(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】企業ネットワークについての位置ベースサービスのための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20230718BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20230718BHJP
H04W 92/12 20090101ALI20230718BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20230718BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W64/00 170
H04W92/12
H04W64/00 160
G01S5/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579975
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 US2021039214
(87)【国際公開番号】W WO2021263184
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522219744
【氏名又は名称】セローナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バラスブラマニアン スリニバサン
【テーマコード(参考)】
5J062
5K067
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062BB05
5J062CC07
5J062CC12
5J062CC14
5J062CC15
5J062CC18
5J062FF01
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067JJ51
(57)【要約】
企業ネットワークについての位置ベースサービスのための方法および装置が記載される。企業ネットワーク(EN)内で使用するためのUE位置決定方法および装置、ならびにENネットワークによってローカルに決定されたUE測位情報の送信のために、ENとモバイルネットワークオペレータ(MNO)との間の通信を拡張および改善するための方法が記載されている。一実施形態では、ENは、EN内で動作するUEの三辺測量を含むUE位置測位動作をローカルに実行する。ENは、UE測位決定を実行するときに、EN内に展開された異なるタイプのENセルに関する固有の知識を使用する。ENはまた、UE位置決定を実行するときに、EN eNB展開の誤差、eNB測位の不正確さ、および他のENセル特性を考慮する。ENは、ENコアネットワークとMNOコアネットワークとの間で拡張されたLPPa通信プロトコルおよび拡張されたMOCNゲートウェイを使用してUE測位情報およびEN固有コンテキスト情報を通信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業通信ネットワーク(EN)が少なくとも1つのeNodeB(eNB)を含む前記ENにおけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステムであって、
a)シグナリングパケットがEN eNBとMMEとの間で通信されることを可能にするS1-MMEインターフェースを介してEN eNBと通信するモバイル管理エンティティ(MME)と、
b)前記MMEと通信するエボルブドサービングモバイルロケーションセンタ(E-SMLC)であって、前記E-SMLCが、前記E-SMLCと前記EN eNBとの間で通信されるべきデータパケットを提供し、前記E-SMLCが、前記EN eNBへの送信のための測定要求メッセージ(MRM)を生成し、前記MRMが、前記UEが前記EN通信ネットワーク内で動作するときに前記UEから測定値を取得するように前記EN eNBに指示し、前記測定値が、前記UEの測位位置情報を決定するのに使用される、エボルブドサービングモバイルロケーションセンタと、
c)前記MMEに結合されたゲートウェイモバイルロケーションセンタ(GMLC)であって、前記GMLCが、前記EN eNBの前記位置に関する情報および前記EN eNBによって前記MMEに提供された測定値を含むパケットを前記MMEから受信する、ゲートウェイモバイルロケーションセンタと、を備え、
前記EN eNBが、LPPa通信プロトコルを使用して前記UEの前記測位位置情報を前記MMEおよび前記E-SMLCに送信する、システム。
【請求項2】
前記LPPa通信プロトコルが、前記EN eNBのGPS座標位置を含むように拡張される、請求項1に記載の企業通信ネットワーク(EN)におけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステム。
【請求項3】
前記UEの前記測位位置情報が、無線ネットワークにおけるモバイル装置のためのセキュアユーザプレーンロケーション(SUPL)アーキテクチャを使用して決定される、請求項1に記載の企業通信ネットワーク(EN)におけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステム。
【請求項4】
前記SUPLアーキテクチャが、ユーザプレーン通信プロトコルを含む、請求項3に記載の企業通信ネットワーク(EN)におけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステム。
【請求項5】
前記LPPa通信プロトコルが、前記UEのGPS座標情報に加えてEN固有コンテキスト情報の前記送信に対応するように修正される、請求項1に記載の企業通信ネットワーク(EN)におけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステム。
【請求項6】
アシスト型GPS情報が、前記LPPa通信プロトコルを介して送信される、請求項5に記載の企業通信ネットワーク(EN)におけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステム。
【請求項7】
前記UEの前記測位位置情報が、前記ENによってローカルに決定され、前記ENが、前記EN内で動作するUEの拡張された三辺測量を実行する、請求項1に記載の企業通信ネットワーク(EN)におけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステム。
【請求項8】
前記EN固有コンテキスト情報が、前記EN内で動作するセルに関する情報を含む、請求項5に記載の企業通信ネットワーク(EN)におけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステム。
【請求項9】
前記EN固有コンテキスト情報が、前記EN内で動作するセルのタイプ、前記EN内で動作する前記セルのサイズ、および前記セルによって生成される無線信号送信電力に関する情報を含む、請求項8に記載の企業通信ネットワーク(EN)におけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステム。
【請求項10】
前記EN内で動作する前記セルが、異なるサイズおよび形状のRFフットプリントを有する、請求項9に記載の企業通信ネットワーク(EN)におけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステム。
【請求項11】
前記ENが、前記UE測位決定を実行するときに、前記EN内に展開された前記異なるタイプのENセルに関する固有の知識を使用する、請求項7に記載の企業通信ネットワーク(EN)におけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステム。
【請求項12】
前記ENが、前記UE測位決定を実行するときに、EN eNB展開における誤差、eNB測位における不正確さ、および他のENセル特性を考慮する、請求項7に記載の企業通信ネットワーク(EN)におけるユーザ機器(UE)の位置を決定するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
先に出願された仮出願に対する優先権の主張-参照による援用
本出願は、「Method and Apparatus for Location Based Services for Enterprise Networks」と題する、2020年6月25日に出願された先の仮出願第63/044,212号(代理人整理番号CEL-027-PROV)に対する米国特許法第111条(b)および米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、この先に出願された仮出願(出願番号:63/044,212)の内容は、参照により本明細書に完全に記載されているかのように組み込まれる。
【0002】
開示された方法および装置は、一般に、通信ネットワーク内の通信機器を位置特定するためのシステムに関し、より詳細には、企業ネットワーク内の通信装置を位置特定することに関する。
【背景技術】
【0003】
位置ベースサービス(LBS)は、主に2つの主要な要件によって推進される:(1)緊急サービス、および(2)商業的用途。緊急サービスに関して、最も重要な推進力は、米国の連邦通信委員会(FCC)のE911命令である。E911命令は、緊急発呼が行われたときに所定の精度で電話の位置が提供されることを要求する。商業的用途では、地図および位置ベースの広告などの多種多様なアプリケーションおよびサービスが提供される。これらの多くは、モバイルユーザ機器(UE)の位置の迅速且つ正確な決定を必要とする。主要なメトリックのいくつかは、以下を含む:(1)測位サービス品質(QoS)、(2)初回測位時間(TTFF)、および(3)決定された位置の精度。
【0004】
モバイルハンドセットにおいて使用される技術のいくつかは、以下を含む:(1)エンハンストセルID(ECID)、(2)アシスト型全地球的航法衛星システム(A-GNSS)、および(3)観測到達時間差(OTDOA)。LTEネットワークでは、測位アーキテクチャは、LTE位置プロトコル(LPP)を使用する制御プレーン技術を含む。さらに、ユーザプレーン技術は、無線リソース位置サービスプロトコル(RRLP)を用いたセキュアユーザプレーンロケーション(SUPL2.0)を含む。場合によっては、いくつかのネットワーク上でLBSおよびE911を有効にするためのユーザプレーンプロトコルは、WiFi(登録商標)測位などの技術のサポートを含む。
【0005】
セルID(CID)測位は、UEの位置を迅速に推定するために使用されることができるネットワークベースの技術である。CIDの精度は非常に低く、典型的には、UEがキャンプしているセルのサイズ(キロメートルオーダーとすることができる)と同等である。最も単純なケースでは、UEは、UEがキャンプしている基地局の位置に位置すると推定される。エンハンストセルID(ECID)は、CIDに対する改善である。基地局とUEとの間のラウンドトリップタイム(RTT)は、UEまでの距離を推定するために使用される。RTTは、eNodeBから、またはUEに直接照会することによって、タイミングアドバンス(TA)測定値を分析することによって決定される。eNodeBは、2つのタイプのTA測定値をトラッキングする。第1のタイプは、eNodeBとUEの受信-送信時間差を合計することによって測定される。第2のタイプは、UEランダムアクセス手順中にeNodeBによって測定される。さらに、ネットワークは、UEからの信号の到来角(AoA)を使用して、指向性情報を提供することができる。AoAは、UEからのアップリンク送信と、複数の受信要素を有するeNodeBアンテナアレイの既知の構成とに基づいて測定される。連続するアンテナ素子間の受信UE信号は、典型的には、測定可能な値だけ位相シフトされる。この位相シフトの程度は、AoA、アンテナ素子間隔、およびキャリア周波数に依存する。位相シフトを測定し、アンテナ素子間隔およびキャリア周波数を決定するために既知のeNodeB特性を使用することによって、AoAが決定されることができる。この測定において使用される典型的なアップリンク信号は、サウンディング基準信号(SRS)または復調基準信号(DM-RS)である。ECIDにおける誤差の主な原因は、受信タイミングの不確実性(RTT計算に影響を与える)およびマルチパス反射である。典型的には、これらは150m以上の精度をもたらす。
