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特表2023-531819超生理的身体関節運動を特定するための解決手段
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】超生理的身体関節運動を特定するための解決手段
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20230718BHJP
【FI】
A61B5/11 230
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581540
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 SE2021050594
(87)【国際公開番号】W WO2022005362
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】2050794-3
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu-ray
(71)【出願人】
【識別番号】522503562
【氏名又は名称】クニードリー アー・ベー
【氏名又は名称原語表記】Kneedly AB
【住所又は居所原語表記】Aschebergsgatan 57C, 411 33 Goeteborg, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ファーガーストレーム
(72)【発明者】
【氏名】アリス ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨエル ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー リューデヴァルド
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン サムエルソン
(72)【発明者】
【氏名】エリク ハムリン セノルスキ
(72)【発明者】
【氏名】リン セーダーホルム
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB11
4C038VB14
4C038VC05
(57)【要約】
本発明は、超生理的身体関節運動を非侵襲的に特定するための解決手段に関し、この解決手段により、身体関節のテスト手順に関連した外部画像が取得され、関心領域における複数の空間点のパターンを定めるために、取得した画像に画像解析が実行される。それぞれの個別の空間点は、それぞれの画像における隣接周辺ピクセルの一意のパターンによって定められ、パターンは、身体関節に被着されるハイコントラストスペックルパターンの一部である。この解決手段により、それぞれの画像において、身体関節のベース画像に対して、隣接ピクセルの一意のパターンの位置がトレースされることによって、引き続いて取得される画像における空間点の変位が識別され、定めた複数の空間点の変位から、変形量が計算され、基準身体関節の変形量が取得される。最終的に、この解決手段により、身体関節と基準身体関節との間で変形量が比較され、この比較から超生理的身体関節運動が特定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超生理的身体関節(120)運動を非侵襲的に特定するためのシステム(100)であって、前記システム(100)は、
-少なくとも1つのデジタルカメラ(104)と、
-少なくとも1つの処理ユニット(201)、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ(202)、少なくとも1つのユーザインタフェース(103)および少なくとも1つのカメラインタフェース(210)を備えた電子装置(101)と、
を有し、
前記処理ユニットは、
-通信ポートに接続されている少なくとも1つの前記デジタルカメラから、前記身体関節のテスト手順に関連して画像を取得し、
-関心領域における複数の空間点のパターンを定めるために、取得した前記画像に画像解析を実行し、ここでそれぞれの個別の空間点は、それぞれの画像における隣接周辺ピクセルの一意のパターンによって定められ、前記パターンは、前記身体関節(120)に被着されるハイコントラストスペックルパターン(130)の一部であり、
-それぞれの画像において、前記身体関節のベース画像に対して、隣接ピクセルの一意のパターンの位置をトレースすることにより、引き続いて取得する画像における前記空間点の変位を識別し、
-定められた複数の前記空間点の前記変位から変形量を計算し、
-基準身体関節の変形量を取得し、
-前記身体関節と前記基準身体関節との間で変形量を比較し、
-超生理的身体関節運動を前記比較から特定する、
ために前記コンピュータ可読メモリに記憶されている命令セットを実行するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記処理ユニットはさらに、損傷した身体関節の診断を有するデータベースを構築するために機械学習機能またはAI機能を動作させるように構成されており、特定の超生理的運動についての前記データベースから診断を選択する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記変形量は、解析される表面の変形の代表的な量であるグリーン・ラグランジュひずみを計算することにより、前記変形量に関連する変位場の勾配の関数として計算されるひずみまたは変形である、請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
