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特表2023-531802トリメタジジンの改変形態の調節放出製剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】トリメタジジンの改変形態の調節放出製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20230718BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230718BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230718BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230718BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230718BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230718BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20230718BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20230718BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
A61K31/496
A61K47/38
A61P9/00
A61P9/10
A61P25/00
A61P3/10
A61P9/04
A61P9/12
A61K9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581463
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 US2021039303
(87)【国際公開番号】W WO2022005926
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】63/183,294
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/183,299
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/046,115
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/046,117
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519453777
【氏名又は名称】インブリア ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レビン, アンドリュー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】パテル, ジャイクリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】ムーニー, ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ハービッグ, スコット
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA94
4C076BB01
4C076CC09
4C076CC11
4C076EE32G
4C076FF31
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA10
4C086BC50
4C086GA08
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA28
4C086MA52
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA45
4C086ZB15
(57)【要約】
本発明は、CV-8972などの、トリメタジジンの改変形態の調節放出製剤を含む医薬組成物を提供する。本組成物は、身体におけるトリメタジジンの改変形態およびその代謝産物の持続放出を可能にする、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの浸食性ポリマーを含む。本発明はまた、このような組成物を使用する、狭心症および心不全を含む状態を処置する方法を提供する。本発明は、CV-8972などのトリメタジジンの改変形態、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの浸食性ポリマーからなる混合物を含有する医薬組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(X)の化合物:
【化8】
および
浸食性ポリマーを含む混合物を含む医薬組成物であって、前記浸食性ポリマーが、水性環境において、前記混合物の膨潤を促進する、医薬組成物。
【請求項2】
前記ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記HPMCが、第1の粘度を有する第1のポリマー形態、および前記第1の粘度よりも低い第2の粘度を有する第2のポリマー形態を含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記第1の粘度が、20℃において、HPMCの前記第1のポリマー形態の2%水溶液の場合、少なくとも75,000cPである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記第1のポリマー形態が、前記HPMCを少なくとも50重量%含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記第1のポリマー形態が、約19%~約24%のメトキシ置換度を有するHPMCを含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記第1のポリマー形態が、約7%~約12%のヒドロキシプロポキシル置換度を有するHPMCを含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記混合物が、少なくとも10重量%の前記式(X)の化合物を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
経口投与のために製剤化されている、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
約10mg~約500mgの前記式(X)の化合物を含む単位投与量である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
対象における、疾患、障害、状態を処置する方法であって、前記方法が、疾患、障害または状態を有する対象に、
式(X)の化合物:
【化9】
および
浸食性ポリマーを含む混合物であって、前記浸食性ポリマーが、水性環境において、前記混合物の膨潤を促進する、前記混合物を含む医薬組成物を提供するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記HPMCが、第1の粘度を有する第1のポリマー形態、および前記第1の粘度よりも低い第2の粘度を有する第2のポリマー形態を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の粘度が、20℃において、HPMCの前記第1のポリマー形態の2%水溶液の場合、少なくとも75,000cPである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のポリマー形態が、前記HPMCを少なくとも50重量%含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記混合物が、少なくとも10重量%の前記式(X)の化合物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、前記対象に経口により投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が前記対象に投与される第1の時間点と、前記対象の血漿中の前記式(X)の化合物の代謝産物の最大レベルが達成される第2の時間点との間の間隔が、少なくとも2時間である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記式(X)の化合物の前記代謝産物が、式(IX)の化合物:
【化10】
である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記疾患、障害または状態が、動脈瘤、狭心症、アテローム性動脈硬化、心筋症、脳血管疾患、先天性心疾患、冠動脈疾患(CAD)、冠状動脈性心疾患、糖尿病性心筋症、心臓発作、心臓疾患、心不全、高血圧(高血圧症)、虚血性心疾患、心膜疾患、末梢動脈疾患、難治性狭心症、リウマチ性心疾患、安定狭心症、脳卒中、一過性脳虚血発作、不安定狭心症または心臓弁膜症からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
式(X)の化合物:
【化11】
および
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)
を含む混合物を含む、医薬組成物であって、
前記混合物が、約1:10~約10:1の重量比で、前記式(X)の化合物およびHPMCを含む、医薬組成物。
【請求項22】
前記混合物が、約1:5~約5:1の重量比で、前記式(X)の化合物および前記ポリマーを含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記混合物が、約1:3~約2:1の重量比で、前記式(X)の化合物および前記ポリマーを含む、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
約10mg~約500mgの前記式(X)の化合物を含む単位投与量である、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記HPMCが、第1の粘度を有する第1のポリマー形態、および前記第1の粘度よりも低い第2の粘度を有する第2のポリマー形態を含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記第1の粘度が、20℃において、HPMCの前記第1のポリマー形態の2%水溶液の場合、少なくとも75,000cPである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記第1のポリマー形態が、前記HPMCを少なくとも50重量%含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記第1のポリマー形態が、約19%~約24%のメトキシ置換度を有するHPMCを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記第1のポリマー形態が、約7%~約12%のヒドロキシプロポキシル置換度を有するHPMCを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項30】
経口投与のために製剤化されている、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項31】
対象における、疾患、障害、状態を処置する方法であって、前記方法が、疾患、障害または状態を有する対象に、
式(X)の化合物:
【化12】
および
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)
を含む混合物を含む医薬組成物を提供するステップを含み、
前記混合物が、約1:10~約10:1の重量比で、前記式(X)の化合物およびHPMCを含む、方法。
【請求項32】
前記混合物が、約1:5~約5:1の重量比で、前記式(X)の化合物および前記ポリマーを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記混合物が、約1:3~約2:1の重量比で、前記式(X)の化合物および前記ポリマーを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記HPMCが、第1の粘度を有する第1のポリマー形態、および前記第1の粘度よりも低い第2の粘度を有する第2のポリマー形態を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の粘度が、20℃において、HPMCの前記第1のポリマー形態の2%水溶液の場合、少なくとも75,000cPである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のポリマー形態が、前記HPMCを少なくとも50重量%含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、前記対象に経口により投与される、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が前記対象に投与される第1の時間点と、前記対象の血漿中の前記式(X)の化合物の代謝産物の最大レベルが達成される第2の時間点との間の間隔が、少なくとも2時間である、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記式(X)の化合物の前記代謝産物が、式(IX)の化合物:
【化13】
である、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記疾患、障害または状態が、動脈瘤、狭心症、アテローム性動脈硬化、アテローム性動脈硬化、アテローム性動脈硬化、アテローム性動脈硬化、心筋症、脳血管疾患、先天性心疾患、冠動脈疾患、冠状動脈性心疾患、糖尿病性心筋症、心臓発作、心不全、高血圧、虚血性心疾患、心膜疾患、末梢動脈疾患、リウマチ性心疾患、脳卒中、一過性脳虚血発作、心臓弁膜症および心臓弁膜症からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、それらのそれぞれの内容が参照により組み込まれている、2020年6月30日出願の米国仮特許出願第63/046,115号、2020年6月30日出願の米国仮特許出願第63/046,117号、2021年5月3日出願の米国仮特許出願第63/183,294号および2021年5月3日出願の米国仮特許出願第63/183,299号に基づく利益ならびに優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、トリメタジジンの改変形態の調節放出製剤を含有する医薬組成物、ならびに狭心症および心不全を含めた医療状態を処置するためのこのような組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
心疾患は、世界的に主要な死因であり、2015年には全世界で1500万の死亡数を数える。多くの形態の心疾患において、心臓の効率の低下は、ミトコンドリアのエネルギー代謝の変化から生じる。ミトコンドリアは、グルコースおよび脂肪酸から導かれた代謝産物が酸化されて高エネルギー分子が産生される細胞内区画である。心臓における脂肪酸酸化が増加していくと、グルコース酸化は減少し、逆もまた同様である。グルコース酸化は、より効率的なエネルギー源であるが、心不全、虚血性心疾患、糖尿病性心筋症などのある特定のタイプの心疾患では、心臓ミトコンドリアにおいて脂肪酸酸化が優勢である。結果として、心臓の汲み出し能力は低下する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
CV-8972(その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第10,556,013号)である、トリメタジジンの改変形態は、心血管状態の有望な治療剤候補として、最近、特定された。CV-8972は、IUPAC名2-[4-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]エチルピリジン-3-カルボキシレート、および以下の構造:
【化1】
を有する。
【0005】
いかなる特定の理論または作用機序によっても限定されないが、CV-8972は、ヒトに投与されると、CV-8972は、数種の特定の生物活性な代謝産物に、逐次的に分解すると考えられる。CV-8972は、まず、ナイアシンおよびトリメタジジンの改変形態に分解され、トリメタジジンの改変形態は、以下の構造:
【化2】
を有する、CV-8814として、米国特許第10,556,013号にやはり特定されている。
【0006】
続いて、CV-8814は、身体内でトリメタジジンに変換される。重大なことに、トリメタジジンおよびCV-8814はどちらも、3-ケトアシル-CoAチオラーゼを遮断することによって、グルコース酸化を促進し、こうして、どちらも、医薬品有効成分(API)となる。したがって、CV-8972は、身体内で個々の構成成分に代謝され、これらは、個別の生化学的作用を発揮して、グルコース酸化を促進し、心臓における総合的なミトコンドリア呼吸を改善する。CV-8972は、相乗的に作用する様々な代謝産物を生じるので、CV-8972は、脂肪酸酸化の増大を特徴とする心臓疾患を処置するための治療剤として有用である。CV-8972から生成するCV-8814およびトリメタジジンは、心臓代謝を脂肪酸酸化からグルコース酸化へとシフトさせて、一層効率的なエネルギー源の使用が可能となる。CV-8972から生成するナイアシンは、グルコースと脂肪酸の両方の酸化に共通の代謝経路であって、心臓疾患を有する患者においてやはり損なわれていることがある代謝経路を刺激する。
【0007】
本発明は、CV-8972が、身体内で、ナイアシンおよびCV-8814に迅速に分解されることを認識している。本発明はまた、身体内のナイアシンの量が多いと、顔面紅潮などのある特定の副作用を有する恐れがあることを認識している。本発明は、CV-8972のナイアシンおよびCV-8814への分解を遅くするおよび/またはこれを制御する製剤は、単回用量のCV-8972の効力をやはり延ばすと同時に、いかなるナイアシンの副作用(例えば、顔面紅潮)の低減または解消という有益な効果をもたらし、これによって、投与頻度が少なくなることをさらに認識する。
【0008】
このように、本発明は、消化管におけるCV-8972の段階的な代謝を促進する、CV-8972の調節放出製剤を提供する。本発明の調節放出製剤は、血液循環中で、CV-8972の薬理学的活性生成物のそれほど急速ではなく、一層長期にわたる増加をもたらすので、治療特性を改善する。したがって、本明細書において提供される製剤は、このような有望な新規薬物候補の利用度をかなり高める。
【0009】
本発明の組成物は、CV-8972などのトリメタジジンの改変形態、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの浸食性ポリマーを含む混合物を含有する。このような組成物が対象に経口投与されると、上記の混合物は、消化管において水分を吸収して、ポリマーが徐々に分解する。したがって、対象の血漿中の医薬品有効成分の最大レベルは、該組成物を投与して2時間またはそれより長い時間の後に達成され、ピークレベルは、同じ用量の治療剤を含有する従来の製剤によって生じるピークレベルよりも約50%低い。したがって、本発明の組成物は、CV-8972の代謝産物またはトリメタジジンの他の改変形態が、身体内において治療閾値よりも高く維持されながらも、高いピークレベルに起因する副作用を軽減する期間の長期化をもたらす。本発明は、本明細書に記載されている組成物を提供することによって、心臓状態を処置する方法をさらに提供する。
【0010】
本発明の医薬組成物は、心臓ミトコンドリア機能を改善することによって改善することができるあらゆる状態の処置に有用である。特に、本組成物は、狭心症および心不全などの心血管状態の処置に有用である。本組成物は、例えば、錠剤またはカプセル剤として、容易に経口投与することができる。さらに、本組成物は、治療剤の持続放出により、1日1回または1日2回の服用しか必要としない。
【0011】
態様では、本発明は、トリメタジジンの改変形態および浸食性ポリマーを含む混合物を含有する医薬組成物であって、上記の浸食性ポリマーが水性環境において該混合物の膨潤を促進する、医薬組成物を提供する。
【0012】
トリメタジジンの改変形態は、トリメタジジンに構造的に関連する、トリメタジジンと同様の生化学的機能を有する、または身体内で代謝されて、トリメタジジンを生成する、任意の化合物であってもよい。トリメタジジンの改変形態は、式(IX)および(X)のうちの1つの構造:
【化3】
#1 および
を有することができる。
【0013】
浸食性ポリマーは、身体内で分解して、トリメタジジンの改変形態を含有する混合物の膨潤を促進する、任意の生体適合性ポリマーとすることができる。ポリマーは、生分解性であってもよい。ポリマーは、親水性であってもよい。ポリマーは、ヒドロゲルの形成を促進することがある。ポリマーは、セルロース誘導体であってもよい。ポリマーは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムであってもよい。
【0014】
混合物は、HPMCの複数のポリマー形態を含有してもよい。HPMCの異なるポリマー形態は、1つまたは複数の特性が異なることがある。HPMCの異なるポリマー形態は、粘度、メトキシ置換度、ヒドロキシプロポキシル置換度および平均分子量のうちの1つまたは複数が異なることがある。
【0015】
HPMCの各ポリマー形態は、規定の粘度を独立して有することができる。粘度は、20℃におけるポリマー形態の2%水溶液の場合、約2cP~約4cP、約4cP~約6cP、約5cP~約8cP、約12cP~約18cP、約40cP~約60cP、約80cP~約120cP、約300cP~約500cP、約1200cP~約2400cP、約2500cP~約5000cP、約9000cP~約18,000cP、約12,000cP~約24,000cP、約12,000cP~約24,000cP、約75,000cP~約150,000cP、少なくとも約2cP、少なくとも約4cP、少なくとも約5cP、少なくとも約12cP、少なくとも約40cP、少なくとも約80cP、少なくとも約300cP、少なくとも約1200cP、少なくとも約2500cP、少なくとも約9000cP、少なくとも約12,000cP、少なくとも約12,000cP、少なくとも約75,000cP、約4cP未満、約6cP未満、約8cP未満、約18cP未満、約60cP未満、約120cP未満、約500cP未満、約2400cP未満、約5000cP未満、約18,000cP未満、約24,000cP未満、約24,000cP未満または約150,000cP未満とすることができる。
【0016】
HPMCの各ポリマー形態は、規定のメトキシ置換度を独立して有することができる。メトキシ置換度は、約19%~約24%、約22%~約24%、約27%~約30%、約27%~約30%または約28%~約32%であってもよい。
【0017】
HPMCの各ポリマー形態は、規定のヒドロキシプロポキシル置換度を独立して有することができる。ヒドロキシプロポキシル置換度は、約4%~約8%、約7%~約10%、約7%~約12%、約8%~約10%、約8%~約11%または約9%~約12%であってもよい。
【0018】
HPMCの各ポリマー形態は、規定の平均分子量を独立して有することができる。平均分子量は、約10kDa、約13kDa、約20kDa、約26kDa、約41kDa、約63kDa、約86kDa、約110kDa、約120kDa、約140kDa、約180kDaまたは約220kDaとすることができる。
【0019】
HPMCの複数のポリマー形態を含有する混合物は、規定量で1種のポリマー形態を含有することができる。HPMCは、1種のポリマー形態を、重量基準で、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%含有することができる。
【0020】
混合物は、規定量のトリメタジジンの改変形態を含有することができる。混合物は、重量基準で、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%のトリメタジジンの改変形態を含有することができる。
【0021】
本医薬組成物は、特定の投与経路向けに製剤化され得る。本医薬品は、経口、経腸、静脈内または直腸投与向けに製剤化され得る。
【0022】
本医薬組成物は、規定量のトリメタジジンの改変形態を含有する単位投与量として製剤化されてもよい。単位投与量は、約5mg、約10mg、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、約500mg、約5mg~約10mg、約5mg~約20mg、約5mg~約50mg、約5mg~約100mg、約5mg~約200mg、約5mg~約500mg、約10mg~約20mg、約10mg~約50mg、約10mg~約100mg、約10mg~約200mg、約10mg~約500mg、約20mg~約50mg、約20mg~約100mg、約20mg~約200mg、約20mg~約500mg、約50mg~約100mg、約50mg~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約200mg、約100mg~約500mgまたは約200mg~約500mgのトリメタジジンの改変形態を含有することができる。
【0023】
本医薬組成物は、対象に由来する試料中のトリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが、本医薬組成物が対象に投与された後の規定した間隔で達成されるように製剤化され得る。
【0024】
トリメタジジンの改変形態の代謝産物は、トリメタジジンの改変形態が身体内で代謝される場合に生成される任意の化合物であってもよい。トリメタジジンの改変形態の代謝産物は、式(IX)の化合物、トリメタジジン、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはニコチンアミドリボシドであってもよい。
【0025】
本組成物が対象に投与される時間点と対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点との間の間隔は、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、約1時間~約8時間、約2時間~約8時間、約3時間~約8時間、約4時間~約8時間、約1時間~約7時間、約2時間~約7時間、約3時間~約7時間、約4時間~約7時間、約1時間~約6時間、約2時間~約6時間、約3時間~約6時間、約4時間~約6時間、約1時間~約5時間、約2時間~約5時間、約3時間~約5時間または約4時間~約5時間とすることができる。
【0026】
トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物が測定される試料は、対象に由来する流体を含有する試料であってもよい。試料は、血漿試料、血液試料、血清試料、唾液試料、尿試料、唾試料、痰試料、便試料または胃内試料であってもよい。
【0027】
本医薬組成物は、該組成物が対象に投与されると、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される第1の時間点と、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大半数レベルが達成される第2の時間点との間の間隔が規定されるように製剤化され得る。
【0028】
対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点と、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大半数レベルが達成される時間点との間の間隔は、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、約1時間~約8時間、約2時間~約8時間、約3時間~約8時間、約4時間~約8時間、約1時間~約7時間、約2時間~約7時間、約3時間~約7時間、約4時間~約7時間、約1時間~約6時間、約2時間~約6時間、約3時間~約6時間、約4時間~約6時間、約1時間~約5時間、約2時間~約5時間、約3時間~約5時間または約4時間~約5時間とすることができる。
【0029】
本医薬組成物は、該組成物が対象に投与されると、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが規定値を超えないように製剤化され得る。
【0030】
