(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】発熱コンポーネントの熱マネジメントを改善するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20230719BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20230719BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230719BHJP
H01L 23/44 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
G06F1/20 C
F28D15/02 L
H05K7/20 N
G06F1/20 A
H01L23/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577141
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021038973
(87)【国際公開番号】W WO2021263037
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シャウ,マーク エドワード
(72)【発明者】
【氏名】アリッサ,フサム アタッラ
(72)【発明者】
【氏名】ランクストン,ロバート ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ルーベンスタイン,ブランドン アーロン
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA09
5E322AA11
5E322DB01
5E322DB06
5E322DB07
5E322DB10
5E322DB12
5E322FA01
5F136CC32
(57)【要約】
熱マネジメントを有するコンピュータシステムは、ボイラータンクと、該ボイラータンク内の基板上の第1のコンピュータコンポーネントとを含む。ボイラータンク内に、第1のコンピュータコンポーネントを覆って冷却流体が位置する。ボイラータンクは、長さ、幅、及び高さを持ち、ボイラータンクの長さと幅は、基板面積より50%を超えては大きくないタンク面積を画成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱マネジメントを有するコンピュータシステムであって、
長さ、幅、及び高さを持つボイラータンクと、
前記ボイラータンク内の基板上の第1のコンピュータコンポーネントと、
前記ボイラータンク内の前記基板上の第2のコンピュータコンポーネントと、
前記ボイラータンク内に位置して前記第1のコンピュータコンポーネントを覆っている冷却流体と、
ボイラータンクによって覆われていない、前記基板上の少なくとも1つのコンピュータコンポーネントと、
を有し、
前記ボイラータンクの前記長さと前記幅は、基板面積より50%を超えては大きくないタンク面積を画成する、
システム。
【請求項2】
前記第1のコンピュータコンポーネント及び前記第2のコンピュータコンポーネントは、マルチチップモジュールの一部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のコンピュータコンポーネント及び前記第2のコンピュータコンポーネントは、前記基板の表面から上に異なる高さである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
液相の前記冷却流体の外側で前記ボイラータンク内に位置する凝縮器、を更に有する請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記ボイラータンクの外側に位置して前記ボイラータンクと流体連通している外部凝縮器、を更に有する請求項1乃至4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記凝縮器は液冷凝縮器である、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ボイラータンク内の核形成サイト、を更に有する請求項1乃至6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
気相の前記冷却流体内で前記ボイラータンク内に位置する毛管作用構造、を更に有する請求項1乃至7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記冷却流体は、間に熱インタフェース材料を介さずに、前記第1のコンピュータコンポーネント及び前記第2のコンピュータコンポーネントと直接接触する、請求項1乃至8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記ボイラータンクに結合された大気ヒートシンク、を更に有する請求項1乃至9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記ボイラータンクは少なくとも2.0気圧の蒸気圧に耐えることができる、請求項1乃至10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記基板は、前記ボイラータンクの底の少なくとも一部である、請求項1乃至11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
熱マネジメントを有するサーバコンピュータシステムであって、
上に複数のコンピュータコンポーネントを有するサーバ基板と、
前記複数のコンピュータコンポーネントのうち少なくとも1つのコンピュータコンポーネントを囲む第1のボイラータンクと、
前記第1のボイラータンク内に位置して前記複数のコンピュータコンポーネントのうち前記少なくとも1つのコンピュータコンポーネントを覆う冷却流体と、
前記ボイラータンクによって覆われていない前記複数のコンピュータコンポーネントのうちの少なくとも1つの他のコンピュータコンポーネントと、
を有し、
総ボイラー面積が、前記サーバ基板の基板面積の90%以下である、
システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンピューティング装置は使用中に大量の熱を発し得る。コンピューティングコンポーネントは、熱からダメージを受けやすく、一般的に、重い処理又は使用の負荷の間にコンポーネント温度を安全な範囲内に維持するための冷却システムを必要とし得る。液体の冷却流体の方が空気又はガスでの冷却よりも大きい熱質量を持つので、液体冷却はコンポーネントを効果的に冷却することができる。液体冷却流体は、気化した流体が液体から立ち昇ることを可能にすることによって、より低い温度に維持されることができる。冷却流体中の蒸気は、冷却流体の冷却性能に悪影響を及ぼし得る。蒸気は、凝縮されてボイラータンクに戻されることができる。
【0002】
従来の液浸冷却システムでは、ボイラータンクのうち大部分が、ヒートシンクとして機能する冷却流体を収容しており、沸騰を通じてシステムから熱を効率的に除去していない。ボイラータンクに冷却流体を含めることの比較的低い効率をよそに、追加の冷却流体を取得し、収容し、そして維持することには、高いコストが伴う。
【発明の概要】
【0003】
一部の実施形態において、熱マネジメントを有するコンピュータシステムは、ボイラータンクと、該ボイラータンク内の基板上の第1のコンピュータコンポーネントとを含む。ボイラータンク内に、第1のコンピュータコンポーネントを覆って冷却流体が位置する。ボイラータンクは、長さ、幅、及び高さを持ち、ボイラータンクの長さと幅は、基板面積より50%を超えては大きくないタンク面積を画成する。
