(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】充電器コネクタを位置決めするための装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230719BHJP
B60L 53/35 20190101ALI20230719BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L53/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022578574
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 NL2021050410
(87)【国際公開番号】W WO2022005281
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521468682
【氏名又は名称】ロクシス ビー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】ROCSYS B.V.
【住所又は居所原語表記】Delftweg 65,2289 BA Rijswijk,the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】ファン デア ヴェイデ,ヨハネス オーステン
(72)【発明者】
【氏名】パリス,フース ニコ
(72)【発明者】
【氏名】バウマン,クレイン
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC23
5H125BE02
5H125EE51
5H125FF14
(57)【要約】
本発明は、特に車両側相手コネクタに対して、充電器コネクタを位置決めするための装置であって、装置は、充電器コネクタに一端において接続される充電ケーブルアセンブリのための懸架部を備え、懸架部は、一端から離れた地点において、所定の配向および位置に充電ケーブルアセンブリをクランプする、第1の懸架点であって、上記配向および位置が、ケーブルアセンブリの剛性およびケーブルアセンブリに作用する重力とともに、一端の好ましい位置および/または好ましい配向を画定する、第1の懸架点と、充電器コネクタと、一端において充電ケーブルアセンブリに係合する第2の懸架点と、を含み、第2の懸架点は、ケーブルアセンブリの一端の好ましい位置および/または好ましい配向付近の範囲で、固定世界に対する充電器コネクタの位置および/または配向を操作するマニピュレータを含む、装置に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に車両側相手コネクタに対して、充電器コネクタを位置決めするための装置であって、前記装置は、
充電ケーブルアセンブリと、
前記充電器コネクタに一端において接続される前記充電ケーブルアセンブリのための懸架部と、を備え、前記懸架部は、
前記一端から離れた地点において、所定の配向および位置に前記充電ケーブルアセンブリをクランプするための第1の懸架点であって、前記配向および位置が、前記ケーブルアセンブリの剛性および前記ケーブルアセンブリに作用する重力とともに、前記一端の好ましい位置および/または好ましい配向を画定する、第1の懸架点と、
前記充電器コネクタと前記一端において前記充電ケーブルアセンブリに係合する第2の懸架点と、を含み、
前記第2の懸架点は、前記ケーブルアセンブリの一端の前記好ましい位置および/または前記好ましい配向付近の範囲で、固定世界に対する前記充電器コネクタの位置および/または配向を操作するマニピュレータを含む、装置。
【請求項2】
前記充電ケーブルアセンブリの前記充電ケーブルは、前記マニピュレータが係合していないとき、垂直下方向に延びないかまたは実質的に延びず、また前記好ましい配向の高さに延びないかまたは実質的に延びない、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記好ましい位置および/または配向は、前記一端を平衡位置から動かすのに必要とされる絶対力またはモーメントが局所的に必要な最低の平均力またはモーメントである位置および/または配向であるか、または該位置および/または配向から所定の距離内にあり、前記絶対力は特に、6自由度の力モーメントベクトルのノルムである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記マニピュレータは、少なくとも前記一端の前記好ましい位置および/または前記好ましい配向と一致する中央位置および/または配向付近の動作範