対象に由来する試料における、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルは、約6μg/mL未満、約5μg/mL未満、約4μg/mL未満、約3μg/mL未満、約2μg/mL未満または約1μg/mL未満とすることができる。
【0031】
別の態様では、本発明は、トリメタジジンの改変形態およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を規定重量比で含む混合物を含有する医薬組成物を提供する。
【0032】
混合物は、トリメタジジンの改変形態およびHPMCを、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約3:2、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約1:100~約100:1、約1:100~約50:1、約1:100~約20:1、約1:100~約10:1、約1:100~約5:1、約1:100~約2:1、約1:50~約100:1、約1:50~約50:1、約1:50~約20:1、約1:50~約10:1、約1:50~約5:1、約1:50~約2:1、約1:20~約100:1、約1:20~約50:1、約1:20~約20:1、約1:20~約10:1、約1:20~約5:1、約1:20~約2:1、約1:10~約100:1、約1:10~約50:1、約1:10~約20:1、約1:10~約10:1、約1:10~約5:1、約1:10~約2:1、約1:5~約100:1、約1:5~約50:1、約1:5~約20:1、約1:5~約10:1、約1:5~約5:1、約1:5~約2:1、約1:3~約100:1、約1:3~約50:1、約1:3~約20:1、約1:3~約10:1、約1:3~約5:1または約1:3~約2:1の重量比で含有することができる。
【0033】
トリメタジジンの改変形態は、上記のもののいずれかなどの、トリメタジジンに構造的に関係する任意の化合物であってもよい。
【0034】
混合物は、HPMCの複数のポリマー形態を含有してもよい。HPMCの異なるポリマー形態は、1つまたは複数の特性が異なることがある。HPMCの異なるポリマー形態は、粘度、メトキシ置換度、ヒドロキシプロポキシル置換度および平均分子量のうちの1つまたは複数が異なることがある。
【0035】
HPMCの各ポリマー形態は、上記のそのようなパラメーターに関する値のいずれかなどの、規定した粘度、メトキシ置換度、ヒドロキシプロポキシル置換度または平均分子量を独立して有することができる。
【0036】
HPMCの複数のポリマー形態を含有する混合物は、上記の量のいずれかなどの、規定量で1種のポリマー形態を含有することができる。
【0037】
混合物は、上記の量のいずれかなどの、規定量のトリメタジジンの改変形態を含有することができる。
【0038】
本医薬組成物は、特定の投与経路向けに製剤化され得る。本医薬品は、経口、経腸、静脈内または直腸投与向けに製剤化され得る。
【0039】
本医薬組成物は、上記の量のいずれかなどの、規定量のトリメタジジンの改変形態を含有する単位投与量として製剤化されてもよい。
【0040】
本医薬組成物は、対象に由来する試料中のトリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが、本医薬組成物が対象に投与された後の規定した間隔で達成されるように製剤化され得る。
【0041】
トリメタジジンの改変形態の代謝産物は、上記の化合物のいずれかであってもよい。
【0042】
本組成物が対象に投与される時間点と対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点との間の間隔は、上記の間隔のいずれかとすることができる。
【0043】
トリメタジジンの改変形態が測定される試料は、上記の試料のいずれかであってもよい。
【0044】
本医薬組成物は、該組成物が対象に投与されると、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される第1の時間点と、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大半数レベルが達成される第2の時間点との間の間隔が規定されるように製剤化され得る。
【0045】
対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点と、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大半数レベルが達成される時間点との間の間隔は、上記の間隔のいずれかとすることができる。
【0046】
本医薬組成物は、該組成物が対象に投与されると、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが規定値を超えないように製剤化され得る。
【0047】
対象に由来する試料における、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルは、上記の値のいずれかとすることができる。
【0048】
別の態様では、本発明は、対象に、トリメタジジンの改変形態および浸食性ポリマーを含む混合物を含有する医薬組成物であって、上記の浸食性ポリマーが水性環境において該混合物の膨潤を促進する、医薬組成物を提供することによって、対象における疾患、障害、状態を処置する方法を提供する。
【0049】
トリメタジジンの改変形態は、上記のもののいずれかなどの、トリメタジジンに構造的に関係する任意の化合物であってもよい。
【0050】
浸食性ポリマーは、トリメタジジンの改変形態を含有する混合物の膨潤を促進する、生体適合性ポリマーとすることができる。本ポリマーは、生分解性であってもよい。ポリマーは、親水性であってもよい。ポリマーは、ヒドロゲルの形成を促進することがある。ポリマーは、セルロース誘導体であってもよい。ポリマーは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムであってもよい。
【0051】
混合物は、HPMCの複数のポリマー形態を含有してもよい。HPMCの異なるポリマー形態は、1つまたは複数の特性が異なることがある。HPMCの異なるポリマー形態は、粘度、メトキシ置換度、ヒドロキシプロポキシル置換度および平均分子量のうちの1つまたは複数が異なることがある。
【0052】
HPMCの各ポリマー形態は、上記のそのようなパラメーターに関する値のいずれかなどの、規定した粘度、メトキシ置換度、ヒドロキシプロポキシル置換度または平均分子量を独立して有することができる。
【0053】
HPMCの複数のポリマー形態を含有する混合物は、上記の量のいずれかなどの、規定量で1種のポリマー形態を含有することができる。
【0054】
混合物は、上記の量のいずれかなどの、規定量のトリメタジジンの改変形態を含有してもよい。
【0055】
本医薬組成物は、特定の投与経路によって対象に投与されてもよい。本医薬品は、対象に、経口、腸内、静脈内または直腸に投与されてもよい。
【0056】
本方法は、本医薬組成物が対象に投与された後の規定した間隔で、対象に由来する試料中のトリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルを生じることができる。
【0057】
トリメタジジンの改変形態の代謝産物は、トリメタジジンの改変形態が身体内で代謝される場合に生成される任意の化合物であってもよい。トリメタジジンの改変形態の代謝産物は、式(IX)の化合物、トリメタジジン、ニコチン酸、ニコチンアミドまたはニコチンアミドリボシドであってもよい。
【0058】
本組成物が対象に投与される時間点と対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点との間の間隔は、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、約1時間~約8時間、約2時間~約8時間、約3時間~約8時間、約4時間~約8時間、約1時間~約7時間、約2時間~約7時間、約3時間~約7時間、約4時間~約7時間、約1時間~約6時間、約2時間~約6時間、約3時間~約6時間、約4時間~約6時間、約1時間~約5時間、約2時間~約5時間、約3時間~約5時間または約4時間~約5時間とすることができる。
【0059】
トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物が測定される試料は、対象に由来する流体を含有する試料であってもよい。試料は、血漿試料、血液試料、血清試料、唾液試料、尿試料、唾試料、痰試料、便試料または胃内試料であってもよい。
【0060】
本方法は、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される第1の時間点と、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大半数レベルが達成される第2の時間点との間の規定間隔をもたらすことができる。
【0061】
対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点と、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態の最大半数レベルが達成される時間点との間の間隔は、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、約1時間~約8時間、約2時間~約8時間、約3時間~約8時間、約4時間~約8時間、約1時間~約7時間、約2時間~約7時間、約3時間~約7時間、約4時間~約7時間、約1時間~約6時間、約2時間~約6時間、約3時間~約6時間、約4時間~約6時間、約1時間~約5時間、約2時間~約5時間、約3時間~約5時間または約4時間~約5時間とすることができる。
【0062】
本方法は、対象に由来する試料において、規定値を超えない、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルをもたらすことができる。
【0063】
対象に由来する試料における、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルは、約6μg/mL未満、約5μg/mL未満、約4μg/mL未満、約3μg/mL未満、約2μg/mL未満または約1μg/mL未満とすることができる。
【0064】
疾患、障害または状態は、心臓ミトコンドリア機能の改善により改善することができる、任意の状態であってもよい。疾患、障害または状態は、心血管状態であってもよい。疾患、障害または状態は、動脈瘤、狭心症、アテローム性動脈硬化、心筋症、脳血管疾患、先天性心疾患、冠動脈疾患(CAD)、冠状動脈性心疾患、糖尿病性心筋症、心臓発作、心臓疾患、心不全、高血圧(高血圧症)、虚血性心疾患、心膜疾患、末梢動脈疾患、難治性狭心症、リウマチ性心疾患、安定狭心症、脳卒中、一過性脳虚血発作、不安定狭心症または心臓弁膜症であってもよい。
【0065】
別の態様では、本発明は、対象に、トリメタジジンの改変形態およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む混合物を含有する医薬組成物を提供することによって、対象における疾患、障害、状態を処置する方法であって、該混合物が、トリメタジジンの改変形態およびHPMCを規定重量比で含む、方法を提供する。
【0066】
混合物は、上記の比の1つでトリメタジジンの改変形態およびHPMCを含有することができる。
【0067】
トリメタジジンの改変形態は、上記のもののいずれかなどの、トリメタジジンに構造的に関係する任意の化合物であってもよい。
【0068】
混合物は、HPMCの複数のポリマー形態を含有してもよい。HPMCの異なるポリマー形態は、1つまたは複数の特性が異なることがある。HPMCの異なるポリマー形態は、粘度、メトキシ置換度、ヒドロキシプロポキシル置換度および平均分子量のうちの1つまたは複数が異なることがある。
【0069】
HPMCの各ポリマー形態は、上記のそのようなパラメーターに関する値のいずれかなどの、規定した粘度、メトキシ置換度、ヒドロキシプロポキシル置換度または平均分子量を独立して有することができる。
【0070】
HPMCの複数のポリマー形態を含有する混合物は、上記の量のいずれかなどの、規定量で1種のポリマー形態を含有することができる。
【0071】
混合物は、上記の量のいずれかなどの、規定量のトリメタジジンの改変形態を含有してもよい。
【0072】
本医薬組成物は、特定の投与経路によって対象に投与されてもよい。本医薬品は、対象に、経口、腸内、静脈内または直腸に投与されてもよい。
【0073】
本方法は、本医薬組成物が対象に投与された後の規定した間隔で、対象に由来する試料中のトリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルを生じることができる。
【0074】
トリメタジジンの改変形態の代謝産物は、上記の化合物のいずれかであってもよい。
【0075】
本組成物が対象に投与される時間点と対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点との間の間隔は、上記の間隔のいずれかとすることができる。
【0076】
トリメタジジンの改変形態が測定される試料は、上記の試料のいずれかであってもよい。
【0077】
本方法は、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される第1の時間点と、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大半数レベルが達成される第2の時間点との間の規定間隔をもたらすことができる。
【0078】
対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点と、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大半数レベルが達成される時間点との間の間隔は、上記の間隔のいずれかとすることができる。
【0079】
本方法は、対象に由来する試料において、規定値を超えない、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルをもたらすことができる。
【0080】
対象に由来する試料における、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルは、上記の値のいずれかとすることができる。
【0081】
疾患、障害または状態は、上記のもののいずれかなどの、心臓ミトコンドリア機能の改善により改善することができる、任意の状態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1図1は、CV-8972の加水分解および代謝の経路の概略図である。
【0083】
図2図2は、不安定のために、動的方法によって生成した、pHの関数としてのCV-8972の水溶解度のグラフである。
【0084】
図3図3は、CV-8972のプロトタイプの乾燥圧縮MR錠剤製剤を製造するためのプロセス流れ図である。
【0085】
図4図4は、パイロットロットに使用した、200mgおよび50mgのCV-8972の湿式造粒したMR錠剤製剤を製造するためのプロセス流れ図である。
【0086】
図5図5は、37℃における、0.1M HCl(pH1.0)中での、50mgおよび200mgの4時間調節放出ヒドロゲル錠剤の溶出プロファイルを示すグラフである。
【0087】
図6図6は、37℃における、0.1M HCl(pH1.0)中での、50mgおよび200mgの8時間調節放出ヒドロゲル錠剤の溶出プロファイルを示すグラフである。
【0088】
図7図7は、表示条件下で保管した後の、37℃における、0.1M HCl(pH1.0)中での、200mgの8時間調節放出ヒドロゲル錠剤の溶出プロファイルを示すグラフである。
【0089】
図8図8は、空腹状態下、200mg(遊離塩基当量)のCV-8972を経口投与した後の、イヌにおけるCV-8814の血漿中レベルを示すグラフである。
【0090】
図9図9は、MAD投与(QDおよびBID)および摂食状態下、8時間の放出錠剤として、200mgのIMB-1018972MR錠剤を経口投与下した後の、ヒトにおいて推定した、CV-8814およびトリメタジジンの血漿中レベルを一緒にしたシミュレーションを示すグラフである。
【0091】
図10図10は、IMB-1018972のFIH検討の対象の内訳の表である。
【0092】
図11-1】図11は、IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパートに関して与えられた評価の表である。
図11-2】図11は、IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパートに関して与えられた評価の表である。
【0093】
図12-1】図12は、IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパートに関して与えられた評価の表である。
図12-2】図12は、IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパートに関して与えられた評価の表である。
【0094】
図13図13は、IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパートに関する分析データセットの表である。
【0095】
図14図14は、IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパートに関する分析データセットの表である。
【0096】
図15図15は、人工統計学的特徴の要約の表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(安全性設定)。
【0097】
図16図16は、人工統計学的特徴の要約の表である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(安全性設定)。
【0098】
図17-1】図17は、曝露の範囲の表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(安全性設定)。
図17-2】図17は、曝露の範囲の表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(安全性設定)。
【0099】
図18図18は、曝露の範囲の表である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(安全性設定)。
【0100】
図19図19は、幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(PK設定)。
【0101】
図20図20は、幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(PK設定)。
【0102】
図21図21は、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(PK設定)。
【0103】
図22図22は、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(PK設定)。
【0104】
図23図23は、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(PK設定)。
【0105】
図24図24は、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(PK設定)。
【0106】
図25-1】図25は、IMB-1028814、トリメタジジンおよびIMB-1028814+トリメタジジン血漿中薬物動態パラメーターの要約統計幾何平均[範囲]の表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(PK設定)。
図25-2】図25は、IMB-1028814、トリメタジジンおよびIMB-1028814+トリメタジジン血漿中薬物動態パラメーターの要約統計幾何平均[範囲]の表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(PK設定)。
【0107】
図26図26は、200mgの8時間MR IMB-1018972の投与後のIMB-1028814およびトリメタジジンに対する食物の影響の予備分析の表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(PK設定)。
【0108】
図27図27は、1日目~5日目の幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0109】
図28図28は、1日目~5日目の幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0110】
図29図29は、1日目~5日目の幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0111】
図30図30は、1日目~5日目の幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0112】
図31図31は、1日目~5日目の幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0113】
図32図32は、1日目~5日目の幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0114】
図33図33は、1日目後から5日目までの幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0115】
図34図34は、1日目後から5日目までの幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0116】
図35図35は、1日目後から5日目までの幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0117】
図36図36は、1日目後から5日目までの幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0118】
図37図37は、1日目後から5日目までの幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0119】
図38図38は、1日目後から5日目までの幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0120】
図39図39は、IMB-1028814、トリメタジジンおよびIMB-1028814+トリメタジジン血漿中薬物動態パラメーターの要約統計幾何平均[範囲]の表である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(PK設定)。
【0121】
図40-1】図40Aおよび図40Bは、器官別大分類、基本語および処置によるすべてのTEAEの要約表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(安全性設定)。
図40-2】図40Aおよび図40Bは、器官別大分類、基本語および処置によるすべてのTEAEの要約表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(安全性設定)。
図40-3】図40Aおよび図40Bは、器官別大分類、基本語および処置によるすべてのTEAEの要約表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(安全性設定)。
【0122】
図41-1】図41は、器官別大分類、基本語および処置によるすべてのTEAEの要約表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(安全性設定)。
図41-2】図41は、器官別大分類、基本語および処置によるすべてのTEAEの要約表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(安全性設定)。
【0123】
図42図42は、処置、関連性および重症度によるすべてのTEAEの要約表である-IMB-1018972のFIH検討の単回用量MRのパート(安全性設定)。
【0124】
図43図43は、処置、関連性および重症度によるすべてのTEAEの要約表である-IMB-1018972のFIH検討の多回用量MRのパート(安全性設定)。
【発明を実施するための形態】
【0125】
詳細な説明
本発明は、CV-8972などのトリメタジジンの改変形態、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの浸食性ポリマーからなる混合物を含有する医薬組成物を提供する。ポリマーは、組成物が胃腸(GI)管などの水性環境にあると、水分を吸収して混合物の膨潤を促進する。さらに、このポリマーは、水性環境で徐々に分解して、トリメタジジンの改変形態の制御放出を可能にし、トリメタジジンの改変形態は、次に、制御されてナイアシンおよびCV-8814へと分解し、これによって、身体内にナイアシンの制御放出および調節放出が実現する。したがって、本組成物が、対象に経口投与されると、血液中の医薬品有効成分(API)のレベルは、同じ投与量の同じトリメタジジンの改変形態が、慣用的な製剤で投与される場合よりも、最小限の治療閾値を超える低いピークおよび長い持続期間のどちらも示し、ナイアシンに起因する副作用が最小限になる。
【0126】
本発明の調節放出製剤は、トリメタジジンの改変形態を経口送達するこれまでの製剤よりもいくつかの利点をもたらす。第1に、血液中の閾値よりも高いAPIの維持が長いために、本発明の医薬組成物は、これまでの組成物よりも少ない頻度で投与することができる。例えば、本明細書において提供されるCV-8972を含有する経口用製剤は、1日あたり1回、または1日あたり2回の投与レジメンに好適である。さらに、血液中のAPIのピークレベルは、これまでの組成物を用いて達成されるレベルよりも50%も低いので、本発明の製剤により、ナイアシンに起因する副作用、およびAPIとin vivoでの意図しない標的との間の相互作用が低下する。最後に、上記の属性により、CV-8972などのトリメタジジンの改変形態の総合的な治療的効力が改善される。
【0127】
トリメタジジンの改変形態
本発明は、トリメタジジンの改変形態を含む混合物を含有する組成物を提供する。トリメタジジンは、以下の構造:
【化4】
を有する。
【0128】
トリメタジジンは、開発された最初の細胞保護性抗虚血剤と記されており、狭心症を処置するために長い間、使用されてきた。
【0129】
トリメタジジンは、脂肪酸酸化を阻害することによってグルコース酸化を促進する。グルコース酸化と脂肪酸酸化は、基質を巡って互いに競合する、エネルギー産生代謝経路である。グルコース酸化では、細胞の細胞質ゾルにおいて、グルコースが解糖によってピルベートに分解される。次いで、ピルベートは、ミトコンドリアに入り、そこで、アセチル補酵素A(アセチルCoA)に変換される。ミトコンドリアにおいて起こる脂肪酸のベータ酸化では、長鎖脂肪酸からの2炭素の単位が、アセチルCoAに順次変換される。グルコースまたは脂肪酸の酸化からのエネルギー産生における残りのステップは、2つの経路に共通している。手短に述べると、それらは、クエン酸回路による、アセチル-CoAの二酸化炭素への分解、一連の酸素依存性電子輸送反応による、ミトコンドリア内膜にかかるプロトン勾配の同時発生、およびATP合成を推進するためのプロトン勾配におけるエネルギー電位の使用を含む。トリメタジジンは、長鎖3-ケトアシル-CoAチオラーゼを遮断することによって脂肪酸酸化を阻害し、こうして、細胞は、エネルギー生成を支援するグルコース酸化に依存する。
【0130】
心臓のミトコンドリアを、エネルギー源として脂肪酸よりもむしろグルコースの酸化に依存させることにより、心血管状態を有する多数の患者にとって治療利益がもたらされる。ある特定のタイプの心疾患では、部分的に、グルコース酸化より脂肪酸酸化への依拠が増しているため、心臓ミトコンドリアによるエネルギー産生の全体としての効率が低下している。グルコース酸化は、消費されるO分子あたりのATP分子生成数によって測定されるとおり、脂肪酸酸化より効率のよい、エネルギー産生のための経路である。したがって、総合的な心臓効率は、トリメタジジンなどのグルコース酸化を促進する薬剤によって向上し得る。
【0131】
CV-8972は、薬理学的特性が改善したトリメタジジン誘導体として、最近、特定された。CV-8972は、IUPAC名2-[4-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]エチルピリジン-3-カルボキシレート、および式(X)の構造:
【化5】
を有する。
【0132】
CV-8972が対象に投与されると、これはまず、ニコチン酸、ならびにIUPAC名2-[4-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル]エタノール、および式(IX)の構造:
【化6】
を有するCV-8814に分解される。
【0133】
CV-8814は、トリメタジジンのヒドロキシエチル誘導体であり、ヒドロキシエチル基は、続いて、身体内で除去されて、トリメタジジンをもたらす。CV-8972およびその代謝産物は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第10,556,013号に記載されている。
【0134】
CV-8972の治療特性の改善は、ニコチン酸の影響が一部、理由である。ニコチン酸は、ミトコンドリア電子輸送反応における必須補酵素の酸化形態である、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の合成前駆体として働く。NAD前駆体の供給により、グルコースまたは脂肪酸の酸化が、クエン酸回路への供給に使用されるかどうかに関わらず、ミトコンドリアレドックス反応が確実に起こり、ATP合成を推進することが確実となる。したがって、CV-8972のニコチン酸生成物は、ミトコンドリアの呼吸を促進する。
【0135】
CV-8972からCV-8814へ、次にトリメタジジンへの段階的な分解はまた、CV-8972の治療特性の改善に寄与する。トリメタジジンのように、CV-8814は、3-ケトアシル-CoAチオラーゼを阻害し、その結果、CV-8972は、2種の異なる医薬品有効成分(API)をもたらす。しかし、CV-8814は、トリメタジジンと同じ望ましくない副作用を生じない。さらに、CV-8972の逐次的な代謝のために、ある用量のCV-8972後のトリメタジジンの循環レベルは、同等の用量のトリメタジジン自体の後のレベルよりもずっと低い。したがって、純粋なトリメタジジンに比べると、CV-8972は、APIの循環レベルの一層の持続をもたらし、副作用をほとんどもたらさない。
【0136】
本発明の組成物において使用することができるトリメタジジンの他の改変形態は、例えば、それらの各々の内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第4,100,285号および同第4,574,156号に記載されている。
【0137】
HPMCを含む浸食性ポリマー
本発明は、浸食性ポリマーを含む混合物を含有する組成物であって、上記の浸食性ポリマーが水性環境において該混合物の膨潤を促進する、組成物を提供する。浸食性ポリマーは、生理的に適切な時間枠内で、身体内部で分解する任意のポリマーである。浸食性ポリマーは、混合物からのトリメタジジンの改変形態の段階的な放出を促進する、他の特徴を有することができる。例えばおよび非限定的に、ポリマーは、以下:生体適合性、すなわち生存組織に有害ではないこと、親水性、吸湿性、ヒドロゲル形成傾向のうちの1つまたは複数とすることができる。
【0138】
理論によって拘泥されることを望むものではないが、ポリマー含有混合物は、1つまたは複数の機構による段階的な放出を促進することができる。例えば、水分の吸収による混合物の膨潤は、混合物からのトリメタジジンの改変形態の拡散を促進することができる。ポリマーの分解はまた、トリメタジジンの改変形態が混合物から放出されることを可能にすることができる。混合物の内側と外側の間の化合物の濃度の高い勾配による浸透圧はまた、混合物からのトリメタジジンの改変形態の拡散に寄与することができる。
【0139】
例えばおよび非限定的に、ポリマーは、セルロース誘導体、ゼラチン誘導体、例えば、架橋ゼラチン誘導体またはポリエステル誘導体であってもよい。
【0140】
セルロースの誘導体は、直鎖β(1→4)連結したD-グルコース単位であり、各グルコース単位のヒドロキシル基の1つまたは複数に置換を含むポリマーを含む。置換基は、有機性であってもよく、または無機性であってもよく、エステル連結基またはエーテル連結基を介して、通常、結合している。セルロースエステル誘導体としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびメチルセルロースが挙げられる。セルロースエーテル誘導体としては、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、プロピオン酸酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、硫酸セルロース、三酢酸セルロースおよびニトロセルロースが挙げられる。生分解性ヒドロゲルを形成するセルロースをベースとするポリマーの使用は、当分野で公知であり、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、Sannino, et al., Biodegradable Cellulose-based Hydrogels: Design and Applications, Materials 2009, 2, 353-373; doi:10.3390/ma2020353に記載されている。
【0141】
混合物は、複数のポリマー、または同じポリマーからなる複数のポリマー形態を含有してもよい。例えば、HPMCポリマー形態は、粘度、メトキシ置換度、ヒドロキシプロポキシル置換度または平均分子量を含めた、様々な物理特性が異なり得る。
【0142】
HMPCポリマー形態の粘度は、溶液中のHMPCの濃度、および溶液の温度を含めた、標準条件下で試験することによって求めることができる。例えばおよび非限定的に、HPMC濃度は、1%、1.5%、2%、2.5%または3%とすることができる。例えばおよび非限定的に、溶液の温度は、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃または25℃とすることができる。
【0143】
HPMCなどのセルロース誘導体のポリマー形態は、規定粘度を有することができる。例えばおよび非限定的に、HPMCのポリマー形態は、20℃におけるポリマー形態の2%水溶液の場合、約2cP~約4cP、約4cP~約6cP、約5cP~約8cP、約12cP~約18cP、約40cP~約60cP、約80cP~約120cP、約300cP~約500cP、約1200cP~約2400cP、約2500cP~約5000cP、約9000cP~約18,000cP、約12,000cP~約24,000cP、約12,000cP~約24,000cP、約75,000cP~約150,000cP、少なくとも約2cP、少なくとも約4cP、少なくとも約5cP、少なくとも約12cP、少なくとも約40cP、少なくとも約80cP、少なくとも約300cP、少なくとも約1200cP、少なくとも約2500cP、少なくとも約9000cP、少なくとも約12,000cP、少なくとも約12,000cP、少なくとも約75,000cP、約4cP未満、約6cP未満、約8cP未満、約18cP未満、約60cP未満、約120cP未満、約500cP未満、約2400cP未満、約5000cP未満、約18,000cP未満、約24,000cP未満、約24,000cP未満または約150,000cP未満の粘度を有することができる。
【0144】
HPMCなどのセルロース誘導体のポリマー形態は、グルコース単位の置換度が様々となり得る。置換度は、置換基の重量百分率として、またはグルコース単位に対する置換基のモル比として表すことができる。HPMCなどの、2つの異なる置換基を有するセルロース誘導体の場合、ポリマー形態は、各置換基に関する置換度によって記載されてもよい。
【0145】
HPMCの各ポリマー形態は、規定のメトキシ置換度を独立して有することができる。例えばおよび非限定的に、メトキシ置換度は、約19%~約24%、約22%~約24%、約27%~約30%、約27%~約30%または約28%~約32%であってもよい。
【0146】
HPMCの各ポリマー形態は、規定のヒドロキシプロポキシル置換度を独立して有することができる。例えばおよび非限定的に、ヒドロキシプロポキシル置換度は、約4%~約8%、約7%~約10%、約7%~約12%、約8%~約10%、約8%~約11%または約9%~約12%であってもよい。
【0147】
HPMCの各ポリマー形態は、規定の平均分子量を独立して有することができる。平均分子量は、約10kDa、約13kDa、約20kDa、約26kDa、約41kDa、約63kDa、約86kDa、約110kDa、約120kDa、約140kDa、約180kDaまたは約220kDaとすることができる。
【0148】
HPMCなどのポリマーの複数の形態が存在する場合、1種または複数のポリマー形態は、規定量で存在することができる。例えばおよび非限定的に、HPMCなどのポリマーは、1種のポリマー形態を、重量基準で、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%含有することができる。
【0149】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、トリメタジジンの1種または複数の改変形態を含む、調節放出製剤を含む。本製剤は、トリメタジジンの1種または複数の改変形態および1種または複数の浸食性ポリマーを含む混合物であって、1種または複数の浸食性ポリマーが、水性環境において該混合物の膨潤を促進する、混合物を含有する。ポリマーの吸湿特性および浸食特性のために、上記の混合物は、対象の消化管中でゆっくりと分解するヒドロゲルを形成することが可能である。したがって、上記の混合物は、血液循環へのトリメタジジンの改変形態およびその代謝産物の安定した放出を促進する。
【0150】
混合物は、規定量のトリメタジジンの改変形態を含有することができる。混合物は、重量基準で、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%のトリメタジジンの改変形態を含有することができる。
【0151】
混合物は、トリメタジジンの改変形態およびポリマーを規定の重量比で含有することができる。例えばおよび非限定的に、混合物は、トリメタジジンの改変形態およびポリマーを、約1:5、約1:4、約1:3、約1:2、約1:1、約3:2、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約1:100~約100:1、約1:100~約50:1、約1:100~約20:1、約1:100~約10:1、約1:100~約5:1、約1:100~約2:1、約1:50~約100:1、約1:50~約50:1、約1:50~約20:1、約1:50~約10:1、約1:50~約5:1、約1:50~約2:1、約1:20~約100:1、約1:20~約50:1、約1:20~約20:1、約1:20~約10:1、約1:20~約5:1、約1:20~約2:1、約1:10~約100:1、約1:10~約50:1、約1:10~約20:1、約1:10~約10:1、約1:10~約5:1、約1:10~約2:1、約1:5~約100:1、約1:5~約50:1、約1:5~約20:1、約1:5~約10:1、約1:5~約5:1、約1:5~約2:1、約1:3~約100:1、約1:3~約50:1、約1:3~約20:1、約1:3~約10:1、約1:3~約5:1または約1:3~約2:1の重量比で含有することができる。
【0152】
本医薬組成物は、特定の投与経路向けに製剤化され得る。本医薬品は、経口、経腸、静脈内または直腸投与向けに製剤化され得る。
【0153】
本医薬組成物は、規定量のトリメタジジンの改変形態を含有する単位投与量として製剤化されてもよい。単位投与量は、約5mg、約10mg、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、約500mg、約5mg~約10mg、約5mg~約20mg、約5mg~約50mg、約5mg~約100mg、約5mg~約200mg、約5mg~約500mg、約10mg~約20mg、約10mg~約50mg、約10mg~約100mg、約10mg~約200mg、約10mg~約500mg、約20mg~約50mg、約20mg~約100mg、約20mg~約200mg、約20mg~約500mg、約50mg~約100mg、約50mg~約200mg、約50mg~約500mg、約100mg~約200mg、約100mg~約500mgまたは約200mg~約500mgのトリメタジジンの改変形態を含有することができる。
【0154】
本医薬組成物は、本発明の方法に関して以下に記載されている、1つまたは複数のパラメーターに関して、規定値を生じるよう製剤化され得る。例えばおよび非限定的に、パラメーターは、Cmax、投与とCmaxの達成との間の間隔、T1/2またはAUCとすることができる。
【0155】
本発明の医薬組成物は、賦形剤を含有してもよい。例えばおよび非限定的に、本組成物は、甘味剤、着香剤、着色剤または保存剤を含んでもよい。本組成物は、マンニトール、デンプンおよびステアリン酸マグネシウムのうちの1つまたは複数を含有してもよい。
【0156】
処置の方法
本発明は、上記の組成物のいずれかを提供することによって、対象における、疾患、障害、状態を処置する方法を提供する。本発明の調節放出製剤は、従来の製剤よりもトリメタジジンの改変形態の安定した放出を実現する。優れた放出プロファイルは、以下に記載されている1つまたは複数のパラメーターに反映され得る。
【0157】
本発明の製剤と同じ投与量のトリメタジジンの改変形態を含有する他の組成物とを区別するために使用することができるパラメーターの1つは、ある用量の薬物の投与後であるが、第2の用量の投与前の、試料中における薬物または薬物の代謝産物の最大レベルであるCmaxである。本発明の製剤は、同じ投与量を含有する従来の製剤によって生じるものよりも低いCmax値をもたらすことができる。本発明の方法では、より低いCmaxは、相対期間、例えば、別の製剤の投与から生じるCmaxとの比較によって、または絶対期間、例えば、規定閾値との比較によって表すことができる。Cmaxは、トリメタジジンの改変形態またはこの化合物の代謝産物に関するものであってもよい。例えば、式(X)の化合物を含有する組成物の投与後に、式(X)の化合物のCmaxが決定されてもよく、または式(IX)の化合物、トリメタジジンまたはニコチン酸のCmaxが決定されてもよい。
【0158】
例えばおよび非限定的に、対象に由来する試料中のトリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルは、約20μg/mL未満、約15μg/mL未満、約12μg/mL未満、約10μg/mL未満、約8μg/mL未満、約6μg/mL未満、約5μg/mL未満、約4μg/mL未満、約3μg/mL未満、約2μg/mL未満、約1μg/mL未満、約0.8μg/mL未満、約0.6μg/mL未満、約0.4μg/mL未満、約0.2μg/mL未満または約0.1μg/mL未満であってもよい。
【0159】
例えばおよび非限定的に、対象に由来する試料中のトリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルは、同じ量のトリメタジジンの改変形態を含有する異なる組成物の投与から生じる最大レベルの、約10%未満、約20%未満、約30%未満、約40%未満、約50%未満、約60%未満、約70%未満、約80%未満、約90%未満となり得る。
【0160】
本発明の製剤と同じ投与量のトリメタジジンの改変形態を含有する他の組成物とを区別するために使用することができる別のパラメーターは、対象への組成物の投与と、対象に由来する試料中のトリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物がそのCmaxに到達する時間点との間の間隔である。本発明の調節放出製剤は、他の製剤よりも長いCmaxまでの間隔をもたらすことができる。Cmaxまでの間隔は、相対期間、例えば、別の製剤の場合の間隔と比較することによって、または絶対期間、例えば、規定時間との比較によって表すことができる。
【0161】
例えばおよび非限定的に、本組成物が対象に投与される時間点と対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点との間の間隔は、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、約1時間~約8時間、約2時間~約8時間、約3時間~約8時間、約4時間~約8時間、約1時間~約7時間、約2時間~約7時間、約3時間~約7時間、約4時間~約7時間、約1時間~約6時間、約2時間~約6時間、約3時間~約6時間、約4時間~約6時間、約1時間~約5時間、約2時間~約5時間、約3時間~約5時間または約4時間~約5時間とすることができる。
【0162】
例えばおよび非限定的に、本組成物が対象に投与される時間点と対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点との間の間隔は、同じ投与量のトリメタジジンの改変形態を含有する別の組成物の投与後の間隔よりも、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも120%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも400%大きくなり得る。
【0163】
本発明の製剤と同じ投与量のトリメタジジンの改変形態を含有する他の組成物とを区別するために使用することができる別のパラメーターは、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物のCmaxが達成される時間点と、本化合物または代謝産物の濃度が、その半数最大値に到達する時間点との間の間隔である、T1/2である。本発明の調節放出製剤は、より長いT1/2値、すなわち同じ投与量のトリメタジジンの改変形態を含有する他の製剤によって生じるものよりも長い間隔をもたらすことができる。T1/2は、相対期間、例えば、別の製剤の場合のT1/2と比較することによって、または絶対期間、例えば、規定時間との比較によって表すことができる。
【0164】
例えばおよび非限定的に、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点と、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態の最大半数レベルが達成される時間点との間の間隔は、少なくとも1時間、少なくとも1.5時間、少なくとも2時間、少なくとも2.5時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、約1時間~約8時間、約2時間~約8時間、約3時間~約8時間、約4時間~約8時間、約1時間~約7時間、約2時間~約7時間、約3時間~約7時間、約4時間~約7時間、約1時間~約6時間、約2時間~約6時間、約3時間~約6時間、約4時間~約6時間、約1時間~約5時間、約2時間~約5時間、約3時間~約5時間または約4時間~約5時間とすることができる。
【0165】
例えばおよび非限定的に、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物の最大レベルが達成される時間点と、対象に由来する試料において、トリメタジジンの改変形態の最大半数レベルが達成される時間点との間の間隔は、同じ投与量のトリメタジジンの改変形態を含有する別の組成物の投与後の間隔よりも、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも120%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも400%大きくなり得る。
【0166】
本発明の製剤と同じ投与量のトリメタジジンの改変形態を含有する他の組成物とを区別するために使用することができる別のパラメーターは、本化合物または代謝産物の濃度の時間の関数としての定積分値である、曲線下面積(AUC)である。本発明の調節放出製剤は、同じ投与量のトリメタジジンの改変形態を含有する他の製剤によって生じるものよりも高いAUC値を生じることができる。AUCは、相対期間、例えば、別の製剤の場合のAUCと比較することによって、または絶対期間、例えば、規定閾値との比較によって表すことができる。
【0167】
例えばおよび非限定的に、トリメタジジンの改変形態またはトリメタジジンの改変形態の代謝産物のAUCは、同じ投与量のトリメタジジンの改変形態を含有する別の組成物の投与後のAUCよりも、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも120%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも400%大きくなり得る。
【0168】
トリメタジジンの改変形態が測定される試料は、対象に由来する流体を含有する試料であってもよい。試料は、血漿試料、血液試料、血清試料、唾液試料、尿試料、唾試料、痰試料、便試料または胃内試料であってもよい。
【0169】
本組成物は、特定の投与経路によって対象に投与されてもよい。本医薬品は、対象に、経口、腸内、静脈内または直腸に投与されてもよい。
【0170】
本組成物は、投与レジメンに準拠して投与されてもよい。投与レジメンは、投与量、投与頻度および期間のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0171】
用量は、任意の好適な間隔で投与されてもよい。例えばおよび非限定的に、用量は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回、1日8回、48時間ごとに1回、36時間ごとに1回、24時間ごとに1回、12時間ごとに1回、8時間ごとに1回、6時間ごとに1回、4時間ごとに1回、3時間ごとに1回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、4日ごとに1回、5日ごとに1回、毎週1回、毎週2回、毎週3回、毎週4回または毎週5回で投与されてもよい。
【0172】
用量は、単回投与量で投与されてもよく、すなわち、用量は、単一錠剤、カプセル剤、丸剤などとして投与されてもよい。代替的に、用量は、分割投与量で投与されてもよく、すなわち、用量は、複数の錠剤、カプセル剤、丸剤などとして投与されてもよい。
【0173】
投与は、規定期間の間、継続されてもよい。例えばおよび非限定的に、用量は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、少なくとも6か月間、少なくとも8か月間、少なくとも10か月間、少なくとも12か月間またはそれより長い間、投与されてもよい。
【0174】
疾患、障害および状態
本発明の方法は、対象における、疾患、障害または状態を処置するために使用されてもよい。疾患、障害または状態は、心臓ミトコンドリア機能の改善により改善することができる、任意の状態であってもよい。疾患、障害または状態は、心血管状態であってもよい。疾患、障害または状態は、動脈瘤、狭心症、アテローム性動脈硬化、心筋症、脳血管疾患、先天性心疾患、冠動脈疾患(CAD)、冠状動脈性心疾患、糖尿病性心筋症、心臓発作、心臓疾患、心不全、高血圧(高血圧症)、虚血性心疾患、心膜疾患、末梢動脈疾患、難治性狭心症、リウマチ性心疾患、安定狭心症、脳卒中、一過性脳虚血発作、不安定狭心症または心臓弁膜症であってもよい。
【0175】
狭心症(angina pectoris)(狭心症(angina))は、通常、心臓筋肉への血流が不十分であることが理由である、胸痛または圧力である。疼痛または不快感は、胸骨後部または左側にあり、左腕、首、顎または背中の方向に広がることがある。狭心症のいくつかの分類が公知である。
【0176】
労作性狭心症とも呼ばれる安定狭心症は、心筋虚血症に関連する。安定狭心症では、胸部不快感および関連症状は、ランニングまたはウォーキングなどの、ある身体活動が、通常、引き金となるが、患者が休むか、または舌下ニトログリセリンを服用すると、症状は最小限になるか、または消える。症状は、通常、活動後、数分間で弱まり、活動を再開すると再発する。症状はまた、寒い天候、胃にもたれる食事、および情動性ストレスによって誘発されることもある。
【0177】
不安定狭心症は、変化または悪化する狭心症である。不安定狭心症は、以下の特徴:(1)休息時に、または最小限の労作で起こり、通常、10分を超えて続く、(2)重度であり、新たに、すなわち過去4~6週間以内に発症する、および(3)クレッシェンドパターンで、つまり、以前よりも明らかに重症で、長くまたは頻繁に発生する、のうちの少なくとも1つを有する。
【0178】
微小血管性狭心症とも呼ばれる心臓シンドロームXは、血管造影時の正常な心外膜冠動脈の状況では、狭心症の様な胸部痛である。その一次原因は、未知であるが、明らかに関与している因子は、内皮機能不全であり、心臓のわずかな抵抗血管における流れを低下させることである。微小血管性狭心症は、虚血性心疾患の病態生理学の一部であり得る。
【0179】
難治性狭心症は、狭心症が、(1)冠動脈疾患(CAD)の状況で起こる、(2)最適医療的治療、血管形成術またはバイパス手術を組み合わせることにより制御することができない、および(3)可逆的な心筋虚血症が症状の原因であることが臨床的に確立されている慢性状態(≧3か月の期間)である。
【実施例
【0180】
(実施例1)
50mgまたは200mgの遊離塩基当量のCV-8972を含有する湿式造粒製剤を、200mgの場合の表1に示されている組成に準拠して調製した。
【表1】
CV-8972は、遊離塩基の3HCl.1HO塩(分子量=542.86g/モル)である;261.30mgの塩は、200mgの遊離塩基CV-8972と当量である。
遊離塩基(分子量=415.49g/モル)として投与-分子量の比=1.3066
各APIロットの効力に合わせて調節
全錠剤充填重量は、±5%で変動し得る。
【0181】
これらの湿式造粒製剤は、これまでの直接圧縮に基づいており、ブレンドした散剤を手作業によって単発式打錠器に充填して、個々に圧縮する。2組の製剤は、規格および性能に関して同一であるが、湿式造粒に切り替えることが可能となるよう、組成が極わずかに異なる。
【0182】
錠剤中に存在する原薬(API)の量が多いこと(ほぼ50%)、および錠剤特徴へのその潜在的な影響が理由で、流動性、硬度および他の特徴をある程度良好に制御するよう、直接圧縮から湿式造粒への切り替えを慎重に検討した。製剤設計およびスケールアップ実験により、これは、ブレンド、粉末流動およびAPIのバルク密度のばらつきが、好適な直接圧縮製剤をもたらす際の問題となることが判明したので、妥当な決定であることが確認された。(現行の湿式造粒プロセスを置き換えて、スケールアップおよびハイスループット製造を一層容易にするために、商業的開発向けの乾式造粒プロセスを評価するためのさらなる作業を計画する)。
【0183】
200mgのMR 8時間の放出錠剤を、患者が1日2回(BID)を服用するよう設計する。
製剤に使用したCV-8972の形態は、以下の構造および特性を有する:
【化7】
化学名:2-{4-[(2,3,4-トリメトキシフェニル)メチル]ピペラジン-1-イル}エチルピリジン-3-カルボキシレート三塩酸塩一水和物
分子式:C2232Cl.1H
分子量:542.86g/モル(3HCl.1HO)
関連分子量:524.86g/モル(3HCl無水);415.49g/モル(遊離塩基、無水)
pKa(推定値):4.85(ニコチン酸エステル);約5.50(ピペラジン);約7.99(ピペラジン)
cLog P(遊離塩基):1.26~1.63
融点:ロット289-MBA-33(毒性学用ロット)に関するDSC測定から:
・ 208℃から幅広いバンドがあり、その後に221℃においてシャープに融解する(DSC)
・ 100~127℃の間で、一水和物の水の大部分が失われる
・ 融点の計算値=218.41℃
・ 溶融エンタルピー=-298J/g
【0184】
この分子は、経口により吸収されて、CV-8814、ニコチン酸、トリメタジジン(TMZ)および潜在的に他の代謝産物を全身的に生成するので、加水分解による開裂および代謝を受ける、ハイブリッドNCEである。
【0185】
図1は、CV-8972の加水分解および代謝の経路の概略図である。ヒトにおいて、未だ評価されていない、他の潜在的な代謝経路が存在することに留意されたい。
【0186】
塩としてのCV-8972は、大部分の有機溶媒に比較的不溶であるが、遊離塩基としてさらに一層不溶である。しかし、最も塩基性のpKaの推定値は、約7.9であるので、この分子は、1~8の生理的pH範囲では、荷電イオンとして、常に存在する。
【0187】
図2は、不安定のために、動的方法によって生成した、pHの関数としてのCV-8972の水溶解度のグラフである。pH6.1~9.2の間で、溶解度が急激に低下することから、溶解動力学は、胃(pH1~2)から腸液(pH6.5~8)への経路で劇的に変化し得ることが示唆される。しかし、塩基の飽和溶解度が5~10mg/mLであることを考慮すると、200mgの用量の塩基は、GI管全体の浸漬条件下では溶解する可能性が高い。