【0004】
一部の実施形態において、熱マネジメントを有するサーバコンピュータシステムは、上に複数のコンピュータコンポーネントを有するサーバ基板と、前記複数のコンピュータコンポーネントのうち少なくとも1つのコンピュータコンポーネントを囲む第1のボイラータンクと、を含む。冷却流体が、第1のボイラータンク内に位置して前記複数のコンピュータコンポーネントのうち前記少なくとも1つのコンピュータコンポーネントを覆う。総ボイラー面積が、サーバ基板の基板面積の90%以下である。
【0005】
この概要は、詳細な説明で更に後述される複数の概念の一部を簡略化した形態で紹介するために提示されるものである。この概要は、特許請求される事項の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではないし、特許請求される事項の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図したものでもない。
【0006】
更なる特徴及び利点が、以下の説明に記載され、一部は説明から明らかになり、あるいは、ここでの教示の実施によって分かることになる。本開示の特徴及び利点は、添付の請求項で特に指摘される手段及び組み合わせによって得られて実現され得ら。本開示の特徴は、以下の説明及び添付の請求項からより完全に明らかになり、あるいは、以下に記載されるような本開示の実施によって分かることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の上述の特徴及び他の特徴を得ることができる方法を説明するために、添付の図面に示される具体的な実施形態を参照して、より具体的な説明を行う。より十分な理解のため、添付の様々な図を通して同様の要素は似通った参照符号で指している。図のうち一部は概念の模式的に又は誇張して表したものとなっていることがあり、図のうち少なくとも一部が縮尺通りに描かれていることがある。図面が一部の実施形態例を示すものであると理解した上で、添付の図面の使用を通じて、実施形態を更なる具体性及び詳細をもって記述及び説明する。
【
図1】従来の液浸冷却システムのシステム図である。
【
図2】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、液浸冷却システムの透視図である。
【
図3】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、ボイラータンク内のマルチチップモジュールの側断面図である。
【
図4】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、ボイラータンク内のマルチチップモジュールの上面図である。
【
図5】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、複数のボイラータンクを含むコンピューティング装置ボードの透視図である。
【
図6】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、
図5のボイラータンクの詳細な透視図である。
【
図7】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、液冷凝縮器を備えたボイラータンクの透視図である。
【
図8】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、凝縮器と流体連通した複数のボイラータンクを備えたコンピューティング装置の透視図である。
【
図9】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、受動大気冷却を含むボイラータンクの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、概して、高発熱コンポーネントの熱マネジメントを改善するシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、局所化された液浸冷却を用いて、コンピューティング装置のいっそう大きいボード内の基板上の1つ以上のコンピュータコンポーネントを冷却することに関する。
【0009】
液浸冷却システムは、発熱コンポーネントを液体の冷却流体内に取り囲み、冷却流体が、発熱コンポーネントからの熱を伝導して発熱コンポーネントを冷却する。冷却流体が発熱コンポーネントからの熱を吸収するとき、冷却流体の温度が上昇して冷却流体が蒸発し、液体の冷却流体中に蒸気を導入し、該蒸気が液体から立ち昇る。蒸気は、それにより、発熱コンポーネントの近くの冷却流体から熱を除去する。
【0010】
ここで
図1を参照するに、本開示に従った液浸冷却システム100は、中に冷却流体104が位置するチャンバ102を含んでいる。液体冷却流体108より上、且つ冷却流体104の蒸気110の中で、冷却流体104の上に凝縮器106が位置する。凝縮器106は、冷却流体104の蒸気110の一部を冷却して液相に戻すことで、システムから熱エネルギーを取り除くとともに、冷却流体104を液体冷却流体108の液浸槽112に再導入する。
【0011】
一部の実施形態において、液体の冷却流体108の液浸槽112は、液体冷却流体108内に位置する複数の発熱コンポーネント114を有する。液体冷却流体108は、発熱コンポーネント114を取り囲み、また、発熱コンポーネント114に取り付けられた他の物体又はパーツを取り囲み得る。
【0012】
前述のように、液体冷却流体108の気相116への変換は、気化の潜熱に打ち勝つ熱エネルギーの入力を必要とし、冷却流体の熱容量を増加させため及び発熱コンポーネント114から熱を除去するための効果的なメカニズムであり得る。
【0013】
冷却流体は、液相と気相との間で遷移して、チャンバ内の高温の又は発熱するコンポーネントから熱を除去する。液相は、より効率的にコンポーネントから熱を受け取り、気相への遷移後に、冷却流体は、冷却されて凝縮することで冷却流体から熱を取り出してから、より低い温度の液浸槽に戻されることができる。
【0014】
一部の実施形態において、液体冷却流体108の液浸槽は、液体冷却流体108内に位置する複数の発熱コンポーネント114を有する。液体冷却流体108が、発熱コンポーネント114と、発熱コンポーネント114に取り付けられた他の物体又はパーツを取り囲む。一部の実施形態において、発熱コンポーネント114のうち1つ以上は、熱エネルギーを伝え去るため及び発熱コンポーネント114の表面積を効果的に増加させるために発熱コンポーネント114に取り付けられたヒートシンク又は他の装置を含む。
【0015】
気相116は液体冷却流体108中を上昇するので、チャンバ102の上部の蒸気領域110において気相116を浸漬チャンバ102から取り出すことができる。凝縮器106が、冷却流体104の蒸気の一部を冷却して液相に戻し、システムから熱エネルギーを取り除くとともに、冷却流体を液体冷却流体108の液浸槽112に再導入する。凝縮器106は、冷却流体104からの熱エネルギーを、周囲環境に、又は冷却システム100から熱エネルギーを運び去るに導管内に、放射する又はそれ以外で放出する。
【0016】
一部の実施形態において、冷却流体は、冷却流体のうち発熱コンポーネントを直接取り囲んだ冷却ボリューム内の熱を受け取る。該冷却ボリュームは、発熱コンポーネントを直接取り囲んで発熱コンポーネントの対流冷却を担っている冷却流体(液相と気相の両方を含む)の領域である。一部の実施形態において、該冷却ボリュームは、発熱コンポーネントから5ミリメートル(mm)以内の冷却流体のボリュームである。
【0017】
