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特表2023-531809軌道の下側を突き固めるための方法および機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】軌道の下側を突き固めるための方法および機械
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/17 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
E01B27/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581490
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2021064810
(87)【国際公開番号】W WO2022002522
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】A50568/2020
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ホーフシュテッター
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ シュプリンガー
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057AB22
2D057AB25
(57)【要約】
軌道(3)の、バラスト道床(2)内に相前後して支持された複数のまくらぎ(4)の下側をタンピングアセンブリ(7)によって突き固めるための方法および機械であって、タンピングアセンブリ(7)は、作業方向(25)に相前後して配置された、互いに独立して高さ調整可能な複数のタンピングユニット(14)を備えており、これらのタンピングユニット(14)は、互いに接近可能なタンピングピッケル(22)を備えており、1回のタンピングサイクル中、前方のタンピングユニット(14)のタンピングピッケル(22)と、後方のタンピングユニット(14)のタンピングピッケル(22)とを、バラスト道床(2)内へとそれぞれ異なる沈込み深さ(T,T,T)に降下させ、次のタンピングサイクルのために、タンピングアセンブリ(7)を、相前後して配置されたタンピングユニット(14)の数よりも少ないまくらぎ(4)の数だけ作業方向(25)にさらに移動させる、方法および機械。こうして、相前後して配置されたタンピングユニット(14)が、同一のまくらぎ(4)の下側をバラスト道床(2)のそれぞれ異なる深さゾーン(Z,Z,Z)において複数回突き固める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道(3)の、バラスト道床(2)内に相前後して支持された複数のまくらぎ(4)の下側をタンピングアセンブリ(7)によって突き固めるための方法であって、前記タンピングアセンブリ(7)は、作業方向(25)に相前後して配置された、互いに独立して高さ調整可能な複数のタンピングユニット(14)を備えており、該タンピングユニット(14)は、互いに接近可能なタンピングピッケル(22)を備えている、方法において、
1回のタンピングサイクル中、前方のタンピングユニット(14)の前記タンピングピッケル(22)と、後方のタンピングユニット(14)の前記タンピングピッケル(22)とを、前記バラスト道床(2)内へとそれぞれ異なる沈込み深さ(T,T,T)に降下させ、次のタンピングサイクルのために、前記タンピングアセンブリ(7)を、相前後して配置された前記タンピングユニット(14)の数よりも少ないまくらぎ(4)の数だけ作業方向(25)にさらに移動させることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記軌道(3)の前記まくらぎ(4)と、該まくらぎ(4)に取り付けられたレール(9)とを、下側の突固め前に扛上ユニット(8)によって持ち上げ、各々の前記沈込み深さ(T,T,T)を扛上値に応じて予め設定することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
相前後して配置された各々の前記タンピングユニット(14)を、前記タンピングピッケル(22)の振動負荷のための固有の振動パラメータおよび/または前記タンピングピッケル(22)同士のスクイーズ運動のための固有のスクイーズパラメータによって運転することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
