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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】耐熱ケーシング
(51)【国際特許分類】
   G12B 9/04 20060101AFI20230719BHJP
   B65D 8/16 20060101ALI20230719BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230719BHJP
   G12B 17/06 20060101ALI20230719BHJP
   G01K 1/12 20060101ALN20230719BHJP
   G01D 11/24 20060101ALN20230719BHJP
【FI】
G12B9/04
B65D8/16
H05K7/20 Y
G12B17/06
G01K1/12
G01D11/24 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577636
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2021066236
(87)【国際公開番号】W WO2021255090
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】20180408.5
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522488889
【氏名又は名称】エイエイチエムティー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・インダストリアル・アプリケーションズ
【氏名又は名称原語表記】AHMT GMBH INDUSTRIAL APPLICATIONS
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】フッツラー,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】コトルチ,ヤクブ
【テーマコード(参考)】
2F056
2F078
3E061
5E322
【Fターム(参考)】
2F056BP10
2F056CE10
2F078EA12
2F078EA28
2F078EB06
3E061AA02
3E061AB09
3E061AD06
3E061DA02
5E322CA05
5E322CA06
5E322FA04
(57)【要約】
本発明は耐熱ケーシング(1)に関し、ケーシング(1)の外側(12)の高温から防護されるアイテム(19)を収納する。ケーシング(1)およびアイテム(19)の有用性を向上させるために、本発明は、側部(2)を備えたケーシング(1)を提供する。側部(2)は、側部(2)に沿った少なくとも第1の側壁層(3)および第2の側壁層(4)を有し、第1の側壁層(3)の熱特性は、第2の側壁層(4)の熱特性とは異なる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側部(2)を備えた耐熱ケーシング(1)であって、
前記側部(2)は、前記側部(2)に沿った少なくとも第1の側壁層(3)および第2の側壁層(4)を有し、
前記第1の側壁層(3)の熱特性は、前記第2の熱特性とは異なる、耐熱ケーシング(1)。
【請求項2】
前記第1の側壁層(3)は、第1の密度で形成され、前記第2の側壁層(4)は、第2の密度で形成され、前記第1の密度は前記第2の密度とは異なることを特徴とする、請求項1に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項3】
前記第1および前記第2の側壁層(3、4)のうち少なくとも一方は、所定の方向に沿って変化する密度で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項4】
前記第1の側壁層(3)は、第1の充填レベルで形成され、前記第2の側壁層(4)は、第2の充填レベルで形成され、前記第1の充填レベルは前記第2の充填レベルとは異なることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項5】
前記第1および前記第2の側壁層(3、4)のうち少なくとも一方は、基材と、前記基材中における充填材とを用いて形成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項6】
前記基材はポリマーであり、充填材は複合材料であることを特徴とする、請求項5に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項7】
前記第1の側壁層(3)は、第1の基材と、前記第1の基材中の第1の充填材とを用いて形成され、前記第2の側壁層(4)は、第2の基材と、前記第2の基材中の第2の充填材とを用いて形成され、
前記第1の充填材のタイプ、および/または相対的充填レベルは、前記第2の充填材のタイプ、および/または相対的充填レベルとは異なることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項8】
前記第1および前記第2の側壁層(3、4)のうち少なくとも一方、または各々は、付加製造によって形成されることを特徴とする、請求項4~7のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項9】
前記第1の基材は、少なくとも第1のポリマーを有し、および/または前記第2の基材は、少なくとも第2のポリマーを有し、
前記第1のポリマーのタイプは、前記第2のポリマーのタイプと同じであるか、または異なることを特徴とする、請求項7または8に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項10】
前記第1および前記第2の側壁層(3、4)のうち少なくとも一方は、構造的配向性を有するように形成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項11】
