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特表2023-531821プローブのための最小耳鼻咽喉(EAR-NOSE-THROAT、ENT)経路の効率的な自動発見
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】プローブのための最小耳鼻咽喉(EAR-NOSE-THROAT、ENT)経路の効率的な自動発見
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20230718BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20230718BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
A61B5/00 D
A61B6/03 360Q
A61B5/055 380
A61B5/055 390
A61B6/03 377
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581555
(86)(22)【出願日】2021-05-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 IB2021054732
(87)【国際公開番号】W WO2022003444
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】16/914,696
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】パルティ・ヤイル
(72)【発明者】
【氏名】グリナー・バディム
(72)【発明者】
【氏名】ピンスキー・ヨアフ
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
4C117
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA25
4C093AA26
4C093CA15
4C093FF15
4C093FG13
4C096AA18
4C096AD14
4C096DC19
4C096DC33
4C096DC36
4C096DD13
4C117XB20
4C117XE44
4C117XE45
4C117XG40
4C117XK09
4C117XR07
4C117XR08
(57)【要約】
方法は、患者の身体の少なくとも一部の医用撮像スキャン画像を受信することを含む。身体内に挿入されるプローブによって横断可能な身体内の領域に対応するスキャン画像のボクセルが識別される。スキャン画像はスクリーン上に表示され、プローブの選択された終点及び開始点がその上にマークされる。プロセッサを使用して、識別されたボクセルの連結集合を含む、終点から開始点への逆経路が見出される。逆経路はスキャン画像に関連して、スクリーン上に可視化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
患者の身体の少なくとも一部の医用撮像スキャン画像を表示するように構成されたスクリーンと、
プロセッサであって、
前記スキャン画像を受信し、
前記身体内に挿入されるプローブによって横断可能な前記身体内の領域に対応する前記スキャン画像のボクセルを識別し、
前記プローブの選択された終点及び開始点を前記スクリーン上にマークし、
識別された前記ボクセルの連結集合を含む、前記終点から前記開始点までの逆経路を見出し、
前記スキャン画像に関連して、前記逆経路を前記スクリーン上に可視化するように構成された、プロセッサと、を備える、装置。
【請求項2】
前記プロセッサが、
前記スキャン画像を使用して、前記身体の外面の表現を生成し、前記表現を前記スクリーン上に表示し、
前記経路の近傍における前記身体の内部構造を前記スクリーン上で見えるようにするために、前記経路を取り囲む前記外面のエリアを、表示された前記表現において局所的に透明にレンダリングするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、粘液を横断可能な種として選択することによって、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサが、軟組織を横断可能な種として識別することによって、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記医用撮像スキャン画像が、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン画像であり、前記プロセッサが、ボクセルのハンスフィールド単位の範囲を画定することによって、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記医用撮像スキャン画像が、磁気共鳴(MR)スキャン画像であり、前記プロセッサが、ボクセルのMR画像強度の範囲を画定することによって、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記経路のどの部分も前記プローブの可能性のある曲率半径の範囲よりも小さい曲率半径を含まないことを確実にすることによって、前記逆経路を見出すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、経路直径が前記プローブの直径よりも常に大きいことを確実にすることによって、前記逆経路を見出すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記開始点から前記終点までの最短経路を見出すことによって、前記逆経路を見出すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、ダイクストラのアルゴリズム又はその拡張を使用することによって、前記最短逆経路を見出すように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記プローブが、前記経路の一部分で達成可能なプローブ曲率半径よりも小さい経路曲率半径を有する前記経路の前記一部分を横断する必要がないことを確実にすることによって、前記逆経路を見出すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
