IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドレーガー セイフティー アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト アウフ アクチエンの特許一覧

<>
  • 特表-監視システム 図1a
  • 特表-監視システム 図1b
  • 特表-監視システム 図2a
  • 特表-監視システム 図2b
  • 特表-監視システム 図3
  • 特表-監視システム 図4
  • 特表-監視システム 図5
  • 特表-監視システム 図6
  • 特表-監視システム 図7
  • 特表-監視システム 図8
  • 特表-監視システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/083 20060101AFI20230719BHJP
   A61B 5/097 20060101ALI20230719BHJP
   A61B 5/087 20060101ALI20230719BHJP
   B64D 13/06 20060101ALI20230719BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
A61B5/083
A61B5/097
A61B5/087
B64D13/06
G08B25/04 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580051
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 EP2021065585
(87)【国際公開番号】W WO2022002555
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】102020117040.8
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021111431.4
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】503432043
【氏名又は名称】ドレーガー セイフティー アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト アウフ アクチエン
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング ゲアダー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ オースターロー
【テーマコード(参考)】
4C038
5C087
【Fターム(参考)】
4C038SS00
4C038ST01
4C038SU02
4C038SU17
4C038SU18
4C038SU19
4C038SX01
4C038SX02
4C038SX04
4C038SX08
5C087AA16
5C087AA19
5C087AA32
5C087AA37
5C087AA46
5C087AA51
5C087DD17
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG09
5C087GG66
5C087GG84
(57)【要約】
例えば民間航空または軍用航空の飛行機またはヘリコプター、定期便またはチャーター便の旅客機、特に超高速機も含めた航空機または飛行装置の飛行員(99)、例えば飛行機操縦士、航空機操縦士、パイロット、副パイロットまたは乗客などのための監視システム(100)が記載される。センサ系(60)を用いて、ガス濃度の計測学的検出が行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機または飛行装置における空気、呼吸用空気または呼吸用ガスのガス組成を監視する監視システム(100,108,109,110)であって、前記監視システム(100,108,109,110)は、
コントロールユニット(70)とセンサ系(60)とを備え、
前記コントロールユニット(70)は、前記航空機または飛行装置における空気、呼吸用空気または呼吸用ガスのガス組成の計測学的監視のシーケンスを編成、コントロール、開ループ制御または閉ループ制御するように構成されている、
監視システム(100,108,109,110)。
【請求項2】
前記センサ系(60)を用いて、酸素の濃度の定性的および定量的な計測学的検出が可能である、
請求項1記載の監視システム(100,108,109,110)。
【請求項3】
前記センサ系(60)を用いて、二酸化炭素の濃度の定性的および定量的な計測学的検出が可能である、
請求項1記載の監視システム(100,108,109,110)。
【請求項4】
前記センサ系(60)を用いて、さらなるガスの濃度、特に一酸化炭素の濃度の定性的および定量的な計測学的検出が可能である、
請求項1記載の監視システム(100,108,109,110)。
【請求項5】
前記センサ系(60)は、少なくとも1つのセンサ(66)を有し、前記少なくとも1つのセンサ(66)は、酸素センサ(68)、二酸化炭素センサ(64)または少なくとも1つのさらなるガスセンサ(65,65’,64’,68’)、特に一酸化炭素センサ(65,65’)として構成されている、
請求項1記載の監視システム(100)。
【請求項6】
前記コントロールユニット(70)は、計測学的監視のシーケンスのコントロールの際に、少なくとも1つの周辺パラメータおよび/または少なくとも1つの状況パラメータを考慮に入れ、かつ/または、前記シーケンスに含めるように構成されている、
請求項1記載の監視システム(100,108,109,110)。
【請求項7】
前記監視システム(100,108,109,110)は、データインターフェース(90)を有する、
請求項1記載の監視システム(100,108,109,110)。
【請求項8】
前記監視システム(100,108,109,110)は、周辺パラメータおよび/または状況パラメータを受信および/または提供するためのデータインターフェース(90)を有する、
請求項1記載の監視システム(100,108,109,110)。
【請求項9】
前記センサ系(60)は、周辺パラメータを決定および/または計測学的に検出する、かつ/または、状況パラメータを決定および/または計測学的に検出するさらなるセンサ(61,62,63,64,64’,65,67,67’,58,58’)を有し、前記センサ系(60)は、環境パラメータおよび/または状況パラメータを提供するように構成されている、
請求項1記載の監視システム(100,108,109,110)。
【請求項10】
前記監視システム(100)内に、ガス搬送用モジュール(50)、特に、測定箇所(20)からの所定量または部分量の呼吸用ガスまたは呼吸用空気を、測定ガス管路(10)を用いて前記センサ系(60)に吐出するための少なくとも1つのガス接続部(51)を有するポンプP(50)が配置されている、
請求項1記載の監視システム(100)。
【請求項11】
前記ガス搬送用モジュール(50)は、前記監視システム(100)のガス入口に配置されている、
請求項10記載の監視システム(100)。
【請求項12】
前記ガス搬送用モジュール(50)は、監視システム(100’)のガス出口(49)に配置されている、
請求項10記載の監視システム(100)。
【請求項13】
前記監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)内、または前記ガス搬送用モジュール(50)の中または上に、切り換えバルブ(55)を有するさらなるガス接続部(52)が配置されている、
請求項10から12までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項14】
前記さらなるガス接続部(52)に、さらなるポンプ(56)が配置されている、
請求項13記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項15】
前記コントロールユニット(70)は、前記ガス搬送用モジュール(50,55,56)、特にポンプ(50,56)をコントロールするように構成されている、
請求項10から14までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項16】
前記コントロールユニット(70)は、前記ガス搬送用モジュール(50)のコントロールの際に、少なくとも1つの周辺パラメータおよび/または少なくとも1つの状況パラメータを考慮に入れ、かつ/または、前記コントロールに含めるように構成されている、
請求項15記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項17】
前記監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)および/または前記コントロールユニット(70)は、警報状況を決定および/または識別し、警報またはアラーム発生を編成し、かつ/または、警報信号を提供するように構成されている、
請求項1から16までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項18】
前記コントロールユニット(70)は、前記警報または前記アラーム発生の編成の際に、かつ/または、前記警報信号の提供の際に、周辺パラメータおよび/または状況パラメータを考慮に入れるように、かつ/または、警報の編成に含めるように構成されている、
請求項17記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項19】
前記監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)は、少なくとも1つのエネルギー蓄積器(85)を有する、
請求項1から18までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項20】
前記監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)の中または上に、前記監視システムを操作する操作要素(44)が配置されているか、または、前記監視システム(100,108,109,110)に割り当てられている、
請求項1から19までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項21】
前記監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)の中または上に、
-イベント、状況、状態データ、現在の測定値、
-過去の測定値、
-測定値から導出される例えば最大値または最小値、平均値、傾向、統計、イベント、警報状況などの測定変数、
を表示する少なくとも1つの表示要素が配置されているか、または、前記監視システム(100,108,109,110)に割り当てられている、
請求項1から20までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項22】
前記監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)の中または上に、入力要素(80)が配置されており、前記入力要素(80)は、ユーザーが前記監視システム上で特定の状況、定義されたアクション、または状態を開始、注釈付け、トリガー、開始、または完了できるように構成されている、
請求項1から21までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項23】
前記入力要素(80)は、加速度センサ(61)によって構成されている、
請求項22記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項24】
前記監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)の中または上に、測定値、測定値から導出される例えば最大値または最小値、平均値、傾向、統計、イベント、警報状況などの測定変数を記憶するデータメモリが配置されているか、または、前記監視システム(100,108,109,110)に割り当てられている、
請求項1から23までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項25】
前記コントロールユニット(70)は、前記センサ系の測定値の信号処理および/または信号フィルタリングの実施の際に、周辺パラメータおよび/または状況パラメータを考慮に入れ、かつ/または、信号処理の適合化に含めるように構成されている、
請求項6から24までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項26】
前記コントロールユニット(70)は、警報の編成の際に、特定のガス濃度、特に酸素、二酸化炭素または一酸化炭素濃度の値について、前記監視システムのデータメモリに格納されてよい予め定められた閾値を使用するように構成されている、
請求項1から25までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項27】
前記コントロールユニット(70)は、前記センサ系(60)の現在および過去の測定値に基づいて、
-決定マトリックス、
-または適合化されたアルゴリズム、
-または学習能力を備えたもしくは自己学習型アルゴリズムを用いて、低酸素症識別のための早期警告システムを適用するように構成されている、
請求項1から26までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項28】
前記コントロールユニット(70)は、低酸素症識別のための早期警告システムにおいて生理学的データを考慮に入れるように構成されている、
請求項27記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項29】
HMEフィルタ要素(54)は、前記測定ガス管路(10)、ガス入口(51)またはガス搬送用モジュール(50)に配置されている、
請求項1から28までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項30】
前記コントロールユニット(70)は、圧力センサ(47)、遮断バルブ(57)およびデータメモリ(75)と共に、呼吸用マスク(20)内の現在の圧力レベルを決定するように構成されている、
請求項1から29までのいずれか1項記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項31】
前記コントロールユニットは、測定操作(200)を用いて、
-静的圧力レベルと動的圧力レベルとを決定し、
-前記静的圧力レベルと前記動的圧力レベルとに基づいて、オフセット圧力レベルを決定し、
-前記呼吸用マスク(20)内の現在の圧力レベルの決定の際に、前記動的圧力レベルを考慮に入れるように構成されている、
請求項30記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項32】
前記コントロールユニットは、前記測定操作(200)の実施の際に、静的圧力測定値および/または動的圧力測定値の計測学的検出および/または決定の際の飛行機操縦士の呼吸位相に関する情報を考慮に入れるように構成されている、
請求項31記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)。
【請求項33】
監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)を動作させるための方法であって、
コントロールユニット(70)により、
-第1のステップでは、前記監視システム(100,108,109,110)のセンサ系(60)の起動が行われ、
-第2のステップでは、データメモリ(75)の初期化を伴うデータ記憶の準備が行われ、
-第3のステップでは、前記センサ系(60)の測定値の計測学的検出が行われ、
-所属の時間情報と共に前記データメモリ(75)への測定値(60)のデータ記憶が行われる、
方法。
【請求項34】
前記所属の時間情報と共に前記センサ系(60)の前記測定値の前記データ記憶の際に、状況パラメータおよび/または周辺環境パラメータの付加的記憶が行われる、
請求項33記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)を動作させるための方法。
【請求項35】
入力要素(80)の起動の際に、前記入力要素の起動時点で、前記センサ系(60)の測定値の(時間制御に依存しない)付加的検出が行われる、
