IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ▲復▼旦大学の特許一覧

特表2023-531836白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティング
<>
  • 特表-白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティング 図1
  • 特表-白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティング 図2
  • 特表-白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティング 図3
  • 特表-白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティング 図4
  • 特表-白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティング 図5
  • 特表-白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティング 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティング
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20230719BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230719BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20230719BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/61
C09D7/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556664
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 CN2021099682
(87)【国際公開番号】W WO2022252281
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110613415.6
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505294816
【氏名又は名称】▲復▼旦大学
【氏名又は名称原語表記】Fundan University
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】武 利民
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲トン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 敏
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038EA011
4J038HA216
4J038HA266
4J038HA376
4J038HA486
4J038HA536
4J038KA08
4J038KA21
4J038MA06
4J038NA19
4J038NA27
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC04
4J038PC06
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】チタンホワイトパウダーを含まない白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティングを提供する。
【解決手段】本発明のチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料は、10重量%~70重量%の中空ガラスビーズと、30重量%~90重量%の樹脂と、を含む。また、本発明のスマート感温変色塗料は、10~70重量部の中空ガラスビーズとり、30~90重量部の樹脂と、0.5~5重量部の可逆的感温変色マイクロカプセルと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10重量%~70重量%の中空ガラスビーズと、30重量%~90重量%の樹脂と、を含むことを特徴とするチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料。
【請求項2】
前記中空ガラスビーズは、直径が2μm~30μmであり、主成分がソーダ石灰硼珪酸塩ガラスである請求項1に記載のチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料。
【請求項3】
前記樹脂は、水溶性樹脂又は溶剤性樹脂である請求項1に記載のチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料。
【請求項4】
前記樹脂は、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン又はシリコーン樹脂のいずれか一種又は複数種である請求項1に記載のチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の白色塗料を基材表面に塗布して形成されたコーティングであって、平均日射反射率は>=0.90であり、長波長赤外線放射率は>=0.90であり、夜間での自己温度は環境温度より3℃~8℃低く、正午での自己温度は環境温度より2℃~7℃低いことを特徴とするコーティング。
【請求項6】
重量部によって計算されたスマート感温変色塗料であって、10~70重量部の中空ガラスビーズとり、30~90重量部の樹脂と、0.5~5重量部の可逆的感温変色マイクロカプセルと、を含むことを特徴とするスマート感温変色塗料。
【請求項7】
前記中空ガラスビーズは、直径が2μm~30μmであり、主成分がソーダ石灰硼珪酸塩ガラスである請求項6に記載のスマート感温変色塗料。
【請求項8】
前記樹脂は、水溶性樹脂又は溶剤性樹脂である請求項7に記載のスマート感温変色塗料。
【請求項9】
酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、タルク又はチタンホワイトパウダーのいずれか一種または複数種である他のフィラーをさらに含む請求項6に記載のスマート感温変色塗料。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかに記載のスマート感温変色塗料を基材表面に塗布して形成されたコーティングであって、環境温度の変化に応じて、高透過と有彩色とに切り替えることで、スマート降温/昇温を実現することを特徴とするコーティング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能塗料と薄膜技術の分野に属し、チタンホワイトパウダーを含まない白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チタンホワイトパウダー(TiO)は、屈折率が高く、白色度と明度がよく、隠蔽力と着色力が優れているなどの特徴で、塗料、プラスチック、製紙、インク、化学繊維、ゴム、セラミック、化粧品などの業界で多大な応用価値があるとされてきた一方、(1)仕入れ価格が高く、下流産業の需要が旺盛でサプライチェーンが緊張し続けている、(2)生産過程で多くの環境汚染を引き起こす、(3)紫外光と紫光に対する固有の吸収により、全体の日射反射率が高くなく、建築物の降温への応用に適さない、(4)2020年2月18日に正式に発表されたEUの公式ライセンス法規((CLP)(EC)第1272/2008号)では、TiOが第2類の発がん性物質(体内吸入)に分類され、上下流業界が大きな衝撃を受けることになるなど、一連の問題が存在している。そのため、安価で、環境に配慮し、光学性能の良いチタンホワイトパウダー代替物が求められている。