患者の身体の少なくとも一部の医用撮像スキャン画像を受信することと、
前記身体内に挿入されるプローブによって横断可能な前記身体内の領域に対応する前記スキャン画像のボクセルを識別することと、
前記スキャン画像をスクリーン上に表示し、その上に前記プローブの選択された終点及び開始点をマークすることと、
プロセッサを使用して、識別された前記ボクセルの連結集合を含む、前記終点から前記開始点までの逆経路を見出すことと、
前記スキャン画像に関連して、前記逆経路を前記スクリーン上に可視化することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記逆経路を可視化することが、
前記スキャン画像を使用して、前記身体の外面の表現を生成し、前記表現を前記スクリーン上に表示することと、
前記逆経路の近傍における前記身体の内部構造を前記スクリーン上で見えるようにするために、前記経路を取り囲む前記外面のエリアを、表示された前記表現において局所的に透明にレンダリングすることと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記スキャン画像の前記ボクセルを識別することが、粘液を横断可能な種として選択することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記スキャン画像の前記ボクセルを識別することが、軟組織を横断可能な種として識別することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記医用撮像スキャン画像が、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン画像であり、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別することが、ボクセルのハンスフィールド単位の範囲を画定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記医用撮像スキャン画像が、磁気共鳴(MR)スキャン画像であり、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別することが、ボクセルのMR画像強度の範囲を画定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記逆経路を見出すことが、前記経路のどの部分も前記プローブの可能性のある曲率半径の範囲よりも小さい曲率半径を含まないことを確実にすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記逆経路を見出すことは、経路直径が前記プローブの直径よりも常に大きいことを確実にすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記逆経路を見出すことが、前記終点から前記開始点までの最短経路を見出すことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記最短逆経路を見出すことが、ダイクストラのアルゴリズム又はその拡張を使用することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記逆経路を見出すことは、前記プローブが、前記経路の一部分で達成可能なプローブ曲率半径よりも小さい経路曲率半径を有する前記経路の前記一部分を横断する必要がないことを確実にすることを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、手術に関し、具体的には、侵襲性副鼻腔手術の事前計画に関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術の様々な計画方法が、これまで特許文献において提案されている。例えば、
米国特許第8,160,676号には、選択された標的に到達するための経路又は軌道を含むことができる外科手術を計画する方法が記載されている。
【0003】
別の例として、米国特許出願公開第2008/0183073号には、後続の内視鏡処置を最適化するために、患者内の中空の分岐器官を通るルートを計画することを支援する方法が記載されている。
【0004】
米国特許第8,116,847号には、患者の身体の内部を通して手術器具を変位させるための最適な手術軌道又は経路を計算する方法が記載されている。
【0005】
米国特許第10,188,465号には、患者の身体の少なくとも一部のコンピュータ断層撮影スキャン画像を受信すること、及び身体内に挿入されるプローブによって横断可能な身体内の領域に対応するスキャン画像のボクセルを識別すること、からなる方法が記載されている。方法はまた、スキャン画像をスクリーン上に表示し、その上にプローブの選択された開始点及び終点をマークすることを含む。プロセッサは、識別されたボクセルの連結集合からなる開始点から終点までの経路を見出す。プロセッサはまた、スキャン画像を使用して、身体の外面の表現を生成し、その表現をスクリーン上に表示する。次に、プロセッサは、経路の近傍における身体の内部構造をスクリーン上で見えるようにするために、経路を取り囲む外面のエリアを、表示された表現において局所的に透明にレンダリングする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で説明する本発明の実施形態は、患者の身体の少なくとも一部の医用撮像スキャン画像を受信することを含む方法を提供する。身体内に挿入されるプローブによって横断可能な身体内の領域に対応するスキャン画像のボクセルが識別される。スキャン画像はスクリーン上に表示され、プローブの選択された終点及び開始点がその上にマークされる。プロセッサを使用して、識別されたボクセルの連結集合を含む、終点から開始点への逆経路が見出される。逆経路はスキャン画像に関連して、スクリーン上に可視化される。