請求項33記載の監視システム(100,100’,108,109,110,111,112)を動作させるための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機または飛行装置の飛行員または乗客のための監視システムに関する。航空機または飛行装置とは、民間航空または軍事航空における飛行機またはヘリコプター、例えば定期便またはチャーター便の旅客機、ならびに超音速の領域に近いもしくは超音速の領域を超える超高速飛行機を意味するものと理解されたい。特に、超音速でのジェット機による飛行および/または海底から15,000mを超える飛行高度での飛行は、飛行員、特にジェット機パイロットへの体力、気力、注意力、集中力および警戒心などの飛行適性に関する多大な要求を意味する。高高度で、例えば(マッハ1を超える)高速と、重力加速度を超えるもしくはその数倍の加速度と、を伴う旋回飛行、急降下、背面飛行などの急激な飛行操作または飛行姿勢において、ならびに空中での給油においても、体力と気力ならびに飛行装置の操縦に必要な警戒心を常に保証するために、飛行機の信頼できる装備の他に、飛行機操縦士に申し分がなくかつ健康に懸念のない呼吸用空気を確実に供給することも非常に重要である。航空機操縦士、飛行機操縦士、パイロット、副パイロットまたは乗客に呼吸用空気もしくは呼吸用ガスを供給するために、例えば、呼吸用ガス源として周辺環境からの(主に処理もしくは空調濾過された)外気を使用するシステムが用いられるが、呼吸用空気もしくは呼吸用ガスに付加的な酸素を加えるシステムも用いられる。この場合、酸素は、例えば加圧酸素ボンベを用いて高圧(200bar未満)下で飛行機に持ち込み、適切な減圧装置を用いて呼吸可能な圧力まで下げるか、あるいは使用中に直接消費するために、化学的酸素発生器によって、例えば持ち込まれた塩素酸ナトリウムから化学的なプロセスで生成することができる。ここでは多くの場合、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットが酸素の調量または供給を独立して起動すること、かつ/または酸素の量および/または濃度および/または呼吸用ガスの組成を独立して調整または予め設定することが可能である。呼吸用空気/呼吸用ガスの供給は、この場合、客室またはコックピットの空気から直接行うこともできるが、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットに対して呼吸用空気/呼吸用ガスを直接給気および/または排気するために、口/鼻マスクを備えたホースシステムを使用することも可能である。いずれにせよ、航空機または飛行装置の搭載技術によって、使用中の飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットには、申し分がなくかつ健康に懸念のない呼吸用ガスが供給されることが必要である。これには、一方では、呼吸用ガスの定性的および定量的組成、特に呼吸用ガス中の酸素および/または二酸化炭素の割合が健康に懸念のない範囲内にあることが含まれる。自然界の大気中には、窒素や希ガスの他に酸素(O)が21体積%を占めている。自然界の大気中の二酸化炭素(CO)の割合は、現在、世界平均で0.05体積%未満であるが、米国連邦航空局(FAA)の勧告によれば、航空機内の乗客について30,000ppm(COの3%vol.に相当)の二酸化炭素濃度は、最大許容値を意味する。米国暖房冷房空調学会(ASHRAE)では、上限値として1,000ppm(COの0.1%vol.に相当)の二酸化炭素濃度を推奨している。したがって、飛行機操縦士、パイロット、副パイロットまたは乗客のための呼吸用ガスの提供についても、少なくとも米国連邦航空局(FAA)の勧告もしくは米国暖房冷房空調協会(ASHRAE)の勧告に従って、酸素の割合については21%vol.を超える濃度を、二酸化炭素の割合についてはCOの0.1%vol.の上限値を使用中に達成すべきである。二酸化炭素濃度が1%~3%vol.を超えると、例えば吐き気、頭痛、めまいなどを特徴とする二酸化炭素中毒を引き起こす可能性があることが科学的に証明されている。二酸化炭素の濃度が12%を超えると直ちに致命的となる。また、酸素の供給不足も、特に飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットにとっては健康被害になりかねない。なぜなら、酸素の供給不足の場合、血液中の酸素分圧が低下する可能性があり、いわゆる低酸素状態(低酸素症)に陥るからである。そのような血液中の動脈酸素分圧の低下(低酸素血性低酸素症(低酸素血症)とも称される)は、高高度に滞在しているときに頻繁に起きやすい。酸欠症の症状は、例えば、不安および落ち着きのなさ、呼吸困難、チアノーゼ、頻脈、血圧上昇、錯乱、めまい、徐脈から心停止までである。
【背景技術】
【0002】
吸入ガスを監視する装置および方法は、欧州特許出願公開第3287173号明細書から公知である。ここでは、呼吸用空気が人のフェイスマスク内に流入している間に吸入された呼吸用空気全体の圧力レベルと、吸入された呼吸用空気中の酸素分圧と、が求められ、そこから人の肺内の酸素分圧が推定される。米国特許出願公開第2007/181129号明細書からは、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットに対してデータおよび/または情報を視覚的に提供するように構成された表示装置を備えた呼吸用マスクが公知である。この表示装置は、いわゆるヘッドアップディスプレイとして構成されている。ここでは、バイザー内側へのデータおよび/または情報の投影が、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットの視界に入るように行われる。米国特許第7391574号明細書からは、さらなるヘッドアップディスプレイが公知である。米国特許出願公開第2016/253561号明細書からは、周辺温度の検出装置とその表示もしくは視覚化を備えたフェイスマスクが公知である。米国特許出願公開第2019/118008号明細書からは、いわゆるインマスクディスプレイとしての実施形態でのフェイスマスク用の表示装置が公知である。米国特許第8210175号明細書からは、例えば圧力スイング吸着原理による、飛行機用の酸素供給のための装置が公知である。それに加えて、酸素は酸素リザーバーから提供される。空気の処理は、運転開始時に酸素リザーバーからの酸素でフラッシングされるモレキュラーシーブベッドを用いて行われる。米国特許第7407528号明細書、米国特許出願公開第2004/245390号明細書、米国特許第7264647号明細書からは、飛行機内への酸素供給のためのさらなる装置が公知である。独国特許第102010014222号明細書からは、圧縮空気供給管路からの圧縮空気を連続的に抽出するための測定空気管路と、圧縮空気の少なくとも1つのパラメータを連続的に検出するための少なくとも1つのセンサと、を備えた、圧縮空気を監視するための圧縮空気監視装置が公知である。圧縮空気の少なくとも1つのパラメータを連続的に検出するセンサとして、二酸化炭素濃度を検出するセンサ、二酸化窒素濃度を検出するセンサ、一酸化炭素濃度を検出するセンサ、二酸化硫黄濃度を検出するセンサ、酸素の濃度を検出するセンサ、ならびに測定空気管路の相対空気湿度を検出するセンサが挙げられている。欧州特許第2148616号明細書には、流量センサ系、温度センサ系、圧力センサ系、湿度センサ系、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、窒素酸化物、麻酔ガス、呼気中のガス成分ならびにさらなるガスを測定するガスセンサ系などの多数のセンサ系を備えた測定システムが示されている。独国特許出願公開第102006030242号明細書には、多数のガスセンサを備えた構成可能な測定システムが示されている。この測定システムでは、ガスセンサとして、電気化学式、赤外線光学式、触媒式のガスセンサを構成することができる。米国特許出願公開第2013/0167843号明細素からは、所定の空気量を吐出するポンプが公知である。このポンプは、圧電式機能モードを備えている。そのようなポンプは、測定箇所からセンサ系の箇所への所定のガス量の吐出および/または測定管路(sample line)を用いた計測学的検出に適しており、例えば、吸気および/または呼気の分析のために、人または患者の口/鼻近傍のガス成分(特に二酸化炭素および酸素も含めて)の分析のための側流(side stream)測定における使用に適している。一部の構成では人の呼吸用に適した呼吸用ガスを人に供給するためのガス吐出装置、ポンプまたはガス搬送用装置の多種多様な実施形態および構成、ならびにそのような装置を備えた多種多様な実施形態および構成は、特許文献、国際公開第2018/033224号明細書、米国特許出願公開第2018/0163712号明細書、国際公開第2018/033225号明細書、米国特許出願公開第2018/0133420号明細書、米国特許出願公開第2018/0110957号明細書、国際公開第2019/072606号明細書、独国特許出願公開第102017009605号明細書、独国特許出願公開第102017009606号明細書、独国特許出願公開第102018004341号明細書および独国実用新案出願公開第202012013442号明細書から公知である。一部の構成では人の呼吸用に適した呼吸用ガスを人に供給するためのガス吐出装置、ポンプまたはガス搬送用装置のさらなる構成は、(これまでに開示されていない)独国特許出願第102019003643.3号明細書、第102019003607.7号明細書、第102019004450.9号明細書、第102019004451.7号明細書から公知ある。ガス測定装置への測定ガスの供給のためのガス吐出装置、ポンプまたはガス搬送用装置の多種多様な実施形態および構成は、特許文献、独国特許出願公開第102016013756号明細書、米国特許出願公開第2018/0143171号明細書、米国特許出願公開第2018/0143170号明細書、米国特許出願公開第2018/0335410号明細書から公知である。米国特許出願公開第2008/264418号明細書からは、センサ系コンポーネント、測定値検出用コンポーネント、信号処理、信号評価および表示部を備えた、換気チューブを人または患者の口/鼻領域に接続するための接続要素、いわゆるYピースが公知である。センサ系コンポーネントには、圧力センサ系を備えた呼吸流量センサ系、酸素分圧測定用センサ系、温度センサ系、熱線式アネモメータや超音波式流量センサとして構成された流量センサ系、ならびにECGや血圧測定用の接続要素が含まれる。米国特許第7897109号明細書、米国特許第7335164号明細書、米国特許第6616896号明細書、米国特許第5789660号明細書および米国特許第6312389号明細書からは、患者の呼吸用ガスの経路内もしくは経路上の側流(side stream)に配置可能ないわゆるルミネセンス消光(luminescence quenching)測定原理による酸素センサが公知である。独国特許第102010037923号明細書からは、バイオリアクタアレイを備えた酸素センサが公知である。米国特許第9867563号明細書からは、パイロットにおける酸素供給の減少を識別し、パイロットにおける酸素供給の減少を低減するためのシステムが公知である。米国特許出願公開第2003194351号明細書からは、酸素測定用のガルバニックセルが公知である。独国特許第102004062052号明細書、独国特許第19726453号明細書からは、電気化学式酸素センサが公知である。独国特許出願公開第2155935号明細書からは、ガス混合気中のガス状成分を測定する電気化学式センサが公知である。米国特許第5958200号明細書、独国特許第102009010773号明細書、独国特許第102005026491号明細書、独国特許第102005026306号明細書、米国特許第8496795号明細書からは、酸素または他のガスの計測学的検出に適した電気化学式ガスセンサの多種多様な構成が公知である。独国特許出願公開第102005007539号明細書には、非常に低い濃度範囲で酸化還元活性物質を定量的に測定する電気化学式ガスセンサが示されている。この電気化学式測定原理は、電極および電解液の構成に応じて、例えば酸素、アンモニア、二酸化硫黄、過酸化水素、硫化水素、二酸化窒素、一酸化窒素、アルシン、シラン、ホルムアルデヒド、アセチレン、一酸化炭素、ホスゲン、ホスフィンなどの多種多様なガスの検出に適している。独国特許出願公開第19912100号明細書からは、電気化学式一酸化炭素センサが公知である。米国特許第4851088号明細書からは、電気化学式二酸化炭素センサが公知である。米国特許第5473304号明細書および独国特許第4020385号明細書には、セラミックフィルム技術で製造された実熱量センサが示されている。米国特許第7875244号明細書、英国特許出願公開第2210980号明細書、独国特許出願公開第19610912号明細書には、ペリスタ構成の実熱量センサが示されている。米国特許出願公開第2010/221148号明細書,米国特許第5902556号明細書には、測定素子として半導体チップを備えた触媒式ガスセンサが示されている。米国特許第2816863号明細書、米国特許出願公開第2019/178827号明細書、米国特許第8425846号明細書、米国特許第9625406号明細書、米国特許第6756016号明細書、米国特許出願公開第2016/178412号明細書、米国特許第6344174号明細書からは、触媒式ガスセンサが公知である。実熱量の原理としても公知であるこの触媒測定原理は、特に、可燃性および/または爆発性のガス、特に炭化水素化合物の検出、ならびに燃焼プロセスの残留成分の決定に適している。例えば、トルエン、アンモニア、ベンゼン、プロパン、メタン、メタノール、オクタン、ブタン、エチレンは、実熱量の原理を用いて計測学的に検出することができる。多くの場合、触媒式センサは、例えばUEG(下方の爆発限界値)などの限界値の監視に使用される。米国特許第4175422号明細書には、測定素子として半導体素子を備えたガスセンサが示されている。米国特許第9958305号明細書からは、自動車の内燃機関における燃焼プロセスを監視するためのチップ技術構成の半導体センサ系を備えたガスセンサ装置が公知である。独国特許第102004048979号明細書、米国特許第4902138号明細書からは、小型化された半導体ガスセンサが公知である。独国特許第102012022136号明細書からは、半導体一酸化炭素センサが公知である。米国特許第9818937号明細書および米国特許第9234876号明細書からは、微細構造化技術、いわゆるMEMS技術で構成され小型化された半導体酸素センサが公知である。さらに、例えば二酸化ジルコニウムをベースとした固体電解質を用いたガスセンサが公知である。それにより、独国特許第102008056279号明細書には、例えば、二酸化炭素濃度を間接的に検出するために、加熱式固体電解質酸素センサと超音波センサとを備えたアレイが示されている。米国特許第5026992号明細書には、メタンを測定光学的に検出するガスセンサが示されている。米国特許第8399839号明細書には、二酸化炭素を測定光学的に検出するガスセンサが示されている。欧州特許出願公開第0149619号明細書からは、内燃機関の排気ガス中の残留酸素量を検出するラムダプローブを備えた装置が公知である。米国特許第4667157号明細書からは、ホール効果式酸素センサが公知である。米国特許第8596109号明細書、米国特許第9360441号明細書、米国特許第4808921号明細書、米国特許第6430987号明細書、米国特許第6952947号明細書、米国特許第6895802号明細書、米国特許第6405578号明細書、米国特許第4683426号明細書、米国特許第4173975号明細書、米国特許第3646803号明細書、米国特許第3584499号明細書、米国特許第294448号明細書および国際公開第16/162287号明細書には、常磁性のガスの濃度を測定する装置が示されている。そのような装置を用いれば、特に、酸素は常磁性の特性を有しているので、酸素の定性的な計測学的検出だけでなく定量的な計測学的検出も可能になる。米国特許第9360441号明細書からは、常磁性ガスセンサ用、特に酸素センサ用の測定素子が公知である。常磁性ガスセンサもしくは酸素センサは、好適には、患者の呼吸用ガスの経路内もしくは経路上の側流(side stream)に配置することができる。独国特許第102010047159号明細書および米国特許出願公開第2004/238746号明細書には、ガス測定装置が記載されている。米国特許第5739535号明細書には、赤外線光学式ガス測定装置が記載されている。米国特許第
