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特表2023-5319742種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置
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  • 特表-2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/34 20140101AFI20230719BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20230719BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20230719BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20230719BHJP
   B22F 12/70 20210101ALI20230719BHJP
   B22F 12/55 20210101ALI20230719BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230719BHJP
【FI】
B23K26/34
B23K26/21 Z
B23K26/10
B22F10/28
B22F12/70
B22F12/55
B33Y30/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579762
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2020114824
(87)【国際公開番号】W WO2022016689
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】202010704662.2
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522495728
【氏名又は名称】南京前知智能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING PROFETA INTELLIGENT TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】12 Mozhou East Road,Jiangning District,Nanjing,Jiangsu 211111,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 大振
(72)【発明者】
【氏名】孔 龍輝
(72)【発明者】
【氏名】韓 銀宝
(72)【発明者】
【氏名】曽 剛
【テーマコード(参考)】
4E168
4K018
【Fターム(参考)】
4E168BA81
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
【課題】本発明は、2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置を提供し、高速成形の技術分野に属する。
【解決手段】上記レーザー溶融装置は、成形システム、粉末回収システム、及びガス循環システムが含まれ、成形システムの成形ビンの下端には粉末シリンダーと成形シリンダーが固定され、粉末シリンダーと成形シリンダーの内部の上端には可動シリンダー本体が着脱可能に取り付けられ、1種類の金属粉末で印刷した後、ほかの1種類の金属粉末に便利且つ迅速にスイッチングして印刷し、作業効率が大幅に向上する。ガス循環システムのガス吸引口には2つの開口部が設けられ、ガス吸引口は成形ベースに対向し、異なる金属粉末で印刷する時に発生される煙や粉塵を吸収し、粉末回収システムは異なる金属粉末を回収するための頂部粉末吸引口と底部粉末吸引口が含まれ、異なる金属粉末を個別に回収することにより、異なる金属粉末による汚染が回避され、コストが節減される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形システム、光学システム、粉末回収システム、ガス循環システム、及び制御システムが含まれ、前記の成形システム、光学システム、粉末回収システム、ガス循環システムは、いずれも制御システムによって制御され、
