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特表2023-531884ガス成分分離のためのパターン化電極を有するエレクトロスイング吸着セル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】ガス成分分離のためのパターン化電極を有するエレクトロスイング吸着セル
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/32 20060101AFI20230719BHJP
   C01B 32/168 20170101ALI20230719BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
B01D53/32
C01B32/168
B01D53/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576484
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 US2021036727
(87)【国際公開番号】W WO2021252713
(87)【国際公開日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】63/037,829
(32)【優先日】2020-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/128,358
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522481031
【氏名又は名称】ヴェルドックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サハグ・ヴォスキアン
(72)【発明者】
【氏名】カレン・トーマス-アリヤ
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス・バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ボーシャン・ポープレ
【テーマコード(参考)】
4D012
4G146
【Fターム(参考)】
4D012BA00
4D012CA03
4D012CD10
4G146AA11
4G146AB06
4G146AD22
4G146BA04
4G146CB19
4G146CB35
(57)【要約】
本開示は、パターン化電極を有するシステム及びエレクトロスイング吸着セルに関する。パターン化電極は、複数の電解質領域、複数のガス領域、及び導電性骨格を含む。導電性骨格は複数の電解質領域に広がり、電気活性種を含む。電極、エレクトロスイング吸着セル及びエレクトロスイング吸着セルを含むガス分離システムの製造のための方法もまた記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロスイング吸着セルのためのパターン化電極であって、
複数の電解質領域、
複数のガス領域、及び
導電性骨格を含み、導電性骨格が、複数の電解質領域に広がり、電気活性種が還元状態にある場合標的ガスと結合することが可能であり、電気活性種が酸化状態にある場合標的ガスを放出することが可能である電気活性種を含む、パターン化電極。
【請求項2】
第1の電極が15~500マイクロメートルの厚さを有する、請求項1に記載のパターン化電極。
【請求項3】
電解質領域を介してパターン化電極中の活性部位までの標的ガス種の拡散長が1μm~1mmである、請求項1又は2に記載のパターン化電極。
【請求項4】
複数の電解質領域及び複数のガス領域が規則的パターンを形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載のパターン化電極。
【請求項5】
複数のガス領域が電極全体にわたりランダムに分散されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のパターン化電極。
【請求項6】
複数のガス領域が1~100マイクロメートルの寸法を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のパターン化電極。
【請求項7】
ガス領域がゼオライト粒子を含み、好ましくはゼオライト粒子が1~100マイクロメートルの平均直径を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のパターン化電極。
【請求項8】
第1の電極がプリーツ加工又はフォールディングの構成を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のパターン化電極。
【請求項9】
電極が2つ以上の層を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のパターン化電極。
【請求項10】
導電性骨格が複数のガス領域に広がっている、請求項1から9のいずれか一項に記載のパターン化電極。
【請求項11】
複数のガス領域のそれぞれが平均直径を有し、平均距離で分離され、平均直径の平均距離に対する比が0.01~0.5である、請求項1から10のいずれか一項に記載のパターン化電極。
【請求項12】
電解質領域がイオン性液体、ゲル電解質、ゲルポリマー電解質又はポリマーイオン性液体を含む電解質を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のパターン化電極。
【請求項13】
複数の電解質領域のそれぞれが0.5~50マイクロメートルの平均経路長を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のパターン化電極。
【請求項14】
電気活性種が、電気活性ポリマー、電気活性オリゴマー、電気活性有機化合物、又はこれらの組合せ、
好ましくは、
置換若しくは非置換のキノン若しくはテトロン、好ましくはベンゾキノン、1,4-ナフトキノン、1,2-ナフトキノン、アントラキノン、フェナントレンキノン、ベンズアントラキノン、ジベンゾアントラキノン、4,5,9,10-ピレンテトロン、又はこれらの組合せ、或いは
置換若しくは非置換のキノン若しくはテトロンから誘導される繰返し単位を含むポリマー若しくはオリゴマー、好ましくはベンゾキノン、1,4-ナフトキノン、1,2-ナフトキノン、アントラキノン、フェナントレンキノン、ベンズアントラキノン、ジベンゾアントラキノン、4,5,9,10-ピレンテトロン、又はこれらの組合せから誘導される繰返し単位を含むポリマー
を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のパターン化電極。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のパターン化電極、
補助電気活性複合層を含む第2の電極、及び
パターン化電極と第2の電極との間のセパレータ
を含む、エレクトロスイング吸着セル。
【請求項16】
パターン化電極、第2の電極、及びセパレータが一緒にフォールディング又はプリーツ加工されている、請求項15に記載のエレクトロスイング吸着セル。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか一項に記載の、エレクトロスイング吸着セルのためのパターン化電極を製造する方法であって、
複合材料をセパレータ上に堆積させる工程であって、複合材料が電解質と、電気活性種をコーティングした導電性骨格とを含む、工程、並びに
複数の電解質領域及び複数のガス領域を含むパターン化電極を形成する工程を含み、
パターン化電極を形成する工程が、レーザーアブレーション、リソグラフィー、機械的刻印、機械加工、エッチング、ポロゲンの除去又はこれらの組合せによるものである、方法。
【請求項18】
エレクトロスイング吸着セルを製造する方法であって、
複合材料をセパレータ上に堆積させる工程であって、複合材料が電解質と、電気活性種をコーティングした導電性骨格とを含む、工程、
複数の電解質領域及び複数のガス領域を含むパターン化した第1の電極を形成する工程、並びに
ガス流れ場及び第2の電極をパターン化した第1の電極に結合して、エレクトロスイング吸着セルを得る工程を含み、
第1のパターン化電極を形成する工程が、複合材料の一部分を除去して、複数の電解質領域及び複数のガス領域を形成する工程を含み、複合材料の一部分を除去する工程が、レーザーアブレーション、リソグラフィー、機械的刻印、機械加工、エッチング、ポロゲンの除去又はこれらの組合せによるものである、方法。
【請求項19】
エレクトロスイング吸着セルを製造する方法であって、
電解質と、第1の電気活性種をコーティングした導電性骨格とを含む複合層を提供する工程、
ガスを充填した細孔を含む第2の導電性骨格を提供する工程、
複合層を第2の複合層とともにプリーツ加工して、パターン化した第1の電極を得る工程、並びに
ガス流れ場及び第2の電極をパターン化した第1の電極に結合して、エレクトロスイング吸着セルを得る工程を含む、方法。
【請求項20】
ガス導入口及びガス排出口に流体連通している複数のエレクトロスイング吸着セルを含むガス分離システムであって、複数のエレクトロスイング吸着セルのそれぞれが請求項15又は16によるものである、ガス分離システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月11日に出願した米国仮特許出願第63/037,829号、及び2020年12月21日に出願した第63/128,358号の優先権を主張し、これら両方の内容はその全体において本明細書に参照により組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
ガス混合物から標的種を除去することは、多くの研究及び開発の主題となっている。例えば、二酸化炭素放出を抑制することにより地球温暖化を緩和するための努力がなされている。この目的を達成するために、その生成の異なる段階において二酸化炭素を捕獲するための、従来の熱的方法を含むいくつかの手法が探究されてきた。標的ガス除去の他の潜在的用途には、空気又は換気された空気から標的ガスを直接除去することが含まれる。
【0003】
エレクトロスイング吸着(ESA)は、ガス混合物から標的ガスを捕獲する代替法である。ESAは標的種をガス流から除去するための有効なプロセスではあるが、このプロセスの効率及び生産性は、ガス種がソーベント電極へと拡散できるスピードにより限定され得る。言い換えると、ガス種の電極への拡散時定数がESA法における制限因子となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/977797号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0298267号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0197519号明細書
【特許文献4】米国特許第6,099,984号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0209150号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0203260号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0022052号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/0151975号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2002/0081477号明細書
【特許文献10】米国特許第6,309,773号明細書
【特許文献11】米国特許第6,756,149号明細書
【特許文献12】米国特許第6,159,629号明細書
【特許文献13】米国特許第6,174,616号明細書
【特許文献14】米国特許第5,486,430号明細書
【特許文献15】米国特許第5,776,625号明細書
【特許文献16】米国特許第6,017,648号明細書
【特許文献17】米国特許第6,440,597号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2006/0073385号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2003/0031914号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2003/0072988号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2007/0231619号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2007/0042254号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2002/0172852号明細書
【特許文献24】米国特許第6,261,711号明細書
【特許文献25】米国特許第6,190,793号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Ying Hou and Ruth E. Baltus、Ind, Eng, Chem, Res. 2007 第46巻、第24号8166~8175ページ、「Experimental Measurement of the solubility and diffusivity of CO2 in room-temperature ionic liquids using a transient thin-liquid-film method」
【非特許文献2】Javid Safarov、Rena Hamidova、Martin Stephan、Norbert Schmotz、Ismail Kul、Astan Shahverdiyev、and Egon Hassel、J Chem Therm 2013第67巻181~189ページ、「Carbon dioxide solubility in 1-butyl-3-methylimidazolium-bis(trifluormethylsulfonyl)imide over a wide range of temperatures and pressures」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ガス成分分離のための改善されたシステム及びエレクトロスイング吸着セルに対する必要性が当技術分野において依然として存在する。上に記載された既存の技術の技術的制限に対処するためにパターン化電極を有するエレクトロスイング吸着セルを提供することが特に有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エレクトロスイング吸着セルのためのパターン化電極であって、複数の電解質領域、複数のガス領域、及び導電性骨格を含み、導電性骨格が複数の電解質領域に広がり、電気活性種が還元状態にある場合標的ガスと結合することが可能であり、電気活性種が酸化状態にある場合標的ガスを放出することが可能である電気活性種を含む、パターン化電極が本明細書に提供されている。
【0008】
パターン化電極、補助電気活性複合層を含む第2の電極、及びパターン化電極と第2の電極との間のセパレータを含むエレクトロスイング吸着セルもまた提供される。
【0009】
エレクトロスイング吸着セルを製造する方法は、複合材料をセパレータ上に堆積させる工程であって、複合材料が電解質及び電気活性種をコーティングした導電性骨格を含む工程、並びに複数の電解質領域及び複数のガス領域を含む、パターン化電極を形成する工程であって、パターン化電極を形成することが、機械加工、リソグラフィー、エッチング、セルフアセンブリー、ポロゲンの除去又はこれらの組合せによるものである工程を含む。
【0010】
エレクトロスイング吸着セルを製造する方法は、複合材料をセパレータ上に堆積させる工程であって、複合材料が電解質及び電気活性種をコーティングした導電性骨格を含む工程、複数の電解質領域及び複数のガス領域を含む、パターン化した第1の電極を形成する工程、並びにガス流れ場及び第2の電極をパターン化した第1の電極に結合して、エレクトロスイング吸着セルを得る工程を含む。
【0011】
エレクトロスイング吸着セルを製造する方法は、電解質及び第1の電気活性種をコーティングした導電性骨格を含む複合層を提供する工程、ガスを充填した細孔を含む第2の導電性骨格を提供する工程、複合層を第2の複合層でプリーツ加工して、パターン化した第1の電極を得る工程、並びにガス流れ場及び第2の電極をパターン化した第1の電極に結合して、エレクトロスイング吸着セルを得る工程を含む。
【0012】
ガス分離システムは、ガス導入口及びガス排出口に流体連通している複数のエレクトロスイング吸着セルを含み、複数のエレクトロスイング吸着セルのそれぞれは本開示によるものである。
【0013】
上記に記載されている特徴及び他の特徴は以下の図及び詳細な説明により例示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】パターン化電極を備えた非対称エレクトロケミカルスイング吸着セルの概略図である。
図1B】パターン化電極を備えた対称エレクトロケミカルスイング吸着セルの概略図である。
図2A】パターン化電極を備えたエレクトロケミカルスイング吸着セルの略図である。
図2B】導電性骨格を含む粒子の略図である。
図2C】より大きな繊維222上に配置された小さな粒子224を含む導電性骨格220の粒子の略図である。
図2D】ガス流れ場の略図である。
図2E】ガス流れ場の略図である。
図3】パターン化電極を備えたエレクトロケミカルスイング吸着セルの側面図である。
図4】パターン化電極の正面図である。
図5】パターン化電極を備えたエレクトロケミカルスイング吸着セルの側面図である。
図6】パターン化電極の側面図である。
図7】パターン化電極を備えたエレクトロケミカルスイング吸着セルの側面図である。
図8】パターン化電極の正面図である。
図9】パターン化電極を備えたエレクトロケミカルスイング吸着セルの側面図である。
図10】パターン化電極の正面図である。
図11】エレクトロケミカルスイング吸着セルの斜視図である。
図12】パターン化電極を備えたエレクトロケミカルスイング吸着セルの側面図である。
図13】パターン化電極-セパレータアセンブリーを備えたエレクトロケミカルスイング吸着セルの側面図である。
図14】エレクトロケミカルスイング吸着セルを形成する方法を示す。
図15】エレクトロケミカルスイング吸着セルを形成する方法を示す。
図16】エレクトロケミカルスイング吸着セルを形成する方法を示す。
図17】エレクトロケミカルスイング吸着セルを形成する方法を示す。
図18】エレクトロケミカルスイング吸着セルにおけるルイス酸ガスの模擬濃度を示す。
図19】異なる電極厚さ(ミリメートル、mm)、空気流速、及びガス領域厚さでのパターン化電極への模擬流れを示す。
図20】合成実施例1及び2によるポリマーイオン性液体の合成の化学スキームを示す。
図21】圧力低下及びセル電圧対時間のグラフを示し、実施例3によるエレクトロスイング吸着セルにおけるN中に10%COのCO捕捉を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ガス成分の分離のためのパターン化電極を有するシステム及びエレクトロスイング吸着セルが本明細書において記載されている。エレクトロスイング吸着(ESA)プロセスを用いるシステムは、いくつかの技術の潜在的な利点を有する。ESAシステムは、二酸化炭素又は他のルイス酸を空気から除去し、それを異なる位置(例えば、温室)に堆積することができる。ESAは、第1の電位(例えば、カソード電位)の電気活性種(下記で「P」として示される)への適用を含み、電気活性種Pの還元をもたらす。還元された電気活性種Pは、隣接する電解質溶液中に溶解されたルイス酸ガスGと結合することができる。カチオン(下記で「C」として示される)は、隣接する電解質溶液から組み込まれて、電気活性種Pの電荷のバランスをとる。
【0016】
【数1】
【0017】
ESAプロセスは、第2の電位(例えば、第1の電位がカソード電位である場合にアノード電位)の適用で反転させることができる。電気活性種Pと電解質との間の界面接触面積は、多孔質の高表面積の電子工学的に導電性の骨格(例えば、炭素繊維紙、カーボンナノチューブコーティング炭素繊維)上に電気活性種をコーティングすることによって大きくすることができる。ESA器具の適用の例及びそれを調製する方法は、米国特許第10,464,018号に記載されており、これの全開示は、すべての目的のためにそれ全体で本明細書において本明細書によって参照により組み込まれる。
【0018】
電子工学的に導電性の骨格の細孔は、電解質で充填され得る。ESAセルにおいてガス領域から電解質を介して電気活性種Pの活性部位に拡散するためにルイス酸ガスGがたどる通り道の拡散長Lは、ルイス酸ガスGの拡散時定数に影響し得る。加えて、長さLは、ESAセルにおいてセパレータから電気活性種Pの活性部位にカチオンCが泳動する距離である。高いL値は、Gの拡散率を制限し、それによって、装置の捕捉率を制限し得る。その上、高いL値は、ESAセルにおいて内部抵抗を増加させ得る。
【0019】
電子工学的に導電性の骨格において電解質充填領域のみを含むESA構成において、L及びLは、両方とも、電極材料の厚さに等しい。
【0020】
エレクトロスイング吸着セルの単位面積当たりの電気活性種Pの量は、電極材料の厚さに比例する。本発明者らは、予想外にも、ガス充填領域を電極に組み込むことによって(例えば、パターン化電極を形成することによって)、ガス充填領域は、気流場を超えて電極材料中に広がることができることを見出した。言い換えると、Lは、気流場と電極との間の界面からよりはむしろ、電極内のポイントから測定することができる(例えば、ガス充填領域間の距離)。ガスの拡散性は、ガスが液体電解質中に溶解されている場合よりも気相を介するほうが高い。そのため、ルイス酸ガスGは、電気活性種Pの活性部位への途上で気相を介して可能な限り多く移動することが有利である。電極材料中へのガス充填領域の組み込みは、したがって、Lの値を有効に低減することができる。Lを維持又はおそらく増加させながら、Lを低減することができる形状が、そのために望ましい。Lを低減することは、エレクトロスイング吸着セルの単位面積当たりの電気活性種Pの量を増加又は維持しながら、ルイス酸ガスGの拡散時定数を低減することができる。言い換えると、ガス種が泳動する電極の物理的構造を修飾することは、電極中へのガス種の拡散時定数を低減することができる。拡散時定数の低減は、ESAシステムの性能を改善することができる。電極の物理的構造を修飾することは、エレクトロスイング吸着セルの単位面積当たりの電気活性種Pの量を増加させることもできる。単位面積当たりの電気活性種Pのより高い量は、こうしたエレクトロスイング吸着セルを実践するコストを低減することができる。
【0021】
したがって、本開示の一態様は、複数の電解質領域、複数のガス領域、及び導電性骨格を含む第1の電極を含むエレクトロスイング吸着セルであり、導電性骨格は、複数の電解質領域中へ広がり、電気活性種を含む。本開示のエレクトロスイング吸着セルは、本明細書において、「エレクトロケミカルスイング吸着セル」又は「電気化学セル」又は「セル」とも称され得る。複数の電解質領域、複数のガス領域、及び導電性骨格を含む第1の電極は、簡略にするため、「パターン化された第1の電極」とも称され得る。「パターン化された」という用語は、本明細書で使用される場合、電極のガス領域の規則的又は不規則的構成を指すことができる。ガス領域は、秩序化された、予測可能な、若しくは規則的な構成で提供することができるか、又は不規則な、ランダムの、若しくは予測不可能な構成で提供することができる。パターンが不規則なパターンである場合、第1の電極は、「不均質な」とも称されることがあり、ここで、ガス領域は、電極の全体にわたって予測不可能に分散され、任意の適当なサイズ及び形状を有することができる。ガス領域の配列及び形状、並びにしたがって、第1の電極の「パターン」は、本明細書において更に記載されている。
【0022】
