耐性収着剤および第2の耐性収着剤を有する複数の耐性収着剤材料を備え、前記第1の耐性収着剤および前記第2の耐性収着剤は、水収着のための異なる収着等温線を有し、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、およびNOx不耐性収着剤、および/またはSOx不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。実施形態では、前記第1の耐性収着剤材料の収着剤重量は、前記ブレンド収着剤の収着剤重量の20%以上である。
【0023】
さらにまた、他の広範な態様では、並列流路収着剤接触器は、複数の形成されたブレンド収着剤構造と、複数の流体流路と、前記形成されたブレンド収着剤構造の第1の端部に位置する、前記複数の流体流路に流体接続された第1のポートと、前記形成されたブレンド収着剤構造の第2の端部に位置する、前記流体流路に流体接続された第2のポートとを備え、前記複数の形成されたブレンド収着剤構造は、前記複数の流体通路を少なくとも部分的に画定する。
【0024】
さらにまた、他の広範な態様では、少なくとも第1の分子および第2の分子を含むガス流を分離するための収着ガス分離プロセスであって、プロセスは、
(a)複数の形成されたブレンド収着剤構造を有する収着剤接触器を提供する工程、
(b)前記収着剤接触器の前記第1のポートまたは前記第2のポートに前記ガス流を流入させる工程、
(c)少なくとも1つ以上の第1の収着剤材料または前記1つ以上の耐性収着剤材料、および1つ以上の第2の収着剤材料または前記1つ以上の不耐性収着剤材料を有する、前記形成されたブレンド収着剤構造の上および/または中に前記第1の分子の少なくとも一部を吸着する工程、
(d)前記収着剤接触器の前記第1のポートまたは前記第2のポートから、前記第2の分子が濃縮された第1の生成物流体を回収する工程、
(e)蒸気流を前記収着剤接触器の前記第1のポートに流入させる工程、
(f)前記形成されたブレンド収着剤構造、前記1つ以上の第1の収着剤材料、前記1つ以上の耐性収着剤材料、前記1つ以上の第2の収着剤材料、および前記1つ以上の不耐性収着剤材料のうちの少なくとも1つに収着された前記第1の分子の少なくとも一部を脱着する工程、および
(g)前記収着剤接触器の前記第2のポートから前記第1の分子の少なくとも一部を回収する工程、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】蒸気を使用する収着ガス分離プロセスの再生工程中、再生工程の開始から2秒後の吸着剤接触器の長さに沿った水および二酸化炭素ローディングのコンピュータシミュレーションされたプロットを示すグラフである。
【
図1B】蒸気を使用する収着ガス分離プロセスの再生工程中、再生工程の開始から4秒後の収着剤接触器の長さに沿った水および二酸化炭素ローディングのコンピュータシミュレーションされたプロットを示すグラフである。
【
図1C】蒸気を使用する収着ガス分離プロセスの再生工程中、再生工程の開始から2秒後の収着剤接触器の長さに沿った気相温度および吸着剤固相温度の温度プロファイルのコンピュータシミュレーションされたプロットを示すグラフである。
【
図1D】蒸気を使用する収着ガス分離プロセスの再生工程中、再生工程の開始から4秒後の収着剤接触器の長さに沿った気相温度および吸着剤固相温度の温度プロファイルのコンピュータシミュレーションされたプロットを示すグラフである。
【
図2】蒸気を使用する収着ガス分離プロセスの再生工程中、再生工程の開始から4秒後の収着剤接触器の長さに沿った蒸気曝露継続時間および温度曝露継続時間のコンピュータシミュレーションされたプロットを示すグラフである。
【
図3】吸着剤の再生に蒸気を使用しながら1000時間操作した後の、収着剤接触器の長さに沿ったポリマーアミン吸着剤の収着容量損失のコンピュータシミュレーションされたプロットを示すグラフである。
【
図4A】本発明の一実施形態の断面図であり、実質的に均一に分布した不耐性収着剤材料および耐性収着剤材料を有するブレンド収着剤粉末を示す。
【
図4B】本発明の一実施形態の断面図であり、耐性収着剤材料によってカプセル化された不耐性収着剤材料を有するカプセル化されたブレンド収着剤粉末を示す。
【
図4C】本発明の一実施形態の断面図であり、近位層として構成された不耐性収着剤材料および遠位層として構成された耐性収着剤材料を有する層状ブレンド収着剤構造を示す。
【
図5A】本発明の一実施形態の断面図であり、蒸気流入口に隣接して配置された耐性収着剤を有する第1段階と、不耐性収着剤を有する第2段階とを有する分離された段階的収着剤構造を示す。
【
図5B】本発明の一実施形態の断面図であり、不均一に分布した耐性および不耐性収着剤の混合物を有する第1段階と、不耐性収着剤を有する第2段階とを有する分離された段階的収着剤構造を示す。収着剤接触器の第1段階は、蒸気流の入口に隣接して配置された耐性吸着剤および不耐性収着剤の不均一に分布した混合物を有する。
【
図5C】本発明の一実施形態の断面図であり、耐性および不耐性収着剤が形成されたブレンド収着剤構造の長さに沿って存在する、形成されたブレンド収着剤構造を示す。陰影が暗いほど、耐性または不耐性収着剤の重量パーセント・ローディングが高いことを示し、互いに相殺することが示されている。
【
図6A】断熱温度、水吸着、および二酸化炭素脱着のコンピュータシミュレーションによるプロット、ならびに例示的な第1の収着剤材料に対する蒸気の投入の効果を示すグラフである。
【
図6B】断熱温度、水吸着、および二酸化炭素脱着のコンピュータシミュレーションによるプロット、ならびに例示的な第2の収着剤材料に対する蒸気の投入の効果を示すグラフである。
【
図6C】断熱温度、水吸着、および二酸化炭素脱着のコンピュータシミュレーションによるプロット、ならびに
図6Aおよび
図6Bによる第1の収着剤材料および第2の収着剤材料を備える例示的なブレンド収着剤材料または構造に対する蒸気の投入の効果を示すグラフである。
【
図6D】第1の収着剤材料および第2の収着剤材料を有するブレンド収着剤材料の二酸化炭素ローディングおよび水ローディングと比較した、第1の収着剤材料および第2の収着剤材料への二酸化炭素ローディングおよび水ローディングを示す棒グラフである。
【
図6E】定常状態操作で記録された、第1の収着剤材料、第2の収着剤材料、ならびに第1および第2の収着剤材料を有するブレンド収着剤材料の断熱温度を示す棒グラフである。
【
図7】本発明の一実施形態のプロセスフロー図であり、ブレンド収着剤を有する接触器を使用して多成分ガス流から第1の成分を分離するための収着ガス分離プロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義
収着剤:単一の化学的な調合を有し、化学収着および/または物理収着によって分子を吸着および/または吸収することができ、動作条件での標的成分または分子の吸着平衡容量が0.1mmol/g平衡容量以上である多孔質固体材料。
収着剤粉末:1つ以上の収着剤を有する収着剤粒子。
ブレンド収着剤:2つ以上の収着剤材料、例えば、少なくとも1つの耐性収着剤および少なくとも1つの不耐性収着剤を組み合わせて収着剤混合物を形成し、2つ以上の収着剤は、組み合わされた収着剤混合物またはブレンド収着剤内に実質的に均一または不均一に分布され得る。ブレンド収着剤は、様々な物理的構成を形成することができ、これには、限定されないが、ブレンド収着剤粉末(例えば、均質なブレンド収着剤粉末またはカプセル化されたブレンド収着剤粉末)または形成されたブレンド収着剤(例えば、分離された段階的収着剤構造、均一なブレンド収着剤構造、カプセル化されたブレンド収着剤構造、層状のブレンド収着剤構造)が含まれる。
均質なブレンド収着剤:複数の収着剤材料、例えば、少なくとも1つの耐性収着剤および少なくとも1つの不耐性収着剤を組み合わせて収着剤混合物を形成し、複数の収着剤材料は、ブレンド収着剤混合物またはブレンド収着剤内に実質的に均一に分布される。均一なブレンド収着剤を使用して、収着剤支持体または収着剤基材の有無にかかわらず、形成されたブレンド収着剤または収着剤シートを形成することができる。
カプセル化されたブレンド収着剤:不耐性収着剤が耐性収着剤によって実質的にカプセル化され、包まれ、または他の方法で囲まれて、ブレンド収着剤粉末または粒子を形成する。不耐性収着剤は、コアまたは内部に配置され、耐性収着剤は、カプセル化ブレンド収着剤のシェルまたは外面あたりに配置される。カプセル化されたブレンド収着剤を使用して、収着剤支持体または収着剤基材の有無にかかわらず、収着剤シートを形成することができる。
分離された段階的収着剤:実質的に物理的に分離している少なくとも1つの耐性収着剤および少なくとも1つの不耐性収着剤であって、場合により収着剤支持体または収着剤基材上にあってもよい。
支持された収着剤:収着剤支持体または基材の中または上に取り付けられた1つ以上の収着剤材料を有する構造。
層状ブレンド収着剤構造:収着剤支持体または収着剤基材の少なくとも外側表面または外周に取り付けられた複数の収着剤を有する収着剤支持体または収着剤基材であって、第1の層または外層は耐性収着剤材料を備え、第2の層または内層は不耐性収着剤材料を備える。
収着剤シート:0.1~3.0ミリメートルの厚さを有する自立したシート、活性層、または積層体であって、少なくとも収着剤シートの長さまたは幅は、厚さの100倍を超える。例えば、収着剤シートは、その幅がシートの厚さの少なくとも10倍超であるリボンに切断することができる。
形成されたブレンド収着剤構造:ブレンド収着剤粉末、例えば、ミリメートルサイズの粒子、ミリメートルサイズのペレット、またはより大きな物体、例えば収着剤シートに凝集された均質なブレンド収着剤またはカプセル化されたブレンド収着剤であって、プロセス流体と接触する充填層容器または収着剤接触器で使用することができる。形成されたブレンド収着剤は、場合により結合剤および/または収着剤支持体を有することができる。形成されたブレンド収着剤構造は、分離された段階的収着剤構造、均一なブレンド収着剤構造、カプセル化されたブレンド収着剤構造、または層状のブレンド収着剤として構成することができるが、これらに限定されない。複数の形成されたブレンド収着剤は、接触器および/または収着剤分離器、例えば並列流路収着剤分離器または充填層収着剤分離器を形成することができる。
並列流路収着剤接触器:複数の実質的に並列な流路の少なくとも一部を画定する、複数の形成されたブレンド収着剤構造。並列流路収着剤接触器は、場合により、並列流路および複数の形成されたブレンド収着剤構造を収容するための筐体を有することができる。ガス混合物などの供給流、および再生流または脱着流を、収着剤材料および/またはブレンド収着剤構造と直接接触するように並列流路に流入させることができる。
耐性収着剤:蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、窒素酸化物(本明細書では「NOx」と称する)耐性収着剤、および/または硫黄酸化物(本明細書では「SOx」と称する)耐性収着剤の少なくとも1つの定義を満たすかまたは超える収着剤。
不耐性収着剤:蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、および/またはSOx耐性収着剤のうちの少なくとも1つの定義を満たさないか、または超えない収着剤。
蒸気耐性収着剤:80℃~120℃の温度で95%超の相対湿度(本明細書では「RH」と称する)の条件に100時間超曝露した後、収着容量、収着エネルギーおよび/または収着速度における損失を10%未満に維持することができる多孔質固体収着剤。
酸化耐性収着剤:約110℃の温度で4時間を超えて空気に曝露した後、収着容量、収着エネルギーおよび/または収着速度における損失を10%未満に維持することができる。
NOx耐性収着剤:収着剤が作動する温度、例えば40℃~80℃で24時間、50ppmの窒素酸化物または50ppmの二酸化窒素に曝露した後、収着容量、収着エネルギーおよび/または収着速度における損失を10%未満に維持することができる。
SOx耐性収着剤:収着剤が作動する温度、例えば40℃~80℃で24時間、50ppmの酸化硫黄または50ppmの三酸化硫黄混合物に曝露した後、収着容量、収着エネルギーおよび/または収着速度における損失を10%未満に維持することができる。
標的サイクル容量:定常状態動作下での収脱着分離サイクルによって捕捉される所望の標的分子の量。
サイクル容量:収着-脱着分離サイクル中に接触器または収着剤分離器から回収された生成物流から精製または抽出された標的分子の、全収着剤質量の量あたりの量。
熱容量(本明細書では「Cp」と称する):構成要素、例えば収着剤、または収着剤混合物、任意の収着剤支持体、任意の収着剤結合剤、および収着剤接触器内で熱接触している他の不活性分子の温度を、エネルギーを加える前と後で特定の閾値温度に上昇させるのに必要なエネルギー量の比。
収着熱:分子を気相から取り出し、固体または支持された液体に付着させることによって放出されるエネルギーの量。
水収着剤材料:60% RHを超える条件に曝露された場合に重量の増加が5%を超える多孔質固体収着剤材料。
標的化合物収着剤材料:供給流または供給混合物が40℃~80℃の範囲の温度である条件に曝露された場合に重量の増加が1%を超える多孔質固体収着剤材料。
【0027】
再生に蒸気を使用する際の問題
図1A~
図1Dを参照すると、収着剤の水101および二酸化炭素(CO
2)102のローディング・プロファイルの動力学的コンピュータシミュレーションプロットを、水分スイング再生を用いる典型的なガス分離における供給流からのCO
