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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】高融点可溶性半結晶性ポリアミド
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/26 20060101AFI20230718BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230718BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20230718BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20230718BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20230718BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20230718BHJP
【FI】
C08G69/26
B33Y10/00
B29C64/40
B33Y70/00
B33Y40/20
B29C64/314
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580323
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 EP2021066209
(87)【国際公開番号】W WO2022002590
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】63/045,821
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512323929
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゲルシック, タナー
(72)【発明者】
【氏名】シングレタリー, ナンシー ジェー.
【テーマコード(参考)】
4F213
4J001
【Fターム(参考)】
4F213AA29
4F213AB25
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL23
4F213WL62
4J001DA01
4J001DB01
4J001DB03
4J001DC06
4J001DC15
4J001DC25
4J001DC26
4J001EB14
4J001EC27
4J001EC29
4J001EC77
4J001EC79
4J001EE74D
4J001FA01
4J001FB03
4J001FC03
4J001GA12
4J001HA10
4J001JB01
4J001JB06
4J001JB10
4J001JB21
4J001JC04
(57)【要約】
本発明は、式(I)の繰り返し単位(RPA)を少なくとも85モル%(mol%)含む(コ)ポリアミドに関する。
【化1】
本発明は、そのような(コ)ポリアミドを含有するポリマー組成物、該組成物を含む物品、並びに例えばオイル及びガス抽出プロセスなどの水分に曝された際に十分な膨潤又は変形を必要とする高温用途(例えば破砕ボール)における、又は3次元(3D)部品を印刷するために使用される支持材料としての、前記物品の使用方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(コ)ポリアミド[ポリアミド(A)]であって、前記(コ)ポリアミド[ポリアミド(A)]の繰り返し単位の総モル数に対して少なくとも85モル%(mol%)の式(I)の繰り返し単位(RPA)を含む(コ)ポリアミド[ポリアミド(A)]:
【化1】
(式中、
- 各Eは、各存在において同じであるか異なり、式(I )又は(I ):
【化2】
のいずれかの基であり、Ralk は、場合によっては1つ以上のヘテロ原子(例えばO、N、又はS)を含む一価のC~C12炭化水素基(好ましくはアルキル基)であり;各Ralk 及びRalk は、互いに同じであるか異なり、結合、又は場合によっては1つ以上のヘテロ原子(例えばO、N、又はS)を含む二価のC~C12炭化水素基(好ましくはアルキレン基)であるが、Ralk とRalk は同時に結合ではなく、それらが結合している窒素原子と一緒に複素環式の単核基又は多核基を形成していることを条件とし;
- n1及びn2は、互いに同じであるか異なり、各存在において整数であり、特に1~12の整数である)。
【請求項2】
式(I)の繰り返し単位(RPA)が以下からなる群から選択される、請求項1に記載のポリアミド(A):
- 式:
【化3】
の単位(RPA
(式中、p及びqは、互いに同じであるか異なり、独立して、3~9、好ましくは4~6の整数であり、最も好ましくはp及びqのそれぞれが6であり;Rは、特にメチル、エチル、プロピル(イソプロピル、n-プロピルを含む)からなる群から選択される一価のC~Cアルキル基である);
- 式:
【化4】
の単位(RPA
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数であり、R 及びR のそれぞれは、互いに同じであるか異なり、場合によってはカテナリー窒素原子を含む二価のC~C12アルキレン基の結合であり、R とR は、それらが結合している窒素原子と共にアザシクロアルカンを形成している)。
【請求項3】
単位(RPA )が、p及びqのそれぞれが6であるもの、すなわち下記式のものである、請求項2に記載のポリアミド(A):
【化5】
(式中、RBHはC~Cアルキル基であり、特に、メチル、エチル、及びプロピル(イソプロピル、n-プロピル)基からなる群から選択される);及び/又は
単位(RPA )が、
- 下記式の単位などの、前記アザシクロアルカンがイミダゾリン環であるもの:
【化6】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、前記アザシクロアルカンがピラゾリジン環であるもの:
【化7】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、前記アザシクロアルカンが1,4-ジアザシクロヘキサン環(別名ピペラジン環)であるもの:
【化8】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、前記アザシクロアルカンが1,3-ジアザシクロヘキサン環であるもの:
【化9】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、前記アザシクロアルカンが1,4-ジアザシクロヘプタンであるもの:
【化10】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、前記アザシクロアルカンが1,3,5,7-テトラアザシクロオクタン環であるもの:
【化11】
(式中、Roは、H又はC~Cアルキル基であり、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、前記アザシクロアルカンが1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン環であるもの、
【化12】
(式中、Rtは、H又はC~Cアルキル基であり、r及びsは、互い同じであるか異なり、独立して1~3の整数である)。
【請求項4】
単位(RPA )が、前記アザシクロアルカンが1,4-ジアザシクロヘキサン環である単位であり、下記式:
【化13】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である)
の単位であり、好ましくは単位(RPA )が下記式:
【化14】
の単位である、請求項3に記載のポリアミド(A)。
【請求項5】
前記ポリアミド(A)の繰り返し単位の総モル数に対して最大約15モル%、好ましくは最大約10モル%、より好ましくは最大約5モル%の、上の式(I)のものとは異なる繰り返し単位を含むことができ、これが、下記式のいずれか:
-NR”-R-C(O)- (II)
-NR’”-R-NR’”-C(O)-R-C(O)- (III)
(式中、R”及びR’”は、互いに等しいか又は異なり、各存在において、H又は炭化水素基であり、R、R、Rは、互いに等しいか又は異なり、二価の炭化水素基であり、脂肪族、脂環式、環状脂肪族、芳香族、又はそれらの組み合わせであってよく、R、R、Rは、O、N、S、Pからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい)
に従い、前記ポリアミド(A)の式(I)の単位とは異なる前記繰り返し単位(II)及び(III)が、以下:
- 少なくとも二酸[酸(DA)](又はその誘導体)と少なくともジアミン[アミン(NN)](又はその誘導体)とを含む混合物(M1)であって、(i)酸(DA)は酸(CHDA)ではない及び/又は(ii)アミン(NN)は、アミン(N )でもアミン(N )でもない混合物(M1);
- 少なくともラクタム[ラクタム(L)]を含む混合物(M2);
- 少なくともアミノカルボン酸[アミノ酸(AN)]を含む混合物(M3);及び
- それらの組み合わせ;
から選択される少なくとも1種の混合物の縮合生成物であってよい、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリアミド(A)。
【請求項6】
式(I)の繰り返し単位(RPA)から本質的になるホモポリアミド又は準ホモポリアミドからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリアミド(A)。
【請求項7】
