(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】フォトニック集積回路
(51)【国際特許分類】
H01L 27/144 20060101AFI20230719BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20230719BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20230719BHJP
H01L 31/08 20060101ALI20230719BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20230719BHJP
G02F 1/01 20060101ALN20230719BHJP
【FI】
H01L27/144 K
H01L31/02 D
H01L31/02 E
H01L31/08 Z
H01L27/146 A
H01L27/146 D
G02F1/01 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577233
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 US2021037422
(87)【国際公開番号】W WO2021257557
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521552936
【氏名又は名称】プサイクォンタム,コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】カミネリ,ヴィマル クマール
(72)【発明者】
【氏名】スタファローニ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ナジャフィ,ファラズ
(72)【発明者】
【氏名】メルニチュク,アン
(72)【発明者】
【氏名】コーヴァル,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】リアン,ヤング
【テーマコード(参考)】
2K102
4M118
5F149
【Fターム(参考)】
2K102AA28
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(57)【要約】
装置は、基板、基板上の誘電体層、誘電体層内の導波路、および導波路に光学的に結合された光検出器を含む。光検出器は、導波路層の上方に配置され、基板とモノリシックに一体化される。光検出器は、約50K未満または約20Kなどの低温で動作するように構成される。いくつかの実施形態において、モノリシックフォトニック装置は、熱分離構造および光分離構造を含む。熱分離構造および光分離構造を含むモノリシックフォトニック装置を製造するための技術も説明される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の誘電体層と、
前記誘電体層内の導波路と、
前記導波路の上方に配置され、前記基板とモノリシックに一体化された光検出器であって、前記導波路に光学的に結合され、50K未満の温度で動作するように構成されている前記光検出器と
を備える装置。
【請求項2】
前記導波路に近接して配置され、前記導波路の一部を熱的に調整するように構成されたヒータをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記導波路及び前記ヒータが、単一光子発生器、リング発振器、光学フィルタ、光スイッチ、または光干渉計を形成する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ヒータを取り囲む熱分離構造であって、前記誘電体層におけるトレンチおよび前記基板におけるアンダーカットを含む前記熱分離構造をさらに備える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記アンダーカットが、前記基板内で水平に延び、前記導波路の前記一部の下にある、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記トレンチおよび前記アンダーカットが真空領域を形成する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記基板と熱的に接触するように配置された冷却構造をさらに備え、前記アンダーカットが前記ヒータと前記冷却構造との間に配置される、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記基板または前記誘電体層の少なくとも一方に複数の光分離構造をさらに備え、前記複数の光分離構造が、前記導波路を介して以外で前記光検出器に光子が到達することを防止するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の光分離構造が、
部分的に前記基板内に延びる、前記誘電体層内の金属トレンチと、
前記誘電体層内の金属トレンチと、
前記誘電体層内の金属ビアのアレイと、
前記誘電体層内および前記光検出器上部の金属カバーと、
前記基板内の深部トレンチであって、前記深部トレンチがエアギャップを含む、または前記深部トレンチが反射性または吸収性の材料で充填されている、前記深部トレンチのうちの少なくとも1つを含む、請求項8の装置。
【請求項10】
前記金属カバーが、金属層内にあり、前記金属トレンチまたは前記金属ビアのアレイと位置合わせまたは結合されて、前記光検出器を囲む連続した構造を形成する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記導波路が入力ポートを含み、
前記金属トレンチまたは前記金属ビアのアレイが、前記入力ポートを含む領域に配置される、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記光検出器が超伝導ナノワイヤ単一光子検出器を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記誘電体層が酸化物層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
ウェハを受けるステップであって、前記ウェハが、
基板と、
前記基板上の誘電体層と、
前記誘電体層に形成された導波路と、
前記誘電体層内にあり、前記導波路に結合された光検出器と
を含む、ステップと、
前記基板の第1の部分を露出させるために前記誘電体層内の第1のビアのセットまたは第1のトレンチをエッチングするステップであって、前記第1のビアのセットまたは前記第1のトレンチが前記光検出器を囲む、ステップと、
前記第1のビアのセットまたは前記第1のトレンチを介して、前記基板内の第2のビアのセットまたは第2のトレンチを形成するために前記基板をエッチングするステップと、
前記第1のビアのセットまたは前記第1のトレンチ、および前記第2のビアのセットまたは前記第2のトレンチを光反射性または光吸収性材料で充填するステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記ウェハは、前記誘電体層に形成され、前記導波路の一部を熱的に調整するように構成された加熱構造をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基板の第2の部分を露出させるために前記誘電体層内の第3のビアのセットまたは第3のトレンチをエッチングするステップであって、前記第3のビアのセットまたは前記第3のトレンチが前記加熱構造を囲む、ステップと、
前記第3のビアのセットまたは前記第3のトレンチを介して、前記基板内にアンダーカットを形成するため前記基板をエッチングするステップであって、前記アンダーカットが前記基板の前記第2の部分の下に位置する、ステップと、
前記第3のビアのセットまたは前記第3のトレンチおよび前記アンダーカットを封止するために前記誘電体層上に酸化物層を堆積するステップと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記加熱構造用のコンタクトホールを形成するために前記誘電体層をエッチングするステップと、
前記加熱構造用の電気的コンタクトを形成するために前記コンタクトホールを導電性材料で充填するステップと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記充填するステップの前に、前記第2のビアのセットまたは前記第2のトレンチに酸化物ライナー層を形成するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記酸化物ライナー層上にバリアおよびシード層を堆積するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記誘電体層上および前記光検出器の上部に上部金属カバーを形成するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記上部金属カバーが金属1層にある、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記光検出器用のコンタクトホールを形成するために前記誘電体層をエッチングするステップと、