【0003】
近年、受動的昼間放射冷却(PDRC)の技術は、伝統的な電気冷凍システムの減少または代替が期待できるため、研究者から注目を集めている。一重量部の先進的なPDRC設計は優れた降温性能を示しているが、生産過程で複雑で高価な加工設備を使用する必要があり、大規模な普及には適さない。そのため、簡単で、経済的で、効率的で、規模を拡大して生産できるPDRC材料を研究し、開発することは現在の大きな課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、チタンホワイトパウダーを含まない白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料は、10重量%~70重量%の中空ガラスビーズと、30重量%~90重量%の樹脂と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、本発明のチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料において、前記中空ガラスビーズは、直径が2μm~30μmであり、主成分がソーダ石灰硼珪酸塩ガラスであってもよい。
【0007】
また、本発明のチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料において、前記樹脂は、水溶性樹脂又は溶剤性樹脂であってもよい。
【0008】
また、本発明のチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料において、前記樹脂は、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン又はシリコーン樹脂のいずれか一種又は複数種であってもよい。
【0009】
本発明のコーティングは、上記白色塗料を基材表面に塗布して形成されたコーティングであって、平均日射反射率は>=0.90であり、長波長赤外線放射率は>=0.90であり、夜間での自己温度は環境温度より3℃~8℃低く、正午での自己温度は環境温度より2℃~7℃低いことを特徴とする。
【0010】
本発明のスマート感温変色塗料は、重量部によって計算されたスマート感温変色塗料であって、10~70重量部の中空ガラスビーズとり、30~90重量部の樹脂と、0.5~5重量部の可逆的感温変色マイクロカプセルと、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明のスマート感温変色塗料において、前記中空ガラスビーズは、直径が2μm~30μmであり、主成分がソーダ石灰硼珪酸塩ガラスであってもよい。
【0012】
本発明のスマート感温変色塗料において、前記樹脂は、水溶性樹脂又は溶剤性樹脂であってもよい。
【0013】
本発明のスマート感温変色塗料において、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、タルク又はチタンホワイトパウダーのいずれか一種または複数種である他のフィラーをさらに含んでもよい。
【0014】
本発明のコーティングは、上記スマート感温変色塗料を基材表面に塗布して形成されたコーティングであって、環境温度の変化に応じて、高透過と有彩色とに切り替えることで、スマート降温/昇温を実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティングによれば、中空ガラスビーズが樹脂と混合され、樹脂をバインダーとし、中空ガラスビーズが樹脂中に均一に分散されている。中空ガラスビーズ(HGBs)の豊富な多段空洞構造により太陽光を効率よく散乱させ、熱放射率を高めることができるため、光学性能、白色度、隠蔽力などで従来のチタンホワイトパウダー系白色塗料より優れている。また、ポリマー自身の理想的な固有特性、例えば太陽光をほとんど吸収しない、各種官能基とその振動モードは大量の赤外線吸収/放出ピークを引き起こすため、長波長赤外線での材料の放出率を高めることができる。そのため、得られたポリマー系HGBs薄膜(すなわち、チタンホワイトパウダーを含まないコーティングの太陽光スペクトル範囲内の平均反射率は、約0.96に達し、長波長の赤外線放射率は、約0.95に達することができ、光学性能、白色度、隠蔽力などの面で、チタンホワイトパウダーを含む白色塗料より優れており、無毒、環境保護、低コストであるだけでなく、薄膜に優れた降温効果もある。また、夜間には、自身の温度は環境温度より3℃~8℃低く、正午に直射日光が当たっても2℃~7℃冷やすことができる。
【0016】
また、可逆的感温変色マイクロカプセル自体の感温特性により、これを添加した塗料から作られたコーティング、すなわち感温変色コーティングは、環境温度の変化に応じて高透過と有彩色の間で自由に切り替えることができ、従来の放射冷却材により観賞的な外観を与えるだけでなく、太陽エネルギー加熱と受動放射冷却の2モードのスマート調節も実現した。環境温度が感温変色マイクロカプセルの臨界変色温度より低い場合、コーティングは有彩色の外観を呈し、特定波長の可視光を選択的に吸収して、自己加熱する。環境温度が感温変色マイクロカプセルの臨界変色温度より高い場合、コーティングは高透過の外観を呈し、太陽光の波長全体を高く反射し、赤外線熱を放射し、それによって自身を冷却する。
【0017】
本発明は、簡単なブレンド法を用いる、環境に配慮した安価な中空ガラスビーズと樹脂をブレンド塗料分散系を得、プラスチック、ガラス、木材、金属、コンクリートなどの基材に塗布して薄膜を製造する。製造工程が簡単で、原材料が環境に配慮し、安価で、生産コストが低く、大規模な製造が可能である。各種の水性、溶剤型樹脂体系に適用する。得られた薄膜は優れた受動放射降温性能を有し、新しい冷却技術として、従来の電気冷却システムの減少又は代替が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1におけるHGBsとPDMS/HGBsの複合薄膜の走査型電子顕微鏡写真である。
図2】本発明の実施例1におけるPDMS/HGBs複合薄膜のマクロ写真である。
図3】本発明の実施例1におけるPDMS/HGBs複合薄膜の波長0.3~16μmでの反射スペクトルである。
図4】本発明の実施例1におけるPDMS/HGBs/CMs複合薄膜の冷却および加熱状態での日射反射スペクトルである。