8399839号明細書からは、赤外線光学式二酸化炭素センサ、いわゆるIR二酸化炭素センサが公知である。独国特許第102010047159号明細書および米国特許第6895802号明細書からは、熱伝導率の測定によって呼吸用ガス中の二酸化炭素濃度を測定する装置が公知である。独国特許第102010047159号明細書による実施形態には、熱伝導率の変化を検出する測定素子として半導体チップを備えた二酸化炭素センサが示されている。米国特許第5696379号明細書、米国特許出願公開第2004/203169号明細書および米国特許第4050823号明細書からは、赤外線光学式二酸化炭素センサが公知である。米国特許第8448642号明細書、米国特許第5095900号明細書、米国特許第5067492号明細書、国際公開第2010/9115号明細書、米国特許出願公開第2019/105457号明細書、米国特許第6095986号明細書、米国意匠特許発明第D727492号明細書および米国特許第5942755号明細書からは、患者の呼吸用ガスの経路内の主流(main stream)に配置可能な赤外線光学式二酸化炭素センサが公知である。二酸化炭素の計測学的検出用の、特に呼吸用ガス中の二酸化炭素の計測学的検出にも適している、ガス測定装置またはセンサは、米国特許出願公開第2002/036266号明細書、米国特許出願公開第2004/238746号明細書、米国特許出願公開第2018/0120224号明細書および米国特許出願公開第2018/0116555号明細書から公知である。二酸化炭素の計測学的検出のためのさらなるガス測定装置またはセンサは、(これまでに開示されていない)独国特許出願第102020114972.7号明細書、第102020114968.9号明細書から公知である。米国特許第6571622号明細書からは、患者の呼吸用ガスの経路内の主流(main stream)に配置可能な赤外線光学式二酸化炭素センサと流量センサとからなる組み合わせ式センサが公知である。米国特許出願公開第2004/238746号明細書,米国特許出願公開第2002/036266号明細書からは、患者の呼吸用ガスの経路内もしくは経路上の側流(side stream)に配置可能な赤外線光学式二酸化炭素センサが公知である。米国特許第6954702号明細書、米国特許第7606668号明細書、米国特許第8080798号明細書、米国特許第7501630号明細書、米国特許第7684931号明細書、米国特許第7432508号明細書、米国特許第7183552号明細書には、側流および主流内のガス濃度を検出するガス測定システムが示されている。米国特許第9939374号明細書および米国特許第7705991号明細書には、ガス測定装置の構成での干渉計が記載されている。米国特許第6274879号明細書および欧州特許第2788739号明細書からは、ガス成分の検出のためのレーザーベースのアレイが公知である。米国特許第9459235号明細書からは、光イオン化検出器としての実施形態のガスセンサが公知である。呼吸用ガスの定性的および定量的組成に関するさらなる態様とは、呼吸用ガスが不純物、例えば、飛行機操縦士、パイロット、副パイロット、乗客への経路上の呼吸用ガスを通流する例えば煤、塵、花粉、または材料の蒸気などの異物または粒子をほとんど含まない方がよいことに関するものである。さらに、呼吸用ガス中には、例えば、一酸化炭素(CO)、オゾン、さらなるガスの痕跡や航空燃料もしくはケロシンの痕跡、多分の排気ガスや燃焼残留物またはさらなる大気汚染物質など健康に懸念のあるガスまたはガス混合気が少なからず存在するもしくは実質的に存在することがない方がよい。これらには、例えば、炭化水素、ベンゼン、窒素酸化物(NO、NO)、硫黄酸化物、(SO、SOx)、ダイオキシン、フラン、粒子、例えば煤、微細塵、超微粒子などの様々な組成が含まれる。上記の二酸化炭素中毒の他に、関連性の中で特に一酸化炭素中毒にも言及する必要がある。200ppm(0.02%)を超える濃度では、既に頭痛と判断能力の喪失とが引き起こされ、800ppm(0.08%)を超える濃度では、めまい、落ち着きのなさ、吐き気、不安が引き起こされ、さらに45分以内には痙攣が生じ、2時間以内には意識喪失と場合によっては死に至る可能性もある。一酸化炭素中毒の場合、ヘモグロビン含有量の減少(貧血)または血液中の酸素結合能力の障害によって、血液の酸素搬送能力が低下し、貧血性低酸素症を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それゆえ、飛行機操縦士、パイロット、副パイロット、乗客のために、航空機または飛行装置の搭載技術によって飛行動作中に常に申し分のない高品質の呼吸用ガスが提供され、航空機または飛行装置の飛行機操縦士、パイロット、副パイロット、乗客に投与され得る状況を保証する必要が生じる。この結果、本発明の1つの課題は、航空機または飛行装置の飛行機操縦士、パイロット、副パイロット、乗客のための監視システムを提供すること、あるいは航空機または飛行装置における呼吸用ガスもしくは呼吸用空気の計測学的監視を可能にする方法を提供することである。この結果、本発明のさらなる課題は、航空機または飛行装置における呼吸用ガスもしくは呼吸用空気の計測学的監視のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの課題は、添付の独立した特許請求の範囲によって解決される。この課題は、特に、独立請求項1の特徴を有する、航空機または飛行装置における呼吸用ガスのガス組成を監視する監視システムによって解決される。
【0005】
また、この課題は、独立請求項33の特徴を有する、航空機または飛行装置における呼吸用ガスのガス組成を監視する監視システムを動作させる方法によっても解決される。本発明のさらなる特徴および詳細、ならびに好適な実施形態は、従属請求項、本明細書および図面から明らかとなる。ここで使用される援用は、それぞれの従属請求項の特徴による独立請求項の対象のさらなる発展形態を示し、援用された従属請求項の特徴の組み合わせに対する独立した客観的保護の達成を放棄するものとして理解されるべきではない。さらに、従属請求項における特徴のより詳細な具体化の場合の特許請求の範囲ならびに明細書の解釈に関して、この種の限定は、先行する各請求項ならびに当該システムまたは方法のより一般的な実施形態には存在しないことから出発する。したがって、従属請求項の態様に対する明細書中のあらゆる関係性は、たとえ特段の示唆がなくとも任意選択的な特徴の説明として明示的に読み取られるべきである。最後に、例えば、本監視システムが、1つまたは複数の方法ステップの実行のために決定および/または設置される手段を含むことにより、あるいは本方法が、監視システムを用いて実行可能なステップまたは監視システムを動作させるのに適しているステップを含むことにより、本明細書で提案された監視システムが、方法クレームに応じて発展形成されてもよいし、本明細書で提案された方法が、監視システムのクレームに応じて発展形成されてもよいことを指摘しておく。その限りでは、航空機または飛行装置の飛行員または乗客のための提案された監視システムおよび場合によっては構成に関連して説明された特徴および詳細は、もちろん、監視システムの動作の際に実行される方法に関連しても関しても有効であり、またそれぞれの逆も有効である。そのため、本発明の個々の態様に関する開示に関しては、常に相互参照がなされ、もしくはなされ得る。
【0006】
実施形態は、航空機または飛行装置における空気、呼吸用空気または呼吸用ガスのガス組成を計測学的に監視する手段を提供する。本発明の少なくともいくつかの実施例は、航空機または飛行装置における空気、呼吸用空気または呼吸用ガスのガス組成を監視する監視システムに関する。本発明の少なくともいくつかの実施例は、航空機または飛行装置における空気、呼吸用空気または呼吸用ガスのガス組成を監視する監視システムを動作させる方法に関する。少なくともいくつかの実施例では、監視システムのセンサ系を用いた少なくとも1つのガスの特性の計測学的検出が可能であってよい。ガスの特性には、例えば、圧力、密度、粘度、熱伝導率、電気的および磁気的特性、温度、ガス組成、湿度、毒性、発熱量、可燃性、他のガスとの結合能力、または液体、例えば水もしくは血液などの物理的特性およびその他の特性が挙げられる。少なくともいくつかの実施例では、少なくとも1つのガスの定性的な計測学的検出が可能であってよい。少なくともいくつかの実施例では、少なくとも1つのガスおよび/またはガスの濃度の定量的な計測学的検出が可能であってよい。少なくともいくつかの実施例では、少なくとも1つのガスの定性的および定量的な計測学的検出が可能であってよい。少なくともいくつかの実施例では、酸素の定性的および定量的な計測学的検出が可能であってよい。少なくともいくつかの実施例では、二酸化炭素の定性的および定量的な計測学的検出が可能であってよい。少なくともいくつかの実施例では、さらなるガス、特に一酸化炭素の定性的および定量的な計測学的検出が可能であってよい。
【0007】
少なくともいくつかの実施例では、コントロールユニットが監視システム内に配置されるか、または監視システムに割り当てられる。このコントロールユニットは、航空機または飛行装置における空気、呼吸用空気または呼吸用ガスのガス組成の計測学的監視のシーケンスを編成、コントロール、開ループ制御または閉ループ制御するように構成されることが想定されている。このコントロールユニットは、好適には、所属するオペレーティングシステム(OS)、データメモリ(RAM、ROM、EEPROM)、ならびにSWコード、シーケンス制御用ソフトウェア、コントロール用ソフトウェア、開ループ制御用ソフトウェア、閉ループ制御用ソフトウェアを備えたコンポーネント(μC、μP、PC)から構成される。少なくともいくつかの実施例では、コントロールユニットに、例えば信号検出用コンポーネント(ADμC)、信号増幅用コンポーネント、アナログおよび/またはデジタル信号処理用コンポーネント(ASIC)、アナログおよび/またはデジタル信号フィルタリング用コンポーネント(DSP、FPGA、GAL、μC、μP)、信号変換用コンポーネント(A/D変換器)などのさらなる電子素子が割り当てられるか、またはコントロールユニットに接続される。
【0008】
少なくともいくつかの実施例では、センサ系を用いて、酸素の濃度の定性的および定量的な計測学的検出が可能であってよい。酸素の濃度は、例えばこの場合、例えば呼吸用空気または呼吸用ガスなどのガス混合気中の分圧の形態で、または体積濃度の形態で、または質量濃度の形態で計測学的に求めることができる。少なくともいくつかの実施例では、センサ系を用いて、二酸化炭素の濃度の定性的および定量的な計測学的検出が可能であってよい。二酸化炭素の濃度は、例えばこの場合、例えば呼吸用空気または呼吸用ガスなどのガス混合気中の分圧の形態で、または体積濃度の形態で、または質量濃度の形態で計測学的に求めることができる。少なくともいくつかの実施例では、センサ系を用いて、一酸化炭素の濃度の定性的および定量的な計測学的検出が可能であってよい。一酸化炭素の濃度は、例えばこの場合、例えば呼吸用空気または呼吸用ガスなどのガス混合気中の分圧の形態で、または体積濃度の形態で、または質量濃度の形態で計測学的に求めることができる。少なくともいくつかの実施例では、センサ系は、少なくとも1つのセンサを有することができる。この場合、少なくとも1つのセンサは、好適には、酸素センサ、二酸化炭素センサまたは少なくとも1つのさらなるガスセンサ、特に一酸化炭素センサとして構成されている。少なくともいくつかの実施例では、酸素の濃度の定性的および定量的な計測学的検出のために、常磁性酸素センサか、または常磁性酸素センサを備えた測定モジュールを使用することができる。さらなる好適な手法では、この場合、電気化学式酸素センサか、または電気化学式酸素センサを備えた測定モジュールを使用することができる。さらなる好適な手法では、この場合、ルミネセンス消光または蛍光消光の原理に従って機能する酸素センサか、または酸素センサを有する測定モジュールを使用することができる。さらなる好適な手法では、この場合、半導体酸素センサ、好適にはいわゆるMEMS酸素センサか、または半導体酸素センサもしくはMEMS酸素センサを備えた測定モジュールの形態の半導体酸素センサを使用することができる。さらなる好適な手法では、この場合、電気化学式酸素センサおよび/または常磁性酸素センサか、または電気化学式酸素センサおよび/または常磁性酸素センサを備えた測定モジュールを使用することができる。さらなる好適な手法では、この場合、電気化学式酸素センサおよび/または半導体酸素センサか、または電気化学式酸素センサおよび/または半導体酸素センサを備えた測定モジュールを使用することができる。さらなる好適な手法では、この場合、常磁性酸素センサおよび/または半導体酸素センサおよび/または電気化学式酸素センサか、または常磁性酸素センサおよび/または半導体酸素センサおよび/または電気化学式酸素センサを備えた測定モジュールを使用することができる。さらに好適な手法では、この場合、常磁性酸素センサおよび/または半導体酸素センサか、または常磁性酸素センサおよび/または半導体酸素センサを備えた測定モジュールを使用することができる。少なくともいくつかの実施例では、好適には、二酸化炭素濃度の定性的および定量的な計測学的検出のために、好適には、赤外線光学式のいわゆるIR二酸化炭素センサの形態の光学式二酸化炭素センサか、または光学式の好適には赤外線光学式の二酸化炭素センサ、いわゆるIRセンサを備えた測定モジュールを使用することができる。さらなる好適な手法では、この場合、好適にはいわゆるMEMS二酸化炭素センサか、または半導体二酸化炭素センサもしくはMEMS二酸化炭素センサを備えた測定モジュールの形態の半導体二酸化炭素センサを使用することができる。さらなる好適な手法では、この場合、好適にはいわゆるMEMS二酸化炭素センサの形態の半導体二酸化炭素センサおよび/またはこの場合好適には赤外線光学式のいわゆるIR二酸化炭素センサの形態の光学式二酸化炭素センサか、または半導体二酸化炭素センサもしくはMEMS二酸化炭素センサおよび/または光学式二酸化炭素センサもしくはIR二酸化炭素センサを備えた測定モジュールを使用することができる。
【0009】
少なくとも1つの酸素センサを備えた測定モジュールは、本発明の文脈では、酸素測定モジュールとも称される。少なくとも1つの二酸化炭素センサを備えた測定モジュールは、本発明の文脈では、二酸化炭素測定モジュールとも称される。
【0010】
酸素測定モジュールおよび/または二酸化炭素測定モジュールは、いくつかの実施形態では、さらに別のセンサを有することができ、もしくは酸素測定モジュールおよび/または二酸化炭素測定モジュールには、いくつかの実施形態では、さらに別のセンサが割り当てられてよく、かつ/またはモジュール上に配置されてよい。いくつかの実施形態では、酸素測定モジュールおよび/または二酸化炭素測定モジュールは、場合によっては、さらなるガスセンサと、場合によっては、例えば圧力、周辺圧力、呼吸用経路圧力、マスク圧力、密度、温度、熱伝導率、熱容量、体積流量、質量流量、流量、体積などの測定変数または物質変数の計測学的検出用のさらなるセンサと、で相互に組み合わされて実行されてよく、ガス測定モジュール、測定モジュールとして、あるいは周辺または環境分析用のモジュールとして構成されてもよい。そのため、圧力センサは、監視システム内で、例えば酸素測定モジュールまたは二酸化炭素測定モジュールの、測定ガス管路の圧力レベル検出用に構成された要素として配置されてよい。さらに、通流センサまたは流量センサは、監視システム内に、例えば、酸素測定モジュールまたは二酸化炭素測定モジュールの、測定ガス管路内の流量または通流の検出用に構成された要素として配置されてよい。通流センサ、流量センサの測定値、ならびに圧力センサの測定値も、コントロールユニットに提供することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、監視システム、またはガス測定モジュール、測定モジュール、周辺または環境分析用のモジュールなどのそのようなモジュールは、ガス搬送用の少なくとも1つのモジュールを有することができる。このガス搬送用モジュールは、この目的のために、ガス接続部を有するガス吐出装置(好適にはポンプ)を備え、このガス吐出装置は、酸素濃度および/または二酸化炭素濃度の計測学的検出を可能にするために、センサ系もしくは酸素測定モジュール、二酸化炭素測定モジュール、またはガス測定モジュールから離れた測定箇所から酸素測定モジュール、二酸化炭素測定モジュール、またはガス測定モジュールまで、もしくは酸素センサ、二酸化炭素センサまで所定量のガスを吐出するように構成されている。ポンプもしくはガス搬送用モジュールは、所定量または部分量の呼吸用ガスまたは呼吸用空気を測定箇所、特に呼吸用マスクから、かつ/または客室またはコックピットから吸い込み、監視システムもしくは酸素測定モジュールおよび/または二酸化炭素測定モジュールに、もしくはセンサ系、特に酸素センサおよび/または二酸化炭素センサに吐出するように構成されている。呼吸用マスクは、例えば、部分マスク、ハーフマスク、またはフルマスクとして、あるいは保護ヘルメットとマスクとの組み合わせとして構成されてよい。また逆流を十分にまたは完全に防ぐために、あるいは不所望な通流や貫流を防ぐために、ポンプ上流側の流入口に、またはポンプ下流側の流出口に付加的にバルブが配置されてもよい。ガス搬送用モジュールは、好適には測定ガス管路(sample line)を用いて測定箇所に空気圧的および/または流体的に接続される。飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットの呼吸用ガスの供給を監視するために、測定箇所として好適には、顔面領域に、すなわち飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットの口/鼻領域の近傍にガスを誘導するコンポーネントが使用される。測定ガス管路の一方の端部は、好適には、口/鼻領域から監視システムのガス搬送用モジュールへのガス量の通流が可能となるように、口/鼻領域、例えば呼吸用マスクに配置されている。測定ガス管路の他方の端部は、好適には、ガス搬送用モジュールを用いて、酸素測定モジュールおよび/または二酸化炭素測定モジュールへの例えば25ml/minから250ml/minの範囲の流量を伴う所定量または部分量の呼吸用ガスの吐出が可能となるように、ガス搬送用モジュール内への流入のためのガス接続部に空気圧的または流体的に接続されている。この目的のため、ガス搬送用モジュールは、酸素測定モジュールおよび/または二酸化炭素測定モジュールとの流出または吐出用のさらなるガス接続部に空気圧的および/または流体的に接続されている。通流センサまたは流量センサを用いることにより、コントロールユニットは、ガス搬送用モジュールをコントロールし、測定ガス管路において吐出すべきまたは吸い込むべき所定量のガスをコントロール、開ループ制御、閉ループ制御、または設定することができる。圧力センサを用いることにより、コントロールユニットは、測定ガス管路内の圧力レベルを監視し、ガス搬送モジュールを用いてコントロール、開ループ制御、閉ループ制御、または設定することもできる。流量センサが、通流絞り上流側の2つの圧力測定点の差分を測定する差圧センサ(ΔPセンサ)として構成されているならば、このセンサを用いて周辺に関連する2つの圧力測定点のうちの一方を検出することで測定ガス管路内の圧力レベルの測定が可能であってよい。
