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特表2023-531810タンピングアセンブリを備えた機械および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】タンピングアセンブリを備えた機械および方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/16 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
E01B27/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581491
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2021064804
(87)【国際公開番号】W WO2022002520
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】A50566/2020
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ホーフシュテッター
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057CB04
(57)【要約】
本発明は、タンピングアセンブリ(7)を備えた機械(1)であって、タンピングアセンブリ(7)は、軌道(3)の、直接相前後して位置決めされた複数のまくらぎ(4)の下側を、機械長手方向(17)に関して相前後して配置された複数のタンピングユニット(14)によって同時に突き固めるためのものであり、各々のタンピングユニット(14)は、高さ調整可能なツール支持体(15)を備え、このツール支持体(15)に、互いに対向するタンピングツール(18)が支持されており、このタンピングツール(18)は、スクイーズシリンダ(20)を介して、ツール支持体(15)に配置された振動駆動装置(19)に連結されている、機械(1)に関する。本発明では、各々の振動駆動装置(19)は、第1の偏心ディスク(27)と第2の偏心ディスク(28)とを備えた偏心軸(25)を備え、第1および第2の偏心ディスク(27,28)の対称軸線(29,30)と、1つの共通の回転軸線(25)とが、互いに相対角度(δ)を成す2つの偏心平面(31,32)を展開しており、第1の偏心ディスク(27)に第1のスクイーズシリンダ(20)が支持されており、第2の偏心ディスク(30)に、対向する第2のスクイーズシリンダ(20)が支持されており、互いに対向するスクイーズシリンダ(20)のシリンダ軸線(33)が、偏心平面(31,32)の相対角度(δ)に近似する位置角度(β)を成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンピングアセンブリ(7)を備えた機械(1)であって、前記タンピングアセンブリ(7)は、軌道(3)の、直接相前後して位置決めされた複数のまくらぎ(4)の下側を、機械長手方向(17)に関して相前後して配置された複数のタンピングユニット(14)によって同時に突き固めるためのものであり、各々のタンピングユニット(14)は、高さ調整可能なツール支持体(15)を備え、該ツール支持体(15)に、互いに対向するタンピングツール(18)が支持されており、該タンピングツール(18)は、スクイーズシリンダ(20)を介して、前記ツール支持体(15)に配置された振動駆動装置(19)に連結されている、機械(1)において、
各々の前記振動駆動装置(19)は、第1の偏心ディスク(27)と第2の偏心ディスク(28)とを備えた偏心軸(25)を備え、前記第1および前記第2の偏心ディスク(27,28)の対称軸線(29,30)と、1つの共通の回転軸線(25)とが、互いに相対角度(δ)を成す2つの偏心平面(31,32)を展開しており、前記第1の偏心ディスク(27)に第1のスクイーズシリンダ(20)が支持されており、前記第2の偏心ディスク(28)に、対向する第2のスクイーズシリンダ(20)が支持されており、互いに対向する前記スクイーズシリンダ(20)のシリンダ軸線(33)が、前記偏心平面(31,32)の前記相対角度(δ)に近似する位置角度(β)を成していることを特徴とする、機械(1)。