前記光検出器用の電気的コンタクトを形成するために前記コンタクトホールを導電性材料で充填するステップと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記コンタクトホールを充填するステップは、前記コンタクトホールの側壁にライナー層を堆積するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ライナー層がタングステン、炭化タングステン、または窒化タングステンを含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
他のアプリケーションとの相互参照
[0001]本出願は、2020年6月16日に出願された「フォトニック集積回路」についての米国仮特許出願第63/039,840号に対する優先権を主張し、これは、すべての目的のために参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0001]フォトニック量子コンピューティングシステムにおけるフォトニック集積回路などのフォトニック集積回路は、導波路、カプラ、光子発生器、フィルタ、スイッチ、検出器、干渉計、遅延線などの様々な集積光学コンポーネントを含み得る。異なるタイプの集積光学コンポーネントを単一のチップに集積することは、これらの集積光学コンポーネントの製造に使用されるプロセスと材料が異なるため、困難な場合があり得る。
【0003】
[0002]異なるタイプの集積光学コンポーネントを単一チップ上に集積することは、例えば、迷光または発熱コンポーネントから他のコンポーネントへの熱放散によって引き起こされるノイズのために、フォトニック集積回路の性能にも悪影響を及ぼし得る。例えば、単一光子検出器などの高感度の光検出器は、量子暗号や量子コンピューティングなどの多くの光量子技術で使用され得る。これらの光検出器は感度が高いため、直接的または間接的な経路を介して光検出器に到達し得る望ましくない周囲光や迷光などのノイズの影響を非常に受けやすいことがあり得る。フィルタを調整するためのサーマルチューナなどの特定の熱光学コンポーネントは、ヒータを使用してもよい。ヒータによって生成された熱は、フォトニック集積回路の他の領域に放散される可能性があり、熱光学コンポーネントの効率を低下させ、および/または極低温などの低温で動作する必要がある他のコンポーネントの温度を上昇させ得る。
【発明の概要】
【0004】
[0003]本開示は、一般にフォトニック集積回路に関する。より具体的には、本開示は、モノリシックフォトニック集積回路上に異なるタイプのコンポーネントを集積させるための技術に関する。モノリシックフォトニック集積回路には、光および/または熱分離構造が含まれる。例えば、モノリシックフォトニック集積回路は、高感度および高信号対雑音比(SNR)を達成するために、フォトニック集積回路(PIC)内の高感度光検出器(例えば、超伝導ナノワイヤ単一光子検出器)に背景光が到達するのを防ぐための光分離構造を含み得る。モノリシックフォトニック集積回路は、いくつかの熱光学デバイスからフォトニック集積回路の他の領域への熱放散を低減または防止するための熱分離構造も含み得る。光および/または熱分離構造を有するモノリシックフォトニック集積回路は、半導体処理技術の組み合わせを使用して製造され得る。本明細書には、方法、プロセス、システム、装置などを含む様々な発明実施形態が記載される。
【0005】
[0004]特定の実施形態によれば、フォトニック集積回路は、光量子コンピューティング用のフォトニック集積回路を含み得る。フォトニック集積回路は、導波路、カプラ、光子発生器、フィルタ、スイッチ、検出器、干渉計、遅延線など、異なるタイプの集積光学コンポーネントの様々な組み合わせを含み得る。例えば、フォトニック集積回路は、個々の光子を生成するための単一光子発生器、熱光学装置または他のチューナによって調整または制御され得るフィルタおよびスイッチ、ならびに個々の光子を検出するための単一光子検出器を含み得る。異なるタイプの集積光学コンポーネントは、異なる温度で動作し得る。例えば、単一光子検出器は、低温で動作し得る超伝導ナノワイヤ単一光子検出器を含み得るが、一方、熱光学装置は、はるかに高い温度で動作し得る。
【0006】
[0005]特定の実施形態によれば、フォトニック集積回路は、周囲光または迷光が光検出器に直接的または間接的に到達するのを防止するために、CMOSバックエンドオブライン(BEOL:back end of line)プロセスを使用して製造された分離構造を含み得る。分離構造は、例えば、金属層、ビアのアレイ、エアギャップ、反射性または吸収性材料で満たされたトレンチなどを含み得る。分離構造は、光源またはフォトニック集積回路のいずれかからの散乱、反射、拡散、またはその他の方法で漏れた光が部分的または完全に遮断され、それによって光検出器に到達するのを防ぐように、フォトニック集積回路および光検出器の入力ポートおよび出力ポートを含む異なる位置で、光検出器および/または導波路にローカルおよび/またはグローバル分離を提供し得る。
【0007】
[0006]本明細書に開示されるシステム、装置、および方法は、望ましくない光が高感度光検出器に到達するのを防ぐことによって、光検出器の信号対雑音比を改善することができる。そのように、光検出器は、高感度を達成してもよく、最小のデッドタイムを有し得る。分離構造は、標準のCMOSバックエンドオブライン(BEOL)プロセスまたはCMOS互換のBEOLプロセスを使用して製造し得る。一部の分離はローカル分離であってもよく、スタックアップに追加のグローバル層や材料が必要ないため、回路や装置に追加の熱負荷を追加しなくてもよい。
【0008】
[0007]特定の実施形態によれば、フォトニック集積回路は、熱発生装置に隣接するトレンチおよび大きなアンダーカット領域などの熱分離構造を含み得る。熱分離構造は、CMOSやフォトリソグラフィ、ウェット/ドライエッチングなどの他の半導体処理技術を使用して製造し得る。熱分離構造は、熱光学装置の効率を改善し、低温での動作を必要とし得る冷却領域の負担を軽減するために、局所的な領域に熱を保持し得る。
【0009】
[0008]本開示の態様は、例として例示される。非限定的かつ非網羅的な態様は、以下の図を参照して説明され、同様の参照番号は、別段の指定がない限り、様々な図を通し同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ある実施形態によるフォトニック集積回路(PIC)および高感度光検出器を含む光学装置の一例を示す簡略化されたブロック図である。
【
図2】
図2は、ある実施形態によるフォトニック集積回路の入力ポートおよび/または出力ポートにおける迷光分離の一例を示す。
【
図3】
図3は、ある実施形態による様々な分離構造を用いて光検出器を局所的に分離する一例を示す。
【
図4A】
図4A~
図4Dは、ある実施形態による光学装置において、様々な分離構造を用いて光検出器を局所的に分離する別の例を示す。
図4Aは、光検出器と光分離構造とを含む光学装置の断面図である。
【
図5】
図5は、ある実施形態によるフォトニック集積回路における様々な光分離構造の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、ある実施形態によるラインプロセスのフロントエンドを使用して製造された光検出器を含むフォトニック集積回路の一例の断面図である。
【
図7】
図7は、ある実施形態によるラインプロセスのバックエンドを使用して酸化物層にエッチングされたビアまたはトレンチを有するフォトニック集積回路の一例の断面図である。
【
図8】
図8は、ある実施形態による反射性または吸収性材料(例えば、金属)で満たされた酸化物層にエッチングされたビアまたはトレンチを有するフォトニック集積回路の一例の断面図である。
【
図9】
図9は、ある実施形態による光検出器を局所的に分離するための金属層上に製造された金属カバーを備えたフォトニック集積回路の一例の断面図である。
【
図10】
図10は、ある実施形態による追加のBEOLプロセス後のフォトニック集積回路の一例の断面図である。
【
図11】
図11は、ある実施形態によるフォトニック集積回路の基板にエッチングされた深部トレンチを含むフォトニック集積回路の一例の断面図である。
【
図12】
図12は、ある実施形態によるフォトニック集積回路の基板内に反射性または吸収性材料で満たされた深部トレンチを含むフォトニック集積回路の一例の断面図である。
【
図13】
図13は、ある実施形態によるフォトニック集積回路における様々な分離構造による光分離を示すフォトニック集積回路の一例の断面図である。
【
図14】
図14は、ある実施形態によるフォトニック集積回路の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、ある実施形態によるベースPICのタイプの一例を示す。
【
図16】
図16は、ある実施形態による三層リソグラフィプロセスにおいて使用するために堆積することができる追加の層の例を示す。
【
図17】
図17は、ある実施形態によるエッチングされたPIC構造の一例を示す。
【
図18】
