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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20230718BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
G01N1/00 101S
G01N1/02 W
G01N1/00 102D
G01N1/00 101X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580818
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 SE2021050647
(87)【国際公開番号】W WO2022005381
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】2050823-0
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520347605
【氏名又は名称】センスエア アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】Senseair AB
【住所又は居所原語表記】Box 96, 824 08 Delsbo SWEDEN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】グランスタム,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヘスマン・ペッテション,カール-アダム
(72)【発明者】
【氏名】ホルムキビスト,ニクラス
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA34
2G052AB04
2G052AB06
2G052AB13
2G052AD02
2G052AD22
2G052AD42
2G052CA02
2G052CA03
2G052CA04
2G052CA35
2G052FC04
2G052FC11
2G052GA12
2G052GA23
2G052HA02
2G052HC09
2G052HC22
2G052HC23
2G052HC24
2G052HC28
2G052HC43
2G052JA06
2G052JA07
2G052JA08
(57)【要約】
アルコール呼気ガス生成装置と、検査室と、基準測定装置と、制御および登録ユニットと、分配ユニットとを備える、アルコール呼気分析器を検査するためのシステム。本発明は、さらに、アルコール呼気分析器を検査する方法にも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアルコール呼気分析器111を検査するためのシステム100であって、
少なくとも1つの液柱119を備えるアルコール呼気ガス生成装置101であって、前記ガス生成装置101の下方部分に配置されたガス入口115と、前記ガス生成装置101の上方部分に配置されたガス出口118とを備えており、ガスが前記ガス入口115において前記ガス生成装置101に入り、前記ガス出口118において前記ガス生成装置101を出て、前記液柱119における液体は水を含む、アルコール呼気ガス生成装置101と、
前記アルコール呼気ガス生成装置101と流体連通する検査室103であって、少なくとも1つのアルコール呼気分析器111を受けるように構成される、検査室103と、
前記アルコール呼気ガス生成装置101と流体連通する基準測定装置104と、
前記アルコール呼気分析器システム100の部分を制御し、検査結果を登録するように構成される制御および登録ユニット105と
を備えており、前記システム100は、
前記ガス生成装置101と流体連通する分配ユニット102をさらに備え、前記分配ユニット102が、前記ガス生成装置101から、3つのガス流路、すなわち前記ガス生成装置101から前記検査室103へガスを分配するように構成される第1のガス流路121と、前記ガス生成装置101から前記基準測定装置104へガスを分配するように構成される第2のガス流路122と、前記ガス生成装置101から外気への開口へガスを分配するように構成される第3のガス流路123とのうちの1つへガスを分配するように構成される
ことを特徴とする、システム100。
【請求項2】
前記3つのガス流路、すなわち前記第1のガス流路121、前記第2のガス流路122、および前記第3のガス流路123の間のガス流をシフトするように構成される弁手段をさらに備える、請求項1に記載の検査システム100。
【請求項3】
前記第3のガス流路123が、前記ガス生成装置101から出口110へガスを分配するように構成される、請求項1または2に記載の検査システム100。
【請求項4】
前記ガス生成装置101における前記入口115に配置され前記ガス生成装置101へのガス流を調節するように構成される第1の弁114aと、前記ガス生成装置101と前記分配ユニット102との間に配置され、前記ガス生成装置101から前記分配ユニット102へのガス流を調節するように構成される第2の弁114bと、前記分配ユニット102に配置される第3の弁114c、第4の弁114d、および第5の弁114eとを備え、前記第3の弁114cは、第1のガス管107へのガス流を調節するように構成され、前記第4の弁114dは、第3のガス管109へのガス流を調節するように構成され、前記第5の弁114eは、第2のガス管108へのガス流を調節するように構成され、前記第1の弁114a、前記第2の弁114b、および前記第3の弁114cは、前記第1のガス流路121におけるガス流を制御するように構成され、前記第1の弁114a、前記第2の弁114b、および前記第5の弁114eは前記第2のガス流路122におけるガス流を制御するように構成され、前記第1の弁114a、前記第2の弁114b、および前記第4の弁114dは前記第3のガス流路123におけるガス流を調節するように構成される、請求項1から3のいずれかに記載の検査システム100。
【請求項5】
前記弁114a~114eの内径は0.5~2cmである、請求項4に記載の検査システム100。
【請求項6】
前記分配ユニット102における温度が前記ガス生成装置101における温度より高くなるように前記システム100を加熱するように構成される少なくとも第1の加熱器116aおよび第2の加熱器116bを備える、請求項1から5のいずれかに記載の検査システム100。
【請求項7】
前記ガス生成装置101が3000~7000cmの体積を有する、請求項1から6のいずれかに記載の検査システム100。
【請求項8】
前記液柱119が2000~3000mlの体積を有する、請求項1から7のいずれかに記載の検査システム100。
【請求項9】
前記ガス生成装置101がデッドスペース120をさらに備えており、前記デッドスペース120の体積は、0.1~3.5Lである、請求項7または8に記載の検査システム100。
【請求項10】
前記検査室103に配置されるアルコール呼気分析器を変更するための装置200をさらに備える、請求項1から9のいずれかに記載の検査システム100。
【請求項11】
前記アルコール呼気分析器を変更するための装置200が、リボルバ機構を備える、請求項10に記載の検査システム100。
【請求項12】
2つまたは3つのガス生成装置など、1つより多いガス生成装置101を備える、請求項1から11のいずれかに記載の検査システム100。
【請求項13】
システム100を使用して少なくとも1つのアルコール呼気分析器111の性能を検査する方法400であって、前記システム100は、アルコール呼気ガス生成装置101と、
前記アルコール呼気ガス生成装置101と流体連通する検査室103であって、少なくとも1つのアルコール呼気分析器111を受けるように構成される、検査室103と、