【0012】
好適な実施形態では、ガス搬送用モジュールは、ポンプの形態で監視システムのガス入口に配置されてよい。そのような例示的な構成では、ガス搬送用モジュールは、飛行機操縦士の呼吸用マスクから測定ガス管路を通って所定量のガスを監視システムに吸い込み、次いでこれらの量のガスをガス濃度決定用のセンサ系を貫通して吐出する。センサ系の貫流後、所定量のガスはガス出口を通って周辺に達する。
【0013】
さらに好適な実施形態では、ガス搬送用モジュールは、ポンプの形態で監視システムのガス出口に配置されてもよい。そのような例示的な構成では、ガス搬送用モジュールは、飛行機操縦士の呼吸用マスクから測定ガス管路を通ってガス濃度決定用のセンサ系を貫通して監視システム内に所定量のガスを吸い込む。ポンプの貫流後、所定量のガスは、ガス出口を通って周辺に達する。ポンプを通る可能性のある不純物は、ガス出口上のポンプの配置構成により、センサ系に到達することはできない。空気圧的および/または流体的接続を介して、酸素測定モジュールおよび/または二酸化炭素測定モジュールへのもしくは酸素センサおよび/または二酸化炭素センサへの所定量または部分量の呼吸用ガスの搬送を、ガス搬送用モジュール、特にポンプを介して行うことができ、それにより、行き来する酸素および/または二酸化炭素の濃度の計測学的検出が可能になる。この監視システムは、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットの衣服の中または上に装着可能な構造形態に構成されている。測定ガス管路は、そのような装着が可能である相応の長さを有している。特に、パイロットスーツ(パイロットオーバーオール)の胸ポケット、脚ポケット、大腿ポケット内への監視システムの収納もしくは装着が有利である。ガス吐出用モジュールは、測定箇所から好適にはパイロットスーツの胸ポケット、脚ポケット、または大腿ポケット内の装着箇所にガス量を吐出できるように設計され構成されている。ガス搬送用モジュールは、例えば、遠心ポンプ、軸流ポンプ、ラジアルポンプ、ピストンポンプ、またはダイヤフラムポンプとして構成されてよい。エネルギー消費の少ないポンプは、携帯型およびエネルギー自給型使用の監視システムでの使用に特に有利である。例えば、多くの場合ピエゾポンプとも称される圧電動作型ポンプは、監視システムでのガス濃度測定に対する省エネ型使用を可能にする。そのようなポンプは、例えば、日本国、京都の村田製作所から、いわゆる「圧電ブロワ」または「マイクロブロワ」として、MZB1001T02、ならびにMZB1001の型番で提供されている。これらのポンプは、電気的な駆動制御または起動がなくても貫流を阻止せず、それゆえ、測定ガス管路内への当該測定ガス管路を通る通流の再現可能な阻止または解放のために、測定ガス管路内の貫流を確実に、再現可能にかつ「解放」と「阻止」との2つの状態で一義的に保証するようなバルブを設けることが監視システムへの使用において有利である。ガス出口にポンプを備えた実施形態、ならびにガス入口にポンプを備えた実施形態について、遮断バルブ、いわゆる「フローロックバルブ」(Flow-Lock-Valve)が適しており、これは、好適にはガス出口に配置されてよい。監視システムのガス出口上の遮断バルブの配置構成は、呼吸用マスク圧力を決定する測定操作を用いた飛行機操縦士の呼吸用マスク内の圧力決定のために、監視システムの内部に配置された圧力センサの使用を可能にする。なぜなら、無通流状態での閉鎖された遮断バルブの場合、監視システム内部の圧力レベルは、測定ガス管路内の圧力レベル、ならびに呼吸用マスク内の圧力レベルに対応するからである。代替的に、ガス入口にポンプを備えた実施形態には、切り換えバルブ、いわゆる「3ポート/2ウェイバルブ」が適しており、これは、好適にはガス入口に配置されてよい。この切り換えバルブは、一方では、測定ガス管路から監視システムへの所定量のガスの供給を可能にさせ、これにより、他方では、周辺からの、すなわち飛行装置の客室からのガス量の供給が可能であってよい。客室からのガス量の供給の間、コントロールユニットは、同時に、呼吸用マスク圧力を決定する測定操作を用いて、呼吸用マスク内の圧力レベルを決定することができる。
【0014】
好適な実施形態では、監視システム内に、切り換えバルブを有するさらなるガス接続部が配置されている。さらに好適な実施形態では、ガス搬送用モジュールの中または上に、切り換えバルブを有するさらなるガス接続部が配置されている。この切り換えバルブは、測定ガス管路からの所定量のガスの供給と、周辺からの、例えば飛行装置の客室からのさらなるガス接続部を用いたガス量の供給と、の間の切り換えを可能にする。さらなる好適な実施形態では、さらなるガス接続部の中または上に、さらなるポンプが配置されている。このさらなるポンプは、周辺からの、例えば飛行装置の客室からのさらなるガス接続部を用いたガス量の供給を可能にさせる。ガス出口にポンプを備えた実施形態については、ガス出口の遮断バルブに対して付加的に、呼吸用マスクの測定ガス管路からのガス量の監視と客室からのガス量の監視との間の切り換えのために、任意付加的な切り換えバルブをガス入口に配置してよい。したがって、これにより、コントロールユニットは、マスク圧力決定の時点に依存することなく、いつでも、飛行機操縦士の呼吸用マスクからの所定量の呼吸用ガスの供給と、客室からのガスの供給と、の間の切り換えを随時実施できることが可能になる。
【0015】
いくつかの実施形態では、コントロールユニットは、二酸化炭素センサの測定値から、呼吸位相情報、つまり吸気の経時的持続時間、呼気の経時的持続時間、吸気持続時間と呼気持続時間との比(I:E-ratio)、ならびに航空機操縦士、パイロット、または副パイロットの呼吸周波数を決定するように構成されてよい。
【0016】
少なくともいくつかの実施例では、センサ系およびコントロールユニットは、少なくとも1つの周辺パラメータおよび/または少なくとも1つの動作パラメータを検出するように構成されてよい。動作パラメータは、例えば、飛行動作からのパラメータ、航空機操縦士、パイロットまたは副パイロットへの呼吸用ガスの供給からのパラメータ、飛行装置または飛行装置のコンポーネントのコントロール、開ループ制御、閉ループ制御からのパラメータであってよい。少なくともいくつかの実施形例では、センサ系およびコントロールユニットは、計測学的監視のシーケンスのコントロールの際に、少なくとも1つの周辺パラメータを考慮に入れ、かつ/または当該シーケンスに含めるように構成されてよい。
【0017】
好適な実施形態では、コントロールユニットは、呼吸用マスク内の現在の圧力レベルを決定するために圧力センサと一緒に接続するように構成されている。ジェット機(Jet)の飛行動作中は、飛行機操縦士(パイロット、副パイロット)への供給は、口/鼻領域に配置された呼吸用マスクを用いて行われる。それゆえ、この場合、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットの呼吸用マスク内の現在の圧力レベルを監視することは特に利益となる。これにより、飛行動作中の飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットに、呼吸用マスクを用いて十分な圧力レベルの呼吸用ガスを提供することができる。
【0018】
実施形態は、センサ系およびコントロールユニットを用いて呼吸用マスク内の圧力レベルの検出を構成する手段を示し、したがって呼吸用マスク内の圧力レベルを監視、提供、出力および/または文書化する手段を示す。コントロールユニットは、圧力センサを用いて測定ガス管路内の圧力レベルを検出し、この圧力センサは、監視システム内に配置され、空気圧システム内で、空気圧システム内の圧力レベルを示す圧力測定値を検出するようにコンポーネントの呼吸用マスク、測定ガス管路、接続要素、および任意選択的に測定ガス管路に直列接続で配置されたHMEフィルタ要素と空気圧的および流体的に接続されている。現在の圧力レベルを検出するためのさらに好適な実施形態では、ガス搬送用モジュールもしくはポンプの停止のもとで、呼吸用マスクからセンサ系に所定量のガスが供給されない、つまりセンサ系によるガス濃度測定が一時的に中断もしくは休止している監視システムの動作中の測定状況において、コントロールユニットによる圧力測定が開始される。そのような測定状況では、空気圧システムにおける圧力レベルを示す測定値は、呼吸用マスク内の現在の圧力レベルに対応する。ポンプの停止に対しては付加的に、空気圧システムと周辺とのあらゆるガス交換を防ぐために、遮断バルブを閉鎖状態に置き換えることができる。そのような実施形態によれば、所定の時間間隔においてポンプによるガス量供給の停止が起きている場合に、呼吸用マスク内の圧力レベルの測定および検査の実現化を不連続に実施することができる。
【0019】
現在の圧力レベルを検出するためのさらに好適な実施形態では、ガス搬送用モジュールを用いて、もしくは起動したポンプを用いて、呼吸用マスクからセンサ系に所定量のガスが継続的に供給される監視システムの継続的な動作中に、圧力測定が、コントロールユニットによって開始される。そのような実施形態によれば、コンポーネントの呼吸用マスク、測定ガス管路、接続要素およびHMEフィルタ要素を有する空気圧システムの動作中に変化する圧力低下に対する適合化または校正を、不連続に所定の時間間隔で行えば、呼吸用マスク内の圧力レベルの測定および検査の実現化を連続的に実施することができる。そのような好適な実施形態では、不連続に所定の時間間隔で実施可能な適合化または校正は、ガス搬送用モジュールもしくはポンプ、遮断バルブおよびデータメモリと協働してコントロールユニットによって調整および実施される測定操作によって構成することが可能である。そのような測定操作は、飛行機操縦士に使用されている間、監視システムの動作中の所定の時点における空気圧システム中の変化または空気圧システム上の変化を連続的に決定するために、飛行動作中に折々実施することができる。測定操作は、2つの作業点におけるゼロまたはオフセット算出に対する圧力レベルの計測学的検出を含む。測定操作は,空気圧システム内のガス通流なしの作業点における静的圧力レベルの圧力測定と,空気圧システム内の定義された通流の伴うさらなる予め定められた作業点における測定の形態での動的圧力レベルの計測学的検出とに分けられる。静的圧力レベルの計測学的検出では、コンポーネントの呼吸用マスク、測定ガス管路、接続要素、および任意選択的に測定ガス管路に直列接続で配置されたHMEフィルタ要素を有する空気圧システム内で圧力測定値がガス通流なしで検出される。ガス通流がない、すなわちポンプがスイッチオフされ、その結果生じる流量が0.00ml/minの場合、呼吸用マスクと監視システム内の圧力センサもしくはポンプとの間の空気圧システム内でコンポーネントに起因する圧力低下は発生しない。HMEフィルタ要素は、運転中の飛行機操縦士の呼気によって測定ガス管路内にもたらされる、呼吸用ホースと呼吸用マスクとを有する呼吸用ガス供給部からの湿気が、呼吸用ガスのガス組成を監視する監視システム内に到達できないようにするために用いられる。そのようなHME(Heat Moisture Exchange)フィルタ要素は、所定量の湿度を保持するように構成されている。このHMEフィルタ要素は、好適な実施形態では、測定ガス管路内、ガス入口またはガス搬送用モジュールに配置されている。運転中は(飛行機操縦士による湿った呼吸用ガスの呼気に起因する)所定量の湿気または液体がHMEフィルタ要素に継続的に蓄積される。その結果、監視システムの動作に伴い、飛行動作中の使用持続時間の時間経過にわたって通流抵抗の変化が生じる。ポンプの遮断の他に、遮断バルブは、空気圧システムと周辺との間のあらゆるガス交換を阻止するために、好適な手法で閉鎖状態におかれる。測定ガス管路内でガス通流なしで検出された圧力測定値は、遮断バルブが閉鎖されている場合の呼吸用マスク内の現在の圧力の瞬時記録に相当し、空気圧システムの静的圧力としてデータメモリに格納される。動的圧力レベルの計測学的検出では、定められた量のガス通流を伴う圧力測定値が、測定ガス管路、接続要素、および任意選択的なHMEフィルタ要素を有する空気圧システムのコンポーネントにおいて、当該ガス通流に対応する圧力低下を伴って検出される。定められた量のガス通流を伴って検出された圧力は、空気圧システムの動的圧力としてデータメモリに格納される。測定ガス管路内の適切でかつ定められた量のガス通量として、10ml/min~400ml/minまでの範囲が、コントロールユニットによって起動され、コントロールされ、開ループ制御または閉ループ制御され得る。通流を伴う圧力測定値は、空気圧システムの動的な現在の総圧力低下に対応する。したがって、この圧力測定値は、空気圧システム内の圧力低下の合計に対応し、すなわち呼吸用マスク、HMEフィルタ要素、測定ガス管路および接続要素などのコンポーネントにわたる圧力低下に対応する。コントロールユニットは、事前に求められた静的圧力レベルと、動的圧力低下の合計と、の差分から、コンポーネントにさかのぼる圧力低下を空気圧システムのオフセット圧力レベルとして決定することができる。測定操作を実施する2以上の時点間での動的圧力測定値と静的圧力測定値との間で求められた差分の変化により、コントロールユニットは、動作中の空気圧システムにおける圧力低下の変化と、オフセット圧力レベルの変化と、に関して逆推論することが可能になる。空気圧システム内のこれらのオフセット圧力レベル、それらの差分、ならびにそれらの変化は、コントロールユニットによって飛行動作中に連続的に検出もしくは決定され、データメモリに(例えばデータセットまたはテーブルの形態で、またはログファイルとして)格納される。コントロールユニットは、この好適な実施形態では測定操作を用いて、有利には、空気圧システムにわたる静的および動的圧力低下の計測学的検出によって決定されるオフセット圧力レベルを、現在のマスク圧力の決定のための較正値として決定し、引き続き、提供し、出力し、かつ/またはデータセットまたはテーブルの形態で記憶するように構成されている。これにより、測定操作は、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットの使用中の監視システムの動作中に、オフセット圧力レベルの傾向と変化とを提供する。このようにして、飛行動作中に変化する空気圧システムのコンポーネントのもとでも、飛行機操縦士の現在生じている各マスク圧力を決定しかつ監視することが可能である。特に、測定操作の連続的な繰り返しにより、湿度飽和によって引き起こされるHMEフィルタ要素にわたる圧力低下の増加をオフセット圧力レベルの変化として検出し、呼吸用マスク内の現在の圧力レベルの計算の際に補償することができる。そのような検査の繰り返しは、例えば15分~60分ごとに行うことができるが、より頻繁な実施は好ましくない。なぜなら、操作の実施のためにガス濃度に関する監視が一時的に中断もしくは休止されるからである。呼吸用マスクの現在の圧力の決定は、起動されたポンプによる動作中に、酸素および/または二酸化炭素、ならびに場合によってはさらなるガスまたは客室空気などの計測学的測定の間でも、コントロールユニットによる空気圧システムのコンポーネントの測定操作で最後に求められたオフセット圧力レベルの使用に基づいて実施することができる。呼吸用マスク内で現在生じている圧力レベルは、測定ガス管路の貫流の際の空気圧システムの圧力レベルを示す現在の測定圧力値から、データメモリに格納され、そこに提供された最後に求められたオフセット圧力レベルを減じることによって得られる。以下では、呼吸用マスク内の圧力決定のために既に前述した測定操作について、ガス濃度の計測学的検出、好適には二酸化炭素および酸素の計測学的検出のための監視システムの測定動作への当該測定操作の包括にも関連させて、その際に関与するコンポーネントの機能と共に説明する。測定操作は、監視システムの継続的な測定動作から、予め定められた時点に起動または開始することができる。以下のステップは、コントロールユニットによる開始から終了までのステップシーケンスにおいて起動、開始され、次のように実施される:
-第1のステップにおいて、ポンプの停止が行われ、
-第2のステップにおいて、遮断バルブの閉鎖が行われ、
-第3のステップにおいて、圧力センサによる第1の測定過程が、静的圧力レベルを決定する圧力測定を用いて実行され、
-第4のステップにおいて、遮断バルブの開放が行われ、
-第5のステップにおいて、50ml/min~100ml/minの範囲の規定された吐出量で呼吸用マスクから測定ガス管路を通って監視システム内のセンサ系まで所定量のガスを吐出するためのポンプの起動が行われ、その際、吐出量のコントロールおよび監視が、流量センサを用いた流量測定によって行われ、
-第6のステップにおいて、圧力センサによるさらなる測定過程、すなわち動的圧力レベルを決定する圧力測定が実行され、
-第7のステップにおいて、第1の圧力測定値とさらなる圧力測定値とを用いて、差分値の算出が実施される。
【0020】
そのように求められた差分値は、オフセット圧力レベルを示し、飛行装置の使用時の監視システムのさらなる動作において、マスク圧力の決定のための較正値として提供され、使用されることが可能である。測定操作のステップシーケンスの任意選択的な構成では、コントロールユニットにより、第3、第5および第6のステップにおいて、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットの呼吸と同期した静的および動的圧力レベルおよび/または流量の計測学的検出を行うことができる。そのため、圧力測定および/または流量測定は、好適には、吸気休止期間または呼気休止期間の間に実行することができる。
