(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】全粒大豆食材及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
A23L 11/65 20210101AFI20230718BHJP
【FI】
A23L11/65
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579863
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 US2021039116
(87)【国際公開番号】W WO2021263119
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391026058
【氏名又は名称】ザ コカ・コーラ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Coca‐Cola Company
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ドダル,ロハン
(72)【発明者】
【氏名】ラーマン,マムヌル
【テーマコード(参考)】
4B020
【Fターム(参考)】
4B020LB18
4B020LC08
4B020LG01
4B020LK19
4B020LP03
4B020LP08
4B020LP18
4B020LP19
4B020LP30
4B020LQ03
4B020LQ04
4B020LQ06
4B020LQ10
(57)【要約】
本開示は、プロセス時に大豆パルプやオカラを除去しない全粒大豆食材又は飲料の作製プロセスを提供する。本プロセスは、全粒大豆を液化して液化産物を形成することであって、液化産物は液状画分と大豆パルプ画分とを含む、ことと、液化産物を酵素で処理することにより全粒大豆ベースを形成することと、を含む。全粒大豆ベース自体は、大豆飲料として機能しうるか、又は代替的に他の成分と組み合わされうるか、又は最終大豆食材若しくは飲料を作製するためにさらなる処理に付されうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全粒大豆を液化して液化産物を形成することであって、前記液化産物は液状画分と大豆パルプ画分とを含む、ことと、
前記液化産物を酵素で処理することにより全粒大豆食品製品を形成することと、
を含む、全粒大豆食品製品の作製プロセス。
【請求項2】
前記全粒大豆食品製品が、約10センチポアズ~約100センチポアズ、又は約20センチポアズ~約80センチポアズ、又は約30センチポアズ~約70センチポアズ、又は約40センチポアズ~約60センチポアズの粘度を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記液状画分対前記大豆パルプ画分の重量比が、約99:1~約1:99、又は約90:10~約10:90、又は約80:20~約20:80、又は約70:30~約30:70、又は約60:40~約40:60の範囲内である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記液化産物が、前記大豆パルプのすべて又は実質的部分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記液化産物が、約30マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は約40マイクロメートル~約90マイクロメートル、又は約50マイクロメートル~約80マイクロメートル、又は約60マイクロメートル~約70マイクロメートルの範囲内の平均粒子サイズを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記液化産物が、約100センチポアズ~約500センチポアズ、又は約150センチポアズ~約400センチポアズ、又は約200センチポアズ~約400センチポアズ、又は約250センチポアズ~約300センチポアズの平均粘度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記液化産物が、約0.5wt%~約5wt%、又は約0.7wt%~約4wt%、又は約0.9wt%~約3wt%、又は約0.9wt%~約2wt%又は約0.9wt%~約1.3wt%の平均繊維含有率を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記液化産物が、約5wt%~約50wt%、又は約10wt%~約40wt%、又は約15wt%~約30wt%、又は約20wt%~約25wt%の固形分含有率を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
全粒大豆を液化することが、粉砕、ミル処理、コロイダルミル処理、ナイフ粉砕、urschel粉砕、又はそれらの組合せからなる群から選択される方法を用いて実施される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記酵素が、アルファ-アミラーゼ、真菌性アルファ-アミラーゼ、グルコ-アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記酵素が、前記液化産物の粘度を少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%低減する、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記全粒大豆食品製品が、約30マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は約40マイクロメートル~約90マイクロメートル、又は約50マイクロメートル~約80マイクロメートル、又は約60マイクロメートル~約70マイクロメートルの平均粒子サイズを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記全粒大豆食品製品が、約5°~約25°、又は約6°~約22°、又は約7°~約20°、又は約8°~約18°、又は約8°~約16°、又は約10°~約14°、約11°~約13°のブリックス値を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記全粒大豆食品製品が、約5wt%~約30wt%、又は約10wt%~約25wt%、又は約10wt%~約20wt%、又は約10wt%~約15wt%の固形分含有率を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記全粒大豆食品製品が、少なくとも12ヵ月間にわたりヒト摂取に好適である、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
プロセスにより作製された全粒大豆製品の部分を少なくとも含む食材であって、前記プロセスは、
全粒大豆を液化して液化産物を形成することであって、前記液化産物は液状画分と大豆パルプ画分とを含む、ことと、
前記液化産物を酵素で処理することにより前記全粒大豆食品製品を形成することと、を含む、食材。
【請求項17】
前記全粒大豆食品製品が、約10センチポアズ~約100センチポアズ、又は約20センチポアズ~約80センチポアズ、又は約30センチポアズ~約70センチポアズ、又は約40センチポアズ~約60センチポアズの粘度を有する、請求項16に記載の食材。
【請求項18】
前記液状画分対前記大豆パルプ画分の重量比が、約99:1~約1:99、又は約90:10~約10:90、又は約80:20~約20:80、又は約70:30~約30:70、又は約60:40~約40:60の範囲内である、請求項16又は17に記載の食材。
【請求項19】
前記液化産物が、前記大豆パルプのすべて又は実質的部分を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の食材。
【請求項20】
前記液化産物が、約30マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は約50マイクロメートル~約80マイクロメートル、又は約70マイクロメートル~約80マイクロメートルの範囲内の平均粒子サイズを有する、請求項16~19のいずれか一項に記載の食材。
【請求項21】