前記アルコール呼気ガス生成装置101と流体連通する基準測定装置104と、
前記アルコール呼気分析器システム100の部分を制御するように構成される制御および登録ユニット105と、
前記ガス生成装置101と流体連通する分配ユニット102であって、前記ガス生成装置101から、3つのガス流路、すなわち前記ガス生成装置101から前記検査室103へガスを分配するように構成される第1のガス流路121と、前記ガス生成装置101から前記基準測定装置104へガスを分配するように構成される第2のガス流路122と、前記ガス生成装置101から出口110へガスを分配するように構成される第3のガス流路123とのうちの1つへガスを分配するように構成される分配ユニット102とを備えており、
検査する前記方法400は、
前記システム100への温度、相対湿度、アルコール濃度の入力値を受信するステップ401と、
最初に前記第2のガス流路122を介して、次いで前記第1のガス流路121を介して前記システム100をフラッシングするステップ402と、
前記基準ユニット104が前記ガス生成装置101によって生成された前記ガスのアルコール、水、およびCO濃度を測定するステップ403と、
前記検査室に配置される前記少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111がアルコール、水およびCO濃度を測定するステップ404と
を含む、方法400。
【請求項14】
前記システム100が、さらに、前記ガス生成装置101における入口115に配置される第1の弁114aと、前記ガス生成装置101と前記分配ユニット102との間に配置される第2の弁114bと、前記分配ユニット102に配置される第3の弁114c、第4の弁114d、および第5の弁114eとを備えており、前記弁114a~114eが、前記システム100におけるガス流を制御するように構成され、前記方法400が、
最も外側の下流弁から開始し、前記第1のガス流路121、前記第2のガス流路122、または前記第3のガス流路123のうちの1つのガス流路の複数の弁を連続して開き、上流方向で前記第1の共通弁114aで終了するシーケンスにおいて、前記3つのガス流路、すなわち前記第1のガス流路121、前記第2のガス流路122、または前記第3のガス流路123のうちの1つのガス流路の終点にガスを供給するために前記第1の弁114aを開くステップ411と、
前記下流方向において前記第1の共通弁114aから開始して前記流路121、122、123における前記複数の弁を連続して閉じ、前記終点に最も近い前記弁、すなわち前記第1のガス流路121のための前記第3の弁114c、前記第2のガス流路122のための前記第5の弁114e、および前記第3のガス流路123のための前記第4の弁114dで終了して、前記第1のガス流路121、前記第2のガス流路122、または前記第3のガス流路123のうちの1つのガス流路の前記弁を閉めることによって終点へのガスの供給を終了するステップ412と
を含む、請求項13に記載の方法400。
【請求項15】
前記方法400が、前記システム100における前記弁114a~114eを開くことを含み、
- 前記第3の弁114c、第4の弁114d、および第5の弁114eのうちの1つが最初に開けられ、
- 前記第3の弁114c、第4の弁114d、または第5の弁114eのうちの1つを開けた後に、前記第2の弁114bが開けられ、
- 前記第2の弁114bを開けた後に、前記第1の弁114aが開けられる、
請求項13または14に記載の方法400。
【請求項16】
ステップ402は、
前記第4の弁114d、その後に前記第2の弁114b、最後に前記第1の弁114aを開けることによって前記第2のガス流路122をフラッシングし、所定の時間区分後に、前記第1の弁114aが最初に閉じられ、その後に前記第2の弁114b、最後に前記第4の弁114dが閉じられるサブステップ402aと、
前記第3の弁114c、その後に前記第2の弁114b、最後に前記第1の弁114aを開けることによって前記第1のガス流路121を介してフラッシングし、所定の時間区分後に、前記第1の弁114aが最初に閉じられ、その後に前記第2の弁114b、最後に前記第3の弁114cが閉じられるサブステップ402bと
を含み、
ステップ403は、前記第5の弁114e、その後に前記第2の弁114b、最後に前記第1の弁114aを開けることを含み、所定の時間区分後に、前記第1の弁114aが最初に閉じられ、その後に前記第2の弁114b、最後に前記第5の弁114eが閉じられ、
ステップ404は、前記第3の弁114c、その後に前記第2の弁114b、最後に前記第1の弁114aを開けることを含み、所定の時間区分後に、前記第1の弁114aが最初に閉じられ、その後に前記第2の弁114b、最後に前記第3の弁114cが閉じられる、
請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記ステップ404が、少なくとも1回繰り返される、請求項13から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記ステップ404が10回繰り返される、請求項13から17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス混合物における物質の検出および定量化のためのシステム、ならびにガス混合物を生成するためのシステムおよび方法に関する。本発明は、さらに、アルコール呼気分析ユニットの性能を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲酒運転は、米国内だけで年間数千人の生命を奪い、欧州でも同様の数字が記録されている世界的な問題である。大部分の国は、現在、運転中に許される呼気中のアルコール含有量に対して制限を設けている。この制限を施行するため、アルコール呼気分析器が重要なツールである。現時点における最新式のアルコール呼気分析器は、マウスピースによって受けられる呼気の強制を必要とする。最近では、マウスピースまたは呼気の強制を必要としない新規の種類のアルコール呼気分析器のための開発が進められている。このようなアルコール呼気分析器はよりユーザフレンドリーであり、したがって一般市民によってもより受け入れられやすい。そのようなマウスピースがない装置またはシステムを用いた場合の課題のうちの1つは、呼気からの使用可能なガス量が非常に少ないことである。したがって、この分析器の検出限界は現在の装置より低い必要があるが、信頼性が高くなければならない。また、アルコール呼気分析器は、様々な環境条件において呼気アルコール含有量を検出できる必要もある。したがって、検査システムは、さらに、異なる温度および異なる相対湿度などの異なる条件でアルコール呼気分析器を検査できる必要がある。
【0003】
米国特許出願公開第2018/0252699号は、呼気アルコール検査器を較正するための計量ベンチであって、人間によって示される変動と等価のやり方でエタノール濃度、CO濃度、流量、圧力および温度に関して変化するガスの試料を検査器へ与えることを伴う方法を実行するように適合される計量ベンチを開示する。
【0004】
米国特許出願公開第2011/0107813号は、入口通路を加熱するための加熱された熱質量を含むエチルアルコールを含む蒸気を用いる呼気検査分析器を開示する。
【0005】
J.Ljungblad、「High performance breath alcohol analysis」、Malardalen University Press Dissertations No.240、2017年は、マウスピースを用いない動作のために設計されたアルコール呼気分析器を開示する。実験は、十分な時間と分析器解像度がある場合、受動的なアルコール検出システムが実現可能であると示す。
【0006】
