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特表2023-531704リフトオフマスク構造体を形成するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】リフトオフマスク構造体を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20230718BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20230718BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G03F7/26 513
G03F7/20 501
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579746
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2021072499
(87)【国際公開番号】W WO2022038041
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】20192165.7
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505325040
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM AG
【住所又は居所原語表記】Schloss Premstaetten, Tobelbaderstr. 30, 8141 Premstaetten, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】パトリク パートル
(72)【発明者】
【氏名】ゲアハート アイルムシュタイナー
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
4M118
【Fターム(参考)】
2H196AA24
2H196AA25
2H196BA09
2H196LA01
2H197CA02
2H197CA03
2H197CE10
2H197HA08
2H197JA15
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118EA04
4M118GC20
4M118HA26
(57)【要約】
リフトオフマスク構造体(1)を形成する方法は、基板本体(10)を設けること、基板本体(10)の表面上に下面反射防止コーティング(BARC)層(11)を堆積させること、およびBARC層(11)上に感光性レジスト層(12)を堆積させることを含む。前記方法は、さらに、フォトマスク(20)を介してレジスト層(12)を電磁放射線(21)によって露光し、BARC層(11)およびレジスト層(12)の一部を選択的に除去するための現像液を適用することによって、その下の基板本体(10)の表面部分を露出させて、リフトオフマスク構造体(1)を形成することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフトオフマスク構造体(1)を形成するための方法であって、前記方法は、
-基板本体(10)を設けるステップと、
-前記基板本体(10)の表面上に下面反射防止コーティング(BARC)層(11)を堆積させるステップと、
-前記BARC層(11)上に感光性レジスト層(12)を堆積させるステップと、
-フォトマスク(20)を介して前記レジスト層(12)を電磁放射線(21)によって露光するステップと、
-前記BARC層(11)および前記レジスト層(12)の一部を選択的に除去するための現像液を適用することによって、その下の前記基板本体(10)の表面部分を露出させて、前記リフトオフマスク構造体(1)を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記BARC層(11)は、前記リフトオフマスク構造体(1)を形成するステップの後に、負の側壁勾配を有するアンダーカット形状(11a)によって特徴付けられる、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記レジスト層(12)は、前記リフトオフマスク構造体(1)を形成するステップの後に、正の側壁勾配を有するオーバーカット形状(12a)によって特徴付けられる、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記BARC層(11)の材料は、感光性ではない、