エレクトロスイング吸着セルは、補助電気活性複合層を含む第2の電極;及びパターン化された第1の電極と第2の電極との間にセパレータを更に含むこともできる。
【0023】
パターン化された第1の電極は、導電性骨格及び電気活性種を含む。導電性骨格は、炭素質材料又は金属を含むことができる。一態様では、導電性骨格は、炭素質材料を含む。例証的な炭素質材料としては、以下に限定されないが、炭素紙(処理されている、PTFE処理されている、又は処理されていない)、炭素布、不織布炭素マット、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ(多重壁及び単一壁のカーボンナノチューブを含む)、不織布カーボンナノチューブマット、片状黒鉛、グラフェン等(例えば、他のナノ構造体化炭素材料)、又はその組合せが挙げられ得る。
【0024】
一態様では、導電性骨格は、繊維状材料、例えば繊維状炭素質材料を含むことができる。存在する場合、繊維は、織布材料中のように、秩序化された配列を有することができる(例えば、導電性骨格は、x軸、y軸、又はz軸に沿って互いに平行に配列される繊維を含み、秩序化ネットワークを形成することができる)。一態様では、導電性骨格の繊維は、ランダム構成におけるパターン化された第1の電極の全体にわたって分散させることができる。一態様では、導電性骨格は、パターン化電極の一部の部分において秩序化配列を、及びパターン化電極の他の部分においてランダム構成を有することができる。
【0025】
一態様では、導電性骨格は、0.1~20μmの平均直径を有する炭素繊維を含むことができる。この範囲内で、平均直径は少なくとも0.1μm、少なくとも0.2μm、少なくとも0.3μm、少なくとも0.4μm、少なくとも0.5μm、少なくとも0.6μm、少なくとも0.7μm、少なくとも0.8μm、少なくとも0.9μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、少なくとも10μm、少なくとも11μm、少なくとも12μm、少なくとも13μm、少なくとも14μm、少なくとも15μm、少なくとも16μm、少なくとも17μm、少なくとも18μm、又は少なくとも19μmであることができる。またこの範囲内で、平均直径は、20μm以下、19μm以下、19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下、0.9μm以下、0.8μm以下、0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下、0.3μm以下、又は0.2μm以下であることができる。炭素繊維に対して上記に参照された平均直径の組合せもまた可能である。
【0026】
一態様では、導電性骨格は、0.4~40nmの平均直径を有するカーボンナノチューブを含むことができる。この範囲内で、カーボンナノチューブは、少なくとも0.4nm、少なくとも0.5nm、少なくとも0.6nm、少なくとも0.7nm、少なくとも0.8nm、少なくとも0.9nm、少なくとも1nm、少なくとも2nm、少なくとも3nm、少なくとも4nm、少なくとも5nm、少なくとも6nm、少なくとも7nm、少なくとも8nm、少なくとも9nm、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも25nm、少なくとも30nm、又は少なくとも35nmの平均直径を有することができる。またこの範囲内で、カーボンナノチューブは、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下、0.9nm以下、0.8nm以下、0.7nm以下、0.6nm以下、又は0.5nm以下の平均直径を有することができる。カーボンナノチューブに対して上記に参照された平均直径の組合せもまた可能である。
【0027】
一態様では、導電性骨格は1μm~1mmの平均長を有するカーボンナノチューブを含むことができる。この範囲内で、カーボンナノチューブは、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、少なくとも900μm、又は少なくとも1mmの平均長を有することができる。またこの範囲内で、カーボンナノチューブは、1mm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、又は5μm以下の平均長を有することができる。カーボンナノチューブに対して上記に参照された平均長の組合せもまた可能である。
【0028】
一態様では、導電性骨格は、100~200nmの平均直径を有する気相成長炭素繊維を含むことができる。この範囲内で、気相成長炭素繊維は、少なくとも100nm、少なくとも110nm、少なくとも120nm、少なくとも130nm、少なくとも140nm、少なくとも150nm、少なくとも160nm、少なくとも170nm、少なくとも180nm、又は少なくとも190nmの平均直径を有することができる。またこの範囲内で、気相成長炭素繊維は、200nm以下、190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、又は110nm以下の平均直径を有することができる。気相成長炭素繊維に対して上記に参照された平均直径の組合せもまた可能である。
【0029】
一態様では、導電性骨格のカーボンナノチューブは、15nm~50nmの平均直径を有する多層ナノチューブである。この範囲内で、多層ナノチューブは、少なくとも15nm、少なくとも20nm、少なくとも25nm、少なくとも30nm、少なくとも35nm、少なくとも40nm、又は少なくとも45nmの平均直径を有することができる。またこの範囲内で、多層ナノチューブは、50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm、又は20nm以下の平均直径を有することができる。多層ナノチューブに対して上記に参照された平均直径の組合せもまた可能である。
【0030】
一態様では、導電性骨格は導電性カーボンブラックを含むことができる。適切な材料の例として、Nouryon社から市販のKetjenブラック製品、Imerys社から市販のSuper P(商標)、又はCabot社から市販のLITX(商標)製品が挙げられる。
【0031】
一態様では、導電性骨格は金属又は合金を含むことができ、金属又は合金として、これらに限定されないが、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタニウム、亜鉛、マグネシウム、銅、その合金、又はこれらの組合せを挙げることができる。
【0032】
一態様では、導電性骨格は金属ナノワイヤーを含むことができる。例示的な金属ナノワイヤーとして、これに限定されないが、銀ナノワイヤーを挙げることができる。
【0033】
一態様では、導電性骨格は、構造骨格及び導電性ポリマーを含む複合材料であることができ、例えば、導電性ポリマーは構造骨格の少なくとも一部分上に配置される。構造骨格は、例えば、セルロースナノファイバーを含むことができる。セルロースナノファイバーは繊維表面に様々な官能基、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)基、又はこれらの組合せを任意選択で含むことができる。適切な導電性ポリマーの例として、これらに限定されないが、ポリ(チオフェン)、ポリ(アルキルチオフェン)、ポリ(3,4-ジアルコキシチオフェン)、ポリ(ピロール)、ポリ(アニリン)など、又はこれらの組合せを挙げることができる。一態様では、導電性ポリマーは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリ(スチレンスルホネート)ナトリウム塩(PEDOT-PSS)のブレンドを含むことができる。存在する場合、上述の導電性ポリマーは、ドープして(例えば、化学的酸化又は還元)、所望の導電率を得ることができることを理解されたい。導電性ポリマーをドーピングするのに適したドーパント及び方法は、当業者により容易に決定することができる。
【0034】
一態様では、導電性骨格は、前述のもののいずれかの混合物を含むことができる。例えば、導電性骨格は、カーボンナノチューブ、導電性カーボンブラック、金属ナノワイヤー、又は構造骨格及び導電性ポリマーを含む複合体のうちの少なくとも2種の混合物を含むことができる。
【0035】
導電性骨格は、任意の適切な導電率、例えば、電子導電率1×10-3~1×10S/cm、又は1×10-2~1×10S/cmを有してもよい。導電率は、ASTMB-193「導電性材料の抵抗率の標準試験方法(Standard Test Method for Resistivity of Electrical Conductor Materials)」に従い20℃で決定することができる。
【0036】
電気活性種は導電性骨格上に配置することができる。電気活性種は、導電性骨格の表面の少なくとも一部分上に配置することができる。一態様では、導電性骨格は電気活性種を含浸させることができる。一態様では、1つ又は複数の介在層を導電性骨格の表面と電気活性種との間に配置することができる。一態様では、いかなる介在層も存在せず、電気活性種は、導電性骨格の表面に直接配置することもできる。電気活性種は、導電性骨格の表面に単層(例えば、分子又はオリゴマー又はポリマーの単層)を形成することができる。代わりに、電気活性種は、例えば、0.5~100ナノメートルの厚さを有する、導電性骨格の表面に配置される層を形成することができる。この範囲内で、電気活性種の層の厚さは少なくとも1ナノメートル又は少なくとも5ナノメートル又は少なくとも10ナノメートルであることができる。またこの範囲内で、電気活性種の層の厚さは、最大90ナノメートル、又は最大80ナノメートル、又は最大70ナノメートル、又は最大60ナノメートル、又は最大50ナノメートル、又は最大40ナノメートル、又は最大30ナノメートル又は最大20ナノメートル、又は最大10ナノメートルであることができる。
【0037】
電気活性種は、電気活性種が導電性骨格から離れて又は解離して自由に拡散することができないように、導電性骨格上に固定化されるものと言及されてもよい。電気活性種は、導電性骨格上に様々な方式で固定化することができる。例えば、電気活性種は、導電性骨格の表面に結合することにより(例えば、共有結合、イオン結合、又は分子内の相互作用、例えば、静電気力、ファンデルワールス力、水素結合、又はこれらの組合せを介して)、導電性骨格上に固定化され得る。一態様では、電気活性種は、導電性骨格の表面に吸着されることによって、導電性骨格上に固定化され得る。一態様では、電気活性種は導電性骨格上に固定化され得る。電気活性種を固定化することは、これらに限定されないが、導電性骨格の表面に電気活性種をグラフト又は重合化することを含むことができる。「グラフト」とは、本明細書で使用される場合、電気活性種と導電性骨格との間で共有結合を生成する化学的又は電気化学的プロセスを指す。一態様では、電気活性種は、組成物、例えば、導電性骨格に塗布された又は堆積されたコーティング又は複合層に含められることによって、導電性骨格上に固定化することができる。電気活性種を固定化することはまた、電気めっき、プラズマ蒸着、真空浸潤法、溶融コーティング、又は前述のもののいずれかの組合せも含むことができる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「電気活性種」とは、エレクトロスイング吸着セルにおいて電位への曝露により酸化又は還元が生じる薬剤(例えば、化学的構成体)を指す。複合体の電気活性種は、電気活性種が特定の酸化状態、例えば、還元状態にある場合、標的ガスと結合又は標的ガスに結合することが可能であり、電気活性種が第2の酸化状態、例えば、酸化状態にある場合標的ガスを放出する。非限定的例として、一態様では、電気活性種は対応する還元状態へと還元することができ、これによって、標的ガスに結合して、複合体又は付加体を形成する。電気活性種のその後の酸化は標的ガスを放出することができる。特に、非限定的例として、電気活性種がベンゾキノンである場合、中性ベンゾキノンは酸化状態と考えられ、セミキノン(例えば、1個の電子の中性ベンゾキノンへの添加による生成物)は第1の還元状態と考えられ、ベンゾキノンジアニオン(1個の電子のセミキノンへの添加による生成物)は第2の還元状態と考えられる。
【0039】
複合体の電気活性種は、少なくとも1つの酸化状態において、電気活性種が標的ガスに対して強い親和性を有することができるように選択することができる。一態様では、少なくとも1つの酸化状態において、電気活性種は、室温で(例えば23℃)、標的ガスと少なくとも10リットル/モル(M-1)、又は少なくとも10-1、又は少なくとも10-1の結合定数を有することができる。この範囲内で、電気活性種は、標的ガスと10~1020-1、10~1019-1、10~1018-1、10~1017-1、10~1016-1、又は10~1015-1の結合定数を有することができる。一態様では、標的ガスとの結合定数は10~1020-1、又は1010~1015-1である。一態様では、標的ガスは二酸化炭素(CO)であることができ、電気活性種(還元状態)は、COと10~1015の結合定数を有することができる。一態様では、標的ガスは二酸化硫黄(SO)であることができ、電気活性種(還元状態)はSOと10~1020の結合定数を有することができる。
【0040】
一態様では、電気活性種は少なくとも2つの酸化状態を有することができる。電気活性種が第1の酸化状態にある場合、「活性のある状態」にあると考えることができ、この活性のある状態では標的ガスに対する親和性は高くなり得る(例えば、「活性のある状態」の電気活性種は、標的ガスと上で定義されたような結合定数を有することができる)。第2の酸化状態では、電気活性種は、「失活した」状態にあると考えることができ、この失活した状態では、標的ガスに対する親和性は、「活性のある」状態の標的ガスに対する親和性と比べて減少している。例えば、電気活性種は、失活した状態の結合定数の、活性のある状態の結合定数に対する比、0.9:1~10-20:1、例えば、0.9:1、0.8:1、0.5:1、0.1:1、10-2:1、10-3:1、10-4:1、又は10-5:1~10-20:1を有することができる。一態様では、失活した状態での標的ガスとの結合定数は0であることができる、即ち、失活した状態は標的ガス種に対して本質的に不活性である。
【0041】
電気活性種は、標的ガスが電気活性種から放出され得る少なくとも1つの酸化状態を有することができる。例えば、一態様では、電気活性種は、少なくとも1つの酸化状態を有することができ、この状態では、酸化状態への酸化により、標的ガスは電気活性種から放出され得る。一態様では、還元された電気活性種の結合定数は、対応する酸化された電気活性種の結合定数より大きくなり得る。したがって、有利な特徴では、標的ガスの捕獲及び放出はレドックスサイクリングを介して達成することができる。
【0042】
電気活性種は、数分程度、数秒程度、数ミリ秒程度、又は数ミクロ秒程度又はこれより低い時間の尺度で、標的ガスを結合することが可能となり得る。
【0043】
一態様では、電気活性種は、電気活性種は標的ガスとの結合が可能である少なくとも1つの酸化状態(例えば、還元状態)を有することができるが、この場合、電気活性種が酸素(O)と反応するのに熱力学的に好ましくない、少なくとも1つの温度(例えば、223K超又はこれに等しい、248K超又はこれに等しい、273K超又はこれに等しい、又は298K超又はこれに等しい範囲、及び323Kまで、348Kまで、又は413Kまで、例えば298K)が存在する。一態様では、電気活性種は、電気活性種が標的ガスと結合可能である還元状態を有することができるが、この場合、電気活性種が酸素(O)と反応するのに動力学的に好ましくない少なくとも1つの温度(例えば、298K)が存在する。これは、酸素との反応に対する速度、例えば、速度定数が、標的ガスの捕獲と釣り合った時間尺度で反応を生じるには遅すぎるためである。したがって、複合体の電気活性種は、標的ガスの捕獲に対して適切な特異性を効果的に提供する。
【0044】
複合体の電気活性種は、電気活性有機化合物、電気活性ポリマー、電気活性オリゴマー、又はこれらの組合せを含むことができる。電気活性種は、標的ガス、例えば、カルボニル基に結合可能な少なくとも1つの官能基を含むことができる。
【0045】
例示的な電気活性有機化合物として、これらに限定されないが、置換若しくは非置換のキノン又はテトロンを挙げることができる。一態様では、電気活性種は、置換又は非置換のキノン(例えば、キノンは1つ若しくは複数の官能基又は他の部分又はキノンと結合している連結を含むことができる)を含む。置換されるキノン上での置換基(例えば、官能基)の選択は、これらに限定されないが、置換されるキノンの還元の可能性に対するその作用を含む様々な要因に依存し得る。当業者は、本開示のメリットと共に、置換されるキノンのどの置換基又は置換基の組合せが第1の電気活性種に対して適切であるか、例えば、合成の実現可能性及び結果として得られる還元の可能性に基づき決定する方法を理解している。例示的な官能基として、これらに限定されないが、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、ヨード)、ヒドロキシル、カルボキシレート/カルボン酸、スルホネート/スルホン酸、アルキルスルホネート/アルキルスルホン酸(例えば、C1~18アルキルスルホネート)、ホスホネート/ホスホン酸、アルキルホスホネート/アルキルホスホン酸(例えば、C1~18アルキルホスホネート)、アシル(例えば、アセチル又はエチルエステル)、アミノ、アミド、第四級アンモニウム(例えば、テトラアルキルアミノ)、分枝又は非分枝のアルキル(例えば、C1~18アルキル)、ヘテロアルキル、アルコキシ、グリコキシ、ポリアルキレングリコキシ(例えば、ポリエチレングリコキシ)、イミノ、ポリイミノ、分枝又は非分枝のアルケニル(例えば、C2~18アルケニル)、分枝又は非分枝の、C2~18アルキニル、C6~30アリール、C4~20ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ニトロ、ニトリル、チイル、又はカルボニル基を挙げることができ、これらのいずれも置換又は非置換であることができる。任意の適切な有機又は無機対イオンが、前述の帯電した種、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は式Rの置換アンモニウム(式中、各Rは同じ又は異なり、独立して、C1~18ヒドロカルビルであるが、ただし、少なくとも1つのRはヒドロカルビルであるものとする)に存在し得る。
【0046】
一態様では、電気活性種は構造(I)又は(II)の置換又は非置換のキノンを含む:
【0047】
【化1】
【0048】
(式中、R、R、R、及びRは、存在する各々において独立して、水素、ハロゲン(例えば、クロロ、ブロモ、ヨード)、ヒドロキシル、カルボキシレート/カルボン酸、スルホネート/スルホン酸、アルキルスルホネート/アルキルスルホン酸(例えば、C1~18アルキルスルホネート)、ホスホネート/ホスホン酸、アルキルホスホネート/アルキルホスホン酸(例えば、C1~18アルキルホスホネート)、アシル(例えば、アセチル又はエチルエステル)、アミノ、アミド、第四級アンモニウム(例えば、テトラアルキルアミノ)、分枝若しくは非分枝のC1~18アルキル、C1~18ヘテロアルキル、C1~18アルコキシ、グリコキシ、ポリアルキレングリコキシ(例えば、ポリエチレングリコキシ)、イミノ、ポリイミノ、分枝若しくは非分枝のアルケニル、分枝若しくは非分枝のC2~18アルキニル、C6~20アリール、C4~20ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ニトロ、ニトリル、チイル、又はカルボニル基であり、これらのいずれも置換又は非置換であることができ、いずれか2つの隣接するR~R基は、任意選択で一緒に連結して、環式基を形成することができる)。
【0049】
一態様では、電気活性有機化合物は、以下に示す方式で還元されて対応する芳香族種を形成することができる偶数のカルボニル基を有する、環式共役系とここで定義されるキノンを含むことができる。
【0050】
【化2】
【0051】
これらは1,4-ベンゾキノン、1,2-ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、フェナントレンキノン、ベンズアントラキノン、ジベンゾアントラキノン、4,5,9,10-ピレンテトロンの誘導体、又はこれらの組合せを含む。前述のうちのいずれかは、上に記載されているように任意選択で置換されていてもよい。一態様では、電気活性有機化合物は置換又は非置換ナフトキノンである。前述の非限定的な例示的電気活性有機化合物の他の位置異性体もまた使用することができる(例えば、キノンの異なる位置において置換基を有するもの)。
【0052】
一態様では、電気活性種は電気活性ポリマーを含む。本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は10より大きい繰返し単位を有する構造を指す。例えば、電気活性ポリマーは、前述の電気活性有機化合物のいずれかを含む繰返し単位を含むことができる。適切な電気活性ポリマーとして、例えば、置換又は非置換のキノンから誘導される繰返し単位を含むものを挙げることができる。一態様では、電気活性ポリマーの少なくとも一部分は、電気活性有機化合物の少なくとも1つがポリマー骨格に共有結合したポリマー骨格を含む。一態様では、電気活性有機化合物はポリマー骨格の少なくとも一部分を形成することができる。
【0053】
一態様では、電気活性ポリマーはキノンから誘導される繰返し単位を含み、これらの繰返し単位は上に記載されているように1,4-ベンゾキノン、1,2-ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、フェナントレンキノン、ベンズアントラキノン、ジベンゾアントラキノン、4,5,9,10-ピレンテトロン、又はこれらの組合せを含むことができる。
【0054】
一態様では、電気活性ポリマーは、置換又は非置換のポリ(アントラキノン)を含むことができる。一態様では、電気活性ポリマーは置換又は非置換のポリ(ビニルアントラキノン)を含むことができる。一態様では、電気活性ポリマーは置換又は非置換のポリ(フェニルナフトキノン)を含むことができる。
【0055】
一態様では、電気活性種は電気活性オリゴマーを含む。本明細書で使用される場合、「オリゴマー」という用語は、2~10の繰返し単位を有する構造を指す。したがって、電気活性オリゴマーは、電気活性ポリマーに対して記載されている任意の構造を有することができるが、ただし、これは10又はそれ未満の繰返し単位に限定される。例えば、適切な電気活性オリゴマーとして、置換又は非置換のキノン、好ましくは、1,4-ベンゾキノン、1,2-ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、フェナントレンキノン、ベンズアントラキノン、ジベンゾアントラキノン、4,5,9,10-ピレンテトロン、又はこれらの組合せから誘導される繰返し単位を含むオリゴマーを挙げることができる。一態様では、電気活性オリゴマーはオリゴ(アントラキノン)を含むことができる。一態様では、電気活性オリゴマーはオリゴ(ビニルアントラキノン)を含むことができる。一態様では、電気活性オリゴマーは置換又は非置換のオリゴ(フェニルナフトキノン)を含むことができる。
【0056】
電気活性種が電気活性ポリマー又は電気活性オリゴマーを含む場合、電気活性ポリマー又は電気活性オリゴマーは任意選択で架橋されていてもよい。架橋は、当技術分野で公知の様々な方法で実行することができる。当業者は、本開示のメリットと共に、電気活性種の選択に基づき、適切な架橋化学反応を決定することができる。
【0057】
導電性骨格の表面の電気活性種の厚さは、例えば、0.1~20ナノメートル、又は0.2~15ナノメートル、又は0.5~10ナノメートルであることができる。導電性骨格の表面の電気活性種の厚さは、堆積のモードに依存することができる。
【0058】