人間の呼気を模倣するガス混合物を生成し、ガス混合物が制御されたアルコール量を含み得るシステムおよび方法の改良が必要である。このシステムは、アルコール呼気分析器の性能を検査するために使用され得る。この領域において他に必要とされているものは、変動する環境条件においてアルコール呼気分析器を検査できるシステムである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、人間の呼気を模倣するガスの生成のためのもので、システムがアルコール呼気分析器の性能を検査するために使用可能である、改良されたシステムおよび方法を得ることである。これは、請求項1のシステムおよび請求項13の方法によって実現される。
【0008】
第1の態様では、少なくとも1つのアルコール呼気分析器を検査するシステムがあり、このシステムは、
- 少なくとも1つの液柱を備えるアルコール呼気ガス生成装置を備える。このガス生成装置は、ガス生成装置の下方部分に配置されたガス入口と、ガス生成装置の上方部分に配置されたガス出口とを備える。ガスがガス入口においてガス生成装置に入り、ガス出口においてガス生成装置を出て、液柱における液体は水を含む。
上記システムは、さらに、
- アルコール呼気ガス生成装置と流体連通する検査室を含む。この検査室が少なくとも1つのアルコール呼気分析器を受けるように構成される。
上記システムは、さらに、
- アルコール呼気ガス生成装置と流体連通する基準測定装置と、
- アルコール呼気分析器システムの部分を制御し、検査結果を登録するように構成される制御および登録ユニットと、
- ガス生成装置と流体連通する分配ユニットとを備える。この分配ユニットは、ガス生成装置から、3つのガス流路、すなわちガス生成装置から検査室へガスを分配するように構成される第1のガス流路と、ガス生成装置から基準測定装置へガスを分配するように構成される第2のガス流路と、ガス生成装置101から外気への開口へガスを分配するように構成される第3のガス流路とのうちの1つへガスを分配するように構成される。
【0009】
一実施形態では、上記システムが、上記3つのガス流路、すなわち第1のガス流路、第2のガス流路、および第3のガス流路の間のガス流をシフトするように構成される弁手段を備える。
【0010】
一実施形態では、第3のガス流路がガス生成装置から出口へガスを分配するように構成される。
【0011】
一実施形態では、上記検査システムが、ガス生成装置における入口に配置されガス生成装置へのガス流を調節するように構成される第1の弁と、ガス生成装置と分配ユニットとの間に配置され、ガス生成装置から分配ユニットへのガス流を調節するように構成される第2の弁と、分配ユニットに配置される第3の弁、第4の弁、および第5の弁とを備える。第3の弁は、第1のガス管へのガス流を調節するように構成され、第4の弁は、第3のガス管へのガス流を調節するように構成され、第5の弁は、第2のガス管へのガス流を調節するように構成される。第1の弁、第2の弁、および第3の弁は、第1のガス流路におけるガス流を制御するように構成される。第1の弁、第2の弁、および第5の弁は、第2のガス流路におけるガス流を制御するように構成される。第1の弁、第2の弁、および第4の弁は、第3のガス流路におけるガス流を調節するように構成される。
【0012】
一実施形態では、弁の内径は0.5~2cmである。
【0013】
一実施形態では、検査システムが、システムを加熱するように構成される少なくとも第1の加熱器および第2の加熱器を備えており、それによって分配ユニットにおける温度がガス生成装置より高くなる。
【0014】
一実施形態では、ガス生成装置が3000~7000cmの体積を有する。
【0015】
一実施形態では、液柱が2000~3000mlの体積を有する。
【0016】
一実施形態では、ガス生成装置がデッドスペースをさらに備えており、デッドスペースの体積は、0.1~3.5Lである。
【0017】
一実施形態では、検査システムが、さらに、検査室に配置されるアルコール呼気分析器を変更するための装置を備える。
【0018】
一実施形態では、アルコール呼気分析器を変更するための装置が、リボルバ機構を備える。
【0019】
一実施形態では、検査システムが、2つまたは3つのガス生成装置など、1つより多いガス生成装置を備える。
【0020】
第2の態様では、システムを使用して少なくとも1つのアルコール呼気分析器の性能を検査する方法があり、システムは、アルコール呼気ガス生成装置と、アルコール呼気ガス生成装置と流体連通する検査室であって、少なくとも1つのアルコール呼気分析器を受けるように構成される、検査室と、アルコール呼気ガス生成装置と流体連通する基準測定装置と、アルコール呼気分析器システムの部分を制御するように構成される制御および登録ユニットと、ガス生成装置と流体連通する分配ユニットとを備える。この分配ユニットが、ガス生成装置から、3つのガス流路、すなわちガス生成装置から検査室へガスを分配するように構成される第1のガス流路と、ガス生成装置から基準測定装置へガスを分配するように構成される第2のガス流路と、ガス生成装置から出口へガスを分配するように構成される第3のガス流路とのうちの1つへガスを分配するように構成される。検査する方法は、
- システムへの温度、相対湿度、アルコール濃度の入力値を受信するステップと、
- 最初に第2のガス流路を介して、次いで第1のガス流路を介してシステムをフラッシングするステップと、
- 基準ユニットがガス生成装置によって生成されたガスのアルコール、水、およびCO濃度を測定するステップと、
- 検査室に配置される少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニットがアルコール、水およびCO濃度を測定するステップと
を含む。
【0021】
上記方法の一実施形態では、システムは、さらに、ガス生成装置における入口に配置される第1の弁と、ガス生成装置と分配ユニットとの間に配置される第2の弁と、分配ユニットに配置される第3の弁、第4の弁、および第5の弁とを備える。上記弁は、システムにおけるガス流を制御するように構成され、上記方法は、
- 最も外側の下流弁から開始し、3つのガス流路、すなわち第1のガス流路、第2のガス流路、または第3のガス流路のうちの1つのガス流路の複数の弁を連続して開き、上流方向で第1の共通弁で終了するシーケンスにおいて、上記3つのガス流路のうちの1つのガス流路の終点にガスを供給するために第1の弁を開くステップと、
- 下流方向において第1の共通弁から開始して流路における複数の弁を連続して閉じ、終点に最も近い弁、すなわち第1のガス流路のために第3の弁、第2のガス流路のために第5の弁、および第3のガス流路のために第4の弁で終了して、第1のガス流路、第2のガス流路、または第3のガス流路のうちの1つのガス流路の弁を閉めることによって終点へのガスの供給を終了するステップと
を含む。
【0022】
上記方法の一実施形態では、第3の弁、第4の弁、および第5の弁のうちの1つの弁が最初に開けられる。第3の弁、第4の弁、または第5の弁のうちの1つの弁が開けられた後に第2の弁が開けられ、第2の弁が開けられた後に第1の弁が開けられる。
【0023】
上記方法の一実施形態では、
- 第4の弁、その後に第2の弁、最後に第1の弁を開けることによって第2のガス流路をフラッシングし、所定の時間区分後に、第1の弁が最初に閉じられ、その後に第2の弁、最後に第4の弁が閉じられるサブステップと、
- 第3の弁、その後に第2の弁、最後に第1の弁を開けることによって第1のガス流路を介してフラッシングし、所定の時間区分後に、第1の弁が最初に閉じられ、その後に第2の弁、最後に第3の弁が閉じられるサブステップと、
- 第5の弁、その後に第2の弁、最後に第1の弁を開け、所定の時間区分後に、第1の弁が最初に閉じられ、その後に第2の弁、最後に第5の弁が閉じられるサブステップと、
- 第3の弁、その後に第2の弁、最後に第1の弁を開けることを含み、所定の時間区分後に、第1の弁が最初に閉じられ、その後に第2の弁、最後に第3の弁が閉じられるサブステップと