前記液化産物が、約100センチポアズ~約500センチポアズ、又は約150センチポアズ~約400センチポアズ、又は約200センチポアズ~約400センチポアズ、又は約250センチポアズ~約300センチポアズの平均粘度を有する、請求項16~20のいずれか一項に記載の食材。
【請求項22】
前記液化産物が、約0.5wt%~約5wt%、又は約0.7wt%~約4wt%、又は約0.9wt%~約3wt%、又は約0.9wt%~約2wt%、又は約0.9wt%~約1.3wt%の平均繊維含有率を有する、請求項16~21のいずれか一項に記載の食材。
【請求項23】
前記液化産物が、約5wt%~約50wt%、又は約10wt%~約40wt%、又は約15wt%~約30wt%、又は約20wt%~約25wt%の固形分含有率を有する、請求項16~22のいずれか一項に記載の食材。
【請求項24】
全粒大豆を液化することが、粉砕、ミル処理、コロイダルミル処理、ナイフ粉砕、urschel粉砕、又はそれらの組合せからなる群から選択される方法を用いて実施される、請求項16~23のいずれか一項に記載の食材。
【請求項25】
前記酵素が、アルファ-アミラーゼ、真菌性アルファ-アミラーゼ、グルコ-アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項16~24のいずれか一項に記載の食材。
【請求項26】
前記酵素が、前記液化産物の粘度を少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%低減する、請求項16~25のいずれか一項に記載の食材。
【請求項27】
プロセスにより作製された全粒大豆製品の部分を少なくとも含む大豆飲料であって、前記プロセスは、
全粒大豆を液化して液化産物を形成することであって、前記液化産物は液状画分と大豆パルプ画分とを含む、ことと、
前記液化産物を酵素で処理することにより前記全粒大豆食品製品を形成することと、
を含む、大豆飲料。
【請求項28】
前記液状画分対前記大豆パルプ画分の重量比が、約99:1~約1:99、又は約90:10~約10:90、又は約80:20~約20:80、又は約70:30~約30:70、又は約60:40~約40:60の範囲内である、請求項27に記載の大豆飲料。
【請求項29】
前記液化産物が、前記大豆パルプのすべて又は実質的部分を含む、請求項27又は28に記載の大豆飲料。
【請求項30】
前記液化産物が、約30マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は約50マイクロメートル~約80マイクロメートル、又は約70マイクロメートル~約80マイクロメートルの範囲内の平均粒子サイズを有する、請求項27~29のいずれか一項に記載の大豆飲料。
【請求項31】
前記液化産物が、約100センチポアズ~約500センチポアズ、又は約150センチポアズ~約400センチポアズ、又は約200センチポアズ~約400センチポアズ、又は約250センチポアズ~約300センチポアズの平均粘度を有する、請求項27~30のいずれか一項に記載の大豆飲料。
【請求項32】
前記液化産物が、約0.5wt%~約5wt%、又は約0.7wt%~約4wt%、又は約0.9wt%~約3wt%、又は約0.9wt%~約2wt%、又は約0.9wt%~約1.3wt%の平均繊維含有率を有する、請求項27~31のいずれか一項に記載の大豆飲料。
【請求項33】
前記液化産物が、約5wt%~約50wt%、又は約10wt%~約40wt%、又は約15wt%~約30wt%又は約20wt%~約25wt%の固形分含有率を有する、請求項27~32のいずれか一項に記載の大豆飲料。
【請求項34】
全粒大豆を液化することが、粉砕、ミル処理、コロイダルミル処理、ナイフ粉砕、urschel粉砕、又はそれらの組合せからなる群から選択される方法を用いて実施される、請求項27~33のいずれか一項に記載の大豆飲料。
【請求項35】
前記酵素が、アルファ-アミラーゼ、真菌性アルファ-アミラーゼ、グルコ-アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項27~34のいずれか一項に記載の大豆飲料。
【請求項36】
前記酵素が、前記液化産物の粘度を少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%低減する、請求項27~35のいずれか一項に記載の大豆飲料。
【請求項37】
約30マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は約40マイクロメートル~約90マイクロメートル、又は約50マイクロメートル~約80マイクロメートル、又は約60マイクロメートル~約70マイクロメートルの平均粒子サイズを有する、請求項27~36のいずれか一項に記載の大豆飲料。
【請求項38】
約5°~約25°、又は約6°~約22°、又は約7°~約20°、又は約8°~約18°、又は約8°~約16°、又は約10°~約14°、約11°~約13°のブリックス値を有する、請求項27~37のいずれか一項に記載の大豆飲料。
【請求項39】
約5wt%~約30wt%、又は約10wt%~約25wt%、又は約10wt%~約20wt%、又は約10wt%~約15wt%の固形分含有率を有する、請求項27~38のいずれか一項に記載の大豆飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、PCT国際特許出願として2021年6月25日に出願されており、2020年6月26日出願の米国仮特許出願第63/044,804号(その開示はすべてその全体が参照により組み込まれる)に基づく利益及び優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
緒言
大豆又は豆類ベース食品製品は、栄養価が高く血中コレステロールや骨粗鬆症インシデントの低減など他の健康上の利益があることで知られる。しかしながら、大豆飲料及び食品製品の製造は、大豆の性質に起因してさまざまな問題を呈する。たとえば、典型的全粒大豆飲料は、通常、大豆子葉及び外皮に存在する複合炭水化物及び/又は繊維様テクスチャーに起因する濃厚な、チョーキーな、又はザラザラした口当りを有する。さらに、大豆飲料は、典型的には、大豆子葉の未分解細胞組織及び/又は湿分及び酸素の存在下で破壊された子葉に起因する過度の「豆臭い」味に悩まされる。
【0003】
従来の大豆飲料製造プロセスでは、これらの問題に対処するためにいくらかの努力がなされてきた。たとえば、典型的豆乳飲料は、水と、全粒大豆を脱ぷ及びブランチするプロセスから生成される豆乳濃縮物と、の組合せを含む。大豆飲料のチョーキーなテクスチャーを低減するために、大豆は処理前又は処理時に脱ぷされる。代替的に、濃厚なテクスチャーは、大豆を液化及び/又は抽出することにより低減されうる。従来の液化又は抽出は、水中で全粒大豆を破砕/粉砕/ミル処理することと、得られたスラリーをプレスして大豆液を搾り出すことと、を含む。大豆液と不溶性又は非分散性大豆パルプ(オカラとも呼ばれる)とを含有するスラリーは、高粘度の性質を有し、直接消費できないことが多い。通常、大豆パルプ又はオカラはさらに処理されず、動物飼料など他の使用のために廃棄又は除去され、ヒトによる大豆消費の経済効率にかなりの影響を及ぼす。そのほか、大豆飲料からの大豆パルプの削減は、繊維及びタンパク質含有率の有意な低減又は削減に起因して栄養価及び天然の「大豆」風味を有意に損なうおそれがある。
【0004】
そのほか、飲料作製プロセスでの大豆パルプの除去及び飲料製品からの生じた濃厚なテクスチャーの除去は、容器中での飲料の貯蔵時に別の問題を引き起こしうる。特定的には、大豆パルプフリー飲料は、ヒト摂取用にはきわめて好適でないこともある。飲料は、容器のベースの塊状コロイダル(粒子)相などの非混和性層と容器のトップのホエー水相とに分離する可能性がある。それゆえ、飲料は、この分離された塊状外観状態では魅力的でなくなる。コンシューマーは、不快なテクスチャーを回避するために飲料を摂取する前にコロイダル相と水相とを再結合すべく容器を激しくシェイクしなければならない。
【0005】
新しい特性及び/又は増加した安定性を有する飲料の各種作製方法が開示されている。たとえば、Nsoforに付与された国際公開第02/11557号には、酵素で部分加水分解された脱ぷ全粒大豆からの安定化大豆飲料の生成プロセスが記載されている。このプロセスは、大豆内の内因性酵素を活性化するために大豆を水和することと、大豆を脱ぷすることと、昇温で子葉をインキュベートすることにより脱ぷ大豆子葉内のタンパク質を加水分解することと、を含む。
【0006】
