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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】アダプタと注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/46 20060101AFI20230718BHJP
   A61M 5/42 20060101ALI20230718BHJP
   A61M 5/34 20060101ALI20230718BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
A61M5/46
A61M5/42
A61M5/34
A61M5/32 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022578953
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 US2021038100
(87)【国際公開番号】W WO2021262550
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】63/042,495
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティエンチー ハン
(72)【発明者】
【氏名】イレーヌ タム
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー バークル
(72)【発明者】
【氏名】アマンダ マソッタ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066EE14
4C066FF05
4C066KK05
4C066LL22
4C066NN02
4C066NN04
4C066QQ79
(57)【要約】
注射器アセンブリは、近位端及び遠位端を有する注射器バレルと、針を支持し、注射器バレルの遠位端に結合される針ハブと、を含む。アダプタは、ハブに結合され、針はアダプタから伸びて、患者への物質として注射用の針の長さを画定する。アダプタは、注射器の直径より大きい直径を有し、患者への針の侵入深さを制御するために構成された形状及び寸法を有する遠位面と、フィンガーグリップを形成する近位面と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器アセンブリであって、
近位端及び遠位端と、針ハブと、前記針ハブの前記遠位端から延びる針と、を有する注射器と、
前記針ハブに結合されたアダプタであって、前記アダプタは、前記針を受け入れ、前記針の有効な長さを画定する軸方向通路と、前記針が患者の皮膚を貫通し、前記針の皮膚への侵入深さを制限するときに、前記患者の皮膚に接触するための前記針の周りの遠位端面と、を有し、前記アダプタは、前記注射器アセンブリに対して遠位力を加えるためのフィンガーグリップを形成する寸法の近位面を有する、アダプタと、
を備える、注射器アセンブリ。
【請求項2】
前記アダプタが、前記針ハブに固定される、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項3】
前記アダプタは、前記ハブと一体的に形成される、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項4】
前記アダプタは、前記注射器の幅よりも大きい直径を有する、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項5】
前記アダプタが、前記針を受け入れる軸方向通路を有する中央支柱と、前記中央支柱から半径方向外側に離間される環状外側部分であって、前記中央支柱と前記環状外側部分との間に環状凹部を画定する環状外側部分と、を備える、請求項4に記載の注射器アセンブリ。
【請求項6】
前記支柱が、前記環状外側部分の軸方向長さよりも大きい軸方向長さを有することにより、前記支柱が、前記環状外側部分に対して遠位に延在する、請求項5に記載の注射器アセンブリ。
【請求項7】
前記支柱が、実質的に平坦な遠位面を有し、前記環状外側部分が、前記支柱の前記遠位面に対して、実質的に平行に配向された、実質的に平坦な遠位面を有する、請求項6に記載の注射器アセンブリ。
【請求項8】
前記環状外側部分が、前記外側部分の前記遠位面に対して傾斜した角度で配向された傾斜した外縁を有する、請求項7に記載の注射器アセンブリ。
【請求項9】
前記アダプタが、前記注射器の前記ハブと結合するための開放近位端を有する本体と、前記本体の直径よりも大きい直径を有する遠位端部分と、を有する、請求項1に記載の注射器アセンブリ。
【請求項10】
前記支柱が、実質的に平坦な遠位面を有し、前記外側部分が、前記支柱の前記遠位面に対して、実質的に平行に配向され、前記支柱の前記遠位面と同一平面上に配向された実質的に平坦な遠位面を有する、請求項5に記載の注射器アセンブリ。
【請求項11】
前記中央支柱は、凸状遠位面を有する、請求項5に記載の注射器アセンブリ。
【請求項12】
前記凸状遠位面が、前記環状外側部分の遠位面に対して遠位に配向される、請求項11に記載の注射器アセンブリ。
【請求項13】
注射器アセンブリであって、
近位端及び遠位端と、針ハブと、前記針ハブの前記遠位端から延びる針と、を有する注射器と、
前記針ハブに固定されたアダプタであって、前記アダプタは、前記針を受け入れ、前記針の有効な長さを画定する軸方向通路と、前記針が患者の皮膚を貫通し、前記針の皮膚への侵入深さを制限するときに、前記患者の皮膚に接触するための前記針の周りの遠位端面と、を有し、前記アダプタの前記遠位端面は、前記針の周りの中央支柱と、前記支柱から半径方向外側に離間される環状外側部分と、前記支柱と前記環状外側部分との間に環状凹部と、を備え、前記アダプタは、フィンガーグリップを形成する寸法の近位面を有する、アダプタと、
を備える、注射器アセンブリ。
【請求項14】