1回のタンピングサイクル中、直接相前後して配置されたタンピングユニット(14)の互いに隣り合ったタンピングピッケル(22)を同一のまくらぎ区画内に沈み込ませることにより、直接相前後して位置決めされた複数のまくらぎ(4)の下側を複数のタンピングユニット(14)によって同時に突き固めることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
1回のタンピングサイクル中、直接相前後して配置された複数のタンピングユニット(14)を時間的にずらして降下させることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
1回のタンピングサイクル中、後方のタンピングユニット(14)の前記タンピングピッケル(22)を第1の沈込み深さ(T)にまで降下させ、前方のタンピングユニット(14)の前記タンピングピッケル(22)を第2の沈込み深さ(T)にまで降下させることにより、相前後して位置決めされた少なくとも2つのまくらぎ(4)の下側を、前記バラスト道床(2)の2つの異なる深さの層において突き固めることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
相前後して配置された全てのタンピングユニット(14)に、それぞれ異なる沈込み深さ(T,T,T)を予め設定することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
相前後して配置されたタンピングユニット(14)は、1つの共通の沈込み深さ(T,T,T)にまで降下させられる1つの降下グループ(26)を形成していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
1回のタンピングサイクル後、前記タンピングアセンブリ(7)を走行駆動装置(27)によって1まくらぎピッチ(t)だけ前進させることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
タンピングアセンブリ(7)を備えた機械(1)であって、前記タンピングアセンブリ(7)は、軌道(3)の、相前後して位置決めされた複数のまくらぎ(4)の下側を、機械長手方向(17)に関して相前後して配置された複数のタンピングユニット(14)によって同時に突き固めるためのものであり、各々のタンピングユニット(14)は、高さ調整駆動装置(16)によって高さ調整可能なツール支持体(15)を備えており、該ツール支持体(15)に、互いに対向するタンピングツール(18)が支持されており、該タンピングツール(18)は、駆動装置を介して振動可能であると共に互いに接近可能である、機械(1)において、
前記機械(1)は、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法を実施するために、全ての高さ調整駆動装置(16)が、1つの共通の制御装置(23)に接続されていて、該制御装置(23)に、相前後して配置された前記タンピングユニット(14)の前記高さ調整駆動装置(16)用に、それぞれ異なる降下値が格納されているように構成されていることを特徴とする、機械(1)。
【請求項11】
各々の高さ調整駆動装置(16)は、移動距離測定装置(24)に接続されており、各々の移動距離測定装置(24)は、前記制御装置(23)に接続されていることを特徴とする、請求項10記載の機械(1)。
【請求項12】
各々のタンピングユニット(14)に振動駆動装置(19)が割り当てられており、互いに対向するタンピングツール(18)は、それぞれスクイーズ駆動装置(20)を介して、割り当てられた前記振動駆動装置(19)に連結されていることを特徴とする、請求項10または11記載の機械(1)。
【請求項13】
前記スクイーズ駆動装置(20)に圧力を加えるために、相前後して配置された前記タンピングユニット(14)の各々に液圧システムの固有の圧力段が割り当てられていることを特徴とする、請求項10から12までのいずれか1項記載の機械(1)。
【請求項14】
前記機械長手方向(17)に対して横方向において、相並んで配置された複数のタンピングツール(18)は、割り当てられたスクイーズ駆動装置(20)を含めて、スクイーズグループを形成していて、前記制御装置(23)によって一緒に制御可能であることを特徴とする、請求項10から13までのいずれか1項記載の機械(1)。
【請求項15】