囲を有する変位ストロークを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記マニピュレータは、中央位置および/または配向付近の動作範囲を有する変位ストロークを行うように配置され、前記中央位置は、少なくとも前記一端の前記好ましい位置および/または前記好ましい配向とは異なり、特に、前記一端を上方および下方に操作するのに必要とされる力間の差が、前記一端を前記好ましい位置および/または配向において上方および下方に操作するのに必要とされる力間の差よりも小さい、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ケーブルアセンブリのうち、前記第1の懸架点と前記第2の懸架点との間に延びる部分の長さは、前記第1の懸架点と前記第2の懸架点との間の絶対距離よりも大きい、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ケーブルアセンブリは、前記第1の懸架点から前記第2の懸架点への方向に対して略垂直に延びる略水平な巻軸の周りに、少なくとも45度、より好ましくは少なくとも90度、より好ましくは少なくとも180度、より好ましくは少なくとも270度、さらに好ましくは少なくとも360度の巻線を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記巻線のピッチは、ケーブル太さの多くとも10倍、好ましくは前記ケーブル太さの多くとも5倍、さらに好ましくは前記ケーブル太さの1.5~1倍の間である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記マニピュレータは、アクチュエータの運動学的に直列のチェーンを含むアセンブリ、および/またはアクチュエータの運動学的に並列のチェーンを含むアセンブリを備え、前記マニピュレータの全範囲にわたって前記一端を前記好ましい位置および/または好ましい配向から動かすのに必要とされる力は、前記マニピュレータの力範囲よりも小さい、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記充電器コネクタは、コンプライアンス機構を介して前記マニピュレータに連結され、前記マニピュレータの前記全範囲にわたって前記一端を前記好ましい位置および/または好ましい配向から動かすのに必要とされる力は、コンプライアス機構閾値未満である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
車両側相手コネクタが予期される場所のカメラ画像を提供するカメラを備え、前記カメラ画像に基づいて、検知された車両側相手コネクタの位置に前記コネクタを操作する制御装置をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の懸架点は、少なくとも5cm、好ましくは少なくとも10cm、さらに好ましくは少なくとも15cmの軸方向距離にわたって形状嵌合式に前記充電ケーブルアセンブリに係合するクランプ機構を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の懸架点は、前記第1の懸架点における前記充電ケーブルアセンブリの前記自由平行移動および回転を少なくとも部分的に制限するとともに好ましくは完全に妨げるクランプ機構を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記充電ケーブルアセンブリのスチフネスを調整するか、または、前記第1の懸架点と前記第2の懸架点との間で、前記充填ケーブルアセンブリを特定の形状に固定する、ガイドまたはばね等の固定要素を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の懸架点および/または前記第2の懸架点は、前記充電ケーブルアセンブリに取り外し可能に係合するように配置される、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の懸架点および前記第2の懸架点は、前記固定世界に対して互いとともに移動可能である、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記充電コネクタに一端において接続され、電気変換器等の少なくとも1つの供給源に前記充電ケーブルの他端において電気的に結合されて、電気車両用の充電電流を供給する、前記電気車両用の電気充電電流を搬送する充電ケーブルアセンブリを備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置を備える、電気車両充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両側相手コネクタに対して、充電器コネクタを位置決めするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両が普及しつつある。