電子装置において、超生理的身体関節運動を特定する方法であって、前記方法は、
-身体関節に被着されるハイコントラストスペックルパターンの変形を測定するステップ(301)と、
-基準身体関節の変形量を取得するステップ(302)と、
-前記身体関節と前記基準身体関節との間で変形量を比較するステップ(303)と、
-超生理的身体関節運動を前記比較から特定するステップ(304)と、
を有し、
前記変形を測定するステップ(301)は、
i.少なくとも1つのカメラから直接または間接的に、前記身体関節のテスト手順に関連して、前記身体関節に被着される前記ハイコントラストスペックルパターンの画像を取得するサブステップ(501)と、
ii.前記画像における周辺ピクセルの一意の隣接パターンを識別することにより、複数の空間点を定めるために、取得した前記画像の画像解析を実行するサブステップ(502)と、
iii.前記隣接ピクセルを使用することにより、後続画像において同じ空間点の変位および前記空間点の起こり得る変化を時間にわたって識別するサブステップ(503)と、
iv.定めた複数の前記空間点の前記変位から変形量を計算するサブステップ(504)と、
を有する、
方法。
【請求項5】
前記測定はさらに、それぞれ運動値を参照するために且つひずみ値を参照するために、前記運動および/または前記ひずみをそれぞれ比較し、通常の運動および/もしくは異常な運動、および/または通常のひずみおよび/もしくは異常なひずみをそれぞれ識別するAI機能を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記変形量は、解析される表面の変形の代表的な量であるグリーン・ラグランジュひずみを計算することによって実行される変位場の勾配の関数として計算されるひずみまたは変形である、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
デジタル画像相関法、すなわちDIC解析を使用して前記画像解析を実行する、請求項4から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、膝関節、肘関節、股関節、足首関節または肩関節のうちの少なくとも1つを解析するように構成されている、請求項4から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
電子装置(101)であって、前記電子装置(101)は、
-少なくとも1つの処理ユニット(201)と、
-少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ(202)と、
-少なくとも1つのユーザインタフェース(103)と、
-少なくとも1つのカメラインタフェース(210)と、
を有し、
少なくとも1つの前記処理ユニットは、請求項4から8までのいずれか1項記載の方法を実施するための命令を含む1つまたは複数のプログラムを実行するように構成されている、
電子装置(101)。
【請求項10】
電子装置の1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成されている1つまたは複数のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、1つまたは複数の前記プログラムには、請求項4から8までのいずれか1項記載の方法を実施するための命令が含まれている、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
超生理的身体関節(120)運動を非侵襲的に特定するためのシステム(100)であって、前記システム(100)は、
-少なくとも1つのデジタルカメラ(104)と、
-少なくとも1つの処理ユニット(201)、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ(202)、少なくとも1つのユーザインタフェース(103)および少なくとも1つのカメラインタフェース(210)を備えた電子装置(101)と、
を有し、
前記処理ユニットは、
-通信ポートに接続されている少なくとも1つの前記デジタルカメラから、前記身体関節のテスト手順に関連して、画像を取得し、
-関心領域における複数の空間点のパターンを定めるために、取得した前記画像に画像解析を実行し、ここでそれぞれの個別の空間点は、それぞれの画像における隣接周辺ピクセルの一意のパターンによって定められ、前記パターンは、前記身体関節(120)に被着されるハイコントラストスペックルパターン(130)の一部であり、
-それぞれの画像において、前記身体関節のベース画像に対して、隣接ピクセルの一意のパターンの位置をトレースすることにより、引き続いて取得する画像における前記空間点の変位を識別し、
-定めた複数の前記空間点の前記変位から変形量を計算し、
-超生理的身体関節運動を特定する、
ために前記コンピュータ可読メモリに記憶されている命令セットを実行するように構成されている、
システム。
【請求項12】
電子装置において、超生理的身体関節運動を特定する方法であって、前記方法は、
-身体関節に被着されるハイコントラストスペックルパターンの変形を測定するステップ(301)と、
-超生理的身体関節運動を特定するステップ(304)と、
を有し、
前記変形を測定するステップ(301)は、
i.少なくとも1つのカメラから直接または間接的に、前記身体関節のテスト手順に関連して、前記身体関節に被着される前記ハイコントラストスペックルパターンの画像を取得するサブステップ(501)と、
ii.前記画像における周辺ピクセルの一意の隣接パターンを識別することにより、複数の空間点を定めるために、取得した前記画像の画像解析を実行するサブステップ(502)と、