電気活性種は、パターン化した第1の電極の電気活性種及び導電性骨格の質量に対して、10~90質量パーセントの量で存在することができる。この範囲内で、電気活性種は、第1の電極の電気活性種及び導電性骨格の質量に対して、少なくとも20質量パーセント、又は少なくとも25質量パーセント、又は少なくとも30質量パーセント、又は最小の40質量パーセント、又は少なくとも50質量パーセントの量で存在することができる。またこの範囲内で、電気活性種は、最大80質量パーセント、又は最大70質量パーセント、又は最大60質量パーセント、又は最大50質量パーセント、又は最大45質量パーセント、又は最大40質量パーセントの量で存在することができる。例えば、電気活性種は、パターン化した第1の電極の電気活性種及び導電性骨格の質量に対して、10~75質量パーセント、又は10~60質量パーセント、又は15~60質量パーセント、又は20~55質量パーセント、又は25~55質量パーセント、又は30~50質量パーセントの量で存在することができる。
【0059】
電気活性種及び導電性骨格は、1:10~10:1、又は1:5~5:1、又は1:10~1:1の質量比で存在することができる。
【0060】
電気活性種は標的ガスに対して反応性がある。標的ガスは求電子性分子である。一態様では、標的ガスはルイス酸ガスである。標的ガスは、電気活性種が還元状態である場合、例えば、その還元状態で電気活性種に結合することによって、複合体の電気活性種と複合体又は付加体を形成することが可能である。標的ガスは、二酸化炭素(CO)、硫黄オキシド種、例えば、二酸化硫黄(SO)又は硫黄三酸化物(SO)、オルガノ硫酸塩(RSO、式中、各Rは、独立して、水素、C1~12アルキル、又はC6~20アリールである)、例えば、硫酸ジメチル、窒素酸化物種、例えば、二酸化窒素(NO)又は三酸化二窒素(NO)、リン酸エステル(RPO、式中、各Rは、独立して、水素、C1~12アルキル、又はC6~20アリールである)、例えば、リン酸トリメチル、エステル(RCOOR’、式中、各Rは、独立して、水素、C1~12アルキル、又はC6~20アリールであり、各R’は、独立して、C1~12アルキル又はC6~20アリールである)、例えば、ギ酸メチル又はアクリル酸メチル、アルデヒド(RCHO、式中、各Rは、独立して、水素、C1~12アルキル、又はC6~20アリールである)、例えば、ホルムアルデヒド又はアクロレイン、ケトン(RCO、式中、各Rは、独立して、水素、C1~12アルキル、又はC6~20アリールである)、例えば、アセトン、イソシアネート(RNCO、式中、各Rは、独立して、水素、C1~12アルキル、又はC6~20アリールであり、各R’は、独立して、C1~12アルキル又はC6~20アリールである)、例えば、メチルイソシアネート、イソチオシアネート(RNCS、式中、各Rは、独立して、水素、C1~12アルキル、又はC6~20アリールであり、各R’は、独立して、C1~12アルキル又はC6~20アリールである)、ボラン(BR、式中、各Rは、独立して、水素、C1~12アルキル、又はC6~20アリールである)、例えば、トリメチルボラン、又はボレート(RBO、式中、各Rは、独立して、水素、C1~12アルキル、又はC6~20アリールである)、例えば、ホウ酸トリメチルを含むことができる。標的ガスは、前述の標的ガス種のうちのいずれかの組合せを任意選択で含むことができる。
【0061】
パターン化した第1の電極は、複数のガス領域及び複数の電解質領域(即ち、電解質を含む)を含む。電解質領域は、上記で更に詳細に論じられているように、電解質及び電気活性種が上に配置された導電性骨格の少なくとも一部分を含む。一態様では、電解質として、液体電解質、ゲル電解質、ゲルポリマー電解質(GPE)、ポリマーイオン性液体(PIL)、室温イオン性液体(RTIL)、イオン性液体、塩及び有機溶媒を含む溶液、又は任意の他の適切な電解質若しくは電解質の組合せを挙げることができる。任意選択で、クロスリンカーが電解質中に存在してもよい。
【0062】
一態様では、電解質はゲルポリマー電解質(GPE)を含む。GPEは、電解質に対して高い親和性を有するポリマーマトリックスを含み、電解質はポリマーマトリックス中に配置される。電解部分はポリマーマトリックスに共有結合で結合していない。GPEのマトリックスポリマーは、これらに限定されないが、ポリ(アクレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(スチレン)、ポリ(酸化エチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ビニルピロリドン)、官能化セルロース、又はこれらの組合せを含むことができる。任意選択で、ポリマーは、架橋、例えば、イオン結合、共有結合、又はこれらの組合せを形成することができる官能基を含有することができる。架橋は、電解質と共局在化する架橋した網状組織を形成するのに適した加熱、放射線、又は化学的トリガーにより誘発され得る。
【0063】
一態様では、電解質はポリマーイオン性液体(PIL)を含む。PILは、イオン性ポリマーマトリックスを含み、カチオン、アニオン、又はカチオンとアニオンの両方がポリマー骨格に共有結合で結合している。カチオンとアニオンの両方がポリマー骨格に共有結合で結合している場合、ポリマーイオン性液体は双性イオンと呼ぶことができる。PILのポリマー骨格は、これらに限定されないが、ポリ(アクリル酸塩)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(スチレン)、ポリ(シロキサン)、ポリ(エチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(酸化エチレン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(N-アルキルイミダゾリウム)、ポリ(ジアリルジアルキルアンモニウム)、又はこれらの組合せを含むことができる。任意選択で、ポリマーマトリックスは、架橋、例えば、イオン結合、共有結合、又はこれらの組合せを形成することができる官能基を含有し得る。架橋は、電解質と共局在化する架橋した網状組織を形成するのに適した熱、放射線、又は化学的トリガーにより誘発され得る。架橋可能な官能基を保持する繰返し単位は、ポリマーの組成物の5~95モル%に相当し得る。例示的なポリマーイオン性液体は以下の実施例に更に記載されている。
【0064】
一部の態様では、クロスリンカーを電解質に加えることができる。クロスリンカーは、GPE、PIL、又は両方の繰返し単位の補助官能基との化学反応に参加できる官能基を含有する小分子、オリゴマー、又はポリマーを含むことができる。官能基の例として、これらに限定されないが、ビニル、アジド、エポキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、イソシアナト、アルミニウム塩、又は任意のこれらの組合せを挙げることができる。官能基の架橋反応は、上で論じたように、加熱、放射線又は任意の適切な化学的なトリガーで誘発することができる。
【0065】
一態様では電解質は、イオン性液体、例えば、室温イオン性液体(RTIL)を含む。イオン性液体は室温で、例えば、23℃で液体であるため、溶融した塩とも呼ばれ、温度23℃で、低い揮発性、例えば、10-5Pascal(Pa)未満、又は10-10~10-5Paの蒸気圧を有することができ、これによって、セパレータが乾燥する危険性を減少させ、蒸発又は吸込による電解質の損失の減少を可能にすることができる。一態様ではイオン性液体は、電解質の実質的にすべて(例えば、少なくとも80容量パーセント(容量%)、又は少なくとも90容量%、又は少なくとも95容量%、又は少なくとも98容量%、少なくとも99容量%、又は少なくとも99.9~99.99容量%)を占める。
【0066】
イオン性液体はアニオン成分及びカチオン成分を含む。イオン性液体のアニオンは、これらに限定されないが、ハロゲン化物、硫酸イオン、スルホン酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、PF、BF、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフル酸イオン)、ノナフレート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、トリフルオロ酢酸イオン、ヘプタフルオロブタノエート(heptafluororobutanoate)、ハロアルミネート、トリアゾリド、又はアミノ酸誘導体(例えば、窒素が除去された、プロトンを有するプロリン)のうちの1種又は複数を含むことができる。イオン性液体のカチオンとして、これらに限定されないが、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム、アンモニウム、スルホニウム、チアゾリウム、ピラゾリウム、ピペリジニウム、トリアゾリウム、ピラゾリウム、オキサゾリウム、グアニジウム、アルカリカチオン、又はジアルキルモルホリニウムのうちの1種又は複数を挙げることができる。一態様では、室温イオン性液体はカチオン成分としてイミダゾリウムを含む。一態様では、室温イオン性液体は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム(「BMIM」)をカチオン成分として含む。一態様では、室温イオン性液体はビス(トリフルオロメチル-スルホニル)イミド(「TFSI」)をアニオン成分として含む。一態様では、室温イオン性液体は、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)-イミド(「[BMIM][TFSI]」)を含む。一態様では、室温イオン性液体は1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(「BF」)(「[BMIM][BF]」)を含む。
【0067】
一態様では、電解質は、非置換若しくは置換のイミダゾリウム、非置換若しくは置換のモルホリニウム、非置換若しくは置換のピリジニウム、非置換若しくは置換のピロリジニウム、非置換若しくは置換のピペリジニウム、非置換若しくは置換のピペラジニウム、非置換若しくは置換のピラジニウム、又はこれらの組合せを含んでもよいイオン性液体を含む。特定の態様では、イオン性液体は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチル-スルホニル)イミド、N-メチル-N-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、又はこれらの組合せである。
【0068】
一態様では、イオン性液体電解質は、例えば、イオン性液体による導電性骨格のキャピラリー作用又は湿潤化により、電解質領域内に遊離形態で維持することができる。一態様では、イオン性液体電解質は、架橋されたイオノゲルポリマーマトリックスにより電解質領域内に維持することができる。一態様では、電極のガス領域内の電解質の浸潤は回避され、一態様では、電極のガス領域内の電解質の浸潤は本質的にない。電解質の浸潤のない部分は空のままであり、ガスチャネルとして機能することができる。
【0069】
一態様では、電解質領域は、電解質領域の総量に対して、15~85容量%の電解質を含むことができる。この範囲内で、電解質は、電解質領域内に、各電解質領域の総量に対して、少なくとも15容量%、少なくとも20容量%、少なくとも25容量%、少なくとも30容量%、少なくとも35容量%、少なくとも40容量%、少なくとも45容量%、少なくとも50容量%、少なくとも55容量%、少なくとも60容量%、少なくとも65容量%、少なくとも70容量%、少なくとも75容量%、又は少なくとも80容量%の量で存在することができる。またこの範囲内で、電解質は、電解質領域内に、各電解質領域の総量に対して、85容量%以下、80容量%以下、75容量%以下、70容量%以下、65容量%以下、60容量%以下、55容量%以下、50容量%以下、45容量%以下、40容量%以下、35容量%以下、30容量%以下、25容量%以下、又は20容量%以下の量で存在することができる。電解質領域内の電解質容量パーセンテージに対して上記で参照された値の組合せもまた可能である。
【0070】
一態様では、電解質領域は、電極内の電子輸送のための浸透経路を提供するのに十分な体積分率の、上に電気活性種が配置された導電性骨格を含むことができる。一態様では、電解質領域は、電解質領域の総量に対して、5~85容量%の導電性骨格を含むことができる。この範囲内で、導電性骨格の総量は、電解質領域の総量に対して、少なくとも5容量%、少なくとも10容量%、少なくとも15容量%、少なくとも20容量%、少なくとも25容量%、少なくとも30容量%、少なくとも35容量%、少なくとも40容量%、少なくとも45容量%、少なくとも50容量%、少なくとも55容量%、又は少なくとも60容量%であることができる。またこの範囲内で、電解質領域は、電解質領域の総量に対して、65容量%以下、60容量%以下、55容量%以下、50容量%以下、45容量%以下、40容量%以下、35容量%以下、30容量%以下、25容量%以下、20容量%以下、15容量%以下、又は10容量%以下の、上に電気活性種が配置された導電性骨格を含むことができる。電解質領域内の上に電気活性種が配置された導電性骨格の容量パーセンテージに対して上記に参照された値の組合せもまた可能である。
【0071】
一態様では、電解質領域はある体積分率のガスを含むことができる。例えば、小さな又は疎イオン性細孔はアセンブリープロセス中電解質で完全に満たすことはできず、代わりにガス、例えば、空気又は不活性ガス、例えば、窒素を含有することになる。電解質領域は、電解質領域の総量に対して、0~15容量%のガスを含むことができる。この範囲内で、電解質領域は、電解質領域の総量に対して、少なくとも0容量%、少なくとも0.1容量%、少なくとも1容量%、少なくとも5容量%、少なくとも6容量%、少なくとも7容量%、少なくとも8容量%、少なくとも9容量%、少なくとも10容量%、又は少なくとも15容量%のガスを含むことができる。またこの範囲内で、電解質領域は、電解質領域の総量に対して、15容量%以下、10容量%、5容量%以下、1容量%以下、0.5容量%以下、0.2容量%以下、又は0.1容量%以下のガスを含むことができる。電解質領域内のガス容量パーセンテージに対して上記に参照された範囲の組合せもまた可能である。
【0072】
一態様では、電解質領域は、パターン化電極の総量の少なくとも50%である容量を有することができる。例えば、電解質領域は、パターン化電極の総量の少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%である容量を有することができる。電解質領域は、パターン化電極の総量の99%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、又は50%以下である容量を有することができる。パターン化電極の総量と比較した、電解質領域の容量パーセンテージに対して上記に参照された値の組合せもまた可能である。
【0073】
パターン化した第1の電極はガス領域を更に含む。セル内にガス領域を包含することによって、セルの吸着時間定数を減少させることができる。吸着時間定数の減少は、単位面積当たり、時間当たり、セルが吸着することができるガスの量を増加させることができる。一態様では、ガス領域は1種又は複数のガスを含むことができる。一態様では、ガスはO、N、CO、SO、NO、NO、HS、CO、HO、又はこれらの組合せを含むことができる。一態様では、ガス領域は、第1の(例えば、カソードの)電位の最初の適用に対して不活性ガスで充填することができる。
【0074】
一態様では、ガス領域は、導電性骨格材料及び電気活性種を含むことができる。一態様では、ガス領域は電解質を含むことができる。例えば、ガス領域は電解質を、ガス領域の総量に対して、0~20容量%の量で含むことができる。この範囲内で、ガス領域は、電解質を、それぞれガス領域の総量に対して、少なくとも0容量%、少なくとも0.1容量%、少なくとも0.2容量%、少なくとも0.3容量%、少なくとも0.4容量%、少なくとも0.5容量%、少なくとも0.6容量%、少なくとも0.7容量%、少なくとも0.8容量%、少なくとも0.9容量%、少なくとも1容量%、少なくとも2容量%、少なくとも3容量%、少なくとも4容量%、少なくとも5容量%、少なくとも6容量%、少なくとも7容量%、少なくとも8容量%、少なくとも9容量%、少なくとも10容量%、少なくとも11容量%、少なくとも12容量%、少なくとも13容量%、少なくとも14容量%、少なくとも15容量%、少なくとも16容量%、少なくとも17容量%、少なくとも18容量%、又は少なくとも19容量%の量で含むことができる。またこの範囲内で、ガス領域は、電解質を、それぞれガス領域の総量に対して、20容量%以下、19容量%以下、18容量%以下、17容量%以下、16容量%以下、15容量%以下、14容量%以下、13容量%以下、12容量%以下、11容量%以下、10容量%以下、9容量%以下、8容量%以下、7容量%以下、6容量%以下、5容量%以下、4容量%以下、3容量%以下、2容量%以下、1容量%以下、0.9容量%以下、0.8容量%以下、0.7容量%以下、0.6容量%以下、0.5容量%以下、0.4容量%以下、0.3容量%以下、0.2容量%以下、又は0.1容量%以下の量で含むことができる。ガス領域内の電解質容量に対して上記に参照された範囲の組合せもまた可能である。
【0075】
一態様では、ガス領域は、任意の適切な形状を有することができ、球状、円柱状、ストライプ状、円錐形状、円錐台形状、不規則な形状、又はこれらの任意の組合せを有することができる。一態様では、ガス領域はパターン化電極の全長に及ぶことができ、存在する場合、以下で更に論じられているように、ガス流れ場とセパレータの両方に物理的に接触させることができる。
【0076】
ガス領域は複数のガス領域を含むことができる。存在する場合、複数のガス領域はy方向に1~100μmの平均寸法(例えば、厚さ)(W)をそれぞれ有することができる。この範囲内で、ガス領域は、y方向(W)に、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、又は少なくとも90μmの平均寸法をそれぞれ有することができる。またこの範囲内で、ガス領域は、y方向(W)に、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、又は2μm以下の平均寸法をそれぞれ有することができる。ガス領域に対して上記に参照された平均直径値の組合せもまた可能である。
【0077】
一態様では、複数のガス領域のガス領域は、平均距離で分離されていてもよい。ガス領域の間の平均距離は、例えば、図3に示されているように、電解質領域内で、ガス領域から電気活性種Pの活性部位へと拡散するためにルイス酸ガスGがたどる経路の拡散長Lを決定することができる。言い換えると、ガス領域は、電解質領域の部分内に散在していてもよい。ガス領域は、隣接するガス領域から、平均距離1μm~1mmで分離されていてもよい。この範囲内で、ガス領域は、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、又は少なくとも900μmの平均距離で、隣接するガス領域から分離されていてもよい。またこの範囲内で、ガス領域は、1mm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、又は2μm以下の平均距離で、隣接するガス領域から分離されていてもよい。ガス領域の間の平均距離に対して上記に参照された範囲の組合せもまた可能である。
【0078】
一態様では、ガス領域は、パターン化電極の総量の少なくとも0.1%である容量を有することができる。例えば、ガス領域は、パターン化電極の総量の少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも50%である容量を有することができる。一態様では、ガス領域は、パターン化電極の総量の50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、又は0.2%以下の容量を有することができる。パターン化電極の総量と比較した、ガス領域の容量パーセンテージに対して上記に参照された値の組合せもまた可能である。
【0079】
一態様では、ガス領域は、電解質に対して非湿潤性である多孔質材料で、任意選択で充填することもできる。存在する場合、ガス領域内の多孔質材料は、ゼオライトを含むことができる。本明細書で使用される場合、「ゼオライト」という用語は、IA族及びIIA族の元素、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、又はこれらの組合せの結晶性アルミノシリケートを指す。ゼオライトは、酸素イオンの共有により互いに四面体状に結合したAlO及びSiOの拡張する枠組みを有することができる。枠組みは、微小孔により透過される宿主構造を提供することができるチャネル又は相互接続された空隙を一般的に含み、一部の態様では、これらの空隙はゼオライトの50容量%まで達することができる。ゼオライトは天然又は合成ゼオライトであることができる。天然ゼオライトはアルミニウムの水和シリケートであり、任意選択でナトリウム又はカルシウムを含み、イオン交換特性、大きな表面積、並びに均質及び有限の多孔度を有する。天然ゼオライトは、例えば、方沸石、菱沸石、単斜輝石、エリオン沸石、フォージャサイト、重土十字沸石、輝沸石、モルデナイト、ナトロライト、灰十字沸石(philipsite)、スコレス沸石、及び束沸石を含むことができる。合成ゼオライトは、Tosoh America社又はCB Minerals社を含むいくつかの製造業者から市販されており、例えば、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトY、及びゼオライトLを含むことができる。合成ゼオライトは極めて多孔質材料であり、他の吸着剤とは対照的に、分子の寸法及び均一サイズの細孔を有する。ゼオライトは、例えば、1~100マイクロメートル、好ましくは2~50マイクロメートル、より好ましくは10~20マイクロメートルの平均粒径を有することができる。電極に含まれる場合、ゼオライト粒子は、それぞれ第1の電極の総重量に対して、1~70重量パーセント、又は10~60重量パーセント、又は10~50重量パーセント、又は20~60重量パーセント、又は20~50重量パーセントの量で存在することができる。
【0080】
パターン化した第1の電極は、ESAセルにおいてカチオンがセパレータから電気活性種Pの活性部位に移動する距離Lを効果的に決定する厚さを有することができる。一態様では、第1の電極の厚さは15~500マイクロメートルであることができる。この範囲内で、パターン化した第1の電極は、少なくとも15μm、少なくとも25μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも150μm、少なくとも200μm、少なくとも250μm、少なくとも300μm、少なくとも350μm、少なくとも400μm、又は少なくとも450μmの厚さを有することができる。またこの範囲内で、一態様では、パターン化電極は、450μm以下、400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下、50μm以下、40μm以下、又は30μm以下の厚さを有することができる。パターン化した第1の電極に対する上記に参照された厚さの組合せもまた想定される。
【0081】
一態様では、L/Lは0.001~1(即ち、0.001/1~1/1)であることができる。この範囲内で、L/Lは、少なくとも0.001、少なくとも0.002、少なくとも0.003、少なくとも0.004、少なくとも0.005、少なくとも0.006、少なくとも0.007、少なくとも0.008、少なくとも0.009、少なくとも0.01、少なくとも0.02、少なくとも0.03、少なくとも0.04、少なくとも0.05、少なくとも0.06、少なくとも0.07、少なくとも0.08、少なくとも0.09、少なくとも0.1、少なくとも0.2、少なくとも0.3、少なくとも0.4、少なくとも0.5、少なくとも0.6、少なくとも0.7、少なくとも0.8、又は少なくとも0.9であることができる。またこの範囲内で、L/Lは、1以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、0.1以下、0.09以下、0.08以下、0.07以下、0.06以下、0.05以下、0.04以下、0.03以下、0.02以下、0.01以下、0.009以下、0.008以下、0.007以下、0.006以下、0.005以下、0.004以下、0.003以下、又は0.002以下であることができる。上記に参照されたL/L値の組合せもまた可能である。