図5】本発明の実施例2における環境、PDMS/HGBs及びPDMS/HGBs/CMs複合薄膜の温度追跡曲線である。
図6】本発明の実施例3における環境、PDMS/HGBs、及びPDMS/HGBs/CMs複合薄膜の温度追跡曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の技術的手段、創作的特徴、目的と効果をより簡単に理解するために、以下、実施例及び図面を参照して、本発明のチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティングとその製造方法について具体的に説明する。
【0020】
本発明の実施例における方法は、特に明記されていなければ通常の方法であり、本発明の実施例における原材料は、特に明記されていなければ市販ルートから入手できる。
【0021】
本発明の白色塗料は、チタンホワイトパウダーを含まない白色塗料であって、10重量%~70重量%の中空ガラスビーズと、30重量%~90重量%の樹脂と、を含む。
【0022】
チタンホワイトパウダーを含まない白色塗料に可逆的感温変色マイクロカプセルを添加することにより、本発明のスマート感温変色塗料を得られる。なお、本発明のスマート感温変色塗料は、重量部によって計算され、中空ガラスビーズは10~70重量部であり、樹脂は30~90重量部であり、可逆的感温変色マイクロカプセルは0.5~5重量部である。
【0023】
本発明が提供するチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料及び可逆的感温変色マイクロカプセルを添加したスマート感温変色塗料には、いずれも他のフィラーを添加することができる。
【0024】
また、本発明は、コーティング及び薄膜及びその製造方法を提供する。具体的には、チタンホワイトパウダーを含まない白色塗料またはスマート感温変色塗料を基材表面に塗布して対応するコーティングを形成し、コーティングを基材表面から剥離すると対応する薄膜を得ることができる。
【0025】
また、本発明が提供するコーティング及び薄膜の製造方法は、以下の通りである。
【0026】
(ステップ1)10重量%~70重量%の中空ガラスビーズと30重量%~90重量%の樹脂を混合して分散液とする、
【0027】
(ステップ2)分散液を基板に塗布してコーティングを得る。乾燥後、複合コーティングを基板から剥離して薄膜を得る。或いは、
【0028】
(ステップ1)10~70重量部の中空ガラスビーズと、30~90重量部の樹脂と、0.5~5重量部の可逆的感温変色マイクロカプセルとを混合して分散液とする。
【0029】
(ステップ2)分散液を基板に塗布してコーティングを得る。乾燥後、複合コーティングを基板から剥離して薄膜を得る。
【0030】
上記ステップ1において、10重量%~70重量%の中空ガラスビーズと30重量%~90重量%の樹脂を混合した分散液を用いた場合、得られたコーティングは、チタンホワイトパウダーを含まない高透過コーティングであり、剥離された薄膜は、チタンホワイトパウダーを含まない高透過薄膜である。このチタンホワイトパウダーを含まない高透過コーティングの平均日射反射率は>=0.90で、長波長赤外線放射率は>=0.90で、夜間には自己温度が環境温度より3℃~8℃低く、正午には自己温度が環境温度より2℃~7℃低い。
【0031】
上記ステップ1において、冷発色機能を有する可逆的感温変色マイクロカプセルを添加した場合、環境温度の変化に応じて高透過と有彩色を切り替える温感変色コーティングを得られ、剥離された薄膜は温感変色薄膜になる。
【0032】
また、上記ステップ1において、混合方法として、磁力撹拌、機械撹拌、均質、超音波のいずれかであり、上記ステップ2において、塗布方法として、キャスト、スプレー、ロールコートまたはスピンコートのいずれかである。また、上記ステップ2において、基板の材料はプラスチック、ガラス、木材、金属、コンクリート、紙などのいずれかである。
【0033】
上記製造方法において、樹脂の粘度に応じて適切な溶媒を選択する。例えば、樹脂が水溶性樹脂の場合には水を選択し、樹脂が溶媒性樹脂の場合にはその樹脂を溶解できる有機溶媒を選択する。溶分散液の粘度が一定であるように、溶媒の添加量は樹脂の粘度に依存する必要がある。
【0034】
また、上記製造方法において、チタンホワイトパウダーを含まない白色塗料及びコーティングにおいて、他のフィラーとして、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、タルク又はチタンホワイトパウダーのいずれか一つ又はいくつかを混合物である。本発明において、その他のフィラーは、上記の例に限らず、塗料及びコーティング性能に影響を与えないフィラーであってもよい。
【0035】
また、上記の中空ガラスビーズの直径は2μm~30μmであり、主成分はソーダ石灰ホウケイ酸塩ガラスである。可逆的変色マイクロカプセルの臨界変色温度は15℃~30℃である。
【0036】
上記樹脂は、水溶性樹脂または溶剤性樹脂である。具体的には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリウレタン(PU)、ポリアクリレート(PA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エポキシ樹脂(EP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン樹脂のうちの1種または2種以上である。
【実施例1】
【0037】
まず、5gのポリジメチルシロキサン予備重合体(PDMS、SYLGARD184)、0.5gの硬化剤(SYLGARD184)、及び5gのHGBsを量り取って10gのトルエン溶媒に添加して、常温で2時間で磁力攪拌することで、PDMS/HGBs/トルエンの分散液を得ることができる。次に、上記分散液をロールコーティング方式でアルミニウム板またはガラス板に塗布して、溶液がレベリングするまで待つ。その後、100℃のオーブンに入れて乾燥し、2時間後に取り出してPDMS/HGBs複合コーティングを得る。最後に、PDMS/HGBs複合コーティングを基板から剥離して、PDMS/HGBs複合薄膜を得る。また、PDMS/HGBs/CMs複合薄膜の製作については、PDMS/HGBs/トルエンの分散液に0.2gのCMS(臨界変色温度は25℃、色はスカイブルー)を添加すればよく、他のステップは同様である。
【0038】
断熱された中密度の発泡スチロールと高反射のアルミ箔を用いて冷却温度試験用の保温箱装置を構築し、縦横ともに~100mm、厚さが~800μmの複合薄膜サンプルを保温箱の真ん中に置いた。次に、1つの貼り付け式温度計プローブをサンプルの背面に密着させて薄膜サンプルの温度を測定し、もう1つのプローブを保温箱の外側に置いて環境温度を測定し、10秒ごとにデータポイントを記録する。
【0039】
図1は、本発明の実施例1におけるHGBsとPDMS/HGBsの複合薄膜の走査型電子顕微鏡写真である。図1のaとbは、それぞれHGBsの異なる倍率の走査型電子顕微鏡写真であり、図1のcは、PDMS/HGBs複合薄膜の走査型電子顕微鏡写真である。
【0040】
図1に示すように、HGBsは規則的なボール形の外観と明らかな空洞構造を有し、平均粒径は約10μmで、PDMS基材に均一に分散することができる。
