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特表2023-531760化学療法による治療を受療中の患者に血管圧迫療法を送達する血管圧迫デバイスおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】化学療法による治療を受療中の患者に血管圧迫療法を送達する血管圧迫デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/12 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
A61F13/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580403
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 US2021038859
(87)【国際公開番号】W WO2021262957
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】63/043,625
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】522499612
【氏名又は名称】グアンジョウ・フォリセーブ・テクノロジー・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ベルソン,アミール
(72)【発明者】
【氏名】ベルソン,オリ
(57)【要約】
化学療法による治療を受療中の患者に血管圧迫を与えるのに役立つ様々なデバイスおよび方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前縁、後縁、頂部、左側縁、および右側縁を有するシェルと、
前記患者の毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成された、前記シェル内にあるライナと、
前記外側シェル内にある少なくとも1つの血管圧迫要素と、
前記シェルに結合されたヘッドカバー保持システムと
を備える、
化学療法を受ける患者の血液供給において血管圧迫を誘発するためのヘッドカバー。
【請求項2】
前記シェル保持システムは、前記シェルに接続された顎下ストラップを備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項3】
前記ヘッドカバー保持システムは、前記シェルに接続された後部ストラップ、前部ストラップ、またはネックストラップのうちの1つまたは複数を備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項4】
前記シェル保持システムは、1つまたは複数の調整要素を備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項5】
前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、前記ライナ内にある拡張可能な内袋である、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、前記シェルに結合される、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項7】
前記拡張可能な内袋と連通する圧力源をさらに備える、
請求項5に記載のヘッドカバー。
【請求項8】
前記前縁、前記後縁、前記左側縁、および前記右側縁を接続する連続的な外周部をさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項9】
前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、圧力源に反応して前記シェルから離れるように拡張する拡張可能な特徴をさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項10】
前記ライナに結合された拡張可能な層をさらに備え、
前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、前記拡張可能な層上にある、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項11】
前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、1つまたは複数の隆起特徴をさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項12】
前記患者の前記毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成された、前記シェル内にある前記ライナは、前記ライナ上に、前記患者の前記毛髪と係合する1つまたは複数の特徴をさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項13】
前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、滑らかである、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項14】
前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、直線形または円形の膨張可能な構造を有する、等しく分散された突出部のアレイを備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項15】
前記ヘッドカバー保持システムは、面ファスナ、バックル、クイックリリース機構、または調整特徴をさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項16】
前記ライナの一部または前記少なくとも1つの血管圧迫要素の一部の膨張のために、前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する気体源をさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項17】
前記ヘッドカバーの膨張可能な要素の過圧を防ぐための少なくとも1つの逃し弁をさらに備える、
請求項16に記載のヘッドカバー。
【請求項18】
前記気体源は、手動ポンプ機構、球部、電動ポンプ、または、加圧タンク、カートリッジ、もしくは槽である、
請求項16に記載のヘッドカバー。
【請求項19】
前記ヘッドカバー内の所望の圧力を維持するように前記気体源からの気体の流れを調整する制御システムをさらに備える、
請求項16に記載のヘッドカバー。
【請求項20】
前記ヘッドカバー内の前記所望の圧力は、前記患者への不快感もしくは副作用または周囲構造への危害を最小にしつつ、血管圧迫の結果をもたらすのに十分なものである、
請求項19に記載のヘッドカバー。
【請求項21】
前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する冷却気体源をさらに備え、
前記ライナの一部または前記少なくとも1つの血管圧迫要素の一部は、前記ヘッドカバーの内側部分に冷却を与えるように適合される、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項22】
前記ヘッドカバーの内側部分内にある1つまたは複数の圧力センサをさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項23】
前記1つまたは複数の圧力センサは、請求項19の前記制御システムに圧力の示度を与える、
請求項22に記載のヘッドカバー。
【請求項24】
前記1つまたは複数の圧力センサは、化学療法を受療中の患者が前記ヘッドカバーを着用しているときに前記患者にかけられる圧力量を示すように適合される、
請求項22に記載のヘッドカバー。
【請求項25】
血管圧迫を受療中の脈管内の血流が停止したまたは十分に遅くなったことを確認するために、皮膚灌流(O2sat)を測定する1つもしくは複数のセンサ、またはドップラー血流モニタもしくは赤外パルスオキシメータセンサをさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項26】
後頭部領域から眉または前額部までの連続的な構造をさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項27】
眉における血管圧迫効果のために前記眉を圧迫するための、構造または膨張可能な構造をさらに備える、
請求項1~26のいずれか一項に記載のヘッドカバー。
【請求項28】
タイマが経過したときに自動収縮プロトコルを与えるように、または任意の作動中の血管圧迫要素の動作を止めるように適合された前記タイマおよび制御システムをさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項29】
前記ライナまたは前記1つもしくは複数の血管圧迫要素のプログラムされた自動的な膨張および収縮、あるいは前記1つまたは複数の血管圧迫要素の作動および動作停止に適合されたタイマならびに制御システムをさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項30】
前記ライナは、前記患者の頭部および毛髪の形状に正確にフィットするように、前記患者に対する正確なフィットのために構成された硬質層または半弾性層である、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項31】
前記ヘッドカバー保持システムは、締付けシステムを備える、
請求項30に記載のヘッドカバー。
【請求項32】
患者の頭蓋循環系の1つまたは複数の脈管を圧迫するように配置された1つまたは複数の選択的な圧点をさらに備える、
請求項1~31のいずれか一項に記載のヘッドカバー。
【請求項33】
前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素に結合された振動要素をさらに備える、
請求項1~32のいずれか一項に記載のヘッドカバー。
【請求項34】
前記ライナおよび前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、前記患者の髪型に基づいて、前記ヘッドカバーに対してサイズ決定、形成、または配置される、
請求項1~33のいずれか一項に記載のヘッドカバー。
【請求項35】
前縁、後縁、頂部、左側縁、および右側縁を有するキャップと、
前記患者の毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成された、前記キャップ内にあるライナと、
前記キャップ内にある少なくとも1つの血管圧迫要素と
を備える、
化学療法を受ける患者の血液供給において血管圧迫を誘発するためのヘッドカバー。
【請求項36】
前記キャップは、前記少なくとも1つの血管圧迫要素が作動中であるときに、頭部上の所定の位置に留まるようにサイズ決定された、可撓性構造、部分的可撓性構造、半硬質構造と可撓性構造との組合せ、または調整可能構造を備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項37】
前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、前記キャップまたは前記ライナ内にある拡張可能な内袋である、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項38】
前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、前記キャップまたは前記ライナに結合される、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項39】
拡張可能な内袋または前記少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する圧力源をさらに備える、
請求項35から38のいずれか一項に記載のヘッドカバー。
【請求項40】
前記前縁、前記後縁、前記左側縁、および前記右側縁を接続する連続的な外周部をさらに備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項41】
前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、圧力源に反応して前記キャップから離れるように拡張する拡張可能な特徴をさらに備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項42】
前記ライナに結合された拡張可能な層をさらに備え、
前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、前記拡張可能な層上にある、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項43】
前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、1つまたは複数の隆起特徴をさらに備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項44】
前記患者の毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成された、シェル内にある前記ライナは、前記ライナ上に、前記患者の前記毛髪と係合する1つまたは複数の特徴をさらに備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項45】
前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、滑らかである、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項46】
前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、直線形または円形の膨張可能な構造を有する、等しく分散された突出部のアレイを備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項47】
前記ライナの一部または前記少なくとも1つの血管圧迫要素の一部の膨張のために、前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する気体源をさらに備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項48】
前記ヘッドカバーの膨張可能な要素の過圧を防ぐための少なくとも1つの逃し弁をさらに備える、
請求項47に記載のヘッドカバー。