図18は、ある実施形態によるエッチングされたPIC上の酸化物層の一例を示す。
【
図19】
図19は、ある実施形態による熱分離領域にトレンチ構造を形成するエッチングプロセスの一例を示す。
【
図20】
図20は、ある実施形態によるアンダーカット構造を形成するエッチングプロセスの一例を示す。
【
図21】
図21は、ある実施形態によるアンダーカット構造の一例を示す。
【
図22】
図22は、ある実施形態によるトレンチ構造及びアンダーカット構造を封止する酸化物層を形成するプロセスの一例を示す。
【
図23】
図23は、特定の実施形態による三層リソグラフィプロセスにおいて使用するために堆積することができる追加の層の例を示す。
【
図24】
図24は、ある実施形態による電気的コンタクトを形成するためのコンタクトホールの例を示す。
【
図25】
図25は、ある実施形態による三層リソグラフィプロセスにおいて使用するために堆積することができる追加の層の例を示す。
【
図26】
図26は、ある実施形態による光検出器用の電気的コンタクトを形成するためのコンタクトホールの例を示す。
【
図27】
図27は、ある実施形態によるフォトニック集積回路用の電気的コンタクトの例を示す。
【
図28】
図28は、ある実施形態による散乱緩和構造の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0037]本明細書で開示される技術は、一般にフォトニック集積回路に関する。より具体的には、本開示は、モノリシックフォトニック集積回路上に異なるタイプのコンポーネントを集積するための技術に関する。モノリシックフォトニック集積回路は、光および/または熱分離構造を含む。本明細書には、方法、プロセス、システム、装置などを含む様々な発明実施形態が記載される。
【0012】
[0038]特定の実施形態によれば、フォトニック集積回路は、導波路、カプラ、光子発生器、フィルタ、スイッチ、検出器、干渉計、遅延線など、異なるタイプの集積光学コンポーネントの様々な組み合わせを含み得る。例えば、フォトニック集積回路は、光量子コンピューティングのためのフォトニック集積回路を含んでもよく、個々の光子を生成するための単一光子発生器、熱光学デバイスまたは他のチューナによって調整または制御され得るフィルタおよびスイッチ、ならびに個々の光子を検出するための単一光子検出器を含み得る。異なるタイプの集積光学コンポーネントは、異なる温度で動作し得る。例えば、単一光子検出器は、低温で動作し得る超伝導ナノワイヤ単一光子検出器を含み得るが、一方、熱光学装置は、はるかに高い温度で動作し得る。
【0013】
[0039]モノリシックフォトニック集積回路は、高感度および高信号対雑音比(SNR)を達成するために、フォトニック集積回路(PIC)内の背景光が高感度光検出器(例えば、単一光子検出器)に到達するのを防止するための光分離構造を含み得る。モノリシックフォトニック集積回路はまた、ある熱光学装置からフォトニック集積回路の他の領域への熱放散を低減または防止するための熱分離構造も含み得る。光および/または熱分離構造を有するモノリシックフォトニック集積回路は、半導体処理技術の組み合わせを使用して製造されてもよい。
【0014】
[0040]多くのフォトニック量子技術で使用されている単一光子検出器(例えば、超伝導ナノワイヤSPD(SNSPD)などの高光感度の光検出器は、多くの種類の光放射に非常に敏感であり得る。多くの場合、高感度の光検出器は、システム内の迷光やシステムに入る周囲光を含む背景光によって引き起こされるノイズなど、さまざまなノイズ源のために、本来達成できる感度またはSNRを達成し得ない。本明細書に開示される技術は、高感度および高い信号対雑音比を達成するために、フォトニック集積回路内の高感度光検出器(例えば、超伝導ナノワイヤ単一光子検出器)に到達する望ましくない背景光(迷光または周囲光など)を低減または防止することができる。
【0015】
[0041]特定の実施形態によれば、光検出器の感度およびSNRを改善するために、光検出器(例えば、SNSPD)は、光検出器を取り囲む反射または吸収構造を使用して、背景放射(例えば、周囲光または迷光)から光学的に分離され得る。いくつかの実施形態では、追加の分離構造は、光検出器の領域に到達し得る迷走光子の数を減少させるために、背景光が光検出器に到達する前に伝播し得るPIC内の任意の他の位置に追加され得る。例えば、フォトニック集積回路における背景光または迷光の主な光源の1つは、PIC(例えば、導波路)へ、またはPIC(例えば、導波路)からの光の不完全な結合のためにPICへの光入力および/または光出力ポート(例えば、入力または出力導波路カプラ)で反射、散乱、または拡散される光であるため、迷光がPIC内部に入るのを防ぐために光入力および/または光出力ポートで分離構造を使用してもよい。そのため、迷光または周囲光が導波路に入ったり、光検出器の領域に到達したりする確率が大幅に低減され得る。さらに、光検出器が配置されている領域に背景光が到達したとしても、光検出器を取り囲む局所的な分離構造により、背景光が光検出器により検出されないよう遮られ得る。様々な実施形態において、光分離構造は、標準的なCMOSバックエンドオブライン(BEOL)プロセスまたは他のCMOS互換製造プロセスを用いて製造され得る
【0016】
[0042]ある実施形態によれば、フォトニック集積回路は、光学フィルタ、光スイッチ、光干渉計など、いくつかの集積光学コンポーネントを調整するためのヒータを含み得る。フォトニック集積回路はまた、ヒータに隣接するトレンチおよび大きなアンダーカット領域などの熱分離構造を含み得る。熱分離構造は、熱光学装置の効率を改善し、SNSPDなど低温で動作する必要がある装置を含む冷却領域の負担を軽減するために、局所的な領域に熱を保持し得る。熱分離構造はまた、CMOSまたはフォトリソグラフィやウェット/ドライエッチングなどの他の半導体処理技術を使用して製造され得る。
【0017】
[0043]いくつかの例示的な実施形態を、本明細書の一部を形成する添付図面に関して説明する。以下の説明は実施形態のみを提供し、開示の範囲、適用性、または構成を制限することを意図するものではない。むしろ、以下の実施形態の説明は、当業者に1つ以上の実施形態を実施するための有効な説明を提供するであろう。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置において様々な変更がなされ得ることが理解される。以下の説明では、説明の目的で、特定の発明実施形態の完全な理解を提供するために具体的な詳細が述べられている。しかしながら、様々な実施形態がこれらの特定の詳細なしに実施され得ることは明らかであろう。図および説明は、制限を意図したものではない。本明細書において、「例」または「例示的」という言葉は、「例、実例、または例証として役立つ」ことを意味するために使用される。本明細書において「例示的」または「例」として記載される任意の実施形態または設計は、必ずしも他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。
【0018】
[0044]
図1は、ある実施形態によるフォトニック集積回路(PIC)120および高感度光検出器130を含む光学装置100の一例を示す簡略ブロック図である。PIC120は、導波路および他の能動的または受動的光コンポーネント、例えばフィルタ、共振器、スプリッタ、光増幅器などによって形成されるフォトニック回路を含み得る。光学装置は、レーザ110などの光源を含んでもよく、これは、超高速(例えば、ピコ秒またはフェムト秒)パルスレーザであってもよい。いくつかの実施形態では、光源は外部光源であってもよく、例えば1つ以上の光ファイバを介してPIC120に接続されてもよい。光源からの光は、格子カプラ、エッジカプラなどのカプラを介してPIC120内の導波路に結合され得る。しかしながら、非常に高い結合効率を達成することは困難であり得る。例えば、多くの場合、結合効率は、90%未満、75%未満、60%未満、または50%未満であり得る。したがって、光源からの大量の光は、PIC120内の導波路に入射せず、代わりに反射、散乱、または拡散して迷光140となり得る。迷光140は、金属層、異種材料間の界面など、光学装置100内の構造またはコンポーネントによって反射、屈折、回折、またはそうでなければ偏向され得る。したがって、迷光140の一部は、最終的に光検出器130に到達し得る。加えて、PIC120の一部は、所望の経路から光を漏らし得る。例えば、光は、光検出器130に到達するためにフォトニック回路内に導かれる代わりに、例えば、導波路が急旋回を有するとき、または導波路もしくは他のフォトニック回路に欠陥がある場合に、導波路から結合され得る。フォトニック回路から漏れた光は迷光150になり得、これはまた、少なくとも部分的に光検出器130に偏向され得る。いくつかの実施形態では、周囲光はまた、例えば、酸化物層を通してPIC120に入り得る、および/または金属層によって反射され得る。
【0019】