2の除去を目的とするガス分離プロセスの再生工程について示す。表示されていないが、ガス状供給流は、近位端で収着剤接触器に入り、それに沿って軸方向に移動して、その遠位端で収着剤接触器を出て、第1の生成物流を生成する。X軸は、近位端で始まる収着剤接触器の軸方向の長さをメートル単位で示す。表示される通り、収着剤接触器の長さは約1.2メートルである。したがって、収着剤接触器の遠位端は約1.2メートルである。再生流として使用される蒸気は、収着剤接触器の遠位端で収着剤接触器に導入され、供給流の流れの方向とは反対の方向に、収着剤接触器に沿ってその近位端に向かって軸方向に移動する。
【0028】
より具体的には、
図1Aおよび
図1Bを参照して、収着剤接触器の軸方向に沿った収着剤ローディング・プロファイルの動力学的コンピュータシミュレーションプロットを、水101およびCO
2102について示す。プロットは、2秒(
図1A)および4秒(
図1B)での収着ガス分離プロセスの再生工程を例示している。X軸は、収着剤接触器の軸方向の長さ、または位置をメートル単位で表し、Y軸は、収着剤材料1グラム当たりのモル単位のローディングを表す。蒸気は、蒸気入口、または収着剤接触器の遠位端に隣接する供給流出口端から383度ケルビンで収着剤接触器に導入され、蒸気は、収着剤接触器に沿って蒸気出口、または収着剤接触器の近位端に隣接する供給流入口端(X軸に沿った0メートルの軸上の位置に位置する)に向かって軸方向に移動する。
【0029】
図1Aおよび
図1Bは、蒸気が入る接触器の遠位端(約0.6~1.2メートル)に接近して配置された収着剤が、接触器の反対側の近位端(約0.0~0.6メートル)に配置された収着剤よりも大きな水ローディングを受けることを示している。水ローディングが大きくなると、蒸気不耐性収着剤の耐久性を損ない、低下させる可能性がある。
【0030】
図1Cおよび
図1Dは、
図1Aおよび
図1Bと同じ時間および条件での、収着剤接触器の軸方向に沿った温度の動力学シミュレーションプロットを示す。蒸気を用いた収着ガス分離プロセスの再生工程の開始から、
図1Cが2秒で生じ、
図Dが4秒で生じる。X軸は、収着剤接触器の軸方向の長さまたは位置をメートル単位で表し、Y軸は、ケルビン度単位の温度を表す。収着剤固相温度がプロット103として示され、気相温度がプロット104として示されている。
【0031】
図1Cおよび
図1Dは、蒸気が入る接触器の遠位端(1.2メートル)に接近して配置された収着剤が、接触器の反対側の近位端(約0.0メートル)に配置された収着剤よりも高い温度にさらされることを示す。収着剤をより高い温度にさらすことは、不耐性収着剤の耐久性を損ない、低下させる可能性がある。
【0032】
接触器の近位端(X軸に沿った0メートルの軸上の位置)に隣接する収着剤が、固体または収着剤の温度がより低いだけでなく、固体または収着剤の、より低い水吸着ローディング下にあることが、
図1Aおよび
図1Bでも観察することができる。これは、脱着したCO
2が接触器を通って進行しながら蒸気を希釈する場合の、収着剤と平衡状態にある気相中の蒸気の分圧の低下によって説明することができる。熱慣性も、接触器の近位端における固体または収着剤の水吸着ローディングの低下を引き起こし得る別の要因であり得る。逆に、遠位端(X軸に沿った1.2メートルの軸上の位置)に隣接する接触器は、収着剤のより高い水吸着ローディングならびに収着剤のより高い温度にさらされる可能性がある。
【0033】
図2は、再生流として蒸気を使用する収着ガス分離プロセスの再生工程中の、接触器の長さ全域の曝露継続時間のシミュレーションプロットを示す。ここでも、X軸は、収着剤接触器の軸方向の長さまたは位置をメートル単位で表し、Y軸は、秒単位の継続時間を表す。蒸気は、前と同じ遠位端(X軸に沿った1.2メートルの軸方向位置に位置する)から導入することができ、近位端または供給流入口(X軸に沿って0メートルの軸方向位置)に向かって接触器に沿って移動することができる。このプロットの目的のために、蒸気を4秒間流入させた。蒸気プロット201は、接触器の軸方向位置における収着剤1グラム当たり3mmolの吸着水を超える蒸気曝露継続時間を示す。温度プロット202は、接触器の軸方向位置での380度ケルビンを超える温度曝露継続時間を示す。これらの継続時間は、収着剤に捕捉されたCO
2の約70%を脱着するのに十分な蒸気フラックスと共に、支持されたアミン収着剤を使用したCO
2精製サイクルの動力学的シミュレーションの結果である。
【0034】
示す通り、
図2は、接触器の遠位端(または蒸気が導入される端部)の近くに位置する収着剤が、より長い継続時間にわたって蒸気および温度曝露閾値にさらされることを示す。接触器の約1/3は、固体の3mmolの水ローディングまたは380度を超えるケルビン温度に曝露されなかったが(0から0.4メートル)、接触器のもう約1/3(0.4から0.8メートルの間)は、これらの条件下でサイクル当たり2秒未満曝露される。蒸気および温度曝露閾値を超えるより長い曝露は、不耐性収着剤の耐久性の低下を助長し得る。
【0035】
図3は、蒸気を使用しながら収着剤の再生のための1000時間の操作後の、接触器に沿ったポリマーアミン系収着剤への収着容量の損失を示す図である。X軸は、収着剤接触器の軸方向の長さまたは位置をメートル単位で表し、Y軸は、収着容量損失をパーセンテージで表す。蒸気は、遠位端(X軸に沿って1.2メートルの軸方向位置に位置する)から導入され、蒸気出口、または接触器の近位端(X軸に沿って0メートルの軸方向位置)に隣接する供給流入口に向かって接触器に沿って移動する。
【0036】
広範な試験による不活性化プロファイルの分析で、再生流として蒸気を使用する、収着ガス分離プロセスの再生工程に関連付けられ得る収着剤容量の類似の段階的損失を実証する。
図3に示すように、容量損失プロット301は、蒸気入口端(x軸上の1.2メートルの軸方向位置)から伝播する蒸気誘発CO
2分解プロファイルまたは収着容量損失の一例を示す。ポリマーアミン系材料は、プロセスの一部の間に過剰な水凝縮を経る(容器壁付近)積層体収着剤シートとして構成された。接触器の一部はほとんど無傷のままであるが、より大きい蒸気の収着および蒸気の曝露を伴う接触器の一部は、そのCO
2収着容量の大部分を失う。このタイプの損傷は、材料の経時変化が接触器内の温度プロファイルおよび蒸気再生中の水収着プロファイルに影響を与えるため、経時的に広がる傾向がある。十分な時間があれば、接触器内のすべての収着剤が影響を受ける可能性がある。もし広がらなければ、収着剤接触器体積の過大設計がこの問題の解決策となり得るが、本出願人は、一端での分解が接触器または容器の下流部に影響を及ぼす「雪だるま式」効果のために、これは実行可能な解決策ではないと考えている。
図3は、蒸気が流入される接触器の遠位端または端部の近くに位置する収着剤の吸着容量の、より大きな損失を示す。
【0037】
水分による損傷を緩和するための解決策
蒸気不耐性収着剤材料を有する接触器における、再生流としての蒸気の使用による損傷作用を緩和するための可能な解決策は、不耐性収着剤材料と混合された耐性収着剤材料の様々な調合を備えるブレンド収着剤であり得、それは、ブレンドまたは組み合わされた収着剤の収着容量を大きく減らすることなく、不耐性収着剤材料の耐久性を有利に高める。
【0038】
実施形態では、ブレンド収着剤材料の総重量に対する1つ以上の耐性収着剤材料(蒸気、酸素、NOx、SOxへの耐性)の重量の比は、約20%以上であり得ることが好ましい。実施形態では、この比は、好ましくは約30%以上、またはより好ましくは約40%以上であり得る。耐性収着剤材料の量が少ないと、例えば、20%未満では、収着プロセスの蒸気再生中のブレンド収着剤の全体的な熱特性および応答に十分に影響を与える可能性は低い。例えば、20%未満の少量の耐性収着剤材料は、カプセル化されたコア/シェル構造のNOxおよびSOxからの保護を達成するのに十分であり得るが、そのような少量の耐性収着剤材料は、蒸気の損傷作用を緩和するのに十分ではない。
【0039】
実施形態では、本開示で考慮される水分の損傷作用の緩和(すなわち、保護)は、水分誘発性収着剤分解に対する保護に限定されない。本明細書に開示されるブレンド収着剤を使用して、窒素酸化物、硫黄酸化物、または酸素に曝露された場合に、収着した窒素酸化物、硫黄酸化物、または酸素の収着剤材料への負荷を低減することによって不耐性収着剤を保護することもできる。他の実施形態では、本発明のブレンド収着剤を使用して、収着分離プロセスの再生工程において蒸気を使用しながら、ブレンド収着剤の所望の再生温度を変更することができる。耐性収着剤材料および不耐性収着剤材料は両方とも、水収着剤材料および標的化合物収着剤材料である。したがって、窒素酸化物または硫黄酸化物による分解から保護するための、セグメント化された層または層状収着剤構造の使用は周知であるが、収着ガス分離プロセスの再生工程において蒸気を使用しながら、所望の再生温度を低下させながらブレンド収着剤を使用する組み合わせは、ブレンド収着剤が熱的に結合され得る蒸気再生分離性能に関する特定の要件を満たす必要があるため、新規かつ独特である。
【0040】
他の実施形態では、ブレンド収着剤は、例えば収着ガス分離プロセスの再生工程中に、標的分子を脱着させるのに必要なエネルギーと、ブレンド収着剤に水が収着するときに放出されるエネルギー量との間の所望のエネルギーバランスを備えることができる。実施形態の一態様では、CO
2ガス分離用途の場合、ブレンド収着剤は、式(1)に示すように、各収着剤についての水の収着熱を乗算した水(サイクル)収着容量の積の合計が、標的分子、例えばCO
2の(サイクル)標的収着容量に標的分子、例えばCO
2の各収着剤についての収着熱を乗算した積の合計よりも大きくなるような水収着容量を備えることができる。
【数1】
ここで、
Σ
sorbents=各収着剤の積の合計
Q
water-cyclic=サイクル動作中の水の収着サイクル容量
ΔH
ads-water=水の収着熱
Q
select-cyclic=サイクル動作中の標的分子(例えば、CO
2)の収着サイクル標的容量、
ΔH
ads-Select=標的分子(例えば、CO
2)の収着熱である。
【0041】
他の実施形態では、任意選択により、前記1つ以上の耐性収着剤材料、例えば、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、および/またはSOx耐性収着剤の水収着容量は、蒸気再生設計条件、例えば、水収着がその最大容量にある場合、収着分離プロセスにおける再生工程中、例えば、ブレンド収着剤が100℃~160℃の温度にある場合では、ブレンド収着剤の水収着容量の約20%、30%、または40%以上である。
【0042】
ブレンド収着剤、例えば、分離された段階的収着剤、均質なブレンド収着剤および/またはカプセル化されたブレンド収着剤は、個々の収着剤の収着特性、例えば、収着容量および収着エネルギーの大部分を保持しながら、限定されるが、シートまたは積層体に形成されて、形成されたブレンド収着剤構造を形成することができる。実施形態では、形成されたブレンド収着剤構造(例えば、分離された段階的収着剤構造、均一なブレンド収着剤構造、カプセル化されたブレンド収着剤構造、または層状のブレンド収着剤)は、約100マイクロメートル~約3000マイクロメートルの範囲の厚さを有し得る。
【0043】
熱スイングまたは誘発熱スイング収着ガス分離プロセスは、ブレンド収着剤およびそれらの任意選択の収着剤支持体または基材の熱容量によって大きく影響され得る。実施形態では、収着剤分離器、接触器、形成されたブレンド収着剤または支持されたブレンド収着剤は、ブレンド収着剤、収着剤支持体、例えば積層体またはシート、および式(2)に示すような、活性成分または収着剤材料の熱容量の、各構成部品、例えば収着剤支持体、結合剤、および収着剤支持体、積層体またはシートの化学的に受動的な他の部品の熱容量に対する比を備えることができる。
【数2】
ここで、
Σ
sorbents=各収着剤の積の合計
Cp
sorbent=活性成分または収着剤の熱容量
Mass
sorbent=収着剤の質量
Σ
components=各収着剤支持体、積層体、またはシートの積の合計
Cp
component=収着剤支持体、積層体またはシートの熱容量
Mass
component=収着剤支持体、積層体またはシートの質量
である。
【0044】
収着剤接触器の一実施形態では、活性成分または収着剤の総熱容量の積の合計は、収着剤支持体、積層体、またはシートの総熱容量の積の合計よりも大きい。収着剤接触器の他の実施形態では、活性成分の質量分率による活性成分または収着剤の総熱容量の積の合計は、収着剤成分を含む、形成された材料、収着剤支持体のすべての成分の質量分率による熱容量、または0.75を乗じた積層体もしくはシートの総熱容量の積の合計よりも大きい。
【0045】
形成されたブレンド収着剤または支持されたブレンド収着剤の一実施形態では、活性成分または収着剤の総熱容量の積の合計は、収着剤支持体、積層体、またはシートの熱容量の積の合計よりも大きい。形成されたブレンド収着剤または支持されたブレンド収着剤の他の実施形態では、活性成分または収着剤の重量分率で乗算した熱容量の積の合計は、0.75を乗じた、収着剤を含む収着剤成分、支持体、および積層体またはシート中の他の非活性添加剤の重量分率で乗算した熱容量の積の合計よりも大きい。
【0046】
任意選択の実施形態では、1つ以上の耐性収着剤材料(蒸気、酸素、NOx、SOxに耐性)の水収着容量は、収着分離プロセスの再生工程中の水収着がその最大容量にある場合などの蒸気再生条件下では、例えば、ブレンド収着剤が100℃~160℃の温度にある場合、ブレンド収着剤の水収着容量の約20%以上である。実施形態では、この容量は、好ましくは約30%以上、またはより好ましくは約40%以上であり得る。