請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記BARC層(11)の材料は、前記電磁放射線(21)の波長において吸収性、特に高吸収性である、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記BARC層(11)の材料は、有機材料である、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記BARC層(11)の材料および前記感光性レジスト層(12)の材料は、前記電磁放射線(21)の波長において、互いに10%未満、特に5%未満異なる屈折率によって特徴付けられる、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記BARC層(11)の材料は、前記電磁放射線(21)による露光中に、前記レジスト層(12)内で相殺的干渉を引き起こす屈折率によって特徴付けられる、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記BARC層(11)を堆積させるステップは、前記基板本体(10)の前記表面上に、500nm未満、特に200nm未満の厚さでBARC材料を堆積させるステップを含む、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記感光性レジスト層(12)を堆積させるステップは、ポジ型フォトレジストを堆積させるステップを含む、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記レジスト層(12)を堆積させるステップの前に、前記BARC層(11)を焼き付けるステップをさらに含む、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記BARC層(11)の材料は、前記現像液に対して、特に等方的に可溶性である、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載のリフトオフマスク構造体(1)を形成するステップを含むプロセスに従って製造される、装置。
【請求項14】
前記装置を製造するために、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法が繰り返し適用される、
請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記方法は、多層干渉フィルタを製造するために適用される、
請求項13または14記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リフトオフマスク構造体を形成するための方法に関する。本開示はさらに、リフトオフマスク構造体を形成することを含むプロセスに従って製造される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロおよびナノ構造化技術において、リフトオフプロセスは、犠牲材料を用いて基板の表面上にターゲット材の構造体を作成、すなわちパターニングするための方法である。アディティブ技術としてのリフトオフは、構造体材料のエッチングなどのサブトラクション技術が、下にある層に望ましくない影響を与える場合に適用される、代表的な技術である。また、構造体材料に対して適切なエッチング方法が存在しない場合も、リフトオフ技術を実施することができる。
【0003】
プロセスの最初の工程において形成される犠牲リフトオフマスクの縁部は、効率的なリフトオフ手順を維持するために、負の側壁形状、すなわちアンダーカット形状であることを必要とする。こうすることにより、通常は薄い金属または誘電体層であるターゲット材を堆積させた後に、マスク中のポリマーを溶解または膨潤させる除去剤溶液が、基板-マスク界面と効率的に接触して、効率的なリフトオフを実現することができる。しかしながら、リフトオフマスクの負の側壁形状は、ターゲット材の加工寸法および間隔に大きな制限をもたらす。さらに、ターゲット材の堆積中のシャドーイング効果は、負の側壁構造を採用するリフトオフプロセスにおける一般的な欠点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、今日の解決手段の限界を克服する、リフトオフプロセスのためのリフトオフマスク構造体を形成する改良された概念を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。さらなる発展形態および実施形態は、従属請求項に記載される。
【0006】
この改良された概念は、マスク-基板界面に、負の側壁を有するアンダーカット形状に加えて、正の側壁形状を有するリフトオフマスク構造体を形成するという思想に基づく。これにより、ターゲット材の堆積後に溶剤が界面に確実に到達する一方で、間隔および加工寸法の削減が可能になり、したがって、従来の手法の制限が克服される。改良された概念は、基板上の光不感性の下面反射防止コーティング(BARC)と、その上に堆積されたレジスト層と、によって形成されたリフトオフマスク構造体によって実現される。
【0007】
特に、改良された概念によるリフトオフマスク構造体を形成するための方法は、基板本体を設けること、基板本体の表面上に下面反射防止コーティング(BARC)層を堆積させること、およびBARC層上に感光性レジスト層を堆積させることを含む。前記方法はさらに、フォトマスクを介してレジスト層を電磁放射線によって露光すること、ならびにBARC層およびレジスト層の一部を選択的に除去するための現像液を適用することによって、その下の基板本体の表面部分を露出させてリフトオフマスク構造体を形成することを含む。
【0008】
基板本体は、例えばシリコンウェハもしくはシリコンウェハの一部などの半導体基板、または例えば鏡面基板などのガラス基板である。基板本体は、基板上に堆積された機能層、例えばCMOS層をさらに含んでもよい。
