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特表2023-532005発酵液からアミノ酸顆粒を製造する方法
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  • 特表-発酵液からアミノ酸顆粒を製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】発酵液からアミノ酸顆粒を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/142 20160101AFI20230719BHJP
   A23K 10/10 20160101ALI20230719BHJP
【FI】
A23K20/142
A23K10/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579947
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 KR2021008008
(87)【国際公開番号】W WO2021261952
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0078737
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513178894
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クォン, ミン キョン
(72)【発明者】
【氏名】リ, イン スン
(72)【発明者】
【氏名】クァク, ウォン シク
(72)【発明者】
【氏名】ユ, ジェ フン
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ジン テ
(72)【発明者】
【氏名】カン, ジ-フン
【テーマコード(参考)】
2B150
【Fターム(参考)】
2B150AA03
2B150AA06
2B150AB03
2B150AB10
2B150AC24
2B150AD02
2B150AE02
2B150AE22
2B150AE24
2B150AE25
2B150BB01
2B150DA44
2B150DA47
2B150DA49
2B150DD12
2B150DD21
(57)【要約】
本出願は、発酵液からアミノ酸顆粒を製造する方法、及びそれにより製造されたアミノ酸顆粒に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸を含む発酵液に前記アミノ酸に対するモル比が0.02~2.0であるカルシウム源を添加する第1ステップと、
前のステップで得られた結果物を顆粒化する第2ステップとを含む、
アミノ酸顆粒の製造方法。
【請求項2】
前記第1ステップの前又は後に、濃縮するステップをさらに含む、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記濃縮ステップの結果物は、0%(w/w)超70%(w/w)以下の濃縮度で製造されたものである、
請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記アミノ酸は、25℃での水に対する溶解度が0g/100g超20g/100g以下のアミノ酸である、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記アミノ酸は、バリン、トリプトファン、トレオニン、イソロイシン又はロイシンである、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記顆粒化ステップの前に、前のステップの結果物の排出水分率を10~50%(w/w)に調節するステップをさらに含む、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記顆粒化ステップの前に、前のステップの結果物を粉砕するステップをさらに含む、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
アミノ酸と、前記アミノ酸に対するモル比が0.02~2.0であるカルシウムイオンとを含む、
アミノ酸顆粒。
【請求項9】
前記アミノ酸顆粒は、湿度60%(w/w)、温度40℃の条件で、顆粒化時点から1~48時間静置した場合に、7%(w/w)以下の吸湿率を有するものである、
請求項8に記載のアミノ酸顆粒。
【請求項10】
前記アミノ酸顆粒は、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法により製造されたものである、
請求項8に記載のアミノ酸顆粒。
【請求項11】
請求項8に記載のアミノ酸顆粒を含む、
飼料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、発酵液からアミノ酸顆粒を製造する方法、及びそれにより製造されたアミノ酸顆粒に関する。
【背景技術】
【0002】
飼料用アミノ酸添加剤を生産する方法の一つとして微生物を用いる発酵方法(特許文献1)が用いられており、その発酵液を直接乾燥させて固体化することによりアミノ酸添加剤を生産することができる。しかし、このように発酵液を直接固体化すると、発酵液中に含まれる凝固を引き起こす不純物が多くなり、製品の吸湿性が高くなり、それにより塊りを形成しやすくなるので、取り扱いが困難になる。よって、このような欠点を克服するためには、アミノ酸を含む発酵液から、吸湿性が低く、取り扱いが容易な顆粒の形態で製造する方法を見出す必要がある。
【0003】
通常、アミノ酸を含む発酵液から顆粒を製造する工程は、発酵液を濃縮するステップと、顆粒化するステップとを含む。この工程では、濃縮ステップで可能な限り多くの水を除去すると、少量の水蒸気で顆粒化ステップを行うことができる。しかし、前記濃縮ステップ中にアミノ酸結晶が生成されると、設備駆動に問題が生じ、溶解度の低いアミノ酸(例えば、バリン、トリプトファン、トレオニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニンなど)を濃縮する場合は、結晶核が生成されるまでに濃縮ステップを終了しなければならないという問題がある。よって、発酵液中のアミノ酸の溶解度の向上、及び濃縮ステップ時の濃縮度の向上により、工程の効率を向上させ、最終的に吸湿性が低下したアミノ酸顆粒を製造する方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5431933号明細書
【特許文献2】米国特許第8465962号明細書
【特許文献3】米国特許第9885093号明細書
【特許文献4】米国特許第10351859号明細書
【特許文献5】米国特許第7863435号明細書
【特許文献6】米国特許第10787692号明細書
【特許文献7】米国特許第9029105号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2021/0094903号明細書