実質的に単分散のポリスチレン標準に対して、ASTM D5296の指示に従ってゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる数平均分子量が、1000g/モル~50000g/モル、例えば2000g/モル~40000g/モル、又は4000~35000g/モルの範囲の数平均分子量Mを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリアミド(A)。数平均分子量は、実質的に単分散のポリスチレン標準に対して、ASTM D5296を使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。
【請求項8】
半結晶性であり、ASTM D3418に従って示差走査熱量測定によって決定される検出可能な融点が得られるアモルファス相と結晶相とを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリアミド(A)。
【請求項9】
ASTM D3418に従って示差走査熱量測定によって決定される場合に、その融解熱が少なくとも5J/g、好ましくは少なくとも10J/g、より好ましくは少なくとも15J/gであるような結晶化度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリアミド(A)。
【請求項10】
ASTM D3418に従って決定される少なくとも約250℃の融点を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリアミド(A)。この実施形態によれば、本発明のコポリアミドは、例えば、少なくとも約255℃、少なくとも約258℃又は少なくとも約260℃の融点を有し得る。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の(コ)ポリアミド(A)の製造方法であって、1種以上の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸[酸(CHDA)](又はその誘導体)と、下記式:
【化15】
(式中、Ralk は、場合によっては1つ以上のヘテロ原子(例えばO、N、又はS)を含む一価のC~C12炭化水素基(好ましくはアルキル基)であり;各Ralk 及びRalk は、互いに同じであるか異なり、結合、又は場合によっては1つ以上のヘテロ原子(例えばO、N、又はS)を含む二価のC~C12炭化水素基(好ましくはアルキレン基)であるが、Ralk とRalk は同時に結合ではなく、Ralk 及びRalk が結合している窒素原子と一緒に複素環式の単核基又は多核基を形成していることを条件とし;
- n1及びn2は、互いに同じであるか異なり、各存在において整数であり、特に1~12の整数である)
のいずれかの1種以上のジアミン(又はその誘導体)からなるジアミン成分とのモノマー混合物、
及び場合によっては、以下:
- 少なくとも二酸[酸(DA)](又はその誘導体)と少なくともジアミン[アミン(NN)](又はその誘導体)とを含む混合物(M1)であって、(i)酸(DA)は酸(CHDA)ではない及び/又は(ii)アミン(NN)は、アミン(N )でもアミン(N )でもない、混合物(M1);
- 少なくともラクタム[ラクタム(L)]を含む混合物(M2)、
- 少なくともアミノカルボン酸[アミノ酸(AN)]を含む混合物(M3)、及び
- 上述したそれらの組み合わせ、
から選択される少なくとも1種の混合物を追加的に含むモノマー混合物を熱により重縮合することを含む方法。
【請求項12】
モノマー混合物において、モル比n二酸/nジアミンが0.8~1.2、好ましくは0.9~1.1、より好ましくは0.95~1.05、更には0.98~1.02の範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の少なくとも1種のポリアミド(A)を含み、補強剤、強化剤、可塑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、染料、潤滑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤、架橋剤、及び酸化防止剤からなる群から選択される1種の成分を更に含む組成物(C)であって、繊維充填剤から選択される少なくとも1種の補強充填剤、好ましくはガラス繊維及び炭素繊維から選択される補強充填剤を好ましくは含む、組成物(C)。
【請求項14】
請求項13に記載の組成物(C)から、又は請求項1~10のいずれか一項に記載のポリアミド(A)から製造された成形された物品。
【請求項15】
3次元物体を付加製造システムで製造する方法であって、
- 請求項1~10のいずれか一項に記載のポリアミド(A)又は請求項13に記載の組成物(C)を含む支持材料を準備すること;
- 部品材料を準備すること;
- 前記準備した支持材料から犠牲支持構造の層を印刷し、前記支持構造の層の印刷と連携して、前記準備された部品材料から前記3次元物体の層を印刷することであって、前記支持構造の前記印刷された層の少なくとも一部は、前記3次元物体の前記印刷された層を支持すること;及び
- 前記3次元物体から前記犠牲支持構造の少なくとも一部を除去して、前記3次元物体を得ること;
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(コ)ポリアミド[ポリアミド(A)]であって、前記(コ)ポリアミド[ポリアミド(A)]の繰り返し単位の総モル数に対して少なくとも85モル%(mol%)の式(I)の繰り返し単位(RPA)を含む(コ)ポリアミドに関する:
【化1】
(式中、
- 各Eは、各存在において同じであるか異なり、以降で詳述する式(I )又は(I ):
【化2】
のいずれかの基である)。本発明は、そのようなポリアミド(A)を含有するポリマー組成物、該組成物を含む物品、並びに例えばオイル及びガス抽出プロセスなどの(例えばフラックプラグやフラックボールなどの溶解可能なO&Gツール用)水性媒体に曝された際に加水分解挙動を必要とする高温用途における、又は3次元(3D)部品を印刷するために使用される支持材料としての、前記物品の使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
例えば300℃超などの高い融点を有する(コ)ポリアミドは公知であり、文献に記載されている。この種類のポリアミドは特に、Solvay Specialty Polymers USAから、商品名Amodel(登録商標)PPAとして公知である。これらのポリアミドは低い吸水率も示し、これは特には高レベルの湿度であっても得られる強度及び剛性の安定性のため、多くの用途において有用な長所である。
【0003】
しかしながら、以下に示すものなどのいくつかの用途では、高い溶融温度を示すがそれと同時に水性媒体に浸漬した際に溶解する能力を有する(コ)ポリアミドが必要とされている。例えば、部品材料の層を堆積させることによる3D部品の製造では、支持層又は構造は、典型的には構築中の3D部品の張り出し部分の下又はその空隙内に構築され、これは、部品材料自体によって支持されない。支持構造体は、部品材料が堆積されるものと同じ堆積技術を用いて構築され得る。ホストコンピュータは、形成中の3D部品の張り出しセグメント又は自由空間セグメントのための、及び一部の場合には形成中の3D部品の側壁のための支持構造体として作用する更なる幾何形状を生成する。支持材料は、製造中に部品材料に接着し、印刷プロセスが完了したときに完成3D部品から除去可能である。一般に、可溶性/浸出性材料が支持材料として好ましく、その結果、最終的な3D部品が構築されると、それから支持部品が溶解することが可能になり、浸漬及びすすぎ洗い後処理が部品の回収に有効になる。機械的にしか除去できない支持体とは対照的に、可溶性支持体を使用することで、部品設計の自由度を増やし、部品表面の美観を保つことができる。可溶性/水膨潤性及び/又は印刷可能な材料は、ポリアミド支持材料を含め、当該技術分野において既に説明されている。例えば、国際公開第2017/167691号パンフレット(Solvay Specialty Polymers USA,LLC)は、目的の3Dパーツから確実に分離できるように大きく膨潤及び変形するのに十分な吸水量を有する半結晶性ポリアミドを支持材料として使用して3D物体を製造する方法に関する。適切なポリアミドの中でも、特定の二酸と、特定のジアミン、中でもN-メチル-ビス-ヘキサメチレン-トリアミンとの重縮合から得られるポリアミドが挙げられる。同様に、米国特許出願公開第2019/0160732号明細書は、親水性モノマーからの単位と、疎水性ジカルボン酸モノマーからの単位と、疎水性アミンモノマーからの単位とを含む、3D印刷技術における支持材料として有用な可溶性ポリアミドを教示しており、ここでの親水性モノマー単位は、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基、四級アンモニウム塩、オキシエチレン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボキシ塩基、リン酸基、ホスフェート基、スルホン酸基、又はスルホネート(sufonate)基を含み得る。更に、国際公開第2017/167692号パンフレット(Solvay Specialty Polymers USA,LLC)は、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸と式HN-(CH-O-(CH-O-(CH-NHのジアミンとの縮合に由来する繰り返し単位を60モル%より多く含む(コ)ポリアミドを教示しており、これは、260℃を超える融点を有し、50℃を超える温度で水、酸性水、又は塩基性水に十分な溶解性を示し、3D部品を印刷するための支持材料として適していると記述されている。これらの(コ)ポリアミドは、芳香族二酸から誘導される単位及び/又は脂肪族ジアミンから誘導される単位などの他の単位を更に含むことができ、これら後者の中でも、特にN,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミンを挙げることができる。
【0004】
それにもかかわらず、水溶性ポリマーの選択は、比較的制限されたままであり、教示された水溶性ポリマー系材料は、高い加工温度を必要とする特定のポリマーの印刷を支持するのに不適切な場合があり、一部の場合、それにもかかわらず、浸漬/すすぎ洗い脱離技術は、少なくともそれが高温での溶解を必要とし、水溶性支持体ポリマーの廃棄及び/又は回収のために相当量の廃水の後処理を必要とする(低い溶解性のため)という点で、極めて負担が高いままである。