前記中央支柱は、前記針の周りに凸状遠位面を有する、請求項13に記載の注射器アセンブリ。
【請求項15】
前記環状外側部分が、実質的に平坦な遠位面を有する、請求項14に記載の注射器アセンブリ。
【請求項16】
前記中央支柱の前記遠位面が、前記環状外側部分の前記遠位面の遠位に配向される、請求項15に記載の注射器アセンブリ。
【請求項17】
前記環状外側部分が、凹状遠位面を形成する遠位面を有する、請求項13に記載の注射器アセンブリ。
【請求項18】
前記環状外側部分の前記遠位面は、前記アダプタに対して近位方向に傾斜し、前記環状凹部に対して内側に傾斜する傾斜方向を有する、請求項17に記載の注射器アセンブリ。
【請求項19】
前記環状外側部分が、前記環状外側部分の遠位端を画定する周縁部を有し、前記中央支柱が、前記周縁部の平面と同一平面上に配向された軸方向面を有する、請求項18に記載の注射器アセンブリ。
【請求項20】
前記中央支柱は、実質的に平坦な遠位面を有する、請求項19に記載の注射器アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月22日に出願された米国仮特許出願シリアル番号63/042,495の優先権を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、皮膚接触面を制御するために提供し、針の侵入深さを制限し、吸引中に注射器を取り扱い、及び、注射針の露出部分の長さを変更するためのアダプタを有する注射器アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
4mm~6mmの範囲の針の長さは、投薬を患者に注射するために一般的に使用される。いくつかのデバイスの針は、容器又はバイアルに挿入され、吸引するのに十分な長さを有する。針の長さは、貫通を確実にし、針が曲がるリスクを減らすために、針がバイアル内の隔壁を直線で貫通することを必要とする。
【0004】
患者の皮膚への針の挿入は、針サポートの特徴または構造ではなく、主に針の特徴によって決定される。患者の皮膚への針の挿入は、一般的に、注入深さに影響を与える3つの段階に分類される。第1の段階は、皮膚と針の最初の接触に対応し、皮膚の表面に穴をあけることなく組織が変形する。第2の段階は、針の挿入力が停止したときにおける皮膚の穿刺及び皮膚の弛緩を示す。第3の段階は、針を抜くときに皮膚を外側に引っ張ったり伸ばしたりする。
【0005】
約4mm~6mmの長さを有する針などの針の長さは、皮下領域の指定された目標深さに薬物を注入するように適合されている。本発明は、針を所望の目標深さまで一貫して挿入できる構造を提供する。送達装置の一例は、ハブから延びる軸方向の支柱に支持されたカニューレを含む。支柱は、狭い部分と、注入中に皮膚に接触しない比較的広い基部と、を形成する。当該技術分野で知られている他の装置では、注射部位に対して配置されるハブの遠位面は、比較的大きくてもよく、端部にわずかなテーパを備えてもよい。カニューレが患者の皮膚の表面に対してある角度で挿入されたときに、ハブの端部は、皮膚と係合することができる。
【0006】
針の注射または抜去中に、支持構造が皮膚に接触しないような様々な注射装置が製造されている。他の装置は、患者への侵入深さを制限するために、装置の端面が皮膚表面に接触するように配置されることが提案される。
【0007】
注射は、皮膚の皮内領域、皮下領域、および筋肉内(IM)領域で実行され得る。インスリンを含む多くの種類の注射可能な薬物治療では、SC領域が注射の投与に好ましい。
【0008】
従来の装置は一般的に意図された用途に適しているが、選択された標的領域に薬物または薬剤を送達するためのカニューレの穿刺の深さを制御するための改善された装置が、引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、患者に薬剤を注入するための注射器バレルと注射針とを有する注射器アセンブリに関する。一実施形態では、注射器は、ユーザによる挿入力によって患者の組織などの表面への針の侵入深さを制御するための形状及び構成を有する遠位端を含む。注射器の遠位端は、充填および吸引のためにバイアル内の隔壁を通して針を挿入する際に、ユーザが注射器を取り扱うのを補助する形状及び構成を有することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態における注射器アセンブリは、注射器バレルと、注射器バレルの遠位端から延びる針又はカニューレとを含む。注射器バレルは、患者に薬剤を注入するために軸方向に延びるカニューレ又は針を有する遠位端又は注射器バレルの遠位端を形成する端部材を含む。遠位端は、針が患者の皮膚に挿入されたときに、患者の皮膚に接触するための軸方向端面を含む。軸方向端面は、注入時の皮膚表面の伸縮や輪郭を制御することで、針の皮膚への侵入深さを制御する寸法や輪郭を提供する構成を有している。注射器バレルの遠位端には、ユーザが、注射針をバイアルの隔壁に通して注射器に充填することを可能にする、半径方向に延びるフランジ又は他の部材を有することができる。フランジは、針をバイアルの開口部に軸方向に整列させ、針を隔壁の面に対して垂直に方向付け、針の隔壁への斜め挿入に抵抗することを支援することができる。
【0011】
一実施形態では、注射器は、注射器バレルとプランジャを含み、注射器バレルは、針又はカニューレを支持する遠位端を有する。注射器バレルの遠位端は、注射器バレルの直径よりも大きな直径を有する軸方向表面を有する。遠位端は、皮膚接触面を形成する凸状の輪郭形状、又は、凹状形状を有する遠位面を有することができる。凸状形状は、軸方向面の外周面から軸方向に突出する針の基部周辺の中央支柱を有する。凹状形状は、外周面の近位に間隔を置かれた針の基部の周りに中央支柱を有する。
【0012】
別の実施形態では、注射器は、針の周りに環状凹部を有する凸状の輪郭形状からなる軸方向面を有する遠位端を備える注射器バレルを含む。環状凹部は、針から半径方向外側に、及び、軸方向面の環状外周面から半径方向内側に離間される。
【0013】