を含む。
【0024】
上記方法の一実施形態では、検査室に配置される少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニットを用いてアルコール、水、およびCO濃度を測定するステップが、少なくとも1回繰り返される。一実施形態では、上記ステップが10回繰り返される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1a】本発明による一実施形態の概略図である。
図1b】本発明によるガス流路チャートの概略図である。
図2】本発明による一実施形態の概略図である。
図3】本発明による一実施形態の概略図である。
図4】本発明による方法の概略図である。
図5】本発明による方法の概略図である。
図6図6aおよび6bは本発明による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
「最上部」、「最上部上」、「最下部」、「上方」、「下方」、「下」、「上」などの語は、図面に示される本発明の実施形態の形状を参照して使用されるのに過ぎず、および/または説明されるシステムおよびその構成要素の正常な動作中に、あらゆるやり方で本発明を限定することは意図されない。
【0027】
アルコール呼気分析器のねらいは、人間からの呼気中のアルコール濃度を測定(または検査)することである。このような検査からの出力(結果)は、例えば、呼気中のアルコールの濃度に応じてその人が車を運転できるか否かを判断するために使用可能である。このようなタスクのため、アルコール呼気分析器は、信頼性が高く、呼気中の正確なアルコール濃度を測定する必要がある。したがって、アルコール呼気分析器の性能、すなわちこのような測定の誤差の範囲が検査システムで検査される。検査システムは、個別のアルコール呼気分析器の性能を検査するように構成され得る。
【0028】
本発明の一態様では、アルコール呼気分析ユニット111を検査するためのシステム100が存在する。このようなシステムは、図1aに概略的に示される。システム100は、アルコール呼気ガス生成装置101と、分配ユニット102と、検査室103と、基準測定装置104と、制御および登録ユニット105とを備える。アルコール呼気ガス生成装置101は、アルコールを含むガス混合物、またはアルコールなしのガス混合物を生成するように構成される。ガス生成手順は、さらに詳細に後述される。ガス混合物は、アルコール蒸気を含有する人間の呼気に相当するように、例えば、空気、二酸化炭素(CO)、水、およびアルコール蒸気の混合物でもよい。アルコール呼気ガス生成装置101は、アルコール呼気ガス生成装置101の下流に配置される分配ユニット102と流体連通する。分配ユニット102は、システム100のさらに下流のアルコール呼気ガス生成装置101によって生成されるガスを、第1のガス流管107、第2のガス流管108、および第3のガス流管109を介して分配するように構成される。第1のガス流管107は、分配ユニット102から検査室103へガスを分配するように構成され、第2のガス流管108は、分配ユニット102から基準測定装置104へガスを分配するように構成され、第3のガス流管109は、分配ユニット102から排出口110へガスを分配するように構成される。システム100は、図1bのガス流路チャートに概略的に示される3つの機能的ガス流路を提供する。第1のガス流路121は、機能的に、ガス生成器で生成されたガスを、分配ユニットを介してアルコール呼気分析ユニットへ供給する。第2のガス流路122は、機能的に、ガス生成器で生成されたガスを、分配ユニットを介して基準測定装置へ供給する。第3のガス流路123は、機能的に、分配ユニットを介して外気への開口を提供することによってシステムをフラッシングする手段を提供する。
【0029】
ガス生成装置101、分配ユニット102、および第1のガス流管107は、ガス生成装置101から検査室103をつなぐ第1のガス流路121を形成する。ガス生成装置101、分配ユニット102、および第2のガス流管108は、ガス生成装置101から基準測定装置104をつなぐ第2のガス流路122を形成する。ガス生成装置101、分配ユニット102、および第3のガス流管109は、ガス生成装置101から排出口110をつなぐ第3のガス流路123を形成する。第3のガス流路123は、図1aに図示されるように、分配出口102から分離した出口110において終端し得る。もしくは、異なる実施形態については、外気への開口が検査室103中、開口103’中、または、基準計器である、外気への開口を提供可能な基準弁104’と接続して提供される。排出口110、検査室103、および基準測定装置104は全て、分配ユニット102の下流に配置される。したがって、システム100の使用中に、アルコール呼気ガス生成装置101は、分配ユニット102と流体連通し、分配ユニット102は、検査室103、基準測定装置104、および排出口110と流体連通する。このようにして、ガス生成装置101によって生成されたガスはガス分配ユニット102に到達し、ガスは、3つの流管(すなわち、第1のガス流管107、第2のガス流管108、または第3のガス流管109)のうちの1つのガス流管に分配される。第1のガス流管107に入ったガスはガス分配ユニット102から検査室103へ進み、第2のガス流管108に入ったガスはガス分配ユニット102から基準測定装置104へ進み、第3のガス流管109に入ったガスはガス分配ユニット102から排出口110へ進む。
【0030】
検査システム100の使用中、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111が検査室103に配置される。検査システム100は、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111が露出されるガス混合物を供給するように構成される。アルコール呼気ガス生成装置101は、検査システム100の使用中に上記ガス混合物を生成するように構成される。このガス混合物は、空気、二酸化炭素、水、および/またはアルコールの任意の混合物であることが可能である。他の実施形態では、混合物中のアルコールは、例えば、メタノールまたはアセトンなどの他の物質と交換されてもよい。このような実施形態では、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111が、ガス混合物中に供給された物質を測定するように構成される分析ユニットと交換されてもよい。さらに、基準測定装置は、ガス混合物中に供給された物質を測定するように構成される基準測定装置でもよい。
【0031】
ガス混合物がアルコールを含む場合、アルコールの濃度は既知であり、このガス混合物は、二酸化炭素および/または水の既知の濃度をさらに有し得る。
【0032】
システム100は、ガス混合物および/またはシステム100の他の構成要素または部分を加熱または所定の温度を維持するように構成される第1の加熱器116aおよび第2の加熱器116bなどの1つまたは複数の加熱器を備え得る。ガス混合物を制御温度に維持することは、ガスの組成を変化させない上で重要な場合があり、すなわち、ガスの温度が変化すると、ガス混合物の組成が変化し得る。例えば、システム100中のガスの温度がガスの露点の温度を上回ることが重要な場合がある。システム100の使用中に、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111がガス混合物に露出されるように構成される。このような露出は、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111の性能を検査するために使用可能である。少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111がアルコールなしのガス混合物に露出されるように構成される場合、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111は、零レベルのアルコール含有量で検査され得る。少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111は、その性能を検査するために、アルコール濃度が既知のガスのアルコール含有量、すなわち、アルコール濃度および/または二酸化炭素含有量を測定するように構成される。少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111は、温度を測定および制御するための装置を備え得る。