【0041】
図2は、本発明の実施例1におけるPDMS/HGBs複合薄膜のマクロ写真である。図2のaはPDMS/HGBs複合コーティング薄膜の各種変形の写真であり、bはPDMS/HGBs複合コーティング薄膜のアルミニウム板上の写真であり、cはPDMS/HGBs複合コーティング薄膜のガラス板上の写真であり、イラストはコーティング薄膜表面の水接触角である。
【0042】
図2に示すように、作製されたPDMS/HGBs複合薄膜は、高透過の外観、優れた隠蔽力及び柔優れた柔軟性を併せ持ち、アルミ板またはガラス板に塗布できる。そして、PDMSの低表面エネルギーとコーティング表面の粗い多段構造のため、製造されたたPDMS/HGBs複合薄膜は、比較的良好な疎水性も有する。
【0043】
図3は、PDMS/HGBs複合薄膜の波長0.3~16μmでの反射スペクトルを示し、その平均日射反射率は~0.96に達し、長波長赤外線放射率は~0.95に達することができる。これは製造されたPDMS/HGBs複合薄膜が太陽光をほとんど吸収せず、かつ自らの熱を寒冷な宇宙空間に大幅に放熱することができ、日中受動放射冷却の基本的な光学要求を満たしていることを示している。
【0044】
図4は、実施例1におけるPDMS/HGBs/CMs複合薄膜の冷却および加熱状態での日射反射スペクトルである。図4のaは異なる濃度のCMsを含む複合コーティング薄膜の冷却状態での日射反射スペクトルであり、bは異なる濃度のCMsを含む複合コーティング薄膜の加熱状態での日射反射スペクトルである。
【0045】
図4に示すように、HGBsの使用量はすべて50重量%であり、テスト温度は20℃であり、CMsの臨界変色温度は25℃である。その結果、CMs含有量がそれぞれ1重量%、2重量%、5重量%の複合薄膜の冷却状態での平均日射反射率は、それぞれ92.1%、89.9%、87.9%であり、加熱状態での平均日射反射率は、それぞれ95.7%、95.1%、94.7%である。このようなPDMS/HGBs/CMsの複合膜/コーティングでは、温度変化前後の平均日射反射率の差が3.6~6.8%であることは、日射強度が~800W/mの場合、最大54.4W/mの日射吸収を低減できることを意味する。これは放射降温のスマート制御を実現する上で重要な意義があることがわかる。
【0046】
図5は、実施例1における環境、PDMS/HGBs及びPDMS/HGBs/CMs複合コーティング薄膜の温度追跡曲線である。図5のaの環境温度は約14.9℃であり、CMsの臨界変色温度は25℃である。bの環境温度は約39.5℃であり、CMsの臨界変色温度は25℃である。
【0047】
図5は、PDMS/HGBsとPDMS/HGBs/CMs複合薄膜の異なる環境温度での温度追跡曲線を比較したものである。図5から分かるように、環境温度が~14.9℃で、CMsの臨界変色温度が25 ℃の場合、PDMS/HGBsとPDMS/HGBs/CMsの複合薄膜は、それぞれ~ 5.2℃降温し、~2.4℃升温する。この時、PDMS/HGBs/CMsの複合薄膜は有色彩の外観を呈する。一方、環境温度が~39.5 ℃で、CMsの臨界変色温度が25℃の場合、PDMS/HGBsとPDMS/HGBs/CMsの複合薄膜は、それぞれ~6.9℃降温し、~4.5℃升温する、この時、PDMS/HGBs/CMsの複合薄膜は高透過の外観を呈する。このように、PDMS/HGBs/CMs複合薄膜は、環境温度の変化に伴い、高透過と有色彩の間で自由に切り替えられ、自ら冷房モードと暖房モードを可逆的に調節することができ、本当の意味での冬暖かく夏涼しい効果の実現が期待できる。
【実施例2】
【0048】
実施例2では、実施例1と同じ実験装置及び操作である。まず、固形分が48%の水性ポリウレタン(WPU)エマルジョンを10g、HGBSを5gを量りとって、5gの脱イオン水に添加して、常温で機械攪拌を2時間行って、WPU/HGBs/水の分散液を得る。次に、上記分散液をポッティングで木材に塗布して、溶液がレベリングするまで待つ。次に、室温で一晩放置して乾燥させて、WPU/HGBs複合薄膜を得る。なお、サンプル温度と環境温度の測定方法は実施例1と同じである。
【実施例3】
【0049】
まず、5gのPDMSプレポリマーと、0.5gの硬化剤(sylgard184)を、5gのHGBSと、0.2gのCM(臨界変色温度はそれぞれ18、25、28℃、色は桃紅色)を量り取って10gのトルエン溶媒中に添加する。常温でホモジナイザーで10分分散させて、PDMS/HGBs/CMs/トルエンの分散液を得る。次に、上記分散液をスピンコートでプラスチック板に塗布して、溶液がレベリングするまで待った後に100℃のオーブンに入れて乾燥して、2時間後に取り出してPDMS/HGBs/CMs複合コーティングを得る。最後に、PDMS/HGBs/CMs複合コーティングをプラスチック板から剥離して、PDMS/HGBs/CMs複合薄膜を得る。同時に、参考用に上記と同じ方法でCMsを含まないPDMS/HGBs複合薄膜を作成した。なお、サンプル温度と環境温度の測定方法は実施例1と同じである。
【0050】
図6は、実施例3におけるPDMS/HGBs及びPDMS/HGBs/CMs複合コーティング薄膜の温度追跡曲線である。実施例3の環境温度は約30.8℃で、CMsの臨界変色温度はそれぞれ18、25、28℃である。
【0051】
図6はPDMS/HGBs複合コーティング薄膜と異なる臨界変色温度を持つPDMS/HGBs/CMs複合コーティング薄膜の温度追跡曲線を比較したものである。図6に示すように、環境温度が~30.8℃で、CMsの臨界変色温度より高い場合、PDMS/HGBs、PDMS/HGBs/CMS(18℃)、PDMS/HGBs/CMs(25℃)及びPDMS/HGBs/CMs(28℃)の複合コーティングフィルムは、いずれも高透過の外観を呈し、優れた日中受動放射冷却性能を有し、それぞれ~5.3℃、~3.0℃、~1.9℃、~0.3℃降温できる。この結果、環境温度とCMsの臨界変色温度との差が大きいほど、降温効果が顕著であることが分かった。
【実施例4】
【0052】
まず、5gのPDMSプレポリマーと、0.5gの硬化剤(SYLGARD184)と、4gのHGBsと、1gの硫酸バリウムナノ粒子(BaSo、400nm)を量りとって、10gのトルエン溶媒に添加する。常温で2時間で磁力攪拌して、PDMS/HGBs/BaSO/トルエンの分散液を得る。次に、上記分散液をスピンコートで紙に塗布して、溶液がレベリングするまで待った後、100℃のオーブンに入れて乾燥させて、2時間後に取り出して、PDMS/HGBs/BaSO複合コーティングを得る。最後に、PDMS/HGBs/BaSO複合コーティングを紙から剥離することで、PDMS/HGBs/BaSO複合薄膜を得ることができる。なお、サンプル温度と環境温度の測定方法は実施例1と同じである。
【実施例5】
【0053】
実施例5では、実験装置及び操作は実施例1と同様である。まず。5gのポリメチルメタクリレート(PMMA)プラスチック粒子と、4gのHGBsを量りとって、10gのアセトン溶媒に添加する。次に、50℃で2時間磁力撹拌して、PMMA/HGBs/アセトンの分散液を得る。次に、上記分散液をスプレーでコンクリート表面に塗布して、室温で乾燥させてPMMA/HGBs複合薄膜を得る。なお、サンプル温度と環境温度の測定方法は実施例1と同じである。