前記第1の側壁層(3)は、第1の構造的配向性を有し、前記第2の側壁層(4)は、第2の構造的配向性を有し、
前記第1の構造的配向性は、前記第2の構造的配向性とは異なることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項12】
前記第1の充填材は、少なくとも第1の複合材料を有し、および/または前記第2の充填材は、少なくとも第2の複合材料を有し、
前記第1の複合材料のタイプもしくは構造的配向性は、前記第2の複合材料のタイプもしくは構造的配向性と同じであるか、または異なることを特徴とする、請求項7~9のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項13】
前記第1および前記第2の側壁層(3、4)のうち少なくとも一方は、所定の方向に所定の最大熱伝導率を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項14】
前記熱特性は熱伝導率であり、
前記第1の側壁層は、第1の所定の方向において第1の所定の最大熱伝導率を有し、前記第2の側壁層は、第2の所定の方向において第2の所定の最大熱伝導率を有し、
前記第1の所定の熱伝導率の絶対値は、前記第2の所定の最大熱伝導率の絶対値とは異なり、および/または前記第1の方向は前記第2の方向とは異なることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項15】
前記第1および前記第2の側壁層(3、4)は、互いに距離(D)を空けて配置されることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項16】
外部容器(7)および内部容器(8)を備え、
前記内部容器(8)の外部形状は、前記外部容器(7)の内部受入れ容積に対して、少なくとも断面方向に相補的であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項17】
前記内部容器(8)が少なくとも部分的に前記受入れ容積に配置された挿入位置に、前記内部容器(8)が設置された状態において、前記内部容器(8)と前記外部容器(7)との間に間隙(6)が存在することを特徴とする、請求項16に記載の耐熱ケーシング(1)。
【請求項18】
ヒートシンクに接触するための外部接触セクション(9)を有し、
前記外部接触セクション(9)の全表面は、前記外部接触セクション(9)の外側の、前記ケーシング(1)の少なくとも1つの外側部の全表面よりも大きいことを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載の耐熱ケーシング(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱ケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
温度測定器具を収納するための耐熱ケーシングは、当技術分野で公知であり、温度測定器具のパーツを防護するために広範に使用されている。温度計測器具のパーツは、例えば耐熱ケーシングが、ハンダ付けに使用される炉に配置されたときに、耐熱ケーシングの外側の温度によって損傷を受け得る。
【0003】
耐熱ケーシングの外側の温度によって損傷を受け得る温度測定器具のパーツを防護するため、既知の耐熱ケーシングは、大きくおよび/または重いためケーシングの取り扱いが困難になり、多孔性であるため真空中でのケーシングの使用を不適となり、または、金属で作られて高い蓄熱容量を有するが、温度測定器具によって送信、もしくは受信されるワイヤレス信号を遮断する。
【発明の概要】
【0004】
上述の不利点を鑑みて、本発明は、容易に取り扱えて、真空で使用でき、かつワイヤレス信号を通すことが可能な、温度測定器具を収納するための耐熱ケーシングを提供することを目的とする。
【0005】
上記目的は、本発明によって達成され、本発明は、耐熱ケーシングが側部を備え、この側部に沿って延びた少なくとも第1の側壁層、および第2の側壁層を有し、第1の側壁層の熱特性が第2の側壁層の熱特性とは異なる。
【0006】
異なる熱特性を有する少なくとも2つの層により、温度測定器具は、高温に対してケーシング内で良好に防護される。ケーシングは、比較的軽量で、かつ基本的にワイヤレス電磁通信に使用されることが多い帯域内のワイヤレス信号を通す材料で作ることができる。
【0007】
本発明による解決手段を、以下で言及する実施形態によって、さらに向上させることができる。これらの実施形態は、そうでないことを明確に言及しない限り、所望のとおり組み合わせることができる。実施形態およびそれらの考えられる利点は、以下で詳細に述べる。
【0008】
一実施形態によると、第1の側壁層は第1の密度で形成され、第2の側壁層は第2の密度で形成される。ここで、第1の密度は第2の密度とは異なる。例えば、第1の側壁層の量もしくはサイズ、または細孔もしくは空洞と、第2の側壁層の量もしくはサイズ、または細孔もしくは空洞とが異なることで、密度差を生じさせ得る。
【0009】
本実施形態の利点は、すでに異なる密度を有する側壁層は、異なる密度のため異なる熱特性を有することができ、これらの側壁層は、異なるタイプの材料もしくは同じタイプの材料で作るか、または構成することができることである。
【0010】
一実施形態によると、第1および第2の側壁層のうち少なくとも一方は、所定の方向に沿って変化する密度で形成される。例えば、量もしくはサイズ、または細孔もしくは空洞は、所定の方向に沿って変化して、密度の変化を生じさせ得る。
【0011】
本実施形態の利点は、第1および/または第2の側壁層の熱特性を、場所または位置に依拠して適応させることができることであり得る。それによって耐熱性を、ケーシングの必要な位置に配置することができる。
【0012】
一実施形態によると、第1の側壁層は、第1の充填レベルで形成され、第2の側壁層は、第2の充填レベルで形成される。ここで、第1の充填レベルは第2の充填レベルとは異なる。
【0013】
充填レベルまたはインフィル(infill)は、例えば熱溶解積層法FDM(Fused Deposition Modeling)処理を使用する印刷のような、付加製造によって作られた3D物体における、充填のパーセンテージを指す。