【0033】
ガス流管107、108、109は、システム100においてガスを分配するように構成される。ガス流管107、108、109は、例えば、ステンレス材料、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのポリマーで作製され得る。出口112は、第2のガス流管107からのガスが検査室103に入るのを可能にするように構成される。出口112において、ガス流管107の内部断面が1~4cm(1/2インチ)であってよく、したがって開いた口のサイズを模倣している。さらに、出口112とアルコール呼気分析ユニット111との間に、ガス雲空間113が存在する。ガス雲空間113は空状態であるように構成されてもよく、それによって出口112からアルコール呼気分析ユニット111へのガス流に干渉する物が出口112とアルコール呼気分析ユニット111との間に配置されない。このように、このガス流は、人からの呼気を模倣し得る。ガス雲空間113は、特定の距離、例えば0~30cmを有する検査室103において特定の体積であり、それによって出口112とアルコール呼気分析ユニット111との間の距離は、例えば0~30cmである。
【0034】
弁114a~114eは、システム100の使用中にシステム100におけるガスの流れを調節するように構成される。第1の弁114aは、アルコール呼気ガス生成装置101への入口115に配置される。第2の弁114bは、ガス生成装置101と分配ユニット102との間に配置される。分配ユニット102は、さらに、第1のガス流管107、第2のガス流管108、および第3のガス流管109にそれぞれ構成される3つの追加弁、すなわち第3の弁114c、第4の弁114d、および第5の弁114eを備える。弁114a~114eは、システム100がシステム100の全部分において同一または実質的に同一の内圧を有することを可能にするように構成され得る。これは、例えば、内径0.5~2cm(1/4インチ)を有する弁114a~114eによって実現され得る。また、システム100内部で空気弁を使用することによって実現されてもよく、したがって弁114a~114eは空気弁である。
【0035】
少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111は、検査システム100の使用中に検査室103に配置されるように構成される。他の実施形態では、検査室103は、検査システム100の使用中に、2つ以上、または3つ以上、または4つ以上のアルコール呼気分析ユニット111など、1つより多いアルコール呼気分析ユニット111を保持してもよい。一実施形態では、検査室103は、図2に概略的に示される、アルコール呼気分析器を変更するための装置200を備える。この装置200は、リボルバ機構を備え得る。検査室103がアルコール呼気分析器を変更するための装置200を備える実施形態では、検査室は、順次検査され得るいくつかのアルコール呼気分析ユニット111を保持してもよく、それによってアルコール呼気分析器を変更するための装置200は、システム100によって検査されるアルコール呼気分析ユニット111を変更するように構成される。アルコール呼気分析器を変更するための装置200は軸201を備えてもよく、それによって、検査されるアルコール呼気分析ユニット111を変更するために回転可能である。検査中に、アルコール呼気分析器111は、ガス出口112の前方に配置される。アルコール呼気分析器を変更するための装置200は、アルコール呼気分析器111とガス出口112との間の距離が同一であり、全てのアルコール呼気分析器111の検査シーケンス中に一定であり続けるように配置され得る。そのため、アルコール呼気分析ユニット111がガス混合物に露出されるように構成され得る所定の時間区分中に、アルコール呼気分析器を変更するための装置200は、ガス出口112から所定の距離の位置にアルコール呼気分析ユニット111を維持するように構成され得る。
【0036】
一実施形態では、検査室103は人工気象室であり、したがって検査室103は、検査室103内部の温度および/または相対湿度(RH)を変更および/または制御するように構成され得る。検査室103が人工気象室である実施形態では、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111が、周囲温度および湿度の様々な環境条件など、異なる相対湿度および/または温度で検査されるように構成され得る。一実施形態では、検査室103は、-40°C~+120°Cの間の温度および/または10%と95%との間の相対湿度(RH)を提供するように構成される。検査室103は、外気へ向かう1つの開口103’を備える。そのような開口103’は、出口112において検査室103に入るガスが、検査室103内部に留まって背景濃度を増加させるのではなく、開口103’において検査室103から出ることを可能とし得る。開口103’は、例えば、検査室103、フィルタ、開放可能な扉、弁などの壁における開口によって実現され得る。開口103’は、例えば、制御および登録ユニット105によっても制御され得る。
【0037】
排出口110は、分配ユニット102およびアルコール呼気ガス生成装置101の下流に配置される。そのため、分配ユニット102が、ガスは排出口110においてシステム100を出ることができるガスでフラッシングされることが可能である。排出口110は、外気に対して開口していてもよい。このようにして、システム100は、検査シーケンス間にガスでフラッシングされ得る。ガスが出口110においてシステム100から出るように第3のガス流路123を介してシステム100をフラッシングすることは、フラッシング中に検査室103で背景濃度が増加することを防止し得る。
【0038】
人間の呼気を模倣する組成を有するガスを生成するために、および/または、システム100内部のガスの凝縮を避けるために、システム100が加熱されるように構成され得る。システム100を加熱するために、加熱器、すなわち第1の加熱器116aおよび第2の加熱器116bを備え得る。一実施形態では、第1の加熱器116aはアルコール呼気ガス生成装置101において構成され、第2の加熱器116bは分配ユニット102において構成される。ガス流管107、108、109も加熱されてもよく、ガス流管107、108、109がセクション毎に加熱されてもよく、それによってガス流管107、108、109の温度がシステム100の上流より下流の方が低くなり、それによってガス流管106、107、108、109内部のガスの凝縮が避けられ得る。システム100の部分の温度は、システム100の下流よりも上流で高くてもよい。ガス流管107、108、109の温度は時間が経過しても安定している場合がある。ガス流管107、108、109の温度が安定していることは、ガスの組成が変動しないことを可能にし得る。一実施形態では、ガス分配ユニット102は、システム100の使用中に30~40°Cの温度に加熱されるように構成され、例えば、ガス生成装置101の温度は34°Cでもよく、分配ユニット102の温度は36°Cでもよく、ガス流管107、108、109の温度は38°Cでもよい。
【0039】