【特許文献9】米国特許第9587261号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、難溶性アミノ酸を効率的に顆粒化する方法を見出すべく鋭意研究を重ねた結果、濃縮の前に、アミノ酸を含む発酵液にカルシウム源を添加することにより、アミノ酸の溶解度を上昇させ、工程の効率を改善し、最終的に吸湿性が低下して安定したアミノ酸顆粒を提供できることを確認し、本出願を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、アミノ酸を含む発酵液に前記アミノ酸に対するモル比が0.02~2.0であるカルシウム源を添加する第1ステップ(カルシウム源添加ステップ)と、前のステップで得られた結果物を顆粒化する第2ステップ(顆粒化ステップ)とを含む、アミノ酸顆粒の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、本出願は、アミノ酸と、前記アミノ酸に対するモル比が0.02~2.0であるカルシウムイオンとを含むアミノ酸顆粒を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本出願は、前記アミノ酸顆粒を含む飼料組成物を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0009】
本出願の製造方法は、顆粒化の前に、アミノ酸を含む発酵液を所定のモル比のカルシウム源で処理するステップをさらに含むことにより、従来の設備を効率的に活用して溶解度の低いアミノ酸顆粒を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】顆粒化の前に、濃縮発酵液をホモジナイザーで粉砕する前(上段)と粉砕した後(下段)の粒子のサイズ分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、これらを具体的に説明する。なお、本出願で開示される各説明及び実施形態はそれぞれ他の説明及び実施形態にも適用される。すなわち、本出願で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本出願に含まれる。また、以下の具体的な記述に本出願が限定されるものではない。
【0012】
さらに、本明細書全体にわたって多くの論文及び特許文献が参照されており、その引用が示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容はその全体が本明細書に参照として組み込まれており、それにより本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【0013】
上記目的を達成するために、本出願の一態様は、アミノ酸を含む発酵液に前記アミノ酸に対するモル比が0.02~2.0であるカルシウム源を添加する第1ステップ(カルシウム源添加ステップ)と、前のステップで得られた結果物を顆粒化する第2ステップ(顆粒化ステップ)とを含む、アミノ酸顆粒の製造方法を提供する。
【0014】
本出願の製造方法は、アミノ酸を含む発酵濃縮液からアミノ酸顆粒を製造する上で、顆粒化の前に、アミノ酸を含む発酵液にカルシウム源を添加して発酵液中の溶解度を上昇させることにより、濃縮工程の効率を向上させることができる。また、これは、本出願の製造方法により製造されたカルシウムを含むアミノ酸顆粒において、PVPなどのバインダーをさらに添加して製造した顆粒に比べて、顆粒剤形の含有量の安定性が向上することを見出したことに基づくものである。
【0015】
本出願における「カルシウム源」とは、カルシウムイオン(Ca2+)を供給できる物質を意味するが、これに限定されるものではない。前記カルシウム源としては、水酸化カルシウム(Calcium carbonate, Ca(OH)2)、酸化カルシウム(Calcium oxide, CaO)、炭酸カルシウム(Calcium carbonate, CaCO3)、硫酸カルシウム(Calcium Sulfate, CaSO4)又は塩化カルシウム(Calcium chloride, CaCl2)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、前記カルシウム源は、粉末の形態、水溶液の形態又はスラリーの形態で添加するが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本出願の第1ステップでは、アミノ酸を含む発酵液にカルシウム源を添加することにより、溶解度の低いアミノ酸の溶解度を上昇させるので、それを含む溶液を濃縮すると、相対的に高い濃度の濃縮液が得られる。
【0017】
本出願における「カルシウム」は、骨を丈夫にし、血液循環を円滑にする機能を有するので、脊椎動物に必須のミネラルである。カルシウムの99%(w/w)以上は骨と歯牙に存在し、残りは血液や筋肉などに存在する。十分な量のカルシウムは、骨の健康を維持し、骨粗鬆症を予防する。筋肉を収縮させ、筋肉の痙攣を防ぎ、コレステロール値を低くし、心血管疾患の発生を減少させる役割も果たす。しかし、カルシウムが不足すると、骨が正常に形成されず、筋肉と神経に異常が生じ、小さな外傷でも骨折などの負傷が発生しやすくなり、骨粗鬆症のリスクが大きくなる。このようなカルシウムは、下痢や赤痢を予防するので、特に子ブタにおいて、消化及び吸収を助ける飼料添加剤の形態で動物に供給することもある。
【0018】
よって、本出願の製造方法で製造されたアミノ酸顆粒は、カルシウムを含有するので、アミノ酸、例えば必須アミノ酸と共に、生体に必要な無機物であるカルシウムを同時に供給することができる。
【0019】
前記第1ステップにおいて、カルシウム源として、アミノ酸を含む発酵液中のアミノ酸に対するモル比が0.02~2.0、0.05~2.0、0.07~1.5、0.1~1.0又は0.2~0.6であるカルシウムイオンを添加するが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本出願において、前記アミノ酸を含む発酵液は、公知の微生物発酵方法(特許文献2,3,4,5,6,7,8)により得られた発酵物の液体自体であるか、又はそれを濃縮して得られた濃縮液であるが、これらに限定されるものではない。例えば、第1ステップの前又は後に、濃縮するステップをさらに行うが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本出願における「発酵液」とは、微生物を培養して得られた培養物を意味する。前記発酵液には、その培養した微生物が含まれる。
【0022】
本出願における「アミノ酸を含む発酵液」は、「アミノ酸含有発酵液」又は「アミノ酸発酵液」と混用される。
【0023】
