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2023-531888量子セキュアなネットワーククロックの同期化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】量子セキュアなネットワーククロックの同期化
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/12 20060101AFI20230719BHJP
   H04B 10/70 20130101ALI20230719BHJP
【FI】
H04L9/12
H04B10/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577104
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 US2021037497
(87)【国際公開番号】W WO2021257615
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】63/039,363
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】522484238
【氏名又は名称】ゼロス システムズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラマス-リナレス, アンティア
(72)【発明者】
【氏名】プロクター, ダブリュー. サイラス
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA34
5K102AB11
5K102AL02
5K102AL10
5K102AL12
5K102AL23
5K102PB00
5K102PH41
(57)【要約】
Damon攻撃検出を用いて量子セキュアな時間転送を提供するためのマルチノード量子通信ネットワークが、説明される。ネットワークは、閉ループを形成する認証済み通信チャネルを介して接続される、3つまたはそれを上回るノードを含む。ローカル時間の間の差異および光子が3つまたはそれを上回るノード間を進行するために要求される持続時間を決定することによって、ネットワークは、存在する場合、Damon攻撃を検出する。例えば、ネットワークは、Damon攻撃を検出するための閉ループ条件を課す。ネットワークはまた、ローカル時間差およびノード間の光子進行のための持続時間を使用し、ネットワークの3つまたはそれを上回るノードにおけるローカルクロックを同期化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Damon攻撃検出を用いて量子セキュアな時間転送を提供するためのマルチノード量子通信ネットワークであって、前記ネットワークは、
第1のノードであって、
第1のローカルクロックと、
第1のもつれ光子対を提供するための第1の光子対源であって、前記第1のもつれ光子対は、第1の光子と、第2の光子とを含む、第1の光子対源と、
前記第1のローカルクロックにおける第1のローカル時間tにおいて、前記第1の光子を捕捉するための第1の捕捉デバイスと、
前記第2の光子を前記第1のノードから離れるように指向するための第1の結合機構と、
前記第1のノードの外側から光子を受け取るための第1の測定デバイスと、
少なくとも前記第1のローカルクロック、前記第1の光子対源、前記第1の捕捉デバイス、前記第1の結合機構、および前記第1の測定デバイスを制御するための第1のコントローラと
を含む、第1のノードと、
第2のノードであって、
第2のローカルクロックと、
第2のもつれ光子対を提供するための第2の光子対源であって、前記第2のもつれ光子対は、第3の光子と、第4の光子とを含む、第2の光子対源と、
前記第2のローカルクロックにおける第2のローカル時間tにおいて前記第3の光子を捕捉するための第2の捕捉デバイスと、
前記第4の光子を前記第2のノードから離れるように指向するための第2の結合機構と、
前記第2のノードの外側から光子を受け取るための第2の測定デバイスと、
少なくとも前記第2のローカルクロック、前記第2の光子対源、前記第2の捕捉デバイス、前記第2の結合機構、および前記第2の測定デバイスを制御するための第2のコントローラと
を含む、第2のノードと、
第3のノードであって、
第3のローカルクロックと、
第3のもつれ光子対を提供するための第3の光子対源であって、前記第3のもつれ光子対は、第5の光子と、第6の光子とを含む、第3の光子対源と、
前記第3のローカルクロックにおける第3のローカル時間tにおいて前記第5の光子を捕捉するための第3の捕捉デバイスと、
前記第6の光子を前記第3のノードから離れるように指向するための第3の結合機構と、
前記第3のノードの外側から光子を受け取るための第3の測定デバイスと、
少なくとも前記第3のローカルクロック、前記第3の光子対源、前記第3の捕捉デバイス、前記第3の結合機構、および前記第3の測定デバイスを制御するための第3のコントローラと
を含む、第3のノードと、
前記第1および第2のノードを通信可能に接続する第1の認証済み通信チャネルと、
前記第2および第3のノードを通信可能に接続する第2の認証済み通信チャネルと、
前記第3および第1のノードを通信可能に接続する第3の認証済み通信チャネルと
を備え、
前記第1、第2、および第3のノードおよび前記第1、第2、および第3の認証済み通信チャネルは、閉ループを形成し、
前記第1、第2、および第3のコントローラは、
前記第1、第2、および第3のローカル時間の間の差異を決定することと、
前記第2の光子が前記第1のノードから前記第2のノードまで進行するために、
前記第2の光子が前記第1のノードから前記第3のノードまで進行するために、
前記第4の光子が前記第2のノードから前記第1のノードまで進行するために、
前記第4の光子が前記第2のノードから前記第3のノードまで進行するために、
前記第6の光子が前記第3のノードから前記第1のノードまで進行するために、および
前記第6の光子が前記第3のノードから前記第2のノードまで進行するために、
要求される持続時間を測定することと、
前記第1、第2、および第3のローカル時間の間の差異およびそのように測定された前記持続時間を使用し、存在する場合、Damon攻撃を検出することと
を行うように構成される、ネットワーク。
【請求項2】
前記第1、第2、および第3のコントローラはさらに、閉ループ条件が満たされない場合、前記Damon攻撃を検出するように構成される、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項3】
前記閉ループ条件は、δ12+δ23+δ31=0として定義され、
式中、δ12=t-t、δ23=t-t、およびδ31=t-tである、請求項2に記載のネットワーク。
【請求項4】
前記第1、第2、および第3の光子対源は、偏光もつれ光子対を発生させるために構成される、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項5】
前記第1、第2、および第3のローカル時間の間の差異とそのように測定された前記持続時間は、前記第1、第2、および第3のローカルクロックを同期化するために使用される、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項6】
量子セキュアな時間転送を提供するためのマルチノード量子通信ネットワーク内のDamon攻撃の存在を決定するための方法であって、前記方法は、
前記ネットワーク内の少なくとも3つのノードによって形成される閉ループを識別することと、
前記少なくとも3つのノードのローカルクロック間の差異を決定することと、
そのように決定された前記差異に対して閉ループ条件を課すことと、
前記閉ループ条件がそのように決定された前記差異によって満たされていない場合、前記Damon攻撃の存在を検出することと
を含む、方法。
【請求項7】
前記閉ループ条件を課すことは、前記少なくとも3つのノードのうちのそれぞれ1つにおいて、
もつれ光子対を発生させることであって、前記もつれ光子対は、第1の光子と、前記第1の光子ともつれている第2の光子とを含む、ことと、
前記少なくとも3つのノードのうちの1つのためのローカル時間において前記第1の光子を捕捉することと、
前記第2の光子が前記少なくとも3つのノードのうちの1つから前記少なくとも3つのノードのうちの別のものまで進行するための進行時間を測定することと、
前記少なくとも3つのノードのうちの1つから前記少なくとも3つのノードのうちの別のものまでのローカル時間の差異を計算することと、
前記少なくとも3つのノードのうちのそれぞれ1つにおける前記ローカルクロックが、前記少なくとも3つのノードのうちの別のものと同期化されるかどうかを決定することと
を含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年6月15日に出願され、「Quantum Secure Network Clock Synchronization」と題された、米国仮特許出願第63/039363号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、量子通信に関し、より具体的には、3つまたはそれを上回るノードを伴う量子通信ネットワークに関する。
【背景技術】
【0003】
量子通信、すなわち、光子の量子性質の使用によって可能にされるセキュアな光通信は、より受け入れられ、主流の状態になりつつある。大規模な光ファイバおよび量子通信システムの自由空間光学実装が、実証済みであるが、2点間の2ノードシステムをマルチノードネットワークに拡張させることは、実装することが困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
Damon攻撃検出を用いて量子セキュアな時間転送を提供するためのマルチノード量子通信ネットワークが、ある実施形態に従って説明される。ネットワークは、閉ループを形成する認証済み通信チャネルを介して接続される、3つまたはそれを上回るノードを含む。ローカル時間の間の差異および光子が3つまたはそれを上回るノード間を進行するために要求される持続時間を決定することによって、ネットワークは、存在する場合、Damon攻撃を検出する。例えば、ネットワークは、Damon攻撃を検出するための閉ループ条件を課す。ネットワークはまた、ローカル時間差および光子がノード間を進行するための持続時間を使用し、ネットワークの3つまたはそれを上回るノードにおけるローカルクロックを同期化することができる。
【0005】
別の実施形態によると、Damon攻撃検出を用いて量子セキュアな時間転送を提供するためのマルチノード量子通信ネットワークは、第1のノードと、第2のノードと、第3のノードとを含む。第1のノードは、第1のローカルクロックと、第1のもつれ光子対であって、第1の光子と、第2の光子とを含む、第1のもつれ光子対を提供するための、第1の光子対源とを含む。第1のノードはまた、第1のローカルクロックにおける第1のローカル時間t1において、第1の光子を捕捉するための、第1の捕捉デバイスと、第2の光子を第1のノードから離れるように指向するための、第1の結合機構とを含む。第1のノードはさらに、第1のノードの外側から光子を受け取るための、第1の測定デバイスと、少なくとも第1のローカルクロック、第1の光子対源、第1の捕捉デバイス、第1の結合機構、および第1の測定デバイスを制御するための、第1のコントローラとを含む。第2のノードは、第2のローカルクロックと、第2のもつれ光子対であって、第3の光子と、第4の光子とを含む、第2のもつれ光子対を提供するための、第2の光子対源とを含む。第2のノードはまた、第2のローカルクロックにおける第2のローカル時間t2において第3の光子を捕捉するための、第2の捕捉デバイスと、第4の光子を第2のノードから離れるように指向するための、第2の結合機構とを含む。第2のノードはさらに、第2のノードの外側から光子を受け取るための、第2の測定デバイスと、少なくとも第2のローカルクロック、第2の光子対源、第2の捕捉デバイス、第2の結合機構、および第2の測定デバイスを制御するための、第2のコントローラとを含む。第3のノードは、第3のローカルクロックと、第3のもつれ光子対であって、第5の光子と、第6の光子とを含む、第3のもつれ光子対を提供するための、第3の光子対源とを含む。第3のノードはまた、第3のローカルクロックにおける第3のローカル時間t3において第5の光子を捕捉するための、第3の捕捉デバイスと、第6の光子を第3のノードから離れるように指向するための、第3の結合機構とを含む。第3のノードは、加えて、第3のノードの外側から光子を受け取るための、第3の測定デバイスと、少なくとも第3のローカルクロック、第3の光子対源、第3の捕捉デバイス、第3の結合機構、および第3の測定デバイスを制御するための、第3のコントローラとを含む。ネットワークはさらに、第1および第2のノードを通信可能に接続する、第1の認証済み通信チャネルと、第2および第3のノードを通信可能に接続する、第2の認証済み通信チャネルと、第3および第1のノードを通信可能に接続する、第3の認証済み通信チャネルとを含む。第1、第2、および第3のノードおよび第1、第2、および第3の認証済み通信チャネルは、閉ループを形成する。第1、第2、および第3のコントローラは、第1、第2、および第3のローカル時間の間の差異を決定するため、および第2の光子が第1のノードから第2のノードまで進行するため、第2の光子が第1のノードから第3のノードまで進行するため、第4の光子が第2のノードから第1のノードまで進行するため、第4の光子が第2のノードから第3のノードまで進行するため、第6の光子が第3のノードから第1のノードまで進行するため、および第6の光子が第3のノードから第2のノードまで進行するために要求される持続時間を測定するために構成される。第1、第2、および第3のコントローラはまた、第1、第2、および第3のローカル時間の間の差異およびそのように測定された持続時間を使用し、存在する場合、Damon攻撃を検出するために構成される。