冷却流体は、発熱コンポーネントが熱ダメージを経験する臨界温度よりも低い沸点を持つ。例えば、発熱コンポーネントは、100℃より上でダメージを経験するコンピューティングコンポーネントとし得る。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は、発熱コンポーネントの臨界温度よりも低い。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は約90℃より低い。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は約80°Cより低い。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は約70°Cより低い。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は約60°Cより低い。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は約35°C以上である。一部の実施形態において、冷却流体は水を含む。一部の実施形態において、冷却流体はグリコールを含む。一部の実施形態において、冷却流体は水とグリコールとの組み合わせを含む。一部の実施形態において、冷却流体は水溶液である。一部の実施形態において、冷却流体は、例えば3Mから入手可能なFC-72などの電子液体、又は同様の非導電性流体である。一部の実施形態において、発熱コンポーネント、ボイラータンク表面、又は冷却流体内に位置する液浸冷却システムの他の要素は、その表面上に、冷却流体の沸点以下での冷却流体の蒸気泡の核形成を促進する核形成サイトを有する。
【0018】
大きい液浸冷却システムは、液浸槽ボリュームの一部が冷却ボリュームの外側にある冷却流体であることを必要とし、故に、非効率的に発熱コンポーネントを冷却する。一部の実施形態では、コンピューティング装置の全てのコンポーネントが、安全動作温度範囲に留まるために液浸冷却を必要とするのに十分な熱を発するわけではない。一部の実施形態において、グラフィカルプロセッシングユニット(GPU)はプラテンベースの(platen-based)ストレージデバイスよりも多くの熱を発し、該ストレージデバイスを冷却するのには周囲空気冷却で十分であるが、GPUを冷却するにはそれでは十分ではない。
【0019】
一部の実施形態において、コンピューティング装置は基板を含み、該基板上に発熱コンポーネントがある。一部の発熱コンポーネントが、コンピューティング装置の同じボード上の周囲のコンポーネントよりも多くの熱を発することがあり、コンピューティング装置全体又はコンピューティング装置のボード全体を液浸させることなく追加の冷却を提供するために、局所的な液浸冷却システムが発熱コンピュータコンポーネントの上又は周囲に配置され得る。
【0020】
図2は、基板218上に置かれた発熱コンポーネント214の一実施形態の透視図である。発熱コンポーネント214を囲むように基板218にボイラータンク220が取り付けられている。ボイラータンク220は、発熱コンポーネント214から熱を受け取って発熱コンポーネントを冷却する冷却流体204を収容している。一部の実施形態において、冷却流体204を収容することに基板が寄与するように、ボイラータンク220は基板218に直接接続される。
【0021】
一部の実施形態において、局所液浸冷却システムは、コンピューティング装置全体をサポートするのに十分な大きさの液浸冷却システムのコストと複雑さを必要とせずに、より多量の熱を発する(1つ以上の)発熱コンポーネントの、より効率的な冷却を可能にする。一部の実施形態において、局所液浸冷却システムは、従来からのヒートシンクを取り付けることが困難な複雑なトポグラフィを持つコンポーネントの、より効率的な冷却を可能にする。一部の実施形態において、局所液浸冷却システムは、コンポーネント同士の近接性と従来からのヒートシンクが必要とする体積とに起因して従来からのヒートシンクを取り付けることが困難な、互いの近くに位置するコンポーネントの、より効率的な冷却を可能にする。
【0022】
一部の実施形態において、局所液浸冷却システムは、コンピュータ装置のボードよりも小さいボイラータンクを含む。一部の実施形態において、ボイラータンクは、発熱コンピュータコンポーネントの基板と略同じ面積のタンク面積(例えば、タンクの底面積)を持つ。一部の実施形態において、タンク面積は発熱コンピュータコンポーネントの基板と同じ面積である。一部の実施形態において、発熱コンピュータコンポーネントの基板はボイラータンクの底面であり、ボイラータンクは基板の外周縁に直接取り付けられる。
【0023】
一部の実施形態において、マルチチップモジュール(MCM)が基板上に置かれ、MCM用の該基板がコンピューティング装置用のボードに取り付けられる。MCMは、単一の基板上に複数の電子コンポーネントを含み、効率的なエネルギー使用を容易にするとともに、コンポーネント間の通信帯域幅を改善する。ここで使用されるとき、MCMは、本開示の一部の実施形態に従って、単一の発熱コンポーネントとみなされ得る。一部の実施形態において、MCMは、基板から上に第1の高さを持つ第1のコンポーネントと、基板から上に異なる第2の高さを持つ第2のコンポーネントとを有する。例えば、MCMの基板に対して、第1のコンポーネントは第2のコンポーネントよりも高背である。従って、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとの両方に適用される従来からのヒートシンクは、MCMのこれら2つのコンポーネントの高さ及び/又はトポグラフィにおける差を補償する必要があることになる。他の例において、ヒートシンクとこれら2つのコンポーネントのうちの短い方との間に、熱伝達要素が配置され得る。材料間の各界面、及び熱インタフェース材料(TIM)の各層が、熱抵抗を増加させ、ひいては、熱マネジメントシステムの非効率さを増す。
【0024】
図3は、上に第1の発熱コンポーネント314-1と第2の発熱コンポーネント314-2とを持つコンピューティング装置ボード322の一実施形態の側面図である。第1の発熱コンポーネント314-1は第1の高さ324-1を持ち、第2の発熱コンポーネント314-2は第2の高さ324-2を持つ。ボイラータンク320に収容された冷却流体304は、第1の発熱コンポーネント314-1及び第2の発熱コンポーネント314-2の相対的な高さ、形状、幾何学構成、又は表面テクスチャに関係なく、これらコンポーネントのトポグラフィの周りを流れる。従来のコンポーネントは、剛性の伝導ヒートシンクに対する熱伝導性を支援するために平滑な頂面を持つが、本開示に従った液浸冷却システムは、任意の幾何学構成又は任意の組み合わせの幾何学構成を持つコンポーネントを効率的に冷却することができる。
【0025】
本開示に従った一部の実施形態において、基板上の異なる高さを持つMCM又は他の複数のコンポーネントのための液浸冷却システムは、熱マネジメントシステムの効率を低下させる中間インタフェースを制限及び/又は排除することができる。一部の実施形態において、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントが、それらの間に追加のTIMを有さずに液体冷却流体に沈められる。従って、液体冷却流体は、1つ以上のTIM層を用いる従来からの(1つ以上の)ヒートシンクよりも、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントの両方から熱を除去するためのいっそう効率的な熱経路を提供する。
【0026】
