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特表2023-531783大気乱流の特性パラメータを推定するための方法および設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】大気乱流の特性パラメータを推定するための方法および設備
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/00 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
G01W1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581322
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2021067814
(87)【国際公開番号】W WO2022002917
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】2006810
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522361515
【氏名又は名称】ユニステラ
【氏名又は名称原語表記】UNISTELLAR
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】マルヴァッシュ,アルノー
(57)【要約】
【課題】大気乱流の特性パラメータを推定するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、単数または複数の星のデフォーカス像に相当するスペックル光学像が結びついた特性パラメータの値を学習データとして使用することによって機械学習モデルを訓練するステップ、少なくとも一つの測定望遠鏡によって取得される単数または複数のスペックル光学像を含む入力データから前記特性パラメータを推定するために前記訓練済み学習モデルを使用するステップを有し、スペックル像は、前記望遠鏡によって実際の条件で観察される単数または複数の星のデフォーカス像に相当する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気乱流の特性パラメータを推定するための方法であって、前記方法が、以下のステップ、
-単数または複数の星のデフォーカス像に相当するスペックル光学像が結びついた特性パラメータの値を学習データとして使用することによって機械学習モデルを訓練するステップ、
-少なくとも一つの測定望遠鏡(1)によって取得される単数または複数のスペックル光学像を含む入力データから前記特性パラメータを推定するために前記訓練済み学習モデルを使用するステップであって、スペックル像は、前記望遠鏡によって実際の条件で観察される単数または複数の星のデフォーカス像に相当するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
以下の、
-単数または複数の星のデフォーカス像に相当するスペックル光学像が結びついた大気乱流の複数の特性パラメータの値を学習データとして使用することによって機械学習モデルを訓練すること、
-測定望遠鏡(1)によって取得される単数または複数のスペックル光学像を含む入力データから前記特性パラメータのうちのそれぞれを推定するために前記訓練済み学習モデルを使用すること、
にある請求項1に記載の方法。
【請求項3】
単数または複数の大気乱流特性パラメータが、以下のリストの中で選択される、プロファイルC (h)であって、ここでC は大気の屈折率構造定数でありhは高度であり、フリードパラメータr0、風のプロファイルV(h)であって、ここでVは風向および風速をまたhは高度を特徴づけている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
大気乱流特性パラメータの値を学習データとして使用することによって学習モデル(MLa)を訓練することにあり、各値が、単一のデフォーカス面(z)において実際に取得されるまたはシミュレーションされるスペックル像と結びついている、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記デフォーカス面(z)において取得されるスペックル像を、訓練済み学習モデル(MLEa)の入力データとして使用することにある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
大気乱流特性パラメータの複数の値を学習データとして使用することによって学習モデル(MLb)を訓練することにあり、各値が、複数のデフォーカス面(zi)において実際に取得されるまたはシミュレーションされる一連のスペックル像と結びついている、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記デフォーカス面(zi)において取得される一連のスペックル像を、訓練済み学習モデル(MLEb)の入力データとして使用することにある、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
大気乱流特性パラメータの複数の値を学習データとして使用することによって学習モデル(MLc)を訓練することにあり、各値が、単一のデフォーカス面(z)においてかつ取得期間(tj)にわたって実際に取得されるまたはシミュレーションされる一連のスペックル像と結びついている、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記デフォーカス面(z)においてかつ前記取得期間(tj)にわたって取得される一連のスペックル像を、訓練済み学習モデル(MLEc)の入力データとして使用することにある、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
大気乱流特性パラメータの複数の値を学習データとして使用することによって学習モデル(MLd)を訓練することにあり、各値が、複数のデフォーカス面(zi)において、また各デフォーカス面(zi)について取得期間(tj)にわたって実際に取得されるまたはシミュレーションされる複数の一連のスペックル像と結びついている、請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記デフォーカス面(zi)においてかつ各当該デフォーカス面(zi)について前記取得期間(tj)にわたって取得される複数の一連のスペックル像を、訓練済み学習モデル(MLEd)の入力データとして使用することにある、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
さまざまなデフォーカス面(zi)が、焦点面(Pf)の両側に位置している、請求項6、7、10、11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
以下のステップ、
-特性パラメータの値からシミュレーションされるスペックル像を学習データとして使用するステップであって、シミュレーションは、シミュレーションアルゴリズムによって行われるステップ、
-測定望遠鏡(1)の特徴に応じてシミュレーションアルゴリズムをパラメータ化するステップ、
を含む、請求項1から12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
測定望遠鏡(1)の焦点距離および/または前記測定望遠鏡の分解能および/または前記測定望遠鏡によって取得される像のサイズおよび/または前記測定望遠鏡のひとみの形を考慮に入れながら、シミュレーションアルゴリズムをパラメータ化することにある、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
学習データとして以下の、
-少なくとも一つの訓練望遠鏡によって取得されるスペックル光学像であって、それらのスペックル像は、前記望遠鏡によって実際の条件で観察される単数または複数の星のデフォーカス像によって形成される、
-前記像と結びついた特性パラメータの値であって、各値は、実際に測定されるかつ/または、次のような手法:MASS、SLODAR、SCIDAR、G-SCIDAR、Stereo-SCIDAR、PML、LuSci、CO-SLIDAR、FASS、DIMMのうちの単数または複数を実装することによって推定される、
を使用することにある、請求項1から12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
以下のステップ、
-複数の測定望遠鏡(1a、1b、1c、1d、1e)をネットワークに配置するステップであって、ネットワークの各望遠鏡は、それぞれに固有の経度位置および緯度位置を有するステップ、
-望遠鏡(1a、1b、1c、1d、1e)のそれぞれを使って単数または複数のスペックル光学像を取得するステップ、
-経度と緯度とに応じた特性パラメータを推定するように、訓練済み学習モデル(MLE)の入力データとして前記取得済み像の全体を使用するステップ、