【0188】
23℃におけるCV-8972の1mg/mLの溶液の場合のpH安定性プロファイルを表2に要約して示す。
【表2】
【0189】
加水分解は、ニコチン酸およびCV-8814が、生成した唯一の分解生成物であるので、図1に示されている第1の工程を経由して進む。溶液安定性に関する最適pHは、1mg/mLの溶液の場合、約pH5~5.1であるように思われ、酸触媒加水分解は、5.0未満のpHの値で増大し、塩基触媒加水分解は、pH5.0超で増大する。
【0190】
製剤に使用される賦形剤は、調節放出製品を生成するための浸食性ヒドロゲル錠剤向けの標準品である。CV-1018972塩は溶解性が非常に高いので、様々な分子量および架橋度のヒプロメロースポリマーを使用してゲルを水和し、可溶性薬物をゆっくりと放出させる。水の製剤への進入を均衡させる可溶性糖として、マンニトールを含ませて、ステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として使用する。プロトタイプの賦形剤ブレンドおよび製剤における薬物の詳細な安定性評価に加え、非常に多数の賦形剤を用いた薬物安定性の広範囲にわたるスクリーニングが以前に行われた。
【0191】
(実施例2)
ICU薬局部において、第1相SAD/MAD試験を支援するため、パイロットおよび臨床用錠剤ロットを、手作業による直接ブレンドおよび圧縮によって製造した。これらの評価に使用した製剤を表3に示す。
【表3】
CV-8972は、遊離塩基の3HCl.1HO塩(分子量=542.86g/モル)である;
遊離塩基(分子量=415.49g/モル)として投与-分子量の比=1.3066
各APIロットの効力に合わせて調節
全錠剤充填重量は、±5%で変動し得る。
【0192】
検討に使用した製剤は直接圧縮物であり、ブレンドした散剤を、表3に示されている組成に従い、手作業によって単発式打錠器に充填して、50mgおよび200mgの遊離塩基当量のCV-8972で個々に圧縮した。
【0193】
図3は、CV-8972のプロトタイプの乾燥圧縮MR錠剤製剤を製造するためのプロセス流れ図である。
【0194】
8時間のMR放出錠剤、および200mgの用量のみ、およびプラセボをさらなる検討に選択した。組成を表4に示す。
【表4】
合計で550mgの錠剤重量、およびAPI純度100%に基づく
CV-8972およびマンニトールEZの量は、使用されるAPIロットの効力に合わせて調節する
【0195】
パイロット実証ロットを、5kgレベルの全回分サイズで製造し、今後のGMPロットに関するスケールアップおよび設備トレイン適合性を含めた成績を評価した。
【0196】
図4は、パイロットロットに使用した、200mgおよび50mgのCV-8972の湿式造粒したMR錠剤製剤を製造するためのプロセス流れ図である。表1に記載されている組成をわずかに変更して、湿式造粒を採用し、ほぼ43,000錠または全回分サイズ約24kgの各臨床供給ロットを製造するためスケールアップした。
【0197】
臨床用供給品の製造に使用される湿式造粒プロセスの概要をここに提示する。
・ APIを20メッシュのスクリーンに通して、ふるいにかける。
・ API、マンニトールおよびMethocel E5を、造粒サブロットを構成する4つの等しい区域で、HPDE広口ドラムに分配する。
・ 乾式ブレンドの各サブロットを25Lの高せん断造粒器に投入し、インペラー速度150rpm、チョッパー速度360rpmで1分間、混合する。
・ 405gの純水USPをペリスタティックポンプによりミキサーに噴霧し、インペラー150RPM/チョッパー1500RPMを使用して造粒する。
・ インペラー65RPM/チョッパー800RPMで乾燥粉末がなくなり、顆粒が形成され始めるまで継続して造粒する。
・ CoMill(スクリーン-250;インペラー円形;ミル速度2500rpm)を介して高せん断造粒器から湿潤造粒物を取り出して、12Lの流動床乾燥器ボウルに入れ、乾燥し、適度な流動化およびNLT40℃の目標製品温度を維持する(入口60℃;110Nm/時の体積スループット)。
・ スケールアップの間に、プロセス実験に基づいた設定時間で%LODを決定する。LODの目標は、85℃の目標LOD温度において、NMT2.0%である。
・ 乾式造粒物とCoMill(スクリーン-50;インペラー正方形;2500rpm)を取り出す。
・ 上記の工程を他のサブロットでさらに3回繰り返し、これらの造粒物を一緒にして、最終的な重量を求める;20メッシュスクリーンのふるいにかける;Methocel(登録商標)K100M Premium DC2およびステアリン酸マグネシウムの量を計算してふるいにかけ、工程15~18に言及されている方法で顆粒物に加える。
・ 80Lのビンに、15rpmで5分間、ブレンドし、25錠の錠剤を使用して、錠剤重量および硬度に関して、事前に較正した設定を使用して、直接打錠する。
・ 理論重量=550mg(塩としてのAPI力価-ファクターの調節)
・ 25錠の錠剤の平均重量=理論値の95~105%
・ 個々の重量範囲=理論値の90~110%
・ 錠剤硬度=15kp(目標);NLT 11kp
・ ポリバッグおよび20L HDPEドラムにアッセイおよび保管バルク錠剤をサンプリングする。
・ 品質の全公開および審査後に、バルク錠剤ドラムから患者のボトルに包装する。チャイルドレジスタントキャップ付きの60cc HDPE容器に室温で包装し、添加した乾燥剤を使用して、5℃、25℃/60%RHまたは40℃/75%RHの安定保管条件に置く。
錠剤の放出に以下の試験を適用する:
・ 錠剤の外観
・ CV-8814であることの特定、アッセイ、純度、未知不純物および不純物の合計
・ 含有物の均質性
・ 溶出放出試験
・ 残留水分
・ 錠剤硬度
・ 微生物試験
【0198】
SAD/MAD試験において評価した50mgおよび200mg MR錠剤のロット、ならびに他のパイロットロットに関する溶出プロファイルを、0.1N HCl中で収集した。それらは、製剤に応じて、4時間または8時間のどちらか一方で、>80%の溶解を達成する。
【0199】
図5は、37℃における、0.1M HCl(pH1.0)中での、50mgおよび200mgの4時間調節放出ヒドロゲル錠剤の溶出プロファイルを示すグラフである。
【0200】
図6は、37℃における、0.1M HCl(pH1.0)中での、50mgおよび200mgの8時間調節放出ヒドロゲル錠剤の溶出プロファイルを示すグラフである。
【0201】
これらのデータおよび得られたPKプロファイルに基づいて、暫定的な溶出規格および検証済み溶出アッセイを確立し、これらに対して、試料の放出および安定性を評価した。
【0202】
25℃/60%RHと40℃/75%RHの両方において使用される200mgの8時間MR錠剤の広範囲の安定性評価により、容器中で乾燥剤の使用または不使用のどちらか一方で保管した場合、並外れた一貫性のある放出が実証された。
【0203】
図7は、表示条件下で保管した後の、37℃における、0.1M HCl(pH1.0)中での、200mgの8時間調節放出ヒドロゲル錠剤の溶出プロファイルを示すグラフである。錠剤を、乾燥剤を使用して、または使用しないで、1週間、2週間、6週間、3か月間または6か月間、25℃/60%RHまたは40℃/75%RHのどちらか一方で保管した。
【0204】
規格は、放出の初期表面バーストとマトリックス侵食による一層長い期間の放出との組合せを制御して、一貫した経口送達を確実にするように設計される。表5は、提案した溶出試験の規格、および進行中の6か月にわたるパイロットロットの安定性試験で得られた平均値の範囲を示す。
【表5】
【0205】
さらに、cGMP条件下で作製した3つの臨床ロットについて、T=0における溶出データを表6に示す。
【表6】
【0206】
200mgの8時間MR溶出検討からの総合的な結論は、以下の通りである:
・ 放出製剤は、かなり一貫しており、ロバストである
・ 安定性の観点から、加速条件下でさえもほとんど変化が見られない
・ スケールアップして複数回、実施した場合、製剤の性能が再現可能である。
【0207】
(実施例3)
先の実施例から分かる通り、CV-8972は、塩および遊離塩基として非常に溶解性が高く、遊離塩基として約10mg/mL、および塩として>100mg/mLの最小溶解度を有する。したがって、中性pH水溶液の250mLの分量は、最大で2.5gのCV-8972を溶解することができ、これは、250~500mgの潜在的な最大1日用量の5~10×とかなり高い。
【0208】
CV-8972の場合のcLog Pの計算値は約1.5であり、in vitroでのCaCo2実験は、約2.9×10-5cm/秒において、1×10-6cm/sよりもかなり大きい透過性(Papp)を示し、流出の証拠はほとんどなかった。比較によって、同じ検討では、CV-8814は、類似挙動となることを実証した。
【0209】
したがって、CV-8972は、それ自体がBCSクラス1と見なすことができるが、CV-8814および恐らく他の代謝産物への全身前代謝は、ヒトにおいて観察される実際の生物医薬品吸収プロファイルを複雑にしてこれに影響を及ぼし得る。イヌにおけるCV-8972は、溶液として投与した場合、IV CV-8814よりも、>50%の生体利用率を有すると推定される。
【0210】
CV-8972の溶液安定性を、GI管の様々な区域における溶出および安定条件をシミュレートするために現在、使用されている複数の媒体で評価した。CV-8972は、GI管中で溶解するにつれて、加水分解を受けるので、即時放出製剤および制御放出製剤の設計に関するこれらの動力学を理解することが重要である。HPLC法をこれらの評価を行うために使用した。37℃および0.2mg/mLにおけるCV-8972に関する分解速度対媒体の要約を表7に示す。
【表7】
Jantratid&Dressmanにより規定;
炭酸水素ナトリウム溶液で中和した、0.1M HCl溶液(>1M);
界面活性剤構成成分タウロコール酸ナトリウム(NaT);レシチン(Lec);モノオレイン酸グリセリル(GMO);オレイン酸ナトリウム(NaO);酵素は存在せず。
obsは、CV-8972の加水分解に関する一次速度定数の計算値である。
【0211】
表7におけるデータに関する留意すべき点は、以下である:
・ CV-8972と、FaSSGF、FaSSIFおよびFeSSIFの構成成分とに、明らかに一層複雑な挙動/相互作用があり、これらはすべて、pHの差異によって説明することができない。
・ 胆汁酸、レシチンまたはモノ-オレイン酸グリセリルなどの界面活性剤が存在すると、CV-8972を「保護する」、または恐らくは、複合体形成により、その加水分解速度を減速するように思われる。
・ 上記のことは、in vivoでの潜在的に有益な食事の影響を示唆する可能性があるが、ヒトでは、200mgの8時間MR錠剤の場合、空腹に対する摂食の影響は、実際に、ほとんど観察されなかった(以下の項目5.1.2を参照されたい)。
【0212】
要約すると、特に、pH6~8の0.1N HClまたは炭酸水素またはリン酸緩衝液中での安定性に比べると、FaSSGF、FaSSIFおよびFeSSIFの構成成分のいくらかの保護作用がある可能性がある。肯定的な側面では、最も早い分解速度は依然として、1.5時間のT1/2を有しており、これは、上部GI管における放出および吸収にとって十分な滞留時間をもたらすはずである。
【0213】
37℃における0.1N HCl中の安定性は、低いように思われるが、溶出試験に関して、in vitroでの放出および加水分解への耐性の最も厳しい試験を間違いなく提供する。CV-8972は、親およびCV-8814の場合に説明される、pH安定化および迅速なアッセイにより、このような条件を使用するのに十分に安定であると考えられる。0.1N HCl、水およびpH6.8リン酸緩衝液の間で溶解速度に差がないことが判明した。pH5の酢酸緩衝液、FaSSGF、FaSSIFおよびFeSSIFへの溶解は、放出およびHPLCによる分析測定による妨害のため、分析面で複雑になることが判明した。IVIVC/IVIVRデータの進行中の進歩と並行して、これを解決するための分析方法論が開発されるであろう。
【0214】
様々な生物学的媒体中でのCV-8972のin vitroクリアランスによって測定される、半減期に及ぼすGI管、肝臓組織および血漿の影響を評価するために、化学種全体に追加の広範なin vitro安定性検討を実施した。CV-8972は、GI管内では比較的不安定である可能性が高いが(その設計による)、腸の刷子縁およびその中に存在する酵素では、無傷形態で十分な吸収が起こることが可能となるほど十分に安定となり得ることを示唆する。
【0215】
ヒトにおけるMR製剤の評価および選択を可能にすることを目的として、in vitroおよびin vivoでの放出プロファイルがどのように良好に相関しているかを判定するために、空腹状態下でイヌでのPK研究を実施した。
【0216】
図8は、空腹状態下、200mg(遊離塩基当量)のCV-8972を経口投与した後の、イヌにおけるCV-8814の血漿中レベルを示すグラフである。CV-8972を、カプセル剤中の即時放出散剤、(b)4時間の放出速度調節放出錠剤または8時間の放出速度調節放出錠剤として得た。
【0217】
表8は、in vitroでの放出速度定数の計算値(K時間-1)および90%を放出する時間(T90%時間)と、対応するin vivoでの吸収速度定数(K時間-1)およびWagner-Nelson法によって計算した用量の90%を吸収する時間(T90%時間)との比較を要約する。
【表8】
【0218】
一般に、4時間および8時間の放出錠剤の場合、in vivoでのデータは、in vitroでのデータによって予測されるよりも、約2×倍速い吸収を示すように思われる。イヌとヒトとの間の代謝の差異のために、ヒトに対するこれらのデータの予測値は限定的となり得るが、吸収動態パラメーターの推定は、このような開発段階では有用と思われる。この手法は、吸収PK曲線をデコンボリュートして、in vivoおよびin vitroでの放出速度を相関付けるため、ヒトにおいて同様に使用される。
【0219】
摂食/空腹を含めた、SAD/MAD試験においてヒトから得られた最近のデータが、現在、評価されている最中である。予備的な評価により、50mgおよび200mgの4時間ならびに8時間の放出錠剤の挙動は、イヌにおいて観察されるものと類似することが示されるが、有効な比較を行うためには、一層の徹底分析を必要とする。ヒトPKに及ぼす食物の影響はほとんどまたはまったく観察されないように思われ、これは、患者への投与に関して、このような検討の有益な転帰となるように思われる。
【0220】
200mgの8時間MR錠剤投与後の、定常状態におけるCmin対Cmaxレベルの推定に関する、あるモデル化が既に行われている。この製剤について、QD投与に対するBIDの影響および利益は、CV-8814の場合にはっきりと観察され、QD投与に対してBID投与のCmax/Cmin比が10分の1に低下したことを示している。この比較は、TMZ(約2分の1の比の低下)および一緒にしたレベル(約3分の1の比の低下)の場合、それほどではない。やはり、これは、この製剤の場合、BID投与が有益であることを支持し、これが裏付けられる。
【0221】
活性種CV-8814およびトリメタジジン(TMZ)の両方の範囲に及ぶ、ヒトにおいて読み取られた初期のIV/IVCを評価するための、さらなる評価が現在、着手されている。
【0222】
図9は、MAD投与(QDおよびBID)および摂食状態下、8時間の放出錠剤として、200mgのIMB-1018972MR錠剤を経口投与下した後の、ヒトにおいて推定した、CV-8814およびトリメタジジンの血漿中レベルを一緒にしたシミュレーションを示すグラフである。
【0223】
表9は、ヒトにおける、MAD投与(QDおよびBID)および摂食状態下、8時間の放出錠剤として、200mgのIMB-1018972MR錠剤の経口投与後の、CV-8814、トリメタジジン、およびそれらの両方に関する、推定したCmax、CminおよびCmax/min比を示している。
【表9】
【0224】
(実施例4)
検討設計
健常な対象における、IMB-1018972の安全性、耐容性および薬物動態(食物の影響を含む)を検討するための、第1相のファーストインヒューマンの無作為化二重盲検検討。
【0225】
目的
一次目的は、健常な対象における、IMB-1018972の単回経口用量の調節放出(MR)製剤、およびIMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤の安全性ならびに耐容性を評価することである。
【0226】
二次目的は、以下を含む:健常な対象における、IMB-1018972の単回経口用量のMR製剤、およびIMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤の薬物動態(PK)プロファイルを評価すること;健常な対象における、食物と共に服用する、多回経口用量後の、IMB-1018972の200mgの8時間MR製剤の吸収およびPKプロファイルを評価すること;および健常な対象における、食物と共に服用する多回経口用量後の、IMB-1018972の200mgの8時間MR製剤の安全性および耐容性を評価すること。
【0227】
設計および処置
これは、トリメタジジンのMR製剤の単回経口用量、IMB-1018972の単回経口用量のMR製剤、およびIMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤の安全性、耐容性およびPKを評価するための、単回用量および多回用量MRのパートからなる、二重盲検の無作為化検討であった。
【0228】
単回用量MRのパート
単回用量MRのパートでは、12名の健常な対象からなる1つの群(全員が活性薬を服用)が含まれた。対象は、すべての対象に対して同じ固定順序で、1、4、7および10日目に、空腹状態下(少なくとも10時間の一晩の絶食)、IMB-1018972の4種のMR製剤の1種の単回経口用量の投与を受けた。摂食状態下、13日目に投与されるIMB-1018972のMR製剤は、空腹状態下、1、4、7および10日目に投与される4種のMR製剤の1種とした。13日目の投与に選択した製剤は、4種のMR製剤の入手可能な安全性、耐容性およびPKの結果に基づいて治験依頼者によって決定された、200mgの8時間MR製剤とした。
【0229】
以下の処置を、単回用量MRのパートにおいて行った:
1日目:空腹状態下、IMB-1018972の単回経口用量の50mg 8時間MR製剤(n=12)
4日目:空腹状態下、IMB-1018972の単回経口用量の50mg 4時間MR製剤(n=12)
7日目:空腹状態下、IMB-1018972の単回経口用量の200mg 8時間MR製剤(n=12)
10日目:空腹状態下、IMB-1018972の単回経口用量の200mg 4時間MR製剤(n=12)
13日目:摂食状態下、IMB-1018972の単回経口用量の200mg 8時間MR製剤(n=12)
【0230】
多回用量MRのパート
多回用量MRのパートでは、12名の健常な対象からなる1つの群(全員が活性薬を服用)が含まれた。対象は、5日間、連続して、摂食状態下、IMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤(q12h)の投与を受けた;5日目には、朝の分の用量を1回だけ投与した。
【0231】
検討スケジュール
スクリーニング:-35日目~-1日目(入院)の間
拘束期間:単回用量MRのパート:-1日目(入院)から13日目に治験薬を投与後のほぼ72時間まで(16日目)、クリニックにおいて1期間 多回用量MRのパート:-1日目(入院)から5日目に治験薬を投与後のほぼ48時間まで(7日目)、クリニックにおいて1期間
経過観察:単回用量MRのパート:最後のPK血液サンプリング後、7~14日間(23日目~30日目の間);多回用量MRのパート:最後のPK血液サンプリング後、6~8日間(14日目±1日間);
【0232】
対象
単回用量MRのパート:12名の健常な男性対象または女性対象;この群に関すると、男性対象および女性対象が50:50の比を有するよう全面的に努力したが、各性別の最小でも少なくとも4名の対象に投与した。
多回用量MRのパート:12名の健常な男性対象または女性対象;この群に関すると、男性対象および女性対象が50:50の比を有するよう全面的に努力したが、各性別の最小でも少なくとも4名の対象に投与した。
組み入れに関する主な基準
年齢:スクリーニング時に18歳~65歳(これを含む)
肥満度指数(BMI):18.0kg/m~32.0kg/m(これを含む)
状態:健常な対象
【0233】
治験薬
活性薬
薬物製品:IMB-1018972
活性:脂肪酸酸化の阻害剤
開発目的:虚血性心血管疾患
強度:4時間および8時間溶出プロファイルを有する、50mg MR製剤および200mg MR製剤(遊離塩基基準)
剤形:MRパートに使用される経口MR錠剤
製造業者:PRAにおける薬局部
回分番号:2479-1810-00441(原薬)
活性薬
薬物製品:Vastarel MR(トリメタジジン二塩酸塩)
活性:脂肪酸酸化の阻害剤
開発目的:狭心症
強度:35mg
剤形:経口調節放出錠剤
製造業者:Servier Research&Pharmaceuticals(Pakistan)(Pvt.)Ltd.
回分番号:273782(薬物製品)
【0234】
変数
安全性:有害事象、臨床検査、バイタルサイン、12誘導心電図、連続心臓モニタリング(遠隔測定法)および身体検査
薬物動態:IMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンの血漿中濃度 IMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンの尿中濃度 単回用量MRのパート:Cmax、tmax、AUC0-t、AUC0-inf、%AUCextra、kel、t1/2、CL/F(IMB-1028814のみ)およびV/F(IMB-1028814のみ)。多回用量MRのパートの1日目:Cmax、tmaxおよびAUC0-тおよび多回用量MRのパートの5日目:Cmax、tmax、Cmin、kel、t1/2、AUC0-т、CLss/F(IMB-1028814のみ)、V/F(IMB-1028814のみ)、および適宜、非区画解析を使用して推定したRac尿のPKパラメーター:Ae尿、Fe尿およびCL
【0235】
統計学的方法
サンプルサイズの計算:このFIH検討の場合、統計学的検出力の予測計算を行わなかった。サンプルサイズは、IMB-1018972の単回用量のMR製剤およびIMB-1018972の多回用量の200mg 8時間MR製剤の安全性、耐容性およびPKに関する情報が得られるように選別し、FIH検討に典型的なものである。統計解析計画に準拠して計算したp値のいずれも、この検討の探索的特徴の視点で解釈した。
安全性パラメーター:記述統計学
PKパラメーター:すべての関連するPKパラメーターに関する記述統計学:n、平均値、標準偏差、最小値、メジアン、最大値、幾何平均および変動係数;用量比例性およびFEを決定するためのCmaxおよびAUCパラメーターに関する分散分析
【0236】
結果
対象の内訳
単回用量MRのパートの1名の対象は、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の上昇という中度の処置中に発生した有害事象(TEAE)のために(恐らく、関連性がある;11日目に最大で149IU/L)、この検討から離脱し、13日目の摂食状態下での、IMB-1018972の最後の単回経口用量の200mg 8時間MR製剤の投与を受けなかった。このような中止した対象の入れ替えはしなかった。88名の対象の全員が、PKおよび安全性設定に含まれた。
【表10】
【0237】
人口統計
単回用量MRのパート
12名の対象を含み、その6名が女性であり、6名が男性であった。平均年齢は、32歳であり、平均BMIは、25.8kg/m2であった。個々の年齢は、19~62歳の間の範囲であり、個々のBMIは、21.5~31.0kg/m2の間の範囲であった。11名の対象は、白人であり、1名の対象は、黒人またはアフリカ系アメリカ人であった。
【0238】
多回用量MRのパート
12名の対象を含み、その6名が女性であり、6名が男性であった。平均年齢は、45歳であり、平均BMIは、25.1kg/m2であった。個々の年齢は、24~64歳の間の範囲であり、個々のBMIは、20.0~29.2kg/m2の間の範囲であった。11名の対象は、白人であり、1名の対象は、アジア人であった。
【0239】
安全性
単回用量MRのパートでは、空腹状態下、4時間および8時間溶出プロファイルを有する、50mg MR製剤および200mg MR製剤、続いて、摂食状態下、IMB-1018972の200mg 8時間MR製剤による処置は、2個の単回用量の50mg MR製剤および2個の用量の200mg MR製剤の後にALTが上昇した(149IU/Lまで)1名の対象を除き、健常な男性および女性対象によって十分に耐容された。顔面紅潮というTEAEは、単回用量MRのパートでは報告されなかった。
【0240】
多回用量MRのパートでは、摂食状態下、IMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤(q12h)による5日間の処置は、健常な男性および女性対象によって十分に耐容された。軽度の重症度である顔面紅潮が、2名の対象によって報告され、これらの対象は、閉経後の女性であり、そのうちの1名が、医療歴の部分として、現在「一過性熱感」があると報告した。脱落した対象はなく、顔面紅潮というTEAEのために、用量の変更は必要なかった。
【0241】
全体として、本検討の間の死亡は報告されなかった。報告されたTEAEの大部分は、一過性であり、経過観察によって、後遺症なく解決された。大部分のTEAEは、軽度の重症度であり、重度のTEAEは、本検討中に報告されなかった。中度の重症度のTEAEは、上記の顔面紅潮という5件のTEAEであり、1件のTEAEがそれぞれ、情緒不安、背痛、吐き気、扁桃炎、手技後の出血、ALTの上昇およびインフルエンザ様疾病であった。ALTの上昇という中度のTEAEは、単回用量MRのパートの対象によって報告された。この対象は、このTEAEの結果として、この検討から離脱した。ALTの上昇(11日目に最大で149IU/L)というTEAEは、治験薬に関連している可能性があると治験責任医師は考えた。
【0242】
単回用量MRのパートでは、TEAEの数および出現率に関して、空腹時と摂食時のIMB-1018972投与間に明確な差異はなかった。
【0243】
検討中に報告のあった最も頻度の高いTEAEは、器官別大分類の血管障害(主に、顔面紅潮というTEAE)、一般障害、ならびに投与部位の状態、神経系障害、胃腸障害および筋骨格障害および結合組織障害であった。
【0244】
検討中に報告されたTEAEの大部分は、治験薬と関連性がないと治験責任医師は考えた。
【0245】
臨床検査、バイタルサイン、12誘導ECG、連続心臓モニタリング(遠隔測定法)または身体検査に関して、臨床的関連性の所見はなかった。
【0246】
薬物動態
この検討においてIMB-1018972の投与を受けた対象のすべての血液試料の血漿中IMB-1018972を分析したが、IMB-1018972は、わずか数個の血漿試料中にしか測定することができなかった。したがって、IMB-1018972濃度しか列挙されておらず、記述統計学または濃度-時間プロファイルは、この治験総括報告書に提示されていない。さらに、血漿中IMB-1018972に関するPKパラメーターは、計算していない。その結果、尿試料のIMB-1018972濃度は、分析しなかった。
【0247】
IMB-1028814およびトリメタジジンの薬力学効果は同じであるので、データには、IMB-1028814およびトリメタジジンを個別に、およびIMB-1028814およびトリメタジジン濃度の合計が提示されている。
【0248】
単回用量MRのパート
IMB-1018972の50mgと200mgの空腹時単回経口用量のどちらを投与した後も、IMB-1028814のtmaxは、4時間MR製剤(50mg IMB-1018972の場合、5時間、および200mg IMB-1018972の場合、3時間)の場合よりも8時間MR製剤(50mgおよび200mg IMB-1018972の場合、2時間)場合の方が早かった。IMB-1018972の50mgと200mgの空腹時単回経口用量のどちらを投与した後も、トリメタジジンのtmaxは、4時間MR製剤(50mg IMB-1018972の場合、6時間、および200mg IMB-1018972の場合、3時間)の場合よりも8時間MR製剤(50mg IMB-1018972の場合、8時間、および200mg IMB-1018972の場合、5時間)の場合の方が遅かった。IMB-1018972の50mgと200mgの空腹時単回経口用量のどちらを投与した後も、IMB-1028814+トリメタジジンのtmaxは、8時間MR製剤(50mg IMB-1018972の場合、5時間、および200mg IMB-1018972の場合、2.5時間)および4時間MR製剤(50mg IMB-1018972の場合、5時間、および200mg IMB-1018972の場合、3時間)では類似した。