【0007】
いくつかの実施形態では、逆経路を可視化することは、スキャン画像を使用して、身体の外面の表現を生成することと、その表現をスクリーン上に表示することと、を含む。経路を取り囲む外面のエリアは、逆経路の近傍における身体の内部構造をスクリーン上で見えるようにするために、表示された表現において局所的に透明にレンダリングされる。
【0008】
いくつかの実施形態では、スキャン画像のボクセルを識別することは、粘液を横断可能な種として選択することを含む。
【0009】
一実施形態では、スキャン画像のボクセルを識別することは、軟組織を横断可能な種として識別することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、医用撮像スキャン画像は、コンピュータ断層撮影(computerized tomography、CT)スキャン画像であり、スキャン画像のボクセルを識別することは、ボクセルのハンスフィールド単位の範囲を画定することを含む。他の実施形態では、医用撮像スキャン画像は、磁気共鳴(magnetic resonance、MR)スキャン画像であり、スキャン画像のボクセルを識別することは、ボクセルのMR画像強度の範囲を画定することを含む。
【0011】
一実施形態では、逆経路を見出すことは、経路のどの部分もプローブの可能性のある曲率半径の範囲よりも小さい曲率半径を含まないことを確実にすることを含む。別の実施形態では、逆経路を見出すことは、経路直径が常にプローブの直径よりも大きいことを確実にすることを含む。更に別の実施形態では、逆経路を見出すことは、終点から開始点までの最短経路を見出すことを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、最短逆経路を見出すことは、ダイクストラのアルゴリズム又はその拡張を使用することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、逆経路を見出すことは、プローブが、経路の一部分で達成可能なプローブ曲率半径よりも小さい経路曲率半径を有する経路の一部分を横断する必要がないことを確実にすることを含む。
【0014】
また、本発明の別の実施形態によれば、スクリーン及びプロセッサを含む装置が更に提供される。スクリーンは、患者の身体の少なくとも一部の医用撮像スキャン画像を表示するように構成されている。プロセッサは、(i)スキャン画像を受信し、(ii)身体内に挿入されるプローブによって横断可能な身体内の領域に対応するスキャン画像のボクセルを識別し、(iii)プローブの選択された終点及び開始点をスクリーン上にマークし、(iv)識別されたボクセルの連結集合を含む、終点から開始点までの逆経路を見出し、(v)スキャン画像に関連して、逆経路をスクリーン上に可視化するように構成されている。
【0015】
以下の本開示の実施形態の詳細な説明を図面と併せ読むことで、本開示のより完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態による、副鼻腔手術システムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、図1の手術システムのために実行される手術事前計画方法の工程を示すフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態による、図2のフローチャー方法の各工程を示す図である。
図4】本発明の一実施形態による、図2のフローチャー方法の各工程を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による、図2のフローチャー方法の各工程を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による、図2のフローチャー方法の各工程を示す図である。
図7】本発明の一実施形態による、図2のフローチャー方法の各工程を示す図である。
図8】本発明の一実施形態による、図2のフローチャー方法の各工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概論
副鼻腔は、鼻腔に近接する4つの別個の対の三次元(three-dimensional、3D)空気充填空間を含む。副鼻腔の選択された領域の侵襲的手術は、例えば、重篤な副鼻腔炎の場合、カテーテルなどのプローブがその領域に到達するために使用されるとき、必要であると考えられ得る。手動の事前計画プロセスでは、そのような侵襲的手術を実行する前に、洞及びその周辺のうちの1つの選択された領域のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンが行われる。医師は、鼻孔から選択された領域までプローブによって取られる最良の経路、典型的には、最短経路を選択するために、スキャン画像を分析する。
【0018】
しかしながら、最良の経路の選択は些細な作業ではない。洞は3D空間であり、特に、鼻孔と選択された領域との間に何らかの閉塞がある場合、最良の経路は比較的複雑なルートを含む場合がある。更に、CTスキャンは3D画像を生成するために使用することができるが、そのような三次元画像の分析は困難でもあり、時間もかかる。