iii.前記隣接ピクセルを使用することにより、後続画像において同じ空間点の変位および前記空間点の起こり得る変化を時間にわたって識別するサブステップ(503)と、
iv.定めた複数の前記空間点の前記変位から変形量を計算するサブステップ(504)と、
を有する、
方法。
【請求項13】
電子装置(101)であって、前記電子装置(101)は、
-少なくとも1つの処理ユニット(201)と、
-少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ(202)と、
-少なくとも1つのユーザインタフェース(103)と、
-少なくとも1つのカメラインタフェース(210)と、
を有し、
少なくとも1つの前記処理ユニットは、請求項12の方法を実施するための命令を含む1つまたは複数のプログラムを実行するように構成されている、
電子装置(101)。
【請求項14】
電子装置(101)の1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成されている1つまたは複数のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、1つまたは複数の前記プログラムには、請求項12記載の方法を実施するための命令が含まれている、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超生理的身体関節運動を特定するためのシステム、方法および装置に関し、特にデジタル画像解析を使用した非侵襲的な検査のための解決手段に関する。
【0002】
背景技術
超生理的関節運動を観察するために、例えば、身体関節の異常な運動を特定するために、臨床的領域に使用される数多くの異なる方法が存在する。これらのほとんどは、例えばヒトまたは動物である被検体に医学的テストを実施する検査者、例えば医師または他の医療関係者に頼っている。身体関節の運動を理解することにより、特に、関節の運動の解釈、および特定の問題または損傷とのこれらの関連付けに関して困難があり、さらにこの解釈は、検査者、すなわち検者間信頼性に応じて変化し得ることを立証することができる。
【0003】
現在では、関節および損傷のタイプに応じて使用されるいくつかの異なる診断方法が存在する。例えば、異常な運動に関連する膝関節の十字靭帯については、これらの方法は、前十字靭帯(ACL:Anterior Cruciate Ligament)または後十字靭帯(PCL:Posterior Cruciate Ligament)を検査する方法に分けられる。ACLの場合、いくつかの手動テストは、ピボットシフトテスト、ラックマンテスト、Lelliのテストおよび前方引き出しテストである。PCLには、後方引き出しテストまたは後方落ち込み兆候の目による観察が使用可能である。
【0004】
膝関節の側副靭帯の検討には、外反ストレステストまたは内反ストレステストが、内側側副靭帯および外側側副靭帯にそれぞれ使用される。
【0005】
身体関節および/または靭帯の運動を検査するための異なる方法についての支援技術には、内部的または外部的な検討、すなわち体内または体外の挙動の観察がそれぞれ含まれていてよい。内部的な検討には、靭帯の運動および変形ならびに関節の挙動を理解するために、例えば、マイクロ波トモグラフィ、磁気共鳴映像法(MRI)、超音波または動的ステレオx線映像法(DSX:dynamic stereo x-ray imaging)が含まれていてよい。例えば膝の内部的な検討についての異なる技術には、妥当性および信頼性が限られているか、または大量のリソースおよびコストのかかる設備が必要である。さらに、靭帯の外部的な検討についての可視化技術は存在するが、信頼性が低い。
【0006】
ゆえに、身体関節/靭帯の異常な運動の診断を支援するために、超生理的関節運動の検討を支援するためのコスト的に効果的でありかつ確実な解決手段が必要である。
【0007】
発明の概要
上記の欠点の少なくともいくつかを未然に防ぎ、かつ超生理的身体関節運動を特定するための改善されたシステム、方法およびコンピュータ可読記憶媒体と、デジタル画像解析を使用する非侵襲的な検査のために、例えば、内部損傷を示すために解決手段とを提供することが課題である。
【0008】
これは、第1番目が超生理的身体関節運動(supraphysiological body joint kinematics)を非侵襲的に特定するためのシステムである数多くの実施形態において提供される。このシステムは、ヒト、動物または別の任意な適切な手段についての超生理的身体関節運動を識別して特定することができる。このシステムは、少なくとも1つのデジタルカメラ、少なくとも1つの処理ユニットを備えた電子装置、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ、少なくとも1つのユーザインタフェースおよび少なくとも1つのカメラインタフェースを有する。この処理ユニットは、通信ポートに接続されている少なくとも1つのデジタルカメラから、身体関節のテスト手順に関連した画像を取得するために、コンピュータ可読メモリに記憶されている命令セットを実行するように構成されており、関心領域における複数の空間点のパターンを定めるために、取得した画像に画像解析を実行し、ここでそれぞれの個別の空間点は、それぞれの画像における隣接周辺ピクセルの一意のパターンによって定められ、パターンは、身体関節に被着されるハイコントラストスペックルパターンの一部であり、処理ユニットはさらに、それぞれの画像において、身体関節のベース画像に対して、隣接ピクセルの一意のパターンの位置をトレースすることにより、引き続いて取得した画像において空間点の変位を識別し、定めた複数の空間点の変位から変形量を計算し、基準身体関節の変形量を取得し、身体関節と基準身体関節との間で変形量を比較し、この比較から超生理的身体関節運動を特定するために、コンピュータ可読メモリに記憶されている命令セットを実行するように構成されている。