充電スタンドの不足等、以前に言われていた欠点は、家庭またはオフィス環境において充電スタンドを設置することが短期間のうちに多くの手の届くところとなったことにより少なからず克服されているように思われる。自動車の充電に慣れる人が増えていることに伴い、ユーザにとっての充電プロセスのさらなる簡素化の余地もある。簡素化の方向性のうちの1つは、車両の電気コネクタと充電器との自動接続および切断である。トラックおよびバスに関して、車両および/またはパンタグラフの使用を含むシステムの上またはその下の大きな接触面を用いることが知られている。乗用車に関して、また、手動結合も依然として可能な状態でなければならない他の用途に関しても、既知の解決策は、適用可能ではないかまたは利便に適用可能ではない。それは例えば、乗用車が大きな接触面またはパンタグラフを用いてそれらの解決策を実施することが利便でないまたは適していないからであり、他方で、多くの場合、充電器をコンパクトかつ簡素に保つことが望ましいからである。
【0003】
自動化解決策を得ようとする試みは、従来の充電器コネクタをプラグに差し込むとともに車両側相手コネクタに接続する手動プロセスに近い状態のままであり、いくつかの側面によって妨げられる。標準の充電コネクタを標準の車両側相手コネクタに挿入することは高精度の作業である。最近ますます一般的になっているDC充電器を用いて車両を充電するのに必要とされる高い充電電流の結果、ケーブルが重く堅いものとなり、その一方で、必要な精度、注意および安全性を有してコネクタを接続および切断することが依然として必要とされている。充電ケーブルを操作するための必要な精度ならびに相当な力およびモーメントの組み合わせにより、特にプロセスのスピードにさらなる要件が課される場合、この作業が課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電気車両の車両側相手コネクタへの充電器コネクタの接続を自動化する解決策を提供すること、または、従来技術の不都合点のうちの少なくとも1つを少なくとも取り除くことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これに対し、本発明は、特に車両側相手コネクタに対して、充電器コネクタを位置決めするための装置であって、装置は、充電ケーブルアセンブリと、充電器コネクタに一端において接続される充電ケーブルアセンブリのための懸架部と、を備え、懸架部は、一端から離れた地点において、所定の配向および位置に充電ケーブルアセンブリをクランプする、第1の懸架点であって、上記配向は、ケーブルアセンブリの剛性およびケーブルアセンブリに作用する重力とともに、好ましい位置を有し、および/または、一端の好ましい配向を画定する、第1の懸架点と、充電器コネクタと前記一端において充電ケーブルアセンブリに係合する第2の懸架点と、を含み、第2の懸架点は、ケーブルアセンブリの一端の好ましい位置および/または好ましい配向付近の範囲で、固定世界に対する充電器コネクタの位置および/または配向を操作するマニピュレータを含む、装置を提供する。
【0006】
中国特許出願公開第107719181号、米国特許出願公開第2017/0270805号、独国特許出願公開第102016014463号、独国特許出願公開第102017217601号および米国特許出願公開第2020/0031248号はすべて、充電ケーブルアセンブリが所定の配向および位置に保持されるが、これらの配向が、ケーブルアセンブリの剛性およびケーブルアセンブリに作用する重力とともに、第2の懸架点によって保持される、一端の好ましい位置および/または配向を有しない、装置の例である。それどころか、第2の懸架点が取り去られた場合、これらの例のすべてにおいて一端は地面に落ちる。
【0007】
本発明によるケーブルアセンブリは、場合によっては1本のケーブルとしてまたは1つの共通の外側ハウジング、スリーブ等において、ともに連結され得る複数本のケーブルを含み得る。ケーブルアセンブリは概して、少なくとも40アンペア、好ましくは少なくとも100アンペア、より好ましくは少なくとも200アンペアの最大充電電流、および/または少なくとも45kWまでの充電電力を有する(DC)規格を満たすのに適し得る。アセンブリはまた、特別な車両用途において使用されるケーブルについて最大300アンペア、さらには500アンペアまたは有意には500A超の電流を可能にする液冷却設備を含み得る。
