(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】コロナウイルス中和抗体を検出するための方法、組成物、およびシステム
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20180101AFI20230718BHJP
C12Q 1/66 20060101ALI20230718BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230718BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230718BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230718BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20230718BHJP
C12N 15/57 20060101ALN20230718BHJP
C12N 15/50 20060101ALN20230718BHJP
C12N 15/867 20060101ALN20230718BHJP
【FI】
C12Q1/68 100Z
C12Q1/66
C12N15/12
C12Q1/02
G01N33/53 N
G01N33/569 L
C12N15/57
C12N15/50
C12N15/867 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579957
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 US2021039185
(87)【国際公開番号】W WO2021263165
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511172461
【氏名又は名称】ラボラトリー コーポレイション オブ アメリカ ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ペトロポウロス, クリストス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リン, メアリー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ディティロ, ダニエル
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA06
4B063QA18
4B063QQ03
4B063QQ22
4B063QQ79
4B063QR02
4B063QR33
4B063QR58
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4B063QR80
4B063QS05
4B063QS28
4B063QS38
4B063QX02
(57)【要約】
本開示は、コロナウイルスに曝露された対象が、中和抗体応答を生じたかどうかを検出するための方法、組成物、およびシステムに関する。また、コロナウイルスに感染した患者が、抗体調製物での処置に応答する可能性が高いかどうかを、決定するための方法も、開示される。コロナウイルス、またはコロナウイルスワクチンに曝露された対象に由来する血清の試料において、中和抗体応答のレベルを検出するための方法もまた、開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナウイルスに曝露された対象が中和抗体応答を生じたかどうかを検出するための方法であって、
(a)複数の第1の細胞に、
i)コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、および
ii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクター
をトランスフェクトするステップと、
(b)前記第1の細胞が前記コロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、前記第1の細胞をインキュベートするステップと、
(c)ステップ(b)の前記ウイルス粒子を、前記対象に由来する抗体を含む試料の存在下または非存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、前記第2の細胞が、前記コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、
(d)前記試料の存在下または非存在下において、前記第2の細胞によって産生された前記検出可能なシグナルの量を測定するステップと、
(e)ステップ(d)において前記試料の存在下で測定されたシグナルの量を、ステップ(d)において前記試料の非存在下で測定されたシグナルの量と比較するステップであって、前記試料の存在下で測定されたシグナルの低減された量は、前記対象が、感染を低減させることができる中和抗体応答を生じたことを示す、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記インジケーター核酸が、インジケーター遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インジケーター遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞表面受容体が、ACE-2である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS CoV-2)に感染していた、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記試料が、血清または血漿である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ウイルス発現ベクターが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)発現ベクターである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の細胞が、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ACE-2、TMPRSS2、またはそれらの両方が、前記第2の細胞によって安定に発現される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記試料における中和抗体応答のレベルが、前記対象について測定された総抗コロナウイルス抗体の力価と相関する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
スパイクタンパク質における変異の、抗SARS CoV-2抗体への感受性に対する作用を評価するための方法であって、
(a)複数の第1の細胞の第1の部分に、
i)対照コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、および
ii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクター
をトランスフェクトするステップと、
(b)複数の第1の細胞の第2の部分に、
i)変異を含むコロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、および
ii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクター
をトランスフェクトするステップと、
(c)前記第1の部分の細胞が、前記対照コロナウイルススパイクタンパク質を含む第1のウイルス粒子を産生し、前記第2の部分の細胞が、前記変異を有する前記コロナウイルススパイクタンパク質を含む第2のウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞の前記第1の部分および前記第2の部分を、別個にインキュベートするステップと、
(d)ステップ(c)の前記第1のウイルス粒子を、SARS CoV-2に結合する抗体を含む試料の存在下において、複数の第2の細胞の第1の部分と接触させるステップであって、前記第2の細胞が、前記コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、
(e)ステップ(c)の前記第2のウイルス粒子を、SARS CoV-2に結合する抗体を含む試料の存在下において、複数の第2の細胞の第2の部分と接触させるステップであって、前記第2の細胞が、前記コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、
(f)ステップ(d)および(e)において前記第2の細胞によって産生された前記検出可能なシグナルの量を測定するステップであって、ステップ(e)において前記第2の細胞によって産生された前記シグナルと比較した、ステップ(d)において前記第2の細胞によって産生されたシグナルの低減された量は、前記スパイクタンパク質における前記変異が、前記ウイルス粒子の前記抗SARS CoV-2抗体への低減された感受性をもたらすことを示す、ステップと
を含む、方法。
【請求項16】
SARS感染性をモジュレートすることができる化合物の検出のための組成物であって、産生細胞または標的細胞のいずれかとなるように遺伝子改変されている細胞を含む、組成物。
【請求項17】
必要に応じて安定な様式で、アンジオテンシン変換酵素2受容体(ACE-2)を発現する標的細胞となるように遺伝子改変されている、第1の細胞を含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記標的細胞が、必要に応じて安定な様式で、さらに、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現するように遺伝子改変されている、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記産生細胞が、i)SARS CoV-2スパイクタンパク質またはその一部分、およびii)コロナウイルスではない、検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含む、第2のウイルスまたはその一部分を含む、遺伝子改変された第2の細胞である、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
コロナウイルスワクチンに曝露された対象に由来する試料において、中和抗体応答のレベルを検出するための方法であって、
(a)複数の第1の細胞に、
i)コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、および
ii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクター
をトランスフェクトするステップと、
(b)前記第1の細胞が前記コロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、前記第1の細胞をインキュベートするステップと、
(c)ステップ(b)の前記ウイルス粒子を、前記対象がコロナウイルスワクチンに曝露される前に得られた前記対象に由来する試料、または前記対象がコロナウイルスワクチンに曝露された後に得られた前記対象に由来する試料の存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、前記第2の細胞が、前記コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、
(d)前記対象が前記コロナウイルスワクチンに曝露される前に得られた前記試料の存在下において、前記第2の細胞によって産生された前記検出可能なシグナルの量を測定するステップと、
(e)前記対象が前記コロナウイルスワクチンに曝露された後に得られた前記試料の存在下において、前記第2の細胞によって産生された前記検出可能なシグナルの量を測定するステップと、
(f)ステップ(d)において測定されたシグナルの量を、ステップ(e)において産生されたシグナルの量と比較し、ステップ(d)において測定されたシグナルの量の、ステップ(e)において産生されたシグナルの量との差に基づいて、前記対象における中和抗体応答のレベルを決定するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年6月25日に出願された米国仮出願第63/044,070号、2020年12月16日に出願された米国仮出願第63/126,164号、および2012年1月29日に出願された米国仮出願第63/143,592号に対する優先権を主張する。米国仮出願第63/044,070号、同第63/126,164号、および同第63/143,592号の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、ウイルス中和抗体の検出に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
SARS CoV-2などのウイルスに対する対象の免疫応答を正確に評価するアッセイが、当該技術分野において必要とされている。2019/2020年の中華人民共和国武漢におけるSARS CoV-2のアウトブレイクは、人畜共通ウイルス感染症の地域的アウトブレイクが、より大きな地理的地域に急速に拡大する可能性を有するという鮮烈な証拠をもたらした。広範な感染分布を考慮すると、SARS CoV-2は、今では、世界人口における風土病ウイルスとして確立されている可能性がある。
【0004】
SARS CoV-2ウイルス複製を急速に抑制する有効な抗ウイルス剤の開発が、進行中および/または今後のアウトブレイクの治療的制御において非常に有益であろうとはいえ、現時点では、予防用ワクチンが、今後のSARS CoV-2のアウトブレイク、エピデミック、およびパンデミックの危険性を低減させるためのもっとも有効なアプローチと見られている。安全かつ有効なSARS CoV-2ワクチンを開発するために、文字通り何百もの免疫化戦略が検討されている。もっとも有望なアプローチの多くは、広範な体液性防御免疫応答を誘起し、コロナウイルススパイクタンパク質への指向性を有する中和抗体(nAb)活性をもたらすように設計されている。
【0005】
SARS CoV-2感染症が、既存および新規な抗ウイルス医薬および/または免疫療法で有効に処置できるようになるまで、重篤な疾病のための臨床処置の選択肢には、SARS CoV-2感染症から回復したばかりの個体によって提供された回復期血清/血漿での処置が含まれる可能性が高いであろう。
【0006】
しかしながら、SARS CoV-2防御免疫と治療的有効性との間の相関については、わかっていない。ウイルス感染症からの防御、またはウイルス複製の抑制には、先天免疫系および適応免疫系の様々な成分が関与し得る。B細胞に媒介される体液性免疫応答(すなわち、中和抗体)が、防御およびウイルスクリアランスに重要であり得ることを示す証拠が出てきている。現在、SARS CoV-2感染に対する抗体応答および免疫化を高い信頼性で特徴付けるための診断アッセイを開発、検証、および実装するための集中的および包括的な試みがなされている。
【0007】
SARS CoV-2の病原性により、nAb活性の評価を含め、生きた(すなわち、複製コンピテントな)ウイルスが関与するすべての細胞に基づくin vitro研究は、BSL3封じ込め下で行うことを余儀なくされている。本明細書に開示されるアッセイは、BSL2封じ込め下で行うことができ、研究室人員に対する危険性の低減、ならびにワクチンの支援者および回復期血清の提供者にかかる費用の低下をもたらす、正確で、再生可能な、高スループットの代替法を提供する。
【0008】
そのようなアッセイは、SARS CoV-2に対する防御免疫レベルを確立させるための研究を可能にし、病原体への感染後の個々の予後の予測および回復のモニタリングに寄与するであろう。加えて、このアッセイを使用して、ワクチンおよび処置応答を研究し、回復期血漿療法のためのドナー血漿の選択を補助することができる。現在利用可能なアッセイでは、これらの適用には不十分である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
コロナウイルス中和抗体を検出するための方法を提供することが、本開示の目的である。本方法は、様々な手段で具現化され得る。
【0010】
一部の実施形態では、本開示は、コロナウイルスに曝露された対象が中和抗体応答を生じたかどうかを検出するための方法であって、(a)複数の第1の細胞に、i)コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップと、(b)第1の細胞がコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、対象に由来する抗体を含む試料の存在下または非存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、(d)試料の存在下または非存在下において、ウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、(e)ステップ(d)において試料の存在下で測定されたシグナルの量を、ステップ(d)において試料の非存在下で産生されたシグナルの量と比較するステップであって、試料の存在下で測定されたシグナルの低減された量は、対象が、感染を低減させることができる中和抗体応答を生じたことを示す、ステップとを含む、方法を提供する。
【0011】
他の実施形態では、本開示は、ウイルスに感染した第1の対象が、抗体調製物での処置に応答する可能性が高いかどうかを決定するための方法であって、(a)複数の第1の細胞に、i)対象に由来するコロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップと、(b)第1の細胞がコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、抗体調製物の存在下または非存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、ウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、(d)抗体調製物の存在下または非存在下において、ウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、(e)ステップ(d)において抗体調製物の存在下で測定されたシグナルの量を、ステップ(d)において抗体調製物の非存在下で産生されたシグナルの量と比較するステップであって、抗体調製物の存在下で測定されたシグナルの低減された量は、対象が、抗体調製物での処置に対して応答性である可能性が高いことを示す、ステップとを含む、方法を提供する。
【0012】