【0047】
ブレンド収着剤粉末
実施形態では、1つ以上の耐性収着剤材料を1つ以上の不耐性収着剤材料と組み合わせて、例えば、収着剤支持体を有する収着剤シート(支持された収着剤構造)、収着剤支持体を有しない収着剤シート(自立した収着剤構造)、収着剤支持体を有する、もしくは有しない収着剤ペレット、収着剤接触器、または収着剤モノリスを形成するために使用することができるブレンド収着剤粉末を形成することができる。収着剤支持体を有する、もしくは有さない1つ以上の収着剤シート、収着剤支持体を有する、もしくは有さない収着剤ペレット、収着剤接触器、または収着剤モノリスを使用して、本明細書では収着剤分離器と呼ばれる収着剤ガス分離器を形成することができる。ブレンド収着剤粉末は、均質なブレンド収着剤粉末またはカプセル化されたブレンド収着剤粉末として構成することができる。
【0048】
一態様では、以下に記載される収着剤材料は、乾燥剤、活性炭、グラファイト、炭素モレキュラーシーブ、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、アルミノリン酸、シリコアルミノリン酸、ゼオライト吸着剤、イオン交換ゼオライト、親水性ゼオライト、疎水性ゼオライト、変性ゼオライト、天然ゼオライト、ホージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、金属交換シリコアルミノリン酸、単極性樹脂、二極性樹脂、芳香族架橋ポリスチレン系マトリックス、臭素化芳香族マトリックス、メタクリルエステルコポリマー、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ナノ材料、金属塩吸着剤、過塩素酸塩、オキザラート、アルカリ土類金属粒子、ETS、CTS、金属酸化物、担持アルカリカルボナート、アルカリ促進(alkali-promoted)ハイドロタルサイト、化学収着剤、アミン、有機金属反応剤、金属有機構造体(MOF)吸着剤、ポリエチレンイミンドープシリカ(PEIDS)収着剤、多孔質ポリマー、例えば官能化モノマーおよび構造形成モノマーを含むコポリマー、一般にはアミンを含有する多孔質材料、カルボン酸、他の水吸着剤群、遷移金属、酸性または塩基性官能基または原子クラスタ、アミン含有多孔質ネットワークポリマー収着剤、アミンドープ多孔質材料収着剤、アミンドープMOF収着剤、ドープ活性炭、ドープグラフェン、アルカリドープまたは希土類ドープ多孔質無機収着剤、非晶質または半結晶性多孔質材料、例えば高表面積シリカ、シリカまたはシリケート、テンプレート化メソポーラスシリカ、官能化シリカまたはシリケート、非晶質炭素、官能化非晶質炭素のいずれかを含むことができる。
【0049】
図4Aおよび
図4Bを参照して、2つの異なる収着剤材料または化学的な調合を有するブレンド収着剤粉末の実施形態を示す。
図4Aにおいて均質なブレンド収着剤粉末を示し、
図4Bにおいてカプセル化されたブレンド収着剤粉末の実施形態を示す。
【0050】
少なくとも第1の耐性収着剤材料および第2の耐性収着剤材料(蒸気、酸素、NOx、SOxへの耐性)を有するブレンド収着剤粉末の代替実施形態では、第1の耐性収着剤材料および第2の耐性収着剤材料が水収着のための異なる収着等温線を有するブレンド収着剤粉末、およびブレンド収着剤粉末のシートまたはラミネートまたはミリメートルスケール粒子を作製するための任意選択の収着剤支持体または形成要素を形成する。
【0051】
均一ブレンド収着剤粉末
一実施形態では、1つ以上の耐性収着剤材料を不耐性収着剤材料と組み合わせて、混合粉末中に実質的に均一な分布を有する、本明細書では均一ブレンド収着剤粉末と称するブレンド収着剤粉末または混合物を形成することができる。耐性収着剤材料および不耐性収着剤材料の両方は、水収着剤材料および標的化合物収着剤材料であり得、水収着のための異なるエネルギーを有し得る。
【0052】
図4Aに示すように、均一ブレンド収着剤粉末400の一実施形態は、耐性収着剤材料402と組み合わされた不耐性収着剤材料401を含むことができ、不耐性収着剤材料401および耐性収着剤材料402は、均一ブレンド収着剤粉末400中に実質的に均一に分布している。
【0053】
蒸気が再生流として使用される収着ガス分離プロセスの脱着または再生工程中に、収着剤材料は、再生流体の特定の蒸気分圧および収着剤材料の温度で、収着剤材料への蒸気のローディングが停止する最大断熱温度に達することができる。この断熱温度は、初期収着剤温度および発熱水収着または凝縮プロセスで誘発される温度上昇の結果である。蒸気の場合、大気圧では、最大断熱温度は、収着剤材料に応じて、典型的には105℃~150℃である。典型的には、実質的に同一の条件下で、蒸気耐性収着剤は、蒸気不耐性収着剤材料の最大断熱温度よりも高い最大断熱温度を有する。
【0054】
耐性収着剤材料および不耐性収着剤材料を組み合わせてブレンドする場合、実質的に均一な収着剤混合物またはブレンドは、典型的には耐性収着剤材料の最大断熱温度と不耐性収着剤材料の最大断熱温度との間の温度範囲内にある、ブレンドされた最大断熱温度に達することができる。均一な収着剤混合物の最大断熱温度では、(より低い断熱温度を有する)不耐性収着剤材料の水ローディングは、
図6A、
図6B、および
図6Cに示すように、以下でさらに論じるように、実質的に同様の条件であたかもブレンドされていないかのような、その水分ローディングと比較して低い水分ローディングを有する。
【0055】
これは、均一なブレンド収着剤中の蒸気不耐性収着剤材料の平衡の水ローディングのシフトによって説明することができる。この例では、蒸気耐性収着剤材料は、不耐性収着剤材料と比較して高温で水を収着する容量が増加しているので、蒸気不耐性収着剤材料の有効最大断熱温度が上昇し、ある意味では、過熱条件および温度で水を脱着する不耐性収着剤材料を「過熱」する。
【0056】
収着剤およびそれらの多くの不活性化機構、例えば相変化は、スイッチ様の特性および閾値を有し、そこでは動作条件、例えば蒸気ローディングのわずかな変化でさえ、収着剤材料の不可逆的な変化または分解につながる可能性がある。同様の例は、RHへの比較的急な閾値も有する、液体の水による多孔質収着剤細孔の充填に関連する。
【0057】
いくつかの多孔質固体不耐性収着剤を用いると、分解機構の活性化は、水分ローディングよりも温度に敏感であり得る。この場合、不耐性収着剤材料を耐性収着剤材料とブレンドして均一なブレンド収着剤を形成することにより、有利であり得る、(特定の蒸気分圧下での)耐性収着剤材料の有効最大断熱温度の低下をもたらすことができる。均一なブレンド収着剤の場合、有効最大断熱温度が低減された耐性収着剤材料は、水を放出して、温度閾値を超えた均一なブレンド収着剤または混合物を冷却することによって、不耐性収着剤材料のための熱緩衝剤として作用することができる。
【0058】
代替的な実施形態では、標的分子に対して高い選択性または親和性を有し、限定された水収着容量を有する収着剤材料を蒸気不耐性収着剤材料と組み合わせて、均一なブレンド収着剤粉末を形成することができる。均一なブレンド収着剤粉末は、単独の収着剤と比較して、標的分子のための収着容量に関連する全体的な熱容量が増加し得る。したがって、均一なブレンド収着剤粉末は、標的分子に曝露されると、耐性収着剤の有効最大断熱温度の低下を経る。再生工程中に、限られた水収着容量を有する、標的分子に対して高い親和性を有する収着剤材料に水蒸気が収着できるケースもあり得る。
【0059】
他の実施形態では、多成分ガス流から成分を分離するための、少なくとも1つの支持された収着剤を任意選択的に有する収着剤分離器および/または少なくとも1つの収着剤接触器は、均一なブレンド収着剤材料を形成するために蒸気不耐性収着剤材料と組み合わされた1つ以上の蒸気耐性収着剤材料と、均一なブレンド収着剤材料と流体接続する少なくとも1つの流体流路とを備えることができる。
【0060】
他の実施形態では、多成分ガス流から成分を分離するための、少なくとも1つの支持された収着剤を任意選択的に有する収着剤分離器および/または少なくとも1つの収着剤接触器は、標的分子に対する高い親和性または選択性、および限定された水収着容量を有する第1の収着剤材料と、第2のまたは蒸気不耐性の収着剤材料と、均一なブレンド収着剤材料と流体接続する少なくとも1つの流体流路とを備えることができ、第1の収着剤材料と第2の収着剤材料とを組み合わせてブレンド収着剤材料が形成される。
【0061】
カプセル化ブレンド収着剤粉末
一実施形態では、不耐性収着剤材料を耐性収着剤材料によってカプセル化して、カプセル化ブレンド収着剤粉末を形成することができる。不耐性収着剤材料のカプセル化は、耐性収着剤材料の合成中に実行することができ、そこで耐性収着剤材料は、カプセル化ブレンド収着剤粉末のコアを形成する不耐性収着剤材料の粒子の周りにカプセル、被膜またはシェルを形成することができる。カプセルまたはシェル形成はまた、耐性収着剤材料の微粒子の凝集によって、例えば、シェル材料のコーティングまたはシリカの粒子の周りの非晶質炭素層の堆積によって達成することができる。
【0062】
コア/シェル幾何学的形状または構成を有するカプセル化ブレンド収着剤粉末を用いて、シェルの収着剤材料、例えば第1のまたは耐性の収着剤材料の特性を調整して、収着の動態、飽和、およびシェル材料を通る水の輸送を変更することによって、例えば蒸気、酸化、NOx、および/またはSOx耐性を高めるための追加の機構が可能となる。カプセル化されたブレンド収着剤粉末のシェルおよびコアにわたる蒸気の勾配は、カプセル化されたブレンド収着剤粉末のコアと比較して、カプセル化されたブレンド収着剤粉末の外面またはシェルおいてより早く収着させる。シェルの収着剤材料の細孔が細孔充填条件に達すると、コアの収着剤材料、例えば不耐性収着剤材料への蒸気の輸送を有利に低減および/または減速することができる。急速なサイクル動作のために、動力学的に駆動される収着選択性を効果的に使用して、カプセル化されたブレンド収着剤粉末のコアにおいて平衡収着容量に達することを回避することができる。
【0063】
図4Bに示すように、カプセル化されたブレンド収着剤粉末400は、カプセル化されたブレンド収着剤粉末400のコアを形成する不耐性収着剤材料401の個々の粒子を備えることができ、カプセル化されたブレンド収着剤粉末400のシェルを形成する耐性収着剤材料402によってカプセル化することができる。この場合、収着剤材料401は、蒸気に曝される最も耐性が低い収着剤材料となる。蒸気、酸素、NO
xまたはSO
xの収着剤として作用する収着剤材料402は、プロセス工程の期間中にガスまたは蒸気が収着剤材料401に拡散するのを部分的または完全に制限することができる。
【0064】
再生流として蒸気を使用するいくつかの収着ガス分離プロセスは、例えば1分未満の比較的短いサイクルで動作するように設計することができる。これらの応用では、カプセル化されたブレンド収着剤粉末は、不耐性収着剤材料401のNOxおよびSOxへの曝露を低減または防止することができる。カプセル化されたブレンド収着剤粉末は、動作温度、および粉末内、例えば耐性収着剤材料402および/または不耐性収着剤材料401内の拡散ガス組成の勾配の変化を可能にすることができ、これにより、有利には、例えば蒸気および/または酸素への曝露、ならびに関連する収着性能の損失を軽減することができる。
【0065】
カプセル化されたブレンド収着剤粉末の典型的な粒径は、シェルを含めて0.5マイクロメートル~10マイクロメートルである。収着材料401および収着材料402について同様の密度を有する5マイクロメートルのコア/シェル粒径の場合、1マイクロメートルの厚さのシェル層は、粒子または粉末中の収着剤の総質量の42%に相当する。
【0066】
個々のミクロンスケール粒子の多孔質コーティングは、
図4Bの例で使用される0.4ナノメートル~50ナノメートル以内の細孔径を有するメソポーラスまたはナノポーラス材料の層に対して有効な拡散バリアではあり得ないが、粒子内の収着速度が粒子間の多孔質ネットワークにわたる拡散と同じ大きさである場合、ランダムに混合された粉末よりも比較的有効であり得る。収着剤の複数層で構成されたブレンド収着剤はまた、各収着剤材料が異なる結合剤および分散剤を望ましく有することができるため、微粒子混合物のためのスラリーを開発する必要性を緩和することができる。したがって、複数の層で構成されたブレンド収着剤は、有利には、収着剤、構造化収着剤および/または接触器の性能および/または耐久性を改善するだけでなく、製造可能性を改善することができる、種々の結合剤および/または分散剤を個々の層が有することを可能にすることができる。
【0067】
一実施形態では、多成分ガス流から成分を分離するための収着剤分離器および/または少なくとも1つの収着剤接触器は、カプセル化されたブレンド収着剤粉末を形成するために耐性収着剤材料によってカプセル化された不耐性収着剤材料と、カプセル化されたブレンド収着剤と流体接続する少なくとも1つの流体流路とを備えることができる。収着剤接触器は、収着剤支持体または基材の中および/または上にカプセル化されたブレンド収着剤粉末を備えることができる。
【0068】
形成されたブレンド収着剤構造
一実施形態では、形成されたブレンド収着剤構造は、1つ以上の耐性収着剤材料と、上記の1つ以上の不耐性収着剤材料とを備えることができる。形成されたブレンド収着剤構造は、収着剤支持体もしくは収着剤基材なしで自立していてもよく、または場合により収着剤支持体もしくは収着剤基材で支持されてもよい。形成されたブレンド収着剤構造は、分離された段階的収着剤、均一なブレンド収着剤構造、カプセル化されたブレンド収着剤構造、または層状のブレンド収着剤構造で構成することができる。複数の形成されたブレンド収着剤は、接触器および/または収着剤分離器、例えば並列流路収着剤分離器または充填層収着剤分離器を形成することができる。