【請求項2】
各々のタンピングユニット(14)は、少なくとも1つのスクイーズシリンダ(20)を備え、該スクイーズシリンダ(20)のシリンダ軸線(33)は、特に水平線に対して20°よりも大きな傾斜角度(α)で斜め下向きに向けられていることを特徴とする、請求項1記載の機械(1)。
【請求項3】
各々の前記偏心軸(25)は、弾み質量体(34)に結合されていることを特徴とする、請求項1または2記載の機械(1)。
【請求項4】
前記偏心軸(25)と前記弾み質量体(34)とは、前記回転軸線(26)を基準として両方の前記偏心ディスク(27,28)の前記対称軸線(29,30)と反対側に位置する質量重心(35)を有する回転ユニットを形成していることを特徴とする、請求項3記載の機械(1)。
【請求項5】
前記タンピングアセンブリ(7)は、互いに非対称に配置されたスクイーズシリンダ(20)を備えた前方および後方のタンピングユニット(14)と、互いに対称に配置されたスクイーズシリンダ(20)を備えた中間のタンピングユニット(14)とを備えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の機械(1)。
【請求項6】
前記前方および前記後方のタンピングユニット(14)は、互いに異なる偏心量(e,e)を有するそれぞれ1つの偏心軸(25)を有することを特徴とする、請求項5記載の機械(1)。
【請求項7】
前記前方および前記後方のタンピングユニット(14)は、それぞれ互いに対向するタンピングツール(18)を有し、該タンピングツール(18)は、鉛直方向で離間した旋回支持体(22)によって、割り当てられた前記ツール支持体(15)に支持されていることを特徴とする、請求項5または6記載の機械(1)。
【請求項8】
前記前方および前記後方のタンピングユニット(14)は、前記中間のタンピングユニット(14)に臨むそれぞれ1つの半体を有し、該半体は、前記中間のタンピングユニット(14)の対称半体に相応に構成されていることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項記載の機械(1)。
【請求項9】
前記中間のタンピングユニット(14)と、前記前方および前記後方のタンピングユニット(14)の、前記中間のタンピングユニット(14)に臨む前記半体とは、それぞれ第1のスクイーズ圧システム(39)に接続されており、前記前方および前記後方のタンピングユニット(14)の、前記中間のタンピングユニット(14)と反対側の前記半体は、それぞれ第2のスクイーズ圧システム(40)に接続されていることを特徴とする、請求項8記載の機械(1)。
【請求項10】
各々の前記前方または前記後方のタンピングユニット(14)の、前記中間のタンピングユニット(14)と反対側の半体が、より大きなストロークを伴うスクイーズシリンダ(20)を備え、これによって、2丁継ぎまくらぎの下側が突き固められることを特徴とする、請求項8または9記載の機械(1)。
【請求項11】
前記機械長手方向(17)に対して横方向において、相並んで配置された複数のタンピングツール(18)は、割り当てられたスクイーズシリンダ(20)を含めて、一緒に制御可能なスクイーズグループを形成していることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の機械(1)。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の機械(1)を運転するための方法において、
各々の前記タンピングユニット(14)の前記振動駆動装置(19)と前記スクイーズシリンダ(20)とを、該スクイーズ駆動装置(20)の前記位置角度(β)が、割り当てられた前記偏心軸(25)の前記偏心平面(31,32)の前記相対角度(δ)付近の範囲内で変動するように制御することを特徴とする、方法。
【請求項13】
各々の偏心軸(25)を、割り当てられた振動駆動モータ(37)によって駆動し、全ての振動駆動モータ(37)を、同期的な運転のために、1つの共通の制御装置(38)によって制御することを特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記機械長手方向(17)に対して横方向に相並んで配置されたスクイーズグループを1つの共通の制御信号によって制御することを特徴とする、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