【0005】
既に上で説明したように、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリフタルアミド、ポリフェニレンスルフィドなどの高温部品材料に関連した3D部品の製造では、支持材料は、高温部品材料に必要とされる高い動作条件で垂直及び/又は横方向の支持を与えることが必要とされ、高い動作条件下で過度に軟化しないものとされ、そうでない場合には変形によってそれらは支持構造材料として無効になる。
【0006】
出願人の功績により、驚くべきことにそのような有利な特性を示す(コ)ポリアミドの構造要件が特定された。より正確には、出願人は、今回、式(I)の繰り返し単位を少なくとも85モル%含むそのような(コ)ポリアミドが、高い溶融温度の挙動を同時にもたらすため200℃を超える温度で作動する印刷チャンバーにおいて固相支持体として有効に機能し、それと同時に水性媒体への迅速且つ高い溶解性を有するため容易に溶解及び回収できることを見出した。
【0007】
いくつかの先行技術文献は、三級アミン基を有するアミンの縮合により得られるポリアミドに関する。
【0008】
英国特許第1281547号明細書には、ポリエステルとポリアミドとを含む繊維形成組成物であって、ポリアミドが、以下の式:
【化3】
のいずれかのジアミンと、式HOOC-Y-COOHのジカルボン酸(式中、Yは-(CH-(pは少なくとも4である)又は-(CH-Z-(CH-(Zはメタ-又はパラ-フェニレンである))との重縮合から誘導されるポリアミドなどの塩基性窒素含有基を含むポリアミドである繊維形成組成物が開示されており、ポリアミドはポリエステル可染性繊維形成配合物を処方するために使用される。
【0009】
米国特許出願公開第2016/108174号明細書は、メチル-ビスヘキサメチレントリアミン、エチル-ビスヘキサメチレントリアミン、n-プロピル-ビスヘキサメチレントリアミン、及び/又はi-プロピル-ビスヘキサメチレントリアミンから選択される少なくとも1種以上のアルキル-BHTジアミンと、1種以上のポリカルボン酸との重縮合により得られるポリアミドに関する。ポリカルボン酸の中でも、例えば、特に1,2-シクロヘキサンカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などのシクロヘキサンジカルボン酸や2,5-テトラヒドロフランジカルボン酸のような、環中に4~8個の炭素原子を有する炭素環を少なくとも1つ含む脂環式ジカルボン酸が特に挙げられる。
【0010】
米国特許出願公開第2018/0236804号明細書には、脂肪族環含有ジアミン又は脂肪族環含有二酸のいずれかから誘導される脂環式部位を有する単位を30~90モル%含む、レリーフ印刷版原版製造のための感光性組成物における使用に適した水溶性又は水分散性のポリアミドが記載されており、ここでの脂肪族環含有ジアミンは、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルニルジアミン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、及びN-(2-アミノエチル)ピペラジンであってよく、脂肪族環含有二酸は、イソホロンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,3-ノルボルナンジカルボン酸、及び1,3-シクロヘキサンジカルボン酸であってよい。いくつかの例示的な実施形態は、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸と、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジンやメチルイミノ-ビス-プロピルアミドなどのジアミンとから誘導される単位を、相当量の他の単位(ε-カプロラクタム若しくはω-ラウロラクタムから誘導される単位、又はアジピン酸及び他のジアミンから誘導される単位など)と組み合わせて含むポリアミドを表しており、写真製版プロセスで使用するための目標透明度を有するアモルファスポリアミドが得られる。
特に、米国特許出願公開第2018/0236804号明細書の実施例8は、ε-カプロラクタム(15モル%)と、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(1,4-CHDA)(42.1モル%)と、1,4-ビス(アミノプロピル)ピペラジン(BAPP)(42.9モル%)とを重縮合することによって得られるアモルファスコポリアミドを提供し、その結果、約25モル%の式-C(O)-(CH-NH-の繰り返し単位と、約75モル%の式:
【化4】
の単位とを有するコポリアミドが得られ、同様に、実施例11は、ε-カプロラクタム(15モル%)と、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(1,4-CHDA)(42.1モル%)と、メチル-ビスヘキサメチレントリアミン(MeBHT)(42.9モル%)とを重縮合することによって得られるアモルファスコポリアミドを提供し、その結果、約25モル%の式-C(O)-(CH-NH-の繰り返し単位と、約75モル%の式:
【化5】
の単位とを有するコポリアミドが得られ、最後に、実施例17は、アジピン酸(7.5モル%)と、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(1,4-CHDA)(42.1モル%)と、1,4-ビス(アミノプロピル)ピペラジン(BAPP)と、ヘキサメチレンジアミン(7.5モル%)とを重縮合することによって得られるアモルファスコポリアミドを提供し、その結果、約72モル%の式:
【化6】
の繰り返し単位を有するコポリアミドが得られる。
【0011】
上で列挙した文献のいずれにも、例えばアルキルイミノビスアルキルアミンやビス(アミノアルキル)ピペラジンなどの特定のジアミンと、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(1,4-CHDA)との重縮合により得られるものなどの、後述する式(I):
【化7】
の繰り返し単位を少なくとも85モル%含む(コ)ポリアミドは記載されておらず、ポリアミド(A)鎖に許容される追加単位の量は限定的である。出願人は、驚くべきことに、本発明によるポリアミド(A)が、高い融点(すなわち260℃超)を示すのみならず、既に室温にある弱酸性水性組成物(例えば5重量%の酢酸水溶液)中で大きい溶解性(30重量%超)を有することも見出した。そのような技術的特徴のため、これらは、高温用途又は湿気に曝されたときに十分な膨潤又は変形が必要な用途のみならず、高温耐性と湿気に曝されたときの十分な膨潤又は変形との両方が必要な用途(例えば石油及びガスの抽出、3D印刷)においても使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、(コ)ポリアミド[ポリアミド(A)]であって、前記(コ)ポリアミド[ポリアミド(A)]の繰り返し単位の総モル数に対して少なくとも85モル%(mol%)の式(I)の繰り返し単位(RPA)を含む(コ)ポリアミド[ポリアミド(A)]に関する:
【化8】
(式中、
- 各Eは、各存在において同じであるか異なり、式(I )又は(I ):
【化9】
のいずれかの基であり、Ralk は、場合によっては1つ以上のヘテロ原子(例えばO、N、又はS)を含む一価のC~C12炭化水素基(好ましくはアルキル基)であり;各Ralk 及びRalk は、互いに同じであるか異なり、結合、又は場合によっては1つ以上のヘテロ原子(例えばO、N、又はS)を含む二価のC~C12炭化水素基(好ましくはアルキレン基)であるが、Ralk とRalk は同時に結合ではなく、それらが結合している窒素原子と一緒に複素環式の単核基又は多核基を形成していることを条件とし;
- n1及びn2は、互いに同じであるか異なり、各存在において整数であり、特に1~12の整数である)。
【0013】
出願人は、二酸部分の脂環式部位
【化10】
と、アミン部分の立体障害を有さない-CH-ブリッジを介して連結された三級アミン含有部位との特定の組み合わせの選択が、異なる単位の限定された存在(15モル%未満)が存在しないことと相まって、高い溶融温度を達成することを可能にする規則的な格子で結晶化する能力を有するポリアミド(A)を提供し、その一方で、三級アミン基の存在が、容易に接近できるイオン化可能な部位を提供し、弱酸性水性媒体での溶解性の実現に大きく寄与することを見出した。
【0014】
本発明の(コ)ポリアミドに関連する場合の「繰り返し単位」という表現は、下記式(AABB)のジアミンと二酸との重縮合から誘導される単位、又は下記式(AB)のアミノ酸又はラクタムの重縮合から誘導される単位を指すことが意図されている:
-NR-RAB-C(O)- (AB)
-NR-RBB-NR-C(O)-RAA-C(O)- (AABB)
(これらの式中、Rは、水素又は炭化水素基であり;RAB、RBB、RAAは、互いに同じであるか異なり、場合によっては1つ以上のヘテロ原子含む二価の炭化水素基である)。
【0015】
式(I)の繰り返し単位(RPA)は、式(AABB)の例示的な単位である。
【0016】
「(コ)ポリアミド」又は「ポリアミド」という表現は、本明細書においては、前記(コ)ポリアミド[ポリアミド(A)]の繰り返し単位の総モル数に対して、
- 式(I)の繰り返し単位(RPA)を実質的に100モル%含むホモポリアミド、及び
- 少なくとも約85モル%、好ましくは少なくとも約90モル%、より好ましくは少なくとも約95モル%、例えば少なくとも約96モル%、少なくとも約97モル%、少なくとも約98モル%、少なくとも約99モル%の、式(I)の繰り返し単位(RPA)を含むコポリアミド、
を指すために使用される。
【0017】