【請求項49】
前記気体源は、手動ポンプ機構、球部、電動ポンプ、または、加圧タンク、カートリッジ、もしくは槽である、
請求項47に記載のヘッドカバー。
【請求項50】
前記ヘッドカバー内の所望の圧力を維持するように前記気体源からの気体の流れを調整する制御システムをさらに備える、
請求項47に記載のヘッドカバー。
【請求項51】
前記ヘッドカバー内の前記所望の圧力は、前記患者への不快感もしくは副作用または周囲構造への危害を最小にしつつ、血管圧迫の結果をもたらすのに十分なものである、
請求項50に記載のヘッドカバー。
【請求項52】
前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する冷却気体源をさらに備え、
前記ライナの一部または前記少なくとも1つの血管圧迫要素の一部は、前記ヘッドカバーの内側部分に冷却を与えるように適合される、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項53】
前記ヘッドカバーの内側部分内にある1つまたは複数の圧力センサをさらに備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項54】
前記1つまたは複数の圧力センサは、請求項50の前記制御システムに圧力の示度を与える、
請求項53に記載のヘッドカバー。
【請求項55】
前記1つまたは複数の圧力センサは、化学療法を受療中の患者が前記ヘッドカバーを着用しているときに前記患者にかけられる圧力量を示すように適合される、
請求項53に記載のヘッドカバー。
【請求項56】
皮膚灌流(O2sat)を測定する1つもしくは複数のセンサ、またはドップラー血流モニタもしくは赤外パルスオキシメータセンサをさらに備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項57】
後頭部領域から眉または前額部までの連続的な構造をさらに備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項58】
眉における血管圧迫効果のために前記眉を圧迫するための、構造または膨張可能な構造をさらに備える、
請求項35~57のいずれか一項に記載のヘッドカバー。
【請求項59】
タイマが経過したときに自動収縮プロトコルを与えるように、または任意の作動中の血管圧迫要素の動作を止めるように適合された前記タイマおよび制御システムをさらに備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項60】
前記ライナのプログラムされた自動的な膨張および収縮、または前記1つもしくは複数の血管圧迫要素の作動および動作停止に適合されたタイマならびに制御システムをさらに備える、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項61】
前記ライナは、前記患者の頭部および毛髪の形状に正確にフィットするように、前記患者に対する正確なフィットのために構成された硬質層または半弾性層である、
請求項35に記載のヘッドカバー。
【請求項62】
ヘッドカバー保持システムは、締付けシステムを備える、
請求項61に記載のヘッドカバー。
【請求項63】
患者の頭蓋循環系の1つまたは複数の脈管を圧迫するように配置された1つまたは複数の選択的な圧点をさらに備える、
請求項35~62のいずれか一項に記載のヘッドカバー。
【請求項64】
前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素に結合された振動要素をさらに備える、
請求項35~63のいずれか一項に記載のヘッドカバー。
【請求項65】
前記ライナおよび前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、前記患者の髪型に基づいて、前記ヘッドカバーに対してサイズ決定、形成、または配置される、
請求項35~64のいずれか一項に記載のヘッドカバー。
【請求項66】

前記患者の頭部の周りにヘッドカバーを設置することと、
前記ヘッドカバーの血管圧迫要素を用いて、前記患者の前記頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することと、
前記患者に対する化学療法セッションを開始することと、
前記患者に対する前記化学療法セッションを終了させることと、
前記化学療法セッションを終了させることの後に、前記患者における化学療法誘発性脱毛症の影響を部分的に緩和させるのに十分な期間が経過したときに、前記患者の前記頭蓋循環系の一部において前記血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することを止めることと
を含む、
化学療法を受ける患者の頭蓋循環系において血管圧迫を誘発する方法。
【請求項67】
前記患者の前記頭部に対して前記ヘッドカバーを固定するようにヘッドカバー保持システムを係合させることをさらに含む、
請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記化学療法セッションを終了させることの後に経過した前記期間は、最長24時間である、
請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記化学療法セッションを終了させることの後に経過した前記期間は、少なくとも1時間である、
請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記化学療法セッションを終了させることの後に経過した前記期間は、少なくとも48時間である、
請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記ヘッドカバーの前記血管圧迫要素は、ライナであり、
前記患者の前記頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することの間に、前記ライナを拡張することまたは前記ライナを縮小することが実行される、
請求項66に記載の方法。
【請求項72】
前記ライナを拡張することの間に、前記患者の頭皮に対する前記ライナによる力の増加に対応して、血管圧迫の量が増加する、
請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記ライナを縮小することの間に、前記患者の頭皮に対する前記ライナによる力の減少に対応して、血管収縮の量が減少する、
請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記ヘッドカバーの前記血管圧迫要素は、1つまたは複数の特徴を有するライナであり、
前記患者の前記頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することの間に、前記ライナを拡張することまたは前記ライナを縮小することが実行される、
請求項66に記載の方法。
【請求項75】
前記ライナを拡張することの間に、前記患者の頭皮に対する前記ライナ上の前記1つまたは複数の特徴による力の増加に対応して、血管圧迫の量が増加する、
請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記ライナを縮小することの間に、前記患者の頭皮に対する前記ライナ上の前記1つまたは複数の特徴による力の減少に対応して、血管圧迫の量が減少する、
請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記ヘッドカバーの前記血管圧迫要素は、膨張可能な内袋であり、
前記患者の前記頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することの間の血管圧迫の程度は、前記膨張可能な内袋内の圧力の量に少なくとも部分的に対応する、
請求項66に記載の方法。
【請求項78】
前記ヘッドカバーの前記血管圧迫要素は、膨張可能な内袋であり、
前記患者の前記頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することの間の血管圧迫の程度は、頭骨に対して前記膨張可能な内袋内の圧力を上昇または低下させることによって増加または減少する、
請求項66に記載の方法。
【請求項79】
前記ヘッドカバーの前記血管圧迫要素は、前記患者の前記頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することの間に、毛包を有する前記患者の頭皮の一部と接触するように付勢される、前記ヘッドカバーの内面上に配列された1つまたは複数の特徴である、
請求項66に記載の方法。
【請求項80】
前記ヘッドカバーの前記血管圧迫要素は、前記患者の毛髪の配列に対応する、前記ヘッドカバーの内面上に配列された1つまたは複数の特徴であり、
前記1つまたは複数の特徴は、前記患者の前記頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発する前記ステップの成果を高めるために、前記患者の毛髪の前記配列に作用する、
請求項66に記載の方法。
【請求項81】
血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することの間に、前記ヘッドカバーの前記血管圧迫要素は、複数の毛包への血液供給を少なくとも部分的に血管圧迫するように、頭蓋の一部に対して前記複数の毛包を含む頭皮の一部を圧迫する、
請求項66に記載の方法。
【請求項82】
前記頭蓋の前記一部は、上側頭線、下側頭線、頭頂骨、鱗状縫合、側頭骨、ラムダ縫合、後頭骨、乳様突起、蝶形骨、眼窩上孔付近の部分、前頭骨、冠状縫合のうちの1つまたは複数である、
請求項81に記載の方法。
【請求項83】
血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することの間に、前記ヘッドカバーの前記血管圧迫要素は、前記頭蓋の一部に対して動脈または静脈を圧迫することによって前記患者の前記頭蓋循環系の前記動脈または前記静脈を少なくとも部分的に血管圧迫するように配置される、
請求項66に記載の方法。
【請求項84】
前記頭蓋循環系の前記動脈または前記静脈は、外頸動脈の支流または内頸動脈の支流である、
請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記頭蓋循環系の前記動脈または前記静脈は、眼動脈である、
請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記頭蓋循環系の前記動脈または前記静脈は、浅側頭動脈である、
請求項83に記載の方法。
【請求項87】
前記頭蓋循環系の前記動脈または前記静脈は、後耳介動脈である、
請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記頭蓋循環系の前記動脈または前記静脈は、後頭動脈である、
請求項83に記載の方法。
【請求項89】
前記頭蓋循環系の前記動脈または前記静脈は、眼窩上動脈または滑車上動脈である、
請求項83に記載の方法。
【請求項90】
前記頭蓋の前記一部は、上側頭線、下側頭線、頭頂骨、鱗状縫合、側頭骨、ラムダ縫合、後頭骨、乳様突起、蝶形骨、眼窩上孔付近の部分、前頭骨、冠状縫合のうちの1つまたは複数である、
請求項83に記載の方法。
【請求項91】
前記頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することは、前記患者の骨膜の一部に対する前記患者の前記頭蓋循環系の血管を含む頭皮の一部の圧迫に起因する、
請求項66に記載の方法。
【請求項92】
前記頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することは、前記ヘッドカバーの前記血管圧迫要素と前記患者の前記頭蓋循環系の血管との間の相互作用によってもたらされる、
請求項66に記載の方法。
【請求項93】
前記頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発することは、毛包の血管床の一部において血管圧迫を誘発するように、骨膜の一部に対して頭皮の一部を圧迫することをさらに含む、
請求項66に記載の方法。
【請求項94】
係合させることの間に、前記血管圧迫要素が、前記患者の前記頭蓋循環系の特定の静脈または特定の動脈を少なくとも部分的に血管圧迫するために前記特定の静脈または前記特定の動脈に近接して配置されるように、前記ヘッドカバーの前記血管圧迫要素は、前記患者の頭部に対して配置される、
請求項66に記載の方法。
【請求項95】
前記特定の静脈または前記特定の動脈は、請求項84から89のいずれかにおける血管のいずれかである、
請求項94に記載の方法。
【請求項96】
請求項66のいずれかのステップの前、最中、または後に、前記患者への血管収縮薬剤の送達をさらに含む、
請求項66に記載の方法。
【請求項97】
前記血管収縮薬剤は、アルファ・アドレナリン受容体作動薬、バソプレシンアナログ、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリン、ドーパミン、ドブタミン、片頭痛薬、頭痛薬、セロトニン5-ヒドロキシトリプタミン作動薬、およびトリプタンのうちの1つである、
請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記患者は、注射、輸液、標的療法、ホルモン療法、または免疫療法による化学療法を受ける、
請求項1~97のいずれか一項に記載の方法またはデバイス。
【請求項99】
前記患者は、静脈内の方法、クモ膜下の方法、動脈内の方法、腔内の方法、筋肉内の方法、病巣内の方法、または嚢内の方法によって化学療法を受ける、
請求項98に記載の方法またはデバイス。
【請求項100】
前記患者は、自宅、ヘルスケアプロバイダ事業所、診療所、外来患者輸液センター、病院の輸液センター、または病院の病室で化学療法を受ける、
請求項98および99に記載の方法またはデバイス。
【請求項101】
請求項1から65のいずれか一項に記載のデバイスによって実施される、
請求項66から100のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、「VASOCOMPRESSION DEVICES AND METHODS OF DELIVERING VASOCOMPRESSION THERAPY TO A PATIENT UNDERGOING CHEMOTHERAPY TREATMENT(化学療法による治療を受療中の患者に血管圧迫療法を送達する血管圧迫デバイスおよび方法)」と題された2020年6月24日に出願した米国仮特許出願第63/043,625号の利益を主張するものであり、これは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
参照による組み込み