スクイーズ動作中、前記中間のタンピングユニット(14)と、前記前方および前記後方のタンピングユニット(14)の、前記中間のタンピングユニット(14)に臨む前記半体とに、それぞれ第1のスクイーズ圧を加え、前記前方および前記後方のタンピングユニット(14)の、前記中間のタンピングユニット(14)と反対側の前記半体に、それぞれ第2のスクイーズ圧を加えることを特徴とする、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンピングアセンブリを備えた機械であって、タンピングアセンブリは、軌道の、直接相前後して位置決めされた複数のまくらぎの下側を、機械長手方向に関して直接相前後して配置された複数のタンピングユニットによって同時に突き固めるためのものであり、各々のタンピングユニットは、高さ調整可能なツール支持体を備え、このツール支持体に、互いに対向するタンピングツールが支持されており、このタンピングツールは、スクイーズシリンダを介して、ツール支持体に配置された振動駆動装置に連結されている、機械に関する。さらに、本発明は、機械を運転するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
予め設定された軌道位置を復原または維持するために、バラスト道床を含む軌道は、規則的にタンピング機械によって加工される。この場合、このタンピング機械が軌道を走行し、まくらぎとレールとから形成された軌框を扛上/整正ユニットによって目標レベルに扛上する。新たな軌道位置の固定は、タンピングアセンブリを用いてまくらぎの下側を突き固めることによって行われる。タンピングアセンブリは、タンピングピッケルを備えたタンピングツールを備えている。タンピングピッケルは、タンピング動作時に振動負荷されてバラスト道床内に沈み込み、互いに接近させられる。この場合、バラストが、各々のまくらぎの下方で締め固められる。
【0003】
特に軌道タンピング機械は、複数のまくらぎの下側を同時に突き固めるために、タンピングアセンブリを使用する。これにより達成される高い加工速度によって、1つの軌道の連続作業が短い保守間合で可能となる。さらに、現代のタンピング機械は、タンピングアセンブリのほか、バラストに対する摩耗作用が少ない点で優れている。
【0004】
オーストリア国特許出願公開第513034号明細書に基づき、相前後して配置された少なくとも2つのタンピングユニットを備えた冒頭に記載した機械が公知である。各々のタンピングユニットは、1つの共通のユニット支持体に高さ調整可能に配置されている。1回のタンピングサイクルは、タンピングユニットを一緒に降下させることによって開始される。この場合、機械長手方向において互いに隣り合ったまくらぎの下側を突き固めるための互いに隣接したタンピングユニットのこういった一緒の降下は、時間的な遅れを伴って行われる。これによって、特に、1つの共通のまくらぎ区画内に沈み込む直接隣り合ったタンピングピッケルの沈込みが容易になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底にある課題は、冒頭に記載した形態の機械を改良して、減じられた摩耗作用に対して付加的に少ない騒音放出を達成することである。さらに、改善された機械を運転するための相応の方法を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、独立請求項1および12の特徴によって解決される。従属請求項には、本発明の有利な構成が記載してある。
【0007】
本発明では、各々の振動駆動装置は、第1の偏心ディスクと第2の偏心ディスクとを備えた偏心軸を備え、第1および第2の偏心ディスクの対称軸線と、1つの共通の回転軸線とが、互いに相対角度を成す2つの偏心平面を展開しており、第1の偏心ディスクに第1のスクイーズシリンダが支持されており、第2の偏心ディスクに、対向する第2のスクイーズシリンダが支持されており、互いに対向するスクイーズシリンダのシリンダ軸線が、偏心平面の相対角度に近似する位置角度を成している。こうして、偏心ディスクの角度位置とスクイーズシリンダの角度位置とが互いに調和されており、これによって、振動するアセンブリ部分において質量補償が達成される。特に、同期的に振動するタンピングツールの慣性力が相殺される。これによって、タンピングアセンブリがより静粛に運転される。