具体的には、本出願のアミノ酸を含む発酵液は、当該アミノ酸を生産する微生物を培養又は発酵することにより得られ、当業者であれば、前記微生物及びその培養又は発酵方法を公知の種類及び方法から選択して用いることができる。例えば、前記微生物は、野生型微生物や自然に又は人為的に遺伝的改変が行われた微生物が全て含まれるものであり、外部遺伝子が挿入されるか、内在性遺伝子の活性が強化又は不活性化されるなどの原因により、特定機序が弱化又は強化された微生物であって、目的とするL-アミノ酸生産のために遺伝的変異を起こすか、活性を強化した微生物(特許文献5、9など)である。具体的には、前記微生物は、所望のアミノ酸を生産するものであれば、その種類が特に限定されるものではなく、エンテロバクター(Enterbacter)属、エシェリキア(Escherichia)属、エルウィニア(Erwinia)属、セラチア(Serratia)属、プロビデンシア(Providencia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属及びブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属する微生物である。より具体的には、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属又はエシェリキア(Escherichia)属に属する微生物である。前記コリネバクテリウム(Corynebacterium)属微生物は、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacteriumglutamicum)、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス(Corynebacteriumthermoaminogenes)、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)、コリネバクテリウム・スタティオニス(Corynebacteriumstationis)、コリネバクテリウム・フォケ(Corynebacterium phocae)、コリネバクテリウム・フラベッセンス(Corynebacteriumflavescens)、コリネバクテリウム・ヒュミレデュセンス(Corynebacterium humireducens)、コリネバクテリウム・ハロトレランス(Corynebacteriumhalotolerans)、コリネバクテリウム・ポルティソリ(Corynebacterium pollutisoli)、コリネバクテリウム・マリヌム(Corynebacteriummarinum)、コリネバクテリウム・フレイブルゲンス(Corynebacterium freiburgense)、コリネバクテリウム・システィティディス(Corynebacteriumcystitidis)、コリネバクテリウム・デュルム(Corynebacterium durum)、コリネバクテリウム・ピロスム(Corynebacteriumpilosum)、コリネバクテリウム・テスツディノリス(Corynebacterium testudinoris)などであるが、これらに限定されるものではない。前記エシェリキア属(Escherichia)微生物は、大腸菌(Escherichiacoli)であるが、これに限定されるものではない。
【0024】
具体的には、前記濃縮は、0%(w/w)超75%(w/w)以下の濃縮度で行ってもよい。上記濃縮度を超えると、濃縮液がゲル化して流動性が著しく低くなり、次のステップへの進行が困難になる。例えば、上記濃縮度は、顆粒化ステップで顆粒機にかけると早期の結晶核形成などにより工程を阻害することを防ぐために設定した値であり、用いる設備の種類及び/又は駆動方式などに応じて許容される濃縮度の値は異なるので、本出願の条件がこれらに限定されるものではない。例えば、前記濃縮は、5%(w/w)以上75%(w/w)以下、10%(w/w)以上70%(w/w)以下、又は20%(w/w)以上65%(w/w)以下であるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
前記濃縮ステップは、発酵液中の液体成分を一部除去して固形分の含有量を増加させるステップであり、真空、加温及び/又は乾燥過程により行うが、これらに限定されるものではない。
【0026】
例えば、本出願の製造方法を適用することのできるアミノ酸は、25℃での水に対する溶解度が0g/100g超20g/100g以下の溶解度の低いアミノ酸であるが、これに限定されるものではなく、前述したように、溶解度の低いアミノ酸に適用することにより、従来の工程に比べて顕著な効果が期待できる。
【0027】
具体的には、前記アミノ酸は、バリン、トリプトファン、トレオニン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、ヒスチジン又はフェニルアラニンであるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本出願において、濃縮液を顆粒化する第2ステップは、粉末又は微小固体物質から所定の大きさを有する粒子の顆粒を形成するために行うものであり、当該技術分野で公知の顆粒化方法であればいかなるものを用いてもよい。例えば、混合型顆粒機にフィーダからシードを一定の速度で注入すると共に定量送液ポンプで前記濃縮液を供給することにより顆粒を得る混合型顆粒化方法、又は流動層顆粒機に所定の分量のシードを投入して所定の分量の濃縮液を一定の速度で注入しながら顆粒を形成する流動層顆粒化方法を適用してもよい。ここで、得られた顆粒を乾燥するステップをさらに含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0029】
本出願における「顆粒(granules)」とは、粉末(powder)のような小さな粒子が集まって形成される相対的に大きなサイズの永久凝集体である巨視的粒子(macroscopicparticles)であって、平均粒子直径が50μm~5mm、75μm~4mm、又は100μm~3mmの大きさの粒子を意味する。
【0030】
具体的には、本出願の製造方法は、前記顆粒化ステップの前に、排出水分率を10~50%(w/w)に調節するステップをさらに含んでもよい。本出願における「排出水分率」とは、「混合水分率」ともいい、混合物全体において水分が占める割合を意味し、混合物全体の100%(w/w)から全固体量(%(w/w))を引いて算出する。本出願においては、排出水分率が高くなると、その後の顆粒化のために濃縮液をシードと混合して混合機に投入する際の再使用率(recycle)が低くなり、生産率が高くなるという効果が得られる。例えば、前記排出水分率は、10~40%(w/w)、10~30%(w/w)又は15~30%(w/w)に調節されるが、これらに限定されるものではない。しかし、排出水分率が上記範囲未満では、単位の高い粘度によりスラリーの移送が困難になり、上記範囲を超えると、顆粒化の際に後工程の過負荷及びスチーム過剰使用の問題が生じる。前記排出水分率は、濃縮液に含まれるアミノ酸の種類に応じてその範囲が多少異なる。
【0031】
前記排出水分率は、前述したように濃縮した発酵液のスラリーの投入速度に応じて決定される。具体的には、前記スラリーの投入速度が増加するほど顆粒粒子の水分含有量が増加し、前記スラリーの投入速度が減少するほど顆粒粒子の水分含有量が減少する。前記投入速度は、発酵液スラリーのスケール(scale)に応じて決定されるので、当業者が適宜選択して決定することができる。
【0032】
さらに、前記第2ステップは、濃縮液のスラリーの固形分に対して50~75%(w/w)の重量のシードを投入して行う。あるいは、55~75%(w/w)、58~75%(w/w)、58~67%(w/w)の重量のシードを投入して行うが、これらに限定されるものではない。例えば、発酵液にカルシウム源を添加せずに準備した濃縮液では80%(w/w)以上のシードを用いるのに対して、本出願により準備した濃縮液を顆粒化する場合は、はるかに少量のシードを用いて行うことができるという利点がある。具体的には、前記第2ステップは、発酵液にカルシウム源を添加せずに準備した濃縮液を用いて顆粒化する場合に比べて、70~85%(w/w)、73~85%(w/w)、70~83%(w/w)又は73~83%(w/w)のレベルのシードだけでも、同等以上の収率で顆粒を製造することができる。
