IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セラニーズ・インターナショナル・コーポレーションの特許一覧

特表2023-531794酢酸ビニル製造における金属イオンのその場分析
<>
  • 特表-酢酸ビニル製造における金属イオンのその場分析 図1
  • 特表-酢酸ビニル製造における金属イオンのその場分析 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】酢酸ビニル製造における金属イオンのその場分析
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/05 20060101AFI20230718BHJP
   C07C 69/15 20060101ALI20230718BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20230718BHJP
   G01N 30/02 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
C07C67/05
C07C69/15
G01N30/88 H
G01N30/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581446
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-13
(86)【国際出願番号】 US2021039067
(87)【国際公開番号】W WO2022005889
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】63/045,371
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512225379
【氏名又は名称】セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ティプトン,ビリー・チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ライユアン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ヨウ-ファ
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ディーラジ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC48
4H006AD11
4H006BC50
4H006BD82
4H006BS10
4H006KA12
(57)【要約】
イオンクロマトグラフィーは、酢酸ビニル製造プロセスの様々な流れにおける金属イオンの濃度を測定するために使用されることができる。例えば、方法は、エチレン、酸素、及び酢酸を、触媒及び任意に酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムなどの触媒促進剤の存在下で反応させて、粗製酢酸ビニル流を生成する工程と、粗製酢酸ビニル流及び/又はその下流の流れの金属イオンの濃度をイオンクロマトグラフで測定する工程とを含むことができ、この場合、金属イオンは、I族金属イオン、II族金属イオン、遷移金属イオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン、酸素、及び酢酸を、触媒及び任意に酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムなどの触媒促進剤の存在下で反応させて、粗製酢酸ビニル流を生成する工程と、
前記粗製酢酸ビニル流及び/又はその下流の流れの金属イオンの濃度をイオンクロマトグラフで測定する工程と、
を含む方法であって、前記金属イオンは、I族金属イオン、II族金属イオン、遷移金属イオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される方法。
【請求項2】
前記イオンクロマトグラフは、前記粗製酢酸ビニル流の流れ及び/又は前記下流の流れとインラインである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属イオンの濃度を測定する前に、前記粗製酢酸ビニル流及び/又は前記下流の流れを凝縮する工程を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
測定は、約1分~約6時間の範囲の間隔で経時的に継続する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記イオンクロマトグラフは、一価カチオンと二価カチオンを同時に分析できる粒子を含むカラムを使用する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記イオンクロマトグラフは、導電率検出器、電気化学検出器、UV/VIS検出器、蛍光検出器、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される検出器を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記金属イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、セシウムイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