他の実施形態では、本開示は、コロナウイルスまたはコロナウイルスワクチンに曝露された対象に由来する試料における中和抗体応答のレベル(すなわち、力価)を検出するための方法であって、(a)複数の第1の細胞に、i)コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップと、(b)第1の細胞がコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、コロナウイルスまたはコロナウイルスワクチンに曝露された対象に由来する試料の存在下または非存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、(d)試料の存在下または非存在下において、ウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、(e)ステップ(d)において試料の存在下で測定されたシグナルの量を、ステップ(d)において試料の非存在下で産生されたシグナルの量と比較するステップと、(f)試料に曝露されていないウイルス粒子の感染性と比較した、試料に曝露されたウイルス粒子の感染性の低減の程度に基づいて、試料における中和抗体応答のレベルを決定するステップとを含む、方法を提供する。
【0013】
他の実施形態では、本開示は、SARS CoV-2スパイクタンパク質における変異の、抗SARS CoV-2中和抗体への感受性に対する作用を評価するための方法を提供する。例えば、本方法は、(a)複数の第1の細胞の第1の部分に、i)対照コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップと、(b)複数の第1の細胞の第2の部分に、i)変異を含むコロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップを含み得る。本方法は、次いで、(c)第1の部分の細胞が、対照コロナウイルススパイクタンパク質を含む第1のウイルス粒子を産生し、第2の部分の細胞が、変異を有するコロナウイルススパイクタンパク質を含む第2のウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞の第1および第2の部分を、別個にインキュベートするステップをさらに含み得る。本方法は、(d)ステップ(c)の第1のウイルス粒子を、SARS CoV-2に結合する抗体(すなわち、抗SARS CoV-2抗体)を含む試料の存在下において、複数の第2の細胞の第1の部分と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップをさらに含み得る。本方法は、(e)ステップ(c)の第2のウイルス粒子を、SARS CoV-2に結合する抗体を含む試料の存在下において、複数の第2の細胞の第2の部分と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップをさらに含み得る。本方法は、(f)ステップ(d)および(e)において第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップであって、ステップ(e)において第2の細胞によって産生されたシグナルと比較した、ステップ(d)において第2の細胞によって産生されたシグナルの低減された量は、スパイクタンパク質における変異が、ウイルス粒子の抗SARS CoV-2抗体への低減された感受性をもたらすことを示す、ステップをさらに含み得る。
【0014】
SARS感染性をモジュレートすることができる化合物、例えば、中和抗体の検出のための組成物もまた、開示される。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に開示される産生細胞または標的細胞のいずれかとなるように操作されている細胞を含み得る。例えば、システムは、アンジオテンシン変換酵素2受容体(ACE-2)を発現する標的細胞となるように遺伝子改変されている1つまたは複数の第1の細胞を含み得る。一部の実施形態では、標的細胞は、さらに、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現するように遺伝子改変されていてもよい。一部の実施形態では、また本明細書において考察されるように、ACE2および/またはTMPRSS2は、一過的な発現を可能にする様式で、標的細胞に導入されてもよい。あるいは、ACE2および/またはTMPRSS2は、安定な発現を可能にする様式で、標的細胞に導入されてもよい。また、産生細胞および/または標的細胞を作製するための遺伝子構築物が、開示される。
【0015】
また、本方法のステップのうちのいずれかを行うかまたはシステムの任意の部分を作動させるように構成されている命令を含む、非一過性機械可読記憶媒体において有形に具現化されるキット、システム、およびコンピュータプログラム製品もまた、開示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示のある実施形態による、コロナウイルス中和抗体を検出するための例示的なアッセイを示し、ここで、アンジオテンシン変換酵素2(ACE-2)およびヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)が、標的細胞において一過的に発現される。PSVは、シュードウイルスを指し、S-ORFは、コロナウイルスSタンパク質(エンベロープスパイクタンパク質)オープンリーディングフレームを指し、lucは、ルシフェラーゼを指す。シュードビリオンは、産生細胞から発出するウイルス粒子として示されている。標的細胞の蛍光(血清による感染の阻害の欠如を示す)は、標的細胞から発出する色として示されている。
【0017】
【
図2】
図2は、本開示のある実施形態による、コロナウイルス中和抗体を検出するための例示的なアッセイを示し、ここで、ACE-2が、標的細胞において安定に発現され、TMPRSS2が、標的細胞において一過的に発現される。
【0018】
【
図3】
図3は、本開示のある実施形態による、コロナウイルス中和抗体を検出するための例示的なアッセイを示し、ここで、ACE-2およびTMPRSS2が、標的細胞において安定に発現される。
【0019】
【
図4】
図4は、本開示のある実施形態により生成された、抗SARS CoV-2 nAb滴定プロファイルの例を示し、ここで、x軸は、1/希釈(例えば、1/100希釈=1.0E-2としての対象の血清の希釈を示し、y軸は、阻害パーセントを示す。試験した血清試料のそれぞれについて、50%阻害をもたらした希釈が、それぞれのグラフの上に示されている。
【0020】
【
図5】
図5は、本開示のある実施形態により生成された、回復期血清における抗SARS CoV-2 nAb滴定プロファイルの例を示し、ここで、x軸は、1/希釈(例えば、1/100希釈=1.0E-2としての対象の血清の希釈を示し、y軸は、阻害パーセントを示す。試験した血清試料のそれぞれについて、50%阻害をもたらした希釈が、それぞれのグラフの上に示されている。
【0021】
【
図6】
図6は、本開示のある実施形態による、二連に実施したアッセイから得られた抗SARS CoV-2 nAb力価を、回復期血清、および一部の事例では同じ対象に由来する血漿における抗SARS CoV-2 nAb力価と比較する、チャートを示す。力価は、本開示のある実施形態により生成した。群分けのそれぞれにおいて、第1の(左端の)バーは、血清試験1であり、第2のバーは、血清試験2であり、存在する場合、第3の(右端の)バーは、血漿である。試料識別子は、x軸に示され、力価(ID50=50%阻害の1/希釈)は、y軸に示されている。
【0022】
【
図7】
図7は、本開示のある実施形態によって実行される抗SARS CoV-2 nAbアッセイの再現性を分析する、チャートを示す。
【0023】
【
図8】
図8は、抗SARS CoV-2受容体結合ドメインアッセイの結果と、本明細書に開示されるアッセイのある実施形態を使用して血清および血漿の両方について生成された、抗SARS CoV-2 nAb力価とを相関付ける表を示す。
【0024】
【
図9】
図9は、本明細書に開示されるアッセイのある実施形態を使用して生成され、線形(上部)または対数スケール(下部)比較としてプロットされた、抗SARS CoV-2受容体結合ドメインアッセイの結果と、抗SARS CoV-2 nAb力価との相関を示す。
【0025】
【
図10】
図10は、本明細書に開示されるアッセイのある実施形態から生成された、アッセイ正確度および包括性(inclusivity)試験の結果の表を示す。
【0026】
【
図11】
図11は、本開示のある実施形態により、手作業での血清希釈およびACE-2を一過的に発現する細胞を使用してアッセイを実行した場合の、アッセイ内精度の結果の表を示す。
【0027】
【
図12】
図12は、本開示のある実施形態により、手作業での血清希釈およびACE-2を安定に発現する細胞を使用してアッセイを実行した場合の、アッセイ内精度の結果の表を示す。
【0028】
【
図13】
図13は、本開示のある実施形態により、自動化された血清希釈およびACE-2を一過的に発現する細胞を使用してアッセイを実行した場合の、アッセイ内精度の結果の表を示す。
【0029】
【
図14】
図14は、本開示のある実施形態により、自動化された血清希釈およびACE-2を安定に発現する細胞を使用してアッセイを実行した場合の、アッセイ内精度の結果の表を示す。
【0030】
【
図15】
図15は、高力価、中等度の力価、低力価、および陰性対照の試料を使用したアッセイの実施形態から生成された、アッセイ間精度の結果の表を示す。
【0031】
【
図16】
図16は、手作業または自動化のいずれかの血清希釈を使用したアッセイの実施形態の比較から生成された、アッセイ間精度の結果の表を示す。
【0032】
【
図17】
図17は、ACE-2を一過的に発現するかまたはACE-2を安定に発現するかのいずれかの細胞を使用したアッセイの実施形態の比較から生成された、アッセイ間精度の結果の表を示す。
【0033】
【
図18】
図18は、5つの異なる3倍希釈の試料を用いて試行したアッセイの実施形態から生成された、アッセイの線形性の結果の表を示す。
【0034】
【
図19】
図19は、本開示のある実施形態による、線形回帰試験を使用したアッセイの線形性の調査を示すチャートを示す。
【0035】
【
図20】
図20は、免疫グロブリン枯渇を受けている試料におけるアッセイの実施形態の反応性を詳細に示す。
【0036】
【
図21】
図21は、免疫グロブリン枯渇を受けている、連続希釈した試料におけるアッセイの実施形態の反応性を詳細に示す。
【0037】
【
図22】
図22は、歴史的陰性試料を使用した、抗SARS CoV-2および抗SARS CoV中和抗体について試験するアッセイのある実施形態の交差反応性試験を詳細に示す。
【0038】
【
図23】
図23は、HIV、HBV、HCV、およびSARS CoVを対象とする種々の濃度の抗体でスパイクした陰性血清試料を使用したアッセイのある実施形態の交差反応性試験を詳細に示す。
【0039】
【
図24】
図24は、アッセイのある実施形態における、干渉物質を含む試料を使用して行った干渉試験の結果を詳細に示す。
【0040】
【
図25】
図25は、血清、クエン酸デキストロース(ACD)で採取した血漿、EDTAで採取した血漿、およびヘパリンで採取した血漿を比較するためのアッセイのある実施形態を使用して行った干渉試験の結果を詳細に示す。
【0041】
【
図26】
図26は、未希釈、1:2で希釈、および1:3で希釈した、低力価のSARS CoV2 nAB試料の計算された力価を比較するための、アッセイのある実施形態を使用して行った感度試験の結果を示す。
【0042】
【
図27】
図27は、本明細書に開示されるアッセイのある実施形態を使用して行われた試料安定性試験の結果を詳細に示す。
【0043】
【
図28】
図28は、本明細書に開示されるアッセイのある実施形態を使用して行われたアッセイ試薬安定性試験の結果を詳細に示す。
【0044】
【
図29】
図29は、標的細胞が、ACE2もしくはACE2およびTMPRSS2の両方を安定に発現するか、またはACE2およびTMPRSS2が、標的細胞上に一過的に発現される、例示的なアッセイにおけるSARS CoV2シュードウイルスの感染性を示すグラフである。標的細胞型は、x軸に示され、平均相対ルシフェラーゼ単位(RLU)は、y軸に示されている。
【0045】
【
図30】
図30は、例示的なアッセイにおける、ACE2もしくはACE2およびTMPRSS2の両方を安定に発現するかまたはACE2およびTMPRSS2が標的細胞上に一過的に発現される標的細胞の感染に対する中和対照血清の有効性を示すグラフである。
【0046】
【
図31】
図31は、B.1.1.7(英国)バリアント、B.1.351(南アフリカ)バリアント、B.1.1.28.1(ブラジル)バリアント、およびB.1.427/B.1.429(カリフォルニア)バリアントを含む、これまでに特定されたSARS-CoV-2バリアントを、それぞれのバリアントのSタンパク質において特定されている多数の単一変異とともに示す。
【0047】
【
図32】
図32は、本開示のある実施形態による、いくつかの試験したバリアントおよび単一変異体シュードウイルスのそれぞれについて計算された感染性(相対発光単位、RLU)を示す。
【0048】
【
図33】
図33は、本開示のある実施形態による、10点試料滴定曲線から生成されたそれぞれの試料についての中和力価を示す、例示的な(B1.1.7)ID50の表を示す。
【0049】
【
図34】
図34は、本開示のある実施形態による、D614G SARS-CoV-2シュードウイルスを使用して正規化したそれぞれのシュードウイルスのそれぞれの試料(B.1.1.7)の力価の倍数差(fold difference)を、平均および中央値とともに示す。
【0050】
【
図35】
図35は、B.1.1.7バリアントシュードビリオン(PsV)およびB.1.1.7に特徴的な個々の変異を有するPsVの、D614G SAR-CoV-2 PsVと比較したID50の倍数差の箱ひげ図を示し、ここで、本開示の実施形態により、箱は、四分位範囲を示し、それぞれの箱の中心線は、中央値を示し、アームは、最大値および最小値を示す。
【0051】
【
図36】
図36は、B.1.351バリアントシュードビリオン(PsV)およびB.1.351に特徴的な個々の変異を有するPsVの、D614G PsVと比較したID50の倍数差の箱ひげ図を示し、ここで、本開示の実施形態により、箱は、四分位範囲を示し、それぞれの箱の中心線は、中央値を示し、アームは、最大値および最小値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
詳細な説明
以下の説明は、本組成物および方法の様々な態様および実施形態を列挙する。本組成物および方法の範囲を定義することを意図する具体的な実施形態は存在しない。むしろ、実施形態は、単に、少なくとも本組成物および方法の範囲内に含まれる様々な方法およびシステムの非限定的な例を提供するものである。本説明は、当業者の観点から読解されるものであり、したがって、当業者に周知の情報は、必ずしも含まれていない。
【0053】
定義
本開示は、これより、以下でより詳細に説明される。本開示は、多数の異なる形態で具現化され得、本明細書に記載される態様に限定されるとして解釈されるものではなく、むしろ、これらの態様は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供されるものである。別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって広く理解されているものと同じ意味を有する。本明細書において参照されるすべての特許、出願、公開出願、および他の刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。この節に記載されている定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開出願、および他の刊行物に記載されている定義と相いれない、または他の点で矛盾する場合、この節に記載されている定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義よりも優先される。
【0054】
本開示またはその実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」および「前記(said)」は、要素が1つまたは複数存在することを意味することが意図される。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図し、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。本明細書に記載される本開示の態様および実施形態は、態様および実施形態「からなること」および/またはそれら「から本質的になること」を含むことが、理解される。
【0055】
「および/または」という用語は、2つまたはそれよりも多くの項目の一覧において使用される場合、列挙された項目のうちのいずれか1つが、それ自体で利用されてもよく、列挙された項目のうちのいずれか1つまたは複数と組み合わせて利用されてもよいことを意味する。例えば、「Aおよび/またはB」という表現は、AおよびBのいずれかまたはそれらの両方、すなわち、A単独、B単独、またはAとBとの組合せを意味することが意図される。「A、B、および/またはC」という表現は、A単独、B単独、C単独、AとBとの組合せ、AとCとの組合せ、BとCとの組合せ、またはA、B、およびCの組合せを意味することが意図される。
【0056】
本開示の様々な態様は、範囲形式で提示される。範囲形式での記述は、単に便宜上および簡潔さのためのものにすぎず、本開示の範囲に対する確固たる制限とみなされるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記述は、可能性のあるすべての部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示したものとみなすべきである。例えば、1~6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などといった部分範囲、ならびに、その範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示したものとみなすべきである。これは、範囲の幅に関わらず、適用される。
【0057】