【0033】
前記スラリーの固形分に対するシードの混合比率は、「シード投入比率」と混用される。
【0034】
本出願における「シード(seed)」とは、種結晶又は種晶ともいい、液体の結晶化又は顆粒化のために触媒剤として用いる物質を意味する。具体的には、本出願におけるシードは、アミノ酸結晶、例えば顆粒化しようとする発酵濃縮液に含まれるアミノ酸と同種のアミノ酸の結晶であるが、これに限定されるものではない。前記シードは、発酵液に接触すると、発酵液中に存在する固形成分がシードに結合して凝集が形成されることにより、顆粒を形成する。
【0035】
例えば、ここで用いるシードは、150~300μmの平均粒度を有するものであってもよい。具体的には、150~250μm、200~300μm又は200~250μmの平均粒度を有するシードを用いることができるが、これらに限定されるものではない。前述したように用いるシードの粒度は、結果として本出願による顆粒の製造工程における生産性に影響を与えるので、所望の水分含有量などを考慮して当業者が適宜選択することができる。
【0036】
具体的には、本出願の製造方法は、前記顆粒化ステップの前に、前のステップで得られた結果物を粉砕するステップをさらに含んでもよい。これは、通常のホモジナイザーを用いて行うことができるが、これに限定されるものではない。前記粉砕ステップにより濃縮液中の結晶の平均粒度を減少させることができ、例えば流動層顆粒機を使用する際に発生し得るノズル閉塞を予防することができる。
【0037】
また、本出願の製造方法は、発酵液を準備するステップと、pH調整ステップと、濃縮ステップと、乾燥ステップと、ふるい分けステップとからなる群から選択される少なくとも1つのステップをさらに含んでもよい。上記各ステップは、当該技術分野で公知の方法(例えば、特許文献8)であればいかなるものを用いてもよい。さらに、工程の最適化のために具体的な条件を適宜変更するが、これに限定されるものではない。
【0038】
本出願の他の態様は、アミノ酸と、前記アミノ酸に対するモル比が0.02~2.0であるカルシウムイオンとを含むアミノ酸顆粒を提供する。
【0039】
例えば、前記アミノ酸顆粒は、湿度60%(w/w)、温度40℃の条件で、顆粒化時点から1~48時間静置した場合に、7%(w/w)以下の吸湿率を有するが、これらに限定されるものではない。
【0040】
具体的には、本出願のアミノ酸顆粒は、上記方法により製造されたものである。さらに、本出願のアミノ酸顆粒は、飼料添加用に用いるが、その用途がこれに限定されるものではない。
【0041】
顆粒は、上記定義の通り、粉末又は小さな粒子が凝集して形成された多孔性の粒子であるので、時間の経過に伴って周囲の水分を吸収する。その水分吸収の程度は、乾燥状態での質量と比較して、時間経過後に測定した質量との差から算出することができる。一方、顆粒粒子においては、過剰に水分を吸収すると、湿った顆粒同士が固まって望ましくない巨大な塊りを形成する。よって、長期間の保管に対応するためには、顆粒自体の吸湿性を低く調節することが好ましい。
【0042】
本出願の具体的な一実施例において、アミノ酸を含む発酵液からアミノ酸顆粒を製造する上で、単に濃縮及び顆粒化して製造したアミノ酸顆粒の場合、湿度60%(w/w)、温度40℃の条件で24時間放置すると、水分吸収により重量が約10%(w/w)増加し、48時間まで延長して保管すると、重量がさらに約1%(w/w)増加した。それに対して、本出願の製造方法により製造したアミノ酸顆粒の場合、湿度60%(w/w)、温度40℃の条件で24時間放置しても、水分吸収による重量増加は約3.3%(w/w)にすぎず、48時間まで期間を延長しても、さらなる重量増加は現れないことが確認された。これは、本出願のアミノ酸顆粒は、従来の工程で製造したアミノ酸顆粒に比べて、著しく改善された低い吸湿性を有し、保管した際に水分吸収による凝集及び/又は凝固を生じることなく、顆粒の状態を維持するので、保管に有利であることを示すものである。
【0043】
本出願のさらに他の態様は、本出願のアミノ酸顆粒を含む飼料組成物を提供する。
【0044】
本出願のアミノ酸顆粒は、飼料添加剤として動物飼料の製造に用いるのに適している。例えば、前記飼料添加剤としてのアミノ酸顆粒は、動物飼料プレミックス(premix)の一部又は動物飼料の前駆物質であり、それ自体を飼料物質と混合することができる。前記アミノ酸顆粒を含む飼料組成物は、動物に単独で投与してもよく、食用担体中で他の飼料添加剤と組み合わせて投与してもよい。また、前記飼料組成物は、トップドレッシングとして、もしくはそれらを動物飼料に直接混合して、又は飼料とは別の経口剤形で容易に動物に投与することができる。
【実施例
【0045】
以下、実施例を挙げて本出願をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本出願を例示するものにすぎず、本出願がこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
【0046】
発酵液に投入するカルシウムの各モル比におけるアミノ酸濃縮度の比較
実施例1-1:発酵液に0.4のモル比でカルシウムを添加したバリン含有濃縮液の作製
表1に示す組成のバリン発酵液60Lを110Lプラスチック容器に投入し、攪拌機(モデル名PL-SS-500D, プンリム)を用いて、25℃、100rpmで攪拌した。上記溶液に、カルシウム/バリンのモル比率が0.4になるように1.3kgの水酸化カルシウム及び1.6kgの水を添加し、さらに1時間攪拌した。ここで、pHは9.5であり、上記混合液の体積は62.2Lであり、バリン濃度77.2g/L、純度71.4%(w/w)、全固体量19.5%(w/w)であった。上記混合液を20L濃縮管(モデル名N-21NS,EYELA)に投入して濃縮した。圧力0.1気圧、水槽温度70℃の条件で、全濃縮度が40%(w/w)になるまで濃縮した。上記濃縮度で濃縮を終えた濃縮液は、濃度322.1g/L、純度71.4%(w/w)、全固体量40%(w/w)、体積14.9Lであった。次に、混合型顆粒機(Ploughsharemixer granulator, Lodige)を用いて顆粒を製造した。この顆粒の製造には、純度78.5%(w/w)、全固体量99%(w/w)、平均粒径200~250μmのシードを用いた。前記シードは、1時間当たり20kgの速度で全35.4kgを混合型顆粒機内のスクリューフィーダに投入した。濃縮液は、定量送液ポンプ(モデル名RP-2100,EYELA)を用いて、1時間当たり9.5kgの速度で全16.8kgを投入した。固体量80%(w/w)の顆粒52.2kgを回収した。これを流動層乾燥機(FBG-3.(株)エスウォンコリア)で乾燥した。微粉などが発生するので、回収率99%(w/w)となる41.7kgを回収した。純度77.3%(w/w)、全固体量99%(w/w)であった。
【0047】
実施例1-2:発酵液に0.2のモル比でカルシウムを添加したバリン含有濃縮液の作製