上の式(I)の繰り返し単位(RPA)は、通常、1種以上の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸[酸(CHDA)](又はその誘導体)からなるジカルボン酸成分と、下記式のいずれかの1種以上のジアミン(又はその誘導体)からなるジアミン成分との混合物の重縮合により得られる:
【化11】
(式中、Ralk は、場合によっては1つ以上のヘテロ原子(例えばO、N、又はS)を含む一価のC~C12炭化水素基(好ましくはアルキル基)であり;各Ralk 及びRalk は、互いに同じであるか異なり、結合、又は場合によっては1つ以上のヘテロ原子(例えばO、N、又はS)を含む二価のC~C12炭化水素基(好ましくはアルキレン基)であるが、Ralk とRalk は同時に結合ではなく、Ralk 及びRalk が結合している窒素原子と一緒に複素環式の単核基又は多核基を形成していることを条件とし;
- n1及びn2は、互いに同じであるか異なり、各存在において整数であり、特に1~12の整数である)。
【0018】
酸(CHDA)誘導体としては、特にアミド基を形成することができる塩、無水物、エステル及び酸ハロゲン化物が挙げられ、同様に、アミン(N )及び(N )誘導体としては、特に等しくアミド基を形成することができるそれらの塩が挙げられる。
【0019】
酸(CHDA)と関連する「1種以上の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸」という表現は、ジアステレオ異性的に純粋なシス又はトランスジアステレオ異性体、及びそれらの混合物を、任意の割合で使用することを包含することが意図されている。通常、酸(CHDA)のシス及びトランスジアステレオ異性体混合物が使用される。
【0020】
好ましくは、式(I)の繰り返し単位(RPA)は、以下からなる群から選択される:
- 式:
【化12】
の単位(RPA
(式中、p及びqは、互いに同じであるか異なり、独立して、3~9、好ましくは4~6の整数であり、最も好ましくはp及びqのそれぞれが6であり;Rは、特にメチル、エチル、プロピル(イソプロピル、n-プロピルを含む)からなる群から選択される一価のC~Cアルキル基である);
- 式:
【化13】
の単位(RPA
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数であり、R 及びR のそれぞれは、互いに同じであるか異なり、場合によってはカテナリー窒素原子を含む二価のC~C12アルキレン基の結合であり、R とR は、それらが結合している窒素原子と共にアザシクロアルカンを形成している)。
【0021】
単位(RPA )の特定の実施形態は、特に、p及びqのそれぞれが6であるもの、すなわち下記式のものである:
【化14】
(式中、RBHはC~Cアルキル基であり、特に、メチル、エチル、及びプロピル(イソプロピル、n-プロピル)基からなる群から選択される)。これらの好ましい単位(RPA )は、通常、1種以上の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸[酸(CHDA)](又はその誘導体)からなるジカルボン酸成分と、メチル-ビスヘキサメチレントリアミン、エチル-ビスヘキサメチレントリアミン、n-プロピル-ビスヘキサメチレントリアミン、i-プロピル-ビスヘキサメチレントリアミン、又はそれらの混合物、最も好ましくはメチル-ビスヘキサメチレントリアミンからなる(すなわちRBHがメチルである上で示した式のもの)ジアミン成分との混合物の重縮合により得られる。
【0022】
単位(RPA )の特定の実施形態は、特に:
- 下記式の単位などの、アザシクロアルカンがイミダゾリン環であるもの:
【化15】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、アザシクロアルカンがピラゾリジン環であるもの:
【化16】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、アザシクロアルカンが1,4-ジアザシクロヘキサン環(別名ピペラジン環)であるもの:
【化17】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、アザシクロアルカンが1,3-ジアザシクロヘキサン環であるもの:
【化18】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、アザシクロアルカンが1,4-ジアザシクロヘプタンであるもの:
【化19】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、アザシクロアルカンが1,3,5,7-テトラアザシクロオクタン環であるもの:
【化20】
(式中、Roは、H又はC~Cアルキル基であり、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である);
- 下記式の単位などの、アザシクロアルカンが1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン環であるもの、
【化21】
(式中、Rtは、H又はC~Cアルキル基であり、r及びsは、互い同じであるか異なり、独立して1~3の整数である)。
【0023】
単位(RPA )の最も好ましい実施形態は、アザシクロアルカンが1,4-ジアザシクロヘキサン環である単位、すなわち下記式の単位である:
【化22】
(式中、r及びsは、互いに同じであるか異なり、独立して1~3の整数である)。
【0024】
これらの好ましい単位(RPA )は、通常、1種以上の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸[酸(CHDA)](又はその誘導体)からなるジカルボン酸成分と、1種以上の1,4-ビス(アミノアルキル)ピペラジンからなるジアミン成分との混合物の重縮合により得られ、ここでのアミノアルキル基はアミノメチル、アミノエチル、及びアミノプロピル基から選択される基である。
【0025】
単位(RPA )の特に好ましい実施形態は、下記式の単位:
【化23】
であり、これは、通常、1種以上の1,4-シクロヘキサンジカルボン酸[酸(CHDA)](又はその誘導体)からなるジカルボン酸成分と、1,4-ビス(3-アミノアルキル)ピペラジンからなるジアミン成分との混合物の重縮合により得られる。
【0026】
前述したように、ポリアミド(A)は、ポリアミド(A)の繰り返し単位の総モル数に対して最大約15モル%、好ましくは最大約10モル%、より好ましくは最大約5モル%、特には最大約4モル%、最大約3モル%、最大約2モル%、又は最大約1モル%の、上の式(I)のものとは異なる繰り返し単位を含むことができ、これは、下記式のいずれかに従う:
-NR”-R-C(O)- (II)
-NR’”-R-NR’”-C(O)-R-C(O)- (III)
(式中、R”及びR’”は、互いに等しいか又は異なり、各存在において、H又は炭化水素基であり、R、R、Rは、互いに等しいか又は異なり、二価の炭化水素基であり、脂肪族、脂環式、環状脂肪族、芳香族、又はそれらの組み合わせであってよく、R、R、Rは、O、N、S、Pからなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい)。
【0027】
具体的には、ポリアミド(A)の式(I)の単位とは異なる繰り返し単位(II)及び(III)は、
- 少なくとも二酸[酸(DA)](又はその誘導体)と少なくともジアミン[アミン(NN)](又はその誘導体)とを含む混合物(M1)であって、(i)酸(DA)が酸(CHDA)ではない及び/又は(ii)アミン(NN)がアミン(N )でもアミン(N )でもない混合物(M1);
- 少なくともラクタム[ラクタム(L)]を含む混合物(M2);
- 少なくともアミノカルボン酸[アミノ酸(AN)]を含む混合物(M3);及び
- それらの組み合わせ;
から群から選択される少なくとも1種の混合物の縮合生成物であってよい。
【0028】
上と同様に、酸(DA)誘導体としては、特にアミド基を形成することができる塩、無水物、エステル、及び酸ハロゲン化物が挙げられ、同様に、アミン(NN)誘導体としては、特に等しくアミド基を形成することができるそれらの塩が挙げられる。
【0029】
前記酸(DA)は、2個の反応性カルボン酸基を含む芳香族ジカルボン酸[酸(AR)]又は2個の反応性カルボン酸基を含む脂肪族ジカルボン酸[酸(AL)]であり得る。本発明の目的のために、ジカルボン酸は、それが1個以上の芳香族基を含む場合に「芳香族」と考えられる。
【0030】
酸(AR)の非限定的な例は、特に、イソフタル酸(IA)及びテレフタル酸(TA)を含むフタル酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、2,4-ピリジンジカルボン酸、3,5-ピリジンジカルボン酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパン、ビス(4-カルボキシフェニル)メタン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ケトン、4,4’-ビス(4-カルボキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)プロパン、ビス(3-カルボキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ケトン、ビス(3-カルボキシフェノキシ)ベンゼン、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、及びビフェニル-4,4’-ジカルボン酸を含むナフタレンジカルボン酸である。
【0031】