前記タンピングアセンブリ(7)に扛上ユニット(8)が前置されており、該扛上ユニット(8)に予め設定された扛上値が、前記タンピングアセンブリ(7)の前記制御装置(23)に供給されていることを特徴とする、請求項10から14までのいずれか1項記載の機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道の、バラスト道床内に相前後して支持された複数のまくらぎの下側をタンピングアセンブリによって突き固めるための方法であって、タンピングアセンブリは、作業方向に相前後して配置された、互いに独立して高さ調整可能な複数のタンピングユニットを備えており、これらのタンピングユニットは、互いに接近可能なタンピングピッケルを備えている、方法に関する。さらに、本発明は、方法を実施するための機械に関する。
【背景技術】
【0002】
予め設定された軌道位置を復原または維持するために、バラスト道床を含む軌道は、規則的にタンピング機械によって加工される。この場合、このタンピング機械が軌道を走行し、まくらぎとレールとから形成された軌框を扛上/整正ユニットによって目標レベルに扛上する。新たな軌道位置の固定は、タンピングアセンブリを用いてまくらぎの下側を突き固めることによって行われる。タンピングアセンブリは、タンピングピッケルを備えたタンピングツールを備えている。タンピングピッケルは、タンピング動作時に振動負荷されてバラスト道床内に沈み込み、互いに接近させられる。この場合、バラストが、各々のまくらぎの下方に押し進められ、締め固められる。
【0003】
特に軌道タンピング機械は、複数のまくらぎの下側を同時に突き固めるために、タンピングアセンブリを使用する。これにより達成される高い加工速度によって、1つの軌道の連続作業が短い保守間合で可能となる。さらに、現代のタンピング機械は、タンピングアセンブリのほか、バラストに対する摩耗作用が少ない点で優れている。
【0004】
オーストリア国特許出願公開第513034号明細書に基づき、方法および相前後して配置された少なくとも2つのタンピングユニットを備えた冒頭に記載した機械が公知である。各々のタンピングユニットは、1つの共通のユニット支持体に高さ調整可能に配置されている。1回のタンピングサイクルは、タンピングユニットを一緒に降下させることによって開始される。この場合、機械長手方向において互いに隣り合ったまくらぎの下側を突き固めるための互いに隣接したタンピングユニットのこういった一緒の降下は、時間的な遅れを伴って行われる。これによって、特に、1つの共通のまくらぎ区画内に沈み込む直接隣り合ったタンピングピッケルの沈込みが容易になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底にある課題は、冒頭に記載した形態の方法を改良して、特に、軌道の扛上が大きい場合および新層の場合に、質的に価値の高いタンピング結果が得られるようにすることである。さらに、本発明の課題は、相応に改善された機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、請求項1および10の特徴によって解決される。従属請求項には、本発明の有利な構成が記載してある。
【0007】
本発明では、1回のタンピングサイクル中、前方のタンピングユニットのタンピングピッケルと、後方のタンピングユニットのタンピングピッケルとを、バラスト道床内へとそれぞれ異なる沈込み深さに降下させ、次のタンピングサイクルのために、タンピングアセンブリを、相前後して配置されたタンピングユニットの数よりも少ないまくらぎの数だけ作業方向にさらに移動させることが特定されている。こうして、相前後して配置されたタンピングユニットが、同一のまくらぎの下側をバラスト道床のそれぞれ異なる深さゾーンにおいて複数回突き固める。その結果、各々のまくらぎの下側のバラストクッション全体の均質な締固めが達成される。
【0008】
まくらぎごとの前進走行によって、締固め推移がより均一になる。さらに、バラスト負荷が減じられる。なぜならば、各々のタンピングサイクル時に別のバラストセットが動的にプレスされるからである。特に、軌道の扛上が大きい場合に、中空層が阻止される。扛上値がより大きい場合でも1回のタンピング通過しか必要とならないので、後退走行の排除と、別個のタンピング進行の際の繰り返される勾配形成とによって、時間が節約される。
【0009】
相前後して配置された2つよりも多くのタンピングユニットの場合、有利には、ほぼ均一に段階付けられた沈込み深さが予め設定される。さらに、それぞれ前方のタンピングユニットのタンピングピッケルを、その後方に配置されたタンピングユニットのタンピングピッケルよりも大きな沈込み深さにまでバラスト道床内に降下させると有利である。