[0045]光検出器130は、単一の光子検出器などの高感度光検出器であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、光検出器130は、個々の光子を検出できる超伝導ナノワイヤ単一光子検出器を含み得る。一実施形態では、光検出器130は、超伝導状態で超低抵抗を有し得るニオブ-ゲルマニウムナノワイヤなどの超伝導ナノワイヤに結合された導波路を含み得る。超伝導ナノワイヤは、光子を吸収するなど、感光性または光活性であり得る。例えば、導波路を通過する光子は、超伝導ナノワイヤによって吸収され、超伝導ナノワイヤを非超伝導(すなわち、抵抗またはインピーダンスを変化)させ得る。ナノワイヤにおける抵抗またはインピーダンス変化は、1つ以上の光子が検出されることを示す電気的検出信号(例えば、電流または電圧信号)に変換され得る。
【0020】
[0046]迷光140、150の少なくとも一部が光検出器130に到達すると、超伝導ナノワイヤの状態を変化させる可能性があり、光検出器130は、光子が導波路から超伝導ナノワイヤに到達しなくても、1つまたは複数の光子が検出されることを示す検出信号を生成し得る、または、検出信号の大きさが導波路から光検出器に到達する光子の数を正しく示さないことがあり得る。したがって、誤った検出信号または正しくない(例えば、ノイズの多い)検出信号が光検出器130によって生成され、これが光検出器130の有効感度またはSNRを低下させ得る。
【0021】
[0047]特定の実施形態によれば、迷光または周囲光が光検出器130に到達するのを遮断するために、光分離構造を光学装置100の異なる位置に追加してもよい。例えば、PIC120の入力ポートに分離構造160を追加してもよく、光検出器130を囲むように分離構造170を製造してもよく、分離構造180を、背景光がそうでなければ伝播し得る光学装置100内の任意の場所に追加してもよい。光分離構造およびそれらの製造プロセスのいくつかの実施形態の詳細は、以下の実施例に記載される。
【0022】
[0048]
図2は、ある実施形態によるフォトニック集積回路200の入力および/または出力ポートにおける迷光分離の一例を示す。
図2は、PIC200の断面図を示し、これは、基板205(例えば、シリコンハンドルウェハ)上に製造された導波路210を含み得る。PIC200はまた、導波路210のための入力ポート220および導波路210のための出力ポート230を含み得る。導波路210は、入力ポート220から、いくつかの感光性コンポーネントが配置され得るPIC200の内部に光を運んでもよく、または、出力ポート230を介してPIC200から光を導いてもよい。
【0023】
[0049]上述のように、入力ポート220または出力ポート230において、光は、導波路210の内外に完全に結合されない場合がある。入力光または出力光のかなりの部分は、導波路210以外の経路を通ってPIC200に入り得る。場合によっては、各レーザパルスにおいて、約1012個の光子が迷光としてPIC200に入り得る。これらの光子がPIC200の内部に到達するのを防ぐために、1つ以上の光分離構造が入力ポートおよび/または出力ポートで製造されてもよい。例えば、
図2に図示されるように、PIC200は、
図1に示される分離構造160として作用し得る1つ以上の金属トレンチ240および1つ以上の深部トレンチ260を含み得る。金属トレンチ240は、入射光子を遮断する(例えば、反射または吸収する)ために十分厚い金属層を含み得る。金属トレンチ240は、鏡のような障壁として作用してもよく、例えば、金属1(M1、導波路210の約1μm上にあり得る)から基板205(導波路210の下約2~3μmであり得る)まで延びて、導波路210のクラッド内を伝播し得る光がPIC200の内部に到達するのを遮断し得る。深部トレンチ260は、PIC200の基板205を通って延びてもよく、空であってもよく(すなわち、エアギャップ)、または、光子が導波路のクラッドに入らないように、基板205内を伝播し得る、または基板205から散乱され得る入射光子を少なくとも部分的に反射または吸収するために反射性または吸収性材料で満たされてもよい。
【0024】
[0050]ギャップ250は、導波路210が金属トレンチ240間のギャップを通過し得るように、隣接する金属トレンチ240間に存在し得る。ギャップ270は、導波路210がギャップ270において基板によって支持され得るように、隣接する深部トレンチ260の間に存在し得る。
図2に示されるように、ギャップ250およびギャップ270は、ギャップ250が入力ポート220からの迷走光子の視線内に存在しなくてもよく、したがって、入力ポート220からの迷走光子がギャップ250を通過せず、代わりに金属トレンチ240によって遮断され得るように、整列されず、互いに一定の距離だけオフセットされてもよい。
【0025】
[0051]
図3は、ある実施形態によるフォトニック集積回路300において様々な分離構造を用いて光検出器350を局所的に分離する一例を示す。PIC300は、基板305(例えば、シリコンハンドルウェハ)を含み得る。導波路310は、基板305上に形成されてもよく、ここで、導波路310は、方向を変えるための複数のターンを含み得る。上部金属カバー320、金属トレンチ330、および深部トレンチ340などの光分離構造は、導波路310および光検出器350を囲み分離するためにPIC300内で製造され得る。
図3に示す光分離構造は、
図1の分離構造170の具体的な実施形態であってもよく、城状構造と比較し得る分離構造を形成してもよい。
【0026】
[0052]
図3に図示されるように、導波路310は、PIC300内のフォトニック回路から光検出器350(例えば、SNSPD)に信号光を運んでもよく、ここで信号光が検出され得る。深部トレンチ260と同様に、深部トレンチ340は、基板305を完全に通過するエアギャップを含んでもよく、または反射性または吸収性の材料で満たされてもよい。いくつかの実施形態では、深部トレンチ340は、基板305を部分的に通過し得る。深部トレンチは、基板305内を伝播し得る、または基板305から散乱され得る光から光検出器350を分離し得る。金属トレンチ330は、金属トレンチ240に類似していてもよく、
図2に関して上述したように、M1から基板305まで延び得る鏡状の障壁を作成し得る。いくつかの実施形態では、金属トレンチ330は、光検出器350を中心とする複数のネストリングを含むことができ、ここで、内リングは、1つ以上の外リングによって囲まれ得る。各リングは、導波路310が通過し得る開口部を含み得る。各リングにおける開口部は、隣接するリングにおける開口部に対して異なる側(例えば、反対側または隣接する側)にあってもよい。金属トレンチ330は、導波路310のクラッド内を伝播し得る光が光検出器350に到達するのを遮断し得る。上部金属カバー320は、遮光構造の屋根として機能し得、これは、城状構造と比較してもよく、光検出器350およびPIC300の上部から光検出器350に到達するのを防止してもよい。
【0027】
[0053]
図4Aから
図4Dは、ある実施形態による光学装置400において、様々な分離構造を用いて光検出器470を局所的に分離する別の例を示す。
図4Aは、光検出器470および光検出器470を取り巻く光分離構造を含む光学装置400の断面図である。
図4Bは、
図4Aに示す光学装置400の斜視図である。光学装置400は、基板410(例えば、シリコンハンドルウェハ)、バリア酸化物(BOX)層420(例えば、二酸化ケイ素)、BOX層420の上に形成された導波路440、および導波路440を覆う低温酸化物(LTO)層430を含み得る。光学装置400はまた、金属1層上に形成され得るビア450および上部金属カバー460のアレイを含み得る。
【0028】
[0054]
図4Cは、
図4Aの光学装置400の上面図である。
図4Cは、背景光が上から光検出器470に到達し得ないように光検出器470を上から覆う上部金属カバー460を示しており、ここで、上部金属カバー460は金属1層の一部であり得る。
【0029】
[0055]
図4Dは、
図4Aの光学装置400の断面の上面図である。
図4Dは、ビア450のアレイおよび光検出器470の配置を示す。図示されるように、ビア450のアレイは、2次元アレイに配置されてもよく、ここで、1つの行(または列)内のビアは、ビアのアレイが効果的に壁を形成し得るように、隣接する行(または列)内のビアからオフセットされてもよい。光検出器470は、導波路440上の光活性ナノワイヤ480(例えば、ニオブ-ゲルマニウムナノワイヤ)を含み得る。
【0030】
[0056]
図5は、ある実施形態によるフォトニック集積回路における様々な光分離構造を製造する方法の一例を示すフローチャート500である。
図5では、順次フローでの操作を説明するが、一部の操作は並列または同時に実行してもよい。一部の操作は、異なる順序で実行され得る。操作には、図に含まれていない追加の手順が含まれ得る。一部の操作は任意であり得、したがって、様々な実施形態において省略されてもよい。一部の操作は、他の操作と一緒に実行され得る。
【0031】
[0057]任意選択で、ブロック510において、導波路層は、
図4Aおよび4Bに示されるBOX層420などのPICのバリア酸化物層上に形成され得る。導波路層は、例えばフォトリソグラフィ技術を用いてパターン化およびエッチングされ、導波路コアおよび/または入力/出力カプラを形成してもよい。ブロック520において、ニオブ-ゲルマニウム層などの光活性層が導波路層の上に堆積され得る。光活性層は、導波路コアの領域上にナノワイヤを形成するためにパターン化およびエッチングされてもよい。ブロック510およびブロック520における処理は、CMOSプロセスにおけるラインプロセスのフロントエンドの一部であり得る。