【0054】
[実施例の作用と効果]
本発明のチタンホワイトパウダーを含まない白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティングによれば、中空ガラスビーズの豊富な多段空洞構造により太陽光を効率よく散乱させ、熱放射率を高めることができるため、光学性能、白色度、隠蔽力などで従来のチタンホワイトパウダー系白色塗料より優れている。また、ポリマー自身の理想的な固有特性、例えば太陽光をほとんど吸収しない、各種官能基とその振動モードは大量の赤外線吸収/放出ピークを引き起こすため、長波長赤外線での材料の放出率を高めることができる。そのため、得られたポリマー系HGBs薄膜(すなわち、チタンホワイトパウダーを含まないコーティングの太陽光スペクトル範囲内の平均反射率は、約0.96に達し、長波長の赤外線放射率は、約0.95に達することができ、光学性能、白色度、隠蔽力などの面で、チタンホワイトパウダーを含む白色塗料より優れており、無毒、環境保護、低コストであるだけでなく、薄膜に優れた降温効果もある。また、夜間には、自身の温度は環境温度より3℃~8℃低く、正午に直射日光が当たっても2℃~7℃冷やすことができる。
【0055】
また、可逆的感温変色マイクロカプセル自体の感温特性により、これを添加した塗料から作られたコーティング、すなわち感温変色コーティングは、環境温度の変化に応じて高透過と有彩色の間で自由に切り替えることができ、従来の放射冷却材により観賞的な外観を与えるだけでなく、太陽エネルギー加熱と受動放射冷却の2モードのスマート調節も実現した。また、図5図6に示すように、環境温度が感温変色マイクロカプセルの臨界変色温度より低い場合、コーティングは有彩色の外観を呈し、特定波長の可視光を選択的に吸収して、自己加熱する。環境温度が感温変色マイクロカプセルの臨界変色温度より高い場合、コーティングは高透過の外観を呈し、太陽光の波長全体を高く反射し、赤外線熱を放射し、それによって自身を冷却する。
【0056】
本発明の実施例は、簡単な機械攪拌混合法を用いて、環境に配慮した安価な中空ガラスビーズと樹脂を混合して塗料分散システムを提供しており、プラスチック、ガラス、木材、金属、コンクリートなどの基材にキャスト、スプレー、スプレー、ローラーコーティング、スピンコーティングなどの方法で塗布して薄膜を製造する。この方法は製造工程が簡単で、原材料の環境に配慮して、安価で、生産コストが低くて、大きく行うことができ、各種のよく見られる水性、溶剤型樹脂体系に適用する。得られた薄膜は優れた受動放射降温性能及び環境温度応答性を有し、冷房と暖房の双方向調節を実現できる。このように新しい冷凍技術として、従来の電気冷却/加熱システムを減らしたり、代替したりして、エネルギー消費のない冬の暖かい夏の涼を実現することが期待できる。
【0057】
上述の実施形態は本発明の好適な例である、本発明の範囲を制限するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能塗料と薄膜技術の分野に属し、白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チタンホワイトパウダー(TiO)は、屈折率が高く、白色度と明度がよく、隠蔽力と着色力が優れているなどの特徴で、塗料、プラスチック、製紙、インク、化学繊維、ゴム、セラミック、化粧品などの業界で多大な応用価値があるとされてきた一方、(1)仕入れ価格が高く、下流産業の需要が旺盛でサプライチェーンが緊張し続けている、(2)生産過程で多くの環境汚染を引き起こす、(3)紫外光と紫光に対する固有の吸収により、全体の日射反射率が高くなく、建築物の降温への応用に適さない、(4)2020年2月18日に正式に発表されたEUの公式ライセンス法規((CLP)(EC)第1272/2008号)では、TiOが第2類の発がん性物質(体内吸入)に分類され、上下流業界が大きな衝撃を受けることになるなど、一連の問題が存在している。そのため、安価で、環境に配慮し、光学性能の良いチタンホワイトパウダー代替物が求められている。
【0003】
近年、受動的昼間放射冷却(PDRC)の技術は、伝統的な電気冷凍システムの減少または代替が期待できるため、研究者から注目を集めている。一重量部の先進的なPDRC設計は優れた降温性能を示しているが、生産過程で複雑で高価な加工設備を使用する必要があり、大規模な普及には適さない。そのため、簡単で、経済的で、効率的で、規模を拡大して生産できるPDRC材料を研究し、開発することは現在の大きな課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の白色塗料は、10重量%~70重量%の中空ガラスビーズと、30重量%~90重量%の樹脂と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の白色塗料において、前記中空ガラスビーズは、直径が2μm~30μmであり、主成分がソーダ石灰硼珪酸塩ガラスであってもよい。
【0007】
また、本発明の白色塗料において、前記樹脂は、水溶性樹脂又は溶剤性樹脂であってもよい。
【0008】
また、本発明の白色塗料において、前記樹脂は、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン又はシリコーン樹脂のいずれか一種又は複数種であってもよい。
【0009】
本発明のコーティングは、上記白色塗料を基材表面に塗布して形成されたコーティングであって、平均日射反射率は>=0.90であり、長波長赤外線放射率は>=0.90であり、夜間での自己温度は環境温度より3℃~8℃低く、正午での自己温度は環境温度より2℃~7℃低いことを特徴とする。
【0010】
本発明のスマート感温変色塗料は、重量部によって計算されたスマート感温変色塗料であって、10~70重量部の中空ガラスビーズとり、30~90重量部の樹脂と、0.5~5重量部の可逆的感温変色マイクロカプセルと、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明のスマート感温変色塗料において、前記中空ガラスビーズは、直径が2μm~30μmであり、主成分がソーダ石灰硼珪酸塩ガラスであってもよい。
【0012】
本発明のスマート感温変色塗料において、前記樹脂は、水溶性樹脂又は溶剤性樹脂であってもよい。
【0013】
本発明のスマート感温変色塗料において、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、タルク又はチタンホワイトパウダーのいずれか一種または複数種である他のフィラーをさらに含んでもよい。
【0014】