酸(AL)の中でも、特にシュウ酸(HOOC-COOH)、マロン酸(HOOC-CH-COOH)、コハク酸[HOOC-(CH-COOH]、グルタル酸[HOOC-(CH-COOH]、2,2-ジメチルグルタル酸[HOOC-C(CH-(CH-COOH]、アジピン酸[HOOC-(CH-COOH]、2,4,4-トリメチル-アジピン酸[HOOC-CH(CH)-CH-C(CH-CH-COOH]、ピメリン酸[HOOC-(CH5-COOH]、スベリン酸[HOOC-(CH-COOH]、アゼライン酸[HOOC-(CH-COOH]、セバシン酸[HOOC-(CH-COOH]、ウンデカン二酸[HOOC-(CH-COOH]、ドデカン二酸[HOOC-(CH10-COOH]、トリデカン二酸[HOOC-(CH11-COOH]、テトラデカン二酸[HOOC-(CH12-COOH]、オクタデカン二酸[HOOC-(CH16-COOH]を挙げることができる。
【0032】
更に、使用され得る酸(AL)には、場合によっては混合物での、シス又はトランスジアステレオマーとしての、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸を特に含む脂環式基含有酸が含まれる。
【0033】
特定の実施形態によれば、イオン化可能な基を含む酸(DA)を、ポリアミド(A)の重縮合モノマーとして使用することができ[酸(IDA)]、これらのイオン化可能な基の中でも、特にフェノール性ヒドロキシル基、スルホン酸基(一般に芳香族スルホン酸基)、ホスホン酸基、オニウム基(ホスホニウム及びアンモニウム基を含む)などを挙げることができる。本発明の枠内で使用され得るこの種の酸(IDA)の非限定的な例は、特に4-ヒドロキシイソフタル酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、2-ヒドロキシテレフタル酸、2,5-ジヒドロキシテレフタル酸、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸、5-スルホイソフタル酸(及びそれらの塩、例えばLi、K、Na、Ag塩)及び2-スルホテレフタル酸(及びその塩、例えばLi、K、Na、Ag塩)である。
【0034】
イオン化可能な基を含む酸(IDA)は、上で詳述されたとおりの酸(AR)及び/又は酸(AL)と組み合わせて使用され得る。
【0035】
アミン(NN)は、通常脂肪族ジアミン(NNal)、芳香族ジアミン(NNar)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0036】
前記ジアミン(NNal)は、典型的には2~18個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンである。
【0037】
前記ジアミン(NNal)は、有利には、1,2-ジアミノエタン、1,2-ジアミノプロパン、プロピレン-1,3-ジアミン、1,3-ジアミノブタン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,4-ジアミノ-1,1-ジメチルブタン、1,4-ジアミノ-1-エチルブタン、1,4-ジアミノ-1,2-ジメチルブタン、1,4-ジアミノ-1,3-ジメチルブタン、1,4-ジアミノ-1,4-ジメチルブタン、1,4-ジアミノ-2,3-ジメチルブタン、1,2-ジアミノ-1-ブチルエタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノ-オクタン、1,6-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、1,6-ジアミノ-2,4-ジメチルヘキサン、1,6-ジアミノ-3,3-ジメチルヘキサン、1,6-ジアミノ-2,2-ジメチルヘキサン、1,9-ジアミノノナン、1,6-ジアミノ-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジアミノ-2,4,4-トリメチルヘキサン、1,7-ジアミノ-2,3-ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-2,4-ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-2,5-ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-2,2-ジメチルヘプタン、1,10-ジアミノデカン、1,8-ジアミノ-1,3-ジメチルオクタン、1,8-ジアミノ-1,4-ジメチルオクタン、1.8-ジアミノ-2,4-ジメチルオクタン、1,8-ジアミノ-3,4-ジメチルオクタン、1.8-ジアミノ-4,5-ジメチルオクタン、1.8-ジアミノ-2,2-ジメチルオクタン、1.8-ジアミノ-3,3-ジメチルオクタン、1,8-ジアミノ-4,4-ジメチルオクタン、1,6-ジアミノ-2,4-ジエチルヘキサン、1,9-ジアミノ-5-メチルノナン、1,11-ジアミノウンデカン及び1,12-ジアミノドデカン、1,13-ジアミノトリデカン、2,5-ビス(アミノメチル)テトラヒドロフラン、N-メチル-ビス-ヘキサメチレン-トリアミンからなる群から選択される。
【0038】
ジアミン(NNal)は、好ましくは、1,6-ジアミノヘキサン、1,8-ジアミノオクタン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミンを含む。より好ましくは、脂肪族アルキレンジアミンは、1,6-ジアミノヘキサン、1,10-ジアミノデカン及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のジアミンを含む。更により好ましくは、脂肪族アルキレンジアミンは、1,6-ジアミノヘキサンである。
【0039】
ジアミン(NNar)は、好ましくは、メタ-フェニレンジアミン、メタ-キシリレンジアミン及びパラ-キシリレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(3,4’-ODA)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4,4’-ODA)、p-キシリレンジアミン(PXDA)及びm-キシリレンジアミン(MXDA)からなる群から選択される。
【0040】
別の実施形態によれば、アミン(NN)の少なくとも1種は、脂環式ジアミン、すなわち、脂環式基を含むジアミン[アミン(cNN)]であり、アミン(cNN)は、通常イソホロンジアミン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、p-ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、イソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び1,4-ジアミノシクロヘキサンからなる群から選択される。
【0041】
特定の他の実施形態によれば、エーテル結合を含むアミン(NN)の少なくとも1種は、ポリアミド(A)の重縮合モノマーとして使用することができ[アミン(NNE)]、他にポリエーテルジアミンと称される、アミン(NNE)の例示的な実施形態は、特に、式:-(OCH-CHR-(ここで、Rは、H又はC~Cアルキル基、好ましくは-CHであり、及びnは、1~15の整数である)の部分、及び式:-O-C(R’)(R’’)-O-(ここで、R’及びR’’は、互いに及び出現するごとに等しいか又は異なり、H又はC~Cアルキル基、好ましくは-CHである)の部分を含むジアミンである。
【0042】
それらの例示的な実施形態は、下記式のいずれかのアミン(NNE)である:
【化24】
(x及びzはゼロ又は整数であり、yは整数であるが、但しx+y+zは1~15の整数である);
【化25】
(qは1~15の整数である);
【化26】
(xのそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、1~6の整数である);
【化27】
(式中、R*及びR’*は、互いに等しいか又は異なり、独立して、水素、C~Cアルキル基であり;Aは、アルキル、アルケニル、アルケネン、アルキレン-ヘテロ-アルキレン、アルキレン-ヘテロシクロ-アルキレン、アルキレン、アルキレン-オキシ-アルキレン、1,4-アルキル置換ピペラジン、カルボニル、チオカルボニルであり;Bは、アルキル、アルケニル、アルケネン、アルキレン-ヘテローアルキレン、アルキレン-ヘテロシクロ-アルキレン、アルキレン、アルキレン-オキシ-アルキレン、1,4-アルキル置換ピペラジン、カルボニル、チオカルボニルであり;R2は、水素、アルキル、アミノアルキル、アルキル-アミノ-アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アリール、又はヘテロアリールであり;この構造式に適合するアミンは、特に国際公開第2013/007128号パンフレット(ADVANCED MATERIALS WUXI CO.LTD.)1/17/2013に開示されている)。
【0043】
ポリアミド(A)の製造のための使用に適当なラクタム(L)は、β-ラクタム又はε-カプロラクタム、ドデカノラクタムのいずれかであり得る。
【0044】
ポリアミド(A)の製造のための使用に適当なアミノ酸(AN)は、6-アミノ-ヘキサン酸、9-アミノノナン酸、10-アミノデカン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、13-アミノトリデカン酸からなる群から選択され得る。
【0045】
2個より多いカルボン酸基及びアミン基を含む1種以上の多官能性酸/アミンモノマー、例えば3個以上のカルボン酸基を有するポリカルボン酸、3個以上のアミン基を有するポリアミン、例えば一級と二級のアミン基の両方を含むポリアミド、2つのカルボキシル基と1つ以上のアミン基とを含む多官能性二酸、2つのアミン基と1つ以上のカルボン酸基とを含む多官能性ジアミンの、混合物(M1)、(M2)、(M3)及びそれらの組み合わせのいずれかへの添加は、依然として本発明の範囲内である。前記多官能性酸/アミンモノマーを組み込むことにより、通常星状又は樹状の分岐構造、例えば特に国際公開第97/24388号パンフレット(NYLTECH ITALIA)1997年10月7日及び国際公開第99/64496号パンフレット(NYLTECH ITALIA)1999年12月16日に記載されているものが得られる。
【0046】