触媒を含み、エチレン、酸素、及び酢酸を受け取って粗製酢酸ビニル流を生成する反応器と、
前記反応器の下流にある熱交換器と、
前記粗製酢酸ビニル流とインラインであり、前記熱交換器の下流にあり、前記粗製酢酸ビニル流から試料を受け取るイオンクロマトグラフと、
を含むシステムであって、前記イオンクロマトグラフは、前記粗製酢酸ビニル流において、I族金属イオン、II族金属イオン、遷移金属イオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属イオンの濃度を測定することができるカラムを含む、システム。
【請求項9】
前記イオンクロマトグラフは、一価カチオンと二価カチオンを同時に分析できる粒子を含むカラムを使用する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記イオンクロマトグラフは、導電率検出器、電気化学検出器、UV/VIS検出器、蛍光検出器、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される検出器を含む、請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記金属イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、セシウムイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項8~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
触媒を含み、エチレン、酸素、及び酢酸を受け取って粗製酢酸ビニル流を生成する反応器と、
前記反応器の下流にある熱交換器と、
前記熱交換器の下流にあり、前記粗製酢酸ビニル流を受け取り、前記粗製酢酸ビニル流を塔頂流と塔底流に分離する分離器と、
前記塔底流とインラインであり、前記塔底流から試料を受け取るイオンクロマトグラフと、
を含むシステムであって、前記イオンクロマトグラフは、前記塔底流において、I族金属イオン、II族金属イオン、遷移金属イオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属イオンの濃度を測定することができるカラムを含む、システム。
【請求項13】
前記イオンクロマトグラフは、一価カチオンと二価カチオンを同時に分析できる粒子を含むカラムを使用する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記イオンクロマトグラフは、導電率検出器、電気化学検出器、UV/VIS検出器、蛍光検出器、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される検出器を含む、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記金属イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、セシウムイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項12~14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
酢酸ビニルは、触媒(例えば、担体に担持されたパラジウム、金、及び銅など)の存在下、エチレン、酸素、及び酢酸を反応させることによって製造される。更に、酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムなどの化合物を含むと、酢酸ビニルへの反応の収率及び選択性が増加することが示されている。前述の酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムは、支持体上に含浸されることができ、且つ/又は供給物とともに反応器に導入されることができる。
【発明の概要】
【0002】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれており、排他的な構成と見なされるべきではない。開示された主題は、この開示の恩恵を受ける当業者に想起されるように、形態及び機能においてかなりの修正、変更、組み合わせ、及び等価物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】本開示の例示的な酢酸ビニル製造プロセスのプロセス流れ図を示す。
図2】校正標準及び酢酸ビニル生成物のイオンクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本開示は、酢酸ビニル製造プロセスの流れにおける金属イオン成分の濃度を測定することに関連する方法及びシステムに関する。より具体的には、本システム及び方法は、前述の金属イオン成分濃度を測定するためのイオンクロマトグラフィーを使用する。イオンクロマトグラフは、酢酸ビニル製造システムとインラインであり得、又は酢酸ビニル製造システムとオフラインであり得る。好ましくは、システム及び方法は、インラインのイオンクロマトグラフィーを使用して、測定をより頻繁に且つより少ない作業者の介在で行うことを可能にする。