本発明のコーティングは、上記スマート感温変色塗料を基材表面に塗布して形成されたコーティングであって、環境温度の変化に応じて、高透過と有彩色とに切り替えることで、スマート降温/昇温を実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティングによれば、中空ガラスビーズが樹脂と混合され、樹脂をバインダーとし、中空ガラスビーズが樹脂中に均一に分散されている。中空ガラスビーズ(HGBs)の豊富な多段空洞構造により太陽光を効率よく散乱させ、熱放射率を高めることができるため、光学性能、白色度、隠蔽力などで従来のチタンホワイトパウダー系白色塗料より優れている。また、ポリマー自身の理想的な固有特性、例えば太陽光をほとんど吸収しない、各種官能基とその振動モードは大量の赤外線吸収/放出ピークを引き起こすため、長波長赤外線での材料の放出率を高めることができる。そのため、得られたポリマー系HGBs薄膜(すなわち、ーティングの太陽光スペクトル範囲内の平均反射率は、約0.96に達し、長波長の赤外線放射率は、約0.95に達することができ、光学性能、白色度、隠蔽力などの面で、チタンホワイトパウダーを含む白色塗料より優れており、無毒、環境保護、低コストであるだけでなく、薄膜に優れた降温効果もある。また、夜間には、自身の温度は環境温度より3℃~8℃低く、正午に直射日光が当たっても2℃~7℃冷やすことができる。
【0016】
また、可逆的感温変色マイクロカプセル自体の感温特性により、これを添加した塗料から作られたコーティング、すなわち感温変色コーティングは、環境温度の変化に応じて高透過と有彩色の間で自由に切り替えることができ、従来の放射冷却材により観賞的な外観を与えるだけでなく、太陽エネルギー加熱と受動放射冷却の2モードのスマート調節も実現した。環境温度が感温変色マイクロカプセルの臨界変色温度より低い場合、コーティングは有彩色の外観を呈し、特定波長の可視光を選択的に吸収して、自己加熱する。環境温度が感温変色マイクロカプセルの臨界変色温度より高い場合、コーティングは高透過の外観を呈し、太陽光の波長全体を高く反射し、赤外線熱を放射し、それによって自身を冷却する。
【0017】
本発明は、簡単なブレンド法を用いる、環境に配慮した安価な中空ガラスビーズと樹脂をブレンド塗料分散系を得、プラスチック、ガラス、木材、金属、コンクリートなどの基材に塗布して薄膜を製造する。製造工程が簡単で、原材料が環境に配慮し、安価で、生産コストが低く、大規模な製造が可能である。各種の水性、溶剤型樹脂体系に適用する。得られた薄膜は優れた受動放射降温性能を有し、新しい冷却技術として、従来の電気冷却システムの減少又は代替が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1におけるHGBsとPDMS/HGBsの複合薄膜の走査型電子顕微鏡写真である。
図2】本発明の実施例1におけるPDMS/HGBs複合薄膜のマクロ写真である。
図3】本発明の実施例1におけるPDMS/HGBs複合薄膜の波長0.3~16μmでの反射スペクトルである。
図4】本発明の実施例1におけるPDMS/HGBs/CMs複合薄膜の冷却および加熱状態での日射反射スペクトルである。
図5】本発明の実施例2における環境、PDMS/HGBs及びPDMS/HGBs/CMs複合薄膜の温度追跡曲線である。
図6】本発明の実施例3における環境、PDMS/HGBs、及びPDMS/HGBs/CMs複合薄膜の温度追跡曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の技術的手段、創作的特徴、目的と効果をより簡単に理解するために、以下、実施例及び図面を参照して、本発明の白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティングとその製造方法について具体的に説明する。
【0020】
本発明の実施例における方法は、特に明記されていなければ通常の方法であり、本発明の実施例における原材料は、特に明記されていなければ市販ルートから入手できる。
【0021】
本発明の白色塗料は、白色塗料であって、10重量%~70重量%の中空ガラスビーズと、30重量%~90重量%の樹脂と、を含む。
【0022】
白色塗料に可逆的感温変色マイクロカプセルを添加することにより、本発明のスマート感温変色塗料を得られる。なお、本発明のスマート感温変色塗料は、重量部によって計算され、中空ガラスビーズは10~70重量部であり、樹脂は30~90重量部であり、可逆的感温変色マイクロカプセルは0.5~5重量部である。
【0023】
本発明が提供する白色塗料及び可逆的感温変色マイクロカプセルを添加したスマート感温変色塗料には、いずれも他のフィラーを添加することができる。
【0024】
また、本発明は、コーティング及び薄膜及びその製造方法を提供する。具体的には、白色塗料またはスマート感温変色塗料を基材表面に塗布して対応するコーティングを形成し、コーティングを基材表面から剥離すると対応する薄膜を得ることができる。
【0025】
また、本発明が提供するコーティング及び薄膜の製造方法は、以下の通りである。
【0026】
(ステップ1)10重量%~70重量%の中空ガラスビーズと30重量%~90重量%の樹脂を混合して分散液とする、
【0027】
(ステップ2)分散液を基板に塗布してコーティングを得る。乾燥後、複合コーティングを基板から剥離して薄膜を得る。或いは、
【0028】
(ステップ1)10~70重量部の中空ガラスビーズと、30~90重量部の樹脂と、0.5~5重量部の可逆的感温変色マイクロカプセルとを混合して分散液とする。
【0029】
(ステップ2)分散液を基板に塗布してコーティングを得る。乾燥後、複合コーティングを基板から剥離して薄膜を得る。
【0030】
上記ステップ1において、10重量%~70重量%の中空ガラスビーズと30重量%~90重量%の樹脂を混合した分散液を用いた場合、得られたコーティングは、高透過コーティングであり、剥離された薄膜は、高透過薄膜である。この高透過コーティングの平均日射反射率は>=0.90で、長波長赤外線放射率は>=0.90で、夜間には自己温度が環境温度より3℃~8℃低く、正午には自己温度が環境温度より2℃~7℃低い。
【0031】
上記ステップ1において、冷発色機能を有する可逆的感温変色マイクロカプセルを添加した場合、環境温度の変化に応じて高透過と有彩色を切り替える温感変色コーティングを得られ、剥離された薄膜は温感変色薄膜になる。
【0032】
また、上記ステップ1において、混合方法として、磁力撹拌、機械撹拌、均質、超音波のいずれかであり、上記ステップ2において、塗布方法として、キャスト、スプレー、ロールコートまたはスピンコートのいずれかである。また、上記ステップ2において、基板の材料はプラスチック、ガラス、木材、金属、コンクリート、紙などのいずれかである。
【0033】
上記製造方法において、樹脂の粘度に応じて適切な溶媒を選択する。例えば、樹脂が水溶性樹脂の場合には水を選択し、樹脂が溶媒性樹脂の場合にはその樹脂を溶解できる有機溶媒を選択する。溶分散液の粘度が一定であるように、溶媒の添加量は樹脂の粘度に依存する必要がある。
【0034】
また、上記製造方法において、白色塗料及びコーティングにおいて、他のフィラーとして、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、タルク又はチタンホワイトパウダーのいずれか一つ又はいくつかを混合物である。本発明において、その他のフィラーは、上記の例に限らず、塗料及びコーティング性能に影響を与えないフィラーであってもよい。
【0035】
また、上記の中空ガラスビーズの直径は2μm~30μmであり、主成分はソーダ石灰ホウケイ酸塩ガラスである。可逆的変色マイクロカプセルの臨界変色温度は15℃~30℃である。
【0036】