「試料」、または「患者試料」、または「生体試料」、または「標本」は、本明細書において互換可能に使用される。試料の供給源は、新鮮な組織、凍結および/または保存された器官または組織または生検または吸引に由来する固形組織であり得る。試料の供給源は、液体試料であり得る。液体試料の非限定的な例としては、無細胞核酸、血液もしくは血液産物(例えば、血清、血漿など)、尿、鼻スワブ、生検試料(例えば、がんの検出のための液体生検)、またはこれらの組合せが挙げられる。「血液」という用語は、全血、血液産物、または血液の任意の画分、例えば、従来的に定義される血清、血漿、バフィーコートなどを包含する。好適な試料としては、採取および乾燥のために基材上に配置され得るものが挙げられ、これには、血液、血漿、血清、尿、唾液、涙液、脳脊髄液、器官、毛髪、筋肉、または他の組織試料、他の液体吸引物が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、試料体液は、乾燥させる前に基材上で分離されてもよい。例えば、血液は、分析のための乾燥血漿試料を得るために乾燥させる前に、赤血球の移動を制限し、血液血漿画分の分離を可能にする、試料採取紙基材上に配置されてもよい。例えば、ある特定の実施形態(例えば、COVID-19)では、生体試料は、上部または下部呼吸器系から得られた標本を含む。ある実施形態では、試料は、例えば、上咽頭スワブ、中鼻甲介(mid-turbinate)スワブ、前鼻孔(anterior nare)スワブ、中咽頭スワブ、痰、下気道吸引物、気管支肺胞洗浄液、鼻咽頭洗浄液および/もしくは吸引物、または鼻吸引物のうちの少なくとも1つを含み得る。試料は、本来は組織と天然に混合されていない化合物、例えば、保存剤、抗凝固剤、緩衝液、固定液、栄養素、抗生物質などを含有してもよい。
【0058】
本明細書において使用される場合、「対象」および「患者」という用語は、互換的に使用される。本明細書において使用される場合、「対象」および「複数の対象」という用語は、動物、好ましくは、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ、ラクダ、ネコ、イヌ、モルモット、ラット、マウス、またはヒツジ)、および霊長類(例えば、サル、例えば、カニクイザル、ゴリラ、チンパンジー、またはヒト)を含む、哺乳動物を指す。
【0059】
本明細書において使用される場合、「シュードウイルス」、「シュードビリオン」、および「ウイルス粒子」という用語は、互換可能に使用され得る。
【0060】
「処置」およびこの単語の他の形態は、疾患を妨害する薬剤の投与を指す。処置はまた、当業者、例えば、処置する医師が、適切であると考える任意の過程も指し得る。
【0061】
本明細書において使用される場合、「力価」という用語は、目的の検体の濃度を指す。本明細書において使用される場合、「力価」は、抗体の濃度を指し得る。一部の実施形態では、「力価」は、中和抗体、例えば、Sars-CoV-2スパイクタンパク質を認識した中和抗体の濃度を指し得る。
【0062】
方法
一部の実施形態では、本開示は、コロナウイルスに曝露された対象が中和抗体応答を生じたかどうかを検出するための方法であって、(a)複数の第1の細胞に、i)コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップと、(b)第1の細胞がコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、対象に由来する抗体を含む試料の存在下または非存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、(d)試料の存在下または非存在下において、ウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、(e)ステップ(d)において試料の存在下で測定されたシグナルの量を、ステップ(d)において試料の非存在下で産生されたシグナルの量と比較するステップであって、試料の存在下で測定されたシグナルの低減された量は、対象が、感染を低減させることができる中和抗体応答を生じたことを示す、ステップとを含む、方法を提供する。
【0063】
他の実施形態では、本開示は、ウイルスに感染した対象が、抗体調製物での処置に応答する可能性が高いかどうかを決定するための方法であって、(a)複数の第1の細胞に、i)対象に由来するコロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップと、(b)第1の細胞が対象に由来するコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、抗体調製物の存在下または非存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、ウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、(d)抗体調製物の存在下または非存在下において、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、(e)ステップ(d)において抗体調製物の存在下で測定されたシグナルの量を、ステップ(d)において抗体調製物の非存在下で産生されたシグナルの量と比較するステップであって、第2の対象に由来する抗体調製物の存在下で測定されたシグナルの低減された量は、対象が、抗体調製物での処置に対して応答性である可能性が高いことを示す、ステップとを含む、方法を提供する。ある特定の実施形態では、抗体調製物は、第2の対象に由来する回復期血清である。
【0064】
他の実施形態では、本開示は、コロナウイルスに曝露された対象に由来する試料における中和抗体応答のレベル(例えば、力価)を検出するための方法であって、(a)複数の第1の細胞に、i)コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップと、(b)第1の細胞がコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、コロナウイルスに曝露された対象に由来する試料の存在下または非存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、(d)試料の存在下または非存在下において、ウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、(e)ステップ(d)において試料の存在下で測定されたシグナルの量を、ステップ(d)において試料の非存在下で産生されたシグナルの量と比較するステップと、(f)試料に曝露されていないウイルス粒子の感染性と比較した、試料に曝露されたウイルス粒子の感染性の低減の程度に基づいて、試料における中和抗体応答のレベルを決定するステップとを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、試料は、血清試料である。ある実施形態では、測定された中和抗体のレベルは、所定のレベルの1ミリリットル(mL)当たりの国際単位(IU)を有する世界保健機関の国際標準に相関する。
【0065】
他の実施形態では、本開示は、コロナウイルスワクチンに曝露された対象に由来する試料における中和抗体応答のレベル(例えば、力価)を検出するための方法であって、(a)複数の第1の細胞に、i)コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップと、(b)第1の細胞がコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、対象がコロナウイルスワクチンに曝露される前に対象から得られた試料または試料がコロナウイルスワクチンに曝露された後に得られた対象に由来する試料の存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、(d)対象がコロナウイルスワクチンに曝露される前に得られた試料の存在下におけるウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、(e)対象がコロナウイルスワクチンに曝露された後に得られた試料の存在下におけるウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、(f)ステップ(d)において測定されたシグナルの量を、ステップ(e)において産生されたシグナルの量と比較し、ステップ(d)において測定されたシグナルの量と、ステップ(e)において産生されたシグナルの量との差に基づいて、試料における中和抗体応答のレベルを決定するステップとを含む、方法を提供する。
【0066】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、抗体応答は、感染を完全に阻害する中和抗体応答であり得る。本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、中和抗体応答は、感染を、部分的にではあるが、治療的に有効なレベルまで阻害し得る。
【0067】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、コロナウイルススパイクタンパク質は、コロナウイルスSタンパク質であり得る。SARS CoV-2スパイク(S)タンパク質は、ウイルスの宿主細胞への結合および進入を媒介する三量体タンパク質である。Sタンパク質は、中和抗体の主要な標的である。それぞれのSタンパク質モノマーは、受容体結合を媒介するN末端S1ドメインおよび膜融合を媒介する膜近位型S2ドメインからなる。SARS CoV-2は、アンジオテンシン変換酵素-2(ACE-2)をその細胞受容体として使用し得る。
【0068】
SARS CoV-2 Sタンパク質は、変異して、バリアントをもたらすことが公知である。SARS-CoV-2バリアントは、アミノ酸の欠失または置換を引き起こす、スパイク遺伝子の長さに沿った特定の点変異によって定義される。これらの変化は、ACE 2受容体へのスパイクタンパク質結合効率の増強をもたらし、ウイルスが、より容易に細胞に感染することを可能にし得る。追加として、および/または代替として、これらの変化は、自然感染後に、ワクチン後に、または抗体療法によって生じる抗体からのウイルスの回避能力に影響を及ぼし得る。一部の実施形態では、Sタンパク質は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)バリアントに感染した対象に由来し得る。一部の実施形態では、バリアントは、B.1.1.7(英国)バリアント、B.1.351(南アフリカ)バリアント、B.1.1.28.1(ブラジル)バリアント、またはB.1.427/B/1/429(カリフォルニア)バリアントであり得る。
【0069】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、インジケーター核酸は、インジケーター遺伝子を含み得る。一部の実施形態では、インジケーター遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子であり得る。あるいは、検出可能なインジケーターをコードする他の遺伝子配列が、使用されてもよい。
【0070】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、細胞表面受容体は、ACE-2であり得る。
図1に示されるように、本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、細胞表面受容体、例えば、ACE-2は、一過的に発現され得る。
図2および
図3に示されるように、本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、細胞表面受容体、例えば、ACE-2は、安定に発現され得る。本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、第2の細胞は、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)をさらに発現し得る。
図3に示されるように、一部の実施形態では、ACE-2およびTMPRSS2の両方が、安定に発現され得る。一部の実施形態では、細胞は、低いレベルのACE-2を発現し得る。一部の実施形態では、細胞は、中等度のレベルのACE-2を発現し得る。一部の実施形態では、細胞は、高いレベルのACE-2を発現し得る。
【0071】
他の態様では、SARS CoV-2における変異を、抗SARS CoV-2中和抗体への感受性の増加または減少をもたらす能力について評価するための方法が、開示される。例えば、本方法は、(a)複数の第1の細胞の第1の部分に、i)対照コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップと、(b)複数の第1の細胞の第2の部分に、i)変異を含むコロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸をトランスフェクトするステップを含み得る。本方法は、次いで、(c)第1の部分の細胞が、対照コロナウイルススパイクタンパク質を含む第1のウイルス粒子を産生し、第2の部分の細胞が、変異を有するコロナウイルススパイクタンパク質を含む第2のウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞の第1および第2の部分を、別個にインキュベートするステップをさらに含み得る。本方法は、(d)ステップ(c)の第1のウイルス粒子を、SARS CoV-2を認識する抗体(すなわち、抗SARS CoV-2抗体)を含む試料の存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップをさらに含み得る。本方法は、(e)ステップ(c)の第2のウイルス粒子を、SARS CoV-2を認識する抗体を含む試料の存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップをさらに含み得る。本方法は、(f)(d)および(e)において第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップであって、ステップ(e)において第2の細胞によって産生されたシグナルと比較した、ステップ(d)において第2の細胞によって産生されたシグナルの低減された量は、スパイクタンパク質における変異が、ウイルス粒子の抗SARS CoV-2抗体への低減された感受性をもたらすことを示す、ステップをさらに含み得る。
【0072】
ある特定の実施形態では、対照コロナウイルススパイクタンパク質は、野生型コロナウイルスに由来するスパイクタンパク質である。ある特定の他の実施形態では、対照コロナウイルススパイクタンパク質は、異なる対象に由来するか、または異なる時点における同じ対象に由来する、スパイクタンパク質である。
【0073】
他の実施形態では、本開示は、非変異型SARS-CoV-2に対して開発されたコロナウイルスワクチンに以前に曝露されている対象において、変異型またはバリアントSARS-CoV-2に対する中和抗体応答のレベル(例えば、力価)を検出するための方法であって、(a)複数の第1の細胞に、i)コロナウイルススパイクタンパク質(すなわち、変異型またはバリアントスパイクタンパク質)をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップと、(b)第1の細胞が変異体/バリアントコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、対象がコロナウイルスワクチンに曝露される前に対象から得られた試料または試料がコロナウイルスワクチンに曝露された後に得られた対象に由来する試料の存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、(d)対象がコロナウイルスワクチンに曝露される前に得られた試料の存在下におけるウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、(e)対象がコロナウイルスワクチンに曝露された後に得られた試料の存在下におけるウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、(f)ステップ(d)において測定されたシグナルの量を、ステップ(e)において産生されたシグナルの量と比較し、ステップ(d)において測定されたシグナルの量と、ステップ(e)において産生されたシグナルの量との差に基づいて、試料における中和抗体応答のレベルを決定するステップとを含む、方法を提供する。ある実施形態では、ステップ(a)のスパイクタンパク質は、対象から単離される。他の実施形態では、スパイクタンパク質は、in vitroで遺伝子改変されている。一部の実施形態では、変異型スパイクタンパク質を用いた結果を、通常の(すなわち、非変異型)スパイクタンパク質対照と比較する。
【0074】
一部の実施形態では、コロナウイルススパイクタンパク質は、増加したウイルス感染性と関連する変異を含み得る。一部の実施形態では、コロナウイルススパイクタンパク質は、D614G変異を含み得る。SARS CoV-2 S1ドメインのカルボキシ末端領域における変異D614Gは、COVID-19患者における増加したウイルス負荷と関連している。
【0075】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、対象は、コロナウイルスに感染していた。本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、対象は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS CoV-2)に感染していた。
【0076】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、第1の細胞は、哺乳動物細胞であり得る。本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、第1の細胞は、ヒト細胞であり得る。本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、第1の細胞は、ヒト胎児腎臓細胞であり得る。本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、ヒト胎児腎臓細胞は、293細胞であり得る。
【0077】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、第2の細胞は、哺乳動物細胞であり得る。本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、第2の細胞は、ヒト細胞であり得る。本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、第2の細胞は、ヒト胎児腎臓細胞であり得る。一部の実施形態では、ヒト胎児腎臓細胞は、293細胞である。ある特定の実施形態では、第2の細胞(本明細書において、標的細胞とも称される)は、ACE2および/またはTMPRSS2を安定に発現するように操作されている。ある特定の実施形態では、第2の細胞は、5A10細胞株である。ある特定の実施形態では、第2の細胞は、5G7細胞株である。
【0078】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、試料は、血清または血漿であり得る。
【0079】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、ウイルス発現ベクターは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)発現ベクターであり得る。