【0082】
一態様では、L/Wは1~100(即ち、1/1~100/1)であることができる。この範囲内で、L/Wは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、又は少なくとも90であることができる。またこの範囲内で、L/Wは、100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は下2以下であることができる。上記に参照されたL/W値の組合せもまた可能である。
【0083】
一態様では、エレクトロスイング吸着セルは第2の電極を更に含むことができる。第2の電極は補助電気活性複合層を含む。この補助電気活性複合層は、組成又は構造が、本開示のパターン化した第1の電極と同じであっても異なってもよい。補助電気活性複合層は第2の電気活性種を含み、この第2の電気活性種はパターン化した第1の電極の電気活性種と同じであっても異なってもよい。
【0084】
一態様では、補助電気活性複合層はパターン化した第1の電極と同じ電気活性種を含む。パターン化した第1の電極と補助電気活性複合層の複合体が同じ電気活性種を含む場合、パターン化した第1の電極の電気活性種は、充電プロセス中、補助電極の電気活性種と異なる酸化状態にあってもよいことが理解されている。一態様では、補助電気活性複合層は、パターン化した第1の電極の第1の電気活性種とは異なる第2の電気活性種を含む。一態様では補助電気活性複合層の第2の電気活性種は、以前に記載されたような、電気活性有機分子、電気活性ポリマー、若しくは電気活性オリゴマーであり、又は電気活性無機複合体、電気活性メタロセン、又は前述のもののいずれかを含む組合せであることができる。
【0085】
一態様では、補助電気活性種は、電気活性無機の複合体、例えば、式
AM
(式中、AはLi、Na、又はKであり、Mは、Ni、Co、Mn、Al、Ti、Mo、Fe、V、Si、又はこれらの組合せであり、XはO又はPOである)のアルカリ金属-遷移金属酸化物又はアルカリ金属-遷移金属ホスフェートであることができる。一態様では、電気活性種はLiFePOであることができる。
【0086】
一態様では、補助電気活性種はメタロセンを含む。適切なメタロセンの例として、これらに限定されないが、フェロセン、又はフェロセン(例えば、ポリビニルフェロセン)若しくはその誘導体から誘導される繰返し単位を含むポリマーを挙げることができる。
【0087】
一態様では、補助電気活性複合層の第2の電気活性種はMXeneを含む。MXeneとは、本明細書で使用される場合、金属炭化物、窒化物、炭窒化物、又はこれらの組合せを含む材料を指す。
【0088】
エレクトロスイング吸着セルの作動中、補助電気活性複合層の第2の電気活性種は、パターン化した第1の電極の第1の電気活性のある種の還元のための電子供給源として機能することができる。同様に、補助電気活性複合層の第2の電気活性種は、パターン化した第1の電極の第1の電気活性種の酸化の間、電子のシンクとして機能することができる。
【0089】
一態様では、第2の電極は基材を更に含むことができ、基材は補助電気活性複合層の近位又はその間に配置することができる。基材は、補助電気活性複合層又は層と直接的又は間接的に接触していることができる。存在する場合、基材は、例えば、炭素紙(処理された、PTFE処理された、又は未処理)、炭素布、不織布炭素マット、又は不織布カーボンナノチューブマットを含むことができる。一態様では、支持体は、パターン化した第1の電極の導電性骨格と同じであることができる。一態様では、第2の電極の基材は導電材料であることができ、エレクトロスイング吸着セル内で集電体として作用することができる。
【0090】
一態様では、パターン化した第1の電極は負極であることができ、第2の電極は正極であることができる。アノード又は負極及びカソード又は正極という用語は便宜上及び明瞭さのために使用されているが、ただし、これらは標的ガスが獲得又は放出された場合にのみ技術的に正確となり得る。
【0091】
一態様では、第2の電極はパターン化した第1の電極の間に配置することができる。パターン化した第1の電極のそれぞれは以前に記載した通りであってよい。一態様ではパターン化した第1の電極及び/又は第2の電極は構成又は組成が同一であってもよい。
【0092】
一態様では、第2の電極は25~500マイクロメートルの厚さを有することができる。一態様では、この範囲内で、第2の電極は少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも150μm、少なくとも200μm、少なくとも250μm、少なくとも300μm、少なくとも350μm、少なくとも400μm、又は少なくとも450μmの厚さを有することができる。またこの範囲内で、第2の電極は、450μm以下、400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下、50μm以下、40μm以下、又は30μm以下の厚さを有することができる。第2の電極に対して上記に参照された厚さの組合せもまた想定される。
【0093】
エレクトロスイング吸着セルは、パターン化した第1の電極と第2の電極との間に配置されたセパレータを更に含むことができる。セパレータは、各電極における電気化学反応が互いに干渉しあうのを防止することができる保護層として機能することができる。セパレータはまた、短絡回路を防止するために、第1の電極と第2の電極とを互いに電子的に単離させる、又はこれらをエレクトロスイング吸着セル内の他の成分から電子的に単離させるのを助けることができる。当業者は、本開示のメリットを用いて、適切なセパレータを選択することができる。
【0094】
一態様では、エレクトロスイング吸着セルは、パターン化した第1の電極と第2の電極との間に、例えば、負極と正極との間に配置された単一のセパレータを含む。エレクトロスイング吸着セルを組み合わせて、平行した及び直列の構成の任意の適切な組合せでスタックを生成することができる。よって、一態様では、エレクトロスイング吸着セルは1つより多くのセパレータを含むことができる。例えば、当業者であれば、直列及び平行した構成の選択された組合せに応じて、単一のセパレータを使用することができる、又は複数のセパレータが好ましいこともあることを理解している。
【0095】
セパレータは多孔質セパレータであることができる。多孔質セパレータは任意の適切な材料を含むことができる。一態様では、多孔質セパレータは、ポリマーフィルム、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリアラミド、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル酸樹脂、又はこれらの組合せを含むフィルムを含むことができる。ポリマーは、片側又は両側がセラミックナノ粒子でコーティングされていてもよい。一態様では、多孔質セパレータは、セルロース、合成ポリマー材、又はポリマー/セラミック複合材料を含むことができる。セパレータのさらなる例として、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)セパレータ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVDF-アルミナ複合体セパレータ、又は微小孔性オレフィン、例えば、微小孔性ポリエチレン又は微小孔性ポリプロピレンを挙げることができる。
【0096】
一態様では、パターン化した第1の電極はフォールディング又はプリーツ加工により所望の構成にすることができる。一態様では、パターン化した第1の電極、セパレータ、及び第2の電極は、一緒にフォールディング又はプリーツ加工することより、所望の構成にすることができる。プリーツ加工又はフォールディングした構成は以下で更に論じられる。
【0097】
エレクトロスイング吸着セルは、電子を電極から隣接するセル(直列にスタックした構成)へと導く又は電極から末端接続(平行してスタックした構成)へと導く集電体を更に含むことができる。集電体は、例えば、炭素、金属、又はこれらの組合せを含むことができる。一態様では、集電体は炭素を含むことができる。炭素の適切な例として、これらに限定されないが、グラファイト、薄片化グラファイト、膨張グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ、非晶質炭素、グラフェン、又はこれらの組合せを挙げることができる。カーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブを含んでもよい。カーボンナノチューブは主に炭素であるが、ただし、ナノチューブファイバーは、他の原子、例えば、ホウ素、窒素、又は1種又は複数の様々な金属を更に含んでもよい。一態様では、集電体は金属を含むことができる。金属は、Fe、Zn、Ti、Cu、Al、Ni、Mg、Sn、Cr、Mn、Au、Mo、W、In、V、Nb、Ag、これらの合金若しくは金属間、又はこれらの組合せを含むことができる。一態様では合金はステンレススチール、例えば、304又は316ステンレススチールである。
【0098】
一態様では、炭素又は金属は球状、フレーク状、又は繊維状の形態を有してもよい。一態様では、金属は金属メッシュ、発泡体、フェルト、又はエキスパンドメタルの形態であってもよい。炭素又は金属粒子は配向することができる。例えば、金属がファイバーの形態である場合、ファイバーは、長軸が集電体の主要な表面と垂直の方向に配向されるよう、例えば、ファイバーが、表面に対して直角に、例えば、交差面方向に配向されるように配向することができる。
【0099】
一態様では、集電体は、炭素、金属、及び結合剤を含む複合体を含むことができる。複合体中の炭素又は金属は、複合体の総量に対して、10~98容量%の量で存在することができる。一態様では、複合体は、炭素又は金属を、複合体の総量に対して、50~95容量%の量で含む。一態様では、複合体は、カーボンナノチューブ又はグラフェンを含み、カーボンナノチューブ又はグラフェンを、複合体の総量に対して10~40容量%の量で含むことができる。複合体は細孔を含んでもよく、及び細孔はポリマーを含有してもよい。
【0100】
結合剤は、存在する場合、ポリマーを含むことができる。結合剤は熱硬化性又は熱可塑性であることができる。適切なポリマー結合剤は、例えば、エポキシ、フェノール系、ビニルエステル、ポリアリーレンスルフィド、ポリベンゾオキサジン、イソシアネート、フルオロポリマー、ゴム、又はこれらの組合せを含むことができる。代表的なポリマー結合剤として、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニリデンジフルオリド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエン-ゴム、又はフッ化ゴムを挙げることができる。前述のポリマー結合剤のうちの1種を含む組合せを使用することができる。
【0101】
結合剤は添加剤を任意選択で更に含むことができる。特定の添加剤として、流動促進剤、離型剤、又はこれらの組合せを挙げることができる。一態様では、ポリマー結合剤は架橋することができる。ポリマーは電気絶縁体又は電気導電体であることができる。例示的な導電性ポリマーは、例えば、すべての目的のためその内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2004/977797号に見出すことができる。任意選択で、導電材料、例えば、カーボンブラック、ナノチューブ、炭素繊維、グラフェンなどは、集電体の表面でポリマー結合剤に埋め込むことができ、これは、理論に制約されることを望むことなく、隣接するセルの構成要素、例えば、ガス拡散層に対する接触抵抗を減少させると考えられている。
【0102】
一態様では、集電体は、集電体の表面の少なくとも一部分に配置されたコーティングを任意選択で含むことができる。コーティングは、理論に制約されることを望むことなく、腐食を減少させる、イオン又はガスの透過を遮断する、又はガス拡散層又は電極への電気的接触を改善するよう機能することができる。コーティングは、存在する場合、炭素、金属、合金、若しくは金属間材料、又はこれらの組合せを含むことができ、これら金属、合金、又は金属間材料はNi、Zn、Ti、Sn、Au、V、Mo、Cr、又はこれらの組合せを含む。コーティングは金属、合金、又は金属間の酸化物、ホウ化物、窒化物、又は炭化物を含むことができる。コーティング組成物の非限定的例として、酸化スズ、チタニウムカーバイド、タングステンカーバイド、炭化ジルコニウム、酸化インジウムスズ、酸化亜鉛インジウム、ホウ化チタン、ジルコニウムホウ化物、酸化チタニウムニオブ、酸化チタニウムタンタル、ランタンストロンチウム酸化クロム、酸化ランタンストロンチウムコバルト、窒化チタン、クロムニトリド、バナジウムニトリド、又はこれらの組合せを挙げることができる。例えば、一態様では、集電体は、金属、例えば、Fe、Ni、又はAu、又は腐食耐性材料、例えば、スズでプレーティングすることができる。一態様では、コーティングはポリマーを含むことができる。ポリマーコーティングの例は、例えば、すべての目的のためその内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2007/0298267号に記載されている。一態様では、コーティングは導電性ポリマーを含むことができる。一態様では、コーティングは、上に記載されているような結合剤、及び導電材料の粒子、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、金、銀、又はこれらの組合せを含むことができる。一態様では、コーティングは、蒸着したダイヤモンド様炭素、又は炭素質ポリマーの熱分解の生成物を含む。
【0103】
集電体は任意の適切な多孔度を有してもよく、一態様では無孔質である。一態様では、集電体は、標的ガス、例えば、二酸化炭素に対して効果的に不浸透性である。
【0104】
エレクトロスイング吸着セルは直列にスタックすることができ、集電体はイオン及び反応物質及び放出されたガスの、第1のセルから第2の隣接するセルへの輸送を遮断することができる。更に、集電体は、エレクトロスイング吸着セルに機械的構造及び安定性を付与することができる。集電体は、セル全域へのガスの分布のための流れ場を提供するチャネルを形成するリブを任意選択で含むことができる。リブは、エレクトロスイング吸着セル全域に電子を導き、望ましい構造的完全性を任意選択で提供することができる。リブは、存在する場合、例えば、上記に開示されているような、炭素、金属、複合体、又はこれらの組合せを含むことができ、コーティングを任意選択で含むことができ、このコーティングのそれぞれは更に上記に記載されている。リブは集電体と同じ材料を含んでもよい。リブは集電体と異なる材料を含んでもよい。リブは、厚さの製造公差を受け入れるために部分的に圧縮され得る材料を含んでもよい。例えば、リブは電子的に導電性のある密閉セル発泡体又はガスケットを含んでもよい。リブは、集電体表面に対して凸面又は凹面の部分であってもよく、任意の適切な断面形状、例えば、長方形又は丸い形状を有することができる。
【0105】
一態様では、集電体の第1の側面は、吸着性電極(例えば、パターン化した第1の電極)に面していることができ、第2の側面である集電体の反対側は、非吸着性対電極(例えば、第2の電極)又は末端プレートに面している。一態様では、集電体の両側が吸着性電極に面することができる。吸着性電極に面する集電体の側面は、流れ場を含んでもよい。集電体の側面、例えば、第1の側面及び第2の側面は、それぞれ独立して、同じ又は異なる材料を含むことができる。一態様では、バリア材料、例えば、導電性であり、イオン又はガスの輸送を遮断することができる材料を含む介在層は、集電体の第1と第2の側面の間に挿入することができる。一態様では、バリア材料は金属ホイルを含むことができる。
【0106】
集電体は、装置のペリメーターの密閉を補助するための特色を含むことができる。このような特色として、溝、ステップ、斜面、又はこれらの組合せを挙げることができる。このような特色は、例えば、すべての目的のためその内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2002/0197519号に記載されている。
【0107】
集電体は、集電体の内部を介して広がるチャネルを更に含むことができ、好ましくは、冷却材はこれを介して流動することができる。冷却材チャネルは、当業者により容易に決定できるような、発熱の速度が最も高いと予想されるセルの領域で冷却材の流速が最も高いように配置することができる。平行した又はヘビ状構成の使用が記述されている。発泡体又はメッシュ、例えば、導電性発泡体又はメッシュが使用される一態様では、冷却材は発泡体又はメッシュを介して流動することができる。発泡体又はメッシュは集電体の2つの層の間に提供され得る。一態様では、冷却材は、波形又は波形構造を介して流動することができ、集電体の反対の層との間に提供される。
【0108】
一態様では、集電体は、第1の面上の反応ガス流に対するチャネル、及び第2の、反対の面上の冷却材に対するチャネルを含有する第1のシートを含むことができる。第1のシートは第2のシートに付加していてもよく、この第2のシートはシートの面に対して直交して電気伝導を提供しながら、冷却材チャネルに対する境界を形成する。第1のシートは、任意の適切な方法、例えば、ろう付け、溶接、はんだ付け、積層、拡散接合、圧縮、又は接着結合により第2のシートに付加することができる。冷却材チャネルは隣接するプレートをネスティングすることにより形成することができ、この隣接するプレートは、第1及び第2の電極に対して流れ場を含有する。冷却材チャネルは米国特許第6,099,984号に記載されており、さらなる例示的な冷却材の流動パターンは、すべての目的のためそれぞれの内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2004/0209150号及び米国特許出願公開第2003/0203260号に提供されているものの中に見出すことができる。
【0109】
集電体は、センサー、例えば、集電体に接続している電圧センサー又は電圧感受性ワイヤーを更に含むことができる。一態様では、集電体は加熱エレメントを更に含むことができる。
【0110】
一態様では、集電体は、アセンブリー、例えば、アライメントピンを促進するメンバーを含むことができる。代わりに、アライメント又は密閉を補助するために集電体の周囲に枠が提供されてもよい。様々な適切な集電体の構成要素の例は、すべての目的のためその内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2003/0022052号に見出すことができる。
【0111】
エレクトロスイング吸着セルはガス流れ場を任意選択で更に含むことができる。ガス流れ場は、存在する場合、第1の電極と集電体との間に配置することができる。ガス拡散層がエレクトロスイング吸着セル内に存在しない場合、ガス流れ場は、セパレータの反対の側面上の第1の電極に隣接して配置することができる。一態様では、ガス流れ場は、集電体に隣接して配置することができ、又は集電体の側面が流れ場を含んでもよい。流れ場は、反応流体を流入口から流出口へと流動するよう誘導するための構造を含むことができる。理論に制約されることを望むことなく、流れ場は、電極領域への均一な反応物の流れを提供する働きをする。好ましくは、流れ場は、電極領域への均一な反応物流れ、流動に対する低いバリア、例えば、低圧損、及び流れ場を介した電極から集電体への適切な電気伝導を提供する。
【0112】
ガス流れ場はガス拡散層を任意選択で更に含むことができる。ガス拡散層は、セパレータの反対の側面上の第1の電極に隣接して配置することができる。ガス拡散層は多孔質、導電性材料を含むことができる。一態様では、ガス拡散層は、例えば、60%超若しくはこれに等しい、70%超若しくはこれに等しい、75%超若しくはこれに等しい、80%超若しくはこれに等しい、又はこれよりも大きな多孔度を有する。一態様では、ガス拡散層は85%未満若しくはこれに等しい、90%未満若しくはこれに等しい、又はこれよりも大きな多孔度を有する。これらの範囲の組合せが可能である。例えば、一態様では、第1の電極のガス拡散層は、60%超又はこれに等しく、90%未満又はこれに等しい多孔度を有する。他の多孔度もまた可能である。ガス拡散層に対して適した材料の例として、制限なしで、炭素紙(処理された、PTFE処理された、又は未処理の)、炭素布、又は不織布炭素繊維又はカーボンナノチューブマットが挙げられる。
【0113】
一態様では、流れ場は多孔質発泡体又はメッシュを含むことができる。発泡体又はメッシュは、導電性接着剤、溶接、熱接着、又は焼結により無孔質プレートに結合させることができる。
【0114】
流れ場はチャネルを含むことができる。チャネルは2つ以上のリブにより規定され得る。一態様では、チャネル、リブ、又は両方は、それぞれ独立して、少なくとも0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.4mm、少なくとも0.5mm、少なくとも0.6mm、少なくとも0.8mm、少なくとも0.9mm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、少なくとも8mm、又は少なくとも9mmの平均幅を有することができる。一態様では、チャネル、リブ、又は両方は、それぞれ独立して、10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、1mm以下、0.9mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、0.6mm以下、0.5mm以下、0.4mm以下、0.3mm以下、又は0.2mm以下の平均幅を有することができる。チャネル及び/又はリブにして上記に参照された平均幅の組合せもまた可能である。
【0115】
一態様では、チャネル、リブ、又は両方は、それぞれ独立して、少なくとも0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.4mm、少なくとも0.5mm、少なくとも0.6mm、少なくとも0.8mm、少なくとも0.9mm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、又は少なくとも3mmの平均深さを有することができる。一態様では、チャネル、リブ、又は両方は、それぞれ独立して、4mm以下、3mm以下、2mm以下、1mm以下、0.9mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、0.6mm以下、0.5mm以下、0.4mm以下、0.3mm以下、又は0.2mm以下の平均深さを有することができる。チャネル及び/又はリブに対して上記に参照された平均深さの組合せもまた可能である。
【0116】
流れ場を製造するための様々な方法、例えば、機械加工、射出成形、圧縮成形、押出加工、エンボス加工、又はスタンピングを使用することができる。例示的な方法は、例えば、すべての目的のためそれぞれの内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2004/0151975号及び米国特許出願公開第2003/0022052号に記載されている。一態様では、流れ場は、例えば、すべての目的のためその内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2002/0081477号に記載されているような、1つのチャネルから隣接するチャネルへの流れの経路を決めるための結合を有する波形の金属を含むことができる。
【0117】