【0249】
IMB-1018972の50mgおよび200mgの空腹時単回経口用量の投与後、8時間MR製剤の場合、4時間MR製剤に比べて、IMB-1028814のCmaxは、それぞれ、35%および32%低く、トリメタジジンのCmaxは、それぞれ、20%および24%低く、IMB-1028814+トリメタジジンのCmaxは、それぞれ、21%および34%低かった。
【0250】
IMB-1018972の50mgの空腹時単回経口用量の投与後では、4時間MR製剤後よりも8時間MR製剤後の方が、IMB-1028814のAUC0-tは、26%低く、トリメタジジンのAUC0-tは、12%低く、IMB-1028814+トリメタジジンのAUC0-tは、18%低かった。IMB-1018972の200mgの空腹時単回経口用量後では、4時間MR製剤後よりも8時間MR製剤後の方が、IMB-1028814のAUC0-tは、6%高く、トリメタジジンのAUC0-tは、4%高く、IMB-1028814+トリメタジジンのAUC0-tは、5%高かった。
【0251】
空腹状態下で、4時間および8時間溶出プロファイルを有する50mg MR製剤および200mg MR製剤の投与後、IMB-1028814の場合、幾何平均t1/2は、3.35時間~4.27時間の間の範囲となり、トリメタジジンの場合、8.11時間~9.35時間の間の範囲となり、IMB-1028814+トリメタジジンの場合、6.95時間~7.96時間の間の範囲となった。したがって、分析対象の各々について、4種の空腹時処置間で、t1/2に差異は観察されなかった。
食物の影響
【0252】
IMB-1028814およびトリメタジジンのPKに及ぼす食物の影響の可能性を、FDAにより規定された高脂肪朝食の後と空腹状態下での、8時間の溶出プロファイルを有するIMB-1018972の単回経口用量の200mg MR製剤の投与を比較することによって探索した。
【0253】
両方の条件下で、投与後の3時間時に、IMB-1028814tmaxのメジアンに到達した。トリメタジジンtmaxのメジアンは、空腹状態下、投与後の3時間に対し、投与後5時間で到達した。
【0254】
IMB-1028814およびトリメタジジンの食物の影響を、Cmax、AUC0-tおよびAUC0-infに関して探索した。IMB-1028814曝露パラメーターAUC0-tおよびAUC0-infに対する食物の影響に関する証拠は観察されなかった(どちらも、1.16の推定値、および1.05~1.28の範囲の90%CIであった)。しかし、Cmaxは、空腹状態下で投与した場合に比べて、FDAにより規定された高脂肪朝食後では、IMB-1018972の単回用量の200mg 8時間MRの投与後、ほぼ42%高かった(1.42の推定値:90%CIは、1.24~1.63の範囲)。
【0255】
IMB-1018972の単回用量の200mg 8時間MRの投与後の、トリメタジジン曝露パラメーターCmax(推定値1.10;90%CIは、0.99~1.21の範囲)、AUC0-t(推定値0.99;90%CIは、0.91~1.09の範囲)およびAUC0-inf(推定値0.97;90%CIは、0.88~1.07の範囲)に食物が影響したことを示す証拠は観察されなかった。
【0256】
多回用量MRのパート
IMB-1018972の200mgの8時間MR用量の投与後、メジアンIMB-1028814のtmaxは、1日目および5日目には2時間となり、トリメタジジンの場合、メジアンtmaxは、1日目および5日目にそれぞれ、5.5時間および5時間となった。
【0257】
幾何平均血漿中濃度-時間プロファイルおよび幾何平均トラフ濃度の目で見た検査に基づくと、200mg 8時間MR IMB-1018972の多回用量の投与後、IMB-1028814濃度とトリメタジジン濃度のどちらの定常状態も5日目までに到達したと結論付けることができる。
【0258】
IMB-1028814、トリメタジジンおよびIMB-1028814+トリメタジジンの場合の幾何平均Racは、5日目には1日目に比べ、1.22、2.28および1.66となった。これは、血漿中のIMB-1028814は最低の蓄積量、血漿中のトリメタジジンは、中度の蓄積量、および血漿中のIMB-1028814+トリメタジジンは、中度の蓄積量であることを示している。IMB-1028814、トリメタジジンおよびIMB-1028814+トリメタジジンの場合の、200mg 8時間MR用量のIMB-1018972の幾何平均半減期は、それぞれ、3.85時間、9.52時間および8.64時間であった。
【0259】
結論
安全性
・ 全体として、単回用量および多回用量のMR製剤は、健常な男性および女性対象によって、一般に十分に耐容された。臨床検査、バイタルサイン、12誘導ECG、連続心臓モニタリング(遠隔測定法)または身体検査に関して、臨床的関連性の所見はなかった。MR製剤としてIMB-1018972を投与した後に、血行動態変化の所見もなく、QTc間隔の変化もなかったことが留意される。
・ 本検討中に死亡の報告はなかった。大部分のTEAEは、軽度の重症度であり、重度のTEAEは、本検討中に報告されなかった。全体として、合計で181件のTEAEのうちの12件が、中度の重症度であった。
・ 2名の対象:インフルエンザ様疾病という中度のSAEのため(恐らく、無関係)に1名の対象、およびALTの上昇(恐らく、関係がある)という中度のTEAEのために1名が、本検討から離脱した。
・ 全体として、TEAEの数および出現率の明確な用量依存性はなかった。
・ 摂食状態下での投与では、単回用量MRのパートには、TEAEの数および出現率に関して、空腹時および摂食時IMB-1018972投与の間に明確な差異は観察されなかった。
【0260】
薬物動態
・ この検討の間に採取したわずか数個の血漿試料中でしか、IMB-1018972は測定することができなかった。
・ 空腹および摂食状態下での、IMB-1018972の単回用量と多回用量のMR製剤の結果を合わせると、IMB-1018972からIMB-1028814への最初の加水分解と、その後のIMB-1028814の全身性生体利用は、比較的、速やかであり、メジアンtmaxは、IMB-1028814の場合、投与後、0.5時間~5時間の間の範囲となり、トリメタジジンの場合、投与後、1.5時間~8時間の間の範囲であった。メジアンtmaxは、IMB-1018972用量が増加するにつれて、増大しなかった。
・ 単回用量のIMB-1018972の200mg 8時間MRの投与後、IMB-1028814曝露パラメーターAUC0-tおよびAUC0-infに対して、食物が影響する証拠は観察されなかった。しかし、Cmaxは、空腹状態下で投与した場合に比べて、摂食状態下、単回用量のIMB-1018972の200mg 8時間MRの投与後では、ほぼ42%高かった。
・ 単回用量のIMB-1018972の200mg 8時間MRの投与後、トリメタジジン曝露パラメーターCmax、AUC0-tおよびAUC0-infに対して、食物が影響する証拠は観察されなかった。
・ 空腹および摂食状態下での、単回用量と多回用量のIMB-1018972の結果を合わせると、幾何平均t1/2は、IMB-1028814の場合、2.5時間~4.5時間の間の範囲となり、トリメタジジンの場合、6.5時間~9.5時間の間の範囲であった。幾何平均t1/2は、IMB-1018972用量が増加するにつれて、増大しなかった。
・ 単回経口用量のIMB-1018972を50mg~400mgの範囲にわたり投与した後の48時間以内に、平均で、3.99%~5.74%の間の用量が、IMB-1028814として尿中に排出され、平均で、23.11%~32.55%の間の用量が、トリメタジジンとして排出された。
・ 単回経口用量の35mgのトリメタジジンの投与後の48時間以内に、平均で54.47%の用量が、トリメタジジンとして尿中に排出された。
・ 摂食状態下、IMB-1018972の200mg 8時間MRを1日2回で5日間、投与した後、IMB-1028814の関連蓄積は観察されなかった(Rac1.22)一方、トリメタジジンの蓄積量は中程度であった(Rac2.28)。
【0261】
全体
このFIH検討において、IMB-1018972、IMB-1028814の代謝産物およびトリメタジジンのポジティブリスク/利益プロファイルならびに観察されたPK特徴を鑑みると、IMB-1018972のさらなる臨床開発は当然である。
【0262】
概論
IMB-1018972は、虚血性心血管疾患および関連する細胞エナジェティクスの異常に対する処置として開発中の経口投与される低分子である。潜在的な適応症としては、狭心症、心不全および末梢血管疾患が挙げられる。IMB-1018972は、低酸素または虚血に晒された細胞におけるエネルギー代謝を保存または増強するよう作用する、部分脂肪酸酸化(pFOX)阻害剤の薬物クラスの新規化学物質(NCE)である。他のpFOX阻害剤としては、ラノラジン(Ranexa)、ペルヘキシリンおよびトリメタジジンが挙げられる。グルコース酸化は、脂肪酸酸化に比べると、消費される酸素分子あたりの効率が一層高い、アデノシン三リン酸の生成体である。
【0263】
IMB-1018972は、投与後に加水分解を受け、加水分解生成物は、ニコチン酸(ナイアシンまたはビタミンB3としても公知である)、およびIMB-1028814と命名される3-ケトアシルCoAチオラーゼ(3-KAT)の阻害剤である。IMB-1018972に加えて、IMB-1028814が検討されており、非臨床検討において、広範囲に特徴付けられている。IMB-1028814は、さらに代謝を受け、代謝産物の1つは、狭心症の処置のために、1987年以来、欧州で上市されている薬物であるトリメタジジンである。
【0264】
IMB-1028814の一次作用機序は、心筋における、脂肪酸酸化からグルコース酸化への基質利用のシフトをもたらす、3-KATの競合的阻害と考えられる。ニコチン酸の送達は、細胞エナジェティクスをさらに増強するよう働くことができる。
【0265】
CSPを終了したときに収集した非臨床的な薬理学的および毒物学的データにより、ヒトにおいて、その安全性、耐容性、PKおよび薬力学を評価するため、最大で4週間、IMB-1018972を投与する臨床検討の実施が支援された。
【0266】
この検討において投与されるトリメタジジンは、狭心症の処置のために、1978年以来、欧州で上市されている薬物である。
【0267】
検討の論理的根拠
IMB-1018972を用いた臨床検討は、このCSRにおいて記載されている検討以前には行われてこなかった。したがって、このファーストインヒューマン検討(FIH)は、調節放出(MR)製剤としてのIMB-1018972の安全性、耐容性およびPKを評価するために行った。
【0268】
検討中に、単回用量MRのパートを追加して、単回経口用量の新規に開発したIMB-1018972のMR製剤の安全性、耐容性およびPKプロファイルを評価した。これらは、以下の4種のMR製剤:各々が、4時間溶出プロファイルおよび8時間溶出プロファイルを有する、IMB-1018972の50mgおよび200mgの用量強度に関するものであった。これらのMR製剤の目的は、2点であった:第1の目的は、IMB-1018972およびその後の代謝産物のCmaxを低くすることであり、第2の目的は、吸収時間を延ばすこと、およびAUCによって測定される全曝露を維持することであった。期待することは、より低いCmaxは、総合的な耐容性を改善すること、および維持されたAUCによる吸収時間の延長は、IR製剤の曝露において観察されるばらつきを低下させることが期待されることであった。単回用量MRのパートにおいて、空腹状態下で投与された4種のMR製剤の入手可能な安全性、耐容性およびPKの結果に基づくと、単回用量MRのパートにおいて、摂食状態下で投与するための、治験依頼者によって選別された製剤は、200mg 8時間MR製剤とした。2020年に開始される予定の第2相概念実証研究において、この製剤を使用することが計画されているので、このMR製剤の試験は重要であった。
【0269】
最終部分(多回用量MRのパート)を追加して、食物と共に服用する、200mgの用量強度および8時間の溶出プロファイルを有する、多回用量のMR製剤(200mg 8時間MR製剤)の安全性、耐容性およびPKプロファイルを評価した(5日間、連続して12時間ごと、[q12h])。この用量および製剤は、単回用量MRのパートでは、空腹状態および摂食状態で試験した。この用量および製剤は、後の検討における患者集団に使用することを目的とし、この最終パートにおける対象コホートから収集したデータは、その決定に情報を提供すると思われる。
【0270】
検討目的
一次
健常な対象における、IMB-1018972の単回経口用量のMR製剤、およびIMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤の安全性および耐容性を評価すること。
二次
・ 健常な対象における、IMB-1018972の単回経口用量のMR製剤、およびIMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤のPKプロファイルを評価すること
・ 健常な対象における、食物と共に服用する、多回経口用量後の、IMB-1018972の200mg 8時間MR製剤の吸収およびPKプロファイルを評価すること
・ 健常な対象における、食物と共に服用する、多回経口用量後の、IMB-1018972の200mg 8時間MR製剤の安全性および耐容性を評価すること
【0271】
検討計画
検討設計および計画の全体
検討のタイプ
これは、IMB-1018972の単回経口用量のMR製剤、およびIMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤の安全性、耐容性およびPKを評価するための、単回用量のMRのパートおよび多回用量MRのパートからなる、二重盲検の無作為化検討とした。本検討はSADパートから始めた。
【0272】
単回用量MRのパート
単回用量MRのパートでは、12名の健常な対象からなる1つの群(全員が活性薬を服用)が含まれた。対象は、すべての対象に対して同じ固定順序で、1、4、7および10日目に、空腹状態下(少なくとも10時間の一晩の絶食)、IMB-1018972の4種のMR製剤の1種の単回経口用量の投与を受けた。4種のMR製剤の入手可能な安全性、耐容性およびPK結果に基づいて、治験依頼者によって決定された、摂食状態下、13日目に投与されるIMB-1018972のMR製剤は、空腹状態下、1、4、7および10日目に投与される4種のMR製剤の1種とした。
単回用量MRのパートは、以下からなった:
・ 最大で35日間の適格性スクリーニング期間
・ 1、4、7、10および13日目における単回用量のIMB-1018972の投与を含む1検討期間
・ 1日目の投与前から最後の薬物投与後の最大で48時間まで、PK目的のための安全性評価および血液サンプリング
・ 最後の治験薬投与後、72時間時に退院
・ 最後のPK血液試料後の7~14日間の経過観察のための訪問
【0273】
多回用量MRのパート
多回用量MRのパートでは、12名の健常な対象からなる1つの群(全員が活性薬を服用)が含まれた。対象は、5日間、連続して、摂食状態下、IMB-1018972の多回経口用量のMR製剤(q12h)の投与を受けた;5日目には、朝の分の用量を1回だけ投与した。投与したIMB-1018972のMR製剤は、空腹状態と摂食状態下の両方で、単回用量MRのパートにおいて投与したMR製剤と同じであった。
多回用量MRのパートは、以下からなる:
・ 最大で35日間の適格性スクリーニング期間
・ 1日目~5日目の、IMB-1018972の多回用量の200mg 8時間MR製剤の投与を含む、1検討期間
・ 1日目の投与前から最後の薬物投与後の最大で48時間まで、PK目的のための安全性評価および血液サンプリング
・ 最後の薬物投与後、48時間時に退院
・ 最後のPK血液試料後の6~8日間の経過観察のための訪問
【0274】
スクリーニング期間
対象は、(最初の)治験薬投与前の5週間以内の適格性スクリーニングを医療スクリーニング施設に報告した。
対象は、いずれの検討指定のスクリーニング手順が行われる前に、検討指定ICFに署名した。検討に適格性があるかに関わらず、すべての対象に関する書面のインフォームドコンセントを得た。署名されたICFは保管され、PRAにアーカイブし、コピーを対象に提出した。
【0275】
処置期間
対象は、1処置期間、クリニックにいた。対象は、-1日目の午後に臨床研究施設に入院した。1日目は、(最初の)薬物を投与した日とした。
【0276】
単回用量MRのパートの対象は、評価の完了後、16日目(13日目に最後の治験薬投与をして72時間後)に退院した。多回用量MRのパートの対象は、評価の完了後、7日目(5日目に最後の治験薬投与をして48時間後)に退院した。
【0277】
経過観察
単回用量MRのパートに関すると、経過観察評価は、最後のPK血液試料(23日目~30日目の間)後、7~14日間、行った。多回用量MRのパートに関すると、経過観察評価は、最後のPK血液試料(14日目±1日間)後、6~8日間行った。
【0278】
検討設計の議論
食物の影響
単回用量MRのパートでは、12名の健常な対象(全員が活性薬を服用)は、すべての対象に対して同じ固定順序で、1、4、7および10日目に、空腹状態下(少なくとも10時間の一晩の絶食)、IMB-1018972の4種のMR製剤の1種の単回経口用量の投与を受けた。13日目に、これら4種の製剤の1種を、摂食状態下(投与前に、FDAにより規定された高脂肪朝食)、同一対象に投与するよう選択し、IMB-1018972のPKに及ぼす食物の影響の可能性を評価した。これによって、対象間で、空腹状態および摂食状態における、このMR製剤の投与後の血漿中のIMB-1018972のPKおよび耐容性の比較が可能となる。
【0279】
多回用量MRのパートでは、12名の健常な対象が、5日間、連続して、摂食状態下、IMB-1018972の多回経口用量のMR製剤(q12h)の投与を受けた;5日目には、朝の分の用量を1回だけ投与した。投与したIMB-1018972のMR製剤は、単回用量MRのパートにおいて投与したMR製剤と同じであった。食物と共に服用する、多回用量のこのMR製剤の安全性、耐容性およびPKを評価した。
【0280】
その他
計画した拘束期間、退院日、および経過観察期間は、発生した検討結果に応じて適応することができた。同様に、安全性およびPK評価の時期、タイプおよび数は、本検討の間に変更することができた。
【0281】
経口避妊薬との相互作用に関して、in vitro検討(シトクロムP450[CYP]3A4/GT1A1/CYP2C19/CYP2C9)から示すものはなかった。適正な避妊を使用していた妊娠可能な女性は、女性の標的患者集団に適したこのようなFIH検討の転帰をもたらすため、本検討に含ませた。
【0282】
疾患状態および/または併用薬の変化に起因する交絡因子はなかったので、患者ではなく健常な対象を使用して、一層明確な検討結果の解釈が可能になった。
【0283】
本検討は、試験する用量の数、およびこれらのセッションに関連するすべての評価が、繰り返し参加する対象の単一群で実施するには範囲が広すぎると考えられたので、異なる対象の群で実施した。
治験責任医師は、新規薬物開発の初期に研究に必要な通常の予防措置のすべてを講じた。
【0284】
検討集団の選択
検討集団の全体は、88名の対象からなった。
【0285】
単回用量および多回用量MRのパートでは、合計で24名の健常な男性対象または女性対象(各パートに12名)が含まれた。男性対象および女性対象が50:50の比を有するよう全面的に努力したが、各パートにおいて、各性別の最小でも少なくとも4名の対象に投与した。
【0286】
組み入れ基準
対象が、以下の組み入れ基準のすべてを満たした場合、対象を本検討の組み入れに適格性があった。
1.性別:男性または女性。
2.年齢:スクリーニング時に18歳~65歳(これを含む)。
3.肥満度指数(BMI):18.0kg/m2~32.0kg/m2(これを含む)。
4.状態:健常な対象
5.スクリーニング時には、女性は、妊娠可能である(しかし、妊娠はしていないか、または授乳していない)、または妊娠が可能ではない(外科的に不妊処置を受けているか、または生理的に妊娠することができないか、または閉経後、少なくとも1年間[12か月間、連続の無月経期間]であるかのいずれか)とすることができる。妊娠していないことは、スクリーニング時および各入院時に行われる、血清妊娠検査によって、全女性について確認した。
6.生殖能のある男性の性交渉パートナーを有した妊娠可能な女性対象は、スクリーニングから経過観察のための訪問後の90日間まで、適正な避妊を使用することに同意しなければならなかった。適正な避妊は、以下の避妊の形態の少なくとも1つ:ペッサリー、子宮頸管キャップまたはコンドームを組み合わせて、ホルモン避妊薬または子宮内デバイスを使用することと定義した。対象のライフスタイルによる完全な禁欲も許可された。
7.男性対象は、外科的に不妊処置されていない場合、適正な避妊の使用、および臨床研究施設への(最初の)入院から経過観察のための訪問後の90日間まで、精子を提供しないことに同意しなければならなかった。男性対象(およびその女性パートナー)の適正な避妊は、以下の避妊の形態の少なくとも1つ:ペッサリー、子宮頸管キャップまたはコンドームを組み合わせて、ホルモン避妊薬または子宮内デバイスを使用することと定義した。対象のライフスタイルによる完全な禁欲も許可された。
8.すべての処方薬は、臨床研究施設への(最初の)入院の少なくとも30日前に、止めなければならなかった。ホルモン避妊薬は例外にされ、これは、本検討全体を通して、使用することができた。
9.店頭薬、ビタミン調製物および他の栄養補助食品またはハーブ薬(例えば、セントジョンズワート)のすべてを、臨床研究施設に(最初に)入院する少なくとも14日前に止めなければならない。パラセタモールが除外され、これは、臨床研究施設への入院まで許可された。
10.臨床研究施設への(各)入院前の48時間から、アルコール、メチルキサンチン含有飲料または食物(コーヒー、茶、コーラ、チョコレート、エネルギー飲料)、グレープフルーツ(ジュース)およびタバコ製品を進んで控える。
11.治験責任医師によって判断される、医療歴、身体検査、臨床検査およびバイタルサインに基づいた、良好な身体的および精神的健康。
12.スクリーニング時に、臨床的に重要な12誘導ECGの異常(不完全右脚ブロックは許容された)を有さなかった:男性および女性の場合、PR間隔<210ms、QRS期間<120msおよびQTc-間隔(Fridericia)≦450m秒。
13.ICFに進んで署名し、そうすることができる。
【0287】
除外基準
対象は、以下の除外基準のいずれかが該当する場合、参加から除外した。
1.本検討に以前に参加した。
2.PRAまたは治験依頼者の被雇用者。
3.関連する薬物および/または食物アレルギー歴がある。
4.(最初の)薬物投与前の3か月以内にタバコ製品を使用している。
5.アルコール乱用または薬物依存(大麻製品のようなソフトドラッグを含む)歴がある。
6.スクリーニング時および臨床研究施設への(各)入院時に、薬物およびアルコール(アヘン剤、メタドン、コカイン、アンフェタミン[エクスタシーを含む]、カンナビノイド、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、三環系抗うつ剤およびアルコール)のスクリーニングに陽性である。
7.1週間あたり24単位を超えるアルコールを平均して摂取している(アルコール1単位は、ビール約250mL、ワイン100mLまたは蒸留酒35mLに相当する)。
8.B型肝炎表面抗原(HBsAg)、抗C型肝炎ウイルス(HCV)抗体または抗HIV1および2抗体に関するスクリーニングに陽性であること。
9.本検討において、(最初の)薬物投与前の60日以内に、治験に参加したこと。本検討において、(最初の)薬物投与前の12か月間に、4件を超える他の治験に参加したこと。
10.(最初の)薬物投与前の60日以内に、100mLを超える血液を献血または喪失した。本検討の(最初の)薬物投与前の10か月間で、1.5リットルを超える血液(男性対象の場合)/1.0リットルを超える血液(女性対象の場合)を献血または喪失した。
11.治験責任医師の意見で、安全性評価に影響し得る(最初の)薬物投与前の5日以内に、深刻なおよび/または急性の疾病があった。
12.静脈が、注入または血液サンプリングに適していない。
【0288】
対象は、偽陽性の薬物スクリーニング結果を回避するため、臨床研究施設へのスクリーニング前の48時間(2日間)以内に、ケシの実を含むいかなる食物の摂取も控えたことに留意されたい。さらに、激しい運動は、臨床検査値の異常をもたらす恐れがあるので、スクリーニング前の96時間(4日間)以内に、激しい運動を控えた。
【0289】
評価からの対象の除外
検討への参加は、厳格に任意とした。対象は、いかなる理由のためでも、任意の時に本検討から離脱する権利を有した。
【0290】
治験責任医師は、以下の理由:血液試料の採取が困難、プロトコルの違反行為、重度のAEもしくはSAEのうちのいずれかのため、または対象の安全性もしくは検討データの完全性に関連するいかなる他の理由のために、対象の参加を終了する権利を有した。
【0291】
対象が、本検討から離脱した場合、治験依頼者に、速やかに情報提供された。離脱に医療的理由があった場合、その対象は、満足な健康が戻るまで、治験責任医師の管理下に留まった。
【0292】
すべてのスクリーニング評価を首尾よく完了することなく、何らかの理由のために脱落した、または離脱した対象は、スクリーニングに不合格と見なした。
【0293】
治験薬に関連するか否かに関わらず、対象番号を受け取った後に、何らかの理由のために、本検討から離脱した対象または自発的に離脱した対象は、早期中止対象と見なした。対象が、治験責任医師の判断に従い、治験薬に関係する理由のための離脱した場合、早期中止対象を交代しなかった。対象が、治験薬に関係しない理由のために検討を完了しなかった場合、早期中止対象は、治験依頼者とPRAとの間で相互に同意した後に、交代することができた。
【0294】
対象の交代に関する決定は、文書化した。
【0295】
PRAは、治験薬の投与を受けた早期中止対象が安全性経過観察評価を完了したことを確実とするためにあらゆる努力をした。
【0296】
個々の対象に関する停止規則
対象への投与は、以下のいずれかの状況が起きた場合、検討中のいかなる時点でも停止した:
・ 重篤な有害反応(すなわち、治験薬投与に少なくとも関係している可能性があると考えられるSAE)。
・ 安全性懸念とまとめて表される、個々の事象に関するが、治験依頼者または治験責任医師の意見では、軽微と思われるいずれかの安全性パラメーターの臨床的に重要な変化(例えば、>1名の対象における、中度または重度のAE)の総合的なパターンがある。
・ 治験責任医師および/または治験依頼者の医療モニターの自由裁量において、さらなる投与を停止すべきであることが示された他の所見。
【0297】
処置
単回用量MRのパート
13日目の投与に選択した製剤は、空腹状態下、1、4、7および10日目に投与された4種のMR製剤の入手可能な安全性、耐容性およびPK結果に基づいて、治験依頼者によって決定された、200mgの8時間MR製剤とした。
【0298】
以下の処置を、単回用量MRのパートにおいて行った:
1日目:空腹状態下、IMB-1018972の単回経口用量の50mg 8時間MR製剤(n=12)
4日目:空腹状態下、IMB-1018972の単回経口用量の50mg 4時間MR製剤(n=12)
7日目:空腹状態下、IMB-1018972の単回経口用量の200mg 8時間MR製剤(n=12)
10日目:空腹状態下、IMB-1018972の単回経口用量の200mg 4時間MR製剤(n=12)
13日目:摂食状態下、IMB-1018972の単回経口用量の200mg 8時間MR製剤(n=12)
【0299】
多回用量MRのパート
12名の対象は、5日間、連続して、摂食状態下、IMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤(q12h)の投与を受けた;5日目には、朝の分の用量を1回だけ投与した。
【0300】
検討製品の特定
活性薬
薬物製品:IMB-1018972
活性:脂肪酸酸化の阻害剤
開発目的:虚血性心血管疾患
強度:4時間および8時間溶出プロファイルを有する、50mg MR製剤および200mg MR製剤(遊離塩基基準)
剤形:MRパートに使用される経口MR錠剤
製造業者:PRAにおける薬局部
回分番号:2479-1810-00441(原薬)
【0301】
活性薬
薬物製品:Vastarel MR(トリメタジジン二塩酸塩)
活性:脂肪酸酸化の阻害剤
開発目的:狭心症
強度:35mg
剤形:経口MR錠剤
製造業者:Servier Research&Pharmaceuticals(Pakistan)(Pvt.)Ltd.