【0008】
適したケーブルの例は、バッテリ駆動式の産業用トラックのための、Phoenix contact CCS-2、DCケーブル、125A定格、Phoenix contact CCS-2、DCケーブル、200A定格、Phoenix contact CCS-2、HPC、液冷DCケーブル、500A定格、Phoenix contact CCS-1、HPC、液冷DCケーブル、500A定格、Huber&Suhne CCS-2 HPC、液冷DCケーブル、500A定格、Huber&Suhne CCS-1 HPC、液冷DCケーブル、500A定格、Phoenix contact GB/T、DCケーブル、80A定格、Phoenix contact GB/T、DCケーブル、250A定格、Anderson Power produscts、Euro-Din、320Aケーブルである。
【0009】
適用されることができる考えられ得るコネクタは例えば、CCS-1、CCS-2、GB/T、CHAdeMO、ChaoJi、HPCCV、およびEuro-DINである。
【0010】
それは、規格IEC62893(電気車両用の充電ケーブル)、IEC62196(プラグ、コンセント、車両コネクタおよび車両インレット)、IEC TS 62196-3-1 CD(DC充電車両カプラおよび熱管理システムを有するケーブルアセンブリ)、IEC 61851-23(電気車両コンダクティブ充電システム-DC電気車両充電ステーション)、GB/T(中国プラグ規格)、DIN43589(バッテリ駆動式の工業用トラックのためのコネクタ80、160、320A)、UL62(USA、可撓性コードおよびケーブルの安全性のためのUL規格、電気車両ケーブル)、およびUL2251(USA、電気車両用の安全プラグ、コンセントおよびカプラのためのUL規格)に従った任意のケーブルおよび/またはプラグであってもよい。
【0011】
ケーブルおよび/またはコネクタは、Huber+Suhne、Phoenix contact、Anderson Power Products、Amphenol、Yazaki、REMA、Leoni、ITT Canonまたは他社から市販されているものであり得る。
【0012】
上述した好ましい位置および/または好ましい配向は、マニピュレータが係合していないとき、静的にバランスのとれた(平衡)位置および配向またはバランスのとれていない位置および配向であってもよい。バランスがとれていない場合、マニピュレータは、一端および/またはコネクタのバランスをとるために小さな力および/またはモーメントを適用しさえすればよい。「小さい」とは、この状況において、取り付け点間のケーブルの重量および寸法の影響の一部として理解されるべきである。静的バランスは、重力と組み合わさった、ケーブルアセンブリの剛性/スチフネスに、また、特定の実施形態を参照しながら以下で説明されるように、ケーブルの巻線に起因し得る。
【0013】
本発明の意味における位置および配向は、特に三次元空間画定および回転画定を含む、好ましくは6自由度すべてにおける画定を含み得る。一端を特定の位置および配向に配置する場合、一端から離れたクランプによりケーブルアセンブリの一端における力およびモーメントが定められる。
【0014】
好ましい位置および配向において、充電ケーブルアセンブリの充電ケーブルは、垂直下方向に延びないかまたは実質的に延びず、また第2の懸架点の高さに延びないまたは実質的に延びず、および/または、第2の懸架点は地表面以下にない。好ましい位置では、一端は、第2の懸架点が取り去られた場合、または、第2の懸架点が、本発明を適用せずにケーブルを別の好ましくはないが機能位置に保持するのに必要とされる力および/またはモーメントの一部を適用する場合、安定状態にあるとともに地表面よりも上にある状態である。換言すると、結果としてケーブルが本質的に重力方向に吊り下がり、および/または第2の懸架点が地面にあることになる、第2の懸架点が取り去られた場合の構成、または、第2の懸架点が小さな力を適用する構成は、本発明が目的とするものではない。
【0015】
好ましくは、好ましい配向において、充電ケーブルの一端は、第2の懸架点が取り外された場合、水平線と少なくとも45度の角度をなす。
【0016】
好ましい位置および/または配向は、一端を平衡位置から動かすのに必要とされる平均力またはモーメントが局所的にコネクタを機能配向に保つのに必要とされる最低絶対力および/またはモーメントである位置および配向であり得るか、または該位置および配向から所定の距離にあり得る。絶対力は、6自由度の力モーメントベクトルのノルムであり得る。
【0017】