【0032】
[0058]
図6は、ある実施形態によるブロック510および520におけるラインプロセスのフロントエンドを使用して製造された光検出器を含むフォトニック集積回路600の一例の断面図である。PIC600は、基板610(例えば、シリコンハンドルウェハ)、基板610上に形成されたBOX層620、装置層上の様々な装置(例えば、光入力/出力カプラ640、導波路650、ならびに導波路660および光活性材料を含むナノワイヤ670を含む光検出器)と、装置層を覆う酸化物層630とを含み得る。光入力/出力カプラ640は、格子カプラを含み得る。酸化物層630およびBOX層620は、導波路650のクラッドとして作用し得る。一例では、酸化物層630は、約1μmの厚さを有し得る。
【0033】
[0059]ブロック530において、ビアまたはトレンチは、基板に至るまで酸化物層においてエッチングされ得る。例えば、酸化物層(例えば、LTO層およびBOX層)上にパターン化されたマスク層を形成してもよく、ウェットまたはドライエッチング技術を用いて、酸化物層におけるビア(ホール)またはトレンチをエッチングしてもよく、これは、例えば、3~4μmの総厚さを有し得る。
【0034】
[0060]
図7は、ある実施形態によるブロック530におけるバックエンドオブライン(BEOL)プロセスを使用して酸化物層にエッチングされたビアまたはトレンチ710を有するフォトニック集積回路700の一例の断面図である。PIC700は、PIC600から製造されてもよい。ビアまたはトレンチ710は、酸化物層630およびBOX層620を通って基板610までエッチングされ得る。
【0035】
[0061]ブロック540において、ビアまたはトレンチは、金属材料などの反射性または吸収性材料で満たされ得る。例えば、金属層は、酸化物層上に堆積され、1サイクル以上にわたって選択的にエッチングされて、ビアまたはトレンチ内に金属プラグを形成してもよい。
【0036】
[0062]
図8は、ある実施形態によるブロック540におけるBEOLプロセスを使用して、反射性または吸収性材料(例えば、銅、アルミニウム、コバルト、タングステンなどの金属)で満たされた酸化物層にエッチングされたビアまたはトレンチを有するフォトニック集積回路800の一例の断面図である。PIC800は、PIC700から製造されてもよく、ここで、ビアまたはトレンチ710は、金属プラグ810で満たされ得る。
【0037】
[0063]ブロック550において、標準的なCMOS BEOL処理技術を用いて、金属1層を酸化物層上に堆積させ、光検出器の上部の領域に上部金属カバーを残すために金属1層をエッチングしてもよい。上部金属カバーは、金属などの反射性または吸収性材料で満たされたビアまたはトレンチと位置合わせされ得る。したがって、上部金属カバーおよびビアまたはトレンチは、少なくとも3(例えば、上、左、および右)方向または5(例えば、上、左、右、前、および後)方向からの背景光を遮断し得る。
【0038】
[0064]
図9は、ある実施形態によるブロック550におけるBEOLプロセスを用いて光検出器を局所的に分離するための金属層の一部として製造された上部金属カバー910を備えたフォトニック集積回路900の一例の断面図である。PIC900は、PIC800から製造されてもよく、金属1層の一部として形成された追加の上部金属カバー910を含み得る。上部金属カバー910は、導波路660およびナノワイヤ670を含む光検出器の上方(例えば、上)に位置し得る。上部金属カバー910は、2次元断面図における上、左、および右方向からの光を遮断するために、ビアまたはトレンチ710において金属プラグ810と接触し得る。
【0039】
[0065]任意選択で、ブロック560において、例えば、追加の誘電体(例えば、酸化物)層および上部金属層(例えば、金属2、金属3など)を形成するために他のBEOLプロセスを実行してもよい。BEOLプロセスには、標準のCMOS BEOLプロセスが含まれ得る。
【0040】
[0066]
図10は、ある実施形態によるブロック560における追加のBEOL処理後のフォトニック集積回路1000の一例の断面図である。PIC1000は、PIC900から製造されてもよく、追加の金属層1010および金属層1020などの上位レベルの金属層を含み得る。
【0041】
[0067]ブロック570において、基板は、裏面から基板内に深部トレンチを形成するために裏側からエッチングされ得る。深部トレンチは、基板材料とエアギャップとの間の界面で基板内を伝播する光子を反射し得る。例えば、全内部反射は、光子が基板材料からエアギャップまでの界面に一定の角度で入射すると起こり得る。
【0042】
[0068]
図11は、ある実施形態によるブロック570におけるBEOLプロセスを用いてフォトニック集積回路の基板にエッチングされた深部トレンチ1110を含むフォトニック集積回路1100の一例の断面図である。PIC1100は、PIC1000から製造されてもよく、基板610内の深部トレンチ1110を含み得る。深部トレンチ1110は、金属プラグ810からオフセットされ得る。例えば、深部トレンチ1110は、光が基板610およびBOX層620の底面側から金属プラグ810を迂回して光検出器に到達するのを防ぐために、金属プラグ810よりも光検出器からわずかに離れていてもよい。
【0043】
[0069]任意選択で、ブロック580において、深部トレンチは、金属材料などの光を遮断し得る反射性または吸収性材料で満たされ得る。
【0044】
[0070]
図12は、ある実施形態によるブロック580でのプロセスを使用して反射性または吸収性材料を充填した基板内の深部トレンチを含むフォトニック集積回路1200の一例の断面図である。PIC1200は、PIC1100から製造されてもよく、深部トレンチ1110に充填された金属材料などの反射性または吸収性材料1210を含み得る。
【0045】
[0071]
図13は、ある実施形態によるフォトニック集積回路における様々な分離構造による光分離を示すフォトニック集積回路1200の断面図である。レーザからの光は、GRINレンズまたはマイクロレンズなどのコリメータを含み得る入力ファイバ1310を介してPIC1200に送られ得る。入力ファイバ1310からの入力光1320は、酸化物層を通って伝播し得、いくつかの実施形態では傾斜格子を含み得る光入力/出力カプラ640によってPIC1200内の導波路に部分的に結合され得る。
【0046】
[0072]光入力/出力カプラ640によって導波路に結合されない光は、様々な方向に散乱され得る。例えば、入力光1320の一部は、光1330として基板610とBOX層620との間の界面で反射され得、金属プラグ810の1つによって遮断され得る光1370として金属層1020によってさらに反射され得る。入力光1320の一部は、光1335として散乱され得、金属プラグ810に向かって伝播し、金属プラグによって遮断され得る。入力光1320の一部は、基板610の底面で散乱され得、散乱光1350の一部は、深部トレンチ1110内の反射性または吸収性材料1210によって遮断され得、散乱光1340の別の部分は、金属プラグ810によって遮断され得る。
【0047】
[0073]導波路650から散乱またはそうでなければ漏れた光1360もまた、金属プラグ810によって光検出器に到達するのを遮断され得る。上部から酸化物層に入り得る周囲光1380、または様々な金属層によって反射された迷光は、光検出器の上部にある上部金属カバー910によって遮断され得、したがって、光検出器にも到達しないことがあり得る。このようにして、導波路660に導かれた光子のみが光検出器に到達し得、したがって、周囲の雑音を大幅に低減または実質的に排除することができる。このように、高感度および高SNRが光検出器によって達成され得る。
【0048】
[0074]様々な実施形態において、CMOS処理で使用される他の誘電体層は、上述の1つ以上の酸化物層(例えば、二酸化ケイ素層)を置き換えるために使用され得る。例えば、誘電体層は、窒化ケイ素、ハロゲン化アルカリ、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化ジルコニウムなどを含み得る。
【0049】
[0075]上述の高感度光検出器は、量子コンピューティングまたは量子暗号において個々の光子を検出するために使用され得る。例えば、単一光子源は、多くのフォトニック量子技術において使用され得る。理想的な単一光子源は、決定論的に単一光子を生成する。決定論的な単一光子源を実現する1つの方法は、パッシブ非線形光学媒体において、例えば自発的四波混合(SFWM)または自発的パラメトリックダウンコンバージョン(SPDC)に基づくカスケード(または多重化)伝令付光子源を使用することである。各伝令付光子源(HPS)において、光子は、対(信号光子およびアイドラー光子を含む)で非決定論的に生成され得、ここで、一方の光子(例えば、信号光子)は、対内の他の光子(例えば、アイドラー光子)の存在を告げる。したがって、信号光子が1つの伝令付光子源において高感度光検出器(例えば、上記のような単一光子検出器)によって検出される場合、対応するアイドラー光子を単一光子源の出力として使用することができ、一方、単一光子源のカスケード(または多重化)伝令付光子源内の他の伝令付光子源は、バイパスまたはスイッチオフすることができる。