前記成形システムは、成形ビン(1)、粉末散布装置(2)、粉末シリンダー(11)、及び成形シリンダー(12)が含まれ、粉末散布装置(2)は、成形ビン(1)の後側に配置され、成形ビン(1)の底端に金属粉末を散布するためのものであり、成形シリンダー(12)と粉末シリンダー(11)とは、構造が同じで、いずれも成形ビン(1)の下端に固定され、粉末シリンダー(11)の底部には電動シリンダー(10)が固定され、粉末シリンダー(11)の内部の上端には可動シリンダー本体(8)が着脱可能に取り付けられ、電動シリンダー(10)のガイドロッドは、ピストン部(9)の底部に接続され、ピストン部(9)の頂部にはシール板が固定され、シール板は可動シリンダー本体(8)の内部に位置し、前記成形シリンダー(12)のシール板の頂部には成形ベース(30)が取り付けられており、
前記光学システムは、レーザーを提供し、成形ベース(30)表面の金属粉末を層ごとに溶融させて成形し、
前記粉末回収システムは、2種類の異なる金属粉末を回収するための頂部粉末吸引口(27)と底部粉末吸引口(28)が含まれ、頂部粉末吸引口(27)は、インバーターファン(25)の第1の空気進入口に繋がれ、底部粉末吸引口(28)は、インバーターファン(25)の第2の空気進入口に繋がれ、
前記ガス循環システムは、ガス吸引口(23)とガス吹き出し口(24)が含まれ、ガス吹き出し口(24)は、光学システムの光学保護レンズ(20)に面しており、ガス吸引口(23)には2つの開口部が設けられ、ガス吸引口(23)は、異なる金属粉末で印刷する時に発生される煙や粉塵を吸収するために成形ベース(30)に面しており、ガス吸引口(23)は、インバーターファン(25)の第3の空気進入口に繋がれ、ガス吹き出し口(24)は、インバーターファン(25)の空気排出口に繋がれていることを特徴とする、2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置。
【請求項2】
前記頂部粉末吸引口(27)は、成形ビン(1)の鉛直方向に沿って配置され、頂部粉末吸引口(27)とインバーターファン(25)の第1の空気進入口との間には、サイクロン集塵機(34)とフィルタタンク(26)が順次設けられており、フィルタタンク(26)内には、フィルターエレメント(29)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置。
【請求項3】
前記底部粉末吸引口(28)は、成形ビン(1)の水平方向に沿って配置され、底部粉末吸引口(28)とインバーターファン(25)の第2の空気進入口との間には、サイクロン集塵機(34)とフィルタタンク(26)が順次設けられており、フィルタタンク(26)内には、フィルターエレメント(29)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置。
【請求項4】
前記粉末吸引口は、コルゲートホース吸引ヘッド(22)が用いられることを特徴とする、請求項2又は3に記載の2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置。
【請求項5】
前記の頂部粉末吸引口(27)と底部粉末吸引口(28)は、同時に作動しないことを特徴とする、請求項4に記載の2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置。
【請求項6】
前記ガス吸引口(23)の2つの開口部は、いずれも配管を介してインバーターファン(25)の第3の空気進入口に繋がれていることを特徴とする、請求項1に記載の2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置。
【請求項7】
前記ガス吸引口(23)の2つの開口部は、同時に作動しないことを特徴とする、請求項6に記載の2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置。
【請求項8】
前記のガス吸引口(23)とインバーターファン(25)の第3の空気進入口との間には、フィルタタンク(26)が設けられており、フィルタタンク(26)内には、フィルターエレメント(29)が設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速成形の技術分野に属し、特に2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置に関する。
【背景技術】
【0002】
選択的レーザー溶融(Selective laser melting、SLMと略す)装置は、新しく散布した粉末層における選択された領域を精密レーザーの集光スポットにより段階的に走査し、表面の輪郭が形成された後、層ごとに積み上げて成形して製造することにより、完全な冶金学的結合を有するほとんど任意形状の金属機能部品が直接得られ、相対密度は、ほぼ100%に達することができる。SLM装置は、複雑な三次元ジオメトリーを二次元平面に簡略化して製造し、製造コストは、部品の複雑さではなく、部品の体積と成形方向に依存する。