を含む、請求項1から15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一つにしたがった方法による、大気乱流の特性パラメータを推定するための、以下の、
-単数または複数の星のデフォーカス像に相当するスペックル光学像が結びついた特性パラメータの値を学習データとして使用することによって機械学習モデルを訓練するように構成される処理ユニット、
-少なくとも一つの測定望遠鏡(1)であって、前記望遠鏡によって実際の条件で観察される単数または複数の星のデフォーカス像に相当する単数または複数のスペックル光学像を取得するために適合した測定望遠鏡、
-前記測定望遠鏡(1)によって取得される前記単数または複数のスペックル光学像を含む入力データから前記特性パラメータを推定するように前記訓練済み学習モデルを使用するために適合した処理ユニット、
を含む設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気乱流の特性パラメータを推定するための方法および設備を対象とする。
【0002】
本発明は、光学視覚装置を使用する、大気の性質測定技術に関する。
【背景技術】
【0003】
地球の大気は、温度勾配および圧力勾配、化学組成の変化、風速および風向の変化を有する、不均一環境である。
これらの要因の全体が、位置と時間とに応じて変化する大気乱流を発生させる。
これらの大気乱流は、大気を通過する光線の軌道および速度を変更する。
波のコヒーレンスは低下し、このことは地面からの観察対象のぼけおよび/またはシンチレーションとなって現れる。
これらの大気乱流は、衛生通信もまた妨害し得る。
したがって、かなりの数の、大気の乱流を特徴づけるパラメータを調べることが必要であると思われた。
【0004】
これらの特性パラメータのうちのいくつかは、望遠鏡によって取得されるスペックル光学像(英語の用語「speckles」(スペックル)によっても示される)の分析から推論され得る。
擾乱大気を横切っての光波の通過は、波面の劣化をもたらし、その場合、波面は位相のランダムなゆらぎを有する。
このことは、地面の高さにある望遠鏡を通して観察される像へ、いくつもの影響、とりわけシンチレーションとなって現れ得る。
このシンチレーション現象は、波面のエネルギーの集中または希釈に相当する波の振幅の一時的なゆらぎである。
スペックルは、小さくて輝く黒いスポットからなり、望遠鏡のひとみの像の中にゆらぎとして現れ、このシンチレーション現象を示している。
乱流によってそれた光線の干渉に相当するのは、高周波構造物である。
図1は、スペックル像Iを示している。
【0005】
図2は、スペックル像Iの形成を簡単に示している。
星E(無数の天体)から来る光線Rは、平面波Oを形成する。
大気Aの乱流層を通過することによって、波O’は乱される。
望遠鏡1を用いて星Eに照準を定めることによって、そのひとみから得られる像Iは、乱された波O’によって誘発されるスペックルSを示す。
像Iは、典型的には、画素配列を有するCCDセンサ(Charged Coupled Device(電荷結合素子)の英語の頭字語を表わす)またはCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor(相補型金属酸化膜半導体)の英語の頭字語を表わす)である光学センサ12によって取得される。
望遠鏡1のひとみから像Iを得るために、センサ12はデフォーカスされ、すなわち前記望遠鏡の焦点面Pfからの距離z(>0)のところに位置決めされる。
【0006】
スペックル像分析から推論され得る、大気乱流の空間的性質を特徴づける一つのパラメータは、m-2/3で測定される大気の屈折率構造定数であるパラメータC である(英語で「refractive structure parameter」(屈折構造パラメータ))。
このパラメータは、大気乱流の光寄与の強度を表す。
高度hとともに変化するので、それは通常C (h)と示される。
図3は、C (h)のプロファイルの一例を示している。
【0007】
当業者に知られている種々の技術が、実際の条件で取得されるスペックル像からプロファイルC (h)を推定することを可能にしている。
最も知られている方法は:MASS法(Multiple Aperture Scintillation Sensor(マルチアパーチャシンチレーションセンサ)の英語の頭字語を表わす)[1];SLODAR法(SLOpe Detection And Rangingの英語の頭字語を表わす)[2;3;4];SCIDAR法(SCintillation Detection And Rangingの英語の頭字語を表わす)[5];一般化SCIDAR法(G-SCIDAR)[6,7,8];Stereo-SCIDAR法[9];PML法(Profiler of Moon Limbの英語の頭字語を表わす)[10];LuSci法(Lunar Scintillometerの英語の頭字語を表わす)[11];CO-SLIDAR法(COupled SLope and ScIntillation Detection And Rangingの英語の頭字語を表わす)[12];FASS法(Full Aperture Seeing Sensorの英語の頭字語を表わす)[13,14];などである。
これらの手法は、複雑で費用がかかりかつ設置困難な専用の測定器を使用することを必要とするだけでなく、さらに、スペックル像からプロファイルC (h)を求めるためにとりわけ複雑な数理モデルを機能させることを前提とする。
【0008】
大気の乱流を特徴づける別のパラメータは、フリードパラメータであって、r0と示される。
このパラメータは、波面の空間的コヒーレンス幅を示す。
パラメータr0は、C (h)に応じて表されることができ[15]、つまりスペックル像分析から推論されることができる。
風のプロファイルV(h)(ここでVは風速および風向をまたhは高度を特徴づけるものである)は、大気乱流を特徴づけることを可能にしかつスペックル像から推論されることができる別のパラメータである[16,17]。
スペックル像からのプロファイルC (h)の推定方法に結びついた不都合は、パラメータr0または風のプロファイルV(h)の推定についても同じである。
【0009】
中国特許出願公開第110083977号明細書、米国特許出願公開第2019/277758号明細書および米国特許出願公開第2012/078517号明細書は、大気乱流を特徴づけるために使用される他の技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】中国特許出願公開第110083977号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/277758号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/078517号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上述の不都合の全部かもしくは一部を解決することである。
【0012】
本発明の更なる目的は、大気乱流の少なくとも一つの特性パラメータを、簡単に、速く、かつより少ない費用で推定することができることである。
【0013】
本発明の別の目的は、実際の観察条件で取得されるスペックル光学像を解釈してそこから大気乱流の単数または複数の特性パラメータを推論するために、ロバストで、信頼できかつ精密な方法を得ることである。
【0014】
本発明のさらなる別の目的は、専用の複雑な機器を使用する必要のないばかりか、むしろ、このタイプの分析に専用でないアマチュア望遠鏡を使用することができつつ、大気乱流の特性パラメータを推定することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によって提案される解決案は、大気乱流の特性パラメータを推定するための方法であって、前記方法は、以下のステップを含む。
-単数または複数の星のデフォーカス像に相当するスペックル光学像が結びついた特性パラメータの値を学習データとして使用することによって機械学習モデルを訓練するステップ、
-少なくとも一つの測定望遠鏡によって取得される単数または複数のスペックル光学像を含む入力データから前記特性パラメータを推定するために前記訓練済み学習モデルを使用するステップであって、スペックル像は、前記望遠鏡によって実際の条件で観察される単数または複数の星のデフォーカス像に相当するステップ。
【0016】
この推定方法は現在、機械学習(英語でmachine learning(マシーンラーニング))モデル、つまり人工知能モデルに基づいている。
学習モデルは、いったん訓練されると、大気乱流の特性パラメータ、とりわけプロファイルC (h)、フリードパラメータr0または風のプロファイルV(h)を自動的に推定することができる。
本発明は、学習モデルが学習データとして複数の特性パラメータを用いて訓練される場合、複数のパラメータを同時に推定することでさえも可能にする。