【0006】
さらなる実施形態によると、第1、第2、および第3のコントローラはさらに、閉ループ条件が満たされない場合、Damon攻撃を検出するように構成される。ある実施形態では、閉ループ条件は、δ12+δ23+δ31=0として定義され、式中、tは、第1のノードにおけるローカル時間であり、tは、第2のノードにおけるローカル時間であり、tは、第3のノードにおけるローカル時間であり、δ12=t-t、δ23=t-t、およびδ31=t-tである。
【0007】
別の実施形態では、第1、第2、および第3の光子対源は、偏光もつれ光子対を発生させるために構成される。
【0008】
なおもさらなる実施形態では、第1、第2、および第3のローカル時間の間の差異とそのように測定された持続時間は、第1、第2、および第3のローカルクロックを同期化するために使用される。
【0009】
別の実施形態によると、量子セキュアな時間転送を提供するためのマルチノード量子通信ネットワーク内のDamon攻撃の存在を決定するための方法が、説明される。本方法は、ネットワーク内の少なくとも3つのノードによって形成される、閉ループを識別することと、少なくとも3つのノードのローカルクロック間の差異を決定することとを含む。本方法はさらに、そのように決定された差異に対して閉ループ条件を課すことと、閉ループ条件がそのように決定された差異によって満たされていない場合、Damon攻撃の存在を検出することとを含む。
【0010】
さらなる実施形態では、本方法は、少なくとも3つのノードのうちのそれぞれ1つにおいて、もつれ光子対であって、第1の光子と、第1の光子ともつれている第2の光子とを含む、もつれ光子対を発生させることと、少なくとも3つのノードのうちの1つのためのローカル時間において第1の光子を捕捉することとを含む。本方法はさらに、第2の光子が少なくとも3つのノードのうちの1つから少なくとも3つのノードのうちの別のものまで進行するための進行時間を測定することと、少なくとも3つのノードのうちの1つから少なくとも3つのノードのうちの別のものまでのローカル時間の差異を計算することと、少なくとも3つのノードのうちのそれぞれ1つにおけるローカルクロックが、少なくとも3つのノードのうちの別のものと同期化されるかどうかを決定することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、2ノード量子通信システムを図示する。
【0012】
図2図2は、ある実施形態による、複数のノードにわたるセキュアな時間転送を可能にする、量子通信システムの2つのノードを図示する。
【0013】
図3図3は、ある実施形態による、3ノード量子通信システムのための構成を図示する。
【0014】
図4図4は、ある実施形態による、3ノード量子通信システムのための別の構成を図示する。
【0015】
図5図5は、ある実施形態による、4ノード量子通信システムのための構成を図示する。
【0016】
図6図6は、ある実施形態による、4ノード量子通信システムのための別の構成を図示する。
【0017】
図7図7は、ある実施形態による、4ノード量子通信システムのためのさらに別の構成を図示する。
【0018】
図8図8は、ある実施形態による、5ノード量子通信システムのための構成を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、以降、本発明の実施形態が示される、付随の図面を参照してより完全に説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態において具現化され得、本明細書に述べられる実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全となり、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するであろうように提供される。図面では、層および領域のサイズおよび相対サイズは、明確化のために誇張され得る。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0020】
「第1」、「第2」、「第3」等の用語が、本明細書では、種々の要素、構成要素、領域、層、および/または区分を説明するために使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または区分が、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、または区分を別の領域、層、または区分から区別するために使用されるにすぎない。したがって、下記に議論される、第1の要素、構成要素、領域、層、または区分は、本発明の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、または区分と呼ばれ得る。
【0021】
「真下」、「下方」、「下側」、「下」、「上方」、「上側」、および同等物等の空間的相対用語は、本明細書では、説明を容易にするために、図に図示されるように、別の要素または特徴に対する1つの要素または特徴の関係を説明するために使用され得る。空間的相対用語が、図に描写される配向に加えて、使用時または動作時の本デバイスの異なる配向を包含することを意図していることを理解されたい。例えば、図のデバイスが裏返された場合、他の要素または特徴「の下方」、または「の真下」、または「の下」にあるものとして説明される要素は、したがって、他の要素または特徴「の上方」に配向されるであろう。したがって、例示的用語「下方」および「下」は、「上方」および「下方」の配向の両方を包含することができる。本デバイスは、別様に(90度回転された状態で、または他の配向に)配向され、本明細書で使用される空間的な相対的記述子は、それに応じて解釈され得る。また、加えて、層が、2つの層「の間」にあるものとして言及されるとき、これが、2つの層の間の唯一の層であり得る、または1つまたはそれを上回る介在層もまた、存在し得ることを理解されたい。
【0022】
本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のためにすぎず、本発明の限定であることを意図していない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別様に示さない限り、同様に、複数の形態を含むことを意図する。用語「comprises(~を備える)」および/または「comprising(~を備える)」は、本明細書で使用されるとき、記載される特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を規定するが、1つまたはそれを上回る他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外するものではないことをさらに理解されたい。本明細書で使用されるように、用語「および/または」は、関連付けられる列挙されるアイテムのうちの1つまたはそれを上回るもののあらゆる組み合わせを含み、「/」と略され得る。
【0023】
要素または層が、別の要素または層「の上」にある、「に接続される」、「に結合される」または「に隣接する」ものとして言及されるとき、これが、他の要素または層「の直接的にその上に」ある、「に接続される」、「に結合される」、または「に隣接」し得る、または介在要素または層が存在し得ることを理解されたい。対照的に、要素が、別の要素または層「の直接的にその上に」ある、「に直接接続される」、「に直接結合される」、または「に直接隣接する」ものとして言及されるとき、いかなる介在要素または層も、存在しない。同様に、光が、1つの要素「から」受け取るまたは提供されるとき、これは、その要素または介在要素「から直接」受け取るまたは提供されることができる。他方では、光が、1つの要素「から直接」受け取るまたは提供されるとき、いかなる介在要素も、存在しない。
【0024】
本発明の実施形態は、本明細書では、本発明の理想化された実施形態(および中間構造)の概略図である、断面図を参照して説明される。したがって、例えば、製造技法および/または公差の結果として、図の形状の変形例が、予期され得る。したがって、本発明の実施形態は、本明細書に図示される領域の特定の形状に限定されるものと解釈されるべきではなく、例えば、製造から結果として生じる形状の逸脱を含むべきである。故に、図に図示される領域は、本質的に概略的なものであり、それらの形状は、デバイスの領域の実際の形状を図示することを意図しておらず、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0025】
別様に定義されない限り、本明細書において使用される(技術的用語および科学的用語を含む)全ての用語は、本発明が属する分野における当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に使用される辞書において定義されるもの等の用語が、関連分野および/または本明細書の文脈においてそれらの意味に一貫する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書に明示的にそのように定義されない限り、理想化された、または過度に形式的な意味で解釈されることはないであろうことをさらに理解されたい。
【0026】
もつれ光子の確実な生産等の量子通信のある側面が、確実に実証されているが、ある他の側面は、依然として、困難である。一実施例は、量子通信ネットワークの複数のノードにわたる、クロック同期化および同調の必要性である。例えば、2ノード量子ネットワークの、クロック同期化が、Lamas-Linares,et alの「Quantum Secure Clock Synchronization Based on Time-Energy and Polarization Entangled Photon Pairs」と題された、米国特許公開第2020/0084033 A1号に説明されている。本特許出願は、2つのノードにおいてクロックをセキュアに同期化するための方法を説明するが、これは、その概念を、あらゆるノード組み合わせに関するノード間時間転送を別個に確立することなく、複数のノードを伴うより大規模なネットワークまで拡張させることを議論していない。すなわち、前述に説明される方法は、2つのノード間のクロックの同期化を議論するが、それらは、ネットワークを2ノードネットワークのクラスタとして扱うことなく、3つまたはそれを上回るノードのネットワークを横断したクロックの同期化に関しては、開示が存在しない。
【0027】
例えば、図1は、双方向リンク(量子チャネル)110によって接続される、ノードAと、ノードBとを含む、2ノードネットワーク100を示す。量子チャネル110の長さは、既知である場合とそうではない場合がある。(矢印112によって示される)光子がノードAからノードBまで進行するための伝搬時間は、ΔtABであり、(矢印114によって示される)光子がノードBからノードAまで進行するための伝搬時間は、ΔtBAである。各ノード内に、ローカル時間をノード(それぞれ、ノードAおよびノードBにおけるtおよびt)に保持し、設定周波数(それぞれ、ノードAおよびノードBにおけるfおよびf)において動作するためのローカルクロック(それぞれ、ノードAおよびノードBにおける120および130)が、存在する。本初期の議論に関して、f=fであると仮定する。時間標識tおよびtは、相互に未知の関係を有すると仮定し、ローカルクロック120と130との間の関係は、既知ではない。ローカルクロック120および130が同一の場所にともに設置される場合の時間差は、以下のように表現されることができる。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】
継続して図1を参照すると、もつれ光子対源(それぞれ、ノードAおよびノードBにおける122および132)は、例えば、自発的パラメトリック下方転換(SPDC)または類似の方法によって、偏光もつれ光子対を生産する。各光子対からの1つの光子が、第1の検出器(それぞれ、ノードAおよびノードBにおける124および134)によってローカルで検出され、ローカル時間(それぞれ、ノードAおよびノードBにおけるtlAおよびtlB)に割り当てられる。各光子対からの他の光子が、量子チャネル110にわたって他のノードに向かって送出され、サーキュレータ(例えば、それぞれ、ノードAおよびノードBにおける偏光維持サーキュレータ126および136)によって分離され、第2の検出器(それぞれ、ノードAおよびノードBにおける128および138)によって検出され、受信ノード(それぞれ、ノードAおよびノードBにおけるtrAおよびtrB)におけるクロックに従って時間タグ付けされる。検出および時間タグ付けの本プロセスは、測定と称され、検出器によるその光子の偏光状態および破壊の予測を伴う。
【0031】
各光子対内の光子が、生産ノードおよびリモートノードによってローカルに割り当てられる時間標識間の関係を呈する。本関係は、生産ノードとリモートノードとの間の固有のクロック差および伝搬時間に依存する。ノードA内で生産される任意の所与の光子対iに関して、本関係は、以下のように表現されることができる。
【0032】
【数3】
【0033】
全ての生産された光子対に関して
【化1】