Hodgkinsonに付与された国際公開第2013/173869号は、(i)微細化形態の少なくとも1種の穀物穀粒を(ii)飲料液内に分散して含む穀物ベース飲料組成物に関し、この組成物はヒト摂取に好適であり、(i)の穀粒は、穀粒成分を溶液中に懸濁可能にするために酵素的消化されたものである。
【0007】
Gandhiに付与された国際公開第01/24644号は、口当りとの関連で酪農乳を模倣する豆乳の調製プロセスに関する。この方法は、(1)乾燥粉砕大豆微粒子を提供することと、(2)有機酸又は無機酸又はそれらの酸塩のどれかを組み込むことと、(3)液体コンシステンシーを提供するのに十分な量で水を添加することと、(4)約2,000psi超の圧力で液体を処理することと、を含む。
【0008】
Valdezに付与された国際公開第2012/076565号は、風味成分と、加水分解全粒穀粒組成物と、アルファ-アミラーゼ又はその断片と、を含む飲料に関し、アルファ-アミラーゼ又はその断片は、活性状態のときに食物繊維に対して加水分解活性を示さず、スクロース含有率は、飲料の5重量%未満であり、且つ飲料は、1~300mPa・sの範囲内の粘度を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の開示にもかかわらず、本明細書に明記されるすべてのコンシューマーニーズを単一製品で満たす大豆食材又は大豆飲料の作製は、依然として取組み困難である。既存の大豆飲料に関連するかなりの数の問題及び欠陥が依然として存在する。大豆食材に関連する健康上及び栄養上の利益をより良く利用するために、味の良い満足な飲料製品及び調製方法に対する実証されたニーズが存在する。本開示は、上述したコンシューマーニーズの多く又はすべてを単一大豆飲料に取り込みうる全粒大豆製品の製造プロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
全粒大豆食材及びその作製方法
開示の概要
本開示は、一般的には、全粒大豆食品製品の作製プロセスに関する。本プロセスは、最適化された粘度及びテクスチャー、天然の「大豆」風味、増強された栄養価、バランスのとれたカロリー、並びに長期貯蔵安定性を有する大豆食材及び飲料を生成するために、機械的液化と酵素処理とを組み合わせる。特定的には、本プロセスは、全粒大豆の最大限の使用を含み、液化プロセス前又は液化プロセス時の外皮や大豆パルプの除去を不要とすることにより、製造時間及びコストを有意に節約するとともに、ヒトによる大豆消費の経済効率を改善する。本プロセスはまた、プロセスから生じる中間大豆製品を酵素で処理することを含み、粘度、テクスチャー、味、及び栄養プロファイルを効率的且つ効果的に最適化する。本プロセスから作製された全粒大豆食品製品は、酪農/大豆ベース製品、大豆ベース飲料を生成するために及びさまざまな食品を栄養強化するために使用されうる。
【0011】
とりわけ、本開示の全粒大豆飲料は、外皮や大豆パルプを除去することなく全粒大豆から作られるので、全粒大豆の有益栄養素のほとんど、いくつか例を挙げると、大豆タンパク質、繊維、イソフラボン、オメガ-3-脂肪酸、ビタミンEなどは、得られる大豆食品製品中に存在する。外皮や大豆パルプ(オカラ)を除去又は排除する従来プロセスにより作製された大豆飲料と比較して、本大豆飲料は、より高い繊維含有率、増強された栄養価、及び天然の「大豆」風味とのバランスのとれた「豆臭い」味を有する。
【0012】
得られる大豆ベース製品は、長期貯蔵安定性を呈するとともに、「チョーキーな」又は「濃厚な」テクスチャーが低減されて天然の「大豆」風味が残る。貯蔵時、本プロセスから作製された全粒大豆製品のコロイダル相及び水相は、たとえ長期貯蔵したとしても分離しない。
【0013】
いくつかの態様では、本開示は、全粒大豆を液化して液化産物を形成することであって、液化産物は液状画分と大豆パルプ画分とを含む、ことと、液化産物を酵素で処理することにより全粒大豆食品製品を形成することと、を含む、全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)の作製プロセスに関する。実施形態では、本プロセスから作製された全粒大豆食品製品は、約10センチポアズ~約100センチポアズ、又は約20センチポアズ~約80センチポアズ、又は約30センチポアズ~約70センチポアズ、又は約40センチポアズ~約60センチポアズの粘度を有する。
【0014】
実施形態では、本プロセスに係る液化産物の液状画分対大豆パルプ画分の重量比は、約99:1~約1:99、又は約90:10~約10:90、又は約80:20~約20:80、又は約70:30~約30:70、又は約60:40~約40:60の範囲内である。実施形態では、本プロセスの液化産物は、約30マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は約40マイクロメートル~約90マイクロメートル、又は約50マイクロメートル~約80マイクロメートル、又は約60マイクロメートル~約70マイクロメートルの範囲内の平均粒子サイズを有する。実施形態では、本プロセスの液化産物は、約100センチポアズ~約500センチポアズ、又は約150センチポアズ~約400センチポアズ、又は約200センチポアズ~約400センチポアズ、又は約250センチポアズ~約300センチポアズの平均粘度を有する。実施形態では、本プロセスの液化産物は、約0.5wt%~約5wt%、又は約0.7wt%~約4wt%、又は約0.9wt%~約3wt%、又は約0.9wt%~約2wt%、又は約0.9wt%~約1.3wt%の平均繊維含有率を有する。実施形態では、本プロセスの液化産物は、約5wt%~約50wt%、又は約10wt%~約40wt%、又は約15wt%~約30wt%、又は約20wt%~約25wt%の固形分含有率を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、本プロセスの全粒大豆の液化は、粉砕、ミル処理、コロイダルミル処理、ナイフ粉砕、又はそれらの組合せからなる群から選択される方法を用いて実施される。実施形態では、本プロセスの酵素は、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、又はそれらの組合せからなる群から選択される。アミラーゼの非限定的例としては、アルファ-アミラーゼ、真菌性アルファ-アミラーゼ、及びグルコ-アミラーゼが挙げられる。実施形態では、本プロセスの酵素は、液化産物の粘度を少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも99%低減する。
【0016】
実施形態では、本プロセスにより作製された全粒大豆食品製品は、約30マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は約40マイクロメートル~約90マイクロメートル、又は約50マイクロメートル~約80マイクロメートル、又は約60マイクロメートル~約70マイクロメートルの平均粒子サイズを有する。実施形態では、本プロセスにより作製された全粒大豆食品製品は、約5°~約25°、又は約6°~約22°、又は約7°~約20°、又は約8°~約16°、又は約10°~約14°、約11°~約13°のブリックス値を有する。実施形態では、本プロセスにより作製された全粒大豆食品製品は、約5wt%~約30wt%、又は約10wt%~約20wt%、又は約10wt%~約20wt%、又は約10wt%~約15wt%の固形分含有率を有する。
【0017】
実施形態では、本プロセスにより作製された全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)は、少なくとも12ヵ月間にわたり摂取に好適である。実施形態では、全粒大豆ベースは、少なくとも12ヵ月間にわたり明らかな脂肪分離も、沈降も、沈殿も、凝固も示さない。
【0018】
いくつかの態様では、本開示は、本開示に係るプロセスにより作製された全粒大豆製品(又は全粒大豆ベース)の部分を少なくとも含む大豆食材に関する。実施形態では、本プロセスは、全粒大豆を液化して液化産物を形成することであって、液化産物は液状画分と大豆パルプ画分とを含む、ことと、液化産物を酵素で処理することにより全粒大豆食品製品を形成することと、を含む。
【0019】