【0006】
全地球的航法衛星システム(GNSS)では、モバイル装置内のGNSS受信機は、衛星信号を受信し、モバイル装置の位置を計算することのみを担う。受信機は、サーチ処理によって衛星信号を取得する必要がある。受信機は、3D位置を計算するために少なくとも4つの衛星にロックする必要がある。取得プロセスは、バッテリおよび処理電力の点で要求が厳しく、最低4つの衛星を取得する必要があるため、TTFFは長くなる可能性がある。
【0007】
アシスト型GNSS(A-GNSS)では、スタンドアロンのGNSSよりも大幅な改善が達成される。典型的なA-GNSS実装形態では、UEのGNSS能力は、一般に「アシストデータ」として知られる、ネットワークによって提供されるデータによって増強される。アシストデータは、モバイルGNSS受信機が通常衛星から受信する情報を含む。この情報をモバイルGNSS受信機への別の通信リンクを介してモバイルGNSS受信機に提供することにより、衛星信号取得が加速され、より効率的にされることができる。次いで、最終位置は、UEまたはネットワークのいずれかによって計算され、第三者(緊急PSAPs1など)と共有される。したがって、A-GNSSは、測位性能を高速化し、受信機感度を改善し、バッテリ電力を節約するのに役立つ。A-GNSSは、屋外で、および空のかなり良好な視界が利用可能な状況において良好に機能する。しかしながら、屋内や密集した都市環境など、空の視界が遮られている環境および/または「マルチパス干渉」がある状況では、一般に性能が低い。現在、全地球測位衛星(GPS)システムとGLONASS(全地球的航法衛星システム)の2つの全地球システムが完全に動作可能である。モバイル受信機は、従来、A-GPSのみを使用して測位をサポートしていたが、双方の衛星システムを同時に使用して位置を取得することが可能である。この技術の利点は、信号取得に利用可能な衛星の数を効果的に増加させることである。これは、都市の場合のように、空が見えにくい環境での性能を改善する。GPS衛星およびGLONASS衛星の双方(ならびにこれらのシステムが完全に動作可能である場合にはGalileoおよびQZSS)のためのアシストデータが、LTEネットワークによって提供されることができる。これらのシステムの典型的な精度は10~50mである。
【0008】
観測到達時間差(OTDOA)システムでは、CRS(セル基準信号)ベースのOTDOA技術は、原則としてGNSS位置計算方法論と同様の方法を使用する。UEは、ダウンリンクにおける複数の信号(すなわち、2つ以上の基地局からUEによって受信された信号)の時間差を測定する。基地局の既知の位置およびそれぞれからの測定された到達時間差を使用して、UEの位置を計算することが可能である。サービングセルおよび1つ以上の隣接セルから到達するCRSについて測定された到達時間差は、基準信号時間差(RSTD)として知られている。UEの位置を計算するために、ネットワークは、eNodeB送信アンテナの位置および各セルの送信タイミングを必要とする。eNodeBが非同期である場合、この情報を達成することは困難であり得る。LTE OTDOAが直面する最大の課題の1つは、隣接するセル-RSを正確に測定する必要があることである。PRS(測位基準信号)は、この問題を解決するために、3GPPロケーションスタンダードのリリース9において導入されている。これらの特別な基準信号は、CRSエネルギーを増加させることによって隣接セル信号の測定をアシストする。PRSは、連続するダウンリンクサブフレームのグループにおいて、セル特有基準信号(RS)とともに定期的に送信される。
【0009】
完全に同期したネットワークでは、これらの測位サブフレームは重複し、セル間干渉を低減することができる。2つの隣接セル内のPRSパターンが重複する場合、ネットワークは、信号取得を改善するために送信をミュートすることができる。ネットワークはまた、UEのPRSの取得をアシストするためにUEにアシストデータを提供することができる。このデータは、通常、(同期ネットワークの場合)相対eNodeB送信タイミング差、探索ウィンドウ長、および、周辺セルの予期されるPRSパターンからなる。OTDOAは、GNSSが利用できないとき、および屋内および空がはっきり見えない環境において測位情報を取得しようとするときに、フォールバック技術として使用されることができる。これらの技術は、約50~200mの精度を提供する。
【0010】
OTDOAおよびA-GNSSは、「ハイブリッド」モードで一緒に使用されてもよい。基本的な測位計算手法は同じであるため、位置計算機能では衛星と基地局位置の組み合わせが使用されることができる。この技術では、UEは、セルと衛星信号との少なくとも1つのペアのRSTDを測定し、測定値をネットワークに返す。ネットワークは、測定値の分析および位置の計算を担う。このハイブリッドモードは、通常、OTDOA測位単独よりも良好な精度を提供する。さらにまた、困難な環境での測位精度を向上させることができる。アップリンクTDOA(UTDOA)は、OTDOAのアップリンク代替方法である。UTDOAは、LTE位置測位規格のリリース11について標準化されている。UTDOAは、複数の受信ポイントにおいて実行されるアップリンク到達時間(ToA)またはTDOA測定を利用する。測定は、サウンディング基準信号(SRS)に基づく。
【0011】
上記の技術に加えて、以下の方法が一般に知られており、追加の標準化を必要とせず、LTEリリース9にも含まれている。無線周波数(RF)フィンガープリンティングは、UEから取得されたRF測定値をRFマップにマッピングすることによってユーザ位置を見つける方法であり、マップは、通常、詳細なRF予測またはサイト調査結果に基づく。アシスト型ECID(AECID)は、使用される無線特性の数を拡張することによってRFフィンガープリンティングの性能を向上させる方法であり、受信信号強度に加えて、少なくともCID、タイミングアドバンス、RSTD、およびAoAを使用することができる。さらにまた、測定された無線特性によってタグ付けされた高精度OTDOAおよびA-GNSS位置を収集することによって、対応するデータベースが自動的に構築される。
【0012】
LPPは、UEとLTEネットワークとの間で測位情報を交換するために使用される。LPPは、RRC、RRLP、およびIS-801などのプロトコルに類似しており、制御プレーンおよびユーザプレーン(SUPL2.0により有効化)の双方において使用される。各LPPセッションは1つ以上のLPPトランザクションを含み、各セッションは、単一の動作(例えば、能力交換、アシストデータ転送、または位置情報転送)を実行する。測位を扱うコアネットワーク内の重要なエンティティは、エボルブドサービングモバイルロケーションセンタ(E-SMLC)である。E-SMLCは、正確なアシストデータを提供し、UEの位置を正確に計算する役割を担う。SUPL2.0プロトコルは、1つの共通のユーザプレーンプロトコルを提供するために、異なるネットワーク(2G/3G/4G/5G)にわたって展開されることができる。初期LTE展開は、RRLPを使用して実行されることができる。LPPの導入により、より高度な展開が達成されることができる。RRLPは、A-GNSSのみをサポートし、LTE ECIDおよびOTDOA情報の配信はサポートされていない。しかしながら、SUPL2.0は、サービス提供しているLTEセルおよび隣接セルに関する情報を送信するためのネイティブサポートを有する。
【0013】
LTE上の測位は、以前にカバーされた測位方法(OTDOA、ECID、A-GNSS)をサポートするように設計されたLPPによって可能にされる。LPPコールフローは手順ベースであり、各手順は、単一の目的(例えば、アシストデータの配信)を有する。LPPの主な機能は、E-SMLCからUEへアシストデータを伝送するために、UEの測位能力をE-SMLCに提供することである。さらに、LPPは、E-SMLCに座標位置情報またはUE測定信号を提供する。LPPはまた、測位セッション中に誤差をレポートする。LPPは、OTDOA+A-GNSSなどの「ハイブリッド」測位をサポートすることができる。
【0014】
ネットワークベースの測位技術の場合、E-SMLCは、eNodeBからの情報(例えば、ECIDをサポートするための受信-送信時間差測定)を必要とし得る。この情報を伝送するために、LPP-AnnexまたはLTE 測位プロトコルアネックス(LPPa)と呼ばれるプロトコルが使用される。OMAは、より多くのデータを搬送し、したがって既存の測位技術を改善するために使用されることができ、新たな方法(WLAN測位など)を可能にする「LPPe」と呼ばれるLPPの拡張を提案している。LPPeはまた、既存の測位技術を拡張するとともに、新たな測位方法(センサ測位および短距離ノード測位など)のためのベアラを提供するための追加情報を含む。LPPeは、主にユーザプレーン測位イネーブラと見なされる。
【0015】
LTE上でのユーザプレーン測位の場合、SUPLは、アシストデータをパッケージ化および転送するための新たな方法を導入するのではなく、既存の制御プレーンプロトコル(例えば、RRLP、IS-801およびLPP)を使用する。SUPLロケーションプラットフォーム(SLP)と呼ばれるエンティティは、SUPLメッセージングを扱い、典型的には、アシストデータを取得するためにE-SMLCとインターフェースする。SUPLメッセージは、LTE P-GWおよびS-GWエンティティを介してデータリンクを介してルーティングされる。SUPL2.0は、エリアベースのトリガ、定期的なレポート、およびバッチレポートを含む、モバイルアプリケーションに関連する複雑な機能セットを可能にする。SUPL2.0はまた、データリンクを介した緊急測位のためのサポートと、(WiFi測位のようなマルチロケーション技術を含む)主要測位技術のためのサポートとを特徴とする。SUPL2.0における主要測位イネーブラは、基礎となる制御プレーンプロトコル(例えば、RRLPまたはLPP)である。これは、SLPおよびSMLCが共通の測位プロトコルにインターフェースして合意することができる限り、SUPL2.0が任意のネットワーク上で使用されることができることを意味する。SUPL2.0は、全ての主要セルラ無線技術および無線LANアクセスポイント情報のためのセル情報のレポートをサポートする。マルチロケーションIDと呼ばれるこの機能は、位置サーバが、より正確な位置を計算するために、いくつかの異なるタイプの測定値を処理することを可能にする。将来、SUPL3.0は、LPPプロトコル(LPPe)への拡張をサポートすることが期待されている。
【0016】
緊急サービスに関して、SUPL2.0は、緊急SLP(E-SLP)として知られるエンティティを導入する。E-SLPは、緊急コールのための測位を可能にするために、LTEネットワークにおけるIPマルチメディアサブシステム(IMS)と協調する。E-SLP機能は、ネットワークによって使用される既存のSLPに追加されることができる。緊急コールが処理中である場合、IMSは、E-SLPからのネットワーク開始位置要求によってコールを調整する。緊急測位は、ユーザ通知およびプライバシー設定を無効にし、全ての非緊急SUPLセッションよりも優先度を受信することができる。