システム100におけるアルコール呼気ガス生成装置101は、水、空気、二酸化炭素、およびアルコールを含むガス混合物を生成するように構成される。また、アルコールなしのガス組成を生成してもよい。アルコールガス生成装置101が図3に概略的に示される。アルコールガス生成装置101は、第1の弁114aが構成されるガス入口115を備えており、第1の弁114aがアルコール呼気ガス生成装置101の下方部分に配置され、アルコール呼気ガス生成装置101の上方部分に配置されるガス出口118に第2の弁114bが構成される。ガスは、第1の弁114aにおいてアルコール呼気ガス生成装置101に入り、液柱119を通過し、ガス出口118においてアルコール呼気ガス生成装置101を出る前にデッドスペース120に到達するように構成される。デッドスペース120におけるガスは、入口115においてガス生成装置101に入るガスとは異なる組成を有し得る。デッドスペース120におけるガスの組成は、液柱119の組成に依存し得る。液柱119は、液体を含むように構成され、この液体は、水、または水とアルコールの混合物でもよい。システム100の使用中、ガスは液柱119を通過するように構成され、それによってアルコールを含むガス混合物がデッドスペース120で生成され、デッドスペース120で生成されたガス混合物は、アルコールを含まないガス混合物である場合もある。ガス混合物におけるアルコール濃度は液柱119におけるアルコール濃度と関係しており、したがって、液柱119中のアルコール濃度を変化させることによって、ガス混合物中のアルコール濃度を変化させ得る。一実施形態では、液柱119は、アルコールなしの水を含むように構成される。このような実施形態では、ガスが液柱119を通過する時、デッドスペース120で生成されたガス混合物はアルコールを含まない。液柱119中の液体は、COで飽和するように構成され得る。システム100の使用中、ガスは、第1の弁114aにおいてアルコール呼気ガス生成装置101に入るように構成され、ガスは空気、またはCO、またはN、またはそれらの何らかの混合物の形態を有し得る。ガス生成装置101は、ガス入口管301を介して第1の弁114aにおいてガスタンク300に接続され得る。液柱119の体積および高さ、ならびにデッドスペース120の体積は、ガス生成に影響し得る。検査システム100および/またはアルコールガス生成装置101の使用中、ガスは液柱119にわたって泡立つように構成される。液柱119にわたってガスを泡立たせることは、以下につながり得る:
- 液柱119中の液体が例えばCOで飽和したガスで飽和し、またはCOの一定の定常状態の濃度に達し、さらに
- 水蒸気と、場合によってはアルコール、空気と二酸化炭素との両方の平衡濃度がデッドスペース120において達せられ得る。
【0040】
システム100の使用中、デッドスペースにおけるガスは、システム100のさらなる下流に進み、出口110、検査室103、または基準測定装置104のいずれかに到達するように構成される。一実施形態では、デッドスペース120の体積は0.1~3.5Lである。デッドスペース120の大きい体積は、アルコールガス生成装置101中に形成される浮遊粒子がデッドスペース120に落下する場合があり、したがってシステム100中でガスとともにさらに進まないことを可能にし得る。ガス混合物中に浮遊粒子が存在しないということは、より安定したガス組成を可能にし、すなわち、ガス成分の濃度が変化しないことを可能にし得る。
【0041】
一実施形態では、システム100におけるガス流が、2L/秒または20L/分、またはおよそ0.5L/秒であり得る。ガス流レベルは、液柱119の体積、液柱119の高さ、デッドスペース120の体積などに依存し得る。一実施形態では、液体119の体積は2000~3000mlであり、液柱119の高さは200~400mmである。システム100におけるガス流は入力流として測定され得る。
【0042】
一実施形態では、液柱119中の液体は、水とアルコールの混合物となるように構成され、この混合物は、34°Cに加熱され、空気、または二酸化炭素(CO)が濃縮した空気で泡立てられるように構成される。ガス生成装置101は、デッドスペース120においてアルコール、水、およびCOを含むガス混合物を生成するように構成され得る。
【0043】
一実施形態では、アルコール呼気ガス生成装置101は、2つの液柱または3つの液柱、またはそれより多い液柱など、1つより多い液柱119を含む。各液柱119は、それ自体の入口115、出口118、加熱器116、および死体積120を有し得る。1つより多い液柱119は、検査システム100が液柱119中の液体を変更せずに異なる濃度を有するガス混合物を生成するように構成され得ることを可能にする。そのため、各液柱119は、例えば異なるアルコール濃度を有する異なる液体組成を含むように構成されてもよく、したがって、それぞれの液柱119上の死体積120に形成されたガスが異なる組成を有する。
【0044】
ガス入口115において液柱119に入るガスは、分散されるように構成されてもよく、それによって小さい泡、すなわち、直径0.3~6.5mmを有する泡の形態を有する。小さい泡は、液柱119において液体とのガスのより同質の混合物を促進することができ、したがってガスが死体積120に到達する前に異なる濃度が平衡に達し得る。
【0045】
基準測定装置104は、分配ユニット102およびガス生成装置101の下流に配置される。基準測定装置104は、ガス生成装置101によって生成されたガスの組成を測定するように構成される。検査シーケンスまたは検査の方法中には、基準測定装置104は、ガスの組成を検証するように構成され得る。基準測定装置104は、IR検出に基づく基準計器でもよい。基準測定装置104は、外気に開放され得る基準弁104’を備え得る。基準弁104’は、基準測定装置104が検査システム100の使用中にそれ自体をフラッシングするように構成され得ることを可能にし得る。基準測定装置104による測定は、アルコール呼気分析ユニット111からの測定値との比較のために使用され得る。検査シーケンスまたは検査の方法中に、基準測定装置104およびアルコール呼気分析ユニット111の両方が実質的に同一の組成を有するガスに露出されるように構成される。基準測定装置104およびアルコール呼気分析ユニット111の両方は、ガス中のアルコール濃度を測定し、例えば、アルコール呼気分析ユニット111の性能を判断するために、その結果が比較され得る。基準測定装置104は、例えば北欧諸国で設定されている証拠計器に関する要件を満たす計器でもよい。基準測定装置104は、検証可能な市販の計器でもよい。基準測定装置104は、IR検出に基づいてもよく、ランベルト・ベールの法則にしたがって動作してもよく、このような場合、基準測定装置104を検証するために、フィルタ波長のそれぞれにおける相対減衰度が較正時と同一であることを検証することのみが必要である。このような基準測定装置104は、標準的な呼気分析器の測定正確度および精度を上回る測定正確度および精度が文書化された証拠呼気分析器、例えば、スウェーデン、ウプサラのNanopuls ABによるEvidenzerでもよい。基準測定装置104の正確度および精度は、重量測定方法によって反復的に検証され得る。
【0046】