【0009】
基板本体の表面、例えば上面には、基板本体の表面上に堆積される現像可能なBARCと、引き続きBARCの上に堆積される感光性レジストと、を含む2層構造が形成される。基板表面専用の前処理、例えば灰または湿式洗浄が必要であるか否かは、BARCの種類および基板表面に依存する。基板表面は、BARCの接着力とリフトオフ性とが共に損なわれない状態が理想的である。例えば、レジストと、湿式BARCなどのBARCと、の双方が、スピンコーティングによって堆積される。
【0010】
反射防止コーティングは、一般的に従来のフォトリソグラフィにおいて、レジストの露光中にレジスト-基板界面における反射率を低下させるために使用されている。パターン幾何学形状がナノメートルスケールまで連続的に縮小していくと、定在波および/または反射ノッチングの形成のような反射効果が、リソグラフィプロセスの分解能を著しく劣化させる可能性がある。さらに、BARCは、その下の構造体を平らにする、または平坦化するのを助けることができ、レジスト層のための滑らかな表面を形成することができる。
【0011】
リフトオフマスクは、BARC層およびレジスト層の一部を選択的に除去し、その下の基板本体の表面部分を露出させることにより、最終的に形成される。例えば、レジストは水銀i線リソグラフィに対応する365nmの波長のUV光などの電磁放射線によって露光され、これによりレジストの化学的性質が改良または変更される。レジストの種類、すなわちポジ型またはネガ型のレジストに応じて、レジストの露光部分または未露光部分が、引き続き現像液内で溶解および除去される。同様に、BARCは、現像液に対して、特に等方的に可溶性である。ここにおいて、露光中のBARCの化学的性質が、電磁放射線により影響または変化を受けることはない。
【0012】
現像液は、例えば、水溶液に溶解された水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)であってもよい。代替的な現像液は、水酸化カリウム(KOH)、またはメタケイ酸ナトリウム/リン酸ベースの現像液である。
【0013】
少なくとも1つの実施形態において、BARC層は、リフトオフマスク構造体を形成した後、負の側壁勾配を有するアンダーカット形状によって特徴付けられる。
【0014】
少なくとも1つの実施形態において、レジスト層は、リフトオフマスク構造体を形成した後、正の側壁勾配を有するオーバーカット形状によって特徴付けられる。
【0015】
BARCの異なる側壁形状およびポジ型レジストは、理想的なリフトオフ条件を確保しながら、シャドウイングを最小限にすることができる。第一に、BARC層の負の側壁形状により、リフトオフ溶剤は、特にターゲット材を堆積させた後に、マスク-基板界面に容易に到達することができる。第二に、レジストの正の縁部形状は、ターゲット材の堆積中、シャドーイング効果の著しい低減を可能にし、このことにより、リフトオフマスク全体が負の側壁形状を有する従来の解決手段と比較して、装置の完成品における加工間隔の大幅な低減が促進される。
【0016】
フォトダイオード間の間隔は、CCD分光計またはイメージングセンサなどの複数のチャネルを示す光感知用途に関する一般的な論点である。改良された概念は、リフトオフフォトマスクの2つの下層の異なる側壁形状を特徴とし、これにより個々のチャネル/フォトダイオード間の間隔を格段に狭くすることができ、ひいてはダイサイズが減少する。
【0017】
例えば、改良された概念を適用すれば、同じミラーを共有するいわゆるファブリ・ペロー分光計の2つのチャネル間の間隔を、既存のリフトオフ技術を用いて、約8μmから一桁減の約3μmまで削減することができる。さらに、ポジ型レジストの正の側壁は、従来の手法による堆積およびパターニングの間に観察されることが多いシャドーイング効果を阻害する。
【0018】
少なくとも1つの実施形態において、BARC層の材料は、感光性ではない。
【0019】
これらの実施形態において、BARC層は、例えば露光によりその化学的性質が変化することのない、非吸収性コーティングである。その結果、マスクの露光を、感光性レジストにとって十分に最適化することができる。このことは、2つの感光性レジスト層から形成されるリフトオフマスクを実現する従来の2層手法とは全く対照的である。この場合、両方のレジストに対して露光を最適化する必要があり、概して、リソグラフィの結果が悪くなる。
【0020】
少なくとも1つの実施形態において、BARC層の材料は、電磁放射線の波長で吸収性、特に高吸収性である。
【0021】
フォトレジストにおける露光のリソグラフィ性能は、BARCにより高められ、これにより、望ましくない効果、例えば反射ノッチングや反射によるレジスト内の定在波パターンの形成などを抑制する。
【0022】
少なくとも1つの実施形態において、BARC層の材料は、有機材料である。
【0023】
例えば、BARC層は、ポリビニルフェノール誘導体などの有機材料を介して実現される。代替的には、BARC層は、シリカ、フッ化マグネシウムおよびフルオロポリマーなどの透明材料による単一の薄い層であってもよく、またはBARC層は、シリカなどの低屈折率材料と、より高屈折率の材料と、の交互層を含んでもよい。これらの手法により、特定の波長、例えば露光波長において0.1%もの低い反射率が可能になる。
【0024】