【0010】
方法の改良形態では、軌道のまくらぎと、このまくらぎに取り付けられたレールとを下側の突固め前に扛上ユニットによって持ち上げ、各々の沈込み深さを扛上値に応じて予め設定する。扛上値の変化によって、沈込み深さの段階付けが変化し、これによって、バラスト道床の最適化された締固めが達成される。
【0011】
別の改善形態は、相前後して配置された各々のタンピングユニットを、タンピングピッケルの振動負荷のための固有の振動パラメータおよび/またはタンピングピッケル同士のスクイーズ運動のための固有のスクイーズパラメータによって運転することを特定している。特に、各々のタンピングユニットに対して、固有の振動周波数、振動振幅およびスクイーズ時間が予め設定可能である。したがって、相前後して配置された各々のタンピングユニットのタンピングピッケルを、固有に振動させ、互いに接近させる。これによって、個々の道床層内のそれぞれ異なるバラスト特性と、それぞれ異なる沈込み深さに基づくそれぞれ異なるピッケル対抗力とが考慮される。
【0012】
持ち上げられた軌框を大きな面で位置固定するためには、1回のタンピングサイクル中、直接相前後して配置されたタンピングユニットの互いに隣り合ったタンピングピッケルを同一のまくらぎ区画内に沈み込ませることにより、直接相前後して位置決めされた複数のまくらぎの下側を複数のタンピングユニットによって同時に突き固めることが有利である。この場合には、機械長手方向において狭幅に形成されたタンピングユニットを備えたコンパクトな多丁継ぎまくらぎ用タンピングアセンブリ(直列アセンブリ)が使用される。
【0013】
この方法変化形態の改良形態では、1回のタンピングサイクル中、直接相前後して配置された複数のタンピングユニットを時間的にずらして降下させる。したがって、同一のまくらぎ区画内に沈み込むタンピングピッケルは、同時にバラスト道床表面に衝突しない。まず、一方のタンピングピッケルがバラスト道床内に突き込まれ、周辺のバラスト粒を振動させる。時間的に遅らせて降下させたタンピングピッケルが、すでに流動化されているバラスト粒に衝突する。これによって、突込み抵抗が著しく減少する。こうして、タンピングユニットとバラスト粒との摩耗が減じられる。
【0014】
有利には、1回のタンピングサイクル中、後方のタンピングユニットのタンピングピッケルを第1の沈込み深さにまで降下させ、前方のタンピングユニットのタンピングピッケルを第2の沈込み深さにまで降下させることにより、相前後して位置決めされた少なくとも2つのまくらぎの下側を、バラスト道床の2つの異なる深さの層において突き固める。
【0015】
この場合、一変化形態では、相前後して配置された全てのタンピングユニットに、それぞれ異なる沈込み深さを予め設定することが特定されている。したがって、相前後して配置された2つよりも多くのタンピングユニットの場合、バラスト道床の2つよりも多くの異なる深さゾーンでの下側の突固めが行われる。この変化形態は、特に、バラスト道床が緩くかつ扛上値が大きい場合に有利である。
【0016】
別の変化態様は、相前後して配置されたタンピングユニットが、1つの共通の沈込み深さにまで降下させられる1つの降下グループを形成していることを特定している。各々の降下グループによって、複数のまくらぎの下方のバラスト基盤が、バラスト道床の同一の深さゾーンにおいて同時に締め固められる。例えば、相前後して配置されたそれぞれ2つのタンピングユニットを備えた2つの降下グループが設けられている。この場合には、2つの深さゾーンにおいて下側の突固めが行われる。この場合、タンピングアセンブリを、各々のタンピングサイクル後にまくらぎ2つ分だけ前進させる。
【0017】
各々のまくらぎの下側を深さゾーンの小さな段階付けで複数回突き固めるためには、各々のタンピングサイクル後、タンピングアセンブリを走行駆動装置によって1まくらぎピッチだけ前進させると有利である。こうして、各々のまくらぎの下方のバラスト基盤の下側が、相前後して配置された各々のタンピングユニットによって、連続するステップで突き固められる。
【0018】