【0005】
酢酸ビニル製造プロセスでは、様々な流れにおける金属イオン成分は、様々な場所から生じることができる。例えば、I族金属(特にナトリウム及びカリウム)は、酢酸ビニルの収率及び選択性を改善するために触媒促進剤に使用される。反応器床に渡り促進剤の適切な濃度を維持することは、触媒の「健全性」を維持するために重要である。そうすることで、大幅な節約を実現できる。最適な促進剤濃度が存在する。この濃度を下回ると、反応器の生成物に好ましくない変化が生じ、反応器床の充填において高温領域(ホットスポット)が生じる場合がある。触媒は、焼成により高温で急速に損傷する可能性がある。この損傷は、修復不可能であり、触媒の交換が必要である。
【0006】
更に、最適な促進剤濃度を超えると、反応速度と温度が大幅に低下する。反応器の作動中、促進剤は、反応器の入口から反応器の出口に向かって移動する。即ち、促進剤は、反応器から洗い流される。促進剤を補充しないと、促進剤の洗い流しにより、最終的に反応器内の最適な促進剤濃度より低くなり、これにより、触媒の早期老化又は不良につながる可能性がある。或いは、促進剤の補充率が高すぎる可能性がある。一般に、触媒への過剰な促進剤の添加は、早期に検出されれば修復不可能な損傷にはつながらないが、製造速度とプロセス効率の低下は、望ましくない結果である。反応器を出る促進剤の量を測定することで、物質収支を機能させることができる。反応器への促進剤の添加(又は補充)の速度は、既知である。これらの値から、反応器の促進剤含有量が安定しているか、又は上昇又は下降しているかを判断することができる。
【0007】
一部の酢酸ビニル製造プロセスは、かなりの試料前処理(例えば、試料の分解)を必要とする原子吸光分光法又は原子発光分光法を使用するオフラインの分析を含む。従って、労力が必要である故、これらの測定は、頻繁に行われない(例えば、週に1~3回)。これは、反応器内の不調を示すナトリウム及び/又はカリウム濃度のスパイクを特定することはできない。有利なことに、本明細書に記載の方法及びシステムは、粗製酢酸ビニル生成物又はその下流の流れにおけるナトリウム及び/又はカリウム濃度の迅速な監視を可能にし、反応器の不調及び/又は触媒の健全性を迅速に特定及び修正することを可能にする。
【0008】
更に、酢酸ビニル製造プロセスの流れに存在する鉄、ニッケル、及び/又はクロムなどの他の金属イオン成分は、システム構成要素において腐食が発生していることを示している場合がある。このような金属イオン成分の濃度を監視することで、作業者は、腐食の速度及び予想外の腐食の増加に関する情報を得ることができ、これは、評価及び/又は保守のためにシステム又はその一部をいつシャットダウンするかを特定するために使用できる。更に、腐食生成物は、触媒を汚す又は毒すこともあり得る。有利なことに、本明細書に記載の方法及びシステムは、酢酸ビニル流における複数の金属成分の監視を可能にし、これにより、プロセスに必要な調整についてシステムを監視するための、及び/又はいつ他の介在(例えば、評価及び/又は保守におけるシャットダウン)を行う必要があるかを特定するための能力を更に増強する。
【0009】
更に、マグネシウムとカルシウムの測定は、2つの点で有用であり得る。第1に、プロセス中にマグネシウム及びカルシウムイオン汚染物質の存在を検出できる。第2に、イオンクロマトグラフの校正と性能チェックに使用される特定の標準に、マグネシウムイオンとカルシウムイオンを含めることができる。イオンクロマトグラフで使用される分析カラムの劣化は、通常、マグネシウムとカルシウムが構成物であるII族金属イオンのクロマトグラフィーで最初に現れる。これらの成分のピークの非対称性の悪化又は分離能の低下は、分析カラムの保守又は交換が必要であることを早期に警告するのに役立ち得る。
【0010】
実験室環境でのカリウム測定に使用されるその他の機器は、原子吸光(AA)、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)、及びICP質量分析(ICP-MS)である。これらの技術では、複雑な試料前処理が必要であり、これは、酢酸ビニル製造システムで自動化するのは困難であろう。更に、前述の機器は、所有及び保守のコストが比較的高い。カリウムイオンのオフラインの測定は、イオン選択電極(ISE)を使用して試みられている。選択的なセンシング(sensing)を提供するバリア膜は、粗製酢酸ビニル生成物に見られる成分によって容易に汚れる又は損傷するため、これは限られた成功しか収めなかった。
【0011】
有利なことに、本明細書に記載の方法及びシステムは、イオンクロマトグラフィーを使用し、これは、比較的低コストであり、試料の前処理(脱気、希釈)の方法が簡易であり、エネルギー使用量が少なく、高温の炎、プラズマ、又は強力な無線周波数電磁場を使用しない。
【0012】
I族金属、II族金属、及び遷移金属の一部のみが本明細書に具体的に記載されているが、他のI族金属、II族金属、及び遷移金属も、イオンクロマトグラフィーによって分析されて、特定の時点での又は長期間に渡る酢酸ビニル流における前述の金属イオンの濃度を確認することができる。
【0013】