したがって、ケーブルアセンブリの一端は、それ自体を部分的に担持し、このようにして重力を補償する。種々の製造業者からの各タイプのケーブルは、それ自体のスチフネス特性、重量分布特性および寸法を有するため、一端でケーブルを動かすのに必要とされる所望の低い力およびモーメントをもたらす、各個別のケーブルについての異なるクランプ位置および/または配向および/またはケーブル巻線幾何学形状があるものとすることができる。1つのケーブルまたはケーブルタイプについて十分に作用するクランプ位置および/または配向および/またはケーブル巻線幾何学形状は実際、別のケーブルタイプについては望む結果をもたらさない場合がある。したがって、クランプの位置は調整可能または構成可能であってもよく、または、クランプは、種々の設置シナリオのためのシステムを伴う、種々の幾何学形状を有してもよい。
【0018】
ケーブルアセンブリのスチフネス特性を数量化するために、ケーブルアセンブリのモデルが使用され得る。ビーム理論から、曲げスチフネスBは、
によって計算され、
Eは、ヤング率として、Iは慣性面積モーメントである。充電ケーブルアセンブリは、
として、その簡素化形態によってモデル化されることができ、式中、rは、ケーブルアセンブリの半径であり、Eは、ケーブルアセンブリのヤング率である。簡素化は、材料間の差異のない、円形断面を有するソリッドケーブルを仮定することにある。これらの仮定は、本発明の範囲を決して限定しない。
【0019】
本発明は概して、8mmよりも大きい、好ましくは10mmよりも大きい、より好ましくは12mmよりも大きい、さらにより好ましくは14mmよりも大きい半径を有するケーブルアセンブリに適用されるがこれに限定されない。非円形断面を有するケーブルアセンブリに関して、これらの値は、慣性面積モーメントによって置き換えられ得る。
【0020】
ケーブルアセンブリのためのヤング率は、ケーブルアセンブリのタイプにより大きく変動する。例えば、Huber&Suhne CCS-2 HPC、液冷DCケーブル、500A定格のような稠密な複合ケーブルは、粗密なAnderson Power products、Euro-Din、320Aケーブルとは数桁異なる。典型的には、ケーブルアセンブリのヤング率の桁は、1MPa~100GPaの間である。
【0021】
これらの式は、ケーブルアセンブリについての現行の技術水準のモデルでは決してないが、考察中のケーブルアセンブリの定義プロパティの公正の近似値を示す。
【0022】
本発明の意味におけるマニピュレータは、オランダ特許出願であるオランダ特許出願公開第2024952号に記載されているやり方で制御され得る、オランダ特許出願であるオランダ特許出願公開第2023019号に記載されているような装置であり得るがこれに限定されず、これら特許出願はいずれも同出願人によるものであり、参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
本発明による装置は、ケーブルアセンブリが直線状でまたはケーブルを明らかに特定の形状に強いることなくマニピュレータに導かれた場合に必要とされる力よりも概ね低い力をかけることによってケーブルアセンブリを操作することを可能にすることによって、限定された力またはトルクをかけつつ十分な精度で重く堅いケーブルを操作する機会を提供する。以下でより詳細に説明されるように、これにより装置にコンプライアンスを追加することも可能となる。
【0024】
本発明の一実施形態では、マニピュレータは、少なくとも一端の好ましい位置および/または好ましい配向と一致する中央位置および/または配向付近の動作範囲を有する変位ストロークを有する。本発明の意味における変位ストロークは、線形移動、および配向変化、したがって、明らかに回転運動も含み得る。
【0025】
変位ストロークは例えば、±1m平行移動、半径軸周りの±45°回転および軸方向への±22.5°回転を含み得る。乗用車に関して、ピッチは±30.0°、ヨーは±25.0°およびロールは±10.0°であり得る。産業用車両に関して、それらの値はより小さく、互いにより等しく、例えば約±12.0°であり得る。
【0026】
代替的な実施形態では、マニピュレータは、中央位置および/または配向付近の動作範囲を有する変位ストロークを行うように配置されてもよく、中央位置は少なくとも一端の好ましい位置および/または好ましい配向とは異なり、それにより、先端を上方および下方へ操作するのに必要とされる力間の差が、一端を好ましい位置および/または配向において上方および下方へ操作するのに必要とされる力間の差よりも小さくなっている。
【0027】