訓練済み学習モデルは、特に専用の機器を使う必要なく、アマチュア望遠鏡の中により少ない費用で容易に実装され得る。
そのうえ、機械学習モデルの使用は、特性パラメータを推定することを可能にする計算にマイナスに影響を与える推測、考察、近似法および/または無視可能性に概して基礎を置く、先行技術の数理モデルから解放されることを可能にする。
本発明はつまり、訓練済みの特性パラメータの推定を改善することを可能にする。
【0017】
本発明の他の有利な特徴は、以下にリストされる。
これらの特徴のうちのそれぞれは、単独でまたは上記に定義された注目すべき特徴と組み合わせて検討されることができる。
これらの特徴のうちのそれぞれは、必要があれば、上記に定義された注目すべき特徴が必ずしも関与しない、明細書中の上記に定義された特定の技術的問題の解決に寄与する。
上記に定義された注目すべき特徴は、必要があれば、単数または複数の分割特許出願の対象となることができる。
-一実施形態によると、方法は以下のことにある:-単数または複数の星のデフォーカス像に相当するスペックル光学像が結びついた大気乱流の複数の特性パラメータの値を学習データとして使用することによって機械学習モデルを訓練すること;-測定望遠鏡によって取得される単数または複数のスペックル光学像を含む入力データから前記特性パラメータのうちのそれぞれを推定するために前記訓練済み学習モデルを使用すること、
-一実施形態によると、単数または複数の大気乱流特性パラメータは、以下のリストの中で選択される:プロファイルC (h)であって、ここでC は大気の屈折率構造定数でありhは高度である;フリードパラメータr0;風のプロファイルV(h)であって、ここでVは風向および風速をまたhは高度を特徴づけるものである、
-一実施形態によると、方法は、大気乱流特性パラメータの値を学習データとして使用することによって学習モデルを訓練することにあり、各値は、単一のデフォーカス面において実際に取得されるまたはシミュレーションされるスペックル像と結びついている、
-一実施形態によると、方法は、前記デフォーカス面において取得されるスペックル像を、訓練済み学習モデルの入力データとして使用することにある、
-一実施形態によると、方法は、大気乱流特性パラメータの複数の値を学習データとして使用することによって学習モデルを訓練することにあり、各値は、複数のデフォーカス面において実際に取得されるまたはシミュレーションされる一連のスペックル像と結びついている、
-一実施形態によると、方法は、前記デフォーカス面において取得される一連のスペックル像を、訓練済み学習モデルの入力データとして使用することにある、
-一実施形態によると、方法は、大気乱流特性パラメータの複数の値を学習データとして使用することによって学習モデルを訓練することにあり、各値は、単一のデフォーカス面においてかつ取得期間にわたって実際に取得されるまたはシミュレーションされる一連のスペックル像と結びついている、
-一実施形態によると、方法は、前記デフォーカス面においてかつ前記取得期間にわたって取得される一連のスペックル像を、訓練済み学習モデルの入力データとして使用することにある、
-一実施形態によると、方法は、大気乱流特性パラメータの複数の値を学習データとして使用することによって学習モデルを訓練することにあり、各値は、複数のデフォーカス面において、また各デフォーカス面について取得期間にわたって実際に取得されるまたはシミュレーションされる複数の一連のスペックル像と結びついている、
-一実施形態によると、方法は、前記デフォーカス面においてかつ各当該デフォーカス面について前記取得期間にわたって取得される複数の一連のスペックル像を、訓練済み学習モデルの入力データとして使用することにある、
-一実施形態によると、方法は、さまざまなデフォーカス面が、焦点面の両側に位置していることにある、
-一実施形態によると、方法は、以下のステップを含む:-特性パラメータの値からシミュレーションされるスペックル像を学習データとして使用するステップであって、シミュレーションは、シミュレーションアルゴリズムによって行われるステップ;-測定望遠鏡の特徴に応じてシミュレーションアルゴリズムをパラメータ化するステップ、
-一実施形態によると、方法は、測定望遠鏡の焦点距離および/または前記測定望遠鏡の分解能および/または前記測定望遠鏡によって取得される像のサイズおよび/または前記測定望遠鏡のひとみの形を考慮に入れながら、シミュレーションアルゴリズムをパラメータ化することにある、
-一実施形態によると、方法は、学習データとして以下を使用することにある:-少なくとも一つの訓練望遠鏡によって取得されるスペックル光学像であって、それらのスペックル像は、前記望遠鏡によって実際の条件で観察される単数または複数の星のデフォーカス像によって形成される;-前記像と結びついた特性パラメータの値であって、各値は、実際に測定されるかつ/または、次のような手法:MASS、SLODAR、SCIDAR、G-SCIDAR、Stereo-SCIDAR、PML、LuSci、CO-SLIDAR、FASS、DIMMのうちの単数または複数を実装することによって推定される、
-一実施形態によると、方法は、以下のステップを含む:-複数の測定望遠鏡をネットワークに配置するステップであって、ネットワークの各望遠鏡は、それぞれに固有の経度位置および緯度位置を有するステップ;-望遠鏡のそれぞれを使って単数または複数のスペックル光学像を取得するステップ;-経度と緯度とに応じた特性パラメータを推定するように、訓練済み学習モデルの入力データとして前記取得済み像の全体を使用するステップ。
【0018】
本発明の別の態様は、大気乱流の特性パラメータを推定するための設備に関しており、設備は以下を含む。
-単数または複数の星のデフォーカス像に相当するスペックル光学像が結びついた特性パラメータの値を学習データとして使用することによって機械学習モデルを訓練するように構成される処理ユニット、
-少なくとも一つの測定望遠鏡であって、前記望遠鏡によって実際の条件で観察される単数または複数の星のデフォーカス像に相当する単数または複数のスペックル光学像を取得するために適合した測定望遠鏡、
-前記測定望遠鏡によって取得される前記単数または複数のスペックル光学像を含む入力データから前記特性パラメータを推定するように前記訓練済み学習モデルを使用するために適合した処理ユニット。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の他の利点および特徴は、非限定的で表示的な例として作製される付属の図面を参照して、以下の好ましい実施形態の説明を読むことにより、より良く明らかになるであろう。
【0020】
図1】上記で述べたスペックル光学像を示している。
図2】上記で述べたスペックル像Iの形成を簡単に概略的に示している。
図3】上記で述べたプロファイルC (h)の一例を示している。
図4A】機械学習モデルの第一の訓練形態を示している。
図4B】機械学習モデルの第二の訓練形態を示している。
図4C】機械学習モデルの第三の訓練形態を示している。
図4D】機械学習モデルの第四の訓練形態を示している。
図5】スペックル像を取得する測定望遠鏡の第一の実施形態を概略的に示している。
図6】スペックル像を取得する測定望遠鏡の第二の実施形態を概略的に示している。
図7A】訓練済み機械学習モデルの第一の使用形態を示している。
図7B】訓練済み機械学習モデルの第二の使用形態を示している。
図7C】訓練済み機械学習モデルの第三の使用を示している。
図7D】訓練済み機械学習モデルの第四の使用形態を示している。
図8】測定望遠鏡ネットワークを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の対象になる方法およびシステムは、物理的要素、とりわけ、保存、転送、組合せ、比較などができ所望の結果に達することを可能にする(電気)信号およびデジタルデータの操作を生み出し得る。
【0022】
本発明は、コンピュータ装備によって実行される単数または複数のコンピュータアプリケーションを実装する。
明確にするために、本発明の趣旨では「装備が何かをする」ということは、「装備の処理ユニットによって実行されるコンピュータアプリケーションが何かをする」ということを意味することを理解しなければならない。
全く同様に、「コンピュータアプリケーションが何かをする」ということは、「装備の処理ユニットによって実行されるコンピュータアプリケーションが何かをする」ということを意味する。
【0023】
明確にするためにさらに、本発明は、単数または複数の「コンピュータプロセス」に言及し得る。
コンピュータプロセスは、単数または複数のコンピュータアプリケーションの命令の実行によって得られる動作または結果に相当する。
したがって、本発明の趣旨では「コンピュータプロセスが何かをするために適合している」ということは、「処理ユニットによって実行されるコンピュータアプリケーションの命令が何かをする」ことを意味することもまた理解しなければならない。
【0024】
明確にするためにさらに、明細書および請求の範囲で使用される特定の用語に、以下のような詳しい説明が与えられる。