【0050】
[0076]
図14は、ある実施形態によるフォトニック集積回路の製造方法の一例を示すフローチャート1400である。より具体的には、
図14は、ベースフォトニック集積回路(PIC)上および内部に熱分離構造、散乱光緩和構造、光検出器、および金属コンタクトを形成するための集積フローの一例を示す。要素の他の組み合わせは、本開示の範囲から逸脱することなく可能である。例えば、本方法は、熱分離構造、または1つ以上の追加のフォトニック層に形成される追加のフォトニック構造などの他の構造を形成するためのステップを含まなくてもよい。
【0051】
[0077]ステップ1401において、ベースPICが提供される。このベースPICは、任意の集積回路構造とすることができ、したがって、ここに示す例は、本開示の範囲を限定することを意図しない。いくつかの実施形態では、ベースPICは、処理ステップの任意の前のシーケンス、例えば、シリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハなどを処理するためのシリコンフォトニクス処理ステップの出力として提供することができる。
【0052】
[0078]
図15には、ステップ1401において提供することができるベースPICの1つのタイプの例が示されている。ベースPICは、PICスタック1501を含み得る。PICスタック1501は、基板1524(例えば、シリコンハンドルウェハ)、第1の酸化物層1520、導波路層1521、およびスペーサ/保護キャップ層1522を含む多層フォトニック集積回路スタックを含む。いくつかの実施形態では、第2の酸化物層1518を導波路層1521とスペーサ/保護キャッピング層1522との間に配置することができる。導波路層1521は、1つ以上の入力カプラ領域1503、導波路領域1505、ヒータ領域1507、熱分離トレンチ領域1509、フォトニクススイッチ領域1511、光子検出器領域1513、光子検出器接触領域1515、および/または散乱緩和構造領域1517を含む様々なフォトニックコンポーネントを含むようにパターン化することができる。当業者は、ここに示す様々な領域およびコンポーネントの数、順序、および位置は単なる例示であり、本開示の範囲から逸脱することなく任意の配置が可能であることを理解するであろう。
【0053】
[0079]いくつかの実施形態では、入力カプラ領域1503は、格子カプラ1519などの任意のタイプのフォトニック入力/出力構造を含むことができる。フォトニック入力/出力構造は、Si層、SiN層、または集積フォトニクスに適した任意の他の材料などの導波路層1521に予め形成することができる。導波路領域1505は、1つ以上のフォトニック構造および/またはフォトニックコンポーネントの一部となり得る1つ以上の導波路1523を含むことができる。例えば、導波路層1521内で、入力/出力構造(格子カプラなど)、光ルーティング構造(直線線形導波路および導波路ベンドなど)、光生成構造(結合マイクロリング光子源など)、スイッチ構造(マッハツェンダー干渉計(MZI)など)、結合構造(方向性結合器など)、光学フィルタ(例えば、波長分割多重(WDM)波長フィルタ)、フォトニック遅延線構造などを形成するために導波路構造を使用することができる。
【0054】
[0080]
図15に図示される例では、導波路層内の構造は、製造プロセスの説明を容易にするために絵のように配置されている。当業者は、コンポーネントの正確な配置(およびコンポーネント間の相互接続)が、PICが設計されているアプリケーションに応じて大きく異なる可能性があることを理解するであろう。そのように、図示される導波路層1521は、ビルディングブロックとして1つ以上の導波路を使用して設計することができるフォトニックコンポーネントの任意の可能な組み合わせを表すことを意図している。
【0055】
[0081]ヒータ領域1507は、フィルタ、マイクロリング、およびMZI(図示せず)などの1つ以上の光学コンポーネントの一部とすることもでき、これらの構造を熱的に調整するために使用することができる。いくつかの実施形態では、ヒータ1525(例えば、ストリップヒータ)をヒータ領域1507に配置することができる。いくつかの実施形態では、ヒータ1525は、導波路層1521内に形成することができ、ドープされたシリコン(n-またはp-ドープされたシリコン)層1525aと、コバルトシリサイド、ニッケルシリサイド、または任意の他のシリサイドなどのシリサイドで形成されたキャッピング層1525bとを含み得る。ヒータ領域1507は
図15において導波路1523に隣接していることが示されているが、他の実施形態は、導波路1523の上部に製造されたシリサイドおよび/または金属ヒータを採用することができ、シリサイド最上層、TiN、TaN、または任意の他の適切なヒータ材料などの金属材料を有するドープされたSiを採用することができる。
【0056】
[0082]いくつかの実施形態において、熱分離トレンチ領域1509は、ヒータ領域1507に隣接しており、これにより、
図19~
図20を参照して以下により詳細に説明されるように、後続のプロセスにおいて酸化シリコンおよびシリコン領域にトレンチおよびアンダーカット(図示せず)を形成することができ、ヒータ領域1525の周囲に熱隔離を提供することができる。このようなトレンチおよびアンダーカットは、ヒータ1525のより電力効率の高い動作(隣接する酸化物層および基板の加熱を減少させることによって)をもたらすだけでなく、ヒータ1525を含むPICの領域(150K~200Kの局所温度を有し得る)と光子検出器を含むPICの領域(極低温であり得る、 例えば、3K~20K、例えば、4K、10Kなどの局所温度を有する)の間の熱分離を提供することができる。いくつかの実施形態では、多くのヒータは、互いに近接して配置されている多くのフォトニックコンポーネント(例えば、単一光子源、フィルタ、MZIなど)を調整するために使用されてもよく、熱分離領域は、各コンポーネントを加熱するための1つのヒータが、熱分離領域に形成される熱分離構造の熱分離特性のために隣接するコンポーネントを最小限に加熱するだけでよくするように、コンポーネントの加熱間のクロストークを防止することができる。いくつかの実施形態では、熱調整は不要でもよく、したがって、ヒータ及びヒータ領域は存在しなくてもよい。
【0057】
[0083]いくつかの実施形態において、フォトニクススイッチ領域1511は、例えば、p-nスイッチ、p-i-nスイッチ、DCカースイッチ、ポッケルス効果スイッチ、または任意の他のタイプの光スイッチなどの任意の適切なフォトニックスイッチ1527を含む。
【0058】
[0084]いくつかの実施形態において、光子検出器領域1513および光子検出器接触領域1515は、任意の導波路集積光子検出技術を採用することができる。例えば、ここで断面図に示されているものは、超伝導ナノワイヤ単一光子検出器1529である。光子検出器領域1513および光子検出器接触領域1515は、例えば、AlN層1530、NbN層1532、アモルファスシリコン層1534、およびシリコン酸化物層1536を含み得る。光子検出器領域1513および光子検出器接触領域1515の詳細は、以下に記載される。
【0059】
[0085]光子検出器領域1513の周囲は、
図1~
図13を参照して、上述した散乱緩和構造など、内部に製造された1つ以上の散乱緩和構造(図示せず)を含むことができる散乱緩和構造領域1517とすることができる。
【0060】
[0086]いくつかの実施形態によれば、ベースPICを、SiN層などの
図15に示されるスペーサ/保護キャップ層1522で覆うことができる。スペーサ/保護キャップ層1522は、ベースPICウェハの上に予め等角的に堆積することができる。他の実施形態では、ベースPICは、本開示の範囲から逸脱することなく、平坦化されたキャッピング層または任意の他の層を含むことができる。
【0061】
[0087]
図14に戻って参照すると、ステップ1403において、ベースPICが第1のリソグラフィプロセスのために準備される。本明細書で言及されるリソグラフィプロセスは三層リソグラフィを採用するが、本開示の範囲から逸脱することなく任意のリソグラフィ技術を使用することができる。
図16は、三層リソグラフィプロセスで使用するために堆積することができる追加の層の例を示す。例えば、平坦化層1603を、予め形成されたスペーサ層(例えば、スペーサ/保護キャップ層1522)上に堆積させることができる。平坦化層1603の例には、スピンオンハードマスク(SOH)、有機平坦化層(OPL)、またはベースPICの最上層のトポグラフィーを平坦化するために使用することができる任意の他の層または材料などの有機平坦化層が含まれる。反射防止コーティング1605は、平坦化層の上に堆積することができる。反射防止コーティング1605の例には、シリコンベースの反射防止コーティング(SiARC)、底部反射防止コーティング(BARC)などが含まれる。反射防止膜1605の上にはフォトレジスト層1607を蒸着し、これを公知の方法に従ってリソグラフィーパターニングすることができる。