ケーブルアセンブリのうち、第1の懸架点と第2の懸架点との間に延びる部分の長さは、第1の懸架点と第2の懸架点との間の絶対距離を上回る。特に、その長さは著しく上回り、すなわち、25%超または33%超である。長さがより長いことにより、全体としてケーブルのスチフネスの影響が低減する。
【0028】
好ましい実施形態では、この差は、ケーブルアセンブリが第1の懸架点から第2の懸架点への方向に対して略垂直に延びる略水平の巻軸の周りに少なくとも45度、より好ましくは少なくとも90度、より好ましくは少なくとも180度、より好ましくは少なくとも270度、さらに好ましくは少なくとも360度の巻線を有するために生じる。
【0029】
ケーブルを巻回することは、ケーブルが、マニピュレータによって検知されるそれ自体の重量の少なくとも一部、すなわち一端におけるその有効重量、を担持し得るという付加的な利点をもたらす。ここで、第1の懸架点と第2の懸架点との間の長さが長いほど、ケーブルアセンブリが一端においてより可撓性が高いものとしてマニピュレータによって知覚されることにもなる。巻線がより長いことはより高い可撓性に寄与する。しかしながら、ケーブル長さもまた、巻線のサイズとともに増す。実用的な実施形態では、最適条件が選択される。
【0030】
かかる巻線のピッチは好ましくは、ケーブル太さの多くとも10倍、より好ましくはケーブル太さの多くとも5倍、さらに好ましくはケーブル太さの1.5~1倍の間である。より大きなピッチは、ケーブルに所望でないトルクまたはバイアスをもたらす可能性がある。さらに、巻線の半径は、ケーブルアセンブリ太さの5~15倍の間であり得る。
【0031】
マニピュレータは例えば、アクチュエータの運動学的に直列のチェーンを含むアセンブリ、および/またはアクチュエータの運動学的に並列のチェーンを含むアセンブリと、を備え、マニピュレータの全範囲にわたって一端を好ましい位置および/または配向から動かすのに必要とされる力(この状況ではモーメントを含むものとも理解される)は、マニピュレータの力範囲よりも小さい。
【0032】
さらに他の好ましい実施形態では、本発明は、コンプライアンス機構を備え、マニピュレータの全範囲にわたって一端を好ましい位置および/または好ましい配向から動かすのに必要とされる力がコンプライアンス機構閾値よりも小さい。本発明の意味におけるコンプライアンス機構は、力が閾値を超えた後、コネクタにかかる合力の影響下で変位を弾性的かつ受動的に吸収および解放するように構成されたアセンブリと理解されたい。この要件が満たされると、コンプライアンスは、範囲の一部にわたって、または全範囲にわたって有効であり、マニピュレータによってかけられる力は、充電器コネクタおよび/またはケーブルの一端を動かすために有効に用いられる。
【0033】
本発明による装置は、車両側相手コネクタが予期される場所のカメラ画像を提供するカメラをさらに備え、カメラ画像に基づいて、検知された車両側相手コネクタの位置にコネクタを操作する制御装置をさらに備え得る。
【0034】
第1の懸架点は、少なくとも5cm、好ましくは少なくとも10cm、さらに好ましくは少なくとも15cmの軸方向距離にわたって形状嵌合式に充電ケーブルアセンブリに係合するクランプ機構を含み得る。
【0035】
かかるクランプ機構は、ケーブルアセンブリに課せられる配向が実際に所望のケーブルアセンブリ配向をもたらすことを確実にする。本発明はまた明示的に、上述した種類のクランプ機構に関する。さらに、本発明は、特に車両側相手コネクタに対して、充電器コネクタを位置決めするための装置であって、装置は、充電器コネクタに一端において接続される充電ケーブルアセンブリのための懸架部を備え、懸架部は、一端から離れた地点において、所定の配向および位置に充電ケーブルアセンブリをクランプする、第1の懸架点であって、クランプ機構が、少なくとも5cm、好ましくは少なくとも10cm、さらに好ましくは少なくとも15cmの軸方向距離にわたって形状嵌合式に充電ケーブルアセンブリに係合する、第1の懸架点と、充電器コネクタの一端において充電ケーブルアセンブリに係合する第2の懸架点と、を含み、第2の懸架点は、固定世界に対する充電器コネクタの位置および/または配向を操作するマニピュレータを含む、装置に関する。かかる実施形態は、本出願全体を通じて述べられる任意の他の特徴を含んでも含まなくてもよい。
【0036】
すべての場合において、第1の懸架点は、充電ケーブルアセンブリの回転自由を少なくとも部分的に制限するとともに好ましくは完全に妨げるクランプ機構を含み得る。
【0037】