-「コンピュータ資源」は、以下として理解され得るが、これらに限定されるものではない:コンポーネント、ハードウェア、ソフトウェア、ファイル、コンピュータネットワークへの接続、RAMメモリ容量、ハードドライブ容量、帯域幅、プロセッサ速度、CPUの数、など、
-「コンピュータサーバ」は、以下として理解され得るが、これらに限定されるものではない:サーバの機能を実行するためのコンピュータ資源を有しサービスを提供するコンピュータデバイス(ハードウェアまたはソフトウェア)、コンピュータ、複数のコンピュータ、インターネット上の仮想サーバ、クラウド上の仮想サーバ、プラットフォーム上の仮想サーバ、ローカルインフラストラクチャ上の仮想サーバ、サーバネットワーク、クラスタ、ノード、サーバファーム、ノードファーム、など、
-「処理ユニット」は、以下として理解され得るが、これらに限定されるものではない:プロセッサ、マイクロプロセッサ、CPU(Central Processing Unit(中央処理装置)を表わす)、GPU(Graphics Processing Unit(画像処理装置)を表わす)、
-「コンピュータアプリケーション」は、以下として理解され得る:ソフトウェア、コンピュータプログラムプロダクト、コンピュータプログラムまたはソフトウェアプログラムであって、その命令は処理ユニットによってとりわけ実行される、
-「通信ネットワーク」は、以下として理解され得るが、これらに限定されるものではない:インターネットネットワーク、セルラーネットワーク、衛星ネットワークなど。それは、通信プロトコル(ISDN、イーサネット、ATM、IP、CLNP、TCP、HTTPなど)に準じてかつ/またはGSM、EDGE、2G、3G、4G、5Gなどのような、しかしそれらに限定はされない、ネットワークテクノロジー経由で情報および/またはデータをセキュアにまたはセキュアでなく交換するために互いの間で接続されたコンピュータ装備のセットである、
-「データベース」は、コンピュータ装備によってとりわけコンピュータサーバによってアクセス可能で検索、読み込みおよび更新できる、媒体に記録された構造化および組織化されたデータセットとして理解され得るが、これに限定されるものではない。データは、そこで挿入、回収、変更および/または破壊され得る。データベースの管理およびアクセスは、データベース管理システム(DBMS)を構成するコンピュータアプリケーションのセットによって保証され得る、
-ここで使用されているように、相反する指示がない限り、対象を記述するための「第一の」、「第二の」などの序数形容詞の使用は、類似した対象のさまざまな場合が言及されることを単に示すだけであって、このように記述される対象が時間においてであれ、空間においてであれ、分類においてであれまたは他のあらゆる方法においてであれ、与えられた順序におけるものでなければならないことを意味するものではない、
-同様に、「右/左」、「前/後ろ」などの形容詞の使用は、付属の図面の構成における対象の位置を単に記述することを可能にするものであり、実際には、類似した対象が同じ位置にあることを必ずしも意味するわけではない、
-「Xおよび/またはY」はつまり、ただX単独であること、またはただY単独であること、またはXおよびYであることを意味している、
-概して、様々な図面が、ある図面から別の図面まで、または、与えられた1つの図面の中でも正確な縮尺率で描かれてはいないこと、またとりわけ、対象が、図面の解読を容易にするために自由に描かれていることが、認められるであろう。
【0025】
本発明の対象になる方法は、望遠鏡(以下「測定望遠鏡」と示される)によって実際の条件で取得されるスペックル光学像から大気乱流の少なくとも一つの特性パラメータを推定するように訓練される機械学習モデルの使用に基づく。
【0026】
推定され得る特性パラメータは、とりわけ、プロファイルC (h)、フリードパラメータr0、風のプロファイルV(h)である。
訓練済み機械学習モデルによって、他の特性パラメータが推定され得る。
そのために、別の求められる特性パラメータと結びついたスペックル光学像を、学習データとして使用すれば十分である。
[学習モデルの訓練]
【0027】
学習データとして使用されるスペックル光学像は、単数または複数の星の、実際のまたはシミュレーションされる、デフォーカス像に相当する。
【0028】
一実施形態によると、学習データとして使用されるスペックル像は、光学器械、とりわけ、以下で「訓練望遠鏡」によって示される望遠鏡によって、実際の条件において取得される像である。
これらの実際の像は、単数または複数の星のデフォーカス像である。
この訓練望遠鏡は、スペックル像の取得専用器械であり得る。
それは測定望遠鏡と同じ望遠鏡であることもできるし、または異なる望遠鏡であることもできる。
【0029】
一実施形態によると、訓練望遠鏡は、アマチュア望遠鏡または一般大衆向けの望遠鏡、すなわち、スペックル像の取得専用ではなく商業界において入手可能な望遠鏡である。
例えば、Unistellar(登録商標)社によって参照記号eVscope(登録商標)で商品化されているスマート望遠鏡を使用され得る。
【0030】
訓練望遠鏡によって取得されるこれらの実際の像と結びついた単数または複数の特性パラメータの値は、単数または複数の上述の既知の方法によって推定されることができる:MASS、SLODAR、SCIDAR、G-SCIDAR、Stereo-SCIDAR、PML、LuSci、CO-SLIDAR、FASS、DIMM(Differential Image Motion Monitorの英語の頭字語を表わす)[26,27]、など。
特性パラメータの値は、また、例えば、[18]または[19]において記述されているような、大気の探測気球の中に設置されるセンサを使って、実際に測定され得る。
その場合、実際に測定された値を測定サイクルの間に取得されるスペックル像に相関させるだけで十分である。
【0031】
別の一実施形態によると、学習データとして使用されるスペックル像は、単数または複数の星のデフォーカス像に相当するシミュレーション像である。
これらのスペックル像は、特性パラメータから、例えばプロファイルC (h)、フリードパラメータr0、風のプロファイルV(h)から、シミュレーション-またはモデル化-される。
そのようなスペックル像のシミュレーション(英語でscintillation screen(シンチレーションスクリーン))は、[20,21,22,23,24]の中にとりわけ記述されている。
これらのシミュレーションの一般原則は、以下の通りである。
所定の高度hで、光波への大気の影響を計算する。
この影響は、通常、もっぱら波の位相だけにかかわる。
KolmogorovまたはVan Karmanの乱流モデルに基づきながら、この影響は、「phase screens(位相スクリーン)」を計算することによって考慮に入れられる。
この乱された波の伝播が、次に、典型的には、位相摂動が誘発された高度と地面との間で、(例えば平面波への分解、フレネル回折などによって)計算される。
この伝播の影響を受けて、位相摂動は、波の振幅摂動に徐々に変化する(シンチレーション効果)。
これらの計算方法のデジタルインプリメンテーションは、例えば[22,23]の中に記述されている。
これらの計算は、さまざまな高度で誘発される位相摂動を考慮に入れることによって最適化され得る。
これらの計算をすることができるパイソンオープンソースライブラリ、例えばAOtoolsライブラリもまた存在する[25]。
【0032】
一実施形態によると、スペックル像をモデル化するために使用されるシミュレーションアルゴリズムは、訓練済み学習モデルの入力データとして使用されることになる実際の条件でのスペックル像の取得のために使用されることになる測定望遠鏡の特徴に応じてパラメータ化される。
シミュレーションアルゴリズムは、パラメータとしてとりわけ以下を考慮に入れて入念に作り上げられる。
測定望遠鏡の焦点距離および/またはその分解能(光学センサのピクセルサイズ)および/または取得される像のサイズ(光学センサのピクセル数)および/またはそのひとみの形(例えば:管の入り口の機械構造の存在)。
そうすれば、学習データとして使用されるシミュレーション像が、測定望遠鏡によって取得されることになる実際の像に類似しているようになる。
言葉を換えれば、スペックル像は、測定の実際の条件の中に置かれながらシミュレーションされる。
学習モデルは、よりロバストで、より信頼できかつより精密となる。
【0033】
一実施形態によると、学習データとして使用されるシミュレーション像は、同じ特性パラメータ、例えば同じプロファイルC (h)、同じフリードパラメータr0、同じ風のプロファイルV(h)に相当する、訓練望遠鏡によって取得される実際の像によって仕上げまたは修正される。
【0034】
学習モデルのロバスト性および精度を最適化するために、スペックル像は有利には、さまざまな強度によってシミュレーションされる。
これらのさまざまな強度は、測定望遠鏡によって観察され得る星のさまざまな強度に相当する。