上記樹脂は、水溶性樹脂または溶剤性樹脂である。具体的には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリウレタン(PU)、ポリアクリレート(PA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エポキシ樹脂(EP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン樹脂のうちの1種または2種以上である。
【実施例1】
【0037】
まず、5gのポリジメチルシロキサン予備重合体(PDMS、SYLGARD184)、0.5gの硬化剤(SYLGARD184)、及び5gのHGBsを量り取って10gのトルエン溶媒に添加して、常温で2時間で磁力攪拌することで、PDMS/HGBs/トルエンの分散液を得ることができる。次に、上記分散液をロールコーティング方式でアルミニウム板またはガラス板に塗布して、溶液がレベリングするまで待つ。その後、100℃のオーブンに入れて乾燥し、2時間後に取り出してPDMS/HGBs複合コーティングを得る。最後に、PDMS/HGBs複合コーティングを基板から剥離して、PDMS/HGBs複合薄膜を得る。また、PDMS/HGBs/CMs複合薄膜の製作については、PDMS/HGBs/トルエンの分散液に0.2gのCMS(臨界変色温度は25℃、色はスカイブルー)を添加すればよく、他のステップは同様である。
【0038】
断熱された中密度の発泡スチロールと高反射のアルミ箔を用いて冷却温度試験用の保温箱装置を構築し、縦横ともに100mm、厚さが800μmの複合薄膜サンプルを保温箱の真ん中に置いた。次に、1つの貼り付け式温度計プローブをサンプルの背面に密着させて薄膜サンプルの温度を測定し、もう1つのプローブを保温箱の外側に置いて環境温度を測定し、10秒ごとにデータポイントを記録する。
【0039】
図1は、本発明の実施例1におけるHGBsとPDMS/HGBsの複合薄膜の走査型電子顕微鏡写真である。図1のaとbは、それぞれHGBsの異なる倍率の走査型電子顕微鏡写真であり、図1のcは、PDMS/HGBs複合薄膜の走査型電子顕微鏡写真である。
【0040】
図1に示すように、HGBsは規則的なボール形の外観と明らかな空洞構造を有し、平均粒径は約10μmで、PDMS基材に均一に分散することができる。
【0041】
図2は、本発明の実施例1におけるPDMS/HGBs複合薄膜のマクロ写真である。図2のaはPDMS/HGBs複合コーティング薄膜の各種変形の写真であり、bはPDMS/HGBs複合コーティング薄膜のアルミニウム板上の写真であり、cはPDMS/HGBs複合コーティング薄膜のガラス板上の写真であり、イラストはコーティング薄膜表面の水接触角である。
【0042】
図2に示すように、作製されたPDMS/HGBs複合薄膜は、高透過の外観、優れた隠蔽力及び柔優れた柔軟性を併せ持ち、アルミ板またはガラス板に塗布できる。そして、PDMSの低表面エネルギーとコーティング表面の粗い多段構造のため、製造されたたPDMS/HGBs複合薄膜は、比較的良好な疎水性も有する。
【0043】
図3は、PDMS/HGBs複合薄膜の波長0.3~16μmでの反射スペクトルを示し、その平均日射反射率は0.96に達し、長波長赤外線放射率は0.95に達することができる。これは製造されたPDMS/HGBs複合薄膜が太陽光をほとんど吸収せず、かつ自らの熱を寒冷な宇宙空間に大幅に放熱することができ、日中受動放射冷却の基本的な光学要求を満たしていることを示している。
【0044】
図4は、実施例1におけるPDMS/HGBs/CMs複合薄膜の冷却および加熱状態での日射反射スペクトルである。図4のaは異なる濃度のCMsを含む複合コーティング薄膜の冷却状態での日射反射スペクトルであり、bは異なる濃度のCMsを含む複合コーティング薄膜の加熱状態での日射反射スペクトルである。
【0045】
図4に示すように、HGBsの使用量はすべて50重量%であり、テスト温度は20℃であり、CMsの臨界変色温度は25℃である。その結果、CMs含有量がそれぞれ1重量%、2重量%、5重量%の複合薄膜の冷却状態での平均日射反射率は、それぞれ92.1%、89.9%、87.9%であり、加熱状態での平均日射反射率は、それぞれ95.7%、95.1%、94.7%である。このようなPDMS/HGBs/CMsの複合膜/コーティングでは、温度変化前後の平均日射反射率の差が3.6~6.8%であることは、日射強度が800W/mの場合、最大54.4W/mの日射吸収を低減できることを意味する。これは放射降温のスマート制御を実現する上で重要な意義があることがわかる。
【0046】
図5は、実施例1における環境、PDMS/HGBs及びPDMS/HGBs/CMs複合コーティング薄膜の温度追跡曲線である。図5のaの環境温度は約14.9℃であり、CMsの臨界変色温度は25℃である。bの環境温度は約39.5℃であり、CMsの臨界変色温度は25℃である。
【0047】
図5は、PDMS/HGBsとPDMS/HGBs/CMs複合薄膜の異なる環境温度での温度追跡曲線を比較したものである。図5から分かるように、環境温度が14.9℃で、CMsの臨界変色温度が25 ℃の場合、PDMS/HGBsとPDMS/HGBs/CMsの複合薄膜は、それぞれ5.2℃降温し、2.4℃升温する。この時、PDMS/HGBs/CMsの複合薄膜は有色彩の外観を呈する。一方、環境温度が39.5 ℃で、CMsの臨界変色温度が25℃の場合、PDMS/HGBsとPDMS/HGBs/CMsの複合薄膜は、それぞれ6.9℃降温し、4.5℃升温する、この時、PDMS/HGBs/CMsの複合薄膜は高透過の外観を呈する。このように、PDMS/HGBs/CMs複合薄膜は、環境温度の変化に伴い、高透過と有色彩の間で自由に切り替えられ、自ら冷房モードと暖房モードを可逆的に調節することができ、本当の意味での冬暖かく夏涼しい効果の実現が期待できる。
【実施例2】
【0048】
実施例2では、実施例1と同じ実験装置及び操作である。まず、固形分が48%の水性ポリウレタン(WPU)エマルジョンを10g、HGBSを5gを量りとって、5gの脱イオン水に添加して、常温で機械攪拌を2時間行って、WPU/HGBs/水の分散液を得る。次に、上記分散液をポッティングで木材に塗布して、溶液がレベリングするまで待つ。次に、室温で一晩放置して乾燥させて、WPU/HGBs複合薄膜を得る。なお、サンプル温度と環境温度の測定方法は実施例1と同じである。
【実施例3】
【0049】
まず、5gのPDMSプレポリマーと、0.5gの硬化剤(sylgard184)を、5gのHGBSと、0.2gのCM(臨界変色温度はそれぞれ18、25、28℃、色は桃紅色)を量り取って10gのトルエン溶媒中に添加する。常温でホモジナイザーで10分分散させて、PDMS/HGBs/CMs/トルエンの分散液を得る。次に、上記分散液をスピンコートでプラスチック板に塗布して、溶液がレベリングするまで待った後に100℃のオーブンに入れて乾燥して、2時間後に取り出してPDMS/HGBs/CMs複合コーティングを得る。最後に、PDMS/HGBs/CMs複合コーティングをプラスチック板から剥離して、PDMS/HGBs/CMs複合薄膜を得る。同時に、参考用に上記と同じ方法でCMsを含まないPDMS/HGBs複合薄膜を作成した。なお、サンプル温度と環境温度の測定方法は実施例1と同じである。
【0050】