さらに、本発明による装置は、充電ケーブルアセンブリのスチフネスを調整するか、または、充電ケーブルアセンブリを特定の形状に固定する、固定要素を備え得る。この固定要素は、第1の懸架点と第2の懸架点との間の形状において、ケーブルのスチフネスおよび/または自然の配向に影響を及ぼす、ガイドまたはばね等の機械要素であり得る。固定要素の適用によりケーブルの特性および/または自然の形状が変わり、これにより同様に、好ましい位置および/または好ましい配向、および/または所要範囲にわたって一端を操作するために必要とされる力が変わり、そのため、これはより好都合である。
【0038】
本発明を既存の充電器に後付け付加として適用するために、または、充電ケーブルアセンブリまたはタイプを変更するために、第1の懸架点および/または第2の懸架点は、充電ケーブルアセンブリに取り外し可能に係合するために配置され得る。
【0039】
装置の融通性および動作領域を増加させるために、第1の懸架点および第2の懸架点は、固定世界に対してともに可動であり得る。
【0040】
本発明はまた、充電器コネクタに一端において接続され、電気変換器等の少なくとも1つの供給源に充電ケーブルの他端において電気的に結合されて、電気車両用の充電電流を供給する、電気車両用の電気充電電流を搬送する充電ケーブルアセンブリを備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置を備える、電気車両充電器または充電システムに関する。
【0041】
ここで本発明を以下の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図5】本発明の様々な実施形態の第1の詳細の斜視図を示す。
【
図6】本発明の様々な実施形態の第2の詳細の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、車両側相手コネクタ(図示せず)に対して、充電器コネクタ2を位置決めするための装置1であって、装置1は、充電器コネクタ2に一端5において接続される充電ケーブルアセンブリ4のための懸架部を備え、懸架部は、一端5から離れた地点において、(
図5を参照しながらより詳細に説明されるような)所定の配向および位置に充電ケーブルアセンブリ4をクランプする、第1の懸架点6であって、上記配向および位置は、ケーブルアセンブリ4の剛性およびケーブルアセンブリに作用する重力とともに、一端5の(
図5を参照しながらより詳細に説明されるような)好ましい位置および/または好ましい配向を画定する、第1の懸架点6と、充電器コネクタ2と一端5において充電ケーブルアセンブリ4に係合する第2の懸架点7と、を含み、第2の懸架点7は、ケーブルアセンブリ4の一端の(
図5を参照しながらより詳細に説明されるような)好ましい位置および/または好ましい配向付近の範囲で、固定世界9に対する充電器コネクタの位置および/または配向を操作するマニピュレータ8を含む、装置1を示す。装置は、カメラ3をさらに備える。
【0044】
図2は、車両側相手コネクタ(図示せず)に対して充電器コネクタ12を位置決めするための装置11であって、装置11は、充電器コネクタ12に一端15において接続される充電ケーブルアセンブリ14のための懸架部を備え、懸架部は、一端5から離れた地点において、(
図5を参照しながらより詳細に説明されるような)所定の配向および位置に充電ケーブルアセンブリ14をクランプする、第1の懸架点16であって、上記配向および位置は、ケーブルアセンブリ14の剛性およびケーブルアセンブリに作用する重力とともに、一端15の(
図5を参照しながらより詳細に説明されるような)好ましい位置および/または好ましい配向を画定する、第1の懸架点16と、充電器コネクタの一端15において充電ケーブルアセンブリ14に係合する第2の懸架点17と、を含み、第2の懸架点17は、ケーブルアセンブリ14の一端の(
図5を参照しながらより詳細に説明されるような)好ましい位置および/または好ましい配向付近の範囲で、固定世界19に対する充電器コネクタの位置および/または配向を操作するマニピュレータ18を含む、装置11を示す。ケーブルアセンブリ14は、第1の懸架点16から第2の懸架点17への方向に対して略垂直に延びる略水平な巻軸(図示せず)の周りに約90度の巻線20を有する。その結果、ケーブルアセンブリは、その一端15のその好ましい位置およびその好ましい配向において、ケーブルアセンブリ自体の重量の少なくとも一部を担持する。装置は、カメラ13をさらに備える。
【0045】
図3は、車両側相手コネクタ(図示せず)に対して充電器コネクタ22を位置決めするための装置21であって、装置21は、充電器コネクタ22に一端25において接続される充電ケーブルアセンブリ24のための懸架部を備え、懸架部は、一端25から離れた地点において、(