【0069】
分離された段階的収着剤構造
分離された段階的収着剤は、多段階幾何学的形状を有する1つ以上の蒸気不耐性収着剤材料からの1つ以上の蒸気耐性収着剤材料の物理的分離を備えることができる。
【0070】
一実施形態では、分離された段階的収着剤構造は、より高い水熱安定性を有する第1の収着剤材料または耐性収着剤材料を含み、分離された段階的収着剤構造の第1の端部、および/または蒸気が流入する収着剤接触器の入口に実質的に隣接または最接近して配置される第1の段階と、より低い水熱安定性を有する不耐性収着剤材料を有し、第1の、もしくは耐性収着剤材料の蒸気、分離された段階的収着剤構造の第1の端部、および/または蒸気が回収される収着剤接触器の端部の下に配置される第2の段階とを備えることができる。分離された段階的収着剤は、自立していてもよく、または収着剤支持体をさらに備えてもよい。
【0071】
蒸気は、収着ガス分離プロセスの再生または脱着工程中に、収着剤分離器または収着剤接触器に添加または流入され得る。実施形態では、流入させる蒸気の量は、好ましくは、耐性および不耐性収着剤材料の両方の飽和量未満であってもよく、それによって、蒸気感受性収着剤材料または不耐性収着剤材料が受ける蒸気の量を低減する。これにより、不耐性収着剤材料の耐久性が有利に向上する。
【0072】
第1の段階の耐性収着剤材料への水の収着によって生成された収着熱は、蒸気および/または脱着した標的分子、例えばCO2の流れの方向と実質的に同様の方向に移動することができ、脱着熱の少なくとも一部を不耐性収着剤材料に提供することによって、第2段階の不耐性収着剤材料の再生を助けることができる。
【0073】
第2の段階においてより低い水熱安定性を有する不耐性収着剤材料の蒸気への曝露を低減することは、不耐性収着剤材料、支持された収着剤、収着剤接触器、および/または分離器の耐久性に大きな影響を与え得るが、全体的なガス分離性能および/または収着容量にはほとんど影響を与えない。耐性収着剤材料および不耐性収着剤材料は両方とも、水収着剤材料および標的化合物収着剤材料である。
【0074】
図5Aおよび
図5Bは、分離された段階的収着剤構造構成を有する収着剤分離器、収着剤接触器または形成されたブレンド収着剤の実施形態の様々な収着剤プロファイルを示す。
【0075】
より具体的には、
図5Aに示すように、分離された段階的収着剤構造は、第1の段階および第2の段階を有することができ、各段階の収着剤は異なる化学的な調合を有する。示されるように、形成されたブレンド収着剤の一実施形態の収着剤プロファイルは、分離された段階的収着剤構造510の第1の部分または第1の段階511に配置された蒸気耐性収着剤と、分離された段階的収着剤構造510の第2の部分または第2の段階512に配置された蒸気不耐性収着剤とを備え、分離された段階的収着剤構造510として構成することができる。蒸気耐性収着剤および蒸気不耐性収着剤は、蒸気流の流れ方向501に対して直列に配置され、流体接続され、蒸気耐性収着剤材料は、接触器の蒸気流の入口の最も近く、例えば遠位端に配置される。
【0076】
図5Bは、第1の段階および第2の段階を有し、第1の段階が、不耐性収着剤と組み合わされた耐性収着剤を備えることができ、第2の段階が不耐性収着剤を備え、分離された段階的収着剤構造を示す。分離された段階的収着剤構造は、自立していてもよく、または収着剤支持体を有してもよい。
【0077】
より具体的には、
図5Bは、分離された段階的収着剤構造520として構成された、実施形態の形成されたブレンド収着剤の収着剤プロファイルを示す。分離された段階的収着剤構造520の第1の部分または第1の段階521における、蒸気耐性収着剤材料(より暗い陰影で示す)とブレンドされた蒸気不耐性収着剤材料(より明るい陰影で示す)の不均一に分布された勾配。第1の段階521は、蒸気流の、流れ方向501で示す蒸気流のための接触器の入口の最も近く、例えば遠位端にある。分離された段階的収着剤構造520の第2の部分または第2の段階522において、蒸気不耐性収着剤材料は、実質的に均一に分布している(均等な陰影で示す)。
【0078】
他の実施形態では、多成分ガス流から成分を分離するための収着剤分離器および/または少なくとも1つの収着剤接触器は、第1のまたは耐性の収着剤材料を有する第1の段階および第2のまたは不耐性の収着剤材料を有する第2の段階を有する少なくとも1つの分離された段階的収着剤構造と、第1の段階の第1のまたは耐性の収着剤材料および第2の段階の第2のまたは不耐性の収着剤材料と流体接続する少なくとも1つの流体流路とを備えることができ、第1の段階は、蒸気流の流れの方向に関して第2の段階の上流に配置される。収着剤ガス分離器は、第1段階に実質的に隣接する蒸気流の入口と、第2段階に実質的に隣接する蒸気流の出口とをさらに備えることができる。分離された段階的収着剤は、自立していてもよく、または収着剤支持体を有してもよい。
【0079】
水収着のための異なるエネルギーを有する均一なブレンド収着剤構造
一実施形態では、均一なブレンド収着剤構造は、本明細書に開示されるような均一なブレンド収着剤粉末と、場合により収着剤支持体とを備えることができ、均一なブレンド収着剤構造は、自立するか、または収着剤支持体上に支持される。
【0080】
実施形態では、1つ以上の耐性収着剤材料を不耐性収着剤材料と組み合わせて、粉末または混合物中に実質的に均一な分布を有する、本明細書では均一ブレンド収着剤粉末と称するブレンド収着剤粉末または混合物を形成することができる。耐性収着剤材料および不耐性収着剤材料の両方は、水収着剤であり得、標的化合物収着剤材料であり得、水収着のための異なるエネルギーを有し得る。
【0081】
蒸気が再生流として使用される収着ガス分離プロセスの脱着または再生工程中に、収着剤材料は、再生流体の特定の蒸気分圧および収着剤材料の温度で、収着剤材料への蒸気のローディングが停止する最大断熱温度に達することができる。この断熱温度は、初期収着剤温度および発熱水収着または凝縮プロセスで誘発される温度上昇の結果である。蒸気の場合、大気圧では、最大断熱温度は、収着剤材料に応じて、典型的には105℃~150℃である。典型的には、実質的に同一の条件下で、蒸気耐性収着剤は、蒸気不耐性収着剤材料の最大断熱温度よりも高い最大断熱温度を有する。
【0082】
耐性収着剤材料および不耐性収着剤材料を組み合わせてブレンドする場合、実質的に均一な収着剤混合物またはブレンドは、典型的には耐性収着剤材料の最大断熱温度と不耐性収着剤材料の最大断熱温度との間の温度範囲内にある、ブレンドされた最大断熱温度に達することができる。均一な収着剤混合物の最大断熱温度では、(より低い断熱温度を有する)不耐性収着剤材料の水ローディングは、
図6A、
図6B、および
図6Cに示すように、以下でさらに論じるように、実質的に同様の条件であたかもブレンドされていないかのような、その水分ローディングと比較して低い水分ローディングを有する。
【0083】
これは、均一なブレンド収着剤中の蒸気不耐性収着剤材料の平衡の水ローディングのシフトによって説明することができる。この例では、蒸気耐性収着剤材料は、不耐性収着剤材料と比較して高温で水を収着する容量が増加しているので、蒸気不耐性収着剤材料の有効最大断熱温度が上昇し、ある意味では、過熱条件および温度で水を脱着する不耐性収着剤材料を「過熱」する。
【0084】
収着剤およびそれらの多くの不活性化機構、例えば相変化は、スイッチ様の特性および閾値を有し、そこでは動作条件、例えば蒸気ローディングのわずかな変化でさえ、収着剤材料の不可逆的な変化または分解につながる可能性がある。同様の例は、RHへの比較的急な閾値も有する、液体の水による多孔質収着剤細孔の充填に関連する。
【0085】
いくつかの多孔質固体不耐性収着剤を用いると、分解機構の活性化は、水分ローディングよりも温度に敏感であり得る。この場合、不耐性収着剤材料を耐性収着剤材料とブレンドして均一なブレンド収着剤を形成することにより、有利であり得る、(特定の蒸気分圧下での)耐性収着剤材料の有効最大断熱温度の低下をもたらすことができる。均一なブレンド収着剤の場合、有効最大断熱温度が低減された耐性収着剤材料は、水を放出して、温度閾値を超えた均一なブレンド収着剤または混合物を冷却することによって、不耐性収着剤材料のための熱緩衝剤として作用することができる。
【0086】
代替的な実施形態では、標的分子に対して高い選択性または親和性を有し、限定された水収着容量を有する収着剤材料を蒸気不耐性収着剤材料と組み合わせて、均一なブレンド収着剤粉末を形成することができる。均一なブレンド収着剤粉末は、単独の収着剤と比較して、標的分子のための収着容量に関連する全体的な熱容量が増加し得る。したがって、均一なブレンド収着剤粉末は、標的分子に曝露されると、耐性収着剤の有効最大断熱温度の低下を経る。再生工程中に、限られた水収着容量を有する、標的分子に対して高い親和性を有する収着剤材料に水蒸気が収着できるケースもあり得る。
【0087】
他の実施形態では、多成分ガス流から成分を分離するための、少なくとも1つの支持された収着剤を任意選択的に有する収着剤分離器および/または少なくとも1つの収着剤接触器は、均一なブレンド収着剤材料を形成するために蒸気不耐性収着剤材料と組み合わされた1つ以上の蒸気耐性収着剤材料と、均一なブレンド収着剤材料と流体接続する少なくとも1つの流体流路とを備えることができる。
【0088】
他の実施形態では、多成分ガス流から成分を分離するための、少なくとも1つの支持された収着剤を任意選択的に有する収着剤分離器および/または少なくとも1つの収着剤接触器は、標的分子に対する高い親和性または選択性、および限定された水収着容量を有する第1の収着剤材料と、第2のまたは蒸気不耐性の収着剤材料と、均一なブレンド収着剤材料と流体接続する少なくとも1つの流体流路とを備えることができ、第1の収着剤材料と第2の収着剤材料とを組み合わせてブレンド収着剤材料が形成される。
【0089】
カプセル化されたブレンド収着剤構造
一実施形態では、カプセル化されたブレンド収着剤構造は、本明細書に開示されるようなカプセル化されたブレンド収着剤粉末と、場合により収着剤支持体とを備えることができ、カプセル化されたブレンド収着剤構造は、自立するか、または収着剤支持体上に支持される。
【0090】
一実施形態では、第2のまたは蒸気不耐性の収着剤材料は、第1のまたは耐性の収着剤材料によってカプセル化されて、カプセル化されたブレンド収着剤粉末を形成することができる。第2のまたは不耐性の収着剤材料のカプセル化は、第1のまたは耐性の収着剤材料の合成中に実行することができ、そこで第1のまたは耐性の収着剤材料は、カプセル化ブレンド収着剤粉末のコアを形成する第2のまたは不耐性の収着剤材料の粒子の周りにカプセルまたはシェルを形成することができる。カプセルまたはシェル形成はまた、第1のまたは耐性の収着剤材料の微粒子の凝集によって、例えば、シェル材料のコーティングまたはシリカの粒子の周りの非晶質炭素層の堆積によって達成することができる。コア/シェル幾何学的形状または構成を有するカプセル化されたブレンド収着剤粉末を用いて、シェルの収着剤材料、例えば第1のまたは蒸気耐性の収着剤材料の特性を調整して、収着の動態、飽和、およびシェル材料を通る水の輸送を変更することによって蒸気耐性、例えば蒸気、酸化、NOx、および/またはSOxを高めるための追加の機構が可能となる。カプセル化されたブレンド収着剤粉末のシェルおよびコアにわたる蒸気の勾配は、カプセル化されたブレンド収着剤粉末のコアと比較して、カプセル化されたブレンド収着剤粉末の外面またはシェルおいてより早く収着させる。シェルの収着剤材料の細孔が細孔充填条件に達すると、コアの収着剤材料、例えば第2のまたは不耐性の収着剤材料への蒸気の輸送を有利に低減および/または減速することができる。急速なサイクル動作のために、動力学的に駆動される収着選択性を効果的に使用して、カプセル化されたブレンド収着剤粉末のコアにおいて平衡収着容量に達することを回避することができる。
【0091】
他の実施形態では、多成分ガス流から成分を分離するための収着剤分離器および/または少なくとも1つの収着剤接触器は、カプセル化されたブレンド収着剤粉末を形成するために第1のまたは耐性の収着剤材料によってカプセル化された第2のまたは不耐性の収着剤材料を有する形成されたブレンド収着剤を有する、少なくとも1つのカプセル化されたブレンド収着剤構造と、カプセル化されたブレンド収着剤構造と流体接続する少なくとも1つの流体流路とを備え、カプセル化されたブレンド収着剤粉末は、収着剤支持体上にあってもよい。形成されたブレンド収着剤は、収着剤支持体または基材の中および/または上にカプセル化されたブレンド収着剤粉末を備えることができる。
【0092】
層状ブレンド収着剤構造
代替的な実施形態では、層状ブレンド収着剤構造は、耐性収着剤材料を有する少なくとも第1の層と、不耐性収着剤材料を有する第2の層と、任意選択的に、例えば約500m2/m3を超える大きな湿潤表面積を有する収着剤支持体または基材とを備えることができ、第1の層および第2の層は、任意選択の収着剤支持体の中および/または上に取り付けられ、第1の層は外層または遠位層を形成し、第2の層は内層または近位層を形成し、場合により、第1の層および第2の層は、任意選択の収着剤支持体の実質的に外周に配置される。収着剤支持体は、例えば、シートまたはモノリスの形態であり得る。分離器および/または接触器は、複数の並列流路を少なくとも部分的に画定する、シートの形態の複数の層状ブレンド収着剤構造を備えることができる。