一般に、本開示の方法は、エチレン、酸素、及び酢酸を、触媒及び任意に酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムなどの触媒促進剤の存在下で反応させて、粗製酢酸ビニル流を生成することを含む。粗製酢酸ビニル流及び/又はその下流の流れは、1つ以上の金属の濃度についてイオンクロマトグラフ(酢酸ビニル製造システムのインライン又はオフライン)で分析することができる。好ましくは、イオンクロマトグラフでの濃度測定の前に、粗製酢酸ビニル流及び/又はその下流の流れの間で凝縮及び冷却される(例えば、80℃以下に)。凝縮相の温度を下げてその蒸気圧を下げ、試料送達システムの構成要素における気泡の形成を減らすことができる。
【0014】
酢酸ビニル製造プロセスに関してイオンクロマトグラフによって分析され得る金属イオンの例には、I族金属イオン、II族イオン、遷移イオン、及びこれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。より具体的な例には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、セシウムイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、クロムイオンなど、及びこれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
イオンクロマトグラフは、イオン交換媒体を含むカラムを使用することができる。この媒体は、典型的には樹脂の形態である。イオン交換媒体は、イオンと相互作用して様々な時間にイオンを溶出させる。本明細書に記載の分析では、カラムからイオンを溶出するのに必要な溶離液強度が交換容量によって決まるため、カラムでの使用に適した樹脂は、交換容量が低いことが好ましい。容量が高い場合は、濃縮された溶離液が必要になる。溶離液の濃度が高くなると、伝導率と熱雑音が高くなる。非抑制技術(non-suppressed technique)を使用する場合は、好ましくは、溶離液の伝導率と熱雑音を可能な限り低減する必要がある。分析カラムは、好ましくは、一価カチオン及び二価カチオンを同時に分析できるシリカ系の粒子を含む。適切な樹脂を含む分析カラムは市販されており、これには、IC PAK(商標)カチオンM/D(Waters Corporationから入手可能)、METROSEP(商標)C2(Metrohm AGから入手可能)、YS-50(Showa Denkoから入手可能)、PRP-X200(Hamilton Companyから入手可能)等が含まれることができるが、これらに限定されない。
【0016】
インラインのイオンクロマトグラフは、サンプリング地点から任意の適切な距離に配置できる。好ましくは、この距離は、サンプリングと分析の間の時間を最小限に抑えてサンプリングの遅延を回避するために、60メートル以下である。酢酸ビニル製造プロセスからの抽出後の試料は、チューブ又はパイプの移送システムを通過することができる。これらのチューブ又はパイプは、ポリマーからなることができるが、工業用途ではその強度と耐久性のために金属合金が好まれる。一般に、試料移送システムを通る流れは、プロセスから入る液体が60秒以内に機器に到達するように調整される。チューブはパイプ継手よりも広い半径の曲げを生成するために曲げることができ、これにより、流れている液体が強制的に方向を変えたときに発生する圧力低下を減らすため、金属パイプよりもシームレスな金属チューブが好まれる。又、チューブを使用すると、必要な継手の数を減らすことができるため、起こり得る漏れの場所を減らすことができる。試料移送システム内での洗浄が不十分な構成要素(沈降又は脱ガス容器、フィルターボウル、ティー又はクロス接続、及びブルドン管真空計など)の使用は避ける必要がある。これは、微量レベルでの分析を実行する場合に特に重要である。可能であれば、既存のプロセス圧力を使用して、試料移送システムを通る試料の流れを駆動する。圧力が不十分な場合、移送チューブの内径を大きくすることができる、且つ/又はブースターポンプを取り付けることができる。移送チューブ内の粒子状物質の沈降を防ぐために、流れている液体は、毎秒約1.0メートル(m/秒)~約3.0m/秒の線速度を有する必要がある。好ましくは、乱れた流れを誘導する必要がある。これらの基準が満たされていれば、新しい試料をインラインのイオンクロマトグラフの注入口近くの場所に迅速且つ継続的に供給することができる。この場所に、インラインのイオンクロマトグラフに供給される粒子状物質を減らすために、自浄式の「渦巻き(swirl)」フィルターを取り付けることができる。移送チューブにおいて流れている液体のごく一部のみがフィルターを通過し、インラインのイオンクロマトグラフの注入口に向かって移動する。渦巻きフィルターを出る未使用部分は、通常、調整可能な計量バルブを介してプロセスに戻される。この試料移送システムは、多くの場合、「高速ループ」と呼ばれる。渦巻きフィルターを出るろ過された試料は、インラインのイオンクロマトグラフの注入口の仕様に応じて、減圧レギュレーター及び/又は計量バルブを通過することができる。限定するものではないが、インラインのイオンクロマトグラフへの注入口に提示される試料は、約0.034MPa~約0.103MPa(又は約5psig~15psig)の圧力、約25℃~約40℃の温度、及び約10mL/分~約50mL/分の流速であることが好ましい。当業者は、このような条件を達成するために、酢酸ビニルプロセス流とイオンクロマトグラフ注入口との間に様々なシステムの構成要素を配置できることを認識するであろう。