このことは、測定望遠鏡が、あらかじめ決定された1つの星を実際の条件で観察しながら単数または複数のスペックル像を生成することを強制されないようにする。
訓練済み学習モデルは、それどころか、どんな星からも来る単数または複数のスペックル像を入力データとして受容し得る。
【0035】
機械学習は、AIモデルに基づいている。
学習データベース(または学習セット)は、スペックル像と結びついた特性パラメータの値で構成されるペアのセットである。
使用される学習モデルは、この趣旨において、教師ありモデル(英語でsupervised learning)である。
モデルは、新規入力(すなわち単数または複数のスペックル像)を出力(すなわちプロファイルC (h)および/またはフリードパラメータr0および/または風のプロファイルV(h)など)と結びつけることを可能にする予測関数を入念に作り上げるためにこの学習ベースを使用する。
【0036】
一実施形態によると、学習モデルは、人工ニューラルネットワーク、ベイズモデル、k近傍法(k-NN)アルゴリズム、隠れマルコフモデルに基づいており、またより広くは、入力にスペックル像を受容し、出力にプロファイルC (h)、フリードパラメータr0、風のプロファイルV(h)または大気乱流の他のあらゆる特性パラメータのような、大気乱流の単数または複数の特性パラメータの値を生成するモデルに基づいている。
【0037】
図4Aから図4Dは、機械学習モデルMLのさまざまな学習モード-または訓練モード-を示している。
これらの訓練モードは、大気乱流の特性パラメータとしてプロファイルC (h)を選びつつ例示されている。
当業者は、これらの訓練モードが、フリードパラメータr0や風のプロファイルV(h)のような他の特性パラメータを用いて実装され得ることを容易に理解することになる。
これらの訓練モードを、複数の特性パラメータを用いて実装することもまたできる。
例えば、学習データとして使用される単数または複数のスペックル像は、プロファイルC (h)およびフリードパラメータr0および/または風のプロファイルV(h)と同時に結びついている。
【0038】
複数のプロファイルC (h)が学習データとして使用され、各プロファイルは、単数または複数のスペックル像と結びついている。
言葉を換えれば、またより広くは、同じ特性パラメータの複数の値(すなわち複数のプロファイルC (h))が入力データとして使用され、各値(すなわち各プロファイルC (h))は、単数または複数のスペックル像と結びついている。
【0039】
学習データとして使用される単数または複数のスペックル像Iは、先に説明されたように実際の像またはシミュレーション像である。
【0040】
図4Aの実施形態によると、モデルMLaの訓練は、単一の像I(z)を各プロファイルC (h)と結びつけることによって実行される。
像I(z)は、単一のデフォーカス面zにおいて実際に取得される像またはシミュレーションされる像である。
このデフォーカス面zの選択は、[14]中に記述されている方法にしたがって定義され得る。
学習データベースは、ここでは、例えば500と10ペアとの間である、複数のペア{C (h)-I(z)}で形成される。
【0041】
図4Bの実施形態によると、MLbモデルの訓練は、一連の像I(zi)を各プロファイルC (h)と結びつけることによって実行される。
像I(zi)は、ここでは、複数のデフォーカス面ziにおいて実際に取得されるかまたはシミュレーションされる(iは-lから+kを変動し、例えばlおよびkは0mmと3mmとの間である。)。
つまり、各デフォーカス面ziについて、スペックル像がある。
デフォーカス面ziの数は、2と1000との間であり得る。
さまざまな面ziは、焦点面Pfの前かつ/または後ろに位置し得る。
焦点面Pfの前かつ後ろに位置する面ziによる学習は、高い高度(h>10Km)についても低い高度(h<500m)についてもプロファイルC (h)の推定を最適化することを可能にする[13,14]。
学習データベースは、ここでは、例えば500と10ペアとの間である、複数のペア{C (h)-I(zi)}で形成される。
MLbモデルの学習は、Mlaモデルよりも高性能であり、いったんMLbモデルが訓練されるとより良い推定を得ることを可能にする。
【0042】
図4Cの実施形態によると、MLbモデルの訓練は、一連の像I(z,tj)を各プロファイルC (h)と結びつけることによって実行される。
像I(z,tj)は、図4Aのモデルを参照して先に記述されたような単一のデフォーカス面zにおいて実際に取得されるかまたはシミュレーションされているが、しかし取得期間tjにわたっている。
学習は、このように、やはりスペックルのシンチレーション効果の分析に基づいている。
取得期間tj(jは0からnを変動する)は、例えば、2ミリ秒(n=2ms)と2分(n=2min)との間に含まれ得る。
この期間tjにわたって取得またはシミュレーションされる像I(z,tj)の数は、例えば、10と30000との間であり得る。
学習データベースは、つまりここでは、例えば500と10ペアとの間である、複数のペア{C (h)-I(z,tj)}で形成される。
MLcモデルの学習は、Mlaモデルよりも高性能であり、いったんMLcモデルが訓練されるとより良い推定を得ることを可能にする。
【0043】
図4Dの実施形態は、図4Bおよび図4Cの形態の組合せである。
MLdモデルの訓練は、複数の一連の像I(zi,tj)を各プロファイルC (h)と結びつけることによって実行される。
像I(zi,tj)は、(図4Bのモデルについてのように)複数のデフォーカス面ziにおいて、かつ(図4Cのモデルについてのように)各デフォーカス面ziについて取得時期tjにわたって、実際に取得されるかまたはシミュレーションされる。
学習データベースは、ここでは、例えば500と10ペアとの間である、複数のペア{C (h)-I(zi,tj)}で形成される。
MLdモデルの学習は、Mlaモデル、MLbモデルおよびMlcモデルよりも高性能であり、いったんMLdモデルが訓練されるとより良い推定を得ることを可能にする。
【0044】
MLモデルの訓練は、図4Aの実施形態にかつ/または図4Bの実施形態にかつ/または図4Cの実施形態にかつ/または図4Dの実施形態に基づき得る。
【0045】
一実施形態によると、MLモデルの訓練は、好ましくはコンピュータサーバの、処理ユニットによって実行される。
このモデルに基づいたアプリケーションは、次に、例えばダウンロードによって、ユーザの望遠鏡のメモリ領域の中にあとで実装される。
このコンピュータアプリケーションは、次に、例えば、コンピュータサーバの中に遠隔化されたデータベースからのアップデートおよび/またはダウンロードによって、エンリッチされ得る。
[スペックル像の取得のために使用される測定望遠鏡]
【0046】
測定望遠鏡は、実際の条件で観察される単数または複数の星のデフォーカス像に相当するスペックル光学像を取得するために使用される。
これらの像は、測定望遠鏡を天頂に向けることによって、またはその赤緯軸の調整によって前記望遠鏡を地平線と天頂との間に向けることによって取得され得る。
これらのスペックル像は、訓練済み学習モデルの入力データである。
【0047】
一実施形態によると、使用される測定望遠鏡は、スペックル取得専用器械である。
別の一実施形態によると、望遠鏡1は、アマチュア望遠鏡または一般大衆向けの望遠鏡、すなわち、大気乱流の特性パラメータ分析専用ではなく商業界において入手可能な望遠鏡である。
例えば、Unistellar(登録商標)社によって参照記号eVscope(登録商標)で商品化されているスマート望遠鏡を使用し得る。
それは、惑星、彗星、星雲、銀河、また概して近いまたは遠い空の物体-または天文学的物体-(とりわけ深空または英語で「deep sky」の天体)のような天体の観察のために使用される望遠鏡である。
【0048】
図5の実施形態によると、測定望遠鏡1は、とりわけ、中空の本体10、光学システム11およびセンサ12を含む。
【0049】
中空の本体10は、例えば円形切断面の中空管の形をしているが、しかし楕円形、正方形、8角形または別の切断面の管であってもよい。
中空の本体10が必ずしも管状形ではなく、例えば、円錐形の形であり得ること、または管や円錐部分で形成され得ることが明確にされる。
中空の本体10は、金属製、プラスチック材料製、複合材料製などで作製され得る。
例として、その長さは200mmと1000mmとの間であり、その直径は50mmと500mmとの間であり、その厚みは1mmと10mmとの間である。
【0050】
観察される星Eから来る光線Rは、管10の中に入り込み、ついで、有利には純反射式凹面放物面鏡の形をしている、主鏡11によって反射する。
鏡11によって反射した光線Rは、焦点面Pfにおいて、星Eの像を形成する。
【0051】
センサ12は、光軸X-Xを中心とし、また望遠鏡1のひとみの像、すなわち管10の入口端部100の像を取得するように、焦点面Pfから距離を置いて配置される。
この像は、スペックル像であり、そこから大気乱流の単数または複数の特性パラメータの値を求めようと努める。
【0052】