一部の実施形態では、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとが互いの近くに位置しており、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントの両方に、個別の従来からのヒートシンクを互いに干渉することなく配置することができない。本開示の一部の実施形態に従った液浸冷却システムは、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを液体冷却流体中に沈め、冷却流体がコンポーネントから熱を除去するためのヒートシンクとして機能する。さらに、第1及び第2のコンポーネントは、異なる条件で異なる量の熱を発することがあり、これらのコンポーネントに取り付けられるヒートシンクは、高い動作負荷下にあるコンポーネントを、その動作負荷は一般的ではないのだとしても、冷却するのに十分でなければならない。2相液浸冷却は、コンポーネントによって発せられる熱の量に適応する、より柔軟な冷却システムを提供することができる。
【0027】
図4は、ボード422上のMCM426の一実施形態の上面図である。MCM426は、基板418上に位置する複数の発熱コンポーネント414-1、414-2を有しており、ボード422にボイラータンク420が取り付けられて、基板418とMCM426の発熱コンポーネントとを包囲している。一部の実施形態において、第1の発熱コンポーネント414-1及び第2の発熱コンポーネント414-2は、基板418上で互いに隣接して位置しており、互いに近すぎて、各々に従来からの剛性の又は固体のヒートシンクを、他方のヒートシンクと干渉することなく取り付けることができない。一部の実施形態において、第1の発熱コンポーネント414-1と第2の発熱コンポーネント414-2との間の横方向間隔428は10ミリメートル未満である。一部の実施形態において、第1の発熱コンポーネント414-1と第2の発熱コンポーネント414-2との間の横方向間隔428は5ミリメートル未満である。
【0028】
一部の実施形態では、ボード上の全てのコンポーネントが、当該コンポーネントを安全動作温度範囲内に維持するために液浸冷却システムを必要とするわけではない。一部の実施形態において、ボードはその上に位置する複数のコンポーネントを有し、該複数のコンポーネントのうちの少なくとも1つのコンポーネントを囲むようにボイラータンクがボード上に配置される。
【0029】
図5は、上に複数の発熱コンポーネント514を有するコンピューティング装置ボード522の透視図である。ボード522上に複数のボイラータンク520が配置されているが、発熱コンポーネント514のうち一部のみを包囲している。一部の実施形態において、MCMはボイラータンク520に収容されるが、例えばストレージデバイスなどの他のコンポーネントはボイラータンク520の外側に置かれる。
【0030】
次に
図6を参照するに、一部の実施形態において、ボイラータンク520は、タンクボリュームを画成するタンク長さ530、タンク幅532、及びタンク高さ534を持つ。タンク長さ530とタンク幅532とでタンク面積を画成する。一部の実施形態において、ボード522は、ボード面積を画成するボード長さ536及びボード幅538を持つ。一部の実施形態において、ボイラータンクに包囲された少なくとも1つのコンポーネントが基板上に構築される。一部の実施形態において、基板は、基板面積を画成する同様の基板長さ及び基板幅を持つ。
【0031】
一部の実施形態において、タンク面積はボード面積及び/又は基板面積と同じである。一部の実施形態において、タンク面積はボード面積及び/又は基板面積より少なくとも10%小さい。例えば、タンク面積はボード面積及び/又は基板面積の90%未満である。一部の実施形態において、ボード及び/又は基板のコンポーネントのうちの少なくとも一部がボイラータンクの外側に配置されることを可能にするよう、タンク面積はボード面積及び/又は基板面積の75%未満である。
【0032】
一部の実施形態において、ボード上に位置するある発熱コンポーネントが基板上に配置されている。一部の実施形態において、タンク面積は、基板の基板面積より、50%を超えては大きくない。一部の実施形態において、タンク面積は基板面積に実質的に等しい。一部の実施形態において、タンク面積は基板面積よりも小さい。一部の実施形態において、コンポーネントが組み立てられる基板上のコンポーネントの周囲に従来通りに境界が存在するので、タンク面積は基板面積の90%未満である。一部の実施形態において、ボード及び/又は基板は、当該ボード及び/又は基板を別の構造物に接続することを可能にする穴を持つ。タンクは、ボード及び/又は基板の穴へのアクセスを可能にするように配置されるので、タンク面積はボード面積及び/又は基板面積よりも小さくなり得る。
【0033】
一部の実施形態において、ボード及び/又は基板の少なくとも一部がボイラータンクの壁を形成する。再び
図6を参照するに、ボイラータンク520はボード522に直接接続されて、ボード522の一部をチャンバの壁として含む浸漬チャンバを封止している。一部の実施形態において、ボード及び/又は基板の少なくとも一部がボイラータンクと一体であり、ボイラータンク内に冷却流体を保持する。一部の実施形態において、上にボイラータンクが置かれるボード及び/又は基板は、その上に位置付けられたOリング540を有し、それが、ボード及び/又は基板とボイラータンクとの間の液密シールを容易にする。一部の実施形態において、Oリング540は、ボード及び/又は基板の外縁の少なくとも一部に従う。一部の実施形態において、Oリング540は、ボード及び/又は基板の外縁全体に従う。一部の実施形態において、Oリング540はボイラータンク520に取り付けられ、その結果、ボイラータンク520がボード及び/又は基板と接触して配置されるときに、Oリング540がボイラータンク520とボード及び/又は基板との間の接触領域を封止する。
【0034】
本開示の一部の実施形態に従ったボイラータンクは、蒸気冷却流体を液相へと凝縮させてボイラータンクから熱を除去する冷却メカニズムを含む。一部の実施形態において、ボイラータンクは凝縮器を含み、あるいは凝縮器と流体連通している。一部の実施形態において、凝縮器は液冷凝縮器であり、当該凝縮器を通して第2の流体(例えば、水)を循環させ、凝縮器から熱を伝達するとともに冷却流体を冷却する。一部の実施形態において、凝縮器は、冷却流体を冷却及び凝縮させる例えばペルチェ冷却器などの固体冷却器である。
【0035】
一部の実施形態において、凝縮器はボイラータンク内に配置される。一部の実施形態において、凝縮器はボイラータンクの外側に配置され、蒸気冷却流体を冷却及び凝縮させるようにボイラータンクの浸漬チャンバと流体連通している。一部の実施形態において、凝縮器はボイラータンクの外側に配置され、蒸気冷却流体を冷却及び凝縮させるようにボイラータンクの表面を冷却する。
【0036】
図7は、上に複数の発熱コンポーネント614があるボード622の一実施形態の透視図であり、該複数の発熱コンポーネント614の上にボイラータンク620が取り付けられている。ボイラータンク620はその表面に位置する凝縮器606を有し、それが、コイルを通して水を循環させてボイラータンク620内の冷却流体の冷却及び凝縮を行う。
【0037】
一部の実施形態において、複数のボイラータンクが単一の凝縮器と流体連通する。例えば、凝縮器は、単一のボード上の複数のボイラータンクに接続され、それらと流体連通し得る。一部の実施形態において、凝縮器は、複数の異なるボード上の複数のボイラータンクに接続され、それらと流体連通し得る。
【0038】