【0017】
オフラインのイオンクロマトグラフの場合、試料の条件は、作業者の安全性を高めるために周囲条件により近い方が好ましい場合がある。
【0018】
試料がイオンクロマトグラフに入ると、他の試料調整工程が実行されることができる。例には、脱気、希釈、精密濾過など、及びこれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。調整された試料の体積測定された部分は、イオンスペシエーション(ion speciation)、イオン検出、及び分析のために分析カラムに導入される。分析カラムは、温度制御されたオーブン内にある。従って、分析カラムを固定された温度に維持すことができる、又はプログラム可能な温度プロファイルに従うことができる。好ましくは、固定された又はプログラム可能な勾配は、約20℃~約60℃の勾配である。分析カラムを通過する溶離液の流量は、流れプロファイルに従うように固定されることができる又はプログラムすることができる。好ましくは、固定された又はプログラム可能な流れプロファイルは、約0.01mL/分~約4mL/分である。溶離液の濃度及び/又は組成は、変更するように固定される又はプログラムすることができる。好ましくは、溶離液の濃度及び組成は固定されている(均一濃度)。この場合、溶離液は、酸濃度が約0.1mM~約20mMの水と硝酸の混合物である。イオン検出は、導電率検出器、電気化学検出器、UV/VIS検出器、及び蛍光検出器を含むがこれらに限定されない様々な検出器によって達成することができる。好ましくは、イオン検出は、導電率検出器によって達成される。当業者は、分析目標を達成するためにイオンクロマトグラフを様々な方法で構成及びプログラムできることを認識するであろう。
【0019】
対象の酢酸ビニル流中の金属イオン成分濃度の測定は、約1分~約6時間(又は約1分~約2時間、又は約15分~約3時間、又は約30分~約6時間)の範囲の時間間隔で行うことができる。
【0020】
更に、時間間隔は、変動することができる。例えば、金属イオン成分濃度が予想よりも高い場合、測定された金属イオン成分濃度が外れ値であったか又は正しいものであったかを特定するために、計画よりも早く(即時を含む)別の測定が行われることができる。
【0021】
更に、時間間隔は、酢酸ビニル製造プロセスの段階に基づいて変動することができる。例えば、開始時には、酢酸ビニル反応が適度に安定した状態に達したときと比較して、金属イオン成分濃縮物をより頻繁に測定することができる。
【0022】
図1は、本開示の例示的な酢酸ビニル製造プロセス100のプロセス流れ図を例示している。本発明の範囲を変更することなく、更なる成分及び修正をプロセス100に対して行うことができる。更に、当業者によって認識されるように、プロセス100及び関連するシステムの記載は、流れを使用して、様々なラインを通過する流体を記載する。各流れに対して、関連するシステムは、明示的に記載されているかどうかに関係なく、対応するライン(例えば、対応する流体又は他の材料が容易に通過できるパイプ又は他の経路)と、任意に、バルブ、ポンプ、コンプレッサー、熱交換器、又はシステムの適切な作動を確保するための他の機器を有する。
【0023】
更に、個々の流れに使用される記述語(descriptor)は、前述の流れの組成を前述の記述語からなるものに限定しない。例えば、エチレン流は、必ずしもエチレンのみからなるわけではない。むしろ、エチレン流は、エチレンと希釈ガス(例えば、不活性ガス)とを含むことができる。或いは、エチレン流は、エチレンのみからなることができる。或いは、エチレン流は、エチレンと、別の反応物と、任意に不活性成分とを含むことができる。
【0024】
例示されたプロセス100では、酢酸流102及びエチレン流104が、気化器106に導入される。任意に、エタンも気化器106に加えることができる。更に、1つ以上の再循環流(再循環流108及び110として例示される)も、気化器106に導入できる。再循環流108及び110は気化器106に直接導入されるように例示されているが、前述の再循環流又は他の再循環流は、気化器106に導入する前に酢酸流102と混合されることができる(図示せず)。
【0025】
気化器106の温度及び圧力は、広範囲に渡って変動することができる。気化器106は、好ましくは、100℃~250℃、又は100℃~200℃、又は120℃~150℃の温度で作動する。気化器106の作動圧力は、好ましくは、0.1MPa~2.03MPa、又は0.25MPa~1.75MPa、又は0.5MPa~1.5MPaである。気化器106は、気化された供給流112を生成する。気化された供給流112は、気化器106を出て、酸素流114と混合して、酢酸ビニル反応器118に供給される前に、混合供給流116を生成する。
【0026】
酢酸ビニル反応器118の一般的な作動条件に関して、酢酸ビニルを生成するときのエチレン対酸素のモル比は、好ましくは、酢酸ビニル反応器116において20:1未満である(例えば、1:1~20:1、又は1:1~10:1、又は1.5:1~5:1、又は2:1~4:1)。更に、酢酸対酸素のモル比は、好ましくは、酢酸ビニル反応器116において10:1未満である(例えば、0.5:1~10:1、0.5:1~5:1、又は0.5:1~3:1)。エチレン対酢酸のモル比は、好ましくは、酢酸ビニル反応器118において10:1未満である(例えば、1:1~10:1、又は1:1~5:1、又は2:1~3:1)。従って、混合供給流116は、エチレンと、酸素と、酢酸とを前述のモル比で含むことができる。