いくつかの態様では、本開示は、本開示に係るプロセスにより作製された全粒大豆製品(又は全粒大豆ベース)の部分を少なくとも含む大豆飲料に関する。実施形態では、本プロセスは、全粒大豆を液化して液化産物を形成することであって、液化産物は液状画分と大豆パルプ画分とを含む、ことと、液化産物を酵素で処理することにより全粒大豆食品製品を形成することと、を含む。実施形態では、大豆飲料は、約10センチポアズ~約100センチポアズ、又は約20センチポアズ~約80センチポアズ、又は約30センチポアズ~約70センチポアズ、又は約40センチポアズ~約60センチポアズの粘度を有する。実施形態では、大豆飲料は、約30マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は約40マイクロメートル~約90マイクロメートル、又は約50マイクロメートル~約80マイクロメートル、又は約60マイクロメートル~約70マイクロメートルの平均粒子サイズを有する。実施形態では、大豆飲料は、約5°~約25°、又は約6°~約22°、又は約7°~約20°、又は約8°~約18°、又は約8°~約16°、又は約10°~約14°、約11°~約13°のブリックス値を有する。実施形態では、大豆飲料は、約5wt%~約30wt%、又は約10wt%~約25wt%、又は約10wt%~約20wt%、又は約10wt%~約15wt%の固形分含有率を有する。
【0020】
用語の定義及び解釈
本明細書で用いられる場合、「weight percent(重量パーセント)」、「wt%、「percent by weight(重量パーセント)」、「% by weight(重量%)」、及びそれらの変化形は、その物質の重量を組成物の合計重量で除算して100を乗算した物質の濃度を意味する。本明細書で用いられる場合、「パーセント」、「%」などは、「weight percent(重量パーセント)」、「wt%などと同義的であることが意図されるものと理解される。
【0021】
本明細書で用いられる場合、「g」はグラムを表し、「L」はリットルを表し、「mg」は「ミリグラム(10-3グラム)、」を表し、「mL」はミリリットル(10-3リットル)を表し、「nm」はナノメートル(10-9メートル)を表し、マイクロメートルは10-6メートルである。「mg/100g」、「mg/100mL」、又は「mg/L」という単位は、組成物中の成分の濃度又は含有率の単位である。1「mg/L」は1ppm(百万分率)に等しい。「Da」は分子量の単位のダルトンを意味し、1Daは1g/molに等しい。本明細書で用いられる温度の単位はセルシウス度(℃)である。
【0022】
「about(約)」という用語は、当業者により予想される測定の通常の変動を含むように数値との関連で用いられ、「approximately(おおよそ)」と同一の意味を有して、誤差の典型的許容範囲、たとえば、明記された値の+15%をカバーするものと理解される。「about(約)」という用語はまた、特定の初期組成物から生じる組成物に対するさまざまな平衡条件によって異なる量を包含する。「about(約)」という用語により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲はその量に均等なものを含む。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、とくに内容上明確に規定されていない限り、複数形の参照語を含むことに留意されるべきである。そのため、たとえば、「a compound(化合物)」を含有する組成物への参照は、互いに同一か異なるかのどちらかの2つ以上の化合物を有することを含む。「or(又は)」という用語は、とくに内容上明確に規定されていない限り、その意味に「and/or(及び/又は)」を含めて一般に採用されることにも留意されるべきである。
【0024】
簡潔さ及び簡明さを期して、本明細書に示される値の範囲はいずれも、その範囲内のすべての値が企図されるとともに、当該特定範囲内の実数値の端点を有するいずれのサブ範囲を列挙する特許請求の範囲も支持するものとして解釈されるべきである。仮説上の例示的例として、1~5の範囲の本明細書での開示は、次の範囲:1~5、1~4、1~3、1~2、2~5、2~4、2~3、3~5、3~4、及び4~5のいずれに対する特許請求の範囲も支持するとみなされるものとする。
【0025】
「実質的にフリー」という用語は、本開示の組成物が欠如又は大部分を欠如するいずれの成分も意味しうる。「実質的にフリー」が参照されるとき、その成分は、本開示の組成物に意図的に添加されないことが意図される。成分が「実質的にフリー」という用語の使用は、別の成分に存在することが理由で、痕跡量のその成分が本開示の組成物に含まれることを許容する。しかしながら、成分が痕跡量又は僅少量にすぎなければ、組成物はその成分が「実質的にフリー」であると言われるとき、許容されると認識される。そのうえ、組成物は成分が「実質的にフリー」であると言われる場合、成分が痕跡量又は僅少量で存在する場合という用語は、組成物の有効性に影響を及ぼさないものと理解される。成分が本明細書に明示的に含まれないか又はそれを含むことが可能であると本明細書に明記されていない場合、本開示の組成物は、その成分が実質的にフリーでありうるものと理解される。同様に、成分を明示的に含むことがそれを明示的に除外することを許容することにより、組成物は、その明示的に明記された成分が実質的にフリーであることが許容される。
【0026】
本明細書で用いられる場合、「全粒大豆」とは、インタクトな外皮を有するいずれかの公知の品種の大豆のことである。全粒大豆は、一般に、大豆の内側部分又は「子葉」をカプセル化する外側シェル又は「外皮」を含む。子葉は、モノ、ジ、及びポリペプチドを含む多種多様なタンパク質並びに単糖、二糖、及び多糖を含む糖で構成される。子葉はまた、大豆植物の発芽及び成長を促進するために子葉のタンパク質及び糖を代謝する酵素である「内因性酵素」を含みうる。全粒大豆の内因性酵素は、一般に、アミラーゼもそのアナログも含まない。子葉中に存在する他の成分及び化学物質としては、イソフラボン、ゴイトロゲン、フィトエストロゲン、ボーマン・バークトリプシン阻害剤、サポニン、フィテート、ホスファチド、線維、脂肪酸、ビタミン、及びミネラルが挙げられる。
【0027】
本明細書で用いられる場合、ヒト摂取の好適性とは、劣化、分解、又は汚染による質的変化を伴うことなく正式にヒトの食用になる食材を意味する。
【0028】
図面の簡単な説明
図面中、同じ参照文字は、一般に、さまざまな図全体を通して同一部分を意味する。また、図面は、必ずしも原寸通りとは限らず、その代わりに、一般に、本開示の原理を例示することに重点が置かれる。下記説明では、本開示の各種実施形態は、下記図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本開示に係る一般的プロセスのブロック図を示す。
【
図2】本開示に係るプロセスの具体的実施形態のブロック図を示す。
【
図3】本開示に係るプロセスの別の具体的実施形態のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本開示は、一般的には、全粒大豆からの全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)の作製又は製造プロセスに関する。全粒大豆ベース自体は、最終大豆製品として機能しうるか、さもなければ最終大豆食材又は大豆飲料を形成するために他の成分と組み合わされうる。本開示に係る全粒大豆ベースは、製造プロセス時に大豆外皮や大豆パルプを除去しない全粒大豆の水性調製物である。本全粒大豆ベースは、(a)脂肪分離も沈降も凝固も伴わない液状全粒大豆ベースの安定性、(b)最適化された粘度、低減された「チョーキーな」テクスチャー又は「濃厚な」口当り、及び天然の「豆臭い」風味、(c)長期貯蔵寿命、(d)改善された栄養価及びバランスのとれたカロリー、(e)ヒトによる大豆消費の増加した経済効率を呈する。
【0031】
いくつかの態様では、本開示は、全粒大豆を液化して液化産物を形成することであって、液化産物は液状画分と大豆パルプ画分とを含む、ことと、液化産物を酵素で処理することにより全粒大豆食品製品を形成することと、を含む、全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)の作製プロセスに関する。実施形態では、本プロセスから作製された全粒大豆食品製品は、約10センチポアズ~約100センチポアズ、又は約20センチポアズ~約80センチポアズ、又は約30センチポアズ~約70センチポアズ、又は約40センチポアズ~約60センチポアズの粘度を有する。
【0032】
図1は、本開示に係る全粒大豆食品製品を生成する一般的プロセスの図を示す。本プロセスは、熱水と全粒大豆とを組み合わせるステップ100と、全粒大豆を液化することにより液化産物を形成するステップ200と、液化産物を酵素で処理することにより全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)を形成するステップ300と、を含む。