【0080】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、試料の中和抗体応答のレベルは、対象の感染後防御免疫のレベルと相関している。
【0081】
本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、試料における中和抗体応答のレベルは、対象において測定される総抗コロナウイルス抗体の力価と相関している。
【0082】
組成物
SARS感染性をモジュレートすることができる化合物、例えば、中和抗体の検出のための組成物もまた、開示される。ある特定の実施形態では、組成物は、本明細書に開示される産生細胞または標的細胞のいずれかとなるように操作されている細胞を含み得る。
【0083】
例えば、組成物は、アンジオテンシン変換酵素2受容体(ACE-2)を発現する標的細胞となるように遺伝子改変されている1つまたは複数の細胞を含み得る。一部の実施形態では、標的細胞は、さらに、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現するように遺伝子改変されていてもよい。一部の実施形態では、また本明細書において考察されるように、ACE2および/またはTMPRSS2は、一過的な発現を可能にする様式で、標的細胞に導入されてもよい。あるいは、ACE2および/またはTMPRSS2は、安定な発現を可能にする様式で、標的細胞に導入されてもよい。ある特定の実施形態では、標的細胞は、5A10細胞株に由来する。ある特定の実施形態では、標的細胞は、5G7細胞株に由来する。
【0084】
追加として、および/または代替として、組成物は、1つまたは複数の産生細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、産生細胞は、i)SARS CoV-2スパイクタンパク質またはその一部分をコードする核酸、およびii)コロナウイルスではない、検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含む、第2のウイルスに由来する配列を含む、ゲノムウイルス発現ベクターを含み得る。例えば、ある特定の実施形態では、産生細胞は、細胞に、i)SARS CoV-2スパイクタンパク質またはその一部分をコードする核酸、およびii)コロナウイルスではない、検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含む、第2のウイルスに由来する配列を含む、ゲノムウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップによって作製された、遺伝子改変細胞であり得る。一部の実施形態では、コロナウイルススパイクタンパク質は、コロナウイルスSタンパク質である。一部の実施形態では、コロナウイルスではない、検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含む、第2のウイルスに由来する配列を含むウイルス発現ベクターは、一過的な発現を可能にする様式で、細胞に導入される。一部の実施形態では、コロナウイルスではない、検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含む、第2のウイルスに由来する配列を含むウイルス発現ベクターは、安定な発現を可能にする様式で、細胞に導入される。
【0085】
ある特定の実施形態では、第2のウイルスは、HIVまたは遺伝子改変されたHIVである。したがって、ある特定の実施形態では、HIVエンベロープタンパク質をコードするゲノム配列を除去するように改変されており、SARS CoV-2スパイクタンパク質もしくはその一部分をコードし発現するように遺伝子改変されているHIV核酸、ならびに/またはSARS CoV-2スパイクタンパク質もしくはその一部分をコードし発現するように改変されたHIV核酸がトランスフェクトされた細胞を含む組成物が、開示される。
【0086】
様々な構築物が、インジケーター核酸として使用され得る。ある特定の実施形態では、インジケーター核酸は、インジケーター遺伝子を含む。例えば、インジケーター遺伝子は、ルシフェラーゼ遺伝子であり得る。あるいは、他のインジケーター遺伝子を使用してもよい。
【0087】
ある特定の実施形態では、Sタンパク質は、コロナウイルスに感染した対象に由来する。ある特定の実施形態では、対象は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS CoV-2)に感染している。SARS CoV-2 Sタンパク質は、変異して、バリアントをもたらすことが公知である。SARS-CoV-2バリアントは、アミノ酸の欠失または置換を引き起こす、スパイク遺伝子の長さに沿った特定の点変異によって定義される。これらの変化は、ACE 2受容体へのスパイクタンパク質結合効率の増強をもたらし、ウイルスが、より容易に細胞に感染することを可能にし得る。加えて、これらの変化は、自然感染後に、ワクチン後に、または抗体療法によって生じる抗体からのウイルスの回避能力に影響を及ぼし得る。一部の実施形態では、Sタンパク質は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)バリアントに感染した対象に由来し得る。一部の実施形態では、バリアントは、B.1.1.7(英国)バリアント、B.1.351(南アフリカ)バリアント、B.1.1.28.1(ブラジル)バリアント、またはB.1.427/B/1/429(カリフォルニア)バリアントであり得る。
【0088】
様々な細胞を使用して、標的細胞または産生細胞を生成することができる。ある特定の実施形態では、産生細胞および/または標的細胞は、哺乳動物細胞である。また、一部の実施形態では、産生細胞および/または標的細胞は、ヒト細胞である。一部の事例では、産生細胞および/または標的細胞は、例えば、293 HEK細胞などのヒト胎児腎臓(HEK)細胞である。
【0089】
キット
開示される方法のステップのうちのいずれかを行うためおよび/または開示される組成物のうちのいずれかを使用するためのキット、ならびに開示される方法のステップのうちのいずれかを行うため、および/または開示される組成物のうちのいずれかを使用するため、または開示されるシステムの部分のうちのいずれかを作動させるための、非一過性機械可読記憶媒体(例えば、ソフトウェア)において有形に具現化されるコンピュータプログラム製品もまた、開示される。
【0090】
したがって、キットは、本明細書に開示される産生細胞または標的細胞のいずれかとなるように操作されている細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、産生細胞は、i)SARS CoV-2スパイクタンパク質またはその一部分をコードする核酸、およびii)コロナウイルスではない、検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含む、第2のウイルスに由来する配列を含む、ゲノムウイルス発現ベクターを含み得る。ある特定の実施形態では、産生細胞は、産生細胞に、i)SARS CoV-2スパイクタンパク質またはその一部分をコードする核酸、およびii)コロナウイルスではない、検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含む、第2のウイルスに由来する配列を含む、ゲノムウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップによって作製されてもよい。
【0091】
追加として、および/または代替として、キットは、アンジオテンシン変換酵素2受容体(ACE-2)および/またはTMPRSS2を発現するように操作されている1つまたは複数の標的細胞を含み得る。一部の実施形態では、また本明細書において考察されるように、ACE2および/またはTMPRSS2は、一過的な発現を可能にする様式で、標的細胞に導入されてもよい。あるいは、ACE2および/またはTMPRSS2は、安定な発現を可能にする様式で、標的細胞に導入されてもよい。ある実施形態では、細胞は、本明細書に開示される5A10および/または5G7細胞株のうちの1つを含み得る。
【0092】
キットは、標的細胞を、SARS CoV-2感染性の可能性のあるモジュレーターとして試験しようとする化合物の非存在下および存在下において、SARS CoV-2スパイクタンパク質の少なくとも一部分を含むウイルス粒子と接触させるための試薬および/または装置をさらに含み得る。一実施形態では、化合物は、中和抗体を含有すると考えられる対象または患者試料であり得る。加えて、キットは、化合物の存在下または非存在下におけるウイルス粒子の感染性を決定するために、標的細胞の感染のレベルを測定するための試薬および/または装置および/またはソフトウェアを含み得る。一実施形態では、感染した細胞は、検出可能なマーカーを含み得る。例えば、一実施形態では、標的細胞は、ルシフェラーゼを含み得る。あるいは、ウイルス粒子は、検出可能なマーカー(例えば、ルシフェラーゼ)を含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、キットは、標的細胞の感染に起因する検出可能なマーカー(例えば、ルシフェラーゼ)からのシグナルを測定するための試薬および/または装置および/またはソフトウェアを含み得る。
【0093】
本明細書に開示されるように、ある特定の実施形態では、ウイルス粒子は、HIVシュードビリオンである。例えば、一実施形態では、本方法は、本明細書に開示されるPhenoSense SARS CoV-2中和抗体(nAb)アッセイ形式を利用し得る。
【0094】
キットは、SARS CoV-2スパイクタンパク質またはその一部分を含むシュードビリオンが生成されるような条件下において、産生細胞をインキュベートするための試薬および/または装置をさらに含み得る。また、キットは、シュードビリオンが標的細胞に感染するような条件下において、かつSARS CoV-2感染性の可能性のあるモジュレーターとして試験しようとする化合物の存在下または非存在下において、産生細胞によって作製されたシュードビリオンを、標的細胞と接触させるための試薬および/または装置を含み得る。一実施形態では、化合物は、中和抗体を含有すると考えられる対象または患者試料であり得る。
【0095】
加えて、キットは、化合物の存在下または非存在下におけるウイルス粒子の感染性を決定するために、標的細胞の感染のレベルを測定するための試薬および/または装置および/またはソフトウェアを含み得る。一実施形態では、感染した細胞は、検出可能なマーカーを含み得る。例えば、一実施形態では、標的細胞は、ルシフェラーゼを含み得る。あるいは、ウイルス粒子は、ルシフェラーゼを含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、キットは、標的細胞の感染に起因するルシフェラーゼからのシグナルを測定するための試薬および/または装置および/またはソフトウェアを含み得る。
【0096】
開示される実施形態のうちのいずれかのキットを使用し、かつ/またはキットの1つもしくは複数のステップを行うように構成されている命令を含む、非一過性機械可読記憶媒体において有形に具現化されるコンピュータプログラム製品もまた、開示される。一実施形態では、キットは、目的の化合物によって引き起こされるSARS CoV-2感染性の変化を決定するように構成されている命令を含む、非一過性機械可読記憶媒体において有形に具現化されるコンピュータプログラム製品を含む。
【0097】
システム
開示される方法のステップのうちのいずれかを行うためおよび/または開示される組成物のうちのいずれかを使用するためのシステム、ならびに開示される方法のステップのうちのいずれかを行うため、および/または開示される組成物のうちのいずれかを使用するため、または開示されるシステムの部分のうちのいずれかを作動させるための、非一過性機械可読記憶媒体(すなわち、ソフトウェア)において有形に具現化されるコンピュータプログラム製品もまた、開示される。
【0098】
したがって、システムは、本明細書に開示される産生細胞または標的細胞のいずれかとなるように操作されている細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、産生細胞は、i)SARS CoV-2スパイクタンパク質またはその一部分をコードする核酸、およびii)コロナウイルスではない、検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含む、第2のウイルスに由来する配列を含む、ゲノムウイルス発現ベクターを含み得る。ある特定の実施形態では、産生細胞は、産生細胞に、i)SARS CoV-2スパイクタンパク質またはその一部分をコードする核酸、およびii)コロナウイルスではない、検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含む、第2のウイルスに由来する配列を含む、ゲノムウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップによって作製されてもよい。
【0099】
1つまたは複数の標的細胞は、アンジオテンシン変換酵素2受容体(ACE-2)および/またはTMPRSS2を発現するように操作されていてもよい。一部の実施形態では、また本明細書において考察されるように、ACE2および/またはTMPRSS2は、一過的な発現を可能にする様式で、標的細胞に導入されてもよい。あるいは、ACE2および/またはTMPRSS2は、安定な発現を可能にする様式で、標的細胞に導入されてもよい。ある特定の実施形態では、標的細胞は、5A10細胞株に由来する。ある特定の実施形態では、標的細胞は、5G7細胞株に由来する。
【0100】
システムは、標的細胞を、SARS CoV-2感染性の可能性のあるモジュレーターとして試験しようとする化合物の非存在下および存在下において、SARS CoV-2スパイクタンパク質の少なくとも一部分を含むウイルス粒子と接触させるためのステーションおよび/または装置をさらに含み得る。一実施形態では、化合物は、中和抗体を含有すると考えられる対象または患者試料であり得る。加えて、システムは、化合物の存在下または非存在下におけるウイルス粒子の感染性を決定するために、標的細胞の感染のレベルを測定するためのステーションおよび/または装置を含み得る。一実施形態では、感染した細胞は、検出可能なマーカーを含み得る。例えば、一実施形態では、標的細胞は、ルシフェラーゼを含み得る。あるいは、ウイルス粒子は、検出可能なマーカー(例えば、ルシフェラーゼ)を含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、システムは、標的細胞の感染に起因する検出可能なマーカー(例えば、ルシフェラーゼ)からのシグナルを測定するためのステーションを含み得る。
【0101】
本明細書に開示されるように、ある特定の実施形態では、ウイルス粒子は、HIVシュードビリオンである。例えば、一実施形態では、本方法は、本明細書に開示されるPhenoSense SARS CoV-2中和抗体(nAb)アッセイ形式を利用し得る。
【0102】
システムは、SARS CoV-2スパイクタンパク質またはその一部分を含むシュードビリオンが生成されるような条件下において、産生細胞をインキュベートするためのステーションおよび/または装置をさらに含み得る。また、システムは、産生細胞によって作製されたシュードビリオンを、シュードビリオンが標的細胞に感染するような条件下において、かつSARS CoV-2感染性の可能性のあるモジュレーターとして試験しようとする化合物の存在下または非存在下において、標的細胞と接触させるためのステーションおよび/または装置を含み得る。一実施形態では、化合物は、中和抗体を含有すると考えられる対象または患者試料であり得る。
【0103】
加えて、システムは、化合物の存在下または非存在下におけるウイルス粒子の感染性を決定するために、標的細胞の感染のレベルを測定するためのステーションおよび/または装置を含み得る。一実施形態では、感染した細胞は、検出可能なマーカーを含み得る。例えば、一実施形態では、標的細胞は、ルシフェラーゼを含み得る。あるいは、ウイルス粒子は、ルシフェラーゼを含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、システムは、標的細胞の感染に起因するルシフェラーゼからのシグナルを測定するためのステーションを含み得る。
【0104】
一部の実施形態では、システムまたはシステムのステーションのうちのいずれかは、コンピュータおよび/またはデータプロセッサをさらに含む。ある特定の実施形態では、システムは、1つまたは複数のコンピュータ、ならびに/あるいは1つまたは複数のデータプロセッサにおいて実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示される実施形態のうちのいずれかの方法を行わせるかまたはシステムを実装するための動作を行わせる命令を含む、非一過性コンピュータ可読記憶媒体において有形に具現化されるコンピュータ製品を含み得る。本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態は、プログラムモジュール、エンジン、またはコンポーネントを使用して実装することができる。プログラムモジュール、エンジン、またはコンポーネントは、1つまたは複数の記述されたタスクまたは機能を行うことができる、プログラム、サブルーチン、プログラムの一部分、またはソフトウェアコンポーネントもしくはハードウェアコンポーネントを含み得る。本明細書において使用される場合、モジュールまたはコンポーネントは、他のモジュールまたはコンポーネントとは独立して、ハードウェアコンポーネントに存在してもよい。あるいは、モジュールまたはコンポーネントは、他のモジュール、プログラム、または機械の共通のエレメントまたはプロセスであってもよい。例えば、以下に開示されるように、システムは、ウイルス粒子またはシュードビリオンの感染性の変化を自己免疫応答と関連付けるための、コンピュータ、および/または非一過性機械可読記憶媒体において有形に具現化されるコンピュータプログラム製品を含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、システムは、測定値を定量化するためのコンポーネントを含み得る。また、システムは、データの統計学的分析を行うためのコンポーネントを含み得る。
【0105】
システムを作動させ、かつ/または開示される実施形態のうちのいずれかの方法の1つもしくは複数のステップを行うように構成されている命令を含む、非一過性機械可読記憶媒体において有形に具現化されるコンピュータプログラム製品もまた、開示される。一実施形態では、システムは、目的の化合物によって引き起こされるSARS CoV-2感染性の変化を決定するように構成されている命令を含む、非一過性機械可読記憶媒体において有形に具現化されるコンピュータプログラム製品を含む。
【実施例】
【0106】
(実施例1 SARS CoV-2中和抗体アッセイ)