一部の実施形態において、ボード及び/又は基板は、その上に位置する複数のボイラータンクを有する。それらボイラータンクは、例えば、第1のボイラータンクがMCMを覆ってそれに液浸冷却を提供するとともに第2のボイラータンクがネットワークスイッチを覆ってそれに液浸冷却を提供するなど、ボード及び/又は基板の異なるコンポーネントに液浸冷却を提供するように配置される。一部の実施形態において、該複数のボイラータンクは、該複数のボイラータンクのボイラータンク間で冷却流体を共有する。一部の実施形態において、該複数のボイラータンクの各ボイラータンクが、別のボイラータンクと混ざり合わない専用の冷却流体を有する。
【0039】
図8は、上に複数のボイラータンク720があるボード722の他の一実施形態の透視図である。ボイラータンク720の各々が少なくとも1つの発熱コンポーネント714-1、714-2を囲んでおり、該複数のボイラータンク720のうちの少なくとも2つが凝縮器706と流体連通している。凝縮器706と流体連通しているボイラータンク720-1、720-2は、それらの間で冷却流体を共有している。一部の実施形態において、ボイラータンク720-1、720-2のうち一部が凝縮器706と流体連通し、ボイラータンクのうち一部はそうではない。
【0040】
一部の実施形態において、上に複数のボイラータンクがあるボード及び/又は基板は、ボード面積及び/又は基板面積に対して、ある総タンク面積を持つ。総タンク面積は、複数のボイラータンクの各ボイラータンクのタンク面積の合計である。ボード上に2つのボイラータンクを有するコンピューティング装置は、各ボイラータンクがボード面積の10%のタンク面積を持つ場合に、ボード面積の30%の総タンク面積を持つ。上に2つのボイラータンクを有する基板上に組み立てられたMCMは、第1のボイラータンクが基板面積の50%の第1のタンク面積を持ち、第2のボイラータンクが基板面積の20%の第2のタンク面積を持つ場合に、基板面積の70%の総タンク面積を持つ。例えば、
図8の4つのボイラータンクは、ボード面積の約10%の総タンク面積を持っている。
【0041】
一部の実施形態において、総タンク面積はボード面積及び/又は基板面積と同じである。一部の実施形態において、総タンク面積はボード面積及び/又は基板面積より少なくとも10%小さい。例えば、総タンク面積はボード面積及び/又は基板面積の90%未満である。一部の実施形態において、ボード及び/又は基板のコンポーネントのうちの少なくとも一部が複数のボイラータンクの外側に配置されることを可能にするように、総タンク面積はボード面積及び/又は基板面積の75%未満である。
【0042】
ここで説明するように、本開示に従った液浸冷却システムの一部の実施形態は、例えば液体冷却又は固体冷却などの能動冷却を有する凝縮器を含む。一部の実施形態において、液浸冷却システム、又は液浸冷却システムのボイラータンクは、大気冷却を用いて冷却流体からの熱を放散する。一部の実施形態において、液体冷却流体は、異なる又は様々なトポグラフィを持つ発熱コンポーネントからの効率的な熱伝達を提供することができ、その一方で、冷却流体それ自体は、大気冷却によって冷却されるフィン、ヒートパイプ、蒸気チャンバ、ヒートシンク、又は他の受動冷却装置に熱を伝達する。
【0043】
一部の実施形態において、液浸冷却システムのボイラータンクは、それに取り付けられた受動冷却装置を有する。一部の実施形態において、受動冷却装置は、ボイラータンクからの熱を伝導するため、及び周囲空気に曝露される表面積を増やしてボイラータンクからの熱を除去するためのヒートフィンを含む。一部の実施形態において、受動冷却装置は、ボイラータンクから別の領域に熱を放散及び/又は伝導するため、又は周囲空気に曝露される表面積を増やしてボイラータンクから熱を除去するためのヒートパイプ又は蒸気チャンバを含む。一部の実施形態において、受動冷却装置は能動冷却装置と連動して使用され、あるいは能動冷却装置に追加して使用される。
【0044】
図9は、本開示に従ったボイラータンク820の一実施形態の側面図であり、ボイラータンク820の頂面にヒートパイプ842とヒートフィン844が位置している。一部の実施形態において、ボイラータンク820は、ヒートパイプ842内の気相816の大気冷却を可能にするのに十分な表面積を持ち、気相816を発熱コンポーネント814の周りの液体冷却流体808に戻す。
【0045】
一部の実施形態において、沸騰する冷却流体及びそれに伴うボイラータンク内の蒸気の増加が、ボイラータンク内の蒸気圧が上昇させる。凝縮器又は他の冷却装置が蒸気を冷却して気相を液相に凝縮させ戻すとき、ボイラータンクは、破裂することなく、上昇した蒸気圧に耐える必要があるとし得る。一部の実施形態において、ボイラータンクは少なくとも2.0気圧の内部蒸気圧に耐えることができる。一部の実施形態において、ボイラータンクは少なくとも3.0気圧の内部蒸気圧に耐えることができる。一部の実施形態において、ボイラータンクは少なくとも4.0気圧の内部蒸気圧に耐えることができる。
【0046】
沸騰を促進するとともに沸騰表面への冷却流体の戻りを容易にするために、本開示に従ったボイラータンクの一部の実施形態は、浸漬チャンバ内のボイラータンク内に配置された毛管作用(ウィッキング)構造又は沸騰促進構造を含む。一部の実施形態において、毛管作用構造は、沸騰効率を高めるとともに毛細管作用を用いて流体を沸騰表面に駆動し戻すことができる例えば焼結銅粉末又はワイヤメッシュなどの開いた格子構造を含む。一部の実施形態において、表面エッチング又は沸騰促進コーティングを沸騰表面に適用して、沸騰効率を高める核形成サイトを作り出すことができる。
【0047】
再び
図9を参照するに、一部の実施形態において、ボイラータンク820は毛管作用構造846を含んでいる。毛管作用構造846は、ボイラータンク820の蒸気部分810に配置される。毛管作用構造846は、凝縮速度を増加させ、より容易に気相816が凝縮して液体冷却流体808に戻ることができるサイトを提供し得る。
【0048】
産業上の利用可能性
本開示は、概して、高発熱コンポーネントの熱マネジメントを改善するシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、局所化された液浸冷却を用いて、コンピューティング装置のいっそう大きいボード内の基板上の1つ以上のコンピュータコンポーネントを冷却することに関する。
【0049】
液浸冷却システムは、発熱コンポーネントを液体の冷却流体内に取り囲み、冷却流体が、発熱コンポーネントからの熱を伝導して発熱コンポーネントを冷却する。冷却流体が発熱コンポーネントからの熱を吸収するとき、冷却流体の温度が上昇して冷却流体が蒸発し、液体の冷却流体中に蒸気を導入し、該蒸気が液体から立ち昇る。蒸気は、それにより、発熱コンポーネントの近くの冷却流体から熱を除去する。
【0050】
従来の液浸冷却システムは、浸漬チャンバを含んだボイラータンクと、浸漬チャンバ内の凝縮器とを含んでいる。浸漬チャンバは、液体冷却流体と蒸気冷却流体の部分を持つ冷却流体を収容している。液体冷却流体が液浸槽を作り出し、その中に複数の発熱コンポーネントが位置して液体冷却流体を加熱する。
【0051】
冷却流体は、液相と気相との間で遷移して、チャンバ内の高温の又は発熱するコンポーネントから熱を除去する。液相は、より効率的にコンポーネントから熱を受け取り、気相への遷移後に、冷却流体は、冷却されて凝縮することで冷却流体から熱を取り出してから、より低い温度の液浸槽に戻されることができる。
【0052】
一部の実施形態において、液体冷却流体の液浸槽は、液体冷却流体内に位置する複数の発熱コンポーネントを有する。液体冷却流体が、発熱コンポーネントと、発熱コンポーネントに取り付けられた他の物体又はパーツを取り囲む。一部の実施形態において、発熱コンポーネントのうち1つ以上は、熱エネルギーを伝え去るため及び発熱コンポーネントの表面積を効果的に増加させるために発熱コンポーネントに取り付けられたヒートシンク又は他の装置を含む。