【0019】
以下に説明する本発明の実施形態は、ガイドワイヤ又はカテーテルを洞内に挿入するための好ましい経路を見出す方法を提供する。本明細書で説明される実施形態は、主に、開始点から標的点までの最短経路を見出すことに言及する。しかしながら、開示される技術は、他の要件又は制約を満たす経路を見出すために同様に使用され得る。
【0020】
開示される実施形態では、開始点から標的点までの好ましい順経路を見出すのではなく、本発明の実施形態は、標的点から開始点までの、すなわち、逆方向の好ましい逆経路(例えば、最短逆経路)を見出す。逆方向に探索することによって、多くの場合、順方向探索を使用するよりも著しく短い時間で好ましい経路を見出すことができる。
【0021】
例えば、開示される方法を使用して鼻孔から前頭洞までの経路を見出す時間は、順方向探索を使用するよりも最大で9倍速く、鼻孔から蝶形骨洞までは3倍速いことが見出された。これらの逆方向における探索時間の短縮は、標的場所の体積が比較的小さく、考慮すべき初期部分逆経路候補がより少ないことによるものであり、一方、順方向における経路の計算は、開始点(口)の周りの体積が大きいため、より多くの部分順経路を考慮しなければならない。
【0022】
開示される事前計画技術は、典型的には、処置が実行される患者の領域の医用撮像スキャン画像をアップロードすることから始まる。一実施形態では、処置領域のCTスキャン画像が受信され、患者に挿入されるプローブによって横断可能な患者の身体の領域に対応するスキャン画像のボクセルが識別される。識別は、典型的には、ボクセルのハンスフィールド単位の範囲を画定することによって行われる。
【0023】
医師は、スクリーン上にスキャン画像を表示し、スキャン画像上のプローブの終点及び開始点をマークする。次いで、プロセッサは、ダイクストラのアルゴリズムなどのアルゴリズムを使用して、識別されたボクセルの連結集合を有する終点から開始点までの逆経路、典型的には、最短の逆経路を見出す。
【0024】
プロセッサはまた、スクリーン上に表示される身体の外面の表現を生成する。次いで、プロセッサは、経路の近傍における身体の内部構造をスクリーン上で見えるようにするために、経路を取り囲む外面のエリアを、表示された表現において局所的に透明にレンダリングする。
【0025】
開示される実施形態は、単純な計画ツール(例えば、低い計算能力を有するツール)のみしか得ることができない医師に、カテーテルによって取られるべき最良の経路を自動的に選択し、次いで、選択された経路を患者の医用画像上に表示するための費用効果的な事前計画手術処置を提供する。
【0026】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、副鼻腔手術システム20の概略図である。システム20は、典型的には、患者22の副鼻腔に対する侵襲的処置中に使用され、システムは、以下でより詳細に説明される手術事前計画構成要素を含む。
【0027】
実際の手順に関すると、磁場発生器24のセットは、例えば、患者の頭部にクランプされているフレーム26に発生器を組み込むことによって、患者の頭部に固定されてもよい。磁場発生器は患者の副鼻腔に挿入されたプローブ28の位置の追跡を可能にするものである。発生器24などの磁場発生器を用いたシステムは、患者の器官に挿入されたプローブの追跡を目的としたものであり、本明細書中に参照により援用されている米国特許出願第2016/0007842号に記載されている。更に、Carto(登録商標)システム(Biosense Webster(Irvine、California)製)は、磁場によって照射された領域内にあるコイルの位置及び方向を検出するために、本明細書に記載されているシステムに類似の追跡システムを使用する。
【0028】
システム20の要素(発生器24などを含む)は、システムプロセッサ40によって制御されてもよく、システムプロセッサ40は、1つ又は2つ以上のメモリと通信する処理ユニットを備えている。プロセッサ40は、コンソール50に装着されてよく、このコンソールは、マウス又はトラックボールなどのキーパッド及び/又はポインティングデバイスを通常、含む、操作制御部51を備えている。コンソール50はまた、例えばプローブ28の近位端52など、システム20の他の要素に接続され得る。医師54は、処置を実行しつつ、動作制御装置を使用してプロセッサと対話し、プロセッサは、システム20によって生成される結果をスクリーン56上に提示してよい。
【0029】
プロセッサ40は、プロセッサのメモリ内に記憶されたソフトウェアを用い、システム20を操作する。ソフトウェアは、例えば、ネットワーク上で、プロセッサ40に電子形態でダウンロードすることができ、代替的に若しくは追加的に、ソフトウェアは、磁気メモリ、光学メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体で提供し、かつ/又は保存することができる。
【0030】
特に、プロセッサ40は、図2に含まれている本明細書に開示される専用のアルゴリズムを実行し、これは、以下で更に記載のように、プロセッサ40が本開示の工程を行うことを可能にする。
【0031】
プローブのための最小耳鼻咽喉経路の効率的な自動発見
図2は、図1の手術システム20のために実行される手術事前計画方法の工程を示すフローチャートであり、図3図8は、本発明の一実施形態による、図2の方法の工程を示す図である。フローチャートによって説明される事前計画構成要素は、典型的には、患者22に対する侵襲的手術処置の実行に先立って実装され、処置において侵襲的プローブ28が辿るべき最適経路を決定する。事前計画は、医師54によって実行されると仮定される。
【0032】