センサ12の位置は、zと示される。
それは、デフォーカス面である。
一実施形態によると、センサ12は、その位置zを変化させるように位置を変えられる。
それは、例えば、長手方向のスライダ120上に平行移動で可動式に取り付けられる。
別の一実施形態によると、センサ12は固定したままであり、とりわけ主鏡11を移動させることによって、光学システムの構成を変化させて、焦点面Pfの位置を変化させる。
【0053】
センサ12は、望遠鏡1の従来の使用のためには(すなわち天体観察のためには)焦点面Pfに位置決めされ、そして本発明による方法の実行のためには前記焦点面からずらされる。
これらの位置zは、焦点面Pfの前に、すなわち前記焦点面と鏡11との間に位置し得る、かつ/または前記焦点面の後ろに、すなわち前記焦点面と入口端部100との間に位置し得る。
【0054】
センサ12は、好ましくは、(好ましくはカラー画像を生成することによって)画素配列を有するCCDセンサ(Charged Coupled Device(電荷結合素子)の英語の頭字語を表わす)またはCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor(相補型金属酸化膜半導体)の英語の頭字語を表わす)である。
このタイプのセンサ12は、減少した寸法を有し、このことは、最適な明るさを保ちつつ、管10の中に容易に設置されることを可能にする。
センサ12の直径は、例えば15mmと30mmとの間である。
【0055】
センサ12によって生成される画像データは、処理ユニット13に伝送される。
センサ12と処理ユニット13との間の接続は、有線で、または無線リンクによって、例えば非制限例としてBluetooth(登録商標)、Wifi(登録商標)、ZigBee(登録商標)プロトコルのような近距離通信プロトコルに準じて行われることができる。
一実施形態によると、処理ユニット13は、センサ12によって取得される像を、訓練済み学習モデルの入力データとして使用するために適合している。
別の一実施形態によると、処理ユニット13は、センサ12によって取得される像を、訓練済み学習モデルが中に実装されるリモートコンピュータサーバに伝送するために適合されており、それらの像は、前記モデルの入力データである。
【0056】
一実施形態によると、測定望遠鏡1は、以下の、単数または複数のコンピュータ資源もまた有する。
単数または複数のメモリ14、無線通信モジュール15、ネットワークインタフェース16。
【0057】
単数または複数のメモリ14は、データおよび/またはデータファイルを保存するためにもまた適合した記憶装置とみなされなければならない。
それは、ネイティブメモリまたは、セキュアデジタル(SD)カードのような増設メモリであり得る。
訓練済み学習モデルは、好ましくは、このメモリ領域14の中に記録される。
単数または複数の他のコンピュータアプリケーションもまた、メモリ領域14の中に記録され得るし、また、その命令は、命令が処理ユニット13によって実行されるとき、本明細書の上記に記述された機能を実行することを可能にする。
【0058】
無線通信モジュール15は、他の装備を用いて無線で通信するために高周波信号を受信および発信するために適合される。
これらの高周波信号は、好ましくは、Bluetooth(登録商標)プロトコルを使用する信号であるが、しかしながらISM、Wifi(登録商標)、ANT、ZIGBEE(登録商標)または別のもののような他のプロトコルが使用され得る。
【0059】
ネットワークインタフェース16は、コンピュータ通信ネットワーク経由で、望遠鏡1とリモートコンピュータサーバおよび/または他のリモート電子装備との間の通信を確立するために適合されている。
このネットワークインタフェース16は、望遠鏡1の中に直接組み込まれることができ、例えばGSMモジュール(Global System for Mobile Communication(グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーション)の英語の頭字語を表わす)の形態をしていることができ、望遠鏡が携帯電話通信ネットワークに接続することを可能にしている。
【0060】
測定望遠鏡1は、また有利には、前記望遠鏡を完全に自律型にさせるように、充電式バッテリ電源17を組み込むこともできる。
【0061】
図5で、測定望遠鏡1は、ディスプレイスクリーン201、例えば多色液晶ディスプレイLCD(Liquid Crystal Displayを表わす)またはOLED(Organic Light-Emitting Diodeを表わす)を備えた1つ(または2つ)の接眼レンズ200で形成されるディスプレイ装置を組み込んでいる。
処理ユニット13は、センサ12によって取得された像をスクリーン201に表示するために適合されている。
【0062】
別の一実施形態によると、スクリーン201は、望遠鏡1から遠隔化したディスプレイ装置の中に組み込まれる。
それは、例えば、欧州特許出願公開第3400474号明細書(GOOGLE)の中に記述されているタイプの頭部装着式表示装置(ディスプレイ頭部装着装置、没入型頭部装着装置、スクリーン付き頭部装着装置、またはhead-mounted dispay(ヘッドマウントディスプレイ)の英語の頭字語を表わすHMD頭部装着装置とも呼ばれる)、または携帯端末のスクリーン、例えばSmartphone(スマートフォン)またはタッチタブレットのスクリーンである。
この遠隔化したディスプレイ装置と望遠鏡1との間の、より具体的には処理ユニット13を用いた接続は、有線リンク経由で(例えばUSBケーブルによって)、または無線リンク経由で、例えば非制限例としてBluetooth(登録商標)、Wifi(登録商標)、ZigBee(登録商標)プロトコルのような近距離通信プロトコルに準じて行われることができる。
【0063】
図6は、測定望遠鏡1の別の実施形態を示している。
光学システムは、ここでは、以下によって形成されている。
-管10の中に位置決めされる主鏡110であって、前記管の中に入り込む光線Rを反射するためのもの、
-管10の中に位置決めされる副鏡111であって、主鏡110によって反射した光線を反射するためのもの。
【0064】
主鏡110および副鏡111は、同じ光軸X-X上に位置決めされる。
これらは、前記鏡によって反射する光線が、観察される星の像を焦点面Pfにおいて形成するように配置される。
鏡110、鏡111は、焦点面Pfが管10の中の、2つの当該鏡の間に位置するように配置される。
【0065】
主鏡110は、好ましくは、小さい焦点比(好ましく5未満)を有する凹面放物面鏡である。
このタイプの鏡は、球面収差から解放されることを可能にする。
主鏡110の直径は、管10の直径にほぼ相当する。
【0066】
主鏡の等価直径および等価焦点距離の図5の器具と比べて、焦点面Pfを2つの鏡110、111の間にもってくることにより、光学システムの焦点距離と望遠鏡1の長さとを減少させることが可能となる。
観察される天体の倍率はより低いが、しかし視野の拡大と像の明るさの増加とを利点として伴う。
こうして、星雲や銀河のようなあまり明るくない天体を、より優れた画質で観察することができる。
惑星や恒星のような明るい天体の画質は、非常に良いままである。
【0067】
センサ12の位置は、zと示される。
先に記述されたように、センサ12は、焦点面Pfの両側に位置する、さまざまなデフォーカス面zに配置され得る。
これらの位置は、焦点面Pfの前に、すなわち前記焦点面と主鏡110との間に位置することができ、かつ/または前記焦点面の後ろに、すなわち前記焦点面と副鏡111との間に位置し得る。
先に記述されたように、センサ12は、その位置zを変化させるために長手方向のスライダ120上に平行移動で可動式に取り付けられ得る。
別の一実施形態によると、センサ12は固定したままであり、とりわけ主鏡110および/または副鏡111を移動させることによって光学システムの構成を変化させて、焦点面Pfの位置を変化させる。
[訓練済み学習モデルの使用]
【0068】
図7Aから図7Cは、訓練済み学習モデルMLEのさまざまな使用形態を示している。
訓練済み学習モデルは、測定望遠鏡1によって取得される単数または複数のスペックル光学像を含む入力データから単数または複数の特性パラメータを推定することを可能にする。
これらのスペックル像は、測定望遠鏡1によって実際の条件で観察される単数または複数の星のデフォーカス像である。
訓練済み学習モデルMLEは、測定望遠鏡1の中に直接実装され得るし、またはリモートコンピュータサーバの中に実装され得る。
【0069】
これらの使用形態は、推定すべき特性パラメータとしてプロファイルC (h)を選びつつ例示される。
当業者は、これらの使用形態が、学習モデルの訓練に応じて、フリードパラメータr0、風のプロファイルV(h)などのような他の単数または複数の特性パラメータの推定にもまた適していることを容易に理解することになる。
入力データについて、訓練済み学習モデルは、したがって、それぞれが特定の特性パラメータ、例えばプロファイルC (h)およびフリードパラメータr0および風のプロファイルV(h)の値に相当する複数の出力データを提供し得る。