【0093】
そのような構造における収着剤の好ましい空間分布は、以下で論じられる。
【0094】
収着剤支持体または基材は、自立収着剤シート、または実質的に平坦なシート構成を有する収着剤支持体であり得る。層状ブレンド収着剤構造は、第1のまたは耐性の収着剤材料が不耐性収着剤材料をカプセル封入するカプセル化されたブレンド収着剤と概念が類似し得るが、収着剤材料は、収着剤支持体または基材上の形成されたフィルムまたはより大きな形成された粒子に適用される。耐性収着剤材料は、プロセス流体流と不耐性収着剤との間に保護層を形成し、保護層として機能することができる。耐性収着剤は、収着剤支持体またはシートより遠位の層上に構成することができ、不耐性収着剤は、収着剤支持体またはシートより近位の層上に配置することができる。この場合、輸送の動態は、第1の収着剤の下の1つまたは複数の第2の収着剤層へのプロセス流成分、例えば蒸気および/または酸素の曝露および局所濃度を制御する役割を果たすことができる。
【0095】
図4Cは、不耐性収着剤材料401および耐性収着剤材料402が実質的に別個の層で構成されている実施形態の層状ブレンド収着剤構造410を示す。不耐性収着剤材料401は、例えば、自立フィルム、シートまたは積層体および近位層であり得る。耐性収着剤材料402は、サンドイッチ構造を形成する耐性収着剤材料401の上部および底部に構成および/または適用することができ、そこで外側または遠位層は、層状ブレンド収着剤構造のコアまたは近位層において不耐性収着剤材料にいくらかの保護を提供することができる。矢印420は、収着ガス分離プロセス中の層状ブレンド収着剤構造に関連するプロセスガス流の流れの一般的な方向を示す。
【0096】
個々のミクロンスケール粒子の多孔質コーティングは、
図4Bの例で使用される0.4ナノメートル~50ナノメートル以内の細孔径を有するメソポーラスまたはナノポーラス材料の層に対して有効な拡散バリアではあり得ないが、粒子内の収着速度が粒子間の多孔質ネットワークにわたる拡散と同じ大きさである場合、ランダムに混合された粉末よりも比較的有効であり得る。収着剤の複数層で構成されたブレンド収着剤はまた、各収着剤材料が異なる結合剤および分散剤を望ましく有することができるため、微粒子混合物のためのスラリーを開発する必要性を緩和することができる。したがって、複数の層で構成されたブレンド収着剤は、有利には、収着剤、構造化収着剤および/または接触器の性能および/または耐久性を改善するだけでなく、製造可能性を改善することができる、種々の結合剤および/または分散剤を個々の層が有することを可能にすることができる。
【0097】
代替的な実施形態では、多成分ガス流から成分を分離するための収着剤ガス分離器および/または少なくとも1つの収着剤接触器は、耐性収着剤材料を有する少なくとも第1の層と、不耐性収着剤材料を有する第2の層と、場合により、例えば約500m2/m3を超える大きな湿潤表面積を有する収着剤支持体または基材とをさらに備える複数の層状ブレンド収着剤構造、および複数の層状ブレンド収着剤構造と流体接続している少なくとも1つの流体流路を備え、場合により、第1の層および第2の層は収着剤支持体の中および/または上に取り付けられ、第1の層は外層または外側管腔を形成し、第2の層は内層または内側管腔を形成し、そこで第1の層および第2の層は、場合により、任意選択の収着剤支持体の実質的に外周に配置される。収着剤支持体は、例えば、シートまたはモノリスの形態であり得る。複数の層状ブレンド収着剤構造は、複数の流体流路を少なくとも部分的に画定することができる。
【0098】
図5Cは、耐性および不耐性の両方の収着剤材料が接触器および/または形成されたブレンド収着剤構造530全体にわたって存在する、実施形態の形成されたブレンド収着剤構造の収着剤プロファイルを示す。耐性収着剤533、例えば蒸気耐性収着剤は、蒸気流の流れ方向501で示されているように、蒸気流の接触器の入口に最も近く(遠位端など)に配置された、より高い重量パーセント・ローディング勾配(より高い勾配は、より暗い陰影で示されている)を有することが示されている。不耐性収着剤534、例えば蒸気不耐性収着剤は、蒸気流の接触器の出口に向かって(近位端など)配置された、不耐性材料のより高い重量パーセント・ローディング勾配(より高い勾配は、より暗い陰影で示されている)を有することが示されている。
図5Cでは、耐性収着剤533および不耐性収着剤534の両方の重量パーセント勾配プロファイルを示す試みにおいて、耐性収着剤533の収着剤プロファイルが、不耐性収着剤534から相殺されることが示されている。一実施形態では、形成されたブレンド収着剤構造は、形成されたブレンド収着剤構造の第1の端部と、形成されたブレンド収着剤構造の第2の端部との間の勾配濃度または濃度変化率を有し、場合により、勾配濃度または濃度変化率は、形成されたブレンド収着剤構造の第1の端部と形成されたブレンド収着剤構造の第2の端部との間で実質的に一定である。場合により、形成されたブレンド収着剤構造は、収着剤支持体を有してもよい。
【0099】
酸化的損傷、窒素酸化物損傷または硫黄酸化物損傷から保護するために、同様の収着剤ローディング勾配を使用することもできる。この場合、窒素酸化物および硫黄酸化物保護のために、(NOxまたは/およびSOx)耐性収着剤材料が、優先的には、容器収着ガス分離器のプロセスガスもしくは供給流の入口、接触器、または形成されたブレンド収着剤に向かって配置される。
【0100】
上記に開示された幾何学的形状の任意の組み合わせを使用して、不耐性収着剤材料の水飽和量を調整することができる。場合により、1つ以上の耐性収着剤材料を使用することができ、かつ/または1つ以上の不耐性収着剤を使用することができる。
【0101】
一実施形態では、形成されたブレンド収着剤構造は、水収着のための異なる収着等温線を有する、ブレンド収着剤粉末を形成するための少なくとも第1の耐性収着剤材料および第2の耐性収着剤材料を有する複数の耐性収着剤材料、ブレンド収着剤粉末のシートまたは積層体またはミリメートルスケール粒子を作製するための、任意選択の収着剤支持体または形成要素を備え、第1の耐性収着剤材料の収着剤重量は、ブレンド収着剤粉末の収着剤重量の約20%以上、好ましくは約30%以上、またはより好ましくは約40%以上であり、場合により、前記1つ以上の第1の収着剤材料の水収着容量は、収着分離プロセスの再生工程中に水収着がその最大容量にある場合、例えば、ブレンド収着剤が100℃~160℃の温度にある場合の蒸気再生設計条件において、ブレンド収着剤粉末の水収着容量の20%、30%、または40%以上であり、第1の耐性収着剤材料および第2の耐性収着剤材料は、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、および/またはSOx耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0102】
構造化層または接触器
本明細書に記載される実質的に平坦なシート、例えば積層体または収着剤シートの形態の形成されたブレンド収着剤構造は、例えば、分離された段階的収着剤構造、均一なブレンド収着剤構造、カプセル化されたブレンド収着剤構造、または層状ブレンド収着剤構造を備え、並列流路収着剤接触器内に実質的に並列な流路を画定するように構成することができ、並列流路の寸法、例えば、高さ、幅、および長さは、並列流路収着剤接触器全体の透過性に影響を及ぼす(供給流および/または再生流の流れの方向で測定)。並列流路収着剤接触器の一実施形態では、形成されたブレンド収着剤構造(例えば、分離された段階的収着剤構造、均一なブレンド収着剤構造、カプセル化されたブレンド収着剤構造、または層状ブレンド収着剤構造)または積層体は、並列流路収着剤接触器が層流条件下で約2,000~40,000ダルシーの範囲の透過率値を含むように、サイズ設定および構成することができる。収着剤材料の調合物またはブレンド、例えば本発明に記載の異なる収着特性を有するブレンド収着剤粉末および/または形成されたブレンド収着剤構造は、エネルギー生産、二酸化炭素削減、または化学製造のために供給流からガス状成分を分離し、さらに利用または隔離または廃棄され得る、供給流中の少なくとも1つの成分の濃縮流を提供する目的で使用することができる。
【0103】
一実施形態では、多成分ガス流から成分を分離するための収着剤分離器および/または少なくとも1つの収着剤接触器は、複数の流体流路を少なくとも部分的に画定する複数の形成されたブレンド収着剤または支持されたブレンド収着剤、複数の形成されたブレンド収着剤または支持されたブレンド収着剤の第1の端部にあり、複数の流体流路に流体接続された入口、複数の形成されたブレンド収着剤または支持されたブレンド収着剤の第2の端部にあり、複数の流体流路に流体接続された出口、および層流条件下で約2,000から40,000ダルシーの範囲の透過率値を備えることができる。
【0104】
一実施形態では、多成分ガス流から成分を分離するための収着剤分離器および/または少なくとも1つの接触器は、入口および出口、入口に実質的に隣接または最接近して配置され、接触器の体積の約20%以上、好ましくは約30%以上、またはより好ましくは約40%以上の体積の範囲内の1つ以上の耐性収着剤材料を備えることができる。
【0105】
代替的な実施形態では、多成分ガスから成分を分離するための収着剤分離器および/または少なくとも1つの接触器は、複数の形成されたブレンド収着剤または支持されたブレンド収着剤(例えば、分離された段階的収着剤構造、均一なブレンド収着剤構造、カプセル化されたブレンド収着剤構造、または層状ブレンド収着剤構造)を備えることができ、少なくとも1つの第1のまたは耐性の収着剤材料(例えば、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、および/またはSOx耐性収着剤)、および少なくとも1つの第2のまたは不耐性の収着剤材料(例えば、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NOx不耐性収着剤、および/またはSOx不耐性収着剤)、少なくとも1つの第1のまたは耐性の収着剤材料および少なくとも1つの第2のまたは不耐性の収着剤材料を収容するための筐体、ならびに筐体用の入口、および筐体用の出口をさらに備え。入口および出口は、少なくとも1つの第1のまたは耐性の収着剤材料および少なくとも1つの第2のまたは不耐性の収着剤材料に流体接続されている。
【0106】
ブレンド収着剤調合物および構造の使用方法
本明細書に開示される収着剤材料の調合物もしくはブレンド、また異なる収着特性を有するブレンド収着剤は、工業的または実用的な有害流出物の低減のために、多成分ガス流から第1の成分、例えば二酸化炭素を分離し、隔離または他の工業的使用のためにさらに利用することができるCO2の濃縮流を提供する目的で使用することができる。
【0107】
実施形態では、本発明の収着剤分離器および/または接触器は、多成分ガス流から第1の成分を分離するための収着プロセスにおいて使用することができる。接触器の実施形態では、少なくとも1つのブレンド収着剤、例えば、分離された段階的収着剤、均質なブレンド収着剤、カプセル化されたブレンド収着剤および/または支持されたブレンド収着剤を提供することができ、それらは場合により、1つ以上の耐性収着剤材料の重量がブレンド収着剤の収着剤重量の約20%、30%、または40%以上である、などの本明細書に開示された別個の収着特性を有し、かつ/または場合により以下のような蒸気収着工程発熱を有する:
【数3】
【0108】
場合により、接触器は、質量分率を乗算した収着剤の総熱容量の積の合計が、0.75を乗じた、形成された材料中のすべての成分の質量分率を乗算した、形成された材料中のすべての成分の熱容量の積の合計よりも大きい熱容量値を有することができる。場合により、接触器は、層流条件下で約2,000~40,000ダルシーの範囲の透過率値を有することができる。
【0109】
プロセス実施形態では、少なくとも第1の成分(例えば、二酸化炭素を含み得る)を含む多成分流体混合物または流れの収着ガス分離のための、収着ガス分離プロセスが提供される。そのような一実施形態では、収着プロセスは、第1の成分の少なくとも一部を多成分流体混合物または流れから分離することができる。
【0110】
図7は、本発明の一実施形態を例示し、少なくとも(例えば、二酸化炭素を含むことができる)第1の成分および第2の成分を含む多成分流体混合物または流れを分離するための収着ガス分離プロセス700を示している。
【0111】
示されるように、最初の工程701は、少なくともブレンド収着剤粉末、例えば、均質なブレンド収着剤粉末もしくはカプセル化されたブレンド収着剤粉末、および/または形成されたブレンド収着剤構造、例えば、分離された段階的収着剤構造、均一なブレンド収着剤構造、カプセル化されたブレンド収着剤構造、もしくは層状のブレンド収着剤構造を有する接触器を提供することを含む。実施形態では、工程700は、互いの上に積み重ねられた複数の形成されたブレンド収着剤または支持されたブレンド収着剤と、隣接して積み重ねられた2つの形成されたブレンド収着剤または支持されたブレンドの間にチャネルを形成し、流体に接触器を通過させるための複数のチャネルを形成するための複数のスペーサとを備える、並列流路接触器を利用することができる。実施形態では、接触器は、層流条件下で2,000~40,000ダルシーの透過率値を有することができる。一実施形態では、収着ガス分離プロセスは、接触器、例えば並列流路接触器または充填層接触器を使用することができる。
【0112】