フローチャートの初期工程100において、患者22の副鼻腔のコンピュータ断層撮影(CT)X線スキャンが実行され、スキャンからのデータがプロセッサ40によって取得される。当技術分野で知られているように、スキャン画像は、患者の二次元X線「スライス」を含み、スライスの組み合わせは、三次元ボクセルを生成し、各ボクセルは、CTスキャンによって決定される放射線密度の尺度であるハンスフィールド単位を有する。
【0033】
画像生成工程102において、医師54はスキャンの結果をスクリーン56上に表示する。結果は、典型的には患者22の矢状面、冠状面、及び/又は横断面に平行な平面に沿った一連の二次元(two-dimensional、2D)スライスとして表示することができるが、他の平面も可能である。平面の配向は、医師によって選択されてもよい。
【0034】
表示される結果は、典型的には、グレースケール画像である。図3に提供される例は、患者22の冠状面に平行なスライスである。黒色から白色までのグレースケールの値は、対応するボクセルのハンスフィールド単位(Hounsfield unit、HU)と相関付けられてもよく、その結果、図3の画像に適用されるように、空気(HU=-1000)が黒色に割り当てられてもよく、高密度骨(HU=3000)が白色に割り当てられてもよい。
【0035】
それぞれ-1000と0である空気と水の値は別として、高密度骨などの任意の他の物質又は種のハンスフィールド単位の値は、とりわけ、本明細書で言及されるCTスキャン画像を生成するために使用される放射X線のスペクトルに依存する。次に、X線のスペクトルは、X線発生器に印加されるkVの電位、及び発生器のアノードの組成を含む多数の要因に依存する。本開示を明確にするために、特定の物質又は種のハンスフィールド単位の値は、以下の表Iに示す通りであると仮定される。
【0036】
【表1】
【0037】
表Iに示される特定の種(空気及び水以外)に対するHU数値は、純粋に例示的であると理解されるべきであり、当業者は、本明細書で参照されるCT画像を生成するために使用される種及びX線マシンに従って、過度の実験を行うことなく、これらの例示的な値を修正することができよう。
【0038】
典型的には、HU値とグレースケール値との間の変換は、所与のCTマシンからのCTスキャン出力のDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)ファイルにエンコードされる。以下の説明を明確にするために、黒に対するHU=-1000、白に対するHU=3000の相関、及び対応する中間グレーレベルに対する中間HU値の相関が使用されるが、この相関は純粋に任意であることが理解されるであろう。当業者は、ハンスフィールド単位とグレーレベルとの間の他の相関に対応するように本明細書の説明を適合させることができ、全てのそのような相関は、本発明の範囲内に含まれると仮定される。
【0039】
マークする工程104において、医師は、プローブ28を患者に挿入するための意図された開始点、及びプローブの遠位端が終端する意図された標的点をマークする。2つの点は、同じ2Dスライス上にあってもよく、代替的に、異なるスライス上にあってもよい。典型的には、両方の点は空気中にあり、すなわちHU=-1000であり、終点は通常、スライス内に示される液体又は組織と空気との接合部にあるが、必ずしもそうである必要はない。(終点がそのような接合部にない例は、その点が空気充填チャンバの中央にあるときである)図4は、医師によって同じ2Dスライス上にマークされた開始点150及び終点152を示しており、明確にするために、これらの点は、別段の記載がない限り、フローチャートの残りの説明で使用される点であると仮定される。典型的には、開始点及び終点は、非グレースケール色、例えば、赤色で表示される。
【0040】
許容可能な逆経路画定工程106において、医師は、以下で参照される逆経路発見アルゴリズムが、終点152から開始点150までの逆経路を見出すために許容可能なボクセル値として使用するハンスフィールド単位の範囲を画定する。画定された範囲は、典型的には、経路における空気又は空隙に対応する-1000に等しいHUを含む。画定された範囲は、-1000より大きいHUを含んでもよく、例えば、範囲は、式(1):
【0041】
【数1】
式中、Uは医師によって選択された値である。
【0042】
例えば、Uは+45に設定されてもよく、その結果、取られる経路は、水、脂肪、血液、及び軟組織、並びに空気又は空隙を含み得る。
【0043】
画定された値の範囲が連続範囲である必要はなく、範囲は、1つ又は2つ以上の部分範囲を含めて、互いに素であってもよい。いくつかの実施形態では、部分範囲は、特定のタイプの材料を含むように選択されてもよい。互いに素な範囲の例は、式(2)によって与えられる:
【0044】
【数2】
式中、A、Bは医師によって選択された値である。
【0045】
例えば、A、Bは、それぞれ-300及び-100に等しくなるように設定されてもよく、その結果、取られる経路は、空気又は空隙及び軟組織を含んでもよい。
【0046】
HUの範囲の選択方法は、材料の数及び/若しくは名称、並びに/又はグレースケールを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意の好都合な方法によるものであってもよい。例えば、グレースケールによる選択の場合、医師54は、CT画像の1つ又は2つ以上の領域を選択してもよく、それらの選択された領域におけるグレースケール値のHU等価物は、経路発見アルゴリズムによって決定される逆経路のボクセルのHUの許容範囲に含まれる。
【0047】
名称による選択の場合、名称を付けられた種の表が医師に表示され得る。表示された表は、典型的には、表Iと同様であるが、ハンスフィールド単位値を与える列がない。医師は、表から1つ又は2つ以上の名称を付けられた種を選択してもよく、その場合、選択された名称を付けられた種のHU等価物は、経路発見アルゴリズムによって決定される経路のボクセルのHUの許容範囲に含まれる。