【0027】
酢酸ビニル反応器118は、熱交換媒体を介して、発熱反応によって発生した熱を吸収し、その中の温度を100℃~250℃、又は110℃~200℃、又は120℃~180℃の温度範囲内に制御することができるシェル及びチューブ反応器であり得る。酢酸ビニル反応器118内の圧力は、0.5MPa~2.5MPa、又は0.5MPa~2MPaに維持することができる。
【0028】
更に、酢酸ビニル反応器118は、固定床反応器又は流動床反応器、好ましくはエチレンのアセトキシル化に適した触媒を含む固定床反応器であり得る。酢酸ビニルの製造に適した触媒は、例えば、米国特許第3,743,607号明細書、米国特許第3,775,342号明細書、米国特許第5,557,014号明細書、米国特許第5,990,344号明細書、米国特許第5,998,659号明細書、米国特許第6,022,823号明細書、米国特許第6,057,260号明細書、及び米国特許第6,472,556号明細書に記載されており、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。適切な触媒は、パラジウムと、金と、バナジウムと、これらの混合物とを含むことができる。酢酸パラジウム/酢酸カリウム/酢酸カドミウム及び酢酸パラジウム/アセトラウリン酸バリウム/酢酸カリウムの触媒が特に好ましい。一般に、触媒のパラジウム含有量は、0.5重量%~5重量%、又は0.5重量%~3重量%、又は0.6重量%~2重量%である。金又はその化合物を使用する場合、0.01重量%~4重量%、又は0.2重量%~2重量%、又は0.3重量%~1.5重量%の割合で添加される。触媒は又、好ましくは耐火性支持体、好ましくはシリカ、シリカ-アルミナ、チタニア、又はジルコニアなどの金属酸化物、より好ましくはシリカを含む。
【0029】
反応器118における酢酸ビニル反応は、粗製酢酸ビニル流120を生成する。変換及び反応条件に応じて、粗製酢酸ビニル流120は、5重量%~30重量%の酢酸ビニル、5重量%~40重量%の酢酸、0.1重量%~10重量%の水、10重量%~80重量%のエチレン、1重量%~40重量%の二酸化炭素、0.1重量%~50重量%のアルカン(例えば、メタン、エタン、又はこれらの混合物)、及び0.1重量%~15重量%の酸素を含むことができる。任意に又、粗製酢酸ビニル流120は、0.01重量%~10重量%の酢酸エチルも含むことができる。粗製酢酸ビニル流120は、酢酸メチル、アセトアルデヒド、アクロレイン、プロパンなどの他の化合物、及び窒素又はアルゴンなどの不活性物質を含むことができる。一般に、これらの他の化合物は、不活性物質を除いて、非常に少量で存在する。
【0030】
粗製酢酸ビニル流120は、熱交換器122を通過して、粗製酢酸ビニル流120の温度を下げる。好ましくは、粗製酢酸ビニル流120は、80℃~145℃、又は90℃~135℃の温度に冷却される。
【0031】
本明細書に記載のシステム及び方法は、粗製酢酸ビニル流120又はその下流の流れにおける1つ以上の金属イオン成分の濃度を測定する。上述のように、金属イオン成分の濃度は、とりわけ、系の健全性(例えば、腐食の存在)、触媒の健全性、触媒促進剤のレベル、及びそれに対する必要な変更、イオンクロマトグラフのカラムの健全性、並びにこれらの任意の組み合わせを評価するために使用することができる。
【0032】
図1に例示されるように、イオンクロマトグラフは、粗製酢酸ビニル流120とインラインである。ここで、粗製酢酸ビニル流120の試料が収集され、インラインのイオンクロマトグラフ124によって定期的に分析される。或いは(図示せず)、イオンクロマトグラフは、システムからオフラインであり得、方法は、粗製酢酸ビニル流120から試料を収集し、オフラインのイオンクロマトグラフで前述の試料を分析することを含むことができる。
【0033】
反応器118を出る粗製生成物は熱く、ガス又は蒸気の状態にある。適時な分析と動的制御のために、試料は、代表的な液体試料が利用可能である最初の場合で採取することが好ましくある必要がある。典型的には、これは、熱交換器122の短い距離の下流で生じる。複数の熱交換器を使用する場合、特に並列配置では、凝縮器の排出口の流れをサンプリング地点の前で完全に混合できるようにする必要がある。容器を使用して凝縮器の排出口の流れを組み合わせ混合する場合、その容器内の滞留時間をできるだけ短く維持する必要があり、その結果、代表的な試料を取得できる。
【0034】
再び図1を参照すると、粗製酢酸ビニル流120は、次いで分離器126(例えば、蒸留塔)に運ばれることができる。好ましくは、液化可能な成分の凝縮は、ほとんど又は全く起こらず、冷却された粗製酢酸ビニル流120(熱交換器122の後)は、ガスとして分離器126に導入される。従って、インラインのイオンクロマトグラフ124を適切に作動させるために、液体がインラインのイオンクロマトグラフ124で分析されるように、粗製酢酸ビニル流120を凝縮するためにライン又は凝縮容器などの構成要素を備える必要がある。同様に、イオンクロマトグラフがオフラインの場合は、作業者が試料を安全に処理できるように、ライン又は凝縮容器などの構成要素を備える必要がある。