収着工程710中、少なくとも二酸化炭素などの第1の成分を含む多成分ガス流を供給流として接触器へ流入させることができる。供給流が接触器を通過する際、供給流はブレンド収着剤と接触し、供給流の第1の成分の少なくとも一部は、ブレンド収着剤の中および/または上に収着することができる。具体的に示されていないが、収着剤材料の中および/または上に収着されない残りの成分、例えば窒素などの第2の成分は、接触器を実質的に通過し、接触器を出て第1の生成物流を形成することができる。
【0113】
実施形態では、第1の生成物流は、供給流と比較して第1の成分が枯渇し得る。実施形態では、第1の生成物流はまた、供給流と比較して第2の成分が濃縮され得る。実施形態では、第1の生成物流は接触器から回収され得る。
【0114】
最初の再生工程711の間に、温度スイング機構、圧力スイング機構、および分圧スイング機構のうちの少なくとも1つによって、少なくとも1つの収着剤材料の中および/または上に収着された第1の成分の少なくとも一部を脱着させて、第2の生成物流を形成することができる。実施形態では、第1の再生流(蒸気など)は、第1の再生流が接触器を通過する際に、ブレンド収着剤と接触させるために接触器に流入させることができる。結果として、第1の再生流の少なくとも一部(蒸気からの水など)は、ブレンド収着剤の中および/または上に収着し、収着熱を生成することができる。この水収着熱は、水が受ける相変化、例えば気相(蒸気)から液相(液体の水)への変化の結果である。
【0115】
実施形態では、収着剤への水の収着から生じる収着熱は、ブレンド収着剤の中および/または上に収着された第1の成分の少なくとも一部を脱着するための脱着熱の少なくとも一部として使用することができる。したがって、実施形態では、第2の生成物流は、供給流と比較して第1の成分が濃縮され得る。第2の生成物流は、次いで接触器から回収され得る。
【0116】
任意選択の第2の再生工程712の間、ブレンド収着剤の中および/または上に収着された水成分は、第2の再生流、例えば低い分圧の水、または接触器内の相対湿度より低い相対湿度を有するガス流を流入させることによって、ブレンド収着剤から脱着することができる。実施形態では、ブレンド収着剤の中および/または上に収着された水成分の脱着は、真空を適用し、接触器内の圧力を接触器内の蒸気の飽和圧力未満の圧力まで低下させることによって実行または支援され得る。第2の再生工程712の間にブレンド収着剤から脱着した成分は、接触器から回収され得る第3の生成物流を形成することができる。
【0117】
任意選択のさらなる後続の工程(図示せず)、例えば、収着工程を繰り返す前にブレンド収着剤の温度を低下させることができる冷却工程が続いてもよい。収着工程710、第1の再生工程711、任意の第2の再生工程712(および任意の後続工程)のサイクルは、所望に応じて繰り返すことができる。
【0118】
一実施形態では、少なくとも第1の成分を多成分ガス流から分離するための収着ガス分離プロセスは、上述した接触器を提供する工程と、供給流としての多成分ガス流を、供給流入口を介して収着剤接触器に流入させる工程と、供給流からの第1の成分の少なくとも一部をブレンド収着剤に収着させる工程と、供給流と比較して第2の成分が濃縮された第1の生成物流を、出口を介して収着剤接触器から回収する工程と、純度80%(モル分率)を超える蒸気含有量を有する第1の再生流を、蒸気入口を介して収着剤接触器に流入させる工程と、ブレンド収着剤に蒸気または水を収着させ、収着または凝縮熱を発生させる工程(場合により、水がブレンド収着剤に吸着された場合に放出されるエネルギーの量が、ブレンド収着剤から第1の成分を脱着するために所望されるエネルギーよりも大きい)と、ブレンド収着剤に収着された第1の成分の少なくとも一部を脱着し、供給流と比較して第1の成分が濃縮された第2の生成流を形成する工程、第2の生成流出口を介して収着剤接触器から第2の生成流を回収する工程と、場合により、任意選択的な第2の再生流、例えば、接触器内の相対湿度よりも低い相対湿度を有するガス流を流入させる工程によって、および/または真空を適用し、接触器内の圧力を接触器内の蒸気の飽和圧力よりも低い圧力まで低下させることによって、ブレンド収着剤に収着された水を脱着させる工程と、を備えることができる。
【0119】
実施形態では、接触器は、場合によりブレンド収着剤の収着剤重量の約20%、30%、または40%以上の1つ以上の耐性収着剤材料の重量を有する、上記の分離された段階的収着剤、均質なブレンド収着剤、カプセル化されたブレンド収着剤、および支持されたブレンド収着剤のうちの少なくとも1つをさらに備えることができる。実施形態では、ブレンド収着剤は、標的分子についての全収着熱よりも大きい、水についての全収着熱を有することができる。
【数4】
【0120】
実施形態では、ブレンド収着剤は、質量分率を乗算した収着剤の総熱容量の積の合計が、0.75を乗じた、形成された材料中のすべての成分の質量分率を乗算した、形成された材料中のすべての成分の熱容量の積の合計よりも大きい熱容量値を有することができる。他の実施形態では、接触器は、層流条件下で約2,000~40,000ダルシーの範囲の透過率値を有することができる。
【0121】
実施形態では、第1の成分は二酸化炭素であり得、再生流は、100℃~120℃の温度範囲の温度で接触器に流入する蒸気流であり得る。
【0122】
例証
図6Aは、CO
2で飽和した収着剤Aを備える接触器への蒸気の投入の数値シミュレーションプロットを示し、
図6Bは、同じくCO
2で飽和した収着剤Bを備える接触器への蒸気の投入の数値シミュレーションプロットを示す。比較のために、
図6Cは、やはりCO
2で飽和した収着剤Aおよび収着剤Bの両方を備える、ブレンド収着剤への蒸気の投入の数値シミュレーションプロットである。出願人は、収着剤AおよびBが、選択されたCO
2および水の収着特性によって定義される、例示目的のための仮定的材料であることを注記したい。3つのプロットすべてに示すように、X軸は再生工程中の水添加工程の回数を表し、Y軸はmmol/g単位の収着剤ローディングおよび摂氏での収着剤温度を表す。
【0123】
収着剤材料Aについて、蒸気投入の効果を
図6Aに示す。材料Bについて、蒸気投入の効果を
図6Bに見ることができる。収着剤材料AおよびBの混合物(それぞれ50重量%)を有するブレンド収着剤について、蒸気投入の効果を
図6Cに見ることができる。
【0124】
図6Aに示すように、収着剤A単独に対する蒸気注入による最大断熱温度が、温度プロット621で約115℃であり、水ローディング・プロット611で最大水収着が約2.2mmol/gであることが示されている。CO
2脱着をCO
2ローディング・プロット601に示す。
図6Bでは、収着剤B単独に対する蒸気注入による最大断熱温度が温度プロット622で約125℃であり、水ローディング・プロット612で見られるように、最大水収着が約2.75mmol/gであることが示されている。CO
2脱着を1つのCO
2ローディング・プロット602に示す。
【0125】
図6Cでは、プロット603は、ブレンド収着剤材料AへのCO
2ローディングをmmol/gで示し、プロット604は、ブレンド収着剤材料BへのCO
2ローディングを示す。示されるように、蒸気は、ブレンド固形物または収着剤に収着され、CO
2はそこから脱着される。プロット613は、ブレンド収着剤材料Aへの水ローディングを示し、プロット614は、ブレンド収着剤材料Bへの水ローディングを示す。混合された収着剤温度プロット623の温度が100℃を超えると、(プロット613の頂点における)ブレンド収着剤材料Aの吸着蒸気から脱着蒸気への明確な移行が
図6Cに示される。ブレンド収着剤材料Bも最終的に蒸気の吸着を停止し(プロット613が平坦になるとき)、その時点で、混合された収着剤サンプルについてのCO
2脱着が最大化される。
【0126】
図6Dは、CO
2および水のローディングについての、別個の収着剤材料と(
図6Aおよび
図6BのX軸上の水添加工程200)、ブレンド収着剤材料中で組み合わせた場合の収着剤材料(
図6CのX軸上の水添加工程200)との比較を示す。X軸は収着剤材料を表し、Y軸は成分(CO
2または水)ローディングをmmol/g単位で表す。収着剤材料A単独のデータを暗い陰影をつけた実線の縦棒として示し、収着剤材料B単独を明るい陰影をつけた実線の縦棒として示し、ブレンド収着剤材料AおよびBをハッチパターンの縦棒として示す。
【0127】
図6Dに示すように、CO
2ローディングの縦棒630は、AとBとのブレンド収着剤材料中の収着剤材料A(ハッチパターンの縦棒)と比較した、収着剤材料A単独(濃い陰影をつけた実線の縦棒)でのCO
2のローディングを示す。CO
2ローディングの縦棒631は、AとBとのブレンド収着剤材料中の収着剤材料B(ハッチパターンの棒)と比較した、収着剤材料B単独(薄い陰影をつけた実線の縦棒)でのCO
2のローディングを示す。水ローディングの縦棒632は、AとBとのブレンド収着剤材料中の収着剤材料A(ハッチパターンの縦棒)と比較した、収着剤材料A単独への水のローディング(濃い陰影をつけた実線の縦棒)を示し、AとBとのブレンド収着剤材料中で組み合わされた場合の収着剤材料Aの水ローディングが減少または低下することを示している。水ローディングの縦棒633は、AとBとのブレンド収着剤材料中の収着剤材料B(ハッチパターンの縦棒)と比較した、収着剤材料B単独への水のローディング(薄い陰影をつけた実線の縦棒)を示し、AとBとのブレンド収着剤材料中で組み合わされた場合の収着剤材料Bの水ローディングが増加または上昇することを示している。
【0128】
図6Eは、断熱温度についての、別個の収着剤材料と(
図6Aおよび
図6BのX軸上の水添加工程200)、ブレンド収着剤材料(
図6CのX軸上の水添加工程200)との比較を示す。X軸は収着剤材料を表し、Y軸は温度を℃単位で表す。示されるように、収着剤材料Aの断熱温度を温度縦棒634として示し、収着剤材料Bを温度縦棒635として示し、AおよびBのブレンド収着剤材料を温度縦棒636として示す。
図6Eは、ブレンド収着剤材料AおよびBの断熱温度が、最も低い断熱温度を有する収着剤材料Aの断熱温度と、最も高い断熱温度を有する収着剤材料Bの断熱温度との間の範囲にあることを示す。
【0129】
この例は、水ローディングを減らし、かつ/またはブレンド収着剤混合物中の個々の収着剤の温度を下げるための重要な可能性を示している。これらの技術のいずれかを使用して、効率的な分離プロセスを実行する能力を損なうことなく、過酷な環境への収着剤の曝露を減少させることができる。次に、収着剤の過酷な環境への曝露を減らすことで、例えば
図3に示すように、化学的または相変化によって引き起こされる収着性能の経時的な劣化を減速し、またはそれから保護することができる。
【0130】
収着剤接触器の切片または一部のこのシミュレーションは、1つの収着剤材料への蒸気曝露を、水収着について競合する別の収着剤材料とブレンドすることによって低減する能力を明確に示している。
【0131】
異なる収着特性を有する類似の収着剤の組み合わせまたはブレンドを使用して、酸化的損傷、窒素酸化物損傷または硫黄酸化物損傷から保護することもできる。本明細書に開示される実施形態は、収着剤材料が熱および蒸気の両方にさらされるか、または曝露される収着剤接触器およびプロセスに利点を提供する。
【0132】
複数収着剤構造化層設計の使用による性能向上の実施例
複数の構造化層で構成された収着層を、蒸気再生を含む急速なサイクルを使用して、シミュレートした煙道ガスからのCO2捕捉について試験した。層は、金属有機構造体収着剤(MOF)またはシリカ上に支持/分散されたポリエチレンイミド(PEIDS)のいずれかを含む収着剤シートから、低い圧力降下指標ダルシー(8000、12000)で作製した。
【0133】
長さ1メートルの層にMOF収着剤のみを含む基準層を作製し、最初に試験した。次いで、この層を長さ0.8メートルのセグメントに切断し、PEIDS含有構造化収着剤から作製された層の長さのバランスを有するセグメント化収着剤層のセグメントとして使用した。
【0134】
定常動作条件に達するまでの少なくとも2時間(100サイクル超)のサイクル試験の結果を表1に報告する。供給流量のみを調整することによって、2つの異なる回収標的を評価した。表の結果は、試験サイクルごとにグループ化されている。
【表1】
表1.MOFのみを含む長さ1mの構造層と、MOFを含む長さ0.8mのセグメントおよびPEIDS収着剤を含む長さ0.2mのセグメントの2つのセグメントを有する構造層との性能の比較。
【0135】
結果は、MOFの供給流方向に対する後端をPEIDS収着剤で置き換えると、基準の非セグメント化層と比較して、セグメント化層の層から回収されたCO2の純度の改善に向かう強い利益を有することを示している。これはまた、CO2のサイクル容量、したがって生産性を増加させる利点が小さいことを示している。
【0136】
改善された生成物純度でのセグメント化層の利点は、使用される収着材料の異なる等温線から生じる、構造収着剤への不活性ガスの押し込みからCO2脱着フロントへの急激な移行で説明することができる。
【0137】
セグメント化層で見られる生産性の小さな利点は、水分をローディングした場合にCO2のサイクル収着容量が大幅に低下するMOFの使用を最適化することに関連する。蒸気が注入される後端(供給流方向)は、層の最も湿った部分である。層のこの部分を、より高い水分条件下でそのCO2収着容量を保持することができる材料で置換することは、たとえ置換されたのが層のごく一部であるとしても、顕著に有益である。
【0138】