【0008】
スクイーズシリンダは水平方向に向けられていない。これによって、相対角度は180°に等しくない。斜めに枢着されたスクイーズシリンダでは、本発明による配置によって、タンピングツールが同期的な反転で最適に振動する。具体的には、互いに対向する両方のタンピングツールの振動が、各々の反転点への同時の到達を生じさせる位相シフトを受ける。タンピングツールの振動する質量とスクイーズシリンダの振動する部分質量との加速力および減速力が互いに相殺される。
【0009】
タンピングツールの下側の自由端部に配置されたタンピングピッケルは、互いに相応に同期して最大の相対運動で振動する。これによって、ツール支持体と、割り当てられたユニットサスペンションとに厄介な反応振動が生じることなしに、バラスト道床内への最大のエネルギ入力が行われる。したがって、アセンブリと機械との振動負荷が少なくなる。このことは、タンピングアセンブリの構成要素のほか、締め固めるべきバラスト道床のバラスト粒も保護する。バラスト道床内への目標に即した振動供給と、質量補償とが一緒になることで、公知の構造形態のタンピングアセンブリに比べて、騒音放出が減少する。
【0010】
有利には、各々のタンピングユニットは、少なくとも1つのスクイーズシリンダを備え、このスクイーズシリンダのシリンダ軸線は、特に水平線に対して20°よりも大きな傾斜角度で斜め下向きに向けられている。こうして、機械長手方向での個々のタンピングユニットの特に狭幅の構造形態が可能となる。これによって、小さなまくらぎピッチを有する軌道も全てのタンピングユニットによって同時に加工可能となる。
【0011】
有利な改良形態では、各々の偏心軸は、弾み質量体に結合されている。運転中、偏心軸は弾み質量体と一緒に、予め設定された回転数で駆動される。その際、弾み質量体が回転数に安定化作用を与える。具体的には、振動するスクイーズシリンダおよびタンピングツールの、振動サイクル中に反作用するモーメントが、弾み質量体に一時的に蓄えられる運動エネルギによって補償される。この場合、タンピングツールの振動振幅は、バラスト道床の剛性に左右されずに維持され続ける。
【0012】
質量補償をさらに改善するために、偏心軸と弾み質量体とから形成された回転ユニットは、1つの共通の質量重心が、回転軸線を基準として両方の偏心ディスクの対称軸線と反対側に位置するように構成されている。こうして、回転ユニットが、互いに対向するタンピングツールのスクイーズシリンダの、運動する質量に対する補償質量として作用する。
【0013】
本発明の有利な特徴では、タンピングアセンブリは、機械長手方向に関して、互いに非対称に配置されたスクイーズシリンダを備えた前方および後方のタンピングユニットと、互いに対称に配置されたスクイーズシリンダを備えた中間のタンピングユニットとを備えている。この中間のタンピングユニットは、特に狭幅の構造形態を有しており、これによって、小さなまくらぎ間隔を有するまくらぎの下側も同時に突き固めることができる。前方および後方のタンピングユニットは、中間のタンピングユニットに臨む半体に同じく狭幅の構造形態を有している。前方および後方のタンピングユニットの、中間のタンピングユニットと反対側の半体は、互いに対向するタンピングツールの間でより大きな開き幅を得るために、より広幅の構造形態を使用している。
【0014】
この発明特徴では、前方および後方のタンピングユニットが、互いに異なる偏心量を有するそれぞれ1つの偏心軸を有すると有利である。この場合、自由に振動するタンピングピッケル端部の振動振幅が同じ大きさになるようにするために、互いに対向するタンピングツールの互いに異なるてこ比と、互いに異なる偏心量とが、互いに調和されている。
【0015】
有利には、前方および後方のタンピングユニットの、それぞれ互いに対向するタンピングツールは、鉛直方向で離間した旋回支持体によって、割り当てられたツール支持体に支持されている。好ましくは、中間のタンピングユニットに臨むタンピングツールの支持体は、より深く配置されており、これによって、てこ比を変えずに、より狭幅の構造形態が得られる。
【0016】