本発明による検査システム100は、検査データを収集するようにも構成される制御および登録ユニット105を介して制御される。制御および登録ユニット105は、典型的に、プロセッサ500と、プログラムシーケンスおよび収集データを記憶するための少なくとも1つの記憶ユニット510、ならびに、例えば、多目的のコンピュータとの通信のためのI/Oユニットを備える。制御および登録ユニット105は、第1の機能的信号経路501を介して第1の弁114a、第2の機能的経路502を介して第2の弁114b、第3の機能的信号経路503を介して第3の弁114c、第4の弁114dおよび第5の弁114eを備える分配ユニット102、第4の機能的信号経路504を介して基準測定装置104、第5の機能的信号経路505を介して検査室103、ならびに第6の機能的信号経路506を介して少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111へ、機能的に接続される。当業者によって実現されるように、制御および登録ユニット105のハードウェアと検査システム100の他のユニットへの接続とは、例えば、直接有線、バスシステム、または無線接続を介するなど多くの手法で実現され得る。同様に、制御および登録ユニット105のアーキテクチャは多種多様でもよく、説明されるユニットは、機能的ユニットとみなされるべきである。本発明による検査システムに適する、適した多目的制御および登録ユニットは、例えば市販のものである。
【0047】
本発明による検査システム100は、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111が0.5μg/L未満または0.1μg/L未満の変動を有するアルコール濃度を有するガスを使用して検査されることを可能にし得る。検査システムの信頼性を高めるためには、ガス組成の濃度、例えばガス中のアルコール濃度が大きな変動を示さないことが重要である。本発明による検査システム100、またはガス生成装置101はガス組成を生成してもよく、アルコール濃度は0~5mg/Lまたは0~2.5mg/Lである。
【0048】
システム100中の弁114a~114eは、システム100にわたるガスの流れを調節するために自動化可能である。制御および登録ユニット105は、上記のような弁114a~114eの調節を実現するように構成され得る。
【0049】
少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111は、システム100によって性能、例えば、どの程度正確にアルコール呼気分析ユニット111がガス混合物中のアルコール、CO、および可能な他のガスの濃度を測定できるかが検査され得る。このような検査は、システム100および/またはガス生成装置101によって生成されたガスに対して少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111を露出することによって実行される。図4に示される検査方法400では、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111がガスに露出される。検査方法400中に、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111が検査室103に配置される。検査方法400開始前に、システム100中の全弁114a~114eが閉じられる。検査方法400は、
システム100への温度、相対湿度、アルコール濃度の値を入力するステップ401と、
システム100をフラッシングするステップ402と
を含み、ステップ402は、
第3のガス流路123を介してシステムをフラッシングするサブステップ402aを含み、このステップは、分配ユニット102がステップ401で入力されたアルコール濃度を含むことを確実にし得る。ステップ402aを実行するために、第4の弁114dが最初に開けられ、その後に第2の弁114b、最後に第1の弁114aが開けられる。第1の弁114aが開けられると、ガスが第3のガス流路123を介してシステム100中において運ばれ、出口110においてシステムを出る。所定の時間区分後、開いている第1の弁114a、第2の弁114b、および第4の弁114dが逆順で再度閉じられ、すなわち、第1の弁114aが最初に閉じられ、その後に第2の弁114b、最後に第4の弁114dが閉じられる。ステップ402における弁114b、114d、114aの開閉順序は、図5に概略的に示される。
ステップ402は、さらに、第1のガス流路121を介してシステム100をフラッシングするサブステップ402bを含み、このステップは、第1のガス流管107がステップ401で入力されたアルコール濃度を含むことを確実にし得る。ステップ402bでは、第3の弁114cが最初に開けられ、その後に第2の弁114b、最後に第1の弁114aが開けられる。第1の弁114aが開けられると、ガスが第1のガス流路121を介してシステム100中において運ばれ、外気への開口103’を有する検査室103に入る。所定の時間区分後、開いている第1の弁114a、第2の弁114b、および第3の弁114cが逆順で再度閉じられ、すなわち、第1の弁114aが最初に閉じられ、その後に第2の弁114b、最後に第3の弁114cが閉じられる。ステップ402における弁114c、114b、114aの開閉順序は、図5に概略的に示される。
【0050】
検査方法400は、さらに、基準ユニット104を用いてアルコール濃度、ならびに可能なCOおよび水の濃度を測定するステップ403を含む。基準ユニット104を用いてガスのアルコールおよびCOの濃度を測定するために、基準ユニット104は、第2のガス流路122を介してガスに露出される。上記測定を可能にするために、第5の弁114eが開けられ、その後に第2の弁114b、最後に第1の弁114aが開けられる。第1の弁114aが開けられると、ガスが第2のガス流路122を介してシステム100において運ばれ、基準ユニット104が所定の時間区分、例えば2~4秒だけガスに露出される。露出後、開いている第5の弁114e、第2の弁114b、および第1の弁114aが逆順で再度閉じられ、すなわち、第1の弁114aが最初に閉じられ、その後に第2の弁114b、最後に第5の弁114eが閉じられる。ステップ403は、1回または複数回反復されてもよく、それによって基準ユニット104が反復回数だけガスに露出されることが可能である。ステップ403における弁114e、114b、114aの開閉順序は、図6aに概略的に示される。
【0051】
検査方法400は、さらに、検査室103に配置される少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111を用いてアルコール、場合によってはCO濃度を測定するステップ404を含む。少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111を用いてガスのアルコールおよびCOの濃度を測定するために、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111が、第1のガス流路121を介してガスに露出される。上記測定を可能にするため、第3の弁114cが開けられ、その後に第2の弁114b、最後に第1の弁114aが開けられる。第1の弁114aが開けられると、ガスが第1のガス流路121を介してシステム100において運ばれ、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111が所定の時間区分、例えば2~4秒だけガスに露出される。露出後、開いている第3の弁114c、第2の弁114b、および第1の弁114aが逆順で再度閉じられ、すなわち、第1の弁114aが最初に閉じられ、その後に第2の弁114b、最後に第3の弁114cが閉じられる。ステップ404は、1回、または例えば10回などの複数回反復されてもよく、それによって少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111が反復回数だけガスに露出される。ステップ403における弁114c、114b、114aの開閉順序は、図6bに概略的に示される。
【0052】