バリン発酵液60Lを110Lプラスチック容器に投入し、攪拌機を用いて、25℃、100rpmで攪拌した。上記溶液に、カルシウム/バリンのモル比率が0.2になるように0.6kgの水酸化カルシウム及び0.8kgの水を添加し、さらに1時間攪拌した。ここで、pHは8.8であり、上記混合液の体積は61.1Lであり、バリン濃度78.6g/L、純度74.6%(w/w)、全固体量10.3%(w/w)であった。上記混合液を20L濃縮管に投入して濃縮した。圧力0.1気圧、水槽温度70℃の条件で、全濃縮度が35%(w/w)になるまで濃縮した。上記濃縮度で濃縮を終えた濃縮液は、濃度285.0g/L、純度74.6%(w/w)、全固体量35%(w/w)、体積16.8Lであった。次に、混合型顆粒機を用いて顆粒を製造した。実施例1-1と同様に、シードを1時間当たり20kgの速度で全65.7kgまで混合型顆粒機内のスクリューフィーダに投入した。濃縮液は、1時間当たり5.6kgの速度で全18.4kgを投入した。固体量85%(w/w)の顆粒84.1kgを回収した。これを流動層乾燥機で乾燥した。微粉などが発生するので、回収率99%(w/w)となる71.5kgを回収した。純度78.1%(w/w)、全固体量99%(w/w)であった。
【0048】
実施例1-3:発酵液に0.6のモル比でカルシウムを添加したバリン含有濃縮液の作製
発酵槽から回収したバリン発酵液60Lを110Lプラスチック容器に投入し、攪拌機を用いて、25℃、100rpmで攪拌した。上記溶液に、カルシウム/バリンのモル比率が0.6になるように1.9kgの水酸化カルシウム及び2.4kgの水を添加し、さらに1時間攪拌した。ここで、pHは10.2であり、上記混合液の体積は63.3Lであり、バリン濃度75.9g/L、純度67.1%(w/w)、全固体量10.9%(w/w)であった。上記混合液を20L濃縮管に投入して濃縮した。圧力0.1気圧、水槽温度70℃の条件で、全濃縮度が33%(w/w)になるまで濃縮した。上記濃縮度で濃縮を終えた濃縮液は、濃度246.9g/L、純度67.1%(w/w)、全固体量33%(w/w)、体積19.4Lであった。次に、混合型顆粒機を用いて顆粒を製造した。実施例1-1と同様に、シードを1時間当たり20kgの速度で全43.4kgまで混合型顆粒機内のスクリューフィーダに投入した。濃縮液は、1時間当たり10.0kgの速度で全21.7kgを投入した。固体量87%(w/w)の顆粒65.1kgを回収した。これを流動層乾燥機で乾燥した。微粉などが発生するので、回収率99%(w/w)となる50.1kgを回収した。純度76.9%(w/w)、全固体量99%(w/w)であった。
【0049】
比較例1:発酵液にカルシウムを添加していないバリン含有濃縮液の作製
バリン発酵液60Lを20L濃縮管に投入して濃縮した。圧力0.1気圧、水槽温度70℃の条件で、全濃縮度が25%(w/w)になるまで濃縮した。上記濃縮度で濃縮を終えた濃縮液は、濃度210.5g/L、純度80.0%(w/w)、全固体量25%(w/w)、体積22.8Lであった。次に、混合型顆粒機を用いて顆粒を製造した。実施例1-1と同様に、シードを1時間当たり20kgの速度で全137.5kgまで混合型顆粒機内のスクリューフィーダに投入した。濃縮液は、1時間当たり3.5kgの速度で全24kgを投入した。固体量88%(w/w)の顆粒161.5kgを回収した。これを流動層乾燥機で乾燥した。微粉などが発生するので、回収率99%(w/w)となる142.1kgを回収した。純度78.6%(w/w)、全固体量99%(w/w)であった。
【0050】
【表1】
【0051】
全体として、カルシウムを発酵液中のバリン濃度に対して0.4のモル比で添加すると、濃縮度が最も高くなり、最も少量のシード投入で純度の高い顆粒を製造することができた。
【0052】
実施例1-4~1-5及び比較例2:発酵液にカルシウムを添加した又は添加していないトリプトファン含有濃縮液の作製
表2に示す組成のトリプトファン含有発酵液を用いることを除いて、実施例1-1~1-3と同様に、実施例1-4、実施例1-5においてそれぞれ0.1、0.2のモル比で水酸化カルシウムスラリーを添加して濃縮液を作製した。pHはそれぞれ8.8、9.0であった。比較例2の試料は、前記トリプトファン含有発酵液を用いるが、水酸化カルシウムを添加せずに濃縮して準備した。用いた発酵液、生成された濃縮液の濃度及び純度などを表2に示す。前記スラリーの添加により、純度が多少減少した。前記スラリーを添加した発酵液を、実施例1-4では濃縮度30%(w/w)、実施例1-5では濃縮度35%(w/w)まで濃縮した。それ以上濃縮すると、ゲル化して流動性を失うことが確認された。ここで、スラリーを添加していない発酵液においては、約25.5%(w/w)の濃縮度しか達成されなかった。
【0053】
具体的には、実施例1-4において、混合型顆粒機で前記濃縮液とシードを混合し、排出される全固体量を80%(w/w)に調節して排出した。53.7kgのシード(純度65.0%(w/w),全固体量99%(w/w))を投入して混合型顆粒機で混合した。混合した顆粒は76.4kg(純度65.0%(w/w),全固体量80%(w/w))であった。流動層乾燥/冷却機で乾燥した。固形分損失1%(w/w)が発生するので、61.1kgが得られた(純度65.0%(w/w),全固体量99%(w/w))。
【0054】
実施例1-5において、混合型顆粒機で前記濃縮液とシードを混合し、排出される全固体量を80%(w/w)に調節して排出した。54.9kgのシード(純度65.0%(w/w),全固体量99%(w/w))を投入して混合型顆粒機で混合した。混合した顆粒は78.1kg(純度64.8%(w/w),全固体量80%(w/w))であった。流動層乾燥/冷却機で乾燥した。固形分損失1%(w/w)が発生するので、62.5kgが得られた(純度64.8%(w/w),全固体量99%(w/w))。
【0055】
さらに、カルシウムの添加量を0.4のモル比に増加して同様の実験を行ったが、pHの上昇によりトリプトファンがトリプタミン(tryptamine)、インドール酢酸(indole-acetate)及びアントラニル酸(anthranilic acid)に分解された。
【0056】
【表2】
【0057】
カルシウムを発酵液中のトリプトファン濃度に対して0.2のモル比で添加した実施例1-5において、添加していない比較例2に比べて濃縮度が大幅に増加し、それにより33%(w/w)程度増加した濃度の濃縮液が得られた。
【0058】
実施例1-6~1-8及び比較例3:発酵液にカルシウムを添加した又は添加していないイソロイシン含有濃縮液の作製
表3に示す組成のイソロイシン含有発酵液を用いることを除いて、実施例1-1~1-3と同様に、それぞれ0.4、0.2及び0.6のモル比で水酸化カルシウムスラリーを添加して濃縮液を作製した。それぞれのpHは9.5、8.8及び10.2であった(それぞれ実施例1-6~1-8)。比較例3の試料は、前記イソロイシン含有発酵液を用いるが、水酸化カルシウムを添加せずに濃縮して準備した。用いた発酵液、生成された濃縮液の濃度及び純度などを表3に示す。前記スラリー添加により、純度が多少減少した。前記スラリーを添加した発酵液をそれぞれ濃縮度42、35及び32%(w/w)まで濃縮した。それ以上濃縮すると、ゲル化して流動性を失うことが確認された。ここで、スラリーを添加していない発酵液においては、約30%(w/w)の濃縮度しか達成されなかった。
【0059】