【0021】
好適な実施形態では、コントロールユニットは、呼吸用マスク内の圧力を決定するための測定操作の実施の際に、静的圧力測定値および/または動的圧力測定値の計測学的検出および/または決定の際の飛行機操縦士の呼吸位相に関する情報を考慮に入れるように構成されてよい。吸気と呼気との間の休止期間における測定値検出の実施を伴う呼吸と同期した圧力測定値の検出は、有利である。なぜなら、そのような休止期間では、静的および/または動的圧力レベルに対し、呼吸に起因して重畳される圧力作用が圧力測定値を疎外することまた圧力測定値に影響を与えることできないからである。呼吸との同期は、コントロールユニットにより、監視システムでの計測学的に検出された二酸化炭素および/または酸素の濃度変化に基づく呼吸位相情報を用いて実施することができる。呼吸用ガスの酸素含有量における吸気(21%)と呼気(16%)との間の生理的濃度差、ならびに二酸化炭素含有量における呼気(~5%)と吸気(1%未満)との間の濃度差は、コントロールユニットによって呼吸位相を求めるために使用することができる。圧力測定のこの種の同期なしでは、信号処理について、例えばローパスフィルタを用いた適切な信号フィルタリング、あるいは圧力測定値から呼吸または呼吸周波数の成分を除去するために、圧力センサの測定値の(好適には移動)平均値形成が有意である。
【0022】
それゆえ、特に好適な実施形態では、コントロールユニットは、適切な信号フィルタリングを使用した信号処理と共に、信号フィルタリングを用いて飛行機操縦士の呼吸によって誘発された信号成分を除去しながら静的および/または動的圧力測定値を決定するように構成されていることが想定されてよい。好適には、マスク圧力決定期間中に、切り換えバルブを使用して、客室空気のガス分析を行うことができる。外部システムからは、呼吸用マスク圧力の閾値として設定値(目標値)、基準値を、例えばデータインターフェースを介して提供することができる。次いで、そのような値に基づいて、監視システムは、閾値を上回るか下回った場合に警報状況を決定し、対応する警報信号および/またはデータを提供することができる。そのような提供は、例えば、有線、無線伝送を用いたワイヤレス、赤外線伝送を用いたワイヤレスで外部システムに行うことができる。飛行機操縦士にアラームを発するさらなる手段は、例えば、ランプ、発光ダイオード、表示ユニット、スピーカー、ブザー、ホーンなどの要素の視覚的、光学的、または音響的信号発生システムによって可能になる。飛行機操縦士に警報するさらなる手段は、例えば振動アラームの形態で触覚的に与えてもよい。
【0023】
さらなる実施形態は、マスク圧力に対して付加的に、さらなる周辺パラメータがコントロールユニットによってどのように決定可能であり得るかを示すことができる。航空機または飛行装置の動作中の周辺パラメータには、例えば以下のものが挙げられる:
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の周辺圧力
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内の周辺温度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内のガス組成
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内の絶対湿度および/または相対湿度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内の密度および/または周辺圧力
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内の周辺温度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内のガス組成
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の周辺圧力
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の周辺温度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外のガス組成
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の絶対湿度および/または相対湿度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の密度および/または周辺圧力
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の周辺温度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外のガス組成
-呼吸用ガス、呼吸用ガス混合気内の、または飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットに供給される呼吸用空気内の圧力レベル、圧力経過、圧力時間経過、圧力差、圧力変動
-呼吸用ガス、呼吸用ガス混合気、または呼吸用空気のための搭載技術(例えば、ガスタンク、圧縮酸素ボンベ、吸気、ガス処理、フィルタリング)の提供における圧力レベル、圧力経過、圧力差、圧力変動。
【0024】
少なくともいくつかの実施例では、コントロールユニットは、計測学的監視のシーケンスのコントロールの際に、少なくとも1つの状況パラメータを考慮に入れ、かつ/または当該シーケンスに含めるように構成されてよい。状況パラメータもしくは現在の状況パラメータとは、航空機または飛行装置の動作中の状況および/または状況から生じる状態を意味するものと理解されたい。
これについては、例えば、以下のものが挙げられる:
-飛行方向
-飛行高度
-飛行軸の姿勢
-飛行姿勢、例えば、背面飛行、旋回飛行、急降下飛行、降下飛行、上昇飛行など
-対気速度
-飛行方向
-水平加速度
-垂直加速度
-ヨー角またはロール角
-酸素または空気の残留ストック
-圧縮酸素ガスまたは圧縮空気の残留ストック。
【0025】
いくつかの実施形態では、監視システムは、データインターフェースを有することができる。このデータインターフェースは、例えば、データの提供、データの受信、データの交換、あるいは航空機または飛行装置のコンポーネントとの通信のために単方向または双方向のデータインターフェースとして構成されてよい。少なくともいくつかの実施例では、状況パラメータおよび/または環境パラメータは、データインターフェースを用いて監視システムおよび/またはコントロールユニットで受信することができ、かつ/または監視システムおよび/またはコントロールユニットに提供することができる。少なくともいくつかの実施例では、状況パラメータおよび/または環境パラメータは、監視システムの中または上に配置されたセンサ系のさらなるセンサを用いて計測学的に検出することができ、コントロールユニットに提供することができる。これについては、センサ系において、呼吸用ガスを、酸素および二酸化炭素の濃度の計測学的検出の他にさらに例えば炭化水素、残留物、または燃焼プロセスの生成物などのさらなる物質に関しても監視できるようにするために、酸素および/または二酸化炭素を計測学的に検出するセンサ系の他に、例えば一酸化炭素を計測学的に検出するさらなるガスセンサ、ならびに例えば電気化学式ガスセンサ、触媒式ガスセンサ、光学式、赤外線光学式ガスセンサ、光イオン化ガスセンサ、固体電解質ガスセンサ、または半導体ガスセンサなどのさらなるガスセンサを使用することが可能である。センサ系におけるさらなるセンサとして、圧力センサが設けられてもよく、これらの圧力センサは、周辺からの周辺圧力、特に、航空機または飛行装置のコックピットまたは客室の内部および/または外部の圧力または密度を計測学的に検出し、コントロールユニットに提供するように構成されてよい。センサ系におけるさらなるセンサは、温度センサとして構成されてよく、これらの温度センサは、周辺の周辺温度、特に、航空機または飛行装置のコックピットまたは客室の内部および/または外部の温度を計測学的に検出し、コントロールユニットに提供するように構成され、そのために設けられてよい。センサ系におけるこれらのさらなるセンサは、周辺の絶対または相対湿度を検出する湿度センサとして構成されてよく、これらの湿度センサは、周辺における湿度、特に、航空機または飛行装置のコックピットまたは客室の内部および/または外部の湿度を計測学的に検出し、コントロールユニットに提供するように構成され、そのために設けられてよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、状況パラメータを求めるためのデータを検出するために、監視システム内のセンサ系の上/中にさらなるセンサを設けてもよいし、あるいはセンサ系に割り当ててもよく、これらのさらなるセンサにより、コントロールユニットは、飛行高度、飛行方向、飛行速度、飛行加速度、空間内の配向を伴う飛行姿勢および飛行状況もしくは飛行操作(例えば、上昇、降下、旋回飛行、着陸進入、離陸)を含む現在の飛行状況を求めることが可能になる。この目的のために、例えば、圧力センサ、加速度センサ、高度センサ、コンパスセンサ、ジャイロセンサ、湿度センサ、温度センサが、センサ系の上または中に配置されるか、またはセンサ系に割り当てられる。
【0027】
いくつかの実施形態では、センサ系は、呼吸用マスクの中または上の口/鼻領域のすぐ近傍に配置されてよい。そのようなケースでは、口/鼻領域における通流技術上の所与性に応じて、センサ系への呼吸用ガスの積極的な搬送を一部省略することができる。呼吸用ガスは受動的に、すなわち、マスク内の口/鼻領域からの拡散によってセンサ系に到達する。特定の構成では、呼吸用マスク内への、もしくは呼吸用マスクの一部の中または上へのセンサ系の統合が可能であってよい。チップおよび/またはMEMS技術の分野における進歩的な技術開発により、近い将来、電気化学式、触媒式、または半導体式センサ系の要素の小型化を期待することができ、したがって、この小型化により、センサ系、好適には酸素センサ系、二酸化炭素センサセンサ系およびさらなるガスセンサ、ならびに付加的および任意選択的に圧力センサ系および/または温度センサ系を測定箇所に直接統合させることを可能にできる。
【0028】
いくつかの実施形態では、ガス搬送用モジュールにさらなるガス接続部が設けられてよい。このさらなるガス接続部は、客室またはコックピットからの所定量または部分量のガスまたは周辺空気を監視システムに接続しかつ供給することを可能にする。切り換えバルブ(例えば3ポート/2ウェイバルブ)またはバルブシステムを介して、ポンプもしくはガス搬送用モジュールは、周囲空気から、または飛行機操縦士、パイロット、副パイロットの口/鼻領域から、例えば呼吸用マスクから、所定量または部分量のガスを選択的に供給することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、さらなるポンプが設けられ、一方のポンプは、周辺空気から酸素測定モジュールおよび/または二酸化炭素測定モジュールに、もしくは酸素センサおよび/または二酸化炭素センサに所定量または部分量のガスを搬送するように設けられて配置され、当該さらなるポンプは、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットの口/鼻領域から、例えば呼吸用マスクから、酸素測定モジュールおよび/または二酸化炭素測定モジュールに、もしくは酸素センサおよび/または二酸化炭素センサに所定量または部分量のガスを搬送するように設けられて配置されるように、配置されてよい。したがって、そのような実施形態では、呼吸用ガスの所定量または部分量の間の切り換えのための切り換えバルブ(例えば3ポート/2ウェイバルブ)またはバルブシステムを省略することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、コントロールユニットは、ガス搬送用モジュールをコントロールするように構成されてよい。ガス搬送用モジュールのコントロールには、この場合、ガス搬送用モジュールの起動、停止、設定、開ループ制御または閉ループ制御が含まれる。この設定には、特に、例えば光学的または電気的制御信号(CANバス、PWM)または電気制御電圧を用いた回転数、吐出量および/または圧力レベルの設定を含めることができる。そのような実施形態の変形形態では、ガス濃度測定値および/または圧力測定値の検出に基づいて(例えばマスクとコックピットとの間の圧力差にも基づいて)、測定ガス管路内に存在する漏れに関する決定を行うことができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、コントロールユニットは、ガス搬送用モジュールのコントロールの際に、少なくとも1つの周辺パラメータまたは少なくとも1つの状況パラメータを考慮に入れ、かつ/またはコントロールに含めるようにさらに構成されてよい。そのような考慮には、特に、ガス吐出用モジュールの起動、停止、回転数、吐出量および/または圧力レベルの適合化を含めることができる。これにより、例えば上昇飛行中、降下飛行中、旋回飛行中などの特定の飛行操作において、ガス搬送用モジュールを停止し、かつ/または操作の完了後に場合によっては吐出量を高めて起動することが可能になる場合もある。
【0032】
少なくともいくつかの実施例では、監視システムおよび/またはコントロールユニットは、警報状況を決定および/または識別し、警報またはアラーム発生を編成し、かつ/または警報信号を提供するように構成されてよい。コントロールユニットは、センサ系の測定値および/またはデータインターフェースを用いて提供される情報に基づいて、警報状況を決定および/または識別し、警報をトリガーし、かつ/または警報信号を例えばデータインターフェースまたは他のインターフェースに提供することができる。警報は、視覚的および/または音響的および/または触覚的警報として行うことができる。視覚的警報は、例えば、白色および/または有色の発光手段(LED、ストロボスコープ)またはテキスト出力(LCD、LED、ディスプレイ)の形態で行うことができる。そのような警報は、視覚的な手法で、可視化に適したデバイスを用いて、フェイスマスクまたは呼吸用マスクの上または中で、例えばインマスクディスプレイまたはヘッドアップディスプレイ上の表現として行うこともできる。音響的警報は、例えば、音声出力の形態で、または音響的アラーム発生(ホーン、サイレン)を用いて行うことができる。触覚的警報は、例えば、振動アラームの形態で、飛行装置の装備品、例えば座面、制御要素(フットペダル、ハンドル)、ならびに航空機操縦士、パイロット、または副パイロットの装備物(呼吸用マスク、呼吸用ホース)または衣服(スーツ、ベスト、パラシュート、靴)において行うことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、コントロールユニットは、警報またはアラーム発生の編成の際に、かつ/または警報信号の提供の際に、周辺パラメータおよび/または状況パラメータを考慮に入れることができ、かつ/または警報の編成に含めることができる。これにより、有利な手法で、航空機操縦士、パイロット、または副パイロットに、整理されたまたはコンパクトな手法で、周辺内の状況に関連する呼吸用ガス内の計測学的検出の状況(温度、外気中のガス組成)および航空機の使用状況もしくは操縦状況(離陸段階、着陸進入、空中給油、降下、旋回飛行、上昇)に関する、関連性に応じて優先付けされた関連するアラーム情報を付与できることが可能になる。特定の構成では、コントロールユニットは、センサ系の測定値の信号処理および/または信号フィルタリングの実施の際に、周辺パラメータおよび/または状況パラメータを考慮に入れ、かつ/または信号処理の適合化に含めることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、コントロールユニットは、警報の編成の際に、特定のガス濃度、特に酸素または二酸化炭素または一酸化炭素濃度の値について、監視システムのデータメモリに格納されてよい予め定められた閾値を使用することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、コントロールユニットは、酸素および二酸化炭素の傾向監視の形態での現在および過去の濃度測定値に基づいて、適切な決定マトリックスまたは問題に特別に適合化されたアルゴリズム、学習能力を備えたもしくは自己学習型アルゴリズム(SVM、ランダムフォレスト、AI、ディープラーニング、PCA)を用いて、場合によって発生する低酸素症の開始に適合化されたアラーム管理を備えた低酸素症識別のための一種の早期警告システムを適用することができる。特定の構成では、コントロールユニットは、この場合、周辺パラメータおよび/または状況パラメータを考慮に入れることができる。特定の構成では、コントロールユニットは、この場合さらに、低酸素症識別のための早期警告システムにおいて、例えばデータインターフェースを用いて、または監視システムに割り当てられた測定システムによって提供される、航空機操縦士、飛行機操縦士、パイロット、副パイロットの生理学的データ、例えばECG、心拍、心拍の変動、血液中の酸素飽和度、体温などを考慮に入れて記憶することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、ガス測定モジュール、測定モジュール、周辺または環境分析用モジュールなどのモジュールは、少なくとも1つのエネルギー蓄積器、例えば一次電池または再充電可能な電池などを有することができる。再充電可能な電池の種類としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、またはニッケルカドミウム電池などの種類が公知である。一次電池の種類としては、例えば、アルカリマンガン電池、酸化銀電池、リチウム電池、アルミニウム空気電池などの種類が公知である。