抗レトロウイルス薬感受性(Petropoulos et al.,Antimicrob. Agents Chemother. 44:920-28, 2000)を評価するために開発され、その後、進入阻害剤(entryinhibitor)、nAb活性(Richman et al., PNAS 100:4144-49, 2003)、および共受容体指向性(Whitcomb etal., Antimicrob. Agents Chemother. 51:566-75, 2007)を評価するように適合された、所有権のあるPhenoSenseアッセイプラットフォームを利用して、SARS CoV-2 nAbアッセイを開発した。ルシフェラーゼの産生は、ウイルスの進入、および単回のウイルス複製の完了に依存する。シュードウイルスの進入または複製を阻害する薬剤は、用量依存的様式で、ルシフェラーゼ活性を低減させ、薬物および抗体感受性の定量的な尺度を提供する。時間とともに、PhenoSenseアッセイプラットフォームは、ワクチン、ならびにオルソミクソウイルス(インフルエンザAおよびB)、パラミクソウイルス(RSV AおよびB)、フィロウイルス(エボラ)、および最近ではコロナウイルス(SARS CoV-2、SARS CoV)を含む様々なエンベロープ型ウイルスを標的とする進入阻害剤を評価するように適合させることが成功している。
【0107】
SARS CoV-2スパイクタンパク質を発現するHIV-1シュードビリオンを生成することによって、PhenoSense SARS CoV-2 nAbアッセイを使用したnAb活性の測定を行う(例えば、
図1~3を参照されたい)。HEK293産生細胞に、HIV-1ゲノムベクターおよびSARS CoV-2エンベロープ発現ベクターをコトランスフェクトすることによって、シュードウイルスを調製する。シュードビリオンを、血清標本の連続希釈物とともに事前インキュベートした後に、ACE2受容体を発現するHEK293標的細胞におけるルシフェラーゼ活性の阻害を評価することによって、中和抗体活性を測定する。標的細胞におけるルシフェラーゼ活性の発現は、抗SARS CoV-2 nAbの存在下において、阻害される。データは、ルシフェラーゼ活性の阻害パーセント 対 血清/血漿希釈のlog
10逆数をプロットすることによって表し、nAb力価は、シュードウイルス感染の50%阻害(ID
50)をもたらす血清希釈の逆数として報告する(以下の式1)。
式1:阻害%=100%-(((RLU(ベクター+試料+希釈剤)-RLU(バックグラウンド))/(RLU(ベクター+希釈剤)-RLU(バックグラウンド)))×100%)
【0108】
PhenoSense SARS CoV-2 nAbの結果は、事前に定義した希釈カットオフ(例えば、1:40希釈で50%を上回る阻害)に基づいて、ID
50力価(1/希釈)または定性的に(陽性、陰性)として報告することができる。抗SARS CoV-2 nAb滴定プロファイルの例は、
図4および5に見出すことができる。
【0109】
測定されたnAb活性が、SARS CoV-2 nAb特異的であることを確実にするために、それぞれの試験標本を、1つまたは複数の非関連ウイルス(例えば、トリインフルエンザウイルス)の非反応性エンベロープタンパク質を発現する非特異的シュードウイルス(特異度対照)を使用してさらに評価する。
【0110】
重要試薬
重要試薬は、抗SARS CoV-2 nAb力価を得るために必須のアッセイ成分として定義される。抗SARS CoV-2 nAbアッセイの重要試薬としては、以下のものが挙げられる。
1.PhenoSense SARS CoV-2シュードウイルス(Monogram Biosciences)
2.PhenoSense SARS CoV-2「特異度対照」シュードウイルス(Monogram Biosciences)
3.シュードウイルス産生細胞:HEK293VL(Monogram Biosciences)
4.シュードウイルス標的細胞:HEK293ACE2(Monogram Biosciences)
a)一過的なACE2発現
b)安定なACE2発現(例えば、細胞株5A10および5G7)
5.アッセイ対照(Monogram Biosciences)
a)陽性対照血清:プールしたSARS CoV-2抗体陽性ヒト血清
i.陽性対照血清の抗SARS CoV-2力価は、360以上で適格とすべきである。
ii.陽性対照血清の抗特異度対照力価は、40以下で適格とすべきである。
b)陰性対照血清:プールしたSARS CoV-2抗体陰性ヒト血清、またはSARS CoV-2パンデミックの前(2019年以前)に採取されたヒト血清
i.陰性対照血清の抗SARS CoV-2力価は、40以下で適格とすべきである。
ii.陰性対照血清の抗特異度対照力価は、40以下で適格とすべきである。
【0111】
機器
1.BioCubeルシフェラーゼ読み取りシステム:細胞溶解/ルシフェラーゼ反応成分を分注し、ルミノメーターを使用してルシフェラーゼ活性(相対光単位(RLU))を測定するように設計および検証された、特注の全自動型かつ一体型のバーコード駆動システム。
【0112】
2.データ分析パイプライン:(a)ルシフェラーゼ読み取りシステムからの出力ファイルを受け取り、(b)アッセイプレートマップに基づいてルシフェラーゼ活性を適用して、nAb阻害曲線を生成し、(c)アッセイ性能(RLU、CV)を評価し、(d)nAb活性の定量的尺度(例えば、ID50力価)を生成し、(e)抗SARS CoV-2と、対応する抗特異度対照力価との比較に基づいて、nAb活性の定性的評価(陽性、陰性)を割り当てるように設計され、検証された、特注の一体型システム。
【0113】
許容基準
1.アッセイ標本プレート許容(SARS CoV-2シュードウイルスプレート)
アッセイ標本プレートは、以下のパラメーターが満たされた場合に許容可能であるとみなされる:
a)陽性対照血清の抗SARS CoV-2力価の変動が、適格とされる陽性対照血清力価から3倍以内(1回の連続希釈)であること。
i.適格とされる陽性対照血清の抗SARS Cov-2力価は、400以上でなければならない。
b)陰性対照血清の抗SARS CoV-2力価の変動が、適格とされる陰性対照血清力価から3倍以内(1回の連続希釈)であること。
i.適格とされる陰性対照血清の抗SARS CoV-2力価は、40以下でなければならない。
【0114】
2.アッセイ特異度プレート許容(特異度対照シュードウイルスプレート)
アッセイ特異度プレートは、以下のパラメーターが満たされた場合に許容可能であるとみなされる:
a)陽性対照血清の抗特異度対照力価が、適格とされる陽性血清対照力価から3倍以内(1回の連続希釈)であること。
i.適格とされる陽性対照血清の抗特異度対照力価は、400以下でなければならない。
b)陰性対照血清の抗特異度対照力価の変動が、適格とされる陰性血清対照力価から3倍以内(1回の連続希釈)であること。
i.適格とされる陰性対照血清の抗特異度対照力価は、40以下でなければならない。
【0115】
3.アッセイ標本力価の決定
【0116】
アッセイ標本は、
a)抗SARS CoV-2 nAb力価(ID50)が、対応する抗特異度対照力価よりも3倍以上高い場合に、
「陽性」として報告され、力価の数値が報告される。
【0117】
アッセイ標本は、
a)抗SARS CoV-2 nAb力価(ID50)が、対応する抗特異度対照力価の3倍未満である場合に、
「陰性」として報告され、力価の数値は報告されない。
【0118】
(実施例2 アッセイの正確度および包括性)
アッセイの正確度および包括性は、血清学で確認されたSARS CoV-2陽性/反応性および陰性/非反応性血清、または2019年よりも前に採取された試料において示されるnAb力価を評価することによって、決定した。
a)SARS CoV-2陽性試料-IgGおよび/またはIgM反応性に基づいてSARS CoV-2抗体に関して陽性であると確認された、およそ45個のヒト血清/血漿標本。
b)SARS CoV-2陰性試料-IgGおよび/またはIgM反応性に基づいてSARS CoV-2抗体に関して陰性であると確認された、およそ45個のヒト血清/血漿標本。
c)歴史的陰性試料-SARS CoV-2パンデミックよりも前(2019年以前)に採取されたおよそ30個のヒト血清/血漿標本。
【0119】
血清学陽性標本は、抗体結合アッセイを使用して決定されるIgGまたは全Ig陽性として定義される。血清学陰性試料は、抗体結合アッセイを使用して決定されるIgGまたは全Ig陰性として定義される。歴史的陰性試料は、SARS CoV-2パンデミックよりも前の採取日を有する試料として定義される。すべての血清学陽性SARS CoV-2陽性/反応性血清は、SARS CoV-2 PCR陽性であることが確認されており、すべてのSARS CoV-2陰性/非反応性血清は、SARS CoV-2 PCR陰性であることが確認されている。抗体結合アッセイの結果と、本明細書に開示されるアッセイを使用して生成されたnAb力価との相関の例を、
図8および9に示す。
【0120】
アッセイの正確度および包括性試験の結果を、
図10に記録する。
【0121】
定性的血清学およびPCRアッセイを組み合わせた結果に基づくと、PhenoSense抗SARS CoV-2アッセイの感度は、100%であり(49個の試料において偽陰性がない)、特異度は、98%である(50個の試料で1つの偽陽性)。単一の偽陽性結果は、1:40の必要最小限の希釈で生じた。
【0122】
定性的血清学アッセイおよび歴史的陰性試料を組み合わせた結果に基づくと、PhenoSense抗SARS CoV-2 nAbアッセイの特異度は、98.8%である(82個の試料において、1つの偽陽性)。
【0123】
nAb力価の定量的決定の許容基準は、事前に定義されていなかった。SARS CoV-2 nAb陽性試料および陰性試料の定性的評価は、以下の事前に定義された許容基準を満たした:
a)血清学陽性試料のうちの75%以上が、nAbが検出される陽性の結果を生成しなければならない。
b)血清学陰性試料のうちの75%以上が、nAbが検出されない陰性の結果を生成しなければならない。
c)歴史的陰性試料のうちの90%以上が、nAbが検出されない陰性の結果を生成しなければならない。
【0124】
(実施例3 アッセイ内精度)
nAb高力価の陽性試料、中等度の力価の陽性試料、低力価の陽性試料、および陰性試料からなる4つの血清試料の6つの複製物にわたって観察されたID50における変動を評価することによって、アッセイ内精度を決定した。
a)高力価の血清-高力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:ID50>1:5000
b)中等度の力価の血清-中等度の力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:1:5000≧ID50≧1:1000
c)低力価の血清-低力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:ID50<1:1000
d)陰性ヒト血清-抗SARS CoV-2 nAb活性が欠如しているヒト血清:ID50<1:40
【0125】
アッセイ内精度を、4回の別個のアッセイ試行のそれぞれ内で評価した。
a)1回のアッセイ試行(4つの血清試料の6つの複製物)を、手作業の方法を使用した血清希釈物の調製、およびACE2を一過的に発現するHEK293細胞の接種によって行った。
b)1回のアッセイ試行(4つの血清試料の6つの複製物)を、手作業の方法を使用した血清希釈物の調製、およびACE2を安定に発現するHEK293細胞の接種によって行った。
c)1回のアッセイ試行(4つの血清試料の6つの複製物)を、自動化された方法を使用した血清希釈物の調製、およびACE2を一過的に発現するHEK293細胞の接種によって行った。
d)1回のアッセイ試行(4つの血清試料の6つの複製物)を、自動化された方法を使用した血清希釈物の調製、およびACE2を安定に発現する接種したHEK293細胞の接種によって行った。
【0126】
【0127】
アッセイ内精度のそれぞれのアームの評価は、以下の事前に定義された許容基準を満たした:
a)高力価の試料は、3倍以下のID50変動を示さなければならない(1回の連続希釈)
b)中等度の力価の試料は、3倍以下のID50変動を示さなければならない。
c)低力価の試料は、3倍以下のID50変動を示さなければならない。
d)陰性試料は、3倍以下のID50変動を示さなければならない。
【0128】
(実施例4 アッセイ間精度)
アッセイ間精度を、高力価の陽性試料、中等度の力価の陽性試料、低力価の陽性試料、および陰性試料からなる4つの血清試料の6つの複製物にわたって観察されたID50平均における変動を評価することによって、決定した(精度および再現性パネル)。
a)高力価の血清-高力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:ID50>1:5000
b)中等度の力価の血清-中等度の力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:1:5000≧ID50≧1:1000
c)低力価の血清-低力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:ID50<1:1000
d)陰性ヒト血清-抗SARS CoV-2 nAb活性が欠如しているヒト血清:ID50<1:40
【0129】
アッセイ間精度は、2つの独立したロットの重要試薬(シュードウイルス、細胞、アッセイ対照)を使用して、2人の操作者によって行われた全4回の独立した試行にわたって評価した。
A)1回のアッセイ試行(4つの血清試料の6つの複製物)を、手作業の方法を使用した血清希釈物の調製、およびACE2を一過的に発現するHEK293細胞の接種によって行った。
B)1回のアッセイ試行(4つの血清試料の6つの複製物)を、手作業の方法を使用した血清希釈物の調製、およびACE2を安定に発現するHEK293細胞の接種によって行った。
C)1回のアッセイ試行(4つの血清試料の6つの複製物)を、自動化された方法を使用した血清希釈物の調製、およびACE2を一過的に発現するHEK293細胞の接種によって行った。
D)1回のアッセイ試行(4つの血清試料の6つの複製物)を、自動化された方法を使用した血清希釈物の調製、およびACE2を安定に発現するHEK293細胞の接種によって行った。
【0130】
アッセイ間精度の試験結果を、
図15に記録する。本開示の実施形態に従って実行した抗SARS CoV-2 nAbアッセイの再現性の分析の図を、
図7に示す。
【0131】
アッセイ間精度のすべてのアームにわたる評価は、以下の事前に定義された許容基準を満たした:
a)高力価の試料は、3倍以下のID50変動を示さなければならない(1回の連続希釈)
b)中等度の力価の試料は、3倍以下のID50変動を示さなければならない。
c)低力価の試料は、3倍以下のID50変動を示さなければならない。
d)陰性試料は、3倍以下のID50変動を示さなければならない。
【0132】
手作業 対 自動化での血清希釈、および一過的 対 安定なACE2発現の、アッセイ間精度への寄与を、適切な統計学的方法を使用して調べた。
【0133】
手作業 対 自動化での血清希釈
また、手作業および自動化での血清希釈を使用して実行したアッセイのアッセイ間精度を比較して、2つの希釈方法の同等性を評価した。手作業および自動化での希釈プロセスの比較結果を、
図16に記録する。ID
50平均およびID
50中央値における観察された差は、1.5倍未満であった。
一過的 対 安定なACE2発現
【0134】
一過的または安定にACE2を発現するHEK293細胞を使用して実行したアッセイのアッセイ間精度を比較して、2つの標的細胞型の同等性を評価した。ACE2一過的および安定な細胞型の比較結果を、
図17に記録する。ID
50平均およびID
50中央値における観察された差は、2倍未満であった。
【0135】
アッセイ間の試行比較
すべての可能性のある対にした比較にわたって、HTS、ITS、およびLTS試料の平均ID50における差は、3倍を超えることはなく、事前に定義された許容基準を満たした。
【0136】
試行A、B、C、Dを比較するANOVA分析は、試行A、B、C、Dにおける差を示した。テューキーの正直有意差(Honest Significant Difference)検定に基づくと、この差は、完全に、試行B、C、Dと比較した試行Aの結果によってもたらされていた。さらなる研究を計画して、観察された変動の可能性のある供給源を調査する。現在、好ましいアッセイモダリティは、試行C(自動化された試料希釈、一過的なACE2発現)に対応しており、これは、試行B(手作業での試料希釈、安定なACE2発現)および試行D(自動化された試料希釈、安定なACE2発現)のモダリティと有意に異ならない。
【0137】
(実施例5 アッセイの線形性)
陰性血清において、高力価の陽性血清の3倍希釈物(log10のおよそ半分)を5つ作成し、試験することによって、アッセイの線形性を決定した。それぞれの希釈物を、アッセイにおいて独立して試験した。22,224のID50力価を有する血清を使用して、7408、2469、823、274、123、91の名目上の(予測)ID50力価を有する6つの考案された試料を生成した。
【0138】
考案された試料のそれぞれの観察された力価を、未希釈試料のID
50に基づく名目上の力価と比較した(
図18)。アッセイの線形性を、標準的な統計学的方法、例えば、線形回帰試験を使用して調べた(
図19)。
【0139】
アッセイ線形性は、以下の事前に定義された許容基準を満たした:線形性試料のそれぞれの隣接する開始希釈物から外挿した真の(観察された)力価(ID50)における変動が、3倍以下の変動を示さなければならない(観察された力価÷予測された力価≦3倍)。
【0140】
(実施例6 アッセイ特異度)
アッセイ反応性(真陽性)、アッセイ交差反応性(偽陽性)、およびアッセイ干渉(偽陰性)を評価することによって、特異度を評価した。特異度試験は、高力価の陽性試料、中等度の力価の陽性試料、低力価の陽性試料、および陰性試料(アッセイ特異度パネル)を使用して行った。
a)高力価の血清-高力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:ID50>1:5000
b)中等度の力価の血清-中等度の力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:1:5000≧ID50≧1:1000
c)低力価の血清-低力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:ID50<1:1000
d)陰性ヒト血清-抗SARS CoV-2 nAb活性が欠如しているヒト血清:ID50<1:40
【0141】
反応性
2つの低力価の抗SARS CoV-2 nAb試料(LTS-1、LTS-2)および1つの陰性力価の試料(NTS)の免疫グロブリンを枯渇させ、抗SARS CoV-2 nAb活性に対する影響を評価することによって、アッセイ反応性を評価した。抗体枯渇は、プロテインGセファロース親和性クロマトグラフィーを使用して行った。
【0142】
抗SARS CoV-2 nAb活性に対する枯渇を、