【0017】
端末アシスト測位は、UEの複雑さを低く保ちながら、ネットワークに蓄積された無線環境に関する利用可能な知識とともに端末測定値を利用することができるため、端末ベースの測位よりも技術的に優れていることに留意されたい。端末アシスト測位はまた、ネットワーク測定およびネットワーク知識に依存し、最大端末電力によって制約され、実際のユーザ位置における測定から利益を得ることができないスタンドアロンのネットワークベースの測位よりも利点を有する。
【0018】
要約すると、CIDは、サービス提供セルのセルID(典型的に利用可能な情報)およびそのセルに関連付けられた位置に依存する、最も高速に利用可能な測定なし測位方法である。しかしながら、CIDの精度は、サービングセルのサイズに依存する。A-GPSを含むA-GNSSは、衛星に優しい環境において最も正確な測位方法である。最も正確な地上方法はOTDOAであり、これは、eNodeBまたはビーコン装置などの無線ノードによって送信された測位基準信号のダウンリンク測定値に基づく。OTDOAおよびA-GNSSは、セルラネットワークのほとんどの部分およびほとんどの典型的な環境において高精度の測位を提供する。UTDOA性能は、拡張されたUL受信機の使用を想定して、ULカバレッジ制限ではないいくつかの展開シナリオでOTDOAの性能に近付くことができる。困難な無線環境における測位を改善するために、これらの方法は、例えば、ハイブリッド測位、近接位置、およびAoA、RFフィンガープリンティングおよびAECIDを含む中間精度範囲の新たな測位方法で互いに補完することができる。
【0019】
AECID法は、RFフィンガープリンティング法よりも広い測定セットを利用することに留意されたい。これは、例えば、タイミング測定を含む。その結果、AECIDは、環境制限の影響を著しく受けにくくなる。また、将来、ネットワークが高密度になるにつれて、近接方法の役割が重要になることにも留意されたい。
【0020】
したがって、現在、企業通信ネットワーク内のUEを位置特定するのをアシストすることができる正確な位置情報が望まれている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
開示された方法および装置は、1つ以上の様々な実施形態にしたがって、以下の図を参照して説明される。図面は、例示のみを目的として提供されており、開示された方法および装置のいくつかの実施形態の例を示すにすぎない。これらの図面は、開示された方法および装置の読者の理解を容易にするために提供される。それらは、特許請求される発明の広がり、範囲、または適用性を限定すると見なされるべきではない。説明を明確且つ容易にするために、これらの図面は、必ずしも縮尺通りに作成されていないことに留意されたい。
【0022】
【
図1】位置特定能力を有する通信ネットワークの基本構成要素の図である。
【
図2A】LTE通信システムにおけるUE測位アーキテクチャのブロック図である。
【
図2B】ENコアネットワークがマルチオペレータコアネットワーク(MOCN)ゲートウェイを介してMNOコアネットワークと通信している、
図2AのUE測位アーキテクチャを示すブロック図である。
【
図3】各セルが異なるサイズ、形状、および構成を有する企業ネットワークに存在することができるセルフットプリントを示す図であり、
図3はまた、三辺測量が企業ネットワークにおいてどのように実装されることができるかを示すために使用される。
【
図4】本方法および装置によって三辺測量技術がどのように使用されることができるかを示す図である。
【
図5】企業ネットワーク内の各eNBセルに対する測定された位置範囲を示す図である。
【
図6】企業ネットワークにおいてLBSを実装する際の例示的なOTDOA技術を示している。
【
図7】企業ネットワーク(EN)内に配置されたCBSD(またはEN eNB)の位置推定の図である。
【0023】
図面は、網羅的であること、または特許請求される発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。開示された方法および装置は、変更および代替によって実施されることができ、本発明は、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるべきであることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、位置特定能力を有する通信ネットワークの基本構成要素の図である。一般に「ユーザ機器」(UE)101と呼ばれる、ユーザによって操作される無線装置は、通信ネットワーク105のeNodeB(本明細書では「eNB」とも呼ばれる)103と無線通信しているように示されている。eNB103に加えて、通信ネットワーク105は、MME(モビリティ管理エンティティ)107、HSS(ホーム加入者サーバ)109、GMLC(ゲートウェイモバイルロケーションセンタ)111、E-SMLC(サービングモバイルロケーションセンタ)113、サービングゲートウェイ(SGW)115、PDN(パケットデータネットワーク)ゲートウェイ117、LCS(位置サービス)クライアント119、SPC121、およびSLC123を含む。本方法および装置のいくつかの実施形態では、通信ネットワーク105は、モバイルネットワークオペレータ(MNO)によって動作するマクロネットワークと、企業ネットワーク(EN)内で動作する通信ネットワークの双方に存在することができる。すなわち、
図1に示す通信ネットワーク105は、MNOによって動作するネットワーク内に存在することができ、類似の通信ネットワーク105’(
図1に示すものと同一ではないが非常に類似している)は、EN内に存在して動作することができる。
【0025】
周知のように、MME107は、UEとコアネットワークとの間のNASシグナリングを処理する主制御ノードであり、アイドルモードのUEの追跡およびページング手順、ならびにベアラの確立および解放を担う。
【0026】
UE101とeNB103との間では、データおよび音声信号が送信される。eNB103は、S1-Uインターフェースを介してデータパケットおよび音声パケットをSGW115に通信する。SWGは、PDNゲートウェイ117との間でパケットを送受信する。さらに、シグナリングは、S1-Cインターフェースを介して、PDNゲートウェイ117にシグナリングを通信するSWG115に通信される。PDNゲートウェイ117は、Lupインターフェースを介してSLC123とシグナリングパケットを通信することもできる。
【0027】
図1に示すように、eNB103はまた、S1-MMEインターフェースを介してMME107に結合される。MME107は、S6aインターフェースを介してHSS109と通信して、UE 101の認証を可能にすることができる。本開示の方法および装置のいくつかの実施形態によれば、MME107とE-SMLC113との間にSLSインターフェースが定義される。さらに、MME107とGMLC111との間にはSLgインターフェースが定義される。さらに、HSS109とGMLC111との間には、SLhインターフェースが定義される。
【0028】
以下により詳細に説明するように、本方法および装置のいくつかの実施形態では、LPPaプロトコルインターフェースがサポート、修正、および拡張され、これにより、MNO E-SMLC113がEN eNB103に照会して、MNO E-SMLC113によって生成された測定要求メッセージ(MRM)によって指示される測定値を取得することを可能にする(
図1の通信ネットワーク105がMNO通信ネットワークを含む場合)。さらに、LPPaプロトコルは、EN eNB103のGPS位置も含むように拡張されることができる。本方法および装置のいくつかの例示的な実施形態によれば、LPPaプロトコルを介してEN eNB103からE-SMLC 113に送信されるレポートは、メッセージに以下の項目をさらに含む:(それらは、例えば、E-CID測定レポート、OTDOA情報応答、UTDOA情報応答などを含む)。レポートはまた、eNB GPS位置およびeNBに関連付けられたセルタイプを含む。セルタイプは、「無指向性」アンテナeNB、指向性アンテナeNB、CATA/CATBセルタイプに関するセルサイズ、およびeNBの動作のためにSASエンティティによって許可される許容Tx電力を使用して作成されたものを含むことができる。
【0029】
さらに、企業ネットワーク(EN)内のE-SMLC(
図1に示すMNO通信ネットワーク105のE-SMLC113に類似)が、企業ネットワーク(EN)内に提供されることができる。そのような実施形態では、このEN E-SMLCは、UEの位置がローカルに決定されることを可能にする(すなわち、ENの位置サービス能力を使用してENキャンパス内でローカルに決定される)。さらに、EN E-SMLC(
図1のMNO E-SMLC113に類似)は、いくつかの実施形態では、MNOコアに対するインターフェースノードとして機能することができる。さらにまた、パブリックセーフティアクセスポイント(PSAP)は、企業E-SMLCと統合されることができる。あるいは、企業E-SMLCは、(MNO MME-EN MME相互運用性を介して)MNO E-SMLC113によって直接動作することができる。さらにまた、企業ネットワーク(EN)キャンパス内に配置されたeNB103のGPS位置は、ENキャンパスの配置の一部としてモバイルネットワークオペレータ(MNO)に提供されることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、位置決定は、最初に単一のセルID位置を使用して行うことができる。しかしながら、eNB103のGPS位置は、E-SMLC113に提供されるべきである。完全な測定手法をサポートするために、後の実装が構築されることができる。
図1の通信ネットワークを参照して説明されるユーザプレーンSUPL UE測位決定
【0031】
ここで説明する企業ネットワークについての位置ベースサービスのための方法および装置は、無線ネットワークにおけるモバイル装置のための「セキュアユーザプレーンロケーション」(「SUPL」)アーキテクチャと称されるものを使用する。SUPLアーキテクチャは、無線ネットワークの制御プレーン要素に悪影響を与えることなく、位置ベースサービスを提供するために、「ユーザプレーン」または「Uプレーン」において動作する。SUPLアーキテクチャがUEの測位および位置決定の目的に使用される前に、制御プレーンは、LTEネットワークにおける測位アーキテクチャにおいて使用されていた。この制御プレーンの下では、UE101が、eNB103に測位測定情報を通知した無線シグナリングメッセージを使用して、(制御プレーンを使用して)無線インターフェースを介して通信する、位置決定メカニズムが存在した。しかしながら、不都合なことに、この制御プレーン測位技術は、経時的に展開されるにつれて、各タイプのモバイル装置技術に対して追加の設計および再設計が実行される必要があった。不都合なことに、これらの設計および再設計は、一般に実行されることができず、UE位置測位技術を実行またはアシストするために使用されることができるスケーリング手法および例えばWi-Fi(登録商標)のようなその他の技術を利用することができなかった。対照的に、SUPLなどのユーザプレーンプロトコルを使用することにより、無線測定および任意の他の位置決定機能は、存在するE-SMLC113機能を含み、MNOコアネットワーク105の他の位置サービス機能も含む、MNOコアによって制御される。このようにして、MNO MME107を超えて確立される他の機能は、UE101の測位位置を決定する目的で利用可能である。本開示の方法および装置によれば、これらのサービスは、全てユーザプレーン内で実行され、したがって、制御プレーン要素およびシステム性能に干渉しない。したがって、UE位置決定は、無線シグナリングなしで、ホップツーホップメッセージングがPDNゲートウェイ117にどの動作を講じるべきかを知らせることなく、また、どの動作を講じるべきかに関してサービングゲートウェイ115に指示する必要なく実行されることができる。ユーザプレーンにおいてUE位置決定を実行することにより、これらの以前に必要とされていた機能の全てがもはや必要とされなくなる。代わりに、MNOコアネットワーク(例えば