少なくとも1つの実施形態において、BARC層の材料と感光性レジスト層の材料とは、電磁放射線の波長において互いに10%未満、特に5%未満異なる屈折率によって特徴付けられる。
【0025】
少なくとも1つの実施形態において、BARC層の材料は、電磁放射線による露光中に、レジスト層内に相殺的干渉を引き起こす屈折率によって特徴付けられる。
【0026】
BARCの屈折率は、例えばレジスト-BARC界面、およびBARC-基板界面における光反射が、相殺的干渉により打ち消されるように調整することができる。結果として、この手法は、望ましくないリソグラフィ効果、例えば、特にレジスト層内における反射ノッチングまたは定在波パターンの形成などを受けない。この態様は、リソグラフィ性能を著しく劣化させることが知られている非常に小さい構造物のパターニングに、さらに関係してくる。
【0027】
少なくとも1つの実施形態において、BARC層の堆積は、基材本体の表面上に、500nm未満、特に200nm未満の厚さのBARC材料を堆積させることを含む。
【0028】
望ましくないリソグラフィ効果の効率的な抑制は、レジスト層の露光に使用される光の波長と同じ程度またはそれよりも小さい厚さを有するBARC層によって、すでに達成可能である。さらに、薄いBARC層は、同様に薄いリフトオフマスクを生じ、ターゲット材の堆積中のシャドウイング効果を潜在的に減少させ、リフトオフプロセス全体の解像度限界を高める。
【0029】
少なくとも1つの実施形態において、感光性レジスト層を堆積させることは、ポジ型フォトレジストを堆積させることを含む。
【0030】
露光工程において、ポジ型フォトレジストの化学的性質は、照射される領域が現像液に溶解可能となるように変化する。露光の照射条件は、ポジ型レジスト層の正の側壁形状が形成されるように変更可能であり、こうすることにより、後に行われる、リフトオフ前のターゲット材の堆積工程中のシャドーイング効果が抑制される。
【0031】
少なくとも1つの実施形態において、改良された概念による方法は、レジスト層を堆積させる前にBARC層を焼き付ける工程をさらに含む。
【0032】
基板本体の表面をBARCで被覆した後、後者は、例えば、焼付けプロセスで温度処理され、これにより現像後のリフトオフマスクのより下層のエッジ形状を予め規定する。このようにして、現像後のBARC層の特定の勾配形状を得ることができる。例えば、BARC層は、現像の結果、特定の角度で負の側壁形状が生じるように温度処理される。
【0033】
一方、レジスト層のポジ面は、露光中の照射条件のみによって制御することができ、BARC層のアンダーカット形状は、前述の通り、BARCの焼付けおよび現像レシピによってのみ制御される。したがって、双方の「制御パラメータ」の間には互いに影響が全くないか、または最小であるため、2つの側壁形状はほぼ独立して、例えば個々の傾斜角について最適化することができる。
【0034】
少なくとも1つの実施形態において、BARCの材料は、現像液に対して、特に等方的に可溶である。
【0035】
BARCが、レジスト層の露光部(または非露光部)も除去する現像液によって等方的に除去される場合、BARC層が目指す負の側壁形状を得ることができる。このアンダーカットの厳密な特性は、例えば、現像レシピおよび/または現像時間の調節により、調整可能である。
【0036】
上述の課題はさらに、上述の実施形態のうちの1つによるリフトオフマスク構造体を形成することを含むプロセスに従って製造される装置によって、解決される。
【0037】
例えば、装置を製造するために、上述の実施形態のうちの1つによる方法が繰り返し適用される。
【0038】
例えば、上述の実施形態のうちの1つによる方法は、例えば鏡面基板の表面上に多層干渉フィルタを製造するために適用される。
【0039】
干渉フィルタは、複数、例えば、20~100層の材料の交互層により特徴付けられる。これらは、改良された概念によるリフトオフプロセスにより、それぞれ効率的に製造することができる。
【0040】
改良された概念による装置のさらなる実施形態は、上述のリフトオフマスク構造体を形成するための方法の実施形態から、当業者にとって明らかとなる。
【0041】
以下、例示的な実施形態の図面を説明することにより、改良された概念の態様をさらに例示し、説明することができる。同じ構造および同じ効果を有する構成要素や部品は、それぞれ同じ参照符号で表す。以下の各図において、構成要素や部品がその機能において異なる図面で互いに対応している限り、その説明は必ずしも繰り返されない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1A】改良された概念によるリフトオフマスクの中間生産物を示す図である。
図1B】改良された概念によるリフトオフマスクの中間生産物を示す図である。
図1C】改良された概念によるリフトオフマスクの中間生産物を示す図である。
図1D】改良された概念によるリフトオフマスクの中間生産物を示す図である。
図1E】改良された概念によるリフトオフマスクを示す図である。
図2】ターゲット材堆積後の、改良された概念によるリフトオフマスクを含むプロセスに従って製造された装置の中間生産物を示す図である。
図3】リフトオフ後の、改良された概念によるリフトオフマスクを含むプロセスに従って製造された、装置の完成品を示す図である。