を取得するための効率的な方法は、ノードAにおいて生産された光子に対応する全ての時間標識にわたる相互関係を計算することである。その相互相関τABの最大値は、以下のように表現されることができる。
【0034】
【数4】
【0035】
同様に、ノードBから生じる光子対に関して、相互相関τBAの最大値は、以下のように表現されることができる。
【0036】
【数5】
【0037】
原理上、ΔtAB=ΔtBAであることのいかなる保証も存在しないことに留意されたい。しかしながら、光ファイバまたは自由空間単一モード光チャネルが、量子チャネル110として使用されるとき、方向112および114に進行する光子が、それらの伝搬方向を除いて、本質的には同じであると仮定される。したがって、本実施例では、単純化のために、ΔtAB=ΔtBAであると仮定される。したがって時間差δABは、以下のように表現されることができる。
【0038】
【数6】
【0039】
したがって、量子チャネル110の対称性にかかわらず、往復時間は、以下のように表現されることができる。
【0040】
【数7】
【0041】
上記の方程式内で確立された既知の関係を使用すると、それぞれ、ノードAおよびノードBにおける2つのローカルクロック120と130との間の時間関係は、2つのローカルクロックを同期化するために抽出されることができる。クロック同期化は、均一な原子時計間の相対時間読取値が、短い時間フレーム内でドリフトし得、時間転送内の中断が、量子チャネルに対する敵対的攻撃の1つのインジケータであるため、量子通信(および他の通信インフラストラクチャ)にとって不可欠である。したがって、セキュアななりすまし不可能な様式における量子通信ネットワークのノード間の時間転送は、データ転送全体のセキュリティを確実にするために不可欠である。言い換えると、ネットワーク内の任意の2つのノードが、ノードを接続するチャネルが、無作為の時間において生産され、伝搬の方向を除いては、それらの性質が同じである、光子の伝搬のために時間的に対称的である、という付加的な仮定に伴って、量子セキュアな様式において時間的に同期化されることができる。悪意のある当事者(「Damon」)は、量子チャネルの非対称性の程度を支配する場合、2つのノード間の測定されたオフセットを操作するためにそれを使用することができる。それにもかかわらず、2ノードネットワークでは、単一のチャネルの対称性を操作するための悪意のある当事者の能力は、プロシージャのセキュリティを損わせ、ネットワークオペレータは、進入を警告されることができる。
【0042】
しかしながら、上記の議論は、2ノードネットワークに限定される。上記のアプローチを使用して2つを上回るノードを含む量子通信ネットワークに拡張するために、仮定および計算が、ネットワーク内のノードの対毎に繰り返されなければならない(すなわち、対毎の同期化)。すなわち、2つのノードを超えたマルチノードネットワークへの時間転送に関する上記のアプローチの直接的な適用は、自明ではない。
【0043】
各ノードにおけるハードウェアの動作および機能性に対する調節の適切なセットを用いると、量子通信ネットワーク内の複数のノード間の時間転送が、セキュアななりすまし不可能な様式において大幅に簡略化され得ることを、本明細書において認識されたい。
【0044】
マルチノード量子通信ネットワークが、説明される。ネットワークは、量子チャネルを介して接続される、3つまたはそれを上回るノードを含み、ネットワーク内の全てのノードを横断した量子セキュアな時間転送が可能にされるように構成される。ネットワークはまた、3つまたはそれを上回るノードにおけるローカルクロックの同期化および同調を提供するために構成される。量子セキュアな時間転送を用いてマルチモード量子通信ネットワークを動作させる方法もまた、説明される。
【0045】
特に、本開示は、3つまたはそれを上回るノードのネットワーク内のクロック間のセキュアな時間転送のための量子セキュアなクロック同期化および同調ハードウェアおよびプロシージャを提供する。本ネットワーク内のノードはそれぞれ、以下を含有する。
【0046】
-ネットワーク内の他のクロックに対して最初に未知のオフセットを伴う、ローカルクロック(例えば、図1におけるローカルクロック120)、
【0047】
-例えば、SPDCに基づく、高い固有時間相関を伴う、偏光もつれ光子対源(例えば、源122)、
【0048】
-もつれ光子対の1つの部材を含有する、下方転換モードのうちの1つのための捕捉デバイス(例えば、第1の検出器124)、
【0049】
-もつれ光子対の他の部材が生産ノードを別の受信ノードに接続する単一の光モードに導入されるための結合機構(例えば、量子チャネル110)、
【0050】
-量子チャネルからの入力信号に接続される測定デバイス(例えば、サーキュレータ126および第2の検出器128)、
【0051】
-ノードの各部材とネットワークの残部との間の認証済み通信チャネル(時として、古典的チャネルと称され、上記に述べられる量子チャネルと同時に機能し得る)、
【0052】
-ノード毎に上記のコンポーネントを管理し、マルチノードネットワークの全体を通したセキュアな時間転送を可能に得るために構成される、コントローラ(例えば、図2におけるコントローラ220)。
【0053】
ネットワーク内のノードの種々のコンポーネントが、図2に図示される。図2に示されるように、ネットワーク部分200は、そのそれぞれが、図1に示される2ノードネットワークに加えて、コントローラ(例えば、それぞれ、ノードAおよびノードBにおけるコントローラ220および230)と、付加的なノードへの接続部とを含む、2つのノードAおよびBを含む。コントローラ220および230は、ネットワーク内の種々のノード間の量子セキュアな時間転送を可能にするための付加的な機能性を提供する。
【0054】
マルチノードネットワークでは、上記に説明されるもの等のネットワーク内の任意の2つのノード間の対毎の同期化プロシージャが、ネットワークトポロジから生じる付加的な制約のセットに由来する非一過性をもたらす前に、Damonが実施し得る、可能性として考えられるチャネル操作の間の関係のセットを提供することができる。非数学的用語では、これらの制約が、Damonが同時にネットワーク全体の異なるセクションを制御し、異なるチャネル内に等しい規模および反対の符号非対称性を導入しなければならないことを含意することを本明細書において認識されたい。詳細な数学的構造がまた、マルチノードネットワークの全体を通したセキュアな時間転送を確実にするために対毎の交換が全て必要であるわけではなく、したがって、最小数の対毎の交換を決定するための建設的な手法を提供し、したがって、有用かつ最適なネットワークトポロジおよびシステム構造を決定することを例証することを本明細書においてさらに認識されたい。
【0055】
下記に説明されるネットワーク構成では、ネットワークトポロジによってもたらされる制約は、認証済み通信チャネルを介して全てのノードに関して利用可能であり、一貫性を保つために絶えず監視されることができる。これらの制約に関連する、監視される値のいかなる非一貫性も、時間転送プロシージャの導出される信頼レベルの修正をもたらすことができる。トポロジ条件はまた、ネットワークチャネルについての任意の付加的な知識および物理学の法則によっても拡張されることができる。例えば、それらの相対距離が既知である、地球上を拠点とする、2つの非可動かつ定常状態のノードに関して、ノード間の最小伝搬時間が、真空内での光の速度のものに等しい、またはそれより高く、全ての伝搬時間が、ゼロより高くあるべきであることは、他の仮定の中でも安全な仮定である。空間環境内のノード間のリンクに関して、リンク自体は、干渉への試行に関してリモートで監視され、したがって、対称性破壊攻撃に関しても同一であると仮定されることができるが、これは、非常に複雑であり得る。ノードがネットワークの寿命時間の間にアドホックに追加および撤去される動的ネットワークでは、Damon攻撃の操作に対する制約が、トポロジの変化に伴って変化し、ネットワークの全体を通して伝搬し、したがって、成功したハッキングに関するさらに別の困難をもたらす。
【0056】
さらに、下記に説明されるネットワーク構成では、時間信号自体(すなわち、交換されているもつれ光子)の真正性が、光子対に対してBell不等式分析を実施するための送信および受信ノードの能力によって保証されることができる。量子力学の量子複製不可能定理およびもつれの一夫一婦制に起因して、時間信号の偽造(すなわち、なりすまし)によるDaemon攻撃が、このように同期化プロセスを操作することは、本質的に不可能である。言い換えると、本開示は、時間転送プロシージャを標的とする悪意のある当事者によってもたらされる可能性として考えられる修正を境界するための量子時間転送ネットワークに関するネットワーク性質(例えば、伝搬時間に対する限定)についての付加的な知識を組み込む方法を提供する。
【0057】
ある実施形態では、複数のノードにおけるクロックの同期化は、クロック間の時間転送および同調の両方に当てはまる。すなわち、本明細書に説明されるプロセスは、クロック同期化(すなわち、所与の瞬間に同一の時間を読み取るように異なるクロックを設定すること)およびクロック同調(すなわち、表示する時間にかかわらず、同一の周波数または率にクロックを設定すること)の両方に適用可能である。クロックが、所与の瞬間に関して同期化され得るが、それらが、それらの計時デバイスのわずかな差異に起因して相互から離れるようにドリフトするであろうことを認識されたい。また、クロックは、それらの計時デバイスのこれらのわずかな差異がある方法で補償されるように同調されることができるが、それらは、依然として、それらの面上で異なる時間を読み取り得る。本開示されるネットワーク実装は、2つまたはそれを上回るノードを伴うネットワーク全体にわたる、セキュアな同期化および同調の両方を可能にする。セキュアな同調は、例えば、2つのノードにおける成功した対検出間の時間間隔の比較によって達成されることができる。セキュアな同調のための能力は、特に、例えば、5Gアプリケーションおよび軍事的アプリケーションのために要求される、大規模なメッシュかつセキュアなネットワーク通信のための利点を提供することができる。言い換えると、本明細書に説明される量子通信システムは、時間転送の正確度に影響を及ぼすようないかなる有意な相対的ドリフトも存在しないように、種々のクロックを十分に同調された状態に保つために「ネイティブに」使用されることができる。すなわち、ネットワークの全体を通したクロック周波数は、本質的には同じであるため、他のクロックに対する相対的クロックドリフトが、動作の間、絶えず補正されることができる。
【0058】
もつれ光子の分布が使用され得る1つの方法は、セキュアなキーが、開放チャネル内で伝送される情報をエンコードするために使用され、したがって、許可されていない受動的リスナまたは盗聴者からのタイミング結論を不明瞭にすることに役立ち得るように、2つのノード間にこれらのキーを発生させることである。例えば、位置付け、ナビゲーション、およびタイミング(PNT)関連プロシージャをセキュリティ保護するための、本明細書において説明されるネットワーク構成を使用することによって、通信システムは、同期化プロシージャから採集される情報の組み込みの保護を提供する。
【0059】
ここで図3に目を向けると、単純な3ノード量子通信ネットワーク200が、図示される。ノードA、B、およびCはそれぞれ、例えば、図2に図示されるノードコンポーネントを含有する。ノード間の種々の伝搬時間が、図2に示される。前述に議論される2ノード実施例におけるように、リンクがそれらの伝搬時間において対称的であるといういかなる保証も、存在しない(例えば、ΔtABは、必ずしもΔtBAに等しいわけではない)。
【0060】
そのような3ノードネットワークを用いると、分析における第1のステップは、3つの数量、すなわち、δAB=t-t、δBC=t-t、およびδCA=t-tを決定することである。2ノード場合の場合と同様に、以下の測定された対毎の数量を取得する。
【0061】
【数8】
【0062】
【数9】
【0063】
【数10】
【0064】
【数11】
【0065】
【数12】
【0066】
【数13】
【0067】
方程式8-13内の対毎の関係に加えて、閉ループ内のクロック間の関係は、以下の付加的制約を提供する。
【0068】
【数14】
【0069】
本付加的なループ制約は、潜在的に、検出を伴わずにDamon攻撃に導入され得る、本システムの可能性として考えられる非対称性を提供する。方程式14と方程式8-13を組み合わせると、以下となる。
【0070】
【数15】
【0071】
【数16】
【0072】
【数17】
【0073】
便宜上、εAB=(ΔtAB-ΔtBA)およびmAB=(τAB-τBA)であると仮定され、他のノード間の均等な数量についても同様に仮定される。パラメータεは、ノード間の各量子チャネルの非対称性に対応し、mは、各方向における2つのノード間で生じる、相互相関間の差異に対応する。上記の方程式および制約を組み合わせると、以下となる。
【0074】
【数18】
【0075】
方程式18は、全ての強力なDaemonでさえ、量子チャネルを操作することが可能となり得る方法において制約されることを含意する。また、そのような操作は、ネットワーク全体にわたって実施され、検出を回避する一貫性を維持する必要があろう。言い換えると、3ノードネットワークでは、2つの追加の付加的情報が、本システムを完全に決定するために十分であることを本明細書において認識されたい。例えば、任意の2つのチャネルが対称的(例えば、ΔtAB=ΔtBAおよびΔtAC=ΔtCA)であることを把握している場合、もはや、上記の方程式において定義される既知の関係のうちの少なくとも1つを破壊しない、Daemonによって実施され、したがって、ネットワーク内の時間伝送がセキュアであることを確実にし得る、いかなる修正も存在しない。
【0076】
ノードの数が、増加されるにつれて、ネットワーク内に定義され得る閉ループの数が、増大し、測定される時間差を恣意的に操作するためのDaemonの能力が、さらに制約される。本性質は、ネットワークのセクションに関する利用可能な物理的情報と組み合わされ、付加的な情報がローカルセクションのみに関連するときであっても、ネットワーク全体にわたって測定された時間差に関する信頼区間を確立するために使用されることができる。好適な付加的な情報の実施例は、とりわけ、特定のチャネル/リンクが対称的であるという知識、伝搬時間が負ではあり得ないという知識、および光の伝搬速度が光の速度より急速ではあり得ないという知識を含む。さらに、トポロジおよびコネクティビティは、以降において議論されるであろうように、4つまたはそれを上回るノードを伴うネットワーク内の制約に組み入れられる。
【0077】
方程式の左辺に未知数を、右辺に既知の値(または測定可能な数量)を伴って方程式8-13を書き換えると、以下の方程式が、3ノードネットワークに関して成り立つ。
【0078】
【数19】
【0079】
【数20】
【0080】
【数21】
【0081】
【数22】
【0082】
【数23】
【0083】
【数24】
【0084】
量子チャネルを対称的であるものと定義すると、その対応するε値がゼロであるとき、ノードの各対間の対称関係は、以下のように書き換えられることができる。
【0085】
【数25】
【0086】
【数26】
【0087】
【数27】
【0088】
εが、非ゼロであるとき、チャネルは、非対称的であるものとして定義される。これらの方程式は、行列形式Mx=rに書き換えられることができ、これは、以下の形式をとる。
【0089】
【数28】
【0090】
Mはまた、以下の4ブロック部分行列に分割され得る。
【0091】
【数29】
【0092】
方程式29では、A=Iは、2n×2n(6×6)の単位行列であり、C=Bであり(すなわち、Cは、Bの転置行列である)、およびD=0は、n×n(3×3)のゼロ行列である。したがって、Mは、以下のように再表現されることができる。
【0093】
【数30】
【0094】
Mの逆数は、AのSchur補行列の助けを借りてブロック毎反転を用いて算出されることができる。
【0095】
【数31】
【0096】
特定の場合において、値BB=2Iであり、その逆数
【化2】