【0033】
図2は、本開示に係るプロセスの具体的実施形態のブロック図を示す。本プロセスは、液化タンクへの熱水の添加105及び全粒大豆の添加110、混合物の粗ミル処理205、続く混合物の微細ミル処理210により、混合物を形成することを含む。任意に、本プロセスは、粗ミル処理ステップ205時の液化タンクへのpH調整剤の添加によるpH調整ステップ215を含みうる。全粒大豆の液化ステップ200は、微細ミル処理210から生じた中間産物をクールダウンすることをさらに含みうるとともに、中間産物をさらにホモジナイズ230することにより液化産物を形成しうる。酵素による液化産物の処理300は、加熱酵素処理タンクへの液化産物の添加320、酵素処理タンクへの酵素の添加315を含みうる。任意に、酵素処理ステップ300は、酵素添加ステップ315の前、時、又は後にpH調整350ステップを含みうる。酵素処理ステップ300は、終了の際、たとえば、所望の粘度又はテクスチャーが達成されたとき、酵素脱活性化ステップ330を含みうる。本プロセスは、酵素処理産物のクーリングダウン340及び貯蔵タンクへの全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)の移送370をさらに含みうる。本プロセスは、全粒大豆ベースのpH調整370をさらに含みうる。
【0034】
図3は、本開示に係るプロセスの別の具体的実施形態のブロック図を示す。本プロセスは、全粒大豆の液化及び酵素による液化産物の処理及び/又はプロセスでの複数の酵素処理ステップを同時に許容しうる。
図3に示されるように、本プロセスは、液化タンクへの熱水の添加105及び全粒大豆の添加110、並びに混合物の粗ミル処理205、続く混合物の微細ミル処理210により、混合物を形成することを含む。任意に、本プロセスは、粗ミル処理ステップ205時の液化タンクへのpH調整剤の添加によるpH調整ステップ215を含みうる。全粒大豆の液化ステップ200は、微細ミル処理210から生じた中間産物をクールダウンすることをさらに含みうるとともに、中間産物をさらにホモジナイズ230しうる。本プロセスは、粗ミル処理時の液化タンクへの酵素の添加305又は微細ミル処理時の液化タンクへの酵素の添加310のどちらか又は両方を含む。本プロセスは、酵素処理完了後に酵素脱活性化ステップ325を含みうる。本プロセスは、微細ミル処理210から生じた中間産物をクールダウンすることをさらに含みうるとともに、中間産物をさらにホモジナイズ230することにより液化産物を形成しうる。液化産物は、さらなる酵素処理ステップに付されうる。本プロセスは、加熱酵素処理タンクへの液化産物の添加320、酵素処理タンクへの酵素の添加315をさらに含みうる。任意に、酵素処理ステップ300は、酵素添加ステップ315の前、時、又は後にpH調整350ステップを含みうる。酵素処理ステップ300は、終了の際、たとえば、所望の粘度又はテクスチャーが達成されたとき、酵素脱活性化ステップ330を含みうる。本プロセスは、酵素処理産物のクーリングダウン340及び貯蔵タンクへの全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)の移送370をさらに含みうる。本プロセスは、全粒大豆ベースのpH調整360をさらに含みうる。
【0035】
液化
本プロセスは、生の大豆材料の液化を含む。本明細書で使用される大豆材料は、当業者に公知のさまざまな大豆源、限定されるものではないが、全粒粉砕大豆、大豆濃縮物、全脂大豆ミール又は粗挽き粉、全粒大豆粉末、大豆フレーク又は粉末、完全又は部分脱脂大豆フレーク又は粉末などから得ることが可能である。しかしながら、上述したように、オカラを廃棄又は他の形で扱うニーズを排除することにより、かなりのコスト節約を実現可能である。それゆえ、採用される初期大豆材料にかかわらず、「全粒」大豆-大豆材料のタンパク質性及び/又はセルロース性成分のすべて又は実質的にすべて-を利用することにより、本プロセスの十分な利益を実現可能である。本明細書での液化とは、全粒大豆を液化して中間産物として液化産物を生成する1つ以上のステップを意味する。液化産物は、一般に、液状相と非液状相とを含む。非液状相は、大豆パルプ、大豆微粒子、及び液化からの大豆の他の不溶性部分を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、本プロセスは、液化タンク内で熱水と全粒大豆とを組み合わせるステップを含む。全粒大豆は、液化前に適切な時間にわたり熱水中に浸漬されうる。当業者であれば、液化産物の所望の固形分含有率(重量%)を達成する水対大豆の重量比を決定可能であろう。
【0037】
いくつかの実施形態では、本プロセスの全粒大豆の液化は、非液状相中の粒子のサイズを低減する粒子サイズ低減ステップを含む。サイズ低減ステップは、機械的サイズ低減ステップを含みうる。機械的サイズ低減ステップは、限定されるものではないが、粉砕、ナイフ粉砕、プレート粉砕、ミル処理、粗ミル処理、微細ミル処理、コロイダルミル処理、剪断、脱穀、ブレンド処理、又はそれらの組合せなど、食品調製技術分野のいずれの通常技術も含みうる。機械的サイズ低減ステップは、標準的食品生成設備又は装置、たとえば、Urschelにより供給される市販のサイズ低減機により行われうる。
【0038】
いくつかの実施形態では、サイズ低減ステップは、大豆微粒子のサイズを徐々に低減するために及びそのサイズ分布を正確に制御するために、複数の逐次段階:予粉砕段階、コロイダルミル処理段階、ナイフ粉砕段階、及びプレート粉砕段階を含む。
図2及び3に示される特定例では、サイズ低減ステップは、後続の粗ミル処理205、続く微細ミル処理210を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、機械的サイズ低減ステップは、昇温で及び/又は加圧条件下で実施される。本開示に記載の液化産物を達成するためのサイズ低減機の原理及び操作パラメーターは、当業者であれば分かるであろう。
【0040】
サイズ低減ステップは、任意に、化学的処理ステップをさらに含みうる。ある実施形態では、本プロセスは、化学的処理ステップ、続く機械的サイズ低減ステップを含む。他の実施形態では、本プロセスは、サイズ低減ステップ時に化学的処理を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、化学的処理は、
図2及び3に示されるpH調整215、350、又は360である。液化時の中間産物のpHは、食品グレードの酸若しくは塩基、pH緩衝剤、又は当技術分野で公知の他のpH調整剤の添加により調整されうる。いくつかの好適な酸としては、限定されるものではないが、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸などが挙げられる。いくつかの好適な塩基としては、限定されるものではないが、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどが挙げられる。pH調整剤は、液化の前又は時又は後のいずれかで添加されうる。
【0042】
いくつかの実施形態では、本プロセスは、
図2及び3に示されるように、中間産物のクーリングダウン220及び340を含みうる。本プロセスはまた、
図2及び3に示されるように、サイズ低減ステップの完了後に液化産物をホモジナイズ230することを含みうる。ホモジナイゼーションステップでは、さまざまな圧力レベルの各種市販の単段又は多段ホモジナイザーを使用可能である。
【0043】
いくつかの実施形態では、液化産物の液状画分対大豆パルプ画分の重量比は、約99:1~約1:99、又は約90:10~約10:90、又は約80:20~約20:80、又は約70:30~約30:70、又は約60:40~約40:60の範囲内である。いくつかの実施形態では、液化産物液化産物は、大豆微粒子、大豆パルプ、及び大豆の他の不溶性部分を含む非液状相のすべて又は実質的部分を含む。いくつかの実施形態では、非液状相はすべて、大豆パルプ、大豆微粒子、又は大豆の不溶性部分の実質的部分が除去も廃棄もされずに、液化産物中に残留される。
【0044】