流れ場の流れパターンは、例えば、平行した、ヘビ状、又は交互にかみ合わされた流れを提供する任意の適切な構成を有することができる。ヘビ状の流れパターンの非限定的例は、すべての目的のためその内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,309,773号に提供されている。フローチャネルは、均一な断面を有することができ、又は漸減若しくは収縮して、例えば、セル領域の全域で反応の適切な分布をもたらす領域を有することができる。フローチャネルは、例えば、反応物の電極への輸送を改善することができる乱気流を生成するために分裂又は障害物を含有することもできる。例示的なフローチャネルは、すべての目的のためその内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,756,149号に記載されている。流れ場パターン及び寸法は、セル内の各流れ場に対して同じであることができ、又はこれらは、当業者により容易に決定することができるように、スタック内のセルの位置及び流れ場に面する電極の性質に応じて変動し得る。一態様では、集電体の両方の面の上にチャネルが存在する場合、チャネルを組み込んでスタックの厚さを減少させることもできる。
【0118】
一態様では、マニホールドを使用して、処理ガス、例えば、反応ガスを、エレクトロスイング吸着セルに送達し、生成ガス、例えば、放出されたガスを、エレクトロスイング吸着セルから外へ搬送することができる。マニホールドはガスを分配することができる。パラメーター、例えば、マニホールドの長さ及び断面寸法は、適切な特性、例えば、圧力低下が得られるように選択することができる。マニホールドはまた好ましくはガスの漏出を防止することができる。使用することができる例示的なマニホールド設計として、これらに限定されないが、すべての目的のためそのそれぞれの内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,159,629号;米国特許第6,174,616号;米国特許第5,486,430号;米国特許第5,776,625号;及び米国特許第6,017,648号に開示されたものが挙げられる。
【0119】
一態様では、エレクトロスイング吸着セルは、エレクトロスイング吸着セルからの処理ガスの漏出を防止するため密閉部を含むことができる。密閉領域に面している表面、例えば、ガス拡散層、電極、又はセパレータの表面はこれらの周囲にガス不透過性シーラントを含浸させることができる。好ましくは、密閉部の形状は、セパレータの穿刺、疲労、又は引き裂きをもたらし得る応力が導入されないように選択される。密閉部の厚さは均一であってもよいし、又は電極及びガス拡散層の縁に関連して、密閉部の異なる領域にわたって変動させてもよい。密閉部は電気絶縁性であり、化学的及び電気化学的に非反応性である。密閉部は適切なOリング、ガスケット、又は接着剤を含むことができる。密閉部は、メンバー、例えば、集電体又はマニホールドの周囲に堆積した流体不透過性材料の隆起又はビーズを含むことができる。一態様では、密閉部は、エラストマー、及び熱硬化性又は熱可塑性、例えば、エポキシ、ゴム、ポリオレフィン、シリコーン、フルオロポリマー、フルオロ-エラストマー、又はクロロポリマーを含むことができる。一態様では、密閉部は発泡体、例えば発泡ゴムを含むことができる。一態様では、密閉部は熱収縮性フィルムを含むことができる。例示的な封止物質は、すべての目的のためそれぞれの内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,440,597号及び米国特許出願公開第2006/0073385号に記載されている。
【0120】
一態様では、密閉部がガスケットである場合、ガスケットは充填剤を任意選択で含むことができ、充填剤は、好ましくは、隣接する材料、例えば、集電体材料と合致させたガスケット材料の熱膨張係数を提供することができる。例示的な充填剤として、これらに限定されないが、ガラス、ポリスチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、又は絶縁性の金属酸化物、例えば、シリカ又はアルミナを挙げることができる。
【0121】
適切な密閉部は、任意の適切な方法、例えば、すべての目的のためその内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2003/0031914号に記載されているように、例えば、結合ポリマーを、セルの縁の周辺の溝に注入することにより製造することができる。方法は、例えば、すべての目的のためその内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2003/0072988号に記載されているように、対応して成形されたガスケットを有する溝付きの表面を形成することを含むことができる。一態様では、シーラント材料は、集電体の上又はガス拡散層、電極、セパレータ、又はこれらの組合せのアセンブリーの上にコーティング、スプレー、積層、又は射出成形することができる。シーラントは、外側を向いたセルの縁を封入することができる。密閉部形状の例は、すべての目的のためそれぞれの内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2007/0231619号、米国特許出願公開第2007/0042254号、米国特許出願公開第2002/0172852号、並びに米国特許第6,261,711号に記載されている。一態様では、セパレータの反対側のガスケットは、セパレータの周辺領域に任意選択で含まれる貫通孔を介して互いに接続していることができる。
【0122】
密閉を改善するため、一態様ではセパレータは周囲領域において無孔質であることができる。セパレータに無孔質を付与する方法は、セパレータの材料(例えば、ポリマー材)の流れを引き起こし、よって細孔を充填するのに十分な温度にセパレータを熱プレスすることを含む。セパレータは、ガスケットに熱プレスする若しくは熱的結合する、又はシーラントで接着することができる。
【0123】
内部温度が、エレクトロスイング吸着セルを損傷し得る温度を上回るのを防止するために、エレクトロスイング吸着セルからの熱を取り除くことが有利となり得る。熱の除去は、以前に論じた冷却材チャネルの使用を介して達成することができる。一態様では、エレクトロスイング吸着セルは、エレクトロスイング吸着セルの側面上に空気をブローイングすることによって冷却することができる。一態様では、エレクトロスイング吸着セルは、エレクトロスイング吸着セルの側面に平行して並ぶ又はその中のチューブ又はダクトを介して冷却材を流すことにより冷却することができる。一態様では、集電体は、任意の冷却材チャネルを含まなくてもよく、処理ガスを冷却材として効果的に使用して、エレクトロスイング吸着セルを介した処理ガスの流速を制御することにより、冷却を提供することもできる。この冷却方法は、処理ガス(反応ガス)が空気である場合、特に有利となり得る。
【0124】
一態様では、エレクトロスイング吸着セルの少なくとも一部分を加熱することもできる。例えば、エレクトロスイング吸着セルの末端部分を加熱することができ、又はエレクトロスイング吸着セルのセル終端部(例えば、「末端セル」)を加熱することもできる。理論に制約されることを望むことなく、エレクトロスイング吸着セルの加熱は、より高い捕獲速度又は湿度の高い処理ガスの水分凝縮の防止を可能にすることができる。電気的耐性のある加熱エレメントを、例えば、末端プレート又はマニホールドに隣接して組み込む又は配置することができる。
【0125】
エレクトロスイング吸着セルの全域に圧力を加えることは、エレクトロスイング吸着セル内の構成成分間の接触抵抗、例えば、流れ場とガス拡散層との間の接触抵抗を減少させるのに有利となり得る。圧力の適用はまた、密閉部の気密性を改善するのに有利となり得る。圧力はエレクトロスイング吸着セルの全域に、例えば、タイロッド又は外部クランプを使用して加えることができる。タイロッドは密閉部及びマニホールドの内部又は外部にあってもよい。機械的不具合をもたらし得る機械的応力の領域を局在化することなく、圧力を均一に加えることが好ましくもある。当業者は、均一な圧力を加え、応力集中を回避するためのワッシャ、ディスクバネ、コイルばね、ベルビルワッシャ、ナッツ、クランプ、フレーム、留め具、コレット、くさび形、又は圧力プレートの設計に精通している。圧縮アセンブリーの例は、例えば、すべての目的のためその内容がその全体において参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,190,793号に記載されている。
【0126】
一態様では、エレクトロスイング吸着セルは、有利には、室温及び大気圧及び濃度で、ルイス酸(例えば、CO)を、少なくとも1gのルイス酸/m/時間、少なくとも2gのルイス酸/m/時間、少なくとも3gのルイス酸/m/時間、少なくとも4gのルイス酸/m/時間、少なくとも5gのルイス酸/m/時間、少なくとも6gのルイス酸/m/時間、少なくとも7gのルイス酸/m/時間、少なくとも8gのルイス酸/m/時間、少なくとも9gのルイス酸/m/時間、少なくとも10gのルイス酸/m/時間、少なくとも20gのルイス酸/m/時間、少なくとも30gのルイス酸/m/時間、少なくとも40gのルイス酸/m/時間、少なくとも50gのルイス酸/m/時間、少なくとも60gのルイス酸/m/時間、少なくとも70gのルイス酸/m/時間、少なくとも80gのルイス酸/m/時間、少なくとも90gのルイス酸/m/時間、少なくとも100gのルイス酸/m/時間、少なくとも200gのルイス酸/m/時間、少なくとも300gのルイス酸/m/時間、少なくとも400gのルイス酸/m/時間、少なくとも500gのルイス酸/m/時間、少なくとも600gのルイス酸/m/時間、少なくとも700gのルイス酸/m/時間、少なくとも800gのルイス酸/m/時間、少なくとも900gのルイス酸/m/時間、又は少なくとも1,000gのルイス酸/m/時間の速度で捕獲することができる。
【0127】
本開示の様々な態様によるエレクトロスイング吸着セルを更に図示し、以下に詳細に説明する。
【0128】
図1Aは、第1のパターン化電極110を備えた非対称エレクトロスイング吸着セル100の概略図である。第1のパターン化電極110は、電気活性種130が配置された導電性骨格120、電解質領域140、及びガス領域150を備えている。導電性骨格120は、電解質領域140に広がり、電解質領域140と接している。一態様では、導電性骨格120は、ガス領域150に広がることができる。一態様では、ガス領域150は、導電性骨格120を備えていなくてもよい。パターン化電極110は、ガス流れ場160に結合されており、パターン化電極110に標的ガス種を含むガス流を供給する。エレクトロスイング吸着セル100は、更に対電極170を備え、電気活性種130が還元される場合、電気活性種130の電荷をバランスさせることができる。セパレータ180は、パターン化電極110と対電極170との間に配置されている。
【0129】
一態様では、対電極170の代わりに第2のパターン化電極を使用して図1Bに示されるような対称エレクトロケミカルスイング吸着セルを提供することを望ましく得る。対称エレクトロケミカルスイング吸着セル101では、第1のパターン化電極111及び第2のパターン化電極112は、パターン化電極110についての開示と組成的に同じであってもよいが、使用時には、それらの充電状態は異なるであろう。同様に、第1のガス流れ場161及び第2のガス流れ場162はそれぞれ独立してガス流れ場160について記載された通りであってもよい。対称エレクトロケミカルスイング吸着セルは、それがさらなる効率を提供し得るので望ましくし得、例えば、第1のパターン化電極は捕捉を提供し得、一方、第2のパターン化電極は標的種の放出を提供し得る。したがって、説明を明瞭及び容易にするために、非対称セルは記載されていてもよいが、第2のガス流れ場及び第2のパターン化電極を対電極の代わりに使用して対称セルを提供してもよい。
【0130】
図2Aは、パターン化電極210を備えたエレクトロスイング吸着セル200を示す。図2Aに示すように、パターン化電極210は、電気活性種230が配置された導電性骨格220、電解質領域240、及びガス領域250を備えている。エレクトロスイング吸着セル200は、更に、第2の電極270及びセパレータ280を備えている。一態様では、エレクトロスイング吸着セル200は、更に、パターン化電極210とガス流れ場 260と間にガス拡散層215を備えている。
【0131】
多相反応域(例えば、パターン化電極210)上の捕捉率は、式1によるフィックの法則によって近似することができる。
【0132】
【数2】
【0133】
式中、CRはエレクトロスイング吸着セル200によるルイス酸による捕捉率(例えば、ルイス酸のグラム/m/hr)、εは、電解質領域240中の電解質の体積分率、Dは、電解質中の溶解されたルイスガスの拡散率(m/hr)、τは、ねじれ(しばしばε-0.5と近似される)、csatは、電解質領域240とガス領域250との界面での電解質中の溶解ガスの濃度であり、電解質は気相中のルイスガスの濃度(mol/m)と平衡状態にあり、Mは、標的ガス種の分子量(g/mol)であり、Lは、拡散長、例えば、y方向の電解質領域240の平均厚さである。式1は、エレクトロスイング吸着セル200がガスを捕捉する割合が電解質領域240の幅に反比例することを示す。
【0134】
導電性骨格220は、図2Aに示すように、ランダムな凹凸パターンで、又は規則的パターンで、例えば、織られた炭素繊維材料のように配列することができる。一態様では、導電性骨格220を含む粒子は、図2Bに示すように、粒度分布が狭くてもよい。一態様では、導電性骨格220における粒子は、図2C示されるように、炭素繊維などのより大きな繊維222上に配置された、ナノチューブ、気相成長炭素繊維、又はグラフェンなどの小さな粒子224を含んでいてもよい。
【0135】
一態様では、図2Dに示すように、ガス流れ場260は、チャネル262及びリブ264を備えることができる。一態様では、ガス拡散層215は、リブ264下のチャネル262からのガス流を広げる機能を果たすことができる。チャネル262、リブ264、又は両方(例えば、図2Dのy方向)の平均幅、及びチャネル262(例えば、図2のz方向)の平均深さは、前記の通りであり得る。
【0136】
一態様では、例えば、図2Eに示すように、ガス流れ場260が多孔性金属発泡体を含む場合、リブ及びチャネルは、必要に応じて省略されてもよい。一態様では、ガス流れ場260は、多孔性金属発泡体から構成される部分、及びチャネル262及びリブ264を含む部分を含むことができる。一態様では、ガス流れ場の多孔度は、ガス拡散層の多孔度よりも大きい。
【0137】
図3及び図4は、パターン化電極310を備えたエレクトロスイング吸着セル300を示す。図3は、エレクトロスイング吸着セル300の断面図を示し、一方、図4は、パターン化電極310の正面図を示す。パターン化電極310は、電気活性種330が配置された導電性骨格320、電解質領域340、及びガス領域350を備えている。エレクトロスイング吸着セル300は、更に、ガス流れ場360、第2の電極370、及びセパレータ380を備えている。一態様では、エレクトロスイング吸着セル300は、パターン化電極310とガス流れ場360との間にガス拡散層315を備えていてもよい。図3及び図4は、円筒形状又は円錐形状のガス領域350を示すが、ガス領域は、任意の適切な形状を有していてもよい。
【0138】
図3及び図4は、更に、寸法L、L、及びWを示す。Lは、カチオンCがセパレータからESAセルにおける電気活性種Pの活性部位に移動する距離、例えば、セパレータ380からガス拡散層315の平均距離について記載している。言い換えると、Lは、カチオンが、セパレータ380からパターン化電極310中の活性部位まで電解質領域340中を移動する距離について記載している。Lは、ルイス酸ガスの経路の拡散長、例えば、ガス領域350間の平均距離について記載している。言い換えると、Lは、パターン化電極310中の活性部位まで電解質を通った標的ガス種の拡散長について記載している。Wは、ガス領域350の平均幅について記載している。ガス領域350が球形状又は円筒形状の場合(例えば、図3及び図4のように)、Wはガス領域350の直径である。ガス領域350が不規則形状を含む場合、Wは、ガス領域350の体積平均幅である。
【0139】
、L、及びWは先に説明した通りとすることができる。例えば、Lは1μm~1mmとすることができる。例えば、Wは、1μm~100μmとすることができる。例えば、Lは、15~500μmとすることができる。
【0140】
図5及び図6は、パターン化電極410を備えたエレクトロスイング吸着セル400を示す。図5は、エレクトロスイング吸着セル400の断面図を示し、一方、図6は、パターン化電極410の正面図を示す。パターン化電極410は、電気活性種430が配置された導電性骨格420、電解質領域440、及びガス領域450を備えている。エレクトロスイング吸着セル400は、更に、ガス流れ場460、第2の電極470、及びセパレータ480を備えている。一態様では、エレクトロスイング吸着セル400は、パターン化電極410とガス流れ場460との間にガス拡散層415を備えていてもよい。図5及び図6は、ストライプ形状又は直方体形状を有するガス領域を示す。
【0141】
寸法L、L、及びW図5及び図6に含まれており、それらは先に定義されている。
【0142】
図7及び図8は、パターン化電極510を備えたエレクトロスイング吸着セル500を示す。図7は、エレクトロスイング吸着セル500の断面図を示し、一方、図8は、パターン化電極510の正面図を示す。パターン化電極510は、活性ポリマー530にコーティングされた導電性骨格520、電解質領域540、及びガス領域550を備えている。エレクトロスイング吸着セル500は、更に、ガス流れ場560、第2の電極570、及びセパレータ580を備えている。一態様では、エレクトロスイング吸着セル500は、パターン化電極510とガス流れ場560との間のガス拡散層515を備えていてもよい。
【0143】
図7及び図8に示すように、パターン化電極510のガス領域550は、ガス流れ場560の近くでより広く、セパレータ580の近くでより狭い。言い換えると、ガス領域550は台形状の断面を有する。反対に、電解質領域540は、セパレータ580の近くでより広く、ガス流れ場560の近くでより狭くてもよい。理論に束縛されるものではないが、エレクトロスイング吸着セル500の全体抵抗は、電解質のイオン抵抗率、導電性骨格520の電気抵抗率、電荷移動、及びルイス酸の拡散からの寄与を含む。理論に限定されることを望まないが、セパレータ580では、電流のすべてがイオンによって運ばれることが理解される。電流がパターン化電極510を移動するので、それは、電解質相中のイオンから導電性骨格520における電子にエレクトロケミカル反応によって移動される。ガス流れ場560で、電流のすべては電子によって運ばれる。イオン抵抗性は、電解質の体積分率で除算された電流密度に比例する。したがって、エレクトロスイング吸着セル500の全体セル抵抗は、セパレータ580の近くにより大きい体積分率の電解質を有することによって低減することができる。セパレータ580の近くにより多くの電解質を含むことは、対電極570から輸送されたイオンの移動を促進することができる。更に、ガス流れ場560の近くでより広く、セパレータ580の近くでより狭いガス領域550を備えた幾何形状は、製造するのがより簡単になり得、ガス流れ経路を閉鎖する欠点の危険を低減することができる。
【0144】
一態様では、Lは、上記と同じ又は実質的に同様の特性/寸法を有し得る。LDSは、パターン化電極510とセパレータ580との間の界面の近くのパターン化電極510における活性部位への標的ガス種の拡散長について記載している。LDCは、パターン化電極510とガス拡散層515との間の界面の近くのパターン化電極510において活性部位への標的ガス種の拡散長について記載している。Wは、パターン化電極510とセパレータ580との間の界面の近くのガス領域550の平均幅について記載している。Wは、パターン化電極510とガス拡散層515との間の界面の近くのガス領域550の平均幅について記載している。一態様では、WはWと同じ又は実質的に同様の寸法を有することができる。
【0145】
一態様では、Wは1~500μmとすることができる。この範囲内では、Wは、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、少なくとも100μm、少なくとも150μm、少なくとも200μm、少なくとも250μm、少なくとも300μm、少なくとも350μm、少なくとも400μm、又は少なくとも450μmとすることができる。また、この範囲内では、Wは、500μm以下、450μm以下、400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、又は2μm以下とすることができる。ガス領域について、上記W値の組合せも可能である。
【0146】
一態様では、LDCは、1μm~1mmとすることができる。この範囲内では、LDCは、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、又は少なくとも900μmとすることができる。また、この範囲内では、LDCは、1mm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、又は2μm以下とすることができる。LDCについて、上記範囲の組合せも可能である。
【0147】
一態様では、LDSは1μm~1.5mmとすることができる。この範囲内では、LDSは、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、又は少なくとも900μm、少なくとも1mm、少なくとも1.1mm、少なくとも1.2mm、少なくとも1.3mm、又は少なくとも1.4mmとすることができる。また、この範囲内では、LDSは、1.5mm以下、1.4mm以下、1.3mm以下、1.2mm以下、1.1mm以下、1mm以下、900μm以下、800μm以下、700μm以下、600μm以下、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、90μm以下、80μm以下、70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、又は2μm以下とすることができる。LDSについて、上記範囲の組合せも可能である。
【0148】
一態様では、W/Wは、1~10(つまり、1/1~10/1)とすることができる。この範囲内では、W/Wは、少なくとも1、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2、少なくとも2.1、少なくとも2.2、少なくとも2.3、少なくとも2.4、少なくとも2.5、少なくとも2.6、少なくとも2.7、少なくとも2.8、少なくとも2.9、少なくとも3、少なくとも3.5、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、又は少なくとも9とすることができる。また、この範囲内では、W/Wは、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3.5以下、3以下、2.9以下、2.8以下、2.7以下、2.6以下、2.5以下、2.4以下、2.3以下、2.2以下、2.1以下、2以下、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、又は1.1以下とすることができる。W/Wについて、上記値の組合せも可能である。
【0149】
図9及び図10は、パターン化電極610を備えたエレクトロスイング吸着セル600を示す。図9は、エレクトロスイング吸着セル600の断面図を示し、一方、図10は、パターン化電極610の正面図を示す。パターン化電極610は、電気活性種630が配置された導電性骨格620、電解質領域640、及びガス領域650を備えている。エレクトロスイング吸着セル600は、更に、ガス流れ場660、第2の電極670、及びセパレータ680を備えている。一態様では、エレクトロスイング吸着セル600は、パターン化電極610とガス流れ場660との間にガス拡散層615を備えていてもよい。
【0150】
図9及び図10に示すように、パターン化電極610は、寸法L、W、L、及びLを有している。L、W、及びLは前記の通りとすることができる。
【0151】