このセグメント化構造の主な利点は、供給工程とは反対の方向に蒸気が加えられる再生工程中の蒸気ローディングの低減である。収着剤の100%蒸気供給流への曝露を減らすと、MOF材料への構造的損傷のリスクが低減され、セグメント化層の寿命の延長につながる。
【0139】
第1の広範な実施形態では、ガス混合物を分離するためのブレンド収着剤粉末は、1つ以上の耐性収着剤材料と、1つ以上の不耐性収着剤材料とを備えることができる。実施形態では、前記1つ以上の耐性収着剤材料の収着剤重量は、前記ブレンド収着剤粉末の収着剤重量の20%、30%、または40%以上であり得るか、または前記1つ以上の耐性収着剤材料の収着剤重量は、前記1つ以上の耐性収着剤材料および1つ以上の不耐性収着剤材料の収着剤重量以上であり得る。
【0140】
第1の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の耐性収着剤材料の水収着容量は、収着分離プロセスの再生工程中の水収着がその最大容量にある場合(例えば、ブレンド収着剤が100℃~160℃の温度にある場合)などの蒸気再生条件下では、前記ブレンド収着剤粉末の水収着容量の約20%、30%、または40%以上である。さらに、実施形態では、前記1つ以上の耐性収着剤材料は、蒸気耐性、酸化耐性、NOx耐性、および/またはSOx耐性のうちの少なくとも1つであり得る。
【0141】
第1の広範な実施形態の一実施形態では、前記ブレンド収着剤粉末は、サイクル収着分離プロセスにおける収着に使用されるプロセス条件下で、全収着剤層組成物の代表的なサンプルの標的分子について、少なくとも1mmol/gの収着容量を有することができる。
【0142】
第1の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の耐性収着剤材料を1つ以上の不耐性収着剤材料と組み合わせて、実質的に均一な分散混合物を形成することができる。
【0143】
第1の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の耐性収着剤材料は、前記1つ以上の不耐性収着剤材料を実質的にカプセル化することができ、かつ/または前記1つ以上の耐性収着剤材料が遠位層を形成し、前記1つ以上の不耐性収着剤材料が前記ブレンド収着剤粉末の近位層を形成する。
【0144】
第1の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の耐性収着剤材料は、水収着熱、標的分子収着熱、水収着容量、標的分子標的収着容量をさらに備えることができ、前記1つ以上の不耐性収着剤材料は、水収着熱、標的分子収着熱、水収着容量、標的分子標的収着容量をさらに備えることができ、前記1つ以上の耐性収着剤材料および前記1つ以上の不耐性収着剤材料の前記水収着熱を乗算した前記水収着容量の積和は、前記1つ以上の耐性収着剤材料および前記1つ以上の不耐性収着剤材料の前記標的分子収着熱を乗算した前記標的分子サイクル収着容量の積和よりも大きくてもよい。
【0145】
第2の広範な実施形態では、ブレンド収着剤粉末は、1つ以上の第1の収着剤材料と、1つ以上の第2の収着剤材料とを備えることができる。実施形態では、1つ以上の第1の収着剤材料は、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤材料、NOx耐性収着剤、および/またはSOx耐性収着剤のうちの少なくとも1つであってもよく、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子収着容量をさらに備えることができる。さらに、実施形態では、1つ以上の第2の収着剤材料は、水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子収着容量をさらに備えることができ、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記水収着熱を乗算した前記水収着容量の積和は、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記標的分子収着熱を乗算した前記標的分子収着容量の積和を超えてもよい。
【0146】
第2の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NOx不耐性収着剤、および/またはSOx不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0147】
第2の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、SOx耐性収着剤、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NOx不耐性収着剤、および/またはSOx不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0148】
第3の広範な実施形態では、ガス混合物を分離するための形成されたブレンド収着剤構造は、1つ以上の第1の収着剤材料、および前記1つ以上の第1の収着剤材料と組み合わせてブレンド収着剤粉末を形成するための1つ以上の第2の収着剤材料を備えることができ、前記1つ以上の第1の収着剤材料の収着剤重量は、前記ブレンド収着剤粉末の収着剤重量の約20%、30%、または40%以上であり得、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、蒸気耐性、酸化耐性、NOx耐性、および/またはSOx耐性のうちの少なくとも1つであり得る。
【0149】
第3の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料の水収着容量は、収着分離プロセスの再生工程中の水収着がその最大容量にある場合などの蒸気再生設計条件下、例えば、ブレンド収着剤が100℃~160℃の温度にある場合では、前記ブレンド収着剤粉末の水収着容量の約20%、30%、または40%以上であり得る。
【0150】
第3の広範な実施形態の一実施形態では、前記形成されたブレンド収着剤構造は、シートもしくは積層体を作製するための収着剤支持体もしくは形成要素、または前記ブレンド収着剤粉末のミリメートルスケール粒子をさらに備える。
【0151】
第3の広範な実施形態の一実施形態では、前記収着剤支持体は、100マイクロメートル~3000マイクロメートルの範囲の厚さを有する、シート、実質的に平坦なシート、平面シート、および/または積層体の形態である。
【0152】
第3の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料の熱容量と前記1つ以上の第2の収着剤材料の熱容量との合計熱容量は、前記形成されたブレンド収着剤の熱容量の約75%以上である。
【0153】
第3の広範な実施形態の一実施形態では、前記形成されたブレンド収着剤および/または前記収着剤支持体は、約100マイクロメートル~約3000マイクロメートルの範囲の厚さを有するシート、実質的に平坦なシート、平面シート、および/または積層体の形態であり得る。
【0154】
第3の広範な実施形態の一実施形態では、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体は、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の第1の端部および第2の端部、および/または第1の部分および第2の部分をさらに備え、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、実質的に均一に分布し、かつ/または実質的に前記第1の部分に配置され、かつ/または前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の前記第1の端部に隣接することができる。実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、実質的に均一に分布し、かつ/または実質的に前記第2の部分に配置され、かつ/または前記形成されたブレンド収着剤構造もしくは前記収着剤支持体の前記第2の端部に隣接することができ、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、前記1つ以上の第2の収着剤材料に並置することができる。
【0155】
第3の広範な実施形態の一実施形態では、前記形成されたブレンド収着剤構造および/または前記収着剤支持体は、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の第1の端部および第2の端部、および/または前記形成されたブレンド収着剤構造もしくは前記収着剤支持体の第1の部分および第2の部分をさらに備え、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料は、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体上に不均一に分布および/または配置される。さらなる実施形態では、第2の収着剤材料は、蒸気不耐性、酸化不耐性、NOx不耐性、および/またはSOx不耐性のうちの少なくとも1つである。
【0156】
第3の実施形態の一実施形態では、前記形成されたブレンド収着剤構造の前記第1の端部および/または前記収着剤支持体の前記第1の部分は、前記形成されたブレンド収着剤または前記収着剤支持体の前記第2の端部および/または前記第2の部分よりも高い前記1つ以上の第1の収着剤材料の濃度、および/または前記形成されたブレンド収着剤または前記収着剤支持体の前記第2の端部および/または第2の部分よりも低い前記1つ以上の第2の収着剤材料の濃度を有し得る。実施形態では、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の前記第2の端部および/または前記第2の部分は、前記形成されたブレンド収着剤または前記収着剤支持体の前記第1の端部および/または前記第1の部分よりも低い前記1つ以上の第1の収着剤材料の濃度、および/または前記形成されたブレンド収着剤または前記収着剤支持体の前記第1の端部および/または第1の部分よりも高い前記1つ以上の第2の収着剤材料の濃度を有し得る。
【0157】
第3の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料は、不均一に分布され、かつ/または前記収着剤支持体の前記第1の端部と前記収着剤支持体の前記第2の端部との間に勾配濃度または濃度変化の割合を有する、前記形成されたブレンド収着剤支持体または前記収着剤支持体上に配置され得る。
【0158】
第3の広範な実施形態の一実施形態では、前記勾配濃度または濃度変化の割合は、前記収着剤支持体の前記第1の端部と前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の前記第2の端部との間で、実質的に一定であり得る。
【0159】
第3の広範な実施形態の他の実施形態では、前記形成されたブレンド収着剤構造および/または前記収着剤支持体は、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の第1の部分および第2の部分をさらに備えることができ、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、不均一に分布され、かつ/または前記形成されたブレンド収着剤構造もしくは前記収着剤支持体の前記第1の部分において勾配濃度または濃度変化の割合を有する、前記形成されたブレンド収着剤構造もしくは前記収着剤支持体上に配置され得る。実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、実質的に均一に分布され、かつ/または前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の前記第2の部分に実質的に配置され得る。さらなる実施形態では、第1の収着剤材料は、蒸気耐性、酸化耐性、NOx耐性、および/またはSOx耐性のうちの少なくとも1つであり、第2の収着剤材料は、蒸気不耐性、酸化不耐性、NOx不耐性、および/またはSOx不耐性のうちの少なくとも1つである。
【0160】
第3の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体に対して、かつそれに接触して第1の層または近位層を形成することができ、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体に対して、かつ前記第1の層または前記近位層に接触して第2の層または遠位層を形成することができる。
【0161】
第3の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、前記1つ以上の第2の収着剤材料を実質的にカプセル化することができ、かつ/または前記1つ以上の第1の収着剤材料は遠位層を形成することができ、前記1つ以上の第2の収着剤材料は近位層を形成することができる。実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料は、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体上に配置され得、場合により前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の第1の端部と、前記形成されたブレンド収着剤構造または前記収着剤支持体の第2の端部との間に実質的に均一に分布され得る。
【0162】