【0009】
さらに、処理ユニットは、損傷した身体関節の診断を有するデータベースを構築するために機械学習機能またはAI機能を動作させるように構成されていてよく、これにより、このデータベースから特定の超生理的運動についての診断を選択する。ひずみは、解析される表面の変形の代表的な量であるグリーン・ラグランジュひずみを計算することにより、変位場の勾配の関数として計算可能である。
【0010】
本発明の別の態様では、電子装置において超生理的身体関節運動を特定する方法が提供される。この方法は、身体関節に被着されるハイコントラストスペックルパターンの変形を測定するステップであって、変形の測定が、少なくとも1つのカメラから直接または間接的に、身体関節のテスト手順に関連して、身体関節に被着されるハイコントラストスペックルパターンの画像を取得するステップを有し、この方法はさらに、画像における周辺ピクセルの一意の隣接パターンを識別することにより、複数の空間点を定めるために、取得した画像の画像解析を実行するステップと、隣接ピクセルを使用することにより、後続画像において同じ空間点の変位およびその起こり得る変化を時間にわたって識別し、定めた複数の空間点の変位から変形量を計算するステップと、を有する。この方法はさらに、基準身体関節についての変形量を取得するステップと、身体関節と基準身体関節との間で変形量を比較するステップと、この比較から超生理的身体関節運動を特定するステップと、を有する。
【0011】
上記の測定はさらに、それぞれ運動値を参照するためにまたひずみ値を参照するために、上記の運動および/または上記のひずみをそれぞれ比較し、通常の運動および/もしくは異常な運動、および/または通常のひずみおよび/もしくは異常なひずみをそれぞれ識別するAI機能を有していてもよい。
【0012】
上記のシステムおよび方法において、画像解析は、デジタル画像相関(DIC:digital image correlation)解析を使用して実行されてもよい。
【0013】
この方法は、膝関節、肘関節、股関節、足首関節または肩関節の少なくとも1つの解析するように構成されてもよい。
【0014】
本発明のさらに別の1つの態様では、次を有する電子装置が提供される。すなわち、この電子装置は、少なくとも1つの処理ユニット、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ、少なくとも1つのユーザインタフェースおよび少なくとも1つの通信ポートを有し、少なくとも1つの処理ユニットは、本発明のいずれか1つの実施形態の方法を実施するための命令を含む1つまたは複数のプログラムを実行するように構成されている。
【0015】
本発明のさらに別の1つの態様では、電子装置の1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成されている1つまたは複数のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体が提供され、1つまたは複数のプログラムには、本発明のいずれか1つの実施形態の方法を実施する命令が含まれている。
【0016】
提案した解決手段により、超生理的身体関節運動を非侵襲的に特定するための効率的かつコスト的に効果的な解決手段を達成することができる。
【0017】
このことは、身体関節および靭帯の異常な運動を特定して診断するためのコスト的に効率的な解決手段が提供されるという利点を有する。ひずみの画像解析および後処理に基づいていることにより、提案した解決手段は、ハンドヘルド装置、例えばスマートフォンおよびタブレット等での使用に対して容易に移植可能にすることができる。提案した解決手段によって同様に、医療検査を実施する人間のスキルに依存することなく、関節損傷があることを客観的に評価するための非侵襲的な方法も提供される。
【0018】
本開示の別の1つの態様によると、超生理的身体関節運動を非侵襲的に特定するためのシステムが提供される。このシステムは、少なくとも1つのデジタルカメラ、少なくとも1つの処理ユニットを備えた電子装置、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ、少なくとも1つのユーザインタフェースおよび少なくとも1つのカメラインタフェースを有する。この処理ユニットは、通信ポートに接続されている少なくとも1つのデジタルカメラから、身体関節のテスト手順に関連した画像を取得するために、コンピュータ可読メモリに記憶されている命令セットを実行するように構成されている。さらに、処理ユニットは、関心領域における複数の空間点のパターンを定めるために、取得した画像に画像解析を実行し、ここでそれぞれの個別の空間点は、それぞれの画像における隣接周辺ピクセルの一意のパターンによって定められ、パターンは、身体関節に被着されるハイコントラストスペックルパターンの一部である。さらに、処理ユニットは、それぞれの画像において身体関節のベース画像に対して、隣接ピクセルの一意のパターンの位置をトレースすることにより、引き続いて取得する画像における空間点の変位を識別する。さらに、処理ユニットは、定めた複数の空間点の変位から、超生理的身体関節運動を定める変形量を計算する。
【0019】
このシステムの別の態様による処理ユニットはさらに、損傷した身体関節の診断を有するデータベースを構築するために機械学習機能またはAI機能を動作させるように構成されていてもよく、これにより、特定の超生理的運動についてのこのデータベースから診断を選択する。