【0014】
0%のインフィルを有する物体は内側が中空であり、100%のインフィルの物体は内側が完全な中実である。
【0015】
詳細には、充填レベルが高い場合は、充填レベルが低い場合と比較して、より高い熱容量を生じさせ得る。
【0016】
充填レベルが低い場合は、充填レベルが高い場合と比較して、より高い熱絶縁を生じさせ、場合によってはより低い熱伝導率を生じさせ得る。
【0017】
したがって、本実施形態の利点は、例えば3D印刷のような付加製造の3D物体を作成するときに、側壁層の各々が、例えば熱伝導率および/または熱容量などのそれぞれの熱特性を、所定の充填レベルを有するそれぞれの側壁層を構築することによって、容易に予め決定できることであり得る。
【0018】
一実施形態によると、第1および第2の側壁層のうち少なくとも一方は、基材を用いて、かつ基材中における充填材を用いて、形成される。例えば基材は、細孔または空洞を備え得る。これら細孔または空洞は、少なくとも部分的に、または断面方向に、充填材によって充填される。充填材は、基材と同じ、または異なる化学的組成を有し得る。
【0019】
本実施形態の利点は、第1および/または第2の側壁層の熱特性が、基材と充填材との組み合わせによって、さらに最適化できることであり得る。
【0020】
充填材は、基材に加えられる粒子であってもよく、例えば、特定の特性を改善し、製品を安くすることができる樹脂、または結合剤(プラスチック、複合材料、コンクリート)、またはこれらの混合物などである。
【0021】
一実施形態によると、基材はポリマーであり、充填材は複合材料である。
【0022】
本実施形態の利点は、第1および/または第2の側壁層の熱特性が、基材と複合材料との組み合わせによって、さらに最適化できることであり得る。追加として、このような複合材料は、非複合材料と比較して強度があり、軽量であり、または高価ではないので、材料コストを増やすことなく、ケーシングの安定性を向上させ、またはケーシングの重量を減らすことができる。
【0023】
複合材料(合成材料、または短く複合材とも呼ばれ、これらは共通の名称である)は、大幅に異なる物理的特性または化学的特性を有する2つ以上の構成材料から作られ得る。それらが組み合わされると、個々の要素とは異なる特性を有する材料が生成される。混合物および固溶体から複合材を差別化するように、個々の要素は分離されたまま、完成した構造内で区別できるようにしてもよい。
【0024】
一実施形態によると、第1の側壁層は、第1の基材と、第1の基材中における第1の充填材とを用いて形成され、第2の側壁層は、第2の基材と、第2の基材中における第2の充填材を用いて形成される。第1の充填材のタイプ、および/または相対的充填レベルは、第2の充填材のタイプ、および/または相対的充填レベルとは異なる。例えば充填レベルは、充填材が細孔または空洞を充填するレベルを示し得る。代替または追加として、充填レベルは、それぞれの側壁層の内側の充填された、または全く充填さていない、詳細には基材または充填材で充填されていない空間の相対容積を示し得る。したがって、空気は充填されていない容積に残り得る。
【0025】
本実施形態の利点は、熱特性を、第1および/または第2の側壁層を生成する間に、容易かつ正確に調整することができることであり得る。
【0026】
一実施形態によると、第1の基材は、少なくとも第1のポリマーを備え、および/または第2の基材は、少なくとも第2のポリマーを備える。第1のポリマーのタイプは、第2のポリマーのタイプと同じであるか、または異なる。
【0027】
本実施形態の利点は、それぞれ第1または第2の側壁層の、熱特性だけではなく化学的特性なども、必要に応じて適応させることができることであり得る。
【0028】
一実施形態によると、第1の充填材は、第1の複合材料を含み、および/または第2の充填材は、第2の複合材料を含む。第1の複合材料のタイプもしくは構造的方向性(structural direction)は、第2の複合材料のタイプもしくは構造的方向性と同じであるか、または異なる。
【0029】
本実施形態の利点は、それぞれ第1または第2の側壁層の、熱特性だけではなく機械的特性など他の特性も、必要に応じて適応させることができることであり得る。
【0030】
一実施形態によると、第1および第2の側壁層のうち少なくとも一方は、構造的配向性(structural orientation)を有して形成される。構造的配向性は、それぞれの側壁層で実装される炭素繊維などの要素の、好ましい方向によって生じ得る。
【0031】
本実施形態の利点は、構造的配向性によって、機械的特性および/または熱特性を、所望のように適応させることができることであり得る。例えば構造的配向性によって、熱伝導率を、1つの方向、ならびに例えばその配向性および横断方向に沿って、より高くなり得る。
【0032】
一実施形態によると、第1の層は第1の構造的配向性を有し、第2の層は第2の構造的配向性を有する。第1の構造的配向性は、第2の構造的配向性とは異なる。
【0033】
本実施形態の利点は、構造的配向性によって、機械的特性および/または熱特性を、所望のとおり適応させることができることであり得る。
【0034】
一実施形態によると、熱特性は熱伝導率である。第1および第2の側壁層のうち少なくとも一方は、所定の方向において所定の最大熱伝導率を有する。
【0035】
本実施形態の利点は、ケーシングの内側に設置されたアイテムの熱の影響を受けやすい領域から離れるように、熱を効率的に伝導させることができることであり得る。
【0036】
一実施形態によると、第1の側壁層は、第1の所定の方向において第1の所定の最大熱伝導率を有し、第2の側壁層は、第2の所定の方向において第2の所定の最大熱伝導率を有する。第1の所定の熱伝導率の絶対値は、第2の所定の最大熱伝導率の絶対値とは異なり、および/または第1の方向は第2の方向とは異なる。
【0037】
本実施形態の利点は、ケーシングの内側に設置されたアイテムにおける、熱の影響を受けやすい領域から離れるように、熱をさらに効率的に伝導させることができることであり得る。
【0038】