【0003】
金属機能部品を直接製造する重要な方法として、SLM装置は次のような利点がある。(1)層状製造技術を採用し、成形部品は幾何学的な複雑さの影響を受けず、複雑な成形金属部品、特にパーソナライズされた小ロットの複雑な金属製品の製造に非常に便利である。(2)高出力密度のファイバーレーザー発生器が使用されるため、ビームモードが良く、レーザースポットが小さく、成形精度が高い。(3)最終金属製品に直接加工する場合、レーザーエネルギー密度が高いため、融点が高く加工が困難な金属材料を直接最終金属製品に加工することができる。(4)成形金属部品は、冶金学的に成形されたものであり、その相対密度はほぼ100%であり、性能は従来の鋳物を超えている。
【0004】
現在、中国の多くの中小規模の加工工場は、生産能力が小さく、マルチマテリアル対応の選択的レーザー溶融装置に対する需要が大きく、海外市場では更にそのような製品が緊急に求められている。既存の選択的レーザー溶融装置は、単一の材料しか満足できず、粉末交換のコストが高く、粉末交換にかかる時間も長い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の不足点に対して、2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置を提供し、印刷コストが節減され、作業効率が向上する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の技術的手段により上記の技術目的を達成する。
【0007】
2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置は、成形システム、光学システム、粉末回収システム、ガス循環システム、及び制御システムが含まれ、上記の成形システム、光学システム、粉末回収システム、ガス循環システムは、いずれも制御システムによって制御され、
上記成形システムは、成形ビン、粉末散布装置、粉末シリンダー、及び成形シリンダーが含まれ、粉末散布装置は、成形ビンの後側に配置され、成形ビンの底端に金属粉末を散布するためのものであり、成形シリンダーと粉末シリンダーは、構造が同じで、いずれも成形ビンの下端に固定され、粉末シリンダーの底部には電動シリンダーが固定され、粉末シリンダーの内部の上端には可動シリンダー本体が着脱可能に取り付けられ、電動シリンダーのガイドロッドは、ピストン部の底部に接続され、ピストン部の頂部にはシール板が固定され、シール板は、可動シリンダー本体の内部に位置し、上記成形シリンダーのシール板の頂部には成形ベースが取り付けられおり、
上記光学システムは、レーザーを提供し、成形ベース表面の金属粉末を層ごとに溶融させて成形し、
上記粉末回収システムは、2種類の異なる金属粉末を回収するための頂部粉末吸引口と底部粉末吸引口が含まれ、頂部粉末吸引口は、インバーターファンの第1の空気進入口に繋がれ、底部粉末吸引口は、インバーターファンの第2の空気進入口に繋がれており、
上記ガス循環システムは、ガス吸引口とガス吹き出し口が含まれ、ガス吹き出し口は、光学システムの光学保護レンズに面しており、ガス吸引口には2つの開口部が設けられ、ガス吸引口は、異なる金属粉末で印刷する時に発生される煙や粉塵を吸収するように成形ベースに面しており、ガス吸引口は、インバーターファンの第3の空気進入口に繋がれ、ガス吹き出し口は、インバーターファンの空気排出口に繋がれている。
【0008】
上記の実施態様において、上記頂部粉末吸引口は、成形ビンの鉛直方向に沿って配置され、頂部粉末吸引口とインバーターファンの第1の空気進入口との間には、サイクロン集塵機とフィルタタンクが順次設けられており、フィルタタンク内には、フィルターエレメントが設けられている。
【0009】
上記の実施態様において、上記底部粉末吸引口は、成形ビンの水平方向に沿って配置され、底部粉末吸引口とインバーターファンの第2の空気進入口との間には、サイクロン集塵機とフィルタタンクが順次設けられており、フィルタタンク内には、フィルターエレメントが設けられている。
【0010】
上記の実施態様において、上記粉末吸引口は、コルゲートホース吸引ヘッドが用いられる。
【0011】
上記の実施態様において、上記頂部粉末吸引口と底部粉末吸引口は、同時に作動しない。
【0012】
上記の実施態様において、上記ガス吸引口の2つの開口部は、いずれも配管を介してインバーターファン第3の空気進入口に繋がれている。
【0013】
上記の実施態様において、上記ガス吸引口の2つの開口部は、同時に作動しない。
【0014】