本発明に係る機械は、タンピングアセンブリを備え、このタンピングアセンブリは、軌道の、相前後して位置決めされた複数のまくらぎの下側を、機械長手方向に関して相前後して配置された複数のタンピングユニットによって同時に突き固めるためのものであり、各々のタンピングユニットは、高さ調整駆動装置により高さ調整可能なツール支持体を備え、このツール支持体に、互いに対向するタンピングツールが支持されており、このタンピングツールは、駆動装置を介して振動可能であると共に互いに接近可能である。本発明では、機械は、前述した方法のうちの1つを実施するために、全ての高さ調整駆動装置が、1つの共通の制御装置に接続されており、この制御装置に、相前後して配置されたタンピングユニットの高さ調整駆動装置用に、それぞれ異なる降下値が格納されているように構成されている。したがって、相前後して配置されたタンピングユニットの沈込み動作が、制御装置によって互いに調和されている。
【0019】
有利には、各々の高さ調整駆動装置は、移動距離測定装置に接続されており、この移動距離測定装置は、制御装置に接続されている。各々の移動距離測定装置は、割り当てられたツール支持体の高さ位置に対する移動距離測定信号を供給する。これによって、予め設定された沈込み深さへの降下を調整することができる。より簡単な変化形態では、それぞれ異なる降下値が、高さ調整駆動装置に対する段階付けられた作動期間の形態で格納されている。液圧式の高さ調整駆動装置の場合には、割り当てられたツール支持体の沈込みに対する尺度として、液圧液の通流量が利用されてもよい。
【0020】
別の改善形態は、各々のタンピングユニットに振動駆動装置が割り当てられており、互いに対向するタンピングツールは、それぞれスクイーズ駆動装置を介して、割り当てられた振動駆動装置に連結されていることを特定している。特に、各々の振動駆動装置は、それぞれ別個に制御可能であり、これによって、各々のタンピングユニットを固有の振動周波数および振動振幅で運転することができる。
【0021】
さらに、スクイーズ駆動装置に圧力を加えるために、相前後して配置されたタンピングユニットの各々に液圧システムの固有の圧力段が割り当てられていると有利である。こうして、各々のタンピングユニットのスクイーズ動作をバラスト道床の加工される深さゾーンに適合させることができる。
【0022】
有利には、機械長手方向に対して横方向において、相並んで配置された複数のタンピングツールは、割り当てられたスクイーズ駆動装置を含めて、スクイーズグループを形成しており、各々のスクイーズグループは、制御装置によって一様に制御可能である。このことは、相並んで配置された、軌道の両方のレールの両側のまくらぎの下側を突き固めるタンピングユニットに該当する。運転中、スクイーズグループの一緒の制御が行われ、これによって、まくらぎに沿って均一な締固め動作が確保される。
【0023】
機械の有利な特徴では、タンピングアセンブリに扛上ユニットが前置されており、この扛上ユニットに予め設定された扛上値が、タンピングアセンブリの制御装置に供給されている。こうして、降下値を瞬時に予め設定された扛上値に適合させることができる。
【0024】
以下に、本発明を添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】タンピングアセンブリを備えた機械の概略図である。
図2】3つのまくらぎの下側を同時に突き固めるためのタンピングアセンブリの概略的な側面図である。
図3図2に示したタンピングアセンブリによるタンピング動作の概略図である。
図4】タンピングアセンブリの概略的な正面図である。
図5】4つのまくらぎの下側を同時に突き固めるためのタンピングアセンブリによるタンピング動作の概略図である。
図6】先行技術によるタンピングゾーン推移を有するタンピング動作の概略図である。
図7】それぞれ異なる深さのタンピングゾーンを有するタンピング動作の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示した機械1は、軌道3のバラスト道床2に支持された複数のまくらぎ4のうちの3つのまくらぎの下側を同時に突き固めるための軌道タンピング機械として形成されている。機械1は、レール走行装置5に支持された機械フレーム6を備えている。この機械フレーム6には、タンピングアセンブリ7が取り付けられている。さらに、機械1は、まくらぎ4とレール9とから形成された軌框を扛上しかつ整正するための扛上/整正ユニット8を備えている。測定システム10によって、瞬時のレール位置が検出される。
【0027】
タンピングアセンブリ7は、位置調整装置11によって機械フレーム6に取り付けられている。タンピングアセンブリ7は、図2に示したように、ガイド13を備えたユニットフレーム12と、複数のタンピングユニット14とを備えている。図示していない変化形態では、各々のタンピングユニット14に、固有のユニットフレーム12が割り当てられている。各々のタンピングユニット14は、割り当てられたガイド13に高さ調整駆動装置16によって高さ調整可能に支持されたツール支持体15を備えている。各々のツール支持体15には、機械長手方向17で互いに対向するタンピングツール18が旋回可能に支持されている。