一実施形態における注射器は、針を支持する中心に位置する支柱と、支柱を囲み、支柱から間隔をあけて遠位面上に環状凹部を形成する環状形状部分と、を有する遠位面を有する。支柱は、環状形状部分から軸方向に延びる長さを有し、環状形状部分の表面の前に、注入時に皮膚の表面に接触する面を形成する。
【0014】
注射器アセンブリの他の特徴は、針を支持する遠位端を有する注射器バレルと、注射器バレルの遠位端に結合されたアダプタ部材とである。アダプタ部材は、注射器バレルと一体的に形成することも、注射器バレルに取り付けられる別部材として形成することも可能である。アダプタ部材は、摩擦又は干渉嵌合によって、注射器バレルの遠位端に結合することができ、又は、溶接などの接着又は接着剤によって、注射器バレルの遠位端に固定することができる。
【0015】
その特徴は、基本的に、近位端と遠位端を有する注射器バレルと、注射器バレルの遠位端で針を支持するハブと、針を囲む軸方向表面を含む注射器アセンブリによって達成される。軸方向表面は、注射器バレルの直径よりも大きな直径を有し、患者の皮膚への針の侵入深さを制御するために、皮膚に接触するための輪郭と構成を有している。
【0016】
注射器の特徴は、近位端及び遠位端を有する注射器バレル、針を支持し、注射器バレルの遠位端に結合されたハブ、及び、注射器バレルのハブに結合されたアダプタを含む。アダプタは、注射器バレルのハブに結合するための近位端と、針を囲む皮膚接触面を形成する遠位端を有する。アダプタは、針を囲む遠位軸方向表面を有し、皮膚接触面を形成する凸形状を有する。一実施形態では、アダプタの軸方向表面は、軸方向に延び、針の基部を取り囲む内側中央支柱と、支柱から間隔をあけ、凸状の周面を有する環状外側部分と、を備える。支柱の遠位端は、アダプタの遠位面の凸形状から、外側部分から遠位方向に間隔をあけて配置される。このアダプタは、ユーザが注射器を把持し、注射器に充填するためにバイアルの隔壁を貫通するための軸方向力を加えることができる形状及び寸法を有する近位面を有する。
【0017】
注射器アセンブリは、針と、注射器バレルの遠位端が凹形状を有する皮膚接触面を形成する遠位端とを有する注射器バレルを有することもできる。注射器バレルの軸方向表面は、針の基部を囲む内側部分と、内側部分に対して軸方向外側に間隔を空けて配置される外周表面と、を有することができる。
【0018】
さらなる実施形態において、注射器アセンブリは、針を支持する遠位端と、患者への針の注射の間に、皮膚接触面を形成する軸方向表面とを有する注射器バレルを備え、軸方向表面は、針を囲む平坦な環状表面を有する内側部分と、内側部分から半径方向外側に空間を有し、内側部分の平坦表面の平面内に配向した平坦軸方向表面を有する外周表面と、を備える。
【0019】
注射器アセンブリのこれらおよび他の特徴は、図面と併せて、注射器アセンブリの様々な実施形態を開示する以下の発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下は、図面の簡単な説明である。
図1図1は、一実施形態における注射器アセンブリの斜視図である。
図2図2は、図1の注射器アセンブリの側面図である。
図3図3は、注射器アセンブリの分解側面図である。
図4図4は、注射器アセンブリの分解斜視図である。
図5図5は、注射器アセンブリの断面における側面図である。
図6図6は、注射器アセンブリの断面における分解側面図である。
図7図7は、アダプタの断面における拡大側面図である。
図8図8は、注射中の注射器アセンブリの側面図である。
図8A図8Aは、指がバイアルの隔壁を貫通するために直線的な力を加える様子を示す注射器アセンブリの側面図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る注射器アセンブリの斜視図である。
図10図10は、図9の注射器アセンブリの側面図である。
図11図11は、図9の注射器アセンブリの分解図である。
図12図12は、図9の注射器アセンブリのアダプタの端面図である。
図13図13は、図9の注射器アセンブリの断面における側面図である。
図14図14は、図9の注射器アセンブリのアダプタの断面図である。
図15図15は、図9の注射器アセンブリの断面図である。
図16図16は、図9の注射器アセンブリのアダプタの底面斜視図である。
図17図17は、注射中の皮膚の変形を示すアダプタの側面図である。
図18図18は、他の実施形態における注射器アセンブリの斜視図である。
図19図19は、図18の注射器アセンブリの側面図である。
図20図20は、図18の注射器アセンブリの分解斜視図である。
図21図21は、アダプタを断面で示す、注射器アセンブリの分解側面図である。
図22図22は、図18の注射器アセンブリのアダプタの上端図である。
図23図23は、図18の注射器アセンブリの拡大側面図である。
図24図24は、皮膚への挿入中の針を示す注射器アセンブリの側面図である。
図25図25は、アダプタハブのさらなる実施形態を示す側面図である。
図26図26は、図25のアダプタハブの斜視図である。
図27図27は、図25のアダプタハブの上端面図である。
図28図28は、図25のアダプタハブの断面図である。
図29図29は、図25のアダプタハブの斜視図である。
図30図30は、バイアルに結合された注射器アセンブリの立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の注射器アセンブリは、患者に薬物などを注入するための注射器バレルと針又はカニューレを指す。針およびカニューレという用語は、本明細書では互換的に使用され、対象の注射部位に挿入するための鋭い端部を有する薄い管状部材を指す。遠位方向は、注射器アセンブリの注入端に向かう方向であり、近位方向は反対方向である。軸方向は、針及び針ハブの長手方向軸に沿った、又は、それに平行な方向を指し、半径方向は、軸方向に垂直な方向を指す。
【0022】