それにもかかわらず、ポリアミド(A)が、式(I)の繰り返し単位(RPA)から本質的になるホモポリアミド又は準ホモポリアミドの中から選択されることが好ましい。「繰り返し単位から本質的になる」という表現は、ポリアミド(A)と関連して使用される場合、記載されている繰り返し単位に加えて、非常に限られた量(繰り返し単位の総モル数に対して1モル%未満、好ましくは0.5モル%未満)の末端基、不純物、欠陥、及び他の疑似的な単位が、これが前記ポリアミド(A)の特性に実質的に影響を及ぼすことなしにポリマー(A)に存在してよいことを示すことが意図されている。
【0047】
本発明のポリアミド(A)は、任意の従来の方法によって、例えば少なくとも1種の酸(CHDA)と、アミン(N )及びアミン(N )のうちの少なくとも1種とを含み、場合によっては上述した混合物(M1)、(M2)及び(M3)のうちの少なくとも1種を更に含むモノマー混合物から、熱による重縮合によって調製することができる。
【0048】
縮合プロセスによりポリアミド(A)を製造するために使用されるモノマー混合物において、モル比n二酸/nジアミンは、0.8~1.2の範囲である。本発明の状況では、用語「n二酸」は、例えば縮合プロセスに関与する二酸種の総モル数を意味する。同様に、用語「nジアミン」は、例えば縮合プロセスに関与するジアミン種の総モル数を意味する。例として、縮合プロセスが酸(CHDA)に加えて1種の追加的な二酸種を含む場合、n二酸=n1CHDA+nDAである。本発明によれば、モル比n二酸/nジアミンは、0.8~1.2、0.9~1.1、0.95~1.05、又は0.98~1.02の範囲であってもよい。
【0049】
本発明のポリアミド(A)は、例えば2000g/mol~40000g/mol又は4000~35000g/molなどの、1000g/mol~50000g/molの範囲の数平均分子量Mを有し得る。数平均分子量は、実質的に単分散のポリスチレン標準に対して、ASTM D5296の指示に従ってゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。
【0050】
本発明のポリマー(A)は半結晶性である。「半結晶性」とは、ASTM D3418に従って示差走査熱量測定によって決定される、検出可能な融点が得られるアモルファス相と結晶相とを有するポリマーを意味する。
【0051】
より具体的には、ポリアミド(A)は、ASTM D3418に従って示差走査熱量測定によって決定されたときに、その融解熱が少なくとも5J/g、好ましくは少なくとも10J/g、より好ましくは少なくとも15J/gであるような結晶化度を有する。
【0052】
本発明のポリアミド(A)は、有利には、ASTM D3418に従って決定される少なくとも約250℃の融点を有する。本発明のポリアミド(A)は、例えば、少なくとも約255℃、少なくとも約258℃又は少なくとも約260℃の融点を有し得る。
【0053】
説明したように、ポリアミド(A)の半結晶性、及び最も重要なことは、250℃を超える融点を有する結晶相の存在は、前記融点に近い温度まで、固相における構造的完全性及び機械的特性を維持するための材料であり、そのため、ポリアミド(A)は200℃を超える温度への長期暴露が予期される用途のための支持材料として適している。
【0054】
ポリアミド(A)を含有する組成物
上述した本発明のポリアミド(A)を含有するポリアミド組成物(C)は、本発明の別の目的である。
【0055】
ポリアミド(A)は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、30重量%超、35重量%超、40重量%超、又は45重量%超の総量で組成物(C)中に存在し得る。(コ)ポリアミドは、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として95重量%未満、特には90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、又は60重量%未満の合計量でポリマー組成物(C)中に存在し得る。
【0056】
ポリアミド(A)は、例えば、ポリアミド組成物(C)の総重量を基準として35~60重量%、例えば40~55重量%の範囲の量で組成物(C)中に存在し得る。
【0057】
組成物(C)は、補強剤、強化剤、可塑剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、染料、潤滑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤、架橋剤、及び酸化防止剤からなる群から選択される1種の成分も含み得る。
【0058】
補強繊維又は充填剤とも呼ばれる、幅広く選択した補強剤が、本発明による組成物に添加され得る。それらは、繊維補強剤及び微粒子補強剤から選択することができる。繊維補強充填剤は、平均長さが幅及び厚さの両方よりも著しく大きい、長さ、幅及び厚さを有する材料であると本明細書では考えられる。一般に、そのような材料は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20又は少なくとも50の長さと最大の幅及び厚さとの間の平均比として定義されるアスペクト比を有する。
【0059】
補強充填剤は、鉱物充填剤(タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど)、ガラス繊維、炭素繊維、合成ポリマー繊維、アラミド繊維、アルミニウム繊維、チタン繊維、マグネシウム繊維、炭化ホウ素繊維、ロックウール繊維、スチール繊維及びウォラストナイトから選択され得る。
【0060】
繊維充填剤の中でも、ガラス繊維及び炭素繊維が好ましく使用され、炭素繊維は最も好ましく、ガラス繊維としては、Additives for Plastics Handbook,2nd edition,John Murphyの5.2.3章、43~48頁に記載されているような、チョップドストランドA-、E-、C-、D-、S-及びR-ガラス繊維が挙げられる。本明細書で使用される「炭素繊維」という用語は、黒鉛化された、部分的に黒鉛化された及び黒鉛化されていない炭素強化繊維又はそれらの混合物を含むことが意図されている。本発明に有用な炭素繊維は、例えば、レーヨン、ポリアクリロニトリル(PAN)、芳香族ポリアミド又はフェノール樹脂などの異なるポリマー前駆体の熱処理及び熱分解によって有利に得ることができる。本発明に有用な炭素繊維は、ピッチ系材料から得ることもできる。「グラファイト繊維」という用語は、炭素繊維の高温熱分解(2000℃超)によって得られる炭素繊維を指すことが意図されており、炭素原子は、グラファイト構造と同様の方法で配置される。本発明に有用な炭素繊維は、好ましくは、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、グラファイト繊維及びこれらの混合物から構成される群から選択される。
【0061】
好ましくは、充填剤は、繊維充填剤から選択される。それは、より好ましくは、高温用途に耐えることができる補強繊維である。
【0062】
補強剤は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、5重量%を超える、特には10重量%を超える、15重量%を超える、20重量%を超える、25重量%を超える、又は30重量%を超える合計量で組成物(C)中に存在し得る。補強剤は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、65重量%未満、60重量%未満、55重量%未満、又は50重量%未満の合計量で組成物(C)の中に存在していてもよい。
【0063】
補強充填剤は、例えばポリアミド組成物(C)の総重量を基準として、5~60重量%、例えば15~50重量%の範囲の量で組成物(C)の中に存在していてもよい。
【0064】
本発明の組成物(C)はまた、強化剤を含み得る。強化剤は、一般的には、低いガラス転移温度(T)のポリマーであり、例えば室温未満、0℃未満、更には-25℃未満のTを有する。その低いTの結果として、強化剤は、典型的には、室温でエラストマー性である。強化剤は、官能化されたポリマー主鎖であり得る。
【0065】
強化剤のポリマー主鎖は、ポリエチレン及びそれらのコポリマー、例えばエチレン-ブテン、エチレン-オクテン;ポリプロピレン及びそれらのコポリマー;ポリブテン;ポリイソプレン;エチレン-プロピレンゴム(EPR);エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM);エチレン-アクリレートゴム;ブタジエン-アクリロニトリルゴム、エチレン-アクリル酸(EAA)、エチレン-酢酸ビニル(EVA);アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンゴム(ABS)、ブロックコポリマースチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS)、ブロックコポリマースチレンブタジエンスチレン(SBS);メタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)タイプのコア-シェルエラストマー、又は上記の1つ以上の混合物を含むエラストメリック主鎖から選択することができる。
【0066】
強化剤が官能化されている場合、主鎖の官能化は、官能化を含むモノマーの共重合から又は更なる成分でのポリマー主鎖のグラフト化から生じることができる。
【0067】
官能基化された強化剤の具体的な例は、特には、エチレンとアクリル酸エステルとグリシジルメタクリレートとのターポリマー、エチレンとブチルエステルアクリレートとのコポリマー;エチレンとブチルエステルアクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー;エチレン-無水マレイン酸コポリマー;無水マレイン酸でグラフトされたEPR;無水マレイン酸でグラフトされたスチレン-マレイミドコポリマー;無水マレイン酸でグラフトされたSEBSコポリマー;無水マレイン酸でグラフトされたスチレン-アクリロニトリルコポリマー;無水マレイン酸でグラフトされたABSコポリマーである。