図5を参照しながらより詳細に説明されるような)所定の配向および位置に充電ケーブルアセンブリ24をクランプする、第1の懸架点26であって、上記配向および位置は、ケーブルアセンブリ24の剛性およびケーブルアセンブリに作用する重力とともに、一端25の(
図5を参照しながらより詳細に説明されるような)好ましい位置および/または好ましい配向を画定する、第1の懸架点26と、充電器コネクタの一端25において充電ケーブルアセンブリ24に係合する第2の懸架点27と、を含み、第2の懸架点27は、ケーブルアセンブリ24の一端の(
図5を参照しながらより詳細に説明されるような)好ましい位置および/または好ましい配向付近の範囲で、固定世界29に対する充電器コネクタの位置および/または配向を操作するマニピュレータ28を含む、装置21を示す。ケーブルアセンブリ24は、第1の懸架点26から第2の懸架点27への方向に対して略垂直に延びる略水平な巻軸(図示せず)の周りに約270度の巻線30を有する。その結果、ケーブルアセンブリは、その一端25のその好ましい位置およびその好ましい配向において、ケーブルアセンブリ自体の重量の少なくとも一部を担持する。装置は、カメラ23をさらに備える。
【0046】
図4は、
図3の実施形態21と同様であるが、充電ケーブルアセンブリのスチフネスを調整するか、または、充電ケーブルアセンブリ34を、第1の懸架点36と第2の懸架点37との間に示されるU字状等の特定の形状に固定する、ばねによって形成された固定要素32をさらに備える、本発明による装置の実施形態31を示す。
【0047】
図5は、説明的理由のため、とりわけ、第2の懸架点が省かれている、本発明による実施形態41の一部を示す。位置x、y、zおよび角度φ、θ、Ψに従ってケーブルアセンブリ44をクランプするとともにそれにより固定し、一端45および充電器コネクタ42の好ましい位置および角度配向を好ましい位置x1、y1、z1および好ましい配向φ1、θ1、Ψ1に画定する、第1の懸架点46が示されている。これは、第2の懸架点におけるマニピュレータがコネクタ42またはケーブルアセンブリの一端45に係合した位置であり得る。
【0048】
図6は、車両側相手コネクタ(図示せず)に対して充電器コネクタ52を位置決めするための装置51であって、装置51は、充電器コネクタ52に一端55において接続される充電ケーブルアセンブリ54のための懸架部を備え、懸架部は、一端55から離れた地点において、所定の配向および位置に充電ケーブルアセンブリ54をクランプする、第1の懸架点56であって、上記配向および位置は、ケーブルアセンブリ54の剛性およびケーブルアセンブリに作用する重力とともに、一端55の好ましい位置および/または好ましい配向を画定する、第1の懸架点56と、充電器コネクタの一端55において充電ケーブルアセンブリ54に係合する係合させる第2の懸架点57と、を含み、第2の懸架点57は、ケーブルアセンブリ54の一端の好ましい位置および/または好ましい配向付近の範囲で、固定世界に対する充電器コネクタの位置および/または配向を操作するマニピュレータ58を含む、装置51を示す。装置は、カメラ53をさらに備える。
図6では、位置x、y、zおよび角度φ、θ、Ψに従ってケーブルアセンブリ54をクランプするとともにそれにより固定する、第1の懸架点56と、ケーブルアセンブリが位置x1、y1、z1および好ましい配向φ1、θ1、Ψ1に保持される、第2の懸架点57との間で、ケーブルアセンブリが、3次元ループまたはカールをなす巻線をもたらすことが見て分かる。
【0049】
上記に説明された実施形態は単に例であり、特許請求の範囲によって定義される保護範囲を決して限定するものではない。
【0050】
好ましい位置は、一端を平衡位置近くに保つのに必要とされる、一端に作用する力および/またはモーメントを測定するために、一端と固定世界との間に取り付けられる力および/またはモーメントセンサであって、一端を平衡位置から動かすのに必要とされる平均力またはモーメントが、最低平均力またはモーメントが必要とされる位置から所定の距離であるかまたはその所定の距離内にある、位置および/または配向として、好ましい位置および/または配向を画定する、力および/またはモーメントセンサによって、決定され得る。好ましくは、好ましい位置および配向は、この平均力が0であるように決定される。本発明による装置はその場合、好ましい位置および配向が車両の予期される係合地点付近にあるように位置決めされ得る。
【0051】
換言すると、好ましい位置は、一端に作用する力およびモーメントが極小値近くまたは極小値にある安定または不安定な平衡地点(付近)を決定するために、一端と固定世界におけるいくつかの地点との間に取り付けられた力/モーメントセンサによって決定され得る。
【国際調査報告】