注射器アセンブリは、薬剤及び意図された侵入深さに応じて選択された深さで患者に薬剤を注入するように構成されている。成人の皮内層は一般に約2~3mmの厚さを有し、そのため、皮内注射の深さは皮膚の外面から測定して約3mmまでの範囲である。皮下層の厚さは、患者の年齢、性別、ボディマスインデックス(BMI)、注射が行われる体の部分によって異なる。皮下領域は、約7mm~約15mmの平均厚さを有する。インスリンは、好ましくは皮下領域に送達されることができる。
【0023】
注射器は、注射のための方法、インスリンなどの薬剤を患者に注入するための方法に適している。実施形態の説明は、本発明を限定するものと見なされるべきではない。本開示は、当業者が、本発明の範囲から逸脱することなく、記載された本発明の変形を実施できるようにすることを意図している。本明細書および特許請求の範囲における本明細書の数値限定は、「約」という修飾語句によって限定されると理解され、同等の結果をもたらす小さな逸脱は本発明の範囲内である。一実施形態または独立請求項に関連して開示された特徴または従属請求項の制限は、本発明の範囲から逸脱することなく、別の実施形態または異なる独立請求項と組み合わせてもよい。
【0024】
この開示は、その適用において、以下の説明に示されるか、または図面に示される構成の詳細および構成要素の配置に限定されない。本明細書の実施形態は、様々な方法で修正、実施、または実行することができる。また、本明細書にて使用される表現、および用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとみなすべきではないことが理解されよう。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、およびそれらの変形例の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物に加えて。追加のアイテムを包含することを意味する。特に限定されない限り、本明細書における「接続された」、「結合された」、および「据え付けられた」という用語、およびそれらの変形例は、広範囲に用いられ、直接的および間接的な接続、結合、および取り付けを包含する。追加的に、「接続された」および「結合された」という用語、およびそれらの変形例は、物理的または機械的な、接続または結合に限定されない。さらに、上、下、下、上などの用語は相対的であり、図示を助けるためのものであるが、限定するものではない。実施形態は相互に排他的であることを意図しておらず、一実施形態の特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、他の実施形態と組み合わせることができる。「実質的に」、「約」および「約」のような程度の用語は、当技術分野に熟練した者によって、所与の値の周囲およびそれを含む合理的な範囲、ならびに所与の値の外側の範囲、例えば、実施形態の製造、組立、および使用に関連する一般的な許容範囲を指すように理解される。構造または特性を指す場合の「実質的に」という用語は、構造内に大部分または完全に存在する特性を含む。
【0025】
図面を参照すると、注射器アセンブリ10は、近位端14及び遠位端16を有する注射器バレル12と、薬剤を含む内部空洞とを有する注射器を含む。近位端14は、注射器バレル12に含まれる物質を分注するための可動プランジャ18及びストッパ20を受ける。プランジャ18は、プランジャロッドと、ストッパをプランジャロッドと結合させるための遠位端結合部材とを含む。プランジャ18は、注射器バレルの内容物を吐出するために使用中にストッパを含むことが理解されるが、ストッパは、明確にするために特定の図に示されていない。図1及び図2に示すように、注射器バレル12は、近位端に、ユーザのための指又はハンドグリップを形成するフランジ22を有する。注射器バレルの側面には、分注量を示すインジケータ24が設けられる。
【0026】
図3を参照すると、注射器バレル12は、カニューレ又は針28を支持するための遠位端にハブ26を有する。針ハブ26は、注射器バレルの遠位端から軸方向に延びる。図示の実施形態では、針ハブ26は、注射器バレルの遠位端にある実質的に円筒形の本体部分30と、注射器バレル及び本体部分30から遠位に間隔を置いた遠位部分32とを有する。図示の実施形態では、ハブ26は、注射器バレル12と一体的に形成される。注射器バレル12及びハブ26は、適切なプラスチック材料で作られ、適切な成形プロセスによって一体的に形成されることが可能である。ハブ26は、針が注射器バレルの内側空洞と針28の遠位注入端との間に流体経路を提供する針28を支持するために、軸方向に延びる、図5及び図6に示される軸方向通路を有する。針28は、接着剤又は当該技術分野で知られている他の機構によってハブ26に固定される。
【0027】
ハブ26の遠位部分32は、円筒部分30から延び、円筒部分30の幅又は直径よりも小さい幅を有する。図示の実施形態では、遠位部分は、針28を支持するための軸方向通路を有する中央部分と、遠位部分から外側に延びる半径方向に延びるリブ34とによって形成される。図示の実施形態では、円筒部分30から半径方向外側にかつ軸方向に延びる3つのリブ34が設けられる。リブ34の遠位端は、ハブと針の中心に向かって収束する傾斜した軸方向端面36を有する。図3に示すように、リブ34は、円筒部分30の外径寸法よりも小さい径方向寸法を有し、注射器バレル12の外径寸法よりも小さい径方向寸法を有している。
【0028】
図示の実施形態では、注射器アセンブリ10は、ハブ26に結合されたアダプタ40の形態の遠位端部材を含む。アダプタ40は、接着剤、摩擦嵌合、又は、干渉嵌合などの適切な機構によってハブ26に結合することができる。さらなる実施形態では、アダプタ40は、適切な成形プロセスによってハブ26と一体的に形成することができる。一実施形態では、アダプタ40は、注射器アセンブリが一体ユニットとしてエンドユーザに届けられるように、製造時にハブ26と注射器バレル12に固定される。
【0029】