図6は、実施例3におけるPDMS/HGBs及びPDMS/HGBs/CMs複合コーティング薄膜の温度追跡曲線である。実施例3の環境温度は約30.8℃で、CMsの臨界変色温度はそれぞれ18、25、28℃である。
【0051】
図6はPDMS/HGBs複合コーティング薄膜と異なる臨界変色温度を持つPDMS/HGBs/CMs複合コーティング薄膜の温度追跡曲線を比較したものである。図6に示すように、環境温度が30.8℃で、CMsの臨界変色温度より高い場合、PDMS/HGBs、PDMS/HGBs/CMS(18℃)、PDMS/HGBs/CMs(25℃)及びPDMS/HGBs/CMs(28℃)の複合コーティングフィルムは、いずれも高透過の外観を呈し、優れた日中受動放射冷却性能を有し、それぞれ5.3℃、3.0℃、1.9℃、0.3℃降温できる。この結果、環境温度とCMsの臨界変色温度との差が大きいほど、降温効果が顕著であることが分かった。
【実施例4】
【0052】
まず、5gのPDMSプレポリマーと、0.5gの硬化剤(SYLGARD184)と、4gのHGBsと、1gの硫酸バリウムナノ粒子(BaSo、400nm)を量りとって、10gのトルエン溶媒に添加する。常温で2時間で磁力攪拌して、PDMS/HGBs/BaSO/トルエンの分散液を得る。次に、上記分散液をスピンコートで紙に塗布して、溶液がレベリングするまで待った後、100℃のオーブンに入れて乾燥させて、2時間後に取り出して、PDMS/HGBs/BaSO複合コーティングを得る。最後に、PDMS/HGBs/BaSO複合コーティングを紙から剥離することで、PDMS/HGBs/BaSO複合薄膜を得ることができる。なお、サンプル温度と環境温度の測定方法は実施例1と同じである。
【実施例5】
【0053】
実施例5では、実験装置及び操作は実施例1と同様である。まず。5gのポリメチルメタクリレート(PMMA)プラスチック粒子と、4gのHGBsを量りとって、10gのアセトン溶媒に添加する。次に、50℃で2時間磁力撹拌して、PMMA/HGBs/アセトンの分散液を得る。次に、上記分散液をスプレーでコンクリート表面に塗布して、室温で乾燥させてPMMA/HGBs複合薄膜を得る。なお、サンプル温度と環境温度の測定方法は実施例1と同じである。
【0054】
[実施例の作用と効果]
本発明の白色塗料、スマート感温変色塗料及びコーティングによれば、中空ガラスビーズの豊富な多段空洞構造により太陽光を効率よく散乱させ、熱放射率を高めることができるため、光学性能、白色度、隠蔽力などで従来のチタンホワイトパウダー系白色塗料より優れている。また、ポリマー自身の理想的な固有特性、例えば太陽光をほとんど吸収しない、各種官能基とその振動モードは大量の赤外線吸収/放出ピークを引き起こすため、長波長赤外線での材料の放出率を高めることができる。そのため、得られたポリマー系HGBs薄膜(すなわち、ーティングの太陽光スペクトル範囲内の平均反射率は、約0.96に達し、長波長の赤外線放射率は、約0.95に達することができ、光学性能、白色度、隠蔽力などの面で、チタンホワイトパウダーを含む白色塗料より優れており、無毒、環境保護、低コストであるだけでなく、薄膜に優れた降温効果もある。また、夜間には、自身の温度は環境温度より3℃~8℃低く、正午に直射日光が当たっても2℃~7℃冷やすことができる。
【0055】
また、可逆的感温変色マイクロカプセル自体の感温特性により、これを添加した塗料から作られたコーティング、すなわち感温変色コーティングは、環境温度の変化に応じて高透過と有彩色の間で自由に切り替えることができ、従来の放射冷却材により観賞的な外観を与えるだけでなく、太陽エネルギー加熱と受動放射冷却の2モードのスマート調節も実現した。また、図5図6に示すように、環境温度が感温変色マイクロカプセルの臨界変色温度より低い場合、コーティングは有彩色の外観を呈し、特定波長の可視光を選択的に吸収して、自己加熱する。環境温度が感温変色マイクロカプセルの臨界変色温度より高い場合、コーティングは高透過の外観を呈し、太陽光の波長全体を高く反射し、赤外線熱を放射し、それによって自身を冷却する。
【0056】
本発明の実施例は、簡単な機械攪拌混合法を用いて、環境に配慮した安価な中空ガラスビーズと樹脂を混合して塗料分散システムを提供しており、プラスチック、ガラス、木材、金属、コンクリートなどの基材にキャスト、スプレー、スプレー、ローラーコーティング、スピンコーティングなどの方法で塗布して薄膜を製造する。この方法は製造工程が簡単で、原材料の環境に配慮して、安価で、生産コストが低くて、大きく行うことができ、各種のよく見られる水性、溶剤型樹脂体系に適用する。得られた薄膜は優れた受動放射降温性能及び環境温度応答性を有し、冷房と暖房の双方向調節を実現できる。このように新しい冷凍技術として、従来の電気冷却/加熱システムを減らしたり、代替したりして、エネルギー消費のない冬の暖かい夏の涼を実現することが期待できる。
【0057】
上述の実施形態は本発明の好適な例である、本発明の範囲を制限するものではない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10重量%~70重量%の中空ガラスビーズと、30重量%~90重量%の樹脂と、を含むことを特徴とする白色塗料。
【請求項2】
前記中空ガラスビーズは、直径が2μm~30μmであり、主成分がソーダ石灰硼珪酸塩ガラスである請求項1に記載の白色塗料。
【請求項3】
前記樹脂は、水溶性樹脂又は溶剤性樹脂である請求項1に記載の白色塗料。
【請求項4】
前記樹脂は、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン又はシリコーン樹脂のいずれか一種又は複数種である請求項1に記載の白色塗料。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の白色塗料を基材表面に塗布して形成されたコーティングであって、平均日射反射率は>=0.90であり、長波長赤外線放射率は>=0.90であり、夜間での自己温度は環境温度より3℃~8℃低く、正午での自己温度は環境温度より2℃~7℃低いことを特徴とするコーティング。
【請求項6】
重量部によって計算されたスマート感温変色塗料であって、10~70重量部の中空ガラスビーズとり、30~90重量部の樹脂と、0.5~5重量部の可逆的感温変色マイクロカプセルと、を含むことを特徴とするスマート感温変色塗料。
【請求項7】
前記中空ガラスビーズは、直径が2μm~30μmであり、主成分がソーダ石灰硼珪酸塩ガラスである請求項6に記載のスマート感温変色塗料。
【請求項8】
前記樹脂は、水溶性樹脂又は溶剤性樹脂である請求項7に記載のスマート感温変色塗料。
【請求項9】
酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、タルク又はチタンホワイトパウダーのいずれか一種または複数種である他のフィラーをさらに含む請求項6に記載のスマート感温変色塗料。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかに記載のスマート感温変色塗料を基材表面に塗布して形成されたコーティングであって、環境温度の変化に応じて、高透過と有彩色とに切り替えることで、スマート降温/昇温を実現することを特徴とするコーティング。
【国際調査報告】