[0002]本明細書において述べられる全ての刊行物および特許出願は、それぞれの個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的におよび個々に示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0003]本出願が関連する様々な実施形態は、化学療法誘発性脱毛症(CIA)、化学療法薬物誘発性の抜け毛、毛包の死滅、および/または成長期脱毛を緩和させるまたはなくすためのデバイスおよび方法を対象とする。さらにまたは任意選択で、このデバイスおよび方法は、これらの目的を助ける薬剤と共に使用され得る。
【背景技術】
【0003】
[0004]化学療法薬は、毛包の成長の段階間の移行への干渉、毛包ジストロフィの刺激、または未熟な毛包の退縮の誘発によってCIAを誘発する{Pausら、1994年;Trueb、2009年;Yeagerら、2011年}。休止期脱毛は、より大きな割合の成長期の毛髪が早発的に休止期に進行するときに生じ、例えば、シクロフォスファミドは、この機序によってCIAを引き起こす{Patelら、2014年}。任意の所与の時間において、頭皮の毛髪の最大90%は、成長期にあり、細胞毒性剤の投与後の数日から数週間の間に生じるので、成長期脱毛は、最も一般的な種類のCIAであり{Olsenら、2011年}、それは、アルキル化剤、代謝拮抗物質、ビンカアルカロイド、トポイソメラーゼ阻害薬、アントラサイクリン、およびタキサン類によって刺激される{Espinosaら、2003年;Yunら、2007年}。上述したように、それらの最大90%は成長期にあり、それらの関連するマトリックス角化細胞は、細胞サブセットを最も迅速な分裂を呈するため、毛包は、化学療法薬物に特に敏感であり{Batchelorら、2001年}、したがって、それらは、特に、細胞複製標的薬による標的となる。
【0004】
[0005]現在、頭皮冷却が、化学療法誘発性脱毛症を防ぐために唯一利用可能な手法となっており、様々な可能性のある機序によってCIAと干渉し得る。まず、冷却は、血管の血管収縮を引き起こし、これは、頭皮の血流を通常速度の20~40%まで減少させることが示されている(Janssenら、2007年)。この結果、毛包へ送達される化学療法薬物が少なくなることが示唆されている(Bulowら、1985年)。別の可能性は、細胞膜を横切っての薬物拡散速度は、冷却によって減少する可能性があり、したがって、細胞に入る薬物の有効量が少なくなる可能性がある(Laneら、1987年)というものである。また、細胞分裂が代謝主導であるとき、温度がG1およびSなどのフェーズに特に影響を与えることができるため、このプロセスは、冷却によって減速される可能性があり(WatanabeおよびOkada、1967年)、これは、有糸分裂を標的とする微小管破壊薬などの細胞周期の特定の期を標的とする薬物にとって特に重要であり得る。また、毛包内の細胞の代謝活動の減少は、化学療法薬物の細胞毒性のより全体的な減少を引き起こし得る(Bulowら、1985年)。実際には、これらの方法の組合せが、CIAの減少における頭皮冷却の成功において役割を果たす可能性がある。
【0005】
[0006]いかなる場合でも、頭皮冷却は、全ての場合においては働かず、有効性は、人によって変わり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0007]結果として、化学療法薬物誘発性の抜け毛、毛包の死滅、および/または成長期脱毛を緩和させる、実質的になくす、またはそれらの治療を助けるために使用される技法において、改善がなお必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0008]概して、一実施形態では、化学療法を受ける患者の血液供給において血管圧迫を誘発するためのヘッドカバーは、前縁、後縁、頂部、左側縁、および右側縁を有するシェルと、患者の毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成された、シェル内にあるライナと、外側シェル内にある少なくとも1つの血管圧迫要素と、シェルに結合されたヘッドカバー保持システムとを含む。
【0008】
[0009]本実施形態および他の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。シェル保持システムは、シェルに接続された顎下ストラップを含んでもよい。シェル保持システムは、シェルに接続された後部ストラップ、前部ストラップ、またはネックストラップのうちの1つまたは複数を含んでもよい。シェル保持システムは、1つまたは複数の調整要素を含んでもよい。少なくとも1つの血管圧迫要素は、ライナ内にある拡張可能な内袋であってもよい。少なくとも1つの血管圧迫要素は、シェルに結合されてもよい。ヘッドカバーは、拡張可能な内袋と連通する圧力源をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、前縁、後縁、左側縁、および右側縁を接続する連続的な外周部をさらに含んでもよい。ヘッドカバーの少なくとも1つの血管圧迫要素は、圧力源に反応してシェルから離れるように拡張する拡張可能な特徴をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、ライナに結合された拡張可能な層をさらに含んでもよい。少なくとも1つの血管圧迫要素は、拡張可能な層上にあってもよい。ヘッドカバーの少なくとも1つの血管圧迫要素は、1つまたは複数の隆起特徴をさらに含んでもよい。ヘッドカバーの、患者の毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成された、シェル内にあるライナは、ライナ上に、患者の毛髪と係合する1つまたは複数の特徴をさらに含んでもよい。ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素は、滑らかであってもよい。ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素は、直線形または円形の膨張可能な構造を有する、等しく分散された突出部のアレイを含んでもよい。ヘッドカバー保持システムは、面ファスナ、バックル、クイックリリース機構、または調整特徴をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、ライナの一部または少なくとも1つの血管圧迫要素の一部の膨張のために、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する気体源をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、ヘッドカバーの膨張可能な要素の過圧を防ぐための少なくとも1つの逃し弁をさらに含んでもよい。気体源は、手動ポンプ機構、球部、電動ポンプ、または、加圧タンク、カートリッジ、もしくは槽であってもよい。ヘッドカバーは、ヘッドカバー内の所望の圧力を維持するように気体源からの気体の流れを調整する制御システムをさらに含んでもよい。ヘッドカバー内の所望の圧力は、患者への不快感もしくは副作用または周囲構造への危害を最小にしつつ、血管圧迫の結果をもたらすのに十分なものであり得る。ヘッドカバーは、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する冷却気体源をさらに含んでもよく、ライナの一部または少なくとも1つの血管圧迫要素の一部は、ヘッドカバーの内側部分に冷却を与えるように適合される。ヘッドカバーは、ヘッドカバーの内側部分内にある1つまたは複数の圧力センサをさらに含んでもよい。1つまたは複数の圧力センサは、制御システムに圧力の示度を与えてもよい。1つまたは複数の圧力センサは、化学療法を受療中の患者がヘッドカバーを着用しているときに患者にかけられる圧力量を示すように適合されてもよい。ヘッドカバーは、皮膚灌流(O2sat)を測定する1つもしくは複数のセンサ、またはドップラー血流モニタもしくは赤外パルスオキシメータセンサをさらに含んでもよい。センサは、血管圧迫療法を受ける血管系の血流が、化学療法薬への毛包の曝露を防ぐために停止させられるか、またはそのために十分に遅くされることを検出するために使用されてもよい。ヘッドカバーは、後頭部領域から眉または前額部までの連続的な構造をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、眉における血管圧迫効果のために眉を圧迫するための、構造または膨張可能な構造をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、タイマが経過したときに自動収縮プロトコルを与えるように、または任意の作動中の血管圧迫要素の動作を止めるように適合されたタイマおよび制御システムをさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、ライナまたは1つもしくは複数の血管圧迫要素のプログラムされた自動的な膨張および収縮、あるいは1つまたは複数の血管圧迫要素の作動および動作停止に適合されたタイマならびに制御システムをさらに含んでもよい。ライナは、患者の頭部および毛髪の形状に正確にフィットするように、患者に対する正確なフィットのために構成された硬質層または半弾性層であってもよい。ヘッドカバー保持システムは、締付けシステムを含んでもよい。ヘッドカバーは、患者の頭蓋循環系の1つまたは複数の脈管を圧迫するように配置された1つまたは複数の選択的な圧点をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素に結合された振動要素をさらに含んでもよい。ライナおよび少なくとも1つの血管圧迫要素は、患者の髪型に基づいて、ヘッドカバーに対してサイズ決定、形成、または配置されてもよい。
【0009】
[0010]概して、一実施形態では、化学療法を受ける患者の血液供給において血管圧迫を誘発するためのヘッドカバーは、前縁、後縁、頂部、左側縁、および右側縁を有するキャップと、患者の毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成された、キャップ内にあるライナと、キャップ内にある少なくとも1つの血管圧迫要素とを含む。
【0010】
[0011]本実施形態および他の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。キャップは、少なくとも1つの血管圧迫要素が作動中であるときに、頭部上の所定の位置に留まるようにサイズ決定された、可撓性構造、部分的可撓性構造、半硬質構造と可撓性構造との組合せ、または調整可能構造を含んでもよい。少なくとも1つの血管圧迫要素は、キャップまたはライナ内にある拡張可能な内袋であってもよい。少なくとも1つの血管圧迫要素は、キャップまたはライナに結合されてもよい。ヘッドカバーは、拡張可能な内袋または少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する圧力源をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、前縁、後縁、左側縁、および右側縁を接続する連続的な外周部をさらに含んでもよい。ヘッドカバーの少なくとも1つの血管圧迫要素は、圧力源に反応してキャップから離れるように拡張する拡張可能な特徴をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、ライナに結合された拡張可能な層をさらに含んでもよく、少なくとも1つの血管圧迫要素は、拡張可能な層上にあってもよい。ヘッドカバーの少なくとも1つの血管圧迫要素は、1つまたは複数の隆起特徴をさらに含んでもよい。ヘッドカバーの、患者の毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成された、シェル内にあるライナは、ライナ上に、患者の毛髪と係合する1つまたは複数の特徴をさらに含んでもよい。ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素は、滑らかであってもよい。ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素は、直線形または円形の膨張可能な構造を有する、等しく分散された突出部のアレイを含んでもよい。ヘッドカバーは、ライナの一部または少なくとも1つの血管圧迫要素の一部の膨張のために、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する気体源をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、ヘッドカバーの膨張可能な要素の過圧を防ぐための少なくとも1つの逃し弁をさらに含んでもよい。気体源は、手動ポンプ機構、球部、電動ポンプ、または、加圧タンク、カートリッジ、もしくは槽であってもよい。ヘッドカバーは、ヘッドカバー内の所望の圧力を維持するように気体源からの気体の流れを調整する制御システムをさらに含んでもよい。ヘッドカバー内の所望の圧力は、患者への不快感もしくは副作用または周囲構造への危害を最小にしつつ、血管圧迫の結果をもたらすのに十分なものであってもよい。ヘッドカバーは、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する冷却気体源をさらに含んでもよく、ライナの一部または少なくとも1つの血管圧迫要素の一部は、ヘッドカバーの内側部分に冷却を与えるように適合される。ヘッドカバーは、ヘッドカバーの内側部分内にある1つまたは複数の圧力センサをさらに含んでもよい。1つまたは複数の圧力センサは、制御システムに圧力の示度を与えてもよい。1つまたは複数の圧力センサは、化学療法を受療中の患者がヘッドカバーを着用しているときに患者にかけられる圧力量を示すように適合されてもよい。ヘッドカバーは、皮膚灌流(O2sat)を測定する1つもしくは複数のセンサ、またはドップラー血流モニタもしくは赤外パルスオキシメータセンサをさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、後頭部領域から眉または前額部までの連続的な構造をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、眉における血管圧迫効果のために眉を圧迫するための、構造または膨張可能な構造をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、タイマが経過したときに自動収縮プロトコルを与えるように、または任意の作動中の血管圧迫要素の動作を止めるように適合されたタイマおよび制御システムをさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、ライナのプログラムされた自動的な膨張および収縮、または1つもしくは複数の血管圧迫要素の作動および動作停止に適合されたタイマならびに制御システムをさらに含んでもよい。ライナは、患者の頭部および毛髪の形状に正確にフィットするように、患者に対する正確なフィットのために構成された硬質層または半弾性層であってもよい。ヘッドカバー保持システムは、締付けシステムを含んでもよい。ヘッドカバーは、患者の頭蓋循環系の1つまたは複数の脈管を圧迫するように配置された1つまたは複数の選択的な圧点をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素に結合された振動要素をさらに含んでもよい。ライナおよび少なくとも1つの血管圧迫要素は、患者の髪型に基づいて、ヘッドカバーに対してサイズ決定、形成、または配置されてもよい。