第3の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、水収着熱、水収着容量、標的分子収着熱、標的分子収着容量をさらに備えることができ、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、水収着熱、水収着容量、標的分子収着熱、標的分子収着容量をさらに備えることができる。実施形態では、前記水収着容量を、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記水収着熱で乗算した積和は、前記標的分子収着容量を、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記標的分子収着熱で乗算した積和を超えてもよい。
【0163】
第3の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NOx不耐性収着剤、および/またはSOx不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0164】
第3の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、SOx耐性収着剤、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NOx不耐性収着剤、および/またはSOx不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0165】
第4の広範な実施形態では、ガス混合物を分離するための形成されたブレンド収着剤構造は、1つ以上の第1の収着剤材料、1つ以上の第2の収着剤材料を備えることができる。実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、蒸気耐性、酸化耐性、NOx耐性、および/またはSOx耐性のうちの少なくとも1つであり得、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子収着容量をさらに備えることができる。他の実施形態では、1つ以上の第2の収着剤材料は、水収着容量、水収着熱、標的分子収着熱、および標的分子収着容量をさらに備えることができる。実施形態では、前記水収着容量を、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記水収着熱で乗算した積和は、前記標的分子収着容量を、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の前記標的分子収着熱で乗算した積和を超えてもよい。
【0166】
第4の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料を支持するための収着剤支持体をさらに備える。
【0167】
第4の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、および/またはSOx耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0168】
第4の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NOx不耐性収着剤、および/またはSOx不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0169】
第4の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、SOx耐性収着剤、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NOx不耐性収着剤、および/またはSOx不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0170】
第5の広範な実施形態では、ガス混合物を分離するための形成されたブレンド収着剤構造は、ブレンド収着剤を形成するための水収着のための異なる収着等温線を有する少なくとも2つの耐性収着剤材料(例えば、第1の耐性収着剤材料および第2の耐性収着剤材料)を有する複数の耐性収着剤材料を備えることができ、前記第1の耐性収着剤材料の収着剤重量は、前記ブレンド収着剤の収着剤重量の約20%、30%、または40%以上である。
【0171】
第5の広範な実施形態の一実施形態では、前記第1の耐性収着剤材料の水収着容量は、収着分離プロセスの再生工程中に水収着がその最大容量にある場合などの蒸気再生設計条件、例えば、ブレンド収着剤が100℃~160℃の温度にある場合では、前記ブレンド収着剤の水収着容量の約20%、30%、または40%以上である。
【0172】
第5の広範な実施形態の一実施形態では、固定量の標的分子を脱着するために使用される蒸気の量は、同じ動作サイクル下で任意の未ブレンドの収着剤材料と比較して少なくとも10%減少させることができる。
【0173】
第5の広範な実施形態の一実施形態では、前記ブレンド収着剤のシートまたは積層体またはミリメートルスケール粒子を作製するための収着剤支持体または形成要素をさらに備える。
【0174】
第6の他の広範な態様では、収着剤接触器は、複数の形成されたブレンド収着剤構造と、複数の流体流路と、前記形成されたブレンド収着剤構造の第1の端部、場合により収着剤支持体の第1の端部に位置する、前記複数の流体流路に流体接続された第1のポートと、実質的に前記形成されたブレンド収着剤構造の第2の端部、場合により前記収着剤支持体の第2の端部に位置する、前記複数の流体流路に流体接続された第2のポートとを備え、前記複数の形成されたブレンド収着剤構造は、前記複数の流体流路を少なくとも部分的に画定する。
【0175】
第6の広範な実施形態の一実施形態では、前記複数の形成されたブレンド収着剤構造および前記複数の流体流路を収容するための筐体をさらに備え、前記筐体は、前記第1のポートおよび前記複数の流体流路に流体接続された第1の筐体ポートと、前記第2のポートおよび前記複数の流体流路に流体接続された第2の筐体ポートとを有することができる。
【0176】
第6の広範な実施形態の一実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料または前記1つ以上の耐性収着剤材料は、前記第1のポートに実質的に隣接または最接近して配置され、前記収着剤接触器の体積の約20%、30%、または40%以上の体積の範囲内であり得る。
【0177】
第6の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料または前記1つ以上の耐性収着剤材料は、水収着熱、水収着容量、標的分子収着熱、標的分子収着容量をさらに備えることができ、前記1つ以上の第2の収着剤材料または前記1つ以上の不耐性収着剤材料もまた、水収着熱、水収着容量、標的分子収着熱、標的分子収着容量をさらに備えることができる。実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料または前記1つ以上の耐性収着剤材料、および前記1つ以上の第2の収着剤材料または前記1つ以上の不耐性収着剤材料の前記水収着熱で乗算した前記水収着容量の積和は、前記1つ以上の第1の収着剤材料または前記1つ以上の耐性収着剤材料、および前記1つ以上の第2の収着剤材料または前記1つ以上の不耐性収着剤材料の前記標的分子収着熱で乗算した前記標的分子収着容量の積和を超えてもよい。
【0178】
第6の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料または前記1つ以上の耐性収着剤材料、および前記1つ以上の第2の収着剤材料または前記1つ以上の不耐性収着剤材料の熱容量の合計は、前記1つ以上の第1の収着剤材料または前記1つ以上の耐性収着剤材料、および前記1つ以上の第2の収着剤材料または前記1つ以上の不耐性収着剤材料を有する形成されたブレンド収着剤構造の熱容量の約75%以上であり得る。
【0179】
第6の広範な実施形態の他の実施形態では、収着剤接触器は、約2,000ダルシー~約40,000ダルシーの層流条件下での透過率値をさらに備えることができる。
【0180】
第6の広範な実施形態の他の実施形態では、前記透過率値は、前記第1のポートと前記第2のポートとの間のものであり得る。
【0181】
第6の広範な実施形態の他の実施形態では、前記第1のポートおよび前記第2のポートは、実質的に、前記複数の流体流路の対向する端部および/または前記複数の形成されたブレンド収着剤構造の対向する端部に配置することができる。
【0182】
第6の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、および/またはSOx耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0183】
第6の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、SOx耐性収着剤、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NOx不耐性収着剤、および/またはSOx不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0184】
第6の広範な実施形態の他の実施形態では、前記収着剤接触器は、並列流路収着剤接触器である。
【0185】
第7の広範な実施形態では、少なくとも第1の分子および第2の分子を含むガス流を分離するための収着ガス分離プロセスは、複数の形成されたブレンド収着剤構造を有する収着剤接触器を提供すること、前記収着剤接触器の第1のポートまたは第2のポートに前記ガス流を流入させること、少なくとも前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料を有する前記形成されたブレンド収着剤構造の上および/または中に前記第1の分子の少なくとも一部を収着すること、前記収着剤接触器の前記第1のポートまたは前記第2のポートから、前記第2の分子が濃縮された第1の生成物流体を回収すること、蒸気流を前記収着剤接触器の前記第1のポートに流入させること、前記形成されたブレンド収着剤構造、前記1つ以上の第1の収着剤材料、および前記1つ以上の第2の収着剤材料の少なくとも1つに収着された前記第1の分子の少なくとも一部を脱着すること、ならびに前記収着剤接触器の第2のポートから前記第1の分子の少なくとも一部を回収することを備える。
【0186】
第7の広範な実施形態の一実施形態では、プロセスは、水収着熱および/または凝縮熱を生成することと、前記形成されたブレンド収着剤構造、前記1つ以上の第1の収着剤材料、および前記1つ以上の第2の収着剤材料の少なくとも1つに収着された前記第1の分子の少なくとも一部を脱着するための脱着熱として、前記水収着熱を使用することとをさらに備えることができる。
【0187】
第7の広範な実施形態の他の実施形態では、プロセスは、前記収着剤接触器の相対湿度未満の相対湿度を有するガス流を流入させ、前記収着剤接触器から水を回収すること、および/または前記収着剤接触器内に真空を適用し、前記収着剤接触器から水を回収することのうちの少なくとも1つをさらに備えることができる。
【0188】
第7の広範な実施形態の他の実施形態では、前記第1の分子は、二酸化炭素分子、硫黄酸化物分子、または窒素酸化物分子のうちの少なくとも1つであり得る。
【0189】
第7の広範な実施形態の他の実施形態では、前記第2の分子は、窒素分子または酸素分子であり得る。
【0190】
第7の広範な実施形態の他の実施形態では、前記蒸気流は、100℃~120℃の範囲の温度をさらに備える。
【0191】
第7の広範な実施形態の他の実施形態では、プロセスは、前記1つ以上の第1の収着剤材料を飽和させる量以下で、前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の一部のみを飽和させる量で、または前記1つ以上の第1の収着剤材料および前記1つ以上の第2の収着剤材料の両方を飽和させるのに不十分な量で、前記蒸気流を流入させることをさらに備えることができる。
【0192】
第7の広範な実施形態の他の実施形態では、プロセスは、前記蒸気流を流入させて、前記1つ以上の第2の収着剤材料と接触する前に前記1つ以上の第1の収着剤材料と接触させることをさらに備えることができる。
【0193】
第7の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第1の収着剤材料は、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、および/またはSOx耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0194】
第7の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NOx不耐性収着剤、および/またはSOx不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0195】
第7の広範な実施形態の他の実施形態では、前記1つ以上の第2の収着剤材料は、耐性収着剤材料、蒸気耐性収着剤、酸化耐性収着剤、NOx耐性収着剤、SOx耐性収着剤、不耐性収着剤材料、蒸気不耐性収着剤、酸化不耐性収着剤、NOx不耐性収着剤、および/またはSOx不耐性収着剤のうちの少なくとも1つである。
【0196】
第7の広範な実施形態の他の実施形態では、前記収着剤接触器は、並列流路収着剤接触器である。
【国際調査報告】