であることを認識すると、方程式31はさらに、以下のように単純化されることができる。
【0097】
【数32】
【0098】
方程式28において未知数xを求めるために、Mx=rが、M-1によって乗算され、以下を取得する。
【0099】
【数33】
【0100】
別の方法で記述されると、以下となる。
【0101】
【数34】
【0102】
方程式34は、部分行列ブロックに従って分割されることができる。
【0103】
【数35】
【0104】
【数36】
【0105】
種々の既知の値を挿入すると、以下が取得される。
【0106】
【数37】
【0107】
【数38】
【0108】
【数39】
【0109】
【数40】
【0110】
【数41】
【0111】
【数42】
【0112】
【数43】
【0113】
したがって、クロック時間差に関して、以下となる。
【0114】
【数44】
【0115】
【数45】
【0116】
【数46】
【0117】
【数47】
【0118】
上記に使用される対称関係は、他の限界で代入され得る。再び、方程式8-13を参照すると、3つのノードのネットワークに関して、未知数が、方程式の左辺に、既知の値(または測定可能な数量)が、右辺に群化される。
【0119】
【数48】
【0120】
【数49】
【0121】
【数50】
【0122】
【数51】
【0123】
【数52】
【0124】
【数53】
【0125】
対称関係に関して、方程式14は、最後の閉包関係に代入される。
【0126】
【数54】
【0127】
【数55】
【0128】
【数56】
【0129】
再び、量子チャネルは、その対応するε値がゼロであるとき、対称的であるものとして定義される。εが、非ゼロであるとき、チャネルは、非対称であると見なされる。本特定の実施例では、代入のため、ΔtCAとΔtACとの間の関係に対するいかなる制限も存在せず、すなわち、ノードAおよびCを接続するチャネルは、任意に非対称的であり得る。連立方程式は、行列形式Mx=rに書き換えられることができ、これは、以下の形式をとる。
【0130】
【数57】
【0131】
方程式29-32におけるようにMの逆数を単純化することは、もはや可能ではないが、
【化3】