【0048】
経路発見工程108において、プロセッサ40は、プローブ28が辿るべき終点152と開始点150との間の1つ又は2つ以上の最短逆経路を見出すために経路発見アルゴリズムを実装する。アルゴリズムは、経路における横断可能なボクセルが、工程106において画定されたHU範囲における任意のボクセルを含み、この画定された範囲外のHU値を有するボクセルが、任意の見出された経路内のバリアとして機能すると仮定する。使用される経路発見アルゴリズムは、三次元迷路内の最短経路を決定することが可能な任意のアルゴリズムであり得るが、本発明者らは、フラッドフィルアルゴリズム、ダイクストラアルゴリズム、又はA*アルゴリズムなどの拡張が、ワーシャルフロイドアルゴリズム又はその変形などの他のアルゴリズムとは対照的に、最短逆経路を決定する際の計算の精度及び速度に関して、より良好な結果を与えることを見出した。
【0049】
いくつかの実施形態では、経路発見工程は、プローブ28の機械的特性及び寸法を考慮することを含む。例えば、開示された実施形態において、プローブ28は、それが曲がるとき、可能性のある曲率半径の範囲に制限され得る。プローブが辿る経路候補を決定する際に、プロセッサは、経路のどの部分もこの半径範囲未満の半径を画定しないことを確実にする。
【0050】
更に開示される実施形態では、プロセッサは、プローブの異なる部分について異なる範囲の曲率半径を可能にするプローブの機械的特性を考慮することを含む。例えば、経路候補の端部は、プローブの近位部分の可能性のある曲率半径より小さい曲率半径を有してもよい。しかしながら、プローブの遠位端は、近位部分よりも可撓性であってもよく、経路候補が許容可能であるように、より小さい曲率半径に対応するために十分に可撓性であってもよい。
【0051】
プローブの可能性のある曲率半径、及び経路候補の異なる曲率半径を考慮する際に、プロセッサは、プローブの遠位端が開始点150から終点152に移動するにつれて、経路のどの部分がプローブの異なる部分によって、横断される必要があるか、及びプローブによって達成可能な曲率半径を考慮する。
【0052】
更に開示される実施形態では、プロセッサは、経路直径Dがプローブ28の測定された直径dより常に大きいことを確実にする。確認は、例えば、工程106において画定された範囲内のボクセルを見出すために、当技術分野で知られているような侵食/拡張アルゴリズムを使用するプロセッサによって少なくとも部分的に実装され得る。
【0053】
重ね合わせ工程110において、工程108において見出された最短逆経路が、スクリーン56上に表示される画像に重ね合わせられる。図5は、図4の画像上に重ね合わせられた終点152と開始点150との間の最短逆経路154を示す。典型的には、経路154は非グレースケール色で表示され、これは終点及び開始点と同じ色であってもなくてもよい。工程108が2つ以上の最短逆経路を見出した場合、全てのそのような経路は、典型的には、異なる非グレースケール色で画像上に重ね合わせられ得る。
【0054】
典型的には、見出された逆経路は、2つ以上の2Dスライスを横断し、その場合、重ね合わせは、見出された経路を全ての関連する2Dスライス、すなわち、経路が横断するスライスに組み込むことによって、実装され得る。代替的に又は追加的に、少なくとも部分的に透明な3D画像が、スキャン画像の2Dスライスから生成されてもよく、見出された逆経路が3D画像上に重ね合わせられてもよい。少なくとも部分的に透明な3D画像は、以下でより詳細に説明されるように、患者22の外面の表現上に形成されてもよい。
【0055】
図6は、本発明の一実施形態による患者22の外面180の表現である。プロセッサ40は、工程100において取得されたCTスキャンデータを使用して、空気が-1000のHU値を有し、皮膚が著しく異なるHU値を有することに基づいて、外面の表現を生成する。例として、表現180は、患者の冠状面に平行な、すなわち、患者によって画定される基準フレーム184のxy平面に平行な平面上に形成されると仮定され、その軸は、以下の図6及び図7にも描かれている。
【0056】
図7は、本発明の一実施形態による境界平面190及び境界領域192を概略的に示す。医師54からの指示の下で、プロセッサ40は、透明にレンダリングされるべき表現180の領域と、「そのまま」残されるべき領域とを描写する。描写を実行するために、医師は、境界平面190と境界平面における境界領域192との両方を、領域の境界外周194を使用して画定する。
【0057】
明確にするために、以下の説明は、境界面が、図7に概略的に示されているように、基準フレーム184のxy平面に平行であり、次式によって与えられる方程式を有すると仮定する:
z=zbp (3)
【0058】
以下で説明するように、プロセッサ40は、境界平面及び境界領域を使用して、表面180のどの要素が局所的に透明にレンダリングされるべきか、及びどの要素がそのようにレンダリングされるべきでないかを決定する。
【0059】
プロセッサ40は、z≧zbpの値を有し、z軸に沿って投影されたときに、エリア192内にある表面180(図6)の要素を決定する。次に、プロセッサはこれらの要素を透明にレンダリングし、その結果、これらの要素は表面180内で見えなくなる。例えば、図7において、患者22の鼻の先端196は値z≧zbpを有するため、患者の鼻の先端の近傍の破線198は、表面の画像がスクリーン56上に提示されるときに見えなくなる外面180の部分を示す。
【0060】
上記で定義された要素が透明にレンダリングされた結果、z<zbpの値を有し、z軸に沿って投影されたときに、領域192内にある表面180の要素は、見えるようになり、したがって、画像において表示される。「今は見えるようになった」要素は、局所透明レンダリングの前は、表面要素によって隠されていたので、見えていなかった。今は見えるようになった要素は、図8に示すように、最短逆経路154の要素を含む。