外側針カバー42は、使用可能な状態になるまで針28を覆うように設けられる。図示の実施形態における外側カバー42は、閉鎖遠位端46及び開放近位端48を有する、実質的に円筒形の本体44を有する。図5に示す実施形態では、閉鎖遠位端46は、ユーザが外側カバーを把持するのを助けるために、本体44の外側寸法よりも大きい寸法を有する。本体44は、アダプタ40と結合するために構成された寸法を有する内部空洞50を有する。図6に示すように、空洞50の内面には、アダプタ40との摩擦嵌合を実現するための複数の環状リブ52が含まれる。外側カバー42は、ユーザがアダプタ40に着脱可能な、可撓性又は剛性のあるプラスチック材料で作ることができる外側カバー42は、アダプタに結合され、使用前と使用後に針を覆い、不用意な針刺しを抑制することができる。外側カバーは使用中に取り外し、使用後に取り替えてから使用済みの注射器アセンブリを廃棄することができる。
【0030】
針28は、典型的には、注射器バレルの内容物を患者に注入するための管腔及び鋭利な先端を有するステンレス鋼針又はカニューレである。針28は、意図された注射及び送達に適したゲージ(gauge)を有することができる。針は、30~36ゲージが使用できる。一実施形態では、針28は、32~35ゲージとすることができる。別の実施形態では、針は34ゲージとすることができる。
【0031】
針28は、薬物の意図された侵入深さ及び送達を得るために、意図された注射に適した露出した長さ又は有効な長さを有することができる。アダプタ40の遠位端から延びる針28の露出した長さは、約3.5mm~約12.7mmとすることができる。一実施形態では、針は、約4.0mm~約6.0mmの露出した長さを有する。別の実施形態では、針は、約4.0mm~約4.1mmの露出した長さを有することができる。針28は、注射器バレルの空洞から、アダプタ40を通って、患者に送達される薬物に応じて選択された深さまで皮膚を貫通する所望の長さでアダプタから延在する露出部分を有する長さを有している。注射器アセンブリは、特に、針の長さが約4.0mm~約4.5mmと短い場合に適している。
【0032】
図5及び図6を参照すると、アダプタ40は、注射器バレル12のハブ26と結合し、注射中に患者の皮膚に接触して、患者の皮膚への針の侵入深さを制限するための表面を提供するために構成される。アダプタ40は、注射器バレルの遠位端と一体的に形成することができる。アダプタ40は、ハブ26と結合するための本体54と、遠位端部分56とを有する。遠位端部分56は、使用中に患者の皮膚に接触するための遠位面及び近位面を有する。
【0033】
図5図6及び図7に示すような本体54は、内側空洞58及び近位端60を有する実質的に円筒形状の壁を有する。内側空洞58は、注射器に結合するための形状及び構成を有する。図示の実施形態では、本体54の外面は、使用中にユーザが注射器アセンブリを把持するのを支援するために、長手方向に延びるリブ62を含む。内側空洞58は、本体の近位端に、ハブ26の円筒部30の外径寸法を補完する寸法の円筒内面64を有する。本体54は、接着又は溶接によって円筒部分30に結合され、本体54をハブ26に固定することができる。他の実施形態では、本体54は、摩擦嵌合又は干渉嵌合によってハブ26に結合され得る。図6に示すような空洞58は、リブ34の角度の付いた遠位端36を受けるためのテーパ面66を有する遠位端を有する。図示のように、空洞58は、針ハブの形状及び寸法を補完する形状及び寸法を有し、ハブに対するアダプタの確実な嵌合を提供する。注射器の針ハブは、図示された実施形態とは異なる形状及び構成を有することができる。アダプタの空洞は、特定の注射器と針ハブの形状に対応する形状と構成を有する。
【0034】
アダプタ40の遠位端部分56は、本体54から軸方向遠位方向及び本体54に対して半径方向に延びて、注射器バレルの周りに半径方向フランジを形成する。遠位端部分56は、内側支柱68と、環状又は円形の形状を有する環状外側部分70と、を有する。環状外側部分70は、支柱68から半径方向外側に間隔をあけて配置され、環状凹部78を形成する。支柱68が、アダプタ40及び外側部分70から遠位方向に軸方向に延び、軸中心に配向される。図示の実施形態における支柱68は、円筒側壁72と、軸方向遠位端面74と、軸方向通路76と、を備える。図6に示す実施形態では、軸方向遠位端面74が、実質的に平坦であり、支柱の長手方向軸に実質的に垂直な平面内に配向される。軸方向通路76は、図5に示すように、針28が軸方向通路76を通って延びるように、ハブ26の軸方向通路と整列する。軸方向通路76は、針28を受け入れるための直径を有し、使用中に曲がる危険性を減らすために針を安定させる。図6に示すように、軸方向通路76は、遠位端面74からアダプタ40の本体54の空洞58まで延びる。一実施形態では、針は、軸方向通路の内面に固定されていない。
【0035】
環状外側部分70は、支柱68と環状外側部分70との間に環状凹部78を形成するために、支柱68から半径方向外側に間隔をあけて配置される。環状凹部78は、外側カバー42を受けるための半径方向の幅を有し、注射中にアダプタの遠位面が患者の皮膚に押し付けられると、皮膚の一部が凹部内に伸びる起伏を形成するようになっている。支柱68は、外側カバー42が摩擦嵌合によって支柱68に結合できる外側カバー42の本体44の内側寸法を補完する外側寸法を有する。
【0036】
環状外側部分70は、ハブ26よりも大きい遠位接触面を提供するために、本体54の直径よりも大きい直径を有する。図6に示すように、環状外側部分70は、支柱68の端面74から半径方向外側に間隔を置いた遠位端面80を有する。支柱68は、支柱68の端面74が外側部分70の端面80から遠位に配向されるように、外側部分70の長手方向寸法よりも大きい長手方向長さを有する。一実施形態では、支柱68は、支柱68の軸方向端面74と外側部分70の軸方向端面80との間に約1~2mmの距離を有する軸方向間隔を提供するために、外側部分70から遠位に突出している。ポストの遠位面は、遠位端が皮膚に対して押されたときに皮膚の伸縮及び変形を制御するために、実質的に凸状の皮膚接触面を形成するように環状外側部分の遠位面の遠位に配向される。
【0037】