いくつかの実施形態では、非液状相中の大豆微粒子は、好ましくは約200マイクロメートル未満のサイズに低減される。より好ましくは、非液状相中の大豆微粒子は、150マイクロメートル未満のサイズに低減される。より好ましくは、非液状相中の大豆微粒子は、100マイクロメートル未満のサイズに低減される。そのほかより好ましくは、非液状相中の大豆微粒子は、90マイクロメートル未満のサイズに低減される。そのほかより好ましくは、非液状相中の大豆微粒子は、80マイクロメートル未満のサイズに低減される。実施形態では、本プロセスの液化産物は、約30マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は約40マイクロメートル~約90マイクロメートル、又は約50マイクロメートル~約80マイクロメートル、又は約60マイクロメートル~約70マイクロメートルの範囲内の平均粒子サイズを有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、本プロセスの液化産物は、約100センチポアズ~約500センチポアズ、又は約150センチポアズ~約400センチポアズ、又は約200センチポアズ~約400センチポアズ、又は約250センチポアズ~約300センチポアズの粘度を有する。実施形態では、本プロセスの液化産物は、約0.5wt%~約5wt%、又は約0.7wt%~約4wt%、又は約0.9wt%~約3wt%、又は約0.9wt%~約2wt%又は約0.9wt%~約1.3wt%の繊維含有率を有する。
【0046】
実施形態では、本プロセスの液化産物は、約5wt%~約50wt%、又は約10wt%~約40wt%、又は約15wt%~約30wt%、又は約20wt%~約25wt%の固形分含有率を有する。当業者であれば、所望の固形分含有率に達する大豆対水の重量比などの液化パラメーターを最適化可能である。
【0047】
いくつかの実施形態では、本プロセスは、任意の食品保存ステップをさらに含む。この食品保存ステップは、限定されるものではないが、レトルト殺菌、高圧処理(HPP)、缶詰、及び他の方法を含めて、パスツール殺菌、サーミゼーション、滅菌、UHTなどの食品調製技術分野のいずれの通常技術も含みうる。この任意のステップは、より長い貯蔵寿命を有する製品を可能にするので有利である。熱を含む食品保存ステップのさらなる利点は、メイラード反応産物の濃度の増加である。かかる産物は、糖とタンパク質のアミノ酸とを含む液化産物の成分間の反応の帰趨である。メイラード産物は、多くの場合、大豆食品製品のより魅力的な風味プロファイルに寄与しうる良好な芳香及び味を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、本プロセスは、液化産物への保存剤、食品着色剤、粘度調整剤、人工風味剤などの食品添加物の導入を含まない。
【0049】
酵素処理
食品産業での酵素の通常使用は、成分生成及びテクスチャー改変を含む。多くの食品酵素は、各種バイオポリマーを分解するために使用される。温和な反応条件下でのそれらの特異性及び高反応速度は、それらが化学的処理に好ましいことが多いことを意味する。産業食品酵素は、3つの主要グループ:ヒドロラーゼ、オキシドレダクターゼ、及びイソメラーゼに分類される。プロテアーゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ(すべてのヒドロラーゼ)、ヘミセルロースなどのバルク分解酵素は、主に2つの微生物属:バチルス属(Bacillus)及びアスペルギルス属(Aspergillus)を用いて生成されてきた。
【0050】
いくつかの実施形態では、本開示のプロセスは、少なくとも1種の酵素で全粒大豆又はそのいずれかの液化産物を処理することを含む。いくつかの実施形態では、本プロセスは、同時又は逐次に少なくとも2種の酵素で全粒大豆又はそのいずれかの液化産物を処理することを含む。酵素処理及び操作パラメーターの最適化の手順及び設備は、食品産業分野の当業者に一般に知られている。
【0051】
好ましい実施形態では、本プロセスで使用される酵素は、アルファ-1,4グリコシド結合をランダムに切断するBAN(登録商標)480 KNU-B/g(Novozyme, Ames, IA)などのアルファ-アミラーゼを含む。好ましい実施形態では、本プロセスで使用される酵素は、ステップワイズにデンプンからグルコース単位を除去するAMG(登録商標)300 AGU/mL(Novozyme, Ames, IA)などのグルコ-アミラーゼ又はアミログルコシダーゼを含む。他の実施形態では、本プロセスで使用される酵素は、Termamyl(登録商標)120 KNUT/g(Novozyme, Ames, IA)などのアルファ-アミラーゼを含む。いくつかの実施形態では、酵素は、約0.05wt%~約2.0wt%、約0.15wt%~約1.5wt%、約0.2wt%~約1.0wt%、約0.35wt%~約0.5wt%、及び約0.15wt%~約0.35wt%の濃度、たとえば、プロセス時に使用した酵素の重量パーセンテージで存在する。
【0052】
模範的一例では、大豆の液化産物は、全粒大豆の液化により得られた。得られる大豆液化産物は、約275粘度の粘度及び約75マイクロメートルの平均粒子サイズを有する。液化産物は、それから大豆パルプを除去することなくアルファ-アミラーゼで後続処理された。驚くべきことに、アルファ-アミラーゼは、液化産物の大豆微粒子を効果的に分解しうるとともに、粘度を約60センチポアズ未満に有意に低減することにより粘度を少なくとも78%低減しうることが見いだされた。
【0053】
いくつかの実施形態では、2種以上の酵素が本プロセスで使用される。いくつかの実施形態では、アルファ-アミラーゼ及びグルコ-アミラーゼの両方が使用される。グルコ-アミラーゼは、中間でグルコース分子のより長い鎖を切断してより小さな鎖を形成するのではなく、末端アルファ-1,4グリコシド結合さらには分岐アルファ-1,6グリコシド結合を切断してグルコースを生成して多糖の末端からグルコース分子を除去することにより多糖を消化するように機能するので、アルファ-アミラーゼと識別可能であることが知られる。酵素処理でのアルファ-アミラーゼとグルコ-アミラーゼとの組合せは、効率を改善しうるとともに、さらに液化産物の粘度又は粒子サイズを低減しうる。グルコ-アミラーゼは、甘味付け大豆食品製品に糖源を効果的に提供しうる単糖又は二分子糖を有利に生成しうることに留意されたい。いくつかの実施形態では、液化及び酵素処理は、同時に又は協調的に実施されうる。たとえば、液化の前又は時に酵素を1回で又は連続的に又は何回かに分けて全粒大豆に添加することにより、全プロセスの効率を改善可能である。酵素処理は、マイルドな温度でアジテーション下で実施されうる。いくつかの実施形態では、酵素処理は、あらかじめ決められた時間にわたり実施されうる。たとえば、いくつかの実施形態では、酵素処理は、約5分間、約8分間、約10分間、約15分間、約20分間、約30分間、約45分間、又は約60分間でありうる。いくつかの実施形態では、酵素処理は、60分間超でありうる。所望の粘度又は他の特徴に達した後、酵素は、一般に、温度を上昇させることにより脱活性化して、全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)を形成可能である。
【0054】
たとえば、酵素処理は、
図2に示されるように液化後に実施可能である。液化産物は、加熱酵素処理タンクに添加され320、酵素は、タンク内に添加される315。酵素処理が終了したら、たとえば、所望の粘度又はテクスチャー又は他の特性に達したことが示唆されたら、酵素脱活性化ステップ330が実施される。
【0055】
代替的に、酵素処理は、
図3に示されるように、液化(サイズ低減ステップ)と同時の実施可能である。酵素は、粗ミル処理205時又は微細ミル処理210時又は両方で、熱水と全粒大豆とを含有する液化タンクに添加されうる。ステップ305及び310で添加される酵素は、本開示に係る同一又は異なる酵素を含みうる。
【0056】
代替的に、本プロセスは、
図3に示されるように液化の時及び後に複数の酵素処理ステップを含みうる。酵素は、全粒大豆の液化時に液化タンクに添加されうる(305、310、又は両方)。液化が完了して液化産物が酵素処理タンクに添加された後、酵素処理タンクへの酵素の添加315により別の酵素処理ステップを実施しうる。ステップ305、310、及び315で添加される酵素は、本開示に係る同一又は異なる酵素を含みうる。
【0057】
終了したら、酵素を脱活性化可能であり、処理タンクをクールダウン可能である。それにより、全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)を形成して貯蔵タンクに移送しうる。任意のpH調整ステップは、全粒大豆食品製品のpHを所望のレベルに調整するために実施されうる。
【0058】