さらに、前方および後方のタンピングユニットが、中間のタンピングユニットに臨むそれぞれ1つの半体を有し、この半体が、中間のタンピングユニットの対称半体に相応に構成されていると有利である。これによって、タンピングアセンブリの構造が簡単になり、個別のタンピングユニットの制御が容易になる。さらに、様々な交換部材の数が減少する。
【0017】
有利には、中間のタンピングユニットと、前方および後方のタンピングユニットの、中間のタンピングユニットに臨む半体とは、それぞれ第1のスクイーズ圧システムに接続されており、前方および後方のタンピングユニットの、中間のタンピングユニットと反対側の半体は、それぞれ第2のスクイーズ圧システムに接続されている。互いに異なるスクイーズ圧システムによって、全てのタンピングツールに対して等しい静的なスクイーズ力および動的なスクイーズ力が実現される。
【0018】
別の改善形態は、各々の前方または後方のタンピングユニットの、中間のタンピングユニットと反対側の半体が、より大きなストロークを伴うスクイーズシリンダを備え、これによって、2丁継ぎまくらぎの下側が突き固められることを特定している。こうして、タンピングアセンブリが自在に使用可能となり、軌道区間に生じる全てのまくらぎ配置形態を加工することができる。
【0019】
さらに、機械長手方向に対して横方向において、相並んで配置された複数のタンピングツールが、割り当てられたスクイーズシリンダを含めて、一緒に制御可能なスクイーズグループを形成していると有利である。このことは、相並んで配置された、軌道の両方のレールの両側のまくらぎの下側を突き固めるタンピングユニットに該当する。運転中、スクイーズグループの一緒の制御が行われ、これによって、まくらぎに沿って均一な締固め動作が確保される。
【0020】
前述した機械を運転するための本発明に係る方法では、各々のタンピングユニットの振動駆動装置とスクイーズシリンダとを、このスクイーズ駆動装置の位置角度が、割り当てられた偏心軸の偏心平面の相対角度付近の範囲内で変動するように制御する。こうして、タンピング動作中、瞬時の位置角度が相対角度に近似し続ける。特にスクイーズ駆動装置の中間の旋回位置において、位置角度が相対角度に相当する。この場合、各々のタンピングアセンブリの振動する質量が、相応に同期的に振動する。これによって、質量補償が達成される。このことは、ユニットの負荷と騒音発生とを最小限に抑える。
【0021】
方法の改良形態は、各々の偏心軸を、割り当てられた振動駆動モータによって駆動し、全ての振動駆動モータを、同期的な運転のために、1つの共通の制御装置によって制御することを特定している。これによって、タンピングユニットの振動運動が互いに調和され、タンピングユニット全体の作動の円滑さが最適化される。
【0022】
さらに、各々の偏心軸を、割り当てられたタンピングユニットの高さ位置に応じて、可変の回転数で駆動すると有利である。タンピング動作前には、全てのタンピングユニットは軌道の上方で出発位置に位置している。この位置では、騒音発生をさらに減らすために、各々の偏心軸の回転数は減じられたままである。高さ位置を降下動作の途中に変化させて初めて、沈込み動作中にスクイーズ動作中よりも大きい作業回転数への増加が行われる。
【0023】
別の改善形態は、機械長手方向に対して横方向に相並んで配置されたスクイーズグループを1つの共通の制御信号によって制御することを特定している。こうして、1つのまくらぎに沿って均一な締固め動作が行われる。
【0024】
有利には、スクイーズ動作中、中間のタンピングユニットと、前方および後方のタンピングユニットの、中間のタンピングユニットに臨む半体とに、それぞれ第1のスクイーズ圧を加え、前方および後方のタンピングユニットの、中間のタンピングユニットと反対側の半体に、それぞれ第2のスクイーズ圧を加える。互いに異なるスクイーズ圧によって、全てのタンピングツールに対して等しい静的なスクイーズ力および動的なスクイーズ力が実現される。
【0025】
以下に、本発明を添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】タンピングアセンブリを備えた機械の概略図である。
図2】3つのまくらぎの下側を同時に突き固めるためのタンピングアセンブリの概略的な側面図である。
図3】中間のタンピングユニットの概略的な側面図である。