例えば、0.4のモル比でカルシウムを添加したものにおいて、混合型顆粒機で前記濃縮液とシードを混合し、排出される全固体量を77%(w/w)に調節して排出した。19.3kgのシード(純度57.0%(w/w),全固体量99%(w/w))を投入して混合型顆粒機で混合した。混合した顆粒は31.5kg(純度56.3%(w/w),全固体量77%(w/w))であった。流動層乾燥/冷却機で乾燥した。固形分損失1%(w/w)が発生するので、24.3kgが得られた(純度56.3%(w/w),全固体量99%(w/w))。
【0060】
例えば、0.2のモル比でカルシウムを添加したものにおいて、混合型顆粒機で前記濃縮液とシードを混合し、排出される全固体量を80%(w/w)に調節して排出した。33.3kgのシード(純度57.0%(w/w),全固体量99%(w/w))を投入して混合型顆粒機で混合した。混合した顆粒は47.4kg(純度56.8%(w/w),全固体量80%(w/w))であった。流動層乾燥/冷却機で乾燥した。固形分損失1%(w/w)が発生するので、37.9kgが得られた(純度56.8%(w/w),全固体量99%(w/w))。
【0061】
例えば、0.6のモル比でカルシウムを添加したものにおいて、混合型顆粒機で前記濃縮液とシードを混合し、排出される全固体量を80%(w/w)に調節して排出した。41.8kgのシード(純度57.0%(w/w),全固体量99%(w/w))を投入して混合型顆粒機で混合した。混合した顆粒は53.8kg(純度56.4%(w/w),全固体量80%(w/w))であった。流動層乾燥/冷却機で乾燥した。固形分損失1%(w/w)が発生するので、46.6kgが得られた(純度56.4%(w/w),全固体量99%(w/w))。
【0062】
【表3】
【0063】
全体として、カルシウムを発酵液中のイソロイシン濃度に対して0.4のモル比で添加すると、濃縮度が最も高くなり、最も少量のシード投入で純度の高い顆粒を製造することができた。
【0064】
実施例1-9~1-11及び比較例4:発酵液にカルシウムを添加した又は添加していないロイシン含有濃縮液の作製
表4に示す組成のロイシン含有発酵液を用いることを除いて、実施例1-1~1-3と同様に、それぞれ0.4、0.2及び0.6のモル比で水酸化カルシウムスラリーを添加して濃縮液を作製した。それぞれのpHは9.3、8.9及び10.0であった(それぞれ実施例1-9~1-11)。比較例4の試料は、前記ロイシン含有発酵液を用いるが、水酸化カルシウムを添加せずに濃縮して準備した。用いた発酵液、生成された濃縮液の濃度及び純度などを表4に示す。前記スラリー添加により、純度が多少減少した。前記スラリーを添加した発酵液をそれぞれ結晶核が生じる前の濃縮度32、27及び28%(w/w)まで濃縮した。それ以上濃縮すると、ゲル化して流動性を失うことが確認された。ここで、スラリーを添加していない発酵液においては、約25%(w/w)の濃縮度しか達成されなかった。
【0065】
例えば、0.4のモル比でカルシウムを添加したものにおいて、混合型顆粒機で前記濃縮液とシードを混合し、排出される全固体量を80%(w/w)に調節して排出した。23.0kgのシード(純度60.0%(w/w),全固体量99%(w/w))を投入して混合型顆粒機で混合した。混合した顆粒は32.1kg(純度59.7%(w/w),全固体量80%(w/w))であった。流動層乾燥/冷却機で乾燥した。固形分損失1%(w/w)が発生するので、25.7kgが得られた(純度59.7%(w/w),全固体量99%(w/w))。
【0066】
例えば、0.2のモル比でカルシウムを添加したものにおいて、混合型顆粒機で前記濃縮液とシードを混合し、排出される全固体量を83.0%(w/w)に調節して排出した。36.5kgのシード(純度60.0%(w/w),全固体量99%(w/w))を投入して混合型顆粒機で混合した。混合した顆粒は46.9kg(純度60.0%(w/w),全固体量83.0%(w/w))であった。流動層乾燥/冷却機で乾燥した。固形分損失1%(w/w)が発生するので、38.9kgが得られた(純度60.0%(w/w),全固体量99%(w/w))。
【0067】
例えば、0.6のモル比でカルシウムを添加したものにおいて、混合型顆粒機で前記濃縮液とシードを混合し、排出される全固体量を82.0%(w/w)に調節して排出した。34.2kgのシード(純度60.0%(w/w),全固体量99%(w/w))を投入して混合型顆粒機で混合した。混合した顆粒は45.0kg(純度56.9%(w/w),全固体量82.0%(w/w))であった。流動層乾燥/冷却機で乾燥した。固形分損失1%(w/w)が発生するので、36.9kgが得られた(純度56.9%(w/w),全固体量99%(w/w))。
【0068】
【表4】
【0069】
全体として、水酸化カルシウムを発酵液中のロイシン濃度に対して0.4のモル比で添加すると、濃縮度が最も高くなり、最も少量のシード投入で純度の高い顆粒を製造することができた。
【0070】
実施例1-12~1-14及び比較例5:発酵液にカルシウムを添加した又は添加していないトレオニン含有濃縮液の作製
表5に示す組成のトレオニン含有発酵液を用いることを除いて、実施例1-1~1-3と同様に、それぞれ0.4、0.2及び0.6のモル比で水酸化カルシウムスラリーを添加して濃縮液を作製した。それぞれのpHは9.5、8.8及び10.2であった(それぞれ実施例1-12~1-14)。比較例5の試料は、前記トレオニン含有発酵液を用いるが、水酸化カルシウムを添加せずに濃縮して準備した。用いた発酵液、生成された濃縮液の濃度及び純度などを表5に示す。前記スラリー添加により、純度が多少減少した。前記スラリーを添加した発酵液をそれぞれ結晶核が生じる前の濃縮度35、25及び26%(w/w)まで濃縮した。トレオニンにおいては、結晶粒子が針状に生成され、形態に優れるので、最高の濃縮度まで行うと、全て同一レベルになることが確認された。ここで、スラリーを添加していない発酵液においては、約18%(w/w)の濃縮で結晶核が生成されることが確認された。
【0071】
【表5】
【0072】
全体として、水酸化カルシウムを発酵液中のトレオニン濃度に対して0.4のモル比で添加すると、濃縮度が最も高くなった。
(実施例2)
【0073】
顆粒の各排出水分率におけるアミノ酸顆粒製造の比較
実施例2-1~2-3並びに比較例6及び7:混合顆粒法によるカルシウムを添加したバリン含有濃縮液の顆粒化
実施例1-1で用いたバリン含有発酵液300Lを500Lステンレスタンクに投入し、攪拌機を用いて前記発酵液を攪拌した。上記溶液に、カルシウム/バリンのモル比率が0.4になるように6.4kgの水酸化カルシウム及び8.0kgの水を添加し、さらに1時間攪拌した。ここで、pHは9.5であり、上記混合液の体積は310.9Lであり、バリン濃度77.2g/L、純度71.4%(w/w)、全固体量10.5%(w/w)であった。上記混合液を強制循環式濃縮管(マンミン機械)に投入して濃縮した。圧力0.1気圧、熱交換器に投入した水蒸気の圧力3気圧の条件で、全固体量が40%(w/w)になるまで濃縮した。上記濃縮度で濃縮を終えた濃縮液は、濃度322.1g/L、純度71.4%(w/w)、全固体量40.0%(w/w)、体積74.5Lであった。次に、混合型顆粒機を用いて顆粒を製造した。実施例1-1と同様に、シードを1時間当たり20kgの速度で投入し、排出される顆粒の全固体量に応じて濃縮液を投入した。製造した顆粒を流動層乾燥機で乾燥した。微粉などが発生するので、回収率99%(w/w)のレベルであった。実験結果を表6に示す。