【0035】
粗製酢酸ビニル流120の成分を分離するためのエネルギーは、反応器118内の反応熱によって提供され得る。いくつかの実施形態では、分離器126内の分離エネルギーを増加させる専用の任意のリボイラー(例示せず)が存在し得る。
【0036】
分離器126は、粗製酢酸ビニル流120を少なくとも2つの流れに分離する:塔頂流128及び塔底流130。塔頂流124は、エチレンと、二酸化炭素と、水と、アルカン(例えば、メタン、エタン、プロパン又はこれらの混合物)と、酸素と、酢酸ビニルとを含むことができる。塔底流130は、酢酸ビニルと、酢酸と、水と、任意にエチレンと、二酸化炭素と、アルカンとを含むことができる。典型的には、本開示で対象となる金属イオン成分は、塔底流130に凝縮する。従って、インラインのイオンクロマトグラフ(例示せず)又はオフラインのイオンクロマトグラフ(例示せず)を塔底流130と併せて使用して、その中の金属イオン成分の濃度を評価することができる。これらのイオンクロマトグラフは、粗製酢酸ビニル流120とともに使用されるイオンクロマトグラフの代わりに又はそれらと組み合わせて使用され得る。
【0037】
塔頂流128は、更に処理132(例えば、更なる分離を受け、且つ/又はエチレン及び/又はメタンなどのガスで増強される)されて、最終的に再循環流110を生成することができる。この場合も、再循環流110を気化器106への供給物として使用する(そのまま、又は事前に別の流れと混合される)ことは、任意である。
【0038】
塔底流130は、更に処理134(例えば、更なる精製及び分離を受ける)されて、最終的に酢酸ビニル生成物流136及び再循環流108を生成することができる。この場合も、再循環流108を気化器106への供給物として使用する(そのまま、又は事前に別の流れと混合される)ことは、任意である。
【0039】
本開示の第1の非限定的な例は、エチレン、酸素、及び酢酸を、触媒及び任意に酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムなどの触媒促進剤の存在下で反応させて、粗製酢酸ビニル流を生成する工程と、粗製酢酸ビニル流及び/又はその下流の流れの金属イオンの濃度をイオンクロマトグラフで測定する工程とを含む方法であり、この場合、金属イオンは、I族金属イオン、II族金属イオン、遷移金属イオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。第1の非限定的な例は、以下のうちの1つ以上を更に含み得る:要素1:この場合、イオンクロマトグラフは、粗製酢酸ビニル流の流れ及び/又は下流の流れとインラインであり、要素2:方法は、金属イオンの濃度を測定する前に、粗製酢酸ビニル流及び/又は下流の流れを凝縮する工程を更に含み、要素3:この場合、測定は、約1分~約6時間の範囲の間隔で経時的に継続し、要素4:この場合、イオンクロマトグラフは、一価カチオンと二価カチオンを同時に分析できる粒子を含むカラムを使用し、要素5:この場合、イオンクロマトグラフは、導電率検出器、電気化学検出器、UV/VIS検出器、蛍光検出器、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される検出器を含み、要素6:この場合、金属イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、セシウムイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。組み合わせの例には、要素1と要素2~6の1つ以上との組み合わせ、要素2と要素3~6の1つ以上との組み合わせ、要素3と要素4~6の1つ以上との組み合わせ、及び要素4~6の2つ以上との組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
第2の非限定的な例示的実施形態は、触媒を含み、エチレン、酸素、及び酢酸を受け取って粗製酢酸ビニル流を生成する反応器と、反応器の下流にある熱交換器と、粗製酢酸ビニル流とインラインであり、熱交換器の下流にあり、粗製酢酸ビニル流から試料を受け取るイオンクロマトグラフとを含むシステムであり、この場合、イオンクロマトグラフは、粗製酢酸ビニル流において、I族金属イオン、II族金属イオン、遷移金属イオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属イオンの濃度を測定することができるカラムを含む。
【0041】
第3の非限定的な例示的実施形態は、触媒を含み、エチレン、酸素、及び酢酸を受け取って粗製酢酸ビニル流を生成する反応器と、反応器の下流にある熱交換器と、熱交換器の下流にあり、粗製酢酸ビニル流を受け取り、粗製酢酸ビニル流を塔頂流と塔底流に分離する分離器と、塔底流とインラインであり、塔底流から試料を受け取るイオンクロマトグラフとを含むシステムであり、この場合、イオンクロマトグラフは、塔底流において、I族金属イオン、II族金属イオン、遷移金属イオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属イオンの濃度を測定することができるカラムを含む。
【0042】