図4図3による運動学の概略図である。
図5】複数の作業位置における図3による運動学の概略図である。
図6】前方および後方のタンピングユニットの概略的な側面図である。
図7図6による運動学の概略図である。
図8】複数の作業位置における図6による運動学の概略図である。
図9】偏心軸の概略的な側面図である。
図10】偏心軸の概略的な平面図である。
図11】タンピングアセンブリの概略的な正面図である。
図12】4つのまくらぎの下側を同時に突き固めるためのタンピングアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示した機械1は、軌道3のバラスト道床2に支持された複数のまくらぎ4のうちの3つのまくらぎの下側を同時に突き固めるための軌道タンピング機械として形成されている。機械1は、レール走行装置5に支持された機械フレーム6を備えている。この機械フレーム6には、タンピングアセンブリ7が取り付けられている。さらに、機械1は、まくらぎ4とレール9とから形成された軌框を扛上しかつ整正するための扛上/整正ユニット8を備えている。測定システム10によって、瞬時のレール位置が検出される。
【0028】
タンピングアセンブリ7は、位置調整装置11によって機械フレーム6に取り付けられている。タンピングアセンブリ7は、ガイド13を備えたユニットフレーム12と、複数のタンピングユニット14とを備えている。図示していない変化形態では、各々のタンピングユニット14に、固有のユニットフレーム12が割り当てられている。各々のタンピングユニット14は、割り当てられたガイド13に高さ調整駆動装置16によって高さ調整可能に支持されたツール支持体15を備えている。各々のツール支持体15には、機械長手方向17で互いに対向するタンピングツール18が旋回可能に支持されている。
【0029】
さらに、各々のツール支持体15には、振動駆動装置19が配置されている。この振動駆動装置19には、スクイーズシリンダ20を介してタンピングツール18が連結されている。各々のタンピングツール18は、上側のレバーアームと下側のレバーアームとを備えた旋回レバー21を備えている。この旋回レバー21は、割り当てられたツール支持体15に旋回支持体22によって支持されている。上側のレバーアームは、割り当てられたスクイーズシリンダ20に結合されている。自由な下側のレバーアームには、通常、2つのタンピングピッケル23が取り付けられている。
【0030】
各々のタンピングユニット14の互いに対向するタンピングピッケル23は、出発位置(図2)では、中央の鉛直平面24に対して互いに等しい間隔を有している。相前後して配置されたタンピングユニット14の中央の鉛直平面24同士の間の間隔は、下側が突き固められるまくらぎ4の最小のまくらぎピッチtに相当している。したがって、機械長手方向17におけるタンピングユニット14の寸法設定は、この最小のまくらぎピッチtに左右される。
【0031】
前方のタンピングユニット14と後方のタンピングユニット14との間に配置された中間のタンピングユニット14は、機械長手方向17において狭幅の構造形態を有している。この要求は、斜め下向きに向けられたスクイーズシリンダ20によって達成される。前方および後方のタンピングユニット14では、中間のタンピングユニット14に臨む半体のみが相応に形成されている。他方の半体は、ほぼ水平方向に向けられたスクイーズシリンダ20を有している。こうして、割り当てられたタンピングツール18のより大きな旋回範囲が付与されている。これにより達成することができる、互いに対向するタンピングピッケル23の間の開き幅の増加によって、より大きなまくらぎピッチtまたは下側が突き固められる2丁継ぎまくらぎへの適合が可能となる。
【0032】
図3図5に基づき、中間のタンピングユニット14の構造を詳しく説明する。図4には、図3に示したタンピングユニット14の運動学的なモデルが示してある。図5には、この運動学的なモデル3が3つの作業位置で示してある。ツール支持体15には、振動駆動装置19の偏心軸25が支持されている。運転中、この偏心軸25は、回転軸線26を中心として回転する。偏心軸25は、互いにずらされた2つの偏心ディスク27,28を備えている。これら2つの偏心ディスク27,28の対称軸線29,30は、回転軸線26に対して各々の偏心量e,eを有している。