【0053】
前述のように、液体冷却流体の気相への変換は、気化の潜熱に打ち勝つ熱エネルギーの入力を必要とし、冷却流体の熱容量を増加させため及び発熱コンポーネントから熱を除去するための効果的なメカニズムであり得る。蒸気は液体冷却流体中を上昇するので、気相は、チャンバの上部の蒸気領域において気相をチャンバから取り出すことができる。凝縮器が、冷却流体の蒸気の一部を冷却して液相に戻し、システムから熱エネルギーを取り除くとともに、冷却流体を液体冷却流体の液浸槽に再導入する。凝縮器は、冷却流体からの熱エネルギーを、周囲環境に、又は冷却システムから熱エネルギーを運び去るに導管内に、放射する又はそれ以外で放出する。
【0054】
一部の実施形態において、冷却流体は、冷却流体のうち発熱コンポーネントを直接取り囲んだ冷却ボリューム内の熱を受け取る。該冷却ボリュームは、発熱コンポーネントを直接取り囲んで発熱コンポーネントの対流冷却を担っている冷却流体(液相と気相の両方を含む)の領域である。一部の実施形態において、該冷却ボリュームは、発熱コンポーネントから5ミリメートル(mm)以内の冷却流体のボリュームである。
【0055】
冷却流体は、発熱コンポーネントが熱ダメージを経験する臨界温度よりも低い沸点を持つ。例えば、発熱コンポーネントは、100℃より上でダメージを経験するコンピューティングコンポーネントとし得る。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は、発熱コンポーネントの臨界温度よりも低い。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は約90℃より低い。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は約80°Cより低い。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は約70°Cより低い。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は約60°Cより低い。一部の実施形態において、冷却流体の沸点は約35°C以上である。一部の実施形態において、冷却流体は水を含む。一部の実施形態において、冷却流体はグリコールを含む。一部の実施形態において、冷却流体は水とグリコールとの組み合わせを含む。一部の実施形態において、冷却流体は水溶液である。一部の実施形態において、冷却流体は、例えば3Mから入手可能なFC-72などの電子液体、又は同様の非導電性流体である。一部の実施形態において、発熱コンポーネント、ボイラータンク表面、又は冷却流体内に位置する液浸冷却システムの他の要素は、その表面上に、冷却流体の沸点以下での冷却流体の蒸気泡の核形成を促進する核形成サイトを有する。
【0056】
大きい液浸冷却システムは、液浸槽ボリュームの一部が冷却ボリュームの外側にある冷却流体であることを必要とし、故に、非効率的に発熱コンポーネントを冷却する。一部の実施形態では、コンピューティング装置の全てのコンポーネントが、安全動作温度範囲に留まるために液浸冷却を必要とするのに十分な熱を発するわけではない。一部の実施形態において、グラフィカルプロセッシングユニット(GPU)はプラテンベースの(platen-based)ストレージデバイスよりも多くの熱を発し、該ストレージデバイスを冷却するのには周囲空気冷却で十分であるが、GPUを冷却するにはそれでは十分ではない。
【0057】
一部の実施形態において、コンピューティング装置は基板を含み、該基板上に発熱コンポーネントがある。一部の発熱コンポーネントが、コンピューティング装置の同じボード上の周囲のコンポーネントよりも多くの熱を発することがあり、コンピューティング装置全体又はコンピューティング装置のボード全体を液浸させることなく追加の冷却を提供するために、局所的な液浸冷却システムが発熱コンピュータコンポーネントの上又は周囲に配置され得る。
【0058】
一部の実施形態において、局所液浸冷却システムは、コンピューティング装置全体をサポートするのに十分な大きさの液浸冷却システムのコストと複雑さを必要とせずに、より多量の熱を発する(1つ以上の)発熱コンポーネントの、より効率的な冷却を可能にする。一部の実施形態において、局所液浸冷却システムは、従来からのヒートシンクを取り付けることが困難な複雑なトポグラフィを持つコンポーネントの、より効率的な冷却を可能にする。一部の実施形態において、局所液浸冷却システムは、コンポーネント同士の近接性と従来からのヒートシンクが必要とする体積とに起因して従来からのヒートシンクを取り付けることが困難な、互いの近くに位置するコンポーネントの、より効率的な冷却を可能にする。
【0059】
一部の実施形態において、局所液浸冷却システムは、コンピュータ装置のボードよりも小さいボイラータンクを含む。一部の実施形態において、ボイラータンクは、発熱コンピュータコンポーネントの基板と略同じ面積のタンク面積(例えば、タンクの底面積)を持つ。一部の実施形態において、タンク面積は発熱コンピュータコンポーネントの基板と同じ面積である。一部の実施形態において、発熱コンピュータコンポーネントの基板はボイラータンクの底面であり、ボイラータンクは基板の外周縁に直接取り付けられる。
【0060】
一部の実施形態において、マルチチップモジュール(MCM)が基板上に置かれ、MCM用の該基板がコンピューティング装置用のボードに取り付けられる。MCMは、単一の基板上に複数の電子コンポーネントを含み、効率的なエネルギー使用を容易にするとともに、コンポーネント間の通信帯域幅を改善する。ここで使用されるとき、MCMは、本開示の一部の実施形態に従って、単一の発熱コンポーネントとみなされ得る。一部の実施形態において、MCMは、基板から上に第1の高さを持つ第1のコンポーネントと、基板から上に異なる第2の高さを持つ第2のコンポーネントとを有する。例えば、MCMの基板に対して、第1のコンポーネントは第2のコンポーネントよりも高背である。従って、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとの両方に適用される従来からのヒートシンクは、MCMのこれら2つのコンポーネントの高さ及び/又はトポグラフィにおける差を補償する必要があることになる。他の例において、ヒートシンクとこれら2つのコンポーネントのうちの短い方との間に、熱伝達要素が配置され得る。材料間の各界面、及び熱インタフェース材料(TIM)の各層が、熱抵抗を増加させ、ひいては、熱マネジメントシステムの非効率さを増す。
【0061】
本開示に従った一部の実施形態において、基板上の異なる高さを持つMCM又は他の複数のコンポーネントのための液浸冷却システムは、熱マネジメントシステムの効率を低下させる中間インタフェースを制限及び/又は排除することができる。一部の実施形態において、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントが、それらの間に追加のTIMを有さずに液体冷却流体に沈められる。従って、液体冷却流体は、1つ以上のTIM層を用いる従来からの(1つ以上の)ヒートシンクよりも、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントの両方から熱を除去するためのいっそう効率的な熱経路を提供する。
【0062】