におけるAおよびAのSchur補行列が、逆数を有する限り、解が存在することが、保証され得る。したがって、Aは、いかなるループ閉包関係が代用されようとも、常時、単位元のままであろう。本システムに関するAのSchur補行列は、以下の形式をとる。
【0132】
【数58】
【0133】
方程式58は、逆数を有し、良条件のままである。
【0134】
そのようなループ閉包方程式は、より多くの数のノードを伴うネットワークのために拡張されることができる。実施例として、閉包関係の編成は、以下の行列形式に一般化されることができる。
【0135】
【数59】
【0136】
上記に定義されるように、各δは、任意の2つのクロックが同一の場所にまとめられる場合の時間差として定義される。3ノードネットワークに関して、したがって、順序付けは、慣例上の事項である。
【0137】
【数60】
【0138】
【数61】
【0139】
【数62】
【0140】
方程式60-62は、行列形式に配列されることができる。
【0141】
【数63】
【0142】
行列Γの基底となるループ(またはサイクル)構造に起因して、行列は、階数r=n-1=2を有する。右辺のδが行列Γの列空間内に存在するために、δ値上に課される制約のセットが、存在するであろう。これらの制約を発生させるために、拡張行列
【化4】

が、形成され、本行列の行に対する線形演算が、これが短縮行エシェロン形式になるまで実施されることができる。
【0143】
【数64】
【0144】
最初に、行1を行3に追加し、先頭の-1を排除する。
【0145】
【数65】
【0146】
次いで、行2を行1に追加し、第2の列内の-1を排除する。
【0147】
【数66】
【0148】
したがって、方程式66は、
【化5】