図4】リフトオフ後の、改良された概念によるリフトオフマスクを含むプロセスに従って製造された、装置の完成品を示す図である。
図5】リフトオフ後の、改良された概念によるリフトオフマスクを含むプロセスに従って製造された、装置の完成品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1Aは、基板本体10の表面上に下面反射防止コーティング(BARC)層11を堆積させた後の、改良された概念によるリフトオフマスクの中間生産物を示す。
【0044】
基板本体10は、例えば半導体基板、例えばシリコンウェハまたはチップなどのシリコンウェハの一部である。あるいは、基板本体10は、例えば鏡面基板等のガラス基板である。基板本体10は、基板上に堆積された機能層、例えばCMOS層をさらに含んでもよい。
【0045】
BARC層11は、基板本体10の上面に、例えばスピンコートにより湿式BARCとして堆積される。BARC層11の厚さは、例えば200nm~500nm程度である。BARC層11は有機材料、例えばポリビニルフェノール誘導体で構成される。あるいは、BARC層11は、シリカ、フッ化マグネシウム、およびフルオロポリマーなどの透明材料の単一の薄い層であってもよく、またはBARC層11は、シリカなどの低指数材料とより高指数の材料との交互層を含んでもよい。任意に、BARC層11を堆積させた後に、中間生産物、特にBARC11を例えば焼付けプロセスの間に温度処理し、特定の現像液レシピに対するその応答を調整してもよい。BARC層11は非感光性である。このことは、現像液に対するその応答が、少なくとも露光中に使用される波長の光、例えばi線リソグラフィに対応する365nmの波長のUV光の影響を受けないことを意味する。
【0046】
図1Bは、感光性レジスト層12を堆積させた後の、図1Aのリフトオフマスクの中間生産物を示す。レジスト層12は、代表的なポジ型レジストであり、例えば、ジアゾナフトキノン(DNQ)と、フェノールホルムアルデヒド樹脂であるノボラック樹脂と、の混合物に基づく。ここで、ポジ型フォトレジストとは、フォトレジストの露光される部分が、フォトレジスト現像液に対して可溶性になる種類のフォトレジストであると理解される。フォトレジストの未露光部分は、フォトレジスト現像液に対して不溶性のままである。レジスト層12は、典型的には例えば450nm~1500nmの厚さで、スピンコーティングにより堆積される。
【0047】
図1Cは、フォトマスク20を介したリソグラフィ露光工程中の、図1Bのリフトオフマスクの中間生産物を示す。フォトリソグラフィを用いて、フォトマスク20のパターンがフォトレジスト層12に転写される。すなわち、フォトマスク20の不透明部分によって覆われているレジスト層12の部分は、露光放射線21の波長によって露光されることなく維持され、一方、不透明部分によって覆われていないレジスト層12の部分は、放射線21によって露光される。図示されるポジ型レジストであるレジスト層12の例において、レジスト層12の露光部分の化学的性質は、放射線21によって変更され、これらの露光部分は現像液に可溶となる。
【0048】
露光中、BARC層11は、例えば吸収および/または相殺的干渉による望ましくないリソグラフィ効果、例えばレジスト層12内の反射ノッチング、および定在波パターンの形成などを抑制する。このため、BARC層11の屈折率は、レジスト層12および/または基板本体10の屈折率に応じて調整される。例えば、上述の要素の屈折率は、互いに5%未満異なる。
【0049】
改良された概念によると、上述のようにポジ型レジストを使用する代わりに、レジスト層12としてネガ型レジストを採用することも、同様に可能である。ネガ型レジストの場合、現像後に露光部分は残る一方で、非露光部分は溶解されるため除去される。
【0050】
図1Dは、最初に行われる現像後の、図1Cに示すリフトオフマスクの中間生産物を示す。上述の通り、ポジ型レジスト層12の先に露光された部分を、現像液を使用して溶解させることにより除去する。ここでは、正の側壁形状12a、すなわちオーバーカット形状を形成することができる。正の側壁の傾斜角は、露光放射線21による露光のパラメータによって、予め定めることができる。例えば、放射線21の焦点は調整可能であり、レジスト層12内の特定の深さに設定することができる。
【0051】
図1Eは、引き続き行われる現像後の、改良された概念によるリフトオフマスク1の完成品を示す。引き続き行われる現像中、レジスト層12の上述部分を除去した後に露出するBARC層11の部分も、レジスト層12の上述部分を除去するために用いた現像液により、同様に除去される。このとき、BARC層11は現像液に対して等方的に反応する。このようにして、負の側壁形状11a、すなわちアンダーカット形状を形成することができる。負の側壁の傾斜角は、例えばレジスト層12を堆積する前のBARC層11の上述した温度処理のパラメータによって、予め設定することができる。例えば、傾斜角は約45°であり、したがって、BARC層11の厚さに対応する、またはおおよそBARC層11の厚さである、例えば約200nmのアンダーカットが形成される。
【0052】