【0033】
さらに、対称軸線29,30と回転軸線26とは、互いに相対角度δを成す2つの偏心平面31,32を展開している。スクイーズシリンダ20のシリンダ軸線33は、位置角度βを成している。中間のタンピングユニット14では、互いに対向するスクイーズシリンダ20が対称に配置されている。各々のシリンダ軸線33は、水平線に対して傾斜角度αで斜め下向きに傾けられている。この傾斜角度αは少なくとも20°である。理想的には、傾斜角度αは、30°~50°の範囲内に規定されており、これによって、狭幅の構造形態に加えて、最適な力伝達が確保される。
【0034】
タンピング動作中、傾斜角度αおよび位置角度βは、振動運動およびスクイーズ運動に基づき僅かに変化する。より理解しやすくするために、図5には、偏心軸25が静止している際のスクイーズシリンダ20のそれぞれ異なる位置が示してある。実線は、タンピングツール18のスクイーズ位置を示している。図示の位置では、シリンダ軸線33が偏心平面31,32内に位置しており、これによって、位置角度βが相対角度δに等しくなっている。また、より理解しやすくするために、偏心量e,eが、残りの寸法に比べて過度に大きく図示してある。偏心軸25の1回転中に生じる、スクイーズシリンダ20の枢着点の円形の運動は、図面では考慮されないままである。シリンダ軸線33の位置変化に対する円形の運動の影響は、ピストン移動によって生じるスクイーズ運動の影響に対して無視することができる。
【0035】
運転に際して偏心軸25が回転し始めると、偏心平面31,32も相対角度δ不変のまま一緒に回転する。位置角度βは、タンピングユニット14の運動学的な構成とピストンストロークとに関連する範囲βmin~βmax内で変化する。スクイーズ動作中、スクイーズシリンダ20は、偏心ディスク27,28の対称軸線29,30を中心として僅かに旋回する。図5には、両方の極端位置が、それぞれ破線および一点鎖線で示してある。位置角度βの値は、常に相対角度δの値に近似したままである。タンピングユニット14の最適な運動学的な構成では、運転中の相対角度δの値が、常に位置角度βの値範囲βmin~βmax内にある。
【0036】
前方および後方のタンピングユニット14に対して、相応する運動学的な関係が図6図8に示してある。同図では、中間のタンピングユニット14と異なり、スクイーズシリンダ20およびタンピングツール18が非対称に配置されている。互いに異なるスクイーズシリンダ20に割り当てられた旋回レバー21は、相応して適合されている。中間のタンピングユニット14に臨む側では、スクイーズシリンダ20のシリンダ軸線33は、水平線に対して傾斜角度αで斜め下向きに向けられている。
【0037】
図8において明らかであるように、各々の旋回範囲に対する両方のスクイーズシリンダ20の中間位置は同時には生じない。図示のスクイーズ位置(実線)では、短い方のスクイーズシリンダ20が中間位置にあり、長い方のスクイーズシリンダ20は、下方に旋回した終端位置にある。この位置において、最小の位置角度βminが生じる。タンピングツール18の戻り運動中、長い方のスクイーズシリンダ20は、位置角度βが偏心軸25の相対角度δの値に相当する中間位置を通過する。戻りが行われた後、位置角度βは、最大の値βmaxを有している。したがって、位置角度βの値は、スクイーズおよび戻し運動中、偏心平面31,32の相対角度δの値付近の範囲βmin~βmax内で変動する。
【0038】
両方の側でほぼ等しいてこ伝達比を確保するために、旋回支持体22は、鉛直方向で互いに離間してツール支持体15に配置されている。ほぼ水平方向に向けられたスクイーズシリンダ20のより長い構造形態によって、より大きなスクイーズストロークが可能となる。これによって、位置角度βが、より大きな値範囲βmin~βmax内で変動する。
【0039】
図9および図10には、前方または後方のタンピングユニット14用の偏心軸25が詳細に示してある。図10に示した断面図に対して、切断案内線は図9において明らかである。第1の偏心ディスク27は、偏心軸25に沿って中間に配置されている。この第1の偏心ディスク27には、斜め下向きに向けられた短い方のスクイーズシリンダ20が支持されている。第2の偏心ディスク28は二分割されており、部分偏心ディスクは、第1の偏心ディスク27の両方の側に配置されている。第2の偏心ディスク28には、長い方のスクイーズシリンダ20がフォーク状の端部でもって支持されている。両方のスクイーズシリンダ20は、図9図10に一点鎖線で示してある。