【0020】
本開示の別の1つの態様では、電子装置において(電子装置によって実施される)超生理的身体関節運動を特定する方法が提供され、この方法は、身体関節に被着されるハイコントラストスペックルパターンの変形を特定するステップを有し、変形の測定は、
i.少なくとも1つのカメラから直接または間接的に、身体関節のテスト手順に関連して、身体関節に被着されるハイコントラストスペックルパターンの画像を取得するサブステップと、
ii.画像において周辺ピクセルの一意の隣接パターンを識別することにより、複数の空間点を定めるために、取得した画像の画像解析を実行するサブステップと、
iii.隣接ピクセルを使用することにより、後続画像において同じ空間点の変位およびその起こり得る変化を時間にわたって識別するサブステップと、
iv.定めた複数の空間点の変位から変形量を計算するサブステップと、を有する。
さらに、この方法は、超生理的身体関節運動を特定するステップを有する。
【0021】
図面の簡単な説明
以下では、制限的でない仕方でかつ添付の図面に示した例示的な実施形態を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による例示的なシステムを示す概略ブロック図である。
図2】本発明による例示的な装置を示す概略ブロック図である。
図3】本発明による例示的な方法を示す概略ブロック図である。
図4】例示的なユーザインタフェースを示す概略ブロック図である。
図5】本発明による例示的な詳細な方法を示す概略ブロック図である。
【0023】
詳細な説明
図1では、参照符号100は一般に、ヒトの身体関節120の超生理的運動を特定して識別し、また選択的には、超生理的または異常な、身体関節の関節運動を診断するためのシステムを示している。このシステムは、超生理的運動の特定および診断を支援するためのデータが記憶されているデータベース102に選択的に接続されている電子処理装置101を有する。さらに、このシステムは、1つまたは複数のユーザインタフェース、例えば、タッチスクリーン機能、キーボード(図示せず)、マウス(図示せず)、デジタルペン(図示せず)等を有するかこれらを有しないディスプレイ103を有する。このシステムはまた、解析対象の身体関節のデジタル画像を取得するために、線路105を介して電子処理装置に接続されているかまたは統合されているカメラ104を有していてもよい。均一な照明条件が満たされることを容易にするために1つまたはいくつかの光源106が設けられていてもよい。さらに、処理装置は、通信リンク109を使用して内部または外部ネットワーク110に接続可能である。図1には一般に、ヒトの身体関節の超生理的運動を特定して識別するためのシステムが示されているが、このシステムは、本開示にしたがい、動物の身体関節についての超生理的運動を特定して識別することも可能である。
【0024】
システムの動作中、解析対象の身体関節120には、パターン130、例えばランダム化されたパターンまたは規則的なパターンまたは半規則的なパターンが設けられている。1つの実施例では、このパターンは、身体関節の皮膚に付着してランダムパターンを設けるインキまたは何らかの別のペイント状の物質を有するスポンジを使用して設けられる。別の1つの実施例では、パターンは、皮膚に付着されるフレキシブル材料の薄いシート上に設けられる。
【0025】
本開示の別の1つの態様によると、図1には、身体関節120の超生理的運動を非侵襲的に特定するためのシステム100が設けられている。システム100は、少なくとも1つのデジタルカメラ104、少なくとも1つの処理ユニット201を備えた電子装置101、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ202、少なくとも1つのユーザインタフェース103および少なくとも1つのカメラインタフェース210を有し、この処理ユニットは、通信ポートに接続されている少なくとも1つのデジタルカメラから、身体関節のテスト手順に関連した画像を取得するために、コンピュータ可読メモリに記憶されている命令セットを実行するように構成されている。さらに、処理ユニット102は、関心領域における複数の空間点のパターンを定めるために、取得した画像に画像解析を実行するように構成されており、ここでそれぞれの個別の空間点は、それぞれの画像における隣接周辺ピクセルの一意のパターンによって定められ、パターンは、身体関節120に被着されるハイコントラストスペックルパターン130の一部である。さらに、処理ユニット102は、それぞれの別の画像において、身体関節のベース画像に対して、隣接ピクセルの一意のパターンの位置をトレースすることにより、引き続いて取得する画像における空間点の変位を識別するように構成されている。さらに、定めた複数の空間点の変位から変形量が計算される。このユニットは、超生理的身体関節運動を特定するように構成されている。
【0026】
図2は、電子処理装置101を示すブロック図である。装置101には、(1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体を選択的に含む)少なくとも1つのメモリ202、メモリコントローラ(図示せず)、1つまたは複数の処理ユニット201、および電子処理装置の内部もしくは外部の周辺装置または別の入力制御装置用の1つまたは複数のインタフェース210が含まれており、例えば、1つまたは複数の外部カメラをこのインタフェースを介して接続することができる。しかしながら、カメラが組み込まれたシステムの場合、内部カメラインタフェースが使用可能である。これらのコンポーネントは選択的に、1つまたは複数の通信バスまたは信号路を介して通信する。処理ユニットは、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(graphical processing unit)、DSP(digital signal processor)、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)もしくはこれらの組み合わせ、または別の任意の適切なデジタル計算装置を有していてもよい。