【0037】
再充電可能な電池を有する実施形態では、少なくとも電池の充電および/または電池の状態を監視するための電池充電システムおよび/または電池管理システム、ならびに電池充電システムおよび/または電池管理システムに充電エネルギーを供給するためのインターフェースも付加的に監視システムに包含されてよい。ほとんどのバッテリー管理システムは、例えば、バッテリーの状態に対するデータまたは情報を提供できるようにするために、外部通信用のインターフェースを有しており、そのようなインターフェースは、有線(例えばCANバス)、非接触(例えばRFID、NFC)、ワイヤレス(例えばBluetooth)、または赤外線光学式(例えばIrDA)として構成されてよい。付加的に、ガス測定モジュール、測定モジュール、周辺または環境分析用モジュールなどのモジュールは、さらなるコンポーネント、例えば、信号検出用コンポーネント(ADμC)、信号増幅用コンポーネント、アナログおよび/またはデジタル信号処理用コンポーネント(ASIC)、アナログおよび/またはデジタル信号フィルタリング用コンポーネント(DSP、FPGA、GAL、μC、μP)、信号変換用コンポーネント(A/D変換器)、コントロール、開ループ制御、閉ループ制御用コンポーネント(μC、μP)、動作のシーケンス制御およびユーザーの対話用コンポーネント(μC、μP)を有することができ、入出力インターフェース、少なくとも1つの操作要素および/または少なくとも1つの表示要素を備えたユーザーインターフェース(User-Interface)を有することができる。少なくとも1つの操作要素ならびに少なくとも1つの表示要素は、監視システムの中または上に配置されるか、または監視システムに割り当てられてよい。
【0038】
少なくとも1つの操作要素を用いることにより、ユーザーは、いくつかの実施形態では、監視システムの開始(スタート、起動)または終了(ストップ、停止)を用いた操作、監視システムの異なる動作モード間の選択、保守、調整、または較正方法の実施が可能であってよい。
【0039】
少なくとも1つの表示要素を用いることにより、ユーザーに、いくつかの実施形態において、イベント、状況、現在の測定値および/または過去の測定値に関する情報を提供することが可能であってよく、それらは、センサまたは測定モジュール、特に酸素センサおよび/または二酸化炭素センサもしくは酸素測定モジュールおよび/または二酸化炭素測定モジュールを用いて計測学的に検出され、提供されたものである。表示要素を用いることにより、ユーザーに、さらに測定値から導出された測定変数、例えば最大値または最小値、平均値、傾向、統計、イベント、警報状況などを提供することができる。さらに、表示要素を用いることにより、ユーザーに、監視システムの現在の動作状態に対する一般的な情報、例えば、バッテリー充電状態、バッテリー残量時間、保守情報、監視システム自体に対する情報、例えば、タイプ、名称、バリエーション、バージョン、シリアル番号、初期試運転、今後の保守間隔、状態データ、動作状態(Ready, In-OP, Stand-by)、エラー機能に対する情報、エラーメモリ、ならびに操作説明書などを与えることができる。
【0040】
表示要素は、いくつかの実施形態では、グラフィカルユーザーインターフェース(Graphical User Interface,GUI)として構成されてよい。
【0041】
表示要素に対して付加的に、いくつかの実施形態では、入力要素が設けられてよい。この入力要素は、機械的またはタッチセンシティブなボタンまたはスイッチ、ロータリーまたはスライドコントローラとして構成されてよく、グラフィカルユーザーインターフェース(Graphical User Interface,GUI)の形態で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、表示要素を入力要素と組み合わせて実行してよい。例えば、タッチセンシティブディスプレイ(touch screen)を備えた実施形態では、表示タイプを変更する、例えば表示要素を拡大または縮小する(ズーム機能の)ためのジェスチャ(スワイプ、ドラッグ)の使用など、用途の広い表示手段および操作手段による構成手段がもたらされる。表示要素と入力要素との組み合わせは、好適には、グラフィカルユーザーインターフェース(Graphical User Interface,GUI、タッチパッド)として構成されてよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、監視システムの使用者またはユーザーが監視システムにおいて特定の状況、定義されたアクションまたは状態を開始、注釈付け、トリガー、開始、または完了できる入力要素が設けられてよい。そのような入力要素は、例えば、好適には手動作動によって操作可能である注釈付けボタンおよび/またはパニックボタンとして構成されてよい。代替的に、音声コマンドによる操作が可能であってもよく、したがって、その場合は、注釈付けボタンおよび/またはパニックボタンは、音声検出、音声処理およびコマンド認識を伴う音声認識のための手段を用いて相応に構成される。
【0043】
入力要素は、さらなる代替的実施形態では、加速度センサによって補足することもでき、あるいはそのようなセンサによって構成されてもよい。この目的のために、コントロールユニットは、例えば加速度センサのデータまたは測定値を使用することができ、この加速度センサは、飛行高度、飛行方向、飛行速度、飛行加速度、空間内の配向を伴う飛行姿勢および飛行状況もしくは飛行操作(例えば、上昇、降下、旋回飛行、着陸進入、離陸)を含む現在の飛行状況を監視システム内で計測的学的に検出するために、状況パラメータを求めるためのデータを検出するさらなるセンサ系の構成部品として監視システム内のセンサ系の上/中に設けられている。代替的に、監視システムの中または上に付加的な2軸または3軸加速度センサが配置されてもよく、この加速度センサは、コントロールユニットとの接続において入力要素の機能を示す。加速度センサを用いることにより、監視システムの動きまたは変位、監視システムのハウジングの動きまたは変位、ならびに加速度センサに作用する機械的、触覚的な刺激または触覚的な励起を感覚的に検出し、測定値またはデータとしてコントロールユニットに提供することができる。機械的または触覚的な刺激または励起は、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットによる、加速度センサによって感覚的に検出可能な方向または軸のうちの少なくとも1つの方向への力作用、エネルギーまたは力供給として、手の動きを用いて監視システムに作用する押圧作動、打力作動(Push,Hit,Tapping)の形態で加速度センサに供給される。このことは、監視システムが、モバイルモジュールとして、閉じられたポケットの中、衣服の中または上、例えばベスト、ジャケット、またはスーツの上または中に配置されている場合に、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットにとって特に有利に実現できる。それにより、この力供給は、監視システム内の加速度センサに対する衣服を通した操作起動として行うことができる。入力手段または入力要素としての加速度センサの使用は、使用中に、モバイルモジュールとして構成された監視システム上の別途の入力要素に到達できない場合の飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットによる監視システムの作動または操作を可能にすることができる。これは、例えば、監視システムが、モバイルモジュールとしてポケットの中、衣服の中または上に配置されている場合に当てはまる。これにより、加速度センサは、手動ボタンまたは手動スイッチング要素を用いて、監視システムの操作に対する代替手段を提供する。加速度センサの測定値またはデータの評価のために、コントロールユニットは使用できるが、監視システム内に加速度センサのデータを検出して評価するために装備される付加的ユニットが設けられてもよい。そのような加速度センサのデータの評価は、実質的に時間測定に基づいている。加速度センサの測定値またはデータのための閾値と組み合わせた時間測定を用いることにより、加速度センサの触覚的な励起の持続時間に関する評価、ならびに2つ以上の触覚的な励起の間の持続時間に関する評価を行うことができる。例示的な構成では、コントロールユニットは、加速度センサの測定値またはデータに基づいて、加速度センサに対する最初の力作用または力供給を、閾値との比較を用いて識別するように構成されてよい。加速度センサの測定値が1つの予め定められた閾値に関して第1の予め定められた持続時間の間上回っている場合、コントロールユニットは、この状況を、加速度センサによって感覚的に検出可能な方向または軸のうちの少なくとも1つの方向への第1の力作用として解釈する。これにより、入力過程としての手の動きを用いた飛行機操縦士の入力起動の開始のための指示が与えられる。その後、加速度センサの測定値が、第2の予め定められた閾値に対して第2の予め定められた期間の間再度上回った場合、コントロールユニットは、この状況を、第1の力作用の終了として解釈する。その後、第3の予め定められた持続時間内に、第1の予め定められた閾値に関する加速度センサの測定値の上回りが第1の予め定められた持続時間の間起こった場合、コントロールユニットは、この状況を、加速度センサによって感覚的に検出可能な方向または軸のうちの少なくとも1つの方向へのさらなる力作用として解釈する。これにより、飛行機操縦士の入力起動の継続のための指示が与えられる。その後、加速度センサの測定値またはデータによる第2の予め定められた閾値の下回りが第2の予め定められた期間の間生じた場合、コントロールユニットは、この状況を、さらなる力作用の終了として解釈する。第4の予め定められた持続時間内に、加速度センサに対するさらなる力作用のさらなる検出および識別が続かない場合、飛行機操縦士の入力起動の終了のための指示が与えられる。このタイプの評価を用いることにより、コントロールユニットは、監視の動作中に、第1、第2の閾値および第1、第2、第3、第4の持続時間に関する加速度センサの測定値の評価を用いて、飛行機操縦士の手の動きによる「ダブルタップ」(double tap)の入力起動を検出して識別することができるように構成されており、したがって、それに基づいて、監視システムの中または上で、さらなるアクションをトリガーすることができる。そのようなアクションは、作用的に例えば、注釈付けボタンおよび/またはパニックボタンの機能に対応することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、コントロールユニットの構成は、「ダブルタップ」(double tap)に対して付加的に、「トリプルタップ」(triple tap)または「クワトロタップ」(quadruple tap)による入力も可能になるように評価に関して拡張することができる。このようにして、加速度センサを用いた操作入力のための簡単なコーディングがもたらされるので、コントロールユニットにより、「ダブルタップ」(double tap)、「トリプルタップ」(triple tap)、または「クワトロタップ」(quadruple tap)の間のタップ差を用いた様々な入力状況の間で区別することが可能になる。原理的にはシングルタップ(single tap)の入力を構成することも可能であるが、その場合には、シングルタップ(single tap)を示す励起の持続時間は、飛行機操縦士、飛行装置、または装備品による別途の励起との混同の可能性ができないように規定した方がよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、コントロールユニットの構成は、触覚的な励起の持続時間の評価に対して付加的に、加速度センサの触覚的な励起の間の持続時間の差を評価に含ませることも可能である。したがって、これらの差は、コントロールユニットにより、例えば加速度センサの触覚的な励起の間の持続時間として「短い休止期間」と「長い休止期間」とを区別することによって、相互に区別可能なイベントの数を増やすことで「複数回のタップ」の形態の評価に対して付加的に使用することができる。それにより、このような休止長さの変化は、触覚的な励起を評価する際の一種のモールス符号をもたらし、これは、入力要素としての加速度センサを用いたイベント符号化のためのさらなる手段である。
【0046】
つまり、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットは、飛行動作中に、入力要素として加速度センサを用いることにより、入力によってトリガーされる処理またはアクションへの割り当てを伴う様々な入力状況の区別の際に、監視システムに視線を向けて監視システム上のボタンまたはスイッチを操作する必要性なしで、例えば、測定操作を手動で開始したり、エントリ(注釈付け)またはタイムマークをログブックに設定したり、あるいは特別な健康状況、例えばめまい感などをデータ記録またはデータ記憶の際にマーキングしたりすることができる、手段および利点がもたらされる。測定操作は、例えば、空気圧システムにおける静的および動的な圧力レベルを決定するための測定操作によって、あるいは客室内のガス濃度を検出するための切り換えバルブの起動のための測定操作によって与えられてよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、例えば最大値または最小値、平均値、傾向、統計、イベント、アラーム状況など、測定値から導出される測定変数の測定値を記憶するためのデータメモリは、監視システムの中または上に配置されてもよいし、監視システムに割り当てられてもよい。そのようなデータメモリは、揮発性または不揮発性メモリ(RAM、ROM、EEPROM)として構成されてよく、監視システムの固定の構成部品として構成されてもよいし、あるいは取り外し可能および/または搬送可能なメモリモジュール(USBスティック、SDカード)として構成されてもよい。データメモリは、入力要素を用いて行われる入力のデータ記録またはデータ記憶に用いられ、この目的のためにログブック、フライトレコーダーの機能を提供することができる。ログブックは、この場合、好適には、表、リスト、データセットを有する実施形態では、ガス濃度測定値、流量測定値、圧力測定値、温度測定値の評価を、時系列的割り当てとマーキング(注釈付け)、さらなるイベント、または入力要素を用いた手動入力を伴う時間経過の中で記録し、同時または後続の評価のためにそれらを保持または提供することができる。イベントのプロットの際には、飛行状況もしくは飛行操作に応じてログブック内でパイロットによって行われたマーキング/注釈の時点でのそれぞれをリアルタイムでの評価または事後的な評価用に設定するために、加速度センサの測定値または測定信号を考慮することができる。イベントのプロットの際には、飛行状況(飛行高度)に応じてログブック内でパイロットによって行われたマーキング/注釈の時点でのそれぞれをリアルタイムでの評価または事後的な評価用に設定するために、高度センサの測定値または測定信号を考慮することができる。イベントのプロットの際には、ガス供給(CO、O)に応じてログブック内でパイロットによって行われたマーキング/注釈の時点でのそれぞれをリアルタイムでの評価または事後的な評価用に設定するために、ガスセンサ系の測定値またはデータを考慮することができる。
【0048】
いくつかの実施形態の特定の構成では、コントロールユニットは、センサ系の測定値の信号処理および/または信号フィルタリングの実施の際に、周辺パラメータおよび/または状況パラメータを考慮に入れ、かつ/または信号処理の適合化に含めるように構成されてよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、コントロールユニットは、警報の編成の際に、特定のガス濃度、特に酸素または二酸化炭素、一酸化炭素濃度の値について、監視システムのデータメモリに格納されてよい予め定められた閾値を使用するように構成されてよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、コントロールユニットは、低酸素症識別のための早期警告システムを、例えば酸素および/または二酸化炭素の濃度の傾向監視の形態でのセンサ系の現在および過去の測定値に基づいて、
-決定マトリックスを用いて、
-または特別に適合化されたアルゴリズムを用いて、
-または学習能力を備えたもしくは自己学習型アルゴリズム(例えば、SVM、ランダムフォレスト、AI、ディープラーニング、ICA、PCA)を用いて適用するように構成されてよい。
【0051】
いくつかの実施形態の特定の構成では、コントロールユニットは、この場合、周辺パラメータおよび/または状況パラメータを考慮に入れることができる。
【0052】
いくつかの実施形態のさらなる特定の構成では、コントロールユニットは、早期警報システムに適合化された警報管理を適用することができる。いくつかの実施形態の特定の構成では、コントロールユニットは、低酸素症識別のための早期警告システムにおいて、例えばデータインターフェースを用いて、または監視システムに割り当てられた測定システムによって提供される、航空機操縦士、飛行機操縦士、パイロット、副パイロットのさらなる生理学的データ、例えばECG、心拍、心拍の変動、血液中の酸素飽和度、体温などを考慮に入れるように構成されてよい。