の短縮行エシェロン形式、すなわち、
【化6】

である。ゼロのみを伴う最下行は、以下のように解釈されることができる。
【0149】
【数67】
【0150】
左辺は、ゼロまで短縮する。次いで、本システムが一貫したままであり、対応する解を有し、したがって、上記の方程式14に合致するために、以下の条件が、当てはまる。
【0151】
【数68】
【0152】
言い換えると、これらの具体的な要件および本システムに関する限界の認識が、3つのノード全てを横断した量子セキュアな時間転送を可能にする。そのような要件の実装は、図2に示されるコントローラ220および230等、各ノードにおけるコントローラによって対処されることができる。
【0153】
量子セキュアな時間転送の本方法はさらに、下記に説明されるであろうように、任意の数のノードを伴うネットワークに拡張されることができる。3ノードの場合には自明であるが、より大きい数のノードに関して、ループ閉包関係は、上記に説明されるもの等の手続き型発生方法を有することから恩恵を受ける。任意のネットワークに関して、行列Γが、任意の2つのネットワークノード間に定義される量子チャネル毎に発生されてもよい。拡張行列
【化7】

は、短縮行エシェロン形式(rref)に形成および書き換えられることができる。拡張行列の左の列に全てゼロを含有する、任意の行は、δの値に対する制約を提供するであろう。
【0154】
ノードAおよびCがそれらの間で量子チャネルを共有しない、図4に図示される3ノードネットワーク400等、閉ループを伴わないネットワークに関して、上記に定義されるようなtおよびδを伴う接続系Γt=δを表現する、方程式のための行列は、比較的に単純である。
【0155】
【数69】
【0156】
方程式69を使用し、
【化8】

を発生させると、以下につながる。
【0157】
【数70】
【0158】
方程式70内の
【化9】

内には、ゼロのみの行が存在しないことに留意されたい。すなわち、本システム内にはいかなる自由変数も存在しない。結果として、量子チャネルの伝搬時間の両方の方向における対称性等の他の外部制約が、ネットワークのセキュリティを保証するために課されるべきである。言い換えると、グラフ理論の観点から、制約を発見するプロセスが、基底となるネットワークのグラフのサイクル基底を発見することとして要約されることができる。δの値に対する制約は、本グラフのサイクル空間内に基底を形成する、単純なサイクルの線形独立集合を描くことから生じる。図3に示されるネットワークに関して、サイクル基底は、三角形のネットワーク内の全てのノードを含有するベクトルに及び、制約は、あるサイクル、例えば、A→B→C→Aにおいてノード間のδの値を合算することによって発生されることができる。図4に示される3ノードネットワークの場合には、基底となるグラフ内にいかなるサイクルも存在せず、したがって、いかなる対応するサイクルも存在せず、δ値に対するいかなる対応する制約も、課されることができない。多項式時間内にサイクル基底を発見すること等の代替方法が、そのようなネットワークの基本的なδの制約方程式を形成するために使用されることができる。
【0159】
量子セキュアな時間転送の実装を、図5に示される4ノードネットワーク500等の4ノードネットワークまで拡張すると、類似の分析が、実施される。図5に示されるネットワークトポロジに関して、前述のように、リンクが、それらの伝搬時間において対称的であるという、いかなる明示的保証も存在しないと仮定すると、種々の伝搬時間間の関係は、以下のように記述されることができる。
【0160】
【数71】
【0161】
【数72】
【0162】
【数73】
【0163】
【数74】
【0164】
【数75】
【0165】
【数76】
【0166】
【数77】
【0167】
【数78】
【0168】
ノードの各対間の対称関係は、以下のように記述されることができる。
【0169】
【数79】
【0170】
【数80】
【0171】
【数81】
【0172】
【数82】
【0173】
再び、量子チャネルは、その対応するε値がゼロであるとき、対称的であるものとして定義される。εが、非ゼロであるとき、チャネルは、非対称的である。通常通り、関連のある連立方程式は、以下の形式をとる。
【0174】
【数83】
【0175】
A=Iは、n=ノードの数に関して、2n×2n(すなわち、8×8)の単位行列であり、C=B、すなわち、C n×2n(すなわち、4×8)行列は、B 2n×n(すなわち、8×4)の行列の転置行列であり、D=0は、n×n(すなわち、4×4)のゼロ行列である。未知数のベクトルおよび右辺は、次いで、以下のように表現されることができる。
【0176】
【数84】
【0177】
解は、上記の方程式35および36と同一の形式をとる。
【0178】
4ノードネットワーク500のトポロジでは、リングの周辺に、A→B→C→D→Aをトラバースする経路として定義される、1つのみのループが、存在し得る。再び、δの値は、以下のように表現されることができる。
【0179】
【数85】
【0180】
【数86】
【0181】
【数87】
【0182】
【数88】
【0183】
方程式85-88が、1つのループ閉包関係を取得するために追加される。
【0184】
【数89】
【0185】
本閉包関係が、ネットワークの全てのノードを伴うことに留意されたい。代替として、接続系Γt=δが、以下となるように考慮されることができる。
【0186】
【数90】
【0187】
拡張行列
【化10】