【0074】
さらに、前記と同様に顆粒を製造し、顆粒の排出水分率をそれぞれ15.0%(w/w)~27.5%(w/w)に調節して実施例2-1~2-3並びに比較例6及び7の試料を準備した。比較例1の試料においては、排出水分率が12%(w/w)にすぎず、多量のシードを必要とするが、実施例1-1及び2-1~2-3の試料においては、排出水分率を17.5%(w/w)~25.0%(w/w)まで上昇させることができた。しかし、それぞれ排出水分率が15.0%(w/w)及び27.5%(w/w)である比較例6及び7の試料においては、顆粒形成に適切でなかった。例えば、顆粒の排出水分率が17.5%(w/w)のものにおいては、シードと同一又は同程度の大きさに均一に顆粒化することができず、27.5%(w/w)のものにおいては、顆粒同士が凝集する現象が生じた。前記実施例及び比較例の試料の特性を表6に要約した。
【0075】
【表6】
【0076】
実施例2-4及び2-5並びに比較例8及び9:混合顆粒法によるカルシウムを添加したトリプトファン含有濃縮液の顆粒化
実施例1-4で準備した濃縮液の排出水分率を20.0%(w/w)~25.0%(w/w)に調節して顆粒化した。比較例2の試料においては、排出水分率が12%(w/w)にすぎず、多量のシードを必要とするが、実施例1-5、2-4及び2-5の試料においては、排出水分率を20.0%(w/w)~25.0%(w/w)まで上昇させることができた。しかし、それぞれ排出水分率が17.5%(w/w)及び27.5%(w/w)である比較例8及び9の試料においては、顆粒を形成することができなかった。前記実施例及び比較例の試料の特性を表7に要約した。
【0077】
【表7】
【0078】
実施例2-6及び2-7並びに比較例10及び11:混合顆粒法によるカルシウムを添加したイソロイシン含有濃縮液の顆粒化
実施例1-6で0.4のモル比の水酸化カルシウムと反応させて準備した濃縮液の排出水分率を20.0%(w/w)~25.0%(w/w)に調節して顆粒化した。比較例3の試料においては、排出水分率が15%(w/w)にすぎず、多量のシードを必要とするが、実施例1-6、2-6及び2-7の試料においては、排出水分率を20.0%(w/w)~25.0%(w/w)まで上昇させることができた。しかし、それぞれ排出水分率が17.5%(w/w)及び27.5%(w/w)である比較例10及び11の試料においては、顆粒を形成することができなかった。前記実施例及び比較例の試料の特性を表8に要約した。
【0079】
【表8】
【0080】
実施例2-8及び2-9並びに比較例10及び11:混合顆粒法によるカルシウムを添加したロイシン含有濃縮液の顆粒化
実施例1-9で0.4のモル比の水酸化カルシウムと反応させて準備した濃縮液の排出水分率を18.0%(w/w)~23.0%(w/w)に調節して顆粒化した。比較例4の試料においては、排出水分率が15%(w/w)にすぎず、多量のシードを必要とするが、実施例1-9、2-8及び2-9の試料においては、排出水分率を18.0%(w/w)~23.0%(w/w)まで上昇させることができた。しかし、それぞれ排出水分率が15%(w/w)及び27%(w/w)である比較例10及び11の試料においては、顆粒を形成することができなかった。前記実施例及び比較例の試料の特性を表9に要約した。
【0081】
【表9】

(実施例3)
【0082】
流動層顆粒方法によるカルシウム添加アミノ酸顆粒の製造
実施例3-1及び比較例14:流動層顆粒化によるカルシウムを添加したバリン含有顆粒の製造
表10に示す組成のバリン発酵液2Lを3Lガラスビーカーに投入し、攪拌機(モデル名HT-50AX, テハン科学)を用いて、25℃で攪拌した。上記溶液に、カルシウム/バリンのモル比率が0.4になるように43gの水酸化カルシウム及び53gの水を添加し、さらに1時間攪拌した。ここで、pHは9.5であり、上記混合液の体積は2.1Lであり、バリン濃度77.2g/L、純度71.4%(w/w)、全固体量10.5%(w/w)であった。上記混合液を2L濃縮管(モデル名N-1200B,EYELA)に投入して濃縮した。圧力0.1気圧、水槽温度70℃の条件で、全濃縮度が31%(w/w)になるまで濃縮した。流動層顆粒機ノズル投入のために、結晶生成前の濃縮度31%(w/w)で濃縮を終えた。この濃縮を終えた濃縮液は、濃度242.7g/L、純度71.4%(w/w)、全固体量31%(w/w)、体積0.7Lであった。次に、実験室用流動層顆粒/乾燥機(GRエンジニアリング)にシード361gを投入し、前記濃縮液を1時間当たり180.7gの速度で全722.7g投入した。前記シードは、前述した実施例と同じものを用いた。回収した顆粒は558.2gであり、純度75.8%(w/w)、全固体量99%(w/w)であった(実施例3-1)。
【0083】
これとは別に、バリン発酵液2Lを2L濃縮管に投入して濃縮した。圧力0.1気圧、水槽温度70℃の条件で、全濃縮度が15%(w/w)になるまで濃縮した。上記濃縮度で濃縮を終えた濃縮液は、濃度123.7g/L、純度80.0%(w/w)、全固体量15%(w/w)、体積1.3Lであった。次に、実験室用流動層顆粒/乾燥機にシード667gを投入し、前記濃縮液を1時間当たり333gの速度で全1,333g投入した。前記シードは、前述した実施例と同じものを用いた。回収した顆粒は825gであり、純度78.8%(w/w)、全固体量99%(w/w)であった(比較例14)。
【0084】
実施例3-1及び比較例14で用いた発酵液、生成された濃縮液の濃度及び純度などを表10に示す。
【0085】
【表10】
【0086】
実施例3-2及び比較例15:流動層顆粒化によるカルシウムを添加したトリプトファン含有顆粒の製造
さらに、バリン含有発酵液を代替して、表11に示す組成のトリプトファン含有発酵液を用いることを除いて、実施例3-1及び比較例14と同様に、濃縮(それぞれ28%(w/w)及び15%(w/w)の濃縮度で濃縮を終えた)及び顆粒化して実施例3-2及び比較例15の試料を準備した。用いた発酵液、生成された濃縮液の濃度及び純度などを表11に示す。
【0087】
【表11】
【0088】
実施例3-3及び比較例16:流動層顆粒化によるカルシウムを添加したイソロイシン含有顆粒の製造
さらに、バリン含有発酵液を代替して、表12に示す組成のイソロイシン含有発酵液を用いることを除いて、実施例3-1及び比較例14と同様に、濃縮(それぞれ18%(w/w)及び10%(w/w)の濃縮度で濃縮を終えた)及び顆粒化して実施例3-3及び比較例16の試料を準備した。用いた発酵液、生成された濃縮液の濃度及び純度などを表12に示す。
【0089】
【表12】
【0090】
実施例3-4及び比較例17:流動層顆粒化によるカルシウムを添加したロイシン含有顆粒の製造
さらに、バリン含有発酵液を代替して、表13に示す組成のロイシン含有発酵液を用いることを除いて、実施例3-1及び比較例14と同様に、濃縮(それぞれ16%(w/w)及び10%(w/w)の濃縮度で濃縮を終えた)及び顆粒化して実施例3-4及び比較例17の試料を準備した。用いた発酵液、生成された濃縮液の濃度及び純度などを表13に示す。
【0091】
【表13】
【0092】