上記の実施態様において、上記ガス吸引口とインバーターファンの第3の空気進入口との間には、フィルタタンクが設けられており、フィルタタンク内には、フィルターエレメントが設けられている。
【0015】
本発明の有益な効果は、次の通りである。本発明は、着脱可能な可動シリンダー本体を交換することにより、1種類の金属粉末での印刷が完了した後、他の1種類の金属粉末に便利に且つ迅速にスイッチングして印刷される。印刷プロセスでは、2種類の金属粉末によって発生される煙や粉塵のろ過及び2種類の金属粉末の回収は完全に独立しているため、異なる金属粉末による汚染が回避される。ほとんど中小企業のマルチマテリアルの高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置に対するニーズが満たされ、コストが節減されるだけでなく、作業効率も大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明に係る2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置の構造模式図。
図2図2は、本発明に係るインバーターファンの模式図である。
図3図3は、本発明に係るフィルタタンクとフィルターエレメントの模式図である。
図4図4は、本発明に係るサイクロン集塵機の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例の目的、実施態様、及び利点をより明確にするために、本発明の実施例における実施態様は、本発明の実施例における添付の図面を参照して、以下で明確かつ完全に説明され、記載された実施例は、明らかに本発明の実施例の一部にすぎず、実施例のすべてではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な努力なしに当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に入る。
【0018】
図1に示されるように、本発明の実施例で提供される2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置は、成形システム、光学システム、粉末回収システム、ガス循環システム、及び制御システムが含まれる。
【0019】
成形システムは、成形ビン1、粉末散布装置2、粉末シリンダー11、及び成形シリンダー12が含まれ、成形ビン1は、完全に密閉されるタイプであり、成形ビン1の内部の片側には、2本の平行なリニアガイドレール3が設けられ、リニアガイドレール3には、粉末散布装置2が滑り可能に接続され、粉末散布装置2には、粉末を水平に散布するためのゴムスクレーパーバー7が取り付けられ、粉末散布装置2の先端は、タイミングベルト4に固定され、タイミングベルト4は、タイミングベルト用滑車5と協働し、タイミングベルト用滑車5は、サーボモーター6に駆動され、タイミングベルト用滑車5は、成形ビン1の内部に固定され、サーボモーター6は、成形ビン1の外部に固定される。リニアガイドレール3は、粉末散布装置2を正確にガイドし、ゴムスクレーパーバー7が高精度で水平に移動できるようにゴムスクレーパーバー7を駆使して、成形領域(成形ビン1の底部)の粉末の厚さが均一であることを確保する。同時に、制御システムはサーボモーター6の回転数を制御し、粉末散布の戻り行程の速度が粉末散布速度の3倍になるように設定することにより、印刷時間を短縮する。
【0020】
粉末シリンダー11は、成形ビン1の下に固定され、且つ成形ビン1に繋がれている。粉末シリンダー11の底部には、高精度電動シリンダー10が固定され、粉末シリンダー11の内部の上端には、可動シリンダー本体8が着脱可能に取り付けられ、高精度電動シリンダー10のガイドロッドは、粉末シリンダー11の内部の下端に伸びて、ピストン部9の底部に接続され、ピストン部9には、粉末シリンダー11の下端の移動領域に潤滑油が入れられているため、ピストンの走行抵抗を減少することができ、ピストン部9の頂部には、取り付け板とシール板が順次固定されており、取り付け板とシール板は、可動シリンダー本体8内に位置され、取り付け板は、先端まで移動した時に成形ビン1の底端と張り合わせ、且つ取り付け板は、円周方向に取り付け板と可動シリンダー本体8との間の隙間からの粉落ちを防止するためのフェルトガスケット部13が固定されている。粉末の交換が必要な場合は、成形ビン1から可動シリンダー本体8全体を取り出して、新しい可動シリンダー本体と交換すればよい。粉末シリンダー11の可動シリンダー本体8内には金属粉末が入れられている。
【0021】