は、以下のように記述されることができる。
【0188】
【数91】
【0189】
縮小行エシェロン形式行列
【化11】

は、次いで、以下となる。
【0190】
【数92】
【0191】
方程式92が、δ値に対して方程式89と同一の制約をもたらすことに留意されたい。対称関係のうちの1つは、次いで、代わりに、本閉包関係に代入され、したがって、方程式83におけるCおよびD部分行列を修正することができる。
【0192】
【数93】
【0193】
上記の考慮点および要件は、図5に示される4つのノード全てを横断した量子セキュアな時間転送を可能にするように、ノードA、B、C、およびDのそれぞれにおいて実装されることができる。
【0194】
分析はさらに、4ノードネットワーク内に付加的な量子チャネルを追加するように拡張されることができる。図6に示される4ノードネットワーク600では、量子チャネルが、ノードAおよびCを接続するように追加される。前述のように、リンクがそれらの伝搬時間において対称的であるといういかなる保証も、存在しない。種々の伝搬時間間の関係は、以下のように記述されることができる。
【0195】
【数94】
【0196】
【数95】
【0197】
【数96】
【0198】
【数97】
【0199】
【数98】
【0200】
【数99】
【0201】
【数100】
【0202】
【数101】
【0203】
【数102】
【0204】
【数103】
【0205】
ノードの各対間の対称関係は、以下のように記述されることができる。
【0206】
【数104】
【0207】
【数105】
【0208】
【数106】
【0209】
【数107】
【0210】
【数108】
【0211】
再び、量子チャネルは、その対応するε値がゼロであるとき、対称的であるものとして定義される。εが、非ゼロであるとき、チャネルは、非対称的である。通常通り、関連のある連立方程式は、以下の形式をとる。
【0212】
【数109】
【0213】
本場合には、A=Iは、(2n+2)×(2n+2)(すなわち、10×10)の単位行列であり、C=B、すなわち、C (n+1)×2(n+1)(すなわち、5×10)行列は、B (2n+2)×(n+1)(すなわち、10×5)行列の転置行列であり、D=0は、(n+1)×(n+1)(すなわち、5×5)のゼロ行列である。未知数のベクトルおよび右辺は、次いで、以下のように表現されることができる。
【0214】
【数110】
【0215】
ノードAとノードCとの間に付加的な量子チャネルを伴う場合でも、新しい量子チャネルは、他のすでに確立されたチャネルとは無関係であるため、行列Mの構造は、温存される。接続系Γt=δを構築することは、以下をもたらす。
【0216】
【数111】
【0217】
拡張行列
【化12】

は、以下のように記述されることができる。
【0218】
【数112】
【0219】
縮小行エシェロン形式行列
【化13】

は、次いで、以下となる。
【0220】
【数113】
【0221】
ノードAとノードBとの間の新しい量子チャネルは、方程式113の下の2行に見られ得るように、付加的なループ閉包関係を生成する。
【0222】
【数114】
【0223】
【数115】
【0224】
次いで、他の部分行列CおよびDは、以下のように記述されることができる。
【0225】
【数116】
【0226】
行列MのSchuler補行列は、逆数を有し、良条件のままである。
【0227】
【数117】
【0228】
したがって、図4の4ノードネットワークに別の接続を追加することは、システム対称性および条件を定義する際における使用のために利用可能な別のループ閉包関係をもたらした。本質的には、サイクル(または複数のサイクル)が、所与のネットワークに追加された場合、新しいサイクルが現在のサイクル基底の線型包内にない場合、別の閉包方程式が発生されることができる。n個のノードを伴うネットワークに関して、n-1=3つのチャネル対称性制約が、依然として、ネットワーク上に課される。本条件が、図6に図示されるトポロジ内に存在する、合計で5つの量子チャネルからの縮小をもたらすことを認識されたい。
【0229】
量子セキュアな時間転送の方法はさらに、図7に示される最大限に接続されるネットワークに拡張されることができる。上記に議論されるように、別の量子チャネルの追加は、別のループ閉包関係の発生をもたらし、本量子チャネルは、対称的に制約される必要はない。
【0230】
図7に示されるように、4ノードネットワーク700は、全ての可能性として考えられる対の組み合わせにおいて、4つのノード間に量子チャネルを含む。前述のように、種々の伝搬時間間の関係は、以下のように表現されることができる。
【0231】
【数118】
【0232】
【数119】
【0233】
【数120】
【0234】
【数121】
【0235】
【数122】
【0236】
【数123】
【0237】
【数124】
【0238】
【数125】
【0239】
【数126】
【0240】
【数127】
【0241】
【数128】
【0242】
【数129】
【0243】
ノードの各対間の対称関係は、以下のように記述されることができる。
【0244】
【数130】
【0245】
【数131】
【0246】
【数132】
【0247】
【数133】
【0248】
【数134】
【0249】
【数135】
【0250】
再び、量子チャネルは、その対応するε値がゼロであるとき、対称的であるものとして定義される。εが、非ゼロであるとき、チャネルは、非対称的である。通常通り、関連のある連立方程式は、以下の形式をとる。
【0251】
【数136】
【0252】
本場合には、A=Iは、n(n-1)×n(n-1)(すなわち、12×12)の単位行列であり、C=B、すなわち、C n(n-1)/2×n(n-1)/2(すなわち、6×12)行列は、B n(n-1)×n(n-1)/2(すなわち、12×6)行列の転置行列であり、D=0は、n(n-1)/2×n(n-1)/2(すなわち、6×6)のゼロ行列である。未知数のベクトルおよび右辺は、次いで、以下のように表現されることができる。
【0253】
【数137】
【0254】
本場合のδ方程式は、以下となる。
【0255】
【数138】
【0256】
【数139】
【0257】
【数140】
【0258】
【数141】
【0259】
【数142】
【0260】
【数143】
【0261】
接続系Γt=δ行列で記述されると、以下の形式をとる。
【0262】
【数144】
【0263】
操作の後、縮小行エシェロン形式行列
【化14】