【0028】
さらに、各々のツール支持体15には、振動駆動装置19が配置されている。この振動駆動装置19には、スクイーズ駆動装置20を介してタンピングツール18が連結されている。図示しない代替的な変化形態では、ツール支持体15と各々のタンピングツール18との間に液圧シリンダが配置されている。この液圧シリンダは、振動駆動装置19としてもスクイーズ駆動装置20としても構成されている。振動発生のために、液圧シリンダには、脈動する液圧が供給されている。スクイーズ動作中、脈動する液圧は、液圧シリンダによって発生させられるスクイーズ圧に重畳する。
【0029】
各々のタンピングツール18は、上側のレバーアームと下側のレバーアームとを有した旋回レバー21を備えている。この旋回レバー21は、割り当てられたツール支持体15に支持されている。上側のレバーアームは、割り当てられたスクイーズ駆動装置20に結合されている。自由な下側のレバーアームには、通常、2つのタンピングピッケル22が取り付けられている。
【0030】
高さ調整駆動装置16は、1つの共通の制御装置23によって制御可能である。この制御装置23には、個々のタンピングユニット14用のそれぞれ異なる降下値が格納されている。各々のツール支持体15の高さ位置を検出するために、各々の高さ調整駆動装置16に移動距離測定装置24が割り当てられている。この移動距離測定装置24は、例えば、ボーデンケーブルセンサを有したケーブルを備えている。これに対して代替的または補足的には、高さ調整駆動装置16に、例えば、液圧シリンダ内のピストンのストローク測定手段としての位置検出手段が組み込まれている。
【0031】
タンピングサイクル中、高さ調整駆動装置16は制御装置23によって、それぞれ異なる降下値に基づき制御される。例えば、各々の降下値は、液圧シリンダとして形成された高さ調整駆動装置16の制御弁がどのくらい長い期間開放されるのかを示している。相応の液圧シリンダのピストンストロークまたはツール支持体15と機械フレーム6との間の達成すべき間隔も、降下値として定義されていてよい。
【0032】
さらに、それぞれ予め設定された降下値に対して閉ループ制御回路を構成することが有利である。この場合には、制御装置23が、各々の高さ調整駆動装置16用の制御信号を発生させる。ツール支持体15またはタンピングピッケル22の生じた位置が、移動距離測定装置24によって連続的に検出され、予め設定された降下値と補償調整される。
【0033】
一改良形態では、バラスト道床2に衝突した際のタンピングピッケル22の抵抗が検出される。このために、各々のタンピングユニット14は、相応のセンサシステムを具備している。例えば、各々のタンピングツール18に加速度センサが配置されている。検出された加速度から、バラスト道床2への衝突以降に各々のタンピングピッケル22が進む降下移動距離が導き出される。これに基づき、1つの共通の高さ基準Rを起点として相応の沈込み深さT,T,Tが直接的に明らかとなる。高さ基準Rとしては、バラスト道床2の予め設定された上限のほか、例えば、上昇した位置における個々のタンピングユニット14の高さ位置が用いられる。
【0034】
1回のタンピングサイクルは、複数の段階に分けられている。第1の段階では、タンピングアセンブリ7が、下側が突き固められるまくらぎ4の上方に位置決めされる。具体的には、タンピングピッケル22が、まくらぎ4同士の間に位置するまくらぎ区画の上方の位置にもたらされる。第2の段階では、ツール支持体15と、このツール支持体15に位置するタンピングツール18との降下が行われる。この場合、振動しているタンピングピッケル22が、バラスト道床2内に沈み込む。本発明によれば、相前後して配置されたタンピングユニット14に、段階付けられた降下値が予め設定されており、これによって、図3に示したように、対応するタンピングピッケル端部が、それぞれ異なる沈込み深さT,T,Tに達する。
【0035】
第3の段階中には、互いに対向するタンピングツール18のタンピングピッケル22を互いに接近させる。この場合、沈込み深さT,T,Tに応じて、バラスト道床2のそれぞれ異なる深さゾーンZ,Z,Zが締め固められる。各々の深さゾーンZ,Z,Zの延在長さは、タンピングピッケル端部に配置されたピッケルプレートの寸法に左右される。具体的には、ピッケルプレートによって、各々の深さゾーンZ,Z,Zに位置するバラスト粒へのタンピングツール18の運動エネルギーの伝達が行われる。この場合、バラスト粒が振動して、流体に類似の状態をとる。その結果、より密な充填と、各々のまくらぎ4の下方へのバラスト粒の移動とが達成される。