【0011】
[0012]概して、一実施形態では、化学療法を受ける患者の頭蓋循環系において血管圧迫を誘発する方法は、(1)患者の頭部の周りにヘッドカバーを設置するステップと、(2)ヘッドカバーの血管圧迫要素を用いて、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップと、(3)患者に対する化学療法セッションを開始するステップと、(4)患者に対する化学療法セッションを終了させるステップと、(5)化学療法セッションを終了させるステップの後に、患者における化学療法誘発性脱毛症の影響を部分的に緩和させるのに十分な期間が経過したときに、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップを止めるステップとを含む。
【0012】
[0013]本実施形態および他の実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。方法は、患者の頭部に対してヘッドカバーを固定するようにヘッドカバー保持システムを係合させるステップをさらに含んでもよい。化学療法セッションを終了させるステップの後に経過した期間は、最長24時間であってもよい。化学療法セッションを終了させるステップの後に経過した期間は、少なくとも1時間であってもよい。化学療法セッションを終了させるステップの後に経過した期間は、少なくとも48時間であってもよい。ヘッドカバーの血管圧迫要素は、ライナであってもよく、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中に、ライナを拡張するステップまたはライナを縮小するステップが実行される。ライナを拡張するステップ中に、患者の頭皮に対するライナによる力の増加に対応して、血管圧迫の量が増加してもよい。ライナを縮小するステップ中に、患者の頭皮に対するライナによる力の減少に対応して、血管収縮の量が減少してもよい。ヘッドカバーの血管圧迫要素は、1つまたは複数の特徴を有するライナであってもよく、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中に、ライナを拡張するステップまたはライナを縮小するステップが実行される。ライナを拡張するステップ中に、患者の頭皮に対するライナ上の1つまたは複数の特徴による力の増加に対応して、血管圧迫の量が増加してもよい。ライナを縮小するステップ中に、患者の頭皮に対するライナ上の1つまたは複数の特徴による力の減少に対応して、血管圧迫の量が減少してもよい。ヘッドカバーの血管圧迫要素は、膨張可能な内袋であってもよく、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中の血管圧迫の程度は、膨張可能な内袋内の圧力の量に少なくとも部分的に対応する。ヘッドカバーの血管圧迫要素は、膨張可能な内袋であってもよく、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中の血管圧迫の程度は、頭骨に対して膨張可能な内袋内の圧力を上昇または低下させることによって増加または減少する。ヘッドカバーの血管圧迫要素は、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中に、毛包を有する患者の頭皮の一部と接触するように付勢される、ヘッドカバーの内面上に配列された1つまたは複数の特徴であってもよい。ヘッドカバーの血管圧迫要素は、患者の毛髪の配列に対応する、ヘッドカバーの内面上に配列された1つまたは複数の特徴であってもよく、1つまたは複数の特徴は、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップの成果を高めるために、患者の毛髪の配列に作用する。血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中に、ヘッドカバーの血管圧迫要素は、複数の毛包への血液供給を少なくとも部分的に血管圧迫するように、頭蓋の一部に対して複数の毛包を含む頭皮の一部を圧迫してもよい。頭蓋の一部は、上側頭線、下側頭線、頭頂骨、鱗状縫合、側頭骨、ラムダ縫合、後頭骨、乳様突起、蝶形骨、眼窩上孔付近の部分、前頭骨、冠状縫合のうちの1つまたは複数であってもよい。血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中に、ヘッドカバーの血管圧迫要素は、頭蓋の一部に対して動脈または静脈を圧迫することによって患者の頭蓋循環系の動脈または静脈を少なくとも部分的に血管圧迫するように配置されてもよい。頭蓋循環系の動脈または静脈は、外頸動脈の支流または内頸動脈の支流であってもよい。頭蓋循環系の動脈または静脈は、眼動脈であってもよい。頭蓋循環系の動脈または静脈は、浅側頭動脈であってもよい。頭蓋循環系の動脈または静脈は、後耳介動脈であってもよい。頭蓋循環系の動脈または静脈は、後頭動脈であってもよい。頭蓋循環系の動脈または静脈は、眼窩上動脈または滑車上動脈であってもよい。頭蓋の一部は、上側頭線、下側頭線、頭頂骨、鱗状縫合、側頭骨、ラムダ縫合、後頭骨、乳様突起、蝶形骨、眼窩上孔付近の部分、前頭骨、冠状縫合のうちの1つまたは複数であってもよい。頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップは、患者の骨膜の一部に対する患者の頭蓋循環系の血管を含む頭皮の一部の圧迫に起因してもよい。頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップは、ヘッドカバーの血管圧迫要素と患者の頭蓋循環系の血管との間の相互作用によってもたらされてもよい。方法の、頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップは、毛包の血管床の一部において血管圧迫を誘発するように、骨膜の一部に対して頭皮の一部を圧迫するステップをさらに含んでもよい。係合させるステップ中に、血管圧迫要素が、患者の頭蓋循環系の特定の静脈または特定の動脈を少なくとも部分的に血管圧迫するために特定の静脈または特定の動脈に近接して配置されるように、ヘッドカバーの血管圧迫要素は、患者の頭部に対して配置されてもよい。特定の静脈または特定の動脈は、上述した血管のいずれかであってもよい。方法は、本明細書に記載されたいずれかの方法またはデバイスの使用の前、最中、または後に患者への血管収縮薬剤の送達をさらに含んでもよい。血管収縮薬剤は、アルファ・アドレナリン受容体作動薬、バソプレシンアナログ、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリン、ドーパミン、ドブタミン、片頭痛薬、頭痛薬、セロトニン5-ヒドロキシトリプタミン作動薬、およびトリプタンのうちの1つであってもよい。上記のいずれかにおけるような方法またはデバイスにおいて、患者は、注射、輸液、標的療法、ホルモン療法、または免疫療法による化学療法を受けてもよい。患者は、静脈内の方法、クモ膜下の方法、動脈内の方法、腔内の方法、筋肉内の方法、病巣内の方法、または嚢内の方法によって化学療法を受けてもよい。患者は、自宅、ヘルスケアプロバイダ事業所、診療所、外来患者輸液センター、病院の輸液センター、または病院の病室で化学療法を受けてもよい。
【0013】
[0014]本発明の新規な特徴は、後続の特許請求の範囲に詳細に記載される。本発明の特徴および利点のより良い理解が、本発明の原理が利用される例示的実施形態を記載する以下の詳細な説明、および以下の添付図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】[0015]胸部における腫瘍または悪性病巣を治療するための化学療法による治療の始めにおける癌患者の俯瞰図である。この図は、化学療法薬を収容する小袋を含み、この小袋の量は、化学療法による治療セッションの開始時のものである。
図1B】[0016]図1Aの患者の胸部における腫瘍または悪性病巣の拡大図である。
図2A】[0017]化学療法薬の送達量および残りの量を示す図1Aの小袋の図である。
図2B】[0018]薬物濃度(mg/L)および時間(分)の関数として患者の血液ストリーム中の化学療法薬の予期される濃度曲線を示すグラフである。三角形は、小袋内に見える流体の液位によって示されるような送達された化学療法剤の量に基づいて推定濃度を示す。
図3A】[0019]小袋内の流体の液位の減少によって示されるような化学療法薬の送達量および残りの量を示す図1Aの患者および小袋の図である。
図3B】[0020]図3Aの患者の状態について薬物濃度(mg/L)および時間(分)の関数として患者の血液ストリーム中の化学療法薬の予期される濃度曲線を示す図2Bのグラフである。三角形は、ほぼピークまたは最大薬物濃度である、小袋内に見える流体の液位の減少によって示されるような送達された化学療法剤の量に基づく推定濃度を示す。
図4】[0021]図1Bの標的の腫瘍または悪性病巣における化学療法誘発性の壊死のプロセスの状態の図である。
図5A】[0022]小袋内の流体の液位の減少によって示されるような化学療法薬の送達量および残りの量を示す図3Aの患者および小袋の図である。図5Aの患者についての薬物濃度(mg/L)および時間(分)の曲線は、最高レベルであるか、最高レベル近くであるか、または最高レベルを超える。
図5B】[0023]図1Bおよび図4の標的の腫瘍または悪性病巣中の化学療法誘発性の壊死のプロセスの進行状態の図である。
図5C】[0024]何らかの化学療法薬が頭骨、頭皮、または毛髪の血管床の血管系に到達する前の頭皮、および血管床を含む毛包の断面図である。
図5D】[0025]化学療法薬の浸透および循環を示す図5Cの頭皮および毛包血管床の断面図である。
図6A】[0026]図1B図4、および図5Bの標的の腫瘍または悪性病巣中の化学療法誘発性の壊死の最終状態の図である。
図6B】[0027]図5Dで始まった患者の毛包における幅広く広がった化学療法誘発性の壊死の最終状態の図である。
図6C】[0028]化学療法誘発性の脱毛症、抜け毛、毛包の死滅、および/または成長期脱毛の1つまたは組合せによってもたらされる図1A図3A、および図5Aの患者における幅広く広がった抜け毛の状態の側面図である。
図7A】[0029]頭骨の骨性部分を覆った組織の層を明らかにするために皮膚および頭皮が引き出された部分の俯瞰図である。
図7B】[0030]図7Aの皮膚および頭皮が引き出された部分の断面図である。
図7C】[0031]図7Bの皮膚および頭皮の示された領域の断面図である。
図8】[0032]健康な頭皮および血管床を含む毛包の断面図である。
図9】[0033]化学療法を受ける患者の血液供給において血管圧迫を誘発するためのヘッドカバーの俯瞰図である。この図は、ヘッドカバー内の1つまたは複数の血管圧迫要素のための外部ポンプまたはコントローラに接続されるシェルおよび内側ライナも示す。この図では、シェルに接続された顎下ストラップも見える。ヘッドカバーは、頭皮および眉に血管圧迫を送達するように構成される。
図10A】[0034]化学療法を受ける患者の血液供給において血管圧迫を誘発するためのヘッドカバーの俯瞰図および内側部分図である。この図は、ヘッドカバー内の1つまたは複数の血管圧迫要素のためのシェル装着式ポンプまたはコントローラに接続されるシェルおよび内側ライナも示す。この図では、シェルに接続された顎下ストラップも見える。図示の血管圧迫要素は、内向きに拡張する多岐管であり、内向きとは、シェルから離れる、頭皮に向く向きである。ヘッドカバーは、頭皮および眉に血管圧迫を送達するように構成される。
図10B】[0035]1つまたは複数の隆起特徴を備えた血管圧迫要素を有するライナの一部の断面図である。隆起特徴は、ヘッドカバーを着用している患者を向く丸い形状を有する。
図10C】[0036]図10Cは、1つまたは複数の隆起特徴を備えた血管圧迫要素を有するライナの一部の断面図である。隆起特徴は、ヘッドカバーを着用している患者を向く平らな頂部セクションを備えた長方形の四角錐形状を有する。
図11A】[0037]化学療法を受けている患者の血液供給において血管圧迫を送達するために使用される血管圧迫要素を着用している患者の頭部の側面図である。この図は、(この図には見えない)ポンプまたはコントローラに接続される膨張可能なライナも示す。膨張可能なライナ血管圧迫要素は、頭皮および眉に血管圧迫を送達するように構成される。
図11B】[0038]頭皮および眉に血管圧迫を送達するために図11Aの血管圧迫要素を用いて化学療法を受ける患者の血液供給において血管圧迫を誘発するためのヘッドカバーのシェルおよび顎先下ストラップを示す図11Aの患者の側面図である。
図12A】[0039]血管圧迫を送達するのに使用される少なくとも1つの血管圧迫要素を含むヘッドカバーを着用している患者の頭部の側面図である。これは、化学療法を受ける患者の開始前または開始直後の患者の状態である。ヘッドカバーのシェルに接続された顎下ストラップは、この図にも見える。ヘッドカバーは、患者の頭皮および眉に血管圧迫を送達するように構成される。
図12B】[0040]図12Aの患者の毛髪、頭皮、および毛包の一部の断面図である。この図は、ヘッドカバーが身に着けられるときの(図12A)、および血管圧迫を送達する前の頭皮に押し付けられる毛髪を示す図である。
図12C】[0041]図12Bの患者の毛髪、頭皮、および毛包の一部の断面図である。この図は、毛包の血管床内の血管圧迫を引き起こすヘッドカバー内の1つまたは複数の血管圧迫要素の拡張を示す。
図12D】[0042]眉を含む頭皮の多数の部分に血管圧迫がかけられ得ることを矢印が示している、化学療法および血管圧迫を受療中の患者の外観図である。