図20および21に記録する。免疫グロブリンおよび関連する抗SARS CoV-2 nAb活性を完全に枯渇させるためには、複数回のプロテインG親和性クロマトグラフィーが必要とされるであろうことが予想される。
【0143】
アッセイ反応性試験の結果は、以下の事前に定義されたアッセイ許容基準を満たした:
a)免疫グロブリンの枯渇が、低力価の血清試料のnAb力価を低減させなければならない(低減倍数>1)。
b)免疫グロブリン枯渇の前に30%を上回る阻害を呈している血清連続希釈物の大部分の阻害が、免疫グロブリン枯渇後の阻害%の低減を示さなければならない。
【0144】
交差反応性/選択性
アッセイの交差反応性/選択性を、2つのアプローチに基づいて評価した:
a)SARS CoV-2およびSARS CoVシュードウイルスを、SARS CoV-2パンデミックよりも前の採取日(2017年)を有する32個の保管されていた血清試料、すなわち、歴史的陰性(HN)試料を評価することによって、非特異的nAbについて評価した。
【0145】
パンデミック前のHN血清における非特異的nAb活性の概要の結果を、
図22に記録する。抗SARS CoV-2 nAb活性は、HN試料において検出されなかった(0/32個)。低いレベルの抗SARS CoV活性が、15/32個(47%)の試料において観察された。
b)SARS CoV-2およびSARS CoVシュードウイルスを、SARS CoVとともに、このパンデミック前の標本パネルにおいて表される可能性が高い3つのウイルス(HIV、HBV、HCV)を対象とする高濃度の抗体でスパイクした陰性血清試料を使用して、非特異的nAb活性について、評価した。
【0146】
高濃度(200μg/mL)の抗ウイルス抗体の存在下において観察されたnAb活性を、抗ウイルス抗体ビヒクル単独の存在下におけるnAb活性と比較した(
図23)。非特異的抗SARS CoV-2 nAb活性は、抗ウイルス抗体でスパイクした4つのHN試料において検出されなかった。4つのHN試料のうちの2つは、抗ウイルスnAbの存在下および非存在下(ビヒクルのみ)において、SARS CoVに対する低いレベルのnAb活性を示した。
【0147】
交差反応性試験の結果は、以下の事前に定義されたアッセイ許容基準を満たした:
a)歴史的陰性試料のうちの90%以上(例えば、27/30個)が、nAbが検出されない陰性の結果を生成しなければならない。
b)抗ウイルス抗体の添加が、陰性血清のSARS CoV-2 nAb力価を、ビヒクル単独で観察されるnAb力価を3倍以上(1回の連続希釈)上回って増加させてはいけない、ただし、抗SARS CoV抗体は除くことに留意。
【0148】
干渉
内因性および外因性薬剤による干渉を、評価した。
a)内因性干渉試験を行って、抗SARS CoV-2 nAb活性が、ある特定のマトリックスにおいて高い信頼性で検出することができるかどうか、およびマトリックスが検出に影響を及ぼしたかどうかを決定した。溶血性(ヘモグロビン)、脂肪血症性(トリグリセリド)、黄疸性(ビリルビン)、およびタンパク質性(アルブミン)の血清試料を含む異常なマトリックスを、評価した。最終濃度は、CLSI EP07-A2において指定される通りであった。
【0149】
試料マトリックス干渉試験の結果を、
図24に記録する。高い、中等度、低い、および陰性の抗SARS CoV-2 nAb活性を示す血清標本を使用して観察された干渉の証拠はなかった。
b)外因性干渉試験を行って、抗SARS CoV-2 nAb活性が、外因性成分、具体的には、血液採取デバイス/チューブにおける成分の存在下において高い信頼性で検出することができるかどうかを決定した。複数の(29人の)ドナーに由来する血清および血漿を、試験し、比較した。
【0150】
標本タイプ/採取に関連する干渉を、
図25に記録する。標本タイプに基づいたアッセイ結果における有意差は観察されなかった。回復期血清および血漿における抗SARS CoV-2 nAb力価の比較は、
図6において見ることができる。血清および血漿ペアの抗SARS CoV-2 nAb活性の4つの不一致な定性的評価が、低い力価、またはアッセイ特異度対照結果に基づく非特異的阻害の存在下において、生じた。これら4つの試料ペアのnAb力価の定量的評価は、同等であった。
【0151】
干渉試験の結果は、以下の事前に定義されたアッセイ許容基準を満たした:
a)ヘモグロビン、ビリルビン、トリグリセリド、またはアルブミンの添加が、高い力価、中等度の力価、低い力価、または陰性の試料のSARS CoV-2 nAb力価を、ビヒクル単独で観察されたnAb力価を上回ってまたはそれを下回って3倍以上(1回の連続希釈)に増加または減少させてはいけない。
b)血清および血漿試料の採取は、SARS CoV-2力価が3倍以上(1回の連続希釈)異ならない場合に、同等であると考える。
【0152】
(実施例7 アッセイ感度)
1:40のアッセイMRDで抗SARS CoV-2 nAb活性を高い信頼性で評価するアッセイの能力を、1:2および1:3で希釈し、アッセイにおいて2つの別個のアッセイ試行で三連に試験した2つの抗SARS CoV-2低力価の陽性血清を使用して、調査した。したがって、抗SARS CoV-2 nAb陽性血清を、陰性血清において希釈して、1:60および1:40の名目上の力価を達成した。
【0153】
感度試験の結果を、
図26に記録する。低力価の陽性血清は、一貫して、陽性(6/6個の複製物)の結果となり、低力価の陽性血清の1:3希釈物は、一貫して、陰性(6/6個の複製物)の結果となった。
【0154】
感度試験の結果は、以下の事前に定義されたアッセイ許容基準を満たした:
a)抗SARS CoV-2の名目上の低力価(約1:60)の陽性血清複製物の大半(例えば、4/6個)が、抗SARS CoV-2 nAb活性について、nAbが検出される陽性の結果となるべきである。
b)抗SARS CoV-2の名目上の低力価(約1:20)の陰性血清複製物の大半(例えば、4/6個)が、nAbが検出されない陰性の結果となるべきである。
c)抗SARS CoV-2の陰性血清複製物の大半(例えば、4/6個)が、nAbが検出されない陰性の結果となるべきである。
【0155】
(実施例8 アッセイ安定性)
試料および試薬の安定性を、時間をわたりかつ異なる保管条件下における、抗SARS CoV-2 nAb活性の一貫性を評価することによって示した。14日間にわたる安定性試験を、初期検証研究において行った。
a)高力価の血清-高力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:ID50>1:5000
b)中等度の力価の血清-中等度の力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:1:5000≧ID50≧1:1000
c)低力価の血清-低力価の抗SARS CoV-2 nAb活性を示すヒト血清:ID50<1:1000
d)陰性ヒト血清-抗SARS CoV-2 nAb活性が欠如しているヒト血清:ID50<1:40
【0156】
試料の取り扱い
低力価の試料(LTS)および中等度の力価の試料(ITS)の2つの複製物を、様々な取り扱いおよび保管条件に従って試験した。2つのロットの重要試薬(CR)を、複製物の試験に使用した。安定性試験には、比較のための新しく解凍した試料のチューブが含まれた(時間0)。試料安定性条件は、アッセイを行う前の試料の採取、輸送、および保管と関連する可能性のある条件を反映するように選択した。
【0157】
試料安定性試験の結果を、
図27に記録する。試料の保管および取り扱い条件にわたって、LTSおよびITSの力価における顕著な差は、観察されなかった。所与の条件内のすべての複製物の力価の試験結果の変動は、1.5倍未満であった。すべての条件にわたるすべての個々の複製物の力価の変動は、試験したすべての条件の平均から1.5倍未満であった。
【0158】
重要試薬の安定性
重要試薬のプロセス内での安定性を、日常的な試料試験条件をシミュレートすることによって評価した。重要試薬は、SARS CoV-2シュードウイルス、特異度対照シュードウイルス、およびHEK293-ACE2標的細胞からなる。2つのロットの重要試薬の性能を、保管からの回復直後に生成した試験結果(0時間)と、周囲温度で6時間後に生成した試験結果(6時間)とを比較することによって、評価した。重要試薬のプロセス内評価は、低力価の血清(LTS)および中等度の力価の血清(ITS)の標本を使用して行った。
【0159】
重要試薬安定性試験の結果を、
図28に要約する。0時間および6時間の間で、LTSおよびITSの力価における顕著な差は、観察されなかった。すべての試料保管条件にわたる平均力価は、LTSおよびITS試料について1.4倍を上回って異なることはなかった。
【0160】
試料および重要試薬の安定性および取り扱い試験の結果は、以下の事前に定義されたアッセイ許容基準を満たした:
a)試料保管条件(時間、温度、F/T)は、低力価および中等度の力価の試料の平均力価が、対応する0時間での力価から3倍以上(1回の連続希釈)異ならない場合に、許容可能であると考えられる。
b)重要試薬保管条件(時間、温度)は、低力価および中等度の力価の試料の力価が、対応する0時間での力価から3倍以上(1回の連続希釈)異ならない場合に、許容可能であると考えられる。
【0161】
(実施例9 SARS CoV-2中和抗体アッセイの標的細胞の産生)
実施例1および
図1~3に示されるように、SARS CoV-2 nAbアッセイにおける標的細胞は、トランスフェクションによってACE2もしくはACE2およびTMPRSS2の両方を一過的に発現させることによって産生してもよく、または標的細胞は、ACE2もしくはACE2およびTMPRSS2の両方を安定に発現してもよい。一過的な発現のために、HEK293VL細胞に、0.5μg/mLのACE2および1μg/mLのTMPRSS2 DNAをトランスフェクトし、24時間後に細胞を採取し、SARS CoV-2中和抗体アッセイにおいて使用した(
図29および30を参照されたい)。
【0162】
一過的に発現する標的細胞の代替として、標的細胞は、ACE2またはACE2およびTMPRSS2の両方を安定に発現するように操作された細胞株であってもよい。HEK293VL細胞に、5μg/mLのACE2 DNAをトランスフェクトすることによって、ACE2を安定に発現する5A10細胞株を産生させた。ハイグロマイシン抗生物質選択を使用して(150μg/mL)、ACE2を発現する細胞を選択した。次いで、安定なACE2を発現する細胞のプールを、SARS CoV-2シュードウイルス感染性、およびSARS CoV-2シュードウイルスに対する中和抗体効率についてスクリーニングした。モノクローナル細胞株を、安定な細胞プールから、限界希釈を使用して生成し、150μg/mLのハイグロマイシン選択下で維持した。安定なモノクローナルACE2発現培養物を、次いで、SARS CoV-2シュードウイルス感染性、およびSARS CoV-2シュードウイルスに対する中和抗体効率について、スクリーニングした(
図29および30を参照されたい)。
【0163】
5A10細胞株(ACE2/HEK293VL)に、1μg/mLのTMPRSS2 DNAをトランスフェクトすることによって、ACE2およびTMPRSS2の両方を安定に発現する5G7細胞株を産生させた。ブラストサイジン抗生物質選択(10μg/mL)を使用して、TMPRSS2を発現する細胞を選択し、細胞を、ハイグロマイシン選択(150μg/mL)下で維持して、ACE2発現を維持した。次いで、安定なACE2/TMPRSS2を発現する細胞のプールを、SARS CoV-2シュードウイルス感染性、およびSARS CoV-2シュードウイルスに対する中和抗体効率についてスクリーニングした。モノクローナル細胞株を、安定なACE2/TMPRSS2を発現する細胞のプールから、限界希釈を使用して生成し、10μg/mLのブラストサイジンおよび150μg/mLのハイグロマイシン抗生物質選択下で維持した。安定なモノクローナルACE2/TMPRSS2発現培養物を、次いで、SARS CoV-2シュードウイルス感染性、およびSARS CoV-2シュードウイルスに対する中和抗体効率について、スクリーニングした(
図29および30を参照されたい)。
【0164】
シュードウイルス感染性およびSARS CoV-2シュードウイルスに対する中和抗体効率のアッセイのためのこれらの3つの標的細胞型での結果を、それぞれ、
図29および30に示す。
図29におけるデータには、4つの異なる日に安定または一過的に発現する細胞を用いて行ったアッセイから得られた平均感染性、およびそれぞれの細胞型で試験したシュードウイルスの数が、示されている。ACE2およびTMPRSS2の両方を一過的または安定に発現する細胞は、ACE2単独を安定に発現する細胞よりも高いシュードウイルス感染性を示した。
図30に示されるデータは、4つの異なる日に行ったアッセイから得られたSARS CoV-2中和抗体対照血清の平均ID
50力価を表し、そしてそれぞれの細胞で試験したシュードウイルスの数が示されている。
【0165】
(実施例10 組換えHIVシュードウイルスプラットフォームを使用したSARS-CoV-2バリアントに対する中和抗体活性の検出)
もともとのSARS-CoV-2株(Wuhan)に対して生じた中和抗体の有効性を、集団内に循環している最新のSARS-CoV-2バリアントに対して試験した。試験したバリアントには、B.1.1.7(英国)バリアント、B.1.351(南アフリカ)バリアント、B.1.1.28.1(ブラジル)バリアント、およびB.1.427/B.1.429(カリフォルニア)バリアントが、
図31に示されるそれぞれのバリアントに含まれる多数の単一変異とともに、含まれた。
【0166】
図32に示されるように、感染性(相対発光単位、RLU)を、それぞれの試験したバリアントおよび単一変異体シュードウイルスについて決定した。結果を、プレート対照として試行したWuhan RLUに対して正規化した。すべての単一変異体シュードウイルスは、D614G変異を含んでいた。本発明者らのin vitroアッセイにおけるそれぞれのシュードウイルスの相対感染性は、集団におけるそれぞれのバリアントの伝播性、およびどの変異が感染性の増加に寄与するかについての洞察を提供する。
【0167】
シュードウイルスはまた、SARS-CoV-2(WuhanまたはD614G)シュードウイルスを中和することがわかっている12個の血清プールのパネルに対しても試験した。血清プールは、類似の力価の8~16個の試料を混合することによって生成した。
図33は、10点試料滴定曲線から生成されたそれぞれの試料についての中和力価を示す、例示的な(B1.1.7)ID50の表を示す。
図34は、D614G SARS-CoV-2シュードウイルスを使用して正規化したそれぞれのシュードウイルスのそれぞれの試料(B.1.1.7)の力価の倍数差を、それぞれの平均および中央値とともに示す。
図35および
図36は、それぞれのシュードウイルスについて生成した箱ひげ図を示し、ここで、箱は、四分位範囲を示し、それぞれの箱の中央線は、中央値を示し、アームは、最大値および最小値を示す。それぞれの血清プールのID50点の倍数差もまた、プロットする。関心のあるシュードウイルスバリアント(B.1.1.7およびB.1.351)を、まずプロットする。また、すべての単一変異体シュードウイルスは、D614G変異を含む。
【0168】
B.1.1.7またはB.1.351のnAB回避能力を完全に担う単一変異はなかった。このアッセイにおいて、N501Yバリアントは、nAb回避能力の増強をほとんどまたはまったく有していなかった。このアッセイにおいて、B.1.1.7のnAb回避能力に寄与した変異は、T716Iおよび/またはD1118Hであった。B.1.351のnAb回避能力に寄与した変異は、DEL242-244、R426I、およびE484Kであった。しかしながら、これらのnAb回避に寄与する変異のそれぞれは、他のシュードウイルスと比較して低い感染性を示した。
【0169】
(実施例11 ある特定の実施形態の例)
本技術のある特定の実施形態の非限定的な例を、以下に列挙する。
【0170】
A1. コロナウイルスに曝露された対象が中和抗体応答を生じたかどうかを検出するための方法であって、
(a)複数の第1の細胞に、
i)コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、および
ii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクター
をトランスフェクトするステップと、
(b)第1の細胞がコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、
(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、対象に由来する抗体を含む試料の存在下または非存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、
(d)試料の存在下または非存在下において、ウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、
(e)ステップ(d)において試料の存在下で測定されたシグナルの量を、ステップ(d)において試料の非存在下で産生されたシグナルの量と比較するステップであって、試料の存在下で測定されたシグナルの低減された量は、対象が、感染を低減させることができる中和抗体応答を生じたことを示す、ステップと
を含む、方法。
【0171】
A2. 抗体応答が、治療的に有効な様式で感染を阻害する、中和抗体応答である、実施形態A1に記載の方法。
【0172】
A3. コロナウイルススパイクタンパク質が、コロナウイルスSタンパク質である、実施形態A1に記載の方法。
【0173】
A4. インジケーター核酸が、インジケーター遺伝子を含む、実施形態A1に記載の方法。
【0174】
A5. インジケーター遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子である、実施形態A4に記載の方法。
【0175】
A6. 細胞表面受容体が、ACE-2である、実施形態A1に記載の方法。
【0176】
A7. 対象が、コロナウイルスに感染していた、実施形態A1に記載の方法。
【0177】
A8. 対象が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS CoV-2)に感染していた、実施形態A1に記載の方法。
【0178】
A9. 第1の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態A1に記載の方法。
【0179】
A10. 第1の細胞が、ヒト細胞である、実施形態A1に記載の方法。
【0180】
A11. 第1の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態A1に記載の方法。
【0181】
A12. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態A11に記載の方法。
【0182】
A13. 第2の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態A1に記載の方法。
【0183】