第1および/または第2の所定の方向に沿った、異なる熱伝導率は、充填材を使用することによって実現され得る。この充填材は、少なくとも特定の方向に配置された炭素繊維であってもよく、所定の方向に整合し得る。
【0039】
一実施形態によると、所定の方向は、第1および第2の側壁層それぞれの外側部(outer side)に沿って延びる。その結果、第1および/または第2の側壁層の熱伝導率は、第1および第2の側壁層におけるそれぞれ1つの外側部に対して直交する方向に、最小となり得る。
【0040】
本実施形態の利点は、外部側壁に対して直交する方向ではなく、外部側壁に沿って熱が効率的に伝導されること、すなわちケーシングの内側に熱が伝導されないことであり得る。
【0041】
一実施形態によると、第1および第2の側壁層は、互いに距離を空けて配置される。
【0042】
本実施形態の利点は、第1と第2の側壁層との間の距離により、側壁層間に間隙が存在することであり得る。この間隙は、熱の伝導を妨げ、それによってケーシングの外側から内側への熱伝導率は、有利に低減される。
【0043】
一実施形態によると、ケーシングは外部容器および内部容器を備える。内部容器の外部形状は、外部容器の内部受入れ容積に対して、少なくとも断面方向に相補的である。ケーシングの側部は、内部容器および外部容器の隣接した側壁を備え、内部容器の隣接した側壁は、第1および第2の側壁層のうち一方を備え、外部容器の隣接した側壁は、第1および第2の側壁層のうち他方を備える。
【0044】
本実施形態の利点は、ケーシング全体を取り扱う必要なく、アイテムを内部容器に容易に設置でき、この内部容器を、外部容器に容易に設置できることであり得る。例えば、外部容器を炉の内側に取付けて、それによって確実にこのケーシング自体は、炉のまさに同じ位置に常に設置され、アイテムは、炉の外側の内部容器に容易に設置することができる。
【0045】
内部容器は内部ハウジング、および外部容器は外部ハウジングと称し得る。
【0046】
一実施形態によると、内部容器が少なくとも部分的に受入れ容積に配置された挿入位置に、内部容器が設置された状態において、隣接した側部間には間隙が存在する。
【0047】
本実施形態の利点は、この間隙によって、熱の伝導が妨げられることで、ケーシングの外側から内側への熱伝導率が、有利に低減されることであり得る。
【0048】
一実施形態によると、ケーシングは、炉の内部側に接触するための外部接触セクションを有し、外部接触セクションの全表面は、外部接触セクションの外側であるケーシングの少なくとも1つの外側部の全表面よりも大きい。外部接触セクションは、熱分配セクションまたはシールドとして示され得る。
【0049】
本実施形態の利点は、接触セクションの全表面によって、熱を、ケーシングの内側から離れるように接触セクションを介して、より効率的に伝達できることであり得る。
【0050】
耐熱ケーシングは、ケーシングの内側のアイテムに電気接触するため、ならびに例えばケーシングの内側および/または外側の別のアイテムに電気接続するための、少なくとも1つの電気接触要素を備え得る。
【0051】
本実施形態の利点は、例えば温度測定器具またはバッテリなど、ケーシングの内側のアイテムに、電気接続できることであり得る。
【0052】
少なくとも2つの耐熱ケーシングのセットは、少なくとも1つの電気接触要素を備え、これらのケーシングは、これらの電気接触要素を介して相互接続されるように構成される。
【0053】
本実施形態の利点は、いくつかのケーシングを、モジュール方式で電気的に相互接続できることであり得る。
【0054】
少なくとも1つの電気接触要素は、例えば熱絶縁ホイルなどの熱絶縁要素に、詳細には内側から反対を向いた外側部において、接触し得る。熱絶縁要素は、室温で0.1W/mK未満の熱伝導率を有し、例えばカルシウム-マグネシウム-ケイ酸塩の繊維を含み得る。
【0055】
本実施形態の利点は、電気接触要素を介したケーシングの内側への熱伝導が、低減できることであり得る。
【0056】
耐熱ケーシングは、その内側部(inner side)および/またはその外側部に沿って延びる、少なくとも1つの溝を含み得る。この溝は、少なくとも1本のケーブルのための嵌め込みチャネルを提供する。
【0057】
本実施形態の利点は、ケーブルがケーシングの取り扱いに影響を及ぼさないよう、またはケーシングが中に配置された炉の熱い表面にケーブルが接触して損傷しないよう、ケーブルを誘導することができることであり得る。
【0058】
耐熱ケーシングは、ダクトを備え得る。このダクトは、第1および第2の側壁層のうち少なくとも一方を通って延びて、ケーシングの外側とその内側とが相互接続し得る。
【0059】
本実施形態の利点は、例えば電源またはシンク、または熱センサに接続するための、電気伝導体または熱伝導体、および例えばケーブルが、ケーシングの外側から内側まで延びることができることであり得る。
【0060】
溝は、ダクトに接触し得る。
【0061】
本実施形態の利点は、溝によって誘導されたケーブルが、ケーシングの外側から内側まで延びることができることであり得る。
【0062】
耐熱ケーシングは、温度測定器具またはバッテリケーシングを収納するための耐熱ケーシングであってもよい。その内側は、温度測定器具に対して、またはケーシングの内側に設置される少なくとも1つのバッテリに対して、少なくとも部分的に相補的に形成され得る。
【0063】
本実施形態の利点は、温度測定器具または少なくとも1つのバッテリが、大きい隙間なく、ケーシングの内側に配置されることであり得る。
【0064】
熱特性は、それぞれの側壁層自体の特性であってもよい。例えば、熱特性は、熱伝導率、および/または蓄熱容量とも称され得る熱容量であり得る。
【0065】
第1および/または第2の側壁層が含む少なくともいくつかの材料は、単体、もしくは充填材または複合材料と組み合わせたポリマーであり得、これらは、炉の内側における処理温度に耐えるよう適合された熱安定性を有する。炉は、例えば焼き戻しまたはハンダ付けの炉であり、処理温度は最高360℃、最高300℃、最高260℃、または最高250℃である。例えば、このようなポリマーは、高性能プラスチックとして指定することができ、PEEK、PAI、PI、PPS、PPSU、PFE、PEK、PEI、PTFE、または他の好適なポリマーであり得る。