方法400は、さらに、基準ユニット104を用いてアルコール濃度を測定するステップ405を含む。ステップ405は、ステップ403の反復である。したがって、第5の弁114eが開けられ、その後に第2の弁114b、最後に第1の弁114aが開けられる。第1の弁114aが開けられると、ガスが第3のガス流路123を介してシステム100において運ばれ、基準ユニット104が所定の時間区分、例えば2~4秒だけガスに露出される。露出後、開いている第5の弁114e、第2の弁114b、および第1の弁114aが逆順で再度閉じられ、すなわち、第1の弁114aが最初に閉じられ、その後に第2の弁114b、最後に第5の弁114eが閉じられる。ステップ405は、1回、または例えば10回などの複数回反復されてもよく、それによって基準ユニット104が反復回数だけガスに露出される。ステップ403における弁114e、114b、114aの開閉順序は、図6aに概略的に示される。
【0053】
上記方法は、システム100に値を入力するステップ401と、システム100をフラッシングするステップ402と、基準測定装置104を用いて測定するステップ403と、アルコール呼気分析ユニット111を用いて測定するステップ404とを含み得る。このような場合、基準ユニット104を用いてアルコール濃度を測定するステップ403は、少なくとも1つのアルコール呼気分析ユニット111を用いてアルコール濃度を測定するステップ404の前または後で実行され得る。
【0054】
基準ユニット104は、外気に開放され得る基準弁104’を備え得る。このような場合、基準ユニット104は、検査方法400の間または検査方法400中にそれ自体をフラッシングし得る。
【0055】
1つより多いアルコール呼気分析ユニット111が検査対象の場合、したがって検査室103が1つより多いアルコール呼気分析ユニットを含む場合、検査方法400は、ステップ405の後に、アルコール呼気分析ユニット111が変更される追加ステップ406を含み得る。そのような変更は、アルコール呼気分析ユニットを変更するための装置200によって実行され得る。検査方法400がステップ406を含む場合、ステップ406の後にステップ403、404、および405が続く。
【0056】
検査方法400は、検査の条件、すなわち、検査室103の相対湿度および/または温度、ならびに/もしくはアルコールの濃度が変更されることができるステップ407を含み得る。条件のうちのいずれかが変更された場合、ステップ407の後にステップ401が続き、したがって検査方法400が最初から繰り返される。
【0057】
システム100をフラッシングするステップ402は、前のガス濃度からの残留物がシステム100に残らないことを確実にし得る。
【0058】
制御および登録ユニット105は、検査方法400を制御するように構成されてもよく、それによって、システム中の弁114a~114eが開けられる、または閉じられる時を制御するために、制御および登録ユニット105がシステム中の弁114a~114eに信号を送信するように構成される。アルコール濃度、温度、および相対湿度を入力するステップ401は、そのようなデータを制御および登録ユニット105に入力することによって実行されてもよく、制御および登録ユニット105がそのようなデータを使用して検査方法400中にシステム100中の弁114a~114eの開閉を制御するように構成され得る。制御および登録ユニット105は、さらに、上記のような入力データを使用して、検査室103の相対湿度および/または温度、ならびにシステム100内の温度、例えば、第1の加熱器116aおよび第2の加熱器116bの温度を制御するように構成され得る。
【0059】
検査方法400の全ステップにおいて、第1の弁114aが開けられると、ガスがガスタンク300からシステム100に入る。ガスは、水およびアルコール、または零レベルが検査される場合には水のみを含む液柱119に入る。液柱119中のアルコールの濃度は、手作業で調節されてもよく、または他の適した手段を使用して調節されてもよい。ガスが液柱119に入ると、液体と混合され、水、空気、二酸化炭素、場合によってはアルコールを含むガスがデッドスペース120で生成される。生成されたガスは、アルコールおよび/または二酸化炭素の制御された濃度を有し得る。ガスタンク300は、システム100の内圧よりも高い内圧を有してもよく、したがって、第1の弁114aが、他の弁、すなわち、第2の弁114b、第3の弁114c、第4の弁114d、および第5の弁114eが閉じられる時に開いていないようにシステム100中の弁114a~114eが開閉される方法では、第1の弁114aは好ましくは最後に開けられ最初に閉じられるべきである。
【0060】
一実施形態では、検査方法400は、
共通始点、すなわち第1の弁114aからそれぞれの終点へ、すなわち第1のガス流路121のための検査室103、第2のガス流路122のための出口110、および第3のガス流路123のための基準測定ユニット104へ、第1のガス流路121、第2のガス流路122、および第3のガス流路123を定義するステップ410を含み得る。各ガス流路121、122、123は複数の弁が設けられており、第1の弁114aは、全ガス流路121、122、123に対して共通である。
検査方法400は、さらに、最も外側の下流弁から開始し、第1のガス流路121、第2のガス流路122、または第3のガス流路123のうちの1つのガス流路の複数の弁を連続して開き、上流方向で第1の共通弁114aで終了するシーケンスにおいて、3つのガス流路121、122、123のうちの1つのガス流路の終点にガスを供給するために第1の弁114aを開くステップ411と、
下流方向において第1の共通弁114aから開始してガス流路121、122、123における複数の弁を連続して閉じ、終点に最も近い弁、すなわち第1のガス流路121のための第3の弁114c、第2のガス流路122のための第5の弁114e、および第3のガス流路123のための第4の弁114dで終了して第1のガス流路121、第2のガス流路122、または第3のガス流路123の弁を閉めることによって終点へのガスの供給を終了するステップ412と
を含み得る。
【0061】
上述したように、制御および登録ユニット105は、システム100を制御し、アルコール濃度測定からの結果を登録するように構成される。制御および登録ユニット105は、電源投入時刻、起動時刻、CO濃度、アルコール濃度、温度、電圧、電流などのデータを記録し得る。制御および登録ユニット105は、ガス生成装置101、分配ユニット102、および検査室103の温度を制御するように構成され得る。制御および登録ユニット105は、データを記憶し、タンク300における温度、相対湿度、濃度レベル、アルコール呼気分析ユニット111および基準ユニット104からの測定データなどを含むレポートを生成するようにさらに構成され得る。制御および登録ユニット105は、システム100内部で弁114a~114eを制御するようにさらに構成され得る。検査方法400で説明したように、例えば上記ステップ402、403、404および405において、弁114a~114eは、外側から開けられ、すなわちシステム100の最も遠い下流の第3の弁114c、第5の弁114e、および第4の弁114dが最初に開けられ、その後に分配ユニット102とガス生成装置101との間の第2の弁114b、最後にガス生成装置101に配置された第1の弁114aが開けられるように制御され得る。そのような弁114a~114eを開けるシーケンスによって、システム100が周囲の外気と同一またはほぼ同一の圧力を有することが可能になり得る。弁114a~114eは、弁114a~114eが閉じられる時に弁114a~114eが内側も外側からも逆順で閉じられ、したがってガス生成装置101に配置される第1の弁114aが最初に閉じられ、その後に第2の弁114bが閉じられ、その後に第3の弁114c、第4の弁114d、および第5の弁114eのうちの1つまたは全部が閉じられるように、制御および登録ユニット105によってさらに制御され得る。
【0062】
全ての態様および実施形態は、明示しない限り、互いに組み合わされることが可能である。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】