回分番号:273782(薬物製品)
【0302】
治験薬は、連続的にモニタリングしながら、必要な保管条件下で、鍵をかけた施設中における、PRAの薬局部において保管した。治験薬は、薬剤師によって治験責任医師または正式な被指名人に配られた。
【0303】
処置群への対象の割り当て方法
インフォームドコンセントを得た後に、対象は、組み入れ基準および除外基準に準拠してスクリーニングされた。すべての適格基準を満たした対象は、本検討への組み入れ時に対象番号を受け取った。対象者らは、PRAのBiostatistics Departmentによって生成された無作為コードに従い、投与直前に対象番号を受け取った。対象番号により、本検討全体を通して、特定が確実になった。
【0304】
対象番号は、単回用量MRのパートの場合、501~512であり、多回用量MRのパートの場合、513~524である。
【0305】
いずれの交代対象も、交代した対象の200だけ増えた番号を受け取り、同じ処置を行われることにした。対象は、その利用可能性に基づいた検討パートおよび群に割り当てた。ある群内の処置は、PRAのBiostatistics Departmentによって生成された無作為コードに従い、割り当てた。
【0306】
どちらのMRパートでも、全員で12名の対象が、IMB-1018972の投与を受けた。
【0307】
すべてのスクリーニング評価を首尾よく完了することなく、何らかの理由のために脱落した、または離脱した対象は、スクリーニングに不合格と見なした。このような対象、およびやはり本検討への組み入れに適格であったが、治験薬の投与を受けなかった対象は、対象番号を受け取らず、適用可能なデータのみをeCRFに入力した。
【0308】
本検討における用量の選択
非臨床的毒物学データに基づいて、この臨床検討における対象は、有害作用の不合理なリスクにはないと考えた。28日間のイヌ無毒性量(NOAEL)が200mg/kg/日(経口)であることに基づくと、ヒト等価用量(HED)の計算値は、108mg/kg/日となる。60kgの個体の場合、NOAEL用量は、6480mgと思われる。10倍の安全係数を適用した場合、これによって、最大推奨開始用量(MRSD)が648mg/日とすることができる。7、8。現行の第1相試験における計画開始用量は、60kgの対象の場合、0.83mg/kg/日当量の50mgになった。この開始用量は、イヌNOAELから求めたMRSDの10%未満、およびイヌNOAELの1%未満である。
【0309】
健常な志願者では、この検討における1600mgという最大計画用量は、6480mgであるHED NOAEL用量の25%であり、MRSDよりもわずか2.5倍しか高くはなかった。従来的な投与マージンは、例えば、腎障害もしくは肝障害を有する患者、またはIMB-1018972と薬物相互作用の可能性がある場合に、潜在的な超治療曝露を包含することが期待された。これらの曝露レベルにおける健康な志願者のこのようなリスクは、センチネル安全バイオマーカーを使用しないで、非可逆的な毒性または深刻な毒性がないことに基づいて、許容されると判定した。
【0310】
関連する動物の検討は、IMB-1018972の場合のNOAELが200mg/kg/日であった、28日間のイヌの検討とした。この用量での26日目のIMB-1028814のAUC0-8x2は、男性および女性の場合、それぞれ、417,733および652,849ng時/mLであった。この用量での26日目のトリメタジジンのAUC0-8x2は、男性および女性の場合、それぞれ、15,042および13,834ng時/mLであった。
【0311】
コホートは、トリメタジジン(Vastarel)の単回用量の35mg MRを試験する、治験依頼者によって追加された。狭心症を処置する際に最も一般に使用されるトリメタジジンの用量であり、したがって、有効なPKプロファイルを有することが公知であるので、この用量を選択した。
【0312】
本検討における用量の時期
治験薬は、直立位の対象に240mLの水道水と一緒に投与した。必要な場合、快適にカプセル剤/錠剤を服用することができるよう、さらなる量の水も許可された。この追加量をeCRFに文書化した。用量は、午後/夜の用量に、08:00h~11:00hの間、および20:00h~23:00hの間に投与した。個々の対象のそれぞれへの投与は、各投与日に、ほぼ同一時間(±15分間)とした。治験薬を噛み砕かなかった。
【0313】
治験薬の投与は、治験責任医師または正式な被指名人によって管理された。薬物投与の後、口および手の検査を行った。
【0314】
空腹状態下での投与
単回用量MRのパート
投与前(単回用量MRのパートにおいて、1、4、7および10日目)に、対象は、夕方前の軽い食事後、少なくとも10時間、一晩、絶食した。投与後、昼食までの4時間、対象は絶食した。絶食の間、水以外の液体も許可されなかった。しかし、水は、投与前の2時間から投与後1時間まで(用量を服用する水は別である)許されなかった。
【0315】
単回用量MRのパートの対象は、実施することが必要な評価を行うことが必要な場合を除き、投与後4時間、横になることは許可されなかった。
【0316】
摂食状態下での投与
単回用量MRのパート
13日目の投与前に、対象は、夕方前のスナック後、少なくとも10時間、一晩、絶食した。13日目に、対象は、20分以内に消費しなければならないFDAにより規定された高脂肪朝食を取った。朝食を開始して30分後に、投与を行った。投与後、昼食まで、4時間、対象は絶食した。絶食中に、水以外の液体は許可されなかった。対象は、実施することが必要な評価を行うことが必要な場合を除き、投与後4時間、横になることは許されなかった。
【0317】
多回用量MRのパート
朝の用量
各朝の用量の前に、対象は、夕方前のスナック後、少なくとも10時間、一晩、絶食した。1日目および5日目に、対象は、20分以内に消費しなければならない標準朝食を取った。朝食を開始して30分後に、投与を行った。投与後、昼食まで、4時間、対象は絶食した。絶食中に、水以外の液体は許されなかった。2~4日目は、朝食を標準化せず、投与前の1時間以内に最大限、与えられ、投与前に消費された。対象は、これらの日には、投与後に絶食しなかった。
【0318】
夕方の用量
1日目から4日目まで、夜のスナックが、投与前の1時間以内に最大限、与えられて、投与前に消費された。対象は、スナックを消費後、少なくとも10時間、一晩絶食した。
【0319】
対象は、実施することが必要な評価を行うことが必要な場合を除き、朝または夕方の投与後の4時間、横になることは許可されなかった。
【0320】
検討中の食事
臨床検査用試料を得る前に、少なくとも4時間の絶食期間が、すべての時間点において必要であった。
【0321】
絶食しない場合、PRA標準操作手順(SOP)に準拠して、食事およびスナック(カフェイン抜きのコーヒー、ハーブティー、フルーツおよびビスケットなど)が提供された。昼食時間まで絶食を必要とする(空腹状態)日の前の夕方に軽食が提供された。FDAにより規定された高脂肪朝食または朝食(摂食状態)まで絶食を必要とする日の前の夕方に、スナックが提供された。
【0322】
単回用量MRのパートの13日目の間、918kcalのFDAにより規定された高脂肪朝食は、以下からなった:
・ 2個の目玉焼き(15gのバター/マーガリン中)(ほぼ100g)
・ ベーコン1人前(40g)(または、ベジタリアンの場合、ブリチーズ60+)
・ フライドポテト1人前(115g)
・ 15gのマーガリン付きの2枚の(トーストした)(小麦)パン(ほぼ、70g)
・ コップ1杯の全乳(240mL)
合計で918kcal(菜食主義者のバージョンは915kcal)は、以下の通り分類することができる。
・ 39gタンパク質=156kcal
・ 59g脂肪=527kcal
・ 59g炭水化物=235kcal
【0323】
盲検化
どちらのMRパートでも、全員で12名の対象が、IMB-1018972の投与を受けた。
【0324】
PK試料が分析されるPRAの生物学的分析実験室は、活性薬IMB-1018972の投与を受けた対象の試料しか分析しなかったので、薬局部によって無作為コードのコピーの提供を受けた。
【0325】
以前の治療法および同時治療法、ならびに検討中の他の制限
すべての処方薬品の使用は、(最初の)臨床研究施設への入院から経過観察まで許可されなかった。ホルモン避妊薬は例外にされ、これは、本検討全体を通して許された。店頭薬、ビタミン調製物および他の栄養補助食品またはハーブ薬(例えば、セントジョンズワート)のすべての使用は、(最初の)臨床研究施設への入院から経過観察まで許可されなかった。パラセタモールは例外にされた。(最初の)入院以降、治験責任医師は、頭痛または任意の他の疼痛の処置に、限定量のパラセタモールを許可することができた。治験責任医師によって必要であると考えられた場合、AEを処置する他の薬物だけ処方することができた。医薬が使用される場合、薬物の名称、用量および投与レジメンは、eCRFに記録した。
【0326】
臨床研究施設に滞在中、アルコール、メチルキサンチン含有飲料、または食物(コーヒー、茶、コーラ、チョコレート、エネルギー飲料)、グレープフルーツ(ジュース)およびタバコ製品の使用は許可されなかった。
【0327】
激しい運動は、(各)入院前の96時間(4日間)以内、および臨床研究施設での滞在中には許可されなかった。
【0328】
ケシの実を含むいかなる食物も、偽陽性の薬物スクリーニング結果を引き起こす恐れがあるので、対象は、臨床研究施設への(各)入院前の48時間(2日間)以内に、これを摂取することは許可されなかった。
【0329】
生殖能のある男性性交渉パートナーを有する妊娠可能な女性対象は、スクリーニングから経過観察のための訪問後の90日間まで、適正な避妊(以下の説明を参照されたい)を使用することが必要であった。
【0330】
男性対象は、外科的に不妊処置されていない場合、適正な避妊(以下の説明を参照されたい)の使用、および臨床研究施設への(最初の)入院から経過観察のための訪問後の90日間まで、精子を提供しないことが要求された。
【0331】
適正な避妊は、以下の避妊の形態の少なくとも1つ:ペッサリー、子宮頸管キャップまたはコンドームを組み合わせて、ホルモン避妊薬または子宮内デバイスを使用することと定義した。対象のライフスタイルによる完全な禁欲も許可された。
【0332】
対象は、経過観察のための訪問まで、検討中に献血(この検討のために計画した血液サンプリング以外)することは許可されなかった。
【0333】
処置服薬遵守
治験薬は、臨床研究施設において投与された。処置服薬遵守を確実にするため、治験薬の投与は、治験責任医師または正式な被指名人によって管理された。服薬遵守は、血漿試料および尿試料中の、IMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンの生物学的分析評価によってさらに確認した。
【0334】
治験薬投与の正確な時間および投与した単位数は、eCRFに記録した。CSPにおいて指定される治験薬管理手順に従った。
【0335】
安全性および薬物動態測定および変数
本検討は、IMB-1018972の単回経口用量のMR製剤、およびIMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤の後の安全性、耐容性およびPKを評価するために行った。この検討は、効力または薬力学評価を含まなかった。
【0336】
有害事象
AEは、(最初の)入院から経過観察のための訪問の完了までを記録した。臨床検査、12誘導ECG、バイタルサインまたは身体検査の結果におけるいずれの臨床的に重要な観察は、AEとして記録した。
【0337】
処置により発生したAE(TEAE)は、治験薬の(最初の)投与前には現れなかったあらゆる事象、または既に現れているあらゆる事象であって、治験薬への曝露後に、重症度または頻度の一方が悪化したあらゆる事象と定義した。
【0338】
治験薬の(最初の)投与前に発生したAEは、事前処置AEと見なした。
【0339】
薬物投与前およびその後のいくつかの時間点において、対象に非誘導質問を行い、AEの発生を判定した。対象は、検討中、定期的に何らかのAEに関する一般用語で質問を受けた。さらに、検討過程の間に自発的に報告されたすべてのAEを記録した。詳細には、事象の説明、発生日時、終了日時、全期間、重症度、治験薬との関係、介入、深刻度および転帰が含まれた。回答はすべて、治験責任医師によって解釈され、eCRFに記録された。AEはすべて、AEに関する医薬規制用語集(MedDRA;バージョン22.0)に従って分類した。
【0340】
AEの重症度は、軽度、中度または重度と等級付けした。AEと治験薬との間の関係は、ない、可能性が低い、可能性がある、可能性が高い、または確実と表示した。可能性がある、可能性が高い、または確実と評価した有害事象は、治験薬に関係があると考えた。ない、または可能性が低いと評価したAEは、治験薬に関係がないと考えられた。
【0341】
いかなるAEの場合でも必要な併用薬または他の治療法を記録した。併用薬は、世界保健機関医薬品辞書(バージョン22.0)に従って分類した。
【0342】
AEはすべて、その解決または安定化まで経過観察した。
【0343】
臨床検査
臨床検査評価用の血液試料および尿試料は、PRA SOPに準拠して採集した。
【0344】
以下のパラメーターを測定した:
・ 臨床化学(血清定量):総ビリルビン、アルカリホスファターゼ、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、乳酸デヒドロゲナーゼ、クレアチニン、ウレア、総タンパク質、グルコース、無機リン酸塩、ナトリウム、カリウム
・ カルシウムおよび塩化物
・ 血液学(血液定量):白血球、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板、部分自動分化(リンパ球、単球、好酸球、好塩基球および好中球)、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビンおよび平均赤血球ヘモグロビン濃度
・ 凝固(血液定量):プロトロンビン時間(秒単位で、国際標準化比として報告)、活性化部分トロンボプラスチン時間およびフィブリノゲン
・ 尿検査(尿、質):ヘモグロビン、ウロビリノーゲン、ケトン、グルコースおよびタンパク質
・ 血清学:HBsAg、抗HCVおよび抗HIV1および2
・ 薬物およびアルコールのスクリーニング:アヘン剤、メタドン、コカイン、アンフェタミン(エクスタシーを含む)、カンナビノイド、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、三環系抗うつ剤およびアルコール
・ 妊娠検査(女性のみ):血清中のβ-ヒト絨毛性ゴナドトロピン
【0345】
尿検査用の尿は、採集間隔の終了時に、PK尿採集容器から採取した。
【0346】
臨床検査の値が説明できないか、または予想外の場合、できる限り速やかにこの検査を繰り返し、結果が正常範囲に戻るまで、および/または異常の適切な説明が判明するまで経過観察を行った。臨床検査は、正常範囲外のすべての臨床検査値をはっきりと記し、治験責任医師は、これらの偏差のいずれが臨床的に重要であるかを示した。臨床的に重要な臨床検査結果の逸脱は、AEとして記録し、処置との関係を示した。
【0347】
バイタルサイン
対象が、仰臥位で少なくとも5分間、休んだ後に、収縮期および拡張期血圧、ならびに脈拍を記録した。これらの評価は、自動化デバイスを使用して行った。続いて、体温および呼吸速度を測定した。
【0348】
心電図
対象が、仰臥位で少なくとも5分間、休んだ後に、標準12誘導ECGを記録した。ECGは、コンピュータを装備したECG機器をベースとする区間測定を使用して記録した(手順による乱れはない/最小限である)。以下のECGパラメーターを記録した:心拍数、PR間隔、QRS期間、QT間隔、QTcF間隔、および治験責任医師によるECGプロファイルの解釈。
【0349】
連続心臓モニタリング(遠隔測定法)
単回用量および多回用量MRのパートでは、遠隔測定法は行われなかった。
【0350】
すべての適切な、または顕著な不整脈事象をリズムストリップ(10秒)で記録した。ECGは、臨床的に重要な事象に関して治験責任医師によって評価された。
【0351】
身体検査
身体検査は、PRA SOPに準拠して行った。さらに、体重および身長は、PRA SOPに準拠して測定した。
【0352】
薬物動態測定
血液サンプリング
血漿試料中のIMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンを分析するため、評価のスケジュールに規定した時間点に、時間点あたり3mLの血液試料を採取した。血液試料は、静脈内カテーテルの留置により、または直接静脈穿刺によって採取した。血液サンプリングの正確な時間をeCRFに記録した。
【0353】
遠隔測定法を使用している日の間には、対象は、PKサンプリングの直前に計画された各ECG評価のため、10分間、次いで、最大で5分間、静かに仰臥位の状態をとった(手順による乱れはない/最小限である)。15分間の開始時間および停止時間(合計)を記録した。
【0354】
試料採取、試料の等量分割、試料の取り扱い、試料の保管および試料の輸送に関する詳細は、PRAによって用意された実験室マニュアルに見出すことができる。
【0355】
血漿試料はまた、IMB-1018972およびトリメタジジンの活性の評価、活性を予測する探索的バイオマーカーの特定、シトクロムP450のプロファイリング、またはIMB-1018972およびトリメタジジンの分子機構を特徴付ける一助となり得る他の探索的評価などの研究目的に(将来)使用されてもよい。試料は、この目的のため、最大で15年間、保管される。
【0356】
尿採集
IMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンを分析するため、評価のスケジュールに規定した間隔の間に、尿を採取した。対象は、治験薬投与前および各採取間隔の終了時に膀胱を完全に空にするよう指示された。ブランク尿試料は、治験薬投与前の12時間以内に採取した。間隔全体(使用される場合、尿安定剤のいずれかの添加前および添加後)の尿採取の正確な時間および尿重量をeCRFに記録した。
【0357】
試料採取、試料の等量分割、試料の取り扱い、試料の保管および試料の輸送に関する詳細は、PRAによって用意された実験室マニュアルに見出すことができる。
【0358】
尿試料は、未知の代謝産物が血漿中に発見されることに備え、尿中の代謝産物をさらに分析するため、最大で1年間、保持することができる。
【0359】
遺伝子型決定
PKデータに及ぼすCYPアレルなどの遺伝子型の影響を良好に理解するため、評価のスケジュールに規定されている時間点に、遺伝子型決定用に最大で7mLの血液試料を採取した。この血液試料は、プロトコルバージョン3.0(2019年3月25日)のIEC承認前に既にスクリーニングした対象の場合、任意である一方、プロトコルバージョン3.0(2019年3月25日)のIEC承認後にスクリーニングしたこの検討に参加した対象の場合、必須であった。
【0360】
血液試料は、二連でコード化し(PRAに1つコードし、治験依頼者において1つコードした)、試料は、検討を完了して15年後まで保持した。
【0361】
血液試料は、静脈内カテーテルの留置により、または直接静脈穿刺によって採取した。血液サンプリングの正確な時間をeCRFに記録した。
【0362】
試料採取、試料の等量分割、試料の取り扱い、試料の保管および試料の輸送に関する詳細は、PRAによって用意された実験室マニュアルに見出すことができる。
【0363】
安全性および薬物動態変数
測定する安全性変数は以下を含んだ:
・ AE
・ 臨床検査
・ バイタルサイン
・ 12誘導ECG
・ 連続心臓モニタリング(遠隔測定法)
・ 身体検査
薬物動態変数
薬物動態変数は、IMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンの血漿中濃度および尿中濃度、ならびにそれらのPKパラメーターとした。非区画解析を使用して求めた、または計算したPKパラメーターを表に示す。
【表11-1】
【表11-2】
【表11-3】
【0364】
IMB-1028814およびトリメタジジン濃度の和、およびPKパラメーターは、IMB-1028814の場合、310kDaの分子量、およびトリメタジジンの場合、266kDaの分子量に補正して計算した。
【0365】
IMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンの血漿のトラフレベルも求めた(MADパートのみ)。
【0366】
AUCは、濃度×時間の単位で表される、線形アップ/対数ダウン台形法則を使用して計算した。
【表12】
【0367】
薬物濃度測定
検証済み液体クロマトグラフィー-質量分析法/質量分析法を使用して、PRAの生物学的分析実験室において、血漿試料および尿試料中のIMB1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンの分析を行った。較正試料および品質管理試料に由来する結果は、実験期間全体を通じて、本方法の性能が許容されることを実証した。本方法および安定性の性能に関するデータは、報告された試料結果には信頼性があることを示す。
【0368】
安全性および薬物動態進化(Evolution)の統計学的計画および分析計画
安全性設定
IMB101897またはトリメタジジンの少なくとも1用量の投与を受けたすべての対象
【0369】
薬物動態設定
IMB-1018972またはトリメタジジンの少なくとも1用量の投与を受け、PKパラメーターの信頼性のある推定値を計算するために十分な生物学的分析評価結果をもたらしたすべての対象。
【0370】
安全性および薬物動態評価の統計学的計画および分析計画
一覧表および要約表および図面の調製に関する詳細は、SAPに見出すことができ、PRAのBiostatistics Departmentによって生成した。SAPは、データベースロックの前にファイナライズした(および、検討処置コードの非盲検化)。
【0371】
安全性およびPKデータのすべてを列挙した。さらに、データのすべてを表形式および/またはグラフ形式で要約し、適宜、記述統計学を提示した。
【0372】
安全性および耐容性の進化
安全性および耐容性は、AE、臨床検査、バイタルサイン、ECG、連続心臓モニタリング(遠隔測定法)および身体検査の所見、および安全性評価に適切な任意の他のパラメーターにより評価した。
【0373】
個々の安全性結果のすべてを列挙し、ベースラインからの変化を含めた記述統計学を必要に応じて計算した。
【0374】
薬物動態評価
記述統計学(数、算術平均、標準偏差、変動係数、最小値、最大値、メジアンおよび幾何平均)は、必要に応じて、PK集団において、IMB-1028814、トリメタジジンおよびIMB-1028814+トリメタジジンの血漿および尿のPKパラメーターに関して計算した。
【0375】