図1の通信ネットワーク105)は、その位置サービス機能を使用して、UE101に、UEの位置を決定するために、どのエンティティを測定し、どの測定を行うべきか指示することができる。
【0032】
UE101によって返される測定値は、GPS座標情報である可能性が非常に高い。いくつかの実施形態では、アシストGPS情報を含むことができる。いくつかの実施形態では、MNO MME107は、UE101に、特定の測定を行い、取得した情報をレポートするように指示する。いくつかの実施形態では、測位情報は、ラジオシグネチャ情報、UE101が測定する基準無線信号、UE101が測定する「到来角」などに基づく。この情報は、全て、
図1のMNO通信回路105内のMNOコア位置サービス機能に通信されることができる。
【0033】
上記の説明は、MNOコアLCS機能を使用してUE位置決定を実行することに適用される。MNO通信ネットワーク105がその類似のEN通信ネットワーク105’と共通して有する一態様は、eNB103である。これら2つの通信ネットワークをともに接続する1つの共通装置は、eNB103である。eNB103の位置は既知の量である。eNB103の位置情報は、他の情報に加えて、それが通信しているeNBの位置に関する情報のテーブルにおいて使用されることができるように、MNOコア通信ネットワーク105に通信されなければならない。さらに、シチズンスブロードバンド無線サービス装置(「CBSD」)(すなわち、企業ネットワーク(EN)内のeNB)の位置もまた、ENによって維持される情報のテーブルに含まれなければならない。
【0034】
以下により詳細に説明するように、三辺測量技術を使用してUE位置を決定するために、少なくとも3つのeNBが必要とされる(当然ながら、これら3つのeNBの位置も知られていなければならない)。したがって、EN内の選択されたUEに対して三辺測量を実行するためには、少なくとも3つのEN eNBが識別されなければならず、それらの位置情報が知られなければならない。しかしながら、以下により詳細に説明するように、EN内のCBSDの測位位置は、それらに関連する固有の不正確さを有する。FCC仕様によれば、CBSDは、±50メートルの水平精度内に配置されなければならない。それらは、±3メートルの垂直精度(または、高さ精度)内に配置されなければならない。これらの固有の位置の不正確さが考慮されない限り、UE位置決定手順は誤った結果をもたらす。EN内のeNB(またはCBSD)の各位置は、ENおよびMNOの双方のテーブルまたはデータベースに入力される。EN eNB(またはCBSD)セルのフットプリントは、屋内のEN eNBでは50メートル以下とすることができる。その結果、UE位置決定方法および装置によってこれらの不正確さが考慮されない場合、UE位置測位決定に重大な誤差が生じる可能性がある。
【0035】
現在、MNO通信ネットワーク(MNOコア)とEN通信ネットワーク(ENコア)との間のUE測位情報の交換は、本質的にダウンリンク中心の通信経路であり、MNOコアとENコアとの間で交換される情報に制限されている。現在十分に利用されていないENコアとMNOコアとの間でUE測位情報を交換するための通信の経路が存在する。本質的に、MNOは、MRMをENに発行して、ENキャンパスに位置するUEに、MNOコアに無線信号強度測定値を提供するように指示する。
【0036】
ENによって知られており、ENによってのみ知られている追加のUE測位情報は、現在MNOコアに通信されていない。ENによって最もよく理解され、ENによってローカルにより良好に決定されるアップリンク中心およびEN固有のUE位置情報は、既存の通信システムでは現在利用されていない。ENは、測定されたUE無線信号強度測定値のみ、基本的にはGPS座標測位情報のみをMNOにレポートし、他のEN固有コンテキスト情報はレポートしない。現在、ENは、単にセルID情報をMNOに提供する。EN eNBは、信号情報を受信することができ、到来角を決定することができ、アップリンクOTDOA到達時間差測定を実行することができる。UEの位置をローカルに決定し、LPPaプロトコルおよび通信リンクを介してこの情報の全てを通信することもできる。本開示の方法および装置にしたがって修正および拡張されたLPPaプロトコルを使用して、EN eNBは、
図1のMNO通信ネットワーク105のMNO MME107へ、より多くの改善されたUE測位情報を通信することができる。
【0037】
したがって、企業ネットワーク(EN)についての位置ベースサービスのための本開示の方法および装置の利点の1つは、ENが達成し、MNOに返信することができるUE測位機能を改善することである。ENセルのフットプリントは比較的小さく、ブルートゥース(登録商標)ソリューションを使用して最良のUE測位ソリューションが達成可能である可能性が高い。しかしながら、ブルートゥースベースの技術がより良好なUE位置測位ソリューションを提供することができると仮定しても、UE測位は、三辺測量およびOTDOA技術などのセルベースの測位手法を使用してEN内でローカルに改善されることができる。これは、EN設計者がENセルがどのように見えるか(ENセル内でどのタイプの送信機が使用され、セルフットプリント形状がどのように見えるか)、およびそれらがどのように構成されるかを理解し、知識を有するため、特に当てはまる。EN設計者はまた、潜在的なUE位置誤差がどこに存在するか、これらの誤差を引き起こすものなどをMNOネットワーク設計者が行うよりもよく知っている。その結果、企業ネットワーク(EN)についての位置ベースサービスのための本開示の方法および装置は、ENキャンパスおよび通信ネットワーク内でローカルにセルベースの方法および技術を有利に使用する。次いで、UE位置測位情報は、LPPaシグナリングプロトコルを使用して、eNBを介してMNOに通信される。LTE通信において使用されるUE測位アーキテクチャが、
図2Aおよび
図2Bに示されており、ここで、それらの図を参照して説明される。
【0038】
図2Aは、LTE通信システムにおけるUE測位アーキテクチャ200のブロック図である。本開示の目的のために、
図2Aに示す測位アーキテクチャは、企業ネットワーク(EN)キャンパス内に存在すると仮定される。測位アーキテクチャは、ENコアネットワーク208を含み、ENコアネットワークは、少なくとも1つのeNodeB(eNB)210と通信し、同様に少なくとも1つのUE212と通信する。
図2Aに示すように、ENコアネットワークのMMEは、LPPa通信プロトコル202を介してeNodeB(eNB)210と通信する。eNB210は、LPP通信プロトコル204およびSUPL/LPP通信プロトコル206を介して、UE212と通信する。EN MMEは、LPPa通信プロトコル202を介して測位情報を通信する。LPPa通信プロトコル202は、EN MMEとeNBとの間、およびEN MMEとEN E-SMLCとの間でUE位置データを渡すために使用される。
【0039】
UE212がEN eNB 210にキャンプしており、MNOにアクセスできない場合、EN(具体的にはEN E-SMLCおよびEN MME)は、UE212の位置サービス機能をアクティブ化する。しかしながら、ほとんどの場合、UE212は、ENコアネットワーク208とMNOコアネットワーク(
図2Bに220として示されている)の双方にアクセスできる。
【0040】
図2Bは、ENコアネットワーク208がマルチオペレータコアネットワーク(MOCN)ゲートウェイ222を介してMNOコアネットワーク220と通信している、
図2AのUE測位アーキテクチャ200を示すブロック図である。このシナリオでは、MNOコアネットワーク220は、UE212についてのUE位置決定機能を実行するために、その位置機能および情報を活性化することができる。いくつかの実施形態では、MNOコアネットワーク220は、ENコアネットワーク208と本質的に同一であり、全てではないにしても多くの同じ構成要素を含む。例えば、
図2Bに示すように、双方のコアネットワーク208、220は、少なくとも以下のブロックを含む:GMLCブロック(
図1の通信ネットワーク105に示すGMLC111と同様)、MMEブロック(
図1の通信ネットワーク105に示すMME107と同様)、S-GWゲートウェイ(
図1の通信ネットワーク105に示されたサービングゲートウェイ115と同様)、P-GWブロック、E-SMLCブロック(
図1の通信ネットワーク105に示されたE-SMLC113と同様)、SLPブロック、およびLCSクライアント(
図1の通信ネットワーク105に示されたLCSクライアント119と同様)。
図2Bに示すように、LCSクライアント(ENコアネットワーク208に示されているLCSクライアントとMNOコアネットワーク220に明示的に示されていないLCSクライアントの双方)は、上述したようにユーザプレーンで動作する無線ネットワーク内のモバイル装置用のSUPLアーキテクチャを介してSLPブロックと通信する。本方法および装置のいくつかの実施形態では、UE212は、ENがMNOコアネットワークと通信するためのパイプとして機能する。
【0041】
UE測位決定がどのように行われても(EN内でローカルに、およびENコアネットワークによって)、またはMNOによって行われても、MNOコアネットワーク220は、常に、MNOネットワークにおいて測定することができるマクロeNBに基づいてセルベースの位置決定を行うようにUE212に常に指示することができる、
図2Aおよび
図2BのUE測位アーキテクチャを参照することに留意されたい。本明細書に記載された方法および装置のいずれにおいても、MNOが、測定することができるマクロeNBのこれらの測定を実行するようにUEに指示することを禁止するものはない。換言すれば、現在説明されているEN方法および装置についての位置ベースサービスでは、MNOおよびMNOのUE位置決定技術を使用して行われるUEの位置決定を妨げるものはない。UEは、MNO UE位置決定能力を使用して測位情報を取得するために、ある期間ENから「遠ざかる」ように指示されることができる。その後、UEは、本明細書に記載された位置決定技術の使用に戻るように指示されることができる。UE位置決定のためのこのようなMNOの使用は、LPPプロトコルによって開始され、LPPプロトコルは、UEに、特定の周波数で発生しているパイロットを探すように指示する。UEは、その周波数でそれらのパイロットを測定し、UEがそれらの周波数チャネルで測定するものに関してMNOにレポートするように指示される。
ENネットワークにおいてUE位置決定を行うときの提示される課題および本方法および装置によって提供される解決策
【0042】
UEの性質、MNOコアネットワーク、およびEN通信ネットワークの配置、能力、および特性により、UEがENキャンパス内にあるときにUEの位置を正確に決定しようとするときにいくつかの課題が生じる。これらの課題のいくつかは、企業ネットワークについての位置ベースサービスのための本開示の方法および装置によって提供されるこれらの課題に対する解決策とともに、以下の説明に記載される。
【0043】
単一のセルIDおよびその関連するGPS位置は、測位QoSを満たすのに十分ではない場合がある。この課題/制限は、企業ネットワーク(EN)の既存の展開に存在する。1つの可能な解決策は、ENにおいて単一ノード展開を使用することである。しかしながら、上述したように、UE上で何らかのタイプの三辺測量技術を実行するためには、少なくとも3つのeNBが必要である。