第2及び第3の非限定的な例示的実施形態は、以下のうちの1つ以上を更に含むことができる:要素7:この場合、イオンクロマトグラフは、一価カチオンと二価カチオンを同時に分析できる粒子を含むカラムを使用し、要素8:この場合、イオンクロマトグラフは、導電率検出器、電気化学検出器、UV/VIS検出器、蛍光検出器、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される検出器を含み、並びに、要素9:この場合、金属イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、セシウムイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0043】
別段の指示がない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される、成分の量、分子量などの特性、反応条件などを表す全ての数値は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。従って、特にそれとは反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付した特許請求の範囲に記述されている数値パラメータは、本発明の具現化によって得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。最低限でも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告した有効数字の数を考慮して、普通の丸めを適用することによって解釈しなければならない。
【0044】
本明細書では、1つ以上の発明要素を組み込んだ1つ以上の例示的な具現化が提示される。明確にするために、物理的実現の機能全てが、この出願で説明又は示されているわけではない。本発明の1つ以上の要素を組み込んだ物理的実施形態の展開において、システム関連、ビジネス関連、政府関連及びその他の制約への準拠など、開発者の目標を達成するために、多数の実現に固有の決定を行わなければならず、これは、実現によってその時々に変動することが理解される。開発者の努力には時間がかかるかもしれないが、このような努力は、当業者にとって日常的な仕事であり、本開示の恩恵を受けるであろう。
【0045】
組成物及び方法は、様々な成分又は工程を「含む」という観点から本明細書に記載されているが、組成物及び方法は、様々な成分及び工程「から本質的になる」又は「からなる」こともできる。
【0046】
本発明の実施形態のより良い理解を容易にするために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の例が与えられる。以下の実施例は、本発明の範囲を制限又は定義するために読まれるべきではない。
【実施例
【0047】
図2は、校正標準及び酢酸ビニル生成物のイオンクロマトグラムである。試料は3回実行され、イオンクロマトグラムは重なる。粗製生成物試料中のカリウムとナトリウムの存在に注意されたい。これは、イオンクロマトグラフィーを使用して、酢酸ビニル製造プロセスの流れにおける様々な金属イオンの濃度を確認できることを例示している。
【0048】
従って、本発明は、言及された目的及び利点、並びに本発明に固有のものを達成するようにうまく適合される。本発明は、本明細書の教示の恩恵を受ける当業者には明らかなように異なるが同等の方法で修正及び実施され得るため、上記で開示された特定の例及び構成は例示にすぎない。更に、以下の特許請求の範囲に記載されている場合を除き、本明細書に示されている構造又は設計の詳細に対する制限は意図されていない。従って、上記で開示された特定の例示的な例は、変更、組み合わせ、又は修飾されてもよく、全てのこのような変形は、本発明の範囲及び趣旨の範囲内であると見なされることは明らかである。本明細書で例示的に開示された本発明は、本明細書で具体的に開示されない要素及び/又は本明細書で開示された任意の要素の非存在下で適切に実施され得る。様々な成分又は工程を「含む(comprising)」、「含む(containing)」、又は「含む(including)」という用語で、組成物及び方法を説明するが、組成物及び方法も又、様々な成分及び工程「から本質的になる」又は「からなる」ことができる。上記に開示された全ての数値と範囲は、多少変動する場合がある。下限及び上限を伴う数値範囲が開示される場合は常に、その範囲内に含まれる任意の数値及び任意の含まれる範囲が、具体的に開示される。特に、本明細書に開示される値(「約a~約b(from about a to about b)」、又は同等に「およそa~b(from approximately a to b)」、又は同等に「およそa~b(from approximately a-b)」の形式の)の全ての範囲は、より広い範囲の値の中に包含される全ての数値と範囲を示すと理解される。又、特許請求の範囲での用語は、特許権者によって明示的且つ明確に定義されていない限り、平易で通常の意味を有する。更に、特許請求の範囲で使用される不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、本明細書では、それが導入する要素の1つ以上を意味するように定義される。
図1
図2
【国際調査報告】