【0068】
強化剤は、組成物(C)の総重量を基準として、1重量%超、2重量%超、又は3重量%超の合計量で組成物(C)の中に存在していてもよい。強化剤は、ポリマー組成物(C)の総重量を基準として、30重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、又は10重量%未満の合計量で組成物(C)の中に存在していてもよい。
【0069】
組成物(C)は、可塑剤、着色剤、顔料(例えばカーボンブラックやニグロシンなどの黒色顔料)、帯電防止剤、染料、潤滑剤(例えば、直鎖低密度ポリエチレン、ステアリン酸カルシウム若しくはマグネシウム、又はモンタン酸ナトリウム)、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、核形成剤、酸化防止剤、ポリマー状及びオリゴマー状及び小分子状の架橋剤(変性スチレンアクリルポリマー及びオリゴマーなど)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、並びにトリス(4-ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテルなどの、当該技術分野で一般的に使用されている他の従来の添加剤も含み得る。
【0070】
組成物(C)は、本発明の(コ)ポリアミドとは異なる1種以上の他のポリマー、好ましくは(コ)ポリアミドも含有していてもよい。とりわけ、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、及びより一般的には芳香族若しくは脂肪族飽和二酸と、脂肪族飽和若しくは芳香族第一級ジアミン、ラクタム、アミノ酸又はこれらの異なるモノマーの混合物との間の重縮合によって得られるポリアミドなどの、半結晶性又は非晶性ポリアミドを挙げることができる。
【0071】
組成物(C)の調製
本発明は、更に、上で詳述した組成物(C)の製造方法であって、前記方法が、ポリアミド(A)と、特定の成分、例えば充填材、強化剤、安定化剤、及び任意の他の任意選択的な添加剤とを溶融ブレンドすることを含む方法に関する。
【0072】
本発明に関連するポリマー成分と非ポリマー成分とを混合するために任意の溶融ブレンド法が用いられ得る。例えば、ポリマー成分及び非ポリマー成分は、一軸スクリュー押出機若しくは二軸スクリュー押出機、撹拌機、一軸スクリュー若しくは二軸スクリューニーダー又はバンバリーミキサー等の溶融ミキサーに供給することができ、添加するステップは、全ての成分の同時添加又はバッチ式の段階的添加であり得る。ポリマー原料及び非ポリマー原料がバッチ式に徐々に添加される場合、ポリマー原料及び/又は非ポリマー原料の一部がまず添加され、次いで、十分に混合された組成物が得られるまで、その後に添加される残りのポリマー原料及び非ポリマー原料と溶融混合される。補強剤が長い物理的形状を示す場合(例えば、長いガラス繊維)、補強された組成物を調製するために延伸押出成形が用いられ得る。
【0073】
物品
本発明は、上述した本発明のポリアミド(A)又は上述した本発明の組成物(C)を含む成形された物品にも関する。
【0074】
ある実施形態によれば、本発明のポリアミド(A)又は本発明の組成物(C)を含む物品は乾燥状態で加工され、これは物品の総重量に対して0.5重量%未満、又は0.2重量%未満の含水率を有する。
【0075】
物品は、特に、坑井環境に曝されたときに望ましくは分解する使い捨てのダウンホールツールであってよく;例示的な実施形態の使い捨てダウンホールツールは、特に、一般に「フラッキングボール」(破砕ボール又はフラックボール)と呼ばれる一方向逆止弁として機能するボールを保持する手段を通常提供する、一般に「フラックプラグ」として知られている坑井刺激/破砕操作で使用されるプラグ、及びフラッキングボールである。
【0076】
本発明のポリアミド(A)又は組成物(C)から製造される物品は、例えば吸収性縫合糸又は溶解性移植片として、医療分野で使用することもできる。
【0077】
物品は、本発明のポリアミド(A)又は組成物(C)から、熱可塑性樹脂に適合した任意のプロセス、例えば押出、射出成形、ブロー成形、回転成形、又は圧縮成形によって成形することができる。
【0078】
本発明のポリアミド(A)又は組成物(C)から製造される物品は、3D印刷プロセス(例えば熱溶解積層法)において使用される糸又はフィラメントの形態であってもよい。
【0079】
ポリアミド(A)又は組成物(C)の使用、及びそれらからの物品
本発明のポリアミド(A)若しくは組成物(C)又はそれらからの任意の物品は、例えば、高い運転温度での熱安定性、及び例えば破砕後に必要とされる場合に溶解させるべき水性媒体の中への十分な溶解性を示す物品を作製するためなどの、オイル及びガスの抽出用途において使用することができる。
【0080】
本発明のポリアミド(A)又は組成物(C)は、例えばポリマー繊維(例えばポリアミド繊維)又は炭素繊維を処理/被覆するためなどの、サイジング剤として使用することもできる。
【0081】
本発明のポリアミド(A)又は組成物(C)は、例えば糸又は埋め込み可能な物品の形態などの、例えば吸収性材料又は溶解性材料を作製するために、医療分野において使用することもできる。
【0082】
本発明のポリアミド(A)若しくは組成物(C)、又はそれらからの任意の物品は、3D部品を印刷するための支持材料として有用な場合がある。
【0083】
支持材料としてポリアミド(A)、組成物(C)、又はそれらからの任意の物品を使用する付加製造システムを用いた3D物品の製造方法
前述したように、本発明のポリアミド(A)若しくは組成物(C)、又はそれらからの任意の物品は、高温部品材料(例えば200℃を超えるチャンバー温度を必要とするPEEK)に要求される高い運転条件において垂直方向及び/又は横方向に支持するための、3D印刷中に必要とされる支持材料として使用することができる。3D印刷支持材料は250℃を超える高い溶融温度を示し、そのため高温耐性を有し、そのため高温運転条件下で軟化しない。支持材料は、水性媒体に曝されたときに十分な膨潤、分散、及び変形、更には前記水性媒体への溶解を可能にするような吸水挙動も示すため、目的の3D印刷部品から容易に取り外すことができる。
【0084】
したがって、本発明の別の目的は、3次元物体を付加製造システムで製造する方法であって、
- 上述したポリアミド(A)又は組成物(C)を含む支持材料を準備すること;
- 部品材料を準備すること;
- 準備した支持材料から犠牲支持構造の層を印刷し、且つ支持構造の層の印刷と連携して、準備された部品材料から3次元物体の層を印刷することであって、支持構造の印刷された層の少なくとも一部は、3次元物体の印刷された層を支持すること;
- 3次元物体から犠牲支持構造の少なくとも一部を除去して、3次元物体を得ること;
を含む方法である。
【0085】
支持材料は、通常ポリマー(A)又は組成物(C)から本質的になり、支持材料は通常乾燥状態で提供され;この目的のために、支持材料は、通常乾燥されてから付加製造システムに供給され、そこで使用される。
【0086】
したがって、付加製造システムに提供される支持材料は、好ましくは、支持材料の全重量に対して0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満の水分含量を有する。予備乾燥工程は、支持材料を大気温度で(空気又は窒素下)又は真空下において60~200Cで所望の時間量の間加熱することによってこの低い含水量を達成するために必要とされ得る。
【0087】
本発明の方法で提供される部品材料は、概して、少なくとも300℃以上の処理温度を必要とする材料である。上で詳述されたとおりの支持材料に本発明の方法で一般に関連付けられる部品材料は、特にポリエーテルスルホンやポリフェニルスルホンを含むポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルケトンケトンを含むポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレン、液晶ポリマー、ポリカーボネート、特にメタキシリレンジアミンアジペート(MXD6)を含む芳香族及び半芳香族ポリアミドなどである。
【0088】
一般に、部品材料から3次元物体の層を印刷する工程は、したがって、少なくとも300℃、好ましくは少なくとも350℃の温度で溶融状態の部品材料を印刷して行われる。
【0089】
特定の好ましい実施形態によれば、本発明の方法は、他に溶融フィラメント製造技術としても知られる、押出ベース付加製造システムで3次元物体を製造するための方法である。
【0090】
これらの実施形態によれば、支持材料は、フィラメント形態で提供される。フィラメントは、円筒形状若しくは実質的に円筒状の形状を有し得るか、又はリボンフィラメント形状などの非円筒形状を有し得、更に、フィラメントは、中空形状を有し得るか、又はコア-シェル形状を有し得、本発明の支持材料は、コア又はシェルのいずれかを形成するために使用される。
【0091】
更に、支持材料はまた、これらの実施形態により、例えば、オーガーポンプ印刷ヘッドを介して供給されるように粉末形態で提供され得る。
【0092】
本方法が押出ベース付加製造システムである場合、提供された支持材料から犠牲支持構造の層を印刷する工程は、
a)支持材料を、吐出先端部で終わる通し穴と、通し穴内で材料を溶融するための円周ヒータとを有する吐出ヘッド部材に供給する工程と、
b)上記の通し穴内において、支持材料をピストン、例えばピストンとして作用する未溶融フィラメントで圧縮する一方、同時に支持材料を吐出ヘッド部材内で溶融して、吐出先端部から支持材料のリボンを押し出す工程と、
c)吐出先端部及び受入れプラットフォームのx及びy方向の相対移動を確保する一方、受入れプラットフォーム上に支持材料を吐出して、犠牲支持構造体の断面形状を形成する工程と、
d)吐出先端部及び受入れプラットフォームのz方向の相対移動を確保する一方、受入れプラットフォーム上に支持材料を吐出して、高さ方向に犠牲支持構造体を形成する工程と
を含む。
【0093】