高精度電動シリンダー10は、サーボモーターBに駆動され、ピストン部9の粉末シリンダー11における位置を制御する。ピストン部9の末端には2層O形リングが円周方向に取り付けられているため、粉末シリンダー11内の気密性が効果的に向上する。
【0022】
取り付けやメンテナンスを容易にするために、成形シリンダー12と粉末シリンダー11とは、構造上の寸法が完全に同じであり、成形シリンダー12において、シール板の頂部には成形ベース30が取り付けられ、成形ベース30は、成形の直径が100mmであり、成形の高さが70mmである。
【0023】
粉末散布の効果を向上させるために、印刷時の粉末シリンダー11と成形シリンダー12の粉末散布比は、2:1であり、すなわち制御システムでサーボモーターBの回転数を制御して高精度電動シリンダー10を駆使することにより、粉末シリンダー11の上昇行程が成形シリンダー12の下降行程の2倍であるようにする。
【0024】
光学システムは、レーザー発生器15、ビーム拡大レンズ17、ガルバノスキャナー18、及びフィールドレンズ19が含まれ、レーザー発生器15のレーザー入射ヘッド16から出射されたレーザーは、ビーム拡大レンズ17で拡大されてから、ガルバノスキャナー18で反射され、さらにフィールドレンズ19で集光された後、焦点面でのライトビームのビームスポットの大きさが30μmであり、集光されたレーザーは、成形ビン1の先端に配置された光学保護レンズ20を通して成形ベース30に照射して、成形ベース30の表面に平坦化された金属粉末を層ごとに溶融成形する。レーザー発生器15は、制御システムに接続され、本実施例では、レーザー発生器15は、波長が1064μmであるファイバーレーザー発生器が用いられる。光学保護レンズ20の材質は石英ガラスである。
【0025】
粉末回収システムは、粉末回収ボックス21と粉末吸引口が含まれ、粉末回収ボックス21は、粉末散布プロセス中の余分な金属粉末を収集するために成形ビン1の底部に取り付けられている。粉末吸引口は、成形ビン1の内部に配置され、頂部粉末吸引口27と底部粉末吸引口28との2つのものが含まれ、頂部粉末吸引口27は、成形ビン1の鉛直方向に沿って配置され、底部粉末吸引口28は、成形ビン1の水平方向に沿って配置されている。頂部粉末吸引口27と底部粉末吸引口28は、2種類の異なる金属粉末をそれぞれ回収するために使用され、異なる金属粉末による汚染を回避する。頂部粉末吸引口27は、サイクロン集塵機34(図4)、フィルタタンク26、及びインバーターファン25(図2)の第1の空気進入口に順次繋がれ、フィルタタンク内には、フィルターエレメントが設けられ、底部粉末吸引口28は、サイクロン集塵機34、フィルタタンク26、及びインバーターファン25の第2の空気進入口に順次繋がれ、フィルタタンク内には、フィルターエレメントが設けられている。サイクロン集塵機34は、混合ガス中の粉末を分離するために使用され、フィルタタンク26は、より細かい不純物をろ過するために使用される。接続配管には、制御システムによって制御されて起動される電磁弁がさらに設けられている。粉末吸引口は、コルゲートホース吸引ヘッド22が用いられる。
【0026】
ガス循環システムは、金属粉末がレーザーによって溶融される時に発生される煙や粉塵をろ過するために使用され、煙や粉塵のレーザーに対するブロック及び粉末に対する汚染を防ぎ、ガス循環システムは、インバーターファン25、フィルタタンク26、ガス吸引口23、ガス吹き出し口24、及びフィルターエレメント29が含まれる。ガス吹き出し口24は、成形ビン1の頂部に配置され、ガス吹き出し口24は配管を介してインバーターファン25の空気排出口に繋がれ、接続配管には電磁弁が設けられ、電磁弁は、制御システムによって制御されて起動され、ガス吹き出し口24は、印刷プロセス中に光学保護レンズ20の表面の煙や粉塵を吹き飛ばして、印刷品質を向上させる。ガス吸引口23は、成形ベース30の片側に配置され、ガス吸引口23には、2種類の異なる金属粉末で印刷される時に成形ベース30の表面で発生される煙や粉塵を吸収するための2つの開口部が設けられ、2つの開口部は、いずれも配管を介してインバーターファン25の第3の空気進入口に繋がれ、接続配管には電磁弁が設けられ、電磁弁は、制御システムによって制御されて起動される。ガス吸引口23とインバーターファン25の第3の空気進入口との間には、フィルタタンク26が設けられ、フィルタタンク26内には、フィルターエレメント29(図3)が設けられている。印刷プロセス中の煙や粉塵は、インバーターファン25の吸引力でガス吸引口23からフィルタタンク26に入り、フィルターエレメント29でろ過されたガスは、リサイクルのためにガス吹き出し口24から成形ビン1内に戻される。
【0027】