図16に示す例では、フォトレジスト層1607は、
図16に示すように、ヒータ接触領域、スイッチ接触領域、および光子検出器接触領域の上部に位置するスペーサ層(例えば、窒化物層)の特定の部分を保護するためにパターン化されている。
【0062】
[0088]ステップ1405において、スペーサ/保護キャップ層1522(例えば、窒化物層)をパターン化するために、第1のエッチングプロセスが実行される。例えば、反射防止コーティング1605および平坦化層1603は、フォトレジストを含まない(エッチングマスクとして作用する)領域でエッチングされ、その結果、
図17に示すエッチングされたPIC構造1701が得られ、スペーサ/キャップ1705(例えば、窒化ケイ素)がヒータ接触領域、スイッチ接触領域、および光子検出器接触領域の上部に残る。より一般的には、フォトレジストは、SiN層の島を保存する任意の方法でリソグラフィパターン化することができる。これらの島は、例えば、その後のコンタクト形成エッチングプロセスにおけるエッチング停止剤として用いることができる。
【0063】
[0089]ステップ1407において、
図18に示されるように、エッチングされたPIC上に酸化物層1803を形成するために、酸化物堆積プロセス(例えば、ミドルオブライン(MOL:middle of the line)SiO2堆積を使用)が実行される。
【0064】
[0090]ステップ1409において、パターン化されたベースPICは、第2のリソグラフィプロセスのために準備される。このプロセスでは、ステップ1403と同様に、別の層堆積およびフォトレジストのリソグラフィーパターニングが行われる。
【0065】
[0091]ステップ1411において、
図19に示すように、熱分離領域(例えば、熱分離トレンチ領域1509)に深部トレンチ1903を生成するために第2のエッチングプロセスが実行される。本明細書において「深部トレンチ」と呼ばれる深部トレンチ1903は、基板1524まで延びることができるPICスタック内のトレンチである。任意の適切なエッチングプロセスを使用して、深部トレンチをエッチングすることができる。例えば酸化物エッチングプロセスなどのエッチングプロセスは、本開示の範囲を逸脱しない範囲で採用することができる。いくつかの実施形態において、エッチングは、酸化物をエッチングするがSi基板をエッチングしない選択的エッチングとすることができる。エッチングプロセスは、深部トレンチ1903をエッチングする異方性エッチングプロセスとすることができる。
【0066】
[0092]ステップ1413において、
図20に示すように、アンダーカット2003が、深部トレンチ1903の基部における基板1524にエッチングされる。このようなアンダーカットは、ドライ/ウェットエッチングプロセスの組み合わせを使用して形成される。ドライエッチングは、六フッ化硫黄エッチング、塩素エッチング、または、シリコンをエッチングするが酸化物をエッチングしない選択的エッチングである他の任意のドライエッチングプロセスであり得、深部トレンチ1903の基部にあるシリコンのみがエッチングされ、上の酸化物層が保存される。次いで、ウェットエッチングは、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、KOH、または任意の他の適切なエッチング液を用いて行うことができる。いくつかの実施形態において、シリコンのエッチングは、111結晶面に沿って(例えば、約54度で)発生する。このようなエッチングは、シリコンのエッチングから生じる角度の付いた壁を有するアンダーカット2003をもたらす。
【0067】
[0093]
図21は、いくつかの実施形態によるヒータ2103およびフルアンダーカット構造2105の一例を示す。フルアンダーカット構造2105は、
図20に示すアンダーカット2003の一例であってもよく、
図20に対して上述したエッチングプロセスを用いて形成されてもよい。いくつかの実施形態では、アンダーカット構造2105は、ヒータを採用する任意のフォトニックデバイス2109の下に配置することができる。深部トレンチおよびアンダーカット構造2105からの熱分離は、周囲の基板2107への熱損失を低減または防止し得る。フォトニック装置2109の例には、単一光子源、光学フィルタ、マッハツェンダー干渉計、マイクロリング共振器、または熱調整および/またはスイッチングを使用し得る任意の他の構造が含まれる。
図21では、基板(ここではシリコンハンドルと呼ぶ)および酸化物層を含む周辺領域からヒータ要素を熱的に分離するために、導波路およびヒータのそれぞれの側に2つの深部トレンチ2105aおよび2105bがそれぞれ形成される例が示されている。いくつかの実施形態では、冷却部材を基板と熱接触させて、動作中にPICにヘッドシンクを提供することができる。極低温で動作する回路の場合、冷却部材は、極低温に冷却されるより大きなクライオスタットの一部とすることができる。このようなシナリオでは、ヒータと冷却構造の間に配置された熱アンダーカット構造がなければ、ヒータによって生成された熱の多くが冷却構造に直接シャントされ得、それによってヒータの加熱効率に悪影響を及ぼすおよび/または極低温冷却システムへの熱負荷を不必要に増加させる可能性がある。
【0068】
[0094]ステップ1415では、
図22に図示されるように、酸化物層2210が、内部に形成された熱分離のための深部トレンチおよびアンダーカットを含むPICスタック上に堆積される。酸化物層2210は、例えば、化学機械研磨(CMP)を介して平坦化され得る。いくつかの実施形態では、酸化物層2210は、真空を破ることなく堆積され、したがって、これらの領域が真空下で密封されたままになるように、深部トレンチアンダーカット領域を封止する。深部トレンチとアンダーカット領域を真空下に保つと、ボイド内の最も効果的な熱伝達メカニズムを排除することにより、深部トレンチアンダーカット構造の熱分離能力を向上させることができる。例えば、深部トレンチを通る熱伝達は主に放射伝達を介して起こり、拡散、対流などのより効率的なプロセスは最小限に抑えられる。
【0069】
[0095]ステップ1417において、パターン化されたフォトレジスト層2301を、
図23に示されるような第3のリソグラフィプロセスのためにPICスタック上に形成してもよい。このプロセスでは、ステップ1403と同様に、フォトレジストの別の層堆積およびリソグラフィーパターニングが行われる。例えば、パターン化されたフォトレジスト層2301は、平坦化層2305および反射防止コート層2303上に形成されてもよい。この場合、シリサイドコンタクトホールをエッチングするためのエッチングマスクを形成するためにパターニングが行われる。
【0070】
[0096]ステップ1419において酸化物エッチプロセスを実行して酸化物層2210をエッチングし、続いてスペーサ/キャップ1705をエッチングするためのSiNパンチプロセスを実行し、それによって
図24に示すように、シリサイド層(例えば、キャッピング層1525b)と接触させるためのシリサイドコンタクトホール2401を形成することができる。
【0071】
[0097]ステップ1421において、リソグラフィ準備、リソグラフィ、およびエッチングプロセスが上記と同様の方法で実行される。例えば、
図25に示すように、平坦化層2505及び反射防止コート層2503の上にパターン化されたフォトレジスト層2501を形成してもよい。この場合、フォトレジスト層2501は、光子検出器の適切な層、例えばアモルファスシリコン層で停止し、光子検出器コンタクトホールのエッチングを可能にするようにパターン化される。
図26に示されるように、平坦化層2505(例えば、SOHまたはOPL層)を除去して、シリサイドコンタクトホール2401および光子検出器コンタクトホール2601を開放してもよい。
【0072】
[0098]ステップ1423において、
図27に図示されるように金属シリサイドコンタクト2701が形成される。例えば、ライナー層2703を、最初にコンタクトホール(例えば、シリサイドコンタクトホール2401および光子検出器コンタクトホール2601)内に堆積させることができる。いくつかの実施形態において、ライナー層2703は、タングステン、炭化タングステン、窒化タングステン、または任意の他の適切なライナーから形成することができる。ライナー層堆積後、アモルファスシリコン層1534などの検出器接触のための金属シリサイドコンタクト2701の底部にシリサイド領域2705を形成するためにアニールステップを実行することができる。シリサイド形成に続いて、コンタクトホールを適切なコンタクト金属2707、例えばタングステン、銅、アルミニウム、コバルトなどで満たすために金属化プロセスが実行される。いくつかの実施形態では、シリサイド形成の前に、アモルファスシリコンを洗浄するために洗浄プロセスを実行することができる。例えば、化学洗浄ステップ、アルゴンスパッタなどの任意の適切な洗浄プロセスを用いることができる。
【0073】
[0099]ステップ1425において、
図28に図示されるように、リソグラフィおよびエッチングプロセスを使用して散乱緩和構造2801が形成される。いくつかの実施形態では、散乱緩和構造2801は、基板1524上に配置される深部トレンチ内に形成することができる。他の実施形態では、散乱緩和構造2801は、