一部の実施形態では、第1のコンポーネントと第2のコンポーネントとが互いの近くに位置しており、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントの両方に、個別の従来からのヒートシンクを互いに干渉することなく配置することができない。一部の実施形態において、本開示に従った液浸冷却システムは、第1のコンポーネント及び第2のコンポーネントを液体冷却流体中に沈め、冷却流体がコンポーネントから熱を除去するためのヒートシンクとして機能する。さらに、第1及び第2のコンポーネントは、異なる条件で異なる量の熱を発することがあり、これらのコンポーネントに取り付けられるヒートシンクは、高い動作負荷下にあるコンポーネントを、その動作負荷は稀であるとしても、冷却するのに十分でなければならない。2相液浸冷却は、コンポーネントによって発せられる熱の量に適応する、より柔軟な冷却システムを提供することができる。
【0063】
一部の実施形態では、ボード上の全てのコンポーネントが、当該コンポーネントを安全動作温度範囲内に維持するために液浸冷却システムを必要とするわけではない。一部の実施形態において、ボードはその上に位置する複数のコンポーネントを有し、該複数のコンポーネントのうちの少なくとも1つのコンポーネントを囲むようにボイラータンクがボード上に配置される。一部の実施形態において、ボイラータンクは、タンクボリュームを画成するタンク長さ、タンク幅、及びタンク高さを持つ。タンク長さとタンク幅とでタンク面積を画成する。一部の実施形態において、ボードは、ボード面積を画成するボード長さ及びボード幅を持つ。一部の実施形態において、ボイラータンクに包囲された少なくとも1つのコンポーネントが基板上に構築される。一部の実施形態において、基板は、基板面積を画成する基板長さ及び基板幅を持つ。
【0064】
一部の実施形態において、タンク面積はボード面積及び/又は基板面積と同じである。一部の実施形態において、タンク面積はボード面積及び/又は基板面積より少なくとも10%小さい。例えば、タンク面積はボード面積及び/又は基板面積の90%未満である。一部の実施形態において、ボード及び/又は基板のコンポーネントのうちの少なくとも一部がボイラータンクの外側に配置されることを可能にするよう、タンク面積はボード面積及び/又は基板面積の75%未満である。
【0065】
一部の実施形態において、ボード上に位置するある発熱コンポーネントが基板上に配置されている。一部の実施形態において、タンク面積は、基板の基板面積より、50%を超えては大きくない。一部の実施形態において、タンク面積は基板面積に実質的に等しい。一部の実施形態において、タンク面積は基板面積よりも小さい。一部の実施形態において、コンポーネントが組み立てられる基板上のコンポーネントの周囲に従来通りに境界が存在するので、タンク面積は基板面積の90%未満である。一部の実施形態において、ボード及び/又は基板は、当該ボード及び/又は基板を別の構造物に接続することを可能にする穴を持つ。タンクは、ボード及び/又は基板の穴へのアクセスを可能にするように配置されるので、タンク面積はボード面積及び/又は基板面積よりも小さくなり得る。
【0066】
一部の実施形態において、ボード及び/又は基板の少なくとも一部がボイラータンクの壁を形成する。一部の実施形態において、ボード及び/又は基板の少なくとも一部がボイラータンクと一体であり、ボイラータンク内に冷却流体を保持する。一部の実施形態において、上にボイラータンクが置かれるボード及び/又は基板は、その上に位置付けられたOリングを有し、それが、ボード及び/又は基板とボイラータンクとの間の液密シールを容易にする。一部の実施形態において、Oリングは、ボード及び/又は基板の外縁の少なくとも一部に従う。一部の実施形態において、Oリングは、ボード及び/又は基板の外縁全体に従う。
【0067】
本開示の一部の実施形態に従ったボイラータンクは、蒸気冷却流体を液相へと凝縮させてボイラータンクから熱を除去する冷却メカニズムを含む。一部の実施形態において、ボイラータンクは凝縮器を含み、あるいは凝縮器と流体連通している。一部の実施形態において、凝縮器は液冷凝縮器であり、当該凝縮器を通して第2の流体(例えば、水)を循環させ、凝縮器から熱を伝達するとともに冷却流体を冷却する。一部の実施形態において、凝縮器は、冷却流体を冷却及び凝縮させる例えばペルチェ冷却器などの固体冷却器である。
【0068】
一部の実施形態において、凝縮器はボイラータンク内に配置される。一部の実施形態において、凝縮器はボイラータンクの外側に配置され、蒸気冷却流体を冷却及び凝縮させるようにボイラータンクの浸漬チャンバと流体連通している。一部の実施形態において、凝縮器はボイラータンクの外側に配置され、蒸気冷却流体を冷却及び凝縮させるようにボイラータンクの表面を冷却する。
【0069】
一部の実施形態において、複数のボイラータンクが単一の凝縮器と流体連通する。例えば、凝縮器は、単一のボード上の複数のボイラータンクに接続され、それらと流体連通し得る。一部の実施形態において、凝縮器は、複数の異なるボード上の複数のボイラータンクに接続され、それらと流体連通し得る。
【0070】
一部の実施形態において、ボード及び/又は基板は、その上に位置する複数のボイラータンクを有する。それらボイラータンクは、例えば、第1のボイラータンクがMCMを覆ってそれに液浸冷却を提供するとともに第2のボイラータンクがネットワークスイッチを覆ってそれに液浸冷却を提供するなど、ボード及び/又は基板の異なるコンポーネントに液浸冷却を提供するように配置される。一部の実施形態において、該複数のボイラータンクは、該複数のボイラータンクのボイラータンク間で冷却流体を共有する。一部の実施形態において、該複数のボイラータンクの各ボイラータンクが、別のボイラータンクと混ざり合わない専用の冷却流体を有する。
【0071】
一部の実施形態において、上に複数のボイラータンクがあるボード及び/又は基板は、ボード面積及び/又は基板面積に対して、ある総タンク面積を持つ。総タンク面積は、複数のボイラータンクの各ボイラータンクのタンク面積の合計である。ボード上に2つのボイラータンクを有するコンピューティング装置は、各ボイラータンクがボード面積の10%のタンク面積を持つ場合に、ボード面積の30%の総タンク面積を持つ。上に2つのボイラータンクを有する基板上に組み立てられたMCMは、第1のボイラータンクが基板面積の50%の第1のタンク面積を持ち、第2のボイラータンクが基板面積の20%の第2のタンク面積を持つ場合に、基板面積の70%の総タンク面積を持つ。
【0072】
一部の実施形態において、総タンク面積はボード面積及び/又は基板面積と同じである。一部の実施形態において、総タンク面積はボード面積及び/又は基板面積より少なくとも10%小さい。例えば、総タンク面積はボード面積及び/又は基板面積の90%未満である。一部の実施形態において、ボード及び/又は基板のコンポーネントのうちの少なくとも一部が複数のボイラータンクの外側に配置されることを可能にするように、総タンク面積はボード面積及び/又は基板面積の75%未満である。
【0073】
ここで説明するように、本開示に従った液浸冷却システムの一部の実施形態は、例えば液体冷却又は固体冷却などの能動冷却を有する凝縮器を含む。一部の実施形態において、液浸冷却システム、又は液浸冷却システムのボイラータンクは、大気冷却を用いて冷却流体からの熱を放散する。一部の実施形態において、液体冷却流体は、異なる又は様々なトポグラフィを持つ発熱コンポーネントからの効率的な熱伝達を提供することができ、その一方で、冷却流体それ自体は、大気冷却によって冷却されるフィン、ヒートパイプ、蒸気チャンバ、ヒートシンク、又は他の受動冷却装置に熱を伝達する。
【0074】
一部の実施形態において、液浸冷却システムのボイラータンクは、それに取り付けられた受動冷却装置を有する。一部の実施形態において、受動冷却装置は、ボイラータンクからの熱を伝導するため、及び周囲空気に曝露される表面積を増やしてボイラータンクからの熱を除去するためのヒートフィンを含む。一部の実施形態において、受動冷却装置は、ボイラータンクから別の領域に熱を放散及び/又は伝導するため、又は周囲空気に曝露される表面積を増やしてボイラータンクから熱を除去するためのヒートパイプ又は蒸気チャンバを含む。一部の実施形態において、受動冷却装置は能動冷却装置と連動して使用され、あるいは能動冷却装置に追加して使用される。