【0070】
図7Aの実施形態によると、入力データは、センサ12によって実際に取得される単一のスペックル像I(z)から成る。
このスペックル像Iは、訓練済み学習モデルMLEaの入力データである。
出力データは、求められる特性パラメータ、ここではプロファイルC (h)である。
【0071】
一実施形態によると、訓練済み学習モデルMLEaは、図4Aの実施形態にしたがって訓練されたモデルMLaである。
入力データ(単一のスペックル像)は、このように、学習データのタイプに相当し、したがってプロファイルC (h)の推定が最適化される。
先に示されたように、プロファイルC (h)の推定は、学習モデルMLaがシミュレーションスペックル像を用いて訓練されるときに、かつ使用されるシミュレーションアルゴリズムが測定望遠鏡1の特徴に応じてパラメータ化されるときにさらにいっそう精密である。
実際の像Iは、単一のデフォーカス面zにおいて取得される。
プロファイルC (h)の推定を最適化するために、このデフォーカス面は、モデルMLaの学習データとして使用される像がシミュレーションされた面に相当する。
【0072】
モデルMLa(図4A)は、また、訓練望遠鏡によって実際に取得されるスペックル像を用いて訓練され得る。
測定望遠鏡1が、訓練望遠鏡である場合、センサ12を、学習画像を取得するために使用される面と同じデフォーカス面zに配置するだけで十分である。
言葉を換えれば、同じデフォーカス面zが、モデルMLaの学習データとして使用されるスペックル像の取得のために、かつ訓練済みモデルMLEaの入力データとして使用されるスペックル像の取得のために使用される。
【0073】
測定望遠鏡1が、(とりわけその焦点距離および/またはその分解能および/またはその取得像サイズおよび/またはそのひとみの形について)訓練望遠鏡と異なる場合、測定条件を学習条件に適合させることを可能にする特殊な処理を提供することが有利であり、その結果、訓練済みモデルMLEaの入力データはモデルMLaの学習データと等価である。
訓練済み学習モデルMLEaの推定は、したがって、より精密でかつより信頼できる。
【0074】
とりわけ、測定望遠鏡1が訓練望遠鏡の焦点距離(f訓練)と異なる焦点距離(f測定)を有する場合、前記測定望遠鏡のセンサ12のデフォーカス(z測定)を、それが前記訓練望遠鏡のセンサのデフォーカス(z訓練)と等価であるように適合すべきである。
測定望遠鏡1のセンサ12のデフォーカス面z測定の修正される位置は、その場合、次の式:
測定=z訓練×(f測定/f訓練
によって定義され得る。
この修正は、有利には、処理ユニット13によって実行される。
【0075】
同様に、測定望遠鏡と訓練望遠鏡とは、同じ分解能を有しないことがあり得、それらのそれぞれの光学センサのピクセルサイズは異なっている。
この場合、測定望遠鏡1のセンサ12の分解能を、それが訓練望遠鏡の分解能と等価であるように適合させることが有利である。
この適合は、例えば、[28]または[29]の中に記述されるタイプの画像処理アルゴリズムに準じて、またはLet’s Enhance(登録商標)社(https://letsenhance.io)によって提案される画像処理ソフトウェアに従って行われることができる。
この適合は、有利には、処理ユニット13によって実行される。
【0076】
また、測定望遠鏡1によって取得される測定像のサイズ(光学センサのピクセル数)も、訓練望遠鏡によって取得される学習像のサイズと異なり得る。
その場合、測定像のサイズを、それが訓練像のサイズと等価であるように適合させることが有利である。
このサイズ変更は、拡大縮小、トリミング、ベクトル化、三次補間[30]に基づいたタイプのサイズ変更、線形補間[31]または非線形補間(例えば米国特許第6727908号明細書中に記載)に基づいたタイプのサイズ変更、最近傍補間に基づいたタイプのサイズ変更[32]などから成ることができる。
この適合は、有利には、処理ユニット13によって実行される。
【0077】
そのうえ、測定望遠鏡および訓練望遠鏡は、同じひとみの形を有していないかもしれない。
例えば、訓練望遠鏡は、管の入口に、副鏡または光学センサを支え、よってその形が測定望遠鏡1の形と異なる構造物を有し得る。
そのような構造物の形は、スペックル像上で目に見える。
したがって、測定画像に現れる構造物の形が訓練画像に現れる構造物の形と等価であるように、画像処理を提供することが有利である。
例えば、訓練望遠鏡の入口の構造物の形を再現するマスクが、測定画像に付け加えられ得る。
【0078】
図7Bの実施形態によると、入力データは、センサ12によって実際に取得される一連のスペックル像I(zi)から成る。
この一連の像は、訓練済み学習モデルMLEbの入力データである。
出力データは、求められる特性パラメータ、ここではプロファイルC (h)である。
像I(zi)は、複数のデフォーカス面ziにおいて取得される(iは-lから+kまでを変動し、例えばlおよびkは0mmと3mmとの間である)。
各デフォーカス面ziについて、つまりスペックル像がある。
デフォーカス面ziの数は、2と1000との間に含まれ得る。
さまざまな面ziは、焦点面Pfの前かつ/または後ろに位置し得る。
【0079】
一実施形態によると、訓練済み学習モデルMLEbは、モデルMLbである(図4B)。
入力データ(一連のスペックル像)は、このように学習データのタイプに相当し、したがってプロファイルC (h)の推定が最適化される。
先に示されたように、プロファイルC (h)の推定は、学習モデルMLbがシミュレーションスペックル像を用いて訓練されるときに、かつ使用されるシミュレーションアルゴリズムが測定望遠鏡1の特徴に応じてパラメータ化されるときにさらにいっそう精密である。
実際の像I(zi)は、複数のデフォーカス面ziにおいて取得される。
プロファイルC (h)の推定を最適化するために、これらのデフォーカス面は、モデルMLdの学習データとして使用される像がシミュレーションされた面に相当する。
【0080】
モデルMLb(図4B)は、また、訓練望遠鏡によって実際に取得されるスペックル像を用いて訓練され得る。
測定望遠鏡1が訓練望遠鏡である場合、センサ12を、学習画像を取得するために使用される面と同じデフォーカス面ziに配置するだけで十分である。
同じデフォーカス面ziが、したがって、モデルMLbの学習画像の取得のために、かつ訓練済みモデルMLEbの入力データとして使用される測定画像の取得のために使用される。
【0081】
測定望遠鏡1が(とりわけその焦点距離および/またはその分解能および/またはその取得像サイズおよび/またはそのひとみの形について)訓練望遠鏡と異なる場合、特殊な画像処理が測定条件を学習条件に適合させるために有利には提供され、その結果、訓練済みモデルMLEbの入力データは、モデルMLbの学習データと等価である。
デフォーカスの適合、分解能の適合、画像サイズの適合および/またはひとみの画像の適合に関する画像処理は、図7Aを参照して記述される画像処理に類似している。
【0082】
図7Cの実施形態によると、入力データは、センサ12によって実際に取得される一連のスペックル像I(z,tj)から成る。
この一連の像は、訓練済み学習モデルMLEcの入力データである。
出力データは、求められる特性パラメータ、ここではプロファイルC (h)である。
像I(z,tj)は、図7Aを参照して先に記述されたような単一のデフォーカス面zにおいて取得されているが、しかし例えば2ミリ秒(n=2ms)と2分(n=2min)との間の取得期間tj(jは0からnまで変動する)にわたっている。
この期間tjにわたって取得される像I(z,tj)の数は、例えば、10と30000との間に含まれ得る。
【0083】
一実施形態によると、訓練済み学習モデルMLEcは、モデルMLcである(図4C)。
入力データ(一連のスペックル像)は、このように、学習データのタイプに相当し、したがってプロファイルC (h)の推定が最適化される。
先に示されたように、プロファイルC (h)の推定は、学習モデルMLcがシミュレーションスペックル像を用いて訓練されるときに、かつ使用されるシミュレーションアルゴリズムが測定望遠鏡1の特徴に応じてパラメータ化されるときにさらにいっそう精密である。
実際の像I(z,tj)は、単一のデフォーカス面zにおいて取得される。
プロファイルC (h)の推定を最適化するために、このデフォーカス面は、モデルMLbの学習データとして使用される像がシミュレーションされた面に相当する。
【0084】
モデルMLc(図4C)は、また、訓練望遠鏡によって実際に取得されるスペックル像を用いて訓練され得る。
測定望遠鏡1が訓練望遠鏡である場合、学習画像を取得するために使用される面と同じデフォーカス面zにセンサ12を配置して、同じ期間tjにわたって測定画像を取得するだけで十分である。
同じデフォーカス面zおよび同じ取得期間が、したがって、モデルMLcの学習画像の取得のために、かつ訓練済みモデルMLEcの入力データとして使用される測定画像の取得のために使用される。