【0044】
EN内でUE位置決定機能を実行するときに提示される別の課題は、ENキャンパス内のGPS信号受信が通常非常に不十分であるか、またはさらに可能性が高いが存在しないことである。これは、UEがENキャンパスで動作するとき、典型的には屋内にあるからである。いくつかの実施形態では、GPSリピータが建物内に配置されることができる。いくつかのそのような実施形態では、リピータは、単にブラインドリピータであるが、衛星からのGPS位置が所与の建物の屋内で表されることを可能にする。より大きな建物の場合、屋内ドロップを有する複数のリピータが、建物内の不十分なGPS信号浸透を緩和するために、GPS位置の屋外タップに最も近い位置に対応する位置に配置されることができる。
【0045】
別の課題は、横方向および垂直方向の測位要件に関する。横方向の測位は要件であるが、屋内の測位は、z軸のフロアレベル情報を有する建物内の垂直測位によって増強される必要がある。部屋レベルの情報を提供することが望ましいが、必須ではない(良好であるが、必須ではない)。本方法および装置のいくつかの実施形態において提供されるこの課題に対する解決策は、以下により詳細に記載される。
【0046】
さらに、緊急サービスのためのMRM(測定要求メッセージ)は、UEの改善された位置決定を可能にするために、より広範である必要があり得る。これは、緊急事態がENキャンパスのウィングまたはフロアの位置に関連付けられている場合に特に当てはまる。これらの場合の改善されたUE位置決定は、UEユーザの安全性および健全性にとって重要になり得る。本方法および装置のいくつかの実施形態において提供されるこの課題に対する解決策は、以下により詳細に記載される。
【0047】
不均一なENセルフットプリント-また、一般に均一なフットプリントを有するマクロセル(またはMNOセル)とは異なり、ENセルのフットプリントは、均一なフットプリントを有しない。これは、ENが、それぞれが異なる送信電力レベルを有する多くの異なるタイプのeNBを使用するという事実に起因し、それらは、屋内または屋外のeNBであり、無指向性または指向性であり得る。これは、異なる形状およびサイズのENセルフットプリントを有するENをもたらす。したがって、UE位置決定機能を実行するために使用されるEN E-SMLCアルゴリズム(例えば、
図1のEN E-SMLC113によって実行される)は、UE測位推定を実行する場合、屋内eNBおよび屋外eNBの異なるTx電力レベル設定に適応する必要がある。不均一なENセルフットプリントは、UE位置を決定するときにENネットワークにおける位置ベースサービスのための本方法および装置によって考慮される。本方法および装置によって提供されるこの解決策は、以下により詳細に説明される。
【0048】
ENネットワーク内でUE位置決定を実行するときに上記の課題を満たすために、いくつかの可能な解決策を試みることができる。EN eNB GPS位置とMNOとの統合は、以下の方法のうちの1つ以上において提供されることができる:
1.eNB GPS位置は、ENキャンパスでの展開の一部としてMNOに提供されることができる。
2.LPPa通信プロトコルをサポートおよび拡張し、E-SMLCがEN eNBに照会して所望の測定値を取得し、それを拡張してEN eNBのGPS位置も含める。
3.EN(企業ネットワーク)にE-SMLCを定義し、UEの位置がローカルに(すなわち、EN内に)決定されることを可能にし、これをMNOコア(例えば、
図2BのMNOコアネットワーク220など)へのインターフェースノードとして提供する。企業(EN)E-SMLCとのPSAP統合またはMNO E-SMLCとの企業-SMLCインターワーキングが必要になる。
【0049】
上記のポイント2および3に記載の解決策は、本方法および装置によって提供される。UE位置決定は、現在、マクロネットワークによって、MNOによって実行され、EN内でローカルには実行されない。MNOは、三辺測量および他の位置決定技術を介してUEの位置を決定し、それを要求または必要とする者にUEの位置情報を提供する。しかしながら、上記のように、EN設計者および展開(deployment)エンジニアは、EN内で動作しているUEのUE位置を決定するときに提示される課題を説明するために、(MNOと比較して)はるかに優れた立場にある。EN位置サービスはまた、より正確なGPS測位情報を提供するように機能することができるだけでなく、位置情報とともにEN固有コンテキスト情報を提供することもできる。これは、ENがENキャンパス内のENの展開に固有の情報を有するためである。しかしながら、位置情報サービスがEN内に構築され、ENによって実行されたとしても、UEのGPS座標情報は十分ではない場合がある。
【0050】
例えば、UEのGPS座標情報を単に提供することは、特に緊急事態において、必ずしも十分ではなく、望ましくない。しかしながら、位置情報サービスが企業キャンパス内またはEN内に構築される場合、UEに関する追加のEN固有コンテキスト情報およびGPS座標情報を提供することが望ましい。例えば、位置情報は、UEが位置する特定の建物に関するEN特有のコンテキスト情報を含むことができる(例えば、ビル「Q314-H」)。これは、UEの位置に関する完全に新たな追加の位置情報を追加し、緊急ノードによって使用される場合に必須であり得る。さらに、例えば、UEが建物Qの特定の階にあり、建物Qが「x」階フロアを有すること、「フロア314」が、UEが3階、左側の14番目の部屋にあり、UEが西ウィングにあることを意味し、「H」が、UEが建物Qの別の側とは反対の建物Qの特定の側にあることを意味するなどの情報を必要とする緊急作業者および人に知らせることが不可欠であり得る。ENは、ENの展開者がそのような詳細レベルの位置識別機能を実行するためのマップを有するため、この非常にEN固有のコンテキストUE位置情報を取得および決定する方法を知っている。
【0051】
現在、ENがこのタイプのGPS座標情報および上記の追加のENキャンパス固有コンテキスト情報をMNOに通信するためのプロトコルにおいて定義されたインターフェースは存在しない。UEのGPS測位情報およびENキャンパス固有のコンテキスト情報の双方をMNOおよびENキャンパスを超える世界に通信することを可能にするための、ENコアとMNOコアとの間のインターフェースまたは通信プロトコルは現在存在しない。本方法および装置は、MNOとENとの間のこのタイプのUE位置情報の通信を可能にする。具体的には、EN E-SMLC(
図1のE-SMLC113と同様)は、UE位置決定がEN内でローカルに実行されることを可能にするように定義および設計され、これはMNOコアネットワークへのインターフェースノードとして提供される。これを解決する1つの方法は、UE位置がローカルに決定されることを可能にするためにE-SMLCが企業ネットワークに照会し、それをENコアとのインターフェースを有するMNOコアへのインターフェースノードとして提供することを可能にすることである。いくつかの実施形態では、これを達成するために、企業E-SMLCまたはMNO-E-SMLCによる企業E-SMLCネットワーキングとのPSAP統合が必要である。
MNO E-SMLCによる測定要求メッセージ(MRM)協調
【0052】
いくつかの実施形態では、MNO E-SMLCとのMRM協調が望ましい。UE MRM要求は、通常、MNO MMEから開始される。いくつかの実施形態では、MNO S1-MMEインターフェースは、MNO MMEがEN eNBに要求を提供して、UEが測定を行う必要がある関連隣接者を選択することを可能にするように拡張される。この機能を容易にするために、MNOコアネットワーク220とENコアネットワーク208との間のMOCNゲートウェイ222(
図2B)も拡張される。MNOは、UEのどの(EN内の)関連する隣接eNBを、MNOを選択して測定を行うべきかを知らない。さらに、LPPa通信プロトコルにおいてRTSP/AoAをレポートするための対応する拡張が必要とされる。MNO S1-MMEインターフェースは、いくつかの実施形態では、E-CID測定開始要求、UTDOA情報要求などを含むように拡張される。UTDOA情報要求メッセージは、MNO E-SMLCが、測定が行われるべきセルを提供せず、「企業ネットワーク」がその決定を行い、測定を行うために選択されたセルをeNBからMNO E-SMLCへ送信されるレポート/応答メッセージに含めるべきであることを指示するように拡張される。この実施形態では、MNOは、UEがどのeNBから測定値を取得すべきかを指示しない。これは、EN内で内部的に実行される。
【0053】
ここで開示する方法および装置によれば、(マクロネットワーク内の)MNO MMEから到来する測定要求メッセージ(MRM)は、UEが企業ネットワーク(EN)内で動作するときに、ENによって修正および影響を受ける可能性がある。
【0054】
ENのCBSDにキャンプしているニュートラルUEは、MNOコアネットワーク(例えば、
図2BのMNOコアネットワーク220)のMMEに戻ってトンネルすることができる。そのようなUE装置は、現在、ローカル位置決定目的のためにENコアネットワークのMMEを使用していない。そのような場合、MRMは、MNOによってニュートラルUEに送信され、MNOコアネットワークがUE測位決定を行うためのものである。
【0055】
しかしながら、上記の理由のために、MNOは、典型的には、EN内で動作しているUEのための位置測位決定を行うのに最良のエンティティまたは最良の位置にない。上記の理由のために、EN MME(
図1のMME107と同様)およびENコアネットワーク(例えば
図2Aおよび
図2BのENコアネットワーク208など)は、MNOコアネットワークよりも(ENキャンパス内で動作するUEのための)UE位置決定を実行するのにはるかに適した位置にある。そのようなローカルEN UE位置決定が行われることを可能にするために、MNO MME(例えば、
図1のMME107)とEN eNB(例えば、
図1のeNB103)との間のS1-MMEインターフェースは、MNO MMEが測定のための改善された(より良好な)MRM要求を開始することを可能にするように修正および拡張される。本質的に、EN eNBとMNO MMEとの間のS1-MMEインターフェースの修正は、UEがUEキャンパス内で動作するときにENに送信されるMRMをどのように開始および形成するかをMNO MMEに通知する。拡張されたS1-MMEインターフェースは、MNO MMEがMRMを形成するのをアシストして、ENがENキャンパス内でローカルにUEの位置決定を実行することを可能にする。いくつかの実施形態では、MRMは、(ENによって)MNO MMEに提供されるアシストおよび情報に応答して実際に形成される。MNO MMEによって開始されたMRMは、UEがENキャンパス内で動作しているときにENの影響を受け、ENによってアシストされる。
【0056】
いくつかの実施形態では、MNO E-SMLCとのMRM協調を達成するための可能な実施シナリオは、以下のように記載される:
【0057】
上述したように、EN eNBとMNO MMEとの間のMNO回路内のS1-MMEインターフェースを修正する。
【0058】
MNO MMEの場合、どのタイプの測定値が提供されるべきかに関してそれを提供するために、eNBがMNO MMEに「最良のトリガ」について助言することが有用である。これは、eNBがそのローカルMMEと通信して、特定のUEがその位置を決定される必要があることを指示することができ、また、その位置決定を実行し、次いでその位置決定を実行するために、その関連マクロ(すなわち、MNO)MMEにどの情報を通信すべきかを決定するためである。
【0059】