【0075】
一部の実施形態において、沸騰する冷却流体及びそれに伴うボイラータンク内の蒸気の増加が、ボイラータンク内の蒸気圧が上昇させる。凝縮器又は他の冷却装置が蒸気を冷却して気相を液相に凝縮させ戻すとき、ボイラータンクは、破裂することなく、上昇した蒸気圧に耐える必要があるとし得る。一部の実施形態において、ボイラータンクは少なくとも2.0気圧の内部蒸気圧に耐えることができる。一部の実施形態において、ボイラータンクは少なくとも3.0気圧の内部蒸気圧に耐えることができる。一部の実施形態において、ボイラータンクは少なくとも4.0気圧の内部蒸気圧に耐えることができる。
【0076】
沸騰を促進するとともに沸騰表面への冷却流体の戻りを容易にするために、本開示に従ったボイラータンクの一部の実施形態は、浸漬チャンバ内のボイラータンク内に配置された毛管作用構造又は沸騰促進構造を含む。一部の実施形態において、毛管作用構造は、沸騰効率を高めるとともに毛細管作用を用いて流体を沸騰表面に駆動し戻すことができる例えば焼結銅粉末又はワイヤメッシュなどの開いた格子構造を含む。一部の実施形態において、表面エッチング又は沸騰促進コーティングを沸騰表面に適用して、沸騰効率を高める核形成サイトを作り出すことができる。
【0077】
本開示の少なくとも一部の実施形態において、コンピューティング装置の発熱コンポーネント又はボードの一部に適用されるボイラータンクを用いる液浸冷却システムは、大きい浸漬タンクに伴うコスト及びインフラ制限を削減するための、狙いを定めた高効率冷却を提供する。本開示に従った液浸冷却システムは、従来システムに対してモジュール性を向上させ、コストを低減させることができる。
【0078】
本開示は、少なくとも以下の項にて提供される例に従って、高発熱コンポーネントの熱マネジメントを改善するシステム及び方法に関する。
1. 熱マネジメントを有するコンピュータシステムであって、
長さ、幅、及び高さを持つボイラータンクと、
前記ボイラータンク内の基板上の第1のコンピュータコンポーネントと、
前記ボイラータンク内に位置して前記第1のコンピュータコンポーネントを覆っている冷却流体と、
を有し、
前記ボイラータンクの前記長さと前記幅は、基板面積より50%を超えては大きくないタンク面積を画成する、
システム。
2. 前記ボイラータンク内の前記基板上の第2のコンピュータコンポーネント、を更に有する項1のシステム。
3. 前記第1のコンピュータコンポーネント及び前記第2のコンピュータコンポーネントは、マルチチップモジュールの一部である、項2のシステム。
4. 前記第1のコンピュータコンポーネント及び前記第2のコンピュータコンポーネントは、前記基板の表面から上に異なる高さである、項2又は3のシステム。
5. 前記タンク面積は前記基板面積に実質的に等しい、項1乃至4のいずれかのシステム。
6. 液相の前記冷却流体の外側で前記ボイラータンク内に位置する凝縮器、を更に有する項1乃至5のいずれかのシステム。
7. 前記ボイラータンクの外側に位置して前記ボイラータンクと流体連通している外部凝縮器、を更に有する項1乃至6のいずれかのシステム。
8. 前記凝縮器は液冷凝縮器である、項6又は7のシステム。
9. 前記ボイラータンク内の核形成サイト、を更に有する項1乃至8のいずれかのシステム。
10. 気相の前記冷却流体内で前記ボイラータンク内に位置する毛管作用構造、を更に有する項1乃至9のいずれかのシステム。
11. 前記冷却流体は、間に熱インタフェース材料を介さずに、前記第1のコンピュータコンポーネント及び第2のコンピュータコンポーネントと直接接触する、項1乃至10のいずれかのシステム。
12. 前記ボイラータンクに結合された大気ヒートシンク、を更に有する項1乃至11のいずれかのシステム。
13. 前記ボイラータンクは少なくとも2.0気圧の蒸気圧に耐えることができる、項1乃至12のいずれかのシステム。
14. 前記基板は、前記ボイラータンクの底の少なくとも一部である、項1乃至13のいずれかのシステム。
15. 熱マネジメントを有するサーバコンピュータシステムであって、
上に複数のコンピュータコンポーネントを有するサーバボードと、
前記複数のコンピュータコンポーネントのうち少なくとも1つのコンピュータコンポーネントを囲む第1のボイラータンクと、
前記ボイラータンク内に位置して前記複数のコンピュータコンポーネントのうち前記少なくとも1つのコンピュータコンポーネントを覆う冷却流体と、
を有し、
総ボイラー面積が、前記サーバボードのボード面積の90%以下である、
システム。
【0079】
冠詞“a”、“an”、及び“the”は、前述の説明中の要素が1つ以上あることを意味することを意図している。用語“有する”、“含む”、及び“持つ”は、包含的であって、列挙される要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味することを意図している。また、理解されるべきことには、本開示の“一実施形態”又は“ある実施形態”への言及は、記載されるフィーチャをやはり組み込む更なる実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図していない。例えば、ここではある実施形態に関連して記載された要素が、ここに記載されたいずれか他の実施形態の要素と組み合わせ可能であることがある。ここで述べられた数値、割合、比率、又は他の値は、その値を含むとともに、本開示の実施形態が包含する当業者によって理解されるような“約”又は“略”記載の値である他の値も含むことを意図している。従って、記載の値は、所望の機能を果たしたり所望の結果を達成したりするのに十分なだけ記載の値に近い値を含むように、十分に広く解釈されるべきである。記載の値は少なくとも、適切な製造又は生産プロセスで期待されるバラつきを含み、記載の値の5%以内、1%以内、0.1%以内、又は0.01%以内の値を含み得る。
【0080】
本開示に鑑みて当業者が悟ることには、均等な構成は本開示の精神及び範囲から逸脱するものでなく、また、ここに開示された実施形態には、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変形、代替、及び改変が為され得る。機能的な“ミーンズ・プラス・ファンクション”節を含め、均等な構成は、同じようにして動作する構造的に均等なものと、同じ機能を提供する均等な構造との両方を含め、記載される機能を実行するものとしてここに記載された構造をカバーすることを意図している。出願人の明示的な意図は、用語“のための手段”が関連する機能と共に現れるものを除き、如何なるクレームについてもミーンズ・プラス・ファンクション又は他の機能的主張を発動しないことである。請求項の意味及び範囲内に入る実施形態への追加、削除、及び変更は各々、請求項に包含されるものである。
【0081】
理解されるべきことには、以上の説明におけるいずれの方向又は基準フレームも単に相対的な方向又は動きである。例えば、“前”と“後ろ”、又は“頂部”と“底部”、又は“左”と“右”への如何なる言及も、関係する要素の相対的な位置又は動きを記述するものに過ぎない。
【0082】
本開示は、その精神又は特徴から逸脱することなく他の具体的形態で具体化され得る。記載された実施形態は限定的ではなく例示的なものであると考えられるべきである。従って、開示の範囲は、以上の説明によってではなく、添付の請求項によって示される。請求項の意味及び均等性の範囲に入る変形は、請求項の範囲に包含されるべきである。
【国際調査報告】