図1Eからわかるように、基板本体10上の完成したリフトオフマスク1は、負の側壁形状11aを有するBARC層11と、正の側壁形状12aを有するレジスト層12と、によって特徴付けられる。これにより、リフトオフマスク全体に単に負の側壁形状を採用した従来の手法と比較して、著しく小さい加工間隔、すなわちリフトオフマスクにおける著しく小さい隣接する間隔を得ることができる。さらに、レジスト層12の正の側壁形状12aにより、シャドーイング等の望ましくないリフトオフ効果が抑制される。
【0053】
主に例示の目的で、レジスト層12およびBARC層11の除去は、図1Dおよび図1Eに示される順次行う方法に代えて、現像液を用いて同時に行うことが可能であると理解されるであろう。
【0054】
図2は、ターゲット材13の堆積後の、改良された概念によるリフトオフマスクを含むプロセスに従って製造された装置の中間生産物を示す。例えば、ターゲット材13は金属または誘電体である。ターゲット材13は、リフトオフマスク1、すなわちレジスト層12の残りの部分上に、およびリフトオフマスク1の現像後に形成される開口内に、均一に堆積される。構造化されたターゲット材13の縁部は、正の側壁形状で示される。これらは、完全に非等方性ではない堆積プロセスによる典型的なもので、リフトオフマスクの屋根の下に僅かな堆積を生じさせる。ターゲット材13の完全に鉛直な縁部は、リフトオフプロセスではなく、エッチングプロセスでのみ達成可能である。
【0055】
図3は、リフトオフマスク1、すなわちレジスト層12およびBARC層11を、基板本体10から完全に剥離した後の、図2の中間生産物を示す。ここでは、BARC層11の負の側壁形状11aにより、リフトオフ溶液は、妨げられることなくマスク-基板界面へ到達することができる。
【0056】
図4および図5は、改良された概念によるリフトオフマスクを含むプロセスに従って製造された装置の、さらなる例示的な実施形態を示す。図4は、リフトオフマスクの側壁形状により、より著しく小さい加工間隔が得られることを例示する。例えば、ターゲット材13は、高解像度CMOSイメージセンサのフォトダイオードなどの光学素子を形成する。
【0057】
図5は、改良された概念による複数のリフトオフプロセスを用いた、ターゲット材13の積層体の形成方法を例示する。ここでは、リフトオフ工程毎に、1層のターゲット材13が堆積される。この方法により、例えばガラス基板上に、多層型光干渉フィルタを形成することができる。そのようなフィルタは、例えば2つの異なるターゲット材13の、20~100層の交互層を含み得る。例示の目的で、ターゲット材13の側壁形状は、ここでは鉛直に保たれる。
【0058】
BARC層およびレジスト層を堆積させる正確な方法、および実際のリフトオフを行う正確な方法は、よく知られた概念であるので、本開示ではさらに詳述しない。
【0059】
さらに、改良された概念によるリフトオフマスクの使用は、光学装置の製造に限定されるものではなく、様々な種類のマイクロサイズまたはナノサイズの構造体、例えばCMOS回路の電極の規定にも使用可能であることが指摘される。
【0060】
本明細書に開示されたリフトオフマスク、およびそのようなリフトオフマスクを使用して製造された装置の実施形態を、本案の新規の態様を読み手に詳しく知らしめることを目的として説明してきた。好ましい実施形態を示し、説明してきたが、開示された概念への多くの変更、修正、類似の概念および置換は、特許請求の範囲から不必要に逸脱することなく、当業者によって実施可能である。
【0061】
特に、本開示は、開示された実施形態に限定されず、説明された実施形態に含まれる構成について、可能な限り多くの代替例を提供する。しかしながら、開示された概念の任意の修正、類似の概念および置換は、本明細書に添付された特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0062】
別個の従属請求項に記載されている構成は、有利に組み合わせることができる。さらに、特許請求の範囲で使用される参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとは解釈されない。
【0063】
さらに、本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、他の要素を除外しない。加えて、本明細書において使用される場合、冠詞「a」は、1つまたは2つ以上の構成要素または要素を含むことが意図され、1つのみを意味するものとは解釈されない。
【0064】
別段の明示がない限り、本明細書に記載するいずれの方法も、決してその工程が特定の順序で行われることを要求するものとして解釈されることを意図するものではない。したがって、方法の請求項が、その工程が従うべき順序を実際に挙げていない場合、または工程が特定の順序に限定されることが特許請求の範囲または明細書に具体的に述べられていない場合、いかなる特定の順序であろうと推定されることは決して意図されない。
【0065】
本特許出願は、欧州特許出願第20192165.7号の優先権を主張し、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 リフトオフマスク
10 基板本体
11 BARC層
12 レジスト層
11a,12a 側壁形状
13 ターゲット材
20 フォトマスク
21 露光放射線
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】