【0085】
測定望遠鏡1が(とりわけその焦点距離および/またはその分解能および/またはその取得像サイズおよび/またはそのひとみの形について)訓練望遠鏡と異なる場合、特殊な画像処理が測定条件を学習条件に適合させるために有利には提供され、その結果、訓練済みモデルMLEcの入力データはモデルMLcの学習データと等価である。
デフォーカスの適合、分解能の適合、画像サイズの適合および/またはひとみの画像の適合に関する画像処理は、図7Aを参照して記述される画像処理に類似している。
【0086】
図7Dの実施形態は、図7Bの形態と図7Cの形態との組合せである。
入力データは、センサ12によって実際に取得される複数の一連のスペックル像I(zi,tj)から成る。
これらの一連の像の全体は、訓練済み学習モデルMLEdの入力データである。
出力データは、求められる特性パラメータ、ここではプロファイルC (h)である。
像I(zi,tj)は、(図7Bのモデルについてのように)複数のデフォーカス面ziにおいて、かつ(図7Cのモデルについてのように)取得期間tjにわたって取得される。
【0087】
一実施形態によると、訓練済み学習モデルMLEdは、モデルMLdである(図4D)。
入力データ(複数の一連のスペックル像)は、したがってこのように、学習データのタイプに相当し、したがってプロファイルC (h)の推定が、最適化される。
先に示されたように、プロファイルC (h)の推定は、学習モデルMLdがシミュレーションスペックル像を用いて訓練されるときに、かつ使用されるシミュレーションアルゴリズムが測定望遠鏡1の特徴に応じてパラメータ化されるときにさらにいっそう精密である。
実際の像I(zi,tj)は、複数のデフォーカス面ziにおいて取得される。
プロファイルC (h)の推定を最適化するために、これらのデフォーカス面は、モデルMLdの学習データとして使用される像がシミュレーションされた面に相当する。
【0088】
モデルMLd(図4D)は、また、訓練望遠鏡によって実際に取得されるスペックル像を用いて訓練され得る。
測定望遠鏡1が訓練望遠鏡である場合、学習画像を取得するために使用される面と同じデフォーカス面ziにセンサ12を配置して、同じ期間tjにわたって測定画像を取得するだけで十分である。
つまり同じデフォーカス面ziおよび同じ取得期間が、モデルMLdの学習画像の取得のために、かつ訓練済みモデルMLEdの入力データとして使用される測定画像の取得のために使用される。
【0089】
測定望遠鏡1が(とりわけその焦点距離および/またはその分解能および/またはその取得像サイズおよび/またはそのひとみの形について)訓練望遠鏡と異なる場合、特殊な画像処理が測定条件を学習条件に適合させるために有利には提供され、その結果、訓練済みモデルMLEdの入力データはモデルMLdの学習データと等価である。
デフォーカスの適合、分解能の適合、画像サイズの適合および/またはひとみの画像の適合に関する画像処理は、図7Aを参照して記述される画像処理に類似している。
[複数の測定望遠鏡のネットワーク化]
【0090】
単独の測定望遠鏡1の使用は、高度hによる大気乱流の特性パラメータ、とりわけプロファイルC (h)または風のプロファイルV(h)を推定することを可能にするデフォーカス位置zに応じたスペックル像を取得することを可能にする。
大気乱流は、しかしながら、もっぱら高度hによってだけでなく、経度(図2図5および図6でのx軸)および緯度(図2図5および図6でのy軸)によってもまた不均一である。
【0091】
大気乱流の経度および緯度によって特性パラメータを推定するために、一解決案は、先に説明された様式にしたがって、かつ各測定の間に赤緯軸および/または赤経軸を変化させることによって測定を行うことにある。
このように、デフォーカスzおよび場合によっては時間tに左右されるスペックル像-I(z,t)-だけでなく、経度および緯度にも左右されるスペックル像-I(x,y,z,t)が得られる。
この一連の測定は、しかしながら、うんざりするものであることが分かると想定できる。
【0092】
別の一解決案が、図8に概略的に示されている。
複数の測定望遠鏡1a、1b、1c、1d、1eが、ネットワークに配置されている。
例えば、5と1000の間の測定望遠鏡が、ネットワーク化される。
これらの測定望遠鏡1a、1b、1c、1d、1eは、例えば都市または観察地点である、定められた地理的領域Geoを網羅するように設置される。
各望遠鏡1a、1b、1c、1d、1eは、それぞれにx-y、x-y、x-y、x-y、x-yである、各望遠鏡に固有の経度位置および緯度位置を有する。
各望遠鏡1a、1b、1c、1d、1eは、前記望遠鏡の経度および緯度にも左右される、先に説明されたような(すなわち単数または複数のデフォーカス面におけるかつ/または取得時限にわたる)単数または複数のスペックル像を取得する。
図8で、これらの像は、それぞれにI(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)と参照される。
【0093】
一実施形態によると、像I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)は、訓練済み学習モデルMLEが中に実装されているリモートコンピュータサーバServに伝送される。
望遠鏡1a、1b、1c、1d、1eの間の通信は、通信ネットワークを通して、例えばそのネットワークの望遠鏡のそれぞれ1a、1b、1c、1d、1eの中に組み込まれるネットワークインタフェースによって行われ得る。
【0094】
別の一実施形態によると、像I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)は、訓練済み学習モデルMLEが中に実装される「マスター」測定望遠鏡、例えば望遠鏡1aに伝送される。
「スレーブ」望遠鏡1b、1c、1d、1eと「マスター」望遠鏡1aとの間の通信は、ここでもまた通信ネットワークを通して、例えばそのネットワークの望遠鏡のそれぞれ1a、1b、1c、1d、1eの中に組み込まれるネットワークインタフェースによって行われ得る。
【0095】
像I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)、I(x-y,z,t)は、訓練済みモデルMLEの入力データである。
モデルMLEは、この場合、特性パラメータ、例えばさまざまな経度および緯度のプロファイルC (h)、それぞれにC (x-y,h)、C (x-y,h)、C (x-y,h)、C (x-y,h)、C (x-y,h)を推定することができる。
このように、高度、経度および緯度によって大気乱流を特徴づけることができる。
【0096】
この高度、経度および緯度における乱流の特徴づけは、とりわけ有用である。
それは、とりわけ、観察地点を設置するより良い領域を検知することを可能にし得る。
それは、都市の上に形成される逆転層を検知して、汚染を減らすことを目ざす測定値を予測することもまた可能にし得る(例えば交互循環)。
ここで、逆転層が、温度勾配が正である空気層であることが想起される。
この逆転層は、公害、とりわけ道路交通または工業煙突の煙によって引き起こされる公害をトラップする「カバー」のように作用する。
この逆転層は、プロファイルC (x-y,h)、C (x-y,h)、C (x-y,h)、C (x-y,h)、C (x-y,h)から推論され得る。
【0097】
上記に記述される実施形態における、本発明のさまざまな構成要素および/または手段および/またはステップの配置は、全ての実装においてそのような配置が要求されるものとして理解されてはならない。
他の変形例が提供され得るし、それらはとりわけ以下の通りである。
-器具の光学システムは、必ずしも単数または複数の鏡で構成されるというわけではなく、前記鏡を補足するまたはその代わりとして、単数または複数のレンズを有し得る。
-他のタイプのセンサ12が検討され得、例えばカラーまたは白黒の、CCD、CMOS、Foveonタイプのセンサである。
【0098】
そのうえ、一実施形態においてのみ開示される単数または複数の特徴は、別の実施形態においてのみ開示される単数または複数の別の特徴と組み合わされ得る。
同様に、一実施形態においてのみ開示される単数または複数の特徴は、たとえこのまたはこれらの特徴が別の特徴との組合せにおいてのみ記述されていようと、その他の実施形態に一般化され得る。
【0099】
[必要があれば当業者が参照するであろう、引用される参考文献]
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【符号の説明】
【0100】
1 望遠鏡
10 本体
11 鏡
12 センサ
13 処理ユニット
14 メモリ
15 無線通信モジュール
16 ネットワークインタフェース
17 充電式バッテリ電源
100 入口端部
110 主鏡
111 副鏡
120 スライダ
200 接眼レンズ
201 ディスプレイスクリーン
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
【国際調査報告】