【0027】
電子装置101のメモリ202には、コンピュータ実行可能命令を記憶するための1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体を含むことができ、このコンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサ201によって実行される場合、例えば、コンピュータプロセッサに以下で説明する技術を実行させることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスにより、またはこれらに関連して使用されるコンピュータ実行可能命令を有形的に含むかまたは記憶する任意の媒体であってよい。いくつかの実施例では、記憶媒体は、一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。いくつかの実施例では、記憶媒体は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。コンピュータ可読記憶媒体は、磁気式、光学式および/または半導体記憶装置を含んでいてよいが、これらに限定されない。このような記憶装置の実施例には、磁気ディスク、CD、DVDまたはBlu-ray技術に基づく光ディスクも、永続的なソリッドステートメモリ、例えばフラッシュドライブ、ソリッドステートドライブ等も含まれる。
【0028】
さらに、電子装置は、別の計算装置、例えば遠隔地に位置しているサーバ等に、有線または無線接続109を使用して、信号を伝送しまたこれらから受信するための通信インタフェース205を有していてもよい。この通信インタフェースは、例えば、ネットワーク110、例えばイントラネットまたはエクストラネット、例えばインターネット等に接続可能である。接続109は、例えば、イーサネットプロトコルまたは別の類似のデジタルデータプロトコルにしたがって動作するように構成されていてもよい。
【0029】
処理ユニット201は、以下でより詳細に述べるように、処理ユニットの異なる機能を動作させて制御するための複数の機能モジュール250,260,270を有していてもよい。例えば、処理ユニットは、異なる機能、例えば、画像解析等を実行するための命令セットを動作させる計算および解析モジュール250と、入力されるユーザ命令および出力されるユーザ情報を扱うユーザインタフェースモジュール260と、ユーザインタフェース命令を扱って、周辺装置および外部計算装置への/またはこれらからの通信信号を制御するための周辺装置および通信制御モジュール270とを有していてもよい。
【0030】
図3図5を参照し、関節運動、例えば身体関節の超生理的運動を特定して識別し、選択的に超生理的運動を診断する方法を以下に説明する。上記のシステムは、解析対象の身体関節の一連の画像を取得するサブステップ501のために、1つまたは複数のカメラ(例えば、1つまたは2つのカメラ)を使用する。このシステムおよび方法は、例えば、DIC(Digital Image Correlation)解決手段を有し、関節のテスト中に関心対象の関節の外部における、例えば関節の外部の身体皮膚における相対運動を測定するステップ301を有する。1つの実施形態では、身体関節は、ヒトの被検体の膝関節であるが、他の関節、例えば肘関節、股関節、足首関節、肩関節等の測定も関心対象であってよく、本明細書で説明しているような上記の解決手段が適用されることに注意されたい。
【0031】
身体関節の皮膚にはパターン、例えば黒および白のパターンまたは類似のハイコントラストパターンが準備され、DIC処理により、身体関節の初期ベースサンプルに対するパターンの運動が特定される。パターンの解析された運動は、基準サンプルと比較可能であり、これにより、例えば、被検体の類似の関節またはデータベースに記憶されている基準関節からの超生理的運動が特定される。基準データは、超生理的運動を示す解析された変形量を有していてもよいことに注意されたい。
【0032】
上記の方法は、例えば、損傷した関節、例えば損傷した膝における超生理的関節運動を識別し、特定し、選択的には診断するために使用可能である。
・超生理的運動は、損傷した膝に現れることがあり、いずれかの十字靭帯が損傷した場合に前後方向および回転運動/弛緩の増大が発生する。十字靭帯は、例えば、前十字靭帯(ACL:Anterior Cruciate Ligament)および後十字靭帯(PCL:Posterior Cruciate Ligament)である。
・側副靭帯は、膝関節が横に曲がることを阻止し、大腿骨と脛骨とが横に切り離されることを阻止する。この際、靭帯が損傷すると、大腿骨に対して脛骨が横に引っ張られるように仕方で超生理的運動が生じることがある。
・十字靭帯についてのテストには、引き出しテストおよびラックマンテストが含まれるが、これには限定されない。
・膝における側副靭帯についてのテストには、外反ストレステストおよび内反ストレステストが含まれるが、これには限定されない。
【0033】