【0061】
図8は、領域170内の表面の要素の局所的透明レンダリングの後にスクリーン56上に表示される表面180を概略的に示す。明確にするために、周囲194(図6)に対応する破線円194Aが画像上に重ね合わせられており、基準フレーム184も図に描かれている。円194A内の要素の透明レンダリングのために、円内のエリア200は、ここで、工程100において受信されたCT断層撮影データから導出された対象22の内部構造を示す。
【0062】
最短逆経路154も図8に描かれている。円194A内の要素の透明なレンダリングのために、経路の一部分は、表面180の画像において見えており、白い実線202として描かれている。経路のうち、透明にレンダリングされていない表面180の要素によって隠されているために見えない部分は、白い破線204として示されている。
【0063】
図6及び図8に示されるケースでは、スクリーン56はxy平面にあり、したがって、スクリーンは、z軸に沿って表面180の方を見る閲覧者の「仮想カメラ」として機能することが理解されよう。
【0064】
上記の説明は、断層撮影データから導出される最短逆経路を視認することへの局所透明の適用の一例を提供し、この場合の局所透明は、対象の冠状面に平行な平面に対して形成される。断層撮影データの三次元の性質のために、本発明の実施形態が、患者22を通る実質的に任意の平面に対して形成され、基準フレーム184において定義され得る局所的な透明を使用して最短の逆経路を視認することができるように操作され得ることが理解されるであろう。
【0065】
局所透明を形成する際に、境界平面及び境界領域の寸法及び位置は、医師が最短逆経路、及び経路の近傍の内部構造を視認することを可能にするように変動されてもよい。
【0066】
医師は、例えば、特定の内部構造の視認性を向上させるために、境界面の方向を変動させてもよい。境界面は、典型的には、スクリーン56上に提示される画像の平面に平行であるが、これは要件ではなく、したがって、例えば、医師が特定の構造のより詳細を見たい場合、境界面は、回転されて、画像平面に平行ではなくなってもよい。
【0067】
場合によっては、工程106において選択されたHU値/グレースケールの範囲は、空気以外の領域、例えば、軟組織及び/又は粘液に対応する領域を含む。工程108において見出された逆経路は、そのような領域を含み得、この場合、プローブ28が経路を辿るために、これらの領域は、例えば、デブリードマンによって障害物を除去されなければならない場合がある。任意選択的な警告工程112において、医師は、例えば、経路の関連セクションを強調表示することによって、かつ/又は他の視覚的又は聴覚的合図によって、逆経路154内の空中にない領域の存在を知らされる。
【0068】
上記の説明は、断層撮影がCT又はX線スキャンによって取得されると仮定しているが、本発明の実施形態は、磁気共鳴撮像(magnetic resonance imaging、MRI)断層撮影画像を使用して、最短逆経路を見出すことも含むことが理解されよう。
【0069】
したがって、フローチャートの工程106に戻って参照すると、ハンスフィールド単位はMRI画像に適用可能ではないので、医師は代わりに、経路発見アルゴリズムが開始点から終点までの経路を見出す際に許容可能なボクセル値として使用する(MRI画像におけるMRI強度の)グレースケール値の範囲を画定する。工程108において、経路発見アルゴリズムは、経路における横断可能なボクセルが、工程106において画定された範囲におけるグレースケールを有する任意のボクセルを含み、この画定された範囲外のグレースケール値を有するボクセルが、見出された任意の経路内のバリアとして機能すると仮定する。X線CT画像ではなくMRI画像を使用することに対応するための上記の説明に対する他の変更は、当業者には明らかであり、全てのそのような変更は、本発明の範囲内に含まれると見なされるべきである。
【0070】
本明細書に記載されている実施形態は、主に、耳鼻咽喉用途に対処するものであるが、本明細書に記載されている方法及びシステムはまた、腹部及び胸部の器官における標的場所の小限侵襲プロービングなど、他の用途にも用いられ得る。
【0071】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上記に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上で説明される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含む。
【0072】
〔実施の態様〕
(1) 患者の身体の少なくとも一部の医用撮像スキャン画像を受信することと、
前記身体内に挿入されるプローブによって横断可能な前記身体内の領域に対応する前記スキャン画像のボクセルを識別することと、
前記スキャン画像をスクリーン上に表示し、その上に前記プローブの選択された終点及び開始点をマークすることと、
プロセッサを使用して、識別された前記ボクセルの連結集合を含む、前記終点から前記開始点までの逆経路を見出すことと、
前記スキャン画像に関連して、前記逆経路を前記スクリーン上に可視化することと、を含む、方法。
(2) 前記逆経路を可視化することが、
前記スキャン画像を使用して、前記身体の外面の表現を生成し、前記表現を前記スクリーン上に表示することと、