図示の実施形態における外側部分70の端面80は、実質的に平坦であり、支柱68の端面74の平面と実質的に平行な平面内に配向される。外側部分70は、アダプタ40の長手方向軸に平行に延びる環状側面82と、側面82と端面80との間に延びる面取りの傾斜面84とを有する。面取り面84が、アダプタ40の長手方向軸に対して約40°~50°、好適には、約45°の角度で配向され得る。一実施形態では、面取り面は、実質的に平坦な角度の表面である。図7に示す実施形態では、側面82は丸みを帯びた形状を有する。他の実施形態では、側面は、アダプタの長手方向軸に平行に配向された平坦な面とすることができる。図示の実施形態では、アダプタ40の遠位端部分56の下面には、端部分の周囲に複数の凹部88が設けられる。
【0038】
外側部分70は、針の挿入時の皮膚の変形の形状や深さを制御し、針の侵入深さを制御するように、皮膚の表面に接触する寸法を有する。外側部分70は、外側部分が患者の皮膚に接触したときに、皮膚の変形の形状及び深さを決定するように選択された、直径及び軸方向長さを有することができる。外側部分70は、アダプタの外形寸法と、アダプタの皮膚接触面を画定する。環状外側部分70は、10.0mm~約30.0mmの範囲の直径を有する。一実施形態では、外側部分は、約10.0mm~約20.0mmの直径を有する。側面82の底部、近位端と軸方向端面74との間の軸方向長さは、約2.0mm~約6.0mmの範囲とすることができる。一実施形態では、側面82と面取り面84の組み合わされた軸方向長さは、約3.0mm~約5.0mmである。
【0039】
アダプタ40の外側部分70は、本体54から環状外側部分70の外縁まで延在する近位面88を有する。図示の実施形態における近位面88は、ユーザが注射器アセンブリ10を把持して操作することを支援する構成及び寸法を有する湾曲した凸形状を有する。示される実施形態において、近位面は、滑り抵抗性表面を提供するために、複数の間隔を空けて配置された凹部89を含む。凹部は、実質的に長方形の構成を有するものとして示されているが、他の形状を提供することもできる。近位面は、バイアルから注射器に充填する際に、ユーザが把持するためのフランジを形成する形状を有する。図8Aに示すように、ユーザは、バイアルを手のひらで保持しながら、本体54の近位面の反対側にある人差し指91及び中指93を配置することができる。次に、指は、針28がバイアル97の隔壁95を軸方向に貫通することができる注射器アセンブリに、実質的に直線的な力を加えることができるので、針は充填及び吸引のために隔壁を通過することが可能である。アダプタ40と外側環状部70の寸法は、隔壁とバイアルの軸に平行に針を配置し、針に直線的な力を加えることでユーザを支援する。バイアルと隔壁に軸方向の直線的な力を加えることで、針先が隔壁とバイアル内部を貫通し、注射器に充填されるようになる。この直線的な力によって、注射器が充填できないように、針の先端がバイアルの内容物に到達しない隔壁を完全に通過しない傾斜角度で、針が隔壁を貫通する可能性を低減する。また、直線的な力により、針が曲がる可能性も提言する。近位面88は、患者への針の挿入中に挿入力を加えるため、また注射中に注射器を安定させるために、ユーザが近位面に指を置くことによっても使用することが可能である。
【0040】
使用時には、外側カバー42をアダプタ40の先端から取り外し、針を露出させる。注射器は、あらかじめ充填されているものでも、使用時にユーザが吸引して充填するものでもよい。図8に示すように、ユーザがバイアルを手のひらで持ち、指がアダプタの近位側に対して挿入力を加え、針が隔壁を貫通するバイアルに向かって注射器を引っ張ることによって、注射器を充填することができる。針28は、図8に示すように、アダプタの表面が皮膚に接触する深さまで、患者の皮膚86に導入される。アダプタ40の遠位面は、制御された深さと幅のくぼみを形成するために、典型的な挿入力の下で皮膚の表面を変形させる幅と曲率を有し、それによって針の侵入深さを選択された深さに制御することができる。アダプタの遠位面の幅は、挿入力をより大きな面積に分散させ、遠位面による皮膚の変形の深さを制限する。針が皮膚を貫通すると、アダプタ40の支柱68が皮膚に接触し、支柱の寸法に適合した窪みが形成される。挿入力を継続すると、アダプタの環状外側部分70が皮膚に接触するまで、皮膚の一部が変形して環状凹部内に伸びる。外側部分の外側側縁部の平坦面と角度は、皮膚表面の窪みを形成し、皮膚の表面領域に亘って挿入力を分散させ、皮膚の窪みの深さを制限し、針の侵入深さを制限することができる。
【0041】
注射器アセンブリ90の別の実施形態が、図9図17に示される。注射器アセンブリ90は、注射器バレル12と、アダプタ92と、針カバー42と、を含む。注射器バレル及び針カバーは、先の実施形態と実質的に同じであるので、明確さと一貫性のために、部品は同じ参照番号で識別される。
【0042】
先の実施形態と同様に、アダプタ90は、注射器バレル12のハブ28に結合される。アダプタ90は、摩擦嵌合、干渉嵌合によって注射器バレルのハブ28に結合されるか、接着剤又は溶接によって恒久的に固定されることが可能である。アダプタ90は、通常、製造時に注射器バレルに恒久的に固定され、一体的に形成されたユニットとしてエンドユーザに引き渡される。さらなる実施形態では、アダプタは注射器バレル上に、又は注射器バレルと一緒に成形され、一体アセンブリを形成することができる。
【0043】
図10~16を参照すると、アダプタ90は、注射器のハブに結合し、針28の貫通深さを制限するための表面を提供するように構成される。図10に示すように、アダプタ90は、近位端の本体94と、遠位端部分96と、を有する。本体94は、軸方向通路100を形成する開放近位端98を有する実質的に円筒側壁96を有する。軸方向通路100は、アダプタ90を注射器バレルに結合するためのハブ26の円筒部分30の外径寸法を補完する寸法を有する内面102を有する。軸方向通路の内面102は、遠位端で収束して、傾斜したテーパ面104を形成する。軸方向通路100は、遠位端部分96で収束して、図13に示すように、軸方向通路100の直径よりも小さく、針が通過するのに十分な直径を有する通路106を形成する。図示の実施形態では、針はアダプタ90を貫通して延び、アダプタに固定されていない。軸方向通路100は、針を安定させ、使用中に針が曲がるのを抑制するために針を受ける。