図13】[0043]図13Aは化学療法薬のほぼ空の小袋によって示されるような、ほぼ完了している化学療法セッション中にヘッドカバーから血管圧迫を受ける図12A図12Dの患者の図である。[0044]図13B図13Aの患者の状態について薬物濃度(mg/L)および時間(分)の関数として患者の血液ストリーム中の化学療法薬の予期される濃度曲線を示すグラフである。三角形は、図13Aの小袋内に見える流体の液位の減少によって示されるような送達された化学療法剤の量に基づいて推定濃度を示す。矢印は、薬物濃度量がほぼピークもしくは最大薬物濃度であるまたはピークもしくは最大薬物濃度をちょうど超えることを示す。[0045]図13Cは化学療法薬の送達中に血管圧迫を受けている図12A図12D、および図13Aの患者の標的の腫瘍または悪性病巣中の化学療法誘発性の壊死のプロセスの進行状態の図である。[0046]図13Dは化学療法薬(図13B)の送達中に血管圧迫を受けている図12A図12D、および図13Aの患者のヘッドカバー、頭皮、および毛包の断面図である。この図は、血管床はいずれの化学療法薬も完全にないまたはいずれの化学療法薬も実質的にないこと、または血管床に到達する化学療法薬のレベルは毛包を害するレベルよりも低く維持されることを示す。
図14】[0047]血管圧迫を用いた化学療法の送達後の期間における図13Aの患者の側面図である。血管圧迫の有益な効果の結果として、患者は、頭部と眉の両方で毛髪を維持している。
図15】[0048]化学療法による治療を受療中の患者に血管圧迫を与える代表的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0049]図1Aは、胸部における腫瘍または悪性病巣20を治療するための化学療法による治療の始めにおける癌患者1の俯瞰図である。この図は、化学療法薬10を収容するIV小袋5を含み、小袋15の量は、化学療法による治療セッションの開始時のものである。
【0016】
[0050]図1Bは、図1Aの患者1の胸部における腫瘍または悪性病巣20の拡大図である。
[0051]図2Aは、化学療法薬10の送達量および残りの量15を示す図1AのIV小袋5の図である。
【0017】
[0052]図2Bは、薬物濃度(mg/L)および時間(分)の関数として患者の血液ストリーム中の化学療法薬10の予期される濃度曲線を示すグラフである。三角形25は、小袋5内に見える流体15の液位によって示されるような送達された化学療法剤10の量に基づいて推定濃度を示す。
【0018】
[0053]図3Aは、小袋内の流体の液位の減少によって示されるような化学療法薬10の送達量15および残りの量を示す図1Aの患者およびIV小袋5の図である。
[0054]図3Bは、図3Aの患者の状態について薬物濃度(mg/L)および時間(分)の関数として患者の血液ストリーム中の化学療法薬10の予期される濃度曲線を示す図2Bのグラフである。三角形25は、ほぼピークまたは最大薬物濃度である小袋内に見える流体の液位の減少によって示されるような送達された化学療法剤の量に基づく推定濃度を示す。
【0019】
[0055]図4は、図1Bの標的の腫瘍または悪性病巣における化学療法誘発性の壊死のプロセスの状態の図である。
[0056]図5Aは、IV小袋5内の流体の液位の減少15によって示されるような化学療法薬10の送達量15および残りの量を示す図3Aの患者および小袋の図である。図5Aの患者についての薬物濃度(mg/L)および時間(分)の曲線は、最高レベルである、最高レベル近くである、または最高レベルを超える(例えば、図3Bのピークレベルを参照)。
【0020】
[0057]図5Bは、図1Bおよび図4の標的の腫瘍または悪性病巣20中の化学療法誘発性の壊死のプロセスの進行状態の図である。大量の化学療法薬10が腫瘍または病巣20に送達されており、腫瘍または病巣20によって吸収される。
【0021】
[0058]図5Cは、図8に類似する頭皮および毛包の断面図である。この図では、何らかの化学療法薬10が頭骨、頭皮、または毛髪の血管床の血管系に到達する前の血管床が示される。
【0022】
[0059]図5Dは、血管系62内の化学療法薬の浸透および循環を示す図5Cの頭皮および毛包血管床の断面10である。
[0060]図6Aは、図1B図4、および図5Bの標的の腫瘍または悪性病巣20中の化学療法誘発性の壊死の最終状態の図である。
【0023】
[0061]図6Bは、図5Dで始まった患者の毛包における幅広く広がった化学療法誘発性の壊死の最終状態の図である。血管系62は、球部64および関連する毛幹70に送達され、それらを破滅させた化学療法薬10を収容する。頭皮および眉毛の血管床の中への化学療法薬の導入は、患者に、1つまたは複数の化学療法誘発性脱毛症(CIA)、化学療法薬物誘発性の抜け毛、毛包の死滅および/または成長期脱毛をもたらす。
【0024】
[0062]図6Cは、化学療法誘発性の脱毛症、抜け毛、毛包の死滅、および/または成長期脱毛の1つまたは組合せによってもたらされる図1A図3A、および図5Aの患者における幅広く広がった抜け毛の状態の側面図である。頭部3および眉上の毛髪7の量は、図1A図3A、および図5Aの先の図の量よりも少ない。
【0025】
[0063]上述した有害な結果は、化学療法薬が毛包に到達するのを妨げるまたは防ぐ本明細書に記載されたデバイスおよび方法の一実施形態を用いて大部分は緩和または回避され得る。本明細書において使用されるとき、血管圧迫は、頭皮への動脈供給において充満圧または収縮期圧力に打ち勝つのに十分な患者の頭部に加えられる力を指す。言い換えると、本明細書に記載された様々な実施形態および方法によって実現される血管圧迫は、頭皮への動脈の血液供給を遮断し、それによって化学療法における血液ストリーム中の化学療法薬が、毛包血液供給に到達するのが防がれる。
【0026】
[0064]図7Aは、頭骨の骨性部分を覆った組織の層を明らかにするために皮膚30および頭皮が引き出された部分に関する患者1の頭部3の俯瞰図である。皮膚30の真下には、結合組織32、腱膜または頭蓋層34、および疎性輪紋状組織36が示される。疎性輪紋状層36の下方には、頭蓋骨膜38、そして骨40がある。
【0027】
[0065]図7Bは、図7Aの皮膚および頭皮が引き出された部分の断面図である。図7Cは、図7Bの皮膚および頭皮の示された領域の断面図である。この図は、皮膚および密性結合組織(30/32)と、帽状腱膜34、疎性輪紋状結合組織36、ならびに骨膜38および骨40との関係を示す。
【0028】
[0066]図8は、健康な頭皮および血管床を含む毛包の断面図である。血液供給62は、栄養素を個々の毛包に供給する動脈および静脈を含む。毛幹70および球部64は、毛乳頭細胞60および血液供給62に関して示される。皮脂腺68および立毛筋66は、この図にも示される。
【0029】
[0067]図9は、化学療法を受ける患者1の血液供給において血管圧迫を誘発するためのヘッドカバー100の一実施形態の斜視左側面図である。この図は、前縁112、頂部113、左側縁116、および後縁114と共に、シェル110も示す。この図には、見えているライナ120および1つまたは複数の血管圧迫要素130の一部と共に、ヘッドカバー内側の一部も示される。1つまたは複数の血管圧迫要素130は、適切なコネクタ185を用いて外部ポンプまたはコントローラ180に接続される。ポンプまたはコントローラ180は、ヘッドカバー100内の1つまたは複数の血管圧迫要素130を用いて患者への所望の血管圧迫療法を実行するために使用される。この図では、シェルに接続された顎下ストラップも見える。ヘッドカバー100は、前縁112が眉への血管圧迫を与えるように選択されている血管圧迫を頭皮へ送達するように適合および構成されたシェル110を有する。一態様では、1つまたは複数の血管圧迫可能な要素130は、頭皮/毛髪7および眉9、ならびに生え際と眉との間の前額部上のスペースを取り扱うためにシェルのライナまたは内側に連続的に沿って設置され得る。さらにまたは任意選択で、別々の血管圧迫要素130が、要素130が生え際と眉との間の前額部区域内にない状態で、眉および毛髪のために使用される。
【0030】
[0068]図10Aは、化学療法を受ける患者1の血液供給において血管圧迫を誘発するためのヘッドカバー100の一実施形態の斜視右側面図および部分内側図である。この図は、頂部113、前縁112、後縁114、および右側縁118を備えたシェル110も示す。シェル110は、患者1の毛髪/頭皮7および眉9へ血管圧迫療法を送達するように並べられた血管圧迫要素130の位置を示すように透明として示される。この図にも、左側縁116に隣接したライナ120の内側部分が示されている。ヘッドカバーの本実施形態では、ポンプまたはコントローラ190は、ヘッドカバー100上へ(例えば、シェル110の一部へ)直接装着される。(ポンプまたはコントローラ180のような)ポンプまたはコントローラ190は、ヘッドカバー100内の1つまたは複数の血管圧迫要素130に適切に接続される。装着されたポンプまたはコントローラ190は、ヘッドカバー100内の1つまたは複数の血管圧迫要素130を用いて患者への所望の血管圧迫療法を実行するために使用される。この図では、シェル110に接続された顎下ストラップ145も見える。図示の血管圧迫要素130は、内向きに拡張する多岐管であり、(シェル110から離れるように)内向きに頭皮へ向いている。ヘッドカバー100は、頭皮に隣接して配置された血管圧迫要素130のサイズ、向き、および位置、ならびに眉9と係合するために配置された別の別個のまたは間隔をおいて配置された血管圧迫要素130によって見ることができるように、頭皮および眉9に血管圧迫を送達するように構成される。
【0031】
[0069]図10Bは、1つまたは複数の隆起特徴170を備えた血管圧迫要素130を有するライナ120の一部の断面図である。この例示的実施形態では、隆起特徴170は、ヘッドカバー100を着用している患者を向く丸い形状を有する。
【0032】
[0070]図10Cは、1つまたは複数の隆起特徴170を備えた血管圧迫要素130を有するライナ120の一部の断面図である。この例示的実施形態では、隆起特徴170は、ヘッドカバー100を着用している患者を向く平らな頂部セクションを備えた長方形の四角錐形状を有する。
【0033】
[0071]図11Aは、化学療法を受けている患者の血液供給において、血管圧迫を送達するために使用される血管圧迫要素を着用している患者の頭部3の左側面図である。ヘッドカバー100の外側シェル110は、この図では除去されている(しかし、図11Bの図に見ることができる)。異なるサイズおよび形状の血管圧迫要素130のアレイが、この図内に見える。さらにまたは任意選択で、1つまたは複数の要素130は、ポンプまたはコントローラ180/190(この図には見えない)に接続されている膨張可能なライナとして構成され得る。この構成では、膨張可能なライナの血管圧迫要素130は、頭皮7および眉9へ血管圧迫を送達するように構成されている。
【0034】
[0072]図11Bは、所定の位置にシェル110を備えた完全なヘッドカバー100を示す図11Aの患者の左側面図である。ヘッドカバー100は、例示的な顎下ストラップ140を用いて頭部3に保持される。図11Bは、図11Aの血管圧迫要素構成を用いて化学療法を受ける患者1の血液供給において血管圧迫を誘発するための頭部3上のヘッドカバー100の例示的な位置を示す。一態様では、ヘッドカバー110は、頭皮7および眉9の保護のために血管圧迫を送達する。
【0035】
[0073]図9図10図11A、および図11Bに図示および説明されたヘッドカバー100は、いくつかの変形例および代替例である。次に、様々なヘッドカバー100の実施形態の特徴および動作に関するいくつかのさらなる詳細に移る。
【0036】
[0074]一実施形態では、前縁、後縁、頂部、左側縁、および右側縁を有するシェルを有する、化学療法を受ける患者の血液供給において血管圧迫を誘発するためのヘッドカバー100が提供される。患者の毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成されたライナが、シェル内にある。外側シェル内にある少なくとも1つの血管圧迫要素、およびシェルに結合されたヘッドカバー保持システムも含まれる。
【0037】
[0075]一態様では、ヘッドカバー保持システム140は、シェル110に接続された顎下ストラップを含んでもよい。任意選択で、ヘッドカバー保持システム140は、シェルに接続された後部ストラップ、前部ストラップ、またはネックストラップのうちの1つまたは複数を含んでもよい。いくつかの実施形態では、シェル保持システムは、1つまたは複数の調整要素を備える。任意選択で、ヘッドカバー保持システム140は、面ファスナ、バックル、クイックリリース機構、または調整特徴を含んでもよい。
【0038】
[0076]追加の態様では、少なくとも1つの血管圧迫要素は、ライナ120内にある拡張可能な内袋150である。さらなる態様では、少なくとも1つの血管圧迫要素は、シェルに結合される。拡張可能な内袋と連通する圧力源160も存在してもよい。さらにまたは任意選択で、前縁112、後縁114、左側縁116、および右側縁118を接続する連続的な外周部160が設けられてもよい。さらに、一実施形態では、ヘッドカバー100は、後頭部領域から眉までまたは前額部までの連続的な構造である。またさらに、眉における血管圧迫効果のため眉を圧迫するための、構造または膨張可能な構造が設けられる。圧力源は、単独で、あるいは図9の制御システム180およびコネクタ185によって構成されるような、または図10Aに構成されるような制御システム190によるような制御システムの一部として使用され得ることを理解されたい。一実施形態では、圧力源160は、図9に示されるような適切なコネクタ185を用いてヘッドカバー100の構成要素と連通している。別の実施形態では、圧力源160は、図10Aの制御システム190の構成に示されるようにヘッドカバー100上に装着される。
【0039】
[0077]追加の実施形態では、少なくとも1つの血管圧迫要素は、圧力源160に反応してシェルから離れるように拡張する拡張可能な特徴を含む。ライナに結合された拡張可能な層が設けられてもよく、少なくとも1つの血管圧迫要素は、拡張可能な層上にある。さらにまたは任意選択で、少なくとも1つの血管圧迫要素は、1つまたは複数の隆起特徴を含む。患者の毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成された、シェル内にあるライナは、ライナ上に、患者の毛髪と係合する1つまたは複数の特徴を含んでもよい。またさらに、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素は、滑らかであるか、テクスチャ付けされるか、不規則的形状を有するか、あるいは直線形または円形の半硬質の、可撓性の、もしくは膨張可能な構造を有する、等しく分散された突出部のアレイを含んでもよい。
【0040】
[0078]さらに他の態様では、ライナの一部または少なくとも1つの血管圧迫要素の一部の膨張のために、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する気体源が含まれる。このシステムは、ヘッドカバー100の膨張可能な要素の過圧を防ぐための少なくとも1つの逃し弁を含んでもよい。様々な実施形態では、気体源は、手動ポンプ機構、球部、電動ポンプ、または、加圧タンク、カートリッジ、もしくは槽である。任意選択で、気体源は、患者によって着用または携帯されてもよい。またさらに、ヘッドカバー100は、家庭用気体、クリーンドライエア、または他の建物供給式気体源と共に使用するための取付具またはコネクタを含むことができる。さらにまたは任意選択で、ヘッドカバー100内の所望の圧力を維持するように気体源からの気体の流れを調整するために構成された制御システム180または制御システム190などの制御システムが設けられてもよい。