【0066】
ポリマーは、ポリマーまたはケーシングの他の材料とともにケーシングが使用される温度において使用するのに好適な、炭素繊維もしくはガラス繊維、または相変化材料のような充填材によって、充填され得る。例えば相変化材料は、低融点金属またはパラフィンであり得る。
【0067】
ポリマーの充填レベルは、0~99%、例えば10%より高く、20%より高く、30%より高く、40%より高く、もしくは50%より高く、または90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、もしくは50%未満とすることができる。
【0068】
ポリマーの多孔性により、ポリマー密度を、3~100%、例えば10%より高く、20%より高く、30%より高く、40%より高く、もしくは50%より高く、または90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、もしくは50%未満とすることができる。
【0069】
ケーシングは、外部接触セクションを、ヒートシンクに押圧するための締付け機構を備え得る。
【0070】
本実施形態の利点は、ヒートシンクに対する外部接触セクションの良好な機械的接触を保証し、それがヒートシンクに対する外部接触セクションの熱的接続を向上させることであり得る。
【0071】
少なくとも第1および/または第2の側壁層を、付加製造によって、および例えば3D印刷によって形成することができる。詳細には、3D印刷された第1および/または第2の側壁層を、充填材または複合材料のる熱特性を変化させて、ならびに例えば密度および/もしくは量を変化させて印刷することができる。充填材を、印刷プロセス中に加えることもできる。
【0072】
このケーシングは、バッテリの周り、および任意選択で少なくとも1つの電気接触要素の周りでも、印刷することができる。それによって、バッテリはケーシングによって完全に囲まれ、したがって蓋などを閉鎖位置に固定するための、いかなる閉鎖機構またはラッチ機構も不要である。
【0073】
低い密度または充填レベルは、低い熱伝導率をもたらし、高い熱容量が有利に維持され得る。
【0074】
一実施形態によると、側部は、第1および第2の側壁層以外のさらなる側壁層を備え、例えば第1および第2の側壁層に追加して、少なくとも1つの別の側壁層を備える。その熱特性は、第1および第2の側壁層のうち少なくとも一方の熱特性と異なってもよい。詳細には、第1および第2の側壁層に対して上述のように異なってもよい。選択された側壁層、または全ての側壁層は、他の側壁層のうち少なくとも1つの熱特性とは異なる熱特性を有し得る。詳細には、壁層は、互いに異なる充填レベルを有し得る。例えば、第1の側壁層は、25%未満のインフィルを有し得る。第2の側壁層は、25%以上のインフィルを有し得る。第3の側壁層は、25%未満のインフィルを有し得る。
【0075】
一実施形態によると、複数の側壁層は、比較的高い充填レベルを有する側壁層が、比較的高い充填レベルの後に続くような、またはその逆のような順番となり得る。さらには、3つ以上の側壁層は、比較的高い充填レベルを有する側壁層が、比較的高い充填レベルの後に続くのを繰り返すか、またはその逆のように、重ねられ得る。
【0076】
壁層は、3D印刷され得る。
【0077】
本発明を、有利な実施形態を使用し、かつ図面を参照して、以降でより詳細に例示として説明する。以下に説明する実施形態は、可能な構成に過ぎず、上述のような個々の特徴が互いに独立して提供され、または図面において省略され得る。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1】ケーシングの第1の実施形態における概略断面図である。
図2】ケーシングの第2の実施形態における概略斜視図である。
図3】ケーシングの第3の実施形態における概略断面図である。
図4】ケーシングの第3の実施形態における概略断面図である。
図5】ケーシングの第3の実施形態における詳細を示す図である。
図6】前出のいずれかの図におけるケーシングの詳細を示す図である。
図7】ケーシングの別の実施形態における側部の概略断面図である。
図8】ケーシングのさらに別の実施形態における側部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1は、本発明による耐熱ケーシング1の第1の例示的実施形態を示す。ケーシング1は、少なくとも第1の側壁層3および第2の側壁層4を有する側部2を備える。第1および第2の側壁層3、4は、側部2に沿って、および例えば側部2のX方向および/またはY方向に沿って延びる。側部2のZ方向は、側部2に対して垂直に、詳細にはケーシング1の内側5に向かって延びる。第1の側壁層3の例えば熱伝導率および/または熱容量などの熱特性は、第2の側壁層4の熱特性、および例えば熱伝導率および/または熱容量とは異なる。
【0080】
例えば、第1の側壁層3は第1の密度を有するように形成され、第2の側壁層4は第2の密度を有するように形成され得る。熱特性の差を提供するために、第1の密度は第2の密度と異なってもよい。
【0081】
X、Y、Z方向のいずれかに沿って熱特性を変えるために、第1の側壁層3および/または第2の側壁層4の密度は、X、Y、Zそれぞれの方向計算表(direction calculator)に沿って変化または異なり得る。
【0082】
第1の側壁層3および/または第2の側壁層4は、例えばポリマーなどの基材、および基材中における例えば複合材などの充填材を用いて形成され得る。基材中における充填材の充填レベルの変動または差は、熱特性に変動または差を生じさせ得る。充填レベルは、充填材に対する基材の比率、またはその逆に相当し得る。
【0083】
第1の側壁層3は、第1の基材を用いて形成され、第2の側壁層は、第2の基材を用いて形成され得る。第1および第2の基材は、同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
【0084】
第1の側壁層3は、第1の充填材を用いて形成され、第2の側壁層は、第2の充填材を用いて形成され得る。第1および第2の充填材は、同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