単一経口投与後のIMB-1018972の相対経口生体利用率に及ぼす食物の影響を調査した。これは、対象が、最初に空腹状態下で、次に摂食状態下で、同じ用量の投与を受けた、単回用量MRのパートにおいて行った。評価は、Cmax、AUC0-tおよびAUC0-infについて対数変換したデータに基づいた、幾何平均の比に関する90%CIに基づいた。
【0376】
試料サイズの決定
このFIH検討の場合、統計学的検出力の予測計算は行われなかった。サンプルサイズは、IMB-1018972の単回用量のMR製剤およびIMB-1018972の多回用量の200mg 8時間MR製剤後の安全性、耐容性およびPKに関する情報が得られるように選別し、FIH検討に典型的なものである。SAPに準拠して計算されるp値のいずれも、この検討の探索的特徴の視点で解釈した。
【0377】
検討対象
単回用量MRのパートの対象505は、ALTの上昇という中度のTEAEのために(恐らく、関連性がある;11日目に最大で149IU/L)、この検討から離脱し、13日目の摂食状態下での、最後のIMB-1018972の単回経口用量の200mg 8時間MR製剤の投与を受けなかった。このような中止した対象の入れ替えは行わなかった。88名の対象の全員が、PKおよび安全性設定に含まれた。
図10は、対象の内訳の表である。
【0378】
遺伝子型決定
対象はすべて、遺伝子型決定用の血液試料を提供した。PKデータの差異をよりよく理解するため、CYP2D6に関する特に関心のある対象の遺伝子型を調査するために血液試料を使用した。遺伝子型とPKデータとの間の関係の解析結果のいずれも、このCSRから個別に提示する。
【0379】
処置服薬遵守の測定
治験薬は、臨床研究施設において投与された。処置服薬遵守を確実にするため、治験薬の投与は、治験責任医師または正式な被指名人によって管理された。治験薬投与中に、観察に基づく服薬不遵守を示すものはなかった。さらに、血漿試料および尿試料中の、IMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンの生物学的分析評価により、処置服薬遵守が確認された。
【0380】
臨床検査評価
経時的な検査値
ベースラインからのいくつかの個々の変化が、臨床検査値に観察されたが、臨床的に重要な傾向は見られなかった。
【0381】
個々の対象の変化
対象の大部分は、本検討の間の様々な時間における、臨床検査の1つまたは複数の範囲外の値を有した。これらの大部分は、些細なものであり、治験責任医師によって、臨床的関連性がないと考えられた。1名の対象に対して測定したALTレベルのいくつかは、正常範囲より高く、臨床的に重要な異常と考えられた。
【0382】
バイタルサイン、ECG、身体所見、および安全性に関連する他の観察
バイタルサイン
ベースラインからのいくつかの個々の変化を観察したが、血圧、脈拍、体温および呼吸速度は、検討パートのいずれかの間に、傾向または臨床的に関連性のある変化を示さなかった。
【0383】
心電図
本検討パートのいずれの間でも、心拍数、PR間隔、QRS期間、QT間隔またはQTcF間隔に、臨床的有意性の変化または傾向は観察されなかった。12誘導ECG評価はすべて、正常として記録されるか、または異常な記録がある場合、これらは、臨床的に重要であると見なされなかった。
【0384】
連続心臓モニタリング(遠隔測定法)
SADおよびMADのパートにおいて得られた遠隔測定方式のECG評価はすべて、正常として記録されるか、または異常な記録がある場合、これらは、臨床的に重要であると見なされなかった。
【0385】
身体検査
スクリーニング時に観察されたすべての異常および身体検査のためのスクリーニング後に観察されたすべての変化に、臨床的重要性はないと考えられた。
【0386】
調節放出製剤に関する表
図11は、以下の注記を伴う、単回用量MRのパートに関して与えられた評価の表である:
a. 身体検査:スクリーニング時、-1日目(入院;これは、治験責任医師の自由裁量でのみ行われた指示された検査であった)および経過観察時。他の日に、身体検査は、治験責任医師の自由裁量でのみ指示に基づいて行うことができた。
b. 臨床検査(臨床化学、血液学、凝固および尿検査を含む):スクリーニング時、-1日目(入院)、各用量後の24時間時、および経過観察時。
c. 12誘導ECG:スクリーニング時、-1日目(入院)、各用量前、ならびに各用量後の1、4、6、12、24および48時間の時間点でのPKサンプリング直前、ならびに経過観察時。
d. バイタルサイン(仰臥位収縮期および拡張期血圧、脈拍、体温および呼吸速度):スクリーニング時、-1日目(入院)、各用量前、ならびに各用量後の1、4、6、12、24および48時間時、ならびに経過観察時。
e. 対象は、すべての対象に対して同じ固定順序で、1、4、7および10日目に、空腹状態下(少なくとも10時間の一晩の絶食)、IMB-1018972の4種のMR製剤の1種の単回経口用量の投与を受けた。摂食状態下、13日目に投与されるIMB-1018972のMR製剤は、空腹状態下、1、4、7および10日目に投与される4種のMR製剤の1種とした。
f. 血漿中のIMB-1018972、IMB-1028814およびトリメタジジンのPKのための血液サンプリング:各用量前、ならびに各用量後の0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、8、10、12、16、24、36および48時間時(および、13日目の投与後の72時間時)。
g. AEは、入院から経過観察のための訪問の完了まで記録した。
h. 遺伝子型決定のための血液サンプリングは、必須であった。
【0387】
図12は、以下の注記を伴う、多回用量MRのパートに関して与えられた評価の表である:
a. 身体検査:スクリーニング時、-1日目(入院;これは、治験責任医師の自由裁量でのみ行われた指示された検査であった)および経過観察時。他の日に、身体検査は、治験責任医師の自由裁量でのみ指示に基づいて行うことができた。
b. 臨床検査(臨床化学、血液学、凝固および尿検査を含む):スクリーニング時、-1日目(入院)、最後の用量後の24時間時、および経過観察時。
c. 12誘導ECG:スクリーニング時、-1日目(入院)、1日目の最初の用量後の1、4、6、12、24および48時間の時間点の直前、および5日目の最後の用量後、および経過観察時。
d. バイタルサイン(仰臥位収縮期および拡張期血圧、脈拍、体温および呼吸速度):スクリーニング時、-1日目(入院)、最後の用量前、最後の用量後の1、4、6、12、24および48時間時、ならびに経過観察時。
e. 治験薬(200mg 8時間MR製剤)を5日間、1日2回、投与した。5日目には、朝の分の用量を1回だけ投与した。治験薬投与は、摂食状態下で行った。
f. 1日目における、IMB-1028814およびトリメタジジンのPKのための血液サンプリングは、投与前、ならびに投与後の0.5、1、2、4、5、6、8、10および12時間とした。夕方の用量の前に、12時間時の試料を採取した。5日目に、IMB-1028814およびトリメタジジンのPKのための血液サンプリングは、投与前、ならびに投与後の0.5、1、2、4、5、6、8、10、12、16、24、36および48時間とした。2日目、3日目および4日目に、朝の投与前試料も採取した。
g. AEは、入院から経過観察のための訪問の完了まで記録した。
h. 遺伝子型決定のための血液サンプリングは、必須であった。
図13は、単回用量MRのパートに関する分析データセットの表である。
図14は、多回用量MRのパートに関する分析データセットの表である。
【0388】
人口統計学的特徴および他のベースライン特徴
単回用量MRのパート
12名の対象を含み、その6名が女性であり、6名が男性であった。平均年齢は、32歳であり、平均BMIは、25.8kg/m2であった。個々の年齢は、19~62歳の間の範囲であり、個々のBMIは、21.5~31.0kg/m2の間の範囲であった。11名の対象は、白人であり、1名の対象は、黒人またはアフリカ系アメリカ人であった。11名の対象は、ヒスパニック系またはラテン系民族ではなかった一方、1名の対象が、ヒスパニック系またはラテン系民族であった。PK設定の要約は、安全性設定の要約と同じであった。
【0389】
図15は、人工統計学的特徴の要約の表である-単回用量MRのパート(安全性設定)。
【0390】
多回用量MRのパート
12名の対象を含み、その6名が女性であり、6名が男性であった。平均年齢は、45歳であり、平均BMIは、25.1kg/m2であった。個々の年齢は、24~64歳の間の範囲であり、個々のBMIは、20.0~29.2kg/m2の間の範囲であった。11名の対象は、白人であり、1名の対象は、アジア人であった。12名の対象の誰も、ヒスパニック系でもラテン系民族でもなかった。PK設定の要約は、安全性設定の要約と同じであった。
【0391】
図16は、人工統計学的特徴の要約の表である-多回用量MRのパート(安全性設定)。
【0392】
他のベースライン特徴
対象はすべて、組み入れ基準および除外基準に適合した。医療歴またはこれまでの投薬に関して、臨床的に重要な所見はなかった。スクリーニング時および(各)入院時の薬物およびアルコールのスクリーニング結果は、すべての対象について陰性であった。血清学パラメーターに関する結果は、すべての対象に関して、スクリーニング時に陰性であった。この検討に参加したすべての女性の妊娠検査の結果は、スクリーニング時、(各)入院時、および経過観察時に陰性であった。
【0393】
曝露の範囲
合計で88名の対象:単回用量MRのパートでは、12名の対象、および多回用量MRのパートでは、12名の対象が、この検討で投与を受けた。
【0394】
単回用量MRのパートでは、12名の対象はすべて、空腹状態下、4種のIMB-1018972の単回用量のMR製剤:1日目に50mg 8時間MR製剤、4日目に50mg 4時間MR製剤、7日目に200mg 8時間MR製剤、および10日目に200mg 4時間MR製剤の投与を受けた。13日目に、12名の対象のうちの11名全員が、摂食状態下で、IMB-1018972の200mg 8時間MR製剤の投与を受けた。対象505は、ALTの上昇という中度のTEAEのために(恐らく、関連性がある;11日目に最大で149IU/L)、この検討から離脱し、13日目の摂食状態下での、IMB-1018972の最後の単回経口用量の200mg 8時間MR製剤の投与を受けなかった。
図17は、曝露の範囲の表である-単回用量MRのパート(安全性設定)。
【0395】
多回用量MRのパートでは、12名の対象の全員が、1日目~4日目まで、摂食状態下、IMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤(q12h)、次いで、5日目に朝の1用量分の投与を受けた。
図18は、曝露の範囲の表である-多回用量MRのパート(安全性設定)。
【0396】
単回用量MRのパート
IMB-1018972の50mgと200mgの空腹時単回経口用量のどちらを投与した後も、IMB-1028814のtmaxは、4時間MR製剤(50mg IMB-1018972の場合、5時間、および200mg IMB-1018972の場合、3時間)の場合よりも8時間MR製剤(50mgおよび200mg IMB-1018972の場合、2時間)の場合の方が早かった。IMB-1018972の50mgと200mgの空腹時単回経口用量のどちらを投与した後も、トリメタジジンのtmaxは、4時間MR製剤(50mg IMB-1018972の場合、6時間、および200mg IMB-1018972の場合、3時間)の場合よりも8時間MR製剤(50mg IMB-1018972の場合、8時間、および200mg IMB-1018972の場合、5時間)の場合の方が遅かった。IMB-1018972の50mgと200mgの空腹時単回経口用量のどちらを投与した後も、IMB-1028814+トリメタジジンのtmaxは、8時間MR製剤(50mg IMB-1018972の場合、5時間、および200mg IMB-1018972の場合、2.5時間)および4時間MR製剤(50mg IMB-1018972の場合、5時間、および200mg IMB-1018972の場合、3時間)の場合は類似した。
【0397】
IMB-1018972の50mgおよび200mg 空腹時単回経口用量の投与後、8時間MR製剤の場合、4時間MR製剤に比べて、IMB-1028814のCmaxは、それぞれ、35%および32%低く、トリメタジジンのCmaxは、それぞれ、20%および24%低く、IMB-1028814+トリメタジジンのCmaxは、それぞれ、21%および34%低かった(表28)。
【0398】
IMB-1018972の50mg空腹時単回経口用量の投与後では、4時間MR製剤後よりも8時間MR製剤後の方が、IMB-1028814のAUC0-tは、26%低く、トリメタジジンのCmaxは、12%低く、IMB-1028814+トリメタジジンのCmaxは、18%低かった。IMB-1018972の200mg空腹時単回経口用量後では、4時間MR製剤後よりも8時間MR製剤後の方が、IMB-1028814のAUC0-tは、6%高く、トリメタジジンのCmaxは、4%高く、IMB-1028814+トリメタジジンのCmaxは、5%高かった。
【0399】
空腹状態下で、4時間および8時間溶出プロファイルを有する50mg MR製剤および200mg MR製剤の投与後、IMB-1028814の場合、幾何平均t1/2は、3.35時間~4.27時間の間の範囲となり、トリメタジジンの場合、8.11時間~9.35時間の間の範囲となり、IMB-1028814+トリメタジジンの場合、6.95時間~7.96時間の間の範囲となった。したがって、分析対象の各々について、4種の空腹時処置間で、t1/2に差異は観察されなかった。
【0400】
食物の影響
IMB-1028814およびトリメタジジンのPKに及ぼす食物の影響の可能性を、FDAにより規定された高脂肪朝食の後と空腹状態下での、8時間の溶出プロファイルを有するIMB-1018972の単回経口用量の200mg MR製剤の投与を比較することによって探索した。
【0401】
摂食状態下で治験薬投与後、IMB-1028814の血漿中濃度の幾何平均は、最初は、空腹状態下、治験薬投与後ほど迅速に増大しなかった。しかし、両方の条件下で、投与後3時間時に、メジアンtmaxに到達した。
【0402】
摂食状態下でのトリメタジジン血漿中濃度は、空腹状態下、治験薬投与後ほど迅速に向上しなかった。tmaxのメジアンは、空腹状態下、投与後の3時間に対し、投与後5時間で到達した。
【0403】
IMB-1028814およびトリメタジジンの食物の影響を、Cmax、AUC0-tおよびAUC0-infに関して探索した。IMB-1028814曝露パラメーターAUC0-tおよびAUC0-infに対する食物の影響に関する証拠は観察されなかった(どちらも、1.16の推定値、および1.05~1.28の範囲の90%CIであった)。しかし、Cmaxは、空腹状態下で投与した場合に比べて、FDAにより規定された高脂肪朝食後では、IMB-1018972の単回用量の200mg 8時間MRの投与後、ほぼ42%高かった(1.42の推定値:90%CIは、1.24~1.63の範囲)。
【0404】
IMB-1018972の単回用量の200mg 8時間MRの投与後の、トリメタジジン曝露パラメーターCmax(推定値1.10;90%CIは、0.99~1.21の範囲)、AUC0-t(推定値0.99;90%CIは、0.91~1.09の範囲)およびAUC0-inf(推定値0.97;90%CIは、0.88~1.07の範囲)に食物が影響したことを示す証拠は観察されなかった。
図19は、幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-単回用量MRのパート(PK設定)。
図20は、幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-単回用量MRのパート(PK設定)。
図21は、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-単回用量MRのパート(PK設定)。
図22は、幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-単回用量MRのパート(PK設定)。
図23は、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-単回用量MRのパート(PK設定)。
図24は、幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-単回用量MRのパート(PK設定)。
図25は、IMB-1028814、トリメタジジンおよびIMB-1028814+トリメタジジン血漿中薬物動態パラメーターの要約統計幾何平均[範囲]の表である-単回用量MRのパート(PK設定)。
図26は、200mgの8時間MR IMB-1018972の投与後のIMB-1028814およびトリメタジジンに対する食物の影響の予備分析の表である-単回用量MRのパート(PK設定)。
【0405】
多回用量MRのパート
IMB-1028814およびトリメタジジンの血漿中濃度に関すると、1日目の投与前試料のすべてが、LLOQ未満であった。
【0406】
SADおよびMADのパートと同様に、1日目および5日目の、IMB-1018972のIMB-1028814への初期加水分解と、その後の200mg 8時間MR IMB-1018972用量のIMB-1028814の全身性生体利用は、比較的迅速であった。メジアンIMB-1028814のtmaxは、1日目および5日目には2時間となり、トリメタジジンの場合、メジアンtmaxは、1日目および5日目にそれぞれ、5.5時間および5時間であった。
【0407】
幾何平均血漿中濃度-時間プロファイルおよび幾何平均トラフ濃度の目で見た検査に基づくと、200mg 8時間MR IMB-1018972の多回用量の投与後、IMB-1028814濃度とトリメタジジン濃度のどちらの定常状態も5日目までに到達したと結論付けることができる。
【0408】
IMB-1028814、トリメタジジンおよびIMB-1028814+トリメタジジンの場合の幾何平均Racは、5日目には1日目に比べ、1.22、2.28および1.66となった。これは、血漿中のIMB-1028814は最低の蓄積量、血漿中のトリメタジジンは、中度の蓄積量、および血漿中のIMB-1028814+トリメタジジンは、中度の蓄積量であることを示している。
【0409】
IMB-1028814、トリメタジジンおよびIMB-1028814+トリメタジジンの場合の、200mg 8時間MR用量のIMB-1018972の幾何平均半減期は、それぞれ、3.85時間、9.52時間および8.64時間であった。
図27は、1日目~5日目の幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図28は、1日目~5日目の幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図29は、1日目~5日目の幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図30は、1日目~5日目の幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図31は、1日目~5日目の幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図32は、1日目~5日目の幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図33は、1日目後から5日目までの幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図34は、1日目後から5日目までの幾何平均IMB-1028814の血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図35は、1日目後から5日目までの幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図36は、1日目後から5日目までの幾何平均トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図37は、1日目後から5日目までの幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(線形)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図38は、1日目後から5日目までの幾何平均IMB-1028814+トリメタジジン血漿中濃度-時間プロファイルのグラフ(半対数尺度)である-多回用量MRのパート(PK設定)。
図39は、IMB-1028814、トリメタジジンおよびIMB-1028814+トリメタジジン血漿中薬物動態パラメーターの要約統計幾何平均[範囲]の表である-多回用量MRのパート(PK設定)。
【0410】
薬物動態に関する結論
・ この検討の間に採取したわずか数個の血漿試料中でしか、IMB-1018972は測定することができなかった。
・ 空腹および摂食状態下での、MR製剤の結果を含めた、単回用量と多回用量のIMB-1018972の結果を合わせると、IMB-1018972からIMB-1028814への最初の加水分解と、その後のIMB-1028814の全身性生体利用は、比較的、速やかであり、メジアンtmaxは、IMB-1028814の場合、投与後、0.5時間~5時間の間の範囲となり、トリメタジジンの場合、投与後、1.5時間~8時間の間の範囲であった。メジアンtmaxは、IMB-1018972用量が増加するにつれて、増大しなかった。
・ それぞれ、男性および女性の場合の417,733ng時/mLおよび652,849ng時/mLとなるIMB-1028814の血漿中曝露に関する予め規定された停止基準は、SADパートまたはMADパートの間、対象のいずれによっても到達されなかった。
・ 空腹状態下、50~400mgの範囲の単回経口用量のIMB-1018972の後、IMB-1028814およびトリメタジジンへの全身性曝露は、Cmax、AUC0-tおよびAUC0-infに関して、用量比例した。
・ 単回用量の150mg IMB-1018972の投与後に、IMB-1028814の曝露パラメーターAUC0-tおよびAUC0-infに対する食物の影響に関する証拠は、観察されなかった。しかし、Cmaxは、空腹状態下で投与した場合に比べて、摂食状態下、単回用量の150mg IMB-1018972の投与後では、ほぼ36%低かった。
・ 単回用量の150mg IMB-1018972の投与後、トリメタジジン曝露パラメーターCmax、AUC0-tおよびAUC0-infに対して、食物が影響する証拠は観察されなかった。