いくつかの実施形態では、本プロセスの酵素処理は、液化産物の粘度を少なくとも20%、又は少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも99%低減する。
【0059】
実施形態では、本プロセスにより作製された全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)は、約30マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は約40マイクロメートル~約90マイクロメートル、又は約50マイクロメートル~約80マイクロメートル、又は約60マイクロメートル~約70マイクロメートルの平均粒子サイズを有する。
【0060】
実施形態では、本プロセスにより作製された全粒大豆ベースは、約5°~約25°、又は約6°~約22°、又は約7°~約20°、又は約8°~約18°、又は約8°~約16°、又は約10°~約14°、約11°~約13°のブリックス値を有する。実施形態では、本プロセスにより作製された全粒大豆ベースは、約5wt%~約30wt%、又は約10wt%~約25wt%、又は約10wt%~約20wt%、又は約10wt%~約15wt%の固形分含有率を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、本プロセスから作製された全粒大豆ベースは、30°以下のブリックス値を有する。いくつかの好ましい実施形態では、乳化飲料は、29°以下、又は28°以下、又は27°以下、又は26°以下、又は25°以下、又は24°以下、又は23°以下、又は22°以下、又は21°以下、又は20°以下、又は19°以下、18°以下、又は17°以下、又は16°以下、又は15°以下、又は14°以下、又は13°以下、又は12°以下、又は11°以下、又は10°以下、又は9°以下、又は8°以下、又は7°以下、又は6°以下、又は5°以下、又は4°以下、又は3°以下、又は2°以下、又は1°以下のブリックス値を有する。好ましくは、本プロセスから作製された全粒大豆ベース又は最終大豆飲料は、約5°~約25°、又は約6°~約22°、又は約7°~約20°、又は約8°~約18°、又は約8°~約16°、又は約10°~約14°、約11°~約13°のブリックス値を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、本プロセスから作製された全粒大豆ベースは、30マイクロメートル以下、又は29マイクロメートル以下、又は28マイクロメートル以下、又は27マイクロメートル以下、又は26マイクロメートル以下、又は25マイクロメートル以下、又は24マイクロメートル以下、又は23マイクロメートル以下、又は22マイクロメートル以下、又は21マイクロメートル以下、又は20マイクロメートル以下、又は19マイクロメートル以下、又は18マイクロメートル以下、又は17マイクロメートル以下、又は16マイクロメートル以下、又は15マイクロメートル以下、又は14マイクロメートル以下、又は13マイクロメートル以下、又は12マイクロメートル以下、又は11マイクロメートル以下、又は10マイクロメートル以下、又は9マイクロメートル以下、又は8マイクロメートル以下、又は7マイクロメートル以下、又は6マイクロメートル以下、又は5マイクロメートル以下、又は4マイクロメートル以下、又は3マイクロメートル以下、又は2マイクロメートル以下、又は1マイクロメートル以下の平均粒子サイズを有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、本プロセスから作製された全粒大豆ベースは、約1wt%~約10wt%、又は約2wt%~約9wt%、約3wt%~約8wt%、約4wt%~約7wt%、又は約5wt%~約6wt%の範囲内のタンパク質含有率を有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、本プロセスから作製された全粒大豆ベースは、30wt%未満の合計固形含有率を有する。いくつかの好ましい実施形態では、本プロセスから作製された全粒大豆ベース又は最終大豆飲料は、30wt%以下、又は29wt%以下、又は28wt%以下、又は27wt%以下、又は26wt%以下、又は25wt%以下、又は24wt%以下、又は23wt%以下、又は22wt%以下、又は21wt%以下、又は20wt%以下、又は19wt%以下、又は18wt%以下、又は17wt%以下、又は16wt%以下、又は15wt%以下、又は14wt%以下、又は13wt%以下、又は12wt%以下、又は11wt%以下、又は10wt%以下、又は9wt%以下、又は8wt%以下、又は7wt%以下、又は6wt%以下、又は5wt%以下、又は4wt%以下、又は3wt%以下、又は2wt%以下、又は1wt%以下の合計固形含有率を有する。好ましくは、本プロセスから作製された全粒大豆ベース又は最終大豆飲料は、約5wt%~約30wt%、又は約10wt%~約25wt%、又は約10wt%~約20wt%、又は約10wt%~約15wt%の合計固形含有率を有する。
【0065】
驚くべきことに、本プロセスにより作製された全粒大豆ベースは、有意な脂肪分離も、層分離も、沈殿も、沈降も、凝固も伴うことなく長期にわたり安定であることが見いだされた。例として、本プロセスにより作製された全粒大豆ベースは、約12%の固形分含有率を有し、約58%の粘度は、通常の貯蔵条件下で少なくとも12ヵ月間にわたりヒト摂取に好適であることが見いだされた。実施形態では、全粒大豆ベースは、少なくとも12ヵ月間にわたり明らかな脂肪分離も、沈降も、沈殿も、凝固も示さない。
【0066】
全粒大豆食材及び飲料
本プロセスは、直接摂取用の最終大豆製品又は飲料としてそれ自体機能しうる全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)を生成する。代替的に、全粒大豆ベースは、成分として使用して他の成分と組み合わせるか又はさらなる処理に付すことによりコンシューマー向けの最終大豆食材又は飲料を生成可能である。
【0067】
いくつかの実施形態では、大豆食材は、本開示に係るプロセスにより作製された全粒大豆製品の部分を少なくとも含む。実施形態では、本プロセスは、全粒大豆を液化して液化産物を形成することであって、液化産物は液状画分と大豆パルプ画分とを含む、ことと、液化産物を酵素で処理することにより全粒大豆食品製品(又は全粒大豆ベース)を形成することと、を含む。
【0068】
大豆食材は、限定されるものではないが、大豆ヨーグルト、豆腐、味噌、テンペ、大豆ピューレ、大豆ペースト、又は大豆ソースを含み、固形又は半固形でありうる。
【0069】
いくつかの実施形態では、大豆飲料は、本開示に係るプロセスにより作製された全粒大豆製品の部分を少なくとも含む。実施形態では、本プロセスは、全粒大豆を液化して液化産物を形成することであって、液化産物は液状画分と大豆パルプ画分とを含む、ことと、液化産物を酵素で処理することにより全粒大豆食品製品を形成することと、を含む。
【0070】
本明細書に記載の大豆飲料としては、限定されるものではないが、豆乳、豆乳果実飲料、甘味付け若しくは非甘味付け大豆ドリンク、又は大豆スムージーが挙げられる。
【0071】
実施形態では、本明細書に記載の大豆飲料は、約10センチポアズ~約100センチポアズ、又は約20センチポアズ~約80センチポアズ、又は約30センチポアズ~約70センチポアズ、又は約40センチポアズ~約60センチポアズの粘度を有する。実施形態では、大豆飲料は、約30マイクロメートル~約100マイクロメートル、又は約40マイクロメートル~約90マイクロメートル、又は約50マイクロメートル~約80マイクロメートル、又は約60マイクロメートル~約70マイクロメートルの平均粒子サイズを有する。実施形態では、大豆飲料は、約5°~約25°、又は約6°~約22°、又は約7°~約20°、又は約8°~約18°、又は約8°~約16°、又は約10°~約14°、約11°~約13°のブリックス値を有する。実施形態では、大豆飲料は、約5wt%~約30wt%、又は約10wt%~約25wt%、又は約10wt%~約20wt%、又は約10wt%~約15wt%の固形分含有率を有する。
【0072】
本開示の食材及び飲料は、好ましくは、酪農フリー、動物フリー、アルコールフリーであり、いくつかの実施形態では、グルテンフリーである。これらはコンシューマーが飲料で高く評価する品質であるので、これらはすべて利点である。
【0073】