【0085】
第1の側壁層3は、第1の充填レベルで形成され、第2の側壁層は、第2の充填レベルで形成され得る。第1および第2の充填レベルは、同じ充填レベルであってもよく、異なる充填レベルであってもよい。
【0086】
第1の側壁層3は、第1の充填レベルおよび/または密度勾配で形成され、第2の側壁層4は、第2の充填レベルおよび/または密度勾配で形成され得る。第1および第2の充填レベルおよび/または密度勾配は、サイズおよび/または方向において同一でもよく、または互いに異なってもよい。
【0087】
第1の側壁層3および/または第2の側壁層4は、構造的配向性を有するように形成され得る。第1の側壁層3の構造的配向性は、第2の側壁層4の構造的配向性と同一でもよく、または異なってもよい。
【0088】
詳細には、第1の充填材は、少なくとも第1の複合材料を備え、第2の充填材は、少なくとも第2の複合材料を備え得る。第1の複合材料のタイプおよび/または構造的方向性は、第2の複合材料のタイプおよび/または構造的配向性と同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0089】
第1の側壁層3および/または第2の側壁層4は、所定の方向に所定の最大熱伝導率を有するように形成され得る。詳細には、所定の方向は、基本的に側部2のZ方向に直交して延びる方向であってもよい。
【0090】
第1の側壁層3は、第1の所定の方向に第1の所定の最大熱伝導率を有し、第2の側壁層4は、第2の所定の方向に第2の所定の最大熱伝導率を有し得る。第1の所定の最大熱伝導率の絶対値は、第2の所定の最大熱伝導率の絶対値とは異なってもよい。代替または追加として、第1の所定の方向は、第2の所定の方向と異なってもよい。
【0091】
例えば、詳細には第2の側壁層4が、Z方向に沿って第1の側壁層3とケーシング1の内側5との間に配置された場合に、第2の側壁層4における第2の熱伝導率は、第1の側壁層3における第1の熱伝導率未満であってもよい。
【0092】
第1の側壁層3は、第1の所定の熱容量を有し、第2の側壁層4は、第2の所定の熱容量を有し得る。第1の所定の熱容量の絶対値は、第2の所定の熱容量の絶対値とは異なってもよい。詳細には、第2の側壁層4における第2の熱容量は、第1の側壁層3における第1の熱容量よりも高くてもよい。
【0093】
第1の側壁層3は、第2の側壁層4に対して、詳細にはZ方向に沿って距離Dで配置され得る。したがって、第1の側壁層3と第2の側壁層4との間に間隙6が存在し得る。
【0094】
第1の側壁層3は、外部容器7の一部であり、第2の側壁層4は、内部容器8の一部であってもよい。内部および/または外部容器7、8は、追加の側部を備え得る。側部の各々は、X方向、Y方向、およびZ方向を含み、Z方向は、常にケーシング1の内側5を指す。選択された側部、または全ての側部は、少なくとも第1の側壁層、および第2の側壁層を備え得る。第1の側壁層は互いに同一であり、第2の側壁層は、互いに同一であってもよい。第1の側壁層は、連続した層であり得る。第2の側壁層は、連続した層であり得る。
【0095】
内部容器8の外部形状は、少なくとも断面方向に、外部容器7の内部受入れ容積に対して相補的に形成され得る。
【0096】
詳細には、図1に示されるように、内部容器8が少なくとも部分的に、詳細には完全に受入れ容積内に配置され、内部容器8がその挿入位置に設置された状態において、間隙6が、外部容器7および内部容器8の側面(lateral side)同士の間に存在し、これらの側面は互いに面し得る。
【0097】
ケーシング1は、ヒートシンク、例えば炉の内側部に接触させるための、外部接触セクション9を有し得る。外部接触セクション9の全表面は、外部接触セクション9の外側である、ケーシング1の少なくとも1つの外側部の全表面よりも大きくてもよい。外部接触セクション9は、第1の側壁層3によって形成され得るか、または第1の側壁層3から分離して設けられ、側壁層3に取り付け得る。外部接触セクション9が分離して設けられた場合において、外部接触セクション9は、例えば金属などの高い熱伝導率を有する材料で形成され得る。
【0098】
ケーシング1は、ケーシング1の側部の1つを通して、例えば側部2とケーシング1の角部を共有する側部11を通して延びるダクト10を備え得る。ダクト10は、ケーシング1の内側5から、ケーシング1の外側まで延び得る。詳細にはダクト10は、側部11のZ方向に対して平行に延び得る。
【0099】
側部11の拡大断面E1は、側部11のX方向および/またはY方向に沿った第1の側壁層3の構造的配向性を概略的に示す。ケーシング1における側部の各々の構造的配向性は、それぞれの側部におけるそれぞれの方向に沿って同様であり得る。
【0100】
ケーシング1、ならびに詳細には外部および内部容器7、8は、アイテムを内側5に挿入するための開口部13を備え得る。例えば、ケーシング1、ならびに詳細には外部容器および内部容器7、8は、開口部13を形成するU形状の断面を備え得る。
【0101】
ケーシング1の組み立てられた状態において、ケーシング1は、開口部13を閉鎖する少なくとも1つの閉鎖要素を備え得る。閉鎖要素は、側部11の少なくとも一部を形成し、ダクト10を備え得る。
【0102】
詳細には、ケーシングは第1の閉鎖要素14および第2の閉鎖要素15を備え得る。第1の閉鎖要素14は、第2の側壁層4の開口部13を閉鎖し、第2の閉鎖要素15は、第1の側壁層3の開口部13を閉鎖する。
【0103】
第1の閉鎖要素14は、プラグとして少なくとも断面方向に形成され得る。このプラグは開口部13内に少なくとも挿入され、内側5に当接し得る。第1の閉鎖要素14は、制止突出部16を備え得る。制止突出部16は、第2の側壁層4のU形状部における脚部の前面に接触して配置される。制止突出部16は、第1の閉鎖要素14がケーシング1の内側5の中に挿入され過ぎるのを防止する。
【0104】
第2の閉鎖要素15を、第1の閉鎖要素14に設置可能なキャップとして、形成することができる。内側5から、詳細にはそれぞれのZ方向に対して反対に面した第2の閉鎖要素15の外側部は、第1の側壁層3の外側部と整合され得る。第1の側壁層3の外側部は、内側5から、詳細にはそれぞれのZ方向に対して反対側に面する。