は、セパレータ680を覆う電解質充填領域の長さを定義する。Lは、Lのおよそ半分とすることができる。一態様では、Lは0~30μmとすることができる。この範囲内では、Lは、少なくとも0μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも3μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、少なくとも6μm、少なくとも7μm、少なくとも8μm、少なくとも9μm、少なくとも10μm、少なくとも11μm、少なくとも12μm、少なくとも13μm、少なくとも14μm、少なくとも15μm、少なくとも16μm、少なくとも17μm、少なくとも18μm、少なくとも19μm、少なくとも20μm、少なくとも21μm、少なくとも22μm、少なくとも23μm、少なくとも24μm、少なくとも25μm、少なくとも26μm、少なくとも27μm、少なくとも28μm、又は少なくとも29μmとすることができる。また、この範囲内では、Lは、30μm以下、29μm以下、28μm以下、27μm以下、26μm以下、25μm以下、24μm以下、23μm以下、22μm以下、21μm以下、20μm以下、19μm以下、18μm以下、17μm以下、16μm以下、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下、7μm以下、6μm以下、5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、又は1μm以下とすることができる。また、上記L値の組合せも可能である。
【0152】
図11は、パターン化電極710を備えたエレクトロスイング吸着セル700の三次元表示を示す。パターン化電極710は、電解質領域740及びガス領域750を備えている。エレクトロスイング吸着セル700は、更に、ガスチャネル762及びリブ764を備えたガス流れ場760を備えている。エレクトロスイング吸着セル700は、更に、第2の電極770及びセパレータ780を備えている。一態様では、ガス領域750は、直線断面形状、例えば、長方形状又は角柱形状を有することができる。一態様では、ガスチャネル762は直方体形状を有することができる。図11は縮尺どおりでない。例えば、リブ764及びチャネル762の幅は、先に説明した通り、ミリメートルのオーダーとすることができ、一方、ガス領域750及び電解質領域740の幅は、それぞれW及びLによって示されている。
【0153】
ガス領域750は、ガスチャネル762の向きに垂直配向されて、セパレータ780と平行なガスチャネル762からのガス流を促進する。この態様は、流れ場760が、導入口チャネルが排出口チャネルと交互になっているインターディジテイテッド型の流れ配列を有する場合、特に有利になり得る。例えば、図11では、示された2つのチャネルのうちの1つは導入口チャネルになり、一方、他方は排出口チャネルになる。図11は、セルの部分集合であることが理解され、セルは、複数の導入口チャネル及び排出口チャネルを備えていてもよい。図11に示される構造では、ガス拡散層は、ガス領域を通ってガス対流を進めるために省略される。ガス拡散層の機能は、セル構成要素(電極、セパレータ、リブ、及び集電体)における製造厚さのばらつきに対応することができる圧縮可能な材料を提供することとすることができる。ガス拡散層を欠く実施形態では、リブは、導電性独立気泡成形体又はガスケットなどの圧縮可能な材料で構成されることは有利であり得る。
【0154】
図12は、パターン化電極610を備えたエレクトロスイング吸着セル600を示す。パターン化電極610は、電気活性種630が配置された導電性骨格620を備えた電解質領域640、電解質領域内に配置された電解質645、及びガス領域650を備えている。エレクトロスイング吸着セル600は、更に、ガス流れ場660、第2の電極670、セパレータ680、及びガス拡散層615を備えている。パターン化電極610は、ガス領域650を備えた電解質領域640をプリーツ加工する又はフォールディングすることによって組み立てることができる。図12に示すように、ガス領域650を備えた電解質領域640をフォールディングすることによって、電解質領域と流れ場との間にガス領域650の層が形成される(例えば、電解質領域は流れ場と接触しない)。同様に、ガス領域650を備えた電解質領域640をフォールディングすることによって、ガス領域とセパレータとの間(例えば、ガス領域はセパレータと接触しない)の電解質領域640の層が形成される。また、カチオン移動距離L及びガス領域Wの幅が図12に示されている。図12に記載された、フォールディングされた又はプリーツ加工された電極構成について、Wは、フォールディングされていない状態Wでガス領域650の厚さの2倍とすることができる。パターン化電極610についての拡散長L図12に示されており、それは、フォールディングされていない状態Lでの電解質領域640の厚さの2倍とすることができる。一態様では、L、W、及びLは、図3及び図4に関して上記のように、それぞれL、W、及びLと同じ又は実質的に同様とすることができる。一態様では、W及びLは、z方向で一定であってもよい。一態様では、W及びLは、z方向で異なっていてもよい。
【0155】
図13は、パターン化電極-セパレータアセンブリー1610を備えたエレクトロスイング吸着セル1600を示す。パターン化電極-セパレータアセンブリー1610は、電気活性種が配置された導電性骨格及び電解質を含む電解質領域1640、ガス領域1650、第2の電極1670、及びセパレータ1680を備えている。エレクトロスイング吸着セル1600は、更に、ガス流れ場1660及び任意のガス拡散層1615を備えている。パターン化電極-セパレータアセンブリー1610は、セパレータ1680上に電解質領域1640を設置し、電解質領域1640上にガス領域1650を設置し、セパレータ1680の反対側に第2の電極1670を設置して電極-セパレータアセンブリー1610を提供することによって組み立てることができる。電極-セパレータアセンブリー1610は、プリーツ加工又はフォールディングすることができる。パターン化電極-セパレータアセンブリー1610は、次いで、ガス拡散層1615及び流れ場1660と組み合わせてセル1600を提供することができる。
【0156】
本開示によるエレクトロスイング吸着セルは、図1図13を参照して、上記特徴の任意の組合せを有することができる。例えば、流れ場設計の当業者は、実施形態の組合せが可能であることを認識するであろう。例えば、図11のセルは、ガス領域に垂直に配向された流れチャネルを含み、図12又は図13の電解質領域640又は1640が、それぞれ図11の流れチャネルに垂直に配向された状態で、図12又は図13のパターン化電極と組み合わせることができる。
【0157】
上記パターン化電極を製造する方法は、本開示の他の態様を表す。一態様では、複数の電解質領域、複数のガス領域、及び導電性骨格を備える電極は、セパレータ又はガス拡散層上に複合材料を堆積し、複合材料は電解質を含み、導電性骨格は電気活性種で被覆され、複数の電解質領域及び複数のガス領域を含む電極を形成することによって製造することができる。
【0158】
一態様では、犠牲キャリアフィルム又はセパレータ上に堆積された複合材料は、電気活性種、電子導電性粒子、電解質、及び犠牲ポロゲンを含むことができる。一態様では、複合混合物は双連続エマルジョンとすることができる。一態様では、堆積された複合材料は、電気活性種、電子導電性粒子、及び電解質の混合物を含むことができる。一態様では、複合材料は、電気活性種、架橋剤、導電性粒子、及びキャリア溶媒を含むことができる。一態様では、複合材料は、電解質と共にゲルを形成するための電気活性ポリマーを含むことができる。一態様では、電解質は、毛管作用によって複合材料に含めることができる。
【0159】
堆積された複合材料は、電子導電性骨格を備えることができる。一態様では、電子導電性骨格は、電解質で非常に高い表面エネルギーを有することができる(例えば、電子導電性骨格は、疎イオン性になり得、例えば、電解質に湿潤性でない)。一態様では、電子導電性骨格は、電子導電性骨格上に印刷された1つ又は複数のインクを含むことができる。一態様では、第1のインクは、ゲルを形成するための電解質及び熱開始前駆体を含むことができる。一態様では、第1のインクは、キャリア溶媒に電気活性種を含むことができる。一態様では、第1のインクは、架橋剤と共に親イオン性活物質を含むことができる。一態様では、第2のインクは、犠牲細孔形成剤を含むことができる。一態様では、細孔形成剤は、低融点ワックスを含むことができる。一態様では、堆積された複合材料は、電気活性種で被覆され、ポリマー前駆体を含む電解質で充填された電子導電性骨格を含むことができる。
【0160】
犠牲キャリアフィルム又はセパレータ上に複合材料を堆積することは、限定されないが、コーティング、スプレーコーティング、均一コーティング、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、インクジェット印刷、3D印刷、押出し成形、複数の相の共押出し、又はそれらの任意の組合せを含めて一般に公知の様々な方法によって達成することができる。電極は、1つ又は複数のコーティング層を使用して組み立てることができる。一態様では、パターンは、コーティング、押出加工、又は2つのインクを印刷することによって形成することができ、1つのインクは、電子導電性骨格、活物質、電解質、及びゲル形成剤を含み、第2のインクは、犠牲ポロゲンを含む。一態様では、複合材料は、一様に疎イオン性電子導電性骨格の細孔に充填することができる。
【0161】
一態様では、以上詳述したように、複合材料は、好ましくは、複合材料の一部を除去する前に、化学反応を任意に受けることができる。一態様では、化学反応は、疎イオン性の領域(つまり、電解質をはじく領域)、及び親イオン性の領域(つまり、電解質を引きつける領域)を形成することができる。一態様では、化学反応は、電解質と電気活性種との反応からゲルを形成することを含むことができる。一態様では、電気活性材料前駆体は、電気活性材料を形成するためにパターン化架橋を受けることができる。一態様では、架橋は複合材料の所望領域に架橋材料を生成するためだけに選択的に行うことができ、その結果、架橋されていない材料が除去することができる。一態様では、架橋は、例えば、紫外線(UV)放射、赤外線(IR)放射、熱放射、パターン化熱放射、化学試薬、又はそれらの任意の組合せによって誘起することができる。一態様では、熱の適用は、活物質前駆体を重合してゲルを形成することができる。一態様では、選択的架橋は、マスク、リソグラフィー、干渉パターン、パターン化熱放射、又はそれらの任意の組合せを使用することによって誘起することができる。一態様では、方法は、電解質及び電気活性種を試薬で処理して導電性骨格の細孔を満たすイオノゲルを形成することを含むことができる。
【0162】
一態様では、電気活性種は、試薬と接触して疎イオン性となることができる。一態様では、試薬は、放射線(例えば、UV光、e-ビーム、赤外線等による)又は化学試薬を含むことができる。試薬は、パターン化マスクを通って適用されて複合材料中に親イオン性領域及び疎イオン性領域のパターンを形成する(つまり、パターン化電極を形成する)ことができる。コーティングは、電気活性材料前駆体、架橋剤、導電性粒子、及びキャリア溶媒を含むことができる。一態様では、電気活性活物質前駆体は、上述したように、パターン化架橋を受けることができる。
【0163】
方法は、試薬を複合材料に添加して第1の相及び第2の相を形成することを含み、パターン化電極を形成するために除去された複合材料の一部は第2の相である。第1の相は、架橋された電極材料を含むことができ、第2の相は、未架橋の電極前駆体を含む。試薬は、マスク、リソグラフィー、干渉パターン、パターン化熱放射、又はそれらの組合せによってパターン化構造で添加された架橋剤とすることができる。
【0164】
方法は、複合材料の一部を除去してパターン化電極を形成することを含むことができる。これは、犠牲ポロゲンの除去を含むことができる。一態様では、犠牲ポロゲンは、例えば、蒸発、リンス溶解、分解、溶融、又は任意の適切な化学若しくは物理除去方法、又はそれらの組合せによって除去することができる。一態様では、複合材料の一部の除去は、レーザーアブレーション、リソグラフィー、機械的刻印、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。一態様では、複合材料の一部の除去は、未架橋の電極前駆体を洗い流すが、架橋された活物質を除去しない溶媒で複合材料を濯ぐことを含むことができる。一態様では、複合材料の一部の除去は、熱を適用して犠牲細孔形成剤を蒸発させることを含むことができる。一態様では、複合材料の一部の除去は、犠牲細孔形成剤を溶解し、溶媒で濯ぐことを含むことができる。溶解によるポロゲンの除去は、以下の実施例に更に記載されている。
【0165】
一態様では、化学反応ステップは、除去ステップと同時に部分的に又は完全に行うことができる。例えば、熱の適用は、犠牲細孔形成剤を蒸発させながら電解質中でゲル形成剤を同時に重合することができる。
【0166】
一態様では、電解質は含まれることができ、又は複合材料と共に堆積することができる。一態様では、電解質は、複合材料の一部を除去した後に添加してパターン化電極を形成することができる。
【0167】
一態様では、プリンターは、骨格の中に2つのインクでパターンを印刷することができる。第1のインクは、活物質及び親イオン性化合物を含むことができる。親イオン性化合物は、電気活性種と物理的に混合することができる。親イオン性化合物は、共重合によって電気活性ポリマーに組み込むことができる。第2のインクは、骨格の領域を疎イオン性にする疎イオン性化合物を含むことができる。骨格は親イオン性になり得る。一態様では、第1のインクは電気活性種を含むことができ、一方、第2のインクは骨格の領域を疎イオン性にする疎イオン性化合物を含むことができる。インクを備えた骨格は、複合材料の堆積に先立って、犠牲キャリアフィルム又はセパレータ上に配置することができる。骨格は、次いで、ガス流れ場及び対電極に結合されてエレクトロスイング吸着セルを形成することができる。
【0168】
一態様では、複合材料の一部の除去は、細孔を後に残し得る。一態様では、細孔はガス充填細孔になり得る。一態様では、細孔は浸透ガス充填細孔になり得る。一態様では、細孔は空気充填細孔になり得る。一態様では、細孔は、円錐形状、円錐台形状、球形状、ストライプ形状、直方体形状、不規則形状、非晶質形状、又はそれらの任意の組合せを有することができる。
【0169】
エレクトロスイング吸着セルを製造する方法は、本開示の他の態様を表す。
【0170】
一態様では、エレクトロスイング吸着セルは、セパレータ上に複合材料を堆積し、複合材料は電解質及び電気活性種で被覆された導電性骨格を含み、複数の電解質領域及び複数のガス領域(例えば、第1のパターン化電極)を含む第1の電極を形成し、第1のパターン化電極に、ガス流れ場及び第2の電極を結合してエレクトロスイング吸着セルを提供することによって製造することができる。
【0171】
一態様では、犠牲キャリアフィルム又はセパレータ上に堆積された複合材料は、電気活性種、電子導電性粒子、電解質、及び犠牲ポロゲンを含むことができる。一態様では、複合混合物は双連続エマルジョンになり得る。一態様では、堆積された複合材料は、電気活性種、電子導電性粒子、及び電解質の混合物を含むことができる。一態様では、複合材料は、電気活性種、架橋剤、導電性粒子、及びキャリア溶媒を含むことができる。一態様では、複合材料は、電解質と共にゲルを形成するための電気活性ポリマーを含むことができる。一態様では、電解質は、毛管作用によって複合材料に含めることができる。
【0172】
堆積された複合材料は、電子導電性骨格を含むことができる。一態様では、電子導電性骨格は、電解質で非常に高い表面エネルギーを有し得る(例えば、電子導電性骨格は、疎イオン性になり得、例えば、電解質に湿潤性でない)。一態様では、電子導電性骨格は、電子導電性骨格上に印刷された1つ又は複数のインクを含むことができる。一態様では、第1のインクは、ゲルを形成するための電解質及び熱開始前駆体を含むことができる。一態様では、第1のインクは、キャリア溶媒に電気活性種を含むことができる。一態様では、第1のインクは、架橋剤を有する親イオン性活物質を含むことができる。一態様では、第2のインクは、犠牲細孔形成剤を含むことができる。一態様では、細孔形成剤は、低融点ワックスを含むことができる。一態様では、堆積された複合材料は、電気活性種で被覆され、ポリマー前駆体を含む電解質で充填された電子導電性骨格を含むことができる。
【0173】
犠牲キャリアフィルム又はセパレータ上に複合材料を堆積することは、以上説明したように、限定されないが、コーティング、均一コーティング、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、インクジェット印刷、3D印刷、押出し成形、複数の相の共押出し、又はそれらの任意の組合せを含めて一般に公知の様々な方法によって達成することができる。
【0174】
一態様では、複合材料は、以上詳述したように、任意に好ましくは複合材料の一部の除去に先立って、化学反応を受けることができる。一態様では、電気活性種は、以上詳述したように、試薬にさらされると疎イオン性になり得る。方法は、以上詳述したように、更に、試薬を複合材料に添加して第1の相及び第2の相を形成することを含むことができ、パターン化電極を形成するために除去された複合材料の一部は、第2の相である。方法は、以上詳述したように、複合材料の一部を除去してパターン化電極を形成することを含むことができる。
【0175】
複合材料の一部の除去は、細孔を後に残し得る。一態様では、細孔はガス充填細孔になり得る。一態様では、細孔は浸透ガス充填細孔になり得る。一態様では、細孔は空気充填細孔になり得る。一態様では、細孔は、円錐形状、円錐台形状、球形状、ストライプ形状、直方体形状、不規則形状、非晶質形状、又はそれらの任意の組合せを有することができる。
【0176】
エレクトロスイング吸着セルを製造する方法は、更に、セパレータ、ガス流れ場、及び対電極にパターン化電極を結合してエレクトロスイング吸着セルを形成することを含む。
【0177】
一態様では、プリーツ加工又はフォールディングされた構造を有する第1のパターン化電極を備えるエレクトロスイング吸着セルは、電気活性種で被覆された電解質及び第1の導電性骨格を含む複合層を提供し、ガス充填細孔を含む第2の導電性骨格を提供し、複合層に第2の複合層でプリーツ加工して第1のパターン化電極を提供し、第1のパターン化電極にガス流れ場、セパレータ、及び第2の電極を結合してプリーツ加工又はフォールディングされた構造を有するエレクトロケミカルスイング吸着セルを提供することによって提供することができる。
【0178】
本開示によるパターン化電極及びエレクトロスイング吸着セルの製造方法は、図14図19及び下記実施例に更に記載されている。
【0179】
図14は、エレクトロスイング吸着セルを形成する方法1200を示す。方法1200は、ステップ1201で犠牲キャリアフィルム上に複合材料を堆積することを任意に含む。方法1200は、ステップ1202でセパレータ上に複合材料を堆積し、その後、キャリアフィルムを除去することを含む。方法1200は、ステップ1203で複合材料を化学反応させることを任意に含む。方法1200は、ステップ1204で複合材料の一部を除去してパターン化電極を形成すること、ステップ1205でパターン化電極にガス流れ場及び第2の電極を結合してセルを形成することを含む。
【0180】
図15は、エレクトロスイング吸着セルを形成する方法1300を示す。方法1300は、ステップ1301で犠牲キャリアフィルム上に複合材料を堆積することを任意に含む。方法1300は、複合材料とセパレータと間に犠牲キャリアフィルム設け、又は設けることなく、ステップ1302でセパレータ上に複合材料を堆積することを含む。方法1300は、ステップ1303で試薬を加えて複合材料中に疎イオン性及びイオン親和領域を誘起することを任意に含む。方法1300は、ステップ1304でパターン化電極にガス流れ場及び対電極を結合してセルを形成することを含む。
【0181】
図16は、エレクトロスイング吸着セルを形成する方法1500を示す。ステップ1501で、電気活性材料は導電性骨格と結合して多孔質複合体活性層を作製し、電解質領域として機能を果たすことができる。活性層の細孔は、ステップ1502で、電解質で充填することができる。任意に、このステップは、ゲル形成剤を含んでいてもよく、その後熱及び/又はUV光で処理してゲル電解質を形成する。活物質の層及びガス含有材料の層をプリーツ加工してパターン化電極を形成する。パターン化電極を、ステップ1510で作製された第2の電極、セパレータ、任意のガス拡散層、及び流れ場と共にセルにステップ1520で積層して、セルを提供することができる。
【0182】
図17は、エレクトロスイング吸着セルを形成する方法1900を示す。ステップ1901で、電気活性材料は、導電性骨格材料と結合して電解質領域として機能することができる多孔質複合体活性層を作製する。活性層はセパレータ上に設置することができ、第2の電極はステップ1902で活性層の反対側に設置することができる。活性層、セパレータ、及び対電極の細孔は、ステップ1903で、電解質で充填することができる。電極-セパレータ-電極アセンブリーは、ステップ1904で、ガス含有材料の層でプリーツ加工してプリーツ状電極-セパレータアセンブリーを作製することができる。電極-セパレータアセンブリーは、ガス拡散層及び流れ場と共にセルにステップ1920で積層することができる。
【0183】
エレクトロスイング吸着セルは、ガス混合物がエレクトロスイング吸着セルに接触した際のガス混合物からの標的ガスの分離に対して特に有用であることができ、よってガス分離システムにおける使用に対して特によく適している。ガス分離システムは、ガス導入口及びガス排出口に流体連通している複数のエレクトロスイング吸着セルを含む。
【0184】
インプットガスとも呼ばれるガス混合物は、エレクトロスイング吸着セルへの曝露の際に少なくとも部分的に分離することができる。ガス混合物は、例えば、周囲空気(例えば、周囲環境からの空気、例えば、外気)であることができる。一態様では、ガス分離システムは直接的空気捕獲のために使用することができる。本明細書に記載されているシステム及び方法は、任意の予備濃縮工程を必要とすることなく、標的ガス、例えば、二酸化炭素を外気から直接除去すること(例えば、温室効果ガスレベルを減少させるため)に対して有用であることができる。本開示のある特定の態様は、本明細書に記載されているシステム及び方法を、特に直接的な空気の捕獲に対して有用にすることができる(例えば、外気の主成分、例えば、酸素と反応させることが熱力学的に嫌われている中で、標的ガスと結合する能力)。
【0185】
一態様では、処理されるガス混合物(例えば、エレクトロスイング吸着セルへの曝露によりある量の標的ガスが除去されるガス混合物)中の標的ガスの量は、処理前の元のガス混合物中の標的ガスの量(単位:容量パーセント)の(例えば、エレクトロスイング吸着セルに曝露される前のガス混合物中の標的の量)の50%未満又はこれに等しい、25%未満又はこれに等しい、10%未満又はこれに等しい、5%未満又はこれに等しい、2%未満又はこれに等しい、1%未満又はこれに等しい、0.5%未満又はこれに等しい、0.1%未満又はこれに等しい。一態様では、処理されるガス混合物中の標的ガスの量は、処理前の元のガス混合物中の標的ガスの量(単位:容量パーセント)の0.001%超又はこれに等しい、0.005%超又はこれに等しい、0.01%超又はこれに等しい、0.05%超又はこれに等しい、0.1%超又はこれに等しい、0.5%超又はこれに等しい、1%超又はこれに等しい、2%超又はこれに等しい、5%超又はこれに等しい。一態様では、ガス混合物中の標的ガスの濃度は、例えば、ガス混合物が周囲空気の場合、比較的に低い。例えば、エレクトロスイング吸着セルへの曝露前のガス混合物中の標的ガスの濃度は、500ppm未満若しくはこれに等しい、又は450ppm未満若しくはこれに等しい、又は400ppm未満若しくはこれに等しい、又は350ppm未満若しくはこれに等しい、又は300ppm未満若しくはこれに等しい、又は200ppm未満若しくはこれに等しくてもよい。一態様では、ガス混合物中の標的ガスの濃度は100ppmまで低い、又は50ppmまで低い、又は10ppmまで低くてもよい。
【0186】