【0044】
遠位端部分96は、本体94と一体的に形成され、注射中に拡大された皮膚接触面を画定するために、本体94の直径よりも大きい直径を有する。遠位端部分96の軸方向通路106は、アダプタから軸方向に延びる中央支柱108を通って延びている。環状外側部分110は、支柱108を取り囲み、半径方向外側に距離を置いて環状凹部112を形成する。支柱108は、針カバー42をアダプタ90に接続するために、針カバー42の内径と相補的な外径を有する。図示のような支柱108は、針28に隣接して実質的に平坦な軸方向面118を有する。軸方向面118の外周縁部には、環状凹部112に開放された段差部分120が設けられる。
【0045】
図示の実施形態における環状外側部分110は、注射器バレル及びアダプタの長手方向軸に実質的に平行に配向された実質的に円筒側面114を有する。図示のように、側面114は滑らかであり、滑らかで連続的な曲率を有する本体94と収束する。環状外側部分110は、軸方向面116がアダプタ92に対して近位方向で支柱108に向かって内側に傾斜する凸形状を形成する軸方向面116を有する。軸方向面116は、環状凹部112において、外周縁部122から内側縁部124まで延びる。外周縁部122は、注射中に患者の皮膚と最初に接触させるためのアダプタ92の遠位面を形成する。図15に示すように、支柱110の軸方向面118は、外周縁部122によって形成される外側部分の遠位縁と同一平面上に配向される。
【0046】
図示の実施形態では、軸方向面116の外周縁部122は、軸方向面116と側面114との間に延在する丸みを帯びたプロファイルを有する。軸方向面116は、実質的に平坦な傾斜した構成を有する。複数の凹部126が軸方向面に形成され、注射の際に患者の皮膚を変形させるのを補助する。
【0047】
アダプタ92は、針の挿入深さを制御するために、患者の皮膚に接触するのに十分な直径を有する円形の構成を有する。環状外側部分110の軸方向面116は、約10.0mm~約30.0mmの直径を有し得る。一実施形態では、外側部分の軸方向面116は、約10.0mm~約20.0mmの直径を有する。外側部分110の軸方向面116と支柱108の軸方向面118との間の軸方向間隔は、約2.0mm~約5.0mmとすることができる。一実施形態では、外側部分110の軸方向面116と支柱108の軸方向面118との間の軸方向間隔は、約2.0mm~約4.0mmとすることができる。針は、先の実施形態と同様の長さ及びゲージを有することができる。
【0048】
図10に示すように、アダプタ92は、ユーザのための指のグリップを形成する実質的に凸の構成を有する近位面103を有する。アダプタは、ユーザが人差し指と中指を近位面103の反対側に配置して、針が隔壁を貫通できるバイアルに挿入力を加えるのと同様の方法で、十分な直径を有する。
【0049】
使用時には、外側カバーが取り外され、注射の準備のための針28が露出される。針28は、アダプタが皮膚に接触する患者の皮膚の表面を貫通する。外周縁部122は、まず皮膚に接触し、皮膚に窪みを形成する。注射器アセンブリ90の挿入力により、図17に示すように、皮膚は支柱の軸方向面に接触し、環状凹部112とアダプタの軸方向面の凹部へと変形する。
【0050】
注射器アセンブリ130の別の実施形態が図18図24に示される。注射器アセンブリ130は、注射器バレル12、アダプタ132、及び、針カバー42を含む。注射器バレル12及び針カバー42は、先の実施形態と実質的に同じであるので、明確性および一貫性のために、部品は同じ参照番号で識別される。
【0051】
先の実施形態と同様に、アダプタ132は、注射器バレル12のハブ28に結合される。アダプタ132は、摩擦嵌合、干渉嵌合によって注射器バレルのハブ28に結合されるか、接着剤又は溶接によって恒久的に固定されることが可能である。一実施形態では、アダプタ132は、製造時に注射器バレルに恒久的に固定され、一体的に形成されたユニットとしてエンドユーザに引き渡される。さらなる実施形態では、アダプタは注射器バレル上に、又は、注射器バレルと一緒に成形され、一体アセンブリを形成することができる。
【0052】
図20及び図21を参照すると、アダプタ132は、注射器のハブに結合し、針28の貫通深さを制限するための表面を提供するように構成される。図21に示すように、アダプタ132は、近位端の本体134と、遠位端部分136と、を有する。本体136は、軸方向通路142を形成する開放近位端140を有する実質的に円筒側壁138を有する。軸方向通路142は、アダプタ132を注射器バレルに結合するためのハブ26の円筒部分30の外径寸法を補完する寸法を有する内面144を有する。軸方向通路の内面144は、遠位端で収束して、傾斜したテーパ面146を形成する。軸方向通路142は、遠位端部分136で収束して、図19に示すように、軸方向通路142の直径よりも小さく、針が通過するのに十分な直径を有する通路148を形成する。
【0053】
遠位端部分136は、本体134と一体的に形成され、注射中に拡大された皮膚接触面を画定するために本体134の直径よりも大きい直径を有する。遠位端部分の軸方向通路148は、アダプタから軸方向に延びる中央支柱150を通って延びる。環状外側部分152は、支柱150を取り囲み、半径方向外側に距離を置いて環状凹部154を形成する。支柱150は、針カバー42をアダプタ132に接続するために、針カバー42の内径と相補的な外径を有する。図示のような支柱150は、凸状の構成を有する軸方向面156を有する。支柱150の側面は、アダプタ132の長手方向軸に平行な平面内に配向された実質的に円筒形の構成を有する。
【0054】