成形ビン1の頂部には、成形ビン1内のガスの酸素含有量、圧力、及び温度をリアルタイムで検出して制御システムに送信するための酸素濃度センサー31、圧力センサー32、及び温度センサー33が配置され、酸素含有量が1%を超えると、制御システムは、信号を出力し、成形ビン1内のガスを置換し、酸素含有量を低下することにより(先行技術)、印刷プロセス中に部品が酸化されないことを確保する。
【0028】
本発明の2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置の作動プロセスは、次の通りである。粉末シリンダー11の底部にある高精度電動シリンダー10がピストン部9を押し上げて上に移動させ、ピストン部9の頂部にあるシール板が可動シリンダー本体8内の金属粉末を成形ビン1の底部に押し込む。サーボモーター6がタイミングベルト用滑車5を駆動し、タイミングベルト4が移動して粉末散布装置2のゴムスクレーパーバー7を駆使し、成形ビン1の底部にある金属粉末を成形シリンダー12の先端の成形ベース30の表面に平坦に散布する(成形ベース30は、高精度電動シリンダー10に駆使されて成形ビン1の底部と面一になる)。レーザー発生器15のレーザー入射ヘッド16は、レーザーを出射し、ビーム拡大レンズ17、ガルバノスキャナー18、フィールドレンズ19、及び光学保護レンズ20を順次通過し、成形ベース30の表面に平坦に散布された金属粉末を照射し、溶融成形させて1層の金属粉末の加工成形を完成する。部品の製造が完了するまで、上記のプロセスを繰り返して第2層の金属粉末の加工成形を実行する。加工成形プロセスでの余分な金属粉末は、ゴムスクレーパーバー7によって粉末回収ボックス21に運ばれる。金属粉末の加工成形プロセスで発生された煙や粉塵は、インバーターファン25の吸引力でガス吸引口23の1つの開口部からフィルタタンク26に入り、フィルターエレメント29でろ過されたガスは、ガス吹き出し口24から成形ビン1に戻り、光学保護レンズ20の表面の煙や粉塵を吹き飛ばす。部品の製造が完了した後、制御システムは、1つの粉末吸引口を開くように制御し、インバーターファン25の動作で成形ビンの隅々にある粉末がきれいに吸収される。第1種類の金属粉末の加工が完了した後、成形シリンダー12と粉末シリンダー11内の可動シリンダー本体8を交換することにより、ほかの1種類の金属粉末に交換し、同じプロセスで部品を製造し、加工成形プロセスで発生された煙や粉塵は、インバーターファン25の吸引力でガス吸引口23のもう1つの開口部からフィルタタンク26に入り、フィルターエレメント29でろ過されたガスは、ガス吹き出し口24から成形ビン1に戻り、光学保護レンズ20の表面の煙や粉塵を吹き飛ばす。成形ビンの隅々にある粉末は、もう1つの粉末吸引口によって吸収される。
【0029】
本発明で提供される2種類粉末高速スイッチング型の選択的レーザー溶融装置は、メカニズムのデザインが合理で、粉末交換の操作が便利で迅速であり、時間も労力もコストも節減され、作業効率を大幅に向上させ、ほとんど中小企業のマルチマテリアル高速スイッチングタイプの選択的レーザー溶融装置に対するニーズが満たされる。
【0030】
最後に、次のことに注意されたい。上記の実施例は、本発明の実施態様を説明するためたけに使用され、本発明を限定するものではない。上記の実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者は、上記の各実施例に記録された実施態様に変更を加えたり、技術的特徴の一部に同等の置換を実行したりできることを理解すべき、これらの変更又は置換は、対応する実施態様の本質を、本発明の各実施例の実施態様の精神及び範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0031】
1 成形ビン
2 粉末散布装置
3 リニアガイドレール
4 タイミングベルト
5 タイミングベルト用滑車
6 サーボモーターA
7 ゴムスクレーパーバー
8 可動シリンダー本体
9 ピストン部
10 高精度電動シリンダー
11 粉末シリンダー
12 成形シリンダー
13 フェルトガスケット部
14 ピストンシリンダー部
15 レーザー発生器
16 レーザー入射ヘッド
17 ビーム拡大レンズ
18 ガルバノスキャナー
19 フィールドレンズ
20 光学保護保レンズ
21 粉末回収ボックス
22 コルゲートホース吸引ヘッド
23 ガス吸引口
24 ガス吹き出し口
25 インバーターファン
26 フィルタタンク
27 頂部粉末吸引口
28 底部粉末吸引口
29 フィルターエレメント
30 成形ベース
31 酸素濃度センサー
32 圧力センサー
33 温度センサー
34 サイクロン集塵機
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】