【0041】
[0079]またさらなる実施形態では、制御システム180または制御システム190は、本明細書に記載されたものなどの他の追加の機能を含むように適合および構成された気体源および制御システムであってもよい。ヘッドカバー100内の所望の圧力は、患者への不快感もしくは副作用または周囲構造への危害を最小にしつつ、血管圧迫の結果をもたらすのに十分なものである。ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する冷却気体源も含まれてもよく、ライナの一部または少なくとも1つの血管圧迫要素の一部は、ヘッドカバー100の内側部分に冷却を与えるように適合される。ヘッドカバー100の内側部分内にある1つまたは複数の圧力センサが含まれてもよい。1つまたは複数の圧力センサは、制御システム180/190へ圧力の示度の信号を生成するように適切に選択され、設けられてもよい。またさらに、1つまたは複数の圧力センサは、化学療法を受療中の患者がヘッドカバー100を着用しているときに患者にかけられる圧力量を示すように適合される。さらに、1つもしくは複数のセンサは、皮膚灌流(O2sat)を測定するように構成されてもよく、またはドップラー血流モニタもしくは赤外パルスオキシメータセンサであってもよい。本明細書に記載されたセンサは、化学療法薬を含む血液の流れを防ぐように、流れが停止させられるまたは十分に遅くされることを決定するために、血管圧迫を受ける血管系内の血流速度を決定するように適合および構成されてもよい。一態様では、かなり低下した血流または停止された血流の検出は、加えられる血管圧迫の量が十分である確度を高めるために、さらなるマージンの分、血管圧迫の量を増加させるための制御システム180/190内のトリガとして使用することもできる。血管圧迫のこのさらなるマージンは、血流の量を測定し、血管圧迫を増加させ、遅くなったまたは停止したかどうかを判定するために血流を測定し、次いで、必要に応じて、血管圧迫レベルを増加させるという、制御システム180/190によって実行されるフィードバックループに含まれ得る。その後、停止された血流を検出した後に血管圧迫レベルを増加させるさらなるステップが、一時的および可逆の血管圧迫により誘発される血管閉鎖を確実にするために安全マージンとして追加されてもよい。
【0042】
[0080]さらに、ヘッドカバー100は、タイマが経過したときに自動収縮プロトコルを与えるように、または任意の作動中の血管圧迫要素の動作を止めるように適合されたタイマおよび制御システム180/190に結合されてもよい。一変形例では、ヘッドカバー100は、ライナまたは1つもしくは複数の血管収縮要素のプログラムされた自動的な膨張および収縮、あるいは1つまたは複数の血管収縮要素の作動および動作停止のために適合されたタイマならびに制御システム180/190に結合されてもよい。システム180/190は、ディスプレイと、Bluetooth、近距離無線通信、または他の無線もしくは有線通信の能力とを含んでもよい。またさらに、システムは、ステータス、プログラミング、患者の情報、または血管圧迫療法もしくは操作の他の態様を、携帯電話、ネットワーク、遠隔ネットワーク、または健康情報システムに通信することができる。さらに他の態様では、ディスプレイは、ヘルスケアプロバイダまたは患者へ情報を提供するためにヘッドカバー100上に配置されてもよい。さらにまたは任意選択で、ディスプレイは、シェル110の一部の上に、その中に、その内に、またはそれと一体に位置することができる。ディスプレイの一実施形態は、患者がヘッドカバーを用いてディスプレイを見ることを可能にするために可動マウント上にあってもよい。さらにまたは任意選択で、ヘッドカバーは、スマートフォンまたは他の別個の電子デバイスが、ヘッドカバーに装着されるとともに、ヘッドカバーの構成要素の電子通信、相互作用、および制御のために構成されることを可能にするように、適切なマウント、コネクタ、または接続性と適合されてもよい。追加の態様では、ヘッドカバー100は、イヤホン、ヘッドホン、スピーカ、または患者の耳に隣接した他の音響部品も含んでもよい。これらの実施形態では、システムは、化学療法を受療する間、またはヘッドカバー100を使用する間に、ノイズキャンセリング、音楽、メディア、または他のエンターテインメントを患者に与えるようにも構成される。
【0043】
[0081]さらに、制御システム180/190の一実施形態のタイマシーケンスによって動作しているヘッドカバー100に関して、タイミングは、使用時の化学療法剤の予期される半減期または毒性レベルに対応するように適合されてもよい。このようにして、血管圧迫療法の開始、および血管圧迫療法の継続期間は、残留の化学療法薬の血液の長引く毒性に対応するように化学療法薬の導入および予期される血管圧迫療法の継続期間に関連し得る。図3Bおよび図13Bの薬物濃度プロフィールを考慮すると、血管圧迫療法の継続期間は、薬物濃度レベルがピークレベルよりも低く、ゼロまたは血液の化学療法前のレベルに近づくその時間継続期間へ選択される。この量は、患者、ならびに使用時の特定の毒性プロフィールおよび特定の化学療法薬の半減期によって異なり得る。したがって、コントローラ180/190のタイミング機能は、患者および使用される薬剤の詳細に対処するように選択されたタイマが経過したときの自動収縮プロトコルを与えてもよい。任意選択で、血中の化学療法薬の毒性レベルが、頭皮および毛髪構造(図8)の健康に対してさらなる脅威をもたらさないか、または脅威がかなり低減されるというさらなる確信を与えるように、さらなるタイミングマージンが、追加されてもよい。さらにまたは任意選択で、タイマが経過し、または任意の作動中の血管圧迫要素の動作を止めると、制御システムは、血管圧迫療法後の血流の再導入を順に行うように血管圧迫療法の中断を段階的に行うか、またはそれについて時差を設けることができる。一変形例では、ヘッドカバー100は、上述したガイドラインに従って、ライナまたは1つもしくは複数の血管収縮要素のプログラムされた自動的な膨張および収縮、あるいは1つまたは複数の血管収縮要素の作動および動作停止のために適合されたタイマならびに制御システム180/190に結合されてもよい。
【0044】
[0082]ライナを有するヘッドカバー100のさらなる他の実施形態では、ライナは、患者の頭部および毛髪の形状に正確にフィットするように、患者に対する正確なフィットのために構成された硬質層または半弾性層であってもよい。
【0045】
[0083]本明細書に記載された様々な毛髪カバーの実施形態は、患者の頭蓋循環系の1つまたは複数の脈管を圧迫するように配置された1つまたは複数の選択的な圧点を含んでもよい。さらに、他の実施形態は、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素に結合された振動要素を含んでもよい。またさらなる実施形態では、ライナ120および少なくとも1つの血管圧迫要素130は、患者の髪型に基づいて、ヘッドカバー100に対してサイズ決定、形成、または配置される。
【0046】
[0084]ヘッドカバー100のなおまた別の代替実施形態では、前縁、後縁、頂部、左側縁、および右側縁を有するキャップがある。患者の毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成されたライナが、キャップ内にある。少なくとも1つの血管圧迫要素が、キャップ内にある。一代替例では、キャップは、少なくとも1つの血管圧迫要素が作動中であるときに、頭部上に、所定の位置に留まるようにサイズ決定された、可撓性構造、部分的可撓性構造、半硬質構造と可撓性構造との組合せ、または調整可能構造を備える。
【0047】
[0085]なおまた他の様々な代替実施形態では、キャップのフォームファクタを有するヘッドカバー100は、上述した代替の、任意選択での、およびさらなる変形例および実施形態のいずれかを含むように適合および構成されてもよい。
【0048】
[0086]いくつかの実施形態では、1つまたは複数の血管圧迫要素は、ばね、機械的リンク、電気機械駆動、または電磁的装置を介して頭皮と接触するように付勢される。
[0087]次に、化学療法を受療中の患者に血管圧迫を与える例示的な方法を説明するために使用される図12A図15を見ると、方法およびその変形例は、上述したヘッドカバー100の実施形態、または血管圧迫要素130のいずれかを用いて実施のために修正され得ることを理解されたい。
【0049】
[0088]図12Aは、血管圧迫を送達するのに使用される少なくとも1つの血管圧迫要素130を含むヘッドカバー100を身に着けている患者の頭部の左側面図である。これは、化学療法を受ける患者の開始前または開始直後の患者の状態である。この図では、ヘッドカバー100のシェル110に接続された顎下ストラップ140も見える。ヘッドカバー100は、患者の頭皮7および眉9に血管圧迫を送達するように構成される。
【0050】
[0089]図12Bは、図12Aの患者の毛髪、頭皮、および毛包の一部の断面図である。この図は、ヘッドカバー100が身に着けられるときの(図12A)、および血管圧迫の送達前の頭皮に押し付けられる毛髪7を示す。
【0051】
[0090]図12Cは、図12Bの患者の毛髪、頭皮、および毛包の一部の断面図である。この図は、毛包の血管床62内の血管圧迫を引き起こす(矢印の方向の)ヘッドカバー100内の1つまたは複数の血管圧迫要素130の拡張を示す。
【0052】
[0091]図12Dは、血管圧迫がヘッドカバー100によって送達されている間に、化学療法を受療中の患者1の外観図である。矢印は、血管圧迫が眉9を含む頭皮7の多数の部分に同時にまたは順次、適用され得ることを示す。
【0053】
[0092]図13Aは、化学療法薬10のほぼ空のIV小袋5によって示されるように、ほぼ完了している化学療法セッション中にヘッドカバーから血管圧迫を受ける図12A図12Dの患者の図である。
【0054】
[0093]図13Bは、図13Aの患者の状態について薬物濃度(mg/L)および時間(分)の関数として患者の血液ストリーム中の化学療法薬10の予期される濃度曲線を示すグラフである。三角形25は、図13Aの小袋内に見える流体の液位の減少によって示されるような送達された化学療法剤の量に基づいて推定濃度を示す。矢印は、薬物濃度量がほぼピークもしくは最大薬物濃度であるまたはピークもしくは最大薬物濃度をちょうど超えることを示す。
【0055】
[0094]図13Cは、化学療法薬の送達中に血管圧迫を受けている図12A図12D、および図13Aの患者の標的の腫瘍または悪性病巣中の化学療法誘発性の壊死のプロセスの進行状態の図である。
【0056】
[0095]図13Dは、化学療法薬10(図13B)の送達中に血管圧迫を受けている図12A図12D、および図13Aの患者のヘッドカバー100、頭皮および毛包の断面図である。この図は、血管床はいずれの化学療法薬10も完全もしくは実質的にないこと、または血管床に到達する化学療法薬10のレベルが毛包を害するレベルよりも低く維持されることを示す。
【0057】
[0096]図6Bの保護されていない患者による破滅的な損傷経験とは対照的に、化学療法中に血管圧迫を受けた患者は、血管系62を閉鎖しており、化学療法薬10が球部64および関連する毛幹70に送達されるのが防がれ、または球部64および関連する毛幹70に損傷を与えるのを防ぐ。頭皮および眉毛の血管床の中への化学療法薬の導入の有利な防止の結果として、化学療法と組み合わせて本明細書に記載されたような血管圧迫を受ける患者は、化学療法誘発性脱毛症(CIA)、化学療法薬物誘発性の抜け毛、毛包の死滅、および/または成長期脱毛のうちの1つまたは複数を回避する。
【0058】
[0097]図14は、血管圧迫を用いて化学療法の送達後の期間における図13Aの患者の側面図である。患者は、血管圧迫の有益な効果の結果として、頭部3と眉9との両方で毛髪7を維持している。
【0059】
[0098]図15は、化学療法による治療を受療中の患者に血管圧迫を与える代表的な方法1500のフローチャートである。
[0099]化学療法を受ける患者の頭蓋循環系において血管圧迫を誘発する代表的な方法は、患者の頭部の周りにヘッドカバー100を設置することによって始まる(ステップ1510)。
【0060】
[0100]次に、ヘッドカバー100の血管圧迫要素を用いて、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップがある(ステップ1520)。
[0101]次に、患者に対する化学療法セッションを開始するステップがある(ステップ1530)。
【0061】
[0102]次に、患者に対する化学療法セッションを終了させるステップがある(ステップ1540)。
[0103]最後に、化学療法セッションを終了させるステップの後に、患者における化学療法誘発性脱毛症の影響を部分的に緩和させるのに十分な期間が経過したときに、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップを止めるステップがある(ステップ1550)。
【0062】
[0104]任意選択でまたはさらに、頭蓋循環系の一部において血管圧迫を誘発するステップは、化学療法セッションを開始するまたは終了させるステップの前、その最中、またはその後に調整されてもよい。
【0063】
[0105]方法1500は、患者の頭部に対してヘッドカバー100を固定するようにヘッドカバー保持システム140を係合させるステップを含んでもよい。
[0106]化学療法セッションを終了させるステップの後に経過した期間は、15分、30分、45分、1時間、2時間、3時間、または患者の血液ストリーム中の薬物濃度のレベルが毛包を害するレベルよりも低いときに関連する期間よりも多い。
【0064】
[0107]方法のさらなる態様では、ヘッドカバー100の血管圧迫要素130は、ライナ120であり、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中に、ライナを拡張するステップまたはライナを縮小するステップが実行される。さらにまたは任意選択で、ライナを拡張するステップ中に、患者の頭皮に対するライナによる力の増加に対応して、血管圧迫の量が増加または減少する。
【0065】
[0108]方法のさらなる態様では、1つまたは複数の特徴を有するライナであるヘッドカバーの血管圧迫要素が設けられ、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中に、ライナを拡張するステップまたはライナを縮小するステップが実行される。またさらなる態様では、ライナを拡張させるステップ中に、患者の頭皮に対するライナ上の1つまたは複数の特徴による力の増加に対応して、血管圧迫の量が増加する。さらにまたは任意選択で、ライナを縮小するステップ中に、患者の頭皮に対するライナ上の1つまたは複数の特徴による力の減少に対応して、血管圧迫の量が減少する。