アダプタ132は、遠位端で広くなり、近位端に収束する直径を有する。図19及び図21に示すように、アダプタ132の外面は、注射中にユーザを支援するための環状リブ162を形成するアダプタの周りの複数の環状凹部160を有する近位側を有する。アダプタは、近位面がユーザによって把持されるための寸法を有する直径を有する。環状凹部160及びリブ162は、図8Aに示される実施形態と同様の方法で注射器を充填するためにバイアルの隔壁を通して針を押すために、ユーザがアダプタの近位面の反対側に人差し指及び中指を配置できる寸法でフィンガーグリップを形成する。
【0055】
図21に示される実施形態におけるアダプタの環状外側部分154は、支柱150の遠位面156から半径方向外側に間隔を置いて配置された実質的に平坦な遠位面158を有する。図示の実施形態では、支柱150は、環状外側部分154に対して、遠位方向に軸方向に延びる。図21に示すように、支柱150の凸状の軸方向面156は、環状外側部分152の軸方向面から遠位方向に突出する。一実施形態では、支柱150の凸状の軸方向表面全体は、支柱150の円筒側面の一部が環状外側部分152の軸方向面158の遠位に延びるように環状外側部分154の軸方向面より遠位に配向される。
【0056】
アダプタ132の遠位面は、注射中に皮膚接触面を形成し、制御された方法で皮膚の表面を変形させて針の侵入深さを制限するための寸法を有する。アダプタ132の遠位面は、約10.0mm~約30.0mmの直径を有し得る。一実施形態では、アダプタ132の遠位面は、約10.0mm~約20.0mmの直径を有する。支柱150は、アダプタ132の遠位面の直径の約3分の1の直径を有することができる。一実施形態では、支柱は、約3.0mm~約6.0mmの直径を有する。支柱の遠位面は、環状外側部分の遠位面から約1.0mm~約3.0mmの距離だけ突出することができる。注射器の針は、先の実施形態と同様の長さを有することができる。アダプタの寸法も、先の実施形態と同様とすることができる。
【0057】
使用中、注射器は使用のために準備され、針は挿入力によって皮膚を貫通する。針は、アダプタの遠位面が皮膚に接触するように皮膚164の表面を貫通し、皮膚の表面を変形させ、挿入力を十分に大きな領域に亘って分散させ、皮膚の変形の深さを制限することができる。図24に示すように、アダプタの遠位面の構成は、針による貫通を補助し、貫通の深さを制御するように皮膚を引き伸ばすものである。
【0058】
図25~30に示す別の実施形態では、アダプタは、注射器の遠位端と結合するためのハブ160の形態である。ハブ160は、注射器の遠位端と結合するための本体162と、本体162の幅よりも大きな幅を有する遠位端部164とを備えた先の実施形態と同様の形状及び外形構成を有する。端部部分164の外表面は、遠位端166に向かって半径方向外側に広がる円錐形状を有する。端部部分164は、先の実施形態と同様に、ユーザが注射器を操作するのを補助するための近位表面領域を提供するための直径を有する。
【0059】
図26及び図28に示すように、ハブ160の端部部分162は、端部部分から遠位に延びる環状鍔170によって囲まれた凹部領域168を有する。環状鍔170は、遠位端166を画定し、ハブ160の軸に平行に配向された内面172を有する。
【0060】
図示の実施形態における本体162は、注射器の端部と結合するための形状及び構成を有する空洞174を有する。図示の実施形態では、空洞174は、内側円筒面176及び端面178を有する。本体162は、先の実施形態と同様の方法で注射器に結合させることができる。軸方向通路180は、先の実施形態と同様に、針を受け入れるために空洞174から延びる。軸方向通路180は、支柱182を貫通して延びる。支柱182は、環状鍔170の遠位端166に対して凹んでいる遠位面184を有する。端部部分164は、支柱182から半径方向外側に間隔をあけて環状部分188を有し、環状凹部186を形成する。図示の実施形態では、環状部分188は、ハブの遠位面を形成し、支柱182に向かって近位方向に傾斜する。図27及び図28に示すように、環状部分188には、複数の凹部190が形成される。環状凹部186の底面は、図28及び図29に示すように、複数の凹部192を含む。
【0061】
図30は、先の実施形態と同様に、注射器に結合されたハブ160を示す。凹部領域168及び環状鍔170は、注射器の充填及び吸引中にバイアル196内の隔壁を保持するエンドキャップ194を受容する寸法を有する。鍔170は、図30に示すように、バイアル196を安定させるための軸方向の長さを有する。示されるように、凹部領域168及び遠位面は、バイアルに対して注射器及び針を安定させ、バイアル196の軸に平行な軸に沿って針で隔壁を穿孔する際にユーザを支援する。ハブの寸法は、先の実施形態と同様とすることができる。針は、先の実施形態と同様の長さ及びゲージを有することができる。
【0062】
前述の実施形態、および利点は、単に例示であり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。代替の実施形態の説明は、例示を意図したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。さまざまな修正例、代替例、および変形例は、当業者にとって明らかであり、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。異なる実施形態、および請求項の特徴は、互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせ得ることを特に留意されたい。したがって、そのようなすべての修正例は、添付の特許請求の範囲、およびそれらの均等物で定義される本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8A
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図21
図22
図23
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図25
図26
図27
図28
図29
図30
【国際調査報告】