は、次いで、以下となる。
【0264】
【数145】
【0265】
次いで、
【化15】

の拡張された短縮行エシェロン形式の下の3行に形成される、3つのループ閉包関係を使用し得る。
【0266】
【数146】
【0267】
【数147】
【0268】
【数148】
【0269】
ループ閉包関係の線形独立集合を発見するための代替方法は、グラフ理論を使用することである。例えば、NetworkX Pythonライブラリを使用すると、本グラフのサイクルが、算出され得る。本方法を使用して、基底集合が、定義されることができる。
【0270】
ループ1閉包関係(A→B→C→A)
【0271】
【数149】
【0272】
ループ2閉包関係(C→D→A→C)
【0273】
【数150】
【0274】
ループ3閉包関係(B→C→D→B)
【0275】
【数151】
【0276】
次いで、CおよびD部分行列は、以下のように記述されることができる。
【0277】
【数152】
【0278】
AのSchur補行列は、逆数を有し、良条件のままである。
【0279】
【数153】
【0280】
ネットワーク内に追加される量子チャネルの数にかかわらず、n-1=3の対称性閉包関係が、提供される必要があることを本明細書において認識されたい。これらの関係は、例えば、特定の量子チャネル内を往復するような光伝搬のための対称性制約の形態において提供されることができる。そのような関係が定義された状態で、(それ自体をカウントせずに)2つより高度の量子チャネル接続を有し、チャネルが対称的であることを定める必要がない、ノードを伴うネットワークを有することが、可能である。
【0281】
別の実施例として、5ノードネットワーク内で量子セキュアな時間転送を可能にするための要件が、考慮される。時間転送ネットワーク800のある実施例が、図8に示される。前述のように、種々の伝搬時間間の関係は、以下のように表現されることができる。
【0282】
【数154】
【0283】
【数155】
【0284】
【数156】
【0285】
【数157】
【0286】
【数158】
【0287】
【数159】
【0288】
【数160】
【0289】
【数161】
【0290】
【数162】
【0291】
【数163】
【0292】
【数164】
【0293】
【数165】
【0294】
ノードの各対間の対称関係は、以下のように記述されることができる。
【0295】
【数166】
【0296】
【数167】
【0297】
【数168】
【0298】
【数169】
【0299】
【数170】
【0300】
【数171】
【0301】
上記のように、量子チャネルは、その対応するε値がゼロであるとき、対称的であるものとして定義される。εが、非ゼロであるとき、チャネルは、非対称的である。通常通り、関連のある連立方程式は、以下の形式をとる。
【0302】
【数172】
【0303】
本場合には、A=Iは、12×12の単位行列であり、C=Bは、B(12×6行列)の6×12の行列転置であり、およびD=0は、(n+1)×(n+1)(すなわち、6×6)のゼロ行列である。未知数のベクトルおよび右辺は、次いで、以下のように表現されることができる。
【0304】
【数173】
【0305】
本場合のδ方程式は、以下となる。
【0306】
【数174】
【0307】
【数175】
【0308】
【数176】
【0309】
【数177】
【0310】
【数178】
【0311】
【数179】
【0312】
接続系Γt=δ行列で記述されると、以下の形式をとる。
【0313】
【数180】
【0314】
また、通常のループ閉包関係は、
【化16】

の拡張された短縮行エシェロン形式を導出することによって見出されることができる。このように、要求される制約の計算を演算し、それらを実装する本方法は、ネットワークの全体を通した量子セキュアな時間転送のためのマルチモードネットワークシステム内での使用のために拡張可能である。
【0315】
上記の分析において、所与のネットワーク内のノードにおけるローカルクロックが全て、同一の周波数において起動し、ノードが、ノード間の伝送時間が、経時的に変化しないように、相互に対して静的であるという仮説が行われたことに留意されたい。同調されたクロック(すなわち、全て同一の周波数において起動するクロック)の仮定が、絶対的意味において正当化されない可能性が高いが、クロックは、概して、十分に特性評価され、それらの周波数の相対的ドリフトに対する厳しい限界が、取得され得る。例えば、クロックドリフトの効果は、相対的ドリフトが急速すぎる場合、相互相関関数のピークが、背景から検出することが困難であり得るように、相互相関関数のピークをあまり顕著ではないないものにすることである。しかしながら、ピークが、位置特定可能である場合、ある周波数ドリフトを伴う場合でも、もつれ光子の対は、依然として識別されることができ、成功した検出間の間隔は、クロックドリフトの正確な傾向が監視され得るように測定されることができる。したがって、クロック同調は、維持されながら、セキュアな様式においてノード間の時間転送を達成することができる。
【0316】
さらに、図3-8に図示されるネットワークは、静的であると仮定されたが、上記に議論される方法は、同様に、非静的ネットワークにおける量子セキュアな時間転送にも拡張されることができる。例えば、ノードの相対運動は、相互関係測定が、最大の相互相関値が、微細化することが困難であり得るほど、伝搬時間の変動から「不鮮明」な状態になる点で、クロックをドリフトさせることに類似する効果をもたらし得る。しかしながら、クロックドリフトのように、相対運動は、相対運動がまた、ノードにおけるコントローラによって考慮され得るように、接続されるノード内の連続するイベント間の時間間隔を比較することによって、測定されることができる。
【0317】
原理上、相対運動およびクロックをドリフトさせることの効果を区別することは、困難であり得るが、本明細書に議論される量子クロック同期化ネットワークの性質は、2つの変数の効果が、相互から区別されることを可能にすることができる。例えば、2ノードネットワークでは、ネットワークが静的である場合、光子が2つのノード間を進行するための往復時間は、単に、光子がノードAからノードBまで進行するために要する時間と、光子がノードBからノードAまで進行するために要する時間を追加することによって取得されることができる。ネットワークはまた、ノードBにノードAから生じるいくつかの光子を反射させることによって、往復時間の直接測定を可能にする。したがって、ノードAは、Aにおけるローカルクロックに従って光子の往復時間を直接測定することが可能である。いくつかのそのような測定の連結が、ノードAがノードBに対して移動する速度に関する情報を提供することができ、効果が、他の測定値から減算され、運動およびドリフトの両方に起因する相対的クロックドリフトを取得することができる。
【0318】
前述は、本発明の例証であり、その限定として解釈されるべきではない。本発明のいくつかの例示的実施形態が、説明されているが、当業者は、多くの修正が、本発明の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、例示的実施形態において可能であることを容易に視界するであろう。
【0319】
故に、多くの異なる実施形態が、上記の説明および図面から生じる。これらの実施形態のあらゆる組み合わせおよび副次的組み合わせを文字通り説明し、例証することが、過度に反復的であり、曖昧にするであろうことを理解されたい。したがって、本明細書は、図面を含めて、本明細書に説明される実施形態、およびそれらを作製および使用する様式およびプロセスの全ての組み合わせおよび副次的組み合わせの完全な記載された説明を成すものと解釈されるものとし、任意のそのような組み合わせまたは副次的組み合わせに対して請求項を支持するものとする。
【0320】
本明細書では、本発明の開示される実施形態が、存在しており、具体的な用語が、採用されているが、それらは、一般的および説明的意味において使用されているにすぎず、限定の目的のために使用されているものではない。本発明のいくつかの例示的実施形態が、説明されているが、当業者は、多くの修正が、本発明の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、例示的実施形態において可能であることを容易に理解するであろう。故に、そのような修正は全て、請求項において定義されるような本発明の範囲内に含まれることを意図している。したがって、前述が、本発明の例証であり、開示される具体的な実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、開示される実施形態および他の実施形態に対する修正が、添付の請求項の範囲内に含まれることを意図していることを理解されたい。本発明は、以下の請求項によって定義され、請求項の均等物が、その中に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】