【0066】
[0109]方法に関するなおまた別の変形例では、ヘッドカバーの血管圧迫要素130は、膨張可能な内袋であり、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中の血管圧迫の程度は、膨張可能な内袋内の圧力の量に少なくとも部分的に対応する。
【0067】
[0110]方法に関するなおまた別の変形例では、ヘッドカバーの血管圧迫要素130は、膨張可能な内袋であり、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中の血管圧迫の程度は、頭骨に対して膨張可能な内袋内の圧力を上昇または低下させることによって増加または減少する。
【0068】
[0111]なおまた別の変形例では、ヘッドカバーの血管圧迫要素は、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中に、毛包を有する患者の頭皮の一部と接触するように付勢される、ヘッドカバーの内面上に配列された1つまたは複数の特徴である。
【0069】
[0112]別の変形例は、ヘッドカバーの血管圧迫要素が、患者の毛髪の配列に対応する、ヘッドカバーの内面上に配列された1つまたは複数の特徴であり、1つまたは複数の特徴は、患者の頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップの成果を高めるために、患者の毛髪の配列に作用することを含む。
【0070】
[0113]方法のまたさらに別の変形例では、血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中に、ヘッドカバーの血管圧迫要素は、複数の毛包への血液供給を少なくとも部分的に血管圧迫するように、頭蓋の一部に対して複数の毛包を含む頭皮の一部を圧迫する。さらにまたは任意選択で、頭蓋の一部は、上側頭線、下側頭線、頭頂骨、鱗状縫合、側頭骨、ラムダ縫合、後頭骨、乳様突起、蝶形骨、眼窩上孔付近の部分、前頭骨、冠状縫合のうちの1つまたは複数であるステップが与えられる。
【0071】
[0114]方法の別の代替バージョンでは、血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップ中に、ヘッドカバーの血管圧迫要素は、ヘッドカバーの血管圧迫要素は、頭蓋の一部に対して動脈または静脈を圧迫することによって患者の頭蓋循環系の動脈または静脈を少なくとも部分的に血管圧迫するように配置される。またさらに、頭蓋循環系の動脈または静脈は、外頸動脈の支流または内頸動脈の支流であるか、頭蓋循環系の動脈または静脈は、眼動脈であるか、頭蓋循環系の動脈または静脈は、浅側頭動脈であるか、頭蓋循環系の動脈または静脈は、後耳介動脈であるか、頭蓋循環系の動脈または静脈は、後頭動脈であるか、頭蓋循環系の動脈または静脈は、眼窩上動脈または滑車上動脈である。さらに、任意選択でまたは組合せで、頭蓋の一部は、上側頭線、下側頭線、頭頂骨、鱗状縫合、側頭骨、ラムダ縫合、後頭骨、乳様突起、蝶形骨、眼窩上孔付近の部分、前頭骨、冠状縫合のうちの1つまたは複数である。シェル110の使用時のサイズ、形状、および向きは、シェル110の前縁112、後縁114、頂部113、左側縁116、および右側縁118のサイズ、形状、全体的な位置、および相対的位置と共に、上に挙げた頭蓋循環系の動脈または静脈のうちの1つまたは複数に能動的および制御可能な血管圧迫を選択的に加えるように、単独で、または本明細書に記載された1つまたは複数の血管圧迫要素の実施形態と任意の組合せで、選択されることが有利であり得ることを理解されたい。特定の一例では、頭皮が外頸動脈および眼動脈(内頸の支流)を介して豊富な動脈供給を受けることを考慮すると、頭皮/毛髪または眉の区域に他の方法で加えられる圧力よりも高い圧力(止血帯のようにではなく、むしろ直接的な点圧力)で栄養脈管を圧迫する血管圧迫要素または要素の配列の一実施形態が提供される。
【0072】
[0115]さらなる変形例では、方法は、頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップが、患者の骨膜の一部に対する患者の頭蓋循環系の血管を含む頭皮の一部の圧迫に起因することを含む。
【0073】
[0116]さらなる変形例では、方法は、頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップが、ヘッドカバーの血管圧迫要素と患者の頭蓋循環系の血管との間の相互作用によってもたらされることを含む。
【0074】
[0117]またさらに別の変形例では、頭蓋循環系の一部において血管圧迫を少なくとも部分的に誘発するステップが、毛包の血管床の一部において血管圧迫を誘発するように、骨膜の一部に対して頭皮の一部を圧迫するステップをさらに含む。
【0075】
[0118]方法の別の代替バージョンでは、係合させるステップ中に、血管圧迫要素が、患者の頭蓋循環系の特定の静脈または特定の動脈を少なくとも部分的に血管圧迫するために特定の静脈または特定の動脈に近接して配置されるように、ヘッドカバーの血管圧迫要素が、患者の頭部に対して配置されるステップがある。
【0076】
[0119]方法の別の代替は、上述した方法のいずれかの前に、その最中に、またはその後に、患者への血管収縮薬剤の送達を含む。一態様では、血管収縮薬剤は、アルファ・アドレナリン受容体作動薬、バソプレシンアナログ、エピネフリン、ノルエピネフリン、フェニレフリン、ドーパミン、ドブタミン、片頭痛薬、頭痛薬、セロトニン5-ヒドロキシトリプタミン作動薬、およびトリプタンのうちの1つである。さらに、上記の方法およびデバイス、およびその全ての変形例は、患者が、注射、輸液、標的療法、ホルモン療法、または免疫療法による化学療法を受ける間に、血管圧迫を送達するために使用されてもよい。またさらに、血管圧迫をもたらすこれらの方法およびデバイスは、患者が、静脈内の方法、クモ膜下の方法、動脈内の方法、腔内の方法、筋肉内の方法、病巣内の方法、または嚢内の方法によって化学療法を受ける前に、またはその間に用いられてもよい。さらにまたは任意選択で、血管圧迫をもたらすこれらの方法およびデバイスは、コンパクトであり、携帯可能であり、患者と共に移動可能であるので、方法およびデバイスは、患者が、自宅、ヘルスケアプロバイダ事業所、診療所、外来患者輸液センター、病院の輸液センター、または病院の病室で化学療法を受けるかに関わらず、容易に用いられ得る。
【0077】
[0120]ヘッドカバー、シェル、ヘッドカバー保持特徴の構成の詳細、または1つもしくは複数の血管圧迫要素の構成の詳細は、Derrへの米国特許第3,242,500号を参照することによって理解することができる。
【0078】
[0121]潜在的に適切な物質のさらなる詳細、ヘッドカバー、シェル、ヘッドカバー保持特徴の構成の詳細、または1つもしくは複数の血管圧迫要素の構成の詳細は、Javorekへの米国特許第9,743,701号を参照することによって理解することができる。例示および例としては、例えば、面ファスナ、バックル、クイックリリース機構、または調整特徴に関連した詳細を有する1つまたは複数のヘッドカバー保持システムの実施形態と共に使用するためのさらなる態様および代替が本明細書に記載される。
【0079】
[0122]潜在的に適切な物質のさらなる詳細、1つまたは複数の血管圧迫要素の構成の詳細は、Goodingへの米国意匠特許第267,287号を参照して理解され得る。
[0123]潜在的に適切な物質のさらなる詳細、ヘッドカバー、シェル、ヘッドカバー保持特徴の構成の詳細、または1つもしくは複数の血管圧迫要素の構成の詳細は、Copelandへの米国出願公開第2006/0070170号を参照することによって理解することができる。
【0080】
[0124]本明細書に記載されたデバイスおよび方法との組合せで使用され得る潜在的に適切な相補的な化合物のさらなる詳細、ならびに化学療法誘発性脱毛症の治療に関連する情報は、Georgopoulosへの米国特許出願公開第2019/0240192号を参照することによって理解され得る。
【0081】
[0125]上に挙げたものに加えて、なおまたさらなる追加の代替実施形態、および本明細書に記載された発明の特徴の組合せは、例えば、以下のような、本明細書に記載された能動的でパーソナライズされた血管圧迫可能な療法を送達することが可能である。
【0082】
[0126]頭皮に対する血液供給の重要部分の選択的な血管圧迫は、例えば、毛細血管床を空にするために、または頭皮/頭骨の主要血管を閉鎖するために圧迫を加えるプログラムされたシーケンスを含む。
【0083】
[0127]一態様では、ヘッドカバーは、ヘッドカバーまたはシェルの周辺に沿った一方、およびシェルの内側内の他の血管圧迫要素などの一組の別個の血管圧迫要素を含むように構成される。一例では、この配列は、周辺血管圧迫ゾーン、および中央血管圧迫ゾーンである。これらのゾーンは、手動制御によって、またはコントローラ180/190の使用によって、様々な圧力レベルまたは血管圧迫量で動作することができることを理解されたい。これらの例示的な周辺ゾーンおよび中央ゾーンは、さらに分割されてもよく、またはさらなる他のゾーンが、血管圧迫療法をより正確に送達するためにヘッドカバーに設けられてもよく、組み込まれてもよい。さらにまたは任意選択で、これらのゾーンは、予め選択されたまたは患者特定の血管圧迫療法プロフィールを送達するために、必要に応じて、様々な圧力または血管圧迫レベルで動作することができる。
【0084】
[0128]頭部上の全毛髪の保護のための血管圧迫のための単一のデバイスは、頭皮上の毛髪と眉上の毛の両方を保護するのに有利である。眉を含めることは、この目的のために配置され、サイズ決めされ、適合されたさらなる血管圧迫可能な要素によって提供され得る(例えば、図10Aおよび図11Aを参照)。
【0085】
[0129]カスタムフィットの血管圧迫デバイスは、患者特定の頭部形状および髪型に適合および構成される。さらなる実施形態は、患者の快適さおよび血管圧迫療法セッションの成果に適応したライナおよびシェルを確実にするために化学療法セッション中に使用される髪型を含む患者の頭部および髪型の3Dイメージングまたはスキャンの使用を含む。
【0086】
[0130]血管圧迫デバイス内の/血管圧迫デバイスと一体化された一体化した圧力センサおよび他の検出デバイスを用いた改良型の能動的制御および/またはフィードバック血管圧迫制御システム180/190は、患者に血管圧迫を誘発するためにヘッドカバー100の1つまたは複数の構成要素に組み込まれた、例えば、伸び、歪み、または他の測定システムを含む、ライナ、拡張可能な層、またはシェルへの一体化を含む。
【0087】
[0131]パーソナライズされた血管圧迫デバイスの実施形態は、ヘッドカバーの内側部分内にある1つまたは複数の圧力センサを含んでもよい。1つまたは複数の圧力センサは、制御システム180/190に圧力の示度を与えてもよい。1つまたは複数の圧力センサは、化学療法を受療中の患者がヘッドカバーを着用しているときに患者にかけられる圧力量を示すように適合されてもよい。ヘッドカバーは、皮膚灌流(O2sat)を測定する1つもしくは複数のセンサ、またはドップラー血流モニタもしくは赤外パルスオキシメータセンサをさらに含んでもよい。
【0088】
[0132](患者に隣接する)内側ライナは、患者の頭部および毛髪の形状に正確にフィットするように、患者に対する正確なフィットのために構成された硬質層または半弾性層であってもよい。ヘッドカバー保持システムは、締付けシステムを含んでもよい。ヘッドカバーは、患者の頭蓋循環系の1つまたは複数の脈管を圧迫するように配置された1つまたは複数の選択的な圧点をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素に結合された振動要素をさらに含んでもよい。ライナおよび少なくとも1つの血管圧迫要素は、患者の髪型に基づいて、ヘッドカバーに対してサイズ決定、形成、または配置されてもよい。
【0089】
[0133]ヘッドカバーは、ライナの一部または少なくとも1つの血管圧迫要素の一部の膨張のために、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する気体源をさらに含んでもよい。ヘッドカバーは、ヘッドカバーの膨張可能な要素の過圧を防ぐための少なくとも1つの逃し弁をさらに含んでもよい。気体源は、手動ポンプ機構、球部、電動ポンプ、または、加圧タンク、カートリッジ、もしくは槽であってもよい。ヘッドカバーは、ヘッドカバー内の所望の圧力を維持するように気体源からの気体の流れを調整するための制御システム180/190をさらに含んでもよい。ヘッドカバー内の所望の圧力は、患者への不快感もしくは副作用または周囲構造への危害を最小にしつつ、血管圧迫の結果をもたらすのに十分なものであってもよい。
【0090】
[0134]ヘッドカバーは、ライナまたは少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する冷却気体源をさらに含んでもよく、ライナの一部または少なくとも1つの血管圧迫要素の一部は、ヘッドカバーの内側部分に冷却を与えるように適合される。さらに、血管圧迫要素の膨張のために使用される気体は、冷却されてもよい。ヘッドカバーは、ヘッドカバーの内側部分内にある1つまたは複数の圧力センサをさらに含んでもよい。1つまたは複数の圧力センサは、制御システム180/190に圧力の示度を与えてもよい。1つまたは複数の圧力センサは、化学療法を受療中の患者がヘッドカバーを着用しているときに、患者にかけられる圧力量を示すように適合されてもよい。
【0091】
[0135]パーソナライズされた血管圧迫システムは、改良された通信接続性を含んでもよい。この特徴の結果として、使用者は、治療を受療する間、スマートデバイス上に見られる機能性を有する個人の血管圧迫デバイスを用いることができる。さらに、ユーザエクスペリエンスを強化するために、ノイズキャンセリングヘッドホンまたはイヤホンの機能性が、与えられることも可能である。システムは、ディスプレイと、Bluetooth、近距離無線通信、または他の無線もしくは有線通信の能力とを含んでもよい。またさらに、システムは、血管圧迫療法または操作の全てのおよび任意の他の態様に関連したステータス、プログラミング、患者の情報もしくはデータ、および/または任意の血管圧迫デバイスデータを、オンボード記憶装置、携帯電話、通信ネットワーク、遠隔ネットワーク、または健康情報システムに通信してもよい。さらに他の態様では、ディスプレイは、ヘルスケアプロバイダまたは患者へ情報を提供するためにヘッドカバー上に配置されてもよい。追加の態様では、ヘッドカバーは、イヤホン、ヘッドホン、スピーカ、または患者の耳に隣接した他の音響部品を含んでもよい。これらの実施形態では、システムは、化学療法を受療する間、またはヘッドカバーを使用する間に、ノイズキャンセリング、音楽、メディア、または他のエンターテインメントを患者に与えるようにも構成される。ヘッドカバーの実施形態は、適切な電源に繋ぐことによって外部から電力供給されてもよく、またはオンボードバッテリシステム、またはオンボード充電可能バッテリシステムの使用などによって無線で電力供給されてもよい。