実施例3-5及び比較例18:流動層顆粒化によるカルシウムを添加したトレオニン含有顆粒の製造
さらに、バリン含有発酵液を代替して、表14に示す組成のトレオニン含有発酵液を用いることを除いて、実施例3-1及び比較例14と同様に、濃縮(それぞれ35%(w/w)及び18%(w/w)の濃縮度で濃縮を終えた)及び顆粒化して実施例3-5及び比較例18の試料を準備した。用いた発酵液、生成された濃縮液の濃度及び純度などを表14に示す。
【0093】
【表14】

(実施例4)
【0094】
顆粒化前の濃縮液に対するホモジナイザー処理による効果
実施例3-2における、流動層顆粒機を用いた顆粒化の前に、カルシウム、トリプトファン含有濃縮液をホモジナイザーで処理し、処理前/後の粒度を収束ビーム反射測定法(focused beam reflectance measurement; FBRM)で測定した。その結果を図1及び表15に示す。図1及び表15に示すように、他の因子による変化はほとんど現れないのに対して、ホモジナイザー処理前と比較して、処理後に100μm以上における粒子分布が減少し、平均粒度も43μmから35μmに大幅に減少した。これは、顆粒化前のホモジナイザーの使用により、流動層顆粒機におけるノズル閉塞などの問題が解消されることを示唆するものである。
【0095】
【表15】
【0096】
比較例19:発酵液の濃縮における水酸化亜鉛添加による効果
実施例1-1で用いたバリン発酵液60Lを110Lプラスチック容器に投入し、攪拌機を用いて、25℃、100rpmで攪拌した。上記溶液に、亜鉛/バリンのモル比率が0.4になるように1.7kgの水酸化亜鉛(含有量98%(w/w)、テジョンファグム)及び2.5kgの水を添加し、さらに1時間攪拌した。ここで、pHは9.3であり、上記混合液の体積は63.0Lであり、バリン濃度76.1g/L、純度67.6%(w/w)、全固体量10.9%(w/w)であった。上記混合液を20L濃縮管に投入して濃縮した。圧力0.1気圧、水槽温度70℃の条件で、全濃縮度が25%(w/w)になるまで濃縮した。上記濃縮度で濃縮を終えた濃縮液は、濃度183.9g/L、純度67.6%(w/w)、全固体量25%(w/w)、体積26.1Lであった。次に、混合型顆粒機を用いて顆粒を製造した。実施例1-1と同様に、シードは、1時間当たり20kgの速度で全82.3kgを混合型顆粒機内のスクリューフィーダに投入した。濃縮液は、定量送液ポンプを用いて、1時間当たり6.9kgの速度で全28.4kgを投入した。固体量80%(w/w)の顆粒110.7kgを回収した。これを流動層乾燥機で乾燥した。微粉などが発生するので、回収率99%(w/w)となる88.6kgを回収した。純度77.6%(w/w)、全固体量99%(w/w)であった。
【0097】
しかし、水酸化カルシウムを用いる実施例1-1とは異なり、水酸化亜鉛(比較例19)を添加したものにおいては濃縮度向上の効果が現れないことを確認して実験を終えた。
【0098】
実験例1:カルシウム含有アミノ酸顆粒におけるカルシウムのバインダー効果
カルシウム含有アミノ酸は、トリプトファン含有発酵液に0.2のモル比の水酸化カルシウムを添加した発酵液を顆粒化して準備した。これと比較するために、水酸化カルシウムを添加せず、別途のバインダーも投入せず、硫酸を添加してpH5.0に調節した発酵液を顆粒化して試料を準備し、全固体量の純度及び製品化する顆粒の純度を測定し、その差で示される全固体量の純度に対する顆粒の純度値を算出した。その結果、カルシウム含有トリプトファン顆粒においては、水酸化カルシウムの使用による溶解度増加により結晶量が減少するものと予想されるpH9.0の塩基性発酵液から製造されたにもかかわらず、-0.6とほとんど変化せず、全固体量の純度に対する顆粒の純度値が低いのに対して、カルシウムを含有しないpH5.0の発酵液から製造した顆粒においては、4%(w/w)以上の大幅な純度低下が生じた。これは、カルシウムがバインダーとして作用し、トリプトファン結晶と液相の凝集力を強化することを示唆するものである。
【0099】
よって、このような純度低下の差がpHの差によるものであるか否かを確認するために、硫酸を投入してpH5.0に調節する代わりに水酸化ナトリウムを添加し、水酸化カルシウムを添加して準備したカルシウムを含む発酵液と同一のpH9.0に調節した発酵液を用いて準備した顆粒の全固体量の純度に対する顆粒の純度値を算出し、それらを比較した。その結果、0.2のモル比で水酸化カルシウムを添加して製造したアミノ酸顆粒においては、-0.8%(w/w)と1%(w/w)未満の小幅な純度低下を示すのに対して、水酸化ナトリウムを添加した同一のpHの発酵液から製造したアミノ酸顆粒においては、-6.6%(w/w)の大幅な低下が確認された。
【0100】
さらに、カルシウムを添加する代わりにバインダーとして知られるPVPを1重量%(w/w)添加して製造したアミノ酸顆粒の全固体量の純度に対する顆粒の純度値を算出し、それらを比較した。その結果、0.2モル比で水酸化カルシウムを添加して製造したアミノ酸顆粒においては、-0.9と依然として1%(w/w)未満の純度低下を示すのに対して、バインダーとして1重量%(w/w)のPVPを添加して製造したアミノ酸顆粒においては、むしろ-3.5%(w/w)の大幅な低下が確認された。
【0101】
全体として、これらの結果を表16に要約した。これは、カルシウムイオンを添加して製造したアミノ酸顆粒において、pHの調整やバインダーの含有によらず、優れた含有量安定性が確保されることを示唆するものである。
【0102】
【表16】
【0103】
具体的には、表16に示すように、同一発酵液条件で、0.2のモル比の水酸化カルシウムを投入すると、全固体量の純度と顆粒の含有量の差は1%(w/w)未満の小さな偏差を示す。一方、従来からバインダーとして広く用いられているPVPを1wt%(w/w)投入すると、顆粒の含有量の差が3.5%(w/w)と3倍以上大きかった。さらに、水酸化カルシウムではなく、水酸化ナトリウムを同一モル比で投入すると、顆粒の含有量の差は6.6%(w/w)と大幅に増加した。これは、カルシウム以外の金属類がバインダーとして効果を発揮しないことを示唆するものである。
【0104】
実験例2:カルシウム添加による顆粒の吸湿性の改善
実施例1-1で準備した試料、及び比較例1で準備した試料を湿度60%(w/w)、温度40℃の条件で放置し、製造直後並びに24時間及び48時間経過後の試料の重量をそれぞれ計測し、吸湿性を確認した。その結果を表17に要約した。表17に示すように、実施例1-1の試料においては、24時間経過後に約3%(w/w)の重量増加を示し、それ以降はさらなる重量増加を示さないのに対して、比較例1の試料においては、24時間までに約10%(w/w)の重量増加を示し、増加幅は大幅に減少するが、それ以降もさらなる重量増加を示す。これは、カルシウムを添加して製造したアミノ酸顆粒において、高温及び/又は多少高い湿度の条件で、時間が経過しても水分吸収率が減少するので、保管における安定性が向上することを示すものである。
【0105】
【表17】
【0106】
以上の説明から、本出願の属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本出願には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
図1
【国際調査報告】