前記逆経路の近傍における前記身体の内部構造を前記スクリーン上で見えるようにするために、前記経路を取り囲む前記外面のエリアを、表示された前記表現において局所的に透明にレンダリングすることと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記スキャン画像の前記ボクセルを識別することが、粘液を横断可能な種として選択することを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記スキャン画像の前記ボクセルを識別することが、軟組織を横断可能な種として識別することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記医用撮像スキャン画像が、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン画像であり、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別することが、ボクセルのハンスフィールド単位の範囲を画定することを含む、実施態様1に記載の方法。
【0073】
(6) 前記医用撮像スキャン画像が、磁気共鳴(MR)スキャン画像であり、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別することが、ボクセルのMR画像強度の範囲を画定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記逆経路を見出すことが、前記経路のどの部分も前記プローブの可能性のある曲率半径の範囲よりも小さい曲率半径を含まないことを確実にすることを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記逆経路を見出すことは、経路直径が前記プローブの直径よりも常に大きいことを確実にすることを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記逆経路を見出すことが、前記終点から前記開始点までの最短経路を見出すことを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記最短逆経路を見出すことが、ダイクストラのアルゴリズム又はその拡張を使用することを含む、実施態様9に記載の方法。
【0074】
(11) 前記逆経路を見出すことは、前記プローブが、前記経路の一部分で達成可能なプローブ曲率半径よりも小さい経路曲率半径を有する前記経路の前記一部分を横断する必要がないことを確実にすることを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 装置であって、
患者の身体の少なくとも一部の医用撮像スキャン画像を表示するように構成されたスクリーンと、
プロセッサであって、
前記スキャン画像を受信し、
前記身体内に挿入されるプローブによって横断可能な前記身体内の領域に対応する前記スキャン画像のボクセルを識別し、
前記プローブの選択された終点及び開始点を前記スクリーン上にマークし、
識別された前記ボクセルの連結集合を含む、前記終点から前記開始点までの逆経路を見出し、
前記スキャン画像に関連して、前記逆経路を前記スクリーン上に可視化するように構成された、プロセッサと、を備える、装置。
(13) 前記プロセッサが、
前記スキャン画像を使用して、前記身体の外面の表現を生成し、前記表現を前記スクリーン上に表示し、
前記経路の近傍における前記身体の内部構造を前記スクリーン上で見えるようにするために、前記経路を取り囲む前記外面のエリアを、表示された前記表現において局所的に透明にレンダリングするように構成されている、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記プロセッサが、粘液を横断可能な種として選択することによって、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別するように構成されている、実施態様12に記載の装置。
(15) 前記プロセッサが、軟組織を横断可能な種として識別することによって、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別するように構成されている、実施態様12に記載の装置。
【0075】
(16) 前記医用撮像スキャン画像が、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン画像であり、前記プロセッサが、ボクセルのハンスフィールド単位の範囲を画定することによって、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別するように構成されている、実施態様12に記載の装置。
(17) 前記医用撮像スキャン画像が、磁気共鳴(MR)スキャン画像であり、前記プロセッサが、ボクセルのMR画像強度の範囲を画定することによって、前記スキャン画像の前記ボクセルを識別するように構成されている、実施態様12に記載の装置。
(18) 前記プロセッサが、前記経路のどの部分も前記プローブの可能性のある曲率半径の範囲よりも小さい曲率半径を含まないことを確実にすることによって、前記逆経路を見出すように構成されている、実施態様12に記載の装置。
(19) 前記プロセッサは、経路直径が前記プローブの直径よりも常に大きいことを確実にすることによって、前記逆経路を見出すように構成されている、実施態様12に記載の装置。
(20) 前記プロセッサは、前記開始点から前記終点までの最短経路を見出すことによって、前記逆経路を見出すように構成されている、実施態様12に記載の装置。
【0076】
(21) 前記プロセッサは、ダイクストラのアルゴリズム又はその拡張を使用することによって、前記最短逆経路を見出すように構成されている、実施態様20に記載の装置。
(22) 前記プロセッサは、前記プローブが、前記経路の一部分で達成可能なプローブ曲率半径よりも小さい経路曲率半径を有する前記経路の前記一部分を横断する必要がないことを確実にすることによって、前記逆経路を見出すように構成されている、実施態様12に記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】