適切なパターン、例えばハイコントラストスペックルパターン、例えば黒および白のスペックルパターン等は、被検体の関心対象の身体関節に被着される。このパターンは、被検体の皮膚に被着されるランダム化されたパターンであってもよい。1つの実施形態では、パターンは選択的には、最初に関節領域を白で塗り、その後、黒のスプレー塗料でスプレーすることによって一意のパターン、例えばスペックルパターンを付与することによって被着される。択一的には、インキまたはペイント状の物質をスポンジまたは類似の柔らかい材料に供給し、次に皮膚の様々な位置にこのスポンジを軽く押し当てて、インキまたはペイント状の物質が皮膚に残るようにするすることにより、(黒、白または任意の別の適切な色の)パターンが設けられる。しかしながら、パターンを被着する方法は異なってもよく、任意の適切な方法が使用可能であることに注意されたい。択一的には、フレキシブルシートにパターンが設けられ、このフレキシブルシートは、身体関節に貼り付けられ、関節のテスト中にシートは曲がって関節の運動に追従する。さらに、画像解析を容易にする適切なハイコントラストをパターンが有するのであれば、パターンは、黒および白とは別の色であってもよいことに注意されたい。さらに、パターンはランダム化されたものである必要はなく、身体関節の運動中に運動およびゆがみを検出するのに適切な任意のパターンのいずれかであってもよい。
【0034】
1つまたはいくつかのカメラは好ましくは、測定中に高品質画像を取得するために、固定の支持体に取り付けられ、選択的には、例えば、距離、開口を設定することにより、または類似の技術的設定によって較正される。しかしながら、択一的にはカメラは、画像取得中にハンドヘルドであってもよいことに注意されたい。2次元測定に対しては1つのカメラで通常は十分であるが、3次元測定に対しては好ましくは、少なくとも2つのカメラが使用される。3次元測定を使用することにより、カメラに向かうまたはカメラから遠ざかる身体関節の不所望の運動が補償されることにより、高度の正確さが得られ得ることになる。
【0035】
身体関節のテスト中、解析対象の関節は、被検体によって動かされるか、または検査者、例えば医師またはテストロボット等により、制御された運動が行われる。この運動は、使用される医療検査法にしたがう基準パターンにしたがっており、1つまたは複数のカメラにより、一連の画像またはフィルム映像を取得するサブステップ501を実施して、これらを直接または間接的に処理装置に伝送する。択一的には、テスト中にカメラによって画像が記録され、テストの終わりにはすべての画像が処理装置に供給されるか、または画像は、処理装置による後の解析のためにカメラもしくは記憶場所(図示せず)に記憶されることに注意されたい。基準画像列は、例えば、損傷した関節を解析するときに基準関節から取得可能であり、同じ被検体の別の関節が基準関節として使用可能である。
【0036】
取得したすべての画像において、被着したスペックルパターンに関連した空間点のパターンが、ソフトウェア解析によって定められる。次いで周辺ピクセルの隣接パターン、例えばグレイスケールパターン識別するために画像解析のサブステップ502を使用する。次いで、後続画像においてそれぞれ対応する同じ点を識別するためにサブステップ503にこれらの隣接ピクセルを使用し、関節の初期ベース画像と比較して、またはこの関節のそれぞれ先行画像と比較して、後続画像における同じ点の変位を識別する。ベース画像により、空間点の変位を解析して特定するときに開始点が供給され、これらの空間点から変形が特定される。ベース画像は、テストが始まる前でありかつ関節がなお弛緩した位置にあるかまたは実施される医学的テストについての適切な基準位置にある関節の最初の画像であってよい。
【0037】
2つの画像間、または最後に取得した画像とベース画像との間の同じ点の相対運動により、空間および時間における空間変位を定める。上記の方法により、計算サブステップ504では、定めた複数の空間点の変位から、関連する変形量を計算し、また例えば、空間点の変位から空間的に変化する変位場を計算することにより、空間および時間においてこれらがどのように変化するかを計算する。次いで、時間的な変位に関連する変位場の勾配の関数としてひずみを計算することができる。ステップ303では、関連する変形量と、基準関節の対応する変形量とを比較する。この比較結果は、超生理的身体関節120運動を特定するステップ304に使用可能である。
【0038】
1つの実施例では、変形量、例えばひずみ勾配等は、剛体運動の作用を受けない、解析される表面の変形の代表的な量であるグリーン・ラグランジュひずみを計算するために使用可能である。しかしながら、解析はグリーン・ラグランジュひずみ量に限定されることはなく、別のひずみおよび/または変位量も同様に利用可能である。
【0039】
処理装置は、身体関節のテストに関連する画像を取得または得て、DIC(digital image correlation)法にしたがって画像を解析するように構成されている。好ましくは、処理装置は、処理装置のユーザに解析の結果を提供し、例えば、ユーザのモニタを制御して、比較のために、基準身体関節の類似の画像と共に、解析したひずみまたは変位場画像に重畳して関節の画像を視覚的に示すように構成されている。このような画像は図4に示されており、ここではひずみまたは変位場401が、ユーザインタフェースモニタ103における身体関節120の画像に重畳されている。しかしながら、処理装置は、ひずみまたは変位の別の量、例えば、特定の領域にわたる平均ひずみ等を供給するように構成されていてもよい。
【0040】