別の可能な実装手法は、MNO MMEとEN MMEとの間のMME間通信を使用することである。様々な理由から、これは実装が非常に困難であり、したがって実装される可能性は非常に低い。
【0060】
可能性のある実装は、通信がMNO eNBを介してEN eNBに送信され、マクロeNB(MNO eNB)に戻って、MNO MMEに指示することである。次いで、MNO MMEは、MRMを生成し、それによってUE位置決定または測定を実行するようにEN CBSDに指示する。
【0061】
いくつかの実施形態では、重要な手法は、EN eNBとMNO MMEとの間のMNOにおけるS1-MMEインターフェースを拡張および修正することである。ENコアネットワーク208とMNOコアネットワーク220(
図2Bに示す)との間のMOCNゲートウェイ222もまた、UEがENキャンパス内で動作するときにENコアネットワーク208がUE位置決定を実行することを可能にするように修正および拡張される。
不均一なセルフットプリントを有するENにおけるUE位置情報を決定するための解決策
【0062】
上記で簡単に述べたように、EN内のセルサイズの不均一性の可能性に対処することは、MNO-E-SMLCが適応して処理することが困難である。いくつかの実施形態では、これは、ローカルな企業E-SMLCを有し、MNO MME/SLC/E-SMLCとの接続を確立することによって軽減されることができる。いくつかの実施形態におけるLPPaプロトコルの拡張は、セルサイズ(パイロット信号送信電力/直線距離に関して)がE-SLMCが三辺測量動作を比例的に実行するために含まれることを可能にするために行われる。必要な拡張は、E-CID測定レポート、OTDOA情報応答、UTDOA情報応答、eNB GPS位置およびセルタイプ情報を含むレポートの送信を可能にするためにLPPaを拡張することに関して上述した通りである。マクロ/MNOセルベースの情報は、企業eNBによって可能にされる周波数間測定とともに使用されることもできる。これは、MNOがまだ有効通信範囲内にある場合に可能である。
【0063】
MNO E-SMLC(例えば、
図1のE-SMLC113)は、信号の傾向をレビューし、EN内での挙動をある程度理解する。ENのセル不均一性に関連する問題の1つは、ENの展開において異なるタイプのeNBが使用されることができるという事実に起因する。異なるタイプのセルもEN内に展開されることができる。例えば、「CAT-A」セルおよび「CAT-B」セルがEN内に展開されることができる。CAT-Aセルは、最大30dBmを送信することができるが、CAT-Bセルは、最大47dBmを送信することができる。MNO、特にMNO E-SMLC(
図1の113)の位置決定タスクは、「スペクトル割り当てサーバ」(SAS)エンティティがENセル内で送信される電力レベルを減少(すなわち、「抑制」)または増加させることを要求すると、さらに複雑になる。SASは、ENセルへの全電力割り当てを減少または増加させることを要求することができる。この電力レベル割り当ては一時的とすることができる。それは、選択されたセルに許容される電力割り当ての恒久的な電力割り当てブロックまたは減少である必要がある。
【0064】
しかしながら、これを考慮すると、ENセルのフットプリントおよびUEによるENセル内の送信信号の測定値は、ENセル内で送信されている基準信号の送信信号強度に非常に大きく依存する。SASがCBSDに、送信信号レベルを下げるように、またはそれらを増加させるように指示する場合、これは、そのセル内のUEによって測定される信号強度に大きく影響する。送信信号強度のこのスロットリングは、ENのSASとCBSDとの間で動的に行われる。この送信電力信号強度の変化は、CBSDと通信するSASエンティティに基づいて動的に生じる。SASエンティティによって要求されるこの信号強度の増減は、企業ネットワークでのみ知られている(EN内でのみ知られている)。ENセル内のSASエンティティの送信レベル制御に関する情報は、MNO、MNO MME、またはMNO E-SMLCによって知られていない。したがって、これらの理由および上記の他の課題のために、ENは、UEがENキャンパス内で動作するときにUE位置決定を実行するために使用するのに最良のエンティティである。
【0065】
UEがENキャンパス内で動作しているときにUEの位置を取得する際のMNOの困難を克服するために使用されることができるいくつかの実行可能な手法または技術がある。これらの手法は、上記の課題のいくつかを克服し、ENセルサイズの不均一性および各ENセル内の様々な信号強度に対応するために使用されることができる。
【0066】
1つの手法は、ローカルな企業E-SMLCをサポートし、MNOコアネットワーク(例えば、
図2BのMNOコアネットワーク220)へのUE測位情報の転送をサポートするためにMNO MME/SLC/E-SMLC間の接続を確立することである。UE位置の決定を困難にするいくつかの複雑さがあることを考えると、1つの手法は、MNO E-SMLCの位置サービス機能を実行するためにENキャンパスの複雑さおよび詳細を知っているローカルE-SMLC(すなわち、
図1のE-SMLC113などのEN E-SMLC)を展開することである。そのようにして、EN E-SMLCは、全てのUE位置決定をローカルに実行し、この情報をMNOに提供する。
【0067】
別の手法は、LPPaプロトコルを拡張して、MNO E-SLMCが三辺測量動作を比例的に実行するためのセルサイズ情報(パイロット送信電力/直線距離に関する)を含めることを可能にすることである。この手法は、GPS測位情報だけでなく、セルサイズおよびENセル内の送信電力レベル変化に関する情報もMNOに提供する。これは、全て、MNOがUE位置測位決定を行うときにこの情報の全てを考慮に入れるために、MNOへ提供される。具体的には、この情報は、LPPa通信プロトコルを使用してENによってMNOに提供され、具体的には、UE位置決定動作を実行する際に使用するためにMNO E-SMLCに提供されることができる。
【0068】
この手法によって提示される困難は、
図3に示すように、ENのCBSDが異なる形状のフットプリントを有する異なるタイプのeNBを使用するという事実によって非常に複雑になることである。フットプリントの形状が異なることと、それらのフットプリント内に存在するときにUEによって受信される信号強度とに起因して、UEが各フットプリント内のどこにあるかを正確に知ることは非常に困難である。例えば、UEが
図3の楕円形のセルフットプリント307内で動作するとき、それは、楕円形内の2つの異なる可能性のある位置にあるように見えることができる。
【0069】
異なるeNB(CBSD)の全ての形状およびそれらの送信電力許容差の変動に関するこの情報の全てを通信することは、現在、MNOネットワーク内のいずれのE-SMLCによっても対応されていない。また、この情報は、LPPaインターフェースを介してMNO E-SMLCに通信されない。したがって、本方法および装置の一態様は、このLPPaインターフェース/プロトコルを修正して、ENセルに関するEN固有情報によってMNO E-SMLCをアシストすることである。
【0070】
上記で簡単に述べたように、FCC規格は、装置がそれらの位置を、水平方向に±50メートルの精度で、垂直(高さ)方向に±3メートルの精度で決定しなければならないことを要求する。これは、CBSDのレポートされた位置の誤差に基づいて単一の小さなセルであっても、位置レポートに固有の誤差があり得ることを意味する。したがって、より狭いレポート領域を可能にし、水平方向において50メートル(プラスまたはマイナス)の精度要件の下で位置誤差を維持するために、屋内セルに三辺測量が必要である。
【0071】
図3は、各セルが異なるサイズ、形状、および構成を潜在的に有する企業ネットワーク300に存在することができるセルフットプリントを示す図であり、
図3はまた、三辺測量が企業ネットワーク300にどのように実装されることができるかを示すために使用される。
図3に示すように、場合によってはフラットパネルアンテナとして展開されることができる指向性ビームを有するeNB(またはCBSD)によって定義されるENセルがある。透過ビームの角度は、67.5度と小さくすることができる。これは、典型的には90度とすることができる。これらのタイプのeNB送信は、最大1600メートルの信号を送信することができる屋外指向性eNBによって生成される楕円形のセルフットプリント311および313をもたらす。eNB送信ビームの角度は180度、または360度であってもよく、この場合、セルは、(「無指向性eNB」によって作成された)「無」指向性セルと呼ばれる。2つの屋外無指向性eNBおよびそれらの円形のフットプリントが、
図3においてセル303および305として示されている。2つの屋内無指向性eNBおよびそれらの円形のフットプリントが、
図3においてセル307および309として示されている。
【0072】
任意の所与の時点において、UEは、
図3に示されているいくつかのセルのうちの1つのフットプリント内にあり得る。これらのセルのeNBは、これらに限定するものではないが、以下を含む様々なタイプのものとすることができる:CATA/CATB、無指向性(45度、60度、90度、180度)のアンテナタイプ、水平対方位MIMO、MAC送信電力レベルなど。三辺測量を実行するとき、
図3に示すセルのこれらの態様は、セル位置からのUEのユークリッド距離を評価する際に考慮されなければならない。したがって、UEの位置を決定するために使用される三辺測量の数学的方程式は、EN内のUEの位置を正確に取得するために、異なる形状、サイズ、および送電可能セルに関する情報を考慮に入れなければならない。
【0073】
図3のEN300のセルフットプリントをレビューすることによって観察されることができるように、各セルフットプリントは、EN内で異なる形状および構造を有することができる。さらにまた、各eNBの実際の物理的な位置(すなわち、CBSDがセル内で「ドロップ」される場合)は、様々とすることができ、位置誤差を起こしやすい可能性がある。上述したように、これらの問題は、E-SMLCが各eNBに要求する測定値を得るために各eNBに照会し、eNBのGPS座標測位位置を含むようにこれを拡張するように、LPPa通信プロトコルを修正および拡張する本方法および装置によって対処される。これらの問題は、EN(
図1のE-SMLC113などのEN E-SMLC)にE-SMLCを定義し、UEの位置がEN内でローカルに決定されることを可能にすることによっても対処されることができる。次いで、これには、MNOコア、具体的にはMNO E-SMLCへのインターフェースノードが提供される。MNO E-SMLCと相互作用する企業E-SMLCまたは企業E-SMLCとのPSAP統合が必要になる。
【0074】
別の可能な解決策は、商業的にリモートの手法ではあるが、スペクトル割り当てサーバ(SAS)サーバからUE測位情報(セルサイズ、送信電力情報など)を抽出することである。SASは、ENおよびEN内に位置するCBSDに関する膨大な量の情報を有する。MNOがSASエンティティと通信するように修正された場合、セルサイズおよびENに関連する他の情報は、UE位置決定を正しく行うためにMNOに通信されることができるかもしれない。しかしながら、この手法を使用して位置決定問題を解決するには2つの障害がある:(1)MNOは、この解決策を可能にするために必要な改訂/修正に容易に対応することができず、(2)企業固有のプライバシー情報がMNOに公開される。EN所有者がそのプライバシー情報をMNOに利用可能にすることを望む可能性は低い。したがって、この情報に対応するようにMNOを修正することは困難であり、EN所有者側のプライバシー上の懸念により、この可能な解決策は、商業的に実行可能である可能性は非常に低い。
【0075】