一態様では、ガス混合物(例えば、インプットガス混合物)は換気された空気である。換気された空気は、封入された又は少なくとも部分的に封入された場所(例えば、空気は封入された場所の中で循環されている)の空気であることができる。ガス混合物(例えば、換気された空気)が位置し得る場所の例として、これらに限定されないが密閉した建築物、部分的に換気された場所、自動車キャビン、人のいる潜水艇、航空機、医療用及び個人用換気デバイスなどが挙げられる。
【0187】
換気された空気中の標的ガスの濃度は、周囲空気より高くてよいが、工業プロセスに対して典型的な濃度より低くてもよい。一態様では、エレクトロスイング吸着セルへの曝露前のガス混合物中の標的ガスの濃度は、5,000ppm未満若しくはこれに等しい、又は4,000ppm未満若しくはこれに等しい、又は2,000ppm未満若しくはこれに等しい、又は1,000ppm未満若しくはこれに等しい。一態様では、ガス混合物中の標的ガスの濃度(例えば、換気された空気又は密閉空間中の空気である場合)は、1,000ppmまで低い、又は800ppmまで低い、又は500ppmまで低い、又は200ppmまで低い、又は100ppmまで低い、又は10ppmまで低い。
【0188】
一態様では、ガス混合物は酸素ガス(O)を含む。一態様では、ガス混合物は比較的高濃度の酸素ガスを有する(例えば、エレクトロスイング吸着セルへの曝露前)。本明細書に記載されているシステム及び方法のある特定の態様(例えば、特定の電気活性種の選択、システムにおけるガス取扱い方法など)は、酸素ガスが有害な妨害なく存在するガス混合物中の標的ガスを捕獲する能力に寄与することができる。一態様では、酸素ガスはガス混合物(例えば、エレクトロスイング吸着セルへの曝露前)中に、0容量%超若しくはこれに等しい、又は0.1容量%超若しくはこれに等しい、又は1容量%超若しくはこれに等しい、又は2容量%超若しくはこれに等しい、又は5容量%超若しくはこれに等しい、又は10容量%超若しくはこれに等しい、又は20容量%超若しくはこれに等しい、又は50容量%超若しくはこれに等しい、又は75容量%超若しくはこれに等しい、又は90容量%超若しくはこれに等しい、95容量%超若しくはこれに等しい濃度で存在する。一態様では、酸素ガスは、ガス混合物中に99容量%未満若しくはこれに等しい、又は95容量%未満若しくはこれに等しい、又は90容量%未満若しくはこれに等しい、又は75容量%未満若しくはこれに等しい、又は50容量%未満若しくはこれに等しい、又は25容量%未満若しくはこれに等しい、又は21容量%未満若しくはこれに等しい、又は10容量%未満若しくはこれに等しい、又は5容量%未満若しくはこれに等しい、又は2容量%未満若しくはこれに等しい濃度で存在する。
【0189】
一態様では、ガス混合物は水蒸気を含む。ガス混合物は、例えば、それが周囲空気又は換気された空気であり、又は周囲空気又は換気された空気を含むため、水蒸気を含むことができる。一態様では、ガス混合物(例えば、エレクトロスイング吸着セルへの曝露前)は比較的に高い相対湿度を有する。例えば、一態様では、ガス混合物は、-50~140℃の範囲の少なくとも1つの温度において、0%超若しくはこれに等しい、又は5%超若しくはこれに等しい、又は10%超若しくはこれに等しい、又は25%超若しくはこれに等しい、又は50%超若しくはこれに等しい、又は75%超若しくはこれに等しい、又は90%超若しくはこれに等しい相対湿度を有することができる。一態様では、ガス混合物は、-50~140℃の範囲の少なくとも1つの温度において、100%未満若しくはこれに等しい、又は95%未満若しくはこれに等しい、又は90%未満若しくはこれに等しい、又は75%未満若しくはこれに等しい、又は50%未満若しくはこれに等しい、又は25%未満若しくはこれに等しい、又は10%未満若しくはこれに等しい相対湿度を有することができる。
【0190】
標的ガスは、ガス分離システムのエレクトロスイング吸着セルの全域に電位差を適用することにより、ガス分離システム内でガス混合物から分離することができる。当業者は、本開示のメリットと共に、エレクトロスイング吸着セルの全域にどのように電位を加えるのか理解している。例えば、電位は、負極及び正極を、負極及び正極を分極させることが可能な適切な電源に接続することにより加えることができる。一態様では電源はDC電圧であることができる。適切な電源の非限定的例として、電池、電力系統、回生電力(例えば、風力発電装置、太陽電池、潮汐発電装置)、発電機など、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0191】
電位差は、ガス混合物がエレクトロスイング吸着セルに曝露されている時間の少なくとも一部分の間にエレクトロスイング吸着セルに加えることができる。一態様では、電位差は、ガス混合物のエレクトロスイング吸着セルへの曝露前に加えることができる。
【0192】
投入モード中のエレクトロスイング吸着セルへの正電圧の適用の結果として、負極においてレドックス反応が生じ、ここで電気活性種が還元される。本明細書中で論じたように、電気活性種は、それが酸化状態にある場合と比べて、それが還元状態にある標的ガスに対してより高い親和性を有するように選択される。電気活性種を還元し、第1の電極全域にわたりガス混合物を通すことによって、標的ガスは電気活性種に結合することができる。このような方式で、標的ガスは、ガス混合物から除去されて、処理されたガス混合物(例えば、最初のガス混合物と比べてより少量の標的ガスを含む)を得ることができる。
【0193】
投入モードの間、エレクトロスイング吸着セルの全域に適用される電位差は特定の電圧を有することができる。エレクトロスイング吸着セルの全域に適用される電位差は、例えば、第1の電気活性種の少なくとも1つの還元状態を生成するための還元電位、並びに第2の電極における電気活性種の還元状態と酸化状態との間の相互変換のための標準電位に依存し得る。電圧は、スタックの電気化学的抵抗性を掛けた電流を更に含む。一態様では、電位差は少なくとも0V、又は少なくとも0.1V、又は少なくとも0.2V、又は少なくとも0.5V、又は少なくとも0.8V、又は少なくとも1.0V、又は少なくとも1.5Vである。一態様では、電位差は2.0V未満若しくはこれに等しい、又は1.5V未満若しくはこれに等しい、又は0.5V未満若しくはこれに等しい、又は0.2V未満若しくはこれに等しい。
【0194】
一態様では、第1の電極の電気活性種がキノンを含む場合、電気活性種は、その還元状態の少なくとも1つへと還元することができる:
【0195】
【化3】
【0196】
一態様では、第1の電極の電気活性種がキノンを含み、電気活性種が標的ガス、例えば二酸化炭素の存在下で還元される場合、還元型形態の電気活性種は二酸化炭素と結合することができる:
【0197】
【化4】
【0198】
一態様では、電気活性種が第1の電極において還元される一方で、第2の電気活性種(例えば、レドックス活性のあるポリマー、例えば、ポリビニルフェロセン)は第2の電極で酸化される。投入モードの間、第2の電気活性種の酸化は、第1の電気活性種の還元を推進するための電子の供給源を提供する。
【0199】
上記に示されている例示的な反応は1つの方向において生じることが示されているが、一部の可逆性が示され得ることを理解されたい。類似の反応が、当業者により理解されているような異なる電気活性種により生じてもよい。
【0200】
一態様では、比較的多量の標的ガスが、本明細書に記載されているプロセスの間にガス混合物から除去される。比較的多量の標的ガスを除去することは、場合によっては、様々な用途のいずれか、例えば、大気に放出された場合、環境の理由で有害となり得るガスを捕獲することに対して有益であり得る。例えば、標的ガスは、二酸化炭素を含むことができ、比較的に多量の二酸化炭素をガス混合物から除去することは、プロセスの温室効果ガスの影響を限定する(例えば、工業プロセス又は輸送プロセス)又は室内若しくは大気中の二酸化炭素の量を更に減少させるため(加熱及び空気調整プロセスのための熱力学的理由により又は環境的理由のいずれか)のいずれかに有益となり得る。
【0201】
一態様では、第2の電位差は、少なくとも一部分の標的ガスが電気活性種に結合した後、エレクトロスイング吸着セルの全域に加えることができる。第2の電位差は第1の電位差と異なってもよい。一態様では、第2の電位差の適用は、電気活性種に結合した標的ガスの一部分又はすべてを放出して、第2の処理されたガス混合物を生成する工程を結果として生じる。第2の処理されたガス混合物は、インプットガス混合物よりも多くの量の標的ガスを有することができる。例えば、標的ガスは、その容量パーセントが、第1のガス混合物の量より10%高い、20%高い、50%高い、100%高い、200%高い、1000%高い、及び/又は最大2,000%高い、5,000%高い、10,000%高い、又はそれよりも高くなるような量で第2の処理されたガス混合物中に存在してもよい。
【0202】
ガス分離システムは、各エレクトロスイング吸着セルの負極及び正極の全域に電位差を加えるように構成された、各エレクトロスイング吸着セルの負極及び正極を電源に接続している外部回路を含むことができる。ガス分離システムのエレクトロスイング吸着セルのそれぞれは、上に記載されている通りであることができる。ガス分離システムのエレクトロスイング吸着セルは平行又は直列を含む、当技術分野で一般的に公知の様々な構成に従いスタックすることができる。
【0203】
一態様では、ガス分離システムは第1のセットのエレクトロスイング吸着セル及び第2のセットのエレクトロスイング吸着セルを含む。第1のセット及び第2のセットのそれぞれは本開示全体にわたり記載されている1種又は複数のエレクトロスイング吸着セルを含むことができる。第1及び第2のセットは、1つのセットのセルが投入モードで作動し、ガス混合物から標的ガス(例えば、CO)を捕獲する一方で、別のセットのセルが排出モードで作動して、標的ガス(例えば、CO)を放出するように、交互の形式で平行して作動させるようにすることができる。システムは、エレクトロスイング吸着セルのセットのそれぞれに対して別個の筺体を含むことができる。システムは、所望の方式で流れを方向づけるために配置された導管及びバルブを更に含むことができる。ガス分離システムは、ガス混合物(例えば、ガス流)のほぼ連続的な分離を可能にすることができ、ガス混合物は所与の瞬間において、投入/捕獲モードで作動するセットのセルへと方向づけられる一方で、別個の標的ガスを豊富に含む処理された混合物が、排出/放出モードで作動する他のセットのセルにより生成される。更に、用途の必要性に従い、追加のセットのエレクトロスイング吸着セルを平行して又は直列に加えることもできる。
【0204】
ガス混合物(例えば、ガス流例えば、入力ガス流)は、特定の流速でガス分離システムに導入することができる。一態様では、流速は、0.001L/秒超若しくはこれに等しい、0.005L/秒超若しくはこれに等しい、0.01L/秒超若しくはこれに等しい、0.05L/秒超若しくはこれに等しい、0.1L/秒超若しくはこれに等しい、0.5L/秒超若しくはこれに等しい、1L/秒超若しくはこれに等しい、5L/秒超若しくはこれに等しい、10L/秒超若しくはこれに等しい、10 50L/秒超若しくはこれに等しい、又は100L/秒超若しくはこれに等しくてもよい。一態様では、ガス混合物の流速(例えば、ガス流、例えば、入力ガス流)は、500L/秒未満若しくはこれに等しい、400L/秒未満若しくはこれに等しい、300L/秒未満若しくはこれに等しい、200L/秒未満若しくはこれに等しい、100L/秒未満若しくはこれに等しい、50L/秒未満若しくはこれに等しい、10L/秒未満若しくはこれに等しい、1L/秒未満若しくはこれに等しい、0.5L/未満若しくはこれに等しい、又は0.1L/秒未満若しくはこれに等しくてもよい。
【0205】
一態様では、標的ガスを放出する工程の間又はその後で、本方法は、真空条件をエレクトロスイング吸着セルに適用して、エレクトロスイング吸着セルから放出された標的ガスの少なくとも一部分又はすべてを除去することを更に含む。当業者は、本開示のメリットと共に、エレクトロスイング吸着セルに真空条件を適用させるのに適した技術及び装置を理解している。例えば、真空ポンプは、エレクトロスイング吸着セルのガス排出口に流体的に接続することができる。真空ポンプを作動させて、エレクトロスイング吸着セル床と、ダウンストリームの位置との間に負圧の差を生成することができる。この真空条件は、上記に記載されている放出工程の間に放出された標的ガスを、エレクトロスイング吸着セルから流出させるだけの十分な力を提供することができる。真空条件は、標的ガスの放出中又は放出後のエレクトロスイング吸着セル内側の圧力が、760トル未満若しくはこれに等しい、700トル未満若しくはこれに等しい、500トル未満若しくはこれに等しい、100トル未満若しくはこれに等しい、50トル未満若しくはこれに等しい、10トル未満若しくはこれに等しい、及び/又は5トルまで低い、1トルまで低い、0.5トルまで低い、0.1トルまで低くなるように加えることができる。
【0206】
一態様では、第1の電極の複合体は、標的ガス(例えば、CO)を吸収するための特定の能力を有する。例えば、複合体は、1平方メートル(モル/m)当たり少なくとも0.01モル、少なくとも0.02モル/m、少なくとも0.05モル/m以上の吸収力を有することができる。一態様では、複合体は、0.2モル/m未満若しくはこれに等しい、0.08モル/m未満若しくはこれに等しい、0.05モル/m未満若しくはこれに等しい、0.03モル/m未満若しくはこれに等しい、又はこれ未満の吸収力を有することができる。例えば、複合体は、少なくとも0.01モル/m及び0.2モル/m未満若しくはこれに等しい、又は少なくとも0.02モル/m及び0.08モル/m未満若しくはこれに等しい吸収力を有することができる。
【0207】
一態様では、第1の電極の複合体は、ガス混合物に曝露される、例えば、5cm超若しくはこれに等しい、8cm超若しくはこれに等しい、10cm超若しくはこれに等しい、又は100cmまで、400cmまで、又はこれよりも大きな特定の表面積を有することができる。
【0208】
システムの様々な構成要素、例えば、電極(例えば、負極、正極)、電源、電解質、セパレータ、容器、回路、絶縁性材料などは、様々な成分のいずれかから当業者により製作され得る。構成要素は、未焼結又は焼成状態で、成型、機械加工、押出し、圧縮、アイソプレス、印刷、浸潤、コーティングされるか、又は他のいずれか適切な技術により形成することができる。
【0209】
本明細書に記載されている電極(例えば、負極、正極)は、任意の適切なサイズ又は形状であることができる。形状の非限定的例として、シート、立方体、円柱、中空管、球などが挙げられる。電極は、これらが使用される用途に応じて(例えば、換気された空気からのガスの分離、直接的な空気捕獲など)、任意の適切なサイズであってよい。更に、電極は、電極を別の電極、電源、及び/又は別の電気デバイスに接続する手段を含むことができる。当業者は、本明細書のシステムの構成要素を形成するための技術を容易に認識している。
【0210】
システムの様々な電気的構成要素は、接続のための手段により少なくとも1つの他の電気的構成要素と電気的に連通していてもよい。接続のための手段は、電気の流れが第1成分と第2成分との間に生じることを可能にする任意の材料であることができる。2つの電気的構成要素を接続するための手段の非限定的例は、導電材料(例えば、銅、銀など)を含むワイヤーである。一態様では、システムは2種以上の構成要素(例えば、ワイヤーと電極)の間の電気コネクターを含むことができる。一態様では、接続のためのワイヤー、電気コネクター、又は他の手段は、材料の抵抗性が低いように選択することができる。一態様では、抵抗性は、システムの電極、電解質、又は他の構成要素の抵抗性より実質的に低くてもよい。
【0211】
本明細書に記載されているエレクトロスイング吸着セル、システム、及び方法は様々な用途に導入することができる。以下の態様は用途のいくつかの非限定的例を提供する。一態様では、本明細書に記載されているシステム及び方法は、周囲空気、並びに密閉空間、例えば、気密建築物、自動車キャビン(換気のために流入する空気の加熱コストを削減する)並びにCOレベルの増加が大惨事となり得る潜水艦及び宇宙カプセルから標的ガス(例えば、CO)を除去するためのものであることができる。電力業界を対象とする態様では、システム及び方法は、異なる濃度での燃焼後、二酸化炭素を捕獲するために使用することができる。一態様では、システム及び方法は、標的ガスを工業排煙又は工業用処理ガスから分離するのに適している。また、システム及び方法は、排煙から二酸化硫黄及び他のガスを捕獲するために使用することもできる。油及びガス業界を対象とする態様では、開示されたシステム及び方法は、二酸化炭素及び他のガスを、様々なプロセスから捕獲し、これらを迂回させて、ダウンストリームで圧縮又はプロシングするために使用することができる。開示されたシステム及び方法は、穏やかな及び冷たい気候において温室を温めるために使用される燃焼中の天然ガスから二酸化炭素を捕獲し、次いで捕獲された二酸化物を温室に迂回させて、植物が光合成に使用するよう、即ち、植物を養うために適用することができる。
【0212】
よって、パターン化電極を含むエレクトロスイング吸着セルは、特にガス分離システムの改善に関して、著しい改善を意味する。
【実施例
【0213】
(実施例1)
プリーツ加工電極を有するエレクトロスイング吸着セルによるCO吸着のシミュレーション
活性層は、25体積パーセント(vol%)のカーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの表面上に配置された10vol%のポリ(フェニルナフトキノン)(PPNQ)、及び65体積%のゲル電解質を含む。電解質は、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(BMIM-TFSI)イオン性液体を含む。電解質は、イオン性液体を固定化するためのゲル形成剤としてポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)を更に含む。BMIM-TFSI対PEGDAの質量比は、90:10である。カーボンナノチューブは、Nanocomp Technologies、Inc社から市販のMIRALON(商標)等、マットの形態である。活性層厚は、2マイクロメートルである。
【0214】
空気が充填された細孔を有するナノチューブマットの第2の層は、活性層上に置かれる。このスペーサー層の厚さは、2マイクロメートルであり、それは70vol%のガス体積分率を有する。活性層及びガス層は、一緒にプリーツ加工されている。プリーツ高さ(例えば、図12におけるL)は、150マイクロメートルである。プリーツ加工電極は、16ミクロンの厚さであると共に約40vol%の多孔度を有するミクロ細孔性のポリプロピレンセパレータ上に置かれる。カーボンナノチューブ及びポリ(ビニルフェロセン)を含む対電極は、セパレータの反対側に置かれる。セパレータ及び対電極の細孔は、BMIM-TFSI及びPEGDAを含む電解質で充填される。
【0215】
室温で流れる空気からCOを吸着する実施例1のセルの性能をシミュレーションした。シミュレーションにおいて、両方の気相における及び電解質相中に溶解させたCOの濃度は、フィックの拡散法則によって支配されると理解される。電解質と気相との間の界面における電解質中のCO濃度は、気相と平衡状態であると想定される。カソード電位の吸着性電極への適用は、吸着性材料の還元をもたらす電気化学的電流を駆動する。電流分布は、多孔質電極理論を用いてモデル化される。動力学的抵抗性のイオン及び電子抵抗に対する比は、1よりも大きいので、反応率分布は、活性層にわたってかなり均一である。還元された材料は、電解質からCOを吸着し、それによって、電解質におけるCOの濃度を低減することができ、これは、ガスから電解質中へのCOの溶解を駆動する。吸着動態は、CO拡散率に相対して十分に速いので、還元された吸着剤は、隣接している電解質におけるCO濃度がゼロを超えるならばCOを迅速に吸着する。ガスは、ガス導入口チャネルから該システムに入り、ガス拡散層及びガス領域を通る拡散及び対流を介して輸送し、電解質相中への溶解を介して反応し、ガス排出口チャネルを通って出る。COMSOL Multiphysicsソフトウェアを使用して、2-Dシミュレーションを実施した。BMIM-TFSI電解質におけるCOの拡散率は、内容が参照によりそれ全体で本明細書に組み込まれるYing Hou and Ruth E. Baltus、Ind, Eng, Chem, Res. 2007 第46巻、第24号 8166~8175ページ、「Experimental Measurement of the solubility and diffusivity of CO in room-temperature ionic liquids using a transient thin-liquid-film method」に従って測定された場合に6.4e-10m/sであった。純粋な電解質における拡散率は、Bruggeman関連によって予測される通り、活性複合体における有効な拡散率を概算するために(電解質体積分率)1.5によって乗算される。BMIM-TFSIにおけるCOの平衡濃度についてのヘンリー則定数は、内容が参照によりそれ全体で本明細書に組み込まれるJavid Safarov、Rena Hamidova、Martin Stephan、Norbert Schmotz、Ismail Kul、Astan Shahverdiyev、and Egon Hassel、J Chem Therm 2013第67巻 181~189ページ、「Carbon dioxide solubility in 1-butyl-3-methylimidazolium-bis(trifluormethylsulfonyl)imide over a wide range of temperatures and pressures」に従って測定された場合に29バールであった。空気中におけるCOの拡散率は、1.6×10-5/sである。COの導入口モル分率は400ppmであり、導入口圧力は1バールであった。COの導入口流速は、反応によって消費されたCOの量の2倍であり、その結果、COの排出口濃度は、導入口濃度のそれの半分となる。
【0216】
図18は、活性領域における電解質及び気相の両方におけるCOの濃度を示し;対電極、流れ場チャネル、及びガス拡散層のほとんどは、明確にするために示されていない。ガス相CO濃度は、プリーツ加工電極に隣接するガス拡散層において0.0075mol/mであり、セパレータに最も近いガス領域において0.0046mol/m未満に落ちる。ガス領域におけるより低いCO濃度の結果として、電解質中へのCO溶解は低減され、これが、プリーツの底における活性材料の利用を制限する。
【0217】
図19は、典型的な周囲空気(400ppmのCO、20℃)の組成を有する導入口ガスについて、異なるプリーツ加高さ、スペーサー層の厚さ、及び排出口濃度(これは、適用される電流に相対するガス流速によって決定される)に関してシミュレーションされたCOの最大流動(充電時の1時間当たりの見かけ面積当たりのCOのグラムで、gCO/m/hcharge)を示す。150マイクロメートル未満のプリーツ高さに関して、流動は、主に、2マイクロメートル厚の活性層にわたって電解質内のCOの拡散によって制限される。プリーツ高さを増加させることは、より大きい面積の電解質にわたってCO輸送を展開することによって、より高い流動を可能にする。150マイクロメートルを超えると、増加するプリーツ高さで流動のさらなる増加はない。理論によって束縛されることを望まないが、ガス相拡散が性能を制限しているので流動は更に増加しないと理解され、図18に示されている結果と一致する。その上、プリーツの底におけるガス相濃度は、拡散によって低く駆動されるので、ガス拡散層から離れた150マイクロメートル超の吸着性材料は、有効に利用されることがない。
【0218】
(比較例1)
PPNQ-CNTマット複合電極を用いるCO流動の評価