いくつかの実施形態では、最終大豆飲料は、30°以下のブリックス値を有する。いくつかの好ましい実施形態では、乳化飲料は、29°以下、又は28°以下、又は27°以下、又は26°以下、又は25°以下、又は24°以下、又は23°以下、又は22°以下、又は21°以下、又は20°以下、又は19°以下、18°以下、又は17°以下、又は16°以下、又は15°以下、又は14°以下、又は13°以下、又は12°以下、又は11°以下、又は10°以下、又は9°以下、又は8°以下、又は7°以下、又は6°以下、又は5°以下、又は4°以下、又は3°以下、又は2°以下、又は1°以下のブリックス値を有する。好ましくは、本プロセスから作製された全粒大豆ベース又は最終大豆飲料は、約5°~約25°、又は約6°~約22°、又は約7°~約20°、又は約8°~約18°、又は約8°~約16°、又は約10°~約14°、約11°~約13°のブリックス値を有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、最終大豆飲料は、30マイクロメートル以下、又は29マイクロメートル以下、又は28マイクロメートル以下、又は27マイクロメートル以下、又は26マイクロメートル以下、又は25マイクロメートル以下、又は24マイクロメートル以下、又は23マイクロメートル以下、又は22マイクロメートル以下、又は21マイクロメートル以下、又は20マイクロメートル以下、又は19マイクロメートル以下、又は18マイクロメートル以下、又は17マイクロメートル以下、又は16マイクロメートル以下、又は15マイクロメートル以下、又は14マイクロメートル以下、又は13マイクロメートル以下、又は12マイクロメートル以下、又は11マイクロメートル以下、又は10マイクロメートル以下、又は9マイクロメートル以下、又は8マイクロメートル以下、又は7マイクロメートル以下、又は6マイクロメートル以下、又は5マイクロメートル以下、又は4マイクロメートル以下、又は3マイクロメートル以下、又は2マイクロメートル以下、又は1マイクロメートル以下の平均粒子サイズを有する。
【0075】
いくつかの実施形態では、最終大豆飲料は、約1wt%~約10wt%、又は約2wt%~約9wt%、約3wt%~約8wt%、約4wt%~約7wt%、又は約5wt%~約6wt%の範囲内のタンパク質含有率を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、最終大豆飲料は、30wt%未満の合計固形含有率を有する。いくつかの好ましい実施形態では、本プロセスから作製された全粒大豆ベース又は最終大豆飲料は、30wt%以下、又は29wt%以下、又は28wt%以下、又は27wt%以下、又は26wt%以下、又は25wt%以下、又は24wt%以下、又は23wt%以下、又は22wt%以下、又は21wt%以下、又は20wt%以下、又は19wt%以下、又は18wt%以下、又は17wt%以下、又は16wt%以下、又は15wt%以下、又は14wt%以下、又は13wt%以下、又は12wt%以下、又は11wt%以下、又は10wt%以下、又は9wt%以下、又は8wt%以下、又は7wt%以下、又は6wt%以下、又は5wt%以下、又は4wt%以下、又は3wt%以下、又は2wt%以下、又は1wt%以下の合計固形含有率を有する。好ましくは、本プロセスから作製された全粒大豆ベース又は最終大豆飲料は、約5wt%~約30wt%、又は約10wt%~約25wt%、又は約10wt%~約20wt%、又は約10wt%~約15wt%の合計固形含有率を有する。
【実施例】
【0077】
実施例
トライアル1
粘度及び糖形成に及ぼす全粒大豆ベース(液化)への酵素処理の影響を決定した。トライアル1では、BAN(登録商標)480L((Novozyme, Ames, IA)又はAMG(登録商標)300L(Novozyme, Ames, IA)又はこれらの酵素の組合せのどれかを用いて、表1に従って65℃で90分間にわたりアルゼンチン(TetraPak)大豆ベースのサンプルを処理した。
【0078】
【0079】
酵素処理後、冷水浴を用いて又はサンプルをフリーザー中に貯蔵することにより、5分間以下で10℃未満にサンプルをただちに冷却した。冷却後、酵素処理サンプルは、大豆ベースの凝固に起因して厚いドライスキン層を有することが観測された。続いて、水浴を用いてサンプルを80℃に再加熱した。サンプル2~4は、コントロール大豆ベースよりも粘性であることが観察された。しかしながら、サンプルが半固形状態のため、この粘度試験はできなかった。
【0080】
サンプルの糖組成は、HPLCにより測定され、以下の表2に提供される。
【0081】
【0082】
トライアル2
第2のトライアル(トライアル2)は、粘度及び糖形成に及ぼす全粒大豆ベース(液化)への酵素処理の影響を決定するために行われた。BAN(登録商標)480L((Novozyme, Ames, IA)又はAMG(登録商標)300L(Novozyme, Ames, IA)又はこれらの酵素の組合せのどれかを用いて、表3に従って65℃で指示処理時間にわたり大豆ベース(500g)のサンプルを処理した。
【0083】
【0084】
酵素処理後、冷水浴を用いて又はサンプルをフリーザー中に貯蔵することにより、5分間以下で10℃未満にサンプルをただちに冷却した。トライアル1と比較して、トライアル2のサンプル5~19はすべて、スキン形成が不在でより希薄でより低粘性の産物を生成した。冷却後、増粘は観測されなかった。
【0085】
サンプルの糖組成は、HPLCにより測定され、以下の表4に提供される。
【0086】
【0087】
トライアル3
第3のトライアル(トライアル3)は、粘度及び糖形成に及ぼす全粒大豆ベースへのBAN(登録商標)480L及びTermamyl(登録商標)による酵素処理の影響を決定するために行われた。BAN(登録商標)480L((Novozyme, Ames, IA)又はTermamyl(登録商標)(Novozyme, Ames, IA)又はこれらの酵素の組合せのどれかを用いて、表5に従って65℃で指示処理時間にわたりUrschel大豆ベース(500g)のサンプルを処理した。
【0088】
【0089】
酵素処理後、冷水浴を用いて又はサンプルをフリーザー中に貯蔵することにより、5分間以下で10℃未満にサンプルをただちに冷却した。トライアル1と比較して、トライアル3のサンプル21~24はすべて、スキン形成が不在でより希薄でより低粘性の産物を生成した。冷却後、増粘は観測されなかった。
【0090】
サンプル21~24の粘度は、Brookfield(登録商標)粘度計を用いて測定され、値は、以下の表6に提供される。
【0091】
【0092】
サンプルの糖組成は、HPLCにより測定され、以下の表7に提供される。
【0093】
【0094】
トライアル4
第4のトライアル(トライアル4)は、粉砕の前及び後のUrschel全粒大豆ベースに及ぼすBAN(登録商標)480Lによる酵素処理の影響を決定するために行われた。粉砕の前及び後のどちらかでBAN(登録商標)480L((Novozyme, Ames, IA)を用いて、表8に従って65℃で指示処理時間にわたりUrschel大豆ベース(500g)のサンプルを処理した。
【0095】
【0096】
酵素処理後、冷水浴を用いて又はサンプルをフリーザー中に貯蔵することにより、5分間以下で10℃未満にサンプルをただちに冷却した。トライアル1と比較して、トライアル4のサンプル25~28はすべて、スキン形成が不在でより希薄でより低粘性の産物を生成した。冷却後、増粘は観測されなかった。
【0097】
サンプル25~28の粘度は測定されて、値は以下の表9に提供される。
【0098】
【0099】
少数のサンプルは、酵素処理後にマイナーな剪断減粘を示した。しかしながら、粉砕後のBAN(登録商標)の使用は、冷却後に粘度増加の傾向があると思われる。
【0100】
サンプルの糖組成は、HPLCにより測定され、以下の表10に提供される。
【0101】
【0102】
生成したグルコース鎖の長さも決定され、以下の表11に提供される。
【0103】
【0104】
BAN(登録商標)処理は、グルコース鎖4以上の形成を増加させると思われることが、データから示唆される。
【0105】
各サンプルのタンパク質含有率も決定され、以下の表12に提供される。
【0106】
【0107】
最後に、各サンプルの含湿率が決定され、以下の表13に提供される。
【0108】
【0109】
以上の明細書、実施例、及びデータは、本発明の組成物の製造及び使用の完全な説明を提供する。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の多くの実施形態を作製可能であるので、本発明は、これ以降に添付される特許請求の範囲に依拠する。
【国際調査報告】