図28に示されるトレンチのようなシリコン貫通ビア(TSV)内に形成することができる。トレンチがエッチングされた後、(続いて散乱緩和構造2801を充填する)充填材がシリコンと反応するのを防ぐために、酸化物ライナー2803が形成される。次に、Ti-Cuバリアおよびシード層などの金属ライナー層2805を、充填材2807(例えば、銅などの金属)で散乱緩和構造を充填する前に、酸化物ライナー2803上に形成してもよい。充填材2807は、基板1524および/または酸化物と同様の熱膨張係数(CTE)を有し得る。いくつかの実施形態において、TSVのような散乱緩和構造は、深さ10ミクロンのオーダー、例えば、深さ40~60ミクロン、であることができ、したがって、熱分離トレンチ(これは、10分の1以下の深さであり得る)よりもはるかに深い。
【0074】
[0100]特定の実施に従って実質的な変形がなされ得ることは当業者には明らかであろう。例えば、カスタマイズされたハードウェアも使用され、および/または特定の要素がハードウェア、ソフトウェア(アプレットなどのポータブルソフトウェアを含む)、またはその両方に実装され得る。さらに、ネットワーク入力/出力装置などの他のコンピューティング装置への接続が採用されてもよい。
【0075】
[0101]添付の図を参照すると、メモリを含むことができるコンポーネントは、非一時的な機械可読媒体を含むことができる。本明細書で使用される用語「機械可読媒体」および「コンピュータ可読媒体」は、機械を特定の様式で動作させるデータの提供に関与する任意の記憶媒体を指す。本明細書中で提供される実施形態では、様々な機械可読媒体が、実行のためにプロセッサおよび/または他の装置に命令/コードを提供することに関与し得る。さらに、または代替的に、機械可読媒体は、そのような命令/コードを格納および/または運搬するために使用されてもよい。多くの実装形態において、コンピュータ可読媒体は、物理的および/または有形の記憶媒体である。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むが、これらに限定されない多くの形態をとり得る。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、磁気および/または光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、フラッシューEPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、以下に説明されるような搬送波、またはコンピュータが命令および/またはコードを読み取ることができる任意の他の媒体を含む。
【0076】
[0102]本明細書で論じる方法、システム、および装置は、一例である。様々な実施形態は、適宜、様々な手順またはコンポーネントを省略、置換、または追加してもよい。例えば、ある実施形態に関して説明される特徴は、様々な他の実施形態において組み合わされてもよい。実施形態の異なる態様および要素は、同様の方法で組み合わされてもよい。本明細書で提供される図の様々なコンポーネントは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにおいて具体化することができる。また、技術は進化し、したがって、要素の多くは、開示の範囲をそれらの特定の例に限定しない例である。
【0077】
[0103]ビット、情報、値、要素、記号、文字、変数、用語、数字、または同様の信号を参照することが、主に一般的な使用上の理由から、時に便利であることが証明されている。ただし、これらまたは類似の用語はすべて適切な物理量に関連付けられている必要があり、単なる便利なラベルであることを理解されたい。特に別段の記載がない限り、上記の議論から明らかなように、本明細書全体を通して、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」、「確認する」、「識別する」、「関連付ける」、「測定する」、「実行する」などの用語を利用する議論は、特殊目的コンピュータまたは類似の特殊目的電子計算装置などの特定の装置のアクションまたはプロセスを指すことが理解される。したがって、本明細書の文脈において、特殊目的コンピュータまたは類似の特殊目的電子コンピューティング装置は、典型的には、メモリ、レジスタ、または他の情報記憶装置、伝送装置、または特殊目的コンピュータまたは類似の特殊目的電子コンピューティング装置の表示措置内の物理的電子的、電気的、または磁気量として表される信号を操作または変換することができる。
【0078】
[0104]当業者は、本明細書に記載されるメッセージを伝達するために使用される情報および信号が、様々な異なる技術および技術のいずれかを使用して表現され得ることを理解するであろう。例えば、上記の説明全体を通して参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または粒子、光場または粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表され得る。
【0079】
[0105]本明細書で使用される用語「および」、「または」、および「および/または」は、そのような用語が使用される文脈に少なくとも部分的に依存すると予想される様々な意味を含み得る。典型的には、A、B、またはCなどのリストを関連付けるために使用される場合、「または」は、ここでは包括的な意味で使用されるA、B、およびC、ならびにここでは排他的な意味で使用されるA、B、またはCを意味することを意図する。加えて、本明細書で使用される用語「1つ以上」は、単数形の任意の特徴、構造、または特性を記述するために使用されてもよく、特徴、構造、または特性の何らかの組み合わせを記述するために使用されてもよい。但し、これは単なる例示例であり、特許請求される主題はこの例に限定されないことに留意されたい。さらに、A、B、またはCなどのリストを関連付けるために使用される場合、「少なくとも1つ」という用語は、A、B、C、AB、AC、BC、AA、AAB、ABC、AABCCCなどのA、B、および/またはCの任意の組み合わせを意味すると解釈することができる。
【0080】
[0106]本明細書全体を通して「一例」、「例」、「ある例」、または「例示的な実装」への言及は、特徴および/または例に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、クレームされた主題の少なくとも1つの特徴および/または例に含まれ得ることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所における「一例において」、「例において」、「ある例において」、「ある実装において」、または他の類似の語句の出現は、必ずしも全てが同じ特徴、例、および/または制限を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の例および/または特徴において組み合わされてもよい。
【0081】
[0107]いくつかの実装形態では、動作または処理は、物理量の物理的操作を含み得る。典型的には、必ずしもそうではないが、そのような量は、保存、転送、結合、比較、または他の方法で操作することができる電気信号または磁気信号の形態をとり得る。主に一般的な使用法の理由から、ビット、データ、値、要素、記号、文字、用語、数、数字などの信号を参照するのに便利な場合があることが実証されている。ただし、これらまたは類似の用語はすべて適切な物理量に関連付けられている必要があり、単なる便利なラベルであることを理解する必要がある。特に別段の記載がない限り、本明細書の議論から明らかなように、本明細書全体を通して、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」などの用語を利用する議論は、特定の装置、例えば、特殊目的コンピュータ、特殊目的コンピューティング装置または類似の特殊目的電子計算装置の動作またはプロセスを指すことが理解される。したがって、本明細書の文脈において、特殊目的コンピュータまたは類似の特殊目的電子計算装置は、典型的には、メモリ、レジスタ、または他の情報記憶装置、伝送装置、または特殊目的コンピュータまたは類似の特殊目的電子計算装置内の物理的電子量または磁気量として表される信号を操作または変換することができる。
【0082】
[0108]先行する詳細な説明において、クレームされた主題の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が述べられている。しかしながら、請求された主題は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることを当業者によって理解される。他の例では、当業者によって知られるであろう方法および装置は、クレームされた主題を曖昧にしないように詳細に説明されていない。したがって、特許請求された主題は、開示された特定の例に限定されるものではなく、そのような請求された主題は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての態様、およびその均等物も含み得ることが意図される。
【国際調査報告】