・ IMB-1018972の単回用量の200mg 8時間MRの投与後に、IMB-1028814曝露パラメーターAUC0-tおよびAUC0-infに食物が影響する証拠は観察されなかった。しかし、Cmaxは、空腹状態下で投与した場合に比べて、摂食状態下、IMB-1018972の単回用量の200mg 8時間MRの投与後では、ほぼ42%高かった。
・ 単回用量のIMB-1018972の単回用量の200mg 8時間MRの投与後、トリメタジジン曝露パラメーターCmax、AUC0-tおよびAUC0-infに対して、食物が影響する証拠は観察されなかった。
・ 空腹および摂食状態下での、MR製剤の結果を含めた、単回用量と多回用量のIMB-1018972の結果を合わせると、幾何平均t1/2は、IMB-1028814の場合、2.5時間~4.5時間の間の範囲となり、トリメタジジンの場合、6.5時間~9.5時間の間の範囲であった。幾何平均t1/2は、IMB-1018972用量が増加するにつれて、増大しなかった。
・ 単回経口用量のIMB-1018972を50mg~400mgの範囲にわたり投与した後の48時間以内に、平均で、3.99%~5.74%の間の用量が、IMB-1028814として尿中に排出され、平均で、23.11%~32.55%の間の用量が、尿中にトリメタジジンとして排出された。
・ 単回経口用量の35mgのトリメタジジンの投与後の48時間以内に、平均で54.47%の用量が、トリメタジジンとして尿中に排出された。□摂食状態下、150mgおよび50mg IMB-1018972を1日2回、14日間投与した後に、IMB-1028814の関連する蓄積は、観察されず(Racは、150mgおよび50mgの場合、それぞれ、1.18および1.10である)、トリメタジジンの適度な蓄積(Racは、150mgおよび50mgの場合、それぞれ、1.63および1.89である)が観察された。摂食状態下、IMB-1018972の200mg 8時間MRを1日2回で5日間、投与した後、IMB-1028814の関連蓄積は観察されなかった(Rac1.22)一方、トリメタジジンの蓄積量は中程度であった(Rac2.28)。
【0411】
有害事象の要約
単回用量MRのパート
合計で37件のTEAEが、IMB-1018972の投与を受けた12名の対象のうちの10名(83.3%)によって報告された。死亡は報告されなかった。単回用量MRのパートの対象505は、ALTの上昇という中度のTEAEのために、本検討から離脱した。このTEAEを、以下の項目12.2.2に一層、広範囲に記載する。TEAEの大部分は、一過性であり、経過観察による後遺症なく、解決された。3件のTEAE:アフタ性潰瘍、カテーテル部位の血腫およびカテーテル部位に関連する反応が、依然として経過観察時に進行中であった。37件のTEAEのうちの36件が、軽度の重症度であり、1件のTEAEが、中度の重症度であった。重度のTEAEは、報告されなかった。中度のTEAEは、治験薬に関連していないと治験責任医師によって考えられたALT上昇(11日目に最大で149IU/L)という事象であった。対象(対象505)は、このTEAEのためにこの検討から離脱し、13日目の摂食状態下での、IMB-1018972の200mg 8時間MR製剤の最後の単回経口用量の投与を受けなかった。
【0412】
37件のTEAEのうち、6件が、空腹状態下でIMB-1018972の50mg 8時間MR製剤の投与を受けた4名の対象(33.3%)によって報告され、9件が、空腹状態下でIMB-1018972の50mg 4時間MR製剤の投与を受けた6名の対象(50%)によって報告され、6件が、空腹状態下でIMB-1018972の200mg 8時間MR製剤の投与を受けた5名の対象(41.7%)によって報告され、11件が、空腹状態下でIMB-1018972の200mg 4時間MR製剤の投与を受けた8名の対象(66.7%)によって報告され、5件が、摂食状態下でIMB-1018972の200mg 8時間MR製剤の投与を受けた2名の対象(18.2%)によって報告された。TEAEの数および出現率の明白な用量依存性または溶出時間依存性はなかった。TEAEの数および出現率に関して、空腹時と摂食時との間で、IMB-1018972の200mg 8時間MR製剤のIMB-1018972投与にも何らかの明確な差異はなかった。
【0413】
SOCによって報告のあった最も頻度の高いTEAE(すなわち、対象の≧20%によって報告)は、以下であった:
・ 7名の対象(58.3%)によって報告された11名のTEAEを含む、一般障害および投与部位の状態(5件のカテーテル部位に関連する反応のTEAE、2件のカテーテル部位の血腫のTEAE、ならびにカテーテル部位の疼痛、不快感、医療用装具部位の乾燥および医療用装具部位の刺激のTEAEが1件ずつ)。
・ 7名の対象(58.3%)によって報告された8件のTEAEを含む神経系障害(頭痛のTEAEが6件、目眩のTEAEが2件)。
・ 4名の対象(33.3%)によって報告された5件のTEAEを含む胃腸障害(腹痛のTEAEが2件、および上腹部痛、アフタ性潰瘍および下痢のTEAEが1件ずつ)。
○ 報告された37件のTEAEうち、12名の対象のうちの4名(33.3%)によって報告された7件のTEAEは、治験薬に関連すると治験責任医師によって考えられ、12名の対象のうちの10名(83.3%)によって報告された30件のTEAEは、治験薬に関連しないと治験責任医師によって考えられた。薬物に関連しないTEAEは、摂食状態下で、IMB-1018972の200mg 8時間MR製剤後に報告された。報告された薬物関連TEAEは、以下であった:
・ 2名の対象(16.7%)において、頻尿という5件のTEAEを含む腎障害および尿障害。
・ ALTの上昇という1件のTEAEを伴う調査。
・ 頭痛という1件のTEAEを含む神経系障害。
【0414】
総合的な耐容性
空腹状態下、4時間および8時間溶出プロファイルを有する、50mg MR製剤および200mg MR製剤、続いて、摂食状態下、IMB-1018972の200mg 8時間MR製剤による処置は、2個の単回用量の50mg MR製剤および2個の用量の200mg MR製剤の後にALTが上昇した(149IU/Lまで)1名の対象を除き、健常な男性および女性対象によって十分に耐容された。
【0415】
多回用量MRのパート
合計で40件のTEAEが、IMB-1018972の投与を受けた12名の対象のうちの12名(100%)によって報告された。TEAEはすべて、軽度の重症度であり、死亡の報告はなかった。TEAEの大部分は一過性であり、経過観察による後遺症なく、解決された。4件のTEAEは、経過観察時に依然として発生中であった:接触性皮膚炎、紅斑、インフルエンザ様疾病、口腔咽頭痛および医療用装具部位の刺激。
【0416】
SOCによって報告のあった最も頻度の高いTEAE(すなわち、対象の≧30%によって報告)は、以下であった:
・ 7名(58.3%)の対象によって報告された9件のTEAEを含む神経系障害(頭痛のTEAEが6件、目眩のTEAEが2件、および体位性目眩のTEAEが1件)。
・ 5名の対象(41.7%)によって報告された9件のTEAEを含む胃腸障害(腹痛のTEAEが2件、ならびに下痢、消化不良、白色便、鼓腸、歯肉痛、口腔の不快感および歯痛のTEAEが1件ずつ)。
・ 4名の対象(33.3%)によって報告された4件のTEAEを含む一般障害および投与部位の状態(カテーテル部位疼痛、インフルエンザ様疾病、医療用装具部位の刺激および渇きというTEAEが1件ずつ)。
・ 4名の対象(33.3%)によって報告された4件のTEAEを含む筋骨格障害および結合組織障害(筋肉痛のTEAEが2件、および頭頚部痛および末梢部疼痛のTEAEが1件ずつ)。
・ 4名の対象(33.3%)において、頻尿という4件のTEAEを含む腎障害および尿障害。
【0417】
報告された40件のTEAEのうち、12名の対象のうちの7名(58.3%)によって報告された10件のTEAEは、治験薬に関連すると治験責任医師によって考えられ、12名の対象のうちの9名(75%)によって報告された30件のTEAEは、治験薬に関連しないと治験責任医師によって考えられた。SOCによって最も頻度が高く報告された薬物関連TEAE(すなわち、対象の≧15%によって報告)は、以下であった:
・ 4名の対象(33.3%)において、頻尿という4件のTEAEを含む腎障害および尿障害。
・ 2名の対象(16.7%)によって報告された2件のTEAEを含む神経系障害(目眩および頭痛のTEAEが1件ずつ)。
・ 2名の対象(16.7%)によって報告された、顔面紅潮という2件のTEAEを含む血管障害。
【0418】
総合的な耐容性
摂食状態下、IMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤(q12h)による5日間の処置は、健常な男性および女性対象によって十分に耐容された。軽度の重症度である顔面紅潮の2例が、2名の対象、すなわち対象513および517によって報告され、これらの対象は、閉経後の女性であり、そのうちの1名が、医療歴の部分として、現在「一過性熱感」があると報告したことに留意されたい。脱落した対象はなく、顔面紅潮というTEAEのために、用量の変更は必要ではなかった。
図40Aおよび図40Bは、器官別大分類、基本語および処置によるすべてのTEAEの要約表である-単回用量MRのパート(安全性設定)。
図41は、器官別大分類、基本語および処置によるすべてのTEAEの要約表である-単回用量MRのパート(安全性設定)。
図42は、処置、関連性および重症度によるすべてのTEAEの要約表である-単回用量MRのパート(安全性設定)。
図43は、処置、関連性および重症度によるすべてのTEAEの要約表である-多回用量MRのパート(安全性設定)。
【0419】
死亡、他の重症な有害事象、および他の重要な有害事象
1名の対象が、検討中に離脱した。
【0420】
対象505は、BMI21.5kg/m2を有する、21歳の白人男性であった。対象は、単回用量MRのパートに参加し、1日目に、空腹状態下、IMB-1018972の、50mgの8時間MR製剤、4日目に、空腹状態下、50mgの4時間MR製剤、7日目に、空腹状態下、200mgの8時間MR製剤、10日目に、空腹状態下、200mgの4時間MR製剤、および13日目に、摂食状態下、200mgの8時間MR製剤の投与を受けるよう計画された。この対象は、関連する医療歴を報告しておらず、ベースライン時に併用薬の投与を受けなかった。この対象の場合に、4日目に4時間MR製剤50mgを投与して1日後の5日目に始まったALTの上昇というTEAEが報告された。このTEAEは、中度の重症度であり、治験薬に関連している可能性が高いと治験責任医師によって考えられた。この対象はまた、7日目に、空腹状態下で、200mgの用量の8時間MR製剤、および10日目に、空腹状態下で、200mgの4時間MR製剤の投与も受けた。この対象の場合のALT値は、スクリーニング時(29IU/L)、-1日目(34IU/L)および2日目(31IU/L)には、正常範囲(0~68IU/L)内にあった。ALTレベルは、5日目に72IU/L、8日目に97IU/L、および11日目に149IU/Lという正常上限(68IU/L)より高い値まで上昇し、次に、14日目に、102IU/L、および16日目に84IU/Lへと再度、低下した。24日目の経過観察までに、ALTレベルは42IU/Lまで戻り、これは、正常範囲内にあった。これはまた、このTEAEは、回復したと記録された日でもあった。11日目の149IU/Lという高いALTレベルは、臨床的に重要な異常であると治験責任医師によって考えられ、これに基づいて治験責任医師が、本検討から対象を離脱させる(さらなる用量の投与を受けない)と決断した。この全期間を通じて、ASTレベルは、正常範囲内にあった。離脱の結果として、この対象は、13日目の摂食状態下での、計画されたIMB-1018972の200mg 8時間MR製剤の最後の単回経口用量の投与を受けなかった。この対象は、11日目に離脱後、計画通りに行う安全性評価を含む経過観察のため、24日目に戻ってきた。この対象はまた、1日目に接触性皮膚炎(無関係)という軽度のTEAE、3日目~6日目に皮膚剥離(無関係)、および13日目~14日目に腹痛(無関係)を報告した。
【0421】
本検討からの対象505の離脱をもたらしたALTの上昇というTEAEは、治験薬投与との時間関係のために治験薬に関連している可能性が高いと治験責任医師によって考えられた。
【0422】
単回用量MRのパートの対象505は、ALTの上昇という中度のTEAEのために、本検討から離脱した。4日目に50mgの4時間MR製剤を投与して1日後の5日目に、TEAEが始まった。この対象の場合のALT値は、スクリーニング時(29IU/L)、-1日目(34IU/L)および2日目(31IU/L)には、正常範囲(0~68IU/L)にあった。ALTレベルは、5日目に72IU/L、8日目に97IU/L、および11日目に149IU/Lという正常上限(68IU/L)より高い値まで上昇し、次に、14日目に、102IU/L、および16日目に84IU/Lへと再度、低下した。24日目の経過観察までに、ALTレベルは42IU/Lまで戻り、これは、正常範囲内にあった。これはまた、このTEAEは、回復したと記録された日でもあった。11日目の149IU/Lという高いALTレベルは、臨床的に重要な異常であると治験責任医師によって考えられ、これに基づいて治験責任医師が、本検討から対象を離脱させると決断した。この全期間を通じて、対象505のASTレベルは、正常範囲内にあった。この検討の間のいずれの時点でも、臨床的に重要な検査パラメーターの異常の他の症例は記録されなかった。
【0423】
付随する処置
単回用量MRのパート
単回用量MRのパートにおける7名の対象は、併用薬の投与を受けたか、またはこれを服用した。この検討の間、5名の女性対象が避妊を使用した。さらに、4名の対象が、以下の併用薬の投与を受けた。
・ 1名の対象(対象501)が、頭痛のために、1000mgのパラセタモールの投与を1回受けた。
・ 1名の対象(対象509)が、断続的な頭痛(基本語:頭痛)のために、1000mgのパラセタモールの投与を1回受けた。
・ 1名の対象(対象510)が、頭痛のために、500mgのパラセタモールを2回および1000mgのパラセタモールの投与を1回受けた。
・ 1名の対象(対象511)が、風邪(基本語:鼻咽頭炎)のために、1000mgのパラセタモールの投与を1回受けた。
【0424】
これらの医薬は、本検討の転帰に影響を及ぼすとは見なされなかった。
【0425】
多回用量MRのパート
多回用量MRのパートにおける5名の対象は、併用薬の投与を受けたか、またはこれを服用した。この検討の間、3名の女性対象が、避妊を使用した。さらに、3名の対象が、以下の併用薬の投与を受けた。
・ 1名の対象(対象514)が、頭痛のために、1000mgのパラセタモールの投与を2回受けた。
・ 1名の対象(対象519)が、インフルエンザ様症状(基本語:インフルエンザ様疾病)のために、2日間、1日3回、gelomyrtol、および2日間、1日3回、500mgのパラセタモールの投与を受けた。
・ 1名の対象(対象524)が、頭痛のために、500mgのパラセタモールの投与を1回受けた。これらの医薬は、本検討の転帰に影響を及ぼすとは見なされなかった。
【0426】
議論および総合的な結論
これは、トリメタジジンのMR製剤の単回経口用量、IMB-1018972の単回経口用量のMR製剤、およびIMB-1018972の多回経口用量の200mgの8時間MR製剤の安全性、耐容性およびPKを評価するための、単回用量のMRのパートおよび多回用量MRのパートからなる、二重盲検の無作為化検討であった。
【0427】
安全性議論
全体として、単回用量および多回用量のMR製剤は、健常な男性および女性対象によって、一般に十分に耐容された。臨床検査、バイタルサイン、12誘導ECG、連続心臓モニタリング(遠隔測定法)または身体検査に関して、臨床的関連性の所見はなかった。MR製剤としてIMB-1018972を投与した後に、血行動態変化の所見もなく、QTc間隔の変化もなかったことが留意される。
【0428】
ニコチン酸(ナイアシン)は、IMB-1018972の即時加水分解生成物であり、IMB-1018972の分子質量のほぼ30%を構成する。この検討では、その特徴が、ナイアシンを投与した場合に見られる顔面紅潮と一致した、顔面紅潮というTEAEが報告された。事象のすべてが一過性であり、介入なしに解決した。脱落した対象はなく、顔面紅潮というTEAEのために、用量の変更は必要ではなかった。
【0429】
多回用量MRのパートでは、軽度の重症度である顔面紅潮の2件の例が、2名の対象によって報告され、これらの対象は、閉経後の女性であり、そのうちの1名は、医療歴の部分として、現在「一過性熱感」があると報告した。脱落した対象はなく、TEAEのために、用量の変更は必要ではなかった。MR製剤における散発性、一過性、自己限定的であり、軽度の重症度であるこれらのTEAEの性質は、200mg 8時間MR製剤におけるIMB-1018972の許容される耐容性プロファイルであることを示している。
【0430】
単回用量MRのパートの1名の対象は、ALTの上昇という中度のTEAEのために、本検討から離脱した。ALT上昇(11日目に最大で149IU/L)というTEAEは、治験薬に関連している可能性があると治験責任医師によって考えられ、介入なしに解決した。検討中に報告のあった最も頻度の高いTEAEは、SOC血管障害(主に、顔面紅潮というTEAE)、一般障害、ならびに投与部位の状態、神経系障害、胃腸障害および筋骨格障害および結合組織障害であった。検討中に報告されたTEAEの大部分は、治験薬と関連性がないと治験責任医師によって考えられた。
【0431】
薬物動態
200mgの8時間MR IMB-1018972製剤は、第2相概念実証検討において使用するのに最適となるよう選択される。
【0432】
安全性-結論
・ 全体として、単回用量および多回用量のMR製剤は、健常な男性および女性対象によって、一般に十分に耐容された。臨床検査、バイタルサイン、12誘導ECG、連続心臓モニタリング(遠隔測定法)または身体検査に関して、臨床的関連性の所見はなかった。IRまたはMR製剤のどちらかとしてIMB-1018972を投与した後に、血行動態変化の所見もなく、QTc間隔の変化もなかったことが留意される。
・ 本検討中に死亡の報告はなかった。大部分のTEAEは、軽度の重症度であり、重度のTEAEは、本検討中に報告されなかった。全体として、合計で181件のTEAEのうちの12件が、中度の重症度であった。
・ 2名の対象が、本検討から離脱した:インフルエンザ様疾病という中度のSAEのため(恐らく、無関係)に1名の対象、およびALTの上昇(恐らく、関係がある)という中度のTEAEのために1名。
・ 全体として、TEAEの数および出現率の明確な用量依存性はなかった。
・ 摂食状態下での投与では、単回用量MRのパートには、TEAEの数および出現率に関して、空腹時と摂食時のIMB-1018972投与の間には明確な差異は観察されなかった。
【0433】
薬物動態-結論
この検討の間に採取したわずか数個の血漿試料中でしか、IMB-1018972は測定することができなかった。
・ 空腹および摂食状態下での、単回用量と多回用量のIMB-1018972の結果を合わせると、IMB-1018972からIMB-1028814への最初の加水分解と、その後のIMB-1028814の全身性生体利用は、比較的、速やかであり、メジアンtmaxは、IMB-1028814の場合、投与後、0.5時間~5時間の間の範囲となり、トリメタジジンの場合、投与後、1.5時間~8時間の間の範囲であった。メジアンtmaxは、IMB-1018972用量が増加するにつれて、増大しなかった。
・ 空腹状態下、50~400mgの範囲の単回経口用量のIMB-1018972の後、IMB-1028814およびトリメタジジンへの全身性曝露は、Cmax、AUC0-tおよびAUC0-infに関して、用量比例した。
・ 単回用量のIMB-1018972の200mg 8時間MRの投与後に、IMB-1028814の曝露パラメーターAUC0-tおよびAUC0-infに食物が影響する証拠は観察されなかった。しかし、Cmaxは、空腹状態下での投与に比べて、摂食状態下、IMB-1018972の単回用量の200mg 8時間MRの投与後では、ほぼ42%高かった。
・ IMB-1018972の単回用量の200mg 8時間MRの投与後の、トリメタジジン曝露パラメーターCmax、AUC0-tおよびAUC0-infに対して、食物が影響する証拠は観察されなかった。
・ 空腹および摂食状態下での、MR製剤の結果を含めた、単回用量と多回用量のIMB-1018972の結果を合わせると、幾何平均t1/2は、IMB-1028814の場合、2.5時間~4.5時間の間の範囲となり、トリメタジジンの場合、6.5時間~9.5時間の間の範囲であった。幾何平均t1/2は、IMB-1018972用量が増加するにつれて、増大しなかった。
・ 摂食状態下、IMB-1018972の200mg 8時間MRを1日2回で5日間、投与した後、IMB-1028814の関連蓄積は観察されなかった(Rac1.22)一方、トリメタジジンの蓄積量は中程度であった(Rac2.28)。
【0434】
全体
この単回用量および多回用量のFIH検討において、IMB-1018972、IMB-1028814の代謝産物およびトリメタジジンの陽性リスク/利益プロファイルならびに観察されるPK特徴を鑑みると、IMB-1018972のさらなる臨床開発は当然である。
【0435】
参照による援用
本開示全体を通して、特許、特許出願、特許公報、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツなどの他の文書の参照および引用がなされている。そのような文書はすべて、すべての目的で、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0436】
均等物
本明細書で引用した科学および特許文献の参照を含む本文書の完全な内容から、当業者には、本明細書において示し、記載したものに加えて、本発明の種々の変更形態および多数のそのさらなる実施形態が明白となる。本明細書における主題は、本発明の種々の実施形態およびその均等物の中に、本発明の実施に適合させることのできる重要な情報、例証、およびガイダンスを含んでいる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11-1】
図11-2】
図12-1】
図12-2】
図13
図14
図15
図16
図17-1】
図17-2】
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25-1】
図25-2】
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40-1】
図40-2】
図40-3】
図41-1】
図41-2】
図42
図43
【国際調査報告】