【0036】
有利には、沈込み深さT,T,Tを段階付ける際に、各々のピッケルプレートの高さが共に考慮される。この場合、生じる深さゾーンZ,Z,Zは、一番下側の深さゾーンZが、緩い道床層の下限に達するように規定されている。この緩い道床層の高さは、軌道の状態(新層、旧層)と、新バラストの量と、軌框の扛上とに左右される。一番少ない沈込み深さTは、一番上側の深さゾーンZが、割り当てられたまくらぎの下にまで達するように選択される。
【0037】
タンピングサイクルの第4の段階では、タンピングピッケル22が、スクイーズ駆動装置20によって戻され、ツール支持体15の上昇によってバラスト道床2から引き出される。タンピングピッケル22がまくらぎ上縁を越えて上昇すると、タンピングアセンブリ7が作業方向25に前進し、新たなタンピングサイクルが開始される。
【0038】
図3には、連続して実施された3回のタンピングサイクルのそれぞれ第3の段階の終了時点が示してある。上側の図における最初のタンピングサイクル中には、3つのまくらぎ4の下側が、ハッチングして図示したそれぞれ異なる深さゾーンZ,Z,Zで相前後して突き固められる。前方のタンピングユニット14は、一番深く降下させられており、一番下側の深さゾーンZを加工している。中間のタンピングユニット14は、中間の深さゾーンZを加工しており、後方のタンピングユニット14は、まくらぎ4のすぐ下に位置する一番上側の深さゾーンZを加工している。
【0039】
真ん中の図における次のタンピングサイクルのために、タンピングアセンブリ7は、1まくらぎピッチtだけ作業方向25にさらに移動している。この場合、中間のタンピングユニット14が、前方のタンピングユニット14によって予め下側が突き固められたまくらぎ4の下側を突き固めている。したがって、一番下側の深さゾーンZで加工が行われた後、このまくらぎ4の下方のバラスト道床2が、いまや、中間の深さゾーンZで加工される。後方のタンピングユニット14によって、相応のまくらぎ4の下側が、すでに第3の一番上側の深さゾーンZで突き固められる。すでに完全に下側が突き固められた全てのまくらぎ4の下方には、3つの重畳した深さゾーンZ~Zから形成された締固め領域Vが位置している。
【0040】
したがって、各々の締固め領域Vは、予め設定されたそれぞれ異なる沈込み深さT~Tから生じる。これらの沈込み深さT~Tは、制御装置23に格納された、個々のタンピングユニット14用の降下値から結果的に生じる。
【0041】
図4に示した例示的な構成において明らかであるように、軌道3の各々のレール9には、互いに別個に降下可能な2つのタンピングユニット14が割り当てられている。したがって、タンピングアセンブリ7は、各々の列に相並んで配置された4つのタンピングユニット14を備えている。簡略化された変化形態(図示せず)では、各々のレール9に、レール内側のタンピングツール18とレール外側のタンピングツール18とを備えた複合型のタンピングユニット14が割り当てられている。まくらぎ4の下側を突き固めるために、1列に相並んで配置されたタンピングユニット14が設けられている。これらのタンピングユニット14はスクイーズグループを形成している。このスクイーズグループのタンピングピッケル22は、1つの共通の沈込み深さT,T,Tに降下され、一緒に接近させられる。
【0042】
図5には、相前後して配置された4つのタンピングユニット14によるタンピング動作が示してある。この場合、2つの前方のタンピングユニット14または列がまとめられて、1つの前方の降下グループ26を形成しており、2つの後方のタンピングユニット14または列がまとめられて、1つの後方の降下グループ26を形成している。両方の降下グループ26は、1回のタンピングサイクル中に互いに異なるタンピング深さT,Tに降下させられる。前方の降下グループ26は、バラスト道床2を下側の深さゾーンZにおいて加工する。まくらぎ4のすぐ下に位置する上側の深さのゾーンZは、後方の降下グループ26によって加工される。
【0043】
上側の図における最初のタンピングサイクル後、タンピングアセンブリは、2まくらぎピッチtだけ前方に移動する。したがって、この構成でも、タンピングアセンブリ7が作業方向25にさらに移動する分のまくらぎ4の数は、相前後して配置されたタンピングユニット14の数よりも少ない。作業方向25への前進のために、機械1は、機械制御装置28により制御される走行駆動装置27を備えている。有利には、機械制御装置28は制御装置23に接続されており、これによって、タンピングユニット14の上下運動とタンピングアセンブリ7の前進とが、自動的に互いに調和する。