【0105】
第2の側壁層4の前面、および詳細には内部容器8の前面は、第1の側壁層3の前面から、詳細には側部11のZ方向に対して外部容器7の前面から、突出し得る。第2の閉鎖要素15は、第1の側壁層3の前面に、および詳細には外部容器7の前面に当接でき、かつ第2の側壁層4の前面、詳細には内部容器8の前面を覆うように配置できる。第2の閉鎖要素15を、第1の閉鎖要素14の上に設置することができる。
【0106】
間隙6は、閉鎖要素14、15の間に存在し得る。間隙6は、ケーシング1の少なくとも1つの固定セクション17によって遮られ得る。固定セクション17は、閉鎖要素14、15の間の確実な固定を提供する。例えば、固定セクション17は、閉鎖要素14、15を互いに形状嵌合または圧力嵌合で固定するために、突出部、および任意選択で凹部を備える。
【0107】
第1の閉鎖要素14は、第2の側壁層4に対応するか、もしくは第2の側壁層4とは異なる材料の組み合わせ、および/または構造を備え得る。例えば、第1の閉鎖要素14は、PEEKなどのポリマーで構成され、および/または、例えばX方向、Y方向、およびZ方向のいずれかにおいて、密度勾配を有し得る。
【0108】
第2の閉鎖要素15は、第1の側壁層3に対応するか、もしくは第1の側壁層3とは異なる材料の組み合わせ、および/または構造を備え得る。例えば、第2の閉鎖要素15は、構造的配向性を有し、それは例えば、Z方向に直交して延びる第2の閉鎖要素15の材料における炭素繊維の好ましい方向によって生じ得る。
【0109】
図2は、ケーシング1の別の例示的実施形態における断面図を示す。形状および/または機能において前出の実施形態の要素に対応する要素については、同じ参照記号が使用される。簡潔にするために、実施形態間の違いのみを説明する。
【0110】
図2の例示的実施形態のケーシング1は、間隙6を有するように形成され、ケーシング1は、間隙6を形成する距離Dをもたらすためのスペーサ要素18を備える。スペーサ要素18は、第2の側壁層4の側部、すなわちケーシング1の内側5の反対に面した内部容器8の側部に配置され得る。代替として、スペーサ要素18は、第1の側壁層3の側部、すなわちケーシング1の内側5に面した外部容器7の側部に配置され得る。ケーシング1は、2つ以上のスペーサ要素18を備え得る。スペーサ要素18は、ケーシング1の内側5の反対に面する側部、またはケーシング1の内側5に向かって面する側部に提供され得る。詳細には、ケーシング1は、両側に設けられた少なくとも2つのスペーサ要素18を備えてもよく、それらの間に、ケーシング1の内側5が配置される。少なくとも1つのスペーサ要素18は、空隙6内に突出し得る。
【0111】
E2は、第1の側壁層3の拡大断面を示す。拡大断面E2は、第1の側壁層3の構造的配向性を概略的に示す。この構造的配向性は、基本的にY方向および/またはX方向に沿って延び、第2の側壁層4内に配置された炭素繊維の全体的な配列に対応し得る。
【0112】
アイテム19は、ケーシング1の内側5に配置される。アイテム19は、温度測定器具、または、PCB、バッテリ、もしくは別の電子構成要素など、ケーシング1の外側の高温から防護されることになる任意の他の構成要素であってもよい。ケーシング1は、アイテムを保持するための保持構造20を備え得る。
【0113】
図3図5は、ケーシング1の別の例示的実施形態における、斜視図および断面図を示す。形状および/または機能において前出の実施形態の要素に対応する要素については、同じ参照記号が使用される。簡潔にするために、実施形態間の違いのみを説明する。
【0114】
図3図5の例示的実施形態の耐熱ケーシング1は、少なくとも1つのバッテリを受入れるためのケーシングであってもよく、少なくとも1つのバッテリは円筒形バッテリであり得る。したがってアイテム19は、バッテリであってもよい。
【0115】
ケーシング1は、以下で接触側部として示される、両端部21、22を用いて形成され得る。接触側部21、22は、バッテリと電気接触するための接触要素を受入れるよう適応される。接触側部21、22において、接触ホルダ23、24が設けられ、そこに接触要素がそれぞれ挿入されて保持され得る。接触要素は、少なくとも接触プレート25の一部であってもよい。接触プレート25と第1の側壁層3との間で、熱絶縁要素26、および例えば熱絶縁ホイルは、それぞれの接触ホルダ23、24に設置され得る。
【0116】
間隙6は、少なくとも部分的に接触ホルダ23、24に連続してもよい。
【0117】
E3は、第1の側壁層3の拡大断面を示す。拡大断面E3は、第1の側壁層3の構造的配向性を概略的に示す。この構造的配向性は、基本的にY方向および/またはX方向に沿って延び、第2の側壁層4内に配置された炭素繊維の全体的な配列に対応し得る。
【0118】
図6は、前出の実施形態におけるケーシング1の、考えられる詳細図である。形状および/または機能において前出の図面の要素に対応する要素については、同じ参照記号が使用される。
【0119】
耐熱ケーシング1は、その内側部および/またはその外側部に沿って延びる少なくとも1つの溝27を備え得る。この溝は、少なくとも1本のケーブルのための嵌め込みチャネルを提供することができる。
【0120】
溝27は、ダクト10に接触し得る。しかし図6の例示的実施形態において、接触プレート25の一部が溝27に配置されるように、溝27は接触ホルダ23に接触する。
【0121】
図7は、ケーシング1の別の例示的実施形態における概略断面図を示す。形状および/または機能において前出の実施形態の要素に対応する要素については、同じ参照記号が使用される。簡潔にするために、実施形態間の違いのみを説明する。
【0122】
図7の例示的実施形態は、Z方向に積層された、すなわち互いに重ねて配置された3つの側壁層3、4、28を示す。例えば、参照符号28の側壁層は、第3の側壁層として示され得る。第2の側壁層4は、第1の側壁層3と第3の側壁層28との間に配置され得る。
【0123】
側壁層3、4、28のうち少なくとも1つの熱特性は、側壁層3、4、28のうち少なくとも1つの熱特性と異なってもよい。図7に示される例示的実施形態において、第2の側壁層4の熱特性は、第1および第3の側壁層3、28の熱特性とは異なる。第1および第3の側壁層3、28の熱特性は、互いに異なってもよい。さらに、図7に示される例示的実施形態において、第1および第3の側壁層3、28の熱特性は類似するか、または同一であってもよい。