【0092】
[0136]様々な血管圧迫デバイスおよび技法の使用によって毛髪を保護および保全することが意図であるので、ヘッドカバー100の構成要素の態様は、患者の毛髪7の存在のために修正および適合されることを理解されたい。さらなるまたは代替の実施形態では、さらなるライナまたは修正された血管圧迫要素が、頭骨内の隆起領域、およびヘッドカバー100の使用中に毛髪が集められるかまたは配列される領域に一致および対応するように、固有のさらなる順応領域を含むことができる。詳細には、血管圧迫療法を送達する際のヘッドカバー100の設計および使用は、その状況において、1つまたは複数の血管圧迫要素130に対する患者の毛髪、量、スタイル、配置が、(圧縮可能でない)毛髪を圧迫し、次いで、毛髪は、頭皮を圧迫し、それによって血管系の血管圧迫にも寄与することを要因として含める。
【0093】
[0137]さらにまたは任意選択で、1つまたは複数の血管圧迫要素の1つもしくは複数の表面は、患者の頭骨の特定の形状中の異なる区域または点に対応するように、様々な断面形状および先端からなる隆起特徴を有するか、または様々な長さの突出部を有するように修正されてもよく、頭骨は、周囲の区域と均一な表面上にない区域でも適切に均一に扱われる。さらに、ライナ特徴、血管圧迫要素特徴、ならびに患者の毛髪の配列および配置の組合せは、患者の特定の頭蓋トポグラフィおよび形状に対応するように使用されることも可能であり、それによってヘッドカバーの動作、ならびに患者固有の成果および快適さを改善する。
【0094】
[0138]本明細書において、特徴または要素が、別の特徴または要素「上」にあると記載されるとき、特徴または要素は、他の特徴または要素上に直接あってもよく、あるいは介在する特徴および/または要素が存在することもできる。対照的に、特徴または要素が、別の特徴または要素「上に直接」あると記載されるとき、介在する特徴または要素は存在しない。また、特徴または要素が、別の特徴または要素に「接続される」、「取り付けられる」、または「結合される」と記載されるとき、特徴または要素は、他の特徴または要素に直接連結され、取り付けられ、または結合されてもよく、あるいは介在する特徴または要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、特徴または要素が、別の特徴または要素に「直接接続される」、「直接取り付けられる」、または「直接結合される」と記載されるとき、特徴または要素は、介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に対して説明または図示されるが、そのように説明または図示される特徴および要素は、他の実施形態に当てはまり得る。また、構造または特徴が、別の特徴に「隣接して」配設されるという言及は、隣接した特徴に重なるまたはその下にある部分を有してもよいことが当業者によって理解されよう。
【0095】
[0139]本明細書で用いられる専門語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、かかる用語法は、本発明の限定であることは意図されない。例えば、本明細書で用いられるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上別段明確に示さない限り、複数形も含むものである。用語「備える、含む(comprises)」および/または「備える、含む(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、記載した特徴、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しないことがさらに理解されよう。本明細書で使用されるとき、用語「および/または」は、関連して挙げられた項目のうちの1つまたは複数の任意の組合せおよび全ての組合せを含み、「/」と省略され得る。
【0096】
[0140]空間的に相対的な用語、例えば、「~の下に」、「~の下方に」、「~の下側の」、「~の上に」、「~の上側の」などは、図に示されるようなある要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するために、本明細書において説明を簡単にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面に示された向きに加えて、使用時または操作時のデバイスの様々な向きを包含するものであることが理解されよう。例えば、図中のデバイスが逆さにされる場合、他の要素または特徴の「下に」または「真下に」と記載された要素は、他の要素または特徴「の上に」向けられる。したがって、例示的な用語「~の下に」は、上と下の向きを両方包含し得る。デバイスは、別の方に向けられ(90゜または他の向きに回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述は、それに応じて解釈される。同様に、用語「上向きに」、「下向きに」、「垂直の」、「水平の」などは、別段具体的に示されない限り、説明のためにのみ本明細書で使用される。
【0097】
[0141]用語「第1の」および「第2の」は、様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの特徴/要素は、文脈上別段示さない限り、これらの用語によって限定されるべきでない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために使用され得る。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下に説明される第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ばれる場合があり、同様に、以下に説明される第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と呼ばれる場合がある。
【0098】
[0142]本明細書およびそれに続く特許請求の範囲全体を通じて、文脈上別段必要としない限り、単語「備える、含む(comprise)」および変形、例えば「comprises」および「comprising」は、様々な構成要素が、方法および物品(例えば、組成、およびデバイスを含む機器、ならびに方法)に共同で用いられてもよいことを意味する。例えば、用語「備える、含む(comprising)」は、任意の記載された要素またはステップの包含を示唆するが、任意他の要素またはステップの排除を示唆していないと理解されよう。
【0099】
[0143]実施例で使用されるときなど、本明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用されるとき、別段明示されない限り、全ての数字は、用語が明確に出現しない場合でも、単語「約」または「およそ」で始められるかのように読まれ得る。「約」または「およそ」という語句は、大きさおよび/または位置を説明するときに、記載された値および/または位置が値および/または位置の妥当な予想範囲内にあることを示すために使用され得る。例えば、数値は、記載された値(または値の範囲)の±0.1%、記載された値(または値の範囲)の±1%、記載された値(または値の範囲)の±2%、記載された値(または値の範囲)の±5%、記載された値(または値の範囲)の±10%などである値を有し得る。本明細書で与えられる任意の数値は、文脈上別段示さない限り、約またはおよそその値を含むことがやはり理解されるべきである。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。本明細書に挙げられる任意の数値範囲は、本明細書で包含される全ての部分範囲を含むことが意図される。また、当業者によって適切に理解されるように、値が開示されるとき、その値「以下」、「その値以上」、およびこれら値の間の可能な範囲も開示されることが理解される。例えば、値「X」が開示される場合、(例えば、Xが数値である場合)「X以下」および「X以上」も開示される。本出願全体を通じて、データはいくつかの異なる形式で提供され、このデータは終点および始点、ならびにデータ点の任意の組合せについての範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示される場合、10超および15超、10以上および15以上、10未満および15未満、10以下および15以下、ならびに10および15に等しいが、開示されているとともに、10から15の間であるとみなされることが理解される。また、2つの特定の単位の間の各単位もまた開示されていることがやはり理解される。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。
【0100】
[0144]様々な例示的実施形態を上述したが、任意の数の変更が、特許請求の範囲によって説明されるような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態になされてもよい。例えば、様々な記載された方法のステップが実行される順序は、代替実施形態においてしばしば変更される場合があり、他の代替実施形態では、1つまたは複数の方法ステップは、完全に省かれる場合がある。種々のデバイスおよびシステムの実施形態の任意選択の特徴は、いくつかの実施形態には含まれてもよく、他の実施形態には含まれなくてもよい。したがって、前述の説明は、主に例示のために与えられるものであり、特許請求の範囲に記載されているように本発明の範囲を限定するよう解釈されるべきではない。本明細書に含まれる例および図示は、限定ではなく例示により、主題を実施することができる特定の実施形態を示す。上述したように、他の実施形態が利用されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく構造的および論理的な置換および変更がなされ得るようにそこから導き出されてもよい。本発明の主題のそのような実施形態は、実際には2つ以上が開示される場合、単に便宜のために、本出願の範囲を任意の単一の発明または発明概念に自発的に限定することが意図されることなく、本明細書において「発明」という用語によって個々にまたは集合的に呼ばれ得る。したがって、本明細書において特定の実施形態を図示および説明してきたが、同一の目的を実現するように計られた任意の構成が、図示の特定の実施形態に代えて用いられてもよい。本開示は、様々な実施形態の任意および全ての適合または変形を含むことが意図される。上記の実施形態の組合せ、および本明細書に具体的に説明されていない他の実施形態は、上記の説明を検討すると、当業者に明らかであろう。
図1A-1B】
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A-5B】
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A-11B】
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前縁、後縁、頂部、左側縁、および右側縁を有するシェルと、
前記患者の毛髪を少なくとも部分的に収容するように形成された、前記シェル内にあるライナと、
前記外側シェル内にある少なくとも1つの血管圧迫要素と、
前記シェルに結合されたヘッドカバー保持システムと
を備える、
化学療法を受ける患者の血液供給において血管圧迫を誘発するためのヘッドカバー。
【請求項2】
前記シェル保持システムは、前記シェルに接続された顎下ストラップを備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項3】
前記ヘッドカバー保持システムは、前記シェルに接続された後部ストラップ、前部ストラップ、またはネックストラップのうちの1つまたは複数を備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項4】
前記少なくとも1つの血管圧迫要素は、前記ライナ内にある拡張可能な内袋である、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項5】
前記拡張可能な内袋と連通する圧力源をさらに備える、
請求項に記載のヘッドカバー。
【請求項6】
前記前縁、前記後縁、前記左側縁、および前記右側縁を接続する連続的な外周部をさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項7】
前記ヘッドカバー保持システムは、面ファスナ、バックル、クイックリリース機構、または調整特徴をさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項8】
前記ライナの一部または前記少なくとも1つの血管圧迫要素の一部の膨張のために、前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素と連通する気体源をさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項9】
前記気体源は、手動ポンプ機構、球部、電動ポンプ、または、加圧タンク、カートリッジ、もしくは槽である、
請求項に記載のヘッドカバー。
【請求項10】
前記ヘッドカバー内の所望の圧力を維持するように前記気体源からの気体の流れを調整する制御システムをさらに備える、
請求項に記載のヘッドカバー。
【請求項11】
前記ヘッドカバーの内側部分内にある1つまたは複数の圧力センサをさらに備え、
前記1つまたは複数の圧力センサは、化学療法を受療中の患者が前記ヘッドカバーを着用しているときに前記患者にかけられる圧力量を示すように適合される、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項12】
後頭部領域から眉または前額部までの連続的な構造をさらに備える、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項13】
前記ライナは、前記患者の頭部および毛髪の形状に正確にフィットするように、前記患者に対する正確なフィットのために構成された硬質層または半弾性層である、
請求項1に記載のヘッドカバー。
【請求項14】
患者の頭蓋循環系の1つまたは複数の脈管を圧迫するように配置された1つまたは複数の選択的な圧点をさらに備える、
請求項1~13のいずれか一項に記載のヘッドカバー。
【請求項15】
前記ライナまたは前記少なくとも1つの血管圧迫要素に結合された振動要素をさらに備える、
請求項1~14のいずれか一項に記載のヘッドカバー。
【国際調査報告】