【0040】
図示の位置では、スクイーズシリンダ20のシリンダ軸線33は、偏心平面31,32に含まれている。この場合、両方のスクイーズシリンダ20の振動の揺れ(Vibrationsschwingung)が、外側の反転点に同時に達する。偏心軸25が引き続き回転すると、スクイーズシリンダ20の、偏心ディスク27,28に支持された端部が、逆方向に運動する。同期的な振動の揺れによって、振動する質量が十分に補償される。このことは、特に同期振動するタンピングピッケル23に当てはまる。
【0041】
質量補償は、偏心軸25と共に同一の回転軸線26を中心として回転する弾み質量体34によって強化される。偏心軸と弾み質量体34とは、両方の偏心平面31,32の対称平面36にほぼ位置する質量重心35を有する回転ユニットを形成している。質量重心35は、回転軸線26から離間しており、両方の偏心ディスク27,28の対称軸線29,30と反対側に位置している。偏心した質量重心35を有する弾み質量体34は、振動するスクイーズシリンダ20の慣性力に抗して作用する。弾み質量体34の寸法設定は、スクイーズシリンダ20の質量に合わせて調整されている。例えば、弾み質量体34はディスクとして形成されている。このディスクは、偏心した質量重心35を得るために、一箇所で平坦にされているかまたは溝を有している。
【0042】
前方または後方のタンピングユニット14用の図示の偏心軸25では、互いに異なる大きさの偏心量e,eによって、タンピングピッケル23の自由端部における振幅が等しくなっている。中間のタンピングユニット14用の偏心軸25では、対称な配置に基づき、両方の偏心量e,eは等しい大きさとなっている。
【0043】
図11において明らかであるように、軌道3の各々のレール9には、互いに別個に降下可能な2つのタンピングユニット14が割り当てられている。したがって、タンピングアセンブリ7は、1列に相並んで配置された4つのタンピングユニット14を備えている。各々のタンピングユニット14では、対応する偏心軸25が振動駆動モータ37によって駆動される。全ての振動駆動モータ37は、1つの共通の制御装置38によって制御され、これによって、同期的な運転が確保される。こうして、個別のタンピングユニット14の振動が互いに相殺される。これによって、タンピングアセンブリ7から機械フレーム6に伝達される振動が最小限に抑えられる。
【0044】
簡略化された変化形態(図示せず)では、各々のレール9に、レール内側のタンピングツール18とレール外側のタンピングツール18とを備えた複合型のタンピングユニット14が割り当てられている。この場合、タンピングアセンブリ7は、1列に相並んで配置された2つの複合型のタンピングユニット14を備えている。
【0045】
まくらぎ4の下側を突き固めるために、相並んで配置されたタンピングユニット14は、スクイーズグループを形成している。このスクイーズグループのタンピングピッケル23は一緒に降下され、一緒に接近させられる(1列あたり2つのスクイーズグループ)。直接相前後して配置された4列のタンピングユニット14を備えたタンピングアセンブリ7が、図12に示してある。同図では、それぞれ一緒に制御される8つのスクイーズグループが生じる。中間のタンピングユニット14のスクイーズグループと、このスクイーズグループに臨む、前方および後方のタンピングユニット14のスクイーズグループとは、第1のスクイーズ圧システム39によって圧力供給される。前方のスクイーズグループと後方のスクイーズグループとは、第2のスクイーズ圧システム40によって圧力供給される。
【0046】
こうして、スクイーズ動作中、それぞれ異なる寸法に設定されたスクイーズグループにそれぞれ異なるスクイーズ圧が加えられる。これらのスクイーズ圧は、全てのタンピングピッケル23に対して等しい静的なスクイーズ力および動的なスクイーズ力が生じるように互いに調整されている。まくらぎ4に沿った均一なスクイーズ動作のために、各々のスクイーズグループは、1つの共通の制御信号によって制御される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】