【0044】
図5の下側の図には、続くタンピングサイクルの第3の段階の終了時点が示してある。後方の降下グループ26は、相応のまくらぎ4の下方の締固め領域Vでの締固めを終了している。前方の降下グループ26は、下側の深さゾーンTでの2つの後続のまくらぎ4の下側の突固めを開始している。この方法は、ゾーンごとの下側の突固めを、2倍のまくらぎピッチt分の周期的な前進に基づき、高められた加工速度と組み合わせている。
【0045】
代替的な方法では、周期的な前進を1まくらぎピッチtへと減らし、その際、より細かく段階付けられた4つの沈込み深さを設けることが有利であり得る。この変化形態は、軌框の扛上が大きい場合またはバラスト道床2の敷き材が比較的緩い新層の場合に有利である。こうして、鉛直方向の大きな延在長さを有する締固め領域Vの、質的に価値の高い締固めが行われる。
【0046】
本発明に係る方法の改良形態では、それぞれ異なる沈込み深さT~Tが、扛上値に応じて予め設定される。この場合、扛上/整正ユニット8を制御するための扛上値が、タンピングアセンブリ7の制御装置23にも供給されている。代替的な特徴では、瞬時の実際扛上値が、測定システム10によって検出され、制御装置23に報知される。
【0047】
例えば、扛上値がより高い場合の沈込み深さT~Tに対して、鉛直方向における締固め領域Vを増加させるために、より大きな段階付けが選択される。特に、予め設定された扛上値に応じた降下グループ26の形成が有利である。例えば、4つのまくらぎ4の下側を同時に突き固めるために、上述した両方の方法のうちのどちらの方法がタンピングアセンブリ7によって実施されるのかが、扛上値に基づき決定される。この場合、2つの降下グループ26に対する2つの沈込み深さT,Tまたはより細かく段階付けられた4つの沈込み深さが予め設定される。
【0048】
図6には、3つのまくらぎ4の下側を同時に突き固めるためのタンピングアセンブリによる従来のタンピング動作が示してある。先行技術によれば、全てのタンピングピッケル22を、1つの共通の沈込み深さTに降下させ、1つの深さゾーンで互いに接近させる。その後、タンピングアセンブリ7を、3まくらぎピッチtだけ前進させる。したがって、1回の連続作業後に全てのまくらぎ4の下側が1回だけ突き固められている。
【0049】
また、タンピングピッケル22を同一のまくらぎ区画内に2回以上降下させ、互いに接近させ、その後、次のまくらぎ4への後続走行が行われる、いわゆる多重タンピングも知られている。この方法でも、タンピングピッケル22は、締固め領域Vの大きさに影響を与えることなしに、常に同一の深さゾーンに作用する。
【0050】
これに対して、図7には、本発明に係る方法が示してある。本発明に係る方法では、ほぼ均一に段階付けられたそれぞれ異なる沈込み深さT~Tが設けられている。各々のまくらぎ4の下側は、連続して3つの異なる深さゾーンZ~Zにおいて突き固められる。一番前方のタンピングユニット14の下方のまくらぎ4の下側が、まず、一番深いゾーンZにおいて突き固められる。作業方向25と逆方向の2まくらぎピッチtだけ、すでに相応のまくらぎ4の下側の最終的な締固めが行われている。こうして、3つのまくらぎ4にわたる締固め領域Vの、勾配状に段階付けられた構造が生じる。この場合、締固め領域Vの高さは、従来の方法よりも著しく大きい。さらに、均一な締固め推移に基づき、特に均質なかつ安定したバラスト道床2と、持続的な軌道位置とが結果的に得られる。
【0051】
さらに、各々の道床層に対する締固めエネルギーの適合が行われる。こうして、有利には、各々のタンピングユニット14が、固有の振動パラメータおよびスクイーズパラメータで運転される。より深い道床層には、例えば、より大きな振動エネルギーが供給される。なぜならば、側方へのバラストの流出の危険がより少ないからである。さらに、より高いスクイーズ圧が有利であり得る。なぜならば、より深い層では、より高い対抗圧が生じるからである。いずれにせよ、複数のまくらぎ4にわたってそれぞれ異なる深さゾーンT~Tにおいて行われる締固め動作は、互いに調和している。したがって、本発明に係る方法によって、鉛直方向にも、作業方向25にも、バラスト道床2の均一な締固め構造が得られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】