いくつかの実施形態では、E-SMLCから開始される測位のためのトリガが提供される。いくつかの実施形態では、制御プレーンではなくユーザプレーンが使用される。いくつかの実施形態では、セルIDは、屋内基地局による測位を提供する。いくつかのそのような実施形態では、MNOは、全ての企業eNBのGPS位置を保持する。アシスト型全地球的航法衛星システム(A-GNSS)は、ほとんどの屋外シナリオの測位を提供するために使用される。したがって、高層建築や峡谷においてGPSカバレッジが達成されることができる。OTDOAは、屋内および屋外のシナリオにおいて使用されることができる。そのような実施形態では、MNOは、全ての企業eNBのGPS位置を保持する。いくつかのそのような実施形態では、企業展開によって周波数間スキャンが実行される。いくつかの実施形態では、三辺測量のために屋内および屋外のeNBにわたって測定を行うことは困難であり得て、MRMは、それ自体を位置測定のための単一のタイプに制限することがある。それにもかかわらず、三辺測量は、誤差を50m未満に保つためにより狭いレポート領域を可能にするために、屋内セルにも使用されることができる。
企業ネットワークにおける三辺測量
【0076】
図4は、三辺測量が企業ネットワークにおいて実装されることができる方法の図である。複数の屋外無指向性eNB401からの信号は、UE403によって受信される。さらに、UE403からの信号は、eNB401によって受信される。さらに、複数の屋内eNB405は、UE403との間で信号を送受信する。さらに、UE403へ信号を送信し、UEから信号を受信している1つ以上の屋外指向性eNB407が存在することができる。
【0077】
本方法および装置によって使用される三辺測量技術が、
図4を参照して説明される。
図4の例に示すように、UE403は、3つのeNB401、405および407と通信している。eNB401、405および407のx,y位置は(ある程度)既知である。半径距離r1(eNB407とUE403との間の半径距離)、r2(eNB401とUE403との間の半径距離)、およびr3(eNB405とUE403との間の半径距離)は、eNB401、405および407がUE403から受信した信号に基づいて決定されることができる。いくつかの実施形態では、半径距離推定値は、信号強度(基準信号受信電力-「RSRP」)およびセルタイプ(またはeNBタイプ)(屋内eNB、屋外無指向性eNB、または屋外指向性eNB)に基づく。半径距離推定値の誤差は、CBSD GPS位置の誤差に起因することができる。場合によっては、セルのGPS位置の構成の誤差に基づく半径距離推定値に±50メートルの潜在的誤差が存在する可能性がある。
【0078】
以下の式は、三辺測量技術を使用してUE403のx,y位置を決定するために使用される。
【0079】
【0080】
構成ミスを伴う三辺測量手順-上記のように、CBSD位置構成の誤差に起因して、また半径距離推定値がRSRP値に基づいており、CBSDからの固定半径距離に基づいていないという事実に起因して、x,y計算に誤差が導入される可能性がある。本方法および装置のいくつかの実施形態によれば、これらの誤差を説明するために三辺測量手順が実行されることができる。信号強度がレポートされる各パイロット信号のセルサイズは、利用可能な量である。所与のセルの半径距離の誤差は、他のセルからのレポートに対して境界を定めることができ、それによって、各セルからの測定範囲にしたがってそれらの構成における潜在的な誤差を調整することができる。xiおよびyiの範囲は、以下のように計算されることができる:
【数2】
三辺測量は、(x,y)の範囲にしたがって、上記のパラメータの組み合わせを用いて(x,y)に対して行うことができる:
【数3】
3つよりも多くのパイロットを許可することは、UE位置のエリアのさらなる制限を可能にする。
【0081】
図5は、企業ネットワーク500内の各eNBセルに対するUE501への測定された位置範囲を示す図である。そうするように指示されると、UE501は、信号強度測定情報を提供するように指示された様々なENセルの信号強度情報をレポートする。例えば、
図5に示すように、UE501は、そうするように指示されると、セル503、505、507、509、511および513の信号強度情報をレポートする。各ENセルの観点から見ると、各セル内に示された帯域(例えば、セル503内の帯域503’、セル505内の帯域505’、セル507内の帯域507’、セル509内の帯域509’、セル511内の帯域511’および511’’、ならびにセル513内の帯域513’および513’’などの、参照符号とそれに続く’または’’インジケータを使用して示される帯域)は、所与のセルに関連する測定情報をレポートしているときにUE501が関連するセル内に実際に配置されることができる潜在的な位置を識別する。企業ネットワークについての位置ベースサービスのための本方法および装置は、UE501によって測定された全てのセルの結合情報を使用して、ENキャンパス内のUEの位置を正確に決定する。
【0082】
より具体的には、再び
図5を参照すると、セル511の中心は、帯域511’と511’’との間の中央に位置する。UEの実際の位置は、(セル511が屋外指向性eNBを使用して形成されるため)セル511を形成するeNB(送信機)の形状および構成に起因して、帯域511’または511’’のいずれかにあり得る。ENがUE位置決定を実行するとき、UE501は、潜在的に帯域511’または511’’のいずれかにあり得ると仮定しなければならない。UE501のこれらの潜在的な位置のうちの1つは、UE位置決定プロセスを実行するときに除去されなければならない。さらに、本明細書に記載の三辺測量技術を実行するとき、UEの「x1,y1」座標は、それらが
図5に示す「プライミングされた」帯域(例えば、セル503の503’の帯域、またはセル507の507’の帯域など)のいずれかに存在することができると仮定しなければならない。したがって、UE501の位置を特定するために使用される拡張された三辺測量手法は、UE501の潜在的な「x1,y1」座標の全て(
図5に示すような「プライミングされた」帯域位置の全て)を使用し、UEの位置を決定するときにこれらの潜在的なUEのx1,y1座標の全てを考慮に入れる。したがって、本方法および装置によって使用される修正された三辺測量技術は、UE501の潜在的なx1,y1座標の全ての交点を決定し、その結果を使用してUE501の拡張された三辺測量を実行する。UEの潜在的なx1,y1位置は、全て、UE501の位置を決定するために最終的な拡張された三辺測量プロセスを実行する前に考慮される。本質的に、UE501のx1,y1座標は、ベン図が重複する主題を決定するのと全く同じ方法で、プライミングされた帯域領域(例えば、帯域503’、507’、513’、511’など)の重複または交差によって決定される。
【0083】
要約すると、異なるセルタイプを有するEN内で動作するUEに対して「拡張された」三辺測量を実行するために含まれるステップは、以下の通りである:
1.UEは、測定するセルの信号強度をレポートする。
2.セルタイプに基づいて、各セル内の潜在的な位置は、レポートされる信号強度に基づく範囲を考慮して決定される。各セル内のこの領域はまた、各eNBについて識別された位置における潜在的な誤差を考慮する。潜在的な誤差が小さいほど、UE位置決定はより正確である。
3.各セルの地理的交差領域を他のセルについて識別された領域に対して識別することによって、各セル内の適用可能な領域を狭める。
4.各セルについて識別された交差領域の中央を使用することによって、各セルに適用する(xi,yi)座標を決定する。
5.本明細書に記載の三辺測量アルゴリズムの拡張バージョンを使用してUE位置を決定するためにレポートされた(xi,yi)を使用する。
企業ネットワークにおけるLBSのための例示的なOTDOA技術
【0084】
図6は、企業ネットワークにおいてLBSを実装する際の例示的なOTDOA技術を示している。前述したように、観測到達時間差(OTDOA)は、例えば
図6のUE603のようなUEによって、2つの異なるセル(または、例えばeNB1 605およびeNB2 601のような2つの異なるeNB)からのダウンリンク信号の受信間に観測される時間間隔を定義する。セル1からの(eNB1 605からの)信号が瞬間t1に受信され、セル2からの(eNB2 601からの)信号が瞬間t2に受信された場合、OTDOAは、t2-t1である。実時間差(RTD)は、2つのセル間の相対同期差を定義する。セル1(すなわち、eNB1 605)が瞬間t3に信号を送信し、セル2(すなわち、eNB2 601)が瞬間t4に信号を送信する場合、RTDは、t4-t3である。セルが全く同時に送信する場合、これは、通信ネットワークが完全に同期されており、RTDが0に等しいことを意味する。幾何学的時間差(GTD)は、2つの異なるセル(または、受信における時間差が幾何学的形状に起因する2つの異なるeNB)から送信された信号の(
図6のUE603などのUEによる)受信間の時間差である。セル1(eNB1 605)とUE603との間の伝搬経路の長さがd1であり、セル2(eNB2 601)とUE603との間の伝搬経路の長さがd2である場合、GTD=(d2-d1)/cであり、ここで、cは電波の速度である。OTDOA、RTD、およびGTDの関係は、OTDOA=RTD+GTDである。
【0085】
再び
図6を参照すると、UE603の2つの座標(x,yまたは緯度/経度)を解決するためには、良好な幾何学的形状を有する地理的に分散されたeNodeB(または「eNB」)からの少なくとも3つのタイミング測定値が必要である。OTDOA測位方法の一実施形態によれば、
図6に示すように、UE603は、UE603の内部時間ベースτ1、τ2、およびτ3に対して3つの到達時間(TOA)を測定する。eNB1 605からの測定値が基準基地局として選択され、2つのOTDOAが形成される:t2,1=τ2-τ1およびt3,1=τ3-τ1。各TOA測定値τiは、特定の精度/不確実性を有するため、双曲線は、測定不確実性を示す特定の幅で
図6に示されている。推定されたUE603の位置は、2つの双曲線の交点領域(
図6において灰色の網掛け領域として示されている)である。
【0086】
図7は、企業ネットワーク(EN)内に配置されたCBSD(またはEN eNB)の位置推定700の図である。上述したように、CBSD(またはEN eNB)は、±50メートルの精度内の水平位置においてENネットワーク内に展開されることができる。eNB位置(例えば、企業ネットワークのCBSD(シチズン帯域無線サービス装置)が展開時に正確に配置される場所)の配置における誤差は、CBSD(EN eNB)701の実際の位置に関してある程度の不確実性をもたらす。したがって、EN eNB(または「CBSD」)701の実際の物理的位置は、
図7に示す無数の水平位置(x-y軸に沿って)に存在することができる。別の言い方をすれば、ENの展開中、具体的にはEN eNB701の展開中の潜在的な±50メートルの位置の不正確さのために、EN eNB701は、
図7に示す位置のいずれか、例えば、eNB703が図に示されている位置に配置されることができる。同様に、eNB701の配置中の不正確さのために、eNB701は、実際には、
図7においてeNB705、707、709、711、713、715、717および719が配置されるように示されている場所に配置されることができる。
【0087】
上述した三辺測量アルゴリズムの事前の仮定は、EN eNB701の位置が正確に識別されると仮定している。CBSR帯域に配置されたセルの場合、FCCは、水平方向に+/-50メートルの誤差、および垂直方向に+/=3メートルの誤差を可能にする。