A14. 第2の細胞が、ヒト細胞である、実施形態A1に記載の方法。
【0184】
A15. 第2の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態A1に記載の方法。
【0185】
A16. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態A15に記載の方法。
【0186】
A17. 試料が、血清または血漿である、実施形態A1に記載の方法。
【0187】
A18. ウイルス発現ベクターが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)発現ベクターである、実施形態A1に記載の方法。
【0188】
A19. 第2の細胞が、さらに、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現する、実施形態A6に記載の方法。
【0189】
A20. ACE-2、TMPRSS2、またはそれらの両方が、第2の細胞によって安定に発現される、実施形態A19に記載の方法。
【0190】
A21. 試料における中和抗体応答のレベルが、対象について測定された総抗コロナウイルス抗体の力価と相関している、実施形態A1に記載の方法。
【0191】
B1. ウイルスに感染した第1の対象が、抗体調製物での処置に応答する可能性が高いかどうかを決定するための方法であって、
(a)複数の第1の細胞に、
i)対象に由来するコロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、および
ii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクター
をトランスフェクトするステップと、
(b)第1の細胞がコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、
(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、抗体調製物の存在下または非存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、ウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、
(d)抗体調製物の存在下または非存在下において、ウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、
(e)ステップ(d)において抗体調製物の存在下で測定されたシグナルの量を、ステップ(d)において抗体調製物の非存在下で産生されたシグナルの量と比較するステップであって、第2の対象に由来する抗体調製物の存在下で測定されたシグナルの低減された量は、対象が、抗体調製物での処置に対して応答性である可能性が高いことを示す、ステップと
を含む、方法。
【0192】
B2. 抗体調製物が、第2の対象に由来する、実施形態B1に記載の方法。
【0193】
B3. 抗体調製物が、細胞培養において産生される、実施形態B1に記載の方法。
【0194】
B4. 抗体応答が、治療的に有効な様式で感染を阻害する、中和抗体応答である、実施形態B1に記載の方法。
【0195】
B5. コロナウイルススパイクタンパク質が、コロナウイルスSタンパク質である、実施形態B1に記載の方法。
【0196】
B6. インジケーター核酸が、インジケーター遺伝子を含む、実施形態B1に記載の方法。
【0197】
B7. インジケーター遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子である、実施形態B4に記載の方法。
【0198】
B8. 細胞表面受容体が、ACE-2である、実施形態B1に記載の方法。
【0199】
B9. 第2の対象が、コロナウイルスに感染していた、実施形態B2に記載の方法。
【0200】
B10. 第2の対象が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS CoV-2)に感染していた、実施形態B2に記載の方法。
【0201】
B11. 第1の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態B1に記載の方法。
【0202】
B12. 第1の細胞が、ヒト細胞である、実施形態B1に記載の方法。
【0203】
B13. 第1の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態B1に記載の方法。
【0204】
B14. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態B13に記載の方法。
【0205】
B15. 第2の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態B1に記載の方法。
【0206】
B16. 第2の細胞が、ヒト細胞である、実施形態B1に記載の方法。
【0207】
B17. 第2の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態B1に記載の方法。
【0208】
B18. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態B17に記載の方法。
【0209】
B19. 試料が、血清または血漿である、実施形態B1に記載の方法。
【0210】
B20. ウイルス発現ベクターが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)発現ベクターである、実施形態B1に記載の方法。
【0211】
B21. 第2の細胞が、さらに、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現する、実施形態B8に記載の方法。
【0212】
B22. ACE-2、TMPRSS2、またはそれらの両方が、第2の細胞によって安定に発現される、実施形態B21に記載の方法。
【0213】
C.1.1. コロナウイルスに曝露された対象に由来する試料において、中和抗体応答のレベルを検出するための方法であって、
(a)複数の第1の細胞に、
i)コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、および
ii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクター
をトランスフェクトするステップと、
(b)第1の細胞がコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、
(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、コロナウイルスに曝露された対象に由来する試料の存在下または非存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、
(d)試料の存在下または非存在下において、ウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、
(e)ステップ(d)において試料の存在下で測定されたシグナルの量を、ステップ(d)において試料の非存在下で産生されたシグナルの量と比較するステップと、
(f)試料に曝露されていないウイルス粒子の感染性と比較した、試料に曝露されたウイルス粒子の感染性の低減の程度に基づいて、試料における中和抗体応答のレベルを決定するステップと
を含む、方法。
【0214】
C.1.2. 抗体応答が、治療的に有効な様式で感染を阻害する、中和抗体応答である、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0215】
C.1.3. コロナウイルスエンベロープスパイクが、コロナウイルスSタンパク質である、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0216】
C.1.4. インジケーター核酸が、インジケーター遺伝子を含む、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0217】
C.1.5. インジケーター遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子である、実施形態C.1.4に記載の方法。
【0218】
C.1.6. 細胞表面受容体が、ACE-2である、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0219】
C.1.7. 対象が、コロナウイルスに感染していた、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0220】
C.1.8. 対象が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS CoV-2)に感染していた、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0221】
C.1.9. 第1の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0222】
C.1.10. 第1の細胞が、ヒト細胞である、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0223】
C.1.11. 第1の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0224】
C.1.12. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態C.1.11に記載の方法。
【0225】
C.1.13. 第2の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0226】
C.1.14. 第2の細胞が、ヒト細胞である、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0227】
C.1.15. 第2の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0228】
C.1.16. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態C.1.15に記載の方法。
【0229】
C.1.17. ウイルス発現ベクターが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)発現ベクターである、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0230】
C.1.18. 第2の細胞が、さらに、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現する、実施形態C.1.6に記載の方法。
【0231】
C.1.19. ACE-2、TMPRSS2、またはそれらの両方が、第2の細胞によって安定に発現される、実施形態C.1.18に記載の方法。
【0232】
C.1.20. 試料が、血清試料である、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0233】
C.1.21. 試料の中和抗体応答のレベルが、対象の感染後防御免疫のレベルと相関している、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0234】
C.1.22. 試料における中和抗体応答のレベルが、対象について測定された総抗コロナウイルス抗体の力価と相関している、実施形態C.1.1に記載の方法。
【0235】
C.2.1. コロナウイルスワクチンに曝露された対象に由来する試料において、中和抗体応答のレベルを検出するための方法であって、
(a)複数の第1の細胞に、
i)コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、および
ii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクター
をトランスフェクトするステップと、
(b)第1の細胞がコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、
(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、対象がコロナウイルスワクチンに曝露される前に得られた対象に由来する試料、または対象がコロナウイルスワクチンに曝露された後に得られた対象に由来する試料の存在下において、第2の細胞と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、
(d)対象がコロナウイルスワクチンに曝露される前に得られた試料の存在下において、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、
(e)対象がコロナウイルスワクチンに曝露された後に得られた試料の存在下において、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、
(f)ステップ(d)において測定されたシグナルの量を、ステップ(e)において産生されたシグナルの量と比較し、ステップ(d)において測定されたシグナルの量の、ステップ(e)において産生されたシグナルの量との差に基づいて、対象における中和抗体応答のレベルを決定するステップと
を含む、方法。
【0236】
C.2.2. 抗体応答が、治療的に有効な様式で感染を阻害する、中和抗体応答である、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0237】
C.2.3. コロナウイルススパイクタンパク質が、コロナウイルスSタンパク質である、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0238】
C.2.4. インジケーター核酸が、インジケーター遺伝子を含む、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0239】
C.2.5. インジケーター遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子である、実施形態C.2.4に記載の方法。
【0240】
C.2.6. 細胞表面受容体が、ACE-2である、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0241】
C.2.7. 第1の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0242】
C.2.8. 第1の細胞が、ヒト細胞である、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0243】
C.2.9. 第1の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0244】
C.2.10. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態C.2.9に記載の方法。
【0245】
C.2.11. 第2の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0246】
C.2.12. 第2の細胞が、ヒト細胞である、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0247】
C.2.13. 第2の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0248】
C.2.14. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態C.2.13に記載の方法。
【0249】
C.2.15. ウイルス発現ベクターが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)発現ベクターである、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0250】
C.2.16. 第2の細胞が、さらに、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現する、実施形態C.2.6に記載の方法。
【0251】
C.2.17. ACE-2、TMPRSS2、またはそれらの両方が、第2の細胞によって安定に発現される、実施形態C.2.16に記載の方法。
【0252】
C.2.18. 試料が、血清試料である、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0253】
C.2.19. 試料の中和抗体応答のレベルが、対象のワクチン接種後防御免疫のレベルと相関している、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0254】
C.2.20. 試料における中和抗体応答のレベルが、対象について測定された総抗コロナウイルス抗体の力価と相関している、実施形態C.2.1に記載の方法。
【0255】
D.1.1 抗SARS CoV-2抗体への感受性に対する、SARS CoV-2スパイクタンパク質における変異を評価するための方法であって、
(a)複数の第1の細胞の第1の部分に、
i)対照コロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、および
ii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクター
をトランスフェクトするステップと、
(b)複数の第1の細胞の第2の部分に、
i)変異を含むコロナウイルススパイクタンパク質をコードする核酸、および
ii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクター
をトランスフェクトするステップと、
(c)第1の部分の細胞が、対照コロナウイルススパイクタンパク質を含む第1のウイルス粒子を産生し、第2の部分の細胞が、変異を有するコロナウイルススパイクタンパク質を含む第2のウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞の第1および第2の部分を、別個にインキュベートするステップと、
(d)ステップ(c)の第1のウイルス粒子を、SARS CoV-2に結合する抗体を含む試料の存在下において、複数の第2の細胞の第1の部分と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、
(e)ステップ(c)の第2のウイルス粒子を、SARS CoV-2に結合する抗体を含む試料の存在下において、複数の第2の細胞の第2の部分と接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、