【0053】
さらなる実施例は、監視システムを動作させるための方法を提供する。
【0054】
監視システムを動作させるための方法のいくつかの実施形態では、コントロールユニットにより、第1のステップでは、監視システムのセンサ系の起動が行われ、第2のステップでは、データメモリの初期化を伴うデータ記憶の準備が行われる。第3のステップでは、時間制御を用いて、監視システムのセンサ系の測定値の計測学的検出が行われる。第4のステップでは、所属の時間情報と共にデータメモリへの測定値のデータ記憶が行われる。第3および第4のステップは、コントロールユニットによって監視システムを動作させるための方法の完了まで連続的に継続される。
【0055】
監視システムを動作させるための方法のいくつかの実施形態では、所属の時間情報と共にデータメモリへのセンサ系の測定値のデータ記憶の際に、状況パラメータおよび/または周辺パラメータの付加的記憶が可能であってよい。
【0056】
監視システムを動作させるための方法のいくつかの実施形態では、ユーザーによる入力要素の起動の際に、入力要素の起動時点で、センサ系の測定値の(時間制御に依存しない)付加的検出が可能であってよい。
【0057】
本発明を改善するさらなる手段は、図面に示されている本発明のいくつかの実施例に対する以下の説明から明らかになる。特許請求の範囲、明細書、または図面から生じる、構造上の詳細および空間的な配置構成を含めたすべての特徴および/または利点は、それら自体においても、様々な組み合わせにおいても、発明の本質であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1a】センサ系を備えた監視システムを概略的に示した図である。
図1b】センサ系を備えた監視システムを概略的に示した図である。
図2a】酸素および二酸化炭素用の測定機能を有する図1a、図1bによる監視システムを概略的に示した図である。
図2b】酸素および二酸化炭素用の測定機能を有する図1a、図1bによる監視システムを概略的に示した図である。
図3図1a、図1b、図2a、図2bに従って監視システムによる変形形態の拡大図を概略的に示した図である。
図4】さらなるセンサ系を備えた図1a、図1b、図2a、図2b、図3による監視システムの変形形態を概略的に示した図である。
図5】さらなるセンサ系を備えた図1a、図1b、図2a、図2b、図3による監視システムの変形形態を概略的に示した図である。
図6図3による監視システムの変形形態を概略的に示した図である。
図7図3による監視システムのさらなる変形形態を概略的に示した図である。
図8図6による監視システムの代替的な変形形態を概略的に示した図である。
図9】呼吸用マスク圧力を決定するためのフローチャートを概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1a、図1bは、監視システム100を示し、この監視システム100は、測定ガス管路10を用いて人員99の呼吸用マスク20と接続されている。図1a、図1bにおける同一の要素には、図1a、図1bにおけるのと同一の参照符号が付されている。人員99は、図1において、飛行機操縦士(パイロット、副パイロット)または飛行機、特にジェット機(Jet)の乗客を表す。呼吸用マスク20は、ガス接続部21、接続要素23、ならびにホース管路24,25を有する。ホース管路24,25は、人員99に対する呼吸用ガスの排出および供給に用いられる。この図1aでは、これらのホース管路は、別個の2つのホース管路24,25として示されている。しかしながら、図1bに示されているように、呼吸用ガスをガス供給する吸気用の1つのホース管路25のみが存在し、呼気は、呼吸用マスク20内の呼気バルブ29を介して周辺5に向けて行われる接続要素23’を有する実施形態も可能である。さらなる手段は、2つのホース管路24,25を共通の要素として有する同軸型ホースシステムの実現によって与えられる。呼吸用ガスの持続もしくは供給および航空機または飛行装置内へ呼吸用ガスを提供するために必要な手段または要素は、見易く表示する理由からこの図1aおよび残りの図面には示されていない。監視システム100は、操作要素40、表示要素44、少なくとも1つのガス搬送用モジュール50、少なくとも1つのセンサ66を有するセンサ系60を有する。ガス搬送用モジュール50は、好適にはポンプPとして構成され、より好適には圧電作動ポンプPとして構成されている。さらに、監視システム100は、コントロールユニット70を有する。
【0060】
操作要素40、表示要素44、センサ系60、ガス搬送用モジュール50は、信号およびデータ線路またはコントロール線路を介してコントロールユニット70に接続されている。これらのコントロール線路もしくは信号およびデータ線路は、例えば、バスシステム(CAN)またはネットワークとして構成されてよい。これらのコントロール線路もしくは信号およびデータ線路は、見易く表示する理由から図1aならびにさらなる図面には示されない。コントロールユニット70は、呼吸用マスク20から測定ガス管路10およびガス入口51を通ってセンサ系60への呼吸用ガスの吐出が実現されるように、ガス搬送用モジュール50をコントロールおよび/または駆動制御するように構成され、そのために設けられている。したがって、呼吸用ガスの所定量または部分量は、次いで、それを計測学的に検出および/または分析し、測定値としてコントロールユニット70に提供するために、ガスセンサ系60の少なくとも1つのセンサ66に利用可能である。コントロールユニット70を用いることにより、測定値を評価、処理し、少なくとも表示要素44の部分要素上に表示させることが可能になる。
【0061】
図2a、図2bは、センサ系60内のセンサ66が酸素センサ68として構成され、さらにさらなるセンサが二酸化炭素センサ64として同様にセンサ系60内に配置されている特徴を有する図1a、図1bによる監視システム100,110を示す。図1a、図1b、図2a、図2bにおける同一の要素には、図1a、図1b、図2a、図2bにおけるのと同一の参照符号が付されている。図2bは、酸素センサ68および二酸化炭素センサ64を備えた図2aによる監視システムの変形形態110を示し、この場合、監視システム110は、測定ガス管路10なしで直接呼吸用マスク20上に配置されるか、または呼吸用マスク20の一部として構成されている。呼吸用マスク20からセンサ系60に所定量の呼吸用ガスを搬送するための、図1a、図1b、図2aによる変形形態のようなポンプPは、ここでは、場合によっては省くことができる。任意選択的な量のガスも客室またはコックピットからセンサ系に吐出させるべき場合には、図2bによる配置構成においても、任意選択的なポンプ56がセンサ系の中または上に配置されている。監視システム110内のそのような任意選択的なポンプ56の配置構成は、見易く表示する理由から示されていない。図2bには、例示的に、(類似の構成においても、図1a、図2a、図3図4図5による構成の任意選択的なコンポーネントとして理解されるように)エネルギー蓄積器85が示されている。そのようなエネルギー蓄積器85は、一次電池または充電可能もしくは再充電可能な電池(リチャージャブルバッテリ、蓄電池)として構成され、監視システム110,108(図4)、109(図5)、100(図1a、図1b、図2a、図3)の様々なコンポーネント(60,70,40,44,75)に電気エネルギーを供給するのに適して構成されている。図2bには、(類似の構成においても、図1a、図2a、図3図4図5による構成の任意選択的なコンポーネントとして理解されるように)マスク20の上または中に配置されるさらなる表示要素45を有する任意選択的な構成が示されている。このさらなる表示要素45は、(見易くする理由から示されていない)信号またはデータ線路を用いてコントロールユニット70に接続されている。このさらなる表示要素45は、表示要素44に対して付加的または代替的に使用することができる。さらなる表示要素の構成は、例えば、マスク内ディスプレイやヘッドアップディスプレイの形態で実現されてよい。図2aは、付加的に、データインターフェース90を示す。このデータインターフェース90は、一方では、外部からのデータを受信し、次いでこれらのデータをコントロールユニット70に提供するように構成されてよい。データインターフェースに所属するデータ線路は、見易く表示する理由から図2a、ならびにさらなる図面には示されていない。他方では、データインターフェース90を用いて、例えば、監視システム100またはセンサ系60の測定値を外部に提供することができる。そのため、このデータインターフェース90を介して(例えば航空機または飛行装置のコンポーネントから)航空機または飛行装置の状況に対する現在の周辺パラメータまたは状況パラメータを受信し、測定値の処理の際および/またはポンプP50のコントロールの際に考慮に入れるためにコントロールユニット70に提供することができる。さらに、測定値および/または測定値から導出された測定変数またはパラメータ、ならびにコントロールユニット70からの情報または状態データは、データインターフェースを用いて航空機または飛行装置のコンポーネントのために提供することができる。このようにして、例えば、測定値および/または測定値から導出された測定変数またはパラメータ、ならびに情報または状態データを、航空機または飛行装置の外部表示要素に表示させることが可能である。データインターフェースは、例えば有線(CANバス、LAN、Ethernet、RS485、NMEA183)またはワイヤレス(WLAN、Bluetooth、NFC)で、単方向または双方向に構成されてよい。航空機または飛行装置の周辺状況に対する現在の周辺パラメータとしては、例えば以下のものが挙げられる:
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の周辺圧力
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内の周辺温度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内のガス組成
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内の絶対湿度および/または相対湿度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内の密度および/または周辺圧力
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内の周辺温度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室内のガス組成
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の周辺圧力
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の周辺温度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外のガス組成
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の絶対湿度および/または相対湿度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の密度および/または周辺圧力
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外の周辺温度
-航空機または飛行装置のコックピットまたは客室外のガス組成
-飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットに供給される呼吸用ガス、呼吸用ガス混合気、または呼吸用空気内の圧力レベル、圧力経過、圧力時間経過、圧力差、圧力変動
-呼吸用ガス、呼吸用ガス混合気、または呼吸用空気のための搭載技術(例えば、ガスタンク、圧縮酸素ボンベ、吸気、ガス処理、フィルタリング、ガス吐出)の提供における圧力レベル、圧力経過、圧力差、圧力変動。
【0062】
航空機または飛行装置の状況に対する状況パラメータもしくは現在の状況パラメータとしては、例えば、以下のものが挙げられる:
-飛行方向
-飛行高度
-飛行軸の姿勢
-飛行姿勢、例えば、背面飛行、旋回飛行、急降下飛行、降下飛行、上昇飛行など
-対気速度
-飛行方向
-水平加速度
-垂直加速度
-ヨー角またはロール角
-酸素または空気の残留ストック
-圧縮酸素ガスまたは圧縮空気の残留ストック。
【0063】
図3は、コントロールユニット70と信号またはデータ接続された入力要素80が監視システムに配置されている特徴を有する、図1a、図1b、図2aによる監視システム100を示す。図1a、図1b、図1c、図2図3における同一の要素には、図1a、図1b、図1c、図2図3におけるのと同一の参照符号が付されている。この入力要素80を介して、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットは、飛行動作の特定のイベントまたは状況をマーキングし、ならびに特定の個人的な、例えば健康上のイベント、状況、または症状、例えば、発熱、頻脈、またはめまい感などを投入の時間経過の中でマーキングすることが可能になる。これらのマーキングは、コントロールユニット70によって、イベントまたは状況を時間情報と組み合わせ、次いで、これらの時間情報とイベントもしくは状況との組み合わせをデータメモリ75に格納するために利用することができる。データメモリ75は、揮発性または不揮発性メモリ(RAM、ROM、EEPROM)として構成されてよく、監視システム100,110(図2b)の中または上に固定の構成部品として配置されてもよいし、あるいは取り外し可能なメモリモジュール(USBスティック、SDカード)として配置されてもよい。また、例えば図2bに示され説明されたのと同様の構成のデータインターフェース90を用いて、(図には示されていない)外部の評価ユニットとデータを提供および/または交換することが可能であってもよい。これにより、この入力要素80は、センサ系60の検出された測定値および飛行動作のイベントおよび状況を、入力要素を用いて飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットによって提供されるさらなる情報で補足し、例えばタイムスタンプの形態の時間情報を含ませるために用いることができる。しかしながら、入力要素をパニックボタンとして構成することも可能であり、このパニックボタンには、航空機操縦士、パイロット、または副パイロットは、自身の知覚感覚からの特定の状況、例えば、客観的または主観的に感じた特定の危険姿勢またはリスク状況を伴う状況の中で、直ちに注意を引きつけることができる。マーキングされた測定値および/またはイベント、状況および特定の状況も、例えば、データインターフェース90を用いて直接外部に提供することができ、場合によっては、(同様に直接(onlineで))航空機または飛行装置の通信システムを介して地上局または他の航空機または飛行装置に伝送することも可能である。さらに、マーキングされた測定値および/またはイベント、状況および特定の状況の評価を、投入後、データメモリ75および/またはデータインターフェース90を用いて事後的に(offlineで)行うことが可能である。
【0064】
図4および図5は、センサ系60のさらなるコンポーネントを有する図1a、図1b、図2a、図2b、図3による監視システム100,110の変形形態を示す。センサ系60のさらなるセンサのための所属のコントロール線路もしくは信号およびデータ線路は、見易く表示する理由から図4および図5には示されていない。図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5における同一の要素には、図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5におけるのと同一の参照符号が付されている。センサ系60におけるこれらのさらなるセンサは、航空機または飛行装置のコックピットまたは客室の内部および/または外部の現在の周辺パラメータを決定するために、かつ/または現在の状況パラメータおよび状況を決定するために、ならびに物理的特性を決定し、呼吸用ガスの組成をさらに決定するために用いることができる。センサ系60のさらなるコンポーネントとして、図4における監視システム108には、以下のさらなるセンサが例示的に示されており、これらは、図1a、図1b、図2a、図2b、図3図5のための構成の任意選択的な手段としても理解されるべきである:
-2軸または3軸加速度センサ(Accelerometer)の形態の少なくとも1つの加速度センサ61
-少なくとも1つのコンパスセンサ62、例えば電子コンパス、ジャイロコンパスまたはフラックスゲートコンパス
-少なくとも1つの高度センサ58
-少なくとも1つのジャイロセンサ63。
【0065】
センサ系60のさらなるコンポーネントとして、図5では、以下のさらなるセンサが例示的に示されており、これらは、図1a、図1b、図2a、図2b、図3図4のための構成の任意選択的な手段としても理解されるべきである:
-少なくとも1つの温度センサ69,69’
-少なくとも1つの圧力センサ67,67’
-少なくとも1つの湿度センサ59,59’
【0066】