図7は、セルが特定の位置にあると識別されているが、セルが図示の位置のいずれかにあることが可能であることを単に示している。EN eNB701の位置識別の誤差が小さいほど、UE位置決定はより正確である。
【0088】
OTDOA測位のためのUE測定は、3GPP(登録商標) TS 36.214において規定されている基準信号時間差(RSTD)と呼ばれる。RSTDは、2つのセル、基準セル、および被測定セル間の相対タイミング差として定義され、2つの異なるセルから受信された2つのサブフレーム境界間の最小時間差として計算される。より具体的には、RSTDは、隣接セルjと基準セルiとの間の相対的なタイミング差であり、TSubframeRxj-TSubframeRxiとして定義される。ここで、TSubframeRxjは、UE203がセルjから1つのサブフレームの開始を受信する時刻であり、TSubframeRxiは、UE203がセルjから受信したサブフレームに時間的に最も近いセルiから1つのサブフレームの対応する開始を受信する時刻である。
【0089】
RTSD測定は、周波数内セルおよび周波数間セルで可能である。周波数内RSTD測定は、基準セルiおよび隣接セルjの双方がUEサービングセルと同じキャリア周波数上にあるときに実行される。周波数間RSTD測定は、基準セルiおよび隣接セルjのうちの少なくとも1つがUEサービングセルとは異なるキャリア周波数にあるときに実行される。
【0090】
基準信号時間差(RSTD)測定のレポート範囲は、(3GPP TS 36.133)によって-15391×Tsから15391×Tsまで定義される。RSTDの絶対値が4096Ts以下の場合は1Tsの分解能、RSTDの絶対値が4096Tsを超える場合は5Tsの分解能。Tsは、LTEにおける基本時間単位であり、Ts=1/(15000×2048)秒と定義され、これは約9.8メートルに対応する32nsを少し上回る。したがって、RSTD測定の全レポート範囲は、約±0.5ms(±15391×Ts)(すなわち、1つのLTEサブフレーム)であり、測定値が±133μs(4096×Ts)の間である場合、1Tsが分解能をレポートする。
OTDOA式
【0091】
いくつかの実施形態では、OTDOA測定を実行するとき、UEによって実行される到達時間(「TOA」)測定は、UE(例えば、
図6のUE603)とeNB(例えば、
図6のeNB1 605)との間の幾何学的距離に関連する。2-D直交座標系では、eNBの既知の座標は、xi=[x,yi]Tとして表され、UEの未知の座標は、xt=[xt,yt]Tとして表される。RSTD測定値は、2つのeNodeB間(または2つのeNB間)の時間差(modulo 1-サブフレーム(1-ms))として定義され、したがって、隣接eNB iと基準eNB1との間の以下の範囲差に対応する:
【数4】
ここで、RSTD
i,1は、eNB iとUEにおいて測定された基準セル1との間の時間差であり、(T
i-T
1)は、2つのeNB間の送信時間オフセット(「実時間差」(RTD)と呼ばれる)であり、n
i,n
1は、UE TOA測定誤差であり、cは光速である。
【0092】
少なくとも2つの隣接セル測定値iが必要であり、これは、eNBアンテナの座標(x
i,y
i)ならびに送信時間オフセット(RTD)(T
j-T
i)が既知である場合、2つの未知数(x
t,y
t)を有する2つの方程式を与える。通常、3つ以上の隣接セル測定が望ましい。方程式系は、「最小二乗」または「加重最小二乗」の意味において解かれる。同期ネットワークでは、送信時間オフセット(T
i-T
1)は、(理想的には)0に等しくなければならない。上記の式は、到達時間差(TDOA)を定義する。上述したように、
図6に示すように、幾何学的に、各TDOAは、双曲線を定義し、双曲線の幅は、TDOA誤差(n
i-n
1)によって決定される。eNB座標x
i=[x,y
i]
Tおよび送信時間オフセット(T
i-T
1)が位置サーバにおいて既知である場合、UE座標x
t=[x
t,y
t]
Tを決定することができる。eNB座標および送信時間オフセットにおける不確実性は、UE位置推定の精度に直接的な影響を及ぼす。
【0093】
開示された方法および装置のいくつかの実施形態では、上述したように、三辺測量のためのOTDOA情報が含まれる。RSTD情報は、測定品質の推定値とともに、E-SMLC(例えば、
図1のE-SMLC113)によって要求されたパイロット信号についてレポートされる。本方法および装置のいくつかの実施形態では、E-SMLCは、以下を使用する:UEの位置の推定値を決定するために、(1)時間差推定値、(2)セルの位置の知識、および(3)送信時間オフセットの推定値。いくつかの実施形態では、UE(例えば、
図2AのUE212)の(x
t,y
t)は、UE212によってレポートされたRSTD値により大きな重みを与える重み付き最小二乗を使用して決定される。距離rは、UEによってレポートされた各セルに基づき、UEの未知の座標は、x
t=[x
t,y
t]である。RTSD値は、UEによってレポートされ、値はサービングセルに対するものである。これは、CRS測定のみで、またはPRSも有効にされて実行される。
【0094】
いくつかの実施形態では、フロアレベルに関する情報(すなわち、各CBSDが存在するフロア)を使用してZ軸の推定値(すなわち、UEの高度位置、または相対的な垂直位置の推定値)が得られることができる。いくつかの実施形態では、フロアレベル情報は、データベースに保持される。フロアレベル情報は、CBSDのカバレッジのフットプリントに基づいて、単一のフロアまたはフロアのセットを示すことができる。いくつかの実施形態では、測定されたCBSDのそれぞれに対する信号強度に基づいて相対距離を計算することによって、フロアレベルのより精密な推定値が得られることができる。フロア番号は、暗黙的に、他のレベルに対する各レベルの相対位置を提供する。いくつかの実施形態では、フロアの垂直位置(例えば、相対的な垂直位置)もデータベースに保持されることができる。いくつかの実施形態では、垂直位置は、海面に対するレベルとして保持される。
【0095】
いくつかの実施形態では、屋内測位は、Wi-FiおよびBTベースの情報によって拡張される。ビーコン情報は、企業キャンパス内で利用可能にされることができ、UEが企業展開に関連するE-SMLCに関連情報をレポートするために開発された技術である。追加的に、または代替的に、eNB/gNBは、AoAとともに完全なECIDをサポートするように拡張される。垂直位置を計算するための関連アルゴリズムが提供される。
【0096】
さらに別の実施形態では、フロアレベルは、どのeNBがUEによってレポートされるかに基づいて決定される。eNBレポートの信号強度は無視され、eNBが展開されるフロアレベルは、受信信号の電力量に関係なく使用される。いくつかのそのような実施形態では、UEは、UEの上または下のフロアに展開されたeNBにより近く、信号強度を「おとり」にすることができる。同様に、所与のフロアにおけるeNBのカーディナリティは無視され、必要な場合にのみつながりを分割するために使用される。UEは、典型的には、フロア関連付けを用いてパイロットをレポートする(xは、UEのためにサービス提供しているeNBに関連付けられたフロア番号である)。
【0097】
2つのフロア(x)、(x+1)上のeNBがレポートされる場合、つながりは、各所与のレベルでレポートされたパイロットの数に基づいて分割される。2つのフロア(x-1)、(x)上のeNBがレポートされる場合、つながりは、各所与のレベルでレポートされたパイロットの数に基づいて分割される。3つのフロア(x-1)、(x)、および(x+1)のeNBがレポートされる場合、中央のフロアが選択される。同様に、3つのフロア(x)、(x+1)、(x+2)または(x-2)、(x-1)、(x)のeNBがレポートされる場合、中央のフロアが選択される。5つのeNB(x-2)、(x-1)、(x)、(x+1)、(x+2)がレポートされる場合、中央のフロアが選択される。4つのeNBがレポートされている場合、2つの中間のeNBのみがレポートされている場合と同様に、2つの中間のフロア間のつながりが解決されることができる。
【0098】
開示された方法および装置は、実施形態および実装の様々な例に関して上述されているが、個々の実施形態のうちの1つ以上に記載されている特定の特徴、態様および機能は、それらが記載されている特定の実施形態への適用性において限定されないことを理解されたい。したがって、特許請求される発明の広がりおよび範囲は、上記で開示された実施形態を説明する際に提供される例のいずれによっても限定されるべきではない。
【0099】
本明細書で使用される用語および語句、ならびにそれらの変形は、特に明示的に述べられていない限り、限定ではなくオープンエンドとして解釈されるべきである。前述の例として、用語「含む」は、「限定されないが、含む」などの意味として読まれるべきである。「例」という用語は、その網羅的または限定的なリストではなく、議論中の項目の例を提供するために使用される。「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、「少なくとも1つの」、「1つ以上の」などを意味すると読まれるべきである。「従来の(conventional)」、「従来の(traditional)」、「通常の(normal)」、「標準的な(standard)」、「既知の(known)」などの形容詞および同様の意味の用語は、記載された項目を所与の期間または所与の時点で利用可能な項目に限定するものとして解釈されるべきではなく、代わりに、現在または将来のいつでも利用可能または既知であり得る従来の、従来の、通常の、または標準的な技術を包含するように読まれるべきである。同様に、本明細書が当業者に明らかであるかまたは知られている技術を指す場合、そのような技術は、現在または将来の任意の時点で当業者に明らかであるかまたは知られている技術を包含する。
【0100】
接続詞「および」と連結された項目のグループは、それらの項目のそれぞれおよび全てがグループ内に存在することを必要とすると解釈されるべきではなく、特に明記されない限り、「および/または」として解釈されるべきである。同様に、接続詞「または」と連結された項目のグループは、そのグループ間の相互排他性を必要とすると解釈されるべきではなく、特に明記されない限り、「および/または」としても解釈されるべきである。さらにまた、開示された方法および装置の項目、要素または構成要素は、単数形で記載または特許請求されることができるが、単数形に対する限定が明示的に述べられていない限り、複数形はその範囲内にあると考えられる。
【0101】
場合によっては、「1つ以上」、「少なくとも」、「しかしこれに限定されない」、または他の同様の語句などの拡大する単語および語句の存在は、そのような拡大する語句が存在しない場合がある場合に、より狭い場合が意図されるかまたは必要とされることを意味すると解釈されるべきではない。「モジュール」という用語の使用は、モジュールの一部として記載または特許請求される構成要素または機能が全て共通のパッケージ内に構成されることを意味しない。実際に、モジュールの様々な構成要素のいずれかまたは全ては、制御論理または他の構成要素にかかわらず、単一のパッケージに組み合わせられることができ、または別々に維持されることができ、さらに複数のグループまたはパッケージに、または複数の場所に分散されることができる。
【0102】
さらに、本明細書に記載の様々な実施形態は、ブロック図、フローチャートおよび他の図を用いて説明される。本明細書を読んだ後に当業者に明らかになるように、図示された実施形態およびそれらの様々な代替形態は、図示された例に限定されることなく実施されることができる。例えば、ブロック図およびそれらに付随する説明は、特定のアーキテクチャまたは構成を要求するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】