これらの実施形態によれば、犠牲支持構造の層の印刷と連携して提供された部品材料から3次元物体の層を印刷する工程は、有利には、
a’)部品材料を、吐出先端部で終わる通し穴と、通し穴内で材料を溶融するための円周ヒータとを有する吐出ヘッド部材に供給する工程と、
b’)上記の通し穴内において、部品材料をピストン、例えばピストンとして作用する未溶融フィラメントで圧縮する一方、同時に部品材料を吐出ヘッド部材内で溶融して、吐出先端部から部品材料のリボンを押し出す工程と、
c)吐出先端部及び犠牲支持構造体を支持する受入れプラットフォームのx及びy方向の相対移動を確保する一方、受入れプラットフォーム及び犠牲支持構造体上に支持材料を吐出して、3次元物体の断面形状を形成する工程と、
d)吐出先端部及び受入れプラットフォームのz方向の相対移動を確保する一方、受入れプラットフォーム及び犠牲支持構造体上に部品材料を吐出して、高さ方向に3次元物体を形成する工程と、
を更に含む。
【0094】
本発明の方法は、(iv)アセンブリから犠牲支持構造の少なくとも一部を除去して、3次元物体を得る工程を含む。
【0095】
この方法は、通常アセンブリを水性媒体に暴露することを含む。
【0096】
前記水性媒体に曝露する場合、純水を使用することができる。それにもかかわらず、酸の添加により酸性化された水溶液、及び場合によっては極性プロトン性溶媒(例えばエタノール、イソプロパノール、エチレングリコール)が補われたもの、又は電解質(例えば塩化ナトリウム、塩化リチウム)に暴露することができる。一般に、水は、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも50重量%の濃度で、この曝露のために使用される液体媒体中に存在する。
【0097】
水性媒体中で使用される酸に関しては、酢酸を有利に使用することができるものの、他の無機酸又は有機酸も同様に有効な場合がある。水性媒体中の酸の濃度は重要ではなく、約10重量%未満、好ましくは約8重量%未満、より好ましくは約6重量%未満、例えば約5重量%未満含む希釈された水溶液であっても有効であることが分かっている。
【0098】
この曝露は、任意の方法で実現され得る。
【0099】
特定の実施形態によれば、工程(iv)は、アセンブリを水性媒体と/中に接触/浸漬させる工程を含む。この場合、浸漬/接触させるための水性媒体の温度は、一般にはほぼ室温、すなわち20~25℃の温度であるが、約100℃までのより高い温度も同様に使用され得る。
【0100】
水性媒体への曝露の継続時間は特に限定されず、少なくとも1時間の曝露時間が効果的な場合があり、脱離させて可溶化すべき犠牲支持構造の形状に応じて当業者が調整するであろう。
【0101】
工程(iv)の結果として、犠牲支持構造は、アセンブリから除去され、前記犠牲支持構造は、有利には、3次元物体から脱離され、且つその固体形態で除去され得る。それにもかかわらず、ポリアミド(A)又は組成物(C)の使用は、水への少なくとも部分的な可溶化によって達成される犠牲支持構造の除去を可能にする。
【0102】
参照により本明細書に援用されるいずれかの特許、特許出願及び刊行物の開示が、それが用語を不明確にし得る程度まで本願明細書の記載と矛盾する場合、本願明細書の記載が優先するものとする。
【実施例
【0103】
方法:
方法ASTM E2550に従って窒素下で熱重量分析(TGA)を行った。
【0104】
示差走査熱量測定(DSC)分析は、方法ASTM D3418に従って、20℃/分の加熱及び冷却速度を用いて行った。ガラス転移温度と融解温度は、2回目の昇温の結果から決定した。
【0105】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)は、WatersModular SEC計測器、Waters Alliance 2695セパレーションモジュール、Waters 2487デュアル吸光度検出器、Waters2414屈折率検出器、Waters515ポンプ及びWaters Empower Proゲルクロマトグラフィーソフトウェアを使用して、内部法に従って行った。計測器は、2つのPL ゲル10μm MiniMixe B 250×4.6mmカラムとガードカラムとを備えていた。試料は、0.05MのNaFTAを含有するHFIP中に5~6g/Lで溶解した。15μlの試料を注入した。溶出は40℃で行った。結果は、広いMWの内部標準、AMODEL(登録商標)1000、M=27943、M=9340、M/M=2.99に対して較正した。
【0106】
モノマー:
1-(2-アミノエチル)ピペラジンCAS No.140-31-8;1,4-ビス-(3-アミノプロピル)ピペラジンCAS No.7209-38-3;及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸CAS No.1076-97-7は、Aldrichから供給された。
【0107】
N-(6-アミノヘキシル)-N-メチル-1,6-ヘキサンジアミンCAS No.41318-22-3、DYTEK(登録商標)Tアミンは、Invistaから供給された。
【0108】
その他の材料:
Publixからの蒸留白酢、5重量%酢酸
【0109】
比較例1(AEP、CHDA)
25gの反応器に、7.60g(58.2mmol)の式:
【化28】
の1-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEP)、9.73g(56.5mmol)のシクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)、15.4mg(0.145mmol)の次亜リン酸ナトリウム、及び7.33gの脱イオン水を入れた。系に窒素ガスを5分間フラッシュした後、反応器を280℃及び300psig(20.7bar)の圧力に加熱した。温度が288℃に上昇する間、圧力を300psigで30分維持した。圧力を300psigから周囲圧力まで50分かけてゆっくり解放した。系を通して窒素ガスをパージし、冷却するために停止するまで、温度を280℃で50分間保持した。淡い黄褐色の透明な樹脂として生成物を反応器から取り出した。樹脂は、9.1kg/molのMn、15.9kg/molのMw、(PDI-1.74)、及び166℃のガラス転移温度を有していた。融点は検出されなかった。これは実質的にアモルファスのポリアミドが得られたことを示している。
【0110】
比較例1の溶解性
ガラスバイアルに、1.08gの樹脂と2.08gの家庭用白酢を一緒に入れ、振とうした。樹脂は室温で一晩完全に溶解し、均一な褐色の粘稠溶液を生成した。
【0111】
実施例2(mBHT、CHDA)
25gの反応器に、9.81g(42.1mmol)の式:
【化29】
のN-メチル-ビス-ヘキサメチレントリアミン(mBHT)、7.05g(40.9mmol)のシクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)、20.0mg(0.145mmol)の次亜リン酸ナトリウム、及び6.80gの脱イオン水を入れた。系に窒素ガスを5分間フラッシュした後、反応器を280℃及び300psig(20.7bar)の圧力に加熱した。温度が288℃に上昇する間、圧力を300psigで30分維持した。圧力を300psigから周囲圧力まで50分かけてゆっくり解放した。系を通して窒素ガスをパージし、冷却するために停止するまで、温度を280℃で50分間保持した。不透明なクリーム色の塊として生成物を反応器から取り出した。
【0112】
実施例2の溶解性
ガラスバイアルに、6.17gの樹脂と15.0gの家庭用白酢を一緒に入れ、振とうした。樹脂は室温で一晩完全に溶解し、透明で均一な溶液を生成した。
【0113】
実施例3(BAPP、CHDA)
25gの反応器に、9.29g(45.9mmol)の式:
【化30】
の4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン(BAPP)、7.68g(44.6mmol)のシクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)、12.0mgの亜リン酸(0.145mmol)、及び7.14gの脱イオン水を入れた。系に窒素ガスを5分間フラッシュした後、反応器を275℃及び320psigに加熱した。反応器温度が285℃に上昇する間、圧力を320psigで40分維持した。周囲圧力に到達するまで45分かけて反応器から圧力をゆっくり解放した。系を通して窒素ガスをフラッシュし、反応器を冷却するために停止するまで、反応器を285℃の温度で45分間保持した。均一で不透明な淡黄色の塊として生成物を取り出した。
【0114】
実施例3の溶解性
バイアルに、0.4gの実施例3の樹脂と6.4gの蒸留水を入れた。バイアルをBurrell Wrist Actionシェーカーに入れ、一晩撹拌した。樹脂試料は崩壊して曇った分散液になった。
【0115】
バイアルに、0.46gの実施例3の生成物と4.74gの6.5重量%クエン酸水溶液を入れた。溶液を一晩撹拌したところ、小さな固体の沈降物と懸濁液とを含む濁った分散液が得られた。
【0116】
【表1】
【0117】
実施例は、良好な分子量及び熱特性を示すことに加えて、弱酸性溶液(5重量%酢酸の家庭用酢)中に容易に溶解及び分散することを示している。実施例2及び3の高いTm2は、アミンアミン(N )及びアミン(N )の特異な構造が、高融解挙動と弱酸性水性媒体への容易な溶解との組み合わせに重要であることを示している。実際、酸(CHDA)と、三級アミン基を含んでいるにもかかわらず2つの-(CH-NH部位を提供しないジアミンとの組み合わせに基づくEx.1C(比較)のポリアミドは、アモルファス構造をもたらし、これは高温条件に耐えるのに適さない。
【0118】
Ex.2及び3のデータは、本発明の材料が、高いビルドチャンバー温度、すなわち200℃以上の温度での溶融フィラメント印刷に有用な可能性があることを示唆している。これらの組成物は、印刷された部品の機械的強度を最大化する高いビルドチャンバー温度で溶解可能な支持材料の使用を可能にできるであろう。
【国際調査報告】