センサ系60におけるさらなるセンサは、圧力センサとして構成されてよく、これらの圧力センサは、周辺からの周辺圧力、特に、航空機または飛行装置のコックピットまたは客室の内部および/または外部の圧力または密度を計測学的に検出し、コントロールユニット70に提供するように構成され、そのために設けられてよい。センサ系60におけるさらなるセンサは、温度センサとして構成されてよく、これらの温度センサは、周辺の周辺温度、特に、航空機または飛行装置のコックピットまたは客室の内部および/または外部の温度を計測学的に検出し、コントロールユニット70に提供するように構成され、そのために設けられてよい。センサ系60におけるこれらのさらなるセンサは、周辺の絶対または相対湿度を検出する湿度センサとして構成されてよく、これらの湿度センサは、周辺における湿度、特に、航空機または飛行装置のコックピットまたは客室の内部および/または外部の湿度を計測学的に検出し、コントロールユニット70に提供するように構成され、そのために設けられてよい。センサ系60におけるさらなるセンサは、周辺のガス組成を検出する少なくとも1つのさらなるガスセンサ65として構成されてよく、これらの少なくとも1つのさらなるガスセンサ65は、周辺におけるガス組成、特に、航空機または飛行装置のコックピットまたは客室の内部および/または外部のガス組成を計測学的に検出し、コントロールユニット70に提供するように構成され、そのために設けられてよい。さらなるガスセンサとして、呼吸用ガスを、酸素および二酸化炭素の濃度の計測学的検出の他にさらに例えば一酸化炭素、炭化水素、燃焼プロセスの残留物または生成物などのさらなる物質に関しても監視できるようにするために、電気化学式ガスセンサ、触媒式ガスセンサ、光学式、赤外線光学式ガスセンサ、光イオン化ガスセンサ、固体電解質ガスセンサ、または半導体ガスセンサを使用することが可能である。例えば、バルブモジュールとして、またはバルブモジュールの一部として構成された図4に示されている切り換えバルブ55は、ガス入口51と、さらなるガス接続部52と、の間で所定量または部分量のガスサンプルの切り換えを可能にする。これにより、一方では、ポンプP50を用いて呼吸用マスク20からの呼吸用ガスをセンサ系60に吐出することが可能になるが、さらに、ポンプP50を用いて周辺5からの所定量のガスまたはガス混合気をセンサ系60に吐出し、センサ系60を用いて計測学的に検出することも可能である。切り換えバルブ55は、コントロールユニット70によってコントロールされる。そのため、航空機または飛行装置の外部からの外気、あるいは航空機または飛行装置の客室またはコックピットからの内気を、さらなるガス接続部52を介して供給することが可能であり、(コントロールユニット70のコントロールによって)呼吸用マスク20、コックピット、客室、または外気におけるガス濃度の監視が交互に可能であってよい。
【0067】
図5中の監視システム109におけるさらなるガスセンサ65およびセンサ59,67,69に対して付加的にさらに示されているさらなるセンサ59’,64’,68’,69’および少なくとも1つのさらなるガスセンサ65’は、さらなるポンプP56に空気圧的または流体的に接続されている。図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5における同一の要素には、図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5におけるのと同一の参照符号が付されている。このさらなるポンプP56は、さらなるガス接続部53を介して周辺5からのガスの供給を、例えば航空機または飛行装置の外部からの外気の供給あるいは航空機または飛行装置の客室またはコックピットからの内気の供給を可能にしている。さらなるポンプP56は、コントロールユニット70によってコントロールされる。そのため、航空機または飛行装置の外部からの外気、あるいは航空機または飛行装置の客室またはコックピットからの内気を、さらなるガス接続部53を介して供給することができる。それにより、呼吸用マスク20内のガス濃度と、コックピット、客室、または外気中のガス濃度と、の同時監視が可能である。センサ系60のさらなるセンサは、航空機または飛行装置の現在の状況を計測学的に検出するように構成されてよい。そのため、好適には3軸加速度センサ(3-axis-accelerometer)として構成された加速度センサ61のデータを用いて、高度センサ58(Altimeter)、ジャイロセンサ63、および任意選択的に考慮されるコンパスセンサ62の情報を組み合わせて、飛行高度、飛行方向、飛行速度、飛行加速度、空間内の配向(XYZ-Orientation)を伴う飛行姿勢および飛行状況もしくは飛行操作(例えば、上昇、降下、旋回飛行、着陸進入、離陸)を含む現在の飛行状況をコントロールユニット(70)によって求めることができる。
【0068】
図6は、図3の変化形における変形形態を示し、この場合、ポンプP50もしくはガス搬送用モジュールが、監視システム100’のガス出口49に配置されている。このことは、(図3に示されている監視システムのガス入口にポンプを有する変形形態に比べて)ポンプP50からの痕跡または不純物が監視システム100’内に、特に、二酸化炭素センサ64および酸素センサ68を有するセンサ系60に達することができないという利点を有する。図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5図6における同一の要素には、図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5図6におけるのと同一の参照符号が付されている。好適には、ポンプP50のコントロールおよび所定量のガスの供給に必要となり得るコンポーネントは、ポンプP50のすぐ近傍に配置されている。この目的のために、圧力センサ47、流量センサ48および遮断バルブ57が、ポンプP50の近傍に配置されている。流量センサ48は、ポンプP50によって吐出される流量の計測学的コントロールに用いられる。ポンプP50および流量センサ48の貫流後、吐出された所定量のガスは、監視システム100’の外部に向けて周辺5へ到達する。圧力センサ47は、ガス流において遮断バルブ57に対して上流側に配置されており、それにより、遮断バルブ57の閉鎖状態での圧力測定は、したがって無通流状態で呼吸用マスク20内のマスク圧力を検出することができ、したがって、このマスク圧力は、ガス入口51における圧力レベルと、測定ガス管路10内の圧力レベルと、に同一である。代替的に、圧力センサは、ガス入口近傍のガス流に、測定ガス管路10に、またはガスセンサ60,64,68の近傍に配置されてもよい。ガス入口51には切り換えバルブ55が設けられており、この切り換えバルブ55は(図4中に記載された切り換えバルブ55と同等の手法で)、ガス入口51と、さらなるガス接続部52と、の間で所定量または部分量のガスサンプルの切り換えを可能にする。好適には、切り換えバルブ55は、3ポート/2ウェイバルブとして構成されている。この配置構成により、ガス入口51において、ポンプP50を用いることにより、一方では、呼吸用ガスを呼吸用マスク20からセンサ系60に吐出することが可能になるが、さらに、ポンプP50を用いることにより、所定量のガスまたはガス混合気を周辺5からさらなるガス入口52を通ってセンサ系60に吐出し、センサ系60を用いて計測学的に検出することも可能である。切り換えバルブ55は、コントロールユニット70によってコントロールされる。そのため、航空機または飛行装置の外部からの外気、あるいは飛行装置の客室またはコックピットからの内気を、さらなるガス接続部52を介して供給することが可能であり、(コントロールユニット70のコントロールによって)呼吸用マスク20、コックピット、客室、または外気におけるガス濃度の監視が交互に可能であってよい。ポンプP50を用いて呼吸用マスク20から測定ガス管路10を通ってセンサ系60に供給される湿気および凝縮水からセンサ系60を保護するために、フィルタ要素(HMEフィルタ)54が、測定ガス管路10内もしくは切り換えバルブ55の出口に直列接続で配置されてよい。
【0069】
図3による配置構成100のようにスイッチング素子の形態で構成された入力要素80の代わりに、図6によるこの構成100’では、入力要素として加速度センサ61が設けられており、この加速度センサ61は、飛行機操縦士の手動操作を検出するための代替的操作または入力要素として構成され、そのために設けられている。この代替的な操作または入力要素もしくは加速度センサ61を介して、飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットは、飛行動作の特定のイベントまたは状況をマーキングし、ならびに特定の個人的な、例えば健康上のイベント、状況、または症状、例えば発熱、頻脈、またはめまい感などを投入の時間経過の中でマーキングすることが可能になる。これらのマーキングは、コントロールユニット70によって、イベントまたは状況を時間情報と組み合わせ、次いで、これらの時間情報とイベントもしくは状況との組み合わせをデータメモリ75に格納するために利用することができる。データメモリ75は、揮発性または不揮発性メモリ(RAM、ROM、EEPROM)として構成されてよく、監視システム100’の中または上に固定の構成部品として配置されてもよいし、あるいは取り外し可能なメモリモジュール(USBスティック、SDカード)として配置されてもよい。また、例えば図2bに示され説明されたのと同様の構成のデータインターフェース90を用いて、(図には示されていない)外部の評価ユニットとデータを提供および/または交換することが可能であってもよい。これにより、この代替的な操作または入力要素もしくは加速度センサ61は、センサ系60の検出された測定値および飛行動作のイベントおよび状況を、代替的な操作または入力要素もしくは加速度センサ61を用いて飛行機操縦士、パイロット、または副パイロットによって提供されるさらなる情報で補足し、例えばタイムスタンプの形態の時間情報を含ませるために用いることができる。しかしながら、代替的な操作または入力要素もしくは加速度センサ61をパニックボタンとして構成することも可能であり、このパニックボタンには、航空機操縦士、パイロット、または副パイロットは、自身の知覚感覚からの特定の状況、例えば、客観的または主観的に感じた特定の危険姿勢またはリスク状況を伴う状況の中で、直ちに注意を引きつけることができる。マーキングされた測定値および/またはイベント、状況および特定の状況も、例えば、データインターフェース90を用いて直接外部に提供することができ、場合によっては、(同様に直接(onlineで)航空機または飛行装置の通信システムを介して)地上局または他の航空機または飛行装置に伝送することも可能である。さらに、マーキングされた測定値および/またはイベント、状況および特定の状況の評価を、投入後、データメモリ75および/またはデータインターフェース90を用いて事後的に(offlineで)行うことが可能である。
【0070】
図7は、(ガス入口51周りの領域の詳細図として一部が図6とは異なり)パイロットの呼吸用ガスの監視と客室空気の監視との間を切り換えるための切り換えバルブがガス入口51にない配置構成での、フィルタ要素(HMEフィルタ)54、ポンプP50、センサ系60、圧力センサ47、流量センサ48、遮断バルブ57からなる配置構成を有する監視システム111を示す。図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5図6図7における同一の要素には、図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5図6図7におけるのと同一の参照符号が付されている。圧力センサ47は、遮断バルブ57の閉鎖状態の際の圧力測定により、その後の無通流状態において、その後のガス入口51における圧力レベルおよび測定ガス管路10内の圧力レベルと同一である呼吸用マスク20内のマスク圧力が検出できるように、遮断バルブ57に関連してガス流の上流側に配置されている。圧力センサ47は、代替的に、ガス入口51の近傍のガス流に、測定ガス管路10に、またはガスセンサを有するセンサ系60の近傍に配置してもよい。
【0071】
図8は、(ガス入口51周りの領域の詳細図として一部が図6および図7とは異なり)フィルタ要素(HMEフィルタ)54、ポンプP50、センサ系60、ガス入口51の圧力センサ47および3ポート/2ウェイバルブの構成の切り換えバルブ55からなる配置構成を有する監視システム111を示す。図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5図6図7図8における同一の要素には、図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5図6図7図8におけるのと同一の参照符号が付されている。切り換えバルブ55は、周辺5、例えば客室からセンサ系60へのガス量のための経路を開放することができ、したがって、客室空気の監視が可能である。同時に、切り換えバルブは、呼吸用マスク20からのガス量の経路を閉鎖する。図8によるこの構成では、切り換えバルブ55は、呼吸用ガスの測定と客室空気の測定との間の切り換えの他に、呼吸用マスク内の圧力決定のための測定操作を実施するための遮断バルブとしての機能性も有している。圧力センサ47は、客室空気監視による切り換えバルブ55の状態での圧力測定により、ガス入口51における圧力レベルおよび測定ガス管路10内の圧力レベルと同一である呼吸用マスク20内のマスク圧力が検出できるように、ガス入口51において切り換えバルブ55および測定ガス管路10に関連して配置されている。切り換えバルブ55は、パイロットの呼吸用ガスの監視と客室空気の監視との間を切り換えることが可能である。
【0072】
図9は、図6による監視システム100’を用いた呼吸用マスク20(図6)内の圧力レベルを決定するための測定操作のシーケンス200を概略的に示す。図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5図6図7図8図9における同一の要素には、図1a、図1b、図1c、図2図3図4図5図6図7図8図9におけるのと同一の参照符号が付されている。スタート201で開始され、ストップ210までのステップシーケンスでの測定操作は、遮断バルブ(Flow-Lock-Valve)57(図6)を用いた構成において、制御ユニット70(図6)によって実施される。スタート(START)201後、ポンプP50の停止202(図6)が行われ、その際にまたはわずかに時間遅延されて、遮断バルブ57(図6)の閉鎖203が行われる。それにより、通流が、測定ガス管路10(図6)内で停止し、これに伴いセンサ系60(図6)は静止状態となる。静的圧力レベルを決定するための第1の圧力測定の測定過程204が行われる。その後、遮断バルブ57(図6)の開放205が行われ、ポンプP50(図6)の起動206が行われる。ポンプP50(図6)は、50ml/min~100ml/minの範囲の規定された吐出量で、呼吸用マスク20(図6)から測定ガス管路10(図6)およびセンサ系60(図6)を通って所定量のガスを吸い込むことを開始する。その際、吐出量のコントロールおよび監視のために、流量測定207が、流量センサ48(図6)を用いて行われる。その後、圧力測定のさらなる測定過程208が、動的圧力レベルの決定のために行われる。第1の圧力測定204の圧力測定値と、さらなる圧力測定208の圧力測定値と、から、差分値の算出209が行われ、この差分値は、空気圧システムに関する現在の圧力低下を示す。このようにして、測定操作のシーケンスは終了する210。したがって、そのように求められた差分値は、飛行装置の使用時の監視システムのさらなる動作において、マスク圧力の決定のために提供され、使用され得る。
【符号の説明】
【0073】
5 周辺、大気、外気、コックピット、または客室
10 測定ガス管路
20 呼吸用マスク
21 呼吸用マスクへのガス接続部
24,25 ホース管路
23,23’ 接続要素
29 呼気バルブ
40 操作要素
44,45 表示要素
46 ワイヤレスインターフェース、無線インターフェース
47 圧力センサ
48 流量センサ(Flowsensor,ΔP-Sensor)
49 ガス出口
50 ガス搬送用モジュール、ポンプP
51 ガス入口
52,53 さらなるガス接続部
54 フィルタ要素(HME-Filter)
55 切り換えバルブ(3ポート/2ウェイバルブ)、バルブモジュール
56 さらなるポンプP
57 遮断バルブ(Flow-Lock-Valve)
58 高度センサ(Altimeter)
59,59’ 湿度センサ
60 センサ系
61 加速度センサ
62 コンパスセンサ
63 ジャイロセンサ
64,64’ 二酸化炭素センサ
65 さらなるガスセンサ
66 センサ
67,67’ 圧力センサ
68,68’ 酸素センサ
69,69’ 温度センサ
70 コントロールユニット
80 入力要素
90 データインターフェース
99 人員、パイロット、飛行機操縦士
100,100’ 監視システム
108,109,110,111,112 監視システム
200 測定操作のシーケンス
201 開始、スタート
202 ポンプ:停止
203 遮断バルブ:バルブ閉鎖
204 第1の圧力測定:静的圧力レベル
205 遮断バルブ:バルブ開放
206 ポンプ:起動
207 流量測定
208 さらなる圧力測定:動的圧力レベル
209 現在の圧力低下値の決定
210 終了、ストップ
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】