解析した基準画像または画像は、基準身体関節についてはステップ302において取得可能であり、これは、超生理的(例えば、異常な)運動を有する身体関節と基準身体関節との間で、解析されたデータを比較するためのステップ303について解析中に使用可能である。例えば、被検体の損傷した関節を解析するとき、同じ被検体の別の関節が基準関節として使用可能である。しかしながら、身体関節挙動についての基準データは、データベースに記憶されているデータから取得可能であることに注意されたい。このような記憶されているデータは、例えば、既知の挙動を有する類似の身体関節についての現在のテストと類似のテストの測定値について、解析した変位場を有し得る。さらに、特定の変位場は、基準データと比較することなく、超生理的運動に関連していると特定可能である(図1の別の態様にしたがって開示されている)。いくつかのケースでは、システムにより、変位場解析と、ひずみまたは変位場についての代表的な画像とだけが供給され、検査者が、関節の超生理的運動を特定することができる。
【0041】
本開示のいくつかの態様によると、取得のステップ302および比較のステップ303は、方法300を行うときに実行されないことに注意されたい。
【0042】
1つの実施形態では、1つのカメラが使用される。しかしながら、より精度を高めるために、2つ(またはより多くの)同期式のカメラを使用してもよい。これにより、3次元運動が(例えば、カメラに向かう運動も)測定できる可能性が得られ、より高い精度で(膝のような)湾曲した対象体における変位を検討し、ゆえにより高い精度でひずみおよび/または変位を特定することが可能になる。
【0043】
上記のシステムおよび方法は、身体関節の運動中に一連の画像を取得し、ベース画像と共に、または基準関節の上記の基準画像または複数の基準画像と共に解析するために、この一連の画像を使用するように構成されていてもよい。上記のシステムおよび方法はさらに、最終結果、例えば、ユーザおよび/またはシステムにおける診断機能のいずれかによるさらなる解析のために、代表的な変位またはひずみ場を示す、解析された画像等を供給するように構成されていてもよい。択一的には、システムは、身体関節の運動中の変位場の変化を示す動画シーケンスを供給し、さらなる解析のためにユーザに、かつ/またはさらなる解析のための診断機能にこの動画シーケンスを供給するように構成されていてもよい。これにより、関節および靭帯の考えられ得る超生理的運動を特定する際に検査者を支援する。
【0044】
このシステムはさらに、直接または機械学習機能もしくはAI機能を使用するかのいずれかで、画像解析の結果、例えば、ひずみまたは変位場を解析し、ひずみまたは変位場と、既知の超生理的または異常な運動のひずみまたは変位場とを比較する診断機能を有していてもよい。これらの機能は、診断をトレーニングして、超生理的運動を特定する際の精度を改善することを目的として、動作中に測定値を解析して記憶するためにも使用可能である。記憶したデータは、第三者にこのようなデータをより容易に提供するために、例えば、超生理的身体関節運動を特定するためのコンピュータプログラム製品に接続されているデータベースとして、匿名扱いとすることも可能である。測定は、例えば、それぞれ運動値を参照するためにまたひずみ値を参照するために、上記の運動、変位および/または上記のひずみをそれぞれ比較し、通常の運動および/もしくは異常な運動、および/または通常のひずみおよび/もしくは異常なひずみをそれぞれ識別するAI機能を有していてもよい。
【0045】
これらの機械学習またはAI機能は、異なるタイプの適切なアルゴリズム、例えば、教師あり学習または教師なし学習、強化学習、特徴表現学習、相関ルール学習等、または任意の適切なモデルを使用する別の類似の技術、例えば、決定木分析、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、回帰分析、ベイジアンネットワークまたは遺伝的アルゴリズム等を使用することができる。
【0046】
上で説明した機能は、少なくとも部分的に、電子装置の1つまたは複数のプロセッサによって実行されるように構成されている1つまたは複数のプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体として提供されてもよく、1つまたは複数のプログラムには、前に説明した方法を実施するための命令が含まれている。命令は、記憶媒体を介して、または通信ネットワークを介して配布可能なコンピュータプログラム製品に記憶されていてもよい。
【0047】
さらに、システムは、処理ユニットと、メモリ等と、ユーザインタフェースとを有する、例えば電子装置と共に一体型のハウジングにおいて提供されてもよく、また選択的には同じハウジング内のカメラと共に、本発明の解決手段による方法を動作させるためのスタンドアロン製品として提供されてもよい。このような解決手段では、ユーザインタフェースは有利には、タッチスクリーンユーザインタフェースである。本発明による機能を動作させるスタンドアロン製品として、例えば、カメラが組み込まれたスマートフォンおよびタブレットが使用可能である。
【0048】
「有する」という語は、列挙された要素またはステップとは異なる要素またはステップが存在することを排除するものでなく、要素の前の不定冠詞”a”または”an”は、このような要素が複数個存在することを排除するものでない。さらに、いずれの参照符号も特許請求の範囲の適用範囲を限定するものでなく、本発明は、少なくとも部分的にハードウェアとソフトウェアとの両方によって実装可能であり、いくつかの「手段」または「ユニット」は、ハードウェアの同じアイテムによって表すことが可能であることに注意されたい。
【0049】
上述しかつ説明した実施形態は、単に実施例として示されており、本発明を限定するものであるべきではない。次に説明する特許の実施形態において請求される、本発明の範囲内にある別の解決手段、使用、目的および機能は、当該技術分野の当業者には明らかであるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】