【0124】
少なくとも選択された層、または全ての層3および4、ならびに任意選択で層28も、区画を形成するスタブ(stab)を有する骨組み構造を備え得る。それらのサイズに依拠して、区画は細孔または空洞として示され得る。スタブは、基材から形成され得る。
【0125】
側壁層3、4、28のうち少なくとも1つの区画サイズは、側壁層3、4、28のうち少なくとも1つの区画サイズと異なってもよい。図7に示される例示的実施形態において、第2の側壁層4の区画サイズは、第1および第3の側壁層3、28の区画サイズとは異なる。第1および第3の側壁層3、28の区画サイズは、互いに異なってもよい。さらに、図7に示される例示的実施形態において、第1および第3の側壁層3、28の区画サイズは類似するか、または同一であってもよい。
【0126】
区画サイズの差によって、それぞれの側壁層の密度は異なってもよい。
【0127】
図7の例示的実施形態における第1の側壁層3において、第1の側壁層3における総体積の5%のみが、例えば基材で充填され、そのため充填レベルは5%である。第3の側壁層28においても、第3の側壁層28における総体積の5%のみが、例えば基材で充填され、そのため充填レベルは5%である。第2の側壁層4は総体積の50%が、例えば基材で充填され、第2の側壁層4は50%の充填レベルを有する。
【0128】
第1の側壁層3、および/または第3の側壁層28の熱伝導率は、第2の側壁層4の熱伝導率よりも低くてもよい。さらに、第2の側壁層4の熱容量もしくは温度容量は、第1の側壁層3および/または第3の側壁層28の熱容量もしくは温度容量よりも、高くてもよい。
【0129】
ケーシング1の外側12において側部2に作用する熱または温度エネルギーT、例えば250℃の炉内の熱は、第1の側壁層3によってZ方向に沿ってゆっくりと伝達されることになる。第2の側壁層4に到達する熱または温度エネルギーは、第2の側壁層4に蓄積することができ、それによって第2の側壁層4の温度は、ゆっくりと上昇する。第3の側壁層28は、第2の側壁層4によって放出された熱または温度エネルギーが、ケーシング1の内側5に入るのを妨げる。
【0130】
図8は、ケーシング1の別の例示的実施形態における概略断面図を示す。形状および/または機能について前出の実施形態の要素に対応する要素については、同じ参照記号が使用される。簡潔にするために、実施形態間の違いのみを説明する。
【0131】
図8に示される側部2は、図8の側部2が別の側壁層29を備える点で、図7に示される側部2とは異なる。他の側壁層29は、第1の側壁層3、第2の側壁層4、および第3の側壁層28も備え、側部2を形成する層のスタックのどこかに配置される。図8の例示的実施形態によると、他の側壁層29は、第1および第2の側壁層3、4の間に配置され、それによって、外側12から内側5までの、Z方向に沿った側壁層の順番は、第1の側壁、他の側壁、第2の側壁、第3の側壁となり得る。
【0132】
側壁層3、4、28のうち少なくとも1つの熱特性は、他の側壁層29の熱特性と異なってもよく、または同じであってもよい。図7に示される例示的実施形態において、他の側壁層28の熱特性は、第1、第2、および第3の側壁層3、4、28と異なってもよい。
【0133】
さらに他の側壁層29は、区画を形成するスタブを有する骨組み構造を備え得る。それらのサイズに依拠して、区画は細孔または空洞として示され得る。スタブは、基材から形成され得る。
【0134】
側壁層3、4、28のうち少なくとも1つの区画サイズは、他の側壁層29の区画サイズと異なってもよく、または同じであってもよい。図7に示される例示的実施形態において、他の側壁層28の区画サイズは、第1、第2、および第3の側壁層3、4、28の区画サイズとは異なる。
【0135】
区画サイズの差によって、それぞれの側壁層の密度は異なってもよい。
【0136】
図8の例示的実施形態における他の側壁層29において、他の側壁層29は総体積の25%が、例えば基材で充填され、そのため充填レベルは25%である。
【0137】
他の側壁層29の熱容量もしくは温度容量は、第1および/または第2の側壁層3、4の熱容量もしくは温度容量よりも高くてもよい。他の側壁層29の熱容量または温度容量は、第3の側壁層28の熱容量または温度容量よりも低くてもよい。
【0138】
他の側壁層29の熱伝導率は、第1および/または第2の側壁層3、4の熱伝導率よりも低くてもよく、他の側壁層29の熱伝導率は、第3の側壁層28の熱伝導率よりも高くてもよい。
【0139】
ケーシング1の外側12において側部2に作用する熱エネルギーT、例えば250℃の炉内の熱は、第1の側壁層3によってZ方向に沿ってゆっくりと伝達されることになる。他の側壁層29に到達する熱または温度エネルギーは、他の側壁層29に蓄積することができ、それによって他の側壁層28の温度は、ゆっくりと上昇する。
【0140】
第2の側壁層4に到達する熱または温度エネルギーは、第2の側壁層4に蓄積することができ、それによって第2の側壁層4の温度は、他の側壁層28と比較してさらにゆっくりと上昇する。第3の側壁層28は、第2の側壁層4によって放出された熱または温度エネルギーが、ケーシング1の内側5に入るのを妨げる。
【符号の説明】
【0141】
1 耐熱ケーシング
2 側部
3 第1の側壁層
4 第2の側壁層
5 ケーシング1の内側
6 間隙
7 外部容器
8 内部容器
9 外部接触セクション
10 ダクト
11 側部
12 ケーシング1の外側
13 開口部
14 第1の閉鎖要素
15 第2の閉鎖要素
16 制止突出部
17 固定セクション
18 スペーサ要素
19 ケーシング1内のアイテム
20 アイテム19の保持構造
21,22 接触側部
23,24 接触ホルダ
25 接触プレート
26 熱絶縁要素
27 溝
28 第3の側壁層
29 他の側壁層
E1,E2,E3 拡大断面
D 距離
T 熱エネルギー
X、Y、Z 方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】