(f)ステップ(d)および(e)において第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップであって、ステップ(e)において第2の細胞によって産生されたシグナルと比較した、ステップ(d)において第2の細胞によって産生されたシグナルの低減された量は、スパイクタンパク質における変異が、ウイルス粒子の抗SARS CoV-2抗体への低減された感受性をもたらすことを示す、ステップと
を含む、方法。
【0256】
D.1.2. 対照コロナウイルススパイクタンパク質が、野生型コロナウイルスに由来するか、または異なる時点における同じ対象から得られる、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0257】
D.1.3. 抗体応答が、治療的に有効な様式で感染を阻害する、中和抗体応答である、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0258】
D.1.4. コロナウイルスエンベロープスパイクが、コロナウイルスSタンパク質である、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0259】
D.1.5. インジケーター核酸が、インジケーター遺伝子を含む、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0260】
D.1.6. インジケーター遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子である、実施形態D.1.5に記載の方法。
【0261】
D.1.7. 細胞表面受容体が、ACE-2である、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0262】
D1.8. 対象が、コロナウイルスに感染していた、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0263】
D.1.9. 対象が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS CoV-2)に感染していた、実施形態D1.1に記載の方法。
【0264】
D.1.10. 第1の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0265】
D.1.11. 第1の細胞が、ヒト細胞である、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0266】
D.1.12. 第1の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0267】
D.1.13. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態D.1.11に記載の方法。
【0268】
D.1.14. 第2の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0269】
D.1.15. 第2の細胞が、ヒト細胞である、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0270】
D.1.16. 第2の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0271】
D.1.17. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態D.1.16に記載の方法。
【0272】
D.1.18. ウイルス発現ベクターが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)発現ベクターである、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0273】
D.1.19. 第2の細胞が、さらに、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現する、実施形態D.1.6に記載の方法。
【0274】
D.1.20. ACE-2、TMPRSS2、またはそれらの両方が、第2の細胞によって安定に発現される、D.1.19に記載の方法。
【0275】
D.1.21. 抗体応答が、中和抗体応答であり、中和抗体応答の力価が、防御免疫と相関している、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0276】
D.1.22. バリアントが、B.1.1.7、B.351、B.1.1.28.1、またはB.1.427/1.429バリアントのうちの1つである、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0277】
D.1.23 変異型スパイクタンパク質が、コロナウイルスに曝露された対象から単離される、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0278】
D.1.24 スパイクタンパク質が、in vitroで遺伝子改変されている、実施形態D.1.1に記載の方法。
【0279】
D.2.1 以前にコロナウイルスワクチンに曝露された対象において、変異型またはバリアントSARS-CoV-2に対する中和抗体応答のレベルを検出するための方法であって、
(a)複数の第1の細胞に、i)コロナウイルススパイクタンパク質(すなわち、バリアントスパイクタンパク質)をコードする核酸、およびii)検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含むウイルス発現ベクターをトランスフェクトするステップと、
(b)第1の細胞が変異体/バリアントコロナウイルススパイクタンパク質を含むウイルス粒子を産生するような条件下において、第1の細胞をインキュベートするステップと、
(c)ステップ(b)のウイルス粒子を、i)対象がコロナウイルスワクチンに曝露される前に対象から得られた試料の存在下において第2の細胞と、およびii)試料がコロナウイルスワクチンに曝露された後に得られた対象に由来する試料の存在下において第2の細胞と、別個に接触させるステップであって、第2の細胞が、コロナウイルスが結合する細胞表面受容体を発現する、ステップと、
(d)対象がコロナウイルスワクチンに曝露される前に得られた試料の存在下において、ウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、
(e)対象がコロナウイルスワクチンに曝露された後に得られた試料の存在下において、ウイルス粒子の感染性を決定するために、第2の細胞によって産生された検出可能なシグナルの量を測定するステップと、
(f)ステップ(d)において測定されたシグナルの量を、ステップ(e)において産生されたシグナルの量と比較し、ステップ(d)において測定されたシグナルの量の、ステップ(e)において産生されたシグナルの量との差に基づいて、試料における中和抗体応答のレベルを決定するステップと
を含む、方法。
【0280】
D.2.2. 抗体応答が、治療的に有効な様式で感染を阻害する、中和抗体応答である、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0281】
D.2.3. コロナウイルススパイクタンパク質が、コロナウイルスSタンパク質である、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0282】
D.2.4. インジケーター核酸が、インジケーター遺伝子を含む、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0283】
D.2.5. インジケーター遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子である、実施形態D.2.4に記載の方法。
【0284】
D.2.6. 細胞表面受容体が、ACE-2である、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0285】
D2.7. 第1の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0286】
D.2.8. 第1の細胞が、ヒト細胞である、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0287】
D.2.9. 第1の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0288】
D2.10. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態D.2.9に記載の方法。
【0289】
D.2.11. 第2の細胞が、哺乳動物細胞である、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0290】
D.2.12. 第2の細胞が、ヒト細胞である、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0291】
D.2.13. 第2の細胞が、ヒト胎児腎臓細胞である、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0292】
D.2.14. ヒト胎児腎臓細胞が、293細胞である、実施形態D.2.13に記載の方法。
【0293】
D.2.15. ウイルス発現ベクターが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)発現ベクターである、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0294】
D.2.16. 第2の細胞が、さらに、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現する、実施形態D.2.6に記載の方法。
【0295】
D.2.17. ACE-2、TMPRSS2、またはそれらの両方が、第2の細胞によって安定に発現される、実施形態D.2.16に記載の方法。
【0296】
D.2.18. 試料が、血清試料である、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0297】
D.2.19. 試料の中和抗体応答のレベルが、対象のワクチン接種後防御免疫のレベルと相関している、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0298】
D.2.20. 試料における中和抗体応答のレベルが、対象について測定された総抗コロナウイルス抗体の力価と相関している、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0299】
D.2.21. バリアントが、B.1.1.7、B.351、B.1.1.28.1、またはB.1.427/1.429バリアントのうちの1つである、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0300】
D.2.22 ステップ(a)のスパイクタンパク質が、対象から単離される、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0301】
D.2.23 スパイクタンパク質が、in vitroで遺伝子改変されている、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0302】
D.2.24 変異型スパイクタンパク質を用いた結果を、通常の(すなわち、非変異型)スパイクタンパク質対照と比較する、実施形態D.2.1に記載の方法。
【0303】
E1. 第2の細胞が、ACE-2を一過的に発現する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0304】
E2. 第2の細胞が、ACE-2を安定に発現する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0305】
E3. 第2の細胞が、TMPRSS2を一過的に発現する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0306】
E4. 第2の細胞が、TMPRSS2を安定に発現する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0307】
E5. コロナウイルススパイクタンパク質が、変異を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0308】
E6. コロナウイルススパイクタンパク質が、ウイルス感染性を増加させる変異を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0309】
E7. コロナウイルススパイクタンパク質が、D614G変異を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0310】
E8. 第2の細胞が、低いレベルのACE-2を発現する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0311】
E9. 第2の細胞が、通常のレベルのACE-2を発現する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0312】
E10. 第2の細胞が、高いレベルのACE-2を発現する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0313】
F1. 先行する実施形態のいずれかに記載のステップのうちのいずれかを行うため、または後続の実施形態のいずれかに記載の組成物のうちのいずれか1つの使用のための、ステーションおよび/または遺伝子改変された細胞を含むシステム。
【0314】
G1. 非一過性機械可読記憶媒体において有形に具現化されるコンピュータプログラム製品であって、先行する実施形態のいずれかに記載の方法のステップのうちのいずれかを行うか、もしくは後続の実施形態のいずれかに記載の組成物のうちのいずれか1つを使用するか、または実施形態F1に記載のシステムの任意の部分を作動させるように構成されている命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【0315】
H1. SARS感染性をモジュレートすることができる化合物の検出のための組成物。
【0316】
H2. 産生細胞または標的細胞のいずれかとなるように遺伝子改変されている細胞を含む、G1に記載の組成物。
【0317】
H3. アンジオテンシン変換酵素2受容体(ACE-2)を発現する標的細胞となるように遺伝子改変されている、第1の細胞を含む、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0318】
H4. 標的細胞が、さらに、ヒト気道膜貫通型トリプシン様セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)を発現するように遺伝子改変されている、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0319】
H5. 産生細胞を含む、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0320】
H6. 産生細胞が、i)SARS CoV-2スパイクタンパク質またはその一部分、およびii)コロナウイルスではない、検出可能なシグナルを産生するインジケーター核酸を含む、第2のウイルスまたはその一部分を発現する、遺伝子改変された第2の細胞である、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0321】
H7. 産生細胞が、SARS CoV-2スパイクタンパク質またはその一部分を含むシュードビリオンを生成する、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0322】
H8. コロナウイルススパイクタンパク質が、コロナウイルスSタンパク質である、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0323】
H9. Sタンパク質が、コロナウイルスに感染した対象に由来する、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0324】
H10. 対象が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS CoV-2)に感染している、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0325】
H11. 第2のウイルスが、HIVまたは遺伝子改変されたHIVである、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0326】
H12. インジケーター核酸が、インジケーター遺伝子を含む、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0327】
H13. インジケーター遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子である、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0328】
H14. 産生細胞および/または標的細胞が、哺乳動物細胞である、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0329】
H15. 産生細胞および/または標的細胞が、ヒト細胞である、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0330】
H16. 産生細胞および/または標的細胞が、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞である、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0331】
H17. ヒト胎児腎臓細胞が、HEK 293細胞である、先行するかまたは後続の実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0332】
H18. ACE2および/またはTMPRSS2が、一過的な発現を可能にする様式で、標的細胞に導入される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0333】
H19. ACE2および/またはTMPRSS2が、安定な発現を可能にする様式で、標的細胞に導入される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
【0334】
I1. 先行する実施形態のいずれかに記載のステップのうちのいずれかを行うためのキット。
【国際調査報告】