ポリ(フェニルナフトキノン)(PPNQ)をミリリットル当たり10ミリグラムの濃度でテトラヒドロフラン中に溶解させた。15マイクロメートル厚のカーボンナノチューブ(CNT)マット、Nanocomp Technologies、Inc.社から市販のMiralon(商標)を密閉バイアルの中のPPNQの溶液中に浸し、室温で1時間から72時間の間放置した。マット試料を次いでバイアルから除去し、浸漬プロセスのために使用した同じ溶媒を使用して濯ぎ、次いで、減圧下で60~80℃の温度で少なくとも12時間の間乾燥させた。ポリマー溶液中に浸した後のCNTマット片の質量を、そのままのCNTマットの初期質量と比較した。各溶液に関して、PPNQの量は、約0.1mg/cm、例えば、CNTマットの平方インチ当たりポリマー0.1から0.5ミリグラムであった。PPNQ-CNTマット複合電極を次いで、1.98cmのディスクにカットし、ポリ(ビニルフェロセン)-ナノチューブ対電極、Celgard 3401セパレータ、並びに電極及びセパレータの細孔を充填するgCO/m/hcharge-TFSI電解質を有するセルに組み立てた。電極においてガス領域がない、この平面の形状において、COの流動は、室温流れる空気で0.2gCO/m/hchargeであった。
【0219】
(合成例1)
ポリマーイオン性液体の調製
ポリマーイオン性液体を図20に示されている通りに及び以下の手順に従って合成した。ポリビニルベンジルクロリド(PVBzCl)(10g、Mw 100kDa)をDMF (50mL)中に溶解させ、溶液を80℃に加熱した。これに、N-ビニルイミダゾール(0.93g)を添加し、含有物を18時間の間撹拌した。次いで、N-ブチルイミダゾール(8.14g)を添加し、含有物を更に18時間の間撹拌した。室温に冷却した後、ポリマーを過剰の酢酸エチル沈殿させることで、PIL-Clを得た。PIL-Clを脱イオン水中に溶解させ、LiNTfの水溶液(2×モル当量)から沈殿させた。このプロセスをもう一度反復した。単離させたポリマーを脱イオン水で広範に洗浄し、真空オーブンの中にて50℃で24時間の間乾燥させることで、15モルパーセントのビニル含有量を有するPIL-NTfが得られた。
【0220】
(合成例2)
ポリマーイオン性液体の調製
N-ビニルイミダゾールの量が1.54gであり、N-ブチルイミダゾールの量が8.14gであったことを除いて合成例1の手順に従って、ポリマーイオン性液体を合成し、25モルパーセントのビニル含有量を有するPIL-NTfポリマーが提供された。
【0221】
(比較例2)
非パターン化電極の調製
多重壁のカーボンナノチューブ(MWCNT)(2.4g)、0.24gのPPNQ及び2mLのTHFをガラスバイアル中で合わせ、回転子/固定子(IKA)を用いて20分間2回15,000rpmで混合した。別に、合成例2のポリマーイオン性液体0.86gを4mLのTHF中に溶解させ、この溶液に、0.46gのポリエチレングリコール(PEG)分子量400、及び0.71gのBMIM TFSIイオン性液体を添加した。この溶液をMWCNT/PPNQ分散体と組み合わせ、水0.27gを添加した。該材料を10ミルのドローダウンバー(BYK Gardiner社)で28BC上にコーティングし、乾燥させておいた。コーティングの半分を真空オーブン内で乾燥させた。
【0222】
(実施例2)
パターン化電極の調製
比較例2のコーティングを水に3時間の間浸漬し、環境条件の中で及び次いで真空オーブン内で終夜乾燥させた。
【0223】
それぞれ比較例2及び実施例2の非パターン化及びパターン化電極の流動を評価するため、電極を密閉試験器具において定電流及び定電位分析にかけた。3.8mgのポリビニルフェロセンで作製された対電極、Celgard 3401セパレータの2つの層、及び合計60μLのBMIM TFSI電解質を有する2cmの電気化学セル中に、作用電極を組み立てた。各電気化学セルを6.5cmの内部体積の密閉器具中に封入し、圧力トランスデューサーを取り付けた。該器具を貯蔵し、実験全体を、25℃の固定温度を有する環境チャンバーにおいて実施した。COの捕捉を圧力低下によって3つのCO濃度(N中1%、10%及び100%のCO)で評価した。
【0224】
Table 1(表1)に示されている通り、実施例2のパターン化電極を提供するために水に浸漬することは、ポリエチレングリコールの除去を容易にし、比較例2のコーティングに相対して、より高いCO流動値に至った。理論によって束縛されることを望むことなく、ポリエチレングリコールの除去は、ガス領域の形成を可能にし、それによって、流動を改善すると思われる。
【0225】
【表1】
【0226】
(比較例3)
非パターン化電極の調製
多重壁のカーボンナノチューブ(MWCNT)(0.275g)、0.0688gのPPNQ及び2gのMEKをガラスバイアル中で合わせ、回転子/固定子(IKA)を用いて20分間2回15,000rpmで混合した。別に、合成例1のポリマーイオン性液体0.275gを4mLのMEK中に溶解させ、この溶液に、0.6gのポリエチレングリコール(PEG)分子量400、及び0.22gのBMIM TFSIイオン性液体を添加した。この溶液をMWCNT/PPNQ分散体と組み合わせ、水0.27gを添加した。該材料を10ミルのドローダウンバー(BYK Gardiner社)で28BC上にコーティングし、乾燥させておいた。コーティングの半分を真空オーブン内で乾燥させた。
【0227】
(実施例3)
パターン化電極の調製
比較例3のコーティングを水に4時間の間浸漬し、環境条件の中で及び次いで真空オーブン内で終夜乾燥させた。
【0228】
それぞれ比較例3及び実施例3の非パターン化及びパターン化電極の流動を評価するため、電極を各々、密閉試験器具における定電流及び定電位分析にかけた。3.8mgのポリビニルフェロセンで作製された対電極、Celgard 3401セパレータの2つの層、及び合計60μLのBMIM TFSI電解質を有する2cmの電気化学セル中に、作用電極を組み立てた。電気化学セルを6.5cmの内部体積の密閉器具中に封入し、圧力トランスデューサーを取り付けた。該器具を貯蔵し、実験全体を、25℃の固定温度を有する環境チャンバーにおいて実施した。COの捕捉を圧力低下によって3つのCO濃度(N中1%、10%及び100%のCO)で評価し、流動は、gCO/m/hchargeの単位で報告されている。
【0229】
Table 2(表2)に示されている通り、実施例3のパターン化電極を提供するために水に浸漬することは、ポリエチレングリコールの除去を容易にし、比較例3のコーティングに相対して、より高いCO流動値に至った。理論によって束縛されることを望むことなく、ポリエチレングリコールの除去は、ガス領域の形成を可能にし、それによって、10%及び100%のCOで流動を改善すると思われる。図21は、N中10%のCOで実施例3のパターン化電極を含めたエレクトロスイング吸着セルに関する圧力低下及びセル電圧対時間のグラフを示す。時間の経過による圧力の減少は、エレクトロスイング吸着セルにおけるCO捕捉を示す。
【0230】
【表2】
【0231】
(比較例4)
非パターン化電極の調製
LITX(商標)300 (Cabot Corp.社)(0.6g)、0.15gのPPNQ及び4mLのTHFをガラスバイアル中で合わせ、回転子/固定子(IKA)を用いて20分間2回15,000rpmで混合した。別に、合成例2の0.6gのポリマーイオン性液体を4mLのTHF中に溶解させ、この溶液に、1.2gのポリエチレングリコール(PEG)分子量400、及び0.48gのBMIM TFSIイオン性液体を添加した。この溶液をLITX(商標)300/PPNQ分散体と組み合わせ、水0.27gを添加した。該材料を10ミルのドローダウンバー(BYK Gardiner社)でMiralon(商標)炭素繊維マット(Huntsman Corp社)上にコーティングし、乾燥させておいた。コーティングの半分を真空オーブン内で乾燥させた。
【0232】
(実施例4)
パターン化電極の調製
比較例4のコーティングを水に6時間の間浸漬し、環境条件の中で及び次いで真空オーブン内で終夜乾燥させた。
【0233】
前の実施例に記載されている通りに、流動を評価した。Table 3(表3)に示されている通り、水に浸漬することは、ポリエチレングリコールの除去を容易にして、実施例4のパターン化電極を提供し、比較例4のコーティングに相対して、より高いCO流動値に至った。理論によって束縛されることを望むことなく、ポリエチレングリコールの除去は、ガス領域の形成を可能にし、それによって、1%、10%及び100%のCOでの流動を改善すると思われる。
【0234】
【表3】
【0235】
(比較例5)
非パターン化電極の調製
合成例1のポリマーイオン性液体(1.2グラム)をMEK (18グラム)中に溶解させた。この溶液に、MWCNT (1.2グラム)及びPPNQ (0.3グラム)を添加した。結果として得られた混合物を、回転子/固定子(IKA)を使用して20分間、2回各20,000rpmでの剪断に、続いて、超音波処理40分間にかけた。BMIM TFSI (0.96グラム)を混合物に添加し、20分間撹拌した。混合物を20ミルのドローダウンバー(BYK Gardiner社)でMIRALON基体上にコーティングし、乾燥させておいた。
【0236】
(実施例5)
パターン化電極の調製
コーティングを形成する前にナトリウムYゼオライト(2.4グラム)を材料に添加したことを除いて比較例5と同じ手順に従って、パターン化電極を調製した。
【0237】
前の実施例に記載されている通りに、CO流動を評価した。ゼオライト粒子を含有する実施例5のパターン化電極に関する流動は、比較例5に関する流動に相対して、低いCO濃度(例えば、1%のCO)でより高いことが見出された。流動は、より高いCO濃度(例えば、10%及び100%)に関する比較例5のそれと同じであると観察された。1%、10%及び100%のCOでの実施例5及び比較例5に関する流動は、Table 4(表4)に提供されている。
【0238】
【表4】
【0239】
本開示は以下の非限定的な態様を更に包含する。
【0240】
態様1:エレクトロスイング吸着セルのためのパターン化電極であって、複数の電解質領域、複数のガス領域、及び導電性骨格を含み、導電性骨格が複数の電解質領域に広がり、電気活性種が還元状態にある場合標的ガスと結合することが可能であり、電気活性種が酸化状態にある場合標的ガスを放出することが可能である電気活性種を含む、パターン化電極。
【0241】
態様2:第1の電極が15~500マイクロメートルの厚さを有する、態様1に記載のパターン化電極。
【0242】
態様3:電解質領域を介してパターン化電極中の活性部位までの標的ガス種の拡散長が1μm~1mmである、態様1又は2に記載のパターン化電極。
【0243】
態様4:複数の電解質領域及び複数のガス領域が規則的パターンを形成する、態様1~3のいずれかに記載のパターン化電極。
【0244】
態様5:複数のガス領域が電極全体にわたりランダムに分散されている、態様1~3のいずれかに記載のパターン化電極。
【0245】
態様6:複数のガス領域が1~100マイクロメートルの寸法を有する、態様1~5のいずれかに記載のパターン化電極。
【0246】
態様7:ガス領域がゼオライト粒子を含む、態様1~6のいずれかに記載のパターン化電極。
【0247】
態様8:ゼオライト粒子が1~100マイクロメートルの平均直径を有する、態様7に記載のパターン化電極。
【0248】
態様9:ゼオライト粒子が合成ゼオライト、好ましくはゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトL又はこれらの組合せであり、より好ましくはゼオライトYである、態様7又は8に記載のパターン化電極。
【0249】
態様10:第1の電極がプリーツ加工又はフォールディングの構成を有する、態様1~9のいずれかに記載のパターン化電極。
【0250】
態様11:電極が2つ以上の層を含む、態様1~10のいずれかに記載のパターン化電極。
【0251】
態様12:導電性骨格が複数のガス領域に広がっている、態様1~11のいずれかに記載のパターン化電極。
【0252】
態様13:複数のガス領域のそれぞれが平均直径を有し、平均距離で分離され、平均直径の平均距離に対する比が0.01~0.5である、態様1~12のいずれかに記載のパターン化電極。
【0253】
態様14:電解質領域がイオン性液体を含む電解質を含む、態様1~13のいずれかに記載のパターン化電極。
【0254】
態様15:電解質領域がゲル又はポリマーを含む電解質を含む、態様1~14のいずれかに記載のパターン化電極。
【0255】
態様16:電解質領域内の導電性骨格又はガス領域内の導電性骨格がカーボンナノチューブマットを含む、態様1~15のいずれかに記載のパターン化電極。
【0256】
態様17:ガス領域内の導電性骨格がカーボンブラック及び結合剤を含む、態様1~16のいずれかに記載のパターン化電極。
【0257】
態様18:複数の電解質領域のそれぞれが0.5~50マイクロメートルの平均経路長を有する、態様1~17のいずれかに記載のパターン化電極。
【0258】
態様19:電気活性種が電気活性ポリマー、電気活性オリゴマー、電気活性有機化合物、又はこれらの組合せを含む、態様1~18のいずれかに記載のパターン化電極。
【0259】
態様20:電気活性種が、置換若しくは非置換のキノン若しくはテトロン、好ましくはベンゾキノン、1,4-ナフトキノン、1,2-ナフトキノン、アントラキノン、フェナントレンキノン、ベンズアントラキノン、ジベンゾアントラキノン、4,5,9,10-ピレンテトロン、又はこれらの組合せ、或いは置換若しくは非置換のキノン若しくはテトロンから誘導される繰返し単位を含むポリマー若しくはオリゴマー、好ましくはベンゾキノン、1,4-ナフトキノン、1,2-ナフトキノン、アントラキノン、フェナントレンキノン、ベンズアントラキノン、ジベンゾアントラキノン、4,5,9,10-ピレンテトロン、又はこれらの組合せから誘導される繰返し単位を含むポリマーを含む、態様1~19のいずれかに記載のパターン化電極。
【0260】
態様21:態様1~20のいずれかに記載のパターン化電極、補助電気活性複合層を含む第2の電極、及びパターン化電極と第2の電極との間のセパレータを含むエレクトロスイング吸着セル。
【0261】
態様22:パターン化電極、第2の電極、及びセパレータが一緒にフォールディング又はプリーツ加工されている、態様21に記載のエレクトロスイング吸着セル。
【0262】
態様23:パターン化電極に隣接するガス流れ場を更に含み、ガス流れ場が流れ場チャネルを含む、態様20又は21に記載のエレクトロスイング吸着セル。
【0263】
態様24:流れ場チャネルが第1の電極のガス領域に垂直に配置されている、態様23に記載のエレクトロスイング吸着セル。
【0264】
態様25:ガス流れ場が交互にかみ合わされた流れパターンを有する、態様23又は24に記載のエレクトロスイング吸着セル。
【0265】
態様26:ガス流れ場が複数のリブを含み、リブが圧縮性、導電性、及び不透過性の材料を含む、態様23に記載のエレクトロスイング吸着セル。
【0266】
態様27:態様1~20のいずれかに記載の、エレクトロスイング吸着セルのための電極を製造する方法であって、複合材料をセパレータ上に堆積させる工程であって、複合材料が電解質及び電気活性種をコーティングした導電性骨格を含む工程、並びに複数の電解質領域及び複数のガス領域を含むパターン化電極を形成する工程を含み、パターン化電極を形成する工程が、機械加工、リソグラフィー、エッチング、セルフアセンブリー、ポロゲンの除去又はこれらの組合せによるものである、方法。
【0267】
態様28:複合材料が、溶媒で加熱又は抽出することにより除去することが可能なポロゲンを含む、態様27に記載の方法。
【0268】
態様29:複合材料をセパレータ上に堆積させる工程であって、複合材料が電解質及び電気活性種をコーティングした導電性骨格を含む工程、複数の電解質領域及び複数のガス領域を含むパターン化した第1の電極を形成する工程、並びにガス流れ場及び第2の電極をパターン化した第1の電極に結合して、エレクトロスイング吸着セルを得る工程を含む、エレクトロスイング吸着セルを製造する方法。
【0269】
態様30:第1のパターン化電極を形成する工程が、複合材料の一部分を除去して、複数の電解質領域及び複数のガス領域を形成する工程を含み、複合材料の一部分を除去する工程が、レーザーアブレーション、リソグラフィー、機械的刻印、機械加工、エッチング、ポロゲンの除去又はこれらの組合せによるものである、態様29に記載の方法。
【0270】
態様31:電解質及び第1の電気活性種をコーティングした導電性骨格を含む複合層を提供する工程、ガスを充填した細孔を含む第2の導電性骨格を提供する工程、複合層を第2の複合層とともにプリーツ加工して、パターン化した第1の電極を得る工程、並びにガス流れ場及び第2の電極をパターン化した第1の電極に結合して、エレクトロスイング吸着セルを得る工程を含む、エレクトロスイング吸着セルを製造する方法。
【0271】
態様32:ガス導入口及びガス排出口に流体連通している複数のエレクトロスイング吸着セルを含むガス分離システムであって、複数のエレクトロスイング吸着セルのそれぞれが態様21~26のいずれかによるものである、ガス分離システム。
【0272】
加えて、本開示は、現在記載されていない他の技術革新を含むことができる。出願人は、こうした技術革新を具体化する権利及びその追加出願、継続出願、一部継続出願、分割出願等を提出する権利を含めて、こうした技術革新におけるすべての権利を保有する。したがって、本開示の利点、実施形態、例、機能、特色、論理、操作、組織化、構造、形態、及び/又は他の態様は、実施形態によって定義されている通りの本開示に対する限定又は実施形態の均等物に対する限定と考えられるべきでないと理解されるべきである。
【0273】
本明細書において定義されている及び使用されている通りのすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文献における定義、及び/又は定義されている用語の通常の意味よりも優先されると理解されるべきである。
【0274】
本明細書で使用される場合、特別な実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、数値に先行している場合、値プラス又はマイナス10%の範囲を示す。値の範囲が提供されている場合、別段に文脈が明らかに指示していない限り、下限の単位の10分の1に至るまでの、その範囲の上限及び下限の間に各々介在する値、並びにその明記されている範囲における任意の他の明記される又は介在する値は、本開示内に包含されると理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限が、独立して、より小さい範囲に含まれ得ることも、明記される範囲における任意の具体的に除外される限界を条件として本開示内に包含される。明記される範囲が限界の一方又は両方を含む場合、限界に含まれるそれらのいずれか又は両方を除外する範囲も、本開示に含まれる。
【0275】
「及び/又は」という成句は、本明細書において及び実施形態において使用される場合、そのように結合されている要素、即ち、一部の場合において接続的に存在すると共に他の場合において離接的に存在する要素の「いずれか又は両方」を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」と共に列記されている複数の要素は、同じ様に、即ち、そのように結合されている要素の「1つ又は複数」と解釈されるべきである。「及び/又は」節によって具体的に特定される要素以外に、具体的に特定されるそれらの要素に関連又は非関連であっても、他の要素が任意選択で存在する。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む(compring)」等のオープンエンド言語と併せて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択で、B以外の要素を含む);別の実施形態では、Bのみ(任意選択で、A以外の要素を含む);なお別の実施形態では、A及びBの両方(任意選択で、他の要素を含む);等を指すことができる。
【0276】
本明細書において及び実施形態において使用される場合、「又は」は、上記で定義されている通りの「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、列記において項目を分離させる場合、「又は」又は「及び/又は」は、包含的であるとして、即ち、要素の数又は列記の少なくとも1つであるが1つ超も含めて、及び任意選択で、追加の列記されていない項目を含むと解釈されるものとする。「のただ1つ」若しくは「の正確に1つ」、又は実施形態において使用される場合、「からなる」等、それに反して明らかに示されている用語だけは、要素の数又は列記の正確に1つの要素の包含を指す。一般に、「又は」という用語は、本明細書で使用される場合、「いずれか」、「の1つ」、「のただ1つ」、又は「の正確に1つ」等、排他の用語によって先行される場合、排他的な代替(即ち、「一方又は他方であるが両方でない」)を示すとだけ解釈されるものである。「から必須になる」は、実施形態において使用される場合、特許法の分野において使用されている通りのそれの通常の意味を有するものとする。
【0277】
本明細書において及び実施形態において使用される場合、「少なくとも1つ」という成句は、1つ又は複数の要素の列記への言及において、要素の列記における要素のいずれか1つ又は複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素の列記内に具体的に列記されている各々及びあらゆる要素の少なくとも1つを必ずしも含めず、要素の列記における要素の任意の組合せを除外しないと理解されるべきである。この定義は、その上、具体的に特定されているそれらの要素に関連又は非関連であっても、「少なくとも1つの」という成句が指す要素の列記内で具体的に特定される要素以外に、要素が任意選択で存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は同等に、「A又はBの少なくとも1つ」、又は同等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、任意選択で1つ超のAを含み、Bが存在しない(及び任意選択で、B以外の要素を含む)こと;別の実施形態では、少なくとも1つ、任意選択で1つ超のBを含み、Aが存在しない(及び任意選択で、A以外の要素を含む)こと;なお別の実施形態では、少なくとも1つ、任意選択で1つ超のAを含み、少なくとも1つ、任意選択で1つ超のBを含む(及び任意選択で、他の要素を含む)こと;等を指すことができる。
【0278】
実施形態において、並びに上記の本明細書において、すべての移行句、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「で構成される」等は、オープンエンドであると、即ち、含むが限定されないことを意味すると理解されるべきである。「からなること」及び「から必須になること」という移行句だけは、合衆国特許庁特許審査手続便覧2111.03においてそれぞれ説明されている通り、クローズ又はセミクローズ移行句であるものとする。
【0279】
本開示の特定の実施形態が上記で概説されてきた一方で、多くの代替、修飾、及び変動が当業者に明らかである。したがって、本明細書において説明されている実施形態は、例示的であると意図され、限定するものでない。本開示の趣旨及び範疇から逸脱することなく、様々な変化がなされる。上に記載されている方法及びステップが、ある特定の順序で起こるある特定の事象を示す場合、この開示の利益を有する当業者は、ある特定のステップの順序が変更されてよいこと、及びこうした変更が本発明の変動に従っていることを認識されよう。追加として、ある特定のステップは、可能場合に並列プロセスにおいて同時に行うことができ、同様に、上に記載されている通りに逐次に行うことができる。実施形態が特に示され、記載されてきたが、形態及び詳細における様々な変化がなされ得ると理解されよう。
【符号の説明】
【0280】
100 非対称エレクトロスイング吸着セル
101 対称エレクトロケミカルスイング吸着セル
110 第1のパターン化電極
112 第2のパターン化電極
120 導電性骨格
130 電気活性種
140 電解質領域
150 ガス領域
160 ガス流れ場
161 第1のガス流れ場
162 第2のガス流れ場
170 対電極
180 セパレータ
図1A
図1B
図2A-2C】
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
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【国際調査報告】